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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137932
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】センサシート
(51)【国際特許分類】
   G01L 1/20 20060101AFI20240927BHJP
   G01L 5/22 20060101ALN20240927BHJP
【FI】
G01L1/20 G
G01L5/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】37
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024047350
(22)【出願日】2024-03-22
(31)【優先権主張番号】P 2023048568
(32)【優先日】2023-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000219602
【氏名又は名称】住友理工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】那須 将樹
(72)【発明者】
【氏名】大森 翔
(72)【発明者】
【氏名】早川 知範
(72)【発明者】
【氏名】中野 克彦
(72)【発明者】
【氏名】吉田 哲也
【テーマコード(参考)】
2F051
【Fターム(参考)】
2F051AA01
2F051AB06
(57)【要約】
【課題】電気抵抗値の変化が抑制されたセンサシートを提供する。
【解決手段】第一面27および第二面28を有する絶縁シート24と、絶縁シート24の第一面27側に配置され、貫通した第一開口部34aを有する導電性の第一電極シート25と、絶縁シート24と第一電極シート25とを接合する第一接合部36と、絶縁シート24の第二面28側に配置され、貫通した第二開口部34bを有する導電性の第二電極シート26と、絶縁シート24と第二電極シート26とを接合する第二接合部37と、を備え、引張試験における応力―歪み曲線において、歪みが0.5~10%の区間に極大値を示す降伏点を有してないように構成され、第一開口部34aの開口面積の、第一電極シート25の面積に対する割合である開口率が1%以上40%以下であり、第二開口部34bの開口面積の、第二電極シート26の面積に対する開口率が1%以上40%以下である、センサシート18。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一面および第二面を有し、発泡体により形成された絶縁シートと、
前記絶縁シートの前記第一面側に配置され、貫通した第一開口部を有する導電性の第一電極シートと、
前記絶縁シートと前記第一電極シートとを接合する第一接合部と、
前記絶縁シートの前記第二面側に配置され、貫通した第二開口部を有する導電性の第二電極シートと、
前記絶縁シートと前記第二電極シートとを接合する第二接合部と、を備え、
前記第一電極シートおよび前記第二電極シートは、複数のフィラメント集合体が織られた導電布であり、
前記フィラメント集合体は、複数のフィラメントと、前記フィラメントの表面の少なくとも一部に形成されたメッキ層と、を備え、
前記第一電極シートは、前記複数のフィラメント集合体の間に開口する前記第一開口部を備え、
前記第二電極シートは、前記複数のフィラメント集合体の間に開口する第二開口部を備え、
引張試験における応力―歪み曲線において、歪みが0.5~10%の区間に極大値を示す降伏点を有してないように構成され、
前記第一開口部の開口面積の、前記第一電極シートの面積に対する割合である開口率が1%以上40%以下であり、
前記第二開口部の開口面積の、前記第二電極シートの面積に対する割合である開口率が1%以上40%以下である、センサシート。
【請求項2】
前記センサシートは、前記応力―歪み曲線において、歪みが0~5%における応力の最大値が0.5MPa以下となるように構成されている、請求項1に記載のセンサシート。
【請求項3】
前記センサシートは、前記応力―歪み曲線において、歪みが0~20%における応力の最大値が3MPa以下となるように構成されている、請求項1に記載のセンサシート。
【請求項4】
前記第一電極シートは、前記応力―歪み曲線において、歪みが0~5%における応力の最大値が3MPa以下となるように構成されている、請求項1に記載のセンサシート。
【請求項5】
前記第一電極シートは、前記応力―歪み曲線において、歪みが0~20%における応力の最大値が15MPa以下となるように構成されている、請求項1に記載のセンサシート。
【請求項6】
前記応力―歪み曲線は、20mm×90mmの試験片を把持し、引張速度1mm/sで引張試験を実施した場合の応力-歪み曲線である、請求項1~5の何れか1項に記載のセンサシート。
【請求項7】
前記センサシートは、引張試験における歪みが20%において、式(1)で定義される直流抵抗値変化率が50%以下となるように構成されている、請求項1に記載のセンサシート。
【数1】
ただし、伸張前後の直流抵抗値の差は、伸張後の直流抵抗値から伸長前の初期直流抵抗値を減じた差である。
【請求項8】
前記センサシートは、歪みを20%にした後に歪みを0%に戻す試験を10回繰り返した後の、式(1)で定義される直流抵抗値変化率が150%以下となるように構成されている、請求項1に記載のセンサシート。
【数2】
ただし、伸張前後の直流抵抗値の差は、伸張後の直流抵抗値から伸長前の初期直流抵抗値を減じた差である。
【請求項9】
前記複数のフィラメント集合体のそれぞれの断面積は、前記第一電極シートに歪みが生じていない状態における前記第一開口部の開口面積よりも大きい、請求項1~5の何れか1項に記載のセンサシート。
【請求項10】
前記複数のフィラメント集合体は、経糸フィラメント集合体および緯糸フィラメント集合体を備え、
前記経糸フィラメント集合体と前記緯糸フィラメント集合体とが互いに交差する部分の面積は、前記第一電極シートに歪みが生じていない状態における前記第一開口部の開口面積よりも大きい、請求項1~5の何れか1項に記載のセンサシート。
【請求項11】
前記メッキ層は、前記複数のフィラメントの各フィラメントの表面に形成されている、請求項1~5のいずれか1項に記載のセンサシート。
【請求項12】
前記複数のフィラメント集合体は、経糸フィラメント集合体および緯糸フィラメント集合体を備え、
前記経糸フィラメント集合体および前記緯糸フィラメント集合体は、
前記複数のフィラメントが撚られていない状態でまとめられた無撚糸束線と、
前記無撚糸束線の表面の少なくとも一部に形成された前記メッキ層と、を備える、請求項1~5のいずれか1項に記載のセンサシート。
【請求項13】
前記複数のフィラメント集合体は、経糸フィラメント集合体および緯糸フィラメント集合体を備え、
前記経糸フィラメント集合体および前記緯糸フィラメント集合体の一方は、
前記複数のフィラメントが撚られた撚線と、
前記撚線の表面の少なくとも一部に形成された前記メッキ層と、を備え、
前記経糸フィラメント集合体および前記緯糸フィラメント集合体の他方は、
前記複数のフィラメントが撚られていない状態でまとめられた無撚糸束線と、
前記無撚糸束線の表面の少なくとも一部に形成された前記メッキ層と、を備える、請求項1~5の何れか1項に記載のセンサシート。
【請求項14】
前記経糸フィラメント集合体を構成する前記複数のフィラメントの本数と、前記緯糸フィラメント集合体を構成する前記複数のフィラメントの本数とが、異なっている、請求項10に記載のセンサシート。
【請求項15】
前記経糸フィラメント集合体を構成する前記複数のフィラメントの本数は、前記経糸フィラメント集合体が並ぶ方向において異なっている、請求項10に記載のセンサシート。
【請求項16】
前記緯糸フィラメント集合体を構成する前記複数のフィラメントの本数は、前記緯糸フィラメント集合体の並ぶ方向において異なっている、請求項10に記載のセンサシート。
【請求項17】
複数の前記経糸フィラメント集合体は間隔を空けて並んで配されており、隣り合う経糸フィラメント集合体同士の間隔は、複数の前記経糸フィラメント集合体が並ぶ方向において異なっている、請求項10に記載のセンサシート。
【請求項18】
複数の前記緯糸フィラメント集合体は間隔を空けて並んで配されており、隣り合う緯糸フィラメント集合体同士の間隔は、複数の前記緯糸フィラメント集合体が並ぶ方向において異なっている、請求項10に記載のセンサシート。
【請求項19】
複数の前記経糸フィラメント集合体は、互いに等間隔に並んで配置されており、複数の前記緯糸フィラメント集合体は、互いに異なる間隔で並んで配置されている、請求項10に記載のセンサシート。
【請求項20】
前記複数のフィラメント同士が接触するフィラメント接触点には、前記メッキ層が形成されていない、請求項11に記載のセンサシート。
【請求項21】
前記フィラメント集合体を構成する複数のフィラメントの少なくとも一部は、互いに対向するフィラメント対向面を備え、前記フィラメント対向面に前記メッキ層が形成されている、請求項11に記載のセンサシート。
【請求項22】
前記複数のフィラメントのうち、一のフィラメントの前記フィラメント対向面に形成されたメッキ層と、他のフィラメントの前記フィラメント対向面に形成されたメッキ層とが、接触している、請求項21に記載のセンサシート。
【請求項23】
前記経糸フィラメント集合体を構成する前記複数のフィラメントの一のフィラメントと、前記緯糸フィラメント集合体を構成する前記複数のフィラメントの一のフィラメントとは、互いに対向するフィラメント対向面を備え、
前記フィラメント対向面には前記メッキ層が形成されている、請求項12に記載のセンサシート。
【請求項24】
前記経糸フィラメント集合体を構成する前記複数のフィラメントのうち一のフィラメントの前記フィラメント対向面に形成されたメッキ層と、前記緯糸フィラメント集合体を構成する前記複数のフィラメントのうち一のフィラメントの前記フィラメント対向面に形成されたメッキ層が、接触している、請求項23に記載のセンサシート。
【請求項25】
前記経糸フィラメント集合体を構成する前記複数のフィラメントに形成された前記メッキ層を構成する金属種と、前記緯糸フィラメント集合体を構成する前記複数のフィラメントに形成された前記メッキ層を構成する金属種と、が異なっている、請求項12に記載のセンサシート。
【請求項26】
複数の前記経糸フィラメント集合体のうち少なくとも2つの経糸フィラメント集合体は、各前記経糸フィラメント集合体を構成する複数のフィラメントに形成された前記メッキ層を構成する金属種が異なっている、請求項12に記載のセンサシート。
【請求項27】
複数の前記緯糸フィラメント集合体のうち少なくとも2つの緯糸フィラメント集合体は、各前記緯糸フィラメント集合体を構成する複数のフィラメントに形成された前記メッキ層を構成する金属種が異なっている、請求項12に記載のセンサシート。
【請求項28】
前記第一電極シートは長手方向に長尺に形成されており、
前記第一電極シートは、
前記第一電極シートの前記長手方向に沿う長側縁から延長方向に延長する延長部を備え、
前記延長部において、複数の前記経糸フィラメント集合体を前記延長部の厚さ方向について投影したときの占有面積は、複数の前記緯糸フィラメント集合体を前記延長部の厚さ方向について投影したときの占有面積より大きい、請求項10に記載のセンサシート。
【請求項29】
前記第一電極シートは長手方向に長尺に形成されており、
前記第一電極シートは、
前記第一電極シートの前記長手方向に沿う長側縁から延長方向に延長する延長部を備え、
前記延長部において、前記延長部の前記延長方向と、前記経糸フィラメント集合体の長手方向と、のなす角度αは、前記延長部の前記延長方向と、前記緯糸フィラメント集合体の長手方向と、のなす角度βより小さい、請求項10に記載のセンサシート。
【請求項30】
前記第一電極シートは長手方向に長尺に形成されており、
前記第一電極シートは、
前記第一電極シートの前記長手方向に沿う長側縁から延長方向に延長する延長部を備え、
前記延長部において、前記延長部の前記延長方向と、前記経糸フィラメント集合体の長手方向と、のなす角度αは、前記延長部の前記延長方向と、前記緯糸フィラメント集合体の長手方向と、のなす角度βより大きい、請求項10に記載のセンサシート。
【請求項31】
前記第一電極シートは長手方向に長尺に形成されており、
前記第一電極シートは、
前記第一電極シートの前記長手方向に沿う長側縁から延長方向に延長する延長部を備え、
前記延長部において、前記緯糸フィラメント集合体を構成する前記複数のフィラメントのうち隣接するフィラメント同士の間隔は、前記経糸フィラメント集合体を構成する前記複数のフィラメントのうち隣接するフィラメント同士の間隔より小さい、請求項10に記載のセンサシート。
【請求項32】
前記第一電極シートは長手方向に長尺に形成されており、
前記第一電極シートは、
前記第一電極シートの前記長手方向に沿う長側縁から延長方向に延長する延長部を備え、
前記延長部における前記経糸フィラメント集合体を構成する前記複数のフィラメントの本数は、前記延長部と異なる部分における前記経糸フィラメント集合体を構成する前記複数のフィラメントの本数よりも多い、請求項10に記載のセンサシート。
【請求項33】
前記第一電極シートは長手方向に長尺に形成されており、
前記第一電極シートは、
前記第一電極シートの前記長手方向に沿う長側縁から延長方向に延長する延長部を備え、
前記延長部における前記緯糸フィラメント集合体を構成する前記複数のフィラメントの本数は、前記延長部と異なる部分における前記緯糸フィラメント集合体を構成する前記複数のフィラメントの本数よりも多い、請求項10に記載のセンサシート。
【請求項34】
前記第一電極シートは長手方向に長尺に形成されており、
前記第一電極シートは、
前記第一電極シートの前記長手方向と交差する方向について他の部分よりも幅狭な幅狭部を有し、
前記幅狭部において、複数の前記経糸フィラメント集合体を前記幅狭部の厚さ方向について投影したときの占有面積は、複数の前記緯糸フィラメント集合体を前記幅狭部の厚さ方向について投影したときの占有面積より大きい、請求項10に記載のセンサシート。
【請求項35】
前記第一電極シートは長手方向に長尺に形成されており、
前記第一電極シートは、
前記第一電極シートの前記長手方向と交差する方向について他の部分よりも幅狭な幅狭部を有し、
前記幅狭部において、前記緯糸フィラメント集合体を構成する前記複数のフィラメントのうち隣接するフィラメント同士の間隔は、前記経糸フィラメント集合体を構成する前記複数のフィラメントのうち隣接するフィラメント同士の間隔より小さい、請求項10に記載のセンサシート。
【請求項36】
