(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137816
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】測定装置の制御方法及び測定装置
(51)【国際特許分類】
G01D 3/00 20060101AFI20240927BHJP
G01D 21/02 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G01D3/00 Z
G01D21/02
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024041108
(22)【出願日】2024-03-15
(31)【優先権主張番号】10 2023 107 051.7
(32)【優先日】2023-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】63/453,488
(32)【優先日】2023-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】301077552
【氏名又は名称】ネッチ ゲレーテバウ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ブルーナー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス デンナー
(72)【発明者】
【氏名】ティロ ヒルパート
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン ウォルファート
(72)【発明者】
【氏名】ミハエル シェーネイヒ
(72)【発明者】
【氏名】ミハエル ミューラー
(72)【発明者】
【氏名】トルステン ハックマン
【テーマコード(参考)】
2F075
2F076
【Fターム(参考)】
2F075AA01
2F075AA10
2F075EE14
2F075EE18
2F075FF03
2F076BA01
2F076BA11
2F076BA13
2F076BA14
2F076BA16
2F076BE07
2F076BE09
2F076BE10
2F076BE14
2F076BE16
(57)【要約】 (修正有)
【課題】測定装置の制御方法、さらに測定装置に関する。
【解決手段】コントローラ(110;200)によって、特定の測定値を決定するための要求を受信することと、コントローラ(110;200)によって、特定の測定値のために実行されるステップの測定スケジュールを確立することと、特定の測定値を決定可能にするために、測定装置に設定されるパラメータのパラメータリストを確立することと、コントローラ(110;200)によって、確立されたパラメータリストを測定装置(100)のユーザに出力すること(M3)と、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントローラ(110;200)によって、特定の測定値を決定するための要求を受信すること(M1)と、
前記コントローラ(110;200)によって、前記特定の測定値を決定可能にするために、測定装置に設定されるパラメータのパラメータリストを確立すること(M2)と、
前記コントローラ(110;200)によって、前記確立されたパラメータリストを測定装置(100)のユーザに出力すること(M3)と、
を含む、測定装置(100)の制御方法(M)。
【請求項2】
特定の測定値を決定するための前記要求が、所望の測定精度及び/又は測定時間に関する情報を含む請求項1に記載の方法(M)。
【請求項3】
前記コントローラ(110;200)が、前記パラメータリストを確立する際にデータベース(120;300)にアクセスする請求項1に記載の方法(M)。
【請求項4】
前記データベース(120;300)が、材料特性及び測定方法に関する複数の情報を含み、
前記コントローラ(110;200)が、前記複数の情報に基づいて前記パラメータリストを自律的に確立する請求項3に記載の方法(M)。
【請求項5】
前記コントローラ(110;200)が、前記測定値が決定された後に前記データベース(120;300)を更新する請求項3に記載の方法(M)。
【請求項6】
前記測定装置(100)のセンサ装置(130)によって、前記測定値の決定中に測定パラメータを監視することと、
前記コントローラ(110;200)によって、前記監視された測定パラメータを評価することと、
を含む請求項1に記載の方法(M)。
【請求項7】
前記コントローラ(110;200)が、前記監視された測定パラメータが前記確立されたパラメータリストの前記パラメータから逸脱した場合に警告を出力する請求項6に記載の方法(M)。
【請求項8】
前記監視された測定パラメータが前記確立されたパラメータリストの前記パラメータから逸脱した場合に、前記コントローラ(110;200)が、前記測定値の決定を中断する請求項6に記載の方法(M)。
【請求項9】
前記監視された測定パラメータが前記確立されたパラメータリストの前記パラメータから逸脱した場合に、前記コントローラ(110;200)が前記測定装置(100)の前記パラメータを自律的に変更する請求項6に記載の方法(M)。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の方法(M)を実行するように構成される測定装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置の制御方法及び測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な材料の特性を明らかにすることは、研究及び産業における多くの用途にとって非常に重要である。この目的のために、用途に応じて、時には非常に複雑な測定プロセスを提供する様々な測定装置が使用されている。
【0003】
目的の測定を確実に成功させるには、個々の測定プロセスの技術的・科学的背景を考慮する必要があるため、ユーザがこれらの測定を行うには、ある程度の専門知識が必要である。
