(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013793
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】ルーバーフィルムおよびデバイス
(51)【国際特許分類】
G02B 5/00 20060101AFI20240125BHJP
B32B 7/023 20190101ALI20240125BHJP
【FI】
G02B5/00 C
B32B7/023
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116157
(22)【出願日】2022-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】高橋 利行
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 敦
(72)【発明者】
【氏名】横手 恵絋
(72)【発明者】
【氏名】ジョン インジョ
(72)【発明者】
【氏名】イ ジェヒョク
(72)【発明者】
【氏名】ユン ジョンソク
【テーマコード(参考)】
2H042
4F100
【Fターム(参考)】
2H042AA10
2H042AA26
4F100AJ06A
4F100AK42A
4F100AK53B
4F100AK53C
4F100BA03
4F100BA07
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4F100GB41
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4F100JN18A
4F100JN18B
4F100JN18C
(57)【要約】
【課題】本発明は、巻回構造を有するルーバーフィルムにおいて、全方向の視野角のうちの特定方向からの視野角を所望の角度に調整すること。
【解決手段】光透過層と、遮光層と、接着層を含む積層体が巻回された状態の巻回構造を有するルーバー部30を含み、ルーバー部30は、少なくとも光透過層から構成される光透過部と、少なくとも遮光層から構成される遮光部とを含み、遮光層と接着層の少なくとも一方の屈折率が、光透過層の屈折率と異なる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過層と、遮光層と、接着層を含む積層体が巻回された状態の巻回構造を有するルーバー部を含み、
前記ルーバー部は、少なくとも前記光透過層から構成される光透過部と、少なくとも前記遮光層から構成される遮光部とを含む、ルーバーフィルムであって、
前記遮光層と前記接着層の少なくとも一方の屈折率が、前記光透過層の屈折率と異なる、ルーバーフィルム。
【請求項2】
前記光透過層、前記遮光層、前記接着層の屈折率は、この順で小さくなる、請求項1に記載のルーバーフィルム。
【請求項3】
前記光透過層、前記接着層、前記遮光層の屈折率は、この順で小さくなる、請求項1に記載のルーバーフィルム。
【請求項4】
前記遮光層および前記接着層の屈折率は略同一であり、前記光透過層の屈折率よりも大きい、請求項1に記載のルーバーフィルム。
【請求項5】
前記遮光層および前記接着層の屈折率は略同一であり、前記光透過層の屈折率よりも小さい、請求項1に記載のルーバーフィルム。
【請求項6】
前記光透過層と前記遮光層の屈折率は略同一であり、前記接着層の屈折率よりも大きい、請求項1に記載のルーバーフィルム。
【請求項7】
前記光透過層と前記遮光層の屈折率は略同一であり、前記接着層の屈折率よりも小さい、請求項1に記載のルーバーフィルム。
【請求項8】
前記遮光層は、前記光透過層の外周側に隣接して配置され、
前記接着層は、前記光透過層の内周側に隣接して配置される、請求項1に記載のルーバーフィルム。
【請求項9】
請求項1~8の何れか1項に記載のルーバーフィルムを一部に組み込んで構成される、デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルーバーフィルムおよび該フィルムを備えたデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置において、覗き見防止機能、映り込み防止機能、屋外における視認性向上機能などの付与を目的として、透過する光の角度の範囲を制御するルーバーフィルムが知られている。ルーバーフィルムは、例えば特許文献1に開示されるように、光を透過可能な光透過部と、光を吸収および/または反射することが可能な遮光部とをフィルム面上に交互に配置した構成を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的なルーバーフィルムは、特許文献1に開示されるように光透過部に溝を形成し、その溝に遮光部を形成する方法の他、例えば光透過層と遮光層とを交互に積層した積層体を形成しその積層体を積層方向に切断する方法、光透過部に溝を形成しその溝に遮光部を形成した円形または多角形のフィルムを積層した積層体の積層方向の外周囲を切断する方法などを用いて作製され得る。
【0005】
しかし、上記のように作製されたルーバーフィルムは、その構造上、一方向のみに対して透過する光の進行方向を所定の角度に制御することしかできない。ルーバーフィルムを搭載するスマートデバイス(例えば、スマートフォン、スマートウォッチ、タブレット端末、ウェアラブル端末など)は、複数方向からの使用が想定されるため、正面と交差する複数の方向に対して、透過する光の進行方向を所定の角度に制御しなければ、所望の効果を十分に得られないとの問題がある。
【0006】
本願発明者等は、上記課題を解決するべく、全方向からの視野角制御が可能なルーバーフィルムの構造の開発に着手し、光透過層と遮光層を含む積層体を巻回した巻回構造を有するルーバー部を含むルーバーフィルムの開発に成功した。
【0007】
ところで、巻回構造を有するルーバー部を含むルーバーフィルムの視野角を制御する方法としては、光透過層や遮光層の厚さ(層間のピッチ幅)を変えることが考えられる。しかし、この方法では、ルーバーフィルムの構造上、左右対称に視野角を制御することはできるが、視野角を左右非対称にしたり、視野角を部分的に可変させたりすることは難しい。
【0008】
本願発明者等は、巻回構造を有するルーバーフィルムにおいて特定方向の視野角制御を実現させる構造について鋭意研究を重ねた結果、ルーバー部を構成する各層の屈折率を適切に制御することで実現できることを突き止め、本発明の完成に至った。
【0009】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであって、具体的には巻回構造を有するルーバーフィルムにおいて、全方向の視野角のうちの特定方向からの視野角を所望の角度に調整可能なルーバーフィルムおよび該フィルムを備えたデバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本実施形態に係るルーバーフィルムは、光透過層と、遮光層と、接着層を含む積層体が巻回された状態の巻回構造を有するルーバー部を含み、前記ルーバー部は、少なくとも前記光透過層から構成される光透過部と、少なくとも前記遮光層から構成される遮光部とを含む、ルーバーフィルムであって、前記遮光層と前記接着層の少なくとも一方の屈折率が、前記光透過層の屈折率と異なる。
【0011】
本実施形態に係るデバイスは、上記ルーバーフィルムを一部に組み込んで構成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、巻回構造を有するルーバーフィルムにおいて、全方向の視野角のうちの特定方向からの視野角を所望の角度に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の好ましい一実施形態に係るルーバーフィルムの概略平面図である。
【
図2】
図1に示すA-A線に沿う概略断面図である。
【
図3A】本発明の好ましい一実施形態に係るルーバーフィルムのルーバー部となる積層体の概略断面図である。
【
図3B】本発明の好ましい一実施形態に係るルーバーフィルムとなる巻回体の概略斜視図である。
【
図4】本発明の好ましい一実施形態に係るルーバーフィルムの製造方法に含まれる主要な工程の流れを示す概念図である。
【
図5A】ルーバー部を構成する光透過層、遮光層、接着層の屈折率が同一の場合の入射光の軌跡を示す概念図である。
【
図5B】ルーバー部を構成する光透過層と遮光層の屈折率が同一であってこれら層より接着層の屈折率が小さい場合の入射光の軌跡を示す概念図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るルーバーフィルムに含まれる、ルーバー部の厚さの測定位置を示す模式図を表す。
【
図7】本発明の一実施形態に係るルーバーフィルムに含まれる、ルーバー部の全光線透過率の測定位置を示す模式図を表す。
【
図8】本発明の一実施形態に係るルーバーフィルムについて、透過する光の角度および透過率の測定位置を示す模式図を表す。
【
図9】本発明の一実施形態に係るルーバーフィルムについて、透過する光の角度および透過率の測定位置を示す模式図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、必要に応じて添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。なお、
図1において、左右方向をX方向、上下方向をY方向、紙面に直交する方向をZ方向と定義する。
【0015】
また、特記しない限り、操作および物性などは、室温(20℃以上25℃以下)/相対湿度40%RH以上50%RH以下の条件で測定する。
【0016】
本発明の一実施形態は、光透過層と、遮光層と、接着層を含む積層体が巻回された状態の巻回構造を有するルーバー部を含み、ルーバー部は、少なくとも光透過層から構成される光透過部と、少なくとも遮光層から構成される遮光部とを含む、ルーバーフィルムであって、遮光層と接着層の少なくとも一方の屈折率が、光透過層の屈折率と異なる、ルーバーフィルムに関する。
【0017】
本明細書において、「光透過層と、遮光層と、接着層とを含む積層体が巻回された状態である巻回構造」とは、光透過層と、遮光層と、接着層とを少なくとも含む積層体が巻回されたと考えた場合に得られる構造を表す。本明細書中において、当該巻回構造の例として示す構造についても同様である。例えば、巻回前に光透過層の少なくとも一部が当該層を形成するための処理(例えば、硬化処理など)前の層状部材の状態で存在する場合、巻回構造は、巻回と同時に、または巻回の後に、そのような処理を経て、光透過層の少なくとも一部が形成されることで形成されたものであってもよい。例えば、巻回前に遮光層の少なくとも一部が当該層を形成するための処理(例えば、硬化処理など)前の層状部材の状態で存在する場合、巻回構造は、巻回と同時に、または巻回の後に、そのような処理を経て、遮光層の少なくとも一部が形成されることで形成されたものであってもよい。例えば、巻回前に接着層の少なくとも一部が当該層を形成するための処理(例えば、硬化処理など)前の層状部材の状態で存在する場合、巻回構造は、巻回と同時に、または巻回の後に、そのような処理を経て、接着層の少なくとも一部が形成されることで形成されたものであってもよい。
【0018】
また、例えば、光透過層と、遮光層と、接着層とを含む積層体を形成するための積層のタイミングも特に限定されず、後述するこれらの層を構成するために用いられる、光透過層用材料層や遮光層用材料層との積層構造は、巻回前に形成されてもよく、巻回と同時に形成されてもよい。
【0019】
[ルーバーフィルムの構成]
本発明の一実施形態に係るルーバーフィルム100の構成について
図1~
図3Bを適宜参照しながら説明する。但し、
図1~
図3Bは、本発明の一実施形態に係るルーバーフィルム100に関するものであって、本発明の一実施形態に係るルーバーフィルム100は、これらの図によって説明される構成に限定されない。
【0020】
図1は、本発明の好ましい一実施形態に係るルーバーフィルム100の概略平面図であり、
図2は、
図1に示すA-A線に沿う概略断面図である。
【0021】
ルーバーフィルム100は、
図1または
図2に示すように、光透過部10を構成する光透過層と、遮光部20を構成する遮光層と、光透過部10または遮光部20として機能し得る接着層と、を含む積層体100Aが巻回された状態の巻回構造を有するルーバー部30を含んで構成される。巻回構造において巻回された状態の積層体100Aは、光透過層と、遮光層と、接着層とを含む積層体であれば特に制限されないが、光透過層と、遮光層と、接着層とを積層した積層体であることが好ましい。
【0022】
ルーバーフィルム100のルーバー部30は、光透過部10と、遮光部20とを含む。ルーバー部30は、光透過部10と、遮光部20とから構成されることが好ましい。本発明の好ましい一実施形態としては、例えば、光透過層と、遮光層と、接着層とを積層した積層体100Aが巻回された状態の巻回構造を有するルーバー部30を含み、ルーバー部30は、少なくとも光透過層から構成される光透過部10と、少なくとも遮光層から構成される遮光部20とから構成される、ルーバーフィルムが挙げられる。
【0023】
図1および
図2において、ルーバーフィルム100は、ルーバーフィルム100が任意に有し得る芯材40と、芯材40が中空状である場合における、中空状の芯材40の穴部50と、ルーバーフィルム100が任意に有し得る機能層Fと、を備える。
図2では、光透過部10が2つの層(光透過層と、光透過性を有する接着層)から構成され、遮光部20が1つの層から構成される場合を示している。しかしながら、ルーバーフィルム100において、光透過部10および遮光部20を構成する層の数は特に制限されない。光透過部10および遮光部20は、それぞれ、1または2以上の層から構成され得る。また、ルーバーフィルム100は、光透過部10が1つの層(光透過層)から構成され、遮光部20が2つの層(遮光層と、遮光性を有する接着層)から構成されてもよい。
【0024】
ルーバー部30が有する「光透過層と、遮光層と、接着層とを含む積層体が巻回された状態である巻回構造」は、光透過性を有する光透過層と、遮光性を有する遮光層と含む積層体100Aを、巻き中心C1となる巻回軸Cに沿って巻き回した状態の構造であるとも言える。巻回構造は、例えば、光透過層と、遮光層と、接着層とを含む積層体100Aのみが巻回軸Cを巻き中心C1として巻回された状態の構造でもよいし、芯材40の軸方向と一致する巻回軸Cを巻き中心C1として、芯材40の周囲に、光透過層と、遮光層と接着層と、を含む積層体100Aが巻回された状態の構造でもよい。巻回構造は、例えば、一本の長尺状の、光透過層と、遮光層と、接着層とを含む積層体100Aがロール状に幾重にも巻き重ねられるように、この一本の長尺状の積層体100Aが巻回された状態の巻回構造が挙げられる。
図1および
図2に示される巻回構造は、芯材40を使用する場合における、この巻回構造の一例である。また、巻回構造としては、例えば、光透過層と、遮光層と、接着層とが交互に同心円状に配置されるように、複数の、光透過層と、遮光層と、接着層とを含む積層体100Aが巻回された状態のものも挙げられる。積層体100Aの長手方向の端面形状は、特に制限されないが、長尺方向と垂直な面形状(滑らかな平面)とするのが好ましい。
【0025】
ルーバー部30は、光透過部10と遮光部20とに加えて他の部分をさらに含んでいてもよいが、光透過部10と遮光部20のみで構成されることが好ましい。ルーバーフィルム100は、ルーバー部30のみで構成されてもよいし、ルーバー部30に加えて、他の構成(例えば、後述する芯材40、後述するルーバーフィルム100が有し得る機能層F、基材など)をさらに含んでいてもよい。
【0026】
ルーバーフィルム100は、ルーバー部30以外の構造の他のルーバー部をさらに有していてもよい。ルーバーフィルム100には、ルーバー部30が、より大きなルーバー部の一部を構成するよう含まれていてもよい。しかしながら、ルーバーフィルム100は、ルーバー部としてルーバー部30のみを有することが好ましい。
【0027】
図3Aは、本発明の好ましい一実施形態に係るルーバーフィルム100のルーバー部30となる積層体100Aの概略断面図であり、
図3Bは、本発明の好ましい一実施形態に係るルーバーフィルム100となる巻回体100Bの概略斜視図である。
【0028】
ルーバーフィルム100の製造方法は、特に制限されないが、例えば、
図3Aに示すように、光透過層用材料層110と、遮光層用材料層120と、を少なくとも積層した積層体100Aを作製すること、この作製した積層体100Aを、
