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  • 特開-圧縮デバイス及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137825
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】圧縮デバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/00 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
F17C13/00 301Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024041906
(22)【出願日】2024-03-18
(31)【優先権主張番号】2302593
(32)【優先日】2023-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラスミー・トライ
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172BA01
3E172BB03
3E172BB12
3E172CA11
3E172EA12
3E172EA51
3E172EB02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】供給貯蔵装置内の圧力を管理するために必要なエネルギーを最適化したデバイスを提供する。
【解決手段】本デバイス(1)は、圧縮チャンバの第1の端部(3)及び第2の端部(6)を接続し、かつ再生器(17)を有する再生回路(7)を備え、供給管(8)が、1つ又は複数の弁(9)のセットを備え、本デバイス(1)は、圧縮チャンバに接続された上流端部と、圧縮された流体の受け器に接続されることが意図された下流端部とを備える少なくとも1つの圧縮流体排出管(10)を備え、本デバイスは、再生回路(7)に接続された上流端部と、回収部材(13)に接続された下流端部とを備えるバイパス管(12)を備え、バイパス管(12)は、ピストン(5)が圧縮チャンバの第2の端部(6)から第1の端部(3)に向かって移動される再生段階中に流体部分を引き出すように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動ピストン(5)を収容した圧縮チャンバを有する流体圧縮デバイス(1)であって、前記流体圧縮デバイスは、前記圧縮チャンバの第1の端部(3)を収容する第1の端部(2)を備え、
前記流体圧縮デバイス(1)は、前記圧縮チャンバの第2の端部(6)を収容する第2の端部(4)を備え、前記可動ピストン(5)は、前記圧縮チャンバの前記第1の端部(3)と前記第2の端部(6)との間を並進移動することができ、
前記流体圧縮デバイス(1)は、前記圧縮チャンバの前記第1の端部(3)及び前記第2の端部(6)を接続し、かつ再生器(17)を有する再生回路(7)を備え、
前記流体圧縮デバイス(1)は、圧縮される流体の供給源(13)に接続されることが意図された上流端部と、前記圧縮チャンバの前記第1の端部(3)へと開口している下流端部とを備える供給管(8)を備え、前記供給管(8)は、1つ又は複数の弁(9)のセットを備え、
前記流体圧縮デバイス(1)は、前記圧縮チャンバに接続された上流端部と、圧縮された流体の受け器に接続されることが意図された下流端部とを備える少なくとも1つの圧縮流体排出管(10)を備える、流体圧縮デバイスにおいて、
前記流体圧縮デバイスが、前記再生回路(7)に接続された上流端部と、回収部材(13)に接続された下流端部とを備えるバイパス管(12)を備え、前記バイパス管(12)が、前記可動ピストン(5)が前記圧縮チャンバの前記第2の端部(6)から前記第1の端部(3)に向かって移動される再生段階中に流体部分を引き出すように構成されていることを特徴とする、流体圧縮デバイス。
【請求項2】
前記バイパス管(12)の前記上流端部が、前記圧縮チャンバの前記第2の端部(6)において、及び/又は前記圧縮チャンバの前記第1の端部(3)において、及び/又は前記再生器(17)において前記再生回路(7)に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の流体圧縮デバイス。
【請求項3】
前記バイパス管(12)が、1つ又は複数の弁(14)のセット、例えば、少なくとも1つの圧力及び/又は流量調整弁を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の流体圧縮デバイス。
