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特開2024-137841高電流モジュールコネクタ、および高電流モジュールコネクタを有するモジュールコネクタシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137841
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】高電流モジュールコネクタ、および高電流モジュールコネクタを有するモジュールコネクタシステム
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/34 20060101AFI20240927BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20240927BHJP
   H01M 50/296 20210101ALI20240927BHJP
   H01R 13/533 20060101ALN20240927BHJP
【FI】
H01R4/34
H01M50/249
H01M50/296
H01R13/533 B
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024043074
(22)【出願日】2024-03-19
(31)【優先権主張番号】10 2023 107 388.5
(32)【優先日】2023-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】518345815
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ソリューソンズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110004347
【氏名又は名称】弁理士法人大場国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マヌエル エーハイム
(72)【発明者】
【氏名】マルクス ヴォルフ
(72)【発明者】
【氏名】フランク ケーニー
(72)【発明者】
【氏名】ビヨルン ホフマン
(72)【発明者】
【氏名】ゲルツゾン トス
【テーマコード(参考)】
5E012
5E087
5H040
【Fターム(参考)】
5E012BA12
5E087EE10
5E087GG12
5E087MM12
5E087PP03
5E087QQ04
5E087RR25
5H040AA03
5H040AA07
5H040AS07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】改良された高電流モジュールコネクタおよびモジュールコネクタシステムを提供する。
【解決手段】高電流モジュールコネクタ(15、20)は、第1のコネクタ部(60)、ねじ付きソケット(50)およびハウジング(40)を有する少なくとも1つの電気コネクタ(45)を有し、ハウジング(40)は、中空体状に設計され、ハウジング内部(95)を包囲し、ハウジング(40)は、ラッチデバイスと、端部に配置されている第1の挿入開口部(90)と、設置軸(35)の周りに周方向に延びるハウジング部における供給開口部とを有し、コネクタ(45)は、第1のコネクタ部(60)および第1のコネクタ部(60)に配置されているねじ付きソケット(50)がハウジング内部(95)に配置されるように、第1の供給開口部を通り抜け、ラッチデバイスは、供給開口部に配置され、ラッチデバイスは、ねじ付きソケット(50)がラッチデバイスに当接する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車のための高電流モジュールコネクタ(15、20)であって、
- 前記高電流モジュールコネクタ(15、20)は、第1のコネクタ部(60)、ねじ付きソケット(50)およびハウジング(40)を有する少なくとも1つの電気コネクタ(45)を有し、
- 前記ハウジング(40)は、中空体状に設計され、少なくとも部分的にハウジング内部(95)を包囲し、
- 前記ハウジング(40)は、ラッチデバイス(115)と、端部に配置されている第1の挿入開口部(90)と、設置軸(35)の周りに周方向に延びるハウジング部(80)における供給開口部(100)とを有し、
- 前記コネクタ(45)は、前記第1のコネクタ部(60)および前記第1のコネクタ部(60)に配置されている前記ねじ付きソケット(50)が前記ハウジング内部(95)に配置されるように、前記第1の供給開口部(100)を通り抜け、
- 前記ラッチデバイス(115)は、前記供給開口部(100)に配置され、
- 前記ラッチデバイス(115)は、前記ねじ付きソケット(50)が前記ラッチデバイス(115)に当接することにより、前記第1のコネクタ部(60)および前記ねじ付きソケット(50)を前記ハウジング内部(95)に保持する、
高電流モジュールコネクタ(15、20)。
【請求項2】
- 前記コネクタ(45)は、前記第1のコネクタ部(60)において前記設置軸(35)に沿って延びる貫通開口部(75)を有し、
- 前記ねじ付きソケット(50)は、前記設置軸(35)に沿って延びるソケット部(185)と、前記ソケット部(185)に隣接し、前記設置軸(35)に対して径方向に前記ソケット部(185)を越えて突出するキャリア部(195)とを有し、
- 前記ソケット部(185)は、前記設置軸(35)に沿って前記コネクタ(45)の前記貫通開口部(75)を通り抜け、前記キャリア部(195)は、前記第1の挿入開口部(90)とは逆向きの側において前記第1のコネクタ部(60)に当接し、
- 前記ラッチデバイス(115)は、前記ハウジング内部(95)に向く側に支持面(135)を有し、
- 前記キャリア部(195)の第2の外周面(210)が、前記支持面(135)に当接する、
請求項1に記載の高電流モジュールコネクタ(15、20)。
【請求項3】
前記ハウジング(40)は、単一の部品として、単一の材料、すなわち非導電性の第1の材料から製造されている、
請求項1または2に記載の高電流モジュールコネクタ(15、20)。
【請求項4】
- 前記ハウジング(40)は、前記第1の挿入開口部(90)とは反対側に配置された、部分的に前記ハウジング内部(95)を画定する基部(85)を有し、
- 前記ハウジング(40)は、前記基部(85)に接続されているばね要素(140)を、前記基部(85)に有し、
- 前記ばね要素(140)は、前記第1の挿入開口部(90)の方向に延びる第1の係合要素(150)を、前記ばね要素(140)の第2の自由端部(145)に有し、
- 前記第1の係合要素(150)は、前記第1の挿入開口部(90)とは逆向きの側において前記ねじ付きソケット(50)に係合する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の高電流モジュールコネクタ(15、20)。
【請求項5】
- 前記ねじ付きソケット(50)は、前記第1の挿入開口部(90)に向く側の第1の領域(200)が、前記第1のコネクタ部(60)を越えて突出し、
