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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137883
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】高甘味度甘味料含有飲食品用組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/00 20160101AFI20240927BHJP
   A23L 27/30 20160101ALI20240927BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20240927BHJP
【FI】
A23L27/00 E
A23L27/30 A
A23L27/00 101A
A23L27/30 C
A23L27/30 Z
A23L5/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024045580
(22)【出願日】2024-03-21
(31)【優先権主張番号】P 2023045261
(32)【優先日】2023-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】519127797
【氏名又は名称】三菱商事ライフサイエンス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山本 暁久
(72)【発明者】
【氏名】有田 頌彬
(72)【発明者】
【氏名】池田 咲子
【テーマコード(参考)】
4B035
4B047
【Fターム(参考)】
4B035LC01
4B035LG01
4B035LG14
4B035LG15
4B035LG19
4B035LG27
4B035LG32
4B035LG48
4B035LG50
4B035LK02
4B035LK03
4B035LP21
4B035LP42
4B047LB09
4B047LF10
4B047LG03
4B047LG14
4B047LG15
4B047LG17
4B047LG23
4B047LG25
4B047LG30
4B047LG32
4B047LG39
4B047LG56
4B047LG60
4B047LG62
4B047LP02
4B047LP19
(57)【要約】
【課題】本発明の解決しようとする課題は、高甘味度甘味料含有飲食品において、高甘味度甘味料に由来する、持続する後味や不快味といった味質の改善である。
【解決手段】グルコース、フルクトース、酵母エキスを含む培地でマンニトール-2-デヒドロゲナーゼを有する乳酸菌を培養する事により得られる培養液は、マンニトールが高含有され、かつ、特有で良好な味質を有する。この培養液を高甘味度甘味料含有飲食品に添加することで、高甘味度甘味料に由来する味質を改善することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンニトールを5~70重量%、乳酸を1.5~20重量%、酢酸を1~10重量%、グルタミン酸ナトリウムを1~10重量%含有する高甘味度甘味料含有飲食品用組成物。
【請求項2】
マンニトールを5~70重量%、乳酸を1.5~20重量%、酢酸を1~10重量%、グルタミン酸ナトリウムを1~10重量%含有する高甘味度甘味料含有飲食品用乳酸菌発酵組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の組成物を高甘味度甘味料含有飲食品に添加することを特徴とする高甘味度甘味料含有飲食品の味質の改善方法。
【請求項4】
前記高甘味度甘味料が、ステビア抽出物、アセスルファムカリウム、アスパルテームおよびスクラロースからなる群より選ばれる1または2以上である、請求項3に記載の味質の改善方法。
【請求項5】
高甘味度甘味料100重量部に対して、請求項1または2に記載の組成物を50~800重量部共存させることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
請求項1または2に記載の組成物を添加する工程を含む、高甘味度甘味料含有飲食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高甘味度甘味料含有飲食物の味質改善に用いることのできる組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでに飲食品、医薬品および医薬部外品に甘味を付与したり、それらの味を調節するために、ステビア抽出物やアセスルファムカリウム、スクラロースなどの高甘味度甘味料が広く用いられている。