【請求項4】
前記流体圧縮デバイスが、前記供給管(8)の前記上流端部に接続された流体供給源を構成している、例えば液化極低温流体の液化流体タンク(13)を備えることと、前記回収部材(13)が前記液化流体タンク(13)を備えることとを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の流体圧縮デバイス。
【請求項5】
前記バイパス管(12)が、前記液化流体タンク(13)内部の圧力及び/又は前記圧縮チャンバ内部の圧力、例えば前記圧縮チャンバの前記第2の端部(6)における圧力に応じて制御される圧力及び/又は流量調整弁(14)を備えることを特徴とする、請求項3に従属する請求項4に記載の流体圧縮デバイス。
【請求項6】
前記圧力及び/又は流量調整弁(14)が、前記液化流体タンク(13)内部の圧力と前記圧縮チャンバ内部の圧力との圧力差に応じた制御された調整を提供するように構成されていることを特徴とする、請求項5に記載の流体圧縮デバイス。
【請求項7】
前記供給管(8)の前記1つ又は複数の弁のセットは、逆止弁などの逆止め部材(9)を備えることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の流体圧縮デバイス。
【請求項8】
前記流体圧縮デバイス(1)の前記第2の端部(4)が加熱システム(15)を備えることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の流体圧縮デバイス。
【請求項9】
前記流体圧縮デバイス(1)の前記第1の端部(2)が冷却又は加熱システムを備えることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の流体圧縮デバイス。
【請求項10】
前記再生器(17)が、熱を貯蔵及び放出し、かつ液体及び/又は気体状態の流体を通過させるように構成された材料が充填された熱交換器チューブ、特に円筒チューブを備えることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の流体圧縮デバイス。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の流体圧縮デバイスによって流体を圧縮するための方法であって、
a)液体状態の流体が初期圧力で前記供給管(8)を介して前記圧縮チャンバの前記第1の端部(3)に流入することと、
b)前記可動ピストン(5)が前記圧縮チャンバの前記第1の端部(3)に向かって移動し、前記流体が前記再生回路(7)を介して前記圧縮チャンバの前記第1の端部(3)から前記圧縮チャンバの前記第2の端部(6)に向かって移送されることによって圧縮することと、ここで、前記流体圧縮デバイス(1)の前記第2の端部(4)が、前記第1の端部(2)の温度よりも高い温度に保たれており、
c)前記可動ピストン(5)が前記圧縮チャンバの前記第2の端部(6)に向かって移動し、前記流体が前記圧縮チャンバの前記第2の端部(6)から前記圧縮チャンバの前記第1の端部(3)に向かって移送されることによって再生することと、を行う連続ステップを備え、前記方法が、再生ステップc)中、前記圧縮チャンバの前記第2の端部(6)から前記圧縮チャンバの前記第1の端部(3)に向かう流体部分を前記圧縮チャンバの外にバイパスするステップを備えることを特徴とする、方法。
【請求項12】
液体状態の前記流体が、液化流体タンク(13)から初期圧力で前記圧縮チャンバの前記第1の端部(3)に流入されることと、前記流体部分がバイパスステップ中に前記液化流体タンク(13)に向かって送られることとを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮デバイス及び方法に関する。
【0002】
本発明は、より具体的には、可動ピストンを収容した圧縮チャンバを有する流体圧縮デバイスに関し、本デバイスは、圧縮チャンバの第1の端部を収容する第1の端部を備え、本デバイスは、圧縮チャンバの第2の端部を収容する第2の端部を備え、ピストンは、圧縮チャンバの第1の端部と第2の端部との間を並進移動することができ、本デバイスは、圧縮チャンバの第1の端部及び第2の端部を接続し、かつ再生器を有する再生回路を備え、本デバイスは、圧縮される流体の供給源に接続されることが意図された上流端部と、圧縮チャンバの第1の端部へと開口している下流端部とを備える供給管を備え、供給管は、1つ又は複数の弁のセットを備え、本デバイスは、圧縮チャンバに接続された上流端部と、圧縮された流体の受け器に接続されることが意図された下流端部とを備える少なくとも1つの圧縮流体排出管を備える。
