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  • 特開-圧縮装置及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137826
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】圧縮装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   F04B 41/00 20060101AFI20240927BHJP
   F04B 41/02 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
F04B41/00 B
F04B41/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024041911
(22)【出願日】2024-03-18
(31)【優先権主張番号】2302594
(32)【優先日】2023-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラスミー・トライ
【テーマコード(参考)】
3H076
【Fターム(参考)】
3H076AA12
3H076AA35
3H076AA38
3H076BB21
3H076CC41
3H076CC94
3H076CC95
3H076CC97
3H076CC99
(57)【要約】      (修正有)
【課題】熱圧縮機の供給貯蔵を加圧するために消費されるエネルギーを低減するために、熱圧縮機の効率における改善及び/又はエネルギー最適化を提供する。
【解決手段】圧縮室の第1の端部3と第2の端部6との間で並進移動することが可能であるピストン5を収容する圧縮室を有し、装置1は、圧縮室の第1の端部と第2の端部とを接続し、再生器17を有する再生回路7を備え、供給パイプ8は、1つ以上の弁9のセットを備え、装置は、圧縮された流体を排出するための少なくとも1つのパイプ10を備え、排出パイプは、圧縮室に接続された上流端部と、圧縮された流体の受器に接続されることが意図された下流端部と、を備え、再生回路が、再生器と圧縮室の第1の端部との間に、再生器を通過した流体の流れと冷熱源との間の熱交換を確実にするように構成された熱交換器15を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を圧縮するための装置であって、前記装置は、可動ピストン(5)を収容する圧縮室を有し、前記装置は、前記圧縮室の第1の端部(3)を収容する第1の端部(2)を備え、前記装置(1)は、前記圧縮室の第2の端部(6)を収容する第2の端部(4)を備え、前記可動ピストン(5)は、前記圧縮室の前記第1の端部(3)と前記第2の端部(6)との間で並進移動することが可能であり、前記装置(1)は、前記圧縮室の前記第1の端部(3)と前記第2の端部(6)とを接続し、再生器(17)を有する再生回路(7)を備え、前記装置(1)は、圧縮されるべき流体の供給源(13)に接続されることが意図された上流端部と、前記圧縮室の前記第1の端部(3)へと開口する下流端部と、を備える供給パイプ(8)を備え、前記供給パイプ(8)は、1つ以上の弁(9)のセットを備え、前記装置(1)は、圧縮された前記流体を排出するための少なくとも1つの排出パイプ(10)を備え、前記排出パイプは、前記圧縮室に接続された上流端部と、圧縮された前記流体の受器に接続されることが意図された下流端部と、を備え、前記再生回路(7)は、前記再生器(17)と前記圧縮室の前記第1の端部(3)との間に、前記再生器(17)を通過した流体の流れと冷熱源との間の熱交換を確実にするように構成された熱交換器(15)を備え、圧縮されるべき流体の前記供給源(13)が、液化流体、例えば液化極低温流体のタンク(13)を備え、前記供給パイプ(8)の前記上流端部に接続されていること、及び、前記冷熱源が、流体の前記供給源(13)から極低温流体の流れをタップオフし、前記熱交換器(15)を通る通路を提供するためのパイプ(12)を備えること、を特徴とする、装置。
【請求項2】
