IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三星電子株式会社の特許一覧

特開2024-137847化学機械的研磨スラリー及びそれを用いた半導体素子の製造方法
<>
  • 特開-化学機械的研磨スラリー及びそれを用いた半導体素子の製造方法 図1
  • 特開-化学機械的研磨スラリー及びそれを用いた半導体素子の製造方法 図2
  • 特開-化学機械的研磨スラリー及びそれを用いた半導体素子の製造方法 図3
  • 特開-化学機械的研磨スラリー及びそれを用いた半導体素子の製造方法 図4
  • 特開-化学機械的研磨スラリー及びそれを用いた半導体素子の製造方法 図5
  • 特開-化学機械的研磨スラリー及びそれを用いた半導体素子の製造方法 図6
  • 特開-化学機械的研磨スラリー及びそれを用いた半導体素子の製造方法 図7
  • 特開-化学機械的研磨スラリー及びそれを用いた半導体素子の製造方法 図8
  • 特開-化学機械的研磨スラリー及びそれを用いた半導体素子の製造方法 図9
  • 特開-化学機械的研磨スラリー及びそれを用いた半導体素子の製造方法 図10
  • 特開-化学機械的研磨スラリー及びそれを用いた半導体素子の製造方法 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137847
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】化学機械的研磨スラリー及びそれを用いた半導体素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240927BHJP
   C09K 3/14 20060101ALI20240927BHJP
   C09G 1/02 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H01L21/304 622D
C09K3/14 550D
C09K3/14 550Z
C09G1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024043363
(22)【出願日】2024-03-19
(31)【優先権主張番号】10-2023-0039222
(32)【優先日】2023-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0052824
(32)【優先日】2023-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】卞 藝 リン
(72)【発明者】
【氏名】金 仁 權
(72)【発明者】
【氏名】朴 尚 鉉
【テーマコード(参考)】
5F057
【Fターム(参考)】
5F057AA03
5F057AA28
5F057BA15
5F057BB22
5F057CA12
5F057DA03
5F057EA01
5F057EA07
5F057EA08
5F057EA09
5F057EA22
5F057EA26
5F057EA29
(57)【要約】
【課題】金属層の化学機械的研磨に用いられる化学機械的研磨スラリー及びそれを用いた半導体素子の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の化学機械的研磨スラリーは、脱イオン水(deionized water)と、研磨粒子と、温度感応性酸化剤と、を含む水溶液を備え、温度感応性酸化剤は、化学機械的研磨工程の研磨温度が10℃~75℃である場合、化学機械的研磨工程時に金属層の静的エッチング率(static etch rate)及び金属層の除去率(removal rate)をいずれも調節可能に構成される。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱イオン水(deionized water)と、
研磨粒子と、
温度感応性酸化剤をと、含む水溶液を備え、
前記温度感応性酸化剤は、化学機械的研磨工程の研磨温度が10℃~75℃である場合、前記化学機械的研磨工程時に金属層の静的エッチング率(static etch rate)及び前記金属層の除去率(removal rate)をいずれも調節可能に構成されることを特徴とする化学機械的研磨スラリー。
【請求項2】
前記研磨粒子は、シリカ(Silica)、アルミナ(alumina)、セリア(ceria)、チタニア(titania)、ジルコニア(zirconia)、マグネシア(magnesia)、ゲルマニア(germania)、及びマンガニア(mangania)のうちの少なくともいずれか1つを含み、
前記温度感応性酸化剤は、過硫酸ナトリウム(Sodium Persulfate)、過炭酸ナトリウム(Sodium Percarbonate)、過ホウ酸ナトリウム(Sodium Perborate)、過ホウ酸ナトリウム一水和物(Sodium Perborate Monohydrate)、及び過ホウ酸ナトリウム四水和物(Sodium Perborate Tetrahydrate)のうちの少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の化学機械的研磨スラリー。
【請求項3】
前記水溶液は、pH調節剤を更に含み、
前記pH調節剤は、水酸化カリウム(KOH)、水酸化アンモニウム(NHOH)、テトラメチルアミン(TMA)、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、及びテトラエチルアミン(TEA)のうちの少なくともいずれか1つであり、