【背景技術】
【0003】
文献FR2904401A1及びFR3007077A1には、「熱圧縮機」と呼ばれるときもある圧縮デバイスが記載されている。
【0004】
このタイプのデバイスは、申し分のない効率を提供することができる。解決手段は、この効率を改善し、例えば、デバイスの供給貯蔵装置内の圧力を管理するために必要なエネルギーを最適化しようとするものである。
【0005】
動作時に、そのようなデバイスは通常、以下のステップを備える。
【0006】
圧縮:ピストンが、圧縮チャンバの第2の端部(デバイス1の比較的高温側)の端部位置にある。供給管の弁が開かれており、(加圧タンクから又はポンプを介して)流体(気体又は液体)が先立って導入されており、圧縮チャンバの第1の端部の容積を充填している。次いで、ピストンは圧縮チャンバの第1の端部に向かって作動される。これにより、流体の第1の(低温)端部から第2の(高温)端部に向かう移送が生じる。実際、必要な力は、再生器を通る気体の移送インピーダンスによってのみ制限される。
【0007】
気体が高温の第2の端部で加熱されると、システム内の圧力は増加し始める。供給管の弁は閉じられ、排出管10の弁は、圧力(例えば、排出管に接続された出口タンクの圧力)が開放閾値を下回る限り閉じたままである。次いで、多量の過剰流体が、排出管の弁を介して、好ましくは一定圧力で吐出される。ピストンは、圧縮チャンバの第1の端部の底部の端部位置に到達したときに、好ましくは圧縮チャンバのこの端部容積のすべてを占有している。高温チャンバから低温チャンバに向かう移送中、低温チャンバから来る流体の冷気は、再生器の壁に冷気を貯蔵し、再生段階で流体に回復されることになる。
【0008】
再生:ピストンは再び圧縮チャンバの第2の端部に向かって移動される(再生段階)。これは、流体を圧縮チャンバの第2の(高温)端部から第1の(低温)端部に向かって移動させる。このプロセス中、多量の流れが第2の(高温)端部から第1の(低温)端部に向かって移動する。流体は、再生器の壁に貯蔵された冷気を回収する。流体が冷却するにつれて、圧縮デバイス内の圧力は低下し始める。圧縮チャンバの第1の端部の圧力が低下して閾値を下回ると、排出管の弁は閉じ、供給管の弁が再び開くことができ、プロセスを再開する。
【0009】
後者のステップにより、熱圧縮機の効率の著しい損失が生じる可能性がある。高温チャンバから戻る流体は、事実上、再生式交換器の非効率性(温度ピンチ(temperature pinch))及び圧縮の非効率性(前のサイクルでの圧縮によって引き起こされた温度差)を伴う。
【0010】
例えば、液体水素を1バールから20バールに圧縮した場合、圧縮の結果として、温度は自然に20.2Kから21.1Kに増加する。これは、再生器の低温側が少なくとも21.1Kの温度となることを意味する。これは、高温チャンバから戻った流体が21.1Kに再生器のピンチを加えたものにせいぜい等しいか又はそれよりも高くなること、及び再生器のピンチを意味する。この場合、低温チャンバに注入される熱の量は、高温チャンバからの戻り流量に20.2Kと21.1Kとのエンタルピー差を乗じたものに相当する。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、熱圧縮機の効率の改善及び/又は熱圧縮機の供給貯蔵装置を加圧するために消費されるエネルギーを低減するためのエネルギー最適化を提案する。
【0012】
この目的のために、本発明に係るデバイスは、上記プリアンブルにおいて与えられた一般的な規定に対応するとともに、再生回路に接続された上流端部と、回収部材に接続された下流端部とを備えるバイパス管を備え、バイパス管が、ピストンが圧縮チャンバの第2の端部から第1の端部に向かって移動される再生段階中に流体部分(fluid fraction)を引き出すように構成されていることを本質的に特徴とする。
【0013】
更に、本発明の実施形態は、
・ バイパス管の上流端部が、圧縮チャンバの第2の端部において、及び/又は圧縮チャンバの第1の端部において、及び/又は再生器において再生回路に接続され、
・ バイパス管が、1つ又は複数の弁のセット、例えば、少なくとも1つの圧力及び/又は流量調整弁を備え、
・ デバイスが、供給管の上流端部に接続された流体供給源を構成している、例えば液化極低温流体の液化流体タンクを備え、回収部材が該タンクを備え、
