IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ラング バイオテクノロジー ピービーシーの特許一覧

特開2024-137946細胞受容足場を作製するための材料および方法
<>
  • 特開-細胞受容足場を作製するための材料および方法 図1
  • 特開-細胞受容足場を作製するための材料および方法 図2
  • 特開-細胞受容足場を作製するための材料および方法 図3
  • 特開-細胞受容足場を作製するための材料および方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137946
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】細胞受容足場を作製するための材料および方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 27/24 20060101AFI20240927BHJP
   C07K 14/78 20060101ALI20240927BHJP
   C12N 5/07 20100101ALI20240927BHJP
   B29C 64/112 20170101ALI20240927BHJP
   B29C 64/106 20170101ALI20240927BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240927BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20240927BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20240927BHJP
   B29C 64/314 20170101ALI20240927BHJP
   C08F 289/00 20060101ALI20240927BHJP
   C08F 2/50 20060101ALI20240927BHJP
   C08F 20/00 20060101ALI20240927BHJP
   C08F 4/00 20060101ALI20240927BHJP
   A61L 27/26 20060101ALI20240927BHJP
   A61L 27/16 20060101ALI20240927BHJP
   A61L 27/44 20060101ALI20240927BHJP
   A61L 27/50 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
A61L27/24
C07K14/78
C12N5/07
B29C64/112
B29C64/106
B33Y10/00
B33Y70/00
B33Y80/00
B29C64/314
C08F289/00
C08F2/50
C08F20/00 510
C08F4/00
A61L27/26
A61L27/16
A61L27/44
A61L27/50
【審査請求】有
【請求項の数】37
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024091063
(22)【出願日】2024-06-05
(62)【分割の表示】P 2021505821の分割
【原出願日】2019-08-01
(31)【優先権主張番号】62/713,817
(32)【優先日】2018-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516346377
【氏名又は名称】ラング バイオテクノロジー ピービーシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】シュ,ピンヨン
(72)【発明者】
【氏名】アルバレス,ルイス
(72)【発明者】
【氏名】モリス,デレク
(72)【発明者】
【氏名】ヤツディ,イマン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】細胞受容足場を製造するための印刷可能な組成物、および印刷可能な組成物を使用して三次元細胞受容足場を製造する方法を提供する。
【解決手段】印刷可能な組成物の重量に対して、約0.3wt%~約3.0wt%の1種または複数のコラーゲン;約5.0wt%~約40.0wt%の1種または複数のモノマー;約0.5wt%~約2.0wt%の光重合開始剤;および0wt%~約75wt%の、プロトン性溶媒を含むビヒクルを含み;ここで、印刷時に約100ミクロン以下の解像度、印刷時に約0.1~5mm(Dp)および約10~100mJ/cm(Ec)のフォトスピード(Dp/Ec)、ならびに乾燥後に少なくとも約5kPaのグリーンストレングスを有する、印刷可能な組成物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞受容足場を製造するための印刷可能な組成物であって:
前記印刷可能な組成物の重量に対して、
約0.3wt%~約3.0wt%の1種または複数のコラーゲン;
約5.0wt%~約40.0wt%の1種または複数のモノマー;
約0.5wt%~約2.0wt%の光重合開始剤;および
0wt%~約75wt%の、プロトン性溶媒を含むビヒクル
を含み、
印刷時に約100ミクロン以下の解像度、印刷時に約0.1~5mm(Dp)および約
10~100mJ/cm(Ec)のフォトスピード(Dp/Ec)、ならびに乾燥後に
少なくとも約5kPaのグリーンストレングスを有する、印刷可能な組成物。
【請求項2】
前記コラーゲンが、モノマーサブユニットで官能化されている、請求項1に記載の印刷
可能な組成物。
【請求項3】
前記モノマーが、アクリレート、メタクリレート、カルボキシエチルアクリレート、ま
たはそれらのうちの2種以上の混合物からなる群から選択されるアクリルモノマーである
、請求項2に記載の印刷可能な組成物。
【請求項4】
前記コラーゲンが、哺乳動物源から得られる、請求項1~3のいずれか一項に記載の印
刷可能な組成物。
【請求項5】
前記哺乳動物源が、ヒト、ウシ、ブタ、およびそれらのうちの2種以上の混合物からな
る群から選択される、請求項4に記載の印刷可能な組成物。
【請求項6】
前記コラーゲンが、組換えコラーゲンである、請求項4に記載の印刷可能な組成物。
【請求項7】
前記組換えコラーゲンが、組換えヒトコラーゲン、組換えウシコラーゲン、組換えブタ
コラーゲン、またはそれらのうちの2種以上の混合物である、請求項6に記載の印刷可能
な組成物。
【請求項8】
前記組換えコラーゲンが、植物体、細菌、ウイルス、真菌、およびそれらのうちの2つ
以上の組合せからなる群から選択される組換え源から得られる、請求項7に記載の印刷可
能な組成物。
【請求項9】
前記コラーゲンが、I型コラーゲンを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の印刷
可能な組成物。
【請求項10】
前記コラーゲンが、印刷可能な組成物の約0.3重量パーセントから約0.9重量パー
セントまでの量で存在し、前記コラーゲンは哺乳動物源由来のものである、請求項1~9
のいずれか一項に記載の印刷可能な組成物。
【請求項11】
前記コラーゲンが、印刷可能な組成物の約0.5重量パーセントから約3.0重量パー
セントまでの量で存在し、前記コラーゲンは組換えコラーゲン由来のものである、請求項
1~9のいずれか一項に記載の印刷可能な組成物。
【請求項12】
前記コラーゲンが、第1のコラーゲンと第2のコラーゲンとの混合物であり、前記第1
のコラーゲンは官能化コラーゲンであり、前記第2のコラーゲンは非官能化コラーゲンで
ある、請求項1~11のいずれか一項に記載の印刷可能な組成物。
【請求項13】
前記第1のコラーゲンおよび前記第2のコラーゲンが、コラーゲンの乾燥重量に基づい
て約99:1~約1:99の重量比で存在する、請求項12に記載の印刷可能な組成物。
【請求項14】
前記モノマーが、N-ヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA)、2-ヒドロキシ
エチルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート、ポリエチレングリ
コールジメタクリレート、ポリカプロラクトンジメタクリレート、およびポリカプロラク
トントリメタクリレートのうちの1種または複数を含む、請求項1~13のいずれか一項
に記載の印刷可能な組成物。
【請求項15】
前記モノマーが、N-ヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA)を含む、請求項1
~13のいずれか一項に記載の印刷可能な組成物。
【請求項16】
前記光重合開始剤が、2-ヒドロキシ-4’-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-メチ
ルプロピオフェノン、エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィネ
ート、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、ジフェ
ニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、またはそれらのうちの
2種以上の組合せからなる群から選択される、請求項1~15のいずれか一項に記載の印
刷可能な組成物。
【請求項17】
前記ビヒクルが、水溶性アクリルモノマーをさらに含む、請求項1~16のいずれか一
項に記載の印刷可能な組成物。
【請求項18】
前記水溶性アクリルモノマーが、カルボキシエチルアクリレート、ポリ(アルキレン)
(メタ)アクリレート、HEAA、HEMA、HEA、ACMO、NVP、V-CAP、
またはそれらのうちの2種以上の組合せからなる群から選択される、請求項17に記載の
印刷可能な組成物。
【請求項19】
前記ビヒクルが、カルボン酸をさらに含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の印
刷可能な組成物。
【請求項20】
前記カルボン酸が、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ラウリン酸、ステアリ
ン酸、デオキシコール酸、グルタミン酸、グルクロン酸、またはそれらのうちの2種以上
の混合物からなる群から選択される、請求項19に記載の印刷可能な組成物。
【請求項21】
前記カルボン酸が、約5mMから約200mMまでの濃度で存在する、請求項20に記
載の印刷可能な組成物。
【請求項22】
前記ビヒクルが、少なくともpH2を有する、請求項1~21のいずれか一項に記載の
印刷可能な組成物。
【請求項23】
9-アンチルメチルN、N-ジエチルカルバメート、(E)-1-ピペリジノ-3-(
2-ヒドロキシフェニル)-2-プロペン-1-オン、1-(アントラキノン-2-イル
)エチルイミダゾールカルボキシレート、2-ニトロフェニルメチル4-メタクリロイル
オキシピペリジン-1-カルボキシレート、1,2-ジイソプロピル-3-[ビス(ジメ
チルアミノ)メチレン]グアニジニウム-2-(3-ベンゾイルフェニル)プロピオネー
ト、1,2-ジシクロヘキシル-4,4,5,5-テトラメチルビグアニジウムN-ブチ
ルトリフェニルボレート、(Z)-{[ビス(ジメチルアミノ)メチリデン]アミノ}-
N-シクロヘキシル(シクロヘキシルアミノ)メタニミニウムテトラキス(3-フルオロ
フェニル)ボレート、またはそれらのうちの2種以上の組合せからなる群から選択される
光塩基発生剤をさらに含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の印刷可能な組成物。
【請求項24】
約300nm~約450nmの間の波長で0.1超の吸光度単位を有する吸収剤をさら
に含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の印刷可能な組成物。
【請求項25】
前記吸収剤が、タートラジンである、請求項1~24のいずれか一項に記載の印刷可能
な組成物。
【請求項26】
約1ミクロン未満の解像度で印刷可能である、請求項1~25のいずれか一項に記載の
印刷可能な組成物。
【請求項27】
約0.1mm/10mJ/cmから約5mm/100mJ/cmまでのフォトスピ
ード(Dp/Ec)で印刷可能である、請求項1~26のいずれか一項に記載の印刷可能
な組成物。
【請求項28】
乾燥後の前記グリーンストレングスが、約5kPaから約10kPaまでである、請求
項1~26のいずれか一項に記載の印刷可能な組成物。
【請求項29】
三次元細胞受容足場を調製する方法であって、請求項1~28のいずれか一項に記載の
印刷可能な組成物をプリントして、前記三次元細胞受容足場を組み立てるステップを含む
、方法。
【請求項30】
前記プリントするステップが、器官の前記三次元細胞受容足場を組み立て、前記器官は
、哺乳動物の器官である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記プリントするステップが、インクジェットプリント、押出成形プリント、またはレ
イヤーバイレイヤープリントを含む、請求項29または30に記載の方法。
【請求項32】
三次元細胞受容足場を製造する方法であって:
印刷可能な組成物の層を面に堆積させて堆積層を得るステップ;
前記堆積層を照射するステップ;および
前記堆積層が前記三次元細胞受容足場を形成するまで前記堆積ステップと照射ステップ
を繰り返すステップ、
を含み、
前記印刷可能な組成物が、前記印刷可能な組成物の約0.3重量パーセントから約3.