前記水溶液のpHは、1~8であることを特徴とする請求項1に記載の化学機械的研磨スラリー。
【請求項4】
前記水溶液は、触媒剤を更に含み、
前記触媒剤は、硝酸第二鉄(ferric nitrate)、フェリシアン化カリウム(potassium ferricyanide)、塩化鉄(iron chloride)、硫酸鉄(iron sulfate)、フッ化鉄(iron fluoride)、臭化鉄(iron bromide)、塩化銅(copper chloride)、フッ化銅(copper fluoride)、及び臭化銅(copper bromide)のうちの少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の化学機械的研磨スラリー。
【請求項5】
脱イオン水(deionized water)と、
研磨粒子と、
化学機械的研磨工程の研磨温度が10℃~75℃である場合、前記化学機械的研磨工程時にタングステン層の静的エッチング率(static etch rate)及び前記タングステン層の除去率(removal rate)をいずれも調節可能に構成された温度感応性酸化剤と、
pH調節剤と、
触媒剤と、を含む水溶液からなることを特徴とする化学機械的研磨スラリー。
【請求項6】
前記温度感応性酸化剤は、過硫酸ナトリウム(Sodium Persulfate)であり、
前記過硫酸ナトリウム(Sodium Persulfate)の濃度は、前記水溶液で0.5重量%(wt%)~5重量%(wt%)であることを特徴とする請求項5に記載の化学機械的研磨スラリー。
【請求項7】
基板上に、水平方向に互いに離隔する複数個の開口部を有するように絶縁パターンを形成する段階と、
前記絶縁パターン上に、前記開口部を埋め込むように金属層を形成する段階と、
研磨パッド上で化学機械的研磨スラリーを用いて前記絶縁パターンをエッチング停止膜で前記金属層に対して化学機械的研磨工程を遂行する段階と、を有し、
前記化学機械的研磨工程は、研磨温度を10℃~75℃の範囲内で遂行し、
前記化学機械的研磨スラリーは、
脱イオン水(deionized water)と、
研磨粒子と、
温度感応性酸化剤と、を含む水溶液を備え、
前記温度感応性酸化剤は、化学機械的研磨工程の研磨温度が10℃~75℃である場合、前記化学機械的研磨工程時に金属層の静的エッチング率(static etch rate)及び前記金属層の除去率(removal rate)をいずれも調節可能に構成されることを特徴とする半導体素子の製造方法。
【請求項8】
前記化学機械的研磨工程を遂行する段階は、前記化学機械的研磨スラリーの温度を60℃~75℃に上昇させて前記金属層を第1次化学機械的研磨し、前記化学機械的研磨スラリーの温度を10℃~20℃に下降させて前記金属層を第2次化学機械的研磨する段階を含むことを特徴とする請求項7に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項9】
前記化学機械的研磨工程を遂行する段階は、前記金属層を化学機械的研磨し、前記開口部に埋め込まれた複数個の金属パターンを形成する段階を含み、
前記金属パターンは、前記絶縁パターンの表面でリセスされたリセス深さを有し、
前記リセス深さは、前記絶縁パターンの高さの1%~5%以下であることを特徴とする請求項7に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項10】
前記化学機械的研磨スラリーに含まれる前記温度感応性酸化剤は、過硫酸ナトリウム(Sodium Persulfate)であり、
前記過硫酸ナトリウムの濃度は、前記水溶液で0.5重量%(wt%)~5重量%(wt%)であることを特徴とする請求項7に記載の半導体素子の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学機械的研磨スラリー(chemical mechanical polishing slurry)及びそれを用いた半導体素子の製造方法に係り、より詳細には、金属層の化学機械的研磨のための化学機械的研磨スラリー及びそれを用いた半導体素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子(又は集積回路素子)には、集積度が増加することによりトランジスタ、キャパシタ、抵抗器などの機能要素を互いに連結する多層配線構造が用いられる。多層配線構造の半導体素子を製造するには、金属層を平坦化させる化学機械的研磨工程が必要である。金属層の化学機械的研磨工程には、化学機械的研磨スラリーが用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-80436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、金属層の化学機械的研磨時に金属層の平坦度を改善すると共に化学機械的研磨時間を減らす化学機械的研磨スラリー及びそれを用いた半導体素子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による化学機械的研磨スラリーは、脱イオン水(deionized water)と、研磨粒子と、温度感応性酸化剤と、を含む水溶液を備え、前記温度感応性酸化剤は、化学機械的研磨工程の研磨温度が10℃~75℃である場合、前記化学機械的研磨工程時に金属層の静的エッチング率(static etch rate)及び前記金属層の除去率(removal rate)をいずれも調節可能に構成される。
【0006】
