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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137892
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】トラップ装置
(51)【国際特許分類】
   F16T 1/08 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
F16T1/08 Z
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024046092
(22)【出願日】2024-03-22
(31)【優先権主張番号】112111247
(32)【優先日】2023-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】524110665
【氏名又は名称】青聿國際股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】杜 建儀
(57)【要約】
【課題】トラップ装置を提供することを課題とする。
【解決手段】トラップ装置であって、排出待ちの蒸気や凝縮水を送り込むための流入路を設けた入口部と、凝縮水を送り出すための流出路を設けた出口部と、入口部及び出口部とそれぞれ連通する第1流体室とを備えた基台と、第1流体室内に設けられ、弁入口ポートと、弁出口ポートとを具備し、弁入口ポートは入口部と連通し、弁出口ポートは出口部と連通するバルブと、基台の上方に設けられ、入口部及び出口部とそれぞれ連通する第2流体室を具備する蓋体とを備え、出口部と第2流体室との連通箇所にノズルが設けられる。別の実施形態において、蓋体は、流路空間と、複数の流体制御要素とを備えた逆止構造を具備し、流体制御要素は前記流路空間内に設けられ、流路空間は、それぞれ入口部及び出口部と連通する。
【選択図】図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排出待ちの蒸気や凝縮水を送り込むための流入路を設ける入口部と、
前記凝縮水を送り出して排出するための流出路を設けた出口部と、
前記基台の内部に形成され、前記入口部及び前記出口部と流体連通する第1流体室と、
を備える基台と、
前記第1流体室内に設けられ、弁入口ポートと、弁出口ポートとを具備し、前記弁入口ポートは前記入口部と流体連通し、前記弁出口ポートは前記出口部と流体連通するバルブと、
前記基台の前記第1流体室に対向する側に連結され、内部にはそれぞれ前記入口部及び前記出口部と流体連通する第2流体室を形成した蓋体と、
前記入口部と前記第2流体室との流体連通箇所、又は前記出口部と前記第2流体室との流体連通箇所に交換可能に設けられたノズルと、
を含む、トラップ装置。
【請求項2】
排出待ちの蒸気や凝縮水を送り込むための流入路を設ける入口部と、
前記凝縮水を送り出して排出するための流出路を設けた出口部と、
前記基台の内部に形成され、前記入口部及び前記出口部と流体連通する第1流体室と、
を備える基台と、
前記第1流体室内に設けられ、弁入口ポートと、弁出口ポートとを具備し、前記弁入口ポートは前記入口部と流体連通し、前記弁出口ポートは前記出口部と流体連通するバルブと、
前記基台の前記第1流体室に対向する側に連結され、内部には流路空間と、複数の流体制御要素とを備えた逆止構造を形成し、前記複数の流体制御要素は前記流路空間内に設けられ、前記流路空間はそれぞれ前記入口部及び前記出口部と流体連通する蓋体と、
前記入口部と前記流路空間との連通箇所、或いは前記出口部と前記流路空間との流体連通箇所に設けられたノズルと、
を含む、トラップ装置。
【請求項3】
前記流体制御要素は、前記流路空間に複数の円弧状の流路を形成するように各前記流路空間内に各々設けられる、請求項2に記載のトラップ装置。
【請求項4】
前記蓋体は、貫通開口を具備し、前記貫通開口の位置は前記ノズルの位置に対応する、請求項1又は2に記載のトラップ装置。
【請求項5】
前記入口部と前記第2流体室とを接続する流入接続部と、前記出口部と前記第2流体室とを接続する流出接続部とをさらに含み、前記ノズルは前記流入接続部或いは前記流出接続部に設けられる、請求項1に記載のトラップ装置。
【請求項6】