しかしながら、ステビア抽出物は、長く口の中に残る甘さと独特の苦み(えぐ味)があり、中味の厚みが足りないという問題がある。また、アセスルファムカリウムやスクラロースも後味に不快味が感じられるという問題がある。
【0003】
ステビア抽出物の甘味質を改善するため、高純度のレバウディオサイドAと、ミネラルと、ポリオール類等の甘味改善組成物とを組み合わせる方法(特許文献1)や、塩化マグネシウム及び硫酸マグネシウム、ナリンジン、ゲンチオオリゴ糖、高度分岐環状デキストリンのいずれか1種以上を有効成分とする、ステビア抽出物の甘味質改善剤が知られている(特許文献2)。これら以外に、高甘味度甘味料の不快味を改善するため、酵素処理イソクエルシトリンを有効成分とする味覚改変剤が報告されている(特許文献3)。
しかしながら、特許文献1~3に記載の方法では、少ない添加量では高甘味度甘味料の不快な後味を十分に低減できず、添加量を増やすと食品本来の味や香りを変化させるといった問題があった。また甘味改善剤の製造が煩雑であることや、比較的高価であることが問題となっていた。
【0004】
一方、発酵調味料は、種々の飲食品に利用されている。酵母を利用した酵母エキス、乳酸菌や麹を利用した発酵調味料など多数の発酵調味料が知られている。この中で、乳酸菌を活用した、マンニトールを含む乳酸発酵調味料を添加することで、酸味を有する食品の呈味を改善する方法が報告されている(特許文献4)。しかしながら高甘味度甘味料の甘味質を改善することについての記載はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-225457号公報
【特許文献2】特開2015-012870号公報
【特許文献3】特開2017-063742号公報
【特許文献4】特開2020-025492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、高甘味度甘味料含有飲食品に用いることのできる組成物の提供、および該組成物を用いて高甘味度甘味料含有飲食品の味質改善方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題の解決につき鋭意検討した結果、グルコース、フルクトース、酵母エキス含む培地でマンニトール-2-デヒドロゲナーゼを有する乳酸菌を培養する事により、培養液中にマンニトールが高含有され、かつ、特有で良好な味質を有する組成物が、ステビア抽出物の味質を改善することを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち本発明は、以下の第一~第七に関する。
第一に、マンニトールを5~70重量%、乳酸を1.5~20重量%、酢酸を1~10重量%、グルタミン酸ナトリウムを1~10重量%含有する高甘味度甘味料含有飲食品用組成物である。
第二に、マンニトールを5~70重量%、乳酸を1.5~20重量%、酢酸を1~10重量%、グルタミン酸ナトリウムを1~10重量%含有する高甘味度甘味料含有飲食品用乳酸菌発酵組成物である。
第三に、第一または第二に記載の組成物を高甘味度甘味料含有飲食品に添加することを特徴とする高甘味度甘味料含有飲食品の味質の改善方法である。
第四に、前記高甘味度甘味料が、ステビア抽出物、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテームおよびスクラロースからなる群より選ばれる1以上である、第三に記載の味質の改善方法である。
第五に、高甘味度甘味料100重量部に対して、第一または第二に記載の組成物を50~800重量部共存させることを特徴とする第四に記載の方法である。
