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特開2024-137952クロストリジウム毒素-ヒアルロン酸組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137952
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】クロストリジウム毒素-ヒアルロン酸組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/16 20060101AFI20240927BHJP
   A61K 35/742 20150101ALI20240927BHJP
   A61K 35/74 20150101ALI20240927BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20240927BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240927BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20240927BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240927BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20240927BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20240927BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240927BHJP
   A61P 9/06 20060101ALI20240927BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
A61K38/16
A61K35/742
A61K35/74 D
A61K47/36
A61K47/26
A61K47/02
A61K47/10
A61K47/20
A61K47/18
A61P17/00
A61P9/06
A61P25/24
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024098708
(22)【出願日】2024-06-19
(62)【分割の表示】P 2021514022の分割
【原出願日】2019-09-13
(31)【優先権主張番号】62/731,063
(32)【優先日】2018-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】591018268
【氏名又は名称】アラーガン、インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ALLERGAN,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100156982
【弁理士】
【氏名又は名称】秋澤 慈
(72)【発明者】
【氏名】ウー シンディー
(72)【発明者】
【氏名】カニンガム ジェイムス
(72)【発明者】
【氏名】ド マリアンヌ
(72)【発明者】
【氏名】ブロイデ ロン
(57)【要約】
【課題】改善された効果および/または効果の持続時間を与えるクロストリジウム毒素(例えば、ボツリヌス毒素)を含む製剤を提供する。
【解決手段】クロストリジウム毒素活性成分の効果および持続時間を延長させる医薬組成物が記載される。本組成物は、液体または固体組成物であってもよく、本出願に記載される非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、界面活性剤と、酸化防止剤と、を含む。いくつかの実施形態において、本組成物は、ポロキサマーおよびポリソルベートから選択される界面活性剤と、メチオニン、N-アセチルシステイン、エチレンジアミン四酢酸、およびこれらの組み合わせから選択される酸化防止剤と、任意選択で、例えば、トレハロース、スクロースから選択される等張化剤および/または凍結乾燥保護剤(lyoprotector)と、を含む。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬組成物であって、
(i)クロストリジウム毒素活性成分と、
(ii)非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、を含み、
前記非架橋ヒアルロン酸またはその塩の重量平均分子量が、250kDa~2.4MDaまたは4.6MDa~8MDaであり、前記医薬組成物が、架橋ヒアルロン酸またはその塩を含まない、医薬組成物。
【請求項2】
さらに
(i)トレハロース、スクロース、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール、グルコース、およびこれらの組み合わせから選択される等張化剤と、
(ii)ポロキサマー、ポリソルベート、およびこれらの組み合わせから選択される界面活性剤と、
(iii)メチオニン、N-アセチルシステイン、エチレンジアミン四酢酸、およびこれらの組み合わせから選択される酸化防止剤と、を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記クロストリジウム毒素活性成分が、ボツリヌス毒素である、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記等張化剤が、トレハロースである、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
トレハロースは、約1~15重量%の量で存在する、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記界面活性剤が、ポロキサマーである、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記ポロキサマーは、約0.5~8重量%の量で存在する、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記酸化防止剤がメチオニンである、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項9】
メチオニンは、約0.01~0.5重量%の量で存在する、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記組成物は、トレハロースと、ポロキサマー188と、メチオニンと、を含む、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記酸化防止剤は、N-アセチルシステインを含む、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記ヒアルロン酸またはその塩の重量平均分子量が約450kDa~2.0MDaである、請求項1~11のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記ヒアルロン酸またはその塩の重量平均分子量が約1.58MDaである、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記組成物がアルブミンを含まない、請求項1~13のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記組成物は、非架橋ヒアルロン酸またはその塩1ミリグラムあたり10単位までのクロストリジウム毒素を含む、請求項1~14のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項16】
(i)クロストリジウム毒素活性成分と、
(ii)450kDa~2.0MDaの重量平均分子量を有する非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、
(ii)約1~15重量%の量のトレハロースと、
(iii)約0.5~8重量%の量のポロキサマーと、
(iv)約0.05~5重量%の量のメチオニンと、を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記クロストリジウム毒素活性成分が、ボツリヌス毒素である、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
メチオニンは、約0.05~2重量%の量である、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記ポロキサマーは、約2~6重量%の量である、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項20】
トレハロースは、約5~12重量%の量である、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記組成物が、約8w/w%のトレハロースと、4w/w%のポロキサマー188と、0.2w/w%のメチオニンと、を含む、請求項1~20のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記組成物が液体であり、アルブミンを含まない、請求項1~21のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記組成物が凍結乾燥され、アルブミンを含まない、請求項1~21のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記非架橋ヒアルロン酸またはその塩は、約0.2~10重量%の量で存在する、請求項1~23のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項25】
非架橋ヒアルロン酸またはその塩は、約1.2重量%の量で存在する、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記医薬組成物は、非架橋ヒアルロン酸またはその塩を含まない医薬組成物と比較して、クロストリジウム毒素活性成分の有効性および/または持続時間を少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、および100%増加させる、請求項1~25のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項27】
医薬組成物であって、
(i)非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、
(ii)トレハロース、スクロース、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール、グルコース、およびこれらの組み合わせから選択される等張化剤と、
(iii)ポロキサマー、ポリソルベート、およびこれらの組み合わせから選択される界面活性剤と、
(iv)メチオニン、N-アセチルシステイン、エチレンジアミン四酢酸、およびこれらの組み合わせから選択される酸化防止剤と、を含み、
前記非架橋ヒアルロン酸またはその塩の重量平均分子量が、約450kDa~2.0MDaであり、前記医薬組成物は、架橋ヒアルロン酸またはその塩を含まない、医薬組成物。
【請求項28】
うつ病を治療するための方法であって、
請求項1~27のいずれかに記載の組成物の投与を提供することを含む、方法。
【請求項29】
心不整脈を治療するための方法であって、
請求項1~27のいずれかに記載の組成物の投与を提供することを含む、方法。
【請求項30】
眉間の皺を治療する方法であって、
請求項1~27のいずれかに記載の組成物の投与を提供することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、クロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、を含み、非架橋ヒアルロン酸またはその塩の重量平均分子量が250kDa~2.4MDaまたは4.6MDa~8MDaである、医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬組成物は、少なくとも1つの活性成分(例えば、クロストリジウム毒素)と、例えば、1つ以上の賦形剤、緩衝液、担体、安定剤、防腐剤および/または増量剤とを含有し、所望な診断結果または治療効果を達成するために患者に投与するのに適した製剤である。本明細書で開示される医薬組成物は、診断、治療、美容、および/または研究上の有用性を有する。
【0003】
嫌気性のグラム陽性菌Clostridium botulinumは、ボツリヌスニューロトキシン毒素と呼ばれる強力なポリペプチドニューロトキシンを産生し、このニューロトキシンは、ヒトおよび動物において、ボツリヌス症と呼ばれる神経麻痺性疾患を引き起こす。7種類の一般的に免疫学的に異なるボツリヌスニューロトキシンが特性決定されており、これらはそれぞれボツリヌスニューロトキシン血清型A、B、C1、D、E、FおよびGであり、各々が、型特異的な抗体による中和によって区別される。ボツリヌス毒素の異なる血清型は、これらに罹患する動物種および誘発する麻痺の重症度と持続時間において異なっている。ボツリヌス毒素は、コリン作動性運動ニューロンに対して明らかに高い親和性で結合し、このニューロン内に移動し、アセチルコリンの放出を遮断する。
【0004】
ボツリヌス毒素は、様々な治療状態および美容状態の治療に使用されてきた。ボツリヌス毒素A型(Allergan,Inc.、BOTOX(登録商標))は、眼瞼痙れん、斜視、頚部ジストニア、多汗および眉間の皺の治療のために市販されている。BOTOX(登録商標)は、無菌の真空乾燥した形態で梱包された、精製されたボツリヌス毒素A型複合体と、アルブミンと、塩化ナトリウムとからなる。BOTOX(登録商標)の各バイアルは、防腐剤を含まない無菌の真空乾燥した形態で、約100単位(U)のクロストリジウムボツリヌス毒素A型の精製されたニューロトキシン複合体と、0.5ミリグラムのヒト血清アルブミンと、0.9ミリグラムの塩化ナトリウムとを含有する。ヒトでの使用が承認された他の市販のボツリヌスニューロトキシンとしては、DYSPORT(登録商標)(Beaufour Ipsen、ポートンダウン、イングランド)、XEOMIN(登録商標)(Merz Pharmaceuticals GmbH、フランクフルト、ドイツ)、JEAUVEAU(Evolus、ニューポートビーチ、カリフォルニア)、およびMYOBLOC(登録商標)(Solstice Neurosciences、サンフランシスコ、カリフォルニア)が挙げられる。
【0005】
ボツリヌス毒素複合体の神経毒性構成要素の分子量は、約150kDである。ボツリヌス毒素は、典型的には、150kDのボツリヌス毒素タンパク質分子と、会合した非毒素タンパク質と、を含む複合体として、クロストリジウムボツリヌス菌によって作られる。したがって、ボツリヌス毒素A型複合体は、900kD、500kDおよび300kDの複合体形態として、クロストリジウム菌によって作られ得る。
【0006】
顔面筋へのボツリヌス毒素の注射は、注射された筋肉を弱めることによって、麻痺した筋肉を覆う皮膚中の運動過多性の皺を減少させ得る(Carruthers,A.et al.,J.Dermatol.Surg.Oncol.,January 1990;16(1):83)。ボツリヌス毒素は、特定の顔の皺を減らす美容目的で、顔面筋、例えば、眼輪筋、皺眉筋および前頭筋に注射されてきた。注射の有効性を評価する方法は、筋電図および/または写真技術を介する方法である(Guerrissi,J.et al.,Ann Plast Surg,1997;39(5):447-53)。頚部ジストニアを治療するために胸鎖乳突筋へのボツリヌス毒素の注射の効果を評価するために、筋電図も使用されてきた(Dressler,D.et al.,Eur Neurol 2000;43:13-16)。この技術において、表面電極は、注射点から固定された距離に、典型的には、注射点から1cmおよび3cmに配置される。表面電極を使用して、注射された筋肉の最大随意収縮の間の複合筋活動電位(CMAP)の振幅および面積を測定する。典型的には、CMAPは、筋肉麻痺効果の開始とともに減少し、麻痺効果が消失するにつれて増加する。
【0007】
運動過多性の顔面の皺を治療するためにボツリヌス毒素の有効性を決定するために、デジタル画像分析などの写真方法も使用されてきた(Heckmann M.,et al.,J Am Acad Dermatol 2001;45:508-514)。任意の所与のボツリヌス毒素調製物の効力も、デジタル外転スコア(DAS)アッセイを用いることによって日常的に評価することができ、DASアッセイは、マウスまたはラットの後肢筋に注射した後のボツリヌス毒素の局所筋肉の弱化有効性を測定する(Broide,R.S.et al.,J Toxicon,2013,71:18-24)。
【0008】
改善された効果および/または効果の持続時間を与えるクロストリジウム毒素(例えば、ボツリヌス毒素)を含む製剤が必要とされる。
【発明の概要】
【0009】
一態様において、クロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、を含み、非架橋ヒアルロン酸またはその塩の重量平均分子量が、250キロダルトン(kDa)~2.4メガダルトン(MDa)または4.6MDa~8MDaである、医薬組成物が提供される。
【0010】
別の態様において、クロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、等張化剤と、界面活性剤と、酸化防止剤と、を含む医薬組成物が提供される。
【0011】
別の態様において、クロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、界面活性剤と、酸化防止剤と、を含む医薬組成物が提供される。
【0012】
別の態様において、クロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、凍結乾燥保護剤(lyoprotector)と、界面活性剤と、酸化防止剤と、を含む医薬組成物が提供される。
【0013】
別の態様において、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、等張化剤と、界面活性剤と、酸化防止剤と、を含む医薬組成物が提供される。
【0014】
別の態様において、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、界面活性剤と、酸化防止剤と、を含む医薬組成物が提供される。
【0015】
別の態様において、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、凍結乾燥保護剤と、界面活性剤と、酸化防止剤と、を含む医薬組成物が提供される。
【0016】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、ボツリヌス毒素を含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、トレハロースを含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、塩化ナトリウムを含む。いくつかの実施形態において、組成物は、ポロキサマーおよび/またはポリソルベートを含む。いくつかの実施形態において、組成物は、ポロキサマー188および/またはポリソルベート20を含む。いくつかの実施形態において、酸化防止剤は、L-メチオニン、N-アセチル-システイン(NAC)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩(EDTA)、EDTA類似体、エチレングリコール-ビス(2-アミノエチルエーテル)-N,N,N’,N’-四酢酸(EGTA)、EGTA類似体、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、DTPA類似体、アスコルビン酸、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、組成物は、緩衝剤をさらに含む。一実施形態において、緩衝剤は、ヒスチジン緩衝液を含む。いくつかの実施形態において、組成物は、5~7のpHを有する。いくつかの実施形態において、組成物は、液体製剤である。いくつかの実施形態において、組成物は、固体凍結乾燥製剤である。
【0017】
いくつかの実施形態において、組成物は、第1の部分と第2の部分とを含み、第1の部分は、クロストリジウム毒素活性成分と、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤と、を含み、第2の部分は、緩衝液に溶解または懸濁させた非架橋ヒアルロン酸またはその塩を含み、第1の部分と第2の部分は、液体組成物を形成するように組み合わせ可能である。一実施形態において、第1の部分は、固体凍結乾燥組成物である。別の実施形態において、第1の部分は、液体製剤である。
【0018】
別の態様において、クロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、トレハロースと、ポロキサマーまたはポリソルベートと、L-メチオニンまたはNACと、を含む液体医薬組成物が提供される。いくつかの実施形態において、液体医薬組成物は、ボツリヌス毒素を含む。いくつかの実施形態において、液体医薬組成物は、EDTA、EGTA、DTPAまたはこれらの類似体をさらに含む。いくつかの実施形態において、液体医薬組成物は、ヒスチジン緩衝液を含む。いくつかの実施形態において、液体医薬組成物のpHは、5~7の範囲である。いくつかの実施形態において、L-メチオニンの相対重量は、約0.1%~約0.3%の範囲である。いくつかの実施形態において、NACの相対重量は、約0.1%~約0.5%の範囲である。いくつかの実施形態において、EDTAの相対重量は、約0.01%~約0.05%の範囲である。いくつかの実施形態において、トレハロースの相対重量は、約1.0~約10%の範囲である。いくつかの実施形態において、ポロキサマー188の相対重量は、約0.5%~約5%の範囲である。いくつかの実施形態において、ポリソルベートの相対重量は、約0.02%~約0.06%の範囲である。
【0019】
別の実施形態において、液体医薬組成物が提供される。組成物は、クロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、トレハロース、スクロース、およびこれらの組み合わせから選択される等張化剤と、ポロキサマー、ポリソルベート、およびこれらの組み合わせから選択される界面活性剤と、メチオニン、NAC、アスコルビン酸、ブチル化ヒドロキシトルエン、EDTA、EGTA、DTPA、これらの類似体、およびこれらの組み合わせから選択される酸化防止剤と、を含む。一実施形態において、組成物は、アルブミンを除外しており、別の実施形態において、酸化防止剤がメチオニンである場合、組成物は、ポリソルベートを除外している。一実施形態において、組成物は、動物タンパク質安定剤を除外している。
【0020】
別の実施形態において、液体医薬組成物が想定される。組成物は、クロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、ポロキサマー、ポリソルベート、およびこれらの組み合わせから選択される界面活性剤と、メチオニン、NAC、EDTA、EGTA、DTPA、これらの類似体、およびこれらの組み合わせから選択される酸化防止剤と、を含む。一実施形態において、組成物は、アルブミンを除外している。
【0021】
別の実施形態において、液体組成物は、ボツリヌス毒素と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、ポロキサマーと、メチオニンと、を含み、任意選択で、二糖類を含む、動物タンパク質を含まない組成物である。一実施形態において、液体組成物は、二糖類を除外している。
【0022】
さらなる実施形態において、液体組成物は、ボツリヌス毒素と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、ポロキサマー、ポリソルベート、およびこれらの組み合わせから選択される界面活性剤と、キレート化剤、犠牲酸化防止剤、連鎖停止剤、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される酸化防止剤と、を含む、動物タンパク質を含まない組成物である。一実施形態において、酸化防止剤は、キレート化剤と連鎖停止剤との組み合わせを含む。
【0023】
さらに別の実施形態において、液体組成物は、ボツリヌス毒素と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、ポロキサマー界面活性剤と、メチオニンと、任意選択で、二糖類を含む、動物タンパク質を含まない組成物である。一実施形態において、液体組成物は、二糖類を除外している。
【0024】
別の実施形態において、液体医薬組成物が想定される。組成物は、クロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、トレハロースまたはスクロースと、ポロキサマーと、メチオニンと、を含む。一実施形態において、組成物は、アルブミンを除外している。
【0025】
別の実施形態において、液体医薬組成物が想定される。組成物は、クロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、1~15重量%の量のトレハロースと、0.5~8重量%の量のポロキサマーと、0.05~5重量%の量のメチオニンと、を含む。一実施形態において、組成物は、アルブミンを除外している。
【0026】
別の実施形態において、液体医薬組成物が想定される。組成物は、ボツリヌス毒素と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、二糖類と、ポロキサマーと、メチオニン、NAC、アスコルビン酸、ブチル化ヒドロキシトルエン、EDTA、EGTA、DTPA、これらの類似体、およびこれらの組み合わせから選択される酸化防止剤と、を含む。一実施形態において、組成物は、アルブミンを除外している。
【0027】
別の実施形態において、液体組成物は、ボツリヌス毒素と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、二糖類と、ポロキサマーと、キレート化剤、犠牲酸化防止剤、連鎖停止剤、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される酸化防止剤と、を含む、動物タンパク質を含まない組成物である。
【0028】
