(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137933
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】センサシート
(51)【国際特許分類】
G01L 1/14 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
G01L1/14 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024047351
(22)【出願日】2024-03-22
(31)【優先権主張番号】P 2023048568
(32)【優先日】2023-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000219602
【氏名又は名称】住友理工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】那須 将樹
(72)【発明者】
【氏名】大森 翔
(72)【発明者】
【氏名】早川 知範
(72)【発明者】
【氏名】中野 克彦
(72)【発明者】
【氏名】吉田 哲也
(57)【要約】
【課題】電気抵抗値の変化が抑制されたセンサシートを提供する。
【解決手段】第一面27および第二面28を有する絶縁シート24と、前記絶縁シート24の前記第一面27側に配置され、導電布からなる第一電極シート25と、前記絶縁シート24の前記第一面27と前記第一電極シート25の内面とを接合する第一接合部36と、前記第一電極シート25の外面に配置されて、前記第一電極シート25の前記外面を保護する第一保護部61と、を備える、センサシート。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一面および第二面を有する絶縁シートと、
前記絶縁シートの前記第一面側に配置され、導電布からなる第一電極シートと、
前記絶縁シートの前記第一面と前記第一電極シートの内面とを接合する接合部と、
前記第一電極シートの外面に配置されて、前記第一電極シートの前記外面を保護する保護部と、を備える、センサシート。
【請求項2】
前記保護部は、樹脂材料を含んで構成される、請求項1に記載のセンサシート。
【請求項3】
前記保護部は、前記第一電極シートの前記外面を覆う層状に形成されている、請求項1または2に記載のセンサシート。
【請求項4】
前記導電布は、複数のフィラメント集合体が織られており、
前記保護部は、前記フィラメント集合体の外周に形成されている、請求項3に記載のセンサシート。
【請求項5】
前記接合部は、前記絶縁シートと前記第一電極シートとの間に介在している、請求項3に記載のセンサシート。
【請求項6】
前記接合部は、前記第一電極シートの前記外面に露出した露出接合部を備え、
前記露出接合部が前記保護部を兼ねる、請求項1または2に記載のセンサシート。
【請求項7】
前記絶縁シートと前記第一電極シートとが直接に接触することにより、前記絶縁シートと前記第一電極シートとの間に前記接合部が介在しない直接領域が形成されている、請求項6に記載のセンサシート。
【請求項8】
前記第一電極シートを構成する前記導電布は、複数のフィラメント集合体が織られており、
前記フィラメント集合体は複数のフィラメントを備え、
前記導電布は、前記複数のフィラメント集合体の間に開口する開口部を備え、
前記接合部は、前記開口部内に侵入する侵入接合部を備え、
前記侵入接合部が、前記保護部と連続している、請求項6に記載のセンサシート。
【請求項9】
前記開口部の開口面積の、前記第一電極シートの面積に対する割合である開口率が3%以上である、請求項8に記載のセンサシート。
【請求項10】
前記接合部は、前記絶縁シートと前記第一電極シートとの間に介在している、請求項6に記載のセンサシート。
【請求項11】
前記絶縁シートは、発泡エラストマー製である、請求項1または2に記載のセンサシート。
【請求項12】
前記導電布は、複数のフィラメント集合体が織られており、
前記フィラメント集合体は、複数のフィラメントと、前記フィラメントの表面の少なくとも一部に形成されたメッキ層と、を備える、請求項1または2に記載のセンサシート。
【請求項13】
前記メッキ層は、前記複数のフィラメントの各フィラメントの表面に形成されている、請求項12に記載のセンサシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサシートに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、誘電体層と、誘電体層の第一面に配置される第一電極シートと、を備えたセンサシートが開示されている。センサシートは、例えば、車両のステアリングホイールに取付けられて、乗員がステアリングホイールに接触したか否かを検知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載のセンサシートでは、センサの検知精度の信頼性に課題がある。例えばステアリングホイールにセンサシートを組付ける場合、センサシートを引っ張って伸ばしながらステアリングホイールに巻付けるため、第一電極シートに負荷が加わることによって第一電極シートの導電経路が損傷し、第一電極シートの電気抵抗値が変化するという課題がある。
【0005】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、電気抵抗値の変化が抑制されたセンサシートを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、
第一面および第二面を有する絶縁シートと、
前記絶縁シートの前記第一面側に配置され、導電布からなる第一電極シートと、
前記絶縁シートの前記第一面と前記第一電極シートの内面とを接合する接合部と、
前記第一電極シートの外面に配置されて、前記第一電極シートの前記外面を保護する保護部と、を備える、センサシートにある。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、第一電極シートが保護部により外力から保護されるので、第一電極シートの導電経路が損傷を受けることを抑制できる。これにより、センサシートの電気抵抗値の変化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態1のセンサシートが取付けられたステアリングホイールを示す正面図である。
【
図3】実施形態1のセンサシートを示す平面図である。
【
図5】(a)は実施例1の第一電極シートを示す一部拡大平面図であり、(b)は実施例1の第二電極シートを示す一部拡大平面図である。
【
図7】(a)は実施例2の第一電極シートを示す一部拡大平面図であり、(b)は実施例2の第二電極シートを示す一部拡大平面図である。
【
図8】第一電極シートに対する引張試験における、応力と、歪みとの関係を示すグラフである。
【
図9】センサシートに対する引張試験における、応力と、歪みとの関係を示すグラフである。
【
図10】実施例2について、(a)は伸長率0%における第一電極シートの一部拡大平面図であり、(b)は伸長率10%における第一電極シートの一部拡大平面図であり、(c)は伸長率20%における第一電極シートの一部拡大平面図であり、(d)は伸長率30%における第一電極シートの一部拡大平面図である。
【
図11】センサシートの、直流抵抗値変化率と、歪みとの関係を示すグラフである。
【
図12】センサシートに、10%伸長引張試験を繰返した場合における、直流抵抗値変化率と、繰り返し回数との関係を示すグラフである。
【
図13】センサシートに、20%伸長引張試験を繰返した場合における、直流抵抗値変化率と、繰り返し回数との関係を示すグラフである。
【
図14】(a)は実施形態1の変形例の第一電極シートを示す一部拡大平面図であり、(b)は実施形態1の変形例の第二電極シートを示す一部拡大平面図である。
【
図16】実施形態1の変形例に引張り試験を実施した場合における、第一電極シートを示す一部拡大平面図である。
【
図17】実施形態2に係るセンサシートを示す、
図3のB-B線断面図に相当する断面図である。
【
図18】実施形態2に係るセンサシートを示す一部拡大断面図である。
【
図19】実施形態3に係るセンサシートを示す、