前記第一電極シートは長手方向に長尺に形成されており、
前記第一電極シートは、
前記第一電極シートの前記長手方向と交差する方向について他の部分よりも幅狭な幅狭部を有し、
前記幅狭部における前記経糸フィラメント集合体を構成する前記複数のフィラメントの本数は、前記幅狭部と異なる部分における前記経糸フィラメント集合体を構成する前記複数のフィラメントの本数よりも多い、請求項10に記載のセンサシート。
【請求項37】
前記第一電極シートは、JIS P8115:2001(ISO 5626:1993)に準拠して、荷重50g、R0.38mmのクランプを用い、角度135°で折曲げ試験を行ったときに、10000サイクル後の電気抵抗値の増加率が50%以下である、請求項1~5の何れか1項に記載のセンサシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサシートに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、誘電体層と、誘電体層の第一面に配置される第一電極シートと、を備えたセンサシートが開示されている。センサシートは、例えば、車両のステアリングホイールに取付けられて、乗員がステアリングホイールに接触したか否かを検知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-68414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載のセンサシートでは、センサの検知精度の信頼性に課題がある。例えばステアリングホイールにセンサシートを組付ける場合、センサシートを引っ張って伸ばしながらステアリングホイールに巻付けるため、引っ張り応力によって第一電極シートの導電経路が変化し、第一電極シートの電気抵抗値が変化するという課題がある。
【0005】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、電気抵抗値の変化が抑制されたセンサシートを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、
第一面および第二面を有し、発泡体により形成された絶縁シートと、
前記絶縁シートの前記第一面側に配置され、貫通した第一開口部を有する導電性の第一電極シートと、
前記絶縁シートと前記第一電極シートとを接合する第一接合部と、
前記絶縁シートの前記第二面側に配置され、貫通した第二開口部を有する導電性の第二電極シートと、
前記絶縁シートと前記第二電極シートとを接合する第二接合部と、を備え、
前記第一電極シートおよび前記第二電極シートは、複数のフィラメント集合体が織られた導電布であり、
前記フィラメント集合体は、複数のフィラメントと、前記フィラメントの表面の少なくとも一部に形成されたメッキ層と、を備え、
前記第一電極シートは、前記複数のフィラメント集合体の間に開口する前記第一開口部を備え、
前記第二電極シートは、前記複数のフィラメント集合体の間に開口する第二開口部を備え、
引張試験における応力―歪み曲線において、歪みが0.5~10%の区間に極大値を示す降伏点を有してないように構成され、
前記第一開口部の開口面積の、前記第一電極シートの面積に対する割合である開口率が1%以上40%以下であり、
前記第二開口部の開口面積の、前記第二電極シートの面積に対する割合である開口率が1%以上40%以下である、センサシートにある。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、センサシートに引張り力が加えられると、第一電極シートの第一開口部および第二電極シートの第二開口部が変形し、第一開口部および第二開口部の開口面積が減少するように変形する。すると、第一開口部によって隔てられていた、複数のフィラメント集合体の間に、新たな導電経路が形成される。同様に、第二開口部によって隔てられていた、複数のフィラメント集合体の間に、新たな導電経路が形成される。これにより、センサシートに引張り力が加えられた場合でも、電気抵抗値が変化することを抑制できる。
【0008】
また、本発明の一態様に係るセンサシートは、引張試験における応力―歪み曲線において、歪みが0.5~10%の区間に極大値を示す降伏点を有しないように構成されている。これにより、メッキ層が、歪みが0.5~10%の区間において破断することを抑制できるので、センサシートの電気抵抗値が変化することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1のセンサシートが取付けられたステアリングホイールを示す正面図である。
図2図1のA-A線断面図である。
図3】実施形態1のセンサシートを示す平面図である。
図4図3のB-B線断面図である。
図5】(a)は実施例1の第一電極シートを示す一部拡大平面図であり、(b)は実施例1の第二電極シートを示す一部拡大平面図である。
図6図5(a)のC-C線断面図である。
図7】実施例1の第一電極シートを示す一部拡大平面図である。
図8】実施例1の第一電極シートの経糸フィラメント集合体を示す断面図である。
図9】(a)は実施例2の第一電極シートを示す一部拡大平面図であり、(b)は実施例2の第二電極シートを示す一部拡大平面図である。
図10】(a)は比較例1の第一電極シートを示す一部拡大平面図であり、(b)は比較例1の第二電極シートを示す一部拡大平面図である。
図11図10のD-D線断面図である。
図12】第一電極シートに対する引張試験における、応力と、歪みとの関係を示すグラフである。
図13】センサシートに対する引張試験における、応力と、歪みとの関係を示すグラフである。
図14】実施例2について、(a)は伸長率0%における第一電極シートの一部拡大平面図であり、(b)は伸長率10%における第一電極シートの一部拡大平面図であり、(c)は伸長率20%における第一電極シートの一部拡大平面図であり、(d)は伸長率30%における第一電極シートの一部拡大平面図である。
図15】センサシートの、直流抵抗値変化率と、歪みとの関係を示すグラフである。
図16】センサシートに、10%伸長引張試験を繰返した場合における、直流抵抗値変化率と、繰り返し回数との関係を示すグラフである。
図17】センサシートに、20%伸長引張試験を繰返した場合における、直流抵抗値変化率と、繰り返し回数との関係を示すグラフである。
図18】実施形態2の第一電極シートを示す、一部拡大平面図である。
図19図18のE-E線断面図である。
図20図18のF-F線断面図である。
図21】実施形態2のセンサシートを示す平面図であって、複数の経糸フィラメント集合体と複数の緯糸フィラメント集合体の織目を模式的に示す平面図である。
図22】実施形態3の第一電極シートを示す、図18のE-E線断面に相当する断面図である。
図23】実施形態3の第一電極シートを示す、図18のF-F線断面に相当する断面図である。
図24】実施形態4の第一電極シートを示す一部拡大平面図である。
図25】実施形態5の第一電極シートを示す一部拡大平面図である。
図26】実施形態6の第一電極シートを示す一部拡大平面図である。
図27】実施形態7の第一電極シートを示す一部拡大平面図である。
図28】実施形態8のセンサシートを示す平面図である。
図29】実施形態9のセンサシートを示す平面図である。
図30】変形例に係る第一電極シートを示す、図3のB-B線断面に相当する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態1)
1.1.センサシートの概要
センサシートは、静電型であり、例えば、電極間の静電容量の変化を利用して、電位を有する導電体の接触または接近を検出するセンサとして機能する。センサシートに、電位を有する導電体が接触または接近すると、電極間の静電容量が変化し、変化した電極間の静電容量に応じた電圧を検出することで、導電体の接触または接近を検出する。
【0011】
センサシートは、例えば車両のステアリングホイールに取付けられて、乗員の手(指、手の平、手の甲等)がステアリングホイールに接触または接近したか否かを検出する。
【0012】
1.2.ステアリングホイール10の全体構成
まず、ステアリングホイール10の構造について図1図2を参照して説明する。ステアリングホイール10は、図1に示すように、コア部11と、リング部12と、コア部11とリング部12とを接続する複数(本実施形態では3つ)の接続部13とを備える。
【0013】
リング部12は、円形リング形状に形成されている。ただし、リング部12は、円形に限られず、任意の形状に形成することができる。リング部12の軸直角断面形状は、図2に示すように、例えば、円形状に形成されている。
【0014】
1.3.ステアリングホイール10の詳細構成
ステアリングホイール10の詳細構成について、図1図2を参照して説明する。特に、リング部12の詳細構成について説明する。
【0015】
リング部12は、芯体16、樹脂内層材17、センサシート18、および表皮材19を備える。芯体16は、リング部12の中心部を構成し、リング部12の形状に対応する形状に形成されている。つまり、芯体16は、円形リング形状に形成され、円形状の軸直角断面を有している。ここで、芯体16の軸直角断面形状は、円形状に限られることなく、楕円形状、卵形状、U字状、C字状、多角形状等、任意の形状とすることができる。本形態の芯体16は、アルミニウム、マグネシウム等の金属により形成されており、導電性を有する。芯体16の材質は、金属以外の材料を適用することができる。
【0016】
樹脂内層材17は、芯体16の外面において、芯体16のリング形状の全周に亘って、且つ、芯体16の円断面形状の全周に亘って被覆する。本形態においては、樹脂内層材17の軸直角断面は円形状に形成されている。仮に、芯体16がU字状の軸直角断面を有する場合には、樹脂内層材17は、芯体16の軸直角断面における径方向外側に加えて、芯体16のU字状の凹所にも充填される。樹脂内層材17は、芯体16の外面側に射出成形により成形されており、芯体16の外面に直接的に接合されている。樹脂内層材17の軸直角断面形状は、円形状に限られることなく、卵形状、楕円形状、多角形状等、任意の形状とすることができる。樹脂内層材17は、例えば、発泡樹脂により成形されている。樹脂内層材17は、例えば、発泡ウレタン樹脂を用いる。なお、樹脂内層材17は、非発泡樹脂を用いることもできる。
【0017】
樹脂内層材17の外面には、センサシート18が巻き付けられている。センサシート18は、樹脂内層材17に巻き付けられた状態でC字状をなしている。センサシート18については、後に詳述する。
【0018】
表皮材19は、センサシート18の外面(センサシート18における樹脂内層材17とは反対側の面)において、センサシート18のリング形状の全周に亘って被覆する。つまり、表皮材19は、後述するように、第一電極シート25が絶縁シート24の第一面27側に露出している場合には、第一電極シート25の被覆材としても機能する。表皮材19は、射出成形により成形されており、センサシート18の外面側に巻き付けられてセンサシート18の外面に接合されている。表皮材19は、例えば、ウレタン樹脂により成形されている。表皮材19の外面は、意匠面を構成する。表皮材19の材質は特に限定されず、例えば、非発泡ウレタン樹脂、又は、僅かに発泡させたウレタン樹脂を用いることが好ましい。
【0019】
表皮材19の別の形態として、表皮材19に皮革や布を用い、センサシート18の外面側に巻き付けられてセンサシート18の外面に接合される構成としても良い。表皮材19とセンサシート18との接合には、粘着材や接着剤を用い、さらに、表皮材19を縫製してステアリングホイールの周囲を被覆する構成としても良い。また、表皮材19の外面は、意匠面を構成する。表皮材19の材質は特に限定されず、革製(天然皮革、合成皮革など)、布・ゴム・樹脂製等の任意の材料を選択できるが、表皮材19は、革製(天然皮革、合成皮革など)が好ましい。
【0020】
1.4.センサシート18の全体構成
実施形態1のセンサシート18の全体構成について、図3図4を参照して説明する。図3に示すように、センサシート18は、全体として、長手方向Xに長尺な形状に形成されている。センサシート18は、全体として長方形状に形成されたシート本体部20を備える。シート本体部20は、長手方向Xに沿ってのびる一対の長側縁20aと、長手方向Xに交差する方向にのびる一対の短側縁20bと、を備える。なお、以下の説明において、矢線Xはセンサシート18の長手方向を示し、矢線Yは長手方向と交差する交差方向を示し、矢線Zはセンサシート18の厚さ方向を示す。
【0021】
シート本体部20の一対の長側縁20aには、長手方向Xと交差する交差方向Yについて内方に凹んだシート凹部21が形成されている。シート凹部21は、シート本体部20の一対の長側縁20aのうち交差方向Yについて重なる領域を含む位置に形成されている。ただし、シート凹部21は、一対の長側縁20aの一方にのみ形成される構成としてもよい。
【0022】
1つの長側縁20aには、複数(本形態では4つ)のシート凹部21が間隔を空けて形成されている。ただし、1つの長側縁20aに一つのシート凹部21が形成されても良い。また、1つの長側縁20aに2つ~3つまたは5つ以上のシート凹部21が形成されても良い。
【0023】
シート本体部20の一対の長側縁20aの一方には、シート本体部20の、長手方向Xの両端部寄りの位置に、一方の長側縁20aから、長手方向Xと交差する方向に延長するシート延長部22が形成されている。
【0024】
図4に、センサシート18の断面図を示す。センサシート18は、絶縁シート24と、第一電極シート25と、第二電極シート26と、を備える。第一電極シート25および第二電極シート26は、導電性を有するとともに、層状に形成されている。
【0025】
第一電極シート25は、絶縁シート24の第一面27側に配置されている。詳細には、第一電極シート25は、絶縁シート24の第一面27に積層されている。第一電極シート25は、絶縁シート24よりもやや小さな相似形に形成されている。これにより、絶縁シート24の第一面27の端縁部は、第一電極シート25の端縁部から露出している。
【0026】
図3に示すように、第一電極シート25のうち、センサシート18のシート凹部21に対応する位置には、交差方向Yについて内方に凹んだ凹部30が形成されている。第一電極シート25のうち、センサシート18のシート延長部22に対応する位置には、第一電極シート25の長手方向Xに沿う長側縁から、長手方向Xと交差する延長方向E1に延長する延長部31aと、延長方向E2に延長する延長部31bとが形成されている。延長部31a,31bには、電線32の端部から露出する芯線32aが接続されている。芯線32aと延長部31a,31bとは、はんだ付け、ロウ付け、超音波溶着等の公知の手法により電気的に接続されている。以下の説明において、延長部31aと延長部31bとを区別しないで記載する場合には、延長部31と記載する場合がある。
