(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137878
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】紫外線未硬化型レーザ転写フィルム
(51)【国際特許分類】
B32B 7/12 20060101AFI20240927BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20240927BHJP
B32B 7/027 20190101ALI20240927BHJP
B32B 7/023 20190101ALI20240927BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20240927BHJP
B32B 27/18 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B32B7/12
B32B27/00 M
B32B7/027
B32B7/023
B32B27/00 D
B32B27/30 A
B32B27/18 Z
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024045058
(22)【出願日】2024-03-21
(31)【優先権主張番号】10-2023-0039282
(32)【優先日】2023-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0039286
(32)【優先日】2023-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0119610
(32)【優先日】2023-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2024-0022006
(32)【優先日】2024-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】504092127
【氏名又は名称】トーレ・アドバンスド・マテリアルズ・コリア・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】TORAY ADVANCED MATERIALS KOREA INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】300,3gongdan 2-ro,Gumi-si,Gyeongsangbuk-do 39389 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】白 明基
(72)【発明者】
【氏名】李 廣會
(72)【発明者】
【氏名】宋 政翰
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AK01B
4F100AK25C
4F100AK36B
4F100AK41B
4F100AK42A
4F100AK51B
4F100AK51C
4F100AT00A
4F100BA03
4F100BA07
4F100CA02C
4F100CA07B
4F100CA30C
4F100CB05C
4F100EC04
4F100EH46B
4F100EJ52B
4F100EJ54C
4F100GB41
4F100JA02B
4F100JB13C
4F100JB14C
4F100JD08B
4F100JD09A
4F100JD14B
4F100JK06C
4F100JL11
4F100JL13C
4F100YY00C
(57)【要約】
【課題】紫外線未硬化型レーザ転写フィルムを提供する。
【解決手段】基材層と、基材層上に配された熱膨張性光吸収層と、熱膨張性光吸収層上に配された粘着層と、を含み、該熱膨張性光吸収層は、バインダ樹脂及びトリアジン系化合物を含み、該粘着層は、極性官能基を含むアクリレートモノマー、極性官能基を含んでいないアクリレートモノマー、及び極性官能基を含むアクリレート共重合体を含む粘着組成物を含み、該粘着層の粘着力は、10gf/インチ以上である紫外線未硬化型レーザ転写フィルムが開示される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層と、
前記基材層上に配された熱膨張性光吸収層と、
前記熱膨張性光吸収層上に配された粘着層と、を含み、
前記熱膨張性光吸収層は、バインダ樹脂及びトリアジン系化合物を含み、
前記粘着層は、極性官能基を含むアクリレートモノマー、極性官能基を含んでいないアクリレートモノマー、及び極性官能基を含むアクリレート共重合体を含む粘着組成物を含み、
前記粘着層の粘着力は、10gf/インチ以上である、紫外線未硬化型レーザ転写フィルム。
【請求項2】
前記トリアジン系化合物は、下記化学式1で表された、請求項1に記載の紫外線未硬化型レーザ転写フィルム:
【化1】
前記化学式1で、
R
1ないしR
5は、互いに独立して、水素、ヒドロキシル基、C
1-C
15アルキル基、C
1-C
15アルコキシ基またはフェニル基であり、
R
6は、C
1-C
15アルキル基、下記化学式ST1で表された基、または下記化学式ST2で表された基であり、
【化2】
前記化学式ST1及びST2で、
R
61ないしR
65は、互いに独立して、水素またはC
1-C
15アルキル基であり、
*は、隣接原子との結合サイトである。
【請求項3】
前記トリアジン系化合物は、300nmないし400nmの波長を有する光に係わる光透過率が、2%ないし50%である、請求項1に記載の紫外線未硬化型レーザ転写フィルム。
【請求項4】
前記トリアジン系化合物の含量は、前記熱膨張性光吸収層総100重量部のうち、5重量部ないし20重量部である、請求項1に記載の紫外線未硬化型レーザ転写フィルム。
【請求項5】
前記バインダ樹脂は、反応性官能基を含み、
前記反応性官能基は、-OH、-COOH、-NH2、またはその任意の組み合わせを含む、請求項1に記載の紫外線未硬化型レーザ転写フィルム。
【請求項6】
前記バインダ樹脂は、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、またはその任意の組み合わせを含む、請求項1に記載の紫外線未硬化型レーザ転写フィルム。
【請求項7】
前記極性官能基は、ヒドロキシル基、アミン基、スルホン基、またはその任意の組み合わせを含む、請求項1に記載の紫外線未硬化型レーザ転写フィルム。
【請求項8】
前記粘着層は、前記粘着組成物が熱硬化された層である、請求項1に記載の紫外線未硬化型レーザ転写フィルム。
【請求項9】
前記極性官能基を含むアクリレート共重合体は、下記化学式1Aで表される第1化合物と、下記化学式2Aで表される第2化合物との共重合体である、請求項1に記載の紫外線未硬化型レーザ転写フィルム:
【化3】
前記化学式1A及び2Aで、
R
11、R
12及びR
22それぞれは、C
1-C
20アルキル基であり、
R
21は、少なくとも1つの極性官能基で置換されたC
1-C
20アルキル基である。
【請求項10】