前記タップオフパイプ(12)が、前記供給パイプ(8)から分岐することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記タップオフパイプ(12)が、流体の前記供給源(13)に接続され且つ熱サイフォンを形成するように構成されたループを描くことを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記タップオフパイプ(12)が、1つ以上の弁(14)のセット、例えば、圧力及び/又は流量を調整するための少なくとも1つの弁を備えることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記供給パイプ(8)の前記1つ以上の弁のセットが、逆止弁等の逆止部材(9)を備えることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記装置(1)の前記第2の端部(4)が、加熱システム(16)を備えることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記装置(1)の前記第1の端部(2)が、冷却又は加熱システムを備えることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記再生器(17)が、熱を蓄積及び放出し、液体状態及び/又はガス状態にある前記流体が通過することを可能にするように構成された材料で充填された熱交換管、特に円筒管を備えることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の装置によって流体を圧縮するための方法であって、以下の連続するステップ、即ち、a)液体状態にある流体を、前記供給パイプ(8)を介して、前記圧縮室の前記第1の端部(3)に初期圧力で入れるステップと、b)前記可動ピストン(5)を前記圧縮室の前記第1の端部(3)に向かって移動させ、前記流体を、前記再生パイプ(7)を介して、前記圧縮室の前記第1の端部(3)から前記圧縮室の前記第2の端部(6)に向かって移送することによって圧縮する圧縮ステップと、ここで、前記装置(1)の前記第2の端部(4)は、前記第1の端部(2)の温度より高い温度に維持されており、c)前記可動ピストン(5)を前記圧縮室の前記第2の端部(6)に向かって移動させ、前記流体を、前記再生器を介して、前記圧縮室の前記第2の端部(6)から前記圧縮室の前記第1の端部(3)に向かって移送することによって再生する再生ステップと、を備え、前記方法が、前記再生ステップc)中に、前記再生器(17)を通過した前記流体の流れを冷却する冷却ステップを備えることを特徴とする、方法。
【請求項10】
液体状態にある前記流体が、液化流体のタンク(13)から、前記圧縮室の前記第1の端部(3)に初期圧力で入れられること、及び前記冷却ステップが、前記流体の流れを冷却するために、前記タンクからの流体を使用すること、を特徴とする、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮装置及び方法に関する。
【0002】
本発明は、より詳細には、流体を圧縮するための装置に関し、本装置は、可動ピストンを収容する圧縮室を有し、本装置は、圧縮室の第1の端部を収容する第1の端部を備え、本装置は、圧縮室の第2の端部を収容する第2の端部を備え、ピストンが、圧縮室の第1の端部と第2の端部との間で並進移動することが可能であり、本装置は、圧縮室の第1の端部と第2の端部とを接続し、再生器を有する再生回路を備え、本装置は、圧縮されるべき流体の供給源に接続されることが意図された上流端部と、圧縮室の第1の端部へと開口する下流端部と、を備える供給パイプを備え、供給パイプは、1つ以上の弁のセットを備え、装置は、圧縮された流体を排出するための少なくとも1つのパイプを備え、上記排出パイプは、圧縮室に接続された上流端部と、圧縮された流体の受器に接続されることが意図された下流端部と、を備える。
【背景技術】
【0003】
文献FR2904401A1及びFR3007077A1には、このような圧縮装置が記載され、これは「熱圧縮機」と呼ばれることもある。
【0004】
このタイプの装置は、満足のいく効率を提供し得る。この効率を改善するための解決策が求められており、例えば、装置の供給貯蔵における圧力を管理するためのエネルギー最適化である。
【0005】
動作中、このような装置は、通常、以下のステップを備える。
【0006】
圧縮:ピストンは、圧縮室の第2の端部における終端位置にある(装置の相対的に高温側)。供給パイプの弁は開かれ、流体(ガス又は液体)が、(加圧タンクから又はポンプを介して)予め導入されており、圧縮室の第1の端部の容積を充填する。次いで、ピストンは、圧縮室の第1の端部に向かって作動される。これは、(低温の)第1の端部から(高温の)第2の端部に向かう流体の移送をもたらす。実際には、必要とされる力は、再生器を通してガスを移送する移送インピーダンス(transfer impedance)によってのみ制限される。
【0007】