- 前記供給開口部(100)は、少なくとも1つの第1のサブ領域(160)と、前記周方向において前記第1のサブ領域(160)に隣接する少なくとも1つの第2のサブ領域(165)とを有し、
- 前記第2のサブ領域(165)は、前記設置軸(35)に沿って前記第1のサブ領域(160)よりも広くなるように設計され、
- 前記ねじ付きソケット(50)の前記第1の領域(200)は、前記第2のサブ領域(165)に通過させることが可能である、
請求項1から4のいずれか一項に記載の高電流モジュールコネクタ(15、20)。
【請求項6】
前記供給開口部(100)の前記第1のサブ領域(160)は、前記設置軸(35)に沿った前記第1のコネクタ部(60)の範囲に対応するように前記設置軸(35)に沿って形成されている、
請求項5に記載の高電流モジュールコネクタ(15、20)。
【請求項7】
- タッチ保護スリーブ(55)を有し、
- 前記タッチ保護スリーブ(55)は、前記ねじ付きソケット(50)における前記第1のコネクタ部(60)の、前記第1の挿入開口部(90)に向く側に、前記ハウジング内部(95)において前記ハウジング(40)から離隔するように配置されている、
請求項1から6のいずれか一項に記載の高電流モジュールコネクタ(15、20)。
【請求項8】
- 接続プレート(25)および第1の高電流モジュールコネクタ(15)を有し、
- 前記第1の高電流モジュールコネクタ(15)は、請求項1から7のいずれか一項に従って設計され、
- 前記接続プレート(25)は、前記設置軸(35)に対して前記ハウジング(40)に関して軸方向にオフセットされるように配置され、
- 前記接続プレート(25)は、プレート部(215)と、前記プレート部(215)に配置されている第2の挿入開口部(225)と、接続スリーブ(220)とを有し、
- 前記接続スリーブ(220)は、前記第1の高電流モジュールコネクタ(15)の方向に前記設置軸(35)に沿って延び、前記プレート部(215)において前記第2の挿入開口部(225)に配置され、
- 前記接続スリーブ(220)は、前記第1の高電流モジュールコネクタ(15)の前記第1の挿入開口部(90)に係合する、
モジュールコネクタシステム(10)。
【請求項9】
- 請求項1から7のいずれか一項に記載の、前記第1の高電流モジュールコネクタ(15)に対してオフセットして配置されている第2の高電流モジュールコネクタ(20)と、補償スリーブ(30)とを有し、
- 前記プレート部(215)は、第3の挿入開口部(235)を有し、
- 前記第3の挿入開口部(235)は、前記プレート部(215)において前記第2の挿入開口部(225)に対してオフセットして配置され、
- 前記補償スリーブ(30)は、前記第2の高電流モジュールコネクタ(20)の方向に前記第2の高電流モジュールコネクタ(20)の前記設置軸(35)に沿って延び、
- 前記補償スリーブ(30)は、前記第2の高電流モジュールコネクタ(20)の前記第1の挿入開口部(90)および前記第3の挿入開口部(235)を通り抜け、
- 前記補償スリーブ(30)は、前記第2の高電流モジュールコネクタ(20)の前記設置軸(35)に対して径方向に変位可能であるように前記接続プレート(25)に接続されている、
請求項8に記載のモジュールコネクタシステム(10)。
【請求項10】
前記補償スリーブ(30)は、バヨネット接続部(245)により前記接続プレート(25)に接続されている、
請求項8または9に記載のモジュールコネクタシステム(10)。
【請求項11】
請求項1から7のいずれか一項に記載の高電流モジュールコネクタ(15、20)を設置するための方法であって、
- 前記電気コネクタ(45)、前記ねじ付きソケット(50)および前記ハウジング(40)が設けられ、
- 前記ねじ付きソケット(45)は、前記第1のコネクタ部(60)を通して案内され、
- 前記電気コネクタ(45)は、前記ねじ付きソケット(50)と共に、前記設置軸(35)に対して傾斜して、前記供給開口部を通して案内され、
- 前記ラッチデバイス(120)は、前記ねじ付きソケット(50)にラッチ接続し、前記ねじ付きソケット(55)が前記ラッチデバイス(120)に当接することにより、前記第1のコネクタ部(60)を前記ねじ付きソケット(55)と共に前記ハウジング内部(95)に固定する、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求項1に記載の高電流モジュールコネクタ(high-current module connector)、特許請求項8に記載のモジュールコネクタシステム、および請求項11に記載の高電流モジュールコネクタを設置するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
WO2022/242980A1は、タッチ保護ねじ接続デバイスを開示している。ここで、雌ねじコネクタは、二部品設計のハウジングを有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、改良された高電流モジュールコネクタおよび改良されたモジュールコネクタシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、特許請求項1に記載の高電流モジュールコネクタ、特許請求項8に記載のモジュールコネクタシステム、および請求項11に記載の高電流モジュールコネクタを設置するための方法により実現される。従属請求項には、有利な実施形態が記載されている。
【0005】
第1のコネクタ部、ねじ付きソケット(threaded socket)およびハウジングを有する少なくとも1つの電気コネクタを有する高電流モジュールコネクタにより、電気自動車のための改良された高電流モジュールコネクタを提供できることが確認されている。ハウジングは、中空体状に設計され、ハウジング内部を包囲する。ハウジングは、ラッチデバイス(latching device)と、端部に配置される第1の挿入開口部(insertion opening)と、設置軸(installation axis)の周りに周方向に延びるハウジング部における供給開口部(feed opening)とを有する。コネクタは、第1のコネクタ部および第1のコネクタ部に配置されるねじ付きソケットがハウジング内部に配置されるように、第1の供給開口部を通り抜ける(traverse、横断する)。
ラッチデバイスは、供給開口部に配置され、ラッチデバイスは、ねじ付きソケットがラッチデバイスに当接する(bear against)ことにより、第1のコネクタ部およびねじ付きソケットをハウジング内部に保持する。
【0006】
この構成は、ハウジングにハウジング部品をさらに設置することを何ら必要とせずに、挿入開口部および挿入開口部に配置されるラッチデバイスにより、コネクタ部およびねじ付きソケットを共にハウジング内部において特に迅速に組み付けることができるという利点を有する。さらに、相手側高電流モジュールコネクタが高電流モジュールコネクタに配置されることなく、コネクタ部がハウジング内部から意図せずに抜け出ることが回避される。
【0007】
