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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138052
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】操作用デバイスを備えるロボット
(51)【国際特許分類】
   A63H 11/00 20060101AFI20240927BHJP
   B25J 13/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
A63H11/00 Z
B25J13/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024115104
(22)【出願日】2024-07-18
(62)【分割の表示】P 2020557828の分割
【原出願日】2019-11-28
(31)【優先権主張番号】P 2018224573
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】515337268
【氏名又は名称】GROOVE X株式会社
(72)【発明者】
【氏名】林 要
(57)【要約】
【課題】
ロボット本体に設けられる操作用デバイスを扱いやすくする。
【解決手段】
ロボット100は、ボリュームボタン196a,196bおよび環状スイッチ190が設置されたツノ112と、ツノ112の表面に設けられたタッチセンサ192と、タッチセンサ192によってタッチが検出されたときに、駆動機構の動作量を減ずる抑制部164と、を備える。
ロボット100が動作中であっても、タッチされることで、駆動機構の動作量が減ずるので、操作用デバイスが扱いやすくなる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ操作を受け付けるための操作用デバイスと、
前記操作用デバイスの表面及び/又は近傍に設けられ、ユーザによる接触を検出するための第1接触検出部と、
前記第1接触検出部によって前記接触が検出されたときに、駆動機構の動作量を減ずる抑制部と、
を備えるロボット。
【請求項2】
前記駆動機構は、ロボットを移動させる移動機構を含み、
前記抑制部は、前記移動機構によるロボットの移動を停止させることを特徴とする請求項1記載のロボット。
【請求項3】
前記駆動機構は、ロボットの姿勢を変化させる姿勢調整機構を含み、
前記操作用デバイスは、前記姿勢調整機構の駆動にともない可動する部位に設けられることを特徴とする請求項1または2記載のロボット。
【請求項4】
前記接触が検出されている期間の長さに応じて、前記ロボットの感情状態を更新する感情更新部、
を更に備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のロボット。
【請求項5】
前記操作用デバイスと異なる部位に設けられ、ユーザによる接触を検出するための第2接触検出部と、
前記第2接触検出部による検出結果に基づいて、ロボット動作を実現させるために前記駆動機構を制御するメイン回路と、
前記第1接触検出部による検出結果に基づいて、前記ロボット動作を抑制させるために前記駆動機構を制御するサブ回路と、
を更に備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のロボット。
【請求項6】
前記操作用デバイスは、前記ロボットを緊急停止させる指示を受け付ける緊急停止装置であって、
前記第1接触検出部によって前記接触が検出されたときに、ユーザの注意を喚起する注意喚起部、
を更に備えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のロボット。
【請求項7】
前記注意喚起部は、前記ロボットの怯えを示す挙動及び/又は出力によって前記注意を喚起することを特徴とする請求項6に記載のロボット。
【請求項8】
前記操作用デバイスは、前記ロボットを緊急停止させる指示を受け付ける緊急停止装置であって、
前記指示を受け付けてから基準時間が経過しても、前記指示を取り消す操作が行われない場合に、前記ロボットをシャットダウンさせる停止部、
を更に備えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のロボット。
【請求項9】
前記抑制部は、前記第1接触検出部によって前記接触が検出されたときに、前記ユーザ操作を待ち受ける状態に移行し、前記ユーザ操作以外の所定イベントに応じた処理を抑止することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のロボット。
【請求項10】
ロボットを緊急停止させる指示を受け付ける緊急停止装置と、
前記緊急停止装置の表面及び/又は近傍に設けられ、ユーザによる接触を検出するため
の接触検出部と、
