(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138022
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】作業管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/02 20240101AFI20240927BHJP
【FI】
G06Q50/02
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024114435
(22)【出願日】2024-07-18
(62)【分割の表示】P 2021047257の分割
【原出願日】2021-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭策
(74)【代理人】
【識別番号】110003270
【氏名又は名称】工藤・狩野国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】三谷 英樹
(57)【要約】
【課題】作業者が間違って同じ作業を繰り返し行うことを低減する。
【解決手段】作業管理方法は、作業装置200が圃場10で過去に行われた作業を表す作業実績情報と、作業装置200が圃場10で行われる作業に関する複数の作業計画情報とを記憶することを含む。また、作業管理方法は、作業装置100が圃場10において作業を開始することを判定することを含む。作業管理方法は、作業装置100が作業を開始するとの判定に基づき、圃場10で過去に行われた作業の作業実績情報の少なくとも一部を表す報知情報を出力することを含む。さらに、作業管理方法は、複数の作業計画情報のうち、報知情報に表された作業実績情報の作業に対応する作業計画情報を、他の作業計画情報と区別して出力することを含む。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業装置が圃場で過去に行われた作業を表す作業実績情報と、前記作業装置が前記圃場で行われる作業に関する複数の作業計画情報とを記憶することと、
前記作業装置が前記圃場において作業を開始することを判定することと、
前記作業装置が作業を開始するとの判定に基づき、前記圃場で過去に行われた作業の前記作業実績情報の少なくとも一部を表す報知情報を出力することと、
前記複数の作業計画情報のうち、前記報知情報に表された前記作業実績情報の作業に対応する作業計画情報を、他の作業計画情報と区別して出力することと、
を含む作業管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
同一圃場内でも作物の生育の状況が異なる領域がある場合、各々の領域に応じた作業、例えば領域に応じて施肥量を変えた施肥などを行い、作物を効率的に栽培する方法が研究されている。
【0003】
特許文献1には、圃場内の各々の位置において作物の生育状況を測定し、生育状況に応じて施肥量を調整する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
作業者は、作物の生育状況に応じて決定された作業を圃場に行ったかを忘れてしまい、2度、同じ作業を行ってしまう場合がある。過度な作業、例えば施肥や農薬散布などは、作物の生育不良やコストの増加を生じる。
【0006】
上記の状況に鑑み、本開示は、作業者が間違って同じ作業を繰り返し行うことを低減することを目的の1つとする。他の目的については、以下の記載及び実施の形態の説明から理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に、発明を実施するための形態で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態との対応関係の一例を示すために、参考として、括弧付きで付加されたものである。よって、括弧付きの記載により、特許請求の範囲は、限定的に解釈されるべきではない。
【0008】
上記目的を達成するための一実施の形態による作業管理方法は、作業装置(200)が圃場(10)で過去に行われた作業を表す作業実績情報と、作業装置(200)が圃場(10)で行われる作業に関する複数の作業計画情報とを記憶することを含む。また、作業管理方法は、作業装置(200)が圃場(10)において作業を開始することを判定することを含む。作業管理方法は、作業装置(200)が作業を開始するとの判定に基づき、圃場(10)で過去に行われた作業の作業実績情報の少なくとも一部を表す報知情報を出力することを含む。さらに、作業管理方法は、複数の作業計画情報のうち、報知情報に表された作業実績情報の作業に対応する作業計画情報を、他の作業計画情報と区別して出力することを含む。
