(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137951
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】遠隔手術システムでの器具の使用可能寿命の延長
(51)【国際特許分類】
A61B 34/35 20160101AFI20240927BHJP
【FI】
A61B34/35
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024098480
(22)【出願日】2024-06-19
(62)【分割の表示】P 2021171095の分割
【原出願日】2018-07-27
(31)【優先権主張番号】62/543,726
(32)【優先日】2017-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】510253996
【氏名又は名称】インテュイティブ サージカル オペレーションズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ローザ,デイヴィッド ジェイ.
(57)【要約】
【課題】遠隔手術システムでの器具の使用可能寿命を延長させること。
【解決手段】
遠隔手術システムは、第1の動作モード及び第2の動作モードで動作する。第1の動作モードでは、可動式部品は、第1の動作パラメータ範囲内で駆動される。第2の動作モードでは、可動式部品は、その第1の範囲よりも小さい第2の動作パラメータ範囲で駆動される。第2の範囲での動作の結果として可動式部品の機械的劣化を減らすことにより、器具の使用可能寿命が延びる。外科医はどちらの動作モードを選択してもよい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術用器具であって、当該手術用器具は、
作動部品と、
メモリと、を含み、
該メモリは、
当該手術用器具の残りの使用可能寿命値を記憶すること、
前記作動部品の使用後に当該手術用器具の更新した使用可能寿命値を受け取ることであって、該更新した使用可能寿命値は少なくとも当該手術用器具の使用量に基づく、こと、及び
前記更新した使用可能寿命値を記憶すること、を行うように構成される、
手術用器具。
【請求項2】
前記更新した使用可能寿命値は当該手術用器具の残りの寿命の個別の数の指標である、請求項1に記載の手術用器具。
【請求項3】
前記更新した使用可能寿命値は当該手術用器具の残りの使用時間の指標である、請求項1に記載の手術用器具。
【請求項4】
前記メモリは当該手術用器具の固有の識別番号を記憶するようにさらに構成される、請求項1に記載の手術用器具。
【請求項5】
当該手術用器具の前記使用量には前記作動部品の使用量が含まれる、請求項1に記載の手術用器具。
【請求項6】
医療装置であって、当該医療装置は、
メモリを含む手術用器具と、
命令を実行して動作を行うように構成された制御システムと、を含み、
前記動作には、
前記手術用器具の残りの使用可能寿命値を前記メモリから受信すること、
前記手術用器具の使用量を監視すること、
少なくとも前記手術用器具の前記使用量に基づいて、前記手術用器具の更新した使用可能寿命値を決定すること、及び
前記更新した使用可能寿命値を前記手術用器具の前記メモリに保存することが含まれる、
医療装置。
【請求項7】
前記メモリは、少なくとも前記手術用器具の将来の使用まで、前記更新した使用可能寿命値を保存するように構成される、請求項6に記載の医療装置。
【請求項8】
前記メモリは、前記手術用器具の前記将来の使用前に、前記メモリに保存した、前記更新した使用可能寿命値を前記制御システムに送信するように構成される、請求項7に記載の医療装置。
【請求項9】
前記制御システムは、前記更新した使用可能寿命値が所定の値を下回る場合に、前記手術用器具の前記将来の使用を防止するように構成される、請求項8に記載の医療装置。
【請求項10】
前記残りの使用可能寿命値は、許容される個別寿命の残りの数又は許容される残りの時間量であり、前記更新した使用可能寿命値は、許容される個別寿命の更新した残りの数又は許容される更新した残りの時間量である、請求項6に記載の医療装置。
【請求項11】
方法であって、当該方法は、
制御システムを介して、手術用器具のメモリから前記手術用器具の残りの使用可能寿命値を受信するステップと、
前記手術用器具の使用量を監視するステップと、
すくなくとも前記手術用器具の前記使用量に基づいて、前記手術用器具の更新した使用可能寿命値を決定するステップと、
前記更新した使用可能寿命値を前記手術用器具の前記メモリに保存するステップと、を含む、
方法。
【請求項12】
前記更新した使用可能寿命値を前記メモリに保存するステップは、少なくとも前記手術用器具の将来の使用まで、前記更新した使用可能寿命値を前記メモリに保存するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記手術用器具の前記将来の使用の前に、前記メモリに記憶した、前記更新した使用可能寿命値を前記制御システムに送信するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記更新した使用可能寿命値が所定の値を下回る場合に、前記手術用器具の前記将来の使用を防止するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記残りの使用可能寿命値は、許容される個別の寿命の残りの数又は許容される残りの時間量であり、前記更新した使用可能寿命値は、許容される個別の寿命の更新した残りの数又は許容される更新した残りの時間量である、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2017年8月10日に出願された米国仮特許出願第62/543,726号の非仮出願であり、その出願について優先権を主張するものであり、その出願の内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本発明の態様は、遠隔操作式手術システム及び器具の動作モードに関連付けられる。
【背景技術】
【0003】
低侵襲性手術技術は、診断的又は外科的処置中の組織への損傷量を減らし、それによって患者の回復時間、不快感、及び不健康な副作用を低減することができる。低侵襲性手術の一般的な形式は内視鏡検査であり、内視鏡検査の一般的な形式は腹腔鏡検査であり、この腹腔鏡検査は、腹腔内の低侵襲検査及び手術である。標準的な腹腔鏡手術では、患者の腹部にガスが吹き込まれ、カニューレスリーブが、手術用器具の入り口を提供する小さな(約1.27cm(約0.5インチ)以下)の切開部を通される。低侵襲性手術の他の形式には、胸腔鏡検査、関節鏡検査、及び腹部、胸部、喉、直腸、関節等で外科的処置を行うために使用される同様の「鍵穴」手術が含まれる。
【0004】
コンピュータ支援を使用する遠隔操作式手術システムが知られている。これらの手術システムは、低侵襲性手術と、外科医が手術部位にアクセスできるように十分に大きな切開部が形成される「観血」手術との両方に使用される。低侵襲性の観血的手術の例には、上記の手術だけでなく、剛性及び可撓性シャフト両方の遠隔操作式手術用器具を使用した神経外科手術、関節置換手術、血管手術等の手術が含まれる。遠隔操作式手術システムの例は、カリフォルニア州サニーベールのIntuitive Surgical, Inc.が商品化したda Vinci Xi(登録商標)手術システム(モデルIS4000)である。他の例には、Hansen Medical (Auris Surgical Robotics Inc.)が商品化したSensei(登録商標)及びMagellan(登録商標)システム、Mako Surgical(Stryker Corporation)が商品化したRIO(登録商標)システム、及びMedrobotics Corporationが商品化したFlex(登録商標)システムが挙げられる。
