(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138049
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】ホイール
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240927BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20240927BHJP
B60L 58/22 20190101ALI20240927BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J7/02 G
H02J7/00 302C
H02J7/00 X
B60L58/22
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024115027
(22)【出願日】2024-07-18
(62)【分割の表示】P 2022155883の分割
【原出願日】2017-01-18
(31)【優先権主張番号】P 2016015118
(32)【優先日】2016-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】吉住 健輔
(72)【発明者】
【氏名】田島 亮太
(57)【要約】
【課題】バッテリを搭載した自動車等における省スペース化を実現する。自動車等におけ
る設計の自由度を高める。効率的に電力を利用することが可能な電力制御方法、または電
力制御システムを提供する。
【解決手段】車体、第1のバッテリ、第2のバッテリ、及び制御部を有する移動体の電力
制御システムとする。制御部は、第1のバッテリ及び第2のバッテリの充電状態を取得し
、第1のバッテリ及び第2のバッテリのそれぞれの残存容量の差が所定の値を超えている
か否かを判定し、残存容量の差が所定の値を超えている場合に、当該残存容量を近づける
ように、第1のバッテリと第2のバッテリの間で電力を伝送するように制御する。
【選択図】
図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体、第1のバッテリ、第2のバッテリ、及び制御部を有する移動体の電力制御システムであって、
前記制御部は、前記第1のバッテリ及び前記第2のバッテリの充電状態を取得し、
前記制御部は、前記第1のバッテリ及び前記第2のバッテリのそれぞれの残存容量の差が所定の値を超えているか否かを判定し、
前記制御部は、前記残存容量の差が前記所定の値を超えている場合に、当該残存容量を近づけるように、前記第1のバッテリと前記第2のバッテリの間で電力を伝送するように制御する、電力制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、移動体に関する。本発明の一態様は、自動車に関する。本発明の一
態様は、移動体または自動車等の電力制御システム、電力制御方法、及びプログラムに関
する。
【0002】
本発明の一態様は、ホイールに関する。本発明の一態様は、蓄電装置に関する。本発明
の一態様は、二次電池に関する。
【0003】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書で開示する本発明
の一態様の技術分野としては、自動車をはじめとする移動体のほか、半導体装置、表示装
置、発光装置、蓄電装置、記憶装置、電子機器、照明装置、入力装置、入出力装置、それ
らの駆動方法、又は、それらの製造方法、を一例として挙げることができる。
【背景技術】
【0004】
近年、バッテリの電力を自動車の動力に用いる技術が注目されている。このような自動
車としては、例えばハイブリッド自動車(HEV)、電気自動車(EV)、またはプラグ
インハイブリッド自動車(PHEV)などがある。
【0005】
また、自動車に搭載される電池として、リチウムイオン電池の開発が進められている。
リチウムイオン電池の一例としては、少なくとも、正極、負極、および電解液を有してい
る(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
動力に用いるためのバッテリを搭載した自動車において、走行距離を伸ばすためには極
めて大きな容量のバッテリを搭載する必要がある。しかしながらバッテリの容積などの問
題から、自動車に搭載できるバッテリの容量には限度があった。特に、小型の自動車にお
いては居住スペースを圧迫するといった問題から、十分な容量のバッテリを搭載すること
が困難であった。
【0008】
本発明の一態様は、バッテリを搭載した自動車等の移動体における省スペース化を実現
することを課題の一とする。または、自動車等の移動体における設計の自由度を高めるこ
とを課題の一とする。
【0009】
また、本発明の一態様は、バッテリを搭載した自動車等の移動体において、効率的に電
力を利用することが可能な電力制御方法、または電力制御システムを提供することを課題
の一とする。
【0010】
または、新規な電力制御方法、または電力制御システムを提供することを課題の一とす
る。または、新規な移動体、新規な移動体用ホイール、新規な自動車、または新規な自動
車用ホイールを提供することを課題の一とする。または、自動車に適用可能な、新規な給
電システムを提供することを課題の一とする。
【0011】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の
一態様は、必ずしも、これらの課題の全てを解決する必要はない。なお、明細書、図面、
請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様は、車体、第1のバッテリ、第2のバッテリ、及び制御部を有する移動
体の電力制御システムである。制御部は、第1のバッテリ及び第2のバッテリの充電状態
を取得する機能を有する。また制御部は、第1のバッテリ及び第2のバッテリのそれぞれ
の残存容量の差が所定の値を超えているか否かを判定し、残存容量の差が所定の値を超え
ている場合に、当該残存容量を近づけるように、第1のバッテリと第2のバッテリの間で
電力を伝送するように制御する機能を有する。
【0013】
また、上記制御部は、車体が静止状態または空走状態である場合に、第1のバッテリと
第2のバッテリの間で電力を伝送するように制御する機能を有することが好ましい。
【0014】
また、上記において、電力制御部、制動制御部及びモータを有することが好ましい。制
動制御部は、制動時にモータが発電するようにモータを制御する機能を有する。モータは
、電力制御部に発電した電力を伝送する機能を有する。また制御部は、第1のバッテリま
たは第2のバッテリのいずれか一方に優先的に電力を供給するように、電力制御部を制御
する機能を有する。
【0015】
または、上記において、電力制御部、制動制御部及びモータを有することが好ましい。
制動制御部は、制動時にモータが発電するようにモータを制御する機能を有する。モータ
は、電力制御部に発電した電力を伝送する機能を有する。また制御部は、第1のバッテリ
及び第2のバッテリの充電状態を取得し、第1のバッテリ及び第2のバッテリのうち、残
存容量が少ないほうに、電力を供給するように、電力制御部を制御する機能を有する。
【0016】
また、本発明の他の一態様は、車体、ホイール、第1のバッテリ、第2のバッテリ、及
び制御部を有する自動車の電力制御システムである。ここで第1のバッテリは、ホイール
に搭載される。第2のバッテリは、車体に搭載される。制御部は、第1のバッテリ及び第
2のバッテリの充電状態を取得する機能を有する。また制御部は、第1のバッテリ及び第
2のバッテリのそれぞれの残存容量の差が所定の値を超えているか否かを判定し、残存容
量の差が所定の値を超えている場合に、当該残存容量を近づけるように、第1のバッテリ
と第2のバッテリの間で電力を伝送するように制御する機能を有する。
【0017】
また、制御部は、上記車体が静止状態または空走状態である場合に、第1のバッテリと
第2のバッテリの間で電力を伝送するように制御する機能を有することが好ましい。
【0018】
また、上記において電力制御部、制動制御部及びモータを有することが好ましい。制動
制御部は、制動時にモータが発電するようにモータを制御する機能を有する。モータは、
電力制御部に発電した電力を伝送する機能を有する。制御部は、第1のバッテリに優先的
に電力を供給するように、電力制御部を制御する機能を有する。
【0019】
また、上記において電力制御部に代えて、第1の電力制御部及び第2の電力制御部を有
することが好ましい。第1の電力制御部は、第1のバッテリの充放電を制御する機能を有
する。第2の電力制御部は、第2のバッテリの充放電を制御する機能を有する。ここで、
第1の電力制御部と第2の電力制御部とは、互いに電力を伝送するように接続されている
ことが好ましい。
【0020】
また、上記において、モータは、ホイールに搭載されていることが好ましい。
【0021】
また、上記電力制御システムに用いることのできるホイール、または移動体は、例えば
下記に示すような構成を用いることができる。
【0022】
本発明の一態様は、リム部と、ディスク部と、バッテリと、第1の電力伝送機構と、を
備えるホイールである。バッテリは、リム部の内部、またはリム部の表面に沿って設けら
れる。また第1の電力伝送機構は、ディスク部に設けられ、且つ、バッテリと電気的に接
続されている。
【0023】
また、上記において、バッテリは、フィルムで封止された二次電池であり、且つ帯状の
形状を有し、且つ、リム部の円筒部に沿って、巻かれた状態に設けられていることが好ま
しい。またこのとき、バッテリは、リム部の円筒部に沿って、1周よりも多く巻かれた状
態に設けられていることが好ましい。
【0024】
または、上記において、円筒形、または柱状の形状を有する複数のバッテリを有する構
成としてもよい。
【0025】
また、上記において、第1の電力伝送機構は、接点を有するコネクタであることが好ま
しい。または、第1の電力伝送機構は、無線により電力の送受信を行う機能を有すること
が好ましい。
【0026】
また、本発明の他の一態様は、上記ホイールを取り付けることのできる移動体または自
動車であって、車体と、電力制御部と、第2の電力伝送機構と、を有する。第2の電力伝
送機構は、第1の電力伝送機構と電気的に接続する機能を有する。また電力制御部は、第
2の電力伝送機構及び第1の電力伝送機構を介して、バッテリの充放電を制御する機能を
有することが好ましい。
【0027】
また、上記において、第2の電力伝送機構は、回転しても第1の電力伝送機構との電気
的な接続を保つ機能を有するコネクタであることが好ましい。または、第2の電力伝送機
構は、無線により電力の送受信を行う機能を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0028】
本発明の一態様によれば、バッテリを搭載した自動車等の移動体における省スペース化
を実現することができる。または、自動車等の移動体における設計の自由度を高めること
ができる。または、バッテリを搭載した自動車等の移動体において、効率的に電力を利用
することが可能な電力制御方法、または電力制御システムを提供できる。または、新規な
電力制御方法、または電力制御システムを提供できる。または、新規な移動体、新規な移
動体用ホイール、新規な自動車、または新規な自動車用ホイールを提供できる。または、
自動車等の移動体に適用可能な、新規な給電システムを提供できる。
【0029】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の
一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、明細書、図面、請
求項などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】実施の形態に係る、電力制御システムを説明する図。
【
図2】実施の形態に係る、電力制御システムの動作方法に係るフローチャート。
【
図3】実施の形態に係る、電力制御システムの動作方法に係るフローチャート。
【
図4】実施の形態に係る、電力制御システムの動作方法を説明する図。
【
図5】実施の形態に係る、電力制御システムの動作方法に係るフローチャート。
【
図6】実施の形態に係る、電力制御システムの動作方法を説明する図。
【
図7】実施の形態に係る、電力制御システムの動作方法に係るフローチャート。
【
図8】実施の形態に係る、電力制御システムの動作方法を説明する図。
【
図9】実施の形態に係る、横滑り防止制御の方法を説明する図。
【
図10】実施の形態に係る、電力制御システムを説明する図。
【
図11】実施の形態に係る、電力制御システムを説明する図。
【
図12】実施の形態に係る、電力制御システムを説明する図。
【
図13】実施の形態に係る、電力制御システムを説明する図。
【
図14】実施の形態に係る、電力制御システムを説明する図。
【
図15】実施の形態に係る、電力制御システムを説明する図。
【
図16】実施の形態に係る、ホイールを説明する図。
【
図17】実施の形態に係る、ホイールを説明する図。
【
図18】実施の形態に係る、ホイールを説明する図。
【
図19】実施の形態に係る、ホイールを説明する図。
【
図20】実施の形態に係る、ホイールを説明する図。
【
図21】実施の形態に係る、車体及びホイールを説明する図。
【
図22】実施の形態に係る、車体及びホイールを説明する図。
【
図24】実施の形態に係る、二次電池の構成を説明する図。
【
