(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137954
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】造血幹細胞および造血前駆細胞の増殖システム
(51)【国際特許分類】
C12N 5/00 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
C12N5/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024099903
(22)【出願日】2024-06-20
(62)【分割の表示】P 2021519858の分割
【原出願日】2019-10-14
(31)【優先権主張番号】62/745,208
(32)【優先日】2018-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/854,250
(32)【優先日】2019-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】502221282
【氏名又は名称】ライフ テクノロジーズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100136249
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 貴光
(72)【発明者】
【氏名】セイ ジャネット
(72)【発明者】
【氏名】ベッカー アビゲイル
(72)【発明者】
【氏名】カウル ナヴジョット
(72)【発明者】
【氏名】ヴェムリ モハン
(57)【要約】
【課題】造血幹細胞(HSC)および他の初代細胞を増殖させるために有用な、化学的に定義された細胞培地を提供する。
【解決手段】幹細胞および/または初代細胞、特に造血幹細胞(HSC)の培養のための成長培地が、本明細書に記載され、この成長培地は、基本培地およびサプリメントを含み、培地および/またはサプリメントが、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、ならびに脂質、アミノ酸もしくはアミノ酸誘導体、抗酸化剤、および無機塩のうちの2つ以上を含む。さらに、成長培地を使用する方法、ならびに成長培地のキットおよび製剤が提供される。
【選択図】
図11D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基本培地およびサプリメントを含む造血幹細胞(HSC)の培養のための成長培地であって、前記培地および/またはサプリメントが、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、ならびに脂質、アミノ酸もしくはアミノ酸誘導体、抗酸化剤、および無機塩のうちの2つ以上を含む、成長培地。
【請求項2】
前記基本培地が、OPTMIZER(商標)CTS(商標)T細胞増殖無血清培地、ダルベッコの改変イーグル培地(DMEM)、イスコフの改変ダルベッコ培地(IMDM)、DMEM/F12、Advanced DMEM/F12、およびKNOCKOUT(商標)DMEM/F12から選択される、請求項1に記載の成長培地。
【請求項3】
前記HAT阻害剤が、2,6-ビス[(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン]シクロヘキサノン、MG149、C646、CPTH2、クルクミン、A-485、アナカルジン酸、MB-3、ならびにカルコン、例えば、ガルシノール、イソガルシノール、キサントフモール、イソキサントフモール、2-ヒドロキシカルコン、4-ヒドロキシカルコン、ヤクチノンA、およびイソリキリチゲニンから選択される、請求項1または2に記載の成長培地。
【請求項4】
前記HAT阻害剤が、0.001グラム/リットル(g/L)~1g/Lの濃度で存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の成長培地。
【請求項5】
前記HAT阻害剤が、0.001グラム/リットル(g/L)~0.005g/Lの濃度で存在する、請求項1~4のいずれか一項に記載の成長培地。
【請求項6】
前記HDAC阻害剤が、アピシジン、ベリノスタット、CI-994、CRA-024781、パノビノスタット、酪酸ナトリウム、フェニル酪酸ナトリウム、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(ボリノスタット)、トリコスタチンA、バルプロ酸ナトリウム(バルプロ酸)、ギビノスタット、MS-275、MGCD0103、およびスクリプタイドから選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の成長培地。
【請求項7】
前記HDAC阻害剤が、0.0005g/L~10g/Lの濃度で存在する、請求項1~6のいずれか一項に記載の成長培地。
【請求項8】
前記HDAC阻害剤が、0.01g/L~0.1g/Lの濃度で存在する、請求項1~7のいずれか一項に記載の成長培地。
【請求項9】
前記HDAC阻害剤およびHAT阻害剤が、1:1~1:30のHDAC阻害剤:HAT阻害剤の重量比である、請求項1~8のいずれか一項に記載の成長培地。
【請求項10】
前記無機塩が、銅塩、マグネシウム塩、セレナイト塩、カリウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、鉄塩、ナトリウム塩、およびこれらの組み合わせから選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の成長培地。
【請求項11】
前記脂質が、コレステロール、リノール酸、リノレン酸、オレイン酸、パルミチン酸、アラキドン酸、パルミトレイン酸、ミリスチン酸、およびこれらの組み合わせから選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載の成長培地。
【請求項12】
アルブミン、インスリン、トランスフェリン、インターロイキン3(IL-3)、インターロイキン6(IL-6)、幹細胞因子、Fms関連チロシンキナーゼ3リガンド、トロンボポエチン、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、およびこれらの組み合わせをさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の成長培地。
【請求項13】
前記抗酸化剤が、ポリフェノール、アスコルビン酸塩、およびカロテノイドから選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載の成長培地。
【請求項14】
前記培地が、動物由来の成分を含まない、請求項1~13のいずれか一項に記載の成長培地。
【請求項15】
前記培地が、血清を含まない、請求項1~14のいずれか一項に記載の成長培地。
【請求項16】
前記培地が、ゼノフリー培地である、請求項1~15のいずれか一項に記載の成長培地。
【請求項17】
基本培地およびサプリメントを含むキットであって、前記培地および/またはサプリメントが、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、ならびに脂質、アミノ酸もしくはアミノ酸誘導体、抗酸化剤、および無機塩のうちの2つ以上を含む、キット。
【請求項18】
前記サプリメントが、HAT阻害剤を含む、請求項17に記載のキット。
【請求項19】
前記サプリメントが、HDAC阻害剤を含む、請求項17または18に記載のキット。
【請求項20】
前記基本培地が、OPTMIZER(商標)CTS(商標)T細胞増殖無血清培地、ダルベッコの改変イーグル培地(DMEM)、イスコフの改変ダルベッコ培地(IMDM)、DMEM/F12、Advanced DMEM/F12、およびKNOCKOUT(商標)DMEM/F12から選択される、請求項17~19のいずれか一項に記載のキット。
【請求項21】
前記HAT阻害剤が、2,6-ビス[(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン]シクロヘキサノン、MG149、C646、CPTH2、クルクミン、A-485、アナカルジン酸、MB-3、ならびにカルコン、例えば、ガルシノール、イソガルシノール、キサントフモール、イソキサントフモール、2-ヒドロキシカルコン、4-ヒドロキシカルコン、ヤクチノンA、およびイソリキリチゲニンから選択される、請求項17~20のいずれか一項に記載のキット。
【請求項22】
前記HAT阻害剤が、0.001グラム/リットル(g/L)~0.01g/Lの濃度で存在する、請求項17~21のいずれか一項に記載のキット。
【請求項23】
前記HAT阻害剤が、0.001グラム/リットル(g/L)~0.005g/Lの濃度で存在する、請求項17~22のいずれか一項に記載のキット。
【請求項24】
前記HDAC阻害剤が、アピシジン、ベリノスタット、CI-994、CRA-024781、パノビノスタット、酪酸ナトリウム、フェニル酪酸ナトリウム、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(ボリノスタット)、トリコスタチンA、バルプロ酸ナトリウム(バルプロ酸)、ギビノスタット、MS-275、MGCD0103、およびスクリプタイドから選択される、請求項17~23のいずれか一項に記載のキット。
【請求項25】
前記HDAC阻害剤が、0.0005g/L~0.1g/Lの濃度で存在する、請求項17~24のいずれか一項に記載のキット。
【請求項26】
前記HDAC阻害剤が、0.01g/L~0.1g/Lの濃度で存在する、請求項17~25のいずれか一項に記載のキット。
【請求項27】
前記無機塩が、銅塩、マグネシウム塩、セレナイト塩、カリウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、鉄塩、ナトリウム塩、およびこれらの組み合わせから選択される、請求項17~26のいずれか一項に記載のキット。
【請求項28】
前記脂質が、コレステロール、リノール酸、リノレン酸、オレイン酸、パルミチン酸、アラキドン酸、パルミトレイン酸、ミリスチン酸、およびこれらの組み合わせから選択される、請求項17~27のいずれか一項に記載のキット。
【請求項29】
前記培地および/またはサプリメントが、アルブミン、インスリン、トランスフェリン、インターロイキン3(IL-3)、インターロイキン6(IL-6)、幹細胞因子、Fms関連チロシンキナーゼ3リガンド、トロンボポエチン、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、およびこれらの組み合わせをさらに含む、請求項17~28のいずれか一項に記載のキット。
【請求項30】
前記抗酸化剤が、ポリフェノール、アスコルビン酸塩、およびカロテノイドから選択される、請求項17~29のいずれか一項に記載のキット。
【請求項31】
前記培地およびサプリメントが、動物由来の成分を含まない、請求項17~30のいずれか一項に記載のキット。
【請求項32】
前記サプリメントが、1×を超える濃度である、請求項17~31のいずれか一項に記載のキット。
【請求項33】
前記サプリメントが、2倍~100倍の濃度である、請求項32に記載のキット。
【請求項34】
造血幹細胞(HSC)の培養のための成長培地サプリメントであって、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)阻害剤と、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤と、を含む、成長培地サプリメント。
【請求項35】
脂質、アミノ酸もしくはアミノ酸誘導体、抗酸化剤、および無機塩をさらに含む、請求項34に記載の成長培地サプリメント。
【請求項36】
前記HAT阻害剤が、2,6-ビス[(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン]シクロヘキサノン、MG149、C646、CPTH2、クルクミン、A-485、アナカルジン酸、MB-3、ならびにカルコン、例えば、ガルシノール、イソガルシノール、キサントフモール、イソキサントフモール、2-ヒドロキシカルコン、4-ヒドロキシカルコン、ヤクチノンA、およびイソリキリチゲニンから選択される、請求項34または35に記載の成長培地サプリメント。
【請求項37】
前記HAT阻害剤が、0.001グラム/リットル(g/L)~1g/Lの濃度で存在する、請求項34~36のいずれか一項に記載の成長培地サプリメント。
【請求項38】
前記HAT阻害剤が、0.001グラム/リットル(g/L)~0.005g/Lの濃度で存在する、請求項34~37のいずれか一項に記載の成長培地サプリメント。
【請求項39】
前記HDAC阻害剤が、アピシジン、ベリノスタット、CI-994、CRA-024781、パノビノスタット、酪酸ナトリウム、フェニル酪酸ナトリウム、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(ボリノスタット)、トリコスタチンA、バルプロ酸ナトリウム(バルプロ酸)、ギビノスタット、MS-275、MGCD0103、およびスクリプタイドから選択される、請求項34~38のいずれか一項に記載の成長培地サプリメント。
【請求項40】
前記HDAC阻害剤が、0.0005g/L~10g/Lの濃度で存在する、請求項34~39のいずれか一項に記載の成長培地サプリメント。
【請求項41】
前記HDAC阻害剤が、0.01g/L~0.1g/Lの濃度で存在する、請求項34~40のいずれか一項に記載の成長培地サプリメント。
【請求項42】
HDAC阻害剤およびHAT阻害剤を、1:1~1:30のHDAC阻害剤:HAT阻害剤の重量比で含む、請求項34~41のいずれか一項に記載の成長培地サプリメント。
【請求項43】
前記無機塩が、銅塩、マグネシウム塩、セレナイト塩、カリウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、鉄塩、ナトリウム塩、およびこれらの組み合わせから選択される、請求項34~42のいずれか一項に記載の成長培地サプリメント。
【請求項44】
前記脂質が、コレステロール、リノール酸、リノレン酸、オレイン酸、パルミチン酸、アラキドン酸、パルミトレイン酸、ミリスチン酸、およびこれらの組み合わせから選択される、請求項34~43のいずれか一項に記載の成長培地サプリメント。
【請求項45】
アルブミン、インスリン、トランスフェリン、インターロイキン3(IL-3)、インターロイキン6(IL-6)、幹細胞因子、Fms関連チロシンキナーゼ3リガンド、トロンボポエチン、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、およびこれらの組み合わせをさらに含む、請求項34~44のいずれか一項に記載の成長培地サプリメント。
【請求項46】
前記抗酸化剤が、ポリフェノール、アスコルビン酸塩、およびカロテノイドから選択される、請求項34~45のいずれか一項に記載の成長培地サプリメント。
【請求項47】
幹細胞を増殖させる方法であって、前記方法が、基本培地、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、ならびに脂質、アミノ酸もしくはアミノ酸誘導体、抗酸化剤、および無機塩のうちの2つ以上を含む成長培地中で、幹細胞を成長させることを含む、方法。
【請求項48】
前記幹細胞が、造血幹細胞(HSC)である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
CD34を発現するHSCが、培養の4~14日後に、20倍~350倍増殖される、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
CD34を発現するHSCが、培養の4~14日後に、50倍~350倍増殖される、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
CD34を発現するHSCが、培養の4~14日後に、80倍~350倍増殖される、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
CD34を発現するHSCが、培養の4~14日後に、100倍~350倍増殖される、請求項48に記載の方法。
【請求項53】
CD34を発現するHSCが、培養の7日後に、総有核細胞の少なくとも50%である、請求項48~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
CD34を発現するHSCが、培養の7日後に、総有核細胞の60%~90%である、請求項48~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
CD34+CD90+CD45RA-HSCが、培養の7日後に、総有核細胞の少なくとも5%に濃縮される、請求項48~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
CD34+CD90+CD45RA-HSCが、培養の7日後に、総有核細胞の少なくとも10%に濃縮される、請求項48~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記HAT阻害剤が、2,6-ビス[(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン]シクロヘキサノン、MG149、C646、CPTH2、クルクミン、A-485、アナカルジン酸、MB-3、ならびにカルコン、例えば、ガルシノール、イソガルシノール、キサントフモール、イソキサントフモール、2-ヒドロキシカルコン、4-ヒドロキシカルコン、ヤクチノンA、およびイソリキリチゲニンから選択される、請求項47~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記HAT阻害剤が、0.001グラム/リットル(g/L)~1g/Lの濃度で存在する、請求項47~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記HAT阻害剤が、0.001グラム/リットル(g/L)~0.005g/Lの濃度で存在する、請求項47~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記HDAC阻害剤が、アピシジン、ベリノスタット、CI-994、CRA-024781、パノビノスタット、酪酸ナトリウム、フェニル酪酸ナトリウム、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(ボリノスタット)、トリコスタチンA、バルプロ酸ナトリウム(バルプロ酸)、ギビノスタット、MS-275、MGCD0103、およびスクリプタイドから選択される、請求項47~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記HDAC阻害剤が、0.0005g/L~10g/Lの濃度で存在する、請求項47~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記HDAC阻害剤が、0.01g/L~0.1g/Lの濃度で存在する、請求項47~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記HDAC阻害剤およびHAT阻害剤が、前記成長培地中に、1:1~1:30のHDAC阻害剤:HAT阻害剤の重量比で存在する、請求項47~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記無機塩が、銅塩、マグネシウム塩、セレナイト塩、カリウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、鉄塩、ナトリウム塩、およびこれらの組み合わせから選択される、請求項47~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記脂質が、コレステロール、リノール酸、リノレン酸、オレイン酸、パルミチン酸、アラキドン酸、パルミトレイン酸、ミリスチン酸、およびこれらの組み合わせから選択される、請求項47~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記成長培地が、アルブミン、インスリン、トランスフェリン、インターロイキン3(IL-3)、インターロイキン6(IL-6)、幹細胞因子、Fms関連チロシンキナーゼ3リガンド、トロンボポエチン、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、およびこれらの組み合わせをさらに含む、請求項47~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記抗酸化剤が、ポリフェノール、アスコルビン酸塩、およびカロテノイドから選択される、請求項47~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
幹細胞を増殖させる方法であって、前記方法が、(i)ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)阻害剤と、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)と、を含むサプリメントを基本培地に添加して、成長培地を形成することと、(ii)幹細胞を前記成長培地中で成長させ、それによって前記幹細胞を増殖させることと、を含む、方法。
【請求項69】
前記成長培地が、脂質、アミノ酸もしくはアミノ酸誘導体、抗酸化剤、および無機塩を含む、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記HAT阻害剤が、2,6-ビス[(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン]シクロヘキサノン、MG149、C646、CPTH2、クルクミン、A-485、アナカルジン酸、MB-3、ならびにカルコン、例えば、ガルシノール、イソガルシノール、キサントフモール、イソキサントフモール、2-ヒドロキシカルコン、4-ヒドロキシカルコン、ヤクチノンA、およびイソリキリチゲニンから選択される、請求項68~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記HAT阻害剤が、0.001グラム/リットル(g/L)~1g/Lの濃度で存在する、請求項68~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記HAT阻害剤が、0.001グラム/リットル(g/L)~0.005g/Lの濃度で存在する、請求項68~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記HDAC阻害剤が、アピシジン、ベリノスタット、CI-994、CRA-024781、パノビノスタット、酪酸ナトリウム、フェニル酪酸ナトリウム、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(ボリノスタット)、トリコスタチンA、バルプロ酸ナトリウム(バルプロ酸)、ギビノスタット、MS-275、MGCD0103、およびスクリプタイドから選択される、請求項68~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記HDAC阻害剤が、0.0005g/L~10g/Lの濃度で存在する、請求項68~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記HDAC阻害剤が、0.01g/L~0.1g/Lの濃度で存在する、請求項68~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記HDAC阻害剤およびHAT阻害剤が、前記成長培地中に、1:1~1:30のHDAC阻害剤:HAT阻害剤の重量比で存在する、請求項68~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記無機塩が、銅塩、マグネシウム塩、セレナイト塩、カリウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、鉄塩、ナトリウム塩、およびこれらの組み合わせから選択される、請求項68~76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記脂質が、コレステロール、リノール酸、リノレン酸、オレイン酸、パルミチン酸、アラキドン酸、パルミトレイン酸、ミリスチン酸、およびこれらの組み合わせから選択される、請求項68~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記成長培地が、アルブミン、インスリン、トランスフェリン、インターロイキン3(IL-3)、インターロイキン6(IL-6)、幹細胞因子、Fms関連チロシンキナーゼ3リガンド、トロンボポエチン、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、およびこれらの組み合わせをさらに含む、請求項68~78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記抗酸化剤が、ポリフェノール、アスコルビン酸塩、およびカロテノイドから選択される、請求項68~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
対象から初代細胞を増殖させる方法であって、前記方法が、基本培地、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)阻害剤およびヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、ならびに脂質、アミノ酸もしくはアミノ酸誘導体、抗酸化剤、および無機塩のうちの2つ以上を含む成長培地中で、前記初代細胞を成長させることを含む、方法。
【請求項82】
前記初代細胞が、HSCである、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
療法を必要とする対象を治療する方法であって、前記方法が、
(a)造血幹細胞(HSC)を取得することと、
(b)基本培地、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)阻害剤およびヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、ならびに脂質、アミノ酸もしくはアミノ酸誘導体、抗酸化剤、および無機塩のうちの少なくとも2つを含む成長培地中で、前記HSCを増殖させることと、