を備えるロボット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作用デバイスを備えるロボット、に関する。
【背景技術】
【0002】
人間は、癒やしを求めてペットを飼う。その一方、ペットの世話をする時間を十分に確保できない、ペットを飼える住環境にない、アレルギーがある、死別がつらい、といったさまざまな理由により、ペットをあきらめている人は多い。もし、ペットの役割が務まるロボットがあれば、ペットを飼えない人にもペットが与えてくれるような癒やしを与えられるかもしれない(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-323219号公報
【特許文献2】国際公開第2017/169826号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ペットのような癒やしを与えるロボットは、自らの判断に基づいて行動を決める自律行動型であることが望ましい。しかし、自律行動型のロボットであっても、ユーザがロボットに対して各種の設定入力をしたい場面も考えられる。たとえばロボットが発する音声の大きさを変更するためのボタンをロボットの一部に設けたい場合も考えられる。以下、ロボット本体に設けられるボタン、スイッチ等の物理的な入力デバイスのことを「操作用デバイス」とよぶ。自律行動型ロボットは自由に動くため、操作用デバイスを操作しづらくなる場面も想定される。
【0005】
本発明は上記課題認識に基づいて完成された発明であり、その主たる目的は、自律行動型のロボット本体に設けられる操作用デバイスを扱いやすくするための技術、を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様におけるロボットは、ユーザ操作を受け付けるための操作用デバイスと、操作用デバイスの表面及び/又は近傍に設けられ、ユーザによる接触を検出するための第1接触検出部と、第1接触検出部によって接触が検出されたときに、駆動機構の動作量を減ずる抑制部と、を備える。
【0007】
本発明のある態様におけるロボットは、ロボットを緊急停止させる指示を受け付ける緊急停止装置と、緊急停止装置の表面及び/又は近傍に設けられ、ユーザによる接触を検出するための接触検出部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ロボットに設けられている操作用デバイスを扱いやすくできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
【0010】
図1】移動しているロボットの操作用デバイスをユーザが扱おうとする様子を示す図である。
図2A】ロボットの正面外観図である。
図2B】ロボットの側面外観図である。
図3】ロボットの構造を概略的に表す断面図である。
図4】基本構成におけるロボットのハードウェア構成図である。
図5】ロボットシステムの機能ブロック図である。
図6A】移動中のロボットを示す図である。
図6B】ツノにタッチされて停止したロボットを示す図である。
図6C】操作用デバイスが扱われているロボットを示す図である。
図6D】移動を再開したロボットを示す図である。
図7】ツノの分解斜視図である。
図8】本実施形態におけるロボットシステムの機能ブロック図である。
図9】マイクロフォンアレイを用いて計測された音量データのデータ構造図である。
図10A】震えるような振動で注意を喚起するロボットを示す図である。
図10B】ツノが引き抜かれて緊急停止したロボットを示す図である。
図10C】シャットダウンしたロボットを示す図である。
図11】本実施形態におけるロボットシステムの状態遷移を示す図である。
図12】サブ回路を有するロボットのハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施形態におけるロボットは、各種設定のための操作用デバイスを、ロボットを構成する部材の一部に備える。ロボットが静止していれば、ユーザは操作用デバイスを扱いやすい。しかし、ロボットが動いている最中は、操作用デバイスを扱いにくい。本実施形態におけるロボットは、所定箇所にタッチされたことを契機として一時的に自律行動による動作の全部または一部を停止することにより、操作用デバイスの操作性を向上させる。ここで「タッチ」は、ユーザの手がロボットに接触する状態を示す。タッチは、軽く「トンッ」と触れるように短い時間だけ接触して離れるまでの一連の動作であってもよい。タッチは、握ることで継続して接触している状態であってもよい。
【0012】
図1は、ロボット100の操作用デバイスをユーザが扱おうとするときの様子を示す図である。
図1は、ロボット100を左後ろ方向から見た姿を描いている。ロボット100は、車輪で走行する。また、ロボット100は、鳴き声のような音声を発することもある。ロボット100の頭部には、ツノ112が設けられている。ツノ112の背面には、ロボット100が発する音声を大きくするためのボリュームボタン196aと、音声を小さくするためのボリュームボタン196bとが設けられている。ツノ112には、モード変更のための環状スイッチ190も設けられる。ボリュームボタン196a、196bおよび環状スイッチ190は、操作用デバイスの例である。
