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特開2024-138004情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138004
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/123 20060101AFI20240927BHJP
   G06Q 50/40 20240101ALI20240927BHJP
【FI】
G08G1/123 A
G06Q50/40
【審査請求】有
【請求項の数】28
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024113988
(22)【出願日】2024-07-17
(62)【分割の表示】P 2024076939の分割
【原出願日】2019-07-17
(31)【優先権主張番号】P 2018138679
(32)【優先日】2018-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100154036
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健斗
(72)【発明者】
【氏名】梅田 哲士
(57)【要約】
【課題】移動体を用いた輸送対象物の輸送をより効率的にする仕組みを提供する。
【解決手段】輸送対象物を積み輸送する移動体に対する移動指示を生成する情報処理装置であって、空間ごとの前記輸送対象物に関する情報を取得する第1の取得部と、前記移動体が前記移動指示に従い移動するか否かの傾向を示す情報を取得する第2の取得部と、前記輸送対象物に関する情報及び前記傾向を示す情報に基づいて、前記移動体に対する前記移動指示を生成する生成部と、を備える情報処理装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配車成功指数を算出する情報処理装置により実行される情報処理方法であって、
配車リクエストに基づき、配車位置候補の需要と配車位置候補へのタクシーの供給を予測することと、
前記需要予測と前記供給予測から、配車成功指数を算出することと、
を含む、
情報処理方法。
【請求項2】
前記需要予測と前記供給予測と、配車位置候補の到着予定時刻とに基づいて、配車成功指数を算出する、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記到着予定時刻は、交通情報、配車位置候補、現在の車両ログに基づいて、算出される、
請求項2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
所定時間単位で予測する、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項5】
配車位置候補への到着予定時刻における、需要予測と供給予測に基づいて、配車成功指数を算出する、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項6】
天気データまたは交通情報を含むオープンデータ、もしくは配車リクエストが入力されると、需要予測を再度行う、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項7】
天気データまたは交通情報を含むオープンデータ、もしくは車両ログが入力されると、供給予測を再度行う、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項8】
需要予測、供給予測、配車情報または交通情報のいずれかが入力された場合に配車成功指数を再度算出する、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項9】
配車成功指数に基づいて、配車指示を生成すること、
をさらに含む、
請求項1に記載の情報処理方法
【請求項10】
前記情報処理装置は、複数のハードウェアの組み合わせから成る、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項11】
前記配車位置候補は、配車位置として設定可能な空間である、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項12】
前記配車位置候補は、地理的な位置情報により定義される、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項13】
前記空間は、網目状に区切られた矩形である、
請求項11に記載の情報処理方法。
【請求項14】
前記配車成功指数は、配車が成功する確率である、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項15】
配車成功指数を算出するシステムであって、
配車リクエストに基づき、配車位置候補の需要と配車位置候補へのタクシーの供給を予測する予測部と、
前記需要予測と前記供給予測から、配車成功指数を算出する計算部、と
を備える、
システム。
【請求項16】
前記計算部は、前記需要予測と前記供給予測と、配車位置候補の到着予定時刻とに基づいて、配車成功指数を算出する、
請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記到着予定時刻は、交通情報、配車位置候補、現在の車両ログに基づいて、算出される、
請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記予測部は、所定時間単位で予測する、
請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
前記計算部は、配車位置候補への到着予定時刻における、需要予測と供給予測に基づいて、配車成功指数を算出する、
請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
前記予測部は、天気データまたは交通情報を含むオープンデータ、もしくは配車リクエストが入力されると、需要予測を再度行う、
請求項15に記載のシステム。
【請求項21】
前記予測部は、天気データまたは交通情報を含むオープンデータ、もしくは車両ログが入力されると、供給予測を再度行う、
請求項15に記載のシステム。
【請求項22】
前記計算部は、需要予測、供給予測、配車情報または交通情報のいずれかが入力された場合に配車成功指数を再度算出する、
請求項15に記載のシステム。
【請求項23】
配車成功指数に基づいて、配車指示を生成する生成部、
をさらに備える、
請求項15に記載のシステム
【請求項24】
前記配車位置候補は、配車位置として設定可能な空間である、
請求項15に記載のシステム。
【請求項25】
前記配車位置候補は、地理的な位置情報により定義される、
請求項15に記載のシステム。
【請求項26】
前記空間は、網目状に区切られた矩形である、
請求項24に記載のシステム。
【請求項27】
前記配車成功指数は、配車が成功する確率である、
請求項15に記載のシステム。
【請求項28】
配車成功指数を算出する情報処理装置により実行される情報処理方法であって、
配車リクエストから配車位置候補の需要量を取得することと、
配車位置候補へのタクシーの供給量を取得することと、
前記需要量と前記供給量から、配車成功指数を算出すること、
を含む、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ドローン及び自動運転技術等の、移動体に関する技術が多く開発されている。そのひとつとして、移動体を用いて輸送対象物を効率的に輸送するための技術がある。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、地区ごとにタクシーの需要予測を行い、需要の発生が予測された地区に近いタクシーに対し優先的に当該地区への配車を指示する配車システムの技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-129302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に開示された技術では、ドライバー(即ち、乗務員)が配車システムの指示に従うことが想定されており、指示に従わないドライバーの存在が想定されていなかった。そのため、配車システムの指示に従わないドライバーが、配車システムにとって予測外の動きをすることで、配車システムの指示に従うドライバーとの間で需要を食い合ってしまい、全体的な配車計画が非効率なものとなるおそれがあった。
【0006】
そこで、本開示では、移動体を用いた輸送対象物の輸送をより効率的にする仕組みを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示によれば、輸送対象物を積み輸送する移動体に対する移動指示を生成する情報処理装置であって、空間ごとの前記輸送対象物に関する情報を取得する第1の取得部と、前記移動体が前記移動指示に従い移動するか否かの傾向を示す情報を取得する第2の取得部と、前記輸送対象物に関する情報及び前記傾向を示す情報に基づいて、前記移動体に対する前記移動指示を生成する生成部と、を備える情報処理装置が提供される。
【0008】
また、本開示によれば、輸送対象物を積み輸送する移動体に対する移動指示を生成するための情報処理方法であって、空間ごとの前記輸送対象物に関する情報を取得することと、前記移動体が前記移動指示に従い移動するか否かの傾向を示す情報を取得することと、前記輸送対象物に関する情報及び前記傾向を示す情報に基づいて、前記移動体に対する前記移動指示を生成することと、を含む、プロセッサにより実行される情報処理方法が提供される。
【0009】
