(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013796
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】建設副産物の仲介システム及び建設副産物の仲介方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20240125BHJP
【FI】
G06Q50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116165
(22)【出願日】2022-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】522292091
【氏名又は名称】飯間 康貴
(74)【代理人】
【識別番号】100119415
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 充
(72)【発明者】
【氏名】飯間 康貴
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC07
(57)【要約】
【課題】建設副産物の授受における当事者間の合意形成をしやすくする。
【解決手段】建設副産物の仲介システムは、建設副産物を必要とする第1の現場の端末から、前記建設副産物の必要量と必要日時とを含む案件情報の登録を受け付けて、前記第1の現場の位置とともに、所定のデータベースに登録する登録手段と、前記建設副産物が発生する第2の現場の端末からの要求に応じて、前記所定のデータベースを検索し、前記第1の現場の案件を1つ以上抽出し、所定の秘密化処理を行った上で、前記第2の現場の端末に送信する案件抽出手段と、前記第1の現場の端末との個別交渉を要望する前記第2の現場の端末に対し、所定の情報開示料を請求する情報開示料請求手段と、前記所定の情報開示料を支払った前記第2の現場の端末に対し、前記第1の現場の位置及び連絡先を含む案件の詳細情報を送信する詳細情報送信手段と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設副産物を必要とする第1の現場の端末から、前記建設副産物の必要量と必要日時とを含む案件情報の登録を受け付けて、前記第1の現場の位置とともに、所定のデータベースに登録する登録手段と、
前記建設副産物が発生する第2の現場の端末からの要求に応じて、前記所定のデータベースを検索し、前記第1の現場の案件を1つ以上抽出し、所定の秘密化処理を行った上で、前記第2の現場の端末に送信する案件抽出手段と、
前記第1の現場の端末との個別交渉を要望する前記第2の現場の端末に対し、所定の情報開示料を請求する情報開示料請求手段と、
前記所定の情報開示料を支払った前記第2の現場の端末に対し、前記第1の現場の位置及び連絡先を含む案件の詳細情報を送信する詳細情報送信手段と、
を備える建設副産物の仲介システム。
【請求項2】
前記第1の現場の端末と、前記第2の現場の端末との間で前記建設副産物の引き渡しに関する個別交渉が成立した場合、前記第2の現場の端末又は前記第1の現場の端末との一方に対し、所定の成約料を請求し、
前記第2の現場の端末又は前記第1の現場の端末との他方に対し、前記成約料を原資とした報奨金を支払う請求項1の建設副産物の仲介システム。
【請求項3】
前記成約料として、
前記第1の現場の端末及び前記第2の現場の端末との距離に基づいた成約料を計算する請求項2の建設副産物の仲介システム。
【請求項4】
さらに、
第2のデータベースに、前記第1の現場と、前記第2の現場との間で成立した内容を記録する手段を備え、
外部の端末からの要求に応じて、前記第2のデータベースに記録した内容をトレーサビリティデータとして提供する請求項1から3いずれか一の建設副産物の仲介システム。
【請求項5】
建設副産物が発生する第2の現場の端末から、前記建設副産物の発生量と発生日時とを含む案件情報の登録を受け付けて、前記第2の現場の位置とともに、所定のデータベースに登録する登録手段と、
前記建設副産物を必要とする第1の現場の端末からの要求に応じて、前記所定のデータベースを検索し、前記第2の現場の案件を1つ以上抽出し、所定の秘密化処理を行った上で、前記第1の現場の端末に送信する案件抽出手段と、
前記第2の現場の端末との個別交渉を要望する前記第1の現場の端末に対し、所定の情報開示料を請求する情報開示料請求手段と、
前記所定の情報開示料を支払った前記第1の現場の端末に対し、前記第2の現場の位置及び連絡先を含む案件の詳細情報を送信する詳細情報送信手段と、
を備える建設副産物の仲介システム。
【請求項6】
前記第1の現場の端末と、前記第2の現場の端末との間で前記建設副産物の引き渡しに関する個別交渉が成立した場合、前記第2の現場の端末又は前記第1の現場の端末との一方に対し、所定の成約料を請求し、
前記第2の現場の端末又は前記第1の現場の端末との他方に対し、前記成約料を原資とした報奨金を支払う請求項5の建設副産物の仲介システム。
【請求項7】
前記成約料として、
前記第1の現場の端末及び前記第2の現場の端末との距離に基づいた成約料を計算する請求項6の建設副産物の仲介システム。
【請求項8】
さらに、
第2のデータベースに、前記第1の現場と、前記第2の現場との間で成立した内容を記録する手段を備え、
外部の端末からの要求に応じて、前記第2のデータベースに記録した内容をトレーサビリティデータとして提供する請求項5から7いずれか一の建設副産物の仲介システム。
【請求項9】
建設副産物を必要とする第1の現場の端末から、前記建設副産物の必要量と必要日時とを含む案件情報の登録を受け付けて、前記第1の現場の位置とともに、所定のデータベースに登録し、
前記建設副産物が発生する第2の現場の端末からの要求に応じて、前記所定のデータベースを検索し、前記第1の現場の案件を1つ以上抽出し、所定の秘密化処理を行った上で、前記第2の現場の端末に送信し、
前記第1の現場の端末との個別交渉を要望する前記第2の現場の端末に対し、所定の情報開示料を請求し、
前記所定の情報開示料を支払った前記第2の現場の端末に対し、前記第1の現場の位置及び連絡先を含む案件の詳細情報を送信する、
建設副産物の仲介方法。
【請求項10】
建設副産物が発生する第2の現場の端末から、前記建設副産物の発生量と発生日時とを含む案件情報の登録を受け付けて、前記第2の現場の位置とともに、所定のデータベースに登録し、
前記建設副産物を必要とする第1の現場の端末からの要求に応じて、前記所定のデータベースを検索し、前記第2の現場の案件を1つ以上抽出し、所定の秘密化処理を行った上で、前記第1の現場の端末に送信し、
前記第2の現場の端末との個別交渉を要望する前記第1の現場の端末に対し、所定の情報開示料を請求し、
前記所定の情報開示料を支払った前記第1の現場の端末に対し、前記第2の現場の位置及び連絡先を含む案件の詳細情報を送信する、
を備える建設副産物の仲介方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設副産物の仲介システム及び建設副産物の仲介方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、携帯電話を使って、建設残土を保有しているユーザと、建設残土を必要としているユーザ間で、建設残土の譲渡交渉ができるようにすることにより、建設残土の利用促進を図ることができるという建設残土利用促進システムが開示されている。また、特許文献2には、情報提供者又は受給者との間で情報通信により建設副産物又はそのリサイクル品に関する情報の授受を行う建設副産物の情報提供システムにおいて、案件検索機能として、需給側の所在地から所定の距離・輸送時間範囲内のものを一覧表示情報として出力するものが開示されている。さらに、特許文献3には、作業所間の排土、入土情報を一元管理し、資源の排出時期や量が同じ作業所同士をリンク付けする建設副産物再利用情報管理システムが開示されている。
【0003】
また、2022年5月には、宅地造成等規制法が、危険な盛土等を全国一律の基準で包括的に規制する宅地造成及び特定盛土等規制法に改正されている。今後、都道府県や政令指定都市などが、区域の指定のため地形や地質の調査を行うことや。国が調査の円滑化のため、今後有識者による検討会を立ち上げことや、地形調査や区域指定に関する基準を示すガイドラインを作成することが予定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-121762号公報
【特許文献2】特開2002-245120号公報
