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特開2024-138039スフェンタニルクエン酸塩及びスフェンタニル塩基の調合
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138039
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】スフェンタニルクエン酸塩及びスフェンタニル塩基の調合
(51)【国際特許分類】
   C07D 409/06 20060101AFI20240927BHJP
   A61K 31/4535 20060101ALI20240927BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
C07D409/06
A61K31/4535
A61P25/04
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024114806
(22)【出願日】2024-07-18
(62)【分割の表示】P 2022211976の分割
【原出願日】2016-05-25
(31)【優先権主張番号】62/166,911
(32)【優先日】2015-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】595181003
【氏名又は名称】マリンクロッド エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ ヘルムート クレム
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン オーアー
(72)【発明者】
【氏名】ジョエル マクレナガン
(57)【要約】
【課題】スフェンタニルクエン酸塩及びスフェンタニル塩基の調合を提供すること。
【解決手段】本明細書の記載は、スフェンタニル塩からスフェンタニルクエン酸塩を形成することに対応した処理法である。1つのプロセスは、極性非水溶媒の存在下において、スフェンタニルクエン酸塩を形成することを含む。その他のプロセスは、水の存在下において、スフェンタニルクエン酸塩を形成することを含む。本開示の1つの態様は、極性非水溶媒の存在下において、スフェンタニル塩基からスフェンタニルクエン酸塩を形成するプロセスを包含する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書中に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、スフェンタニル塩及び遊離塩基の調合に関する。
【背景技術】
【0002】
スフェンタニルは、一連の強力なフェンタニル類似体の一員である。これは、「ミュー」オピエート受容体に対して、高い選択性及び親和性(フェンタニルに比べて、おおよそ10倍高い)を持つ。フェンタニルとの比較では、スフェンタニルの薬物動態プロファイルは、より少ない容積分布を示し、その結果、アルフェンタニルとフェンタニルとの中間の、終末相半減期をもつ中間体となる。さらに、スフェンタニルは、フェンタニルのようには、ヒスタミン放出を起こさない。スフェンタニルの化学名は、N-[4-(メトキシメチル)-1-[2-(2-チエニル)エチル]-4-ピペリジニル]-N-フェニルプロパンアミドである。そのクエン酸塩の形態において、その化学名は、N-[4-(メトキシメチル)-1-[2-(2-チエニル)エチル]-4-ピペリジニル]-N-フェニルプロパンアミド,2-ヒドロキシ-1,2,3-プロパントリカルボン酸塩である。
【0003】
スフェンタニルクエン酸塩の調合に対する古典的なアプローチは、前もって全てを添加した水中において、クエン酸(おおよそ1対1の比率で使用して)と共に、スフェンタニル塩基から当該塩を形成させる。残念ながら、このアプローチでは、当該塩を溶液からオイル状に生成させ、及びその後に結晶化を引き起こす。この従来プロセスはまた、いくつかのその他の問題点を提起する。第一に、そのオイル状生成物の結晶化後に、反応容器の側壁から集積物を取り除くため、手作業の介入が必要である。この制御不能な結晶化は、その生成物質を塊状に凝固させるので、薬剤処方物として十分な微粒子の粉体を得るには、ふるいにかけるか粉砕する必要がある。そのように強く凝固した化合物の粉砕はまた、極めて有害であり、及び周囲への暴露の問題を引き起こす。さらに、その反応が、均質相とならないので、精製滅菌ろ過が不可能である。一段階での再処理もまた、不可能である(例えば、その生成物質が、媒体中に再溶解しない)。仮に、そのスフェンタニルクエン酸塩の生成物質が、仕様に適合しない場合は(例えば、分析、HPLC、粒状化の課題などで)、その塩を、塩基形態に戻す必要があり、及びそのクエン酸塩結晶化プロセスを、最初から繰り返す必要がある。したがって、その後者の問題点に対処する、改善された塩の形成及び単離法に対する要求がある。
【発明の概要】
【0004】
大まかに説明すると、したがって、本開示の1つの態様は、極性非水溶媒の存在下において、スフェンタニル塩基からスフェンタニルクエン酸塩を形成するプロセスを包含する。当該プロセスは、(a)スフェンタニル塩基を極性非水溶媒と接触させ、ここで極性非水溶媒対スフェンタニル塩基の容積対質量の比が、約2対1から約12対1であることを特徴とする、混合物を形成すること、及び(b)その混合物をクエン酸と接触させ、ここでそのスフェンタニルクエン酸塩の混合物が、オイル相を含まないことを特徴とする、スフェンタニルクエン酸塩の混合物を形成することを含む。
【0005】
本開示の他の態様は、水の存在下において、スフェンタニル塩基からスフェンタニルクエン酸塩を形成するプロセスを提供する。当該プロセスは、(a)水対クエン酸の容積対質量の比が、約2対1から約12対1になるような、クエン酸と水の混合物を形成すること、及び(b)その混合物にスフェンタニル塩基を添加して、ここでスフェンタニル塩基に対するクエン酸のモル比が、約2対1から約5であることを特徴とする、スフェンタニルクエン酸塩を形成することを含む。
【0006】
本開示のさらなる態様は、スフェンタニルクエン酸塩からスフェンタニル塩基を形成するプロセスを提供する。当該プロセスは、(a)スフェンタニルクエン酸塩を、少なくとも1つの極性溶媒と接触させ、混合物を形成すること、(b)その混合物を、プロトン受容体と接触させ、スフェンタニル塩基の混合物を形成すること、(c)そのスフェンタニル塩基の混合物を冷却し、固体のスフェンタニル塩基を形成すること、及び(d)その固体スフェンタニル塩基を回収することを含む。
【0007】
本発明のその他の特徴及び反復形態を、より詳細に以下に記述する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
スフェンタニルクエン酸塩の製造は、スフェンタニルクエン酸塩に独特の及び顕著な傾向として、結晶化の前に、最初にオイル状としてその母液から分かれ出るために、特にその他のスフェンタニル類似体、同様に一般に、その他の活性な医薬品と比べて、比類ないほど困難である。このオイル状生成物質は、最初に反応容器、攪拌機、および攪拌軸の底面と側面にコートされ、及び数時間内にガラス状に凝固する。その固化した生成物質を次いで、手で取り除かなければならず、このプロセスが実行されるたびに、その製造作業者は、数時間は、有害で強固な化合物に曝される。反応容器の壁の掻き取りも望ましくない。開発化学者の専門用語では、オイル状物が形成されているか、または反応容器もしくはその他の機器に、その生成物質が固着している場合のいかなるプロセスも、「計測不可能」と見なされるのは、材料が、視覚的な観察の下で収集され、及び手で移動できることが可能な、実験室の設定とは対照的に、そのプロセスが、標準的な製造操作及び機器、例えば、ポンプ、羽根車、遠心分離機、およびフィルターなどを使用して実行できないためである。
【0009】
本明細書の開示は、後者の制約を克服する、スフェンタニルクエン酸塩の調合に対応したプロセスであって、集中的な手動操作を介入させる必要が無く、スフェンタニルクエン酸塩の生産に対する、計測可能で、安定したプロセスを提供する。本開示は、スフェンタニル塩基からスフェンタニルクエン酸塩を形成し、及びその母液からのスフェンタニル塩基の回収に対応したプロセスを含む。本明細書に記載の方法を適用すると、結晶化されたスフェンタニルクエン酸塩の生成物質は、その母液中においても良好に懸濁されて残り、及び従来の方法で調合されたスフェンタニルクエン酸塩に伴う問題のようには、凝集しない。本明細書に開示されているプロセスは、均質な溶液相を介して進行し、可逆的であり、精製ろ過及び一段階の再処理と互換性がある。結果として、歩留まり及び処理能力が改善する。
【0010】
(I)極性非水溶媒中において、スフェンタニル塩基からスフェンタニルクエン酸塩を調合するプロセス 本開示の1つの態様は、極性非水溶媒の存在下で、スフェンタニル塩基からスフェンタニルクエン酸塩を形成するプロセスを包含する。このプロセスは、(a)スフェンタニル塩基を極性非水溶媒と接触させ、極性非水溶媒対スフェンタニル塩基の容積対質量の比が、約2対1から約12対1であることを特徴とする、混合物を形成することを含む。その混合物を次いで、(b)クエン酸と接触させ、スフェンタニルクエン酸塩を形成する。いくつかの実施形態において、当該プロセスは、(c)上記の混合物を冷却し、固体スフェンタニルクエン酸塩を形成すること、及び(d)固体スフェンタニルクエン酸塩を回収することをさらに含んで良い。
【0011】
本明細書で使用する用語「混合物」は、均質な(溶液中において)または異質な(懸濁された)母材を指す。いくつかの実施形態において、当該混合物は、均質なまたは異質な溶液であって良い。
【0012】
(a)ステップA-反応混合物
当該プロセスのステップ(a)は、スフェンタニル塩基を極性非水溶媒と接触させ、混合物を形成することを含む。当該プロセスは、極性非水溶媒対スフェンタニル塩基の容積対質量の比が、約2対1から約12対1である、スフェンタニル塩基及び極性非水溶媒を含む、反応混合物の形成で開始される。
【0013】
本明細書で使用する「非水」溶媒とは、水成分の添加が無い溶媒又は溶媒系を指すが、必ずしも「無水」又は「乾式」ではなく、即ち、微量の水分、例えば、その雰囲気から吸収された水分、または一水和物として存在することができる、クエン酸自身から誘導された水分が、その溶媒に伴ってもよい。当該溶媒は、極性非水プロトン溶媒、または極性非水非プロトン溶媒であってよい。適切な極性非水プロトン溶媒の非限定的な例示には、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、イソブタノール、1-ブタノール、2-ブタノール、sec-ブタノール、t-ブタノールなどのアルコール、プロピレングリコールなどのジオール、ホルムアミド、アセトアミドなどのアミド、及び上記のいずれかの組合せを含む。適切な極性非水非プロトン溶媒の非限定的な例示には、アセトン、アセトニトリル、ジエトキシメタン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N-ジメチルプロパンアミド(またはジメチルプロピオンアミド、DMP)、1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジン(DMPU)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(DMI)、1,2-ジメトキシエタン(DME)、ジメトキシメタン、ビス(2-メトキシエチル)エーテル、N,N-ジメチルアセトアミド(DMA)、N-メチル-2-ピロリジノン(NMP)、1,4-ジオキサン、ギ酸エチル、ホルムアミド、ヘキサクロロアセトン、ヘキサメチルホスホルアミド、酢酸メチル、N-メチルアセトアミド、N-メチルホルムアミド、塩化メチレン、メトキシエタン、モルホリン、ニトロベンゼン、ニトロメタン、プロピオニトリル、ピリジン、スルホラン、テトラメチル尿素、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン(THF)、トリクロロメタン、及びそれらの組合せを含む。採用されて良い、特定の極性非水溶媒には、例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、及びC~Cアルコール、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール(イソプロピルアルコール、IPA)、1-ブタノール、2-ブタノール、sec-ブタノール、及びtert-ブタノールなど、ならびにそれらの組合せを含む。
