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特開2024-137834肩こりの予防若しくは改善剤、腰痛の予防若しくは改善剤、目のかすみ又は見えづらさの予防若しくは改善剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137834
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】肩こりの予防若しくは改善剤、腰痛の予防若しくは改善剤、目のかすみ又は見えづらさの予防若しくは改善剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4172 20060101AFI20240927BHJP
   A61P 21/02 20060101ALI20240927BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240927BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240927BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20240927BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240927BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20240927BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20240927BHJP
【FI】
A61K31/4172
A61P21/02
A61P29/00
A61P27/02
A61K8/49
A61Q19/00
A23L33/10
A23L33/105
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024042299
(22)【出願日】2024-03-18
(31)【優先権主張番号】P 2023047389
(32)【優先日】2023-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松沢 里帆
(72)【発明者】
【氏名】本岡 香奈
(72)【発明者】
【氏名】尾上 貴俊
(72)【発明者】
【氏名】友沢 寛
(72)【発明者】
【氏名】高嶋 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】神谷 智康
【テーマコード(参考)】
4B018
4C083
4C086
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB02
4B018LB03
4B018LB04
4B018LB08
4B018MD18
4B018MD82
4B018ME14
4B018MF01
4C083AC851
4C083AC852
4C083CC02
4C083FF10
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC38
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA08
4C086ZA33
4C086ZA94
(57)【要約】
【課題】エルゴチオネインの新規な用途を提供する。
【解決手段】本発明は、エルゴチオネインを含有する、肩こりの予防若しくは改善剤、腰痛の予防若しくは改善剤、目のかすみ又は見えづらさの予防若しくは改善剤の各用途を提供するものである。本発明の剤は、経口剤又は皮膚外用剤として用いることができ、健康食品又は化粧品等として好適である。特に、本発明の剤は、有効かつ安全に摂取可能な経口剤として日常的に摂取でき、前記の用途に用いるのに適している。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エルゴチオネインを含有する、肩こりの予防若しくは改善剤。
【請求項2】
エルゴチオネインを含有する、腰痛の予防若しくは改善剤。
【請求項3】