図3Bに示すように巻回軸Cを巻き中心C1として巻回して巻回体100Bを作製すること、およびこの巻回体100Bを巻回軸方向と交差する方向に所定の厚さに切断することを含む方法によって製造されることが好ましい。これより、本発明の一実施形態としては、光透過部10と、遮光部20とを含むルーバー部30を含み、光透過部10(光透過層、光透過性を有する接着層)を形成するための光透過層用材料層110と、遮光部20(遮光層)を形成するための遮光層用材料層120とを含む積層体100Aを巻回して巻回体100Bを作製する巻回工程と、巻回体100Bを、巻回体100Bの巻回軸方向と交差する方向に切断して、ルーバー部30を形成する切断工程と、を経てルーバーフィルム100を製造する製造方法としてもよい。また、本発明の一実施形態としては、光透過部10と、遮光部20とを含むルーバー部30を含み、光透過部10(光透過層)を形成するための光透過層用材料層110と、遮光部20(遮光層、遮光性を有する接着層)を形成するための遮光層用材料層120とを含む積層体100Aを巻回して巻回体100Bを作製する巻回工程と、巻回体100Bを、巻回体100Bの巻回軸方向と交差する方向に切断して、ルーバー部30を形成する切断工程と、を経てルーバーフィルム100を製造する製造方法としてもよい。
【0029】
なお、「巻回軸」とは、巻き中心C1となる仮想的な軸であって、「巻回軸方向」(巻回軸の方向)は、巻回体100Bの軸線方向と一致する。例えば、
図3Bに示すように、巻回軸Cは、巻回体100Bの巻き中心C1となる仮想的な軸であって、巻回軸Cの方向は、巻回体100Bの軸線方向と一致する。
図3Bに示す巻回体100Bは、巻回軸Cを巻き中心C1として巻回軸Cの周囲を周回するように積層体100Aを幾重にも巻き重ねたものである。
【0030】
図3Aに示す積層体100Aは、光透過層用材料層110を構成する光透過層として機能する光透過層用フィルム110aと、光透過層用材料層110を構成する接着層として機能する光透過層用機能層110bとを含む。
図3Aでは、光透過層用材料層110が2つの層状部材(光透過層用フィルム110aおよび光透過層用機能層110b)から構成され、遮光層用材料層120が1つの層状部材から構成される場合を示している。しかしながら、積層体100Aにおいて、光透過層用材料層110および遮光層用材料層120を構成する層状部材の数は特に制限されない。光透過層用材料層110および遮光層用材料層120は、それぞれ、1または2以上の層状部材から構成され得る。
【0031】
光透過層用材料層110は、ルーバーフィルム100のルーバー部30において光透過部10を構成する光透過層を形成するために用いられる層状部材である。光透過層用材料層110は、そのまま光透過層として用いてもよいし、光透過層を形成するための処理を経て、光透過層としてもよい。例えば、光透過層用材料層110の少なくとも一部が、硬化性を有する、硬化処理前の層状部材である場合には、巻回と同時に、または巻回後に、硬化処理を経て、巻回構造中の光透過層が形成されてもよい。このことから、
図2において、ルーバー部30を構成する光透過部10について、括弧内に光透過層用材料層110と併記し、
図3Aにおいて、光透過層用材料層110について、括弧内に光透過部10と併記している。
【0032】
遮光層用材料層120は、ルーバーフィルム100のルーバー部30において遮光部20を構成する遮光層を形成するために用いられる層状部材である。遮光層用材料層120は、そのまま遮光層として用いてもよし、遮光層を形成するための処理を経て、遮光層としてもよい。例えば、遮光層用材料層120の少なくとも一部が、硬化性を有する、硬化処理前の層状部材である場合には、巻回と同時に、または巻回後に、硬化処理を経て、巻回構造中の遮光層が形成されてもよい。このことから、
図2において、ルーバー部30を構成する遮光部20について、括弧書きで遮光層用材料層120と併記し、
図3Aにおいて、遮光層用材料層120について、括弧内に遮光部20と併記している。
【0033】
積層体100Aを構成する、光透過層用材料層110と、遮光層用材料層120と、必要に応じて使用される他の部材とは、各部材が巻回と同時に積層されてもよいし、巻回前に予め積層されていてもよい。
【0034】
積層体100Aを構成する、光透過層用材料層110および遮光層用材料層120は、それぞれ、複数の所定長さの部材として構成してもよいし、長尺状の一本の部材として構成としてもよいし、所定長さの部材を複数用意し、隣接する端面同士を当接させて一本の長尺状を呈する構成としてもよい。長尺状の積層体100Aの長手方向の端面形状は、特に制限されないが、長尺方向と垂直な面形状(滑らかな平面)とするのが好ましい。
【0035】
巻回構造において、光透過層と、遮光層と、接着層の各一部が重なって積層されていてもよいし、光透過層と、遮光層と、接着層の全体が重なるよう積層されていてもよい。積層体100Aにおいて、光透過層用材料層110と、遮光層用材料層120の各一部が重なって積層されていてもよいし、光透過層と、遮光層と、接着層の全体が重なるよう積層されていてもよい。
【0036】
製造されるルーバーフィルム100の巻回構造は、例えば、積層体100Aを巻回する際、積層体100Aのみを、巻回軸Cを巻き中心C1として巻回することを経て得られた構造でもよい。ルーバーフィルム100の巻回構造としては、例えば、巻回構造は、芯材40などを用いて、芯材40の軸方向と一致する巻回軸Cを巻き中心C1として芯材40に積層体100Aを巻回することを経て得られた構造でもよい。
【0037】
本発明の一実施形態において、ルーバーフィルム100は、光透過層と、遮光層と、接着層とを含む積層体100Aが巻回された状態の巻回構造を有するルーバー部30を含み、ルーバー部30は、少なくとも光透過層から構成される光透過部10と、少なくとも遮光層から構成される遮光部20とを含む。この際、接着層は、光透過部10として機能してもよいし、遮光部20として機能してもよいし、光透過部10や遮光部20以外の他の作用を呈する部(介在部)として機能してもよい。これより、ルーバーフィルム100は、ルーバー部30の、平面視(厚み方向から見た面)において巻き中心C1から外周縁に向かう方向(以下、「放射方向」という)に沿って、光透過部10と、遮光部20とが交互に配置される部分を含むこととなる。なお、「交互に配置される」とは、放射方向に沿って配置される光透過部10と、遮光部20との間には、他の部分が存在してもよいし、他の部分が存在しなくてもよい。これらの中でも、ルーバーフィルム100のルーバー部30において、光透過部10と、遮光部20とは、光透過部10と、遮光部20との間に他の部分が存在しない状態で、交互に配置されることが好ましい。
【0038】
本願発明者等は、上記構成によって課題が解決されるメカニズムを以下のように推定している。ルーバーフィルム100のルーバー部30は、複数の放射方向に注目しても、注目する放射方向において、光透過部10と遮光部20とが交互に配置されることとなる。これにより、ルーバーフィルム100は、フィルム表面(上面)または裏面(下面)側を透過する光の角度の範囲を制御することができる。このため、ルーバーフィルム100は、正面と交差する複数の方向に対して、透過する光の角度の制御特性を確保することが可能となる。例えば、
図1に示すように、本発明の好ましい一実施形態に係るルーバーフィルム100では、何れの放射方向に注目しても、注目する放射方向において、光透過部10と遮光部20とが交互に配置されることとなる。これにより、ルーバーフィルム100は、フィルム表面(上面)または裏面(下面)側を透過する光の角度の範囲を制御することができる。このため、ルーバーフィルム100は、正面と交差する何れの方向に対して、透過する光の角度の制御特性を確保することが可能となる。なお、上記メカニズムはあくまで推測に基づくものであり、その正誤が本発明の技術的範囲に影響を及ぼすものではない。
【0039】
このように、本発明の一実施形態によれば、正面に対する良好な光透過率を実現し、かつ、正面と交差する複数の方向に対して(好ましくは、多数の方向に対して、特に好ましくは、何れの方向に対しても)、透過する光の角度の範囲を制御し得る手段が提供され得る。
【0040】
本発明の一実施形態に係るルーバーフィルム100は、光透過層と、遮光層と、接着層とを含む積層体100Aが巻回された状態の巻回構造を有するルーバー部30を含み、ルーバー部30は、少なくとも光透過層から構成される光透過部10と、少なくとも遮光層から構成される遮光部20とを含む構造を有し、所望の視野角制御を行うため、遮光層と接着層の少なくとも一方の屈折率が、光透過層の屈折率と異なるように構成することができる。すなわち、ルーバーフィルム100は、光透過部10や遮光部20を構成する光透過層、遮光層、接着層の屈折率の大小関係に応じて特定方向の視野角を所望する視野角に制御することができる。
【0041】
ルーバーフィルム100は、遮光層と接着層の少なくとも一方の屈折率が、光透過層の屈折率と異なっていればよい。すなわち、ルーバーフィルム100は、光透過層、遮光層、接着層の3層の屈折率が略同一とならない構成を有する。また、接着層は、光透過性を有していてもよく、遮光性を有していてもよい。
【0042】
なお、本明細書において、「略同一」とは、完全同一および実質同一を含み、実質同一では対比する両者の屈折率差±0.02のことを意味する。したがって、「略同一」は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものと言える。
【0043】
ルーバーフィルム100は、以下のような屈折率の大小関係を有して構成することができる。なお、ルーバーフィルム100は、遮光層と接着層の少なくとも一方の屈折率が、光透過層の屈折率と異なる構成を有すれば、以下の形態に限定されない。例えば、ルーバーフィルム100は、接着層に光透過性や遮光性を持たせ、光透過部10または遮光部20に属する構成としてもよいし、光透過部10や遮光部20に属さない他の機能を有する部(介在部)として存在してもよい。
【0044】
ルーバーフィルム100は、光透過層、遮光層、接着層の順で屈折率が小さくなるように各層の屈折率を制御して作製することができる(すなわち、屈折率が光透過層>遮光層>接着層の関係)。ルーバーフィルム100は、
図2に示すように、光透過層の内周側に接着層を配置し、光透過層の外周側に遮光層を配置した場合、光透過層、遮光層、接着層の各屈折率が上記関係を有するため、光透過層と遮光層との間の界面と、光透過層と接着層との間の界面でルーバーフィルム100に入射した光(入射光)を全反射させることができる。
【0045】
ルーバーフィルム100は、光透過層、接着層、遮光層の順で屈折率が小さくなるように各層の屈折率を制御して作製することができる(すなわち、屈折率が光透過層>接着層>遮光層の関係)。ルーバーフィルム100は、
図2に示すように、光透過層の内周側に接着層を配置し、光透過層の外周側に遮光層を配置した場合、光透過層、遮光層、接着層の各屈折率が上記関係を有するため、光透過層と遮光層との間の界面と、光透過層と接着層との間の界面でルーバーフィルム100に入射した光(入射光)を全反射させることができる。
【0046】
ルーバーフィルム100は、接着層が光透過性を有し、遮光層および接着層の屈折率を略同一とし、これらの屈折率が光透過層の屈折率よりも大きくなるように各層の屈折率を制御して作製することができる(すなわち、屈折率が遮光層≒接着層>光透過層の関係)。ルーバーフィルム100は、
図2に示すように、光透過層の内周側に接着層を配置し、光透過層の外周側に遮光層を配置した場合、光透過層、遮光層、接着層の各屈折率が上記関係を有するため、光透過層と遮光層との間の界面と、光透過層と接着層との間の界面でルーバーフィルム100に入射した光(入射光)を全反射させることができる。
【0047】
また、ルーバーフィルム100は、接着層が光透過性を有し、遮光層および接着層の屈折率を略同一とし、これらの屈折率が光透過層の屈折率よりも小さくなるように各層の屈折率を制御して作製することができる(すなわち、屈折率が遮光層≒接着層<光透過層の関係)。ルーバーフィルム100は、
図2に示すように、光透過層の内周側に接着層を隣接して配置し、光透過層の外周側に遮光層を隣接して配置した場合、光透過層、遮光層、接着層の各屈折率が上記関係を有することで、光透過層と遮光層との間の界面と、光透過層と接着層との間の界面でルーバーフィルム100に入射した入射光を全反射させることができる。
【0048】
また、ルーバーフィルム100は、光透過層および遮光層の屈折率を略同一とし、これらの屈折率が接着層の屈折率よりも大きくなるように各層の屈折率を制御して作製することができる(すなわち、屈折率が光透過層≒遮光層>接着層の関係)。ルーバーフィルム100は、
図2に示すように、光透過層の内周側に接着層を隣接して配置し、光透過層の外周側に遮光層を隣接して配置した場合、光透過層、遮光層、接着層の各屈折率が上記関係を有することで、光透過層と遮光層との間の界面ではルーバーフィルム100に入射した入射光を全反射しないが、光透過層と接着層との間の界面では入射光を全反射させることができる。
【0049】
また、ルーバーフィルム100は、接着層が光透過性を有し、光透過層および遮光層の屈折率を略同一とし、これらの屈折率が接着層の屈折率よりも小さくなるように各層の屈折率を制御して作製することができる(すなわち、屈折率が光透過層≒遮光層<接着層の関係)。ルーバーフィルム100は、
図2に示すように、光透過層の内周側に接着層を隣接して配置し、光透過層の外周側に遮光層を隣接して配置した場合、光透過層、遮光層、接着層の各屈折率が上記関係を有することで、光透過層と遮光層との間の界面ではルーバーフィルム100に入射した入射光を全反射しないが、光透過層と接着層との間の界面では入射光を全反射させることができる。
【0050】
ここで、ルーバーフィルム100は、光透過層、遮光層、接着層の屈折率を1.4以上1.7以下の範囲で、遮光層と接着層の少なくとも一方の屈折率が、光透過層の屈折率と異なるように任意に設定することができる。また、各層の屈折率差は、ルーバーフィルム100への入射光の少なくとも一部が全反射するように、比較対象とした2層の屈折率差を0.05以上、より好ましくは0.1以上とするのがよい。
【0051】
図5A、
図5Bには、巻回構造を有するルーバー部を含むルーバーフィルムを構成する光透過層、遮光層、接着層の屈折率差による入射光の状態を模式的に示した図である。図中の実線矢印は入射光Iが光透過部10を透過する光の軌跡を示しており、点線矢印は入射光Iが遮光部20に吸収される光の軌跡を示している。
【0052】
図5Aに示すように、光透過層、遮光層、接着層の3層の屈折率が略同一のルーバーフィルムは、各層の界面での全反射が起こらない。そのため、ある光透過層に注目した場合、入射角0°で入射した入射光Iは光透過層を透過するが、入射角が所定角度を超えて入射する入射光Iは光透過層と隣接する遮光層および接着層と隣接する遮光層にそれぞれ吸収されてしまう。これに対し、遮光層と接着層の少なくとも一方の屈折率と光透過層の屈折率が異なる構成(例えば、光透過層と遮光層の屈折率が略同一であって、これらの屈折率よりも接着層の屈折率が小さい構成)のルーバーフィルム100では、
図5Bに示すように、
図5Aに示したルーバーフィルムと光の軌跡が異なる。すなわち、
図5Bに示すように、入射角0°で入射した入射光Iは光透過層を透過し、入射角が所定角度を超えて入射する入射光Iにおいて遮光層に向かう光は光透過層と遮光層との界面で全反射せず遮光層に吸収され、接着層に向かう光は光透過層と接着層との界面で全反射が起こり光透過層を透過する。このように、ルーバーフィルム100は、光透過層、遮光層、接着層のうち、少なくとも光透過層と他の層(遮光層、接着層)の屈折率に差を持たせることで、ルーバーフィルム100に入射した入射光Iを光透過層と他層との間の界面で全反射させることができる。
【0053】
ルーバーフィルム100のルーバー部30を構成する積層体100Aの各層(光透過層、遮光層、接着層)の屈折率は、アッベ屈折計 DR-M2(株式会社アタゴ製)を用いて、JIS K 7142に準拠する試験方法において評価することができる。各層の屈折率の測定に際し、例えば積層体100A形成時に硬化処理などに層形状をなす層(例えば遮光層、接着層)については、硬化前の状態が測定に適した形状(例えばフィルム形状)をなしていないがことある。このような場合は、例えば基材フィルムとなるPETフィルム(ルミラー(登録商標) T60(東レ株式会社製))に乾燥膜厚が所定厚さ(例えば50μm程度)になるように測定対象の形成材料を塗布し、所定の硬化条件で塗膜を作製し、PETフィルムから剥がしたものを試料として使用することができる。
【0054】