【0013】
たとえば、ロボット100が前進しているときに、ユーザが背後から近づいてこれらの操作用デバイスを操作するのは難しい場合がある。操作しようとしても、ロボット100がユーザから離れてしまうし、ロボット100が左右に移動しながら進むと指先が定まりにくく更に難くなる。こうした操作用デバイスは、ユーザが積極的に操作するためのデバイスではないため、ロボット100が移動中でもユーザが操作しやすくするという観点で手のひらよりも小さい程度にサイズが決定されてもよい。むしろ、デザイン性を重視し、目立たないように必要最低限の大きさとなるように、操作用デバイスが設計されてもよい。さらに、ロボット100のツノ112には、各種の操作用デバイスに加えて、その全体を覆うようにタッチセンサが設けられる。ロボット100は、ツノ112へのタッチが検出されたとき、移動を含む各種動作を一時停止させる。ユーザは、比較的大きなツノ11
2を触ることさえできればロボット100を一時停止させることができる。このため、操作用デバイスが小さくても適切に操作しやすくなる。操作用デバイスが設けられた部材(ツノ112)に対するタッチを検出したことを条件としてロボット100を一時停止させるというステップを加えることで、ロボット100のデザイン性を損なうことなく、ユーザにとって操作性の高い操作用デバイスを設けることができる。
【0014】
以下、ロボット100の基本構成について図2から図5に関連して説明したあと、操作用デバイスを中心として実装方法の詳細を説明する。
【0015】
[基本構成]
図2Aは、ロボット100の正面外観図である。図2Bは、ロボット100の側面外観図である。
本実施形態におけるロボット100は、外部環境および内部状態に基づいて行動を決定する自律行動型のロボットである。外部環境は、カメラやサーモセンサなど各種のセンサにより認識される。内部状態は、ロボット100の感情を表現するさまざまなパラメータとして定量化される。ロボット100は、オーナー家庭の家屋内を行動範囲とする。以下、ロボット100に関わる人間を「ユーザ」とよぶ。
【0016】
ロボット100のボディ104は、全体的に丸みを帯びた形状を有し、かつ、外皮314を含む。外皮314は、ウレタンやゴム、樹脂、繊維などやわらかく弾力性のある素材により形成される。ロボット100に服を着せてもよい。ロボット100の総重量は5~15キログラム程度、身長は0.5~1.2メートル程度である。適度な重さと丸み、柔らかさ、手触りのよさ、といった諸属性により、ユーザがロボット100を抱きかかえやすく、かつ、抱きかかえたくなるという効果が実現される。
【0017】
ロボット100は、一対の前輪102(左輪102a,右輪102b)と、一つの後輪103を含む。前輪102が駆動輪であり、後輪103が従動輪である。前輪102は、操舵機構を有しないが、回転速度や回転方向を個別に制御可能とされている。後輪103は、キャスターであり、ロボット100を前後左右へ移動させるために回転自在となっている。後輪103はオムニホイールであってもよい。
【0018】
前輪102および後輪103は、駆動機構(回動機構、リンク機構)によりボディ104に完全収納できる。ボディ104の下半部には左右一対のカバー312が設けられている。カバー312は、可撓性および弾性を有する樹脂材(ラバー、シリコーンゴム等)からなる。カバー312は、柔らかい胴体を構成するとともに前輪102を収納できる。カバー312には側面から前面にかけて開口するスリット313(開口部)が形成される。そのスリット313を介して前輪102が進出することで、前輪102が外部に露出しうる。
【0019】
走行時においても各車輪の大半はボディ104に隠れている。各車輪がボディ104に完全収納されるとロボット100は移動不可能な状態となる。すなわち、車輪の収納動作にともなってボディ104が降下し、床面Fに着座する。この着座状態においては、ボディ104の底部に形成された平坦状の着座面108(接地底面)が床面Fに当接する。
【0020】
ロボット100は、2つの腕106を有する。腕106の先端に手があるが、モノを把持する機能はない。腕106は、後述するアクチュエータの駆動により、上げる、曲げる、手を振る、振動するなど簡単な動作が可能である。2つの腕106は、それぞれ個別に制御可能である。
【0021】
ロボット100の頭部正面には顔領域116が露出している。顔領域116には、2つ
の目110が設けられている。目110は、液晶素子または有機EL素子による画像表示が可能である。顔領域116の中央には、鼻109が設けられている。鼻109には、アナログスティックが設けられており、上下左右の全方向に加えて、押し込み方向も検出できる。また、ロボット100には複数のタッチセンサが設けられている。頭部、胴部、臀部、腕などのロボット100の各部位に設けられたタッチセンサにより、ロボット100のほぼ全域についてユーザのタッチを検出できる。ロボット100は、音源方向を特定可能なマイクロフォンアレイや超音波センサなど様々なセンサを搭載する。また、スピーカーを内蔵し、簡単な音声を発することもできる。