また、本開示によれば、輸送対象物を積み輸送する移動体に対する移動指示を生成する情報処理装置を制御するコンピュータを、空間ごとの前記輸送対象物に関する情報を取得する第1の取得部と、前記移動体が前記移動指示に従い移動するか否かの傾向を示す情報を取得する第2の取得部と、前記輸送対象物に関する情報及び前記傾向を示す情報に基づいて、前記移動体に対する前記移動指示を生成する生成部と、として機能させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように本開示によれば、移動体を用いた輸送対象物の輸送をより効率的にする仕組みが提供される。なお、上記の効果は必ずしも限定的なものではなく、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書に示されたいずれかの効果、または本明細書から把握され得る他の効果が奏されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の一実施形態に係る配車システムの全体構成の一例を示す図である。
図2】本実施形態に係る配車制御装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図3】本実施形態に係る配車モード選択画面の一例を示す図である。
図4】本実施形態に係るフルオート配車モードの配車情報入力画面の一例を示す図である。
図5】本実施形態に係るセミオート配車モードの配車情報入力画面の一例を示す図である。
図6】本実施形態に係るマニュアル配車モードの配車情報入力画面の一例を示す図である。
図7】本実施形態に係る需要予測の一例を説明するための図である。
図8】本実施形態に係る配車システム依存度の計算方法の一例を説明するための図である。
図9】本実施形態に係るナビゲーション画面の一例を示す図である。
図10】本実施形態に係る配車成功指数の計算ロジックの一例を示す図である。
図11】本実施形態に係る配車成功指数と需給バランスとの関係を説明するための図である。
図12】本実施形態に係る配車制御装置において実行される配車処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図13】本実施形態に係る配車制御装置において実行される情報更新処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図14】本実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0013】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.はじめに
1.1.全体構成
1.2.技術的課題
2.提案技術の概要
3.機能構成例
4.処理の流れ
5.ハードウェア構成例
6.まとめ
【0014】
<<1.はじめに>>
<1.1.全体構成>
図1は、本開示の一実施形態に係る配車システムの全体構成の一例を示す図である。図1に示すように、配車システム1には、配車制御装置100、輸送対象物2及び移動体3が関与する。
【0015】
・移動体3
移動体3は、陸上、空中、水上、水中又は宇宙空間等の実空間を任意に移動する。例えば、移動体3は、トラック、バス若しくはタクシー等の車両、飛行機若しくはドローン等の飛行体、船、潜水艦、又は人工衛星等として実現され得る。移動体3は、任意の輸送対象物を積み輸送することができる。輸送対象物としては、人間、動物、又は貨物等が挙げられる。本明細書では、移動体3はタクシーであり、輸送対象物2は顧客(人間)であるものとし、配車のユースケースについて説明する。
【0016】
図1に示すように、タクシー3は、車両ログ生成装置300及びドライバー端末310が対応付けられる。典型的には、タクシー3に、車両ログ生成装置300及びドライバー端末310が搭載される。図1に示すように、タクシー3は複数存在することが想定される。即ち、配車システム1は、複数の車両ログ生成装置300及び複数のドライバー端末310を含む。
【0017】
車両ログ生成装置300は、車両ログ生成装置300が搭載されたタクシー3の車両ログを生成し、配車制御装置100に送信する。
【0018】
ドライバー端末310は、典型的にはドライバーに操作される。ドライバー端末310は、配車制御装置100から受信した情報を出力する。また、ドライバー端末310は、ドライバーから入力された情報を配車制御装置100に送信する。
【0019】
・顧客2
顧客2は、輸送対象物の一例である。図1に示すように、顧客2は、顧客端末200が対応付けられる。図1に示すように、顧客2は複数存在することが想定される。即ち、配車システム1は、複数の顧客端末200を含む。
【0020】
顧客端末200は、典型的には顧客2に操作される。顧客端末200は、配車制御装置100から受信した情報を出力する。また、顧客端末200は、顧客2から入力された情報を配車制御装置100に送信する。
【0021】
・配車制御装置100
配車制御装置100は、配車を行う情報処理装置である。配車とは、タクシー3をある時刻にある空間に移動するよう、タクシー3に移動先の空間を割り当てることを指す。具体的には、配車制御装置100は、タクシー3(又はタクシー3のドライバー)に対する移動指示を生成する。ここでの移動指示とは、タクシー3に対し移動して顧客2を乗せるよう指示する情報である。移動指示は、顧客2を乗せる位置であって、タクシー3の移動先の空間(以下、配車位置とも称する)を指示する情報を、少なくとも含む。このような移動指示を、以下では配車指示とも称する。
【0022】
<1.2.技術的課題>
(1)第1の課題
配車制御装置100は、典型的には、タクシー3の需要量を予測して、需要量に基づいて配車を行う。しかし、予測に基づいて生成された配車指示に従っても、配車が成功する確率(即ち、配車位置において顧客を乗せることに成功する確率)が高いとは限らない。即ち、配車指示において指示された配車位置に移動しても、顧客2を乗せられる保証がない。タクシー3のドライバーの賃金制度が、基本的には歩合制度であることを考慮すれば、タクシー3のドライバーにとっては、配車の成功が保障されていない配車指示には従いにくい。とりわけ、経験豊富なベテランドライバーには、その傾向が強いと考えられる。そのため、配車システム1の指示に従いにくい、という心理的な障害が軽減される仕組みが提供されること望ましい。
【0023】
(2)第2の課題
上記第1の課題において説明したように、配車システム1の指示に従うには、心理的な障害が存在する。そのため、配車システム1の指示に従わないドライバーが存在し得る。配車システム1の指示に従わないドライバーが、配車システム1にとって予測外の動きをすることで、配車システム1の指示に従うドライバーとの間で需要を食い合ってしまい、配車指示の成功確率が低下し、全体的な配車計画が非効率なものとなるおそれがある。そのため、配車指示の成功確率を高く維持する仕組みが提供されることが望ましい。
【0024】
<<2.提案技術の概要>>
(1)第1の特徴
提案技術の第1の特徴は、配車システム1の指示に従う率(後述する配車システム依存度)の高いタクシー3に対し、成功確率(後述する配車成功指数)が高い配車指示を割り当てることである。これにより、配車システム1の指示に従う率の高いタクシー3は、売上を効率的に伸ばすことが可能となる。従って、配車指示に従うことに対する心理的な障害を軽減することができ、配車システム1の指示に従うようドライバーに促すことが可能となる。これにより、第1の課題が解決される。
【0025】
さらには、配車システム1の指示に従うようドライバーに促すことで、配車システム1の指示に従うドライバーの割合を増加させることができる。これにより、配車システム1の指示に従わないドライバーと配車システム1の指示に従うドライバーとの間の需要の食い合いを少なくすることができ、その結果、配車指示の成功確率を高く維持することが可能となる。このようにして、第2の課題も解決される。
【0026】
(2)第2の特徴
提案技術の第2の特徴は、配車指示の成功確率を高く維持することに関する。
【0027】
配車システム1は、配車システム1の指示に従わないタクシー3の行動を予測して、予測結果に基づいて配車を行う。例えば、配車システム1は、ドライバー端末310において、移動予定を入力させる画面(後述する配車情報入力画面)を表示させて、移動予定(後述する配車情報)の入力を促す。また、配車システム1は、移動予定の入力が得られなかったタクシー3に関しては、種々の情報に基づいて移動予定を予測する。これらにより、配車システム1は、配車システム1の指示に従わないタクシー3の行動を加味して配車することが可能となる。これにより、需要の食い合いが防止することが可能となり、その結果、配車指示の成功確率を高く維持することが可能となる。このようにして、第2の課題が解決される。
【0028】
配車システム1は、配車指示の成功確率が低下する場合に、再度の配車を行って、配車指示を再生成する。例えば、配車システム1は、需要の食い合い等に起因して配車指示の成功確率が低下する場合に、再度の配車を行う。その結果、配車指示の成功確率を高く維持することが可能となる。このようにして、第2の課題が解決される。
【0029】
<<3.機能構成例>>
図2は、本実施形態に係る配車制御装置100の機能構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、配車制御装置100は、オープンデータ記憶部101、配車リクエスト取得部102、配車リクエスト記憶部103、及び交通情報記憶部104を含む。また、配車制御装置100は、車両ログ取得部111、車両ログ記憶部112、配車履歴抽出部113、及び配車履歴記憶部114を含む。また、配車制御装置100は、配車モード選択情報取得部121、配車情報取得部122、及び配車情報記憶部123を含む。また、配車制御装置100は、需要予測部131、需要予測結果記憶部132、配車予測部133、配車予測結果記憶部134、配車システム依存度計算部135、及び配車システム依存度記憶部136を含む。また、配車制御装置100は、配車成功指数計算部141、配車成功指数記憶部142、及び配車部143を含む。