前記入口部と前記流路空間とを接続する流入接続部と、前記出口部と前記流路空間とを接続する流出接続部とをさらに含み、前記ノズルは前記流入接続部或いは前記流出接続部に設けられる、請求項2に記載のトラップ装置。
【請求項7】
前記入口部が飽和蒸気温度にある時、前記バルブは閉状態にある、請求項1又は2に記載のトラップ装置。
【請求項8】
前記入口部には、圧力リリーフ弁に連絡された掃除口が設けられる、請求項1又は2に記載のトラップ装置。
【請求項9】
前記基台と前記蓋体とが、一体成形される、請求項1又は2に記載のトラップ装置。
【請求項10】
前記バルブは、温度変化によって駆動されることで、前記バルブを開閉させる感温素子を具備する、請求項1又は2に記載のトラップ装置。
【請求項11】
前記バルブと前記第1流体室との間に設けられたシール構造をさらに備える、請求項1又は2に記載のトラップ装置。
【請求項12】
前記基台に設けられた連結凹溝と、前記蓋体に設けられた連結凸部とを含む連結構造をさらに備え、前記連結凸部は前記連結凹溝に対応する、請求項1又は2に記載のトラップ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、トラップ装置に関し、特に、蒸気の漏れを減らし、排出量の変化に対処できるトラップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のトラップ技術は、間欠式トラップ及び連続式トラップに分かれる。間欠式トラップは、動作原理からフロート式トラップ、及びサーモダイナミック式トラップがあり、トラップ内の水が一定量溜まるか、一定の温度に下がると、フロートボール(フロート式)又は温度差(サーモダイナミック式)によりバルブを開弁させて、凝縮水を排出する。しかし、間欠式トラップは常に入口に凝縮水と蒸気が存在し、バルブを開くと凝縮水だけでなく蒸気も同時に排出され、エネルギーの無駄が発生していた。
【0003】
連続式トラップ装置は、トラップ装置の内部キャビティにノズルが設けられ、ノズル口径はトラップ装置の設計排水量に応じて選択される。トラップ装置の入口部からキャビティに蒸気及び凝縮水が同時に入った場合、キャビティが固定空間であるため、キャビティ内に蒸気が入り続けると、蒸気は排出されずに凝縮水がノズルから排出されてしまう。連続式トラップ装置は、蒸気の漏れを避けることができるが、連続式トラップ装置のノズル口径が固定されており、事前にトラップ装置の設計排水量に応じて適切な口径のノズルを選択する必要があるため、プロセス装置側の排水量が変化する状態において、トラップ装置のノズルの対応が難しく、水詰まりが発生しやすくなる。
【0004】
一方、パイプラインシステムの設計上、トラップ装置の後端に背圧がかかる場合があるため、凝縮水の逆流が発生してスムーズに排水できない、又は排水量を増加させる必要があるなどのトラブルを避けるには、従来のトラップ装置に加え管路システムに逆止弁を追加設置する必要がある。この方法では、パイプラインシステムの設置スペースとメンテナンスコストなどが増加し、蒸気漏れのリスクも高まる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであって、従来の装置における蒸気漏れの問題を改善することができ、広く使用される様々な蒸気ドレン位置に対応でき、運用の柔軟性を秘めているトラップ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一概念によれば、提供するトラップ装置は、基台と、蓋体と、バルブと、ノズルとを備える。基台は、入口部と、出口部と、基台内に形成された第1流体室とを備え、入口部には排出待ちの蒸気や凝縮水を送り込むための流入路が設けられ、出口部に凝縮水を送り出して排出するための流出路が設けられ、第1流体室は、前記基台内において前記入口部及び前記出口部と流体連通する。蓋体は、基台の第1流体室に対向する側に連結され、蓋体内部にはそれぞれ前記入口部及び前記出口部と流体連通する第2流体室が形成される。バルブは、第1流体室内に設けられ、弁入口ポートと、弁出口ポートとを具備し、前記弁入口ポートは前記入口部と流体連通し、前記弁出口ポートは前記出口部と流体連通する。ノズルは、基台の入口部と前記第2流体室との流体連通箇所、又は基台の出口部と前記第2流体室との流体連通箇所に設けられる。
【0007】