このように、ルーバーフィルム100は、光透過層、遮光層、接着層の各屈折率を制御すれば、光透過層、遮光層、接着層の厚さ(層間のピッチ幅)におる視野角制御では困難な特定方向の視野角を部分的に制御することが可能となる。したがって、ルーバーフィルム100は、光透過層、遮光層、接着層の屈折率を適宜変更することで、正面に対する良好な光透過率を実現し、かつ正面と交差する特定方向へ透過する光の角度範囲を所望の視野角に制御することができる。また、ルーバーフィルム100を搭載するデバイスは、用途やデバイス形状に応じた視野角制御が可能となるため、視野角に応じた複数種の機能を搭載することができる。例えば、
図5Bに示す「光透過層≒遮光層>接着層」の屈折率の関係を有するルーバーフィルム100をデバイスに搭載した場合、光透過層への入射光のうち、接着層に向かう光は光透過層と接着層との界面で全反射させてデバイスの検出器に入光させ、遮光層に向かう光は全反射させずに遮光層に吸収させてデバイスの検出器に余分な光が入らないように調整することが可能となる。そのため、比較的シグナルの多い入射光を接着層方向に入射させ、その他の光(シグナルの少ない光など)を遮光層方向に入射させれば、デバイスの検出精度を高めることができる。
【0055】
また、ルーバーフィルム100は、遮光層と接着層の屈折率の少なくとも一方を光透過層の屈折率と異なるように制御することで特定方向への視野角制御が可能となる。しかし、ルーバーフィルム100は、前述したような屈折率制御にルーバー部30の厚さや各層の厚さ(層間ピッチ)などの厚さ制御を加えることで、特定方向への視野角をより精緻に制御することもできる。
【0056】
なお、ルーバーフィルム100は、光透過層、遮光層、接着層の各層の屈折率の制御を行う場合、各層の屈折率は特に制限されないが、前述した各層の好適な屈折率の範囲内で任意に組み合わせることが好ましい。また、ルーバーフィルム100は、ルーバー部30の厚さや各層の厚さ(層間ピッチ)などの厚さ制御を行う場合、屈折率を制御した上で、用途に応じて対象部位の厚さを適切な厚さに制御すればよい。
【0057】
以下、ルーバーフィルム100およびその製造方法について、より詳細に説明する。但し、以下の説明は、本発明の一実施形態に係るルーバーフィルム100および本発明の一実施形態に係る製造方法に関するものであって、本発明に係るルーバーフィルム100およびその製造方法は、以下に説明される構成に限定されない。
【0058】
本明細書において、光透過部10は、注目する少なくとも一部の波長の光の、少なくとも一部を透過する機能(光透過性)を有する。光透過部10は、波長300nm以上1000nm以下の範囲における、注目する少なくとも一部の波長の光の、少なくとも一部を透過することが好ましい。
【0059】
本明細書において、遮光部20は、注目する少なくとも一部の波長の光の、少なくとも一部を遮蔽する機能(遮光性)を有する。遮光部20は、波長300nm以上1000nm以下の範囲における、注目する少なくとも一部の波長の光の、少なくとも一部を遮蔽することが好ましい。遮光部20による光の遮蔽は、光の反射、光の吸収、またはこれらの組み合わせの何れによるものであってもよい。
【0060】
光透過部10の全光線透過率は、特に制限されないが、高いほど好ましい。例えば、光透過部10の全光線透過率は、70%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。これらの範囲であると、ルーバーフィルム100を透過する光の角度範囲内において、優れた光透過性を示す。
【0061】
遮光部20の全光線透過率は、特に制限されないが、低いほど好ましい。例えば、遮光部20の全光線透過率は、5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。
【0062】
光透過部10および遮光部20の全光線透過率は、JIS K 7361-1:1997に準拠する試験方法において、評価することができ、ヘーズメーター(例えば、日本電色工業株式会社、型式名:NDH-5000W)を用いて測定することができる。なお、光透過部10および遮光部20の全光線透過率の測定は、例えば、光透過部10および遮光部20と同様に製造された、測定可能なフィルム面積およびこれらと同様の厚さを有する試験片を準備して、それぞれ評価することができる。
【0063】
光透過部10のルーバー部30の放射方向に沿う幅寸法(ルーバー部30の厚さ方向と直交する平面において巻き中心C1から外周縁に向かう方向に沿う光透過部10の幅、光透過部10の幅L1)は、ルーバーフィルム100の目的とする透過する光の角度範囲に応じて適宜設定することができる。光透過部10の幅L1は、特に制限されないが、例えば、15μm以上とすることができる。また、光透過部10の幅L1は、特に制限されないが、例えば、100μm以下とすることができる。また、光透過部10が2以上の層から構成される場合、上記幅L1は、これらの総幅を表す。例えば、
図2では、光透過部10の幅L1は、光透過部10の高さ方向(ルーバー部30の厚さ方向)と直交する図中Y方向(左右方向)の寸法を表す。本発明の好ましい一実施形態に係る光透過部10の幅L1としては、例えば、15μm以上100μm以下などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
ルーバー部30の形状によっては、注目する放射方向によって光透過部10の幅L1が異なる場合がある。このような場合、少なくとも1つの放射方向に沿う光透過部10の幅L1が上記の範囲を満たすことが好ましい。また、全ての放射方向に沿う光透過部10の幅L1が上記の範囲を満たすことがより好ましい。
【0065】
好ましい光透過層の厚み(2以上の層状部材から構成される場合にはこれらの総厚)、および好ましい光透過層用材料層110の厚み(2以上の層状部材から構成される場合にはこれらの総厚)もまた、それぞれ、上記範囲と同様である。ルーバー部30の形状および注目する放射方向によっては、光透過部10の幅L1は、光透過層の厚みに相当する場合があるからである。
【0066】
遮光部20のルーバー部30の放射方向に沿う幅寸法(ルーバー部30の厚さ方向と直交する平面において巻き中心C1から外周縁に向かう方向に沿う遮光部20の幅、遮光部20の幅L3)は、ルーバーフィルム100の目的とする視野角の角度範囲に応じて適宜設定することができる。遮光部20の幅L3は、特に制限されないが、20μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることがさらに好ましい。遮光部20の幅L3は、特に制限されないが、0.01μm以上であることが好ましい。また、遮光部20が2以上の層から構成される場合、上記幅L3は、これらの総幅を表す。例えば、
図2では、遮光部20の幅L3は、遮光部20の高さ方向(ルーバー部30の厚さ方向)と直交する図中Y方向(左右方向)の寸法を表す。本発明の好ましい一実施形態に係る遮光部20の幅L3としては、例えば、0.01μm以上20μm以下、0.01μm以上15μm以下、0.01μm以上10μm以下などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
ルーバー部30の形状によっては、注目する放射方向によって遮光部20の幅L3が異なる場合がある。このような場合、少なくとも1つの放射方向に沿う遮光部20の幅L3が上記の範囲を満たすことが好ましい。また、全ての放射方向に沿う遮光部20の幅L3が上記の範囲を満たすことがより好ましい。
【0068】
好ましい遮光層の厚み(2以上の層状部材から構成される場合にはこれらの総厚)、および好ましい遮光層用材料層120の厚み(2以上の層状部材から構成される場合にはこれらの総厚)もまた、それぞれ、上記範囲と同様である。ルーバー部30の形状および注目する放射方向によっては、遮光部20の幅L3は、遮光層の厚みに相当する場合があるからである。
【0069】
本発明の好ましい一実施形態としては、光透過部10の幅L1に対する、ルーバー部30の厚さに相当する遮光部20の高さL2の比(L2/L1)は、特に制限されないが、視野角制御観点から、0.5以上であることが好ましく、1.0以上であることがより好ましく、1.5以上であることがさらに好ましい。幅L1に対する高さL2の比(L2/L1)は、ルーバーフィルム100の目的とする視野角に応じて上記数値を満たすように適宜設定可能である。幅L1に対する高さL2の比(L2/L1)は、特に制限されないが、数値が大きくなると透過する光の角度の範囲が狭まるため、ある程度の角度の範囲で光を透過するとの観点から、30以下であることが好ましく、25以下であることがより好ましく、20以下であることがさらに好ましい。例えば、
図2では、ルーバーフィルム100の厚さ方向に沿う断面において、光透過部10の幅L1は、ルーバー部30の放射方向に沿う光透過部10の幅L1であり、遮光部20の高さは、Z方向の高さ寸法あって、ルーバー部30の厚さに相当する。本発明の好ましい一実施形態に係る幅L1に対する高さL2の比(L2/L1)としては、例えば、0.5以上30以下、1.0以上25以下、1.5以上20以下などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
ルーバー部30の形状によっては、注目する放射方向によって光透過部10の幅L1に対する、遮光部20の高さL2の比(L2/L1)が異なる場合がある。このような場合、少なくとも1つの放射方向に沿う光透過部10の幅L1に対する、遮光部20の高さL2の比(L2/L1)が上記の範囲を満たすことが好ましい。また、全ての放射方向に沿う光透過部10の幅L1に対する、遮光部20の高さL2の比(L2/L1)が上記の範囲を満たすことがより好ましい。
【0071】
ルーバーフィルム100のルーバー部30の放射方向に沿う幅寸法(ルーバー部30の厚さ方向と直交する平面において巻き中心C1から外周縁に向かう方向に沿う幅、ルーバー部30の幅L4)は、デバイスに搭載した際の用途に応じて適宜変更可能であり、特に制限されない。
【0072】
ルーバー部30の巻回軸Cの方向と、ルーバー部30の厚さ方向と直交する平面とのなす角度は、ルーバー部30の巻回軸Cの方向と、ルーバー部30の厚さ方向と直交する平面とが交差していれば特に制限されない。ルーバー部30の巻回軸Cの方向は、ルーバー部30の厚さ方向と直交する平面と直交する方向であることが好ましい。
【0073】
ルーバーフィルム100のルーバー部30の厚さは、ルーバーフィルム100としての機能が発揮できれば特に制限されないが、バラツキが小さいほど好ましく、略一定であることが好ましい。本明細書において、ルーバー部30の厚さが略一定とは、意図せずに生じる厚さのバラツキは存在してもよいことを表す。ルーバーフィルム100のルーバー部30の厚さは、特に制限されないが、1μm以上であることが好ましい。ルーバーフィルム100のルーバー部30の厚さは、特に制限されないが、5,000μm以下であることが好ましい。例えば、
図2では、ルーバー部30の厚さは、ルーバー部30のZ方向の高さ寸法である。本発明の好ましい一実施形態に係るルーバー部30の厚さとしては、例えば、1μm以上5,000μm以下などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
ルーバー部30の厚さは、例えば
図6に示すように、巻き中心C1を基準とする、ルーバー部上の特定の4点(測定位置P1)の厚さの平均値として表す。
図6に示すように、測定位置P1は、芯材40を含むルーバーフィルム100を平面視したときの巻き中心C1を通る直交座標系を設定し、2つの軸(X軸、Y軸)上における2軸の交差位置(巻き中心C1と一致)から外周縁に所定距離向かったルーバー部30上の任意の位置とすることができる。なお、図中の「+X」、「-X」、「+Y」、「-Y」は、それぞれ直交座標系の方向を表す。
【0075】
ルーバーフィルム100のルーバー部30が有する巻回構造の巻き数(巻回構造における、光透過層と、遮光層とを含む積層体100Aの巻き数)は、ルーバーフィルム100の製造方法や、デバイスに搭載した際の用途に応じて適宜変更可能であり、特に制限されない。ルーバーフィルム100のルーバー部30が有する巻回構造の巻き数は、例えば、2巻き以上としてもよく、例えば、5巻き以上としてもよい。ルーバーフィルム100のルーバー部30が有する巻回構造の巻き数は、例えば、100,000巻き以下としてもよい。本発明の好ましい一実施形態に係るルーバー部30の厚さとしては、例えば、2巻き以上100,000巻き以下、5巻き以上100,000巻き以下などが挙げられる。但し、ルーバーフィルム100のルーバー部30が有する巻回構造の巻き数は、デバイスのサイズなどに応じて所望の巻き数を選択すればよい。したがって、ルーバーフィルム100のルーバー部30が有する巻回構造の巻き数は、上記範囲に限定されず、例えば、100,000巻きを超えてもよい。
【0076】
本発明の好ましい一実施形態において、ルーバー部30の平面視における外形(ルーバー部30の厚さ方向と直交する平面における外形)は、特に制限されないが、例えば、円形、楕円形、多角形などが挙げられる。ルーバー部30の平面視における外形の判断は、ルーバー部30の外周縁に積層体100Aの巻き始めや巻き終わりなどに起因する段差が存在する場合には、この段差を考慮せずに行う。多角形としては、頂点周辺に丸みを帯びた、略多角形も含まれるとする。例えば、四角形としては、頂点周辺に丸みを帯びた、略四角形が挙げられる。これらの中でも、円形または多角形(略多角形も含む)であることが好ましく、円形または四角形(略四角形も含む)であることがより好ましく、円形または角丸矩形(トラック形状)であることがさらに好ましく、円形であることが特に好ましい。
【0077】
本発明の好ましい一実施形態において、ルーバー部30を平面視したとき、ルーバー部30の表面(ルーバー部30の厚さ方向と直交する平面)の総面積に対する、遮光部20の面積が占める割合は、特に制限されない。当該遮光部20の面積が占める割合は、50%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、25%以下であることがさらに好ましく、20%以下であることが特に好ましい(下限0%超)。これらの範囲であると、ルーバーフィルム100自体の光の透過率がより向上する。ルーバー部30が光透過部10と、遮光部20とのみから構成される場合、ルーバー部30の表面の総面積は、光透過部10と、遮光部20との総面積となる。本発明の好ましい一実施形態に係るルーバー部30の表面の総面積に対する、遮光部20の面積が占める割合としては、例えば、0%超50%以下、0%超30%以下、0%超25%以下、0%超20%以下などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
本発明の好ましい一実施形態において、ルーバーフィルム100の全光線透過率は、高いほど好ましい。例えば、ルーバーフィルム100の全光線透過率は、55%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、65%以上であることがさらに好ましく、70%以上であることが特に好ましい。ルーバーフィルム100の全光線透過率は、特に制限されないが、例えば、100%未満が挙げられる。本発明の好ましい一実施形態に係るルーバーフィルム100の全光線透過率としては、例えば、55%以上100%未満、60%以上100%未満、65%以上100%未満、70%以上100%未満などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
ルーバーフィルム100の全光線透過率は、JIS K 7361-1:1997に準拠する試験方法において、評価することができ、ヘーズメーター(例えば、日本電色工業株式会社、型式名:NDH-5000W)を用いて測定することができる。ルーバーフィルム100の全光線透過率は、
図7に示すように、ルーバーフィルム100上の特定の4点(測定位置P2)の全光線透過率の平均値として表す。
図7に示すように、測定位置P2は、芯材40を含むルーバーフィルム100を平面視したときの巻き中心C1を通る直交座標系を設定し、2つの軸(X軸、Y軸)上における2軸の交差位置(巻き中心C1と一致)から外周縁に所定距離向かったルーバー部30上の任意の位置とすることができる。なお、図中の「+X」、「-X」、「+Y」、「-Y」は、それぞれ直交座標系の方向を表す。
【0080】