0重量パーセントまでの量で存在するコラーゲン;モノマー;光重合開始剤;およびビヒ
クル、
を含む、方法。
【請求項33】
前記印刷可能な組成物が、請求項1~28に記載の印刷可能な組成物である、請求項3
2に記載の方法。
【請求項34】
前記堆積層が、印刷時に解像度100ミクロン以下を有する、請求項32または33に
記載の方法。
【請求項35】
前記堆積層が、約240から約405nmまでの波長で照射される、請求項32~34
に記載の方法。
【請求項36】
前記波長が、約270nmまたは355nmである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
堆積させるステップの前に、前記印刷可能な組成物を0℃~約30℃の温度に加熱する
ステップをさらに含む、請求項32~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記三次元足場を、細胞、組織、増殖因子、ラミニン、エラスチン、フィブロネクチン
、プロテオグリカン、ヒアルロン酸、多糖類、またはそれらのうちの2つ以上の混合物と
接触させるステップをさらに含む、請求項32~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
請求項32に記載の方法によって作製される、三次元細胞受容足場。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年8月2日出願の米国仮特許出願第62/713,817号の利益
を主張するものである。
【0002】
本発明の技術は全体として、印刷可能な材料またはインクとしての使用に適した、組成
物および方法に関する。より詳細には、限定されないが、本発明の技術は、三次元プリン
ト方法による三次元細胞受容足場を得るのに適した、印刷可能な組成物および方法に関す
る。
【背景技術】
【0003】
生物学的足場は、細胞を加える前の三次元生体材料であり、生細胞を受容することがで
きる。この足場を使用して、細胞に三次元の支持体および幾何学的構造を提供する。例え
ば、このような生物学的足場の特定の一使用として、機能的なヒト器官に代わるものとし
ての使用が挙げられる。こういったことは、脱細胞化され、次いで適合性のあるヒト細胞
で再細胞化されるイノシシ科(suidae)(例えば、ブタ)ファミリー源の器官を使用して
行われてきた。しかし、イノシシ科(suidae)ファミリー源の足場は、元々のイノシシ科
(suidae)の細胞、細菌、およびその他の夾雑物由来の混入などの難題をもたらす。
【0004】
三次元プリント技術によって、所与の対象向けにカスタマイズされた三次元足場の作製
が容易となるが、一方、このようなプリントされた足場による現在利用可能なシステムは
、例えば、移植細胞との適合性および足場内の壁やその他の特徴を画定する十分高い解像
度を達成することという難題をもたらす。
【0005】
本発明の技術は、これらおよびその他の不備を克服することを対象とする。
【発明の概要】
【0006】
一態様では、細胞受容足場を製造するための印刷可能な組成物は、印刷可能な組成物の
重量に対して、約0.3wt%~約3.0wt%の1種または複数のコラーゲン;約5.
0wt%~約40.0wt%の1種または複数のモノマー;約0.5wt%~約2.0w
t%の光重合開始剤;および0wt%~約75wt%の、プロトン性溶媒を含むビヒクル
を含み、ここで、印刷可能な組成物は、印刷時に約100ミクロン以下の解像度、印刷時
に約0.1~5mm(Dp)および約10~100mJ/cm(Ec)のフォトスピー
ド(Dp/Ec)、ならびに乾燥後に少なくとも約5kPaのグリーンストレングスを呈
する。
【0007】
本発明の技術の関連する態様では、任意の実施形態で本明細書に記載の印刷可能な組成
物を使用して三次元細胞受容足場を調製するための、方法が提供される。本発明の方法は
、本明細書の任意の実施形態の印刷可能な組成物を使用して、三次元細胞受容足場を組み
立てるステップを含む。
【0008】
本発明の技術の別の関連する態様では、三次元細胞受容足場を製造するための、方法で
あって、任意の実施形態で本明細書に記載の印刷可能な組成物の層を面に堆積させて堆積
層を得るステップ、堆積層を照射するステップ、堆積層が三次元細胞受容足場を形成する
まで堆積ステップと照射ステップを繰り返すステップを含み、ここで、印刷可能な組成物
は、印刷可能な組成物の重量に対して約0.3パーセントから約3.0パーセントまでの
量で存在するコラーゲン;モノマー;光重合開始剤;およびビヒクルを含む、方法が提供
される。印刷可能な組成物として、任意の実施形態で本明細書に記載の印刷可能な組成物
を挙げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の技術の三次元細胞受容足場を調製するための例示的な方法を表すフローチャートを例示する図である。
図2】足場を低pH溶液と接触させるステップを含む、本発明の技術の三次元細胞受容足場を調製するための例示的な方法を表すフローチャートを例示する図である。
図3】製剤Bおよび製剤Cの三次元足場における48時間にわたるヒト上皮性肺癌細胞の生存率を例示する図である。
図4】製剤Hによる印刷可能な組成物を使用してプリントされた三次元足場を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、種々の実施形態について説明する。特定の実施形態は、網羅的な説明としてまた
は本明細書で論議のより広い態様に対する限定として意図されたものではないことに留意
されたい。特定の実施形態と併せて説明されている一態様は、必ずしもその実施形態に限
定されず、他の任意の実施形態とともに実施することができる。
【0011】
以下の用語は全体を通して使用され、下に定義の通りである。
【0012】
本明細書において、「約」とは、当業者によって理解され、それが使用される状況の文
脈に応じてある程度まで変化するものである。当業者にとって明確ではない、用語の使用
がある場合、それが使用されている状況の文脈を考慮して、「約」とは、特定の用語のプ
ラスまたはマイナス10%までを意味することになる。
【0013】
「a」および「an」および「the」という用語、ならびに要素を説明する文脈にお
ける(特に以下の特許請求の範囲の文脈において)類似の言及の使用は、本明細書で別段
の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数形および複数形の
両方をカバーすると解釈されたい。本明細書での値の範囲の列挙は、本明細書中に別段の
指定がない限り、その範囲内に含まれる別の値それぞれを個々に指す簡略方法として利用
することを単に意図するものであり、個別の値それぞれは、あたかも本明細書に個別に記
載されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載の全ての方法は、本明
細書に別段の指示がない限りまたは文脈によって明らかに矛盾しない限り、適切な任意の
順序で実施することができる。本明細書で提供されるありとあらゆる例、または例示的な
言回し(例えば、「などの」)の使用は、特に明記しない限り、実施形態をより良好に明
確にすることを単に意図しており、特許請求の範囲に限定を設けるものではない。本明細
書中の言回しで、請求項に記載されていない要素が必須であるということを示していると
解釈されるべきものは、皆無である。
【0014】
本明細書において、「コラーゲン」という用語は、高伸張強度を持ち、かつ大部分の多
細胞生物でみられる、結合組織の主要タンパク質を指す。コラーゲンは主要な繊維状タン
パク質であり、基底膜中の非繊維性タンパク質でもある。コラーゲンは、グリシン、プロ
リン、ヒドロキシプロリン、およびヒドロキシリシンを豊富に含有している。コラーゲン
は全身に見られ、少なくとも12の型(I~XII型)を有する。
【0015】
本明細書において、「官能化コラーゲン」という用語は、コラーゲンに付着した1種ま
たは複数のモノマーサブユニットを含むように修飾されたコラーゲンを指す。付着したモ
ノマーサブユニットによって、官能化コラーゲンが光硬化性であることを可能にする、す
なわち、モノマーサブユニットは、紫外線(UV)、紫色、または青色の放射光に露光さ
れると重合する。
【0016】
本明細書において、「非官能化コラーゲン」という用語は、1種または複数のモノマー
サブユニットを含むように修飾されていないコラーゲンを指す。非官能化コラーゲンは、
UV、紫色、または青色の放射光への露光時に重合することができない。
【0017】
本明細書において、「光塩基発生剤」という用語は、印刷可能な組成物のpHを上昇さ
せることによって放射光に応答する添加剤を指す。一部の実施形態では、印刷可能な組成
物は、当初は酸性で、次いで、UV、紫色、または青色の放射光への露光に応答して実質
的に中和される、pHを有することができる。
【0018】
本明細書において、「吸収剤」という用語は、「硬化深度」を制御するように放射光を
吸収する添加剤を指す。これは、硬化プロセスの解像度を向上するという利点を有する。
吸収剤は、タートラジンなどの染料であってもよい。
【0019】
本発明の技術は、3Dプリントなどの製造方法を介して、高解像度を有する三次元細胞
受容足場の調製に適した、印刷可能な組成物を提供する。具体的には、印刷可能な組成物
は、ステレオリソグラフィーに適している。
【0020】
本発明の技術は、印刷可能な組成物および印刷可能な組成物から三次元細胞受容足場を
製造するための、方法を提供する。ある特定の態様では、本発明の技術は、印刷可能な組
成物に関する。別の態様では、本発明の技術は、印刷可能な組成物から三次元構造体を製
造する方法に関する。
【0021】
一態様では、細胞受容足場を製造するための印刷可能な組成物は、印刷可能な組成物の
重量に対して、約0.3wt%~約3.0wt%の1種または複数のコラーゲン;約5.