【発明の効果】
【0009】
上記の形態によれば、作業者が間違って同じ作業を繰り返すことを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施の形態における作業管理システムの概略図である。
【
図2】一実施の形態において、端末に表示される作業実績情報を説明するための図である。
【
図3】一実施の形態における作業制御装置の構成図である。
【
図4】一実施の形態における作業管理システムが実行する機能ブロックを表す図である。
【
図5】一実施の形態における作業管理装置の構成図である。
【
図6】一実施の形態における計画データを説明するための図である。
【
図8】一実施の形態における作業管理システムによる処理を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施の形態1)
本発明の本実施の形態による作業管理システム1000を、図面を参照して説明する。本実施の形態において、
図1に示すように、作業管理システム1000は、作業管理装置100と、作業装置200と、端末300とを備える。作業管理装置100は、ネットワーク20、例えばインターネットを介して、作業装置200と、端末300と通信可能に接続されている。
【0012】
作業管理装置100は、作業装置200が過去に圃場で行われた作業に関する作業実績情報を記憶する。例えば、作業管理装置100は、作業装置200から圃場での稼働情報を取得して、取得した稼働情報に基づき、作業実績情報、例えば作業を行った圃場、作業期間、作業種別、作業領域などを推定して記憶する。作業種別は、圃場で行われた作業の種類、例えば耕起、整地、施肥、植付などを表す。作業領域は、作業が行われた領域を表し、例えば圃場内で作業が行われた領域や、作業が行われた圃場全体の領域を表す。
【0013】
また、作業管理装置100は、作業装置200が圃場で作業を開始するときに、端末300に圃場で行われた過去の作業に関する作業実績情報を送信する。端末300は、受信した作業実績情報をユーザに報知する。例えば、
図2に示すように、端末300は、圃場10で過去に行われた作業に関する作業実績情報を表示する。
図2に示す例では、端末300は、圃場10で作業を行った作業日と、作業種別と、作業で圃場10の各位置に散布された農薬の散布量とを表示する。例えば、端末300は、圃場10の第1実績領域11に対する農薬の散布量は、第2実績領域12に対する農薬の散布量より少ないことを表す。また、端末300は、第2実績領域12に対する農薬の散布量は、第3実績領域13に対する農薬の散布量より少ないことを表す。
【0014】
ユーザは、端末300に表示される作業実績情報を確認することで、圃場10で過去に行われた作業を確認する。作業装置200が圃場10で開始する作業が作業実績情報に含まれているとき、ユーザは、すでに圃場10で作業が行われていることを知ることができる。このため、作業管理システム1000は、2重で同じ作業を行うことを低減することができる。作業管理システム1000は、特に、圃場10の外観から実施したかの判断が難しい作業、例えば施肥や農薬散布などを繰り返し行うことの低減に効果を奏する。また、作業管理システム1000は、複数の作業者で作業を行う場合、圃場10での作業が完了した後に、他の作業者が間違って同じ作業を繰り返すことを抑制することができる。
【0015】
なお、作業装置200から取得する稼働情報は、圃場10で作業を行っているときの作業装置200の状態を表す情報を含み、例えば作業装置200の速度、操舵角、エンジン回転数、各種クラッチのON/OFF状況、作業装置200の各時刻の位置情報、作業期間などを表す情報を含む。作業装置200が作業機械を牽引する車両、例えばトラクターであるとき、稼働情報には、作業機械に動力を伝達するときのPTO(power take-off)回転数、作業機械の姿勢を示すヒッチ高さやリフトアーム角度などの情報が含まれてもよい。
【0016】
(作業管理システムの構成)
図1に示す作業装置200の構成を説明する。作業装置200は、圃場内を移動して各種の作業を行い、例えば、トラクター、田植え機、施肥機、ドローンなどを含む。特に、作業装置200は、施肥作業、農薬散布作業を行う機材を含む。作業装置200は作業制御装置205を備える。作業制御装置205は、作業装置200の動作、例えば速度、操舵角、作業装置200が散布する農薬の散布量などを制御する。また、作業制御装置205は、作業装置200の状態を表す稼働情報を作業管理装置100に送信する。作業制御装置205は、