【0014】
特定の実施形態において、当該極性非水溶媒は、米国食品医薬品局(FDA)のクラス3に許諾された溶媒であって良い。当該FDAは、通常、医薬品として受け入れられるレベルで、ヒトへの健康被害が知られていない溶媒を含んだ、クラス3の溶媒を定義している。利用可能なデータでは、クラス3の溶媒は、急性または短期的な研究においてその他の溶媒よりも毒性が低く、及び遺伝毒性試験において陰性であることが示されている。当該FDAは、これらの残留溶媒の量が、1日当たり50mgまたはそれ以下(5,000ppmまたは0.5パーセントに相当)を、理由なく許容されると考えている。それ以上の量はまた、それら溶媒が、製造能力及び良好な製造方法(GMP)との関連で、現実的であると報告された場合に、許容される可能性がある。適切な極性非水系のFDAクラス3溶媒の例示には、非限定的に、酢酸、アセトン、アニソール、2-ブタノール、酢酸ブチル、tert-ブチルメチルエーテル、DMSO、エタノール、酢酸エチル、エチルエーテル、ギ酸エチル、ギ酸、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸メチル、3-メチル-1-ブタノール、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、2-メチル-1-プロパノール、1-ペンタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、酢酸プロピル、及びテトラヒドロフラン(THF)を含む。例示的な実施形態において、当該溶媒は、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、MEK、MIBK、1-ブタノール、2-ブタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール(イソプロピルアルコール、IPA)、または2-メチル-1-プロパノール(イソブタノール)であって良い。
【0015】
一般に、当該溶媒対スフェンタニル塩基の容積対質量の比は、約2対1から約12対1の範囲である。多様な実施形態において、当該溶媒対スフェンタニル塩基の容積対質量の比は、約2対1から約12対1、約2.5対1から約10対1、約3対1から約8対1、約3.5対1から約6対1の範囲であって良い。例示的な実施形態において、当該溶媒対スフェンタニル塩基の容積対質量の比は、約4対1から約5対1であって良い。
【0016】
(b)ステップA-反応条件
一般に、当該極性非水溶媒とスフェンタニル塩基との接触は、約20℃から約90℃の範囲の温度で、実施される。多様な実施形において、当該反応は、約20℃から約30℃、約30℃から約40℃、約40℃から約50℃、約50℃から約60℃、約60℃から約70℃、約70℃から約80℃、または約80℃から約90℃の温度で実施されて良い。例示的な実施形態において、当該反応は、約50℃の温度で実施されて良い。その他の例示的な実施形態において、その接触は、約60℃から約80℃で、例として約70℃の温度で実施されて良い。当該接触は、不活性な雰囲気中(例えば、窒素またはアルゴンの存在下で)、及び常圧下において実施されて良い。当該極性非水溶媒とスフェンタニル塩基との接触は、攪拌、混合、振とう、または当該技術分野で公知の、任意のその他の方法によって促進されて良い。
【0017】
通常は、この接触ステップは、当該スフェンタニル塩基が、その混合物に組み入れられるまでの十分な時間をとって継続される。いくつかの実施形態において、当該混合物は、均質な溶液であって良い。一般に、当該接触は、約1分から約60分間継続されて良い。いくつかの実施形態において、当該反応は、約1分から約5分、約5分から約10分、約10分から約15分、約15分から約20分、約20分から約25分、約25分から約30分、約30分から約35分、約35分から約40分、約40分から約45分、約45分から約50分、約50分から約55分、または約55分から約60分間継続されて良い。
【0018】
いくつかの実施形態において、当該混合物は、次のステップに進める前に、ろ過(精製ろ過)されて良い。特に、当該混合物は、クエン酸との反応を進める前に、例えば、不溶解のスフェンタニル塩基またはその他の不純物を取り除くために、前述のように、約20℃から約90℃の範囲の温度で、ろ過されて良い。
【0019】
(c)ステップB-反応混合物
ステップ(b)の当該プロセスはさらに、ステップ(a)からの混合物をクエン酸と接触させ、スフェンタニルクエン酸塩を形成することを含む。当該プロセスは、先に詳細に記述されているように、ステップ(a)からの混合物、及び固体または溶媒中の溶液として、ステップ(a)からの混合物に直接添加されて良いクエン酸を含む、反応混合物の形成から開始される。
【0020】
当該反応混合物は、クエン酸を含む。当該クエン酸は、そのクエン酸の結晶構造が、いかなる水分子とも関係していない場合は、無水物として、またはそのクエン酸の結晶構造が、1つ以上の水分子と関係している場合は、水和物として存在して良い。適切な水和物の例示には、クエン酸半水和物、クエン酸一水和物、クエン酸セスキ水和物、クエン酸二水和物、及びクエン酸三水和物を含む。
【0021】
いくつかの実施形態において、当該クエン酸は、前述のセクション(I)(a)で定義されたように、溶媒に溶解されて良い。例示的な実施形態において、その溶媒は、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、またはC~Cアルコールであって良い。一般に、当該溶媒対当該クエン酸の容積対質量の比は、約0.1対1から約10対1の範囲である。多様な実施形において、当該溶媒対クエン酸の
容積対質量の比は、約0.1対1から約10対1、約0.2対1から約8対1、約0.3対1から約6対1、約0.4対1から約4対1、または約0.5対1から約2対1の範囲であって良い。例示的な実施形態において、当該溶媒対クエン酸の容積対質量の比は、約0.5対1から約2対1、または1対1であって良い。
【0022】
当該反応混合物に添加されるクエン酸の量は、変動が可能であり、及び変動するであろう。一般に、スフェンタニル塩基に対するクエン酸のモル量は、約0.9対1から約1.5対1の範囲であって良い。多様な実施形態において、スフェンタニル塩基に対するクエン酸のモル量は、約0.9対1から約1.5対1、約0.92対1から約1.4対1、約0.94対1から約1.3対1、約0.96対1から約1.2対1、または約0.98対1から約1.1対1の範囲であって良い。例示的な実施形態において、スフェンタニル塩基に対するクエン酸のモル量は、約0.9対1から約1.1対1の範囲であって良い。
【0023】
(d)ステップB-反応条件
クエン酸と(a)の当該混合物との接触時の温度は、変動が可能であり、及び変動するであろう。一般に、その接触は、約20℃から約90℃の範囲の温度で実施される。多様な実施形態において、当該接触は、約20℃から約30℃、約30℃から約40℃、約40℃から約50℃、約50℃から約60℃、約60℃から約70℃、約70℃から約80℃、または約80℃から約90℃の温度で実施されて良い。例示的な実施形態において、当該接触は、約80℃の温度で実施されて良い。その他の例示的な実施形態において、当該接触は、約60℃から約75℃の温度で、例として約70℃で実施されて良い。当該接触は、不活性な雰囲気中(例えば、窒素またはアルゴンの存在下で)、及び常圧下において実施されて良い。(a)の混合物中における、クエン酸とスフェンタニル塩基との接触は、攪拌、混合、振とう、または当該技術分野で公知の、任意のその他の方法によって促進されて良い。多様な実施形態において、ステップ(b)の当該混合物は、スフェンタニル類を含むオイル相を、実質的にまたは完全に含まなくて良い。特に、当該極性非水溶媒が、2-プロパノールである実施形態において、(b)の当該混合物は、オイル相を全く含んでいない。
【0024】
通常、この反応は、当技術分野で公知の、多数の方法のいずれかで決定される、当該反応が完了するまでの十分な時間をとって継続される。これに関連して、「完了した反応」とは一般に、その反応混合物が、その反応開始時での各存在量に比べて、スフェンタニル塩基の著しく減少した量、及びスフェンタニルクエン酸塩の著しく増加した量を含んでいることを意味する。完了した反応において、その反応混合物中に残っているスフェンタニル塩基の量は、約3%未満、または約1%未満であって良い。一般に、当該反応は、約0.5時間から約24時間継続されて良い。いくつかの実施形態において、当該反応は、約0.5時間から約1時間、約1時間から約3時間、約3時間から約4時間、約4時間から約6時間、約6時間から約8時間、約8時間から約12時間、約12時間から約18時間、または約18時間から約24時間継続されて良い。
【0025】
当該クエン酸が、ステップ(a)の当該混合物に添加される前に、溶媒中に溶解される実施形態において、当該クエン酸溶液は、約1分から約60分の間にわたって添加されて良い。いくつかの実施形態において、当該クエン酸溶液は、約1分から約5分、約5分から約10分、約10分から約15分、約15分から約20分、約20分から約25分、約25分から約30分、約30分から約35分、約35分から約40分、約40分から約45分、約45分から約50分、約50分から約55分、約55分から約60分の間にわたって添加されて良い。特定の実施形態において、当該クエン酸溶液は、約50分にわたって添加されて良い。
【0026】
いくつかの実施形態において、当該混合物は、次のステップに進める前に、ろ過(精製
ろ過)されて良い。特に、当該混合物は、前述のように、約20℃から約90℃の範囲の温度でろ過されて良い。
【0027】
その混合物中の当該スフェンタニルクエン酸塩は、当業者に公知の技術を使用して、その混合物から単離されて良い。適切な技術の非限定的な例示には、沈殿、抽出、蒸発、蒸留、クロマトグラフィー、及び結晶化を含む。例示的な実施形態において、当該スフェンタニルクエン酸塩は、以下のセクション(I)(e)~(f)に記述される方法に従って、単離されて良い。当該スフェンタニルクエン酸塩は、そのまま使用されるか、または当業者になじみのある技術を使用し、他の化合物に転換されて良い。
【0028】