【0005】
遠隔操作式手術システムは、ロボットマニピュレータテクノロジーによって駆動される交換可能な手術用器具を使用し得る。これらの器具の一部は、単回使用のみ、又は単回の外科的処置中のみの使用を目的としている。これらの器具は再使用されないため、使い捨てとして扱われる。これらの使い捨て器具のいくつかは高価であり、その結果、外科的処置の費用が増大する。他のタイプの器具は複数回の使用向けに設計されており、これらの複数回使用の器具は、典型的に、外科的処置と次の外科的処置との間に洗浄及び滅菌される。複数回使用する器具の利点は、外科的処置当たりの器具コストが削減されることである。ただし、ケーブルの摩耗等の機械的な制限により、これらの複数回使用器具を使用できる回数が制限される。こうして、複数回使用器具を使用できる回数が増えると、外科的処置当たりの器具コストがさらに削減される。
【発明の概要】
【0006】
一態様では、手術システムは、遠隔操作マニピュレータと制御システムとを含む。器具がマニピュレータに結合されており、器具は機械可動式部品を含む。制御システムは、手術システムを第1の動作モードで動作させ、第1の動作モードにおいて、制御システムは、機械可動式部品を、機械式部品の全可動域等の第1の動作パラメータ範囲内で駆動させる。そして、制御システムは、手術システムを第2の動作モードでも動作させ、第2の動作モードにおいて、制御システムは、機械可動式部品を、機械式部品の全可動域未満等の、第1の範囲よりも制限された第2の動作パラメータ範囲で駆動させる。他の動作パラメータには、速度、加速度、機械的負荷が含まれる。また、追加の動作モード及びパラメータ範囲をオプションで使用できる。
【0007】
外科医は、臨床的な必要性に応じて1つ又は複数の動作モードを選択できる。
【0008】
器具の使用可能寿命は、第1の動作モード及び第2の動作モードでの動作範囲に基づいて減少する。あるいはまた、器具の使用可能寿命は、第1の動作パラメータ範囲及び第2の動作パラメータ範囲での動作範囲に基づいて減少する。より制限された第2のパラメータ範囲内で動作すると、部品の機械的摩耗が比較的少なくなる。器具に残存している使用可能寿命量は、第1の動作モード又は第1パラメータ範囲内での動作に対応する量だけ減少し、器具に残存している使用可能寿命量は、第1の動作モード又は第1のパラメータ範囲内での動作に対応する第1の量未満の第2の量だけ減少する。その結果、器具の使用可能寿命が延び、外科的処置当たりの全体的なコストが削減される。
【0009】
機械式部品の動作を制限して、器具の使用可能寿命を対応して延ばす追加の態様が提示される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】遠隔手術システムの器具及び例示的な動作パラメータ範囲の概略図である。
【
図3A】器具部品の概略図及び関連する動作パラメータ範囲の概略図である。
【
図3B】器具部品の概略図及び関連する動作パラメータ範囲の概略図である。
【
図3C】器具部品の概略図及び関連する動作パラメータ範囲の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の態様、実施形態、実施態様、又は用途を示すこの説明及び添付の図面は、限定と解釈するべきではなく、特許請求の範囲が保護される発明を規定する。この説明及び特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な機械的、組成的、構造的、電気的、及び動作的変更を行うことができる。場合によっては、本発明を不明瞭にしないために、周知の回路、構造、又は技術は詳細に図示しておらず、説明していない。2つ以上の図の同じ数字は、同一又は類似の要素を表す。
【0012】
さらに、1つ又は複数の実施形態及びオプションの要素又は特徴を説明するために選択された特定の言葉は、本発明を限定することを意図していない。単数形「1つの(a, an)」、及び「その(the)」は、文脈上他を示さない限り、複数形も同様に含むことを意図している。また、「備える、有する、含む(comprises)」、「含む、有する(includes)」、「有する、含む(has)」等の用語は、述べた機能、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ又は複数の他の同様、類似、又は異なる機能、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はグループの存在又は追加を排除しない。
【0013】
この説明は十分に明確、簡潔、且つ正確であるようになされているが、綿密で網羅的な言語精度が常に可能又は望ましいわけではないことを理解されたい。例えば、ビデオ信号を考えると、当業者である読者は、信号を表示するように記述されたオシロスコープは信号自体を表示せず、信号の表現を示し、信号を表示すると記述されたビデオモニターは信号自体を表示せず、信号が伝えるビデオ情報を示すことを理解するだろう。
【0014】
一実施形態、実施態様、又は用途を参照して詳細に説明した要素は、実用的であれば、それら要素が具体的に示されていない又は説明されていない他の実施形態、実施態様、又は用途にオプションで含まれ得る。例えば、ある要素が一実施形態を参照して詳細に説明されているが、第2の実施形態を参照して説明されない場合に、それにもかかわらず、その要素は第2の実施形態に含まれると主張され得る。こうして、以下の説明で不必要な繰返しを避けるために、1つの実施形態、実施態様、又は用途に関連して示し、説明した1つ又は複数の要素は、特に明記されない限り、1つ又は複数の要素が実施形態又は実施態様を非機能的なものにしない限り、2つ以上の要素が競合しない限り、他の実施形態、実施態様、又は態様に組み込まれ得る。
【0015】
結合していると説明した要素は、電気的又は機械的に直接結合してもよく、或いは1つ又は複数の中間部品を介して間接的に結合してもよい。
【0016】
本発明の態様について、カリフォルニア州サニーベールのIntuitive Surgical, Inc.が商品化したda Vinci(登録商標)手術システムを使用する実施態様に関して主に説明する。そのような手術システムの例は、da Vinci Xi(登録商標)手術システム(モデルIS4000)及びda Vinci Si(登録商標)手術システム(モデルIS3000)である。しかしながら、知識のある人は、本明細書で開示される本発明の態様は、手動及びコンピュータ支援の実施形態及び実施態様のコンピュータ支援及びハイブリッドの組合せを含む様々な方法で具現化及び実装できることを理解するだろう。da Vinci(登録商標)手術システム(例えば、モデルIS4200、モデルIS4000、モデルIS3000、モデルIS2000、モデルIS1200)での実施態様は、単なる例示であり、本明細書で開示される本発明の態様の範囲を限定するものとみなすべきではない。適用可能な場合に、本発明の態様は、比較的小さく、手持ち式の手動式装置と、追加の機械的サポートを有する比較的大きなシステムとの両方で具現化及び実装することができる。
【0017】
少なくとも部分的にコンピュータ支援で動作する遠隔操作式手術システム(遠隔手術システム)には、機械的に接地された装置と手持ち式装置との両方が含まれる。そのような遠隔手術システムは、典型的に、治療、診断、又は画像処理用の1つ又は複数の手術用器具を含む。手術用ステープラや骨ツール等の手持ち式遠隔手術システムでは、典型的に、器具と手持ち式部分とが組み合わされる。機械的に接地されたシステムでは、器具は、典型的に、機械的接地を基準にして機械的に支持される。
【0018】