極性官能基を含むアクリレートモノマーの含量、及び極性官能基を含むアクリレート共重合体の含量それぞれは、前記粘着層総100重量部のうち、10重量部ないし60重量部である、請求項1に記載の紫外線未硬化型レーザ転写フィルム。
【請求項11】
前記粘着層の厚みは、1μmないし10μmである、請求項1に記載の紫外線未硬化型レーザ転写フィルム。
【請求項12】
前記粘着層は、光開始剤を含む、請求項1に記載の紫外線未硬化型レーザ転写フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線未硬化型レーザ転写フィルムに係り、具体的には、紫外線によって光硬化されていないレーザ転写フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス基材に、レーザに反応及び/または分解する物質を加工し、その上に転写体を付着させた後、転写体が付着された反対面からガラス基材にレーザを照射することにより、転写体を転写するレーザ転写方式が開発されている。該ガラス基材の使用時、ロール・ツー・ロール(roll-to-roll)のような連続加工方式に適用し難いために、高分子のような物質を含み、可撓性を有する基材を適用したレーザ転写フィルムが開発されている。
【0003】
なお、微細な大きさのLEDチップ、半導体素子のような転写体を、所望する位置に転写するために、紫外線波長のレーザを使用することができ、該転写体が転写されながらも、レーザ転写フィルムは転写されないことが要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、低電力のレーザを使用しても、すぐれた転写効果を有し、転写体以外の構成が転写されないレーザ転写フィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様によれば、基材層と、前記基材層上に配された熱膨張性光吸収層と、前記熱膨張性光吸収層上に配された粘着層と、を含み、前記熱膨張性光吸収層は、バインダ樹脂及びトリアジン系化合物を含み、前記粘着層は、極性官能基を含むアクリレートモノマー、極性官能基を含んでいないアクリレートモノマー、及び極性官能基を含むアクリレート共重合体を含む粘着組成物を含み、前記粘着層の粘着力は、10gf/インチ(gram-force/inch)以上である紫外線未硬化型レーザ転写フィルムが提供される。
【0006】
一具現例によれば、前記トリアジン系化合物は、下記化学式1で表されうる:
【化1】
【0007】
前記化学式1で、
R
1ないしR
5は、互いに独立して、水素、ヒドロキシル基、C
1-C
15アルキル基、C
1-C
15アルコキシ基またはフェニル基であり、
R
6は、C
1-C
15アルキル基、下記化学式ST1で表された基、または下記化学式ST2で表された基であり、
【化2】
【0008】
前記化学式ST1及びST2で、
R61ないしR65は、互いに独立して、水素またはC1-C15アルキル基であり、
*は、隣接原子との結合サイトである。
【0009】
一具現例によれば、前記トリアジン系化合物は、300nmないし400nmの波長を有する光に係わる光透過率が、2%ないし50%でもある。例えば、前記トリアジン系化合物は、300nmないし400nmの波長を有する光に係わる光透過率が、2%ないし45%、2%ないし40%、2%ないし35%、2%ないし30%、2%ないし25%、2%ないし20%、2%ないし15%、5%ないし45%、8%ないし45%、10%ないし45%、12%ないし45%、14%ないし45%、15%ないし45%、5%ないし40%、8%ないし35%、10%ないし30%、12%ないし25%、または14%ないし20%でもある。
【0010】
一具現例によれば、前記トリアジン系化合物の含量は、前記熱膨張性光吸収層総100重量部のうち、5重量部ないし20重量部でもある。
【0011】
一具現例によれば、前記バインダ樹脂は、反応性官能基を含み、前記反応性官能基は、-OH、-COOH、-NH2、またはその任意の組み合わせを含むものでもある。
【0012】
一具現例によれば、前記バインダ樹脂は、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、またはその任意の組み合わせを含むものでもある。
【0013】
一具現例によれば、前記極性官能基は、ヒドロキシル基、アミン基、スルホン基、またはその任意の組み合わせを含むものでもある。
【0014】
一具現例によれば、前記粘着層は、前記粘着組成物が熱硬化された層でもある。
【0015】
一具現例によれば、前記極性官能基を含むアクリレート共重合体は、下記化学式1Aで表される第1化合物と、下記化学式2Aで表される第2化合物との共重合体でもある:
【化3】
【0016】
前記化学式1Aび2Aで、
R11、R12及びR22それぞれは、C1-C20アルキル基であり、
R21は、少なくとも1つの極性官能基で置換されたC1-C20アルキル基である。
【0017】
一具現例によれば、極性官能基を含むアクリレートモノマーの含量、及び極性官能基を含むアクリレート共重合体の含量それぞれは、前記粘着層総100重量部のうち、10重量部ないし60重量部でもある。
【0018】
一具現例によれば、前記粘着層の厚みは、1μmないし10μmでもある。
【0019】
一具現例によれば、前記粘着層は、光開始剤を含むものでもある。
【発明の効果】
【0020】
バインダ樹脂及びトリアジン系化合物を含む熱膨張性光吸収層は、紫外線波長の光を適切に吸収し、適切に透過させることができる。該熱膨張性光吸収層に吸収された光により、該熱膨張性光吸収層が膨張することにより、転写体を容易に転写させうる。該熱膨張性光吸収層を透過した光によって粘着層が硬化されることにより、該粘着層の粘着力が低減されうる。それにより、低電力のレーザを使用しても、粘着層表面に付着された転写体を容易に転写させることができ、レーザ転写フィルムの一部がレシーバフィルムに共に転写される現象を防止しうる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一具現例による紫外線未硬化型レーザ転写フィルムを概略的に示した図面である。
【
図2】
図1の紫外線未硬化型レーザ転写フィルムを利用して転写体を転写する過程を概略的に示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付された図面を参照しながら、本発明の一具現例による紫外線未硬化型レーザ転写フィルムについて詳細に説明する。以下においては、例示として提示されるものであるが、それによって本発明が制限されるものではなく、本発明は、後述する特許請求の範囲の範疇によって定義されるのみである。
【0023】
取り立てて定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的な用語は、本発明が属する技術分野の熟練者により、一般的に理解されるところと同一の意味を有する。相反する場合、定義を含む本明細書が優先される。
【0024】
本明細書で説明されるところと、類似しているか、あるいはそれと同等な方法及び材料が、本発明の実施または試験に使用されうるが、適する方法及び材料が本明細書に記載される。