スフェンタニルクエン酸塩の歩留まりは、変動が可能であり及び変動するであろう。通常、スフェンタニルクエン酸塩の歩留まりは、少なくとも約35%であろう。1つの実施形態において、スフェンタニルクエン酸塩の歩留まりは、約35%から約65%の範囲であろう。他の実施形態において、スフェンタニルクエン酸塩の歩留まりは、約65%から約75%の範囲であろう。さらに他の実施形態において、スフェンタニルクエン酸塩の歩留まりは、約75%から約85%の範囲であろう。さらなる実施形態において、当該スフェンタニルクエン酸塩の歩留まりは、約85%から約95%の範囲であろう。そのうえ他の実施形態において、当該スフェンタニルクエン酸塩の歩留まりは、約95%を超えて多いであろう。そのうえさらなる実施形態において、当該スフェンタニルクエン酸塩の歩留まりは、約99%を超えて多いであろう。
【0029】
(e)ステップC
いくつかの実施形態において、当該プロセスはさらに、ステップ(b)からの混合物を冷却して、固体のスフェンタニルクエン酸塩を形成することを包含する、ステップ(c)を含む。一般に、ステップ(c)の当該反応混合物は、ステップ(b)の反応混合物と同じであるが、しかしいくつかの実施形態においては、ステップ(b)の当該反応混合物は、スフェンタニルクエン酸塩の結晶を播種されて良い。例えば、当該極性非水溶媒が、2-プロパノールである実施形態において、スフェンタニルクエン酸塩の種となる結晶が、ステップ(b)の当該混合物に添加されて良い。一般に、その混合物中の、スフェンタニルクエン酸塩に対するスフェンタニルクエン酸塩の種となる結晶のモル比は、約0.0001対1から約0.05対1の範囲であって良い。多様な実施形態において、その混合物中の、スフェンタニルクエン酸塩に対するスフェンタニルクエン酸塩の種となる結晶のモル比は、約0.0001対1から約0.0005対1、約0.0005対1から約0.001対1、約0.001対1から約0.005対1、約0.005対1から約0.01対1、または約0.01対1から約0.05対1の範囲であって良い。例示的な実施形態において、その混合物中の、スフェンタニルクエン酸塩に対するスフェンタニルクエン酸塩の種となる結晶のモル比は、約0.001対1から約0.05対1の範囲であって良い。
【0030】
ステップ(b)の当該反応混合物が、播種されて良い温度は、変動が可能であり、及び変動するであろう。一般に、その温度は、約30℃から約70℃の範囲のであろう。多様な実施形態において、当該温度は、約30℃から約-40℃、約40℃から約50℃、約50℃から約60℃、約60℃から約70℃の範囲であって良い。好ましい実施形態において、当該反応が、播種されて良い温度は、約60℃であって良い。
【0031】
(b)の当該混合物が、冷却される温度は、変動が可能であり、及び変動するであろう。一般に、当該温度は、約-20℃から約70℃の範囲であろう。多様な実施形態において、当該温度は、約-20℃から約-10℃、約-10℃から約0℃、約0℃から約5℃、約5℃から約10℃、約10℃から約20℃、約20℃から約30℃、約30℃から約40℃、約40℃から約50℃、約50℃から約60℃、または約60℃から約70℃の範囲であって良い。いくつかの実施形態において、当該反応が冷却される温度は、約-5
℃から約5℃の範囲であって良い。好ましい実施形態において、その冷却された反応の当該温度は、約50℃であって良い。
【0032】
通常、当該反応は、前述のように、その反応が完了するまでの十分な時間をとって継続させる。例えば、その冷却ステップは、固体のスフェンタニルクエン酸塩が、もはや形成されなくなるまで(目視で検出確認またはレーザー法によって)、継続されて良い。一般に、当該反応は、約0.5時間から約24時間継続されて良い。いくつかの実施形態において、当該反応は、約0.5時間から約1時間、約1時間から約3時間、約3時間から約4時間、約4時間から約6時間、約6時間から約8時間、約8時間から約12時間、約12時間から約18時間、または約18時間から約24時間継続されて良い。
【0033】
(f)ステップD
いくつかの実施形態において、当該プロセスはさらに、ステップ(c)の混合物から固体のスフェンタニルクエン酸塩を回収することを包含する、ステップ(d)を含んで良い。特に、この固体スフェンタニルクエン酸塩は、ろ過を通して、例えば真空ろ過を通して、ステップ(c)の混合物から回収されて良い。この回収ステップが実行される温度は、変動が可能であり、及び変動するであろう。一般に、当該温度は、約-20℃から約60℃の範囲であって良い。多様な実施形態において、当該温度は、約-20℃から約-10℃、約-10℃から約0℃、約0℃から約5℃、約5℃から約10℃、約10℃から約20℃、約20℃から約30℃、約30℃から約40℃、約40℃から約50℃、または約50℃から約60℃の範囲であって良い。例示的な実施形態において、当該回収ステップの温度は、約50℃であって良い。
【0034】
固体スフェンタニルクエン酸塩の歩留まりは、変動が可能であり、及び変動するであろう。通常、固体スフェンタニルクエン酸塩の歩留まりは、少なくとも約35%であろう。1つの実施形態において、固体スフェンタニルクエン酸塩の歩留まりは、約35%から約65%の範囲であろう。他の実施形態において、固体スフェンタニルクエン酸塩の歩留まりは、約65%から約75%の範囲であろう。さらに他の実施形態において、固体スフェンタニルクエン酸塩の歩留まりは、約75%から約85%の範囲であろう。さらなる実施形態において、固体スフェンタニルクエン酸塩の歩留まりは、約85%から約95%の範囲であろう。そのうえ他の実施形態において、固体スフェンタニルクエン酸塩の歩留まりは、約95%を超えて多いであろう。さらなる実施形態において、スフェンタニルクエン酸塩の歩留まりは、約99%を超えて多いであろう。例示的な実施形態において、ステップ(d)で回収される、当該固体スフェンタニルクエン酸塩は、少なくとも約85%の歩留まりを有しているであろう。
【0035】
当該固体スフェンタニルクエン酸塩はまた、残留溶媒を除去するために、当技術分野で公知の任意の方法を使用して、さらに乾燥されて良い。適切な方法には、真空ろ過、オーブン乾燥、及び例えば、ロータリー蒸発器上のまたは高減圧マニホールドに取り付けられた真空減圧を含む。さらなる実施形態において、当該固体スフェンタニルクエン酸塩は、例えば約35℃から約65℃に上昇する温度で、乾燥されて良い。
【0036】
多様な実施形態において、ステップ(d)で回収される、当該固体スフェンタニルクエン酸塩は、約5000ppm未満の、例えば、約4500ppm未満、約4000ppm未満、約3500ppm未満、約3000ppm未満、約2500ppm未満、約2000ppm未満、約1500ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、または約100ppm未満の溶媒を含んでいて良い。その他の実施形態において、ステップ(d)で回収される、当該固体スフェンタニルクエン酸塩は、約5000ppmを超えた溶媒を含んでいて良い。好ましい実施形態において、ステップ(d)で回収される、当該固体スフェンタニルクエン酸塩は、約2000ppm未満の溶媒を含んでいて良い。
【0037】
(g)さらなる処理
固体スフェンタニルクエン酸塩の回収後に、ステップ(d)から取り残された混合物はさらに、回収可能な固体スフェンタニル塩基を与えるために、下記のセクション(III)に従って、処理されて良い。
【0038】
(II)水系におけるスフェンタニル塩基から、スフェンタニルクエン酸塩を調合するための処理法 本開示の他の態様は、水の存在下でのスフェンタニル塩基から、スフェンタニルクエン酸塩を形成する処理法を提供する。一般に、当該処理法は、(a)クエン酸と水の混合物を形成し、及び(b)その混合物にスフェンタニル塩基を添加して、スフェンタニルクエン酸塩を形成することを含む。水の存在下において、スフェンタニルクエン酸塩を形成するための処理法は、その一般プロセスの2回の反復形態に分割することができる。
【0039】
第一水系法は、第一ステップのプロセス(a1)の間に、高濃度のクエン酸と混合物を形成し、ここで水対クエン酸の容積対質量の比が、約2対1から約12対1であり、及び第二ステップのプロセス(b1)の間に、スフェンタニル塩基を添加し、ここで、その(a1)の混合物中のスフェンタニル塩基に対するクエン酸のモル比が、約2対1から約5対1の範囲であり、ならびにステップ(b1)が一般に、85℃またはそれ以下の温度で実施されることを含む。いくつかの実施形態において、この反復形態はさらに、(c1)ステップ(b1)からの混合物を冷却して、固体スフェンタニルクエン酸塩を形成すること、及び(d1)固体スフェンタニルクエン酸塩を回収することを含む。
【0040】
第二水系法は、スフェンタニルクエン酸塩の異なる2つの混合物を形成し、ここで1つの混合物が、その他の混合物に添加されることを含む。スフェンタニルクエン酸塩の第一(高クエン酸含有)混合物は、(a2)水対クエン酸の容積対質量の比が、約2対1から約12対1であるように、クエン酸と水の第一混合物を形成すること、及び(b2)スフェンタニル塩基に対するクエン酸のモル比が、約2対1から約5対1であるように、クエン酸と水の第一混合物に、総量で約4%から約35%のスフェンタニル塩基を添加することに分けられる。当該方法はさらに、(c2)スフェンタニルクエン酸塩の第一混合物を冷却することを含む。スフェンタニルクエン酸塩の第二(低クエン酸含有)混合物は、(d2)水対クエン酸の容積対質量の比が、約10対1から約22対1であるように、クエン酸と水の第二混合物を形成すること、及び(e2)スフェンタニル塩基に対するクエン酸のモル比が、約0.5対1から約2対1であるように、クエン酸と水の第二混合物に、総量で約65%から約96%のスフェンタニル塩基を添加することに分けられる。当該方法はさらに、(f2)ステップ(c2)からの、スフェンタニルクエン酸塩の第一(高クエン酸含有)混合物に、ステップ(e2)からの、スフェンタニルクエン酸塩の第二(低クエン酸含有)混合物を添加すること、及び(g2)ステップ(f2)からの混合物を冷却して、固体スフェンタニルクエン酸塩を形成することを含む。この方法はさらに、(h2)その固体スフェンタニルクエン酸塩を回収することを含む。
【0041】
これら方法の各々を、以下に詳細に提供する。
【0042】
(a)水系法1
(i)ステップA1
水の存在下で、スフェンタニル塩基からスフェンタニルクエン酸塩を調合するプロセスの第一反復形態における、ステップ(a1)は、クエン酸と水の混合物を形成することを含む。
【0043】
このクエン酸は、セクション(I)(c)で前述された、任意の形態で存在して良い。
一般に、水対クエン酸の容積対質量の比は、約2対1から約12対1の範囲であって良い。多様な実施形態において、水対クエン酸の容積対質量の比は、約2対1から約12対1、約3対1から約11対1、約4対1から約10対1、約5対1から約9対1、または約6対1から約8対1、もしくは約6.5対1から約7.5対1の範囲であって良い。いくつかの実施形態において、水対クエン酸の容積対質量の比は、約7対1であって良い。
【0044】
クエン酸と水との反応は、約100℃またはそれ以下の温度で実施される。例えば、当該温度は、約20℃から約40℃、約40℃から約60℃、約60℃から約80℃、または約80℃から約100℃の範囲であって良い。例示的な実施形態において、当該温度は、約20℃から約30℃の範囲であって良い。
【0045】