ガスが、高温の第2の端部において加熱されるにつれて、システム内の圧力が増大し始める。供給パイプの弁は閉じられ、排出パイプの弁は、圧力が開き閾値(例えば、排出パイプに接続された出口タンクの圧力)より下である限り、閉じたままである。次いで、過剰な流体の質量(mass of excess fluid)が、好ましくは、一定圧力で、排出パイプの弁を介して放出される。ピストンが、圧縮室の第1の端部の閉鎖端において、その終端位置に到達すると、それは、好ましくは、圧縮室のこの端部の全容積(this end volume)を占有する。高温室から低温室に向かう移送中、低温室から来る流体の冷たさが、再生器の壁に蓄冷し、この冷たさは、再生段階において流体に戻されることになる。
【0008】
再生:ピストンは、再び圧縮室の第2の端部に向かって移動される(再生段階)。これは、流体を、圧縮室の(高温の)第2の端部から(低温の)第1の端部に向かって移動させる。このプロセス中、質量の流れは、(高温の)第2の端部から(低温の)第1の端部に向かって移動する。流体は、再生器の壁に蓄えられた冷たさを回収する。流体が冷えるにつれて、圧縮装置における圧力は、低下し始める。圧縮室の第1の端部における圧力が閾値を下回るとき、排出パイプの弁は閉じ、供給パイプの弁は、プロセスを再開するために再び開き得る。
【0009】
後者のステップは、熱圧縮機の著しい効率損失を生じさせ得る。高温室から戻る流体は、事実上、再生式熱交換器の非効率性(温度ピンチ(temperature pinch))及び圧縮の非効率性(前のサイクルにおける圧縮によって引き起こされる温度差)を伴う。
【0010】
例えば、1バールから20バールへの液体水素の圧縮の場合、温度は、圧縮の結果として、20.2Kから21.1Kまで自然に上昇する。これは、再生器の低温側が、少なくとも21.1Kになることを意味する。これは、高温室から戻る流体が、せいぜい21.1Kに等しいか、又はそれより高く、再生器のピンチを加えたものになることを意味する。この場合、低温室に注入される熱の量は、20.2Kと21.1Kの間のエンタルピー差を乗じた、高温室からの戻り流量に相当する。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、熱圧縮機の供給貯蔵を加圧するために消費されるエネルギーを低減するために、熱圧縮機の効率における改善及び/又はエネルギー最適化を提案する。
【0012】
この目的のために、本発明による装置、さもなければ、上記序文で与えられたその包括的定義による装置は、本質的に、再生回路が、再生器と圧縮室の第1の端部との間に、再生器を通過した流体の流れと冷熱源(cold source)との間の熱交換を確実にするように構成された熱交換器を備えることを特徴とする。
【0013】
加えて、本発明の実施形態は、以下の特徴のうちの1つ以上を有し得る:
- 冷熱源は、極低温流体の流れを備える、
- 圧縮されるべき流体の供給源は、液化流体、例えば液化極低温流体のタンクを備え、供給パイプの上流端部に接続されており、冷熱源は、流体の供給源から極低温流体の流れをタップオフ(tapping off)し、熱交換器を通る通路を提供するためのパイプを備える、
- タップオフパイプは、供給パイプから分岐する、
- タップオフパイプは、流体の供給源に接続され且つ熱サイフォンを形成するように構成されたループを描く、
- タップオフパイプは、1つ以上の弁のセット、例えば、圧力及び/又は流量を調整するための少なくとも1つの弁を備える、
- 供給パイプの、1つ以上の弁のセットは、逆止弁等の逆止部材を備える、
- 装置の第2の端部は、加熱システムを備える、
- 装置の第1の端部は、冷却又は加熱システムを備える、
- 再生器は、熱を蓄積及び放出し、液体状態及び/又はガス状態にある流体が通過することを可能にするように構成された材料で充填された熱交換管、特に円筒管を備える。
【0014】
本発明はまた、上記又は下記の特徴のうちのいずれか1つに従って、装置によって流体を圧縮するための方法に関し、この方法が、以下の連続するステップ、即ち、a)液体状態にある流体を、供給パイプを介して、圧縮室の第1の端部に初期圧力で入れるステップと、b)ピストンを圧縮室の第1の端部に向かって移動させ、流体を、再生パイプを介して、圧縮室の第1の端部から圧縮室の第2の端部に向かって移送することによって、圧縮するステップと、ここで、装置の第2の端部は、第1の端部の温度より高い温度に維持されており、c)ピストンを圧縮室の第2の端部に向かって移動させ、流体を、再生器を介して、圧縮室の第2の端部から圧縮室の第1の端部に向かって移送することによって、再生するステップと、を備え、この方法が、再生ステップc)中に、再生器を通過した流体の流れを冷却するステップを備えることを特徴とする。
【0015】