【特許文献3】特開平6-103279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以下の分析は、本発明者によって与えられたものである。特許文献1、2の発明によれば、残土等を受け取る側のユーザが、残土等の提供側の案件情報を検索する構成となっている。これにより、ユーザ間の個別交渉が可能となっているが、この構成では、一のユーザが複数の相手と同時に交渉を開始してしまう可能性があり、結果、引き取り手のない残土等が発生してしまう可能性がある。この点、特許文献3の発明のように、システム側で強制的にリンク付け(マッチング)を行えば、引き取り手のない残土等の発生を抑えることができる。しかしながら、特許文献3の構成では、特許文献2の段落0013-0014に指摘されているように採算性のないリンク付け(マッチング)が行われる結果、システムへの参加者が減ってしまう可能性がある。
【0006】
また、残土に代表される前記建設副産物の授受を当事者間の交渉に委ねる形態を採りつつ、当事者間の合意形成をしやすくすることによって、建設副産物の再利用を促進することのできる建設副産物の仲介システム及び建設副産物の仲介方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の視点によれば、建設副産物を必要とする第1の現場の端末から、前記建設副産物の必要量と必要日時とを含む案件情報の登録を受け付けて、前記第1の現場の位置とともに、所定のデータベースに登録する登録手段と、前記建設副産物が発生する第2の現場の端末からの要求に応じて、前記所定のデータベースを検索し、前記第1の現場の案件を1つ以上抽出し、所定の秘密化処理を行った上で、前記第2の現場の端末に送信する案件抽出手段と、前記第1の現場の端末との個別交渉を要望する前記第2の現場の端末に対し、所定の情報開示料を請求する情報開示料請求手段と、前記所定の情報開示料を支払った前記第2の現場の端末に対し、前記第1の現場の位置及び連絡先を含む案件の詳細情報を送信する詳細情報送信手段と、を備える建設副産物の仲介システムが提供される。
【0008】
第2の視点によれば、建設副産物が発生する第2の現場の端末から、前記建設副産物の発生量と発生日時とを含む案件情報の登録を受け付けて、前記第2の現場の位置とともに、所定のデータベースに登録する登録手段と、前記建設副産物を必要とする第1の現場の端末からの要求に応じて、前記所定のデータベースを検索し、前記第2の現場の案件を1つ以上抽出し、所定の秘密化処理を行った上で、前記第1の現場の端末に送信する案件抽出手段と、前記第2の現場の端末との個別交渉を要望する前記第1の現場の端末に対し、所定の情報開示料を請求する情報開示料請求手段と、前記所定の情報開示料を支払った前記第1の現場の端末に対し、前記第2の現場の位置及び連絡先を含む案件の詳細情報を送信する詳細情報送信手段と、を備える建設副産物の仲介システムが提供される。
【0009】
第3の視点によれば、建設副産物を必要とする第1の現場の端末から、前記建設副産物の必要量と必要日時とを含む案件情報の登録を受け付けて、前記第1の現場の位置とともに、所定のデータベースに登録し、前記建設副産物が発生する第2の現場の端末からの要求に応じて、前記所定のデータベースを検索し、前記第1の現場の案件を1つ以上抽出し、所定の秘密化処理を行った上で、前記第2の現場の端末に送信し、前記第1の現場の端末との個別交渉を要望する前記第2の現場の端末に対し、所定の情報開示料を請求し、前記所定の情報開示料を支払った前記第2の現場の端末に対し、前記第1の現場の位置及び連絡先を含む案件の詳細情報を送信する、建設副産物の仲介方法が提供される。
【0010】
第4の視点によれば、建設副産物が発生する第2の現場の端末から、前記建設副産物の発生量と発生日時とを含む案件情報の登録を受け付けて、前記第2の現場の位置とともに、所定のデータベースに登録し、前記建設副産物を必要とする第1の現場の端末からの要求に応じて、前記所定のデータベースを検索し、前記第2の現場の案件を1つ以上抽出し、所定の秘密化処理を行った上で、前記第1の現場の端末に送信し、前記第2の現場の端末との個別交渉を要望する前記第1の現場の端末に対し、所定の情報開示料を請求し、前記所定の情報開示料を支払った前記第1の現場の端末に対し、前記第2の現場の位置及び連絡先を含む案件の詳細情報を送信する、を備える建設副産物の仲介方法が提供される。
【0011】
第5の視点によれば、上記した建設副産物の仲介システムの機能を実現するためのプログラムが提供される。このプログラムは、コンピュータ装置に入力装置又は外部から通信インターフェースを介して入力され、記憶装置に記憶されて、プロセッサを所定のステップないし処理に従って駆動させる。また、このプログラムは、必要に応じ中間状態を含めその処理結果を段階毎に表示装置を介して表示することができ、あるいは通信インターフェースを介して、外部と通信することができる。そのためのコンピュータ装置は、一例として、典型的には互いにバスによって接続可能なプロセッサ、記憶装置、入力装置、通信インターフェース、及び必要に応じ表示装置を備える。また、このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な(非トランジトリーな)記憶媒体に記録することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、建設副産物の授受を当事者間の交渉に委ねる形態を採りつつ、当事者間の合意形成をしやすくすることによって、建設副産物の再利用を促進することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態の構成を説明するための図である。
【
図2】本発明の一実施形態の動作を説明するための図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態の構成を示す図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態の残土仲介システムの詳細構成を示す機能ブロック図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態の残土仲介システムを利用するための端末に表示される案件登録画面の例を示す図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態の残土仲介システムの案件DBに保持される情報の一例を示す図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態の残土仲介システムを利用した案件検索の流れを表したシーケンス図である。
【
図8】本発明の第1の実施形態の残土仲介システムを利用するための端末に表示される案件検索画面の例を示す図である。
【
図9】本発明の第1の実施形態の残土仲介システムを利用するための端末に表示される案件選択後の画面の遷移の例を示す図である。
【
図10】本発明の第1の実施形態の残土仲介システムを利用するための端末に表示される案件選択後の画面の遷移の別の例を示す図である。
【
図11】本発明の第1の実施形態の残土仲介システムのマッチング成立後の動作を表したシーケンス図である。
【
図12】本発明の第1の実施形態の残土仲介システムを利用するための端末に表示されるマッチング成立後の画面の遷移の例を示す図である。
【
図13】本発明の第2の実施形態の残土仲介システムの詳細構成を示す機能ブロック図である。
【
図14】本発明の第2の実施形態の残土仲介システムを利用するための端末に表示される案件登録画面の例を示す図である。
【
図15】本発明の第2の実施形態の残土仲介システムの案件DBに保持される情報の一例を示す図である。
【
図16】本発明の第2の実施形態の残土仲介システムの動作を表したシーケンス図である。
【
図17】本発明の第2の実施形態の残土仲介システムを利用するための端末に表示される案件検索画面の例を示す図である。
【
図18】本発明の第2の実施形態の残土仲介システムを利用するための端末に表示される案件選択後の画面の遷移の例を示す図である。
【
図19】本発明の第2の実施形態の残土仲介システムのマッチング成立後の動作を表したシーケンス図である。
【
図20】本発明の第2の実施形態の残土仲介システムを利用するための端末に表示されるマッチング成立後の画面の遷移の例を示す図である。
【
図21】本発明の第3の実施形態の残土仲介システムの詳細構成を示す機能ブロック図である。
【
図22】本発明の第3の実施形態の残土仲介システムのマッチング成立後の動作を表したシーケンス図である。
【
図23】本発明の第3の実施形態の残土仲介システムの残土授受履歴DBに保持される情報の一例を示す図である。
【
図24】本発明の第3の実施形態の残土仲介システムが端末に表示する残土授受履歴情報の表示形態の一例を示す図である。
【
