(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137872
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】発熱体および加熱収縮装置
(51)【国際特許分類】
H05B 6/10 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
H05B6/10 311
H05B6/10 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024044704
(22)【出願日】2024-03-21
(31)【優先権主張番号】P 2023047200
(32)【優先日】2023-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(71)【出願人】
【識別番号】592086684
【氏名又は名称】株式会社瀬田技研
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】米澤 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】内堀 義隆
【テーマコード(参考)】
3K059
【Fターム(参考)】
3K059AA08
3K059AB26
3K059AB28
3K059CD44
(57)【要約】
【課題】熱による発熱体の劣化を低減する。
【解決手段】
発熱体(4)は、第1発熱体(41)と、第1発熱体(41)に対して流体(F)の流れ方向(FD)の下流側に設置される第2発熱体(42)とを含み、流れ方向(FD)における第1発熱体(41)の第1長さ(L1)が、流れ方向(FD)における第2発熱体(42)の第2長さ(L2)よりも大きくなっている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が流れる流路に設置され、電磁誘導加熱可能な発熱体であって、
第1発熱体と、
前記第1発熱体に対して前記流体の流れ方向の下流側に設置される第2発熱体と、を含み、前記流れ方向における前記第1発熱体の長さが、該方向における前記第2発熱体の長さよりも大きい発熱体。
【請求項2】
前記第1及び第2発熱体の少なくとも一方は、前記流れ方向と直交する平面で切断した断面形状が井桁状である請求項1に記載の発熱体。
【請求項3】
前記第1及び第2発熱体の少なくとも一方は、複数の磁性体部材が組み合わされた構造であり、該複数の磁性体部材が接合された部分である接合部を含み、前記流れ方向における両端部のうちの片側に、前記接合部が存在しない非接合端部を含む請求項1または2に記載の発熱体。
【請求項4】
前記第1及び第2発熱体の各々は、前記非接合端部を含み、
前記第1発熱体は、前記流れ方向の下流側に前記非接合端部が位置する向きで設置され、
前記第2発熱体は、前記流れ方向の上流側に前記非接合端部が位置する向きで設置される請求項3に記載の発熱体。
【請求項5】
前記第1発熱体と前記第2発熱体との間に設置される第3発熱体をさらに含み、
前記流れ方向における前記第3発熱体の長さが、該方向における前記第1発熱体の長さ以下であり、且つ、該方向における前記第2発熱体の長さ以上である請求項1または2に記載の発熱体。
【請求項6】
物品の一部または全部を覆っているシュリンクフィルムを加熱収縮させるシュリンクフィルムの加熱収縮装置であって、
物品の搬送路を囲う加熱処理室と、
前記加熱処理室内を加熱するための流体を供給する流体供給手段を備え、
前記流体供給手段は、
流体が流れる流路に設置され、電磁誘導加熱可能な発熱体を備え、
前記発熱体は第1発熱体と、前記第1発熱体に対して前記流体の流れ方向の下流側に設置される第2発熱体と、を含み、
前記流れ方向における前記第1発熱体の長さが、該方向における前記第2発熱体の長さよりも大きい発熱体であることを特徴とする、加熱収縮装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁誘導加熱可能な発熱体および加熱収縮装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、流体が流れる流路に設置された発熱体を電磁誘導加熱で加熱し、該発熱体によって流体を加熱する電磁誘導加熱装置が知られている。この種の技術に関し、特許文献1には、薄肉部材で構成された発熱体構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の発熱体は、電磁誘導加熱時の熱により劣化し、発熱効率が低下する。このため、熱による劣化を低減し得る発熱体の開発が求められていた。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、熱による発熱体の劣化を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る発熱体は、流体が流れる流路に設置され、電磁誘導加熱可能な発熱体であって、第1発熱体と、前記第1発熱体に対して前記流体の流れ方向の下流側に設置される第2発熱体と、を含み、前記流れ方向における前記第1発熱体の長さが、該方向における前記第2発熱体の長さよりも大きい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、熱による発熱体の劣化を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態1に係る電磁誘導加熱装置の構成を概略的に示す側面概略図である。
