(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137925
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】光音響画像の機能パラメータを計算するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 8/13 20060101AFI20240927BHJP
G01N 29/24 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
A61B8/13
G01N29/24
【審査請求】有
【請求項の数】34
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024047214
(22)【出願日】2024-03-22
(31)【優先権主張番号】63/491,745
(32)【優先日】2023-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/601,415
(32)【優先日】2024-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514092515
【氏名又は名称】セノ メディカル インストルメンツ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】ラリー、ワイ.エル.モー
【テーマコード(参考)】
2G047
4C601
【Fターム(参考)】
2G047AA12
2G047AC13
2G047BC13
2G047CA04
2G047EA10
2G047GH06
4C601DD08
4C601DE16
4C601EE09
4C601JC37
4C601KK23
(57)【要約】 (修正有)
【課題】1又は複数の主波長を有するレーザ光パルスに対する関心領域(ROI)のサブ領域の応答に関連するOAリターン信号データを取得する光音響(OA)撮像システム及び方法を提供する。
【解決手段】音圧データセットは、OAリターン信号データに基づいて生成される。音圧データは、サブ領域内の関心のある第1の発色団(COI)及び関心のない1又は複数の第2の発色団(非COI)の組成に依存する。サブ領域内の1又は複数の第2の発色団の範囲が識別される。値は、サブ領域内の1又は複数の発色団の範囲に基づいて、1又は複数の第2の発色団因子に割り当てられる。サブ領域内の第1の発色団の量は、音圧データ及び1又は複数の発色団因子に割り当てられた値に基づいて計算される。次いで、第1の発色団の量を利用して、表示のためのパラメトリックマップを計算する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光音響(OA)撮像システムであって、
第1の主波長を有する第1のレーザ光パルスを生成するように構成された1又は複数の光源と、
前記1又は複数の光源に動作可能に結合されたOAプローブであって、前記OAプローブは、前記第1のレーザ光パルスを組織の関心領域(ROI)に送達するように構成され、前記ROIは、i)少なくとも1つの非ヘモグロビン(非Hb)発色団と、ii)少なくとも1つのヘモグロビン(Hb)発色団とを含み、
前記OAプローブは、前記第1のレーザ光パルスのうちの1又は複数への前記ROIの応答に関連付けられるOAリターン信号データを収集するように構成される変換器アレイを含む、OAプローブと、
プログラム命令を記憶するように構成されたメモリと、
1又は複数のプロセッサであって、前記1又は複数のプロセッサは、
前記OAリターン信号データに基づいて、音圧データセットを生成することであって、前記音圧データは、前記ROIの前記サブ領域に関連付けられ、前記音圧データは、前記サブ領域内のヘモグロビン(Hb)及び非Hb発色団の組成に依存する、生成することと、
前記サブ領域内の前記少なくとも1つの非Hb発色団の範囲を識別することと、
前記サブ領域内の前記少なくとも1つの非Hb発色団の前記範囲に基づいて、非Hb発色団因子に値を割り当てることと、
前記音圧データ及び前記非Hb発色団因子に割り当てられた前記値に基づいて、前記サブ領域内のi)前記Hb発色団又はii)第2の非Hb発色団のうちの少なくとも1つの量を計算することと、
を行うプログラマブル命令を実行するように構成される、1又は複数のプロセッサと、
を備える光音響(OA)撮像システム。
【請求項2】
前記1又は複数のプロセッサは、
i)前記サブ領域の撮像データセットを分析して、前記1つの非Hb発色団の前記範囲に関連する前記組成物の態様を決定すること、又は
ii)前記非Hb発色団の前記範囲を示す病理学データを分析すること、又は
iii)前記非Hb発色団の前記範囲を示す患者データを受信すること、
のうちの少なくとも1つによって、前記サブ領域内の少なくとも1つの非Hb発色団の前記範囲を識別するように更に構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記1又は複数のプロセッサは、i)前記ROI全体にわたる複数のサブ領域、ii)前記サブ領域全体にわたる複数の位置、又はiii)前記ROI全体にわたる複数のサブ領域全体にわたる複数の位置のうちの少なくとも1つについて、前記生成、識別、割り当て、及び計算動作を繰り返すように更に構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記範囲を識別するために、前記1又は複数のプロセッサは、
i)前記サブ領域内の前記非Hb発色団の体積分率を決定すること、
ii)前記サブ領域を1又は複数の組織タイプに分類すること、又は
iii)前記サブ領域内の前記非Hb発色団の濃度を決定すること、
のうちの少なくとも1つを行うように更に構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記ROIについての前記音圧データは、OA画像を表し、前記1又は複数のプロセッサは、
前記OA画像の前記音圧データにフルエンス調整を適用して、フルエンス調整されたOA画像を形成し、
前記フルエンス調整を適用した後に、前記フルエンス調整されたOA画像に基づいてパラメトリックマップを計算する、
ように更に構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記1又は複数のプロセッサは、i)前記サブ領域内の前記非Hb発色団の光吸収係数、ii)前記サブ領域内の前記非Hb発色団の光学吸光係数及びモル濃度、iii)前記サブ領域内の前記非Hb発色団の質量濃度及び分子量、又はiv)前記サブ領域内の前記非Hb発色団の体積分率、のうちの少なくとも1つに基づいて、前記非Hb発色団因子の前記値を割り当てるように更に構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記非Hb発色団因子は、i)前記サブ領域内の前記非Hb発色団の光吸収係数、ii)前記サブ領域内の前記非Hb発色団の光学吸光係数、iii)前記サブ領域内の前記非Hb発色団のモル濃度、iv)前記サブ領域内の前記非Hb発色団の質量濃度、又はiv)前記サブ領域内の前記非Hb発色団の体積分率、のうちの少なくとも1つに対応する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記非Hb発色団因子は、非血液吸収係数に対応し、前記Hb発色団の前記量を計算するために、前記1又は複数のプロセッサは、
前記音圧データに基づいて組織吸収係数を決定し、
前記組織吸収係数と前記非血液吸収係数の前記値とに基づいて血液吸収係数を決定し、
前記血液吸収係数及びHb吸光係数に基づいて、前記Hb発色団の前記量を決定する、
ように更に構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記1又は複数のプロセッサは、前記Hb発色団の前記量に基づいてパラメトリックマップを計算するように更に構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記音圧データは、前記ROIの前記サブ領域全体にわたる対応する位置での音響応答を表す圧力データ値の集合を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記Hb発色団の前記量は、酸素化Hb(HbO)発色団の第1の量と、脱酸素化Hb(HbR)発色団の第2の量とを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記非Hb発色団は、水発色団、メラニン発色団、若しくは脂質発色団のうちの少なくとも1つを含むか、又は前記Hb発色団は、酸素化ヘモグロビン(HbO)発色団若しくは脱酸素化ヘモグロビン(HbR)発色団のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
光音響(OA)システムであって、
プログラム命令を記憶し、第1の主波長を有する1又は複数の第1のレーザ光パルスに対する関心領域(ROI)のサブ領域の応答に関連付けられたOAリターン信号データを記憶するように構成されたメモリと、
1又は複数のプロセッサであって、前記1又は複数のプロセッサは、
前記OAリターン信号データに基づいて、音圧データセットを生成することであって、前記音圧データは、前記ROIの前記サブ領域に関連付けられ、前記音圧データは、前記サブ領域内のヘモグロビン(Hb)及び非Hb発色団の組成に依存する、生成することと、
前記サブ領域内の前記非Hb発色団の範囲を識別することと、
前記サブ領域内の前記非Hb発色団の前記範囲に基づいて、非Hb発色団因子に値を割り当てることと、
前記音圧データ及び前記非Hb発色団因子に割り当てられた前記値に基づいて、前記サブ領域内の前記Hb発色団の量を計算することと、
を行うプログラマブル命令を実行するように構成される、1又は複数のプロセッサと、
を備える光音響(OA)システム。
【請求項14】
前記メモリ及び前記1又は複数のプロセッサを収容するネットワークサービスを更に備え、前記ネットワークサービスは、ネットワーク接続を介して、1又は複数のOA撮像システムから前記OAリターン信号データ又は音圧データのうちの少なくとも1つを受信するように構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
第1の主波長を有する第1のレーザ光パルスを生成するように構成された1又は複数の光源を含むOA撮像システムと、前記1又は複数の光源に動作可能に結合されたOAプローブであって、前記OAプローブは、前記第1のレーザ光パルスを組織の関心領域(ROI)に送達するように構成され、前記ROIは、i)少なくとも1つの非ヘモグロビン(非Hb)型発色団、及びii)少なくとも1つのHb型発色団を含み、前記OAプローブは、前記第1のレーザ光パルスのうちの1又は複数に対する前記ROIの応答に関連する前記OAリターン信号データを収集するように構成された変換器アレイを含む、OAプローブと、を更に備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
光音響(OA)撮像方法であって、
第1の主波長を有する第1のレーザ光パルスを組織の関心領域(ROI)に送達することであって、前記ROIは、i)少なくとも1つの非ヘモグロビン(非Hb)発色団と、ii)少なくとも1つのヘモグロビン(Hb)発色団とを含む、送達することと、
前記第1のレーザ光パルスのうちの1又は複数に対する前記ROIの応答に関連するOAリターン信号データを収集することと、
1又は複数のプロセッサを利用することであって、前記1又は複数のプロセッサは、
前記OAリターン信号データに基づいて、音圧データセットを生成することであって、前記音圧データは、前記ROIの前記サブ領域に関連付けられ、前記音圧データは、前記サブ領域内のヘモグロビン(Hb)及び非Hb発色団の組成に依存する、生成することと、
前記サブ領域内の前記少なくとも1つの非Hb発色団の範囲を識別することと、
前記サブ領域内の前記少なくとも1つの非Hb発色団の前記範囲に基づいて、非Hb発色団因子に値を割り当てることと、
前記音圧データ及び前記非Hb発色団因子に割り当てられた前記値に基づいて、前記サブ領域内のi)前記Hb発色団又はii)第2の非Hb発色団のうちの少なくとも1つの量を計算することと、
を行うためのプログラマブル命令を実行するように構成される、利用することと、
を含む光音響(OA)撮像方法。
【請求項17】
前記サブ領域内の前記少なくとも1つの非Hb発色団の前記範囲を識別することは、
i)前記サブ領域の撮像データセットを分析して、前記1つの非Hb発色団の前記範囲に関連する前記組成物の態様を決定すること、又は
ii)前記非Hb発色団の前記範囲を示す病理学データを分析すること、又は
iii)前記非Hb発色団の前記範囲を示す患者データを受信すること、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ROIは、異なる第1及び第2の組成を有する第1及び第2のサブ領域を含み、前記方法は、前記第1及び第2のサブ領域内の前記非Hb発色団の第1及び第2の範囲をそれぞれ識別することと、それに基づいて、前記第1及び第2のサブ領域に対する前記非Hb発色団因子に第1及び第2の値をそれぞれ割り当てることとを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記方法は、i)前記ROI全体にわたる複数のサブ領域、ii)前記サブ領域全体にわたる複数の位置、又はiii)前記ROI全体にわたる複数のサブ領域全体にわたる複数の位置、のうちの少なくとも1つについて、前記生成、識別、割り当て、及び計算動作を繰り返すことを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記範囲を前記識別することは、
i)前記サブ領域内の前記非Hb発色団の体積分率を決定すること、
ii)前記サブ領域を1又は複数の組織タイプに分類すること、又は
iii)前記サブ領域内の前記非Hb発色団の濃度を決定すること、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記ROIについての前記音圧データは、OA画像を表し、前記方法は、
前記OA画像の前記音圧データにフルエンス調整を適用して、フルエンス調整されたOA画像を形成することと、
前記フルエンス調整を適用した後に、前記フルエンス調整されたOA画像に基づいてパラメトリックマップを計算することと、
を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
i)前記サブ領域内の前記非Hb発色団の光吸収係数、ii)前記サブ領域内の前記非Hb発色団の光学吸光係数及びモル濃度、iii)前記サブ領域内の前記非Hb発色団の質量濃度及び分子量、又はiv)前記サブ領域内の前記非Hb発色団の体積分率、のうちの少なくとも1つに基づいて、前記非Hb発色団因子の前記値を割り当てることを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
前記非Hb発色団因子は、i)前記サブ領域内の前記非Hb発色団の光吸収係数、ii)前記サブ領域内の前記非Hb発色団の光学吸光係数、iii)前記サブ領域内の前記非Hb発色団のモル濃度、iv)前記サブ領域内の前記非Hb発色団の質量濃度、又はiv)前記サブ領域内の前記非Hb発色団の体積分率、のうちの少なくとも1つに対応する、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
前記非Hb発色団因子は、非血液吸収係数に対応し、前記Hb発色団の前記量を前記計算することは、
前記音圧データに基づいて組織吸収係数を決定することと、
前記組織吸収係数及び前記非血液吸収係数の前記値に基づいて血液吸収係数を決定することと、
前記血液吸収係数及びHb吸光係数に基づいて、前記Hb発色団の前記量を決定することと、
を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項25】
前記Hb発色団の前記量に基づいてパラメトリックマップを計算することを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項26】
前記音圧データは、前記ROIの前記サブ領域全体にわたる対応する位置での音響応答を表す圧力データ値の集合を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項27】
前記Hb発色団の前記量は、酸素化Hb(HbO)発色団の第1の量と、脱酸素化Hb(HbR)発色団の第2の量とを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項28】
前記非Hb発色団は、水発色団、メラニン発色団、若しくは脂質発色団のうちの少なくとも1つを含むか、又は前記Hb発色団は、酸素化ヘモグロビン(HbO)発色団若しくは脱酸素化ヘモグロビン(HbR)発色団のうちの少なくとも1つを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項29】
光音響(OA)方法であって、
第1の主波長を有する1又は複数の第1のレーザ光パルスに対する関心領域(ROI)のサブ領域の応答に関連するOAリターン信号データを取得することと、
1又は複数のプロセッサを利用することであって、前記1又は複数のプロセッサは、
前記OAリターン信号データに基づいて、音圧データセットを生成することであって、前記音圧データは、前記ROIの前記サブ領域に関連付けられ、前記音圧データは、前記サブ領域内の第1の発色団及び1又は複数の第2の発色団の組成に依存する、生成することと、
前記サブ領域内の前記1又は複数の第2の発色団の範囲を識別することと、
前記サブ領域内の前記1又は複数の発色団の前記範囲に基づいて、1又は複数の第2の発色団因子に値を割り当てることと、
前記音圧データと、前記1又は複数の発色団因子に割り当てられた前記値とに基づいて、前記サブ領域内の前記第1の発色団の量を計算することと、
を行うためのプログラマブル命令を実行するように構成される、利用することと、
を含む光音響(OA)方法。
【請求項30】
前記メモリ及び前記1又は複数のプロセッサを収容するネットワークサービスにおいて、1又は複数のOA撮像システムから、前記OAリターン信号データ又は音圧データのうちの少なくとも1つを受信することを更に含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記第1の発色団は、ヘモグロビン(Hb)発色団を表し、前記1又は複数の第2の発色団は、1又は複数の非Hb発色団を表す、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記第1の発色団は、コラーゲン発色団を表し、前記1又は複数の第2の発色団は、1又は複数の非コラーゲン発色団を表す、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記第1の発色団は、脂質発色団を表し、前記1又は複数の第2の発色団は、1又は複数の非脂質発色団を表す、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記ROIは、異なる第1及び第2の組成を有する第1及び第2のサブ領域を含み、前記1又は複数のプロセッサは、前記第1及び第2のサブ領域内の前記非Hb発色団の第1及び第2の範囲をそれぞれ識別し、それに基づいて、前記第1及び第2のサブ領域の前記非Hb発色団因子に第1及び第2の値をそれぞれ割り当てるように更に構成される、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2023年3月23日に出願された米国仮特許出願第63/491,745号の利益を主張し、その主題は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