【0027】
図4に示すように、第二電極シート26は、絶縁シート24の第二面28側に配置されている。詳細には、第二電極シート26は、絶縁シート24の第二面28に積層されている。第二電極シート26は、絶縁シート24よりもやや小さな相似形に形成されている。これにより、絶縁シート24の第二面28の端縁部は、第二電極シート26の端縁部から露出している。
【0028】
第一電極シート25と第二電極シート26とは、同形同大であってもよいし、一方が他方よりもやや大きな相似形であってもよい。本形態においては、第一電極シート25と第二電極シート26は、略同一の構成を有する。
【0029】
なお、第二電極シート26は、第一電極シート25と略同一の構成を有するので、以下の説明において、重複する記載を省略する場合がある。
【0030】
絶縁シート24は、可撓性を有し、かつ、面方向に伸長可能に構成されている。絶縁シート24は、例えば発泡性樹脂を主成分として含んで形成されても良いし、エラストマーを主成分として含んで形成されても良い。従って、絶縁シート24は、柔軟である。
【0031】
絶縁シート24が発泡性樹脂を主成分として含んで形成される場合、絶縁シート24は、例えば、樹脂またはエラストマーの発泡体から製造することができる。エラストマーには、架橋ゴムおよび熱可塑性エラストマーが含まれる。例えば、ウレタンフォームの他、ポリスチレンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォーム、ポリオレフィン発泡体、EVA(エチレン-酢酸ビニル共重合体)フォーム、PETフォーム、フェノールフォーム、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)フォーム、シリコーンフォーム、ポリ塩化ビニルフォーム、アクリルフォーム、ポリイミドフォーム、ポリ乳酸系樹脂発泡体、メラミンフォーム、ポリメタクリルイミドフォーム、フッ素樹脂フォームなどが挙げられる。
【0032】
絶縁シート24が、例えば、熱可塑性材料、特に熱可塑性エラストマーを主成分として含んで形成されている場合、絶縁シート24は、熱可塑性エラストマー自身により形成されるようにしても良いし、熱可塑性エラストマーを素材として加熱することによって架橋されたエラストマーを主成分として形成されるようにしても良い。
【0033】
また、絶縁シート24は、熱可塑性エラストマー以外のゴム、樹脂、他の材料などを含んでいても良い。例えば、絶縁シート24がエチレン-プロピレンゴム(EPM、EPDM)などのゴムを含む場合には、絶縁シート24の柔軟性が向上する。絶縁シート24の柔軟性を向上させるという観点から、絶縁シート24に可塑剤などの柔軟性付与成分を含有させてもよい。さらに、絶縁シート24は、反応硬化性エラストマー、熱硬化性エラストマーを主成分として構成されるようにしても良い。
【0034】
さらに、絶縁シート24は、熱伝導性の良好な材料が好適である。そこで、絶縁シート24は、熱伝導率の高い熱可塑性エラストマーを用いるようにしても良いし、熱伝導率を高めることができるフィラーを含有させるようにしても良い。また、絶縁シート24は微細な空気層を有する発泡構造を有する構成としても良い。さらに、絶縁シート24はパーフォレーション(ミシン目に代表される規則的な物理孔)やスリット(切り込み、切り欠き)を有する構成としても良い。
【0035】
第一電極シート25は、絶縁シート24の第一面27、すなわち絶縁シート24の上面(図4の上面)側に配置されており、第二電極シート26は、絶縁シート24の第二面28、すなわち絶縁シート24の下面(図4の下面)側に配置されている。少なくとも第一電極シート25は、検出用電極を構成する。第一電極シート25および第二電極シート26は、導電性を有する。さらに、第一電極シート25および第二電極シート26は、柔軟である。つまり、第一電極シート25および第二電極シート26は、可撓性を有し、かつ、面方向に伸長可能に構成されている。
【0036】
1.5.第一電極シート25および第二電極シート26と、絶縁シート24と、の接合構造
図4に示すように、絶縁シート24の第一面27側には、第一接合部36によって第一電極シート25が接合されている。第一接合部36を構成する材料は特に限定されず、例えば、アクリル系粘着剤、シリコーン粘着剤、ウレタン粘着剤、ゴム系粘着剤等、任意の材料から適宜に選択できる。また、図4に示すように、絶縁シート24の第二面28側には、第二接合部37によって第二電極シート26が接合されている。第二接合部37を構成する材料は第一接合部36と同じなので、重複する説明を省略する。
【0037】
1.6.電極シートの構成
第一電極シート25および第二電極シート26は、導電性を備えた導電布である。第一電極シート25および第二電極シート26は、導電性を有しつつ、柔軟性を有する。第一電極シート25および第二電極シート26は、長手方向Xおよび交差方向Yへの伸縮性を有する。
【0038】
図5に示すように、第一電極シート25および第二電極シート26は、複数のフィラメント集合体72が織られた導電布である。フィラメント集合体72は、複数のフィラメント71と、フィラメント71の表面の少なくとも一部に形成されたメッキ層33と、を備える。
【0039】
図5(a)~図5(b)に示すように、第一電極シート25および第二電極シート26は、複数の無撚糸束線74が織られた基布にメッキ層33を形成することにより製造される。各無撚糸束線74は、複数のフィラメント71が撚られてない状態でまとめられて形成されている。
【0040】
フィラメント71を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミドを例示することができる。ただし、フィラメント71を構成する樹脂は上記に限られず、任意の樹脂を適宜に選択できる。第二電極シート26も同様の構成を備える。
【0041】
メッキ層33は、複数のフィラメント集合体72が織られた基布の表面に形成される。メッキ層33を形成する手法は特に限定されず、例えば、電解メッキでも良いし、無電解メッキでも良いし、無電解メッキを実施した後に電解メッキを実施しても良いし、電解メッキを実施した後に無電解メッキを実施しても良く、任意の手法を適宜に選択できる。
【0042】
基布の表面に形成されるメッキ層33を構成する金属としては、銅、ニッケル、スズ、半田等、任意の金属または合金を適宜に選択できる。基布の表面に形成されるメッキ層33は、1つの金属種により構成されても良いし、複数の金属種により構成されても良い。例えば、基布の表面に銅のみをメッキしてもよいし、基布の表面にニッケルのみをメッキしてもよいし、基布の表面に銅からなる銅メッキ層を形成し、この銅メッキ層の表面にニッケルからなるニッケルメッキ層を形成しても良い。基布の表面に形成されるメッキ層33は、電解メッキにより形成してもよいし、無電解メッキにより形成しても良い。第二電極シート26も同様の構成を備える。
【0043】
図5(a)に示すように、第一電極シート25は、複数のフィラメント集合体72の間に開口する第一開口部34aを備える。第一開口部34aは第一電極シート25を貫通している。第一電極シート25に形成された第一開口部34aの開口面積の、第一電極シート25の面積に対する割合である第一開口率は、1%以上40%以下である。
【0044】
図5(b)に示すように、第二電極シート26は、複数のフィラメント集合体72の間に開口する第二開口部34bを備える。第二開口部34bは第二電極シート26を貫通している。第二電極シート26に形成された第二開口部34bの開口面積の、第二電極シート26の面積に対する割合である第二開口率は、1%以上40%以下である。
【0045】
1.7.実施例およびサンプル
1.7.1.実施例1およびサンプル1
(実施例1およびサンプル1)
図5図8を参照して、実施例1について説明する。図5(a)に示すように、実施例1に係る第一電極シート25は、複数のフィラメント集合体72が織られた導電布である。複数のフィラメント集合体72は、複数のフィラメント71が撚られていない状態でまとめられた無撚糸束線74と、無撚糸束線74の表面の少なくとも一部に形成されたメッキ層33と、を備える。フィラメント集合体72は、第一電極シート25bの厚み方向に扁平な形状に形成されている。ただし、第一電極シート25と、第二電極シート26は、略同一の構成を備えるので、特に言及する場合を除いて重複する説明を省略する。
【0046】
本実施例1に係る第一電極シート25は、複数のフィラメント71が撚られていない状態でまとめられた経糸と、複数のフィラメント71が撚られていない状態でまとめられた緯糸と、を織ることにより基布を形成し、この基布の表面にメッキ層33を形成することにより形成される。ただし、第一電極シート25の製造方法は上記の方法に限定されない。
【0047】
図5(a)に示すように、本形態の第一電極シート25は、複数の経糸フィラメント集合体72aと、複数の緯糸フィラメント集合体72bと、を備える。第一電極シート25は、複数のフィラメント集合体72の間に開口する第一開口部34aを備える。第一開口部34aは第一電極シート25を貫通している。本実施例1における、第一電極シート25に形成された第一開口部34aの開口面積の、第一電極シート25の面積に対する割合である開口率は、約3%である。なお、本開口率は、第一電極シート25の対象領域に形成された複数の第一開口部34aの開口面積の合計の、第一電極シート25の対象領域の面積に対する割合である。本開口率は、例えば、第一電極シート25において10mm×10mmの対象領域を特定し、対象領域内の第一開口部34aの面積を合計し、合計面積を対象領域の面積で除算して算出する。
【0048】
図5(b)に示すように、本形態の第二電極シート26は、複数の経糸フィラメント集合体72aと、複数の緯糸フィラメント集合体72bと、を備える。本形態の第二電極シート26は、複数のフィラメント集合体72の間に開口する第二開口部34bを備える。第二開口部34bは第二電極シート26を貫通している。本実施例1における、第二電極シート26に形成された第二開口部34bの開口面積の、本形態の第二電極シート26の面積に対する割合である開口率は、約3%である。
【0049】
第一電極シート25を構成するフィラメント集合体72に含まれるフィラメント71の本数は特に制限されない。本形態に係るフィラメント集合体72は75本のフィラメント71を備えるが、任意の本数とすることができる。また、第二電極シート26についても、第一電極シート25と同様である。
【0050】
図6に示すように、フィラメント集合体72を構成する無撚糸束線74の表面の少なくとも一部には、メッキ層33が形成されている。経糸フィラメント集合体72aのメッキ層33と、緯糸フィラメント集合体72bのメッキ層33とが接触することにより、経糸フィラメント集合体72aと緯糸フィラメント集合体72bとが電気的に接続される。
【0051】
図5(a)に示すように、複数の経糸フィラメント集合体72aの長手方向Sと、第一電極シート25の長手方向Xと、が交差して配置されている。また、複数の緯糸フィラメント集合体72bの長手方向Tと、第一電極シート25の長手方向Xと、が交差して配置されている。詳細には、複数の経糸フィラメント集合体72aの長手方向Sは、第一電極シート25の長手方向Xに対して、鋭角の角度が実質的に45°である。また、複数の緯糸フィラメント集合体72bの長手方向Tは、第一電極シート25aの長手方向Xに対して、鋭角の角度が実質的に45°である。角度が実質的に45°であるということは、45°である場合を含むとともに、実質的に45°であると認定できる場合も含む。なお、第二電極シート26についても、第一電極シート25と同様の構成を備えるので、重複する説明を省略する。
【0052】
第一電極シート25の長手方向Xに対して、経糸フィラメント集合体72aの長手方向Sが平行な場合(鋭角の角度が実質的に0°の場合)、第一電極シート25を方向Xに平行に伸張すると、経糸フィラメント集合体72aそのものを引き延ばすこととなり、大きな荷重が必要である。
【0053】
一方、第一電極シート25の長手方向Xに対して、経糸フィラメント集合体72aの長手方向Sが斜め45°に傾斜している場合(鋭角の角度が実質的に45°の場合)、第一電極シート25を方向Xに平行に伸張すると、経糸フィラメント集合体72aと緯糸フィラメント集合体72bで構成される正方形または長方形の格子(開口部34)が菱形形状に変形することとなり、経糸フィラメント集合体72aまたは緯糸フィラメント集合体72bそのものを引き延ばすことにならないため、大きな荷重を必要としない。すなわち、鋭角の角度が実質的に45°になっている場合には、構造的な柔軟性が付与される。さらに、開口率が高いほど、正方形または長方形の格子が菱形形状に変形しやすくなり、構造的な柔軟性が損なわれにくい。
【0054】
ただし、複数の経糸フィラメント集合体72aの長手方向Sは、第一電極シート25の長手方向Xに対して、鋭角の角度が45°と異なる角度であっても良い。また、複数の緯糸フィラメント集合体72bの長手方向Tは、第一電極シート25の長手方向Xに対して、鋭角の角度が45°と異なる角度であっても良い。
【0055】
経糸フィラメント集合体72aを構成する複数のフィラメント71の本数と、緯糸フィラメント集合体72bを構成する複数のフィラメント71の本数は、同じであっても良いし、異なっていても良い。本実施例1においては、経糸フィラメント集合体72aを構成する複数のフィラメント71の本数と、緯糸フィラメント集合体72bを構成する複数のフィラメント71の本数は、実質的に同じに設定されている。実質的に同じとは、同じである場合を含むとともに、同じでない場合であっても実質的に同じと認定しうる場合も含む。緯糸フィラメント集合体72bにおいても、上記と同様であるので、重複する説明を省略する。本実施例1においては、フィラメント71の本数は75本に設定されている。ただし、フィラメント71の本数は上記の本数に限定されない。
【0056】
図6に示すように、経糸フィラメント集合体72aを構成する複数のフィラメント71の少なくとも一部には、メッキ層33が形成されている。例えば、経糸フィラメント集合体72aの外面に露出するフィラメント71の表面には、メッキ層33が形成されている。経糸フィラメント集合体72aの内部に位置するフィラメント71のうち一部のフィラメント71の表面にはメッキ層33が形成されていない。メッキ層33が形成されていない部分においては、フィラメント71の表面が露出している。緯糸フィラメント集合体72bにおいても、上記と同様であるので、重複する説明を省略する。
【0057】
