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特開2024-137861電動式車両のためのパワーエレクトロニクスモジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137861
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】電動式車両のためのパワーエレクトロニクスモジュール
(51)【国際特許分類】
   B60L 3/00 20190101AFI20240927BHJP
   F01P 11/04 20060101ALI20240927BHJP
   F01P 3/14 20060101ALI20240927BHJP
   F01P 3/20 20060101ALI20240927BHJP
   F01P 5/10 20060101ALI20240927BHJP
   B62J 45/00 20200101ALI20240927BHJP
   B62J 43/16 20200101ALI20240927BHJP
   B62J 41/00 20200101ALI20240927BHJP
【FI】
B60L3/00 J
F01P11/04 E
F01P3/14 Z
F01P3/20 A
F01P5/10 C
B62J45/00
B62J43/16
B62J41/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024044132
(22)【出願日】2024-03-19
(31)【優先権主張番号】18/189,465
(32)【優先日】2023-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】523044769
【氏名又は名称】ライブワイヤー イーブイ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】ライティンガー サミュエル ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ハンドリー クリスティアン
【テーマコード(参考)】
5H125
【Fターム(参考)】
5H125AA01
5H125AB03
5H125AC12
5H125AC24
5H125CD06
5H125FF22
(57)【要約】
【課題】電動式車両のためのパワーエレクトロニクスモジュールを提供する。
【解決手段】 電動式車両のためのパワーエレクトロニクスモジュールは、ハウジングと、ハウジングの第1の側に複数の電子部品を備えた回路基板を含む充電器回路と、を含む。複数の電子部品を備えた回路基板を含むモータ制御器回路が、ハウジングの第2の側に設けられる。冷却プレートが、ハウジング内に設けられ、冷却プレートの第1の側にあるモータ制御器回路のインバータと、冷却プレートの第1の側とは反対側の第2の側にある充電器回路の複数の電子部品との間に挟まれる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動式車両のためのパワーエレクトロニクスモジュールであって、当該パワーエレクトロニクスモジュールは、
ハウジングと、
該ハウジングの第1の側に複数の電子部品を備えた回路基板を含む充電器回路であって、前記電動式車両の充電ポートに接続するように構成されたAC入力と、前記電動式車両の充電式バッテリに接続するように構成されたDC出力とを含む充電器回路と、
前記ハウジングの第2の側に複数の電子部品を備えた回路基板を含むモータ制御器回路であって、前記充電式バッテリに接続するように構成されたDC入力、インバータ、及び前記電動式車両の電動走行モータに接続するように構成されたAC出力を含むモータ制御器回路と、
前記ハウジング内に設けられた冷却プレートであって、該冷却プレートの第1の側にある前記モータ制御器回路の前記インバータと、前記冷却プレートの前記第1の側とは反対側の第2の側にある前記充電器回路の前記複数の電子部品との間に挟まれる冷却プレートと、を含む、
パワーエレクトロニクスモジュール。
【請求項2】
