(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137859
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】可溶化組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/39 20060101AFI20240927BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240927BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20240927BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
A61K8/39
A61K8/34
A61K8/37
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024043933
(22)【出願日】2024-03-19
(31)【優先権主張番号】P 2023045384
(32)【優先日】2023-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(72)【発明者】
【氏名】森光 りな
(72)【発明者】
【氏名】関谷 匡俊
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AC032
4C083AC062
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC212
4C083AC342
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC472
4C083AC842
4C083AC852
4C083AD092
4C083AD112
4C083AD532
4C083BB13
4C083CC04
4C083DD01
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE06
(57)【要約】
【課題】特定のポリグリセリン脂肪酸エステルを用いて、透明性が高く、後肌のべたつきのなさに優れる可溶化組成物を提供する。
【解決手段】次の成分(A)~(E);
(A)ポリグリセリンと炭素数12~14の脂肪酸から選択される脂肪酸とをモノエステル化したポリグリセリン脂肪酸エステル
(B)ポリグリセリンと炭素数18以上の脂肪酸から選択される脂肪酸とをモノエステル化したポリグリセリン脂肪酸エステル
(C)油性成分(但し、成分(D)を除く)
(D)25℃で液状のエステル油
(E)水
を含有し、前記成分(A)及び前記成分(B)の加重平均HLBが、14.0~17.5であり、
前記成分(A)及び前記成分(B)の合計含有量(A)+(B)が、0.01~0.55質量%であり、
前記成分(B)に対する前記成分(A)の含有質量割合(A)/(B)が、0.04~100である、可溶化組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)~(E);
(A)ポリグリセリンと炭素数12~14の脂肪酸から選択される脂肪酸とをモノエステル化したポリグリセリン脂肪酸エステル
(B)ポリグリセリンと炭素数18以上の脂肪酸から選択される脂肪酸とをモノエステル化したポリグリセリン脂肪酸エステル
(C)油性成分(但し、成分(D)を除く)
(D)25℃で液状のエステル油
(E)水
を含有し、前記成分(A)及び前記成分(B)の加重平均HLBが、14.0~17.5であり、
前記成分(A)及び前記成分(B)の合計含有量(A)+(B)が、0.01~0.55質量%であり、
前記成分(B)に対する前記成分(A)の含有質量割合(A)/(B)が、0.04~100である、可溶化組成物。
【請求項2】
前記成分(A)~(D)の含有質量割合[(A)+(B)]/[(C)+(D)]が、0.1~5である、請求項1に記載の可溶化組成物。
【請求項3】
前記成分(A)が、平均重合度が5~20のポリグリセリンと炭素数12~14の直鎖脂肪酸から選択される脂肪酸とをモノエステル化したポリグリセリン脂肪酸エステルである、請求項1又は2に記載の可溶化組成物。
【請求項4】
前記成分(B)が、平均重合度が5~20のポリグリセリンと炭素数18以上の分岐脂肪酸又は不飽和脂肪酸から選択される脂肪酸とをモノエステル化したポリグリセリン脂肪酸エステルである、請求項1又は2に記載の可溶化組成物。
【請求項5】
前記成分(C)が香料である、請求項1又は2に記載の可溶化組成物。
【請求項6】
600nmの波長の光の透過率が90%以上である、請求項1又は2に記載の可溶化組成物。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の可溶化組成物を含有する、化粧料又は皮膚外用剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可溶化組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料や皮膚外用剤において親油性の成分と、親水性の成分とを同時に皮膚に投与できる利点から、可溶化製剤は広く用いられている。可溶化製剤は、(1)比較的製造が容易、(2)温度に対する影響を受けにくい、(3)油の種類、量を変化させることにより、感触や性状を種々変化させ、広がりをもたせることが可能、(4)透明にすることができ美観に優れる、といった特徴を有する。
【0003】