0wt%~約40.0wt%の1種または複数のモノマー;約0.5wt%~約2.0w
t%の光重合開始剤;および0wt%~約75wt%の、プロトン性溶媒を含むビヒクル
を含み、ここで、印刷可能な組成物は、印刷時に約100ミクロン以下の解像度、印刷時
に約0.1~5mm(Dp)および約10~100mJ/cm(Ec)のフォトスピー
ド(Dp/Ec)、ならびに乾燥後に少なくとも約5kPaのグリーンストレングスを呈
する。
【0022】
「解像度」という用語は、三次元(3D)プリントシステムからの堆積時の印刷可能な
組成物の層の厚さを指す。印刷可能な組成物は、約100ミクロン以下の解像度を有する
ことができる。印刷可能な組成物は、解像度、約100ミクロン未満、約90ミクロン未
満、約80ミクロン未満、約70ミクロン未満、約60ミクロン未満、約50ミクロン未
満、約40ミクロン未満、約30ミクロン未満、約20ミクロン未満、約10ミクロン未
満、約5ミクロン未満、約1ミクロン未満、またはこれらの値のうちのいずれか2つを含
めた任意の範囲および/またはこれらの値のうちのいずれか2つの間にある任意の範囲を
有することができる。例えば、本明細書の任意の実施形態では、印刷可能な組成物は、約
100ミクロン未満の解像度を有することができ、約1ミクロン未満の解像度を好ましく
は有することができる。
【0023】
本明細書において、「フォトスピード」という用語は、硬化深度対露光エネルギーを指
すとともに、印刷可能な組成物のDp/Ecを決定するのに使用される。「Dp」(mm
)とは印刷可能な組成物の硬化深度を指し、「Ec」(mJ/cm)とは、印刷可能な
組成物の面で印刷可能な組成物を液体からゲル段階に変換するのに必要な臨界エネルギー
を指す。本明細書の任意の実施形態では、硬化深度(Dp)として、それらに限定されな
いが、約0.1mmから約5mmまでの深さを挙げることができる。例えば、適切な硬化
深度(Dp)として、約0.1mm、約0.2mm、約0.3mm、約0.4mm、約0
.5mm、約0.6mm、約0.7mm、約0.8mm、約0.9mm、約1.5mm、
約2.0mm、約2.5mm、約3.0mm、約3.5mm、約4.0mm、約4.5m
m、約5.0mm、またはこれらの値のうちのいずれか2つを含めた任意の範囲および/
またはこれらの値のうちのいずれか2つの間にある任意の範囲を挙げることができる。本
明細書の任意の実施形態では、露光エネルギーとして、それらに限定されないが、約10
mJ/cmから約100mJ/cmまでの量を挙げることができる。例えば、適切な
露光エネルギー量として、約10mJ/cm、約15mJ/cm、約20mJ/cm
、約25mJ/cm、約30mJ/cm、約35mJ/cm、約40mJ/cm
、約45mJ/cm、約50mJ/cm、約55mJ/cm、約60mJ/cm
、約65mJ/cm、約70mJ/cm、約75mJ/cm、約80mJ/cm
、約85mJ/cm、約90mJ/cm、約95mJ/cm、約100mJ/c
、またはこれらの値のうちのいずれか2つを含めた任意の範囲および/またはこれら
の値のうちのいずれか2つの間にある任意の範囲が挙げられる。
【0024】
「グリーンストレングス」という用語は、最初に硬化性放射光に露光されたときの印刷
可能な組成物の当初の硬化固化強度を指す。硬化固化強度は、弾性率や破断前の伸びなど
の測定値によって定量化することができる。乾燥または硬化後、印刷可能な組成物は、少
なくとも約5kPa、約10kPa、約20kPa、約30kPa、約40kPa、約5
0kPa、約60kPa、約70kPa、約80kPa、約90kPa、約100kPa
、約110kPa、約120kPa、約130kPa、約140kPa、約150kPa
、約160kPa、約170kPa、約180kPa、約190kPa、約200kPa
、またはこれらの値のうちのいずれか2つを含めた任意の範囲および/またはこれらの値
のうちのいずれか2つの間にある任意の範囲のグリーンストレングスを呈することができ
る。例えば、本明細書の任意の実施形態では、硬化後、印刷可能な組成物は、約5kPa
~約200kPa、約5kPa~約100kPa、約5kPa~約50kPa、約5kP
a~約25kPaのグリーンストレングスを呈することができ、または、約5kPa~約
10kPaのグリーンストレングスを好ましくは呈することができる。
【0025】
本明細書の任意の実施形態では、1種または複数のコラーゲンとして、モノマーサブユ
ニットで官能化されたコラーゲンを挙げることができる。適切なモノマーサブユニットと
して、水溶性モノマーが挙げられる。例えば、本明細書の任意の実施形態では、水溶性モ
ノマーサブユニットとして、1種または複数のアクリルモノマーを挙げることができる。
適切なアクリルモノマーとして、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、メタ
クリルアミド、N-ヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA)、ヒドロキシエチルメ
タクリレート(HEMA)、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、チオール、アミ
ン、エポキシド、アジド、アルキン、もしくはN-ヒドロキシルスクシンイミドの各反応
基を有するモノマー、またはそれらのうちの2つ以上のそれらの組合せが挙げられる。本
明細書の任意の実施形態では、水溶性モノマーサブユニットとして、その他の不飽和モノ
マーを挙げることができる。適切なモノマーとして、ビニルモノマー、無水マレイン酸も
しくはマレイン酸から形成されるモノマー、アクリロイルモルホリン(ACMO)、N-
ビニルピロリドン(NVP)、N-ビニルカプロラクタム(V-CAP)等、およびそれ
らの組合せが挙げられる。
【0026】
1種または複数のコラーゲンとして、第1のコラーゲンと第2のコラーゲンとの混合物
を挙げることができ、ここで、第1のコラーゲンは、任意の実施形態で本明細書に記載の
官能化コラーゲンであり、第2のコラーゲンは、非官能化コラーゲンである。本明細書の
任意の実施形態では、第1のコラーゲンと第2のコラーゲンは、コラーゲンの乾燥重量に
基づいて、少なくとも約99:1~約1:99の重量比で存在することができる。例えば
、本明細書の任意の実施形態では、第1のコラーゲンと第2のコラーゲンの重量比として
、それらに限定されないが、少なくとも約99:1、約50:1、約25:1、約10:
1、約5:1、約2:1、約1:1、約1:2、約1:5、約1:10、約1:25、約
1:50、約1:99、またはこれらの値のうちのいずれか2つを含めた任意の範囲およ
び/またはこれらの値のうちのいずれか2つの間にある任意の範囲の重量比を挙げること
ができる。
【0027】
1種または複数のコラーゲンは、哺乳動物源由来のものであってもよい。適切な哺乳動
物源として、それらに限定されないが、ウマ、イヌ、ブタ、ウシ、ネコ、ヤギ、ヒツジ、
ネズミ、ヒト、またはそれらのうちの2種以上の組合せが挙げられる。例えば、本明細書
の任意の実施形態では、1種または複数のコラーゲンは、ウシコラーゲン、ブタコラーゲ
ン、またはヒトコラーゲンであってもよい。
【0028】
本明細書の任意の実施形態では、1種または複数のコラーゲンとして、組換えコラーゲ
ンを挙げることができる。本明細書に記載の通り、「組換えコラーゲン」という用語は、
組換え源から得られるコラーゲンを指す。組換え源として、植物体、細菌、ウイルス、真
菌等およびそれらのうちの2つ以上の組合せから産生される組換え哺乳動物コラーゲンを
挙げることができる。例えば、本明細書の任意の実施形態では、組換えコラーゲンとして
、組換えヒトコラーゲン、組換えウシコラーゲン、組換えブタコラーゲン、またはそれら
のうちの2種以上の組合せを挙げることができる。一部の実施形態では、組換え源として
、それに限定されないが、タバコを含めて、植物源から産生される組換え哺乳動物コラー
ゲンが挙げられる。一部の実施形態では、印刷可能な組成物として、それらに限定されな
いが、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、チオール、
アミン、エポキシド、アジド、アルキン、もしくはN-ヒドロキシルスクシンイミドの各
反応性基を有するモノマー、またはそれらのうちの2つ以上の組合せを含めて、1種また
は複数のアクリルモノマーで官能化された組換えコラーゲンを挙げることができる。
【0029】
1種または複数のコラーゲンとして、任意のタイプのコラーゲンを挙げることができる
。例えば、本明細書の任意の実施形態では、1種または複数のコラーゲンはI型コラーゲ
ンであってもよい。I型コラーゲンはほとんどの結合組織に見られるとともに、生体内で
最も豊富なコラーゲン型である。体内のコラーゲンのうちの90%超がI型である。
【0030】
本明細書の任意の実施形態では、1種または複数のコラーゲンは、印刷可能な組成物の
重量に対して、約0.3重量パーセント(wt%)から約3.0wt%までの量で存在す
ることができる。したがって、1種または複数のコラーゲンは、約0.3wt%、約0.
4wt%、約0.5wt%、約0.6wt%、約0.8wt%、約0.9wt%、約1.