他の可能な特定の特徴によれば、液体状態にある流体は、液化流体のタンクから、圧縮室の第1の端部に初期圧力で入れられ、冷却ステップは、流体の流れを冷却するために、このタンクからの流体を使用する。
【0016】
本発明はまた、特許請求の範囲内の上記又は下記の特徴の任意の組合せを備える任意の代替の装置又は方法に関連し得る。
【0017】
更なる特定の特徴及び利点は、図面を参照して与えられる以下の説明を読むことで明らかになる。
【0018】
本発明は、単に例として及び添付の図面を参照して与えられる後続する説明を読むと、より良く理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明による圧縮装置の例示的な実施形態の構造及び動作の例を例示する概略的且つ部分的な断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図面全体を通して、同じ参照符号は同じ要素に関連する。
【0021】
この発明を実施するための形態では、以下の実施形態は例である。説明は、1つ以上の実施形態に言及するが、これは、特徴が単一の実施形態にのみ適用されることを意味しない。異なる実施形態の個々の特徴がまた、他の実施形態を提供するために、組み合わせられ得、及び/又は交換され得る。
【0022】
図1に図示される流体を圧縮するための装置1(又は「熱圧縮機」)は、可動ピストン5が収納される圧縮室を収容するフレーム又はケーシングを備える。装置1は、圧縮室の第1の端部3(相対的に低温の端部)を収容する第1の端部2を備え、装置1は、圧縮室の第2の端部6(相対的に高温の端部)を収容する第2の端部4を備える。この圧縮機では、2つの室又は端部3、6は、通常、再生式熱交換器の圧力損失を差し引くと、実質的に同じ圧力にある。加熱システム16が、第2の端部において設けられ得る。
【0023】
ピストン5は、(簡略化のために説明されない任意の好適な駆動システムを介して)圧縮室の第1の端部3と第2の端部6との間で並進移動することが可能である。
【0024】
装置1は、圧縮室の第1の端部3と第2の端部6とを接続し、再生器17を有する再生パイプ7を備える。
【0025】
装置1はまた、圧縮されるべき流体の供給源13に接続されることが意図された上流端部と、圧縮室の第1の端部3へと開口する下流端部と、を有する供給パイプ8を備える。供給源13は、好ましくは、極低温流体、例えば液化水素のタンクである。
【0026】
タンク13は、好ましくは、二相形態における極低温流体を収容し、好ましくは、飽和に近い状態にあり、潜在的に過冷却され得る液体を、熱圧縮装置に供給する。図は、タンク13内の圧力を制御するためのいかなる部材(加圧及び/又は減圧システム)も示していないが、これは、従来通りに設けられ得る。
【0027】
供給パイプ8は、1つ以上の弁のセット、特に逆止弁9を備える。装置1は、圧縮された流体を排出するための少なくとも1つのパイプ10を備え、上記排出パイプは、圧縮室に接続された上流端部と、圧縮された流体の受器に接続されることが意図された下流端部と、を備える。この排出パイプ10はまた、1つ以上の弁のセット、例えば逆止弁11を備える。
【0028】
例えば、圧縮された流体を排出するためのパイプ10の上流端部は、圧縮室の第1の端部及び/又は第2の端部に接続されている。
【0029】
例えば、及び図示されるように、装置1は、(高温室からの及び低温室からの)2つの排出出口を備え得る。これら2つの端部間の中間温度での排出を想定することも可能である。
【0030】
例えば、圧縮された流体を排出するためのパイプ10の上流端部は、圧縮室の第1の端部3に接続されている。これは、圧縮された流体が、装置1の相対的に低温の端部3から排出されることを意味する。これは、相対的に低温の圧縮された流体が生成されることを可能にする。
【0031】
再生パイプ7は、好ましくは、排出パイプ10とは別個である。これは、この再生パイプ7が、再生器17を通過することによって、圧縮室の2つの端部3、6を接続し、従って、ピストン5の移動中に、これらの端部間の直接通過のみを可能にすることを意味する。
【0032】
供給パイプ8の下流端部は、好ましくは、圧縮室の第1の端部3に直接、即ち、予圧室を通過することなく接続される。これは、圧縮されるべき流体が圧縮室3に直接注入されることを意味する。
【0033】
従来、再生器17は、熱を蓄積及び放出し、液体状態及び/又はガス状態にある流体が通過することを可能にするように構成された材料で充填された熱交換管、特に円筒管を備え得る。当然ながら、その他任意の好適な熱交換器構造が想定され得る。
【0034】