図3に示すように、入出力装置210と、演算装置220と、通信装置230と、記憶装置240と、測位装置245とを備える。
【0017】
入出力装置210には、演算装置220が処理を実行するための情報が入力される。また、入出力装置210は、演算装置220が処理を実行した結果を出力する。入出力装置210は、様々な入力装置と出力装置とを含み、例えば、キーボード、マウス、マイク、ディスプレイ、スピーカー、タッチパネルなどを含む。
【0018】
通信装置230は、ネットワーク20に電気的に接続され、ネットワーク20を介して各々の装置との通信を行う。通信装置230は、作業管理装置100から取得する信号を演算装置220に転送する。また、演算装置220が生成した信号を作業管理装置100に転送する。通信装置230は、例えば、無線LAN(Local Area Network)の送受信機、NIC(Network Interface Card)、USB(Universal Serial Bus)などの種々のインタフェースを含む。
【0019】
測位装置245は、各時刻における自機の位置、例えば緯度と、経度とを測定する。測定された位置を表す位置情報は、演算装置220に送信される。測位装置245は、作業制御装置205が作業装置200に組み込まれることにより、作業装置200の各時刻における位置を測定する。測位装置245は、例えばGNSS(Global Navigation Satellite System)の受信機である。
【0020】
記憶装置240は、作業装置200を制御するするための様々なデータ、例えば作業制御プログラム400を格納する。記憶装置240は、作業制御プログラム400を記憶する非一時的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)として用いられる。作業制御プログラム400は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体1に記録されたコンピュータプログラム製品(computer program product)として提供されてもよく、または、サーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。
【0021】
演算装置220は、作業制御プログラム400を読み出し実行することで、
図4に示すように、作業制御部250を実現する。作業制御部250は、作業装置200の動作を制御する。また、作業制御部250は、作業装置200の位置情報を作業管理装置100に送信する。
【0022】
次に、作業管理装置100の構成を説明する。作業管理装置100は、
図5に示すように、入出力装置110と、演算装置120と、通信装置130と、記憶装置140とを備える。作業管理装置100は、例えば、コンピュータである。入出力装置110には、演算装置120が処理を実行するための情報が入力される。また、入出力装置110は、演算装置120が処理を実行した結果を出力する。入出力装置110は、様々な入力装置と出力装置とを含み、例えば、キーボード、マウス、マイク、ディスプレイ、スピーカー、タッチパネルなどを含む。入出力装置110は省略されてもよい。
【0023】
通信装置130は、ネットワーク20に電気的に接続され、ネットワーク20を介して各々の装置との通信を行う。通信装置130は、作業装置200から取得する稼働情報を演算装置120に転送する。また、演算装置120が生成した信号を端末300に転送する。通信装置130は、例えば、NIC(Network Interface Card)、USB(Universal Serial Bus)などの種々のインタフェースを含む。
【0024】
記憶装置140は、圃場10で行われる作業を管理するための様々なデータ、例えば実績データ410と、計画データ420と、作業管理プログラム430とを格納する。記憶装置140は、作業管理プログラム430を記憶する非一時的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)として用いられる。作業管理プログラム430は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体2に記録されたコンピュータプログラム製品(computer program product)として提供されてもよく、または、サーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。また、作業管理プログラム430は、