0wt%、1.5wt%、約2.0wt%、約2.5wt%、約3wt%、またはこれら
の値のうちのいずれか2つを含めた任意の範囲および/またはこれらの値のうちのいずれ
か2つの間にある任意の範囲の量で含まれ得る。例えば、本明細書の任意の実施形態では
、印刷可能な組成物は、印刷可能な組成物の重量に対して、約0.3wt%~約3.0w
t%、約0.5wt%~約3.0wt%、または約0.3wt%~約0.9wt%の量で
1種または複数のコラーゲンを含むことができる。一部の実施形態では、印刷可能な組成
物は、約0.5wt%~約3.0wt%の組換えコラーゲンを含むことができる。一部の
実施形態では、印刷可能な組成物は、約0.3wt%~約0.9wt%の哺乳動物源由来
のコラーゲンを含むことができる。
【0031】
印刷可能な組成物は、1種または複数のモノマーを含む。例えば、本明細書の任意の実
施形態では、印刷可能な組成物はアクリルモノマーを含むことができる。適切なモノマー
として、それらに限定されないが、N-ヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA)、
2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート、ポ
リエチレングリコールジメタクリレート(PEGDMA)、ポリカプロラクトンジメタク
リレート、ポリカプロラクトントリメタクリレート、またはそれらのうちの2種以上の混
合物が挙げられる。一部の実施形態では、モノマーは、N-ヒドロキシエチルアクリルア
ミド(HEAA)であってもよい。
【0032】
1種または複数のモノマーは、印刷可能な組成物の重量に対して、約5.0wt%から
約40.0wt%までの量で存在することができる。適切な量として、それらに限定され
ないが、約5.0wt%、約10wt%、約15wt%、約20wt%、約25wt%、
約30wt%、約35wt%、約40wt%、またはこれらの値のうちのいずれか2つを
含めた任意の範囲および/またはこれらの値のうちのいずれか2つの間にある任意の範囲
が挙げられる。例えば、本明細書の任意の実施形態では、印刷可能な組成物は、1種また
は複数のモノマーを、約10wt%から約40wt%まで、約15wt%から約40wt
%まで、約20wt%から約40wt%まで、または約30wt%から約40wt%まで
含むことができる。
【0033】
印刷可能な組成物は、光重合開始剤を含む。光重合開始剤は、少なくともモノマーを重
合および/または架橋するための放射光活性化触媒(すなわち、UV、紫色、または青色
の放射光への露光時に活性化される)である。適切な光重合開始剤として、それらに限定
されないが、2-ヒドロキシ-4’-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-メチルプロピオ
フェノン、エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィネート(phen
ylphosphinate)、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキ
シド、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、またはそ
れらのうちの2種以上の組合せを挙げることができる。例えば、本明細書の任意の実施形
態では、光重合開始剤として、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフ
ィンオキシドを挙げることができる。
【0034】
光重合開始剤は、印刷可能な組成物の約0.5wt%から約2.0wt%までの量で存
在することができる。適切な量として、それらに限定されないが、約0.5wt%、約0
.6wt%、約0.7wt%、約0.8wt%、約0.9wt%、約1.0wt%、約1
.2wt%、約1.5wt%、約1.8wt%、約2.0wt%、またはこれらの値のう
ちのいずれか2つを含めた任意の範囲および/またはこれらの値のうちのいずれか2つの
間にある任意の範囲が挙げられる。例えば、本明細書の任意の実施形態では、印刷可能な
組成物は、約0.5wt%~約2.0wt%、約0.7wt%~約1.8wt%、約1w
t%~約1.5wt%の光重合開始剤を含む。
【0035】
本発明の技術の印刷可能な組成物は、プロトン性溶媒を含むビヒクルを含む。本明細書
で使用されるプロトン性溶媒として、それらに限定されないが、水、アルコール(例えば
、メタノール(CH30H)、エタノール(EtOH)、イソプロパノール(iPrOH
)、トリフルオロエタノール(TFE)、ブタノール(BuOH)、エチレングリコール
、プロピレングリコール)、カルボン酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、
ペンタン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、デオキシコール酸、グルタミン酸、グルクロン
酸)、アンモニア(NH3)、一級アミノ化合物、(例えば、メチルアミン、エチルアミ
ン、プロピルアミン)、二級アミノ化合物(例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、
ジ(n-プロピルアミン)、またはそれらのうちの任意の2種以上の混合物が挙げられる
。したがって、本明細書の実施形態および態様のいずれにおいても、プロトン性溶媒とし
て、アルコール、カルボン酸、一級アミノ化合物、二級アミノ化合物、水、またはそれら
のうちの任意の2種以上の混合物を挙げることができる。本明細書の任意の実施形態では
、プロトン性溶媒として、脱イオン水などの水を挙げることができる。印刷可能な組成物
中のビヒクルの量は、0wt%、約5wt%、約10wt%、約15wt%、約20wt
%、約25wt%、約30wt%、約35wt%、約40wt%、約45wt%、約50
wt%、約55wt%、約60wt%、約65wt%、約70wt%、約75wt%、ま
たはこれらの値のうちのいずれか2つを含めた任意の範囲および/またはこれらの値のう
ちのいずれか2つの間にある任意の範囲であってもよい。具体的には、ビヒクル中の水の
量は、約5wt%、約10wt%、約15wt%、約20wt%、約25wt%、約30
wt%、約35wt%、約40wt%、約45wt%、約50wt%、約55wt%、約
60wt%、約65wt%、約70wt%、約75wt%、約80wt%、約85wt%
、約90wt%、約95wt%、約99wt%、またはこれらの値のうちのいずれか2つ
を含めた任意の範囲および/またはこれらの値のうちのいずれか2つの間にある任意の範
囲であってもよい。
【0036】
印刷可能な組成物は、水を含有するビヒクルを含む。ビヒクルは、水溶性アクリルモノ
マーをさらに含むことができる。例えば、本明細書の任意の実施形態では、水溶性アクリ
ルモノマーとして、それらに限定されないが、カルボキシエチルアクリレート、ポリ(ア
ルキレン)(メタ)アクリレート(例えば、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート
またはポリエチレングリコールジメタクリレート(PEGDMA))、HEAA、HEM
A、HEA、ACMO、NVP、V-CAP、またはそれらのうちの2種以上の組合せが
挙げられる。ビヒクルは、本明細書に記載のカルボン酸をさらに含むことができる。例え
ば、本明細書の任意の実施形態では、カルボン酸として、それらに限定されないが、ギ酸
、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、デオキシコー
ル酸、グルタミン酸、グルクロン酸、またはそれらのうちの2種以上の組合せを挙げるこ
とができる。特定の実施形態では、カルボン酸は酢酸であってもよい。カルボン酸の濃度
は、約5mMから約200mMまでであってもよい。例えば、本明細書の任意の実施形態
では、カルボン酸の濃度は、約5mM、約10mM、約15mM、約20mM、約30m
M、約40mM、約50mM、約60mM、約70mM、約80mM、約90mM、約1
00mM、約110mM、約120mM、約130mM、約140mM、約150mM、
約160mM、約170mM、約180mM、約190mM、約200mM、またはこれ
らの値のうちのいずれか2つを含めた任意の範囲および/またはこれらの値のうちのいず
れか2つの間にある任意の範囲であってもよい。
【0037】
本明細書の任意の実施形態では、印刷可能な組成物は、pH約2を有することができる
。印刷可能な組成物に適したpH値として、それらに限定されないが、約2、約3、約4
、約5、約6、約7、またはこれらの値のうちのいずれか2つを含めた任意の範囲および
/またはこれらの値のうちのいずれか2つの間にある任意の範囲を挙げることができる。
【0038】
印刷可能な組成物は、1種または複数の光塩基発生剤をさらに含むことができる。適切
な光塩基発生剤として、それらに限定されないが、カルバメート、O-アシルオキシム、
アンモニウム塩、スルホンアミド、ホルムアミド、ニフェジピン、遷移金属錯体、メタロ
セン、アミニイミド(aminieimide)、またはアルファ-アミノケトンを挙げることがで
きる。例えば、本明細書の任意の実施形態では、光塩基発生剤として、それらに限定され
ないが、9-アンチルメチルN、N-ジエチルカルバメート、(E)-1-ピペリジノ-
3-(2-ヒドロキシフェニル)-2-プロペン-1-オン、1-(アントラキノン-2
-イル)エチルイミダゾールカルボキシレート、2-ニトロフェニルメチル4-メタクリ
ロイルオキシピペリジン-1-カルボキシレート、1,2-ジイソプロピル-3-[ビス
(ジメチルアミノ)メチレン]グアニジニウム-2-(3-ベンゾイルフェニル)プロピ
オネート、1,2-ジシクロヘキシル-4,4,5,5-テトラメチルビグアニジウムN
-ブチルトリフェニルボレート、(Z)-{[ビス(ジメチルアミノ)メチリデン]アミ
ノ}-N-シクロヘキシル(シクロヘキシルアミノ)メタニミニウムテトラキス(3-フ
ルオロフェニル)ボレート、またはそれらのうちの2種以上の組合せを挙げることができ
る。
【0039】
本明細書の任意の実施形態では、印刷可能な組成物は、官能化コラーゲン、アクリレー
トモノマー、光重合開始剤、ビヒクル、および光塩基発生剤を含むことができ、ここで、
官能化コラーゲンとして、メタクリレートで官能化されたコラーゲンが挙げられる。光塩
基発生剤は、0wt%から約10wt%までの量で存在することができる。例えば、本明
細書の任意の実施形態では、光塩基発生剤は、0wt%、0.01wt%、約0.1wt
%、約0.5wt%、約1wt%、約2wt%、約3wt%、約4wt%、約5wt%、
約6wt%、約7wt%、約8wt%、約9wt%、約10wt%からの量で、またはこ
れらの値のうちのいずれか2つを含めた任意の範囲および/またはこれらの値のうちのい
ずれか2つの間にある任意の範囲からの量で存在することができる。光塩基発生剤の適切
な量として、約0wt%から約10wt%まで、約0wt%から約9wt%まで、約0w
t%から約7wt%まで、0wt%から約3wt%まで、またはこれらの値のうちのいず
れか2つを含めた任意の範囲および/またはこれらの値のうちのいずれか2つの間にある
任意の範囲が挙げられる。
【0040】
本明細書の任意の実施形態では、印刷可能な組成物は、非官能化コラーゲン、アクリレ
ートモノマー、光重合開始剤、ビヒクル、および光塩基発生剤を含むことができる。本明
細書の任意の実施形態では、印刷可能な組成物は、官能化コラーゲン、非官能化コラーゲ
ン、光重合開始剤、ビヒクル、および光塩基発生剤を含むことができ、ここで、官能化コ
ラーゲンとして、メタクリレートで官能化されたコラーゲンが挙げられる。
【0041】
印刷可能な組成物は、1種または複数の吸収剤をさらに含むことができる。例えば、本
明細書の任意の実施形態では、吸収剤として、それらに限定されないが、約300nm~
約450nmの間の波長で0.1超の吸光度単位を有する吸収剤が挙げられる。例えば、
本明細書の任意の実施形態では、吸収剤は、約0.1から約0.7吸光度単位まで、約0
.1から約0.5吸光度単位まで、または約0.1から約0.3吸光度単位までで約30
0nm~約450nmの間の波長に吸光度を有することができる。適切な吸光度値として
、吸光度単位、約0.1、約0.2、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.