上記目的を達成するためになされた本発明の他の態様による化学機械的研磨スラリーは、脱イオン水(deionized water)と、研磨粒子と、化学機械的研磨工程の研磨温度が10℃~75℃である場合、前記化学機械的研磨工程時にタングステン層の静的エッチング率(static etch rate)及び前記タングステン層の除去率(removal rate)をいずれも調節可能に構成された温度感応性酸化剤と、pH調節剤と、触媒剤と、を含む水溶液からなる。
【0007】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による半導体素子の製造方法は、基板上に、水平方向に互いに離隔する複数個の開口部を有するように絶縁パターンを形成する段階と、前記絶縁パターン上に、前記開口部を埋め込むように金属層を形成する段階と、研磨パッド上で化学機械的研磨スラリーを用いて前記絶縁パターンをエッチング停止膜として前記金属層に対して化学機械的研磨工程を遂行する段階と、を有し、前記化学機械的研磨工程は、研磨温度を10℃~75℃の範囲内で遂行し、前記化学機械的研磨スラリーは、脱イオン水(deionized water)と、研磨粒子と、温度感応性酸化剤と、を含む水溶液を備え、前記温度感応性酸化剤は、化学機械的研磨工程の研磨温度が10℃~75℃である場合、前記化学機械的研磨工程時に金属層の静的エッチング率(static etch rate)及び前記金属層の除去率(removal rate)をいずれも調節可能に構成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の化学機械的研磨スラリーは、脱イオン水(deionized water)と、研磨粒子と、化学機械的研磨の研磨温度が10℃~75℃である場合、金属層の静的エッチング率(static etch rate)及び前記金属層の除去率(removal rate)をいずれも調節することが可能な温度感応性酸化剤と、を含む水溶液からなるため、本発明の化学機械的研磨スラリーを用いて金属層の化学機械的研磨段階(又は工程)を進める場合、金属層の平坦度が向上すると共に研磨時間を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態による化学機械的研磨スラリーを用いる化学機械的研磨装置の一例を示す概略的な断面図である。
図2】本発明の一実施形態による化学機械的研磨スラリーを用いる化学機械的研磨装置の一例を示す概略的な上面図である。
図3】本発明の一実施形態による化学機械的研磨スラリーを用いた化学機械的研磨段階を含む半導体素子の製造方法を説明するための断面図である。
図4】本発明の一実施形態による化学機械的研磨スラリーを用いた化学機械的研磨段階を含む半導体素子の製造方法を説明するための断面図である。
図5】本発明の一実施形態による化学機械的研磨段階の経時的な研磨温度の変化を示す図である。
図6】本発明の一実施形態による化学機械的研磨段階の経時的な研磨温度の変化を示す図である。
図7】本発明の一実施形態による化学機械的研磨スラリーを用いる場合の研磨温度による金属層の静的エッチング率(static etch rate)を示す図である。
図8図7との比較のための比較例の化学機械的研磨スラリーを用いる場合の研磨温度による金属層の静的エッチング率を示す図である。
図9】本発明の一実施形態による化学機械的研磨スラリー及び比較例の化学機械的研磨スラリーを用いる場合の研磨温度による金属層の除去率(removable rate)を示す図である。
図10】本発明の一実施形態による化学機械的研磨スラリーを用いる場合の研磨温度による金属パターンのリセス深さ(recess depth)を示す図である。
図11図10との比較のための比較例の化学機械的研磨スラリーを用いる場合の研磨温度による金属パターンのリセス深さを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。以下の本発明の実施形態はいずれか1つのみでも具現され、且つ以下の実施形態は1つ以上を組み合わせて具現可能である。従って、本発明の技術的思想は1つの実施形態に限定して解釈してはならない。
【0011】
本明細書において、構成要素の単数形態は、文脈上そうではない場合を明確に指摘しない限り、複数の形態を含み得る。本明細書では、本発明をより明確に説明するために図面を誇張して示す。
【0012】
本発明者は、金属層、例えばタングステン層の化学機械的研磨時に金属層の平坦度を改善すると共に、研磨時間を減らすことができる化学機械的研磨スラリーを発明した。
【0013】
一実施形態において、化学機械的研磨スラリーは、脱イオン水(deionized water)と、研磨粒子と、化学機械的研磨の研磨温度が60℃~75℃である場合、金属層の静的エッチング率(static etch rate)及び金属層の除去率(removal rate)をいずれも調節可能な温度感応性酸化剤(temperature-sensitive oxidizing agent)と、を含む水溶液からなる。
【0014】
一実施形態において、研磨粒子(abrasive particle)は、シリカ(Silica)、アルミナ(alumina)、セリア(ceria)、チタニア(titania)、ジルコニア(zirconia)、マグネシア(magnesia)、ゲルマニア(germania)、及びマンガニア(mangania)のうちの少なくともいずれか1つを含み、研磨粒子の濃度は、水溶液で1重量%(wt%)~10重量%(wt%)である。一実施形態において、研磨粒子は、シリカであり、シリカの濃度は、水溶液で1重量%(wt%)~10重量%(wt%)である。
