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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137903
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】インク印刷機の印刷機構
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20240927BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B41J2/165 301
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024046356
(22)【出願日】2024-03-22
(31)【優先権主張番号】10 2023 107 312.5
(32)【優先日】2023-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】390009232
【氏名又は名称】ハイデルベルガー ドルツクマシーネン アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Heidelberger Druckmaschinen AG
【住所又は居所原語表記】Kurfuersten-Anlage 52-60, D-69115 Heidelberg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ミュラー
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056EA20
2C056EA24
2C056EC23
2C056EC35
2C056FA13
2C056HA11
2C056JB08
2C056KB16
(57)【要約】      (修正有)
【解決手段】インク印刷機の印刷機構であって、被印刷物に印刷を行うための複数の印刷ヘッドの直列アセンブリを備えた印刷バーと、印刷ヘッド用のクリーニング装置と、印刷ヘッドを個別に位置調整するための装置とを備え、各々の印刷ヘッドには少なくとも1つの固有の歩進式切換機構が割り当てられており、それぞれ異なる印刷ヘッドの歩進式切換機構を切り換えるための1つの共通のアクチュエータが存在しており、このアクチュエータは可動であり、各々の歩進式切換機構に対する対向位置に位置決め可能である、印刷機構に関し、クリーニング装置は可動に配置されており、アクチュエータは、クリーニング装置と一緒に可動にこのクリーニング装置に配置されていて、各々の歩進式切換機構に対する対向位置に位置決め可能であることを特徴としている。
【効果】印刷ヘッドを正確に位置調整し、その際、時間およびコストを少なく保つことが可能となる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク印刷機の印刷機構であって、被印刷物(2)に印刷を行うための複数の印刷ヘッド(5)の直列アセンブリ(7)を備えた印刷バー(4)と、前記印刷ヘッド(5)用のクリーニング装置(10)と、前記印刷ヘッド(5)を個別に位置調整するための装置(20)とを備え、各々の印刷ヘッド(5)には少なくとも1つの固有の歩進式切換機構(21)が割り当てられており、それぞれ異なる印刷ヘッド(5)の前記歩進式切換機構(21)を切り換えるための1つの共通のアクチュエータ(22)が存在しており、該アクチュエータ(22)は可動であり、これによって、各々の前記歩進式切換機構(21)に対する対向位置に位置決め可能である、印刷機構において、
前記クリーニング装置(10)は可動に配置されており、前記アクチュエータ(22)は、前記クリーニング装置(10)に該クリーニング装置(10)と一緒に可動に配置されていて、これによって、各々の前記歩進式切換機構(21)に対する対向位置に位置決め可能であることを特徴とする、印刷機構。
【請求項2】
各々の歩進式切換機構(21)は、該歩進式切換機構(21)を互いに逆方向に切り換えるための、前記アクチュエータ(22)により操作可能な2つの切換舌片(31)を備えることを特徴とする、請求項1記載の装置。
【請求項3】
全ての歩進式切換機構(21)の前記切換舌片(31)は、互いに隣り合って一列に配置されていることを特徴とする、請求項2記載の装置。
【請求項4】