前記ハウジングは、該ハウジングの前記第1の側を前記ハウジングの前記第2の側から分割する隔壁を含むメインハウジングを含み、前記第1の側及び前記第2の側は、それぞれのカバーによって選択的に閉じられ、前記充電器回路のための第1の密閉空間と、前記モータ制御器回路のための第2の密閉空間とを形成する、請求項1に記載のパワーエレクトロニクスモジュール。
【請求項3】
前記隔壁と前記冷却プレートとが協働して液体クーラントのための冷却チャネルを形成し、該冷却チャネルは前記モータ制御器回路の前記インバータに沿って位置付けされた部分を有しており、前記冷却チャネルは前記充電器回路の前記複数の電子部品に沿って位置付けされた別の部分を有する、請求項2に記載のパワーエレクトロニクスモジュール。
【請求項4】
前記隔壁は、前記インバータが前記冷却チャネルに直接露出する開口部を有する、請求項3に記載のパワーエレクトロニクスモジュール。
【請求項5】
前記ハウジングの入口にクーラントを供給するように構成されたラジエータをさらに含み、前記インバータに沿って位置付けされた前記冷却チャネルの前記部分は、前記充電器回路の前記複数の電子部品に沿って位置付けされた前記部分よりも前記入口に近い、請求項3に記載のパワーエレクトロニクスモジュール。
【請求項6】
前記ハウジングは、ラジエータから前記冷却チャネルにクーラントを流すように構成された第1のクーラント入口と、前記冷却チャネルから前記ハウジングの外部の外部冷却ループへクーラントを流すように構成された第1のクーラント出口とを含み、前記ハウジングは、前記外部冷却ループからクーラントを受け取るように構成された第2のクーラント入口と、クーラントを前記ラジエータに戻すように構成された第2のクーラント出口とをさらに含む、請求項3に記載のパワーエレクトロニクスモジュール。
【請求項7】
前記メインハウジングのみが、前記冷却プレートを含まずに、前記第2のクーラント入口と前記第2のクーラント出口との間に高温クーラント戻り通路を規定する、請求項6に記載のパワーエレクトロニクスモジュール。
【請求項8】
前記ハウジングは、前記冷却プレートに沿って液体クーラントのための冷却チャネルを含み、前記冷却プレートは、前記冷却チャネルを前記モータ制御器回路の前記回路基板に向けて延ばすランプ部分を含む、請求項1に記載のパワーエレクトロニクスモジュール。
【請求項9】
前記ハウジングは、前記冷却プレートに沿った液体クーラントのための冷却チャネルを含み、前記冷却プレートは、前記冷却プレートの充電器回路部分に沿って前記冷却チャネル内に延びる冷却フィンのアレイを含む、請求項1に記載のパワーエレクトロニクスモジュール。
【請求項10】
前記冷却プレートは、前記充電器回路の前記複数の電子部品を受け入れる複数の取り付け領域を含む、請求項9に記載のパワーエレクトロニクスモジュール。
【請求項11】
前記充電器回路の複数の電子部品が、変圧器及び充電器インダクタを含む、請求項10に記載のパワーエレクトロニクスモジュール。
【請求項12】
電動式車両であって、当該電動式車両は、
複数の再充電可能な電気化学セルを含むバッテリパックと、
前記複数の再充電可能な電気化学セルから蓄電エネルギーを受け取るように接続された電動モータであって、該電動モータの出力が前記車両の車輪を駆動するために接続される、電動モータと、
外部電源に接続するように構成された充電ポートと、
前記電動モータを駆動するためのインバータ、及び前記充電ポートから前記バッテリパックへの充電電力を管理するための充電電子機器を収容するパワーエレクトロニクスハウジングと、
該パワーエレクトロニクスハウジング内の冷却プレートによって少なくとも部分的に規定される冷却チャネルと、を含み、
該冷却チャネルは第1のクーラント入口と第1のクーラント出口との間に延びており、前記冷却チャネルは前記インバータから熱を引き出すために前記インバータに沿って位置付けされた第1の部分を有しており、前記冷却チャネルは、前記充電電子機器から熱を引き出すために前記充電電子機器に沿って位置付けされた第2の部分を有する、
電動式車両。
【請求項13】
前記バッテリパックは、前記複数の再充電可能な電気化学セルを取り囲むバッテリケースを含み、前記パワーエレクトロニクスハウジングは、前記冷却チャネルと流体連通するラジエータとともに、前記バッテリケースの斜めになった前面の前に位置付けされる、請求項12に記載の電動式車両。
