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特開2024-137923フィルム、部材、転写装置、定着装置及び画像形成装置
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  • 特開-フィルム、部材、転写装置、定着装置及び画像形成装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137923
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】フィルム、部材、転写装置、定着装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20240927BHJP
   G03G 15/16 20060101ALI20240927BHJP
   C08L 83/04 20060101ALI20240927BHJP
   C08L 101/12 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G03G15/20 515
G03G15/16
C08L83/04
C08L101/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024047165
(22)【出願日】2024-03-22
(31)【優先権主張番号】P 2023049074
(32)【優先日】2023-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保 陽祐
(72)【発明者】
【氏名】小野 雅人
(72)【発明者】
【氏名】林 聖悟
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 聡哉
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏晃
(72)【発明者】
【氏名】瀬古 真路
(72)【発明者】
【氏名】種村 大輔
(72)【発明者】
【氏名】西村 伊織
(72)【発明者】
【氏名】大森 健司
(72)【発明者】
【氏名】木村 潤
【テーマコード(参考)】
2H033
2H200
4J002
【Fターム(参考)】
2H033BA11
2H033BA12
2H033BB02
2H033BB12
2H033BB13
2H033BB15
2H033BB17
2H033BB21
2H033BB30
2H033BB33
2H033BB34
2H033BE03
2H033BE06
2H200JC13
2H200JC15
2H200JC17
2H200LC02
2H200MA02
2H200MA11
2H200MA12
2H200MA13
2H200MA14
2H200MA20
2H200MC01
2H200MC08
4J002AA001
4J002BC031
4J002CF001
4J002CG001
4J002CH091
4J002CL001
4J002CM041
4J002CN011
4J002CP031
4J002CP032
4J002CP042
4J002CP052
4J002CP092
4J002CP102
4J002CP122
4J002CP182
4J002GM00
4J002GS00
(57)【要約】
【課題】高撥油性を維持するフィルムの提供。
【解決手段】アルキル基を有するシロキサン化合物と、密度が1.1以上でガラス転移温度が150℃以上の樹脂と、を含むフィルム。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルキル基を有するシロキサン化合物と、密度が1.1g/cm以上でガラス転移温度が150℃以上の樹脂とを含むフィルム。
【請求項2】
前記シロキサン化合物は、前記アルキル基を少なくとも一部の側鎖に有するポリシロキサン化合物である請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
前記ポリシロキサン化合物は、メチル基を少なくとも一部の側鎖に有する請求項2に記載のフィルム。
【請求項4】
前記樹脂に対する前記シロキサン化合物の含有量は、3質量%以上7質量%以下である請求項1に記載のフィルム。
【請求項5】
前記樹脂に対する前記シロキサン化合物の含有量は、3質量%以上5質量%以下である請求項4に記載のフィルム。
【請求項6】
前記シロキサン化合物は、前記アルキル基を少なくとも一部の側鎖に有するポリシロキサン化合物であり、
前記樹脂に対する前記シロキサン化合物の含有量は、3質量%以上5質量%以下である請求項1に記載のフィルム。
【請求項7】
前記樹脂の密度は、1.3g/cm以上である請求項1に記載のフィルム。
【請求項8】
前記樹脂の密度は、1.3g/cm以上である請求項6に記載のフィルム。
【請求項9】
前記樹脂のガラス転移温度は、200℃以上である請求項1に記載のフィルム。
【請求項10】
前記樹脂の密度は、1.3g/cm以上であり、
前記樹脂のガラス転移温度は、200℃以上である請求項1に記載のフィルム。
【請求項11】
前記フィルムの表面の、25℃の剥離力が20kPa以下である請求項1に記載のフィルム。
【請求項12】
前記フィルムの表面の、140℃の剥離力が25kPa以下である請求項1に記載のフィルム。
【請求項13】
外周面を構成する層として、請求項1~請求項12のいずれか1項に記載のフィルムを有する部材。
【請求項14】
請求項13に記載の部材で構成され、外周面にトナー像が転写される中間転写体と、
像保持体の表面に形成されたトナー像を前記中間転写体の表面に一次転写する一次転写装置と、
前記中間転写体の表面に転写された前記トナー像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写装置と、
を備える転写装置。
【請求項15】
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電装置と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
トナーを含む現像剤を収容し、前記現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する、請求項14に記載の転写装置と、
前記トナー像を記録媒体の表面に定着する定着装置と、
を備える画像形成装置。
【請求項16】
第1回転体と、前記第1回転体の外面に接して配置される第2回転体と、を備え、
前記第1回転体及び前記第2回転体の少なくとも一方が、請求項13に記載の部材で構成された定着装置。
【請求項17】
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電装置と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
トナーを含む現像剤を収容し、前記現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写装置と、
前記トナー像を記録媒体の表面に定着する、請求項16に記載の定着装置と、
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム、部材、転写装置、定着装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いた画像形成装置(複写機、ファクシミリ、プリンタ等)では、像保持体の表面に形成されたトナー像を記録媒体の表面に転写し、記録媒体上に定着して画像が形成される。
【0003】
例えば、特許文献1には、「シリコン原子に結合する側鎖基R1にフッ素原子を有さないシリコーン(T2m+6(m≧1)構造のオルガノシルセスキオキサンを除く)を含む樹脂層と、該樹脂層上に積層され、シリコン原子に結合する炭化水素基R2を有するT2m+6(m≧1)構造のオルガノシルセスキオキサンを含み、該オルガノシルセスキオキサンの少なくとも一部が表面に露出している撥水撥油層とを備え、該シリコーンのハンセン溶解度パラメータは、分散項δDが10MPa1/2以上かつ15MPa1/2以下であり、分極項δPが0MPa1/2以上かつ5MPa1/2以下であり、水素結合項δHが0MPa1/2以上かつ5MPa1/2以下であり、該オルガノシルセスキオキサンは、オクタメチルシルセスキオキサンである撥水撥油膜。」が開示されている。
【0004】
特許文献2には、「基体と表面層とを有する電子写真用部材であって、該表面層は、アクリル骨格を有する結着樹脂と、一分子中にポリエーテル基と水酸基を有する変性シリコーン化合物とを含み、該表面層は、その表面のn-ヘキサデカン接触角が30°以上であることを特徴とする電子写真用部材。」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許6801474号
【特許文献2】特開6305220号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、アルキル基を有するシロキサン化合物と樹脂を含むフィルムにおいて、樹脂の密度が1.1g/cm未満、樹脂のガラス転移温度が150℃未満、又はフィルム表面で、シロキサン化合物を島部及び樹脂を海部とする海島構造が観測される場合に比べ、高撥油性を維持するフィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための手段は、以下の態様が含まれる。
<1>
アルキル基を有するシロキサン化合物と、密度が1.1g/cm以上でガラス転移温度が150℃以上の樹脂とを含むフィルム。
<2>
前記シロキサン化合物は、前記アルキル基を少なくとも一部の側鎖に有するポリシロキサン化合物である<1>に記載のフィルム。
<3>
前記ポリシロキサン化合物は、メチル基を少なくとも一部の側鎖に有するシロキサン化合物である<2>に記載のフィルム。
<4>
前記樹脂に対する前記シロキサン化合物の含有量は、3質量%以上7質量%以下である<1>~<3>のいずれか1項に記載のフィルム。
<5>
前記樹脂に対する前記シロキサン化合物の含有量は、3質量%以上5質量%以下である<4>に記載のフィルム。
<6>
前記シロキサン化合物は、前記アルキル基を少なくとも一部の側鎖に有するポリシロキサン化合物であり、