一般に、クエン酸は、一部分に添加される。この接触ステップは、当該クエン酸が、その混合物に組み入れられるまでの十分な時間をとって継続される。いくつかの実施形態において、当該混合物は、均質な溶液であって良い。一般に、当該接触は、約1分から約60分間継続されて良い。いくつかの実施形態において、当該反応は、約1分から約5分、約5分から約10分、約10分から約15分、約15分から約20分、約20分から約25分、約25分から約30分、約30分から約35分、約35分から約40分、約40分から約45分、約45分から約50分、約50分から約55分、または約55分から約60分間継続されて良い。クエン酸と水との接触は、攪拌、混合、振とう、または当該技術分野で公知の、任意のその他の方法によって促進されて良い。
【0046】
当該反応は、不活性な雰囲気中(例えば、窒素またはアルゴンの存在下で)、及び常圧下において実施されて良い。多様な実施形態において、(a1)の当該混合物は、不溶解の化学種を、実質的にまたは完全に含まなくて良い。いくつかの実施形態において、(a1)の当該混合物は、その次のステップに進める前に、不溶解の不純物を取り除くために、ろ過(精製ろ過)されて良い。
【0047】
(ii)ステップB1
この反復形態のステップ(b1)は、(a1)の当該混合物に、スフェンタニル塩基を添加することを含む。
【0048】
一般に、スフェンタニル塩基に対するクエン酸のモル比は、約2対1から約5対1の範囲であって良い。多様な実施形態において、スフェンタニル塩基に対するクエン酸のモル比は、約2.0対1から5.0対1、約2.25対1から4.5対1、約2.5対1から約4.0対1、または約2.75対1から約3.5対1の範囲であって良い。例示的な実施形態において、スフェンタニル塩基に対するクエン酸のモル比は、約2.0対1から約3.0対1の範囲であって良い。
【0049】
当該スフェンタニル塩基とクエン酸混合物との反応は一般に、約85℃またはそれ以下の温度で実施される。例えば、当該温度は、約20℃から約40℃、約40℃から約60℃、約60℃から約70℃、または約70℃から約85℃の範囲であって良い。例示的な実施形態において、当該温度は、約60℃から約85℃の範囲であって良い。
【0050】
一般にスフェンタニル塩基は、一部分に添加される。スフェンタニル塩基とクエン酸との接触は、約0.5時間から約24時間継続されて良い。いくつかの実施形態において、当該反応は、約0.5時間から約1時間、約1時間から約3時間、約3時間から約4時間、約4時間から約6時間、約6時間から約8時間、約8時間から約12時間、約12時間から約18時間、または約18時間から約24時間継続されて良い。スフェンタニル塩基とクエン酸との接触は、攪拌、混合、振とう、または当該技術分野で公知の、任意のその他の方法によって促進されて良い。
【0051】
当該反応は、不活性な雰囲気中(例えば、窒素またはアルゴンの存在下で)、及び常圧下において実施されて良い。多様な実施形態において、(b1)の当該混合物は、スフェンタニル類を含むオイル相を、実質的にまたは完全に含まなくて良い。いくつかの実施形態において、(b1)の当該混合物は、その次のステップに進める前に、不溶解のスフェンタニル塩基及び/またはその他の不純物を取り除くために、ろ過されて良い。
【0052】
(iii)ステップC1
多様な実施形態において、この反復形態はさらに、(c1)ステップ(b1)からの混合物を冷却して、固体のスフェンタニルクエン酸塩を形成すること、及び(d1)ステップ(c1)の混合物から固体のスフェンタニルクエン酸塩を回収することを含んで良い。
【0053】
いくつかの例示において、この反復形態はさらに、(c1)ステップ(b1)からの混合物を冷却して、固体のスフェンタニルクエン酸塩を形成することを含んで良い。(b1)の混合物が冷却される温度は、変動が可能であり、及び変動するであろう。一般に、その温度は、約-20℃から約60℃の範囲であって良い。多様な実施形態において、当該温度は、約-20℃から約-10℃、約-10℃から約0℃、約0℃から約5℃、約5℃から約10℃、約10℃から約20℃、約20℃から約30℃、約30℃から約40℃、約40℃から約50℃、または約50℃から約60℃の範囲であって良い。いくつかの実施形態において、当該反応の温度は、約0℃から約5℃の範囲であって良い。その他の実施形態において、当該反応の温度は、約-5℃未満であって良い。
【0054】
通常、当該反応は、その反応が完了するまでの十分な時間をとって継続される。例えば、当該冷却ステップは、もはや固体のスフェンタニルクエン酸塩が形成されなくなる(目視で検出確認またはレーザー法によって)まで継続されて良い。一般に、当該反応は、約0.5時間から約24時間継続されて良い。いくつかの実施形態において、当該反応は、約0.5時間から約1時間、約1時間から約3時間、約3時間から約4時間、約4時間から約6時間、約6時間から約8時間、約8時間から約12時間、約12時間から約18時間、または約18時間から約24時間継続されて良い。
【0055】
(iv)ステップD1
この反復形態はまた、(d1)ステップ(c1)後の、固体のスフェンタニルクエン酸塩を回収することを含んで良い。当該固体のスフェンタニルクエン酸塩は、ろ過を通して、例えば真空ろ過を通して、ステップ(c1)の混合物から回収されて良い。この回収ステップが、実行される温度は、変動が可能であり、及び変動するであろう。一般に、当該温度は、約-20℃から約60℃の範囲であって良い。多様な実施形態において、当該温度は、約-20℃から約-10℃、約-10℃から約0℃、約0℃から約5℃、約5℃から約10℃、約10℃から約20℃、約20℃から約30℃、約30℃から約40℃、約40℃から約50℃、または約50℃から約60℃の範囲であって良い。例示的な実施形態において、当該回収ステップの温度は、約0℃から約25℃の範囲であって良い。
【0056】
固体スフェンタニルクエン酸塩の歩留まりは、変動が可能であり、及び変動するであろう。通常、固体スフェンタニルクエン酸塩の歩留まりは、少なくとも約35%であろう。1つの実施形態において、固体スフェンタニルクエン酸塩の歩留まりは、約35%から約65%の範囲であろう。他の実施形態において、固体スフェンタニルクエン酸塩の歩留まりは、約65%から約75%の範囲であろう。さらに他の実施形態において、固体スフェンタニルクエン酸塩の歩留まりは、約75%から約85%の範囲であろう。さらなる実施形態において、当該固体スフェンタニルクエン酸塩の歩留まりは、約85%から約95%の範囲であろう。そのうえ他の実施形態において、当該固体スフェンタニルクエン酸塩の歩留まりは、約95%を超えて多いであろう。さらなる実施形態において、スフェンタニ
ルクエン酸塩の歩留まりは、約99%を超えて多いであろう。例示的な実施形態において、ステップ(d1)で回収される、当該固体スフェンタニルクエン酸塩は、少なくとも約90%の歩留まりを有しているであろう。
【0057】
当該固体スフェンタニルクエン酸塩はまた、水分を除去するために、当技術分野で公知の任意の方法を使用して、さらに乾燥され良い。適切な方法には、真空ろ過、オーブン乾燥、及び例えば、ロータリー蒸発器上のまたは高減圧マニホールドに取り付けられた真空減圧を含む。さらなる実施形態において、当該固体スフェンタニルクエン酸塩は、例えば約35℃から約65℃に上昇する温度で、乾燥されて良い。
【0058】
ステップ(d1)での固体スフェンタニルクエン酸塩の回収後に残った混合物はさらに、固体スフェンタニル塩基を与えるために、以下のセクション(III)に従って処理されて良い。
【0059】
(b)水系法2
水の存在下で、スフェンタニル塩基からスフェンタニルクエン酸塩を調合するプロセスの第二反復形態は、スフェンタニルクエン酸塩の異なる2つの混合物を形成し、及び次いでその2つの混合物を組み合わせることを含む。
【0060】
(i)ステップA2
この反復形態の第一ステップは、クエン酸濃度が高い、クエン酸と水との第一混合物を形成することを含む。クエン酸と水との混合物を形成することは、セクション(II)(a)(i)において前述したものと基本的に同一である。
【0061】
一般に、この高クエン酸混合物における、水対クエン酸の容積対質量の比は、約2対1から約12対1の範囲であって良い。多様な実施形態において、当該高クエン酸混合物における、水対クエン酸の容積対質量の比は、約1対1から約9対1、約2対1から約8対1、約3対1から約7対1、または約4対1から約6対1の範囲であって良い。いくつかの実施形態において、当該高クエン酸混合物における、水対クエン酸の容積対質量の比は、約5対1であって良い。
【0062】
(ii)ステップB2
この反復形態の次のステップは、(a2)の当該高クエン酸混合物に、総量で約4%から約35%のスフェンタニル塩基を添加することによって、スフェンタニルクエン酸塩(高クエン酸含有)の第一混合物を形成することを含む。一般に、スフェンタニル塩基に対するクエン酸のモル比は、約2対1から約5対1の範囲であって良い。多様な実施形態において、スフェンタニル塩基に対するクエン酸のモル比は、約2.0対1から5.0対1、約2.25対1から4.5対1、約2.5対1から約4.0対1、または約2.75対1から約3.5対1の範囲であって良い。例示的な実施形態において、スフェンタニル塩基に対するクエン酸のモル比は、約2.0対1から約3.0対1の範囲であって良い。多様な実施形態において、水系クエン酸の第一混合物に添加されるスフェンタニル塩基の量は、スフェンタニル塩基の総量で、約4%から約10%、約10%から約15%、約15%から約20%、約20%から約25%、約25%から約30%、または約30%から約35%の範囲であって良い。例示的な実施形態において、(a2)の第一混合物に添加されるスフェンタニル塩基の量は、スフェンタニル塩基の総量で、10%から約20%、または約15%であって良い。
【0063】
一般に、当該プロセスのステップ(b2)は、90℃またはそれ以下の温度で実施される。多様な実施形態において、当該反応は、約20℃から約40℃、約40℃から約60℃、約60℃から約80℃、または約80℃から約90℃の温度で実施される。例示的な
実施形態において、当該温度は、約70℃から約85℃の範囲であって良い。
【0064】
スフェンタニル塩基とステップ(b2)での高クエン酸混合物との接触は、約0.5時間から約24時間継続されて良い。いくつかの実施形態において、当該反応は、約0.5時間から約1時間、約1時間から約3時間、約3時間から約4時間、約4時間から約6時間、約6時間から約8時間、約8時間から約12時間、約12時間から約18時間、または約18時間から約24時間継続されて良い。スフェンタニル塩基と高クエン酸との接触は、攪拌、混合、振とう、または当該技術分野で公知の、任意のその他の方法によって促進されて良い。
【0065】
当該反応は、不活性な雰囲気中(例えば、窒素またはアルゴンの存在下で)、及び常圧下において実施されて良い。多様な実施形態において、(b2)の当該混合物は、スフェンタニル類を含むオイル相を、実質的にまたは完全に含まなくて良い。いくつかの実施形態において、(b2)の当該混合物は、その次のステップに進める前に、不溶解のスフェンタニル塩基及び/またはその他の不純物を取り除くために、ろ過(精製ろ過)されて良い。
【0066】
(iii)ステップC2
この反復形態の第三ステップは、(b2)の第一スフェンタニルクエン酸塩の混合物(高クエン酸含有)を冷却することを含む。この冷却ステップは、基本的にセクション(II)(a)(iii)で前述されたように実施される。
【0067】
(iv)ステップD2
ステップ(d2)は、クエン酸の濃度が、先の(a2)よりさらに低いように、クエン酸と水の第二混合物を形成することを含む。