この説明は、機械的に接地された遠隔手術システムに焦点を当てているが、必要に応じて手持ち式の遠隔手術システムに適用される。機械的に接地された遠隔手術システムの例は、da Vinci(登録商標)手術システムである。当業者は、米国特許第6,246,200号(1999年8月3日出願)、米国特許第6,331,181号(1999年10月15日出願)、及び米国特許第6,788,018号(2001年12月20日出願)に記載されているもの等、様々な遠隔手術システムのアーキテクチャに精通しているだろう。
【0019】
図1は、遠隔手術システム100と、この遠隔手術システムに関連する手術用器具102との概略図である。システム100及び器具102は、様々な遠隔手術システム構成の例示である。図示されるように、遠隔手術システムの主要な構成要素は、遠隔操作マニピュレータ104、ベースユニット106、及びコンピュータ制御システム108を含む。これらの主要な構成要素及びこれらに関連する機能は、単一のユニットとして構成してもよく、又は2つ、3つ以上の別個の相互接続されたユニットに分配してもよい。例えば、da Vinci Xi(登録商標)手術システムには、患者の隣に位置する遠隔操作マニピュレータシステム(患者側ユニット)、患者側ユニットから離れた位置にある外科医制御ユニット、及び補助機器ユニットが含まれる。
【0020】
マニピュレータ104は、関節によって相互接続された一連のリンクを含み、且つベースユニット106から先端側器具駆動インターフェイス110まで延びており、このインターフェイス110には器具102が取り付けられる。図示されるように、マニピュレータ104は、器具102を全体として動かすか、器具102の主要部分を静止状態に保ちながら器具102の1つ又は複数の個々の構成要素を動かすか、又はその両方である様々な遠隔操作マニピュレータ構成の例示である。マニピュレータ104は外科医の制御下で動作し、外科医は運動制御及び器具機能動作コマンドを制御システム108に入力し、制御システム108はマニピュレータ104に対応する運動又は機能を実行するよう命令する。しかしながら、オプションの態様では、制御システム108は、医療処置の実施に関連する特定のマニピュレータ104の運動又は器具102の機能を自律的に命令してもよい。
【0021】
図示されるように、ベースユニット106は機械的に接地されているが、例えば手持ち式の実施形態では、オプションで接地されなくてもよい。ベースユニット106は、1つ又は複数の患者側ユニット(例えば、2つ以上のマニピュレータを備えた単一のユニット、それぞれが単一のマニピュレータを備えた2つ以上のユニット等)、外科医制御ユニット、及び1つ又は複数の補助機器ユニットから構成される様々な別個の又は組み合わされた構成を示す。
【0022】
コンピュータ制御システム108は、遠隔手術システム内で集中化又は分散化されてもよい。そして、以下で説明するように、コンピュータ制御システム108及びコンピュータ制御システム108に関連する器具データの態様は、例えば遠隔手術システムが結合されるネットワーク内の場所で遠隔手術システムから離れていてもよい。コンピュータ制御システムは、知られており、一般に、論理ユニット及びメモリシステムを含み、メモリシステムは、論理ユニットによって実行される命令及び論理ユニットによって決定されるデータを保存する。米国特許第6,424,885号(1999年8月13日出願)は、遠隔手術システム用のコンピュータ制御システムの例であり、この文献は参照により本明細書に組み込まれる。
【0023】
コンピュータ制御システム108は、マスター入力112を介してユーザの手術用器具運動コマンドを受け取り、それに応じて器具102の動きがマスター入力112の動きに追従するようにマニピュレータ104を制御する。マスター入力112は、オプションとして、電気外科エネルギーの印可、手術用ステープルの適用等の器具102の機能を制御システム108を介して制御する1つ又は複数の追加の制御入力を有してもよい。図示されるように、コンピュータ制御ユニット108は、ユーザの器具動作コマンドを動作モード入力114を介して受け取る。これらの動作モードの態様について詳細に説明する。動作モード入力114は、マスター入力112と組み合わしてもよく、又は別々に配置してもよい。例えば、動作モード入力114は、マスター入力上又は外科医制御ユニットのタッチパッド上又は同様の入力装置上のスイッチであり得る。
【0024】
図2を参照すると、器具102の主要な構成要素は、基端部機構116、一端が基端部機構116に結合された中空器具シャフト118、器具シャフト118の先端部に結合された可動式手術用エンドエフェクタ120、及びシャフト118の先端部とエンドエフェクタ120との間に結合されたオプションの可動式手首機構122を含む。基端方向(患者から離れて位置する)及び先端方向(患者に向かって位置する)は、明確にするために図に示される。器具シャフト118は、直線状でも湾曲状でも接合されていてもよく、シャフトは、剛性でも可撓性でもよい。エンドエフェクタ120は、治療、診断、又はイメージングの手術的機能、又はこれらの機能の任意の組合せを実行する。様々な器具手首機構の構成が知られている。例えば、米国特許第6,394,998号(1999年9月17日出願)、米国特許第6,817,974号(2002年6月28日出願)、米国特許第9,060,678号(2007年6月13日出願)、及び米国特許第9,259,275号(2010年11月12日出願)を参照されたい。また、これら文献の開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0025】
図示されるように、基端部機構116は、ハウジング126によって囲まれた2つの例示的な回転式ケーブル駆動キャプスタン124a、124bを含む。第1のケーブル対128a、128bがキャプスタン124aの周りに巻き付けられ、キャプスタイン124aが回転する際に、一方のケーブルが繰り出され、他方のケーブルが繰り込まれ、逆もまた同様である。同様に、第2のケーブル対130a、130bがキャプスタン124bの周りに巻き付けられ、キャプスタン124bが回転する際に、一方のケーブルが繰り出され、他方のケーブルが繰り込まれ、逆もまた同様である。キャプスタン124a、124bは、前述したように、制御システム108の制御下で器具駆動インターフェイス110から駆動入力を受け取る。
【0026】
ケーブル128a、128bは、器具シャフト118を通って延び、且つ可動式顎部、はさみ刃、電気焼灼用フック又は刃等の可動式エンドエフェクタ部品132に結合される。従って、エンドエフェクタ部品132は、キャプスタン124aの回転に対応して動く。同様に、ケーブル130a、130bは、器具シャフト118を通って延び、且つ手首132がキャプスタン124bの回転に対応して動くように手首122に結合される。手首122は、Intuitive Surgicalが商品化したEndowrist(登録商品)手術用器具の入れ子状クレビス及び連続的リンク(スネーク)構成等、様々な関節の機械的手首構成の例である。
【0027】
キャプスタン124a、124b及びこれらに関連する駆動入力、ケーブル配線ガイド又はプーリ、ベアリング等は、力又はトルク駆動入力を受け取り、受け取った駆動入力を、手首122又はエンドエフェクタ部品132等の先端側器具部品を制御するために使用される対応する動きに伝達する様々な機構(伝達機構)の例である。このような伝達機構には、回転ディスク及び他の様々な軸線方向回転入力;回転、ラック、又はウォームギア入力;レバー又はジンバル入力;スライドタブ及び他の横方向並進入力;ピン及び他の軸線方向並進入力;流体圧力入力;等が含まれる。さらに、キャプスタン124a、124bは、1つ又は複数のモータがハウジング126内に取り付けられるか、又はハウジング126に結合され、制御システム108からハウジング126を介してモータ制御入力を受け取る器具構成の例である。1つ又は複数のモータは対応する伝達機構を駆動する。こうして、器具部品は、モータによって外部に(例えば、器具が取り付けられるマニピュレータに、又は器具に取り付けられる)又は器具の内部に移動され得る。
【0028】