【請求項14】
前記パワーエレクトロニクスハウジングの外側に、前記電動式車両は、前記電動モータを駆動するためのコントローラを含まず、前記充電ポートから前記バッテリパックへの充電電力を管理するためのコントローラも含まない、請求項13に記載の電動式車両。
【請求項15】
前記パワーエレクトロニクスハウジングは隔壁を含むメインハウジングを含み、前記隔壁は前記充電電子機器を含む前記ハウジングの第1の側を、前記インバータを含む前記ハウジングの第2の側から分離する、請求項12に記載の電動式車両。
【請求項16】
前記冷却プレートは、前記冷却チャネルを規定するために前記隔壁に固定されており、前記冷却チャネルは、前記インバータに沿って位置付けされた第1の部分を有しており、前記冷却チャネルは、前記充電電子機器に沿って位置付けされた第2の部分を有しており、前記第1の部分は、ラジエータの低温側に接続されてそのラジエータからクーラントを受け取る前記ハウジングのクーラント入口の近くに位置付けされる、請求項15に記載の電動式車両。
【請求項17】
前記冷却プレートは、前記充電電子機器に沿って前記冷却チャネルの前記第2の部分内に延びる冷却フィンのアレイを含み、前記冷却プレートは、前記充電電子機器の複数のそれぞれの構成要素を受け入れる複数の取り付け領域を含む、請求項16に記載の電動式車両。
【請求項18】
前記隔壁は、前記インバータが前記冷却チャネルに直接露出される開口部を有する、請求項15に記載の電動式車両。
【請求項19】
前記メインハウジングのみが、前記冷却プレートを含まずに、ラジエータの高温側に接続されてそのラジエータにクーラントを供給する前記ハウジングのクーラント出口まで延びる高温クーラント戻り通路を規定する、請求項15に記載の電動式車両。
【請求項20】
電動式車両であって、当該電動式車両は、
バッテリケースの内部セルキャビティ内に受容される複数の再充電可能な電気化学セルを含むバッテリパックと、
前記複数の再充電可能な電気化学セルから蓄電エネルギーを受け取るように接続される電動モータであって、該電動モータの出力が前記車両の車輪を駆動するために接続される、電動モータと、
前記バッテリパックとは別個のパワーエレクトロニクスモジュールであって、ラジエータの低温側から第1のクーラント入口を介して前記パワーエレクトロニクスモジュールのハウジングへ、前記第1のクーラント入口から第1の側にあるモータ制御電子機器と第1の側とは反対側の第2の側にあるバッテリ充電器電子機器との間に延びる冷却チャネルを通り、前記冷却チャネルから前記ハウジングの外部の第1のクーラント出口を介して、クーラントポンプ及び前記電動モータを含む外部ループへ、前記外部ループから第2のクーラント入口を介して前記ハウジング内に戻り、前記第2のクーラント入口から前記冷却チャネルからオフセットされた高温クーラント戻り通路を通って、第2のクーラント出口からオフセットした高温クーラント戻り通路を通って、前記ラジエータの高温側の第2のクーラント出口へ出る液体クーラント流路を規定するパワーエレクトロニクスモジュールと、を含む、
電動式車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、とりわけ二輪車を含む再充電可能な電動式車両に関する。このような車両は、車両の移動のために、車載バッテリパックに蓄えられたエネルギーによりパワーエレクトロニクスによって駆動される1つ又は複数の電動モータを有している。使用しないときは、充電器及び充電ポートを介して外部電源(例えば、ACグリッド電源等)にプラグを差し込むことで、バッテリパックを再充電することができる。
【発明の概要】
【0002】
一態様では、本発明は、電動式車両のためのパワーエレクトロニクスモジュールを提供し、パワーエレクトロニクスモジュールは、ハウジングと、ハウジングの第1の側に複数の電子部品を備えた回路基板を含む充電回路とを含む。充電器回路は、電動式車両の充電ポートに接続するように構成されたAC入力と、電動式車両の充電式バッテリに接続するように構成されたDC出力とを含む。複数の電子部品を備えた回路基板を含むモータ制御器回路が、ハウジングの第2の側に設けられる。モータ制御器回路は、充電式バッテリに接続するように構成されたDC入力、インバータ、及び電動式車両の電動走行モータ(electric traction motor)に接続するように構成されたAC出力を含む。冷却プレートがハウジング内に設けられ、冷却プレートは、冷却プレートの第1の側にあるモータ制御器回路のインバータと、冷却プレートの第1の側とは反対側の第2の側にある充電器回路の複数の電子部品との間に挟まれる。
