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特開2024-137822スチレン系樹脂押出発泡成形体及びその製造方法
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  • 特開-スチレン系樹脂押出発泡成形体及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137822
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】スチレン系樹脂押出発泡成形体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/04 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
C08J9/04 101
C08J9/04 CET
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024041846
(22)【出願日】2024-03-18
(31)【優先権主張番号】P 2023045204
(32)【優先日】2023-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飛松 祐紀
【テーマコード(参考)】
4F074
【Fターム(参考)】
4F074AA13B
4F074AA32
4F074AA98
4F074AB05
4F074AC32
4F074AD10
4F074AD16
4F074AG03
4F074AG10
4F074AG11
4F074AG17
4F074BA34
4F074BA37
4F074BA38
4F074BA75
4F074BA95
4F074BC12
4F074CA22
4F074DA02
4F074DA23
4F074DA32
(57)【要約】
【課題】幅方向の密度のばらつきが小さいスチレン系樹脂押出発泡成形体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】スチレン系樹脂押出発泡成形体100の製造方法は、工程Saと工程Sbとを備える。工程Saでは、スチレン系樹脂と発泡剤とを含むスチレン系樹脂組成物を、長方形状の開口を有するダイリップ11を通じて高圧域から低圧域に押出すことにより押出発泡体20を得る。工程Sbでは、工程Saで得られた押出発泡体20の幅及び厚みを、ロール成形機40で調整することによりスチレン系樹脂押出発泡成形体100を得る。工程Sbで得られたスチレン系樹脂押出発泡成形体100の幅を、ダイリップ11の開口の長手方向の長さで除した値は、1.85以下である。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチレン系樹脂と発泡剤とを含むスチレン系樹脂組成物を、長方形状の開口を有するダイリップを通じて高圧域から低圧域に押出すことにより押出発泡体を得る工程Saと、
前記押出発泡体の幅及び厚みをロール成形機で調整することによりスチレン系樹脂押出発泡成形体を得る工程Sbと
を備えるスチレン系樹脂押出発泡成形体の製造方法であって、
前記工程Sbで得られた前記スチレン系樹脂押出発泡成形体の幅を、前記ダイリップの前記開口の長手方向の長さで除した値が、1.85以下である、スチレン系樹脂押出発泡成形体の製造方法。
【請求項2】
前記工程Sbで得られた前記スチレン系樹脂押出発泡成形体の幅を、前記ダイリップの前記開口の長手方向の長さで除した値が、1.50以上である、請求項1に記載のスチレン系樹脂押出発泡成形体の製造方法。
【請求項3】
前記ロール成形機の引取速度を、前記押出発泡体の前記ロール成形機への流入速度で除した値が、0.76以下である、請求項1又は2に記載のスチレン系樹脂押出発泡成形体の製造方法。
【請求項4】
スチレン系樹脂を含むスチレン系樹脂押出発泡成形体であって、
幅方向の密度の標準偏差を平均密度で除した値が、0.010未満である、スチレン系樹脂押出発泡成形体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スチレン系樹脂押出発泡成形体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スチレン系樹脂押出発泡成形体は、良好な断熱性を有することから、住宅及び建築物等の断熱材として用いられている。スチレン系樹脂押出発泡成形体は、例えば、スチレン系樹脂及び発泡剤を押出機において溶融混練し、得られた組成物を任意で冷却し、ダイリップ(例えば、ダイのスリット)を通じて低圧域に押出すことにより、連続的に製造される。
【0003】