ケーブル対128a、128b及び130a、130bは、力又はトルクを伝達機構から器具の先端部部品に伝達するためにオプションで使用される様々な構成要素(作動部品)の例である。そのような作動部品には、張力部品(ケーブル、ケーブル-ハイポチューブの組合せ、プルロッド等)、圧縮部品(プッシュロッド、ボーディン(Bowdin)ケーブル等)、回転部品(シャフト、ギアトレイン等)、及びこれらの特性を組み合わせた部品(プッシュ/プルロッド、回転及び並進するスプラインシャフト等)が含まれる。
【0029】
追加の伝達機構及び作動部品には、回転シャフト、ギア、ヒンジ、ピボットポイント、転がり面、回転又はスライド部品、カム面及びカムピン、リードスクリュー、ユニバーサル関節又は等速関節、耐負荷ベアリング、表面、又はポイント等が含まれる。
【0030】
動作モード
本発明の態様では、器具の寿命に影響を与えるパラメータは、2つ以上の範囲に分けられる。一方の範囲は器具の寿命への影響が比較的少なく、他方の範囲は器具の寿命への影響が比較的大きい。必要に応じて器具の寿命に比較的多くの影響を与えるパラメータ範囲が利用可能であるが、器具の寿命は、器具の寿命への影響が比較的少ないパラメータ範囲内で器具を動作することにより、延長される。パラメータの例は、機械式部品の可動域(ROM)である。本発明の態様は、一般に、2つのROMをユーザ選択に利用可能にする遠隔手術システム構成要素によって示されており、態様には、ユーザ選択に利用可能な3つ以上のROMを有するシステムが含まれることを理解されたい。加えて、本発明の態様は機械的ROMによって示されているが、当業者は、以下で説明するように、他の器具又は遠隔手術システムのパラメータ範囲を規定及び選択できることを理解するであろう。こうして、2つ、3つ、又はそれ以上のパラメータ範囲を選択できる。
【0031】
図2は、器具102の可動式先端部部品がそれぞれROMを有することを示している。また、本発明の態様によれば、1つ又は複数の先端部部品のROMを選択的に変更することができる。部品の最大ROM内の制限されたROMは、対応する動作モードでの動作により選択されるように規定できる。図示されるように、例えば、エンドエフェクタ部品132は、第1の選択されたROM134a(例えば、±30°)内又は第1の選択されたROMよりも大きい第2の選択されたROM134b(例えば、±60°)内で軸線134の周りを回転する。同様に、手首122は、第1の選択されたROM136a(例えば、±30°)内又は第1の選択されたROMより大きい第2の選択されたROM136b(例えば、±60°)内で軸線136の周りを回転する。選択された様々なROMは、オプションで対称又は非対称である(例えば、±30°、+0°~-45°、+45°~-15°、+30°~+60°等)。そして、第1及び第2のROMは、完全に重なり合う(例えば、基準角度から第1のROMは±60°であり、第2のROMは±30°である)か、又は部分的に重なり合う(例えば、基準角度から第1のROMは+15°~-45°であり、第2のROMは0°~-60°である)。選択されたROMは、関節のタイプに対応する(例えば、回転関節では回転ROMが選択され、直動(prismatic)関節では並進ROMが選択される等)。
【0032】
例示された手首122及びエンドエフェクタ部品132は、単一の機械的自由度(DOF)を有するように示されている。ただし、単一の関節又は関節アセンブリが、それぞれが関連するROMを有する2つ以上のDOFに対応している場合に、DOF及びDOFに関連するROMは、様々な方法で選択的に制限される。例えば、このような関節又は関節アセンブリに関して選択された1つのROMは、第1のDOF ROMを制限するが、第2のDOF ROMを制限せず、そのような関節又は関節アセンブリに関して選択された第2のROMは、第1のDOF ROMと第2のDOF ROMとの両方を制限する。別の例として、器具の手首機構には2つ以上の単一DOFの機械式関節を含めることができるが、複数のDOFを有する単一関節として制御され、手首機構の非常に多くの選択可能なROMが可能である(例えば、ピッチ±45°及びヨー±45°;ピッチ±60°及びヨー±60°;ピッチ+15°~-45°及びヨー±45°等)。いくつかの態様において、選択されたROMは、単一の機械式関節の完全な機械的ROM(すなわち、機械的停止から次の停止まで)に対応する。
【0033】
さらに、2つ以上の器具を有する遠隔手術システムでは、選択されたROMは、単一の器具又は2つ以上の器具のグループに適用され得る。例えば、遠隔手術システムの第1の動作モードでは、第1の選択されたROMは完全な機械的ROMで動作する2つ以上の器具に対応し、第2の選択されたROMは制限されたROM内で動作する2つ以上の器具に対応する。あるいはまた、選択可能なROMは、2つ以上の個々の器具に対して独立して使用できる。
【0034】
別の態様では、選択可能な2つ以上のROMは、マニピュレータに取り付けられた特定の器具タイプに依存する。例えば、第1の器具タイプ(例えば、把持器)には2つの選択可能な動作モード;第1の器具手首のフルピッチ及びヨーROMが利用可能な第1のモードと、第1の器具手首のピッチ及びヨーROMが制限される(例、±45°)第2のモードとを有し得る。第2の器具タイプ(例えば、単極焼灼焼はさみ(shears))には、2つの異なる選択可能な動作モード;第2の器具手首のフルピッチ及びヨーROMが利用可能な第1のモードと、第2の器具手首のピッチ及びヨーROMが制限される(例、±30°)第2のモードとを有し得る。同様に、第1の器具タイプはある量(例えば、2つ)の選択可能なROMを利用でき、第2の器具タイプは異なる量(例えば、3つ)の選択可能なROMを利用できる。また、いくつかの態様では、1つの特定の器具タイプは選択可能なROMを利用できない場合があり(つまり、器具の完全なROMが常に使用可能である)、別の特定の器具タイプは2つ以上の選択可能なROMを利用できる。
【0035】
本発明の態様によれば、これらの動作モードは、以下で説明するように、遠隔手術システムの器具の寿命を延ばすために使用される。
【0036】
動作パラメータの範囲
制御システム108が器具及び器具部品の運動を命令する環境を記述するために、様々な動作パラメータを使用することができる。上で議論したように、1つのパラメータは、動作範囲内の位置又は向きである。他のパラメータには、部品の速度、加速度、静的な力又はトルク適用及び負荷、及び動的な力又はトルク適用及び負荷が含まれる。こうして、これらのパラメータ内の様々な範囲は、上術したように規定及び選択できる。
【0037】
例えば、
図3A~
図3Cは、器具の動作パラメータを示している。
図3Aは、蛇状の先端部(例えば、カテーテル、ガイドチューブ等)を有する器具151の概略図である。双方向矢印150は、器具及び関連する作動部品の物理的な制限によって制約された機械的ROM、横方向の力、先端チップの速度、先端チップの加速度、作動ケーブル上の引張力等の可撓性器具部品の運動に関連する全パラメータ範囲を表す。双方向矢印152は、制御システムによって制約されるような制限されたパラメータ範囲を表す。
【0038】
図3Bは、直動関節(例えば、プッシュロッド、ナイフ刃、ステープラ用そり等)で並進する器具部品155の概略図である。双方向矢印154は、関節、部品、及び関連する作動部品の物理的な制限によって制約される機械的ROM、軸線方向のプッシュ又はプル力、部品の速度、部品の加速度等の直線状又は湾曲状並進に関連する全パラメータ範囲を表す。双方向矢印156は、制御システムによって制約されるような制限されたパラメータ範囲を表す。
【0039】
図3Cは、器具部品159(例えば、回転駆動シャフト、ディスク、ギア、ヒンジピン等)の断面の概略図である。双方向矢印158は、部品及び関連する作動部品の物理的な制限によって制約される機械的ROM、トルク、角速度、角加速度等の回転に関連する全パラメータ範囲を表す。双方向矢印160は、制御システムによって制約されるような制限されたパラメータ範囲を表す。