・ バイパス管が、流体タンク内部の圧力及び/又は圧縮チャンバ内部の圧力、例えば圧縮チャンバの第2の端部における圧力に応じて制御される圧力及び/又は流量調整弁を備え、
・ 圧力及び/又は流量調整弁が、流体タンク内部の圧力と圧縮チャンバ内部の圧力との圧力差に応じた制御された調整を提供するように構成されており、
・ 供給管の1つ又は複数の弁のセットは、逆止弁などの逆止め部材を備え、
・ デバイスの第2の端部が加熱システムを備え、
・ デバイスの第1の端部が冷却又は加熱システムを備え、
・ 再生器が、熱を貯蔵及び放出し、かつ液体及び/又は気体状態の流体を通過させるように構成された材料が充填された熱交換器チューブ、特に円筒チューブを備える、という特徴のうちの1つ又は複数を有し得る。
【0014】
本発明はまた、上記又は下記の特徴のうちの任意の1つに係るデバイスによって流体を圧縮するための方法に関し、本方法が、a)液体状態の流体が初期圧力で供給管を介して圧縮チャンバの第1の端部に流入することと、b)ピストンが圧縮チャンバの第1の端部に向かって移動し、流体が再生管を介して圧縮チャンバの第1の端部から圧縮チャンバの第2の端部に向かって移送されることによって圧縮することと、ここで、デバイスの第2の端部が、第1の端部の温度よりも高い温度に保たれ、c)ピストンが圧縮チャンバの第2の端部に向かって移動し、流体が圧縮チャンバの第2の端部から圧縮チャンバの第1の端部に向かって移送されることによって再生することと、を行う連続ステップを備え、本方法が、再生ステップc)中、圧縮チャンバの第2の端部から圧縮チャンバの第1の端部に向かう流体部分を圧縮チャンバの外にバイパスするステップを備える。
【0015】
他の可能な特徴によれば、液体状態の流体が、液化流体タンクから初期圧力で圧縮チャンバの第1の端部に流入され、流体部分がバイパスステップ中にこのタンクに向かって送られる。
【0016】
本発明はまた、特許請求の範囲内の上記又は下記の特徴の任意の組合せを備える任意の代替のデバイス又は方法にも関し得る。
【0017】
他の特徴及び利点が、図を参照して提供される以下の説明に記載されている。
【0018】
本発明は、添付図面を参照して単に例として与えられる以下の説明を読むことで、より理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る圧縮デバイスの例示的な実施形態の構造及び動作の一例を例示する断面の概略部分図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図全体を通して、同じ参照は同じ要素に関する。
【0021】
この詳細な説明において、以下の実施形態は例である。説明は1つ又は複数の実施形態について言及するが、これは、特徴が単一の実施形態にのみ適用されることを意味するわけではない。異なる実施形態の個々の特徴を、他の実施形態を提供するために組み合わせ及び/又は置き換えることもできる。
【0022】
図1に例示される流体圧縮デバイス1(又は「熱圧縮機」)は、可動ピストン5が収められている圧縮チャンバを収容するフレーム又はケーシングを備える。デバイス1は、圧縮チャンバの第1の端部3(比較的低温の端部)を収容する第1の端部2を備え、デバイス1は、圧縮チャンバの第2の端部6(比較的高温の端部)を収容する第2の端部4を備える。この圧縮機では、2つのチャンバ又は端部3、6は、通常、再生式交換器の圧力損失内で、実質的に同じ圧力である。
【0023】
ピストン5は、(簡略化のために説明されない任意の好適な駆動システムを介して)圧縮チャンバの第1の端部3と第2の端部6との間を並進移動することができる。
【0024】
デバイス1は、圧縮チャンバの第1の端部3及び第2の端部6を接続し、かつ再生器17を有する再生管7を備える。
【0025】
デバイス1はまた、圧縮される流体の供給源13に接続されることが意図された上流端部と、圧縮チャンバの第1の端部3へと開口している下流端部とを有する供給管8を備える。供給源13は、好ましくは、例えば液化水素の極低温流体タンクである。
【0026】
タンク13は、好ましくは、二相形態の極低温流体が入っており、好ましくは飽和に近い状態の、場合によっては過冷却された液体を熱圧縮デバイスに供給する。図には、従来の方式で設けられ得るタンク13のための圧力制御部材(加圧及び/又は減圧システム)は示されていない。
【0027】
供給管8は、1つ又は複数の弁のセット、特に逆止弁9を備える。デバイス1は、圧縮チャンバに接続された上流端部と、圧縮流体の受け器に接続されることが意図された下流端部とを備える少なくとも1つの圧縮流体排出管10を備える。この排出管10も、1つ又は複数の弁のセット、例えば、逆止弁11を備える。