エルゴチオネインを含有する、目のかすみ又は見えづらさの予防若しくは改善剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肩こりの予防若しくは改善剤、腰痛の予防若しくは改善剤、目のかすみ又は見えづらさの予防若しくは改善剤に関する。
【背景技術】
【0002】
肩こりは、首から肩・背中にかけての筋肉がこわばり、だるさ、重さ、疲労感、ときに痛みを感じる症状をいう。肩こりを放置すると、頭痛や目の疲れ等の様々な症状につながる場合がある。
【0003】
また腰痛も、腰部を主とした痛みやはりなどの不快感といった症状の総称である。腰痛は放置すると、筋肉が固くなり、痛みが強くなったり、ひどい場合には腰椎にある椎間板に影響を与え、より症状の重い腰痛(坐骨神経痛や椎間板ヘルニア)などに発展する可能性がある。
【0004】
更に、目のかすみ、物の見えづらさは、老化や、パソコンやスマートフォン等の普及により進行し、多くの人が悩む症状である。
【0005】
従来、エルゴチオネインは、キノコ等の生体内に存在する成分であり、動物生体内の赤血球や肝臓、抗酸球、水晶体などの器官にも存在することが知られている。エルゴチオネインの作用としては、チロシナーゼ抑制作用、抗酸化作用等が知られており、例えば表皮細胞のATP産生を促進するATP産生促進剤、受精卵のフラグメンテーション抑制剤、結合組織の保護などをする薬剤等の用途が知られている(特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003-231626号公報
【特許文献2】国際公開第2021/132655号
【特許文献3】特開2002-502881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
エルゴチオネインに関し、新規の用途が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下の〔1〕~〔3〕を提供する。
〔1〕エルゴチオネインを含有する、肩こりの予防若しくは改善剤。
〔2〕エルゴチオネインを含有する、腰痛の予防若しくは改善剤。
〔3〕エルゴチオネインを含有する、目のかすみ又は見えづらさの予防若しくは改善剤。
【発明の効果】
【0009】
本発明はエルゴチオネインを用い、有効かつ安全に摂取可能な肩こりの予防若しくは改善剤、腰痛の予防若しくは改善剤、並びに、目のかすみ又は見えづらさの予防若しくは改善剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明についてその好適な形態を説明する。以下の説明では、肩こりの予防若しくは改善剤、腰痛の予防若しくは改善剤、目のかすみ又は見えづらさの予防若しくは改善剤を総称して「本発明の剤」とも記載する。
【0011】
エルゴチオネインとは、アミノ酸誘導体の一種であり、双性イオン構造(両性イオン構造とも言う)を持つことを特徴とする化合物である。本発明で用いるエルゴチオネインのうち、L-エルゴチオネインは、下記式(1)で表される化合物である。エルゴチオネインはL-エルゴチオネインの光学異性体であってもよく、L-エルゴチオネインの互変異体やL-エルゴチオネイン又はその互変異体の二量体であってもよい。またエルゴチオネインは、L-エルゴチオネイン、その互変異体又はそれらの二量体の塩であってもよい。本発明においては、より高い効果を得ることができる点から、L-エルゴチオネインを使用することが好ましい。
【0012】
【化1】
【0013】
例えば上記化合物において、水素原子以外の他のカチオンが結合している形態は、エルゴチオネインの塩に該当する。このようなエルゴチオネインの塩としては、例えば、前記式において、COO基が、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、カルシウムカチオン等とイオン結合されてアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩となっているものやアンモニウムイオンとイオン結合してアンモニウム塩となっているものが挙げられる。