【0015】
一実施形態において、温度感応性酸化剤は、過硫酸ナトリウム(Sodium Persulfate)、過炭酸ナトリウム(Sodium Percarbonate)、過ホウ酸ナトリウム(Sodium Perborate)、過ホウ酸ナトリウム一水和物(Sodium Perborate Monohydrate)、及び過ホウ酸ナトリウム四水和物(Sodium Perborate Tetrahydrate)のうちの少なくともいずれか1つを含む。
【0016】
一実施形態において、温度感応性酸化剤は過硫酸ナトリウム(Sodium Persulfate)であり、過硫酸ナトリウム(Sodium Persulfate)の濃度は水溶液で0.5重量%(wt%)~5重量%(wt%)である。
【0017】
一実施形態において、化学機械的研磨スラリーを構成する水溶液は、pH調節剤(pH adjusting agent)を更に含む。一実施形態において、pH調節剤は、水酸化カリウム(KOH:potassium hydroxide)、水酸化アンモニウム(NHOH:ammonium hydroxide)、テトラメチルアミン(TMA:tetramethylamine)、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH:tetramethylammonium hydroxide)、及びテトラエチルアミン(TEA:tetraethylamine)のうちの少なくともいずれか1つを含む。一実施形態において、水溶液のpHは1~8である。一実施形態において、水溶液のpHは1~3である。
【0018】
一実施形態において、化学機械的研磨スラリーを構成する水溶液は、触媒剤(catalyst)を更に含む。触媒剤は、硝酸第二鉄(ferric nitrate)、フェリシアン化カリウム(potassium ferricyanide)、塩化鉄(iron chloride)、硫酸鉄(iron sulfate)、フッ化鉄(iron fluoride)、臭化鉄(iron bromide)、塩化銅(copper chloride)、フッ化銅(copper fluoride)、及び臭化銅(copper bromide)のうちの少なくともいずれか1つを含む。
【0019】
一実施形態において、触媒剤は硝酸第二鉄(ferric nitrate)であり、硝酸第二鉄(ferric nitrate)の濃度は水溶液で1重量%(wt%)~2重量%(wt%)である。
【0020】
以下、本発明の化学機械的研磨スラリーを用いる化学機械的研磨装置の一例を説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態による化学機械的研磨スラリーを用いる化学機械的研磨装置の一例を示す概略的な断面図であり、図2は、本発明の一実施形態による化学機械的研磨スラリーを用いる化学機械的研磨装置の一例を示す概略的な上面図である。
【0022】
具体的に、化学機械的研磨装置20(chemical mechanical polishing apparatus)は、上部に研磨パッド30が位置する回転可能なディスク形状のプラテン24(platen)を含む。化学機械的研磨装置20は、研磨ステーションと称される。プラテン24は、中心軸25を中心に回転する。プラテン24は、図2の矢印Aで示したように、中心軸25を中心に回転する。モータ22は、駆動シャフト28を回転させてプラテン24を回転させる。
【0023】
一実施形態において、研磨パッド30は、下部研磨パッド34及び上部研磨パッド32を有する二重研磨パッドである。上部研磨パッド32は、下部研磨パッド34よりも柔らかい材質からなる。化学機械的研磨装置20は、化学機械的研磨スラリー52(又は、研磨液)を、ポート54を通じて研磨パッド30上に供給するための研磨液供給システム50を含む。
【0024】
研磨液供給システム50は、プラテン24上に延びるようにベース58によって支持されるアーム56を含む。ポート54は、アーム56の端部に配置される。ポート54は、制御弁60及び配管61を通じて研磨液供給部62、例えば化学機械的研磨スラリー52を保存する貯蔵所又はタンクに結合される。
【0025】
キャリアヘッド70(carrier head)は、研磨パッド30に接触するように基板10を支持しつつ動作する。後述するように、基板10は、上部に金属層が形成された基板構造物である。キャリアヘッド70は、研磨ヘッドと称される。キャリアヘッド70は、支持構造72に連結される。キャリアヘッド70は、駆動シャフト74によって回転モータ76に連結されることで軸71を中心に回転する。
【0026】
キャリアヘッド70は、基板10の背面(又は後面)に接触するための基板装着表面を有する可撓性メンブレン80、及び基板10上に圧力を印加するための加圧チャンバ82を含む。キャリアヘッド70は、基板10を支持(ホールディング)するためのリテーニングリング84を含む。リテーニングリング84は、下部リテーニングリング86及び上部リテーニングリング88を含む。
【0027】
化学機械的研磨装置20の動作時に、プラテン24は中心軸25に対して回転し、キャリアヘッド70は、図2の矢印Bで示したように、その中心軸71に対して回転し、図2の矢印Cで示したように、研磨パッド30の最上部表面を横切って側方向に移動する。
【0028】
化学機械的研磨装置20は、コンディショナーアーム94の端部でコンディショナーヘッド93によってホールディングされるコンディショナーディスク92を有するパッドコンディショナー90を含む。コンディショナーディスク92は、研磨パッド30の表面粗度を保持するために用いられる。コンディショナーアーム94は、コンディショナーベース95によって支持される。