【0040】
遠隔手術システムの動作中に、これらのパラメータのそれぞれの値はある範囲内で決定できるため、制御システムは、部品が予め規定されたパラメータ範囲内で費やした時間量を記録できる。同様に、制御システムは、パラメータの範囲又は値に関連するイベントの数を記録できる。
【0041】
例えば、制御システムは、部品が60~90°のROM内で動作する時間等、パラメータ範囲内で可動式部品が動作する時間を記録できる。或いは、部品が60~90°のROM内に移動した回数や、部品が60°を超えた回数等のイベントを記録できる。
【0042】
本発明の態様によれば、これらのパラメータ範囲又はイベントに関する情報を使用して、以下で説明するように、遠隔手術システムの器具の寿命を延ばす。この情報は、選択したパラメータの動作範囲に関する情報と組み合わせることができる。或いは、その情報は、選択した動作パラメータ範囲とは独立して使用できる。
【0043】
器具の寿命
全てのメカニズムと同様に、可動式器具部品は使用により劣化する可能性がある。従って、安全のために、遠隔手術システムは、典型的に、器具を使用できる時間を制限する。例えば、器具の設計をテストして予想される平均最大寿命を決定し、次に大きな安全マージンを導入して、予想される平均最大寿命よりも短い最大使用可能寿命を規定する。
【0044】
最大使用可能寿命は、例えば、器具の許容される最大個別的使用(寿命)を規定すること、又は器具の許容される最大使用時間を規定すること等、様々な方法で規定できる。例えば、新しい個々の器具には、10回許容される使用可能な個別的寿命(discrete lives:不連続的な使用による寿命)が割り当てられ、残りの使用可能な個別的寿命の数は、器具又は遠隔手術システムのメモリ、或いはネットワーク上の場所に保存されるため、制御システム108は保存された情報にアクセスできる。同様に、新しい個々の器具には、許容される使用可能時間が割り当てられ、残りの許容される使用時間は、器具又は遠隔手術システムのメモリ、或いはネットワーク上の場所に保存されるため、制御システム108は保存された情報にアクセスできる。器具の許容される最大個別的使用が又は器具の許容される最大使用可能時間が割り当てられると、治療中に器具が使用されるにつれて、残りの個別的使用の数又は残りの使用可能時間が減少する。
【0045】
一変形例では、外科的処置(1人の患者-開始から終了まで)毎に、1つの使用可能な個別的寿命が減らされ、外科的処置において、器具は、残りの使用可能な個別的寿命がゼロになるまで使用され、ゼロになった時点で、手術システムは、個々の器具の更なる使用を阻止する。
【0046】
別の変形例では、個々の器具がマニピュレータに取り付けられて初期化される度に、使用可能な個別的寿命がゼロになるまで、1つの使用可能な個別的寿命が減らされる。
【0047】
別の例示的な変形形態では、器具が使用されると、手術システムは、残りの使用可能時間がゼロになるまで残りの使用可能時間を減らす。残りの使用可能時間がゼロになる場合に、手術システムは、オプションで(a)器具の更なる使用を阻止し、器具交換が必要であることを通知する;(b)器具がマニピュレータから取り外されるまで器具の使用を継続できるようにし、器具がマニピュレータから取り外された後に器具の更なる使用を阻止する、又は(c)マニピュレータへの1つ又は複数の取り外し及び1つ又は複数のその後の取り付けを含む、外科的処置全体を通して器具の使用を継続できるようにし、外科的処置後の器具の更なる使用を阻止する。
【0048】
こうして、器具の使用可能寿命は、規定された初期の最大使用可能寿命から始まり、器具の残りの使用可能寿命がゼロになるまで器具が使用されるように、器具の使用可能寿命は減少する。この説明では、器具の使用可能寿命を、残りの個別的寿命又は残りの使用時間で示しているが、器具の性能尺度(命令した部品位置に対する感知した実際の部品位置、感知した電気外科エネルギー、手術用ステープル形成のための感知トルク等)の使用可能寿命の他の尺度を、残りの使用可能寿命の動的な指標として適用することもできる。
【0049】
個々の器具の使用可能寿命、例えば許容される個別的寿命や残りの使用時間等は、器具自体、遠隔手術システム、又は遠隔手術システムが通信するネットワークの場所にオプションで保存できる。また、使用可能寿命の更新は、オプションで様々なタイミングで行われ得る。例えば、器具の使用中に残り時間を継続的に更新したり、制御システムが器具の合計使用時間を記録し、器具が患者から引き出されたときに残りの使用可能時間を更新したりできる。同様に、器具の使用中に残りの使用可能な個別的寿命が減らされたり、制御システムが使用された個別的寿命を決定し、器具が引き出されたときに残りの個別的寿命を更新したりできる。別の例として、器具がマニピュレータに取り付けられている間に、使用された時間又は個別的寿命が器具に対して記録され、その後、器具が再びマニピュレータに結合されると、残りの時間又は寿命が更新される。
【0050】
図2を再び参照すると、一態様では、手術用器具102はメモリ138を含み、いくつかの実施形態では、メモリ138には、器具のタイプ、器具に固有のシリアル番号、残りの使用可能寿命(例えば、許容される個別的寿命の数又は許容される残り時間)等の保存された情報が含まれる。メモリ138に保存されたこの情報は、駆動インターフェイス110を介して制御システム108に通信される(140)。オプションとして、更新された許容される個別的寿命又は残り時間等の情報は、制御システム108から駆動インターフェイス110を介してメモリ138に通信され(140)、次に遠隔操作式手術システムで器具を使用するときにこの情報にアクセスできるようにする。器具のメモリ及び駆動インターフェイスを介した通信の例は、米国特許第6,331,181号(1999年10月15日出願)に見受けられ、この文献は参照により本明細書に組み込まれる。同様に、器具の個別的寿命又は時間情報を、遠隔手術システムの制御システム108によってアクセスされるネットワークの場所に保存することができる。
【0051】
多くの状況での器具の能力の低下量は、器具が使用される動作パラメータの範囲によって異なる。例えば、器具部品が関連するDOF ROM内で移動すると、ROMの中央付近よりもROMの端で部品により多くの機械的な劣化が予想される場合がある。より具体的には、エンドエフェクタの顎部を動かすために使用されるケーブルは、このケーブルが1つ又は複数のプーリ又はガイド面の周りに配線され、顎部を規定された中心位置(例えば、基端部と先端部との間の器具の長手方向軸線)から±30°動かすため、経時的な劣化が比較的少なくなり得る。そしてケーブルは、ケーブルが1つ又は複数のプーリ又はガイド面の周りに配線され、顎部を規定された中心位置から±60°動かすため、経時的な劣化が比較的多くなる可能性がある。そしてケーブルは、ケーブルが1つ又は複数のプーリ又はガイド面の周りに配線され、顎部を規定された中心位置から±90°動かすため、経時的な劣化が比較的さらに多くなる可能性がある。
【0052】
さらに、劣化の量は、パラメータ値の範囲内のパラメータ値の一次関数ではない場合がある。例えば、伝達機構部品又は作動部品の劣化は、関連する先端部部品のROM位置の線形関数ではない場合がある。より具体的な例として、顎部の最大ROM付近(例えば、90°近く)のエンドエフェクタ顎部の運動に関する部品の劣化は、規定された中心位置付近又は制限されたROM(例えば、±30°)内の顎部の運動よりも著しく高く(例えば、3倍以上)、ただし、90は30の3倍である。
【0053】
さらに、可動式部品は、速度又は加速度が増大するにつれて、比較的より急速に劣化する可能性がある。例えば、部品の速度が部品の可能な最大作動速度のみによって制限される場合に、部品の経時的な劣化は比較的大きくなる可能性があり、部品の速度が部品の可能な最大作動速度未満の値に制限される場合に、部品の経時的な劣化は比較的低くなる可能性がある。同様に、部品の加速度が部品の可能な最大作動加速度のみによって制限される場合に、部品の経時的な劣化は比較的大きくなる可能性があり、部品の加速度が部品の可能な最大加速度未満の値に制限される場合に、部品の経時的な劣化は比較的低くなる可能性がある。