従来、可溶化剤としては構造中にポリオキシエチレングリコール(PEG)を有する石油由来のPEG系界面活性剤が用いられるが、サスティナブルの面から天然由来の界面活性剤の使用が提案されている。天然由来の界面活性剤として、脂肪酸とポリグリセリンのエステルであるポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。しかしながら、ポリグリセリン脂肪酸エステルは可溶化力が弱く、透明な外観の可溶化組成物を得るために多量に配合する必要があり、それに伴い後肌のべたつき等の使用性の課題があった。
【0004】
可溶化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルを用いた技術として、例えば、炭素数が6~11の脂肪酸から選択されるポリグリセリン中鎖脂肪酸エステルと炭素数が12~22の脂肪酸から選択されるポリグリセリン長鎖脂肪酸エステルを、特定の質量比で含有する可溶化剤(例えば、特許文献1)等が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された技術においては、透明性や後肌のべたつきのなさに関して十分でない場合があった。
また、特許文献1に開示された技術では、透明性に優れる可溶化組成物を調製するにあたり、30分以上の攪拌が必要な場合があった。
【0007】
そこで本発明は、より少量のポリグリセリン脂肪酸エステルを用いて、透明性が高く、後肌のべたつきのなさに優れる可溶化組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる実情に鑑み、本発明者らは鋭意検討を行ったところ、ポリグリセリンと炭素数12~14の脂肪酸から選択される脂肪酸とをモノエステル化したポリグリセリン脂肪酸エステルと、ポリグリセリンと炭素数18以上の脂肪酸から選択される脂肪酸とをモノエステル化したポリグリセリン脂肪酸エステルを特定の割合で組み合わせ、さらに油性成分及び25℃で液状のエステル油を含有することで、透明性及び後肌のべたつきのなさに優れ、さらには生産性の観点からも有利な可溶化組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は以下を提供する。
[1]
次の成分(A)~(E);
(A)ポリグリセリンと炭素数12~14の脂肪酸から選択される脂肪酸とをモノエステル化したポリグリセリン脂肪酸エステル
(B)ポリグリセリンと炭素数18以上の脂肪酸から選択される脂肪酸とをモノエステル化したポリグリセリン脂肪酸エステル
(C)油性成分(但し、成分(D)を除く)
(D)25℃で液状のエステル油
(E)水
を含有し、前記成分(A)及び前記成分(B)の加重平均HLBが、14.0~17.5であり、
前記成分(A)及び前記成分(B)の合計含有量(A)+(B)が、0.01~0.55質量%であり、
前記成分(B)に対する前記成分(A)の含有質量割合(A)/(B)が、0.04~100である、可溶化組成物である。
[2]
前記成分(A)~(D)の含有質量割合[(A)+(B)]/[(C)+(D)]が、0.1~5である、[1]に記載の可溶化組成物である。
[3]
前記成分(A)が、平均重合度が5~20のポリグリセリンと炭素数12~14の直鎖脂肪酸から選択される脂肪酸とをモノエステル化したポリグリセリン脂肪酸エステルである、[1]又は[2]に記載の可溶化組成物である。
[4]
前記成分(B)が、平均重合度が5~20のポリグリセリンと炭素数18以上の分岐脂肪酸又は不飽和脂肪酸から選択される脂肪酸とをモノエステル化したポリグリセリン脂肪酸エステルである、[1]又は[2]に記載の可溶化組成物である。
[5]
前記成分(C)が香料である、[1]又は[2]に記載の可溶化組成物である。
[6]
600nmの波長の光の透過率が90%以上である、[1]又は[2]に記載の可溶化組成物である。
[7]
[1]又は[2]に記載の可溶化組成物を含有する、化粧料又は皮膚外用剤である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の可溶化組成物は、透明性及び後肌のべたつきのなさに優れるものである。
【0011】
さらに、本発明の可溶化組成物は、可溶化能に優れることから、製造方法が簡便であり、生産性の観点でも優れるものである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。また、本明細書において百分率は特に断りのない限り質量による表示である。また、各数値範囲(~)の上限値(以下)と下限値(以上)は、所望により、任意に組み合わせることができる。本明細書において、範囲を示す「X~Y」は、XおよびYを含み、「X以上Y以下」を意味する。
【0013】
<成分(A):ポリグリセリンと炭素数12~14の脂肪酸から選択される脂肪酸とをモノエステル化したポリグリセリン脂肪酸エステル>
本発明に用いられる成分(A)のポリグリセリン脂肪酸エステルは、ポリグリセリンと炭素数12~14の脂肪酸から選択される脂肪酸とをモノエステル化したものである。
【0014】
本発明において、成分(A)のポリグリセリン脂肪酸エステルを構成するポリグリセリンの平均重合度は、透明性や可溶化能の観点から、5~20が好ましく、8~15がより好ましく、8~12がさらに好ましく、8~10がさらにより好ましい。また、このポリグリセリンは、重合して環を形成していても良いが、好ましくは、鎖状にグリセリンが重合したものである。
【0015】
本発明において、成分(A)のポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸の炭素数は12~14であり、炭素数12~14の直鎖脂肪酸であることが好ましい。具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸等が挙げられる。
【0016】