第七に、第一または第二に記載の組成物を添加する工程を含む、高甘味度甘味料含有飲食品の製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、乳酸菌発酵組成物を高甘味度甘味料含有飲食品に添加することで、高甘味度甘味料に由来する味質(異味)、すなわち、高甘味度甘味料に由来する、長く口の中に残る甘さと独特の苦み(えぐ味)を抑制し、高甘味度甘味料含有飲食品の先味および中味に厚みを付与することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の組成物は、マンニトールを5~70重量%、乳酸を1.5~20重量%、酢酸を1~10重量%、グルタミン酸ナトリウムを1~10重量%含むものである。この組成であれば、製造方法は、特に制限はないが、発酵により製造する場合は、培地にフルクトースと酵母エキスを用い、マンニトール-2-デヒドロゲナーゼを有する乳酸菌を培養し、その培養上清を濃縮する事により得る事ができる。また、粉末化が必要な場合は、適宜賦形剤を使用する事によって乾燥化が可能である。
【0011】
本発明に含有するマンニトール含量は、適宜調整して良く、通常は、マンニトールを5~70重量%とする。さらに好ましいマンニトール含量は、20~40重量%である。特に好ましくは、25~30重量%である。本発明のマンニトールは、後段のマンニトール-2-デヒドロゲナーゼを発現する乳酸菌により、培地に使用したフルクトースから得られるマンニトールである。そのため、本発明のマンニトール含量は、上記の含量になるよう乳酸菌発酵を行う。マンニトール含量は、デキストリン等の賦形剤で調整することもできる。
【0012】
本発明に含有する乳酸は、適宜調整して良く、通常は、1.5~20重量%、好ましくは、4~15重量%とする。酢酸については、酢酸を1~10重量%、好ましくは、4~8重量%とする。
【0013】
本発明に含有するグルタミン酸ナトリウムは、適宜調整して良く、通常は、1~10重量%、好ましくは、3~7重量%とする。
【0014】
本発明の組成物を得る方法については、それぞれの成分が前段までの含量になれば、その方法に制限はない。食品に使用できる各成分を調合しても良いが、乳酸菌を発酵させることで得られるものが特に好ましく採用することができる。
【0015】
以下に乳酸菌を発酵させて製造する方法について説明する。
本発明の組成物製造に用いられる乳酸菌としては、マンニトール-2-デヒドロゲナーゼを発現し、食品製造に使用できる乳酸菌であれば、特に制限はない。例えば、ラクトバチルス属、ロイコノストック属など、マンニトール-2-デヒドロゲナーゼを発現する乳酸菌を使用する事ができる。
【0016】
本発明の乳酸菌発酵に用いる培地には、酵母エキスを添加する。使用する酵母エキスは、グルタミン酸を5%以上含有するものを用いる。好ましくは15%以上、さらに好ましくは20%以上のグルタミン酸を含有する酵母エキスを用いる。培地に添加する当該酵母エキスの含量は、乳酸菌発酵に通常用いる酵母エキスと同様の添加量でよく、任意に調整できる。このような酵母エキスは、トルラ酵母、ビール酵母、パン酵母などを原料に製造される。特にトルラ酵母は、酵母臭が少ないため、本発明では、好適である。また、市販のものを用いても良い。
なお、本発明でのグルタミン酸含量は、乾燥粉末状の酵母エキス中の遊離グルタミン酸をいい、常法に従いアミノ酸分析計L8800(HITACHI製)により測定した。
このような、酵母エキスを培地に用いることで、本発明の乳酸発酵組成物中に、グルタミン酸ナトリウムを含む組成物を得ることができる。本発明の乳酸発酵組成物中のグルタミン酸ナトリウム含量は、培地への酵母エキス添加量により異なるが、本願実施例のような添加量であれば、2重量%以上の含量とすることができる。
【0017】
前段の乳酸菌を発酵させて培地組成として前段の酵母エキス以外に、フルクトースを用いる。また、フルクトースとグルコースを併用することもできる。また、これらを含有する液糖類を用いても良い。
【0018】
本発明の組成物を発酵製造するには、さらに、塩化マグネシウムを添加する。にがりを添加しても良い。
その他、乳酸菌発酵に必要な、窒素源、炭素源、ビタミン類など、通常の乳酸菌発酵の際に、培地に添加される成分を添加してもよい。
【0019】
前述の培地組成物を乳酸菌発酵に一般的に用いる手法で混合する。例えば、100-150g/Lのフルクトース、10-50g/Lの酵母エキスを混合し加熱殺菌する。乳酸菌発酵に必要なミネラルを添加する場合には、0.05-5ml/Lのにがりをさらに混合しても良い。冷却後、乳酸菌を培養する。培地成分として、10-60g/Lのグルコースを併用する事もできる。
【0020】
本発明での培養条件は、乳酸菌発酵で一般的に採用される温度、pHで可能である。使用する菌種によりことなるが、一般的には、20℃~40℃であり、好ましくは、25~30℃で培養する。さらに、半嫌気的条件下が好ましい。培養時は有機酸産生に伴う培養液のpH低下が生じるため、培養時のpHを乳酸菌の生育に好ましいpHに保つよう、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどで調整する。例えば、水酸化ナトリウムを適宜添加し、例えば、pH5.0~6.0になるよう培地pHを調整する。
