(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137980
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】冷媒を含有する組成物、並びに、その組成物を用いた冷凍方法、冷凍装置の運転方法及び冷凍装置
(51)【国際特許分類】
C09K 5/04 20060101AFI20240927BHJP
C10M 105/38 20060101ALI20240927BHJP
C10M 107/24 20060101ALI20240927BHJP
C10M 107/34 20060101ALI20240927BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20240927BHJP
C10N 40/30 20060101ALN20240927BHJP
C10N 30/00 20060101ALN20240927BHJP
【FI】
C09K5/04 E
C09K5/04 F
C10M105/38
C10M107/24
C10M107/34
F25B1/00 396Z
C10N40:30
C10N30:00 A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024113617
(22)【出願日】2024-07-16
(62)【分割の表示】P 2023125332の分割
【原出願日】2019-12-24
(31)【優先権主張番号】P 2019013979
(32)【優先日】2019-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019115584
(32)【優先日】2019-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大久保 瞬
(72)【発明者】
【氏名】板野 充司
(72)【発明者】
【氏名】四元 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】水野 彰人
(72)【発明者】
【氏名】後藤 智行
(72)【発明者】
【氏名】山田 康夫
(57)【要約】
【課題】R404Aと同等以上の成績係数(COP)及び冷凍能力を有すること、並びにGWPが十
分に小さいこと、という特性を有する冷媒を含有する組成物を提供する。
【解決手段】冷媒を含有する組成物であって、
該冷媒が、トランス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E))及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を含有し、
HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、
HFO-1132(E)の含有割合が35.0~65.0質量%であり、
HFO-1234yfの含有割合が65.0~35.0質量%であり、
該冷媒が、蒸発温度が-75~-5℃である冷凍サイクルを運転するために用いられる、組
成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を含有する組成物であって、
前記冷媒が、トランス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E))及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を含有し、
HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、
HFO-1132(E)の含有割合が35.0~65.0質量%であり、
HFO-1234yfの含有割合が65.0~35.0質量%であり、
前記冷媒が、蒸発温度が-75~-5℃である冷凍サイクルを運転するために用いられる、
組成物。
【請求項2】
HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、
HFO-1132(E)の含有割合が41.3~53.5質量%であり、
HFO-1234yfの含有割合が58.7~46.5質量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記冷媒が、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなる、請求項1又は2に記載の組成
物。
【請求項4】
冷媒を含有する組成物であって、
前記冷媒が、トランス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E))及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を含有し、
HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、
HFO-1132(E)の含有割合が40.5~49.2質量%であり、
HFO-1234yfの含有割合が59.5~50.8質量%である、組成物。
【請求項5】
前記冷媒が、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなる、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記冷媒が、蒸発温度が-75~15℃である冷凍サイクルを運転するために用いられる、
請求項4又は5に記載の組成物。
【請求項7】
R12、R22、R134a、R404A、R407A、R407C、R407F、R407H、R410A、R413A、R417A、R422A、R422B、R422C、R422D、R423A、R424A、R426A、R427A、R430A、R434A、R437A、R438A、R448A、R449A、R449B、R449C、R452A、R452B、R454A、R454B、R454C、R455A、R465A、R502、R507又はR513Aの代替冷媒として用いられる、請求項1~6のいずれか1項に記載の組
成物。
【請求項8】
冷媒を含有する組成物であって、
前記冷媒が、トランス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E))及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を含有し、
HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、
HFO-1132(E)の含有割合が31.1~39.8質量%であり、
HFO-1234yfの含有割合が68.9~60.2質量%である、組成物。
【請求項9】
HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、
HFO-1132(E)の含有割合が31.1~37.9質量%であり、
HFO-1234yfの含有割合が68.9~62.1質量%である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記冷媒が、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなる、請求項8又は9に記載の組成
物。
【請求項11】
前記冷媒が、蒸発温度が-75~15℃である冷凍サイクルを運転するために用いられる、
請求項8~10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
R134a、R1234yf又はCO2の代替冷媒として用いられる、請求項8~11のいずれか1項
に記載の組成物。
【請求項13】
冷媒を含有する組成物であって、
前記冷媒が、トランス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E))及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を含有し、
HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、
HFO-1132(E)の含有割合が21.0~28.4質量%であり、
HFO-1234yfの含有割合が79.0~71.6質量%である、組成物。
【請求項14】
前記冷媒が、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなる、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
R12、R22、R134a、R404A、R407A、R407C、R407F、R407H、R410A、R413A、R417A、R422A、R422B、R422C、R422D、R423A、R424A、R426A、R427A、R430A、R434A、R437A、R438A、R448A、R449A、R449B、R449C、R452A、R452B、R454A、R454B、R454C、R455A、R465A、R502、R507、R513A、R1234yf又はR1234zeの代替冷媒として用いられる、請求項13又は14
に記載の組成物。
【請求項16】
冷媒を含有する組成物であって、
前記冷媒が、トランス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E))及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を含有し、
HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、
HFO-1132(E)の含有割合が12.1~72.0質量%であり、
HFO-1234yfの含有割合が87.9~28.0質量%であり、
前記冷媒が、車載用空調機器に用いられる、組成物。
【請求項17】
前記空調機器が、ガソリン車用、ハイブリッド自動車用、電気自動車用又は水素自動車用である、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記冷媒が、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなる、請求項16又は17に記載の
組成物。
【請求項19】
R12、R134a又はR1234yfの代替冷媒として用いられる、請求項16~18のいずれか1
項に記載の組成物。
【請求項20】
水、トレーサー、紫外線蛍光染料、安定剤及び重合禁止剤からなる群より選択される少なくとも1種の物質を含有する、請求項1~19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
更に、冷凍機油を含有し、冷凍装置用作動流体として用いられる、請求項1~20のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
前記冷凍機油は、ポリアルキレングリコール(PAG)、ポリオールエステル(POE)及びポリビニルエーテル(PVE)からなる群より選択される少なくとも1種のポリマーを含有
する、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
請求項1~22のいずれか1項に記載の組成物を用いて冷凍サイクルを運転する工程を含む冷凍方法。
【請求項24】
請求項1~22のいずれか1項に記載の組成物を用いて冷凍サイクルを運転する冷凍装置の運転方法。
【請求項25】
請求項1~22のいずれか1項に記載の組成物を作動流体として含む、冷凍装置。
【請求項26】
空調機器、冷蔵庫、冷凍庫、冷水機、製氷機、冷蔵ショーケース、冷凍ショーケース、冷凍冷蔵ユニット、冷凍冷蔵倉庫用冷凍機、車載用空調機器、ターボ冷凍機又はスクリュー冷凍機である、請求項25に記載の冷凍装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷媒を含有する組成物、並びに、その組成物を用いた冷凍方法、冷凍装置の運転方法及び冷凍装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化が深刻な問題として全世界で議論される中、環境への負担が少ない空調、冷凍装置等の開発は、益々重要性を増してきている。
【0003】
現在、家庭用エアコン等の空調用冷媒として用いられているR404Aに代替可能な低地球
温暖化係数(GWP:Global Warming Potential)の混合冷媒が種々提案されている。例え
ば、特許文献1及び2には、R404Aの代替冷媒として、ジフルオロメタン(R32)、ペンタフルオロエタン(R125)、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(R1234yf)及び1,1,1,2-テ
トラフルオロエタン(R134a)を含む冷媒組成物が開示されている。
【0004】
また、家庭用エアコン等の空調用冷媒として用いられている1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a又はR134a)に代替可能な低GWPの混合冷媒が種々提案されている(例えば、特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2010/059677号
【特許文献2】国際公開第2011/163117号
【特許文献3】国際公開第2005/105947号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、R404Aと同等以上の成績係数[Coefficient of Performance(COP)]及び冷凍能力[Refrigeration Capacity(Cooling Capacity、Capacityと表記されることもある)]を有すること、並びにGWPが十分に小さいという特性を有する冷媒を含有する組成物
を提供することを目的とする。本開示は、R134aと同等又はそれ以上の成績係数[Coefficient of Performance(COP)]及び冷凍能力[Refrigeration Capacity(Cooling Capacity、Capacityと表記されることもある)]を有すること、並びにGWPが十分に小さいとい
う特性を有する冷媒を含有する組成物を提供することを目的とする。本開示は、上記組成物を用いた冷凍方法、冷凍装置の運転方法及び冷凍装置を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1.
冷媒を含有する組成物であって、
前記冷媒が、トランス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E))及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を含有し、
HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、
HFO-1132(E)の含有割合が35.0~65.0質量%であり、
HFO-1234yfの含有割合が65.0~35.0質量%であり、
前記冷媒が、蒸発温度が-75℃~-5℃である冷凍サイクルを運転するために用いられる
、組成物。
項2.
HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、
HFO-1132(E)の含有割合が41.3~53.5質量%であり、
HFO-1234yfの含有割合が58.7~46.5質量%である、項1に記載の組成物。
項3.
前記冷媒が、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなる、項1又は2に記載の組成物。
項4.
冷媒を含有する組成物であって、
前記冷媒が、トランス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E))及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を含有し、
HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、
HFO-1132(E)の含有割合が40.5~49.2質量%であり、
HFO-1234yfの含有割合が59.5~50.8質量%である、組成物。
項5.
前記冷媒が、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなる、項4に記載の組成物。
項6.
前記冷媒が、蒸発温度が-75℃~15℃である冷凍サイクルを運転するために用いられる
、項4又は5に記載の組成物。
項7.
R12、R22、R134a、R404A、R407A、R407C、R407F、R407H、R410A、R413A、R417A、R422A、R422B、R422C、R422D、R423A、R424A、R426A、R427A、R430A、R434A、R437A、R438A、R448A、R449A、R449B、R449C、R452A、R452B、R454A、R454B、R454C、R455A、R465A、R502、R507又はR513Aの代替冷媒として用いられる、項1~6のいずれか1項に記載の組成物
。
項8.
冷媒を含有する組成物であって、
前記冷媒が、トランス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E))及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を含有し、
HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、
HFO-1132(E)の含有割合が31.1~39.8質量%であり、
HFO-1234yfの含有割合が68.9~60.2質量%である、組成物。
項9.
HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、
HFO-1132(E)の含有割合が31.1~37.9質量%であり、
HFO-1234yfの含有割合が68.9~62.1質量%である、項8に記載の組成物。
項10.
前記冷媒が、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなる、項8又は9に記載の組成物。
項11.
前記冷媒が、蒸発温度が-75~15℃である冷凍サイクルを運転するために用いられる、
項8~10のいずれか1項に記載の組成物。
項12.
R134a、R1234yf又はCO2(R744)の代替冷媒として用いられる、項8~11のいずれか
1項に記載の組成物。
項13.
冷媒を含有する組成物であって、
前記冷媒が、トランス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E))及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を含有し、
HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、
HFO-1132(E)の含有割合が21.0~28.4質量%であり、
HFO-1234yfの含有割合が79.0~71.6質量%である、組成物。
項14.
前記冷媒が、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなる、項13に記載の組成物。
項15.
R12、R22、R134a、R404A、R407A、R407C、R407F、R407H、R410A、R413A、R417A、R422A、R422B、R422C、R422D、R423A、R424A、R426A、R427A、R430A、R434A、R437A、R438A、R448A、R449A、R449B、R449C、R452A、R452B、R454A、R454B、R454C、R455A、R465A、R502、R507、R513A、R1234yf又はR1234zeの代替冷媒として用いられる、項13又は14に記
載の組成物。
項16.
冷媒を含有する組成物であって、
前記冷媒が、トランス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E))及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を含有し、
HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、
HFO-1132(E)の含有割合が12.1~72.0質量%であり、
HFO-1234yfの含有割合が87.9~28.0質量%であり、
前記冷媒が、車載用空調機器に用いられる、組成物。
項17.
前記空調機器が、ガソリン車用、ハイブリッド自動車用、電気自動車用又は水素自動車用である、項16に記載の組成物。
項18.
前記冷媒が、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなる、項16又は17に記載の組成
物。
項19.
R12、R134a又はR1234yfの代替冷媒として用いられる、項16~18のいずれか1項に
記載の組成物。
項20.
水、トレーサー、紫外線蛍光染料、安定剤及び重合禁止剤からなる群より選択される少なくとも1種の物質を含有する、項1~19のいずれか1項に記載の組成物。
項21.
更に、冷凍機油を含有し、冷凍装置用作動流体として用いられる、項1~20のいずれか1項に記載の組成物。
項22.
前記冷凍機油は、ポリアルキレングリコール(PAG)、ポリオールエステル(POE)及びポリビニルエーテル(PVE)からなる群より選択される少なくとも1種のポリマーを含有
する、項21に記載の組成物。
項23.
項1~22のいずれか1項に記載の組成物を用いて冷凍サイクルを運転する工程を含む冷凍方法。
項24.
冷媒を含有する組成物を用いて蒸発温度が-75~-5℃である冷凍サイクルを運転する工
程を含む冷凍方法であって、
前記冷媒が、トランス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E))及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を含有し、
HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、
HFO-1132(E)の含有割合が35.0~65.0質量%であり、
HFO-1234yfの含有割合が65.0~35.0質量%である、冷凍方法。
項25.
HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、
HFO-1132(E)の含有割合が41.3~53.5質量%であり、
HFO-1234yfの含有割合が58.7~46.5質量%である、項24に記載の冷凍方法。
項26.
前記冷媒が、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなる、項24又は25に記載の冷凍
方法。
項27.
冷媒を含有する組成物を用いて冷凍サイクルを運転する工程を含む冷凍方法であって、
前記冷媒が、トランス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E))及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を含有し、
HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、
HFO-1132(E)の含有割合が40.5~49.2質量%であり、
HFO-1234yfの含有割合が59.5~50.8質量%である、冷凍方法。
項28.
前記冷媒が、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなる、項27に記載の冷凍方法。
項29.
前記冷凍サイクルにおける前記冷媒の蒸発温度が-75~15℃である、項27又は28に
記載の冷凍方法。
項30.
冷媒を含有する組成物を用いて冷凍サイクルを運転する工程を含む冷凍方法であって、
前記冷媒が、トランス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E))及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を含有し、
HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、
HFO-1132(E)の含有割合が31.1~39.8質量%であり、
HFO-1234yfの含有割合が68.9~60.2質量%である、冷凍方法。
項31.
HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、
HFO-1132(E)の含有割合が31.1~37.9質量%であり、
HFO-1234yfの含有割合が68.9~62.1質量%である、項30に記載の冷凍方法。
項32.
前記冷媒が、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなる、項30又は31に記載の冷凍
方法。
項33.
前記冷凍サイクルにおける前記冷媒の蒸発温度が-75~15℃である、項30~32のい
ずれか1項に記載の冷凍方法。
項34.
冷媒を含有する組成物を用いて冷凍サイクルを運転する工程を含む冷凍方法であって、
前記冷媒が、トランス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E))及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を含有し、
HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、
HFO-1132(E)の含有割合が21.0~28.4質量%であり、
HFO-1234yfの含有割合が79.0~71.6質量%である、冷凍方法。
項35.
前記冷媒が、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなる、項34に記載の冷凍方法。
項36.
冷媒を含有する組成物を用いて冷凍サイクルを運転する工程を含む冷凍方法であって、
前記冷媒が、トランス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E))及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を含有し、
HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、
HFO-1132(E)の含有割合が12.1~72.0質量%であり、
HFO-1234yfの含有割合が87.9~28.0質量%であり、
前記冷媒が、車載用空調機器に用いられる、冷凍方法。
項37.
前記空調機器が、ガソリン車用、ハイブリッド自動車用、電気自動車用又は水素自動車用である、項36に記載の冷凍方法。
項38.
前記冷媒が、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなる、項36又は37に記載の冷凍
方法。
項39.
項1~22のいずれか1項に記載の組成物を用いて冷凍サイクルを運転する冷凍装置の運転方法。
項40.
項1~22のいずれか1項に記載の組成物を作動流体として含む冷凍装置。
項41.
空調機器、冷蔵庫、冷凍庫、冷水機、製氷機、冷蔵ショーケース、冷凍ショーケース、冷凍冷蔵ユニット、冷凍冷蔵倉庫用冷凍機、車載用空調機器、ターボ冷凍機又はスクリュー冷凍機である、項40に記載の冷凍装置。
項42.
冷媒として用いられる、項1~22のいずれか1項に記載の組成物。
項43.
冷凍装置における冷媒として用いられる、項42に記載の組成物。
項44.
前記冷凍装置が、空調機器、冷蔵庫、冷凍庫、冷水機、製氷機、冷蔵ショーケース、冷凍ショーケース、冷凍冷蔵ユニット、冷凍冷蔵倉庫用冷凍機、車載用空調機器、ターボ冷凍機又はスクリュー冷凍機である、項43に記載の組成物。
項45.
冷媒としての、項1~22のいずれか1項に記載の組成物の使用。
項46.
冷凍装置における、項45に記載の使用。
項47.