図25】実施の形態に係る、二次電池の構成を説明する図。
【
図26】実施の形態に係る、二次電池の作製方法を説明する図。
【
図27】実施の形態に係る、二次電池の作製方法を説明する図。
【
図28】実施の形態に係る、二次電池の作製方法を説明する図。
【
図29】実施の形態に係る、二次電池の構成および作製方法を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定
されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更
し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態
の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0032】
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には
同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様
の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
【0033】
なお、本明細書で説明する各図において、各構成の大きさ、層の厚さ、または領域は、
明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されな
い。
【0034】
なお、本明細書等における「第1」、「第2」等の序数詞は、構成要素の混同を避ける
ために付すものであり、数的に限定するものではない。
【0035】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の電力制御方法及び電力制御システムについて説明
する。また、本実施の形態では、本発明の一態様の電力制御方法を適用可能な移動体の一
態様である自動車等の構成例について説明する。
【0036】
本発明の一態様の電力制御システムは、車体及びホイールを有する移動体(例えば自動
車)に関するものである。車体には少なくとも制御部が設けられる。制御部は、例えば演
算装置(コンピュータ)、及び記憶装置等を有する構成とすることができる。
【0037】
また、本発明の一態様の電力制御システムは、少なくとも2以上のバッテリを有する。
複数のバッテリは、車体またはホイールに設けることができる。特に、車体とホイールの
それぞれにバッテリを設けることが好ましい。
【0038】
また、本発明の一態様の電力制御システムは、複数のバッテリ間で電力を互いに伝送で
きる構成とすることが好ましい。
【0039】
また、本発明の一態様の電力制御システムは、動力としてモータを有することが好まし
い。また、本発明の一態様の電力制御システムは、当該モータにより回生電力を発生させ
、その電力を複数のバッテリに供給し、バッテリを充電可能な構成を有することが好まし
い。
【0040】
本発明の一態様の電力制御システムは、例えばモータからの回生電力を所定のバッテリ
に優先的に供給する、または当該回生電力を、複数のバッテリのうち、最も充電残量(残
存容量ともいう)の少ないバッテリに選択的に供給することができる。
【0041】
また、本発明の一態様のシステムは、バッテリ間の充電残量に差がある場合に、この差
を低減するように、バッテリ間で電力の伝送を行うことができる。この動作は、例えば移
動体が静止状態であるとき、または空走状態であるときに行うことが好ましい。すなわち
、モータが動力を発生していない期間、言い換えるとバッテリの電力をモータに供給して
いない期間に、バッテリ間での電力の伝送を行うことが好ましい。
【0042】
このような動作が可能なシステムを用いることにより、複数のバッテリのうち、一以上
が満充電状態及び完全放電状態(電池の使用範囲内における最も充電量の少ない状態を含
む)となることを防ぐことができる。バッテリとして用いることのできる二次電池は、満
充電状態や極度に充電量が少ない状態が継続すると劣化が促進されてしまうことが知られ
ている。そのため、本発明の一態様のシステムは、バッテリの劣化を抑制することができ
、バッテリの交換などのメンテナンス頻度が低減された、またはメンテナンスフリーの自
動車等の移動体を提供することができる。
【0043】
なお、本発明の一態様は、このような動作を制御部、または制御部が有するコンピュー
タに実行させるプログラムの形態として、制御部内または制御部とは別に設けられた記憶
装置に格納させることができる。制御部は、当該プログラムを記憶装置から読み出し、実
行することができる。
【0044】
本発明の一態様の電力伝送システムは、自動車等の移動体に適用することができる。自
動車は、移動体の一態様である。自動車としては、乗用車、トラック、バスのほか、土木
作業車、クレーン車などの特殊車両も含まれる。また本発明の一態様の電力伝送システム
は、四輪車のみでなく、一輪車、二輪車、三輪車または5以上のタイヤを備える移動体に
も装着することができる。二輪車としては、バイクのように2つの車輪が車体の前後に取
り付けられた構成としてもよいし、車体の側部に対向して2つのタイヤが設けられる構成
としてもよい。または、自転車、電動自転車、電動アシスト自転車、飛行機用のタイヤ、
ヘリコプター用のタイヤ、垂直離着陸機用のタイヤ、水陸両用車、戦車、などに適用する
こともできる。
【0045】
また、本発明の一態様の電力伝送システムは、タイヤを用いない移動体にも適用するこ
とができる。例えば軌条(レール)を案内路として移動する車両の車輪にも用いることが
できる。例えばこのような移動体として、鉄道(電車、汽車、蒸気機関車等を含む)、路
面電車、ケーブルカー等に用いることができる。
【0046】
また、本発明の一態様は、上述した移動体を模した玩具にも適用することができる。
【0047】
以下では、より具体的な電力制御システム、電力制御方法、またはプログラムの例につ
いて、図面を参照して説明する。
【0048】
[システムの構成例]
図1に、本発明の一態様のシステム80のブロック図を示す。
【0049】
システム80は、車体50、ホイール10a、ホイール10b及びホイール70等を有
する。車体50は、制御部61、電力制御部62a、電力制御部62b、電力制御部71
、制動制御部66、バッテリ65等を有する。またホイール10aは、モータ64a及び
バッテリ20aを有する。またホイール10bは、モータ64b及びバッテリ20bを有
する。またホイール70は、従動輪として機能する。
【0050】
ここでは、システム80を適用する自動車として、動力に電気を用いた電気自動車(E
V:Electric Vehicle、またはElectrical Vehicle
)を適用した例を示している。
【0051】
制御部61は、動力の制御、電力の制御のほか、様々な電子制御を行う機能を有する。
具体的には、電力制御部62a、電力制御部62b、電力制御部71の制御、制動制御部
66の制御等を行うことができる。制御部61としては、代表的にはECU(Elect
ric Control Unit、またはEngine Control Unitと
もいう)を用いることができる。また自動車の駆動方法に応じて、EV、HEV(Hyb
rid Electro Vehicle)、またはPHEV(Plug-in Hyb
rid Vehicle)に特有の機能を有するECUを適用することが好ましい。
【0052】
モータ64a及びモータ64bは、ホイール10aまたはホイール10bを回転させる
ための動力を発動する装置である。モータ64aは、電力制御部62aにより供給される
電力に応じて、動力を発動することができる。同様に、モータ64bは電力制御部62b
により供給される電力に応じて、動力を発動することができる。
【0053】
また、モータ64a及びモータ64bは、制動時(ブレーキ時)にホイール10aまた
はホイール10bの回転エネルギーから電力を生成し、電力制御部62aまたは電力制御
部62bにその電力を供給する機能を有する。このような機能を、電力回生機能と言うこ
ともできる。モータ64a及びモータ64bの電力回生動作は、制御部61及び制動制御
部66により制御される。
【0054】
電力制御部62a、電力制御部62b、及び電力制御部71は、それぞれ制御部61に
より制御される。電力制御部62a、電力制御部62b、及び電力制御部71は、それぞ
れバッテリ20a、バッテリ20b、またはバッテリ65の充放電を制御する機能を有す
る。具体的には、バッテリ20a、バッテリ20b、またはバッテリ65から電力を出力
する機能、及び、バッテリ20a、バッテリ20b、またはバッテリ65に電力を供給す
る機能等を有する。また電力制御部62a、電力制御部62b、及び電力制御部71は、
電圧を調整する(変圧する)機能を有していることが好ましい。
【0055】
例えば、電力制御部62a及び電力制御部62bは、それぞれ昇圧回路(コンバータ)
や、変換回路(インバータ)、及びこれらの制御を行うコンピュータを有する構成とする
ことができる。コンバータは、バッテリ20a、バッテリ20bから供給される電力の電
圧を、モータ64aまたはモータ64b等を駆動する電圧に昇圧する回路である。インバ
ータは、直流電圧からモータ64aまたはモータ64b等を駆動させるための交流電圧に
変換する回路である。また、電力回生機能として、モータ64aまたはモータ64bから
出力される交流電圧を直流電圧に変換する変換回路や、バッテリ20a、バッテリ20b
を充電する電圧に降圧する降圧回路等を有していることが好ましい。
【0056】
また電力制御部71は、電力制御部62a等と同様に、昇圧回路、降圧回路、インバー
タまたはコンバータ等と、これらの制御を行うコンピュータを有する構成とすることがで
きる。またここでは、電力制御部71はモータ64a及びモータ64bに直接電力を供給
しないため、バッテリ65から供給される電力の電圧を、電力制御部62a、電力制御部
62b、または他のコンポーネントに出力する電圧に変換する機能を有していてもよい。
【0057】
ここで、電力制御部62a、電力制御部62b、及び電力制御部71は、互いに電力の
伝送を行うことが可能なように、電力の伝送路により接続されている構成を有する。これ
により、バッテリ65、バッテリ20a、及びバッテリ20b間で、その充電された電力
を授受することが可能となる。
【0058】
制動制御部66は、制動を制御する機能を有する。制動手段としては、ディスクブレー
キやドラムブレーキ等の油圧を利用した物理的なブレーキ(以下、物理的ブレーキともい
う)や、モータを回転させることに要する負荷を用いた電気的なブレーキ(以下、電気的
ブレーキ、または回生ブレーキともいう)等がある。電力回生機能を付加するためには、
電気的ブレーキを用い、モータが回転することにより生じる起電力(回生電力ともいう)
を利用する構成とすることができる。ここで、物理的ブレーキと、電気的ブレーキの両方
を組み合わせたブレーキシステムを、制動制御部66に用いることが好ましい。
【0059】
ここでは、制動制御部66は、油圧等を利用した物理的ブレーキと電気的ブレーキを組
み合わせて、ホイール10a、ホイール10bを制動させる機能を有する。また物理的ブ
レーキによりホイール70を制動させる機能を有する。
【0060】
制御部61は、運転者から入力されたブレーキ操作と、車体の状況(速度、進行方向、
車体の姿勢など)に応じて、各ホイールにどの程度の制動トルクが必要かを算出する。ま
た物理的ブレーキと、電気的ブレーキを併用する場合には、制御部61は、これら2つの
ブレーキで発生させるべきトルクの配分を算出する。そしてその結果に応じて、制御部6
1が制動制御部66を制御することで、違和感のない制動動作を行うことができる。
【0061】
またここでは、システム80を適用する自動車として、ホイールにモータが設けられて
いる構成の例を示している。このような構成は、インホイールモータとも呼ぶことができ
る。
【0062】
ひとつのホイールの駆動に関与するモータ、バッテリ、及び電力制御部を、ひとつのユ
ニットと捉えることができる。例えばホイール10aに着目すると、モータ64a、バッ
テリ20a及び電力制御部62aが一つのユニットに相当する。このとき、モータ64a
を駆動するための電力は、電力制御部62aを介してバッテリ20aに供給される。また
モータ64aで生じた回生電力は、電力制御部62aを介してバッテリ20aに供給され
る。このように、ホイールごとにモータ、バッテリ、及び電力制御部のユニットが設けら
れることで、電力伝送効率が向上し、電力のロスを低減することができる。
【0063】
なお、ここではホイール10aがモータ64a及びバッテリ20aを有する場合の例を
示しているが、これに限られずモータ64a及びバッテリ20aのいずれか一方、または
両方が車体50に設けられていてもよいし、電力制御部62aがホイール10aに搭載さ
れていてもよい。
【0064】
[動作方法例]
以下では、本発明の一態様の電力制御システムの動作方法の例について説明する。
【0065】
〔メインフロー〕
図2に、電力制御システムの動作方法に係るフローチャートを示す。以下の動作(制御
)は主に制御部61により実行される。
【0066】
まず、ステップS01でシステムが起動する。例えば、自動車を起動した状態、または
システムを有効になるように使用者が設定した状態などに相当する。
【0067】
続いて、ステップS02で回生電力が供給されたか否かを判定する。例えばブレーキ操
作が行われ、且つ電気的ブレーキを用いたか否かを判定する。回生電力が供給された場合
、処理SR01に移行し、回生電力が供給されていない場合、ステップS03に移行する
。