(c)前記HSCを前記対象に導入し、それによって前記対象を治療することと、を含む、方法。
【請求項84】
前記HSCが、前記対象に由来する、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記HSCを前記対象に導入する前に、前記HSCを遺伝子改変することをさらに含む、請求項83または84に記載の方法。
【請求項86】
前記対象が造血器悪性腫瘍を有し、かつ/または化学療法を受けている、請求項83~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
前記対象が、ヒトである、請求項83~86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
前記療法が、がん、自己免疫疾患、または血液系疾患の治療である、請求項83~87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
幹細胞(SC)のゲノムを編集するための方法であって、前記方法が、
(a)請求項47~80のいずれか一項に記載の方法を使用して増殖されたSCを取得することと、
(b)前記幹細胞の前記ゲノムを編集することと、を含む、方法。
【請求項90】
前記ゲノムが、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼ、およびクラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(clustered regularly interspaced short palindromic repeat)(CRISPR)に関連するタンパク質から選択される1つ以上のゲノム編集試薬を使用して編集される、請求項に記載の方法。
【請求項91】
造血幹細胞(HSC)の集団の生着能を改善するための方法であって、前記方法が、
(a)HSCの集団を取得することと、
(b)請求項47~80のいずれか一項に記載の方法を使用して、前記HSCの集団を増殖させ、それにより、前記HSCの集団の生着能を改善することと、を含む、方法。
【請求項92】
療法を必要とする対象を治療する方法であって、前記方法が、
請求項47~80のいずれか一項に記載の方法を使用して増殖させた造血幹細胞(HSC)を取得することと、
前記HSCを前記対象に導入し、それによって前記対象を治療することと、を含む、方法。
【請求項93】
薬剤の調製のための、請求項47~80のいずれか一項に記載の方法に従って生成されたHSCの使用。
【請求項94】
対象を治療するための薬剤を使用するための、請求項47~80のいずれか一項に記載の方法を使用して増殖された造血幹細胞(HSC)。
【請求項95】
前記増殖が、基本培地、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)阻害剤およびヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、ならびに脂質、アミノ酸もしくはアミノ酸誘導体、抗酸化剤、および無機塩のうちの少なくとも2つを含む成長培地中で行われた、請求項94に記載のHSC。
【請求項96】
前記HSCが、増殖前に治療される前記対象に由来するものであった、請求項94または95に記載のHSC。
【請求項97】
前記HSCが、遺伝子改変されている、請求項94~96のいずれか一項に記載のHSC。
【請求項98】
前記薬剤が、がん、造血器悪性腫瘍、自己免疫疾患、または血液系疾患を治療するためのものであり、かつ/または化学療法を受けている、請求項94~97のいずれか一項に記載のHSC。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年5月29日に出願された米国仮出願第62/854,250号および2018年10月12日に出願された米国仮出願第62/745,208号の優先権および利益を主張するものである。前述の各出願の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
細胞培養培地は、制御された人工のインビトロ環境で細胞を維持および成長させるために必要な栄養素を提供する。細胞培養培地の特性および製剤は、特定の細胞要件に応じて異なる。重要なパラメータとしては、浸透圧、pH、および栄養素組成が挙げられる。
【0003】
細胞培養培地製剤は、文献に十分に文書化されており、多数の培地が市販されている。細胞培養培地の典型的な構成要素には、アミノ酸、有機および無機塩、ビタミン、微量金属、糖、脂質、および核酸が含まれ、それらの種類および量は、所与の種、細胞、または組織の種類の特定の要件に応じて異なる場合がある。
【0004】
多能性ヒト造血幹細胞/造血前駆細胞(HSPC、HSCとも呼ばれる)は、実験的移植、移植片研究の様々な用途に必要であり、骨髄系細胞(赤血球、マクロファージ、血小板)およびリンパ系細胞(例えば、T細胞およびB細胞)を含む全ての血液系統にさらに分化させるために必要である。CD34は、HSCの特定および単離に日常的に使用されるHSCのマーカーである。初代HSCの使用に対する主な制限は、HSCの単離に一般的に使用される臍帯血および末梢血などの組織に存在するCD34+細胞数が少ないことである。例えば、Bhattacharya et al.(2008)European Journal of Immunology 38(8):2060-2067;Notta et al.(2011)Science 333(6039):218-221;Doulatov et al.(2012)Cell Stem Cell 10(2):120-136を参照されたく、これらのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0005】
HSCおよび他の初代細胞を増殖させるために、特にHSCを長期的に再増殖させるとみなされる系統-CD34+CD90+CD45RA-CD49f+(CD34+CD90+CD45RA-)細胞の高比率を有するHSCの集団を取得するために有用な、化学的に定義された細胞培地が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
現在、エクスビボでCD34+細胞の数を増殖させる培地システムがある。しかしながら、市販の培地システムでは、造血幹細胞(HSC)の増殖は、結果として生じる細胞の大部分が短期HSCであり、存在する長期HSCが限られているという点で不均衡に発生する。本明細書に記載のいくつかの実施形態は、エクスビボで長期および短期の両方のヒトHSCを効果的に増殖させることができる培地システムに関する。加えて、本開示のいくつかの実施形態は、臍帯血、動員末梢血、および骨髄などの異なる組織源からのヒトHSCの増殖を可能にすることができる。製剤の実施形態は完全に開発されており、様々な具体化された培地で誘導または増殖されたHSCは、例えば、生化学的研究、トランスクリプトームを扱う研究、エピジェネティックな研究、および移植研究のうちの1つ以上に使用され得る。
【0007】
一態様では、成長培地が、基本培地およびサプリメントを含む造血幹細胞(HSC)の培養のために提供され、培地および/またはサプリメントは、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、ならびに脂質、アミノ酸もしくはアミノ酸誘導体、抗酸化剤、および無機塩のうちの2つ以上を含む。
【0008】
実施形態では、基本培地は、OPTMIZER(商標)CTS(商標)T細胞増殖無血清培地、ダルベッコの改変イーグル培地(DMEM)、イスコフの改変ダルベッコ培地(IMDM)、DMEM/F12、Advanced DMEM/F12、およびKNOCKOUT(商標)DMEM/F12から選択される。
【0009】
実施形態では、HAT阻害剤は、2,6-ビス[(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン]シクロヘキサノン、MG149、C646、CPTH2、クルクミン、A-485、アナカルジン酸、MB-3、ならびにカルコン、例えば、ガルシノール、イソガルシノール、キサントフモール、イソキサントフモール、2-ヒドロキシカルコン、4-ヒドロキシカルコン、ヤクチノンA、およびイソリキリチゲニンから選択される。ある特定の実施形態では、HAT阻害剤は、0.001グラム/リットル(g/L)~1g/Lの濃度で存在する。ある特定の実施形態では、前述のHAT阻害剤のそれぞれは、独立して、本明細書に記載される培地および/またはサプリメントから除外されてもよい。
【0010】
実施形態では、HDAC阻害剤は、アピシジン、ベリノスタット、CI-994、CRA-024781、パノビノスタット、酪酸ナトリウム、フェニル酪酸ナトリウム、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(ボリノスタット)、トリコスタチンA、バルプロ酸ナトリウム(バルプロ酸;VPA)、ギビノスタット、MS-275、MGCD0103、およびスクリプタイドから選択される。ある特定の実施形態では、HDAC阻害剤は、0.0005g/L~10g/Lの濃度で存在する。ある特定の実施形態では、前述のHDAC阻害剤のそれぞれは、独立して、本明細書に記載される培地および/またはサプリメントから除外されてもよい。
【0011】
実施形態では、HDAC阻害剤およびHAT阻害剤は、1:1~1:30のHDAC阻害剤:HAT阻害剤の重量比である。
【0012】
実施形態では、無機塩は、銅塩、マグネシウム塩、セレナイト塩、カリウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、鉄塩、ナトリウム塩、またはこれらの組み合わせから選択される。ある特定の実施形態では、前述の無機塩のそれぞれは、独立して、本明細書に記載される培地および/またはサプリメントから除外されてもよい。
【0013】
実施形態では、脂質は、コレステロール、リノール酸、リノレン酸、オレイン酸、パルミチン酸、アラキドン酸、パルミトレイン酸、ミリスチン酸、およびこれらの組み合わせから選択される。ある特定の実施形態では、前述の脂質のそれぞれは、独立して、本明細書に記載される培地および/またはサプリメントから除外されてもよい。
【0014】
実施形態では、成長培地はまた、アルブミン、インスリン、トランスフェリン、インターロイキン3(IL-3)、インターロイキン6(IL-6)、幹細胞因子、Fms関連チロシンキナーゼ3リガンド、トロンボポエチン、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、および/またはこれらの組み合わせも含む。ある特定の実施形態では、前述の追加の成分のそれぞれは、独立して、本明細書に記載される培地および/またはサプリメントから除外されてもよい。
【0015】
実施形態では、抗酸化剤は、ポリフェノール、アスコルビン酸塩、およびカロテノイドから選択される。実施形態では、ポリフェノールは、果実、ワイン、および茶に天然に見られるものから選択される。実施形態では、アスコルビン酸塩は、アスコルビン酸塩またはアスコルビン酸から選択される。実施形態では、カロテノイドは、ベータカロテン、アルファカロテン、およびリコピンから選択される。実施形態では、抗酸化剤は、DLリポ酸、酢酸DLトコフェロール、およびアスコルビン酸から選択される。
【0016】
実施形態では、培地は、動物に由来する成分を含まない。実施形態では、培地は、血清を含まない。実施形態では、培地は、ゼノフリー培地である。
【0017】
一態様では、キットが提供され、キットは、基本培地およびサプリメントを含み、培地および/またはサプリメントは、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、ならびに脂質、アミノ酸もしくはアミノ酸誘導体、抗酸化剤、および無機塩のうちの2つ以上を含む。実施形態では、サプリメントは、HAT阻害剤を含む。実施形態では、サプリメントは、HDAC阻害剤を含む。実施形態では、基本培地は、HAT阻害剤を含む。実施形態では、基本培地は、HDAC阻害剤を含む。
【0018】
一態様では、キットが提供され、キットは、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、基本培地、およびサプリメントを含み、培地および/またはサプリメントは、脂質、アミノ酸もしくはアミノ酸誘導体、抗酸化剤、および無機塩のうちの2つ以上を含む。実施形態では、キットの各構成要素(HAT阻害剤、HDAC阻害剤、サプリメント、および基本培地)は、別個の容器内のキットに存在する。実施形態では、任意の2つ以上の構成要素が、同じ容器内のキットに存在する。
【0019】
実施形態では、キット中のサプリメントは、1×を超える濃度である。本明細書で使用される場合、「1×」という用語は、作用濃度にある組成物を指す。すなわち、組成物は、使用に(例えば、HSCを成長させる)推奨される濃度である。実施形態では、キット中のサプリメントは2倍~100倍の濃度である。
【0020】
一態様では、成長培地サプリメントは、造血幹細胞(HSC)の培養のために提供され、成長培地サプリメントは、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)阻害剤およびヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を含む。実施形態では、成長培地サプリメントは、脂質、アミノ酸もしくはアミノ酸誘導体、抗酸化剤、および無機塩をさらに含む。実施形態では、成長培地サプリメントは、1:1~1:30のHDAC阻害剤:HAT阻害剤の重量比で、HDAC阻害剤およびHAT阻害剤を含む。
【0021】
一態様では、幹細胞を増殖(expand)させる方法が提供され、この方法は、本明細書に記載される成長培地中で幹細胞を成長させることを含む。
【0022】
実施形態では、幹細胞は、造血幹細胞(HSC)である。実施形態では、CD34を発現するHSCは、培養の4~14日後に、20倍~350倍増殖される。実施形態では、CD34を発現するHSCは、培養の4~14日後に、50倍~350倍増殖される。実施形態では、CD34を発現するHSCは、培養の4~14日後に、80倍~350倍増殖される。実施形態では、CD34を発現するHSCは、培養の4~14日後に、100倍~350倍増殖される。実施形態では、CD34を発現するHSCは、培養の7日後に、総有核細胞の少なくとも50%である。実施形態では、CD34を発現するHSCは、培養の7日後に、総有核細胞の60%~90%である。実施形態では、CD34+CD90+CD45RA-HSCは、培養の7日後に、総有核細胞の少なくとも5%に濃縮される。実施形態では、CD34+CD90+CD45RA-HSCは、培養の7日後に、総有核細胞の少なくとも10%に濃縮される。
【0023】
一態様では、幹細胞を増殖させる方法が提供され、この方法は、(i)ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)阻害剤と、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)と、を含むサプリメントを基本培地に添加して、成長培地を形成することと、(ii)幹細胞を成長培地中で成長させ、それによって幹細胞を増殖させることと、を含む。実施形態では、成長培地は、脂質、アミノ酸もしくはアミノ酸誘導体、抗酸化剤、および無機塩のうちの2つ以上をさらに含む。実施形態では、成長培地は、脂質、アミノ酸もしくはアミノ酸誘導体、抗酸化剤、および無機塩を含む。
【0024】
一態様では、対象から初代細胞を増殖させる方法が提供され、この方法は、基本培地、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)阻害剤およびヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、ならびに脂質、アミノ酸もしくはアミノ酸誘導体、抗酸化剤、および無機塩のうちの2つ以上を含む成長培地中で、初代細胞を成長させることを含む。実施形態では、成長培地は、脂質、アミノ酸もしくはアミノ酸誘導体、抗酸化剤、および無機塩を含む。実施形態では、初代細胞は、HSCである。実施形態では、初代細胞は、免疫細胞である。実施形態では、免疫細胞は、T細胞、B細胞、マクロファージ、NK細胞、樹状細胞、単球、および/または顆粒球である。実施形態では、増殖された初代細胞は、増殖された初代細胞を投与することを含む、それを必要とする患者を治療する方法で使用される。実施形態では、初代細胞は、増殖の前または後に遺伝子改変される。
【0025】
一態様では、療法を必要とする対象を治療する方法が提供され、この方法は、(a)造血幹細胞(HSC)を取得することと、(b)HAT阻害剤およびHDAC阻害剤を含む本明細書に記載される成長培地中でHSCを増殖させることと、(c)HSCを対象に導入し、それによって対象を治療することと、を含む。実施形態では、HSCは、対象に由来する。実施形態では、この方法は、HSCを対象に導入する前に、HSCを遺伝子改変することをさらに含む。実施形態では、対象は、造血器悪性腫瘍を有し、かつ/または化学療法を受けている。実施形態では、対象は、ヒトである。実施形態では、療法は、がん、自己免疫疾患、または血液系疾患の治療である。
【0026】
一態様では、幹細胞(SC)においてゲノムを編集するための方法が提供され、この方法は、(a)HAT阻害剤およびHDAC阻害剤を含む、本明細書に記載される成長培地中で増殖されたSCを取得することと、(b)幹細胞のゲノムを編集することと、を含む。実施形態では、ゲノムは、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼ、およびクラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(clustered regularly interspaced short palindromic repeat)(CRISPR)に関連するタンパク質から選択される1つ以上のゲノム編集試薬を使用して編集される。
【0027】
一態様では、本明細書で提供される方法に従って増殖されたHSCは、対象を治療するための薬剤の調製に使用される。いくつかの実施形態では、基本培地、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)阻害剤およびヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、ならびに脂質、アミノ酸もしくはアミノ酸誘導体、抗酸化剤、および無機塩のうちの少なくとも2つを含む成長培地を使用して増殖されたHSCは、それを必要とする対象を治療するための薬剤の調製に使用され得る。いくつかの実施形態では、HSCは、インビトロでの増殖の前に治療される対象に由来するものであった。
【0028】
一態様では、造血幹細胞(HSC)の集団の生着能を改善するための方法が提供され、この方法は、(a)HSCの集団を取得することと、(b)HAT阻害剤およびHDAC阻害剤を含む本明細書に記載の成長培地を使用してHSCの集団を増殖させ、それにより、HSCの集団の生着能を改善することと、を含む。
【0029】
一態様では、療法を必要とする対象を治療する方法が提供され、この方法は、(a)HAT阻害剤およびHDAC阻害剤を含む本明細書に記載される成長培地を使用して増殖された造血幹細胞(HSC)を取得することと、(b)HSCを対象に導入し、それによって対象を治療することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】CD34
+細胞の増殖のためのプロセスワークフローである。CD34
+細胞をHSC増殖培地中で増殖させ、総有核細胞(TNC)、生存率、表現型および機能を決定するために特性評価された。
【
図2A】臍帯血CD34
+細胞の増殖における既存の解決策の分析である。現在の解決策の代表的な結果は、HSCの最大の増加が増殖後7日で観察可能であることを示した。細胞の生存率は、7日目で最も高くなる(
図2A)。総有核細胞(TNC)の数は時間とともに増加する(
図2B)が、増殖させた細胞の集団中のCD34
+の割合は、HSCの分化のために減少する(
図2C)。しかしながら、CD34
+の増殖倍率は、増殖後7日目で最も高かった(
図2D)。CD34
+CD90
+CD45RA
-細胞の最高頻度は、5日目に観察された(TNCの割合として、
図2E)が、CD34
+CD90
+CD45RA
-細胞の数の最高増加倍率は、7日目に観察された(
図2F)。
【
図2B】臍帯血CD34
+細胞の増殖における既存の解決策の分析である。現在の解決策の代表的な結果は、HSCの最大の増加が増殖後7日で観察可能であることを示した。細胞の生存率は、7日目で最も高くなる(
図2A)。総有核細胞(TNC)の数は時間とともに増加する(
図2B)が、増殖させた細胞の集団中のCD34
+の割合は、HSCの分化のために減少する(
図2C)。しかしながら、CD34
+の増殖倍率は、増殖後7日目で最も高かった(
図2D)。CD34
+CD90
+CD45RA
-細胞の最高頻度は、5日目に観察された(TNCの割合として、
図2E)が、CD34
+CD90
+CD45RA
-細胞の数の最高増加倍率は、7日目に観察された(
図2F)。
【
図2C】臍帯血CD34
+細胞の増殖における既存の解決策の分析である。現在の解決策の代表的な結果は、HSCの最大の増加が増殖後7日で観察可能であることを示した。細胞の生存率は、7日目で最も高くなる(
図2A)。総有核細胞(TNC)の数は時間とともに増加する(
図2B)が、増殖させた細胞の集団中のCD34
+の割合は、HSCの分化のために減少する(
図2C)。しかしながら、CD34
+の増殖倍率は、増殖後7日目で最も高かった(
図2D)。CD34
+CD90
+CD45RA
-細胞の最高頻度は、5日目に観察された(TNCの割合として、
図2E)が、CD34
+CD90
+CD45RA
-細胞の数の最高増加倍率は、7日目に観察された(
図2F)。
【
図2D】臍帯血CD34
+細胞の増殖における既存の解決策の分析である。現在の解決策の代表的な結果は、HSCの最大の増加が増殖後7日で観察可能であることを示した。細胞の生存率は、7日目で最も高くなる(
図2A)。総有核細胞(TNC)の数は時間とともに増加する(
図2B)が、増殖させた細胞の集団中のCD34
+の割合は、HSCの分化のために減少する(
図2C)。しかしながら、CD34
+の増殖倍率は、増殖後7日目で最も高かった(
図2D)。CD34
+CD90
+CD45RA
-細胞の最高頻度は、5日目に観察された(TNCの割合として、
図2E)が、CD34
+CD90
+CD45RA
-細胞の数の最高増加倍率は、7日目に観察された(
図2F)。
【
図2E】臍帯血CD34
+細胞の増殖における既存の解決策の分析である。現在の解決策の代表的な結果は、HSCの最大の増加が増殖後7日で観察可能であることを示した。細胞の生存率は、7日目で最も高くなる(
図2A)。総有核細胞(TNC)の数は時間とともに増加する(
図2B)が、増殖させた細胞の集団中のCD34
+の割合は、HSCの分化のために減少する(
図2C)。しかしながら、CD34
+の増殖倍率は、増殖後7日目で最も高かった(
図2D)。CD34
+CD90
+CD45RA
-細胞の最高頻度は、5日目に観察された(TNCの割合として、
図2E)が、CD34
+CD90
+CD45RA
-細胞の数の最高増加倍率は、7日目に観察された(
図2F)。
【
図2F】臍帯血CD34
+細胞の増殖における既存の解決策の分析である。現在の解決策の代表的な結果は、HSCの最大の増加が増殖後7日で観察可能であることを示した。細胞の生存率は、7日目で最も高くなる(
図2A)。総有核細胞(TNC)の数は時間とともに増加する(
図2B)が、増殖させた細胞の集団中のCD34
+の割合は、HSCの分化のために減少する(
図2C)。しかしながら、CD34
+の増殖倍率は、増殖後7日目で最も高かった(
図2D)。CD34
+CD90
+CD45RA
-細胞の最高頻度は、5日目に観察された(TNCの割合として、
図2E)が、CD34
+CD90
+CD45RA
-細胞の数の最高増加倍率は、7日目に観察された(
図2F)。
【
図3】示された成長培地と比較した、細胞がHSC増殖培地中の培地±ガルシノールおよび/またはVPAで増殖されたときの、CD34
+HSCの増加(CD34
+の変化倍率として)を示す。
【
図4-1】HSC増殖培地または示された成長培地を使用して、基本培地±ガルシノールおよび/またはVPA中で増殖されたHSCについてのFACSグラフを示す。
【
図4-2】HSC増殖培地または示された成長培地を使用して、基本培地±ガルシノールおよび/またはVPA中で増殖されたHSCについてのFACSグラフを示す。
【
図4-3】HSC増殖培地または示された成長培地を使用して、基本培地±ガルシノールおよび/またはVPA中で増殖されたHSCについてのFACSグラフを示す。
【
図5】
図4のFACS分析に基づく、基本培地±ガルシノールおよび/またはVPA中での増殖後のCD34
+CD90
+CD45RA
-であるTNCの割合の棒グラフを示す。
【
図6A】
図6Aは、HSC増殖培地を使用して、HSCが基本培地±ガルシノールおよび/またはVPA中で増殖された場合の、示された成長培地と比較したTNCの増加倍率を示す。
図6Bは、HSC増殖培地を使用して、基本培地±ガルシノールおよび/またはVPA中で成長させた場合の、示された成長培地と比較した、CD34
+である総有核細胞の割合を示す。
【
図6B】
図6Aは、HSC増殖培地を使用して、HSCが基本培地±ガルシノールおよび/またはVPA中で増殖された場合の、示された成長培地と比較したTNCの増加倍率を示す。
図6Bは、HSC増殖培地を使用して、基本培地±ガルシノールおよび/またはVPA中で成長させた場合の、示された成長培地と比較した、CD34
+である総有核細胞の割合を示す。
【
図7A】表現型パフォーマンスデータの競合比較である。HSC培地中でのヒト動員末梢血(mPB)からのHSCの増殖は、CD34
+細胞の約100倍の増加を提供する。HSC培地中でのCD34
+mPBの増殖は、細胞が>80%の生存率を示しながら(
図7C)、CD34
+細胞(
図7A)およびTNC(
図7B)の有意に高いレベルの増殖をもたらした。増殖された細胞は、CD34
+CD90
+CD45RA
-長期HSC(
図7E)の有意に高いレベルを有する、>60%のCD34
+であった(
図7D)。示されたCD34
+およびCD34
+CD90
+CD45RA
-の割合は、総生TNC集団からのものである。3人のヒト単一ドナーから精製したCD34