別の実施形態において、クロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、ポロキサマーと、キレート化剤と、連鎖停止剤とで構成される液体組成物が提供される。
【0029】
別の実施形態において、クロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、ポロキサマーと、EDTA、EGTA、DTPA、およびこれらの類似体から選択されるキレート化剤と、NACとで構成される液体組成物が提供される。
【0030】
別の実施形態において、クロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、ポロキサマーと、メチオニンとで構成される液体組成物が提供される。
【0031】
別の実施形態において、クロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、トレハロース、スクロース、およびこれらの組み合わせから選択される等張化剤と、ポロキサマー、ポリソルベート、およびこれらの組み合わせから選択される界面活性剤と、キレート化剤と、連鎖停止剤とで構成される液体組成物が提供される。
【0032】
別の実施形態において、クロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、トレハロース、スクロース、およびこれらの組み合わせから選択される等張化剤と、ポロキサマー、ポリソルベート、およびこれらの組み合わせから選択される界面活性剤と、EDTA、EGTA、DTPA、およびこれらの類似体から選択されるキレート化剤と、NACとで構成される液体組成物が提供される。
【0033】
前述の実施形態のうちのいずれかにおいて、組成物が、いくつかの実施形態において、エマルションではなく、および/または両親媒性物質を含むナノ粒子を除外していることが想定される。
【0034】
別の態様において、本開示は、ボツリヌス毒素と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、トレハロースと、ポロキサマーまたはポリソルベートと、NACと、EDTA、EGTA、DTPA、およびこれらの類似体から選択されるキレート化剤と、を含む、固体医薬組成物を提供する。代替の実施形態において、固体医薬組成物は、ボツリヌス毒素と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、トレハロースと、ポロキサマーと、L-メチオニンと、を含む。いくつかの実施形態において、固体医薬組成物は、ヒスチジン緩衝液をさらに含む。いくつかの実施形態において、L-メチオニンの相対重量は、約0.1%~約0.3%の範囲である。いくつかの実施形態において、NACの相対重量は、約0.01%~約0.5%の範囲である。いくつかの実施形態において、EDTAの相対重量は、約0.01%~約0.05%の範囲である。いくつかの実施形態において、トレハロースの相対重量は、約1.0~約10%の範囲である。いくつかの実施形態において、ポロキサマーの相対重量は、約0.5%~約5%の範囲である。いくつかの実施形態において、ポリソルベートの相対重量は、約0.02%~約0.06%の範囲である。
【0035】
一実施形態において、固体または凍結乾燥医薬組成物が想定される。組成物は、クロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、トレハロース、スクロース、およびこれらの組み合わせから選択される二糖類と、ポロキサマー、ポリソルベート、およびこれらの組み合わせから選択される界面活性剤と、メチオニン、N-アセチルシステイン、BHT、EDTA、EGTA、DTPA、アスコルビン酸、これらの類似体、およびこれらの組み合わせから選択される酸化防止剤と、を含む。一実施形態において、組成物は、アルブミン、ヒドロキシアルキルデンプン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸、アスパラギン、ポリアルコール、グリシン、および/またはポリビニルピロリドンを除外している。
【0036】
別の実施形態において、固体または凍結乾燥組成物は、ボツリヌス毒素と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、トレハロース、スクロース、およびこれらの組み合わせから選択される二糖類と、ポロキサマー、ポリソルベート、およびこれらの組み合わせから選択される界面活性剤と、キレート化剤、犠牲酸化防止剤、連鎖停止剤、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される酸化防止剤と、を含む、動物タンパク質を含まない組成物である。
【0037】
別の実施形態において、固体または凍結乾燥医薬組成物が想定される。組成物は、クロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、トレハロースまたはスクロースと、ポロキサマーと、メチオニンと、を含む。一実施形態において、組成物は、アルブミン、ヒドロキシアルキルデンプン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸、アスパラギン、ポリアルコール、グリシン、および/またはポリビニルピロリドンを除外している。
【0038】
別の実施形態において、固体または凍結乾燥医薬組成物が想定される。組成物は、クロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、1~15重量%の量のトレハロースと、0.5~8重量%の量のポロキサマーと、0.05~5重量%の量のメチオニンと、を含む。一実施形態において、組成物は、アルブミン、ヒドロキシアルキルデンプン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸、アスパラギン、ポリアルコール、グリシン、および/またはポリビニルピロリドンを除外している。
【0039】
別の実施形態において、固体または凍結乾燥医薬組成物が想定される。組成物は、ボツリヌス毒素と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、二糖類と、ポロキサマーと、メチオニン、N-アセチルシステイン、EDTA、EGTA、DTPA、これらの類似体、およびこれらの組み合わせから選択される酸化防止剤と、を含む。一実施形態において、組成物は、アルブミン、ヒドロキシアルキルデンプン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸、アスパラギン、ポリアルコール、グリシン、および/またはポリビニルピロリドンを除外している。
【0040】
別の実施形態において、固体または凍結乾燥組成物は、ボツリヌス毒素と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、二糖類と、ポロキサマーと、キレート化剤、犠牲酸化防止剤、連鎖停止剤、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される酸化防止剤と、を含む、動物タンパク質を含まない組成物である。
【0041】
別の実施形態において、クロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、スクロース、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、グルコース、およびこれらの組み合わせから選択される凍結乾燥保護剤と、ポロキサマー、ポリソルベート、およびこれらの組み合わせから選択される界面活性剤と、キレート化剤と、連鎖停止剤とで構成される凍結乾燥組成物が提供される。
【0042】
別の実施形態において、クロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、スクロース、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、グルコース、およびこれらの組み合わせから選択される凍結乾燥保護剤と、ポロキサマー、ポリソルベート、およびこれらの組み合わせから選択される界面活性剤と、EDTA、EGTA、DTPA、およびこれらの類似体から選択されるキレート化剤と、NACとで構成される凍結乾燥組成物が提供される。
【0043】
別の実施形態において、クロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、スクロース、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、グルコース、およびこれらの組み合わせから選択される凍結乾燥保護剤と、ポロキサマーと、連鎖停止剤とで構成される凍結乾燥組成物が提供される。一実施形態において、凍結乾燥組成物は、キレート化剤を除外している。一実施形態において、連鎖停止剤は、NACである。
【0044】
別の実施形態において、クロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、スクロース、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、グルコース、およびこれらの組み合わせから選択される凍結乾燥保護剤と、ポロキサマーと、メチオニンとで構成される凍結乾燥組成物が提供される。
【0045】
別の実施形態において、クロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、スクロース、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、グルコース、およびこれらの組み合わせから選択される凍結乾燥保護剤と、ポロキサマーと、キレート化剤と、連鎖停止剤とで構成される凍結乾燥組成物が提供される。
【0046】
別の実施形態において、クロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、スクロース、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、グルコース、およびこれらの組み合わせから選択される凍結乾燥保護剤と、ポロキサマーと、EDTA、EGTA、DTPA、およびこれらの類似体から選択されるキレート化剤と、NACとで構成される凍結乾燥組成物が提供される。
【0047】
別の実施形態において、凍結乾燥組成物は、クロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、スクロース、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、グルコース、およびこれらの組み合わせから選択される凍結乾燥保護剤と、ポロキサマーと、NACと、を含み、任意選択で、EDTA、EGTA、DTPA、およびこれらの類似体を含む、動物タンパク質を含まない組成物である。一実施形態において、凍結乾燥組成物は、EDTA、EGTA、DTPA、およびこれらの類似体を除外している。
【0048】
別の実施形態において、クロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、スクロース、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、グルコース、およびこれらの組み合わせから選択される凍結乾燥保護剤と、ポロキサマー、ポリソルベート、およびこれらの組み合わせから選択される界面活性剤と、NACとで構成される凍結乾燥組成物が提供される。
【0049】
特定の実施形態において、凍結乾燥組成物は、トレハロース、スクロース、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール、グルコース、およびこれらの組み合わせから選択される等張化剤を用いて再構成される。少なくとも一実施形態において、凍結乾燥組成物は、患者への投与前にNaClを含む再構成ビヒクルを用いて再構成される。
【0050】
固体または液体組成物の前述の実施形態のいずれかにおいて、これらの成分、ポリビニルピロリドン、ポリプロピレングリコールおよびポリエチレングリコールのジブロックコポリマー、ならびに/またはイノシトール、ラクチロール、イソマルト、キシリトール、エリスリトールなどのポリアルコールのうちの1つ以上が、任意の組み合わせで、除外されることが想定される。固体または液体組成物の前述の実施形態のいずれかにおいて、組成物が動物タンパク質を含まないことが想定される。
【0051】
別の態様において、クロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、トレハロース、スクロース、およびこれらの組み合わせから選択される等張化剤および/または凍結乾燥保護剤と、ポロキサマー、ポリソルベート、およびこれらの組み合わせから選択される界面活性剤と、メチオニン、N-アセチルシステイン、EDTA、EGTA、DTPA、これらの類似体、およびこれらの組み合わせから選択される酸化防止剤と、を含む医薬組成物が想定される。一実施形態において、組成物は、アルブミンを除外しており、組成物が液体であり、酸化防止剤がメチオニンである実施形態において、界面活性剤は、ポリソルベートを除外している。組成物は、液体または固体であってもよい。
【0052】
別の態様において、医薬組成物が想定される。組成物は、クロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、トレハロースまたはスクロースと、ポロキサマーと、メチオニンと、を含む。一実施形態において、組成物は、アルブミンを除外している。組成物は、液体または固体であってもよい。
【0053】
別の態様において、医薬組成物が想定される。組成物は、クロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、1~15重量%の量のトレハロースと、0.5~8重量%の量のポロキサマーと、0.05~5重量%の量のメチオニンと、を含む。一実施形態において、組成物は、アルブミンを除外している。組成物は、液体または固体であってもよい。
【0054】
別の態様において、医薬組成物が想定される。組成物は、ボツリヌス毒素と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、二糖類と、ポロキサマーと、メチオニン、NAC、EDTA、EGTA、DTPA、これらの類似体、およびこれらの組み合わせから選択される酸化防止剤と、を含む。一実施形態において、組成物は、アルブミンを除外している。組成物は、液体または固体であってもよい。
【0055】
別の態様において、クロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、ポロキサマー、ポリソルベート、およびこれらの組み合わせから選択される界面活性剤と、メチオニン、N-アセチルシステイン、EDTA、EGTA、DTPA、これらの類似体、およびこれらの組み合わせから選択される酸化防止剤と、を含む医薬組成物が提供される。一実施形態において、組成物は、アルブミンを除外しており、組成物が液体であり、酸化防止剤がメチオニンである実施形態において、界面活性剤は、ポリソルベートを除外している。組成物は、液体または固体であってもよい。一実施形態において、組成物は、等張化剤および/または凍結乾燥保護剤をさらに含む。いくつかの実施形態において、等張化剤は、トレハロース、スクロース、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール、グルコース、およびこれらの組み合わせから選択される。代替の実施形態において、凍結乾燥保護剤は、トレハロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、グルコース、およびこれらの組み合わせから選択される。一実施形態において、等張化剤および/または凍結乾燥保護剤は、二糖類である。一実施形態において、二糖類は、トレハロースおよびスクロースから選択される。
【0056】
固体または液体組成物の前述の態様/実施形態のいずれかにおいて、組成物が、架橋ヒアルロン酸を含まないことが想定される。
【0057】
固体または液体組成物の前述の態様/実施形態のいずれかにおいて、組成物が、クロストリジウム毒素活性成分を含む組成物と、非架橋ヒアルロン酸もしくはその塩および非架橋ヒアルロン酸もしくはその塩ではない希釈剤を含む組成物とを混合することによって、または非架橋ヒアルロン酸もしくはその塩と、クロストリジウム毒素活性成分および希釈剤を含む組成物とを混合することによって、調製することができることが想定される。
【0058】
液体組成物の前述の態様/実施形態のいずれかにおいて、クロストリジウム毒素活性成分の濃度が、0.2~2.0ng/mLまたは約0.2~10ng/mLであることが想定される。
【0059】
固体または液体組成物の前述の態様/実施形態のいずれかにおいて、クロストリジウム毒素活性成分の濃度が、約10U/mL~約200U/mLまたは約10U/mL~約100U/mLであることが想定される。
【0060】
固体または液体組成物の前述の態様/実施形態のいずれかにおいて、組成物が、非架橋ヒアルロン酸またはその塩1ミリグラムあたり10単位までのクロストリジウム毒素活性成分を含むことが想定される。固体または液体組成物の別の実施形態において、組成物が、非架橋ヒアルロン酸またはその塩1ミリグラムあたり40単位までのクロストリジウム毒素活性成分を含むことが想定される。
【0061】
固体または液体組成物の前述の態様/実施形態のいずれかにおいて、クロストリジウム毒素活性成分が、ボツリヌス毒素A型またはオナボツリヌス毒素Aであることが想定される。
【0062】
固体または液体組成物の前述の態様/実施形態のいずれかにおいて、組成物が、クロストリジウム毒素活性成分を何ら含まなくてもよいことが想定される。
【0063】
固体または液体組成物の前述の態様/実施形態のいずれかにおいて、非架橋ヒアルロン酸の重量平均分子量が、約450kDa~2.0MDa、例えば、450kDa~1.6MDaであることが想定される。
【0064】
固体または液体組成物の前述の態様/実施形態のいずれかにおいて、非架橋ヒアルロン酸の重量平均分子量が、約1.58MDaであることが想定される。
【0065】
固体または液体組成物の前述の態様/実施形態のいずれかにおいて、非架橋ヒアルロン酸の濃度が、固体または液体組成物の合計重量に基づいて0.1~50重量%、例えば、約0.2~10重量%または約0.4~5重量%、例えば、約0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、または6重量%であることが想定される。
【0066】
固体または液体組成物の前述の態様/実施形態のいずれかにおいて、医薬組成物は、非架橋ヒアルロン酸またはその塩を含まない医薬組成物と比較して、クロストリジウム毒素活性成分の有効性および/または持続時間を少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、および100%増加させることができる。かかる医薬組成物のいくつかの特定の実施形態において、非架橋ヒアルロン酸またはその塩は、約1.2重量%の量で存在し、約1.58Mdaの重量平均分子量を有する。
【0067】
固体または液体組成物の前述の態様/実施形態のいずれかにおいて、組成物が、ボツリヌス毒素A型と、約1.58MDaの重量平均分子量を有する、約1.2重量%の非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、を含む場合、ボツリヌス毒素A型の効果の有効性および/または持続時間は、非架橋ヒアルロン酸またはその塩を含まない組成物の効果の有効性および/または持続時間の約2倍であり得る。
【0068】
液体組成物の前述の態様/実施形態のいずれかにおいて、医薬組成物の粘度が、25℃、0.1/秒の剪断速度で約0.01Pa-s~約0.2Pa-s(約10cps~約200cps)であることが想定される。一実施形態において、組成物は、0.1/秒の剪断速度、25℃で約5~500Pa-sの粘度を有する。別の実施形態において、組成物は、0.1/秒の剪断速度、25℃で約50~250Pa-sの粘度を有する。
【0069】
別の態様において、うつ病を治療するための方法が想定される。本方法は、本明細書に記載の実施形態および態様のいずれかに従う組成物の投与を提供すること、投与するように指示すること、または投与することを含む。
【0070】
別の態様において、心不整脈を治療するための方法が想定される。本方法は、本明細書に記載の実施形態および態様のいずれかに従う組成物の投与を提供すること、投与するように指示すること、または投与することを含む。
【0071】
別の態様において、眉間の皺を治療するための方法が想定される。本方法は、本明細書に記載の実施形態および態様のいずれかに従う組成物の投与を提供すること、投与するように指示すること、または投与することを含む。
【0072】
別の態様において、頚部ジストニアのための方法が想定される。本方法は、本明細書に記載の実施形態および態様のいずれかに従う組成物の投与を提供すること、投与するように指示すること、または投与することを含む。一実施形態において、本方法は、異常な頭部位置および首の疼痛の重症度を低減するのに有効である。
【0073】
別の態様において、側眼角の皺のための方法が想定される。本方法は、本明細書に記載の実施形態および態様のいずれかに従う組成物の投与を提供すること、投与するように指示すること、または投与することを含む。
【0074】
別の態様において、額の皺のための方法が想定される。本方法は、本明細書に記載の実施形態および態様のいずれかに従う組成物の投与を提供すること、投与するように指示すること、または投与することを含む。
【0075】
別の態様において、抗コリン薬に対する応答が不十分であるか、または抗コリン薬に対して不耐性である成人における、切迫性尿失禁、尿意切迫感、および頻尿の症状を有する過活動膀胱を治療するための方法が想定される。本方法は、本明細書に記載の実施形態および態様のいずれかに従う組成物の投与を提供すること、投与するように指示すること、または投与することを含む。
【0076】
別の態様において、抗コリン薬に対する応答が不十分であるか、または抗コリン薬に対して不耐性である成人における、神経学的状態(例えば、脊髄損傷(SCI)、多発性硬化症(MS))に関連する排尿過活動に起因する尿失禁を治療するための方法が想定される。本方法は、本明細書に記載の実施形態および態様のいずれかに従う組成物の投与を提供すること、投与するように指示すること、または投与することを含む。
【0077】
別の態様において、慢性偏頭痛(頭痛が1日4時間以上持続する日が月に15日以上)を有する成人患者における頭痛を治療するため、または頭痛の予防的治療のための方法が想定される。本方法は、本明細書に記載の実施形態および態様のいずれかに従う組成物の投与を提供すること、投与するように指示すること、または投与することを含む。
【0078】
別の態様において、成人患者および小児患者(2~17歳)における上肢および/または下肢痙れんを治療するための方法が想定される。本方法は、本明細書に記載の実施形態および態様のいずれかに従う組成物の投与を提供すること、投与するように指示すること、または投与することを含む。
【0079】
別の態様において、腋窩多汗症を治療するための方法が想定される。本方法は、本明細書に記載の実施形態および態様のいずれかに従う組成物の投与を提供すること、投与するように指示すること、または投与することを含む。一実施形態において、本方法は、腋窩多汗症が重症であり、および/または局部薬剤によって不十分に管理されるヒト対象を対象とする。
【0080】
別の態様において、斜視を治療するための方法が想定される。本方法は、本明細書に記載の実施形態および態様のいずれかに従う組成物の投与を提供すること、投与するように指示すること、または投与することを含む。一実施形態において、斜視は、12歳以上のヒト患者における斜視である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
図1A】ラットにボツリヌス毒素血清型A(BoNT/A)を含む組成物を注射した後の時間(日数)の関数としての平均DASのグラフであり、非架橋ヒアルロン酸を欠いた組成物(対照)は、4.7U/kg(白色四角)、9.4U/kg(白色丸)、および16.4U/kg(白色三角)のBoNT/A用量で投与され、1.2重量%の直鎖非架橋ヒアルロン酸(重量平均MWが1500kDa)を含む組成物は、4.7U/kg(黒色四角)および9.4U/kg(黒色丸)のBoNT/A用量で投与される。
図1B】ラットにBoNT/Aを含む組成物を、2.96U/kgの用量でBoNT/Aを含む組成物を注射した後の時間(日数)の関数としての平均DASのグラフであり、1.2重量%の直鎖非架橋ヒアルロン酸(重量平均MWが1500kDa)を含む1つの組成物(黒色ひし形)と、直鎖非架橋ヒアルロン酸を含まない対照組成物(白色ひし形)を用いる。
図1C】ラットにBoNT/Aを含む組成物を注射した後の時間(日数)の関数としての平均DASのグラフであり、1つを除く全ての組成物は、4.7U/kgのBoNT/A用量で投与され、1つの対照である比較組成物は、9.4U/kgで投与され(白色丸)、試験組成物は、1.2%の非架橋ヒアルロン酸(1500kDa、黒色四角)、2%の非架橋ヒアルロン酸(1500kDa、黒色ひし形)、3%の非架橋ヒアルロン酸(LMW、黒色丸)、および0.6%の非架橋ヒアルロン酸(HHMW、黒色の反転した三角)を含んでおり、比較物である対照組成物は、非架橋ヒアルロン酸を欠いており、4.7U/kgのBoNT/A(白色四角)または9.4U/kg(白色丸)で投与された。
図2】ラットにBoNT/Aを含む組成物を注射した後の時間(日数)の関数としての平均DASのグラフであり、組成物は、1.2重量%の非架橋ヒアルロン酸を含む(黒色四角)か、または架橋ヒアルロン酸を含まない(白色四角)。
図3】ラットに、非架橋ヒアルロン酸を欠いており、9U/kg(白色丸)、5.1U/kg(白色四角)、もしくは2.8U/kg(白色三角)のBoNT/A用量で投与されたボツリヌス毒素対照組成物、または1.2重量%の非架橋ヒアルロン酸(1500kDa)を含み、9U/kg(黒色丸)、5.1U/kg(黒色四角)、もしくは2.8U/kg(黒色三角)のBoNT/A用量で投与された組成物を注射した後の時間(日数)の関数としての平均DASのグラフである。
図4】ラットに、非架橋ヒアルロン酸を欠いており、2.85U/kg(白色三角)もしくは9U/kg(白色丸)のBoNT/A用量で投与されたボツリヌス毒素対照組成物、または1.2重量%の非架橋ヒアルロン酸(1500kDa)を含み、2.85U/kg(黒色三角)もしくは9U/kg(黒色丸)のBoNT/A用量で投与された組成物を注射した後の時間(日数)の関数としての平均DASのグラフである。