【0068】
ステップS03では、自動車の状態が静止状態または空走状態であるか否かを判定する
。自動車の状態が静止状態または空走状態である場合、処理SR02に移行し、そうでな
い場合にはステップS04に移行する。
【0069】
ここで静止状態とは、例えば地面に対して自動車が静止している状態であり、且つモー
タ64a等が動力を発動してない状態である。また空走状態とは、例えば自動車が地面に
対して移動している状態であり、且つモータ64aが動力を発動していない状態であり、
且つ制動動作がなされていない状態である。すなわち空走状態では、自動車が慣性力によ
り移動している状態とも言うことができる。
【0070】
静止状態及び空走状態は、動力に要する電力が消費されていない状態であり、且つ電力
回生により電力が発生していない状態であると表現することもできる。
【0071】
ここで、処理SR01が終了した後、及び処理SR02が終了した後に、ステップS0
4に移行する。
【0072】
ステップS04で、システムを終了するか否かを判定する。システムを終了する場合に
は、ステップS05に移行しシステムを終了する。そうでない場合には、ステップS02
に再度移行する。
【0073】
以上がメインフローについての説明である。
【0074】
〔電力回生動作1〕
図3に、処理SR01にかかるフローチャートを示す。処理SR01は、電力回生動作
に係る処理である。以下の動作(制御)は主に制御部61により実行される。
【0075】
まず、ステップS11で電力回生動作が開始される。
【0076】
ステップS12では、各バッテリの残量を確認する。
【0077】
図1に示す例では、バッテリ20a、バッテリ20b及びバッテリ65のそれぞれの充
電状態を確認する。
【0078】
ステップS13では、所定のバッテリに回生電力が供給可能であるか否かを判定する。
すなわち、各バッテリのうち、あらかじめ決められたバッテリが、充電が可能かどうかを
判定する。所定のバッテリに回生電力が供給可能である場合には、ステップS14に移行
する。そうでない場合には、ステップS15に移行する。
【0079】
ステップS14では、回生電力を所定のバッテリに供給し、ステップS16に移行する
。
【0080】
ステップS15では、回生電力を所定のバッテリ以外のバッテリに供給し、ステップS
16に移行する。
【0081】
続いて、ステップS16では、回生電力の供給が終了したか否かを判定する。回生電力
の供給が継続している場合には、ステップS12に戻る。一方、回生電力の供給が終了し
た場合には、ステップS17に移行する。
【0082】
ステップS17では、電力回生動作を終了する。
【0083】
【0084】
ここで、
図3で例示した電力回生動作について、
図4(A)、(B)を用いて説明する
。
図4(A)、(B)は、
図1で示したシステム80の構成要素のうち、制御部61、電
力制御部62a、電力制御部62b、電力制御部72、モータ64a、バッテリ20a、
バッテリ20b、バッテリ65を抜粋して示した模式図である。ここで、電力が供給され
る向きを、矢印で示している。また、各バッテリにおいて、その充電状態を模式的に示し
ており、ハッチングを付している部分が多いほど、充電量が多い状態であることを示して
いる。
【0085】
図4(A)、(B)では、モータ64aで回生電力が発生した場合の例を示している。
したがってモータ64aで発生した電力は、まず電力制御部62aに送られる。
【0086】
図4(A)は、ステップS14における動作に係る模式図を示している。すなわち、バ
ッテリ20aが満充電ではなく、追加で充電することのできる状態である場合の例である
。このとき、
図4(A)に示すように、電力制御部62aからバッテリ20aに電力を供
給するように、制御部61によって制御される。
【0087】
一方、
図4(B)は、ステップS15における動作に係る模式図を示している。すなわ
ち、バッテリ20aが満充電状態であり、これ以上電力を供給することができない状態で
ある。このとき、電力制御部62aから電力制御部62bを介してバッテリ20bに回生
電力が供給される、または電力制御部72を介してバッテリ65に回生電力が供給される
。
図4(B)では、バッテリ65が満充電であるため、バッテリ65には回生電力が供給
されずに、バッテリ20bにのみ回生電力が供給される場合の例を示している。
【0088】
このように、本発明の一態様の電力回生動作は、回生電力が発生するモータとユニット
を構成するバッテリに、優先的に回生電力を供給することができる。これにより、電力の
伝送のロスを低減することができる。
【0089】
〔電力回生動作2〕
以下では、上記電力回生動作1とは一部が異なる例について説明する。
図5は、電力回
生動作に係るフローチャートである。
図5では、
図3と比較して、ステップS13、ステ
ップS14及びステップS15に代えて、ステップS23、ステップS24及びステップ
S25を有する点で相違している。
【0090】
ステップS23では、各バッテリの充電状態を比較し、それぞれの残量の差が、所定の
値以上であるか否かを判定する。そして所定の値以上の差がある場合には、ステップS2
4に移行し、そうでない場合にはステップS25に移行する。
【0091】
ステップS24では、各バッテリのうち最も残量の少ないバッテリに、回生電力を供給
し、ステップS16に移行する。
【0092】
ステップS25では、回生電力を所定のバッテリに供給し、ステップS16に移行する
。
【0093】
【0094】
図6は、ステップS24の動作を説明する模式図である。
図6では、バッテリ20a、
バッテリ20b、及びバッテリ65のうち、最も充電量の少ないバッテリ20bにモータ
64aで生成した回生電力を供給するように制御されている。
【0095】
このように、本発明の一態様では、各バッテリの充電状態に応じて、回生電力を供給す
るバッテリを切り替えて使用することもできる。これにより、複数のバッテリのうちの1
以上の充電量が枯渇してしまうことを抑制することができる。
【0096】
ここで、バッテリの充電量の差の判定に用いる値は、各バッテリの容量の大きさが同じ
場合、または異なる場合に応じて、適宜設定すればよい。一例としては、各バッテリにお
いて、バッテリの定格電圧範囲等で規定された範囲における満充電状態を100%、放電
状態を0%としたときに、2つのバッテリ間で10%以上、好ましくは5%以上、より好
ましくは2%以上の差があった場合に、これら2つのバッテリは充電量に所定の値以上の
差があると判定することができる。また、充電量はこのほかに、電圧値、電流量、電力量
等で規定してもよい。
【0097】
以上が電力回生動作についての説明である。
【0098】
〔電力平滑動作〕
図7に、処理SR02にかかるフローチャートを示す処理SR02は、電力平滑動作に
係る処理である。ここで電力平滑動作は、各バッテリのそれぞれの充電量の差を小さくす
る、または無くすための動作である。以下の動作(制御)は、主に制御部61により実行
される。
【0099】
まず、ステップS31で電力平滑動作が開始される。
【0100】
ステップS32では、各バッテリの残量を確認する。
【0101】
ステップS33では、各バッテリの充電状態を比較し、それぞれの残量の差が、所定の
値以上であるか否かを判定する。そして所定の値以上の差がある場合には、ステップS3
4に移行し、そうでない場合にはステップS35に移行する。
【0102】
ステップS34では、各バッテリのうち、残量の多いバッテリから、残量の少ないバッ
テリに電力を供給する。その後、ステップS32に戻る。
【0103】
以上が
図7に示すフローの説明である。
図7に示すフローでは、各バッテリの残量の差
が所定の値未満になった場合に、電力平滑動作が終了する。
【0104】
なお、電力平滑動作中に割り込み処理が行われた場合には、強制的に処理を中断するこ
とができる。割り込み処理としては、自動車の状態が静止状態または空走状態から変化す
る動作(加速する、旋回する、制動するなど)にかかる処理が挙げられる。
【0105】
図8(A)、(B)は、ステップS34の動作を説明する模式図である。
【0106】
図8(A)は、ステップS34の開始直後の状態である。
図8(A)では、バッテリ2
0a、バッテリ20b、及びバッテリ65のうち、最も充電量の少ないバッテリ20aに
、他の2つから電力が供給されるように制御されている。
【0107】
図8(B)は、ステップS34の動作が完了したときの状態を示している。
図8(B)
に示すように、各バッテリの充電量が同程度に平滑化されている。
【0108】
なお、ここでは最も充電量の少ないバッテリに、他の2つのバッテリの両方から電力が
供給される動作を説明したが、これに限られず、例えば最も充電量の多いバッテリのみか
ら電力が供給される動作としてもよい。
【0109】
また、2以上のバッテリから電力を供給する場合、その供給量は、バッテリの充電量に
応じて異ならせてもよい。例えば充電量が多いバッテリほど、供給量を多くしてもよい。
【0110】
なお、ステップS33における判定に用いる値は、上記電力回生動作2の説明の判定基
準を援用できる。
【0111】
このように、電力平滑動作により、各バッテリの充電量を平滑化することができる。バ
ッテリは、満充電状態や完全放電状態では劣化が早く進行する場合があるため、このよう
に電力を平滑化させ、全てのバッテリが満充電状態または放電状態ではない状態に維持す
ることで、バッテリの寿命を長くすることが可能となる。
【0112】
以上が、電力平滑動作についての説明である。
【0113】
本発明の一態様の電力制御方法、及び電力制御システムは、複数のバッテリを有する移
動体に対して、そのバッテリ間で電力を伝送することができる。これにより、電力回生が
行われた場合には、優先的に所定のバッテリを充電することが可能となる。また電力平滑
動作により、各バッテリの充電量を平滑化させることが可能となる。このような方法によ
り、電力伝送のロスを低減すること、バッテリの寿命を延ばすことなどが可能となる。
【0114】
なお、本発明の一態様は、プログラムとして制御部61が有する記憶部に格納され、制
御部61が有するコンピュータまたは演算装置により読み出され、実行されることにより
実現してもよい。すなわち、本発明の他の一態様は、制御部61に上述したフローの動作
を実行させるプログラムである。
【0115】
[電力回生動作について]
本発明の一態様のシステムでは、回生電力は、モータ64aまたはモータ64bを回転
させることにより生成することができる。このとき、ホイール10aまたはホイール10
bに対して、その回転を止める方向に力が生じ、この力はブレーキとして機能する。
【0116】
ここで、ブレーキを利用した安全制御の方法として、横滑り防止制御がある。横滑り防
止制御は、ESC(Electronic Stability Control)とも
呼ばれる場合がある。これは、自動車が旋回している時に、ステアリングを通じて運転者
が意図している方向と、自動車の進行方向にずれが生じているときに、各車輪に適切なブ
レーキを作動させて、そのずれを軽減する制御方法である。
【0117】
本発明の一態様は、このような横滑り防止制御が作動している際のブレーキ動作をモー
タで行うことで、回生電力を得ることができる。
【0118】
図9(A)、(B)を用いて、横滑り防止制御の方法について説明する。
【0119】
図9(A)、(B)では、自動車90が旋回する様子を示している。ここでは横滑り防
止制御がなされた場合を実線で、なされていない場合を破線で示している。
【0120】
図9(A)は、オーバーステアの状況を示している。すなわち、旋回時に後輪の接地摩
擦力が遠心力に負けて外側にずれることにより、車体の進行方向がカーブの内側にずれる
場合である。このとき、図中の矢印91で示すように、旋回方向に対して外側の前輪に適
切なブレーキを加えることにより、適切な旋回半径でカーブを旋回することができる。
【0121】
図9(B)は、アンダーステアの状況を示している。すなわち、旋廻時に前輪の接地摩
擦力が遠心力に負けて外側にずれることにより、車体の進行方向がカーブの外側にずれる
場合である。このとき、図中の矢印92で示すように、旋回方向に対して内側の後輪に適
切なブレーキを加えることにより、適切な旋回半径でカーブを旋回することができる。
【0122】
なお、ここでは横滑り防止制御における電力回生動作について説明したが、これに限ら
れずブレーキを用いた様々な制御で、回生電力を得ることができる。例えば、アンチロッ
クブレーキシステム(ABS:Antilock Brake System)や、衝突
回避システム、衝突時の衝撃を緩和するためのシステムなどにおけるブレーキ動作でも、
回生電力を得ることが可能である。
【0123】
以上が電力回生動作についての説明である。
【0124】
[システムの他の構成例]
以下では、
図1で例示したシステム80とは異なる構成を有するシステムの例について
説明する。なお以下では、上記と重複する内容は説明を省略する場合がある。
【0125】
〔構成例1〕
図10に示すシステム80aは、
図1で例示したシステム80と比較して、4つのホイ
ール全てにモータ及びバッテリを有する点で相違している。
【0126】
システム80aは、ホイール10c、ホイール10d、バッテリ20c、バッテリ20
d、モータ64c、モータ64d、電力制御部62c、電力制御部62dを有する。電力
制御部62cは、バッテリ20c及びモータ64cと接続されている。また電力制御部6
2dは、バッテリ20d及びモータ64dと接続されている。
【0127】
電力制御部62a、電力制御部62b、電力制御部62c、電力制御部62dは、それ