+mPBを、HSC培地(HSC基本培地および50Xサプリメント)または3つの市販培地(全て成長因子(SCF、Flt3L、TPO、IL-3、およびIL-6)を補充した)中で培養した。細胞を7日間培養した後、Countess IIを使用して総有核細胞(TNC)および生存率を決定し、記載されるように表現型を評価した。エラーバーは、標準偏差を示す。
【
図7B】表現型パフォーマンスデータの競合比較である。HSC培地中でのヒト動員末梢血(mPB)からのHSCの増殖は、CD34
+細胞の約100倍の増加を提供する。HSC培地中でのCD34
+mPBの増殖は、細胞が>80%の生存率を示しながら(
図7C)、CD34
+細胞(
図7A)およびTNC(
図7B)の有意に高いレベルの増殖をもたらした。増殖された細胞は、CD34
+CD90
+CD45RA
-長期HSC(
図7E)の有意に高いレベルを有する、>60%のCD34
+であった(
図7D)。示されたCD34
+およびCD34
+CD90
+CD45RA
-の割合は、総生TNC集団からのものである。3人のヒト単一ドナーから精製したCD34
+mPBを、HSC培地(HSC基本培地および50Xサプリメント)または3つの市販培地(全て成長因子(SCF、Flt3L、TPO、IL-3、およびIL-6)を補充した)中で培養した。細胞を7日間培養した後、Countess IIを使用して総有核細胞(TNC)および生存率を決定し、記載されるように表現型を評価した。エラーバーは、標準偏差を示す。
【
図7C】表現型パフォーマンスデータの競合比較である。HSC培地中でのヒト動員末梢血(mPB)からのHSCの増殖は、CD34
+細胞の約100倍の増加を提供する。HSC培地中でのCD34
+mPBの増殖は、細胞が>80%の生存率を示しながら(
図7C)、CD34
+細胞(
図7A)およびTNC(
図7B)の有意に高いレベルの増殖をもたらした。増殖された細胞は、CD34
+CD90
+CD45RA
-長期HSC(
図7E)の有意に高いレベルを有する、>60%のCD34
+であった(
図7D)。示されたCD34
+およびCD34
+CD90
+CD45RA
-の割合は、総生TNC集団からのものである。3人のヒト単一ドナーから精製したCD34
+mPBを、HSC培地(HSC基本培地および50Xサプリメント)または3つの市販培地(全て成長因子(SCF、Flt3L、TPO、IL-3、およびIL-6)を補充した)中で培養した。細胞を7日間培養した後、Countess IIを使用して総有核細胞(TNC)および生存率を決定し、記載されるように表現型を評価した。エラーバーは、標準偏差を示す。
【
図7D】表現型パフォーマンスデータの競合比較である。HSC培地中でのヒト動員末梢血(mPB)からのHSCの増殖は、CD34
+細胞の約100倍の増加を提供する。HSC培地中でのCD34
+mPBの増殖は、細胞が>80%の生存率を示しながら(
図7C)、CD34
+細胞(
図7A)およびTNC(
図7B)の有意に高いレベルの増殖をもたらした。増殖された細胞は、CD34
+CD90
+CD45RA
-長期HSC(
図7E)の有意に高いレベルを有する、>60%のCD34
+であった(
図7D)。示されたCD34
+およびCD34
+CD90
+CD45RA
-の割合は、総生TNC集団からのものである。3人のヒト単一ドナーから精製したCD34
+mPBを、HSC培地(HSC基本培地および50Xサプリメント)または3つの市販培地(全て成長因子(SCF、Flt3L、TPO、IL-3、およびIL-6)を補充した)中で培養した。細胞を7日間培養した後、Countess IIを使用して総有核細胞(TNC)および生存率を決定し、記載されるように表現型を評価した。エラーバーは、標準偏差を示す。
【
図7E】表現型パフォーマンスデータの競合比較である。HSC培地中でのヒト動員末梢血(mPB)からのHSCの増殖は、CD34
+細胞の約100倍の増加を提供する。HSC培地中でのCD34
+mPBの増殖は、細胞が>80%の生存率を示しながら(
図7C)、CD34
+細胞(
図7A)およびTNC(
図7B)の有意に高いレベルの増殖をもたらした。増殖された細胞は、CD34
+CD90
+CD45RA
-長期HSC(
図7E)の有意に高いレベルを有する、>60%のCD34
+であった(
図7D)。示されたCD34
+およびCD34
+CD90
+CD45RA
-の割合は、総生TNC集団からのものである。3人のヒト単一ドナーから精製したCD34
+mPBを、HSC培地(HSC基本培地および50Xサプリメント)または3つの市販培地(全て成長因子(SCF、Flt3L、TPO、IL-3、およびIL-6)を補充した)中で培養した。細胞を7日間培養した後、Countess IIを使用して総有核細胞(TNC)および生存率を決定し、記載されるように表現型を評価した。エラーバーは、標準偏差を示す。
【
図8A】ロット間の表現型パフォーマンスデータである。HSC培地は、一貫したロット間パフォーマンスを示した。HSC培地の3つの異なるロットで増殖させたCD34
+mPBは、同等レベルのCD34
+細胞増殖(
図8A)、TNC増殖(
図8B)、生存率(
図8C)、CD34
+の%(
図8D)、およびCD34
+CD90
+CD45RA
-長期HSC(
図8E)を示した。3人のヒト単一ドナーから精製したCD34
+mPBを、3つの異なるロットのHSC培地(HSC基本培地および50Xサプリメント)(全て成長因子を補充)中で培養した。細胞を7日間培養した後、Countess IIを使用して総有核細胞(TNC)および生存率を決定し、
図9に記載されるように表現型を評価した。エラーバーは、標準偏差を示す。
【
図8B】ロット間の表現型パフォーマンスデータである。HSC培地は、一貫したロット間パフォーマンスを示した。HSC培地の3つの異なるロットで増殖させたCD34
+mPBは、同等レベルのCD34
+細胞増殖(
図8A)、TNC増殖(
図8B)、生存率(
図8C)、CD34
+の%(
図8D)、およびCD34
+CD90
+CD45RA
-長期HSC(
図8E)を示した。3人のヒト単一ドナーから精製したCD34
+mPBを、3つの異なるロットのHSC培地(HSC基本培地および50Xサプリメント)(全て成長因子を補充)中で培養した。細胞を7日間培養した後、Countess IIを使用して総有核細胞(TNC)および生存率を決定し、
図9に記載されるように表現型を評価した。エラーバーは、標準偏差を示す。
【
図8C】ロット間の表現型パフォーマンスデータである。HSC培地は、一貫したロット間パフォーマンスを示した。HSC培地の3つの異なるロットで増殖させたCD34
+mPBは、同等レベルのCD34
+細胞増殖(
図8A)、TNC増殖(
図8B)、生存率(
図8C)、CD34
+の%(
図8D)、およびCD34
+CD90
+CD45RA
-長期HSC(
図8E)を示した。3人のヒト単一ドナーから精製したCD34
+mPBを、3つの異なるロットのHSC培地(HSC基本培地および50Xサプリメント)(全て成長因子を補充)中で培養した。細胞を7日間培養した後、Countess IIを使用して総有核細胞(TNC)および生存率を決定し、
図9に記載されるように表現型を評価した。エラーバーは、標準偏差を示す。
【
図8D】ロット間の表現型パフォーマンスデータである。HSC培地は、一貫したロット間パフォーマンスを示した。HSC培地の3つの異なるロットで増殖させたCD34
+mPBは、同等レベルのCD34
+細胞増殖(
図8A)、TNC増殖(
図8B)、生存率(
図8C)、CD34
+の%(
図8D)、およびCD34
+CD90
+CD45RA
-長期HSC(
図8E)を示した。3人のヒト単一ドナーから精製したCD34
+mPBを、3つの異なるロットのHSC培地(HSC基本培地および50Xサプリメント)(全て成長因子を補充)中で培養した。細胞を7日間培養した後、Countess IIを使用して総有核細胞(TNC)および生存率を決定し、
図9に記載されるように表現型を評価した。エラーバーは、標準偏差を示す。
【
図8E】ロット間の表現型パフォーマンスデータである。HSC培地は、一貫したロット間パフォーマンスを示した。HSC培地の3つの異なるロットで増殖させたCD34
+mPBは、同等レベルのCD34
+細胞増殖(
図8A)、TNC増殖(
図8B)、生存率(
図8C)、CD34
+の%(
図8D)、およびCD34
+CD90
+CD45RA
-長期HSC(
図8E)を示した。3人のヒト単一ドナーから精製したCD34
+mPBを、3つの異なるロットのHSC培地(HSC基本培地および50Xサプリメント)(全て成長因子を補充)中で培養した。細胞を7日間培養した後、Countess IIを使用して総有核細胞(TNC)および生存率を決定し、
図9に記載されるように表現型を評価した。エラーバーは、標準偏差を示す。
【
図9】表現型分析ゲーティング戦略。HSC培地中で培養した増殖されたHSCの表現型特性評価。mPBから精製したCD34
+を、成長因子を含有するHSC培地中で培養した。細胞を7日間培養した後、フローサイトメトリーによってCD34、CD90、およびCD45RAの発現を評価した。ダブレットおよび死細胞を分析から除外し、ゲート特定CD34
+細胞およびCD90
+CD45RA
-細胞を、蛍光マイナスワン(FMO)対照に基づいて画定した。
【
図10】コロニー形成単位(CFU)アッセイデータ。HSC培地中で増殖させたCD34
+細胞は、インビトロ分化能を維持する。HSC培地中で増殖させたCD34
+mPBは、14日間の培養期間中に、顆粒球/赤芽球/単球/巨核球(GEMM)、赤芽球(E)、および顆粒球/単球(GM)コロニー形成細胞に分化することができた。2人のヒト単一ドナーから精製したCD34
+mPBを、成長因子を補充したHSC培地中で7日間培養した。続いて、増殖させたTNCを半固体培地中でさらに14日間培養し、コロニー形成細胞(CFC)を評価した。画像は、特定されたコロニーの例を示している。
【
図11A】HSC培地は、単一ドナーヒトCD34
+mPB細胞を増殖させる。HSC培地中で増殖させた3つのヒト単一ドナーCD34
+mPBは、全て、同等レベルのCD34
+細胞の増殖(
図11A)、TNC(
図11B)、生存率(
図11C)、CD34
+の%(
図11D)を示した。特に、CD34
+CD90
+CD45RA
-長期HSC(
図11E)の増殖レベルは、ドナー間で変動した。3人のヒト単一ドナーから精製したCD34
+mPBを、成長因子を補充したHSC培地中で培養した。細胞を7日間培養した後、Countess IIを使用して総有核細胞(TNC)および生存率を決定し、
図9に記載されるように表現型を評価した。エラーバーは、サンプル反復試験内の標準偏差を示している。
【
図11B】HSC培地は、単一ドナーヒトCD34
+mPB細胞を増殖させる。HSC培地中で増殖させた3つのヒト単一ドナーCD34
+mPBは、全て、同等レベルのCD34
+細胞の増殖(
図11A)、TNC(
図11B)、生存率(
図11C)、CD34
+の%(
図11D)を示した。特に、CD34
+CD90
+CD45RA
-長期HSC(
図11E)の増殖レベルは、ドナー間で変動した。3人のヒト単一ドナーから精製したCD34
+mPBを、成長因子を補充したHSC培地中で培養した。細胞を7日間培養した後、Countess IIを使用して総有核細胞(TNC)および生存率を決定し、
図9に記載されるように表現型を評価した。エラーバーは、サンプル反復試験内の標準偏差を示している。
【
図11C】HSC培地は、単一ドナーヒトCD34
+mPB細胞を増殖させる。HSC培地中で増殖させた3つのヒト単一ドナーCD34
+mPBは、全て、同等レベルのCD34
+細胞の増殖(
図11A)、TNC(
図11B)、生存率(
図11C)、CD34
+の%(
図11D)を示した。特に、CD34
+CD90
+CD45RA
-長期HSC(
図11E)の増殖レベルは、ドナー間で変動した。3人のヒト単一ドナーから精製したCD34
+mPBを、成長因子を補充したHSC培地中で培養した。細胞を7日間培養した後、Countess IIを使用して総有核細胞(TNC)および生存率を決定し、
図9に記載されるように表現型を評価した。エラーバーは、サンプル反復試験内の標準偏差を示している。
【
図11D】HSC培地は、単一ドナーヒトCD34
+mPB細胞を増殖させる。HSC培地中で増殖させた3つのヒト単一ドナーCD34
+mPBは、全て、同等レベルのCD34
+細胞の増殖(
図11A)、TNC(
図11B)、生存率(
図11C)、CD34
+の%(
図11D)を示した。特に、CD34
+CD90
+CD45RA
-長期HSC(
図11E)の増殖レベルは、ドナー間で変動した。3人のヒト単一ドナーから精製したCD34
+mPBを、成長因子を補充したHSC培地中で培養した。細胞を7日間培養した後、Countess IIを使用して総有核細胞(TNC)および生存率を決定し、
図9に記載されるように表現型を評価した。エラーバーは、サンプル反復試験内の標準偏差を示している。
【
図11E】HSC培地は、単一ドナーヒトCD34
+mPB細胞を増殖させる。HSC培地中で増殖させた3つのヒト単一ドナーCD34
+mPBは、全て、同等レベルのCD34
+細胞の増殖(
図11A)、TNC(
図11B)、生存率(
図11C)、CD34
+の%(
図11D)を示した。特に、CD34
+CD90
+CD45RA
-長期HSC(
図11E)の増殖レベルは、ドナー間で変動した。3人のヒト単一ドナーから精製したCD34
+mPBを、成長因子を補充したHSC培地中で培養した。細胞を7日間培養した後、Countess IIを使用して総有核細胞(TNC)および生存率を決定し、
図9に記載されるように表現型を評価した。エラーバーは、サンプル反復試験内の標準偏差を示している。
【
図12A】HSC培地中で増殖させたCD34
+細胞は、最高のALDHレベルを発現する。HSC培地中で増殖させたCD34
+mPBを、アルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)の発現について評価した。ゲーティングは、(
図12B)ALDEFLUOR(商標)陽性細胞集団と比較して、ALDH発現のない(
図12A)対照DEABでインキュベートされた細胞の特定を示すために示された。HSC培地中でのCD34
+の増殖は、(
図12C)細胞ごとに最高のALDH発現(幾何平均蛍光強度)、および(
図12D)最高のALDHに対して陽性のCD34
+細胞染色%を示した。増殖した細胞によるALDH発現の一貫性が、HSC培地ロット間で観察された。3人のヒト単一ドナーから精製したCD34
+mPBを、3つのロットのHSC培地または3つの市販の培地(全て成長因子を補充)中で培養した。細胞を7日間培養した後、製造元の指示に従って、総有核細胞(TNC)を、DEABまたはALDEFLUOR(商標)のいずれかでインキュベートした。細胞を抗体で染色して、CD34
+細胞を特定し、ALDH発現について分析した。表示されたデータは、3つの単一ドナーmPB細胞からプールされた。エラーバーは、標準誤差を示す。
【
図12B】HSC培地中で増殖させたCD34
+細胞は、最高のALDHレベルを発現する。HSC培地中で増殖させたCD34
+mPBを、アルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)の発現について評価した。ゲーティングは、(
図12B)ALDEFLUOR(商標)陽性細胞集団と比較して、ALDH発現のない(
図12A)対照DEABでインキュベートされた細胞の特定を示すために示された。HSC培地中でのCD34
+の増殖は、(
図12C)細胞ごとに最高のALDH発現(幾何平均蛍光強度)、および(
図12D)最高のALDHに対して陽性のCD34
+細胞染色%を示した。増殖した細胞によるALDH発現の一貫性が、HSC培地ロット間で観察された。3人のヒト単一ドナーから精製したCD34
+mPBを、3つのロットのHSC培地または3つの市販の培地(全て成長因子を補充)中で培養した。細胞を7日間培養した後、製造元の指示に従って、総有核細胞(TNC)を、DEABまたはALDEFLUOR(商標)のいずれかでインキュベートした。細胞を抗体で染色して、CD34
+細胞を特定し、ALDH発現について分析した。表示されたデータは、3つの単一ドナーmPB細胞からプールされた。エラーバーは、標準誤差を示す。
【
図12C】HSC培地中で増殖させたCD34
+細胞は、最高のALDHレベルを発現する。HSC培地中で増殖させたCD34
+mPBを、アルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)の発現について評価した。ゲーティングは、(
図12B)ALDEFLUOR(商標)陽性細胞集団と比較して、ALDH発現のない(
図12A)対照DEABでインキュベートされた細胞の特定を示すために示された。HSC培地中でのCD34
+の増殖は、(
図12C)細胞ごとに最高のALDH発現(幾何平均蛍光強度)、および(
図12D)最高のALDHに対して陽性のCD34
+細胞染色%を示した。増殖した細胞によるALDH発現の一貫性が、HSC培地ロット間で観察された。3人のヒト単一ドナーから精製したCD34
+mPBを、3つのロットのHSC培地または3つの市販の培地(全て成長因子を補充)中で培養した。細胞を7日間培養した後、製造元の指示に従って、総有核細胞(TNC)を、DEABまたはALDEFLUOR(商標)のいずれかでインキュベートした。細胞を抗体で染色して、CD34
+細胞を特定し、ALDH発現について分析した。表示されたデータは、3つの単一ドナーmPB細胞からプールされた。エラーバーは、標準誤差を示す。
【
図12D】HSC培地中で増殖させたCD34
+細胞は、最高のALDHレベルを発現する。HSC培地中で増殖させたCD34
+mPBを、アルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)の発現について評価した。ゲーティングは、(
図12B)ALDEFLUOR(商標)陽性細胞集団と比較して、ALDH発現のない(
図12A)対照DEABでインキュベートされた細胞の特定を示すために示された。HSC培地中でのCD34
+の増殖は、(
図12C)細胞ごとに最高のALDH発現(幾何平均蛍光強度)、および(
図12D)最高のALDHに対して陽性のCD34
+細胞染色%を示した。増殖した細胞によるALDH発現の一貫性が、HSC培地ロット間で観察された。3人のヒト単一ドナーから精製したCD34
+mPBを、3つのロットのHSC培地または3つの市販の培地(全て成長因子を補充)中で培養した。細胞を7日間培養した後、製造元の指示に従って、総有核細胞(TNC)を、DEABまたはALDEFLUOR(商標)のいずれかでインキュベートした。細胞を抗体で染色して、CD34
+細胞を特定し、ALDH発現について分析した。表示されたデータは、3つの単一ドナーmPB細胞からプールされた。エラーバーは、標準誤差を示す。
【
図13A】HSC培地中で増殖させたCD34+細胞は、遺伝子操作され得る。
図13Aは、3人の単一ドナー(P2、P8、およびP23)からの動員末梢血(mPB)からのCD34+細胞のトランスフェクション効率を示す棒グラフである。実施例4に記載されるように、HSC培地中で増殖させたCD34+細胞を、示されたCas9、ガイドRNA、およびGFPドナーDNA(100ng/ml、200ng/ml、または500ng/ml)でエレクトロポレーションした。各サンプルのGFP
+細胞の%を計算した(
図13A)。エラーバーは、標準誤差を示す。トランスフェクトされた細胞を選別した(GFP+またはGFP-)。選別された細胞を抗体で染色して、CD34+CD90+細胞を特定した。Cas9によって成功裏に改変されたCD34+CD90+細胞(GFP+)の割合は、遺伝子改変されていないCD34+CD90+細胞(GFP-)の割合と同様であり(
図13B)、遺伝子改変が、これらのHSC集団の表現型に影響を与えないことを示している。さらに、これらのデータは、CD34+CD90+細胞およびCD34+CD90-細胞のCRISPRを介した改変の成功を示している。GFP+およびGFP-細胞は、実施例4に記載されるように、インビトロコロニー形成アッセイに供された。
図13Cは、METHOCULT(商標)培地(Stem Cell Technologies,Inc)中での14日間の培養後の、1000個の細胞あたりの赤芽球(赤)および顆粒球/単球(白)コロニー形成単位の数を示している棒グラフである。1000個の細胞あたりのコロニー形成細胞の数は、分析した2つの群(未選別、GFP+選別)で類似していた。
図13Dは、蛍光顕微鏡および明視野顕微鏡を使用してGFP+集団から特定されたコロニーの写真である。
【
図13B】HSC培地中で増殖させたCD34+細胞は、遺伝子操作され得る。
図13Aは、3人の単一ドナー(P2、P8、およびP23)からの動員末梢血(mPB)からのCD34+細胞のトランスフェクション効率を示す棒グラフである。実施例4に記載されるように、HSC培地中で増殖させたCD34+細胞を、示されたCas9、ガイドRNA、およびGFPドナーDNA(100ng/ml、200ng/ml、または500ng/ml)でエレクトロポレーションした。各サンプルのGFP
+細胞の%を計算した(
図13A)。エラーバーは、標準誤差を示す。トランスフェクトされた細胞を選別した(GFP+またはGFP-)。選別された細胞を抗体で染色して、CD34+CD90+細胞を特定した。Cas9によって成功裏に改変されたCD34+CD90+細胞(GFP+)の割合は、遺伝子改変されていないCD34+CD90+細胞(GFP-)の割合と同様であり(
図13B)、遺伝子改変が、これらのHSC集団の表現型に影響を与えないことを示している。さらに、これらのデータは、CD34+CD90+細胞およびCD34+CD90-細胞のCRISPRを介した改変の成功を示している。GFP+およびGFP-細胞は、実施例4に記載されるように、インビトロコロニー形成アッセイに供された。
図13Cは、METHOCULT(商標)培地(Stem Cell Technologies,Inc)中での14日間の培養後の、1000個の細胞あたりの赤芽球(赤)および顆粒球/単球(白)コロニー形成単位の数を示している棒グラフである。1000個の細胞あたりのコロニー形成細胞の数は、分析した2つの群(未選別、GFP+選別)で類似していた。
図13Dは、蛍光顕微鏡および明視野顕微鏡を使用してGFP+集団から特定されたコロニーの写真である。
【
図13C】HSC培地中で増殖させたCD34+細胞は、遺伝子操作され得る。
図13Aは、3人の単一ドナー(P2、P8、およびP23)からの動員末梢血(mPB)からのCD34+細胞のトランスフェクション効率を示す棒グラフである。実施例4に記載されるように、HSC培地中で増殖させたCD34+細胞を、示されたCas9、ガイドRNA、およびGFPドナーDNA(100ng/ml、200ng/ml、または500ng/ml)でエレクトロポレーションした。各サンプルのGFP
+細胞の%を計算した(
図13A)。エラーバーは、標準誤差を示す。トランスフェクトされた細胞を選別した(GFP+またはGFP-)。選別された細胞を抗体で染色して、CD34+CD90+細胞を特定した。Cas9によって成功裏に改変されたCD34+CD90+細胞(GFP+)の割合は、遺伝子改変されていないCD34+CD90+細胞(GFP-)の割合と同様であり(
図13B)、遺伝子改変が、これらのHSC集団の表現型に影響を与えないことを示している。さらに、これらのデータは、CD34+CD90+細胞およびCD34+CD90-細胞のCRISPRを介した改変の成功を示している。GFP+およびGFP-細胞は、実施例4に記載されるように、インビトロコロニー形成アッセイに供された。
図13Cは、METHOCULT(商標)培地(Stem Cell Technologies,Inc)中での14日間の培養後の、1000個の細胞あたりの赤芽球(赤)および顆粒球/単球(白)コロニー形成単位の数を示している棒グラフである。1000個の細胞あたりのコロニー形成細胞の数は、分析した2つの群(未選別、GFP+選別)で類似していた。
図13Dは、蛍光顕微鏡および明視野顕微鏡を使用してGFP+集団から特定されたコロニーの写真である。
【
図13D】HSC培地中で増殖させたCD34+細胞は、遺伝子操作され得る。
図13Aは、3人の単一ドナー(P2、P8、およびP23)からの動員末梢血(mPB)からのCD34+細胞のトランスフェクション効率を示す棒グラフである。実施例4に記載されるように、HSC培地中で増殖させたCD34+細胞を、示されたCas9、ガイドRNA、およびGFPドナーDNA(100ng/ml、200ng/ml、または500ng/ml)でエレクトロポレーションした。各サンプルのGFP
+細胞の%を計算した(
図13A)。エラーバーは、標準誤差を示す。トランスフェクトされた細胞を選別した(GFP+またはGFP-)。選別された細胞を抗体で染色して、CD34+CD90+細胞を特定した。Cas9によって成功裏に改変されたCD34+CD90+細胞(GFP+)の割合は、遺伝子改変されていないCD34+CD90+細胞(GFP-)の割合と同様であり(
図13B)、遺伝子改変が、これらのHSC集団の表現型に影響を与えないことを示している。さらに、これらのデータは、CD34+CD90+細胞およびCD34+CD90-細胞のCRISPRを介した改変の成功を示している。GFP+およびGFP-細胞は、実施例4に記載されるように、インビトロコロニー形成アッセイに供された。
図13Cは、METHOCULT(商標)培地(Stem Cell Technologies,Inc)中での14日間の培養後の、1000個の細胞あたりの赤芽球(赤)および顆粒球/単球(白)コロニー形成単位の数を示している棒グラフである。1000個の細胞あたりのコロニー形成細胞の数は、分析した2つの群(未選別、GFP+選別)で類似していた。
図13Dは、蛍光顕微鏡および明視野顕微鏡を使用してGFP+集団から特定されたコロニーの写真である。
【
図14A】STEMPRO(商標)HSC培地は、CTS CytoTune 2.1を用いてCD34+細胞のiPSCへの再プログラミングを可能にする。
図14Aは、本明細書の実施例5に記載されるように、OPTMIZER(商標)またはSTEMPRO(商標)HSC培養培地中で増殖されたCD34+細胞の再プログラミング効率のパーセントを示す棒グラフである。
図14Bは、本明細書の実施例5に記載されるように、アルカリホスファターゼで染色され、OPTMIZER(商標)またはSTEMPRO(商標)HSC増殖培地中で培養されたコロニーの数を表示するために画像化された、再プログラムされたiPSCコロニーの写真である。本明細書に記載されるHSC増殖培地中で増殖されたCD34+細胞の再プログラミング効率は、OPTMIZER(商標)培養培地中で増殖されたCD34+細胞の再プログラミング効率よりも優れていた(約10倍)。
