(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013799
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】波長変換部材、波長変換装置、および、光源装置
(51)【国際特許分類】
G02B 5/20 20060101AFI20240125BHJP
F21V 9/30 20180101ALI20240125BHJP
F21V 7/30 20180101ALI20240125BHJP
F21V 7/24 20180101ALI20240125BHJP
【FI】
G02B5/20
F21V9/30
F21V7/30
F21V7/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116170
(22)【出願日】2022-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【弁理士】
【氏名又は名称】田邊 淳也
(74)【代理人】
【識別番号】100227732
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 祥二
(72)【発明者】
【氏名】八谷 洋介
(72)【発明者】
【氏名】坂 慎二
(72)【発明者】
【氏名】田中 智雄
【テーマコード(参考)】
2H148
【Fターム(参考)】
2H148AA07
2H148AA11
2H148AA19
2H148AA25
(57)【要約】
【課題】 波長変換部材において、発光強度を向上させる技術を提供する。
【解決手段】 波長変換部材は、入射する光の波長を変換するセラミック蛍光体と、セラミック蛍光体上に配置され、光を反射する金属を含む反射膜と、を備え、反射膜は、反射膜の金属よりも融点が高い材料から形成されている粒子を含んでおり、粒子の断面を含む反射膜の断面である粒子含有断面のうちの少なくとも1つの粒子含有断面において、粒子の断面積を粒子の周囲長の2乗で割った値は、0.02以上である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長変換部材であって、
入射する光の波長を変換するセラミック蛍光体と、
前記セラミック蛍光体上に配置され、光を反射する金属を含む反射膜と、を備え、
前記反射膜は、前記反射膜の金属よりも融点が高い材料から形成されている粒子を含んでおり、
前記粒子の断面を含む前記反射膜の断面である粒子含有断面のうちの少なくとも1つの粒子含有断面において、前記粒子の断面積を前記粒子の周囲長の2乗で割った値は、0.02以上である、
ことを特徴とする波長変換部材。
【請求項2】
請求項1に記載の波長変換部材であって、
前記粒子含有断面のうち、前記セラミック蛍光体と前記反射膜との積層方向に沿った粒子含有断面と、前記積層方向に対して垂直な方向に沿った粒子含有断面のいずれにおいても、前記粒子の断面積を前記粒子の周囲長の2乗で割った値は、0.02以上である、
ことを特徴とする波長変換部材。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の波長変換部材であって、
前記粒子含有断面において、前記粒子の平均粒径は、2μm以上である、
ことを特徴とする波長変換部材。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の波長変換部材であって、
前記粒子含有断面において、前記粒子の断面積を前記粒子の周囲長の2乗で割った値は、0.05以上である、
ことを特徴とする波長変換部材。
【請求項5】
波長変換装置であって、
請求項1または請求項2に記載の波長変換部材と、
前記セラミック蛍光体の熱を外部に放出する放熱部材と、
前記波長変換部材と前記放熱部材とを接合する接合層と、を備える、
ことを特徴とする波長変換装置。
【請求項6】
光源装置であって、
請求項5に記載の波長変換装置と、
前記セラミック蛍光体に光を照射する光源と、を備える、
ことを特徴とする、光源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長変換部材、波長変換装置、および、光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光源が発した光の波長を変換する波長変換部材が知られている。波長変換部材は、一般的に、入射する光の波長を変換する蛍光体と、蛍光体に入射した光を入射方向に向けて反射する反射膜と、を備え、反射膜で光を所定の方向に向けて反射させることで、波長変換部材の発光強度を向上させている。例えば、特許文献1には、ガラス粉末が添加された金属を用いて反射膜を形成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のような先行技術によっても、波長変換部材において、発光強度を向上させる技術については、なお、改善の余地があった。例えば、特許文献1の技術では、反射膜を蛍光体に焼き付けるために金属を融点以上に加熱すると、金属に添加されたガラス粉末が軟化し、蛍光体と反応するおそれがある。このため、蛍光体が変質すると、波長変換部材の発光強度が低下する。また、ガラス粉末が軟化しないように融点より低い温度までしか金属を加熱しない場合、蛍光体への焼き付けが不十分となるため、反射膜の反射性能が低下し、波長変換部材の発光強度が低下するおそれがある。