経糸フィラメント集合体72aと、緯糸フィラメント集合体72bとが互いに対向して交差する部分においては、一部にメッキ層33が形成されるとともに、メッキ層33が形成されていない部分においては、フィラメント71の表面が露出している。経糸フィラメント集合体72aと、緯糸フィラメント集合体72bとが互いに対向して交差する部分のうち、外部に露出する部分寄りの領域にメッキ層33が形成されている一方、内部寄りの部分においては、メッキ層33が形成されている部分とメッキ層33が形成されていない部分が混在する。なお、緯糸フィラメント集合体72bについても、経糸フィラメント集合体72aと同様の構成を備えるので、重複する説明を省略する。
【0058】
図8に示す、経糸フィラメント集合体72aのそれぞれの断面積A1は、図7に示す、第一電極シート25に歪みが生じていない状態における第一開口部34aの開口面積A2よりも大きい。経糸フィラメント集合体72aの断面積A1は、経糸フィラメント集合体72aの外形線により形成される断面積をいう。緯糸フィラメント集合体72bについても同様である。また、詳細には図示しないが、緯糸フィラメント集合体72bのそれぞれの断面積A1は、第一電極シート25に歪みが生じていない状態における第一開口部34aの開口面積A2よりも大きい。また、詳細には図示しないが、第二電極シート26において、経糸フィラメント集合体72aのそれぞれの断面積A1、および緯糸フィラメント集合体72bのそれぞれの断面積A1は、第二電極シート26に歪みが生じていない状態における第二開口部34bの開口面積A2よりも大きい。
【0059】
図7に示す、第一電極シート25の厚さ方向から見て、経糸フィラメント集合体72aと緯糸フィラメント集合体72bとが互いに交差する部分の面積である交差面積A3は、図7に示す第一開口部34aの開口面積A2よりも大きい。また、詳細には図示しないが、第二電極シート26の厚さ方向から見て、経糸フィラメント集合体72aと緯糸フィラメント集合体72bとが互いに交差する部分の面積である交差面積A3は、第二開口部34bの開口面積A2よりも大きい。
【0060】
本実施形態1においては、フィラメント71を構成する樹脂は、PET(ポリエチレンテレフタレート)であり、フィラメント71の直径は約10μmである。メッキ層33を構成する金属は、3層構造に形成されており、最外層がNiとされ、中間層がCuとされ、最内層(フィラメント71側)はNiとされる。経糸フィラメント集合体72aの直径は185μmであり、緯糸フィラメント集合体72bの直径は185μmである。ただし、第二電極シート26は第一電極シート25と略同一の構成を備えるので、重複する説明を省略する。
【0061】
図4に示すように、上記した第一電極シート25を、絶縁シート24の第一面27に、第一接合部36を介して接合する。また、第一電極シート25と同様の構成を備えた第二電極シート26を、絶縁シート24の第二面28に、第二接合部37を介して接合する。絶縁シート24は、エーテル系ポリウレタン発泡体である。第一接合部36は、ノガワケミカル社製、アクリル系粘着剤である。第一接合部36の厚さは50μmである。第一接合部36と第二接合部37とは同一なので重複する説明を省略する。このようにして、実施例1の第一電極シート25および第二電極シート26に係るセンサシート18の実施例1を作製する。
【0062】
1.7.2.実施例2およびサンプル2
(実施例2およびサンプル2)
続いて、図9(a)~図9(b)を参照して、実施例2に係る第一電極シート25aおよび第二電極シート26aの構成について説明する。本実施例2に係る第一電極シート25aは、経糸フィラメント集合体72aaを構成するフィラメント71aの本数と、緯糸フィラメント集合体72baを構成するフィラメント71aの本数と、が異なる。本実施例2においては、経糸フィラメント集合体72aaを構成するフィラメント71aの本数が、緯糸フィラメント集合体72baを構成するフィラメント71aの本数よりも多い。ただし、経糸フィラメント集合体72aaを構成するフィラメント71aの本数が、緯糸フィラメント集合体72baを構成するフィラメント71aの本数より少ない構成としても良い。
【0063】
本実施例2においては、経糸フィラメント集合体72aaを構成するフィラメント71aの本数は、緯糸フィラメント集合体72baを構成するフィラメント71の本数の約2倍に設定されている。本実施例2においては、経糸フィラメント集合体72aaを構成するフィラメント71aの本数は約80本に設定され、緯糸フィラメント集合体72baを構成するフィラメント71の本数は約40本に設定されている。ただし、経糸フィラメント集合体72aaを構成するフィラメント71aの本数は、緯糸フィラメント集合体72baを構成するフィラメント71aの本数の差異は、上記に限られない。
【0064】
本実施例2に係る第一電極シート25aに形成された第一開口部34aの開口面積の、第一電極シート25aの面積に対する割合である開口率は、約10%である。また、第二電極シート26aに形成された第二開口部34bの開口面積の、第二電極シート26aの面積に対する割合である開口率は、約10%である。
【0065】
第二電極シート26aは、第一電極シート25aと同様の構成なので、重複する説明を省略する。
【0066】
本実施例2においては、フィラメント71aを構成する樹脂は、PET(ポリエチレンテレフタレート)であり、フィラメント71aの直径は約10μmである。メッキ層33を構成する金属は、単層構造を備え、Ni単層とされる。経糸フィラメント集合体72aaの直径は約180μmであり、緯糸フィラメント集合体72baの直径は約90μmである。
【0067】
上記以外の構成は実施例1と同様なので、重複する説明を省略する。
【0068】
また、本実施例2においては、絶縁シート24は、エーテル系ポリウレタン発泡体である。第一接合部36は、アクリル系粘着剤である。第一接合部36の厚さは約50μmである。第一接合部36と第二接合部37とは同一なので重複する説明を省略する。上記以外は、実施例1と同様にして、実施例2の第一電極シート25aおよび第二電極シート26aに係るセンサシート18のサンプル2を作製する。サンプル1と重複する説明は省略する。
【0069】
1.7.3.比較例1およびサンプル3
(比較例1およびサンプル3)
次に、図10(a)~図10(b)を参照して、比較例1について説明する。比較例1に係る経糸フィラメント集合体72abおよび緯糸フィラメント集合体72bbは、6本のフィラメント71bを備える。
【0070】
図10(a)に示すように、本形態の第一電極シート25bは、複数の経糸フィラメント集合体72abと、複数の緯糸フィラメント集合体72bbと、を備える。第一電極シート25bは、複数の経糸フィラメント集合体72abおよび複数の緯糸フィラメント集合体72bbの間に開口する第一開口部34aを備える。第一開口部34aは第一電極シート25bを貫通している。本比較例1における、第一電極シート25bに形成された第一開口部34aの開口面積の、第一電極シート25bの面積に対する割合である開口率は、20%である。
【0071】
図10(b)に示すように、本形態の第二電極シート26bは、複数の経糸フィラメント集合体72abおよび複数の緯糸フィラメント集合体72bbの間に開口する第二開口部34bを備える以外は、第一電極シート25aと略同一であるので、重複する説明を省略する。本比較例1における、第二電極シート26bに形成された第二開口部34bの開口面積の、本形態の第二電極シート26の面積に対する割合である開口率は、20%である。
【0072】
本比較例1においては、フィラメント71を構成する樹脂は、PET(ポリエチレンテレフタレート)であり、フィラメント71の直径は10~20μmである。メッキ層33を構成する金属は、三層構造を備えており、最外層がNiとされ、中間層がCuとされ、最内層(フィラメント71b側)がNiとされる。経糸フィラメント集合体72aの直径は約70μmであり、緯糸フィラメント集合体72bの直径は約70μmである。
【0073】
図11に示すように、経糸フィラメント集合体72abおよび緯糸フィラメント集合体72bbを構成する無撚糸束線74bの表面の少なくとも一部には、メッキ層33が形成されている。本形態においては、無撚糸束線74bの表面の全周に、メッキ層33が形成されている。
【0074】
経糸フィラメント集合体72abのメッキ層33と、緯糸フィラメント集合体72bbのメッキ層33とが接触することにより、経糸フィラメント集合体72abと緯糸フィラメント集合体72bbとが電気的に接続される。
【0075】
上記以外の構成は実施形態1と同様なので、重複する説明を省略する。
【0076】
また、本比較例1においては、絶縁シート24はエーテル系ポリウレタン発泡体である。第一接合部36は、ノガワケミカル社製、アクリル系粘着剤である。第一接合部36の厚さは50μmである。第一接合部36と第二接合部37とは同一なので重複する説明を省略する。実施例1と同様にして、比較例1の第一電極シート25bおよび第二電極シート26bに係るセンサシートのサンプル3を作製する。実施例1と重複する説明は省略する。
【0077】
1.7.4.第一電極シートの引張試験
次に、図12を参照して、第一電極シートに対して実施した引張試験について説明する。実施例1~2、および比較例1に係る第一電極シートを、150mm×20mmの短冊状に切出して試験片を作製した。第一電極シートの厚みは、実施例1~2、およびサンプル3でそれぞれ異なるが、約0.1mmである。試験片の長手方向と、経糸フィラメント集合体72aの長手方向とのなす角度は、45°に設定する。
【0078】
試験片を、一対のチャックにより把持する。一対のチャック間距離は70mmである。試験片を1mm/secの引張速度で引張試験を実施し、荷重を試験片の断面積で除することにより応力を算出する。引張試験機は、島津製作所製、AGS-X 1kNである。引張試験は、歪みが0~20%の範囲で実施する。図12に、応力の、歪みに対する変化を示すグラフを示す。
【0079】
実施例1および実施例2は、歪みが0~20%の領域において、応力は、緩やかに、単調に増加した。実施例1および実施例2は、引張試験における応力―歪み曲線において、歪みが0.5~10%の区間に極大値を示す降伏点を有しない。
【0080】
実施例1は、歪みが5%のときに約1.4MPaの応力を示し、歪みが20%のときに約7.5MPaの応力を示す。実施例2は、歪みが5%のときに約0.9MPaの応力を示し、歪みが20%のときに約5.9MPaの応力を示す。実施例1および実施例2に係る第一電極シート25,25aは、歪みが0~5%における応力の最大値が3MPa以下であり、歪みが0~20%における応力の最大値が15MPa以下である。
【0081】
サンプル3は、引張試験における応力―歪み曲線において、歪みが0.5~10%の区間に極大値を示す降伏点を有する。歪みが0~約1%までの領域においては、応力は直線的に単調に増加した。歪みが約1%で、応力は極大値である約17MPaを示し、急激に、約12MPaにまで減少した。このように、サンプル3においては、歪みが約1%の前と後で、応力が増加傾向から減少傾向に転じた。その後、歪みが約1~約13%の領域で、応力は、約12~約10MPaまで単調に減少した。その後、歪みが約13~20%の領域で、応力は、約10~約12MPaまで単調に増加した。このように、サンプル3は、応力―歪み曲線において、歪みが0~5%における応力の最大値が3MPaより大きく、歪みが0~20%における応力の最大値が15MPaより大きい。
【0082】
1.7.5.センサシートの引張試験
次に、センサシートに対して実施した引張試験について説明する。サンプル1~2、およびサンプル3に係るセンサシートを、90mm×20mmの短冊状に切出すことにより試験片を作製する。センサシートの厚みは、サンプル1~2、およびサンプル3でそれぞれ異なるが、約1mmである。試験片の長手方向と、第一電極シートおよび第二電極シートを構成する経糸フィラメント集合体72aの長手方向とのなす角度は、45°に設定する。
【0083】
第一電極シートの長手方向の一方の端部に電線を接続し、直流電源と接続する。第一電極シートの長手方向の他方の端部に電線を接続し、電圧計測器と接続する。
【0084】
試験片を、一対のチャックにより把持する。一対のチャック間距離は50mmである。試験片を1mm/secの引張速度で引張試験を実施し、荷重を試験片の断面積で除することにより応力を算出する。また、引張試験の実施中に、直流電源の電圧と、センサシートの電圧降下から、センサシートの直流抵抗値(電気抵抗値の一例)を算出する。
【0085】
図13に、センサシートに実施した引張試験における、応力―歪み曲線を示す。図13には、歪みが0~20%の領域のグラフを示す。サンプル1~2の応力は、歪みが0~20%の領域において単調に増加した。サンプル1およびサンプル2は、引張試験における応力―歪み曲線において、歪みが0.5~10%の区間に極大値を示す降伏点を有しない。
【0086】
サンプル1は、歪みが5%のときに約0.5MPa応力を示し、歪みが20%のときに、応力の最大値である約2.6MPaを示す。サンプル2は、歪みが5%のときに約0.3MPa応力を示し、歪みが20%のときに、応力の最大値である約1.5MPaを示す。サンプル1およびサンプル2は、応力―歪み曲線において、歪みが0~5%における応力の最大値が0.5MPa以下であり、歪みが0~20%における応力の最大値が3MPa以下である。サンプル1およびサンプル2は、応力―歪み曲線において、歪みが0~5%における応力が0.5MPa以下であり、歪みが0~20%における応力の最大値が3MPa以下である。
【0087】
サンプル3は、引張試験における応力―歪み曲線において、歪みが0.5~10%の区間に極大値を示す降伏点を有する。歪みが0~約3%までの領域においては、応力は直線的に単調に増加した。歪みが約3%で、応力は極大値である約0.7MPaを示し、急激に、約0.6MPaにまで減少した。このように、サンプル3においては、歪みが約3%の前と後で、応力が増加傾向から減少傾向に転じた。その後、歪みが約1~約13%の領域で、応力は、わずかに減少した。その後、歪みが約13~20%の領域で、応力は、約0.6~約0.8MPaまで単調に増加した。このように、サンプル3は、応力―歪み曲線において、歪みが0~5%における応力の最大値が0.5MPaより大きく、歪みが0~20%における応力の最大値が0.7MPaより大きい。
【0088】
サンプル1およびサンプル2に引張り力が印加されると、第一電極シートの第一開口部34aが、引張方向に伸長し、引張方向と交差する方向について縮む。図14に、サンプル2を例にして、第一開口部34aが変形する状態を示す。図14(a)に示すように、伸長率0%の状態では、第一開口部34aが開口しているが、伸長率が10%(図14(b)参照)、20%(図14(c)参照)、30%(図4(d)参照)と大きくなるにつれ、導電布の繊維の間の隙間が減少し、伸長率30%の状態で、第一開口部34aがほとんど消失していく。このような繊維形状の変化によって、たやすく伸張できるため、伸張時に発生する応力が小さいと考えられる。すなわち、第一開口部34aの存在が、この繊維の構造的な伸縮柔軟性の発現に寄与していると考えられる。上記の構成は、第二電極シートについても同様であるので、説明を省略する。なお、サンプル1についても同様なので、説明を省略する。