例えば、特許文献1には、スチレン系樹脂及び発泡剤を含む組成物を低圧域に押出す際の圧力開放速度を制御することにより、表面が美麗なスチレン系樹脂押出発泡成形体を得ることを可能とする製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-124281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の技術には、得られるスチレン系樹脂押出発泡成形体の幅方向の密度のばらつきを小さくすることについて、改善の余地が残されている。スチレン系樹脂押出発泡成形体の幅方向の密度のばらつきが大きいと、スチレン系樹脂押出発泡成形体に反りが生じ、断熱材等への適用が困難となる場合がある。また、スチレン系樹脂押出発泡成形体の幅方向の密度のばらつきが大きいと、局所的に密度が高くなり、生産性が低下するおそれがある。
【0006】
上記に鑑みて、本発明は、幅方向の密度のばらつきが小さいスチレン系樹脂押出発泡成形体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
<本発明の態様>
本発明には、以下の態様が含まれる。
【0008】
[1]スチレン系樹脂と発泡剤とを含むスチレン系樹脂組成物を、長方形状の開口を有するダイリップを通じて高圧域から低圧域に押出すことにより押出発泡体を得る工程Saと、
前記押出発泡体の幅及び厚みをロール成形機で調整することによりスチレン系樹脂押出発泡成形体を得る工程Sbと
を備えるスチレン系樹脂押出発泡成形体の製造方法であって、
前記工程Sbで得られた前記スチレン系樹脂押出発泡成形体の幅を、前記ダイリップの前記開口の長手方向の長さで除した値が、1.85以下である、スチレン系樹脂押出発泡成形体の製造方法。
【0009】
[2]前記工程Sbで得られた前記スチレン系樹脂押出発泡成形体の幅を、前記ダイリップの前記開口の長手方向の長さで除した値が、1.50以上である、前記[1]に記載のスチレン系樹脂押出発泡成形体の製造方法。
【0010】
[3]前記ロール成形機の引取速度を、前記押出発泡体の前記ロール成形機への流入速度で除した値が、0.76以下である、前記[1]又は[2]に記載のスチレン系樹脂押出発泡成形体の製造方法。
【0011】
[4]スチレン系樹脂を含むスチレン系樹脂押出発泡成形体であって、
幅方向の密度の標準偏差を平均密度で除した値が、0.010未満である、スチレン系樹脂押出発泡成形体。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、幅方向の密度のばらつきが小さいスチレン系樹脂押出発泡成形体及びその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係るスチレン系樹脂押出発泡成形体の製造方法の一例を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態について詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、本明細書中に記載された学術文献及び特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。
【0015】
以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。また、化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、何ら規定していなければ、重合体の繰り返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。また、アクリル及びメタクリルを包括的に「(メタ)アクリル」と総称する場合がある。また、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルを包括的に「(メタ)アクリロニトリル」と総称する場合がある。
【0016】
本明細書に例示の成分や官能基等は、特記しない限り、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0017】
以下の説明において参照する図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の大きさ、個数、形状等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合がある。
【0018】
<第1実施形態:スチレン系樹脂押出発泡成形体の製造方法>
本発明の第1実施形態に係るスチレン系樹脂押出発泡成形体の製造方法は、工程Saと工程Sbとを備える。工程Saでは、スチレン系樹脂と発泡剤とを含むスチレン系樹脂組成物を、長方形状の開口を有するダイリップを通じて高圧域から低圧域に押出すことにより押出発泡体を得る。工程Sbでは、工程Saで得られた押出発泡体の幅及び厚みを、ロール成形機で調整することによりスチレン系樹脂押出発泡成形体を得る。第1実施形態では、工程Sbで得られたスチレン系樹脂押出発泡成形体の幅を、ダイリップの開口の長手方向の長さで除した値が、1.85以下である。第1実施形態によれば、上記構成を備えることにより、幅方向の密度のばらつきが小さいスチレン系樹脂押出発泡成形体を得ることができる。