【0030】
(1)機能構成の概要
以下、配車制御装置100の機能と図2に示した機能構成との関係を説明する。
【0031】
・第1の取得部
配車制御装置100は、配車位置候補ごとの顧客2に関する情報を取得する第1の取得部を備える。配車位置候補ごとの顧客2に関する情報は、配車位置候補ごとの顧客2の積み込み成功確率を示す情報を含む。積み込み成功確率とは、タクシー3が配車位置候補に移動したときに、実際に顧客2を乗せることができる度合いである。積み込み成功確率を、以下では配車成功指数とも称する。配車成功指数は、後述する配車成功指数計算部141による計算により取得される。即ち、配車成功指数計算部141は、第1の取得部に相当する。
【0032】
配車位置候補とは、配車位置として設定可能な空間である。配車位置候補は、地理的な位置情報(即ち、水平方向の位置情報(例えば、緯度情報及び経度情報))により定義され得る。配車位置候補は、実空間が水平方向に網目状に区切られた場合の、各々の区切られた矩形(以下、セルとも称する)であってもよい。配車位置候補は、地理的な位置情報に加えて、高さ方向の位置情報により定義されてもよい。
【0033】
・第2の取得部
配車制御装置100は、タクシー3(より詳しくは、タクシー3のドライバー)が配車指示に従い移動するか否かの傾向を示す情報を取得する第2の取得部を備える。かかる傾向を示す情報を、配車システム依存度とも称する。配車システム依存度が高いタクシー3ほど、配車システム1の指示通りに動きやすく、配車システム依存度が低いタクシー3ほど、配車システム1の指示通りに動きにくい。配車システム依存度は、タクシー3のドライバーに対応付けられる情報とも捉えることができる。配車システム依存度は、後述する配車システム依存度計算部135による計算により取得される。即ち、配車システム依存度計算部135は、第2の取得部に相当する。
【0034】
・第3の取得部
配車制御装置100は、タクシー3から(より正確にはタクシー3に搭載されたドライバー端末310から)タクシー3の移動予定を示す情報を取得する第3の取得部をさらに備える。タクシー3の移動予定とは、配車予定である。配車予定を示す情報を、以下では配車情報とも称する。配車情報は、タクシー3がどこを配車位置(移動先の空間)として行動する予定であるかを示す情報であり、タクシー3のドライバーにより入力される。配車情報は、確度が比較的高い供給予測であるとも捉えることができる。配車情報は、後述する配車情報取得部122により取得される。即ち、配車情報取得部122は、第3の取得部に相当する。
【0035】
第3の取得部は、タクシー3からの(より正確にはタクシー3に搭載されたドライバー端末310からの)タクシー3の移動予定を示す情報の取得に失敗した場合、タクシー3の移動予定を予測し、移動予定の予測結果を取得する。移動予定を予測することを、以下では配車予測とも称し、移動予定の予測結果を、以下では配車予測結果とも称する。配車予測は、配車情報を入力しないタクシー3のドライバーが、どのように行動して配車を行うかの予測である。配車予測結果は、確度が比較的低い供給予測であるとも捉えることができる。配車予測は、後述する配車予測部133により行われる。即ち、配車予測部133は、第3の取得部に相当する。
【0036】
・生成部
配車制御装置100は、第1の取得部、第2の取得部及び/又は第3の取得部により取得された情報に基づいて、配車指示を生成する生成部を備える。配車指示は、後述する配車部143により生成される。即ち、配車部143は、生成部に相当する。
【0037】
(2)各構成要素の詳細
以下、図2に示した各構成要素の詳細を説明する。
【0038】
・オープンデータ記憶部101
オープンデータ記憶部101は、オープンデータを記憶する機能を有する。オープンデータとしては、天気及び電車遅延等の、需要予測又は供給予測(本明細書では配車予測)に用いられるデータが挙げられる。オープンデータ記憶部101は、検索リクエストに応じてデータを検索及び出力することができる。オープンデータ記憶部101は、記憶したオープンデータを、需要予測部131及び配車予測部133に出力する。
【0039】
・配車リクエスト取得部102
配車リクエスト取得部102は、顧客端末200からの配車リクエストを取得する機能を有する。配車リクエスト取得部102は、取得した配車リクエストを配車リクエスト記憶部103に出力する。配車リクエストとは、タクシー3に迎えに来るよう要求する情報である。配車リクエストのフォーマットの一例を、下記の表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
・配車リクエスト記憶部103
配車リクエスト記憶部103は、過去の配車リクエストを記憶する機能を有する。配車リクエスト記憶部103は、検索リクエストに応じてデータを検索及び出力することができる。配車リクエスト記憶部103は、記憶した配車リクエストを、需要予測部131に出力する。
【0042】
・交通情報記憶部104
交通情報記憶部104は、交通情報を記憶する機能を有する。交通情報記憶部104は、検索リクエストに応じてデータを検索及び出力することができる。交通情報記憶部104は、記憶した交通情報を、配車成功指数計算部141に出力する。交通情報とは、通常と異なる交通状態(例えば、交通事故又は渋滞等)の発生に関する情報である。交通情報のフォーマットの一例を、下記の表2に示す。
【0043】
【表2】
【0044】
対象区間とは、交通情報の対象となる区間(例えば、道路)である。対象区間識別情報は、対象区間である道路の識別情報、又は対象区間である道路の始点及び終点の交差点の識別情報である。なお、交通情報は、タクシー3の配車位置への到着時刻を予測するために用いられる。交通情報のフォーマットは、経路探索のアルゴリズム及びデータモデルによって異なり得る。
【0045】
・車両ログ取得部111
車両ログ取得部111は、車両ログ生成装置300から車両ログを取得する機能を有する。車両ログ取得部111は、取得した車両ログを車両ログ記憶部112に出力する。車両ログとは、タクシー3の動作状態を示す情報である。車両ログのフォーマットの一例を、下記の表3に示す。
【0046】
【表3】
【0047】
・車両ログ記憶部112
車両ログ記憶部112は、車両ログを記憶する機能を有する。車両ログ記憶部112は、検索リクエストに応じてデータを検索及び出力することができる。車両ログ記憶部112は、記憶した車両ログを、配車履歴抽出部113、配車予測部133、配車システム依存度計算部135、配車成功指数計算部141、及び配車部143に出力する。
【0048】
・配車履歴抽出部113
配車履歴抽出部113は、車両ログから配車履歴を抽出する機能を有する。配車履歴とは、タクシー3が顧客2を乗せて走った履歴である。例えば、配車履歴抽出部113は、車両状態が空車から実車を経て空車になるまでの車両ログから実車状態でのタクシー3の移動を認識することで、配車履歴を抽出する。配車履歴抽出部113は、抽出した配車履歴を配車履歴記憶部114に出力する。配車履歴のフォーマットの一例を、下記の表4に示す。
【0049】
【表4】
【0050】
・配車履歴記憶部114
配車履歴記憶部114は、配車履歴を記憶する機能を有する。配車履歴記憶部114は、検索リクエストに応じてデータを検索及び出力することができる。配車履歴記憶部114は、記憶した配車履歴を、需要予測部131及び配車システム依存度計算部135に出力する。
【0051】
・配車モード選択情報取得部121
配車モード選択情報取得部121は、ドライバー端末310から配車モード選択情報を取得する機能を有する。配車モード選択情報取得部121は、取得した配車モード選択情報を、配車システム依存度計算部135に出力する。配車モード選択情報とは、ドライバーによる配車モードの選択に関する情報である。配車モードとは、タクシー3の動作モードである。配車モードによって、配車制御装置100からドライバー端末310に提供される情報が異なる。
【0052】
配車モードは、例えばフルオート配車モード(第1のモードに相当)、セミオート配車モード(第2のモードに相当)、及びマニュアル配車モード(第3のモードに相当)から選択される。フルオート配車モードは、配車制御装置100から配車指示が提供され、ドライバーが配車指示の通りに運転する配車モードである。セミオート配車モードは、配車制御装置100から需要予測結果、及び配車指示が提供され、これらの提供された情報に基づいてドライバーが配車位置を選択する配車モードである。セミオート配車モードは、ドライバーが配車指示に従うか否かを選択できる点で、フルオート配車モードと異なる。この点、フルオート配車モードでは、従うことが強制される配車指示が提供され、セミオート配車モードでは、従うことが推奨される配車指示が提供される、とも捉えることができる。マニュアル配車モードは、ドライバーが独自に配車を行う配車モードである。配車モードは、ドライバー端末310に表示される配車モード選択画面において、ドライバーにより選択され得る。配車モード選択画面の一例を、図3を参照して説明する。
【0053】
図3は、本実施形態に係る配車モード選択画面の一例を示す図である。図3に示す配車モード選択画面10は、ドライバー端末310に表示される。図3に示すように、配車モード選択画面10は、フルオート配車モード選択ボタン11、セミオート配車モード選択ボタン12、及びマニュアル配車モード選択ボタン13を含む。フルオート配車モード選択ボタン11がドライバーにより押下されると、ドライバー端末310は、フルオート配車モードの選択を受け付ける。セミオート配車モード選択ボタン12がドライバーにより押下されると、ドライバー端末310は、セミオート配車モードの選択を受け付ける。マニュアル配車モード選択ボタン13がドライバーにより押下されると、ドライバー端末310は、マニュアル配車モードの選択を受け付ける。ドライバー端末310は、ドライバーによる配車モードの選択操作を受け付け、選択結果に基づいて配車モード選択情報を生成して配車制御装置100に送信する。