また、前記式において、COO基に水素原子が結合し、当該水素原子に、塩酸、硫酸等の無機酸、p-トルエンスルホン酸等の有機酸、グリシン等のアミノ酸が付加した付加塩もエルゴチオネインの塩として挙げられる。更に、前記式のイミノ基の水素原子に、塩酸、硫酸等の無機酸、p-トルエンスルホン酸等の有機酸、グリシン等のアミノ酸が付加した付加塩も上記のエルゴチオネインの塩として挙げられる。しかし、エルゴチオネインの塩としては、これらに限定されず、薬理学的に許容されるものであればよい。
【0014】
また、本発明の剤は、加水分解によってエルゴチオネインとなる化合物を、エルゴチオネインとして含有していてもよい。その様な化合物としては、例えば、前記式中のCOO基に水素原子が結合して水酸基を形成し、当該水酸基が保護基で保護されている、換言すれば、当該水酸基中の水素原子が、何らかの基によって置換されており、加水分解されると水酸基となる化合物をいう。このような「保護基で保護されている水酸基」の例としては、メトキシメチルエーテル基、テトラヒドロピラニルエーテル基、ターシャリーブチルエーテル基、アリルエーテル基、安息香酸エステル基、アセテート基(アセチルオキシ基)、ホルメート基、クロトネート基、p-フェニル安息香酸エステル基、トリメチルアセチルオキシ基、ターシャリーブチルジメチルシリルオキシ基、ターシャリーブチルジフェニルシリルオキシ基、トリチルオキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
【0015】
本明細書では、L-エルゴチオネイン、その光学異性体、その互変異体、それらの二量体、及び、それらの薬学的に許容される塩、及び、加水分解によってエルゴチオネインとなる化合物を合わせて「エルゴチオネイン」という。本発明ではエルゴチオネインとして動植物の抽出物をそのまま、若しくはキノコをはじめとする動植物の抽出物から単離、精製されたものを用いてもよく、また合成品を用いてもよい。形状は、粉末のものを使用しても、水やエタノールなどの親水性溶媒に溶解した溶液を使用してもよい。
【0016】
本発明において、キノコを用いる場合、キノコとしては、アンニンコウ(Grifola gargal)、マイタケ(Grifola frondosa)、ヒラタケ(Pleurotus ostreatus)、エリンギ(Pleurotus eringii)、シイタケ(Lentinula edodes)、ナメコ(Pholiota nameko)、ヤナギマツタケ(Agrocybe cylindracea)、オオイチョウタケ(Leucopaxillus giganteus)、ヒメマツタケ(Agaricus blazei)、サウーバ(Tricholoma sp.)、キッタリア(Cyttaria espinosae)、タモギ茸(Pleurotus citrinopileatus)からなる群から選択される少なくとも一種であることが、本発明の剤の効果に優れる点で好ましい。
【0017】
上述の抽出物は、化粧品原料や健康食品材料として市販のものを使用してもよく、常法により得てもよい。抽出方法は特に限定されるものではないが、溶媒を用いた抽出法や加水分解による抽出法が挙げられる。溶媒を用いた抽出を行う際には、原料を抽出溶媒とともに常温又は加熱して浸漬または加熱還流した後、加水分解による抽出を行う際には、例えば、アルカリ、酸等による化学的処理、熱、圧力等による物理学的処理、酵素等による生物学的処理等、任意の加水分解処理を行った後、濾過し、濃縮して得ることができる。原料をそのまま使用することもできるが、顆粒状や粉末状に粉砕して抽出に供した方が、穏和な条件で短時間に高い抽出効率で有効成分の抽出を行うことができる。さらに、抽出時には、撹拌を行ってもよいし、撹拌せず静置してもよいし、超音波を加えてもよい。
【0018】
抽出溶媒としては、通常抽出に用いられる溶媒であれば任意に用いることができ、例えば、水性溶媒、例えば水、生理食塩水、リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、あるいは有機溶媒、例えばエタノール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン等のアルコール類、含水アルコール類、クロロホルム、ジクロルエタン、四塩化炭素、アセトン、酢酸エチル、ヘキサン等を、それぞれ単独あるいは組み合わせて用いることができる。
このような抽出操作により、有効成分であるエルゴチオネインが抽出され、溶媒に溶け込む。
【0019】