動作は、以下の通りであり得る。第1の圧縮ステップでは、(低温の)第1の端部3が、タンク13によって供給される低温流体で充填される。(高温の)第2の端部6は、その最小容積にある。ピストン5が、第2の端部6から第1の端部3に向かって移動され、流体を再生器17に通過させる。流体は、再生器において、及びオプションで、追加の熱交換器において加熱される。
【0035】
このように加熱された流体は、圧縮室の端部3、6が加圧されることを可能にする(同一圧力)。吐出圧力に達すると、出口弁11が開く。後続の再生及び注入段階において、ピストン5は、第1の端部3から第2の端部6に向かって移動され、これにより、流体を再生器17に再び通過させる。流体は冷却され、圧縮機内部の圧力が低減することを可能にする。この圧力がタンク13内の圧力より低くなると、供給弁9が開く。従って、(タンク13から来る)流入流体と、再生器17から戻る流体とが、低温室(第1の端部3)内で共に混合する。供給タンク内の液体のレベルが低減され、これは、タンク13内部の圧力を低減させる。内部又は外部加圧システムが、その中の圧力を維持することを可能にし得る。
【0036】
1つの有利な特定の特徴によれば、装置1は、好ましくは、再生回路7において、再生器17と圧縮室の第1の端部3との間に、再生器17を通過した流体の流れと冷熱源との間の熱交換を確実にするように構成された熱交換器15を備える。
【0037】
このような熱交換器15を熱圧縮機の低温部分上に一体化することにより、その流れが上述の再生式熱交換器(再生器17)との熱交換の非効率性を伴う、熱圧縮機の高温の第2の室(端部6)から戻る流体との間で熱交換を行うことが可能になる。これは、第2の端部6から戻る流体を、第1の端部3に入口において入れられる液体の温度に近い温度まで冷却することを可能にする。これは、圧縮の非効率性の故に低温室(第1の端部3)に戻される熱の量を低減する。
【0038】
図示されるように、冷熱源は、流体の供給源13から極低温流体の流れをタップオフし、熱交換器15を通る通路を提供するためのパイプ12を備え得る。例えば、タップオフパイプは、供給パイプ8から分岐する。
【0039】
低温流体は、熱圧縮機への供給からタップオフされ得、これは、システムの最も低温の点に対応する。低温熱交換器15を通過すると、熱圧縮機への供給のこの分岐は、加熱され、蒸発し得る。
【0040】
図示されるように、タップオフパイプ12は、流体の供給源13に接続された2つの端部を有するループを形成し得、ループは、熱サイフォンを形成するように構成される。
【0041】
従って、熱圧縮機の高温室6又は第2の端部から戻る流体は、流入流体の温度に近い温度で、室又は低温端部3に戻り、供給流体と混合される。この熱交換器15を使用することにより、低温室(第1の端部3)の液体容量を改善することが可能になる。これは、熱圧縮機の効率を改善する。タップオフパイプ12は、1つ以上の弁14のセット、例えば、圧力及び/又は流量を調整するための少なくとも1つの弁を備え得る。
【0042】
タンク13によって供給される極低温の低温流体は、その飽和状態に近い温度を有し得、熱交換器15内での熱交換に後続して蒸発し得る。この流体は、加圧システムの使用を制限するために、タンク13に戻され得る。流体は、タンク中に任意のレベル(高さ)において(液体の下部又はガスの上部において)、戻され得る。この加圧は、低い、例えば、飽和状態に近い戻り温度を有する流体で行われる。
【0043】
この冷却回路12は、熱圧縮機から独立している。タンク13と冷却回路12との結合は、好ましくは、熱サイフォンを構成する。
【0044】
従って、熱交換器15内の冷却流体の循環は、熱交換器15内で交換される熱の及びタンク13の静水頭(hydrostatic head)に対応する駆動力を用いて自然に確立される。従って、この循環を行うために追加の力を必要としない。
【0045】
熱サイフォンの流量を制限し、従って、タンク13を加圧するためにタンク13に戻される流体の量を調整するために、調整弁がタップオフパイプ12上に一体化され得る。
【0046】
圧縮装置1には、ガス又は液体が供給され得る。後者の場合、より良好な圧縮性能が達成される。
【0047】
本発明は、液体水素の圧縮に有利に適用されるが、He、H2、Ne、CO、Ar、N2、O2、CH4、CO2、NO、Kr、Xe、又はこれらの化学種の2つ以上の任意の混合物を含むリストから選択される流体に関連することもできる。
図1
【手続補正書】