【0089】
サンプル1およびサンプル2においては、引張り力がセンサシートに印加された場合、第一開口部34aが徐々に変形することにより、引張り力が吸収されたと考えられる。これにより、経糸フィラメント集合体72aと緯糸フィラメント集合体72bとが交差する部分において、経糸フィラメント集合体72aと緯糸フィラメント集合体72bとの相対的な位置が大きく変化しないので、経糸フィラメント集合体72aと緯糸フィラメント集合体72bとの電気的な接続状態が維持されると考えられる。これによりサンプル1およびサンプル2においては、引張り力がセンサシートに印加された場合でも、直流抵抗値がほとんど変化しないと考えられる。
【0090】
また、サンプル1およびサンプル2は、歪みが0.5~5%の区間に極大値を示す降伏点を有しない。これは、サンプル1およびサンプル2は、歪みが0.5~5%の区間において、第一電極シートおよび第二電極シート上に形成されているメッキ層33の構造に大きな変化が生じていないことによると考えられる。これにより、センサシート18の電気抵抗値の変化が抑制される。
【0091】
一方、サンプル3は、歪みが0.5~5%の区間に極大値を示す降伏点を有する。サンプル3においては、歪みが0%から降伏点に至るまでの区間においては、経糸フィラメント集合体72aと緯糸フィラメント集合体72bとが交差する部分に形成されたメッキ層33が維持されることにより、弾性変形すると考えられる。その後、降伏点において、経糸フィラメント集合体72aと緯糸フィラメント集合体72bとが交差する部分に形成されたメッキ層33が破壊されると考えられる。
【0092】
その後、応力があまり変化しない区間(歪みが約5~約15%の区間)においては、サンプル1およびサンプル2と同様に、第一開口部34aおよび第二開口部34bが変形することにより、引張り力が吸収されると考えられる。
【0093】
その後、歪みが約15%より大きくなると、サンプル3の第一開口率および第二開口率は20%なので、第一開口部34aおよび第二開口部34bが完全に塞がってしまい、第一電極シートおよび第二電極シートに作用する引張力を吸収することができなくなると考えられる。これにより、応力が増加すると考えられる。
【0094】
1.7.6.センサシートの直流抵抗値変化率
次に、センサシートに対して、直流抵抗値変化率を測定した。センサシートを、90mm×20mmの短冊状に切出して試験片を作製した。試験片の長手方向と、経糸フィラメント集合体72aの長手方向とのなす角度は、45°に設定する。
【0095】
試験片を、一対のチャックにより把持する。一対のチャック間距離は50mmである。試験片を1mm/secの引張速度で引張試験を実施する。第一電極シートの両端部にそれぞれ電線を接続し、両電線間の直流抵抗値を測定した。このときの直流抵抗値について、下記の式(1)に基づいて、直流抵抗値変化率を算出する。直流抵抗値の測定は、KEITHLEY社製、デジタルマルチメーター 2000シリーズを用いる。上記の試験を、サンプル1~2、およびサンプル3について実施する。
【0096】
【数1】
【0097】
図15は、直流抵抗値変化率の、歪みに対する変化を示すグラフである。サンプル1の直流抵抗値変化率は、歪みが0~約2%の区間で増加し、歪みが約2%の状態において、直流抵抗率変化率は約5%となった。その後、約2~約5%の区間で減少し、直流抵抗率変化率は約0%となった。その後、歪みが約25%以上で、直流抵抗値変化率は緩やかに増加し、直流抵抗値変化率は、歪みが30%において約7%となった。このように、サンプル1の直流抵抗値変化率は、歪みが0~30%の区間において10%以下であった。
【0098】
サンプル2の直流抵抗値変化率は、歪みが0~約3%の区間で増加し、歪みが約3%の状態において、直流抵抗率変化率は約10%となった。その後、約3~約5%の区間で減少し、直流抵抗率変化率は約0%となった。その後、歪みが30%においても直流抵抗値変化率は約0%であった。このように、サンプル2の直流抵抗値変化率は、歪みが0~30%の区間において10%以下であった。
【0099】
サンプル3の直流抵抗値変化率は、歪みが0~約3%の区間で約2%であった。その後、歪みが約3~30%の区間において、直流抵抗値変化率は単調に上昇し、歪みが30%において、約130%となった。このように、サンプル3の直流抵抗値変化率は、歪みが0~30%の区間において10%よりも大きく、サンプル1及びサンプル2と比べて、伸張時の抵抗変化が極めて大きかった。
【0100】
1.7.7.10%伸長時におけるセンサシートの直流抵抗値変化率
次に、センサシートに対して、10%伸長時における直流抵抗値変化率を測定した。センサシートを、90mm×20mmの短冊状に切出して試験片を作製した。試験片の長手方向と、経糸フィラメント集合体72aの長手方向とのなす角度は、45°に設定する。
【0101】
試験片を、一対のチャックにより把持する。一対のチャック間距離は50mmである。試験片を1mm/secの引張速度で引張試験を実施する。第一電極シートの両端部にそれぞれ電線を接続し、両電線間の直流抵抗値を測定した。このときの直流抵抗値について、下記の式(1)に基づいて、直流抵抗値変化率を算出する。直流抵抗値の測定は、KEITHLEY社製、デジタルマルチメーター 2000シリーズを用いる。上記の試験を、サンプル1~2、およびサンプル3について実施する。
【0102】
上記したセンサシートの直流抵抗値変化率の測定に際して、センサシートを、センサシートに引張り力を加える前の状態における基準長さ(50mm)に対して、10%伸長させた後、基準長さに戻し、再び10%伸長させる試験を所定回数繰返す。本試験での繰り返し回数は、1回、5回、10回である。このときの直流抵抗値について、上記の式(1)に基づいて、直流抵抗値変化率を算出する。上記の試験を、サンプル1~2、およびサンプル3について実施する。
【0103】
図16に、伸張試験の繰返し回数と、直流抵抗値変化率との関係に係るグラフを示す。サンプル1は、初回測定時の直流抵抗値変化率は約0%であった。その後、繰返し回数が増加するにつれて、1回繰返し時は約36%、5回繰返し時は約48%、10回繰返し時は約57%と、直流抵抗値変化率は増加した。10回繰返し時において、サンプル1の直流抵抗率変化率は60%以下であった。
【0104】
サンプル2は、初回測定時の直流抵抗率変化率は約14%であり、サンプル1よりも大きかったが、1回繰返し時は約9%、5回繰返し時は約15%と、繰返し回数が増加しても直流抵抗値変化率はあまり増加しなかった。10回繰返し時は約30%であった。10回繰返し時において、サンプル2の直流抵抗値変化率は50%以下であった。
【0105】
サンプル3は、初回測定時の直流抵抗値変化率は、サンプル1と同等で、約0%であった。しかし、1回繰返し時は約61%、5回繰返し時は約89%、10回繰返し時は約115%と、繰返し回数が増加するにしたがって、サンプル1およびサンプル2よりも、直流抵抗値変化率が増加した。
【0106】
上記のように、サンプル1および2に係るセンサシートは、10%伸長試験を繰返した場合でも、サンプル3に比べて、直流抵抗値の変化が小さいことが分かった。
【0107】
1.7.8.20%伸長時におけるセンサシートの直流抵抗値変化率
続いて、サンプル1~2、およびサンプル3について、センサシートを20%伸長した場合における直流抵抗値変化率を測定する。
【0108】
図17に、伸張試験の繰返し回数と、直流抵抗値変化率との関係に係るグラフを示す。サンプル1は、初回測定時の直流抵抗値変化率は約0%であった。その後、1回繰返し時は約35%、5回繰返し時は約91%と、繰返し回数が増加するにつれて、直流抵抗値変化率は増加した。10回繰返し時において、直流抵抗値変化率は約137%であった。
【0109】
サンプル2は、初回測定時の直流抵抗率変化率は、約10%と、サンプル1よりも大きかったが、1回繰返し時は約27%、5回繰返し時は約32%と、繰返し回数が増加しても直流抵抗値変化率はあまり増加しなかった。10回繰返し時において、サンプル2の直流抵抗値変化率は約55%であった。
【0110】
サンプル3は、初回測定時の直流抵抗値変化率は、約0%と、サンプル1と同等であった。しかし、1回繰返し時に約114%を示し、5回繰返し時には200%を超えた。
【0111】
上記のように、サンプル1および2に係るセンサシートは、20%伸長試験を繰返した場合でも、サンプル3に比べて、直流抵抗値の変化が小さいことが分かった。
【0112】
1.8.本実施形態の作用効果
続いて、本実施形態の作用効果について説明する。本形態に係るセンサシート18は、絶縁シート24と、第一電極シート25,25aと、第一接合部36と、第二電極シート26と、第二接合部37と、を備える。絶縁シート24は、第一面27および第二面28を有し、発泡体により形成される。第一電極シート25,25aは、導電性を有し、絶縁シート24の第一面27側に配置され、貫通した第一開口部34aを有する。第一接合部36は、絶縁シート24と第一電極シート25,25aとを接合する。第二電極シート26は、導電性を有し、絶縁シート24の第二面28側に配置され、貫通した第二開口部34bを有する。第二接合部37は、絶縁シート24と第二電極シート26とを接合する。第一電極シート25,25aおよび第二電極シート26は、複数のフィラメント集合体72が織られた導電布である。フィラメント集合体72は、複数のフィラメントと71、フィラメント71の表面の少なくとも一部に形成されたメッキ層33と、を備える。第一電極シート25,25aは、複数のフィラメント集合体72の間に開口する第一開口部34aを備え、第二電極シート26は、複数のフィラメント集合体72の間に開口する第二開口部34bを備える。センサシート18は、引張試験における応力―歪み曲線において、歪みが0.5~10%の区間に極大値を示す降伏点を有してないように構成される。第一開口部34aの開口面積の、第一電極シート25,25aの面積に対する割合である開口率が1%以上40%以下である。第二開口部34bの開口面積の、第二電極シート26,26aの面積に対する割合である開口率が1%以上40%以下である。
【0113】
センサシート18に引張り力が加えられると、第一電極シート25,25aの第一開口部34aが変形し、第一開口部34aの開口面積が減少するように変形する。また、第一開口部34aによって隔てられていた、複数のフィラメント集合体72の間に、新たな導電経路が形成される。これにより、センサシート18に引張り力が加えられた場合でも、電気抵抗値が変化することを抑制できる。なお、第二電極シート26,26aの第二開口部34bについても上記と同様である。
【0114】
第一開口部34aの開口率は、1%以上40%以下が好ましい。開口率が40%以下であることにより、第一開口部34aの開口面積が減少する方向に変形した場合に、複数のフィラメント集合体72同士が接触しやすくなる。このように、複数のフィラメント集合体72同士が接触しやすくなることから、第一開口部34aの開口率は、1%以上40%以下が好ましく、1%以上30%以下がより好ましく、1%以上20%以下がさらに好ましい。ただし、第二開口部34bについても上記と同様である。
【0115】
本形態に係るセンサシート18は、引張試験における応力―歪み曲線において、歪みが0.5~10%の区間に極大値を示す降伏点を有しないように構成される。これにより、0.5~10%という比較的に歪みが小さな領域において、大きな応力が発生しないと共に応力が急激に変化することが抑制される。この結果、センサシート18をステアリングホイール10に組付ける作業の効率を向上させることができる。さらに、歪みが0.5~5%の区間に極大値を示す降伏点を有しないことにより、センサシート18をわずかに引張ったときに、大きな応力が発生しないと共に応力が変化しないので、作業性がより向上するので、より好ましい。
【0116】
センサシート18に引張り力が加えられると、第一電極シート25の第一開口部34aが変形し、第一開口部34aの開口面積が減少するように変形する。つまり、フィラメント71そのものに引張歪みが集中することなく、フィラメント71全体の空間配置が変化することによって、伸張可能である。すなわち、フィラメント71全体の空間配置変化に伴う開口面積の減少によって、構造的な伸縮柔軟性が発揮されるため、フィラメント71そのものに加わる伸張歪みは小さく、フィラメント71上に形成されたメッキ層33へのダメージを抑制できるため、センサシート18に引張り力が加えられた場合でも、電気抵抗値の変化を抑制できる。
【0117】
また、本形態に係るセンサシート18は、引張試験における応力―歪み曲線において、歪みが0.5~10%の区間に極大値を示す降伏点を有しないように構成されているので、メッキ層33が、歪みが0.5~10%の区間において破断することを抑制できる。これにより、センサシート18の電気抵抗値が変化することを抑制できる。
【0118】
本形態に係るセンサシート18は、応力―歪み曲線において、歪みが0~5%における応力の最大値が0.5MPa以下となるように構成されている。また、センサシート18は、応力―歪み曲線において、歪みが0~20%における応力の最大値が3MPa以下となるように構成されている。これにより、センサシート18に引張り力が印加された場合に、第一電極シート25,25aに対して過度に大きな応力が加わることを抑制できる。この結果、第一電極シート25,25aの構造が破壊されることを抑制できるので、センサシート18の電気抵抗値が変化することを抑制できる。
【0119】
第一電極シート25,25aに加わる応力を低減する観点、または第二電極シート26、26aに加わる応力を低減する観点から、応力―歪み曲線において、歪みが0~5%におけるセンサシート18の応力の最大値は、0.5MPa以下が好ましく、0.4MPa以下がより好ましく、0.3MPa以下がさらに好ましい。
【0120】
同様に、第一電極シート25,25aに加わる応力を低減する観点、または第二電極シート26、26aに加わる応力を低減する観点から、応力―歪み曲線において、歪みが0~20%におけるセンサシート18の応力の最大値は、3MPa以下が好ましく、2MPa以下がより好ましく、1.5MPa以下がさらに好ましい。
【0121】
また、本形態に係る第一電極シート25,25aは、応力―歪み曲線において、歪みが0~5%における応力の最大値が3MPa以下となるように構成されている。また、第一電極シート25,25aは、応力―歪み曲線において、歪みが0~20%における応力の最大値が15MPa以下となるように構成されている。なお、第二電極シート26、26aについても同様である。