なお、ルーバーフィルム100はサイズが小さいことから、正確な測定のため、上記4点それぞれについて、全光線透過率を、2mmΦの穴あり遮光フィルムの全光線透過率(A)を測定し、その穴の部位にルーバーフィルム100を載せて全光線透過率(B)を測定し、ルーバーフィルム100の全光線透過率(単位:%)=全光線透過率(B)/全光線透過率(A)×100の計算で算出できる。但し、ルーバーフィルム100のサイズが大きく、上記のような操作および計算を行わずとも正確な測定ができる場合には、2mmΦの穴あり遮光フィルムを使用せずにルーバーフィルム100の測定を行い、得られた値をそのまま各点の全光線透過率(単位:%)の結果として使用することができる。ルーバーフィルム100は、これら4点の全光線透過率の平均値をフィルムの全光線透過率(単位:%)として評価することができる。
【0081】
ルーバーフィルム100の透過率は、バックライトおよび視野角測定評価装置としてオートロニック・メルシャス(Autronic Melchers)社のConoscopeを用いて評価することができる。評価方法としては、作製したルーバーフィルム100をバックライト上に載せて、バックライトを点灯して、同様にして光の角度(視野角)および各角度における輝度(2)(単位:cd/m2)を測定し、各角度について、ルーバーフィルム100を透過する光の透過率(光透過率)を、ルーバーフィルム100を透過する光の透過率(光透過率)(単位:%)=輝度(2)/輝度(1)×100の計算により算出することができる。測定方法の一例について、詳細を実施例に記載する。
【0082】
光透過層用材料層110の少なくとも一部が硬化性を有する場合、光透過部10の少なくとも一部は、硬化処理前の光透過層用材料層110から構成されていてもよく、硬化処理後の光透過層用材料層110から構成されていてもよい。光透過層用材料層110は、硬化性を有する層状部材を含み、光透過部10の少なくとも一部は、硬化処理後の当該層状部材から構成されることが好ましく、光透過部10の一部が、硬化処理後の当該層状部材から構成されることがより好ましい。硬化性を有する層状部材としては、特に制限されないが、例えば、接着層として機能する接着剤層が好ましい。すなわち、光透過層用材料層110は、接着剤層を含むことが好ましく、光透過部10は、接着剤層より得られる層(硬化処理後の接着剤層)であることが好ましい。
【0083】
光透過層、および光透過層用材料層110の厚さは、ルーバーフィルム100としての機能が発揮できれば特に制限されないが、それぞれ、バラツキが小さいほど好ましく、略一定であることが特に好ましい。本明細書において、光透過層、および光透過層用材料層110の厚さが略一定とは、それぞれ、意図せずに生じる厚さのバラツキは存在してもよいことを表す。光透過層、および光透過層用材料層110の好ましい厚さの範囲としては、例えば、それぞれ、前述する光透過部10の幅L1の好ましい範囲と同様の範囲が挙げられる。
【0084】
遮光層用材料層120の少なくとも一部が硬化性を有する場合、遮光部20の少なくとも一部は、硬化処理前の遮光層用材料層120から構成されていてもよく、硬化処理後の遮光層用材料層120から構成されていてもよい。遮光層用材料層120は、硬化性を有する層状部材を含み、遮光部20の少なくとも一部は、硬化処理後の当該層状部材から構成されていてもよい。遮光部20の一部が、硬化処理後の当該層状部材から構成されることがより好ましい。硬化性を有する層状部材としては、特に制限されないが、例えば、接着層として機能する接着剤層が好ましい。すなわち、遮光層用材料層120は、接着剤層を含んでいてもよく、遮光部20は、接着剤層より得られる層(硬化処理後の接着剤層)であることが好ましい。
【0085】
遮光層、および遮光層用材料層120の厚さは、ルーバーフィルム100としての機能が発揮できれば特に制限されないが、それぞれ、バラツキが小さいほど好ましく、略一定であることが特に好ましい。本明細書において、遮光層、および遮光層用材料層120の厚さが略一定とは、それぞれ、意図せずに生じる厚さのバラツキは存在してもよいことを表す。遮光層、および遮光層用材料層120の好ましい厚さの範囲としては、例えば、それぞれ、前述する遮光部20の幅L3の好ましい範囲と同様の範囲が挙げられる。
【0086】
ルーバーフィルム100は、上記のルーバー部30に加えて、他の部材をさらに含んでいてもよい。他の部材としては、特に制限されないが、例えば、後述する、芯材40、機能層F、および基材などが挙げられる。
【0087】
ルーバーフィルム100は、芯材40をさらに含むことが好ましい。芯材40は、例えば、ルーバーフィルム100の製造時において、積層体100Aを巻回する際の巻回中心に配置される芯部として機能し得る。ルーバーフィルム100は、芯材40をさらに含み、巻回構造は、光透過層および遮光層を含む積層体100Aが芯材40の周囲に巻回された状態の構造であることが好ましい。芯材40は、中空筒状若しくは柱状のものが適用可能である。芯材40は、透明であっても不透明であってもよい。
【0088】
芯材40の周囲に巻回された、光透過層と、遮光層とを含む積層体100Aの巻回構造は、特に制限されない。例えば、一本の長尺状の、光透過層と、遮光層とを含む積層体100Aがロール状に幾重にも巻き重ねられるように、この一本の長尺状の積層体が芯材40の周囲に巻回された状態の巻回構造が挙げられる。例えば、芯材40の周囲に光透過層と遮光層とが交互に同心円状に配置されるように、複数の、光透過層と、遮光層とを含む積層体100Aが芯材40の周囲に巻回された状態の巻回構造が挙げられる。これらの中でも、一本の長尺状の、光透過層と、遮光層とを含む積層体100Aがロール状に幾重にも巻き重ねられるように、この一本の長尺状の積層体100Aが芯材40の周囲に巻回された状態の巻回構造が好ましい。そして、この巻回構造は、芯材40の軸方向と一致する巻回軸Cを巻き中心C1として、一本の長尺状の積層体100Aが芯材40の周囲に巻回された状態の巻回構造であることが好ましい。
図1および
図2に示される巻回構造は、この巻回構造の一例である。
【0089】
芯材40の軸方向と直交する平面における断面の外形は、特に制限されないが、例えば、円形、楕円形、または多角形などが挙げられる。多角形としては、頂点周辺に丸みを帯びた、略多角形も含まれるとする。例えば、四角形としては、頂点周辺に丸みを帯びた、略四角形が挙げられる。これらの中でも、円形または多角形(略多角形も含む)であることが好ましく、円形または四角形(略四角形も含む)であることがより好ましく、円形または角丸矩形(トラック形状)であることがさらに好ましく、円形であることが特に好ましい。芯材40が中空状である場合、中空状の芯材40の穴部50は、空洞であってもよく、何らかの材料で充填されていてもよい。中空状の芯材40の穴部50を充填する材料としては、特に制限されないが、例えば、後述するルーバーフィルム100が有し得る機能層Fと同様の材料などが挙げられる。
【0090】
芯材40の軸方向と直交する平面における断面の外径(形状が円形以外の場合は最大径)は、ルーバーフィルム100の製造方法や、デバイスに搭載した際の用途に応じて適宜変更可能であり、特に制限されない。ルーバーフィルム100が芯材40を含む場合、ルーバーフィルム100中の芯材40の外径は、特に制限されないが、例えば、ルーバー部30の外径(形状が円形以外の場合は最大径)に対して10%以上の長さとしてもよい。ルーバーフィルム100が芯材40を含む場合、ルーバーフィルム100中の芯材40の外径は、特に制限されないが、例えば、ルーバー部30の外径(形状が円形以外の場合は最大径)に対して90%以下の長さとしてもよい。本発明の好ましい一実施形態に係るルーバーフィルム100中の芯材40の外径としては、ルーバー部30の外径に対して、例えば、10%以上90%以下などが挙げられる。但し、ルーバーフィルム100中の芯材40の外径は、上記範囲に限定されず、デバイスの構成などに応じて適宜選択すればよい。したがって、ルーバーフィルム100中の芯材40の外径は、例えば、ルーバー部30の外径(形状が円形以外の場合は最大径)に対して10%未満の長さとしてもよく、例えば、ルーバー部30の外径(形状が円形以外の場合は最大径)に対して90%超の長さとしてもよい。
【0091】
ルーバーフィルム100中の芯材40の厚さは、特に制限されないが、芯材40の厚さと、ルーバー部30の厚さとは同じであることが好ましく、例えば、上記のルーバー部30の厚さとして例示した範囲が挙げられる。
【0092】
ルーバーフィルム100は、芯材40を含まずに、ルーバー部30は、光透過層と、遮光層とを含む積層体100Aが巻回された状態の巻回構造を有していてもよい。
【0093】
ルーバーフィルム100は、ルーバー部30の一方または両方の面上に配置される機能層Fを含むことが好ましい。ここで、「面上に配置される」とは、ルーバー部30の表面と直接接して配置されてもよく、ルーバー部30の表面に、他の部材を介して配置されてもよいことを表す。これらの中でも、ルーバー部30の表面と直接接して配置されることが好ましい。機能層Fは、ルーバー部30の一方または両方の面に配置されてもよいが、両方の面上に配置されることが好ましい。ルーバーフィルム100は、基材を含んでいてもよい。機能層Fおよび基材は、それぞれ、所望の厚さとした際に、注目する少なくとも一部の波長の光の、少なくとも一部を透過できることが好ましい。機能層Fおよび基材は、それぞれ、所望の厚さとした際に、波長300nm以上1000nm以下の範囲における、注目する少なくとも一部の波長の光の、少なくとも一部を透過できることがより好ましい。機能層Fおよび基材の全光線透過率は、それぞれ、特に制限されないが、高いほど好ましい。機能層Fおよび基材の全光線透過率は、それぞれ、70%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。これらの範囲であると、ルーバーフィルム100を透過する光の角度範囲内において、優れた光透過性を示す。機能層Fを複数有する場合、各々の層の全光線透過率が上記の範囲を満たすことが好ましい。基材を複数有する場合、各々の基材の全光線透過率が上記の範囲を満たすことが好ましい。
【0094】
機能層Fおよび基材の全光線透過率は、それぞれ、JIS K 7361-1:1997に準拠する試験方法において、評価することができ、ヘーズメーター(例えば、日本電色工業株式会社、型式名:NDH-5000W)を用いて測定することができる。
【0095】
機能層Fとしては、特に制限されないが、例えば、公知の光学フィルム分野で使用される機能層が挙げられる。機能層Fとしては、保護層、アンチグレア層、易接着層、粘着剤層、接着剤層などの各種の機能層が挙げられる。これらの中でも、保護層がより好ましい。
【0096】
保護層の厚さ(複数の保護層を設ける場合には、各々の層の厚さ)は、特に制限されない。保護層の厚さは、ルーバー部30の透過率に影響を及ぼさずに保護機能が担保できる厚さであることが好ましい。保護層としての機能がより向上するとの観点から、1μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましく、5μm以上であることがさらに好ましい。また、保護層の厚さは、ルーバー部30の透過率への影響がより小さいとの観点から、30μm以下であることが好ましく、25μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることがさらに好ましい。本発明の好ましい一実施形態に係る保護層の厚さとしては、例えば、1μm以上30μm以下、3μm以上25μm以下、5μm以上20μm以下などが挙げられるが、これらに限定されない。また、保護層は、ルーバー層の少なくとも一方の面に設けることが好ましく、両方の面に設けることが好ましい。
【0097】
本発明の好ましい一実施形態において、ルーバーフィルム100は、ルーバー部30に加えて、芯材40を含む。本発明のより好ましい一実施形態において、ルーバーフィルム100は、ルーバー部30に加えて、芯材40および機能層F(好ましくは保護層)を含む。本発明のさらに好ましい一実施形態において、ルーバーフィルム100は、ルーバー部30に加えて、中空状の芯材40、機能層F(好ましくは保護層)および中空状の芯材40の穴部50を含む。
【0098】
以下、ルーバーフィルム100を構成する各部材の構成材料などについて説明する。
【0099】
〈光透過層用材料層〉
光透過層を構成する光透過層用材料層110の構成は、特に制限されない。光透過層用材料層110は、1または2以上の層状部材から構成されていてもよく、2以上の層状部材から構成されることが好ましい。光透過層用材料層110が2以上の層状部材から構成される場合、これらの層状部材を構成する部材の屈折率を調整することにより、透過する光の角度範囲を制御することができる。
【0100】
光透過層用材料層110の少なくとも一部を構成するための層状部材の形成方法は、特に制限されず、例えば、公知の方法が適宜採用され得る。
【0101】
光透過層用材料層110を構成する層状部材としては、特に制限されないが、例えば、フィルム、薄膜などが挙げられる。これらの中でも、光透過層用材料層110は、フィルム(本明細書において、光透過層用材料層110が有し得るフィルムを、光透過層用フィルム110aとも称する)と、機能層(本明細書において、光透過層用材料層110が有し得る機能層を、光透過層用機能層110bとも称する)とを含むことが好ましい。光透過層用フィルム110aおよび光透過層用機能層110bは、それぞれ、膜厚制御が容易であることから、透過する光の角度範囲の制御がより容易となる。光透過層用フィルム110aは、特に制限されないが、樹脂フィルムが好ましい。光透過層用機能層110bとしては、特に制限されないが、例えば、ハードコート層、アンチグレア層、易接着層、粘着剤層、ならびに接着剤層およびその硬化層などの各種の機能層が挙げられる。光透過層用機能層110bは、巻回構造の形成の容易性、ならびに巻回構造の強固さおよび安定性の観点から、接着層として機能する粘着剤層または接着剤層を含むことが好ましく、接着剤層を含むことが好ましい。本発明の好ましい一実施形態において、光透過層用材料層110は、樹脂フィルムと、接着剤層とを含む。
【0102】
光透過層用材料層110の構成材料は、特に制限されないが、樹脂を含むことが好ましい。本明細書において、光透過層用材料層110の材料としての樹脂は、所望の厚さの層を形成した際に、当該層(または光透過層とするための処理を経た当該層)が光透過部10となり得る程度の光を透過することができる樹脂であれば特に制限されない。光透過層用材料層110の材料としての樹脂は、例えば、セルロースジアセテート、セルローストリアセテートなどのセルロース樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタアクリレート、メチルメタクリレート・メチルアクリレート共重合体などの(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体などのポリオレフィン樹脂、シクロオレフィンポリマーなどの環状オレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ナイロンや芳香族ポリアミドなどのポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂が好ましく、PET、エポキシ樹脂がより好ましい。樹脂は、一種単独でまたは二種以上を組み合わせて用いてもよい。樹脂を二種以上組み合わせて用いる場合、これらの樹脂は、1つの層状部材に含まれていてもよく、異なる層状部材に含まれていてもよい。
【0103】
光透過層用材料層110は、添加剤をさらに含有していてもよい。添加剤としては、特に制限されないが、例えば、樹脂フィルム分野、光学フィルム分野、粘着剤分野、接着剤分野、機能層分野で用いられる公知の添加剤などが挙げられる。
【0104】
光透過層用材料層110が光透過層用フィルム110aを含む場合、光透過層用フィルム110aは、特に制限されないが、樹脂フィルムであることが好ましい。樹脂フィルムは、上記の光透過層用材料層110の材料として例示した一種または二種以上の樹脂を含むフィルムであることが好ましい。これらの中でも、樹脂フィルムとしては、セルロースジアセテートフィルム、セルローストリアセテートフィルムなどのセルロース樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムなどのポリエステル樹脂フィルム、ポリメチルアクリレートフィルム、ポリメチルメタアクリレートフィルム、メチルメタクリレート・メチルアクリレート共重合体フィルムなどの(メタ)アクリル樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、エチレン・プロピレン共重合体フィルムなどのポリオレフィン樹脂フィルム、シクロオレフィンポリマーなどの環状オレフィン樹脂フィルムなどが好ましい例として挙げられる。これらの中でも、ポリエステル樹脂フィルムがより好ましく、PETフィルムがさらに好ましい。これらの樹脂フィルムは、一種単独でまたは二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0105】