本発明の成分(A)のポリグリセリン脂肪酸エステルは、通常化粧料や皮膚外用剤に用いられるものであれば特に限定されない。具体的には、モノラウリン酸ポリグリセリル-10、モノラウリン酸ポリグリセリル-5、モノラウリン酸ポリグリセリル-3、モノラウリン酸ポリグリセリル-2、モノミリスチン酸ポリグリセリル-10、モノミリスチン酸ポリグリセリル-5、モノミリスチン酸ポリグリセリル-3、モノミリスチン酸ポリグリセリル-2等が挙げられる。本発明においては、透明性や可溶化能の観点から、モノラウリン酸ポリグリセリル-10及びモノミリスチン酸ポリグリセリル-10から選択される1種以上が好ましい。
【0017】
また、本発明の成分(A)のHLB値は、透明性や可溶化能の観点から、12.0~20.0が好ましく、14.0~18.0がより好ましい。
【0018】
ここで、本発明におけるHLB(Hydphile-Lipophile Balance)値とは、親水性-親油性のバランスを示す指標であり、小田・寺村らによる下記(式1)で計算されるものである。
HLB値=「無機性値(IV)/有機性値(OV)」×10・・・(式1)
(甲田善生著、「有機概念図-基礎と応用-」、11~17頁、三共出版、1984年発行参照)
【0019】
本発明において、成分(A)の含有量は、透明性等の観点から、下限として0.005質量%(以下、単に「%」と略す)以上が好ましく、0.01%以上がより好ましく、0.015%以上がさらに好ましい。また、後肌のべたつきのなさ等の観点から、上限として0.5%以下が好ましく、0.3%以下がより好ましく、0.2%以下がさらに好ましい。
【0020】
本発明において、成分(A)の含有量は、0.005~0.5%が好ましく、0.01~0.5%がより好ましく、0.015~0.3%がさらに好ましく、0.015~0.2%がさらにより好ましい。この範囲とすることで、可溶化能に優れ、透明性や後肌のべたつきのなさにより優れるため、より好ましい。
【0021】
<成分(B):ポリグリセリンと炭素数18以上の脂肪酸から選択される脂肪酸とをモノエステル化したポリグリセリン脂肪酸エステル>
本発明に用いられる成分(B)のポリグリセリン脂肪酸エステルは、ポリグリセリンと炭素数18以上の脂肪酸から選択される脂肪酸とをモノエステル化したものである。
【0022】
本発明において、成分(B)のポリグリセリン脂肪酸エステルを構成するポリグリセリンの平均重合度は、透明性や可溶化能の観点から、5~20が好ましく、6~15がより好ましく、8~12がさらに好ましく、8~10がさらにより好ましい。また、このポリグリセリンは、重合して環を形成していても良いが、好ましくは、鎖状にグリセリンが重合したものである。
【0023】
本発明において、成分(B)のポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸の炭素数は18以上であり、具体的には、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸、エイコサン酸等が挙げられる。本発明においては、透明性や可溶化能の観点から、炭素数18以上の分岐脂肪酸又は不飽和脂肪酸から選択される脂肪酸であることが好ましく、イソステアリン酸及びオレイン酸から選択される1種以上の脂肪酸であることがより好ましい。なお、成分(B)のポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸の炭素数の上限は、特に限定されるものではないが、炭素数22以下であることが好ましい。
【0024】
本発明の成分(B)のポリグリセリン脂肪酸エステルは、通常化粧料や皮膚外用剤に用いられるものであれば特に限定されない。具体的には、モノステアリン酸ポリグリセリル-10、モノステアリン酸ポリグリセリル-8、モノステアリン酸ポリグリセリル-6、モノステアリン酸ポリグリセリル-5、モノステアリン酸ポリグリセリル-4、モノステアリン酸ポリグリセリル-3、モノステアリン酸ポリグリセリル-2、モノイソステアリン酸ポリグリセリル-10、モノイソステアリン酸ポリグリセリル-6、モノイソステアリン酸ポリグリセリル-5、モノイソステアリン酸ポリグリセリル-4、モノイソステアリン酸ポリグリセリル-3、モノイソステアリン酸ポリグリセリル-2、モノオレイン酸ポリグリセリル-10、モノオレイン酸ポリグリセリル-8、モノオレイン酸ポリグリセリル-6、モノオレイン酸ポリグリセリル-5、モノオレイン酸ポリグリセリル-4、モノオレイン酸ポリグリセリル-3、モノオレイン酸ポリグリセリル-2、モノベヘン酸ポリグリセリル-6、モノベヘン酸ポリグリセリル-3等が挙げられる。本発明においては、透明性や可溶化能の観点から、モノステアリン酸ポリグリセリル-10、モノステアリン酸ポリグリセリル-8、モノステアリン酸ポリグリセリル-6、モノイソステアリン酸ポリグリセリル-10、モノイソステアリン酸ポリグリセリル-6、モノオレイン酸ポリグリセリル-10、モノオレイン酸ポリグリセリル-8、モノオレイン酸ポリグリセリル-6から選択される1種又は2種以上が好ましく、モノステアリン酸ポリグリセリル-10、モノステアリン酸ポリグリセリル-8、モノイソステアリン酸ポリグリセリル-10、モノオレイン酸ポリグリセリル-10、モノオレイン酸ポリグリセリル-8から選択される1種又は2種以上がより好ましく、モノステアリン酸ポリグリセリル-10、モノイソステアリン酸ポリグリセリル-10、モノオレイン酸ポリグリセリル-10から選択される1種又は2種以上がさらに好ましく、モノイソステアリン酸ポリグリセリル-10及びモノオレイン酸ポリグリセリル-10から選択される1種以上がさらにより好ましい。
【0025】
また、本発明の成分(B)のHLB値は、透明性や可溶化能の観点から、10.0~18.0が好ましく、12.0~16.0がより好ましい。
【0026】