【0019】
以下、「スチレン系樹脂押出発泡成形体」を、単に「押出発泡成形体」と記載することがある。また、「工程Sa」を「押出工程」と記載することがある。また、「工程Sb」を「成形工程」と記載することがある。また、成形工程で得られた押出発泡成形体の幅(単位:mm)をダイリップの開口の長手方向の長さ(単位:mm)で除した値を、「幅拡大率」と記載することがある。
【0020】
なお、「成形工程で得られた押出発泡成形体の幅」とは、製品として押出発泡成形体がカットされる前の押出発泡成形体の幅を意味する。また、第1実施形態では、押出工程、成形工程、及び押出工程と成形工程との間において任意に設けられる工程のいずれについても、押出発泡体(又は押出発泡成形体)の幅を狭めるカット(スリット)は行わない。
【0021】
第1実施形態において、幅方向の密度のばらつきがより小さい押出発泡成形体を得るためには、幅拡大率が1.84以下であることが好ましい。
【0022】
第1実施形態において、発泡倍率を断熱材等に適した範囲に調整するためには、幅拡大率が1.50以上であることが好ましく、1.55以上であることがより好ましく、1.60以上であることが更に好ましい。
【0023】
以下、第1実施形態に係るスチレン系樹脂押出発泡成形体の製造方法の一例について、適宜図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係るスチレン系樹脂押出発泡成形体の製造方法の一例を説明するための模式図である。
【0024】
図1に示すように、第1実施形態では、押出装置10のダイリップ11を通じて、スチレン系樹脂と発泡剤とを含むスチレン系樹脂組成物を押出すことにより押出発泡体20を得る(押出工程)。この際、押出装置10の内部の圧力を、スチレン系樹脂組成物が押出される領域の圧力(例えば大気圧)よりも高圧にし、高圧域の押出装置10内から低圧域へスチレン系樹脂組成物を押出すことで、スチレン系樹脂組成物が発泡し、押出発泡体20となる。
【0025】
ダイリップ11は、長方形状の開口(不図示)を有している。ダイリップ11の開口の長手方向の長さは、例えば100mm以上500mm以下であり、ダイリップ11の開口の短手方向の長さは、例えば1mm以上7mm以下である。
【0026】
図1に示す例では、押出発泡体20を得た後、ダイリップ11に密着又は近接して設置した成形金型30により、押出発泡体20の厚み及び幅を大まかに調整(事前調整)する。成形金型30は、所定の間隔をあけて設置された2枚の成形板(不図示)を備える。押出発泡体20が、成形金型30の2枚の成形板の間を通ることで、押出発泡体20の厚み及び幅が大まかに調整される。なお、図1に示す例では、成形金型を使用したが、本発明では、成形金型を使用しなくてもよい。
【0027】
成形金型30を通過した押出発泡体20は、成形金型30の下流側に設置したロール成形機40の成形ロール41及び42の間を通ることで、その厚み及び幅が調整(本調整)される(成形工程)。ロール成形機40は、成形ロール41及び42を少なくとも一対備える。成形工程により、押出発泡体20の厚み及び幅が調整され、押出発泡成形体100が得られる。第1実施形態では、幅拡大率が1.85以下である。
【0028】
幅方向の密度のばらつきがより小さい押出発泡成形体100を得るためには、ロール成形機40の引取速度を、押出発泡体20のロール成形機40への流入速度で除した値が、0.76以下であることが好ましく、0.75以下であることがより好ましい。以下、ロール成形機の引取速度(単位:m/分)を押出発泡体のロール成形機への流入速度(単位:m/分)で除した値を、「引取/流入速度比」と記載することがある。
【0029】
押出発泡体20のロール成形機40への流入速度(単位:m/分)は、ダイリップ11からの吐出量(単位:kg/分)、成形工程で得られた押出発泡成形体100の平均密度(単位:kg/m)、成形工程で得られた押出発泡成形体100の厚み(単位:mm)、及び成形工程で得られた押出発泡成形体100の幅(単位:mm)から、式「流入速度=1000000×吐出量/(平均密度×厚み×幅)」で算出することができる。
【0030】
図1に示す例では、ロール成形機40の引取速度は、成形ロール41及び42の回転速度(線速度)である。なお、ロール成形機40が成形ロールを二対以上備える場合、ロール成形機40の引取速度は、最下流に設置された成形ロールの回転速度(線速度)である。
【0031】
発泡倍率を断熱材等に適した範囲に調整するためには、引取/流入速度比が、0.65以上であることが好ましく、0.68以上であることがより好ましく、0.70以上であることが更に好ましい。