ぞれ制御部61により制御され、且つ互いに電力を伝送できる構成を有する。
【0128】
〔構成例2〕
図11で例示するシステム80bは、
図10における4つの電力制御部に代えて電力制
御部72を有する。
【0129】
電力制御部72は、各バッテリに選択的に電力を供給する機能、各バッテリから選択的
に電力を出力する機能、各モータに選択的に電力を供給する機能、各モータから出力され
る回生電力を変換する機能等を有する。このように、機能が統合された1つの電力制御部
72を用いることにより、部品点数が減ることに加え、車体50の設計の自由度を高める
ことができる。
【0130】
また、バッテリ間で電力を伝送する場合に、電力変換の頻度を減らすことができるため
、バッテリ間における電力伝送効率を高めることができる。
【0131】
〔構成例3〕
図12に示すシステム80cは、
図10における各ホイールに設けられたモータを、車
体50側に配置した場合の例を示している。
【0132】
このように、例えばモータ64aを車体50に設けることで、モータ64aと、これと
一対となる電力制御部62aとを近づけて配置することができるため、より電力の伝送効
率を高めることが可能となる。
【0133】
また、ホイール10a等の構成を簡素化することが可能なため、ホイール10a等の交
換することが容易となる。また、ホイール10a等を軽量化することが可能となる。
【0134】
〔構成例4〕
図13に示すシステム80dは、
図1で例示したシステム80に対して、モータ64a
及びモータ64bを車体50に配置した点、及び各バッテリと接続される1つの電力制御
部72を有する点で相違している。
【0135】
〔構成例5〕
図14に示すシステム80eは、車体50に設けられた一つのモータ64で2つのホイ
ール(ホイール10a、ホイール10b)を駆動させる場合の例を示している。また、シ
ステム80eは、各バッテリと接続される1つの電力制御部72を有する。
【0136】
〔構成例6〕
図15に示すシステム80fは、
図14で例示したシステム80eに加えて、内燃機関
であるエンジン63を有する例を示している。システム80fに適用可能な自動車は、エ
ンジンとモータの2つの動力によって走行することのできるハイブリッド自動車というこ
とができる。
【0137】
制御部61は、モータ64とエンジン63の両方の動作を制御することができる。これ
により、エンジン63のみで走行するモード、モータ64のみで走行するモード、または
エンジン63とモータ64を併用して走行するモードを切り替えることができる。
【0138】
また、エンジン63は、発電機としても機能する。エンジン63により発生した電力は
、電力制御部72を介してバッテリ65、バッテリ20aまたはバッテリ20bに供給さ
れる、若しくは制御部61、制動制御部66、モータ64等に電力が供給される。
【0139】
なお、エンジン63をホイール10a及びホイール10bを駆動させる動力として用い
ずに、発電機として用いる構成としてもよい。
【0140】
以上が、システムの他の構成例についての説明である。
【0141】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組
み合わせて実施することができる。
【0142】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1で例示した電力伝送システム等に用いることのできる
ホイールの構成例、及び当該ホイールを取り付け可能な移動体(自動車等)について説明
する。
[ホイールの構成例]
図16(A)に、本発明の一態様のホイール10の斜視概略図を示す。ホイール10は
、リム部11、ディスク部12、バッテリ20、及びコネクタ21を有する。
【0143】
ホイール10は、タイヤを用いる自動車等の移動体に装着することができる。自動車は
、移動体の一態様である。自動車としては、乗用車、トラック、バスのほか、土木作業車
、クレーン車などの特殊車両も含まれる。また本発明の一態様のホイール10は、四輪車
のみでなく、一輪車、二輪車、三輪車または5以上のタイヤを備える自動車にも装着する
ことができる。二輪車としては、バイクのように2つの車輪が車体の前後に取り付けられ
た構成としてもよいし、車体の側部に対向して2つのタイヤが設けられる構成としてもよ
い。または、自転車、電動自転車、電動アシスト自転車、飛行機用のタイヤ、ヘリコプタ
ー用のタイヤ、垂直離着陸機用のタイヤ、水陸両用車、戦車、などに適用することもでき
る。
【0144】
また、ホイールは、タイヤを用いない移動体にも適用することができる。例えば軌条(
レール)を案内路として移動する車両の車輪にも用いることができる。例えばこのような
移動体として、鉄道(電車、汽車、蒸気機関車等を含む)、路面電車、ケーブルカー等に
用いることができる。
【0145】
また、本発明の一態様は、上述した移動体を模した玩具にも適用することができる。
【0146】
リム部11は、幅方向において外側に近いほど曲率半径が大きくなる。また幅方向にお
いて、その中央部に円筒状の部分15を有する。バッテリ20は、リム部11の部分15
に沿って曲げた状態で設けられている。
図16(A)では、リム部11の部分15の内部
に、バッテリ20が配置されている例を示している。
【0147】
ディスク部12は、後述する自動車の車体50に取り付けるためのボルト孔13を複数
有する。また、コネクタ21は、ディスク部12に設けられている。コネクタ21は、バ
ッテリ20と電気的に接続している。またコネクタ21は、自動車の車体が有するコネク
タ等と電気的に接続するための接点を有する。
【0148】
図16(B)は、リム部11の円周方向の断面概略図である。また
図16(B)ではデ
ィスク部12等の位置関係を示すため、これを破線で示している。
【0149】
リム部11は、その円筒状の部分15において、2重構造となっており、その内部には
空間を有する。バッテリ20は、リム部11の内側の空間に配置されている。バッテリ2
0は、リム部11の曲率に沿って湾曲した状態で配置されている。言い換えると、バッテ
リ20は、リム部11の円筒状の部分15の一部に巻きつけられるように配置されている
。このような構成とすることで、ホイール10の重心に偏りが生じることを抑制できるた
め好ましい。
【0150】
バッテリ20は、曲面に沿って曲げられる機能を有することが好ましい。特に、フィル
ムによって封止された二次電池であることが好ましい。バッテリ20が曲げることのでき
る曲率半径は、少なくともリム部11の内径よりも小さい曲率半径とすればよい。バッテ
リ20に適した二次電池の詳細については、後に説明する。
【0151】
バッテリ20は、接着剤または粘着剤によってリム部11に固定されていることが好ま
しい。このとき、バッテリ20を破損することなく剥がすことのできる接着剤または粘着
剤を用いると、バッテリ20が劣化した場合などで交換が容易となるため好ましい。
【0152】
なお、ここではバッテリ20がリム部11に固定されている構成を説明するが、固定さ
れていない構成としてもよい。例えば、ホイール10がバッテリ20を固定する支持部を
有し、リム部11が車体に対して回転した時にも当該支持部が空転する、または車体に対
して回転しない構成とすると、ホイール10の回転する部分の重量を軽くすることが可能
で、自動車の運動性能を高めることができる。
【0153】
バッテリ20は、端子22を有する。またバッテリ20の端子22と、ディスク部12
に設けられたコネクタ21とは、ケーブル23によって電気的に接続されている。ケーブ
ル23は、ディスク部12の内部に設けられている。端子22とケーブル23、またはケ
ーブル23とコネクタ21とは、脱着可能な機構を有すると、バッテリ20の交換が容易
となるため好ましい。
【0154】
なお、ここではバッテリ20が端子のみを有する構成としたが、バッテリ20にBMU
(Battely Management Unit)を有する構成としてもよい。BM
Uは、バッテリ20の過充電及び過放電の監視、過電流の監視、セルバランサ制御、電池
劣化状態の管理、電池残量((充電率)State Of Charge:SOC)の算
出演算、駆動用二次電池の冷却ファンの制御、又は故障検出の制御等を行うことができる
。またBMUをバッテリ20に設ける際、当該BMUが取得するバッテリ20の情報を、
後述する車体50が有する電力制御部62に出力する機能を有することが好ましい。
【0155】
図16(C)には、自動車の車体50に取り付けられた状態における、リム部11の幅
方向の断面概略図を示す。
【0156】
図16(C)では、ディスク部12の一部が空間を有する形状である場合を示している
。ケーブル23は、ディスク部12の空間に配置され、ディスク部12の中央に位置する
コネクタ21と電気的に接続している。
【0157】
車体50は、固定部51と、コネクタ52と、を有する。固定部51は、車体50が有
するエンジンやモータなどの動力を発動する装置(発動装置、動力装置)からの動力を、
ホイール10に伝達する機能を有する。固定部51が回転することにより、固定部51に
固定されたホイール10を回転させることができる。固定部51は、図示しない領域にお
いて、ディスク部12とボルトで固定することができる。コネクタ52は、その先端にコ
ネクタ21と電気的に接続する接点を有し、またコネクタ21と係合する機構を有する。
【0158】
コネクタ52は、例えば回転しても電気的な接続が断たれない機構を有することが好ま
しい。例えば水銀やガリウム等の液体金属を用いた回転コネクタ(ロータリーコネクタ)
や、ブラシが適用されたスリップリング等を用いることができる。回転コネクタを用いる
と、摩耗による問題が抑制できるため好ましい。
【0159】
コネクタ21とコネクタ52とが電気的に接続するため、バッテリ20に充電された電
力を車体50に供給することができる。また、車体50から入力された電力をバッテリ2
0に充電することも可能となる。また、コネクタ21とコネクタ52との間で、上述した
BMUからの情報を伝達可能な構成としてもよい。
【0160】
そのため、本発明の一態様のホイール10は、例えば自動車の補助電源として用いるこ
とができる。また、ホイール10に十分な容量のバッテリ20を搭載する場合には、自動
車の主電源として用い、自動車に電源を搭載しないようにすることも可能となる。このよ
うなホイール10を用いることで、自動車に搭載するバッテリの容積を縮小することが可
能となるため、自動車における省スペースを実現することができる。また自動車の設計の
自由度を高めることができる。例えば、居住スペースやトランクのスペースなどを拡張す
ることができる。
【0161】
上記では、ホイール10及び車体50の各々に設けられた電力伝送機構として、コネク
タ21及びコネクタ52を用いた場合を示したが、電磁誘導方式、磁界共鳴方式、電波方
式等用いた電力の授受(非接触電力伝送、無接点電力伝送あるいはワイヤレス給電などと
もいう)を用いる構成とすると、物理的な接点を必要としないため好ましい。
図17では
、ホイール10と車体50とで非接触電力伝送を行う場合の例を示している。
【0162】
図17において、ホイール10は上記コネクタ21に代えて回路25及びアンテナ26
を有する。ここで、回路25とアンテナ26を含む構成を、無線モジュールと呼ぶことも
ある。回路25はケーブル23を介してバッテリ20と電気的に接続している。またアン
テナ26は回路25と電気的に接続している。
【0163】
回路25は、バッテリ20の電力を、アンテナ26を介して車体50に取り付けられた
アンテナ53に送信する機能を有する。また、回路25はアンテナ26により受電した電
力をバッテリ20に供給する電力に変換する機能を有する。
【0164】
車体50は、上記コネクタ52に代えて、アンテナ53、ケーブル54、及びアンテナ
支持部55を有する。アンテナ53は、ホイール10を車体50に取り付けたときに、ア
ンテナ26と対向する位置に取り付けられている。アンテナ支持部55は、アンテナ53
を支持する機能を有する。アンテナ53及びアンテナ支持部55は、固定部51とホイー
ル10とを固定するボルトと物理的に干渉しないように、孔や切欠き部を有していてもよ
い。ケーブル54は、車体50の内部に設けられた回路(図示しない)と、アンテナ53
とを電気的に接続する機能を有する。当該回路は、上記回路25と同様の機能を有するも
のを用いることができる。
【0165】
また、
図17では、アンテナ26とアンテナ53との間に位置するディスク部12の一
部に、窓部27が設けられている例を示している。窓部27は、アンテナ26とアンテナ
53との間の信号の伝搬を阻害しない材料を用いることができる。窓部27の材料は、非
接触電力伝送の方式に合わせて適宜選択すればよいが、例えばディスク部12に用いる材
料よりも絶縁性の高い材料、誘電率の高い材料、または無線信号、電波、電磁波等を遮蔽
しにくい材料を用いることができる。
【0166】
このような構成とすることで、ホイール10が回転しても電力の授受を容易にすること
ができる。また物理的な接点を有さず、摩耗や破損の問題が生じないため好ましい。
【0167】
図18(A)(B)には、リム部11の上記とは異なる形態の例を示している。
【0168】
上記では、リム部11が中空構造を有し、リム部11の内部にバッテリ20を設ける例
を示したが、これに限られずリム部11の表面にバッテリ20を巻きつける、または貼り
付ける構成としてもよい。
図18(A)では、リム部11の外周に沿って、バッテリ20
を巻きつけた場合の例を示している。ここで、ホイール10にタイヤ(図示しない)を取