【
図14B】STEMPRO(商標)HSC培地は、CTS CytoTune 2.1を用いてCD34+細胞のiPSCへの再プログラミングを可能にする。
図14Aは、本明細書の実施例5に記載されるように、OPTMIZER(商標)またはSTEMPRO(商標)HSC培養培地中で増殖されたCD34+細胞の再プログラミング効率のパーセントを示す棒グラフである。
図14Bは、本明細書の実施例5に記載されるように、アルカリホスファターゼで染色され、OPTMIZER(商標)またはSTEMPRO(商標)HSC増殖培地中で培養されたコロニーの数を表示するために画像化された、再プログラムされたiPSCコロニーの写真である。本明細書に記載されるHSC増殖培地中で増殖されたCD34+細胞の再プログラミング効率は、OPTMIZER(商標)培養培地中で増殖されたCD34+細胞の再プログラミング効率よりも優れていた(約10倍)。
【
図15】STEMPRO(商標)HSC増殖培地は、CTS(商標)CytoTune 2.1およびCytoTune 2.0iPSC再プログラミングキットを用いて、PBMCをiPSCに再プログラミングすることを可能にする。
図15は、本明細書の実施例6に記載されているように、STEMPRO34(商標)またはSTEMPRO(商標)HSC増殖培地中で増殖されたPBMCの再プログラミング効率のパーセントを示す棒グラフである。STEMPRO(商標)HSC増殖培地(本明細書に記載される)で増殖されたPBMCは、STEMPRO-34培地中で増殖されたPBMCと比較して優れた再プログラミング効率を示した。
【発明を実施するための形態】
【0031】
この説明を読んだ後、様々な代替の実施形態および代替の用途で本発明をどのように実施するかが当業者に明らかになるであろう。しかしながら、本発明の全ての様々な実施形態は、本明細書では説明されない。ここに提示された実施形態は、限定ではなく、一例としてのみ提示されていることが理解されよう。したがって、様々な代替の実施形態のこの詳細な説明は、以下に記載されるように、本発明の範囲または広さを限定するように解釈されるべきではない。
【0032】
本発明が開示および説明される前に、以下に説明される態様は、特定の組成物に限定されず、そのような組成物を調製する方法、またはそのようなものとしての使用は、もちろん変化し得ることを理解されたい。本明細書で使用される専門用語は、特定の態様のみを説明するためのものであり、限定するようには意図されていないことが理解される。
【0033】
本発明の詳細な説明は、読者の便宜のためにのみ様々なセクションに分割されており、任意のセクションに見られる開示は、別のセクションの開示と組み合わせることができる。タイトルまたはサブタイトルは、読者の便宜のために本明細書で使用することができ、本発明の範囲に影響を与えることを意図していない。
【0034】
I.定義
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本開示が属する当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書および以下の特許請求の範囲では、本明細書で定義される多数の用語を参照する。
【0035】
本明細書で使用される「a」または「an」という用語は、1つ以上を意味する。
【0036】
「約」という用語は、数値表記、例えば、温度、時間、量、濃度、および範囲を含むそのような他のものの前に使用される場合、(+)または(-)10%、5%、1%、またはその間の任意の部分範囲または部分値によって変動し得る近似を示している。好ましくは、「約」という用語は、用量の量に関して使用される場合、用量が+/-10%変動し得ることを意味する。
【0037】
「任意の」または「任意に」とは、後に記載される事象または状況が発生する可能性がある、または発生しない可能性があることを意味し、その記載には、その事象または状況が発生する実例および発生しない実例が含まれる。
【0038】
「含むこと(comprising)」または「含む(comprises)」は、組成物および方法が記載された要素を含むが、他のものを除外しないことを意味することを意図している。組成物および方法を定義するために使用される場合、「本質的にからなる(consisting essentially)」とは、述べられた目的のために、組み合わせにとって本質的に重要な他の要素を除外することを意味するものとする。したがって、本明細書で定義される要素から本質的になる組成物は、特許請求される発明の基本的および新規の特性(複数可)に実質的に影響を及ぼさない他の材料またはステップを除外しないであろう。「からなる(consisting of)」とは、他の成分の微量要素および実質的な方法ステップを超えて除外することを意味するものとする。これらの移行用語のそれぞれによって定義される実施形態は、本発明の範囲内である。
【0039】
「接触する」は、その単純な通常の意味に従って使用され、少なくとも2つの異なる種(例えば、生体分子または細胞を含む化学化合物)が、反応、相互作用、または物理的に触れるのに十分に近くなるプロセスを指す。しかしながら、得られる反応産物は、添加試薬間の反応から直接、または反応混合物中で産生され得る、添加試薬のうちの1つ以上に由来する中間体から産生され得ることを理解されたい。
【0040】
「接触する」という用語は、2つの種が反応、相互作用、または物理的に触れるのを可能にすることを含み得、ここで、2つの種は、本明細書に記載される化合物およびタンパク質または酵素であり得る。いくつかの実施形態では、接触することは、本明細書に記載される化合物が、シグナル伝達経路に関与するタンパク質または酵素と相互作用するのを可能にすることを含む。
【0041】
「発現」という用語は、転写、転写後修飾、翻訳、翻訳後修飾、および分泌を含むがこれらに限定されない、ポリペプチドの産生に関与する任意のステップを含む。発現は、タンパク質を検出するための従来の技法(例えば、ELISA、ウエスタンブロッティング、フローサイトメトリー、免疫蛍光法、免疫組織化学など)を使用して検出することができる。
【0042】
「単離された」という用語は、核酸またはタンパク質に適用される場合、核酸またはタンパク質が自然状態で関連する他の細胞成分を本質的に含まないことを示す。これは、例えば、均質な状態であり得、乾燥または水溶液中のいずれであってもよい。純度および均質性は、典型的には、ポリアクリルアミドゲル電気泳動または高速液体クロマトグラフィーなどの分析化学技法を使用して決定される。調製物中に存在する主要な種であるタンパク質は、実質的に精製される。
【0043】
「アミノ酸」という用語は、天然に存在するおよび合成のアミノ酸、ならびに天然に存在するアミノ酸に類似の様式で機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸模倣体を指す。天然に存在するアミノ酸は、遺伝子コードによってコードされたもの、ならびに後から修飾されたアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタメート、およびO-ホスホセリンである。アミノ酸類似体は、天然に存在するアミノ酸と同じ基本的化学構造、すなわち、水素、カルボキシル基、およびR基に結合したα炭素を有する化合物、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニン、メチルスルホニウムを指す。このような類似体は、修飾R基(例えば、ノルロイシン)または修飾ペプチド骨格を有するが、天然に存在するアミノ酸と同じ基本的化学構造を保持している。アミノ酸模倣体は、アミノ酸の一般的化学構造とは異なる構造を有するが、天然に存在するアミノ酸と類似の様式で機能する化合物を指す。「天然に存在しないアミノ酸」および「非天然アミノ酸」という用語は、天然には見られないアミノ酸類似体、合成アミノ酸、およびアミノ酸模倣物を指す。
【0044】
アミノ酸は、本明細書では、一般に知られている3文字記号またはIUPAC-IUB Biochemical Nomenclature Commissionが推奨する1文字記号のいずれかで言及され得る。同様に、ヌクレオチドは、一般に受け入れられている1文字コードで言及され得る。
【0045】
「疾患」または「病態」という用語は、本明細書で提供される化合物または方法で治療することができる患者または対象の状態または健康状態を指す。疾患は、がんであり得る。疾患は、自己免疫疾患であり得る。疾患は、炎症性疾患であり得る。疾患は、感染症であり得る。
【0046】
本明細書で使用される場合、「炎症性疾患」という用語は、異常な炎症(例えば、疾患を患っていない健康な人などの対照と比較して増加した炎症レベル)を特徴とする疾患または病態を指す。炎症性疾患の例としては、自己免疫疾患、関節炎、関節リウマチ、乾癬性関節炎、若年性特発性関節炎、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス(SLE)、重力筋無力症、若年発症糖尿病、真性糖尿病1型、ギランバレー症候群、橋本脳症、橋本甲状腺炎、強直性脊椎炎、乾癬、シェーグレン症候群、血管炎、糸球体腎炎、自己免疫性甲状腺炎、ベーチェット病、クローン病、潰瘍性大腸炎、水疱性類天疱瘡、サルコイドーシス、魚鱗癬、グレーブス眼症、炎症性腸疾患、アジソン病、白斑、喘息、アレルギー性喘息、尋常性座蒼、セリアック病、慢性前立腺炎、炎症性腸疾患、骨盤内炎症性疾患、再灌流傷害、虚血再灌流傷害、脳卒中、サルコイドーシス、移植拒絶、間質性膀胱炎、アテローム性動脈硬化症、強皮症、およびアトピー性皮膚炎が挙げられる。
【0047】
本明細書で使用される場合、「がん」という用語は、白血病、リンパ腫、がん腫および肉腫を含む、哺乳動物(例えば、ヒト)に見られる全ての種類のがん、新生物または悪性腫瘍を指す。本明細書で提供される化合物または方法で治療することができる例示的ながんとしては、脳腫瘍、神経膠腫、神経膠芽腫、神経芽腫、前立腺がん、大腸直腸がん、膵臓がん、髄芽腫、黒色腫、子宮頸がん、胃がん、卵巣がん、肺がん、頭部がん、ホジキン病、および非ホジキンリンパ腫が挙げられる。本明細書で提供される化合物または方法で治療することができる例示的ながんとしては、甲状腺、内分泌系、脳、乳房、子宮頸部、結腸、頭頸部、肝臓、腎臓、肺、卵巣、膵臓、直腸、胃、および子宮のがんが挙げられる。追加の例としては、甲状腺がん、胆管がん、膵臓腺がん、皮膚黒色腫、結腸腺がん、直腸腺がん、胃腺がん、食道がん、頭頸部扁平上皮がん、乳房浸潤がん、肺腺がん、肺扁平上皮がん、非小細胞肺がん、中皮腫、多発性骨髄腫、神経芽腫、神経膠腫、多形性神経膠芽腫、卵巣がん、横紋筋肉腫、原発性血小板増加症、原発性マクログロブリン血症、原発性脳腫瘍、悪性膵臓インスリノーマ、悪性カルチノイド、膀胱がん、前がん性皮膚病変、精巣がん、甲状腺がん、神経芽腫、食道がん、尿生殖器がん、悪性高カルシウム血症、子宮内膜がん、副腎皮質がん、内分泌または外分泌膵臓の新生物、髄様甲状腺がん、甲状腺髄様がん、黒色腫、大腸直腸がん、乳頭状甲状腺がん、肝細胞がん、または前立腺がんが挙げられる。
【0048】
「白血病」という用語は、造血器官の進行性の悪性疾患を広く指し、一般に、血液および骨髄における白血球およびそれらの前駆体の歪んだ増殖(proliferation)および発達を特徴とする。白血病は一般に、(1)疾患の持続時間および特徴(急性または慢性)、(2)関与する細胞のタイプ;骨髄様(骨髄性)、リンパ様(リンパ性)、または単球、ならびに(3)血液白血性または非白血性(亜白血性)の異常細胞数の増加または非増加に基づいて臨床的に分類される。本明細書で提供される化合物または方法で治療することができる例示的な白血病としては、例えば、急性非リンパ球性白血病、慢性リンパ球性白血病、急性顆粒球性白血病、慢性顆粒球性白血病、急性前骨髄球性白血病、成人T細胞白血病、非白血性白血病、白血性白血病、好塩基性白血病、芽球性白血病、ウシ白血病、慢性骨髄球性白血病、皮膚白血病、胚性白血病、好酸球性白血病、グロス白血病、有毛細胞白血病、血球性白血病、血球芽球性白血病、組織球性白血病、幹細胞性白血病、急性単球性白血病、白血球減少性白血病、リンパ性白血病(lymphatic leukemia)、リンパ芽球性白血病、リンパ球性白血病(lymphocytic leukemia)、リンパ性白血病(lymphogenous leukemia)、リンパ性白血病(lymphoid leukemia)、リンパ肉腫細胞白血病、マスト細胞白血病、巨核球性白血病、微小骨髄芽球性白血病、単球性白血病、骨髄芽球性白血病、骨髄性白血病、単球性白血病、骨髄芽球性白血病、骨髄性白血病、骨髄顆粒球性白血病、骨髄単球性白血病、ネーゲリ白血病、プラズマ細胞性白血病、多発性骨髄腫、形質細胞性白血病、前骨髄球性白血病、リーダー細胞性白血病、シリング白血病、幹細胞性白血病、亜白血病性白血病、または未分化細胞性白血病が挙げられる。
【0049】
本明細書で使用される場合、「リンパ腫」という用語は、造血組織およびリンパ組織に影響を与える一群のがんを指す。これはリンパ球、主にリンパ節、脾臓、胸腺、および骨髄に見られる血球で始まる。リンパ腫の2つの主な種類は、非ホジキンリンパ腫およびホジキン病である。ホジキン病は、診断された全てのリンパ腫の約15%を占める。これは、リード-シュテルンベルク悪性Bリンパ球に関連するがんである。非ホジキンリンパ腫(NHL)は、がんの成長速度および関与する細胞の種類に基づいて分類することができる。NHLには、攻撃的な(高悪性度)型と緩慢な(低悪性度)型がある。関与する細胞の種類に基づいて、B細胞およびT細胞NHLがある。本明細書で提供される化合物または方法で治療することができる例示的なB細胞リンパ腫としては、小リンパ球性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、結節外(MALT)リンパ腫、節性(単球様B-細胞)リンパ腫、脾臓リンパ腫、びまん性大細胞Bリンパ腫、バーキットリンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫、免疫芽球性大細胞リンパ腫、または前駆Bリンパ芽球性リンパ腫が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で提供される化合物または方法で治療することができる例示的なT細胞リンパ腫としては、皮膚T細胞性リンパ腫、末梢T細胞リンパ腫、未分化大細胞型リンパ腫、菌状息肉腫、および前駆Tリンパ芽球性リンパ腫が挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
「肉腫」という用語は、一般に、胚性結合組織のような物質で構成され、一般に、線維状または均質な物質に埋め込まれた密に詰まった細胞で構成される腫瘍を指す。本明細書で提供される化合物または方法で治療できる肉腫としては、軟骨肉腫、線維肉腫、リンパ肉腫、黒色肉腫、粘液肉腫、骨肉腫、アベメチ肉腫、脂肪性肉腫(adipose sarcoma)、脂肪肉腫(liposarcoma)、肺胞軟部肉腫、骨髄芽球性肉腫、ボトリオイド肉腫、緑色種肉腫(chloroma sarcoma)、絨毛がん(chorio carcinoma)、胚性肉腫、ウィルムス腫瘍肉腫、子宮内膜肉腫、間質性肉腫、ユーイング肉腫、筋膜肉腫、線維芽細胞性肉腫、巨細胞肉腫、顆粒球性肉腫、ホジキン肉腫、特発性多色素性出血性肉腫、B細胞の免疫芽球性肉腫、リンパ腫、T細胞の免疫芽球性肉腫、ジェンセン肉腫、カポシ肉腫、クプファー細胞肉腫、血管肉腫、白質肉腫、悪性間葉腫肉腫、傍骨肉腫、網状赤血球肉腫、ルース肉腫、漿液性肉腫、滑膜肉腫、または毛細血管拡張性肉腫(telangiectaltic sarcoma)が挙げられる。
【0051】
「黒色腫」という用語は、皮膚および他の器官のメラニン細胞系から生じる腫瘍を意味すると解釈される。本明細書で提供される化合物または方法で治療することができる黒色腫としては、例えば、末端性黒子性黒色腫、メラニン欠乏性黒色腫、良性若年性黒色腫、クラウドマン黒色腫、S91黒色腫、ハーディング-パッセー黒色腫、若年性黒色腫、悪性黒子黒色腫、悪性黒色腫、結節型黒色腫、爪下黒色腫、または表在性拡大黒色腫が挙げられる。
【0052】
「がん腫」という用語は、周囲の組織に浸潤して転移を引き起こす傾向がある上皮細胞からなる悪性の新しい成長を指す。本明細書で提供される化合物または方法で治療され得る例示的ながん腫としては、例えば、髄様甲状腺がん腫、家族性髄様甲状腺がん腫、腺房がん腫、腺房がん腫、腺嚢胞がん腫、腺様嚢胞がん腫、腺腫、副腎皮質がん腫、肺胞がん腫、肺胞細胞がん腫、基底細胞がん腫(basal cell carcinoma)、類基底細胞がん腫、基底細胞がん腫(basaloid carcinoma)、扁平上皮がん腫、気管支肺胞がん腫、気管支がん腫、気管支原性がん腫、脳形成がん腫、胆管細胞がん腫、絨毛がん腫、コロイドがん腫、面皰がん腫、コーパスがん腫、輪状がん腫、キュイラスがん腫、皮膚がん腫、円柱がん腫、円柱細胞がん腫、管がん腫、硬膜がん腫、胚性がん脳様がん腫、類表皮がん腫、上皮腺がん腫、外方増殖性がん腫、潰瘍性がん腫、線維がん腫、ゼラチン状がん腫、膠様がん腫、巨細胞がん腫、巨細胞がん腫、腺がん腫、肉芽腫細胞がん腫、毛母細胞がん腫、血球様がん腫、肝細胞がん腫、ハースル細胞がん腫、硝子がん腫、腎過多がん腫、乳児胚がん腫、上皮内がん腫、表皮内がん腫、上皮内がん腫、クロンペシャーのがん腫、キルキスキー細胞がん、大細胞がん腫、レンズ状がん腫(lenticular carcinoma)、レンズ状がん腫(carcinoma lenticulare)、脂肪腫性がん腫、リンパ上皮がん腫、髄質がん腫、髄様がん腫、黒色がん腫、がん腫モール、粘液性がん腫(mucinous carcinoma)、粘液性がん腫(carcinoma muciparum)、粘液細胞性腺がん腫、粘表皮がん腫、がん腫粘液、粘液がん腫、がん性粘液腫、鼻咽頭がん腫、オート麦細胞がん腫、骨がん腫、骨様がん腫、乳頭がん腫、門脈周囲がん腫、前浸潤がん腫、棘細胞がん腫、胸膜がん腫、腎臓の腎細胞がん腫、予備細胞がん腫、がん腫肉腫、シュナイダーがん腫、硬性がん腫、陰茎がん腫、印環細胞がん腫、単純がん腫、小細胞がん腫、ソラノイドがん腫、球状細胞がん腫、紡錘細胞がん腫、海綿状がん腫、扁平上皮がん腫、扁平上皮がん腫、ストリングがん腫、毛細血管拡張がん腫、毛細血管拡張がん腫、移行上皮がん腫、結核がん腫、結核がん腫、疣贅がん腫、または絨毛がん腫が挙げられる。
【0053】
本明細書で使用される場合、「自己免疫疾患」という用語は、対象の免疫系が、健康な対象において通常は免疫応答を誘発しない物質に対して異常な免疫応答を有する疾患または病態を指す。本明細書に記載の化合物、医薬組成物、または方法で治療できる自己免疫疾患の例としては、急性播種性脳脊髄炎(ADEM)、急性壊死性出血性白質脳炎、アジソン病、無ガンマグロブリン血症、円形脱毛症、アミロイドーシス、強直性脊椎炎、抗GBM/抗TBM腎炎、抗リン脂質抗体症候群(APS)、自己免疫性血管浮腫、自己免疫性再生不良性貧血、自己免疫性自律神経障害、自己免疫性肝炎、自己免疫性高脂血症、自己免疫性免疫不全症、自己免疫性内耳疾患(AIED)、自己免疫性心筋炎、自己免疫性卵巣炎、自己免疫性膵炎、自己免疫性網膜症、自己免疫性血小板減少性紫斑病(ATP)、自己免疫性甲状腺疾患、自己免疫性蕁麻疹、軸索または神経の神経障害、バロ病、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、キャッスルマン病、セリアック病、シャーガス病、慢性疲労症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経障害(CIDP)、慢性再発性多発性筋炎(CRMO)、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡/良性粘膜性類天疱瘡、クローン病、コーガンズ症候群、寒冷凝集素症、先天性心ブロック、コクサッキー心筋炎、CREST病、本態性混合型クリオグロブリン血症、脱髄性ニューロパチー、疱疹状皮膚炎、皮膚筋炎、デビック病(視神経脊髄炎)、円板状エリテマトーデス、ドレスラー症候群、子宮内膜症、好酸球性食道炎、好酸球性筋膜炎、結節性紅斑、実験的アレルギー性脳脊髄炎、エバンス症候群、線維筋痛症、線維性肺胞炎、巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)、巨細胞性心筋炎、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、多発血管炎性肉芽腫症(GPA)(旧ウェゲナー肉芽腫症)、グレーブス病、ギランバレー症候群、橋本脳炎、橋本甲状腺炎、溶血性貧血、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、妊娠性ヘルペス、低ガンマグロブリン血症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、IgA腎症、IgG4関連硬化性疾患、免疫調節性リポタンパク質、封入体筋炎、間質性嚢胞炎、若年性関節炎、若年性糖尿病(1型糖尿病)、若年性筋炎、川崎症候群、ランバート・イートン症候群、白血球破砕性血管炎、扁平苔癬、硬化性苔癬、木質結膜炎、線状IgA病(LAD)、ループス(SLE)、ライム病、慢性、メニエール病、顕微鏡的多発血管炎、混合性結合組織病(MCTD)、ムーレン潰瘍、ムチャ-ハーバーマン病、多発性硬化症、重症筋無力症、筋炎、ナルコレプシー、視神経脊髄炎(Devic’s)、好中球減少症、眼瘢痕性類天疱瘡、視神経炎、パリンドローム性リウマチ、PANDAS(連鎖球菌に関連する小児自己免疫性神経精神障害)、傍腫瘍性小脳変性症、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、パリーロンバーグ症候群、神経痛性筋萎縮症、神経痛性筋萎縮症(末梢ブドウ膜炎)、ペンフィガス、末梢神経障害、末梢脳脊髄炎、悪性貧血、POEMS症候群、結節性多発動脈炎、I型、II型、III型自己免疫性多発腺症候群、リウマチ性多発筋痛、多発性筋炎、心筋梗塞後症候群、心膜切開後症候群、プロゲステロン皮膚炎、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、乾癬、乾癬性関節炎、特発性肺線維症、壊疽性膿皮症、赤芽球癆、レイノー現象、反応性関節炎、反射性交感神経性ジストロフィ、ライター症候群、再発性多発性軟骨炎、むずむず脚症候群、腹膜後線維症、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、シュミット症候群、強膜炎、強皮症、シェーグレン症候群、精子と精巣の自己免疫、スティッフパーソン症候群、亜急性細菌性心内膜炎(SBE)、スザック症候群、交感性眼炎、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、トロサハント症候群、横断性脊髄炎、1型糖尿病、潰瘍性大腸炎、未分化型結合組織疾患(UCTD)、ブドウ膜炎、血管炎、水疱性皮膚症、白斑、またはウェゲナーの肉芽腫症(すなわち、多発血管炎性肉芽腫症(GPA))が挙げられる。
【0054】
本明細書で使用される場合、「炎症性疾患」という用語は、異常な炎症(例えば、疾患を患っていない健康な人などの対照と比較して増加した炎症レベル)を特徴とする疾患または病態を指す。炎症性疾患の例としては、外傷性脳損傷、関節炎、関節リウマチ、乾癬性関節炎、若年性特発性関節炎、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス(SLE)、重力筋無力症、若年発症糖尿病、真性糖尿病1型、ギランバレー症候群、橋本脳症、橋本甲状腺炎、強直性脊椎炎、乾癬、シェーグレン症候群、血管炎、糸球体腎炎、自己免疫性甲状腺炎、ベーチェット病、クローン病、潰瘍性大腸炎、水疱性類天疱瘡、サルコイドーシス、魚鱗癬、グレーブス眼症、炎症性腸疾患、アジソン病、白斑、喘息、アレルギー性喘息、尋常性座蒼、セリアック病、慢性前立腺炎、炎症性腸疾患、骨盤内炎症性疾患、再灌流傷害、サルコイドーシス、移植拒絶、間質性膀胱炎、アテローム性動脈硬化症、およびアトピー性皮膚炎が挙げられる。
【0055】
「治療すること(treating)」または「治療(treatment)」という用語は、傷害、疾患、病状もしくは病態の療法または改善(amelioration)における成功の兆候を指し、軽減、寛解、症状の減少もしくは傷害、病状、または病態を患者にとってより忍容できるものにすること、退化または衰退の速度の低下、変性の最終点を衰弱させないようにすること、患者の心身の健康の改善(improve)などの任意の客観的および主観的パラメータが含まれる。症状の治療または改善は、身体検査、神経精神医学的検査、および/または精神医学的評価の結果を含む、客観的または主観的なパラメータに基づくことができる。「治療すること」という用語およびその活用は、傷害、病状、病態、または疾患の予防を含み得る。実施形態では、治療は、予防である。実施形態では、治療は、予防を含まない。
【0056】
本明細書で使用される(および当技術分野で十分に理解されている)「治療すること(treating)」または「治療(treatment)」はまた、臨床結果を含む、対象の病態において有益なまたは所望の結果を取得するための任意のアプローチを広く含む。有益なまたは所望の臨床結果としては、1つ以上の症状または病態の緩和(alleviation)または改善、疾患の程度の減少、疾患の状態の安定化(すなわち、悪化させない)、疾患の伝染または蔓延の予防、疾患の進行の遅延または遅れ、病状の改善または緩和(palliation)、疾患の再発の減少、ならびに寛解(部分的または全体的であるかどうか、および検出可能または検出不可能であるかどうか)を挙げることができる。換言すれば、本明細書で使用される「治療」には、疾患の治癒、改善、または予防が含まれる。治療は疾患の発生を予防し、疾患の蔓延を阻害し、疾患の症状(眼の痛み、光輪視、目の充血、非常に高い眼内圧など)を和らげ、疾患の根本的な原因を完全にもしくは部分的に取り除き、疾患の持続時間を短縮し、またはこれらの組み合わせを行うことができる。
【0057】
本明細書で使用される「治療すること(treating)」および「治療(treatment)」には、予防的治療が含まれる。治療方法は、対象に治療有効量の活性剤を投与することを含む。投与ステップは、単回投与からなり得るか、または一連の投与を含み得る。治療期間の長さは、病態の重症度、患者の年齢、活性剤の濃度、治療に使用される組成物の活性、またはこれらの組み合わせなどの様々な因子に依存する。治療または予防に使用される薬剤の有効投与量は、特定の治療または予防レジメンの過程で増加または減少し得ることも理解されよう。投与量の変化は、当技術分野において既知の標準的な診断アッセイによって生じ、明らかになり得る。場合によっては、長期投与が必要になることがある。例えば、組成物は、患者を治療するのに十分な量および持続時間で対象に投与される。実施形態では、治療することまたは治療は、予防的治療ではない。