【0032】
幅拡大率は、例えば、単位時間あたりにダイリップ11から押出されるスチレン系樹脂組成物の量(吐出量)、ダイリップ11から押出される直前のスチレン系樹脂組成物に加えられる圧力、及びロール成形機40の引取速度のうちの少なくとも1つを変更することにより、調整できる。
【0033】
発泡倍率を断熱材等に適した範囲に調整しつつ、幅方向の密度のばらつきが更に小さい押出発泡成形体100を得るためには、幅拡大率が1.50以上1.85以下であり、かつ引取/流入速度比が0.65以上0.76以下であることが好ましく、幅拡大率が1.55以上1.85以下であり、かつ引取/流入速度比が0.68以上0.76以下であることがより好ましく、幅拡大率が1.60以上1.85以下であり、かつ引取/流入速度比が0.70以上0.76以下であることが更に好ましい。
【0034】
次に、第1実施形態に係るスチレン系樹脂押出発泡成形体の製造方法が備える各工程について説明する。第1実施形態に係るスチレン系樹脂押出発泡成形体の製造方法は、押出工程及び成形工程を備える。また、第1実施形態に係るスチレン系樹脂押出発泡成形体の製造方法は、押出工程及び成形工程以外の工程を備えてもよい。押出工程及び成形工程以外の工程としては、以下で説明する樹脂組成物調製工程及び溶融混練工程が挙げられる。
【0035】
[樹脂組成物調製工程]
樹脂組成物調製工程では、押出発泡成形体の各材料をブレンドし、スチレン系樹脂組成物を調製する。スチレン系樹脂組成物は、スチレン系樹脂及び発泡剤を少なくとも含む。なお、発泡剤については、後工程の溶融混練工程において、発泡剤以外の材料を含むスチレン系樹脂組成物に圧入してもよい。以下、スチレン系樹脂組成物を構成する材料の一例について説明する。
【0036】
(スチレン系樹脂)
スチレン系樹脂としては、スチレン系単量体の単独重合体;2種以上のスチレン系単量体の共重合体;スチレン系単量体と他の単量体との共重合体等が挙げられる。スチレン系樹脂中のスチレン系単量体由来の構成単位の含有率は、70重量%以上であることが好ましく、80重量%以上であることがより好ましく、90重量%以上であることが更に好ましい。共重合体としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、及びグラフト共重合体が挙げられる。
【0037】
スチレン系単量体としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン等が挙げられる。他の単量体としては、ジビニルベンゼン等の多官能性ビニル化合物;(メタ)アクリル酸;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル化合物;(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;ブタジエン等のジエン系化合物;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸無水物;N-メチルマレイミド、N-ブチルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-フェニルマレイミド等のN-アルキル置換マレイミド化合物等が挙げられる。これらを単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0038】
また、スチレン系樹脂は、上記スチレン系単量体の単独重合体又は共重合体と、上記他の単量体の単独重合体又は共重合体とのブレンド物であってもよい。例えば、スチレン系樹脂には、ゴム強化ポリスチレン(例えば、ジエン系ゴム強化ポリスチレン、アクリル系ゴム強化ポリスチレン等)、及びポリフェニレンエーテル系樹脂等をブレンドしてもよい。
【0039】
スチレン系樹脂としては、比較的安価であり、押出発泡成形に適している等の観点から、ポリスチレン(スチレンの単独重合体)、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、及びスチレン-ジエン系化合物共重合体(例えば、スチレン-ブタジエン共重合体)が好ましい。コスト面から、特に好ましくは、ポリスチレンである。
【0040】
また、スチレン系樹脂は、メルトフローレート、成形加工時の溶融粘度、溶融張力等を調整する目的で、分岐構造を有するスチレン系樹脂であってもよい。以下、メルトフローレートをMFRと記載する。スチレン系樹脂のMFRは、40g/10分以下であることが好ましく、1g/10分以上30g/10分以下であることがより好ましい。スチレン系樹脂のMFRが40g/10分以下であれば、押出装置中でスチレン系樹脂中に発泡剤を均一に分散させやすいため、安定して押出及び発泡成形を行うことができ、その結果、生産安定性が向上する。なお、本明細書において、スチレン系樹脂のMFRは、温度200℃及び荷重5kgの条件にて、JIS K7210で規定される測定方法に準じて測定した値である。