【0004】
その結果、測定を行うために必要なのは、純粋な測定時間だけでなく、時には長い準備時間も必要になり、その間に、使用する測定装置のユーザは、測定値を決定するためにどの測定方法を使用し、どのようにこれを実行するかを最初に決定しなければならない。
【発明の概要】
【0005】
このような背景から、本発明の目的は、測定装置の使用を容易にし、より効率的にすることである。
【0006】
この課題は、請求項1の特徴を有する方法及び請求項10の特徴を有する測定装置によって解決される。
【0007】
従って、測定装置の制御方法が提供される。本方法は、コントローラによって、特定の測定値を決定するための要求を受信することと、前記コントローラによって、前記特定の測定値を決定可能にするために、測定装置に設定されるパラメータのパラメータリストを確立することと、前記コントローラによって、前記確立されたパラメータリストを測定装置のユーザに出力することと、を含む。
【0008】
さらに、本発明に係る方法を実行するように構成された測定装置が提供される。
【0009】
測定装置のパラメータとは、ここでは、測定装置又はその構成要素に設定され、実行される測定に影響を及ぼし得るあらゆる設定を意味すると理解される。これには、温度や圧力など、測定プロセス中に測定装置のサンプル受取装置において優勢となり得る要因が含まれる。測定装置のパラメータは、検査されるサンプルの測定プロセス中の熱的、電気的及び/又は機械的エネルギの供給量及び/又は供給期間に関する情報、又は検査されるサンプルの測定値の特性に関する情報であってもよく、例えば、所望の測定値を直接測定することはできないが、サンプルの他の特性の測定を介して間接的にのみ導出することができる場合に使用することができる。原則的に、パラメータリストを確立することにより、コントローラは、所望の測定値を決定可能なプロセスを指定できる。
【0010】
測定装置のユーザがこの目的のために設計されたコントローラによって支援されることが、本発明の基本的な考え方である。コントローラが、測定装置のどのパラメータを設定する必要があるかをユーザに伝えるので、測定準備中にこのステップを大幅に短縮することができる。パラメータリストのユーザへの出力は、測定プロセス中にも実行することができ、測定実行中のユーザをさらに安心させる。
【0011】
本方法の例示的な実施形態によれば、特定の測定値を決定するための前記要求が、所望の測定精度及び/又は測定時間に関する情報をさらに含む。この情報は、測定装置に適したパラメータのリストを確立するために極めて有効である。
【0012】
本方法の例示的な実施形態によれば、前記コントローラが、前記パラメータリストを確立する際にデータベースにアクセスする。適切なパラメータリストの確立は、データベースの適切な構成によって有利に支援され得る。
【0013】
本方法のさらなる発展形によれば、前記データベースが、材料特性及び測定方法に関する複数の情報を含み、前記コントローラが、前記複数の情報に基づいて前記パラメータリストを自律的に確立する。結果として、コントローラは、仮想的に可能な複数の測定を有利に支援することができる。
【0014】
本方法の一実施形態によれば、前記コントローラが、前記測定値が決定された後に前記データベースを更新する。結果として、測定中に得られた知識を将来の測定に役立てることができる。
【0015】
本方法の例示的な実施形態によれば、前記測定装置のセンサ装置によって、前記測定値の決定中に測定パラメータを監視することと、前記コントローラによって、前記監視された測定パラメータを評価することとがまた提供される。「測定パラメータ」という用語は、一方では上記で説明したような測定装置のパラメータを指すが、測定装置自体又はその構成部品の温度などの特性を指すこともある。結果として、コントローラは、測定値を決定する際に、ユーザをさらに有利に支援することができる。
【0016】
本方法のさらなる発展形によれば、前記コントローラが、前記監視された測定パラメータが前記確立されたパラメータリストの前記パラメータから逸脱した場合に警告を出力する。結果として、不正確な測定を避けることができる。
【0017】
本方法のさらなる発展形によれば、前記監視された測定パラメータが前記確立されたパラメータリストの前記パラメータから逸脱した場合に、前記コントローラが、前記測定値の決定を中断する。結果として、誤った測定を避けることができる。
【0018】
本方法のさらなる発展形によれば、前記監視された測定パラメータが前記確立されたパラメータリストの前記パラメータから逸脱した場合に、前記コントローラが前記測定装置の前記パラメータを自律的に変更する。結果として、不正確な測定を避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
以下、図面を参照して本発明を説明する。
【
図1】本発明の例示的な実施形態に係る方法の概略フロー図である。
【
図2】本発明の例示的な実施形態に係る測定装置の概略図である。
【
図3】本発明の例示的な実施形態に係る複数の測定装置を備えたシステムの概略図である。
【0020】
図中、同一の参照符号は、別段の指示がない限り、同一又は機能的に同一の構成要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明の例示的な実施形態に係る測定装置の制御方法Mの概略フロー図である。
【0022】
第1の方法ステップM1では、コントローラが、特定の測定値を決定するための要求を受信する。さらなる方法ステップM2において、コントローラは、特定の測定値を決定可能にするために、測定装置に設定されるパラメータのパラメータリストを確立する。さらなる方法ステップM3において、コントローラは、確立されたパラメータリストを測定装置のユーザに出力する。
【0023】
図2及び
図3を参照しながら、以下に示す方法Mを詳細に説明する。
【0024】
図2は、本発明の例示的な実施形態に係る測定装置100の概略図である。
【0025】