【0058】
「予防する」という用語は、患者における疾患症状の発生の減少を指す。上で示したように、予防は完全(検出可能な症状がない)または部分的であってもよく、その結果、治療がない場合に発生する可能性があるものよりも少ない症状が観察される。
【0059】
「患者」または「それを必要とする対象」は、本明細書で提供される医薬組成物の投与によって治療することができる疾患もしくは病態に罹患している、またはその傾向がある生命体を指す。非限定的な例には、ヒト、他の哺乳動物、ウシ、ラット、マウス、イヌ、サル、ヤギ、ヒツジ、ウシ、シカ、および他の非哺乳動物が含まれる。いくつかの実施形態では、患者はヒトである。
【0060】
「有効量」は、化合物が存在しない場合と比較して、化合物が記載された目的を達成する(例えば、それが投与されることによる効果を達成し、疾患を治療し、酵素活性を低減し、酵素活性を上昇させ、シグナル伝達経路を低減するか、または疾患もしくは病態の1つ以上の症状を低減する)のに十分な量である。「有効量」の一例は、疾患の1つ以上の症状の治療、予防、または低減に寄与するのに十分な量であり、「治療有効量」と称されることもある。1つ以上の症状の「低減」(およびこのフレーズの文法上の同等物)は、症状(複数可)の重症度もしくは頻度の減少、または症状(複数可)の除去を意味する。薬物の「予防有効量」は、対象に投与されたときに、意図された予防効果を有する、例えば、傷害、疾患、病状もしくは病態の発症(または再発)を予防または遅延させる、あるいは傷害、疾患、病状、もしくは病態、またはそれらの症状の発症(または再発)の可能性を低減するであろう。完全な予防効果は、必ずしも1回の投与で現れるわけではなく、一連の投与後にのみ現れる可能性がある。したがって、予防有効量を1回以上の投与で投与する場合がある。正確な量は、治療の目的に依存し、既知の技法を使用して当業者によって確認可能である(例えば、Lieberman,Pharmaceutical Dosage Forms(vols.1-3,1992);Lloyd,The Art,Science and Technology of Pharmaceutical Compounding(1999);Pickar,Dosage Calculations(1999);およびRemington:The Science and Practice of Pharmacy,20th Edition,2003,Gennaro,Ed.,Lippincott,Williams&Wilkinsを参照されたい)。
【0061】
本明細書に記載の任意の化合物について、治療有効量は、細胞培養アッセイから最初に決定することができる。標的濃度は、本明細書に記載の方法または当該技術分野において既知の方法を使用して測定される、本明細書に記載の方法を達成することができる活性化合物(複数可)の濃度であるだろう。
【0062】
当技術分野において周知であるように、ヒトで使用するための治療有効量はまた、動物モデルから決定することができる。例えば、ヒトにおける用量は、動物において有効であることが見出された濃度を達成するように処方することができる。ヒトにおける投与量は、上記のように、化合物の有効性をモニタリングし、投与量を上方調整または下方調整することによって調整することができる。上記の方法および他の方法に基づいてヒトにおいて最大の効力を達成するように用量を調整することは、当業者の能力の範囲内である。
【0063】
本明細書で使用される「治療有効量」という用語は、上記のように、障害を改善するのに十分な治療薬の量を指す。例えば、所与のパラメータについて、治療有効量は、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、40%、50%、60%、75%、80%、90%、または少なくとも100%の増加または減少を示すであろう。治療有効性は、「-倍」の増加または減少として表すこともできる。例えば、治療有効量は、対照に対して少なくとも1.2倍、1.5倍、2倍、5倍、またはそれ以上の効果を有し得る。
【0064】
投与量は、患者の必要量および使用される化合物に応じて変えることができる。本開示の文脈において、患者に投与される用量は、経時的に患者に有益な治療反応をもたらすのに十分でなければならない。用量の大きさは、有害な副作用の存在、性質、および程度によっても決定されるであろう。特定の状況に適した投与量の決定は、医療専門家のスキルの範囲内である。一般に、治療は、化合物の最適用量未満である、少ない投与量で開始される。その後、状況下で最適な効果が得られるまで、投与量を少しずつ増加させる。投与量および間隔は、治療されている特定の臨床的適応症に有効な投与化合物のレベルを提供するために個別に調整することができる。これは、個体の病状の重症度に見合った治療レジメンを提供するであろう。
【0065】
本明細書で使用される場合、「投与する」という用語は、経口投与、坐剤としての投与、局所接触、静脈内、非経口、腹腔内、筋肉内、病変内、髄腔内、鼻腔内もしくは皮下投与、または対象への徐放装置の移植、例えば、ミニ浸透圧ポンプの移植を意味する。投与は、非経口および経粘膜(例えば、口腔内、舌下、口蓋、歯肉、鼻、膣、直腸、または経皮)を含む任意の経路による。非経口投与としては、例えば、静脈内、筋肉内、細動脈内、皮内、皮下、腹腔内、脳室内、および頭蓋内が挙げられる。他の送達様式としては、リポソーム製剤、静脈内注入、経皮パッチなどの使用が挙げられるが、これらに限定されない。実施形態では、投与は、記載された活性剤以外のいかなる活性剤の投与も含まない。
【0066】
本明細書で使用される「細胞」は、そのゲノムDNAを保存または複製するのに十分な代謝または他の機能を実行する細胞を指す。細胞は、例えば、無傷の膜の存在、特定の色素による染色、子孫を産生する能力、または配偶子の場合には第2の配偶子と組み合わさって子孫を産生する能力を含む、当該技術分野で周知の方法によって特定することができる。細胞には、原核細胞および真核細胞が含まれ得る。原核細胞には細菌が含まれるが、これに限定されない。真核細胞としては、酵母細胞、ならびに植物および動物に由来する細胞、例えば哺乳動物、昆虫(例えば、Spodoptera)、およびヒト細胞が挙げられるが、これらに限定されない。細胞は、それらが自然に非付着性であるか、または例えばトリプシン処理によって表面に付着しないように処理されている場合に有用である可能性がある。
【0067】
「幹細胞」は、有糸細胞分裂による自己再生の能力、および組織または器官に分化する可能性を特徴とする細胞である。哺乳動物の幹細胞の中では、胚性幹細胞(ES細胞)と体性幹細胞(例えば、HSC)を区別することができる。胚性幹細胞は胚盤胞に存在し、胚組織を生じさせるが、一方、体性幹細胞は組織の再生および修復を目的として成体組織に存在する。
【0068】
実施形態では、HSCを使用して、再生不良性貧血、ファンコニ貧血、ダイアモンドブラックファン症候群、鎌状赤血球症、サラセミア、発作性夜間ヘモグロビン尿症、チェディアック・東症候群、慢性肉芽腫性疾患、グランツマン血小板無力症、骨粗鬆症、リソソーム蓄積症、ゴーチャー病、ニーマン・ピック病、ムコ多糖沈着症、糖タンパク症、免疫不全症、毛細血管拡張性運動失調症、ディジョージ症候群、重症複合免疫不全症(SCID)、ウィスコット・アルドリッチ病、コストマン症候群、シュワッハマン・ダイヤモンド症候群、白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、有毛細胞白血病、慢性リンパ球性白血病、骨髄異形成症候群、リンパ腫、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄増殖性新生物、骨髄線維症、真性多血症、骨髄線維症、慢性骨髄性白血病、固形腫瘍、神経芽種、線維形成性小細胞腫瘍、ユーイング肉腫、および絨毛がんが挙げられるが、これらに限定されない疾患を治療することができる。
【0069】
本明細書で使用される「血清を含まない」という用語は、血清を含まないか、または実質的に血清を含まない培地を指す。本明細書で使用される「実質的に血清を含まない」とは、約1重量%未満の血清を含有する、微量の血清のみを含有する、または検出できない量の血清を含有する培地を指す。
【0070】
本明細書で使用される「化学的に定義された培地」という用語は、細胞、特に真核細胞のインビトロ培養に好適な培地を指し、ここで、全ての化学成分およびそれらの濃度が知られている。
【0071】
「タンパク質を含まない」培養培地という句は、タンパク質を含有しない(例えば、血清アルブミンもしくは接着因子などの血清タンパク質、成長因子などの栄養素タンパク質、またはトランスフェリン、セルロプラスミンなどの金属イオンキャリアタンパク質などのない)培養培地を指す。好ましくは、ペプチドが存在する場合、ペプチドは小さいペプチド、例えば、ジまたはトリペプチドである。好ましくは、デカペプチド長またはそれ以上のペプチドは、無タンパク質培地中に存在するアミノ酸の約1%未満、より好ましくは約0.1%未満、さらにより好ましくは約0.01%未満である。
【0072】
本明細書に使用される「動物由来」材料という用語は、全てまたは一部が、組換え動物DNAまたは組換え動物タンパク質DNAを含む、動物源に由来する材料を指す。
【0073】
「細胞培養」または「培養」とは、人工的なインビトロ環境における細胞の維持を意味する。
【0074】
「培養」とは、成長および/または分化および/または継続生存を好む条件下のインビトロでの細胞の維持を意味する。「培養」は、「細胞培養」と互換可能に使用され得る。培養は、培養培地1mLあたりの生細胞の数によって評価される。
【0075】
「増殖」とは、培養において細胞を成長させて、細胞数を最初の細胞数から培養後のより大きな細胞数に増加させることを意味する。細胞数としては、総細胞、総生細胞、総有核細胞、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0076】
本明細書に使用される「補充(replenishing)、交換、または補充(supplementing)培地」という用語は、ある体積の新鮮な細胞培養培地を、培養において既に存在する培地に添加すること、および/または培養において既に存在する培地を新鮮な培地に交換すること、および/または培養において既に存在する培地を新しい培地で補足することを指す。新鮮な培地は、少なくとも1つの細胞内に導入される1つ以上の巨大分子もしくは化合物を含有しない培地、または培養におけるそれらの成長を支持するために細胞と接触していない培地である。当業者は、細胞計数(手動または自動)、トリパンブルー排除、タンパク質もしくは他の物質の産生、アラマーブルーアッセイ、1つ以上の代謝産物の存在もしくは濃度、細胞接着、形態学的外観、消費培地の分析などの、当該技術分野において既知の技法により、細胞成長および/または生存率をモニタリングすることによって、培地を除去および/または補充(replenish)、交換、もしくは補充(supplement)することが利点であるか、または必要であるかを決定することができる。モニタリング技法のうちの1つまたは組み合わせを使用して、成長、少なくとも1つの巨大分子の導入、および/または少なくとも1つの巨大分子の導入後の培養を支持する必要があるかどうかを決定することができる。
【0077】
「組換えタンパク質」とは、宿主細胞に導入された核酸によってコードされるタンパク質を指す。宿主細胞は、核酸を発現する。本明細書に使用される「タンパク質」とは、重合されたアミノ酸、例えば、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、リポタンパク質、糖タンパク質などを広く指す。
【0078】
本発明の培地、方法、キット、および組成物は、細胞の単層(付着)または浮遊培養(suspension culture)、トランスフェクション、および培養、ならびに単層または浮遊培養での細胞におけるタンパク質の発現に好適である。好ましくは、本発明の培地、方法、キット、および組成物は、細胞の浮遊培養、トランスフェクション、および培養、ならびに浮遊培養での細胞におけるタンパク質産物の発現のためである。
【0079】
「培養槽」とは、任意の容器、例えば、細胞を培養するための無菌環境を提供することができるガラス、プラスチック、または金属製の容器を意味する。
【0080】
「細胞培養培地」、「組織培養培地」、「成長培地」、「培養培地」(いずれの場合も、複数は「培地(media)」)、および「培地製剤」という句は、細胞または組織を培養するための栄養素溶液を指す。これらの句は、互換可能に使用され得る。
【0081】
「組み合わせる」という用語は、成分を混合または混和することを指す。
【0082】
「阻害剤」は、化合物の非存在または既知の不活性を有する化合物など、対照と比較した場合に活性を低減させる化合物(例えば、本明細書に記載の化合物)を指す。
【0083】
本明細書で定義されるように、タンパク質-阻害剤相互作用に関する「阻害」、「阻害する」、「阻害すること」などの用語は、阻害剤の非存在下でタンパク質の活性または機能と比較して、タンパク質の活性または機能に悪影響を与える(例えば、減少させる)ことを意味する。実施形態では、阻害は、阻害剤の非存在下でのタンパク質の濃度またはレベルと比較して、タンパク質の濃度またはレベルに悪影響を与える(例えば、減少させる)ことを意味する。実施形態では、阻害は、疾患または疾患の症状の低減を指す。実施形態では、阻害は、特定のタンパク質標的の活性の低減を指す。したがって、阻害には、少なくとも一部に、部分的または完全に刺激を遮断すること、活性化を減少、防止、または遅延させること、またはシグナル伝達もしくは酵素活性もしくはタンパク質の量を不活性化、脱感作、または下方調節することが含まれる。実施形態では、阻害は、直接相互作用に起因する標的タンパク質の活性の低減を指す(例えば、阻害剤は標的タンパク質に結合する)。実施形態では、阻害は、間接的相互作用からの標的タンパク質の活性の低減を指す(例えば、阻害剤は、標的タンパク質を活性化するタンパク質に結合し、それにより、標的タンパク質の活性化を妨げる)。
【0084】
「阻害剤」、「抑制物質」または「拮抗薬」または「下方調節剤(down-regulator)」という用語は、交換可能に、所与の遺伝子またはタンパク質の発現もしくは活性を検出可能に低下させることができる物質を指す。拮抗薬は、拮抗薬の非存在下での対照と比較して、発現または活性を10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%またはそれ以上減少させることができる。ある特定の例において、発現または活性は、拮抗薬の非存在下での発現または活性よりも1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、またはそれ以上低い。
【0085】
II.培地
造血幹細胞(HSC)の増殖に使用される現在のシステムの主な制限は、エクスビボ培養が、最も初期の多能性の長期幹細胞(CD34+CD90+CD45RA-)を犠牲にして、細胞の増殖および分化をもたらすことであり得る。短期前駆細胞は一過性の保護しか提供しないため、これはエクスビボで増殖したHSCの臨床応用を制限し得る。本明細書に記載の培地は、培養中の、CD34+細胞およびCD34+CD90+CD45RA-細胞の両方の数を、他の培地システムでは見られないレベルまで増加させる。
【0086】
一態様では、基本培地およびサプリメントを含むHSCの培養のために成長培地が提供され、培地および/またはサプリメントは、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、ならびに脂質、アミノ酸もしくはアミノ酸誘導体、抗酸化剤、および無機塩のうちの2つ以上を含む。
【0087】
いくつかの態様では、本開示は、造血幹細胞(HSC)の成長のための培地に関する。本開示は、一部に、バリウム塩、カドミウム塩、銅塩、マグネシウム塩、セレナイト塩、マンガン塩、ニッケル塩、カリウム塩、カルシウム塩、銀塩、スズ塩、ジルコニウム塩、ナトリウム塩、またはこれらの組み合わせから選択される無機塩と、ビタミンと、を含む、細胞培養のための培地に関する。いくつかの実施形態では、培地は、化学的に定義された培地である。いくつかの実施形態では、培地は、タンパク質を含まない。いくつかの実施形態では、培地は、血清を含まない。いくつかの実施形態では、培地は、動物に由来する成分を含まない。
【0088】
いくつかの実施形態では、サプリメントが提供され、HSCの成長のための培地とともに使用される。実施形態では、サプリメントは、ストック溶液として、例えば、2×、5×、10×、20×、25×、30×、40×、50×、60×、70×、75×、80×、90×、100×のストック溶液として提供される(「50×」は、ストック溶液が50倍溶液であり、すなわち、使用前に1:50に希釈する必要があることを示す)。いくつかの実施形態では、サプリメントは、化学的に定義された培地である。いくつかの実施形態では、サプリメントは、タンパク質を含まない。いくつかの実施形態では、サプリメントは、血清を含まない。いくつかの実施形態では、サプリメントは、動物に由来する成分を含まない。
【0089】
いくつかの態様では、本開示は、基本培地に加えてサプリメントを含むキットに関する。いくつかの実施形態では、基本培地は、ダルベッコの改変イーグル培地(DMEM)、DMEM/F12、またはその改変製剤から選択される。DMEMおよびDMEM/F12の改変製剤には、HEPESを含むか、または含まない基本培地、フェノールレッドを含むか、または含まない基本培地、およびL-グルタミンもしくはグルタミン類似体を含むか、または含まない基本培地が挙げられるが、これらに限定されない。実施形態では、基本培地は、OpTmizer(商標)(Thermo Fisher Scientific);ダルベッコの改変イーグル培地(DMEM);イスコフの改変ダルベッコ培地(IMDM);DMEM/F12フェノールレッド不含、HEPES不含;フェノールレッド含有DMEM/F12、HEPES不含;HEPES含有DMEM/F12およびフェノールレッド;HEPES含有DMEM/F12、フェノールレッド不含;GLUTAMAX(商標)を含むか、または含まないDMEM/F12(Thermo Fisher Scientific);Advanced DMEM(Thermo Fisher Scientific);KnockOut(商標)DMEM/F12(Thermo Fisher Scientific);またはこれらの組み合わせから選択され得る。ある特定の実施形態では、前述の基本培地のそれぞれは、独立して、本明細書に記載される培地および/またはサプリメントから除外されてもよい。
【0090】
実施形態では、キットは、基本培地のみを含む。実施形態では、キットは、サプリメントのみを含む。実施形態では、キットは、基本培地およびサプリメントの両方を含む。実施形態では、キットは、サプリメントをストック溶液として、例えば、2×、5×、10×、20×、25×、30×、40×、50×、60×、70×、75×、80×、90×、100×のストック溶液として含む。様々な成分の濃度または濃度範囲が本明細書に記載されている場合、濃度は1×濃度、すなわち、HSCを増殖させるときに成長培地で使用される濃度として提供されることが理解されるべきである。したがって、本明細書に記載の成分の量は、サプリメントがストック溶液として提供される場合、サプリメントにおいて2倍~100倍高くなり得る。
【0091】
いくつかの実施形態では、培地および/またはサプリメントは、アルミニウム塩、バリウム塩、カドミウム塩、銅塩、マグネシウム塩、マンガン塩、ニッケル塩、カリウム塩、カルシウム塩、銀塩、スズ塩、ジルコニウム塩、ナトリウム塩、またはこれらの組み合わせから選択される有機もしくは無機塩を含む。塩としては、AgNO3、AlCl3、Ba(C2H3O2)2、CaCl2、CdSO4、CdCl2、CoCl2、Cr2(SO4)3、CuCl2、CuSO4、FeSO4、FeCl2、FeCl3、Fe(NO3)3、GeO2、Na2SeO3、H2SeO3、KBr、KCl、KI、MgCl2、MgSO4、MnCl2、NaCl、NaF、Na2SiO3、NaVO3、Na3VO4、(NH4)6Mo7O24、Na2HPO4、NaH2PO4、NaHCO3、NiSO4、NiCl2、Ni(NO3)2、RbCl、SnCl2、ZnCl2、ZnSO4、ZrOCl2、EDTA四ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない、有機もしくは無機アニオンで作製されたものが含まれる。ある特定の実施形態では、前述の塩のそれぞれは、独立して、本明細書に記載される培地および/またはサプリメントから除外されてもよい。
【0092】
実施形態では、培地および/またはサプリメントは、約1×10-7g/L~約8.0g/Lの範囲の無機塩を含む。実施形態では、培地および/またはサプリメントは、約5×10-7g/L~約8.0g/L、約1.5×10-6g/L~約8.0g/L、約1.4×10-6g/L~約8.0g/L、または約1.3×10-6g/L~約8.0g/Lの範囲の無機塩を含む。実施形態では、培地および/またはサプリメントは、約1×10-7g/L~約7.8g/L、約1×10-7g/L~約7.6g/L、約1×10-7g/L~約7.4g/L、約1×10-7g/L~約7.2g/L、または約1×10-7g/L~約6.9g/Lの範囲の無機塩を含む。濃度は、端点を含む、記載された範囲内の任意の値または部分範囲であり得る。
【0093】
実施形態では、培地および/またはサプリメントは、約1×10-6g/L~約5×10-3g/Lの範囲の鉄塩(例えば、FeSO4、FeCl2、FeCl3、および/またはFe(NO3)3)を含む。実施形態では、培地は、約5×10-6g/L~約5×10-3g/L、約1×10-5g/L~約5×10-3g/L、約5×10-5g/L~約5×10-3g/L、または約1×10-4g/L~約5×10-3g/Lの範囲の鉄塩(例えば、FeSO4、FeCl2、FeCl3、および/またはFe(NO3)3)を含む。実施形態では、培地は、約5×10-6g/L~約1×10-3g/L、約5×10-5g/L~約5×10-4g/L、または約5×10-5g/L~約1×10-4g/Lの範囲の鉄塩(例えば、FeSO4、FeCl2、FeCl3、および/またはFe(NO3)3)を含む。実施形態では、培地は、約1×10-5g/L~約5×10-4g/L、約5×10-5g/L~約1×10-3g/L、約1×10-5g/L~約5×10-3g/L、約5×10-4g/L~約1×10-2g/L、または約1×10-4g/L~約5×10-2g/Lの範囲の鉄塩(例えば、FeSO4、FeCl2、FeCl3、および/またはFe(NO3)3)を含む。濃度は、端点を含む、記載された範囲内の任意の値または部分範囲であり得る。
【0094】
実施形態では、培地および/またはサプリメントは、約1×10-3g/L~約10g/Lの範囲のカリウム塩(例えば、KBr、KCl、および/またはKI)を含む。実施形態では、培地は、約5×10-3g/L~約10g/L、約1×10-2g/L~約10g/L、約5×10-2g/L~約10g/L、または約0.1g/L~約10g/Lの範囲のカリウム塩(例えば、KBr、KCl、および/またはKI)を含む。実施形態では、培地は、約5×10-3g/L~約5g/L、約5×10-3g/L~約1g/L、または約5×10-3g/L~約0.5g/Lの範囲のカリウム塩(例えば、KBr、KCl、および/またはKI)を含む。濃度は、端点を含む、記載された範囲内の任意の値または部分範囲であり得る。
【0095】
実施形態では、培地および/またはサプリメントは、約1×10-5g/L~約5×10-2g/Lの範囲の亜鉛塩(例えば、ZnCl2および/またはZnSO4)を含む。実施形態では、培地は、約1×10-4g/L~約5×10-2g/L、約1×10-3g/L~約5×10-2g/L、約5×10-3g/L~約5×10-2g/L、または約1×10-2g/L~約5×10-2g/Lの範囲の亜鉛塩(例えば、ZnCl2および/またはZnSO4)を含む。実施形態では、培地は、約5×10-5g/L~約1×10-2g/L、約5×10-5g/L~約5×10-3g/L、または約5×10-5g/L~約1×10-3g/Lの範囲の亜鉛塩(例えば、ZnCl2および/またはZnSO4)を含む。実施形態では、培地は、約1×10-5g/L~約5×10-4g/L、約5×10-5g/L~約1×10-3g/L、約1×10-4g/L~約5×10-3g/L、約5×10-4g/L~約1×10-2g/L、または約1×10-3g/L~約5×10-2g/Lの範囲の亜鉛塩(例えば、ZnCl2および/またはZnSO4)を含む。濃度は、端点を含む、記載された範囲内の任意の値または部分範囲であり得る。
【0096】
実施形態では、培地および/またはサプリメントは、約0.001g/L~約1g/Lの範囲のマグネシウム塩(例えば、MgCl2および/またはMgSO4)を含む。実施形態では、培地および/またはサプリメントは、約0.005g/L~約1g/L、約0.01g/L~約1g/L、約0.05g/L~約1g/L、または約0.1g/L~約1g/Lの範囲のマグネシウム塩(例えば、MgCl2および/またはMgSO4)を含む。実施形態では、培地および/またはサプリメントは、約0.001g/L~約0.5g/L、約0.01g/L~約0.1g/L、または約0.01g/L~約0.05g/Lの範囲のマグネシウム塩(例えば、MgCl2および/またはMgSO4)を含む。実施形態では、培地および/またはサプリメントは、約0.001g/L~約0.005g/L、約0.005g/L~約0.01g/L、約0.01g/L~約0.05g/L、約0.05g/L~約0.1g/L、約0.1g/L~約0.5g/L、または約0.5g/L~約1g/Lの範囲のマグネシウム塩(例えば、MgCl2および/またはMgSO4)を含む。濃度は、端点を含む、記載された範囲内の任意の値または部分範囲であり得る。
【0097】