【0054】
配車モード選択情報のフォーマットの一例を、下記の表5に示す。
【0055】
【表5】
【0056】
・配車情報取得部122
配車情報取得部122は、ドライバー端末310から配車情報を取得する機能を有する。配車情報取得部122は、取得した配車情報を、配車情報記憶部123及び配車システム依存度計算部135に出力する。ドライバー端末310は、配車情報入力画面を表示して、ドライバーからの配車情報の入力を受け付ける。配車モードごとの配車情報入力画面の一例を、図4図6を参照しながら説明する。
【0057】
図4は、本実施形態に係るフルオート配車モードの配車情報入力画面の一例を示す図である。図4に示す配車情報入力画面20は、フルオート配車モードが設定されているタクシー3のドライバー端末310に表示される。配車情報入力画面20は、地図情報21及び配車詳細情報25を含む。地図情報21には、タクシー3の現在位置を示す情報(アイコン)22、配車制御装置100からの配車指示において指示された配車位置を示す情報(アイコン)23、及び配車位置までの移動経路を示す情報24が、マッピングされている。配車詳細情報25は、配車位置の詳細を示す情報25A、予測された需要量を示す情報25B、配車成功指数を示す情報25C、配車位置に関する補足の情報25D、及び配車情報の入力ボタン25Eを含む。ここで、フルオート配車モードにおける配車詳細情報25では、配車制御装置100から指示された配車位置に関する情報が表示される。配車情報取得部122は、配車情報の入力ボタン25Eの「YES」「NO」の選択結果に基づいて、タクシー3が配車指示に従い移動するか否かを示す情報を取得する。詳しくは、配車情報の入力ボタン25Eの「YES」をドライバーが選択すると、タクシー3が配車指示に従い移動することが確定される。その場合、ドライバー端末310は、アイコン23に示す位置を配車位置とする配車情報を、配車制御装置100に送信する。配車情報の入力ボタン25Eの「NO」をドライバーが選択すると、タクシー3が配車指示に従わないことが確定される。その場合、ドライバー端末310は、アイコン23に示す位置を配車位置としないことを示す情報を、配車制御装置100に送信する。
【0058】
図5は、本実施形態に係るセミオート配車モードの配車情報入力画面の一例を示す図である。図5に示す配車情報入力画面20は、セミオート配車モードが設定されているタクシー3のドライバー端末310に表示される。配車情報入力画面20は、地図情報21及び配車詳細情報25を含む。地図情報21には、配車位置候補毎の配車成功指数及び予測需要量を示す情報26がマッピングされている。また、地図情報21には、配車制御装置100からの配車指示において指示された配車位置を示す情報がマッピングされている。詳しくは、地図情報21には、配車制御装置100からの配車指示において指示された配車位置に該当するセル26Aが強調表示されている。ドライバーは、これらの情報を参照して、どのセルを配車位置とするかを選択することができる。ドライバーにより選択されたセル26Bも、強調表示されている。配車詳細情報25は、配車位置の詳細を示す情報25A、予測された需要量を示す情報25B、配車成功指数を示す情報25C、配車位置に関する補足の情報25D、及び配車情報の入力ボタン25Eを含む。ここで、セミオート配車モードにおける配車詳細情報25では、ドライバーにより選択された配車位置に関する情報が表示される。配車情報取得部122は、配車情報の入力ボタン25Eの「YES」「NO」の選択結果に基づいて、配車情報入力画面20において入力された配車位置を示す情報を取得する。詳しくは、配車情報の入力ボタン25Eの「YES」をドライバーが選択すると、タクシー3が配車指示に従い移動することが確定される。その場合、ドライバー端末310は、ドライバーにより選択されたセル26Bを配車位置とする配車情報を、配車制御装置100に送信する。配車情報の入力ボタン25Eの「NO」をドライバーが選択すると、タクシー3が配車指示に従わないことが確定される。その場合、ドライバー端末310は、ドライバーによる再度の配車位置の選択操作を受け付ける。
【0059】
図6は、本実施形態に係るマニュアル配車モードの配車情報入力画面の一例を示す図である。図6に示す配車情報入力画面20は、マニュアル配車モードが設定されているタクシー3のドライバー端末310に表示される。配車情報入力画面20は、地図情報21及び配車詳細情報25を含む。ドライバーは、地図情報21に表示されたマップ上の任意の位置を選択することで、配車位置を指定することができる。ドライバーが配車位置を選択すると、地図情報21において、マップに重畳して、顧客2により選択された配車位置を示す情報(アイコン)27が表示される。配車詳細情報25は、配車位置の詳細を示す情報25A、予測された需要量を示す情報25B、配車成功指数を示す情報25C、配車位置に関する補足の情報25D、及び配車情報の入力ボタン25Eを含む。ここで、マニュアル配車モードにおける配車詳細情報25では、ドライバーにより選択された配車位置に関する情報が表示される。配車情報取得部122は、配車情報の入力ボタン25Eの「YES」「NO」の選択結果に基づいて、配車情報入力画面20において入力された配車位置を示す情報を取得する。配車情報の入力ボタン25Eの「YES」をドライバーが選択すると、ドライバー端末310は、ドライバーにより選択されたアイコン27Aの位置を配車位置とする配車情報を、配車制御装置100に送信する。配車情報の入力ボタン25Eの「NO」をドライバーが選択すると、ドライバー端末310は、ドライバーによる再度の配車位置の選択操作を受け付ける。
【0060】
配車モードがどれであっても、配車情報取得部122は、配車情報を取得することができる。つまり、配車情報取得部122は、配車システム1に従わないドライバーの配車情報をも取得することができる。これにより、ドライバーが配車システム1にとって予測外の動きをすることがなくなるので、後述する配車部143は、より適切な配車を実現することが可能となる。
【0061】
配車情報のフォーマットの一例を、下記の表6に示す。
【0062】
【表6】
【0063】
・配車情報記憶部123
配車情報記憶部123は、配車情報を記憶する機能を有する。配車情報記憶部123は、検索リクエストに応じてデータを検索及び出力することができる。配車情報記憶部123は、記憶した配車情報を、配車システム依存度計算部135、配車成功指数計算部141及び配車部143に出力する。
【0064】
・需要予測部131
需要予測部131は、タクシー3の需要を予測する機能を有する。需要予測部131は、オープンデータ、配車リクエスト、及び配車履歴に基づいて、タクシー3の需要を予測する。例えば、需要予測部131は、過去データに基づいて予め予測モデルを学習しておき、学習済みの予測モデルにこれらの情報を入力することで、将来の需要を予測する。需要予測部131は、配車位置候補ごとに需要を予測してもよい。需要量は、典型的にはタクシー3の台数として予測される。他に、需要量は、顧客の人数として予測されてもよい。
【0065】
図7は、本実施形態に係る需要予測の一例を説明するための図である。図7に示した例では、需要予測部131は、セル毎に将来の各時刻におけるタクシー3の需要を予測している。グラフ30は、あるひとつのセルにおける予測需要量の時系列変化を示すグラフである。グラフ30の、縦軸は需要量であり、横軸は時間である。グラフ30の原点は、現在時刻である。
【0066】
需要予測部131は、需要予測結果を、需要予測結果記憶部132に出力する。需要予測結果のフォーマットの一例を、下記の表7に示す。
【0067】
【表7】
【0068】
・需要予測結果記憶部132
需要予測結果記憶部132は、需要予測結果を記憶する機能を有する。需要予測結果記憶部132は、検索リクエストに応じてデータを検索及び出力することができる。需要予測結果記憶部132は、記憶した需要予測結果を、配車成功指数計算部141に出力する。
【0069】
・配車予測部133
配車予測部133は、各タクシー3の配車情報を予測する機能を有する。配車予測部133は、オープンデータ及び車両ログに基づいて、配車情報を予測する。詳しくは、配車予測部133は、過去のオープンデータ及び車両ログに基づいてドライバーの運転行動をモデル化し、現在の車両ログ及びオープンデータに基づいて将来のドライバーの運転行動を予測する。とりわけ、配車予測部133は、配車情報取得部122が配車情報の取得に失敗したタクシー3を対象に、配車情報を予測する。後述する配車部143は、配車システム1に従わないドライバーのうち、配車情報の入力すら行わないドライバーの行動予測に基づいて配車を行うことが可能となる。これにより、より適切な配車を実現することが可能となる。
【0070】
配車予測結果のフォーマットの一例を、下記の表8に示す。
【0071】
【表8】
【0072】
・配車予測結果記憶部134
配車予測結果記憶部134は、配車予測結果を記憶する機能を有する。配車予測結果記憶部134は、検索リクエストに応じてデータを検索及び出力することができる。配車予測結果記憶部134は、記憶した配車予測結果を、配車成功指数計算部141に出力する。
【0073】
・配車システム依存度計算部135
配車システム依存度計算部135は、各ドライバーの配車システム依存度を計算する機能を有する。配車システム依存度計算部135は、配車履歴、車両ログ、配車モード選択情報、配車情報、及び過去の配車情報に基づいて、配車システム依存度を計算する。配車システム依存度計算部135は、配車システム依存度情報を生成して、配車システム依存度記憶部136に出力する。配車システム依存度情報は、配車システム依存度及びその計算に用いた情報を含む。配車システム依存度情報のフォーマットの一例を、下記の表9に示す。