前記冷凍装置が、空調機器、冷蔵庫、冷凍庫、冷水機、製氷機、冷蔵ショーケース、冷凍ショーケース、冷凍冷蔵ユニット、冷凍冷蔵倉庫用冷凍機、車載用空調機器、ターボ冷凍機又はスクリュー冷凍機である、項46に記載の使用。
【発明の効果】
【0008】
本開示の冷媒を含有する組成物は、R404Aと同等又はそれ以上の成績係数(COP)及び冷凍能力を有すること、並びにGWPが十分に小さいこと、という特性を有する。また、本開
示の冷媒を含有する組成物は、R134aと同等又はそれ以上の成績係数(COP)及び冷凍能力を有すること、並びにGWPが十分に小さいこと、という特性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】燃焼性(可燃又は不燃)の判別をするための実験装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、トランス-1,2-ジフル
オロエチレン(HFO-1132(E))及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を含
有する混合冷媒を含有する組成物が、上記特性を有していることを見出した。
【0011】
本開示は、かかる知見に基づき、更に研究を重ねた結果完成されたものである。本発明は、以下の実施形態を含む。
【0012】
<用語の定義>
本明細書において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値
を夫々最小値及び最大値として含む範囲を示す。
【0013】
本明細書中、語句「含有」及び語句「含む」は、語句「実質的にからなる」及び語句「のみからなる」という概念を包含する。
【0014】
本明細書において用語「冷媒」には、ISO817(国際標準化機構)で定められた、冷媒の種類を表すRで始まる冷媒番号(ASHRAE番号)が付された化合物が少なくとも含まれ、更
に冷媒番号が未だ付されていないとしても、それらと同等の冷媒としての特性を有するものが含まれる。
【0015】
冷媒は、化合物の構造の面で、「フルオロカーボン系化合物」と「非フルオロカーボン系化合物」とに大別される。「フルオロカーボン系化合物」には、クロロフルオロカーボン(CFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)及びハイドロフルオロカーボン(HFC)が含まれる。「非フルオロカーボン系化合物」としては、プロパン(R290)、プロピレン(R1270)、ブタン(R600)、イソブタン(R600a)、二酸化炭素(R744)及びアンモニア(R717)等が挙げられる。
【0016】
本明細書において、用語「冷媒を含有する組成物」には、
(1)冷媒そのもの(冷媒の混合物、すなわち「混合冷媒」を含む)と、
(2)その他の成分を更に含み、少なくとも冷凍機油と混合することにより冷凍装置用作
動流体を得るために用いることのできる組成物と、
(3)冷凍機油を含有する冷凍装置用作動流体と、が少なくとも含まれる。
【0017】
本明細書においては、これら三態様のうち、(2)の組成物のことを、冷媒そのもの(
混合冷媒を含む)と区別して「冷媒組成物」と表記する。また、(3)の冷凍装置用作動
流体のことを「冷媒組成物」と区別して「冷凍機油含有作動流体」と表記する。
【0018】
本明細書において、用語「代替」は、第一の冷媒を第二の冷媒で「代替」するという文脈で用いられる場合、第一の類型として、第一の冷媒を使用して運転するために設計された機器において、必要に応じてわずかな部品(冷凍機油、ガスケット、パッキン、膨張弁、ドライヤその他の部品のうち少なくとも一種)の変更及び機器調整のみを経るだけで、第二の冷媒を使用して、最適条件下で運転することができることを意味する。すなわち、この類型は、同一の機器を、冷媒を「代替」して運転することを指す。この類型の「代替」の態様としては、第二の冷媒への置き換えの際に必要とされる変更乃至調整の度合いが小さい順に、「ドロップイン(drop in)代替」、「ニアリー・ドロップイン(nealy drop in)代替」及び「レトロフィット(retrofit)」があり得る。
【0019】
第二の類型として、第二の冷媒を用いて運転するために設計された機器を、第一の冷媒の既存用途と同一の用途のために、第二の冷媒を搭載して用いることも、用語「代替」に含まれる。この類型は、同一の用途を、冷媒を「代替」して提供することを指す。
【0020】
本明細書において用語「冷凍装置」とは、広義には、物あるいは空間の熱を奪い去ることにより、周囲の外気よりも低い温度にし、かつこの低温を維持する装置全般のことをいう。言い換えれば、広義には、冷凍装置は温度の低い方から高い方へ熱を移動させるために、外部からエネルギーを得て仕事を行いエネルギー変換する変換装置のことをいう。本開示において、広義には、冷凍装置はヒートポンプと同義である。
【0021】
また、本開示において、狭義には、利用する温度領域及び作動温度の違いにより冷凍装置はヒートポンプとは区別して用いられる。この場合、大気温度よりも低い温度領域に低温熱源を置くものを冷凍装置といい、これに対して低温熱源を大気温度の近くに置いて冷
凍サイクルを駆動することによる放熱作用を利用するものをヒートポンプということもある。なお、「冷房モード」及び「暖房モード」等を有するエアコン等のように、同一の機器であるにもかかわらず、狭義の冷凍装置及び狭義のヒートポンプの機能を兼ね備えるものも存在する。本明細書においては、特に断りのない限り、「冷凍装置」及び「ヒートポンプ」は全て広義の意味で用いられる。
【0022】
本明細書において温度グライド(Temperature Glide)とは、熱サイクルシステムの構
成要素内における、本開示の冷媒を含有する組成物の相変化過程の開始温度と終了温度との差の絶対値と言い換えることができる。
【0023】
本明細書において、「車載用空調機器」とは、ガソリン車、ハイブリッド自動車、電気自動車、水素自動車などの自動車で用いられる冷凍装置の一種である。車載用空調機器とは、蒸発器にて液体の冷媒に熱交換を行わせ、蒸発した冷媒ガスを圧縮機が吸い込み、断熱圧縮された冷媒ガスを凝縮器で冷却して液化させ、さらに膨張弁を通過させて断熱膨張させた後、蒸発機に再び液体の冷媒として供給する冷凍サイクルからなる冷凍装置を指す。
【0024】
本明細書において、「ターボ冷凍機」とは、大型チラー冷凍装置の一種であって、蒸発器にて液体の冷媒に熱交換を行わせ、蒸発した冷媒ガスを遠心式圧縮機が吸い込み、断熱圧縮された冷媒ガスを凝縮器で冷却して液化させ、さらに膨張弁を通過させて断熱膨張させた後、蒸発機に再び液体の冷媒として供給する冷凍サイクルからなる冷凍装置を指す。なお、上記「大型チラー冷凍機」とは、チラーの一種であって、建物単位での空調を目的とした大型空調機を指す。
【0025】
本明細書において、「飽和圧力」とは飽和蒸気の圧力を意味する。本明細書において、「飽和温度」とは飽和蒸気の温度を意味する。
【0026】
本明細書では、冷凍サイクルにおける蒸発温度とは、冷凍サイクルの蒸発工程において、冷媒液が熱を吸収して蒸気になる際の温度を意味する。冷凍サイクルにおける蒸発温度は、蒸発器入口及び/又は蒸発器出口の温度を測定することにより決定することができる。単体冷媒及び共沸冷媒の場合、蒸発温度は一定であるが、非共沸冷媒の場合、蒸発温度は蒸発器入口の温度と露点温度との平均値となる。即ち、非共沸冷媒の場合、「蒸発温度=(蒸発器入口温度+露点温度)/2」と計算することができる。
【0027】
本明細書において、「吐出温度」とは圧縮機の吐出口における混合冷媒の温度を意味する。
【0028】
本明細書において、「蒸発圧力」とは蒸発温度での飽和圧力を意味する。本明細書において、「凝縮圧力」とは凝縮温度での飽和圧力を意味する。
【0029】
本明細書において、「臨界温度」とは臨界点における温度を意味し、気体を圧縮してもそれ以下の温度でなければ液体にできない境目の温度を意味する。
【0030】
本明細書において冷媒が「不燃」であるとは、米国ANSI/ASHRAE34-2013規格において冷媒許容濃度のうち最も燃えやすい組成であるWCF(Worst case of formulation for flammability)組成が「クラス1」と判断されることを意味する。
【0031】
本明細書において冷媒が「微燃」であるとは、米国ANSI/ASHRAE34-2013規格においてWCF組成が「クラス2L」と判断されることを意味する。
【0032】
本明細書において冷媒が「弱燃」であるとは、米国ANSI/ASHRAE34-2013規格においてWCF組成が「クラス2」と判断されることを意味する。
【0033】
本明細書において、GWP(AR4)は、IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)第4次報告書の値に基づいた値を意味する。
【0034】
1.組成物
本開示の組成物は冷媒を含有し、当該冷媒としては、「冷媒1」、「冷媒2」、「冷媒3」、「冷媒4」及び「冷媒5」が挙げられる。以下、冷媒1、冷媒2、冷媒3、冷媒4及び冷媒5についてそれぞれ説明する。本明細書において、「本開示の冷媒」とは冷媒1、冷媒2、冷媒3、冷媒4又は冷媒5を意味する。
【0035】
1.1 冷媒1
本開示の組成物に含まれる冷媒は、一つの態様において、HFO-1132(E)及びHFO-1234yf
を含有し、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合は35.0~65.0質量%であり、HFO-1234yfの含有割合は65.0~35.0質量%である。この冷媒を「冷媒1」ということがある。
【0036】
本開示において、冷媒1は、蒸発温度が-75~-5℃である冷凍サイクルを運転するため
に用いられる。
【0037】
冷媒1は、上述の構成を有することによって、(1)GWPが十分小さいこと(100以下)
、(2)R404Aと同等又はそれ以上のCOPを有すること、及び(3)R404Aと同等又はそれ以
上の冷凍能力を有すること、という諸特性を有する。
【0038】
冷媒1において、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対する、HFO-1132(E)の含有割合が35.0質量%以上であることにより、R404Aと同等又はそれ以上の冷凍能力が得られる。また、冷媒1において、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対する、HFO-1132(E)の含有割合が65.0質量%以下であることにより、冷媒1の冷凍サイクルにおける飽和温度40℃
の飽和圧力を好適な範囲(特に2.10Mpa以下)に維持することができる。
【0039】
冷媒1において、R404Aに対する冷凍能力が95%以上であればよいが、98%以上であるこ
とが好ましく、100%以上であることがより好ましく、101%以上であることが更に好ましく、102%以上であることが特に好ましい。
【0040】
冷媒1は、GWPが100以下であることによって、地球温暖化の観点から他の汎用冷媒と比べて顕著に環境負荷を抑えることができる。
【0041】
冷媒1は、エネルギー消費効率の点から、R404Aに対する冷凍サイクルで消費された動
力に対する冷凍能力の比(成績係数(COP))が高いことが好ましく、具体的には、R404Aに対するCOPは98%以上であることが好ましく、100%以上であることがより好ましく、102%以上であることが特に好ましい。
【0042】
冷媒1において、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合が40.5~59.0質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が59.5~41.0質量%であることが好ましい。この場合、冷媒1はGWPが100以下であり、R404Aに対するCOPが101%以上であり、
且つR404Aに対する冷凍能力が99%以上となる。更にこの場合、冷媒1は、飽和温度40℃
における飽和圧力が、1.75MPa以上2.00MPa以下となるため、市販のR404A用冷凍装置に対
して大きな設計変更なく適用することができる。
【0043】
冷媒1において、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合が41.3~59.0質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が58.7~41.0質量%であることがより好ましい。この場合、冷媒1はGWPが100以下であり、R404Aに対するCOPが101%以上であ
り、且つR404Aに対する冷凍能力が99.5%以上となる。更にこの場合、冷媒1は、飽和温
度40℃における飽和圧力が、1.76MPa以上2.00MPa以下となるため、市販のR404A用冷凍装
置に対して大きな設計変更なく適用することができる。
【0044】
冷媒1において、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合が41.3~55.0質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が58.7~45.0質量%であることが更に好ましい。この場合、冷媒1はGWPが100以下であり、R404Aに対するCOPが101%以上であ
り、且つR404Aに対する冷凍能力が99.5%以上となる。更にこの場合、冷媒1は、飽和温
度40℃における飽和圧力が、1.76MPa以上1.95MPa以下となり、市販のR404A用冷凍装置に
対して大きな設計変更なく適用することができる。
【0045】
冷媒1において、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合が41.3~53.5質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が58.7~46.5質量%であることが特に好ましい。この場合、冷媒1はGWPが100以下であること、R404Aに対するCOPが102%以上
であり、且つR404Aに対する冷凍能力が99.5%以上となること、及びASHRAEの規格で微燃
性(クラス2L)であることという、諸特性を有する。更にこの場合、冷媒1は、飽和温度40℃の飽和圧力が、1.76MPa以上1.94MPa以下となり、市販のR404A用冷凍装置に対して大
きな設計変更なく適用することができる。
【0046】
冷媒1において、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合が41.3~51.0質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が58.7~49.0質量%であることが格別に好ましい。この場合、冷媒1はGWPが100以下であること、R404Aに対するCOPが102%以
上であり、且つR404Aに対する冷凍能力が99%以上となること、及びASHRAEの規格で微燃
性(クラス2L)であることという、諸特性を有する。更にこの場合、冷媒1は、飽和温度40℃の飽和圧力が、1.76MPa以上1.90MPa以下となり、市販のR404A用冷凍装置に対して大
きな設計変更なく適用することができる。
【0047】
冷媒1において、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合が41.3~49.2質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が58.7~50.8質量%であることが最も好ましい。この場合、冷媒1はGWPが100以下であること、R404Aに対するCOPが102%以上
であり、且つR404Aに対する冷凍能力が99.5%以上となること、及びASHRAEの規格で微燃
性(クラス2L)であることという、諸特性を有する。更にこの場合、冷媒1は、飽和温度40℃の飽和圧力が、1.76MPa以上1.88MPa以下となり、市販のR404A用冷凍装置に対して大
きな設計変更なく適用することができる。
【0048】
冷媒1において、飽和温度40℃の飽和圧力は通常2.10MPa以下、好ましくは2.00MPa以下、より好ましくは1.95MPa以下、更に好ましくは1.90MPa以下、特に好ましくは1.88MPa以
下である。飽和温度40℃の飽和圧力がこのような範囲にあれば、市販のR404A用冷凍装置
に対して大きな設計変更なく冷媒1を適用することができる。
【0049】
冷媒1において、飽和温度40℃の飽和圧力は通常1.70MPa以上、好ましくは1.73MPa以上、より好ましくは1.74MPa以上、更に好ましくは1.75MPa以上、特に好ましくは1.76MPa以
上である。飽和温度40℃の飽和圧力がこのような範囲にあれば、市販のR404A用冷凍装置
に対して大きな設計変更なく冷媒1を適用することができる。
【0050】
本開示において、冷凍サイクルを運転するために冷媒1を使用した場合は、市販のR404A用冷凍装置の部材の寿命を延ばす観点から、吐出温度は好ましくは150℃以下、より好ま
しくは140℃以下、更に好ましくは130℃以下、特に好ましくは120℃以下である。
【0051】
冷媒1を蒸発温度が-75~-5℃である冷凍サイクルを運転するために用いることにより
、R404Aと同等以上の冷凍能力が得られるという利点がある。
【0052】
本開示の冷媒1が使用される冷凍サイクルにおいて、蒸発温度が-5℃を超えた場合は、圧縮比が2.5未満となり、冷凍サイクルとしての効率が悪くなる。本開示の冷媒1が使用
される冷凍サイクルにおいて、蒸発温度が-75℃未満である場合は、蒸発圧力が0.02MPa未満となり、圧縮機への冷媒の吸入が困難になる。なお、圧縮比は、次式により求めることができる。
圧縮比=凝縮圧力(Mpa)/蒸発圧力(Mpa)
【0053】
本開示の冷媒1が使用される冷凍サイクルにおいて、蒸発温度は好ましくは-7.5℃以下、より好ましくは-10℃以下、更に好ましくは-35℃以下である。
【0054】
本開示の冷媒1が使用される冷凍サイクルにおいて、蒸発温度は好ましくは-65℃以上
、より好ましくは-60℃以上、更に好ましくは-55℃以上、特に好ましくは-50℃以上であ
る。
【0055】
本開示の冷媒1が使用される冷凍サイクルにおいて、蒸発温度は好ましくは-65℃以上-5℃以下、より好ましくは-60℃以上-5℃以下、更に好ましくは-55℃以上-7.5℃以下、特
に好ましくは-50℃以上-10℃以下である。
【0056】
本開示の冷媒1が使用される冷凍サイクルにおいて、圧縮機への冷媒の吸入を向上させる観点から、蒸発圧力は0.02MPa以上が好ましく、0.03MPa以上がより好ましく、0.04MPa
以上が更に好ましく、0.05MPa以上が特に好ましい。
【0057】
本開示の冷媒1が使用される冷凍サイクルにおいて、冷凍サイクルとしての効率を向上させる観点から、圧縮比は2.5以上が好ましく、3.0以上がより好ましく、3.5以上が更に
好ましく、4.0以上が特に好ましい。本開示の冷媒1が使用される冷凍サイクルにおいて
、冷凍サイクルとしての効率を向上させる観点から、圧縮比は200以下が好ましく、150以下がより好ましく、100以下が更に好ましく、50以下が特に好ましい。
【0058】
冷媒1は、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfをこれらの濃度の総和で、通常99.5質量%以上含有してもよい。本開示において、冷媒1全体におけるHFO-1132(E)及びHFO-1234yfの合計
量が99.7質量%以上であれば好ましく、99.8質量%以上であればより好ましく、99.9質量%
以上であれば更に好ましい。
【0059】
冷媒1は、上記の特性を損なわない範囲内で、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfに加えて、
更に他の冷媒を含有することができる。この場合、冷媒1全体における他の冷媒の含有割合は0.5質量%以下が好ましく、0.3質量%以下がより好ましく、0.2質量%以下が更に好ましく、0.1質量%以下が特に好ましい。他の冷媒としては、特に限定されず、この分野で広く使用されている公知の冷媒の中から幅広く選択できる。冷媒1は、他の冷媒を単独で含んでいてもよいし、他の冷媒を2種以上含んでいてもよい。
【0060】
冷媒1は、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなることが特に好ましい。換言すると
、冷媒1は、冷媒1全体におけるHFO-1132(E)及びHFO-1234yfの総濃度が100質量%である