【0122】
第一電極シート25,25aに加わる応力を低減する観点、または第二電極シート26、26aに加わる応力を低減する観点から、応力―歪み曲線において、歪みが0~5%における第一電極シート25,25a、または第二電極シート26、26aの応力の最大値は、3MPa以下が好ましく、2MPa以下がより好ましく、1MPa以下がさらに好ましい。
【0123】
同様に、第一電極シート25,25aに加わる応力を低減する観点、または第二電極シート26、26aに加わる応力を低減する観点から、歪みが0~20%における第一電極シート25,25a、または第二電極シート26、26aの応力の最大値は、15MPa以下が好ましく、10MPa以下がより好ましく、7MPa以下がさらに好ましい。
【0124】
本形態に係るセンサシート18の応力―歪み曲線は、20mm×90mmの試験片を把持し、引張速度1mm/sで引張試験を実施した場合の応力-歪み曲線である。
【0125】
本形態に係るセンサシート18は、引張試験における歪みが20%において、式(1)で定義される直流抵抗体変化率が50%以下となるように構成されている。
【0126】
【数2】
ただし、伸張前後の直流抵抗値の差は、伸張後の直流抵抗値から伸長前の初期直流抵抗値を減じた差である。
【0127】
本形態によれば、センサシート18を伸長した場合でも、直流抵抗値が変化することを抑制できる。これにより、センサシート18の電気抵抗値が変化することを抑制できる。直流抵抗値変化率は、50%以下が好ましく、30%以下がより好ましく、11%以下がさらに好ましい。
【0128】
本形態に係るセンサシート18は、歪みを20%にした後に歪みを0%に戻す試験を10回繰り返した後の、式(1)で定義される直流抵抗値変化率が150%以下となるように構成されている。
【0129】
【数3】
ただし、伸張前後の直流抵抗値の差は、伸張後の直流抵抗値から伸長前の初期直流抵抗値を減じた差である。
【0130】
本形態によれば、センサシート18を伸長した後に、元の寸法に復帰させる操作を繰り返した場合でも、直流抵抗値が変化することを抑制できる。これにより、センサシート18の電気抵抗値が変化することを抑制できる。直流抵抗値変化率は、150%以下が好ましく、140%以下がより好ましく、100%以下がさらに好ましい。
【0131】
本形態に係る複数のフィラメント集合体72のそれぞれの断面積は、第一電極シート25,25aに歪みが生じていない状態における第一開口部34aの開口面積よりも大きい。これにより、単位面積に占めるフィラメント集合体72の割合が大きくなるので、第一電極シート25,25aにおける導電経路が多く形成される。この結果、センサシート18に引張り力が加えられて、複数の導電経路のうちいくつかの導電経路が損傷した場合でも、電気的導通可能な導電経路を残すことが可能となる。これにより、センサシート18の電気的抵抗値が変化することを抑制できる。また、複数のフィラメント集合体72のそれぞれの断面積は、第二電極シート26,26aに歪みが生じていない状態における第二開口部34bの開口面積よりも大きい。作用効果は第一電極シート25、25aと同様なので説明を省略する。
【0132】
また、本形態に係る複数のフィラメント集合体72は、経糸フィラメント集合体72aおよび緯糸フィラメント集合体72bを備え、経糸フィラメント集合体72aと緯糸フィラメント集合体72bとが互いに交差する部分の面積は、第一電極シート25,25aに歪みが生じていない状態における第一開口部34aの開口面積よりも大きい。なお、第二電極シート26、26aについても、経糸フィラメント集合体72aと緯糸フィラメント集合体72bとが互いに交差する部分の面積は、第二電極シート26、26aに歪みが生じていない状態における第二開口部34bの開口面積よりも大きい。
【0133】
経糸フィラメント集合体72aと、緯糸フィラメント集合体72bとが互いに交差する部分において、経糸フィラメント集合体72aと緯糸フィラメント集合体72bとが電気的に導通する。したがって、経糸フィラメント集合体72aと緯糸フィラメント集合体72bとが互いに交差する部分において、外部に露出する部分にメッキ層33が形成されていることに加え、内部寄りの部分(交差の内側)においても、メッキ層33が形成されている領域が多いほど、経糸フィラメント集合体72aと緯糸フィラメント集合体72bとが電気的に導通しやすくなる。したがって、本形態によれば、センサシート18に引張り力が加えられた場合でも、経糸フィラメント集合体72aと緯糸フィラメント集合体72bとの電気的な導通を維持することができる。この結果、センサシート18の電気的抵抗値が変化することを抑制できる。
【0134】
本形態に係るセンサシート18は、さらに、絶縁シート24の第二面28に、導電性の第二電極シート26,26aを備える。第二電極シート26.26aを備えることにより、センサシート18を電磁的にシールド可能とすることができるので、センサシート18の感度を向上させることができる。
【0135】
本形態に係る複数のフィラメント集合体72は、経糸フィラメント集合体72aおよび緯糸フィラメント集合体72bを備える。経糸フィラメント集合体72aおよび緯糸フィラメント集合体72bは、複数のフィラメント71が撚られていない状態でまとめられた無撚糸束線74と、無撚糸束線74の表面の少なくとも一部に形成されたメッキ層33と、を備える。
【0136】
フィラメント集合体72が無撚糸束線74であることにより、フィラメント集合体72を構成する複数のフィラメント71は、比較的自由に動きやすい構成となっている。このため、センサシート18に引張り力が加えられた場合でも、無撚糸束線74を構成する複数のフィラメント71が動くことにより、応力を吸収することが可能となる。これにより、センサシート18に過剰な応力が加わることが抑制されるので、センサシート18の電気的抵抗値が変化することを抑制できる。
【0137】
本形態に係るフィラメント集合体72は、隣合うフィラメント71の表面に形成されたメッキ層33同士が互いに接触することにより電気的に接続される部分が、束状に形成された無撚糸束線74の内部に位置する複数のフィラメント71の外面にも存在する。このため、センサシート18に引張り力が加えられた場合に、無撚糸束線74の表面に位置するフィラメント71の外面に形成されたメッキ層33が破断しても、無撚糸束線74の内部に位置する複数のフィラメント71の外面に形成されたメッキ層33がさらに存在する。この結果、無撚糸束線74の内部に位置する複数のフィラメント71の外面に形成されたメッキ層33が互いに接触することにより、センサシート18に引張り力が加えられた場合でも、電気抵抗値の変化を抑制できる。
【0138】
(実施形態2)
次に、図18図21を参照して、実施形態2について説明する。実施形態2以降において用いた符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
【0139】
2.1.第一電極シート25cの構成
図18に示すように、実施形態2に係る第一電極シート25cは、経糸フィラメント集合体72aと、緯糸フィラメント集合体72bと、を備える。上記したように、経糸フィラメント集合体72aおよび緯糸フィラメント集合体72bは、複数のフィラメント71が撚られていない状態で束ねられた無撚糸束線74と、無撚糸束線74の表面に形成されたメッキ層33と、を備える。なお、詳細には図示しないが、本形態に係るセンサシート18は絶縁シート24の第二面側に第二電極シートを備える。第二電極シートの構成は第一電極シート25cと略同一なので、重複する説明を省略する。
【0140】
メッキ層33を構成する金属としては、銅、ニッケル、スズ、半田等、任意の金属または合金を適宜に選択できる。メッキ層33を構成する金属は実施形態1と同様なので、重複する説明を省略する。
【0141】
本形態においては、複数の経糸フィラメント集合体72aのメッキ層33を構成する金属種と、複数の緯糸フィラメント集合体72bのメッキ層33を構成する金属種とは、同じである。ただし、複数の経糸フィラメント集合体72aのメッキ層33を構成する金属種と、複数の緯糸フィラメント集合体72bのメッキ層33を構成する金属種とが、異なっていても良い。また、複数の経糸フィラメント集合体72aのメッキ層33を構成する金属種は、複数の経糸フィラメント集合体72aの並ぶ方向において異なっていても良い。また、複数の緯糸フィラメント集合体72bのメッキ層33を構成する金属種は、複数の緯糸フィラメント集合体72bの並ぶ方向において異なっていても良い。また、複数の経糸フィラメント集合体72aのうち少なくとも2つの経糸フィラメント集合体72aは、各経糸フィラメント集合体72aを構成する複数のフィラメント71に形成されたメッキ層33を構成する金属種が異なっていてもよい。また、複数の緯糸フィラメント集合体72bのうち少なくとも2つの緯糸フィラメント集合体72bは、各緯糸フィラメント集合体72bを構成する複数のフィラメント71に形成されたメッキ層33を構成する金属種が異なっていても良い。
【0142】
金属種を異ならせることにより、複数の経糸フィラメント集合体72aのメッキ層33の性質(電気的性質、化学的性質、力学的性質等)と、複数の緯糸フィラメント集合体72bの性質(電気的性質、化学的性質、力学的性質等)を異ならせることができる。電気的性質としては、電気抵抗値が例示される。化学的性質としては、イオン化傾向、親和性等が例示される。力学的性質としては、摩擦係数、強度、延伸率等が例示される。本形態の第一電極シート25cに形成された第一開口部34aの開口面積の、第一電極シート25cの面積に対する割合である開口率は、30%以上である。ただし、開口率の値は特に限定されず、30%未満であってもよい。
【0143】
図18に示すように、各経糸フィラメント集合体72aは、複数のフィラメント71を備える。1つの経糸フィラメント集合体72aを構成するフィラメント71の本数は特に制限されない。
【0144】
図18に示すように、各緯糸フィラメント集合体72bは、複数のフィラメント71を備える。
【0145】
図21に示すように、複数の経糸フィラメント集合体72aの長手方向Sと、第一電極シート25cの長手方向Xと、が交差して配置されている。また、複数の緯糸フィラメント集合体72bの長手方向Tと、第一電極シート25cの長手方向Xと、が交差して配置されている。詳細には、複数の経糸フィラメント集合体72aの長手方向Sは、第一電極シート25cの長手方向Xに対して、鋭角の角度が実質的に45°である。また、複数の緯糸フィラメント集合体72bの長手方向Tは、第一電極シート25cの長手方向Xに対して、鋭角の角度が実質的に45°である。第二電極シートについても同様である。
【0146】
図19に示すように、経糸フィラメント集合体72aを構成する各フィラメント71の表面の少なくとも一部には、メッキ層33が形成されている。経糸フィラメント集合体72aを構成する各フィラメント71の全表面にメッキ層33が形成されていても良いし、経糸フィラメント集合体72aを構成する各フィラメント71の表面の一部にメッキ層33が形成されていても良い。本形態では、隣り合うフィラメント71同士が接触する経糸フィラメント接触点71aaを除いて、各フィラメント71の表面にメッキ層33が形成されている。本形態においては、1つの経糸フィラメント集合体72aの内側の領域に位置するフィラメント71の表面にもメッキ層33が形成されている。隣り合うフィラメント71同士は、第一電極シート25cの表面に露出する領域においてメッキ層33により電気的に接続されている。
【0147】
図20に示すように、緯糸フィラメント集合体72bを構成する各フィラメント71の表面の少なくとも一部には、メッキ層33が形成されている。緯糸フィラメント集合体72bを構成する各フィラメント71の全表面にメッキ層33が形成されていても良いし、緯糸フィラメント集合体72bを構成する各フィラメント71の表面の一部にメッキ層33が形成されていても良い。本形態では、隣り合うフィラメント71同士が接触する緯糸フィラメント接触点71abを除いて、各フィラメント71の表面にメッキ層33が形成されている。本形態においては、1つの緯糸フィラメント集合体72bの内側の領域に位置するフィラメント71の表面にもメッキ層33が形成されている。隣り合うフィラメント71同士は、第一電極シート25cの表面に露出する領域においてメッキ層33により電気的に接続されている。
【0148】
また、本形態では、経糸フィラメント集合体72aを構成するフィラメント71と、緯糸フィラメント集合体72bを構成するフィラメント71とが接触する緯糸フィラメント接触点71abを除いて、各フィラメント71の表面にメッキ層33が形成されている。経糸フィラメント集合体72aと緯糸フィラメント集合体72bとは、メッキ層33により電気的に接続されている。
【0149】
2.2.第一電極シート25cと、幅狭部35と、の関係
2.2.1. 図21に示すように、第一電極シート25cのうち、交差方向Yについて重なる位置に形成された2つの凹部30に挟まれた領域は、他の部分よりも交差方向Yについて幅狭な幅狭部35とされる。幅狭部35において、複数の経糸フィラメント集合体72aを幅狭部35の厚さ方向Zについて投影したときの占有面積は、複数の緯糸フィラメント集合体72bを幅狭部35の厚さ方向Zについて投影したときの占有面積より大きい。
【0150】
2.2.2. 幅狭部35において、隣接する緯糸フィラメント集合体72b同士の間隔は、隣接する経糸フィラメント集合体72a同士の間隔より小さい。
【0151】
2.2.3. 幅狭部35における経糸フィラメント集合体72aを構成する複数のフィラメント71の本数は、幅狭部35と異なる部分における経糸フィラメント集合体72aを構成する複数のフィラメント71の本数よりも多い。
【0152】
2.2.4. 幅狭部35における緯糸フィラメント集合体72bを構成する複数のフィラメント71の本数は、幅狭部35と異なる部分における緯糸フィラメント集合体72bを構成する複数のフィラメント71の本数よりも多い。
【0153】
上記した2.2.1.~2.2.4.に記載した構成は互いに独立しており、2.2.1.~2.2.4.に記載した構成のすべてを備えても良いし、2.2.1.~2.2.4.に記載した構成から選択された少なくとも一つを備えても良い。また、2.2.1.~2.2.4.に記載した構成を省略してもよい。
【0154】
2.3. 第一電極シート25cと、延長部31と、の関係
