(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137884
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】基準電圧生成回路、半導体装置
(51)【国際特許分類】
G05F 1/56 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
G05F1/56 310E
G05F1/56 310F
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024045589
(22)【出願日】2024-03-21
(31)【優先権主張番号】P 2023047298
(32)【優先日】2023-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩佐 洋助
【テーマコード(参考)】
5H430
【Fターム(参考)】
5H430BB01
5H430BB09
5H430BB11
5H430EE06
5H430FF04
5H430GG04
5H430HH03
(57)【要約】
【課題】動作電圧の制限を緩和することができる基準電圧生成回路を提供する。
【解決手段】基準電圧生成回路37は、直列接続の第1電流源21及びダイオード23並びに共有ノード25を含む第1電流路13と、直列接続の第2電流源27、抵抗29及びダイオード31並びに共有ノード33を含む第2電流路15とを含むバンドギャップレファレンス回路11と、共有ノード25及び共有ノード39cからの信号をそれぞれ受ける第1入力トランジスタ41及び第2入力トランジスタ43を有する差動増幅回路39を備え、第1電流源21は、ダイオード23に流れる電流を流す第1電流源トランジスタ53を含み、第2電流源27は、抵抗29及びダイオード31に流れる電流を流す第2電流源トランジスタ55を含み、第1入力トランジスタ41、第2入力トランジスタ43、第1電流源トランジスタ53、及び第2電流源トランジスタ55は同一導電型を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電源線と前記第1電源線と異なる第2電源線との間に接続される第1電流路、及び前記第1電源線と前記第2電源線との間に接続される第2電流路を含むバンドギャップレファレンス回路であって、前記第1電流路は、前記第1電源線から前記第2電源線への向きに直列に接続される第1電流源及び第1ダイオード、並びに前記第1電流源と前記第1ダイオードとの第1共有ノードを含み、前記第2電流路は、前記第1電源線から前記第2電源線への向きに直列に接続される第2電流源、抵抗及び第2ダイオード、並びに前記第2電流源と前記抵抗との第2共有ノードを含む、バンドギャップレファレンス回路と、
前記第1共有ノードに接続された第1差動入力、前記第2共有ノードに接続された第2差動入力、出力を有する差動増幅回路であって、前記差動増幅回路は、前記第1差動入力からの信号を受ける第1入力トランジスタ、前記第2差動入力からの信号を受ける第2入力トランジスタ、前記第2電源線に接続された一端を有する第1負荷、前記第2電源線に接続された一端を有する第2負荷、及び前記第1電源線に接続されると共に第1バイアス電圧を受ける第3電流源を含む差動増幅回路と、
を備え、
前記第1電流源は、前記第1ダイオードに流れる電流を流す第1電流源トランジスタを含み、
前記第2電流源は、前記抵抗及び前記第2ダイオードに流れる電流を流す第2電流源トランジスタを含み、
前記第1入力トランジスタ、前記第2入力トランジスタ、前記第1電流源トランジスタ、及び前記第2電流源トランジスタは、同一導電型を有する、
基準電圧生成回路。
【請求項2】
前記第1電流源トランジスタは、前記差動増幅回路の前記出力に接続されたゲートを有し、
前記第2電流源トランジスタは、前記差動増幅回路の前記出力に接続されたゲートを有する、
請求項1に記載された基準電圧生成回路。
【請求項3】
前記差動増幅回路は、フォールデッドカスコード型を有する、
請求項1に記載された基準電圧生成回路。
【請求項4】
前記差動増幅回路の前記第1負荷は、第2バイアス電圧を受けるゲート、前記第1入力トランジスタに接続されたドレイン及び前記第2電源線に接続されたソースを有する第1トランジスタを含み、
前記差動増幅回路の前記第2負荷は、前記第2バイアス電圧を受けるゲート、前記第2入力トランジスタに接続されたドレイン及び前記第2電源線に接続されたソースを有する第2トランジスタを含み、
前記差動増幅回路は、前記第1負荷の他端と前記第1電源線との間に接続された第3電流路、及び前記第2負荷の他端と前記第1電源線との間に接続された第4電流路を更に含み、
前記第3電流路は、前記第1負荷の前記他端と前記第1電源線との間に直列に接続された第3トランジスタ及び第3負荷を含み、
前記第4電流路は、前記第2負荷の前記他端と前記第1電源線との間に直列に接続された第4トランジスタ及び第4負荷を含み、
前記第3トランジスタ及び前記第4トランジスタの各々は、第3バイアス電圧を受けるゲートを有し、
前記第3負荷及び前記第4負荷は、前記第3電流路及び前記第4電流路の一方から他方への向きに電流をミラーする第1電流ミラー回路を形成し、
前記差動増幅回路の前記出力は、前記第4トランジスタ及び前記第4負荷の共有ノードに接続される、
請求項1に記載された基準電圧生成回路。
【請求項5】
前記差動増幅回路の前記第1負荷は、前記第1入力トランジスタのドレインに接続されたドレイン及びゲート、及び前記第2電源線に接続されたソースを有する第1負荷トランジスタを含み、
前記差動増幅回路の前記第2負荷は、前記第2入力トランジスタのドレインに接続されたドレイン及びゲート、及び前記第2電源線に接続されたソースを有する第2負荷トランジスタを含み、
前記差動増幅回路は、
前記第2電源線に接続される第5トランジスタであって、前記第1負荷トランジスタ及び前記第5トランジスタが第2電流ミラー回路を構成する、第5トランジスタと、
前記第2電源線に接続される第6トランジスタであって、前記第2負荷トランジスタ及び前記第6トランジスタが第3電流ミラー回路を構成する、第6トランジスタと、
前記第5トランジスタのドレイン及び前記第6トランジスタのドレインに接続されると共に前記第5トランジスタから前記第6トランジスタへの方向に電流をミラーする第4電流ミラー回路と、
を有し、
前記差動増幅回路の前記出力は、前記第6トランジスタの前記ドレインに接続される、
請求項1に記載された基準電圧生成回路。
【請求項6】
前記差動増幅回路の前記出力に接続された出力回路を更に備え、
前記出力回路は、前記第2電源線に接続された一端を有する出力負荷回路、並びに前記差動増幅回路の前記出力に接続されたゲート、前記出力負荷回路の他端に接続されたドレイン、及び前記第1電源線に接続されたソースを有する出力トランジスタを含む、
請求項1に記載された基準電圧生成回路。
【請求項7】
前記差動増幅回路の前記出力及び前記出力回路の入力に接続されたスタートアップ回路を更に備え、