本発明において、成分(B)の含有量は、透明性等の観点から、下限として0.001%以上が好ましく、0.002%以上がより好ましく、0.003%以上がさらに好ましく、0.005%以上がさらにより好ましい。また、後肌のべたつきのなさ等の観点から、上限として0.5%以下が好ましく、0.3%以下がより好ましく、0.2%以下がさらに好ましい。
【0027】
本発明において、成分(B)の含有量は、0.001~0.5%が好ましく、0.002~0.5%がより好ましく、0.003~0.3%がさらに好ましく、0.005~0.2%がさらにより好ましい。この範囲とすることで、可溶化能に優れ、透明性や後肌のべたつきのなさにより優れるため、より好ましい。
【0028】
本発明においては、可溶化能を向上させ少量の界面活性剤でも透明性に優れる可溶化組成物にするために、界面活性剤のHLBバランスが重要である。本発明において、成分(A)及び成分(B)の加重平均HLBは、下限として14.0以上であり、15.0以上が好ましく、16.0以上がより好ましい。また、上限として17.5以下であり、17.1以下が好ましく、17.0以下がより好ましい。この範囲とすることで、可溶化能に優れ、透明性や後肌のべたつきのなさにより優れるため、より好ましい。
【0029】
本発明において、成分(A)及び成分(B)の加重平均HLBは、14.0~17.5であり、15.0~17.1が好ましく、16.0~17.0がより好ましい。この範囲とすることで、可溶化能に優れ、透明性や後肌のべたつきのなさにより優れるため、より好ましい。
【0030】
本発明において、成分(A)及び成分(B)の合計含有量(A)+(B)は、透明性等の観点から、下限として0.01%以上であり、0.015%以上が好ましく、0.02%以上がより好ましく、0.025%以上がさらに好ましい。また、後肌のべたつきのなさ等の観点から、上限として0.55%以下であり、0.5%以下が好ましく、0.4%以下がより好ましく、0.3%以下がさらに好ましい。
【0031】
本発明において、成分(A)及び成分(B)の合計含有量(A)+(B)は、0.01~0.55%であり、0.015~0.5%が好ましく、0.02~0.4%がより好ましく、0.025~0.3%がさらに好ましい。この範囲とすることで、可溶化能に優れ、透明性や後肌のべたつきのなさにより優れるため、より好ましい。
【0032】
本発明において、成分(B)に対する成分(A)の含有質量割合(A)/(B)は、下限として0.04以上であり、0.08以上が好ましく、0.1以上がより好ましい。また、上限として100以下であり、60以下が好ましく、30以下がより好ましく、15以下がさらに好ましく、8以下がさらにより好ましい。この範囲とすることで、可溶化能に優れ、透明性や後肌のべたつきのなさにより優れるため、より好ましい。
【0033】
本発明において、成分(B)に対する成分(A)の含有質量割合(A)/(B)は、0.04~100であり、0.08~60が好ましく、0.1~30がより好ましく、0.1~15がさらに好ましく、0.1~8がさらにより好ましい。この範囲とすることで、可溶化能に優れ、透明性や後肌のべたつきのなさにより優れるため、より好ましい。
【0034】
<成分(C):油性成分(但し、成分(D)を除く)>
本発明に用いられる成分(C)は、25℃で液状のエステル油(成分(D))を除く油性成分である。本発明において油性成分は、通常油性成分として用いられているものであればよく、特に限定されるものではないが、具体的に例示するならば、ビタミンA油、ビタミンAパルミテート、ビタミンAアセテート、リボフラビン、ビタミンCジパルミテート、エルゴカルシフェロール、ビタミンE、ビタミンEアセテート、ビタミンEニコチネート等の油溶性ビタミン類、オリーブ油、ホホバ油、シソ油、ブドウ種子油、つばき油、ユーカリ油等の植物油ならびにその他植物の油溶性抽出エキス、ベータカロチン、アスタキサンチン、コレステロール、フィトステロール、セラミド、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、グアイアズレン、ニコチン酸ベンジル、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソール等、およびその他の、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類、香料等が挙げられる。中でも、油溶性ビタミン類、アスタキサンチン、コレステロール、フィトステロール、セラミド等の薬効を有する成分や香料が好ましく、香料がより好ましい。
【0035】
前記香料としては、通常、化粧料や皮膚外用剤に用いられるものであれば特に限定されず、例えば、天然香料、合成香料、又はこれらを組み合わせた調合香料等が挙げられ、目的に応じてこれらの1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。
【0036】
本発明に用いられる成分(C)の香料としては、引火点が30~170℃であることが好ましく、40~160℃であることがより好ましく、50~150℃であることがさらに好ましく、60~150℃であることがさらにより好ましい。
【0037】