コネクタは、第1のコネクタ部において設置軸に沿って延びる貫通開口部を有し、ねじ付きソケットは、設置軸に沿って延びるソケット部と、ソケット部に隣接し、設置軸に対して径方向にソケット部を越えて突出するキャリア部とを有する。ソケット部は、設置軸に沿ってコネクタの貫通開口部を通り抜け、キャリア部は、第1の挿入開口部とは逆向きの側において第1のコネクタ部に当接する。ラッチデバイスは、ハウジング内部に向く側に支持面を有する。キャリア部の第2の外周面が、支持面に当接する。この構成は、キャリア部がコネクタ部に当接するので、段差が挿入開口部とは反対の第1のコネクタ部の側に形成され、前記段差は、ラッチデバイスと併せて、第1のコネクタ部およびねじ付きソケットからなるロックされた構成体をハウジング内部に安定的に固定するために用いられるという利点を有する。
結果として、ハウジングが特に簡単な設計を有することができ、それにより、例えば射出成形プロセスによりハウジングを作製するための金型を特に簡単に形成することができる。
【0008】
ここで、ハウジングが、単一の部品として、単一の材料、すなわち非導電性の第1の材料から製造されると、特に有利である。結果として、例えば二部品設計のハウジングを設置するための追加の設置ステップを、高電流モジュールコネクタの製造において省略することができ、それにより、高電流モジュールコネクタの設置が、特に簡単であり、特に少数の設置ステップを含むものとなる。
【0009】
さらなる実施形態において、ハウジングは、第1の挿入開口部とは反対側に配置された、ハウジング内部を画定する基部を有する。ハウジングは、基部に接続されるばね要素を基部に有する。ばね要素は、第1の挿入開口部の方向に延びる第1の係合要素をばね要素の第2の自由端部に有する。第1の係合要素は、第1の挿入開口部とは逆向きの側においてねじ付きソケットに係合する。この構成は、コネクタおよびねじ付きソケットからなる構成体がハウジング内部においてさらに保持され、ねじ付きソケットがハウジング内部において中心に保たれるという利点を有する。結果として、相手側高電流モジュールコネクタのねじをねじ付きソケットにねじ込むことがより容易になる。
【0010】
さらなる実施形態において、ねじ付きソケットは、第1の挿入開口部に向く側の第1の領域が、第1のコネクタ部を越えて突出する。供給開口部は、少なくとも1つの第1のサブ領域(subregion)と、周方向において第1のサブ領域に隣接する1つの第2のサブ領域とを有し、第2のサブ領域は、設置軸に沿って第1のサブ領域よりも広くなるように設計される。ねじ付きソケットの第1の領域は、第2のサブ領域に通過させることが可能である。この構成は、ねじ付きソケットが設置軸に沿って特に長く設計され、それにより、相手側高電流モジュールコネクタのねじの十分なねじ込み深さを設けることができるという利点を有する。
【0011】
さらなる実施形態において、供給開口部の第1のサブ領域は、設置軸に沿った第1のコネクタ部の範囲に対応するように設置軸に沿って形成される。この構成は、設置軸に対する軸方向における分解状態でのコネクタおよびねじ付きソケットの配置の望ましくない遊びが回避されるという利点を有する。
【0012】
さらなる実施形態において、高電流モジュールコネクタは、タッチ保護スリーブ(touch protection sleeve)を有する。タッチ保護スリーブは、ねじ付きソケットにおける第1のコネクタ部の、第1の挿入開口部に向く側に、ハウジング内部においてハウジングから離隔するように配置される。タッチ保護スリーブは、非導電性材料から製造されることが好ましい。タッチ保護スリーブにより、第1のコネクタの方向において第1の挿入開口部に向く側におけるハウジングの内周面と併せて、指の保護を確保することができる。これは、高電流モジュールコネクタがバッテリモジュール、特に例えばバッテリ式電気自動車のバッテリモジュールの一部である場合に特に重要である。
【0013】
モジュールコネクタシステムは、接続プレートおよび第1の高電流モジュールコネクタを有する。第1の高電流モジュールコネクタは、上述のように設計される。接続プレートは、設置軸に対してハウジングに関して軸方向にオフセットされるように配置される。接続プレートは、プレート部と、プレート部に配置される第2の挿入開口部と、接続スリーブとを有する。接続スリーブは、第1の高電流モジュールコネクタの方向に設置軸に沿って延び、プレート部において第2の挿入開口部に配置される。接続スリーブは、第1の高電流モジュールコネクタの第1の挿入開口部に係合する。この構成は、第1の高電流モジュールコネクタおよび接続プレートが設置軸に対して径方向において互いに対して規定されたように向けられるという利点を有する。
【0014】
さらなる実施形態において、モジュールコネクタシステムは、第1の高電流モジュールコネクタに対してオフセットして配置される第2の高電流モジュールコネクタと、補償スリーブ(compensation sleeve)とを有する。プレート部は、第3の挿入開口部を有し、第3の挿入開口部は、プレート部において第2の挿入開口部に対してオフセットして配置される。補償スリーブは、第2の高電流モジュールコネクタの方向に第2の高電流モジュールコネクタの設置軸に沿って延びる。補償スリーブは、第2の高電流モジュールコネクタの第1の挿入開口部および第3の挿入開口部を通り抜ける。補償スリーブは、第2の高電流モジュールコネクタの設置軸に対して径方向に変位可能であるように接続プレートに接続される。
この構成は、第2の高電流モジュールコネクタを、大きい公差で第1の高電流モジュールコネクタに対して径方向にオフセットして配置することができるという利点を有する。第2の高電流モジュールコネクタの設置軸に対する径方向の変位可能性により、補償スリーブにおいてプレート部に対する公差の補償が行われる。結果として、第1の高電流モジュールコネクタおよび第2の高電流モジュールコネクタの、わずかな公差の影響を受ける規定された向きが、必ずしも必要でなくなる。特に、第2の高電流モジュールコネクタのコネクタを、例えばスタンピングおよび曲げ加工プロセスにより作製することができる。
【0015】
バヨネット接続部により、補償スリーブを接続プレートに特に簡単に接続することができる。結果として、補償スリーブと接続プレートとの間に安定的な接続が存在することが設置前段階において既に確実になり、それにより、接続プレートが補償スリーブと共に挿入されたときに、それらが第1の高電流モジュールコネクタおよび第2の高電流モジュールコネクタにおいて共通ユニットとして組み付けられる。
【0016】
上述の高電流モジュールコネクタは、電気コネクタ、ねじ付きソケットおよびハウジングが設けられることにより、特に簡単に組み立てることができ、ねじ付きソケットは、第1のコネクタ部により案内され、電気コネクタは、ねじ付きソケットと共に、設置軸に対して傾斜して、供給開口部を通して案内され、ラッチデバイスは、ねじ付きソケットにラッチ接続され、ねじ付きソケットがラッチデバイスに当接することにより、第1のコネクタ部をねじ付きソケットと共にハウジング内部に保持する。
【0017】
図面を参照して、本発明を下記でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】モジュールコネクタシステムの斜視図である。
図2図1に示す高電流モジュールコネクタの斜視図である。
図3図1および図2に示す第1の高電流モジュールコネクタのハウジングの斜視図である。