図25】本発明の第4の実施形態の構成を示す図である。
【
図26】本発明の第4の実施形態の残土仲介システムの詳細構成を示す機能ブロック図である。
【
図27】本発明の第4の実施形態の残土仲介システムを利用するための端末に表示される案件検索画面の例を示す図である。
【
図28】本発明の残土仲介システム及び端末を構成可能なコンピュータの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
はじめに本発明の一実施形態の概要について図面を参照して説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。また、以降の説明で参照する図面等のブロック間の接続線は、双方向及び単方向の双方を含む。一方向矢印については、主たる信号(データ)の流れを模式的に示すものであり、双方向性を排除するものではない。プログラムはコンピュータ装置を介して実行され、コンピュータ装置は、例えば、プロセッサ、記憶装置、入力装置、通信インターフェース、及び必要に応じ表示装置を備える。また、このコンピュータ装置は、通信インターフェースを介して装置内又は外部の機器(コンピュータを含む)と、有線、無線を問わず、通信可能に構成される。また、図中の各ブロックの入出力の接続点には、ポート乃至インターフェースがあるが図示を省略する。また、以下の説明において、「A及び/又はB」は、A又はB、若しくは、A及びBという意味で用いる。
【0015】
本発明は、その一実施形態において、
図1に示すように、登録手段31と、案件抽出手段32と、情報開示料請求手段33と、詳細情報送信手段34とを備える建設副産物の仲介システム30にて実現できる。なお、以下の説明では、「建設副産物」とは、建設工事に伴い副次的に得られた各種の物品をいうものとする。このような建設副産物の例としては、「工事現場外に搬出される建設発生土」、「コンクリート塊」、「アスファルト・コンクリート塊」、「建設発生木材」、「建設汚泥」、「紙くず」、「金属くず」、「ガラスくず・コンクリートくず(工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたものを除く。)及び陶器くず」又はこれらのものが混合した「建設混合廃棄物」などが挙げられる。
【0016】
より具体的には、登録手段31は、建設副産物を必要とする第1の現場の端末10から、前記建設副産物の必要量と必要日時とを含む案件情報の登録を受け付けて、前記第1の現場の位置とともに、案件データベース(以下、「案件DB36」)に登録する。なお、
図1の例では、案件情報を登録する先として、建設副産物の仲介システム30側の案件DB36を用いているが、案件情報を登録する先は、建設副産物の仲介システム30の外部に配置されていてもよい。例えば、案件情報を登録する先として、クラウド基盤上に配置された記憶装置を用いることもできる。第1の現場の位置としては、事前に登録された第1の現場の位置情報、端末10のGPS(Global Positioning System)機能で取得された位置、端末10が接続している移動体通信網の基地局情報等を用いることもできる。
【0017】
案件抽出手段32は、前記建設副産物が発生する第2の現場の端末20からの要求に応じて、前記所定のデータベース(案件DB36)を検索し、前記第1の現場を1つ以上抽出する。さらに、案件抽出手段32は、前記抽出した第1の現場の案件情報に対し所定の秘密化処理を行った上で、前記第2の現場の端末20に送信する。
【0018】
情報開示料請求手段33は、前記第1の現場の端末10との個別交渉を要望する前記第2の現場の端末20に対し、所定の情報開示料を請求する。
【0019】
詳細情報送信手段34は、前記所定の情報開示料を支払った前記第2の現場の端末20に対し、前記第1の現場の位置及び連絡先を含む詳細情報を送信する。
【0020】
上記の建設副産物の仲介システム30の動作について
図2を参照して詳細に説明する。
図2に示すように、まず、建設副産物の仲介システム30は、建設副産物を必要とする第1の現場の端末10から建設副産物の必要量と必要日時とを含む案件情報の登録を受け付け、第1の現場の端末10の位置とともに案件DB36に登録する(ステップS001)。
【0021】
一方、第2の現場では、建設副産物が発生する工事が予定されているものとする。この場合、第2の現場のユーザが、端末20を用いて、建設副産物の仲介システム30にアクセスし、建設副産物の引き取り手を探す案件検索を要求する(ステップS002)。
【0022】
前記案件検索要求を受けた建設副産物の仲介システム30は、前記所定のデータベース(案件DB36)を検索し、前記第1の現場の案件を1つ以上抽出する。さらに、建設副産物の仲介システム30は、前記抽出した第1の現場の案件情報に対し所定の秘密化処理を行った上で、前記第2の現場の端末20に対し、これらを案件リストとして送信する(ステップS003)。この所定の秘密化処理としては、前記第2の現場のユーザが、第1の現場の位置及び連絡先を特定できないように、案件情報中の第1の現場の位置及び連絡先の削除、暗号化等が行われる。また、第1の現場の案件を抽出する際に、建設副産物の仲介システム30は、前記第2の現場との距離を考慮して、前記第2の現場から最寄りの第1の現場の案件を優先して抽出するようにしてもよい。
【0023】
前記案件リストを受け取った前記第2の現場のユーザは、前記案件リストの中から、建設副産物の引き取り手として交渉する相手を選択する。そして、前記第2の現場のユーザは、端末20を用いて、建設副産物の仲介システム30に対し、選択した相手の詳細情報の開示を要求する(ステップS004)。
【0024】
前記詳細情報の開示要求を受けた建設副産物の仲介システム30は、前記第2の現場のユーザに対して、情報開示料の支払いを要求する(ステップS005)。前記情報開示料の支払いの要求を受けた前記第2の現場のユーザが情報開示料の支払いを行うと(ステップS006)、建設副産物の仲介システム30は、前記第2の現場のユーザの端末20に対して、選択した相手の詳細情報を送信する(ステップS005)。この選択した相手の詳細情報には、第1の現場の位置及び連絡先が含まれている。
【0025】
前記選択した相手の詳細情報を受信した前記第2の現場のユーザは、第1の現場のユーザに連絡を取り、建設副産物の譲渡に関する交渉を開始する。この建設副産物の譲渡に関する交渉は、
図2に示したように、当事者同士で、既存の通信手段を用いて行っても良いが、建設副産物の仲介システム30が交渉のためのプラットフォームを提供するなどの何らかの形で支援を行ってもよい。
【0026】
以上説明したように、本実施形態によれば、当事者間の合意形成が容易化され、建設副産物の再利用を促進することが可能となる。その理由は、案件情報の開示に先立って、第2の現場のユーザに情報開示料を請求するようにし、情報開示料の支払いを条件に、両当事者がそれぞれ誠意をもって交渉に入れるように構成したことにある。
【0027】
なお、上記した実施形態では、建設副産物を必要とする第1の現場から、案件情報の登録を行い、建設副産物が発生する第2の現場のユーザが案件を探すものとして説明したが、先に建設副産物が発生する第2の現場から案件情報の登録を行うようにしてもよい。この場合、第2の現場の端末20が、第2の現場の位置とともに、前記建設副産物の発生量と発生日時とを含む案件情報の登録を行う。そして、建設副産物を必要とする第1の現場のユーザが案件を探し、情報開示料を払い、第2の現場の詳細情報を得ることになる。その後の流れは、上記した説明と同様であるので説明を省略する。もちろん、第1の現場及び第2の現場のそれぞれから案件情報の登録を行い、相互に自身の条件に適合する案件を検索するようにしてもよい。
【0028】
[第1の実施形態]
続いて、建設副産物として発生する残土の再利用に本発明を適用した第1の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図3は、本発明の第1の実施形態の構成を示す図である。
図3を参照すると、残土を必要とする第1の現場の端末100と、残土が発生する第2の現場の端末200と、端末100、200からアクセスを受け付ける残土仲介システム300とを含む構成が示されている。
【0029】
端末100、200は、残土仲介システム300にアクセスし、案件の登録、案件の検索、情報開示料や成約料の支払い等の機能を持ったアプリケーションプログラム(以下、「残土マッチングアプリ」という。)をインストール可能なスマートフォンやパーソナルコンピュータなどの機器である。
【0030】
図4は、残土仲介システム300の詳細構成を示す機能ブロック図である。