【0074】
【表9】
【0075】
以下、図8を参照しながら、配車システム依存度の計算方法の一例を詳しく説明する。
【0076】
図8は、本実施形態に係る配車システム依存度の計算方法の一例を説明するための図である。図8に示すように、配車システム依存度計算部135は、配車モードに基づく基礎点算出部135A、ドライバー情報記憶部135B、フルオート配車モードの継続利用による追加点算出部135C、配車システムの指示通りの運行による追加点算出部135D、確定した配車情報の変更による減算点算出部135E、配車情報入力による追加点算出部135F、及び合計点算出部135Gを含む。これらの構成要素間で入出力される、内部データの構造の一例を、下記の表10に示す。
【0077】
【表10】
【0078】
配車システム依存度は、配車モードに応じて設定される。詳しくは、配車モードに基づく基礎点算出部135Aは、配車モード選択情報取得部121から出力された配車モード選択情報に基づいて、配車システム依存度の基礎点を算出する。車モードに基づく基礎点算出部135Aは、配車システム1の指示に従う度合いの高い配車モードであるほど、高い基礎点を算出する。例えば、配車モードに基づく基礎点算出部135Aは、配車モードがフルオート配車モードである場合に最も高い基礎点を算出する。また、配車モードに基づく基礎点算出部135Aは、配車モードがセミオート配車モードである場合に2番目に高い基礎点を算出し、配車モードがマニュアル配車モードである場合に最も低い基礎点を算出する。配車モードに基づく基礎点算出部135Aは、算出した基礎点を合計点算出部135Gに出力する。出力の際のデータ構造は、表10に示した通りである。
【0079】
ドライバー情報記憶部135Bは、ドライバー情報を記憶する。ドライバー情報は、少なくとも、ドライバーの配車モードの選択結果に関する情報を記憶する。ドライバー情報のフォーマットの一例を、下記の表11に示す。
【0080】
【表11】
【0081】
配車システム依存度は、フルオート配車モードの継続利用時間に応じて設定される。詳しくは、フルオート配車モードの継続利用による追加点算出部135Cは、ドライバー情報に基づいて、フルオート配車モードの継続利用時間に応じた追加点(加算点)を算出する。フルオート配車モードの継続利用による追加点算出部135Cは、定期的にドライバー情報記憶部135Bからドライバー情報を読み出して、フルオート配車モードの継続時間が長いほど高い加算点を算出する。フルオート配車モードの継続利用による追加点算出部135Cは、算出した追加点を合計点算出部135Gに出力する。出力の際のデータ構造は、表10に示した通りである。
【0082】
配車システム依存度は、配車指示に従って移動したか否かに応じて設定される。詳しくは、配車システムの指示通りの運行による追加点算出部135Dは、ドライバーが配車システム1の指示通りにタクシー3を運行させた場合に追加点(加算点)を算出する。例えば、配車システムの指示通りの運行による追加点算出部135Dは、フルオート配車モード又はセミオート配車モードのタクシー3が、配車指示の通りに移動して顧客2を乗せた場合に、加算点を算出する。また、配車システムの指示通りの運行による追加点算出部135Dは、配車情報記憶部123に記憶された配車情報と、実際のタクシー3の運行状態と、を比較して、一致度合いが高いほど高い加算点を算出する。実際のタクシー3の運行状態は、配車履歴記憶部114に記憶された配車履歴により認識される。なお、配車システムの指示通りの運行による追加点算出部135Dは、タクシー3が配車位置までのルート上で顧客2を乗せた場合、ルートを逸脱していなければ配車指示の通りに運行したものとみなして、加算点を算出する。そのために、配車システムの指示通りの運行による追加点算出部135Dは、例えば車両ログ記憶部112に記憶された車両ログに基づいて、ルートを逸脱したか否かを判定する。配車システムの指示通りの運行による追加点算出部135Dは、算出した追加点を合計点算出部135Gに出力する。出力の際のデータ構造は、表10に示した通りである。
【0083】
配車システム依存度は、タクシー3が配車指示に従うことが確定された後、配車位置を変更したか否かに応じて設定される。詳しくは、確定した配車情報の変更による減算点算出部135Eは、配車情報記憶部123に記憶された配車情報の時系列変化に基づいて、確定した配車情報をドライバーが変更した場合に追加点(減算点)を算出する。確定した配車情報の変更による減算点算出部135Eは、タクシー3のドライバーが、配車情報入力画面において配車情報を一度確定した後に別の配車情報に確定し直した場合に、減算点を算出する。配車情報が変更されると、後述する配車成功指数を再計算することとなる上に、他の配車に影響が出得るため、減点が行われる。確定した配車情報の変更による減算点算出部135Eは、算出した減算点を合計点算出部135Gに出力する。出力の際のデータ構造は、表10に示した通りである。
【0084】
配車システム依存度は、タクシー3の配車位置が配車制御装置100に提示されたか否かに応じて設定される。詳しくは、配車情報入力による追加点算出部135Fは、配車情報入力画面において配車情報を入力したドライバーに対し、追加点(加算点)を算出する。例えば、配車情報入力による追加点算出部135Fは、セミオート配車モード又はマニュアル配車モードであるタクシー3のドライバーが、配車情報入力画面において配車情報を入力した場合に、加算点を算出する。配車情報が入力される場合、ドライバーが配車システム1にとって予測外の動きをすることがなくなり、配車指示の精度が向上するためである。また、配車情報入力による追加点算出部135Fは、セミオート配車モードであるタクシー3のドライバーが、配車情報入力画面において配車制御装置100からの推奨配車指示に従った配車情報を入力した場合に、加算点を算出する。推奨配車指示に従う場合、全体最適により近づけることが可能なためである。配車情報入力による追加点算出部135Fは、算出した追加点を合計点算出部135Gに出力する。出力の際のデータ構造は、表10に示した通りである。
【0085】
合計点算出部135Gは、配車システム依存度の合計点を算出する。合計点算出部135Gは、配車モードに基づく基礎点算出部135Aにより算出された基礎点、フルオート配車モードの継続利用による追加点算出部135Cにより算出された追加点(加算点)、配車システムの指示通りの運行による追加点算出部135Dにより算出された追加点(加算点)、確定した配車情報の変更による減算点算出部135Eにより算出された減算点、及び配車情報入力による追加点算出部135Fにより算出された追加点(加算点)を合計することで、配車システム依存度の合計点を算出する。
【0086】
なお、配車制御装置100(例えば、配車情報取得部122)は、配車システム依存度を変化させるトリガとなる行動を示す情報、ドライバー端末310に表示させてもよい。例えば、ドライバー端末310は、タクシー3の配車モードをフルオート配車モードに変更すれば、高い基礎点が付与されることを示す情報を表示する。また、例えば、ドライバー端末310は、タクシー3の配車モードがフルオート配車モードである場合、継続利用時間に応じた加算点が付与されるまでの残時間を示す情報を表示する。これらにより、配車システム依存度を向上させることを、ドライバーに促すことが可能となる。ドライバー端末310に表示される画面の一例を、図9に示す。
【0087】
図9は、本実施形態に係るナビゲーション画面の一例を示す図である。図9に示すナビゲーション画面40は、配車位置まで移動中のタクシー3のドライバー端末310に表示される。ナビゲーション画面40は、タクシー3の現在位置を示す情報(アイコン)42、配車位置を示す情報(アイコン)43、及び配車位置までの移動経路を示す情報44が、マッピングされた地図情報41を含む。さらに、ナビゲーション画面40は、フルオート配車モードの継続利用時間が20分に達したこと、及び10分後にポイント(配車システム依存度の計算のための加算点)が1プラスされることを示す情報46を含む。かかる情報46により、ドライバーは、フルオート配車モードの継続利用を続けるように動機付けされる。これにより、配車システム依存度の向上をドライバーに促すことが可能となる。
【0088】
・配車システム依存度記憶部136
配車システム依存度記憶部136は、配車システム依存度を記憶する機能を有する。配車システム依存度記憶部136は、検索リクエストに応じてデータを検索及び出力することができる。配車システム依存度記憶部136は、記憶した配車システム依存度を、配車部143に出力する。
【0089】
・配車成功指数計算部141
配車成功指数計算部141は、タクシー3ごとに、配車位置候補ごとの配車成功指数を計算する機能を有する。配車成功指数計算部141は、交通情報、車両ログ、需要予測結果、配車情報、及び配車予測結果に基づいて、配車成功指数を計算する。配車成功指数の計算ロジックを、図10に示す。
【0090】
図10は、本実施形態に係る配車成功指数の計算ロジックの一例を示す図である。図10に示すように、交通情報、配車位置候補、及び現在の車両ログが入力されて、配車位置候補の到着予定時刻が計算される。また、配車位置候補の需要予測(需要予測結果に相当)と配車位置候補への供給予測(配車情報及び配車予測結果に相当)が入力され、これらの情報と配車位置候補の到着予定時刻とに基づいて配車成功指数が計算される。詳しくは、配車成功指数計算部141は、配車位置候補の到着予定時刻における、予測されたタクシー3の需要量(需要予測結果に相当)と予測されたタクシー3の供給量(配車情報及び配車予測結果に相当)とに基づいて、配車成功指数を計算する。配車成功指数計算部141は、需要過多であれば高い配車成功指数を計算し、供給過多であれば低い配車成功指数を計算する。配車成功指数及び需給バランスについて、図11を参照して説明する。
【0091】