ことが特に好ましい。
【0061】
冷媒1が、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなる場合、HFO-1132(E)及びHFO-1234yf
の全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合は通常35.0~65.0質量%であり、HFO-1234yfの含有割合は通常65.0~35.0質量%である。冷媒1は、このような構成を有することによっ
て、(1)GWPが十分小さいこと(100以下)、(2)R404Aと同等又はそれ以上のCOPを有すること、及び(3)R404Aと同等又はそれ以上の冷凍能力を有すること、という諸特性を有する。
【0062】
冷媒1が、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなる場合、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合が40.5~59.0質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が59.5~41.0質量%であることが好ましい。この場合、冷媒1はGWPが100以下であり
、R404Aに対するCOPが101%以上であり、且つR404Aに対する冷凍能力が99%以上となる。更にこの場合、冷媒1は、飽和温度40℃における飽和圧力が、1.75MPa以上2.00MPa以下となるため、市販のR404A用冷凍装置に対して大きな設計変更なく適用することができる。
【0063】
冷媒1が、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなる場合、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合が41.3~59.0質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が58.7~41.0質量%であることがより好ましい。この場合、冷媒1はGWPが100以下で
あり、R404Aに対するCOPが101%以上であり、且つR404Aに対する冷凍能力が99.5%以上となる。更にこの場合、冷媒1は、飽和温度40℃における飽和圧力が、1.76MPa以上2.00MPa以下となるため、市販のR404A用冷凍装置に対して大きな設計変更なく適用することがで
きる。
【0064】
冷媒1が、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなる場合、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合が41.3~55.0質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が58.7~45.0質量%であることが更に好ましい。この場合、冷媒1はGWPが100以下で
あり、R404Aに対するCOPが101%以上であり、且つR404Aに対する冷凍能力が99.5%以上となる。更にこの場合、冷媒1は、飽和温度40℃における飽和圧力が、1.76MPa以上1.95MPa以下となり、市販のR404A用冷凍装置に対して大きな設計変更なく適用することができる
。
【0065】
冷媒1が、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなる場合、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合が41.3~53.5質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が58.7~46.5質量%であることが特に好ましい。この場合、冷媒1はGWPが100以下で
あること、R404Aに対するCOPが102%以上であり、且つR404Aに対する冷凍能力が99.5%以上となること、及びASHRAEの規格で微燃性(クラス2L)であることという、諸特性を有する。更にこの場合、冷媒1は、飽和温度40℃の飽和圧力が、1.76MPa以上1.94MPa以下となり、市販のR404A用冷凍装置に対して大きな設計変更なく適用することができる。
【0066】
冷媒1が、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなる場合、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合が41.3~51.0質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が58.7~49.0質量%であることが格別に好ましい。この場合、冷媒1はGWPが100以下
であること、R404Aに対するCOPが102%以上であり、且つR404Aに対する冷凍能力が99%以上となること、及びASHRAEの規格で微燃性(クラス2L)であることという、諸特性を有する。更にこの場合、冷媒1は、飽和温度40℃の飽和圧力が、1.76MPa以上1.90MPa以下となり、市販のR404A用冷凍装置に対して大きな設計変更なく適用することができる。
【0067】
冷媒1が、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなる場合、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合が41.3~49.2質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が58.7~50.8質量%であることが最も好ましい。この場合、冷媒1はGWPが100以下で
あること、R404Aに対するCOPが102%以上であり、且つR404Aに対する冷凍能力が99.5%以上となること、及びASHRAEの規格で微燃性(クラス2L)であることという、諸特性を有す
る。更にこの場合、冷媒1は、飽和温度40℃の飽和圧力が、1.76MPa以上1.88MPa以下となり、市販のR404A用冷凍装置に対して大きな設計変更なく適用することができる。
【0068】
1.2 冷媒2
本開示の組成物に含まれる冷媒は、一つの態様において、HFO-1132(E)及びHFO-1234yf
を含有し、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合が40.5~49.2質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が59.5~50.8質量%である。この冷媒を「冷媒2」ということがある。
【0069】
冷媒2は、上述の構成を有することによって、(1)GWPが十分小さいこと(100以下)
、(2)R404Aと同等又はそれ以上のCOPを有すること、(3)R404Aと同等又はそれ以上の
冷凍能力を有すること、及び(4)ASHRAEの規格で微燃性(クラス2L)であることという
、諸特性を有する。更にこの場合、冷媒2は、飽和温度40℃の飽和圧力が、1.75MPa以上1.88MPa以下となり、市販のR404A用冷凍装置に対して大きな設計変更なく適用することが
できる。
【0070】
冷媒2において、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対する、HFO-1132(E)の含有割合が40.5質量%以上であることにより、R404Aと同等又はそれ以上の冷凍能力が得られる。また、冷媒2において、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対する、HFO-1132(E)の含有割合が49.2質量%以下であることにより、冷媒2の冷凍サイクルにおける飽和温度40℃
の飽和圧力を好適な範囲(特に2.10Mpa以下)に維持することができる。
【0071】
冷媒2において、R404Aに対する冷凍能力が99%以上であればよいが、100%以上である
ことが好ましく、101%以上であることがより好ましく、102%以上であることが更に好ましく、103%以上であることが特に好ましい。
【0072】
冷媒2は、GWPが100以下であることによって、地球温暖化の観点から他の汎用冷媒と比べて顕著に環境負荷を抑えることができる。
【0073】
冷媒2は、エネルギー消費効率の点から、R404Aに対する冷凍サイクルで消費された動
力に対する冷凍能力の比(成績係数(COP))が高いことが好ましく、具体的には、R404Aに対するCOPは98%以上であることが好ましく、100%以上であることがより好ましく、101%以上であることが更に好ましく、102%以上であることが特に好ましい。
【0074】
冷媒2において、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合が41.3~49.2質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が58.7~50.8質量%であることが好ましい。この場合、冷媒2はGWPが100以下であること、R404Aに対するCOPが102%以上であ
ること、R404Aに対する冷凍能力が99.5%以上であること、及びASHRAEの規格で微燃性(
クラス2L)であることという、諸特性を有する。更にこの場合、冷媒2は、飽和温度40℃の飽和圧力が、1.76MPa以上1.88MPa以下となり、市販のR404A用冷凍装置に対して大きな
設計変更なく適用することができる。
【0075】
冷媒2において、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合が43.0~49.2質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が57.0~50.8質量%であることがより好ましい。この場合、冷媒2はGWPが100以下であること、R404Aに対するCOPが102%以上
であること、R404Aに対する冷凍能力が101%以上であること、及びASHRAEの規格で微燃性(クラス2L)であることという、諸特性を有する。更にこの場合、冷媒2は、飽和温度40℃の飽和圧力が、1.78MPa以上1.88MPa以下となり、市販のR404A用冷凍装置に対して大き
な設計変更なく適用することができる。
【0076】
冷媒2において、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合が44.0~49.2質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が56.0~50.8質量%であることが更に好ましい。この場合、冷媒2はGWPが100以下であること、R404Aに対するCOPが102%以上
であること、R404Aに対する冷凍能力が101%以上であること、及びASHRAEの規格で微燃性(クラス2L)であることという、諸特性を有する。更にこの場合、冷媒2は、飽和温度40℃の飽和圧力が、1.80MPa以上1.88MPa以下となり、市販のR404A用冷凍装置に対して大き
な設計変更なく適用することができる。
【0077】
冷媒2において、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合が45.0~49.2質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が55.0~50.8質量%であることが特に好ましい。この場合、冷媒2はGWPが100以下であること、R404Aに対するCOPが102%以上
であること、R404Aに対する冷凍能力が102%以上であること、及びASHRAEの規格で微燃性(クラス2L)であることという、諸特性を有する。更にこの場合、冷媒2は、飽和温度40℃の飽和圧力が、1.81MPa以上1.88MPa以下となり、市販のR404A用冷凍装置に対して大き
な設計変更なく適用することができる。
【0078】
冷媒2において、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合が45.0~48.0質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が55.0~52.0質量%であることが格別に好ましい。この場合、冷媒2はGWPが100以下であること、R404Aに対するCOPが102.5%
以上であること、R404Aに対する冷凍能力が102.5%以上であること、及びASHRAEの規格で微燃性(クラス2L)であることという、諸特性を有する。更にこの場合、冷媒2は、飽和温度40℃の飽和圧力が、1.81MPa以上1.87MPa以下となり、市販のR404A用冷凍装置に対し
て大きな設計変更なく適用することができる。
【0079】
冷媒2において、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合が45.0~47.0質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が55.0~53.0質量%であることが最も好ましい。この場合、冷媒2はGWPが100以下であること、R404Aに対するCOPが102.5%以
上であること、R404Aに対する冷凍能力が102.5%以上であること、及びASHRAEの規格で微燃性(クラス2L)であることという、諸特性を有する。更にこの場合、冷媒2は、飽和温度40℃の飽和圧力が、1.81MPa以上1.85MPa以下となり、市販のR404A用冷凍装置に対して
大きな設計変更なく適用することができる。
【0080】
冷媒2において、飽和温度40℃の飽和圧力は通常2.10MPa以下、好ましくは2.00MPa以下、より好ましくは1.95MPa以下、更に好ましくは1.90MPa以下、特に好ましくは1.88MPa以
下である。飽和温度40℃の飽和圧力がこのような範囲にあれば、市販のR404A用冷凍装置
に対して大きな設計変更なく冷媒2を適用することができる。
【0081】
冷媒2において、飽和温度40℃の飽和圧力は通常1.70MPa以上、好ましくは1.73MPa以上、より好ましくは1.74MPa以上、更に好ましくは1.75MPa以上、特に好ましくは1.76MPa以
上である。飽和温度40℃の飽和圧力がこのような範囲にあれば、市販のR404A用冷凍装置
に対して大きな設計変更なく冷媒2を適用することができる。
【0082】
本開示において、冷凍サイクルを運転するために冷媒2を使用した場合は、市販のR404A用冷凍装置の部材の寿命を延ばす観点から、吐出温度は好ましくは150℃以下、より好ましくは140℃以下、更に好ましくは130℃以下、特に好ましくは120℃以下である。
【0083】
本開示において、冷媒2は、R404Aと同等以上の冷凍能力を得る観点から、蒸発温度が-75~15℃である冷凍サイクルを運転するために用いられることが好ましい。
【0084】
本開示の冷媒2が使用される冷凍サイクルにおいて、蒸発温度は好ましくは15℃以下、
より好ましくは5℃以下、更に好ましくは0℃以下、特に好ましくは-5℃以下である。
【0085】
本開示の冷媒2が使用される冷凍サイクルにおいて、蒸発温度は好ましくは-65℃以上
、より好ましくは-60℃以上、更に好ましくは-55℃以上、特に好ましくは-50℃以上であ
る。
【0086】
本開示の冷媒2が使用される冷凍サイクルにおいて、蒸発温度はより好ましくは-65℃
以上10℃以下、より一層好ましくは-60℃以上5℃以下、更に好ましくは-55℃以上0℃以下、特に好ましくは-50℃以上-5℃以下である。
【0087】
本開示の冷媒2が使用される冷凍サイクルにおいて、圧縮機への冷媒の吸入を向上させる観点から、蒸発圧力は0.02MPa以上が好ましく、0.03MPa以上がより好ましく、0.04MPa
以上が更に好ましく、0.05MPa以上が特に好ましい。
【0088】
本開示の冷媒2が使用される冷凍サイクルにおいて、冷凍サイクルとしての効率を向上させる観点から、圧縮比は2.5以上が好ましく、3.0以上がより好ましく、3.5以上が更に
好ましく、4.0以上が特に好ましい。
【0089】
冷媒2は、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfをこれらの濃度の総和で、通常99.5質量%以上含有してもよい。本開示において、冷媒2全体におけるHFO-1132(E)及びHFO-1234yfの合計
量が99.7質量%以上であれば好ましく、99.8質量%以上であればより好ましく、99.9質量%
以上であれば更に好ましい。
【0090】
冷媒2は、上記の特性を損なわない範囲内で、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfに加えて、
更に他の冷媒を含有することができる。この場合、冷媒2全体における他の冷媒の含有割合は0.5質量%以下が好ましく、0.3質量%以下がより好ましく、0.2質量%以下が更に好ましく、0.1質量%以下が特に好ましい。他の冷媒としては、特に限定されず、この分野で広く使用されている公知の冷媒の中から幅広く選択できる。冷媒2は、他の冷媒を単独で含んでいてもよいし、他の冷媒を2種以上含んでいてもよい。
【0091】
冷媒2は、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなることが特に好ましい。換言すると
、冷媒2は、冷媒2全体におけるHFO-1132(E)及びHFO-1234yfの総濃度が100質量%である
ことが特に好ましい。
【0092】
冷媒2が、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなる場合、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合は通常40.5~49.2質量%であり、HFO-1234yfの含有割合は通常59.5~50.8質量%である。冷媒2は、このような構成を有することによっ
て、(1)GWPが十分小さいこと(100以下)、(2)R404Aと同等又はそれ以上のCOPを有すること、(3)R404Aと同等又はそれ以上の冷凍能力を有すること、及び(4)ASHRAEの規
格で微燃性(クラス2L)であることという、諸特性を有する。更にこの場合、冷媒2は、飽和温度40℃の飽和圧力が、1.75MPa以上1.88MPa以下となり、市販のR404A用冷凍装置に
対して大きな設計変更なく適用することができる。
【0093】
冷媒2が、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなる場合、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合が41.3~49.2質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が58.7~50.8質量%であることが好ましい。この場合、冷媒2はGWPが100以下である
こと、R404Aに対するCOPが102%以上であること、R404Aに対する冷凍能力が99.5%以上であること、及びASHRAEの規格で微燃性(クラス2L)であることという、諸特性を有する。更にこの場合、冷媒2は、飽和温度40℃の飽和圧力が、1.76MPa以上1.88MPa以下となり、市販のR404A用冷凍装置に対して大きな設計変更なく適用することができる。
【0094】
冷媒2が、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなる場合、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合が43.0~49.2質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が57.0~50.8質量%であることがより好ましい。この場合、冷媒2はGWPが100以下で
あること、R404Aに対するCOPが102%以上であること、R404Aに対する冷凍能力が101%以
上であること、及びASHRAEの規格で微燃性(クラス2L)であることという、諸特性を有する。更にこの場合、冷媒2は、飽和温度40℃の飽和圧力が、1.78MPa以上1.88MPa以下となり、市販のR404A用冷凍装置に対して大きな設計変更なく適用することができる。
【0095】
冷媒2が、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなる場合、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合が44.0~49.2質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が56.0~50.8質量%であることが更に好ましい。この場合、冷媒2はGWPが100以下で