前記スタートアップ回路は、前記第1電源線と前記第2電源線との間に直列に接続された解除トランジスタ及び負荷、並びに前記差動増幅回路の前記出力に接続されたドレイン及び前記第2電源線に接続されたソースを有する初期化トランジスタを含み、
前記解除トランジスタは、前記出力回路の前記出力に接続されたゲートを有し、
前記初期化トランジスタは、前記解除トランジスタと前記負荷との共有ノードに接続されたゲートを有し、
前記出力回路の前記出力負荷回路は、前記出力回路の出力と前記第2電源線との間に直列に接続された抵抗及び第3ダイオードを含む、
請求項6に記載された基準電圧生成回路。
【請求項8】
前記スタートアップ回路は、第1追加トランジスタ及び第2追加トランジスを含み、前記第1追加トランジスタ及び前記第2追加トランジスは、前記第2電源線に接続されたソース、並びに前記解除トランジスタ及び前記負荷の共有ノードに接続されるドレインを有し、
前記第1追加トランジスタ及び前記第2追加トランジスのそれぞれのゲートは、前記バンドギャップレファレンス回路の前記第1共有ノード及び前記第2共有ノードに接続される、
請求項7に記載された基準電圧生成回路。
【請求項9】
前記出力回路は、前記出力トランジスタのゲートとドレインとの間に接続される位相補償回路を更に含み、
前記位相補償回路は、キャパシタを含む、
請求項6に記載された基準電圧生成回路。
【請求項10】
前記バンドギャップレファレンス回路は、キャパシタを更に含み、
前記キャパシタは、前記第1電流路の前記第1共有ノードと前記第1入力トランジスタのドレインとの間に接続される、
請求項1に記載された基準電圧生成回路。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載された基準電圧生成回路と、
前記基準電圧生成回路の出力に接続されたパワーオンリセット回路と、
を備え、
前記パワーオンリセット回路は、前記第1電源線及び前記第2電源線に接続される、
半導体装置。
【請求項12】
前記第1電源線及び前記第2電源線に接続されると共に前記第1電源線の電圧と前記第2電源線の電圧との間の電圧を生成する電圧レギュレータ回路と、
前記電圧レギュレータ回路から給電される回路と、
を更に含む、
請求項11に記載された半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基準電圧生成回路、及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、定電圧出力回路を開示する。定電圧出力回路は、バンドギャップレファレンス回路及び差動増幅回路を含み、バンドギャップレファレンス回路は、p型トランジスタを含む電流ミラー回路を備える。バンドギャップレファレンス回路の出力は、差動増幅回路のn型入力トランジスタに接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マイクロコンピュータ内蔵の半導体装置は、マイクロコンピュータの回路をリセットするためのリセット信号を必要とする。リセット信号は、パワーオンリセット回路によって生成される。パワーオンリセット回路は、基準電圧源からの基準電圧を用いてリセット信号を生成する。基準電圧源は、基準電圧を生成するためのバンドギャップ回路を含むことができる。このような事情から、バンドギャップ回路には、低電圧での動作、及び基準電圧の小さなばらつきが求められる。
【0005】
半導体装置内のマイクロコンピュータの動作電圧が低くなっている。バンドギャップ回路は、マイクロコンピュータの動作下限の電圧より低い電圧で動作することが必要である。
【0006】
本発明は、動作電圧の制限を緩和できる基準電圧生成回路及び半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に係る基準電圧生成回路は、第1電源線と前記第1電源線と異なる第2電源線との間に接続される第1電流路、及び前記第1電源線と前記第2電源線との間に接続される第2電流路を含むバンドギャップレファレンス回路であって、前記第1電流路は、前記第1電源線から前記第2電源線への向きに直列に接続される第1電流源及び第1ダイオード、並びに前記第1電流源と前記第1ダイオードとの第1共有ノードを含み、前記第2電流路は、前記第1電源線から前記第2電源線への向きに直列に接続される第2電流源、抵抗及び第2ダイオード、並びに前記第2電流源と前記抵抗との第2共有ノードを含む、バンドギャップレファレンス回路と、前記第1共有ノードに接続された第1差動入力、前記第2共有ノードに接続された第2差動入力、出力を有する差動増幅回路であって、前記差動増幅回路は、前記第1差動入力からの信号を受ける第1入力トランジスタ、前記第2差動入力からの信号を受ける第2入力トランジスタ、前記第2電源線に接続された一端を有する第1負荷、前記第2電源線に接続された一端を有する第2負荷、及び前記第1電源線に接続されると共に第1バイアス電圧を受ける第3電流源を含む差動増幅回路と、を備え、前記第1電流源は、前記第1ダイオードに流れる電流を流す第1電流源トランジスタを含み、前記第2電流源は、前記抵抗及び前記第2ダイオードに流れる電流を流す第2電流源トランジスタを含み、前記第1入力トランジスタ、前記第2入力トランジスタ、前記第1電流源トランジスタ、及び前記第2電流源トランジスタは、同一導電型を有す
る。
【0008】
本発明の第2態様に係る半導体装置は、第1態様に係る基準電圧生成回路と、前記基準電圧生成回路の出力に接続されたパワーオンリセット回路と、を備え、前記パワーオンリセット回路は、前記第1電源線及び前記第2電源線に接続される。
【発明の効果】
【0009】
上記の態様によれば、動作電圧の制限を緩和できる基準電圧生成回路及び半導体装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る基準電圧生成回路及びバンドギャップレファレンス回路を概略的に示す図面である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る基準電圧生成回路の例示的な回路を示す図面である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る基準電圧生成回路の例示的な回路を示す図面である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る半導体装置を概略的に示す図面である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係る基準電圧生成回路と異なる回路接続のバンドギャップレファレンス回路、差動増幅回路、及び出力回路を含む回路を示す図面である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る基準電圧生成回路と異なる回路接続のバンドギャップレファレンス回路、差動増幅回路、及び出力回路を含む回路を示す図面である。