り付けた際、リム部11の外周の表面はタイヤによって覆われる。したがって、このよう
にリム部11の外周に沿ってバッテリ20を巻きつけても、バッテリ20が露出する恐れ
がないため好ましい。また、バッテリ20の外装が十分な耐候性を有している場合には、
図18(B)に示すようにリム部11の内周に沿ってバッテリ20を設ける構成としても
よい。
【0169】
図19(A)(B)には、バッテリ20の異なる形態の例を示している。
【0170】
上記では、バッテリ20がリム部11の円筒状の部分15の円周に対して1周未満の範
囲を覆う例を示していたが、バッテリ20が1周よりも多く巻きつける構成としてもよい
。
図19(A)では、バッテリ20がリム部11に対して2周程度巻きつけた場合の例を
示している。バッテリ20の長さが長いほど、バッテリ20の容量を大きくできるため好
ましい。
【0171】
また、
図19(B)に示すように、バッテリ20が端子22を共通とした複数の帯状の
二次電池を有する構成としてもよい。例えば、
図19(B)等で示したバッテリ20を複
数重ねて用いる構成とすることができる。このような構成とすることでバッテリ20の抵
抗成分を小さくすることができる。また
図19(A)に示す構成に比べてバッテリ20の
フィルム等の部材が多く必要となるが、ひとつの二次電池の大きさを比較的小さくするこ
とができるため、これを生産するのに大型の装置を導入する必要がなく好ましい。
【0172】
図20(A)(B)(C)には、異なる形態のバッテリを用いた場合の例を示している
。
【0173】
上記では、フィルムで封止された帯状のバッテリ20を用いた場合について示したが、
異なる形状のバッテリを用いることもできる。
【0174】
図20(A1)に、円筒状のバッテリ41を適用した場合の例を示している。また
図2
0(A2)には、バッテリ41の外観を示している。バッテリ41は、円筒状の外装部材
により封止され、また一対の端子45を有する。円筒状のバッテリ41を複数用いること
で、リム部11の内部にバッテリ41を高密度に配置することができる。
【0175】
図20(B1)に、角柱状のバッテリ42を適用した場合の例を示している。また
図2
0(B2)にはバッテリ42の外観を示している。角柱状のバッテリ42を複数用いるこ
とで、ひとつのバッテリ42の体積当たりの容量を増やすことができ、また円筒状のバッ
テリ41を用いた場合に比べて1つのホイール10に設ける個数を減らすことができる。
【0176】
図20(C1)に、一部に曲面を有する柱状のバッテリ43を適用した場合の例を示し
ている。また、
図20(C2)にはバッテリ43の外観を示している。バッテリ43が有
する曲面の曲率半径が、リム部11の内壁が有する曲率半径と概略一致する形状とするこ
とが好ましい。そうすることで、
図20(C1)に示すように、バッテリ43とリム部1
1との隙間を減らし、高密度にバッテリ43を配置することができる。バッテリ43は、
例えばその断面が概略扇状の形状を有する柱状体とすることができる。
【0177】
ここで例示したバッテリ41、バッテリ42、バッテリ43は、曲げられる機能を備え
ていなくてもよく、例えば金属等の剛性の高い外装部材によって封止されたバッテリを用
いてもよい。また、バッテリ41、バッテリ42、バッテリ43としては、例えば巻回型
、または積層型の二次電池を用いることができる。
【0178】
以上がホイールの構成例についての説明である。
【0179】
[適用例]
以下では、本発明の一態様のホイール、及び当該ホイールを取り付けることのできる自
動車の構成例について説明する。
【0180】
図21に、自動車の車体50と、ホイール10の主要な構成を記載したブロック図を示
す。ここでは、動力を発動する装置(発動装置、動力装置)としてエンジンとモータの両
方を使用するハイブリッド車の構成を例にあげて説明する。
【0181】
ホイール10は、バッテリ20と、電力伝送機構30と、を有する。
【0182】
上述したコネクタ21や、回路25及びアンテナ26を含む無線モジュールが、電力伝
送機構30に相当する。
【0183】
車体50は、電力伝送機構60、制御部61、電力制御部62、エンジン63、モータ
64、バッテリ65等を備える。
【0184】
上述したコネクタ52や、アンテナ53、ケーブル54及び回路等を含む無線モジュー
ルが、電力伝送機構60に相当する。
【0185】
電力伝送機構30と電力伝送機構60は、電力を互いに授受できる構成とすればよく、
上記の構成は一例であり、これに限られない。
【0186】
エンジン63とモータ64は、ホイール10を回転させるための動力を発動する装置で
ある。エンジン63は制御部61によりその動作が制御される。またモータ64は、電力
制御部62により供給された電力により駆動する。
【0187】
制御部61は、自動車の動力の制御を行う機能を有する。具体的には、エンジン63の
駆動の制御、電力制御部62の制御等を行うことができる。そのほか制御部61は、電子
制御された様々な補助装置を総合的に制御する機能を有していてもよい。制御部61とし
ては、代表的にはECU(Engine Control Unit)を用いることがで
きる。また自動車の駆動方法に応じて、EV、HEV、またはPHEVに特有の機能を有
するECUを適用することが好ましい。
【0188】
電力制御部62は、制御部61からの命令に応じて、モータ64への電力の供給量を制
御する。電力制御部62は、PCU(Power Control Unit)とも呼ぶ
ことができる。
【0189】
また、電力制御部62は、車体50が有するバッテリ65と、ホイール10が有するバ
ッテリ20とを、各々の充電状態に応じて切り替える機能を有することが好ましい。例え
ば、バッテリ65を主電源として用いた場合、バッテリ65の充電率が一定以下に低下し
た際に、バッテリ20からの電力を用いてモータ64等を駆動させることができる。この
ような動作を行うことで、バッテリ20を補助電源として用いることができる。
【0190】
バッテリ65や、バッテリ20の充電状態を管理する場合、上述したBMUの機能を電
力制御部62が有していればよい、または、バッテリ65及びバッテリ20がBMUを有
する構成とし、当該BMUから供給される情報に応じて、電力制御部62が制御を行って
もよい。
【0191】
また、電力制御部62は減速時にモータ64で発生する電力を用いて、バッテリ65お
及びバッテリ20を充電させる機能(電力回生機能ともいう)を有することが好ましい。
【0192】
電力制御部62としては、バッテリ65やバッテリ20が出力する電圧をモータ64を
駆動する電圧に昇圧する昇圧回路(コンバータ)や、直流電圧をモータ64を駆動させる
ための交流電圧に変換する変換回路(インバータ)、及びこれらの制御を行うコンピュー
タを有する構成とすることができる。また、電力回生機能を付加する場合には、モータ6
4から出力される交流電圧を直流電圧に変換する変換回路や、バッテリ65やバッテリ2
0を充電する電圧に降圧する降圧回路等を有していることが好ましい。
【0193】
なお、ここではエンジン63とモータ64の両方を備えるHEVの構成を例に挙げて説
明したが、EVとする場合には、エンジン63を設けない構成とすればよい。また、PH
EVとする場合には、ソケットとをさらに備える構成とし、電力制御部62が当該ソケッ
トを介して外部から供給された電力を用いて、バッテリ65やバッテリ20の充電を制御
する機能を有する構成とすればよい。
【0194】
以上が適用例についての説明である。
【0195】
[変形例]
以下では、上記適用例とは一部が異なる適用例について説明する。
【0196】
図22(A)に、ホイール10を装着した車体50の模式図を示す。
図22(A)に示
す車体50は、1つの制御部61と、4つのモータ64と、4つの電力制御部62を有す
る。1つのホイール10が取り付けられる部分の近傍に、1つのモータ64と、1つの電
力制御部62が配置されている。
【0197】
制御部61は、4つの電力制御部62を制御することができる。1つのホイール10が
有するバッテリ20の電力は、その近傍に配置された電力制御部62により、モータ64
を駆動する電力に変換される。モータ64が回転することに伴い、これと接続されたホイ
ール10が回転する。
【0198】
このように、4つのホイール10のそれぞれにモータ64などの動力装置を設ける構成
とすることで4つのホイール10はそれぞれ独立して回転することが可能となる。また4
つのホイール10の回転方向も個別に制御することもできる。したがって、車体50の横
方向への移動や、車体50をその場で回転させるなど、従来の自動車では不可能であった
方向への車体50の移動が可能となる。
【0199】
このように、ホイール10の近傍に電力制御部62及びモータ64を配置することで、
バッテリ20から電力制御部62までの間での電力のロスを低減することができる。
【0200】
図22(B)では、ホイール10がバッテリ20に加えて、電力制御部62及びモータ
64を有する例を示している。ホイール10にモータ64が設けられた構成を、インホイ
ールモータとも呼ぶことができる。このような構成とすることで、各ホイール10に設け
られたモータ64を、バッテリ20の電力によって駆動させることができる。このような
構成とすることで、例えば事故などで車体50が大きく損傷した場合であっても、車体5
0の移動が可能となる。
【0201】
また、電力制御部62及びモータ64をホイール10に設けることが可能となるため、
車体50にはこれら4つのホイール10を制御する制御部61などの機構を配置すればよ
く、その構成を極めて簡略化できる。したがって、車体50の設計の自由度を高めること
ができ、また省スペースを実現できる。
【0202】
なお、
図22(A)(B)において、上述したバッテリ65、エンジン63等を有する
構成としてもよい。
【0203】
以上が、変形例についての説明である。
【0204】
上記では、本発明の一態様として、タイヤが取り付けられるホイール10に、バッテリ
20を有する構成を示したがこれに限られない。例えば回転する機能を有するホイールに
、バッテリ20が設けられた構成としてもよい。車体が有するホイールにこのような構成
を適用することで、当該ホイールが有するバッテリ20を補助電源または主電源として用
いることが可能となる。一例として、フライホイールにバッテリ20を適用することがで
きる。特に、フライホイールの外周に近い位置にバッテリ20を設ける構成とすることで
、フライホイールが発生する慣性モーメントを増大させることができる。
【0205】
ここで、車体が有する電力伝送機構60、制御部61、電力制御部62、またはそのほ
かの装置に含まれる電子部品、ホイール10が有する電力伝送機構30、またはBMUな
どに用いられる電子部品には、炭化シリコン、窒化ガリウム、または酸化物半導体が適用
されたトランジスタなどの半導体装置を適用することが好ましい。特にシリコンよりもバ
ンドギャップの大きな酸化物半導体を適用することが好ましい。シリコンよりもバンドギ
ャップが広く、且つキャリア密度の小さい半導体材料を用いると、トランジスタのオフ状
態における電流を低減できるため好ましい。
【0206】
例えば、上記酸化物半導体として、少なくとも少なくともインジウム(In)もしくは
亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。より好ましくは、In-M-Zn系酸化物(MはA
l、Ti、Ga、Ge、Y、Zr、Sn、La、CeまたはHf等の金属)で表記される
酸化物を含む。
【0207】
特に、半導体層として、複数の結晶部を有し、当該結晶部はc軸が半導体層の被形成面
、または半導体層の上面に対し垂直に配向し、且つ隣接する結晶部間には粒界が確認され
ない酸化物半導体膜を用いることが好ましい。
【0208】
このような酸化物半導体は、結晶粒界を有さないために電気的特性の安定性に優れてい
る。
【0209】
半導体層としてこのような材料を用いることで、電気特性の変動が抑制され、信頼性の
高いトランジスタを実現できる。
【0210】
また、その低いオフ電流により、トランジスタと直列に接続された容量素子に蓄積した
電荷を長期間に亘って保持することが可能である。このようなトランジスタを適用するこ
とで、極めて消費電力の低減された電子部品を実現できる。
【0211】
なお、本発明の一態様は、これらに限定されない。例えば、本発明の一態様として、ホ
イールに適用した場合の例を示したが、これに限定されない。本実施の形態および他の実
施の形態では、様々な発明の態様が記載されているため、本発明の一態様は、特定の態様
に限定されない。例えば本発明の一態様は、ホイール、またはホイールに準じるもの、ま
たはホイール以外に適用することもできる。
【0212】
本実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施するこ
とができる。
【0213】
(実施の形態3)
実施の形態1で例示した電力制御システムや、実施の形態2で例示したホイールは、タ
イヤを用いる自動車に適用することができる。自動車は、移動体の一態様である。自動車
としては、乗用車、トラック、バスのほか、土木作業車、クレーン車などの特殊車両も含
まれる。また本発明の一態様のホイールは、四輪車のみでなく、一輪車、二輪車、三輪車
または5以上のタイヤを備える自動車にも装着することができる。二輪車としては、バイ
クのように2つの車輪が車体の前後に取り付けられた構成としてもよいし、車体の側部に
対向して2つのタイヤが設けられる構成としてもよい。または、自転車、電動自転車、電