【0003】
別の態様では、本発明は、複数の再充電可能な電気化学セルを含むバッテリパックを含む電動式車両を提供する。電動モータが、複数の再充電可能な電気化学セルから蓄電エネルギーを受け取るように接続されており、電動モータは、車両の車輪を駆動するために接続された出力を有する。電動式車両の充電ポートは、外部電源に接続するように構成される。パワーエレクトロニクスハウジングには、電動モータを駆動するためのインバータと、充電ポートからバッテリパックへの充電電力を管理するための充電電子機器とが収納される。冷却チャネルが、パワーエレクトロニクスハウジング内の冷却プレートによって少なくとも部分的に規定され、第1のクーラント入口と第1のクーラント出口との間に延びる。冷却チャネルは、インバータから熱を引き出すためにインバータに沿って位置付けされた第1の部分を有しており、冷却チャネルは、充電電子機器から熱を引き出すために充電電子機器に沿って位置付けされた第2の部分を有する。
【0004】
さらに別の態様では、本発明はバッテリパックを含む電動式車両を提供し、バッテリパックは、バッテリケースの内部セルキャビティ内に受容される複数の再充電可能な電気化学セルを含む。電動モータが、複数の再充電可能な電気化学セルから蓄積エネルギーを受け取るように接続されており、電動モータの出力が、車両の車輪を駆動するために接続される。バッテリパックとは別個のパワーエレクトロニクスモジュールが、ラジエータの低温側から第1のクーラント入口を介してパワーエレクトロニクスモジュールのハウジングへ、第1のクーラント入口から第1の側にあるモータ制御電子機器と第1の側とは反対側の第2の側にあるバッテリ充電器電子機器との間を延びる冷却チャネルを通り、冷却チャネルからハウジングの外部の第1のクーラント出口を介して、クーラントポンプ及び電動モータを含む外部ループへ、外部ループから第2のクーラント入口を介してハウジングに内に戻り、第2のクーラント入口から冷却チャネルからオフセットされた高温クーラント戻り通路を通って、ラジエータの高温側の第2のクーラント出口へ出る液体クーラント流路を規定する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本開示の一実施形態に係る二輪車の右側斜視図である。
図2図1の二輪車の左側斜視図である。
図3】カバーを取り外した状態で示される液冷パワーエレクトロニクスハウジングを含む、図1の二輪車の一部の斜視図である。
図4】カバーが所定の位置に配置され、電動走行モータに接続された液冷パワーエレクトロニクスハウジングの別の斜視図である。
図5】ラジエータ接続を示す、液冷パワーエレクトロニクスハウジングの上部の背面図である。
図6図5の線6-6に沿って切り取られたパワーエレクトロニクスハウジングの断面図である。
図7図6の線7-7に沿って切り取られたパワーエレクトロニクスハウジングの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明のあらゆる態様を詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、以下の説明に記載する、又は以下の図面に示す構成要素の構造及び配置の詳細に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施又は実行することができる。
【0007】