【0005】
本発明は、波長変換部材において、発光強度を向上させる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0007】
(1)本発明の一形態によれば、波長変換部材が提供される。この波長変換部材は、入射する光の波長を変換するセラミック蛍光体と、前記セラミック蛍光体上に配置され、光を反射する金属を含む反射膜と、を備え、前記反射膜は、前記反射膜の金属よりも融点が高い材料から形成されている粒子を含んでおり、前記粒子の断面を含む前記反射膜の断面である粒子含有断面のうちの少なくとも1つの粒子含有断面において、前記粒子の断面積を前記粒子の周囲長の2乗で割った値は、0.02以上である。
【0008】
この構成によれば、光を反射する金属を含む反射膜には、反射膜の金属よりも融点が高い材料から形成されている粒子が含まれている。例えば、反射膜に含まれる金属として用いられる銀(Ag)は、溶融すると凝集しやすいため、反射膜を成膜するとき、蛍光体の表面で広がりにくく、均質な反射膜が形成されにくい。上述の構成では、セラミック蛍光体に塗布される反射膜の原料として、反射膜の金属よりも融点が高い材料から形成されている粒子を含む金属が用いられる。これにより、反射膜の原料は、粘性が上がり、セラミック蛍光体の表面に広がりやすくなるため、均質な反射膜が形成されやすくなる。また、粒子は、融点が金属よりも高いため、金属が溶融する温度でも溶融しない。これにより、セラミック蛍光体への金属の焼き付けを十分に行うことができるとともに、粒子とセラミック蛍光体との反応を抑制することができるため、セラミック蛍光体の劣化を抑制することができる。さらに、粒子は金属が溶融する温度でも溶融しないため、セラミック蛍光体と反射膜との界面に粒子が集中することを抑制することができる。これにより、反射膜の反射率の低下を抑制することができる。また、粒子は、粒子の断面を含む反射膜の断面である粒子含有断面において、断面積を周囲長の2乗で割った値が、0.02以上であり、形状が比較的球形に近い。これにより、粒子同士が凝集しにくくなるため、均質な反射膜が形成されやすくなる。さらに、形状が比較的球形に近い粒子には気泡が付着しにくいため、反射膜にボイドが生成されることを抑制できる。これにより、ボイドが少ない均質な反射膜を成膜しやすくなる。このように、セラミック蛍光体の劣化を抑制しつつ、均質な反射膜を成膜することができるため、波長変換部材の発光強度を向上させることができる。
【0009】
(2)上記形態の波長変換部材において、前記粒子含有断面のうち、前記セラミック蛍光体と前記反射膜との積層方向に沿った粒子含有断面と、前記積層方向に対して垂直な方向に沿った粒子含有断面のいずれにおいても、前記粒子の断面積を前記粒子の周囲長の2乗で割った値は、0.02以上であってもよい。この構成によれば、粒子含有断面のうち、セラミック蛍光体と反射膜との積層方向に沿った粒子含有断面と、積層方向に対して垂直な方向に沿った粒子含有断面のいずれにおいても、粒子の断面積を粒子の周囲長の2乗で割った値は、0.02以上となっている。すなわち、粒子は、互いに垂直な方向のそれぞれに沿った粒子含有断面においても、粒子の断面積を粒子の周囲長の2乗で割った値が0.02以上となることから、より一層球形に近い形状をなしている。これにより、粒子同士がさらに凝集しにくく、かつ、粒子には気泡がさらに付着しにくいため、さらに均質な反射膜を成膜しやすくなる。したがって、波長変換部材の発光強度をさらに向上させることができる。
【0010】
(3)上記形態の波長変換部材において、前記粒子含有断面において、前記粒子の平均粒径は、2μm以上であってもよい。この構成によれば、粒子含有断面において、粒子の平均粒径は、2μm以上になっている。これにより、粒子には、気泡がさらに付着しにくいため、さらにボイドが少ない均質な反射膜を成膜しやすくなる。したがって、波長変換部材の発光強度をさらに向上させることができる。
【0011】
(4)上記形態の波長変換部材において、前記粒子含有断面において、前記粒子の断面積を前記粒子の周囲長の2乗で割った値は、0.05以上であってもよい。この構成によれば、粒子含有断面において、粒子は、断面積を周囲長の2乗で割った値が0.05以上となっている。すなわち、粒子は、より一層球形に近い形状をなしている。これにより、粒子には、気泡がさらに付着しにくいため、さらにボイドが少ない均質な反射膜を成膜しやすくなる。したがって、波長変換部材の発光強度をさらに向上させることができる。
【0012】