【0041】
(発泡剤)
発泡剤としては、例えば、二酸化炭素、水、ジメチルエーテル、炭素原子数3~5の飽和炭化水素、炭素原子数1~4のアルコール、無機ガス(より具体的には、窒素等)、及び地球温暖化係数の小さい有機フッ素化合物(より具体的には、ハイドロフルオロオレフィン、ハイドロクロロフルオロオレフィン等)が挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0042】
炭素原子数3~5の飽和炭化水素としては、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ネオペンタン等が挙げられる。発泡性の観点から、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、及びこれらの混合物が好ましい。また、押出発泡成形体の断熱性能の観点から、ノルマルブタン、イソブタン、及びこれらの混合物が好ましい。
【0043】
炭素原子数1~4のアルコールとしては、例えば、エタノール、メタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール等が挙げられる。
【0044】
発泡剤の使用量(複数種の発泡剤を使用する場合は、それらの合計使用量)は、スチレン系樹脂100重量部に対して、1重量部以上20重量部以下であることが好ましく、5重量部以上10重量部以下であることがより好ましい。発泡剤の使用量が1重量部以上20重量部以下である場合、スチレン系樹脂組成物の発泡力が確保され、所望の厚みを有する押出発泡成形体を安定的に得られやすくなる。
【0045】
(難燃剤)
難燃剤としては、臭素系難燃剤が好ましく用いられる。臭素系難燃剤の具体的な例としては、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピル)エーテル、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモプロピル)エーテル等の臭素化ビスフェノール系化合物;臭素化スチレン-ブタジエンブロック共重合体、臭素化スチレン-ブタジエンランダム共重合体、臭素化スチレン-ブタジエングラフト共重合体等の臭素含有ポリマー;テトラブロモシクロオクタン;ヘキサブロモシクロドデカン;トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
【0046】
難燃剤の使用量は、経済性及び他の要求諸物性への影響の観点からは、スチレン系樹脂100重量部に対して、0.5重量部以上10重量部以下であることが好ましく、0.5重量部以上7重量部以下であることがより好ましい。
【0047】
スチレン系樹脂組成物は、その他の添加剤として、吸水性物質(ベントナイト、シリカ等)、気泡径調整剤(タルク等)、滑剤(ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム等)、ラジカル発生剤(2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタン、ポリ-1,4-ジイソプロピルベンゼン等)、難燃助剤(トリフェニルホスフィンオキシド等)、安定剤(エポキシ化合物、多価アルコールエステル化合物、フェノール系安定剤、ホスファイト系安定剤等)、界面活性剤、難燃調整剤(酸化鉄、鉄錯体、ジフェニルアルカン、ジケトン等)、加工助剤(脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、流動パラフィン、オレフィン系ワックス等)、帯電防止剤、着色剤(顔料、染料等)、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、可塑剤、充填剤等を含んでもよい。
【0048】
[溶融混練工程]
溶融混練工程では、押出装置にスチレン系樹脂組成物を供給し、押出装置内でスチレン系樹脂組成物を溶融混練する。押出装置としては、例えばスクリューを用いた押出機を備える押出装置が挙げられる。スクリューを用いた押出機としては、例えば、単軸押出機や二軸押出機が挙げられる。押出機のL/D(スクリューの有効長さ/スクリューの直径)は、例えば10以上50以下である。二軸押出機を採用する場合のスクリューの回転方向は、同方向であっても異方向であっても構わない。
【0049】
また、押出装置は、発泡剤と発泡剤以外の材料とを溶融混練する第1押出機、及び、第1押出機で得られた溶融混練物を更に溶融混練し、冷却する第2押出機を備えていてもよい。また、押出装置が第2押出機を備えている場合、第2押出機に発泡剤を供給してもよい。第1押出機の種類及び第2押出機の種類は、同じであっても異なっていてもよい。更に、押出装置は、スチレン系樹脂組成物の発泡に適した温度に調整する目的で、押出機の下流側に冷却機を備えていてもよい。押出装置の最下流には、スチレン系樹脂組成物を押出す開口部として、ダイリップが設けられている。