本発明において、成分(C)の香料としては、例えば、シトロネロール(Citronellol)(引火点:102℃)、ベンジルベンゾエート(Benzyl benzoate)(引火点:148℃)、リモネン(Limonene)(引火点:48℃)、α-ピネン(α-Pinene)(引火点:33℃)、β-ピネン(β-Pinene)(引火点:36℃)、リナロール(Linalool))(引火点:75℃)、ゲラニオール(Geraniol)(引火点:76℃)、ヒドロキシシトロネラール(Hydroxycitronellal)(引火点:104℃)、ベンズアルデヒド(Benzaldehyde)(引火点:62℃)、α-ターピネオール(α-Terpineol)(引火点:101℃)、リナリルアセテート(Linalyl Acetate)(引火点:85℃)、オイゲノール(Eugenol)(引火点:127℃)、クマリン(Coumarin)(引火点:150℃)、バニリン(Vanillin)(引火点:153℃)、メチルアンスラニレート(Methylanthranilate)(引火点:138℃)、シンナミルアルコール(Cinnamyl Alcohol)(引火点:126℃)、ヘリオトロピン(Heliotropine)(引火点:131℃)、γ-ノナラクトン(γ-Nonalactone)(引火点:136℃)、インドール(Indole)(引火点:121℃)、ジヒドロジャスモン酸メチル(Methyl Dihydrojasmonate)(引火点:156℃)、アンブレットリド(Ambrettolide)(引火点:97℃)、酢酸ベンジル(Benzyl Acetate)(引火点:95℃)、酢酸ゲラニル(Geranyl Acetate)(引火点:104℃)、シス-3-ヘキセノール(Cis-3-Hexenol)(引火点:54℃)等が挙げられる。
【0038】
本発明において、成分(C)の含有量は、下限として0.001%以上が好ましく、0.01%以上がより好ましく、0.05%以上がさらに好ましく、0.1%以上がさらにより好ましい。また、上限として1%以下が好ましく、0.5%以下がより好ましく、0.3%以下がさらに好ましい。
【0039】
本発明において、成分(C)の含有量は、0.001~1%が好ましく、0.01~0.5%がより好ましく、0.05~0.5%がさらに好ましく、0.1~0.3%がさらにより好ましい。この範囲とすることで、可溶化能に優れ、透明性や後肌のべたつきのなさにより優れるためより好ましい
【0040】
<成分(D):25℃で液状のエステル油>
本発明に用いられる成分(D)は、25℃で液状のエステル油であり、ここで液状とは25℃において流動性を示すものである。
通常、可溶化される油性成分の含有量が多いほど、界面活性剤などの可溶化剤が油性成分を抱えきれなくなり、可溶化は不安定化する。しかしながら、本発明の可溶化組成物によれば、成分(D)を含有することで、可溶化剤の可溶化能が向上し、少量の界面活性剤でも透明性に優れる可溶化組成物を提供することができる。
【0041】
成分(D)の25℃で液状のエステル油(以下、単にエステル油とする場合は、25℃で液状のエステル油を指す)としては、通常、化粧料や皮膚外用剤に用いられるものであれば特に限定されるものではないが、直鎖または分岐鎖の脂肪酸と、直鎖または分岐鎖の1価または多価アルコールからなるエステルが挙げられる。25℃で液状のエステル油としては、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトライソステアリン酸ジグリセリル、デカイソステアリン酸ポリグリセリル、イソノナン酸イソトリデシル、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリトリット、テトライソステアリン酸ペンタエリトリット、2-エチルヘキサン酸セチル、オレイン酸オクチルドデシル、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル、ジカプリン酸プロピレングリコール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ステアリン酸イソセチル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コハク酸ジ2-エチルヘキシル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、サリチル酸エチルヘキシル等が挙げられる。
【0042】
本発明において、エステル油としては、透明性や可溶化能の観点から、エステル油の分子量は300以上であることが好ましく、400以上であることがより好ましい。具体的には、2-エチルヘキサン酸セチル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトライソステアリン酸ジグリセリル、デカイソステアリン酸ポリグリセリル、イソノナン酸イソトリデシル、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリトリット、テトライソステアリン酸ペンタエリトリット、2-エチルヘキサン酸セチルなどが挙げられ、2-エチルヘキサン酸セチル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルからなる群から選択される1種又は2種以上であることが好ましく、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル及び/又はトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルであることがより好ましく、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルであることがさらに好ましい。なお、エステル油の分子量の上限は、特に限定されるものではないが、通常1500以下が好ましく、1000以下がより好ましく、800以下がさらに好ましく、600以下がさらにより好ましい。
【0043】
本発明において、成分(D)の含有量は、透明性や可溶化能の観点から、下限として0.001%以上が好ましく、0.005%以上がより好ましく、0.01%以上がさらにより好ましい。また、透明性や後肌のべたつきのなさやの観点から、上限として0.5%以下が好ましく、0.1%以下がより好ましく、0.05%以下がさらに好ましい。