【0022】
ロボット100の頭部にはツノ112が取り付けられる。ツノ112には全天周カメラ113が取り付けられ、ロボット100の上部全域を一度に撮像可能である。ツノ112には、サーモセンサ115(サーモカメラ)が内蔵されている。ツノ112には、緊急停止用のスイッチが設けられており、ユーザはツノ112を引き抜くことでロボット100を緊急停止できる。
【0023】
図3は、ロボット100の構造を概略的に表す断面図である。
ボディ104は、本体フレーム310、一対の腕106、一対のカバー312および外皮314を含む。本体フレーム310は、頭部フレーム316および胴部フレーム318を含む。頭部フレーム316は、中空半球状をなし、ロボット100の頭部骨格を形成する。胴部フレーム318は、角筒形状をなし、ロボット100の胴部骨格を形成する。胴部フレーム318の下端部が、ロアプレート334に固定されている。頭部フレーム316は、接続機構330を介して胴部フレーム318に接続されている。
【0024】
胴部フレーム318は、ボディ104の軸芯を構成する。胴部フレーム318は、ロアプレート334に左右一対のサイドプレート336を固定して構成され、一対の腕106および内部機構を支持する。胴部フレーム318の内方には、バッテリー118、制御回路342および各種アクチュエータ等が収容されている。ロアプレート334の底面が着座面108を形成する。
【0025】
胴部フレーム318は、その上部にアッパープレート332を有する。アッパープレート332には、有底円筒状の支持部319が固定されている。アッパープレート332、ロアプレート334、一対のサイドプレート336および支持部319が、胴部フレーム318を構成している。支持部319の外径は、左右のサイドプレート336の間隔よりも小さい。一対の腕106は、環状部材340と一体に組み付けられることでアームユニット350を構成している。環状部材340は円環状をなし、その中心線上を径方向に離隔するように一対の腕106が取り付けられている。環状部材340は、支持部319に同軸状に挿通され、一対のサイドプレート336の上端面に載置されている。アームユニット350は、胴部フレーム318により下方から支持されている。
【0026】
頭部フレーム316は、ヨー軸321、ピッチ軸322およびロール軸323を有する。頭部フレーム316のヨー軸321周りの回動(ヨーイング)により首振り動作が実現され、ピッチ軸322周りの回動(ピッチング)により頷き動作,見上げ動作および見下ろし動作が実現され、ロール軸323周りの回動(ローリング)により首を左右に傾げる動作が実現される。各軸は、接続機構330の駆動態様に応じて三次元空間における位置や角度が変化し得る。接続機構330は、リンク機構からなり、胴部フレーム318に設置された複数のアクチュエータにより駆動される。接続機構330は、ロボット10の姿勢を変化させる「姿勢調整機構」として機能する。
【0027】
胴部フレーム318は、車輪駆動機構370を収容している。車輪駆動機構370は、前輪102および後輪103をそれぞれボディ104から出し入れする前輪駆動機構およ
び後輪駆動機構を含む。車輪駆動機構370は、ロボット100を移動させる「移動機構」として機能する。前輪102は、その中心部にダイレクトドライブモータを有する。ダイレクトドライブモータは、アクチュエータの一種である。このため、左輪102aと右輪102bを個別に駆動できる。前輪102はホイールカバー105に回転可能に支持され、そのホイールカバー105が胴部フレーム318に回動可能に支持されている。前輪駆動機構は、回動軸378およびアクチュエータ379を含む。回動軸378がホイールカバー105に連結されている。アクチュエータ379の駆動によりホイールカバー105を回動させることで、前輪102を収容空間Sから外部へ進退駆動できる。図3は、前輪102が収容空間Sに収容された状態を示している。
【0028】
一対のカバー312は、胴部フレーム318を左右から覆うように設けられ、ボディ104のアウトラインに丸みをもたせるよう、滑らかな曲面形状とされている。胴部フレーム318とカバー312との間に閉空間が形成され、その閉空間が前輪102の収容空間Sとなっている。後輪103は、胴部フレーム318の下部後方に設けられた収容空間に収容される。
【0029】
外皮314は、本体フレーム310および一対の腕106を外側から覆う。外皮314は、人が弾力を感じる程度の厚みを有し、ウレタンスポンジなどの伸縮性を有する素材で形成される。これにより、ユーザがロボット100を抱きしめると、適度な柔らかさを感じ、人がペットにするように自然なスキンシップをとることができる。外皮314は、カバー312を露出させる態様で本体フレーム310に装着されている。外皮314の上端部には、開口部390が設けられる。この開口部390がツノ112を挿通する。