世界的に、癌は主要な死因である。現在、多数のタイプの癌が存在しているが、一部の一般的なタイプの癌としては、甲状腺癌、前立腺癌及び乳癌が挙げられる。乳癌は、女性の癌の死亡において2番目に多い原因である。甲状腺癌、前立腺癌及び乳癌の処置に関する主要な課題の1つは、各癌の不均一な性質であり、これが治療選択肢を決定している。乳癌において、変異の体細胞ゲノム景観は、乳癌の予後及び治療アプローチに大きく影響する。異なる受容体発現及び遺伝子増幅プロファイルを有する乳癌(並びに他のタイプの癌)は、発生率、治療応答、疾患進行、及び転移の優先的臓器部位について異なる危険因子を有している。
【0003】
種々の撮像モダリティが、異なるタイプの癌の検出、識別、及び進行の監視に関連して利用されている。各タイプの撮像源は、異なる情報をもたらし、撮像されている組織の異なる特性を示す。1つのモダリティの画像において明らかな特徴は、別のモダリティの画像において明らかな特徴とは異なっている。
【0004】
例えば、超音波は、現在、疑わしい乳房の塊の評価及び生検の誘導に使用されている。しかしながら、超音波画像は、解剖学的特徴を非常に詳細に提示するが、癌に関する十分な予後情報を提供するために十分詳細に癌に関連付けられる機能的特徴を提示しないため、臨床医にとっての価値は腫瘍サイズの査定以外には限られている。
【0005】
磁気共鳴映像法(MRI)は、一部の種類の癌の検出に利用されているが、MRIは、他の種類の癌の主要な画像診断法ではない。例えば、乳房のMRI撮像は、撮像のための主要モダリティとしてのマンモグラフィ又は超音波を用いた乳房スクリーニングに対する補助ツールとして使用されている。乳房MRIは、主に、乳癌と診断された女性に使用され、癌のサイズを測定し、乳房の他の腫瘍を探し、反対側の乳房の腫瘍をチェックするのに役立つ。MRIは、一部の偽陽性結果を与える場合があり、これは、患者に対してより多くの試験及び/又は生検を意味する(Radhakrishna et al.“Role of magnetic resonance imaging in breast cancer management”,South Asian J Cancer 2018;7:69-71)。したがって、乳房MRIは、高リスクの女性に有用であるが、乳癌の平均リスクの女性のスクリーニング検査として推奨されることは稀である(Radhakrishna et al.)。また、乳房MRIは、乳癌の徴候であり得る微小石灰化として知られるカルシウム沈着を示さない(Radhakrishna et al.)。
【0006】
より最近では、撮像、すなわち光音響(OA)撮像に関連して、全く異なるモダリティが提案されている。OA撮像は、生体組織を照射するためにパルスレーザ光を使用している。入射光エネルギーが発色団として知られる組織分子によって吸収されるとき、それらは、超音波変換器のアレイによって検出され得る音波を生じさせる一時的な熱弾性膨張を受ける。受信されたアレイ信号は、変換器アレイ特性によって決定される解像度内で発色団空間分布の画像を作成するように処理されることができ、関心領域の機能的特徴に関する詳細を提供する。
【0007】
OA撮像は、従来のグレースケール超音波撮像からの解剖学的情報を補完する機能情報を生成することが可能であるため、臨床及び前臨床用途の両方を伴う新規の撮像モダリティである。具体的には、OA撮像では、内因性ヘモグロビンは、総ヘモグロビン濃度及び相対的ヘモグロビン酸素飽和度の撮像を可能にする、支配的発色団として作用する。前臨床適用のために、ナノ粒子を含む外因性造影剤を外部から投与して、分子撮像を可能にすることができる。前臨床及び臨床研究の両方のために、OAシステムにおける画像生成は、3つの段階、すなわち、I)OAサイノグラム取得、II)OA画像再構成、及びIII)機能パラメータ推定及び表示を含む後処理を含んでいる。
【0008】
段階Iでは、第1の波長λ1で組織を照射するためにレーザパルスが送信される。光パルスは、組織媒体を通って伝播するが、減衰され、散乱される。組織媒体中の発色団は、光エネルギーを吸収し、加熱し、組織を通って進行し、無線周波数検出アレイにおいて高周波(RF)信号として検出される音波を生成する。受信システムは、RF信号増幅及びデジタル化を実施してサイノグラムを形成し、サイノグラムは、変換器アレイの各チャネルについて収集された時系列の生OAデータの2D行列を指す。
【0009】
段階IIにおいて、システムは、サイノグラムをデジタル的にフィルタリングし、OA画像再構成を実施してOA画像を生成する。OA画像は、デカルト座標系における各ピクセル位置x=(x,y,z)に対するOA圧力推定値po(λ1,x)を含む。上記のプロセスは、第2の波長λ2に基づいてOA圧力推定値po(λ2,x)を含む第2のOA画像を生成するために、第2の波長λ2で繰り返される。再構成されたpo(λi,x)画像において、各ピクセルは、発色団タイプの混合からの寄与の和として解釈されることができ、ここで、発色団タイプは重み付けされ、重みは対応する発色団の平均濃度を表す。
【0010】
OA画像生成の最初の2つの段階は、超音波検出器アレイサイズ及び幾何学形状に依存する。前臨床OAシステムは、多くの場合、その視野が小動物の断面積全体を網羅する、円形又は半円形変換器アレイを活用し、OA源圧力場の断層撮影再構成を可能にする。X線コンピュータ断層撮影(CT)と同様に、OA再構成問題は、逆問題として数学的に定式化することができ、種々の反復アルゴリズムは、事前知識、外れ値に対するペナルティ、及び既知の制約を活用する収束基準を利用することができる。対照的に、臨床OA又はハイブリッドOA-USシステムの場合、US変換器アレイは、静止したままで視野全体をスキャンするのに十分な大きさではない。したがって、視野内の機能的及び解剖学的特徴全体を再構成することは、撮像される解剖学的構造に対して視野角が制限されるため、非常に困難である。
【0011】
段階IIIの後処理は、受信されたOA信号によって経験される、深度の関数としての波長依存光減衰及び散乱を補償するように、各ピクセルに対するOA圧力推定値po(λ1,x)を調整するフルエンス正規化を含む。減衰及び散乱は、関心領域内の各点(ボクセル)に関連して受信されるOA信号の振幅に影響を及ぼす。フルエンス正規化は、概して、個々の患者の性質に関係なく、標準的な光減衰及び散乱モデルを利用する。
【0012】
段階IIIの後処理はまた、概してスペクトルアンミキシングとしても知られるソースアンミキシング計算を含んでいる。ソースアンミキシングは、2つ以上の発色団のそれぞれが、異なるスペクトル波長で観察された光吸収全体にどの程度寄与した可能性があるかを解明しようとするものである。次いで、推定された発色団濃度は、総ヘモグロビン濃度及び酸素飽和レベルを含む機能的情報に変換される。機能的パラメトリックマップは、背景解剖学的US画像へのオーバーレイのように表示される。
【0013】
OA画像再構成と同様に、OA後処理における特定の課題も、前臨床システムと臨床システムとの間で全く異なっている。前者の場合、小動物は、通常、麻酔され、その結果、広範囲の波長にわたる複数(>5)のレーザ発射を使用して、運動アーチファクトに関する懸念なしに、波長の関数として光吸収を測定することができる。これは、マルチスペクトル光音響断層撮影(MSOT)と称され、カスタム設計された大型USアレイ、又は臨床US変換器アレイを利用することができる。更に、外因性造影剤は、異なる分子撮像適用のために外部から投与することができる。異なる波長における比較的多数のp0測定値を考慮して、種々のブラインド及びモデルベースのMSOTアンミキシング技術が提案されている。
【0014】
しかしながら、MSOTアンミキシング技術は、関心のある解剖学的構造が変換器アレイの視野よりも大きく、患者が麻酔されていない臨床用途にはあまり適していない。臨床用途では、OA取得パラメータ及び標的は、全く異なる。最先端の臨床ハイブリッドOA-USプラットフォームは、概して、関心のある生体構造のフリーハンドスキャンのために、レーザシステムを臨床超音波システム及びアレイ変換器に統合することを伴う。コストと取得時間の両方を考慮すると、各画像フレームに対するレーザ発射の回数は比較的少なくなければならない。好ましい実施形態では、異なる波長での2つのレーザ発射のみが、酸素化ヘモグロビン濃度及び脱酸素化ヘモグロビン濃度の相対濃度を測定するために使用される。外因性造影剤は、まだ研究段階にあるので使用されない。これらの違いのために、前臨床MSOTアンミキシング法は、概して、臨床OA用途には適していない。
【0015】
前述の問題は、乳癌のOA画像のヘモグロビン関連特性を分析するためにOA撮像を使用する文脈において論じられる。しかしながら、OA撮像はまた、甲状腺癌、前立腺癌、及び乳癌などの他の特性を分析するために適用されることもできる。
【0016】
更に、OA撮像は、非癌性特性について患者組織を分析するために利用することができる。例えば、(例えば、候補移植腎臓の生存率を決定することに関連して)腎線維症を分析するためのOA撮像の使用に関して、新たな関心が生じている。線維症は、ドナー腎臓に存在し得る慢性損傷の一形態であり、将来の腎機能の重要な予測因子である。線維組織の主成分であるコラーゲンを直接撮像するために、OA撮像技術を潜在的に利用することが提案されている。OA撮像は、コラーゲン含有量の腎臓内変動を取り込むために十分に高い分解能を伴って、全腎臓線維症負荷を非侵襲的に定量化するために利用されることができる。
【0017】
臨床OA撮像のための段階III後処理における改善の必要性が残っている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】Radhakrishna et al. “Role of magnetic resonance imaging in breast cancer management”, South Asian J Cancer 2018;7:69-71
【発明の概要】
【0019】
本明細書の実施形態によれば、光音響(OA)撮像システムが提供され、第1の主波長を有する第1のレーザ光パルスを生成するように構成された1又は複数の光源と、1又は複数の光源に動作可能に結合されたOAプローブであって、OAプローブは、第1のレーザ光パルスを組織の関心領域(ROI)に送達(deliver)するように構成され、ROIは、i)少なくとも1つの非ヘモグロビン(非Hb)発色団と、ii)少なくとも1つのヘモグロビン(Hb)発色団と、を含み、OAプローブは、第1のレーザ光パルスのうちの1又は複数へのROIの応答に関連付けられるOAリターン信号データを収集するように構成される、変換器アレイを含む、OAプローブと、プログラム命令を記憶するように構成されたメモリと、1又は複数のプロセッサと、を備え、1又は複数のプロセッサは、OAリターン信号データに基づいて、音圧データセットを生成することであって、音圧データは、ROIのサブ領域に関連付けられ、音圧データは、サブ領域内のヘモグロビン(Hb)及び非Hb発色団の組成に依存する、ことと、サブ領域内の少なくとも1つの非Hb発色団の範囲を識別することと、サブ領域内の少なくとも1つの非Hb発色団の範囲に基づいて、非Hb発色団因子に値を割り当てることと、音圧データ及び非Hb発色団因子に割り当てられた値に基づいて、サブ領域内のi)Hb発色団又はii)第2の非Hb発色団のうちの少なくとも1つの量を計算することと、を行うプログラマブル命令を実行するように構成される。
【0020】
追加的又は代替的に、1又は複数のプロセッサは、i)サブ領域の撮像データセットを分析して、1つの非Hb発色団の範囲に関連する組成物の態様を決定すること、又はii)非Hb発色団の範囲を示す病理学データを分析すること、又はiii)非Hb発色団の範囲を示す患者データを受信することのうちの少なくとも1つによって、サブ領域内の少なくとも1つの非Hb発色団の範囲を識別するように更に構成される。
【0021】
追加的又は代替的に、ROIは、異なる第1及び第2の組成を有する第1及び第2のサブ領域を含み、1又は複数のプロセッサは、第1及び第2のサブ領域内の非Hb発色団の第1及び第2の範囲をそれぞれ識別し、それに基づいて、第1及び第2のサブ領域の非Hb発色団因子に第1及び第2の値をそれぞれ割り当てるように更に構成される。
【0022】
追加的又は代替的に、1又は複数のプロセッサは、i)ROI全体にわたる複数のサブ領域、ii)サブ領域全体にわたる複数の位置、又はiii)ROI全体にわたる複数のサブ領域全体にわたる複数の位置のうちの少なくとも1つについて、生成、識別、割り当て、及び計算動作を繰り返すように更に構成される。
【0023】
追加的又は代替的に、範囲を識別するために、1又は複数のプロセッサは、i)サブ領域内の非Hb発色団の体積分率を決定すること、ii)サブ領域を1又は複数の組織タイプに分類すること、又はiii)サブ領域内の非Hb発色団の濃度を決定することのうちの少なくとも1つを行うように更に構成される。
【0024】
追加的又は代替的に、ROIについての音圧データは、OA画像を表し、1又は複数のプロセッサは、OA画像の音圧データにフルエンス調整を適用して、フルエンス調整されたOA画像を形成し、フルエンス調整を適用した後に、フルエンス調整されたOA画像に基づいてパラメトリックマップを計算するように更に構成される。
【0025】
追加的又は代替的に、1又は複数のプロセッサは、i)サブ領域内の非Hb発色団の光吸収係数、ii)サブ領域内の非Hb発色団の光学吸光係数及びモル濃度、iii)サブ領域内の非Hb発色団の質量濃度及び分子量、又はiv)サブ領域内の非Hb発色団の体積分率のうちの少なくとも1つに基づいて、非Hb発色団因子の値を割り当てるように更に構成される。
【0026】
追加的又は代替的に、非Hb発色団因子は、i)サブ領域内の非Hb発色団の光吸収係数、ii)サブ領域内の非Hb発色団の光学吸光係数、iii)サブ領域内の非Hb発色団のモル濃度、iv)サブ領域内の非Hb発色団の質量濃度、又はiv)サブ領域内の非Hb発色団の体積分率のうちの少なくとも1つに対応する。
【0027】
追加的又は代替的に、非Hb発色団因子は、非血液吸収係数に対応し、Hb発色団の量を計算するために、1又は複数のプロセッサは、音圧データに基づいて組織吸収係数を決定し、組織吸収係数と非血液吸収係数の値とに基づいて血液吸収係数を決定し、血液吸収係数及びHb吸光係数に基づいて、Hb発色団の量を決定するように更に構成される。
【0028】
追加的又は代替的に、1又は複数のプロセッサは、Hb発色団の量に基づいてパラメトリックマップを計算するように更に構成される。
【0029】
追加的又は代替的に、音圧データは、ROIのサブ領域全体にわたる対応する位置での音響応答を表す圧力データ値の集合を含む。
【0030】
追加的又は代替的に、Hb発色団の量は、酸素化Hb(HbO)発色団の第1の量と、脱酸素化Hb(HbR)発色団の第2の量と、を含む。
【0031】
追加的又は代替的に、非Hb発色団は、水発色団、メラニン発色団、若しくは脂質発色団のうちの少なくとも1つを含むか、又はHb発色団が、酸素化ヘモグロビン(HbO)発色団若しくは脱酸素化ヘモグロビン(HbR)発色団のうちの少なくとも1つを含む。
【0032】
本明細書の実施形態によれば、光音響(OA)システムが提供され、プログラム命令を記憶し、第1の主波長を有する1又は複数の第1のレーザ光パルスに対する関心領域(ROI)のサブ領域の応答に関連付けられたOAリターン信号データを記憶するように構成されたメモリと、1又は複数のプロセッサと、を備え、1又は複数のプロセッサは、第1の主波長を有する1又は複数の第1のレーザ光パルスに対する関心領域(ROI)のサブ領域の応答に関連するOAリターン信号データを取得することと、OAリターン信号データに基づいて、音圧データセットを生成することであって、音圧データは、ROIのサブ領域に関連付けられ、音圧データは、サブ領域内のヘモグロビン(Hb)及び非Hb発色団の組成に依存する、ことと、サブ領域内の非Hb発色団の範囲を識別することと、サブ領域内の非Hb発色団の範囲に基づいて、非Hb発色団因子に値を割り当てることと、音圧データ及び非Hb発色団因子に割り当てられた値に基づいて、サブ領域内のHb発色団の量を計算することと、を行うプログラマブル命令を実行するように構成される
【0033】
追加的又は代替的に、システムは、メモリ及び1又は複数のプロセッサを収容するネットワークサービスを更に備え、ネットワークサービスは、ネットワーク接続を介して、1又は複数のOA撮像システムからOAリターン信号データ又は音圧データのうちの少なくとも1つを受信するように構成される。
【0034】
追加的又は代替的に、システムは、第1の主波長を有する第1のレーザ光パルスを生成するように構成された1又は複数の光源を含むOA撮像システムと、1又は複数の光源に動作可能に結合されたOAプローブであって、第1のレーザ光パルスを組織の関心領域(ROI)に送達するように構成され、ROIは、i)少なくとも1つの非ヘモグロビン(非Hb)型発色団、及びii)少なくとも1つのHb型発色団を含み、OAプローブは、第1のレーザ光パルスのうちの1又は複数に対するROIの応答に関連するOAリターン信号データを収集するように構成された変換器アレイを含む、OAプローブと、を更に備える。
【0035】
本明細書の実施形態によれば、光音響(OA)撮像方法が提要され、第1の主波長を有する第1のレーザ光パルスを組織の関心領域(ROI)に送達することであって、ROIは、i)少なくとも1つの非ヘモグロビン(非Hb)発色団と、ii)少なくとも1つのヘモグロビン(Hb)発色団と、を含む、ことと、第1のレーザ光パルスのうちの1又は複数に対するROIの応答に関連するOAリターン信号データを収集することと、1又は複数のプロセッサを利用することであって、1又は複数のプロセッサは、OAリターン信号データに基づいて、音圧データセットを生成することであって、音圧データは、ROIのサブ領域に関連付けられ、音圧データは、サブ領域内のヘモグロビン(Hb)及び非Hb発色団の組成に依存する、ことと、サブ領域内の少なくとも1つの非Hb発色団の範囲を識別することと、サブ領域内の少なくとも1つの非Hb発色団の範囲に基づいて、非Hb発色団因子に値を割り当てることと、音圧データ及び非Hb発色団因子に割り当てられた値に基づいて、サブ領域内のi)Hb発色団又はii)第2の非Hb発色団のうちの少なくとも1つの量を計算することと、を行うためのプログラマブル命令を実行するように構成される、ことと、を含む。
【0036】
追加的又は代替的に、サブ領域内の少なくとも1つの非Hb発色団の範囲を識別することは、i)サブ領域の撮像データセットを分析して、1つの非Hb発色団の範囲に関連する組成物の態様を決定すること、又はii)非Hb発色団の範囲を示す病理学データを分析すること、又はiii)非Hb発色団の範囲を示す患者データを受信することのうちの少なくとも1つを含む。
【0037】
追加的又は代替的に、ROIは、異なる第1及び第2の組成を有する第1及び第2のサブ領域を含み、方法は、第1及び第2のサブ領域内の非Hb発色団の第1及び第2の範囲をそれぞれ識別することと、それに基づいて、第1及び第2のサブ領域に対する非Hb発色団因子に第1及び第2の値をそれぞれ割り当てることと、を含む。
【0038】
追加的又は代替的に、方法は、i)ROI全体にわたる複数のサブ領域、ii)サブ領域全体にわたる複数の位置、又はiii)ROI全体にわたる複数のサブ領域全体にわたる複数の位置のうちの少なくとも1つについて、生成、識別、割り当て、及び計算動作を繰り返すことを更に含む。
【0039】
追加的又は代替的に、範囲を識別することは、i)サブ領域内の非Hb発色団の体積分率を決定すること、ii)サブ領域を1又は複数の組織タイプに分類すること、又はiii)サブ領域内の非Hb発色団の濃度を決定することのうちの少なくとも1つを含む。