樹脂フィルムは、市販品を用いてもよく、製造品を用いてもよい。市販品としては、特に制限されない。PETフィルムの市販品としては、例えば、東洋紡株式会社製コスモシャイン(登録商標)シリーズ(例えば、コスモシャイン(登録商標)A4360 各種膜厚品)などが挙げられる。環状オレフィン樹脂フィルムの市販品としては、例えば、JSR株式会社製アートン(登録商標)シリーズ、日本ゼオン株式会社製ゼオネックス(登録商標)シリーズ、ゼオノア(登録商標)シリーズなどが挙げられる。(メタ)アクリル樹脂フィルムの市販品としては、例えば、株式会社クラレ製アクリルフィルムRT、SO、HIシリーズなどが挙げられる。TACフィルムの市販品としては、例えば、富士フイルム株式会社製フジタック(登録商標)シリーズ(UV-50、UV-80、SH-80、TG40UL、TD-80U、TD-TAC、UZ-TAC、)などが挙げられる。
【0106】
光透過層用材料層110が光透過層用機能層110bを含む場合、光透過層用機能層110bは、特に制限されないが、上記の光透過層用材料層110の材料として例示した一種または二種以上の樹脂を含む層であることが好ましい。光透過層用機能層110bが粘着剤層または接着剤層である場合、粘着剤層または接着剤層は、ポリビニルアルコール樹脂、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタアクリレート、メチルメタクリレート・メチルアクリレート共重合体などの(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、およびウレタン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂を含むことが好ましい。これらの中でも、エポキシ樹脂を含むことが好ましい。光透過層用機能層110bは、粘着剤層および接着剤層からなる群より選択される少なくとも一方であることが好ましく、粘着剤層または接着剤層であることがより好ましく、接着剤層であることがさらに好ましい。光透過層用機能層110bが粘着剤層および接着剤層からなる群より選択される少なくとも一方である場合、これらの形成材料としては、特に制限されないが、例えば、ポリビニルアルコール粘着剤、アクリル接着剤、エポキシ接着剤、ウレタン接着剤などが挙げられる。これらの光透過層用機能層110bは、一種単独でまたは二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0107】
光透過層用機能層110bは、市販品を用いて形成してもよく、製造品を用いて形成してもよい。光透過層用機能層110bを形成する場合、光透過層用機能層110bの形成材料としての市販品は、特に制限されない。光透過層用機能層110bの一つである接着剤層の形成材料としては、例えば、市販のエポキシ接着剤(例えば、セメダイン株式会社製 エポキシ接着剤1565主剤および硬化剤D)などが挙げられる。また、製造品としては、エポキシ樹脂(デナコールEX-321(ナガセケムテックス株式会社製)、屈折率:1.46):硬化剤(QE340M(東レファインケミカル社製)、屈折率:1.50)=48:52(質量比)に促進剤(セイクオール TDMP(精工化学株式会社製))を1wt%添加して混合し、得られた混合物を、固形分濃度が80質量%となるようメチルエチルケトンと混合・攪拌したもの(実施例で示す処方1の接着層形成用塗布液に相当)、エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂 RE310S(日本化薬社製)、屈折率:1.57):硬化剤(QE340M(東レファインケミカル社製)、屈折率:1.50)=55:45(質量比)に促進剤(セイクオール TDMP(精工化学株式会社製))を1wt%添加して混合し、得られた混合物を、固形分濃度が80質量%となるようメチルエチルケトンと混合・攪拌したもの(実施例で示す処方2の接着層形成用塗布液に相当)などを好適に用いることができる。なお、接着層を形成する接着層形成用の材料については、ルーバーフィルム100の機能を損なわずに接着層として機能し得る材料で構成されたものであれば特に制限されない。
【0108】
光透過層用材料層110が光透過層用フィルム110aを含む場合、光透過層用フィルム110aの厚さは、所望の光の角度の制御効果が得られる範囲とすればよい。光透過層用フィルム110aの厚さの範囲は、例えば、5μm以上、10μm以上、15μm以上としてもよいが、これらに限定されない。光透過層用フィルム110aの厚さの範囲は、例えば、100μm以下、95μm以下、90μm以下、85μm以下としてもよいが、これらに限定されない。本発明の好ましい一実施形態に係る光透過層用フィルム110aの厚さの範囲としては、例えば、5μm以上100μm以下、10μm以上95μm以下、15μm以上90μm以下、15μm以上85μm以下などが挙げられるが、これらに限定されない。光透過層用材料層110が光透過層用機能層110bを含む場合、光透過層用機能層110bの厚さは、所望の光の角度の制御効果が得られる範囲とすればよい。光透過層用機能層110bの厚さの範囲は、例えば、0μm超20μm以下、0μm超15μm以下、0μm超10μm以下としてもよいが、これらに限定されない。例えば、接着剤層などのように、光透過層の少なくとも一部を構成するために処理(例えば、硬化処理)が必要とされる場合、これらの厚さは、それぞれ、当該処理後の状態での厚さの値を表すものとする。光透過層用フィルム110aの厚さ、および光透過層用機能層110bの厚さとは、それぞれ、光透過層用フィルム110aの膜厚方向の長さ、および光透過層用機能層110bの膜厚方向の長さを表す。
【0109】
〈遮光層用材料層〉
遮光層用材料層120は、遮光性を有する。遮光層用材料層120は、光吸収性を有してもよく、光反射性を有してもよく、これらの組み合わせであってもよい。これらの中でも、遮光層用材料層120は、光吸収性を有する部材で構成するのが好ましい。
【0110】
遮光層用材料層120の色調は、好ましい遮光性が得られればよく、例えば黒、赤、黄、緑、青、水色などとすることができる。この色調は、光吸収性を有する材料の場合、その種類および使用量(添加量・含有量)によって調整できる。
【0111】
遮光層用材料層120の構成は、特に制限されない。遮光層用材料層120は、1または2以上の層状部材から構成されていてもよく、1の層状部材から構成されることが好ましい。遮光層用材料層120を構成する層状部材としては、特に制限されないが、例えば、フィルム、薄膜などが挙げられる。
【0112】
遮光層用材料層120の少なくとも一部を構成するための層状部材の形成方法は、特に制限されない。遮光層用材料層120の少なくとも一部を構成するための層状部材は、例えば、溶液流延法、溶融流延法、塗布法、スパッタリング法、蒸着法、イオンプレーティング法、化学蒸着法(CVD法)などをはじめとする公知の方法によって形成されてもよい。
【0113】
遮光層用材料層120は、光吸収性を有する材料を含むことが好ましい。光吸収性を有する材料としては、特に制限されないが、例えば、染料、顔料などの着色剤が挙げられる。顔料としては、特に制限されず、有機顔料であっても、無機顔料であってもよく、例えば、カーボンブラック、ベンガラ、酸化鉄、酸化チタン、黄色酸化鉄、ジスアゾイエロー、フタロシアニンブルーなどの公知の顔料が挙げられる。染料としては、特に制限されないが、例えば、C.I.ダイレクトブラック19、22、32、38、51、56、71、74、75、77、154、168および171などの公知の黒色を呈する染料が挙げられる。染料としては、キサンテン系染料、アゾ系染料、およびアニリン系染料などが挙げられる。着色剤で着色した有機微粒子や着色剤で着色したガラスビーズなどが挙げられる。光吸収性を有する材料としては、特に制限されないが、例えば、グラファイトなどの着色した材料であってもよい。光吸収性を有する材料は、一種単独でまたは二種以上を組み合わせて用いてもよい。光吸収性を有する材料を二種以上組み合わせて用いる場合、これらの材料は、1つの層状部材に含まれていてもよく、異なる層状部材に含まれていてもよい。
【0114】
遮光層用材料層120は、光吸収性を有する材料のみから構成されていてもよく、光吸収性を有する材料と、他の材料とから構成されていてもよい。他の材料としては、特に制限されないが、例えば、前述の光透過層用材料層110を構成する材料などが挙げられる。例えば、上記の光透過層用材料層110の材料として例示した樹脂などが挙げられる。また、遮光層用材料層120は、添加剤をさらに含有していてもよい。添加剤としては、特に制限されないが、例えば、樹脂フィルム分野、光学フィルム分野、粘着剤分野、接着剤分野、機能層分野で用いられる公知の添加剤などが挙げられる。遮光層用材料層120は、着色剤(例えば、顔料、染料など)と、樹脂とを含むことが好ましく、顔料と、樹脂とを含むことがより好ましい。
【0115】
遮光層用材料層120は、例えば、上記の光透過層用材料層110の説明における光透過層用フィルム110a(好ましくは、樹脂フィルム)、および光透過層用機能層110bに対して、それぞれ、上記の光吸収性を有する材料を所望の遮光性を実現する量で含有されることによって形成されてもよい。
【0116】
遮光層用材料層120は、フィルム(本明細書において、遮光層用材料層120が有し得るフィルムを、遮光層用フィルムとも称する)であってもよく、機能層(本明細書において、遮光層材料層が有し得る機能層を、遮光層用機能層とも称する)であってもよく、これらの組み合わせであってもよい。これらの中でも、遮光層用機能層であることが好ましい。遮光層用機能層としては、特に制限されないが、例えば、インク層、光吸収性を有するハードコート層、光吸収性を有するアンチグレア層、光吸収性を有する易接着層、光吸収性を有する粘着剤層、ならびに光吸収性を有する接着剤層およびその硬化層などの各種の光吸収性を有する着色層(好ましくは、黒色層)などが挙げられる。これらの中でも、インク層、光吸収性を有する粘着剤層、光吸収性を有する接着剤層からなる群より選択される少なくとも1種の層であることが好ましい。また、インク層(インクより形成される層、例えば、顔料および/または染料と、樹脂とを含む層、好ましくは顔料および樹脂を含む層など)であることがより好ましい。そして、黒色インク層(例えば、黒色顔料および/または黒色染料と、樹脂とを含む層、好ましくは黒色顔料および樹脂を含む層など)がさらに好ましい。これらの層の形成材料の処方によっては塗布などの膜厚制御が容易な方法で形成することが可能な場合も多い。その結果、透過する光の角度範囲の制御がより容易となる。また、遮光層用材料層120の厚さをより薄くすることができるため、結果として遮光部20の幅が狭まり、ルーバーフィルム100における正面に対する良好な光透過率を実現することができる。また、ルーバーフィルム100を使用するデバイスにおいて、より良好な性能(輝度・コントラスト)を確保することが期待される。
【0117】
遮光層用材料層120は、市販品を用いて形成もよく、製造品を用いて形成してもよい。遮光層用材料層120を形成する場合、遮光層形成材料の市販品は、特に制限されない。着色層形成材料の市販品としては、例えば、市販のインク(例えば、帝国インキ株式会社製EGインキ(EG-911墨))などが挙げられる。製造品としては、熱硬化エポキシ樹脂75wt%にBASF社製Paliotol(登録商標)Black L 0080 25wt%を分散したものなどを用いることができる。遮光層用材料層120に用いされる熱可塑性エポキシ樹脂としては、特に制限されず、例えば光透過層用材料層110や光透過層用機能層110bに使用され得るエポキシ樹脂またはエポキシ樹脂に硬化剤などの他の材料を混合させた混合物を用いることができる。
【0118】
遮光層用材料層120は、巻回構造の形成の容易性、ならびに巻回構造の強固さおよび安定性の観点から、接着層として機能する粘着剤層または接着剤層を含むことが好ましく、接着剤層を含むことが好ましい。本発明の好ましい一実施形態において、遮光層用材料層120は、樹脂フィルムと、接着剤層とを含む。接着層を構成する材料としては、光透過層用機能層110bに使用可能な接着剤に、遮光層用材料層120に使用可能な顔料や染料などを混合して得られた遮光性を有する粘着剤を使用することができる。
【0119】
遮光層用フィルムの厚さは、特に制限されず、所望の光の角度の制御効果が得られる範囲とすればよい。遮光層用フィルムの厚さの範囲の例としては、上記の光透過層用フィルム110aの厚さの範囲の例と同様である。遮光層用機能層の厚さは、特に制限されず、所望の光の角度の制御効果が得られる範囲とすればよい。遮光層用機能層の厚さの範囲の例としては、上記の光透過層用機能層110bの厚さの範囲の例と同様である。例えば、接着剤層などのように、遮光層の少なくとも一部を構成するために処理(例えば、硬化処理)が必要な場合、これらの厚さは、それぞれ、当該処理後の状態での厚さの値を表すものとする。
【0120】
光透過層用材料層110および遮光層用材料層120からなる群より選択される少なくとも一方の部材は、接着層として機能する粘着剤および接着剤からなる群より選択される少なくとも一方を含むことが好ましく、粘着剤または接着剤層を含むことがより好ましく、接着剤を含むことがさらに好ましい。光透過層用材料層110および遮光層用材料層120の少なくとも一方の部材に接着層を含ませることにより、巻回体100Bの形成がより容易となり、より強固で安定な巻回体100Bの形成が可能になる。接着層は、光透過部10の一部として機能するように光透過性を有する層状部材、または遮光部20として機能するように遮光性を有する層状部材で構成することができる。
【0121】
〈光透過層用材料層および遮光層用材料層の全光線透過率〉
光透過層用材料層110の全光線透過率は、特に制限されないが、高いほど好ましい。光透過層用材料層110の全光線透過率としては、例えば、70%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。光透過層用材料層110の全光線透過率としては、光透過層用材料層110が2以上の層状部材を含む場合には、各層状部材の全光線透過率が上記の範囲を満たすことが好ましい。これらの範囲であると、ルーバーフィルム100を透過する光の角度範囲内において、優れた光透過性を示す。本明細書において、光透過層用材料層110の少なくとも一部が光透過層を形成するための処理(例えば、硬化処理)前の層状部材であり、そのような処理を経て光透過層の少なくとも一部を構成する場合、当該層状部材の全光線透過率とは、当該処理後の状態(光透過層中と同様と考えられる状態)での全光線透過率の値を表すものとする。
【0122】
層状部材が、光透過層を形成するための処理(例えば、硬化処理)を経て光透過層の少なくとも一部を構成する場合、上記の処理前後の両方の状態で上記の全光線透過率の範囲を満たすことが好ましい。
【0123】
遮光層用材料層120の全光線透過率は、特に制限されないが、低いほど好ましい。遮光層用材料層120の全光線透過率としては、例えば、5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。遮光層用材料層120の全光線透過率としては、遮光層用材料層120が2以上の層状部材を含む場合には、各層状部材の全光線透過率が上記の遮光部20の全光線透過率の好ましい範囲と同様の範囲を満たすことが好ましい。これらの範囲であると、ルーバーフィルム100を透過する光の角度の制御効果がより向上する。本明細書において、遮光層用材料層120の少なくとも一部が遮光層を形成するための処理(例えば、硬化処理)前の層状部材であり、そのような処理を経て遮光層の少なくとも一部を構成する場合、当該層状部材の全光線透過率とは、当該処理後の状態(遮光層中と同様と考えられる状態)での全光線透過率の値を表すものとする。
【0124】
層状部材が、遮光層を形成するための処理(例えば、硬化処理)を経て遮光層の少なくとも一部を構成する場合、上記の処理前後の両方の状態で上記の全光線透過率の範囲を満たすことが好ましい。
【0125】