7、またはこれらの値のうちのいずれか2つを含めた任意の範囲および/またはこれらの
値のうちのいずれか2つの間にある任意の範囲が挙げられる。本明細書の任意の実施形態
では、吸収剤として、約300nmから約405nmまでの波長で0.1超の吸光度単位
を有する吸収剤を挙げることができる。例えば、本明細書の任意の実施形態では、吸収剤
として、それらに限定されないが、タートラジンを挙げることができる。吸収剤は、0w
t%から約1.0wt%までの量で存在することができる。例えば、本明細書の任意の実
施形態では、吸収剤の量は、0wt%から約1.0wt%まで、約0.1wt%から約0
.8wt%まで、または約0.3wt%から約0.7wt%までである。
【0042】
本明細書の任意の実施形態では、印刷可能な組成物は、官能化コラーゲン、アクリレー
トモノマー、光重合開始剤、ビヒクル、および吸収剤を含むことができ、ここで、官能化
コラーゲンとして、メタクリレートで官能化されたコラーゲンが挙げられる。本明細書の
任意の実施形態では、印刷可能な組成物は、非官能化コラーゲン、アクリレートモノマー
、光重合開始剤、および吸収剤を含むことができる。本明細書の任意の実施形態では、印
刷可能な組成物は、官能化コラーゲン、非官能化コラーゲン、アクリレートモノマー、光
重合開始剤、ビヒクル、および吸収剤を含むことができ、ここで、官能化コラーゲンとし
て、メタクリレートで官能化されたコラーゲンが挙げられる。
【0043】
一部の実施形態では、印刷可能な組成物は、官能化コラーゲン、アクリレートモノマー
、光重合開始剤、ビヒクル、光塩基発生剤、および吸収剤を含むことができ、ここで、官
能化コラーゲンとして、メタクリレートで官能化されたコラーゲンが挙げられる。一部の
実施形態では、印刷可能な組成物は、非官能化コラーゲン、アクリレートモノマー、光重
合開始剤、光塩基発生剤、および吸収剤を含むことができる。一部の実施形態では、印刷
可能な組成物は、官能化コラーゲン、非官能化コラーゲン、アクリレートモノマー、光重
合開始剤、ビヒクル、光塩基発生剤、および吸収剤を含むことができ、ここで、官能化コ
ラーゲンとして、メタクリレートで官能化されたコラーゲンが挙げられる。
【0044】
本発明の技術の関連する態様では、任意の実施形態で本明細書に記載の印刷可能な組成
物を使用して三次元細胞受容足場を調製するための、方法が提供される。本発明の方法は
、本明細書の任意の実施形態の印刷可能な組成物を使用して、三次元細胞受容足場を組み
立てるステップを含む。例えば、本明細書の任意の実施形態では、本発明の方法は、患者
の器官の三次元細胞受容足場を組み立てるステップを含むことができる。本明細書におい
て、「対象」または「患者」という用語は、ネコ、イヌ、げっ歯類、または霊長類などの
哺乳動物である。典型的には、対象または患者は、好ましくは、組織再生のための移植組
織または移植片を必要とするヒトである。「対象」と「患者」という用語は、相互交換可
能に使用することができる。
【0045】
三次元細胞受容足場を組み立てるステップとして、射出成形、回転成形、ポジティブモ
ールド、ネガティブモールド、除去製造、または三次元(3D)プリントの各方法を挙げ
ることができる。本明細書の任意の実施形態では、三次元細胞受容足場を組み立てるステ
ップとして、3Dプリント方法を挙げることができる。3Dプリント方法として、付加製
造法を挙げることができる。適切な付加製造法として、インクジェットプリント、押出成
形プリント、またはレイヤーバイレイヤープリントが挙げられる。本明細書の任意の実施
形態では、三次元細胞受容足場を組み立てるステップとして、レイヤーバイレイヤープリ
ント法を挙げることができる。
【0046】
本発明の技術の別の関連する態様では、三次元細胞受容足場を製造するための方法であ
って、任意の実施形態で本明細書に記載の印刷可能な組成物の層を面に堆積させて堆積層
を得るステップ、堆積層を照射するステップ、および堆積層が三次元細胞受容足場を形成
するまで堆積ステップと照射ステップを繰り返すステップを含み、ここで、印刷可能な組
成物は、印刷可能な組成物の重量に対して約0.3パーセントから約3.0パーセントま
での量で存在するコラーゲン;モノマー;光重合開始剤;およびビヒクルを含む、方法が
提供される。印刷可能な組成物として、任意の実施形態で本明細書に記載の印刷可能な組
成物を挙げることができる。
【0047】
本発明の方法は、印刷可能な組成物を面に堆積させるステップを含む。本明細書の任意
の実施形態では、面として、それらに限定されないが、任意の実施形態で本明細書に記載
の3Dプリント方法に使用するためのシステムの面を挙げることができる。このようなシ
ステムとして、それらに限定されないが、インクジェットプリント、押出成形プリント、
またはレイヤーバイレイヤープリントを含めて3Dプリント方法向けの3Dプリントシス
テムが挙げられる。本明細書の任意の実施形態では、本発明の方法は、堆積させるステッ
プの前に、印刷可能な組成物を0℃~約30℃の温度に加熱するステップをさらに含むこ
とができる。例えば、本明細書の任意の実施形態では、印刷可能な組成物は、0℃、約5
℃、約10℃、約15℃、約20℃、約25℃、約30℃、またはこれらの値のうちのい
ずれか2つを含めた任意の範囲および/またはこれらの値のうちのいずれか2つの間にあ
る任意の範囲の温度に加熱することができる。
【0048】
本発明の技術の方法は、印刷可能な組成物を硬化させるために、堆積層を照射するステ
ップを含む。堆積層を照射するステップは、堆積層を硬化させるために、紫外線(UV)
、紫色、または青色の放射光への露光を介して実施することができる。例えば、本明細書
の任意の実施形態では、堆積層を照射するステップは、約240nmから約405nmま
での波長での放射光への露光を含む。適切な波長として、それらに限定されないが、約2
40nm~約405nm、約240nm~約355nm、約240nm~約340nm、
約240nm~約270nm、またはこれらの値のうちのいずれか2つを含めた任意の範
囲および/またはこれらの値のうちのいずれか2つの間にある任意の範囲を挙げることが
できる。例えば、本明細書の任意の実施形態では、波長は約270nmまたは355nm
であってもよい。
【0049】
本明細書の任意の実施形態では、照射後の堆積層は、解像度、少なくとも100ミクロ
ンを有する。印刷可能な組成物の堆積層を硬化させるために照射して後、堆積層は、解像
度、約100ミクロン未満、約90ミクロン未満、約80ミクロン未満、約70ミクロン
未満、約60ミクロン未満、約50ミクロン未満、約40ミクロン未満、約30ミクロン
未満、約20ミクロン未満、約10ミクロン未満、約5ミクロン未満、約1ミクロン未満
、またはこれらの値のうちのいずれか2つを含めた任意の範囲および/またはこれらの値
のうちのいずれか2つの間にある任意の範囲を有することができる。例えば、本明細書の
任意の実施形態では、堆積層は、約100ミクロン未満の解像度を有することができ、約
1ミクロン未満の解像度を好ましくは有することができる。
【0050】
堆積ステップと照射ステップに続いて、本発明の方法は、堆積層が三次元細胞受容足場
を形成するまで、堆積ステップと照射ステップを繰り返すステップを含む。堆積ステップ
と照射ステップを繰り返すステップに先立ち、堆積層の任意の未硬化部分を除去し、その
後に、印刷可能な組成物の後続する層を堆積させかつ照射してもよい。例えば、本明細書
の任意の実施形態では、本発明の方法は、堆積層の照射後そして堆積ステップと照射ステ
ップを繰り返すステップの前に、未硬化の印刷可能な組成物を除去するステップをさらに
含む。
【0051】
本明細書の任意の実施形態では、本発明の方法は、三次元細胞受容足場を低pH溶液と
接触させるステップをさらに含むことができる。理論に束縛されるものではないが、低p
H溶液によって、硬化した印刷可能な組成物のエステル結合が加水分解されて、三次元細
胞受容足場の細胞化が改善される。したがって、三次元細胞受容足場のグリーンストレン
グスが低下し、このことによって、足場がその後の細胞化プロセスにとってより適合性の
あるものとなる。本明細書の任意の実施形態では、低pH溶液のpHは、約7未満である
。低pH溶液の適切なpH値として、それらに限定されないが、約6未満、約5.5未満
、約5未満、約4.5未満、約4.0未満、約3.5未満、約3.0未満、約2.5未満
、約2.0未満、またはこれらの値のうちのいずれか2つを含めた任意の範囲および/ま
たはこれらの値のうちのいずれか2つの間にある任意の範囲を挙げることができる。
【0052】
本明細書の任意の実施形態では、本発明の方法は、三次元細胞受容足場を、細胞、組織
、増殖因子、ラミニン、エラスチン、フィブロネクチン、プロテオグリカン、ヒアルロン
酸、多糖類またはそれらのうちの2種以上の混合物と接触させるステップをさらに含むこ
とができる。例えば、本明細書の任意の実施形態では、三次元足場は、コンドロイチン硫
酸プロテオグリカン、ヘパリン硫酸プロテオグリカン、硫酸化多糖類、カラギーナン、ア
ガロース、ポリデキストラン、マトリゲル、またはそれらのうちの2種以上の組合せと接
触させることができる。適切な細胞、組織、または増殖因子として、それらに限定されな
いが、トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGF-β)、表皮増殖因子様(EGF様
)ドメイン、血管内皮増殖因子(VEGF)、血小板由来増殖因子(PGDF)、Wnt
ファミリータンパク質、間質細胞由来因子1、血管細胞、上皮細胞、間葉系細胞、または
2つ以上の組合せを挙げることができる。少なくとも一実施形態では、本発明の技術の方
法は、図1に例示のステップによる方法である。少なくとも別の実施形態では、本発明の
技術の方法は、図2に例示のステップによる方法である。
【0053】
かく全体として説明のあった、本発明は、例示の一例として提供され、本発明を限定す
ることを意図していない以下の実施例を参照することによって、より容易に理解されるで
あろう。
【実施例0054】
[実施例1]
印刷可能な組成物の製剤.