【0040】
追加的又は代替的に、ROIについての音圧データは、OA画像を表し、方法は、OA画像の音圧データにフルエンス調整を適用して、フルエンス調整されたOA画像を形成することと、フルエンス調整を適用した後に、フルエンス調整されたOA画像に基づいてパラメトリックマップを計算することと、を更に含む。
【0041】
追加的又は代替的に、方法は、i)サブ領域内の非Hb発色団の光吸収係数、ii)サブ領域内の非Hb発色団の光学吸光係数及びモル濃度、iii)サブ領域内の非Hb発色団の質量濃度及び分子量、又はiv)サブ領域内の非Hb発色団の体積分率のうちの少なくとも1つに基づいて、非Hb発色団因子の値を割り当てることを更に含む。
【0042】
追加的又は代替的に、非Hb発色団因子は、i)サブ領域内の非Hb発色団の光吸収係数、ii)サブ領域内の非Hb発色団の光学吸光係数、iii)サブ領域内の非Hb発色団のモル濃度、iv)サブ領域内の非Hb発色団の質量濃度、又はiv)サブ領域内の非Hb発色団の体積分率のうちの少なくとも1つに対応する。
【0043】
追加的又は代替的に、非Hb発色団因子は、非血液吸収係数に対応し、Hb発色団の量を計算することは、音圧データに基づいて組織吸収係数を決定することと、組織吸収係数及び非血液吸収係数の値に基づいて血液吸収係数を決定することと、血液吸収係数及びHb吸光係数に基づいて、Hb発色団の量を決定することと、を含む。
【0044】
追加的又は代替的に、方法は、Hb発色団の量に基づいてパラメトリックマップを計算することを更に含む。
【0045】
追加的又は代替的に、音圧データは、ROIのサブ領域全体にわたる対応する位置での音響応答を表す圧力データ値の集合を含む。
【0046】
追加的又は代替的に、Hb発色団の量は、酸素化Hb(HbO)発色団の第1の量と、脱酸素化Hb(HbR)発色団の第2の量と、を含む。
【0047】
追加的又は代替的に、非Hb発色団は、水発色団、メラニン発色団、若しくは脂質発色団のうちの少なくとも1つを含むか、又はHb発色団が、酸素化ヘモグロビン(HbO)発色団若しくは脱酸素化ヘモグロビン(HbR)発色団のうちの少なくとも1つを含む。
【0048】
本明細書の実施形態によれば、光音響(OA)方法が提供され、第1の主波長を有する1又は複数の第1のレーザ光パルスに対する関心領域(ROI)のサブ領域の応答に関連するOAリターン信号データを取得することと、1又は複数のプロセッサを利用することであって、1又は複数のプロセッサは、OAリターン信号データに基づいて、音圧データセットを生成することであって、音圧データは、ROIのサブ領域に関連付けられ、音圧データは、サブ領域内の第1の発色団及び1又は複数の第2の発色団の組成に依存する、ことと、サブ領域内の1又は複数の第2の発色団の範囲を識別することと、サブ領域内の1又は複数の発色団の範囲に基づいて、1又は複数の第2の発色団因子に値を割り当てることと、音圧データと、1又は複数の発色団因子に割り当てられた値とに基づいて、サブ領域内の第1の発色団の量を計算することと、を行うためのプログラマブル命令を実行するように構成される、ことと、を含む。
【0049】
追加的又は代替的に、方法は、メモリ及び1又は複数のプロセッサを収容するネットワークサービスにおいて、1又は複数のOA撮像システムから、OAリターン信号データ又は音圧データのうちの少なくとも1つを受信することを更に含む。
【0050】
追加的又は代替的に、第1の発色団は、ヘモグロビン(Hb)発色団を表し、1又は複数の第2の発色団は、1又は複数の非Hb発色団を表す。
【0051】
追加的又は代替的に、第1の発色団は、コラーゲン発色団を表し、1又は複数の第2の発色団は、1又は複数の非コラーゲン発色団を表す。
【0052】
追加的又は代替的に、第1の発色団は、脂質発色団を表し、1又は複数の第2の発色団、は1又は複数の非脂質発色団を表す。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】本明細書の実施形態による、Hb発色団含有量を計算するためのコンピューティングサブシステムを示す。
【
図2】OA撮像の結果に診断的に関連する影響を及ぼす、患者のROI内の主要発色団に関する光吸収係数対波長をプロットする。
【
図3】コンピューティングサブシステムによって実装されるモジュールの集合をより詳細に示し、特に、本明細書の実施形態による実装される発色団アンミキシングサブシステムを示す。
【
図4】本明細書の実施形態による、
図3のコンピューティングサブシステムを実装するOA撮像システムのブロック図を示す。
【
図5A】本明細書の実施形態による、発色団因子値を決定するための方法を示す。
【
図5B】本明細書の代替的な実施形態による、発色団因子値を決定するための方法を示す。
【
図6】本明細書に開示される方法及びデバイスのためのプラットフォームとして使用され得る、組み合わせられた光音響及び超音波システムの一実施形態を示す、概略ブロック図を示す。
【
図7】OA/USデータを処理するための動作の集合の概要を示す。
【
図8】本明細書の実施形態による形成されたウェブベースのUS/OA画像管理システムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下の説明及び図面は、例示的なものであり、限定するものとして解釈されるべきではない。完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が説明される。しかしながら、特定の事例では、説明を不明瞭にすることを回避するために、よく知られている又は従来の詳細は説明されない。本開示における1つ又は一実施形態への言及は、必ずしも同じ実施形態への言及ではなく、かかる言及は少なくとも1つを意味する。
【0055】
本明細書における「一実施形態(one embodiment)」又は「一実施形態(an embodiment)」への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、又は特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書の種々の箇所における「一実施形態では」という句の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指すとは限らず、他の実施形態と相互に排他的な別個の又は代替的な実施形態であるとも限らない。更に、一部の実施形態によって示され得るが他の実施形態によっては示され得ない種々の特徴が説明される。同様に、一部の実施形態のための要件であり得るが、他の実施形態のための要件ではない種々の要件が説明される。
【0056】
本システム及び方法は、とりわけ、面外アーチファクト抑制を伴う光音響撮像を提供するための方法及びデバイスのブロック図、動作図、及びアルゴリズムを参照して、以下に説明される。ブロック図、動作説明図及びアルゴリズムの各ブロック、並びにブロック図、動作説明図及びアルゴリズムにおけるブロックの組み合わせは、アナログ又はデジタルハードウェア及びコンピュータプログラム命令によって実装され得ることが理解される。
【0057】
ここで、本発明の種々の実施形態をより詳細に参照し、その例を添付の図面に示す。当業者には明らかであるように、本明細書で説明されるデータ構造及び処理工程は、本明細書の開示の趣旨及び本発明の範囲から逸脱することなく、種々の他の方法で実装されてよく、本明細書に記載される実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、本開示の概念を当業者に十分に伝えるように提供される。
【0058】
本明細書の実施形態によれば、方法及びシステムは、本明細書の1又は複数の添付文書に記載されており、関連する説明は、概要形式、要約形式、画像などで記載されている。本明細書とともに提出される、及び/又は本明細書に添付される全ての材料は、その全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0059】
概要
本明細書の実施形態は、比較的少数の光(レーザ)波長を有するレーザ光パルスを使用するOA撮像システムによって収集された音圧データセットの後処理のための新規かつ固有の方法及びシステムを説明する。本明細書の実施形態は、「System and Method for Acquiring Optoacoustic Data and Producing Parametric Maps Thereof」と題する米国特許第9,289,191B2号に記載されているような、多波長(例えば、2波長)ハイブリッドOA-USシステムに統合することができ、その完全な主題は、参照によりその全体が本明細書に明示的に組み込まれる。’191特許のシステムは、第1の光波長λ1に関連付けられたOAデータの1又は複数のセットと、第2の光波長λ2に関連付けられたOAデータの1又は複数のセットとを取得する。生のOAデータは、OAリターン信号データとも称される。システムは、OAリターン信号データを処理して、対応する音圧データセットを生成する。音圧データセットは、OA画像と称されることもあるが、’191号特許に記載されているように、OA「画像」は、必ずしも基礎となる音圧データの視覚的表現ではない。システムは、空間平滑化及びフルエンス正規化を音圧データ(例えば、OA画像)に適用し、その後、「アンミキシング」動作が続く。
【0060】
アンミキシング動作は、ROI内の特定の点又はサブ領域(例えば、1つのピクセル、複数のピクセル、ボクセル、又は他の位置特定データ点)に対する音圧データ値(複数可)が、HbO、HbR、及び非Hbタイプの発色団を分離するように、関心のある構成発色団の集合に分解されるプロセスである。追加的又は代替的に、アンミキシング動作は、音圧データ値を分解して、コラーゲン発色団を非コラーゲン発色団から分離し、脂質発色団を非脂質発色団から分離することなどができる。次いで、発色団因子についての対応する割合又は値のセットを利用して、ROI内の対応する特定のデータ点又はサブ領域についての音圧データを引き起こしたか又は生成した各メンバー(発色団)の割合をモデル化するか又は他の方法で示す。より具体的には、各空間位置についての音圧データがアンミキシングされ、それによって、それぞれ血液中の酸素化ヘモグロビン及び脱酸素化ヘモグロビンの質量濃度を表すcHb0及びcHbRの推定値が提供される。cHb0及びcHbR推定値は、次に、総血中ヘモグロビン濃度(ctHb)及び酸素化レベル(SO2)の機能的パラメトリックマップを計算するためなどの種々の目的のために使用されてもよい。本明細書の実施形態では、超音波(US)画像も取得することができ、パラメトリックマップは、超音波画像と位置合わせされ、超音波画像上にオーバーレイされ、次いで表示される。ctHb及びSO2パラメトリック画像は、それぞれ、組織ベースライン値に対して、総ヘモグロビン濃度が高い領域、及び血液酸素化レベルが低い領域を強調することができる。
【0061】
照射された組織が酸素化ヘモグロビン分子及び脱酸素化ヘモグロビン分子のみを含むと仮定すると、対応する主波長λ1及びλ2を有する第1及び第2のレーザ光パルスに応答してOA信号測定を行うことによって、2×2行列の逆行列をとることによってcHb0及びcHbRを計算することができるように、2×2行列方程式によって順モデルを記述することができる。しかしながら、実際には、受信されたOA信号に寄与し得る他の発色団が組織内に存在する。臨床OAに適した光波長範囲では、1つの実質的な非Hb発色団は水であり、他の発色団は脂質及びメラニンを含む。
【0062】
本明細書における新規かつ固有の態様によれば、非Hb発色団(例えば、水、脂質、メラニン)からの寄与を考慮するための方法及びシステムが記載される。例えば、本明細書の実施形態は、照射されている組織内の一次非Hb発色団の部分体積を順モデルに組み込む。本明細書の新規かつ固有の態様によると、本明細書の方法及びシステムは、段階III後処理を改善し、ROIのサブ領域内の1又は複数の関心発色団(例えば、酸素化及び脱酸素化ヘモグロビン、コラーゲン、脂質、水など)に対するOA撮像システムの特異性及び感度を改善するために適用されることができる。OA画像内の1又は複数の関心発色団に関するOA撮像システムの特異性及び感度を改善することによって、本明細書の方法及びシステムは、ROI内の組織の解剖学的及び機能的挙動/状態のより良好な査定を可能にし、ひいては、疾患の治療及び予防(例えば、疾患を治療/防止するために講じられる措置)を改善する。例えば、Hb発色団に関するOA撮像システムの特異性及び感度を改善することによって、OA画像は、臨床医が、悪性対良性腫瘍をより良好に診断すること、腫瘍の分子サブタイプ及び/又は組織学的グレードをより良好に診断すること、腎線維症負荷をより良好に査定すること(例えば、ひいては、移植候補腎臓の査定を改善する)などを可能にする。
【0063】
従来のフルエンス正規化は、μa(λ)及びμs(λ)を含む組織光学パラメータの平均文献値を使用するモデルベースのアプローチを使用して実現されてきた。しかし、本明細書の新規かつ固有の態様によれば、かかる平均文献値が全ての患者に使用されるとき、患者間のばらつきが、結果として得られる機能パラメータ推定値に著しい偏りをもたらす可能性があることが認識されている。この問題を更に悪化させるのは、生物組織内で生成される臨床OA波形が、スペックルとして知られるランダムな干渉パターンを示すことが多いことである。推定バイアス及び分散はともに、癌組織の検出及び/又は特徴付けのためのOA画像の感度及び特異性を制限する可能性をもたらす。ROI内、より具体的にはROIのサブ領域内の非Hb発色団の範囲を識別し、対応する値を非Hb発色団因子に割り当てる機構を提供することによって、本明細書の実施形態は、HbT及びSO2推定値の精度及び信頼性を大幅に改善する。関心のない発色団(例えば、非Hb発色団又は非コラーゲン発色団)の範囲の識別及び対応する値の関心のない発色団への割り当ては、各個々の患者の組織サブタイプなどの種々の因子に適応的に基づき得る。例えば、関心のない少なくとも1つの発色団の範囲を識別するために、方法及びシステムは、i)サブ領域の撮像データセットを分析して、1つの非Hb発色団の範囲に関連する組成物の態様を決定すること、又はii)非Hb発色団の範囲を示す病理学データを分析すること、又はiii)非Hb発色団の範囲を示す患者データを受信することのうちの少なくとも1つを実施することができる。
【0064】
図1は、本明細書の実施形態による、関心のある発色団の含有量(例えば、Hb発色団含有量、コラーゲン発色団含有量など)を計算するためのコンピューティングサブシステム100を示している。コンピューティングサブシステム100は、プログラム命令を記憶するように構成されたメモリ104を含み、とりわけ、ROI内の、より具体的にはROIのサブ領域内のHb発色団の量を計算することに関連して本明細書で説明される動作を実施するために、プログラマブル命令を実行するように構成された1又は複数のプロセッサ102を含む。コンピューティングサブシステム100は、OAリターン信号データ114を受信し、メモリ104に記憶する。OAリターン信号データ114は、本明細書に説明されるように、及び/又は本明細書で参照される特許及び刊行物のうちの1又は複数に説明されるように、OA撮像システムによって収集される。OA撮像システムは、第1の主波長を有する第1のレーザ光パルスを生成するように構成された1又は複数の光源を含む。OAプローブは、1又は複数の光源に動作可能に結合される。OAプローブは、第1のレーザ光パルスを組織のROIに送達するように構成される。ROIは、i)少なくとも1つの非ヘモグロビン(非Hb)型発色団と、ii)少なくとも1つのHb型発色団と、を含む。OAプローブは、第1のレーザ光パルスのうちの1又は複数に対するROIの応答に関連付けられるOAリターン信号データを収集するように構成される、変換器アレイを含む。
【0065】
本明細書の実施形態は、第1及び第2の主波長を有するOAプローブの使用を説明するが、より少ない又はより多い主波長が、撮像される組織のタイプに基づいて使用され得ることが認識される。例えば、コラーゲンを示す音圧データセットを生成するために、第3の主波長を有する第3のレーザ光パルスが利用されてもよい。第3のレーザ光パルスは、単独で、又は第1及び第2のレーザ光源と組み合わせて、及び/又は他の主波長を有する更に別のレーザ光源と組み合わせて使用することができる。
【0066】
コンピューティングサブシステム100の1又は複数のプロセッサ102は、OAリターン信号データ114に基づいて、音圧データセット118を生成する。音圧データ118は、メモリ104又はネットワークを有する他の場所に記憶されてもよい。音圧データ118は、ROIの対応するサブ領域に関連付けられ、音圧データ118は、対応するサブ領域内のHb発色団及び非Hb発色団の組成に依存する。本明細書の実施形態によれば、1又は複数のプロセッサ102は、OAリターン信号データ114からOA画像(「再構成画像」として118で示されるような)を生成してもよく、その場合、ROIの音圧データ118は、OA画像を含む及び/又は表す。
【0067】
メモリ104は更に、ソースアンミキシングアルゴリズム108に供給され、それによって利用されるパラメータ制約、ユーザ対話入力及び/又はモデルパラメータ116を記憶してもよい。例えば、ユーザ対話は、患者データ、病理学データなどを含むことができる。
【0068】
モジュール106において、コンピューティングサブシステム100は、OA画像の音圧データ118にフルエンス調整を適用して、フルエンス調整された音圧データ107を形成し、場合によってはフルエンス調整されたOA画像を形成する。例えば、フルエンス調整は、ROI内の各位置(例えば、OA画像内の各ピクセル、ボクセル、又は他のサブ領域)に対する音圧データpo(λ1,x)を調整し、受信されたOAリターン信号データ内に示される、深度の関数としての波長依存光減衰及び散乱を補償する、フルエンス正規化を含んでもよい。任意選択で、フルエンス正規化は、ROIの光吸収係数μa(λ)の所定の値及びROIの光散乱係数μs(λ)の所定の値を利用して計算されてもよい。本明細書における新規かつ固有の態様によれば、実施形態は、ROIの各サブ領域についての光吸収係数μa(λ)及び光散乱係数μs(λ)についての別個の値を利用してフルエンス正規化を計算することができ、光吸収係数μa(λ)及び光散乱係数μs(λ)の値は、特定の患者に基づいて決定される。例えば、光吸収係数μa(λ)及び光散乱係数μs(λ)の値は、特定の患者の各対応するサブ領域内の1又は複数の非Hb発色団の範囲に基づいて決定され得る。
【0069】
モジュール108において、コンピューティングサブシステム100は、ROI内の複数の個々の特定の位置(例えば、ピクセル、ボクセル、又は他の位置特定のデータ点)に対する音圧データ値が、関心のある構成発色団の集合、すなわち、別個のHbO、HbR、及び非Hb発色団に分解される、アンミキシング動作を行う。概して、生物組織は、メラニン、ヘモグロビン、水及び脂質を含む複数の異なる発色団の混合物としてモデル化することができる。メラニンは、主に表皮層に存在する。赤血球における酸素輸送を担う主な分子であるヘモグロビン(Hb)は、Hbの光吸収係数がその酸素化状態とともに著しく変化するという点で、特殊な発色団である。したがって、OA撮像に関して、血液中のHb分子は、酸素化発色団サブグループ(HbO発色団)と、脱酸素化サブグループ(HbR発色団)とに更に分割される。
【0070】