図11は、本実施形態に係る配車成功指数と需給バランスとの関係を説明するための図である。図11に示すグラフ50は、ある配車位置候補における予測需要量及び予測供給量の時系列変化を示すグラフである。グラフ50の、縦軸は需要量又は供給量であり、横軸は時間である。グラフ50の原点は、現在時刻である。配車位置候補への到着予定時刻以降の、予測需要量51から予測供給量52を引いた領域53の面積(即ち、予測需要量から予測供給量を引いた値を時間方向に積分した値)が、配車成功指数に相当する。領域53の面積が大きいほど配車成功指数は高く、領域53の面積が小さいほど配車成功指数は低い。
【0092】
配車成功指数計算部141は、車両状態(車両ログ及び配車情報等)、需要予測又は供給予測(配車情報及び配車予測結果に相当)に変化がある度に、配車成功指数を計算する。これにより、配車成功指数の鮮度を保つことができる。
【0093】
配車成功指数計算部141は、タクシー3毎に、且つ配車位置候補ごとに、配車成功指数を計算して、配車成功指数情報を生成する。即ち、配車成功指数情報は、タクシー3毎に、且つ配車位置候補ごとに生成される。そして、配車成功指数計算部141は、配車成功指数情報を、配車成功指数記憶部142に出力する。配車成功指数情報のフォーマットの一例を、下記の表12に示す。
【0094】
【表12】
【0095】
・配車成功指数記憶部142
配車成功指数記憶部142は、配車成功指数情報を記憶する機能を有する。配車成功指数記憶部142は、検索リクエストに応じてデータを検索及び出力することができる。配車成功指数記憶部142は、記憶した配車成功指数情報を、配車部143に出力する。
【0096】
また、配車成功指数記憶部142は、記憶した配車成功指数情報を、当該配車成功指数情報の車両ID及びドライバーIDに対応するドライバー端末310に出力し得る。例えば、ドライバー端末310は、配車モードがセミマニュアルモードである場合、取得した配車成功指数情報に基づいて、図5に示したように、セル毎の配車成功指数を重畳した地図情報21を、配車情報入力画面20において表示する。
【0097】
・配車部143
配車部143は、配車を行う機能を有する。即ち、配車部143は、制御下の各タクシー3に対し、配車指示を生成する。配車部143は、配車システム依存度、配車リクエスト、車両ログ、配車情報、及び配車成功指数に基づいて、配車を行う。
【0098】
配車成功指数を用いて配車を行うことは、タクシー3の予測需要量(需要予測結果に相当)と予測供給量(配車情報及び配車予測結果に相当)とに基づいて配車を行うことを意味する。ここでの予測供給量は、配車システム1に従うドライバーにより入力された配車情報、配車システム1に従わないドライバーにより入力された配車情報、及び配車システム1に従わない上に配車情報の入力すら行わないドライバーの行動予測を含む。即ち、配車部143は、配車システム1に従うドライバー、配車システム1に従わないが配車情報の入力を行うドライバー、及び配車システム1に従わない上に配車情報の入力すら行わないドライバーの行動予測に基づいて、配車を行う。このように、配車システム1に従わないドライバーの行動を加味して配車を行うことができるので、配車指示の精度を向上させることが可能となる。
【0099】
配車部143は、配車システム依存度の高いタクシー3ほど、配車成功指数の高い配車位置候補への移動を指示する配車指示を生成する。例えば、配車部143は、配車システム依存度の高いドライバーから順に、配車成功指数の高い配車位置候補を配車位置とする配車指示を割り当てる。これにより、配車システム1に依存したドライバーほど配車成功指数の高い配車指示を割り当てることが可能となる。なお、配車指示を割り当てることで、供給予測が変化し、その結果配車成功指数に変更が生じる。そのため、配車指示を割り当てる度に、配車成功指数計算部141が配車成功指数を再計算し、配車部143が再計算結果に基づいて配車を行うことが望ましい。
【0100】
配車部143は、将来のある時刻を対象に、制御下の全タクシー3に対し配車を行う。これにより、タイミング次第で配車システム依存度の低いタクシー3に対し配車成功指数の高い配車指示を割り当ててしまうような事態を、回避することができる。即ち、配車部143は、将来の配車を事前に計画しておくことで、配車システム依存度が高いドライバーに対し、確実に配車成功指数が高い配車指示を割り当てることが可能となる。
【0101】
配車部143は、配車成功指数の変化に基づいて、配車指示の再生成を行うか否かを決定する。例えば、配車部143は、配車成功指数が第1の閾値以上低下した配車位置候補が存在し、且つ当該配車位置候補の周囲に配車成功指数が第2の閾値以上である配車位置候補が存在する場合に、再度の配車を行い、配車指示を再生成する。これにより、配車システム依存度の高いタクシー3に対し、配車成功指数が高い配車指示を割り当て直すことが可能となる。
【0102】
配車部143は、配車結果に基づいて配車指示を生成して、ドライバー端末310に送信する。配車部143は、フルオート配車モード又はセミオート配車モードのタクシー3に関し、配車指示を生成する。配車指示のフォーマットの一例を、下記の表13に示す。なお、配車指示のフォーマットは、フルオート配車モードのタクシー3に対する配車指示と、セミオート配車モードのタクシー3に対する配車指示とで、同一であってもよい。
【0103】
【表13】
【0104】
配車部143は、配車結果に基づいて配車応答を生成して、顧客端末200に送信する。配車応答のフォーマットの一例を、下記の表14に示す。
【0105】
【表14】
【0106】
<<4.処理の流れ>>
以下、図12及び図13を参照して、配車制御装置100において実行される処理の流れの一例を説明する。
【0107】
図12は、本実施形態に係る配車制御装置100において実行される配車処理の流れの一例を示すフローチャートである。図12に示すように、まず、ステップS102~S112に係る処理が、並列的に実行される。
【0108】
ステップS102では、オープンデータ記憶部101は、オープンデータを取得し、記憶された情報を更新する。オープンデータ記憶部101は、オープンデータを、後段の構成要素(即ち、需要予測部131及び配車予測部133)に出力する。
【0109】
ステップS104では、配車リクエスト取得部102及び配車リクエスト記憶部103は、配車リクエストを取得し、記憶された情報を更新する。配車リクエスト取得部102及び配車リクエスト記憶部103は、配車リクエストを、後段の構成要素(即ち、需要予測部131及び配車部143)に出力する。
【0110】
ステップS106では、交通情報記憶部104は、交通情報を取得し、記憶された情報を更新する。交通情報記憶部104は、交通情報を、後段の構成要素(即ち、配車成功指数計算部141)に出力する。
【0111】
ステップS108では、車両ログ取得部111及び車両ログ記憶部112は、車両ログを取得し、記憶された情報を更新する。車両ログ取得部111及び車両ログ記憶部112は、車両ログを、後段の構成要素(即ち、配車履歴抽出部113、配車予測部133、配車システム依存度計算部135、配車成功指数計算部141及び配車部143)に出力する。
【0112】
ステップS110では、配車モード選択情報取得部121は、配車モード選択情報を取得する。配車モード選択情報取得部121は、配車モード選択情報を、後段の構成要素(即ち、配車システム依存度計算部135)に出力する。
【0113】
ステップS112では、配車情報取得部122及び配車情報記憶部123は、配車情報を取得し、記憶された情報を更新する。配車情報取得部122及び配車情報記憶部123は、更新された配車情報を、後段の構成要素(即ち、配車システム依存度計算部135、配車成功指数計算部141及び配車部143)に出力する。
【0114】
次いで、ステップS114~S124において、前段の構成要素から情報の入力を受けた構成要素が、情報の更新を行う。
【0115】
ステップS114において、配車履歴抽出部113は、車両ログが入力された場合に配車履歴の抽出を再度行い、配車履歴記憶部114は、配車履歴を更新する。配車履歴記憶部114は、更新された配車履歴を、後段の構成要素(即ち、需要予測部131及び配車システム依存度計算部135)に出力する。
【0116】
ステップS116においては、需要予測部131は、オープンデータ又は新たな配車履歴の少なくともいずれかが入力された場合に需要予測を再度行い、需要予測結果記憶部132は、需要予測結果を更新する。需要予測結果記憶部132は、更新された需要予測結果を、後段の構成要素(即ち、配車成功指数計算部141)に出力する。
【0117】
ステップS118において、配車予測部133は、オープンデータ又は車両ログの少なくともいずれかが入力された場合に配車予測を再度行い、配車予測結果記憶部134は、配車予測結果を更新する。配車予測結果記憶部134は、更新された配車予測結果を、後段の構成要素(即ち、配車成功指数計算部141)に出力する。
【0118】
ステップS120において、配車成功指数計算部141は、需要予測結果、配車予測結果、配車情報、交通情報又は配車履歴の少なくともいずれかが入力された場合に配車成功指数を再度計算し、配車成功指数記憶部142は、配車成功指数を更新する。配車成功指数記憶部142は、更新された配車成功指数を、後段の構成要素(即ち、配車部143及びドライバー端末310)に出力する。
【0119】
ステップS122において、配車システム依存度計算部135は、配車履歴、車両ログ、配車情報、又は配車モード選択情報の少なくともいずれかが入力された場合に配車システム依存度を再度計算し、配車システム依存度記憶部136は、配車システム依存度を更新する。配車システム依存度記憶部136は、更新された配車システム依存度を、後段の構成要素(即ち、配車部143)に出力する。
【0120】
ステップS124において、配車部143は、配車システム依存度、配車リクエスト、車両ログ、又は配車情報の少なくともいずれかが入力された場合に、配車指示を再度生成し、前回生成された配車指示に上書き(即ち、更新)する。