【0030】
本体フレーム310と外皮314との間にはタッチセンサが配設される。カバー312にはタッチセンサが埋設されている。これらのタッチセンサは、いずれも静電容量センサであり、ロボット100のほぼ全域におけるタッチを検出する。なお、タッチセンサを外皮314に埋設してもよいし、本体フレーム310の内側に配設してもよい。
【0031】
本実施形態でいう腕106は、上肢のことである。腕106は、第1関節352および第2関節354を有し、両関節の間に腕356、第2関節354の先に手358を有する。第1関節352は肩関節に対応し、第2関節354は手首関節に対応する。各関節にはアクチュエータが設けられ、腕356および手358をそれぞれ駆動する。腕106を駆動するための駆動機構は、これらのアクチュエータおよびその駆動回路344を含む。
【0032】
図4は、ロボット100のハードウェア構成図である。
ロボット100は、内部センサ128、通信機126、記憶装置124、プロセッサ122、駆動機構120およびバッテリー118を含む。駆動機構120は、上述した接続機構330および車輪駆動機構370を含む。プロセッサ122と記憶装置124は、制御回路342に含まれる。各ユニットは電源線130および信号線132により互いに接続される。バッテリー118は、電源線130を介して各ユニットに電力を供給する。各ユニットは信号線132により制御信号を送受する。バッテリー118は、リチウムイオン二次電池であり、ロボット100の動力源である。
【0033】
内部センサ128は、ロボット100が内蔵する各種センサの集合体である。具体的には、カメラ、マイクロフォンアレイ、測距センサ(赤外線センサ)、サーモセンサ115、タッチセンサ、加速度センサ、気圧センサ、ニオイセンサなどである。タッチセンサは、ボディ104の大部分の領域に対応し、静電容量の変化に基づいてユーザのタッチを検出する。ニオイセンサは、匂いの元となる分子の吸着によって電気抵抗が変化する原理を応用した既知のセンサである。
【0034】
通信機126は、各種の外部機器を対象として無線通信を行う通信モジュールである。記憶装置124は、不揮発性メモリおよび揮発性メモリにより構成され、コンピュータプログラムや各種設定情報を記憶する。プロセッサ122は、コンピュータプログラムの実行手段である。駆動機構120は、複数のアクチュエータを含む。このほか、表示器やスピーカーなども搭載される。
【0035】
駆動機構120は、主として、車輪と頭部を制御する。駆動機構120は、ロボット100の移動方向や移動速度を変化させるほか、車輪を昇降させることもできる。車輪が上昇すると、車輪はボディ104に完全に収納され、ロボット100は着座面108にて床面Fに当接し、着座状態となる。また、駆動機構120は、腕106を制御する。
【0036】
図5は、ロボットシステム300の機能ブロック図である。
ロボットシステム300は、ロボット100、サーバ200および複数の外部センサ114を含む。ロボット100およびサーバ200の各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)および各種コプロセッサなどの演算器、メモリやストレージといった記憶装置、それらを連結する有線または無線の通信線を含むハードウェアと、記憶装置に格納され、演算器に処理命令を供給するソフトウェアによって実現される。コンピュータプログラムは、デバイスドライバ、オペレーティングシステム、それらの上位層に位置する各種アプリケーションプログラム、また、これらのプログラムに共通機能を提供するライブラリによって構成されてもよい。以下に説明する各ブロックは、ハードウェア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。
ロボット100の機能の一部はサーバ200により実現されてもよいし、サーバ200の機能の一部または全部はロボット100により実現されてもよい。
【0037】
家屋内にはあらかじめ複数の外部センサ114が設置される。サーバ200には、外部センサ114の位置座標が登録される。ロボット100の内部センサ128および複数の外部センサ114から得られる情報に基づいて、サーバ200がロボット100の基本行動を決定する。外部センサ114はロボット100の感覚器を補強するためのものであり、サーバ200はロボット100の頭脳を補強するためのものである。ロボット100の通信機126が外部センサ114と定期的に通信し、サーバ200は外部センサ114によりロボット100の位置を特定する(特許文献2も参照)。
【0038】
(サーバ200)
サーバ200は、通信部204、データ処理部202およびデータ格納部206を含む。