あること、R404Aに対するCOPが102%以上であること、R404Aに対する冷凍能力が101%以
上であること、及びASHRAEの規格で微燃性(クラス2L)であることという、諸特性を有する。更にこの場合、冷媒2は、飽和温度40℃の飽和圧力が、1.80MPa以上1.88MPa以下となり、市販のR404A用冷凍装置に対して大きな設計変更なく適用することができる。
【0096】
冷媒2が、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなる場合、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合が45.0~49.2質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が55.0~50.8質量%であることが特に好ましい。この場合、冷媒2はGWPが100以下で
あること、R404Aに対するCOPが102%以上であること、R404Aに対する冷凍能力が102%以
上であること、及びASHRAEの規格で微燃性(クラス2L)であることという、諸特性を有する。更にこの場合、冷媒2は、飽和温度40℃の飽和圧力が、1.81MPa以上1.88MPa以下となり、市販のR404A用冷凍装置に対して大きな設計変更なく適用することができる。
【0097】
冷媒2が、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなる場合、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合が45.0~48.0質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が55.0~52.0質量%であることが格別に好ましい。この場合、冷媒2はGWPが100以下
であること、R404Aに対するCOPが102.5%以上であること、R404Aに対する冷凍能力が102.5%以上であること、及びASHRAEの規格で微燃性(クラス2L)であることという、諸特性
を有する。更にこの場合、冷媒2は、飽和温度40℃の飽和圧力が、1.81MPa以上1.87MPa以下となり、市販のR404A用冷凍装置に対して大きな設計変更なく適用することができる。
【0098】
1.3 冷媒3
本開示の組成物に含まれる冷媒は、一つの態様において、HFO-1132(E)及びHFO-1234yf
を含有し、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合が31.1~39.8質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が68.9~60.2質量%である。この冷媒を「冷媒3」ということがある。
【0099】
冷媒3は、上述の構成を有することによって、(1)GWPが十分小さいこと(100以下)
、(2)R134aと同等程度のCOPを有すること、(3)R134aと比較して150%以上の冷凍能力
を有すること、及び(4)吐出温度が90℃以下であることという、諸特性を有する。
【0100】
冷媒3において、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対する、HFO-1132(E)の含有割合が31.1質量%以上であることにより、R134aと比較して150%以上の冷凍能力が得られる。また、冷媒3において、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対する、HFO-1132(E)の含有割合が39.8質量%以下であることにより、冷媒3の冷凍サイクルにおける吐出温度を90
℃以下に維持し、R134a用冷凍装置の部材の寿命を長く確保することができる。
【0101】
冷媒3において、R134aに対する冷凍能力が150%以上であればよいが、151%以上である
ことが好ましく、152%以上であることがより好ましく、153%以上であることが更に好ましく、154%以上であることが特に好ましい。
【0102】
冷媒3において、冷凍サイクルにおける吐出温度は90.0℃以下であることが好ましく、89.7℃以下であることがより好ましく、89.4℃以下であることが更に好ましく、89.0℃以下であることが特に好ましい。
【0103】
冷媒3は、GWPが100以下であることによって、地球温暖化の観点から他の汎用冷媒と比べて顕著に環境負荷を抑えることができる。
【0104】
冷媒3は、エネルギー消費効率の点から、R134aに対する冷凍サイクルで消費された動
力に対する冷凍能力の比(成績係数(COP))が高いことが好ましく、具体的には、R134aに対するCOPは90%以上であることが好ましく、91%以上であることがより好ましく、91.5%以上であることが更に好ましく、92%以上であることが特に好ましい。
【0105】
冷媒3において、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合は通常31.1~39.8質量%であり、HFO-1234yfの含有割合は通常68.9~60.2質量%である。冷媒3は、このような構成を有することによって、(1)GWPが十分小さいこと(100以下
)、(2)R134aと同等程度のCOPを有すること、(3)R134aと比べて150%以上の冷凍能力
を有すること、及び(4)吐出温度が90.0℃以下であることという、諸特性を有する。
【0106】
冷媒3において、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合が31.1~37.9質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が68.9~62.1質量%であることが好ましい。この場合、冷媒3は、上述の構成を有することによって、(1)GWPが十分小さいこと(100以下)、(2)R134aと比較して92%以上のCOPを有すること、(3)R134aと比べて150%以上の冷凍能力を有すること、(4)吐出温度が90.0℃以下であること、及び(5)臨
界温度が81℃以上であることという、諸特性を有する。
【0107】
冷媒3において、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合が32.0~37.9質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が68.0~62.1質量%であることがより好ましい。この場合、冷媒3は、上述の構成を有することによって、(1)GWPが十分小さいこと(100以下)、(2)R134aと比較して92%以上のCOPを有すること、(3)R134aと比
べて151%以上の冷凍能力を有すること、(4)吐出温度が90.0℃以下であること、及び(5)臨界温度が81℃以上であることという、諸特性を有する。
【0108】
冷媒3において、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合が33.0~37.9質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が67.0~62.1質量%であることがより一層好ましい。この場合、冷媒3は、上述の構成を有することによって、(1)GWPが十分小さいこと(100以下)、(2)R134aと比較して92%以上のCOPを有すること、(3)R134a
と比べて152%以上の冷凍能力を有すること、(4)吐出温度が90.0℃以下であること、及
び(5)臨界温度が81℃以上であることという、諸特性を有する。
【0109】
冷媒3において、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合が34.0~37.9質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が66.0~62.1質量%であることが更に好ましい。この場合、冷媒3は、上述の構成を有することによって、(1)GWPが十分小さいこと(100以下)、(2)R134aと比較して92%以上のCOPを有すること、(3)R134aと比
べて153%以上の冷凍能力を有すること、(4)吐出温度が90.0℃以下であること、及び(5)臨界温度が81℃以上であることという、諸特性を有する。
【0110】
冷媒3において、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割
合が35.0~37.9質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が65.0~62.1質量%であることが特に好ましい。この場合、冷媒3は、上述の構成を有することによって、(1)GWPが十分小さいこと(100以下)、(2)R134aと比較して92%以上のCOPを有すること、(3)R134aと比
べて155%以上の冷凍能力を有すること、(4)吐出温度が90.0℃以下であること、及び(5)臨界温度が81℃以上であることという、諸特性を有する。
【0111】
本開示において、冷凍サイクルを運転するために冷媒3を使用した場合は、市販のR134a用冷凍装置の部材の寿命を延ばす観点から、吐出温度は好ましくは90.0℃以下、より好
ましくは89.7℃以下、更に好ましくは89.4℃以下、特に好ましくは89.0℃以下である。
【0112】
本開示において、冷凍サイクルを運転するために冷媒3を使用した場合は、冷凍サイクルでは冷媒の液化(凝縮)の過程を必要とするので、臨界温度は冷媒を液化させるための冷却水または冷却空気の温度より著しく高いことが必要となる。このような観点から、本開示の冷媒3が使用される冷凍サイクルにおいて、臨界温度は好ましくは80℃以上、より好ましくは81℃以上、更に好ましくは81.5℃以上、特に82℃以上である。
【0113】
本開示において、冷媒3は、R134aと比較して150%以上の冷凍能力を得る観点から、通
常、蒸発温度が-75~15℃である冷凍サイクルを運転するために用いられる。
【0114】
本開示の冷媒3が使用される冷凍サイクルにおいて、蒸発温度は好ましくは15℃以下、より好ましくは5℃以下、更に好ましくは0℃以下、特に好ましくは-5℃以下である。
【0115】
本開示の冷媒3が使用される冷凍サイクルにおいて、蒸発温度は好ましくは-65℃以上
、より好ましくは-60℃以上、更に好ましくは-55℃以上、特に好ましくは-50℃以上であ
る。
【0116】
本開示の冷媒3が使用される冷凍サイクルにおいて、蒸発温度は好ましくは-65℃以上15℃以下、より好ましくは-60℃以上5℃以下、更に好ましくは-55℃以上0℃以下、特に好
ましくは-50℃以上-5℃以下である。
【0117】
本開示の冷媒3が使用される冷凍サイクルにおいて、性能向上の観点から、冷媒の臨界温度は80℃以上が好ましく、81℃以上がより好ましく、81.5℃以上が更に好ましく、82℃以上が特に好ましい。
【0118】
冷媒3は、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfをこれらの濃度の総和で、通常99.5質量%以上含有してもよい。本開示において、冷媒3全体におけるHFO-1132(E)及びHFO-1234yfの合計
量が99.7質量%以上であれば好ましく、99.8質量%以上であればより好ましく、99.9質量%
以上であれば更に好ましい。
【0119】
冷媒3は、上記の特性を損なわない範囲内で、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfに加えて、
更に他の冷媒を含有することができる。この場合、冷媒3全体における他の冷媒の含有割合は0.5質量%以下が好ましく、0.3質量%以下がより好ましく、0.2質量%以下が更に好ましく、0.1質量%以下が特に好ましい。他の冷媒としては、特に限定されず、この分野で広く使用されている公知の冷媒の中から幅広く選択できる。冷媒3は、他の冷媒を単独で含んでいてもよいし、他の冷媒を2種以上含んでいてもよい。
【0120】
冷媒3は、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなることが特に好ましい。換言すると
、冷媒3は、冷媒3全体におけるHFO-1132(E)及びHFO-1234yfの総濃度が100質量%である
ことが特に好ましい。
【0121】
冷媒3が、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなる場合、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合は通常31.1~39.8質量%であり、HFO-1234yfの含有割合は通常68.9~60.2質量%である。冷媒3は、このような構成を有することによっ
て、(1)GWPが十分小さいこと(100以下)、(2)R134aと同等程度のCOPを有すること、(3)R134aと比べて150%以上の冷凍能力を有すること、及び(4)吐出温度が90℃以下で
あることという、諸特性を有する。
【0122】
冷媒3が、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなる場合、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合が31.1~37.9質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が68.9~62.1質量%であることが好ましい。この場合、冷媒3は、上述の構成を有す
ることによって、(1)GWPが十分小さいこと(100以下)、(2)R134aと比較して92%以上のCOPを有すること、(3)R134aと比べて150%以上の冷凍能力を有すること、(4)吐出温度が90.0℃以下であること、及び(5)臨界温度が81℃以上であることという、諸特性を
有する。
【0123】
冷媒3が、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなる場合、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合が32.0~37.9質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が68.0~62.1質量%であることがより好ましい。この場合、冷媒3は、上述の構成を
有することによって、(1)GWPが十分小さいこと(100以下)、(2)R134aと比較して92%以上のCOPを有すること、(3)R134aと比べて151%以上の冷凍能力を有すること、(4)吐出温度が90.0℃以下であること、及び(5)臨界温度が81℃以上であることという、諸特
性を有する。
【0124】
冷媒3が、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなる場合、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合が33.0~37.9質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が67.0~62.1質量%であることがより一層好ましい。この場合、冷媒3は、上述の構
成を有することによって、(1)GWPが十分小さいこと(100以下)、(2)R134aと比較し
て92%以上のCOPを有すること、(3)R134aと比べて152%以上の冷凍能力を有すること、(4)吐出温度が90.0℃以下であること、及び(5)臨界温度が81℃以上であることという、諸特性を有する。
【0125】
冷媒3が、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなる場合、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合が34.0~37.9質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が66.0~62.1質量%であることが更に好ましい。この場合、冷媒3は、上述の構成を
有することによって、(1)GWPが十分小さいこと(100以下)、(2)R134aとと比較して92%以上のCOPを有すること、(3)R134aと比べて153%以上の冷凍能力を有すること、(4)吐出温度が90.0℃以下であること、及び(5)臨界温度が81℃以上であることという、諸
特性を有する。
【0126】
冷媒3が、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなる場合、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合が35.0~37.9質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が65.0~62.1質量%であることが特に好ましい。この場合、冷媒3は、上述の構成を
有することによって、(1)GWPが十分小さいこと(100以下)、(2)R134aと比較して92%以上のCOPを有すること、(3)R134aと比べて155%以上の冷凍能力を有すること、(4)吐出温度が90.0℃以下であること、及び(5)臨界温度が81℃以上であることという、諸特
性を有する。
【0127】
1.4 冷媒4
本開示の組成物に含まれる冷媒は、一つの態様において、HFO-1132(E)及びHFO-1234yf
を含有し、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合が21.0
~28.4質量%であり、HFO-1234yfの含有割合が79.0~71.6質量%である。この冷媒を「冷媒4」ということがある。
【0128】
冷媒4は、上述の構成を有することによって、(1)GWPが十分小さいこと(100以下)
、(2)R1234yfと同等程度のCOPを有すること、及び(3)R1234yfと比較して140%以上の
冷凍能力を有すること、及び(4)ASHRAEの規格で微燃性(クラス2L)であることという
、諸特性を有する。更にこの場合、冷媒4は、飽和温度-10℃の飽和圧力が、0.380MPa以
上0.420MPa以下となり、市販のR1234yf用冷凍装置に対して大きな設計変更なく適用する
ことができる。
【0129】
冷媒4において、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対する、HFO-1132(E)の含有割合が21.0質量%以上であることにより、R1234yfと比較して140%以上の冷凍能力が得られる。また、冷媒4において、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対する、HFO-1132(E)の含有割合が28.4質量%以下であることにより、83.5℃以上の臨界温度を確保し易くなる。
【0130】
冷媒4において、R1234yfに対する冷凍能力が140%以上であればよいが、142%以上であることが好ましく、143%以上であることがより好ましく、145%以上であることが更に好ましく、146%以上であることが特に好ましい。
【0131】
冷媒4は、GWPが100以下であることによって、地球温暖化の観点から他の汎用冷媒と比べて顕著に環境負荷を抑えることができる。
【0132】
冷媒4は、エネルギー消費効率の点から、R1234yfに対する冷凍サイクルで消費された
動力に対する冷凍能力の比(成績係数(COP))が高いことが好ましく、具体的には、R1234yfに対するCOPは95%以上であることが好ましく、96%以上であることがより好ましく、97%以上であることが更に好ましく、98%以上であることが特に好ましい。
【0133】
冷媒4において、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合は好ましくは21.5~28.0質量%であり、HFO-1234yfの含有割合は好ましくは78.5~72.0
質量%である。この場合、冷媒4は、GWPが100以下であること、R1234yfに対するCOPが98
%以上であること、R1234yfに対する冷凍能力が140%以上であること、ASHRAEの規格で微
燃性(クラス2Lであること)、吐出温度が65.0℃以下であること、臨界温度が83.5℃以上であることという、諸特性を有する。更にこの場合、冷媒4は、飽和温度-10℃の飽和圧