例示的な印刷可能な組成物を、製剤A~Fに従って調製した。表1に、各製剤に含まれ
るコラーゲン、モノマー、光重合開始剤、およびビヒクルの量を提供する。N-ヒドロキ
シエチルアクリルアミド(HEAA)、ポリエチレングリコールジメタクリレート(PE
GDMA 600)、およびタートラジンは、Aldrich Corporation
から購入した。メタクリレート官能化ウシコラーゲンはABM Corporation
から購入した。トランスジェニックタバコ由来のヒト組換えコラーゲンは、CollPl
ant Ltdから購入した。ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフ
ィンオキシド光重合開始剤は、製品名Omnirad TPO-LでIGN Resin
Corporationから入手した。全ての重量パーセントは、インク製剤の総重量
と比較した乾燥重量に基づいて決定されている。
【0055】
製剤A:製剤Aは、(1)メタクリレート官能化ウシコラーゲン100mgと20mM
酢酸溶液10mgとの混合物、(2)HEAA 100mL、(3)HEAA 96gと
ともにタートラジン3.38g、(4)PEGDMA 600 1L、およびジフェニル
(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(光重合開始剤)、
を組み合わせることによって調製した。製剤Aのうちの約60wt%は、20mM酢酸溶
液中のメタクリレート官能化コラーゲンであり、これは、約1重量%のコラーゲンである
。したがって、製剤Aは、乾燥重量で約0.6%のコラーゲンを含む。製剤Aは、約10
~15重量%のHEAAモノマーを含む。製剤Aは、高グリーンストレングスが提供され
る一方、コラーゲン成分がなおも大きいという利点を有する。印刷可能な組成物として使
用した場合、製剤Aによって、1~50kPaの範囲のグリーンストレングスを呈する1
~15cmの三次元物品が得られた。
【0056】
重量百分率(wt%)で表すと、製剤Aは、20mM酢酸中のメタクリレートウシコラ
ーゲン59.7wt%、タートラジン0.71wt%、HEAA 36.91wt%、P
EGDMA 1.49wt%、およびジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)
ホスフィンオキシド1.19wt%を含む。成分(1)は、(1A)20mM酢酸59.
11wt%および(1B)メタクリレートウシコラーゲン0.59wt%を含むサブコン
ポーネントとして表すことができる。
【0057】
製剤B:製剤Bは、水性カルボキシエチルアクリレート溶液中のメタクリレートウシコ
ラーゲンの混合物60.59wt%、(2)HEAA 38.20wt%、およびジフェ
ニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド光重合開始剤1.21w
t%を組み合わせることによって調製した。メタクリレートウシコラーゲンの乾燥重量百
分率は0.6wt%である。この製剤は、フォトスピードおよびグリーンストレングスが
高いという利点を有する。製剤Bのフォトスピードは、3秒未満で80cm2の面積にわ
たってzレイヤープリントを可能にするのに十分であり、製剤Bは、20kPaのグリー
ンストレングスを呈した。
【0058】
製剤C:製剤Cは、カルボキシエチルアクリレート水溶液中のメタクリレートウシコラ
ーゲンの混合物59.88wt%、酢酸中のI型ウシコラーゲン16.6wt%溶液、H
EAA 22.5wt%、および2ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイルホス
フィンオキシド1wt%を組み合わせることによって調製した。メタクリレートウシコラ
ーゲンの乾燥重量百分率は0.59wt%である。製剤Bと比較して、この製剤は、非官
能基化ウシコラーゲンの添加に起因して、ある特定の細胞増殖プロセスを改善することが
できる。
【0059】
製剤D:製剤Dは、カルボキシエチルアクリレート水溶液中のメタクリレートウシコラ
ーゲンの混合物71.4wt%、酢酸中のI型ウシコラーゲン17.9wt%溶液、PE
GDMA 600 7.14wt%、HEAA 2.86wt%、およびジフェニル(2
,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド0.71wt%を組み合わせるこ
とによって調製した。メタクリレートウシコラーゲンの乾燥重量百分率は0.71%であ
る。コラーゲン含有量がより高いと、ある特定の細胞増殖プロセスに役立つことができる
【0060】
製剤E:製剤Eは、20mM酢酸中のメタクリレートウシコラーゲン61.35wt%
、酢酸中のI型ウシコラーゲン23.31wt%溶液、(3)HEAA 14.11wt
%、およびジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド1.2
2wt%を組み合わせることによって調製した。メタクリレートウシコラーゲンの乾燥重
量百分率は0.61wt%である。
【0061】
製剤F:製剤Fは、ヒト組換えコラーゲン(タバコ植物体から産生)61.35wt%
溶液、酢酸中のI型ウシコラーゲン23.31wt%溶液、HEAA 14.11wt%
、およびジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド1.22
wt%を組み合わせることによって調製した。
【0062】
製剤G:20mM酢酸中の組換えヒトコラーゲン94.34wt%、(2)メタノール
4.53wt%、および(3)2ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホス
フィンオキシド1.13wt%。コラーゲンの乾燥重量は1.39wt%である。
【0063】
【表1】
【0064】
[実施例2]
細胞生存率の評価.
ヒト上皮性肺癌細胞(A549、ATCC、CCL-185)を使用して、細胞生存率
を評価した。細胞は、10%FBS、ペニシリン50μg mL-1、ストレプトマイシ
ン50μg mL-1を補充したF-12K培地(Kaighnの改変、ATCC)で維
持した。製剤BおよびCについて上記の通りに製剤を調製し、紫外線オーブンを使用して
96ウェルプレートで硬化させた。各ウェル毎に6000個の細胞を播種し、5%CO
中37℃でインキュベートした。示されているプリント製剤それぞれで48時間インキュ
ベートした後、細胞をPBSで3回穏やかに洗浄し、製造元の取扱説明書(Life T
echnologies、Thermo Fisher Scientific)に従っ
てPicoGreenアッセイを使用して細胞毒性評価を行った。製剤Cは、細胞播種の
48時間後で80%の細胞生存率を呈した(図3)。
【0065】
[実施例3]
三次元細胞受容足場の調製.