【
図2】符号2001は、
図1に示される第1発熱体の側面図であり、符号2002は、符号2001に示される第1発熱体のP-P線矢視断面図である。
【
図3】
図2に示される第1発熱体の構成単位である磁性体部材を概略的に示す側面概略図である。
【
図4】符号4001は、
図1に示される第2発熱体の側面図であり、符号4002は、符号4001に示される第2発熱体のQ-Q線矢視断面図である。
【
図5】
図4に示される第2発熱体の構成単位である磁性体部材を概略的に示す側面概略図である。
【
図6】本発明の実施形態2に係る電磁誘導加熱装置の構成を概略的に示す側面概略図である。
【
図7】本発明の実施例で用いた各発熱体の概略構成及び温度分布を示す模式図である。
【
図8】本発明の他の実施例である発熱体を備えた加熱収縮装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、
図1~
図5に基づいて説明する。本実施形態では、本発明に係る発熱体を備える電磁誘導加熱装置について説明する。なお、以下の説明は本発明に係る発熱体の例示であり、本発明の技術的範囲は図示例に限定されるものではない。
【0010】
[電磁誘導加熱装置1の概要]
まず、
図1を参照して、本実施形態に係る電磁誘導加熱装置1の概要を説明する。
図1は、本実施形態に係る電磁誘導加熱装置1の構成を概略的に示す側面概略図である。電磁誘導加熱装置1は、気体または液体等の流体Fを電磁誘導加熱によって加熱する加熱装置である。電磁誘導加熱装置1は、例えば、流体Fの一例である飽和水蒸気F1を加熱して過熱水蒸気F2を生成するためのスーパーヒータとして用いられる。この場合、電磁誘導加熱装置1は、例えばシュリンクラベル(熱収縮性ラベル)を加熱して容器に密着させるシュリンクトンネル(図示省略)に接続され、該シュリンクトンネルへ過熱水蒸気F2を供給する。
【0011】
図1に示すように、電磁誘導加熱装置1は、流体Fが流れる流路21に設置され、電磁誘導加熱可能な発熱体4を備える。発熱体4は、第1発熱体41と、該第1発熱体41に対して流体Fの流れ方向FDの下流側に設置される第2発熱体42とを含む。この発熱体 4では、流れ方向FDにおける第1発熱体41の長さである第1長さL1が、流れ方向F Dにおける第2発熱体42の長さである第2長さL2よりも大きくなっている。これにより、後述するように、第1発熱体41と第2発熱体42との温度差が小さくなり、熱による発熱体4の劣化が低減され得る。
【0012】
[電磁誘導加熱装置1の構成]
次に、
図1を参照して、本実施形態に係る電磁誘導加熱装置1の構成を説明する。
図1に示すように、電磁誘導加熱装置1は、主な構成要素として、過熱用パイプ2と、コイル3と、発熱体4と、電力部5とを備える。
【0013】
(過熱用パイプ2)
過熱用パイプ2は、流体Fが流れる流路21を区画する管状部材である。過熱用パイプ2の外部には、その外周面2Aにコイル3が巻き付けられる。
図1に示すように、過熱用パイプ2の外周面2Aに断熱材6が巻かれ、この断熱材6を介してコイル3が外周面2Aに巻き付けられていてもよい。これにより、外周面2Aからの放熱が断熱材6によって低減され、流体Fの加熱効率が向上する。過熱用パイプ2の内部には、流体Fが流れる流路 21が形成される。流路21には、発熱体4が設置される。過熱用パイプ2は、コイル3による磁束が通過して流路21に磁界が形成されるように、非磁性体材料から構成される。非磁性体材料としては、例えば、セラミック等の無機質材料、FRP(繊維強化プラスチック)、フッ素樹脂等の樹脂材料、またはステンレス等の非磁性金属等が挙げられる。本実施形態では、過熱用パイプ2の形状は、円筒状である。ただし、過熱用パイプ2の形状は、特に限定されず、四角筒状または楕円筒状等であってもよい。
【0014】
(コイル3)
コイル3は、過熱用パイプ2の外周面2Aに巻き付けられる導電線である。コイル3は、例えば複数の金属線を撚り合わせたリッツ線等で構成される。コイル3は、電力部5に接続されており、通電により流路21に磁界を形成するようになっている。なお、コイル 3は、過熱用パイプ2に埋設されていてもよい。つまり、過熱用パイプ2の外周面2Aと内周面2Bとの間に埋め込まれていてもよい。これにより、コイル3と発熱体4との間隔が小さくなり、発熱体4の発熱効率を高めることができる。
【0015】
(発熱体4)