【0054】
さらに、可動式伝達機構部品又は作動部品は、静的な力又はトルク負荷、動的な機械的作動力又はトルク負荷、又は部品の静的負荷と動的作動負荷との組合せが増大するにつれて、比較的より急速に劣化する可能性がある。例えば、部品の許容される最大作動負荷が可能な最大作動負荷である場合(例えば、部品に最大グリップ力、最大曲げ力、又は最大トルクを生じさせる;部品の弾性範囲の近く又はその範囲内で作業する場合)に、部品の経時的な劣化は比較的高くなる可能性があり、部品の許容される最大作動負荷が可能な最大作動負荷よりも小さい場合に、部品の経時的な劣化は比較的低くなる可能性がある。負荷は、(例えば、部品に結合された力又はトルクセンサーを使用して)直接的に測定されるか、(例えば、部品を移動したり、負荷の下でその部品を所定の位置に保持したりするために使用されるモータのモータ電流を検出して、使用されるモータ電流からの負荷を推測することにより)間接的に測定される。
【0055】
同様に、常に存在する予負荷力又はトルクが部品(ケーブル等)にかかっている器具では、予負荷力又はトルクが第1の値にある場合に、作動力又はトルクが適用されると、部品の経時的な劣化が比較的大きくなる可能性があり、予負荷力又はトルクが第1の値よりも小さい第2の値にある場合に、作動力又はトルクが適用されると、部品の経時的な劣化が比較的低くなる可能性がある。そのような予負荷力の例は、ケーブルがたるんだり、規定された経路を離れたりしないようにするための、器具の作動ケーブルに対する一定の予負荷張力である。予負荷力の別の例は、拮抗制御ペアのギャップ(バックラッシュ)によって生じるロストモーション(空動)を排除するために使用される伝達機構又は作動部品で受ける力であり、拮抗制御ペアにおいて、このペアの一方が器具部品を一方向(例えば、ピッチ/巻き上げ、ヨー/左揺れ、時計回りに回転、基端方向に揺らす)に動かし、及びペアの他の駆動トレインは器具部品を反対方向(例えば、ピッチ/巻き下し、ヨー/右揺れ、反時計回りに回転、先端方向に揺らす)に動かす。こうして、部品は、比較的高い予負荷力と作動力との組合せで経時的に比較的高い劣化を受け、比較的低い予負荷力と同じ作動力との組合せで経時的に比較的低い劣化を受ける可能性がある。さらに、長期間の静的負荷だけで、何ヶ月もの間、高い予負荷張力下でケーブルが伸びる等、機械的劣化が生じる可能性がある。器具が構築されたとき(例えば、静的な予負荷が最初に加えられたとき)から器具が使用されるまでの時間量は、器具の性能に関連する場合がある。
【0056】
器具の寿命の決定
一態様では、制御システムは、パラメータが異なるように制限される2つ以上の動作モードのそれぞれで費やされた時間量を記録し、次にこれらの時間を使用して、器具の残りの使用可能寿命を決定する。例えば、制御システムは、ROMが制限されている第1の選択モードで費やされた時間量と、ROMが制限されていない第2の選択モードで費やされた時間量とを記録する。
【0057】
別の態様では、制御システムは2つ以上のパラメータ範囲で費やされた時間量を記録し、次にこれらの時間を使用して、器具の残りの使用可能寿命を決定する。例えば、制御システムは、第1の予め規定された機械的ROM(例えば、0~30°)で費やされた時間と、第1の予め規定された機械的ROMを超えて第2の予め規定された機械的ROM(例えば、30~60°)で費やされた時間とを記録する。
【0058】
別の態様では、2つ以上の動作モードのそれぞれで費やされた時間と1つ又は複数のパラメータ範囲で費やされた時間とを組み合わせて、器具の残りの使用可能時間を決定する。例えば、制御システムは、ROMが制限されている第1の選択モード(0~45°)で費やされた時間と、ROMが制限されていない第2の選択モード(0~90°)で費やされた時間とを記録する。また、制御システムは、予め規定されたROM(例えば、70~90°)で費やされた時間量も記録する。次に、制御システムは、この組み合わされた情報を使用して、器具の残りの使用可能寿命を決定する。
【0059】
繰り返すが、機械的ROMはパラメータの例として使用されるが、それらROMは、経時的な機械的劣化に影響を与え、1つの値から別の値、又は1つの値の範囲から別の値の範囲に監視又は変更でき、及びそれに応じて、機械的劣化が経時的に変化するパラメータを表す。さらに、上記の例はROM、速度、加速度、作動力又はトルク、予負荷力又はトルク等の個々のパラメータであるが、これらのパラメータの2つ以上を制限して、器具部品の経時的な劣化をさらに減らすことができる。こうして、「選択されたパラメータ範囲」という用語には、単一のパラメータの範囲と2つ以上のパラメータの範囲とが含まれる。
【0060】
上述したように、場合によっては、個々の部品の劣化は2つ以上のパラメータ値に依存する。例えば、Carden関節の曲げ角度がゼロの場合に、Carden関節の経時的な劣化は、主に許容される最大速度又は作動負荷によって引き起こされる可能性がある。ただし、Carden関節の曲げ角度が高い(例えば、60°)場合に、この曲げ角度と許容される最大角速度又は作動負荷との組合せ、又はこの曲げ角度と許容される最大角速度及び作動負荷との組合せにおいて、曲げ角度は、関節の経時的な劣化の主要なパラメータになる可能性がある。こうして、器具部品の経時的な劣化に関連するパラメータは、単一の次元を有する場合もあれば、2、3、又はそれ以上の次元を有する場合もある。また、1つのパラメータ値又は1次元のパラメータにより、部品の経時的な劣化に対する第2のパラメータ又は第2の次元の影響を決定できる。
【0061】
多くの場合に、1つ又は複数の器具部品は他の器具よりも早く経時的に劣化するため、これらの1つ又は複数の器具部品は、器具タイプの予想される平均最大寿命を決定し、その結果、器具タイプの規定される最大使用可能寿命を決定する。これらの1つ又は複数の部品の経時的な劣化を制限すると、器具タイプの予想される平均最大寿命と、関連して規定される器具タイプの最大使用可能寿命とが長くなる。
【0062】
従って、一態様では、器具の最大使用可能寿命は、器具の動作パラメータの範囲を制限しないモードでの器具の最大使用可能寿命と比較して、1つ又は複数の可動式器具部品の1つ又は複数の器具動作パラメータの範囲(動作範囲等)を制限するモードにおいて延長される。遠隔手術システムのコンピュータ制御ユニットは、制限された動作パラメータ(例えば、制限されたパラメータ動作モードで費やされた時間)の関数として、延長された許容される個別的寿命又は時間を決定し、器具の残りの許容される寿命又は時間を調整し、調整された許容される残りの個別的寿命又は時間を保存し、1つ又は複数の後続の外科的処置でアクセスできるようにする。
【0063】
許容される残りの個別的寿命は、オプションで個別的寿命の一部(fraction:分数)で減らすことができるため、2つ以上の処置の器具動作パラメータを制限するモードでの動作は、器具の許容される個別的寿命を完全な個別的寿命だけ延長するために必要である。
【0064】
例えば、制限されたパラメータ範囲が選択される第1の外科的処置の結果として、器具の許容される残りの個別的寿命は1/2だけ減らされる。そして、制限されたパラメータ範囲が選択される第2の外科的処置の結果として、器具の許容される残りの個別的寿命はさらに1/2だけ減らされる。従って、第1と第2の外科的処置後に、器具の許容される個別的寿命は器具の完全な個別的寿命だけ延長され、これは、2つの個別的寿命(各処置に1つ)を減らす代わりに、1つの個別的寿命のみが、2つの処置の後に減らされるためである。遠隔手術システムは、器具の残りの完全な個別的寿命の数を決定するため、器具の追加の(additional:余分の)完全な個別的寿命をその後の外科的処置に使用することができる。