図4を参照すると、登録手段301と、案件抽出手段302と、情報開示料請求手段303と、詳細情報送信手段304と、成約料請求手段305と、案件DB306とを含む構成が示されている。
【0031】
登録手段301は、残土を必要とする第1の現場の端末100の残土マッチングアプリから、必要とする残土の情報を受け付けて、案件DB306に登録する。
【0032】
図5は、第1の現場の端末100の残土マッチングアプリに表示される案件登録画面の一例を示す図である。まず、第1の現場の端末100のユーザが
図5の左側に示したメニュー画面から「残土が欲しい」ボタンBT1をタップすると、
図5の右側に示す案件登録画面が表示される。この案件登録画面のカレンダーアイコンCalをタップすると、残土の搬入を希望する日付の指定を行うことができる。また、この案件登録画面の残土の量の入力欄に、搬入を希望する残土の量を入力することができる。これらの入力後、第1の現場の端末100のユーザが登録ボタンBT3をタップすると、設定した日付と、残土の量が残土仲介システム300に送信される。
【0033】
図6は、本実施形態の残土仲介システム300の案件DB306に保持される案件情報の一例を示す図である。
図6の例では、案件ID、ユーザID、エリア、区分、日時、量、位置などが設定された案件情報が示されている。案件IDは、案件を一意に特定するために設定される案件情報のIDである。ユーザIDはユーザを一意に特定するためのIDである。エリアは、第1の現場が属するエリアの情報が設定される。区分に「1」が設定された場合、残土を欲しい側の案件情報を示し、区分に「2」が設定された場合、残土を提供する側の案件情報を示している。日時は、残土の搬入を希望する日時が設定される。量は、必要とする残土の量を示し、位置は、端末100のGPS機能で取得された端末100の位置情報を示す。この位置としては、端末100が接続している移動体通信網の基地局情報等を用いることもできる。以上のような案件情報を多数蓄積することで、残土が出る第2の現場のユーザは、自身の条件により適合する案件を見つけることができるようになる。
【0034】
なお、端末100のユーザが第1の現場から離れてしまっている場合や、第1の現場が広い場合も想定される。
図5の例では、残土マッチングアプリで、日付と、残土の量を入力することとしているが、端末100のユーザが自由に第1の現場の位置を入力できるようにしてもよい。
【0035】
案件抽出手段302は、残土が発生する第2の現場の端末200から案件の検索要求を受け付けて、案件DB306を検索し、その結果を案件リストとして、端末200に送信する。この案件リストでは、第1の現場の位置やユーザの情報は掲載されず、所定の秘密化処理が施されている。
【0036】
情報開示料請求手段303は、案件を指定した詳細情報の開示を要求する端末200に対し、所定の情報開示料を請求する。
【0037】
詳細情報送信手段304は、前記所定の情報開示料を支払った端末200に対し、前記端末200が選択した案件の詳細情報を送信する。この詳細情報には、第1の現場の位置やユーザの情報が含まれている。
【0038】
成約料請求手段305は、残土引き渡しが完了したタイミングで、前記第2の現場の端末200に対し、所定の成約料を請求する。また、成約料請求手段305は、成約料の支払い確認後、第1の現場のユーザに対し、前記成約料を原資とした報奨金の支払いを行う。
【0039】
図7は、本発明の第1の実施形態の残土仲介システム300を利用した案件検索の流れを表したシーケンス図である。
図7を参照すると、まず、第2の現場のユーザは、端末200の残土マッチングアプリを用いて、残土仲介システム300に対し、案件検索要求を行う(ステップS102)。
図8は、第2の現場の端末200の残土マッチングアプリに表示される案件検索画面の一例を示す図である。まず、第2の現場の端末200のユーザが
図8の左側に示したメニュー画面から「残土をあげたい」ボタンBT2をタップすると、
図8の右側に示す案件検索画面が表示される。この案件検索画面のカレンダーアイコンCalをタップすると、残土を提供する日付の指定を行うことができる。また、この案件登録画面の残土の量の入力欄に、残土の量の範囲で入力することができる。これらの入力後、第2の現場の端末200のユーザが検索ボタンBT4をタップすると、端末200は、残土仲介システム300に対し、設定した案件情報の検索を要求する。なお、残土マッチングアプリでは、提供する残土の量として、上限又は下限のみを設定して検索可能となっている。これにより、小口案件や大量の残土を必要としている案件も抽出可能となる。
【0040】
前記案件検索要求を受けた残土仲介システム300は、案件DB306を検索して、第2の現場の端末200から要求された条件に適合する案件を抽出し、第2の現場の端末200に対し、案件リストを送信する(ステップS103)。より望ましい形態において、残土仲介システム300は、第2の現場の端末200から端末200の位置情報を取得し、端末200の位置から近い位置の案件が優先的に表示された案件リストを作成する。この場合において、端末200のユーザが第2の現場から離れてしまっている場合や、第2の現場が広い場合も想定される。
図8の例では、残土マッチングアプリで、日付と、残土の量の範囲を設定することとしているが、端末200のユーザが自由に第2の現場の位置を入力できるようにしてもよい。
【0041】
図9の左側の図は、端末200の残土マッチングアプリの画面に表示された案件リストの一例である。
図9を参照すると、案件ID=0001、0003の2件が表示されている。この案件リストには、残土の要求があるエリア、量、距離等の案件の概要を把握できる程度の情報が掲載される。一方で、この案件リストには、秘密化処理として、例えば、相手の連絡先や第1の現場の詳細位置は省略されている。これは、案件検索後、直接当事者同士で連絡を取り合うことを防ぐためである。秘密化処理としては、
図9のように、必要な情報を省略する形態に限られず、相手の連絡先や第1の現場の詳細位置を表示した領域に、モザイク処理やぼかし処理をかけることでも実現できる。
【0042】
このような案件リストを参照して、第2の現場のユーザは自身の残土の引き取り手として望ましい案件を選択し、端末200を用いて、残土仲介システム300に対して、情報開示を要求する(ステップS104)。
図9に示した端末200の残土マッチングアプリの場合、情報開示の要求は、案件を選択した状態で情報開示料支払いボタンBT5をタップすることで行われる。
【0043】
また、上記第2の現場のユーザによる案件の選択は、残土マッチングアプリが、残土仲介システム300から受け取った案件リストを用いて、地図上に案件を提示し、案件の選択を受け付ける形態を採ることもできる。
図10の左側の図は、端末200の残土マッチングアプリの画面に表示された案件リスト選択画像の別の一例である。
図10の左側の図は、端末200の位置を中心とした地図が示されたエリア選択画面を示している。
図10の地区名の後の数値は、各エリアの案件数を示している。端末200のユーザは、
図10の左側の地図を参照して、残土を必要とする案件が登録されているエリアを選択する。端末200のユーザがエリアを選択すると、残土マッチングアプリは、選択されたエリアの案件の一覧を示し、案件の選択を受け付ける。
図10の中央の図は、端末200のユーザがエリアとして、A市B地区を選択し、さらに、案件ID=0001の案件をタップした状態を示す図である。
図10の右側の図は、案件ID=0003の案件をタップした状態を示す図である。端末200のユーザが、情報開示料支払いボタンBT5をタップすると、残土仲介システム300に対し、情報開示の要求が送信される。
【0044】
前記情報開示要求を受けた残土仲介システム300は、情報開示料を計算し、端末200に対して、情報開示料の支払いを要求する(ステップS105)。この情報開示料の支払いとしては、銀行振込、カード払い、電子マネー支払い、ポイント支払い等の種々の決済方法を採ることができる。また、この情報開示料は、固定の料金であってもよいが、後記する成約料をベースに計算してもよい。例えば、情報開示料として、成約料の一定割合を請求するようにしてもよい。
【0045】
前記情報開示料の支払い要求を受けた端末200は、残土仲介システム300に対し、情報開示料を支払う(ステップS106)。なお、
図7の例では、残土仲介システム300が端末200に対し情報開示料を請求し、端末200が、直接残土仲介システム300に支払うこととしているが、支払いの形態はこれに限られない。例えば、銀行振込、カード払い、電子マネー支払い、ポイント支払い等に応じて、外部のサーバ等が残土仲介システム300からの依頼を受けて決済手続きを代行し、その結果を残土仲介システム300に伝達する形態であってもよい。
【0046】