【
図7】
図7は、本実施形態に係る基準電圧生成回路の例示的な回路を示す図面である。
【
図8】
図8は、電源電圧を矩形波形で変化させるとき、位相補償回路PCを含む基準電圧生成回路の出力回路の出力のシミュレーション波形を示す図面である。
【
図9】
図9は、電源電圧を矩形波形で変化させるとき、電圧プッシュキャパシタを含む基準電圧生成回路の出力回路の出力のシミュレーション波形を示す。
【
図10】
図10は、本実施形態に係る基準電圧生成回路の例示的な回路を示す図面である。
【
図11】
図11は、電源電圧を矩形波形で変化させるとき、
図10に示されたスタートアップ回路を含む基準電圧生成回路の出力回路の出力のシミュレーション波形を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明を実施するための各実施の形態について説明する。同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付して、複写的な記述を省略する。
【0012】
図1は、本実施形態に係る基準電圧生成回路及びバンドギャップレファレンス回路を概略的に示す図面である。引き続く説明において、トランジスタ及びダイオードの回路シンボルが描かれている。トランジスタシンボルは、p型MISトランジスタ及びn型MISトランジスタを含む。これらのトランジスタのソース、ドレイン及びゲートには、それぞれ、「S」、「D」及び「G」の符号を付する。ダイオードのアノード及びカソードには、それぞれ、「AD」及び「CD」の符号を付する。
【0013】
バンドギャップレファレンス回路11は、第1電流路13及び第2電流路15を含む。第1電流路13及び第2電流路15は、第1電源線17(例えば、VDD)と第2電源線19(例えば、VSS)との間に接続される。
【0014】
第1電流路13は、第1電流源21、第1ダイオード23、及び第1共有ノード25を含む。第1電流源21、第1共有ノード25、及び第1ダイオード23は、第1電源線17から第2電源線19への向きに順に配列される。具体的には、第1電流源21と第1ダイオード23の一端は、第1共有ノード25において接続される。第1電流源21及び第1ダイオード23は、第1電源線17から第2電源線19への向きに直列に接続される。
【0015】
第2電流路15は、第2電流源27、抵抗29、第2ダイオード31、及び第2共有ノード33を含む。第2電流源27、第2共有ノード33、抵抗29、及び第2ダイオード31は、第1電源線17から第2電源線19への向きに順に配列される。具体的には、第2電流源27及び抵抗29の一端は、第2共有ノード33において接続される。第2電流源27、抵抗29、及び第2ダイオード31は、第1電流源21及び第1ダイオード23は、第1電源線17から第2電源線19への向きに直列に接続される。
【0016】
バンドギャップレファレンス回路11は、少なくとも1つの出力、例えば第1出力12b及び第2出力12cを有することができる。第1出力12bは、第1共有ノード25に接続され、第2出力12cは、第2共有ノード33に接続される。
【0017】
基準電圧生成回路37は、バンドギャップレファレンス回路11、及び差動増幅回路39を含む。
【0018】
差動増幅回路39は、第1共有ノード25に接続された第1差動入力39b、第2共有ノード33に接続された第2差動入力39c、出力39dを有する。例示的な差動増幅回路39は、第1入力トランジスタ41、第2入力トランジスタ43、第1負荷45及び第2負荷47といった負荷回路46、並びに第3電流源49を含む。
【0019】
第1入力トランジスタ41は、第1差動入力39bからの信号を受け、第2入力トランジスタ43は、第2差動入力39cからの信号を受ける。
【0020】
第1負荷45は、第2電源線19に接続された一端45b、及び他端45cを有し、第2負荷47は、第2電源線19に接続された一端47b、及び他端47cを有する。
【0021】
バンドギャップレファレンス回路11では、第3電流源49は、第1バイアス電圧bias1を受けて、第1バイアス電圧bias1に応じた定電流を生成する。第1バイアス電圧bias1は、第1バイアス生成回路60aによって生成される。第3電流源49は、第1入力トランジスタ41及び第2入力トランジスタ43の第3共有ノード51に接続される一端49a、及び第1電源線17に接続される他端49bを有する。
【0022】
例示的な第1電流源21は、第1ダイオード23に流れる電流を流す第1電流源トランジスタ53を含み、例示的な第2電流源27は、抵抗29及び第2ダイオード31に流れる電流を流す第2電流源トランジスタ55を含む。
【0023】
基準電圧生成回路37では、第1入力トランジスタ41、第2入力トランジスタ43、第1電流源トランジスタ53、及び第2電流源トランジスタ55は、同一導電型を有する。
【0024】
基準電圧生成回路37によれば、バンドギャップレファレンス回路11の第1電流源トランジスタ53(例えばp型)及び第2電流源トランジスタ55(例えばp型)の導電型が、差動増幅回路39の第1入力トランジスタ41(例えばp型)及び第2入力トランジスタ43(例えばp型)の導電型と同じであるので、差動増幅回路39は、第1電源線17の電位より第2電源線19の電位に近い電圧を第1差動入力39b及び第2差動入力39cに受けることができる。
【0025】
これに対して、本実施形態と異なる基準電圧生成回路では、バンドギャップレファレンス回路の第1電流源トランジスタ(例えばp型)及び第2電流源トランジスタ(例えばp型)の導電型が差動増幅回路39の第1入力トランジスタ(例えばn型)及び第2入力トランジスタの導電型(例えばn型)と異なる。このような基準電圧生成回路では、第1入力トランジスタ(例えばn型)及び第2入力トランジスタ(例えばn型)の閾値(Vt)に起因して、第2電源線19の電位に近い電圧を第1入力トランジスタ(例えばn型)及び第2入力トランジスタ(例えばn型)に受けることに制約が生じる。
【0026】
バンドギャップレファレンス回路11及び基準電圧生成回路37では、第1電流源21の電流値及び第2電流源27電流値は、差動増幅回路39の出力39dからの信号によっ
て規定されることができる。
【0027】
基準電圧生成回路37によれば、第1電流源トランジスタ53及び第2電流源トランジスタ55は、安定した電流源として動作可能である。
【0028】
バンドギャップレファレンス回路11の接続を更に具体的に説明する。第1電流源トランジスタ53のゲート(G)及び第2電流源トランジスタ55のゲート(G)は、差動増幅回路39の出力39dに接続されて、定電流源として動作することができる。第1電流源トランジスタ53のソース(S)及び第2電流源トランジスタ55のソース(S)は、第1電源線17に接続されることができる。第1電流源トランジスタ53のドレイン(D)及び第2電流源トランジスタ55のドレイン(D)は、それぞれ、第1共有ノード25及び第2共有ノード33に接続されることができる。
【0029】