【0121】
以上、配車処理の流れの一例を説明した。続いて、図13を参照して、図12に示したステップS114~S124に係る処理の詳細を説明する。
【0122】
図13は、本実施形態に係る配車制御装置100において実行される情報更新処理の流れの一例を示すフローチャートである。図13に示すように、前段の構成要素から情報が入力されると、対象の構成要素は、入力された情報に更新があるか否かを判定する(ステップS202)。更新がないと判定された場合(ステップS202/NO)、処理は終了する。一方で、更新があると判定された場合(ステップS202/YES)、対象の構成要素は、処理を再実行する(ステップS204)。例えば、ステップS114においては、対象の構成要素は配車履歴抽出部113であり、配車履歴抽出部113は、配車履歴の抽出を再度行う。そして、対象の構成要素は、後段の構成要素に処理結果を出力し(ステップS206)、処理は終了する。
【0123】
<<5.ハードウェア構成例>>
最後に、図14を参照して、本実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成について説明する。図14は、本実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。なお、図14に示す情報処理装置900は、例えば、図2に示した配車制御装置100、顧客端末200、車両ログ生成装置300又はドライバー端末310を実現し得る。本実施形態に係る配車制御装置100、顧客端末200、車両ログ生成装置300又はドライバー端末310による情報処理は、ソフトウェアと、以下に説明するハードウェアとの協働により実現される。
【0124】
図14に示すように、情報処理装置900は、CPU(Central Processing Unit)901、ROM(Read Only Memory)902、RAM(Random Access Memory)903及びホストバス904aを備える。また、情報処理装置900は、ブリッジ904、外部バス904b、インタフェース905、入力装置906、出力装置907、ストレージ装置908、ドライブ909、接続ポート911及び通信装置913を備える。情報処理装置900は、CPU901に代えて、又はこれとともに、電気回路、DSP若しくはASIC等の処理回路を有してもよい。
【0125】
CPU901は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って情報処理装置900内の動作全般を制御する。また、CPU901は、マイクロプロセッサであってもよい。ROM902は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM903は、CPU901の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。CPU901は、例えば、図2に示す配車リクエスト取得部102、車両ログ取得部111、配車履歴抽出部113、配車モード選択情報取得部121、配車情報取得部122、需要予測部131、配車予測部133、配車成功指数計算部141、及び配車部143を形成し得る。
【0126】
CPU901、ROM902及びRAM903は、CPUバスなどを含むホストバス904aにより相互に接続されている。ホストバス904aは、ブリッジ904を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス904bに接続されている。なお、必ずしもホストバス904a、ブリッジ904および外部バス904bを分離構成する必要はなく、1つのバスにこれらの機能を実装してもよい。
【0127】
入力装置906は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、スイッチ及びレバー等、ユーザによって情報が入力される装置によって実現される。また、入力装置906は、例えば、赤外線やその他の電波を利用したリモートコントロール装置であってもよいし、情報処理装置900の操作に対応した携帯電話やPDA等の外部接続機器であってもよい。さらに、入力装置906は、例えば、上記の入力手段を用いてユーザにより入力された情報に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力する入力制御回路などを含んでいてもよい。情報処理装置900のユーザは、この入力装置906を操作することにより、情報処理装置900に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。入力装置906は、例えば、図2に示した顧客端末200に含まれ、顧客2からの入力を受け付ける。入力装置906は、例えば、図2に示したドライバー端末310に含まれ、タクシー3のドライバーからの入力を受け付ける。
【0128】
出力装置907は、取得した情報をユーザに対して視覚的又は聴覚的に通知することが可能な装置で形成される。このような装置として、CRTディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置、ELディスプレイ装置、レーザープロジェクタ、LEDプロジェクタ及びランプ等の表示装置や、スピーカ及びヘッドホン等の音声出力装置や、プリンタ装置等がある。出力装置907は、例えば、情報処理装置900が行った各種処理により得られた結果を出力する。具体的には、表示装置は、情報処理装置900が行った各種処理により得られた結果を、テキスト、イメージ、表、グラフ等、様々な形式で視覚的に表示する。他方、音声出力装置は、再生された音声データや音響データ等からなるオーディオ信号をアナログ信号に変換して聴覚的に出力する。出力装置907は、例えば、図2に示した顧客端末200に含まれ、顧客2への情報を出力する。出力装置907は、例えば、図2に示したドライバー端末310に含まれ、タクシー3のドライバーへの情報を出力する。
【0129】
ストレージ装置908は、情報処理装置900の記憶部の一例として形成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置908は、例えば、HDD等の磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス又は光磁気記憶デバイス等により実現される。ストレージ装置908は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含んでもよい。このストレージ装置908は、CPU901が実行するプログラムや各種データ及び外部から取得した各種のデータ等を格納する。ストレージ装置908は、例えば、図2に示すオープンデータ記憶部101、配車リクエスト記憶部103、交通情報記憶部104、車両ログ記憶部112、配車履歴記憶部114、需要予測結果記憶部132、配車予測結果記憶部134、及び配車成功指数記憶部142を形成し得る。
【0130】
ドライブ909は、記憶媒体用リーダライタであり、情報処理装置900に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ909は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記憶媒体に記録されている情報を読み出して、RAM903に出力する。また、ドライブ909は、リムーバブル記憶媒体に情報を書き込むこともできる。
【0131】
接続ポート911は、外部機器と接続されるインタフェースであって、例えばUSB(Universal Serial Bus)などによりデータ伝送可能な外部機器との接続口である。
【0132】
通信装置913は、例えば、ネットワーク920に接続するための通信デバイス等で形成された通信インタフェースである。通信装置913は、例えば、有線若しくは無線LAN(Local Area Network)、LTE(Long Term Evolution)、Bluetooth(登録商標)又はWUSB(Wireless USB)用の通信カード等である。また、通信装置913は、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ又は各種通信用のモデム等であってもよい。この通信装置913は、例えば、インターネットや他の通信機器との間で、例えばTCP/IP等の所定のプロトコルに則して信号等を送受信することができる。本実施形態では、通信装置913は、配車制御装置100、顧客端末200、車両ログ生成装置300及びドライバー端末310の各々に含まれ、各装置間の情報の送受信を行う。
【0133】
なお、ネットワーク920は、ネットワーク920に接続されている装置から送信される情報の有線、または無線の伝送路である。例えば、ネットワーク920は、インターネット、電話回線網、衛星通信網などの公衆回線網や、Ethernet(登録商標)を含む各種のLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などを含んでもよい。また、ネットワーク920は、IP-VPN(Internet Protocol-Virtual Private Network)などの専用回線網を含んでもよい。
【0134】
以上、本実施形態に係る情報処理装置900の機能を実現可能なハードウェア構成の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材を用いて実現されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより実現されていてもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用するハードウェア構成を変更することが可能である。
【0135】