【0068】
一般に、この低クエン酸混合物における、水対クエン酸の容積対質量の比は、約10対1から約22対1の範囲であって良い。多様な実施形態において、当該低クエン酸混合物における、水対クエン酸の容積対質量の比は、約10対1から約22対1、約12対1から約20対1、または約14対1から約18対1の範囲であって良い。いくつかの実施形態において、水対クエン酸の容積対質量の比は、約16.5対1であって良い。クエン酸と水との第二混合物は、基本的にセクション(II)(a)(i)において前述されたように形成されて良い。
【0069】
(v)ステップE2
この反復形態の次のステップは、(d2)の当該低クエン酸混合物に、総量で約65%から約96%のスフェンタニル塩基を添加することによって、スフェンタニルクエン酸塩(低クエン酸含有)の第二混合物を形成することを含む。一般に、スフェンタニル塩基に対するクエン酸のモル比は、約0.5対1から約3.0対1の範囲であって良い。多様な実施形態において、スフェンタニル塩基に対するクエン酸のモル比は、約0.5対1から3.0対1、約0.75対1から2.0対1、または約0.9対1から約1.1対1の範囲であって良い。例示的な実施形態において、スフェンタニル塩基に対するクエン酸のモル比は、約1.0対1であって良い。多様な実施形態において、(d2)の混合物に添加されるスフェンタニル塩基の量は、当該プロセスに使用されるスフェンタニル塩基の総量で、約65%から約70%、約70%から約75%、約75%から約80%、約80%から約85%、約85%から約90%、約90%から約96%の範囲であって良い。例示的な実施形態において、(d2)の混合物に添加されるスフェンタニル塩基の量は、スフェンタニル塩基の総量で、約80%から約90%、または約85%であって良い。
【0070】
一般に、ステップ(e2)は、少なくとも約90℃の温度で実施される。例えば、当該
ステップは、約90℃から約95℃、約95℃から約100℃、または約100℃を超えて高い温度で実施される。
【0071】
スフェンタニル塩基とステップ(e2)の低クエン酸混合物との接触は、約0.5時間から約24時間継続されて良い。いくつかの実施形態において、当該反応は、約0.5時間から約1時間、約1時間から約3時間、約3時間から約4時間、約4時間から約6時間、約6時間から約8時間、約8時間から約12時間、約12時間から約18時間、または約18時間から約24時間継続されて良い。スフェンタニル塩基とクエン酸との接触は、攪拌、混合、振とう、または当該技術分野で公知の、任意のその他の方法によって、促進されて良い。
【0072】
当該反応は、不活性な雰囲気中(例えば、窒素またはアルゴンの存在下で)、及び常圧下において実施されて良い。多様な実施形態において、(e2)の当該混合物は、スフェンタニル類を含むオイル相を、実質的にまたは完全に含まなくて良い。いくつかの実施形態において、(e2)の当該混合物は、その次のステップに進める前に、不溶解のスフェンタニル塩基及び/またはその他の不純物を取り除くために、ろ過(精製ろ過)されて良い。
【0073】
(vi)ステップF2
第二反復形態はさらに、(f2)ステップ(c2)からのスフェンタニルクエン酸塩(高クエン酸含有)の第一混合物に、ステップ(e2)からのスフェンタニルクエン酸塩(低クエン酸含有)の(温かい)第二混合物を添加することを含む。一般に、スフェンタニルクエン酸塩の第一混合物は、第二混合物が、その第一混合物に添加されている間、約5℃から約30℃の範囲の温度に保たれる。いくつかの実施形態において、その第一混合物の温度は、約5℃から約10℃、約10℃から約20℃、または約20℃から約30℃の範囲であって良い。例示的な実施形態において、第一混合物の温度は、第二混合物の添加の間、約10℃から約23℃に保たれる。
【0074】
第二混合物の第一混合物への添加は、約0.5時間から約4時間の間にわたって行われて良い。多様な実施形態において、その添加時間は、約0.5時間から約1時間、約1時間から約2時間、または約2時間から約3時間の範囲であって良い。例示的な実施形態において、当該添加時間は、約2時間であって良い。第一混合物は、第二混合物の添加の間、攪拌または混合されていて良い。
【0075】
(vii)ステップG2
当該反復形態の次のステップは、固体のスフェンタニルクエン酸塩を形成するために、(f2)の混合物を冷却することを含む。この冷却ステップは、基本的にセクション(II)(a)(iii)で前述されたように実施されて良い。
【0076】
(viii)ステップH2
この反復形態はさらに、基本的にセクション(II)(a)(iv)で前述されたように、(h2)ステップ(g2)の混合物から、当該固体スフェンタニルクエン酸塩を回収することを含む。ステップ(h2)での、当該固体スフェンタニルクエン酸塩の回収後に残された混合物はさらに、固体スフェンタニル塩基を与えるために、下記のセクション(III)に従って処理されて良い。
【0077】
(III)溶媒中において、スフェンタニルクエン酸塩からスフェンタニル塩基を形成するプロセス 本開示の他の態様は、スフェンタニルクエン酸塩からスフェンタニル塩基を形成するためのプロセスを提供する。このプロセスは、(a)少なくとも1つの極性溶媒に、スフェンタニルクエン酸塩を接触させて、混合物を形成すること、及び(b)その
混合物をプロトン受容体(塩基)と接触させ、その結果スフェンタニル塩基を形成することを含む。当該プロセスはさらに、(c)ステップ(b)からの混合物を任意で冷却して、固体のスフェンタニル塩基を形成すること、及び(d)固体スフェンタニル塩基を回収することを含む。
【0078】
多様な実施形態において、スフェンタニルクエン酸塩からスフェンタニル塩基を形成する、当該プロセスのステップ(a)は、省略され、及び当該プロセスは、セクション(I)または(II)において詳細に記述されるプロセスのいずれかの間で、固体スフェンタニルクエン酸塩の回収後に残された、混合物を使用して実施される。特に、セクション(I)(g)、(II)(a)(iv)、及び(II)(b)(viii)のことを指す。
【0079】
(a)ステップA-反応混合物
当該プロセスのステップ(a)は、スフェンタニルクエン酸塩を、少なくとも1つの極性溶媒と接触させて、混合物を形成することを含む。当該プロセスは、スフェンタニルクエン酸塩及び少なくとも1つの極性溶媒を含む、混合物の形成により開始される。この少なくとも1つの極性溶媒とは、セクション(I)(a)で前述された、任意の極性非水溶媒、水、またはそれらの組み合わせであって良い。多様な実施形態において、当該少なくとも1つの極性溶媒は、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、C~Cアルコール、または水から成る群から選択されて良い。いくつかの例示的な実施形態において、当該少なくとも1つの極性溶媒は、2-プロパノールであって良い。その他の例示的な実施形態において、当該少なくとも1つの極性溶媒は、水であって良い。さらにその他の例示的な実施形態において、当該極性溶媒は、エタノール及び水を含む。
【0080】
一般に、当該溶媒対スフェンタニルクエン酸塩の容積対質量の比は、約0.5対1から約200対1の範囲である。多様な実施形態において、当該溶媒対スフェンタニルクエン酸塩の容積対質量の比は、約0.5対1から200対1、約1.25対1から150対1、約2.5対1から100対1、または約3.75対1から約50対1の範囲であって良い。例示的な実施形態において、当該溶媒対スフェンタニルクエン酸塩の容積対質量の比は、約5対1から約25対1の範囲であって良い。
【0081】
(b)ステップA-反応条件
一般に、当該極性溶媒とスフェンタニルクエン酸塩との接触は、約20℃から約90℃の範囲の温度で実施される。多様な実施形態において、当該温度は、約20℃から約30℃、約30℃から約40℃、約40℃から約50℃、約50℃から約60℃、約60℃から約70℃、約70℃から約80℃、または約80℃から約90℃の範囲であって良い。通常、当該極性溶媒とスフェンタニルクエン酸塩との接触は、均質な混合物が形成されるまでの十分な時間をとって継続される。接触時間は、約数分から約数時間の範囲であって良い。
【0082】
いくつかの実施形態において、当該混合物は、その次のステップに進める前に、ろ過(精製ろ過)されて良い。特に、当該混合物は、前述のように、プロトン受容体との反応を進める前に、例えば、不溶解のスフェンタニルクエン酸塩を取り除くために、約20℃から約90℃の範囲の温度で、ろ過されて良い。
【0083】
(c)ステップB-反応混合物
当該プロセスのステップ(b)はさらに、ステップ(a)からの当該混合物を、プロトン受容体と接触させて、その結果スフェンタニル塩基を形成することを含む。一般に、適切なプロトン受容体のpKaは、約7から約13の範囲である。このプロトン受容体は、有機性または無機性であって良い。代表的な無機塩には、非限定的に、ホウ酸塩(例えば
、NaBO)、ジ-およびトリ-塩基性リン酸塩(例えば、NaHPO及びNaPO)、重炭酸塩(例えば、NaHCO、KHCO、それらの混合物など)、水酸化物塩(例えば、NaOH、KOH、それらの混合物など)、炭酸塩(例えば、NaCO、KCO、それらの混合物など)、及び前記のいずれかの組合せを含む。例示的な実施形態において、当該プロトン受容体には、水酸化物を含む。特定の実施形態において、当該プロトン受容体は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、またはそれらの組合せであって良い。
【0084】
当該プロトン受容体に対するスフェンタニルクエン酸塩のモル比は、約1対1.0から約1対6.0の範囲であって良い。いくつかの実施形態において、当該プロトン受容体に対するスフェンタニルクエン酸塩のモル比は、約1対1.0から約1対6.0、約1対1.1から約1対5.0、約1対1.3から約1対4.0、または約1対1.5から約1対3.0の範囲であって良い。いくつかの実施形態において、当該プロトン受容体に対するスフェンタニルクエン酸塩のモル比は、約1対1.6から約1対2.0の範囲であって良い。
【0085】
(d)ステップB-反応条件
当該反応が実施される温度は、変動が可能であり、及び変動するであろう。一般に、当該反応は、約20℃から約90℃の範囲の温度で実施される。多様な実施形態において、当該反応は、約20℃から約30℃、約30℃から約40℃、約40℃から約50℃、約50℃から約60℃、約60℃から約70℃、約70℃から約80℃、または約80℃から約90℃の温度で実施される。例示的な実施形態において、当該反応は、約35℃の温度で実施される。当該反応は、不活性な雰囲気中(例えば、窒素またはアルゴンの存在下で)、及び常圧下において実施されて良い。
【0086】
通常は、当該反応は、この反応が完了するまでの十分な時間をとって継続される。完了した反応において、その反応混合物中に残るスフェンタニルクエン酸塩の量は、約3%未満、または約1%未満であって良い。一般に、当該反応は、約0.5時間から約24時間継続されて良い。いくつかの実施形態において、当該反応は、約0.5時間から約1時間、約1時間から約3時間、約3時間から約4時間、約4時間から約6時間、約6時間から約8時間、約8時間から約12時間、約12時間から約18時間、または約18時間から約24時間継続されて良い。
【0087】