差動増幅回路39の接続を更に具体的に説明する。第1入力トランジスタ41のソース(S)及び第2入力トランジスタ43のソース(S)は、共有ノードSN1において第3電流源49に接続される。第1入力トランジスタ43のドレイン(D)及び第2入力トランジスタ43のドレイン(D)は、負荷回路46に接続される。例示的な負荷回路46では、第1負荷45及び第2負荷47は、それぞれ、第1入力トランジスタ41のドレイン(D)及び第2入力トランジスタ43のドレイン(D)に接続される。
【0030】
図2は、本実施形態に係る基準電圧生成回路の例示的な回路を示す図面である。
【0031】
図2を参照すると、差動増幅回路39は、フォールデッドカスコード型を有することができる。この基準電圧生成回路37によれば、差動増幅回路39は、出力の電圧範囲を大きくでき、また出力の電圧レベルのレベルシフトが可能である。
【0032】
図2のバンドギャップレファレンス回路11は、
図1を参照しながら既に説明されている。また、差動増幅回路39では、負荷回路46は、第1負荷45及び第2負荷47を含むことができる。フォールデッドカスコード型の差動増幅回路39では、例示的な第1負荷45及び例示的な第2負荷47は、それぞれ、第1トランジスタ57及び第2トランジスタ59を含む。
【0033】
第1トランジスタ57のソース(S)及び第2トランジスタ59のソース(S)は、第2電源線19に接続される。第1トランジスタ57のゲート(G)及び第2トランジスタ59のゲート(G)は、第2バイアス電圧bias2を受ける。第2バイアス電圧bias2は、第2バイアス生成回路60bによって生成される。第1トランジスタ57及び第2トランジスタ59の各々は、第2バイアス電圧bias2に応じた電流を流す定電流源として動作する。
【0034】
第1トランジスタ57は、第1入力トランジスタ41からの電流又は第1入力トランジスタ41への電流を流す。具体的には、第1トランジスタ57のドレイン(D)は、第1入力トランジスタ41のドレイン(D)に接続される。また、第2トランジスタ59は、第2入力トランジスタ43からの電流又は第1入力トランジスタ41への電流を流す。具体的には、第2トランジスタ59のドレイン(D)は、第2入力トランジスタ43のドレイン(D)に接続される。
【0035】
負荷回路46は、更に、第3電流路61及び第4電流路63を含むことができる。第3電流路61は、第1入力トランジスタ41(第1負荷45の他端)と第1電源線17との間に接続され、第4電流路63は、第2トランジスタ59(第2負荷47の他端)と第1電源線17との間に接続される。
【0036】
第3電流路61は、第3トランジスタ65及び第3負荷67を含み、第3トランジスタ65及び第3負荷67は、第1負荷45の他端と第1電源線17との間に直列に接続される。また、第4電流路63は、第4トランジスタ69及び第4負荷71を含み、第4トランジスタ69及び第4負荷71は、第2負荷47の他端と第1電源線17との間に接続される。
【0037】
第3トランジスタ65のソース(S)及び第4トランジスタ69のソース(S)は、それぞれ、第1トランジスタ57のドレイン(D)及び第2トランジスタ59のドレイン(D)に接続される。
【0038】
第3トランジスタ65のゲート(G)及び第4トランジスタ69のゲート(G)は、第3バイアス電圧bias3を受ける。第3バイアス電圧bias3は、第3バイアス生成回路60cによって生成される。
【0039】
第3バイアス電圧bias3の値は、第3トランジスタ65のソース(S)及び第4トランジスタ69のソース(S)の電位の変化範囲を制限する。第3電流路61に関しては、第1トランジスタ57は定電流源として働き、第1トランジスタ57は飽和領域で動作する。この定電流源の電流は、第1入力トランジスタ41及び第3電流路61に分流される。第3トランジスタ65のソース(S)の電位は、分流された電流を第3トランジスタ65が流すように規定される。同様に、第4電流路63に関しては、第2トランジスタ59は定電流源として働き、第2トランジスタ59は飽和領域で動作する。この定電流源の電流は、第2入力トランジスタ43及び第4電流路63に分流される。第4トランジスタ69のソース(S)の電位は、分流された電流を第4トランジスタ69が流すように規定される。
【0040】
第3負荷67及び第4負荷71は、第3電流路61及び第4電流路63の一方から他方への向きに電流をミラーする第1電流ミラー回路73を形成する。例示的な第1電流ミラー回路73は、第5トランジスタ75及び第6トランジスタ77を含み、第3電流路61から第4電流路63への向きに電流をミラーする。具体的には、第5トランジスタ75のソース(S)及び第6トランジスタ77のソース(S)は、第1電源線17に接続され、第5トランジスタ75のゲート(G)及び第6トランジスタ77のゲート(G)は、互いに接続され、更に第5トランジスタ75のドレイン(D)に接続される。
【0041】
フォールデッドカスコード型の差動増幅回路39では、第4電流路63の電流は第3電流路61にミラーされて、出力39dに接続されるノードの電圧が、第3負荷67のミラー電流と第3トランジスタ69に流れる電流とが釣り合う電圧に決まる。本実施例では、差動増幅回路39の出力39dの電圧値は、バンドギャップレファレンス回路11の第1電流源トランジスタ53及び第2電流源トランジスタ55のゲート(G)に帰還されて、差動増幅回路39の出力39dにおける電圧が決まる。
【0042】
基準電圧生成回路37は、出力回路76を更に備える。出力回路76は、入力76b及び出力76cを有する。差動増幅回路39の出力39dは、出力回路76の入力76bに接続される。出力回路76は、駆動トランジスタ78、出力負荷回路79、及び位相補償回路PCを含む。例示的な出力回路76では、駆動トランジスタ78のゲート(G)は、差動増幅回路39の出力39dに接続される。駆動トランジスタ78のソース(S)は、第1電源線17に接続される。駆動トランジスタ78のドレイン(D)は、出力負荷回路79の一端に接続され、出力負荷回路79の他端は第2電源線19に接続される。出力負荷回路79は、出力負荷回路79の一端から他端への向きに直列に接続された抵抗R1及びダイオードD1を含む。位相補償回路PCが、駆動トランジスタ78のドレイン(D)
とゲート(G)との間に接続される。位相補償回路PCは、抵抗及びキャパシタの直列接続を含む。出力回路76の出力は、駆動トランジスタ78のドレイン(D)及び出力負荷回路79の一端に接続されて、出力信号(Vout)を生成する。
【0043】
図3は、本実施形態に係る基準電圧生成回路の例示的な回路を示す図面である。
【0044】
図3を参照すると、差動増幅回路39では、第1負荷45及び第2負荷47は、それぞれ、第1負荷トランジスタ81及び第2負荷トランジスタ83を含む。第1負荷トランジスタ81のソース(S)及び第2負荷トランジスタ83のソース(S)は、第2電源線19に接続される。第1負荷トランジスタ81のドレイン(D)及びゲート(G)は、第1入力トランジスタ41のドレイン(D)に接続され、第2負荷トランジスタ83のドレイン(D)及びゲート(G)は、第2入力トランジスタ43のドレイン(D)に接続される。