上記したように、本形態の第一電極シート25cにおいては、複数の経糸フィラメント集合体72aの長手方向Sは、第一電極シート25cの長手方向Xに対して、鋭角の角度が実質的に45°であり、複数の緯糸フィラメント集合体72bの長手方向Tは、第一電極シート25cの長手方向Xに対して、鋭角の角度が実質的に45°である。図21には、第一電極シート25cの複数の経糸フィラメント集合体72aおよび複数の緯糸フィラメント集合体72bの延びる方向について、格子模様が斜め45°に傾いたパターンにより模式的に示す。
【0155】
2.3.1. 図21に示すように、第一電極シート25cの延長部31a,31bにおいて、図21の左側に形成された延長部31aの延長方向E1と、複数の経糸フィラメント集合体72aの長手方向Sと、のなす角度αは、延長部31aの延長方向E1と、複数の緯糸フィラメント集合体72bの長手方向Tと、のなす角度βより小さい。
【0156】
2.3.2. 図21に示すように、第一電極シート25cの延長部31において、図21の右側に形成された延長部31bの延長方向E2と、複数の経糸フィラメント集合体72aの長手方向Sと、のなす角度αは、延長部31bの延長方向E2と、複数の緯糸フィラメント集合体72bの長手方向Tと、のなす角度βより大きい。第二電極シートについても同様である。
【0157】
2.3.3. 第一電極シート25cの延長部31において、複数の経糸フィラメント集合体72aを延長部31の厚さ方向Zについて投影したときの占有面積は、複数の緯糸フィラメント集合体72bを延長部31の厚さ方向Zについて投影したときの占有面積より大きい。
【0158】
2.3.4. 第一電極シート25cの延長部31において、緯糸フィラメント集合体72bの隣接するフィラメント71同士の間隔は、経糸フィラメント集合体72aの隣接するフィラメント71同士の間隔より小さい。
【0159】
2.3.5. 第一電極シート25cの延長部31における経糸フィラメント集合体72aを構成する複数のフィラメント71の本数は、延長部31と異なる部分における経糸フィラメント集合体72aを構成する複数のフィラメント71の本数よりも多い。
【0160】
2.3.6. 第一電極シート25cの延長部31における緯糸フィラメント集合体72bを構成する複数のフィラメント71の本数は、延長部31と異なる部分における緯糸フィラメント集合体72bを構成する複数のフィラメント71の本数よりも多い。
【0161】
上記した2.3.1.~2.3.6.に記載した構成は互いに独立しており、2.3.1.~2.3.6.に記載した構成のすべてを備えても良いし、2.3.1.~2.3.6.に記載した構成から選択された少なくとも一つを備えても良い。また、2.3.1.~2.3.6.に記載した構成を省略してもよい。第二電極シートについても同様である。
【0162】
2.4.折曲げ試験
第一電極シート25cは、JIS P8115:2001に準拠して、荷重50g、R0.38mmのクランプを用い、角度135°で折曲げ試験を行ったときに、1000サイクル後の電気抵抗値の増加率が50%以下であることが好ましく、2000サイクル後の電気抵抗値の増加率が50%以下であることがより好ましく、5000サイクル後の電気抵抗値の増加率が50%以下であることがさらに好ましく、10000サイクル後の電気抵抗値の増加率が50%以下であることが特に好ましい。これにより、外力が加えられた場合でも電気抵抗値の増加が抑制されたセンサシート18を得ることができる。
【0163】
2.5.本形態の作用効果
続いて、本形態の作用効果について説明する。本形態のセンサシート18に係る第一電極シート25cは、複数のフィラメント71を有する複数の経糸フィラメント集合体72aと、複数のフィラメント71を有する複数の緯糸フィラメント集合体72bと、を備える導電布である。各フィラメント71の表面に金属からなるメッキ層33が形成されている。
【0164】
本形態によれば、センサシート18に外力が加えられた場合に、メッキ層33が剥がれて、1つのフィラメント71の一端部から他端部までの導電経路が断絶した場合でも、他のフィラメント71の導電経路が存続する可能性が高まる。また、1つのフィラメント71と、他のフィラメント71との間の導電経路が断絶した場合でも、他のいずれかのフィラメント71間の導電経路が存続する可能性が高まる。この結果、センサシート18に外力が加えられた場合でも、センサシート18を構成する複数のフィラメント71間の導電経路が存続する可能性を高めることができるので、センサシート18に外力が加えられた場合にセンサシート18の電気抵抗値が増加することを抑制できる。
【0165】
また、本形態に係る複数の経糸フィラメント集合体72aは、互いに等間隔に並んで配置されており、複数の緯糸フィラメント集合体72bは、互いに異なる間隔で並んで配置されている。等間隔に並んだ複数の経糸フィラメント集合体72aによって第一電極シート25cの強度を向上させつつ、互いに異なる間隔で並んだ複数の緯糸フィラメント集合体72bによって第一電極シート25cの伸縮性を向上させることができる。
【0166】
本形態に係る経糸フィラメント集合体72aを構成する隣合うフィラメント71同士は、第一電極シート25cの表面に露出する領域においてメッキ層33により電気的に接続されている。これにより、経糸フィラメント集合体72aを構成する複数のフィラメント71同士を電気的に接続することができる。
【0167】
本形態に係る緯糸フィラメント集合体72bを構成する隣合うフィラメント71同士は、第一電極シート25cの表面に露出する領域においてメッキ層33により電気的に接続されている。これにより、緯糸フィラメント集合体72bを構成する複数のフィラメント71同士を電気的に接続することができる。
【0168】
図19に示すように、本形態においては、経糸フィラメント集合体72aを構成するフィラメント71同士は経糸フィラメント接触点71aa(フィラメント接触点の一例)で接触する。また、図20に示すように、緯糸フィラメント集合体72bを構成するフィラメント71同士は緯糸フィラメント接触点71ab(フィラメント接触点の一例)で接触する。また、図19および図20に示すように、経糸フィラメント集合体72aを構成するフィラメント71と緯糸フィラメント集合体72bを構成するフィラメント71とは経緯フィラメント接触点71ac(フィラメント接触点の一例)で接触する。本形態によれば、経糸フィラメント接触点71aa、緯糸フィラメント接触点71ab、および経緯フィラメント接触点71acを除いて、複数のフィラメント71の表面にはメッキ層33が形成されている。これにより、センサシート18に外力が加えられた場合でも、センサシート18を構成する複数のフィラメント71の導電経路が存続する可能性を高めることができる。これにより、センサシート18に外力が加えられた場合にセンサシート18の電気抵抗値が増加することを抑制できる。
【0169】
2.6.1. 本形態に係る第一電極シート25cは、第一電極シート25cの長手方向Xと交差する交差方向Yについて他の部分よりも幅狭な幅狭部35を有する。幅狭部35において、複数の経糸フィラメント集合体72aを幅狭部35の厚さ方向Zについて投影したときの占有面積は、複数の緯糸フィラメント集合体72bを幅狭部35の厚さ方向Zについて投影したときの占有面積より大きい。本形態によれば、幅狭部35における複数の経糸フィラメント集合体72aの占有面積を、複数の緯糸フィラメント集合体72bの占有面積よりも大きくすることにより、幅狭部35の強度を向上させることができる。
【0170】
2.6.2. 本形態に係る幅狭部35において、複数の緯糸フィラメント集合体72bを構成する隣接するフィラメント71同士の間隔は、複数の経糸フィラメント集合体72aを構成する隣接するフィラメント71同士の間隔より小さい。幅狭部35は大変形しやすいため、比較的に大きな力が加わりやすく、メッキ層33が剥がれやすい。本形態によれば、複数の緯糸フィラメント集合体72bを構成するフィラメント71同士の間隔を、複数の経糸フィラメント集合体72aを構成するフィラメント71同士の間隔よりも小さくすることにより、緯糸フィラメント集合体72bを構成するフィラメント71間の導電経路を保持することができる。
【0171】
2.6.3. 本形態に係る幅狭部35における経糸フィラメント集合体72aを構成する複数のフィラメント71の本数は、幅狭部35と異なる部分における経糸フィラメント集合体72aを構成する複数のフィラメント71の本数よりも多い。本形態によれば、幅狭部35における経糸フィラメント集合体72aを構成する複数のフィラメント71の本数を、他の部分よりも多くすることにより、幅狭部35の強度を向上させることができる。
【0172】
2.6.4. 本形態に係る幅狭部35における緯糸フィラメント集合体72bを構成する複数のフィラメント71の本数は、幅狭部35と異なる部分における緯糸フィラメント集合体72bを構成する複数のフィラメント71の本数よりも多い。本形態によれば、幅狭部35における緯糸フィラメント集合体72bを構成する複数のフィラメント71の本数を、他の部分よりも多くすることにより、幅狭部35の強度を向上させることができる。
【0173】
2.6.5. 本形態によれば、第一電極シート25cの長手方向Xに沿う長側縁から延長方向E1,E2に延長する延長部31a,31bを備える。延長部31a,31bにおいて、複数の経糸フィラメント集合体72aを延長部31a,31bの厚さ方向Zについて投影したときの占有面積は、複数の緯糸フィラメント集合体72bを延長部31a,31bの厚さ方向Zについて投影したときの占有面積より大きい。これにより、複数の経糸フィラメント集合体72aの占有面積を、複数の緯糸フィラメント集合体72bよりも大きくすることにより、延長部31a,31bの強度を向上させることができる。
【0174】
2.6.6. 本形態に係る延長部31aにおいて、延長部31aの延長方向E1と、複数の経糸フィラメント集合体72aの長手方向Sと、のなす角度αは、延長部31aの延長方向E1と、複数の緯糸フィラメント集合体72bの長手方向Tと、のなす角度βより小さい。本形態によれば、複数の経糸フィラメント集合体72aの長手方向Sを、延長部31aの延長方向E1に沿わせて配置することができる。これにより、延長部31aの強度を向上させることができる。
【0175】
2.6.7. 本形態に係る延長部31bにおいて、延長部31bの延長方向E2と、複数の経糸フィラメント集合体72aの長手方向Sと、のなす角度αは、延長部31bの延長方向E2と、複数の緯糸フィラメント集合体72bの長手方向Tと、のなす角度βより大きい。これにより、複数の緯糸フィラメント集合体72bの長手方向Tを、延長部31bの延長方向E2に沿わせて配置することができる。これにより、延長部31bの強度を向上させることができる。
【0176】
2.6.8. 本形態に係る延長部31において、緯糸フィラメント集合体72bを構成する隣接するフィラメント71同士の間隔は、経糸フィラメント集合体72aを構成する隣接するフィラメント71同士の間隔より小さい。延長部31は大変形しやすいため、比較的に大きな力が加わりやすく、メッキ層33が剥がれやすい。本形態によれば、緯糸フィラメント集合体72bを構成する隣接するフィラメント71同士の間隔を、経糸フィラメント集合体72aを構成する隣接するフィラメント71同士の間隔よりも小さくすることにより、緯糸フィラメント集合体72bを構成するフィラメント71間の導電経路を保持することができる。
【0177】
2.6.9. 本形態に係る延長部31における経糸フィラメント集合体72aを構成する複数のフィラメント71の本数は、延長部31と異なる部分における経糸フィラメント集合体72aを構成する複数のフィラメント71の本数よりも多い。本形態によれば、延長部31における経糸フィラメント集合体72aを構成する複数のフィラメント71の本数を、他の部分よりも多くすることにより、延長部31の強度を向上させることができる。
【0178】
2.6.10. 本形態に係る延長部31における緯糸フィラメント集合体72bを構成する複数のフィラメント71の本数は、延長部31と異なる部分における緯糸フィラメント集合体72bを構成する複数のフィラメント71の本数よりも多い。本形態によれば、延長部31における緯糸フィラメント集合体72bを構成する複数のフィラメント71の本数を、他の部分よりも多くすることにより、延長部31の強度を向上させることができる。
【0179】
2.6.11. 本形態に係る第一電極シート25cの第一開口部34aの開口面積の、第一電極シート25cの面積に対する割合である開口率が、30%以上である。これにより、第一電極シート25cの伸縮性を向上させることができる。
【0180】
上記した2.6.1.~2.6.11.に記載した構成は互いに独立しており、2.6.1.~2.6.11.に記載した構成のすべてを備えても良いし、2.6.1.~2.6.11.に記載した構成から選択された少なくとも一つを備えても良い。また、2.6.1.~2.6.11.に記載した構成を省略してもよい。第二電極シートについても同様である。
【0181】
(実施形態3)
続いて、図22図23を参照して、実施形態3の第一電極シート25dについて説明する。図22には、領域R1を拡大した部分拡大図も記載されている。
【0182】
図22に示すように、本形態では、複数の経糸フィラメント集合体72aを構成する複数のフィラメント71の少なくとも一部は、互いに対向する経糸フィラメント対向面71ba(フィラメント対向面の一例)を備える。本形態においては、経糸フィラメント対向面71baにメッキ層33が形成されている。
【0183】
経糸フィラメント集合体72aを構成する複数のフィラメント71のうち、一のフィラメント71の経糸フィラメント対向面71baに形成されたメッキ層33と、一のフィラメント71と隣り合う他のフィラメント71の経糸フィラメント対向面71baに形成されたメッキ層33とは、接触している。これにより、経糸フィラメント集合体72aを構成する複数のフィラメント71同士が電気的に接続されている。
【0184】
また、図23には、領域R2を拡大した部分拡大図も記載されている。図23に示すように、本形態では、緯糸フィラメント集合体72bを構成する複数のフィラメント71の少なくとも一部は、互いに対向する緯糸フィラメント対向面71bbを備える。本形態においては、緯糸フィラメント対向面71bbにメッキ層33が形成されている。緯糸フィラメント集合体72bを構成する、隣合うフィラメント71の緯糸フィラメント対向面71bbに形成されたメッキ層33同士が接触することにより、緯糸フィラメント集合体72bを構成する複数のフィラメント71同士が電気的に接続されている。
【0185】
経糸フィラメント集合体72aと緯糸フィラメント集合体72bとが交差して重なる部分において、経糸フィラメント集合体72aの外面に露出するフィラメント71と、緯糸フィラメント集合体72bの外面に露出するフィラメント71と、は、互いに対向する経緯フィラメント対向面71bc(フィラメント対向面の一例)を備える。本形態においては、経緯フィラメント対向面71bcにはメッキ層33が形成されている。これより、経糸フィラメント集合体72aと、緯糸フィラメント集合体72bとが電気的に接続される。