108において、1又は複数のプロセッサ102は更に、1又は複数のサブ領域内の非Hb発色団の範囲を識別し、対応する1又は複数のサブ領域内の非Hb発色団の範囲に基づいて、非Hb発色団因子に値を割り当てる。追加的又は代替的に、108において、1又は複数のプロセッサ102は、1又は複数のサブ領域内の複数の個々の非Hb発色団の範囲を識別し、1又は複数のサブ領域内の対応する非Hb発色団の範囲に基づいて、別個の対応する値を別個の対応する非Hb発色団因子に割り当てることができる。108において、1又は複数のプロセッサ102は、音圧データ及び非Hb発色団因子(複数可)に割り当てられた値(複数可)に基づいて、1又は複数のサブ領域のそれぞれにおけるHb発色団の量を更に計算する。ROIは、異なる第1及び第2の組成を有する第1及び第2のサブ領域を含むことができる。1又は複数のプロセッサ102は、第1及び第2のサブ領域内の非Hb発色団の第1及び第2の範囲をそれぞれ識別し、それに基づいて、第1及び第2の値を第1及び第2のサブ領域の非Hb発色団因子にそれぞれ割り当てるように構成される。例えば、第1のサブ領域は、かなりの量の脂肪組織を含むことができ、第2のサブ領域は、かなりの量の血液を含むことができる。別の例として、第1のサブ領域は、大部分の水又は脂質を含んでもよい一方、第2のサブ領域は、大部分のメラニンを含む。ROIは、多数のサブ領域に分割されてもよく、その場合、1又は複数のプロセッサは、i)ROI全体にわたる複数のサブ領域、ii)サブ領域全体にわたる複数の位置、又はiii)ROI全体にわたる複数のサブ領域全体にわたる複数の位置のうちの少なくとも1つについて、生成、識別、割り当て、及び計算動作を繰り返すように更に構成されることが認識される。各サブ領域は、1つ又はいくつかのピクセル又はボクセルに対応してもよく、その場合、多数のサブ領域は、主に、血液から構成されてもよい一方、一部のサブ領域は、非脂肪組織から構成され、他のサブ領域は、脂肪組織、水、脂質、メラニン、及び/又はそれらの組み合わせから構成される。
【0071】
本明細書の実施形態によれば、各サブ領域について、1又は複数のプロセッサ102は、サブ領域内の非Hb発色団の体積分率を決定すること、サブ領域を1又は複数の組成物タイプ(例えば、組織、脂肪組織、血液、水、脂質優位、コラーゲン、メラニン優位)に分類すること、及び/又はサブ領域内の非Hb発色団の濃度を決定することのうちの少なくとも1つを行うように構成される。1又は複数のプロセッサ102は、i)非Hb発色団の範囲に関連する組成物の態様を決定するためにサブ領域の超音波データセットを分析すること、又はii)非Hb発色団の範囲を示す患者データを受信することのうちの少なくとも1つによって、サブ領域内の非Hb発色団の範囲を識別するように更に構成される。
【0072】
本明細書の実施形態によれば、1又は複数のプロセッサ102は、i)サブ領域内の非Hb発色団の光吸収係数、ii)サブ領域内の非Hb発色団の光学吸光係数及びモル濃度、iii)サブ領域内の非Hb発色団の質量濃度及び分子量、又はiv)サブ領域内の非Hb発色団の分画体積のうちの少なくとも1つに基づいて、非Hb発色団因子の値を決定するように構成される。非Hb発色団因子は、i)サブ領域内の非Hb発色団の光吸収係数、ii)サブ領域内の非Hb発色団の光学吸光係数、iii)サブ領域内の非Hb発色団のモル濃度、iv)サブ領域内の非Hb発色団の質量濃度、又はiv)サブ領域内の非Hb発色団の部分体積のうちの少なくとも1つに対応し得る。
【0073】
例えば、非Hb発色団因子は、非血液吸収係数に対応してもよい。Hb発色団の量を計算するために、1又は複数のプロセッサ102は、音圧データに基づいて組織吸収係数を決定し、組織吸収係数と非血液吸収係数の値とに基づいて血液吸収係数を決定し、血液吸収係数及びHb吸光係数に基づいて、Hb発色団の量を決定するように更に構成される。
【0074】
110において、1又は複数のプロセッサ102は、Hb発色団の量に基づいてパラメトリックマップを計算する。音圧データは、ROIのサブ領域全体にわたる対応する位置における音響応答を表す圧力データ値の集合を含むことができる。追加的又は代替的に、Hb発色団の量は、酸素化Hb(HbO)発色団の第1の量と、脱酸素化Hb(HbR)発色団の第2の量とを含み得る。追加的又は代替的に、非Hb発色団は、水発色団、メラニン発色団、又は脂質発色団のうちの少なくとも1つを含んでもよく、あるいはHb発色団は、酸素化ヘモグロビン(HbO)発色団又は脱酸素化ヘモグロビン(HbR)発色団のうちの少なくとも1つを含む。
【0075】
112において、1又は複数のプロセッサ102は、本明細書における特許/刊行物参照のうちの1又は複数に記載されているように、パラメトリックマップを表示するために表示処理を更に適用する。
【0076】
追加的又は代替的に、コンピューティングサブシステム100は、ROI(例えば、腎臓)内のコラーゲン発色団含有量を計算するように構成されてもよい。例えば、コンピューティングサブシステム100の1又は複数のプロセッサ102は、OAリターン信号データ114に基づいて、音圧データセット118を生成する。音圧データ118は、ROIの対応するサブ領域に関連付けられ、音圧データ118は、対応するサブ領域内のコラーゲン発色団及び非コラーゲン発色団の組成に依存する。モジュール108において、コンピューティングサブシステム100は、ROI内の複数の個々の特定の位置についての音圧データ値がコラーゲン発色団及び非コラーゲン発色団の集合に分解されるアンミキシング動作を実施する。108において、1又は複数のプロセッサ102は、1又は複数のサブ領域内の非コラーゲン発色団の範囲を更に識別し、対応する1又は複数のサブ領域内の非コラーゲン発色団の範囲に基づいて、非コラーゲン発色団因子に値を割り当てる。110において、1又は複数のプロセッサ102は、コラーゲン発色団の量に基づいてパラメトリックマップを計算する。音圧データは、ROIのサブ領域全体にわたる対応する位置における音響応答を表す圧力データ値の集合を含むことができる。112において、1又は複数のプロセッサ102は、本明細書における特許/刊行物参照のうちの1又は複数に記載されているように、パラメトリックマップを表示するために表示処理を更に適用する。
【0077】
非Hb発色団範囲のアンミキシング及び識別の基礎となる原理
物質の光吸収係数μa(λ,x)は、それが熱に変換できる光の量を決定する。これは、分子組成が材料の体積内で空間的に変化するため、光波長λ及び位置ベクトルxの関数である。材料が急速に加熱されると、圧力が発生する。圧力p0の量は、加えられた熱がどのように圧に変換されるかを定量化する、GruneisenパラメータΓ(x)と称される材料特性に比例する。放射フルエンスΦ(λ,x)は、加熱の時間間隔全体の間に位置xに到達する波長λの光の量である。入射光は、通常、機械的応力及び熱拡散条件を満たすように、例えば200ns未満の持続時間の短いパルスである。急速加熱の直後に発生する音圧は、以下の式で与えられる。
po(λ,x)=μa(λ,x)Γ(x)Φ(λ,x)(1)
【0078】
初期過剰圧力とも称される生成された圧力p0(λ,x)は、検出されるOAリターン信号の量に対応する。血液は、組織のOACと比較してはるかに強い光吸収係数μaを有する。したがって、血液から生成される音圧、したがって、血液によって生成されるOAリターン信号は、組織によって生成される音圧及びOAリターン信号データに対して非常に強い。大きな相対的な血液ベースのOAリターン信号は、非血液ベースのOAリターン信号の周囲エリア(サブ領域)に対して高い画像コントラストをもたらす。したがって、コンピューティングサブシステムは、非血液ベースのサブ領域についての音圧データと比較してより大きい振幅を有する、血液ベースのサブ領域についての音圧データを生成する。
【0079】
総ヘモグロビン質量濃度c
tHb及び酸素飽和レベルSO
2は、組織病変特徴付けのための臨床的に関連する関心パラメータである。総ヘモグロビン質量濃度c
tHb及び酸素飽和レベルSO
2は、以下の式によって、Hb質量濃度c
HbO及びc
HbRから決定され得る。
c
tHb=c
HbO+c
HbR(7)
【数1】
【0080】
図2はOA撮像の結果に診断的に関連する影響を及ぼす、患者のROI内の主要発色団に関する光吸収係数対波長をプロットする。
図2に示すように、OA撮像を使用して撮像された領域内の5つの共通発色団のそれぞれは、光吸収係数に対して別個の異なるスペクトルを有する。メラニン発色団は、励起レーザ光パルス(複数可)について200nm~1400nmの波長スペクトルに沿って10000cm
-1~100cm
-1の範囲にわたってほぼ指数関数的に減衰するように減少する光吸収係数を示す。水発色団は、200nmの励起波長に対して約0.1cm
-1の光吸収係数を示し、500nmの励起波長で1E-4cm
-1まで低下し、次いで、1400nmの励起波長で10cm
-1まで不均一に波状に増加する。脂質発色団は、400nmの励起波長に対して約0.1cm
-1の光吸収係数を示し、700nmと800nmとの間の励起波長で1E-3cm
-1まで低下し、次いで、1100nmの励起波長で0.11cm
-1まで不均一な波状の方式で増加する。
【0081】
Hb発色団は、200nm~500nmの励起波長で互いにいくらか追跡/追従する光吸収係数を示す。しかし、500nmを超えると、HbO発色団及びHbR発色団の光吸収係数は互いに異なり、500nmを超えると、約800nmに交点を有する、異なりかついくらか反対の挙動を示す。本明細書の実施形態によれば、OA撮像システムは、
図2の垂直破線によってマークされるような光吸収係数の反転比を有する2つの励起レーザ波長、すなわち、ε
hBO(λ
1)<ε
hBR(λ
1)及びε
hBO(λ
2)>ε
hBR(λ
2)を利用する。励起波長の対は互いに近く、その結果、それらの光減衰(侵入深さ)の差はあまり大きくなく、2つの波長での光フルエンスマップは、適切なスケーリング係数によって正規化することができる。例えば、780nmにおいて、HbR及びHbO発色団は、10cm
-1及び1cm
-1の光吸収係数を示す。1060nmにおいて、HbR及びHbO発色団は、それぞれ1cm
-1及び10cm
-1に逆転した光吸収係数を示す。一例として、HbO発色団のOACとHbR発色団のOACとの間の関係は、780nm及び1060nmにおいて互いに実質的に反対又は鏡像の値である。
【0082】
組織の体積の光吸収係数は、光が組織を通って伝搬するときの入射光強度の指数関数的減衰率の主な因子である。発色団の混合物を含む組織の場合、全体的な光吸収係数μa,tissue(λ)(cm-1の単位)は、各発色団の吸収μa.iにその体積分率fv.iを掛けた重み付き組み合わせとしてモデル化することができる。
μa,tissue(λ)=Σifv,iμa,i(λ)(4)
【0083】
上で引用した生体組織の例では、HbO、HbR、メラニン、水、及び脂質のOACは、以下のように記述することができる。
μa,tissue(λ)=fv,HbOμa,HbO(λ)+fv,HbRμa,HbR(λ)+fv,melaninμa,melanin(λ)+fv,waterμa,water(λ)+fv,lipidsμa,lipids(λ)(5)
【0084】
必要に応じて、媒体中の吸収に起因する指数関数的光減衰は、(自然指数「e」ではなく)底10で測定され得、この場合、発色団についての光吸収速度は、その光学吸光係数ε(cm-1mol-1Lの単位)と称される。光吸収係数(OAC)及び光学吸光係数(OEC)は、以下の式によって関連付けられ、ここで、Ciは、発色団iのモル濃度(モルL-1の単位、又はモル濃度についてはM)である。
μa,i(λ)=ln(10)Ciεi(λ)(6)
【0085】
【0086】
照射された組織における発色団iの寄与は、ln(10)fv,iciεi(λ)/MWiであることに留意されたい。式(7)を式(1)と組み合わせると、位置xにおける波長λに対して、これは、以下のようになる。
po(λ,x)=ln(10)Γ(x)Φ(λ,x)Σifv,iciεi(λ)/MWi(8)
【0087】
非Hb発色団の範囲又は寄与は、単一のパラメータ、すなわち、「その他の」又は非Hb発色団のOAC μ*a,other(λ)=ln(10)Σiciεi(λ)に組み合わせることができる。これを式(8)に代入すると、次式が得られる。
μ*a,tissue(λ)=ln(10)[cHbOεhBO(λ)+cHbRεhBR(λ)]+μ*a,other(λ)(9)
【0088】
「他の」又は非HB発色団のOAC μ*a,other(λ)は、偏りと解釈することができる。「他の」又は非HB発色団のOAC μ*a,other(λ)がHb発色団のOAC μ*a,blood(λ)に加算されると、その和は、音圧が生成されたサブ領域内の複合組織(例えば、全ての診断的に関連する発色団)の総OACを提供する。同様に、複合組織のOACが既知であり、非Hb発色団のOACを取得することができる場合、Hb発色団のOACは、以下の式に基づいて計算することができる。
μ*a,blood(λ)=μ*a,tissue(λ)-μ*a,other(λ)(10)
【0089】
必要に応じて、生物学的組織中の非Hb発色団の中で、水は、特定の臨床的OA適用のための主要な発色団として処理され得る。HbO、HbR、水に加えて1つの他の一般的な発色団iからのOA圧力信号は、以下のように記述することができ、ここで、ci及びεi(λ)は、脂質及び/又はメラニンなどの第4の発色団を表す。
p0(λ,x)=ln(10)Γ(x)Φ(λ,x){cHbOεhBO(λ)+cHbRεhBR(λ)+cwaterεwater(λ)+ciεi(λ)}(12)
【0090】
純粋な物質ではなく、血漿内の血球の懸濁液である血液の場合、光学吸光係数εi(λ)の標準値は、主要な血管内の正常なヘマトクリットHo=45%全血に基づく(例えば、所与の体積の血液では、45%が赤血球である)。しかし、臨床OA撮像では、重要な関心は、病変に供給する微小血管系におけるHb及び/又はSO2の変化にある。正常組織では、血液が微小血管系(mv)の中に移動するにつれて、ヘマトクリットパーセンテージHtmvは、正常/標準パーセンテージからより低いパーセンテージに降下するであろう(例えば、45%から20%範囲に降下する)。赤血球降下の程度は、患者の個々の微小血管系に基づく。ヘマトクリット割合が閾値を上回ったままである限り(例えば、Htmv>20%)、Hb発色団(例えば、HbO、HbR、又はそれらの組み合わせ)は、血液(例えば、血漿/水)中の他の発色団と比較して、血液の体積内で診断上関連する支配的な発色団(光吸収体)のままであると仮定することができる。前述の仮定に基づいて、ROI又はサブ領域における患者の実際の/推定されたヘマトクリットパーセンテージに対する正常なヘマトクリットパーセンテージの比(例えば、Htmv/Ho)に対応する係数だけ光学吸光係数OECをスケールダウンすることなどによって、近似が適用され得る。更に、このOECスケーリング係数は、以下のように、それぞれHbO及びHbRの見かけのモル濃度又は全体のモル濃度に組み込まれ得る。
cHbO=fv,blood(Htmv/Ho)/MWicHbO(9)
cHbR=fv,blood(Htmv/Ho)/MWicHbR(10)
【0091】
Hb発色団は、ROIのサブ領域にわたって濃度が変動し得るが、一部の実施形態によると、ROIのサブ領域の全て又は集合に対するHb発色団寄与の範囲は、全体的変数cHbO及びcHbRに統合されてもよい。Hb発色団寄与因子は、fv,blood(例えば、組織体積に対する血管新生変化)、Htmv(微小血管系におけるヘマトクリット変化)、又はcHbO及びcHbR(赤血球内のHbモル濃度変化)の変化を分析することが実際的ではない、又は所望されない実施形態では、統合され得る。しかしながら、20%を下回って低減するヘマトクリットパーセンテージHtmvを伴う微小血管系に関して、単純スケール係数Htmv/Ho近似は、スケール係数の診断関連性に影響を及ぼす(例えば、診断分析に影響を及ぼす)ほど十分に不正確になり得る。追加的又は代替的に、サブ領域の微小血管系が20%未満のヘマトクリットパーセンテージを示すと、サブ領域はもはや「血液」又は「血管」として認定されなくてもよい。したがって、本明細書の新規かつ固有の態様によれば、実施形態は、過度に低いヘマトクリットパーセンテージを示すサブ領域を識別し、そのサブ領域を、大部分の水/血漿非Hb発色団を有する組織として再分類することができる。追加的又は代替的に、実施形態は、サブ領域fv,bloodの血液体積分率を低減することができる。上記の全体的な変数cHbO及びcHbRの使用は、いずれの解釈にも対応することができる。最終的に、臨床OA撮像における少なくとも1つの目標は、血管新生及び/又は低酸素症を示し得る、組織ベースラインに対する全体的Hbレベルの変化を強調することである。
【0092】
血液Hbと比較して、生体組織中の他の一般的な発色団(例えば、水、脂質及びメラニン)は、比較的純粋な形態で存在し、その結果、組織中のそれらの全体のモル濃度は、以下のように簡単に表され得る。
ci=fv,ici/MWi(11)
【0093】
上記の導出は、c
HbO及びc
HbRをそれぞれ全体的なHbO及びHbR濃度として定義することによって一般化することができる。この解は、消衰係数行列を単純に反転させることによって取得することができる。
【数2】
【0094】
非Hb発色団の寄与を説明する2波OAシステム行列の解は、以下のように記述することができる。
【数3】
【0095】
実施形態
次に、前述の発色団の概念を利用する2波長OAシステムの実施形態を説明する。
【0096】
図3は、コンピューティングサブシステム100によって実装されるモジュールの集合をより詳細に示し、特に、本明細書の実施形態による実装される発色団アンミキシングサブシステムを示している。モジュール106において、コンピューティングサブシステム100の1又は複数のプロセッサは、第1及び第2の主波長(例えば、780nm及び1060nm)を有する第1及び第2のレーザ光パルスに関連するコンピュータモデルベースのフルエンス画像Φ(λ1)及びΦ(λ2)(120において得られる)に基づいてフルエンス正規化を実施する。
【0097】
モジュール120において、1又は複数のプロセッサは、メモリから所定のモデルベースのフルエンス画像Φ(λ1)及びΦ(λ2)を取得することができる。追加的又は代替的に、モジュール120において、1又は複数のプロセッサは、患者集団についての基本画像のあらかじめ定義された特性に基づいて、モデルベースのフルエンス画像Φ(λ1)及びΦ(λ2)を計算することができる。追加的又は代替的に、モジュール120において、1又は複数のプロセッサは、OA画像が取得される特定の現在の患者に基づいて、モデルベースのフルエンス画像Φ(λ1)及びΦ(λ2)を計算することができる。一実施形態では、患者データを使用して、モデルベースのフルエンス補正のために、光減衰係数などのフルエンスモデルパラメータを適応的に調整することができる。別の例として、1又は複数のプロセッサは、現在の患者のROIからの関心のある特性に基づいてモデルベースのフルエンス画像を計算することができる。例えば、1又は複数のプロセッサは、患者のROIのサブ領域に関連付けられた組織サブタイプを取得し、それに基づいてモデルベースのフルエンス画像Φ(λ1)及びΦ(λ2)を計算することができる。組織サブタイプは、ROIの診断画像をレビューしている間などに、臨床医によって入力されてもよい。組織サブタイプ(複数可)は、患者の医療記録に入力された患者データ(例えば、年齢、体重、ROIに対する患者の解剖学的構造の特定の記述)に基づいて決定されてもよい。診断画像は、超音波、CT、X線、SPECT、PET、MRIなどの種々の画像診断法によって取得することができる。例えば、(コンピュータ又は臨床医を介して)分析される画像は、以下のうちの1又は複数の方法及びシステムを利用して取得されてもよく、その全ては、参照することによってその全体として本明細書に明示的に組み込まれる。
【0098】