【0065】
動作モードで費やされた時間は、オプションで、器具の許容される残りの個別的寿命又は時間の延長と相関させることができる。例えば、第1の外科的処置中に、制限された動作パラメータ範囲が器具の使用時間の半分(1/2)について選択されるため、器具の許容される残りの個別的寿命は3/4だけ減らされる。次に、第2の外科的処置中に、制限された動作パラメータ範囲が完全な処置のために選択されるため、器具の許容される残りの個別的寿命は半分(1/2)だけ減らされる。そして、第3の外科的処置中に、制限された動作パラメータ範囲が処置の3/4について選択されるため、器具の許容される残りの個別的寿命は5/8だけ減らされる。従って、これらの3つの処置の後に、個別的寿命の合計は2未満だけ減らされ、器具の追加の個別的寿命が利用可能になる。別の例として、第1の外科的処置中に、制限された動作パラメータ範囲が器具の使用時間の半分(1/2)について選択されるため、残りの使用可能時間は器具が使用される全時間の3/4だけ減らされる。これらの例の相関関係は、例として任意に選択される。実際には、相関関係は器具の実際のライフサイクルテストに基づいて解明され、これは、器具のタイプ毎に異なる場合があり、選択したパラメータの範囲によって異なる場合がある。
【0066】
別の態様では、器具の最大使用可能寿命は、1つ又は複数の可動式器具部品が1つ又は複数の動作パラメータ(動作範囲等)で動作する際の発生又は費やした時間を感知及び記録し、器具の許容される残りの個別的寿命又は時間を調整し、且つ調整された残りの寿命又は時間を保存して、1つ又は複数の後続の外科的処置でアクセスできるようにする制御システムにより延長される。調整は、動作モードが個別的に選択された場合の調整方法と同様の方法で行うことができる。
【0067】
別の態様では、パラメータ範囲は、器具の残りの使用可能寿命に関連付けることができる。器具は、オプションで、器具の残りの寿命の初期部分では全パラメータ範囲にデフォルト設定され、その後、器具の残りの寿命の後半の部分では制限されたパラメータ範囲にデフォルト設定され、必要に応じて、全パラメータ範囲又は増大したパラメータ範囲が使用可能になる。例えば、±90°ROMを有する機械的DOFを有する器具の場合に、器具を最初に使用するときにデフォルトとして±60°ROMを使用でき、外科医は必要に応じて±90°ROM全体を選択できる。しかしながら、器具の使用可能寿命が特定の値を超えて消費されると、デフォルトのROMは±45°ROMに変更され、外科医は必要に応じて完全な±90°ROMを選択できる。更なる例として、器具の使用可能寿命が特定の値を超えて消費されると、デフォルトのROMが±45°ROMに変更され、必要に応じて±60°及び±90°ROMが選択可能になる。別の例として、器具の使用可能寿命が特定の値を超えて消費されると、デフォルトのROMが±45°ROMに変更され、外科医は必要に応じてより制限されていない±60°ROMを選択できるが、完全な±90°ROMを選択できない。この状況で、全パラメータ範囲が必要な場合に、制約のない全パラメータ範囲を有する器具を使用しなければならない。
【0068】
この態様のバリエーションでは、パラメータ範囲は、2つ以上の選択可能なパラメータ範囲を有していない器具の残りの使用可能寿命に関連付けられる。器具の使用可能寿命が消費されると、それに応じてパラメータ範囲が制限される。例えば、器具の使用可能寿命の初期の部分では、全パラメータ範囲が使用可能であり、器具の使用可能寿命の後半の部分では、制限されたパラメータ範囲のみが使用可能である。繰り返すが、全パラメータ範囲が必要な場合に、制約のない全パラメータ範囲を有する器具を使用しなければならない。
【0069】
動作モードの選択
図1を再び参照すると、一態様では、外科医は、上述したように外科医制御ユニットの動作モード入力114を介して選択を入力することにより、2つ以上の器具動作パラメータ制限のうちの1つを選択する。一般に、1つの動作モードでは、臨床的に必要な場合に、外科医は全パラメータ範囲を利用できる。パラメータの範囲は、第2の動作モードでは制限される。遠隔手術システムは、オプションで、1つのパラメータの範囲をさらに制限するか、1つ又は複数の追加のパラメータ範囲を制限するか、又はその両方を制限する様々な他の動作モード(3、4、5等)で動作し得る。
【0070】
一態様では、遠隔操作式手術システムは、器具の動作パラメータ範囲が第1の範囲に制限される第1の動作モードにデフォルト設定され、外科医は、器具の動作パラメータ範囲を、第1の範囲より大きいか、又は制限されない第2の範囲に制限する第2の動作モードを選択することができる。例えば、遠隔操作式手術システムは、器具の手首のピッチ及びヨーROMが±45°に制限される第1の動作モードで初期化され、その後、外科医は、器具のピッチ及びヨーROMが制限されない又は可能な完全な物理的ROMに又はその近くに制限される第2の動作モードを選択できる。システムの起動時、器具の設置時、中断後のマスター/スレーブ関係の再確立時、所定の時間の制限された範囲内での動作の感知時、又は他の関連システムイベント時に、制限された範囲のデフォルト設定が生じる場合がある。
【0071】
一態様では、遠隔操作式手術システムは、器具の動作パラメータ範囲が制限されないか、又はパラメータの全範囲近くに制限される第1の動作モードにデフォルト設定され、外科医は、器具の動作パラメータ範囲が制限される第2の動作モードを選択できる。例えば、遠隔操作式手術システムは、器具の手首のピッチ及びヨーROMが制限されない又は可能な完全な物理的ROMに又はその近くに制限された状態で初期化され、次に、外科医は、器具のピッチ及びヨーROMが±45°に制限される第2の動作モードを選択できる。システムの起動時、器具の設置時、中断後のマスター/スレーブの関係の確立時、所定の期間内にマスターのパラメータに関する触覚制限に達する所定の回数の感知時に、又は他の関連システムイベント時に、制限されない範囲のデフォルト設定が生じる場合がある。
【0072】
一態様では、遠隔手術システムが、器具動作パラメータが制限されるモードで動作している場合に、遠隔手術システムのコンピュータ制御システムは、対応するマスター入力パラメータを制限して、パラメータが制限されていることを外科医が理解できるようにする。例えば、可動式器具部品のROMが制限される遠隔手術システムの動作モードでは、対応するマスターのROMが制限される。第1の動作モードで器具部品のROMが±45°に制限されている場合に、制御システムは、マスターに、対応するマスターDOFを±45°に制限する触覚制限を設定する。これにより、外科医が、制限されたROMを感知できるようになり、器具部品の追加のROMが所望される場合に、ROMが制限されない第2の動作モードを選択できるようになる。上述したように、外科医は、マスター又は外科医制御ユニットでの個別的選択、触覚感覚キュー(例えば、触覚「壁」)を通って移動する、又は他の適切な制御入力(例えば、フットペダル、音声、視線メニュー選択等)等によって、様々な方法で第2の動作モードを選択してもよい。
【0073】
一態様では、制御システムは、機械可動式部品が所定の時間量に亘って制限されたパラメータ範囲内で動作した後に、制限されたパラメータ範囲に関連する動作モードを自動的に選択する。例えば、制御システムは、器具が最初に設置されたときに、第1の制限されたパラメータ範囲(例えば、±60°ROM)の動作モードを最初に選択する。次に、外科医は、臨床要件のために、第2の制限されていないパラメータ範囲(例、±90°ROM)の動作モードを選択して使用する。外科医が規定された時間に亘って作業し続けると、制御システムが、外科医がもはや制限されていないパラメータ範囲を使用できないと判定するので、制御システムは、第1の制限されたパラメータ範囲をもう一度選択して、外科医が部品の機械的劣化を増大させる第2のパラメータ範囲で不意に動作させるのを阻止する。外科医は、必要に応じてもう一度第2の動作モードを選択し得る。