図1は、本開示の一実施形態に係る二輪車20の形態の電動式車両を示す。二輪車20は、前輪22及び後輪24(例えば、単一の軌道を形成するために単一の前輪22とこの前輪22と整列する単一の後輪24と)を含む。二輪車20は、従来のメインフレームを省略したフレーム構造を含む。フロントフォーク32が、前輪22を支持し、前輪22が路面に沿って回転できるようにする。フロントフォーク32は、前輪22の操向制御のためにフレームのヘッドチューブ(図示せず)に回転可能に結合される。ハンドルバー40はフロントフォーク32に結合され、ライダーがフロントフォーク32及び前輪22の向きを制御できるようにする。後部揺動アーム44が、後輪24をその中で回転できるように支持し、後部揺動アーム44は、後輪24及び揺動アーム44が一緒に枢動するサスペンション動作を可能にする。枢動支持に加えて、揺動アーム44は、ショックアブソーバユニット46(例えば、コイルスプリング及び油圧ダンパを含む)によって支持される。二輪車20は、少なくとも1つのシート48(例えば、オペレータ及びオプションで同乗者用のサドルシート)及び少なくとも1組のフットサポート50(例えば、横方向に延びるフットペグ)をさらに含む。
【0008】
図示されるように、二輪車20は、電動パワートレインによって駆動するように動作可能な電動式二輪車であり、電動パワートレインは、充電式エネルギー蓄積システム(「バッテリパック54」)と、バッテリパック54に電気的に接続された電動モータ58とを含み、バッテリパック54からの蓄電した電気エネルギーを回転運動エネルギーに変換して二輪車20を駆動する。バッテリパック54は、複数の再充電可能な電気化学セル65を受容する内部セルキャビティを規定する中空のバッテリケース60を含む(図3)。図示されるように、モータ58は、駆動スプロケット66(図4)及び後輪24に堅固に固定された従動スプロケット68(図2)の周りに巻き付けられたループの形態の無端(endless)駆動部材62(例えば、ベルト又はチェーン)を介して後輪24に動力を供給する。いくつかの構造では、二輪車20には、多段変速機が設けられず、またいかなるギアボックスも設けられない。これは、電動モータ58を、高トルク密度を有する高極数モータ(high pole count motor)として提供することによってさらに促進され得る。電動モータ58は、複数の締結継手110を介してバッテリケース60の一方の側(例えば、一般的にその底部に向けて)に固定することができ、その一部が図2に示される。モータ58は、モータと車両の従動輪との間のパワートレインと同様に、他の構成を有することができる。
【0009】
モータ58は、バッテリパック54のセル65からパワーエレクトロニクス(例えば、インバータを含む)を介して制御された方法で供給される電力で通電される。パワーエレクトロニクスは、ハウジング100内に設けることができる。パワーエレクトロニクスハウジング100は、図示した構造では、バッテリケース60とは別に設けられる。パワーエレクトロニクスハウジング100は、バッテリケース60の前向き側に沿って位置付けする(及び複数の締結継手110を介してそこに固定する)ことができる。バッテリパック54、電動モータ58、及びパワーエレクトロニクスハウジング100の間の電気接続は、周囲環境への露出を避けるために、1つ又は複数の内部通路を通じて確立することができる。パワーエレクトロニクスハウジング100は、図示されるように、バッテリケース60の前向き側の下端部に隣接して位置付けすることができる。パワーエレクトロニクスハウジング100は、とりわけ、インバータ、充電器、及びDC/DCコンバータの1つ又は任意の組合せを収容することができる。パワーエレクトロニクスハウジング100内の構成要素は、一般に、バッテリパック54とモータ58との間、またバッテリパック54と充電のために選択的に結合される外部(グリッド)電力(特に二輪車20の充電ポート118との接続を介して)との間の電力を制御するように動作可能なパワーエレクトロニクスコントローラを構成する。パワーエレクトロニクスハウジング100は、互いに結合した1つ又は複数の個別の部品によって提供され得る。
【0010】