【0025】
本明細書において、「含むこと」または「含有」という用語は、特別に反対となる記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素を追加及び/または介在させうるということを示すように使用される。
【0026】
本明細書において、「その任意の組み合わせ」という用語は、記載された構成要素2個以上の混合物または合金などを示すように使用される。
【0027】
本明細書において、「~系樹脂」という用語は、「~樹脂」、及び/または「~樹脂の誘導体」を含む広い概念を示すように使用される。
【0028】
本明細書において、「~系化合物」という用語は、「~化合物」、及び/または「~化合物の誘導体」を含む広い概念を示すように使用される。
【0029】
本明細書において、「及び/または」という用語は、関連記載された1以上の項目の任意の組み合わせ、及び全ての組み合わせを含むことを意味する。例えば、「A及び/またはB」は、i)A、ii)B、及びiii)AとBとを含む概念を示すように使用される。
【0030】
本明細書において、特別に取り立てて規定しない限り、単位「重量部」は、各成分間の重量比を意味する。
【0031】
本明細書に記載された数値は、明示がなくとも、「約」の意味を含むと理解されうる。
【0032】
本明細書において、一構成要素が他構成要素の「上(面)」に配されていると言及される場合、該一構成要素は、該他構成要素上に直接配されうるか、あるいは前記構成要素間に介在された構成要素が存在しうる。なお、該一構成要素が該他構成要素の「上(面)に直接」配されていると言及される場合、前記構成要素間に介在された構成要素が存在しないのである。
【0033】
本明細書において、「炭素数aないしb」、または「Ca-Cb」のa及びbは、特定作用基の炭素数を意味する。すなわち、前記作用基は、aからbまでの炭素原子を含むものでもある。例えば、「炭素数1ないし2のアルキル基」または「C1-C2アルキル基」は、1ないし2の炭素を有するアルキル基、すなわち、-CH3及び-CH2CH3を意味する。
【0034】
本明細書において、「アルキル」という用語は、分枝しているか、あるいは分枝していない脂肪族炭化水素を意味する。一具現例において、アルキル基は、置換されているか、あるいは置換されていない。該アルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基などを含むが、必ずしもそれらに限定されるものではなく、それらそれぞれは、選択的に置換されているか、あるいは置換されていない。例えば、炭素数1ないし6のアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、ペンチル基、3-ペンチル基、ヘキシル基などでもあるが、必ずしもそれらに限定されるものではない。
【0035】
本明細書において、「アルコキシ」という用語は、アルキルの末端に酸素原子が結合されたものであり、C1-C15アルコキシ基は、OA15(ここで、A15は、C1-C15アルキル基である)の化学式を有する一価基を意味し、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基などを含む。
【0036】
本明細書において、「レーザ転写フィルム」というのは、転写体が付着されたレーザ転写フィルムにレーザが照射されて生じた熱及び/または光硬化などにより、前記転写体をレシーバフィルムに転写するフィルムを意味する。従って、該レーザ転写フィルムは、離型フィルムとは明らかに異なっている。該レーザ転写フィルムは、トランスファ(transfer)とも称される。該レーザ転写フィルムは、紫外線未硬化型レーザ転写フィルム及び紫外線硬化型レーザ転写フィルムを含むものでもある。前記「紫外線硬化型レーザ転写フィルム」というのは、「製造」時、紫外線によって光硬化されたレーザ転写フィルムを意味する。本明細書において、「紫外線未硬化型レーザ転写フィルム」というのは、「製造」時、紫外線によって光硬化されていないレーザ転写フィルムを意味する。
【0037】
本明細書において、「転写体」というのは、レーザ転写フィルムからレシーバフィルムに転写される物品を意味する。例えば、該転写体は、LED(light-emitting diode)チップ、半導体素子などでもある。
【0038】
一例を挙げれば、レーザによってレーザ転写フィルムに含まれた粘着層が硬化され、粘着力が低減されることにより、転写体がレシーバフィルムに容易に転写されうる。一例を挙げれば、レーザが吸収されて熱が生じ、前記熱により、転写体に接触された粘着層の瞬間的な分解により、該転写体がレシーバフィルムに容易に転写されうる。
【0039】
レーザが約300nmないし約400nmの波長を有する紫外線である場合にも、レーザ転写フィルムの「適用」時、紫外線による光硬化が進められるだけであり、該レーザ転写フィルムの「製造」時、紫外線によって光硬化が進められたものではないので、「紫外線未硬化型レーザ転写フィルム」の範囲に属しうる。なお、「製造」時、レーザ転写フィルムに含まれる任意の構成、物質のなどの一部または全部が紫外線によって光硬化される場合、そのようなレーザ転写フィルムは、「紫外線未硬化型レーザ転写フィルム」とは、明らかに区別される。
【0040】
図1は、本発明の一具現例による紫外線未硬化型レーザ転写フィルム10を概略的に示した図面である。
【0041】
図1を参照すれば、一具現例による紫外線未硬化型レーザ転写フィルム10は、基材層11、熱膨張性光吸収層12及び粘着層13を含むものでもある。
【0042】
[基材層11]
基材層11は、(i)紫外線未硬化型レーザ転写フィルムの製造、(ii)該紫外線未硬化型レーザ転写フィルムとレシーバフィルムとの合紙、及び(iii)転写が終わった後、該レシーバフィルムからレーザ転写フィルムの除去のような一連のプロセスにおいて、機能性を有する他層を支持する役割を遂行しうる。例えば、基材層11は、熱膨張性光吸収層12、粘着層13、及び選択的に粘着層13上に付着される転写体(例:LEDチップ、半導体チップなど)を支持しうる。
【0043】
基材層11は、高分子フィルムでもある。前記高分子フィルムは、光透過性と熱安定性とを同時に有しうる。
【0044】
前記高分子フィルムは、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、またはその任意の組み合わせでもある。前記高分子フィルムは、十分な機械的及び/または熱的な安定性を有するか、あるいは特定波長の光に対し、高い透過率を有するというような十分な光学的性質を有する任意の高分子をさらに含むものでもある。
【0045】
前記ポリエステル系樹脂は、直鎖型ポリエステルを含むものでもある。例えば、前記ポリエステル系樹脂は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、またはその任意の組み合わせでもある。
【0046】