発熱体4は、磁性体材料から構成され、コイル3が形成する磁界により電磁誘導加熱される。発熱体4は、強磁性体であり、且つ、流体Fに直接接するため耐腐食性に優れることが好ましい。このため、磁性体材料として、例えばCr(クロム)を含むフェライト系ステンレス鋼(SUS430)等が好適に用いられる。ただし、SUS430以外の磁性体材料を使用しても構わない。発熱体4は、第1発熱体41及び第2発熱体42を含む。第2発熱体は、第1発熱体41に対して、流体Fの流れ方向FDの下流側に設置される。第1発熱体41及び第2発熱体42は、柱状であり、その中心軸Bが流体Fの流れ方向F Dに概ね沿うように流路21に設置される。第1発熱体41及び第2発熱体42は、その内部に流体Fを通過させる複数の通路413・423を有する(
図2及び
図4参照)。
【0016】
これらの第1発熱体41及び第2発熱体42は、中心軸Bの方向、すなわち流れ方向FDにおける長さが互いに異なっている。具体的には、流れ方向FDにおける第1発熱体41の第1長さL1が、流れ方向FDにおける第2発熱体42の第2長さL2よりも大きくなっている。つまり、第1長さL1及び第2長さL2は、第1長さL1>第2長さL2の条件を満たすように設定される。下記(1)及び(2)の条件を満たすように設定される。なお、発熱体4の詳細については後述する。
【0017】
また、流路21には、発熱体4の位置範囲を規定するための第1ストッパ71、第2ストッパ72及び第3ストッパ73が配置される。第1ストッパ71は、第1発熱体41の上流側に固定される。第1ストッパ71は、第1発熱体41の上流側への移動を制限する。また、第2ストッパ72は、第1発熱体41と第2発熱体42と間に固定される。第2ストッパ72は、第1発熱体41の下流側への移動を制限すると共に、第2発熱体42の上流側への移動を制限する。この第2ストッパ72は、第1発熱体41と第2発熱体42と間に隙間を設けるスペーサとしても機能する。さらに、第3ストッパ73は、第2発熱体42の下流側に固定される。第3ストッパ73は、第2発熱体42の下流側への移動を制限する。
【0018】
(電力部5)
電力部5は、高周波電流をコイル3へ通電する高周波電流発生器である。電力部5は、交流電源PSに接続され、交流電流を高周波電流へ変換して、コイル3へ通電する。高周波電流の通電によりコイル3に磁束が生じ、この磁束によって流路21に磁界が形成されることで発熱体4が加熱される。
【0019】
[発熱体4の詳細]
次に、
図1に加えて
図2~
図5をさらに参照して、電磁誘導加熱装置1が備える発熱体4の詳細を説明する。
【0020】
(第1発熱体41の構成)
先ず、
図2及び
図3を参照して、第1発熱体41の構成を説明する。
図2の符号2001は、
図1に示される第1発熱体41の側面図であり、
図2の符号2002は、
図2の符号2001に示されるP-P線矢視断面図である。
図3は、
図2に示される第1発熱体41の構成単位である磁性体部材411・412を概略的に示す側面概略図である。
【0021】
図2に示すように、第1発熱体41は、中心軸Bを有する略円柱状である。第1発熱体41は、中心軸Bが流体Fの流れ方向FDに概ね沿うように流路21に設置される。第1発熱体41は、中心軸Bに沿った寸法が第1長さL1であり、中心軸Bと直交する径方向における寸法が直径D1になっている。この直径D1は、円筒状の過熱用パイプ2の内径よりも若干小さくなっている。
【0022】
第1発熱体41は、複数の第1磁性体部材411と複数の第2磁性体部材412とを含む。第1磁性体部材411と第2磁性体部材412とは、互いに90度の角度を成して、格子状に組み合わされる。第1発熱体41は、中心軸B(流れ方向FD)と直交する平面で切断した断面形状が井桁状になっている。このため、例えば円筒管を組み合わせた従来の発熱体に比べて第1発熱体41の表面積、つまり流体Fに直接接する総面積を大きくすることが可能となり、第1磁性体部材411の発熱効率(流体Fの加熱効率)が向上する。これにより、第1発熱体41自体の温度を低く設定することが可能となり、熱による溶接部(接合部)Wの劣化等の発生を低減することができる。また、発熱体4による流体Fの加熱効率の向上に伴い、コイル3に通電する高周波電流を低下させることが可能となるため、省電力化を図ることができる。
【0023】
第1発熱体41は、その内部に、流体Fを通過させる複数の通路413を有する。通路413の各々は、第1磁性体部材411と第2磁性体部材412とによって区画された矩形状であり、中心軸Bと平行に延伸している。また、第1発熱体41は、井桁状の断面形状において、4つのコーナー部分Cの各々に90度の角度を成す2つの角部C1・C2が形成されるように、第1磁性体部材411と第2磁性体部材412とが組み合わされる。つまり、コーナー部分Cにおいて、第1磁性体部材411及び第2磁性体部材412が側へ突出しないように、第1磁性体部材411と第2磁性体部材412とが組み合わされる。
【0024】