【0028】
例えば、圧縮流体排出管10の上流端部は、圧縮チャンバの第1の端部及び/又は第2の端部に接続される。
【0029】
例えば、例示のように、デバイス1は、(高温チャンバからと低温チャンバからとの)2つの排出出口を備え得る。これらの2つの端部間の中間温度での排出を想定することも可能である。
【0030】
例えば、圧縮流体排出管10の上流端部は、圧縮チャンバの第1の端部3に接続される。これは、圧縮流体がデバイス1の比較的低温の端部3から排出されることを意味する。これにより、比較的低温の圧縮流体を生成することが可能になる。
【0031】
再生管7は、好ましくは、排出管10とは別個である。これは、この再生管7が再生器17を通過することによって圧縮チャンバの2つの端部3、6を接続し、したがって、ピストン5の移動中にこれらの端部間の直接遷移のみを可能にすることを意味する。
【0032】
供給管8の下流端部は、好ましくは、圧縮チャンバの第1の端部3に直接接続され、すなわち、事前圧縮チャンバを通過することなく接続される。これは、圧縮される流体が圧縮チャンバ3に直接注入されることを意味する。
【0033】
従来、再生器17は、熱を貯蔵及び放出し、かつ液体及び/又は気体状態の流体を通過させるように構成された材料が充填された熱交換器チューブ、特に円筒チューブを備えることができる。当然のことながら、他の任意の好適な熱交換器構造を想定することができる。
【0034】
動作は次の通りであり得る。第1の圧縮ステップにおいて、第1の(低温)端部3は、タンク13によって供給される低温流体で満たされ。第2の(高温)端部6は、その最小容積である。ピストン5は、第2の端部6から第1の端部3に向かって移動され、流体を再生器17に押し込む。流体は、再生器において、及び任意選択的に追加の交換器において加熱される。
【0035】
このように加熱された流体は、圧縮チャンバの端部3、6が加圧されることを可能にする(等圧)。送出圧力に達すると、出口弁11が開く。後続の再生及び注入段階において、ピストン5は、第1の端部3から第2の端部6に向かって移動され、次いで流体を再生器17内に押し戻す。流体は冷却し、圧縮機内部の圧力を減少させることを可能にする。この圧力がタンク13の圧力よりも低くなると、供給弁9が開かれる。したがって、(タンク13から来る)入来流体と再生器17から戻る流体とが、低温チャンバ(第1の端部3)で共に混合する。供給タンク内の液面が低下し、これによりタンク13内部の圧力が下がる。その中の圧力を維持するために内部又は外部加圧システムを使用することができる。
【0036】
有利な特徴によれば、デバイス1は更に、再生回路7に接続された上流端部と、圧縮チャンバの外の回収部材13に接続された下流端部とを備えるバイパス管12を備える。
【0037】
このバイパス管12は、ピストン5が圧縮チャンバの第2の端部6から第1の端部3に向かって移動されて、前の段階で加熱された流体を冷却し、その圧力を下げる再生段階中に流体部分を引き出すように構成される。
【0038】
これは、流体が再生段階中に熱圧縮機から抽出されることを意味する。この段階で流体を抽出することは、圧縮チャンバの第1の端部3に流入される供給液体と混合される流体が少なくなることを意味する。
【0039】
更に、第2の高温端部6からの戻り流体流量が減少するので、再生式交換器17の低温点における温度ピンチが改善される。
【0040】
この流体バイパスはまた、圧縮の非効率の結果として圧縮チャンバの第1の端部3に戻される熱の量も低減する。
【0041】
これらの2つの効果により、注入段階の終わりの液体含有量が増加し、したがって、デバイス1の効率が増加する。
【0042】
これは、デバイスの動作効率を改善するのに役立ち、特に流体及び動作条件に適応され得る。
【0043】
バイパス管12によって引き出されたこの流体部分は、好ましくは、そして最適には、圧縮チャンバの第2の端部6(高温端部)で抽出される。しかしながら、このバイパスは、第2の端部6と第1の端部3との間の任意の戻り点で流体を取り出すことができる(例として示されている3つの取り出し点を参照)。
【0044】
したがって、バイパス管12によって取り出された流体は、比較的高温であり、再生段階の始めの熱圧縮機の送出圧力に近い高圧である。流体が抽出され、流体の一部が再生器17を横断するので、圧縮機内部の圧力は低下する。
【0045】