【0045】
第1負荷トランジスタ81のドレイン(D)及びゲート(G)は、第5トランジスタ85のゲート(G)に接続されて、第1負荷トランジスタ81及び第5トランジスタ85は、第2電流ミラー回路80を形成する。また、第2負荷トランジスタ83のドレイン(D)及びゲート(G)は、第6トランジスタ87のゲート(G)に接続されて、第2負荷トランジスタ83及び第6トランジスタ87は、第3電流ミラー回路82を形成する。
【0046】
第5トランジスタ85のドレイン(D)及び第6トランジスタ87のドレイン(D)は、第4電流ミラー回路84に接続され、第4電流ミラー回路84は、第5トランジスタ85を含む電流路の電流を、第6トランジスタ87を含む電流路にミラーする。
【0047】
具体的には、第4電流ミラー回路84は、第7トランジスタ89及び第8トランジスタ91を含み、第7トランジスタ89のソース(S)及び第8トランジスタ91のソース(S)は、第1電源線17に接続される。第7トランジスタ89のドレイン(D)及びゲート(G)及び第8トランジスタ91のゲート(G)は、互いに接続される。第7トランジスタ89のドレイン(D)及びゲート(G)は、第5トランジスタ85のドレイン(D)に接続され、第8トランジスタ91のドレイン(D)は、第6トランジスタ87のドレイン(D)に接続される。
【0048】
差動増幅回路39の出力39dは、第8トランジスタ91のドレイン(D)及び第6トランジスタ87のドレイン(D)の共有ノードSN1に接続される。
【0049】
図3に示されるように、差動増幅回路39の出力39dは、出力回路76の入力76bに接続されることができる。
【0050】
基準電圧生成回路37は、更に、スタートアップ回路90を備えることができる。
【0051】
スタートアップ回路90は、電源起動の際に、出力回路76の出力76c(ノードnode_a)が第2電源線19の電位レベル(VSS電圧、例えば0ボルト)であるときに、差動増幅回路39の出力39d(ノードnode_b)を第2電源線19の電位レベルに設定するように動作して、バンドギャップレファレンス回路11の第1電流路13及び第2電流路15に電流を流すようにさせる。これによって、バンドギャップレファレンス回路11は起動される。続いて、バンドギャップレファレンス回路11が動作すると、差動増幅回路39の出力39d(ノードnode_b)が定常状態の電位に向けて変化していき、また出力回路76の出力76c(ノードnode_a)が定常状態の電位に向けて変化していく。スタートアップ回路90は、出力回路76の出力76c(ノードnode_a)の変化に応答して、差動増幅回路39の出力39dを第2電源線19の電位レベル
に設定する動作を停止する。
【0052】
具体的には、スタートアップ回路90は、負荷としての電流源トランジスタ93、解除トランジスタ95、及び初期化トランジスタ97を含む。解除トランジスタ95のソース(S)及び初期化トランジスタ97のソース(S)は、第2電源線19に接続され、電流源トランジスタ93のソース(S)は、第1電源線17に接続される。解除トランジスタ95のゲート(G)は、出力回路76の出力76c(ノードnode_a)に接続され、解除トランジスタ95のドレイン(D)は、電流源トランジスタ93のドレイン(D)に接続される。初期化トランジスタ97のゲート(G)は、解除トランジスタ95のドレイン(D)及び電流源トランジスタ93のドレイン(D)に接続される。初期化トランジスタ97のドレイン(D)は、差動増幅回路39の出力39d(ノードnode_b)に接続される。電源の起動に際して、電流源トランジスタ93のゲート(G)は、第4バイアス電圧bias4を受けている。第4バイアス電圧bias4は、第4バイアス生成回路60dによって生成される。
【0053】
このスタートアップ回路90は、
図2に示された基準電圧生成回路37にも適用されることができる。
【0054】
図4は、本実施形態に係る半導体装置を概略的に示す図面である。
【0055】
半導体装置99は、上記の実施形態に係る基準電圧生成回路37、及びパワーオンリセット回路30(POR回路)を備える。パワーオンリセット回路30は、第1電源線17及び第2電源線19に接続される。パワーオンリセット回路30は、リセット信号(por_n)を生成する。
【0056】
この半導体装置99によれば、基準電圧生成回路37は、電源起動の際に、パワーオンリセット回路30へ基準電圧を提供できる。
【0057】
また、半導体装置99は、電圧レギュレータ回路40を更に備えることができる。電圧レギュレータ回路40は、第1電源線17及び第2電源線19に接続され、内部電源線20に制御された電源電圧(VDDL)を提供することができる。
【0058】
さらに、半導体装置99は、電圧レギュレータ回路40から内部電源線20を介して給電される回路50を更に備えることができる。回路50は、例えばデジタル系回路及びアナログ系回路の少なくとも一方を含むことができる。パワーオンリセット回路30は、回路50に接続されて、回路50の初期化を行うことができる。
【0059】
図5は、本実施形態に係る基準電圧生成回路と異なる回路接続のバンドギャップレファレンス回路、差動増幅回路、及び出力回路を含む回路を示す図面である。
【0060】
図5に示されたバンドギャップレファレンス回路BGR1は、3つの抵抗Res1、Res2、及びRes3と、2つのダイオードD1及びD2を含む。差動増幅回路DIFF1は、n型入力トランジスタNM0及びNM1、負荷の電流ミラー回路のp型入力トランジスタPM0及びPM1、電流源トランジスタNM2、並びに出力のp型トランジスタPM2を含む。電流源トランジスタNM2は、基準電圧bias0を受ける。
【0061】
この回路では、電源起動に際して、p型トランジスタPM2が、抵抗Res1及びダイオードD1、並びに抵抗Res2、Res3及びダイオードD2を駆動する。これ故に、バンドギャップレファレンス回路BGR1の最低動作電圧は、例えばp型トランジスタPM2の閾値電圧VTP、p型トランジスタPM2のVDS(ドレイン-ソース間電圧)、
(抵抗Res2+抵抗Res3)×電流I1、及びダイオードD2の順方向電圧の和になる。この値は、例えば1.6ボルト程度である。
【0062】
図6は、本実施形態に係る基準電圧生成回路と異なる回路接続のバンドギャップレファレンス回路、差動増幅回路、及び出力回路を含む回路を示す図面である。
【0063】
バンドギャップレファレンス回路BGR2は、電流源としての2つのp型トランジスタPM3及びPM34、抵抗Res3と、2つのダイオードD1及びD2を含む。差動増幅回路DIFF2は、n型入力トランジスタNM0及びNM1、負荷としての電流ミラー回路のp型入力トランジスタPM0及びPM1、電流源トランジスタNM2、出力のp型トランジスタPM2、ダイオードD3並びに抵抗Res4を含む。電流源トランジスタNM2は、基準電圧bias0を受ける。