図4】第1の高電流モジュールコネクタの、図3に示すハウジングの斜視図である。
図5】第1の高電流モジュールコネクタのコネクタの斜視図である。
図6図2に示す切断面A-Aに沿った断面図である。
図7図1に示すモジュールコネクタシステムを通る、図1に示す切断面B-Bに沿った断面図である。
図8図1に示すモジュールコネクタシステムを通る、図1に示す切断面C-Cに沿った断面図である。
図9図1および図8に示すモジュールコネクタシステムの接続プレートの下方からの図である。
図10図8に示す補償スリーブの図である。
図11】モジュールコネクタシステムを通る、図1に示す切断面D-Dに沿った断面図である。
図12】モジュールコネクタシステムを通る、図1に示す切断面E-Eに沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
理解を容易にするために、以下の図面では座標系を参照する。座標系は、x軸(長手方向)、y軸(横方向)およびz軸(垂直方向)を有する。ここで、座標系は、例として右手系の形態を取る。
【0020】
図1は、モジュールコネクタシステム10の斜視図を示す。
【0021】
モジュールコネクタシステム10は、第1の高電流モジュールコネクタ15および第2の高電流モジュールコネクタ20を有する。モジュールコネクタシステム10は、2つの高電流モジュールコネクタ15、20のうちの一方のみ、または複数の高電流モジュールコネクタ15、20を有してもよい。モジュールコネクタシステム10は、例えばバッテリ式電気自動車のバッテリモジュールにおいて、接続可能性を提供するように設計される。よって、モジュールコネクタシステム10により、例えばさらなるモジュールコネクタシステム300(図12に示す)を用いて、バッテリモジュールをさらなるバッテリモジュールと電気的に接触させることができる。
【0022】
第1の高電流モジュールコネクタ15および第2の高電流モジュールコネクタ20に加えて、モジュールコネクタシステム10は、接続プレート25および補償スリーブ30を有する。第1の高電流モジュールコネクタ15および第2の高電流モジュールコネクタ20は各々、設置軸35に沿って延びる。ここで、設置軸35は、z軸に平行に延びるように配置されてよい。
【0023】
図2は、図1に示す高電流モジュールコネクタ15の斜視図を示す。
【0024】
第1の高電流モジュールコネクタ15および第2の高電流モジュールコネクタ20は、実質的に同一の設計を有する。第1の高電流モジュールコネクタ15の幾何学的構成について、さらなる詳細を下記で例として述べる。
【0025】
第1の高電流モジュールコネクタ15は、ハウジング40、電気コネクタ45、ねじ付きソケット50およびタッチ保護スリーブ55を有する。本実施形態において、第1の高電流モジュールコネクタ15は、例えばソケットコンタクトコネクタとして設計され、40V~1000Vの電圧で50A~2000A、特に100A~500Aの高電流を伝送するように設計される。
【0026】
ここで、電気コネクタ45は、例としてバスバーとして設計されてよい。電気コネクタ45は、導電性であり、第1のコネクタ部60と、第1のコネクタ部60に隣接し第1のコネクタ部60に接続される第2のコネクタ部65とを備えてよい。電気コネクタ45は、第2のコネクタ部65において矩形の断面を有してよい。電気コネクタ45は、例えば、蓄電池、特に、電気自動車、特にバッテリ電気自動車(BEV)のトラクションバッテリのバッテリセルアレイに、電気的に接続されてよい。
【0027】
第1のコネクタ部60は、例えば環状に設計されてよく、第2のコネクタ部65に隣接する。ここで、第1のコネクタ部60は、横方向において第2のコネクタ部65を越えて突出してよい。第1のコネクタ部60は、図2において上面に示すコンタクト面70を有する。コンタクト面70は、例えば環状に設計され、第1のコネクタ部60に配置され設置軸35に沿って延びる貫通開口部75を包囲する。貫通開口部75は、第1のコネクタ部60を完全に貫通して設置軸35に沿って延びる。貫通開口部75は、円形の断面を有してよい。
【0028】
図3は、図1および図2に示す第1の高電流モジュールコネクタ15のハウジング40の斜視図である。
【0029】
ハウジング40は、非導電性の第1の材料を有する。ここで、ハウジング40は、例えば射出成形プロセスにおいて、単一の材料の単一の部品として、第1の材料から製造される。
【0030】
ハウジング40は、ハウジング内部95を包囲し、設置軸35の周りに中空状円筒として延びるハウジング部80と、基部85とを有する。基部85は、ハウジング部80の端部に配置され、端部においてハウジング内部95を閉じる。基部85およびハウジング部80は、単一の材料の単一の部品として設計される。
【0031】
ハウジング40は、設置軸35に対して基部85とは軸方向の反対側に位置する側に、第1の挿入開口部90を有する。第1の挿入開口部90は、ハウジング40のハウジング内部95に開口し、前記ハウジング内部は、周方向においてハウジング部80により包囲される。ハウジング40はさらに、ハウジング部80における供給開口部100を有する。供給開口部100は、基部85により軸方向において一方側で画定される。供給開口部100はさらに、第1の挿入開口部90に向く側に、第1の挿入開口部90から離隔して配置される。供給開口部100は、ハウジング部80の第1の外周面105とハウジング部80の内周面110との間に延び、ハウジング内部95に開口する。供給開口部100は、設置軸35に対して、160°~190°の間であり得る角度を包囲する。
【0032】
ハウジング40は、基部85にラッチデバイス115を有することが好ましい。ラッチデバイス115は、第1の固定端部125において基部85に固定されるラッチラグ120を有してよい。ラッチラグ120の第1の自由端部130は、供給開口部100へと突出する。ラッチデバイス115は、周方向において、例として供給開口部100の範囲よりも細く設計される。設置軸35に対するラッチラグ125の傾斜面が、ハウジング内部95とは逆向きの側においてラッチラグ125の径方向外側に配置される。
【0033】
ラッチラグ120は、ハウジング内部95に向く側において径方向内側に支持面135を有する。支持面135は、例えば設置軸35に平行な軸方向において構成され、例えば、設置軸35の周りに円形の経路で延びる部分的に環状の形態を有する。
【0034】
設置軸35に関して第1の挿入開口部90とは軸方向の反対側に配置される基部85において、ハウジング40は、例えばばね要素140を有する。ばね要素140は、例えば梁ばねとして形成されてよい。ばね要素140は、第2の自由端部145にまたはその近くに第1の係合要素150を有し、第1の係合要素150は、設置軸35に沿ってばね要素140から第1の挿入開口部90の方向へと軸方向に延びる。第1の係合要素150は、例えば錐台として形成されてよい。第1の係合要素150は、例えば設置軸35の中心に配されるように配置される。
【0035】
図4は、図3に示すハウジング40のさらなる斜視図を示す。
【0036】
ばね要素140は、第2の固定端部155において基部85に接続される。ばね要素140は、基部85およびハウジング部80と単一の部品として、それらと同じ材料から設計されてよい。第2の固定端部155は、例えば供給開口部100とは反対側に位置する側に配置されることが有利である。