通信部204は、外部センサ114およびロボット100との通信処理を担当する。データ格納部206は各種データを格納する。データ処理部202は、通信部204により取得されたデータおよびデータ格納部206に格納されるデータに基づいて各種処理を実行する。データ処理部202は、通信部204およびデータ格納部206のインタフェースとしても機能する。
【0039】
データ格納部206は、モーション格納部232と個人データ格納部218を含む。
ロボット100は、複数の動作パターン(モーション)を有する。腕106を震わせる、蛇行しながらオーナーに近づく、首をかしげたままオーナーを見つめる、などさまざまなモーションが定義される。
【0040】
モーション格納部232は、モーションの制御内容を定義する「モーションファイル」を格納する。各モーションは、モーションIDにより識別される。モーションファイルは、ロボット100のモーション格納部160にもダウンロードされる。どのモーションを実行するかは、サーバ200で決定されることもあるし、ロボット100で決定されるこ
ともある。
【0041】
ロボット100のモーションの多くは、複数の単位モーションを含む複合モーションとして構成される。たとえば、ロボット100がオーナーに近づくとき、オーナーの方に向き直る単位モーション、手を上げながら近づく単位モーション、体を揺すりながら近づく単位モーション、両手を上げながら着座する単位モーションの組み合わせとして表現されてもよい。このような4つのモーションの組み合わせにより、「オーナーに近づいて、途中で手を上げて、最後は体をゆすった上で着座する」というモーションが実現される。モーションファイルには、ロボット100に設けられたアクチュエータの回転角度や角速度などが時間軸に関連づけて定義される。モーションファイル(アクチュエータ制御情報)にしたがって、時間経過とともに各アクチュエータを制御することで様々なモーションが表現される。
【0042】
先の単位モーションから次の単位モーションに変化するときの移行時間を「インターバル」とよぶ。インターバルは、単位モーション変更に要する時間やモーションの内容に応じて定義されればよい。インターバルの長さは調整可能である。
以下、いつ、どのモーションを選ぶか、モーションを実現する上での各アクチュエータの出力調整など、ロボット100の行動制御に関わる設定のことを「行動特性」と総称する。ロボット100の行動特性は、モーション選択アルゴリズム、モーションの選択確率、モーションファイル等により定義される。
【0043】
モーション格納部232は、モーションファイルのほか、各種のイベントが発生したときに実行すべきモーションを定義するモーション選択テーブルを格納する。モーション選択テーブルにおいては、イベントに対して1以上のモーションとその選択確率が対応づけられる。
【0044】
個人データ格納部218は、ユーザの情報を格納する。具体的には、ユーザに対する親密度とユーザの身体的特徴・行動的特徴を示すマスタ情報を格納する。年齢や性別などの他の属性情報を格納してもよい。
【0045】
ロボット100は、ユーザごとに親密度という内部パラメータを有する。ロボット100が、自分を抱き上げる、声をかけてくれるなど、自分に対して好意を示す行動を認識したとき、そのユーザに対する親密度が高くなる。ロボット100に関わらないユーザや、乱暴を働くユーザ、出会う頻度が低いユーザに対する親密度は低くなる。
【0046】
データ処理部202は、位置管理部208、認識部212、動作制御部222、親密度管理部220および状態管理部244を含む。
位置管理部208は、ロボット100の位置座標を特定する。状態管理部244は、充電率や内部温度、プロセッサ122の処理負荷などの各種物理状態など各種内部パラメータを管理する。また、状態管理部244は、ロボット100の感情(寂しさ、好奇心、承認欲求など)を示すさまざまな感情パラメータを管理する。これらの感情パラメータは常に揺らいでいる。感情パラメータに応じてロボット100の移動目標地点が変化する。たとえば、寂しさが高まっているときには、ロボット100はユーザのいるところを移動目標地点として設定する。
【0047】
時間経過によって感情パラメータが変化する。また、後述の応対行為によっても各種感情パラメータは変化する。たとえば、オーナーから「抱っこ」をされると寂しさを示す感情パラメータは低下し、長時間にわたってオーナーを視認しないときには寂しさを示す感情パラメータは少しずつ増加する。
【0048】
認識部212は、外部環境を認識する。外部環境の認識には、温度や湿度に基づく天候や季節の認識、光量や温度に基づく物陰(安全地帯)の認識など多様な認識が含まれる。ロボット100の認識部156は、内部センサ128により各種の環境情報を取得し、これを一次処理した上でサーバ200の認識部212に転送する。
【0049】