【0064】
出力のp型トランジスタPM2からの電流I2は、バンドギャップレファレンス回路BGR2に流れない。これ故に、バンドギャップレファレンス回路BGR2の最低動作電圧は、p型トランジスタPM4のVDS(ドレイン-ソース間電圧)、(抵抗Res3)×(Res3に流れる電流I)、及びダイオードD2の順方向電圧の和になる。
【0065】
図5のバンドギャップレファレンス回路BGR1は、
図6のバンドギャップレファレンス回路BGR2に比べて大きな基準電圧のばらつきを示す。
【0066】
また、
図6の回路では、差動増幅回路DIFF2のn型入力トランジスタNM0、NM1が、バンドギャップレファレンス回路BGR2の出力電圧を受ける。低電圧動作のバンドギャップレファレンス回路BGRは、その出力電圧が低電源電圧に近い電圧であるので、差動増幅回路DIFF2の入力電圧の下限が回路の動作下限に関連してくる。
【0067】
これに対して、本実施形態に係るバンドギャップレファレンス回路11、基準電圧生成回路37、及び半導体装置99によれば、動作電圧の制限を緩和することができる。
【0068】
図7は、本実施形態に係る基準電圧生成回路の例示的な回路を示す図面である。
【0069】
図7を参照すると、基準電圧生成回路37は、バンドギャップレファレンス回路11b及び差動増幅回路39を含む。
図3に示された例示的な基準電圧生成回路において、位相補償回路PCが除かれている。
図7の基準電圧生成回路は、
図3の基準電圧生成回路の位相補償回路PC無しに動作可能である。
【0070】
具体的には、バンドギャップレファレンス回路11bは、バンドギャップレファレンス回路11と同様に、第1電流路13及び第2電流路15を含む。第1電流路13及び第2電流路15は、第1電源線17(例えば、VDD)と第2電源線19(例えば、VSS)との間に接続される。バンドギャップレファレンス回路11bは、第1出力12b及び第2出力12cに加えて、第3出力12dを有することができる。バンドギャップレファレンス回路11bは、更に、キャパシタ114を含む。キャパシタ114は、第1共有ノード25と第3出力12dとの間に接続されることができる。第3出力12dは、差動増幅回路39の入力39fを介してノード26(第1入力トランジスタ41及び第1負荷45の共有ノード)に接続される。
【0071】
バンドギャップレファレンス回路11bのキャパシタ114は、電源投入時及び電源変動時にバンドギャップ回路の出力電圧が、一時的に大きく変化すること(例えば、電圧が跳ね上がること)を低減できる。
【0072】
図7を参照すると、
図7の基準電圧生成回路37の出力回路76は、
図2及び
図3に示された位相補償回路PC(位相補償回路PCは抵抗及びキャパシタの直列接続を含まない)を備えない。これを示すために、位相補償回路PCが破線で描かれている。
【0073】
理解の容易のために基準電圧生成回路37の参照符号を用いて、位相補償回路PCを含む基準電圧生成回路の動作を説明する。例えば、電源投入時において電源電圧の変化が特に急峻であるとき、駆動トランジスタ78のゲート(G)の電圧が、電源投入時及び電源変動時における電圧の変化に追従して変化できないことがある。これは、位相補償回路PCのキャパシタの作用によって引き起こされる。具体的には、位相補償回路PCのキャパシタは、出力回路76において駆動トランジスタ78のソース(S)の電圧が高い一方で、駆動トランジスタ78のゲート(G)の電圧が電源電圧の変化に応答して速やかに変化できない、ことを生じさせる。これに従って、駆動トランジスタ78は導通する。この導通により、出力回路76の出力76cに、電源電圧に近い大きな電圧を生成させる。
【0074】
図8は、位相補償回路PCを含む基準電圧生成回路において、電源電圧を矩形波形で変化させるとき、出力回路の出力電圧のシミュレーション波形を示す。
図8では、下側グラフは、電源電圧の変化の波形を示す。上側グラフは、電源電圧の変化に応答する基準電圧生成回路の出力回路の出力Voutの波形を示す。電源電圧VDDは0Vから5.5Vに立ち上げられ、立ち下げ電圧として4Vに下げられ、再び5.5Vに立ち上げられる。立ち下げ電圧は、3V、2V、1.5V、1V、0Vのように変更される。電源電圧VDDが急峻に立ち上がるごとに、基準電圧生成回路の出力回路の出力電圧は跳ね上がっており、例えば5.5Vまで跳ね上がる応答も現れている。
【0075】
図7の回路の動作を説明する。駆動トランジスタ78のゲート(G)の電圧(つまり、node_b)が低いと、この電圧は、バンドギャップレファレンス回路11bのトランジスタ(53、55)のゲートに与えられる。トランジスタ(53、55)からのそれぞれの電流は増加して、バンドギャップレファレンス回路11bの第1共有ノード25及び差動増幅回路のノード26の電圧は上昇する。
【0076】
具体的には、キャパシタ114は、第1共有ノード25の電圧の上昇に応答して、ノード26の電圧を上昇させる。キャパシタ114は、電圧プッシュキャパシタとして作用する。つまり、第1共有ノード25の電圧が上がると、ノード26の電圧も上がる。これに応答して、負荷回路46の共有ノードSN2(第7トランジスタ89のドレイン(D)と第5トランジスタ85のドレイン(D)との共有ノード)の電圧は、下がる。次いで、負荷回路46の共有ノードSN3(第8トランジスタ91のドレイン(D)と第6トランジスタ87のドレイン(D)との共有ノード)の電圧は、上がる。このような変化は、ノード(node_b)の低下を下げるように作用する。この結果、出力電圧の跳ね上がりが低減され、或いは抑制される。この記述により、バンドギャップの出力電圧の跳ね上がりを抑制する動作が理解される。
【0077】
図7のバンドギャップレファレンス回路11b及び差動増幅回路39において、バンドギャップレファレンス回路11bの第1共有ノード25の位相は、電源の起動時において、差動増幅回路39のノード26と同相である。
【0078】
しかしながら、キャパシタ114を含まない基準電圧生成回路では、第1共有ノード25の電圧が上がると、ノード26の電圧が下がる。これに応答して、共有ノードSN2(第7トランジスタ89のドレイン(D)と第5トランジスタ85のドレイン(D)との共有ノード)の電圧は、上がる。次いで、共有ノードSN3(第8トランジスタ91のドレイン(D)と第6トランジスタ87のドレイン(D)との共有ノード)の電圧は、下がる。
【0079】
例示的なキャパシタ114のキャパシタンスは、数ピコファラッドから数十ピコファラッドの範囲であることができる。
【0080】
図9は、電源電圧を矩形波形で変化させるとき、電圧プッシュキャパシタを含む基準電圧生成回路37の出力回路76の出力のシミュレーション波形を示す。
図9では、下側グラフは、電源電圧の変化の波形を示す。上側グラフは、電源電圧の変化に応答する基準電圧生成回路37の出力回路76の出力Voutの波形を示す。このシミュレーションでは、電源電圧VDDを
図8の波形と同じく変化させている。
図8及び