前記樹脂に対する前記シロキサン化合物の含有量は、3質量%以上5質量%以下である<1>~<5>のいずれか1項に記載のフィルム。
<7>
前記樹脂の密度は、1.3g/cm以上である<1>~<5>のいずれか1項に記載のフィルム。
<8>
前記樹脂の密度は、1.3g/cm以上である<6>に記載のフィルム。
<9>
前記樹脂のガラス転移温度は、200℃以上である<1>~<8>のいずれか1項に記載のフィルム。
<10>
前記樹脂の密度は、1.3g/cm以上であり、
前記樹脂のガラス転移温度は、200℃以上である<1>~<9>のいずれか1項に記載のフィルム。
<11> 前記フィルムの表面の、25℃の剥離力が20kPa以下である<1>~<10>のいずれか1項に記載のフィルム。
<12>
前記フィルムの表面の、140℃の剥離力が25kPa以下である<1>~<11>のいずれか1項に記載のフィルム。
<13>
外周面を構成する層として、<1>~<12>のいずれか1項に記載のフィルムを有する部材。
<14>
<13>に記載の部材で構成され、外周面にトナー像が転写される中間転写体と、
像保持体の表面に形成されたトナー像を前記中間転写体の表面に一次転写する一次転写装置と、
前記中間転写体の表面に転写された前記トナー像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写装置と、
を備える転写装置。
<15>
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電装置と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
トナーを含む現像剤を収容し、前記現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する、<14>に記載の転写装置と、
前記トナー像を記録媒体の表面に定着する定着装置と、
を備える画像形成装置。
<16>
第1回転体と、前記第1回転体の外面に接して配置される第2回転体と、を備え、
前記第1回転体及び前記第2回転体の少なくとも一方が、<13>に記載の部材で構成された定着装置。
<17>
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電装置と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
トナーを含む現像剤を収容し、前記現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写装置と、
前記トナー像を記録媒体の表面に定着する、<16>に記載の定着装置と、
を備える画像形成装置。
【発明の効果】
【0008】
<1>に係る発明によれば、アルキル基を有するシロキサン化合物と樹脂を含むフィルムにおいて、樹脂の密度が1.1g/cm未満、樹脂のガラス転移温度が150℃未満、又はフィルム表面で海島構造が観測される場合に比べ、高撥油性を維持するフィルムが提供される。
【0009】
<2>、又は<3>に係る発明によれば、シロキサン化合物が、アルキル基又はメチル基を末端にのみ有するポリシロキサン化合物である場合に比べ、高撥油性を維持するフィルムが提供される。
【0010】
<4>に係る発明によれば、樹脂に対する前記シロキサン化合物の含有量が、3質量%未満又は7質量%超えである場合に比べ、高撥油性を維持するフィルムが提供される。
<5>に係る発明によれば、樹脂に対する前記シロキサン化合物の含有量が、3質量%未満又は5質量%超えである場合に比べ、高撥油性を維持するフィルムが提供される。
<6>に係る発明によれば、シロキサン化合物がアルキル基を末端に有するポリシロキサン化合物である場合、樹脂に対する前記シロキサン化合物の含有量が3質量%未満又は5質量%超えである場合に比べ、高撥油性を維持するフィルムが提供される。
【0011】
<7>に係る発明によれば、樹脂の密度が1.3g/cm未満である場合に比べ、高撥油性を維持するフィルムが提供される。
<8>に係る発明によれば、樹脂の密度が1.3g/cm未満である場合に比べ、高撥油性を維持するフィルムが提供される。
<9>に係る発明によれば、樹脂のガラス転移温度が200℃未満である場合に比べ、高撥油性を維持するフィルムが提供される。
<10>に係る発明によれば、樹脂の密度が1.3g/cm未満である場合、又は樹脂のガラス転移温度が200℃未満である場合に比べ、高撥油性を維持するフィルムが提供される。
【0012】
<11>に係る発明によれば、フィルムの表面の、25℃の剥離力が20kPa超えである場合に比べ、高撥油性を維持するフィルムが提供される。
<12>に係る発明によれば、フィルムの表面の、140℃の剥離力が25kPa超えである場合に比べ、高撥油性を維持するフィルムが提供される。
【0013】
<13>、<14>、<15>、<16>、及び<17>に係る発明によれば、アルキル基を有するシロキサン化合物と樹脂を含むフィルムにおいて、樹脂の密度が1.1未満、樹脂のガラス転移温度が150℃未満に比べ、高撥油性を維持する部材、当該部材で構成された中間転写体を備える転写装置及び画像形成装置、並びに、当該部材で構成された回転体を備える定着装置及び画像形成装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に係る定着装置の第1実施形態の一例を示す概略構成図である。
図2】本実施形態に係る定着装置の第2実施形態の一例を示す概略構成図である。
図3】本実施形態に係る定着装置の第3実施形態の一例を示す概略構成図である。
図4】本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の一例である本実施形態について説明する。これらの説明及び実施例は実施形態を例示するものであり、実施形態の範囲を制限するものではない。
【0016】
本実施形態中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本実施形態中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本実施形態において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本実施形態において実施形態を図面を参照して説明する場合、当該実施形態の構成は図面に示された構成に限定されない。また、各図における部材の大きさは概念的なものであり、部材間の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。
本実施形態において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。本実施形態において組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
【0017】
<フィルム>
本実施形態に係るフィルムは、アルキル基を有するシロキサン化合物(以下、単に「シロキサン化合物」とも称する)と、密度が1.1g/cm以上でガラス転移温度が150℃以上の樹脂と、を含む。
【0018】
本実施形態に係るフィルムは、上記構成により、高撥油性を維持する。その理由は、次の通り推測される。
【0019】
アルキル基を有するシロキサン化合物は、高撥油性の化合物であり。フッ素化合物に比べ、高誘電率の化合物である。そのため、フッ素化合物を使用する場合に比べ、シロキサン化合物を使用するのが、フィルムに対して、高撥油性の付与に加えて、強度安定性の点で有利である。
ここで、シロキサン化合物は、フィルム中に添加されると、フィルム表面にアルキル基が配向して、高撥油性を付与する。
しかし、シロキサン化合物を含むフィルムは、熱等をはじめとする外部負荷により、シロキサン化合物の主鎖が回転し、アルキル基が動いて樹脂中に潜り、撥油性が低下することがある。
【0020】
それに対して、フィルムに適用する樹脂として、密度及びガラス転移点が高い樹脂を採用すると、シロキサン化合物の主鎖の回転(つまり、メチル基の動き)が制限され、アルキル基の樹脂への潜り込みが抑制される。それにより、シロキサン化合物由来による撥油性が維持される。これは、高温で樹脂及びシロキサン化合物の分子運動が激しくなる環境においても、同様に、シロキサン化合物の主鎖の回転(つまり、メチル基の動き)が制限されるため、高撥油性が維持される。
【0021】
以上から、本実施形態に係るフィルムは、高撥油性を維持すると推測される。
加えて、シロキサン化合物の主鎖の回転(つまり、メチル基の動き)の制限は、高温で樹脂及びシロキサン化合物の分子運動が激しくなる環境においても、発現すると考えられ、フィルムが高温となった場合でも、高撥油性を維持する。
特に、本実施形態に係るフィルムは高撥油性を有するため、外周面を構成する層として本実施形態に係るフィルムを有する部材を、電子写真装置用の転写部材(特に中間転写部材)に適用した場合、転写後の残留トナーが少なく、転写性(特に転写維持性)と共に、クリーニング性(特にクリーニング維持性)に優れた転写部材(特に中間転写部材)となる。
【0022】
以下、本実施形態に係るフィルムの詳細について説明する。
【0023】
本実施形態に係るフィルムは、シロキサン化合物と、樹脂とを含み、必要に応じて、その他添加剤を含んでもよい。
【0024】
(シロキサン化合物)
シロキサン化合物としては、アルキル基を有するシロキサン化合物が適用される。
アルキル基を有するシロキサン化合物とは、2つ以上のシロキサン結合[Si-O]、及びアルキル基を有する化合物である。
ここで、高撥油性の維持性及び向上の観点から、シロキサン化合物に有するアルキル基は、炭素数1以上2以下のアルキル基が好ましく、メチル基が好ましい。
【0025】
シロキサン化合物としてば、アルキル基を側鎖に有するポリシロキサン化合物が好適である。アルキル基を側鎖に有するポリシロキサン化合物とは、側鎖の少なくとも一部がアルキル化されているものと、側鎖の全てがアルキル化されているものの両方を含む。アルキル基を少なくとも一部の側鎖に有するポリシロキサン化合物(特に、メチル基を少なくとも一部の側鎖に有するシロキサン化合物)を適用すると、さらに高い撥油性が付与できる。また、高撥油性が維持されて易くなる。