動アシスト自転車、飛行機用のタイヤ、ヘリコプター用のタイヤ、垂直離着陸機用のタイ
ヤ、水陸両用車、戦車、などに適用することもできる。
【0214】
図23に、本発明の一態様を用いた車両を例示する。
図23(A)に示す自動車840
0は、走行のための動力源として電気モータを用いる電気自動車である。または、走行の
ための動力源として電気モータとエンジンを適宜選択して用いることが可能なハイブリッ
ド自動車である。本発明の一態様を用いることで、航続距離の長い車両を実現することが
できる。また、自動車8400は二次電池を有する。二次電池は電気モータを駆動するだ
けでなく、ヘッドライト8401やルームライト(図示せず)などの発光装置に電力を供
給することができる。
【0215】
また、二次電池は、自動車8400が有するスピードメーター、タコメーターなどの表
示装置に電力を供給することができる。また、二次電池は、自動車8400が有するナビ
ゲーションシステムなどの半導体装置に電力を供給することができる。
【0216】
図23(B)に示す自動車8500は、自動車8500が有する二次電池(図示しない
)にプラグイン方式や非接触給電方式等により外部の充電設備から電力供給を受けて、充
電することができる。
図23(B)に、地上設置型の充電装置8021から自動車850
0に搭載された二次電池に、ケーブル8022を介して充電を行っている状態を示す。充
電に際しては、充電方法やコネクタの規格等はCHAdeMO(登録商標)やコンボ等の
所定の方式で適宜行えばよい。充電装置8021は、商用施設に設けられた充電ステーシ
ョンでもよく、また家庭の電源であってもよい。例えば、プラグイン技術によって、外部
からの電力供給により自動車8500に搭載された二次電池(図示せず)を充電すること
ができる。充電は、ACDCコンバータ等の変換装置を介して、交流電力を直流電力に変
換して行うことができる。
【0217】
また、図示しないが、受電装置を車両に搭載し、地上の送電装置から電力を非接触で供
給して充電することもできる。この非接触給電方式の場合には、道路や外壁に送電装置を
組み込むことで、停車中に限らず走行中に充電を行うこともできる。また、この非接触給
電の方式を利用して、車両同士で電力の送受信を行ってもよい。さらに、車両の外装部に
太陽電池を設け、停車時や走行時に二次電池の充電を行ってもよい。このような非接触で
の電力の供給には、電磁誘導方式や磁界共鳴方式を用いることができる。
【0218】
図23(C)には、電動二輪車8600を示す。電動二輪車8600は、車体8601
、ホイール8602、タイヤ8603、ハンドルバー8604、操作レバー8605等を
有する。
【0219】
搭乗者は車体8601上に立った状態で乗ることができる。電動二輪車8600は、車
体8601内にジャイロセンサとコンピュータを有し、重心の位置の変化に応じて進行方
向や速度を制御することができる。例えば、搭乗者が前傾姿勢となり重心が前方に移動す
ることで前進し、後傾姿勢となり重心が後方に移動することで、制動または後退すること
ができる。また搭乗者が左右方向に重心を移動させることにより、旋回することができる
。
【0220】
電動二輪車8600において、モータ、バッテリ、及びそのほかの制御装置等が車体8
601またはホイール8602内に設けられる。
【0221】
ハンドルバー8604は、その端部に発光装置が設けられ、周囲に曲がる方向を知らせ
るウィンカーとして機能する。
【0222】
操作レバー8605は、例えばブレーキ操作を行うために設けられる。また操作レバー
8605はブレーキ操作のほか、電源のオン・オフ操作、ウィンカー操作、ロック操作な
ど、各種操作を行うことができる。
【0223】
本発明の一態様によれば、バッテリを搭載した自動車において、従来よりも省スペース
化された自動車を実現できる。また、設計の自由度が高められた自動車を実現できる。効
率的に電力を利用することが可能な自動車を実現できる。
【0224】
また、二次電池のサイクル特性が良好となり、信頼性を向上させることができる。また
、本発明の一態様によれば、二次電池の特性を向上することができ、よって、二次電池自
体を小型軽量化することができる。二次電池自体を小型軽量化できれば、車両の軽量化に
寄与するため、航続距離を向上させることができる。また、車両に搭載した二次電池を車
両以外の電力供給源として用いることもできる。この場合、電力需要のピーク時に商用電
源を用いることを回避することができる。
【0225】
(実施の形態4)
以下では、本発明の一態様のバッテリ20に用いることのできる二次電池の構成例と、
その作製方法例について、図面を参照して説明する。以下では、曲げることのできる二次
電池の例について説明する。
【0226】
[構成例]
図24は二次電池102の外観を示す斜視図である。
図25(A)は、
図24にA1-
A2の一点鎖線で示した部位の断面図である。また、
図25(B)は、
図24にB1-B
2の一点鎖線で示した部位の断面図である。
【0227】
本発明の一態様の二次電池102は、外装体507内に、セパレータ503に覆われた
正極511と、負極515と、電解液504を有する。なお、
図24および
図25では、
正極集電体501の片面に正極活物質層502を有する正極を1枚、両面に正極活物質層
502を有する正極を1枚、負極集電体505の片面に負極活物質層506を有する負極
を1枚、両面に負極活物質層506を有する正極を1枚有する二次電池の例を示す。また
、正極111は、正極リード121と電気的に接続されており、負極115は負極リード
125と電気的に接続されている。正極リード121および負極リード125は、リード
電極、またはリード端子とも呼ばれる。正極リード121および負極リード125の一部
は外装体の外側に配置される。また、二次電池102の充電および放電は、正極リード1
21および負極リード125を介して行われる。
【0228】
なお、
図25では、正極111はセパレータ503に覆われているが、本発明の一態様
は、これに限定されない。例えば、正極111は、セパレータ503に覆われていなくて
もよい。例えば、正極111の代わりに、負極115がセパレータ503に覆われていて
もよい。
【0229】
〔正極〕
正極511は、正極集電体501と、正極集電体501上に形成された正極活物質層5
02などにより構成される。
図25ではシート状(又は帯状)の正極集電体501の一方
の面に正極活物質層502を有する正極511を1枚、両面に正極活物質層502を有す
る正極511を1枚有する例を示しているが、本発明の一態様はこれに限らない。正極集
電体501の一方の面に正極活物質層502を有する正極511のみを用いてもよい。ま
た両面に正極活物質層502を有する正極511のみを用いてもよい。両面に正極活物質
層502を有する正極511を用いることで、二次電池102の容量を大きくすることが
できる。また3枚以上の正極511を有する二次電池102としてもよい。二次電池10
2が有する正極511を増やすと、二次電池102の容量を大きくすることができる。
【0230】
正極集電体501には、ステンレス、金、白金、アルミニウム、チタン等の金属、及び
これらの合金など、導電性が高く、正極の電位で溶出しない材料を用いることができる。
また、シリコン、チタン、ネオジム、スカンジウム、モリブデンなどの耐熱性を向上させ
る元素が添加されたアルミニウム合金を用いることができる。また、シリコンと反応して
シリサイドを形成する金属元素で形成してもよい。シリコンと反応してシリサイドを形成
する金属元素としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タン
タル、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル等がある。正極集電体5
01は、箔状、板状(シート状)、網状、パンチングメタル状、エキスパンドメタル状等
の形状を適宜用いることができる。正極集電体501は、厚みが5μm以上30μm以下
のものを用いるとよい。また、正極集電体501の表面に、グラファイトなどを用いてア
ンダーコート層を設けてもよい。
【0231】
正極活物質層502は、正極活物質の他、正極活物質の密着性を高めるための結着剤(
バインダ)、正極活物質層502の導電性を高めるための導電助剤等を有してもよい。
【0232】
正極活物質層502に用いる正極活物質としては、オリビン型の結晶構造、層状岩塩型
の結晶構造、またはスピネル型の結晶構造を有する複合酸化物等がある。正極活物質とし
て、例えば、LiFeO2、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、V2O5、
Cr2O5、MnO2等の化合物を用いる。
【0233】
特に、LiCoO2は、容量が大きいこと、LiNiO2に比べて大気中で安定である
こと、LiNiO2に比べて熱的に安定であること等の利点があるため、好ましい。
【0234】
また、LiMn2O4等のマンガンを含むスピネル型の結晶構造を有するリチウム含有
材料に、少量のニッケル酸リチウム(LiNiO2やLiNi1-xMxO2(0<x<
1)(M=Co、Al等))を混合すると、これを用いた二次電池の特性を向上させるこ
とができ好ましい。
【0235】
または、複合材料(一般式LiMPO4(Mは、Fe(II)、Mn(II)、Co(
II)、Ni(II)の一以上))を用いることができる。一般式LiMPO4の代表例
としては、LiFePO4、LiNiPO4、LiCoPO4、LiMnPO4、LiF
eaNibPO4、LiFeaCobPO4、LiFeaMnbPO4、LiNiaCo
bPO4、LiNiaMnbPO4(a+bは1以下、0<a<1、0<b<1)、Li
FecNidCoePO4、LiFecNidMnePO4、LiNicCodMneP
O4(c+d+eは1以下、0<c<1、0<d<1、0<e<1)、LiFefNig
CohMniPO4(f+g+h+iは1以下、0<f<1、0<g<1、0<h<1、
0<i<1)等のリチウム化合物を材料として用いることができる。
【0236】
特にLiFePO4は、安全性、安定性、高容量密度、初期酸化(充電)時に引き抜け
るリチウムイオンの存在等、正極活物質に求められる事項をバランスよく満たしているた
め、好ましい。
【0237】
または、一般式Li(2-j)MSiO4(Mは、Fe(II)、Mn(II)、Co
(II)、Ni(II)の一以上、0≦j≦2)等の複合材料を用いることができる。一
般式Li(2-j)MSiO4の代表例としては、Li(2-j)FeSiO4、Li(
2-j)NiSiO4、Li(2-j)CoSiO4、Li(2-j)MnSiO4、L
i(2-j)FekNilSiO4、Li(2-j)FekColSiO4、Li(2-
j)FekMnlSiO4、Li(2-j)NikColSiO4、Li(2-j)Ni
kMnlSiO4(k+lは1以下、0<k<1、0<l<1)、Li(2-j)Fem
NinCoqSiO4、Li(2-j)FemNinMnqSiO4、Li(2-j)N
imConMnqSiO4(m+n+qは1以下、0<m<1、0<n<1、0<q<1
)、Li(2-j)FerNisCotMnuSiO4(r+s+t+uは1以下、0<
r<1、0<s<1、0<t<1、0<u<1)等のリチウム化合物を材料として用いる
ことができる。
【0238】
また、正極活物質として、AxM2(XO4)3(A=Li、Na、Mg、M=Fe、
Mn、Ti、V、Nb、X=S、P、Mo、W、As、Si)の一般式で表されるナシコ
ン型化合物を用いることができる。ナシコン型化合物としては、Fe2(MnO4)3、
Fe2(SO4)3、Li3Fe2(PO4)3等がある。また、正極活物質として、L
i2MPO4F、Li2MP2O7、Li5MO4(M=Fe、Mn)の一般式で表され
る化合物、NaFeF3、FeF3等のペロブスカイト型フッ化物、TiS2、MoS2
等の金属カルコゲナイド(硫化物、セレン化物、テルル化物)、LiMVO4等の逆スピ
ネル型の結晶構造を有する酸化物、バナジウム酸化物系(V2O5、V6O13、LiV
3O8等)、マンガン酸化物、有機硫黄化合物等の材料を用いることができる。
【0239】
なお、キャリアイオンが、リチウムイオン以外のアルカリ金属イオンや、アルカリ土類
金属イオンの場合、正極活物質として、リチウムの代わりに、アルカリ金属(例えば、ナ
トリウムやカリウム等)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、ストロンチウム、バ
リウム、ベリリウム、マグネシウム等)を用いてもよい。例えば、NaFeO2や、Na
2/3[Fe1/2Mn1/2]O2などのナトリウム含有層状酸化物を正極活物質とし
て用いることができる。
【0240】
また、正極活物質として、上記材料を複数組み合わせた材料を用いてもよい。例えば、
上記材料を複数組み合わせた固溶体を正極活物質として用いることができる。例えば、L
iCo1/3Mn1/3Ni1/3O2とLi2MnO3の固溶体を正極活物質として用
いることができる。
【0241】
なお、図示しないが、正極活物質層502の表面に炭素層などの導電性材料を設けても
よい。炭素層などの導電性材料を設けることで、電極の導電性を向上させることができる
。例えば、正極活物質層502への炭素層の被覆は、正極活物質の焼成時にグルコース等
の炭水化物を混合することで形成することができる。
【0242】
粒状の正極活物質層502の一次粒子の平均粒径は、50nm以上100μm以下のも
のを用いるとよい。
【0243】
導電助剤としては、アセチレンブラック(AB)、グラファイト(黒鉛)粒子、カーボ