(5)本発明の別の形態によれば、波長変換装置が提供される。この波長変換装置は、上述の波長変換部材と、前記セラミック蛍光体の熱を外部に放出する放熱部材と、前記波長変換部材と前記放熱部材とを接合する接合層と、を備える。この構成によれば、波長変換装置は、セラミック蛍光体の熱を外部に放出する放熱部材を備えている。これにより、入射する光の波長を変換するセラミック蛍光体で発生する熱を放熱部材によって放出することができるため、熱によるセラミック蛍光体の劣化を抑制することができる。したがって、波長変換装置の発光強度を維持することができる。
【0013】
(6)本発明のさらに別の形態によれば、光源装置が提供される。この光源装置は、上述の波長変換装置と、前記セラミック蛍光体に光を照射する光源と、を備える。この構成によれば、光源装置は、セラミック蛍光体に光を照射する光源を備える。これにより、上述したように発光強度が向上している波長変換部材は、外部からの光とは異なる波長の光をより強く放射することができる。したがって、光源装置の発光強度を向上させることができる。
【0014】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、波長変換部材を含む装置、光源装置を含むシステム、波長変換部材および光源装置の製造方法、反射膜の製造方法等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態の波長変換部材の断面模式図である。
【
図3】波長変換部材における粒子含有断面を説明する第1の図である。
【
図4】波長変換部材における粒子含有断面を説明する第2の図である。
【
図5】粒子含有断面に含まれる粒子の拡大図である。
【
図6】波長変換部材の評価試験の方法を説明する図である。
【
図7】波長変換部材の評価試験の結果を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の波長変換部材1の断面模式図である。本実施形態の波長変換部材1は、セラミック蛍光体10と、反射膜20と、を備える。波長変換部材1は、光が入射すると、入射する光とは異なる波長の光を発する。
図1には、セラミック蛍光体10と反射膜20とが積層される方向である積層方向を両端矢印DLで示す。なお、
図1における、セラミック蛍光体10と反射膜20とのそれぞれの大きさおよび厚みの関係は、説明の便宜上、実際の大きさまたは厚みの関係とは異なるように図示されている。
【0017】
セラミック蛍光体10は、セラミック焼結体であり、本実施形態では、略円柱状に形成されている。セラミック蛍光体10は、光が入射する入射面11と、入射面11の反対側に位置する裏面12と、を有する。セラミック蛍光体10は、入射面11から入射する光のうちの少なくとも一部の波長を変換し、入射する光とは異なる波長の光を発する。セラミック蛍光体10は、蛍光性を有する結晶粒子を主体とする蛍光相と、透光性を有する結晶粒子を主体とする透光相を有するセラミック焼結体から構成されている。透光相の結晶粒子は、化学式Al2O3で表される組成を有し、蛍光相の結晶粒子は、化学式A3B5O12:Ceで表される組成(いわゆる、ガーネット構造)を有することが好ましい。「A3B5O12:Ce」とは、A3B5O12の中にCeが固溶し、元素Aの一部がCeに置換されていることを示す。
【0018】
化学式A3B5O12:Ce中の元素Aおよび元素Bは、それぞれ下記の元素群から選択される少なくとも1種類の元素から構成されている。
元素A:Sc、Y、Ceを除くランタノイド(ただし、元素AとしてさらにGdを含んでいてもよい)
元素B:Al(ただし、元素BとしてさらにGaを含んでいてもよい)
セラミック蛍光体10として、セラミック焼結体を使用することで、蛍光相と透光相との界面で光が散乱し、光の色の角度依存性を減らすことができる。これにより、色の均質性を向上することができる。なお、セラミック蛍光体10の材料は、上述の材料に限定されない。
【0019】
反射膜20は、セラミック蛍光体10の裏面12上に配置されている。反射膜20は、光を反射する金属である銀(Ag)と、複数の粒子21と、を含んでいる。反射膜20の厚みは、10μm以上100μm以下が好ましい。
【0020】
反射膜20に含まれる銀は、裏面12上に薄膜22を形成し、セラミック蛍光体10を透過した光や、セラミック蛍光体10で発生した光を反射する。なお、薄膜22を形成する金属は、銀に限定されず、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、銀合金などであってもよい。
【0021】
反射膜20に含まれる粒子21は、銀よりも融点が高い材料から形成されている。本実施形態では、粒子21は、アルミナ(Al2O3)から形成されている。なお、粒子21を形成する材料は、アルミナに限定されず、例えば、YAG、TiO2、Y2O3、SiO2、Cr2O3、Nb2O5、Ta2O5など、薄膜22を形成する金属よりも融点が高い材料であればよい。反射膜20に含まれる粒子21の特徴の詳細は、後述する。
【0022】