当該スフェンタニル塩基は、当業者に公知の技術を使用して、その反応混合物から単離されて良い。適切な技術の非限定的な例示には、沈殿、抽出、蒸発、蒸留、クロマトグラフィー、および結晶化を含む。例示的な実施形態において、当該スフェンタニル塩基は、以下のセクション(III)(e)~(f)に記述される方法に従って、単離されて良い。当該スフェンタニル塩基は、そのまま使用されるか、または当業者になじみのある技術を使用し、他の化合物へと転換されて良い。
【0088】
スフェンタニル塩基の歩留まりは、変動が可能であり、及び変動するであろう。通常、スフェンタニル塩基の歩留まりは、少なくとも約35%であろう。1つの実施形態において、スフェンタニル塩基の歩留まりは、約35%から約65%の範囲であろう。他の実施形態において、スフェンタニル塩基の歩留まりは、約65%から約75%の範囲であろう。さらに他の実施形態において、スフェンタニル塩基の歩留まりは、約75%から約85%の範囲であろう。さらなる実施形態において、スフェンタニル塩基の歩留まりは、約85%から約95%の範囲であろう。そのうえ他の実施形態において、スフェンタニル塩基の歩留まりは、約95%を超えて多いであろう。
【0089】
(e)ステップC
いくつかの実施形態において、当該プロセスのステップ(c)はさらに、ステップ(b)からの混合物を冷却して、固体のスフェンタニル塩基を形成することを含む。一般に、ステップ(c)の当該反応混合物は、ステップ(b)の反応混合物と同じであるが、しかしいくつかの実施形態においては、ステップ(b)の当該反応混合物は、スフェンタニル塩基の結晶を播種されて良い。一般に、その混合物中の、スフェンタニル塩基に対するスフェンタニル塩基の種となる結晶のモル比は、約0.0001対1から約0.05対1の範囲であって良い。多様な実施形態において、その混合物中の、スフェンタニル塩基に対するスフェンタニル塩基の種となる結晶のモル比は、約0.0001対1から約0.05対1、約0.00025対1から約0.05対1、約0.0005対1から約0.05対1、または約0.00075対1から約0.05対1の範囲であって良い。例示的な実施形態において、当該混合物中の、スフェンタニル塩基に対するスフェンタニル塩基の種となる結晶のモル比は、約0.001対1から約0.05対1の範囲であって良い。
【0090】
当該混合物が冷却される温度は、変動が可能であり、及び変動するであろう。一般に、その温度は、約-20℃から約60℃の範囲であって良い。多様な実施形態において、当該温度は、約-20℃から約-10℃、約-10℃から約0℃、約0℃から約5℃、約5℃から約10℃、約10℃から約20℃、約20℃から約30℃、約30℃から約40℃、約40℃から約50℃、または約50℃から約60℃の範囲であって良い。例示的な実施形態において、当該温度は、約0℃から約5℃の範囲であって良い。
【0091】
通常、ステップ(c)は、先に詳細を説明したように、その反応が完了するまでの十分な時間をとって継続される。例えば、その冷却ステップは、固体のスフェンタニル塩基が、もはや形成されなくなるまで(目視で検出確認)、継続されて良い。一般に、当該反応は、約0.5時間から約24時間継続されて良い。いくつかの実施形態において、当該反応は、約0.5時間から約1時間、約1時間から約3時間、約3時間から約4時間、約4時間から約6時間、約6時間から約8時間、約8時間から約12時間、約12時間から約18時間、または約18時間から約24時間継続されて良い。
【0092】
(f)ステップD
いくつかの実施形態において、当該プロセスはさらに、ステップ(c)の混合物から固体のスフェンタニル塩基を回収することを包含する、ステップ(d)を含んで良い。特に、この固体スフェンタニル塩基は、ろ過を通して、例えば真空ろ過を通して、ステップ(c)の反応混合物から回収されて良い。当該固体スフェンタニル塩基はまた、残留溶媒を除去するために、当技術分野で公知の任意の方法を使用して、さらに乾燥され良い。適切な方法には、真空ろ過、オーブン乾燥、及び例えば、ロータリー蒸発器上のまたは高減圧マニホールドに取り付けられた真空減圧を含む。さらなる実施形態において、当該固体スフェンタニル塩基は、例えば約35℃から約65℃に上昇する温度で、乾燥されて良い。
【0093】
いくつかの実施形態において、当該固体スフェンタニル塩基は、結晶のスフェンタニル塩基を形成するために、非極性溶媒と接触させられて良い。代表的な非極性溶媒には、非限定的に、アルカンおよび置換アルカン溶媒(環状アルカンを含む)、芳香族炭化水素、及びそれらの組合せを含む。採用されて良い特定の非極性溶媒には、例えば、ベンゼン、クロロベンゼン、クロロホルム、シクロヘキサン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、フルオロベンゼン、ヘプタン、ヘキサン、トルエン、及びそれらの組合せを含む。例示的な実施形態において、当該非極性溶媒には、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、またはそれらの組み合わせなどのアルカンであって良い。
【0094】
スフェンタニル塩基の歩留まりは、変動が可能であり、及び変動するであろう。通常、固体のスフェンタニル塩基の歩留まりは、少なくとも約35%であろう。1つの実施形態
において、固体のスフェンタニル塩基の歩留まりは、約35%から約65%の範囲であろう。他の実施形態において、固体のスフェンタニル塩基の歩留まりは、約65%から約75%の範囲であろう。さらに他の実施形態において、固体のスフェンタニル塩基の歩留まりは、約75%から約85%の範囲であろう。さらなる実施形態において、当該固体のスフェンタニル塩基の歩留まりは、約85%から約95%の範囲であろう。そのうえ他の実施形態において、当該固体のスフェンタニル塩基の歩留まりは、約95%を超えて多いであろう。例示的な実施形態において、ステップ(d)で回収される、当該固体のスフェンタニル塩基は、少なくとも約90%の歩留まりを有するであろう。
【0095】
多様な実施形態において、ステップ(d)で回収される、当該固体のスフェンタニル塩基は、約5000ppm未満の、例えば、約4500ppm未満、約4000ppm未満、約3500ppm未満、約3000ppm未満、約2500ppm未満、約2000ppm未満、約1500ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、または約100ppm未満の溶媒を含んでいて良い。
【0096】
本発明が、詳細に記述されたとしても、添付請求項に定められた本発明の要旨を逸脱することなく、修正及び変更が可能であることは明らかであろう。
【実施例0097】
以下の実施例には、本発明の特定の実施形態を立証することが含まれる。当業者は、この実施例に開示される技術が、本発明の実践において正常に機能するとして、本発明者らによって発見された技術を代表していることを理解されよう。しかしながら、当業者は、本開示に照らして、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく、開示された特定の実施形態において多くの変更がなされ得て、及び同様の結果を得ることができ、したがって、明記されたすべての事柄が、例示として及び制約の意味としてではなく解釈されるべきであることを理解されよう。
【0098】
実施例1:スフェンタニルクエン酸塩(IPA+無水クエン酸)-方法A
スフェンタニル塩基(1.09g、2.81mmol)を攪拌し、及び2-プロパノール(8mL)に、加熱して溶解させた(約35℃)。無水クエン酸(0.56g、2.91mmol、1.04当量)を添加し、及びその混合物をさらに40℃で加熱し、完全に溶解させた。この混合物を、適切なフィルターを通して、滅菌ろ過した。この反応混合物に、40℃でスフェンタニルクエン酸塩の結晶(0.05mol%)を播種し、及び結晶化を起こし、したがってオイル相を避けるようにして、その温度を保った。この反応混合物を、<5℃に冷却し、及びその温度を約2時間保った。この固体を、ブフナー漏斗上でろ過し、及び1mLの冷(<5℃)2-プロパノールで洗浄した。対流式オーブン中で、58℃~62℃で乾燥後には、その生成物は、白い粉末であった(1.47g、90.7%)。この生成物は典型的に、4600ppmの残留2-プロパノールを含み、99.29wt%であると分析された。
【0099】
実施例2:スフェンタニルクエン酸塩(IPA+無水クエン酸)-方法B
スフェンタニル塩基(130.71g、338.14mmol)を攪拌し、及び2-プロパノール(378mL)に、約72℃の温度で加熱して溶解させた。無水クエン酸(65.66g、341.74mmol)を2-プロパノール(351.5mL)に溶解し、及びその2-プロパノール・スフェンタニル塩基溶液に添加して、約50分間攪拌した。その添加の間、この反応混合物の温度を、少なくとも62℃以上に維持し、次いで75℃で加熱し、及び滅菌ろ過した。その反応を約62℃まで冷却し、及びスフェンタニルクエン酸塩(220mg、0.38mmol、0.001mol%)を播種した。この反応混合物を、60℃で4時間維持し、及び次いで常温(約25℃)まで冷却し、ならびに攪拌しながら、常温で16時間維持し、及び次いで約30分間攪拌しながら、約0℃から約5
℃の間まで冷却した。固体のスフェンタニルクエン酸塩を含むこの反応混合物を、ブフナー漏斗でろ過し、及び冷(<5℃)2-プロパノール(125mL)で洗浄した。この手順で、ブフナー漏斗上での3日間の真空空気乾燥の後に、白い結晶を生み出した(190.42g、97.3%)。分析で、この物質が、5000ppm未満の残留2-プロパノールを伴い、99から101wt.%のスフェンタニルクエン酸塩を含んでいることが示された。
【0100】
実施例3:スフェンタニルクエン酸塩(IPA+クエン酸一水和物)-方法A
スフェンタニル塩基(1.02g、2.63mmol)を攪拌し、及び2-プロパノール(8mL)に、加熱して溶解させた(約35℃)。クエン酸一水和物(0.58g、2.76mmol、1.05当量)を添加し、及びその混合物をさらに40℃へ加熱し、完全に溶解させた。この混合物を、適切なフィルターを通して、滅菌ろ過した。この反応混合物に、40℃でスフェンタニルクエン酸塩の結晶(0.05mol%)を播種し、及び結晶化を起こし、したがってオイル相を避けるようにして、その温度を保った。次いで、この反応混合物を、<5℃に冷却し、及びその温度を約2時間保った。この固体を、ブフナー漏斗上でろ過し、及び1mLの冷(<5℃)2-プロパノールで洗浄した。対流式オーブン中で、58℃~62℃で乾燥後には、その生成物は、白い粉末であった(1.43g、93.7%)。この生成物は典型的に、4800ppmの残留2-プロパノールを含み、100.28wt%であると分析された。
【0101】
実施例4:スフェンタニルクエン酸塩(IPA+クエン酸一水和物)-方法B
スフェンタニル塩基(1.02g、2.63mmol)を、2-プロパノール(4mL)が入った25mLの三又フラスコに入れ、及びマグネチックスターラーで攪拌した。この混合物を51℃まで加熱して、そのスフェンタニルを全て溶解させた。クエン酸一水和物(0.59g、2.81mmol、1.07当量)を、2-プロパノール(3.9mL)を入れたセパラブルフラスコに入れ、及び常温の、約22℃で攪拌し、溶解させた。このクエン酸溶液を、そのスフェンタニル溶液に添加し、及び攪拌した。その組み合わせた溶液の温度は、39℃であった。その溶液を、攪拌を続けながら、常温まで冷却した。約30分後、その溶液が濁り、及び当該スフェンタニルクエン酸塩が、溶液からゆっくり現れた。この生成物の懸濁液を、2時間氷浴で冷却し(0~5℃)、ろ過し、及び2時間空気乾燥して、白い粉末固体であるスフェンタニルクエン酸塩を得た(1.34g、88.2%)。