【0029】
化学機械的研磨装置20は、研磨パッド30上の化学機械的研磨スラリー52及び/又は研磨パッド30の温度をモニタリングするための温度センサ64を含む。例えば、温度センサ64は、研磨パッド30上に位置し、研磨パッド30上の化学機械的研磨スラリー52及び/又は研磨パッド30の温度を測定するように構成された赤外線(IR)センサ、例えばIRカメラである。
【0030】
温度センサ64は、放射状の温度プロファイルを生成するために研磨パッド30の半径に沿って多数の地点で温度を測定するように構成される。例えば、温度センサ64を構成するIRカメラは、研磨パッド30の半径に及ぶ視野を有する。
【0031】
一実施形態において、温度センサ64は、図1のような非接触センサではなく、接触センサである。例えば、温度センサ64は、プラテン24上に又はプラテン24に位置する熱電対又はIR温度計である。温度センサ64は、研磨パッド30に直接接触する。一実施形態において、温度センサ64は、研磨パッド30の半径に沿って多数の地点における温度を提供するために、研磨パッド30の放射状位置に離隔して複数個配置される。
【0032】
温度センサ64は、研磨パッド30及び/又は研磨パッド30上の化学機械的研磨スラリー52の温度をモニタリングするように位置するものであって、図1に例示するが、温度センサ64は、基板10の温度を測定するためにキャリアヘッド70内部に位置する。温度センサ64は、基板10、即ち半導体ウェーハに直接接触する接触センサである。
【0033】
化学機械的研磨装置20は、研磨パッド30上の化学機械的研磨スラリー52及び/又は研磨パッド30の温度を制御するための温度制御システム100を含む。温度制御システム100は、温度制御された流体を研磨パッド30の研磨表面36上に伝達する。温度制御システム100は、温度制御された流体(118、138)を、研磨パッド30上に既に存在する化学機械的研磨スラリー52上に伝達する。温度制御システム100は、加熱システム102及び冷却システム104を含む。
【0034】
加熱システム102は、加熱流体118、例えば温水又はスチームを伝達する。冷却システム104は、冷却流体138、例えば冷水又は冷却空気を伝達する。加熱流体118及び冷却流体138は、アーム(110、130)によって提供される開口(aperture)(114、134)及びノズル116を介して伝達される。
【0035】
一実施形態において、加熱システム102は、プラテン24及び研磨パッド30の上部で研磨パッド30のエッジから研磨パッド30の中心まで又は少なくとも中心近傍に延びるアーム110を含む。アーム110は、ベース112によって支持される。ベース112は、プラテン24と同じフレーム40上に支持される。
【0036】
ベース112は、1つ以上のアクチュエータ、例えばアーム110を上昇又は下降させるための線形アクチュエータ、及び/又はアーム110をプラテン24上で側方向にスイングさせるための回転アクチュエータを含む。アーム110は、キャリアヘッド70、パッドコンディショニングディスク92、化学機械的研磨スラリー供給用アーム56、及び冷却流体供給用アーム130のような他のハードウェア構成要素との衝突を回避するように位置する。
【0037】
アーム110の最下部表面に多数の開口114が形成される。開口114は、加熱流体118、例えば気体又は蒸気(又はスチーム)を研磨パッド30上に誘導するように構成される。一実施形態において、開口114は、スプレー形態に排出される加熱流体118を研磨パッド30上に誘導するノズル116に連結される。図1では、開口114とノズル116とを分離して示したが、開口114とノズル116とは、同体であるか、或いはノズル116が連結されずに開口114を通じて加熱流体118をスプレー形態に直接排出する。
【0038】
開口114は、加熱流体118を研磨パッド30上の放射形態124に誘導する。図2において、開口114が均一な間隔に離隔されるものとして図示したが、これは必須要件ではない。開口114は、研磨パッド30の中心に向かってより稠密に配置され得る。図2では、9個の開口114を例示しているが、更に多数又は少数の開口114が存在し得る。
【0039】
アーム110は、研磨パッド30から離隔するようにベース112によって支持される。開口114(及び/又はノズル116)と研磨パッド30との離隔距離126は、0.5~5mmである。特に、隔離距離126は、加熱流体118が研磨パッド30に到逹する前に加熱流体の熱が顕著に消散しないように選択される。例えば、隔離距離126は、開口114から放出された加熱流体118が研磨パッド30に到逹する前に凝縮しないように選択される。
【0040】
加熱システム102は加熱流体118の供給源120を含み、供給源120は制御弁122及び流体配管123を通じてアーム110に連結される。一実施形態において、供給源120は、スチーム生成器、例えばスチーム気体を生成するために水が沸騰する容器である。
【0041】
加熱流体118は他の気体(例えば、空気)及び/又は液体(例えば、加熱された水)と混合されるか、或いは加熱流体118は実質的に純粋なスチームである。加熱流体118としてスチームが用いられる場合、スチームが流体供給源120で生成されるとき、スチームの温度は、90℃~200℃である。スチームの温度は、スチームが開口114を通じて分配されるとき、例えば輸送中、熱損失によって90~150℃である。一実施形態において、スチームは、60℃~100℃、例えば60℃~75℃の温度で開口114によって伝達される。