ンナノチューブ、グラフェン、フラーレンなどを用いることができる。
【0244】
導電助剤により、正極511中に電子伝導のネットワークを形成することができる。導
電助剤により、正極活物質層502どうしの電気伝導の経路を維持することができる。正
極活物質層502中に導電助剤を添加することにより、高い電子伝導性を有する正極活物
質層502を実現することができる。
【0245】
また、バインダとして、代表的なポリフッ化ビニリデン(PVDF)の他、ポリイミド
、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルクロライド、エチレンプロピレンジエンポリ
マー、スチレン-ブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、フッ素ゴム、ポ
リ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ニトロセルロース等を用いる
ことができる。
【0246】
正極活物質層502の総量に対するバインダの含有量は、1wt%以上10wt%以下
が好ましく、2wt%以上8wt%以下がより好ましく、3wt%以上5wt%以下がさ
らに好ましい。また、正極活物質層502の総量に対する導電助剤の含有量は、1wt%
以上10wt%以下が好ましく、1wt%以上5wt%以下がより好ましい。
【0247】
塗布法を用いて正極活物質層502を形成する場合は、正極活物質とバインダと導電助
剤を混合して正極ペースト(スラリー)を作製し、正極集電体501上に塗布して乾燥さ
せればよい。
【0248】
〔負極〕
負極515は、負極集電体505と、負極集電体505上に形成された負極活物質層5
06などにより構成される。
図25ではシート状(又は帯状)の負極集電体505の一方
の面に負極活物質層506を有する負極515を1枚、両面に負極活物質層506を有す
る負極515を1枚有する例を示しているが、本発明の一態様はこれに限らない。負極集
電体505の一方の面に負極活物質層506を有する負極515のみを用いてもよい。こ
の場合、負極集電体505の負極活物質層506を有さない面同士が接触するように配置
すると、摩擦の少ない接触面を形成することができ、二次電池102を湾曲した際の応力
を逃がしやすく好ましい。また負極集電体505の両面に負極活物質層506を有する負
極515のみを用いてもよい。両面に負極活物質層506を有する負極515を用いるこ
とで、二次電池102の容量を大きくすることができる。また3枚以上の負極515を有
する二次電池102としてもよい。二次電池102が有する負極515を増やすことで、
二次電池102の容量を大きくすることができる。
【0249】
負極集電体505には、ステンレス、金、白金、鉄、銅、チタン等の金属、及びこれら
の合金など、導電性の高く、リチウム等のキャリアイオンと合金化しない材料を用いるこ
とができる。また、シリコン、チタン、ネオジム、スカンジウム、モリブデンなどの耐熱
性を向上させる元素が添加されたアルミニウム合金を用いることができる。負極集電体5
05は、箔状、板状(シート状)、網状、パンチングメタル状、エキスパンドメタル状等
の形状を適宜用いることができる。負極集電体505は、厚みが5μm以上30μm以下
のものを用いるとよい。また、負極集電体505の表面に、グラファイトなどを用いてア
ンダーコート層を設けてもよい。
【0250】
負極活物質層506は、負極活物質の他、負極活物質の密着性を高めるための結着剤(
バインダ)、負極活物質層506の導電性を高めるための導電助剤等を有してもよい。
【0251】
負極活物質は、リチウムの溶解・析出、又はリチウムイオンの挿入・脱離が可能な材料
であれば、特に限定されない。負極活物質層506の材料としては、リチウム金属やチタ
ン酸リチウムの他、蓄電分野に一般的な炭素系材料や、合金系材料等が挙げられる。
【0252】
リチウム金属は、酸化還元電位が低く(標準水素電極に対して-3.045V)、重量
及び体積当たりの比容量が大きい(それぞれ3860mAh/g、2062mAh/cm
3)ため、好ましい。
【0253】
炭素系材料としては、黒鉛、易黒鉛化性炭素(ソフトカーボン)、難黒鉛化性炭素(ハ
ードカーボン)、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンブラック等が挙げられる
。
【0254】
黒鉛としては、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、コークス系人造黒鉛、ピッ
チ系人造黒鉛等の人造黒鉛や、球状化天然黒鉛等の天然黒鉛が挙げられる。
【0255】
黒鉛は、リチウムイオンが層間に挿入されたときに(リチウム-黒鉛層間化合物の生成
時に)、リチウム金属と同程度に卑な電位を示す(0.1乃至0.3V vs.Li/L
i+)。これにより、リチウムイオン電池は高い作動電圧を示すことができる。さらに、
黒鉛は、単位体積当たりの容量が比較的高い、体積膨張が小さい、安価である、リチウム
金属に比べて安全性が高い等の利点を有するため、好ましい。
【0256】
負極活物質として、リチウムとの合金化・脱合金化反応により充放電反応を行うことが
可能な合金系材料または酸化物も用いることができる。キャリアイオンがリチウムイオン
である場合、合金系材料としては、例えば、Mg、Ca、Al、Si、Ge、Sn、Pb
、Sb、Bi、Ag、Au、Zn、Cd、HgおよびIn等のうち少なくとも一つを含む
材料が挙げられる。このような元素は炭素に対して容量が大きく、特にシリコンは理論容
量が4200mAh/gと飛躍的に高い。このため、負極活物質にシリコンを用いること
が好ましい。このような元素を用いた合金系材料としては、例えば、Mg2Si、Mg2
Ge、Mg2Sn、SnS2、V2Sn3、FeSn2、CoSn2、Ni3Sn2、C
u6Sn5、Ag3Sn、Ag3Sb、Ni2MnSb、CeSb3、LaSn3、La
3Co2Sn7、CoSb3、InSb、SbSn等が挙げられる。
【0257】
また、負極活物質として、SiO、SnO、SnO2、酸化チタン(TiO2)、リチ
ウムチタン酸化物(Li4Ti5O12)、リチウム-黒鉛層間化合物(LixC6)、
酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化タングステン(WO2)、酸化モリブデン(MoO2)
等の酸化物を用いることができる。
【0258】
また、負極活物質として、リチウムと遷移金属の複窒化物である、Li3N型構造をも
つLi3-xMxN(M=Co、Ni、Cu)を用いることができる。例えば、Li2.
6Co0.4N3は大きな充放電容量(900mAh/g、1890mAh/cm3)を
示し好ましい。
【0259】
リチウムと遷移金属の複窒化物を用いると、負極活物質中にリチウムイオンを含むため
、正極活物質としてリチウムイオンを含まないV2O5、Cr3O8等の材料と組み合わ
せることができ好ましい。なお、正極活物質にリチウムイオンを含む材料を用いる場合で
も、あらかじめ正極活物質に含まれるリチウムイオンを脱離させておくことで、負極活物
質としてリチウムと遷移金属の複窒化物を用いることができる。
【0260】
また、コンバージョン反応が生じる材料を負極活物質として用いることもできる。例え
ば、酸化コバルト(CoO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化鉄(FeO)等の、リチウ
ムと合金化反応を行わない遷移金属酸化物を負極活物質に用いてもよい。コンバージョン
反応が生じる材料としては、さらに、Fe2O3、CuO、Cu2O、RuO2、Cr2
O3等の酸化物、CoS0.89、NiS、CuS等の硫化物、Zn3N2、Cu3N、
Ge3N4等の窒化物、NiP2、FeP2、CoP3等のリン化物、FeF3、BiF
3等のフッ化物でも起こる。なお、上記フッ化物の電位は高いため、正極活物質として用
いてもよい。
【0261】
塗布法を用いて負極活物質層506を形成する場合は、負極活物質と結着剤を混合して
負極ペースト(スラリー)を作製し、負極集電体505上に塗布して乾燥させればよい。
なお、負極ペーストに導電助剤を添加してもよい。
【0262】
また、負極活物質層506の表面に、グラフェンを形成してもよい。例えば、負極活物
質をシリコンとした場合、充放電サイクルにおけるキャリアイオンの吸蔵・放出に伴う体
積の変化が大きいため、負極集電体505と負極活物質層506との密着性が低下し、充
放電により電池特性が劣化してしまう。そこで、シリコンを含む負極活物質層506の表
面にグラフェンを形成すると、充放電サイクルにおいて、シリコンの体積が変化したとし
ても、負極集電体505と負極活物質層506との密着性の低下を抑制することができ、
電池特性の劣化が低減されるため好ましい。
【0263】
また、負極活物質層506の表面に、酸化物等の被膜を形成してもよい。充電時におい
て電解液の分解等により形成される被膜は、その形成時に消費された電荷量を放出するこ
とができず、不可逆容量を形成する。これに対し、酸化物等の被膜をあらかじめ負極活物
質層506の表面に設けておくことで、不可逆容量の発生を抑制又は防止することができ
る。
【0264】
このような負極活物質層506を被覆する被膜には、ニオブ、チタン、バナジウム、タ
ンタル、タングステン、ジルコニウム、モリブデン、ハフニウム、クロム、アルミニウム
若しくはシリコンのいずれか一の酸化膜、又はこれら元素のいずれか一とリチウムとを含
む酸化膜を用いることができる。このような被膜は、従来の電解液の分解生成物により負
極表面に形成される被膜に比べ、十分緻密な膜である。
【0265】
例えば、酸化ニオブ(Nb2O5)は、電気伝導度が10-9S/cmと低く、高い絶
縁性を示す。このため、酸化ニオブ膜は負極活物質と電解液との電気化学的な分解反応を
阻害する。一方で、酸化ニオブのリチウム拡散係数は10-9cm2/secであり、高
いリチウムイオン伝導性を有する。このため、リチウムイオンを透過させることが可能で
ある。また、酸化シリコンや酸化アルミニウムを用いてもよい。
【0266】
負極活物質層506を被覆する被膜の形成には、例えばゾル-ゲル法を用いることがで
きる。ゾル-ゲル法とは、金属アルコキシドや金属塩等からなる溶液を、加水分解反応・
重縮合反応により流動性を失ったゲルとし、このゲルを焼成して薄膜を形成する方法であ
る。ゾル-ゲル法は液相から薄膜を形成する方法であるから、原料を分子レベルで均質に
混合することができる。このため、溶媒の段階の金属酸化膜の原料に、黒鉛等の負極活物
質を加えることで、容易にゲル中に活物質を分散させることができる。このようにして、
負極活物質層506の表面に被膜を形成することができる。当該被膜を用いることで、蓄
電体の容量の低下を防止することができる。
【0267】
〔セパレータ〕
セパレータ503を形成するための材料として、セルロースや、ポリプロピレン(PP
)、ポリエチレン(PE)、ポリブテン、ナイロン、ポリエステル、ポリスルホン、ポリ
アクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ポリフェニレンサ
ルファイド等の多孔性絶縁体を用いることができる。また、ガラス繊維等の不織布や、ガ
ラス繊維と高分子繊維を複合した隔膜を用いてもよい。
【0268】
〔電解液〕
電解液504は、電解質として、キャリアイオンが移動可能であり、且つキャリアイオ
ンであるリチウムイオンを有する材料を用いる。電解質の代表例としては、LiPF6、
LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiCF3SO3、Li(CF3SO2)2
N、Li(C2F5SO2)2N、Li(SO2F)2N等のリチウム塩がある。これら
の電解質は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いて
もよい。
【0269】
また、電解液504の溶媒としては、キャリアイオンが移動可能な材料を用いる。電解
液の溶媒としては、非プロトン性有機溶媒が好ましい。非プロトン性有機溶媒の代表例と
しては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネー
ト、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、γーブチ
ロラクトン、アセトニトリル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等があり、これら
の一つまたは複数を用いることができる。また、電解液の溶媒としてゲル化される高分子
材料を用いる、電解液にゲル化のための高分子材料を添加する、などにより、漏液性等に
対する安全性が高まる。また、蓄電池の薄型化及び軽量化が可能である。ゲル化される高
分子材料の代表例としては、シリコーンゲル、アクリルゲル、アクリロニトリルゲル、ポ
リエチレンオキサイド系ゲル、ポリプロピレンオキサイド系ゲル、フッ素系ポリマーのゲ
ル等がある。また、電解液の溶媒として、難燃性及び難揮発性であるイオン液体(常温溶
融塩)を一つまたは複数用いることで、蓄電池の内部短絡や、過充電等によって内部温度
が上昇しても、蓄電池の破裂や発火などを防ぐことができる。なお、イオン液体は、流動
状態である塩であり、イオン移動度(伝導度)が高い。また、イオン液体は、カチオンと
アニオンとを含む。イオン液体としては、エチルメチルイミダゾリウム(EMI)カチオ
ンを含むイオン液体、またはN-メチル-N-プロピルピペリジニウム(PP13)カチ
オンを含むイオン液体などがある。