図3のB-B線断面図に相当する断面図である。
【
図20】実施形態3に係るセンサシートを示す一部拡大断面図である。
【
図21】実施形態4に係るセンサシートを示す、
図3のB-B線断面図に相当する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態1)
1.1.センサシートの概要
センサシートは、静電型であり、例えば、電極間の静電容量の変化を利用して、電位を有する導電体の接触または接近を検出するセンサとして機能する。センサシートに、電位を有する導電体が接触または接近すると、電極間の静電容量が変化し、変化した電極間の静電容量に応じた電圧を検出することで、導電体の接触または接近を検出する。
【0010】
センサシートは、例えば車両のステアリングホイールに取付けられて、乗員の手(指、手の平、手の甲等)がステアリングホイールに接触または接近したか否かを検出する。
【0011】
1.2.ステアリングホイール10の全体構成
まず、ステアリングホイール10の構造について
図1~
図2を参照して説明する。ステアリングホイール10は、
図1に示すように、コア部11と、リング部12と、コア部11とリング部12とを接続する複数(本実施形態では3つ)の接続部13とを備える。
【0012】
リング部12は、円形リング形状に形成されている。ただし、リング部12は、円形に限られず、任意の形状に形成することができる。リング部12の軸直角断面形状は、
図2に示すように、例えば、円形状に形成されている。
【0013】
1.3.ステアリングホイール10の詳細構成
ステアリングホイール10の詳細構成について、
図1~
図2を参照して説明する。特に、リング部12の詳細構成について説明する。
【0014】
リング部12は、芯体16、樹脂内層材17、センサシート18、および表皮材19を備える。芯体16は、リング部12の中心部を構成し、リング部12の形状に対応する形状に形成されている。つまり、芯体16は、円形リング形状に形成され、円形状の軸直角断面を有している。ここで、芯体16の軸直角断面形状は、円形状に限られることなく、楕円形状、卵形状、U字状、C字状、多角形状等、任意の形状とすることができる。本形態の芯体16は、アルミニウム、マグネシウム等の金属により形成されており、導電性を有する。芯体16の材質は、金属以外の材料を適用することができる。
【0015】
樹脂内層材17は、芯体16の外面において、芯体16のリング形状の全周に亘って、且つ、芯体16の円断面形状の全周に亘って被覆する。本形態においては、樹脂内層材17の軸直角断面は円形状に形成されている。仮に、芯体16がU字状の軸直角断面を有する場合には、樹脂内層材17は、芯体16の軸直角断面における径方向外側に加えて、芯体16のU字状の凹所にも充填される。樹脂内層材17は、芯体16の外面側に射出成形により成形されており、芯体16の外面に直接的に接合されている。樹脂内層材17の軸直角断面形状は、円形状に限られることなく、卵形状、楕円形状、多角形状等、任意の形状とすることができる。樹脂内層材17は、例えば、発泡樹脂により成形されている。樹脂内層材17は、例えば、発泡ウレタン樹脂を用いる。なお、樹脂内層材17は、非発泡樹脂を用いることもできる。
【0016】
樹脂内層材17の外面には、センサシート18が巻き付けられている。センサシート18は、樹脂内層材17に巻き付けられた状態でC字状をなしている。センサシート18については、後に詳述する。
【0017】
表皮材19は、センサシート18の外面(センサシート18における樹脂内層材17とは反対側の面)において、センサシート18のリング形状の全周に亘って被覆する。つまり、表皮材19は、後述するように、第一電極シート25が絶縁シート24の第一面27側に露出している場合には、第一電極シート25の被覆材としても機能する。表皮材19は、射出成形により成形されており、センサシート18の外面側に巻き付けられてセンサシート18の外面に接合されている。表皮材19は、例えば、ウレタン樹脂により成形されている。表皮材19の外面は、意匠面を構成する。表皮材19の材質は特に限定されず、例えば、非発泡ウレタン樹脂、または、僅かに発泡させたウレタン樹脂を用いることが好ましい。
【0018】
表皮材19の別の形態として、表皮材19に皮革や布を用い、センサシート18の外面側に巻き付けられてセンサシート18の外面に接合される構成としても良い。表皮材19とセンサシート18との接合には、粘着材や接着剤を用い、さらに、表皮材19を縫製してステアリングホイールの周囲を被覆する構成としても良い。また、表皮材19の外面は、意匠面を構成する。表皮材19の材質は特に限定されず、革製(天然皮革、合成皮革など)、布・ゴム・樹脂製等の任意の材料を選択できるが、表皮材19は、革製(天然皮革、合成皮革など)が好ましい。
【0019】
1.4.センサシート18の全体構成
実施形態1のセンサシート18の全体構成について、
図3~
図4を参照して説明する。
図3に示すように、センサシート18は、全体として、長手方向Xに長尺な形状に形成されている。センサシート18は、全体として長方形状に形成されたシート本体部20を備える。シート本体部20は、長手方向Xに沿ってのびる一対の長側縁20aと、長手方向Xに交差する方向にのびる一対の短側縁20bと、を備える。なお、以下の説明において、矢線Xはセンサシート18の長手方向を示し、矢線Yは長手方向と交差する交差方向を示し、矢線Zはセンサシート18の厚さ方向を示す。
【0020】
シート本体部20の一対の長側縁20aには、長手方向Xと交差する交差方向Yについて内方に凹んだシート凹部21が形成されている。シート凹部21は、シート本体部20の一対の長側縁20aのうち交差方向Yについて重なる領域を含む位置に形成されている。ただし、シート凹部21は、一対の長側縁20aの一方にのみ形成される構成としてもよい。
【0021】
1つの長側縁20aには、複数(本形態では4つ)のシート凹部21が間隔を空けて形成されている。ただし、1つの長側縁20aに一つのシート凹部21が形成されても良い。また、1つの長側縁20aに2つ~3つまたは5つ以上のシート凹部21が形成されても良い。
【0022】
シート本体部20の一対の長側縁20aの一方には、シート本体部20の、長手方向Xの両端部寄りの位置に、一方の長側縁20aから、長手方向Xと交差する方向に延長するシート延長部22が形成されている。
【0023】
図4に、センサシート18の断面図を示す。センサシート18は、絶縁シート24と、第一電極シート25と、第二電極シート26と、を備える。第一電極シート25および第二電極シート26は、導電性を有するとともに、層状に形成されている。
【0024】
第一電極シート25は、絶縁シート24の第一面27側に配置されている。詳細には、第一電極シート25は、絶縁シート24の第一面27に積層されている。第一電極シート25は、絶縁シート24よりもやや小さな相似形に形成されている。これにより、絶縁シート24の第一面27の端縁部は、第一電極シート25の端縁部から露出している。
【0025】
図3に示すように、第一電極シート25のうち、センサシート18のシート凹部21に対応する位置には、交差方向Yについて内方に凹んだ凹部30が形成されている。第一電極シート25のうち、センサシート18のシート延長部22に対応する位置には、第一電極シート25の長手方向Xに沿う長側縁から、長手方向Xと交差する延長方向E1に延長する延長部31aと、延長方向E2に延長する延長部31bとが形成されている。延長部31a,31bには、電線32の端部から露出する芯線32aが接続されている。芯線32aと延長部31a,31bとは、はんだ付け、ロウ付け、超音波溶着等の公知の手法により電気的に接続されている。以下の説明において、延長部31aと延長部31bとを区別しないで記載する場合には、延長部31と記載する場合がある。
【0026】
図4に示すように、第二電極シート26は、絶縁シート24の第二面28側に配置されている。詳細には、第二電極シート26は、絶縁シート24の第二面28に積層されている。第二電極シート26は、絶縁シート24よりもやや小さな相似形に形成されている。これにより、絶縁シート24の第二面28の端縁部は、第二電極シート26の端縁部から露出している。
【0027】
第一電極シート25と第二電極シート26とは、同形同大であってもよいし、一方が他方よりもやや大きな相似形であってもよい。本形態においては、第一電極シート25と第二電極シート26は、略同一の構成を有する。