図3に示す記憶媒体1に記録されて提供されてもよい。
【0025】
図5に示す実績データ410は、圃場10において過去に行われた作業に関するデータ、例えば作業装置200からの稼働情報から算出されるデータを含む。例えば、実績データ410は、作業期間と、作業領域と、作業種別とを関連付けて表す情報を含む。作業期間は、圃場10の作業を開始した時刻と終了した時刻とを表す。作業領域は、圃場10の作業が行われた領域、例えば
図2に示す第1実績領域11などを表す。作業種別は、圃場10で行われた作業の種類、例えば耕起、整地、施肥、植付などを表す。また、実績データ410は、圃場10の各位置で使用された資材量、例えば農薬や肥料の散布量などを表す情報を含む。
【0026】
計画データ420は、圃場10で作業を行うように作業装置200を制御するためのデータを含む。計画データ420は、例えば、
図6に示すように、作業を行う圃場10と、圃場10の領域と、作業種別と、作業を行うときの作業装置200の計画経路18とを表す情報を含む。また、計画データ420は、圃場10の各位置において使用される資材量を表す情報を含む。例えば、計画データ420は、圃場10の第1計画領域15と、第2計画領域16と、第3計画領域17との各々において、作業装置200が散布する農薬の散布量を表す情報を含む。さらに、計画データ420は、記録された作業計画の識別子を表す作業IDを含んでもよい。
【0027】
図5に示す演算装置120は、実績データ410を読み出し、圃場10で過去に行われた作業に関する作業実績情報を出力するための様々なデータ処理を行う。また、演算装置120は、作業制御装置205が作業装置200を制御するために、計画データ420を読み出し、計画データ420に表された作業計画情報を作業制御装置205に送信する。例えば、演算装置120は、中央演算処理装置(CPU;Central Processing Unit)などを含む。
【0028】
演算装置120は、作業管理プログラム430を読み出し実行することで、
図4に示すように、データ記憶部150と、開始判定部160と、出力部170とを実現する。データ記憶部150は、実績データ410と、計画データ420とを記憶する。開始判定部160は、作業装置200が圃場10で作業を開始するか否かを判定する。出力部170は、作業装置200が圃場10で作業を開始するとき、圃場10で過去に行われた作業に関する作業実績情報を出力する。
【0029】
次に、端末300の構成を説明する。端末300は、
図7に示すように、入出力装置310と、演算装置320と、通信装置330と、記憶装置340とを備える。端末300は、例えば、コンピュータ、タブレット、携帯電話などを含む。入出力装置310には、演算装置320が処理を実行するための情報が入力される。また、入出力装置310は、演算装置320が処理を実行した結果を出力する。入出力装置310は、様々な入力装置と出力装置とを含み、例えば、キーボード、マウス、マイク、ディスプレイ、スピーカー、タッチパネルなどを含む。
【0030】
通信装置330は、ネットワーク20に電気的に接続され、ネットワーク20を介して各々の装置との通信を行う。通信装置330は、作業管理装置100から取得する作業実績情報を演算装置320に転送する。また、演算装置320が生成した信号を作業管理装置100に転送する。通信装置330は、例えば、NIC(Network Interface Card)、USB(Universal Serial Bus)などの種々のインタフェースを含む。
【0031】
記憶装置340は、作業実績情報をユーザに報知するための様々なデータ、例えば報知プログラム440を格納する。記憶装置340は、報知プログラム440を記憶する非一時的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)として用いられる。報知プログラム440は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体3に記録されたコンピュータプログラム製品(computer program product)として提供されてもよく、または、サーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。報知プログラム440は、