力が、0.383MPa以上0.418MPa以下となり、市販のR1234yf用冷凍装置に対して大きな設計
変更なく適用することができる。
【0134】
冷媒4において、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合はより好ましくは22.0~27.7質量%であり、HFO-1234yfの含有割合はより好ましくは78.0~72.3質量%である。この場合、冷媒4は、GWPが100以下であること、R1234yfに対するCOPが98%以上であること、R1234yfに対する冷凍能力が140%以上であること、ASHRAEの規
格で微燃性(クラス2Lであること)、吐出温度が65.0℃以下であること、臨界温度が83.5℃以上であることという、諸特性を有する。更にこの場合、冷媒4は、飽和温度-10℃の
飽和圧力が、0.385MPa以上0.417MPa以下となり、市販のR1234yf用冷凍装置に対して大き
な設計変更なく適用することができる。
【0135】
冷媒4において、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合は更に好ましくは22.5~27.5質量%であり、HFO-1234yfの含有割合は更に好ましくは77.5~72.5質量%である。この場合、冷媒4は、GWPが100以下であること、R1234yfに対するCOPが98%以上であること、R1234yfに対する冷凍能力が140%以上であること、ASHRAEの規
格で微燃性(クラス2Lであること)、吐出温度が64.8℃以下であること、臨界温度が83.8
℃以上であることという、諸特性を有する。更にこの場合、冷媒4は、飽和温度-10℃の
飽和圧力が、0.388MPa以上0.414MPa以下となり、市販のR1234yf用冷凍装置に対して大き
な設計変更なく適用することができる。
【0136】
冷媒4において、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合は特に好ましくは23.0~27.2質量%であり、HFO-1234yfの含有割合は特に好ましくは77.0~72.8質量%である。この場合、冷媒4は、GWPが100以下であること、R1234yfに対するCOPが98%以上であること、R1234yfに対する冷凍能力が141%以上であること、ASHRAEの規
格で微燃性(クラス2Lであること)、吐出温度が64.8℃以下であること、臨界温度が83.8℃以上であることという、諸特性を有する。更にこの場合、冷媒4は、飽和温度-10℃の
飽和圧力が、0.390MPa以上0.414MPa以下となり、市販のR1234yf用冷凍装置に対して大き
な設計変更なく適用することができる。
【0137】
冷媒4において、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合は格別に好ましくは23.5~27.0質量%であり、HFO-1234yfの含有割合は格別に好ましく
は76.5~73.0質量%である。この場合、冷媒4は、GWPが100以下であること、R1234yfに対するCOPが98%以上であること、R1234yfに対する冷凍能力が142%以上であること、ASHRAEの規格で微燃性(クラス2Lであること)、吐出温度が64.8℃以下であること、臨界温度が83.8℃以上であることという、諸特性を有する。更にこの場合、冷媒4は、飽和温度-10
℃の飽和圧力が、0.390MPa以上0.414MPa以下となり、市販のR1234yf用冷凍装置に対して
大きな設計変更なく適用することができる。
【0138】
冷媒4において、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合は最も好ましくは24.0~26.7質量%であり、HFO-1234yfの含有割合は最も好ましくは76.0~73.3質量%である。この場合、冷媒4は、GWPが100以下であること、R1234yfに対するCOPが98%以上であること、R1234yfに対する冷凍能力が144%以上であること、ASHRAEの規
格で微燃性(クラス2Lであること)、吐出温度が64.6℃以下であること、臨界温度が84.0℃以上であることという、諸特性を有する。更にこの場合、冷媒4は、飽和温度-10℃の
飽和圧力が、0.396MPa以上0.411MPa以下となり、市販のR1234yf用冷凍装置に対して大き
な設計変更なく適用することができる。
【0139】
冷媒4において、飽和温度-10℃の飽和圧力は通常0.420MPa以下、好ましくは0.418MPa
以下、より好ましくは0.417MPa以下、更に好ましくは0.415MPa以下、特に好ましくは0.413MPa以下である。このような範囲にあれば、市販のR1234yf用冷凍装置に対して大きな設
計変更なく冷媒4を適用することができる。
【0140】
冷媒4において、飽和温度-10℃の飽和圧力は通常0.380MPa以上、好ましくは0.385MPa
以上、より好ましくは0.390MPa以上、更に好ましくは0.400MPa以上、特に好ましくは0.410MPa以上である。これらの場合、市販のR1234yf用冷凍装置に対して大きな設計変更なく
冷媒4を適用することができる。
【0141】
本開示において、冷凍サイクルを運転するために冷媒4を使用した場合は、市販のR1234yf用冷凍装置の部材の寿命を延ばす観点から、吐出温度は好ましくは65℃以下、より好
ましくは64.8℃以下、更に好ましくは64.7℃以下、特に好ましくは64.5℃以下である。
【0142】
本開示において、冷媒4は、R1234yfと比較して140%以上の冷凍能力を得る観点から、
蒸発温度が-75~20℃である冷凍サイクルを運転するために用いられることが好ましい。
【0143】
本開示の冷媒4が使用される冷凍サイクルにおいて、R1234yfと比較して140%以上の冷
凍能力を得る観点から、蒸発温度は好ましくは20℃以下、より好ましくは15℃以下、更に
好ましくは10℃以下、特に好ましくは5℃以下である。
【0144】
本開示の冷媒4が使用される冷凍サイクルにおいて、R1234yfと比較して140%以上の冷
凍能力を得る観点から、蒸発温度は好ましくは-75℃以上、より好ましくは-60℃以上、更に好ましくは-55℃以上、特に好ましくは-50℃以上である。
【0145】
本開示の冷媒4が使用される冷凍サイクルにおいて、R1234yfと比較して140%以上の冷
凍能力を得る観点から、蒸発温度は好ましくは-75℃以上以上20℃以下、より好ましくは-65℃以上15℃以下、より一層好ましくは-60℃以上10℃以下、更に好ましくは-55℃以上7.5℃以下、特に好ましくは-50℃以上5℃以下である。
【0146】
本開示の冷媒4が使用される冷凍サイクルにおいて、市販のR1234yf用冷凍装置の部材
の寿命を延ばす観点から、吐出温度は65.0℃以下が好ましく、64.9℃以下がより好ましく、64.8℃以下が更に好ましく、64.7℃以下が特に好ましい。
【0147】
本開示において、冷凍サイクルを運転するために冷媒4を使用した場合は、冷凍サイクルでは冷媒の液化(凝縮)の過程を必要とするので、臨界温度は冷媒を液化させるための冷却水または冷却空気の温度より著しく高いことが必要となる。このような観点から、本開示の冷媒4が使用される冷凍サイクルにおいて、臨界温度は83.5℃以上が好ましく、83.8℃以上がより好ましく、84.0℃以上が更に好ましく、84.5℃以上が特に好ましい。
【0148】
冷媒4は、上記の特性を損なわない範囲内で、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfに加えて、
更に他の冷媒を含有することができる。この場合、冷媒4全体における他の冷媒の含有割合は0.5質量%以下が好ましく、0.3質量%以下がより好ましく、0.2質量%以下が更に好ましく、0.1質量%以下が特に好ましい。他の冷媒としては、特に限定されず、この分野で広く使用されている公知の冷媒の中から幅広く選択できる。冷媒4は、他の冷媒を単独で含んでいてもよいし、他の冷媒を2種以上含んでいてもよい。
【0149】
冷媒4は、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなることが特に好ましい。換言すると
、冷媒4は、冷媒4全体におけるHFO-1132(E)及びHFO-1234yfの総濃度が100質量%である
ことが特に好ましい。
【0150】
冷媒4が、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなる場合、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合は通常21.0~28.4質量%であり、HFO-1234yfの含有割合は通常79.0~71.6質量%である。冷媒4は、このような構成を有することによっ
て、(1)GWPが十分小さいこと(100以下)、(2)R1234yfと同等程度のCOPを有すること、及び(3)R1234yfと比較して140%以上の冷凍能力を有すること、及び(4)ASHRAEの規
格で微燃性(クラス2L)であることという、諸特性を有する。更にこの場合、冷媒4は、飽和温度-10℃の飽和圧力が、0.380MPa以上0.420MPa以下となり、市販のR1234yf用冷凍装置に対して大きな設計変更なく適用することができる。
【0151】
冷媒4が、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなる場合、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合は好ましくは21.5~28.0質量%であり、HFO-1234yfの含有割合は好ましくは78.5~72.0質量%である。この場合、冷媒4は、GWPが100以
下であること、R1234yfに対するCOPが98%以上であること、R1234yfに対する冷凍能力が140%以上であること、ASHRAEの規格で微燃性(クラス2Lであること)、吐出温度が65.0℃
以下であること、臨界温度が83.5℃以上であることという、諸特性を有する。更にこの場合、冷媒4は、飽和温度-10℃の飽和圧力が、0.383MPa以上0.418MPa以下となり、市販のR1234yf用冷凍装置に対して大きな設計変更なく適用することができる。
【0152】
冷媒4が、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなる場合、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合はより好ましくは22.0~27.7質量%であり、HFO-1234yfの含有割合はより好ましくは78.0~72.3質量%である。この場合、冷媒4は、GWPが100以下であること、R1234yfに対するCOPが98%以上であること、R1234yfに対する冷凍能力が140%以上であること、ASHRAEの規格で微燃性(クラス2Lであること)、吐出温度が65.0℃以下であること、臨界温度が83.5℃以上であることという、諸特性を有する。更にこの場合、冷媒4は、飽和温度-10℃の飽和圧力が、0.385MPa以上0.417MPa以下となり、
市販のR1234yf用冷凍装置に対して大きな設計変更なく適用することができる。
【0153】
冷媒4が、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなる場合、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合は更に好ましくは22.5~27.5質量%であり、HFO-1234yfの含有割合は更に好ましくは77.5~72.5質量%である。この場合、冷媒4は、GWPが100以下であること、R1234yfに対するCOPが98%以上であること、R1234yfに対する冷凍能力が140%以上であること、ASHRAEの規格で微燃性(クラス2Lであること)、吐出温度が64.8℃以下であること、臨界温度が83.8℃以上であることという、諸特性を有する。更にこの場合、冷媒4は、飽和温度-10℃の飽和圧力が、0.388MPa以上0.414MPa以下となり、
市販のR1234yf用冷凍装置に対して大きな設計変更なく適用することができる。
【0154】
冷媒4が、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなる場合、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合は特に好ましくは23.0~27.2質量%であり、HFO-1234yfの含有割合は特に好ましくは77.0~72.8質量%である。この場合、冷媒4は、GWPが100以下であること、R1234yfに対するCOPが98%以上であること、R1234yfに対する冷凍能力が141%以上であること、ASHRAEの規格で微燃性(クラス2Lであること)、吐出温度が64.8℃以下であること、臨界温度が83.8℃以上であることという、諸特性を有する。更にこの場合、冷媒4は、飽和温度-10℃の飽和圧力が、0.390MPa以上0.414MPa以下となり、
市販のR1234yf用冷凍装置に対して大きな設計変更なく適用することができる。
【0155】
冷媒4が、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなる場合、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合は格別に好ましくは23.5~27.0質量%であり、HFO-1234yfの含有割合は格別に好ましくは76.5~73.0質量%である。この場合、冷媒4は
、GWPが100以下であること、R1234yfに対するCOPが98%以上であること、R1234yfに対す
る冷凍能力が142%以上であること、ASHRAEの規格で微燃性(クラス2Lであること)、吐出温度が64.8℃以下であること、臨界温度が83.8℃以上であることという、諸特性を有する。更にこの場合、冷媒4は、飽和温度-10℃の飽和圧力が、0.390MPa以上0.414MPa以下と
なり、市販のR1234yf用冷凍装置に対して大きな設計変更なく適用することができる。
【0156】
冷媒4が、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなる場合、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合は最も好ましくは24.0~26.7質量%であり、HFO-1234yfの含有割合は最も好ましくは76.0~73.3質量%である。この場合、冷媒4は、GWPが100以下であること、R1234yfに対するCOPが98%以上であること、R1234yfに対する冷凍能力が144%以上であること、ASHRAEの規格で微燃性(クラス2Lであること)、吐出温度が64.6℃以下であること、臨界温度が84.0℃以上であることという、諸特性を有する。更にこの場合、冷媒4は、飽和温度-10℃の飽和圧力が、0.396MPa以上0.411MPa以下となり、
市販のR1234yf用冷凍装置に対して大きな設計変更なく適用することができる。
【0157】
以下、本開示の冷媒5について説明する。
【0158】
<技術の説明>
先ず、冷媒5の説明に先立ち、ガソリン車と電気自動車との違い、及びヒートポンプのメリットについて説明する。
【0159】
(ガソリン車と電気自動車との違い)
ガソリン車が、エンジン廃熱を再利用した温風で暖房機能をまかなうのに対し、電気自動車は、再利用する熱源を持たないため、暖房に電力使用を伴う。電気ヒーターを用いた従来型のエアコンでは、暖房の使用がそのまま電力消費につながるため、実質的な航続距離が大幅に減少する。冷媒と外気の温度差とを利用して室内を暖めるヒートポンプでは、使用電力以上の暖房効果を得られることから、従来よりも少ない電力で車内を暖めることが可能となる。
【0160】
(ヒートポンプのメリット)
暖房使用時には、(a)熱交換器で室外から吸熱により気化した冷媒ガスを圧縮機で圧縮し、高温高圧の気体とする工程、及び(b)熱交換により車内の冷風を温風として、エアコン吹出し口から温風を車内に送る工程を経る。これは、夏場の車室内から吸熱した熱を室外の熱交換機から放熱することにより冷暖房機能をもたらすサイクルの逆サイクルに相当する。1つの冷媒回路で冷房と暖房両方の用途に使えるヒートポンプは、従来の電気ヒーターによる暖房に比べ、成績係数(COP)が高いことが特徴である。
【0161】
1.5 冷媒5
本開示の組成物に含まれる冷媒は、一つの態様において、HFO-1132(E)及びHFO-1234yf
を含有し、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合は12.1~72.0質量%であり、HFO-1234yfの含有割合は87.9~28.0質量%である。この冷媒を「冷媒5」ということがある。
【0162】
本開示において、冷媒5は、車載用空調機器に用いられる。
【0163】
冷媒5は、上述の構成を有することによって、(1)GWPが十分小さいこと(100以下)
、(2)R1234yfと同等程度のCOPを有すること、(3)R1234yfと比較して128%以上の冷凍
能力を有すること、及び(4)燃焼速度が10.0cm/s未満であること、という諸特性を有す
る。
【0164】
冷媒5において、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対する、HFO-1132(E)の含有割合が12.1質量%以上であることにより、電気自動車でヒートポンプを用いて暖房する場合
に有利な-40℃以下の沸点を確保することができる。-40℃以下の沸点とは、-40℃で飽和
圧力が大気圧以上であることを意味し、上記用途において沸点は-40℃以下でより低い方
が好ましい。
【0165】
ここで、HFO-1234yfの沸点は-29℃であるため、蒸発温度-30℃以下では飽和圧力が大気圧以下となる。それ故、電気自動車でヒートポンプを用いて暖房する場合、暖房運転ができないという問題、及び暖房運転ができたとしても圧縮機への吸入圧力が非常に低いため、冷凍能力が不十分になり、暖房するのに時間を要するという問題がある。この場合、暖房に高効率なヒートポンプを電気自動車に使用できないため、効率の悪い電気ヒーターによる暖房を行わざるをえないという問題がある。これに対して、沸点が-40℃以下の冷媒
であれば、蒸発温度-40℃までは電気自動車でヒートポンプを用いて暖房運転が可能とな
る。それ故、世界中のほぼ全ての地域において電気自動車でヒートポンプを用いた暖房運転が可能となる。
【0166】
冷媒5において、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対する、HFO-1132(E)の含有割合が72.0質量%以下であることにより、車載用空調機器に用いる場合の安全性に寄与する10.0cm/s未満の燃焼速度を確保することができる。
【0167】
冷媒5において、R1234yfに対する冷凍能力が128%以上であればよいが、130%以上であることが好ましく、140%以上であることがより好ましく、150%以上であることが更に好ましく、160%以上であることが特に好ましい。
【0168】
冷媒5は、GWPが5以上100以下であることによって、地球温暖化の観点から他の汎用冷
媒と比べて顕著に環境負荷を抑えることができる。
【0169】
冷媒5において、エネルギー消費効率の点から、R1234yfに対する冷凍サイクルで消費
された動力に対する冷凍能力の比(成績係数(COP))が100%以上であればよい。
【0170】
冷媒5を車載用空調機器に用いることにより、電気ヒーターに比べて消費電力の少ないヒートポンプによる暖房が可能になるという利点がある。
【0171】
冷媒5において、上記空調機器が、ガソリン車用、ハイブリッド自動車用、電気自動車用又は水素自動車用であることが好ましい。これらの中でも、ヒートポンプにより車室内を暖房しつつ、車の走行距離を向上させる観点から、冷媒5において、上記空調機器が電気自動車用であることが特に好ましい。即ち、本開示において、冷媒5を電気自動車に用いることが特に好ましい。
【0172】
本開示において、冷媒5は車載用空調機器に使用される。本開示において、冷媒5はガソリン車の空調機器、ハイブリッド自動車の空調機器、電気自動車の空調機器又は水素自動車の空調機器に使用されることが好ましい。本開示において、冷媒5は、電気自動車の空調機器に使用されることが特に好ましい。
【0173】