アルキル基を側鎖に有するポリシロキサン化合物としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等のストレートシリコーンオイル;ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン、アミノ変性ジメチルポリシロキサン、エポキシ変性ジメチルポリシロキサン、カルボキシル変性ジメチルポリシロキサン、カルビノール変性ジメチルポリシロキサン、フッ素変性ジメチルポリシロキサン、メタクリル変性ジメチルポリシロキサン、メルカプト変性ジメチルポリシロキサン、フェノール変性ジメチルポリシロキサン、ポリエステル樹脂変性ジメチルポリシロキサン等の変性シリコーンオイル;等が挙げられる。
これらの中でも、高撥油性向上の観点から、シロキサン化合物としては、ストレートシリコーンオイルが好ましく、ジメチルシリコーンがより好ましい。
【0026】
その他、シロキサン化合物としては、シルセスキオキサン等も挙げられる。
【0027】
シロキサン化合物の含有量は、樹脂に対して3質量%以上7質量%以下が好ましく、3質量%以上5質量%以下がより好ましく、4質量%以上5質量%以下がさらに好ましい。
シロキサン化合物の含有量を上記範囲にすると、さらに高い撥油性が付与できる。また、高撥油性が維持されて易くなる。
【0028】
(樹脂)
樹脂は、密度が1.1以上でガラス転移温度(Tg)が150℃以上の樹脂が適用される。
樹脂の密度及びガラス転移温度を高めることで、高撥油性が維持される。
樹脂の密度は、1.1g/cm以上が好ましく、1.3g/cm以上がより好ましい。
樹脂のガラス転移温度(Tg)は、150℃以上が好ましく、200℃以上がより好ましい。
【0029】
樹脂の密度は、次の通り測定される。
水中置換法にて測定する。試験片の重量を測定した後、浸漬液に浸漬した試験片重量を測定する。試験片重量m1、浸漬した試験片重量をm2、水密度をρLとしたとき、試験片密度はρ=m1/(m1-m2)×ρLにて導出される。
【0030】
樹脂のガラス転移温度は次の通り測定される。
示差走査熱量計DSC(島津製作所製)にて試験片を加熱し反応熱量を測定する。熱量のベースラインがシフトした点をガラス転移温度とする。
【0031】
樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂(PI樹脂)、ポリアミドイミド樹脂(PAI樹脂)、ポリエーテルケトン樹脂(例えば、芳香族ポリエーテルエーテルケトン樹脂等)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS樹脂)、ポリエーテルイミド樹脂(PEI樹脂)、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
これら樹脂の種の中から、上記密度及びガラス転移温度を満たす樹脂を選択することが好ましい。
【0032】
また、樹脂は、フィルムの用途に合わせて選択することがよい。
例えば、フィルムを単層の中間転写ベルトに適用する場合、樹脂は、イミド系樹脂(つまり、イミド結合を有する構成単位を含む樹脂、好ましくは;ポリイミド樹脂)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂等が好ましい。
例えば、フィルムを定着ベルトの最外層に適用する場合、樹脂は、イミド系樹脂(つまり、イミド結合を有する構成単位を含む樹脂、好ましくは;ポリイミド樹脂)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂等が好ましい。
【0033】
ここで、代表的な樹脂として、ポリイミドについて説明する。
ポリイミド樹脂としては、例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との重合体であるポリアミック酸(ポリイミド樹脂の前駆体)のイミド化物が挙げられる。
ポリイミド樹脂としては、例えば、下記一般式(I)で示される構成単位を有する樹脂が挙げられる。
【0034】
【化1】


【0035】
一般式(I)中、Rは4価の有機基を表し、Rは2価の有機基を表す。
で表される4価の有機基としては、芳香族基、脂肪族基、環状脂肪族基、芳香族基と脂肪族基とを組み合わせた基、又はそれらが置換された基が挙げられる。4価の有機基として具体的には、例えば、後述するテトラカルボン酸二無水物の残基が挙げられる。
で表される2価の有機基としては、芳香族基、脂肪族基、環状脂肪族基、芳香族基と脂肪族基とを組み合わせた基、又はそれらが置換された基が挙げられる。2価の有機基として具体的には、例えば、後述するジアミン化合物の残基が挙げられる。
【0036】
ポリイミド樹脂の原料として用いるテトラカルボン酸二無水物として具体的には、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン酸二無水物、ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
【0037】
ポリイミド樹脂の原料として用いるジアミン化合物の具体例としては、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジクロロベンジジン、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、1,5-ジアミノナフタレン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、3,3’-ジメチル4,4’-ビフェニルジアミン、ベンジジン、3,3’-ジメチルベンジジン、3,3’-ジメトキシベンジジン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルプロパン、2,4-ビス(β-アミノ第三ブチル)トルエン、ビス(p-β-アミノ-第三ブチルフェニル)エーテル、ビス(p-β-メチル-δ-アミノフェニル)ベンゼン、ビス-p-(1,1-ジメチル-5-アミノ-ペンチル)ベンゼン、1-イソプロピル-2,4-m-フェニレンジアミン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、ジ(p-アミノシクロヘキシル)メタン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ジアミノプロピルテトラメチレン、3-メチルヘプタメチレンジアミン、4,4-ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,11-ジアミノドデカン、1,2-ビス-3-アミノプロポキシエタン、2,2-ジメチルプロピレンジアミン、3-メトキシヘキサメチレンジアミン、2,5-ジメチルヘプタメチレンジアミン、3-メチルヘプタメチレンジアミン、5-メチルノナメチレンジアミン、2,17-ジアミノエイコサデカン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,10-ジアミノ-1,10-ジメチルデカン、12-ジアミノオクタデカン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、ピペラジン、HN(CHO(CHO(CH)NH、HN(CHS(CHNH、HN(CHN(CH(CHNH等が挙げられる。
【0038】
樹脂の含有量は、フィルムの主成分となる量とする。ここで、フィルムの主成分となる量とは、フィルムに含む成分のうち、最も多い成分の量を意味する。
【0039】
(その他添加剤)
その他添加剤としては、フィルムの用途に応じて、導電剤、補強剤、酸化防止剤、界面活性剤、耐熱老化防止剤等の周知の添加剤が挙げられる。
【0040】
ここで、代表的な添加剤として、導電剤について説明する。
導電剤としては、例えば、カーボンブラック、金属(例えばアルミニウムやニッケル等)、金属酸化物(例えば酸化イットリウム、酸化錫等)、イオン導電性物質(例えばチタン酸カリウム、LiCl等)などが挙げられ、これらの中でもカーボンブラックが好ましく挙げられる。
これら導電剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0041】
カーボンブラックとしては、例えば、ケッチェンブラック、オイルファーネスブラック、チャンネルブラック(すなわちガスブラック)、アセチレンブラック、等が挙げられる。カーボンブラックとしては、表面が処理されたカーボンブラック(以下、「表面処理カーボンブラック」ともいう)を用いてもよい。
表面処理カーボンブラックは、その表面に、例えば、カルボキシ基、キノン基、ラクトン基、ヒドロキシ基等を付与して得られる。表面処理の方法としては、例えば、高温雰囲気下で空気と接触して反応させる空気酸化法、常温(例えば、22℃)下で窒素酸化物又はオゾンと反応させる方法、高温雰囲気下での空気酸化後、低温でオゾンにより酸化する方法等を挙げられる。
【0042】
これらの中でも、導電剤としては、チャンネルブラックがよく、特に、pH5.0以下の酸性カーボンブラックがよい。
酸性カーボンブラックとしては、表面が酸化処理されたカーボンブラック、例えば、表面にカルボキシル基、キノン基、ラクトン基、水酸基等を付与して得られたカーボンブラックが挙げられる。
酸性カーボンブラックとしては、凹凸紙への転写性向上の観点から、pH4.5以下のカーボンブラックが好ましく、より好ましくはpH4.0以下の酸性カーボンブラック、さらに好ましくはpH3.0以下の酸性カーボンブラック、特に好ましくはpH2.0以上3.0以下の酸性カーボンブラック、極めて好ましくはpH2.0以上2.8以下の酸性カーボンブラックである。
なお、酸性カーボンブラックのpHは、JIS Z8802(2011)規定のpH測定方法によって測定される値である。
【0043】
フィルムに対する導電剤の含有量は、10質量%以上50質量%以下であることが好ましく、12質量%以上40質量%以下であることがより好ましく、14質量%以上30質量%以下であることが更に好ましく、15質量%以上20質量%以下であることが特に好
ましい。
【0044】
本実施形態に係るフィルムの表面の、25℃の剥離力は、20kPa以下が好ましく、19kPa以下がより好ましく、18.5kPa以下がさらに好ましい。
本実施形態に係るフィルムの表面の、140℃の剥離力が25kPa以下が好ましく、24kPa以下がより好ましく、23.5kPa以下がさらに好ましい。
本実施形態に係るフィルムの表面の、25℃及び140℃の剥離力が上記範囲であることで、常温から高温においても高い撥油性を有するフィルムとなる。
【0045】