図3に示す記憶媒体1に記録されて提供されてもよい。
【0032】
演算装置320は、報知プログラム440を読み出し実行することで、
図4に示すように、入出力装置310と協働して、作業管理装置100から取得した作業実績情報をユーザに報知する報知部350を実現する。
【0033】
(作業管理システムの動作)
図3に示す作業制御装置205の演算装置220は、作業装置200が起動されると、例えばエンジンが起動されると、作業制御プログラム400を読み出し実行する。演算装置220は、作業制御プログラム400を読み出し実行することで、作業管理方法である
図8に示す処理の一部を実行する。
【0034】
ステップS110において、演算装置220で実現される作業制御部250は、作業装置200の位置を表す位置情報を測位装置245から取得する。作業制御部250は、取得された作業装置200の位置情報を作業管理装置100の演算装置120に送信する。例えば、作業装置200が車両であるとき、作業装置200は、保管場所から圃場10まで移動する。作業制御部250は、作業装置200が保管場所から圃場10まで移動するとき、作業装置200の位置を表す位置情報を作業管理装置100の演算装置120に送信する。
【0035】
ステップS120において、作業管理装置100の演算装置120は、作業制御装置205の作業制御部250から位置情報を受信すると、作業管理プログラム430を読み出し実行する。演算装置120で実現される開始判定部160は、作業装置200の位置に基づき、作業装置200が作業を開始するか否かを判定する。作業装置200が作業を開始しないと判定されると、処理は、ステップS110に戻り、繰り返される。作業装置200が作業を開始すると判定されると、処理は、ステップS130に移行する。
【0036】
例えば、開始判定部160は、作業装置200から圃場10までの距離が閾値より小さいとき、作業装置200が作業を開始すると判定する。具体的には、開始判定部160は、計画データ420から圃場10の領域を表す領域情報を抽出して、位置情報に表された作業装置200の位置から、領域情報に表された圃場10の領域までの距離を算出する。作業装置200の位置から圃場10の領域までの距離は、作業装置200の位置から、圃場10の領域うち、作業装置200の位置の最近点までの距離を表す。算出された距離が閾値より小さいとき、開始判定部160は、作業装置200が作業を開始すると判定する。
【0037】
ステップS130において、出力部170は、圃場10で過去に行われた作業の作業実績情報の少なくとも一部を表す報知情報を端末300の演算装置320に出力する。例えば、出力部170は、実績データ410から圃場10で過去に行われた作業を表す作業実績情報を抽出する。また、出力部170は、実績データ410に記憶された作業のうち、圃場10で直近に行われた1以上の作業を表す作業実績情報を抽出してもよい。例えば、出力部170は、実績データ410から、圃場10で直近に行われた1つの作業を表す作業実績情報を抽出する。また、出力部170は、実績データ410に記録された作業のうち、圃場10で作業を開始する作業装置200が行った作業を表す作業実績情報を抽出してもよい。抽出された作業実績情報は、報知情報として端末300の演算装置320に送信される。例えば、出力部170は、抽出された作業実績情報を表す報知信号を生成して、生成された報知信号を端末300の演算装置320に送信する。
【0038】
ステップS140において、端末300の演算装置320は、報知情報を受信すると、報知プログラム440を読み出し実行する。演算装置320が実現する報知部350は、入出力装置310に報知情報を出力する。例えば報知情報は、
図2に示すように、圃場10のうち、少なくとも一部の領域、例えば第1実績領域11において、使用された資材量を表す。
【0039】
ステップS150において、作業制御部250は、ユーザにより作業開始が入力されたか否かを判定する。例えば、ユーザは、ステップS140において、入出力装置310に出力された報知情報を確認して、作業装置200により開始される作業が、すでに圃場10で行われているかを確認する。ユーザは、作業装置200により開始される作業がすでに行われているとき、作業制御装置205の入出力装置210に、作業装置200による作業を開始する操作を入力することなく、作業を終了する。これにより、
図7に示す作業管理方法は処理を終了する。
【0040】