例示のように、熱圧縮機から抽出されたこの流体の一部又は全部は、例えばタンク13を加圧するために、タンク13に戻され得る。これは、タンク内部の圧力が熱圧縮機の流量の結果として低下する傾向があるからである。これは、熱圧縮機の効率を増加させ、かつ貯蔵装置加圧システムを使用する必要性を制限するのに役立つ。タンク13内の再注入点は、タンク13の任意の高さに、例えば膨張空間の上部に位置付けられ得る。
【0046】
タンク13を加圧するためにバイパス管12によってタンク13に向かって取り出される流体の量は、デバイス1の最適化及び調整変数であり得る。例えば、バイパスされた流体の量がタンク13を加圧するのに十分でない場合、タンク13の圧力維持システムが起動され得る。逆に、バイパスされた流体の量が多すぎる場合、加圧に必要な量の流体のみをバイパスすることが可能である。
【0047】
バイパス管12は、好ましくは、例えば制御される圧力及び/又は流量調整弁14を備える。例えば、弁14は、流体タンク13内部の圧力及び/又は圧縮チャンバ内部の圧力、例えば圧縮チャンバの第2の端部6における圧力に応じて制御される。
【0048】
この抽出された流体の注入のための能動制御システムが、熱圧縮機(圧縮チャンバ)とタンク13との圧力差を制御するように実装され得る。注入段階中、タンク13の圧力は、熱圧縮機内部の圧力よりも高い。圧縮段階及び再生段階中、圧縮機の圧力は、再生段階の所与の時点までタンク13の圧力よりも高い。したがって、バイパス弁14は、好ましくは、タンクと熱圧縮機との圧力差に応じて開かれる必要がある。
【0049】
これにより、熱圧縮機からの効率の良くないエネルギーをタンク13のための効率の良いエネルギーとして使用することが可能になる。
【0050】
タンク13に戻る気体の量を平滑化するために、バッファ容積がバイパス管12に使用され得る。
【0051】
圧縮デバイス1には、気体又は液体が供給され得る。後者の場合に、より良好な圧縮性能が達成される。
【0052】
本発明は、有利には、液体水素を圧縮するために使用されるが、He、H2、Ne、CO、Ar、N2、O2、CH4、CO2、NO、Kr、Xeを備えるリスト、又はこれらの化学種のうちの2つ以上の任意の混合物から選ばれた流体に関連してもよい。
図1
【手続補正書】
【提出日】2024-04-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動ピストン(5)を収容した圧縮チャンバを有する流体圧縮デバイス(1)であって、前記流体圧縮デバイスは、前記圧縮チャンバの第1の端部(3)を収容する第1の端部(2)を備え、
前記流体圧縮デバイス(1)は、前記圧縮チャンバの第2の端部(6)を収容する第2の端部(4)を備え、前記可動ピストン(5)は、前記圧縮チャンバの前記第1の端部(3)と前記第2の端部(6)との間を並進移動することができ、
前記流体圧縮デバイス(1)は、前記圧縮チャンバの前記第1の端部(3)及び前記第2の端部(6)を接続し、かつ再生器(17)を有する再生回路(7)を備え、
前記流体圧縮デバイス(1)は、圧縮される流体の供給源(13)に接続されることが意図された上流端部と、前記圧縮チャンバの前記第1の端部(3)へと開口している下流端部とを備える供給管(8)を備え、前記供給管(8)は、1つ又は複数の弁(9)のセットを備え、
前記流体圧縮デバイス(1)は、前記圧縮チャンバに接続された上流端部と、圧縮された流体の受け器に接続されることが意図された下流端部とを備える少なくとも1つの圧縮流体排出管(10)を備える、流体圧縮デバイスにおいて、
前記流体圧縮デバイスが、前記再生回路(7)に接続された上流端部と、回収部材(13)に接続された下流端部とを備えるバイパス管(12)を備え、前記バイパス管(12)が、前記可動ピストン(5)が前記圧縮チャンバの前記第2の端部(6)から前記第1の端部(3)に向かって移動される再生段階中に流体部分を引き出すように構成されていることを特徴とする、流体圧縮デバイス。
【請求項2】
前記バイパス管(12)の前記上流端部が、前記圧縮チャンバの前記第2の端部(6)において、及び/又は前記圧縮チャンバの前記第1の端部(3)において、及び/又は前記再生器(17)において前記再生回路(7)に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の流体圧縮デバイス。
【請求項3】
前記バイパス管(12)が、1つ又は複数の弁(14)のセット、例えば、少なくとも1つの圧力及び/又は流量調整弁を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の流体圧縮デバイス。
【請求項4】