また、本発明では、エルゴチオネインを発酵により製造されたものを使用してもよい。発酵により製造されたものは、化粧品原料や健康食品材料として市販のものを使用してもよく、常法により得てもよい。
【0020】
本発明の剤は、エルゴチオネインの量は特に限定されないが、経口剤である場合、該経口剤固形分中に、エルゴチオネインを0.0000001質量%以上含むことが好ましく、本発明の剤の効果を高める点で0.000001質量%以上含むことがより好ましく、0.00001質量%以上含むことがよりさらに好ましく、0.0001質量%以上含むことが特に好ましく、0.001質量%以上含むことが最も好ましい。
本発明の剤は、経口剤である場合、該経口剤の固形分中に、エルゴチオネインの量が100質量%であってもよいが、エルゴチオネインを90質量%以下含むことが、日常生活において継続的に経口摂取しやすい点で好ましく、80質量%以下含むことがより好ましく、70質量%以下含むことが特に好ましく、60質量%以下含むことが最も好ましい。
なお、固形分とは、本発明の剤から水を除いた量とする。またカプセル剤として本発明の剤を用いる場合、カプセルの質量は、上記固形分の分母には含めないものとする。
また本発明の剤は、皮膚外用剤である場合、固形分中に、エルゴチオネインを0.0001質量%以上含むことが好ましく、本発明の剤の効果を高める点で0.003質量%以上含むことがより好ましく、0.005質量%以上含むことがよりさらに好ましく、0.008質量%以上含むことが特に好ましく、0.001質量%以上含むことが最も好ましい。
本発明の剤は、皮膚外用剤である場合、該皮膚外用剤の固形分中に、エルゴチオネインを90質量%以下含むことが、日常生活において継続的に摂取しやすい点で好ましく、80質量%以下含むことがより好ましく、70質量%以下含むことが特に好ましく、60質量%以下含むことが最も好ましい。
なお、固形分とは、本発明の剤から水を除いた量とする。
【0021】
本発明の剤におけるエルゴチオネイン量の測定はHPLCにて行うことができる。
例えば、HPLC装置として蛍光検出器付きHPLCを用い、カラムとして、Waters社製のC18 5μm spherisorb ODS2 カラム(φ250mm × 4.6mm)を用い、移動相の液媒として、100mMリン酸二カリウム溶液/アセトニトリル/メタノール/水(移動相A 体積比=40:7:3:50、移動相B 体積比=40:20:3:37)を用い、カラム温度は25℃、流量1.2ml/分、励起波長494nm、蛍光波長518nmとすることができる。
【0022】
また、本発明の剤におけるエルゴチオネイン量を測定する際のHPLCに供する前処理としては、5-ヨードアセトアミドフルオレセインを用いることができる。
【0023】
本発明の剤は、エルゴチオネイン以外に、通常使用される他の成分を、本発明の効果を損なわない範囲で含有してもよい。経口摂取する場合、このような成分としては、水、賦形剤、結合剤、光沢剤、滑沢剤、安定剤、希釈剤、増量剤、増粘剤、乳化剤、酸化防止剤、pH調整剤、着色料、香料、添加剤などを挙げることができる。その他の成分の含有量は、本発明の剤の形態等に応じて適宜選択することができる。
【0024】
本発明の剤は、エルゴチオネインを経皮摂取する場合、本発明の剤のエルゴチオネイン以外の成分としては、水、保湿剤、分散剤、可塑剤、展着剤、防腐剤、香料、pH調整剤、消臭剤、キレート剤、酸化防止剤、抗菌剤、防菌防かび剤、抗炎症剤、美白剤等の有効成分、動物エキス、植物エキスなどの美容成分や薬効成分等、通常皮膚外用剤に使用される成分の一種以上が挙げられる。その他の成分の含有量は、本発明の剤の形態等に応じて適宜選択することができる。
【0025】
本発明の剤は経口用及び非経口用のいずれの用途にも用いることができる。非経口の剤としては、皮膚外用剤のほか、胃にカテーテル等で直接投与する方法により投与される剤等が挙げられる。本発明の剤は、本発明の作用を簡便に得られる点から、経口用とすることが好ましい。
【0026】