パワーエレクトロニクスハウジング100は、複数の電子部品、つまりパワーエレクトロニクスモジュールを提供するハウジング及びその内容物を収容(enclose:封入)するパワーエレクトロニクスハウジングアセンブリを形成するための複数の部品を含むことができる。特に、パワーエレクトロニクスハウジングアセンブリは、メインハウジング100Aと、メインハウジング100Aに固定可能な1つ又は複数のカバー100B、100Cとを含む(図4)。図示されるように、メインハウジング100Aは、対向する二面が開口しており、外カバー100B及び内カバー100Cで構成される一対の対向するカバーと協働して内部空間を形成する。以下でさらに詳細に説明するように、パワーエレクトロニクスハウジング100は、モータ制御を提供する第1の回路基板134(例えば、図3のインバータパワーモジュール又は単に「インバータ」120を含む)と、充電器制御を提供する第2の回路基板136とを収容する。図3及び図6に示されるように、モータ制御器回路基板134及び充電器回路基板136は、互いにオフセットすることができる。いくつかの構造では、モータ制御器回路基板134及び充電器回路基板136は互いに平行である。モータ制御器回路基板134及び充電器回路基板136は、メインハウジング100Aの反対側に位置付けされる。モータ制御器回路基板134は、単一の回路基板であってもよく、又は2つ以上の基板であってもよく、基板と接続される電子部品との全体の組合せは、走行モータ58のためのモータ制御器回路を提供する。同様に、充電器回路基板136は、単一の回路基板であってもよく、又は2つ以上の基板であってもよく、基板と接続される電子部品との全体の組合せは、バッテリパック54のための充電回路を提供する。二輪車20は、モータ58を駆動するための追加のコントローラを含まず、パワーエレクトロニクスハウジング100の外部に追加の充電器コントローラも含まない。むしろ、モータ58を駆動し、バッテリパック54の充電を管理するためのコントローラは、完全にパワーエレクトロニクスハウジング100内に含まれる。
【0011】
図3に戻ると、インバータ120は、モータ制御器回路基板134上に設けられ、図3に概略的に示される電動モータ58の主電源接続部に接続するように構成される。インバータ120は、(例えば、ツイストグリップ(twist grip)等のオペレータのスロットルコントロールの要求に基づいて)制御された駆動電流をモータ58に供給するように動作可能な回路基板アセンブリ上の複数の構成要素で構成することができる。モータ58は、インバータ120からの三相AC供給に対応する3つの端子を含むことができる。そのため、インバータ120とモータ58との間の接続を確立するために、3つのACモータリード線128の形態のケーブルが設けられる。主電源接続部124及びACモータリード線128の接続端部は空間106内に位置する。モータ58が回生ブレーキ中に機械エネルギーを電気エネルギーに変換する条件下では、モータ58から生成される電力は、ACモータリード線128を介してインバータ120に送られる。
【0012】
バッテリパック54とパワーエレクトロニクスハウジング100との間の電気接続(DC)(セル65からインバータ120への電気エネルギー供給)は、バッテリパック54の主高電圧リード線154を、インバータDCリンクコンデンサ156を介してインバータ120に接続する一対のDC接続152(例えば、ケーブル、バスバー等)によって少なくとも部分的に行われる。充電のために、二輪車20は、外部充電器及び充電ケーブル(図示せず)と接続するための外向き充電ポート118を含む。二輪車20は、充電ポート118から、パワーエレクトロニクスハウジング100のAC充電入力162に接続する充電器接続ケーブル160を含む。AC充電入力162は、順番に、内部で充電回路及びその充電器回路基板136に接続され、充電電流をバッテリパック54に供給する。
【0013】
モータ制御器回路及び充電回路内の電子機器は、動作中に熱を発生する可能性がある。通常動作に適した温度を維持するために、パワーエレクトロニクスモジュールは液体冷却されており、液体クーラントの循環流によってモータ制御器回路と充電回路との両方から熱を引き出す(draw:奪う)。図示した構造のクーラント回路の詳細について、以下の説明で記載する。液体冷却回路の要素には、ハウジング100、クーラントの熱を環境に放射するためのフィン付きクーラントチャネルの露出領域を有するラジエータ166、及びクーラントポンプ168が含まれる。ラジエータ166及びポンプ168がハウジング100内にあるものとして図示していないが、それらラジエータ166及びポンプ168は、ハウジング100内の構成要素を液体冷却する能力を提供するため、パワーエレクトロニクスモジュールの一部とみなすことができる。図5及び図6に示されるように、ラジエータ166は、ブラケット及び/又は締結具を用いてハウジング100(例えば、その上端)に取り付けることができるが、ラジエータ166のための追加の取り付け点を別個に設けてもよい。ラジエータ166は、低温又は送り側166Aと高温又は戻り側166Bとを有しており、クーラントの流れはフィン付きクーラントチャネルを通って高温/戻り側166Bから低温/送り側166Aに導かれる。図1及び図2に示されるように、ラジエータ166は、対向走行風に曝されるように車両に設置される。