【0037】
供給開口部100は、基部85に直接隣接し、少なくとも1つの第1のサブ領域160および少なくとも1つの第2のサブ領域165に分割される。加えて、供給開口部100は、第3のサブ領域170を有してよい。第2のサブ領域165は、周方向において第1のサブ領域160に隣接する。第3のサブ領域170は、第1のサブ領域160とは逆向きの側において第2のサブ領域165に隣接する。第1のサブ領域160において、供給開口部100は、z方向に第1の高さh1を有する。第1の高さh1は、基部85の底面175と、第1のサブ領域160における供給開口部100の、底面175とは反対側に配置される外枠部(contour)180との間の最大距離を指す。
ここで、底面175は、ハウジング内部95に隣接し、ハウジング内部95を端部において画定する。外枠部180は、底面175に平行に延びるように第1のサブ領域160に配置される。よって、供給開口部100は、第1のサブ領域160において一定の第1の高さh1を有する。
【0038】
供給開口部100は、第2のサブ領域165において広くなっている。外枠部180は、第2のサブ領域165において、第1のサブ領域160および/または第3のサブ領域170と比較して、供給開口部100の膨出部状または溝状の広がりとして設計される。第2のサブ領域165において、供給開口部100は、底面175に対する第2の高さh2を有する。ここで、第2のサブ領域165における外枠部180も、底面175に平行に延びるように設計される。第2のサブ領域165は、周方向において第1の幅b1にわたって延びる。ラッチデバイス115は、z方向において外枠部180とは反対側に第2のサブ領域165に配置される。ラッチデバイス115は、周方向において第2の幅b2を有し、第2の幅b2は、第2のサブ領域165における外枠部180の第1の幅b1に実質的に対応してよい。
【0039】
第3のサブ領域170は、第1のサブ領域160と同一に設計されることが好ましい。第3のサブ領域170において、供給開口部100は、外枠部180と底面175との間の第3の高さh3を有する。第3の高さh3は、例えば第1の高さh1に対応してよい。第3のサブ領域170は、周方向において第1のサブ領域160と同じ幅を実質的に有してよい。結果として、供給開口部100は、例えば第2のサブ領域165を見た場合に実質的に対称に設計される。
【0040】
図5は、図2に示すコネクタ45の斜視図を示す。
【0041】
第1のコネクタ部60の環状の形態を、図5において明確に見ることができる。ここで、第1のコネクタ部60は、第2のサブ領域165よりもz方向において薄く設計される。第1のサブ領域160において、第1のコネクタ部60は、第4の高さh4を有し、第4の高さh4は、第1の高さh1および第3の高さh3に実質的に対応してよい。
【0042】
図6は、図2に示す切断面A-Aに沿った断面図を示す。
【0043】
ねじ付きソケット50は、設置軸35に沿って延びるソケット部185を有する。ソケット部185は、両側において開口し、例えば内側に雌ねじ190を有する。ソケット部185の一端部に配置されるキャリア部195が、径方向外側においてソケット部185に隣接する。キャリア部195は、例えば環状に設計されてよい。キャリア部195およびソケット部185は、例えば、単一の材料の単一の部品として、導電性の第2の材料から作製されることが好ましい。キャリア部195は、コンタクト面70とは逆向きの側において第1のコネクタ部60に当接する。ソケット部185は、設置軸35に沿って軸方向に貫通開口部75を通り抜ける。
ここで、ソケット部185は、第1の領域200が、設置軸35に沿ってコンタクト面70を越えて突出する。第2の領域205が、貫通開口部75に配置され、好ましくは径方向外側において貫通開口部75に当接し、それによりねじ付きソケット50が貫通開口部75の中心に配される。
【0044】
タッチ保護スリーブ55は、非導電性の第3の材料から作製される。特に、ここで、第3の材料は、ハウジング40の第1の材料と同一であってよい。タッチ保護スリーブ55は、ソケット部185の第1の領域200に固定され、特に差し込まれることが好ましく、例えばコンタクト面70の下面に当接する。コンタクト面70は、タッチ保護スリーブ55と内周面110との間で、第1の挿入開口部90に向く側において接触可能である。
【0045】
第1の高電流モジュールコネクタ15の組み立て済み状態において、第1の係合要素150は、第1の挿入開口部90とは軸方向の反対側でソケット部185においてねじ付きソケット50に係合し、ねじ付きソケット50をハウジング内部95において径方向に保持する。ここで、ばね要素140は、予張力をかけられることが好ましく、設置軸35に沿って働くクランプ力FSを提供し、ねじ付きソケット50を第1の挿入開口部90の方向へと軸方向に押圧する。代替的に、組み立て済み状態において、ばね要素140の張力は緩和されるが、ソケット部185における第1の係合要素150の係合は確保されることも可能である。
【0046】
図7は、図1に示すモジュールコネクタシステム10を通る、図1に示す切断面B-Bに沿った断面図を示す。
【0047】
ハウジング内部95におけるコネクタ45の、特に第1のコネクタ部60の径方向位置は、キャリア部195の第2の外周面210がラッチラグ120の支持面135に当接することにより、さらに固定される。
【0048】
さらに、第1の挿入開口部90に向く側に配置されるソケット部185の一方の軸方向端部は、第2のサブ領域165における外枠部180と実質的に概ね同じ高さに配置される。
【0049】
さらに、ねじ付きソケット50のソケット部185における第1の係合要素150の係合により、キャリア部195が底面175から離隔して配置され、結果として、コンタクト面70が供給開口部100の第1のサブ領域160および第3のサブ領域170における外枠部180に当接することにより、設置軸に関する軸方向位置が確保されることがわかる。
【0050】
接続プレート25は、プレート部215を有する。プレート部215は、実質的にプレート形状に設計され、例としてxy平面において、よって設置軸35に実質的に垂直に延びる。プレート部215は、カラーにより周方向に補強されてよい。
【0051】
加えて、接続プレート25は、接続スリーブ220を有する。接続スリーブ220は、例えば実質的に管状に設計され、設置軸35の周りに周方向に延びる。接続スリーブ220は、一端部においてプレート部215に接続される。特に、接続スリーブ220およびプレート部215は、単一の材料の単一の部品として、電気絶縁性の第4の材料から作製されてよい。接続スリーブ220は、軸方向においてプレート部215の第2の挿入開口部225に隣接し、第1の高電流モジュールコネクタ15の方向に延びる。プレート部215とは逆向きの側において、接続スリーブ220は、先細りに設計され、第1の挿入開口部90を介して第1の高電流モジュールコネクタ15のハウジング40のハウジング内部95に係合する。よって、接続スリーブ220の一部は、内周面110とタッチ保護スリーブ55との間に配置される。
【0052】