【提出日】2024-04-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を圧縮するための装置であって、前記装置は、可動ピストン(5)を収容する圧縮室を有し、前記装置は、前記圧縮室の第1の端部(3)を収容する第1の端部(2)を備え、前記装置(1)は、前記圧縮室の第2の端部(6)を収容する第2の端部(4)を備え、前記可動ピストン(5)は、前記圧縮室の前記第1の端部(3)と前記第2の端部(6)との間で並進移動することが可能であり、前記装置(1)は、前記圧縮室の前記第1の端部(3)と前記第2の端部(6)とを接続し、再生器(17)を有する再生回路(7)を備え、前記装置(1)は、圧縮されるべき流体の供給源(13)に接続されることが意図された上流端部と、前記圧縮室の前記第1の端部(3)へと開口する下流端部と、を備える供給パイプ(8)を備え、前記供給パイプ(8)は、1つ以上の弁(9)のセットを備え、前記装置(1)は、圧縮された前記流体を排出するための少なくとも1つの排出パイプ(10)を備え、前記排出パイプは、前記圧縮室に接続された上流端部と、圧縮された前記流体の受器に接続されることが意図された下流端部と、を備え、前記再生回路(7)は、前記再生器(17)と前記圧縮室の前記第1の端部(3)との間に、前記再生器(17)を通過した流体の流れと冷熱源との間の熱交換を確実にするように構成された熱交換器(15)を備え、圧縮されるべき流体の前記供給源(13)が、液化流体、例えば液化極低温流体のタンク(13)を備え、前記供給パイプ(8)の前記上流端部に接続されていること、及び、前記冷熱源が、流体の前記供給源(13)から極低温流体の流れをタップオフし、前記熱交換器(15)を通る通路を提供するためのパイプ(12)を備えること、を特徴とする、装置。
【請求項2】
前記タップオフパイプ(12)が、前記供給パイプ(8)から分岐することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記タップオフパイプ(12)が、流体の前記供給源(13)に接続され且つ熱サイフォンを形成するように構成されたループを描くことを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記タップオフパイプ(12)が、1つ以上の弁(14)のセット、例えば、圧力及び/又は流量を調整するための少なくとも1つの弁を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項5】
前記供給パイプ(8)の前記1つ以上の弁のセットが、逆止弁等の逆止部材(9)を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項6】
前記装置(1)の前記第2の端部(4)が、加熱システム(16)を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項7】
前記装置(1)の前記第1の端部(2)が、冷却又は加熱システムを備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項8】
前記再生器(17)が、熱を蓄積及び放出し、液体状態及び/又はガス状態にある前記流体が通過することを可能にするように構成された材料で充填された熱交換管、特に円筒管を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の装置によって流体を圧縮するための方法であって、以下の連続するステップ、即ち、a)液体状態にある流体を、前記供給パイプ(8)を介して、前記圧縮室の前記第1の端部(3)に初期圧力で入れるステップと、b)前記可動ピストン(5)を前記圧縮室の前記第1の端部(3)に向かって移動させ、前記流体を、前記再生パイプ(7)を介して、前記圧縮室の前記第1の端部(3)から前記圧縮室の前記第2の端部(6)に向かって移送することによって圧縮する圧縮ステップと、ここで、前記装置(1)の前記第2の端部(4)は、前記第1の端部(2)の温度より高い温度に維持されており、c)前記可動ピストン(5)を前記圧縮室の前記第2の端部(6)に向かって移動させ、前記流体を、前記再生器を介して、前記圧縮室の前記第2の端部(6)から前記圧縮室の前記第1の端部(3)に向かって移送することによって再生する再生ステップと、を備え、前記方法が、前記再生ステップc)中に、前記再生器(17)を通過した前記流体の流れを冷却する冷却ステップを備えることを特徴とする、方法。
【請求項10】
液体状態にある前記流体が、液化流体のタンク(13)から、前記圧縮室の前記第1の端部(3)に初期圧力で入れられること、及び前記冷却ステップが、前記流体の流れを冷却するために、前記タンクからの流体を使用すること、を特徴とする、請求項9に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0047】