図9の縦軸の目盛りは、同じである。
図8及び
図9の波形を比較すると、出力電圧の跳ね上がりが低減されていることが理解される。
【0081】
図10は、本実施形態に係る基準電圧生成回路の例示的な回路を示す図面である。
【0082】
図10を参照すると、
図7に示された例示的な基準電圧生成回路37において、スタートアップ回路90bを備える。スタートアップ回路90bは、スタートアップ回路90の負荷としての電流源トランジスタ93、解除トランジスタ95、及び初期化トランジスタ97に加えて、第1追加トランジスタ92及び第2追加トランジスタ94の少なくとも一方を含むことができる。例示的なスタートアップ回路90bは、第1追加トランジスタ92及び第2追加トランジスタ94の両方を含むことができる。
【0083】
第1追加トランジスタ92及び第2追加トランジスタ94のドレイン(D)は、ノード(node_c)において、電流源トランジスタ93のドレイン(D)及び初期化トランジスタ97のゲート(G)に接続される。第1追加トランジスタ92及び第2追加トランジスタ94のソース(D)は、第2電源線19に接続される。第1追加トランジスタ92のゲート(G)は、バンドギャップレファレンス回路11bの第2共有ノード33に接続される。第2追加トランジスタ94のゲート(G)は、第1共有ノード25に接続される。
【0084】
スタートアップ回路90bは、以下のように動作する。バンドギャップレファレンス回路11bの第1共有ノード25及び第2共有ノード33の電圧は、低い。これに従って、第1追加トランジスタ92及び第2追加トランジスタ94は、非導通である。ノード(node_c)は、電流源トランジスタ93のドレイン(D)に接続されていて、電源電圧に引き上げられる。これに応答して、初期化トランジスタ97は導通する。
【0085】
初期化トランジスタ97が導通すると、バンドギャップレファレンス回路11bのトランジスタ(21、27)が導通して、第1共有ノード25及び第2共有ノード33の電圧が上昇する。
【0086】
バンドギャップレファレンス回路11bの第1共有ノード25及び第2共有ノード33の電圧上昇に応答して、第1追加トランジスタ92及び第2追加トランジスタ94が導通して、初期化トランジスタ97を非導通にする。第1追加トランジスタ92及び第2追加トランジスタ94の導通は、出力端子電圧が跳ね上がる前に生じる。
【0087】
スタートアップ回路90bは、出力端子電圧が跳ね上がり、及び跳ね上がりの可能性を低減できる。また、スタートアップ回路90b及びプッシュアップキャパシタ(114)の組み合わせは、跳ね上がりの低減の可能性を更に高める。
【0088】
第1追加トランジスタ92及び第2追加トランジスタ94を含まないスタートアップ回路では、出力電圧Voutが低いと、解除トランジスタ95が導通しない。ノード(node_c)の電圧は、電流源トランジスタ93によって電源電圧に引き上げられる。初期化トランジスタ97が導通して、ノード(node_b)の電圧を引き下げる。ノード(node_b)の電圧が下がると、バンドギャップレファレンス回路を起動させる。バンドギャップレファレンス回路の起動タイミングと初期化トランジスタ97の非導通タイミングとに依存して、出力電圧Voutが跳ね上がる可能性がある。
【0089】
図11は、電源電圧を矩形波形で変化させるとき、
図10に示されたスタートアップ回路を含む基準電圧生成回路の出力回路の出力のシミュレーション波形を示す図面である。
図11では、下側グラフは、電源電圧の変化の波形を示す。上側グラフは、電源電圧の変化に応答する基準電圧生成回路の出力回路の出力Voutの波形を示す。このシミュレーションでは、電源電圧VDDを
図8の波形と同じく変化させている。
図11の上側グラフでは、縦軸の目盛りが
図8及び
図9の目盛りと異なる。
図8、
図9及び
図11の波形を比較すると、
図11の波形では、出力電圧Voutの跳ね上がりが低減されている。
【0090】
スタートアップ回路90bは、既に説明された本実施形態の基準電圧生成回路にも、適用されることができ、それらにおいて同様に動作する。
【0091】
本実施形態によれば、動作電圧の制限を緩和できる基準電圧生成回路及び半導体装置が提供される。
【0092】
本実施形態は、以下のような様々な側面を有する。
【0093】
本実施形態に係る第1側面の基準電圧生成回路は、第1電源線と前記第1電源線と異なる第2電源線との間に接続される第1電流路、及び前記第1電源線と前記第2電源線との間に接続される第2電流路を含むバンドギャップレファレンス回路であって、前記第1電流路は、前記第1電源線から前記第2電源線への向きに直列に接続される第1電流源及び第1ダイオード、並びに前記第1電流源と前記第1ダイオードとの第1共有ノードを含み、前記第2電流路は、前記第1電源線から前記第2電源線への向きに直列に接続される第2電流源、抵抗及び第2ダイオード、並びに前記第2電流源と前記抵抗との第2共有ノードを含む、バンドギャップレファレンス回路と、前記第1共有ノードに接続された第1差動入力、前記第2共有ノードに接続された第2差動入力、出力を有する差動増幅回路であって、前記差動増幅回路は、前記第1差動入力からの信号を受ける第1入力トランジスタ、前記第2差動入力からの信号を受ける第2入力トランジスタ、前記第2電源線に接続された一端を有する第1負荷、前記第2電源線に接続された一端を有する第2負荷、及び前記第1電源線に接続されると共に第1バイアス電圧を受ける第3電流源を含む差動増幅回路と、を備え、前記第1電流源は、前記第1ダイオードに流れる電流を流す第1電流源トランジスタを含み、前記第2電流源は、前記抵抗及び前記第2ダイオードに流れる電流を流す第2電流源トランジスタを含み、前記第1入力トランジスタ、前記第2入力トランジスタ、前記第1電流源トランジスタ、及び前記第2電流源トランジスタは、同一導電型を有する。
【0094】
第1側面に従う第2側面の基準電圧生成回路では、前記第1電流源トランジスタは、前記差動増幅回路の前記出力に接続されたゲートを有し、前記第2電流源トランジスタは、前記差動増幅回路の前記出力に接続されたゲートを有することができる。
【0095】
第1側面又は第2側面に従う第3側面の基準電圧生成回路では、前記差動増幅回路は、フォールデッドカスコード型を有する。
【0096】
第1側面又は第3側面に従う第4側面の基準電圧生成回路では、前記差動増幅回路の前記第1負荷は、第2バイアス電圧を受けるゲート、前記第1入力トランジスタに接続されたドレイン及び前記第2電源線に接続されたソースを有する第1トランジスタを含み、前記差動増幅回路の前記第2負荷は、前記第2バイアス電圧を受けるゲート、前記第2入力トランジスタに接続されたドレイン及び前記第2電源線に接続されたソースを有する第2トランジスタを含み、前記差動増幅回路は、前記第1負荷の他端と前記第1電源線との間に接続された第3電流路、及び前記第2負荷の他端と前記第1電源線との間に接続された第4電流路を更に含み、前記第3電流路は、前記第1負荷の前記他端と前記第1電源線との間に直列に接続された第3トランジスタ及び第3負荷を含み、前記第4電流路は、前記第2負荷の前記他端と前記第1電源線との間に直列に接続された第4トランジスタ及び第4負荷を含み、前記第3トランジスタ及び前記第4トランジスタの各々は、第3バイアス電圧を受けるゲートを有し、前記第3負荷及び前記第4負荷は、前記第3電流路及び前記第4電流路の一方から他方への向きに電流をミラーする第1電流ミラー回路を形成し、前記差動増幅回路の前記出力は、前記第4トランジスタ及び前記第4負荷の共有ノードに接続されることができる。