図3に示すように、本実施形態では、第1発熱体41は、複数の第1磁性体部材411と複数の第2磁性体部材412とが溶接により接合された構造である。第1発熱体41は、第1磁性体部材411と第2磁性体部材412とが溶接された部分である溶接部Wを含む(
図2参照)。第1磁性体部材411及び第2磁性体部材412は、複数の切欠きNが形成された櫛歯状である。第1磁性体部材411と第2磁性体部材412とは、90度の角度を成し、互いの切欠きNに各々が挟入された状態で溶接部Wにおいて溶接される。
【0025】
第1発熱体41では、中心軸Bの方向における両端部のうち、流れ方向FDの上流側に対応する一方の端部(
図2の符号2001の紙面左側の端部)で、第1磁性体部材411と第2磁性体部材412とが溶接されている。つまり、第1発熱体41では、一方の端部に沿って溶接部Wが位置しており、この溶接部Wを除いて、第1磁性体部材411と第2磁性体部材412とが溶接されていない非溶接部NWになっている。従って、第1発熱体 41では、一方の端部は溶接部Wが存在する溶接端部41Wになっており、反対側の他方の端部(
図2の符号2001の紙面右側の端部)は溶接部Wが存在しない非溶接端部(非接合端部)41NWになっている。
【0026】
このように、第1発熱体41の両端部のうちの片側で第1磁性体部材411と第2磁性体部材412とが溶接されていることにより、溶接個所を少なくし、熱による溶接部Wの劣化による異物の発生を低減することができる。ただし、第1発熱体41は、両端部のうちの片側が非溶接端部41NWになっていればよい。このため、溶接部Wは、非溶接端部 41NWを除く位置に形成されていればよい。
【0027】
(第2発熱体42の構成)
次に、
図4及び
図5を参照して、第2発熱体42の構成を説明する。
図4の符号4001は、
図1に示される第2発熱体42の側面図であり、
図4の符号4002は、
図4の符号4001に示されるQ-Q線矢視断面図である。
図5は、
図4に示される第2発熱体42の構成単位である磁性体部材421・422を概略的に示す側面概略図である。
【0028】
第2発熱体42は、中心軸Bの方向(流れ方向FD)における長さを除いて、基本的に第1発熱体41と同一の構成である。このため、以下では、第2発熱体42について、第1発熱体41とは異なる点を主に説明する。
【0029】
図4に示すように、第2発熱体42は、中心軸Bに沿った寸法が第2長さL2であり、中心軸Bと直交する径方向における寸法が、直径D2になっている。熱の伝達を最大にするために、第1発熱体41の直径D1と第2発熱体42の直径D2とを、過熱用パイプ2の中に第1発熱体41と第2発熱体42とが収まる最大値とすることが望ましい。本実施形態では、直径D1と直径D2とが同じ値になっている。ただし、直径D1と直径D2とが異なる値になっていてもよい。
【0030】
第2発熱体42は、中心軸B(流れ方向FD)と直交する平面で切断した断面形状が、井桁状になっている。このため、第2発熱体42の表面積を大きくすることが可能となり、第2発熱体42の発熱効率(流体Fの加熱効率)が向上する。これにより、第2発熱体42自体の温度を低く設定することが可能となり、熱による溶接部Wの劣化等の発生を低減することができる。
【0031】
第2発熱体42は、その内部に、流体Fを通過させる複数の通路423を有する。通路423の各々は、第1磁性体部材421と第2磁性体部材422とによって区画された矩形状であり、中心軸Bと平行に延伸している。
【0032】
図5に示すように、第2発熱体42は、複数の第1磁性体部材421と複数の第2磁性体部材422とが溶接により接合された構造である。第2発熱体42では、中心軸Bの方向における両端部のうち、流れ方向FDの下流側に対応する他方の端部(
図4の符号4001の紙面右側の端部)で、第1磁性体部材421と第2磁性体部材422とが溶接されている。つまり、第2発熱体42では、他方の端部に沿って溶接部Wが位置しており、この溶接部Wを除いて、第1磁性体部材421と第2磁性体部材422とが溶接されていない非溶接部NWになっている。従って、第2発熱体42では、他方の端部は溶接部Wが存在する溶接端部42Wになっており、反対側の一方の端部(
図4の符号4001の紙面左側の端部)は溶接部Wが存在しない非溶接端部42NWになっている。第2発熱体42においても、第1発熱体41と同様に、両端部のうちの片側が非溶接端部42NWになっていればよい。このため、溶接部Wは、非溶接端部42NWを除く位置に形成されていればよい。
【0033】
なお、第1発熱体41及び第2発熱体42の形状は、円柱状に限定さない。第1発熱体41及び第2発熱体42の形状は、過熱用パイプ2の形状に応じて適宜変更可能である。第1発熱体41及び第2発熱体42の形状は、例えば、四角柱状、または楕円柱状等であってもよい。
【0034】
また、第1発熱体41及び第2発熱体42は、溶接以外の接合方法によって磁性体部材同士が接合された構成であってもよい。第1発熱体41及び第2発熱体42は、例えば、磁性体部材同士が耐熱接着剤等によって接合(接着)された構成または機械的に圧着された構成であってもよい。