図2は、第1実施形態の光源装置2の模式図である。本実施形態の光源装置2は、波長変換装置3と、光を発する光源4と、を備える。波長変換装置3は、波長変換部材1と、波長変換部材1の熱を放出する放熱部材30と、波長変換部材1と放熱部材30とを接合する接合層40と、を備える。波長変換装置3では、
図2に示すように、波長変換部材1のセラミック蛍光体10、波長変換部材1の反射膜20、接合層40、放熱部材30の順に積層される。光源装置2では、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)や半導体レーザー(LD:Laser Diode)などの光源4が発する光L1を波長変換装置3に照射する。光L1が照射された波長変換装置3では、波長変換装置3に照射される光L1とは異なる波長の光を発する。これにより、波長変換装置3は、光源4が発する光L1とは異なる色の光L2を放出する。このような波長変換装置3は、例えば、ヘッドランプ、照明、プロジェクタなどの各種光学機器において使用される。なお、
図2における波長変換装置3での、セラミック蛍光体10、反射膜20、放熱部材30、および、接合層40のそれぞれの大きさおよび厚みの関係は、説明の便宜上、実際の大きさまたは厚みの関係とは異なるように図示されている。
【0023】
放熱部材30は、例えば、銅(Cu)、銅モリブデン合金、銅タングステン合金、アルミニウム(Al)、窒化アルミニウム(AlN)など、セラミック蛍光体10よりも高い熱伝導性を有する材料から形成されている平板形状の部材である。放熱部材30は、接合層40を介して、セラミック蛍光体10から伝わる熱を波長変換装置3の外部に放出する。なお、放熱部材30は、上述した材料からなる単層構造の部材でなくてもよく、同種または異なる材料から形成されている多層構造の部材であってもよい。また、放熱部材30のセラミック蛍光体10側の面には、接合層40との密着性を高めるめっきが配置されていてもよい。
【0024】
接合層40は、波長変換部材1と放熱部材30との間に配置されている。接合層40は、金と錫とから形成されており、セラミック蛍光体10と放熱部材30とを接合する。接合層40は、セラミック蛍光体10と放熱部材30との間での熱のやり取りを行う。
【0025】
次に、光源装置2の製造方法を説明する。最初に、蛍光相と透光相が、例えば、6:4となるように、原料を秤量する。秤量した原料をエタノールまたは純水とともにボールミルに投入し、16時間粉砕混合をおこなうことで、セラミック蛍光体用のスラリーを作製する。セラミック蛍光体用のスラリーを乾燥し、造粒した後、バインダと、水とを加え、せん断力を加えながら混練を行うことで、坏土を作製する。作製した坏土を押出成形機でシート状に成形し、成形したシート状の成形体を大気雰囲気中において約1700℃で焼成する。焼成によって得られた焼成体を所定の厚みとなるように切断し、セラミック蛍光体10を作製する。
【0026】
セラミック蛍光体10を作製したのち、銀粉末(平均粒径約1~100μm)と、アルミナ粉末と、アクリル系のバインダと、溶剤とを混合し、反射膜用のペーストを作製する。作製した反射膜用のペーストを、セラミック蛍光体10の裏面12に塗布し、乾燥させた後、銀の融点(961.8℃)以上の温度、例えば、1000℃に加熱する。これにより、反射膜用のペーストがセラミック蛍光体10の裏面12に焼き付くことで、セラミック蛍光体10に反射膜20が成膜され、波長変換部材1が完成する。
【0027】
波長変換部材1が完成したのち、波長変換部材1の反射膜20と放熱部材30との間にAuSn半田箔を挟み込み、例えば、リフロー炉で加熱し、AuSn半田箔を溶融させる。これにより、波長変換部材1と放熱部材30とが接合し、波長変換装置3が完成する。最後に、波長変換装置3の入射面11に対して光L1が照射されるように、光源4を配置する。これにより、光源装置2が完成する。
【0028】
次に、反射膜20に含まれる粒子21の特徴について説明する。波長変換部材1の反射膜20に含まれる粒子21は、反射膜20に含まれる銀よりも融点が高いアルミナから形成されている。一般的に、波長変換部材の製造において、銀単体をセラミック蛍光体に焼き付けて反射膜を成膜する場合、セラミック蛍光体の裏面で加熱されて溶融した銀は、凝集しやすく、セラミック蛍光体の裏面に広がりにくい。このため、銀単体から均質な反射膜が形成されにくい場合がある。本実施形態のように、銀にアルミナ粒子を混合させた反射膜用のペーストは、溶融した銀単体に比べ粘性が高く、セラミック蛍光体10の裏面12に広がりやすいため、均質な反射膜20が形成されやすくなる。また、粒子21は、融点が銀よりも高いため、銀が溶融する温度でも粒子は溶融しない。これにより、セラミック蛍光体10への銀の焼き付けを十分に行うことができるため、セラミック蛍光体10と反射膜20との密着強度が向上するとともに、粒子21とセラミック蛍光体10との反応を抑制することができるため、セラミック蛍光体10の劣化を抑制することができる。さらに、粒子21を形成するアルミナの融点は、銀の融点より高いため、セラミック蛍光体10と反射膜20との界面に粒子21が集中することを抑制できる。これにより、反射膜20の反射率の低下を抑制することができる。