ここで、フィルムの表面の、25℃及び150℃の剥離力は、次の通り測定される。
まず、対象となる試験片から、3cm×4cm四方の試料片を採取する。
次に、22℃15%RHの環境下において、試料片における、フィルムの表面に、高さ15cmの上方から、フィルムの表面と水平に10kVの電圧が印加された状態で、ポリエステル樹脂粒子を散布し、3g/cmの載り量で付着させる。ポリエステル樹脂粒子は、フィルムの表面から上方10cm以下から自重で自然落下するように散布し、フィルムの表面に荷重0g/cmで付着させる。
ここで、ポリエステル樹脂粒子は、ジカルボン酸であるフマル酸ジメチルとジアルコールであるプロピレングリコールとの重縮合体であり、重量平均分子量25000、体積平均粒子径4.7μmの樹脂粒子を適用する。
ポリエステル樹脂粒子は、ポリエステル樹脂粒子同士又は他の部材(キャリア等)と摩擦接触が実質的になく、実質的に摩擦帯電が生じていない樹脂粒子を採用する。具体的には、ポリエステル樹脂粒子は、製造後、10℃以上22℃以下、かつ10%RH以上55%RH以下の環境下で半年間、保管後の樹脂粒子を採用する。
次に、試料片におけるポリエステル樹脂粒子付着面の中央部に、25℃及び140℃に加熱したタックテスター(TA-500、UBM製)のプローブを、0.1mm/sで接近し押し付けた後、押しつけ荷重3900gfで10s保持し、引き上げ速度10mm/sで引き揚げたときの剥離力を測定する。
【0046】
<部材>
本実施形態に係る部材は、外周面を構成する層として、上記本実施形態に係るフィルムを有する。
本実施形態に係る部材は、上記本実施形態に係るフィルムの単層部材、基材上に、上記本実施形態に係るフィルムを設けた部材のいずれであってもよい。
【0047】
本実施形態に係る部材を、電子写真方式の画像形成装置用の中間転写体に適用する場合、当該部材は、上記本実施形態に係るフィルムの単層体、又は当該フィルムを最外層として有する積層体が適用できる。積層体において、フィルム以外の層(例えば、フィルムを設ける基材層、フィルムと基材層との間に設ける弾性層等)は、中間転写体に設ける周知の層が適用できる。
【0048】
本実施形態に係る部材を、電子写真方式の画像形成装置用の定着部材(加熱部材、加圧部材、摺動部材等)に適用する場合、当該部材は、基材と、基材上に設けられた弾性層、弾性層上に設けられ、上記本実施形態に係るフィルムで構成された離型層とを有する部材が適用できる、基材及び弾性層は、定着部材として設ける周知の基材及び弾性層が適用できる。また、定着部材は、基材と弾性層との間に、電磁誘導加熱用の周知の金属発熱層を有してもよい。
【0049】
本実施形態に係る部材は、中間転写体、定着部材以外に、電子写真方式の画像形成装置用の用紙搬送部材等が挙げられる。
【0050】
ここで、例えば、本実施形態に係る部材の製造方法の一例として、中間転写体に適用される単層型の無端ベルトの製造方法の一例について、以下説明する。
【0051】
無端ベルトは、例えば、ブラスト加工され離型剤が予め塗布された円筒状の芯体(以下、円筒状芯体と称する)表面に、無端ベルト形成用の組成物を含んでなる塗布溶液を塗布して、塗膜を形成する塗膜形成工程と、該塗膜を加熱乾燥および加熱反応させて管状体を形成する管状体形成工程と、管状体を前記円筒状芯体から剥離する剥離工程と、を経ることによって得ることができる。また、必要に応じて他の工程を有していてもよい。
【0052】
以下、無端ベルトの製造方法を、工程毎に分けて説明する。
(1)塗膜形成工程
塗膜形成工程において、上記塗布溶液を塗布する円筒状芯体の表面は、ブラスト、切削、サンドペーパーがけ等の粗面化方法を用いることにより、算術平均粗さRaで0.2μm以上2μm以下の範囲に粗面化されていることが好ましい。
【0053】
また、円筒状芯体の表面には離型性が付与されていることが好ましい。離型性を付与するには、フッ素系樹脂やシリコーン樹脂で円筒状芯体を被覆する方法や、円筒状芯体表面に離型剤を塗布する方法等を用いることができる。
【0054】
円筒状芯体に塗布溶液を塗布する方法としては、円筒状芯体を塗布溶液に浸漬して上昇させる(引き上げる)浸漬塗布法、その際に環状体により膜厚を制御する環状塗布法、円筒状芯体を回転させながら表面に塗布溶液を吐出する流し塗り(フローコーティング)法、その際にブレードで皮膜をメタリングするブレード塗布法など、公知の方法が採用できる。尚、上記「円筒状芯体表面に塗布する」とは、円筒状芯体の表面に層を有する場合は、その層の表面に塗布することをいう。また、「円筒状芯体を上昇」とは、塗布時の液面との相対関係であり、「円筒状芯体を停止し、塗布液面を下降」させる場合を含む。
上記塗布方法の中でも、流し塗り(フローコーティング)法およびブレード塗布法がより好ましい。
【0055】
(2)管状体形成工程
この工程においては、前記塗膜を加熱乾燥および加熱反応させて、円筒状芯体表面に管状体を形成する。なお、該管状体とは、塗膜から溶剤を除去し加熱反応させた膜を意味する。
【0056】
まず、管状体形成工程において、塗膜中に存在する溶剤を除去する目的で、静置しても塗膜が変形しない程度の加熱乾燥を行う。加熱条件としては、例えばポリアミドイミド樹脂を用いる場合であれば、100℃以上180℃以下の温度範囲で15分間以上60分間以下であることが好ましい。また、例えばポリイミド樹脂を用いる場合であれば、120℃以上200℃以下の温度範囲で60分間以上分間以下であることが好ましい。
上記温度範囲の中でも、温度が高いほど加熱時間は短くてよい。また、加熱することに加え、風を当てることも有効である。加熱は、段階的に温度を上昇させても、定速度で温度を上昇させてもよい。
【0057】
なお、上記加熱乾燥は、塗膜中に20質量%以上50質量%以下の溶剤を残留させておくことが好ましい。
【0058】
塗膜を加熱乾燥させてから加熱反応までは、連続的に行えばよいが、途中で一旦、温度を低下させてもよい。ここで、「温度を低下させる」とは、加熱乾燥により加熱された状態となっている塗膜を、円筒状芯体ごと冷却し、温度を低下させることをいう。温度を低下させることは、溶剤を除去する加熱乾燥装置と塗膜を加熱反応させる加熱反応装置とが異なっている場合に有効である。
前記加熱乾燥装置と加熱反応装置とが一体である場合には、一旦温度を低下させることは不要である。
【0059】
管状体形成工程において、上述の加熱乾燥の後、塗膜を加熱反応(焼成)させることで、管状体を形成することができる。加熱反応(焼成)の際の加熱条件としては、例えばポリアミドイミド樹脂を用いる場合であれば、200℃以上280℃以下の温度範囲で60分間以上180分間以下であることが好ましい。また、例えばポリイミド樹脂を用いる場合であれば、300℃以上400℃以下の温度範囲で100分間以上240分間以下であることが好ましい。
加熱反応の際には、加熱の最終温度に達する前に可能な限り残留溶剤を除去することが好ましく、具体的には、加熱前に150℃以上250℃以下の温度範囲で30分間以上100分間以下加熱乾燥して残留溶剤を除去し、続けて、温度を段階的、または定速度で徐々に上昇させて加熱し、管状体形成することが好ましい。
【0060】
(3)剥離工程
加熱反応(焼成)後、円筒状芯体を冷却し、形成された管状体を剥離する本工程を経ることで、第2の実施形態に係る無端ベルトを得ることができる。
円筒状芯体には、予め離型剤が塗布されているので、管状体の内周面と円筒状芯体の外周面とが直接接することはなく、円筒状芯体から管状体を容易に剥離して画像形成装置用の無端ベルトを得ることができる。
【0061】
なお、抜き取られた無端状ベルトには、その両端の不要部分を切断する工程、さらには、穴あけ(パンチング)加工、リブ付け加工等を施す工程を設けることができる。
【0062】
<転写装置>
本実施形態に係る転写装置は、
上記本実施形態に係る部材で構成され、外周面にトナー像が転写される中間転写体と、
像保持体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写装置と、
中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写装置と、
を備える。
【0063】
(一次転写装置)
一次転写装置において、一次転写部材は、中間転写体を挟んで像保持体に対向して配置される。一次転写装置においては、上記一次転写部材により中間転写体に対しトナーの帯電極性と逆極性の電圧を付与することで、トナー像が中間転写体の外周面に一次転写される。
【0064】
(二次転写装置)
二次転写装置において、二次転写部材は、中間転写体のトナー像保持側に配置される。そして、二次転写装置は、例えば、二次転写部材と共に、中間転写体のトナー像保持側と反対側に配置される背面部材と、を備える。二次転写装置においては、中間転写体及び記録媒体を二次転写部材と背面部材とで挟み込み転写電界を形成することで、中間転写体上のトナー像が記録媒体に二次転写される。
二次転写部材は、二次転写ロールであってもよいし、二次転写ベルトであってもよい。なお、背面部材は、例えば、背面ロールが適用される。
【0065】
なお、本実施形態に係る転写装置は、複数の中間転写体を介して、トナー像を記録媒体の表面に転写する転写装置であってもよい。つまり、転写装置は、例えば、像保持体から第1中間転写体にトナー像を一次転写し、さらに、第1中間転写体から第2中間転写体にトナー像を二次転写した後、第二中間転写体から記録媒体にトナー像を三次転写する転写装置であってもよい。
転写装置が、複数の中間転写体の少なくとも一つに、上記本実施形態に係る部材で構成された中間転写体を適用する。
【0066】
<定着部材>
本実施形態に係る定着部材は、
第1回転体と、第1回転体の外面に接して配置される第2回転体と、を備え、
第1回転体及び第2回転体の少なくとも一方が、上記本実施形態に係る部材で構成されている。
【0067】
以下に、本実施形態に係る定着装置について、第1実施形態として、加熱ロールと加圧ベルトとを備えた定着装置、第2実施形態として、加熱ベルトと加熱ロールとを備えた定着装置、第3実施形態として、加熱ベルトと加熱ロールとを備えた電磁誘導加熱方式の定着装置を説明する。
なお、本実施形態に係る定着装置は、第1~第3の実施形態に限られず、加熱ロール又は加熱ベルトと加圧ベルトとを備えた定着装置であってよい。
そして、本実施形態に係る定着装置において、上記本実施形態に係る部材は、加圧ロール、加熱ベルト、加圧ロール、及び加圧ベルトのいずれにも適用してもよい。