【0042】
化学機械的研磨装置20は、冷却システム104を含む。冷却システム104は、上述したような加熱システム102と同様に構成される。アーム130は、ベース132によって支持される。アーム130は、制御弁142及び配管143を通じて供給源140に連結される。しかし、供給源140は冷却流体138の供給源であり、冷却システム104は冷却流体138をスプレー形態に研磨パッド30上に供給する。
【0043】
冷却流体138は、液体、例えば20℃以下の水、20℃以下の気体、又は液体と気体との混合物である。冷却流体は、エアロゾル化された水滴を有する空気である。開口134は、上述した加熱流体を供給する開口114と同じ構成を有する。開口134は、上述したノズル116と同じ連結構成を有する。
【0044】
化学機械的研磨装置20は、多様な構成要素、例えば研磨液供給システム50及び温度制御システム100の動作を制御するための制御器200を含む。制御器200は、温度センサ64から温度測定値を受信するように構成される。制御器200は、測定された温度を目標温度と比較し、目標温度を達成するために研磨パッド30上への加熱流体及び/又は冷却流体の流量を制御するように制御弁122及び/又は142を制御する。
【0045】
図3及び図4は、本発明の一実施形態による化学機械的研磨スラリーを用いた化学機械的研磨段階を含む半導体素子の製造方法を説明するための断面図である。
【0046】
具体的に、図3及び図4の半導体素子の製造方法は、化学機械的研磨段階(工程)を含む。化学機械的研磨段階は、図1及び図2の化学機械的研磨装置20を用いて遂行される。
【0047】
図3を参照すると、基板10上に水平方向に互いに離隔する複数個の開口部204を有する絶縁パターン202を形成する。絶縁パターン202は、基板10上に絶縁膜を形成した後、フォトリソグラフィ工程を用いて絶縁膜を選択的にエッチングして基板10の所定領域を露出する開口部204を形成することで得られる。
【0048】
基板10には、半導体素子の製造に用いられる多様な基板を用いる。一実施形態において、基板10には、シリコン基板を用いる。絶縁パターン202は、酸化膜系及び/又は窒化膜系の物質を含む。例えば、絶縁パターン202は、BPSG(BoronPhosphoSilicate Glass)、PSG(PhosphoSilicate Glass)、HDP(High Density Plasma)、TEOS(TetraEthyl OrthoSilicate)、及びUSG(Undoped Silica Glass)のうちのいずれか1つを用いて形成される。
【0049】
絶縁パターン202は、PVD(Physical Vapor Deposition)方法、CVD(Chemical Vapor Deposition)方法、MOCVD(Metal Organic CVD)方法、又はALD(Atomic Layer Deposition)方法を用いて形成される。絶縁パターン202は、配線及び/又はプラグを形成するために、基板10の所定領域を露出させる開口部204を含む。開口部204は、ライン状のトレンチである。
【0050】
絶縁パターン202及び基板10上にバリア層206を形成する。バリア層206は、窒化チタンなどで形成される。バリア層206は、必要に応じて形成しない。引き続き、バリア層206上に開口部204を十分に埋め込むように金属層208を形成する。一実施形態において、金属層208は、タングステン膜である。
【0051】
図4を参照すると、上述したように化学機械的研磨装置(図1及び図2の20)の研磨パッド(図1及び図2の30)上で化学機械的研磨スラリー(図1の52)を用いて絶縁パターン202の表面214をエッチング停止膜として金属層208を化学機械的研磨する。
【0052】
金属層208の化学機械的研磨によって、開口部204内にはバリアパターン210及び金属パターン212が形成される。化学機械的研磨によって、金属パターン212は絶縁パターン202の表面214からリセスされる。金属パターン212のリセス深さ216が浅い場合、金属パターン212の平坦度(planarity)は向上する。一実施形態において、リセス深さ216は、絶縁パターン202の高さh1の1%~5%以下である。
【0053】
化学機械的研磨段階(工程)は、化学機械的研磨スラリー(図1の52)を用いて基板10上の金属層208と研磨パッド30との界面における金属層208の機械的摩耗と化学的エッチングとの組み合わせによって遂行される。
【0054】
化学機械的研磨段階(工程)は、上述したように、研磨温度、例えば化学機械的研磨スラリー(図1の52)の自体温度や研磨パッド(図1及び図2の30)上に供給された化学機械的研磨スラリー(図1の52)に、加熱流体や冷却流体を供給して研磨温度を制御する。
【0055】
これにより、本発明者は、化学機械的研磨段階(工程)で研磨温度を制御し、金属層208の静的エッチング率(static etch rate)及び除去率(removable rate、又は研磨率)を調節可能な化学機械的研磨スラリーを発明した。
【0056】
本発明の化学機械的研磨スラリーを用いる場合、化学機械的研磨段階は、研磨時間を短縮し、金属パターン212の平坦度を向上させることができる。これについてのより詳細な説明は後述する。先ず、化学機械的研磨段階(工程)の経時的な研磨温度の変化を説明する。
【0057】
図5及び図6は、本発明の一実施形態による化学機械的研磨段階の経時的な研磨温度の変化を示す図である。
【0058】