2022年11月24日に公開された「VASCULAR TISSUE CHARACTERIZATION DEVICES,SYSTEMS,AND METHODS」と題する米国特許出願公開第20220370037A1号、2010年7月21公開日に公開された「ULTRASONOGRAPHIC DEVICE,OPERATION METHOD THEREOF,AND ULTRASONOGRAM DIAGNOSIS PROGRAM」と題するEP2208465A1、2022年8月04日に公開された「SYSTEM AND METHOD FOR MULTIPATH PROCESSING OF IMAGE SIGNALS」と題する米国特許出願公開第20220240890A1号、2014年9月25日に公開された「APPARATUS AND METHOD FOR PROVIDING ELASTICITY INFORMATION」と題する米国特許出願公開第20140288425A1号、2017年3月30日に公開された「SYSTEM AND METHOD FOR DISPLAYING AND INTERACTING WITH ULTRASOUND IMAGES VIA A TOUCHSCREEN」と題する米国特許出願公開第20170090571A1号、2018年3月15日に公開された「ENDOSCOPE AND METHOD FOR OPERATING AN ENDOSCOPE」と題するWO 2018046095 A 1、2022年7月21日に公開された「ULTRASOUND IMAGING SYSTEM WITH A NEURAL NETWORK FOR DERIVING IMAGING DATA AND TISSUE INFORMATION」と題する米国特許出願公開第20220225967A1号、2020年11月25日に公開された「AUTOMATED PATH CORRECTION DURING MULTI-MODAL FUSION TARGETED BIOPSY」と題するEP3740132A、2021年4月22日に公開された「ULTRASOUND LESION ASSESSMENT AND ASSOCIATED DEVICES,SYSTEMS,AND METHODS」と題する米国特許出願公開第20210113190A1号、2021年4月15日に公開された「VASCULAR TISSUE CHARACTERIZATION DEVICES,SYSTEMS,AND METHODS」と題するWO2021069216A1、2022年4月07日に公開された「RENDERING OF B-MODE IMAGES BASED ON TISSUE DIFFERENTIATION」と題するWO 2022069377 A 1、2022年9月27日に公開された「SHEAR WAVE IMAGING BASED ON ULTRASOUND WITH INCREASED PULSE REPETITION FREQUENCY」と題する米国特許第11452503B2号、2022年7月21日に公開された「ULTRASOUND IMAGING SYSTEM WITH A NEURAL NETWORK FOR DERIVING IMAGING DATA AND TISSUE INFORMATION」と題する米国特許出願公開第20220225967A1号、2019年7月02日に公開された「CLASSIFICATION PREPROCESSING IN MEDICAL ULTRASOUND SHEAR WAVE IMAGING」と題する米国特許第10338203B2号、2016年10月11日に公開された「METHOD OF MAGNETIC RESONANCE-BASED TEMPERATURE MAPPING」と題する米国特許第9465090B2号、2015年1月16日に公開された「SHEAR WAVE IMAGING」と題するFR2934054B1、及び2021年10月13日に公開された「SHEAR WAVE AMPLITUDE RECONSTRUCTION FOR TISSUE ELASTICITY MONITORING AND DISPLAY」と題するEP3787519B1を参照されたい。
【0099】
診断画像は、現在のOA撮像検査の前又はその時に取得され、OA撮像検査の前又はその時に臨床医によって分析されてもよい。臨床医は、組織サブタイプを患者の医療記録に入力することができる。追加的又は代替的に、臨床医は、組織サブタイプを診断画像(複数可)に関連付けられたメタデータに入力してもよく、組織サブタイプは、医療におけるデジタル撮像及び通信(DICOM)フォーマットに従って、患者ファイル内に診断撮像データとともに記憶される。
【0100】
追加的又は代替的に、組織サブタイプは、ROIの診断画像のコンピュータベースのセグメント化及び分析に基づいて決定されてもよい。診断画像のコンピュータベースの分析は、コンピューティングサブシステム100によって、又は別の遠隔コンピューティングシステム(例えば、別個の診断撮像システム、画像アーカイブ及び通信システム(PACS)撮像システム、医療ネットワークサーバなど)によって行われてもよい。コンピュータベースの分析は、OA撮像システムによって取得される1又は複数の超音波画像、及び/又は別の撮像システム(例えば、別のULシステム、及び/又はCT、X線、PET、SPECT、MRI撮像システムなど)からの診断画像に適用されてもよい。超音波画像に基づくとき、組織サブタイプは、Bモード(グレースケール)画像、ドップラー画像、カラーフロー画像、エラストグラフィ画像、せん断波撮像などの種々のタイプの超音波データから決定され得る。
【0101】
モデルベースのフルエンス画像は、106においてフルエンス正規化計算に渡され、1又は複数のプロセッサは、音圧データ及び/又は再構成されたOA画像にフルエンス正規化を適用する。例えば、フルエンス正規化は、受信されたOA信号によって経験される、深度の関数としての波長依存光減衰及び散乱を補償するように、ピクセルごとにOA圧力推定値p
o(λ1,x)を調整する。減衰及び散乱は、関心領域内の各点(ボクセル)に関連して受信されたOA信号の振幅に影響を及ぼす。
図3の実施形態では、フルエンス正規化は、標準的な光減衰及び散乱フルエンス画像モデルに基づいてもよく、又は検査されている現在の個々の患者の特定の組織サブタイプに基づいて開発されたモデルに基づいてもよい。フルエンス調整された音圧データは、発色団アンミキシングモジュール108に渡される。
【0102】
モジュール108において、1又は複数のプロセッサは、モジュール122~128を実装する。122~128における動作についての以下の議論は、サブ領域の文脈で提供されるが、動作は、i)ROI全体にわたる複数のサブ領域、ii)1つのサブ領域全体にわたる複数の位置、iii)複数のサブ領域全体にわたる複数の位置、及び/又は完全なROIに対して1回(例えば、ROIを1つのサブ領域として扱う場合)のうちの少なくとも1つに対して実装され得ることが認識される。122~128における動作は、第1及び第2のレーザ光パルスに応答して返されるOAリターン信号データの少なくとも第1及び第2のセット(例えば、780nmに主波長を有するレーザ励起に基づく1つのOAリターン信号データセット、及び1060nmに主波長を有するレーザ励起に基づく1つのOAリターン信号データセット)に関連して実装される。追加的又は代替的に、122~128における動作は、第3の、第4の、又はそれ以上の主波長を有する第3の、第4の、又はそれ以上のレーザ光パルスに応答して返されるOAリターン信号データの第3の、第4の、又はそれ以上のセットに関連して実装されてもよい。
【0103】
任意選択で、122~128における動作は、第1及び第2の主波長を有する異なる第1及び第2の励起レーザ光パルスに基づいて、異なるサブ領域に対して実装されてもよい。例えば、第1及び第2の主波長を持つ第1及び第2の励起レーザ光パルスは、皮膚表面の近くのサブ領域を励起するために利用されることができ、一方、異なる主波長を持つ第1及び/又は第2の励起レーザ光パルス及び/又は第3の若しくは第4の励起レーザ光パルスは、表面の下のより深いサブ領域に対して使用されることができる。追加的又は代替的に、異なる組成を有するサブ領域に対して、異なる主波長を有するレーザ光パルスが使用されてもよい。
【0104】
モジュール122において、1又は複数のプロセッサは、サブ領域内の非Hb発色団の範囲を識別する。モジュール122において、サブ領域内の非Hb発色団の範囲が識別されると、1又は複数のプロセッサは、サブ領域内の非Hb発色団の範囲に基づいて、非Hb発色団因子に値を割り当てる。非限定的な例として、非Hb発色団因子(複数可)は、i)サブ領域における非Hb発色団の光吸収係数、ii)サブ領域における非Hb発色団の光学吸光係数、iii)サブ領域における非Hb発色団のモル濃度、iv)サブ領域における非Hb発色団の質量濃度、又はiv)サブ領域における非Hb発色団の部分体積のうちの少なくとも1つに対応し得る。例えば、非Hb発色団の範囲及び対応する非Hb発色団因子に割り当てられた値は、ルックアップテーブルから取得され得る。例えば、ルックアップテーブルを以下のように利用して、範囲を識別し、値を割り当てることができる。
【表1】
【0105】
範囲を識別するために、1又は複数のプロセッサは、i)サブ領域内の非Hb発色団の体積分率を決定すること、ii)サブ領域を1又は複数の組織タイプ/サブタイプ(例えば、非脂肪組織、脂肪組織、血液、水、脂質優位、メラニン優位)に分類すること、又はiii)サブ領域内の非Hb発色団の濃度を決定することのうちの少なくとも1つを行い得る。非Hb発色団の範囲は、種々の方法で表すことができる。例えば、非Hb発色団の範囲は、高、中、又は低として設定される、1~10のスケールで設定される、正規化されたスケールで設定されるなどであってもよい。単一の複合「範囲」が、全ての非Hb発色団に対して集合的に識別されてもよく、又は別個の発色団特有の範囲が、水、脂質、メラニン、又はそれらの任意の組み合わせに対して割り当てられてもよい。
【0106】
非Hb発色団の範囲は、組織タイプ/サブタイプに基づき得る。例えば、サブ領域は、水の分布又は濃度に対して低い値を割り当てられる非脂肪組織として分類されてもよく、一方、脂肪組織として分類されるサブ領域は、水に対して高い値を割り当てられる。別の例として、脂質優位又はメラニン優位として分類されたサブ領域には、脂質及び/又はメラニン発色団に対して高い値が割り当てられ得、水発色団に対してより低い値が割り当てられる。サブ領域の分類のための基礎は、モデルベースのフルエンスを計算するためのモジュール120に関連して上述したコンピュータベースの分析又は臨床医フィードバックと同じであっても異なっていてもよい。例えば、組織サブタイプは、ROIの診断画像をレビューしている間などに、臨床医によって入力されてもよい。追加的又は代替的に、組織タイプ/サブタイプは、ROIの診断画像のコンピュータベースのセグメント化及び分析に基づいて決定され得る。組織タイプ/サブタイプが分かると、ルックアップテーブル(例えば、表1)にアクセスして、1又は複数の非Hb発色団因子の値を取得することができる。例えば、ルックアップテーブルは、サブ領域内の非Hb発色団の体積分率について、組織タイプ/サブタイプに基づいて異なる値を含むことができる。例えば、脂肪組織は、非脂肪組織よりも高い水の体積分率を有する。表面近くのサブ領域は、ROI内のより深いサブ領域よりも高いメラニンの体積分率を有し得る。追加的又は代替的に、ルックアップテーブルは、サブ領域内の非Hb発色団のモル濃度、サブ領域内の非Hb発色団の質量濃度などについて、組織タイプ/サブタイプに基づいて、異なる値を含み得る。ルックアップテーブルはまた、非Hb発色団因子として、i)サブ領域における非Hb発色団の光吸収係数、及び/又はii)サブ領域における非Hb発色団の光学吸光係数のうちの少なくとも1つを含み得る。水は、組織タイプ/サブタイプにかかわらず、1つのOAC及び1つのOECを有し得るが、分類は、組織タイプ/サブタイプを別個に水であると分類するか、又は組織タイプ/サブタイプを水及び他の発色団の組み合わせを有する「脂肪組織」であると分類し得る。したがって、脂肪組織のOAC及びOECは、単離された水のOAC及びOECとは異なる。
【0107】
追加的又は代替的に、組織は、非Hb発色団の範囲を決定するために分類される必要はない。例えば、非Hb発色団の分布又は濃度は、1又は複数のサブ領域について臨床医によって入力されてもよい。臨床医が入力した分布又は濃度は、数値、パーセンテージ、又は相対ランク(例えば、高、中、低)であってもよい。別の例として、非Hb発色団の分布又は濃度は、1又は複数のプロセッサによって自動的に計算されてもよい。例えば、ROIの診断画像は、1又は複数の非Hb発色団の分布又は濃度を決定するために、コンピューティングシステム又は別のコンピューティングシステムによって自動的にセグメント化及び分析されてもよい。
【0108】
1又は複数のプロセッサは、サブ領域内の非Hb発色団の範囲に基づいて、非Hb発色団因子に値を割り当てる。単一の値が、「集合的な」非Hb発色団因子に割り当てられ得るか、又は別個の値が、対応する個々の水、脂質及び/又はメラニン発色団因子に割り当てられ得る。例えば、1又は複数のプロセッサは、i)サブ領域内の非Hb発色団の光吸収係数、ii)サブ領域内の非Hb発色団の光学吸光係数及びモル濃度、iii)サブ領域内の非Hb発色団の質量濃度及び分子量、又はiv)サブ領域内の非Hb発色団の分画体積のうちの少なくとも1つに基づいて、非Hb発色団因子の値を決定してもよい。一例として、分布又は濃度の値は、関心のある発色団(複数可)のモル濃度、質量濃度、及び/又は分子量に基づいて決定されてもよい(例えば、関心のある発色団を除いて式6及び/又は式7を使用して)。
【0109】
非Hb発色団因子の値(複数可)は、モジュール122からモジュール124に提供される。上述のように、1又は複数のプロセッサは、i)ROI全体にわたる複数のサブ領域、ii)サブ領域全体にわたる複数の位置、又はiii)ROI全体にわたる複数のサブ領域全体にわたる複数の位置のうちの少なくとも1つについて、生成、識別、割り当て、及び計算動作を繰り返すように更に構成される。ROIが、異なる第1及び第2の組成を有する第1及び第2のサブ領域を含む場合、1又は複数のプロセッサは、第1及び第2のサブ領域内の非Hb発色団の第1及び第2の範囲をそれぞれ識別し、それに基づいて、第1及び第2のサブ領域の非Hb発色団因子に第1及び第2の値をそれぞれ割り当てる。1又は複数のプロセッサは、第1及び第2の主波長を有する少なくとも第1及び第2の励起レーザ光パルスに関連して、モジュール122における動作を繰り返す。
【0110】
モジュール124において、1又は複数のプロセッサは、各励起レーザ光パルスに関連して、サブ領域μa,tissue(λ1,x)及びμa,tissue(λ2,x)に対する全体的なOACを計算する。本明細書に記載されるように、式(10)に関連して、サブ領域内の全ての発色団に対する全体的なOACは、組織OAC μa,tissue(λ,x)と称される。組織OAC μa,tissue(λ,x)は、現在の主波長λを有するレーザに関連して、Hb発色団のOAC μ*a,blood(λ,x)と、非Hb発色団のOAC μ*a,other(λ,x)との和を表す。組織OACは、音圧データpo(λ,x)、Γ(x)Gruneisenパラメータ、及びΦ(λ,x)放射フルエンス、すなわちμa,tissue(λ,x)=po(λ,x)/[Γ(x)*Φ(λ,x)]に基づいて計算される。変数xは、現在のサブ領域又はサブ領域内のピクセル/ボクセルを表し、計算のために所望される特異性のレベルに応じて、含まれるか、又は省略されることができる。
【0111】
組織OAC μa,tissue(λ,x)が分かると、1又は複数のプロセッサは、組織OAC μa,tissue(λ,x)と非Hb発色団*a,other(λ,x)のOACとの間の差として血液OAC μ*a,blood(λ)を計算することができる(モジュール124において)。
【0112】
モジュール126において、1又は複数のプロセッサは、各励起レーザ波長について、酸素化及び脱酸素化血液HbO及びHbRのOECを取得する。例えば、1又は複数のプロセッサは、ルックアップテーブルにアクセスして、第1及び第2のレーザ波長における酸素化された血液のOEC、εHbO(λ1)及びεHbO(λ2)、並びに第1及び第2のレーザ波長における脱酸素化された血液のOEC、εHbR(λ1)及びεHbR(λ2)(集合的に「血液OEC」)を取得することができる。血液OECはモジュール128に供給される。
【0113】
モジュール128において、1又は複数のプロセッサは、血液OEC及び血液OACを使用して、サブ領域内の酸素化及び脱酸素化血液の濃度cHbO及びcHbRを計算する。濃度はモル濃度で表すことができる。例えば、酸素化及び脱酸素化血液の濃度cHbO及びcHbRは、式(12)を利用して、各励起レーザ波長に対する血液OAC及び血液OECに基づいて計算することができる。
【0114】
酸素化及び脱酸素化血液の濃度cHbO及びcHbRは、モジュール128からモジュール113に渡される。モジュール113において、1又は複数のプロセッサは、本明細書において参照される特許及び刊行物に記載されるような、総ヘモグロビン質量濃度マップ(ctHb=cHbO+cHbR)及び酸素飽和レベルマップSO2を計算する。その後、1又は複数のプロセッサは、マップに対して表示処理112を実施する。
【0115】
図3のコンピューティングサブシステムは、種々のコンピューティング環境において、スタンドアロンコンピュータとして、1又は複数のサーバ上などに実装され得る。追加的又は代替的に、
図3のコンピューティングシステムは、OA撮像システム内に実装されてもよい。
【0116】
図4は、本明細書の実施形態による、
図3のコンピューティングサブシステムを実装するOA撮像システム400のブロック図を示している。OA撮像システム400は、メモリと、メモリに記憶されたプログラム命令を実行するように構成された1又は複数のプロセッサとを含む。1又は複数のプロセッサは、
図1に関連して説明したように、OAリターン信号データ414に基づいて音圧データセット418を生成する。音圧データセット418は、ROIの対応するサブ領域に関連付けられ、音圧データセット418は、対応するサブ領域内のHb発色団及び非Hb発色団の組成に依存する。本明細書の実施形態によれば、1又は複数のプロセッサは、OAリターン信号データ414からOA画像(「再構成画像」として418に示されるような)を生成してもよく、その場合、ROIの音圧データセット418は、OA画像を含み、かつ/又は表す。ソースアンミキシングモジュール108は、
図1及び
図3に関連して説明したように、動作を実施し、モジュール106及び113と相互作用する。
【0117】
1又は複数のプロセッサは、(モジュール432において)超音波(US)データを取得するために超音波プローブの送信動作及び受信動作を管理する。取得された生のUSデータは、(モジュール434において)US画像を形成するために処理される。US画像は、モジュール436及び438に供給される。モジュール436において、1又は複数のプロセッサは、US画像(複数可)をセグメント化し、1又は複数のサブ領域内の組織タイプ/サブタイプを分類する。分類は、臨床医による手動プロセス及び/又はコンピュータ自動化された方式として実装されてもよい。モジュール438において、1又は複数のプロセッサは、本明細書において参照される特許及び刊行物においてより詳細に説明されるように、US画像(複数可)及びOAパラメトリックマップ(複数可)を位置合わせする。
【0118】