前記情報開示料の支払いを確認した残土仲介システム300は、端末200に対して、選択された案件の詳細情報を開示する(ステップS107)。この詳細情報には、相手の連絡先や第1の現場の詳細位置が含まれている。以降、第2の現場のユーザは、端末200を用いて、選択した案件を登録した第1の現場のユーザと直接連絡して、残土の引き渡しのスケジュール等を交渉する。
【0047】
図9の中央の図は、端末200の残土マッチングアプリの画面に表示された案件の詳細情報の一例である。
図9を参照すると、選択された案件のID、エリア、距離に加えて、第1の現場のユーザのID、詳細位置を示す地図及び選択された案件を登録したユーザDに連絡するためのチャットを開くボタンBT6が表示されている。ここで、第2の現場のユーザがボタンBT6をタップすると、
図9の右側に示すようにチャット画面が表示される。ここで、第2の現場のユーザ(ユーザA)と、第1の現場のユーザ(ユーザD)は、互いに連絡を行って残土の引き渡しのスケジュールを決定する。
図9のようなチャットツールを用いることで、第2の現場のユーザ(ユーザA)と、第1の現場のユーザ(ユーザD)は、残土をどちらが運ぶかや詳細な時間等の事項について交渉を行うことができる。なお、このチャットツールは、残土仲介システム300が提供するものでも良いが、既存のSNSで用いられているチャット用のアプリケーションプログラムを用いるものでもよい。
【0048】
以上のようにして、第2の現場のユーザは、第2の現場で発生した残土を、第1の現場のユーザに引き取ってもらうことが可能となる。なお、第2の現場のユーザと第1の現場のユーザとの直接交渉の結果、交渉がまとまらない場合もある。そのような場合、第2の現場のユーザは、再度、残土仲介システム300にアクセスして別の案件を探すことや、残土を処分場に持っていくことなどを検討することになる。
【0049】
その後、残土仲介システム300は、第2の現場のユーザに対して、成約料を請求することになる。
図11は、本発明の第1の実施形態の残土仲介システム300のマッチング成立後の動作を表したシーケンス図である。
図11を参照すると、まず、残土仲介システム300は、引き渡し日時から所定時間経過等のタイミングで、第1の現場の端末100に対して、成約報告を督促する(ステップS201)。この督促は、電子メールによる通知や前述の残土マッチングアプリの通知機能を用いて行うことができる。
【0050】
前記成約報告の督促を受けた第1の現場のユーザは、残土仲介システム300に対して、第2の現場から引き取った残土の量を正確に表した成約報告を送信する(ステップS202)。この成約報告には、第1の現場のユーザが端末100等を用いて撮影した第1の現場の写真等を添付することを求めてもよい。
【0051】
図12の左側の図は、端末100の残土マッチングアプリの画面に表示された成約報告の作成画面の一例である。
図12の例では、初期状態として、第1の現場のユーザが入力した案件情報が表示されている。第1の現場のユーザは、表示された内容を参照して、数量の修正の要否を確認する。数量を修正する場合、第1の現場のユーザは、数量修正ボタンBT7をタップして、第2の現場から実際に受け取った残土の量を入力する。このような残土の量の修正機能を設けることで、後記する成約料や第1の現場のユーザへの報奨金が正確に計算されることになる。一方、数量の修正が完了し、又は、数量の修正が不要と判断した場合、第1の現場のユーザは、成約報告ボタンBT8をタップする。これにより、端末100は、残土仲介システム300への成約報告の送信が完了する。
【0052】
前記成約報告を受信した残土仲介システム300は、成約料を計算し、端末200に内容の確認を要求する(ステップS203)。端末200に内容の確認を要求する理由は、第1の現場のユーザが報奨金を目当てに過大請求を行うことを防ぐためである。
【0053】
前記第2の現場のユーザは、残土仲介システム300から送られた成約料とその算出根拠を確認し、問題なければ、残土仲介システム300に対し、成約料の支払いを行う(ステップS204)。この成約料の支払いは、前述の情報開示料と同様に、銀行振込、カード払い、電子マネー支払い、ポイント支払い等を用いることができる。また、成約料についても、前述の情報開示料と同様に、銀行振込、カード払い、電子マネー支払い、ポイント支払い等に応じて、外部のサーバ等が残土仲介システム300からの依頼を受けて決済手続きを代行し、その結果を残土仲介システム300に伝達する形態を採ることもできる。なお、第1の現場のユーザが不正確な残土の量を入力し、端末200のユーザの承諾を得られない場合も想定される。その場合は、残土仲介システム300が、第1の現場のユーザに再度の入力を求めるようにしてもよい。また、両者の数値が折り合わない場合、残土仲介システム300の運営担当者が、第1の現場の写真を確認した上で、調停を行うようにすればよい。
【0054】
最後に、残土仲介システム300は、第1の現場のユーザに対し、前記成約料を原資とした報奨金の支払いを行う(ステップS205)。この報奨金の支払いも銀行振込、電子マネー支払い、ポイント支払い等を用いることができる。
【0055】
上記した成約料は、固定の料金体系であってもよいが、成約報告に含まれる残土の量や現場間の距離に基づいて計算してもよい。上記した報奨金も成約料を超えない範囲の固定の料金体系であってもよいが、成約料の一定割合を支払うようにしてもよい。これらの成約料及び報奨金は、以下のような計算式で計算することもできる。なお、現場間の距離は、案件DBに登録された各現場のGPS位置情報から求めることができる。また、この現場間の距離は、現場間の直線距離でもよいし、現場間の経路計算を行って得られた経路長(道のり)を用いてもよい。また、成約料の一形態として、第2の現場のユーザが支払った情報開示料に相当する金額を差し引くようにしても良い。
(1)残土の量×m3単価
(2)基本料+残土の量×m3単価
(3)残土の量×m3単価+現場間の距離×距離単価
(4)基本料+残土の量×m3単価+現場間の距離×距離単価
(5)残土の量×m3単価-現場間の距離×距離単価
(6)基本料+残土の量×m3単価-現場間の距離×距離単価
【0056】
(1)~(6)の式を用いることで、残土の量が多くなればなるほど成約料が高くなる料金体系を採ることが可能となる。また、(2)の式を用いることで、残土の量が非常に少ない場合でも、最低限の成約料や報奨金を徴収することが可能となる。また、(3)、(4)の式を用いることで、現場間の距離が長くなるに従い成約料や報奨金が高くなる料金体系を採ることが可能となる。このような料金体系を採る場合、遠距離から残土を取りに来る第1の現場のユーザに高額の輸送費をカバーできる報奨金を支払うことが可能となる。このような料金形態は、特に、残土を受け取る第1の現場のユーザが取引相手を選択する第2の実施形態に好適に適用することができる。また、(5)、(6)の式を用いることで、現場間の距離が短くなるに従い成約料や報奨金が高くなる料金体系を採ることが可能となる。このような料金体系を採る場合、なるべく近くの現場を選択することに対するインセンティブを与えることが可能となる。このような料金形態は、特に、残土を提供し、かつ、成約料の支払いを行う第2の現場のユーザが取引相手を選択する第1の実施形態に好適に適用することができる。もちろん、上記(1)~(6)の式は、あくまで一例を示したものであり、上記以外の従量項を設けたり、式自体を変形したりすることも可能である。
【0057】
また、より簡便な料金の計算方式として、事前に、距離範囲と残土の量に応じた料金表や単価表を作成しておき、これらの料金表や単価表から現場間の距離と残土の量に応じて、料金や単価を求める方法を採ることもできる。後者の単価表を用いる場合、その単価に残土の量を乗じることで成約料や報奨金が計算される。このような料金表や単価表は、例えば、距離範囲として、「2km未満」、「2km~5km未満」、「5km以上」等を1つの軸に取り、他の軸として「3m3未満」、「3m3~6m3未満」、「6m3~」等といった残土の量毎に、価格や単価を定めることにより作成することができる。
【0058】
また、成約料や報奨金の額の透明性を担保するために、算出に用いた残土の量、m3単価、現場間の距離、距離単価、計算式又は単価表等を第1、第2の現場のユーザに開示することも好ましい。特に、報奨金の計算方法の開示は、残土を引き取る第1の現場の側のユーザが案件を登録する際のインセンティブとなりうる。
【0059】
また、上記した成約料は、サブスクリプション方式や一定量までのキャップ制で徴収することも可能である。例えば、1月当たり所定回数マッチングを利用可能とする方法や、1月あたり一定量まで残土のやり取りをできる方法を採ることもできる。もちろん、これらのサブスクリプション方式やキャップ制に複数のステージを設けて、より高額な固定料金を支払うほど、より多くの回数や量のサービスを利用できるようにしてもよい。