本開示の別の概念によれば、提供されるトラップ装置は、基台と、蓋体と、バルブと、ノズルとを備える。基台は、入口部と、出口部と、基台内に形成された第1流体室とを備え、入口部には排出待ちの蒸気や凝縮水を送り込むための流入路が設けられ、出口部に凝縮水を送り出して排出するための流出路が設けられ、第1流体室は、前記基台内において前記入口部及び前記出口部と流体連通する。蓋体は、基台の第1流体室に対向する側に連結され、前記蓋体の内部には流路空間と、複数の流体制御要素とを備えた逆止構造が形成され、前記複数の流体制御要素は前記流路空間内に設けられ、前記流路空間はそれぞれ前記入口部及び前記出口部と流体連通する。バルブは、第1流体室内に設けられ、弁入口ポートと、弁出口ポートとを具備し、前記弁入口ポートは前記入口部と流体連通し、前記弁出口ポートは前記出口部と流体連通する。
【0008】
前述の概念によれば、前記逆止構造内の流体制御要素は、前記流路空間に複数の円弧状の流路を形成するように各流路空間内に各々設けられる。
【0009】
前述の概念によれば、前記トラップ装置は、前記入口部と前記第2流体室との流体連通箇所、又は前記出口部と前記第2流体室との流体連通箇所に設けられたノズルをさらに含む。
【0010】
前述の概念によれば、前記蓋体は、貫通開口を具備し、前記貫通開口の位置は前記ノズルの位置に対応する。
【0011】
前述の概念によれば、前記入口部が飽和蒸気温度にある時、前記バルブは閉状態にある。
【0012】
前述の概念によれば、前記入口部には、圧力リリーフ弁に連絡された掃除口が設けられる。
【0013】
前述の概念によれば、前記基台と前記蓋体とが、一体成形される。
【0014】
前述の概念によれば、前記バルブは、温度変化によって駆動されることで、前記バルブを開閉させる感温素子を具備する。
【0015】
前述の概念によれば、前記トラップ装置は、前記バルブと前記第1流体室との間に設けられたシール構造をさらに備える。
【0016】
前述の概念によれば、前記トラップ装置は、前記基台に設けられた連結凹溝と、前記蓋体に設けられた連結凸部とを含む連結構造をさらに備え、前記連結凸部は前記連結凹溝に対応する。
【0017】
本開示の特徴及び技術内容をさらに理解するため、本開示の実施形態に関する以下の詳細な説明及び図面を参照されたい。しかしながら、開示される詳細な説明及び図面は、参照及び説明のみに使われており、本開示を限定する意図で用いられるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本開示の一実施形態に係るトラップ装置の概略的な立体図である。
図2】本開示の一実施形態に係るトラップ装置の概略的な分解図である。
図3】本開示の一実施形態に係るトラップ装置の基台の概略的な立体図である。
図4】本開示の一実施形態に係るトラップ装置の蓋体の概略的な立体図である。
図5A】トラップ装置内部における流体の流動状態を示す本開示の一実施形態に係るトラップ装置の概略断面図である。
図5B】トラップ装置内部における流体の流動状態を示す本開示の一実施形態に係るトラップ装置の概略断面図である。
図6】本開示の別の実施形態に係るトラップ装置の蓋体の概略的な立体図である。
図7A】トラップ装置内部における流体の流動状態を示す本開示の一実施形態に係るトラップ装置の概略断面図である。
図7B】トラップ装置内部における流体の流動状態を示す本開示の一実施形態に係るトラップ装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示の一実施形態に係るトラップ装置100を示す図1図4を参照すると、図1及び図2は、それぞれトラップ装置100の概略的な立体図及び概略的な分解図、図3は本開示の一実施形態に係るトラップ装置の基台1の概略的な立体図、図4は本開示の一実施形態に係るトラップ装置の蓋体2の概略的な立体図である。
【0020】
図1及び図2に示すように、本実施例のトラップ装置100は、基台1と、蓋体2と、バルブ3とを備え、基台1と蓋体2とは互いに連結されて密閉構造を形成している。基台1内には、前記バルブ3を収容するための第1流体室12が形成され、蓋体2は、基台1の一側、例えば基台1の上側に結合され、第1流体室12及びトラップ装置100の内部構成要素を閉鎖する。
【0021】