経口剤として用いる場合、その形態としては、例えば、錠剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、液剤、粒状剤、棒状剤、板状剤、ブロック状剤、固形状剤、丸状剤、ペースト状剤、クリーム状剤、カプレット状剤、ゲル状剤、チュアブル状剤、スティック状剤等を挙げることができる。これらの中でも、錠剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、液剤の形態が特に好ましい。錠剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、液剤として用いられる経口用組成物の例としては、サプリメント;食品添加剤:ペットボトル、缶、瓶等に充填された容器詰飲料:水(湯)、牛乳、果汁等に溶解して飲むための粉末飲料等を例示することができる。これらは食事の際などに手軽に飲食しやすく、また嗜好性を高めることができるという点で好ましい。
【0027】
本発明の剤が皮膚外用剤である場合の剤形としては、例えば、液状、乳液状、クリーム状、軟膏状、ペースト状、ジェル状、ワックス状等が挙げられる。
【0028】
また経口剤である本発明の剤の具体例としては、飲食用組成物として食品を含めることができる。食品としては、ティーバッグ、パン・菓子類、麺類などの各種食品、調理品等も挙げることができる。パン・菓子類としては、食パン、菓子パン、フランスパン、イギリスパン、マフィン、蒸しパン、ドーナツ、ワッフル等のパン類や、バターケーキ、スポンジケーキ、シフォンケーキ、ホットケーキ等のケーキ類、チョコ、シャーベット、アイス等の冷菓、ゼリー、クッキー等を挙げることができる。麺類としては、うどんや素麺等が挙げられる。調理品としては、カレー、シチュー、味噌汁、野菜スープ等のスープやそれらのもと、調味料等を挙げることができる。
【0029】
本発明の剤を経口的に摂取する場合、本発明の効果が高い点及び、日常生活において継続的に経口摂取しやすい点で、その経口投与量は、エルゴチオネイン量で、成人1日当りおよそ0.0001mg以上10000mg以下であることが好ましく、0.01mg以上500mg以下がより好ましく、1mg以上100mg以下であることが特に好ましい。また本発明の剤の1回の摂取量は、好ましくは、エルゴチオネイン量で、成人1日当りおよそ0.0001mg以上10000mg以下であることが好ましく、0.01mg以上500mg以下であることがより好ましく、1mg以上100mg以下であることが特に好ましい。
本発明の剤を経皮摂取する場合、本発明の効果が高い点及び、日常生活において継続的に経皮摂取しやすい点で、その経皮投与量は、エルゴチオネイン量で、成人1日当りおよそ0.00001mg以上10000mg以下であることが好ましく、0.0005mg以上500mg以下がより好ましく、0.0001mg以上100mg以下であることが特に好ましい。また本発明の剤の1回の摂取量は、好ましくは、エルゴチオネイン量で、成人1日当りおよそ0.00001mg以上10000mg以下であることが好ましく、0.0005mg以上500mg以下であることがより好ましく、0.0001mg以上100mg以下であることが特に好ましい。
【0030】
本発明の剤の利用形態としては、経口剤の場合、具体的には、医薬品(医薬部外品を含む)、一般食品、栄養機能食品、所定機関により効能の表示が認められた特定保健用食品、機能性表示食品等のいわゆる健康食品を挙げることができる。効能を表示した食品は「機能性食品」と総称されることがある。
【0031】
本発明の剤が皮膚外用剤の場合は、乳液、石鹸、入浴剤、クリーム、化粧水、オーデコロン、分散液、洗浄料、化粧油、パック、香水、日焼け・日焼け止めローション、おしろいパウダー、ファンデーション(これらはそれぞれボディ用、顔用、ヘア用のいずれであってもよく、用途限定がなくてもよい。)のほか、洗顔料、ひげ剃り用クリーム、ひげ剃り用ローション、爪クリーム、エナメル、エナメル除去液、眉墨、ほお紅、アイクリーム、アイシャドー、マスカラ、アイライナー、口紅、リップクリーム、シャンプー、リンス、染毛料等が挙げられる。本発明の剤は日常的に摂取できる点で化粧品としても使用可能である。
【0032】
本発明の剤は、後述する実施例に記載の通り、肩こり症状の予防若しくは改善が可能である。肩こりは、肩がだるい、重苦しいといった不快感があって、同時にこわばった筋肉をもんだりすると気持ちのよいものの俗称をいう。肩こりは、首や背中が緊張するような姿勢での作業、姿勢の良くない人(猫背・前かがみ)、運動不足、精神的なストレス、なで肩、連続して長時間同じ姿勢をとること、ショルダーバッグ、冷房などが原因になる。本発明の剤は特に、経口摂取することで、肩こり症状の予防若しくは改善を効果的に図ることができる。本発明の剤は、特に、日常生活で生じる肩こりの症状を緩和したり、予防したりするために用いることができる。