【0068】
(定着装置の第1実施形態)
定着装置の第1実施形態について図1を参照して説明する。図1は、定着装置の第1実施形態の一例(即ち、定着装置60)を示す概略図である。
【0069】
図1に示すように、定着装置60は、例えば、回転駆動する加熱ロール61(第1回転体の一例)と、加圧ベルト62(第2回転体の一例)と、加圧ベルト62を介して加熱ロール61を押圧する押圧パッド64(押圧部材の一例)と、を備えて構成されている。
なお、押圧パッド64は、例えば、加圧ベルト62と加熱ロール61とが相対的に加圧されていればよい。従って、加圧ベルト62側が加熱ロール61に加圧されてもよく、加熱ロール61側が加圧ベルト62に加圧されてもよい。
【0070】
加熱ロール61の内部には、ハロゲンランプ66(加熱装置の一例)が配設されている。加熱装置としては、ハロゲンランプに限られず、発熱する他の発熱部材を用いてもよい。
【0071】
一方、加熱ロール61の表面には、例えば、感温素子69が接触して配置されている。この感温素子69による温度計測値に基づいて、ハロゲンランプ66の点灯が制御され、加熱ロール61の表面温度が目的とする設定温度(例えば、150℃)に維持される。
【0072】
加圧ベルト62は、例えば、内部に配置された押圧パッド64とベルト走行ガイド63とによって回転自在に支持されている。そして、挟込領域N(ニップ部)において押圧パッド64により加熱ロール61に対して押圧されて配置されている。
【0073】
押圧パッド64は、例えば、加圧ベルト62の内側において、加圧ベルト62を介して加熱ロール61に加圧される状態で配置され、加熱ロール61との間で挟込領域Nを形成している。
押圧パッド64は、例えば、幅の広い挟込領域Nを確保するための前挟込部材64aを挟込領域Nの入口側に配置し、加熱ロール61に歪みを与えるための剥離挟込部材64bを挟込領域Nの出口側に配置している。
【0074】
加圧ベルト62の内周面と押圧パッド64との摺動抵抗を小さくするために、例えば、前挟込部材64a及び剥離挟込部材64bの加圧ベルト62と接する面にシート状の摺動部材68が設けられている。そして、押圧パッド64と摺動部材68とは、金属製の保持部材65に保持されている。
なお、摺動部材68は、例えば、その摺動面が加圧ベルト62の内周面と接するように設けられており、加圧ベルト62との間に存在するオイルの保持・供給に関与する。
【0075】
保持部材65には、例えば、ベルト走行ガイド63が取り付けられ、加圧ベルト62が回転する構成となっている。
【0076】
加熱ロール61は、例えば、図示しない駆動モータにより矢印S方向に回転し、この回転に従動して加圧ベルト62は、加熱ロール61の回転方向と反対の矢印R方向へ回転する。すなわち、例えば、加熱ロール61が図1における時計方向へ回転するのに対して、加圧ベルト62は反時計方向へ回転する。
【0077】
そして、未定着トナー像を有する用紙K(記録媒体の一例)は、例えば、定着入口ガイド56によって導かれて、挟込領域Nに搬送される。そして、用紙Kが挟込領域Nを通過する際に、用紙K上の未定着トナー像は挟込領域Nに作用する圧力と熱とによって定着される。
【0078】
定着装置60では、例えば、加熱ロール61の外周面に倣う凹形状の前挟込部材64aにより、前挟込部材64aがない構成に比して、広い挟込領域Nを確保される。
【0079】
また、定着装置60では、例えば、加熱ロール61の外周面に対し突出させて剥離挟込部材64bを配置することにより、挟込領域Nの出口領域において加熱ロール61の歪みが局所的に大きくなるように構成されている。
【0080】
このように剥離挟込部材64bを配置すれば、例えば、定着後の用紙Kは、剥離挟込領域を通過する際に、局所的に大きく形成された歪みを通過することになるので、用紙Kが加熱ロール61から剥離しやすい。
【0081】
剥離の補助装置として、例えば、加熱ロール61の挟込領域Nの下流側に、剥離部材70を配設されている。剥離部材70は、例えば、剥離爪71が加熱ロール61の回転方向と対向する向き(カウンタ方向)に加熱ロール61と近接する状態で保持部材72によって保持されている。
【0082】
(定着装置の第2実施形態)
定着装置の第2実施形態について図2を参照して説明する。図2は、定着装置の第2実施形態の一例(即ち、定着装置80)を示す概略図である。
【0083】
図2に示すように、定着装置80は、例えば、加熱ベルト84(第1回転体の一例)を備える定着ベルトモジュール86と、加熱ベルト84(定着ベルトモジュール86)に押圧して配置された加圧ロール88(第2回転体の一例)とを含んで構成されている。そして、例えば、加熱ベルト84(定着ベルトモジュール86)と加圧ロール88との接触部には挟込領域N(ニップ部)が形成されている。挟込領域Nでは、用紙K(記録媒体の一例)が加圧及び加熱されトナー像が定着される。
【0084】
定着ベルトモジュール86は、例えば、無端状の加熱ベルト84と、加圧ロール88側で加熱ベルト84が巻き掛けられ、モータ(不図示)の回転力で回転駆動すると共に加熱ベルト84をその内周面から加圧ロール88側へ押し付ける加熱押圧ロール89と、加熱押圧ロール89と異なる位置で内側から加熱ベルト84を支持する支持ロール90と、を備えている。
定着ベルトモジュール86は、例えば、加熱ベルト84の外側に配置されてその周回経路を規定する支持ロール92と、加熱押圧ロール89から支持ロール90までの加熱ベルト84の姿勢を矯正する姿勢矯正ロール94と、加熱ベルト84と加圧ロール88とで形成された挟込領域Nの下流側において加熱ベルト84に内周面から張力を付与する支持ロール98と、が設けられている。
【0085】
そして、定着ベルトモジュール86は、例えば、加熱ベルト84と加熱押圧ロール89との間に、シート状の摺動部材82が介在するように設けられている。
摺動部材82は、例えば、その摺動面が加熱ベルト84の内周面と接するように設けられており、加熱ベルト84との間に存在するオイルの保持・供給に関与する。
ここで、摺動部材82は、例えば、その両端が支持部材96により支持された状態で設けられている。
【0086】
加熱押圧ロール89の内部には、例えば、ハロゲンヒータ89A(加熱装置の一例)が設けられている。
【0087】
支持ロール90は、例えば、アルミニウムで形成された円筒状ロールであり、内部にはハロゲンヒータ90A(加熱装置の一例)が配設されており、加熱ベルト84を内周面側から加熱するようになっている。
支持ロール90の両端部には、例えば、加熱ベルト84を外側に押圧するバネ部材(不図示)が配設されている。
【0088】
支持ロール92は、例えば、アルミニウムで形成された円筒状ロールであり、支持ロール92の表面には厚さ20μmのフッ素樹脂からなる離型層が形成されている。
支持ロール92の離型層は、例えば、加熱ベルト84の外周面からのトナーや紙粉が支持ロール92に堆積するのを防止するために形成されるものである。
支持ロール92の内部には、例えば、ハロゲンヒータ92A(加熱装置の一例)が配設されており、加熱ベルト84を外周面側から加熱するようになっている。
【0089】
つまり、例えば、加熱押圧ロール89と支持ロール90及び支持ロール92とによって、加熱ベルト84が加熱される構成となっている。
【0090】
姿勢矯正ロール94は、例えば、アルミニウムで形成された円柱状ロールであり、姿勢矯正ロール94の近傍には、加熱ベルト84の端部位置を測定する端部位置測定機構(不図示)が配置されている。
姿勢矯正ロール94には、例えば、端部位置測定機構の測定結果に応じて加熱ベルト84の軸方向における当り位置を変位させる軸変位機構(不図示)が配設され、加熱ベルト84の蛇行を制御するように構成されている。
【0091】
一方、加圧ロール88は、例えば、回転自在に支持されると共に、図示しないスプリング等の付勢装置によって加熱ベルト84が加熱押圧ロール89に巻き回された部位に押圧されて設けられている。これにより、定着ベルトモジュール86の加熱ベルト84(加熱押圧ロール89)が矢印S方向へ回転移動するのに伴って、加熱ベルト84(加熱押圧ロール89)に従動して加圧ロール88が矢印R方向に回転移動するようになっている。
【0092】
そして、未定着トナー像(不図示)を有する用紙Kは、矢印P方向に搬送され、定着装置80の挟込領域Nに導かれる。そして、用紙Kが挟込領域Nを通過する際に、用紙K上の未定着トナー像は、挟込領域Nに作用する圧力と熱とによって定着される。
【0093】
なお、定着装置80では、複数ある加熱装置の一例としてハロゲンヒータ(ハロゲンランプ)を適用した形態を説明したが、これに限られず、ハロゲンヒータ以外の輻射ランプ発熱体(放射線(赤外線等)を発する発熱体)、抵抗発熱体(抵抗に電流を流すことによりジュール熱を発生させる発熱体:例えばセラミック基板に抵抗を有する膜を形成して焼成させたもの等)を適用してもよい。
【0094】
(定着装置の第3実施形態)
定着装置の第3実施形態について図3を参照して説明する。図3は、定着装置の第3実施形態の一例(即ち、定着装置200)を示す概略図である。
【0095】
図3に示すように、定着装置200は、ベルト220が金属層を有する場合のベルト220を備える電磁誘導方式の定着装置である。
定着装置200において、ベルト220の一部を加圧するよう加圧ロール(加圧部材)211が配置され、効率的に定着を行う観点でベルト220と加圧ロール211との間に接触領域(ニップ)が形成され、ベルト220は加圧ロール211の周面に沿った形に湾曲している。また、記録媒体の剥離性を確保する観点で前記接触領域(ニップ)の末端においてベルトが屈曲する屈曲部が形成される。
【0096】
加圧ロール211は、基材211A上にシリコーンゴム等による弾性層211Bが形成され、更に弾性層211B上にフッ素系化合物による離型層211Cが形成されて構成されている。
【0097】
ベルト220の内側には、加圧ロール211と対向する位置に対向部材213が配置されている。対向部材213は、金属、耐熱樹脂、耐熱ゴム等からなり、ベルト220の内周面に接して局所的に圧力を高めるパッド213Bと、パッド213Bを支持する支持体213Aを有している。
【0098】