【0029】
波長変換部材1の反射膜20に含まれる粒子21は、比較的球形に近い形状を有している。具体的には、粒子21の断面を含む反射膜20の断面である粒子含有断面のうちの少なくとも1つの粒子含有断面において、粒子21の断面積を粒子の周囲長の2乗で割った値(以下、単に「断面積率」という)は、0.02以上となっている。粒子21の断面積率が0.02以上になると、波長変換部材1の製造時に、複数の粒子21は、溶融した銀の中で分散するため、粒子21同士が凝集しにくくなる。これにより、均質な反射膜20が形成されやすくなる。また、粒子21の断面積率が0.02以上になると、粒子21に気泡が付着しにくくなるため、反射膜20にボイドが生成されることを抑制できる。本実施形態では、粒子21の断面積率は、0.06となっている。
【0030】
波長変換部材1の反射膜20に含まれる粒子21は、粒子含有断面において、平均粒径が2μm以上50μm以下になっている。これにより、波長変換部材1の反射膜20を成膜するとき、溶融した銀の中で、粒子21には気泡がさらに付着しにくいため、さらにボイドが少ない均質な反射膜20を成膜しやすくなる。本実施形態では、粒子21の平均粒径は、7μmとなっている。
【0031】
次に、本実施形態における粒子21の断面積率と平均粒径との算出方法について、具体的に説明する。本実施形態では、上述した粒子21の断面積率と平均粒径とは、波長変換部材1における、互いに直交する2つの粒子含有断面を用いて算出する。
【0032】
図3は、波長変換部材1における粒子含有断面を説明する第1の図である。
図3には、略円柱状の波長変換部材1の斜視図を示している。
図3では、便宜的に、波長変換部材1の中心軸を中心軸Caとして示し、反射膜20をハッチングによって強調している。本実施形態では、波長変換部材1に対して想定される複数の粒子含有断面のうち、波長変換部材1における積層方向DLに沿った粒子含有断面CS1と、積層方向DLに対して垂直な方向に沿った粒子含有断面CS2との2つの断面のいずれにおいても、粒子21の断面積率と平均粒径とを算出する。
【0033】
図4は、波長変換部材1における粒子含有断面を説明する第2の図である。
図4には、粒子含有断面CS1のSEM画像の模式図(
図4(a))と、粒子含有断面CS2のSEM画像の模式図(
図4(b))と、を示す。
図4(a)のSEM画像には、反射膜20の断面とともに、セラミック蛍光体10の断面が含まれている。本実施形態の波長変換部材1では、
図4に示すように、反射膜20を形成する銀の薄膜22の中に、複数の粒子21が分散している。本実施形態では、
図4(b)に示す粒子含有断面CS2のSEM画像において、所定の面積(1mm
2)で粒子21が占める割合は、5%以上50%以下であることが好ましい。
【0034】
図5は、粒子含有断面に含まれる粒子21の拡大図である。
図5は、例えば、
図4(a)に示す粒子含有断面CS1のSEM画像の一部を拡大したものである。本実施形態では、
図4で示したような、上述した所定の面積を含む一定の範囲を撮像したSEM画像に含まれている粒子21について、粒子21の断面積Csa、粒子21の周囲長Pm、および、粒子21の粒径Psを測定する(
図5参照)。具体的には、画像処理ソフトWinROOFを用いて、粒子含有断面CS1,CS2のそれぞれのSEM画像を処理し、SEM画像中の粒子21が存在する部分から、粒子21の断面積Csa、周囲長Pm、および、粒径Psを測定する。ここで、粒子21の断面積Csaとは、SEM画像中の粒子21が存在する部分の面積を指し、粒子21の周囲長Pmは、SEM画像中の粒子21が存在する部分と薄膜22の部分との境界の長さを指す。粒子21の粒径Psとは、
図5に示すように、SEM画像中の粒子21が存在する部分において、最も長い部分の長さ(最大粒径)を指す。本実施形態では、粒子含有断面CS1,CS2のそれぞれのSEM画像に含まれる粒子21のそれぞれについて、断面積Csa、周囲長Pm、および、粒径Psを測定する。
【0035】
粒子21の断面積率は、1つの粒子21について、断面積Csaを周囲長Pmの2乗で割ることで算出される。
図4に示すように、1つのSEM画像に複数の粒子21が含まれる場合、複数の粒子21のそれぞれについて測定した断面積Csaと周囲長Pmとから複数の粒子21のそれぞれの断面積率を算出し、1つのSEM画像に含まれる複数の粒子21のそれぞれの断面積率から、1つのSEM画像における平均の断面積率を算出する。このようにして1つのSEM画像において算出される平均の断面積率を、その反射膜に含まれる粒子の断面積率とする。本実施形態では、1つのSEM画像に含まれる任意の10個の粒子21のそれぞれの断面積率を用いて算出される平均の断面積率を、反射膜20に含まれる粒子21の断面積率とする。本実施形態の波長変換部材1では、セラミック蛍光体10と反射膜20との積層方向DLに沿った粒子含有断面CS1と、積層方向DLに対して垂直な方向に沿った粒子含有断面CS2のいずれにおいても、粒子21の断面積Csaを粒子21の周囲長Pmの2乗で割った値、すなわち、断面積率は、0.05以上の0.06となっている。