OA撮像システム400は、メモリ内に、臨床画像及び以前の画像を含む患者データ430を記憶する。画像は、MRI、PET、SPECT、X線、CT、USなどの種々のモダリティからのものであり得る。別の実施形態では、1又は複数のプロセッサは、患者データに基づいて、非Hb発色団因子(複数可)μa,other(λ)に割り当てられた値(複数可)を適応的に調整する。一例として、乳房組織の場合、組織サブタイプは、繊維及び脂肪含有量に関して複数のカテゴリに分類することができ、ルックアップテーブルを使用して、非Hb発色団因子(複数可)μa,other(λ)の対応する値を記憶する。別の例として、前立腺の場合、以前のMRI画像を活用して、水発色団の異なる体積分率を有する異なる前立腺ゾーンを分類することができる。
【0119】
モジュール434及び436は、患者データ、病理学データ、及び/又は組織分類情報を利用して、モジュール120及び122によって利用されるパラメータ(例えば、モデルベースのフルエンス画像計算、発色団範囲の識別、及び/又は非Hb発色団因子(複数可)への値の割り当て)を提供又は更新する。実施形態によれば、HbO及びHbRの光学吸光係数は、定数として扱われる(例えば、患者データとともに変化しない)。追加的又は代替的に、実施形態は、好ましい光学吸光係数値を選択するために、患者データの使用を拡張することができる。
【0120】
実施形態によれば、組織サブタイプ情報は、解剖学的BモードUS画像データから抽出され得る。一例として、乳房US画像における腺組織成分の定性的等級付けは、乳癌のバイオマーカーとしての役割を果たすことができる。腺組織成分は、臨床医による視覚的判断に基づいて、又はコンピュータ自動分析に基づいて、最小、軽度、中等度又は顕著として単純に分類することができる。任意選択で、異なる組織サブタイプは、改善されたスペクトルアンミキシングのためのソフト事前分布として、異なる組織パラメータ(例えば、部分水量、又は光減衰係数)にマッピングされてもよい。別の例として、より高い脂肪含有量を示すBモード画像内の異常なエコー源性領域は、脂質発色団に対してより高い体積分率を使用し、水発色団に対してより低い体積分率を使用することを正当化することができる。第3の例として、US画像からの前立腺又は甲状腺の体積の推定は、OA機能撮像のために照射されている領域内の血液発色団の体積分率及び/又は水発色団の体積分率を設定するために使用されてもよい。
【0121】
別の実施形態では、USデータは、それ自体でOA撮像からの機能データを補完することもできるUSカラードプラフロー及び/又はエラストグラフィ画像を含むことができる。対応する組織サブタイプ情報は、カラードプラフロー及びエラストグラフィ画像に基づいて取得される血流及び組織剛性特性にそれぞれ基づく。例えば、USエラストグラフィ画像は、組織を軟性、正常、又は硬性として分類するために使用され得る。剛性評価は、別様で所与の組織タイプ又は器官に割り当てられる平均値に対して、水のより低い体積分率及び/又はより高い光学散乱係数に関連付けられ得る。
【0122】
別の実施形態では、実施形態は、US画像を臨床医に表示することによって、US画像データから情報を抽出することができる。臨床医は、US画像を視覚的に判断し、対応するHb及び非Hb発色団因子の1又は複数の指標値をルックアップテーブルに手動で入力する。追加的又は代替的に、実施形態は、1又は複数のプロセッサが古典的画像セグメント化及び/又は現代の機械学習方法(深層学習を含む)を行う、自動画像分析方法を実装してもよい。機械学習的アプローチは、組織サブタイプの認識が、正常なヒト対象からの訓練データセットのみを必要とし、これは、症例を表す標識されたデータセットよりも収集がはるかに容易であるため、有利であり得る。
【0123】
別の実施形態では、患者データ及びUS画像データの両方が、組織分類動作のために組み合わせて使用されてもよい。例えば、異常にエコー源性のBモード画像と結合された高いBMIは、脂質発色団のより高い体積分率及び水発色団のより低い体積分率を示すことができる。別の実施形態では、以前の非US医療画像データ(例えば、MRI)又は以前のUS画像データは、組織分類工程のためにハイブリッドUS-OA撮像システムから新たに取得されたUS画像データと組み合わせて使用されることができる。
【0124】
図5Aは本明細書の実施形態による、発色団因子値を決定するための方法を示す。方法は、
図1~
図8の種々のサブシステム、OA撮像システム、及びコンピューティングシステムの1又は複数のプロセッサによって、並びに他のコンピューティングデバイス、サーバなどによって行われてもよい。
【0125】
502において、1又は複数のプロセッサは、患者データ、病理学データ及び/又は患者に関連する画像を取得する。患者データ、病理学データ、及び/又は画像は、以前に取得されてもよく、又はOA撮像検査の一部として(又はそれと同時に)リアルタイムで取得されてもよい。504において、1又は複数のプロセッサは、ROIを1又は複数のサブ領域にセグメント化する。セグメント化は、臨床医によって入力された手動の指定に基づいてもよく、及び/又はコンピュータによって自動的に行われてもよい。506において、1又は複数のプロセッサは、組織タイプ(複数可)及び/又は組織サブタイプ(複数可)の分類を取得する。分類(複数可)は、臨床医によって入力されてもよく、及び/又はプロセッサ(複数可)によって自動的に決定されてもよい。508において、1又は複数のプロセッサは、1又は複数のHb及び/又は非Hb発色団因子についての1又は複数の値を決定する。510において、1又は複数のプロセッサは、ルックアップテーブルなどに、1又は複数のHb及び/又は非Hb発色団因子の値(複数可)をメモリ内に記憶する。追加的又は代替的に、1又は複数のプロセッサは、1又は複数のHb及び/又は非Hb発色団因子の値(複数可)を割り当てる。値は、OA撮像検査を実施しながら、リアルタイムで割り当てられてもよい。追加的又は代替的に、1又は複数のプロセッサは、患者の医療記録内に1又は複数のHb及び/又は非Hb発色団因子の値(複数可)を保存してもよい。
【0126】
発色団の区別
図5Bは本明細書の代替的な実施形態による、発色団因子値を決定するための方法を示す。
図5Bの実施形態は、コラーゲン発色団を他の非コラーゲン発色団と区別する。例えば、移植前の腎臓の質を査定するために、腎線維症のOA撮像を利用することが望ましい場合がある。腎臓を移植する前に、移植される腎臓の質を査定することが望ましい。Hysiらは、Hysi, Eno, et al. “Photoacoustic imaging of kidney fibrosis for assessing pretransplant organ quality” JCI insight 5.10 (2020)において、コラーゲンを直接撮像するための一般的なOA撮像技術を記載している(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。OA撮像は、全腎線維症負荷を非侵襲的に定量化するため、並びにコラーゲン含有量の腎内変動を取り込むために利用されることができる。本明細書の新規かつ固有の態様によると、本明細書の方法及びシステムは、ROIのサブ領域内のコラーゲンに関するOA撮像システムの特異性及び感度を改善するように、段階III後処理を改善するために適用されることができる。OA画像内のコラーゲンに関するOA撮像システムの特異性及び感度を改善することによって、本明細書の方法及びシステムは、腎線維症負荷のより良好な査定を可能にし、ひいては、移植候補腎臓の査定を改善する。したがって、本明細書の実施形態は、腎疾患の治療及び予防(例えば、腎疾患を予防するために取られる措置)を改善する。
【0127】
図5Bの方法は、
図1~
図8の種々のサブシステム、OA撮像システム、及びコンピューティングシステムの1又は複数のプロセッサによって、並びに他のコンピューティングデバイス、サーバなどによって行われてもよい。
図5Bの実施形態は、サブ領域内の少なくとも1つの非コラーゲン発色団の範囲を計算して識別し、サブ領域内の少なくとも1つの非コラーゲン発色団の範囲に基づいて非コラーゲン発色団因子に値を割り当て、音圧データ及び非コラーゲン発色団因子に割り当てられた値に基づいてサブ領域内のコラーゲン発色団の少なくとも1つの量を計算しようとする。
【0128】
図5Bを参照すると、522において、1又は複数のプロセッサは、患者データ、病理学データ、及び/又は患者に関連する画像を取得する。患者データ及び病理学データは、患者の医療記録に関連して以前に記憶され、及び/又はOA撮像プロセス時に臨床医によって入力されてもよい。例えば、病理学データは、患者の関心組織及び/又は患者の体液(例えば、血液、尿など)から採取された以前の生検又は他のサンプルからの検査結果を含むことができる。追加的又は代替的に、病理学データは、患者の組織及び/又は流体の生検又は他の研究に基づいて生成される臨床医報告を含んでもよい。超音波画像又は他の診断撮像モダリティ(例えば、MRI、CT、PET、SPECT)からの画像は、OA撮像検査の一部として(又はそれと同時に)、事前に取得されるか、又はリアルタイムで取得されてもよい。
【0129】
524において、1又は複数のプロセッサは、ROIを1又は複数のサブ領域にセグメント化する。セグメント化は、臨床医によって入力された手動の指定に基づいてもよく、及び/又はコンピュータによって自動的に行われてもよい。例えば、臨床医は、治療すべき腎臓の特定の点又は部分を別個のサブ領域として指定することができる。追加的又は代替的に、1又は複数のプロセッサは、画像(例えば、超音波画像、MRI画像など)を自動的に分析し、画像を対応するサブ領域にセグメント化してもよい。526において、1又は複数のプロセッサは、組織タイプ(複数可)及び/又は組織サブタイプ(複数可)の分類を取得する。分類(複数可)は、臨床医によって入力されてもよく、及び/又はプロセッサ(複数可)によって自動的に決定されてもよい。528において、1又は複数のプロセッサは、1又は複数のコラーゲン及び/又は非コラーゲン発色団因子についての1又は複数の値を決定する。530において、1又は複数のプロセッサは、ルックアップテーブルなどに、1又は複数のコラーゲン及び/又は非コラーゲン発色団因子の値(複数可)をメモリ内に記憶する。追加的又は代替的に、1又は複数のプロセッサは、1又は複数のコラーゲン及び/又は非コラーゲン発色団因子の値(複数可)を割り当てる。値は、OA撮像検査を実施しながら、リアルタイムで割り当てられてもよい。追加的又は代替的に、1又は複数のプロセッサは、患者の医療記録内に1又は複数のコラーゲン及び/又は非コラーゲン発色団因子の値(複数可)を保存してもよい。
【0130】
コラーゲン発色団の量が分かると、OA画像内の1又は複数のサブ領域及び/又はROI内のコラーゲン含有量及び/又はコラーゲン負荷を強調するように、種々のOA画像/マップが生成されてもよい。コラーゲン発色団の量は、ROIのサブ領域内のコラーゲンに関するOA撮像システムの特異性及び感度を向上させるように、段階III後処理を向上させるために使用される。OA画像内のコラーゲンの特異性及び感度を改善することによって、本明細書の方法及びシステムは、腎線維症負荷のより良好な査定を可能にし、ひいては、移植候補腎臓の査定を改善する。したがって、本明細書の実施形態は、腎疾患の治療及び予防(例えば、腎疾患を予防するために取られる措置)を改善する。
【0131】
必要に応じて、代替的な実施形態による、本明細書中の方法及びシステムは、脂質発色団を関心のある発色団として処理することができ、他の全ての発色団を目的ではない発色団として処理することができる。
【0132】
システム概要
図6は、本明細書の一実施形態による実装される光音響システムのブロック図を示している。光音響システム600は、光路632及び電気経路608を介してシステムシャーシ601に接続されたプローブ602を含む。システムシャーシ601内には、光サブシステム629及びコンピューティングサブシステム628が収容される。コンピューティングサブシステム628は、とりわけ光音響制御及び分析のための特定のプログラム命令を実装するように構成された1又は複数のプロセッサを含む。一実施形態では、プローブ602内の変換器のサンプリングを通して、光音響システムは、パルス光源630、631によって引き起こされる刺激(すなわち、光音響リターン信号)及び超音波変換器要素の音響出力によって引き起こされる刺激に応答して、OA/USデータを収集する。
【0133】
光音響システム600は、異なる光波長で動作する1又は複数の光源630、631を備える。一実施形態では、異なる光波長で動作する光源630、631を用いて、光源のそれぞれからの1つの光事象からの光音響リターン信号が、光音響データを提示するための方法及びシステムにおいて使用されることができる。一実施形態では、システム600は、本明細書で説明されるような使用のために十分に迅速に波長を変化させることができる波長可変レーザなど、異なる波長で動作され得る単一の光源を備える。一実施形態では、システム600は、少なくとも2つの光源630、631を備え、各光源は、複数の異なる波長に同調することができる。一実施形態では、システム600は、1つの光波長を動作させる1つの光源630と、複数の異なる波長に調整することができる少なくとも1つの追加の光源631とを備える。
【0134】
光音響システム600の1又は複数のプロセッサは、サイノグラムを生成するように構成される。サイノグラムは、短エンベロープ画像及び長エンベロープ画像を含むエンベロープ画像を生成するように処理される。ここで、短エンベロープ画像とは、短サイノグラムに対応するエンベロープ画像をいい、長エンベロープ画像とは、長サイノグラムに対応するエンベロープ画像をいう。一実施形態では、短サイノグラム及び長サイノグラムは、それぞれ別々に処理されて、短エンベロープ画像及び長エンベロープ画像をそれぞれ生成する。次いで、短エンベロープ画像及び長エンベロープ画像を一緒に使用して、パラメトリック画像を生成する。パラメトリック画像から、酸素化、ヘモグロビン及びマスクされた酸素化のマップを作成することができる。これらのマップは、リアルタイムで、実質的に同じボリュームの超音波画像を表す位置合わせされたデータとすることができ、その後、酸素化画像、ヘモグロビン画像、及びマスクされた酸素化画像のうちの1又は複数を生成することができる。一実施形態では、酸素化画像、ヘモグロビン画像、及びマスクされた酸素化画像は、組織の体積の組成に関する情報を反映する。パラメトリックマップ及びパラメトリック画像という用語は、一部の例では交換可能に使用される。マップという用語の使用は、概して、画像とボリュームとの間の対応関係に関する。パラメトリックマップは、例えば、単一チャネル(すなわち、グレースケール)表現として、色(すなわち、RGB)表現として、又は透明度を伴う色(RGBA)表現として含む、多数の方法で表されてもよい。パラメトリックマップを使用して、1又は複数のパラメータに関する定性的又は定量的情報を伝達することができる。パラメトリックマップ又はパラメトリック画像は、コンピュータメモリ内に表されるか、又は表示された表現として提示されてもよく、したがって、本明細書で使用されるように、用語「画像」又は「マップ」は、必ずしも、視覚的表現を含意しない。
【0135】
サイノグラムは、望ましくない、不正確な、又は不十分にスケーリングされたデータを含み得る。サイノグラムデータのこれらの疾患は、使用される測定機器(例えば、プローブ)若しくは光の特性、体積(すなわち、組織)の特性、体積とプローブ若しくは光との間の相互作用の特性、外部刺激、又は他の源を含む、無数の理由から生じ得る。ソースに関係なく、サイノグラムデータの望ましくない態様を除去するために、種々のプロセスを使用することができる。
【0136】
概して、サイノグラムを処理するための以下の工程のそれぞれにおいて、処理は時間領域信号に対して実施される。好ましい実施形態では(また、以下で議論されるように)、プローブ602は、サイノグラムデータが、変換器のものの下方の平面上、すなわち、画像平面上にあるものにより集束されることを可能にする、音響レンズを含む。例示的な実施形態では、サイノグラムデータの各チャネルは、ボリューム内の約100ミリメートルの距離を表す。音響レンズは、概して、画像平面の外側の(例えば、直交する)点から伝播する信号の少なくとも一部を拒絶する。しかし、各変換器は、約100ミリメートルの距離内にある画像平面の実質的に全ての点から信号を受信する。
【0137】
図7はOA/USデータを処理するための動作の集合の概要を示す。OAリターン信号データの2つのセット、すなわち、短サイノグラム(工程705)、長サイノグラム(工程710)の取得、及び超音波画像に変換されるUSデータセットの取得(工程715)から開始して、動作は、データを処理し、取得されたOA/USデータの種々の側面を視認する際に有用であり得る、最大6つの別個の画像を生成する。本明細書における例示の目的のために、プローブ602の移動は、工程705、710、及び715におけるデータの3つのセットの取得の間で、もしあれば、最小であると仮定され得る。本明細書で説明されるプロセスは、3つの識別されたデータセットとともに使用されることに限定されないことに留意されたい。例えば、光の追加の波長からのデータセットなどの追加のデータセットの使用は、結果として生じる画像を更に改善するために使用されてもよい。以下でより詳細に議論されるように、短サイノグラムデータ及び長サイノグラムデータは、1又は複数の別個の方式で前処理され(工程720)、測定機器(例えば、プローブ)若しくは使用される光の特性、体積(すなわち、組織)の特性、体積とプローブ若しくは光との間の相互作用の特性、外部刺激、又は他のソースを含む、サイノグラム内の望ましくないデータを低減又は補償する。前処理の後、別個の短い画像及び長い画像が再構成される(工程725)。一実施形態では、複素短画像及び複素長画像の別個の実数成分及び虚数成分が再構成工程から生じる。
【0138】
一実施形態では、再構成画像の処理(工程730)が実施される。モジュール108(
図1~
図4)のアンミキシングに関連して本明細書で説明される動作は、工程730における処理中に実施され得る。処理(工程730)は、再構築された画像において識別され得る追加のアーチファクトを除去し得、いずれにしても、短エンベロープ画像(732)及び長エンベロープ画像(734)を作成する。一実施形態では、短エンベロープ画像及び長エンベロープ画像(732、734)を使用してパラメトリック画像を生成する(工程740)。パラメトリック画像(工程740)は、酸素化マップ(OA相対マップ)(750)、ヘモグロビンマップ(OA総ヘモグロビンマップ)(755)、及びマスクされた酸素化マップ(OA結合マップ)(760)を含んでもよい。一実施形態では、3つのマップのいずれか又は全てが、グレースケールBモード超音波画像と位置合わせされ、その上にオーバーレイされる(工程765)。工程770、775、780、785、790及び795で表示される表示可能な画像のうちの1又は複数を表示するために、ディスプレイを設けることができる。一実施形態では、画像のうちの2つ以上のグループが同じ画面上に表示されてもよく、表示されたグループ化された画像は、共通してスケーリング及びサイズ決定されてもよい。一実施形態では、6つ全ての画像のグループは、同じ画面上に表示されてもよく、それは、共通してスケーリング及びサイズ決定されてもよい。
【0139】
一実施形態では、光音響データに対して処理を行うシステム、及び/又は光音響出力を表示するシステム(サイノグラムを取得するシステムと同じであってもよいが、そうである必要はない)は、光音響画像を処理又は視認するときに、処理において使用されるパラメータを変動させる能力をオペレータに提供する。一実施形態では、光音響データに対して処理を行うシステム、及び/又は光音響出力を表示するシステムは、光音響画像を処理するために使用される処理工程をオン及びオフに切り替え、潜在的にその順序を変動させる能力をオペレータに提供するであろう。
【0140】