光透過層用材料層110、遮光層用材料層120、およびこれらに含まれる層状部材の全光線透過率は、それぞれ、JIS K 7361-1:1997に準拠する試験方法において、評価することができ、ヘーズメーター(例えば、日本電色工業株式会社、型式名:NDH-5000W)を用いて測定することができる。光透過層用材料層110およびこれに含まれる層状部材の全光線透過率は、それぞれ、厚さ方向(光透過層用材料層110の膜厚方向、積層体100Aにおいて積層方向となる方向)について測定して得られた値である。遮光層用材料層120およびこれに含まれる層状部材の全光線透過率は、それぞれ、厚さ方向(遮光層用材料層120の膜厚方向、積層体100Aにおいて積層方向となる方向)について測定して得られた値である。
【0126】
光透過部10を構成する光透過層は、1または2以上の、全光線透過率が70%以上である層状部材(光透過層用材料層110を構成する層状部材)を材料として構成され、遮光部20を構成する遮光層は、1または2以上の、全光線透過率が5%以下である層状部材(遮光層用材料層120を構成する層状部材)を材料として用いて構成されることが好ましい。この場合において、光透過層用材料層110を構成する層状部材(2以上の層状部材を材料とする場合は、各々の層状部材)の全光線透過率の好ましい範囲は、上記の光透過層用材料層110の全光線透過率の好ましい範囲と同様である。また、遮光層用材料層120を構成する層状部材(2以上の層状部材を材料とする場合は、各々の層状部材)の全光線透過率の好ましい範囲は、上記の遮光層用材料層120の全光線透過率のより好ましい範囲と同様である。前述のように、層状部材が、目的とする層を形成するための処理(例えば、硬化処理)を経て目的とする層の少なくとも一部を構成する場合には、層状部材の全光線透過率とは、当該処理後の状態での全光線透過率の値を表すものとする。また、層状部材の全光線透過率は、層状部材の厚さ方向(積層体100Aにおいて積層方向となる方向)について測定して得られた値である。
【0127】
〈芯材〉
ルーバーフィルム100に含まれてもよい他の部材として、芯材40は、特に制限されず、公知の芯材を使用して構成することができる。
【0128】
芯材40の構成材料は、特に制限されないが、樹脂が好ましい。また、注目する少なくとも一部の波長の光の、少なくとも一部を透過する樹脂がより好ましい。芯材40の材料としての樹脂は、例えば、セルロースジアセテート、セルローストリアセテートなどのセルロース樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタアクリレート、メチルメタクリレート・メチルアクリレート共重合体などの(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体などのポリオレフィン樹脂、シクロオレフィンポリマーなどの環状オレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ナイロンや芳香族ポリアミドなどのポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂が好ましい。樹脂は、一種単独でまたは二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0129】
芯材40は、添加剤をさらに含有していてもよい。添加剤としては、例えば、芯材分野で用いられる公知の添加剤などが挙げられる。
【0130】
芯材40の軸方向と直交する平面における断面の外形、および芯材40の軸方向と直交する平面における断面の外径(形状が円形以外の場合は最大径)は、それぞれ、上記で説明した通りである。芯材40は、上記で説明した通り、中空筒状若しくは柱状のものが適用可能である。
【0131】
なお、芯材40が中空状である場合、中空部分は空洞であってもよく、中空状の芯材40の穴部50は少なくとも一部は、任意の材料によって充填されていてもよい。例えば、中空状の芯材40の穴部50は、後述する、機能層Fと同様の材料によって充填されてもよい。
【0132】
芯材40は、市販品を用いてもよく、製造品を用いてもよい。市販品としては、特に制限されないが、例えば、株式会社菅原工芸より購入可能なアクリルパイプ、ポリカーボネートパイプなどが挙げられる。
【0133】
なお、積層体100Aを、芯材40を用いず巻回して、巻回体100Bを形成することもできる。
【0134】
〈機能層〉
ルーバーフィルム100に含まれてもよい他の部材として、機能層Fは、特に制限されず、公知の機能層を使用して構成することができる。機能層Fとしては、保護層が好ましい。保護層の好ましい全光線透過率の範囲は、前述の機能層Fの好ましい全光線透過率の範囲と同様である。保護層を複数有する場合、各々の層の全光線透過率が上記の範囲を満たすことが好ましい。なお、保護層の好ましい全光線透過率の測定方法もまた、前述の機能層Fの全光線透過率の測定方法と同様である。
【0135】
機能層Fが保護層である場合、保護層は、特に制限されないが、樹脂を含むことが好ましい。保護層の材料となる樹脂は、所望の厚さとした際に、注目する少なくとも一部の波長の光の、少なくとも一部を透過する樹脂がより好ましい。保護層の材料となる樹脂としては、硬化性樹脂が好ましく、活性エネルギー線硬化性樹脂がより好ましく、紫外線硬化性樹脂がさらに好ましい。保護層の材料としての樹脂は、例えば、セルロースジアセテート、セルローストリアセテートなどのセルロース樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタアクリレート、メチルメタクリレート・メチルアクリレート共重合体などの(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体などのポリオレフィン樹脂、シクロオレフィンポリマーなどの環状オレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ナイロンや芳香族ポリアミドなどのポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂などが挙げられる。紫外線硬化性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、一種単独でまたは二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0136】
保護層は、添加剤をさらに含有していてもよい。添加剤としては、特に制限されないが、例えば、樹脂フィルム分野、光学フィルム分野、機能層分野で用いられる添加剤などが挙げられる。
【0137】
保護層は、市販品を用いても製造品を用いてもよい。保護層を製造する場合、保護層形成材料の市販品としては、特に制限されないが、例えば、三洋化成工業株式会社 紫外線(UV)硬化樹脂 サンラッド(登録商標)TF-01などが挙げられる。
【0138】
[ルーバーフィルムの製造方法]
ルーバーフィルム100の製造方法は、特に制限されない。しかしながら、ルーバーフィルム100の製造方法としては、光透過層用材料層110と、遮光層用材料層120とを含む積層体100Aを巻回して巻回体100Bを作製する巻回工程と、巻回体100Bを、巻回体100Bの巻回軸方向と交差する方向に切断して、ルーバー部30を形成する切断工程を含む方法が好ましい。これより、本発明の他の一実施形態は、光透過部10を形成するための光透過層用材料層110と、遮光部20を形成するための遮光層用材料層120とを含む積層体100Aを巻回して巻回体100Bを作製する巻回工程と、巻回体100Bを、巻回体100Bの巻回軸方向と交差する方向に切断して、巻回構造を有するルーバー部30を形成する切断工程と、を含む、ルーバー部30を含むルーバーフィルム100の製造方法に関するとも言える。
【0139】
ルーバーフィルム100の製造方法は、巻回工程の前に、光透過層用材料層110と、遮光層用材料層120とを含む積層体100Aを形成する積層形成工程を含むことが好ましい。
【0140】
光透過層用材料層110は、そのままで、またはその少なくとも一部が光透過層を形成するための処理前の層状部材である場合には、そのような処理(例えば、硬化処理など)を経て、光透過部10を構成する光透過層となる。遮光層用材料層120は、そのままで、またはその少なくとも一部が遮光層を形成するための処理前の層状部材である場合にはそのような処理(例えば、硬化処理など)を経て、遮光部20を構成する遮光層となる。これにより、ルーバーフィルム100のルーバー部30は、光透過層と、遮光層とを含む積層体100Aが巻回された状態の巻回構造を有する構成となる。
【0141】
また、積層体100Aを形成する際、光透過層用材料層110で構成される光透過部10は、光透過性を有する接着層を含んでもよいし、遮光層用材料層120で構成される遮光部20は、遮光性を有する接着層を含んでもよい。接着層は、光透過性を有する場合は光透過層用機能層110bとして光透過層用材料層110を構成し、遮光性を有する場合は遮光層用機能層として遮光層用材料層120を構成する。これにより、ルーバーフィルム100のルーバー部30は、光透過層と、遮光層と接着層と、を含む積層体100Aが巻回された状態の巻回構造を有する構成となる。
【0142】
次に、ルーバーフィルム100の製造方法について、
図4を参照しながら説明する。但し、
図4は、本発明の一実施形態に係るルーバーフィルム100を製造する方法に関するものであって、本発明に係るルーバーフィルム100を製造する方法は、これらの図によって説明される構成に限定されない。
【0143】
〈積層体形成工程〉
ルーバーフィルム100の製造方法は、光透過層用材料層110と、遮光層用材料層120とを積層する工程を含むことが好ましい。当該工程では、これらに加えて、他の部材をさらに積層してもよいが、光透過層用材料層110と、遮光層用材料層120とのみを積層することが好ましい。例えば、
図4に示すように、まず積層体100Aを構成する光透過層用材料層110と、遮光層用材料層120とを積層させる。
【0144】
また、必要に応じて光透過層用材料層110および遮光層用材料層120からなる群より選択される少なくとも一方の部材の一部として、粘着剤層および接着剤層からなる群より選択される少なくとも一方(好ましくは接着剤層)を接着層として形成することが好ましい。粘着剤層および接着剤層からなる群より選択される少なくとも一方が光透過層用材料層110および遮光層用材料層120からなる群より選択される少なくとも一方の部材の、一方または両方の表面に配置されることで、積層体100A間の粘着性または接着性が向上する。その結果、巻回体100Bの形成がより容易となり、より強固で安定な巻回体100Bの形成が可能になる。
【0145】
また、芯材40を用いる場合、積層体100Aと、芯材40との粘着性または接着性、および積層体100A間の粘着性または接着性が向上し、巻回体100Bの形成がより容易となり、より強固で安定な巻回体100Bの形成が可能になる。
【0146】
光透過層用材料層110と、遮光層用材料層120とを含む積層体100Aの形成方法は、特に制限されず、その構成に応じた公知の積層体の形成方法が使用できる。
【0147】
積層体100Aの製造方法としては、特に制限されない。例えば、光透過層用フィルム110aが光透過層用材料層110の少なくとも一部を構成する場合、光透過層用フィルム110aの一方の面に遮光層用材料層120を構成する遮光層用機能層を形成し、必要に応じて、当該フィルムの他方の面に光透過層用材料層110の一部を構成する光透過層用機能層110bを形成する方法が挙げられる。例えば、遮光層用フィルムが遮光層用材料層120の少なくとも一部を構成する場合、遮光層用フィルムの一方の面に光透過層用材料層110を構成する光透過層用機能層110bを形成し、必要に応じて、当該フィルムの他方の面に遮光層用材料層120の一部を構成する遮光層用機能層を形成する方法が挙げられる。これらの中でも、
図4に示すように、光透過層用材料層110の一部を構成する光透過層用フィルム110aの一方の面に遮光層用材料層120である遮光層用機能層を形成し、当該光透過層用フィルム110aの他方の面に光透過層用材料層110の一部を構成する光透過層用機能層110bを形成する方法が好ましい。光透過層用フィルム110a、光透過層用機能層110b、遮光層用フィルム、および遮光層用機能層の説明は、それぞれ上記の通りである。
【0148】
光透過層用機能層110bおよび遮光層用機能層をそれぞれ形成する場合、フィルム上に機能層を形成する方法としては、特に制限されず、例えば、公知の機能層の形成方法が使用できる。光透過層用機能層110bおよび遮光層用機能層の形成方法としては、それぞれ、例えば、蒸着法、スパッタリング法、塗布法、イオンプレーティング法、化学蒸着法(CVD法)などをはじめとする公知の方法などが挙げられる。これらの中でも、コーティング法、ディッピング法、スプレー法などの塗布法が好ましく、コーティング法がより好ましい。
【0149】
塗布法によって光透過層用機能層110bおよび遮光層用機能層をそれぞれ形成する場合、光透過層用機能層110bの形成材料および遮光層用機能層の形成材料は、それぞれ、溶液または分散液の形態で用いられることが好ましい。溶液または分散液に用いられる溶媒または分散媒は、特に制限されない。溶媒または分散媒としては、例えば、水が挙げられる、また、例えば、酢酸エチル、酢酸n-ブチルなどのエステル類;トルエン、ベンゼンなどの芳香族炭化水素類;n-ヘキサン、n-ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類などの有機溶剤が挙げられる。これらの中でも、有機溶剤が好ましく、エステル類、ケトン類がより好ましく、酢酸エチル、メチルエチルケトンがさらに好ましい。これら溶媒または分散媒は、一種単独でまたは二種以上を組み合わせて用いてもよい。光透過層用機能層110bおよび遮光層用機能層の形成材料の有効成分の濃度(溶媒または分散媒以外の成分の濃度)は、それぞれ、特に制限されず、所望の特性に応じて適宜選択することができる。
【0150】
塗布法による光透過層用機能層110bの形成、および塗布法による遮光層用機能層の形成では、それぞれ、これらの形成材料の塗布後に乾燥を行うことが好ましい。乾燥方法および乾燥条件は、特に制限されず、好適な条件を適宜選択すればよい。
【0151】
本発明の一実施形態において、光透過層用材料層110および遮光層用材料層120は、それぞれ所定長さの部材であってもよいし、長尺体であってもよいが、それぞれ長尺体であることが好ましい。本発明の一実施形態において、光透過層用材料層110と、遮光層用材料層120とを含む積層体100Aは、長尺体であることが好ましい。積層体100Aを構成する光透過層用材料層110や遮光層用材料層120は、長尺状の一本の部材として構成としてもよいし、所定長さの部材を複数用意し、隣接する端面同士を当接させて一本の長尺状を呈する構成としてもよい。長尺状の積層体100Aの長手方向の端面形状は、特に制限されないが、長尺方向と垂直な面形状(滑らかな平面)とするのが好ましい。
【0152】
〈巻回工程〉
ルーバーフィルム100の製造方法は、光透過層用材料層110と、遮光層用材料層120とを含む積層体100Aを巻回して巻回体100Bを形成する工程を含む。
図4に示すように、巻回工程は、積層体形成工程で形成した積層体100Aを巻回する。巻回体100Bの形成方法としては、特に制限されず、例えば、公知の巻回体の形成方法を使用することができる。
【0153】
前述のように、光透過層用材料層110と、遮光層用材料層120と、を含む積層体100Aは、光透過層用材料層110と、遮光層用材料層120と、を含む層が巻回と同時に積層されて形成されてもよく、巻回前に予め形成されていてもよい。巻回工程では、巻回前に予め形成された、光透過層用材料層110と、遮光層用材料層120とを積層した積層体100Aを巻回することが好ましい。
【0154】
巻回体100Bは、芯材40を含んでいてもよく、芯材40を含まなくてもよい。すなわち、巻回体100Bは、積層体100Aを芯材(巻芯)40の周囲に巻回することで形成してもよいし、芯材40を用いずに、積層体100Aのみを巻回することで形成してもよい。これらの中でも、巻回体100Bは、積層体100Aを芯材40の周囲に巻回することで形成することが好ましい。
【0155】
積層体100Aの巻回方法は、特に制限されない。巻回前に積層体100Aが得られている場合には、例えば、一本の長尺状の積層体100Aをロール状に幾重にも巻き重ねるように、この一本の長尺状の積層体100Aを巻き中心C1に対して巻回する方法が挙げられる。例えば、巻き中心C1に対して複数の積層体100Aが同心円状に配置されるように、複数の積層体100Aを巻回する方法などが挙げられる。
【0156】