【0050】
スチレン系樹脂組成物を溶融混練する際の温度は、例えば150℃以上250℃以下である。また、冷却機を使用する場合、冷却機内で溶融混練物を、例えば100℃以上140℃以下の温度まで冷却することが好ましい。
【0051】
[押出工程]
押出工程では、スチレン系樹脂組成物(例えば、溶融混練工程で得られた溶融混練物)を、高圧域からダイリップを通じて低圧域(例えば、大気中)に押出すことにより、スチレン系樹脂組成物を発泡させて、押出発泡体を得る。ダイリップから押出される直前のスチレン系樹脂組成物に加えられる圧力(高圧域の圧力)は、例えば、1.5MPa以上15MPa以下である。以下、ダイリップから押出される直前のスチレン系樹脂組成物に加えられる圧力を、「発泡圧力」と記載することがある。
【0052】
[成形工程]
成形工程では、押出工程で得られた押出発泡体の幅及び厚みを、ロール成形機で調整することによりスチレン系樹脂押出発泡成形体を得る。押出発泡体のロール成形機への流入速度は、例えば2.00m/分以上8.00m/分以下であり、好ましくは3.00m/分以上7.00m/分以下である。ロール成形機の引取速度は、例えば1.00m/分以上6.00m/分以下であり、好ましくは2.00m/分以上5.00m/分以下である。
【0053】
第1実施形態では、成形工程後、得られた押出発泡成形体を、用途に応じてカットする工程を備えてもよい。
【0054】
[第1実施形態に係る製造方法で得られたスチレン系樹脂押出発泡成形体]
次に、第1実施形態に係る製造方法で得られたスチレン系樹脂押出発泡成形体(以下、「押出発泡成形体FM」と記載することがある)について説明する。
【0055】
押出発泡成形体FMは、第1実施形態に係る製造方法で製造されるため、幅方向の密度のばらつきが小さい。
【0056】
幅方向の密度のばらつきがより小さい押出発泡成形体FMを得るためには、押出発泡成形体FMの幅方向の密度の標準偏差(単位:kg/m)を、押出発泡成形体FMの平均密度(単位:kg/m)で除した値が、0.010未満であることが好ましい。
【0057】
以下、押出発泡成形体の幅方向の密度の標準偏差を押出発泡成形体の平均密度で除した値を、「偏差/平均密度比」と記載することがある。偏差/平均密度比の下限は、特に限定されず、0.000であってもよい。押出発泡成形体の幅方向の密度の標準偏差の測定方法、及び押出発泡成形体の平均密度の測定方法は、いずれも後述する実施例と同じ方法又はそれに準ずる方法である。
【0058】
押出発泡成形体FMの厚みは、特に制限されず、用途に応じて適宜選択される。例えば、建材等の用途に使用される断熱材の場合、好ましい断熱性、曲げ強度及び圧縮強度を付与するためには、押出発泡成形体FMの厚みは、10mm以上であることが好ましく、20mm以上であることがより好ましい。また、押出発泡成形体FMの加工性の観点から、押出発泡成形体FMの厚みは、150mm以下であることが好ましく、100mm以下であることがより好ましい。
【0059】
なお、スチレン系樹脂押出発泡成形体では、発泡成形して形状を付与した後に、金型と接触していた表層(スキン層)を、厚み方向に5mm程度除去して製品とする場合があるが、上記押出発泡成形体FMの厚みは、スキン層を除去する前の押出発泡成形体の厚みである。
【0060】
断熱性、曲げ強度及び圧縮強度に優れつつ、軽量な押出発泡成形体FMを得るためには、押出発泡成形体FMの密度は、15kg/m以上60kg/m以下であることが好ましく、20kg/m以上40kg/m以下であることがより好ましい。
【0061】
断熱性、曲げ強度及び圧縮強度に優れる押出発泡成形体FMを得るためには、押出発泡成形体FMの平均気泡径は、0.05mm以上1.00mm以下であることが好ましく、0.10mm以上1.00mm以下であることがより好ましく、0.20mm以上0.80mm以下であることが更に好ましく、0.20mm以上0.60mm以下であることが特に好ましい。断熱性の高い押出発泡成形体FMを得るためには、押出発泡成形体FMの独立気泡率は、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。
【0062】
<第2実施形態:スチレン系樹脂押出発泡成形体>
次に、本発明の第2実施形態に係るスチレン系樹脂押出発泡成形体について説明する。以下の説明において、第1実施形態と重複する内容については、その説明を省略する場合がある。
【0063】
第2実施形態に係るスチレン系樹脂押出発泡成形体は、スチレン系樹脂を含み、かつ偏差/平均密度比が0.010未満である。第2実施形態に係るスチレン系樹脂押出発泡成形体は、偏差/平均密度比が0.010未満であるため、幅方向の密度のばらつきが小さい。