光音響システム600はまた、マルチモダリティの組み合わされた光音響及び超音波システムとして採用されてもよい。一実施形態では、システム600は、光路632及び電気経路608を介してシステムシャーシ601に接続されたプローブ602を含む。システムシャーシ601内には、光サブシステム629及びコンピューティングサブシステム628が収容される。コンピューティングサブシステム628は、超音波制御及び分析並びに光音響制御及び分析のための1又は複数のコンピューティング構成要素を含み、これらの構成要素は、別個であるか、又は統合されてもよい。一実施形態では、コンピューティングサブシステムは、中継システム610と、光音響処理及びオーバーレイシステム640と、超音波器具650とを備える。システム600は、パスワード、2要素認証、データ暗号化など、種々のタイプのネットワーク及びデータセキュリティ対策を実装することができる。
【0141】
例証的実施形態では、光サブシステム629は、その2つの光源630、631として、Nd:YAG及びアレキサンドライトレーザを使用してもよいが、他のタイプ又は波長、及び付加的光もまた、使用されてもよい。光源630、631は、光の短いパルス、例えば、約100ns未満、より好ましくは約5ns持続するパルスを生成することができるべきである。一実施形態では、2つの光源630、631を別々にトリガすることができる。一実施形態では、光源630、631によって出力された光は、第2の側に当たる1つの光源631を反射しながら、1つの光630が第1の側から第2の側に通過することを概して可能にする光学要素633の使用を通して、同じ光路632上に投影され得る。光学要素633又は類似要素の使用は、レーザなどの2つの光源630、631の出力を光路632の近位端上に整合させることを可能にする。
【0142】
タッチスクリーンディスプレイであり得る1又は複数のディスプレイ612、614が、画像及びシステムユーザインターフェースの全部又は一部を表示するために提供される。キーボード、マウス、及び種々の他の入力デバイス(例えば、スタイラス、ライトペン、ダイヤル、及びスイッチ)などの1又は複数の他のユーザ入力デバイス616が、オペレータからの入力を受信するために提供され得る。オプションとして、電力及び制御経路(複数可)609は、プローブ602に電力を搬送し、プローブ602とコンピューティングサブシステム628との間で信号を制御する。
【0143】
図8は本明細書の実施形態による形成されたウェブベースのUS/OA画像管理システムを示すブロック図である。このシステムは、インターネットなどのネットワーク812を介してウェブベースのネットワークサービス(例えば、ウェブホスティングプロバイダ)830と通信する1又は複数のクライアントコンピューティングデバイス810を含む。ネットワークサービス830は、共通のネットワーク又は異なるネットワークを介してクライアントコンピューティングデバイス810と通信することができる。クライアントコンピューティングデバイス810は、任意の数の他のタイプのコンピューティングデバイスとして実装され得る。これらのデバイスは、例えば、PC、ラップトップコンピュータ、携帯電話、セットトップボックス、ゲームコンソール、電子書籍リーダー、パーソナルコンピュータ、及びパーソナルデジタルアシスタント(PDA)などを含むことができる。ネットワーク812は、ケーブルネットワーク、インターネット、プライベートイントラネット、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、ワイヤレスネットワークなど、複数の異なるタイプのネットワークのうちの任意の1つ又は組み合わせを表す。
【0144】
ネットワークサービス830は、多くのユーザからの要求を処理し、それに応答して、クライアントコンピューティングデバイス810においてレンダリングされる種々のページ(例えば、ウェブページ)を提供することができるサイト(例えば、ウェブサイト)を表す。ネットワークサービス830は、クライアント要求に応答して、
図1~
図4に関連して本明細書で説明される動作を実施することができる。
【0145】
サイトは、ヘルスケアシステム内の医療ネットワーク、私的に管理された医療記録ネットワークなどの、ユーザ対話をサポートする任意のタイプの医療ネットワーク関連サイトとすることができる。クライアントコンピューティングデバイス810とネットワークサービス830との間の要求及びレンダリングの交換は、クライアントコンピューティングデバイス810上でローカルに実施されるアプリケーション及び機能のレベル、並びにネットワークサービス830において実行されるアプリケーション及び機能のレベルに応じて変化する。例えば、ネットワーク中心アーキテクチャでは、ネットワークサービス830は、非Hb発色団値の割り当て、異なる組織タイプ/サブタイプのための非Hb発色団の光吸収係数の維持、異なる組織タイプ/サブタイプのための非Hb発色団の光学吸光係数及びモル濃度、異なる組織タイプ/サブタイプのための非Hb発色団の質量濃度及び分子量の維持、異なる組織タイプ/サブタイプのための非Hb発色団の体積分率の維持などの実質的処理の実質的に全てを行うように、データ及びアプリケーションを維持する。ネットワークサービス830はまた、US/OA画像、US/OA画像上にオーバーレイされる内部及び外部輪郭の指定、並びにその上に内部及び外部輪郭を伴うUS/OA画像のレンダリングを収集及び記憶する。ネットワークサービス830は、関心のあるUS/OA特徴に関連付けられたエントリフィールドを有する入力画面を更にレンダリングし、レンダリングされたUS/OA画像、エントリフィールド、及び入力画面をクライアントコンピューティングデバイス810に伝達することができる。クライアントコンピューティングデバイスは、エントリフィールドの特徴スコアを取得し、特徴スコアをネットワークサービス830に返す。ネットワークサービス830は、特徴スコアがUS/OA画像のうちの対応する1又は複数の内部ゾーンから取得される前に、特徴スコアが周辺又は境界ゾーンのうちの少なくとも1つから取得されるように、対応する特徴スコアが入力される順序を管理するために、種々のエントリフィールドを自動的に有効及び無効にする。
【0146】
追加的又は代替的に、
図8のシステムは、ネットワークサービス830が、クライアントコンピューティングデバイス810がローカルにダウンロード、記憶、及び起動するためのアプリケーションを提供し得る、サーバクライアント分散アーキテクチャとして実装されてもよい。例えば、アプリケーションは、
図1~
図4に関連して実装される動作の一部又は全て、並びに本明細書で説明される他のプロセスを含み得る。分散アーキテクチャでは、ネットワークサービス830は、クライアントコンピューティングデバイス810と対話して、必要に応じてコンテンツを提供する。例えば、クライアントコンピューティングデバイス810が関心のあるUS/OA画像をまだ有していない場合、クライアントコンピューティングデバイス810は、特定の患者の1又は複数の検査に関連するUS/OA画像を要求することができる。クライアントコンピューティングデバイス810及び/又はネットワークサービス830は、次いで、US/OA画像上にオーバーレイされるべき内部及び外部輪郭を指定することができる。例えば、内部輪郭及び外部輪郭は、画像セグメント化又は他の方法に基づいて自動的に生成されてもよい。追加的又は代替的に、クライアントコンピューティングデバイス810及びネットワークサービス830の一方又は両方は、ユーザが内部及び外部の輪郭を描く及び/又は修正することを可能にするGUIをサポートし得る。クライアントコンピューティングデバイス810及び/又はネットワークサービス830は、関心のあるUS/OA特徴に関連付けられたエントリフィールドを有する入力画面を更にレンダリングすることができる。クライアントコンピューティングデバイス810は、エントリフィールドの特徴スコアを取得する。クライアントコンピューティングデバイス810及び/又はネットワークサービス830は、特徴スコアがUS/OA画像のうちの対応する1又は複数の内部ゾーンから取得される前に、特徴スコアが周辺又は境界ゾーンのうちの少なくとも1つから取得されるように、対応する特徴スコアが入力される順序を管理するために、種々のエントリフィールドを自動的に有効及び無効にする。
【0147】
ネットワークサービス830は、データストア836内の患者医療記録848と、画像833を記憶する画像カタログ831とをホストする医療施設/ネットワークウェブサイトを表すことができる。データストア836は、会計に関連して、患者医療記録、患者画像、ルックアップテーブルなどを記憶する。一例として、画像833は、補助リーダー及びスコアリング特徴に関連して提供される画像参照キーを表すことができる。追加的又は代替的に、画像833は、US画像、OA画像、マンモグラム画像、及び/又は以前の検査中などの現在の患者のための他のモダリティからの画像を表し得る。追加的又は代替的に、画像833は、組織タイプ/サブタイプを分類し、特徴スコアを割り当てることを支援するために読取機によって利用され得る、他の患者のUS画像及び/又はOA画像を表してもよい。患者医療記録は、(とりわけ)(a)患者の医療履歴、(b)検査、投薬、試験結果の履歴、(c)病変に関連して行われた測定、(d)腫瘤直径、(e)腫瘤の後縁までの深さ、(f)組織タイプ/サブタイプ、(g)発色団因子値などのタイプの情報のうちの1又は複数を含むことができる。追加的又は代替的に、患者医療記録はまた、限定ではないが、超音波データセット、光音響データセット、マンモグラフィデータセット、MRIデータセット、コンピュータ断層撮影データセット、陽電子放出断層撮影(PET)データセット、X線データセット、単一光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)データセットなどを含む、以前の検査から収集された診断撮像データを含んでもよい。以前の検査からの画像のサブ領域は、異なる組織タイプ/サブタイプで分類され、及び/又は種々の発色団因子値を割り当てられ得る。データストア836は、患者医療記録内に、又は患者医療記録にリンクされて、US画像、OA画像、マンモグラフィ画像の読み取りに関連して割り当てられたBI-RADS評価などを含むことができる。
【0148】
ネットワークサービス830は、クライアントコンピューティングデバイス810に関連して認可及びライセンシング情報を維持することもできる。例えば、本明細書に記載された機能の一部又は全てを実装するように構成されたソフトウェアアプリケーションは、クライアントコンピューティングデバイス810にダウンロードされたアプリケーションとともに、ユーザによって購入又はライセンスされ得る。次いで、ネットワークサービス830は、各対応するサブスクリプションに関連して、購入、レンタル、ライセンシング、閲覧許可などに関する任意のサブスクリプション関連情報を維持する。
【0149】
ネットワークサービス830は、とりわけ、セッションマネージャモジュール840、アカウントマネージャモジュール842、及びバイオマーカー機械学習分類器(MLC)モジュール838を含む。モジュール838、840、及び842は、本明細書で説明するように協働する。モジュール838、840、及び842は、推奨及び他の特徴を提供するためにアカウントごとにオフライン又は非同期のデータ分析を提供することなどによって、技術的効率を改善するように動作され得る。モジュール838、840、及び842、並びに本明細書で説明する他のモジュール及びサービスは、本明細書で説明する動作を実施するために(データストア834又は836に記憶された)プログラム命令を実施する1又は複数のプロセッサによって実装される。ネットワークサービス830は、本明細書で説明されるような種々の方法で、1又は複数のメモリ又はデータストア834及び836と対話する。メモリ又はデータストア834及び836の一方又は両方は、本明細書で説明される命令を実行するように1又は複数のプロセッサに指示するためのプログラム命令を記憶し得る。
【0150】
更に、データストア834は、個々のリソースを定義するためのHTMLコード又は他のコードを含むファイルなどのネットワークリソース829を記憶することができる。ネットワークリソース829は、本明細書の実施形態に関連して提供される機能に対応し得る。例えば、ネットワークリソース829又はネットワークリソース829の集合は、種々のUS画像を見て関心のあるUS画像を選択し、種々のOA画像を見て関心のあるOA画像を選択し、US及び/又はOA画像上に内部及び外部輪郭を描画及び/又は修正し、特徴スコアエントリフィールドのための入力画面を提示し、画像参照キーを有するポップアップウィンドウを提示するなどの機能を提供することができる。別の例として、ネットワークリソース829の1つ又は集合は、特徴スコアのセットに基づいて予測結果を決定するために使用される1又は複数の分類モデルを表すことができる。
【0151】
ネットワークリソース829は、1又は複数のクライアント要求などの要求に応答してクライアントコンピューティングデバイス810に提供される。一例として、ネットワークリソース829は、データストア834内の特定のHTTPアドレスに保存されたindex.htmlファイルによって定義することができる。クライアントコンピューティングデバイス810から要求に基づいて、ネットワークサービス830は、対応するindex.htmlファイルを取り出し、クライアントコンピューティングデバイス810に提供する。クライアントコンピューティングデバイス810(例えば、クライアントコンピューティングデバイス810上で動作するWebブラウザ)が、index.htmlファイル内のウェブコンテンツコンポーネント(例えば、HTTP要素)を開き、レンダリングしようとするとき、クライアントコンピューティングデバイス810は、完全なレンダリングされたウェブページ又は他のネットワークリソースが提示され得る前に、ネットワークサーバ830の追加の要求が行われ得る種々のHTMLコードストリング/要素に遭遇する。とりわけ、クライアント要求は、応答を求めるクエリ文字列を含むことができる。
【0152】
定義
用語「BI-RADS」及び「BR」は、乳房画像レポート及びデータシステム(Breast Imaging Reporting and Data System)を意味し、乳癌スクリーニング及び診断において使用されるマンモグラフィ、超音波及びMRIの結果を標準化された方式で解釈及び報告するために医療関係者によって使用される方法を表す。例として、BI-RADS 3スコアは、2%以下の悪性腫瘍の確率を示すことができ、BI-RADS 4Aスコアは、2%~10%以下の悪性腫瘍の確率を示すことができ、下位BI-RADS 4Bスコアは、10%超かつ25%以下の悪性腫瘍の確率を示すことができ、上位BI-RADS 4Bスコアは、25%超の悪性腫瘍の確率を示すことができ、下位BI-RADS 4Cスコアは、75%以下の悪性腫瘍の確率を示すことができ、上位BI-RADS 4Cスコアは、75%超の悪性腫瘍の確率を示すことができ、BI-RADS 5スコアは、95%以上の悪性腫瘍の確率を示すことができる。
【0153】
用語「バイオマーカー」は、塊、定義された構造及び/又は生体の生理学的又は病理学的状態の測定可能かつ定量化可能な指標である客観的な医学的徴候を意味するものとする。バイオマーカーという用語は、正常な生物学的プロセス、遺伝的プロセス、又は曝露若しくは治療的介入を含む介入に対する応答の指標として測定される定義された特徴を含むものとする。バイオマーカーは、身体又はその産物において測定することができ、病気(例えば、乳癌の陽性的中率)の発生率又は転帰に影響を及ぼすか又は予測することができる任意の基質、構造又はプロセスに由来し得る。バイオマーカーは、健康又は疾病の主観的認識である「症状」ではない。異なるタイプのバイオマーカーが存在する。例えば、診断バイオマーカーは、疾患又は状態の検出又は確認のために、及び特定の疾患サブタイプ(例えば、BI-RADS記述子、ER、PR、及びHER2(ERBB2としても知られる)状態)の識別のために使用され得る。診断バイオマーカーは、患者の関心領域内の塊又は他の定義可能な構造の生検を行うか、又は生検を行わないかの測定可能かつ定量化可能な指標を表し得る。別の例として、予測バイオマーカーは、予測バイオマーカーを有さない個体と比較して、介入、医療製品、又は環境曝露に対して好ましい又は好ましくない応答を経験する可能性がより高い個体を識別するために使用され得る。例えば、予測バイオマーカーは、BRCA遺伝子における変異が、進行した乳癌及び卵巣癌を有する患者におけるPARP阻害剤に対する応答を予測する可能性を表し得る。別の例として、予測バイオマーカーは、ER陽性乳癌及びPR陽性乳癌が内分泌療法に応答する可能性を表し得る。別の例として、予測バイオマーカーは、高密度乳房組織が非石灰化乳癌を検出するためのマンモグラフィの感度低下を予測する可能性を表すことができる。別の例として、予後バイオマーカーは、血管新生の程度及び/又はリンパ節転移の可能性を表し得る。予後バイオマーカーは、塊又は他の定義可能な構造についての悪性腫瘍の可能性/確率のパーセンテージを示し得る。別の例として、予後バイオマーカーは、介入に関係なく、臨床事象、疾患進行、又は再発の可能性を反映し得る(例えば、TNM段階、腫瘍グレード、腫瘍受容体状態)。予後バイオマーカーは、悪性腫瘍の分子サブタイプの指標であってもよい。
【0154】
「COI」という用語は、関心のある1又は複数の発色団を指すものとする。
【0155】
「診断撮像データセット」という用語は、超音波システム、光音響システム、コンピュータ断層撮影(CT)システム、磁気共鳴撮像(MRI)システム、陽電子放出断層撮影(PET)システム、単一光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)システム、X線システム、血管造影システム、蛍光透視システムなどのうちの1又は複数によって取得されたデータセットを意味するものとする。データセットは、対応するシステムによって取得された生データ及び/又は対応するデータセットを処理(例えば、レンダリング)することから生成された1又は複数の画像を表すことができる。
【0156】
「診断的に関連する」及び「診断関連性」という用語は、臨床医又はコンピュータによって提供される診断に影響を及ぼし得る方法で、臨床医(又はコンピュータベースの画像分析プログラム)に提示される結果として生じる画像に影響を及ぼすであろう、パラメータ、因子、発色団などに関する量又は値を指す。
【0157】
用語「範囲」は、発色団を説明する場合、発色団(複数可)の量、分布、濃度を指す。
【0158】
「特徴」及び「関心特徴」という用語は、OA画像、US画像の特徴及びそれらの特徴の組み合わせを指す。非OA特徴は、US特徴、MRI特徴、X線特徴、CT特徴、PET特徴、SPECT特徴、又は別の医療診断撮像モダリティであってもよい。OA特徴の非限定的な例は、1)内部血管分布及び脱酸素化、2)腫瘍周囲境界ゾーン血管分布及び脱酸素化、3)内部脱酸素化紅潮、4)内部全血、5)外部腫瘍周囲放射血管、及び6)干渉アーチファクトを含む。超音波特徴の非限定的な例には、1)US形状スコア、2)US内部テクスチャ、3)US音伝達、4)US嚢又は境界ゾーン、5)US周辺ゾーン、6)患者年齢、7)マンモグラム-BIRADS、8)病変サイズ(cm)、及び9)病変後方深度(cm)が含まれる。追加的及び代替的な特徴は、2014年3月11日に米国特許出願第14/205,005号として出願され、2016年7月26日に発行された、「system and method for diagnostic vector classification support」と題されたAnthony Thomas Stavros et al.の米国特許第9,398,893号(以下、Stavros’893特許)に記載されており、その完全かつ全体的な主題は、参照によりその全体が本明細書に明示的に組み込まれる。
【0159】