【0035】
(発熱体4の作用)
次に、
図1を参照して、発熱体4の作用について説明する。上述したとおり、電磁誘導加熱装置1では、流れ方向FDに対して上流側に第1発熱体41が設置され、下流側に第2発熱体42が設置されると共に、第1発熱体41の第1長さL1が第2発熱体42の第2長さL2よりも大きくなっている。換言すれば、電磁誘導加熱装置1では、流れ方向FDに対して、上流側に長尺の第1発熱体41が設置され、下流側に短尺の第2発熱体42が設置されている。このように、上流側に長尺の第1発熱体41を設置し、下流側に短尺の第2発熱体42を設置することにより、電磁誘導加熱時における第1発熱体41と第2発熱体42との温度差を小さくすることが可能になる。
【0036】
ここで、例えば1つの発熱体を流路21に設置した場合、電磁誘導加熱の特性上、流れ方向FDにおける発熱体の温度分布が不均一になり、高温部分において熱による劣化が生じやすい。
【0037】
そこで、本願発明者らは、熱による発熱体の劣化を低減するために鋭意検討を行い、下記(1)(2)の知見を見出した。
【0038】
(1)同じ長さの2つの発熱体を流路21に並べて電磁誘導加熱によって流体Fをした場合、上流側の発熱体に比べて下流側の発熱体の方が高温になりやすい傾向ある。
【0039】
(2)電磁誘導加熱の特性上、短尺の発熱体に比べて長尺の発熱体の方が高温になりやすい傾向がある。
【0040】
これらの知見に基づき、電磁誘導加熱装置1では、上流側に長尺の第1発熱体41を設置し、下流側に短尺の第2発熱体42を設置している。発熱体4では、第1長さL1が第2発熱体42の第2長さよりも大きいため、下流側の第2発熱体42よりも上流側の第1発熱体41の方が電磁誘導加熱により高温になりやすくなっている。一方、流路21を流れる流体Fは、発熱体4によって加熱されるため、上流側から下流側へ向かって温度が徐々に高くなる。このため、上流側の流体F(例えば、飽和水蒸気F1)よりも下流側の流体F(例えば、過熱水蒸気F2)の方が高温になっている。
【0041】
このため、電磁誘導加熱装置1では、上流側及び下流側において発熱体4の温度分布と流体Fの温度分布とが互いに補完し合う関係性になり、第1発熱体41及び第2発熱体42間の温度差が低減される。その結果、第1発熱体41が過度に高温になることが抑えられ、熱による発熱体4の劣化を低減することができる。
【0042】
図1に示すように、電磁誘導加熱装置1では、第1発熱体41は、流れ方向FDの上流側に溶接端部41Wが位置し、且つ、下流側に非溶接端部41NWが位置する向きで設置されてもよい。また、第2発熱体42は、流れ方向FDの上流側に非溶接端部42NWが位置し、下流側に溶接端部42Wが位置する向きで設置されてもよい。
【0043】
電磁誘導加熱の特性上、発熱体4が設置された領域のうちの中央領域付近が相対的に高温になりやすく、該中央領域を挟む上流領域及び下流領域が相対的に低温になりやすい傾向がある。このため、相対的に低温になりやすい上流領域及び下流領域に溶接端部41W・42Wが位置するように第1発熱体41及び第2発熱体42が設置されることにより、溶接部Wの劣化を低減することができる。
【0044】
さらに、溶接端部41W・42Wは、非溶接端部41NW・42NWに比べて電磁誘導加熱時に渦電流が流れやすく、その結果、高温になりやすい特性があることを本発明者らは見出した。これは、溶接端部41W・42Wでは磁性体部材同士が溶接部Wによって接合されているため渦電流が流れやすいが、非溶接端部41NW・42NWでは磁性体部材同士は接触しているものの接触抵抗があるため渦電流が流れにくいからであると考えられる。そこで、電磁誘導加熱装置1では、発熱しやすい溶接端部41W・42Wの特性と、発熱しにくい非溶接端部41NW・42NWの特性とに基づいて、相対的に高温になる中央領域側に発熱しにくい非溶接端部41NW・42NWが位置し、相対的に低温になる上流領域側及び下流領域側に発熱しやすい溶接端部41W・42Wが位置するように、発熱体4を流路21に設置している。これにより、前記中央領域付近における発熱体4の局部的な発熱による劣化を抑えると共に、前記上流領域側及び前記下流領域側の発熱を促すことで、発熱体4全体の温度分布の高低差を小さくすることができる。従って、発熱体4全体を概ね一様に発熱させることが可能となり、流体Fを効率よく加熱することができる。
【0045】
このように、発熱体4を第1発熱体41及び第2発熱体42の2つに分けて流路21に設置することにより、1つの発熱体を流路21に設置した構成に比べて、発熱体4が過度に高温になることを抑えることができる。しかしながら、発熱体4を2つに分けた場合、発熱体4の設置領域のうち高温になりやすい中央領域付近に溶接端部41W・42Wが位置することがあり、熱により溶接端部41W・42Wが劣化し得る。そこで、発熱体4では、第1発熱体41及び第2発熱体42の両端部のうちの片側を非溶接端部41NW・42NWとし、非溶接端部41NW・42NWが中央領域側に位置するように第1発熱体41及び第2発熱体42を設置している。これにより、前述した熱による溶接端部41W・42Wの劣化を回避することができる。