具体的には、ロボット100の認識部156は、画像から移動物体、特に、人物や動物に対応する画像領域を抽出し、抽出した画像領域から移動物体の身体的特徴や行動的特徴を示す特徴量の集合として「特徴ベクトル」を抽出する。特徴ベクトル成分(特徴量)は、各種身体的・行動的特徴を定量化した数値である。たとえば、人間の目の横幅は0~1の範囲で数値化され、1つの特徴ベクトル成分を形成する。人物の撮像画像から特徴ベクトルを抽出する手法については、既知の顔認識技術の応用である。ロボット100は、特徴ベクトルをサーバ200に送信する。
【0050】
サーバ200の認識部212は、ロボット100の内蔵カメラによる撮像画像から抽出された特徴ベクトルと、個人データ格納部218にあらかじめ登録されているユーザ(クラスタ)の特徴ベクトルと比較することにより、撮像されたユーザがどの人物に該当するかを判定する(ユーザ識別処理)。また、認識部212は、ユーザの表情を画像認識することにより、ユーザの感情を推定する。認識部212は、人物以外の移動物体、たとえば、ペットである猫や犬についてもユーザ識別処理を行う。
【0051】
認識部212は、ロボット100になされたさまざまな応対行為を認識し、快・不快行為に分類する。認識部212は、また、ロボット100の行動に対するオーナーの応対行為を認識することにより、肯定・否定反応に分類する。
快・不快行為は、ユーザの応対行為が、生物として心地よいものであるか不快なものであるかにより判別される。たとえば、抱っこされることはロボット100にとって快行為であり、蹴られることはロボット100にとって不快行為である。肯定・否定反応は、ユーザの応対行為が、ユーザの快感情を示すものか不快感情を示すものであるかにより判別される。抱っこされることはユーザの快感情を示す肯定反応であり、蹴られることはユーザの不快感情を示す否定反応である。
【0052】
サーバ200の動作制御部222は、ロボット100の動作制御部150と協働して、ロボット100のモーションを決定する。サーバ200の動作制御部222は、ロボット100の移動目標地点とそのための移動ルートを作成する。動作制御部222は、複数の移動ルートを作成し、その上で、いずれかの移動ルートを選択してもよい。
【0053】
動作制御部222は、モーション格納部232の複数のモーションからロボット100のモーションを選択する。各モーションには状況ごとに選択確率が対応づけられている。たとえば、オーナーから快行為がなされたときには、モーションAを20%の確率で実行する、気温が30度以上となったとき、モーションBを5%の確率で実行する、といった選択方法が定義される。
【0054】
親密度管理部220は、ユーザごとの親密度を管理する。上述したように、親密度は個人データ格納部218において個人データの一部として登録される。快行為を検出したとき、親密度管理部220はそのオーナーに対する親密度をアップさせる。不快行為を検出したときには親密度はダウンする。また、長期間視認していないオーナーの親密度は徐々に低下する。
【0055】
(ロボット100)
ロボット100は、通信部142、データ処理部136、データ格納部148、内部センサ128および駆動機構120を含む。
通信部142は、通信機126(図4参照)に該当し、外部センサ114、サーバ200および他のロボット100との通信処理を担当する。データ格納部148は各種データを格納する。データ格納部148は、記憶装置124(図4参照)に該当する。データ処理部136は、通信部142により取得されたデータおよびデータ格納部148に格納されているデータに基づいて各種処理を実行する。データ処理部136は、プロセッサ122およびプロセッサ122により実行されるコンピュータプログラムに該当する。データ処理部136は、通信部142、内部センサ128、駆動機構120およびデータ格納部148のインタフェースとしても機能する。
【0056】
データ格納部148は、ロボット100の各種モーションを定義するモーション格納部160を含む。
ロボット100のモーション格納部160には、サーバ200のモーション格納部232から各種モーションファイルがダウンロードされる。モーションは、モーションIDによって識別される。前輪102を収容して着座する、腕106を持ち上げる、2つの前輪102を逆回転させることで、あるいは、片方の前輪102だけを回転させることでロボット100を回転行動させる、前輪102を収納した状態で前輪102を回転させることで震える、ユーザから離れるときにいったん停止して振り返る、などのさまざまなモーションを表現するために、各種アクチュエータ(駆動機構120)の動作タイミング、動作時間、動作方向などがモーションファイルにおいて時系列定義される。
データ格納部148には、個人データ格納部218からも各種データがダウンロードされてもよい。
【0057】
データ処理部136は、認識部156および動作制御部150を含む。