製剤Hによる酸性の印刷可能な組成物を使用して、三次元細胞受容足場を調製した。製
剤Hは、実施例1に記載の調製方法および下の表2に記載の調製方法に従って調製した。
【0066】
【表2】
【0067】
未硬化の印刷可能な組成物の層が、インクの層を受容するように垂直に配置した面に堆
積した。印刷可能な組成物の堆積層を355nmの波長で照射し、その結果、<100ミ
クロンの解像度を持たせた。足場が完全に形成されるまで、堆積ステップおよび照射ステ
ップを繰り返した。図4に、製剤Hによる印刷可能な組成物のプリントから得られた結果
としてもたらされる三次元足場を示す。
【0068】
ある特定の実施形態について例示および説明してきたが、以下の特許請求の範囲に定義
する通りのそのより広範な態様において、本発明の技術から逸脱することなく当分野での
通常技能に則してその中で変更や修正が可能であることを理解されたい。
【0069】
本明細書に例示的に記載の実施形態は、本明細書に具体的に開示されていない任意の要
素もしくは複数の要素または制限もしくは複数の制限がなくても適切に実施することがで
きる。したがって、例えば、用語「含む(comprising)」、「含む(incl
uding)」、「含有する(containing)」等は、限定することなく拡大的
に読まれるべきである。さらに、本明細書で用いられる用語および表現は、限定の用語で
はなく説明の用語として使用されており、示されかつ説明された特徴またはそれらの一部
の任意の均等物を除外するかかる用語および表現を使用することを意図するものではない
。特許請求されている技術の範囲内で様々な修正が可能であることが理解される。さらに
、「から本質的になる」という句は、具体的に列挙された要素、および特許請求された技
術の基本的および新規の特徴に重大な影響を及ぼさないそれらの追加の要素を含むと理解
される。「からなる」という句は、特定されていないあらゆる要素を除外する。
【0070】
本開示は、本明細書において説明の特定の実施形態によって限定されない。当業者であれ
ば明らかなように、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、多くの修正形態およ
び変形形態をなすことができる。以上の説明から、当業者であれば、本明細書において挙
げられている方法および組成物に加えて、本開示の範囲内における機能的に等価な方法お
よび組成物が明らかであろう。このような修正形態および変形形態は、添付特許請求の範
囲の範疇であることが意図されている。本開示は、添付の特許請求の範囲の用語によって
のみ、かかる特許請求の範囲が権利を与えられる等価物の全範囲とともに、制限されるも
のである。本開示は、特定の方法、試薬、化合物、または組成物に限定されないことを理
解すべきであり、これらは、当然、変更が可能である。また、本明細書において使用され
る用語は、特定の実施形態を説明するためのものにすぎず、限定することは意図されてい
ないことも理解すべきである。
【0071】
加えて、本開示の特徴または態様がマーカッシュグループに関して説明される場合、そ
れにより本開示はまた、マーカッシュグループの複数の要素のうちの個々の任意の要素ま
たはサブグループに関しても説明されることは当業者であれば認識されよう。
【0072】
当業者であれば理解するように、ありとあらゆる目的のために、特に書面による説明を
提供することによって、本明細書に開示の全ての範囲はまた、ありとあらゆる可能な副範
囲およびそれらの副範囲の組合せも包含する。列挙されたいずれもの範囲も、同範囲が少
なくとも等価の2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1などに分割される
ことを十分に説明および可能にするものと、容易に理解することができる。非限定的な例
として、本明細書で論議の範囲それぞれは、下側の3分の1、中ほどの3分の1および上
側の3分の1、等々に容易に分解することができる。また、当業者であれば理解するよう
に、「~まで」、「少なくとも」、「超」、「未満」等などの全ての言回しは、列挙され
た数字を含み、上で論議の副範囲に続いて分割することができる範囲を指す。最後に、当
業者であれば理解するように、範囲には個々の要素それぞれが含まれる。
【0073】
本明細書中に参照する全ての出版物、特許出願、発行特許、およびその他の文書は、個
別の出版物、特許出願、発行特許、およびその他の文書それぞれがその全体を参照するこ
とによって組み込まれていると具体的かつ個別的に示されているかのように参照により本
明細書に組み込まれる。参照によって組み込まれる原文に含まれる定義は、本発明の開示
における定義と矛盾する限りで除外される。
【0074】
その他の実施形態については、以下の特許請求の範囲に記載する。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-07-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷可能な組成物の重量に対して、
約0.3wt%~約3.0wt%の1種または複数のコラーゲン;
約5.0wt%~約40.0wt%の1種または複数のモノマー;
約0.5wt%~約2.0wt%の光重合開始剤;および
0.1wt%~約75wt%の、プロトン性溶媒を含むビヒクル
を含む、印刷可能な組成物を含み、
乾燥後に少なくとも約5kPaのグリーンストレングスを有する、細胞受容足場。
【請求項2】
前記コラーゲンが、官能化されているコラーゲンである、請求項1に記載の細胞受容足場。
【請求項3】
前記モノマーが、アクリレート、メタクリレート、カルボキシエチルアクリレート、またはそれらのうちの2種以上の混合物からなる群から選択されるアクリルモノマーである、請求項2に記載の細胞受容足場。
【請求項4】
前記コラーゲンが、哺乳動物源から得られる、請求項1~3のいずれか一項に記載の細胞受容足場。
【請求項5】
前記哺乳動物源が、ヒト、ウシ、ブタ、およびそれらのうちの2種以上の混合からなる群から選択される、請求項4に記載の細胞受容足場。
【請求項6】
前記コラーゲンが、組換えコラーゲンである、請求項4に記載の細胞受容足場。
【請求項7】
前記組換えコラーゲンが、組換えヒトコラーゲン、組換えウシコラーゲン、組換えブタコラーゲン、またはそれらのうちの2種以上の混合物である、請求項6に記載の細胞受容足場。
【請求項8】
前記組換えコラーゲンが、植物体、細菌、ウイルス、真菌、およびそれらのうちの2つ以上の組合せからなる群から選択される組換え源から得られる、請求項7に記載の細胞受容足場。
【請求項9】
前記コラーゲンが、I型コラーゲンを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の細胞受容足場。
【請求項10】
前記コラーゲンが、印刷可能な組成物の約0.3重量パーセントから約0.9重量パーセントまでの量で存在し、前記コラーゲンは哺乳動物源由来のものである、請求項1~9のいずれか一項に記載の細胞受容足場。
【請求項11】
前記コラーゲンが、印刷可能な組成物の約0.5重量パーセントから約3.0重量パーセントまでの量で存在し、前記コラーゲンは組換えコラーゲン由来のものである、請求項1~9のいずれか一項に記載の細胞受容足場。
【請求項12】
前記コラーゲンが、第1のコラーゲンと第2のコラーゲンとの混合物であり、前記第1のコラーゲンは官能化コラーゲンであり、前記第2のコラーゲンは非官能化コラーゲンである、請求項1~11のいずれか一項に記載の細胞受容足場。
【請求項13】
前記第1のコラーゲンおよび前記第2のコラーゲンが、コラーゲンの乾燥重量に基づいて約99:1~約1:99の重量比で存在する、請求項12に記載の細胞受容足場。
【請求項14】
前記モノマーが、N-ヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリカプロラクトンジメタクリレート、およびポリカプロラクトントリメタクリレートのうちの1種または複数を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の細胞受容足場。
【請求項15】
前記モノマーが、N-ヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA)を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の細胞受容足場。
【請求項16】
前記光重合開始剤が、2-ヒドロキシ-4’-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-メチルプロピオフェノン、エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィネート、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、またはそれらのうちの2種以上の組合せからなる群から選択される、請求項1~15のいずれか一項に記載の細胞受容足場。
【請求項17】
前記ビヒクルが、水溶性アクリルモノマーをさらに含む、請求項1に記載の細胞受容足場。
【請求項18】
前記水溶性アクリルモノマーが、カルボキシエチルアクリレート、ポリ(アルキレン)(メタ)アクリレート、HEAA、HEMA、HEA、ACMO、NVP、V-CAP、またはそれらのうちの2種以上の組合せからなる群から選択される、請求項17に記載の細胞受容足場。
【請求項19】
前記ビヒクルが、カルボン酸をさらに含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の細胞受容足場。
【請求項20】
前記カルボン酸が、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、デオキシコール酸、グルタミン酸、グルクロン酸、またはそれらのうちの2種以上の混合物からなる群から選択される、請求項19に記載の細胞受容足場。
【請求項21】
前記カルボン酸が、約5mMから約200mMまでの濃度で存在する、請求項20に記載の細胞受容足場。
【請求項22】
前記ビヒクルが、少なくともpH2を有する、請求項1~21のいずれか一項に記載の細胞受容足場。
【請求項23】
前記印刷可能な組成物が、9-アンチルメチルN、N-ジエチルカルバメート、(E)-1-ピペリジノ-3-(2-ヒドロキシフェニル)-2-プロペン-1-オン、1-(アントラキノン-2-イル)エチルイミダゾールカルボキシレート、2-ニトロフェニルメチル4-メタクリロイルオキシピペリジン-1-カルボキシレート、1,2-ジイソプロピル-3-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]グアニジニウム-2-(3-ベンゾイルフェニル)プロピオネート、1,2-ジシクロヘキシル-4,4,5,5-テトラメチルビグアニジウムN-ブチルトリフェニルボレート、(Z)-{[ビス(ジメチルアミノ)メチリデン]アミノ}-N-シクロヘキシル(シクロヘキシルアミノ)メタニミニウムテトラキス(3-フルオロフェニル)ボレート、またはそれらのうちの2種以上の組合せからなる群から選択される光塩基発生剤をさらに含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の細胞受容足場。
【請求項24】
前記印刷可能な組成物が、約300nm~約450nmの間の波長で0.1超の吸光度単位を有する吸収剤をさらに含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の細胞受容足場。
【請求項25】
前記吸収剤が、タートラジンである、請求項1~24のいずれか一項に記載の細胞受容足場。
【請求項26】
前記印刷可能な組成物が、約1ミクロン未満の解像度で印刷可能である、請求項1~25のいずれか一項に記載の細胞受容足場。
【請求項27】