【0102】
実施例5:スフェンタニルクエン酸塩(2-プロパノール+クエン酸一水和物)-残留2-プロパノールの微量制御を伴った方法A
スフェンタニル塩基(13.00g、33.63mmol)及びクエン酸一水和物(7.21g、34.31mmol、1.02当量)を、窒素雰囲気下で、機械式攪拌器付きの、250mLフラスコに添加した。2-プロパノール(57mL)を、そのフラスコに入れ、及びそのスラリーを攪拌してその内容物を混合し、及び次いで80℃で加熱して溶解させた。その温溶液を、0.45μmのフィルターを通してろ過し、及びそのフラスコならびにフィルターを、2-プロパノール(9mL)ですすぎ洗浄した。その透明な温溶液を、60℃まで冷却し、及びスフェンタニルクエン酸塩(20mg、0.034mmol、0.10mol%)を播種した。その濁った溶液を、1~2時間かけて50℃まで冷却し、及び18時間保持した。その白いスラリーを、ブフナー漏斗上で、50℃でろ過し、及びその固体を、13.0mLの2-プロパノールで洗浄した。その単離した固体を、対流式オーブン中で、重量が一定になるまで60℃で乾燥した。その結果、典型的に1041ppmの残留2-プロパノールを含み、99.86wt.%と分析された、白い粉末(17.85g、91.7%)である生成物を得た。
【0103】
実施例6:スフェンタニルクエン酸塩(1-ブタノール+クエン酸一水和物)
スフェンタニル塩基(1.01g、2.61mmol)を攪拌し、及び室温(約23℃)で、1-ブタノール(8mL)を溶解した。クエン酸一水和物(0.58g、2.76mmol、1.06当量)を添加した。この混合物を、適切なフィルターを通して、滅菌ろ過し、及びこの混合物を、一晩かけて攪拌した。その懸濁液を、<5℃まで冷却し、2時間保持し、及びその固体を、ブフナー漏斗上でろ過し、ならびに2mLの冷(<5℃)1-ブタノールで洗浄した。対流式オーブン中で、55~65℃で乾燥後には、その生成物は、白い粉末であった(1.44g、95.4%)。この生成物は典型的に、95.69wt.%であると分析された。
【0104】
実施例7:スフェンタニルクエン酸塩(2-ブタノール+クエン酸一水和物)
スフェンタニル塩基(1.05g、2.72mmol)を、室温で、2-ブタノール(8mL)中で攪拌した。その混合物を、30℃で30分間加熱し、溶解物を得て、ろ過し、及び次いで室温まで冷却した。クエン酸一水和物(0.60g、2.85mmol、1.00当量)を添加し、及びその混合物を攪拌して、完全に溶解させた。室温で1時間後、結晶化が起きた。その懸濁液を、一晩かけて攪拌し、次いで<5℃まで冷却し、2時間保持し、及びその固体を、ブフナー漏斗上でろ過し、ならびに2mLの冷(<5℃)2-ブタノールで洗浄した。対流式オーブン中で、55~65℃で乾燥後には、その生成物は、白い粉末であった(1.43g、91.2%)。この生成物は典型的に、99.85wt.%であると、分析された。
【0105】
実施例8:スフェンタニルクエン酸塩(酢酸エチル+クエン酸一水和物)
スフェンタニル塩基(1.04g、2.69mmol)を攪拌し、及び加熱して酢酸エチル(8mL)に溶解させた(約30℃)。クエン酸一水和物(0.62g、2.95mmol、1.10当量)を添加し、及びその混合物をさらに、約76℃から約78℃まで加熱し、ならびに1時間保持した。その懸濁液を、<5℃まで冷却し、及び約0.5時間保持した。その固体を、ブフナー漏斗上でろ過し、及び2mLの冷(<5℃)酢酸エチルで洗浄した。対流式オーブン中で、58~62℃で乾燥後には、その生成物は、白い粉末であった(1.46g、93.6%)。生成物は典型的に、3100ppmの残留酢酸エチルを含み、98.79wt.%であると分析された。
【0106】
実施例9:スフェンタニルクエン酸塩(酢酸イソプロピル+クエン酸一水和物)
スフェンタニル塩基(1.01g、2.61mmol)を攪拌し、及び加熱して酢酸イソプロピル(8mL)に溶解させた(約30℃)。クエン酸一水和物(0.57g、2.71mmol、1.04当量)を添加し、及びその混合物をさらに、約80℃まで加熱し、ならびに1時間保持した。その懸濁液を、<5℃まで冷却し、及び約0.5時間保持した。その固体を、ブフナー漏斗上でろ過し、及び2mLの冷(<5℃)酢酸イソプロピルで洗浄した。対流式オーブン中で、45~54℃で乾燥後には、その生成物は、白い粉末であった(1.27g、84.1%)。その生成物は典型的に、99.54wt.%であると分析された。
【0107】
実施例10:スフェンタニルクエン酸塩(メチルイソブチルケトン+クエン酸一水和物)
スフェンタニル塩基(1.06g、2.74mmol)を攪拌し、及び加熱してメチルイソブチルケトン(8mL)に溶解させた(約30℃)。クエン酸一水和物(0.61g、2.90mmol、1.06当量)を添加した。その反応混合物を必要に応じてろ過し、及び次いで室温で一晩かけて攪拌した。その懸濁液を、<5℃まで冷却し、及び約0.5時間保持した。その固体を、ブフナー漏斗上でろ過し、及び2mLの冷(<5℃)メチルイソブチルケトンで洗浄した。対流式オーブン中で、55~65℃で乾燥後には、その生成物は、白い粉末であった(1.34g、84.3%)。その生成物は典型的に、93.67wt.%であると分析された。
【0108】
実施例11:スフェンタニルクエン酸塩(メチルエチルケトン+クエン酸一水和物)
スフェンタニル塩基(1.01g、2.61mmol)を攪拌し、及びメチルエチルケトン(8mL)を、室温で溶解した。クエン酸一水和物(0.57g、2.71mmol)を添加し、5分後に結晶化を観察し、及びその混合物を、室温で一晩かけて攪拌した。その懸濁液を、<5℃まで冷却し、及び約0.5時間保持した。その固体を、ブフナー漏斗上でろ過し、及び2mLの冷(<5℃)メチルエチルケトンで洗浄した。対流式オーブン中で、55~65℃で乾燥後には、その生成物は、白い粉末であった(1.47g、97.4%)。その生成物は典型的に、96.27wt.%であると分析された。
【0109】
実施例12:スフェンタニルクエン酸塩(25% v/vメタノール水溶液+クエン酸一水和物)
スフェンタニル塩基(0.97g、2.51mmol)を攪拌し、及び加熱して25%
v/vメタノール水溶液(8mL)に溶解させた(約55℃)。クエン酸一水和物(0.55g、2.62mmol、1.04当量)を添加し、その混合物を冷却した。その反応物を、室温まで冷却した(35.0℃で、結晶化が起こった)。その懸濁液を、一晩かけて攪拌した。その反応を次いで、<5℃まで冷却し、2時間保持し、次いでブフナー漏斗上でろ過し、及び2mLの冷(<5℃)25% v/vメタノール水溶液で洗浄した。対流式オーブン中で、55~65℃で乾燥後には、その生成物は、白い粉末であった(1.20g、82.8%)。その生成物は典型的に、100.26wt.%であると分析された。
【0110】
実施例13:スフェンタニルクエン酸塩-水系法1
クエン酸無水物(4.32g、22.48mmol)を、脱イオン水(30mL)に溶解させた。これに、スフェンタニル塩基(3.00g、7.76mmol、0.34当量)を添加し、及び次いで、75℃~85℃で混合し、溶解させた。この混合物を次いで、室温にまで冷却し、その後3時間以内で、その生成物を結晶化した。その混合物を次いで、0~5℃まで冷却し、及び1~3時間保持した。その混合物を、ブフナー漏斗上でろ過し、及び4mLの水で洗浄した。その水分を含んだ固形物を、真空オーブン中で(~200mbar、55~60℃で16時間の窒素置換)乾燥した。これにより、白い粉末(3.60g、80.2%)を得て、99.09wt.%であると分析された。
【0111】
実施例14:スフェンタニルクエン酸塩-水系法2
反応器1において、クエン酸無水物(10.46g、54.44mmol、2.81当量)を、脱イオン水(53mL)に溶解させた。スフェンタニル塩基(7.50g、19.40mmol)を入れ、及びその反応を窒素雰囲気下に置き、その固体が全て溶解するまで加熱し(75℃~80℃)、及びろ過した。そのフィルターに、脱イオン水(7.0mL)を送り込んですすいだ。この反応を攪拌し、及び常温(約23℃)まで冷却した。この系を、76.9℃まで加熱し、その固体を再溶解した。次いでその温度を42~44℃まで下げた結果、その溶液が、1.2時間以内に濁り、及び1.8時間以内に出現した、結晶のスフェンタニルクエン酸塩の厚いスラリーが得られた。これらの条件下で、粘着性またはねばねば性は、観察されなかった。このスフェンタニルクエン酸塩/水のスラリーを、冷却し、及び約14℃に保持した。
【0112】
反応器2において、クエン酸無水物(21.37g、111.2mmol、1.01当量)を、脱イオン水(350mL)に溶解させた。スフェンタニル塩基(42.52g、110.0mmol)を添加し、その混合物を窒素雰囲気下に置き、加熱し、及びその固体が溶解するまで攪拌し(95℃~98℃)、及びろ過した。50mLの脱イオン水をそのバッチ内に送り込んで、そのフィルターをすすいだ。この温スフェンタニルクエン酸塩溶液(反応器2の内容物)を、冷スフェンタニルクエン酸塩の水系スラリー(反応器1)
に、精力的に攪拌しながら、約1時間をかけて添加した結果、その温度は、17.5℃から18.5℃の間に維持された。この添加が完了した後、その反応混合物を室温で一晩かけて攪拌し、及び次いで1時間で2.7℃まで冷却した。このスフェンタニルクエン酸塩を、ろ過で回収し、冷脱イオン水(50mL)で洗浄し、16時間空気乾燥させ、次いで真空オーブン中(100~200mbar、56~62℃の窒素置換)で、16時間乾燥した。この手順で、白い粉末(66.19g、88.4%)のスフェンタニルクエン酸塩を得た。この母液を、当該スフェンタニル塩基の回収に備えて保有した。
【0113】
実施例15:スフェンタニル塩基(スフェンタニルクエン酸塩の母液から)
スフェンタニルクエン酸塩(実施例12、約460mL)の調合から得た、その母液と水分を含んだケーキ状の洗浄物との組み合わせ物を、50% w/wの水酸化ナトリウム水溶液で、pHを2.83から徐々に5.03及び6.04に調整した。pHが約6から0.5時間後、その溶液は濁りはじめ、塩基の希釈溶液(15% w/w)を使用して、そのpHを、7.37及び次いで12.11に調整した。この懸濁液を、氷浴上で、おおよそ1時間で2.6℃まで冷却し、及びそのスフェンタニル塩基を、ろ過で回収した。そのスフェンタニル塩基を、16時間空気乾燥し、及び真空オーブン(100~200mbar、56~62℃で窒素置換)中で、16時間乾燥した。この手順で、回収されたスフェンタニル塩基の、白い粉末(実施例12で使用した、50.02gの総スフェンタニル塩基を基に、4.97g、9.9%)を得た。
【0114】
実施例16:スフェンタニル塩基(スフェンタニルクエン酸塩から)
スフェンタニルクエン酸塩(65.40g、113.0mmol)を、エタノール(128mL)及び脱イオン水(200mL)と混合し、及び次いで溶解するまで加熱した(約35℃)。この溶液のpHを、50% w/wの水酸化ナトリウム水溶液の添加によって、>12.5へと調整し、及び次いで、氷浴上で、<5℃に冷却した。この生成物をろ過し、及び冷脱イオン水(約20mL)で洗浄した。この粗スフェンタニル塩基を、空気乾燥し、ディーン・スターク捕捉器を使用して、いかなる残留水をも除去し、次いで約75℃で、n-ヘプタン(146mL)に溶解した。この温n-ヘプタン溶液を、漂白珪藻土(Celite(商標)、2.00g)で担持されている脱色炭素(Darco(商標)、2.00g)のろ床を通し、及び室温にまで冷却し、続いて0~5℃に冷却した。ブフナー漏斗上で、白い角柱物をろ過し、続いて2mLの冷(<5℃)n-ヘプタンでの洗浄によって、当該スフェンタニル塩基を得た。空気乾燥後には、スフェンタニル塩基は、白い針状物であった(43.46g、99.5%)。この生成物は典型的に、100.40wt.%であると分析された。