基材層11に使用される高分子は、基材層11に接触した層との接着性向上のために、プライマー処理または粗度処理されたものであるか、あるいは熱安定性向上のために、延伸、熱処理または撥水処理されたものであったり、光透過性調節のために、少量の微粒子または充填剤を含むか、あるいは撥水処理されたりする。基材層11の表面には、フィルムの製造時、フィルムの走行性及び巻き取り性を向上させるために、無機粒子及び/または有機粒子が含まれるものでもある。前記無機粒子は、シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン、ジルコニア、またはその任意の組み合わせを含むものでもある。前記有機粒子は、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ノルマルブチルメタクリレート、ノルマルブチルメチルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸の共重合体、または三元共重合体のようなアクリル系粒子;ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレンのようなオレフィン系粒子;アクリルとオレフィン系との共重合体の粒子;または単一重合体の粒子を形成した後、その層上に他種の単量体をコーティングした多層多成分系粒子などを含むものでもある。
【0047】
しかしながら、本発明は、それらに限定されるものではなく、前記高分子フィルムは、特定応用のための十分な機械的/熱的な安定性及び特定波長を有する光の高い透過率のような、十分な光学的性質を有する他の高分子を含むものでもある。
【0048】
基材層11の厚みは、約5μmないし約500μmでもある。
【0049】
[熱膨張性光吸収層12]
熱膨張性光吸収層12は、基材層11上に配されうる。熱膨張性光吸収層12は、基材層11に直接接触しうる。熱膨張性光吸収層12は、光(例:レーザ)を吸収して熱に転換し、そのような熱によって膨張することにより、転写体をレシーバフィルムに転写する動力を提供しうる。前記動力は、前記光によって生じた熱自体でもあり、あるいは熱膨張による物理的力でもある。
【0050】
熱膨張性光吸収層12は、バインダ樹脂及びトリアジン系化合物を含むものでもある。
【0051】
一具現例によれば、前記バインダ樹脂は、反応性官能基を含み、前記反応性官能基は、-OH、-COOH、-NH2、またはその任意の組み合わせを含むものでもある。前記反応性官能基は、光が照射されるとき、H2Oのような気体を発生させることができ、それにより、光が照射された部位において、熱膨張性光吸収層12の一部が膨張し、前記転写体の選択的な転写が可能である。
【0052】
一具現例によれば、前記バインダ樹脂は、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、またはその任意の組み合わせを含むものでもある。前記バインダ樹脂は、熱硬化性樹脂でもある。前記バインダ樹脂は、前記トリアジン系化合物と良好な相溶性を示し、熱膨張性光吸収層12に含まれた前記トリアジン系化合物の含量が十分に多いとしても、基材層11に対する熱膨張性光吸収層12の粘着力が良好になるようにする。
【0053】
前記ポリエステル系樹脂は、スルホン化されたポリエステル系樹脂でもあり、スルホン化されていないポリエステル系樹脂でもある。
【0054】
前記アクリル系樹脂は、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリル酸、ポリアクリレートとポリオレフィンとの共重合体、ポリメタクリレートとポリオレフィンとの共重合体、ポリアクリル酸とポリオレフィンとの共重合体、またはその任意の組み合わせを含むものでもある。
【0055】
一具現例によれば、前記バインダ樹脂は、メラミン系樹脂でもある。該メラミン系樹脂は、前記トリアジン系化合物と類似した構造(例:トリアジン基)を有することにより、前記トリアジン系化合物と相対的に高い相溶性を有しうる。
【0056】
前記トリアジン系化合物は、紫外線領域の光を吸収し、吸収された光を熱に転換させうる。例えば、前記トリアジン系化合物は、300nmないし450nmの波長を有する光を選択的に吸収しうる。一具現例によれば、前記トリアジン系化合物は、300nmないし400nmの波長を有する光に係わる光透過率が、2%ないし50%でもある。例えば、前記光透過率範囲は、355nmの波長を有する光に係わるものでもある。前記トリアジン系化合物は、300nmないし400nmの範囲を外れる波長を有する光を過度に透過させるか、あるいは反射しうる。
【0057】
一具現例によれば、前記トリアジン系化合物の含量は、熱膨張性光吸収層12総100重量部のうち、5重量部ないし20重量部でもある。
【0058】
前記トリアジン系化合物の300nmないし400nmの波長を有する光に係わる光透過率が、2%未満であるか、あるいは前記トリアジン系化合物の含量が、熱膨張性光吸収層12総100重量部のうち、5重量部未満である場合、熱膨張性光吸収層12が十分に膨張することができず、転写特性が低下されうる。
【0059】
前記トリアジン系化合物の300nmないし400nmの波長を有する光に係わる光透過率が、50%超過であるか、あるいは前記トリアジン系化合物の含量が、熱膨張性光吸収層12総100重量部のうち、20重量部超過である場合、基材層11に照射された光が熱膨張性光吸収層12に過度に吸収され、粘着層13に十分な光が逹しない。従って、紫外線未硬化型レーザ転写フィルムの適用時、粘着層13が十分に光硬化され図、粘着力が低減されないか、あるいは粘着層13が瞬間的に分解されないことにより、転写特性が低下されうる。
【0060】
一具現例によれば、前記トリアジン系化合物は、下記化学式1で表されうる:
【化4】
【0061】
前記化学式1で、
R
1ないしR
5は、互いに独立して、水素、ヒドロキシル基、C
1-C
15アルキル基、C
1-C
15アルコキシ基またはフェニル基であり、
R
6は、C
1-C
15アルキル基、下記化学式ST1で表された基、または下記化学式ST2で表された基であり、
【化5】
【0062】
前記化学式ST1及びST2で、
R61ないしR65は、互いに独立して、水素またはC1-C15アルキル基であり、
*は、隣接原子との結合サイトである。
【0063】
一具現例によれば、R1及びR4は、互いに独立して、水素、ヒドロキシル基、C1-C10アルキル基またはC1-C10アルコキシ基でもある。例えば、R1及びR4は、互いに独立して、-H、-OH、メチル基(-CH3)またはエチル基(-CH2CH3)でもある。
【0064】
一具現例によれば、R2及びR3は、互いに独立して、水素、C1-C10アルキル基、C1-C10アルコキシ基またはフェニル基でもある。例えば、R2及びR3は、互いに独立して、-H、メチル基(-CH3)、エチル基(-CH2CH3)、プロピル基(-CH2CH2CH3)、ブチル基(-CH2CH2CH2CH3)、メトキシ基(-OCH3)、エトキシ基(-OCH2CH3)、プロポキシ基(-OCH2CH2CH3)またはブトキシ基(-OCH2CH2CH2CH3)でもある。
【0065】