【0074】
以下に出願当初の特許請求の範囲の内容を実施例として記載しておく。
[実施例1]
遠隔手術システムであって、当該遠隔手術システムは、
遠隔操作マニピュレータと、
制御システムと、を含んでおり、
該制御システムは、当該遠隔手術システムを第1の動作モードで動作させ、該第1の動作モードにおいて、前記制御システムは、前記マニピュレータに結合された手術用器具の機械式部品を第1の動作パラメータ範囲内で駆動させ、
前記制御システムは、当該遠隔手術システムを第2の動作モードで動作させ、該第2の動作モードにおいて、前記制御システムは、前記マニピュレータに結合された前記手術用器具の前記機械式部品を前記第1の動作パラメータ範囲よりも小さい第2の動作パラメータ範囲内で駆動させる、
遠隔手術システム。
[実施例2]
前記第1の動作パラメータ範囲は、第1の可動域の機械的自由度を含み、
前記第2の動作パラメータ範囲は、第2の可動域の機械的自由度を含む、実施例1に記載の遠隔手術システム。
[実施例3]
前記第1の動作パラメータ範囲は、第1の可動域の第1の機械的自由度と、第1の可動域の第2の機械的自由度とを含み、
前記第2の動作パラメータ範囲は、第2の可動域の前記第1の機械的自由度と、第2の可動域の前記第2の機械的自由度とを含む、実施例1に記載の遠隔手術システム。
[実施例4]
前記第1の動作パラメータ範囲は、前記手術用器具の部品の第1の速度範囲を含み、
前記第2の動作パラメータ範囲は、前記手術用器具の前記部品の第2の速度範囲を含む、実施例1に記載の遠隔手術システム。
[実施例5]
前記第1の動作パラメータ範囲は、前記手術用器具の前記部品の第1の加速度範囲を含み、
前記第2の動作パラメータ範囲は、前記手術用器具の前記部品の第2の加速度範囲を含む、実施例1に記載の遠隔手術システム。
[実施例6]
前記第1の動作パラメータ範囲は、前記手術用器具の前記部品に対する第1の機械的負荷範囲を含み、
前記第2の動作パラメータ範囲は、前記手術用器具の前記部品に対する第2の機械的負荷範囲を含む、実施例1に記載の遠隔手術システム。
[実施例7]
前記制御システムが外科的処置中に当該遠隔手術システムを前記第1の動作モードだけで動作させるという条件で、前記制御システムは、前記手術用器具の残りの使用可能寿命を第1の量だけ減らし、
前記制御システムが前記外科的処置中に当該遠隔手術システムを前記第2の動作モードで動作させるという条件で、前記制御システムは、前記手術用器具の残りの使用可能寿命を前記第1の量よりも少ない第2の量だけ減らす、実施例1に記載の遠隔手術システム。
[実施例8]
前記制御システムは、当該遠隔手術システムが前記第1の動作モードで動作することの結果として、前記手術用器具に残存している使用可能時間を第1の量だけ減らし、
前記制御システムは、当該遠隔手術システムが前記第2の動作モードで動作することの結果として、前記手術用器具に残存している使用可能時間を前記第1の量よりも少ない第2の量だけ減らす、実施例1に記載の遠隔手術システム。
[実施例9]
前記制御システムは、当該遠隔手術システムが前記第1の動作モードで動作することの結果として、前記手術用器具に残存している個別的寿命の数を第1の量だけ減らし、
前記制御システムは、当該遠隔手術システムが前記第2の動作モードで動作することの結果として、前記手術用器具に残存している前記個別的寿命の数を前記第1の量よりも少ない第2の量だけ減らす、実施例1に記載の遠隔手術システム。
[実施例10]
前記制御システムは、外科的処置全体の間に当該遠隔手術システムが前記第1の動作モードで動作することの結果として、前記手術用器具に残存している個別的寿命の数を1つの個別的寿命だけ減らし、
前記制御システムは、外科的処置全体の間に当該遠隔手術システムが前記第2の動作モードで動作することの結果として、前記手術用器具に残存している前記個別的寿命の数を1未満の個別的寿命だけ減らす、実施例1に記載の遠隔手術システム。
[実施例11]
前記制御システムは、当該遠隔手術システムが所定の時間量に亘って前記第1の動作モードで動作することの結果として、前記手術用器具に残存している個別的寿命の数を1つの個別的寿命だけ減らし、
前記制御システムは、当該遠隔手術システムが前記所定の時間量の間に前記第2の動作モードで動作することの結果として、前記手術用器具に残存している許容される前記個別的寿命の数を1未満の個別的寿命だけ減らす、実施例1に記載の遠隔手術システム。
[実施例12]
動作モード入力をさらに含み、
前記制御システムは、前記動作モード入力で受け取ったユーザ入力に応答して、当該遠隔手術システムを前記第2の動作モードで動作させることから、当該遠隔手術システムを前記第1の動作モードで動作させるように変更する、実施例1に記載の遠隔手術システム。
[実施例13]
前記制御システムが、前記ユーザ入力に応答して、当該遠隔手術システムを前記第2の動作モードで動作させることから、当該遠隔手術システムを前記第1の動作モードで動作させることに変更した後に、前記制御システムは、該制御システムが所定の時間量に亘って前記手術用器具の前記機械式部品を前記第2の動作パラメータ範囲内だけで駆動させたという判定に応答して、当該遠隔手術システムを前記第1の動作モードで動作させることから、当該遠隔手術システムを前記第2の動作モードで動作させるように変更する、実施例12に記載の遠隔手術システム。
[実施例14]
遠隔手術システムであって、当該遠隔手術システムは、
可動式部品を含む手術用器具と、
制御システムと、を含んでおり、
前記制御システムは、第1の時間量に亘って前記手術用器具の前記部品を第1の動作パラメータ範囲で動作させ、
前記制御システムは、第2の時間量に亘って前記手術用器具の前記部品を前記第1の動作パラメータ範囲よりも小さい第2の動作パラメータ範囲内で動作させ、
前記制御システムは、前記第1の時間量に基づいて、前記手術用器具に残存している使用可能時間を第1の量だけ減らし、
前記制御システムは、前記第1の時間量に基づいて、前記手術用器具に残存している前記使用可能時間を前記第1の量よりも少ない第2の量だけ減らす、
遠隔手術システム。
[実施例15]
遠隔手術システムであって、当該遠隔手術システムは、
可動式部品を含む手術用器具と、
制御システムと、を含んでおり、
前記制御システムは、第1の時間量に亘って前記手術用器具の前記部品を第1の動作パラメータ範囲内で動作させ、
前記制御システムは、第2の時間量に亘って前記手術用器具の前記部品を前記第1の動作パラメータ範囲よりも小さい第2の動作パラメータ範囲内で動作させ、
前記制御システムは、前記第1の時間量に基づいて、前記手術用器具に残存している個別的寿命の数を第1の量だけ減らし、
前記制御システムは、前記第2の時間量に基づいて、前記手術用器具に残存している個別的寿命の数を前記第1の量よりも少ない第2の量だけ減らす、
遠隔手術システム。
[実施例16]
前記手術用器具に残存している前記個別的寿命の数の前記第1の量は、完全な個別的寿命よりも少ない、実施例15に記載の遠隔手術システム。
[実施例17]
前記手術用器具に残存している前記個別的寿命の数の前記第2の量は、完全な個別的寿命よりも少ない、実施例15に記載の遠隔手術システム。
[実施例18]
前記第1の動作パラメータ範囲は、前記部品の第1の速度範囲を含み、
前記第2の動作パラメータ範囲は、前記部品の第2の速度範囲を含む、実施例14又は15に記載の遠隔手術システム。
[実施例19]
前記第1の動作パラメータ範囲は、前記部品の第1の加速度範囲を含み、
前記第2の動作パラメータ範囲は、前記部品の第2の加速度範囲を含む、実施例14又は15に記載の遠隔手術システム。
[実施例20]
前記第1の動作パラメータ範囲は、前記部品に対する第1の機械的負荷範囲を含み、
前記第2の動作パラメータ範囲は、前記部品に対する第2の機械的負荷範囲を含む、実施例14又は15に記載の遠隔手術システム。
【外国語明細書】