いくつかの実施形態では、培地および/またはサプリメントは、パラアミノ安息香酸、ビタミンB12、ビオチン、コリン(例えば、塩化コリン)、トコフェロール(例えば、酢酸トコフェロール)、葉酸、アスコルビン酸、イノシトール、ニコチン酸、ナイアシンアミド、パントテン酸、パントテン酸カルシウム、ピリドキシン、ピロキシドン、リボフラビン、チアミン、またはこれらの組み合わせから選択されるビタミンを含む。ある特定の実施形態では、前述のビタミンのそれぞれは、独立して、本明細書に記載される培地および/またはサプリメントから除外されてもよい。各ビタミンは、培地および/またはサプリメント中に、約1×10-6g/L~約5g/Lの範囲で存在し得る。実施形態では、培地および/またはサプリメントは、約5×10-6g/L~約5g/L、約1×10-5g/L~約5g/L、約5×10-5g/L~約5g/L、約1×10-4g/L~約5g/L、約5×10-4g/L~約5g/L、約1×10-3g/L~約5g/L、約5×10-3g/L~約5g/L、約1×10-2g/L~約5g/L、約5×10-2g/L~約5g/L、約0.1g/L~約5g/L、または約1g/L~約5g/Lの範囲のビタミンを含む。実施形態では、培地および/またはサプリメントは、約1×10-6g/L~約5×10-6g/L、約5×10-6g/L~約1×10-5g/L、約1×10-5g/L~約5×10-5g/L、約5×10-5g/L~約1×10-4g/L、約1×10-4g/L~約5×10-3g/L、約5×10-3g/L~約1×10-2g/L、約1×10-2g/L~約5×10-2g/L、約5×10-2g/L~約0.1g/L、約0.1g/L~約0.5g/L、約0.5g/L~約1g/L、または約1g/L~約5g/Lの範囲のビタミンを含む。濃度は、端点を含む、記載された範囲内の任意の値または部分範囲であり得る。
【0098】
いくつかの実施形態では、培地および/またはサプリメントは、脂質、例えば、コレステロール、リノール酸、リノレン酸、オレイン酸、パルミチン酸、アラキドン酸、パルミトレイン酸、ミリスチン酸、およびこれらの組み合わせから選択される脂肪酸を含む。ある特定の実施形態では、前述の脂質のそれぞれは、独立して、本明細書に記載される培地および/またはサプリメントから除外されてもよい。各脂質は、培地および/またはサプリメント中に、約1×10-6g/L~約1×10-3g/Lの範囲で存在し得る。実施形態では、培地および/またはサプリメントは、約5×10-6g/L~約1×10-3g/L、約1×10-5g/L~約1×10-3g/L、約5×10-5g/L~約1×10-3g/L、約1×10-4g/L~約1×10-3g/L、または約5×10-4g/L~約1×10-3g/Lの範囲の脂質(例えば、脂肪酸)を含む。実施形態では、培地および/またはサプリメントは、約1×10-6g/L~約5×10-4g/L、約1×10-6g/L~約1×10-4g/L、約1×10-6g/L~約5×10-5g/L、約1×10-6g/L~約1×10-5g/L、または約1×10-6g/L~約5×10-6g/Lの範囲の脂質を含む。濃度は、端点を含む、記載された範囲内の任意の値または部分範囲であり得る。
【0099】
いくつかの実施形態では、培地および/またはサプリメントは、グルコース、スクロース、ピルビン酸塩(例えば、ピルビン酸ナトリウム)、マルトース、トレハロース、またはこれらの組み合わせから選択されるエネルギー源を含む。ある特定の実施形態では、前述のエネルギー源のそれぞれは、独立して、本明細書に記載される培地および/またはサプリメントから除外されてもよい。実施形態では、培地および/またはサプリメントは、約1×10-3g/L~約10g/Lの範囲のエネルギー源を含む。実施形態では、培地および/またはサプリメントは、約5×10-3g/L~約10g/L、約1×10-2g/L~約10g/L、約5×10-2g/L~約10g/L、約0.1g/L~約10g/L、約0.5g/L~約10g/L、約1g/L~約10g/L、または約5g/L~約10g/Lの範囲のエネルギー源を含む。実施形態では、培地および/またはサプリメントは、約1×10-3g/L~約5g/L、約1×10-3g/L~約1g/L、約1×10-3g/L~約0.5g/L、約1×10-3g/L~約0.1g/L、約1×10-3g/L~約5×10-2g/L、または約1×10-3g/L~約1×10-2g/Lの範囲のエネルギー源を含む。濃度は、端点を含む、記載された範囲内の任意の値または部分範囲であり得る。
【0100】
いくつかの実施形態では、培地および/またはサプリメントは、L-アラニン、L-システイン、L-アスパラギン酸、L-グルタミン酸、L-フェニルアラニン、グリシン、L-ヒスチジン、L-イソロイシン、L-リジン、L-ロイシン、L-メチオニン、L-アスパラギン、ピロリシン、L-プロリン、L-グルタミン、L-アルギニン、L-セリン、L-スレオニン、セレノシステイン、L-バリン、L-トリプトファン、L-チロシン、シスチン、カルニチン、レボチロキシン、ヒドロキシプロリン、セレノメチオニン、タウリン、シトルリン、オルニチン、またはこれらの組み合わせから選択されるアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸は、アミノ酸の安定な類似体(例えば、Thermo Fisher Scientificから入手可能なGLUTAMAX(商標))である。いくつかの実施形態では、培地および/またはサプリメントは、アミノ酸誘導体、例えば、N-アセチル-L-システインを含む。ある特定の実施形態では、前述のアミノ酸、類似体、および/または誘導体のそれぞれは、独立して、本明細書に記載される培地および/またはサプリメントから除外されてもよい。各アミノ酸またはアミノ酸誘導体は、培地および/またはサプリメント中に、約1×10-4g/L~約10g/Lの範囲で存在し得る。実施形態では、培地および/またはサプリメントは、約5×10-4g/L~約10g/L、約1×10-3g/L~約10g/L、約5×10-3g/L~約10g/L、約1×10-2g/L~約10g/L、約5×10-2g/L~約約10g/L、約0.1g/L~約10g/L、約1g/L~約10g/L、または約5g/L~約10g/Lの範囲のアミノ酸またはアミノ酸誘導体を含む。実施形態では、培地および/またはサプリメントは、約1×10-4g/L~約5g/L、約1×10-4g/L~約1g/L、約1×10-4g/L~約0.01g/L、約1×10-4g/L~約0.05g/L、約1×10-4g/L~約0.01g/L、約1×10-4g/L~約5×10-3g/L、または約1×10-4g/L~約1×10-3g/Lの範囲のアミノ酸またはアミノ酸誘導体を含む。実施形態では、培地および/またはサプリメントは、約1×10-4g/L~約5×10-4g/L、約5×10-4g/L~約1×10-3g/L、約1×10-3g/L~約5×10-3g/L、約5×10-3g/L~約0.01g/L、約0.01g/L~約0.05g/L、約0.05g/L~約0.1g/L、約0.1g/L~約0.5g/L、約0.5g/L~約1g/L、または約1g/L~約5g/Lの範囲のアミノ酸またはアミノ酸誘導体を含む。濃度は、端点を含む、記載された範囲内の任意の値または部分範囲であり得る。
【0101】
いくつかの実施形態では、培地および/またはサプリメントは、血清アルブミンを含む。いくつかの実施形態では、血清アルブミンは、ヒト血清アルブミンである。いくつかの実施形態では、血清アルブミンは、組換え血清アルブミン(例えば、組換えヒト血清アルブミン)である。実施形態では、培地および/またはサプリメントは、約1mL/L~約900mL/Lの範囲の血清アルブミンを含む。実施形態では、培地および/またはサプリメントは、約1mL/L~約50mL/L、約5mL/L~約50mL/L、約10mL/L~約50mL/L、または約10mL/L~約20mL/Lの範囲の血清アルブミンを含む。実施形態では、培地および/またはサプリメントは、約1mL/L~約25mL/L、または約1mL/L~約20mL/Lの範囲の血清アルブミンを含む。濃度は、端点を含む、記載された範囲内の任意の値または部分範囲であり得る。ある特定の実施形態では、血清アルブミンは、本明細書に記載される培地および/またはサプリメントから除外されてもよい。
【0102】
いくつかの実施形態では、培地および/またはサプリメントは、インスリンを含む。いくつかの実施形態では、インスリンは、ヒトインスリンである。いくつかの実施形態では、インスリンは、組換えインスリン(例えば、組換えヒトインスリン)である。実施形態では、培地および/またはサプリメントは、約0.005g/L~約5g/Lの範囲のインスリンを含む。実施形態では、培地および/またはサプリメントは、約0.01g/L~約0.5g/L、約0.05g/L~約0.5g/L、約0.1g/L~約0.5g/L、または約1g/L~約5g/Lの範囲のインスリンを含む。実施形態では、培地および/またはサプリメントは、約0.005g/L~約0.1g/L、約0.005g/L~約0.05g/L、または約0.005g/L~約0.01g/Lの範囲のインスリンを含む。濃度は、端点を含む、記載された範囲内の任意の値または部分範囲であり得る。ある特定の実施形態では、インスリンは、本明細書に記載される培地および/またはサプリメントから除外されてもよい。
【0103】
いくつかの実施形態では、培地および/またはサプリメントは、トランスフェリンを含む。いくつかの実施形態では、トランスフェリンは、ヒトトランスフェリンである。いくつかの実施形態では、トランスフェリンは、組換えトランスフェリン(例えば、組換えヒトトランスフェリン)である。実施形態では、培地および/またはサプリメントは、約0.005g/L~約10g/Lの範囲のトランスフェリンを含む。実施形態では、培地および/またはサプリメントは、約0.01g/L~約0.5g/L、約0.05g/L~約0.5g/L、約0.1g/L~約0.5g/L、約1g/L~約5g/L、または約5g/L~約10g/Lの範囲のトランスフェリンを含む。実施形態では、培地および/またはサプリメントは、約0.005g/L~約0.1g/L、約0.005g/L~約0.05g/L、または約0.005g/L~約0.01g/Lの範囲のトランスフェリンを含む。濃度は、端点を含む、記載された範囲内の任意の値または部分範囲であり得る。ある特定の実施形態では、トランスフェリンは、本明細書に記載される培地および/またはサプリメントから除外されてもよい。
【0104】
実施形態では、抗酸化剤は、ポリフェノール、アスコルビン酸塩、およびカロテノイドから選択される。実施形態では、ポリフェノールは、果実、ワイン、および茶に天然に見られるものから選択される。実施形態では、アスコルビン酸塩は、アスコルビン酸塩またはアスコルビン酸から選択される。実施形態では、カロテノイドは、ベータカロテン、アルファカロテン、およびリコピンから選択される。実施形態では、抗酸化剤は、DLリポ酸、酢酸DLトコフェロール、およびアスコルビン酸から選択される。
【0105】
いくつかの実施形態では、培地および/またはサプリメントは、乳化剤、界面活性剤、抗酸化剤、緩衝液、ポロキサマー、金属結合化合物、またはこれらの組み合わせから選択される追加の成分を含む。いくつかの実施形態では、抗酸化剤は、ポリフェノール、アスコルビン酸塩、およびカロテノイドから選択される。実施形態では、ポリフェノールは、果実、ワイン、および茶に天然に見られるものから選択される。実施形態では、アスコルビン酸塩は、アスコルビン酸塩またはアスコルビン酸から選択される。実施形態では、カロテノイドは、ベータカロテン、アルファカロテン、およびリコピンから選択される。実施形態では、抗酸化剤は、DLリポ酸、酢酸DLトコフェロール、およびアスコルビン酸から選択される。いくつかの実施形態では、培地および/またはサプリメントは、ヒポキサンチンまたはその塩、チミジン、ポリソルベート、エタノールアミン、プトレシン、スペルミン、スペリミジン、EDTA、2-メルカプトエタノール、B-グリセロホスフェート、およびヒドロコルチゾンから選択される追加の成分を含む。ある特定の実施形態では、各追加の成分は、独立して、本明細書に記載される培地および/またはサプリメントから除外されてもよい。各追加の成分は、任意の量、例えば、約5×10-6g/L~約1g/Lの範囲で、培地および/またはサプリメント中に存在し得る。実施形態では、培地および/またはサプリメントは、約1×10-5g/L~約1g/L、約5×10-5g/L~約1g/L、約1×10-4g/L~約1g/L、約5×10-4g/L~約1g/L、約1×10-3g/L~約1g/L、約5×10-3g/L~約1g/L、約1×10-2~約1g/L、約5×10-2~約1g/L、約0.1~約1g/L、または約0.5~約1g/Lの範囲の追加の成分を含む。実施形態では、培地および/またはサプリメントは、約5×10-6g/L~約1×10-5g/L、約1×10-5g/L~約5×10-5g/L、約5×10-5g/L~約1×10-4g/L、約1×10-4g/L~約5×10-4g/L、約5×10-4g/L~約1×10-3g/L、約1×10-3g/L~約5×10-3g/L、約5×10-3g/L~約0.01g/L、約0.01g/L~約0.05g/L、約0.05g/L~約0.1g/L、約0.1g/L~約0.5g/L、または約0.5g/L~約1g/Lの範囲の追加の成分を含む。濃度は、端点を含む、記載された範囲内の任意の値または部分範囲であり得る。
【0106】
いくつかの実施形態では、培地および/またはサプリメントは、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤は、アピシジン、ベリノスタット、CI-994、CRA-024781、クルクミン、パノビノスタット、酪酸ナトリウム、フェニル酪酸ナトリウム、スベロイルアニリドヒドロキサム酸、トリコスタチンA、バルプロ酸ナトリウム(バルプロ酸;VPA)、ギビノスタット、MS-275、MGCD0103、およびスクリプタイドから選択される。いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤は、酪酸ナトリウム、フェニル酪酸ナトリウム、トリコスタチンA、またはバルプロ酸である。ある特定の実施形態では、前述のHDAC阻害剤のそれぞれは、独立して、本明細書に記載される培地および/またはサプリメントから除外されてもよい。
【0107】
「HDAC阻害剤」という用語は、ヒストンデアセチラーゼの発現または活性を検出可能に低下させることができる物質を指す。阻害剤は、阻害剤の非存在下の対照と比較して、発現または活性を10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%またはそれ以上減少させることができる。ある特定の例において、発現または活性は、阻害剤の非存在下での発現または活性よりも1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、またはそれ以上低い。
【0108】
ある特定の実施形態では、HDAC阻害剤は、任意の量、例えば、約5×10-4g/L~約0.5g/Lの濃度で、培地および/またはサプリメント中に存在する。実施形態では、HDAC阻害剤は、約1×10-3g/L~約10g/L、約5×10-3g/L~約0.1g/L、約0.01g/L~約0.1g/L、約0.05g/L~約0.1g/L、約0.1g/L~約0.5g/L、約0.5g/L~約1g/L、約1g/L~約5g/L、または約5g/L~約10g/Lの濃度で存在する。実施形態では、HDAC阻害剤は、約5×10-4g/L~約0.1g/L、約5×10-4g/L~約0.05g/L、約5×10-4g/L~約0.01g/L、約5×10-4g/L~約5×10-3g/L、または約5×10-4g/L~約1×10-3g/Lの濃度で存在する。実施形態では、HDAC阻害剤は、約5×10-4g/L~1×10-3g/L、約1×10-3g/L~約5×10-3g/L、約5×10-3g/L~約0.01g/L、約0.01g/L~約0.05g/L、約0.05g/L~約0.1g/L、または約0.1g/L~約0.5g/L、約0.5g/L~約1g/L、約1g/L~約5g/L、または約5g/L~約10g/Lの濃度で存在する。濃度は、端点を含む、記載された範囲内の任意の値または部分範囲であり得る。
【0109】
いくつかの実施形態では、培地および/またはサプリメントは、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)阻害剤を含む。実施形態では、HAT阻害剤は、2,6-ビス[(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン]シクロヘキサノン、MG149、C646、CPTH2、クルクミン、A-485、アナカルジン酸、MB-3、ならびにカルコン、例えば、ガルシノール、イソガルシノール、キサントフモール、イソキサントフモール、2-ヒドロキシカルコン、4-ヒドロキシカルコン、ヤクチノンA、およびイソリキリチゲニンから選択される。ある特定の実施形態では、前述のHAT阻害剤のそれぞれは、独立して、本明細書に記載されるように、培地および/またはサプリメントから除外されてもよい。
【0110】
「HAT阻害剤」という用語は、ヒストンアセチルトランスフェラーゼの発現または活性を検出可能に低下させることができる物質を指す。阻害剤は、阻害剤の非存在下の対照と比較して、発現または活性を10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%またはそれ以上減少させることができる。ある特定の例において、発現または活性は、阻害剤の非存在下での発現または活性よりも1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、またはそれ以上低い。
【0111】
ある特定の実施形態では、HAT阻害剤は、任意の量、例えば、約1×10-4g/L~約1g/Lの濃度で、培地および/またはサプリメント中に存在する。実施形態では、HAT阻害剤は、約5×10-4g/L~約1g/L、約0.001g/L~約1g/L、約0.005g/L~約1g/L、約0.01g/L~約1g/L、約0.05g/L~約1g/L、約0.1g/L~約1g/L、または約0.5g/L~約1g/Lの濃度で存在する。実施形態では、HAT阻害剤は、約1×10-4g/L~約0.5g/L、約1×10-4g/L~約0.1g/L、約1×10-4g/L~約0.05g/L、約1×10-4g/L~約0.01g/L、約1×10-4g/L~約0.005g/L、約1×10-4g/L~約0.001g/Lの濃度で存在する。実施形態では、HAT阻害剤は、約1×10-4g/L~約5×10-4g/L、約5×10-4g/L~約0.001g/L、約0.001g/L~約0.005g/L、約0.005g/L~約0.01g/L、約0.01g/L~約0.05g/L、約0.05g/L~約0.01g/L、約0.01g/L~約0.05g/L、約0.05g/L~約0.1g/L、または約0.1g/L~約0.5g/Lの濃度で存在する。濃度は、端点を含む、記載された範囲内の任意の値または部分範囲であり得る。
【0112】
ある特定の実施形態では、培地は成長因子を含む。様々な細胞型についての成長因子が、当該技術分野において周知である。本明細書に記載の成長培地に含まれ得る成長因子としては、インターロイキン3(IL-3)、インターロイキン6(IL-6)、幹細胞因子(SCF)、Fms関連チロシンキナーゼ3リガンド(Flt3L)、トロンボポエチン(TPO)、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子が挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、前述の成長因子のそれぞれは、独立して、本明細書に記載される培地および/またはサプリメントから除外されてもよい。
【0113】
実施形態では、SCFは、約0.0005ミリグラム/ミリリットル(mg/mL)~約1mg/mLの濃度で、培地および/またはサプリメント中に存在する。実施形態では、SCFは、約0.0001mg/mL~約1mg/mL、約0.005mg/mL~約1mg/mL、約0.01mg/mL~約1mg/mL、約0.05mg/mL~約1mg/mL、約0.1mg/mL~約1mg/mL、または約0.5mg/mL~約1mg/mLの濃度で、培地および/またはサプリメント中に存在する。実施形態では、SCFは、約0.0005mg/mL~約0.5mg/mL、約0.0005mg/mL~約0.1mg/mL、約0.0005mg/mL~約0.05mg/mL、約0.0005mg/mL~約0.01mg/mL、約0.0005mg/mL~約0.005mg/mL、または約0.0005mg/mL~約0.001mg/mLの濃度で、培地および/またはサプリメント中に存在する。実施形態では、SCFは、約0.0005mg/mL~約0.005mg/mL、約0.005mg/mL~約0.05mg/mL、約0.05mg/mL~約0.5mg/mL、約0.5mg/mL~約1mg/mLの濃度で、培地および/またはサプリメント中に存在する。
【0114】
実施形態では、Flt3Lは、約0.0005mg/mL~約1mg/mLの濃度で存在する。実施形態では、Flt3Lは、約0.0001mg/mL~約1mg/mL、約0.005mg/mL~約1mg/mL、約0.01mg/mL~約1mg/mL、約0.05mg/mL~約1mg/mL、約0.1mg/mL~約1mg/mL、または約0.5mg/mL~約1mg/mLの濃度で、培地および/またはサプリメント中に存在する。実施形態では、Flt3Lは、約0.0005mg/mL~約0.5mg/mL、約0.0005mg/mL~約0.1mg/mL、約0.0005mg/mL~約0.05mg/mL、約0.0005mg/mL~約0.01mg/mL、約0.0005mg/mL~約0.005mg/mL、または約0.0005mg/mL~約0.001mg/mLの濃度で、培地および/またはサプリメント中に存在する。実施形態では、Flt3Lは、約0.0005mg/mL~約0.005mg/mL、約0.005mg/mL~約0.05mg/mL、約0.05mg/mL~約0.5mg/mL、約0.5mg/mL~約1mg/mLの濃度で、培地および/またはサプリメント中に存在する。
【0115】
実施形態では、TPOは、約0.0005mg/mL~約1mg/mLの濃度で存在する。実施形態では、TPOは、約0.0001mg/mL~約1mg/mL、約0.005mg/mL~約1mg/mL、約0.01mg/mL~約1mg/mL、約0.05mg/mL~約1mg/mL、約0.1mg/mL~約1mg/mL、または約0.5mg/mL~約1mg/mLの濃度で、培地および/またはサプリメント中に存在する。実施形態では、TPOは、約0.0005mg/mL~約0.5mg/mL、約0.0005mg/mL~約0.1mg/mL、約0.0005mg/mL~約0.05mg/mL、約0.0005mg/mL~約0.01mg/mL、約0.0005mg/mL~約0.005mg/mL、または約0.0005mg/mL~約0.001mg/mLの濃度で、培地および/またはサプリメント中に存在する。実施形態では、TPOは、約0.0005mg/mL~約0.005mg/mL、約0.005mg/mL~約0.05mg/mL、約0.05mg/mL~約0.5mg/mL、約0.5mg/mL~約1mg/mLの濃度で、培地および/またはサプリメント中に存在する。
【0116】
実施形態では、IL-6は、約0.00005mg/mL~約0.1mg/mLの濃度で存在する。実施形態では、IL-6は、約0.0001mg/mL~約0.1mg/mL、約0.0005mg/mL~約0.1mg/mL、約0.001mg/mL~約0.1mg/mL、約0.005mg/mL~約0.1mg/mL、約0.01mg/mL~約0.1mg/mL、または約0.5mg/mL~約0.1mg/mLの濃度で、培地および/またはサプリメント中に存在する。実施形態では、IL-6は、約0.00005mg/mL~約0.05mg/mL、約0.00005mg/mL~約0.01mg/mL、約0.00005mg/mL~約0.005mg/mL、約0.00005mg/mL~約0.001mg/mL、約0.00005mg/mL~約0.0005mg/mL、または約0.00005mg/mL~約0.0001mg/mLの濃度で、培地および/またはサプリメント中に存在する。実施形態では、IL-6は、約0.00005mg/mL~約0.0005mg/mL、約0.0005mg/mL~約0.005mg/mL、約0.005mg/mL~約0.05mg/mL、約0.05mg/mL~約0.1mg/mLの濃度で、培地および/またはサプリメント中に存在する。
【0117】
実施形態では、IL-3は、約0.00005mg/mL~約0.1mg/mLの濃度で存在する。実施形態では、IL-3は、約0.0001mg/mL~約0.1mg/mL、約0.0005mg/mL~約0.1mg/mL、約0.001mg/mL~約0.1mg/mL、約0.005mg/mL~約0.1mg/mL、約0.01mg/mL~約0.1mg/mL、または約0.5mg/mL~約0.1mg/mLの濃度で、培地および/またはサプリメント中に存在する。実施形態では、IL-3は、約0.00005mg/mL~約0.05mg/mL、約0.00005mg/mL~約0.01mg/mL、約0.00005mg/mL~約0.005mg/mL、約0.00005mg/mL~約0.001mg/mL、約0.00005mg/mL~約0.0005mg/mL、または約0.00005mg/mL~約0.0001mg/mLの濃度で、培地および/またはサプリメント中に存在する。実施形態では、IL-3は、約0.00005mg/mL~約0.0005mg/mL、約0.0005mg/mL~約0.005mg/mL、約0.005mg/mL~約0.05mg/mL、約0.05mg/mL~約0.1mg/mLの濃度で、培地および/またはサプリメント中に存在する。
【0118】
実施形態では、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)は、約0.0005mg/mL~約1mg/mLの濃度で存在する。実施形態では、G-CSFは、約0.0001mg/mL~約1mg/mL、約0.005mg/mL~約1mg/mL、約0.01mg/mL~約1mg/mL、約0.05mg/mL~約1mg/mL、約0.1mg/mL~約1mg/mL、または約0.5mg/mL~約1mg/mLの濃度で、培地および/またはサプリメント中に存在する。実施形態では、G-CSFは、約0.0005mg/mL~約0.5mg/mL、約0.0005mg/mL~約0.1mg/mL、約0.0005mg/mL~約0.05mg/mL、約0.0005mg/mL~約0.01mg/mL、約0.0005mg/mL~約0.005mg/mL、または約0.0005mg/mL~約0.001mg/mLの濃度で、培地および/またはサプリメント中に存在する。実施形態では、G-CSFは、約0.0005mg/mL~約0.005mg/mL、約0.005mg/mL~約0.05mg/mL、約0.05mg/mL~約0.5mg/mL、約0.5mg/mL~約1mg/mLの濃度で、培地および/またはサプリメント中に存在する。
【0119】