コンタクト面70の表面積を最大化するために、ハウジング40は、コネクタ45と第1の挿入開口部90との間でハウジング部80において広がっていてよく、それにより、第1の挿入開口部90とコネクタ45との間でのハウジング内部95における接続スリーブ220の係合によってコンタクト面70における表面積のいかなる大幅な損失も実質的に生じず、コンタクト面70が第1の挿入開口部90および第2の挿入開口部225の方向において接続スリーブ220により覆われる。
【0053】
公差の補償を目的として、第1の径方向間隙230が、接続スリーブ220と内周面110との間に配置されてよい。第1の径方向間隙230により、第1の高電流モジュールコネクタ15と接続スリーブ220との間の径方向における第1のオフセットを補償することができる。さらに、第1の挿入開口部90を介したハウジング内部95への接続スリーブ220の差し込みが容易になる。
【0054】
図8は、図1に示すモジュールコネクタシステム10を通る、図1に示す切断面C-Cに沿った断面図を示す。
【0055】
第3の挿入開口部235がさらに、第2の挿入開口部225に対してオフセットされるようにプレート部215に配置される。第3の挿入開口部235は、実質的に円形の形態を有してよい。ここで、第3の挿入開口部235は、実質的に第2の高電流モジュールコネクタ20の上方に配置される。
【0056】
上記で既に述べたように、第2の高電流モジュールコネクタ20は、第1の高電流モジュールコネクタ15と実質的に同一に設計される。しかしながら、これに対して、第2の高電流モジュールコネクタ20のコネクタ45は、横方向において第1の高電流モジュールコネクタ15のコネクタ45とは反対の側で、第2の高電流モジュールコネクタ20のハウジング40から出るように案内される。さらに、プレート部215と第2の高電流モジュールコネクタ20との間における接続スリーブ220の配置が省略される。代わりに、補償スリーブ30が第3の挿入開口部235に設けられる。補償スリーブ30は、例えばz方向において段差状に設計されてよく、補償スリーブ30の内側断面は、設置軸35から第2の高電流モジュールコネクタ20の第1の挿入開口部90まで先細りになる。
【0057】
補償スリーブ30は、一方側において第3の挿入開口部235を通り抜け、z方向において第3の挿入開口部235とは反対の側で第2の高電流モジュールコネクタ20の第1の挿入開口部90に係合し、第1のコネクタ部60の上方で、好ましくは第1のコネクタ部60から離隔して終端する。
【0058】
x方向およびy方向において、補償スリーブ30は、プレート部215に対して、したがってまた接続プレート25に対して変位可能であるように接続プレート25に接続される。この目的で、本実施形態においては、一方では径方向外側において補償スリーブ30に、他方ではプレート部215に配置されるバヨネット接続部245が、例として設けられる。
【0059】
図9は、図1および図8に示すモジュールコネクタシステム10の接続プレート25の下方からの図を示す。
【0060】
第1の高電流モジュールコネクタ15および第2の高電流モジュールコネクタ20に向くプレート部215の下面250において、周方向において互いに対してオフセットされるように配置されるバヨネット接続部245の第1のバヨネット取付具(bayonet fitting)255および第2のバヨネット取付具260が、第3の挿入開口部235に配置されることが好ましい。加えて、バヨネット接続部245の第3のバヨネット取付具241および/または第4のバヨネット取付具242が、プレート部215の下面250に配置されてよく、第3のバヨネット取付具241および第4のバヨネット取付具242は各々、第1のバヨネット取付具255と第2のバヨネット取付具260との間に配置される。
【0061】
バヨネット取付具255、260、241、242は各々、設置軸35に対して軸方向に下面250から離隔して配置される支持面261を有する。ここで、第3のバヨネット取付具241および/または第4のバヨネット取付具242の支持面261は、第1のバヨネット取付具255および第2のバヨネット取付具260よりも下面250の近くに配置される。第3のバヨネット取付具241および第4のバヨネット取付具242はさらに、下面250とは逆向きの側において開くように形成され、これに対し、第1のバヨネット取付具および第2のバヨネット取付具は、少なくとも部分的に閉じるように形成される。
【0062】
図10は、図8に示す補償スリーブ30の図を示す。
【0063】
補償スリーブ30は、第3の外周面265に第2の係合要素270を有し、第2の係合要素270は、第3の外周面265から径方向外方に延出する。第2の係合要素270は、部分的に環状に設計されることが好ましく、第3の外周面265を越えて突出する。径方向において、第2の係合要素270は、第1のバヨネット取付具255および第2のバヨネット取付具260の径方向深さよりも薄く設計される。
【0064】
図11は、モジュールコネクタシステム10を通る、図1に示す切断面D-Dに沿った断面図を示す。
【0065】
組み立て済み状態において、第2の係合要素270は、それぞれ対応する第1のバヨネット取付具255または第2のバヨネット取付具260に係合する。ここで、第2の係合要素270の第4の外周面280とバヨネット取付具255、260との間の第2の径方向間隙275が、それぞれ対応するバヨネット取付具255、260の広がった深さにより設けられる。第2の径方向間隙275により、補償スリーブ30が第3の挿入開口部235に対して径方向(xy方向)に変位可能であることが確実になり、それにより、第2の高電流モジュールコネクタ20と接続プレート25との間での公差の補償が提供される。特に、ここで、第2の高電流モジュールコネクタ20と接続プレート25との間、および第1の高電流モジュールコネクタ15と第2の高電流モジュールコネクタ20との間で、x方向およびy方向において2mmまでの公差を補償することができる。
結果として、第1の高電流モジュールコネクタ15および第2の高電流モジュールコネクタ20の両方における接続プレート25の安定的な設置の可能性が実現される。特に、それぞれのコネクタ45がバスバーとして設計され、その後一度または一度よりも多くの回数曲げられる場合があることを考慮すると、それぞれの高電流モジュールコネクタ15、20の配置は比較的大きい公差または大規模な公差連鎖の影響を受けるため、公差の補償が必要な場合がある。
【0066】
さらに、補償スリーブ30により、タッチ保護スリーブ55と併せて、高信頼なタッチ保護が第2の高電流モジュールコネクタ20において確保される。さらに、接続スリーブ220とタッチ保護スリーブ55との間の径方向距離の選択により、高信頼なタッチ保護、特に指の保護が、さらに第1の高電流モジュールコネクタ15においても高信頼に確保される。
【0067】
第1の高電流モジュールコネクタ15および/または第2の高電流モジュールコネクタ20組み立てるために、第1の方法段階において、コネクタ45、ねじ付きソケット50、タッチ保護スリーブ55およびハウジング40が設けられる。ここで、タッチ保護スリーブ55およびハウジング40は、例えば別個の射出成形手順で、例えばプラスチックから製造されてよい。
【0068】