ベルト220を中心として加圧ロール211(加圧部材の一例)と対向する位置には、電磁誘導コイル(励磁コイル)212aを内蔵した電磁誘導発熱装置212が設けられている。電磁誘導発熱装置212は、電磁誘導コイルに交流電流を印加することにより、発生する磁場を励磁回路で変化させ、ベルト220の図示しない金属層(例えば、電磁誘導金属層)に渦電流を発生させる。この渦電流が図示しない金属層の電気抵抗によって熱(ジュール熱)に変換され、結果的にベルト220の表面が発熱する。
なお、電磁誘導発熱装置212の位置は図3に示す位置に限定されず、例えば、ベルト220の接触領域に対して回転方向Bの上流側に設置されていてもよいし、ベルト220の内側に設置されていてもよい。
【0099】
定着装置200では、ベルト220の端部に固定されたギアに駆動装置により駆動力が伝達されることで、ベルト220が矢印B方向に自己回転し、ベルト220の回転に伴って加圧ロール211は逆方向、すなわち矢印C方向に回転する。
未定着トナー像214が形成された記録媒体215は、矢印A方向に、定着装置200におけるベルト220と加圧ロール211との接触領域(ニップ)に通され、未定着トナー像214が溶融状態として圧力が加えられて記録媒体215に定着される。
【0100】
<画像形成装置>
次に、本実施形態に係る画像形成装置について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置は、
像保持体と、像保持体の表面を帯電する帯電装置と、帯電した像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、トナーを含む現像剤を収容し、現像剤により、像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置と、トナー像を記録媒体の表面に転写する転写装置と、トナー像を記録媒体の表面に定着する定着装置と、を備える。
そして、転写装置として、本実施形態に係る転写装置が適用される。
また、定着装置として、本実施形態に係る定着装置が適用される。
【0101】
ここで、本実施形態に係る画像形成装置において、転写装置及び定着装置は、各々、画像形成装置に着脱するようにカートリッジ化していてもよい。つまり、本実施形態に係る画像形成装置は、プロセスカートリッジの構成装置として、各々、本実施形態に係る転写装置及び本実施形態に係る定着装置を備えてもよい。
【0102】
以下、本実施形態に係る画像形成装置について図面を参照しつつ説明する。
図4は、本実施形態に係る画像形成装置の構成を示した概略構成図である。
【0103】
本実施形態に係る画像形成装置100は、図4に示すように、例えば、一般にタンデム型と呼ばれる中間転写方式の画像形成装置であって、電子写真方式により各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kと、各画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kにより形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト15に順次転写(一次転写)させる一次転写部10と、中間転写ベルト15上に転写された重畳トナー像を記録媒体である用紙Kに一括転写(二次転写)させる二次転写部20と、二次転写された画像を用紙K上に定着させる定着装置60と、を備えている。また、画像形成装置100は、各装置(各部)の動作を制御する制御部40を有している。
【0104】
画像形成装置100の各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、表面に形成されるトナー像を保持する像保持体の一例として、矢印A方向に回転する感光体11を備えている。
【0105】
感光体11の周囲には、帯電装置の一例として、感光体11を帯電させる帯電器12が設けられ、静電潜像形成装置の一例として、感光体11上に静電潜像を書込むレーザ露光器13(図中露光ビームを符号Bmで示す)が設けられている。
【0106】
また、感光体11の周囲には、現像装置の一例として、各色成分トナーが収容されて感光体11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像器14が設けられ、感光体11上に形成された各色成分トナー像を一次転写部10にて中間転写ベルト15に転写する一次転写ロール16が設けられている。
【0107】
更に、感光体11の周囲には、感光体11上の残留トナーが除去される感光体クリーナ17が設けられ、帯電器12、レーザ露光器13、現像器14、一次転写ロール16及び感光体クリーナ17の電子写真用デバイスが感光体11の回転方向に沿って順次配設されている。これらの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、中間転写ベルト15の上流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順に、略直線状に配置されている。
【0108】
中間転写体である中間転写ベルト15は、ポリイミド又はポリアミド等の樹脂をベース層としてカーボンブラック等の帯電防止剤を適当量含有させたフィルム状の加圧ベルトで構成されている。そして、その体積抵抗率は10Ωcm以上1014Ωcm以下となるように形成されており、その厚さは、例えば、0.1mm程度に構成されている。
【0109】
中間転写ベルト15は、各種ロールによって図4に示す矢印B方向に目的に合わせた速度で循環駆動(回転)されている。この各種ロールとして、定速性に優れたモータ(不図示)により駆動されて中間転写ベルト15を回転させる駆動ロール31、各感光体11の配列方向に沿って略直線状に延びる中間転写ベルト15を支持する支持ロール32、中間転写ベルト15に対して張力を与えると共に中間転写ベルト15の蛇行を防止する補正ロールとして機能する張力付与ロール33、二次転写部20に設けられる背面ロール25、及び、中間転写ベルト15上の残留トナーを掻き取るクリーニング部に設けられるクリーニング背面ロール34を有している。
【0110】
一次転写部10は、中間転写ベルト15を挟んで感光体11に対向して配置される一次転写ロール16で構成されている。一次転写ロール16は、芯体と、芯体の周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層と、で構成されている。芯体は、鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層はカーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が107.5Ωcm以上108.5Ωcm以下のスポンジ状の円筒ロールである。
【0111】
そして、一次転写ロール16は中間転写ベルト15を挟んで感光体11に圧接配置され、更に一次転写ロール16にはトナーの帯電極性(マイナス極性とする。以下同様。)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が印加されるようになっている。これにより、各々の感光体11上のトナー像が中間転写ベルト15に順次、静電吸引され、中間転写ベルト15上において重畳されたトナー像が形成されるようになっている。
【0112】
二次転写部20は、背面ロール25と、中間転写ベルト15のトナー像保持面側に配置される二次転写ロール22と、を備えて構成されている。
【0113】
背面ロール25は、表面がカーボンを分散したEPDMとNBRのブレンドゴムのチューブ、内部はEPDMゴムで構成されている。そして、その表面抵抗率が10Ω/□以上1010Ω/□以下となるように形成され、硬度は、例えば、70°(アスカーC:高分子計器社製、以下同様。)に設定される。この背面ロール25は、中間転写ベルト15の裏面側に配置されて二次転写ロール22の対向電極を構成し、二次転写バイアスが安定的に印加される金属製の給電ロール26が接触配置されている。
【0114】
一方、二次転写ロール22は、芯体と、芯体の周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層と、で構成されている。芯体は鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層はカーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が107.5Ωcm以上108.5Ωcm以下のスポンジ状の円筒ロールである。
【0115】
そして、二次転写ロール22は中間転写ベルト15を挟んで背面ロール25に圧接配置され、更に、二次転写ロール22は接地されて背面ロール25との間に二次転写バイアスが形成され、二次転写部20に搬送される用紙K上にトナー像を二次転写する。
【0116】
また、中間転写ベルト15の二次転写部20の下流側には、二次転写後の中間転写ベルト15上の残留トナーや紙粉を除去し、中間転写ベルト15の表面をクリーニングする中間転写ベルトクリーナ35が、中間転写ベルト15に対し接離自在に設けられている。
【0117】
なお、中間転写ベルト15、一次転写部10(一次転写ロール16)、及び二次転写部20(二次転写ロール22)が、転写装置の一例に該当する。
【0118】
一方、イエローの画像形成ユニット1Yの上流側には、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにおける画像形成タイミングをとるための基準となる基準信号を発生する基準センサ(ホームポジションセンサ)42が配設されている。この基準センサ42は、中間転写ベルト15の裏側に設けられたマークを認識して基準信号を発生しており、この基準信号の認識に基づく制御部40からの指示により、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは画像形成を開始するように構成されている。
また、黒の画像形成ユニット1Kの下流側には、画質調整を行うための画像濃度センサ43が配設されている。
【0119】
更に、本実施形態に係る画像形成装置では、用紙Kを搬送する搬送装置として、用紙Kを収容する用紙収容部50、この用紙収容部50に集積された用紙Kを予め定められたタイミングで取り出して搬送する給紙ロール51、給紙ロール51により繰り出された用紙Kを搬送する搬送ロール52、搬送ロール52により搬送された用紙Kを二次転写部20へと送り込む搬送ガイド53、二次転写ロール22により二次転写された後に搬送される用紙Kを定着装置60へと搬送する搬送ベルト55、及び、用紙Kを定着装置60に導く定着入口ガイド56を備えている。