【0028】
なお、第二電極シート26は、第一電極シート25と略同一の構成を有するので、以下の説明において、重複する記載を省略する場合がある。
【0029】
絶縁シート24は、可撓性を有し、かつ、面方向に伸長可能に構成されている。絶縁シート24は、例えば発泡性樹脂を主成分として含んで形成されても良いし、エラストマーを主成分として含んで形成されても良い。従って、絶縁シート24は、柔軟である。
【0030】
絶縁シート24が発泡性樹脂を主成分として含んで形成される場合、絶縁シート24は、例えば、樹脂またはエラストマーの発泡体から製造することができる。エラストマーには、架橋ゴムおよび熱可塑性エラストマーが含まれる。例えば、ウレタンフォームの他、ポリスチレンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォーム、ポリオレフィン発泡体、EVA(エチレン-酢酸ビニル共重合体)フォーム、PETフォーム、フェノールフォーム、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)フォーム、シリコーンフォーム、ポリ塩化ビニルフォーム、アクリルフォーム、ポリイミドフォーム、ポリ乳酸系樹脂発泡体、メラミンフォーム、ポリメタクリルイミドフォーム、フッ素樹脂フォームなどが挙げられる。
【0031】
絶縁シート24が、例えば、熱可塑性材料、特に熱可塑性エラストマーを主成分として含んで形成されている場合、絶縁シート24は、熱可塑性エラストマー自身により形成されるようにしても良いし、熱可塑性エラストマーを素材として加熱することによって架橋されたエラストマーを主成分として形成されるようにしても良い。
【0032】
また、絶縁シート24は、熱可塑性エラストマー以外のゴム、樹脂、他の材料などを含んでいても良い。例えば、絶縁シート24がエチレン-プロピレンゴム(EPM、EPDM)などのゴムを含む場合には、絶縁シート24の柔軟性が向上する。絶縁シート24の柔軟性を向上させるという観点から、絶縁シート24に可塑剤などの柔軟性付与成分を含有させてもよい。さらに、絶縁シート24は、反応硬化性エラストマー、熱硬化性エラストマーを主成分として構成されるようにしても良い。
【0033】
さらに、絶縁シート24は、熱伝導性の良好な材料が好適である。そこで、絶縁シート24は、熱伝導率の高い熱可塑性エラストマーを用いるようにしても良いし、熱伝導率を高めることができるフィラーを含有させるようにしても良い。また、絶縁シート24は微細な空気層を有する発泡構造を有する構成としても良い。さらに、絶縁シート24はパーフォレーション(ミシン目に代表される規則的な物理孔)やスリット(切り込み、切り欠き)を有する構成としても良い。
【0034】
第一電極シート25は、絶縁シート24の第一面27、すなわち絶縁シート24の上面(
図4の上面)側に配置されており、第二電極シート26は、絶縁シート24の第二面28、すなわち絶縁シート24の下面(
図4の下面)側に配置されている。少なくとも第一電極シート25は、検出用電極を構成する。第一電極シート25および第二電極シート26は、導電性を有する。さらに、第一電極シート25および第二電極シート26は、柔軟である。つまり、第一電極シート25および第二電極シート26は、可撓性を有し、かつ、面方向に伸長可能に構成されている。
【0035】
1.5.第一電極シート25および第二電極シート26と、絶縁シート24と、の接合構造
図4に示すように、絶縁シート24の第一面27側には、絶縁シート24と第一電極シート25との間に介在する第一接合部36によって、絶縁シート24と第一電極シート25が接合されている。第一接合部36を構成する材料は特に限定されず、例えば、アクリル系粘着剤、シリコーン粘着剤、ウレタン粘着剤、ゴム系粘着剤等、任意の材料から適宜に選択できる。また、
図4に示すように、絶縁シート24の第二面28側には、絶縁シート24と第二電極シート26との間に介在する第二接合部37によって、絶縁シート24と第二電極シート26が接合されている。第二接合部37を構成する材料は第一接合部36と同じなので、重複する説明を省略する。
【0036】
1.6.保護部60
図4に示すように、第一電極シート25の表面(外面)には、第一保護部61が配置されている。第一保護部61は、第一電極シート25の表面を層状に覆って形成されている。また、第二電極シート26の表面(外面)には、第二保護部62が配置されている。第二保護部62は、第二電極シート26の表面を層状に覆って形成されている。以下の記載において、第一保護部61と第二保護部62とを区別しない場合、保護部60と記載する場合がある。
【0037】
保護部60は樹脂材料またはゴム材料を含んで構成される。保護部60を形成する材料は特に限定されず、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド、ポリウレタン、シリコーンポリマーなど、任意の材料を適宜に選択できるが、アクリル系材料、ウレタン系材料、シリコーン系材料が好適である。
【0038】
保護部60は、樹脂材料の他に、酸化防止剤等の添加材を含んでも良いし、フィラー等を含んでも良い。
【0039】
第一電極シート25に配置される第一保護部61と、第二電極シート26に配置される第二保護部62とは、同じ材料により形成されてもよいし、異なる材料により形成されても良い。
【0040】
第一電極シート25と、第一保護部61とは、第一保護部61の有する粘着性によって第一電極シート25と一体化される構成としても良い。また、第一電極シート25に、第一保護部61を熱融着することにより、第一電極シート25と第一保護部61とを一体化する構成としても良い。また、第一電極シート25と、第一保護部61とを接着剤で接着することによって一体化する構成としても良い。接着剤は、公知の接着剤でも良いし、上記した第一接合部36を構成する材料と同じ材料を適用しても良い。
【0041】
第二電極シート26と第二保護部62とを一体化する構成については、第一電極シート25と第一保護部61とを一体化する構成と同じでも良いし、異なっていても良い。
【0042】
1.7.電極シートの構成
第一電極シート25および第二電極シート26について説明する。第一電極シート25および第二電極シート26は、導電性を備えた導電布である。第一電極シート25および第二電極シート26は、導電性を有しつつ、柔軟性を有する。第一電極シート25および第二電極シート26は、長手方向Xおよび交差方向Yへの伸縮性を有する。
【0043】
図5に示すように、第一電極シート25および第二電極シート26は、複数のフィラメント集合体72が織られた導電布である。フィラメント集合体72は、複数のフィラメント71と、フィラメント71の表面の少なくとも一部に形成されたメッキ層33と、を備える。
【0044】
図5(a)~
図5(b)に示すように、第一電極シート25および第二電極シート26は、複数の無撚糸束線74が織られた基布にメッキ層33を形成することにより製造される。各無撚糸束線74は、複数のフィラメント71が撚られてない状態でまとめられて形成されている。
【0045】
フィラメント71を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミドを例示することができる。ただし、フィラメント71を構成する樹脂は上記に限られず、任意の樹脂を適宜に選択できる。第二電極シート26も同様の構成を備える。
【0046】
メッキ層33は、複数のフィラメント集合体72が織られた基布の表面に形成される。メッキ層33を形成する手法は特に限定されず、例えば、電解メッキでも良いし、無電解メッキでも良いし、無電解メッキを実施した後に電解メッキを実施しても良いし、電解メッキを実施した後に無電解メッキを実施しても良く、任意の手法を適宜に選択できる。
【0047】
基布の表面に形成されるメッキ層33を構成する金属としては、銅、ニッケル、スズ、半田等、任意の金属または合金を適宜に選択できる。基布の表面に形成されるメッキ層33は、1つの金属種により構成されても良いし、複数の金属種により構成されても良い。例えば、基布の表面に銅のみをメッキしてもよいし、基布の表面にニッケルのみをメッキしてもよいし、基布の表面に銅からなる銅メッキ層を形成し、この銅メッキ層の表面にニッケルからなるニッケルメッキ層を形成しても良い。基布の表面に形成されるメッキ層33は、電解メッキにより形成してもよいし、無電解メッキにより形成しても良い。第二電極シート26も同様の構成を備える。