具体的に、化学機械的研磨段階は、図1及び図2の化学機械的研磨装置20を用いて遂行する。化学機械的研磨段階は、図3及び図4の金属層208の化学機械的研磨である。化学機械的研磨段階は、第1スタンバイ段階(SB1)、第1化学機械的研磨段階(CMP1)、第2化学機械的研磨段階(CMP2)、及び第2スタンバイ段階(SB2)を含む。
【0059】
第1スタンバイ段階(SB1)及び第2スタンバイ段階(SB2)は、研磨温度、即ち化学機械的研磨スラリー(図1及び図2の52)の温度がT1である。一実施形態において、T1は20℃である。
【0060】
一実施形態において、第1化学機械的研磨段階(CMP1)は、化学機械的研磨スラリーの温度をT2、例えば25℃~75℃に上昇させて金属層208の第1次化学機械的研磨を行う。一実施形態において、第1化学機械的研磨段階(CMP1)は、化学機械的研磨スラリーの温度をT2、例えば60℃~75℃に上昇させて金属層208の第1次化学機械的研磨を行う。
【0061】
図5では、第1スタンバイ段階(SB1)から第1化学機械的研磨段階(CMP1)に研磨温度を急上昇させる。図6では、第1スタンバイ段階(SB1)から第1化学機械的研磨段階(CMP1)に研磨温度を徐々に上昇させる。
【0062】
第2化学機械的研磨段階(CMP2)は、化学機械的研磨スラリーの温度をT3温度、例えば10℃~20℃に下降させて金属層208の第2次化学機械的研磨を行う。図5では、第1化学機械的研磨段階(CMP1)から第2化学機械的研磨段階(CMP2)に研磨温度を急降下させる。図6では、第1化学機械的研磨段階(CMP1)から第2化学機械的研磨段階(CMP2)に研磨温度を徐々に降下させる。図6において、第2化学機械的研磨段階(CMP2)や第2スタンバイ段階(SB2)の研磨温度は、略同一である。
【0063】
本発明の化学機械的研磨段階において、化学機械的研磨スラリー(図1の52)は、T1~T3の範囲、例えば15℃~75℃の研磨温度範囲で研磨時間を短縮させ、金属パターン212の平坦度を向上させる。更に、本発明の化学機械的研磨段階で、化学機械的研磨スラリー(図1の52)は、T2範囲、例えば60℃~75℃の研磨温度範囲で研磨時間を短縮させ、金属パターン212の平坦度を向上させる。
【0064】
図7は、本発明の一実施形態による化学機械的研磨スラリーを用いる場合の研磨温度による金属層の静的エッチング率(static etch rate)を示す図であり、図8は、図7との比較のための比較例の化学機械的研磨スラリーを用いる場合の研磨温度による金属層の静的エッチング率を示す図である。
【0065】
具体的に、図7に示した本発明の一実施形態による化学機械的研磨スラリーEMBの製造過程は、次の通りである。研磨粒子として0.1重量%(wt%)のシリカ(Silica)、及び触媒材として硝酸第二鉄(ferric nitrate)を脱イオン水に添加した。シリカ(Silica)及び硝酸第二鉄(ferric nitrate)が含まれる脱イオン水に、温度感応性酸化剤として過硫酸ナトリウム(Sodium Persulfate)を添加して本発明の一実施形態による化学機械的研磨スラリーEMBを製造した。
【0066】
図8に示した比較例による化学機械的研磨スラリーCEXの製造過程は、次の通りである。研磨粒子として0.1重量%(wt%)のシリカ(Silica)、及び触媒材として硝酸第二鉄(ferric nitrate)を脱イオン水に添加した。比較例において、シリカ(Silica)及び硝酸第二鉄(ferric nitrate)が含まれたる脱イオン水に、酸化剤として過酸化水素(hydrogen peroxide)を添加して化学機械的研磨スラリーCEXを製造した。
【0067】
本発明の一実施形態による化学機械的研磨スラリーEMB及び比較例の化学機械的研磨スラリーCEXを用いて基板の静的エッチング率(static etch rate:SER)を評価した。静的エッチング率SERは、基板を本発明の一実施形態による化学機械的研磨スラリーEMB及び比較例の化学機械的研磨スラリーCEXにそれぞれ投入して金属層をエッチングさせた後、金属層のエッチング減少量を測定した結果に基づいたものである。
【0068】
本発明の一実施形態による化学機械的研磨スラリーEMBを用いる場合、25℃の研磨温度で金属層、例えばタングステン層の静的エッチング率SERは1Å/minであり、60℃の研磨温度で金属層の静的エッチング率SERは11Å/minである。本発明の一実施形態による化学機械的研磨スラリーEMBを用いる場合、研磨温度が25℃から60℃に昇温しても、金属層の静的エッチング率SERは、大きく増加せず、低く保持される。
【0069】
比較例の化学機械的研磨スラリーCEXを用いる場合、25℃の研磨温度で金属層の静的エッチング率SERは32Å/minであり、60℃の研磨温度で金属層の静的エッチング率SERは696Å/minである。比較例の化学機械的研磨スラリーCEXを用いる場合、研磨温度が25℃から60℃に昇温すると、金属層の静的エッチング率SERは大きく増加する。
【0070】
比較例の化学機械的研磨スラリーCEXを用いる場合、研磨温度上昇によって金属層の静的エッチング率が大きく増加するため、研磨温度上昇によって上述した金属パターンのリセス深さが大きくなり、これにより金属パターンの平坦度は低くなる。一方、本発明の化学機械的研磨スラリーEMBを用いる場合、研磨温度上昇によって金属層の静的エッチング率が大きく増加しないため、研磨温度上昇によって上述した金属パターンのリセス深さが小さくなり、金属パターンの平坦度は高くなる。
【0071】
図9は、本発明の一実施形態による化学機械的研磨スラリー及び比較例の化学機械的研磨スラリーを用いる場合の研磨温度による金属層の除去率RRを示す図である。