各々の印刷ヘッド(5)には2つの歩進式切換機構(31)が割り当てられていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の装置。
【請求項5】
各々の印刷ヘッド(5)には、該印刷ヘッド(5)を隣り合った1つの印刷ヘッド(5)に対して相対的に位置調整する第1の歩進式切換機構(21a)が割り当てられていることを特徴とする、請求項4記載の装置。
【請求項6】
各々の印刷ヘッド(5)には、該印刷ヘッド(5)を前記被印刷物(2)の搬送方向(51)に対して相対的に位置調整する第2の歩進式切換機構(21b)が割り当てられていることを特徴とする、請求項4または5記載の装置。
【請求項7】
前記印刷機構(3)は、被印刷物(2)に多色印刷を行うために、歩進式切換機構(21)を含む複数の印刷ヘッド(5)の各々の直列アセンブリ(7)を備えた複数の印刷バー(4)を備え、かつ印刷バー(4)ごとに前記印刷ヘッド(5)をそれぞれクリーニングするために、可動に配置されたクリーニング装置(10)を備え、各々のクリーニング装置(10)には、各々の前記印刷バー(4)の前記歩進式切換機構(21)を切り換えるための共に可動のアクチュエータ(22)が配置されていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
前記クリーニング装置(10)は一緒に運動させられ、このために、1つの共通の駆動モータ(11)が存在していることを特徴とする、請求項7記載の装置。
【請求項9】
複数のクリーニング装置(10)の複数のアクチュエータ(22)は同時に操作され、これによって、複数の印刷バー(4)の複数の歩進式切換機構(21)が同時に切り換えられることを特徴とする、請求項7または8記載の装置。
【請求項10】
複数の歩進式切換機構(21)を同時に切り換えるために、相応の複数のアクチュエータ(22)がクリーニング装置(10)に設けられていることを特徴とする、請求項7、8または9記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部の特徴を有する、インク印刷機の印刷機構に関する。
【0002】
本発明は、グラフィック産業の技術分野に位置づけられており、そのなかでも特に、平らな基材上への産業的な、つまり、高生産性のインク印刷(インクジェット)の分野、つまり、液状のインクから成る極めて微細な液滴を、好適には紙、厚紙、板紙、プラスチック、金属または複合材料から成るシート状、ウェブ状、フィルム状またはラベル状の被印刷物上に画像に従って塗布する分野に位置づけられている。この場合、インクの塗布はインク印刷ヘッドによって行われる。このインク印刷ヘッドは、高品質な印刷のために、その位置および向きが互いに位置調整されていなければならない。
【0003】
背景技術
独国特許出願公開第102016209945号明細書には、印刷ヘッドを位置調整するための装置が開示されている。この装置は、各々の印刷ヘッドに対して、歩進式切換機構と、この歩進式切換機構を操作するために、位置調整すべき各々の印刷ヘッドとの対向位置に位置決め可能である可動のキャリッジとを備えている。
【0004】
独国特許出願公開第102017215314号明細書には、印刷ヘッドを位置調整するための類似の装置と、冒頭に記載した形態の印刷機構、つまり、請求項1の前提部の特徴を有する印刷機構とが開示されている。装置は、各々の印刷ヘッドに対して、歩進式切換機構と、この歩進式切換機構を操作するために、可動のキャリッジに配置されていて、このキャリッジによって、位置調整すべき各々の印刷ヘッドとの対向位置に位置決め可能であり、そこで、例えば空気圧操作されるアクチュエータとを備えている。各々の歩進式切換機構は、テーパ部を備えたねじ山付きスピンドルを備えている。このねじ山付きスピンドルは、切換時に連行レバーから歯車を介して歩進的に回動させられる。
【0005】
欧州特許出願公開第3530473号明細書には、印刷ヘッドを位置調整するための別の装置が開示されている。この装置は、位置調整すべき印刷ヘッドごとに2つの歩進式切換機構を把持していて、自由度(回動、並進)ごとに1つの歩進式切換機構を把持している。
【0006】
国際公開第2017/011924号にも、印刷ヘッドを位置調整するための別の装置が開示されている。
【0007】
これに対して、欧州特許第3527390号明細書には、テーパ部と、係止部を有するヘッドとによって印刷ヘッドを位置調整するための、ツールなしに操作可能な装置が開示されている。
【0008】