図5】ラットに、非架橋ヒアルロン酸を欠いており、2.96U/kg(白色三角)、4.70U/kg(白色四角)、もしくは9.4U/kg(白色丸)のBoNT/A用量で投与されたボツリヌス毒素対照組成物、または1.2重量%の非架橋ヒアルロン酸(1500kDa)を含み、2.96U/kg(黒色三角)、4.70U/kg(黒色四角)、もしくは9.4U/kg(黒色丸)のBoNT/A用量で投与された組成物を注射した後の時間(日数)の関数としての平均DASのグラフである。
図6】ラットに、9.4U/kgで投与されるボツリヌス毒素組成物を注射した後の時間(日数)の関数としての平均DASのグラフであり、このボツリヌス毒素は、ヒスチジン、トレハロース、界面活性剤(Poloxamer P188)およびメチオニンを含む組成物(pH6)、非架橋ヒアルロン酸を含まない組成物(対照、白色四角)、または1500kDaの平均MWを有する1.2%の非架橋ヒアルロン酸を含む組成物(黒色丸)、または700kDaの平均MWを有する2.3%の非架橋ヒアルロン酸を含む組成物(黒色三角)中にある。
図7】ラットに、9.4U/kgで投与されるボツリヌス毒素組成物を注射した後の時間(日数)の関数としての平均DASのグラフであり、このボツリヌス毒素は、ヒスチジン、トレハロース、界面活性剤(Poloxamer P188)およびメチオニンを含む組成物(pH6)、非架橋ヒアルロン酸を含まない組成物(対照、白色四角)、または0.6重量%で1500kDaの平均MWを有する非架橋ヒアルロン酸を含む組成物(白色丸)、1.2重量%で含むもの(白色三角)、1.6重量%で含むもの(黒色丸)、および2.0重量%で含むもの(黒色三角)中にある。
図8】ラットに、9.4U/kgで投与されるボツリヌス毒素組成物を注射した後の時間(日数)の関数としての平均DASのグラフであり、このボツリヌス毒素組成物は、以下の表Aで特定される種々のビヒクル中、1500kDaの平均MWを有する1.2重量%の非架橋ヒアルロン酸を含み、表中で割り当てられる製剤番号は、以下のような記号に対応する。製剤1(対照、非架橋ヒアルロン酸なし)、白色四角;製剤2、白色三角;製剤3、黒色四角;製剤4、黒色丸;製剤5、黒色三角;製剤6、反転した三角;製剤7、黒色ひし形。
【発明を実施するための形態】
【0082】
本明細書に記載の組成物は、実施形態において、クロストリジウム毒素活性成分および/または非架橋ヒアルロン酸またはその塩の安定な液体および/または安定な固体医薬組成物を対象とする。いくつかの実施形態において、組成物は、界面活性剤および酸化防止剤と、任意選択で、等張化剤および/または凍結乾燥保護剤のうちの1つ以上をさらに含む。特定の液体組成物において、二糖類の形態での凍結乾燥保護剤は、任意選択である。
【0083】
また、以下に記載されるように、本組成物は、本明細書で提供される組成物を用い、例えば、うつ病(例えば、大うつ病性障害)、頭痛(例えば、偏頭痛、緊張性頭痛など)、疼痛、心房細動、多汗症、筋痙縮、頚部ジストニア、眼瞼痙れん、過活動膀胱(例えば、神経因性排尿筋過活動、および特発性過活動膀胱)、膀胱痛(例えば、間質性膀胱炎、および膀胱痛症候群)、皮膚状態(例えば、皺、微小な皺、過剰な皮脂産生、座瘡、および酒さ)、病的症状などを含め、種々の疾患、障害、および状態の治療のための方法に有用である。実施形態は、例えば、筋肉内、皮内、皮下などの注射、点滴、静脈内、経皮、および局部を含む、種々の投与技術を含んでいてもよい。
【0084】
定義
本明細書で使用される場合、以下に記載される単語または用語は、以下の定義を有する。
【0085】
「1つの(a)」および「1つの(an)」という冠詞は、その冠詞の文法的な対象の1つ、または1つより多く(すなわち、少なくとも1つ)を指すために本明細書で使用される。一例として、「要素(an element)」は、1つの要素、または1つより多い要素を意味する。
【0086】
本明細書で使用される「約」または「およそ」は、当業者によって決定されるような特定の値に対する許容される誤差範囲内であることを意味し、一部には、その値がどのように測定されるか、または決定されるか(すなわち、測定系の限界)に依存する。例えば、「約」は、当該技術分野における実施あたり、1以内、または1を超える標準偏差を意味する場合がある。特定の値が、本出願および特許請求の範囲に記載されている場合、特に明記しない限り、「約」という用語は、特定の値に対する許容される誤差範囲内であることを意味する。「約」という用語は、記載される項目、数、百分率、または期間の値を定量化する場合、記載されている項目、百分率、パラメータ、または期間の値の+10%または-10%の範囲を指す。
【0087】
「投与」または「投与する」は、対象に医薬組成物を摂取する(すなわち、投与する)工程、または医薬組成物を摂取した対象を意味する。本明細書で開示される医薬組成物は、様々な方法によって局所投与することができる。例えば、筋肉内、皮内、皮下投与、髄腔内投与、腹腔内投与、局部(経皮)、点滴、および移植(例えば、高分子インプラントまたはミニ浸透圧ポンプなどの徐放性デバイス)は、全て適切な投与経路であり得る。
【0088】
「緩和する」は、疼痛、頭痛、もしくは任意の症状の発生、または状態または障害の原因の減少を意味する。したがって、緩和としては、ある程度の減少、大幅な減少、ほぼ完全な減少、および完全な減少が挙げられる。
【0089】
「動物タンパク質を含まない」とは、血液由来の、血液に貯蔵された、および他の動物に由来する産物または化合物が存在しないことを意味する。「動物」は、哺乳動物(ヒトなど)、鳥類、爬虫類、魚類、昆虫類、クモ類、または他の動物種を意味する。「動物」は、細菌などの微生物を除外する。したがって、動物タンパク質を含まない医薬組成物は、ボツリヌスニューロトキシンを含んでいてもよい。例えば、「動物タンパク質を含まない」医薬組成物は、血清由来アルブミン、ゼラチン、および免疫グロブリンなどの他の動物由来タンパク質を実質的に含まないか、または本質的に含まないか、または全く含まない医薬組成物を意味する。動物タンパク質を含まない医薬組成物の一例は、ボツリヌス毒素(活性成分として)と、安定剤もしくは賦形剤としての適切な多糖類を含むか、またはこれらからなる医薬組成物である。
【0090】
「酸化防止剤」は、活性成分を酸素との反応から保護する任意の化合物を指す。酸化防止剤は、大きく以下の3つのカテゴリーに分類することができる。(i)特定の活性成分よりも容易に酸素と反応し、したがって、酸素を捕捉することができる、犠牲酸化防止剤、例えば、アスコルビン酸および亜硫酸塩、(ii)酸素を消費することによって、ラジカル鎖の増殖中に攻撃される水素原子に対する弱い結合に起因して、安定なラジカルを形成する分子である、連鎖停止剤、例えば、メチオニン、NAC、グルタチオン、リポ酸、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、およびシステイン、(iii)金属との複合体を形成することによって、遷移金属の触媒活性を低下させる、キレート化剤、例えば、EDTA、EGTAおよびDTPA、ならびにこれらの類似体。
【0091】
「生物活性」は、生物に対する薬物の有益な効果または有害な効果を記載する。薬物が複合体化学混合物である場合、この活性は、物質の活性成分によって発揮されるが、他の構成成分によって改変され得る。生物活性は、効力として、またはインビボLD50もしくはED50アッセイによる毒性として、または例えば参照により本明細書に組み込まれているU.S.2010/0203559およびU.S.2010/0233802に記載されるような細胞に基づく効力アッセイなどのインビトロアッセイによって、評価することができる。
【0092】
「ボツリヌス毒素」は、Clostridium botulinumによって産生されるニューロトキシン、および非クロストリジウム種による組換えによって作製されたボツリヌス毒素(またはその軽鎖もしくは重鎖)を意味する。「ボツリヌス毒素」という句は、本明細書で使用される場合、ボツリヌス毒素血清型A、B、C、D、E、FおよびG、ならびにこれらのサブタイプおよび任意の他の種類のサブタイプ、またはそれぞれの場合に、上述のいずれかの任意の再操作されたタンパク質、類似体、誘導体、ホモログ、一部分、副次的な部分、バリアント、または変種を包含する。「ボツリヌス毒素」は、本明細書で使用される場合、「修飾されたボツリヌス毒素」も包含する。さらに、本明細書で使用される「ボツリヌス毒素」は、ボツリヌス毒素複合体(例えば、300、600および900kDa複合体)、ならびに複合体タンパク質が会合していないボツリヌス毒素の神経毒素構成要素(150kDa)も包含する。
【0093】
「クロストリジウム毒素」は、全体的な細胞機構を実行し、それによってクロストリジウム毒素が細胞内に毒を侵入させることができるクロストリジウム毒素株によって産生される任意の毒素を指し、低アフィニティもしくは高アフィニティのクロストリジウム毒素受容体に対するクロストリジウム毒素の結合、毒素/受容体複合体の内部移行、細胞質へのクロストリジウム毒素軽鎖の移行、およびクロストリジウム毒素基質の酵素改変を包含する。クロストリジウム毒素の非限定的な例としては、ボツリヌス毒素、例えば、BoNT/A(すなわち、ボツリヌス毒素血清型A)、BoNT/B、BoNT/C1、BoNT/D、BoNT/E、BoNT/F、BoNT/G、テタヌス毒素(TeNT)、バラティ毒素(BaNT)、およびブチリカム毒素(BuNT)が挙げられる。BoNT/C2細胞毒素およびBoNT/C3細胞毒素は、ニューロトキシンではなく、「クロストリジウム毒素」という用語から除外される。クロストリジウム毒素という用語は、およそ150kDaのクロストリジウム毒素単独(すなわち、NAPを含まない)も含む。クロストリジウム毒素としては、天然に存在するクロストリジウム毒素バリアント、例えば、クロストリジウム毒素アイソフォームおよびクロストリジウム毒素サブタイプ、天然に存在しないクロストリジウム毒素バリアント、例えば、保存的クロストリジウム毒素バリアント、非保存的クロストリジウム毒素バリアント、クロストリジウム毒素キメラバリアントおよびその活性なクロストリジウム毒素断片、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられる。クロストリジウム毒素は、クロストリジウム毒素複合体も含み、クロストリジウム毒素および非毒素関連タンパク質(NAP)、例えば、ボツリヌス毒素複合体、テタヌス毒素複合体、バラティ毒素複合体、およびブチリカム毒素複合体を含む複合体を指す。クロストリジウム毒素複合体の非限定的な例としては、Clostridium botulinumによって産生されるもの、例えば、900kDa BoNT/A複合体、500kDa BoNT/A複合体、300kDa BoNT/A複合体、500kDa BoNT/B複合体、500kDa BoNT/C1複合体、500kDa BoNT/D複合体、300kDa BoNT/D複合体、300kDa BoNT/E複合体、および300kDa BoNT/F複合体が挙げられる。
【0094】
「クロストリジウム毒素活性成分」は、対象または患者への投与時または投与後に効果を発揮するクロストリジウム毒素の任意の部分を含有する分子を指す。本明細書で使用される場合、「クロストリジウム毒素」という用語は、(i)およそ150kDaのクロストリジウム毒素と、非毒素関連タンパク質(NAP)とまとめて称される他のタンパク質と、を含むクロストリジウム毒素複合体、(ii)およそ150kDaのクロストリジウム毒素単独(すなわち、NAPを含まない)、または(iii)修飾クロストリジウム毒素、例えば、再標的化クロストリジウム毒素を包含する。
【0095】
「変形(deformity)」は、美容的、物理的もしくは機能的な不規則性、欠陥、異常、不完全性、奇形、窪み、または歪みを意味する。
【0096】
「希釈剤」は、医薬組成物中のクロストリジウム毒素活性成分以外の構成要素を意味する。
【0097】
生物学的な活性成分に適用される「有効量」は、対象に所望な変化を引き起こすのに一般的に十分な成分の量を意味する。例えば、所望な効果が、自己免疫障害の症状の低減である場合、成分の有効量は、自己免疫障害の症状を少なくとも実質的に低下させ、顕著な毒性を引き起こさない量である。
【0098】
「有効量」は、クロストリジウム毒素組成物に添加される賦形剤または賦形剤の特定の組み合わせの量を参照しつつ使用される場合、クロストリジウム毒素活性成分の所望な初期の回復した効力を達成するのに必要な各賦形剤の量を指す。この実施形態の態様において、有効量の賦形剤または賦形剤の組み合わせによって、例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも100%の初期の回復した効力が得られる。この実施形態の他の態様において、治療有効濃度のクロストリジウム毒素活性成分によって、治療される滋養物に関連する症状を、例えば、最大で10%、最大で20%,最大で30%、最大で40%、最大で50%、最大で60%、最大で70%、最大で80%、最大で90%、または最大で100%低減する。
【0099】
「重鎖」は、ボツリヌスニューロトキシンの重鎖を意味する。重鎖は、約100kDaの分子量を有し、H鎖、またはHと呼ばれることがある。
【0100】
Cは、H鎖のカルボキシル末端セグメントとほぼ等しいボツリヌスニューロトキシンのH鎖に由来する断片(約50kDa)、またはインタクトなH鎖中のその断片に対応する部分を意味する。HCは、免疫原性であり、運動ニューロンへの高親和性のシナプス前結合に関与する天然または野生型のボツリヌスニューロトキシンの一部を含有すると考えられる。
【0101】
Nは、H鎖のアミノ末端セグメントとほぼ等しいボツリヌスニューロトキシンのH鎖に由来する断片(約50kDa)、またはH鎖中のインタクト内のその断片に対応する部分を意味する。HNは、細胞内エンドソーム膜を横切るL鎖の移行に関与する天然または野生型のボツリヌスニューロトキシンの一部を含有すると考えられる。
【0102】
「軽鎖」は、クロストリジウムニューロトキシンの軽鎖を意味する。軽鎖は、約50kDaの分子量を有し、L鎖、L、またはボツリヌスニューロトキシンのタンパク質分解ドメイン(アミノ酸配列)と呼ばれることがある。
【0103】
LHNまたはL-HNは、L鎖を含むクロストリジウムニューロトキシンに由来する断片、またはHNドメインに連結するその機能性断片を意味する。LHNまたはL-HNは、HCドメインを除去するか、または修飾するためのタンパク質分解により、インタクトなクロストリジウムニューロトキシンから得ることができる。
【0104】
「インプラント」は、制御放出(例えば、パルス放出または連続放出)組成物、または薬物送達系を意味する。インプラントは、例えば、人体に注射、挿入、または移植することができる。
【0105】
「液体組成物」、「液体医薬組成物」、または「液体製剤」は、長期間にわたって、緩衝剤などの液体医薬賦形剤中に保存することが可能であり、その結果、必要に応じて臨床医がすぐに使用できる、薬物または生物剤の薬学的に活性な調製物を指す。液体医薬組成物は、凍結乾燥プロセスを行わずに製造される。
【0106】
「局所投与」は、動物の身体の表面または内部の医薬品の生物学的効果が望ましい部位またはその近傍に、例えば、筋肉内または真皮内もしくは真皮下注射または局部投与によって、医薬品を直接投与することを意味する。局所投与は、静脈内投与または経口投与などの全身性投与経路を除く。局部投与は、医薬薬剤が患者の皮膚に適用される局所投与の一種である。
【0107】
「凍結乾燥保護剤(lyoprotector)」または「凍結乾燥保護剤(lyoprotectant)」は、凍結乾燥プロセス中にクロストリジウム毒素活性成分を保護するために、凍結乾燥製剤に含まれる物質を意味する。凍結乾燥保護剤としては、例えば、ポリヒドロキシ化合物、例えば、糖類(単糖類、二糖類、および多糖類)、ポリアルコール、およびこれらの誘導体が挙げられる。本明細書で開示される凍結乾燥製剤とともに使用可能な例示的な凍結乾燥保護剤としては、スクロース、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、グルコース、ラフィノース、マルトース、グリセロール、ラクトース、フルクトース、ガラクトース、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0108】
「凍結乾燥組成物」、「凍結乾燥医薬組成物」、「凍結乾燥製剤」、または「固体組成物」は、凍結乾燥プロセス、凍結して乾燥させるプロセス、または真空乾燥プロセスが行われたクロストリジウム毒素活性成分を含有する製剤を指し、患者への投与前に、例えば、生理食塩水または水などの再構成ビヒクルを用いて再構成することができる。凍結乾燥組成物は、凍結して乾燥させた組成物または真空乾燥組成物であり得る。
【0109】
「修飾されたボツリヌス毒素」は、天然ボツリヌス毒素と比較して、そのアミノ酸の少なくとも1つが欠失し、修飾され、または置き換えられたボツリヌス毒素を意味する。さらに、修飾されたボツリヌス毒素は、組換え産生されたニューロトキシン、または組換えによって作られたニューロトキシンの誘導体もしくは断片であってもよい。修飾されたボツリヌス毒素は、天然ボツリヌス毒素の少なくとも1つの生物活性、例えば、ボツリヌス毒素受容体に結合する能力、またはニューロンからの神経伝達物質放出を阻害する能力を保持している。修飾されたボツリヌス毒素の一例は、1つのボツリヌス毒素血清型(例えば血清型A)由来の軽鎖と、異なるボツリヌス毒素血清型(例えば血清型B)由来の重鎖と、を有するボツリヌス毒素である。修飾されたボツリヌス毒素の別の例は、サブスタンスPなどの神経伝達物質に連結したボツリヌス毒素である。
【0110】
本明細書で使用される「分子量」は、重量平均分子量であり、当該技術分野で知られているように測定され、計算される(例えば、Fred Billmeyer,Textbook of Polymer Science,3rd Edition,1984,J.Wiley & Sons,pp.16-19)。
【0111】
「変異」は、天然に存在するタンパク質または核酸配列の構造改変を意味する。例えば、核酸変異の場合、変異は、DNA配列中の1つ以上のヌクレオチドの欠失、付加または置換であってもよい。タンパク質配列変異の場合、変異は、タンパク質配列中の1つ以上のアミノ酸の欠失、付加または置換であってもよい。例えば、タンパク質配列を構成する特定のアミノ酸は、別のアミノ酸、例えば、アラニン、アスパラギン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、ロイシン、メチオニン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、スレオニン、バリン、トリプトファン、チロシン、または任意の他の天然に存在するかまたは天然に存在しないアミノ酸または化学修飾されたアミノ酸といったアミノ酸を含む群から選択されるアミノ酸に置換されてもよい。タンパク質配列に対する変異は、DNA配列に対する変異の結果であってもよく、転写され、得られたmRNAが翻訳される場合、変異したタンパク質配列を生じる。タンパク質配列に対する変異は、所望な変異を含むペプチド配列を所望なタンパク質配列に融合することによって作成することもできる。
【0112】
「非架橋ヒアルロン酸またはその塩」は、250kDa~2.4MDaまたは4.6MDa~8MDaの重量平均分子量を有する非架橋ヒアルロン酸またはその塩を指す。
【0113】
「患者」は、医療または獣医医療を受けるヒトまたは非ヒト対象を意味する。したがって、本明細書に開示される組成物は、例えば哺乳動物などの任意の動物の治療に使用することができる。
【0114】
「末梢投与する」または「末梢投与」は、真皮下、皮内、経皮、または皮下投与を意味するが、筋肉内投与を除外する。「末梢」とは、真皮下の位置であることを意味し、内臓部位を除外する。
【0115】
「医薬組成物」は、活性医薬成分、例えば、ボツリヌス毒素などのクロストリジウム毒素活性成分と、少なくとも1つのさらなる成分、例えば、安定剤または賦形剤などと、を含む組成物を意味する。したがって、医薬組成物は、ヒト患者などの対象への診断的投与または治療的投与に好適な製剤である。医薬組成物は、例えば、凍結乾燥もしくは真空乾燥した状態、凍結乾燥もしくは真空乾燥した医薬組成物の再構成後に形成される溶液で、または再構成を必要としない溶液または固体としてのものであってもよい。
【0116】
「薬理学的に許容される賦形剤」は、「薬理学的賦形剤」または「賦形剤」と同義であり、哺乳動物に投与されたときに、長期的または永続的な有害な影響を実質的に有さない任意の賦形剤を指し、例えば、安定剤、増量剤、低温保護剤、凍結乾燥保護剤、添加剤、ビヒクル、担体、希釈剤、または補助剤などの化合物を包含する。賦形剤は、一般に、活性成分と混合され、または活性成分を希釈するか、または封入することが可能であり、固体、半固体、または液体の薬剤であり得る。クロストリジウム毒素活性成分を含む医薬組成物が、活性成分を薬学的に許容される組成物へと加工するのを容易にする1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含んでいてもよいことも想定される。任意の薬理学的に許容される賦形剤が、クロストリジウム毒素活性成分と不適合でない限り、薬学的に許容される組成物中のその使用が想定される。薬理学的に許容される賦形剤の非限定的な例は、例えば、Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems(Howard C.Ansel et al.,eds.,Lippincott Williams & Wilkins Publishers,7th ed.1999)、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(Alfonso R.Gennaro ed.,Lippincott,Williams & Wilkins,20th ed.2000)、Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics(Joel G.Hardman et al.,eds.,McGraw-Hill Professional,10th ed.2001)、およびHandbook of Pharmaceutical Excipients(Raymond C.Rowe et al.,APhA Publications,4th edition 2003)に見出すことができ、それらの各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0117】
医薬組成物の構成成分は、単一組成物中に含まれてもよく(すなわち、任意の必要な再構成流体を除き、全ての構成成分が、医薬組成物の初期配合時に存在する)、または2成分系として、例えば、再構成ビヒクルを用いて再構成され、再構成ビヒクルが、例えば、医薬組成物の初期配合中には存在しない成分を含む、真空乾燥した組成物であってもよい。2成分系は、2成分系の第1の構成要素との長期保管には十分に適合性ではない成分を組み込むことを可能にするなど、いくつかの利益を提供することができる。例えば、再構成ビヒクルは、使用期間、例えば1週間の冷蔵保存中に微生物増殖に対して十分な保護を与えるが、その間に毒素を分解し得る2年間の冷凍庫保存期間中には存在しないような防腐剤を含んでいてもよい。ボツリヌス毒素または他の成分と長時間にわたって適合性とはなり得ない他の成分は、この様式で組み込むことができる。すなわち、適切な使用時に、第2のビヒクル(例えば、再構成ビヒクル)に添加される。医薬組成物は、ベンジルアルコール、安息香酸、フェノール、パラベン、およびソルビン酸などの防腐剤も含んでもよい。医薬組成物は、例えば、賦形剤、例えば、表面活性剤、分散剤、不活性希釈剤、造粒剤および崩壊剤、結合剤、滑沢剤、防腐剤、ゼラチンなどの生理学的に分解可能な組成物、水性ビヒクルおよび溶媒、油性ビヒクルおよび溶媒、懸濁剤、分散剤もしくは湿潤剤、乳化剤、粘滑剤、緩衝液、塩類、増粘剤、充填剤、酸化防止剤、安定剤、および薬学的に許容される高分子または疎水性材料、ならびに当該技術分野で知られており、例えば、Genaro,ed.,1985,Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.(本明細書に参照により組み込まれる)に記載される他の成分を含んでいてもよい。
【0118】
「多糖類」は、2個より多い糖分子単量体の多量体を意味する。単量体は、同じであってもよく、または異なっていてもよい。
【0119】
「安定剤(stabilizing agent)」、「安定剤(stabilization agent)」または「安定剤(stabilizer)」は、医薬組成物の効力が、不安定な組成物と比較して増加するように、クロストリジウム毒素活性成分を安定化するように作用する物質を意味する。
【0120】
「安定剤」は、賦形剤を含むことができ、タンパク質および非タンパク質分子を含むことができる。
【0121】
「界面活性剤」は、天然または合成の両親媒性化合物を指す。界面活性剤は、非イオン性、両性イオン性、またはイオン性であり得る。界面活性剤の非限定的な例としては、ポロキサマー、ポリソルベート、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0122】
「治療製剤」は、障害または疾患、例えば、末梢筋の活動過多(すなわち、痙縮)によって特徴付けられる障害または疾患を治療し、それによって軽減するために使用可能な製剤を意味する。
【0123】
「治療有効濃度」、「治療有効量」、「有効量」、「有効用量」および「治療有効用量」は、所望の治療効果を達成するために必要なクロストリジウム毒素活性成分の最小用量を指し、治療される滋養物に関連する症状を低減するのに十分な用量を含む。
【0124】
本明細書で使用される「TEM」は、「標的化エキソサイトーシス調節因子(Targeted Exocytosis Modulator)」または「再標的化エンドペプチダーゼ」と同義である。一般に、TEMは、クロストリジウム毒素軽鎖由来の酵素ドメインと、クロストリジウム毒素重鎖由来の移行ドメインと、標的化ドメインと、を含む。TEMの標的化ドメインは、天然に存在するクロストリジウム毒素によって利用される天然クロストリジウム毒素受容体以外の受容体に対して分子を標的化する、改変された細胞標的化能を提供する。この再標的化能は、クロストリジウム毒素の天然に存在する結合ドメインを、非クロストリジウム毒素受容体について結合活性を有する標的化ドメインと置き換えることによって達成される。TEMは、非クロストリジウム毒素受容体に結合するが、細胞質へのTEM/受容体複合体の内部移行、小胞膜および二本鎖分子における孔の形成、細胞質への酵素ドメインの移行、および標的細胞のSNARE複合体の構成要素に対するタンパク質分解効果の発揮を含め、中毒プロセスの他のステップを全て行う。
【0125】