第2の方法段階において、ねじ付きソケット50は、ソケット部185が貫通開口部75を通して差し込まれる。ここで、第1のコネクタ部60に対するねじ付きソケット50のねじれを防止するために、ねじれ保護部、例えば外歯部が、例えばソケット部185の円周に配置されてよい。ソケット部185は、キャリア部195が第1の挿入開口部90とは逆向きの側の下面において第1のコネクタ部60に当接するように、貫通開口部75を通して差し込まれる。ソケット部185は、第1のサブ領域160がコンタクト面70の頂部を越えて突出する。
【0069】
第3の方法段階において、コネクタ45が、ねじ付きソケット50と共に、設置軸35に垂直に供給開口部100を通してハウジング内部95に差し込まれる。ここで、ばね要素140は、第1の挿入開口部90とは逆向きの方向に撓む。さらに、ねじ付きソケット50の第1の領域200が、供給開口部100の第2のサブ領域165を通して案内されてよい。
【0070】
ハウジング内部95における第1のコネクタ部60およびねじ付きソケット50の最終位置に達すると、キャリア部195がラッチデバイス115にラッチ接続され、ラッチデバイス115は、第2の外周面210がラッチラグ120の支持面135に当接することにより、第1のコネクタ部60およびねじ付きソケット50をハウジング内部95から意図せずに抜け出ないように固定する。さらに、最終位置において、第1の係合要素150は、第1の挿入開口部90とは逆向きの側に開口するソケット部185に係合し、第1のコネクタ部60をねじ付きソケット50と共にハウジング内部95において最終位置にさらに保持する。
【0071】
第4の方法段階において、タッチ保護スリーブ55が、第1の挿入開口部90を介して、コンタクト面70を越えて突出する第1のサブ領域160に差し込まれる。ここで、タッチ保護スリーブ55は、第1のサブ領域160にラッチ接続してよい。
【0072】
第4の方法段階の後、第1の高電流モジュールコネクタ15の設置が完了する。第2の高電流モジュールコネクタ20が、全く同様に組み立てられる。少数の方法段階を全自動で実行することができ、それにより、高電流モジュールコネクタ15、20を生産ラインにおいて高いサイクルタイムで、また完全に自動的に組み立てることができる。
【0073】
バッテリモジュールの組み立てを完了し、モジュールコネクタシステム10を組み立てるために、高電流モジュールコネクタ15、20がバッテリモジュールに設置された後、第5の方法段階において、補償スリーブ30がバヨネット接続部245を介して接続プレート25に組み付けられる。
【0074】
第6の方法段階において、係合要素270が第3のバヨネット取付具241および第4のバヨネット取付具242に係合するように、補償スリーブ30が差し込みおよび回転の動作により接続プレート25に接続される。次いで、係合要素270がそれぞれ第1のバヨネット取付具255および第2のバヨネット取付具260に係合するまで、補償スリーブ30が設置軸35の周りに旋回される。
【0075】
接続プレート25が接続スリーブ220と共にxy方向(設置軸35に対して径方向)において第1の高電流モジュールコネクタ15と位置合わせされるように向けられ、接続スリーブ220が設置軸35に沿って第1の挿入開口部90を介して第1の高電流モジュールコネクタ15のハウジング内部95に挿入されるように、補償スリーブ30と共に接続プレート25が第1の高電流モジュールコネクタ15および第2の高電流モジュールコネクタ20に組み付けられる。同時に、補償スリーブ30も第2の高電流モジュールコネクタ20の第1の挿入開口部90を介して第2の高電流モジュールコネクタ20のハウジング内部95に挿入され、補償スリーブ30は、第2の径方向間隙275により自動的に第2の高電流モジュールコネクタ20のハウジング40に対して中心に配される。
加えて、第1のバヨネット取付具255および第2のバヨネット取付具260の幅広の構成により、設置軸の方向における公差の補償を提供することができる。
【0076】
図12は、モジュールコネクタシステム10を通る、図1に示す切断面E-Eに沿った断面図を示す。
【0077】
さらなるモジュールコネクタシステム300が、モジュールコネクタシステム10に組み付けられる。ここで、さらなるモジュールコネクタシステム300は、第1の相手側高電流モジュールコネクタ305および第2の相手側高電流モジュールコネクタ310を有する。第1の相手側高電流モジュールコネクタ305および第2の相手側高電流モジュールコネクタ310はそれぞれ、例としてプラグとして設計され、第1の相手側高電流モジュールコネクタ305および第2の相手側高電流モジュールコネクタ310はそれぞれ、ねじ315を有し、ねじ315はそれぞれ、対応する第1の高電流モジュールコネクタ15および第2の高電流モジュールコネクタ20のソケット部185におけるねじ部320と設置軸35に沿ってねじ込まれる。
【0078】
ねじ付きソケット50のソケット部185を両側で開口するように構成することにより、ねじ315のねじ部320の十分に長いねじ込み深さが確保され、それにより、それぞれ第1の相手側高電流モジュールコネクタ305および第2の相手側高電流モジュールコネクタ310のコンタクト要素325が、対応する第1の高電流モジュールコネクタ15および第2の高電流モジュールコネクタ20のコンタクト面70に安定的に押し付けられることが確実になる。結果として、第1の高電流モジュールコネクタ15と第1の相手側高電流モジュールコネクタ305との間および第2の高電流モジュールコネクタ20と第2の相手側高電流モジュールコネクタ310との間の安定的な電流伝送が確保される。
【0079】
さらに、ねじ込みのリスク、特に第1の相手側高電流モジュールコネクタ305および/または第2の相手側高電流モジュールコネクタ310が第1の高電流モジュールコネクタ15および第2の高電流モジュールコネクタ20のそれぞれの対応するソケット部185にねじ込まれるときのねじ315の衝突が回避され、それにより、さらなるモジュールコネクタシステム300をモジュールコネクタシステム10に簡単かつ迅速に設置することもできる。
【0080】
さらに、ねじ端部が閉じたソケット部にぶつかることが回避される。さらに、第1の相手側高電流モジュールコネクタ305を接続スリーブ220により第1の高電流モジュールコネクタ15において十分に中心に配することができ、第2の相手側高電流モジュールコネクタ310を補償スリーブ30により第2の高電流モジュールコネクタ20において十分に中心に配することができることが確実になる。
【0081】
さらに、ハウジング40を単一の材料の単一の部品として構成することにより、ハウジング40を単一の射出成形手順において特に高い費用効果で作製することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2024-05-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車のための高電流モジュールコネクタ(15、20)であって、
- 前記高電流モジュールコネクタ(15、20)は、第1のコネクタ部(60)、ねじ付きソケット(50)およびハウジング(40)を有する少なくとも1つの電気コネクタ(45)を有し、