【0046】
[電磁誘導加熱装置1のまとめ]
このように、本実施形態に係る電磁誘導加熱装置1は、流体Fが流れる流路21に設置され、電磁誘導加熱可能な発熱体4を備える。この発熱体4は、第1発熱体41と、第1発熱体41に対して流体Fの流れ方向FDの下流側に設置される第2発熱体42とを含み、流れ方向FDにおける第1発熱体41の第1長さL1が、第2発熱体42の第2長さL2よりも大きくなっている。
【0047】
電磁誘導加熱装置1によれば、上流側及び下流側において発熱体4の温度分布と流体の温度分布とが互いに補完し合う関係性になり、その結果、発熱体間の温度差を低減することができる。
【0048】
[変形例]
(変形例1)
第1発熱体41と第2発熱体42とは、連結されていてもよい。例えば、第1発熱体41と第2発熱体42とは、非磁性体材料または磁性体材料から構成される連結部材によって、互いに対向する端部の一部同士が連結されていてもよい。または、単一の発熱体に径方向の切欠きを形成することによって、単一の発熱体に第1発熱体41と第2発熱体42とを設けてもよい。これにより、第1発熱体41と第2発熱体42と間に隙間を設けるためのスペーサ(第2ストッパ72)を省略することができる。
【0049】
(変形例2)
第1発熱体41及び第2発熱体42は、溶接部Wを含まない構成であってもよい。例えば、第1発熱体41及び第2発熱体42は、SUS430等の磁性体材料のインゴットから削り出した単一の磁性体部材から構成されていてもよい。このように発熱体4の溶接個所をなくすことで、熱による溶接部Wの劣化による異物の発生を回避することができる。
【0050】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、
図6に基づいて説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0051】
[電磁誘導加熱装置10の構成]
図6は、本実施形態に係る電磁誘導加熱装置10の構成を概略的に示す側面概略図である。電磁誘導加熱装置10は、第1発熱体41及び第2発熱体42に加えて第3発熱体43を含む発熱体40を備える点で、前記実施形態に係る電磁誘導加熱装置1と主に異なっている。
【0052】
(発熱体40)
図6に示すように、電磁誘導加熱装置10は、電磁誘導加熱によって流体Fを加熱する発熱体40を備える。発熱体40は、第1発熱体41と第2発熱体42との間に設置される第3発熱体43をさらに含む。
【0053】
第3発熱体43は、流れ方向FDにおける長さを除いて、第1発熱体41及び第2発熱体42と基本的に同一の構成である。この発熱体40は、流れ方向FDにおける第3発熱体43の長さである第3長さL3が、第1発熱体41の第1長さL1以下であり、且つ、第2発熱体42の第2長さL2以上になっている。
【0054】
つまり、第1長さL1、第2長さL2及び第3長さL3は、下記(1)及び(2)の条件を満たすように設定される。
【0055】
(1)第1長さL1>第2長さL2
(2)第1長さL1≧第3長さL3≧第2長さL2
前記条件を満たすことにより、上流側及び下流側において発熱体40の温度分布と流体 Fの温度分布とが互いに補完し合う関係性になる。その結果、第1発熱体41、第2発熱体42及び第3発熱体43間の温度差を低減することができる。
【0056】
また、電磁誘導加熱装置10では、第1ストッパ71、第2ストッパ72、第3ストッパ73及び第4ストッパ74が流路21に配置される。第1ストッパ71は、第1発熱体41の上流側に固定される。第1ストッパ71は、第1発熱体41の上流側への移動を制限する。また、第2ストッパ72は、第1発熱体41と第3発熱体43と間に固定される。第2ストッパ72は、第1発熱体41の下流側への移動を制限すると共に、第3発熱体43の上流側への移動を制限する。この第2ストッパ72は、第1発熱体41と第3発熱体43と間に隙間を確保するストッパとしても機能する。また、第3ストッパ73は、第3発熱体43と第2発熱体42と間に固定される。第3ストッパ73は、第3発熱体43の下流側への移動を制限すると共に、第2発熱体42の上流側への移動を制限する。この第3ストッパ73は、第3発熱体43と第2発熱体42と間に隙間を確保するストッパとしても機能する。さらに、第4ストッパ74は、第2発熱体42の下流側に固定さる。第4ストッパ74は、第2発熱体42の下流側への移動を制限する。
【0057】
電磁誘導加熱装置10では、第3発熱体43は、第1発熱体41と第2発熱体42との間に、流れ方向FDの上流側に非溶接端部43NWが位置し、且つ、下流側に溶接端部43Wが位置する向きで設置される。これにより、発熱体40が設置された領域のうち相対的に高温になりやすい中央領域に近い側に非溶接端部43NWが位置され、相対的に低温になりやすい下流領域に近い側に溶接端部43Wが位置するように第3発熱体43が設置される。従って、熱による溶接部Wの劣化を低減することができる。