本開示において、冷媒5はガソリン車、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリット自動車、電気自動車、水素自動車、燃料電池車などの自動車の冷凍装置に使用されることが好ましい。これらの中でも、冷媒5は、エンジン排熱を利用できない電気自動車の冷凍装置に使用されることが特に好ましい。
【0174】
また、エンジン起動時、サーモスタット不良などのエンジン排熱が使えない状況においては、ガソリン車、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリット車、水素自動車、燃料電池車などの自動車でも冷媒5を搭載したヒートポンプ式の暖房を用いることにより、これらの自動車の室内をすぐに暖めることが可能となる。
【0175】
本開示において、ヒートポンプにより車室内を暖房する際、-40℃で大気圧以上の圧力
が必要となるため、冷媒5の沸点は、好ましくは-51.2~-40.0℃、より好ましくは-50.0
~-42.0℃、更に好ましくは-48.0~-44.0℃である。
【0176】
冷媒5において、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合は好ましくは15.0~65.0質量%であり、HFO-1234yfの含有割合は好ましくは85.0~35.0
質量%である。
【0177】
冷媒5において、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合はより好ましくは20.0~55.0質量%であり、HFO-1234yfの含有割合はより好ましくは80.0~45.0質量%である。
【0178】
冷媒5において、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合は更に好ましくは25.0~50.0質量%であり、HFO-1234yfの含有割合は更に好ましくは75.0~50.0質量%である。
【0179】
冷媒5において、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合は特に好ましくは30.0~45.0質量%であり、HFO-1234yfの含有割合は特に好ましくは70.0~55.0質量%である。
【0180】
冷媒5において、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合は最も好ましくは35.0~40.0質量%であり、HFO-1234yfの含有割合は最も好ましくは65.0~60.0質量%である。
【0181】
本開示において、冷媒5の燃焼速度は10.0cm/s未満であることが好ましく、5.0cm/s未
満であることがより好ましく、3.0cm/s未満であることが更に好ましく、2.0cm/s未満であることが特に好ましい。
【0182】
本開示において、冷媒5は、R1234yfと同等又はそれ以上の冷凍能力を得る観点から、
蒸発温度が-40~10℃である冷凍サイクルを運転するために用いられることが好ましい。
【0183】
本開示において、冷凍サイクルを運転するために冷媒5を使用した場合、吐出温度は好ましくは79℃以下、より好ましくは75℃以下、更に好ましくは70℃以下、特に好ましくは67℃以下である。
【0184】
冷媒5は、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfをこれらの濃度の総和で、通常99.5質量%以上含有してもよい。本開示において、冷媒5全体におけるHFO-1132(E)及びHFO-1234yfの合計
量が99.7質量%以上であれば好ましく、99.8質量%以上であればより好ましく、99.9質量%
以上であれば更に好ましい。
【0185】
冷媒5は、上記の特性を損なわない範囲内で、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfに加えて、
更に他の冷媒を含有することができる。この場合、冷媒5全体における他の冷媒の含有割合は0.5質量%以下が好ましく、0.3質量%以下がより好ましく、0.2質量%以下が更に好ましく、0.1質量%以下が特に好ましい。他の冷媒としては、特に限定されず、この分野で広く使用されている公知の冷媒の中から幅広く選択できる。冷媒5は、他の冷媒を単独で含んでいてもよいし、他の冷媒を2種以上含んでいてもよい。
【0186】
冷媒5は、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなることが特に好ましい。換言すると
、冷媒5は、冷媒5全体におけるHFO-1132(E)及びHFO-1234yfの総濃度が100質量%である
ことが特に好ましい。
【0187】
冷媒5が、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなる場合、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合は通常12.1~72.0質量%であり、HFO-1234yfの含有割合は通常87.9~28.0質量%である。
【0188】
冷媒5が、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなる場合、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合は好ましくは15.0~65.0質量%であり、HFO-1234yfの含有割合は好ましくは85.0~35.0質量%である。
【0189】
冷媒5が、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなる場合、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合はより好ましくは20.0~55.0質量%であり、HFO-1234yfの含有割合はより好ましくは80.0~45.0質量%である。
【0190】
冷媒5が、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなる場合、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合は更に好ましくは25.0~50.0質量%であり、HFO-1234yfの含有割合は更に好ましくは75.0~50.0質量%である。
【0191】
冷媒5が、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなる場合、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合は特に好ましくは30.0~45.0質量%であり、HFO-1234yfの含有割合は特に好ましくは70.0~55.0質量%である。
【0192】
冷媒5が、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfのみからなる場合、HFO-1132(E)及びHFO-1234yfの全質量に対して、HFO-1132(E)の含有割合は最も好ましくは35.0~40.0質量%であり、HFO-1234yfの含有割合は最も好ましくは65.0~60.0質量%である。
【0193】
1.6 用途
本開示の冷媒を含有する組成物は、作動流体として、1)冷凍サイクルを運転する工程を含む冷凍方法、2)冷凍サイクルを運転する冷凍装置の運転方法等における既存の冷媒の用途に幅広く利用することができる。
【0194】
ここで、上記冷凍サイクルは、圧縮機を介しての冷媒(本開示の冷媒1、冷媒2、冷媒3、冷媒4及び冷媒5)を当該冷媒のみの状態、又は後述する冷媒組成物或いは冷凍機油含有作動流体の状態で冷凍装置の内部を循環させてエネルギー変換することを意味する。
【0195】
本開示の冷媒を含有する組成物は、特に限定されないが、蒸気圧縮式冷凍サイクルにおける用途に適している。蒸気圧縮式冷凍サイクルとは、冷媒を、(1)気体状態で圧縮機で圧縮し、(2)凝縮器で冷却して圧力が高い液体状態に変え、(3)膨張弁で圧力を下げ、さらに(4)蒸発器において低温で気化させて気化熱により熱を奪い取る、という一連のサイクルからなる。気体状態の冷媒を圧縮する方式によりターボ(遠心式)、レシプロ、ツインスクリュー、シングルスクリュー及びスクロール圧縮機等に分類することができ、熱容量、圧縮比及び大きさにより選択することができる。
【0196】
本開示の冷媒を含有する組成物は、特に限定されないが、大型チラー冷凍機、特にターボ(遠心式)圧縮機に用いられる冷媒に適している。
【0197】
本開示には、冷凍方法における本開示の冷媒(又はそれらを含む組成物)の使用、冷凍装置などの運転方法における本開示の冷媒(又はそれらを含む組成物)の使用、更には本開示の冷媒(又はそれらを含む組成物)を有する冷凍装置等も包含されている。
【0198】
本開示の冷媒1を含有する組成物は、蒸発温度が-75~-5℃である冷凍サイクルを運転
するために用いられる。
【0199】
本開示の冷媒1を含有する組成物を蒸発温度が-75~-5℃である冷凍サイクルを運転す
るために用いることにより、R404Aと同等以上の冷凍能力が得られるという利点がある。
本開示の冷媒1を含有する組成物が使用される冷凍サイクルにおいて、蒸発温度は好ましくは-65℃以上-5℃以下、より好ましくは-60℃以上-7.5℃以下、更に好ましくは-55℃以
上-10℃以下、特に好ましくは-50℃以上-35℃以下である。
【0200】
本開示の冷媒1を含有する組成物が使用される冷凍サイクルにおいて、蒸発温度は好ましくは-7.5℃以下、より好ましくは-10℃以下、更に好ましくは-35℃以下である。
【0201】
本開示の冷媒1を含有する組成物が使用される冷凍サイクルにおいて、蒸発温度は好ましくは-65℃以上、より好ましくは-60℃以上、更に好ましくは-55℃以上、特に好ましく
は-50℃以上である。
【0202】
本開示の冷媒2を含有する組成物は、R404Aと同等以上の冷凍能力を得る観点から、蒸
発温度が-75~15℃である冷凍サイクルを運転するために用いられることが好ましい。本
開示の冷媒2を含有する組成物が使用される冷凍サイクルにおいて、蒸発温度はより好ましくは-65℃以上10℃以下、より一層好ましくは-60℃以上5℃以下、更に好ましくは-55℃以上0℃以下、特に好ましくは-50℃以上-5℃以下である。
【0203】
本開示の冷媒2を含有する組成物が使用される冷凍サイクルにおいて、蒸発温度は好ましくは15℃以下、より好ましくは5℃以下、更に好ましくは0℃以下、特に好ましくは-5℃以下である。
【0204】
本開示の冷媒2を含有する組成物が使用される冷凍サイクルにおいて、蒸発温度は好ましくは-65℃以上、より好ましくは-60℃以上、更に好ましくは-55℃以上、特に好ましく
は-50℃以上である。
【0205】
本開示の冷媒3を含有する組成物は、R134aと同等又はそれ以上の冷凍能力を得る観点
から、蒸発温度が-75~15℃である冷凍サイクルを運転するために用いられることが好ま
しい。本開示の冷媒3を含有する組成物が使用される冷凍サイクルにおいて、蒸発温度はより好ましくは-65℃以上15℃以下、より一層好ましくは-60℃以上5℃以下、更に好まし
くは-55℃以上0℃以下、特に好ましくは-50℃以上-5℃以下である。
【0206】
本開示の冷媒3を含有する組成物が使用される冷凍サイクルにおいて、蒸発温度は好ましくは15℃以下、より好ましくは5℃以下、更に好ましくは0℃以下、特に好ましくは-5℃以下である。
【0207】
本開示の冷媒3を含有する組成物が使用される冷凍サイクルにおいて、蒸発温度は好ましくは-65℃以上、より好ましくは-60℃以上、更に好ましくは-55℃以上、特に好ましく
は-50℃以上である。
【0208】
本開示の冷媒3を含有する組成物が使用される冷凍サイクルにおいて、蒸発温度は好ましくは-65℃以上15℃以下、より好ましくは-60℃以上5℃以下、更に好ましくは-55℃以上0℃以下、特に好ましくは-50℃以上-5℃以下である。
【0209】
本開示の冷媒4を含有する組成物は、R1234yfと比較して140%以上の冷凍能力を得る観
点から、蒸発温度が-75~20℃である冷凍サイクルを運転するために用いられることが好
ましい。本開示の冷媒4を含有する組成物が使用される冷凍サイクルにおいて、蒸発温度はより好ましくは-65℃以上15℃以下、より一層好ましくは-60℃以上10℃以下、更に好ましくは-55℃以上7.5℃以下、特に好ましくは-50℃以上5℃以下である。
【0210】
本開示の冷媒4を含有する組成物が使用される冷凍サイクルにおいて、R1234yfと比較
して140%以上の冷凍能力を得る観点から、蒸発温度は好ましくは20℃以下、より好ましくは15℃以下、更に好ましくは10℃以下、特に好ましくは5℃以下である。
【0211】
本開示の冷媒4を含有する組成物が使用される冷凍サイクルにおいて、R1234yfと比較
して140%以上の冷凍能力を得る観点から、蒸発温度は好ましくは-75℃以上、より好まし
くは-60℃以上、更に好ましくは-55℃以上、特に好ましくは-50℃以上である。
【0212】
本開示の冷媒1、冷媒2、冷媒3及び冷媒4(又はそれらを含む組成物)が適用できる冷凍装置としては、例えば、空調機器、冷蔵庫、冷凍庫、冷水機、製氷機、冷蔵ショーケース、冷凍ショーケース、冷凍冷蔵ユニット、冷凍冷蔵倉庫用冷凍機、車載用空調機器、ターボ冷凍機又はスクリュー冷凍機が好ましいものとして挙げられる。これらの中でも、車載用空調機器がより好ましい。車載用空調機器の中でも、ガソリン車用空調機器、ハイ
ブリッド自動車用空調機器、電気自動車用空調機器又は水素自動車用空調機器が更に好ましい。車載用空調機器の中でも、電気自動車用空調機器が特に好ましい。
【0213】
本開示の冷媒1又は2を含有する組成物は、R12、R22、R134a、R404A、R407A、R407C、R407F、R407H、R410A、R413A、R417A、R422A、R422B、R422C、R422D、R423A、R424A、R426A、R427A、R430A、R434A、R437A、R438A、R448A、R449A、R449B、R449C、R452A、R452B
、R454A、R454B、R454C、R455A、R465A、R502、R507又はR513Aの代替冷媒としての使用に適している。本開示の冷媒1又は2を含有する組成物は、R22、R404A、R407F、R407H、R448A、R449A、R454C、R455A又はR465Aの代替冷媒としての使用により適している。更に、
本開示の冷媒1又は2を含有する組成物は、現在汎用されているR404Aと同等の冷凍能力
を有し、且つGWPが十分小さいという性能を有するため、R404Aの代替冷媒としての使用に特に適している。
【0214】
本開示の冷媒3を含有する組成物は、R134a、R1234yf又はCO2の代替冷媒としての使用
に適している。本開示の冷媒3を含有する組成物は、R134aの代替冷媒としての使用によ
り適している。更に、本開示の冷媒3を含有する組成物は、現在汎用されているR134aと
比較して150%以上の冷凍能力を有し、且つGWPが十分小さいという性能を有するため、R134aの代替冷媒としての使用に特に適している。
【0215】
本開示の冷媒4を含有する組成物は、R12、R22、R134a、R404A、R407A、R407C、R407F
、R407H、R410A、R413A、R417A、R422A、R422B、R422C、R422D、R423A、R424A、R426A、R427A、R430A、R434A、R437A、R438A、R448A、R449A、R449B、R449C、R452A、R452B、R454A、R454B、R454C、R455A、R465A、R502、R507、R513A、R1234yf又はR1234zeの代替冷媒としての使用に適している。本開示の冷媒4を含有する組成物は、R12、R134a、R404A、R407C、R449C、R454C、R1234yf又はR1234zeの代替冷媒としての使用により適している。更に、本開示の冷媒4を含有する組成物は、現在汎用されているR1234yfと比較して140%以上
の冷凍能力を有し、且つGWPが十分小さいという性能を有するため、R1234yfの代替冷媒としての使用に特に適している。
【0216】
本開示の冷媒5を含有する組成物は、R12、R22、R134a、R404A、R407A、R407C、R407F
、R407H、R410A、R413A、R417A、R422A、R422B、R422C、R422D、R423A、R424A、R426A、R427A、R430A、R434A、R437A、R438A、R448A、R449A、R449B、R449C、R452A、R452B、R454A、R454B、R454C、R455A、R465A、R502、R507、R513A、R1234yf又はR1234zeの代替冷媒としての使用に適している。本開示の冷媒5を含有する組成物は、R12、R134a又はR1234yf
の代替冷媒としての使用により適している。更に、本開示の冷媒5を含有する組成物は、現在汎用されているR1234yfと比較して140%以上の冷凍能力を有し、且つGWPが十分小さいという性能を有するため、R1234yfの代替冷媒としての使用に特に適している。
【0217】
本開示の冷媒5を含有する組成物は、車載用空調機器に用いることが好ましい。また、当該車載用空調機器が、ガソリン車用空調機器、ハイブリッド自動車用空調機器、電気自動車用空調機器又は水素自動車用空調機器であることが好ましい。これらの中でも、当該車載用空調機器が電気自動車用空調機器であることが特に好ましい。即ち、本開示において、冷媒5を含有する組成物を、電気自動車に用いることが特に好ましい。
【0218】
2.冷媒組成物
本開示の冷媒組成物は、本開示の冷媒を少なくとも含み、本開示の冷媒と同じ用途のために使用することができる。
【0219】
また、本開示の冷媒組成物は、更に少なくとも冷凍機油と混合することにより冷凍装置用作動流体を得るために用いることができる。
【0220】
本開示の冷媒組成物は、本開示の冷媒に加えて、更に少なくとも1種のその他の成分を
含有する。本開示の冷媒組成物は、必要に応じて、以下のその他の成分のうち少なくとも1種を含有していてもよい。
【0221】
上述の通り、本開示の冷媒組成物を、冷凍装置における作動流体として使用するに際しては、通常、少なくとも冷凍機油と混合して用いられる。
【0222】
ここで、本開示の冷媒組成物は、好ましくは冷凍機油を実質的に含まない。具体的には、本開示の冷媒組成物は、冷媒組成物全体に対する冷凍機油の含有量が好ましくは0~1質量%であり、より好ましくは0~0.5質量%であり、更に好ましくは0~0.25質量%であり、特に好ましくは0~0.1質量%である。
【0223】
2.1 水
本開示の冷媒組成物は微量の水を含んでもよい。
【0224】
冷媒組成物における含水割合は、冷媒全体に対して、0~0.1質量%であることが好まし
く、0~0.075質量%であることがより好ましく、0~0.05質量%であることが更に好ましく
、0~0.025質量%であることが特に好ましい。
【0225】
冷媒組成物が微量の水分を含むことにより、冷媒中に含まれ得る不飽和のフルオロカーボン系化合物の分子内二重結合が安定化され、また、不飽和のフルオロカーボン系化合物の酸化も起こりにくくなるため、冷媒組成物の安定性が向上する。水分を含むことによる上記効果を得る観点では、含水割合の下限値は0.001質量%程度である。例えば、0.001~0.1質量%、0.001~0.075質量%、0.001~0.05質量%、0.001~0.025質量%の範囲で含水割合
を調整することができる。
【0226】
2.2 トレーサー
トレーサーは、本開示の冷媒組成物が希釈、汚染、その他何らかの変更があった場合、その変更を追跡できるように検出可能な濃度で本開示の冷媒組成物に添加される。
【0227】
本開示の冷媒組成物は、上記トレーサーを1種単独で含有してもよいし、2種以上を含有してもよい。
【0228】
上記トレーサーとしては、特に限定されず、一般に用いられるトレーサーの中から適宜選択することができる。好ましくは、本開示の冷媒に不可避的に混入する不純物とはなり得ない化合物をトレーサーとして選択する。
【0229】
上記トレーサーとしては、例えば、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、クロロフルオロカーボン、ハイドロクロロカーボン、フルオロカーボン、重水素化炭化水素、重水素化ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン、フルオロエーテル、臭素化化合物、ヨウ素化化合物、アルコール、アルデヒド、ケトン、亜酸化窒素(N2O)等が挙げられる。これらの中でも、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロクロ
ロフルオロカーボン、クロロフルオロカーボン、ハイドロクロロカーボン、フルオロカーボン及びフルオロエーテルが好ましい。
【0230】
上記トレーサーとしては、具体的には、以下の化合物(以下、トレーサー化合物とも称する)がより好ましい。
HCC-40(クロロメタン、CH3Cl)
HFC-41(フルオロメタン、CH3F)
HFC-161(フルオロエタン、CH3CH2F)
HFC-245fa(1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン、CF3CH2CHF2)HFC-236fa(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、CF3CH2CF3)HFC-236ea(1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン、CF3CHFCHF2)HCFC-22(クロロジフルオロメタン、CHClF2)
HCFC-31(クロロフルオロメタン、CH2ClF)
CFC-1113(クロロトリフルオロエチレン、CF2=CClF)
HFE-125(トリフルオロメチル-ジフルオロメチルエーテル、CF3OCHF2)HFE-134a(トリフルオロメチル-フルオロメチルエーテル、CF3OCH2F)HFE-143a(トリフルオロメチル-メチルエーテル、CF3OCH3)
HFE-227ea(トリフルオロメチル-テトラフルオロエチルエーテル、CF3OCHFCF3)HFE-236fa(トリフルオロメチル-トリフルオロエチルエーテル、CF3OCH2CF3)
【0231】
上記トレーサー化合物は、10質量百万分率(ppm)~1000ppmの合計濃度で冷媒組成物中に存在し得る。上記トレーサー化合物は30ppm~500ppmの合計濃度で冷媒組成物中に存在す
ることが好ましく、50ppm~300ppmの合計濃度で冷媒組成物中に存在することがより好ま
しく、75ppm~250ppmの合計濃度で冷媒組成物中に存在することが更に好ましく、100ppm
~200ppmの合計濃度で冷媒組成物中に存在することが特に好ましい。
【0232】
2.3 紫外線蛍光染料
本開示の冷媒組成物は、紫外線蛍光染料を1種単独で含有してもよいし、2種以上を含有してもよい。
【0233】
上記紫外線蛍光染料としては、特に限定されず、一般に用いられる紫外線蛍光染料の中から適宜選択することができる。
【0234】
上記紫外線蛍光染料としては、例えば、ナフタルイミド、クマリン、アントラセン、フェナントレン、キサンテン、チオキサンテン、ナフトキサンテン及びフルオレセイン、並びにこれらの誘導体が挙げられる。これらの中でも、ナフタルイミド及びクマリンが好ましい。
【0235】
上記紫外線蛍光染料の含有割合は、特に限定されず、冷媒全体に対して、通常、0.01~5質量%であり、0.05~3質量%が好ましく、0.1~2質量%がより好ましく、0.25~1.5質量%
が更に好ましく、0.5~1質量%が特に好ましい。
【0236】
2.4 安定剤
本開示の冷媒組成物は、安定剤を1種単独で含有してもよいし、2種以上を含有してもよい。
【0237】
上記安定剤としては、特に限定されず、一般に用いられる安定剤の中から適宜選択することができる。
【0238】
上記安定剤としては、例えば、ニトロ化合物、エーテル類、アミン類等が挙げられる。
【0239】
ニトロ化合物としては、例えば、ニトロメタン、ニトロエタン等の脂肪族ニトロ化合物、及びニトロベンゼン、ニトロスチレン等の芳香族ニトロ化合物等が挙げられる。
【0240】
エーテル類としては、例えば、1,4-ジオキサン等が挙げられる。
【0241】
アミン類としては、例えば、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルアミン、ジフェニルアミン等が挙げられる。
【0242】
上記安定剤としては、上記ニトロ化合物、エーテル類及びアミン類以外にも、ブチルヒドロキシキシレン、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0243】
上記安定剤の含有割合は、特に限定されず、冷媒全体に対して、通常、0.01~5質量%であり、0.05~3質量%が好ましく、0.1~2質量%がより好ましく、0.25~1.5質量%が更に好
ましく、0.5~1質量%が特に好ましい。
【0244】
なお、本開示の冷媒組成物の安定性の評価方法は、特に限定されず、一般的に用いられる手法で評価することができる。そのような手法の一例として、ASHRAE標準97-2007にし
たがって遊離フッ素イオンの量を指標として評価する方法等が挙げられる。その他にも、全酸価(total acid number)を指標として評価する方法等も挙げられる。この方法は、
例えば、ASTM D 974-06にしたがって行うことができる。
【0245】
2.5 重合禁止剤
本開示の冷媒組成物は、重合禁止剤を1種単独で含有してもよいし、2種以上を含有してもよい。
【0246】
上記重合禁止剤としては、特に限定されず、一般に用いられる重合禁止剤の中から適宜選択することができる。
【0247】
上記重合禁止剤としては、例えば、4-メトキシ-1-ナフトール、ヒドロキノン、ヒドロ
キノンメチルエーテル、ジメチル-t-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0248】
上記重合禁止剤の含有割合は、特に限定されず、冷媒全体に対して、通常、0.01~5質
量%であり、0.05~3質量%が好ましく、0.1~2質量%がより好ましく、0.25~1.5質量%が更に好ましく、0.5~1質量%が特に好ましい。
【0249】
2.6 冷媒組成物に含み得るその他の成分
本開示の冷媒組成物は、以下の成分も含み得るものとして挙げられる。
【0250】
例えば、前述の冷媒とは異なるフッ素化炭化水素を含有することができる。他の成分としてのフッ素化炭化水素は特に限定されず、HCFC-1122及びHCFC-124、CFC-1113からなる
群より選択される少なくとも一種のフッ素化炭化水素が挙げられる。
【0251】
また、その他の成分としては、例えば、式(A):CmHnXp[式中、Xはそれぞれ独立してフッ素原子、塩素原子又は臭素原子を表し、mは1又は2であり、2m+2≧n+pであり、p≧1である。]で表される少なくとも一種のハロゲン化有機化合物を含有することができる。上記ハロゲン化有機化合物は特に限定されず、例えば、ジフルオロクロロメタン、クロロメタン、2-クロロ-1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロエタン、2-クロロ-1,1-ジフルオロエチレン、トリフルオロエチレン等が好ましい。
【0252】
また、その他の成分としては、例えば、式(B):CmHnXp[式中、Xはそれぞれ独立してハロゲン原子ではない原子を表し、mは1又は2であり、2m+2≧n+pであり、p≧1である。]で表される少なくとも一種の有機化合物を含有することができる。上記有機化合物は特に限定されず、例えば、プロパン、イソブタン等が好ましい。
【0253】
これらのフッ素化炭化水素、式(A)で表わされるハロゲン化有機化合物、及び式(B)で表わされる有機化合物の含有量は限定的ではないが、これらの合計量として、冷媒組成
物の全量に対して0.5質量%以下が好ましく、0.3質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下が特に好ましい。
【0254】
3.冷凍機油含有作動流体
本開示の冷凍機油含有作動流体は、本開示の冷媒又は冷媒組成物と、冷凍機油とを少なくとも含み、冷凍装置における作動流体として用いられる。具体的には、本開示の冷凍機油含有作動流体は、冷凍装置の圧縮機において使用される冷凍機油と、冷媒又は冷媒組成物とが互いに混じり合うことにより得られる。
【0255】
上記冷凍機油の含有割合は、特に限定されず、冷凍機油含有作動流体全体に対して、通常、10~50質量%であり、12.5~45質量%が好ましく、15~40質量%がより好ましく、17.5
~35質量%が更に好ましく、20~30質量%が特に好ましい。
【0256】
3.1 冷凍機油
本開示の組成物は、冷凍機油を1種単独で含有してもよいし、2種以上を含有してもよい。
【0257】
上記冷凍機油としては、特に限定されず、一般に用いられる冷凍機油の中から適宜選択することができる。その際には、必要に応じて、本開示の冷媒の混合物(本開示の混合冷媒)との相溶性(miscibility)及び本開示の混合冷媒の安定性等を向上する作用等の点
でより優れている冷凍機油を適宜選択することができる。
【0258】
上記冷凍機油の基油としては、例えば、ポリアルキレングリコール(PAG)、ポリオー
ルエステル(POE)及びポリビニルエーテル(PVE)からなる群より選択される少なくとも一種が好ましい。
【0259】
上記冷凍機油は、上記基油に加えて、更に添加剤を含んでいてもよい。
【0260】
上記添加剤は、酸化防止剤、極圧剤、酸捕捉剤、酸素捕捉剤、銅不活性化剤、防錆剤、油性剤及び消泡剤からなる群より選択される少なくとも1種であってもよい。
【0261】
上記冷凍機油としては、潤滑の点から、40℃における動粘度が5~400cStであるものが
好ましい。
【0262】
本開示の冷凍機油含有作動流体は、必要に応じて、更に少なくとも1種の添加剤を含ん
でもよい。添加剤としては例えば以下の相溶化剤等が挙げられる。
【0263】
3.2 相溶化剤
本開示の冷凍機油含有作動流体は、相溶化剤を一種単独で含有してもよいし、二種以上を含有してもよい。
【0264】
上記相溶化剤としては、特に限定されず、一般に用いられる相溶化剤の中から適宜選択することができる。
【0265】
上記相溶化剤としては、例えば、ポリオキシアルキレングリコールエーテル、アミド、ニトリル、ケトン、クロロカーボン、エステル、ラクトン、アリールエーテル、フルオロエーテル、1,1,1-トリフルオロアルカン等が挙げられる。これらの中でも、ポリオキシアルキレングリコールエーテルが好ましい。
【実施例0266】
以下に、実施例を挙げて更に詳細に説明する。ただし、本開示は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0267】
試験例1-1
実施例1-1~1-13、比較例1-1~1-2及び参考例1-1(R404A)に示され
る混合冷媒のGWPは、IPCC第4次報告書の値に基づいて評価した。
【0268】
これらの混合冷媒のCOP、冷凍能力、吐出温度、飽和温度40℃における飽和圧力、凝縮
圧力及び蒸発圧力は、Refprop 10.0(National Institute of Science and Technology(NIST)製)を使用し、下記条件で混合冷媒の冷凍サイクル理論計算を実施することにより求めた。
蒸発温度 -50℃
凝縮温度 40℃
過熱温度 20K
過冷却温度 0K
圧縮機効率 70%
【0269】
「蒸発温度-50℃」とは、冷凍装置が備える蒸発器における混合冷媒の蒸発温度が-50℃であることを意味する。また、「凝縮温度40℃」とは、冷凍装置が備える凝縮器における混合冷媒の凝縮温度が40℃であることを意味する。
【0270】
試験例1-1の結果を表1に示す。表1は、本開示の冷媒1の実施例及び比較例を示している。表1中、「COP比」及び「冷凍能力比」とは、R404Aに対する割合(%)を示す。
表1中、「飽和圧力(40℃)」とは、飽和温度40℃における飽和圧力を示す。表1中、「吐出温度(℃)」とは、上記混合冷媒の冷凍サイクル理論計算において、冷凍サイクル中で最も冷媒の温度が高くなる温度を示す。
【0271】
成績係数(COP)は、次式により求めた。
COP=(冷凍能力又は暖房能力)/消費電力量
【0272】
圧縮比は、次式により求めた。
圧縮比=凝縮圧力(Mpa)/蒸発圧力(Mpa)
【0273】
混合冷媒の燃焼性は、混合冷媒の混合組成をWCF濃度とし、ANSI/ASHRAE34-2013規格に
従い燃焼速度を測定することにより、判断した。燃焼速度が0cm/s~10cm/sとなるものは
「クラス2L(微燃)」、燃焼速度が10cm/s超となるものは「クラス2(弱燃)」であると
し、火炎伝播がないものは「クラス1(不燃)」であるとした。表1中、「ASHRAE燃焼性
区分」とは、この判定基準に基づく結果を示している。
【0274】
燃焼速度試験は以下の通り行った。まず、使用した混合冷媒は99.5%又はそれ以上の純
度とし、真空ゲージ上に空気の痕跡が見られなくなるまで凍結、ポンピング及び解凍のサイクルを繰り返すことにより脱気した。閉鎖法により燃焼速度を測定した。初期温度は周囲温度とした。点火は、試料セルの中心で電極間に電気的スパークを生じさせることにより行った。放電の持続時間は1.0~9.9msとし、点火エネルギーは典型的には約0.1~1.0J
であった。シュリーレン写真を使って炎の広がりを視覚化した。光を通す2つのアクリル
窓を備えた円筒形容器(内径:155mm、長さ:198mm)を試料セルとして用い、光源としてはキセノンランプを用いた。炎のシュリーレン画像を高速デジタルビデオカメラで600fpsのフレーミング速度で記録し、PCに保存した。
【0275】
混合冷媒の燃焼範囲は、ASTM E681-09に基づく測定装置(
図1を参照)を用いて測定を
実施した。
【0276】
具体的には、燃焼の状態が目視および録画撮影できるように内容積12リットルの球形ガラスフラスコを使用し、ガラスフラスコは燃焼により過大な圧力が発生した際には上部のふたからガスが開放されるようにした。着火方法は底部から1/3の高さに保持された電極
からの放電により発生させた。
【0277】
<試験条件>
試験容器:280mmφ球形(内容積:12リットル)
試験温度:60℃±3℃
圧力:101.3kPa±0.7kPa
水分:乾燥空気1gにつき0.0088g±0.0005g(23℃における相対湿度50%の水分量)冷媒組成物/空気混合比:1vol.%刻み±0.2vol.%
冷媒組成物混合:±0.1質量%
点火方法:交流放電、電圧15kV、電流30mA、ネオン変圧器
電極間隔:6.4mm(1/4inch)
スパーク:0.4秒±0.05秒
判定基準:
・着火点を中心に90度より大きく火炎が広がった場合=火炎伝播あり(可燃)
・着火点を中心に90度以下の火炎の広がりだった場合=火炎伝播なし(不燃)
【0278】
【0279】
試験例1-2
実施例1-14~1-26、比較例1-3~1-4及び参考例1-2(R404A)に示さ
れる混合冷媒のGWPは、IPCC第4次報告書の値に基づいて評価した。
【0280】
これらの混合冷媒のCOP、冷凍能力、吐出温度、飽和温度40℃における飽和圧力、凝縮
圧力及び蒸発圧力は、Refprop 10.0(NIST製)を使用し、下記条件で混合冷媒の冷凍サイクル理論計算を実施することにより求めた。
蒸発温度 -35℃
凝縮温度 40℃
過熱温度 20K
過冷却温度 0K
圧縮機効率 70%
【0281】
上記用語の意味は、試験例1-1と同様である。
【0282】
試験例1-2の結果を表2に示す。表2は、本開示の冷媒1の実施例及び比較例を示している。表2中、各用語の意味は、試験例1-1と同様である。
【0283】
成績係数(COP)及び圧縮比は、試験例1-1と同様にして求めた。
【0284】
混合冷媒の燃焼性は、試験例1-1と同様にして判断した。燃焼速度試験は、試験例1-1と同様にして行った。
【0285】
混合冷媒の燃焼範囲は、ASTM E681-09に基づく測定装置(
図1を参照)を用いて、試験例1-1と同様の方法及び試験条件で測定した。
【0286】
【0287】
試験例1-3
実施例1-27~1-39、比較例1-5~1-6及び参考例1-3(R404A)に示さ
れる混合冷媒のGWPは、IPCC第4次報告書の値に基づいて評価した。
【0288】
これらの混合冷媒のCOP、冷凍能力、吐出温度、飽和温度40℃における飽和圧力、凝縮
圧力及び蒸発圧力は、Refprop 10.0(NIST製)を使用し、下記条件で混合冷媒の冷凍サイクル理論計算を実施することにより求めた。
蒸発温度 -10℃
凝縮温度 40℃
過熱温度 20K
過冷却温度 0K
圧縮機効率 70%
【0289】
上記用語の意味は、試験例1-1と同様である。
【0290】
試験例1-3の結果を表3に示す。表3は、本開示の冷媒1の実施例及び比較例を示している。表3中、各用語の意味は、試験例1-1と同様である。
【0291】
成績係数(COP)及び圧縮比は、試験例1-1と同様にして求めた。
【0292】
混合冷媒の燃焼性は、試験例1-1と同様にして判断した。燃焼速度試験は、試験例1-1と同様にして行った。
【0293】
混合冷媒の燃焼範囲は、ASTM E681-09に基づく測定装置(
図1を参照)を用いて、試験例1-1と同様の方法及び試験条件で測定した。
【0294】
【0295】
試験例1-4
比較例1-7~1-21及び参考例1-4(R404A)に示される混合冷媒のGWPは、IPCC第4次報告書の値に基づいて評価した。
【0296】
これらの混合冷媒のCOP、冷凍能力、吐出温度、飽和温度40℃における飽和圧力、凝縮
圧力及び蒸発圧力は、Refprop 10.0(NIST製)を使用し、下記条件で混合冷媒の冷凍サイクル理論計算を実施することにより求めた。
蒸発温度 -80℃
凝縮温度 40℃
過熱温度 20K
過冷却温度 0K
圧縮機効率 70%
【0297】
上記用語の意味は、試験例1-1と同様である。
【0298】
試験例1-4の結果を表4に示す。表4は、本開示の冷媒1の比較例を示している。表4中、各用語の意味は、試験例1-1と同様である。
【0299】
成績係数(COP)及び圧縮比は、試験例1-1と同様にして求めた。
【0300】
混合冷媒の燃焼性は、試験例1-1と同様にして判断した。燃焼速度試験は、試験例1-1と同様にして行った。
【0301】
混合冷媒の燃焼範囲は、ASTM E681-09に基づく測定装置(
図1を参照)を用いて、試験例1-1と同様の方法及び試験条件で測定した。
【0302】
【0303】
試験例1-5
比較例1-22~1-36及び参考例1-5(R404A)に示される混合冷媒のGWPは、IPCC第4次報告書の値に基づいて評価した。
【0304】
これらの混合冷媒のCOP、冷凍能力、吐出温度、飽和温度40℃における飽和圧力、凝縮
圧力及び蒸発圧力は、Refprop 10.0(NIST製)を使用し、下記条件で混合冷媒の冷凍サイクル理論計算を実施することにより求めた。
蒸発温度 10℃
凝縮温度 40℃
過熱温度 20K
過冷却温度 0K
圧縮機効率 70%
【0305】
上記用語の意味は、試験例1-1と同様である。
【0306】
試験例1-5の結果を表5に示す。表5は、本開示の冷媒1の比較例を示している。表5中、各用語の意味は、試験例1-1と同様である。
【0307】
成績係数(COP)及び圧縮比は、試験例1-1と同様にして求めた。
【0308】
混合冷媒の燃焼性は、試験例1-1と同様にして判断した。燃焼速度試験は、試験例1-1と同様にして行った。
【0309】
混合冷媒の燃焼範囲は、ASTM E681-09に基づく測定装置(
図1を参照)を用いて、試験例1-1と同様の方法及び試験条件で測定した。
【0310】
【0311】
試験例2-1
実施例2-1~2-6、比較例2-1~2-9及び参考例2-1(R404A)に示される
混合冷媒のGWPは、IPCC第4次報告書の値に基づいて評価した。
【0312】
これらの混合冷媒のCOP、冷凍能力、吐出温度、飽和温度40℃における飽和圧力、凝縮
圧力及び蒸発圧力は、Refprop 10.0(NIST製)を使用し、下記条件で混合冷媒の冷凍サイクル理論計算を実施することにより求めた。
蒸発温度 -50℃
凝縮温度 40℃
過熱温度 20K
過冷却温度 0K
圧縮機効率 70%
【0313】
「蒸発温度-50℃」とは、冷凍装置が備える蒸発器における混合冷媒の蒸発温度が-50℃であることを意味する。また、「凝縮温度40℃」とは、冷凍装置が備える凝縮器における混合冷媒の凝縮温度が40℃であることを意味する。
【0314】
試験例2-1の結果を表6に示す。表6は、本開示の冷媒2の実施例及び比較例を示している。表6中、「COP比」及び「冷凍能力比」とは、R404Aに対する割合(%)を示す。
表6中、「飽和圧力(40℃)」とは、飽和温度40℃における飽和圧力を示す。表6中、「吐出温度(℃)」とは、上記混合冷媒の冷凍サイクル理論計算において、冷凍サイクル中で最も冷媒の温度が高くなる温度を示す。