- 前記ハウジング(40)は、中空体状に設計され、少なくとも部分的にハウジング内部(95)を包囲し、
- 前記ハウジング(40)は、ラッチデバイス(115)と、端部に配置されている第1の挿入開口部(90)と、設置軸(35)の周りに周方向に延びるハウジング部(80)における第1の供給開口部(100)とを有し、
- 前記電気コネクタ(45)は、前記第1のコネクタ部(60)および前記第1のコネクタ部(60)に配置されている前記ねじ付きソケット(50)が前記ハウジング内部(95)に配置されるように、前記第1の供給開口部(100)を通り抜け、
- 前記ラッチデバイス(115)は、前記第1の供給開口部(100)に配置され、
- 前記ラッチデバイス(115)は、前記ねじ付きソケット(50)が前記ラッチデバイス(115)に当接することにより、前記第1のコネクタ部(60)および前記ねじ付きソケット(50)を前記ハウジング内部(95)に保持する、
高電流モジュールコネクタ(15、20)。
【請求項2】
- 前記電気コネクタ(45)は、前記第1のコネクタ部(60)において前記設置軸(35)に沿って延びる貫通開口部(75)を有し、
- 前記ねじ付きソケット(50)は、前記設置軸(35)に沿って延びるソケット部(185)と、前記ソケット部(185)に隣接し、前記設置軸(35)に対して径方向に前記ソケット部(185)を越えて突出するキャリア部(195)とを有し、
- 前記ソケット部(185)は、前記設置軸(35)に沿って前記電気コネクタ(45)の前記貫通開口部(75)を通り抜け、前記キャリア部(195)は、前記第1の挿入開口部(90)とは逆向きの側において前記第1のコネクタ部(60)に当接し、
- 前記ラッチデバイス(115)は、前記ハウジング内部(95)に向く側に支持面(135)を有し、
- 前記キャリア部(195)の第2の外周面(210)が、前記支持面(135)に当接する、
請求項1に記載の高電流モジュールコネクタ(15、20)。
【請求項3】
前記ハウジング(40)は、単一の部品として、単一の材料、すなわち非導電性の第1の材料から製造されている、
請求項1に記載の高電流モジュールコネクタ(15、20)。
【請求項4】
- 前記ハウジング(40)は、前記第1の挿入開口部(90)とは反対側に配置された、部分的に前記ハウジング内部(95)を画定する基部(85)を有し、
- 前記ハウジング(40)は、前記基部(85)に接続されているばね要素(140)を、前記基部(85)に有し、
- 前記ばね要素(140)は、前記第1の挿入開口部(90)の方向に延びる第1の係合要素(150)を、前記ばね要素(140)の第2の自由端部(145)に有し、
- 前記第1の係合要素(150)は、前記第1の挿入開口部(90)とは逆向きの側において前記ねじ付きソケット(50)に係合する、
請求項1に記載の高電流モジュールコネクタ(15、20)。
【請求項5】
- 前記ねじ付きソケット(50)は、前記第1の挿入開口部(90)に向く側の第1の領域(200)が、前記第1のコネクタ部(60)を越えて突出し、
- 前記第1の供給開口部(100)は、少なくとも1つの第1のサブ領域(160)と、前記周方向において前記第1のサブ領域(160)に隣接する少なくとも1つの第2のサブ領域(165)とを有し、
- 前記第2のサブ領域(165)は、前記設置軸(35)に沿って前記第1のサブ領域(160)よりも広くなるように設計され、
- 前記ねじ付きソケット(50)の前記第1の領域(200)は、前記第2のサブ領域(165)に通過させることが可能である、
請求項1に記載の高電流モジュールコネクタ(15、20)。
【請求項6】
前記第1の供給開口部(100)の前記第1のサブ領域(160)は、前記設置軸(35)に沿った前記第1のコネクタ部(60)の範囲に対応するように前記設置軸(35)に沿って形成されている、
請求項5に記載の高電流モジュールコネクタ(15、20)。
【請求項7】
- タッチ保護スリーブ(55)を有し、
- 前記タッチ保護スリーブ(55)は、前記ねじ付きソケット(50)における前記第1のコネクタ部(60)の、前記第1の挿入開口部(90)に向く側に、前記ハウジング内部(95)において前記ハウジング(40)から離隔するように配置されている、
請求項1に記載の高電流モジュールコネクタ(15、20)。
【請求項8】
- 接続プレート(25)および第1の高電流モジュールコネクタ(15)を有し、
- 前記第1の高電流モジュールコネクタ(15)は、請求項1に従って設計され、
- 前記接続プレート(25)は、前記設置軸(35)に対して前記ハウジング(40)に関して軸方向にオフセットされるように配置され、
- 前記接続プレート(25)は、プレート部(215)と、前記プレート部(215)に配置されている第2の挿入開口部(225)と、接続スリーブ(220)とを有し、
- 前記接続スリーブ(220)は、前記第1の高電流モジュールコネクタ(15)の方向に前記設置軸(35)に沿って延び、前記プレート部(215)において前記第2の挿入開口部(225)に配置され、
- 前記接続スリーブ(220)は、前記第1の高電流モジュールコネクタ(15)の前記第1の挿入開口部(90)に係合する、
モジュールコネクタシステム(10)。
【請求項9】
- 請求項1に記載の、前記第1の高電流モジュールコネクタ(15)に対してオフセットして配置されている第2の高電流モジュールコネクタ(20)と、補償スリーブ(30)とを有し、
- 前記プレート部(215)は、第3の挿入開口部(235)を有し、
- 前記第3の挿入開口部(235)は、前記プレート部(215)において前記第2の挿入開口部(225)に対してオフセットして配置され、
- 前記補償スリーブ(30)は、前記第2の高電流モジュールコネクタ(20)の方向に前記第2の高電流モジュールコネクタ(20)の前記設置軸(35)に沿って延び、
- 前記補償スリーブ(30)は、前記第2の高電流モジュールコネクタ(20)の前記第1の挿入開口部(90)および前記第3の挿入開口部(235)を通り抜け、
- 前記補償スリーブ(30)は、前記第2の高電流モジュールコネクタ(20)の前記設置軸(35)に対して径方向に変位可能であるように前記接続プレート(25)に接続されている、
請求項8に記載のモジュールコネクタシステム(10)。
【請求項10】
前記補償スリーブ(30)は、バヨネット接続部(245)により前記接続プレート(25)に接続されている、
請求項9に記載のモジュールコネクタシステム(10)。
【請求項11】
請求項1から7のいずれか一項に記載の高電流モジュールコネクタ(15、20)を設置するための方法であって、
- 前記電気コネクタ(45)、前記ねじ付きソケット(50)および前記ハウジング(40)が設けられ、
- 前記ねじ付きソケット(50)は、前記第1のコネクタ部(60)を通して案内され、
- 前記電気コネクタ(45)は、前記ねじ付きソケット(50)と共に、前記設置軸(35)に対して傾斜して、前記供給開口部を通して案内され、
- 前記ラッチデバイス(120)は、前記ねじ付きソケット(50)にラッチ接続し、前記ねじ付きソケット(50)が前記ラッチデバイス(120)に当接することにより、前記第1のコネクタ部(60)を前記ねじ付きソケット(50)と共に前記ハウジング内部(95)に固定する、
方法。
【外国語明細書】