「等張化剤」は、等張性を提供するために製剤に含まれる低分子量賦形剤を意味する。等張化剤の非限定的な例としては、トレハロースまたはスクロースなどの二糖類、ソルビトールまたはマンニトールなどのポリアルコール、グルコースなどの単糖類、ならびに塩化ナトリウム、塩化カルシウム、および塩化カリウムなどの塩が挙げられる。
【0126】
「局部投与」は、ニューロトキシンの全身投与を除外する。言い換えれば、従来の治療的経皮方法とは異なり、ボツリヌス毒素の局部投与は、顕著な量、例えば、大部分のニューロトキシンが患者の循環系に入らない。
【0127】
「治療する」は、皺、痙縮、窪み、疼痛(例えば、頭痛)、膀胱過活動などの状態または障害の少なくとも1つの症状を、一時的に、または永続的に軽減する(またはなくす)ことを意味する。
【0128】
本明細書で使用される場合、「単位」または「U」という用語は、LD50用量、または細胞に基づく効力アッセイ(CBPA)によって決定される用量を指す。LD50用量は、クロストリジウム毒素、クロストリジウム毒素複合体または修飾されたクロストリジウム毒素を注射されたマウスの50%が死滅した、クロストリジウム毒素活性成分、クロストリジウム毒素複合体または修飾されたクロストリジウム毒素の量であると定義される。CBPA用量は、米国特許第8,618,261号に記載されるように決定され、そのアッセイの詳細は、参照により本明細書に組み込まれる。一例として、100単位バイアル中、BOTOX(登録商標)の商品名で、アーバイン、カリフォルニアのAllergan, Inc.から入手可能な市販のボツリヌス毒素A型(精製されたニューロトキシン複合体)約50ピコグラムは、マウスにおけるLD50(すなわち、1単位)を有する。1単位のBOTOX(登録商標)は、約50ピコグラム(約56アトモル)のボツリヌス毒素A型複合体を含有し、1単位(U)は、各18~20グラムの体重の雌Swiss Websterマウスに腹腔内注射したときのLD50に対応する。
【0129】
「バリアント」は、標的細胞によって認識され、標的細胞によって内部移行され、標的細胞中のSNARE(SNAP(可溶性NSF接続タンパク質)受容体)タンパク質を触媒によって開裂する野生型ボツリヌス毒素に対して少なくとも1つのアミノ酸の置き換え、修飾、付加または欠失によって修飾された、クロストリジウムニューロトキシン、例えば、野生型ボツリヌス毒素血清型A、B、C、D、E、F、またはGを意味する。
【0130】
バリアントニューロトキシン構成要素の一例は、置換され、修飾され、欠失され、および/または付加された1つ以上のアミノ酸を有するボツリヌス毒素のバリアント軽鎖を含んでいてもよい。このバリアント軽鎖は、エキソサイトーシス、例えば、神経伝達物質小胞の放出を妨げる同じ能力またはより良好な能力を有していてもよい。さらに、バリアントの生物学的効果は、親化学物質と比較して、低い場合がある。例えば、あるアミノ酸配列が除去されたボツリヌス毒素A型のバリアント軽鎖は、親(または天然)ボツリヌス毒素A型軽鎖よりも短い生物学的持続性を有していてもよい。
【0131】
医薬組成物
本明細書で開示される医薬組成物は、クロストリジウム毒素活性成分と、重量平均分子量が約2.5MDa未満または約2.4MDa未満である非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、を含む。好ましい実施形態において、非架橋ヒアルロン酸またはその塩は、約250kDa~約2.5MDaの重量平均分子量を有する。別の実施形態において、非架橋ヒアルロン酸またはその塩は、約4.5MDa~約8MDaの重量平均分子量を有する。さらに他の実施形態において、非架橋ヒアルロン酸またはその塩は、約500kDa~5000kDa、約500kDa~約2500kDa未満、または約500kDa~約2000kDaの重量平均分子量を有する。一実施形態において、医薬組成物は、その塩を含め、架橋ヒアルロン酸を含まない。すなわち、医薬組成物は、架橋ヒアルロン酸またはその塩を含まない。
【0132】
組成物は、クロストリジウム毒素活性成分を含む組成物と、非架橋ヒアルロン酸もしくはその塩および非架橋ヒアルロン酸もしくはその塩ではない希釈剤を含む組成物とを混合することによって、または非架橋ヒアルロン酸もしくはその塩と、クロストリジウム毒素活性成分および非架橋ヒアルロン酸もしくはその塩ではない希釈剤を含む組成物とを混合することによって、またはクロストリジウム毒素活性成分、非架橋ヒアルロン酸もしくはその塩、および希釈剤を一緒に混合することによって、調製することができる。
【0133】
第1の態様において、クロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、二糖類と、界面活性剤と、酸化防止剤と、を含む(またはこれらからなるか、またはこれらから本質的になる)医薬組成物が記載される。組成物は、一実施形態において、固体組成物、例えば、使用前に再構成される凍結乾燥粉末であってもよい。別の実施形態において、組成物は、液体組成物であり、すなわち、組成物は、液体形態で製造され、保管される。組成物が、非架橋ヒアルロン酸またはその塩を欠く組成物と比較して、クロストリジウム毒素活性成分の効果の持続時間の延長を示すことを示す試験が行われた。
【0134】
実施例1に記載される第1の試験において、モデルクロストリジウム毒素活性成分としてのボツリヌス毒素と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、二糖類と、界面活性剤と、酸化防止剤と、を含む液体組成物が調製された。組成物は、異なる分子量および固有粘度を有するヒアルロン酸ナトリウム粉末と、二糖類、界面活性剤および酸化防止剤とを混合して、ヒアルロン酸を含有する組成物を形成し、次いで、ヒアルロン酸を含有する組成物にボツリヌス毒素溶液を混合し、種々の濃度のボツリヌス毒素を含むボツリヌス毒素-ヒアルロン酸製剤を調製することによって、調製することができた。表1は、各組成物中のヒアルロン酸の分子量または固有粘度を、組成物中の他の成分とともにまとめたものである。
【0135】
表2は、ボツリヌス毒素とヒアルロン酸組成物を含む組成物をまとめたものであり、さらに、ボツリヌス毒素を含むが、非架橋ヒアルロン酸またはその塩を含まない(任意のヒアルロン酸またはその塩を含まない)、いくつかの比較物である対照組成物中の成分をまとめたものである。
【表1】



1略語:LMW:低分子量、HMW:高分子量、HHMW:非常に高分子量。
2粘度は、25℃で、かつ約0.1秒の剪断速度で決定される(実施例1)。
3本明細書に記載されるように測定した重量平均MWは、1316kDaであった。
4本明細書に記載されるように測定した重量平均MWは、1568kDaであった。
【表2】
【0136】
表2のボツリヌス毒素-ヒアルロン酸製剤を、効果の持続時間についてインビボで試験した。実施例2に記載されるように、試験製剤および対照製剤を、ラットの前脛骨筋に筋肉内注射した。ラットDAS(デジタル外転スコア)アッセイを使用して、製剤の有効性を評価し、ラットの麻痺は、0~4までのスコア付けされるDAS応答によって評価され、4は、最大麻痺を表す。結果は、図1A~1Cに示される。
【0137】
図1Aは、試験組成物および対照(比較物)組成物の注射後の時間(日数)の関数としての平均DASを示す。非架橋ヒアルロン酸を欠く対照組成物は、上の表2に示される希釈剤(20mMのヒスチジン、pH6、8%のトレハロース、4%のポロキサマー188、および0.2%のメチオニン)中の28.2U/mL、56.4U/mL、および98.7U/mLの濃度でボツリヌス毒素A型(BoNT/A)を含んでいた。これらの対照組成物をラットに注射して、それぞれ4.7U/kg(白色四角)、9.4U/kg(白色丸)、および16.4U/kg(白色三角)のBoNT/A用量を得た。直鎖非架橋ヒアルロン酸を含む組成物は、1.2%のHA(重量平均分子量が1500kDa)で構成され、対照組成物と同じ希釈剤(20mMのヒスチジン、pH6、8%のトレハロース、4%のポロキサマー188、および0.2%のメチオニン)中に28.2U/mLおよび56.4U/mLでBoNT/Aを含んでいた。これらの組成物をラットに注射して、それぞれ4.7U/kg(黒色四角)および9.4U/kg(黒色丸)のBoNT/A用量を得た。図1Aのデータは、直鎖非架橋ヒアルロン酸を含む組成物を用いて治療された動物におけるラットDASピーク応答および持続時間の増加によって実証されるように、直鎖非架橋ヒアルロン酸を含む組成物が、ボツリヌス毒素の効果の持続時間を改善したことを示す。直鎖非架橋ヒアルロン酸が組成物中に含まれる場合、およそ2倍の明らかな用量増加が提供された。
【0138】
図1Bは、より低い濃度のBoNT/Aを含む組成物についての結果を示す。試験組成物および対照組成物は、両方とも17.9U/mLの濃度を有しており、注射を介して2.96U/kgまで投与された。試験組成物(黒色ひし形)は、1.2重量%の直鎖非架橋ヒアルロン酸(重量平均分子量が1500kDa)を含んでおり、一方、比較対照組成物(白色ひし形)は、直鎖非架橋ヒアルロン酸を含んでいなかった。比較物である対照組成物で治療された動物と比較して、直鎖非架橋ヒアルロン酸を含む組成物で治療された動物についてのDASスコアにおいて、応答の増加および効果の持続時間の延長が観察される。比較物である対照組成物で治療された動物と比較して、直鎖非架橋ヒアルロン酸を含む組成物で治療された動物について、持続時間(ラットDASスコアが1に戻るまでの時間と定義される)のおよそ2倍の増加が観察された。
【0139】
図1Cは、異なる量および異なる分子量の直鎖非架橋ヒアルロン酸を含む組成物のインビボ試験からのデータを示す。9.4U/kgで投与した1つの比較物製剤(白色丸)を除き、BoNT/Aを含む組成物を4.7U/kgで投与した。試験組成物(上の表2)は、1.2%の非架橋ヒアルロン酸(1500kDa、黒色四角)、2%の非架橋ヒアルロン酸(1500kDa、黒色ひし形)、3%の非架橋ヒアルロン酸(LMW、黒色丸)、および0.6%の非架橋ヒアルロン酸(HHMW、黒色の反転した三角)を含む組成物を含んでいた。比較物である対照組成物は、非架橋ヒアルロン酸を欠いており、4.7U/kgのBoNT/A(白色四角)または9.4U/kg(白色丸)で投与された。直鎖非架橋ヒアルロン酸を含む組成物は、対照組成物と比較して、より高いDASスコアから実証されるように、応答の増加および効果の持続時間の延長が提供され、DASスコアが高いほど、時間が長くなる。効果の持続時間の延長は、直鎖非架橋ヒアルロン酸を含む組成物で治療された動物について、DASスコアが1に戻るのに必要な時間がより長いことから明らかである。
【0140】
実施例3に記載される別の試験において、ボツリヌス毒素を含む組成物は、対照として、粉末ボツリヌス毒素(BOTOX(登録商標))を等張性生理食塩水(0.9重量%塩化ナトリウム)で再構成することによって調製した。20mMのヒスチジン、pH6、8%のトレハロース、4%のポロキサマー188、および0.2%のメチオニン中に1.2重量%の非架橋ヒアルロン酸(MW 1500kDa)をさらに含む試験組成物を同様に調製した。組成物の効果および効果の持続時間を、DASアッセイを使用して試験し、結果を図2に示す。試験組成物および対照組成物は、両方とも5.1U/kgで投与され、注射から約3日後に最大麻痺に達した。ピーク麻痺時に平均DASが40%増加することによって実証されるように、非架橋ヒアルロン酸を含む組成物(黒色四角)は、同じ用量で、より効果的であった。非架橋ヒアルロン酸を含む組成物(黒色四角)はまた、9日目に対照組成物(白色四角)がベースラインの1DASに戻り、約16日後のいつかに試験組成物(黒色四角)がベースラインの1DASに戻ることによって実証されるように、効果のより長い持続時間を達成した。このことは、非架橋ヒアルロン酸またはその塩を含む組成物で提供される場合、同じ用量のボツリヌス毒素から、効果の持続時間のほぼ2倍の向上および効果の少なくとも約25%の増加が提供されることに相当する。
【0141】
さらなる組成物を調製し、DASアッセイを使用して、効果の持続時間および効果の程度について評価した。これらの組成物および試験は、図3図8を参照しつつ説明される。
【0142】
BOTOX(登録商標)の商品名で販売されている市販のBoNT/Aに非架橋ヒアルロン酸を添加する効果を比較するために、試験を設計した。対照として種々のBoNT/A用量レベルで投薬するために、粉末ボツリヌス毒素(BOTOX(登録商標))を、等張生理食塩水(0.9重量%の塩化ナトリウム)を用いて再構成した。粉末ボツリヌス毒素(BOTOX(登録商標))を、生理食塩水を用いて再構成し、次いで、20mMヒスチジン、pH6、8%トレハロース、4%ポロキサマー188、および0.2%メチオニンと、1.2重量%の非架橋ヒアルロン酸(1500kDa MW)とを試験組成物として合わせた。対照および試験組成物を、2.84U/kg、5.06U/kgおよび9U/kgのBoNT/A用量で、ラットの前脛骨筋に筋肉内注射した。ラットの麻痺を、0~4のスコアを使用するDAS応答によって評価し、4は最大麻痺を表す。図3は、組成物を注入した後の時間(日数)の関数としての平均DASを示し、各Nは、6匹のラット/用量で構成される独立した試験である。9U/kg(白色丸)、5.1U/kg(白色四角)、または2.8U/kg(白色三角)のBoNT/A用量で投与された、非架橋ヒアルロン酸を欠くボツリヌス毒素組成物は、9U/kg(黒色丸)、5.1U/kg(黒色四角)、または2.8U/kg(黒色三角)の同じBoNT/A用量で投与された、非架橋ヒアルロン酸またはその塩(1500kDa)を含む組成物と比較して、麻痺という観点で有効性が低く、効果の持続時間が短かった。9U/kgのBoNT/A用量では、非架橋ヒアルロン酸を含む組成物は、21日間の効果を提供し(効果の持続時間は、DASスコアがスコア1に戻るまでの日数であると定義される)、一方、非架橋ヒアルロン酸を含まず、9U/kgを投与された対照組成物は、15.5日間の効果を提供した。したがって、一実施形態において、ボツリヌス毒素と非架橋ヒアルロン酸とを含む組成物は、同じ投与経路、同じ毒素用量または効力で投与される場合、非架橋ヒアルロン酸を含まないボツリヌス毒素組成物と比較して、少なくとも約30%、35%、または40%まで効果の持続時間が改善する。
【0143】
20mMヒスチジン、pH6、8重量%トレハロース、4重量%界面活性剤(Poloxamer P-188)、および0.2重量%メチオニンの中にBoNT/Aを含む組成物、1.2重量%の非架橋ヒアルロン酸(1500kDa MW)を含む組成物、または非架橋ヒアルロン酸を含まない組成物を調製した。組成物を、2.85U/kgおよび9U/kgのBoNT/A用量で、ラットの前脛骨筋に筋肉内注射した。ラットの麻痺を、0~4のスコアを使用するDAS応答によって評価し、4は最大麻痺を表す。図4は、組成物を注入した後の時間(日数)の関数としての平均DASを示し、各Nは、6匹のラット/用量で構成される独立した試験である。非架橋ヒアルロン酸を含むボツリヌス毒素組成物は、改善された効果と、より長い効果持続時間を提供した。非架橋ヒアルロン酸を含み、2.85U/kgで投与された組成物(黒色三角)は、約1.6のピークDASを有する、非架橋ヒアルロン酸を含まない同じ用量での組成物(白色三角)と比較して、約2.5のピークDASを有していた。9U/kgのBoNT/A用量では、非架橋ヒアルロン酸を含む組成物(黒色丸)は、24日間の効果を提供し(効果の持続時間は、DASスコアがスコア1に戻るまでの日数であると定義される)、一方、非架橋ヒアルロン酸を含まず、9U/kgを投与された対照組成物(白色丸)は、14.5日間の効果を提供した。したがって、一実施形態において、ボツリヌス毒素と非架橋ヒアルロン酸とを含む組成物は、同じ投与経路、同じ毒素用量または効力で投与される場合、非架橋ヒアルロン酸を含まないボツリヌス毒素組成物と比較して、少なくとも約30%、35%、40%または45%まで効果の持続時間が改善する。
【0144】
別の試験は、2.96U/kg~9.4U/kgの範囲の毒素用量レベルで、効果の有効性および持続時間を評価した。BoNT/A、20mMヒスチジン、pH6、8重量%トレハロース、4重量%界面活性剤(Poloxamer P-188)、および0.2重量%メチオニンを有し、1.2重量%の非架橋ヒアルロン酸(1500kDa MW)を含む組成物、または非架橋ヒアルロン酸を含まない組成物を調製した。組成物を、2.96U/kg、4.70U/kgおよび9.40U/kgのBoNT/A用量で、ラットの前脛骨筋に筋肉内注射した。ラットの麻痺を、0~4のスコアを使用するDAS応答によって評価し、4は最大麻痺を表す。図5は、ラットに、非架橋ヒアルロン酸を欠き、2.96U/kg(白色三角)、4.70U/kg(白色四角)、または9.4U/kg(白色丸)のBoNT/A用量で投与されたボツリヌス毒素対照組成物、または2.96U/kg(黒色三角)、4.70U/kg(黒色四角)、または9.4U/kg(黒色丸)のBoNT/A用量で投与された1.2重量%の非架橋ヒアルロン酸(1500kDa)を含む組成物を注射した後の時間(日数)の関数としての平均DASのグラフである。非架橋ヒアルロン酸を含む組成物は、より大きな効果に加えて、より長い効果持続時間を提供した。したがって、1.5倍、1.7倍または2倍長い効果持続時間を提供するボツリヌス毒素と非架橋ヒアルロン酸とを含む組成物が提供される。他の実施形態において、1.2倍、1.3倍または1.4倍長い効果持続時間を提供するボツリヌス毒素と非架橋ヒアルロン酸とを含む組成物が提供される。
【0145】
非架橋ヒアルロン酸の分子量または固有粘度に起因する効果の持続時間および効果の程度に対する影響は、1.2重量%の非架橋ヒアルロン酸1500kDa平均MWまたは2.3重量%の700kDa平均MWを含むBoNT/A組成物を調製することによって評価された。この試験における組成物は、さらに、20mMヒスチジン、pH6、8重量%トレハロース、4重量%界面活性剤(Poloxamer P188)、および0.2重量%メチオニンを含んでいた。組成物を、9.4U/kgのBoNT/A用量で、ラットの前脛骨筋に筋肉内注射した。ラットの麻痺を、0~4のスコアを使用するDAS応答によって評価し、4は最大麻痺を表す。図6は、ラットに注射した後の時間(日数)の関数としての平均DASを示す。非架橋ヒアルロン酸を含まない組成物(対照、白色四角)は、15日間の効果を提供し(DAS=1に戻ると定義される)、一方、1.2重量%の1500kDa平均MWを有する非架橋ヒアルロン酸(黒色丸)または2.3重量%の700kDa平均MW(黒色三角)を含む組成物は、それぞれ、22日および24日の効果持続時間を達成した。これと一致して、非架橋ヒアルロン酸を含む組成物は、非架橋ヒアルロン酸を含まない組成物と比較して、ボツリヌス毒素の効果持続時間が約1.5倍~約2倍延長される。
【0146】
異なる濃度の非架橋ヒアルロン酸(1500kDa平均MWを有する)を含む組成物を調製した。この試験において、組成物は、BoNT/A、20mMヒスチジン、pH6、8重量%トレハロース、4重量%界面活性剤(Poloxamer P188)、0.2重量%メチオニンを含み、非架橋ヒアルロン酸を含まない(対照、白色四角)か、または0.6重量%(白色丸)、1.2重量%(白色三角)、1.6重量%(黒色丸)、または2.0重量%(黒色三角)の非架橋ヒアルロン酸を含んでいた。組成物を、9.4U/kgのBoNT/A用量で、ラットの前脛骨筋に筋肉内注射した。ラットの麻痺を、0~4のスコアを使用するDAS応答によって評価し、4は最大麻痺を表す。図7は、ラットに、9.4U/kgで投与されたこれらのボツリヌス毒素組成物を注射した後の時間(日数)の関数としての平均DASのグラフである。0.6~2.0重量%の非架橋ヒアルロン酸を含む組成物が、全て、非架橋ヒアルロン酸を含まない対照組成物と比較して、より長い効果持続時間を提供したため、非架橋ヒアルロン酸によって提供される、より長い効果持続時間は、非架橋ヒアルロン酸の割合に依存しないことが観察される。組成物の粘度を剪断速度0.1/秒、25℃で測定し、10Pa-s~580Pa-sの範囲であることがわかった。したがって、一実施形態において、非架橋ヒアルロン酸またはその塩とボツリヌス毒素とを含み、約1~1000Pa-sまたは約1~750Pa-sの粘度を有する組成物は、同じ毒素用量および同じ投与経路で投与された非架橋ヒアルロン酸を含まない同様の組成物よりも50%、60%、75%、80%、または100%大きい効果持続時間を提供する。
【0147】
別の試験において、BoNT/Aと1.2重量%の非架橋ヒアルロン酸(1500kDa MW)とを含む組成物を、種々の希釈剤から調製した。以下の表Aは、組成物をまとめたものである。
【表3】
【0148】
表Aの組成物を、9.4U/kgのBoNT/A用量でラットの前脛骨筋に筋肉内注射した。ラットの麻痺を、0~4のスコアを使用してDAS応答によって評価し、4は、最大麻痺を表す。図8は、ボツリヌス毒素組成物のラットへの注射後の時間(日数)の関数としての平均DASのグラフであり、表Aに割り当てられた製剤番号は、以下の記号に対応している。製剤1(対照、非架橋ヒアルロン酸なし)、白色四角;製剤2、白色三角;製剤3、黒色四角;製剤4、黒色丸;製剤5、黒色三角;製剤6、反転した三角;製剤7、黒色ひし形。非架橋ヒアルロン酸によって提供される効果のより長い持続時間が、全ての種々のビヒクルに対して達成されることが観察された。製剤5(黒色三角)をpH5に調整し(全ての他の製剤はpH6であった)、最も長い効果の持続時間を提供した。したがって、一実施形態において、pHが約4.70~6.50、4.75~6.50、4.80~6.50、4.85~6.50、4.90~6.50、4.95~6.50、4.98~6.50、4.99~6.50、5.00~6.50、4.70~6.30、4.75~6.30、4.80~6.30,4.85~6.30、4.90~6.30、4.95~6.30、4.98~6.30、4.99~6.30、5.00~6.30、4.70~6.20、4.75~6.20、4.80~6.20,4.85~6.20、4.90~6.20、4.95~6.20、4.98~6.20、4.99~6.20、5.00~6.20、4.70~6.10、4.75~6.10、4.80~6.10,4.85~6.10、4.90~6.10、4.95~6.10、4.98~6.10、4.99~6.10、5.00~6.10、または5.00~6.00である、非架橋ヒアルロン酸またはその塩とボツリヌス毒素とを含む組成物が想定される。選択されたpHでのこれらの組成物は、同じ毒素用量および同じ投与経路で投与された非架橋ヒアルロン酸を含まない同様の組成物よりも50%、60%、75%、80%または100%長い効果の持続時間を提供する。
【0149】
したがって、クロストリジウム毒素活性成分(例えば、ボツリヌス毒素)と、約1.2重量%の約450kDa~2.0MDa、例えば、450kDa~1.6MDa MDa(さらに例えば、約1.4~1.6MDa)の重量平均分子量を有する非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、トレハロースと、ポロキサマーと、メチオニンと、を含む医薬組成物が提供される。医薬組成物は、アルブミンを含まなくてもよく、架橋ヒアルロン酸またはその塩を含まない。かかる医薬組成物は、非架橋ヒアルロン酸またはその塩を含まない医薬組成物と比較して、クロストリジウム毒素活性成分の有効性および/または持続時間を少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、および100%増加させることができる。
【0150】
一実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物は、非架橋ヒアルロン酸またはその塩を含まない医薬組成物と比較して、クロストリジウム毒素活性成分の有効性および/または持続時間を少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、および100%増加させる。
【0151】
別の実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物は、非架橋ヒアルロン酸またはその塩を含む組成物と、ボツリヌス毒素、二糖類、界面活性剤および酸化防止剤を含む凍結乾燥製剤とを混合することによって、またはボツリヌス毒素を含む組成物と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩を含む組成物、二糖類、界面活性剤および酸化防止剤を含む凍結乾燥製剤とを混合することによって、調製することができる。一実施形態において、凍結乾燥組成物は、ボツリヌス毒素、および/または非架橋ヒアルロン酸もしくはその塩、トレハロース、ポリソルベートもしくはポロキサマー、ならびにメチオニンもしくはNACを含んでいてもよい。別の実施形態において、凍結乾燥組成物は、ボツリヌス毒素、および/または非架橋ヒアルロン酸もしくはその塩、二糖類、ポロキサマーおよびポリソルベートから選択される界面活性剤、メチオニン、NAC、EDTA、EGTA、DTPA、これらの類似体、およびこれらの組み合わせから選択される酸化防止剤を含んでいてもよい。別の実施形態において、凍結乾燥組成物は、ボツリヌス毒素、および/または非架橋ヒアルロン酸もしくはその塩、トレハロース、ポロキサマー界面活性剤(例えば、KOLLIPHOR(登録商標)P-188)および安定化酸化防止剤としてのメチオニンを含んでいてもよい。表3は、例示的な凍結乾燥製剤中の構成要素を列挙する。
【表4】

各製剤はさらに、クロストリジウム毒素活性成分および/または非架橋ヒアルロン酸もしくはその塩を含む。Treh=トレハロース、P188=ポロキサマーP188、Met=L-メチオニン、NAC=N-アセチル-L-システイン。
【0152】
別の実施形態において、クロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、等張化剤と、界面活性剤と、酸化防止剤とで構成される液体組成物を調製することができる。液体溶液は、非架橋ヒアルロン酸もしくはその塩と、クロストリジウム毒素活性成分を含む液体溶液とを、モデルとしてのボツリヌス毒素、二糖類等張化剤、ポロキサマー界面活性剤、および酸化防止剤を使用して混合することによって、またはクロストリジウム毒素活性成分を含む組成物と、非架橋ヒアルロン酸もしくはその塩、二糖類等張化剤、ポロキサマー界面活性剤、および酸化防止剤を含む液体組成物とを、モデルとしてのボツリヌス毒素を使用して混合することによって、調製することができる。二糖類等張化剤は、トレハロースであってもよく、ポロキサマー界面活性剤は、ポロキサマーP188であってもよい。3種類の例示的な製剤を表4に示し、各々が同量のボツリヌス毒素(100単位/mL)および非架橋ヒアルロン酸もしくはその塩(0.2~10w/w%)、8w/w%のトレハロース、および4w/w%のポロキサマーP188をヒスチジン緩衝液中に含む。製剤10は、酸化防止剤を含まず、製剤11は、NACを含有しており、製剤12は、L-メチオニンを含有していた。
【表5】
【0153】