なお、上述のような本実施形態に係る情報処理装置900の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、PC等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
【0136】
<<6.まとめ>>
以上、図1図14を参照して、本開示の一実施形態について詳細に説明した。上記説明したように、本実施形態に係る配車制御装置100は、空間ごとの輸送対象物に関する情報を取得し、移動体が移動指示に従い移動するか否かの傾向を示す情報を取得する。そして、配車制御装置100は、これらの取得された情報に基づいて、送対象物を積み輸送する移動体に対する移動指示を生成する。配車制御装置100は、移動体が移動指示に従い移動するか否かの傾向を示す情報を参照することで、移動指示に従わない移動体による、移動指示に従う移動体への影響を考慮した移動指示を生成することができる。これにより、移動指示に従う移動体と移動指示に従わない移動体との間での需要の食い合いを軽減することが可能となり、その結果、移動体を用いた輸送対象物の輸送をより効率的にすることが可能となる。
【0137】
なお、本技術は、自動運転時代への過渡期において適用されることが想定される。自動運転時代への過渡期においては、配車システム1に従うタクシー3(自動運転されるタクシー3を含む)と従わないタクシー3が存在すると考えられる。そのような場合に、本技術が適用されることで、配車システム1に従うタクシー3の割合を増やすことが可能となり、全体的な配車計画を効率的にすることが可能となる。
【0138】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0139】
なお、本明細書において説明した各装置による一連の処理は、ソフトウェア、ハードウェア、及びソフトウェアとハードウェアとの組合せのいずれを用いて実現されてもよい。ソフトウェアを構成するプログラムは、例えば、各装置の内部又は外部に設けられる記録媒体(非一時的な媒体:non-transitory media)に予め格納される。そして、各プログラムは、例えば、コンピュータによる実行時にRAMに読み込まれ、CPUなどのプロセッサにより実行される。上記記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
【0140】
また、本明細書においてフローチャートを用いて説明した処理は、必ずしも図示された順序で実行されなくてもよい。いくつかの処理ステップは、並列的に実行されてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
【0141】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0142】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
輸送対象物を積み輸送する移動体に対する移動指示を生成する情報処理装置であって、
空間ごとの前記輸送対象物に関する情報を取得する第1の取得部と、
前記移動体が前記移動指示に従い移動するか否かの傾向を示す情報を取得する第2の取得部と、
前記輸送対象物に関する情報及び前記傾向を示す情報に基づいて、前記移動体に対する前記移動指示を生成する生成部と、
を備える情報処理装置。
(2)
前記輸送対象物に関する情報は、空間ごとの前記輸送対象物の積み込み成功確率を示す情報を含む、前記(1)に記載の情報処理装置。
(3)
前記生成部は、前記移動指示に従い移動する傾向の強い前記移動体ほど、前記輸送対象物の積み込み成功確率が高い空間への移動を指示する前記移動指示を生成する、前記(2)に記載の情報処理装置。
(4)
前記輸送対象物の積み込み成功確率を示す情報は、空間ごとの予測された前記移動体の需要量と予測された前記移動体の供給量とに基づき計算される、前記(2)又は(3)に記載の情報処理装置。
(5)
前記生成部は、前記積み込み成功確率の変化に基づいて、前記移動指示の再生成を行うか否かを決定する、前記(1)~(4)のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(6)
前記情報処理装置は、前記移動体から前記移動体の移動予定を示す情報を取得する第3の取得部をさらに備え、
前記生成部は、前記移動体の移動予定を示す情報に基づいて、前記移動体に対する前記移動指示を生成する、前記(1)~(5)のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(7)
前記第3の取得部は、前記移動体からの前記移動体の移動予定を示す情報の取得に失敗した場合、前記移動体の移動予定を予測し、
前記生成部は、前記移動体の移動予定の予測結果に基づいて、前記移動体に対する前記移動指示を生成する、前記(6)に記載の情報処理装置。
(8)
前記移動体の動作モードが第1のモードである場合、
前記移動体に対応付けられる端末装置は、前記移動指示において指示された移動先の空間を示す情報がマッピングされた地図情報を含む画面を表示し、
前記第3の取得部は、前記移動指示に従い移動するか否かを示す情報を取得する、前記(6)又は(7)に記載の情報処理装置。
(9)
前記移動体の動作モードが第2のモードである場合、
前記移動体に対応付けられる端末装置は、空間ごとの前記輸送対象物の積み込み成功確率を示す情報、及び前記移動指示において移動を指示する空間を示す情報がマッピングされた地図情報を含む画面を表示し、
前記第3の取得部は、前記画面において入力された移動先の空間を示す情報を取得する、前記(6)~(8)のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(10)
前記移動体の動作モードが第3のモードである場合、
前記移動体に対応付けられる端末装置は、地図情報を含む画面を表示し、
前記第3の取得部は、前記画面において入力された移動先の空間を示す情報を取得する、前記(6)~(9)のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(11)
前記傾向を示す情報は、前記動作モードに応じて設定される、前記(8)~(10)のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(12)
前記傾向を示す情報は、前記第1のモードの継続利用時間に応じて設定される、前記(8)又は前記(8)を引用する前記(9)~(11)のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(13)
前記傾向を示す情報は、前記移動指示に従って移動したか否かに応じて設定される、前記(1)~(12)のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(14)
前記傾向を示す情報は、前記移動体が前記移動指示に従うことが決定された後、移動先の空間を変更したか否かに応じて設定される、前記(1)~(13)のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(15)
前記傾向を示す情報は、前記移動体の移動先の空間が前記情報処理装置に提示されたか否かに応じて設定される、前記(1)~(14)のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(16)
前記第2の取得部は、前記傾向を示す情報を変化させるトリガとなる行動を示す情報を、前記移動体に対応付けられる端末装置に表示させる、前記(1)~(15)のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(17)
輸送対象物を積み輸送する移動体に対する移動指示を生成するための情報処理方法であって、
空間ごとの前記輸送対象物に関する情報を取得することと、
前記移動体が前記移動指示に従い移動するか否かの傾向を示す情報を取得することと、
前記輸送対象物に関する情報及び前記傾向を示す情報に基づいて、前記移動体に対する前記移動指示を生成することと、
を含む、プロセッサにより実行される情報処理方法。
(18)
輸送対象物を積み輸送する移動体に対する移動指示を生成する情報処理装置を制御するコンピュータを、
空間ごとの前記輸送対象物に関する情報を取得する第1の取得部と、
前記移動体が前記移動指示に従い移動するか否かの傾向を示す情報を取得する第2の取得部と、
前記輸送対象物に関する情報及び前記傾向を示す情報に基づいて、前記移動体に対する前記移動指示を生成する生成部と、
として機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0143】
1 配車システム
2 輸送対象物、顧客
3 移動体、タクシー
100 配車制御装置
101 オープンデータ記憶部
102 配車リクエスト取得部
103 配車リクエスト記憶部
104 交通情報記憶部
111 車両ログ取得部
112 車両ログ記憶部
113 配車履歴抽出部
114 配車履歴記憶部
121 配車モード選択情報取得部
122 配車情報取得部
123 配車情報記憶部
131 需要予測部
132 需要予測結果記憶部
133 配車予測部
134 配車予測結果記憶部
135 配車システム依存度計算部
135A 配車モードに基づく基礎点算出部
135B ドライバー情報記憶部
135C フルオート配車モードの継続利用による追加点算出部
135D 配車システムの指示通りの運行による追加点算出部
135E 確定した配車情報の変更による減算点算出部
135F 配車情報入力による追加点算出部
135G 合計点算出部
136 配車システム依存度記憶部
141 配車成功指数計算部
142 配車成功指数記憶部
143 配車部
200 顧客端末
300 車両ログ生成装置
310 ドライバー端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14