(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137889
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】銅箔表面の粗さを低減するための研磨及び研削プロセス
(51)【国際特許分類】
B24B 7/12 20060101AFI20240927BHJP
B24B 29/00 20060101ALI20240927BHJP
B24B 57/02 20060101ALI20240927BHJP
B22F 1/08 20220101ALI20240927BHJP
【FI】
B24B7/12
B24B29/00 D
B24B57/02
B22F1/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024045929
(22)【出願日】2024-03-22
(31)【優先権主張番号】112110816
(32)【優先日】2023-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】524112005
【氏名又は名称】態金材料科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】陳 冠 維
(72)【発明者】
【氏名】陳 冠 宇
(72)【発明者】
【氏名】鄭 憲 清
【テーマコード(参考)】
3C043
3C047
3C158
4K018
【Fターム(参考)】
3C043BB11
3C043CC06
3C043CC13
3C043DD02
3C043DD06
3C043DD15
3C047FF09
3C047GG13
3C047GG20
3C158AA06
3C158AA07
3C158AA09
3C158AA11
3C158AA18
3C158AB01
3C158AC01
3C158CB01
3C158DA02
4K018BB04
4K018BB07
4K018BD09
4K018KA61
(57)【要約】
【課題】銅箔の表面粗さを効率的に低減するために、銅箔表面を穏やかにブラッシング、研磨及び研削するための本プロセスを提案する。
【解決手段】銅箔表面を研磨及び研削するためのプロセスは、軟質、多孔質、繊維状、及び圧縮性の材料から形成される主ローラを実装することと、主ローラの周面に射出、衝突、又は塗布される複数の金属ガラス粒子を配置することと、を含み、それにより、主ローラが回転して銅箔表面に接触して銅箔表面をブラッシングする際に、主ローラによって緩衝される各金属ガラス粒子が、銅箔の粗さを効率的に低減するために銅箔表面を同時に研磨及び研削することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅箔表面を研磨及び研削するプロセスであって、銅箔をブラッシングするために軟質、多孔質、繊維状及び圧縮性の材料から形成される主ローラを実装することと、前記主ローラの周面に射出、衝突、又は塗布されるべき複数の金属ガラス粒子を配置して、各前記金属ガラス粒子を前記主ローラの周面で部分的に受けることができるようにするとともに、前記主ローラによって緩衝されるように各前記金属ガラス粒子の上部を外側に突出させることとを含み、それにより、主ローラが回転して銅箔表面に接触する際に、銅箔表面が前記主ローラによってブラッシングされ、各前記金属ガラス粒子が、前記主ローラ内で圧縮されて復元弾性力を回復すると、前記主ローラからの復元弾性力によって外側に付勢されて、銅箔表面を強制的に研磨及び研削し、それによって、銅箔の粗さを効率的に低減するために同時に協働して銅箔表面をブラッシング、研磨及び研削するプロセス。
【請求項2】
各前記主ローラは、綿ローラ、ナイロンローラ、ウールローラ、スポンジローラ、発泡体ローラ、及びエラストマー材料から形成される多孔質ローラを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
再使用のために前記金属ガラス粒子を収集又は吸引するための真空吸盤を含む収集器が設けられる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
各前記主ローラは、前記銅箔の長手方向中心に規定される主軸と投影的に傾斜して交差するように配置される長手方向軸を有する、請求項1に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
銅箔表面の粗さを低減するための従来の方法では、銅箔表面を研磨するためにセラミック粒子又は粉末が使用される。しかしながら、セラミック粒子は、鋭利なエッジを有しているため、銅箔を傷付けたり、破損したりして、回路基板の短絡を引き起こし、それにより、銅箔の製造歩留まりや品質に影響を与える場合がある。
【0002】
本発明者は、この欠点を見出し、銅箔の表面粗さを効率的に低減するために、銅箔表面を穏やかにブラッシング、研磨及び研削するための本プロセスを発明した。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、軟質、多孔質、繊維状及び圧縮性の材料から形成される主ローラを実装するとともに、主ローラの周面に射出、衝突、又は塗布される複数の金属ガラス粒子を配置することによって、銅箔表面を研磨及び研削するためのプロセスであって、主ローラが回転して銅箔表面に接触して銅箔表面をブラッシングする際に、主ローラによって緩衝される各金属ガラス粒子が、銅箔の粗さを効率的に低減するために銅箔表面を同時に研磨及び研削することができる、プロセスを提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図2】主ローラによって緩衝されたときの金属ガラス粒子が本発明に係る銅箔を研磨していることを示す。
【
図3】本発明の銅箔を研磨する際の主ローラの異なる向きを示す。