【0270】
〔外装体〕
二次電池の構造としては、様々な構造があるが、本実施の形態では、外装体507の形
成にフィルムを用いる。なお、外装体507を形成するためのフィルムは金属フィルム(
アルミニウム、ステンレス、ニッケル鋼など)、有機材料からなるプラスチックフィルム
、有機材料(有機樹脂や繊維など)と無機材料(セラミックなど)とを含むハイブリッド
材料フィルム、炭素含有無機フィルム(カーボンフィルム、グラファイトフィルムなど)
から選ばれる単層フィルムまたはこれら複数からなる積層フィルムを用いる。金属フィル
ムは、エンボス加工を行いやすく、エンボス加工を行って凹部または凸部を形成すると外
気に触れる外装体507の表面積が増大するため、放熱効果に優れている。
【0271】
また、外部から力を加えて二次電池102の形状を変化させた場合、二次電池102の
外装体507に外部から曲げ応力が加わり、外装体507の一部が変形または一部破壊が
生じる恐れがある。外装体507に凹部または凸部を形成することにより、外装体507
に加えられた応力によって生じるひずみを緩和することができる。よって、二次電池10
2の信頼性を高めることができる。なお、ひずみとは物体の基準(初期状態)長さに対す
る物体内の物質点の変位を示す変形の尺度である。外装体507に凹部または凸部を形成
することにより、蓄電体の外部から力を加えて生じるひずみによる影響を許容範囲内に抑
えることができる。よって、信頼性の良い蓄電体を提供することができる。
【0272】
以上が構成例についての説明である。
【0273】
[作製方法例]
以下では、上記二次電池102の作製方法の一例について説明する。
【0274】
〔正極を用意し、セパレータで覆う〕
まず、セパレータ503上に正極活物質層502が形成された正極511を配置する(
図26(A)参照。)。なお
図26(A)では、スリットを形成することにより蛇行形状
となった正極集電体501の、両面に正極活物質層502を有する例を示す。
【0275】
正極集電体501にスリットを形成することにより、二次電池102を湾曲させた際、
複数の集電体の端部の位置がずれることを抑えることができる。あるいは曲率中心に遠い
集電体に負荷される張力を緩和させることができる。
【0276】
また、後の工程で負極515と重畳したとき、負極515のスリットと重畳する領域5
11aには、正極活物質層502を設けない。仮に負極515のスリットと重畳する領域
511aに正極活物質層502を設けると、正極活物質層502と重畳する領域に負極活
物質層506がない状態となり、電池反応の際に不具合が生じる恐れがある。具体的には
正極活物質層502から出たキャリアイオンが、スリットに最も近い負極活物質層506
に集中してしまい、負極活物質層506にキャリアイオンが析出する恐れがある。そのた
め、負極515のスリットと重畳する領域511aに正極活物質層502を設けないこと
で、負極活物質層506へのキャリアイオンの析出を抑制することができる。
【0277】
次いで、セパレータ503を
図26(A)の点線で示した部分で折り、セパレータ50
3で正極511を挟む。次に、正極511の外側の、セパレータ503の外周部分を接合
して、袋状のセパレータ503を形成する(
図26(B)参照。)。セパレータ503の
外周部分の接合は、接着材などを用いて行ってもよいし、超音波溶接や、加熱による融着
により行ってもよい。
【0278】
本実施の形態では、セパレータ503としてポリプロピレンを用いて、セパレータ50
3の外周部分を加熱により接合する。
図26(B)に接合部503aを示す。このように
して、正極511をセパレータ503で覆うことができる。セパレータ503は、正極活
物質層502を覆うように形成すればよく、正極511の全体を覆う必要は無い。
【0279】
なお、
図26では、セパレータ503を折り曲げているが、本発明の一態様は、これに
限定されない。例えば、2枚のセパレータで正極511を挟んで形成してもよい。その場
合、接合部503aが4辺のほとんどを囲う形で形成されていてもよい。
【0280】
また、セパレータ503の外周部分の接合は、断続的に行ってもよいし、一定間隔毎の
点状として接合してもよい。
【0281】
または、外周部分の1辺にのみ、接合を行ってもよい。または、外周部分の2辺にのみ
、接合を行ってもよい。または、外周部分の4辺に、接合を行ってもよい。これにより、
4辺を均等な状態にすることが出来る。
【0282】
なお、
図26などでは、正極511がセパレータ503に覆われている場合について述
べているが、本発明の一態様は、これに限定されない。例えば、正極511は、セパレー
タ503に覆われていなくてもよい。例えば、正極511の代わりに、負極515がセパ
レータ503に覆われていてもよい。
【0283】
〔負極を用意する〕
次に、負極515を用意する(
図26(C)参照)。
図26(C)では、スリットを形
成することにより蛇行形状となった負極集電体505の、両面に負極活物質層506を有
する例を示す。
【0284】
負極集電体505にスリットを形成することにより、二次電池102を湾曲させた際、
複数の集電体の端部の位置がずれることを抑えることができる。あるいは曲率中心に遠い
集電体に負荷される張力を緩和させることができる。
【0285】
〔正極と負極を重ねあわせ、リードを接続する〕
次に、正極511および負極515を積み重ねる(
図27(A)参照。)。本実施の形
態では、正極511および負極515を2枚ずつ用いる例を示す。
【0286】
次に、複数の正極集電体501の正極タブと、封止層520を有する正極リード521
を、圧力を加えながら超音波を照射して電気的に接続する(超音波溶接)。
【0287】
また、リード電極は、蓄電体の作製後に外から力が加えられて生じる応力により、ヒビ
や切断が生じやすい。
【0288】
そこで、正極リード521を超音波溶接する際、突起を有するボンディングダイで挟む
ことで、正極タブに接続領域と湾曲部を形成することができる(
図27(B))。
【0289】
この湾曲部を設けることによって、二次電池102の作製後に外から力が加えられて生
じる応力を緩和することができる。よって、二次電池102の信頼性を高めることができ
る。
【0290】
また、正極タブに湾曲部を形成することに限定されず、正極集電体の材料をステンレス
などの強度のあるものとし、正極集電体の膜厚を10μm以下とすることで二次電池の作
製後に外から外力が加えられ生じる応力を緩和しやすくする構成としてもよい。
【0291】
勿論、これらを複数組み合わせて正極タブの応力集中を緩和してもよいことは言うまで
もない。
【0292】
そして正極集電体501と同様に、負極集電体505の負極タブと、封止層520を有
する負極リード525を超音波溶接により電気的に接続する。
【0293】
〔外装体を用意し、正極および負極を覆う〕
外装体に用いるフィルム折り曲げ、重なり合った一辺を熱圧着により接合する。
図27
(B)に外装体507の一辺を熱圧着により接合した部位を、接合部507aとして示す
。この外装体507で、正極511および負極515を覆う。
【0294】
〔電解液を注入する〕
次に、正極リード521が有する封止層520および負極リード525を有する封止層
520と重畳する外装体507の一辺を、同様に熱溶着する(
図28(A))。その後、
図28(A)に示す、外装体507の封止されていない辺507bから、電解液504を
外装体507で覆われた領域に入れる。
【0295】
そして真空引き、加熱および加圧を行いながら、外装体507の残りの一辺を封止し、
二次電池102を得る(
図28(B))。電解液の注入および封止の操作は、グローブボ
ックスを用いるなどして酸素を排除した環境にて行う。真空引きは、脱気シーラー、注液
シーラー等を用いて行うとよい。またシーラーが有する加熱可能な2本のバーで挟むこと
により、加熱および加圧を行うことができる。それぞれの条件は、例えば真空度は60k
Pa、加熱は190℃、加圧は0.1MPaにおいて3秒とすることができる。このとき
、外装体507の上からユニットに加圧してもよい。加圧により、注入の際に混入した気
泡を正極と負極の間から排除することができる。
【0296】
〔変形例〕
二次電池102の変形例として、
図29(A)に二次電池102を示す。
図29(A)
に示す二次電池102は、
図24の二次電池102と比べて正極リード521と負極リー
ド525の配置が異なる。具体的には、
図24の二次電池102では正極リード521お
よび負極リード525が外装体507の同じ辺に配置されているが、
図29の二次電池1
02では正極リード521および負極リード525をそれぞれ外装体507の異なる辺に
配置している。このように、本発明の一態様の二次電池は、リード電極を自由に配置する
ことができるため、設計自由度が高い。よって、本発明の一態様の二次電池を用いた製品
の設計自由度を高めることができる。また、本発明の一態様の二次電池を用いた製品の生
産性を高めることができる。
【0297】
図29(B)は、
図29(A)の二次電池102の作製工程を説明する図である。詳細
は、
図24の二次電池102の作製方法を参酌することができる。なお、
図29(B)で
は、電解液504の記載を省略している。
【0298】
また、外装体507に用いるフィルム表面に予め凹凸を持たせるため、プレス加工、例
えばエンボス加工を行ってもよい。フィルム表面に凹凸を持たせると、二次電池としての
フレキシブル性、応力の緩和効果が向上する。エンボス加工によりフィルム表面(または
裏面)に形成された凹部または凸部は、フィルムを封止構造の壁の一部とする空間の容積
が可変な閉塞空間を形成する。この閉塞空間は、フィルムの凹部または凸部が蛇腹構造、
ベローズ構造となって形成されるとも言える。また、プレス加工の一種であるエンボス加
工に限らず、フィルムの一部に浮き彫り(レリーフ)が形成できる手法であればよい。
【0299】
なお、本発明の一態様は、これらに限定されない。本実施の形態および他の実施の形態
では、様々な発明の態様が記載されているため、本発明の一態様は、特定の態様に限定さ
れない。例えば、本発明の一態様として、リチウムイオン二次電池に適用した場合の例を
示したが、これに限定されない。本発明の一態様は、様々な二次電池、鉛蓄電池、リチウ
ムイオンポリマー二次電池、ニッケル・水素蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池、ニッ
ケル・鉄蓄電池、ニッケル・亜鉛蓄電池、酸化銀・亜鉛蓄電池、固体電池、空気電池、一
次電池、キャパシタ、または、リチウムイオンキャパシタ、などに適用してもよい。本発
明の一態様は、リチウムイオン二次電池に適用しなくてもよい。
【0300】
以上が作製方法例についての説明である。
【0301】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組
み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0302】
10 ホイール
10a ホイール
10b ホイール
10c ホイール
10d ホイール
11 リム部
12 ディスク部
13 ボルト孔
15 部分
20 バッテリ
20a バッテリ
20b バッテリ
20c バッテリ
20d バッテリ
21 コネクタ
22 端子
23 ケーブル
25 回路
26 アンテナ
27 窓部
30 電力伝送機構
41 バッテリ
42 バッテリ
43 バッテリ
45 端子
50 車体
51 固定部
52 コネクタ
53 アンテナ
54 ケーブル
55 アンテナ支持部
60 電力伝送機構
61 制御部
62 電力制御部
62a 電力制御部
62b 電力制御部
62c 電力制御部
62d 電力制御部
63 エンジン
64 モータ
64a モータ
64b モータ
64c モータ
64d モータ
65 バッテリ
66 制動制御部
70 ホイール
71 電力制御部
72 電力制御部
80 システム
80a システム
80b システム
80c システム
80d システム
80e システム
80f システム
90 自動車
91 矢印
92 矢印
102 二次電池
111 正極
115 負極
121 正極リード
125 負極リード
501 正極集電体
502 正極活物質層
503 セパレータ
503a 接合部
504 電解液
505 負極集電体
506 負極活物質層
507 外装体
507a 接合部
507b 辺
511 正極
511a 領域
515 負極
520 封止層
521 正極リード
525 負極リード
8021 充電装置
8022 ケーブル
8400 自動車
8401 ヘッドライト
8500 自動車
8600 電動二輪車
8601 車体
8602 ホイール
8603 タイヤ
8604 ハンドルバー
8605 操作レバー
【手続補正書】
【提出日】2024-07-23
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リム部と、ディスク部と、バッテリと、第1の電力伝送機構と、を備えるホイールであって、
前記バッテリは、前記リム部の内部、または前記リム部の表面に沿って設けられ、
前記バッテリは、フィルムで封止された二次電池であり、且つ帯状の形状を有し、且つ、前記リム部の円筒部に沿って、巻かれた状態に設けられ、
前記バッテリは、前記リム部の円筒部に沿って、1周よりも多く巻かれた状態に設けられ、
前記第1の電力伝送機構は、前記ディスク部に設けられ、且つ、前記バッテリと電気的に接続され、
前記第1の電力伝送機構は、インジウムもしくは亜鉛を含む酸化物半導体を用いたトランジスタを有する、ホイール。