詳しく言えば、図2及び図3に示すように、本実施形態において、基台1は、入口部11と、第1流体室12と、出口部13とを備え、第1流体室12は入口部11及び出口部13と流体連通する。例えば、第1流体室12は、基台1内において流入連通路121及び流出連通路122とそれぞれ流体連通し、すなわち、基台1の入口部11は流入連通路121を介して第1流体室12と連通し、出口部13は流出連通路122を介して第1流体室12と連通する。本実施形態において、基台1の入口部11、流入連通路121、第1流体室12(及び第1流体室12内に設けられたバルブ3)、流出連通路122及び出口部13は、本開示のトラップ装置100の第1流体通路を形成する。
【0022】
本実施形態において、基台1は、それぞれ入口部11及び出口部13と流体連通する流入接続部112及び流出接続部132をさらに備える。本実施形態において、流入接続部112及び流出接続部132の一方に排水すると共に蒸気の通過を阻止するためのノズル(図示せず)が設けられているが、これについては後述する。
【0023】
図2及び図4に示すように、本実施形態によれば、蓋体2の内側には第2流体室21が形成される。蓋体2が基台1と結合したとき、第2流体室21は、基台1の流入接続部112及び流出接続部132とそれぞれ流体連通することで、入口部11及び出口部13と流体連通する。換言すれば、本実施形態において、蓋体2が基台1と結合したとき、基台1の入口部11、基台1の流入接続部112、蓋体2の第2流体室21、基台1の流連接部132、基台1の出口部13は本開示のトラップ装置100の第2流体通路を形成する。本実施形態において、基台1は、第1流体室12と第2流体室21との間に設けられた蓋板16をさらに備え、これにより、排水過程中の第1流体通路と第2流体通路とが相互に影響を及ぼすことによる排水効果の低下、又は蒸気の漏れを防ぐ。さらに、蓋板16は、第1流体室12に固定されているため、第1流体室12内でのバルブ3の安定性を高めることができる。
【0024】
図3及び図4に示すように、蓋体2は、貫通開口23を具備し、貫通開口23の位置はノズル(図示せず、さらに後述する)に対応し、実際のニーズに合わせてノズルの交換や保守に用いられる。本実施形態において、基台1内に連結凹溝14が設けられ、蓋体2内に連結凸部24が設けられ、連結凹溝14と連結凸部24が互いに嵌合してトラップ装置100の連結構造を形成する。連結構造により、蓋体2と基台1と間の組み立てと結合が容易となり、基台1と蓋体2との間の密封性を向上させ、蒸気が基台1と蓋体2との間の連結部から漏れるのを防止できる。本実施形態において、基台1内に連結凹溝14が形成され、蓋体2内に連結凸部24が形成されるが、本開示ではこれに限定されず、他の実施形態において、蓋体2内に連結凹溝が形成され、基台1内に連結凸部が設けられてもよい。本開示によれば、連結凹溝14には、シール要素141をさらに設けることで、基台1と蓋体2との間の密封性が向上し、蒸気漏れを防止することに役立つ。
【0025】
本実施形態において、基台1及び蓋体2には、それぞれ複数の貫通孔15、25(例えば螺合孔)が設けられ、貫通孔15、25はそれぞれ基台1及び蓋体2の周縁部に設けられ、互いに対応する。本実施形態において、基台1と蓋体2とは、それぞれ貫通孔15、25に螺合される複数の締結具(例:ボルト)を介して固結されている。本実施形態において、基台1及び蓋体2には、作動中の内部蒸気圧力を均一に分散し、過剰または不均一な内部蒸気圧により、蓋体2が基台1から分離することを避けるため、それぞれ6つの貫通孔15、25が対称的に設けられている。本実施形態において、貫通孔の数が6つであるが、本開示はこれに限定されない。他の実施形態において、貫通孔の数は、実際の設計ニーズ及びトラップ装置のサイズに応じて適切に変更することができる。
【0026】
上述したように、本開示のトラップ装置100の基台1及び蓋体2は、独立した構成要素として形成されることができ、さらに締結具と貫通孔の適合により固結される。代替的に、他の実施形態において、蓋体2と基台1は、一体成形で構成されることができる。本開示によれば、トラップ装置の基台及び蓋体は、ステンレス鋼又は適切な合金などの高強度素材で作られる。
【0027】
図5A及び図5Bを参照すると、トラップ装置内部における流体の流動状態を示す本開示の一実施形態に係るトラップ装置の概略断面図である。図5A及び図5Bは、バルブ3が閉状態、及びバルブ3が開状態にある場合のトラップ装置内部の流体の流動状態をそれぞれ示している。
【0028】