【0021】
本発明の乳酸菌発酵組成物は、培養上清を回収する事により得る事ができる。具体的には、培養終了後、必要に応じて培地に水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを用いて適宜pH調整を行う。加熱処理を行った後に、遠心分離やフィルター濾過により、菌体を除去し、培養上清を回収することで、本発明品を得ることができる。回収した培養上清はそのままでも良いが、濃縮乾燥させる事も可能である。乾燥方法は、特に限定なく採用でき、スプレードライ法、ドラムドライ法、凍結乾燥法など、公知の乾燥方法を採用できる。
【0022】
本発明の組成物は、このようにして製造できるが、各成分の含量は、澱粉類、デキストリンなどの賦形剤を添加して適宜調整することもできる。
【0023】
(高甘味度甘味料の味質改善について)
本発明における高甘味度甘味料は、ステビア抽出物、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム等を指すものである。一般的に、ステビア抽出物の甘味度は200~300、スクラロースの甘味度は約600、アセスルファムカリウムの甘味度は200、アスパルテームの甘味度は180~200とされている。これら高甘味度甘味料は、一般に入手可能なものを用いることができる。
【0024】
本発明における高甘味度甘味料の味質とは、長く口の中に残る甘さや独特の苦み(えぐ味)を指すものである。高甘味度甘味料に由来する味質はパネルによる官能評価によって判断することができる。
本発明の高甘味度甘味料の味質改善は、前段までの乳酸菌発酵組成物を高甘味度甘味料含有飲食品に添加することで、本発明の効果を発揮することができる。すなわち、高甘味度甘味料含有飲食品に前述までの乳酸菌発酵組成物を添加することで、高甘味度甘味料由来の長く口の中に残る甘さと独特の苦み(えぐ味)を抑制し、高甘味度甘味料含有飲食品の先味または中味を増強することができる。
【0025】
本発明の高甘味度甘味料含有飲食品は、前述の高甘味度甘味料を含む飲食品であれば特に制限されず、本発明の効果を阻害しなければ、飲食品に通常使用される香料、色素、酸味料等を含んでいてもよい。
【0026】
本発明において、高甘味度甘味料含有飲食品に含まれる高甘味度甘味料の量は特に制限されず、高甘味度甘味料の味質を感じられる程度含まれていれば、飲食品に求められる甘味度に応じて適宜調整してもよい。このような量として、飲食品100重量部中に、高甘味度甘味料が0.01~1重量部含まれればよく、0.03~0.5重量部含まれることが好ましい。
【0027】
本発明の組成物を高甘味度甘味料含有飲食品に添加する量は、飲食品に含まれる高甘味度甘味料100重量部に対して50~800重量部が好ましく、70~650重量部がより好ましい。
【0028】
本発明の組成物を高甘味度甘味料含有飲食品に共存させる方法は、任意であり、本願発明の組成物が飲食品にむらなく混合できればよく、他の素材を添加する際に同時に添加、または異なるタイミングで添加してもよい。本発明の組成物を高甘味度甘味料含有飲食品に添加することで、高甘味度甘味料に由来する、持続する後味や不快味といった味質の改善された飲食品を製造することができる。
【0029】
本発明の高甘味度甘味料含有飲食品の味質改善方法は、前段までの高甘味度甘味料含有飲食品に本願の組成物を添加することである。添加量、添加方法は前段の記載のとおりである。
【実施例0030】
以下に実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0031】
(組成物の製造)