【0120】
次に、本実施形態に係る画像形成装置の基本的な作像プロセスについて説明する。
本実施形態に係る画像形成装置では、図示しない画像読取装置や図示しないパーソナルコンピュータ(PC)等から出力される画像データは、図示しない画像処理装置により画像処理が施された後、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって作像作業が実行される。
【0121】
画像処理装置では、入力された画像データに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消しや色編集、移動編集等の各種画像編集等の画像処理が施される。画像処理が施された画像データは、Y、M、C、Kの4色の色材階調データに変換され、レーザ露光器13に出力される。
【0122】
レーザ露光器13では、入力された色材階調データに応じて、例えば半導体レーザから出射された露光ビームBmを画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各々の感光体11に照射している。画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各感光体11では、帯電器12によって表面が帯電された後、このレーザ露光器13によって表面が走査露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、各々の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって、Y、M、C、Kの各色のトナー像として現像される。
【0123】
画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの感光体11上に形成されたトナー像は、各感光体11と中間転写ベルト15とが接触する一次転写部10において、中間転写ベルト15上に転写される。より具体的には、一次転写部10において、一次転写ロール16により中間転写ベルト15の基材に対しトナーの帯電極性(マイナス極性)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が付加され、トナー像を中間転写ベルト15の表面に順次重ね合わせて一次転写が行われる。
【0124】
トナー像が中間転写ベルト15の表面に順次一次転写された後、中間転写ベルト15は移動してトナー像が二次転写部20に搬送される。トナー像が二次転写部20に搬送されると、搬送装置では、トナー像が二次転写部20に搬送されるタイミングに合わせて給紙ロール51が回転し、用紙収容部50から目的とするサイズの用紙Kが供給される。給紙ロール51により供給された用紙Kは、搬送ロール52により搬送され、搬送ガイド53を経て二次転写部20に到達する。この二次転写部20に到達する前に、用紙Kは一旦停止され、トナー像が保持された中間転写ベルト15の移動タイミングに合わせて位置合わせロール(不図示)が回転することで、用紙Kの位置とトナー像の位置との位置合わせがなされる。
【0125】
二次転写部20では、中間転写ベルト15を介して、二次転写ロール22が背面ロール25に加圧される。このとき、タイミングを合わせて搬送された用紙Kは、中間転写ベルト15と二次転写ロール22との間に挟み込まれる。その際に、給電ロール26からトナーの帯電極性(マイナス極性)と同極性の電圧(二次転写バイアス)が印加されると、二次転写ロール22と背面ロール25との間に転写電界が形成される。そして、中間転写ベルト15上に保持された未定着トナー像は、二次転写ロール22と背面ロール25とによって加圧される二次転写部20において、用紙K上に一括して静電転写される。
【0126】
その後、トナー像が静電転写された用紙Kは、二次転写ロール22によって中間転写ベルト15から剥離された状態でそのまま搬送され、二次転写ロール22の用紙搬送方向下流側に設けられた搬送ベルト55へと搬送される。搬送ベルト55は、定着装置60における最適な搬送速度に合わせて、用紙Kを定着装置60まで搬送する。定着装置60に搬送された用紙K上の未定着トナー像は、定着装置60によって熱及び圧力で定着処理を受けることで用紙K上に定着される。そして定着画像が形成された用紙Kは、画像形成装置の排出部に設けられた排紙収容部(不図示)に搬送される。
【0127】
一方、用紙Kへの転写が終了した後、中間転写ベルト15上に残った残留トナーは、中間転写ベルト15の回転に伴ってクリーニング部まで搬送され、クリーニング背面ロール34及び中間転写ベルトクリーナ35によって中間転写ベルト15上から除去される。
【0128】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施の形態に限定的に解釈されるものではなく、種々の変形、変更、改良が可能である。
【実施例0129】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0130】
<実施例A1>
(第1工程)
樹脂又は樹脂前駆体としてポリイミドワニス(JFEケミカル製、JIV300R、固形分率が18質量%)のポリアミック酸に対し、表1に示す配合量で、シロキサン化合物としてポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン(信越化学工業株式会社製 KP-126)を添加した溶液を準備した。準備した溶液を高圧衝突型分散機により分散させて塗布液を得た。
(第2工程)
塗布液をバーコーターで厚さ100μmとなるよう基材に塗布した。
(第3工程)
140℃で30分間、塗膜を加熱乾燥した。
(第4工程)
乾燥した塗膜を最高温度が320℃となるように120分加熱することで樹脂皮膜を形成しフィルムを得た。
【0131】
<実施例A2~A8、実施例B1>
表1に従って、樹脂又は樹脂前駆体、及びシロキサン化合物の種類、並びに、シロキサン化合物の量を変更した以外は、実施例A1と同様にしてフィルムを得た。
【0132】
<実施例C1>
(第1工程)
樹脂としてポリカーボネート(帝人製 TS-2040)をTHF(三菱ケミカル製 テトラヒドロフラン)に固形分20%となるようと塗布液化した後、塗布液にシロキサン化合物としてポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン(信越化学工業株式会社製 KP-126)を添加して混錬した。
(第2工程)
得られた塗布液をバーコーターで厚さ100μmとなるよう基材に塗布した。
(第3工程)
140℃で30分間、塗膜を加熱乾燥し、フィルムを得た。
【0133】
<比較例A1>
(第1工程)
樹脂としてポリエーテルエーテルケトン(ビクトレックス社製 VICTREXPEEK)100質量部に、シロキサン化合物としてポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン(信越化学工業株式会社製 KP-126)を添加し、事前にプレブレンドした後、二軸押出し機(日本製鋼所製 TEX30α)を用いて、熱溶融混練して熱可塑性樹脂組成物を調製した。混練温度は250℃以上、300℃以下の範囲内となるように調整し、熱溶融混練時間はおよそ5分とした。
(第2工程)
得られた熱可塑性樹脂組成物をペレット化し、温度140℃で6時間乾燥させた。次いで、射出成形装置(住友重機械工業製 SE180D)に乾燥させたペレット状の熱可塑性樹脂組成物を投入した。そして、シリンダ設定温度を300℃として、温度が30℃に温調された金型内に該熱可塑性樹脂組成物を射出成形してフィルム形成した。
【0134】
<比較例A2、B1>
表1に従って、樹脂、及びシロキサン化合物の量を変更した以外は、比較例A1と同様にしてフィルムを得た。
【0135】
<特性>
表1に示すフィルムの特性を、既述の方法に従って測定した、
【0136】
<評価>
(常温時及高温時のフィルム表面の表面自由エネルギー)
各例のフィルム表面の表面自由エネルギーを、フィルムが常温(25℃)時及び140℃まで加熱した高温時の各々で実施した。評価基準は、次の通りである。
A:表面自由エネルギーが26mN/m未満
B:表面自由エネルギーが26mN/m以上30N/m未満
C:表面自由エネルギーが30mN/m以上35N/m未満
D:表面自由エネルギーが35N/m以上
【0137】
なお、表1中に示す略称は、次の通りである。
-樹脂-
・PI1:ポリイミドワニス(JFEケミカル(株)製、JIV300R)
・PI2 :ポリイミドワニス(ユニチカ(株)製、KX-H)
・PAI :ポリアミドイミド(日立化成(株)製、HPC―9000)
・PC :ポリカーボネート(帝人(株)製、ST-2040)
・PEEK:ポリエーテルエーテルケトン(ビクトレックス社製 VICTRIX PE
EK)
・PS :ポリスチレン(トーヨースチロール(株)製 MW1C)
【0138】
-シロキサン化合物-
・S1:ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン、信越化学工業(株)製、KP-126
・S2:ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン、信越化学工業(株)製、KP-101
【0139】
【表1】
【0140】
上記結果から、本実施例のフィルムは、比較例のフィルムに比べ、常温時及び高温時の
自由エネルギーが低く、その維持性が高いことがわかる。そのため、本実施例のフィルムは、比較例のフィルムに比べ、高撥油性を維持できることがわかる。
そして、本実施例のフィルムは、比較例のフィルムに比べ、部材の外周面を構成する層として適用することで、部材の外周面に高撥油性の維持性を付与できることがわかる。
【0141】
<実施例A101~A108、B101>
実施例A1~A8、B1における第1工程で、準備した各溶液と、カーボンブラック(キャボット製FW200)とを高圧衝突型分散機により分散させて塗布液を得た。なお、樹脂又は樹脂前駆体に対するカーボンブラック量は、表2に示す通りとした。
次に、円筒状の金型としてアルミニウム製円筒体を用意した。
次に、円筒体の外周面にディスペンサーを介して、500mmの幅で塗布液吐出した後、140℃で30分間、塗膜を加熱乾燥した。
次に、塗膜が形成された円筒体を水平にしたまま、乾燥した塗膜を最高温度が320℃となるように120分加熱することで樹脂皮膜を形成した。