一具現例によれば、R5は、水素、ヒドロキシル基またはC1-C10アルコキシ基でもある。例えば、R5は、-OH、メトキシ基(-OCH3)、エトキシ基(-OCH2CH3)、プロポキシ基(-OCH2CH2CH3)またはブトキシ基(-OCH2CH2CH2CH3)でもある。
【0066】
一具現例によれば、R6は、C1-C10アルキル基、前記化学式ST1で表された基、または前記化学式ST2で表された基でもあり、ここで、前記化学式ST1及びST2においてR61は、水素であり、R62は、C3-C15アルキル基であり、R63は、水素またはC1-C4アルキル基であり、R64は、C1-C4アルキル基であり、R65は、C5-C10アルキル基でもある。このとき、アルキル基は、直鎖型(鎖型または分枝していない型)アルキル基でもある。
【0067】
例えば、R
6は、ブチル基(-C
4H
9)、ペンチル基(-C
5H
11)、ヘキシル基(-C
6H
13)、ヘプチル基(-C
7H
15)、オクチル基(-C
8H
17)、下記化学式ST1-1ないしST1-3で表された基、または下記化学式ST2-1で表された基でもある:
【化6】
【化7】
【0068】
前記化学式ST1-1ないしST1-3、及びST2-1で、
*は、隣接原子との結合サイトである。
【0069】
一具現例によれば、前記トリアジン系化合物は、Tinuvin 400(BASF社)、Tinuvin 405(BASF社)、Tinuvin 460(BASF社)、Tinuvin 477(BASF社)、Tinuvin 479(BASF社)、Tinuvin 1577(BASF社)、CGX UVA006(BASF社)、シアソルブUV1164(サイテック・インダストリーズ社)、またはその任意の組み合わせを含むものでもある。
【0070】
[粘着層13]
粘着層13は、熱膨張性光吸収層12上に配されうる。粘着層13は、熱膨張性光吸収層12に直接接触しうる。粘着層13は、前記転写体を、紫外線未硬化型レーザ転写フィルム10に付着させる役割を行う。レーザ転写フィルムの粘着力(具体的には、粘着層13の粘着力)が過度に弱い場合、前記転写体を、前記レーザ転写フィルムに付着することができない。前記レーザ転写フィルムの粘着力が過度に強く、レシーバフィルムの粘着力より過度に強い場合、レーザの照射時にも、転写が起こらない。
【0071】
粘着層13は、極性官能基を含むアクリレートモノマー、極性官能基を含んでいないアクリレートモノマー、及び極性官能基を含むアクリレート共重合体を含む粘着組成物を含むものでもある。粘着層13は、前記粘着組成物が熱硬化された層でもある。
【0072】
一具現例によれば、前記極性官能基は、ヒドロキシル基、アミン基、スルホン基、またはその任意の組み合わせを含むものでもある。例えば、前記極性官能基は、ヒドロキシル基でもある。
【0073】
前記極性官能基を含むアクリレートモノマーは、2-ヒドロキシエチルメタアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及びペンタエリトリトールトリアクリレートによってなる群のうちから選択されうる。前記極性官能基を含むアクリレートモノマーは、架橋性モノマーでもある。
【0074】
前記極性官能基を含んでいないアクリレートモノマーは、ジエチレングリコールジアクリレート、エトキシル化されたビスフェノールAジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、プロポキシル化されたネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化されたトリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシル化されたグリセリルトリアクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート及びジフェニルペンタエリトリトールヘキサアクリレート(DPHA)からなる群のうちから選択されうる。前記極性官能基を含んでいないアクリレートモノマーは、架橋性モノマーでもある。
【0075】
一具現例によれば、前記極性官能基を含むアクリレート共重合体は、極性官能基を含んでいないアクリレートモノマーと、極性官能基を含むアクリレートモノマーとの重合体である共重合体でもある。
【0076】
一具現例によれば、前記極性官能基を含むアクリレート共重合体は、下記化学式1Aで表される第1化合物と、下記化学式2Aで表される第2化合物との共重合体でもある:
【化8】
【0077】
前記化学式1A及び2Aで、
R11、R12及びR22は、互いに独立して、水素またはC1-C20アルキル基であり、
R21は、少なくとも1つの極性官能基で置換されたC1-C20アルキル基である。
【0078】
すなわち、前記極性官能基を含むアクリレート共重合体は、極性官能基を含んでいない前記第1化合物と、極性官能基を含む前記第2化合物とが重合された共重合体でもある。
【0079】
前記化学式1A及び2Aで、R11は、鎖状または分枝状のC1-C20アルキル基でもある。R11の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、iso-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、tert-ペンチル基、iso-ペンチル基、sec-ペンチル基、ネオペンチル基、3-ペンチル基、ヘキシル基、iso-ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、iso-オクチル基、ノニル基、デシル基、オクタデシル基などを挙げることができる。
【0080】
前記化学式1A及び2Aで、R12及びR22は、互いに独立して、水素またはC1-C5-C10アルキル基でもある。例えば、R12及びR22それぞれは、水素、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、iso-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、tert-ペンチル基、iso-ペンチル基、sec-ペンチル基、ネオペンチル基または3-ペンチル基でもある。
【0081】