別の実施形態において、液体組成物は、pH6.0のヒスチジン緩衝液中、100U/mLのボツリヌス毒素と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、8w/w%のトレハロースと、4w/w%のポロキサマーP188とを用いて調製することができる。各製剤は、以下の表5に記載されるように、異なる酸化防止剤または酸化防止剤の組み合わせを含む。試験した酸化防止剤には、NAC、L-メチオニン、L-トリプトファン、L-グルタチオン、亜硫酸ナトリウム、没食子酸プロピル、およびEDTAナトリウム塩が含まれていた。
【表6】

1各製剤は、100U/mLのボツリヌス毒素と、0.2~10w/w%の非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、8w/w%のトレハロースと、20mMヒスチジン緩衝液、pH6.0中の4w/w%のポロキサマーP188と、特定の酸化防止剤と、を含有する。
2NAC=N-アセチル-L-システイン、Met=L-メチオニン、TRP=L-トリプトファン、GSH=L-グルタチオン、NaSul=亜硫酸ナトリウム、PrpGal=没食子酸プロピル、EDTA=エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩。
【0154】
したがって、クロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、二糖類と、界面活性剤と、メチオニン、NAC、EDTA、EGTA、DTPA、これらの類似体、およびこれらの組み合わせから選択される酸化防止剤と、を含む、液体または溶液形態での組成物が想定される。さらなる実施形態において、組成物は、クロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、二糖類と、界面活性剤と、(i)メチオニンから選択される酸化防止剤と、(ii)NAC、およびEDTA、EGTA、DTPA、これらの類似体から選択されるキレート化剤と、を含む、液体または溶液形態である。
【0155】
別の実施形態において、液体組成物は、クロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、等張化剤と、界面活性剤と、犠牲酸化防止剤、キレート化剤酸化防止剤、連鎖停止剤、酸化防止剤、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される酸化防止剤と、を含む。
【0156】
別の実施形態において、液体組成物は、表6に示されるように、pH6.0のヒスチジン緩衝液中、100U/mLのボツリヌス毒素と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、4w/w%のポロキサマーP188と、0.2w/w%のメチオニンと、8w/w%のトレハロースまたはスクロースを用いて調製することができる。
【表7】

*各製剤は、ヒスチジン緩衝液中、100U/mLのボツリヌス毒素と、0.2~10w/w%の非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、4w/w%のポロキサマーP188と、0.2w/w%のメチオニンとを含んでいた。
【0157】
一実施形態において、クロストリジウム毒素活性成分(例えば、ボツリヌス毒素)と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、トレハロースと、ポロキサマー界面活性剤と、メチオニンとで構成される液体組成物が想定される。
【0158】
別の実施形態において、pH6.0の20mMヒスチジン緩衝液中、クロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、ポロキサマーP188(4w/w%)またはポリソルベート(TWEEN(登録商標)20、0.04w/w%)と、トレハロース(8w/w%)と、メチオニン(0.2w/w%)とを含む液体組成物を調製することができる(表7)。ポロキサマーP188を含む組成物は、製剤番号30として特定され、ポリソルベートを含む製剤は、製剤番号32として特定される。
【表8】

*各製剤は、ヒスチジン緩衝液中、100U/mLのボツリヌス毒素と、0.2~10w/w%の非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、8w/w%のトレハロースと、0.2w/w%のメチオニンとを含んでいる。
【0159】
一実施形態において、クロストリジウム毒素活性成分(例えば、ボツリヌス毒素)と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、トレハロースと、ポロキサマー界面活性剤と、メチオニンとで構成される液体組成物が提供される。
【0160】
別の実施形態において、液体組成物は、モデルクロストリジウム毒素活性成分としてのボツリヌス毒素と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩とを用いて調製することができる。組成物は、ポロキサマー界面活性剤が存在した状態または存在しない状態、トレハロースが存在した状態または存在しない状態、およびメチオニンが存在した状態または存在しない状態で調製することができる。組成物の詳細を表8に示す。
【表9】


*各製剤は、pH6.0の20mMヒスチジン緩衝液中にあり、非架橋ヒアルロン酸またはその塩の濃度は、0.2~10w/w%である。
【0161】
一実施形態において、クロストリジウム毒素活性成分(例えば、ボツリヌス毒素)と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、ポロキサマー界面活性剤と、メチオニンなどの酸化防止剤とで構成される液体組成物が想定される。別の実施形態において、二糖類も含まれる。
【0162】
別の実施形態において、液体組成物は、モデルクロストリジウム毒素活性成分としてのボツリヌス毒素と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩とを用いて調製することができる。組成物は、ポロキサマー界面活性剤を含む状態、またはポリソルベートを含む状態で、二糖類が存在した状態または存在しない状態で調製することができる。全ての製剤はメチオニンを含む。組成物の詳細を表9に示す。
【表10】

1全ての製剤は、100U/mLのボツリヌス毒素と、0.2~10w/w%の非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、を含む。Treh=トレハロース、Suc=スクロース、P-188=ポロキサマーP188、TWEEN(登録商標)20=ポリソルベート、Met=L-メチオニン、2緩衝液=20mMのHis、pH6.0。
【0163】
一実施形態において、クロストリジウム毒素活性成分(例えば、ボツリヌス毒素)と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、ポロキサマーまたはポリソルベート界面活性剤と、トレハロースまたはスクロースと、メチオニンなどの酸化防止剤とで構成される液体組成物が想定される。
別の実施形態において、等張化剤を含まない液体組成物を調製した。ボツリヌス毒素を、モデルクロストリジウム毒素活性成分として使用した。組成物を、ポロキサマー界面活性剤またはポリソルベート界面活性剤のいずれかを用いて、酸化防止剤としてメチオニンを用いて調製した。組成物の詳細を表10に示す。
【表11】

*両方の製剤は、pH6.0の20mMヒスチジン緩衝液中にあり、0.2~10w/w%の非架橋ヒアルロン酸またはその塩をさらに含有する。P-188=ポロキサマーP188、Met=L-メチオニン
【0164】
別の実施形態において、液体組成物は、pH6.0の20mMヒスチジン緩衝液中、クロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸もしくはその塩と、ポロキサマーP188(4%w/wまたは0.6%w/w)と、トレハロース(2%w/wまたは8%w/w)と、酸化防止剤-(i)EDTAおよびNAC(それぞれ、0.03%w/wおよび0.2%w/w)、または(ii)メチオニン(0.2%w/w)とを含む液体組成物を調製することができる。各製剤は、バイアルあたり30~200Uのボツリヌス毒素を含んでいた。組成物の概要を表11に記載する。
【表12】

全ての製剤は、0.2~10w/w%の非架橋ヒアルロン酸またはその塩をさらに含む。
【0165】
したがって、一実施形態において、液体医薬組成物が想定される。組成物は、クロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、トレハロース、スクロース、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール、グルコース、およびこれらの組み合わせから選択される等張化剤と、ポロキサマー、ポリソルベート、およびこれらの組み合わせから選択される界面活性剤と、メチオニン、NAC、EDTA、EGTA、DTPA、これらの類似体、およびこれらの組み合わせから選択される酸化防止剤と、を含む。一実施形態において、組成物は、アルブミンを除外しており、別の実施形態において、酸化防止剤がメチオニンである場合、組成物は、ポリソルベートを除外している。
【0166】
別の実施形態において、液体医薬組成物が想定される。組成物は、クロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、ポロキサマー、ポリソルベート、およびこれらの組み合わせから選択される界面活性剤と、メチオニン、NAC、EDTA、EGTA、DTPA、これらの類似体、およびこれらの組み合わせから選択される酸化防止剤と、を含む。一実施形態において、組成物は、アルブミンを除外している。一実施形態において、組成物は、等張化剤を除外している。
【0167】
別の実施形態において、液体医薬組成物が想定される。組成物は、クロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、トレハロース、スクロース、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール、グルコース、およびこれらの組み合わせから選択される等張化剤と、ポロキサマーと、メチオニンと、を含む。一実施形態において、組成物は、アルブミンを除外している。
【0168】
別の実施形態において、液体医薬組成物が想定される。組成物は、クロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、1~15重量%の量の二糖類等張化剤と、0.5~8重量%の量のポロキサマーと、0.05~5重量%の量の酸化防止剤と、を含む。別の実施形態において、組成物は、クロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、1~15重量%の量のトレハロースと、0.5~8重量%の量のポロキサマーと、0.05~5重量%の量のメチオニンと、を含む。一実施形態において、組成物は、アルブミンを除外している。別の実施形態において、液体医薬組成物は、クロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、2~15重量%または1~10重量%の量のトレハロースと、0.5~8重量%の量のポロキサマーと、0.05~5重量%の量のメチオニンと、を含む。一実施形態において、組成物は、アルブミンを除外している。
【0169】
別の実施形態において、液体医薬組成物が想定される。組成物は、ボツリヌス毒素と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、トレハロース、スクロース、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール、グルコース、およびこれらの組み合わせから選択される等張化剤と、ポロキサマーと、メチオニン、NAC、EDTA、EGTA、DTPA、これらの類似体、およびこれらの組み合わせから選択される酸化防止剤と、を含む。一実施形態において、組成物は、アルブミンを除外している。
【0170】
前述の実施形態のうちのいずれかにおいて、組成物が、いくつかの実施形態において、エマルションではなく、および/または両親媒性物質を含むナノ粒子を除外していることが想定される。
【0171】
凍結乾燥組成物を調製することができる。調製された組成物は、モデルクロストリジウム毒素としてのボツリヌス毒素と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、二糖類と、界面活性剤と、酸化防止剤としてのメチオニンと、を含んでいた。製剤を凍結乾燥し、-20℃または40℃で約2週間保存することができる。固体組成物を表12に示す。
【表13】

*各製剤は、200U/バイアルのBoNT/Aと、0.2~10w/w%の非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、を含み、pH6.0の20mMヒスチジン緩衝液中にある。
【0172】
一実施形態において、凍結乾燥組成物が提供され、この組成物は、クロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、ポロキサマーと、メチオニンと、トレハロースと、を含む。
【0173】
一実施形態において、凍結乾燥組成物が提供され、この組成物は、クロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、ポロキサマーと、メチオニンと、トレハロースと、を含む。
【0174】
一実施形態において、固体または凍結乾燥医薬組成物が想定される。組成物は、クロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、トレハロース、スクロース、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール、グルコース、およびこれらの組み合わせから選択される等張化剤および/または凍結乾燥保護剤と、ポロキサマー、ポリソルベート、およびこれらの組み合わせから選択される界面活性剤と、メチオニン、NAC、EDTA、EGTA、DTPA、これらの類似体、およびこれらの組み合わせから選択される酸化防止剤と、を含む。いくつかの実施形態において、固体組成物は、凍結乾燥保護剤を含む。いくつかの実施形態において、凍結乾燥保護剤は、スクロース、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、グルコース、またはこれらの組み合わせを含む。特定の実施形態において、凍結乾燥組成物は、トレハロース、スクロース、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール、グルコース、およびこれらの組み合わせから選択される等張化剤を用いて再構成される。少なくとも一実施形態において、凍結乾燥組成物は、患者への投与前にNaClを含む再構成ビヒクルを用いて再構成される。少なくとも一実施形態において、NaClは、再構成ビヒクル中に0.9%(w/w)の量で存在する。他の実施形態において、KClは、張度調整に好適な量で、組成物中に含まれる。一実施形態において、組成物は、アルブミン、ヒドロキシアルキルデンプン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸、アスパラギン、ポリアルコール、グリシン、および/またはポリビニルピロリドンを除外している。
【0175】
別の実施形態において、固体または凍結乾燥医薬組成物が想定される。組成物は、クロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、トレハロースまたはスクロースと、ポロキサマーと、メチオニンと、を含む。一実施形態において、組成物は、アルブミン、ヒドロキシアルキルデンプン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸、アスパラギン、ポリアルコール、グリシン、および/またはポリビニルピロリドンを除外している。一実施形態において、凍結乾燥医薬組成物は、クロストリジウム毒素活性成分としてのボツリヌス毒素と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、トレハロースと、ポロキサマーと、メチオニンと、を含む。
【0176】
別の実施形態において、固体または凍結乾燥医薬組成物が想定される。組成物は、クロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、1~15重量%の量のトレハロースと、0.5~8重量%の量のポロキサマーと、0.05~5重量%の量のメチオニンと、を含む。別の実施形態において、組成物は、クロストリジウム毒素活性成分(例えば、ボツリヌス毒素)と、8重量%のトレハロースと、4重量%のポロキサマーと、0.2重量%のメチオニンと、を含む。一実施形態において、ボツリヌス毒素は、約200単位の量で存在する。別の実施形態において、ボツリヌス毒素は、約50単位の量で存在する。一実施形態において、組成物は、アルブミン、ヒドロキシアルキルデンプン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸、アスパラギン、ポリアルコール、グリシン、および/またはポリビニルピロリドンを除外している。
【0177】
別の実施形態において、固体または凍結乾燥医薬組成物が想定される。組成物は、ボツリヌス毒素と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、二糖類と、ポロキサマーと、メチオニン、NAC、EDTA、EGTA、DTPA、これらの類似体、およびこれらの組み合わせから選択される酸化防止剤と、を含む。一実施形態において、組成物は、アルブミン、ヒドロキシアルキルデンプン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸、アスパラギン、ポリアルコール、グリシン、および/またはポリビニルピロリドンを除外している。
【0178】
別の実施形態において、凍結乾燥組成物は、クロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩と、等張化剤および/または凍結乾燥保護剤と、界面活性剤と、犠牲酸化防止剤、キレート化剤酸化防止剤、連鎖停止剤、酸化防止剤、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される酸化防止剤と、を含む。いくつかの実施形態において、凍結乾燥クロストリジウム医薬組成物は、凍結乾燥保護剤を含む。いくつかの実施形態において、凍結乾燥保護剤は、スクロース、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、グルコース、またはこれらの組み合わせを含む。
【0179】
固体または液体組成物の前述の実施形態のいずれかにおいて、これらの成分、ポリビニルピロリドン、ポリプロピレングリコールおよびポリエチレングリコールのジブロックコポリマー、および/またはイノシトール、ラクチロール、イソマルト、キシリトール、エリスリトールなどのポリアルコールのうちの1つ以上が、任意の組み合わせで、除外されることが想定される。
【0180】
一実施形態において、本明細書で開示される液体組成物は、患者への投与前に、非架橋ヒアルロン酸ナトリウム粉末と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩を含まない凍結乾燥製剤(例えば、上に開示した凍結乾燥製剤のいずれかであるが、非架橋ヒアルロン酸またはその塩を含まないもの)とを、NaClまたはKClを含む再構成ビヒクルで再構成することによって、調製することができる。少なくとも一実施形態において、NaClまたはKClは、再構成ビヒクル中に0.9%(w/w)の量で存在する。
【0181】
固体または液体組成物の前述の実施形態のいずれかにおいて、非架橋ヒアルロン酸またはその塩の重量平均分子量が、約450kDa~2.0MDa、例えば、450kDa~1.6MDa、例えば約1.58MDaであってもよいことが想定される。
【0182】
固体または液体組成物の前述の実施形態のいずれかにおいて、非架橋ヒアルロン酸またはその塩の濃度が、約0.2~10重量%、0.2~9重量%、0.2~8重量%、0.2~6重量%、0.3~10重量%、0.3~9重量%、0.3~6重量%、0.3~5重量%、0.4~5重量%、0.5~5重量%、0.5~2.5重量%、0.5~2重量%、0.75~2重量%、1~2重量%であることが想定される。他の実施形態において、非架橋ヒアルロン酸またはその塩の濃度は、およそ以下の値、少なくともおよそ以下の値であるか、またはおよそ以下の値のいずれかの間である:0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、または6重量%。
【0183】
液体組成物の前述の態様/実施形態のいずれかにおいて、医薬組成物の粘度が、25℃、0.1/秒の剪断速度で、約0.01Pa-S~約0.2Pa-s(約10cps~約200cps)であることが想定される。一実施形態において、組成物は、25℃、0.1/秒の剪断速度で、約500Pa-s未満の粘度を有する。他の実施形態において、組成物は、25℃、0.1/秒の剪断速度で、約475Pa-s、450Pa-s、400Pa-s、350Pa-s、300Pa-s、250Pa-s、225Pa-s、200Pa-s、175Pa-s、150Pa-s、125Pa-sまたは110Pa-s未満の粘度を有する。他の実施形態において、組成物は、25℃、0.1/秒の剪断速度で、約1~500Pa-s、2~500Pa-s、5~500Pa-s、10~500Pa-s、20~500Pa-s、30~500Pa-s、50~500Pa-s、75~500Pa-s、80~500Pa-s、90~500Pa-s、10~400Pa-s、20~400Pa-s、30~400Pa-s、50~400Pa-s、75~400Pa-s、80~400Pa-s、90~400Pa-s、10~300Pa-s、20~300Pa-s、30~300Pa-s、50~300Pa-s、75~300Pa-s、80~300Pa-s、90~300Pa-s、10~250Pa-s、20~250Pa-s、30~250Pa-s、50~250Pa-s、75~250Pa-s、80~250Pa-s、90~250Pa-s、10~200Pa-s、20~200Pa-s、30~200Pa-s、50~200Pa-s、75~200Pa-s、80~200Pa-s、90~200Pa-s、10~150Pa-s、20~150Pa-s、30~150Pa-s、50~150Pa-s、75~150Pa-s、80~150Pa-s、90~150Pa-sの粘度を有する。他の実施形態において、粘度は、およそ以下の値、少なくともおよそ以下の値であるか、またはおよそ以下の値のいずれかの間である:実施例1に記載されるように測定すると、25℃、0.1/秒の剪断速度で、10Pa-s、15Pa-s、20Pa-s、25Pa-s、30Pa-s、40Pa-s、45Pa-s、50Pa-s、55Pa-s、60Pa-s、65Pa-s、70Pa-s、75Pa-s、80Pa-s、85Pa-s、90Pa-s、95Pa-s、100Pa-s、110Pa-s、125Pa-s、150Pa-s、175Pa-s、200Pa-s、225Pa-s、250Pa-s、275Pa-s、300Pa-s、325Pa-s、350Pa-s、375Pa-s、400Pa-s、425Pa-s、450Pa-s、475Pa-s、500Pa-s、550Pa-s、600Pa-s、650Pa-s、700Pa-s、800Pa-s、900Pa-s、1000Pa-s。
【0184】
液体組成物の前述の態様/実施形態のいずれかにおいて、組成物が、非架橋ヒアルロン酸またはその塩1ミリグラムあたり10単位まで、例えば、6単位までのクロストリジウム毒素を含んでいてもよいことが想定される。
【0185】
液体組成物の前述の態様/実施形態のいずれかにおいて、クロストリジウム毒素の濃度が、約0.2~2.5ng/mL、例えば、およそ以下の値、以下の値より上の間、または少なくともおよそ以下の値であってもよいことが想定される:0.2、0.4、0.6、0.8、1.0、1.2、1.4、1.5、1.6、1.8、2.0、2.1、2.2、2.4、2.5、3.0、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5または10、12、または15ng/mL。別の実施形態において、本明細書に記載の固体または液体組成物のいずれかにおけるクロストリジウム毒素の濃度が、約10U/mL~約200U/mL、例えば、およそ以下の値、以下の値より上の間、または少なくともおよそ以下の値であってもよいことが想定される:10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、75、90、100、110、125、135、150、160、175、190、または200U/mL。
【0186】
固体または液体組成物の前述の実施形態のいずれかにおいて、組成物が、クロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩および希釈剤を含む組成物とを混合することによって調製することができることが想定される。したがって、非架橋ヒアルロン酸またはその塩を含み、クロストリジウム毒素活性成分を含まない以外は上に開示した固体または液体組成物のいずれかと同一である組成物も提供される。
【0187】
医薬組成物の構成要素
本発明の医薬組成物は、クロストリジウム毒素またはクロストリジウム毒素活性成分と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩、例えば、約450kDa~2.0MDa、例えば、450kDa~1.6MDaおよび約1.4~1.6MDaを含む。当業者は、本明細書の記載がクロストリジウム毒素活性成分を指すことを理解するであろうが、クロストリジウム毒素は、本明細書に記載の組成物にも使用され得る。したがって、クロストリジウム毒素活性成分という用語が使用されるが、クロストリジウム毒素が同様に想定されることを理解されたい。一実施形態において、治療有効濃度のクロストリジウム毒素活性成分が組成物中に存在する。一実施形態において、クロストリジウム毒素活性成分は、治療される滋養物に関連する症状を、例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも100%低減する。この実施形態の他の態様において、治療有効濃度のクロストリジウム毒素活性成分は、治療される滋養物に関連する症状を、例えば、最大で10%、最大で20%、最大で30%、最大で40%、最大で50%、最大で60%、最大で70%、最大で80%、最大で90%、または最大で100%低減する。