国際公開第2014/160219号には、印刷ヘッド用の位置調整可能なホルダが開示されている。このホルダは、レバーと押動楔とを介して2つのクランプジョーによってクランプされるようになっている。
【0009】
多数の印刷ヘッドを同じく多数の位置調整構成部材および位置調整駆動装置によって正確に位置調整することは、多くの時間を必要とし、設けるべき位置調整構成部材および位置調整駆動装置に相応してコストを要してしまう。
【0010】
技術的な課題
したがって、本発明の課題は、先行技術を改良して、特に印刷ヘッドを正確に位置調整し、その際、時間およびコストを少なく保つことが可能となるようにすることである。
【0011】
発明による課題の解決手段
この課題は、本発明によれば、請求項1記載のインク印刷機によって解決される。
【0012】
本発明の有利なひいては好適な改良形態は、従属請求項ならびに明細書および図面から明らかである。
【0013】
本発明は、インク印刷機の印刷機構であって、被印刷物に印刷を行うための複数の印刷ヘッドの直列アセンブリを備えた印刷バーと、印刷ヘッド用のクリーニング装置と、印刷ヘッドを個別に位置調整するための装置とを備え、各々の印刷ヘッドには少なくとも1つの固有の歩進式切換機構が割り当てられており、それぞれ異なる印刷ヘッドの歩進式切換機構を切り換えるための1つの共通のアクチュエータが存在しており、このアクチュエータは可動であり、これによって、各々の歩進式切換機構に対する対向位置に位置決め可能である、印刷機構に関し、クリーニング装置は可動に配置されており、アクチュエータは、クリーニング装置と一緒に可動にこのクリーニング装置に配置されていて、これによって、各々の歩進式切換機構に対する対向位置に位置決め可能であることを特徴としている。
【0014】
発明の有利な構成および効果
本発明によって、有利には、印刷ヘッドを正確に位置調整し、その際、時間およびコストを少なく保つことが可能となる。
【0015】
本発明により、アクチュエータを可動のクリーニングアセンブリに設けることによって、複数の印刷ヘッドを位置調整するための歩進式切換機構を操作するための簡単な技術的な解決手段が提供される。
【0016】
発明の改良形態
以下に、本発明の好適な改良形態(略称:改良形態)を記載することにする。
【0017】
一改良形態は、歩進式切換機構を切り換えるためのアクチュエータが複数回操作されることを特徴としていてよい。一改良形態は、操作の回数が計算技術的に予め設定され、このとき、位置調整の量に対応していることを特徴としていてよい。一改良形態は、アクチュエータが空気圧操作されることを特徴としていてよい。
【0018】
一改良形態は、各々の歩進式切換機構が、この歩進式切換機構を互いに逆方向に切り換えるための、アクチュエータにより操作可能な2つの切換舌片を備えることを特徴としていてよい。一改良形態は、全ての歩進式切換機構の切換舌片が、互いに隣り合って一列に配置されていることを特徴としていてよい。
【0019】
一改良形態は、各々の印刷ヘッドには2つの歩進式切換機構が割り当てられていることを特徴としていてよい。一改良形態は、各々の印刷ヘッドには、この印刷ヘッドを隣り合った1つの印刷ヘッドに対して相対的に位置調整する第1の歩進式切換機構が割り当てられていることを特徴としていてよい。一改良形態は、第1の歩進式切換機構が、印刷ヘッドを被印刷物の搬送方向に対して横方向に位置調整することを特徴としていてよい。一改良形態は、各々の印刷ヘッドには、この印刷ヘッドを被印刷物の搬送方向に対して相対的に位置調整する第2の歩進式切換機構が割り当てられていることを特徴としていてよい。一改良形態は、第2の歩進式切換機構が、印刷ヘッドを被印刷物の搬送方向に対して特定の角度で位置調整することを特徴としていてよい。
【0020】
一改良形態は、印刷機構が、被印刷物に多色印刷を行うために、歩進式切換機構を含む複数の印刷ヘッドの各々の直列アセンブリを備えた複数の印刷バーを備え、かつ印刷バーごとに印刷ヘッドをそれぞれクリーニングするために、可動に配置されたクリーニング装置を備え、各々のクリーニング装置には、各々の印刷バーの歩進式切換機構を切り換えるための共に可動のアクチュエータが配置されていることを特徴としていてよい。一改良形態は、クリーニング装置が一緒に運動させられ、このために、1つの共通の駆動モータが存在していることを特徴としていてよい。一改良形態は、複数のクリーニング装置の複数のアクチュエータが同時に操作され、これによって、複数の印刷バーの複数の歩進式切換機構が同時に切り換えられることを特徴としていてよい。
【0021】