【発明を実施するための形態】
【0005】
図1及び
図2に示されるように、本発明は、銅箔1をブラッシングするための軟質、多孔質、繊維状及び圧縮性の材料から形成される主ローラ2を実装すること、及び、主ローラ2の周面20に射出、衝突、又は塗布されるべき複数の金属ガラス粒子3を配置して、各金属ガラス粒子を主ローラ2の周面20で部分的に受けることができるようにするとともに、主ローラ2によって緩衝されるように各金属ガラス粒子3の上部を外側に突出させることを含み、それにより、主ローラ2が回転して銅箔表面に接触する際に、銅箔表面が前記主ローラによってブラッシングされ、各前記金属ガラス粒子3が、主ローラ内で圧縮されて復元弾性力Tを回復すると、主ローラ2からの復元弾性力Tによって外側に付勢されて、銅箔表面を強制的に研磨及び研削し、それによって、銅箔の粗さを効率的に低減するために同時に協働して銅箔表面をブラッシング、研磨及び研削する。
【0006】
以下に説明するように、それは、本発明における各金属ガラス(MG)粒子3の役割にとって非常に重要である。
【0007】
1.真円に近づく高い真円度を有する各MG粒子3は、主ローラ2に形成されるキャビティ21内に回転可能に受けられる。そのため、各MG粒子3は、銅箔表面を引っ掻いたり破損したりすることなく、銅箔表面を良好に研磨及び研削するように回転可能であり得る。また、金属ガラス粒子は、高い硬度及び強度を有し、研磨及び研削にとってより優れている。
【0008】
2.各金属ガラス粒子3は、推論的に、「マザーローラ」と考えることができる主ローラ2と協働する「ドーターローラ」と考えることができる。「マザーローラ」及び「ドーターローラ」の両方が同時に銅箔表面をブラッシング、研磨及び研削し、それによって銅箔表面の粗さを効率的に低減する。
【0009】
3.主ローラ2は、軟質、多孔質、繊維状、及び圧縮性の材料から形成されるため、主ローラの周面へと射出、衝突、噴射、又は塗布されるべき各金属ガラス粒子3を主ローラ2にその場で一時的に形成されたキャビティ21で強制的に受けることができるようにする。主ローラ2は、射出された金属ガラス粒子3を「捕捉」又は受けるために設けられる複数の孔を有する。
【0010】
主ローラ2は、綿ローラ、ナイロンローラ、ウールローラ、スポンジローラ、発泡ローラ、及びエラストマー材料から形成される多孔質ローラで作られてもよい。
【0011】
図1において、銅箔1の上側U及び下側Dの両方には、それぞれが主ローラ2と主ローラ2に支持された複数の金属ガラス粒子3とから成る複数のローラセットが設けられる。
【0012】
研磨されるべき銅箔1を解放するために繰り出しローラ(図示せず)が設けられてもよい。研磨された銅箔1を巻き取るために、巻き取りローラ(図示せず)が設けられてもよい。これはロールツーロールプロセスである。
【0013】
図1に示されるように、各ローラ2をR方向で駆動しながら、銅箔1がF方向で前方に引かれる。
【0014】
また、ローラ2は、銅箔1の上側又は片面に配置されてもよい。
【0015】
図2に示されるように、主ローラ2がR方向で回転駆動されると、主ローラ2が銅箔1に接線方向で接触する際に、主ローラ2の周面20から外側に通常突出している金属ガラス粒子3が内側に引っ込められ又は押し下げられ得る。一方、金属ガラス粒子3は、引き込まれて主ローラ2を圧縮すると、圧縮された主ローラ2によって復元されるように復元弾性力Tが発揮され得る。次いで、そのような復元力Tは、金属ガラス粒子を外側に付勢して、銅箔表面を強制的に研磨及び研削する。主ローラ2は前述のように圧縮性材料から形成されることに留意されたい。
【0016】
丸い又は円形の金属ガラス粒子3のおかげにより粒子3は、汎用ローラのように、主ローラ2内に回転可能に受けられて緩衝され、銅箔表面を完全に均一に研削して研磨する。
【0017】
金属ガラス粒子3は、主ローラ2内で回転可能であり、致命的に固定されていないため、その自由な回転を可能にし、それにより、銅箔を傷付ける、引っ掻く、又は破損することなく、銅箔表面の滑らかな研削及び研磨動作を向上させる。また、各金属ガラス粒子3は、柔軟で圧縮性の主ローラ2によって緩衝される。主ローラ2は、銅箔表面の損傷を更に防止するために、研削中及び研磨中の予期しない衝撃力を吸収する衝撃吸収媒体として機能する。
【0018】
主ローラ2上に金属ガラス粒子3を射出、衝突、又は形成するために、アプリケータ又はフィーダ(図示せず)が設けられてもよい。
【0019】
金属ガラス粒子の再利用のために、生産ラインから金属ガラス粒子3を回収又は吸引するために、収集器又は真空吸盤(図示せず)が設けられてもよい。
【0020】
図3に示されるように、各主ローラ2は、その長手方向軸X
1又はX
2が、生産ラインにおける銅箔1の長手方向中央に規定された主軸X
0と投影的に傾斜して交差するように配置されてもよい。したがって、銅箔表面の研磨及び研削を均一に達成することができる。銅箔の主軸X
0と投影的に交差する各主ローラ2の傾斜角度は、この発明に限定されない。
【0021】
MG粒子の粒径は、5ミクロン~50ミクロンの範囲であり得るが、限定されない。
【0022】
本発明は、従来の方法よりも優れており、以下の利点がある。
【0023】
1.プロセスは、研磨液を使用しない乾式研磨及び研削であり、それにより、銅箔表面の酸化又は腐食を防止する。
【0024】
2.主ローラ2及び金属ガラス粒子3は、銅箔表面を同時にブラッシング、研磨及び研削するために作動され、それにより、銅箔の粗さを効率的に低減する。
【0025】
3.光沢のある滑らかな表面を有する丸い又は円形の金属ガラス粒子3が主ローラ2上に回転可能に支持され、金属ガラス粒子の固有の高硬度及び高強度の影響を受けることなく、銅箔を傷付けたり破損したりすることなく研磨及び研削をより穏やかにする。
【符号の説明】
【0026】
1 銅箔
2 主ローラ
3 金属ガラス粒子
20 周面
21 キャビティ