【0048】
図5(a)に示すように、第一電極シート25は、複数のフィラメント集合体72の間に開口する第一開口部34aを備える。第一開口部34aは第一電極シート25を貫通している。第一電極シート25に形成された第一開口部34aの開口面積の、第一電極シート25の面積に対する割合である第一開口率は、1%以上40%以下である。
【0049】
図5(b)に示すように、第二電極シート26は、複数のフィラメント集合体72の間に開口する第二開口部34bを備える。第二開口部34bは第二電極シート26を貫通している。第二電極シート26に形成された第二開口部34bの開口面積の、第二電極シート26の面積に対する割合である第二開口率は、1%以上40%以下である。
【0050】
1.8.実施例およびサンプル
1.8.1.実施例1およびサンプル1
(実施例1およびサンプル1)
図5~
図6を参照して、実施例1について説明する。
図5(a)に示すように、実施例1に係る第一電極シート25は、複数のフィラメント集合体72が織られた導電布である。複数のフィラメント集合体72は、複数のフィラメント71が撚られていない状態でまとめられた無撚糸束線74と、無撚糸束線74の表面の少なくとも一部に形成されたメッキ層33と、を備える。フィラメント集合体72は、第一電極シート25の厚み方向に扁平な形状に形成されている。ただし、第一電極シート25と、第二電極シート26は、略同一の構成を備えるので、特に言及する場合を除いて重複する説明を省略する。
【0051】
本実施例1に係る第一電極シート25は、複数のフィラメント71が撚られていない状態でまとめられた経糸フィラメント集合体72aと、複数のフィラメント71が撚られていない状態でまとめられた緯糸フィラメント集合体72bと、を織ることにより基布を形成し、この基布の表面にメッキ層33を形成することにより形成される。ただし、第一電極シート25の製造方法は上記の方法に限定されない。
【0052】
図5(a)に示すように、本形態の第一電極シート25は、複数の経糸フィラメント集合体72aと、複数の緯糸フィラメント集合体72bと、を備える。第一電極シート25は、複数のフィラメント集合体72の間に開口する第一開口部34aを備える。第一開口部34aは第一電極シート25を貫通している。本実施例1における、第一電極シート25に形成された第一開口部34aの開口面積の、第一電極シート25の面積に対する割合である開口率は、約3%である。なお、本開口率は、第一電極シート25の対象領域に形成された複数の第一開口部34aの開口面積の合計の、第一電極シート25の対象領域の面積に対する割合である。本開口率は、例えば、第一電極シート25において10mm×10mmの対象領域を特定し、対象領域内の第一開口部34aの面積を合計し、合計面積を対象領域の面積で除算して算出する。
【0053】
図5(b)に示すように、本形態の第二電極シート26は、複数の経糸フィラメント集合体72aと、複数の緯糸フィラメント集合体72bと、を備える。本形態の第二電極シート26は、複数のフィラメント集合体72の間に開口する第二開口部34bを備える。第二開口部34bは第二電極シート26を貫通している。本実施例1における、第二電極シート26に形成された第二開口部34bの開口面積の、本形態の第二電極シート26の面積に対する割合である開口率は、約3%である。
【0054】
第一電極シート25を構成するフィラメント集合体72に含まれるフィラメント71の本数は特に制限されない。本形態に係るフィラメント集合体72は75本のフィラメント71を備えるが、任意の本数とすることができる。また、第二電極シート26についても、第一電極シート25と同様である。
【0055】
図6に示すように、フィラメント集合体72を構成する無撚糸束線74の表面の少なくとも一部には、メッキ層33が形成されている。経糸フィラメント集合体72aのメッキ層33と、緯糸フィラメント集合体72bのメッキ層33とが接触することにより、経糸フィラメント集合体72aと緯糸フィラメント集合体72bとが電気的に接続される。
【0056】
図5(a)に示すように、複数の経糸フィラメント集合体72aの長手方向Sと、第一電極シート25の長手方向Xと、が交差して配置されている。また、複数の緯糸フィラメント集合体72bの長手方向Tと、第一電極シート25の長手方向Xと、が交差して配置されている。詳細には、複数の経糸フィラメント集合体72aの長手方向Sは、第一電極シート25の長手方向Xに対して、鋭角の角度が実質的に45°である。また、複数の緯糸フィラメント集合体72bの長手方向Tは、第一電極シート25aの長手方向Xに対して、鋭角の角度が実質的に45°である。角度が実質的に45°であるということは、45°である場合を含むとともに、実質的に45°であると認定できる場合も含む。なお、第二電極シート26についても、第一電極シート25と同様の構成を備えるので、重複する説明を省略する。
【0057】
第一電極シート25の長手方向Xに対して、経糸フィラメント集合体72aの長手方向Sが平行な場合(鋭角の角度が実質的に0°の場合)、第一電極シート25を方向Xに平行に伸張すると、経糸フィラメント集合体72aそのものを引き延ばすこととなり、大きな荷重が必要である。
【0058】
一方、第一電極シート25の長手方向Xに対して、経糸フィラメント集合体72aの長手方向Sが斜め45°に傾斜している場合(鋭角の角度が実質的に45°の場合)、第一電極シート25を方向Xに平行に伸張すると、経糸フィラメント集合体72aと緯糸フィラメント集合体72bで構成される正方形または長方形の格子(第一開口部34a)が菱形形状に変形することとなり、経糸フィラメント集合体72aまたは緯糸フィラメント集合体72bそのものを引き延ばすことにならないため、大きな荷重を必要としない。すなわち、鋭角の角度が実質的に45°になっている場合には、構造的な柔軟性が付与される。さらに、開口率が高いほど、正方形または長方形の格子が菱形形状に変形しやすくなり、構造的な柔軟性が損なわれにくい。第二電極シート26についても、第一電極シート25と同様なので、重複する説明を省略する。
【0059】
ただし、複数の経糸フィラメント集合体72aの長手方向Sは、第一電極シート25の長手方向Xに対して、鋭角の角度が45°と異なる角度であっても良い。また、複数の緯糸フィラメント集合体72bの長手方向Tは、第一電極シート25の長手方向Xに対して、鋭角の角度が45°と異なる角度であっても良い。
【0060】
経糸フィラメント集合体72aを構成する複数のフィラメント71の本数と、緯糸フィラメント集合体72bを構成する複数のフィラメント71の本数は、同じであっても良いし、異なっていても良い。本実施例1においては、経糸フィラメント集合体72aを構成する複数のフィラメント71の本数と、緯糸フィラメント集合体72bを構成する複数のフィラメント71の本数は、実質的に同じに設定されている。実質的に同じとは、同じである場合を含むとともに、同じでない場合であっても実質的に同じと認定しうる場合も含む。緯糸フィラメント集合体72bにおいても、上記と同様であるので、重複する説明を省略する。本実施例1においては、フィラメント71の本数は75本に設定されている。ただし、フィラメント71の本数は上記の本数に限定されない。
【0061】
図6に示すように、経糸フィラメント集合体72aを構成する複数のフィラメント71の少なくとも一部には、メッキ層33が形成されている。例えば、経糸フィラメント集合体72aの外面に露出するフィラメント71の表面には、メッキ層33が形成されている。経糸フィラメント集合体72aの内部に位置するフィラメント71のうち一部のフィラメント71の表面にはメッキ層33が形成されていない。メッキ層33が形成されていない部分においては、フィラメント71の表面が露出している。緯糸フィラメント集合体72bにおいても、上記と同様であるので、重複する説明を省略する。ただし、複数のフィラメント71を構成する各フィラメントの表面にメッキ層33が形成されていても良い。
【0062】