【0014】
パワーエレクトロニクスハウジング100、特にメインハウジング100Aは、ラジエータ166の低温/送り側166Aに接続され、充電回路とモータ制御器回路との両方の電気部品から熱を吸収できる低温クーラントを受け取る第1のクーラント入口170を含む。第1のクーラント入口170は、図示の実施形態又はその他の代替形態によれば、可撓性ホース174及び対応する取付具等の導管によってラジエータ166の低温/送り側166Aに接続される。第1のクーラント入口170は、クーラントをラジエータ166からハウジング100内に形成された冷却チャネル178に流すように構成される。冷却チャネル178は、図6及び図7の断面図に示される。クーラントチャネル178は、ハウジング100を通って一端(例えば、ラジエータ166に隣接する上端)から反対側の端(例えば、ラジエータ166から離れた下端)までほぼ長さ方向に延びる。ハウジング100の第2の端部には、戻り又は第2の入口186でハウジング100に戻る前に、冷却チャネル178からハウジング100の外部の外部冷却ループにクーラントを流すために、第1のクーラント出口182が設けられる。以下に説明するように、外部冷却ループは、ラジエータ166の高温/戻り側166Bに戻る前に、クーラントによって冷却される1つ又は複数の追加の構成要素を含むことができる。第2の入口186に戻されたクーラントは、ハウジング100の高温クーラント戻り通路190を通って第2のクーラント出口194に流れるように構成される。第2のクーラント出口194は、図示の実施形態又はその他の代替形態によれば、可撓性ホース198及び対応する取付具等の導管によってラジエータ166の高温/戻り側166Bに接続される。
【0015】
図示の構造では、外部冷却ループは、クーラントポンプ168及び電動モータ58を含む。ポンプ168は、図示の実施形態又はその他の代替形態によれば、可撓性ホース202及び対応する取付具等の導管によって第1のクーラント出口182に接続された入口を有する。ポンプ168の出口から、クーラントは、モータ58の冷却チャネル(例えば、内部冷却通路又は冷却ジャケット)に導かれる。ポンプ出口は、図示の実施形態又はその他の代替形態によれば、可撓性ホース206及び対応する取付具等の導管によってモータのクーラント入口に接続される。図示の実施形態又はその他の代替形態によれば、可撓性ホース210及び対応する取付具等の導管が、クーラントをモータ58のクーラント出口からハウジング100の戻り又は第2の入口186に戻すために設けられる。図示の構造においてポンプ168及びモータ58によって形成される外部冷却ループは、ラジエータの低温/送り側166Aから供給される最低温度のクーラントの供給に関して、ハウジング100内の冷却チャネル178の下流にある。こうして、モータ制御と充電との両方に関連するパワーエレクトロニクスが効果的に優先される(そして、これら2つの間では、モータ制御電子機器のインバータ120が優先され得る)。
【0016】