【0036】
波長変換部材1における粒子21の平均粒径は、
図4に示すように、1つのSEM画像に複数の粒子21が含まれる場合には、上述の断面積率の算出方法と同様に、複数の粒子21のそれぞれについて測定した粒径Psから、1つのSEM画像における、粒子21の平均粒径を算出する。1つのSEM画像に1つの粒子21しか含まれない場合には、その粒子21の粒径を、「波長変換部材1における粒子21の平均粒径」とする。1つのSEM画像に複数の粒子21が含まれる場合、複数の粒子21のそれぞれの粒径Psを用いて求められる標準偏差を粒径Psの平均粒径で割った値、すなわち、変動係数は、10%以上30%以下であることが好ましい。本実施形態の波長変換部材1では、少なくとも1つの粒子含有断面において、粒子21の平均粒径は、2μm以上となっている。
【0037】
次に、波長変換部材の評価試験について説明する。本評価試験では、波長変換部材が備える反射膜中に分散している粒子の形状および平均粒径を変数として実験を行い、反射膜に含まれる粒子の特性が発光強度に与える影響を評価した。本評価試験に用いたサンプルは、セラミック蛍光体と反射膜とを備える波長変換部材であって、銀とアルミナ粒子(添加量:10体積%)との混合物を反射膜用のペーストとして用いて、上述した本実施形態の波長変換部材1の製造方法で製造した。
【0038】
図6は、波長変換部材の評価試験の方法を説明する図である。本評価試験では、セラミック蛍光体s10と反射膜s20とを備える波長変換部材のサンプルSpに対して、レーザ光源s3を用いて、波長450nmのレーザ光Lz1をセラミック蛍光体s10の表面s11に垂直に入射するように、照射した。レーザ光Lz1が照射されるサンプルSpから放射される光のうち、レーザ光Lz1の照射方向に対して45度の角度で放射される光L3の強度を、サンプルSpの発光強度として、パワーメータ50によって測定した。本評価試験では、10種類のサンプルに対して評価試験を行い、それぞれのサンプルについて測定された発光強度を、粒子が含まれていない反射膜(膜厚120nm)を備える波長変換部材の発光強度で割ることで、サンプルごとに「発光強度比」を算出した。算出された発光強度比が90%以上の場合、評価結果を「A」とし、算出された発光強度比が90%より小さく80%以上の場合、評価結果を「B」とし、算出された発光強度比が80%より小さい場合、評価結果を「C」とした。
【0039】
図7は、波長変換部材の評価試験の結果を説明する図である。
図7において、「Csa/Pm
2」は、サンプルSpの粒子含有断面におけるアルミナ粒子の断面積をアルミナ粒子の周囲長の2乗で割った値(断面積率)を示し、「粒子の平均粒径」は、サンプルSpの粒子含有断面におけるアルミナ粒子の平均粒径を示している。各サンプルの「Csa/Pm
2」および「粒子の平均粒径」は、本実施形態の波長変換部材1における粒子21の断面積率および平均粒径の算出方法と同じ方法で算出した。
【0040】
図7に示すように、Csa/Pm
2が0.01のサンプル1およびサンプル2は、発光強度比が80%より小さくなる(評価:C)ことが明らかとなった。一方、Csa/Pm
2が0.02以上のサンプル3~10では、発光強度比が80%以上となる(評価:BまたはA)ことが明らかとなった。これは、サンプル3~10では、反射膜s20に含まれているアルミナ粒子の形状が比較的球形に近いため、波長変換部材のサンプルの製造において反射膜s20を成膜するとき、アルミナ粒子が分散しやすく、かつ、アルミナ粒子には気泡が付着しにくいためである。
【0041】
また、反射膜s20に含まれるアルミナ粒子の平均粒径が同じサンプル4,5,6のそれぞれの発光強度比を比較すると、Csa/Pm2が大きくなるほど、発光強度比が大きくなることが明らかとなった。特に、Csa/Pm2が0.02のサンプル4と、Csa/Pm2が0.05以上のサンプル5、6とを比較すると、Csa/Pm2が0.05以上となることで、発光強度比が顕著に大きくなることが明らかとなった。これは、Csa/Pm2が0.02のサンプル4よりも、Csa/Pm2が0.05以上のサンプル5、6の方が、反射膜s20に含まれるアルミナ粒子の形状がより一層球形に近いため、アルミナ粒子がさらに分散しやすく、かつ、アルミナ粒子には気泡がさらに付着しにくいためである。
【0042】
Csa/Pm2が0.02のサンプル3とサンプル4について、アルミナ粒子の平均粒径が1μmのサンプル3よりもアルミナ粒子の平均粒径が2μmのサンプル4の方が、発光強度比が大きくなることが明らかとなった。これは、アルミナ粒子の粒径が大きくなるほど、反射膜s20を成膜するとき、アルミナ粒子には気泡が付着しにくいため、反射膜s20にボイドが生成されることを抑制できるためである。
【0043】