一方、ユーザは、作業装置200により開始される作業が行われていないとき、作業制御装置205の入出力装置210に、作業装置200による作業を開始する操作を入力する。作業制御部250は、作業装置200による作業を開始する操作が入力されると、ステップS160の処理を実行する。
【0041】
ステップS160において、作業制御部250は、作業装置200を制御して、圃場10での作業を開始する。作業制御部250は、計画データ420に記憶されたデータのうち、
図6に示すような、圃場10で作業を開始する作業計画情報を取得する。作業制御部250は、取得された作業計画情報に基づき、作業装置200を制御して、圃場10の作業を行う。作業装置200が圃場10での作業を終了すると、
図8に示す作業管理方法は終了する。
【0042】
このように、作業管理システム1000は、作業装置200による圃場10における作業を開始する前に、圃場10において過去に行われた作業を表す報知情報をユーザに報知する。ユーザは、報知情報に基づき、開始する作業がすでに行われているかを確認することで、誤って同じ作業を繰り返すことを低減する。
【0043】
(変形例)
実施の形態において説明した構成は一例であり、機能を阻害しない範囲で構成を変更することができる。開始判定部160は、ステップS120において、作業装置200が圃場10で作業を開始する直前であることを判定できればよく、任意の方法を用いて、作業を開始することを判定してもよい。例えば、作業制御装置205の作業制御部250は、作業装置200を制御して圃場10での作業を開始するときに、圃場10での作業を開始することを表す作業開始信号を生成して、作業管理装置100の開始判定部160に送信してもよい。開始判定部160は、作業制御部250から作業開始信号を受信すると、作業装置200が圃場10での作業を開始すると判定する。この場合、開始判定部160が作業制御部250から位置情報を取得するステップS110の処理が省略されてもよい。
【0044】
作業制御部250は、ステップS150において、計画データ420から作業装置200が作業を開始する圃場10での作業を表す複数の作業計画情報を入出力装置210に出力してもよい。ユーザは、出力された複数の作業計画情報から、作業装置200が開始する作業を選択することで、作業の開始を入力する。
【0045】
また、作業制御部250は、複数の作業計画情報を入出力装置210に出力するときに、作業管理装置100に圃場10で作業を開始する直前であることを表す作業開始信号を送信してもよい。作業管理装置100の演算装置120は、作業開始信号を受信すると、作業装置200が圃場10での作業を開始すると判定して、
図8に示すステップS130以降の処理を行う。
【0046】
出力部170は、ステップS130において、実績データ410に記憶された作業に対応する識別子を表す報知情報を作業制御装置205の作業制御部250に送信してもよい。この場合、作業制御部250は、報知情報から作業の識別子を抽出し、計画データ420から、抽出された識別子に対応する作業を表す作業計画情報を取得する。作業制御部250は、取得された作業計画情報を入出力装置210に表示して、ユーザに報知情報を報知する。
【0047】
また、ユーザが計画データ420に記憶された複数の作業計画情報から圃場10で開始する作業を選択する場合に、作業制御部250は、報知情報から作業の識別子を抽出し、抽出された識別子に対応する作業を除外した複数の作業計画情報を出力してもよい。この場合、すでに作業が行われた作業計画情報は、入出力装置210に表示されないため、ユーザにより選択されない。これにより、誤って同じ作業を繰り返すことは低減される。
【0048】
また、作業制御部250は、報知情報から抽出された作業の識別子に対応する作業計画情報と、他の作業計画情報とを区別可能に、複数の作業計画情報を出力してもよい。例えば、作業制御部250は、抽出された作業の識別子に対応する作業計画情報を、他の作業計画情報と異なる色を付して表示する。これにより、ユーザが圃場10で開始する作業に対応する作業計画情報を選択するときに、誤ってすでに行われた作業に対応する作業計画情報を選択することが低減される。
【0049】
なお、
図1に示す作業制御装置205は、計画データ420を任意の方法で作業管理装置100から取得してもよい。例えば、作業制御装置205は、端末300を介して、作業管理装置100から計画データ420を取得してもよい。具体的には、端末300は、ネットワーク20を介して、作業管理装置100から計画データ420を取得して、取得された計画データ420を記憶媒体、例えばUSBメモリなどに記憶する。計画データ420が記憶された記憶媒体は、作業制御装置205に接続され、計画データ420を作業制御装置205に転送する。また、作業制御装置205の作業制御部250は、