上述したように、本実施例のトラップ装置100は、主に基台1と、蓋体2と、トラップ装置100内部に設けられたバルブ3とを備える。基台1と蓋体2とが互いに結合されたとき、基台1の入口部11、流入連通路121、第1流体室12、流出連通路122及び出口部13はトラップ装置100の第1流体通路を形成し、第1流体通路はバルブ3を通過しており、バルブ3は凝縮水の流入及び排出を制御する。なお、基台1の入口部11、基台1の流入接続部112、蓋体2の第2流体室21、基台1の流出接続部132、基台1の出口部13は、トラップ装置100の第2流体通路を形成する。図5A及び図5Bに示すように、トラップ装置100の第2流体通路、例えば流出路131内にノズル1321が設けられることで、本開示のトラップ装置100の第2流体通路はノズル1321の作動を介して排水すると共に蒸気の通過を遮断する。
【0029】
図に示すように、基台1は、入口部11と、第1流体室12と、出口部13とを備え、第1流体室12は流入連通路121と、流出連通路122とを具備し、入口部11と第1流体室12は流入連通路121を介して連絡し、出口部13と第1流体室12は流出連通路122を介して連絡する。入口部11は、プロセス装置の流入管(図示せず)に接続し、プロセス装置からの蒸気や排出待ちの凝縮水を受け入れる流入路111と、蓋体2が基台1に結合されたとき、第2流体室21に連通する流入接続部112とを備える。出口部13は、凝縮水を送り出す流出路131を備える。出口部13は、蓋体2が基台1に結合されたとき、第2流体室21に連通する流出接続部132を備える。本実施形態において、流出接続部132内にノズル1321が設けられる。バルブ3は、弁入口ポート31と、感温素子32と、弁出口ポート33とを備える。感温素子32は、例えばバイメタル式感温素子、又は内部に揮発性液体を有する液体袋装置であり、温度変化によりバルブ3の開閉を駆動することができるが、本開示はこれに限定されない。代替実施形態において、バルブ3は、ソレノイドを通電又は非通電することによってパイプラインの開閉を制御できる電子バルブであってもよい。
【0030】
詳しく言えば、プロセス装置の蒸気及び凝縮水は、流入路111から本開示のトラップ装置100に入った後、さらに流入接続部112に沿って第2流体室21内に入り、ノズル1321の作用により、蒸気の通過を妨げながら凝縮水を流出路131から排出され続けることができる。ノズル1321に蒸気及び凝縮水が流れるとき、流速及び圧力が変化し、凝縮水を優先的に排出させる。換言すれば、通常の操作状況において、蒸気及び凝縮水は、本開示のトラップ装置100の第2流体通路を通過し、ノズル1321の作用により、蒸気は排出されずに水のみが排出される。トラップ装置100内に蒸気を常に実質的に滞留させることができるため、トラップ装置100内の温度が下がりすぎることがなく、トラップ装置100内(特に入口部11)の温度を飽和蒸気に近い温度に維持することができる。このとき、バルブ3は閉状態、すなわち第1流体通路は閉じたままである。
【0031】
流入路111に入る水の量が変化した場合(例えば水の量が急激に増加した場合)、ノズル1321の口径は一定であり、流量も一定であるため、凝縮水を効果的に排出し続けることができないことで、凝縮水はトラップ装置100の入口部11に蓄積し始め(すなわち、「水詰まり」)、入口部11の温度は水詰まりにより下がり始める。凝縮水が流入路111から流入連通路121を通ってバルブ入口31に流入すると、既に温度が蒸気温度よりも低いため、バルブ3を開弁させ、凝縮水が流入路からバルブ3を通って流出路131から排出される。このとき、第1流体通路は、バルブ3が開くことにより流体が通過するための通路となる。入口部11内の水がある程度第1流体通路を通じて排出され、入口部11の周囲の温度が上昇して飽和蒸気温度に近づくと、バルブ3が閉弁され、トラップ装置100は、第2流体通路から排水する状態に戻る。
【0032】
本実施形態において、第1流体室12とバルブ3との間にシール構造123がさらに設けられ、バルブ3を第1流体室12の内部に取り付けた時、シール構造123を介して弁入口ポート31を流入連通路121と位置合わせし、弁出口ポート33を流出連通路122と位置合わせして、第1流体室12とバルブ3との間の隙間を効果的に密封することができる。
【0033】
本実施形態において、入口部11は、外部圧力リリーフ弁(図示せず)に接続された掃除口113をさらに備える。掃除口113は、トラップ装置100の正常な動作時には閉状態となり、流路を清掃する場合、圧力リリーフ弁を開いて入口部11の内部蒸気を排出させて管路を清掃する。
【0034】