【0044】
本発明において、成分(D)の含有量は、0.001~0.5%が好ましく、0.005~0.1%がより好ましく、0.01~0.05%がさらに好ましい。この範囲とすることで、可溶化能に優れ、透明性やべたつきのなさにより優れるためより好ましい
【0045】
本発明において、前記成分(C)及び前記成分(D)を適宜含有することで効果が得られるものではあるものの、前記成分(C)と前記成分(D)の含有質量割合を特定することにより、透明性や後肌のべたつきのなさにより優れるため、より好ましい。このような成分(D)に対する成分(C)の含有質量割合(C)/(D)は、下限として、1以上が好ましく、3以上がより好ましく、5以上がさらに好ましい。また、上限として、100以下が好ましく、50以下がより好ましく、20以下がさらに好ましい。また、含有質量割合(C)/(D)は、1~100が好ましく、3~50がより好ましく、5~20がさらに好ましい。この範囲とすることで、可溶化能に優れ、透明性やべたつきのなさにより優れるためより好ましい。
【0046】
本発明において、前記成分(A)~(D)を適宜含有することで効果が得られるものではあるものの、可溶化剤である前記成分(A)及び(B)と、その対象となる前記成分(C)及び(D)の含有質量割合を特定することにより、透明性や後肌のべたつきのなさにより優れるため、より好ましい。このような成分(A)~(D)の含有質量割合[(A)+(B)]/[(C)+(D)]は、下限として、0.1以上が好ましく、0.15以上がより好ましく、0.2以上がさらに好ましい。また、上限として、5以下が好ましく、4以下がより好ましい。また、含有質量割合[(A)+(B)]/[(C)+(D)]は、0.1~5が好ましく、0.15~5がより好ましく、0.2~4がさらに好ましい。この範囲とすることで、可溶化能に優れ、透明性やべたつきのなさにより優れるためより好ましい。
【0047】
<成分(E):水>
本発明に用いられる成分(E)水は、化粧料等に一般に用いられるものであれば、特に限定されないが、例えば、精製水、温泉水、イオン交換水、深層水、水道水、或いはローズ水やラベンダー水等の植物の水蒸気蒸留水等が挙げられ、必要に応じて1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。
【0048】
本発明において成分(E)の含有量は、特に限定されるものではないが、下限として、70%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。上限として、99.9%以下が好ましく、99%以下がより好ましく、95%以下がより好ましい。また、成分(E)の含有量は、70~99.9%が好ましく、80~99%がより好しく、80~95%がさらに好ましい。この範囲とすることで、可溶化能に優れ、透明性やべたつきのなさにより優れるためより好ましい。
【0049】
また、本発明の可溶化組成物のpHは、特に限定されるものではないが、25℃のpHが4.0~8.0の範囲内であることが好ましい。
【0050】
本発明の可溶化組成物には、上記した必須成分の他に、他の添加剤を添加してもよい。他の添加剤としては、例えば、成分(A)及び成分(B)以外の界面活性剤、高級アルコール、水溶性高分子、水性成分、防腐剤、抗菌剤、抗酸化剤、pH調整剤、粉体、清涼剤、美容成分等を本発明の効果を損なわない範囲で適宜含有することができる。
【0051】
水性成分としては、水に可溶な成分であれば何れでもよく、例えば、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、ソルビトール、マルチトール、グルコースなどの糖アルコール類、エタノール等の低級アルコール類、ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル(3BO)(8EO)(5PO)、ポリオキシプロピレン(9)ジグリセリル等のグリセリン誘導体類等が挙げられる。
本発明においては、界面活性剤の溶解性に優れるという観点から、多価アルコールをさらに含有することが好ましい。多価アルコールとしては、通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されるものではないが、グリセリン、ジグリセリン、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコールから選択される1種又は2種以上が好ましい。
本発明において、多価アルコールの含有量は、1~20%が好ましく、1~10%がより好ましい。この範囲とすることで、可溶化能に優れ、透明性や後肌のべたつきのなさにより優れるためより好ましい。
【0052】
水溶性高分子としては、カラギーナン、キサンタンガム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール,ポリビニルピロリドン、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)共重合体、(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマーなどが挙げられる。
【0053】
さらに、本発明の外観は、美的価値の観点からも、透明の外観であることが好ましい。ここで、本発明において透明とは、波長600nmでの透過率が90%以上であることを指す。透過率は、光路長10mm×光路幅10mmの石英セル、またはプラスティックセルに試料を充填し、分光光度計にて測定される。セルの材質は、特に限定されず、ブランクでセル材質データを差し引くものである。
【0054】