【0064】
第2実施形態に係るスチレン系樹脂押出発泡成形体の製造方法は、偏差/平均密度比を0.010未満に調整できる方法である限り、特に限定されない。ただし、偏差/平均密度比を0.010未満に容易に調整するためには、第2実施形態に係るスチレン系樹脂押出発泡成形体の製造方法としては、上述した第1実施形態に係るスチレン系樹脂押出発泡成形体の製造方法が好ましい。第2実施形態に係るスチレン系樹脂押出発泡成形体を、第1実施形態に係る製造方法で製造する場合、偏差/平均密度比は、例えば、幅拡大率及び引取/流入速度比のうちの少なくとも一方を変更することにより、調整できる。
【0065】
第2実施形態のその他の点については、上述した[第1実施形態に係る製造方法で得られたスチレン系樹脂押出発泡成形体]の項で説明した内容と同じである。
【実施例0066】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0067】
<材料の準備>
実施例及び比較例の押出発泡成形体を作製するための材料として、以下の材料を準備した。
【0068】
[スチレン系樹脂]
・スチレン系樹脂(PSジャパン社製「680」、MFR:7.0g/10分)
【0069】
[難燃剤]
・臭素化スチレン-ブタジエンブロック共重合体(ランクセス社製「EMERALD INNOVATION 3000」、臭素含有率:65重量%)
【0070】
[吸水性物質]
・ベントナイト(BYK社製「ベントライトL」)
・シリカ(エボニック デグサ ジャパン社製「カープレックスBS-304F」)
【0071】
[ラジカル発生剤]
・ポリ-1,4-ジイソプロピルベンゼン(United Initiators社製「CUROX CC-P3」)
【0072】
[安定剤]
・ビスフェノールAジグリシジルエーテル(ADEKA社製「EP-13」)
・ジペンタエリスリトールとアジピン酸の反応混合物(味の素ファインテクノ社製「プレンライザーST210」)
・ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナマート)](Rianlon社製「RIANOX 1010FF」)
・3,9-ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン(SONGWON社製「SONGNOX 6260FF」)
・オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC社製「EPICLON N-680」)
【0073】
[滑剤]
・ステアリン酸カルシウム(堺化学工業社製「SC-P」)
【0074】
[気泡径調整剤]
・タルク(林化成社製「KHP-400」)
【0075】
[発泡剤]
・無臭ブタン(岩谷産業社製、イソブタンとノルマルブタンとの混合物、重量比:イソブタン/ノルマルブタン=30/70)
・ジメチルエーテル(岩谷産業社製)
・水(水道水)
【0076】
<押出発泡成形体の作製>
以下、実施例1~4並びに比較例1及び2の押出発泡成形体の作製方法について説明する。
【0077】
[実施例1]
(樹脂組成物調製工程)
スチレン系樹脂100重量部と、臭素化スチレン-ブタジエンブロック共重合体2.50重量部と、ポリ-1,4-ジイソプロピルベンゼン0.20重量部と、ジペンタエリスリトールとアジピン酸の反応混合物0.20重量部と、ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナマート)]0.25重量部と、3,9-ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン0.0125重量部と、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂0.125重量部と、ビスフェノールAジグリシジルエーテル0.15重量部と、タルク0.10重量部と、ステアリン酸カルシウム0.20重量部と、ベントナイト0.40重量部と、シリカ0.10重量部とをドライブレンドし、樹脂組成物を調製した。
【0078】
(溶融混練工程)
口径40mmかつL/D32の二軸押出機(第1押出機)、口径90mmかつL/D30の単軸押出機(第2押出機)及び冷却機をこの順に直列に連結した押出装置の第1押出機内へ、得られた樹脂組成物を、後述するダイリップからの吐出量(ダイリップから押出される量)が50kg/時となるように供給した。そして、第1押出機内で樹脂組成物を、温度200℃の条件で加熱しながら溶融混練し、溶融混練物を得た。次に、スチレン系樹脂100重量部に対して、無臭ブタン3.50重量部、ジメチルエーテル3.00重量部及び水0.50重量部を、第1押出機の中央付近で溶融混練物中に圧入した。その後、第1押出機に連結された第2押出機で混練し、引き続き、第2押出機に連結された冷却機で、溶融混練物の温度(樹脂温度)を120℃まで冷却した。