実施形態では、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)は、約0.00005mg/mL~約0.1mg/mLの濃度で存在する。実施形態では、IL-6は、約0.0001mg/mL~約0.1mg/mL、約0.0005mg/mL~約0.1mg/mL、約0.001mg/mL~約0.1mg/mL、約0.005mg/mL~約0.1mg/mL、約0.01mg/mL~約0.1mg/mL、または約0.5mg/mL~約0.1mg/mLの濃度で、培地および/またはサプリメント中に存在する。実施形態では、GM-CSFは、約0.00005mg/mL~約0.05mg/mL、約0.00005mg/mL~約0.01mg/mL、約0.00005mg/mL~約0.005mg/mL、約0.00005mg/mL~約0.001mg/mL、約0.00005mg/mL~約0.0005mg/mL、または約0.00005mg/mL~約0.0001mg/mLの濃度で、培地および/またはサプリメント中に存在する。実施形態では、GM-CSFは、約0.00005mg/mL~約0.0005mg/mL、約0.0005mg/mL~約0.005mg/mL、約0.005mg/mL~約0.05mg/mL、約0.05mg/mL~約0.1mg/mLの濃度で、培地および/またはサプリメント中に存在する
【0120】
いくつかの実施形態では、成長培地は、基本培地およびサプリメントを含むHSCの培養のために提供され、培地および/またはサプリメントは、HAT阻害剤、HDAC阻害剤、ならびに脂質、アミノ酸もしくはアミノ酸誘導体、抗酸化剤、および無機塩のうちの2つ以上を含み、HAT阻害剤は、約0.001g/L~約1g/Lの濃度で培地および/またはサプリメント中に存在し、HDAC阻害剤は、約0.0005g/L~約10g/Lの濃度で培地および/またはサプリメント中に存在する。いくつかの実施形態では、HAT阻害剤は、約0.001g/L~約0.005g/Lの濃度で培地またはサプリメント中に存在し、HDAC阻害剤は、約0.01g/L~約0.1g/Lの濃度で培地またはサプリメント中に存在する。いくつかの実施形態では、HAT阻害剤は、約0.0001g/L~約0.01g/Lの濃度で培地またはサプリメント中に存在し、HDAC阻害剤は、約0.0005g/L~約0.1g/Lの濃度で培地またはサプリメント中に存在する。いくつかの実施形態では、HAT阻害剤は、約0.001g/L~約1g/Lの濃度で培地および/またはサプリメント中に存在し、HDAC阻害剤は、約1g/L~約5g/Lの濃度で培地またはサプリメント中に存在する。
【0121】
いくつかの実施形態では、培地および/またはサプリメントは、HAT阻害剤、HDAC阻害剤、ならびに脂質、アミノ酸もしくはアミノ酸誘導体、抗酸化剤、および無機塩のうちの2つ以上を含み、HAT阻害剤は、2,6-ビス[(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン]シクロヘキサノン、MG149、C646、CPTH2、クルクミン、A-485、アナカルジン酸、MB-3、ならびにカルコン、例えば、ガルシノール、イソガルシノール、キサントフモール、イソキサントフモール、2-ヒドロキシカルコン、4-ヒドロキシカルコン、ヤクチノンA、およびイソリキリチゲニンから選択され、HDAC阻害剤は、アピシジン、ベリノスタット、CI-994、CRA-024781、クルクミン、パノビノスタット、酪酸ナトリウム、フェニル酪酸ナトリウム、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(ボリノスタット)、トリコスタチンA、バルプロ酸ナトリウム(バルプロ酸;VPA)、ギビノスタット、MS-275、MGCD0103、およびスクリプタイドから選択される。いくつかの実施形態では、培地および/またはサプリメントは、カルコンHAT阻害剤と、酪酸ナトリウム、フェニル酪酸ナトリウム、トリコスタチンA、およびバルプロ酸ナトリウム(VPA)から選択されるHDAC阻害剤と、を含む。ある特定の実施形態では、培地および/またはサプリメントは、ガルシノール、イソガルシノール、キサントフモール、イソキサントフモール、2-ヒドロキシカルコン、4-ヒドロキシカルコン、ヤクチノンA、およびイソリキリチゲニンから選択されるHAT阻害剤と、酪酸ナトリウム、フェニル酪酸ナトリウム、トリコスタチンA、およびバルプロ酸ナトリウム(VPA)から選択されるHDAC阻害剤と、を含む。
【0122】
いくつかの実施形態では、培地および/またはサプリメントは、HAT阻害剤、HDAC阻害剤、ならびに脂質、アミノ酸もしくはアミノ酸誘導体、抗酸化剤、および無機塩のうちの2つ以上を含み、HAT阻害剤は、2,6-ビス[(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン]シクロヘキサノン、MG149、C646、CPTH2、クルクミン、A-485、アナカルジン酸、MB-3、ならびにカルコン、例えば、ガルシノール、イソガルシノール、キサントフモール、イソキサントフモール、2-ヒドロキシカルコン、4-ヒドロキシカルコン、ヤクチノンA、およびイソリキリチゲニンから選択され、HDAC阻害剤は、アピシジン、ベリノスタット、CI-994、CRA-024781、クルクミン、パノビノスタット、酪酸ナトリウム、フェニル酪酸ナトリウム、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(ボリノスタット)、トリコスタチンA、バルプロ酸ナトリウム(バルプロ酸;VPA)、ギビノスタット、MS-275、MGCD0103、およびスクリプタイドから選択され、脂質は、コレステロール、リノール酸、リノレン酸、オレイン酸、パルミチン酸、アラキドン酸、パルミトレイン酸、ミリスチン酸、およびこれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、培地および/またはサプリメントは、HAT阻害剤、HDAC阻害剤、ならびに脂質、アミノ酸もしくはアミノ酸誘導体、抗酸化剤、および無機塩のうちの2つ以上を含み、HAT阻害剤は、2,6-ビス[(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン]シクロヘキサノン、MG149、C646、CPTH2、クルクミン、A-485、アナカルジン酸、MB-3、ならびにカルコン、例えば、ガルシノール、イソガルシノール、キサントフモール、イソキサントフモール、2-ヒドロキシカルコン、4-ヒドロキシカルコン、ヤクチノンA、およびイソリキリチゲニンから選択され、HDAC阻害剤は、アピシジン、ベリノスタット、CI-994、CRA-024781、パノビノスタット、酪酸ナトリウム、フェニル酪酸ナトリウム、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(ボリノスタット)、トリコスタチンA、バルプロ酸ナトリウム(バルプロ酸;VPA)、ギビノスタット、MS-275、MGCD0103、およびスクリプタイドから選択され、抗酸化剤は、ポリフェノール、アスコルビン酸塩、カロテノイド、およびこれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、培地および/またはサプリメントは、HAT阻害剤、HDAC阻害剤、ならびに脂質、アミノ酸もしくはアミノ酸誘導体、抗酸化剤、および無機塩のうちの2つ以上を含み、HAT阻害剤は、2,6-ビス[(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン]シクロヘキサノン、MG149、C646、CPTH2、クルクミン、A-485、アナカルジン酸、MB-3、ならびにカルコン、例えば、ガルシノール、イソガルシノール、キサントフモール、イソキサントフモール、2-ヒドロキシカルコン、4-ヒドロキシカルコン、ヤクチノンA、およびイソリキリチゲニンから選択され、HDAC阻害剤は、アピシジン、ベリノスタット、CI-994、CRA-024781、パノビノスタット、酪酸ナトリウム、フェニル酪酸ナトリウム、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(ボリノスタット)、トリコスタチンA、バルプロ酸ナトリウム(バルプロ酸;VPA)、ギビノスタット、MS-275、MGCD0103、およびスクリプタイドから選択され、無機塩は、銅塩、マグネシウム塩、セレナイト塩、カリウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、鉄塩、ナトリウム塩、またはこれらの組み合わせから選択される。
【0123】
いくつかの実施形態では、培地および/またはサプリメントは、HAT阻害剤、HDAC阻害剤、ならびに脂質、アミノ酸もしくはアミノ酸誘導体、抗酸化剤、および無機塩のうちの3つ以上を含み、HAT阻害剤は、2,6-ビス[(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン]シクロヘキサノン、MG149、C646、CPTH2、クルクミン、A-485、アナカルジン酸、MB-3、ならびにカルコン、例えば、ガルシノール、イソガルシノール、キサントフモール、イソキサントフモール、2-ヒドロキシカルコン、4-ヒドロキシカルコン、ヤクチノンA、およびイソリキリチゲニンから選択され、HDAC阻害剤は、アピシジン、ベリノスタット、CI-994、CRA-024781、クルクミン、パノビノスタット、酪酸ナトリウム、フェニル酪酸ナトリウム、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(ボリノスタット)、トリコスタチンA、バルプロ酸ナトリウム(バルプロ酸;VPA)、ギビノスタット、MS-275、MGCD0103、およびスクリプタイドから選択され、脂質は、コレステロール、リノール酸、リノレン酸、オレイン酸、パルミチン酸、アラキドン酸、パルミトレイン酸、ミリスチン酸、およびこれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、培地および/またはサプリメントは、HAT阻害剤、HDAC阻害剤、ならびに脂質、アミノ酸もしくはアミノ酸誘導体、抗酸化剤、および無機塩のうちの3つ以上を含み、HAT阻害剤は、2,6-ビス[(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン]シクロヘキサノン、MG149、C646、CPTH2、クルクミン、A-485、アナカルジン酸、MB-3、ならびにカルコン、例えば、ガルシノール、イソガルシノール、キサントフモール、イソキサントフモール、2-ヒドロキシカルコン、4-ヒドロキシカルコン、ヤクチノンA、およびイソリキリチゲニンから選択され、HDAC阻害剤は、アピシジン、ベリノスタット、CI-994、CRA-024781、パノビノスタット、酪酸ナトリウム、フェニル酪酸ナトリウム、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(ボリノスタット)、トリコスタチンA、バルプロ酸ナトリウム(バルプロ酸;VPA)、ギビノスタット、MS-275、MGCD0103、およびスクリプタイドから選択され、抗酸化剤は、ポリフェノール、アスコルビン酸塩、カロテノイド、およびこれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、培地および/またはサプリメントは、HAT阻害剤、HDAC阻害剤、ならびに脂質、アミノ酸もしくはアミノ酸誘導体、抗酸化剤、および無機塩のうちの3つ以上を含み、HAT阻害剤は、2,6-ビス[(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン]シクロヘキサノン、MG149、C646、CPTH2、クルクミン、A-485、アナカルジン酸、MB-3、ならびにカルコン、例えば、ガルシノール、イソガルシノール、キサントフモール、イソキサントフモール、2-ヒドロキシカルコン、4-ヒドロキシカルコン、ヤクチノンA、およびイソリキリチゲニンから選択され、HDAC阻害剤は、アピシジン、ベリノスタット、CI-994、CRA-024781、パノビノスタット、酪酸ナトリウム、フェニル酪酸ナトリウム、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(ボリノスタット)、トリコスタチンA、バルプロ酸ナトリウム(バルプロ酸;VPA)、ギビノスタット、MS-275、MGCD0103、およびスクリプタイドから選択され、無機塩は、銅塩、マグネシウム塩、セレナイト塩、カリウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、鉄塩、ナトリウム塩、またはこれらの組み合わせから選択される。
【0124】
いくつかの実施形態では、培地および/またはサプリメントは、HAT阻害剤、HDAC阻害剤、脂質、アミノ酸もしくはアミノ酸誘導体、抗酸化剤、および無機塩を含み、HAT阻害剤は、2,6-ビス[(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン]シクロヘキサノン、MG149、C646、CPTH2、クルクミン、A-485、アナカルジン酸、MB-3、ならびにカルコン、例えば、ガルシノール、イソガルシノール、キサントフモール、イソキサントフモール、2-ヒドロキシカルコン、4-ヒドロキシカルコン、ヤクチノンA、およびイソリキリチゲニンから選択され、HDAC阻害剤は、アピシジン、ベリノスタット、CI-994、CRA-024781、クルクミン、パノビノスタット、酪酸ナトリウム、フェニル酪酸ナトリウム、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(ボリノスタット)、トリコスタチンA、バルプロ酸ナトリウム(バルプロ酸;VPA)、ギビノスタット、MS-275、MGCD0103、およびスクリプタイドから選択され、脂質は、コレステロール、リノール酸、リノレン酸、オレイン酸、パルミチン酸、アラキドン酸、パルミトレイン酸、ミリスチン酸、およびこれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、培地および/またはサプリメントは、HAT阻害剤、HDAC阻害剤、脂質、アミノ酸もしくはアミノ酸誘導体、抗酸化剤、および無機塩を含み、HAT阻害剤は、2,6-ビス[(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン]シクロヘキサノン、MG149、C646、CPTH2、クルクミン、A-485、アナカルジン酸、MB-3、ならびにカルコン、例えば、ガルシノール、イソガルシノール、キサントフモール、イソキサントフモール、2-ヒドロキシカルコン、4-ヒドロキシカルコン、ヤクチノンA、およびイソリキリチゲニンから選択され、HDAC阻害剤は、アピシジン、ベリノスタット、CI-994、CRA-024781、パノビノスタット、酪酸ナトリウム、フェニル酪酸ナトリウム、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(ボリノスタット)、トリコスタチンA、バルプロ酸ナトリウム(バルプロ酸;VPA)、ギビノスタット、MS-275、MGCD0103、およびスクリプタイドから選択され、抗酸化剤は、ポリフェノール、アスコルビン酸塩、カロテノイド、およびこれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、培地および/またはサプリメントは、HAT阻害剤、HDAC阻害剤、脂質、アミノ酸もしくはアミノ酸誘導体、抗酸化剤、および無機塩を含み、HAT阻害剤は、2,6-ビス[(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン]シクロヘキサノン、MG149、C646、CPTH2、クルクミン、A-485、アナカルジン酸、MB-3、ならびにカルコン、例えば、ガルシノール、イソガルシノール、キサントフモール、イソキサントフモール、2-ヒドロキシカルコン、4-ヒドロキシカルコン、ヤクチノンA、およびイソリキリチゲニンから選択され、HDAC阻害剤は、アピシジン、ベリノスタット、CI-994、CRA-024781、パノビノスタット、酪酸ナトリウム、フェニル酪酸ナトリウム、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(ボリノスタット)、トリコスタチンA、バルプロ酸ナトリウム(バルプロ酸;VPA)、ギビノスタット、MS-275、MGCD0103、およびスクリプタイドから選択され、無機塩は、銅塩、マグネシウム塩、セレナイト塩、カリウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、鉄塩、ナトリウム塩、またはこれらの組み合わせから選択される。
【0125】
いくつかの実施形態では、培地および/またはサプリメントは、HAT阻害剤、HDAC阻害剤、ならびに脂質、アミノ酸もしくはアミノ酸誘導体、抗酸化剤、および無機塩のうちの2つ以上を含み、HAT阻害剤は、2,6-ビス[(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン]シクロヘキサノン、MG149、C646、CPTH2、クルクミン、A-485、アナカルジン酸、MB-3、ならびにカルコン、例えば、ガルシノール、イソガルシノール、キサントフモール、イソキサントフモール、2-ヒドロキシカルコン、4-ヒドロキシカルコン、ヤクチノンA、およびイソリキリチゲニンから選択され、HDAC阻害剤は、アピシジン、ベリノスタット、CI-994、CRA-024781、パノビノスタット、酪酸ナトリウム、フェニル酪酸ナトリウム、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(ボリノスタット)、トリコスタチンA、バルプロ酸ナトリウム(バルプロ酸;VPA)、ギビノスタット、MS-275、MGCD0103、およびスクリプタイドから選択され、脂質は、コレステロール、リノール酸、リノレン酸、オレイン酸、パルミチン酸、アラキドン酸、パルミトレイン酸、ミリスチン酸、およびこれらの組み合わせから選択され、抗酸化剤は、ポリフェノール、アスコルビン酸塩、カロテノイド、およびこれらの組み合わせから選択され、無機塩は、銅塩、マグネシウム塩、セレナイト塩、カリウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、鉄塩、ナトリウム塩、またはこれらの組み合わせから選択される。
【0126】
いくつかの実施形態では、培地および/またはサプリメントは、HAT阻害剤、HDAC阻害剤、ならびに脂質、アミノ酸もしくはアミノ酸誘導体、抗酸化剤、および無機塩のうちの2つ以上を含み、HAT阻害剤は、ガルシノール、イソガルシノール、キサントフモール、イソキサントフモール、2-ヒドロキシカルコン、4-ヒドロキシカルコン、ヤクチノンA、およびイソリキリチゲニンなどのカルコンから選択され、HDAC阻害剤は、酪酸ナトリウム、フェニル酪酸ナトリウム、トリコスタチンA、およびバルプロ酸ナトリウム(VPA)から選択され、脂質は、コレステロール、リノール酸、リノレン酸、オレイン酸、パルミチン酸、アラキドン酸、パルミトレイン酸、ミリスチン酸、およびこれらの組み合わせから選択され、抗酸化剤は、DLリポ酸、酢酸DLトコフェロール、およびアスコルビン酸、ならびにこれらの組み合わせから選択され、無機塩は、銅塩、マグネシウム塩、セレナイト塩、カリウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、鉄塩、ナトリウム塩、またはこれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤およびHAT阻害剤は、1:1~1:30のHDAC阻害剤:HAT阻害剤の重量比である。
【0127】
いくつかの実施形態では、培地および/またはサプリメントは、カルコンHAT阻害剤と、酪酸ナトリウム、フェニル酪酸ナトリウム、トリコスタチンA、およびバルプロ酸ナトリウム(VPA)から選択されるHDAC阻害剤と、を含む。ある特定の実施形態では、培地および/またはサプリメントは、ガルシノール、イソガルシノール、キサントフモール、イソキサントフモール、2-ヒドロキシカルコン、4-ヒドロキシカルコン、ヤクチノンA、およびイソリキリチゲニンから選択されるHAT阻害剤と、酪酸ナトリウム、フェニル酪酸ナトリウム、トリコスタチンA、およびバルプロ酸ナトリウム(VPA)から選択されるHDAC阻害剤と、を含む。
【0128】
III.方法
一態様では、本開示は、幹細胞を増殖させる方法に関するものであり、この方法は、基本培地、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、ならびに脂質、アミノ酸もしくはアミノ酸誘導体、抗酸化剤、および無機塩のうちの2つ以上を含む成長培地中で幹細胞を成長させることを含む。
【0129】
一態様では、本開示は、幹細胞を増殖させる方法に関するものであり、この方法は、(i)ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)阻害剤と、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)と、を含むサプリメントを基本培地に添加して、成長培地を形成することと、(ii)幹細胞を成長培地中で成長させ、それによって幹細胞を増殖させることと、を含む。
【0130】
一態様では、本開示は、対象から初代細胞を増殖させる方法に関するものであり、この方法は、基本培地、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)阻害剤およびヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、ならびに脂質、アミノ酸もしくはアミノ酸誘導体、抗酸化剤、および無機塩のうちの2つ以上を含む成長培地中で、初代細胞を成長させることを含む。
【0131】
一態様では、本開示は、療法を必要とする対象を治療する方法に関するものであり、この方法は、(a)造血幹細胞(HSC)を取得することと、(b)基本培地、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)阻害剤およびヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、ならびに脂質、アミノ酸もしくはアミノ酸誘導体、抗酸化剤、および無機塩のうちの少なくとも2つを含む成長培地中でHSCを増殖させることと、(c)HSCを対象に導入し、それによって対象を治療することと、を含む。
【0132】
本開示の任意の態様に従ってインビトロで増殖された造血幹細胞(HSC)は、薬剤として使用され得る。例えば、基本培地、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)阻害剤およびヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、ならびに脂質、アミノ酸もしくはアミノ酸誘導体、抗酸化剤、および無機塩のうちの少なくとも2つを含む成長培地中で増殖されたHSCは、対象を治療するための薬剤として使用され得る。HSCは、治療されるべき同じ対象に由来してもよく、かつ/またはHSCを対象に導入する前に遺伝子改変されてもよい。増殖されたHSCは、造血器悪性腫瘍、がん、自己免疫疾患、または血液系疾患を治療するために、および/または対象が化学療法を受けた後に使用されてもよい。対象は、ヒトであり得る。
【0133】
一態様では、本開示は、幹細胞(SC)内のゲノムを編集するための方法に関するものであり、方法は、(a)本明細書で提供される増殖方法(例えば、請求項47~80のいずれか一項に記載の方法)を使用して増殖されたSCを取得することと、(b)幹細胞のゲノムを編集することと、を含む。実施形態では、ゲノムは、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼ、およびクラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)に関連するタンパク質から選択される1つ以上のゲノム編集試薬を使用して編集され、かつ(c)任意に、編集された細胞を、本明細書に記載されるHSC増殖培地中で、一定期間(例えば、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、もしくはそれ以上、またはその間の任意の時間)増殖させることを含む。
【0134】
一態様では、本開示は、造血幹細胞(HSC)の集団の生着能を改善するための方法に関するものであり、この方法は、(a)HSCの集団を取得することと、(b)本明細書に記載される培地を使用してHSCの集団を増殖させて、それにより、HSCの集団の生着能を改善することと、を含む。
【0135】
一態様では、本開示は、療法を必要とする対象を治療する方法に関するものであり、この方法は、(a)本明細書に記載される培地を使用して増殖させた造血幹細胞(HSC)を取得することと、(b)HSCを対象に導入し、それによって対象を治療することと、を含む。
【0136】
一態様では、本開示は、細胞(例えば、CD34+細胞、PBMC)をiPSCに再プログラミングする方法に関するものであり、この方法は、(a)iPSC細胞に再プログラミングされる細胞を取得することと、(b)細胞を、本明細書に記載されるHSC増殖培地中で増殖させることと、(c)山中因子を細胞に導入することと(例えば、Takahashi et al.(2007)Cell 131:861-872を参照)、(d)(c)からの細胞を、HSC増殖培地のマトリックス上で最初の期間培養することと、(e)HSC増殖培地をiPSC培地に交換し、それによって細胞を再プログラミングすることと、を含む。いくつかの実施形態では、(e)は細胞をHSC増殖培地からiPSC培地に移行させることを含む。いくつかの実施形態では、HSC増殖培地は、一度に完全にiPSC培地に交換される。いくつかの実施形態では、HSC増殖培地は、HSC増殖培地の全てが交換されるまで、段階的にiPSC培地で交換される。いくつかの実施形態では、再プログラミング因子は、CytoTune(商標)iPS 2.0 Sendai Reprogramming KitまたはCTS(商標) CytoTune(商標)-iPS 2.1 Sendai Reprogramming KitなどのCytoTune(商標)iPS Reprogramming Kit(Thermo Fisher Scientific)を使用して、増殖したCD34+細胞に導入される。
【0137】
IV.キット
一態様では、本開示は、基本培地およびサプリメントを含むキットに関するものであり、培地および/またはサプリメントは、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、ならびに脂質、アミノ酸もしくはアミノ酸誘導体、抗酸化剤、および無機塩のうちの2つ以上を含む。いくつかの実施形態では、HAT阻害剤、HDAC阻害剤、脂質、アミノ酸もしくはアミノ酸誘導体、抗酸化剤、および無機塩を含む。