【0186】
本形態においては、経糸フィラメント集合体72aを構成する複数のフィラメント71のうち、経糸フィラメント集合体72aの内部に位置する複数のフィラメント71の少なくとも一部は、互いに対向する経糸フィラメント対向面71baを備え、経糸フィラメント対向面71baにメッキ層33が形成されている。
【0187】
経糸フィラメント集合体72aの内部に位置するフィラメント71の経糸フィラメント対向面71baにメッキ層33が形成されていることにより、センサシート18に外力が加えられた場合でも、経糸フィラメント対向面71baに直接的に外力が及ぶことが抑制される。この結果、対向面に形成されたメッキ層33が存続する可能性が高まる。これにより、センサシート18に外力が加えられた場合でも、センサシート18を構成する経糸フィラメント集合体72aの導電経路が存続する可能性を高めることができるので、センサシート18に外力が加えられた場合にセンサシート18の電気抵抗値が増加することを抑制できる。
【0188】
本形態においては、経糸フィラメント集合体72aを構成する複数のフィラメント71のうち、一のフィラメント71の経糸フィラメント対向面71baに形成されたメッキ層33と、他のフィラメント71の経糸フィラメント対向面71baに形成されたメッキ層33とが、接触している。本形態によれば、一のフィラメント71と、他のフィラメント71との導通経路を存続させることができるので、センサシート18に外力が加えられた場合にセンサシート18の電気抵抗値が増加することを抑制できる。なお、緯糸フィラメント集合体72bについても、経糸フィラメント集合体72aと同様の作用効果を得られるので、重複する説明を省略する。
【0189】
本形態においては、経糸フィラメント集合体72aを構成する複数のフィラメント71のうち一のフィラメント71と、緯糸フィラメント集合体72bを構成する複数のフィラメント71のうち一のフィラメント71と、は、互いに対向する経緯フィラメント対向面71bcを備え、経緯フィラメント対向面71bcにはメッキ層33が形成されている。
【0190】
経緯フィラメント対向面71bcは、全体として、第一電極シート25dの内部に位置するので、センサシート18に外力が加えられた場合でも、センサシート18を構成する経糸フィラメント集合体72aを構成するフィラメント71と、緯糸フィラメント集合体72bを構成するフィラメント71との導電経路が存続する可能性を高めることができるので、センサシート18に外力が加えられた場合にセンサシート18の電気抵抗値が増加することを抑制できる。
【0191】
本形態においては、経糸フィラメント集合体72aを構成する一のフィラメント71の経糸フィラメント対向面71baに形成されたメッキ層33と、緯糸フィラメント集合体72bを構成する一のフィラメント71の経糸フィラメント対向面71baに形成されたメッキ層33とが、接触している。本形態によれば、経糸フィラメント集合体72aと、緯糸フィラメント集合体72bとの間の導通経路を存続させることができるので、センサシート18に外力が加えられた場合にセンサシート18の電気抵抗値が増加することを抑制できる。なお、緯糸フィラメント集合体72bについても、経糸フィラメント集合体72aと同様の作用効果を得られるので、重複する説明を省略する。
【0192】
ユーザの手がステアリングホイール10と接触した状態が続くと、ステアリングホイールは高温高湿の状態に置かれる。高温高湿の状態が長時間にわたって継続すると、経糸フィラメント集合体72aおよび緯糸フィラメント集合体72bの外面に露出するフィラメント71の表面に形成されたメッキ層33が損傷を受ける恐れがある。本形態によれば、経糸フィラメント対向面71ba、緯糸フィラメント対向面71bb、および経緯フィラメント対向面71bcにメッキ層33が形成されているので、経糸フィラメント集合体72aおよび緯糸フィラメント集合体72bの外面に露出するフィラメント71の表面に形成されたメッキ層33が損傷した場合でも、経糸フィラメント対向面71ba、緯糸フィラメント対向面71bb、および経緯フィラメント対向面71bcに形成されたメッキ層33は損傷を受けにくい。これにより、センサシート18の電気抵抗値が増加することを抑制できる。なお、第二電極シートについても、上記と同様の作用効果を得られるので、重複する説明を省略する。
【0193】
(実施形態4)
次に、図24を参照して、実施形態4について説明する。
【0194】
(a) 本形態の第一電極シート25eにおいては、複数の経糸フィラメント集合体72aを構成する複数のフィラメント71の本数が、複数の経糸フィラメント集合体72aの並ぶ方向について異なっている。
【0195】
(b) また、本形態においては、隣り合う経糸フィラメント集合体72aの間隔は、複数の経糸フィラメント集合体72aが並ぶ方向について異なっている。
【0196】
(c) 本形態においては、複数の経糸フィラメント集合体72aを構成する複数のフィラメント71の本数は、複数の経糸フィラメント集合体72aが並ぶ方向において異なっている。このように複数の経糸フィラメント集合体72aの強度をそれぞれ異ならせることにより、第一電極シート25eの強度を部分的に変化させることを容易に行うことができる。
【0197】
(d) 本形態においては、複数の経糸フィラメント集合体72aは間隔を空けて並んで配されており、隣り合う経糸フィラメント集合体72a同士の間隔は、複数の経糸フィラメント集合体72aが並ぶ方向において異なっている。このように複数の経糸フィラメント集合体72a同士の間隔を変化させることにより、第一電極シート25eの伸縮性を容易に変化させることができる。
【0198】
上記した(a)~(d)に記載した構成は互いに独立しており、(a)~(d)に記載した構成のすべてを備えても良いし、(a)~(d)に記載した構成から選択された少なくとも一つを備えても良い。また、(a)~(d)に記載した構成を省略してもよい。なお、第二電極シートについても、第一電極シート25eと同様の構成とすることができるので、重複する説明を省略する。
【0199】
(実施形態5)
次に、図25を参照して、実施形態5について説明する。
【0200】
(e) 本形態の第一電極シート25fにおいては、複数の緯糸フィラメント集合体72bを構成する複数のフィラメント71の本数が、複数の緯糸フィラメント集合体72bの並ぶ方向について異なっている。
【0201】
(f) また、本形態においては、隣り合う緯糸フィラメント集合体72bの間隔は、複数の緯糸フィラメント集合体72bが並ぶ方向について異なっている。
【0202】
(g) 本形態においては、複数の緯糸フィラメント集合体72bを構成する複数のフィラメント71の本数は、複数の緯糸フィラメント集合体72bの並ぶ方向において異なっている。このように複数の緯糸フィラメント集合体72bの強度をそれぞれ異ならせることにより、第一電極シート25fの強度を部分的に変化させることを容易に行うことができる。
【0203】
(h) 本形態においては、複数の緯糸フィラメント集合体72bは間隔を空けて並んで配されており、隣り合う緯糸フィラメント集合体72b同士の間隔は、複数の緯糸フィラメント集合体72bが並ぶ方向において異なっている。このように複数の緯糸フィラメント集合体72b同士の間隔を変化させることにより、第一電極シート25fの伸縮性を容易に変化させることができる。
【0204】
上記した(e)~(h)に記載した構成は互いに独立しており、(e)~(h)に記載した構成のすべてを備えても良いし、(e)~(h)に記載した構成から選択された少なくとも一つを備えても良い。また、(e)~(h)に記載した構成を省略してもよい。なお、第二電極シートについても、第一電極シート25fと同一の構成を備えることができるので、重複する説明を省略する。
【0205】
(実施形態6)
次に、図26を参照して、実施形態6について説明する。
【0206】
本形態の第一電極シート25gにおいては、経糸フィラメント集合体72aを構成する複数のフィラメント71の本数と、緯糸フィラメント集合体72bを構成する複数のフィラメント71の本数とが、異なっている。これにより、経糸フィラメント集合体72aの強度と、緯糸フィラメント集合体72bの強度と、を異ならせることができる。この結果、第一電極シート25の強度を部分的に変化させることを容易に行うことができる。経糸フィラメント集合体72aを構成するフィラメント71の本数は、緯糸フィラメント集合体72bを構成するフィラメント71の本数よりも多くても良い。また、経糸フィラメント集合体72aを構成するフィラメント71の本数は、緯糸フィラメント集合体72bを構成するフィラメント71の本数よりも少なくても良い。なお、第二電極シートについても、第一電極シート25gと同様の構成とすることができるので、重複する説明を省略する。
【0207】
(実施形態7)
次に、図27を参照して、実施形態7について説明する。本形態の第一電極シート25hにおいては、緯糸フィラメント集合体72bは、複数のフィラメント71が撚られた撚線73と、撚線73の表面に形成されたメッキ層33と、を備える。撚線73は、複数のフィラメント71が撚られて形成されている。
【0208】
本形態によれば、撚線73を備える緯糸フィラメント集合体72bによって、経糸フィラメント集合体72aと緯糸フィラメント集合体72bとの説圧が確保された状態でメッキが施される。このため、複数の経糸フィラメント集合体72aおよび複数の緯糸フィラメント集合体72bのそれぞれの接点における接圧がより向上し、センサシート18の電気抵抗値が増加することを抑制することができる。
【0209】
ただし、経糸フィラメント集合体72aが、撚線73とメッキ層33とを備え、緯糸フィラメント集合体72bが無撚糸束線74とメッキ層33とを備える構成としても良い。ただし、第二電極シートについても、第一電極シート25hと同様の構成を備えるので、重複する説明を省略する。
【0210】
(実施形態8)
次に、図28を参照して、実施形態9について説明する。本形態のセンサシート18においては、センサシート18に形成された2つのシート延長部22は、平行に形成されている。すなわち、2つのシート延長部22は同じ延長方向E1に延長されている。第一電極シート25hに形成された延長部31も、同じ延長方向E1に延長して形成されている。
【0211】
本形態においては、第一電極シート25iの複数の経糸フィラメント集合体72aの長手方向Sと、延長部31の延長方向E1のなす角度αは、第一電極シート25fの複数の緯糸フィラメント集合体72bの長手方向Tと、延長部31の延長方向E1のなす角度βよりも小さい。
【0212】
本形態によれば、複数の経糸フィラメント集合体72aの長手方向Sを、延長部31の延長方向E1に沿わせて配置することができる。これにより、延長部31の強度を向上させることができる。なお、第二電極シートについても、第一電極シート25fと同様の構成を備えることができるので、重複する説明を省略する。
【0213】
(実施形態9)
図29を参照して、実施形態9について説明する。本形態のセンサシート18においては、絶縁シート24の第一面27には、2つの第一電極シート25j,25kが、絶縁シート24の長手方向Xに沿って配列されている。詳細には図示しないが、絶縁シート24の第二面28には、2つの第二電極シートが、絶縁シート24の長手方向Xに沿って配列されている。
【0214】
本形態においては、図29の左側に配置された第一電極シート25jの複数の経糸フィラメント集合体72aの長手方向S1と、図29に右側に配置された第一電極シート25kの複数の経糸フィラメント集合体72aの長手方向S2とは、直交している。また、図29の左側に配置された第一電極シート25jの複数の緯糸フィラメント集合体72bの長手方向T1と、図29に右側に配置された第一電極シート25kの複数の緯糸フィラメント集合体72bの長手方向T2とは、直交している。
【0215】
本形態においては、第一電極シート25iの経糸フィラメント集合体72aの長手方向S1と、延長部31の延長方向E1と、のなす角度αは、第一電極シート25jの緯糸フィラメント集合体72bの長手方向T1と、延長部31の延長方向E1と、のなす角度βよりも小さい。
【0216】
また、第一電極シート25kの複数の経糸フィラメント集合体72aの長手方向S2と、延長部31bの延長方向E2と、のなす角度αは、第一電極シート25jの複数の緯糸フィラメント集合体72bの長手方向T2と、延長部31bの延長方向E2と、のなす角度βよりも小さい。
【0217】
本形態によれば、複数の経糸フィラメント集合体72aの長手方向S1を、延長部31aの延長方向E1に沿わせて配置することができる。これにより、延長部31aの強度を向上させることができる。また、複数の経糸フィラメント集合体72aの長手方向S2を、延長部31bの延長方向E2に沿わせて配置することができる。これにより、延長部31bの強度を向上させることができる。なお、第二電極シートについても第一電極シート25iと同様の構成を備えることができるので、重複する説明を省略する。
【0218】
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々の実施形態に適用することが可能である。
【0219】
図30に示すように、絶縁シート24の第一面27に第一電極シート25が配置されており、絶縁シート24の第二面28には第二電極シート26が配置されていない構成としても良い。
【符号の説明】
【0220】
18:センサシート、20:シート本体部、20a:長側縁、20b:短側縁、21:シート凹部、22:シート延長部、24:絶縁シート、25,25a,25b,25c,25d,25e,25f,25g,25h,25i,25j,25k:第一電極シート、26,26a,26b:第二電極シート、27:第一面、28:第二面、30:凹部、31,31a,31b:延長部、32:電線、34a:第一開口部、34b:第二開口部、35:幅狭部、36:第一接合部、37:第二接合部、71,71a,71b:フィラメント、71aa:経糸フィラメント接触点、71ab:緯糸フィラメント接触点、71ac:経緯フィラメント接触点、71ba:経糸フィラメント対向面、71bb:緯糸フィラメント対向面、71bc:経緯フィラメント対向面、72:フィラメント集合体、72a:経糸フィラメント集合体、72b:緯糸フィラメント集合体、73:撚線、74:無撚糸束線、E1:延長方向、E2:延長方向、S:経糸フィラメント集合体の長手方向、T:緯糸フィラメント集合体の長手方向
図1
図2
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