経糸フィラメント集合体72aと、緯糸フィラメント集合体72bとが互いに対向して交差する部分においては、一部にメッキ層33が形成されるとともに、メッキ層33が形成されていない部分においては、フィラメント71の表面が露出している。経糸フィラメント集合体72aと、緯糸フィラメント集合体72bとが互いに対向して交差する部分のうち、外部に露出する部分寄りの領域にメッキ層33が形成されており、内部寄りの部分においてメッキ層33が形成されていない。なお、緯糸フィラメント集合体72bについても、経糸フィラメント集合体72aと同様の構成を備えるので、重複する説明を省略する。
【0063】
本実施形態1においては、フィラメント71を構成する樹脂は、PET(ポリエチレンテレフタレート)であり、フィラメント71の直径は約10μmである。メッキ層33を構成する金属は、3層構造に形成されており、最外層がNiとされ、中間層がCuとされ、最内層(フィラメント71側)がNiとされる。経糸フィラメント集合体72aの直径は約185μmであり、緯糸フィラメント集合体72bの直径は約185μmである。
【0064】
図4に示すように、上記した第一電極シート25を、絶縁シート24の第一面27に、第一接合部36を介して接合する。また、第一電極シート25と同様の構成を備えた第二電極シート26を、絶縁シート24の第二面28に、第二接合部37を介して接合する。絶縁シート24は、エーテル系ポリウレタン発泡体である。第一接合部36は、ノガワケミカル社製、アクリル系粘着剤である。第一接合部36の厚さは50μmである。第一接合部36と第二接合部37とは同一なので重複する説明を省略する。
【0065】
第一電極シート25の外面に第一保護部61の表面に第一保護部61を配置して一体化する。第一電極シート25と第一保護部61とは、アクリル系粘着剤により一体化される。第一保護部61を構成する樹脂はアクリル系粘着剤である。第一保護部61の厚さは約50~100μmである。第一保護部61と第二保護部62とは同一なので重複する説明を省略する。
【0066】
このようにして、実施例1の第一電極シート25および第二電極シート26に係るセンサシート18のサンプル1を作製する。
【0067】
1.8.2.実施例2およびサンプル2
(実施例2)
続いて、
図7(a)~
図7(b)を参照して、実施例2に係る第一電極シート25aおよび第二電極シート26aの構成について説明する。本実施例2に係る第一電極シート25aは、経糸フィラメント集合体72aaを構成するフィラメント71aの本数と、緯糸フィラメント集合体72baを構成するフィラメント71aの本数と、が異なる。本実施例2においては、経糸フィラメント集合体72aaを構成するフィラメント71aの本数が、緯糸フィラメント集合体72baを構成するフィラメント71aの本数よりも多い。ただし、経糸フィラメント集合体72aaを構成するフィラメント71aの本数が、緯糸フィラメント集合体72baを構成するフィラメント71aの本数より少ない構成としても良い。
【0068】
本実施例2においては、経糸フィラメント集合体72aaを構成するフィラメント71aの本数は、緯糸フィラメント集合体72baを構成するフィラメント71aの本数の約2倍に設定されている。本実施例2においては、経糸フィラメント集合体72aaを構成するフィラメント71aの本数は約80本に設定され、緯糸フィラメント集合体72baを構成するフィラメント71の本数は約40本に設定されている。ただし、経糸フィラメント集合体72aaを構成するフィラメント71aの本数は、緯糸フィラメント集合体72baを構成するフィラメント71aの本数の差異は、上記に限られない。
【0069】
本実施例2に係る第一電極シート25aに形成された第一開口部34aの開口面積の、第一電極シート25aの面積に対する割合である開口率は、約10%である。また、第二電極シート26aに形成された第二開口部34bの開口面積の、第二電極シート26aの面積に対する割合である開口率は、約10%である。
【0070】
第二電極シート26aは、第一電極シート25aと同様の構成なので、重複する説明を省略する。
【0071】
本実施例2においては、フィラメント71aを構成する樹脂は、PET(ポリエチレンテレフタレート)であり、フィラメント71aの直径は約10μmである。メッキ層33を構成する金属は、単層構造を備え、Ni単層とされる。経糸フィラメント集合体72aの直径は約180μmであり、緯糸フィラメント集合体72bの直径は約90μmである。
【0072】
上記以外の構成は実施例1と同様なので、重複する説明を省略する。
【0073】
また、本実施例2においては、絶縁シート24は、エーテル系ポリウレタン発泡体である。第一接合部36は、アクリル系粘着剤である。第一接合部36の厚さは約50μmである。第一接合部36と第二接合部37とは同一なので重複する説明を省略する。
第一電極シート25aの外面に第一保護部61の表面に第一保護部61を配置して一体化する。第一電極シート25aと第一保護部61とは、アクリル系粘着剤により一体化される。第一保護部61を構成する樹脂はアクリル系粘着剤である。第一保護部61の厚さは約50~100μmである。第一保護部61と第二保護部62とは同一なので重複する説明を省略する。
【0074】
上記以外は、サンプル1と同様にして、実施例2の第一電極シート25aおよび第二電極シート26aに係るセンサシート18のサンプル2を作製する。サンプル1と重複する説明は省略する。
【0075】
1.8.3.第一電極シートの引張試験
次に、
図8を参照して、第一電極シートに対して実施した引張試験について説明する。実施例1~2に係る第一電極シートを、150mm×20mmの短冊状に切出して試験片を作製した。第一電極シートの厚みは、実施例1~2でそれぞれ異なるが、約0.1mmである。試験片の長手方向と、経糸フィラメント集合体72aの長手方向とのなす角度は、45°に設定する。
【0076】
試験片を、一対のチャックにより把持する。一対のチャック間距離は70mmである。試験片を1mm/secの引張速度で引張試験を実施し、荷重を試験片の断面積で除することにより応力を算出する。引張試験機は、島津製作所製、AGS-X 1kNである。引張試験は、歪みが0~20%の範囲で実施する。
図8に、応力の、歪みに対する変化を示すグラフを示す。
【0077】
実施例1および実施例2は、歪みが0~20%の領域において、応力は、緩やかに、単調に増加した。実施例および実施例2は、引張試験における応力―歪み曲線において、歪みが0.5~10%の区間に極大値を示す降伏点を有しない。
【0078】
実施例1は、歪みが5%のときに約1.4MPaの応力を示し、歪みが20%のときに約7.5MPaの応力を示す。実施例2は、歪みが5%のときに約0.9MPaの応力を示し、歪みが20%のときに約5.9MPaの応力を示す。実施例1および実施例2に係る第一電極シート25,25aは、歪みが0~5%における応力の最大値が3MPa以下であり、歪みが0~20%における応力の最大値が15MPa以下である。
【0079】
1.8.4.センサシートの引張試験
次に、センサシートに対して実施した引張試験について説明する。サンプル1~2に係るセンサシートを、90mm×20mmの短冊状に切出すことにより試験片を作製する。センサシートの厚みは、実施例1~2でそれぞれ異なるが、約1mmである。試験片の長手方向と、第一電極シートおよび第二電極シートを構成する経糸フィラメント集合体72aの長手方向とのなす角度は、45°に設定する。なお、本試験では、上述したサンプル1~2の構成からそれぞれ第一保護部61と第二保護部62を除外した構成を試験片として用いた。
【0080】
第一電極シートの長手方向の一方の端部に電線を接続し、直流電源と接続する。第一電極シートの長手方向の他方の端部に電線を接続し、電圧計測器と接続する。
【0081】
試験片を、一対のチャックにより把持する。一対のチャック間距離は50mmである。試験片を1mm/secの引張速度で引張試験を実施し、荷重を試験片の断面積で除することにより応力を算出する。また、引張試験の実施中に、直流電源の電圧と、センサシートの電圧降下から、センサシートの直流抵抗値(電気抵抗値の一例)を算出する。
【0082】
図9に、センサシートに実施した引張試験における、応力―歪み曲線を示す。
図9には、歪みが0~20%の領域のグラフを示す。サンプル1~2の応力は、歪みが0~20%の領域において単調に増加した。サンプル1およびサンプル2は、引張試験における応力―歪み曲線において、歪みが0.5~10%の区間に極大値を示す降伏点を有しない。