前記化学式1A及び2Aで、R21は、ヒドロキシル基、アミン基及びスルホン基のうち少なくとも一つで置換されたC1-C20アルキル基でもある。R21の例としては、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されたメチル基、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されたエチル基、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されたn-プロピル基、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されたiso-プロピル基、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されたn-ブチル基、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されたsec-ブチル基、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されたiso-ブチル基、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されたtert-ブチル基、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されたn-ペンチル基、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されたtert-ペンチル基、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されたiso-ペンチル基、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されたsec-ペンチル基、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されたネオペンチル基、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換された3-ペンチル基、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されたヘキシル基、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されたiso-ヘキシル基、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されたヘプチル基、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されたオクチル基、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されたiso-オクチル基、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されたノニル基、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されたデシル基、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されたオクタデシル基などを挙げることができる。
【0082】
一具現例によれば、前記化学式1Aで表された第1化合物は、2-エチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、iso-ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート及びオクタデシルメタクリレートからなる群のうちから選択されうる。
【0083】
一具現例によれば、前記化学式2Aで表された第2化合物は、2-ヒドロキシエチルメタアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートからなる群のうちから選択されうる。
【0084】
粘着層13において、極性官能基を含むアクリレートモノマーの含量は、粘着層13総100重量部のうち、約5重量部ないし約60重量部でもある。例えば、極性官能基を含むアクリレートモノマーの含量は、粘着層13総100重量部のうち、約10重量部ないし約60重量部、または約10重量部ないし約30重量部でもある。
【0085】
粘着層13において、極性官能基を含んでいないアクリレートモノマーの含量は、粘着層13総100重量部のうち、約5重量部ないし約60重量部でもある。例えば、極性官能基を含んでいないアクリレートモノマーの含量は、粘着層13総100重量部のうち、約10重量部ないし約60重量部、または約10重量部ないし約30重量部でもある。
【0086】
粘着層13において、極性官能基を含むアクリレート共重合体の含量は、粘着層13総100重量部のうち、約5重量部ないし約60重量部でもある。例えば、極性官能基を含むアクリレート共重合体の含量は、粘着層13総100重量部のうち、約10重量部ないし約60重量部、約10重量部ないし約30重量部、または約15重量部ないし約25重量部でもある。
【0087】
粘着層13において、極性官能基を含むアクリレート共重合体の含量は、極性官能基を含むアクリレートモノマーの含量と同じであるか、あるいはそれよりも多いのである。粘着層13において、極性官能基を含むアクリレート共重合体の含量は、極性官能基を含んでいないアクリレートモノマーの含量と同じであるか、あるいはそれよりも多い。
【0088】
一具現例によれば、粘着層13は、熱硬化剤及び/または光開始剤をさらに含むものでもある。
【0089】
前記熱硬化剤の例としては、ジイソシアネート系硬化剤、メラミン系熱硬化剤、エポキシ系熱硬化剤などを挙げることができる。粘着層13において、該熱硬化剤の含量は、粘着層13総100重量部のうち、約1重量部ないし約10重量部でもある。例えば、該熱硬化剤の含量は、粘着層13総100重量部のうち、約5重量部ないし約8重量部でもある。例えば、前記熱硬化剤は、イソホロンジイソシアネートでもある。
【0090】
前記光開始剤の例としては、ヒドロキシアルキルフェノン系光開始剤、ホスフィンオキシド系光開始剤などを挙げることができる。粘着層13において、光開始剤の含量は、粘着層13総100重量部のうち、約1重量部ないし約10重量部でもある。例えば、該光開始剤の含量は、粘着層13総100重量部のうち、約1重量部ないし約5重量部でもある。例えば、前記光開始剤は、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(Irgacure 184)でもある。
【0091】
一具現例によれば、粘着層13の粘着力は、10gf/インチ(gram-force/inch)ないし1000gf/インチでもあり、レシーバフィルムの粘着力によって調節されうる。本明細書において「粘着力」は、常温で測定された粘着力でもある。例えば、「粘着力」は、約20℃ないし約30℃で測定された粘着力でもある。
【0092】
粘着層13の粘着力は、500gf/インチ以下、300gf/インチ以下、100gf/インチ以下、50gf/インチ以下、40gf/インチ以下、35gf/インチ以下または32gf/インチ以下でもある。
【0093】
粘着層13の粘着力は、10gf/インチ以上、11gf/インチ以上、12gf/インチ以上、13gf/インチ以上、14gf/インチ以上または15gf/インチ以上でもある。
【0094】
一具現例によれば、粘着層13の厚みは、1μmないし10μmでもある。粘着層13の厚みが1μm未満である場合、十分な剥離強度を具現することができず、粘着層13の粘着力が過度に弱く、粘着層13に転写体が付着されない。粘着層13の厚みが10μm超過である場合、粘着層13に転写体が浸透される現象(染み込む現象、または埋め込まれる現象)が生じ、レーザ照射時にも、転写体が転写されない。
【0095】