【0060】
以上のように動作する残土仲介システム300によれば、残土を必要とする現場(第1の現場)と、残土の発生現場(第2の現場)とをダイレクトに繋ぎ、当事者間で残土のやり取りを実現することが可能となる。
【0061】
なお、上記した実施形態では、残土が発生する第2の現場のユーザが情報開示料を支払うことを条件に、第1の現場の詳細情報を取得できるものとして説明したが、第1の現場のユーザに、詳細情報を開示するかどうかの確認を行うようにしてもよい。この場合、残土仲介システム300は、端末200に対して情報開示料の支払いを要求する前に、端末100に対し、第2の現場のユーザから前記情報開示要求があったことを伝え、詳細情報を開示してよいか確認することになる。また、その際に、端末100のユーザが、情報開示要求を行った第2の現場のユーザの評価等を確認できるようにしてもよい。
【0062】
[第2の実施形態]
上記した第1の実施形態では、残土を必要とする現場(第1の現場)のユーザが先に案件情報を登録し、残土の発生現場(第2の現場)のユーザが引き渡し先を探す形態を採用したが、残土の発生現場(第2の現場)のユーザが先に案件情報を登録する形態に変更することもできる。以下、残土の発生現場(第2の現場)のユーザが先に案件情報を登録し、残土を必要とする現場(第1の現場)のユーザが案件を探すようにした第2の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。基本的な構成は第1の実施形態と同様であるため、以下、その相違点を中心に説明する。
【0063】
図13は、本発明の第2の実施形態の残土仲介システム300aの詳細構成を示す機能ブロック図である。
図4を参照すると、登録手段301aと、案件抽出手段302aと、情報開示料請求手段303aと、詳細情報送信手段304aと、成約料請求手段305aと、案件DB306aとを含む構成が示されている。端末100、200は、第1の実施形態と同様に、残土マッチングアプリのインストール可能な端末であるので、説明を省略する。
【0064】
登録手段301aは、残土を必要とする第1の現場の端末100の残土マッチングアプリから、必要とする残土の情報を受け付けて、案件DB306aに登録する。
【0065】
図14は、第2の現場の端末200の残土マッチングアプリに表示される案件登録画面の一例を示す図である。まず、第2の現場の端末200のユーザが
図14の左側に示したメニュー画面から「残土があげたい」ボタンBT2をタップすると、
図14の右側に示す案件登録画面が表示される。この案件登録画面のカレンダーアイコンCalをタップすると、残土を搬出する日付の指定を行うことができる。また、この案件登録画面の残土の量の入力欄に、搬出予定の残土の量を入力することができる。これらの入力後、第2の現場の端末200のユーザが登録ボタンBT3をタップすると、設定した日付と、残土の量が残土仲介システム300aに送信される。
【0066】
図15は、本実施形態の残土仲介システム300aの案件DB306aに保持される案件情報の一例を示す図である。
図15の例では、案件ID、ユーザID、エリア、区分、日時、量、位置などが設定された案件情報が示されている。案件IDは、案件を一意に特定するために設定される案件情報のIDである。ユーザIDはユーザを一意に特定するためのIDである。エリアは、第2の現場が属するエリアの情報が設定される。区分に「2」が設定された場合、残土を欲しい側の案件情報を示し、区分に「2」が設定された場合、残土を提供する側の案件情報を示している。日時は、残土を搬出する日時が設定される。量は、搬出予定の残土の量を示し、位置は、端末200のGPS機能で取得された端末200の位置情報を示す。この位置としては、端末200が接続している移動体通信網の基地局情報等を用いることもできる。以上のような案件情報を多数蓄積することで、残土を必要とする第1の現場のユーザは、自身の条件により適合する案件を見つけることができるようになる。本実施形態においても、端末200のユーザが第2の現場から離れてしまっている場合や、第2の現場が広い場合も想定される。
図14の例では、残土マッチングアプリで、日付と、残土の量を入力することとしているが、端末200のユーザが自由に第2の現場の位置を入力できるようにしてもよい。
【0067】
案件抽出手段302aは、残土が発生する第1の現場の端末100から案件の検索要求を受け付けて、案件DB306aを検索し、その結果を案件リストとして、端末100に送信する。この案件リストでは、第2の現場の位置やユーザの情報は掲載されず、所定の秘密化処理が施されている。
【0068】
情報開示料請求手段303aは、案件を指定した詳細情報の開示を要求する端末100に対し、所定の情報開示料を請求する。
【0069】
詳細情報送信手段304aは、前記所定の情報開示料を支払った端末100に対し、前記端末100が選択した案件の詳細情報を送信する。この詳細情報には、第2の現場の位置やユーザの情報が含まれている。
【0070】
成約料請求手段305aは、残土引き渡しが完了したタイミングで、前記第1の現場の端末100に対し、所定の成約料を請求する。
【0071】
図16は、本発明の第2の実施形態の残土仲介システム300aを利用した案件検索の流れを表したシーケンス図である。
図16を参照すると、まず、第1の現場のユーザは、端末100の残土マッチングアプリを用いて、残土仲介システム300aに対し、案件検索要求を行う(ステップS302)。
図17は、第1の現場の端末100の残土マッチングアプリに表示される案件検索画面の一例を示す図である。まず、第1の現場の端末100のユーザが
図17の左側に示したメニュー画面から「残土が欲しい」ボタンBT1をタップすると、
図17の右側に示す案件検索画面が表示される。この案件検索画面のカレンダーアイコンCalをタップすると、残土の引き取る日付の指定を行うことができる。また、この案件登録画面の残土の量の入力欄に、残土の量の範囲で入力することができる。これらの入力後、第1の現場の端末100のユーザが検索ボタンBT4をタップすると、端末100は、残土仲介システム300aに対し、設定した案件情報の検索を要求する。なお、残土マッチングアプリでは、必要とする残土の量として、上限又は下限のみを設定して検索可能となっている。これにより、小口案件や大量の残土を提供する案件も抽出可能となる。
【0072】
前記案件検索要求を受けた残土仲介システム300aは、案件DB306aを検索して、第1の現場の端末100から要求された条件に適合する案件を抽出し、第1の現場の端末100に対し、案件リストを送信する(ステップS303)。より望ましい形態において、残土仲介システム300aは、第1の現場の端末100から端末100の位置情報を取得し、端末100の位置から近い位置の案件が優先的に表示された案件リストを作成する。この場合において、端末100のユーザが第1の現場から離れてしまっている場合や、第1の現場が広い場合も想定される。
図17の例では、残土マッチングアプリで、日付と、残土の量の範囲を設定することとしているが、端末100のユーザが自由に第1の現場の位置を入力できるようにしてもよい。
【0073】
図18の左側の図は、端末100の残土マッチングアプリの画面に表示された案件リストの一例である。
図18を参照すると、案件ID=0011、0013の2件が表示されている。この案件リストには、残土が発生するエリア、量、距離等の案件の概要を把握できる程度の情報が掲載される。一方で、この案件リストには、秘密化処理として、例えば、相手の連絡先や第2の現場の詳細位置は省略されている。これは、案件検索後、直接当事者同士で連絡を取り合うことを防ぐためである。秘密化処理としては、
図18のように、必要な情報を省略する形態に限られず、相手の連絡先や第2の現場の詳細位置を表示した領域に、モザイク処理やぼかし処理をかけることでも実現できる。
【0074】
このような案件リストを参照して、第1の現場のユーザは残土の引き取りに行く先として望ましい案件を選択し、端末100を用いて、残土仲介システム300aに対して、情報開示を要求する(ステップS304)。
図18に示した端末100の残土マッチングアプリの場合、情報開示の要求は、案件を選択した状態で情報開示料支払いボタンBT5をタップすることで行われる。
【0075】
前記情報開示要求を受けた残土仲介システム300aは、情報開示料を計算し、端末100に対して、情報開示料の支払いを要求する(ステップS305)。この情報開示料の支払いとしては、第1の実施形態と同様に、銀行振込、カード払い、電子マネー支払い、ポイント支払い等の種々の決済方法を採ることができる。また、この情報開示料は、固定の料金であってもよいが、後記する成約料をベースに計算してもよい。例えば、情報開示料として、成約料の一定割合を請求するようにしてもよい。