【0083】
サンプル1は、歪みが5%のときに約0.5MPaの応力を示し、歪みが20%のときに、応力の最大値である約2.6MPaを示す。サンプル2は、歪みが5%のときに約0.3MPaの応力を示し、歪みが20%のときに、応力の最大値である約1.5MPaを示す。サンプル1およびサンプル2は、応力―歪み曲線において、歪みが0~5%における応力の最大値が0.5MPa以下であり、歪みが0~20%における応力の最大値が3MPa以下である。
【0084】
サンプル1およびサンプル2は、応力―歪み曲線において、歪みが0~5%における応力が0.5MPa以下であり、歪みが0~20%における応力の最大値が3MPa以下である。
【0085】
サンプル1およびサンプル2に引張り力が印加されると、第一電極シートの第一開口部34aが、引張方向に伸長し、引張方向と交差する方向について縮む。
図10に、サンプル2を例にして、第一開口部34aが変形する状態を示す。
図10(a)に示すように、伸長率0%の状態では、第一開口部34aが開口しているが、伸長率が10%(
図10(b)参照)、20%(
図10(c)参照)、30%(
図10(d)参照)と大きくなるにつれ、導電布の繊維の間の隙間が減少し、伸長率30%の状態で、第一開口部34aがほとんど消失していく。このような繊維形状の変化によって、たやすく伸張できるため、伸張時に発生する応力が小さいと考えられる。すなわち、第一開口部34aの存在が、この繊維の構造的な伸縮柔軟性の発現に寄与していると考えられる。上記の構成は、第二電極シートについても同様であるので、説明を省略する。なお、サンプル1についても同様なので、説明を省略する。
【0086】
サンプル1およびサンプル2においては、引張り力がセンサシートに印加された場合、第一開口部34aが徐々に変形することにより、引張り力が吸収されたと考えられる。これにより、経糸フィラメント集合体72aと緯糸フィラメント集合体72bとが交差する部分において、経糸フィラメント集合体72aと緯糸フィラメント集合体72bとの相対的な位置が大きく変化しないので、経糸フィラメント集合体72aと緯糸フィラメント集合体72bとの電気的な接続状態が維持されると考えられる。これによりサンプル1およびサンプル2においては、引張り力がセンサシートに印加された場合でも、直流抵抗値がほとんど変化しないと考えられる。
【0087】
1.8.5.センサシートの直流抵抗値変化率
次に、センサシートに対して、直流抵抗値変化率を測定した。センサシートを、90mm×20mmの短冊状に切出して試験片を作製した。試験片の長手方向と、経糸フィラメント集合体72aの長手方向とのなす角度は、45°に設定する。なお、本試験では、上述したサンプル1~2の構成からそれぞれ第一保護部61と第二保護部62を除外した構成を試験片として用いた。
【0088】
試験片を、一対のチャックにより把持する。一対のチャック間距離は50mmである。試験片を1mm/secの引張速度で引張試験を実施する。第一電極シートの両端部にそれぞれ電線を接続し、両電線間の直流抵抗値を測定した。このときの直流抵抗値について、下記の式(1)に基づいて、直流抵抗値変化率を算出する。直流抵抗値の測定は、KEITHLEY社製、デジタルマルチメーター 2000シリーズを用いる。上記の試験を、サンプル1~2について実施する。
【0089】
【0090】
図10は、直流抵抗値変化率の、歪みに対する変化を示すグラフである。サンプル1の直流抵抗値変化率は、歪みが0~約2%の区間で増加し、歪みが約2%の状態において、直流抵抗率変化率は約5%となった。その後、約2~約5%の区間で減少し、直流抵抗率変化率は約0%となった。その後、歪みが約25%以上で、直流抵抗値変化率は緩やかに増加し、直流抵抗値変化率は、歪みが30%において約7%となった。このように、サンプル1の直流抵抗値変化率は、歪みが0~30%の区間において10%以下であった。
【0091】
サンプル2の直流抵抗値変化率は、歪みが0~約3%の区間で増加し、歪みが約3%の状態において、直流抵抗率変化率は約10%となった。その後、約3~約5%の区間で減少し、直流抵抗率変化率は約0%となった。その後、歪みが30%においても直流抵抗値変化率は約0%であった。このように、サンプル2の直流抵抗値変化率は、歪みが0~30%の区間において10%以下であった。
【0092】
1.8.6.10%伸長時におけるセンサシートの直流抵抗値変化率
次に、センサシートに対して、10%伸長時における直流抵抗値変化率を測定した。センサシートを、90mm×20mmの短冊状に切出して試験片を作製した。試験片の長手方向と、経糸フィラメント集合体72aの長手方向とのなす角度は、45°に設定する。なお、本試験では、上述したサンプル1~2の構成からそれぞれ第一保護部61と第二保護部62を除外した構成を試験片として用いた。
【0093】
試験片を、一対のチャックにより把持する。一対のチャック間距離は50mmである。試験片を1mm/secの引張速度で引張試験を実施する。第一電極シートの両端部にそれぞれ電線を接続し、両電線間の直流抵抗値を測定した。このときの直流抵抗値について、下記の式(1)に基づいて、直流抵抗値変化率を算出する。直流抵抗値の測定は、KEITHLEY社製、デジタルマルチメーター 2000シリーズを用いる。上記の試験を、サンプル1~2について実施する。
【0094】
上記したセンサシートの直流抵抗値変化率の測定に際して、センサシートを、センサシートに引張り力を加える前の状態における基準長さ(50mm)に対して、10%伸長させた後、基準長さに戻し、再び10%伸長させる試験を所定回数繰返す。本試験での繰り返し回数は、1回、5回、10回である。このときの直流抵抗値について、上記の式(1)に基づいて、直流抵抗値変化率を算出する。上記の試験を、サンプル1~2について実施する。
【0095】
図12に、伸張試験の繰返し回数と、直流抵抗値変化率との関係に係るグラフを示す。サンプル1は、初回測定時の直流抵抗値変化率は約0%であった。その後、繰返し回数が増加するにつれて、1回繰返し時は約36%、5回繰返し時は約約48%、10回繰返し時は約約57%と、直流抵抗値変化率は増加した。10回繰返し時において、サンプル1の直流抵抗率変化率は60%以下であった。
【0096】
サンプル2は、初回測定時の直流抵抗率変化率は約14%であり、サンプル1よりも大きかったが、1回繰返し時は約9%、5回繰返し時は約15%と、繰返し回数が増加しても直流抵抗値変化率はあまり増加しなかった。10回繰返し時は約30%であった。10回繰返し時において、サンプル2の直流抵抗値変化率は50%以下であった。上記のように、サンプル1および2に係るセンサシートは、10%伸長試験を繰返した場合でも、直流抵抗値の変化が小さいことが分かった。
【0097】
1.8.7.20%伸長時におけるセンサシートの直流抵抗値変化率
続いて、サンプル1~2について、センサシートを20%伸長した場合における直流抵抗値変化率を測定する。なお、本試験では、上述したサンプル1~2の構成からそれぞれ第一保護部61と第二保護部62を除外した構成を試験片として用いた。
【0098】
図13に、伸張試験の繰返し回数と、直流抵抗値変化率との関係に係るグラフを示す。サンプル1は、初回測定時の直流抵抗値変化率は約0%であった。その後、1回繰返し時は約35%、5回繰返し時は約91%と、繰返し回数が増加するにつれて、直流抵抗値変化率は増加した。10回繰返し時において、直流抵抗値変化率は約137%であった。
【0099】
サンプル2は、初回測定時の直流抵抗率変化率は、約10%と、サンプル1よりも大きかったが、1回繰返し時は約27%、5回繰返し時は約32%と、繰返し回数が増加しても直流抵抗値変化率はあまり増加しなかった。10回繰返し時において、サンプル2の直流抵抗値変化率は約55%であった。上記のように、サンプル1および2に係るセンサシートは、20%伸長試験を繰返した場合でも、直流抵抗値の変化が小さいことが分かった。
【0100】
1.9.実施形態1の変形例
図14~
図16を参照して、実施形態1の変形例について説明する。本変形例は、第一電極シート25c、および第二電極シート26cの構成が実施例1と異なる。