乾燥後の前記グリーンストレングスが、約5kPaから約10kPaまでである、請求項1~25のいずれか一項に記載の細胞受容足場。
【請求項28】
三次元細胞受容足場を調製する方法であって、請求項1~27のいずれか一項に記載の印刷可能な組成物をプリントするステップを含む、方法。
【請求項29】
前記プリントするステップが、器官の前記三次元細胞受容足場を組み立て、前記器官は、哺乳動物の器官である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記プリントするステップが、インクジェットプリント、押出成形プリント、またはレイヤーバイレイヤープリントを含む、請求項28または29に記載の方法。
【請求項31】
三次元細胞受容足場を製造する方法であって:
印刷可能な組成物の層を面に堆積させて堆積層を得るステップ;
前記堆積層を照射するステップ;
前記堆積層が前記三次元細胞受容足場を形成するまで前記堆積ステップと照射ステップを繰り返すステップ;および
前記三次元細胞受容足場を、印刷可能な組成物のエステル結合を加水分解する酸性溶液と接触させ、前記三次元細胞受容足場のグリーンストレングスを低下させるステップ、
を含み、
前記印刷可能な組成物が、前記印刷可能な組成物の約0.3重量パーセントから約3.0重量パーセントまでの量で存在するコラーゲン;モノマー;光重合開始剤;およびビヒクル、
を含む、方法。
【請求項32】
前記印刷可能な組成物が、請求項1~27に記載の印刷可能な組成物である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記堆積層が、印刷時に解像度100ミクロン以下を有する、請求項31または32に記載の方法。
【請求項34】
前記堆積層が、約240から約405nmまでの波長で照射される、請求項31~33に記載の方法。
【請求項35】
前記波長が、約270nmまたは355nmである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
堆積させるステップの前に、前記印刷可能な組成物を0℃~約30℃の温度に加熱するステップをさらに含む、請求項31~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記三次元足場を、細胞、組織、増殖因子、ラミニン、エラスチン、フィブロネクチン、プロテオグリカン、ヒアルロン酸、多糖類、またはそれらのうちの2つ以上の混合物と接触させるステップをさらに含む、請求項31~36のいずれか一項に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0074
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0074】
その他の実施形態については、以下の特許請求の範囲に記載する。
本願は以下の態様にも関する。
(1) 細胞受容足場を製造するための印刷可能な組成物であって:
前記印刷可能な組成物の重量に対して、
約0.3wt%~約3.0wt%の1種または複数のコラーゲン;
約5.0wt%~約40.0wt%の1種または複数のモノマー;
約0.5wt%~約2.0wt%の光重合開始剤;および
0wt%~約75wt%の、プロトン性溶媒を含むビヒクル
を含み、
印刷時に約100ミクロン以下の解像度、印刷時に約0.1~5mm(Dp)および約10~100mJ/cm(Ec)のフォトスピード(Dp/Ec)、ならびに乾燥後に少なくとも約5kPaのグリーンストレングスを有する、印刷可能な組成物。
(2) 前記コラーゲンが、モノマーサブユニットで官能化されている、前記(1)に記載の印刷可能な組成物。
(3) 前記モノマーが、アクリレート、メタクリレート、カルボキシエチルアクリレート、またはそれらのうちの2種以上の混合物からなる群から選択されるアクリルモノマーである、前記(2)に記載の印刷可能な組成物。
(4) 前記コラーゲンが、哺乳動物源から得られる、前記(1)~(3)のいずれかに記載の印刷可能な組成物。
(5) 前記哺乳動物源が、ヒト、ウシ、ブタ、およびそれらのうちの2種以上の混合物からなる群から選択される、前記(4)に記載の印刷可能な組成物。
(6) 前記コラーゲンが、組換えコラーゲンである、前記(4)に記載の印刷可能な組成物。
(7) 前記組換えコラーゲンが、組換えヒトコラーゲン、組換えウシコラーゲン、組換えブタコラーゲン、またはそれらのうちの2種以上の混合物である、前記(6)に記載の印刷可能な組成物。
(8)前記組換えコラーゲンが、植物体、細菌、ウイルス、真菌、およびそれらのうちの2つ以上の組合せからなる群から選択される組換え源から得られる、前記(7)に記載の印刷可能な組成物。
(9) 前記コラーゲンが、I型コラーゲンを含む、前記(1)~(8)のいずれかに記載の印刷可能な組成物。
(10) 前記コラーゲンが、印刷可能な組成物の約0.3重量パーセントから約0.9重量パーセントまでの量で存在し、前記コラーゲンは哺乳動物源由来のものである、前記(1)~(9)のいずれかに記載の印刷可能な組成物。
(11) 前記コラーゲンが、印刷可能な組成物の約0.5重量パーセントから約3.0重量パーセントまでの量で存在し、前記コラーゲンは組換えコラーゲン由来のものである、前記(1)~(9)のいずれかに記載の印刷可能な組成物。
(12) 前記コラーゲンが、第1のコラーゲンと第2のコラーゲンとの混合物であり、前記第1のコラーゲンは官能化コラーゲンであり、前記第2のコラーゲンは非官能化コラーゲンである、前記(1)~(11)のいずれかに記載の印刷可能な組成物。
(13) 前記第1のコラーゲンおよび前記第2のコラーゲンが、コラーゲンの乾燥重量に基づいて約99:1~約1:99の重量比で存在する、前記(12)に記載の印刷可能な組成物。
(14) 前記モノマーが、N-ヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリカプロラクトンジメタクリレート、およびポリカプロラクトントリメタクリレートのうちの1種または複数を含む、前記(1)~(13)のいずれかに記載の印刷可能な組成物。
(15) 前記モノマーが、N-ヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA)を含む、前記(1)~(13)のいずれかに記載の印刷可能な組成物。
(16) 前記光重合開始剤が、2-ヒドロキシ-4’-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-メチルプロピオフェノン、エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィネート、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、またはそれらのうちの2種以上の組合せからなる群から選択される、前記(1)~(15)のいずれかに記載の印刷可能な組成物。
(17) 前記ビヒクルが、水溶性アクリルモノマーをさらに含む、前記(1)~(16)のいずれかに記載の印刷可能な組成物。
(18) 前記水溶性アクリルモノマーが、カルボキシエチルアクリレート、ポリ(アルキレン)(メタ)アクリレート、HEAA、HEMA、HEA、ACMO、NVP、V-CAP、またはそれらのうちの2種以上の組合せからなる群から選択される、前記(17)に記載の印刷可能な組成物。
(19) 前記ビヒクルが、カルボン酸をさらに含む、前記(1)~(18)のいずれかに記載の印刷可能な組成物。
(20) 前記カルボン酸が、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、デオキシコール酸、グルタミン酸、グルクロン酸、またはそれらのうちの2種以上の混合物からなる群から選択される、前記(19)に記載の印刷可能な組成物。

(21) 前記カルボン酸が、約5mMから約200mMまでの濃度で存在する、前記(20)に記載の印刷可能な組成物。
(22) 前記ビヒクルが、少なくともpH2を有する、前記(1)~(21)のいずれかに記載の印刷可能な組成物。
(23) 9-アンチルメチルN、N-ジエチルカルバメート、(E)-1-ピペリジノ-3-(2-ヒドロキシフェニル)-2-プロペン-1-オン、1-(アントラキノン-2-イル)エチルイミダゾールカルボキシレート、2-ニトロフェニルメチル4-メタクリロイルオキシピペリジン-1-カルボキシレート、1,2-ジイソプロピル-3-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]グアニジニウム-2-(3-ベンゾイルフェニル)プロピオネート、1,2-ジシクロヘキシル-4,4,5,5-テトラメチルビグアニジウムN-ブチルトリフェニルボレート、(Z)-{[ビス(ジメチルアミノ)メチリデン]アミノ}-N-シクロヘキシル(シクロヘキシルアミノ)メタニミニウムテトラキス(3-フルオロフェニル)ボレート、またはそれらのうちの2種以上の組合せからなる群から選択される光塩基発生剤をさらに含む、前記(1)~(22)のいずれかに記載の印刷可能な組成物。
(24) 約300nm~約450nmの間の波長で0.1超の吸光度単位を有する吸収剤をさらに含む、前記(1)~(23)のいずれかに記載の印刷可能な組成物。
(25) 前記吸収剤が、タートラジンである、前記(1)~(24)のいずれかに記載の印刷可能な組成物。
(26) 約1ミクロン未満の解像度で印刷可能である、前記(1)~(25)のいずれかに記載の印刷可能な組成物。
(27) 約0.1mm/10mJ/cmから約5mm/100mJ/cmまでのフォトスピード(Dp/Ec)で印刷可能である、前記(1)~(26)のいずれかに記載の印刷可能な組成物。
(28) 乾燥後の前記グリーンストレングスが、約5kPaから約10kPaまでである、前記(1)~(26)のいずれかに記載の印刷可能な組成物。
(29) 三次元細胞受容足場を調製する方法であって、前記(1)~(28)のいずれかに記載の印刷可能な組成物をプリントして、前記三次元細胞受容足場を組み立てるステップを含む、方法。
(30) 前記プリントするステップが、器官の前記三次元細胞受容足場を組み立て、前記器官は、哺乳動物の器官である、前記(29)に記載の方法。
(31) 前記プリントするステップが、インクジェットプリント、押出成形プリント、またはレイヤーバイレイヤープリントを含む、前記(29)または(30)に記載の方法。
(32) 三次元細胞受容足場を製造する方法であって:
印刷可能な組成物の層を面に堆積させて堆積層を得るステップ;
前記堆積層を照射するステップ;および
前記堆積層が前記三次元細胞受容足場を形成するまで前記堆積ステップと照射ステップを繰り返すステップ、を含み、
前記印刷可能な組成物が、前記印刷可能な組成物の約0.3重量パーセントから約3.0重量パーセントまでの量で存在するコラーゲン;モノマー;光重合開始剤;およびビヒクル、を含む、方法。
(33) 前記印刷可能な組成物が、前記(1)~(28)に記載の印刷可能な組成物である、前記(32)に記載の方法。
(34) 前記堆積層が、印刷時に解像度100ミクロン以下を有する、前記(32)または(33)に記載の方法。
(35) 前記堆積層が、約240から約405nmまでの波長で照射される、前記(32)~(34)に記載の方法。
(36) 前記波長が、約270nmまたは355nmである、前記(35)に記載の方法。
(37) 堆積させるステップの前に、前記印刷可能な組成物を0℃~約30℃の温度に加熱するステップをさらに含む、前記(32)~(36)のいずれかに記載の方法。
(38) 前記三次元足場を、細胞、組織、増殖因子、ラミニン、エラスチン、フィブロネクチン、プロテオグリカン、ヒアルロン酸、多糖類、またはそれらのうちの2つ以上の混合物と接触させるステップをさらに含む、前記(32)~(37)のいずれかに記載の方法。
(39) 前記(32)に記載の方法によって作製される、三次元細胞受容足場。