【0079】
(押出工程)
次いで、冷却機の先端に設けた長方形状の開口を有するダイリップ(開口の長手方向の長さ:150mm、開口の短手方向の長さ:1.9mm)から大気中へ、発泡圧力2.1MPaにて溶融混練物(スチレン系樹脂組成物)を押出し、発泡させた。
【0080】
(成形工程)
次いで、得られた押出発泡体を、ダイリップに密着させて設置した成形金型(2枚の成形板の間隔:25mm)及びその下流側に設置したロール成形機(上下のロールの間隔:15mm、引取速度:2.44m/分)により成形し、厚み30.5mm×幅276mmの長方形の断面形状を有する押出発泡成形体(実施例1の押出発泡成形体)を得た。
【0081】
[実施例2~4並びに比較例1及び2]
ダイリップからの吐出量、発泡圧力及びロール成形機の引取速度を、後述する表1に記載のとおりとしたこと以外は、実施例1と同じ方法で、実施例2~4並びに比較例1及び2の押出発泡成形体をそれぞれ得た。
【0082】
<測定方法>
以下、押出発泡成形体の厚み、幅、平均密度、及び幅方向の密度の標準偏差の測定方法について、それぞれ説明する。なお、いずれの測定方法についても、JIS K 7100:1999の標準雰囲気3級(温度23±5℃、相対湿度40~70%)で16時間以上静置して状態調整を行った後の押出発泡成形体を用いた。
【0083】
[押出発泡成形体の厚み]
各押出発泡成形体について、幅方向中央部、幅方向の一端から中央部に向かって50mmの箇所、及び幅方向の他端から中央部に向かって50mmの箇所の計3箇所の厚みを、ノギス(ミツトヨ社製「M型標準ノギス」)を用いて測定した。得られた3箇所の測定値から平均値を算出し、得られた平均値を各押出発泡成形体の厚みとした。
【0084】
[押出発泡成形体の幅]
各押出発泡成形体の幅は、ノギス(ミツトヨ社製「M型標準ノギス」)を用いて測定した。なお、押出発泡成形体の幅の測定箇所は、各押出発泡成形体について1箇所とした。
【0085】
[押出発泡成形体の平均密度]
まず、各押出発泡成形体の長手方向(押出工程における押出方向)の長さが50mmとなるようにカットした後、押出発泡成形体の厚み方向の中央部から上下に10mmの領域が残るように、押出発泡成形体の両面の表層(スキン層)を除去した。次いで、得られた棒状の押出発泡成形体(押出方向の長さ:50mm、厚み:20mm、幅:後述する表1に記載の幅)の幅方向の両端からそれぞれ20mmまでの領域を除去した後、押出発泡成形体の幅方向に20mm間隔で切断し、複数個の試験片(各押出発泡成形体につき、10~12個程度)を得た。得られた各試験片の長さ、厚み及び幅を、ノギス(ミツトヨ社製「M型標準ノギス」)を用いて測定し、体積を求めた。次いで、各試験片の重量を測定し、得られた重量と上記体積とから、各試験片の密度を求めた。そして、各押出発泡成形体について、上記複数個の試験片の密度の平均値を算出し、得られた平均値を各押出発泡成形体の平均密度とした。
【0086】
[押出発泡成形体の幅方向の密度の標準偏差]
各押出発泡成形体について、上記[押出発泡成形体の平均密度]の測定において得られた上記複数個の試験片の密度の標準偏差を求めた。押出発泡成形体の幅方向の密度の標準偏差が0.30kg/m以下の場合、「幅方向の密度のばらつきが小さい押出発泡成形体である」と評価した。一方、押出発泡成形体の幅方向の密度の標準偏差が0.30kg/mを超える場合、「幅方向の密度のばらつきが大きい押出発泡成形体である」と評価した。
【0087】
<結果>
実施例1~4並びに比較例1及び2について、ダイリップからの吐出量、発泡圧力、押出発泡成形体の厚み、押出発泡成形体の幅、幅拡大率、押出発泡体のロール成形機への流入速度、ロール成形機の引取速度、引取/流入速度比、押出発泡成形体の平均密度、押出発泡成形体の幅方向の密度の標準偏差、及び偏差/平均密度比を、表1にそれぞれ示す。
【0088】
【表1】
【0089】
表1に示すように、実施例1~4では、幅拡大率が1.85以下であった。実施例1~4では、押出発泡成形体の幅方向の密度の標準偏差が0.30kg/m以下であった。よって、実施例1~4で得られた押出発泡成形体は、幅方向の密度のばらつきが小さかった。
【0090】
表1に示すように、比較例1及び2では、幅拡大率が1.85を超えていた。比較例1及び2では、押出発泡成形体の幅方向の密度の標準偏差が0.30kg/mを超えていた。よって、比較例1及び2で得られた押出発泡成形体は、幅方向の密度のばらつきが大きかった。
【0091】
以上の結果から、本発明によれば、幅方向の密度のばらつきが小さいスチレン系樹脂押出発泡成形体を提供できることが示された。
【符号の説明】
【0092】
11 :ダイリップ
20 :押出発泡体
40 :ロール成形機
100 :押出発泡成形体(スチレン系樹脂押出発泡成形体)

図1