前記流体圧縮デバイスが、前記供給管(8)の前記上流端部に接続された流体供給源を構成している、例えば液化極低温流体の液化流体タンク(13)を備えることと、前記回収部材(13)が前記液化流体タンク(13)を備えることとを特徴とする、請求項1又は2に記載の流体圧縮デバイス。
【請求項5】
前記バイパス管(12)が、前記液化流体タンク(13)内部の圧力及び/又は前記圧縮チャンバ内部の圧力、例えば前記圧縮チャンバの前記第2の端部(6)における圧力に応じて制御される圧力及び/又は流量調整弁(14)を備えることを特徴とする、請求項3に従属する請求項4に記載の流体圧縮デバイス。
【請求項6】
前記圧力及び/又は流量調整弁(14)が、前記液化流体タンク(13)内部の圧力と前記圧縮チャンバ内部の圧力との圧力差に応じた制御された調整を提供するように構成されていることを特徴とする、請求項5に記載の流体圧縮デバイス。
【請求項7】
前記供給管(8)の前記1つ又は複数の弁のセットは、逆止弁などの逆止め部材(9)を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の流体圧縮デバイス。
【請求項8】
前記流体圧縮デバイス(1)の前記第2の端部(4)が加熱システム(15)を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の流体圧縮デバイス。
【請求項9】
前記流体圧縮デバイス(1)の前記第1の端部(2)が冷却又は加熱システムを備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の流体圧縮デバイス。
【請求項10】
前記再生器(17)が、熱を貯蔵及び放出し、かつ液体及び/又は気体状態の流体を通過させるように構成された材料が充填された熱交換器チューブ、特に円筒チューブを備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の流体圧縮デバイス。
【請求項11】
請求項1又は2に記載の流体圧縮デバイスによって流体を圧縮するための方法であって、
a)液体状態の流体が初期圧力で前記供給管(8)を介して前記圧縮チャンバの前記第1の端部(3)に流入することと、
b)前記可動ピストン(5)が前記圧縮チャンバの前記第1の端部(3)に向かって移動し、前記流体が前記再生回路(7)を介して前記圧縮チャンバの前記第1の端部(3)から前記圧縮チャンバの前記第2の端部(6)に向かって移送されることによって圧縮することと、ここで、前記流体圧縮デバイス(1)の前記第2の端部(4)が、前記第1の端部(2)の温度よりも高い温度に保たれており、
c)前記可動ピストン(5)が前記圧縮チャンバの前記第2の端部(6)に向かって移動し、前記流体が前記圧縮チャンバの前記第2の端部(6)から前記圧縮チャンバの前記第1の端部(3)に向かって移送されることによって再生することと、を行う連続ステップを備え、前記方法が、再生ステップc)中、前記圧縮チャンバの前記第2の端部(6)から前記圧縮チャンバの前記第1の端部(3)に向かう流体部分を前記圧縮チャンバの外にバイパスするステップを備えることを特徴とする、方法。
【請求項12】
液体状態の前記流体が、液化流体タンク(13)から初期圧力で前記圧縮チャンバの前記第1の端部(3)に流入されることと、前記流体部分がバイパスステップ中に前記液化流体タンク(13)に向かって送られることとを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0052】
本発明は、有利には、液体水素を圧縮するために使用されるが、He、H2、Ne、CO、Ar、N2、O2、CH4、CO2、NO、Kr、Xeを備えるリスト、又はこれらの化学種のうちの2つ以上の任意の混合物から選ばれた流体に関連してもよい。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 可動ピストン(5)を収容した圧縮チャンバを有する流体圧縮デバイス(1)であって、前記流体圧縮デバイスは、前記圧縮チャンバの第1の端部(3)を収容する第1の端部(2)を備え、
前記流体圧縮デバイス(1)は、前記圧縮チャンバの第2の端部(6)を収容する第2の端部(4)を備え、前記可動ピストン(5)は、前記圧縮チャンバの前記第1の端部(3)と前記第2の端部(6)との間を並進移動することができ、
前記流体圧縮デバイス(1)は、前記圧縮チャンバの前記第1の端部(3)及び前記第2の端部(6)を接続し、かつ再生器(17)を有する再生回路(7)を備え、