【0188】
任意の量のクロストリジウム毒素活性成分が、本明細書で開示されるクロストリジウム毒素活性成分医薬組成物を製剤化する際に添加されてもよく、但し、治療有効量のクロストリジウム毒素活性成分は、回収可能であることが想定される。この実施形態の態様において、製剤に添加されるクロストリジウム毒素活性成分の量は、少なくとも0.1U/ml、少なくとも1.0U/ml、少なくとも10U/ml、少なくとも50U/ml、少なくとも100U/ml、少なくとも200U/ml、または少なくとも1000U/mlである。この実施形態の他の態様において、製剤に添加されるクロストリジウム毒素活性成分の量は、最大で0.1U/ml、最大で1.0U/ml、最大で10U/ml、最大で50U/ml、最大で100U/ml、最大で200U/ml、または最大で1000U/mlである。この実施形態のさらに他の態様において、製剤に添加されるクロストリジウム毒素活性成分の量は、約0.1U/ml~約1000U/ml、または約1.0U/ml~約1000U/mlである。この実施形態のさらに他の態様において、製剤に添加されるクロストリジウム毒素活性成分の量は、約0.001U/ml~約100U/ml,約0.01U/ml~約100U/ml,約0.1U/ml~約100U/ml、または約1.0U/ml~約100U/mlである。
【0189】
この実施形態の他の態様において、製剤に添加されるクロストリジウム毒素活性成分の量は、少なくとも1.0pg、少なくとも10pg、少なくとも100pg、少なくとも1.0ng、少なくとも10ng、少なくとも100ng、少なくとも1.0μg、少なくとも10μg、少なくとも100μg、または少なくとも1.0mgである。この実施形態のさらに他の態様において、製剤に添加されるクロストリジウム毒素活性成分の量は、最大で1.0pg、最大で10pg、最大で100pg、最大で1.0ng、最大で10ng、最大で100ng、最大で1.0μg、最大で10μg、最大で100μg、または最大で1.0mgである。この実施形態のさらに他の態様において、製剤に添加されるクロストリジウム毒素活性成分の量は、約1.0pg~約10μg、約10pg~約10μg、約100pg~約10μg、約1.0ng~約10μg、約10ng~約10μg、または約100ng~約10μgである。この実施形態のさらに他の態様において、製剤に添加されるクロストリジウム毒素活性成分の量は、約1.0pg~約1.0μg、約10pg~約1.0μg、約100pg~約1.0μg、約1.0ng~約1.0μg、約10ng~約1.0μg、または約100ng~約1.0μgである。この実施形態のさらなる態様において、製剤に添加されるクロストリジウム毒素活性成分の量は、約1.0pg~約5.0μg、約10pg~約5.0μg、約100pg~約5.0μg、約1.0ng~約5.0μg、約10ng~約5.0μg、または約100ng~約5.0μgである。この実施形態のさらなる態様において、製剤に添加されるクロストリジウム毒素活性成分の量は、約1.0pg~約10μg、約10pg~約10μg、約100pg~約10μg、約1.0ng~約10μg、約10ng~約10μg、または約100ng~約10μgである。
【0190】
この実施形態の態様において、クロストリジウム毒素医薬組成物は、BoNT/A、BoNT/B、BoNT/C1、BoNT/D、BoNT/E、BoNT/F、BoNT/G、モザイクBoNT、例えば、BoNT/DC、TeNT、BaNT、またはBuNTを含む。別の実施形態において、クロストリジウム毒素医薬組成物は、クロストリジウム毒素としてクロストリジウム毒素バリアントを含む。この実施形態の態様において、クロストリジウム毒素医薬組成物は、天然に存在するクロストリジウム毒素活性成分バリアントまたは天然に存在しないクロストリジウム毒素バリアントを含む。この実施形態の他の態様において、クロストリジウム毒素医薬組成物は、BoNT/Aバリアント、BoNT/Bバリアント、BoNT/C1バリアント、BoNT/Dバリアント、BoNT/Eバリアント、BoNT/Fバリアント、BoNT/Gバリアント、TeNTバリアント、BaNTバリアント、またはBuNTバリアントを含み、バリアントは、天然に存在するバリアントまたは天然に存在しないバリアントのいずれかである。
【0191】
本発明の医薬組成物の態様は、一部には、クロストリジウム毒素活性成分としてのクロストリジウム毒素複合体を提供する。本明細書で使用される場合、「クロストリジウム毒素複合体」という用語は、クロストリジウム毒素と、会合したNAPとを含む複合体、例えば、ボツリヌス(Botulinum)毒素複合体、テタヌス(Tetanus)毒素複合体、バラティ(Baratii)毒素複合体、およびブチリカム(Butyricum)毒素複合体を指す。クロストリジウム毒素複合体の非限定的な例としては、Clostridium botulinumによって酸性されるもの、例えば、900kDa BoNT/A複合体、500kDa BoNT/A複合体、300kDa BoNT/A複合体、500kDa BoNT/B複合体、500kDa BoNT/C1複合体、500kDa BoNT/D複合体、300kDa BoNT/D複合体、300kDa BoNT/E複合体、および300kDa BoNT/F複合体が挙げられる。クロストリジウム毒素複合体は、Schantz(上記)(1992)、Hui Xiang et al.,Animal Product Free System and Process for Purifying a Botulinum Toxin、米国特許第7,354,740号に記載される方法を用いて精製することができ、それらの各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。クロストリジウム毒素複合体は、例えば、List Biological Laboratories,Inc.(キャンベル、カリフォルニア)、Centre for Applied Microbiology and Research(ポートンダウン、英国)、Wako(大阪、日本)、およびSigma Chemicals(セントルイス、ミズーリ)から得ることができる。
【0192】
医薬組成物は、ほとんどの実施形態において、非架橋ヒアルロン酸またはその塩を含む。ヒアルロン酸(ヒアルロナンとも呼ばれる)は、関節、結合組織および眼に見られる、天然に存在する多糖類である。ヒアルロン酸は、グルクロン酸およびNアセチルグルコサミンの反復二量体単位で構成される長い非分岐多糖類であるグリコサミノグリカン(ムコ多糖類)である。米国特許第4,636,524号、同第4,713,448号、同第5,099,013号、および同第5,143,724号は、特定のヒアルロン酸、およびそれを作製するための方法を開示している。ヒアルロン酸の塩形態としては、例えば、ヒアルロン酸のナトリウム、カリウム、カルシウム形態(例えば、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸カリウム、ヒアルロン酸カルシウム)が挙げられる。
【0193】
本明細書に記載の試験において、以下の特性を有する非架橋ヒアルロン酸が使用された。
【表14】
【0194】
本明細書に記載の組成物における使用のための非架橋ヒアルロン酸またはその塩の重量平均分子量は、一般的に、約2.5MDa未満または約2.4MDa未満である。一実施形態において、非架橋ヒアルロン酸またはその塩は、約250kDa~約2.4MDaの重量平均分子量を有する。別の実施形態において、非架橋ヒアルロン酸またはその塩は、約4.6MDa~約8MDaの重量平均分子量を有する。さらに他の実施形態において、非架橋ヒアルロン酸またはその塩は、約300kDa~2.0MDa、300kDa~1.5MDa、300kDa~1.25MDa、300kDa~1.0MDa、300kDa~9000kDa、300kDa~8000kDa、300kDa~7000kDa、300kDa~6000kDa、300kDa~5000kDa、300kDa~4000kDa、300kDa~3000kDa、300kDa~2000kDa、400kDa~2.0MDa、400kDa~1.5MDa、400kDa~1.25MDa、400kDa~1.0MDa、400kDa~9000kDa、400kDa~8000kDa、400kDa~7000kDa、400kDa~6000kDa、400kDa~5000kDa、400kDa~4000kDa、400kDa~3000kDa、400kDa~2000kDa、500kDa~2.0MDa、500kDa~1.5MDa、500kDa~1.25MDa、500kDa~1.0MDa、500kDa~9000kDa、500kDa~8000kDa、500kDa~7000kDa、500kDa~6000kDa、500kDa~5000kDa、500kDa~4000kDa、500kDa~3000kDa、500kDa~2000kDa、650~2000kDa、650~1800kDa、1000~2000kDa、1200~1800kDa、1300~1700kDa、1400~1600kDaの重量平均分子量を有する。一実施形態において、非架橋ヒアルロン酸またはその塩は、約1500kDaまたは1580kDaの重量平均分子量を有する。
【0195】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の組成物における使用のための非架橋ヒアルロン酸またはその塩は、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(MW)に対応する、約1~3、約1~2、約1.05~1.75、1.05~1.60、1.05~1.50、1.05~1.40、1.05~1.35、または1.05~1.25の多分散性指数を有する。
【0196】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、非タンパク質賦形剤を含む。本明細書で使用される場合、「非タンパク質賦形剤」という用語は、少なくとも15個のアミノ酸を含む、ポリペプチドではない任意の賦形剤を指す。任意の非タンパク質賦形剤が、本明細書に開示されるクロストリジウム毒素活性成分医薬組成物を製剤化するのに有用であり、但し、治療有効量のクロストリジウム毒素活性成分が、非タンパク質賦形剤を用いて回収されることが想定される。
【0197】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、糖を含む。本明細書で使用される場合、「糖」という用語は、1~10個の単糖単位を含む化合物、例えば、単糖類、二糖類、三糖類、および4~10個の単糖単位を含むオリゴ糖を指す。任意の糖が、本明細書に開示されるクロストリジウム毒素活性成分医薬組成物を製剤化するのに有用であり、但し、治療有効量のクロストリジウム毒素活性成分が、糖を用いて回収されることが想定される。いくつかの実施形態において、例えば、凍結乾燥組成物において、糖は、凍結乾燥保護剤として機能することができる。いくつかの他の実施形態において、例えば、凍結乾燥製剤または液体製剤において、糖は、等張化剤として機能することができる。単糖類は、アルドース、ジアルドース、アルドケトース、ケトースおよびジケトースを含む、3個以上の炭素原子を含むポリヒドロキシアルデヒドまたはポリヒドロキシケトン、および環状形態、デオキシ糖およびアミノ糖、ならびにこれらの誘導体であり、但し、親である単糖類は、(潜在的に)カルボニル基を有する。単糖類としては、グリセルアルデヒドおよびジヒドロキシアセトンなどのトリオース、エリスロース、エリスルロースおよびトレオースなどのテトロース、アラビノース、リキソース、リボース、リブロース、キシロース、キシルロースなどのペントース、アロース、アルトロース、フルクトース、フコース、ガラクトース、グルコース、グロース、イドース、マンノース、プシコース、ラムノース、ソルボース、タガトース、タロースおよびトレハロースなどのヘプトース、セドヘプツロースおよびマンノヘプツロースなどのオクトース、オクツロースおよび2-ケト-3-デオキシ-マンノ-オクトネートなどのオクトース、シアロースなどのノノース、ならびにデコースが挙げられる。オリゴ糖類は、少なくとも2つの単糖単位がグリコシド結合によって接続している化合物である。単位の数に従って、オリゴ糖類は、二糖類、三糖類、四糖類、五糖類、六糖類、七糖類、八糖類、九糖類、十糖類などと称される。オリゴ糖は、非分枝状、分枝状、または環状であってもよい。一般的な二糖類としては、限定されないが、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、セロビオース、ゲンチオビオース、コージビオース、ラミナリビオース、マンノビオース、メリビオース、ニゲロース、ルチノース、およびキシロビオースが挙げられる。一般的な三糖類としては、限定されないが、ラフィノース、アカルボース、マルトトリオース、およびメレジトースが挙げられる。糖賦形剤の特定の使用の他の非限定的な例は、例えば、Ansel(上記)(1999)、Gennaro(上記)(2000)、Hardman(上記)(2001)、およびRowe(上記)(2003)に見出すことができ、それらの各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0198】
一実施形態において、クロストリジウム毒素活性成分医薬組成物は、糖を含む。この実施形態の態様において、クロストリジウム毒素活性成分医薬組成物は、単糖類を含む。この実施形態の他の態様において、クロストリジウム毒素活性成分医薬組成物は、二糖類、三糖類、四糖類、五糖類、六糖類、七糖類、八糖類、九糖類、または十糖類を含む。この実施形態のさらに他の態様において、クロストリジウム毒素活性成分医薬組成物は、2~10個の単糖単位を含むオリゴ糖を含む。
【0199】
任意の量の糖が、本明細書に開示されるクロストリジウム毒素活性成分医薬組成物を製剤化するのに有用であり、但し、治療有効量のクロストリジウム毒素活性成分が、この糖量を用いて回収されることが想定される。この実施形態の態様において、製剤に添加される糖の量は、約0.1%(w/w)、約0.5%(w/w)、約1.0%(w/w)、約1.5%(w/w)、約2.0%(w/w)、約2.5%(w/w)、約3.0%(w/w)、約3.5%(w/w)、約4.0%(w/w)、約4.5%(w/w)、約5.0%(w/w)、約5.5%(w/w)、約6.0%(w/w)、約6.5%(w/w)、約7.0%(w/w)、約7.5%(w/w)、約8.0%(w/w)、約8.5%(w/w)、約9.0%(w/w)、約9.5%(w/w)、約10%(w/w)、約15%(w/w)、約20%(w/w)、約25%(w/w)、約30%(w/w)、または約35%(w/w)である。この実施形態の他の態様において、製剤に添加される糖の量は、少なくとも0.1%(w/w)、少なくとも0.5%(w/w)、少なくとも1.0%(w/w)、少なくとも1.5%(w/w)、少なくとも2.0%(w/w)、少なくとも2.5%(w/w)、少なくとも3.0%(w/w)、少なくとも3.5%(w/w)、少なくとも4.0%(w/w)、少なくとも4.5%(w/w)、少なくとも5.0%(w/w)、少なくとも5.5%(w/w)、少なくとも6.0%(w/w)、少なくとも6.5%(w/w)、少なくとも7.0%(w/w)、少なくとも7.5%(w/w)、少なくとも8.0%(w/w)、少なくとも8.5%(w/w)、少なくとも9.0%(w/w)、少なくとも9.5%(w/w)、少なくとも10%(w/w)、少なくとも15%(w/w)、少なくとも20%(w/w)、少なくとも25%(w/w)、少なくとも30%(w/w)、または少なくとも35%(w/w)である。この実施形態のさらに他の態様において、製剤に添加される糖の量は、最大で0.1%(w/w)、最大で0.5%(w/w)、最大で1.0%(w/w)、最大で1.5%(w/w)、最大で2.0%(w/w)、最大で2.5%(w/w)、最大で3.0%(w/w)、最大で3.5%(w/w)、最大で4.0%(w/w)、最大で4.5%(w/w)、最大で5.0%(w/w)、最大で5.5%(w/w)、最大で6.0%(w/w)、最大で6.5%(w/w)、最大で7.0%(w/w)、最大で7.5%(w/w)、最大で8.0%(w/w)、最大で8.5%(w/w)、最大で9.0%(w/w)、最大で9.5%(w/w)、最大で10%(w/w)、最大で15%(w/w)、最大で20%(w/w)、最大で25%(w/w)、最大で30%(w/w)、または最大で35%(w/w)である。
【0200】
一実施形態において、本発明のクロストリジウム毒素活性成分医薬組成物は、二糖類を含む。一般的な二糖類としては、限定されないが、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、セロビオース、ゲンチオビオース、コージビオース、ラミナリビオース、マンノビオース、メリビオース、ニゲロース、ルチノース、およびキシロビオースが挙げられる。この実施形態の態様において、クロストリジウム毒素活性成分医薬組成物は、スクロースを含む。特定の一実施形態において、クロストリジウム毒素活性成分医薬組成物は、トレハロースを含む。この実施形態の態様において、製剤に添加される製剤に添加される二糖類の量は、約0.1%(w/w)、約0.5%(w/w)、約1.0%(w/w)、約1.5%(w/w)、約2.0%(w/w)、約2.5%(w/w)、約3.0%(w/w)、約3.5%(w/w)、約4.0%(w/w)、約4.5%(w/w)、約5.0%(w/w)、約5.5%(w/w)、約6.0%(w/w)、約6.5%(w/w)、約7.0%(w/w)、約7.5%(w/w)、約8.0%(w/w)、約8.5%(w/w)、約9.0%(w/w)、約9.5%(w/w)、約10%(w/w)、約15%(w/w)、約20%(w/w)、約25%(w/w)、約30%(w/w)、または約35%(w/w)である。
【0201】
本発明の医薬組成物の態様は、一部には、界面活性剤を提供する。任意の界面活性剤が、本明細書に開示されるクロストリジウム毒素活性成分医薬組成物を製剤化するのに有用であり、但し、治療有効量のクロストリジウム毒素活性成分が、この界面活性剤量を用いて回収されることが想定される。界面活性剤の非限定的な例としては、ポリソルベート20(TWEEN(商標登録)20)、ポリソルベート40(TWEEN(商標登録)40)、ポリソルベート60(TWEEN(商標登録)60)、ポリソルベート61(TWEEN(商標登録)61)、ポリソルベート65(TWEEN(商標登録)65)、ポリソルベート80(TWEEN(商標登録)80)、およびポリソルベート81(TWEEN(商標登録)81)などのポリソルベート、Poloxamer 124(PLURONIC(商標登録)L44)、Poloxamer 181(PLURONIC(商標登録)L61)、Poloxamer 182(PLURONIC(商標登録)L62)、Poloxamer 184(PLURONIC(商標登録)L64)、Poloxamer 188(PLURONIC(商標登録)F68)、Poloxamer 237(PLURONIC(商標登録)F87)、Poloxamer 338(PLURONIC(商標登録)L108)、Poloxamer 407(PLURONIC(商標登録)F127)などのポロキサマー(ポリエチレン-ポリプロピレンコポリマー)、BRIJ(商標登録)30、およびBRIJ(商標登録)35などのポリオキシエチレングリコールドデシルエーテル、2-ドデコキシエタノール(LUBROL(登録商標)-PX)、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(TRITON(商標登録)X-100)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ソルトールHS15、3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホネート(CHAPS)、3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホネート(CHAPSO)、スクロースモノラウレート、またはコール酸ナトリウムが挙げられる。界面活性剤賦形剤の他の非限定的な例は、例えば、Ansel(上記)(1999)、Gennaro(上記)(2000)、Hardman(上記)(2001)、およびRowe(上記)(2003)に見出すことができ、それらの各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0202】
したがって、一実施形態において、クロストリジウム毒素活性成分医薬組成物は、界面活性剤を含む。この実施形態の態様において、クロストリジウム毒素活性成分医薬組成物は、ポリソルベート、ポロキサマー、ポリオキシエチレングリコールドデシルエーテル、2-ドデコキシエタノール、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ドデシル硫酸ナトリウム、3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホネート、3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホネート、スクロースモノラウレート、およびコール酸ナトリウムを含む。
【0203】
任意の量の界面活性剤が、本明細書に開示されるクロストリジウム毒素活性成分医薬組成物を製剤化するのに有用であり、但し、治療有効量のクロストリジウム毒素活性成分が、この界面活性剤量を用いて回収されることが想定される。この実施形態の態様において、製剤に添加される界面活性剤の量は、約0.01%(w/w)、約0.02%(w/w)、約0.03%(w/w)、約0.04%(w/w)、約0.05%(w/w)、約0.06%(w/w)、約0.07%(w/w)、約0.08%(w/w)、約0.09%(w/w)、約0.1%(w/w)、約0.5%(w/w)、約1.0%(w/w)、約1.5%(w/w)、約2.0%(w/w)、約2.5%(w/w)、約3.0%(w/w)、約3.5%(w/w)、約4.0%(w/w)、約4.5%(w/w)、約5.0%(w/w)、約5.5%(w/w)、約6.0%(w/w)、約6.5%(w/w)、約7.0%(w/w)、約7.5%(w/w)、約8.0%(w/w)、約8.5%(w/w)、約9.0%(w/w)、約9.5%(w/w)、約10%(w/w)、約15%(w/w)、約20%(w/w)、約25%(w/w)、約30%(w/w)、または約35%(w/w)である。この実施形態の他の態様において、製剤に添加される界面活性剤の量は、少なくとも0.01%(w/w)、少なくとも0.02%(w/w)、少なくとも0.03%(w/w)、少なくとも0.04%(w/w)、少なくとも0.05%(w/w)、少なくとも0.06%(w/w)、少なくとも0.07%(w/w)、少なくとも0.08%(w/w)、少なくとも0.09%(w/w)、少なくとも0.1%(w/w)、少なくとも0.5%(w/w)、少なくとも1.0%(w/w)、少なくとも1.5%(w/w)、少なくとも2.0%(w/w)、少なくとも2.5%(w/w)、少なくとも3.0%(w/w)、少なくとも3.5%(w/w)、少なくとも4.0%(w/w)、少なくとも4.5%(w/w)、少なくとも5.0%(w/w)、少なくとも5.5%(w/w)、少なくとも6.0%(w/w)、少なくとも6.5%(w/w)、少なくとも7.0%(w/w)、少なくとも7.5%(w/w)、少なくとも8.0%(w/w)、少なくとも8.5%(w/w)、少なくとも9.0%(w/w)、少なくとも9.5%(w/w)、少なくとも10%(w/w)、少なくとも15%(w/w)、少なくとも20%(w/w)、少なくとも25%(w/w)、少なくとも30%(w/w)、または少なくとも35%(w/w)である。この実施形態のさらに他の態様において、製剤に添加される界面活性剤の量は、最大で0.01%(w/w)、最大で0.02%(w/w)、最大で0.03%(w/w)、最大で0.04%(w/w)、最大で0.05%(w/w)、最大で0.06%(w/w)、最大で0.07%(w/w)、最大で0.08%(w/w)、最大で0.09%(w/w)、最大で0.1%(w/w)、最大で0.5%(w/w)、最大で1.0%(w/w)、最大で1.5%(w/w)、最大で2.0%(w/w)、最大で2.5%(w/w)、最大で3.0%(w/w)、最大で3.5%(w/w)、最大で4.0%(w/w)、最大で4.5%(w/w)、最大で5.0%(w/w)、最大で5.5%(w/w)、最大で6.0%(w/w)、最大で6.5%(w/w)、最大で7.0%(w/w)、最大で7.5%(w/w)、最大で8.0%(w/w)、最大で8.5%(w/w)、最大で9.0%(w/w)、最大で9.5%(w/w)、最大で10%(w/w)、最大で15%(w/w)、最大で20%(w/w)、最大で25%(w/w)、最大で30%(w/w)、または最大で35%(w/w)である。
【0204】
いくつかの実施形態において、クロストリジウム毒素活性成分医薬組成物は、ポロキサマーを含む。本発明の医薬組成物とともに使用可能なポロキサマーとしては、Poloxamer 124(PLURONIC(登録商標)L44)、Poloxamer 181(PLURONIC(登録商標)L61)、Poloxamer 182(PLURONIC(登録商標)L62)、Poloxamer 184(PLURONIC(登録商標)L64)、Poloxamer 188(例えば、PLURONIC(登録商標)F68、KOLLIPHOR(登録商標)P 188)、Poloxamer 237(PLURONIC(登録商標)F87)、Poloxamer 338(PLURONIC(登録商標)L108)、Poloxamer 407(PLURONIC(登録商標)F127)が挙げられる。いくつかの実施形態において、ポロキサマー188は、より有利であり得る。
【0205】
いくつかの実施形態において、クロストリジウム毒素活性成分医薬組成物は、ポリソルベートを含む。本発明の医薬組成物とともに使用可能なポリソルベートとしては、ポリソルベート20(TWEEN(登録商標)20)、ポリソルベート40(TWEEN(登録商標)40)、ポリソルベート60(TWEEN(登録商標)60)、ポリソルベート61(TWEEN(登録商標)61)、ポリソルベート65(TWEEN(登録商標)65)、ポリソルベート80(TWEEN(登録商標)80)、およびポリソルベート81(TWEEN(登録商標)81)が挙げられる。いくつかの実施形態において、ポリソルベート20は、いくつかの他のポリソルベートよりも有利であり得る。
【0206】