一具現例によれば、粘着層13の厚みは、基材層11の厚みの1%ないし10%でもある。粘着層13の厚みが基材層11の厚みの1%未満である場合、粘着層13の粘着力が過度に弱く、粘着層13に転写体が付着されない。粘着層の厚みが基材層11の厚みの10%超過である場合、粘着層13の粘着力が過度に強く、粘着層13に付着された転写体がレシーバフィルムに転写されない。
【0096】
一具現例によれば、前記粘着組成物の重量平均分子量は、1,000,000以下でもある。例えば、前記粘着組成物の重量平均分子量は、100,000ないし1,000,000、300,000ないし800,000、400,000ないし700,000、または500,000ないし600,000でもある。
【0097】
図1に図示された粘着層13以外に、基材層11下部にも、粘着層が配されうる。すなわち、基材層11は、第1粘着層(
図1に図示された粘着層13)と、第2粘着層との間に配されうる。前記第2粘着層は、位置を除いては、前記第1粘着層と実質的に同一である物質を含み、実質的に同一方法によって形成されうる。
【0098】
図2は、
図1の紫外線未硬化型レーザ転写フィルム10を利用し、転写体30を転写する過程を概略的に示した図面である。
【0099】
図2を参照すれば、紫外線未硬化型レーザ転写フィルム10及びレシーバフィルム20が合紙されている。レーザの照射前、転写体30は、紫外線未硬化型レーザ転写フィルム10の粘着層13に付着されている。
【0100】
転写体30は、有機物、無機物、有機金属、またはそれらの組み合わせを含むものでもある。
【0101】
転写体30として、選択的にパターン化されうる物質の例は、着色剤(結合剤に分散された顔料及び/または化合物を含む)、偏光剤、液晶物質、粒子(液晶ディスプレイ用スペーサ、磁気粒子、絶縁粒子及び/または導電性粒子を含む)、発光型物質(蛍光体及び/または有機電気発光物質を含む)、発光型素子(例:電気発光素子)に混入されうる受光型物質、疎水性物質(インクジェットレセプタ(receptor)用パーティションバンク(partition bank)を含む)、親水性物質、多層スタック(例:有機電気発光素子のような多層素子構造体)、マイクロ構造層、ナノ構造層、フォトレジスト、金属、高分子、粘着剤、結合剤、生体物質、またはそれらの組み合わせを含むものでもある。
【0102】
転写体30は、ディスプレイ応用、特に、カラーフィルタ製造に有用な1種以上の物質を含むものでもある。
【0103】
転写体30は、LEDチップのような半導体チップを含むものでもある。
【0104】
以下、転写体30がLEDチップである例を挙げて説明する。
【0105】
紫外線未硬化型レーザ転写フィルム10に、局所的にレーザ(laser)が照射される。具体的には、LEDチップ30が付着された領域において、転写するLEDチップ30が付着された領域に、部分的にレーザが照射され、LEDチップ30が付着されていない領域には、レーザが照射されない。
【0106】
レーザの波長は、約300nmないし約1,200nmでもある。例えば、該レーザの波長は、約300nmないし約400nm、または約350nmないし約360nmでもある。具体的には、該レーザの波長は、約355nmでもある。
【0107】
レーザは、基材層11を実質的に透過しうる。すなわち、該レーザの光量のうち、ほとんどは、熱膨張性光吸収層12に逹しうる。
【0108】
熱膨張性光吸収層12は、レーザを吸収し、熱に変換させうる。熱膨張性光吸収層12は、レーザによって発熱及び膨張され、基材層11との間に空洞C(cavity)を形成しうる。
【0109】
熱膨張性光吸収層12を透過したレーザは、粘着層13に逹しうる。粘着層13は、レーザによって光硬化されうる。光硬化により、粘着層13の粘着力が部分的に低減しうる。具体的には、局所的にレーザが照射された粘着層13の一部において、粘着力が低減されうる。例えば、レーザが照射された部分において、粘着層13の粘着力は、約0gf/インチないし約9gf/インチでもある。
【0110】
紫外線未硬化型レーザ転写フィルム10において、粘着層13の一部において粘着力が低減されることにより、レーザが照射された部分のLEDチップ30は、重力またはレシーバフィルム20の粘着力により、レシーバフィルム20に転写されうる。具体的には、LEDチップ30は、レシーバフィルム20の基材層21上に配された電極層22に付着されたレシーバフィルム20の粘着層23に移動されうる。
【0111】
結果として、レーザによる熱膨張性光吸収層12の膨張現象、及び粘着層13の粘着力低減現象を利用し、レーザの照射により、紫外線未硬化型レーザ転写フィルム10からレシーバフィルム20へのLEDチップ30の転写が効果的になされる。紫外線未硬化型レーザ転写フィルム10は、レーザ照射により、局所的に紫外線硬化されうるが、それは、LEDチップ30転写のための紫外線未硬化型レーザ転写フィルム10の適用によるものである。本発明によるレーザ転写フィルム10は、レーザ転写フィルム10の製造時、紫外線で硬化する過程が存在しないという点において、紫外線未硬化型レーザ転写フィルム10と定義される。
【0112】
以下、実施例を挙げ、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明は、そのような実施例に限定されるものではない。
【実施例0113】
実施例1
基材層として、100μm厚を有する光学用ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ尖端素材(株))を準備した。
【0114】
バインダ樹脂としての熱硬化性メラミン系樹脂(Cymel303(サイテック社))、光吸収剤としてのトリアジン系化合物A(Tinuvin 477(BASF社))、及び溶媒(シクロヘキサノン:メチルエチルケトンの重量比 が40:100である混合物)を混合し、固形分含量が20重量%である熱膨張性光吸収層形成用組成物を製造した。
【0115】
ペンタエリトリトールトリアクリレート(10wt%)及びペンタエリトリトールテトラアクリレート(10wt%)、2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレート共重合体(20wt%)、イソホロンジイソシアネート(7wt%)、光開始剤Irgacure 184(3wt%)を、酢酸エチル(50wt%)と混合し、粘着層形成用組成物1を製造した。前記粘着層形成用組成物1の重量平均分子量は、550,000であった。
【0116】
前記基材層上に、前記熱膨張性光吸収層形成用組成物をメイヤーバー(Meyer bar)により塗布した後、150℃において1分間熱乾燥させ、乾燥後の塗布量が3g/m2であり、平均厚が2.3μmである熱膨張性光吸収層を形成した。このとき、前記トリアジン系化合物Aの含量は、熱膨張性光吸収層100重量部を基準に5重量部であった。
【0117】
前記熱膨張性光吸収層上に、前記粘着層形成用組成物1をアプリケータ(applicator)に塗布した後、120℃において2分間熱乾燥させ、平均厚が10μmである粘着層を形成することにより、レーザ転写フィルムを製造した。
【0118】
実施例2