一改良形態は、複数の歩進式切換機構を同時に切り換えるために、相応の複数のアクチュエータがクリーニング装置に設けられていることを特徴としていてよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明による印刷機構の印刷バーの好適な実施例の斜視図である。
図2】2つの歩進式切換機構の好適な実施例の斜視図である。
図3】操作されていない状態にある2つの歩進式切換機構の好適な実施例の側面図である。
図4】操作された状態にある2つの歩進式切換機構の好適な実施例の側面図である。
図5】切換舌片の好適な実施例の側面図である。
図6】伝動機構の好適な実施例の断面図である。
図7】被印刷物に印刷を行うためのインク印刷機の好適な実施例の詳細図である。
【0023】
発明のための実施例および図面
図1図7には、本発明および改良形態の好適な実施例が示してある。図中、互いに対応する特徴には同一の符号が付してある。図中での符号の繰返しは、見やすさの理由から一部省略した。
【0024】
図1には、本発明による印刷機構(例えばインク印刷機1の印刷機構3;図7参照)の印刷バーの好適な実施例が斜視図で示してある。好適には位置固定に配置された印刷バー4は、クロスビーム4aを備えている。このクロスビームには、互いに隣り合った多数の印刷ヘッド5もしくは互いに隣り合った印刷ヘッド5の直列アセンブリ7が配置されている。この場合、各々の印刷ヘッドは、各々の印刷ヘッドホルダ8においてガイド9内に配置されていて、ノズル面5aを有している(例えば図2も参照)。印刷ヘッド5には、例えば図示の管路6を介してインクが、好適には循環式に供給される。インク印刷機1はコンピュータ12、好適には位置調整過程を制御するためのデジタルコンピュータも備えている。
【0025】
図1には、個々の印刷ヘッド5の位置調整もしくはアライメントに用いられる位置調整装置20も認めることができる。この位置調整装置20は、それぞれ第1の歩進式切換機構21aと第2の歩進式切換機構21bとを備えた互いに隣り合ってまたは一列に配置された多数の歩進式切換機構21を備えている。この歩進式切換機構は図2図6に詳細に示してあり、そこで詳しく説明することにする。
【0026】
図1に示した印刷バー4には、(別の各々の印刷バーも同様に)好適には位置固定に配置された印刷バー4に設けられた印刷ヘッドをクリーニングするための、方向53に往復運動可能なクリーニング装置10が割り当てられている。このクリーニング装置10は、印刷中には引込み位置(図1で見て右側)にあり、クリーニングモード中にはクリーニング位置(図1で見て左側)にある。図1では、クリーニング装置10はちょうど中間位置にある。クリーニング自体は本発明の部分ではない。可動のクリーニング装置10には、共に可動の少なくとも1つのアクチュエータ22、好適には空気圧操作可能なアクチュエータが配置されている。クリーニング装置10を運動させるために、駆動モータ11が設けられている(図7参照)。
【0027】
図2には、2つの歩進式切換機構、つまり、第1の歩進式切換機構2aと第2の歩進式切換機構21bの好適な実施例が斜視図で示してある。両方の歩進式切換機構の各々は、歩進的に回動可能な係止ディスク30を備えている。両方の歩進式切換機構の各々は、さらに、好適には鉛直方向に可動に配置された個々に操作可能な2つの切換舌片31、つまり、第1の切換舌片31a、第2の切換舌片31b、第3の切換舌片31cおよび第4の切換舌片31dを備えている。歩進式切換機構31には、例えば歯車41および/またはテーパ部付きスピンドル42を備えていて、各々の切換運動を印刷ヘッドの補正運動に変換する伝動機構40a,40bが割り当てられている。
【0028】
各々の切換舌片31は、好適には、切換時に係止ディスク30もしくはその係止部と協働する突出部32(図5参照)を備えている。さらに、各々の切換舌片31は第1の長孔33と第2の長孔34とを有している。第1の長孔33(例えば上側の長孔)は側方の逃げ部35を有している。両方の長孔は、ピン36と協働して運動を可能にすると同時に制限する。操作されていない状態では、各々の切換舌片31は、好適には、各々のばね要素37により押圧された下側の位置にある。操作された状態では、各々の切換舌片31は、好適には上側の位置にある。この場合には、係止ディスク30が係止部1つ分だけさらに回動させられる。押圧片38、代替的には、例えばばね金属薄板が、係止ディスク30の望ましくない回動を阻止している。
【0029】