Csa/Pm2が0.06のサンプル6~10について、アルミナ粒子の平均粒径が2μmのサンプル6よりもアルミナ粒子の平均粒径が4μm以上のサンプル7~10の方が、発光強度比が大きくなることが明らかとなった。これは、Csa/Pm2が0.02のサンプル3とサンプル4との関係と同様に、アルミナ粒子の粒径が大きくなるほど、反射膜s20を成膜するとき、アルミナ粒子には気泡が付着しにくいため、反射膜s20にボイドが生成されることを抑制できるためである。
【0044】
以上説明した、本実施形態の波長変換部材1によれば、光を反射する銀を含む反射膜20には、銀よりも融点が高いアルミナから形成されている粒子21が含まれている。一般的に、銀は、溶融すると凝集しやすいため、反射膜を成膜するとき、蛍光体の表面で広がりにくく、均質な反射膜が形成されにくい。波長変換部材1では、セラミック蛍光体10に塗布される反射膜用のペーストとして、銀よりも融点が高いアルミナから形成されている粒子21を含む金属が用いられる。これにより、反射膜20の原料は、粘性が上がり、セラミック蛍光体10の裏面12に広がりやすくなるため、均質な反射膜20が形成されやすくなる。したがって、波長変換部材1の発光強度を向上させることができる。
【0045】
また、本実施形態の波長変換部材1によれば、粒子21は、融点が銀よりも高いため、銀が溶融する温度でも溶融しない。これにより、セラミック蛍光体10への銀の焼き付けを十分に行うことができるとともに、粒子21とセラミック蛍光体10との反応を抑制することができるため、セラミック蛍光体10の劣化を抑制することができる。一般的に、反射膜の原料に金属と粒子とが含まれている場合、反射膜を成膜するときに粒子が溶融すると、溶融した粒子は、溶融している金属中を移動し、セラミック蛍光体と反射膜との界面に集中するおそれがあり、反射膜の反射率が低下する。しかしながら、波長変換部材1では、粒子21は銀が溶融する温度でも溶融しないため、セラミック蛍光体10と反射膜20との界面に粒子21が集中することを抑制することができる。これにより、反射膜20の反射率の低下を抑制することができる。
【0046】
また、本実施形態の波長変換部材1によれば、粒子21は、粒子21の断面を含む反射膜の断面である粒子含有断面CS1,CS2において、断面積Csaを周囲長Pmの2乗で割った値が、0.02以上であり、形状が比較的球形に近い。これにより、粒子21が凝集しにくくなるため、均質な反射膜20が形成されやすくなる。さらに、形状が比較的球形に近い粒子21には気泡が付着しにくいため、反射膜20にボイドが生成されることを抑制できる。これにより、ボイドが少ない均質な反射膜20を成膜しやすくなる。したがって、波長変換部材1の発光強度を向上させることができる。
【0047】
また、本実施形態の波長変換部材1によれば、粒子含有断面のうち、セラミック蛍光体10と反射膜20との積層方向DLに沿った粒子含有断面CS1と、積層方向DLに対して垂直な方向に沿った粒子含有断面CS2のいずれにおいても、粒子21の断面積Csaを粒子21の周囲長Pmの2乗で割った値は、0.02以上となっている。すなわち、粒子21は、互いに垂直な方向のそれぞれに沿った粒子含有断面においても、粒子21の断面積Csaを粒子21の周囲長Pmの2乗で割った値が0.02以上となることから、より一層球形に近い形状をなしている。これにより、複数の粒子21がさらに凝集しにくく、かつ、粒子21には気泡がさらに付着しにくいため、さらに均質な反射膜20を成膜しやすくなる。したがって、波長変換部材1の発光強度をさらに向上させることができる。
【0048】
また、本実施形態の波長変換部材1によれば、粒子含有断面CS1,CS2において、粒子21の平均粒径は、2μm以上になっている。これにより、粒子21には、気泡がさらに付着しにくくなるため、さらにボイドが少ない均質な反射膜20を成膜しやすくなる。したがって、波長変換部材1の発光強度をさらに向上させることができる。
【0049】
また、本実施形態の波長変換部材1によれば、粒子含有断面CS1,CS2において、粒子21は、断面積Csaを周囲長Pmの2乗で割った値が0.05以上となっている。すなわち、粒子21は、より一層球形に近い形状をなしている。これにより、粒子21には、気泡がさらに付着しにくくなるため、さらにボイドが少ない均質な反射膜20を成膜しやすくなる。したがって、波長変換部材1の発光強度をさらに向上させることができる。
【0050】
また、本実施形態の波長変換装置3によれば、波長変換装置3は、セラミック蛍光体10の熱を外部に放出する放熱部材30を備えている。これにより、入射する光の波長を変換するセラミック蛍光体10で発生する熱を放熱部材30によって放出することができるため、熱によるセラミック蛍光体10の劣化を抑制することができる。したがって、波長変換装置3の発光強度を維持することができる。
【0051】
また、本実施形態の光源装置2によれば、光源装置2は、セラミック蛍光体10に光を照射する光源4を備える。これにより、発光強度が向上している波長変換部材1は、外部からの光とは異なる波長の光をより強く放射することができるため、光源装置2の発光強度を向上させることができる。