図6及び図7に示されるパワーエレクトロニクスハウジング100の内部を見ると、冷却チャネル178は、メインハウジング100Aの冷却プレート212及び隔壁216によって協働して形成される。メインハウジング100Aは、隔壁216によって、充電器回路の構成要素を収容する第1の側と、モータ制御器回路の構成要素を収容する第2の側とに分割される。冷却プレート212は、充電器回路の構成要素を備えた隔壁216の第1の側に配置される。図7に示されるように、冷却プレート212は、メインハウジング100Aの外周内に完全に位置する外周を有することができる。冷却プレート212は隔壁216に固定することができ、その固定は複数の締結具及び/又はシーラ(sealer)/ガスケットによって提供される。冷却チャネル178は、モータ制御器回路のインバータ120に沿って位置付けされた部分を有しており、冷却チャネル178は、充電器回路の複数の電子部品に沿って位置付けされた(例えば、第1のクーラント入口170からさらに離れた)別の部分を有する。実際に、隔壁216は、両側の間に開口部218を含むことができ、開口部218はインバータ120によって閉じられ、この局所領域において、冷却チャネル178が、冷却プレート212によって一方の側に形成され、インバータ120によって他方の側(例えば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)等のインバータスイッチが設けられるケーシング又はハウジング)に形成される。図7に示されるように、冷却プレート212のないメインハウジング100Aのみが、第2のクーラント入口186と第2のクーラント出口194との間に高温クーラント戻り通路190を規定する。
【0017】
動作中に、「低温クーラント」(クーラント回路内で最も温度が低いクーラント)は、ラジエータの低温側166Aを出て、第1のクーラント入口170に流入する。回路内のクーラントのこの及び全ての他の動きはポンプ168によって駆動される。第1のクーラント入口170からハウジング100に入ると、クーラントは冷却プレート212の傾斜面に遭遇し、この傾斜面は、クーラントを充電器側から離れてモータコントローラ側に向けて、特にインバータ120に向けて導くランプ(ramp)220を形成する。ランプ220の端部では、冷却チャネル178はインバータ120に沿って延びる。クーラントは、上述したように隔壁開口部218を通じてインバータ120に直接曝され得る。冷却チャネル178は、インバータ120を越えて、充電器回路の構成要素から熱を吸収するように構成された第2の部分に延びる。第2の部分では、冷却プレート212は、冷却チャネル178内に冷却フィン224のアレイを含む。図示されるように、冷却フィン224は、円形断面を有するピンとして提供される。冷却フィン224は、冷却チャネル178内に突き出て、冷却プレート212に沿ったクーラントの接触表面積を増大させる多くの異なる構造をとることができる。フィン224の反対側に、冷却プレート212は、充電器回路電子機器を受け入れるポケット等の1つ又は複数の取り付け領域を含むことができる。図示されるように、冷却プレート212は、充電器インダクタ230を受け入れる第1のポケット228、充電器磁気部品234を受け入れる第2のポケット232、及び変圧器238を受け入れる第3のポケット236を含む。充電器コンデンサ242は、冷却プレート212のフィン付き領域の外側(例えば、冷却プレート212がインバータ120に向けて傾斜している領域)に設けられる。
【0018】
本願の前述の説明及び図面から理解されるように、冷却チャネル178及び冷却プレート212は、冷却される電子機器の2つの異なるグループの間に挟まれる。冷却プレート212は、液体クーラントが流れる「湿った(wet)」側を1つだけ有する。これは、モータ制御を提供する第1の回路基板134に面する側であり、冷却チャネル178を規定するために協働する側でもある。充電器制御を提供する第2の回路基板136に面する冷却プレート212の反対側は、液体クーラントに曝されない「乾燥(dry)」側である。こうして、インバータ120は、液体クーラントへの直接的な熱伝達経路を通る強制対流によって冷却される。一方、冷却プレート212は、充電器電子機器のための中間ヒートシンクとして機能し、熱は充電器電子機器から冷却プレート212に伝達され、その後、冷却プレート212を介して冷却チャネル178内の液体クーラントと接触する表面に伝導される。いくつかの構造では、冷却プレート212はアルミニウム(例えば、本明細書に開示される特徴を含むように鋳造及び/又は機械加工によって形成された固体アルミニウム片)で形成される。
【0019】
本発明の様々な特徴及び利点は、特許請求の範囲に記載される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】