本発明は、液体水素の圧縮に有利に適用されるが、He、H2、Ne、CO、Ar、N2、O2、CH4、CO2、NO、Kr、Xe、又はこれらの化学種の2つ以上の任意の混合物を含むリストから選択される流体に関連することもできる。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 流体を圧縮するための装置であって、前記装置は、可動ピストン(5)を収容する圧縮室を有し、前記装置は、前記圧縮室の第1の端部(3)を収容する第1の端部(2)を備え、前記装置(1)は、前記圧縮室の第2の端部(6)を収容する第2の端部(4)を備え、前記可動ピストン(5)は、前記圧縮室の前記第1の端部(3)と前記第2の端部(6)との間で並進移動することが可能であり、前記装置(1)は、前記圧縮室の前記第1の端部(3)と前記第2の端部(6)とを接続し、再生器(17)を有する再生回路(7)を備え、前記装置(1)は、圧縮されるべき流体の供給源(13)に接続されることが意図された上流端部と、前記圧縮室の前記第1の端部(3)へと開口する下流端部と、を備える供給パイプ(8)を備え、前記供給パイプ(8)は、1つ以上の弁(9)のセットを備え、前記装置(1)は、圧縮された前記流体を排出するための少なくとも1つの排出パイプ(10)を備え、前記排出パイプは、前記圧縮室に接続された上流端部と、圧縮された前記流体の受器に接続されることが意図された下流端部と、を備え、前記再生回路(7)は、前記再生器(17)と前記圧縮室の前記第1の端部(3)との間に、前記再生器(17)を通過した流体の流れと冷熱源との間の熱交換を確実にするように構成された熱交換器(15)を備え、圧縮されるべき流体の前記供給源(13)が、液化流体、例えば液化極低温流体のタンク(13)を備え、前記供給パイプ(8)の前記上流端部に接続されていること、及び、前記冷熱源が、流体の前記供給源(13)から極低温流体の流れをタップオフし、前記熱交換器(15)を通る通路を提供するためのパイプ(12)を備えること、を特徴とする、装置。
[2] 前記タップオフパイプ(12)が、前記供給パイプ(8)から分岐することを特徴とする、[1]に記載の装置。
[3] 前記タップオフパイプ(12)が、流体の前記供給源(13)に接続され且つ熱サイフォンを形成するように構成されたループを描くことを特徴とする、[1]又は[2]に記載の装置。
[4] 前記タップオフパイプ(12)が、1つ以上の弁(14)のセット、例えば、圧力及び/又は流量を調整するための少なくとも1つの弁を備えることを特徴とする、[1]~[3]のいずれか一項に記載の装置。
[5] 前記供給パイプ(8)の前記1つ以上の弁のセットが、逆止弁等の逆止部材(9)を備えることを特徴とする、[1]~[4]のいずれか一項に記載の装置。
[6] 前記装置(1)の前記第2の端部(4)が、加熱システム(16)を備えることを特徴とする、[1]~[5]のいずれか一項に記載の装置。
[7] 前記装置(1)の前記第1の端部(2)が、冷却又は加熱システムを備えることを特徴とする、[1]~[6]のいずれか一項に記載の装置。
[8] 前記再生器(17)が、熱を蓄積及び放出し、液体状態及び/又はガス状態にある前記流体が通過することを可能にするように構成された材料で充填された熱交換管、特に円筒管を備えることを特徴とする、[1]~[7]のいずれか一項に記載の装置。
[9] [1]~[8]のいずれか一項に記載の装置によって流体を圧縮するための方法であって、以下の連続するステップ、即ち、a)液体状態にある流体を、前記供給パイプ(8)を介して、前記圧縮室の前記第1の端部(3)に初期圧力で入れるステップと、b)前記可動ピストン(5)を前記圧縮室の前記第1の端部(3)に向かって移動させ、前記流体を、前記再生パイプ(7)を介して、前記圧縮室の前記第1の端部(3)から前記圧縮室の前記第2の端部(6)に向かって移送することによって圧縮する圧縮ステップと、ここで、前記装置(1)の前記第2の端部(4)は、前記第1の端部(2)の温度より高い温度に維持されており、c)前記可動ピストン(5)を前記圧縮室の前記第2の端部(6)に向かって移動させ、前記流体を、前記再生器を介して、前記圧縮室の前記第2の端部(6)から前記圧縮室の前記第1の端部(3)に向かって移送することによって再生する再生ステップと、を備え、前記方法が、前記再生ステップc)中に、前記再生器(17)を通過した前記流体の流れを冷却する冷却ステップを備えることを特徴とする、方法。
[10] 液体状態にある前記流体が、液化流体のタンク(13)から、前記圧縮室の前記第1の端部(3)に初期圧力で入れられること、及び前記冷却ステップが、前記流体の流れを冷却するために、前記タンクからの流体を使用すること、を特徴とする、[9]に記載の方法。
【外国語明細書】