本発明の可溶化組成物の性状としては、液状、ゲル状、半固形状、ムース状等の種々の形態にて実施することが可能である。
【0055】
本発明の可溶化組成物は、最終形態の製剤としてそのまま用いてもよいし、当該組成物を他の成分として混合して最終形態の製剤としてもよい。ここで、最終形態の製剤としては、化粧料や皮膚外用剤、医薬品等の製剤が挙げられ、具体的には、ヘアトニック、ヘアクリーム、シャンプー、リンス、コンディショナー、整髪料等の毛髪用の化粧料;化粧水、乳液、クリーム、美容液、リップクリーム、ハンドクリーム、日焼け止め料、洗顔料、クレンジング料等のスキンケア化粧料;ファンデーション、メイクアップ下地、ほほ紅、アイシャドウ、口紅、リップグロス等のメイクアップ化粧料;香水、練り香水、オードパルファム、オードトワレ、オーデコロン、ライトコロン、フレッシュコロン、パヒュームローション等の芳香化粧料;分散液、軟膏剤、ローション剤、エアゾール、貼付剤、パップ剤、リニメント剤等の皮膚外用剤;うがい薬、点鼻薬、感冒薬等の医薬品等を例示することができる。本発明においては、最終形態の製剤として、化粧料又は皮膚外用剤であることが好ましく、本発明の効果をより効果的に実感できるという観点から、スキンケア化粧料であることが好ましく、中でも化粧水がより好ましい。その使用方法は、手や指、コットンで使用する方法、シート材等に塗布又は含浸させて使用する方法、直接噴霧して使用する方法等が挙げられる。
【0056】
前記化粧料又は皮膚外用剤中に含まれる本発明の可溶化組成物の含有量は、特に限定されるものではないが、50~100%であることが好ましい。
【0057】
(製造方法)
本発明の可溶化組成物は、特に限定されるものではないが、以下の工程を含む方法にて製造することが好ましい。
I :成分(A)及び成分(B)、成分(D)を約80℃で溶解混合する
II :Iを室温まで放冷し、成分(C)を添加して混合攪拌する
III:成分(E)にBを添加し、混合攪拌する
【0058】
さらに、本発明の可溶化組成物は、可溶化能に優れることから、製造方法が簡便であり、量産に適しており、生産性の観点でも優れるものである。可溶化組成物は、通常、以下の工程で調製される。
a:可溶化剤及びその対象となる油性成分を含む油系区分及び水系区分を調製する工程
b:油系区分を水系区分に添加する工程
c:混合攪拌し均一にする工程
可溶化組成物の調製においては、前記工程b,cに要する時間が短いほど、量産に適しており、生産性に優れたものとなる。ここで、生産性を高める要素として可溶化能が挙げられる。具体的には、例えば、可溶化能が高い場合、前記工程bの油系区分の添加速度を速めることや、より短い攪拌時間で安定な可溶化組成物を調製することができる。さらには、同量の油性成分を可溶化するために必要な可溶化剤量を少なくすることができるため、添加時間を短縮することができる。本発明においては、より少量のポリグリセリン脂肪酸エステルにおいても透明性が高く、後肌のべたつきのない可溶化組成物とすることができ、さらには、可溶化能に優れるため、製造時の添加及び攪拌に要する時間を短縮することができ、より生産性に優れる。特に、製造ロットが大きい化粧料又は皮膚外用剤、中でも化粧水などのスキンケア化粧料において顕著に効果を発揮できるため、より好ましい。
【0059】
また、本発明は、以下の構成を採用することも可能である。
〈1〉
次の成分(A)~(E);
(A)ポリグリセリンと炭素数12~14の脂肪酸から選択される脂肪酸とをモノエステル化したポリグリセリン脂肪酸エステル
(B)ポリグリセリンと炭素数18以上の脂肪酸から選択される脂肪酸とをモノエステル化したポリグリセリン脂肪酸エステル
(C)油性成分(但し、成分(D)を除く)
(D)25℃で液状のエステル油
(E)水
を含有し、前記成分(A)及び前記成分(B)の加重平均HLBが、14.0~17.5であり、
前記成分(A)及び前記成分(B)の合計含有量(A)+(B)が、0.01~0.55質量%であり、
前記成分(B)に対する前記成分(A)の含有質量割合(A)/(B)が、0.04~100である、可溶化組成物である。
〈2〉
前記成分(A)~(D)の含有質量割合[(A)+(B)]/[(C)+(D)]が、0.1~5である、〈1〉に記載の可溶化組成物である。
〈3〉
前記成分(A)が、平均重合度が5~20のポリグリセリンと炭素数12~14の直鎖脂肪酸から選択される脂肪酸とをモノエステル化したポリグリセリン脂肪酸エステルである、〈1〉又は〈2〉に記載の可溶化組成物である。
〈4〉
前記成分(B)が、平均重合度が5~20のポリグリセリンと炭素数18以上の分岐脂肪酸又は不飽和脂肪酸から選択される脂肪酸とをモノエステル化したポリグリセリン脂肪酸エステルである、〈1〉~〈3〉のいずれか1つに記載の可溶化組成物である。
〈5〉
前記成分(D)に対する前記成分(C)の含有質量割合(C)/(D)が、1~100である、〈1〉~〈4〉のいずれか1つに記載の可溶化組成物である。
〈6〉
前記成分(C)が香料である、〈1〉~〈5〉のいずれか1つに記載の可溶化組成物である。
〈7〉
600nmの波長の光の透過率が90%以上である、〈1〉~〈6〉のいずれか1つに記載の可溶化組成物である。
〈8〉
〈1〉~〈7〉のいずれか1つに記載の可溶化組成物を含有する、化粧料又は皮膚外用剤である。
【実施例0060】
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。また、特記しない限り、各操作は、室温(25℃)で行われる。実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いる場合があるが、特に断りがない限り、「質量部」あるいは「質量%」を表す。
【0061】
<実施例1~27及び比較例1~8:可溶化組成物(化粧水)>