【0033】
本発明の剤は、後述する実施例に記載の通り、腰痛症状の予防若しくは改善が可能である。腰痛は、腰部を主とした痛みやはりなどの不快感といった症状の総称である。腰痛は例えば、長時間中腰や猫背などの姿勢を続け、腰や背中の筋肉が緊張し続けたときや、運動不足で腰を支える筋力が弱っているときなどに起こる。本発明の剤は特に、経口摂取することで、腰痛症状の予防若しくは改善を効果的に図ることができる。本発明の剤は、特に、日常生活で生じる腰痛の症状を緩和したり、予防したりするために用いることができる。
【0034】
本発明の剤は、後述する実施例に記載の通り、目のかすみ及び/又は見えづらさの予防若しくは改善が可能であり、視認性の改善、目の機能の維持、目の機能の保護等を改善できる。目のかすみとは、視界が悪くなって物が鮮明に見えなくなる症状のことをいう。見えづらさとは、例えば、はっきり見えない、ぼやけて見えるといった症状をいう。これらの症状は、長時間パソコンやスマートフォンの画面を見続けるなどして目が疲れた時や近視や老視(老眼)などの屈折異常によって起こることが多い。本発明の剤は特に、経口摂取することで、目のかすみ及び/又は見えづらさの予防若しくは改善を効果的に図ることができる。本発明の剤は、特に、日常生活で生じる目のかすみ及び/又は見えづらさの症状を緩和したり、予防したりするために用いることができる。
【0035】
また、本発明の剤は、用途において製品として他の製品と区別できるものであればよい。
【0036】
例えば肩こりを予防若しくは改善する旨の表示としては、「肩の負担を軽減する」、「肩の負担を和らげる」、「肩の違和感を軽減する」、「肩の違和感を和らげる」、「肩の痛みを軽減する」、「肩の痛みを和らげる」、「肩こりを軽減する」、「肩こりを和らげる」、「肩こりを予防する」、「肩の不快感を軽減する」、「肩の不快感を和らげる」といった表現が挙げられる。
【0037】
また例えば腰痛を予防若しくは改善する旨の表示としては、「腰の負担を軽減する」、「腰の負担を和らげる」、「腰の違和感を軽減する」、「腰の違和感を和らげる」、「腰の痛みを軽減する」、「腰の痛みを和らげる」、「腰痛を予防する」、「腰の不快感を軽減する」、「腰の不快感を和らげる」等が挙げられる。
【0038】
また例えば目のかすみ及び/又は物が見づらい状態を予防若しくは改善する旨の表示としては、「目のピント調節機能を維持」、「目の疲労感を軽減する」、「目の疲労感を緩和する」、「目のかすみを軽減する」、「目のかすみを緩和する」、「目の調子を整える」、「目の不快感を軽減する」、「目の不快感を緩和する」、「見えづらさを緩和する」、「見えづらさを軽減する」、「目を保護する」、「目の視認性を維持する」、「目の視認性を改善する」、「目の機能を維持する」、「目の機能を調整する」等が挙げられる。
【実施例0039】
以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0040】
被験食品として、1食分として、L-エルゴチオネインを3.6mg含有する試験食品を用いた。なお、被験食品はL-エルゴチオネインを含有するキノコ抽出物末を100質量%含有するものであった。また対照食品として、キノコ抽出物末の代わりにポリデキストロースを使用した。
【0041】
<肩こり改善>
被験食品及び対照食品について肩こり改善効果を評価した。
肩が凝った感覚や肩の不快感を訴える成人から被験者10名(平均年齢31歳、男性6名、女性4名)を選出した。男女人数が均等となるように、被験食品群5名及び対照食品群5名の二群に分けて、各群に割り付けた食品(前記の被験食品又は対照食品)を1日1回継続して5日間摂取させた。摂取前及び摂取後に、各被験者に対し、アンケートを取り、日常感じる肩こりに係る自覚症状を以下の評価基準で評価させた。
各群の評価点の平均値の結果を表1に示す。
【0042】
<肩が凝った感覚>
1点 肩が凝った感覚が非常にある。
2点 肩が凝った感覚がややある。
3点 肩が凝った感覚があるともないともいえない。