【0315】
成績係数(COP)は、次式により求めた。
COP=(冷凍能力又は暖房能力)/消費電力量
【0316】
圧縮比は、次式により求めた。
圧縮比=凝縮圧力(Mpa)/蒸発圧力(Mpa)
【0317】
混合冷媒の燃焼性は、混合冷媒の混合組成をWCF濃度とし、ANSI/ASHRAE34-2013規格に
従い燃焼速度を測定することにより、判断した。燃焼速度が0cm/s~10cm/sとなるものは
「クラス2L(微燃)」、燃焼速度が10cm/s超となるものは「クラス2(弱燃)」であると
し、火炎伝播がないものは「クラス1(不燃)」であるとした。表6中、「ASHRAE燃焼性
区分」とは、この判定基準に基づく結果を示している。
【0318】
燃焼速度試験は以下の通り行った。まず、使用した混合冷媒は99.5%又はそれ以上の純
度とし、真空ゲージ上に空気の痕跡が見られなくなるまで凍結、ポンピング及び解凍のサイクルを繰り返すことにより脱気した。閉鎖法により燃焼速度を測定した。初期温度は周囲温度とした。点火は、試料セルの中心で電極間に電気的スパークを生じさせることにより行った。放電の持続時間は1.0~9.9msとし、点火エネルギーは典型的には約0.1~1.0J
であった。シュリーレン写真を使って炎の広がりを視覚化した。光を通す2つのアクリル
窓を備えた円筒形容器(内径:155mm、長さ:198mm)を試料セルとして用い、光源としてはキセノンランプを用いた。炎のシュリーレン画像を高速デジタルビデオカメラで600fpsのフレーミング速度で記録し、PCに保存した。
【0319】
混合冷媒の燃焼範囲は、ASTM E681-09に基づく測定装置(
図1を参照)を用いて測定を実施した。
【0320】
具体的には、燃焼の状態が目視および録画撮影できるように内容積12リットルの球形ガラスフラスコを使用し、ガラスフラスコは燃焼により過大な圧力が発生した際には上部のふたからガスが開放されるようにした。着火方法は底部から1/3の高さに保持された電極
からの放電により発生させた。
【0321】
<試験条件>
試験容器:280mmφ球形(内容積:12リットル)
試験温度:60℃±3℃
圧力:101.3kPa±0.7kPa
水分:乾燥空気1gにつき0.0088g±0.0005g(23℃における相対湿度50%の水分量)冷媒組成物/空気混合比:1vol.%刻み±0.2vol.%
冷媒組成物混合:±0.1質量%
点火方法:交流放電、電圧15kV、電流30mA、ネオン変圧器
電極間隔:6.4mm(1/4inch)
スパーク:0.4秒±0.05秒
判定基準:
・着火点を中心に90度より大きく火炎が広がった場合=火炎伝播あり(可燃)
・着火点を中心に90度以下の火炎の広がりだった場合=火炎伝播なし(不燃)
【0322】
【0323】
試験例2-2
実施例2-7~2-12、比較例2-10~2-18及び参考例2-2(R404A)に示
される混合冷媒のGWPは、IPCC第4次報告書の値に基づいて評価した。
【0324】
これらの混合冷媒のCOP、冷凍能力、吐出温度、飽和温度40℃における飽和圧力、凝縮
圧力及び蒸発圧力は、Refprop 10.0(NIST製)を使用し、下記条件で混合冷媒の冷凍サイクル理論計算を実施することにより求めた。
蒸発温度 -35℃
凝縮温度 40℃
過熱温度 20K
過冷却温度 0K
圧縮機効率 70%
【0325】
上記用語の意味は、試験例2-1と同様である。
【0326】
試験例2-2の結果を表7に示す。表7は、本開示の冷媒2の実施例及び比較例を示している。表7中、各用語の意味は、試験例2-1と同様である。
【0327】
成績係数(COP)及び圧縮比は、試験例2-1と同様にして求めた。
【0328】
混合冷媒の燃焼性は、試験例2-1と同様にして判断した。燃焼速度試験は、試験例2-1と同様にして行った。
【0329】
混合冷媒の燃焼範囲は、ASTM E681-09に基づく測定装置(
図1を参照)を用いて、試験例2-1と同様の方法及び試験条件で測定した。
【0330】
【0331】
試験例2-3
実施例2-13~2-18、比較例2-19~2-27及び参考例2-3(R404A)に
示される混合冷媒のGWPは、IPCC第4次報告書の値に基づいて評価した。
【0332】
これらの混合冷媒のCOP、冷凍能力、吐出温度、飽和温度40℃における飽和圧力、凝縮
圧力及び蒸発圧力は、Refprop 10.0(NIST製)を使用し、下記条件で混合冷媒の冷凍サイクル理論計算を実施することにより求めた。
蒸発温度 -10℃
凝縮温度 40℃
過熱温度 20K
過冷却温度 0K
圧縮機効率 70%
【0333】
上記用語の意味は、試験例2-1と同様である。
【0334】
試験例2-3の結果を表8に示す。表8は、本開示の冷媒2の実施例及び比較例を示している。表8中、各用語の意味は、試験例2-1と同様である。
【0335】
成績係数(COP)及び圧縮比は、試験例2-1と同様にして求めた。
【0336】
混合冷媒の燃焼性は、試験例2-1と同様にして判断した。燃焼速度試験は、試験例2-1と同様にして行った。
【0337】
混合冷媒の燃焼範囲は、ASTM E681-09に基づく測定装置(
図1を参照)を用いて、試験例2-1と同様の方法及び試験条件で測定した。
【0338】
【0339】
試験例2-4
実施例2-19~2-24、比較例2-28~2-36及び参考例2-4(R404A)に
示される混合冷媒のGWPは、IPCC第4次報告書の値に基づいて評価した。
【0340】
これらの混合冷媒のCOP、冷凍能力、吐出温度、飽和温度40℃における飽和圧力、凝縮
圧力及び蒸発圧力は、Refprop 10.0(NIST製)を使用し、下記条件で混合冷媒の冷凍サイクル理論計算を実施することにより求めた。
蒸発温度 -80℃
凝縮温度 40℃
過熱温度 20K
過冷却温度 0K
圧縮機効率 70%
【0341】
上記用語の意味は、試験例2-1と同様である。
【0342】
試験例2-4の結果を表9に示す。表9は、本開示の冷媒2の実施例及び比較例を示している。表9中、各用語の意味は、試験例2-1と同様である。
【0343】
成績係数(COP)及び圧縮比は、試験例2-1と同様にして求めた。
【0344】
混合冷媒の燃焼性は、試験例2-1と同様にして判断した。燃焼速度試験は、試験例2-1と同様にして行った。
【0345】
混合冷媒の燃焼範囲は、ASTM E681-09に基づく測定装置(
図1を参照)を用いて、試験例2-1と同様の方法及び試験条件で測定した。
【0346】
【0347】
試験例2-5
実施例2-25~2-30、比較例2-37~2-45及び参考例2-5(R404A)に
示される混合冷媒のGWPは、IPCC第4次報告書の値に基づいて評価した。
【0348】
これらの混合冷媒のCOP、冷凍能力、吐出温度、飽和温度40℃における飽和圧力、凝縮
圧力及び蒸発圧力は、Refprop 10.0(NIST製)を使用し、下記条件で混合冷媒の冷凍サイクル理論計算を実施することにより求めた。
蒸発温度 10℃
凝縮温度 40℃
過熱温度 20K
過冷却温度 0K
圧縮機効率 70%
【0349】
上記用語の意味は、試験例2-1と同様である。
【0350】
試験例2-5の結果を表10に示す。表10は、本開示の冷媒2の実施例及び比較例を示している。表10中、各用語の意味は、試験例2-1と同様である。
【0351】
成績係数(COP)及び圧縮比は、試験例2-1と同様にして求めた。
【0352】
混合冷媒の燃焼性は、試験例2-1と同様にして判断した。燃焼速度試験は、試験例2-1と同様にして行った。
【0353】
混合冷媒の燃焼範囲は、ASTM E681-09に基づく測定装置(
図1を参照)を用いて、試験例2-1と同様の方法及び試験条件で測定した。
【0354】
【0355】
試験例3
実施例3-1~3-5、比較例3-1~3-5、参考例3-1(R134a)及び参考例3
-2(R404A)に示される混合冷媒のGWPは、IPCC第4次報告書の値に基づいて評価した。
【0356】
これらの混合冷媒のCOP、冷凍能力、吐出温度、飽和温度45℃における飽和圧力、凝縮
圧力及び蒸発圧力は、Refprop 10.0(NIST製)を使用し、下記条件で混合冷媒の冷凍サイクル理論計算を実施することにより求めた。
蒸発温度 -10℃
凝縮温度 45℃
過熱温度 20K
過冷却温度 0K
圧縮機効率 70%
【0357】
「蒸発温度-10℃」とは、冷凍装置が備える蒸発器における混合冷媒の蒸発温度が-10℃であることを意味する。また、「凝縮温度45℃」とは、冷凍装置が備える凝縮器における混合冷媒の凝縮温度が45℃であることを意味する。
【0358】
試験例3の結果を表11に示す。表11は、本開示の冷媒3の実施例及び比較例を示している。表11中、「COP比」及び「冷凍能力比」とは、R134aに対する割合(%)を示す
。表11中、「飽和圧力(45℃)」とは、飽和温度45℃における飽和圧力を示す。表11中、「吐出温度(℃)」とは、上記混合冷媒の冷凍サイクル理論計算において、冷凍サイクル中で最も冷媒の温度が高くなる温度を示す。
【0359】
成績係数(COP)は、次式により求めた。
COP=(冷凍能力又は暖房能力)/消費電力量
【0360】
臨界温度は、National Institute of Science and Technology(NIST)及びReference Fluid Thermodynamic and Transport Properties Database(Refprop 10.0)を使用し、
計算を実施することにより求めた。
【0361】
混合冷媒の燃焼性は、混合冷媒の混合組成をWCF濃度とし、ANSI/ASHRAE34-2013規格に
従い燃焼速度を測定することにより、判断した。燃焼速度が0cm/s~10cm/sとなるものは
「クラス2L(微燃)」、燃焼速度が10cm/s超となるものは「クラス2(弱燃)」であると
し、火炎伝播がないものは「クラス1(不燃)」であるとした。表11中、「ASHRAE燃焼
性区分」とは、この判定基準に基づく結果を示している。
【0362】
燃焼速度試験は以下の通り行った。まず、使用した混合冷媒は99.5%又はそれ以上の純
度とし、真空ゲージ上に空気の痕跡が見られなくなるまで凍結、ポンピング及び解凍のサイクルを繰り返すことにより脱気した。閉鎖法により燃焼速度を測定した。初期温度は周囲温度とした。点火は、試料セルの中心で電極間に電気的スパークを生じさせることにより行った。放電の持続時間は1.0~9.9msとし、点火エネルギーは典型的には約0.1~1.0J
であった。シュリーレン写真を使って炎の広がりを視覚化した。光を通す2つのアクリル
窓を備えた円筒形容器(内径:155mm、長さ:198mm)を試料セルとして用い、光源としてはキセノンランプを用いた。炎のシュリーレン画像を高速デジタルビデオカメラで600fpsのフレーミング速度で記録し、PCに保存した。
【0363】
混合冷媒の燃焼範囲は、ASTM E681-09に基づく測定装置(
図1を参照)を用いて測定を実施した。
【0364】
具体的には、燃焼の状態が目視および録画撮影できるように内容積12リットルの球形ガラスフラスコを使用し、ガラスフラスコは燃焼により過大な圧力が発生した際には上部のふたからガスが開放されるようにした。着火方法は底部から1/3の高さに保持された電極
からの放電により発生させた。
【0365】
<試験条件>
試験容器:280mmφ球形(内容積:12リットル)
試験温度:60℃±3℃
圧力:101.3kPa±0.7kPa
水分:乾燥空気1gにつき0.0088g±0.0005g(23℃における相対湿度50%の水分量)冷媒組成物/空気混合比:1vol.%刻み±0.2vol.%
冷媒組成物混合:±0.1質量%
点火方法:交流放電、電圧15kV、電流30mA、ネオン変圧器
電極間隔:6.4mm(1/4inch)
スパーク:0.4秒±0.05秒
判定基準:
・着火点を中心に90度より大きく火炎が広がった場合=火炎伝播あり(可燃)
・着火点を中心に90度以下の火炎の広がりだった場合=火炎伝播なし(不燃)
【0366】
【0367】
試験例4
実施例4-1~4-7及び比較例4-1~4-5に示される混合冷媒のGWPは、IPCC第4次報告書の値に基づいて評価した。
【0368】
これらの混合冷媒のCOP、冷凍能力、吐出温度及び飽和温度-10℃における飽和圧力
は、Refprop 10.0(NIST製)を使用し、下記条件で混合冷媒の冷凍サイクル理論計算を実施することにより求めた。
蒸発温度 5℃
凝縮温度 45℃
過熱温度 5K
過冷却温度 5K
圧縮機効率 70%
【0369】
「蒸発温度 5℃」とは、冷凍装置が備える蒸発器における混合冷媒の蒸発温度が5℃であることを意味する。また、「凝縮温度 45℃」とは、冷凍装置が備える凝縮器における混合冷媒の凝縮温度が45℃であることを意味する。
【0370】
試験例4の結果を表12に示す。表12は、本開示の冷媒4の実施例及び比較例を示している。表12中、「COP比」及び「冷凍能力比」とは、R1234yfに対する割合(%)を示
す。表12中、「飽和圧力(-10℃)」とは、冷蔵条件の蒸発温度の代表値としての飽和
温度-10℃における飽和圧力を示す。表12中、「吐出温度(℃)」とは、上記混合冷媒の冷凍サイクル理論計算において、冷凍サイクル中で最も冷媒の温度が高くなる温度を示す。
【0371】
成績係数(COP)は、次式により求めた。
COP=(冷凍能力又は暖房能力)/消費電力量
【0372】
臨界温度は、National Institute of Science and Technology(NIST)及びReference Fluid Thermodynamic and Transport Properties Database(Refprop 10.0)を使用し、
計算を実施することにより求めた。
【0373】
混合冷媒の燃焼性は、混合冷媒の混合組成をWCF濃度とし、ANSI/ASHRAE34-2013規格に
従い燃焼速度を測定することにより、判断した。燃焼速度が0cm/s~10cm/sとなるものを
「クラス2L(微燃)」、燃焼速度が10cm/s超となるものは「クラス2(弱燃)」であると
し、火炎伝播がないものは「クラス1(不燃)」であるとした。表12中、「ASHRAE燃焼
性区分」とは、この判定基準に基づく結果を示している。
【0374】
燃焼速度試験は以下の通り行った。まず、使用した混合冷媒は99.5%又はそれ以上の純
度とし、真空ゲージ上に空気の痕跡が見られなくなるまで凍結、ポンピング及び解凍のサイクルを繰り返すことにより脱気した。閉鎖法により燃焼速度を測定した。初期温度は周囲温度とした。点火は、試料セルの中心で電極間に電気的スパークを生じさせることにより行った。放電の持続時間は1.0~9.9msとし、点火エネルギーは典型的には約0.1~1.0J
であった。シュリーレン写真を使って炎の広がりを視覚化した。光を通す2つのアクリル
窓を備えた円筒形容器(内径:155mm、長さ:198mm)を試料セルとして用い、光源としてはキセノンランプを用いた。炎のシュリーレン画像を高速デジタルビデオカメラで600fpsのフレーミング速度で記録し、PCに保存した。
【0375】
混合冷媒の燃焼範囲は、ASTM E681-09に基づく測定装置(
図1を参照)を用いて測定を実施した。
【0376】
具体的には、燃焼の状態が目視および録画撮影できるように内容積12リットルの球形ガ
ラスフラスコを使用し、ガラスフラスコは燃焼により過大な圧力が発生した際には上部のふたからガスが開放されるようにした。着火方法は底部から1/3の高さに保持された電極
からの放電により発生させた。
【0377】
<試験条件>
試験容器:280mmφ球形(内容積:12リットル)
試験温度:60℃±3℃
圧力:101.3kPa±0.7kPa
水分:乾燥空気1gにつき0.0088g±0.0005g(23℃における相対湿度50%の水分量)
冷媒組成物/空気混合比:1vol.%刻み±0.2vol.%
冷媒組成物混合:±0.1質量%
点火方法:交流放電、電圧15kV、電流30mA、ネオン変圧器
電極間隔:6.4mm(1/4inch)
スパーク:0.4秒±0.05秒
判定基準:
・着火点を中心に90度より大きく火炎が広がった場合=火炎伝播あり(可燃)
・着火点を中心に90度以下の火炎の広がりだった場合=火炎伝播なし(不燃)
【0378】
【0379】
試験例5
実施例5-1~5-13、比較例5-1~5-3及び参考例5-1(R134a)に示され
る混合冷媒のGWPは、IPCC第4次報告書の値に基づいて評価した。
【0380】
これらの混合冷媒のCOP、冷凍能力、沸点及び吐出温度は、Refprop 10.0(NIST製)を
使用し、下記条件で混合冷媒の冷凍サイクル理論計算を実施することにより求めた。
蒸発温度 -30℃
凝縮温度 30℃
過熱温度 5K
過冷却温度 5K
圧縮機効率 70%
【0381】
「蒸発温度 -30℃」とは、冷凍装置が備える蒸発器における混合冷媒の蒸発温度が-30℃であることを意味する。また、「凝縮温度 30℃」とは、冷凍装置が備える凝縮器における混合冷媒の凝縮温度が30℃であることを意味する。
【0382】
試験例5の結果を表13に示す。表13は、本開示の冷媒5の実施例及び比較例を示している。表13中、「COP比」及び「冷凍能力比」とは、R1234yfに対する割合(%)を示
す。表13中、「吐出温度(℃)」とは、上記混合冷媒の冷凍サイクル理論計算において、冷凍サイクル中で最も冷媒の温度が高くなる温度を示す。表13中、「沸点(℃)」とは、混合冷媒の液相が大気圧(101.33kPa)となる温度を示す。表13中、「動力の消費電
力量(%)」とは、電気自動車が走行するために使用した電気エネルギーを示し、冷媒をHFO-1234yfとしたとき消費電力量との比で表す。表13中、「暖房の消費電力量(%)」
とは、電気自動車が暖房を運転するために使用した電気エネルギーを示し、冷媒をHFO-1234yfとしたとき消費電力量との比で表す。表13中、「走行可能距離」とは、一定の電気容量の二次電池を搭載した電気自動車において、暖房せずに(暖房の消費電力が0)走行した場合の走行可能距離を100%とした場合の暖房ありで走行した場合の走行可能距離を相対割合(%)を表したものである。
【0383】
成績係数(COP)は、次式により求めた。
COP=(冷凍能力又は暖房能力)/消費電力量
【0384】
混合冷媒の燃焼性は、混合冷媒の混合組成をWCF濃度とし、ANSI/ASHRAE34-2013規格に
従い燃焼速度を測定することにより判断した。燃焼速度の測定は以下の通り行った。まず、使用した混合冷媒は99.5%又はそれ以上の純度とし、真空ゲージ上に空気の痕跡が見ら
れなくなるまで凍結、ポンピング及び解凍のサイクルを繰り返すことにより脱気した。閉鎖法により燃焼速度を測定した。初期温度は周囲温度とした。点火は、試料セルの中心で電極間に電気的スパークを生じさせることにより行った。放電の持続時間は1.0~9.9msとし、点火エネルギーは典型的には約0.1~1.0Jであった。シュリーレン写真を使って炎の
広がりを視覚化した。光を通す2つのアクリル窓を備えた円筒形容器(内径:155mm、長さ:198mm)を試料セルとして用い、光源としてはキセノンランプを用いた。炎のシュリー
レン画像を高速デジタルビデオカメラで600fpsのフレーミング速度で記録し、PCに保存した。
【0385】
暖房方法は、沸点が-40℃を超える冷媒では暖房に電気ヒーター方式を用い、沸点が-40℃以下の冷媒には暖房にヒートポンプ方式を用いた。
【0386】
暖房使用時の消費電力量は、次式により求めた。
暖房使用時の消費電力量=暖房能力/暖房COP
なお、暖房COPとは「暖房効率」を意味する。
【0387】
暖房効率について、電気ヒーターの場合は暖房COP=1であり、動力と同等の電極を暖房に消費する。つまり、暖房の消費電力はE=E/(1+COP)となる。一方、ヒートポンプの場合はRefprop 10.0(NIST製)を使用し、下記条件で混合冷媒の冷凍サイクル理論計算を実施することにより暖房COPを求めた。
蒸発温度 -30℃
凝縮温度 30℃
過熱温度 5K
過冷却温度 5K
圧縮機効率 70%
【0388】
走行可能距離は、次式により求めた。
走行可能距離=(電池容量)/(動力の消費電力量+暖房での消費電力量)
【0389】
前記冷媒が、空調機器、冷蔵庫、冷凍庫、冷水機、製氷機、冷蔵ショーケース、冷凍ショーケース、冷凍冷蔵ユニット、冷凍冷蔵倉庫用冷凍機、ターボ冷凍機又はスクリュー冷凍機に用いられる、請求項1に記載の組成物。
空調機器、冷蔵庫、冷凍庫、冷水機、製氷機、冷蔵ショーケース、冷凍ショーケース、冷凍冷蔵ユニット、冷凍冷蔵倉庫用冷凍機、ターボ冷凍機又はスクリュー冷凍機である、請求項3に記載の冷凍装置。