積層体100Aの巻回方法として巻回と同時に積層体100Aが形成される場合には、例えば、長尺状の光透過層用材料層110と、長尺状の遮光層用材料層120とを重ねて長尺状の積層体100Aの状態としながら、この長尺状の積層体100Aをロール状に幾重にも巻き重ねるように、この長尺状の積層体100Aを巻き中心C1に対して巻回する方法が挙げられる。例えば、巻き中心C1に対して複数の光透過層用材料層110と、複数の遮光層用材料層120とが交互に同心円状に配置されるように、複数の光透過層用材料層110と、複数の遮光層用材料層120とを交互に巻回する方法などが挙げられる。
【0157】
芯材40を用いることで、積層体100Aを容易に巻回することができる。芯材40に対する積層体100Aの巻回方法は、特に制限されない。巻回前に積層体100Aが得られている場合には、例えば、一本の長尺状の芯材40の周囲に積層体100Aをロール状に幾重にも巻き重ねるように、この一本の長尺状の積層体100Aを芯材40に巻き取る方法が挙げられる。
図4に示す巻回方法は、この巻回方法の一例である。例えば、芯材40の周囲に複数の積層体100Aが同心円状に配置されるように、複数の積層体100Aを芯材40に巻き取る方法などが挙げられる。
【0158】
芯材40を用いて巻回と同時に積層体100Aが形成される場合には、例えば、長尺状の光透過層用材料層110と、長尺状の遮光層用材料層120とを重ねて長尺状の積層体100Aの状態としながら、この長尺状の積層体100Aをロール状に幾重にも巻き重ねるように、この長尺状の積層体100Aを芯材40に巻き取る方法が挙げられる。例えば、芯材40の周囲に複数の光透過層用材料層110と、複数の遮光層用材料層120とが交互に同心円状に配置されるように、複数の光透過層用材料層110と、複数の遮光層用材料層120とを交互に芯材40に巻き取る方法などが挙げられる。
【0159】
これらの芯材40を用いた巻回方法において、積層体100A、または光透過層用材料層110および遮光層用材料層120を、それぞれ芯材40に巻き取ることによって、積層体100Aが芯材40の周囲に巻回されることとなる。
【0160】
巻回体100Bは、例えば、
図4で示すように、一本の長尺状の積層体100Aがロール状に幾重にも巻き重ねられるように、この一本の長尺状の積層体100Aが芯材40の周囲に巻回された巻回体であることが好ましい。
【0161】
巻回工程は、公知の巻取装置を使用することができる。巻回工程は、特に制限されない。例えば、光透過層用材料層110と、遮光層用材料層120とを、それぞれガイドロールなどによって搬送し、積層しながら巻取ロールなどを用いて巻回してもよい。例えば、光透過層用材料層110と、遮光層用材料層120とを含む積層体100Aを、ガイドロールなどによって搬送しながら巻取ロールなどを用いて巻回してもよい。これらの中でも、予め光透過層用材料層110と、遮光層用材料層120を積層した積層体100Aを、ガイドロールなどによって搬送しながら巻取ロールなどを用いて巻回することが特に好ましい。
【0162】
〈切断工程〉
ルーバーフィルム100の製造方法は、上記の巻回工程で得られた巻回体100Bを、巻回軸方向と交差する方向に切断する工程を含む。切断工程を経て、巻回構造を有するルーバー部30が形成される。上記の巻回工程で得られた巻回体100Bの切断方法としては、特に制限されず、例えば、公知の部材の切断方法を使用することができる。巻回体100Bの切断方法としては、例えば、バンドソー、のこぎり、カッター、トリミングカッター、レーザー、超音波カッター、ウォーターカッターなどを用いる方法などが挙げられる。
【0163】
切断方向は、上記の巻回工程で得られた巻回体の巻回軸方向と交差する方向であれば特に制限されないが、巻回軸方向と直交する方向であることが好ましい。
【0164】
切断を巻回軸方向と交差する方向に対して、複数回行うことで、1つの上記の巻回工程で得られた巻回体100Bから、切断後の巻回体を複数得ることができる。巻回体100Bの切断間隔は、ルーバーフィルム100のルーバー部30の所望する厚さに応じて適宜決定される。
【0165】
巻回工程で芯材40を用いない場合(巻回体100Bが芯材40を含まない場合)、切断工程によって得られる切断後部材としては、例えば、ルーバー部30が挙げられる。
【0166】
巻回工程で芯材40を用いる場合(巻回体100Bが芯材40を含む場合)、切断工程によって得られる切断後部材としては、例えば、芯材40と、ルーバー部30とからなる部材が挙げられる。ここで、芯材40と、ルーバー部30とからなる部材としては、例えば、芯材40と、当該芯材40を中心として、当該芯材40の周囲に、切断後の積層体100Aが巻回された状態の巻回構造を有するルーバー部30とからなる部材が挙げられる。
【0167】
ルーバーフィルム100の製造方法は、少なくとも上記のように「巻回工程」、「切断工程」を含み、この順で各工程を実施することで、ルーバーフィルム100を製造することができる。ルーバーフィルム100の製造方法は、「積層体形成工程」、「巻回工程」、「切断工程」を含み、この順で各工程を実施することで、ルーバーフィルム100を製造することが好ましい。
【0168】
〈その他の工程〉
ルーバーフィルム100の製造方法は、上記で説明した工程以外の他の工程をさらに含んでいてもよい。他の工程は、特に制限されない。他の工程としては、例えば、上記の巻回工程で得られた巻回体100Bを硬化処理する工程(硬化工程)、上記の切断工程で得られた切断後部材の、少なくとも一方の切断面に機能層Fを形成する工程(機能層形成工程)、上記の切断工程で得られた切断後部材の少なくとも一方の面に基材を積層する工程(基材積層工程)などが挙げられる。
【0169】
光透過層用材料層110の少なくとも一部が、硬化性を有する、硬化処理前の層状部材である場合、および/または、遮光層用材料層120の少なくとも一部が、硬化性を有する、硬化処理前の層状部材である場合、ルーバーフィルム100の製造方法は、硬化工程をさらに含むことが好ましい。
【0170】
硬化工程は、積層体形成工程の前、積層体形成工程と、巻回工程との間、巻回工程と、切断工程との間、切断工程の後のうち、何れのタイミングで行ってもよい。これらの中でも、硬化工程は、巻回工程と、切断工程との間に行うことが好ましい。この場合、切断工程で切断される対象は、硬化処理後の巻回体100Bとなる。硬化工程は、光透過層用材料層110および遮光層用材料層120からなる群より選択される少なくとも一方の部材の一部として、接着剤層が存在する場合に実施することが好ましい。硬化方法および硬化条件は、特に制限されず、好適な条件を適宜選択すればよい。
【0171】
本発明の好ましい一実施形態に係るルーバーフィルム100の製造方法は、光透過層用材料層110および遮光層用材料層120からなる群より選択される少なくとも一方が、硬化性を有する層状部材を含み、巻回工程の後、切断工程の前に、巻回体100B中の硬化性を有する層状部材を硬化処理する硬化工程をさらに含む。
【0172】
ルーバーフィルム100の製造方法は、機能層Fを形成する工程(機能層形成工程)をさらに含むことが好ましい。
【0173】
機能層F(好ましくは保護層)は、巻回体100Bから切断して得られた切断後部材の、一方の切断面に形成してもよく、両方の切断面に形成してもよい。例えば、機能層F(好ましは、保護層)は、ルーバー部30、または芯材40と、芯材40を中心として、芯材40の周囲に、切断後の積層体100Aが巻回された状態の巻回構造を有するルーバー部30とからなる部材の、一方または両方の切断面に形成され得る。これらの中でも、巻回体100Bから切断して得られた切断後部材の両方の切断面に保護層が形成することが好ましい。
【0174】
機能層F(好ましくは保護層)を形成する方法としては、特に制限されず、例えば、公知の機能層の形成方法が使用できる。機能層Fの形成材料の配置方法としては、例えば、蒸着法、塗布法などが挙げられる。これらの中でも、インプリント法、コーティング法、ディッピング法、スプレー法などの塗布法が好ましく、インプリント法がより好ましい。
なお、塗布後、必要に応じて乾燥を行ってもよい。
【0175】
保護層および保護層形成材料の好ましい例は、上記で説明した通りである。保護層形成材料が活性エネルギー線硬化性樹脂(好ましくは、紫外線硬化性樹脂)である場合、以下の方法で保護層を形成することが好ましい。まず、巻回体100Bから切断して得られた切断後部材の一面(切断面)に、切断後部材の当該面から見て硬化性樹脂と、剥離フィルムとがこの順に配置されるよう、硬化性樹脂および剥離フィルムをラミネートする。次いで、剥離フィルム側から活性エネルギー線を照射して、活性エネルギー線硬化性樹脂を硬化する。そして、必要に応じて、剥離フィルムを剥離して、保護層を形成する。
【0176】
剥離フィルムとしては、特に制限されないが、例えば、公知のフィルムなどが挙げられる。剥離フィルムとしては、上記の光透過層用材料層110の説明における光透過層用フィルム110aで例示したフィルムを使用してもよい。剥離フィルムとしては、樹脂フィルムが好ましく、ポリエステルフィルムがより好ましく、PETフィルムがさらに好ましい。剥離フィルムは、市販品を用いても製造品を用いてもよい。市販品としては、特に制限されないが、例えば、東レ株式会社 PETフィルム ルミラー(登録商標)T60などが挙げられる。
【0177】
なお、芯材40が中空状である場合、中空部分は空洞であってもよく、機能層F(例えば、保護層)の形成と同時に、中空状の芯材40の穴部50は少なくとも一部は、機能層F(例えば、保護層)と同様の材料によって充填されてもよい。
【0178】
[光学素子を含むルーバーフィルム、およびその製造方法]
上記のルーバーフィルム100は、光学素子をさらに含むことが好ましい。上記のルーバーフィルム100は、光学素子をさらに含み、光学素子の周辺に、光学素子を囲むように、ルーバー部30が有する巻回構造が配置されることが好ましい。当該ルーバーフィルム100では、平面視において、ルーバー部30が有する巻回構造の内側に、光学素子が配置されるとも言える。なお、光学素子と、ルーバー部30とは接していてもよく、これらの間に他の部材が存在していてもよい。
【0179】
光学素子をさらに含み、光学素子の周辺に、光学素子を囲むように、ルーバー部30が有する巻回構造が配置されるルーバーフィルム100の製造方法は、特に制限されない。例えば、光学素子の周辺に、光学素子を囲むように、上記のルーバー部30が有する巻回構造が配置することを含む、ルーバーフィルム100の製造方法が挙げられる。例えば、上記のルーバーフィルム100の製造方法において、光学素子の周辺に、光学素子を囲むように、ルーバー部30が有する巻回構造を配置することをさらに含む方法が挙げられる。光学素子の周辺に、光学素子を囲むように、ルーバー部30が有する巻回構造を配置する方法は、特に制限されない。例えば、公知の方法で作製された光学素子を貼り付ける方法が挙げられる。例えば、ルーバーフィルム100が芯材40を含む場合には、芯材40に金型を押し付けることでパターンニングして、芯材40を光学素子とする方法が挙げられる。例えば、ルーバーフィルム100が芯材40を含む場合には、芯材40の穴部50を充填する材料(機能層Fを有する場合には、好ましくは機能層Fと同様の材料、特に好ましくは保護層と同様の材料)などに金型を押し付けることでパターンニングして、芯材40の穴部50を光学素子とする方法が挙げられる。
【0180】
光学素子としては、特に制限されない。例えば、公知の光学素子が挙げられる。光学素子の具体例としては、球面レンズ、非球面レンズ、マイクロレンズなどの各種のレンズ、球面レンズ、非球面レンズ、マイクロレンズなどの各種のレンズアレイ、プリズム、プリズムアレイ、グレーティング、反射ミラー、光拡散板、反射防止膜、位相差素子、位相差補償素子、偏光板、カラーフィルタ、バンドパスフィルタ、色変換素子などが挙げられる。
【0181】
[デバイス、およびその製造方法]
上記のルーバーフィルム100は、デバイスの一部として組み込んで使用されることが好ましい。これより、本発明の他の一実施形態は、上記のルーバーフィルム100を含む、デバイスに関する。デバイスの製造方法は、特に制限されないが、例えば、上記のルーバーフィルム100をデバイスの一部として組み込むことを含む方法が挙げられる。例えば、上記のルーバーフィルム100の製造方法によってルーバーフィルム100を製造することと、ルーバーフィルム100をデバイスの一部として組み込むこととを含む方法が挙げられる。これより、本発明の他の一実施形態は、デバイスの製造方法であって、上記のルーバーフィルム100をデバイスの一部として組み込むことを含む、方法が挙げられる。本発明の他の一実施形態は、デバイスの製造方法であって、上記の製造方法でルーバーフィルム100を製造することと、ルーバーフィルム100をデバイスの一部として組み込むこととを含む、方法が挙げられる。ルーバーフィルム100をデバイスに組み込む方法としては、特に制限されず、例えば、部材をデバイスへの組み込む公知の方法などが挙げられる。
【0182】
デバイスとしては、特に制限されないが、光を入射および/または出射する機能を有するデバイスであることが好ましく、表示機能を有するデバイスであることがより好ましい。また、スマートフォン、スマートウォッチ、タブレット端末、ウェアラブル端末などのスマートデバイスであることがさらに好ましい。また、スマートデバイスでは(Photoplethysmography、光電式容積脈波記録法)などの健康情報を管理する機能を備えることが望ましく、当該機能の実現には、正確なセンシングが必要となる。PPG装置では、主に、LED光を照射し、血管からの反射光をモニタリングして脈拍などの情報を入手する方式が用いられる。上記のルーバーフィルム100、および上記の製造方法によって製造されるルーバーフィルム100は、複数の方向に対して、透過する光の進行方向を所定の角度に制御可能である。このことから、本方式において、プリズムアレイと、ルーバーフィルム100とを使用することで、信号対雑音比(S/N)を向上させることができる。さらに、本方式において、これらのルーバーフィルム100は、迷光を除去することができる。このように、より正確な情報が得られるとの観点から、デバイスとしては、PPGでの測定が可能なスマートデバイスが特に好ましい。
【実施例0183】
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。但し、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
【0184】
<ルーバーフィルムの準備>
[サンプルの製造]
実施例のサンプル(実施例1~6)、比較例のサンプル(比較例1)は、以下の工程に沿って作製した。
【0185】
(積層体形成工程)
長尺状の透明フィルム(東洋紡株式会社製 PETフィルム コスモシャイン(登録商標)A4360、厚さ38μm、50μm)または(富士フィルム株式会社製 TACフィルム フジタック(登録商標) TG40UL、厚さ40μm)を準備した。
【0186】
次に、黒色層を形成する黒色層形成用塗布液を2種類(黒色塗布液1、黒色塗布液2)作製した。黒色塗布液1は、熱硬化エポキシ樹脂(エポキシ樹脂(デナコールEX-321(ナガセケムテックス株式会社製)、屈折率:1.46):硬化剤(QE340M(東レファインケミカル社製)、屈折率:1.50)=48:52(質量比)に促進剤(セイクオール TDMP(精工化学株式会社製))を1wt%添加して混合したもの)75wt%に黒色インク(Paliotol(登録商標)Black L 0080(BASF社製))25wt%を分散したものを、固形分濃度が50質量%となるよう酢酸エチルと混合、攪拌し、黒色層形成用塗布液(黒色塗布液1)を得た。黒色塗布液2は、熱硬化エポキシ樹脂(エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂 RE310S(日本化薬社製)、屈折率:1.57):硬化剤(QE340M(東レファインケミカル社製)、屈折率:1.50)=55:45(質量比)に促進剤(セイクオール TDMP(精工化学株式会社製))を1wt%添加して混合したもの)75wt%に黒色インク(Paliotol(登録商標)Black L 0080(BASF社製))25wt%を分散したものを、固形分濃度が50質量%となるよう酢酸エチルと混合、攪拌し、黒色層形成用塗布液(黒色塗布液2)を得た。そして、下記表1の「透明フィルムの厚さ」に記載の膜厚の透明フィルムの一方の面上に、バーコーターを用いて、下記表1の「黒色層の厚さ」に記載の乾燥膜厚となるよう黒色層形成用塗布液(黒色塗布液1または黒色塗布液2)を塗布し、80℃で1分間の乾燥を行い、黒色層を形成した。このようにして、長尺状の、透明フィルムおよび黒色層の積層体を得た。
【0187】