【0058】
[電磁誘導加熱装置10のまとめ]
このように、本実施形態に係る電磁誘導加熱装置10は、流体Fが流れる流路21に設置され、電磁誘導加熱可能な発熱体40を備える。この発熱体40は、第1発熱体41と第2発熱体42との間に設置される第3発熱体43をさらに含み、流れ方向FDにおける第3発熱体43の第3長さL3が、第1発熱体41の第1長さL1以下であり、且つ、第2発熱体42の第2長さL2以上である。
【0059】
発熱体40によれば、第1発熱体41、第2発熱体42及び第3発熱体43間の温度差を低減することができる。従って、電磁誘導加熱装置10によれば、熱による発熱体40の劣化を低減することができる。
【0060】
本発明によれば、熱による発熱体の劣化を低減することができる。このような効果は、例えば、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)の目標12「持続可能な生産消費形態を確保する」等の達成にも貢献するものである。
【実施例0061】
本発明の一実施例について以下に説明する。本実施例では、構造が異なる発熱体について各々の温度分布を検証した。本実施例では、比較例である発熱体104と、本発明の実施例である発熱体4A及び発熱体4Bとの3種類の発熱体について温度分布を検証した。
【0062】
図7は、本実施例で用いた各発熱体の概略構成及び温度分布を示す模式図である。
図7の符号7001は流体Fがない状態の発熱体104の温度分布を示し、
図7の符号7002は流体Fを流した状態の発熱体104の温度分布を示す。また、
図7の符号7003は流体Fがない状態の発熱体4Aの温度分布を示す。さらに、
図7の符号7004は流体Fがない状態の発熱体4Bの温度分布を示し、
図7の符号7005は流体Fを流した状態の発熱体4Bの温度分布を示す。
【0063】
図7の符号7001及び符号7002に示すように、発熱体104は、流れ方向FDにおける長さが同じである第1発熱体141及び第2発熱体142を含む。これらの第1発熱体141及び第2発熱体142は、流れ方向FDの上流側及び下流側に対応する両端部の各々が溶接端部41W・42Wになっている。
【0064】
対して、
図7の符号7003に示すように、発熱体4Aは、流れ方向FDの上流側に設置された長尺の第1発熱体41Aと、下流側に設置された短尺の第2発熱体42Aとを含む。これらの第1発熱体41A及び第2発熱体42Aは、流れ方向FDの上流側及び下流側に対応する両端部の各々が溶接端部41W・42Wになっている。また、
図7の符号7004及び符号7005に示すように、発熱体4Bは、発熱体4Aと同様に、流れ方向FDの上流側に設置された長尺の第1発熱体41Bと、下流側に設置された短尺の第2発熱体42Bとを含む。第1発熱体41Aは、流れ方向FDの上流側に対応する端部が溶接端部41Wになっており、下流側に対応する端部が非溶接端部41NWになっている。一方、第2発熱体42Bは、流れ方向FDの上流側に対応する端部が非溶接端部42NWになっており、下流側に対応する端部が溶接端部42Wになっている。
【0065】
なお、発熱体104と発熱体4Aとは、発熱体104では第1発熱体141及び第2発熱体142の長さが同じであるのに対し、発熱体4Aでは第1発熱体41A及び第2発熱体42Bの長さが異なっている点を除いて、基本的に同一の構成である。また、発熱体4Aと発熱体4Bとは、発熱体4Bが非溶接端部NWを含んでいる点を除いて、基本的に同一の構成である。
【0066】
図7の符号7001に示すように、流体Fがない状態の発熱体104は、該発熱体104が設置された領域の中央領域付近が局部的な発熱によって高温になり、発熱体104の温度分布の高低差である最高温度と最低温度との差は相対的に大きくなった。また、
図7の符号7002に示すように流体Fを流した場合、流体Fの流れに伴って発熱体104の高温部分の位置が流れ方向FDの下流側へ移動した。このため、発熱体104の温度分布は、第1発熱体141に比べて第2発熱体142の方が相対的に高温になった。
【0067】
これに対し、
図7の符号7003に示すように、流体Fがない状態の発熱体4Aは、該発熱体4Aが設置された領域の中央領域の上流側付近が高温になった。これは、電磁誘導加熱の特性上、短尺の第2発熱体42Bに比べて長尺の第1発熱体41Aの方が高温になりやすいことが一因であると考えられる。また、発熱体4Aは、発熱体104に比べて温度分布の高低差が小さくなった。これは、発熱体4Aでは、発熱しやすい溶接端部41W・42Wの位置が前記中央領域から下流側へずれたため、発熱体104に比べて該中央領域付近における局部的な発熱が抑えられたことが一因であると考えられる。
【0068】
また、