【0076】
前記情報開示料の支払い要求を受けた端末100は、残土仲介システム300aに対し、情報開示料を支払う(ステップS306)。なお、
図16の例では、残土仲介システム300aが端末100に対し情報開示料を請求し、端末100が、直接残土仲介システム300aに支払うこととしているが、支払いの形態はこれに限られない。例えば、銀行振込、カード払い、電子マネー支払い、ポイント支払い等に応じて、外部のサーバ等が残土仲介システム300aからの依頼を受けて決済手続きを代行し、その結果を残土仲介システム300aに伝達する形態であってもよい。
【0077】
前記情報開示料の支払いを確認した残土仲介システム300aは、端末100に対して、選択された案件の詳細情報を開示する(ステップS307)。この詳細情報には、相手の連絡先や第2の現場の詳細位置が含まれている。以降、第1の現場のユーザは、端末100を用いて、選択した案件を登録した第1の現場のユーザと直接連絡して、残土の引き渡しのスケジュール等を交渉する。
【0078】
図18の中央の図は、端末100の残土マッチングアプリの画面に表示された案件の詳細情報の一例である。
図18を参照すると、選択された案件のID、エリア、距離に加えて、第2の現場のユーザのID、詳細位置を示す地図及び選択された案件を登録したユーザZに連絡するためのチャットを開くボタンBT6が表示されている。ここで、第1の現場のユーザがボタンBT6をタップすると、
図18の右側に示すようにチャット画面が表示される。ここで、第1の現場のユーザ(ユーザA)と、第2の現場のユーザ(ユーザZ)は、互いにメッセージを交換して残土の引き渡しのスケジュールを決定する。
図18のようなチャットツールを用いることで、第1の現場のユーザ(ユーザA)と、第2の現場のユーザ(ユーザZ)は、残土をどちらが運ぶかや詳細な時間等の事項について交渉を行うことができる。
【0079】
以上のようにして、第1の現場のユーザは、発生する残土を、第2の現場のユーザにタイミングよく引き取ってもらうことが可能となる。なお、本実施形態においても、端末100の残土マッチングアプリが、
図10に示したように、残土仲介システム300aから受け取った案件リストを用いて、地図上に案件を提示し、案件の選択を受け付ける形態を採ることもできる。
【0080】
その後、残土仲介システム300aは、第2の現場のユーザに対して、成約料を請求することになる。
図19は、本発明の第2の実施形態の残土仲介システム300aのマッチング成立後の動作を表したシーケンス図である。
図19を参照すると、まず、残土仲介システム300aは、引き渡し日時から所定時間経過等のタイミングで、第1の現場の端末100に対して、成約報告を督促する(ステップS401)。この督促は、電子メールによる通知や前述の残土マッチングアプリの通知機能を用いて行うことができる。
【0081】
前記成約報告の督促を受けた第1の現場のユーザは、残土仲介システム300aに対して、第2の現場から引き取った残土の量を正確に表した成約報告を送信する(ステップS402)。この成約報告には、第1の現場のユーザが端末100等を用いて撮影した第1の現場の写真等を添付することを求めてもよい。
【0082】
図20の左側の図は、端末100の残土マッチングアプリの画面に表示された成約報告の作成画面の一例である。
図20の例では、初期状態として、第2の現場のユーザが入力した案件情報が表示されている。第1の現場のユーザは、表示された内容を参照して、数量の修正の要否を確認する。数量を修正する場合、第1の現場のユーザは、数量修正ボタンBT7をタップして、第2の現場から実際に受け取った残土の量を入力する。このような残土の量の修正機能を設けることで、後記する成約料や第1の現場のユーザへの報奨金が正確に計算されることになる。一方、数量の修正が完了し、又は、数量の修正が不要と判断した場合、第1の現場のユーザは、成約報告ボタンBT8をタップする。これにより、端末100は、残土仲介システム300aへの成約報告の送信が完了する。
【0083】
前記成約報告を受信した残土仲介システム300aは、成約料を計算し、端末200に内容の確認を要求する(ステップS403)。端末200に内容の確認を要求する理由は、第1の現場のユーザが報奨金を目当てに過大請求を行うことを防ぐためである。
【0084】
前記第2の現場のユーザは、残土仲介システム300aから送られた成約料とその算出根拠を確認し、問題なければ、残土仲介システム300aに対し、成約料の支払いを行う(ステップS404)。この成約料の支払いは、前述の情報開示料と同様に、銀行振込、カード払い、電子マネー支払い、ポイント支払い等を用いることができる。また、成約料についても、前述の情報開示料と同様に、銀行振込、カード払い、電子マネー支払い、ポイント支払い等に応じて、外部のサーバ等が残土仲介システム300aからの依頼を受けて決済手続きを代行し、その結果を残土仲介システム300aに伝達する形態を採ることもできる。
【0085】
最後に、残土仲介システム300aは、第1の現場のユーザに対し、報奨金の支払いを行う(ステップS405)。この報奨金の支払いも銀行振込、電子マネー支払い、ポイント支払い等を用いることができる。第2の実施形態における成約料や報奨金の計算方法は第1の実施形態と同様の計算式を用いることができるので、説明を省略する。
【0086】
以上のように動作する残土仲介システム300aによっても、残土を必要とする現場(第1の現場)と、残土の発生現場(第2の現場)とをダイレクトに繋ぎ、当事者間で残土のやり取りを実現することが可能となる。
【0087】
なお、上記した実施形態では、残土が提供する第1の現場のユーザが情報開示料を支払うことを条件に、第2の現場の詳細情報を取得できるものとして説明したが、第2の現場のユーザに、詳細情報を開示するかどうかの確認を行うようにしてもよい。この場合、残土仲介システム300aは、端末100に対して情報開示料の支払いを要求する前に、端末200に対し、第1の現場のユーザから前記情報開示要求があったことを伝え、詳細情報を開示してよいか確認することになる。また、その際に、端末200のユーザが、情報開示要求を行った第1の現場のユーザの評価等を確認できるようにしてもよい。
【0088】
なお、上記した第1、第2の実施形態の説明では、便宜上、残土仲介システム300、300aが異なる装置で実現されているものとして説明したが、両者の機能を統合することもできる。この場合、第1の現場、第2の現場のユーザはそれぞれ案件情報の登録を行い、必要なときに、案件情報の検索を行い、残土をやり取りする相手と交渉を行うことができるようになる。
【0089】
[第3の実施形態]
続いて、上記した残土仲介システム300に、残土の追跡・可視化機能(トレーサビリティ機能)を追加した第3の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図21は、本発明の第3の実施形態の残土仲介システム300bの詳細構成を示す機能ブロック図である。
図4に示した第1の実施形態の残土仲介システム300との相違点は、残土仲介システム300bに、残土授受履歴DB307が追加されている点と、成約料請求手段305bに残土授受履歴DB307への履歴データの追加機能が追加されている点である。その他の構成は第1の実施形態と同様であるので、以下、その相違点を中心に説明する。
【0090】
残土授受履歴DB307は、残土を必要とする現場(第1の現場)と、残土の発生現場(第2の現場)との間で成立した内容を記録し、一定期間保存するためのデータベース(第2のデータベース)である。また、残土授受履歴DB307は、外部の端末400からの要求に応じて、データ(トレーサビリティデータ)を閲覧させる機能を備えている。
【0091】
また、成約料請求手段305bは、第2の現場の端末200からの成約料の支払い、第1の現場の端末100への報奨金の支払い後、残土授受履歴DB307に履歴データを記録する。
【0092】
図22は、本発明の第3の実施形態の残土仲介システム300bのマッチング成立後の動作を表したシーケンス図である。
図22のステップS201~ステップS205までの動作は第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。第1の現場の端末100への報奨金の支払い後、残土仲介システム300bは、残土授受履歴DB307に履歴データを記録する(ステップS506)。
【0093】
図23は、残土仲介システム300bの残土授受履歴DB307に保持される情報の一例を示す図である。