図14(a)に示すように、本変形例の第一電極シート25cは、複数の経糸41と、複数の緯糸42と、を備える。第一電極シート25cは、経糸41と、複数の緯糸42とが織られることにより形成される。経糸41は1本のフィラメント71と、フィラメント71の表面に形成されたメッキ層33と、により構成され、緯糸42は1本のフィラメント71と、フィラメント71の表面に形成されたメッキ層33と、により構成されている。
【0101】
第一電極シート25cは、複数の経糸41のうち隣り合う2つの経糸41と、複数の緯糸42のうち隣り合う2つの緯糸42と、の間に開口する第一開口部34aを備える。第一開口部34aは第一電極シート25cを貫通している。本変形例における、第一電極シート25cに形成された第一開口部34aの開口面積の、第一電極シート25cの面積に対する割合である開口率は、約63%である。
【0102】
図14(b)に示すように、本変形例の第二電極シート26cは、複数の経糸41と、複数の緯糸42と、を備える。第二電極シート26cは、経糸41と、複数の緯糸42とが織られることにより形成される。経糸41は1本のフィラメント71により構成され、緯糸42は1本のフィラメント71により構成されている。
【0103】
第二電極シート26cは、複数の経糸41のうち隣り合う2つの経糸41と、複数の緯糸42のうち隣り合う2つの緯糸42と、の間に開口する第二開口部34bを備える。本変形例における、第二電極シート26cに形成された第二開口部34bの開口面積の、第二電極シート26cの面積に対する割合である開口率は、約63%である。
【0104】
図14(a)に示すように、本変形例に係る複数の経糸41同士の間隔は実質的に等間隔に配置されている。ただし、実質的に等間隔とは、等間隔である場合を含むとともに、等間隔でない場合であっても、実質的に等間隔であると認定できる場合も含む。また、複数の経糸41同士の間隔は異なっていても良い。
【0105】
また、本変形例に係る複数の緯糸42同士の間隔は実質的に等間隔に配置されている。ただし、実質的に等間隔とは、等間隔である場合を含むとともに、等間隔でない場合であっても、実質的に等間隔であると認定できる場合も含む。また、複数の緯糸42同士の間隔は異なっていても良い。
【0106】
図14(b)に示すように、第二電極シート26の構成は第一電極シート25と同様なので、重複する説明を省略する。
【0107】
図15に示すように、経糸41の少なくとも一部には、メッキ層33が形成されている。経糸41の全表面にメッキ層33が形成されていても良いし、経糸41の表面の一部にメッキ層33が形成されていても良い。
【0108】
また、緯糸42の少なくとも一部には、メッキ層33が形成されている。緯糸42の全表面にメッキ層33が形成されていても良いし、緯糸42の表面の一部にメッキ層33が形成されていても良い。
【0109】
本変形例においては、経糸41の表面に形成されたメッキ層33と、緯糸42の表面に形成されたメッキ層33とが接触することにより、経糸41と緯糸42とが電気的に接続される。
【0110】
本変形例に引張り力が印加されると、第一電極シート25cの第一開口部34aが、引張方向に伸長し、引張方向と交差する方向について縮む。
図16に、本変形例において、第一開口部34aが変形する状態を示す。これにより、引張り力が吸収されるので、応力の変化が小さいと考えられる。なお、第二電極シート26cについても同様なので、重複する説明を省略する。
【0111】
上記以外の構成は実施例1と同様なので、重複する説明を省略する。
【0112】
1.10.本実施形態の作用効果
続いて、本実施形態の作用効果について説明する。本形態に係るセンサシート18は、第一面27および第二面28を有する絶縁シート24と、絶縁シート24の第一面27側に配置され、導電布からなる第一電極シート25と、絶縁シート24の第一面27と第一電極シート25の内面とを接合する第一接合部36と、第一電極シート25の外面に配置されて、第一電極シート25の外面を保護する第一保護部61と、を備える。
【0113】
本形態によれば、第一電極シート25が第一保護部61により外力から保護されるので、第一電極シート25の導電経路が損傷を受けることを抑制できる。これにより、センサシート18の電気抵抗値の変化を抑制することができる。
【0114】
また、本形態に係るセンサシート18は、絶縁シート24の第二面28側に配置され、導電布からなる第二電極シート26と、絶縁シート24の第二面28と第二電極シート26の内面とを接合する第二接合部37と、第二電極シート26の外面に配置されて、第二電極シート26の外面を保護する第二保護部62と、を備える。
【0115】
本形態によれば、第二電極シート26が第二保護部62により外力から保護されるので、第二電極シート26の導電経路が損傷を受けることを抑制できる。これにより、センサシート18のシールド性能が低下することを抑制できる。
【0116】
本形態に係る第一保護部61および第二保護部62は、樹脂材料を含んで構成される。これにより、第一保護部61および第二保護部62の強度を向上させる。また、第一電極シート25の表面に第一保護部61を配置する作業を容易に行うことができるとともに、第二電極シート26の表面に第二保護部62を配置する作業を容易に行うことができる。
【0117】
本形態に係る第一保護部61は、第一電極シート25の外面を覆う層状に形成されている。これにより、第一電極シート25の外面を確実に覆うことができるので、第一電極シート25をより一層保護することができる。この結果、センサシート18の電気抵抗値が変化することをさらに抑制できる。
【0118】
また、第二保護部62は、第二電極シート26の外面を覆う層状に形成されている。これにより、第二電極シート26の外面を確実に覆うことができるので、第二電極シート26をより一層保護することができる。この結果、センサシート18のシールド性能をさらに向上させることができる。
【0119】
本形態に係る第一電極シート25を構成する導電布は、複数のフィラメント集合体72が織られている。第一保護部61は、フィラメント集合体72の外周に形成されている。これにより、第一保護部61によりフィラメント集合体72を保護することができので、センサシート18の電気抵抗値が変化することをさらに抑制できる。
【0120】
本形態に係る第一接合部36は、絶縁シート24と、第一電極シート25との間に介在している。これにより、絶縁シート24と、第一電極シート25と、を確実に接合することができる。
【0121】
本形態に係る第一電極シート25を構成する導電布は、複数のフィラメント集合体72が織られており、フィラメント集合体72は複数のフィラメント71を備える。導電布は、複数のフィラメント集合体72の間に開口する第一開口部34aを備える。第一開口部34aの開口面積の、第一電極シート25の面積に対する割合である開口率は3%以上である。これにより、第一電極シート25に外力が加えられた場合に、第一開口部34aが変形することにより、外力を吸収することができる。これにより、第一電極シート25に過度の大きな応力が加わることを抑制できるので、第一電極シート25の導電経路が破損することを抑制できる。この結果、センサシート18の電気的抵抗値が変化することを抑制できる。
【0122】
本形態に係る絶縁シート24は、発泡エラストマー製である。これにより、絶縁シート24の柔軟性を向上させることができる。この結果、センサシート18に外力が加えられた場合に、絶縁シート24が変形することにより外力を吸収することができる。これにより、第一電極シート25に過度の大きな応力が加わることを抑制できるので、第一電極シート25の導電経路が破損することを抑制できる。この結果、センサシート18の電気的抵抗値が変化することを抑制できる。
【0123】
本形態に係る導電布は、複数のフィラメント集合体72が織られており、フィラメント集合体72は、複数のフィラメント71と、フィラメント71の表面の少なくとも一部に形成されたメッキ層33と、を備える。複数のフィラメント71の表面に形成されたメッキ層33が互いに接触することにより、複数のフィラメント71が電気的に接続される。これにより、第一電極シート25の導通経路が形成される。
【0124】
メッキ層33は、複数のフィラメント71の各フィラメント71の表面に形成されている。これにより、センサシート18に外力が加えられて、複数のフィラメント71の相対的な位置が変動した場合でも、各フィラメント71の表面に形成されたメッキ層33によって、導通経路が形成されやすくなっている。この結果、センサシート18の電気的抵抗値が変化することを抑制できる。