本発明の医薬組成物の態様は、一部には、少なくとも酸化防止剤を提供する。酸化防止剤の非限定的な例としては、限定されないが、メチオニン、システイン、NAC、グルタチオニン、リポ酸、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、ビタミンEおよびTrolox Cを含む類似体、キレート化剤、例えば、EDTA(エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩)、EGTA(エチレングリコール-ビス(2-アミノエチルエーテル)-N,N,N’,N’-四酢酸)、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)、これらの類似体または誘導体、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。この実施形態の態様において、製剤に添加される酸化防止剤の量は、約0.01%(w/w)~約0.10%(w/w)の範囲である。
【0207】
本明細書に開示されるクロストリジウム毒素活性成分医薬組成物が、任意選択で、限定されないが、他の薬学的に許容される構成要素(または医薬構成要素)を含んでいてもよく、他の薬学的に許容される構成要素(または医薬構成要素)としては、限定されないが、緩衝液、防腐剤、等張性調整剤、塩、酸化防止剤、浸透圧調整剤、乳化剤、甘味剤、または香味剤などが含まれることがさらに想定される。得られる製剤が薬学的に許容されることを条件に、pHを調整するための様々な緩衝液および手段を使用して、本明細書に開示される医薬組成物を調製することができる。そのような緩衝液としては、限定されないが、酢酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、中性緩衝生理食塩水、およびリン酸緩衝生理食塩水が挙げられる。酸または塩基を使用して、必要に応じて医薬組成物のpHを調整できることが理解される。任意の緩衝化pHレベルが、クロストリジウム毒素活性成分医薬組成物を製剤化するのに有用な場合があり、但し、治療有効量のクロストリジウム毒素活性成分が、この有効なpHレベルを用いて回収されることが想定される。この実施形態の一態様において、有効なpHレベルは、少なくとも約pH5.0、少なくとも約pH5.5、少なくとも約pH6.0、少なくとも約pH6.5、少なくとも約pH7.0または約pH7.5である。この実施形態の別の態様において、有効なpHレベルは、最大で約pH5.0、最大で約pH5.5、最大で約pH6.0、最大で約pH6.5、最大で約pH7.0または最大で約pH7.5である。この実施形態のさらに別の態様において、有効なpHレベルは、約pH5.0~約pH8.0であり、有効なpHレベルは、約pH5.0~約pH7.0であり、有効なpHレベルは、約pH5.0~約pH6.0であり、約pH5.5~約pH8.0であり、有効なpHレベルは、約pH5.5~約pH7.0であり、有効なpHレベルは、約pH5.5~約pH5.0であり、約pH5.5~約pH7.5であり、有効なpHレベルは、約pH5.5~約pH6.5である。
【0208】
本明細書で開示される医薬組成物は、再構成されたとき、または注射時に、約5~8のpHを有することができる。特定の実施形態において、組成物は、8未満、例えば、7.9、または7.8、または7.7、または7.6、または7.5、または7.4、または7.3、または7.2、または7.1、または7.0、または6.9、または6.8、または6.7、または6.6、または6.5、または6.4、または6.3、または6.2、または6.1、または6.0、または5.9、または5.8、または5.7、または5.6、または5.5、または5.4、または5.3、または5.2、または5.1などのpHを有する。いくつかの実施形態において、pHは5~7の範囲である。
【0209】
任意の濃度の緩衝液が、クロストリジウム毒素活性成分医薬組成物を製剤化するのに有用な場合があり、但し、治療有効量のクロストリジウム毒素活性成分が、この有効な濃度の緩衝液を用いて回収されることが想定される。この実施形態の態様において、緩衝液の有効濃度は、少なくとも0.1mM、少なくとも0.2mM、少なくとも0.3mM、少なくとも0.4mM、少なくとも0.5mM、少なくとも0.6mM、少なくとも0.7mM、少なくとも0.8mM、または少なくとも0.9mMである。この実施形態の他の態様において、緩衝液の有効濃度は、少なくとも1.0mM、少なくとも2.0mM、少なくとも3.0mM、少なくとも4.0mM、少なくとも5.0mM、少なくとも6.0mM、少なくとも7.0mM、少なくとも8.0mM、または少なくとも9.0mMである。この実施形態のさらなる他の態様において、緩衝液の有効濃度は、少なくとも10mM、少なくとも20mM、少なくとも30mM、少なくとも40mM、少なくとも50mM、少なくとも60mM、少なくとも70mM、少なくとも80mM、または少なくとも90mMである。この実施形態のさらなる他の態様において、緩衝液の有効濃度は、少なくとも100mM、少なくとも200mM、少なくとも300mM、少なくとも400mM、少なくとも500mM、少なくとも600mM、少なくとも700mM、少なくとも800mM、または少なくとも900mMである。この実施形態のさらなる態様において、緩衝液の有効濃度は、最大で0.1mM、最大で0.2mM、最大で0.3mM、最大で0.4mM、最大で0.5mM、最大で0.6mM、最大で0.7mM、最大で0.8mM、または最大で0.9mMである。この実施形態のさらなる他の態様において、緩衝液の有効濃度は、最大で1.0mM、最大で2.0mM、最大で3.0mM、最大で4.0mM、最大で5.0mM、最大で6.0mM、最大で7.0mM、最大で8.0mM、または最大で9.0mMである。この実施形態のさらなる他の態様において、緩衝液の有効濃度は、最大で10mM、最大で20mM、最大で30mM、最大で40mM、最大で50mM、最大で60mM、最大で70mM、最大で80mM、または最大で90mMである。この実施形態のさらなる他の態様において、緩衝液の有効濃度は、最大で100mM、最大で200mM、最大で300mM、最大で400mM、最大で500mM、最大で600mM、最大で700mM、最大で800mM、または最大で900mMである。この実施形態のなおさらなる態様において、緩衝液の有効濃度は、約0.1mM~約900mM、0.1mM~約500mM、0.1mM~約100mM、0.1mM~約90mM、0.1mM~約50mM、1.0mM~約900mM、1.0mM~約500mM、1.0mM~約100mM、1.0mM~約90mM、または1.0mM~約50mMである。
【0210】
本明細書に記載の実施形態は、複数のボツリヌス毒素血清型、例えば、ボツリヌス毒素血清型A、B、C1、D、E、FおよびGからなる群から選択されるボツリヌス毒素血清型を含む組成物を用いて実施され得る。特定の実施形態において、精製されたボツリヌス毒素を使用することができる。他の実施形態において、修飾されたボツリヌス毒素を使用してもよい。
【0211】
いくつかの実施形態において、組成物は、任意選択で、NaClも含んでいてもよい。NaClは、特に好ましくは、ボツリヌス毒素と、トレハロースまたはスクロースと、ポロキサマー188と、メチオニンと、を含む組成物中に含まれてもよく、特に好ましくは、ボツリヌス毒素と、トレハロースまたはスクロースと、ポロキサマー188と、メチオニンと、を含む液体組成物中に含まれる。いくつかの凍結乾燥製剤において、NaClは、再構成ビヒクル中で等張化剤として機能してもよい。一実施形態において、NaClは、再構成ビヒクル中に0.9%(w/w)の量で存在してもよい。
【0212】
いくつかの実施形態において、クロストリジウム毒素活性成分医薬組成物は、凍結乾燥した(すなわち、凍結させて乾燥させた)か、または真空乾燥させた粉末として製剤化されてもよく、これらは、患者への投与前に、適切な流体、例えば、生理食塩水または水で再構成されてもよい。代替の実施形態において、医薬組成物は、水溶液または懸濁液として製剤化することができる。
【0213】
いくつかの実施形態において、固体クロストリジウム毒素活性成分医薬組成物は、ボツリヌス毒素と、非架橋ヒアルロン酸またはその塩(例えば、約450kDa~2.0MDa、例えば、450kDa~1.6MDa、約1.4~1.6MDa、および約1400~1600kDa)と、等張化剤および/または凍結乾燥保護剤と、ポロキサマーおよび/またはポリソルベートと、酸化防止剤と、を含む。いくつかの実施形態において、クロストリジウム毒素活性成分医薬組成物は、ボツリヌス毒素を含む。いくつかの実施形態において、クロストリジウム毒素活性成分医薬組成物は、トレハロースを含む。いくつかの実施形態において、クロストリジウム毒素活性成分医薬組成物は、ポロキサマー188またはポリソルベート20を含む。いくつかの実施形態において、組成物は、EDTA EGTA、DTPA、またはこれらの類似体を含む。代替の実施形態において、組成物は、メチオニンおよび/またはNACを含む。これらの代替の実施形態の態様において、組成物は、EDTA、EGTA、DTPA、またはこれらの類似体をさらに含む。いくつかの実施形態において、組成物は、緩衝剤をさらに含む。一実施形態において、組成物は、ヒスチジン緩衝液を含む。いくつかの実施形態において、二糖類、ポロキサマーおよび酸化防止剤の相対重量は、以下の範囲内である:トレハロース:1~15%、1~10%、または2~15%もしくは2~10%、ポロキサマー:0.5~8%または0.5~5%、メチオニン:0.01~5%、0.02~3%、0.05~1%、0.05~0.5%。いくつかの実施形態において、トレハロース、ポロキサマーおよびメチオニンの相対重量は、以下の範囲内である:トレハロース:1~15%、1~10%、または2~15%もしくは2~10%、ポロキサマー:0.5~8%または0.5~5%、メチオニン:0.01~5%、0.02~3%、0.05~1%、0.05~0.5%。いくつかの実施形態において、トレハロース、ポロキサマーおよびメチオニンの相対重量は、それぞれ、以下の範囲内である:1~10%、0.5~5%および0.1~0.3%。他の実施形態において、トレハロース、ポリソルベートおよびメチオニンの相対重量は、それぞれ、以下の範囲内である:1~15%、0.02%~0.06%および0.1~0.3%。他の実施形態において、トレハロース、ポリソルベートおよびメチオニンの相対重量は、それぞれ、以下の範囲内である:1~10%、0.02%~0.06%および0.1~0.3%。いくつかの実施形態において、EDTAまたはEDTA類似体の相対重量は、約0.01~0.10%である。いくつかの実施形態において、NACの相対重量は、0.01~0.5%の範囲である。
【0214】
これらの実施形態の態様において、クロストリジウム毒素活性成分医薬組成物は、固体(すなわち、凍結乾燥したか、または真空乾燥させた)組成物として製剤化される。いくつかの実施形態において、固体クロストリジウム医薬組成物は、凍結乾燥保護剤を含む。いくつかの実施形態において、好ましい凍結乾燥保護剤としては、スクロース、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、グルコース、またはこれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態において、固体医薬組成物は、0.01~0.5%の相対重量でNACを含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、EDTA、EGTA、DTPAまたはこれらの類似体をさらに含む。代替の実施形態において、固体医薬組成物は、メチオニンおよびEDTA、EGTA、DTPA、またはこれらの類似体を含む。
【0215】
一実施形態において、組成物は、ボツリヌス毒素A型と、1.2%(w/w)の非架橋ヒアルロン酸またはその塩(重量平均分子量が約1.58MDaである)と、8%(w/w)のトレハロースと、4%(w/w)のポロキサマー188と、0.2%(w/w)のメチオニンと、ヒスチジン緩衝液とからなる固体組成物である。一実施形態において、固体組成物は、患者への投与前にNaClを含む再構成ビヒクルを用いて再構成される。一実施形態において、NaClは、再構成ビヒクル中に0.9%(w/w)の量で存在してもよい。
【0216】
これらの実施形態の代替の態様において、クロストリジウム毒素活性成分医薬組成物は、液体として製剤化される。いくつかの実施形態において、液体医薬組成物は、トレハロース、スクロース、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール、グルコース、およびこれらの組み合わせから選択される等張化剤を含む。いくつかの実施形態において、液体医薬組成物は、0.1~0.5%の相対重量でNACを含む。いくつかの実施形態において、液体医薬組成物は、NACと、EDTA、EGTA、DTPA、およびこれらの類似体から選択されるキレート剤と、を含む。いくつかの実施形態において、液体医薬組成物は、ヒスチジン緩衝液を含む。いくつかの実施形態において、液体医薬組成物は、5~7のpHを有する。
【0217】
一実施形態において、組成物は、ボツリヌス毒素A型と、1.2%(w/w)の非架橋ヒアルロン酸またはその塩(重量平均分子量が約1.58MDaである)と、8%(w/w)のトレハロースと、4%(w/w)のポロキサマー188と、0.2%(w/w)のメチオニンと、ヒスチジン緩衝液pH6とからなる液体組成物である。
【0218】
治療方法
複数の実施形態において、疾患、障害、状態などを治療する方法であって、それを必要とする対象に対し、本明細書に記載の医薬組成物を、患者の機能を改善するのに十分な量で投与することを含む、方法が記載される。特定の実施形態において、疾患は、神経筋性の疾患であり、例えば、筋肉およびその神経制御に影響を与える疾患、例えば、過活動膀胱などである。特定の実施形態は、疼痛の治療、例えば、頭部痛、または背部痛、または筋肉痛などの治療に関する。特定の実施形態において、方法は、例えば、うつ病、不安症などを含む精神障害の治療を包含する。
【0219】
本明細書に記載の組成物および方法は、例えば、アカラシア、裂肛、アニスムス、眼瞼痙れん、脳性麻痺、頚部ジストニア、頸性頭痛、片側顔面痙れん、汗疱状湿疹、嚥下障害、発声障害、食道蠕動低下、食道の輪状筋肉(esophageal muscular ring)、内斜視(乳児)、アイリフト、顔面ミオキミア、歩行困難(特発性のつま先歩き)、全身性ジストニア、片側顔面痙れん、過緊張性の顔面の皺(眉間、額、目尻の小皺、下がった口角)、多汗症、失禁(特発性または神経性)、薬物乱用頭痛、偏頭痛、ミオクローヌス、例えば咬筋などが関与する筋肉質量または活動低下、筋筋膜性疼痛症候群、閉塞性の尿症状、膵管癒合不全膵炎、パーキンソン病、恥骨直腸筋症候群、手術による創傷のつっぱり減少、唾液分泌過多、唾液腺粘液腫、第六神経麻痺、痙縮、発話/発声障害、斜視、手術付加物(眼科)、遅発性ジスキネジー、顎関節症、緊張性頭痛、胸郭出口症候群、捻転性筋緊張異常、斜頸、トゥレット症候群、振戦、むち打ちに関連する頚部痛、疼痛、かゆみ、炎症、アレルギー、がんおよび良性腫瘍、熱、肥満、感染症、ウイルスおよび細菌、高血圧、心不整脈、血管攣縮、アテローム性動脈硬化症、内皮過形成、静脈血栓塞栓症、静脈瘤、アフタ性口内炎、唾液分泌過多、顎関節症、多汗症、臭汗症、尋常性ざ瘡、酒さ、色素過剰、過形成性瘢痕、ケロイド、タコおよび魚の目、皮膚の皺、過剰皮脂産生、乾癬、皮膚炎、アレルギー性鼻炎、鼻詰まり、後鼻漏、くしゃみ、耳垢、漿液および化膿性中耳炎、扁桃およびアデノイド増殖症、耳鳴り、めまい、空間識失調、嗄声、咳、睡眠時無呼吸、いびき、緑内障、結膜炎、ぶどう膜炎、斜視、グレーブス病、過剰な毛髪成長、脱毛、喘息、気管支炎、肺気腫、粘液産生、胸膜炎、血液凝固障害、骨髄増殖性障害、好酸球、好中球、マクロファージおよびリンパ球が関与する障害、免疫寛容および移植、自己免疫障害、嚥下障害、胃酸逆流、裂孔ヘルニア、胃炎および胃酸過多、下痢および便秘、痔、尿失禁、前立腺肥大、勃起不全、持続勃起症およびペロニー病、精巣上体炎、避妊、月経痙れん、早産予防、子宮内膜症および筋腫、関節炎、骨関節炎、リウマチ、滑液包炎、腱炎、腱滑膜炎、線維筋痛、発作性障害、痙縮、頭痛、および神経痛の治療、症状の減少、および/または予防に有用であり得る。
【0220】
特定の実施形態において、患者は、任意の90日間にわたって投与されるボツリヌス毒素は最大で360Uに制限される。
【0221】
神経/筋肉の状態の治療
一実施形態において、神経筋疾患は、多汗症である。多汗症を患う対象は、例えば、本明細書に記載の医薬組成物の治療あたり、腋窩あたり約59U、または腋窩あたり約58U、または腋窩あたり約57U、または腋窩あたり約56U、または腋窩あたり約55U、または腋窩あたり約54U、または腋窩あたり約53U、または腋窩あたり約52U、または腋窩あたり約51U、または腋窩あたり約50U、または腋窩あたり約49U、または腋窩あたり約48U、または腋窩あたり約47U、または腋窩あたり約46U、または腋窩あたり約45U、または腋窩あたり約44U、または腋窩あたり約43U、または腋窩あたり約42U、または腋窩あたり約41U、または腋窩あたり約40U、または腋窩あたり約39U、または腋窩あたり約38U、または腋窩あたり約37U、または腋窩あたり約36U、またはそれ以下を摂取する。一実施形態において、合計50Uを、およそ1~2cm離れた10~15部位に皮内注射する。
【0222】
一実施形態において、神経筋疾患は、片側顔面痙れんである。片側顔面痙れんを患う対象は、例えば、本明細書に記載の医薬組成物の治療あたり、約1.5~15Uを摂取する。さらなる例において、対象は、治療あたり、約1.5~3U、1.5~5U、1.5~7U、1.5~10U、1.5~12U、1.5~15U、5~10U、5~15U、または10~15Uを摂取し、片側顔面痙れんを有する患者に投与される。なおさらなる例において、対象は、治療あたり、約1.5U、約2U、約2.5U、約3U、約3.5U、約4U、約4.5U 約5U、約5.5U、約6U、約6.5U、約7U、約7.5U、約8U、約8.5U、約9U、約9.5U、約10U、約10.5U、約11U、約11.5U、約12U、約12.5U、約13U、約13.5U、約14U、約14.5U、または約15U摂取し、片側顔面痙れんを有する患者に投与される。治療あたり15Uより多くの投与量もまた、治療反応を達成するために片側顔面痙れんを有する患者に投与されてもよい。治療活動は、複数の治療を含むことができる。
【0223】
一実施形態において、神経筋疾患は、頚部ジストニアである。頚部ジストニアを患う対象は、例えば、本明細書に記載の医薬組成物の治療あたり、約15~300Uを摂取する。さらなる例において、対象は、約35~250U、65~200U、85~175U、105~160U、または125~145Uを摂取し、頚部ジストニアを有する患者に投与される。一実施形態において、胸鎖乳突筋への投与量は、100U以下に制限される。治療あたり300Uより多くの投与量もまた、治療反応を達成するために頚部ジストニアを有する患者に投与されてもよい。治療活動は、複数の治療を含むことができる。
【0224】
一実施形態において、神経筋疾患は、眼瞼痙れんである。眼瞼痙れんを患う対象は、例えば、上眼瞼の内側および外側の瞼板前部の眼輪筋と、下眼瞼の外側の瞼板前部の眼輪筋に注射される約1.25~2.5Uの本明細書に記載の医薬組成物を摂取する。さらなる例において、対象は、注射部位あたり、約1.5U、約1.6U、約1.7U、約1.8U、約1.9U、約2.0U、約2.1U、約2.2U、約2.3U、約2.4U、約2.5U、またはそれ以上を摂取する。治療活動は、複数の治療を含むことができる。
【0225】
一実施形態において、神経筋疾患は、斜視である。斜視を患う対象は、例えば、本明細書に記載の医薬組成物の注射部位あたり、約1.25~2.5Uを摂取する。さらなる例において、対象は、治療反応を達成するための注射部位あたり、約1.5U、約1.6U、約1.7U、約1.8U、約1.9U、約2.0U、約2.1U、約2.2U、約2.3U、約2.4U、約2.5U、またはそれ以上を摂取する。複数の実施形態において、より低い用量が、微小な偏位の治療に使用される。複数の実施形態において、20プリズム直径未満の垂直筋および水平筋の斜視は、注射部位あたり1.25~2.5Uで治療することができる。治療活動は、複数の治療を含むことができる。
【0226】
一実施形態において、神経筋疾患は、筋痙縮である。筋痙縮を患う対象は、例えば、本明細書に記載の医薬組成物の治療あたり、約20~200Uを摂取する。さらなる例において、対象は、治療あたり、約20~30U、20~40U、20~60U、20~80U、20~100U、20~125U、20~150U、または20~175Uを摂取し、筋痙縮を有する患者に投与される。なおさらなる例において、対象は、治療あたり、約20U、約25U、約30U、約35U、約40U、約45U、約50U、約55U、約60U、約65U、約70U、約75U、約80U、約85U、約90U、約95U、約100U、約105U、約110U、約115U、約120U、約125U、約130U、約135U、約140U、約145U、約150U、約155U、約160U、約165U、約170U、約175U、約180U、約185U、約190U、約195U、または約200Uを摂取し、筋痙縮を有する患者に投与される。一実施形態において、上腕二頭筋には、4つの注射部位に分割して100U~200Uを注射することができる。一実施形態において、橈側手根屈筋には、1つの注射部位に12.5U~50Uを注射することができる。一実施形態において、尺側手根屈筋には、1つの注射部位に12.5U~50Uを注射することができる。一実施形態において、深指屈筋には、1つの注射部位に30U~50Uを注射することができる。一実施形態において、浅指屈筋には、1つの注射部位に30U~50を注射することができる。治療あたり200Uより多くの投与量もまた、治療反応を達成するために筋痙縮を有する患者に投与されてもよい。治療活動は、複数の治療を含むことができる。
【0227】
疼痛の治療
別の実施形態において、疼痛を治療するための方法であって、それを必要とする対象に対し、本明細書に記載の医薬組成物を、疼痛を減らすのに十分な量で投与するステップを含む、方法。別の実施形態において、患者は、筋膜性疼痛、偏頭痛、緊張性頭痛、神経因性疼痛、顔面痛、腰痛、副鼻洞性頭痛、顎関節疾患と関連する疼痛、筋痙縮または頚部ジストニアと関連する疼痛、術後創部痛、または神経痛を患っている。治療活動は、複数の治療を含むことができる。
【0228】
一実施形態において、患者は、顔面痛を患っている。顔面痛を患う対象は、例えば、本明細書に記載の医薬組成物の治療あたり、約4~40Uを摂取する。さらなる例において、対象は、治療あたり、約4~10U、4~15U、4~20U、4~25U、4~30U、4~35U、7~15U、7~20U、7~25U、7~30U、7~35U、または7~40Uを摂取し、顔面痛を有する患者に投与される。なおさらなる例において、対象は、治療あたり、約4U、約5U、約7.5U、約10U、約12.5U、約15U、約17.5U、約20.0U、約22.5U、約25.0U、約27.5U、約30.0U、約32.5U、約35U、約37.5U、または約40U摂取し、顔面痛を有する患者に投与される。治療あたり40Uより多くの投与量もまた、治療反応を達成するために顔面痛を有する患者に投与されてもよい。治療活動は、複数の治療を含むことができる。
【0229】
一実施形態において、患者は、筋膜性疼痛を患っている。筋膜性疼痛を患う対象は、例えば、本明細書に記載の医薬組成物の治療あたり、約5~100Uを摂取する。さらなる例において、対象は、治療あたり、約5~10U、5~20U、5~30U、5~40単位、5~50単位、5~60単位、5~70単位、5~80単位、5~90U、10~20U、10~30U、10~50U、または10~60U、または10~70U、または10~80U、10~90U、または10~100Uを摂取し、筋膜性疼痛を有する患者に投与される。さらなる例において、対象は、治療あたり、約5U、約10U、約15U、約20U、約25U、約30U、約35U、約40U、約45U、約50U、約55U、約60U、約65U、約70U、約75U、約80U、約85U、約90U、約95U、または約100Uを摂取する。治療あたり100Uより多くの投与量もまた、治療反応を達成するために筋膜性疼痛を有する患者に投与されてもよい。治療活動は、複数の治療を含むことができる。
【0230】
一実施形態において、対象は、腰痛を患っている。腰痛を患う対象は、例えば、本明細書に記載の医薬組成物の治療あたり、約15~150Uを摂取する。さらなる例において、対象は、治療あたり、約15~30U、15~50U、15~75U、15~100U、15~125U、15~150U、20~100U、20~150U、または100~150Uを摂取する。なおさらなる例において、対象は、腰痛を軽減するための治療あたり、約15U、約20U、約25U、約30U、約35U、約40U、約45U、約50U、約55U、約60U、約65U、約70U、約75U、約80U、約85U、約90U、約95U、約100U、約105U、約110U、約115U、約120U、約125U、約130U、約135U、約140U、約145U、または約150Uを摂取する。治療あたり150Uより多くの投与量もまた、治療反応を達成するために腰痛を有する患者に投与されてもよい。治療活動は、複数の治療を含むことができる。
【0231】
一実施形態において、患者は、片頭痛を患っており、患者が、1ヶ月あたり4時間以上、15日以上の偏頭痛を患っているものを含む。片頭痛を患う対象は、例えば、本明細書に記載の医薬組成物の治療あたり、約0.5~200Uを摂取する。さらなる例において、対象は、偏頭痛を軽減するための治療あたり、約5~190U、15~180U、25~170U、35~160U、45~150U、55~140U、65~130U、75~120U、85~110U、または95~105Uを摂取する。治療活動は、複数の治療を含むことができる。
【0232】
例えば、治療部位あたり、約0.5U、約1.0U、約1.5U、約2.0U、約2.5U、約3.0U、約3.5U、約4.0U、約4.5U、約5.0U、約5.5U、約6.0U、約6.5U、約7.0U、約7.5U、約8.0U、約8.5U、約9.0U、約9.5U、約10.0U、約12U、約15U、約17U、約20U、約22U、約25U、約27U、約30U、約32U、約35U、約37U、約40U、約42U、約45U、約47U、または約50Uが、偏頭痛を有する患者に投与される。患者は、例えば、2部位、3部位、4部位、5部位、6部位、7部位、8部位、9部位、10部位、11部位、12部位、13部位、14部位、15部位、16部位、17部位、18部位、19部位、20部位、21部位、22部位、23部位、24部位、25部位、26部位、27部位、28部位、29部位、30部位、31部位、32部位、またはそれ以上などの複数の部位で治療することができる。一実施形態において、偏頭痛を患っている患者に、皺眉筋(各々5Uを2回注射)、鼻根筋(5Uを1回注射)、前頭筋(各々5Uを4回注射)、側頭筋(各々5Uを8回注射)、後頭筋(各々5Uを6回注射)、傍脊柱筋群(各々5Uを4回注射)、および僧帽筋(各々5Uを6回注射)を介して、0.1mL注射あたり5Uを31回注射する。正中線に注射することができる鼻根筋を除き、全ての筋肉は、特定の実施形態において、注射部位の半分を頭頚部の左側に、半分を頭頚部の右側に、左右対称に注射することができる。治療あたり200Uより多くの投与量もまた、治療反応を達成するために偏頭痛を有する患者に投与されてもよい。治療活動は、複数の治療を含むことができる。