【0052】
<本実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0053】
[変形例1]
上述の実施形態では、波長変換装置3は、波長変換部材1と、接合層40と、放熱部材30とを備え、波長変換部材1は、セラミック蛍光体10と、反射膜20と、を備えるとした。しかしながら、波長変換部材1および波長変換装置3の構成は、これらに限定されない。封止膜やめっき層などを備えていてもよい。
【0054】
[変形例2]
上述の実施形態では、波長変換部材1における粒子21の断面積率は、0.05以上であるとした。しかしながら、粒子21の断面積率は、0.02以上であればよい。断面積率が0.02以上であれば、粒子は、比較的球形に近い形状を有するため、粒子同士が凝集しにくく、かつ、粒子には気泡が付着しにくくなる。
【0055】
[変形例3]
上述の実施形態では、波長変換部材1の積層方向DLに沿った粒子含有断面CS1と、積層方向DLに対して垂直な方向に沿った粒子含有断面CS2とのいずれにおいても、粒子21の断面積率が0.05以上であるとした。しかしながら、粒子21の断面積率を算出するための粒子含有断面は、これらに限定されない。粒子含有断面のうちの少なくとも1つの粒子含有断面において、断面積率が0.02以上であればよい。また、平均粒径についても同様である。
【0056】
[変形例4]
上述の実施形態では、反射膜20の1つのSEM画像に含まれる任意の10個の粒子21のそれぞれの断面積率を用いて算出される平均の断面積率を、反射膜20に含まれる粒子21の断面積率とした。平均の断面積率を算出するための粒子21の数は、10個に限定されないが、10個以上であることが好ましい。
【0057】
[変形例5]
上述の実施形態では、粒子含有断面において、反射膜20に含まれる粒子21は、平均粒径が2μm以上50μm以下になっているとした。しかしながら、粒子の平均粒径は、2μmより小さくてもよく、50μmより大きくてもよい。粒子の平均粒径が2μm以上50μm以下となることで、波長変換部材の反射膜を成膜するとき、溶融した銀の中で、粒子には気泡がさらに付着しにくくなるため、さらにボイドが少ない均質な反射膜を成膜しやすくなる。
【0058】
[変形例6]
上述の実施形態では、粒子含有断面のSEM画像から、SEM画像中の粒子21が存在する部分のうち、最も長い部分の長さを1つの粒子21の粒径として、粒子21の平均粒径を算出するとした。しかしながら、粒子21の平均粒径の算出方法は、これに限定されない。セラミック蛍光体10に形成されている反射膜20を溶解することで反射膜20に含まれる粒子21を回収し、回収した粒子のそれぞれの粒径を測定してから、粒子21の平均粒径を算出してもよい。
【0059】
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
【0060】
[適用例1]
波長変換部材であって、
入射する光の波長を変換するセラミック蛍光体と、
前記セラミック蛍光体上に配置され、光を反射する金属を含む反射膜と、を備え、
前記反射膜は、前記反射膜の金属よりも融点が高い材料から形成されている粒子を含んでおり、
前記粒子の断面を含む前記反射膜の断面である粒子含有断面のうちの少なくとも1つの粒子含有断面において、前記粒子の断面積を前記粒子の周囲長の2乗で割った値は、0.02以上である、
ことを特徴とする波長変換部材。
[適用例2]
適用例1に記載の波長変換部材であって、
前記粒子含有断面のうち、前記セラミック蛍光体と前記反射膜との積層方向に沿った粒子含有断面と、前記積層方向に対して垂直な方向に沿った粒子含有断面のいずれにおいても、前記粒子の断面積を前記粒子の周囲長の2乗で割った値は、0.02以上である、
ことを特徴とする波長変換部材。
[適用例3]
適用例1または適用例2に記載の波長変換部材であって、
前記粒子含有断面において、前記粒子の平均粒径は、2μm以上である、
ことを特徴とする波長変換部材。
[適用例4]
適用例1から適用例3のいずれか一例に記載の波長変換部材であって、
前記粒子含有断面において、前記粒子の断面積を前記粒子の周囲長の2乗で割った値は、0.05以上である、
ことを特徴とする波長変換部材。
[適用例5]
波長変換装置であって、
適用例1から適用例4のいずれか一例に記載の波長変換部材と、
前記セラミック蛍光体の熱を外部に放出する放熱部材と、
前記波長変換部材と前記放熱部材とを接合する接合層と、を備える、
ことを特徴とする波長変換装置。
[適用例6]
光源装置であって、
適用例5に記載の波長変換装置と、
前記セラミック蛍光体に光を照射する光源と、を備える、
ことを特徴とする、光源装置。
【符号の説明】
【0061】
1…光源装置
2…波長変換部材
3…光源
4…波長変換装置
10…セラミック蛍光体
20…反射膜
21…粒子
30…放熱部材
40…接合層
CS1,CS2…粒子含有断面
Csa…断面積
DL…積層方向
Pm…周囲長