図7の符号7004に示すように、流体Fがない状態の発熱体4Bは、発熱体4Aに比べて温度分布の高低差がさらに小さくなった。これは、発熱体4Bでは、該第1発熱体41Bの下流側及び第2発熱体42Bの上流側の端部が発熱しにくい非溶接端部41NW・42NWになっているため、発熱体4Aに比べて局部的な発熱がさらに抑えられたことが一因であると考えられる。また、
図7の符号7005に示すように流体Fを流した場合、上流側から下流側へ向かって流体Fの温度が徐々に高くなるため、発熱体4Bが設置された設置領域のうち下流領域における発熱が促される。このため、前記設置領域のうち特に中央領域及び下流領域において発熱体4B全体が概ね一様に発熱した。
【0069】
このように、発熱体4A及び発熱体4Bによれば、局部的な発熱が抑えられ、温度分布の高低差が発熱体104よりも小さくなることが本実施例で確認された。
【0070】
本発明のその他の実施例を説明する。その他の実施例においては、シュリンクフィルムの加熱収縮装置300に、前述した電磁誘導加熱装置1を適用させたものである。なお、発熱体4A、4B、40および流路21および第1発熱体41、41Bおよび第2発熱体42、42A、42Bおよび第3発熱体43および非溶接端部(非接合端部)41NW,42NW,43NWも同様に適用されている。
【0071】
加熱収縮装置300は、搬送コンベアCを囲うように設置される加熱処理室100と、この加熱処理室10内を通過するボトルに被嵌された筒状ラベルを加熱する加熱手段とを備えており、ボトルが加熱処理室100内を通過する間に、ボトルに被嵌された筒状ラベルが熱収縮するようになっている。
【0072】
前記加熱処理室100は、外部トンネル11A、11B、11C及び内部トンネル12A、12B、12Cが設置されている。外部トンネル11Aおよび内部トンネル12Aで予備加熱ゾーンが形成され、外部トンネル11Bおよび内部トンネル12Bで本加熱ゾーンが形成され、外部トンネル11Cおよび内部トンネル12Cで、予備加熱ゾーンと本加熱ゾーンを連結する連結ゾーンが形成される。
【0073】
前記加熱処理室100は、外部トンネル11A、11B、11C及び内部トンネル12A、12B、12Cが設置されている。外部トンネル11Aおよび内部トンネル12Aで予備加熱ゾーンが形成され、外部トンネル11Bおよび内部トンネル12Bで本加熱ゾーンが形成され、外部トンネル11Cおよび内部トンネル12Cで、予備加熱ゾーンと本加熱ゾーンを連結する連結ゾーンが形成される。
【0074】
前記本加熱手段22は、飽和水蒸気を発生させるボイラーを備えた飽和水蒸気発生ユニット(図示せず)と、この飽和水蒸気発生ユニットから送出される飽和水蒸気を常圧で加熱することによって150~180℃の過熱水蒸気(常圧過熱水蒸気)を生成する電磁誘導加熱方式の過熱水蒸気生成ユニット23と、この過熱水蒸気生成ユニット23から送出される過熱水蒸気F2を内部トンネル12B内に導く蒸気供給管24と、この蒸気供給管24に接続され、内部トンネル12B内に設置された過熱水蒸気供給ヘッド25とを備えている。
【0075】
過熱水蒸気生成ユニット23は、前述した電磁誘導加熱装置1を備えており、本実施例においては、流体Fとして飽和水蒸気F1を加熱して過熱水蒸気F2を生成する。そして、内部トンネル12B内に過熱水蒸気F2が供給される。前記過熱水蒸気供給ヘッド25は、搬送コンベアCを挟んで対向設置された一対の円筒状の側部供給ヘッド26と、ボトルが載置されている搬送コンベアCのプレートPの下方に設置された角筒状の下部供給ヘッド27とから構成されており、側部供給ヘッド26及び下部供給ヘッド27は、内部トンネル12Bの入口付近から出口付近まで延びている。
【0076】
一対の側部供給ヘッド26は、内部トンネル12Bの入口側から出口側に向かって徐々に高くなるように、傾斜した状態で設置されており、それぞれの周面に、相互に向き合うように、多数の蒸気供給孔26aが形成されている。
【0077】
下部供給ヘッド27の上面には、下部供給ヘッド27よりも幅狭に形成された搬送コンベアCのプレートPの幅方向の両外側に多数の蒸気供給孔27aが形成されており、搬送コンベアCのプレートPにも、多数の小孔Hが形成されている。
【0078】
従って、内部トンネル12B内は、搬送コンベアCの両側部に配置された側部供給ヘッド26の蒸気供給孔26aから立ち上る過熱水蒸気や搬送コンベアCの下側に設置された下部供給ヘッド27の蒸気供給孔27aから立ち上る過熱水蒸気F2によって、150~180℃に保持されることになる。
【0079】
以上のように構成された加熱収縮装置300では、加熱処理室100内に進入したボトルに被嵌された筒状ラベルは、まず、予備加熱ゾーンに設置された内部トンネル12A内を通過する際、予備加熱手段(遠赤外線ヒータ)28によって加熱されることで軟化し、略円筒状に整形され、続いて、本加熱ゾーンZBに設置された内部トンネル12B内を通過する際、過熱水蒸気F2によって加熱されることで熱収縮し、ボトルの胴部に密着するようになっている。
【0080】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。