前記流体圧縮デバイス(1)は、圧縮される流体の供給源(13)に接続されることが意図された上流端部と、前記圧縮チャンバの前記第1の端部(3)へと開口している下流端部とを備える供給管(8)を備え、前記供給管(8)は、1つ又は複数の弁(9)のセットを備え、
前記流体圧縮デバイス(1)は、前記圧縮チャンバに接続された上流端部と、圧縮された流体の受け器に接続されることが意図された下流端部とを備える少なくとも1つの圧縮流体排出管(10)を備える、流体圧縮デバイスにおいて、
前記流体圧縮デバイスが、前記再生回路(7)に接続された上流端部と、回収部材(13)に接続された下流端部とを備えるバイパス管(12)を備え、前記バイパス管(12)が、前記可動ピストン(5)が前記圧縮チャンバの前記第2の端部(6)から前記第1の端部(3)に向かって移動される再生段階中に流体部分を引き出すように構成されていることを特徴とする、流体圧縮デバイス。
[2] 前記バイパス管(12)の前記上流端部が、前記圧縮チャンバの前記第2の端部(6)において、及び/又は前記圧縮チャンバの前記第1の端部(3)において、及び/又は前記再生器(17)において前記再生回路(7)に接続されていることを特徴とする、[1]に記載の流体圧縮デバイス。
[3] 前記バイパス管(12)が、1つ又は複数の弁(14)のセット、例えば、少なくとも1つの圧力及び/又は流量調整弁を備えることを特徴とする、[1]又は[2]に記載の流体圧縮デバイス。
[4] 前記流体圧縮デバイスが、前記供給管(8)の前記上流端部に接続された流体供給源を構成している、例えば液化極低温流体の液化流体タンク(13)を備えることと、前記回収部材(13)が前記液化流体タンク(13)を備えることとを特徴とする、[1]~[3]のいずれか一項に記載の流体圧縮デバイス。
[5] 前記バイパス管(12)が、前記液化流体タンク(13)内部の圧力及び/又は前記圧縮チャンバ内部の圧力、例えば前記圧縮チャンバの前記第2の端部(6)における圧力に応じて制御される圧力及び/又は流量調整弁(14)を備えることを特徴とする、[3]に従属する[4]に記載の流体圧縮デバイス。
[6] 前記圧力及び/又は流量調整弁(14)が、前記液化流体タンク(13)内部の圧力と前記圧縮チャンバ内部の圧力との圧力差に応じた制御された調整を提供するように構成されていることを特徴とする、[5]に記載の流体圧縮デバイス。
[7] 前記供給管(8)の前記1つ又は複数の弁のセットは、逆止弁などの逆止め部材(9)を備えることを特徴とする、[1]~[6]のいずれか一項に記載の流体圧縮デバイス。
[8] 前記流体圧縮デバイス(1)の前記第2の端部(4)が加熱システム(15)を備えることを特徴とする、[1]~[7]のいずれか一項に記載の流体圧縮デバイス。
[9] 前記流体圧縮デバイス(1)の前記第1の端部(2)が冷却又は加熱システムを備えることを特徴とする、[1]~[8]のいずれか一項に記載の流体圧縮デバイス。
[10] 前記再生器(17)が、熱を貯蔵及び放出し、かつ液体及び/又は気体状態の流体を通過させるように構成された材料が充填された熱交換器チューブ、特に円筒チューブを備えることを特徴とする、[1]~[9]のいずれか一項に記載の流体圧縮デバイス。
[11] [1]~[10]のいずれか一項に記載の流体圧縮デバイスによって流体を圧縮するための方法であって、
a)液体状態の流体が初期圧力で前記供給管(8)を介して前記圧縮チャンバの前記第1の端部(3)に流入することと、
b)前記可動ピストン(5)が前記圧縮チャンバの前記第1の端部(3)に向かって移動し、前記流体が前記再生回路(7)を介して前記圧縮チャンバの前記第1の端部(3)から前記圧縮チャンバの前記第2の端部(6)に向かって移送されることによって圧縮することと、ここで、前記流体圧縮デバイス(1)の前記第2の端部(4)が、前記第1の端部(2)の温度よりも高い温度に保たれており、
c)前記可動ピストン(5)が前記圧縮チャンバの前記第2の端部(6)に向かって移動し、前記流体が前記圧縮チャンバの前記第2の端部(6)から前記圧縮チャンバの前記第1の端部(3)に向かって移送されることによって再生することと、を行う連続ステップを備え、前記方法が、再生ステップc)中、前記圧縮チャンバの前記第2の端部(6)から前記圧縮チャンバの前記第1の端部(3)に向かう流体部分を前記圧縮チャンバの外にバイパスするステップを備えることを特徴とする、方法。
[12] 液体状態の前記流体が、液化流体タンク(13)から初期圧力で前記圧縮チャンバの前記第1の端部(3)に流入されることと、前記流体部分がバイパスステップ中に前記液化流体タンク(13)に向かって送られることとを特徴とする、[11]に記載の方法。
【外国語明細書】