4点 肩が凝った感覚はあまりない。
5点 肩が凝った感覚は全くない。
【0043】
<肩の不快感>
1点 肩の不快感が非常にある。
2点 肩の不快感がややある。
3点 肩の不快感があるともないともいえない。
4点 肩の不快感はあまりない。
5点 肩の不快感は全くない。
【0044】
【表1】
【0045】
前記のとおり、被験食品の摂取群は対照食品の摂取群に比して、肩が凝った感覚や肩の不快感といった肩こり症状が改善されていることが確認された。
【0046】
<腰痛改善>
被験食品及び対照食品について腰痛改善効果を評価した。
腰の痛みや腰の不快感を訴える成人から被験者10名(平均年齢31歳、男性6名、女性4名)を選出した。男女人数が均等となるように、被験食品群5名及び対照食品群5名の二群に分けて、各群に割り付けた食品(前記の被験食品又は対照食品)を1日1回継続して5日間摂取させた。摂取前及び摂取後に、各被験者に対し、アンケートを取り、日常感じる腰痛の状態を以下の評価基準で評価させた。
各群の評価点の平均値の結果を表2に示す。
【0047】
<腰の痛み>
1点 腰の痛みが非常にある。
2点 腰の痛みがややある。
3点 腰の痛みがあるともないともいえない。
4点 腰の痛みはあまりない。
5点 腰の痛みは全くない。
【0048】
<腰の不快感>
1点 腰の不快感が非常にある。
2点 腰の不快感がややある。
3点 腰の不快感があるともないともいえない。
4点 腰の不快感はあまりない。
5点 腰の不快感は全くない。
【0049】
【表2】
【0050】
前記のとおり、被験食品の摂取群は対照食品の摂取群に比して、腰の痛みや腰の不快感といった腰痛症状が改善されていることが確認された。
【0051】
<目のかすみ・見えづらさ>
被験食品及び対照食品について目のかすみ・見えづらさの改善効果を評価した。
目のかすみ又は物の見えづらさを訴える成人10名(平均年齢31歳、男性6名、女性4名)を選出した。男女人数が均等となるように、被験食品群5名及び対照食品群5名の二群に分けて、各群に割り付けた食品(前記の被験食品又は対照食品)を1日1回継続して5日間摂取させた。摂取前及び摂取後に、各被験者に対し、アンケートを取り、日常感じる目のかすみや物の見えやすさが改善されていることを下記基準で評価させた。
各群の評価点の平均値の結果を表3に示す。
【0052】
<目のかすみ>
1点 非常にかすむ。
2点 ややかすむ。
3点 どちらでもない。
4点 あまりかすまない。
5点 全くかすまない。
【0053】
<物の見えやすさ>
1点 非常に見えにくい。
2点 やや見えにくい。
3点 どちらでもない。
4点 あまり見えにくさはない。
5点 全く見えにくさはない。
【0054】
【表3】
【0055】
前記のとおり、被験食品の摂取群は対照食品の摂取群に比して、目のかすみや物の見えやすさが改善されていることが確認された。
【0056】
実施例の結果に基づいて、以下に本発明の製造例を示す。以下の各表の数値は質量%を示す。
【0057】
(錠剤の製造)
下記の各成分からなる錠剤(300mg)を製造した。得られた錠剤を1日あたり3粒摂取する。本錠剤は、肩こりの予防若しくは改善、腰痛の予防若しくは改善、目のかすみ又は見えづらさの予防若しくは改善に有効である。
【0058】
【表4】
【0059】
(ハードカプセル剤の製造)
下記の各成分からなる混合物をハードカプセルに封入し、ハードカプセル剤(400mg)を製造した。得られたハードカプセル剤を1日あたり1粒摂取する。本ハードカプセル剤は、肩こりの予防若しくは改善、腰痛の予防若しくは改善、目のかすみ又は見えづらさの予防若しくは改善に有効である。
【0060】
【表5】
【0061】
(顆粒剤の製造)
下記の各成分からなる混合物を造粒し、顆粒剤(3000mg)を製造した。得られた顆粒剤を1日あたり1包摂取する。本顆粒剤は、肩こりの予防若しくは改善、腰痛の予防若しくは改善、目のかすみ又は見えづらさの予防若しくは改善に有効である。
【0062】
【表6】
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の組成物は、肩こりの予防若しくは改善、腰痛の予防若しくは改善、目のかすみ又は見えづらさの予防若しくは改善を可能とし、健康食品等として用いることができることから、産業上有用である。