【0233】
一実施形態において、患者は、副鼻洞性頭痛を患っている。副鼻洞性頭痛を患う対象は、例えば、本明細書に記載の医薬組成物の治療あたり、約4~40Uを摂取する。さらなる例において、対象は、副鼻洞性頭痛を軽減するための治療あたり、約4~10U、4~15U、4~20U、4~25U、4~30U、4~35U、7~15U、7~20U、7~25U、7~30U、7~35U、または7~40Uを摂取する。なおさらなる例において、対象は、治療あたり、約4U、約5U、約7.5U、約10U、約12.5U、約15U、約17.5U、約20.0U、約22.5U、約25.0U、約27.5U、約30.0U、約32.5U、約35U、約37.5U、または約40Uを摂取する。治療あたり40Uより多くの投与量もまた、治療反応を達成するために副鼻洞性頭痛を有する患者に投与されてもよい。治療活動は、複数の治療を含むことができる。
【0234】
一実施形態において、患者は、緊張性頭痛を患っている。緊張性頭痛を患う対象は、例えば、本明細書に記載の医薬組成物の治療あたり、約5~50Uを摂取する。さらなる例において、治療あたり、約5~10U、5~15U、5~20U、5~25U、5~30U、5~35U、5~40U、5~45U、10~20U、10~25U、10~30U、10~35U、10~40U、または10~45Uが、緊張性頭痛を有する患者に投与される。なおさらなる例において、対象は、緊張性頭痛を軽減するために施される治療あたり、約5U、約10U、約20U、約25U、約30U、約35U、約40U、約45U、または約50Uを摂取する。一実施形態において、緊張性頭痛を患っている患者に、皺眉筋(各々5Uを2回注射)、鼻根筋(5Uを1回注射)、前頭筋(各々5Uを4回注射)、側頭筋(各々5Uを8回注射)、後頭筋(各々5Uを6回注射)、傍脊柱筋群(各々5Uを4回注射)、および僧帽筋(各々5Uを6回注射)を介して、0.1mL注射あたり5Uを31回注射する。正中線に注射することができる鼻根筋を除き、全ての筋肉は、特定の実施形態において、注射部位の半分を頭頚部の左側に、半分を頭頚部の右側に、左右対称に注射することができる。治療あたり200Uより多くの投与量もまた、治療反応を達成するために緊張性頭痛を有する患者に投与されてもよい。治療活動は、複数の治療を含むことができる。
【0235】
一実施形態において、患者は、急性または再発性の慢性副鼻腔炎と関連する副鼻洞性頭痛または顔面痛を患っている。例えば、本明細書に記載の医薬組成物を、鼻粘膜または副鼻腔を覆う皮下構造に投与することができ、製剤の投与によって、急性の再発性または慢性の副鼻腔炎と関連する頭痛および/または顔面痛を減らす。さらなる実施形態において、本明細書に記載の医薬製剤のいずれかを、鼻粘膜または副鼻腔を覆う皮下構造、例えば、篩骨洞、上顎洞、乳様蜂巣、前頭洞、および蝶形骨洞からなる群から選択される副鼻腔のうちの1つ以上を覆う皮下構造に投与することができる。別の実施形態において、副鼻腔を覆う皮下構造は、額、頬骨、側頭、後耳介、および唇からなる群から選択される領域のうちの1つ以上の中にある。複数の実施形態において、各々5Uの複数回の注射を投与して、急性または再発性の慢性副鼻腔炎と関連する副鼻洞性頭痛または顔面痛を治療する。
【0236】
別の実施形態において、急性または再発性の慢性副鼻腔炎と関連する副鼻洞性頭痛または顔面痛を患っている患者は、本明細書に記載の医薬製剤のいずれかを患者の罹患領域に投与することによって治療される。さらなる実施形態において、本明細書で開示される医薬製剤は、副鼻腔を支配する三叉神経の突起部に投与される。
【0237】
急性または再発性の慢性副鼻腔炎と関連する副鼻洞性頭痛または顔面痛を患っている患者は、多くは、鼻炎、副鼻腔過分泌および/または化膿性鼻汁を含む症状を示す。一実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物で治療される患者は、治療の前に、副鼻腔過分泌および化膿性鼻汁の症状を示す。
【0238】
本明細書で想定される実施形態は、急性または再発性の慢性副鼻腔炎と関連する副鼻洞性頭痛または顔面痛を患っている患者を治療するための方法を提供し、この対象は、神経痛を患っている。特定の実施形態において、神経痛は、三叉神経痛である。別の実施形態において、神経痛は、感覚神経に対する圧縮力に関連しており、内因性神経損傷、脱髄疾患、または遺伝障害に関連しており、代謝障害に関連しており、中枢神経血管疾患に関連しており、または外傷に関連している。別の実施形態において、疼痛は、抜歯または歯の矯正に関連している。
【0239】
泌尿器系障害の治療
一実施形態において、過活動膀胱(OAB)、例えば、神経学的状態に起因するもの(NOAB)、または特発性OAB(IOAB)を患っている患者を治療するための方法が提供される。例えば、本明細書に記載の医薬製剤を、膀胱またはその近傍、例えば、排尿筋に投与することができ、製剤の投与によって、過活動膀胱と関連する切迫性尿失禁を減らす。特定の実施形態において、投与量は、例えば、200U、またはそれ以上、またはそれ以下などであってもよい。例えば、投与量は、治療あたり、約15U、約20U、約25U、約30U、約35U、約40U、約45U、約50U、約55U、約60U、約65U、約70U、約75U、約80U、約85U、約90U、約95U、約100U、約105U、約110U、約115U、約120U、約125U、約130U、約135U、約140U、約145U、約150U、約160U、約170U、約180U、約190U、約200U、約210U、約220、約230U、約240U、またはそれ以上などであってもよい。患者に、例えば、2部位、3部位、4部位、5部位、6部位、7部位、8部位、9部位、10部位、11部位、12部位、13部位、14部位、15部位、16部位、17部位、18部位、19部位、20部位、21部位、22部位、23部位、24部位、25部位、26部位、27部位、28部位、29部位、30部位、31部位、32部位、33部位、34部位、35部位、36部位、37部位、38部位、またはそれ以上などの複数の部位で注射することができる。一実施形態において、OABを患っている患者は、排尿筋への注射あたり、およそ6.7Uの30回の1mL注射で治療される。
【0240】
一実施形態において、例えば、神経学的状態に起因して、神経因性排尿筋過活動(NDO)を患っている患者を治療するための方法が提供される。例えば、医薬製剤を膀胱またはその近傍、例えば、排尿筋に投与することができ、製剤の投与によって、過活動膀胱と関連する切迫性尿失禁を減らす。特定の実施形態において、投与量は、例えば、200U、またはそれ以上、またはそれ以下などであってもよい。例えば、投与量は、治療あたり、約15U、約20U、約25U、約30U、約35U、約40U、約45U、約50U、約55U、約60U、約65U、約70U、約75U、約80U、約85U、約90U、約95U、約100U、約105U、約110U、約115U、約120U、約125U、約130U、約135U、約140U、約145U、約150U、約160U、約170U、約180U、約190U、約200U、約210U、約220、約230U、約240U、またはそれ以上などであってもよい。患者には、例えば、2部位、3部位、4部位、5部位、6部位、7部位、8部位、9部位、10部位、11部位、12部位、13部位、14部位、15部位、16部位、17部位、18部位、19部位、20部位、21部位、22部位、23部位、24部位、25部位、26部位、27部位、28部位、29部位、30部位、31部位、32部位、またはそれ以上などの複数の部位で注射することができる。一実施形態において、NDOを患っている患者は、排尿筋への注射あたり、およそ6.7Uの30回の1mL注射で治療される。
【0241】
美容的特徴の治療
別の実施形態において、軟組織特徴を美容的に修正するための方法であって、本明細書に記載の少なくとも1つの医薬組成物を、この特徴を修正するのに十分な量で、それを必要とする対象に投与するステップを含む、方法が提供される。さらなる実施形態において、医薬組成物は、単一の病巣または複数の病巣のいずれかに、経皮または経粘膜注射によって投与される。
【0242】
複数の実施形態において、医薬製剤は、対象の顔または頚部に投与される。さらなる実施形態において、医薬製剤は、皺を減らすのに十分な量で対象に投与される。例えば、製剤を、眉の間および鼻梁における縦皺を減らすのに十分な量で、対象の眉の間に投与することができる。医薬製剤は、眼角にある皺を減らすのに十分な量で、対象の片眼または両眼のいずれかの近くに投与することもできる。一実施形態において、組成物は、滑らかな皮膚に局所的に注射することができる。別の実施形態において、医薬製剤は、対象の額の水平皺を減らすのに十分な量で、対象の額に投与することもできる。さらに別の実施形態において、医薬製剤は、頚部の筋帯を減らすのに十分な量で、対象の頚部に投与される。一実施形態において、医薬組成物は、筋肉を緩和させ、および/または咬筋の質量を減少させるために、咬筋に適用される。
【0243】
さらなる実施形態において、患者は、顔の皺を患っている。顔の皺を患っている対象は、例えば、医薬製剤の治療あたり約1~100Uを摂取することができる。さらなる例において、対象は、治療あたり、約1~10U、1~20U、1~30U、1~40U、1~50U、1~60U、1~70U、1~80U、1~90U、5~20U、5~30U、5~40U、5~50U、5~60U、5~70U、5~80U、5~90U、または5~100Uを摂取する。なおさらなる例において、対象は、治療あたり、約1U、約10U、約20U、約30U、約40U、約50U、約60U、約70U、約80U、約90U、または約100Uを摂取する。治療あたり100Uより多くの投与量もまた、治療反応を達成するために炎症または炎症性障害を患っている患者に投与されてもよい。
【0244】
炎症の治療
別の実施形態において、炎症を治療するための方法であって、本明細書に記載の医薬組成物を、炎症を減らすのに十分な量で、それを必要とする対象に投与するステップを含む、方法。特定の実施形態において、医薬製剤は、筋力低下を生じさせることなく患者に投与される。一実施形態において、医薬製剤は、炎症状態を有する患者に投与される。特定の実施形態において、炎症状態は、神経性炎症である。別の実施形態において、対象は、関節リウマチまたは胃腸炎症性疾患を患っている。
【0245】
さらなる実施形態において、患者は、炎症性障害を患っている。炎症性障害を患っている対象は、例えば、本明細書に記載の医薬組成物の治療あたり約1~100Uを摂取する。さらなる例において、対象は、治療あたり、約1~10U、1~20U、1~30U、1~40U、1~50U、1~60U、1~70U、1~80U、1~90U、5~20U、5~30U、5~40U、5~50U、5~60U、5~70U、5~80U、5~90U、または5~100Uを摂取する。なおさらなる例において、対象は、治療あたり、約1U、約10U、約20U、約30U、約40U、約50U、約60U、約70U、約80U、約90U、または約100Uを摂取する。治療あたり100Uより多くの投与量もまた、治療反応を達成するために炎症または炎症性障害を患っている患者に投与されてもよい。
【0246】
皮膚状態の治療
皮膚障害を治療するための方法は、ボツリヌスニューロトキシンを、患者の皮膚障害の位置、例えば、患者の顔、手、または足などに局所投与するステップを含んでいてもよい。このニューロトキシンは、約10-3単位/患者の体重(kg)~約35単位/患者の体重(kg)の量で局所投与することができる。例えば、このニューロトキシンは、約10-2単位/患者の体重(kg)~約25単位/患者の体重(kg)の量で局所投与される。さらなる例において、このニューロトキシンは、約10-1単位/kg~約15単位/kgの量で投与される。1つの方法において、このニューロトキシンは、本明細書に記載の組成物中、約1U/kg~約10U/kgの量で局所投与される。臨床的な設定において、皮膚障害を効果的に治療するために、1U~3000Uのニューロトキシン、例えば、ボツリヌス毒素A型またはB型を、局部適用または皮下投与によって皮膚障害の位置に投与することが有利な場合がある。
【0247】
ボツリヌス毒素の投与は、皮膚の複数の部位で行われてもよく、隣接する注射部位は、約0.1~10cm、または約0.5~約5cm、例えば、約1.5~約3cm離れている。毒素は、ボツリヌス毒素A、B、C、D、E、F、G、またはモザイク毒素のうちのいずれかであり得る。投与される量は、製造業者の仕様、毒素の種類、および投与様式に応じて、0.1~1000U、または約1~約40、または約5~約10Uで変動し得る。所望の変化を維持するためのこれらの投与の繰り返し時間範囲は、注射される位置、調節される状態、および患者の状態に実質的に従って変動する。したがって、繰り返し時間は、約1週間~約50週間で変動し得るが、一般的な範囲は、約4~約25週間、またはさらには約12週間~約16週間である。
【0248】
投与部位(例えば注射部位)間の距離は、約1mm~約10cm、好適には約5mm~約5cm、より通常は約1cm~約3cmで変動し得る。したがって、例えばボツリヌスAを、約0.5~約10cm離して、約0.1~約10Uの皮内注射によって好適に投与し得る。
【0249】
別の実施形態において、皮膚障害を治療するための方法であって、本明細書に記載の医薬組成物を、皮脂分泌または粘膜分泌を減らすのに十分な量で、それを必要とする対象に投与するステップを含む、方法が提供される。さらなる実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物は、筋力低下を生じさせることなく患者に投与される。特定の実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物は、眼瞼または結膜のうちの1つ以上の部位に注射される。別の実施形態において、製剤は、身体表面に投与される。
【0250】
別の実施形態において、医薬製剤は、皮膚細菌または真菌(限定されないが、Staphylococcus、StreptococcusおよびMoraxellaが挙げられる)の増殖を減らすのに十分な量で投与される。例えば、本明細書に記載の医薬組成物は、皮膚感染を軽減するために、眼瞼、頭皮、足、鼠径部、および腋窩からなる群から選択される領域に投与される。
【0251】
うつ病の治療
別の実施形態において、うつ病を治療するための方法が提供される。うつ病は、精神医学のためのハンドブック、例えば、American Psychiatric Association、ワシントンD.C.(1994)によって公開されたDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders 4th edition(DSM-IV)に与えられる基準に従って定義され、別個に診断される、認識されているうつ病の形態の一般的な用語である。DSM-IVにおいて、うつ病性障害は、気分障害の下に分類されており、大うつ病性障害、気分変調障害、および特に明記されていないうつ病性障害(または「非定型」)の3種類に分けられる。一般に、うつ病性症候群が、メランコリー、非定型、またはこれら2つのある程度の混合状態であるか否かにかかわらず、抑圧された気分が存在し、または全ての活動における関心または快楽の喪失が少なくとも2週間存在するときに、大うつの診断が与えられる。
【0252】
うつ病は、多くの場合、運動活動の増加または遅延などの精神運動異常に関連する。多くのうつ病者は、顔の表情筋が、抑圧されているか、または悲しい表情に見える「うつ病顔」によっても認識することができる。例えば、眉がよせられ、眉の内側端部が上がり、顔の表情が認識可能に悲しく、および/または不安であるように、口の角度が下がる場合がある。前頭筋、鼻根筋、皺眉筋および眼輪筋といった4つの主要な筋肉群が、しかめ面に関与している(Weider et al.Derm Surg.24:1172-1174,1998)。皺眉筋は、「にらみ顔(scowl)」筋肉としても知られている。
【0253】
うつ病と診断されたか、またはうつ病エピソードを経験している対象は、本明細書に記載の医薬組成物のいずれかを投与することによって治療される。さらなる実施形態において、本明細書で開示される医薬製剤は、皮下注射を介して患者に投与される。実施例10は、ボツリヌス毒素、トレハロース、ポロキサマー界面活性剤、およびメチオニンを含む組成物中の治療有効量のボツリヌス毒素を投与することによって、うつ病の一形態を有する人の治療を記載する。組成物は、しかめ面またはにらみ顔に関与する顔面筋に投与される。ニューロトキシンは、対象をしかめ面および/またはにらみ顔にする能力に影響を与え、それによって、うつ病を治療する。より一般的に、治療有効量のボツリヌス毒素Aを、前頭筋、鼻根筋、皺眉筋、眼輪筋、または口角下制筋(オトガイ三角筋)のうちの1つ以上に注射することができる。
【0254】
別の実施形態において、本方法は、本明細書に記載の組成物中の治療有効量のクロストリジウム毒素活性成分を、しかめ面、にらみ顔、または悲しい表情に関与する顔面筋に投与することを含む。クロストリジウム毒素活性成分は、顔面筋を部分的または完全に麻痺させ、それによって、対象をしかめ面および/またはにらみ顔にするか、または悲しい表情にする能力に影響を与え、それによって、うつ病を治療する。例えば、クロストリジウム毒素活性成分ボツリヌス毒素を、界面活性剤、酸化防止剤、および任意選択で等張性調整剤とともに含む治療有効量の組成物を、眼輪筋、前頭筋、鼻根筋、皺眉筋、または口角下制筋(オトガイ三角筋)のうちの1つ以上に注射することができる。特定の例において、ボツリヌス毒素Aを含む組成物は、眉間の上にある鼻根筋に注射される。他の投与点およびパラダイムは、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,758,872号に開示されている。
【0255】
本方法の他の実施形態において、単一エピソードまたは再発のいずれかの中等度から重度の大うつ病性障害(MDD)を有する成人対象は、治療のために想定され、MDD診断は、DSM-IV-TR基準に基づいている。一実施形態において、単回治療が想定され、他の実施形態において、単回の繰り返し治療が想定され、治療は、2~6、2~4,または3~6ヶ月の間隔で繰り返される。投与されるクロストリジウム毒素活性成分の量は、例えば、30Uまたは50Uであり、いくつかの実施形態において、用量は、複数の注射に分けられる。一実施形態において、複数の注射は、6であり、別の実施形態において、8である。一実施形態において、30Uが、額の眉間領域(鼻根筋および皺眉筋)に対する6回の注射に分けられる。一実施形態において、50Uが、額の眉間領域(鼻根筋および皺眉筋)に対する8回の注射に分けられる。
【0256】
有効な治療は、例えば、Montgomery-Asberg Depression Ratingスケールとして知られる臨床評価など、当該技術分野で知られている主要な有効性尺度によって示される。追加の有効性尺度:臨床CGI-Sスコア(Clinical Global Impression of Changeスコア)、臨床HAM-D17総スコア(Hamilton Rating Scale for Depression)。
【0257】
心不整脈の治療
別の実施形態において、心不整脈を治療するための方法が提供される。不整脈は、心臓の電気伝導系の正常な機能を妨害することによって引き起こされる。通常、心腔(心房と心室)は、協調的に収縮する。収縮する信号は、洞房結節で開始する電気インパルスであり、このインパルスは、心房を通って伝わり、心房を刺激して収縮させる。このインパルスは、房室結節を通過し、次いで、心室を通って伝わり、心室を刺激して収縮させる。伝導系に沿ってどこかで問題が発生し、種々の不整脈を引き起こす可能性がある。心筋自体に問題が生じ、収縮する信号に異なる応答を引き起こし、不整脈も引き起こすか、または正常な伝導系とは独立して心室を収縮させる場合もある。
【0258】
不整脈には、頻脈、徐脈、およびリズムが乱れた真の不整脈が挙げられる。不整脈は、心臓のポンプ機能の著しい低下を引き起こす場合、致死性に分類される。ポンプ機能が数秒より長く、著しく低下すると、血液循環が本質的に停止し、数分以内に臓器損傷(例えば脳損傷)が起こる場合がある。致死性不整脈には、心室細動、さらに急速かつ持続的な心室頻拍、または無脈が含まれ、他の不整脈の持続性エピソードが含まれ得る。さらなる種類の不整脈には、心房細動または粗動、多源性心房頻拍、発作性上室頻拍、ウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群、洞性頻脈、洞性徐脈、心臓ブロックに関連する徐脈、洞不全症候群、および異所性心拍が含まれる。
【0259】
したがって、心不整脈を治療するための方法が提供され、本方法は、治療有効量のクロストリジウム毒素活性成分を含む本明細書に記載の組成物を投与するステップを含み、本組成物は、心不整脈を有するか、または心不整脈のリスクがある患者の心臓に局所投与される。特に治療可能な不整脈としては、徐脈および頻脈が挙げられる。一実施形態において、組成物は局所投与され、このことは、治療される心筋に、その中に、またはその近傍に直接投与されることを意味する。局所投与としては、心膜内投与、心臓内カテーテル挿入、および組成物の直接心筋注射の投与経路が挙げられる。
【0260】
実施例4は、ボツリヌス毒素、トレハロース、ポロキサマー界面活性剤、およびNACを含む組成物中の治療有効量のボツリヌス毒素を投与することによって、心臓手術を受けている人の治療を記載する。一実施形態において、組成物は、心臓の1つ以上の心外膜脂肪への注射を介して投与される。投与される用量は、1つの例示的な実施形態において、総用量125Uまで、心外膜脂肪あたり25U。別の例示的な実施形態において、総用量250Uまで、心外膜脂肪あたり50Uが投与される。
【0261】
有効な治療は、例えば、4週間または治療後4週間のECGによって測定される、例えば、心房細動(AF)の発生率の例えば主要な有効性エンドポイントによって示される。さらなる有効性エンドポイントとしては、入院期間、ICUでの滞在期間、再入院率、抗凝固薬の使用、手術後心房細動のための介入手技(例えば、アブレーション、ペースメーカー移植、電気的または薬理学的なカーディオバージョン)の必要性が挙げられる。
【実施例0262】
以下の実施例は、本発明の組成物および方法の実施形態および態様を例示するものであり、その範囲を限定することを意図するものではない。
【0263】
実施例1
ボツリヌス毒素組成物を含有するヒアルロン酸(HA)の製造および試験
ボツリヌス毒素-ヒアルロン酸製剤を、異なる分子量および固有粘度のヒアルロン酸ナトリウムを以下のような異なる濃度で用いて調製した。種々の分子量および固有粘度の非架橋ヒアルロン酸ナトリウム粉末を、20mMのヒスチジン、pH6、8%のトレハロース、4%のポロキサマー188、および0.2%のメチオニンの溶液に溶解した。上の表1は、組成物中の構成要素および各構成要素の量をまとめたものである。各組成物の粘度を、Anton Parr Rheometerを用い、0.01/s~100/sまで様々な剪断速度で測定し、値は、0.1/秒の剪断速度、25℃で報告された。
【0264】
ボツリヌス毒素A型(BoNT/A)を含む溶液を、表1のそれぞれのヒアルロン酸組成物に混合し、種々の濃度のボツリヌス毒素を有する、ボツリヌス毒素と直鎖非架橋ヒアルロン酸の組成物を形成する。上の表2は、調製した組成物をまとめたものである。比較対照のために、非架橋ヒアルロン酸を含まないいくつかの組成物を調製した。組成物を2~8℃で約48時間保管して、インビボでの投薬の前に、捕捉された空気を散逸させた。
【0265】
実施例2
非架橋ヒアルロン酸を含む組成物中のボツリヌス毒素の持続時間の延長
実施例1で調製したボツリヌス毒素-ヒアルロン酸組成物と比較対照組成物を、ラットDAS(デジタル外転スコア)アッセイを用いてインビボで試験し、効果の持続時間を評価した。試験組成物または対照組成物を、25G針を使用して、ラットの前脛骨筋に筋肉内注射した(50μL)。ラットの麻痺を、0~4のスコアを使用してDAS応答によって評価し、4は、最大麻痺を表す。結果は、図1A~1Cに示される。
【0266】
実施例3
非架橋ヒアルロン酸存在下でのボツリヌス毒素の持続時間の延長
市販の製品BOTOX(登録商標)を使用して、粉末ボツリヌス毒素を、等張生理食塩水(0.9重量%の塩化ナトリウム)を用いて再構成することによって、ボツリヌス毒素血清型A溶液を調製した。このBoNT/A溶液を、対照として使用するためにシリンジに充填した。BoNT/A溶液を、20mMヒスチジン、pH6、8%トレハロース、4%ポロキサマー188、および0.2%メチオニンの中に1.2重量%の非架橋ヒアルロン酸ナトリウム(平均MWが1500kDa)を含む製剤とシリンジ混合した(上の表1を参照)。試験組成物および対照組成物を、25G針を使用して、ラットの前脛骨筋に筋肉内注射した注射した(50μL)。ラットの麻痺を、0~4のスコアを使用してDAS応答によって評価し、4は、最大麻痺を表す。結果を図2に示す。
【0267】
実施例4
心不整脈を治療するための方法
20mMのヒスチジン緩衝液(pH5.5)中のボツリヌス毒素A型(BoNT/A、50U)、1.2重量%のHAまたはその塩(重量平均分子量が約1.58MDa)、2重量%のトレハロース、4重量%のポロキサマーP188、0.3重量%のNACで構成される製剤が提供される。
【0268】
白人男性が心臓手術を受けている。外科手術の一部として、75Uのボツリヌス毒素の合計用量を提供するための再構成組成物の量は、男性の心臓の3つの心外膜脂肪への注射を介して投与するために均等に分割される。医療スタッフは、手術中または手術後に不整脈はないと報告している。
【0269】
本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、当業者によって多くの変更および改変がなされてもよい。したがって、記載されている実施形態は、例示目的でのみ掲載されており、実施形態は、以下の特許請求の範囲を制限するものと解釈されるべきではないと理解されなくてはならない。したがって、以下の特許請求の範囲は、文字どおりに示される要素の組み合わせだけではなく、実質的に同じ結果を得るために実質的に同じ方法で実質的に同じ機能を果たす全ての同等の要素を含むものであると読み取られる。このように、特許請求の範囲は、上に記載されているもの、概念的に同等であるもの、および本開示の概念を組み合わせたものを含むものと理解される。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-07-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書または図面に記載の発明。
【外国語明細書】