図3には、2つの歩進式切換機構の同一の好適な実施例が側面図でかつ操作されていない状態で示してあり、図4には、2つの歩進式切換機構の同一の好適な実施例が側面図でかつ操作された状態で示してある。両方の図3および図4を比較すると、操作された両方の切換舌片31a,31cは上方に運動させられたかまたは上側の位置にあるのに対して、操作されていない両方の切換舌片31b,31dは下側の位置にあることを認めることができる。
【0030】
図5には、切換舌片の好適な実施例が側面図で示してある。操作のためには、クリーニング装置10の位置変化によって、アクチュエータ22が位置、つまり、切換舌片31に対する対向位置にもたらされ、その後、好適にはコンピュータ12によって制御され、これに基づき、方向55への運動を実施する。この場合には、アクチュエータが各々の切換舌片31、例えば31aに接触し、この切換舌片31を第1の長孔33および第2の長孔34の構成に相応して移動させる。切換舌片31は、相応して、方向56への運動、つまり、往路運動58(切換運動として;図示の例では上向き)または復路運動59(図示の例では下向き)を実施する。側方の逃げ部35によって、切換舌片は切換運動時に側方の補償運動57を可能にする。切換舌片31aによる切換時には、係止ディスク30が、好適には、突出部32によって第1の回動方向54aに回動させられ、逆に、切換舌片31bによる切換時には、係止ディスク30が、好適には、突出部32によって逆の第2の回動方向54bに回動させられる。
【0031】
図6には、伝動機構の好適な実施例が断面図で示してある。係止ディスク30(および場合により介装された歯車)から伝達された回動運動を各々の印刷ヘッド5もしくはその印刷ヘッドホルダ8の補正運動に変換するテーパ部付きスピンドル42を認めることができる。このためには、図6に認めることができるように、テーパ部付きスピンドルがその回動によって鉛直方向に運動させられ、この鉛直方向運動が、各々のテーパ部を介して印刷ヘッド/印刷ヘッドホルダの水平方向運動に変換される。
【0032】
図7には、被印刷物2、例えば紙から成るウェブに印刷を行うためのインク印刷機1の好適な実施例の詳細が示してある。このインク印刷機1は、好適には、複数のインクで印刷するための複数の印刷機構3を備えている。これらの印刷機構3の各々は印刷バー4(ただ1つだけを例示した)を備えている。この印刷バー4は、被印刷物の搬送方向51に対して横方向52aに向けられていて、印刷ヘッド5を有している。駆動モータ11によって、複数のクリーニング装置10のうちの少なくとも1つのクリーニング装置(好適には、例えば1つの共通のフレームによって;共通して全てのクリーニング装置)が、印刷バー4に沿って運動方向53に水平に移動させられる。この場合、アクチュエータ22が、各々の歩進式切換機構21に対する対向位置に順次到来し、必要である限り、歩進式切換機構21を操作することができ、つまり、歩進式切換機構21を補正要件および補正量に応じて1回または複数回切り換えることができる。それぞれ位置および/または向きに関して補正すべき印刷ヘッド5の補正運動は、相応して、漸増的/歩進的に(かつ好適にはマイクロメートル歩進で)横方向52aにかつ/または搬送方向51に対して特定の角度52bで行われる。
【符号の説明】
【0033】
1 インク印刷機
2 被印刷物
3 印刷機構
4 印刷バー
4a クロスビーム
5 1つ以上の印刷ヘッド
5a ノズル面
6 1つ以上の管路
7 直列アセンブリ
8 印刷ヘッドホルダ
9 ガイド
10 クリーニング装置
11 駆動モータ
12 コンピュータ
20 位置調整装置
21 1つ以上の歩進式切換機構
21a 第1の歩進式切換機構
21b 第2の歩進式切換機構
22 1つ以上のアクチュエータ
30 係止ディスク
31 1つ以上の切換舌片
31a 第1の切換舌片
31b 第2の切換舌片
31c 第3の切換舌片
31d 第4の切換舌片
32 突出部
33 第1の長孔
34 第2の長孔
35 側方の逃げ部
36 1つ以上のピン
37 ばね要素
38 ロックまたはブレーキ、特に押圧片
40a 伝動機構
40b 伝動機構
41 1つ以上の歯車
42 1つ以上のテーパ部付きスピンドル
51 被印刷物の搬送方向
52a 横方向
52b 角度
53 クリーニング装置の運動方向
54a 係止ディスクの第1の回動方向
54b 係止ディスクの第2の回動方向
55 アクチュエータの運動方向
56 切換舌片の運動方向
57 側方の補償運動
58 往路運動/切換運動
59 復路運動
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】