図8に示すステップS160において、作業管理装置100から取得してもよい。
【0050】
以上において説明した実施の形態および変形例は一例であり、各実施の形態および変形例で説明した構成は、機能を阻害しない範囲で、任意に変更してもよく、または/および、任意に組み合わせてもよい。さらに、必要となる機能を実現できれば、実施の形態および変形例で説明した一部の機能を省略してもよい。例えば、報知部350は、作業制御装置205で実現されてもよい。また、データ記憶部150と、開始判定部160と、出力部170とのすべてまたは一部は、作業制御装置205または端末300で実現されてもよい。この場合、作業管理プログラム430は、報知プログラム440と、作業制御プログラム400とのすべてまたは一部を含み、作業管理プログラム430が作業制御装置205または端末300に記憶されてもよい。
【0051】
(付記)
第1の態様に係る作業管理方法は、
作業装置が圃場で過去に行われた作業を表す作業実績情報を記憶することと、
前記作業装置が前記圃場において作業を開始することを判定することと、
前記作業装置が作業を開始するとの判定に基づき、前記圃場で過去に行われた作業の前記作業実績情報の少なくとも一部を表す報知情報を出力することと、
を含む。
【0052】
第2の態様に係る作業管理方法は、第1の態様に係る作業管理方法であって、
前記報知情報は、前記圃場で行われた直近の1以上の作業を表す。
【0053】
第3の態様に係る作業管理方法は、第1または第2の態様に係る作業管理方法であって、
前記報知情報は、前記圃場のうち、少なくとも一部の領域で使用された資材量を表す。
【0054】
第4の態様に係る作業管理方法は、第1または第2の態様に係る作業管理方法であって、
前記判定することは、
前記作業装置から前記圃場までの距離が閾値より小さいとき、前記圃場において前記作業を開始すると判定する。
【0055】
第5の態様に係る作業管理方法は、第1から第3の態様のいずれか1つに係る作業管理方法であって、
前記判定することは、
前記作業装置から前記圃場において前記作業を開始することを表す情報が出力されたとき、前記圃場において前記作業を開始すると判定する。
【0056】
第6の態様に係る作業管理方法は、第1から第5の態様のいずれか1つに係る作業管理方法であって、
前記作業装置が前記圃場で行われる作業に関する複数の作業計画情報を記憶することと、
前記複数の作業計画情報のうち、前記報知情報に表された前記作業実績情報の作業に対応する作業計画情報を、他の作業計画情報と区別して出力することと、
を含む。
【0057】
第7の態様に係る作業管理システムは、
作業装置が圃場で過去に行われた作業を表す作業実績情報を記憶するデータ記憶部と、
前記作業装置が前記圃場において作業を開始することを判定する開始判定部と、
前記作業装置が作業を開始するとの判定に基づき、前記圃場で過去に行われた作業の前記作業実績情報の少なくとも一部を表す報知情報を出力する出力部と、
を備える。
【0058】
第8の態様に係る作業管理プログラムは、
作業装置が圃場で過去に行われた作業を表す作業実績情報を記憶することと、
前記作業装置が前記圃場において作業を開始することを判定することと、
前記作業装置が作業を開始するとの判定に基づき、前記圃場で過去に行われた作業の前記作業実績情報の少なくとも一部を表す報知情報を出力することと、
を演算装置に実行させる。
【符号の説明】
【0059】
1、2、3:記憶媒体
10 :圃場
11 :第1実績領域
12 :第2実績領域
13 :第3実績領域
15 :第1計画領域
16 :第2計画領域
17 :第3計画領域
18 :計画経路
20 :ネットワーク
100 :作業管理装置
110 :入出力装置
120 :演算装置
130 :通信装置
140 :記憶装置
150 :データ記憶部
160 :開始判定部
170 :出力部
200 :作業装置
205 :作業制御装置
210 :入出力装置
220 :演算装置
230 :通信装置
240 :記憶装置
245 :測位装置
250 :作業制御部
300 :端末
310 :入出力装置
320 :演算装置
330 :通信装置
340 :記憶装置
350 :報知部
400 :作業制御プログラム
410 :実績データ
420 :計画データ
430 :作業管理プログラム
440 :報知プログラム
1000 :作業管理システム