「特徴スコア」という用語は、OA画像及び/又は非OA画像内の特徴の1又は複数の特性を記述する、等級、格付け、ランキング、又は他の評価情報を指す。特徴スコアの非限定的な例は、i)ある範囲の数値に沿った数値、ii)OA又は非OA画像から測定された寸法、及び/又はiii)特徴の特性を記述する単語、句、又は文を含む。
【0160】
「機能的情報」という用語は、酸素化ヘモグロビン及び脱酸素化ヘモグロビンのレベルを含む、特定の組織又は器官内の生理学的活性を示すOAデータにおける情報を指す。機能情報は、構造情報とは異なる。
【0161】
「ヘマトクリット」という用語は、所与の体積の血液中の赤血球の割合を指す。
【0162】
「水平」という用語は、US又はOA画像内の方向を指すために使用されるとき、超音波伝送/受信及び/又は光音響伝送/受信のスキャン方向に垂直な方向を意味するものとする。
【0163】
「撮像バイオマーカー」という用語は、撮像データセット中に存在するか、又はそれに由来し、撮像データセットから測定及び定量化されて、撮像データセットが得られる関心領域内の塊、規定された構造及び/又は生体の生理学的又は病理学的状態の指標を決定することができるバイオマーカーを意味するものとする。撮像バイオマーカーは、治療をガイドするための有用な情報を提供することによって、治療ではなく診断を表す。撮像バイオマーカーは、半定量的であってもよく、特定の転帰のリスクが順序スコアの増加とともに増加する順序スコアであってもよい。撮像手順は、間接的に転帰に影響を及ぼし、正確性のための代用エンドポイント(例えば、感度、特異性、PPV、NPV、ROC、AUC)を利用する。エンドポイントは測定可能かつ再現可能である。撮像バイオマーカーは、個々に単独で利用される所望のレベルの感度又は特異性を有さない場合がある。しかし、異なる撮像バイオマーカーの選択された組み合わせは、所望のレベルの感度及び特異性を累積的に提供する。本明細書の実施形態は、乳房腫瘤の超音波及び/又は光音響撮像を利用して適用される、異なる撮像バイオマーカーのある組み合わせを説明するが、本明細書の主題は、撮像バイオマーカーの特定の組み合わせにも、超音波及び/又は光音響撮像モダリティにも、乳房撮像にも限定されないことを認識されたい。代わりに、本明細書に記載される原理は、撮像バイオマーカーの追加の及び代替の組み合わせ、追加の及び代替の撮像モダリティ、並びに他の解剖学的領域に適用されてもよい。腫瘤を良性又は悪性として特徴付けることに適用可能な撮像バイオマーカーのための記述子の非限定的な例は、腫瘤の辺縁、形状、及び配向を含む。
【0164】
用語「LOM」は、悪性腫瘍の可能性又は確率を意味するものとする。
【0165】
「非OA画像」という用語は、1又は複数の医療撮像モダリティによって取り込まれる、OA画像以外の任意の医療診断画像を指す。非OA画像は、関心体積に音響信号を生成させるために2つの別個の周波数範囲における光学光の透過を利用しない撮像原理に基づいて取り込まれる画像を構成する。非OA画像の非限定的な例は、超音波(US)画像(透過型及び/又は反射型)、MRI画像、X線画像、CT画像、PET画像、及びSPECT画像を含む。非OA画像がUS画像であるとき、US画像は、OA撮像システムと統合される、それに結合される、又は完全に別個である、US撮像システムによって取り込まれてもよい。
【0166】
「NPV」という用語は、陰性的中率を意味するものとする。
【0167】
「非」という用語は、後続の要素の否定又は不在を表すために使用される。例えば、「非Hb発色団」は、全ての発色団を含むが、ヘモグロビン発色団を含まない。例えば、「非コラーゲン発色団」は、全ての発色団を含むが、コラーゲン発色団を含まない。
【0168】
用語「非COI」は、関心のない1又は複数の発色団を指すものとする。
【0169】
「OA特徴スコア」という用語は、OA画像内の1又は複数の関心特徴に基づいて割り当てられる特徴スコアを意味するものとする。
【0170】
「観察」という用語は、OA検査中に患者から収集される1又は複数のOA画像(単独で、又は1又は複数の非OA画像と組み合わせて)を指す。観察はまた、OA特徴スコア及び/又は非OA特徴スコアなどの臨床医によって入力される診断情報を含んでもよい。
【0171】
「光音響画像」及び「OA画像」という用語は、1又は複数の周波数における光を関心体積の中に伝送することを利用し、処理され、OA画像に変換される超音波データセットを受信する、光音響撮像システムによって取り込まれた画像を指す。
【0172】
「病理学データ」という用語は、患者の関心組織及び/又は患者の体液(例えば、血液、尿など)の生検又は他のサンプルからのありとあらゆる試験結果を含むものとする。病理学データという用語はまた、患者の組織及び/又は体液の生検又は他の研究に基づいて生成される任意の臨床医レポートを含むものとする。
【0173】
「予測結果」という用語は、定性的診断結果、定量的予測結果、予後結果、モニタリング結果などを含むものとする。疑義を回避するために、予測結果は、生検を取得するか取得しないかの間のバイナリ指示を含まないか、又は参照しない。以下は、取得され得る予測結果の非限定的なリスト、すなわち、i)塊の悪性疾患の機会/確率(%)、ii)臨床事象、疾患の進行又は再発の可能性、iii)分子サブタイプ、iv)組織学的グレード、v)血管新生の程度、vi)リンパ節転移の可能性、vii)疾患又は状態の状態を査定して、医療製品又は環境因子への曝露又はその影響の証拠を見出すこと、viii)患者の状態の変化(例えば、腫瘍のサイズ及び体積)、ix)曝露介入に対する応答の効果の指標、x)疾患又は状態を検出又は確認すること、xi)特定の疾患サブタイプを識別すること、xii)遺伝子における変異が特定のインヒビターに対する応答を予測する可能性、xiv)ER及びPRの可能性のある乳癌が内分泌療法に応答する可能性、xv)高密度の乳房組織が、非石灰化乳癌を検出するためのマンモグラフィの感度の減少を予測する可能性、xvi)1又は複数の分子サブタイプのうちの1つ、又はxvii)組織学的グレードを表す。
【0174】
用語「PPV」は、陽性的中率を意味し、用語「PPV3」は、生検で証明された陽性的中率を意味する。
【0175】
データ、信号、情報などに関連して使用される「取得する」又は「取得すること」という用語は、i)データ、信号、情報などが記憶されている種々のシステム又はデバイス(例えば、診断撮像システム、PACSワークステーション、医療ネットワークワークステーション、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットデバイス、スマートフォン又はリモートサーバ)のメモリにアクセスすること、ii)種々のシステムとデバイスとの間のワイヤレス通信リンクを介してデータ、信号、情報などを受信すること、及び/又はiii)ネットワーク接続を介してリモートサーバにおいてデータ、信号、情報などを受信することのうちの少なくとも1つを含む。取得動作は、診断撮像システムの観点からのとき、新しい撮像データをリアルタイムで収集すること、及び/又はメモリにアクセスし、記憶されたデータ、信号、情報などを診断撮像システム内のメモリから読み取ることを含んでもよい。取得動作は、ローカル非撮像デバイス(例えば、PACSワークステーション、医療ネットワークワークステーション、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットデバイス、スマートフォン)の観点からのとき、ローカル非撮像デバイスの送受信機においてデータ、信号、情報などを受信することを含み、データ、信号、情報などは、診断撮像システム及び/又は遠隔サーバから伝送される。取得動作は、ローカル非撮像デバイスからネットワークインターフェースで、及び/又は診断撮像システムから直接、データ、信号、情報などを受信するときなど、遠隔サーバの観点からであってもよい。遠隔サーバはまた、ローカルメモリから、及び/又はクラウドストレージ環境内などの他のメモリから、及び/又はワークステーション若しくは臨床医外部プログラマのメモリから、データ、信号、情報などを取得してもよい。
【0176】
OA/US特徴スコア及び/又はOA/US画像に関連して使用されるとき、用語「受信する」及び「受信すること」は、i)患者スキャンを実施しながら、診断撮像システムからリアルタイムでOA/USデータセットを収集すること、ii)医療関係者によって入力されたOA/US特徴スコアなどの入力を受信すること、iii)OA/US特徴スコアを自動的に割り当てる機械学習分類器の自動出力を受信すること、iv)種々のシステムとデバイスとの間の有線又は無線通信リンクを経由して、データ、信号、情報などを受信すること、及び/又はiii)ネットワーク接続を経由して、遠隔サーバにおいて、データ、信号、情報などを受信することのうちの少なくとも1つを含む。
【0177】
「UL特徴スコア」という用語は、超音波のみの画像内の1又は複数の関心特徴に基づいて割り当てられた特徴スコアを意味するものとする。
【0178】
「US」及び「UL」という用語は、光音響ではなく、超音波のみを指すために交換可能に使用される。
【0179】
「OA/US」、「OA/UL」、「OA/US」及び「UL/OA」という用語は、超音波及び/又は光音響を意味するものとし、超音波のみ、光音響のみ、又は超音波と光音響との組み合わせを含むものとする。例えば、OA/USデータセット(又はUS/OAデータセット)は、1)OAデータを伴わないUSデータセットのみ、2)USデータを伴わないOAデータセット、又はe)USデータセット及びOAデータセットを含んでもよい。別の例として、OA/US特徴スコア(又はUS/OA特徴スコア)は、1)OA特徴スコアを伴わない、US特徴スコアのみ、2)US特徴スコアを伴わない、OA特徴スコア、又は3)US特徴スコア及びOA特徴スコアを含んでもよい。別の例として、OA/US画像(又はUS/OA画像)は、1)US画像のみを含み、OA画像を含まない、2)OA画像を含み、US画像を含まない、又は3)US画像及びOA画像を含み得る。
【0180】
「サイノグラム」という用語は、組織部位に衝突する1又は複数の光事象に応答して、ある期間にわたって生じる音響活動のOAデータセットを指す。サイノグラム内で取り込まれる音響活動は、光音響応答、すなわち、例えば、電磁エネルギーを吸収する種々の組織構造などの組織部位内の材料によって吸収される電磁エネルギーの結果として生成される音響信号を含む。これらの音響信号は、光事象に応答した組織構造内の熱弾性応力閉じ込めの解放から生じる。
【0181】
「垂直」という用語は、US又はOA画像内の方向を指すために使用されるとき、超音波送信/受信及び/又は光音響送信/受信のスキャン方向に平行な方向を意味するものとする。
【0182】
「体積分率」という用語は、混合物の全成分の体積で割った成分の体積を指す。体積分率は、構成成分の体積が加法的である(溶液の体積がその成分の体積の合計に等しい)理想的な溶液中の体積濃度と一致する。
【0183】
クローズステートメント
図に関して広範に説明及び図示された種々の構成及びプロセス、並びに/又はかかる構成の1又は複数の個々の構成要素若しくは要素、及び/若しくはかかるプロセスに関連する1又は複数のプロセス動作は、本明細書で説明及び図示された1又は複数の他の構成要素、要素、及び/若しくはプロセス動作とは独立して、又はそれらとともに採用され得ることを明確に理解されたい。したがって、種々の構成及びプロセスが、本明細書で広く企図され、説明され、示されるが、それらは、単に例示的かつ非限定的に提供され、更に、1又は複数の構成又はプロセスが機能又は動作し得る可能な作業環境の単なる例と見なされ得ることを理解されたい。
【0184】
当業者によって理解されるように、種々の態様は、システム、方法、又はコンピュータ(デバイス)プログラム製品として具現化され得る。したがって、態様は、完全にハードウェアの実施形態、又は本明細書では全て概して「回路」、「モジュール」、若しくは「システム」と称されることがあるハードウェア及びソフトウェアを含む一実施形態の形態をとることができる。更に、態様は、その上に具現化されたコンピュータ(デバイス)可読プログラムコードを有する1又は複数のコンピュータ(デバイス)可読記憶媒体(複数可)内に具現化されたコンピュータ(デバイス)プログラム製品の形態をとることができる。
【0185】
1又は複数の非信号コンピュータ(デバイス)可読媒体(複数可)の任意の組み合わせを利用することができる。非信号媒体は、記憶媒体であってもよい。記憶媒体は、例えば、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線、又は半導体のシステム、装置、又はデバイス、あるいは前述の任意の好適な組み合わせであってもよい。記憶媒体のより具体的な例には、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、ポータブルコンパクトディスク読み出し専用メモリ(CDROM)、光学ストレージデバイス、磁気記憶デバイス、又は上記の任意の適切な組み合わせが含まれる。
【0186】
動作を実行するためのプログラムコードは、1又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで書かれ得る。プログラムコードは、完全に単一のデバイス上で、部分的に単一のデバイス上で、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして、部分的に単一のデバイス上及び部分的に別のデバイス上で、又は完全に他のデバイス上で実行することができる。場合によっては、デバイスは、ローカルエリアネットワーク(LAN)若しくは広域通信網(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを介して接続されてもよく、又は接続は、他のデバイスを介して(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用してインターネットを介して)、若しくはハードワイヤ接続を介して、例えば、USB接続を介して行われてもよい。例えば、第1のプロセッサと、ネットワークインターフェースと、コードを記憶するための記憶デバイスとを有するサーバは、動作を実行するためのプログラムコードを記憶し、このコードを、第2のデバイス上でのコードの実行のために第2のプロセッサを有する第2のデバイスにネットワークを介してそのネットワークインターフェースを通して提供することができる。
【0187】
本明細書では、種々の例示的な実施形態による例示的な方法、デバイス、及びプログラム製品を示す図を参照しながら態様について説明する。これらのプログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は他のプログラマブルデータ処理デバイス若しくは情報処理デバイスのプロセッサに提供されて、デバイスのプロセッサを介して実行される命令が、指定された機能/動作を実装するように、マシンを生成することができる。プログラム命令はまた、デバイス可読媒体に記憶された命令が、指定された機能/動作を実装する命令を含む製品を生成するように、特定の方法で機能するようにデバイスに指示することができるデバイス可読媒体に記憶され得る。プログラム命令はまた、デバイス上で実行される命令が、指定された機能/動作を実装するためのプロセスを提供するように、デバイス上で一連の動作工程を実施させて、デバイス実装プロセスを生成するために、デバイス上にロードされてもよい。
【0188】
本明細書のユニット/モジュール/アプリケーション/コントローラ/コンピューティング構成要素は、マイクロコントローラ、縮小命令セットコンピュータ(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、論理回路、及び本明細書に記載の機能を実行することができる任意の他の回路又はプロセッサを使用するシステムを含む、任意のプロセッサベース又はマイクロプロセッサベースのシステムを含むことができる。追加的又は代替的に、本明細書のユニット/モジュール/アプリケーション/コントローラ/コンピューティングコンポーネントは、本明細書で説明される動作を実施する関連付けられた命令(例えば、コンピュータハードドライブ、ROM、RAMなどの有形の非一時的コンピュータ可読記憶媒体に記憶されたソフトウェア)を有するハードウェアとして実装され得る回路モジュールを表し得る。上記の例は、例示的なものにすぎず、したがって、「コントローラ」という用語の定義及び/又は意味をいかようにも限定するものではない。本明細書のユニット/モジュール/アプリケーション/コントローラ/コンピューティングコンポーネントは、データを処理するために、1又は複数の記憶要素に記憶された命令のセットを実行することができる。記憶要素はまた、所望又は必要に応じて、データ又は他の情報を記憶してもよい。記憶要素は、本明細書のユニット/モジュール/アプリケーション/コントローラ/コンピューティングコンポーネント内の情報ソース又は物理メモリ要素の形態であってもよい。命令のセットは、本明細書で説明される主題の種々の実施形態の方法及びプロセスなどの特定の動作を実施するように本明細書のモジュール/アプリケーションに命令する種々のコマンドを含むことができる。命令のセットは、ソフトウェアプログラムの形態であってもよい。ソフトウェアは、システムソフトウェア又はアプリケーションソフトウェアなどの種々の形態であってもよい。更に、ソフトウェアは、別個のプログラム又はモジュールの集合、より大きなプログラム内のプログラムモジュール、又はプログラムモジュールの一部の形態であってもよい。ソフトウェアはまた、オブジェクト指向プログラミングの形態のモジュール式プログラミングを含み得る。処理機械による入力データの処理は、ユーザコマンドに応答して、又は以前の処理の結果に応答して、又は別の処理機械によって行われた要求に応答してもよい。
【0189】
本明細書に記載される主題は、その適用において、本明細書の説明に記載されるか又は本明細書の図面に示される構成要素の構造及び配置の詳細に限定されないことを理解されたい。本明細書に記載される主題は、他の実施形態が可能であり、種々の方法で実施又は実行されることが可能である。また、本明細書で使用される表現及び用語は、説明のためのものであり、限定するものと見なされるべきではないことを理解されたい。本明細書における「含む(including)」、「備える(comprising)」、又は「有する(having)」及びそれらの変形の使用は、その後に列挙される項目及びそれらの等価物並びに追加の項目を包含することを意味する。
【0190】
上記の説明は、例示的であり、限定的ではないことが意図されることを理解されたい。例えば、上述の実施形態(及び/又はその態様)は、互いに組み合わせて使用されてもよい。加えて、その範囲から逸脱することなく、特定の状況又は材料を本明細書の教示に適合させるように、多くの修正が行われてもよい。本明細書に記載される材料及びコーティングの寸法、タイプは、種々のパラメータを定義することを意図しているが、それらは決して限定的なものではなく、本質的に例示的なものである。上記の説明を検討すると、多くの他の実施形態が当業者に明らかになるであろう。したがって、実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲を、かかる特許請求の範囲が権利を与えられる均等物の全範囲とともに参照して決定されるべきである。添付の特許請求の範囲において、用語「含む(including)」及び「その中で(in which)」は、それぞれの用語「備える(comprising)」及び「その中で(wherein)」の平易な英語の等価物として使用される。更に、以下の特許請求の範囲では、「第1」、「第2」、及び「第3」などの用語は、単にラベルとして使用され、それらのオブジェクトに対して数値的要件を課すこと、又はそれらの行為に対して実行の順序を課すことを意図するものではない。
【外国語明細書】