粘着層の平均厚が5μmであることを除いては、前記実施例1と同一方法でもって、レーザ転写フィルムを製造した。
【0119】
実施例3
粘着層の平均厚が1μmであることを除いては、前記実施例1と同一方法でもって、レーザ転写フィルムを製造した。
【0120】
実施例4
光吸収剤として、前記トリアジン系化合物Aの含量を、熱膨張性光吸収層100重量部を基準に、20重量部に変更したことを除いては、前記実施例1と同一方法でもって、レーザ転写フィルムを製造した。
【0121】
比較例1
前記熱膨張性光吸収層形成用組成物の製造時、光吸収剤として、トリアジン系化合物Aを含んでいないという点を除いては、前記実施例1と同一方法でもって、レーザ転写フィルムを製造した。
【0122】
比較例2
前記トリアジン系化合物Aの含量を、熱膨張性光吸収層100重量部を基準に、1重量部に変更したという点を除いては、前記実施例1と同一方法でもって、レーザ転写フィルムを製造した。
【0123】
比較例3
前記トリアジン系化合物Aの含量を、熱膨張性光吸収層100重量部を基準に、30重量部に変更したという点を除いては、前記実施例1と同一方法でもって、レーザ転写フィルムを製造した。
【0124】
比較例4
粘着層の平均厚が、20μmであることを除いては、前記実施例1と同一方法でもって、レーザ転写フィルムを製造した。
【0125】
比較例5
粘着層の平均厚が、0.5μmであることを除いては、前記実施例1と同一方法でもって、レーザ転写フィルムを製造した。
比較例6
前記粘着層形成用組成物1の代わりに、多官能ウレタンアクリレート系オリゴマーと、ポリエステル化合物の可塑剤とを混合して製造された粘着層形成用組成物2を使用し、粘着層を形成したことを除いては、前記実施例1と同一方法でもって、レーザ転写フィルムを製造した。前記粘着層形成用組成物2の重量平均分子量は、400,000であった。
【0126】
比較例7
粘着層の平均厚が5μmであることを除いては、前記比較例6と同一方法でもって、レーザ転写フィルムを製造した。
【0127】
比較例8
粘着層の平均厚が1μmであることを除いては、前記比較例6と同一方法でもって、レーザ転写フィルムを製造した。
【0128】
比較例9
前記基材層上に、前記熱膨張性光吸収層形成用組成物を塗布せず、前記基材層上に、前記粘着層形成用組成物1を直接塗布したという点を除いては、前記実施例1と同一方法でもって、レーザ転写フィルムを製造した。
【0129】
評価例1(光透過率評価)
実施例1及び比較例1それぞれのレーザ転写フィルムの熱膨張性光吸収層につき、島津製作所社のモデルUV-3600のUV-VIS-NIR spectrophotometerを利用し、300nmないし1,200nm領域の光透過率を測定した後、355nmにおける光透過率を測定し、下記表1に示した。
【表1】
【0130】
前記表1から、実施例1による、トリアジン系化合物Aを含むレーザ転写フィルムの熱膨張性光吸収層は、適量の光を吸収しながらも、適量の光が粘着層に逹するのに適する光透過率を有するということを確認しうる。一方、比較例1による、トリアジン系化合物Aを含まず、バインダ樹脂のみを含むことにより、レーザ転写フィルムの熱膨張性光吸収層は、相対的に少量の光を吸収することが分かり、それにより、該熱膨張性光吸収層は、転写体を効果的に転写するに十分なほどに膨張しないということを予測しうる。
【0131】
評価例2(粘着力評価)
実施例1ないし4、及び比較例1ないし9それぞれのレーザ転写フィルムにつき、Brookfield社のCT3 texture analyzerを使用し、2mm円筒状プローブを利用し、圧縮荷重5kg、圧縮速度60mm/min、維持時間10秒、及び剥離速度60mm/分の下で、それぞれのレーザ転写フィルムの粘着力を測定し、その結果を下記表2に示した。
【0132】
評価例3(転写特性評価)
実施例1ないし4、及び比較例1ないし9それぞれのレーザ転写フィルムと、LEDチップが付着されているブルーテープ(チップサイズ125μmX250μm(SanAn社製))を合紙し、LEDチップをレーザ転写フィルムの粘着層面に移す。このとき、比較例5によるレーザ転写フィルムの粘着層は、相対的に薄い厚みを有するが、LEDチップが付着されなかった。
【0133】
LEDチップが付着されたレーザ転写フィルムを、LEDチップが下方向(重力方向)に向かうようにし、下部には、ガラス上に、ポリジメチルシロキサン(PDMS)をコーティングし、粘着層が形成されたレシーバフィルムの粘着層が上方向を向かうようにして位置させる。前記レーザ転写フィルムと前記レシーバフィルムとの間隔を250μmに維持する。
【0134】
レーザ装備のビジョンを介し、レーザ転写フィルムのLEDチップ位置を確認し、レーザを照射する。レーザ波長は、355nmであり、レーザ出力は、0.1Wないし2Wの範囲において、最適条件で実験を実施した。
【0135】
LEDチップ10個をレーザ照射し、下部レシーバフィルムに転写されたチップ個数により、レーザ転写フィルムの転写特性を評価し、その結果を下記表2に示した。
【0136】
LEDチップの転写個数:転写特性
0個:0
1~2個:1
3~4個:2
5~6個:3
7~8個:4
9~10個:5
【0137】
【0138】
前記表2から、実施例1ないし4によるレーザ転写フィルムは、比較例1による、トリアジン系化合物Aを使用しないレーザ転写フィルム、及び比較例9による、熱膨張性光吸収層を含んでいないレーザ転写フィルムより転写特性にすぐれるということを確認しうる。
【0139】
実施例1及び4による、トリアジン系化合物の含量が適切に含まれたレーザ転写フィルムは、比較例2及び3による、トリアジン系化合物の含量が過度に多いか、あるいは過度に少ないレーザ転写フィルムに比べ、転写特性にすぐれていることを確認しうる。
【0140】
実施例1ないし3による、粘着層厚が適切なレーザ転写フィルムは、比較例4による、粘着層の厚みが過度に厚いレーザ転写フィルムに比べ、転写特性にすぐれることを確認しうる。そのような結果は、比較例4のレーザ転写フィルムの粘着力が過度に強く、転写体がレシーバフィルムに転写されることが抑制されるためでもある。
【0141】
粘着層の厚みが0.5μmである比較例5の場合、LEDチップを粘着層に付着させるのに十分ではない粘着力を有している。従って、転写特性は、評価できなかった。
【0142】
また、粘着層物質が異なる比較例6ないし8のレーザ転写フィルムは、転写された転写体の個数が顕著に少なく、転写特性が落ち、転写体が転写された場合にも、転写体だけではなく、粘着層も共に転写されたことを確認しうる。
【0143】
前述の説明は、本発明の技術的思想を例示的に説明したことに過ぎないものであり、本発明が属する技術分野の通常の知識を有する者であるならば、本発明の技術的思想や、必須な特徴を外れない範囲内において、多様な修正、変更及び置換が可能であるということを理解しうるであろう。従って、以上で記述された実施例は、本発明の技術的思想を限定するためではなく、説明するためのものである。本発明の保護範囲は、特許請求の範囲によって解釈されなければならず、それと同等な範囲内にある全ての技術的思想は、本発明の保護範囲に含まれると解釈されなければならないのである。