【0072】
具体的に、本発明の一実施形態による化学機械的研磨スラリーEMB及び比較例による化学機械的研磨スラリーCEXの製造過程は、図7及び図8で説明したので、ここではその説明を省略する。
【0073】
本発明の一実施形態による化学機械的研磨スラリーEMB及び比較例の化学機械的研磨スラリーCEXを用いて金属層(例えば、タングステン層)の化学機械的研磨時の金属層の除去率RR(又は、研磨率)を評価した。化学機械的研磨は、図3及び図4で説明したので、ここではその説明を省略する。
【0074】
本発明の一実施形態による化学機械的研磨スラリーEMBを用いる場合、25℃の研磨温度で金属層、例えばタングステン層の除去率RRは723Å/minであり、60℃の研磨温度で金属層の除去率RRは1021Å/minである。本発明の一実施形態による化学機械的研磨スラリーEMBを用いる場合、研磨温度が25℃から60℃に上昇すると、金属層の除去率RRは増加する。
【0075】
比較例の化学機械的研磨スラリーCEXを用いる場合、25℃の研磨温度で金属層の除去率RRは785Å/minであり、60℃の研磨温度で金属層の除去率RRは1202Å/minである。比較例の化学機械的研磨スラリーCEXを用いる場合、研磨温度が25℃から60℃に上昇すると、金属層の除去率RRは増加する。本発明の化学機械的研磨スラリーEMBを用いる場合、研磨温度上昇によって金属層の除去率RRが増加して研磨時間を減らすことができる。
【0076】
図10は、本発明の一実施形態による化学機械的研磨スラリーを用いる場合の研磨温度による金属パターンのリセス深さ(recess depth)を示す図であり、図11は、図10との比較のための比較例の化学機械的研磨スラリーを用いる場合の研磨温度による金属パターンのリセス深さを示す図である。
【0077】
具体的に、本発明の一実施形態による化学機械的研磨スラリーEMB及び比較例による化学機械的研磨スラリーCEXの製造過程は、図7及び図8で説明したので、ここではその説明を省略する。
【0078】
本発明の一実施形態による化学機械的研磨スラリーEMB及び比較例の化学機械的研磨スラリーCEXを用いて金属層(例えば、タングステン層)の化学機械的研磨時の金属パターンのリセス深さを評価した。化学機械的研磨は、図3及び図4で説明したので、ここではその説明を省略する。
【0079】
本発明の一実施形態による化学機械的研磨スラリーEMBを用いる場合、25℃の研磨温度で基板エッジ部分CEの金属パターン、例えばタングステンパターンのリセス深さは69Åであり、60℃の研磨温度で基板エッジ部分CEの金属パターンのリセス深さは87Åである。
【0080】
また、本発明の一実施形態による化学機械的研磨スラリーEMBを用いる場合、25℃の研磨温度で基板中央部分CCの金属パターンのリセス深さは94Åであり、60℃の研磨温度で基板中央部分CEの金属パターンのリセス深さは105Åである。
【0081】
比較例の化学機械的研磨スラリーCEXを用いる場合、25℃の研磨温度で基板エッジ部分CEの金属パターンのリセス深さは168Åであり、60℃の研磨温度で基板エッジ部分CEの金属パターンのリセス深さは273Åである。
【0082】
また、比較例の化学機械的研磨スラリーCEXを用いる場合、25℃の研磨温度で基板中央部分CCの金属パターンのリセス深さは215Åであり、60℃の研磨温度で基板中央部分CEの金属パターンのリセス深さは324Åである。
【0083】
本発明の一実施形態による化学機械的研磨スラリーEMBを用いる場合、比較例の化学機械的研磨スラリーCEXを用いる場合と比較すると、研磨温度によって金属パターンのリセス深さが低くなり、研磨温度が上昇しても金属パターンのリセス深さが大きく増加しない。これにより、本発明の化学機械的研磨スラリーEMBを用いる場合、研磨温度によって金属パターンのリセス深さを浅くすることができ、金属パターンの平坦度を高めることができる。
【0084】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【符号の説明】
【0085】
10 基板
20 化学機械的研磨装置
22 モータ
24 プラテン
25 中心軸
28 駆動シャフト
30 研磨パッド
32、34 上部、下部研磨パッド
36 研磨表面
40 フレーム
50 研磨液供給システム
52 化学機械的研磨スラリー
54 ポート
56 (化学機械的研磨スラリー供給用)アーム
58、112、132 ベース
60、122、142 制御弁
61、143 配管
62 研磨液供給部
64 温度センサ
70 キャリアヘッド
71 軸
72 支持構造
74 駆動シャフト
76 回転モータ
80 可撓性メンブレン
82 加圧チャンバ
84 リテーニングリング
86、88 下部、上部リテーニングリング
90 パッドコンディショナー
92 パッドコンディショニングディスク
93 コンディショナーヘッド
94 コンディショナーアーム
95 コンディショナーベース
100 温度制御システム
102 加熱システム
104 冷却システム
110 アーム
114、134 開口
116 ノズル0
118 加熱流体
120 (流体)供給源
123 流体配管
124 放射形態
126 隔離距離
130 (冷却流体供給用)アーム
138 冷却流体
140 供給源
200 制御器
202 絶縁パターン
204 開口部
206 バリア層
208 金属層
210 バリアパターン
212 金属パターン
214 表面
216 リセス深さ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11