例えば、本発明は、以下の項目を提供する。
(項目1)
スフェンタニル塩基からスフェンタニルクエン酸塩を形成するプロセスであって、そのプロセスが、(a)スフェンタニル塩基を極性非水溶媒と接触させ、ここで極性非水溶媒対スフェンタニル塩基の容積対質量の比が、約2対1から約12対1である、混合物を形成すること、及び(b)前記混合物をクエン酸と接触させ、ここで前記スフェンタニルクエン酸塩の混合物が、オイル相を含まない、スフェンタニルクエン酸塩の混合物を形成することを含む、前記プロセス。
(項目2)
前記極性非水溶媒が、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、及びC~Cアルコールであり、スフェンタニル塩基に対するクエン酸のモル比が、約0.9対1から約1.5対1であり、ならびにステップ(a)及び(b)が、約20℃から約90℃の温度で実施される、項目1に記載の前記プロセス。
(項目3)
前記極性非水溶媒が、イソプロピルアルコールであり、及び前記極性非水溶媒対スフェンタニル塩基の容積対質量の比が、約4対1から約8対1である、項目1または項目2の
いずれかに記載の前記プロセス。
(項目4)
さらに前記プロセスが、(c)ステップ(b)からの前記スフェンタニルクエン酸塩の混合物を冷却し、及び任意で、前記スフェンタニルクエン酸塩の混合物に、スフェンタニルクエン酸塩の結晶を播種し、固体のスフェンタニルクエン酸塩を形成すること、ならびに(d)固体のスフェンタニルクエン酸塩を回収することを含む、項目1から3のいずれか1項に記載の前記プロセス。
(項目5)
ステップ(d)で回収された、前記固体のスフェンタニルクエン酸塩が、約5000ppm未満の前記極性非水溶媒を含む、項目4に記載の前記プロセス。
(項目6)
スフェンタニル塩基からスフェンタニルクエン酸塩を形成するプロセスであって、そのプロセスが、(a)水対クエン酸の容積対質量の比が、約2対1から約12対1である、クエン酸と水の混合物を形成すること、及び(b)前記混合物にスフェンタニル塩基を添加し、ここでスフェンタニル塩基に対するクエン酸のモル比が、約2対1から約5対1である、スフェンタニルクエン酸塩混合物を形成することを含む、前記プロセス。
(項目7)
ステップ(b)が、85℃またはそれ以下の温度で実施される、項目6に記載の前記プロセス。
(項目8)
さらに前記プロセスが、ステップ(b)からの前記混合物を冷却して、固体のスフェンタニルクエン酸塩を形成し、及び固体のスフェンタニルクエン酸塩を回収することを含む、項目6または項目7のいずれかに記載の前記プロセス。
(項目9)
総量で約4%から約35%のスフェンタニル塩基を、ステップ(b)の間に添加し、及びそのプロセスがさらに、(c)ステップ(b)からの前記混合物を冷却すること、(d)水対クエン酸の容積対質量の比が、約10対1から約22対1である、クエン酸と水の混合物を形成すること、(e)総量で約65%から約96%のスフェンタニル塩基を、ステップ(d)からの前記混合物に添加し、ここでスフェンタニル塩基に対するクエン酸のモル比が、約0.5対1から約2対1である、スフェンタニルクエン酸塩を形成すること、(f)ステップ(e)からの前記混合物を、ステップ(c)からの前記混合物に添加すること、(g)ステップ(f)からの前記混合物を冷却し、固体のスフェンタニルクエン酸塩を形成すること、及び(h)固体のスフェンタニルクエン酸塩を回収することを含む、項目6または項目7のいずれかに記載の前記プロセス。
(項目10)
ステップ(b)が、90℃またはそれ以下の温度で実施され、ステップ(e)が、少なくとも約90℃で実施され、及びステップ(f)が、約45分から約3時間の間にわたって行われる、項目9に記載の前記プロセス。
(項目11)
総量で15%のスフェンタニル塩基を、ステップ(b)の間に添加し、及び総量で85%のスフェンタニル塩基を、ステップ(e)の間に添加する、項目9に記載の前記プロセス。
(項目12)
さらに前記プロセスが、(i)固体のスフェンタニルクエン酸塩の回収後に残った混合物を、水酸化物塩などのプロトン受容体と接触させ、スフェンタニル塩基の混合物を形成すること、(ii)前記スフェンタニル塩基の混合物を冷却し、固体スフェンタニル塩基を形成すること、及び(iii)固体スフェンタニル塩基を回収することを含む、項目4または項目9のいずれかに記載の前記プロセス。
(項目13)
さらに前記プロセスが、固体スフェンタニル塩基を、アルカンなどの非極性溶媒と接触
させ、結晶のスフェンタニル塩基を形成することを含む、項目12に記載の前記プロセス。
(項目14)
スフェンタニルクエン酸塩から、スフェンタニル塩基を形成するプロセスであって、そのプロセスが、(a)スフェンタニルクエン酸塩を、少なくとも1つの極性溶媒と接触させ、混合物を形成すること、(b)前記混合物を、プロトン受容体と接触させ、スフェンタニル塩基の混合物を形成すること、(c)前記スフェンタニル塩基の混合物を冷却し、固体のスフェンタニル塩基を形成すること、及び(d)前記固体のスフェンタニル塩基を回収することを含む、前記プロセス。
(項目15)
少なくとも1つの前記極性溶媒が、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、C~Cアルコール、または水であり、前記極性溶媒対スフェンタニルクエン酸塩の容積対質量の比が、約1対1から約25対1であり、及び前記プロトン受容体が、水酸化物を含む、項目14に記載の前記プロセス。
(項目16)
さらに前記プロセスが、固体のスフェンタニル塩基を、アルカンなどの非極性溶媒と接触させ、結晶のスフェンタニル塩基を形成することを含む、項目14または項目15のいずれかに記載の前記プロセス。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体のスフェンタニルクエン酸塩を調製するためのプロセスであって、前記プロセスが、
(a)水中においてモル過剰のクエン酸とともにスフェンタニル塩基の第一部分を加熱することによってスフェンタニルクエン酸塩の第一混合物を形成することであって、前記スフェンタニル塩基の第一部分が、スフェンタニル塩基の総量の10%~20%を構成すること;
(b)前記スフェンタニルクエン酸塩の第一混合物を冷却すること;
(c)水中においておおよそモル当量のクエン酸とともにスフェンタニル塩基の第二部分を加熱することによってスフェンタニルクエン酸塩の第二混合物を形成することであって、前記スフェンタニル塩基の第二部分が、スフェンタニル塩基の総量の80%~90%を構成すること;
(d)前記スフェンタニルクエン酸塩の第二混合物を、冷却することなく、前記スフェンタニルクエン酸塩の第一混合物に添加して、組み合わせた混合物を形成すること;
(e)前記組み合わせた混合物を冷却させて固体のスフェンタニルクエン酸塩を形成すること;および
(f)前記固体のスフェンタニルクエン酸塩を回収すること
を包含する、プロセス。
【請求項2】
前記(a)におけるモル過剰のクエン酸対スフェンタニル塩基が、2.5:1~4.0:1である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記(a)におけるモル過剰のクエン酸対スフェンタニル塩基が、2.8:1である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記(a)における加熱が、70℃~85℃の温度までである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記(b)における冷却が、23℃以下の温度までである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
(d)まで前記スフェンタニルクエン酸塩の第一混合物の温度を維持することをさらに含む、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
(c)における前記おおよそモル当量のクエン酸対スフェンタニル塩基が、0.9:1~1.1:1である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
(c)における前記おおよそモル当量のクエン酸対スフェンタニル塩基が、1:1である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
前記(c)における加熱が、90℃~100℃の温度までである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項10】
前記組み合わせた混合物が10℃~23℃の温度を維持するように、前記(d)の添加が、延長された期間にわたって行われる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
前記延長された期間が、0.5時間~4時間である、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記(e)における冷却が、0℃~5℃の温度までである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項13】
前記(f)における回収が、ろ過を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項14】
前記固体のスフェンタニルクエン酸塩を乾燥させることをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項15】
前記スフェンタニル塩基の第一部分が、前記スフェンタニル塩基の総量の15%を構成し、そして前記スフェンタニル塩基の第二部分が、前記スフェンタニル塩基の総量の85%を構成する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項16】
前記スフェンタニルクエン酸塩の第一混合物を形成する前に、クエン酸1gあたり4mL~6mLの水を混合することによってクエン酸の第一溶液を形成する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項17】
前記スフェンタニルクエン酸塩の第二混合物を形成する前に、クエン酸1gあたり12mL~20mLの水を混合することによってクエン酸の第二溶液を形成する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項18】
請求項1に記載のプロセスであって、
(g)固体のスフェンタニルクエン酸塩の回収後に残った前記混合物を、プロトン受容体と接触させて、スフェンタニル塩基の混合物を形成すること;
(h)前記スフェンタニル塩基の混合物を冷却して、固体のスフェンタニル塩基を形成すること、および
(i)固体のスフェンタニル塩基を回収すること
をさらに含む、プロセス。
【請求項19】
固体のスフェンタニル塩基を非極性溶媒と接触させて、結晶のスフェンタニル塩基を形成することをさらに含む、請求項18に記載のプロセス。
【請求項20】
前記プロトン受容体が水酸化物を含み、そして前記非極性溶媒がアルカンである、請求項18に記載のプロセス。