次いで、自社処方のエポキシ接着剤を2種類(接着剤1、接着剤2)作製した。接着剤1は、エポキシ樹脂(デナコールEX-321(ナガセケムテックス株式会社製)、屈折率:1.46):硬化剤(QE340M(東レファインケミカル社製)、屈折率:1.50)=48:52(質量比)に促進剤(セイクオール TDMP(精工化学株式会社製))を1wt%添加して混合し、得られた混合物を、固形分濃度が80質量%となるようメチルエチルケトンと混合、攪拌し、接着剤1となる接着層形成用塗布液を得た。接着剤2は、エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂 RE310S(日本化薬社製)、屈折率:1.57):硬化剤(QE340M(東レファインケミカル社製)、屈折率:1.50)=55:45(質量比)に促進剤(セイクオール TDMP(精工化学株式会社製))を1wt%添加して混合し、得られた混合物を、固形分濃度が80質量%となるようメチルエチルケトンと混合、攪拌し、接着剤2となる接着層形成用塗布液を得た。そして、得られた長尺状の、透明フィルムおよび黒色層の積層体における、透明フィルム側の面上に、バーコーターを用いて、下記表1の「接着層の厚さ」に記載の硬化後の膜厚となるよう接着層形成用塗布液(接着剤1または接着剤2)を塗布し、80℃で1分間の乾燥を行い、接着剤層を形成した。このようにして、接着剤層、透明フィルムおよび黒色層がこの順に積層した、長尺状の積層体を得た。
【0188】
積層体を構成する透明フィルム(光透過層)、黒色層(遮光層)、接着剤層(接着層)の屈折率は、アッベ屈折計 DR-M2(株式会社アタゴ製)を用いて、JIS K 7142に準拠する試験方法において評価した。なお、光透過層となる透明フィルム以外の黒色層(遮光層)、接着剤層(接着層)については、PETフィルム(ルミラー(登録商標) T60(東レ株式会社製))に乾燥膜厚が50μm程度になるように各層の形成材料(黒色塗布液1、黒色塗布液2、接着剤1、接着剤2)を塗布し、上記と同様の硬化条件で塗膜を作製し、PETフィルムから剥がしたものを評価試料として屈折率を測定した。
【0189】
(巻回工程)
上記で得られた接着剤層、透明フィルムおよび黒色層がこの順に積層された、一本の長尺状の積層体を、接着剤層が芯材側に配置されるよう、芯材(株式会社菅原工芸より購入
外径6mmの中空円筒状のポリカーボネートパイプ)に外径14mmになるように巻き取ることで、巻回体を得た。得られた巻回体は、芯材を含み、当該巻回体は、一本の長尺状の積層体がロール状に幾重にも巻き重ねられるように、この一本の長尺状の積層体が芯材の周囲に巻回された巻回体である。なお、芯材の軸方向と直交する平面における断面の外形は円形である。
【0190】
(硬化工程)
上記で得られた巻回体を80℃のオーブンに1時間入れ、接着剤を硬化させて、硬化処理後の巻回体を得た。
【0191】
(切断工程)
上記で得られた硬化処理後の巻回体を、大和光機工業社製 回転式ミクロトームRX-860を用いて、芯材ごと、巻回軸方向と直交する方向に既定の厚さとなるよう切断し、芯材およびルーバー部を含む切断後部材を得た。
【0192】
得られたルーバー部は、一本の長尺状の積層体がロール状に幾重にも巻き重ねられるように、この一本の長尺状の積層体が芯材の周囲に巻回された状態の巻回構造を有する。この巻回構造は、芯材の軸方向と一致する巻回軸を巻き中心として、一本の長尺状の積層体が芯材の周囲に巻回された状態の巻回構造である。得られたルーバー部において、接着層が光透過性を有する場合、透明フィルムおよび硬化後の接着剤層は、光透過層であり、光透過部を構成し、黒色層は、遮光層であり、遮光部を構成する。
【0193】
得られたルーバー部の厚さは、株式会社ミツトヨ社製シックネスゲージ 高精度タイプを用いて測定した。より詳細には、切断後部材中における、巻き中心を基準とする、ルーバー部上の特定の4点の厚さを測定し、これらの平均値をルーバー部の厚さとした。
【0194】
図6は、本発明の一実施形態に係るルーバーフィルムに含まれる、ルーバー部の厚さの測定位置を示す模式図である。厚さ測定を行う特定の4点は、
図6に示すように平面視において巻き中心C1を基準とする、ルーバー部上の特定の4点とした。測定を行う特定の4点(測定位置P1)は、
図6に示すように、芯材の周囲に配置されるルーバー部30を平面視したときの巻き中心C1を通る直交座標系を設定し、2つの軸(X軸、Y軸)上における2軸の交差位置(巻き中心C1と一致)から外周縁に所定距離向かったルーバー部30上の任意の位置とした。なお、図中の「+X」、「-X」、「+Y」、「-Y」は、それぞれ直交座標系の方向を表す。
【0195】
(保護層形成工程)
上記切断工程で得られた切断後部材の両方の切断面に対して、切断後部材側から紫外線硬化樹脂(三洋化成工業株式会社 UV硬化樹脂 サンラッド(登録商標)TF-01)およびPETフィルム(東レ株式会社 PETフィルム ルミラー(登録商標)T60)がこの順に配置されるように、切断後部材を当該紫外線硬化樹脂および当該PETフィルムでラミネートした。次いで、一方のPETフィルム側からメタルハライドランプを用いて積算光量1000mJ/cm2(365nm基準)の条件で紫外線を照射して、紫外線硬化樹脂を硬化して、両面PETフィルム付きルーバーフィルムを形成した。そして、両面PETフィルム付きルーバーフィルムの両面のPETフィルムを剥離して、ルーバーフィルム(両面に保護層を有するルーバーフィルム)を完成させた。
【0196】
得られたルーバーフィルムは、ルーバー部と、芯材と、保護層とを含む。なお、得られたルーバーフィルムにおいて、保護層形成工程前に中空状であった芯材の穴部は、保護層と同様の材料で充填された状態であった。
【0197】
両面の保護層の厚さは、共に、5μmであった。保護層の膜厚は、ルーバーフィルムの厚さを、上記のルーバー部の厚さと同様の方法で測定し、この厚さから、上記のルーバー部の厚さの値を引いた値として算出した。
【0198】
上記で得られたルーバーフィルムの構造の概略を、
図1の概略平面図および
図2の概略断面図を用いて説明する場合、機能層Fは保護層となり、中空状の芯材40の穴部50は保護層と同様の材料によって充填されることとなる。また、光透過部10を構成する光透過層は、透明フィルムおよび硬化後の接着剤層から構成され、光透過層用材料層110は、接着剤層および透明フィルムから構成される。また、遮光部20を構成する遮光層は、黒色層から構成され、遮光層用材料層120は、黒色層から構成される。
【0199】
なお、
図1および
図2は説明のための概略図であり、
図1における巻回構造の巻き数、
図1における巻き始めおよび巻き終わりの位置および形状、ならびに
図1および
図2における各部分の寸法比率などの詳細については、それぞれ、実際に得られた各ルーバーフィルムに応じた構造となる。
【0200】
実施例1~6および比較例1の構成を下記表1に示す。
【0201】
【0202】
<ルーバーフィルムの評価>
以下、作製した実施例1~6、比較例1についての評価結果を示す。
【0203】
[光透過部の幅L1に対する、遮光部の高さL2の比]
上記で得られた実施例1~6、比較例1について、ルーバー部の厚さ方向と直交する平面において巻き中心C1から外周縁に向かう方向に沿う光透過部の幅L1に対する、ルーバー部の厚さに相当する遮光部の高さL2の比(L2/L1)を算出した。
【0204】
なお、上記で得られた実施例1~6、比較例1において、上記の膜厚測定時の状態と、得られたルーバーフィルムのルーバー部の巻回構造中の状態とでは、硬化後の接着剤層、透明フィルムおよび黒色層の膜厚は、それぞれ、略同一である。したがって、光透過部の幅L1は、光透過層の厚さであって、光透過層用材料層の厚さ、すなわち、前述の接着剤層の厚さおよび透明フィルムの厚さの合計値と一致する。
【0205】
[ルーバー部の表面の総面積に対する、遮光部の面積が占める割合]
上記で得られた実施例1~6、比較例1について、ルーバー部を平面視したとき、ルーバー部の表面(切断面)(ルーバー部の厚さ方向と直交する平面)の総面積に対する、遮光部の面積が占める割合(表1において、単に「遮光層の面積が占める割合」と記載する。)(%)を算出した。
【0206】
[透過する光の角度(視野角)および透過率の測定]
上記で得られた実施例1~6、比較例1について、バックライトのみの状態で、バックライトを点灯して、Conoscope(オートロニック・メルシャス社製のConoscope)を用いて、光の角度(視野角)および各角度における輝度(1)(単位:cd/m2)を測定した。また、上記で得られたルーバーフィルムをバックライト上に載せて、バックライトを点灯して、同様にして光の角度(視野角)および各角度における輝度(2)(単位:cd/m2)を測定した。
【0207】
次いで、各角度について、ルーバーフィルムを透過する光の透過率(光透過率)を、ルーバーフィルムを透過する光の透過率(光透過率)(単位:%)=輝度(2)/輝度(1)×100の計算により算出した。
【0208】
図8および
図9は、それぞれ、本発明の一実施形態に係るルーバーフィルムについて、透過する光の角度および透過率の測定位置を示す模式図である。実施例1~6、比較例1の測定位置は、
図8に示すように平面視において巻き中心C1を基準とする、ルーバーフィルム中のルーバー部が存在する位置の特定の1点とした。測定を行う特定の1点(測定位置P3)は、
図8に示すように、芯材を含むルーバーフィルム100を平面視したときの巻き中心C1を通る直交座標系を設定し、2つの軸(X軸、Y軸)上における2軸の交差位置(巻き中心C1と一致)から外周縁に所定距離向かったルーバー部30上の互いに垂直な2つの方向の位置である。なお、図中の「+X」、「-X」、「+Y」、「-Y」は、それぞれ直交座標系の方向を表す。
【0209】
測定位置P3において、
図9に示すように、ルーバーフィルム100の表面から厚さ方向(垂直方向)に延びる仮想線V1とした。なお、
図9において、Iは入射光を表す。そして、測定は、以下の角度について行った:
・仮想線V1の位置である0°;
・仮想線V1の方向(0°方向)と、測定位置P3においてこの仮想線V1と交差して、巻き中心C1側に向かって延びる仮想線V2とでなす角θ1(角θ1はプラスの角度とする);
・仮想線V1の方向(0°方向)と、測定位置P3において仮想線V1と交差して、巻き中心C1側とは反対側であるルーバーフィルムの外周縁側に向かって延びる仮想線V3とでなす角θ2(角θ2はマイナスの角度とする)。
【0210】
なお、仮想線V1上の位置を0°としたときの角θ1の角度範囲を0°超80°以下の範囲とし、仮想線V1上の位置を0°としたときの角θ2の角度範囲を-80°以上0°未満の範囲とした。すなわち、測定角度は、仮想線V1上の位置を0°としたときに、0°を中心として±80°の範囲(-80°≦測定角度≦80°)とした。
【0211】
なお、下記表2において、一のサンプルの透過率は、例えばθ1(+A°)とθ2の角度(-B°)について「-B/+A」(単位:°)として表記している。
【0212】
図8に示す、巻き中心C1から見て+Y方向の測定位置P3(+Y)における、ルーバーフィルム100の厚さ方向(垂直方向、0°方向)の測定結果を、「角度0°方向の透過率(P3(+Y))」(単位:%)とする。;
図8に示す、巻き中心C1から見て+Y方向の測定位置P3(+Y)における、「角度0°方向の透過率(P3(+Y))」(単位:%)に対して、透過率が75%(入射角0°の透過率の3/4の値)となる角θ1および角θ2を、「角度0°の透過率対比75%の角度(P3(+Y))」(単位:°)とする;
図8に示す、巻き中心C1から見て+Y方向の測定位置P3(+Y)における、「角度0°方向の透過率(P3(+Y))」(単位:%)に対して、透過率が50%(入射角0°の透過率の1/2(半値)の値)となる角θ1および角θ2を、「角度0°の透過率対比50%の角度(P3(+Y))」(単位:°)とする;
図8に示す、巻き中心C1から見て+Y方向の測定位置P3(+Y)における、「角度0°方向の透過率(P3(+Y))」(単位:%)に対して、透過率が25%となる角θ1および角θ2を、「角度0°の透過率対比25%(入射角0°の透過率の1/4の値)の角度(P3(+Y))」(単位:°)とする。
【0213】
実施例1~6および比較例1の評価結果を下記表2に示す。
【0214】
【0215】
[評価結果]
上記表2の結果より、実施例1~実施例6のルーバーフィルムと比較例1とを対比すると、実施例1~6のルーバーフィルムは、以下の特徴が確認された。
【0216】
〈実施例1と比較例1との対比〉
実施例1のθ1の角度と比較例1のθ1の角度は「透過率対比75%の角度」、「透過率対比50%の角度」、「透過率対比25%の角度」共に略同等となり、実施例1のθ2の角度は、「透過率対比75%の角度」、「透過率対比50%の角度」、「透過率対比25%の角度」共に比較例1のθ2の角度より広角化することが確認された。
【0217】
〈実施例2と比較例1との対比〉
実施例1のθ1、θ2の角度は「透過率対比75%の角度」、「透過率対比50%の角度」、「透過率対比25%の角度」共に比較例1のθ1、θ2よりも広角化し、比較例1のθ2に対する実施例2のθ2の角度差は、比較例1のθ1に対する実施例2のθ1の角度差より大きいことが確認された。
【0218】
〈実施例3と比較例1との対比〉
実施例3のθ1の角度と比較例1のθ1の角度は「透過率対比75%の角度」、「透過率対比50%の角度」共に略同等となり、実施例3のθ2の角度は何れも比較例1のθ2の角度より僅かに広角化することが確認された。また、実施例3の「透過率対比25%の角度」について、実施例3のθ1の角度と比較例1のθ1の角度は略同等であるのに対し、実施例3のθ2の角度は比較例1のθ2の角度より広角化することが確認された。
【0219】
〈実施例4と比較例1との対比〉
実施例4のθ1、θ2の角度は「透過率対比75%の角度」、「透過率対比50%の角度」、「透過率対比25%の角度」共に比較例1のθ1、θ2の角度より広角化し、比較例1のθ2に対する実施例4のθ2の角度差は、比較例1のθ1に対する実施例4のθ1の角度差より大きいことが確認された。
【0220】
〈実施例5と比較例1との対比〉
実施例5のθ1、θ2の角度は「透過率対比50%の角度」、「透過率対比25%の角度」共に比較例1のθ1、θ2よりも広角化することが確認された。「透過率対比50%の角度」、「透過率対比25%の角度」について、比較例1のθ1に対する実施例5のθ1の角度差は、比較例1のθ2に対する実施例5のθ2の角度差より大きいことが確認された。一方で、「透過率対比75%の角度」について、実施例5のθ1は、比較例1のθ1よりも僅かに広角化し、実施例5のθ2は比較例1のθ2よりも僅かに挟角化することが確認された。
【0221】
〈実施例6と比較例1との対比〉
実施例6のθ1の角度は「透過率対比75%の角度」「透過率対比50%の角度」、「透過率対比25%の角度」共に比較例1のθ1よりも広角化することが確認された。一方で、実施例6のθ2の角度は、「透過率対比75%の角度」「透過率対比50%の角度」、「透過率対比25%の角度」共に比較例1のθ2よりも挟角化することが確認された。
【0222】
以上のように、実施例1~6のルーバーフィルムは、何れもルーバー部に含まれる光透過部または遮光部を構成する光透過層、遮光層、接着層の屈折率のうち、遮光層と接着層の少なくとも一方の屈折率が光透過層の屈折率と異なるように作製されている。そのため、実施例1~6のルーバーフィルムは、「透過率対比75%の角度」、「透過率対比50%の角度」、「透過率対比25%の角度」におけるθ1とθ2の角度がそれぞれ異なる特性を有している。これにより、実施例1~6のルーバーフィルムは、ルーバー部を構成する光透過層、遮光層、接着層の屈折率の大小関係を制御すれば、特定方向における視野角制御は十分可能であることが確認された。このことから、巻回構造を有する実施例1~6のルーバーフィルムは、光透過層、遮光層、接着層の屈折率の大小関係を適切に制御することで、ルーバーフィルムの巻き中心からの放射方向における特定方向の視野角制御が可能であると考えらえる。
【0223】
これに対し、比較例1は、ルーバー部に含まれる光透過部または遮光部を構成する光透過層、遮光層、接着層の屈折率が同一である。そのため、比較例1の「透過率対比75%の角度」、「透過率対比50%の角度」、「透過率対比25%の角度」におけるθ1、θ2の角度は、この順に比例するかの如く徐々に大きくなることが確認された。これは、比較例1のルーバーフィルムのルーバー部が巻回構造を有するため、その構造上、θ1とθ2の角度が角度0°を中心に対称に変化したものと推察される。また、比較例1のルーバーフィルムの構成において視野角制御を行う場合、光透過層、遮光層、接着層の厚さ(層間ピッチ)を変えることになるが、ルーバー部が巻回構造を有するため、実施例1~6のルーバーフィルムのように、θ1とθ2の角度を個々に変えて特定方向の視野角制御は困難であると考えられる。