【0097】
第1側面又は第2側面に従う第5側面の基準電圧生成回路では、前記差動増幅回路の前記第1負荷は、前記第1入力トランジスタのドレインに接続されたドレイン及びゲート、及び前記第2電源線に接続されたソースを有する第1負荷トランジスタを含み、前記差動増幅回路の前記第2負荷は、前記第2入力トランジスタのドレインに接続されたドレイン及びゲート、及び前記第2電源線に接続されたソースを有する第2負荷トランジスタを含み、前記差動増幅回路は、前記第2電源線に接続される第5トランジスタであって、前記第1負荷トランジスタ及び前記第5トランジスタが第2電流ミラー回路を構成する、第5トランジスタと、前記第2電源線に接続される第6トランジスタであって、前記第2負荷トランジスタ及び前記第6トランジスタが第3電流ミラー回路を構成する、第6トランジスタと、前記第5トランジスタのドレイン及び前記第6トランジスタのドレインに接続されると共に前記第5トランジスタから前記第6トランジスタへの方向に電流をミラーする第4電流ミラー回路と、を有し、前記差動増幅回路の前記出力は、前記第6トランジスタの前記ドレインに接続されることができる。
【0098】
第1側面から第5側面のいずれか一側面に従う第6側面の基準電圧生成回路は、前記差動増幅回路の前記出力に接続された出力回路を更に備え、前記出力回路は、前記第2電源線に接続された一端を有する出力負荷回路、並びに前記差動増幅回路の前記出力に接続されたゲート、前記出力負荷回路の他端に接続されたドレイン、及び前記第1電源線に接続されたソースを有する出力トランジスタを含むことができる。
【0099】
第6側面に従う第7側面の基準電圧生成回路は、前記差動増幅回路の前記出力及び前記出力回路の入力に接続されたスタートアップ回路を更に備え、前記スタートアップ回路は、前記第1電源線と前記第2電源線との間に直列に接続された解除トランジスタ及び負荷、並びに前記差動増幅回路の前記出力に接続されたドレイン及び前記第2電源線に接続されたソースを有する初期化トランジスタを含み、前記解除トランジスタは、前記出力回路の前記出力に接続されたゲートを有し、前記初期化トランジスタは、前記解除トランジスタと前記負荷との共有ノードに接続されたゲートを有し、前記出力回路の前記出力負荷回
路は、前記出力回路の出力と前記第2電源線との間に直列に接続された抵抗及び第3ダイオードを含むことができる。
【0100】
第7側面に従う第8側面の基準電圧生成回路では、前記スタートアップ回路は、第1追加トランジスタ及び第2追加トランジスを含み、前記第1追加トランジスタ及び前記第2追加トランジスは、前記第2電源線に接続されたソース、並びに前記解除トランジスタ及び前記負荷の共有ノードに接続されるドレインを有し、前記第1追加トランジスタ及び前記第2追加トランジスのそれぞれのゲートは、前記バンドギャップレファレンス回路の前記第1共有ノード及び前記第2共有ノードに接続されることができる。
【0101】
第6側面から第8側面のいずれか一側面に従う第9側面の基準電圧生成回路では、前記出力回路は、前記出力トランジスタのゲートとドレインとの間に接続される位相補償回路を更に含み、前記位相補償回路は、キャパシタを含むことができる。
【0102】
第1側面から第8側面のいずれか一側面に従う第10側面の基準電圧生成回路では、前記バンドギャップレファレンス回路は、キャパシタを更に含み、前記キャパシタは、前記第1電流路の前記第1共有ノードと前記第1入力トランジスタのドレインとの間に接続されることができる。
【0103】
本実施形態に係る第11側面の半導体装置は、第1側面から第10側面のいずれか一側面に記載された基準電圧生成回路と、前記基準電圧生成回路の出力に接続されたパワーオンリセット回路と、を備え、前記パワーオンリセット回路は、前記第1電源線及び前記第2電源線に接続されることができる。
【0104】
第10側面に従う第12側面の半導体装置は、前記第1電源線及び前記第2電源線に接続されると共に前記第1電源線の電圧と前記第2電源線の電圧との間の電圧を生成する電圧レギュレータ回路と、前記電圧レギュレータ回路から給電される回路と、を更に含むことができる。
【0105】
本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。そして、それらはすべて、本発明の技術思想に含まれるものである。
【符号の説明】
【0106】
11・・・バンドギャップレファレンス回路、12b、12c、12d・・・出力、13・・・第1電流路、15・・・第2電流路、17・・・第1電源線、19・・・第2電源線、20・・・内部電源線、21・・・第1電流源、23・・・ダイオード、25、26・・・共有ノード、27・・・第2電流源、29・・・抵抗、30・・・パワーオンリセット回路、31・・・ダイオード、33・・・共有ノード、37・・・基準電圧生成回路、39・・・差動増幅回路、39b、39c・・・差動入力、39d・・・出力、40・・・電圧レギュレータ回路、41・・・第1入力トランジスタ、43・・・第2入力トランジスタ、45・・・第1負荷、45b・・・一端、45c・・・他端、46・・・負荷回路、47・・・第2負荷、47b・・・一端、47c・・・他端、49・・・電流源、49b・・・一端、49c・・・他端、50・・・回路、51・・・共有ノード、53・・・第1電流源トランジスタ、55・・・第2電流源トランジスタ、57・・・第1トランジスタ、59・・・第2トランジスタ、60a・・・第1バイアス生成回路、60b・・・第2バイアス生成回路、60c・・・第3バイアス生成回路、60d・・・第4バイアス生成回路、61・・・第3電流路、63・・・第4電流路、65・・・第3トランジスタ、67・・・第3負荷、69・・・第3トランジスタ、71・・・第4負荷、73・・・第1電流ミラー回路、75・・・第5トランジスタ、76・・・出力回路、76b・・・入力、76c・・・出力、77・・・第6トランジスタ、78・・・駆動トランジスタ、79・・・出力負荷回路、80・・・第2電流ミラー回路、81・・・第1負荷トランジスタ、82・・・第3電流ミラー回路、83・・・第2負荷トランジスタ、84・・・第4電流ミラー回路、85・・・第5トランジスタ、87・・・第6トランジスタ、89・・・第7トランジスタ、90・・・スタートアップ回路、91・・・第8トランジスタ、93・・・電流源トランジスタ、95・・・解除トランジスタ、97・・・初期化トランジスタ、99・・・半導体装置、114・・・キャパシタ(プッシュアップキャパシタ)。