【0138】
本明細書に記載される実施例および実施形態は、例示のみを目的としており、それに照らして様々な修正または変更が当業者に提案され、本出願の趣旨および範囲、ならびに添付の特許請求の範囲内に含まれることが理解される。本明細書で引用された全ての刊行物、特許、および特許出願は、全ての目的のためにそれら全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例0139】
実施例1:造血幹細胞および造血前駆細胞の増殖システム
エクスビボで長期および短期の両方のヒトHSCを効果的に増殖させる培地システムが記載される。臍帯血、末梢血(例えば、mPB)、および骨髄などの異なる組織源からのヒトHSCも増殖させることができる。この培地で誘導または増殖されたHSCは、例えば、生化学的研究、トランスクリプトームを扱う研究、エピジェネティックな研究、および移植研究を含む任意の好適な用途に使用されてもよい。
【0140】
HSCを増殖させるための、本明細書に記載され、「HSC培地」と称される基本培地と組み合わせたサプリメントの使用は、増殖された細胞集団中のCD34+CD90+CD45RA-細胞の高い割合をもたらす。このCD34+CD90+CD45RA-細胞集団は、長期生着を確立する上でより重要であると考えられることから、HSC移植の文脈において関連している。さらに、競合培地へのHAT阻害剤およびHDAC阻害剤の添加は、CD34+CD90+CD45RA-亜集団の対応する増加をもたらさなかった-これは、効果がVPA/ガルシノールの存在だけによるのではなく、より一般的にサプリメントによることを示している。
【0141】
この培地は短期および長期のHSCの両方を増殖させるため、これらの増殖した細胞を移植された患者は、回復の初期段階中に免疫防御を有する(短期のCD34+HSCによって促進される)だけでなく、長期の細胞(CD34+CD90+CD45RA-)も有し、輸血非依存性造血に適した解決策を提供するであろう。最終的には、これにより健康状態が改善され、入院期間および患者1人あたりの医療費が低減されることが期待される。標的となり得る疾患の主な種類には、がん、自己免疫疾患、および血液疾患が挙げられる。
【0142】
この培地システムの他の潜在的な使用には、遺伝子療法(例:CRISPR-Cas9)、iPSC再プログラミング(例、HSCからiPSCに、PBMCからiPSCに、など)、形質導入、分化(iPSCからHSCに、HSCから免疫細胞型に、HSCから赤血球に、HSCから巨核細胞に)、分化転換(HSCから心筋細胞に)、薬物発見のための小分子スクリーニング、および疾患モデリングが挙げられ得る。
【0143】
以下の実施例で使用される基本培地は、1X製剤として製造され、4℃で保存されたが、サプリメントは、-20℃で保存された50X製剤であった。細胞増殖/培養については、解凍したサプリメントを基本培地に添加し、特定の成長因子を完全培地に添加して、HSC増殖を促進させた。以下に示すように、臍帯血、骨髄、または動員末梢血からのCD34
+細胞を、この培地システムの存在下で、37℃のインキュベーター内で最長14日間培養した。7日目(または示された時点)に、細胞を数えて、フローサイトメトリーによって表現型について評価した。基本培地に加えてサプリメント(1Xでの)および成長因子(SCF、Flt3L、TPO、IL-6およびIL-3)が、HSCの増殖を可能にする。例えば、
図1を参照されたい。
【0144】
インビトロ増殖。ヒト動員末梢血(mPB、AllCells)の3人のドナーからの濃縮CD34+細胞を、次の無血清培地中で培養した:HSC培地(本明細書で提供)、および市販の幹細胞成長培地(SCGM、CellGenix GmbH)、STEMSPAN(商標)Animal Component Free(ACF、STEMCELL Technologies)、およびSTEMPRO(商標)34(Thermo Fisher Scientific)。全ての培地には、100ng/mLのSCF、100ng/mLのFLT-3L、100ng/mLのTPO、50ng/mLのIL-3、および20ng/mLのIL-6(全て、Thermo Fisher Scientificから提供)を補充した。48ウェルプレートの5×103個のCD34+細胞/mLを、加湿した37℃、5%のCO2インキュベーター内で7日間培養することによって、HSCの増殖を開始した。7日目に、総有核細胞(TNC)数および生存率を、Countess II細胞カウンタ(Thermo Fisher Scientific)を使用して評価し、細胞表現型の評価を、フローサイトメトリーによって実行した。
【0145】
フローサイトメトリー分析。TNCをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し、PBS中のLIVE/DEAD(登録商標)Fixable Yellow色素とともに室温で20分間インキュベートした。細胞をフローサイトメトリー染色緩衝液で洗浄し、ヒト細胞表面抗原に対するモノクローナル抗体のカクテル(CD34 PE-Cy7、CD90 APC、CD45RA Pacific Blue)とともに4℃で30分間インキュベートした。細胞を、Attune NxTフローサイトメーター(Thermo Fisher Scientific)およびFLOWJO(登録商標)ソフトウェア(バージョン7.6.5 Becton Dickinson)で分析した。
【0146】
アルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)の発現。(上記のように)7日間増殖させた細胞を、ALDEFLUOR(登録商標)またはALDEFLUOR(登録商標)を含むDEABのいずれかとともに、製造元(STEMCELL Technologies)の指示に従って、37℃で45分間インキュベートした。次いで、細胞を上記のように抗体とともにインキュベートし、洗浄し、増殖した細胞によるALDHの発現を上記のようにフローサイトメトリーによって評価した。ALDH発現のゲーティングは、DEAB対照を使用して決定した。
【0147】
実施例2:ガルシノールおよびVPAは、HSC培地製剤におけるHSC増殖の大きさを相乗的に増加させる
小分子の培地のパフォーマンスへの影響。競合培地へのバルプロ酸(VPA)およびガルシノールの寄与を評価するために、小分子を、HSC培地に存在する最終濃度で、SCGMおよびSTEMSPAN(商標)ACFを組み合わせたものに、または個別のもののいずれかに添加した。小分子が製剤から除外されたときに、HSC培地のパフォーマンスが低減するかどうかの問題に取り組むために、製造中にVPAまたはガルシノールのいずれかを除去した。3人のドナーからのCD34
+mPB細胞を、上記(実施例1)のように培地±VPAまたはガルシノールで培養し、HSC培地、STEMSPAN(商標)ACF、SCGMまたはSTEMSPAN(商標)ACFとSTEMSPAN(商標)CD34
+Expansion Supplement(10X)と比較した。上記のように、7日目に、細胞を、TNC、生存率、CD34
+、CD34
+CD90
+CD45RA
-細胞について評価した。3人のドナーからのデータポイント(CD34
+増殖、TNC増殖)をプールするために、全ての条件を標準誤差で計算されたSCGM培地に正規化した。3人のドナーにおけるCD34
+の%およびCD34
+CD90
+CD45RA
-の%データポイントのプールについては、値を平均し、標準誤差を算出した。
【表1】
【0148】
ガルシノールとVPAとの組み合わせは、競合培地と比較して、HSC培地中でのCD34
+およびCD34
+CD90
+HSCの増殖に大きな効果を有する。競合培地へのVPAのみの添加は、それらの培地のHSCの増殖を改善した。ACFでは、VPAのみの添加は、パフォーマンスをHSC培地(ガルシノールおよびVPAを含む)レベルまで向上させた。HSC培地では、ガルシノールとVPAとの組み合わせは、パフォーマンスを改善するように機能する。
図3を参照されたい。
【0149】
競合培地へのVPAのみの添加は、HSC培地中のCD34
+CD90
+CD45RA
-の%を改善し、ガルシノールとVPAとの組み合わせは、CD34
+CD90
+CD45RA
-の%を、競合物を超えるまで改善した。
図4~6Bを参照されたい。
【0150】
結論。ガルシノールおよびVPAは、競合培地に添加される場合、組み合わせては機能しない。ACFでは、VPAの添加は、パフォーマンスをHSC培地レベルまで向上させた。HSC培地では、ガルシノールとVPAとの組み合わせは、TNC、CD34+、CD34+CD90+集団の全体にわたってパフォーマンスを改善した。
【0151】
実施例3:HSC培地
この実施例で使用されているHSC培地は、造血幹細胞(HSC)の増殖を支持するために特別に製剤化されたゼノフリーの無血清培地である。増殖の標的とされる表現型は、CD34+CD90+CD45RA-細胞サブセットの濃縮を重視した、総CD34+細胞集団である。
【0152】
優れた増殖性および濃縮性。CD34
+細胞およびCD34
+CD90
+CD45RA
-サブセットは、動員末梢血、骨髄、ならびに臍帯血で低い割合で見出されている。これらは適切な造血および免疫機能にとって重要であり、移植生物学、幹細胞生物学、および造血発生を含む様々な理由で研究されている。HSC培地は、総CD34
+区画の優れた増殖を可能にするだけではなく、CD34
+CD90
+CD45RA
-幹細胞も濃縮し、研究者に研究するためのより多くの細胞を提供する(
図7~9を参照)。
【0153】
機能性の維持。増殖したHSCの機能性は重要である。HSCの機能試験に頻繁に使用されるインビトロアッセイは、コロニー形成単位(CFU)アッセイまたはコロニー形成細胞(CFC)アッセイである。CFUアッセイは、半固体培地に播種した(seed)ときに、それらのコロニーを形成する能力によってHSCの増殖能および分化能を評価するために使用された。HSC培地は、顆粒球、単球、赤芽球、巨核球の系統へのインビトロ分化能を維持する(
図10を参照)。
【0154】
総有核細胞数および生存率。Countess IIを利用することにより、総有核細胞(TNC)および増殖後の細胞の生存率を数え上げた。TNCは、培養中の全ての異なる種類の細胞(HSCおよび分化細胞の両方)を表す。一部の培地条件が、細胞の生存に悪影響を与える可能性があるため、生存率は重要である。
【0155】
コロニー形成細胞(CFC)アッセイ。増殖されたHSCは、様々な血球系統に分化する能力を維持する必要がある。インビボでは、これは、HSCの免疫不全マウスへの生着を介して評価される。これらの実験は、典型的には、完了するまでに数ヶ月かかるため、分化能を決定するための代用アッセイは、コロニー形成細胞(CFC)アッセイである。このアッセイでは、細胞は、赤血球、顆粒球、およびマクロファージ前駆細胞などの成長を支持する、エリスロポエチン、GM-CSF、G-CSF、IL-3、IL-6、SCFなどの成長因子を含有する半固体のMethoCult(商標)培地に播種される。14日間の培養期間後に異なるコロニーが観察される。
【0156】
表現型パフォーマンスデータの競合比較。HSC培地中でのヒト動員末梢血(mPB)からのHSCの増殖は、CD34
+細胞の約100倍の増加をもたらす。HSC培地中でのCD34
+mPBの増殖は、細胞が>80%の生存率を示しながら(
図7C)、CD34
+細胞(
図7A)およびTNC(
図7B)の有意に高いレベルの増殖をもたらした。増殖された細胞は、CD34
+CD90
+CD45RA
-長期HSC(
図7E)の有意に高いレベルを有する、>60%のCD34
+であった(
図7D)。示されたCD34+およびCD34
+CD90
+CD45RA
-の割合は、総生TNC集団からのものである。3人のヒト単一ドナーから精製したCD34
+mPBを、HSC培地(HSC基本培地および50Xサプリメント)または3つの市販培地(全て成長因子(SCF、Flt3L、TPO、IL-3、およびIL-6)を補充した)中で培養した。細胞を7日間培養した後、Countess IIを使用して総有核細胞(TNC)および生存率を決定し、以下および
図9に記載されるように、フローサイトメトリーによって表現型を評価した。エラーバーは、標準偏差を示す。
【0157】
ロット間の表現型のパフォーマンスデータ。HSC培地は、一貫したロット間パフォーマンスを示す。HSC培地の3つの異なるロットで増殖させたCD34
+mPBは、同等レベルのCD34
+細胞増殖(
図8A)、TNC増殖(
図8B)、生存率(
図8C)、CD34
+の%(
図8D)、およびCD34
+CD90
+CD45RA
-長期HSC(
図8E)を示す。3人のヒト単一ドナーから精製したCD34
+mPBを、3つの異なるロットのHSC培地(HSC基本培地および50Xサプリメント)(全て成長因子を補充)中で培養した。細胞を7日間培養した後、Countess IIを使用して総有核細胞(TNC)および生存率を決定し、
図9に記載されるように表現型を評価した。エラーバーは、標準偏差を示す。
【0158】
表現型分析ゲーティング戦略:HSC培地中で培養した増殖されたHSCの表現型の特性評価。mPBから精製したCD34+を、成長因子を含有するHSC培地中で培養した。細胞を7日間培養した後、フローサイトメトリーによってCD34、CD90、およびCD45RAの発現を評価した。ダブレットおよび死細胞を分析から除外し、ゲート特定CD34+細胞およびCD90+CD45RA-細胞を、蛍光マイナスワン(FMO)対照に基づいて画定した。
【0159】
CFUアッセイデータ。HSC培地中で増殖させたCD34+細胞は、インビトロ分化能を維持する。HSC培地中で増殖させたCD34+mPBは、14日間の培養期間中に、顆粒球/赤芽球/単球/巨核球(GEMM)、赤芽球(E)、および顆粒球/単球(GM)コロニー形成細胞に分化することができた。2人のヒト単一ドナーから精製したCD34+mPBを、成長因子を補充したHSC培地中で7日間培養した。続いて、増殖させたTNCを半固体培地中でさらに14日間培養し、コロニー形成細胞(CFC)を評価した。画像は、特定されたコロニーの例を示している。
【0160】
HSC培地は、単一ドナーヒトCD34
+mPB細胞を増殖させる。HSC培地中で増殖させた3つのヒト単一ドナーCD34
+mPBは、全て、同等レベルのCD34
+細胞の増殖(
図11A)、TNC(
図11B)、生存率(
図11C)、CD34+の%(
図11D)を示した。特に、CD34
+CD90
+CD45RA
-長期HSC(
図11E)の増殖レベルは、ドナー間で変動した。3人のヒト単一ドナーから精製したCD34
+mPBを、成長因子を補充したHSC培地中で培養した。細胞を7日間培養した後、Countess IIを使用して総有核細胞(TNC)および生存率を決定し、
図9に記載されるように表現型を評価した。エラーバーは、サンプル反復試験内の標準偏差を示している。
【0161】
HSC培地中で増殖させたCD34
+細胞は、最高のALDHレベルを発現する。HSC培地中で増殖させたCD34
+mPBを、アルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)の発現について評価した。ゲーティングを使用して、(
図12B)ALDEFLUOR(商標)陽性細胞集団と比較して、ALDH発現のない(
図12A)対照DEABでインキュベートされた細胞の特定を示した。HSC培地中でのCD34
+の増殖は、(
図12C)細胞ごとに最高のALDH発現(幾何平均蛍光強度)、および(
図12D)最高のALDHに対して陽性のCD34
+細胞染色%を示した。増殖した細胞によるALDH発現の一貫性が、HSC培地ロット間で観察された。3人のヒト単一ドナーから精製したCD34
+mPBを、3つのロットのHSC培地または3つの市販の培地(全て成長因子を補充)中で培養した。細胞を7日間培養した後、製造元の指示に従って、総有核細胞(TNC)を、DEABまたはALDEFLUOR(商標)のいずれかでインキュベートした。細胞を抗体で染色して、CD34
+細胞を特定し、ALDH発現について分析した。表示されたデータは、3つの単一ドナーmPB細胞からプールされた。エラーバーは、標準誤差を示す。
【0162】
実施例4:HSC増殖培地中で増殖されたHSCの遺伝子操作
HSC培地中で増殖させたCD34+細胞は、CRISPR/Cas9を使用して遺伝子操作することができる。単一ドナーからの動員末梢血(mPB)からの1×106個の精製CD34+細胞を、100ng/mLのSCF、100ng/mLのFLT-3L、100ng/mLのTPO、50ng/mLのIL-3および20ng/mLのIL-6(全て、Thermo Fisher Scientificから提供)を補充した、本明細書に記載のHSC培地中で個別に培養した。細胞を、37℃のインキュベーターで5%のCO2で2日間培養した。2日目に、各ドナーからの5×104個の細胞を、NEON(商標)細胞トランスフェクションデバイス(Thermo Fisher Scientific)を使用して、製造元の指示に従ってトランスフェクトした。具体的には、細胞を、1.2μgのTRUECUT(商標)Cas9 Protein V2(Thermo Fisher Scientific)、300ngのガイドRNA、および100ng/ml、200ng/ml、または500ng/mlの1.4kbのGFPドナーDNAでトランスフェクトした。トランスフェクション後、細胞をSCF、Flt3L、TPO、IL-3およびIL-6を含むSTEMPRO(商標)HSC増殖培地中で3日間培養した。GFPドナーDNAの挿入効率を、トランスフェクションから72時間後に、ATTUNE(商標)NxT Acoustic Focusing Cytometer(Thermo Fisher Scientific)によって測定した。トランスフェクトされていない細胞を使用してゲートを設定し、GFP+細胞の割合を決定した。HSCの多能性を測定するために、トランスフェクトされていない細胞およびトランスフェクトされた細胞を、CD34-PE Cy7(Thermo Fisher Scientific、25-0349-42)およびCD90-APC(Thermo Fisher Scientific、17-0909-42)抗体の両方で染色した。トランスフェクトされていない細胞を使用して、ゲート設定および様々な蛍光チャネルの補正を実行した。GFP-細胞集団のCD34およびCD90染色を使用して、GFP+細胞集団の染色と比較した。GFP+細胞を、BioRad s3eセルソーターを使用してトランスフェクトされた細胞からさらに単離した。
【0163】
GFP+およびGFP-選別された細胞を、Attune NxT フローサイトメーター(Thermo Fisher Scientific)を使用してCD34およびCD90について、フローサイトメトリーによって分析した。バーは、3つの個々のドナーの平均値を示している。(
図13B)。トランスフェクトされたGFP+細胞は、トランスフェクトされていないGFP-細胞と比較した場合、同様のCD34、CD90プロファイルを示し、本明細書に記載されるHSC増殖培地中でのCD34+細胞の増殖が、細胞を遺伝的に改変する能力に悪影響を与えないことを示している。GFP+遺伝子操作細胞は、コロニー形成アッセイを使用して、非改変細胞と比較して同様の分化能を示した(
図13C)。
【0164】
実施例5:STEMPRO(商標)HSCは、CTS CytoTune 2.1を用いて、CD34+細胞のiPSCへの再プログラミングを可能にする。
治療の文脈におけるiPSCの可能性のために、ゼノフリーの再プログラミングワークフローが望ましい。例えば、規制上の観点から見れば、ゼノフリーのワークフローが望ましい。次の実験は、本明細書に記載されるゼノフリーHSC増殖培地を使用して、HSCをiPSCに再プログラムできることを示している。2個体からの単一ドナーの臍帯血由来のCD34+細胞を解凍し、SCF、IL-3、およびGM-CSFを含有するOPTMIZER(商標)細胞培地(Thermo Fisher Scientific)または、SCF、Flt3L、TPO、IL-3、およびIL-6を含有する本明細書に記載されるSTEMPRO(商標)HSC増殖培地のいずれかで培養した。培養中、毎日、培地の半分を取り除いて、サイトカインを含有する新鮮な培地で交換した。細胞を、ポリブレンの存在下で5-5-3(KOS-LMyc-Klf4)のMOIで、製造元のプロトコルに従って、CTS(商標)CytoTune(商標)2.1-iPS Sendai Reprogramming Kit(Thermo Fisher Scientific)で形質導入した。3日後、細胞を、サイトカインを含有しない本明細書に記載されるHSC増殖培地中の組換えヒトビトロネクチン(rhVTN-N)コーティングプレート上に播種した(plate)。形質導入から7日後、培地の半分を取り除いて、ESSENTIAL8(商標)培地(Thermo Fisher Scientific)で交換した。翌日およびその後毎日、細胞にESSENTIAL8(商標)培地を供給した。形質導入後16日目に、Vector Red Alkaline Phosphatase Substrate Kitを使用して、アルカリホスファターゼについて細胞を染色することにより、再プログラミング効率を測定した。AP陽性コロニーの数を計数し、形質導入後3日目に播種した細胞の数と比較して、再プログラミング効率を決定した。示されているのは、平均再プログラミング効率である(
図14A、14B)。
【0165】
実施例6:StemPro HSC増殖培地(プロトタイプ)は、CTS CytoTune 2.1およびCytoTune 2.0を用いて、PBMCのiPSCへの再プログラミングを可能にする。
次の実験は、本明細書に記載されるゼノフリーHSC増殖培地を使用して、HSCをiPSCに再プログラムできることを示している。3人の単一ドナーからの単一ドナーのPBMC CD34+細胞を取得して、解凍し、SCF、IL-3、およびGM-CSFを含有するSTEMPRO(商標)34細胞培地(Thermo Fisher Scientific)または、SCF、Flt3L、TPO、IL-3、およびIL-6を含有する本明細書に記載されるHSC増殖培地のいずれかで培養した。培養中、毎日、培地の半分を取り除いて、サイトカインを含有する新鮮な培地で交換した。細胞を、ポリブレンの存在下で5-5-3(KOS-LMyc-Klf4)のMOIで、製造元のプロトコルに従って、CTS(商標)CytoTune(商標)2.1-iPS Sendai Reprogramming Kit(Thermo Fisher Scientific)で形質導入した。形質導入後、細胞を2つの培養物に分割し、上述したような成長因子を有するSTEMPRO(商標)34培地またはHSC増殖培地中で、一方の培養物は、正常酸素条件で成長させ、もう一方の培養物は低酸素条件で成長させた。3日後、細胞を、サイトカインを含有しない、STEMPRO(商標)34培地または本明細書に記載されるHSC増殖培地中の組換えヒトビトロネクチン(rhVTN-N)コーティングプレート上に播種した。形質導入から7日後、培地の半分を取り除いて、ESSENTIAL8(商標)培地(Thermo Fisher Scientific)で交換した。翌日およびその後毎日、細胞にESSENTIAL8(商標)培地を供給した。形質導入後16日目に、Vector Red Alkaline Phosphatase Substrate Kitを使用して、アルカリホスファターゼについて細胞を染色することにより、再プログラミング効率を測定した。AP陽性コロニーの数を計数し、形質導入後3日目に播種した細胞の数と比較して、再プログラミング効率を決定した。示されているのは、3人のドナーの平均効率である(
図15)。
【0166】
実施例7:HSC成長培地中で増殖させたCD34+細胞の生着。
ヒトCD34+細胞を取得し、本明細書に記載のHSC増殖培地中で7日間増殖させる。様々な濃度の増殖細胞、非増殖細胞(対照)を致死的に照射された免疫不全マウスに移植する。様々な時点(2ヶ月、6ヶ月)で、マウスを安楽死させ、骨髄細胞および脾臓細胞を採取する。骨髄および脾臓細胞を、ヒトCD34、CD33、CD45、系統、CD3およびCD19細胞表面マーカーに対する抗体で染色し、フローサイトメーターを使用して分析する。本明細書に記載されるHSC増殖培地中で増殖させたCD34+細胞を移植したマウスは、増殖していない細胞を移植したマウスと比較して、生着細胞の数が増加し、生着能の改善を示している。生着は、2ヶ月(短期生着)、および6ヶ月(長期生着)の両方で観察される。
【0167】
移植された細胞が自己再生能を有することを示すために、上記のように6ヶ月で安楽死させたマウスの骨髄細胞を致死的に照射された免疫不全マウスに移植する(二次移植)。2ヶ月目に、マウスを安楽死させ、骨髄細胞および脾臓細胞を採取する。骨髄および脾臓細胞を、ヒトCD34、CD33、CD45、系統、CD3およびCD19細胞表面マーカーに対する抗体で染色し、フローサイトメーターを使用して分析する。骨髄および脾臓に移植された細胞の存在が観察され、増殖した細胞の自己再生能を示している。
【0168】
実施例8:追加のHDAC阻害剤およびHAT阻害剤
追加のHDAC阻害剤および/またはHAT阻害剤がHSCの増殖を増加させる能力を評価する。1つ以上のHDAC阻害剤および/またはHAT阻害剤を、単独でまたは組み合わせて試験する。追加のHDAC阻害剤およびHAT阻害剤は、HSCの増殖に対して同様の効果を有すると予想される。
【0169】
実施例9:初代細胞増殖に対するHSC培地の効果
ヒトドナー由来の初代細胞の増殖を促進するHSC培地の能力を評価する。異なる種類の初代細胞(例えば、マクロファージ、T細胞)は、本明細書に記載されるHSC培地中で増殖される。HSC培地は、T細胞などのいくつかの追加の初代細胞型の増殖を増加させることが期待される。
【0170】
実施例10:HSC培地中で増殖されたHSCを用いた患者の治療
HSCによって治療可能な疾患を有する患者を治療するために本明細書に記載される増殖させたHSCの能力を決定する。HSCは、治療を受ける患者にとって同種異系のHSC源に由来する。HSCは、HSC培地中で、エクスビボで増殖させる。増殖させたHSCは、細胞の生着および病態の治療を促進するのに有効な量で患者に投与される。
基本培地およびサプリメントを含む造血幹細胞(HSC)の培養のための成長培地であって、前記培地および/またはサプリメントが、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、ならびに脂質、アミノ酸もしくはアミノ酸誘導体、抗酸化剤、および無機塩のうちの2つ以上を含む、成長培地。