下記表1~3に示す処方の可溶化組成物(化粧水)を調製した。得られた可溶化組成物について、(a)透明性、(b)後肌のべたつきのなさを下記の方法により評価判定し、結果も併せて表1~3に示す。
【0062】
【0063】
【0064】
【表3】
注1:サンソフトQ-12Y-C(太陽化学社製)
注2:サンソフトQ-14Y-C(太陽化学社製)
注3:サンソフトQ-17Y-C(太陽化学社製)
注4:サンソフトQ-14Y-C(太陽化学社製)
注5:Sフェイス 10G-IS(阪本薬品工業社製)
【0065】
(製法)
A:成分(1)~(5)、(24)、(25)を約80℃に加熱し、均一に混合する。
B:Aを室温まで冷やし、成分(6)~(23)及び(26)を添加し均一に混合攪拌する。
C:成分(27)にBを添加し、混合攪拌することで可溶化組成物(化粧水)を得た。
【0066】
(評価方法1:(a)透明性)
透明性については、光路長10mm×光路幅10mmのガラスセルに各試料を充填し、空のセルを対照として分光光度計UV-2500PC(島津製作所社製)で透過率を測定し、波長600nmの光の透過率を下記5段階判定基準により評価判定した。
[5段階判定基準]
(判定) : (透過率)
A(優) : 98%以上
B(良) : 95%以上98%未満
C(可) : 90%以上95%未満
D(やや不可): 70%以上90%未満
E(不可) : 70%未満
【0067】
(評価方法2:(b)後肌のべたつきのなさ)
後肌のべたつきのなさについては、化粧品評価専門パネル20名による使用テストを行い、各試料1.5gを顔全体になじませた後、パネル各人が後肌のべたつきのなさに関して、下記絶対評価にて4段階に評価し評点をつけ、各試料のパネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記3段階判定基準により判定した。
[4絶対評価基準]
(評点):(評価)
4 :後肌のべたつきを感じない
3 :後肌のべたつきをほとんど感じない
2 :後肌のべたつきをやや感じる
1 :後肌のべたつきを感じる
[3段階判定基準]
(判定) : (評点の平均点)
◎(優) : 3.2点以上
○(良) : 2.4点以上3.2点未満
×(不可) : 2.4点未満
【0068】
表1~3の結果から明らかな如く、本発明の実施例1~27の可溶化組成物(化粧水)は、比較例1~8の可溶化組成物(化粧水)に比べ、透明性及び後肌のべたつきのなさに優れていた。
【0069】
一方で、成分(A)又は成分(B)を含有しない比較例1及び2では、透明性において満足のいくものが得られなかった。
成分(A)及び前記成分(B)の合計含有量(A)+(B)が0.55%を超え、成分(B)に対する前記成分(A)の含有質量割合(A)/(B)が100を超える比較例3では、後肌のべたつきのなさにおいて満足のいくものが得られなかった。
成分(A)及び前記成分(B)の合計含有量(A)+(B)が0.01%未満である比較例4では、透明性において満足のいくものが得られなかった。
成分(A)及び前記成分(B)の合計含有量(A)+(B)が0.55%を超え、成分(B)に対する前記成分(A)の含有質量割合(A)/(B)が0.04未満である比較例5では、後肌のべたつきのなさにおいて満足のいくものが得られなかった。
成分(A)及び成分(B)の代わりに、イソステアリン酸PEG-50水添ヒマシ油を用いた比較例6では、透明性において満足のいくものが得られなかった。
成分(D)を含有しない比較例7及び成分(D)の代わりに25℃で液状の炭化水素油である流動パラフィンを用いた比較例8では、透明性において満足のいくものが得られなかった。
【0070】
<実施例28~31:可溶化組成物(化粧水)>
さらに、本発明の可溶化組成物の可溶化能を評価した。実施例3及び実施例8の可溶化組成物について、下記<可溶化能の評価方法>に従って評価し、その結果も併せて表4に示す。
【0071】
【0072】
(製法)
A:成分(1)、(2)及び(4)を約80℃に加熱し、均一に混合する。
B:Aを室温まで冷やし、成分(3)及び(5)を添加し均一に混合攪拌する。
C:成分(6)にBを添加し均一に混合攪拌することで、可溶化組成物(化粧水)を得た。
なお、成分(1)~(5)をX区分、成分(6)をY区分とする。
【0073】
(可溶化能の評価方法)
可溶化能は、X区分の添加速度及び添加後の攪拌時間を変更した場合の透明性を評価した。可溶化組成物は、前述したように油系区分(X区分)を水系区分(Y区分)に添加する時間(添加速度)及び混合攪拌に要する時間が短いほど、量産に適しており、生産性に優れたものとなる一方で、添加時間が短い(添加速度が速い)場合や撹拌時間が短い場合は、可溶化が不安定化する懸念がある。従って、可溶化能については、X区分の添加速度が0.1g/sと1g/sの場合、及び添加後の攪拌時間が1分間と5分間の場合の可溶化組成物の透明性を、(評価方法1:(a)透明性)をもとに判定した。
【0074】
表4の結果から明らかな如く、本発明の実施例28~31の可溶化組成物は、X区分の添加時間が短い(添加速度が速い)場合や撹拌時間が短い場合でも、透明性に優れるものであった。従って、本発明の可溶化組成物は可溶化能に優れ、量産に適しており、生産性に優れたものであった。
【0075】
<処方例1~10:化粧水>
下記表5に示す処方の化粧水を以下の製法で調製した。
【0076】
【0077】
(製法)
A:成分(1)~(3)、(6)、(7)を約80℃に加熱し、均一に混合する。
B:Aを室温まで冷やし、成分(4)及び(5)を添加し均一に混合攪拌する。
C:成分(8)~(15)にBを添加し、混合攪拌することで化粧水を得た。
【0078】
以上のように得られた処方例1~10の化粧水は、透明性及び後肌のべたつきなさに優れるものであった。さらに、可溶化能に優れ、生産性にも優れるものであった。