グルコース60g/L、フルクトース150g/L、グルタミン酸を5重量%以上含む酵母エキス (三菱商事ライフサイエンス社、以下「酵母エキスA」と表記)50g/L、混合殺菌し培地を作製した。乳酸菌(ロイコノストック シュードメセンテロイデス(ATC12291))はMRS液体培地にて37℃1日の前培養を実施した。2L容量のジャーファーメンターに前記培地1Lと前培養した乳酸菌10mLを入れ、30℃で培養した。エアレーションは実施せず、撹拌回転数70rpmの半嫌気的条件とした。培養中は水酸化ナトリウムで培養液がpH5.3になるようにコントロールし、96時間培養した。培養終了後に水酸化ナトリウムでpH6.0に調整し、90℃10分の加熱実施を行った後に8,000rpm10分の遠心分離を実施し、菌体を分離して培養上清を回収した。回収した上清をエバポレーターにて濃縮し、Brix70%の組成物を取得し、実施例1のサンプルとした。当該サンプル中のマンニトール含量は50重量%であった。マンニトールの分析にはHPLCを用い、測定条件は、検出器:RI、移動相:超純水、カラム:SUGAR SP0810、カラム温度:80℃、流速:0.7mL/minとした。得られたサンプルにデキストリンを添加し、マンニトール含量が25重量%となるよう調整し、なおデキストリン添加後のグルタミン酸ナトリウム含量は、2.7重量%であった。以下の試験を行った。
【0032】
(ステビア抽出物含有飲食品の調製および評価方法)
表1に記載の組成に従い、ステビア抽出物「レバウディオ J-100」(守田化学工業株式会社製、ステビオール配糖体95%以上含む)を含有する液状調味料を調製し、基準例1とした。
実施例1は基準例1の液状調味料100gに対し本発明の組成物である発酵調味料0.06gを添加することで調製した。また、基準例1の液状調味料100gに対し前記発酵調味料の製造に用いた酵母エキスAを0.03g添加することで比較例1の液状調味料を調製した。
大根サラダ20gに、基準例1、実施例1または比較例1の液状調味料5.5gを添加し、味質について官能評価を実施した。
【0033】
【表1】
【0034】
(結果)
官能評価の結果、実施例1は基準例1に対し、先味および中味に厚みが付与され、ステビア抽出物に由来するえぐ味が抑制されていた。また、比較例1は甘味とうま味のバランスが悪く、後半にえぐ味を感じたのに対し、実施例1では甘味のキレが増し、ステビア抽出物に由来する長く口の中に残る甘さが改善された。以上の結果から、本発明の発酵調味料はステビア抽出物に由来する不快な後味を改善できることが示された。
【0035】
(アスパルテーム含有飲食品の調製および評価方法)
基準例1と同等の甘味度となるようアスパルテームを添加(終濃度0.03重量%)して残部を水で調整し、基準例2の液状調味料を調製した。基準例2の液状調味料に本発明の組成物である発酵調味料0.03gまたは酵母エキスA0.03gを添加し、実施例2(発酵調味料添加区)および比較例2(酵母エキスA添加区)の液状調味料を調製した。官能評価はステビア抽出物含有飲食品と同じ方法で実施した。
【0036】
(結果)
官能評価の結果、実施例2は先味および中味に厚みが付与され、後味はすっきりとしていたのに対し、基準例2は甘味が残り、後味にしつこいえぐ味が感じられる人工的な味であった。比較例2は先に甘味が感じられたが、実施例2のような中味の厚みには及ばなかった。以上の結果から、本発明の発酵調味料によりアスパルテームの不快味が改善されることが示され、発酵工程のない酵母エキスA添加区と比べても好ましい結果であることが明らかとなった。
【0037】
(アセスルファムカリウム含有飲食品の調製および評価方法)
基準例1と同等の甘味度となるようアセスルファムカリウムを添加(終濃度0.03重量%)して残部を水で調整し、基準例3の液状調味料を調製した。基準例3の液状調味料100gに本発明の組成物である発酵調味料0.05gを添加し、実施例3の液状調味料を調製した。官能評価はステビア抽出物含有飲食品と同じ方法で実施した。
【0038】
(結果)
官能評価の結果、基準例3は先味~中味に甘味があり、後味の酸味およびえぐ味が持続した。一方、実施例3は甘さが抑制され、中味の厚みおよび後味のキレが増し、全体としてすっきりした味質であった。
【0039】
(スクラロース含有飲食品の調製および評価方法)
基準例1と同等の甘味度となるようスクラロースを添加(終濃度0.01重量%)して残部を水で調整し、基準例4の液状調味料を調製した。基準例4の液状調味料100gに本発明の組成物である発酵調味料0.05gを添加し、実施例4の液状調味料を調製した。官能評価はステビア抽出物含有飲食品と同じ方法で実施した。
【0040】
(結果)
官能評価の結果、基準例4は先味~中味に強い甘味があるものの厚みは感じられず、後半にえぐ味が残った。一方、実施例4は自然な甘さが感じられ、中味の厚みが増し、基準例4で感じられたえぐ味は抑制され、好ましい味質であった。
【0041】
以上の結果より、本願により高甘味度甘味料含有飲食品の味質を改善できることが明らかとなった。