【0125】
(実施形態2)
次に、
図17~
図18を参照して、実施形態2について説明する。
図17に示すように、本形態に係る第一接合部36は、第一電極シート25の外面に露出した第一露出接合部36aを備える。第一露出接合部36aは、第一電極シート25の外面に層状に形成されている。第一露出接合部36aは、第一電極シート25を保護する第一保護部61を兼ねる。これにより、第一接合部36の他に、別途、第一保護部61を第一電極シート25に配置して固定する場合に比べて、センサシート18の製造工程を簡略化できる。
【0126】
図18に示すように、第一電極シート25は、第一開口部34aを備える。第一開口部34aの内部に、第一接合部36が侵入している。第一接合部36のうち第一開口部34a内に侵入した部分は、第一侵入接合部36bとされる。第一侵入接合部36bは、第一電極シート25を貫通して、第一露出接合部36aと連続している。上記したように、第一露出接合部36aは第一保護部61を兼ねるので、第一侵入接合部36bは、第一保護部61と連続している。
【0127】
本形態によれば、第一電極シート25の第一開口部34a内に第一接合部36を侵入させて第一侵入接合部36bとし、第一露出接合部36aと第一侵入接合部36bとを連続的な形状とすることができる。これにより、絶縁シート24の第一面27に第一接合部36を積層し、この第一接合部36の上に第一電極シート25を配置し、第一電極シート25を絶縁シート24に向けて押圧すると、第一電極シート25の第一開口部34a内に第一侵入接合部36bが侵入し、さらに第一電極シート25を覆うことにより第一露出接合部36aを形成し、この第一露出接合部36aを、第一電極シート25を保護する第一保護部61とすることができる。
【0128】
本形態に係る第一開口部34aの開口率は3%以上であるので、第一接合部36を、容易に第一開口部34a内に侵入させることができる。これにより、本形態に係るセンサシート18を容易に製造することができる。なお、第一開口部34aの開口率は、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上とすることで、第一接合部36を、より容易に第一開口部34a内に侵入させることができる。
【0129】
また、
図17に示すように、本形態に係る第二接合部37は、第二電極シート26の外面に露出した第二露出接合部37aを備える。第二露出接合部37aは、第二電極シート26の外面に層状に形成されている。第二露出接合部37aは、第二電極シート26を保護する第二保護部62を兼ねる。第二接合部37、および第二電極シート26に係る構成は、第一接合部36、および第一電極シート25に係る構成と同一なので、重複する説明を省略する。
【0130】
なお、実施形態2以降において用いた符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
【0131】
(実施形態3)
次に、
図19~
図20を参照して、実施形態3について説明する。
図19に示すように、本形態に係る第一電極シート25は、絶縁シート24の第一面27に配置されている。第一電極シート25は、絶縁シート24の第一面27と全面にわたって接触していても良いし、部分的に接触していても良い。これにより、絶縁シート24と第一電極シート25とが直接に接触することにより、絶縁シート24と第一電極シート25との間に第一接合部36が介在しない第一直接領域38が形成されている(
図20参照)。
【0132】
第一接合部36は、第一電極シート25の外面に配置されている。これにより、第一接合部36のうち、第一電極シート25の外面に露出した部分は第一露出接合部36cとされる。第一露出接合部36cは、第一電極シート25の外面に層状に形成されている。第一露出接合部36cは、第一電極シート25を保護する第一保護部61aを兼ねる。
【0133】
図20に示すように、第一電極シート25は、第一開口部34aを備える。第一開口部34aの内部に、第一接合部36が侵入している。第一接合部36のうち第一開口部34a内に侵入した部分は、第一侵入接合部36dとされる。第一侵入接合部36dは、第一電極シート25を貫通して、第一露出接合部36cと連続している。上記したように、第一露出接合部36cは第一保護部61aを兼ねるので、第一侵入接合部36dは、第一保護部61aと連続している。
【0134】
本形態によれば、第一電極シート25の第一開口部34a内に第一接合部36を侵入させて第一侵入接合部36dとし、第一露出接合部36cと第一侵入接合部36dとを連続的な形状とすることができる。これにより、絶縁シート24の第一面27に第一接合部36を積層し、この第一接合部36の外面に第一電極シート25を配置し、第一電極シート25を絶縁シート24に向けて押圧すると、第一電極シート25の第一開口部34a内に第一侵入接合部36dが侵入し、さらに第一電極シート25を覆うことにより第一露出接合部36cを形成し、この第一露出接合部36cを、第一電極シート25を保護する第一保護部61aとすることができる。
【0135】
また、
図19に示すように、本形態に係る第二電極シート26は、絶縁シート24の第二面28に配置されている。第二電極シート26は、絶縁シート24の第二面28と全面にわたって接触していても良いし、部分的に接触していても良い。これにより、絶縁シート24と第二電極シート26とが直接に接触することにより、絶縁シート24と第二電極シート26との間に第二接合部37が介在しない第二直接領域39が形成されている。
【0136】
第二接合部37は、第二電極シート26の外面に配置されている。これにより、第二接合部37のうち、第二電極シート26の外面に露出した部分は第二露出接合部37cとされる。第二露出接合部37cは、第二電極シート26の外面に層状に形成されている。第二露出接合部37cは、第二電極シート26を保護する第二保護部62aを兼ねる。第二接合部37、および第二電極シート26に係る構成は、第一接合部36、および第一電極シート25に係る構成と同一なので、重複する説明を省略する。
【0137】
上記以外は実施形態2と同様なので、重複する説明を省略する。
【0138】
本形態によれば、絶縁シート24の第一面27の上に第一電極シート25を載置し、第一電極シート25の上に、層状に形成された第一接合部36を載置する。次に、第一接合部36を絶縁シート24に向けて押圧する。すると、第一接合部36は、第一電極シート25の第一開口部34a内に侵入して第一侵入接合部36dとなる。第一侵入接合部36dは、第一開口部34a内において、絶縁シート24の第一面27と接触している。第一開口部34a内の第一侵入接合部36dにより、絶縁シート24と、第一電極シート25とが接合される。なお、第二接合部37、および第二電極シート26に係る作用効果は、第一接合部36、および第一電極シート25に係る作用効果と同一なので、重複する説明を省略する。
【0139】
(実施形態4)
次に、
図21を参照して、実施形態4について説明する。
図21に示すように、本形態に係るセンサシート18は、絶縁シート24の第二面28側に、第二電極シート26が配置されていない点で、実施形態1と異なる。上記以外は実施形態1と同様なので、重複する説明を省略する。
【0140】
また、詳細に図示しないが、実施形態2および実施形態3に係るセンサシート18についても、絶縁シート24の第二面28側に、第二電極シート26を配置しない構成としても良い。
【0141】
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々の実施形態に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0142】
18:センサシート、24:絶縁シート、25,25a,25b,25c:第一電極シート、26,26a,26b,26c:第二電極シート、27:第一面、28:第二面、33:メッキ層、34a:第一開口部、34b:第二開口部、36:第一接合部、36a,36c:第一露出接合部、36b,36d:第一侵入接合部、37:第二接合部、37a:第二露出接合部、38:第一直接領域、39:第二直接領域、60:保護部、61,61a:第一保護部、62,62a:第二保護部、71,71a:フィラメント、72:フィラメント集合体