測定装置100は、コントローラ110と、データベース120と、センサ装置130と、出力装置140と、入力装置150と、サンプル受取装置160と、を備えている。
【0026】
ここに示される例示的な実施形態では、コントローラ110は、測定装置100に組み込まれており、特定の測定値を決定するための要求を受信するように構成されている。この要求は、測定装置100のユーザによって、例えば測定装置100の入力装置150を介してコントローラ110に送信され得る。入力装置150は、例えば、キーボード、タッチスクリーン等を備えていてもよい。あるいは、要求は、外部インタフェースを介してコントローラ110に送信されてもよい。
【0027】
コントローラ110はさらに、受信した要求に応答して、特定の測定値を決定可能にするために、測定装置のどのパラメータを設定すべきかを示すパラメータリストを確立するように構成される。この目的のために、コントローラ110は、データベース120にアクセスすることができ、本例示的実施形態におけるデータベース120は、測定装置100の内部メモリの形態で構成される。データベース120は、材料特性及び測定方法に関する複数の情報を含んでいてもよい。この場合、コントローラは、この複数の情報に基づいてパラメータリストを自律的に確立する。このプロセスの間に、コントローラ110は、所望の測定値が測定装置100では全く決定できないことを決定することもできる。この場合、パラメータリストの代わりに、対応する通知を出力することもできる。
【0028】
コントローラ110はさらに、確立されたパラメータリストを測定装置100のユーザに出力するように構成される。例えば、測定装置100の出力装置140をこの目的のために使用することができる。出力装置140は、例えば、この目的のためのスクリーン及び/又はスピーカを備えていてもよい。例えば、出力装置140と入力装置150とをタッチスクリーンに組み合わせてもよい。代替的に又は追加的に、入力装置150及びサンプル受取装置160のような測定装置100の個々の構成要素を、例えば、作動させるべきボタン等を照明することで強調表示させてもよい。
【0029】
特に、コントローラ110は、特定の測定が実行された後にデータベース120を更新するように構成されてもよい。測定に使用したサンプルの材料特性に関する測定結果は、その後、例えばデータベース120に記録され、将来の測定及び測定スケジュールのために利用可能となる。また、実施された測定を考慮して、所定の測定スケジュールを修正してもよい。実施された測定に関してこのために必要な情報は、測定装置100のユーザによってコントローラ110に転送されてもよい。代替的または追加的に、コントローラ110は、測定装置100から、具体的にはセンサ装置130から、関連情報を直接受信してもよい。
【0030】
センサ装置130は、測定値を決定する間、測定パラメータを監視するように構成される。この場合、コントローラ110は、監視された測定パラメータを評価するように構成されてもよい。これにより、監視された測定パラメータが、確立されたパラメータリストのパラメータから逸脱した場合に、コントローラ110が警告を出力することが可能となる。代替的または追加的に、コントローラ110は、監視された測定パラメータが確立されたパラメータリストのパラメータから逸脱した場合に、測定値の決定を中断することもできる。さらなる代替機能または追加機能として、コントローラ110は、監視された測定パラメータが確立されたパラメータリストのパラメータから逸脱した場合に、測定装置100のパラメータを自律的に変更するように構成することができる。
【0031】
測定装置100は、特に、材料の熱解析のための装置として構成されてもよい。具体的には、測定装置100は、示差熱分析、動的示差熱量測定、動的機械分析、熱機械分析などを実行するように構成されてもよい。このような測定プロセスでは、コントローラ110によるユーザの支援が特に有利である。
【0032】
図3は、本発明の例示的な実施形態に係る複数の測定装置100を備えたシステム10の概略図である。
【0033】
図示の例示的な実施形態では、システム10は、合計2つの測定装置100と、コントローラ200と、データベース300と、を備えている。
【0034】
システム10の個々の構成要素は、原則として、
図2を参照して説明した対応する構成要素と全く同様に構成することができる。ここに示される例示的な実施形態では、コントローラ200及びデータベース300のみが、2つの測定装置100の外部にある独立した装置として構成されている。しかし、原理的には、データベース300をコントローラ200のサブコンポーネントとして構成することもできる。
【0035】
コントローラ200は、スタンドアロンデバイスとして構成されているため、2つの測定装置100のいずれかと共に使用するように構成することができる。この構成では、コントローラ200によって確立されるパラメータリストに、どちらの測定装置100を使用するかを含めることができる。
【0036】
図3は2台の測定装置100を示している。しかしながら、任意の数の測定装置100が提供されてもよい。特に、外部コントローラ200及び/又は外部データベース300を備えた個別の測定装置100を使用することも考えられる。
【0037】
測定装置100は、同じ機能を有するように構成することもできるし、それぞれの場合に異なる測定を実行するように構成することもできる。用途に応じて、それぞれの測定プロセスを同時に、又は順次実行することができる。
【0038】
データベース300は、ここではシステム10の特定の構成要素として示されている。しかしながら、コントローラ200及び/又はデータベース300が拡張ネットワーク、具体的にはインターネットに接続され、ローカルに保存する代わりに、このネットワークを介して関連情報を直接取得することも考えられる。
【符号の説明】
【0039】
10 システム
100 測定装置
110 コントローラ
120 データベース
130 センサ装置
140 出力装置
150 入力装置
160 サンプル受取装置
200 コントローラ
300 データベース
M 方法
M1 方法ステップ
M2 方法ステップ
M3 方法ステップ