図6を参照すると、本開示の別の実施形態に係るトラップ装置の蓋体2’の概略的な立体図である。本実施例のトラップ装置は、前述の実施例と似ているが、本実施形態において、蓋体2’の第2流体室21内に逆止効果を有する逆止構造22がさらに形成されている点が異なる。
【0035】
図に示すように、蓋体2’の内側(基台と対向して連結する側)には、流路空間221と、複数の流体制御要素222とを備えた逆止構造22が形成され、複数の流体制御要素222は各々流路空間221内に設けられる。逆止構造22は、流路空間内の流体の圧力及び速度を変化させることができるため、流体は一方向にのみ流れるようにし、逆流防止の効果を奏する。
【0036】
また、流体制御要素222は、流路空間221内に設けられ、流路空間221内の直線流体経路の一部を円弧状の経路に変更させることで、流体の移動経路長を長くし、流体が逆止構造22の円弧状の経路内を流れにくくなり、流体が流れやすい経路内に移動することになり、逆流防止の効果を奏する。
【0037】
図7A及び図7Bを参照すると、トラップ装置内部における流体の流動状態を示す本開示の一実施形態に係るトラップ装置200の概略断面図である。図7A及び図7Bは、バルブ3が閉状態、及びバルブ3が開状態にある場合のトラップ装置内部の流体の流動状態をそれぞれ示している。
【0038】
同様に、蓋体2’が基台1に結合されたとき、流入接続部112は、蓋体2’の流路空間221と連通し、流出接続部132は蓋体2の流路空間221と連通し、トラップ装置200の第2流体通路を形成する。第2流体通路、例えば基台1の流出接続部132内にノズル1321が設けられる。
【0039】
プロセス装置の蒸気や凝縮水が流入路111から入るとき、凝縮水及び蒸気は流入接続部112に沿って蓋体2の流路空間221に入り、前記ノズル1321を経由して流出路131から排出され続ける。このとき、入口部11は常に飽和蒸気に近い温度を保つことができ、バルブ3は閉状態となっている。
【0040】
流入路111に入る水の量が変化した時、ノズル1321の口径が一定であり、流量も一定であるため、凝縮水を効果的に排出し続けることができないことで、トラップ装置200の入口部11の水詰まりが始まる。このとき、入口部11の温度が下がり始め、凝縮水が流入路111から流入連通路121を通って弁入口ポート31に入り、この温度変化によりバルブ3が開弁され、凝縮水は入口部11の水量がある程度まで排出されるまで、流入路111からバルブ3を通って凝縮水を流出路131から排出され、入口部11の温度が飽和蒸気温度まで上昇した後、バルブ3を駆動し、すなわち温度が蒸気温度に回復して閉じる。
【0041】
また、本実施形態において、蓋体2’の内側に形成された逆止構造22は、凝縮水が容易な流路で入口部11から出口部13の方向に移動することを助け、凝縮水が出口部13から入口部11の方向に移動するのを防止できることから、トラップ装置200の排水機能をより円滑にすることができる。
【0042】
本開示のトラップ装置は、第1流体通路及び第2流体通路の並列設計を通じて、正常な運転条件下で第2流体通路内のノズル及び/又は逆止構造の作用を介して、ドレンの逆流及び蒸気漏れなどの状況を効果的に防止し、従来のトラップ装置のエネルギー利用効率を向上させることができ、また水量の変化に伴う運転条件にも対応でき、排水量が増加したとき、自動的にバルブを介して第1流体通路が開き、排水を第1流体通路から排出できるため、トラップ装置の適用の柔軟性を向上する。
【0043】
なお、逆止構造の設計により、本開示のトラップ装置は、外付け逆止弁と組み合わせることなく運転することができるため、パイプラインのスペースとコストを節約できるだけでなく、さまざまなプロセス運転場面への適応が容易で、応用の可能性を秘めている。
【符号の説明】
【0044】
1 基台
11 入口部
111 流入路
112 流入接続部
113 掃除口
12 第1流体室
121 流入連通路
122 流出連通路
123 シール構造
13 出口部
131 流出路
132 流出接続部
1321 ノズル
14 連結凹溝
141 シール要素
15 貫通孔
16 蓋板
2、2’ 蓋体
21 第2流体室
22 逆止構造
221 流路空間
222 流体制御要素
23 貫通開口
24 連結凸部
25 貫通孔
3 バルブ
31 弁入口ポート
32 感温素子
33 弁出口ポート
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
【外国語明細書】