図23の例では、残土排出者000Aから残土受入者000Dに残土が渡された際の日付、残土の量、移動前後の位置、連絡先等が記録されている。このようなデータを外部の端末400に提供することで、ある現場で発生した残土の移動先や連絡先を把握することが可能となる。
【0094】
なお、残土授受履歴DBに保持されているデータの提供形態は、
図23に示したテキストベースのものに限られず、例えば、地図情報上にプロットして可視化する形態も採用可能である。
図24は、残土仲介システム300bが端末400に提供する残土授受履歴情報の表示形態の一例を示す図である。
図24の例では、残土仲介システム300bのサービス対象領域の地図に表されている矢線は、第2の現場から第1の現場への残土の移動を示している。また、矢線の太さや色等で、残土の量や質などを表してもよい。このような地図情報を参照することで、ある地域における残土の移動を視覚的に把握することが可能となる。
【0095】
なお、上記した説明では、第1の実施形態の構成に、残土授受履歴DB307を追加し、成約料請求手段305bの機能に変更を加えた構成を挙げて説明したが、第2の実施形態の構成に、残土授受履歴DB307及び成約料請求手段305bを追加した構成することで同じくトレーサビリティデータの保管機能を追加することができる。
【0096】
[第4の実施形態]
続いて、上記した残土仲介システム300~300bに、残土の運搬に関する手配を行う機能を追加した第4の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図25は、本発明の第4の実施形態の構成を示す図である。
図3に示した第1の実施形態等との構成上の相違点は、残土仲介システム300cに、運送業者等の端末500がアクセス可能となっている点である。
【0097】
端末500は、スマートフォンやパーソナルコンピュータなどの機器であり、残土仲介システム300cに保持されている車両の運送スケジュールを更新する機能や運送スケジュールの閲覧機能を備えたアプリケーションプログラムをインストール可能となっている。
【0098】
図26は、残土仲介システム300cの詳細構成を示す機能ブロック図である。
図4に示した第1の実施形態との相違点は、残土仲介システム300cに、運送業者の車両ごとの運送スケジュールを記憶する運送スケジュールDB309と、この運送スケジュールDB309に保持された運送スケジュールを管理する運送スケジュール管理手段308とが追加されている点である。
【0099】
運送スケジュールDB309は、運送業者の車両ごとの空き状況や配送依頼等の運送スケジュールを記憶する。なお、
図26の例では、運送スケジュールDB309が、残土仲介システム300c側に配置されているが、運送スケジュールDB309は、残土仲介システム300cの外部に配置されていてもよい。
【0100】
運送スケジュール管理手段308は、端末100、200、500からの要求に応じて、運送スケジュールDB309に保持されている運送業者の車両ごとの運送スケジュールを検索し、閲覧させる。端末100、200のユーザは、この運送スケジュールを閲覧して、運送業者の車両の空き状況を把握し、運送を依頼する。また、端末500のユーザは、この運送スケジュールを閲覧することで、自身への運送依頼の内容を把握することが可能となる。また、運送スケジュール管理手段308は、端末500から車両の空き状況や休業日等の情報を受け付けて、運送スケジュールを更新する。
【0101】
図27の左側の図は、端末200の残土マッチングアプリの画面に表示された案件リストの一例である。第2の現場のユーザがこの案件リストから案件を選択し、情報開示料を支払うと、
図27の中央の図のように、詳細情報が表示される。本実施形態では、残土マッチングアプリの画面に、「運送業者を選ぶ」ボタンBT9が配置されている。第2の現場のユーザが、「運送業者を選ぶ」ボタンBT9をタップすることで、運送スケジュール管理手段308が起動し、運送業者の車両ごとの運送スケジュールを確認した上で、運送業者に残土の運送を依頼することが可能となっている。
【0102】
以上のように、本実施形態によれば、第1、第2の現場のユーザが、残土を運搬可能の車両等に空きがない場合であっても、外部の運送業者に残土の運送を依頼することが可能となる。なお、上記した実施形態では、端末100、200のユーザが、
図27の「運送業者を選ぶ」ボタンBT9をタップすることで、運送業者に残土の運送を依頼するものとして説明したが、残土仲介システム300c側の運送手段の要否を判定する形態も採用できる。例えば、案件の登録時と、案件の検索時に、それぞれ第1、第2の現場のユーザから運送手段の要否を入力させるようにしてもよい。そして、残土仲介システム300cは、マッチングした双方が運送手段を有していない場合、残土マッチングアプリに対し、運送業者の選択を行う画面を表示し、運送業者の手配を促すようにしてもよい。
【0103】
なお、上記した説明では、第1の実施形態の構成に、運送スケジュール管理手段308及び運送スケジュールDB309を追加した構成を挙げて説明したが、第2、第3の実施形態の構成に同様の構成を追加することでも、同じく運送業者への運送依頼機能を追加することができる。
【0104】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術的思想を逸脱しない範囲で、更なる変形・置換・調整を加えることができる。例えば、各図面に示したネットワーク構成、各要素の構成、画面の表現形態は、本発明の理解を助けるための一例であり、これらの図面に示した構成に限定されるものではない。
【0105】
例えば、上記した第1~第4の実施形態では、成約料請求手段305、305a、305bが、第2の現場の端末200に対し、所定の成約料を請求するものとして説明したが、建設副産物そのものが価値を有している場合もある。この場合、成約料請求手段305、305a、305bが、第2の現場の端末200に成約料を請求する代わりに、第1の現場の端末100に成約料を請求し、第2の現場のユーザに報奨金を支払ってもよい。また、成約料請求手段305、305a、305bが、第2の現場の端末200と第1の現場の端末100との双方に成約料を請求し、報奨金を支払う形態も採用可能である。
【0106】
また、上記した第1~第4の実施形態に示した手順は、仲介システム(残土仲介システム)として機能するコンピュータ(
図28の9000)に、これらのシステム・装置としての機能を実現させるプログラムにより実現可能である。このようなコンピュータは、
図28のCPU(Central Processing Unit)9010、通信インターフェース9020、メモリ9030、補助記憶装置9040を備える構成に例示される。すなわち、
図28のCPU9010にて、端末との通信プログラムや各種の計算プログラムを実行し、その補助記憶装置9040等に保持された各計算パラメーターの更新処理を実施させればよい。
【0107】
即ち、上記した第1~第4の実施形態に示した仲介システム(残土仲介システム)の各部(処理手段、機能)は、コンピュータに搭載されたプロセッサに、そのハードウェアを用いて、上記した各処理を実行させるコンピュータプログラムにより実現することができる。
【0108】
なお、上記の特許文献および非特許文献の各開示は、本書に引用をもって繰り込み記載されているものとし、必要に応じて本発明の基礎ないし一部として用いることが出来るものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし選択(部分的削除を含む)が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。さらに、上記引用した文献の各開示事項は、必要に応じ、本発明の趣旨に則り、本発明の開示の一部として、その一部又は全部を、本書の記載事項と組み合わせて用いることも、本願の開示事項に含まれるものと、みなされる。
【符号の説明】
【0109】
10、20、100、200、400、500 端末
30 仲介システム
31、301、301a 登録手段
32、302、302a 案件抽出手段
33、303、303a 情報開示料請求手段
34、304、304a 詳細情報送信手段
35、305、305a、305b 成約料請求手段
36、306、306a 案件DB
300、300a~300c 残土仲介システム
307 残土授受履歴DB
308 運送スケジュール管理手段
309 運送スケジュールDB
BT1~BT9 ボタン
Cal カレンダーアイコン
Col1~Col3 入力欄
9000 コンピュータ
9010 CPU
9020 通信インターフェース
9030 メモリ
9040 補助記憶装置