次に、金型を手で抜き取ることで、樹脂皮膜を金型から剥離した。
樹脂皮膜の幅方向両端部をカットし、表2に示す厚さの無端ベルトを得た。
【0142】
<実施例C101>
実施例C1における第1工程で、塗布液にカーボンブラック(キャボット製FW200)をさらに添加し、混練した。なお、樹脂に対するカーボンブラック量は、表2に示す通りとした。
次に、円筒状の金型としてアルミニウム製円筒体を用意した。
次に、円筒体の外周面にディスペンサーを介して、500mmの幅で塗布液吐出した後、140℃で30分間、塗膜を加熱乾燥し、樹脂被膜を得た。
次に、金型を手で抜き取ることで、樹脂皮膜を金型から剥離した。
樹脂皮膜の幅方向両端部をカットし、表2に示す厚さの無端ベルトを得た。
【0143】
<比較例A101~A102、B101>
比較例A1~A2、B1において、さらにカーボンブラック(キャボット製FW200)をさらに添加して熱可塑性樹脂組成物を得て、射出成形により表1に示す厚さの無端ベルトを得た。なお、樹脂に対するカーボンブラック量は、表2に示す通りとした。
【0144】
<評価>
実施例A101~A108、B101、C101、比較例A101~A102、B101の無端ベルトを、中間転写ベルトとして、画像形成装置「Versant 180 press(富士フイルムビジネスイノベーション社製)」に装着した。そして、次の評価を実施した。
【0145】
-転写維持性-
温度25℃/湿度50%の環境で、画像濃度30%のハーフトーン画像をA4サイズで2000枚形成し、1枚目と2000枚目の画像濃度をX-Rite938(X-Rite社製)で測定し、各5か所測定して平均値を求めた。1枚目の画像濃度平均値に対する2000枚目の画像濃度平均値の割合(%)を算出し、転写維持性の指標とした。そして、次の評価基準で、評価した。
A:1枚目の画像濃度平均値に対する2000枚目の画像濃度平均値の割合(%)が95%以上のとき、画像濃度低下無しと評価
B:1枚目の画像濃度平均値に対する2000枚目の画像濃度平均値の割合(%)が90%以上95%未満のとき、画像濃度低下発生と評価
C:1枚目の画像濃度平均値に対する2000枚目の画像濃度平均値の割合(%)が90%未満のとき、顕著な画像濃度低下発生と評価
【0146】
-クリーニング維持性-
温度25℃/湿度50%の環境で、画像濃度30%のハーフトーン画像をA4サイズで2000枚形成した後、装置から中間転写ベルトを取り出した。そして、目視で中間転写ベルトの表面を観察し、次の評価基準で、トナーフィルミング(トナーが固着する現象)の発生度合いについて評価した。
A:トナーフィルミング発生無し
B:トナーフィルミング発生
C:顕著なトナーフィルミング発生
【0147】
【表2】
【0148】
上記結果から、本実施例の無端ベルトは、比較例の無端ベルトに比べ、中間転写ベルトに適用したとき、転写性(特に転写維持性)と共に、クリーニング性(特にクリーニング維持性)に優れたことがわかる。
【0149】
本実施形態は、下記態様を含む。
(((1)))
アルキル基を有するシロキサン化合物と、密度が1.1g/cm以上でガラス転移温度が150℃以上の樹脂とを含むフィルム。
(((2)))
前記シロキサン化合物は、前記アルキル基を少なくとも一部の側鎖に有するポリシロキサン化合物である(((1)))に記載のフィルム。
(((3)))
前記ポリシロキサン化合物は、メチル基を少なくとも一部の側鎖に有するシロキサン化合物である(((2)))に記載のフィルム。
(((4)))
前記樹脂に対する前記シロキサン化合物の含有量は、3質量%以上7質量%以下である(((1)))~(((3)))のいずれか1項に記載のフィルム。
(((5)))
前記樹脂に対する前記シロキサン化合物の含有量は、3質量%以上5質量%以下である(((4)))に記載のフィルム。
(((6)))
前記シロキサン化合物は、前記アルキル基を少なくとも一部の側鎖に有するポリシロキサン化合物であり、
前記樹脂に対する前記シロキサン化合物の含有量は、3質量%以上5質量%以下である(((1)))~(((5)))のいずれか1項に記載のフィルム。
(((7)))
前記樹脂の密度は、1.3g/cm以上である(((1)))~(((5)))のいずれか1項に記載のフィルム。
(((8)))
前記樹脂の密度は、1.3g/cm以上である(((6)))に記載のフィルム。
(((9)))
前記樹脂のガラス転移温度は、200℃以上である(((1)))~(((8)))のいずれか1項に記載のフィルム。
(((10)))
前記樹脂の密度は、1.3g/cm以上であり、
前記樹脂のガラス転移温度は、200℃以上である(((1)))~(((9)))のいずれか1項に記載のフィルム。
(((11))) 前記フィルムの表面の、25℃の剥離力が20kPa以下である(((1)))~(((10)))のいずれか1項に記載のフィルム。
(((12)))
前記フィルムの表面の、140℃の剥離力が25kPa以下である(((1)))~(((11)))のいずれか1項に記載のフィルム。
(((13)))
外周面を構成する層として、(((1)))~(((12)))のいずれか1項に記載のフィルムを有する部材。
(((14)))
(((13)))に記載の部材で構成され、外周面にトナー像が転写される中間転写体と、
像保持体の表面に形成されたトナー像を前記中間転写体の表面に一次転写する一次転写装置と、
前記中間転写体の表面に転写された前記トナー像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写装置と、
を備える転写装置。
(((15)))
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電装置と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
トナーを含む現像剤を収容し、前記現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する、(((14)))に記載の転写装置と、
前記トナー像を記録媒体の表面に定着する定着装置と、
を備える画像形成装置。
(((16)))
第1回転体と、前記第1回転体の外面に接して配置される第2回転体と、を備え、
前記第1回転体及び前記第2回転体の少なくとも一方が、(((13)))に記載の部材で構成された定着装置。
(((17)))
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電装置と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
トナーを含む現像剤を収容し、前記現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写装置と、
前記トナー像を記録媒体の表面に定着する、(((16)))に記載の定着装置と、
を備える画像形成装置。
【0150】
上記態様の効果は、次の通りである。
(((1)))に係る発明によれば、アルキル基を有するシロキサン化合物と樹脂を含むフィルムにおいて、樹脂の密度が1.1g/cm未満、樹脂のガラス転移温度が150℃未満、又はフィルム表面で海島構造が観測される場合に比べ、高撥油性を維持するフィルムが提供される。
【0151】
(((2)))、又は(((3)))に係る発明によれば、シロキサン化合物が、アルキル基又はメチル基を末端にのみ有するポリシロキサン化合物である場合に比べ、高撥油性を維持するフィルムが提供される。
【0152】
(((4)))に係る発明によれば、樹脂に対する前記シロキサン化合物の含有量が、3質量%未満又は7質量%超えである場合に比べ、高撥油性を維持するフィルムが提供される。
(((5)))に係る発明によれば、樹脂に対する前記シロキサン化合物の含有量が、3質量%未満又は5質量%超えである場合に比べ、高撥油性を維持するフィルムが提供される。
(((6)))に係る発明によれば、シロキサン化合物がアルキル基を末端に有するポリシロキサン化合物である場合、樹脂に対する前記シロキサン化合物の含有量が3質量%未満又は5質量%超えである場合に比べ、高撥油性を維持するフィルムが提供される。
【0153】
(((7)))に係る発明によれば、樹脂の密度が1.3g/cm未満である場合に比べ、高撥油性を維持するフィルムが提供される。
(((8)))に係る発明によれば、樹脂の密度が1.3g/cm未満である場合に比べ、高撥油性を維持するフィルムが提供される。
(((9)))に係る発明によれば、樹脂のガラス転移温度が200℃未満である場合に比べ、高撥油性を維持するフィルムが提供される。
(((10)))に係る発明によれば、樹脂の密度が1.3g/cm未満である場合、又は樹脂のガラス転移温度が200℃未満である場合に比べ、高撥油性を維持するフィルムが
提供される。
【0154】
(((11)))に係る発明によれば、フィルムの表面の、25℃の剥離力が20kPa超えである場合に比べ、高撥油性を維持するフィルムが提供される。
(((12)))に係る発明によれば、フィルムの表面の、140℃の剥離力が25kPa超えである場合に比べ、高撥油性を維持するフィルムが提供される。
【0155】
(((13)))、(((14)))、(((15)))、(((16)))、及び(((17)))に係る発明によれば、アルキル基を有するシロキサン化合物と樹脂を含むフィルムにおいて、樹脂の密度が1.1未満、樹脂のガラス転移温度が150℃未満に比べ、高撥油性を維持する部材、当該部材で構成された中間転写体を備える転写装置及び画像形成装置、並びに、当該部材で構成された回転体を備える定着装置及び画像形成装置が提供される。
【符号の説明】
【0156】
60 定着装置
62 加圧ベルト
63 ベルト走行ガイド
64 押圧パッド
64a 前挟込部材
64b 剥離挟込部材
65 保持部材
66 ハロゲンランプ
68 摺動部材
69 感温素子
70 剥離部材
71 剥離爪
72 保持部材
80 定着装置
82 摺動部材
84 加熱ベルト
86 定着ベルトモジュール
88 加圧ロール
89A ハロゲンヒータ
89 加熱押圧ロール
90A ハロゲンヒータ
90 支持ロール
92A ハロゲンヒータ
92 支持ロール
94 姿勢矯正ロール
96 支持部材
98 支持ロール
100 画像形成装置
200 定着装置
211 加圧ロール
212 電磁誘導発熱装置
図1
図2
図3
図4