ロボット100の動作制御部150は、サーバ200の動作制御部222と協働してロボット100のモーションを決める。一部のモーションについてはサーバ200で決定し、他のモーションについてはロボット100で決定してもよい。また、ロボット100がモーションを決定するが、ロボット100の処理負荷が高いときにはサーバ200がモーションを決定するとしてもよい。サーバ200においてベースとなるモーションを決定し、ロボット100において追加のモーションを決定してもよい。モーションの決定処理をサーバ200およびロボット100においてどのように分担するかはロボットシステム300の仕様に応じて設計すればよい。
【0058】
ロボット100の動作制御部150は選択したモーションを駆動機構120に実行指示する。駆動機構120は、モーションファイルにしたがって、各アクチュエータを制御する。
【0059】
動作制御部150は、親密度の高いユーザが近くにいるときには「抱っこ」をせがむ仕草として両方の腕106をもちあげるモーションを実行することもできる。動作制御部150は、「抱っこ」に飽きたときには左右の前輪102を収容したまま逆回転と停止を交互に繰り返すことで抱っこをいやがるモーションを表現することもできる。駆動機構120は、動作制御部150の指示にしたがって前輪102や腕106、首(頭部フレーム316)を駆動することで、ロボット100にさまざまなモーションを表現させる。
【0060】
ロボット100の認識部156は、内部センサ128から得られた外部情報を解釈する。認識部156は、視覚的な認識(視覚部)、匂いの認識(嗅覚部)、音の認識(聴覚部)、触覚的な認識(触覚部)が可能である。
【0061】
認識部156は、移動物体の撮像画像から特徴ベクトルを抽出する。上述したように、特徴ベクトルは、移動物体の身体的特徴と行動的特徴を示すパラメータ(特徴量)の集合である。移動物体を検出したときには、ニオイセンサや内蔵の集音マイク、温度センサ等
からも身体的特徴や行動的特徴が抽出される。これらの特徴も定量化され、特徴ベクトル成分となる。認識部156は、特許文献2等に記載の既知の技術に基づいて、特徴ベクトルからユーザを特定する。
【0062】
検出・分析・判定を含む一連の認識処理のうち、ロボット100の認識部156は認識に必要な情報の取捨選択や抽出を行い、判定等の解釈処理はサーバ200の認識部212により実行される。認識処理は、サーバ200の認識部212だけで行ってもよいし、ロボット100の認識部156だけで行ってもよいし、上述のように双方が役割分担をしながら上記認識処理を実行してもよい。
【0063】
ロボット100に対する強い衝撃が与えられたとき、認識部156はタッチセンサおよび加速度センサによりこれを認識し、サーバ200の認識部212は、近隣にいるユーザによって「乱暴行為」が働かれたと認識する。ロボット100に正対した状態にあるユーザが特定音量領域および特定周波数帯域にて発声したとき、サーバ200の認識部212は、自らに対する「声掛け行為」がなされたと認識してもよい。また、タッチセンサによりタッチを検知したときにはユーザによる「接触行為」がなされたと認識し、接触認識した状態で上方への加速度を検知したときには「抱っこ」がなされたと認識する。ユーザがボディ104を持ち上げるときの物理的接触をセンシングしてもよいし、前輪102にかかる荷重が低下することにより抱っこを認識してもよい。
まとめると、ロボット100は内部センサ128によりユーザの行為を物理的情報として取得し、サーバ200の認識部212は快・不快を判定する。また、サーバ200の認識部212は特徴ベクトルに基づくユーザ識別処理を実行する。
【0064】
サーバ200の認識部212は、ロボット100に対するユーザの各種応対を認識する。各種応対行為のうち一部の典型的な応対行為には、快または不快、肯定または否定が対応づけられる。一般的には快行為となる応対行為のほとんどは肯定反応であり、不快行為となる応対行為のほとんどは否定反応となる。快・不快行為は親密度に関連し、肯定・否定反応はロボット100の行動選択に影響する。
【0065】
認識部156により認識された応対行為に応じて、サーバ200の親密度管理部220はユーザに対する親密度を変化させる。原則的には、快行為を行ったユーザに対する親密度は高まり、不快行為を行ったユーザに対する親密度は低下する。
【0066】
以下、ロボット100の操作用デバイスの操作方法を中心として説明する。
図6Aから図6Dは、移動中のロボット100を一時停止させる方法を説明するための模式図である。
ロボット100が移動しているとき(図6A)、ユーザはツノ112に設置されている操作用デバイス(図1のボリュームボタン196a、196bおよび環状スイッチ190)を扱いにくい。ただし、ロボット100が動いていても、ツノ112へタッチすることは比較的容易である。
【0067】
ユーザがツノ112に触れると(図6B)、ロボット100は一時的に移動を停止する。具体的には、ロボット100は、ツノ112に搭載されるタッチセンサがユーザによるタッチを検出したとき、ダイレクトドライブモータを停止させる。
【0068】
このとき、ロボット100は、ツノ112が揺れないように接続機構330のアクチュエータを停止させることにより頭部の動きも止める。ロボット100の本体および頭部が動かなければ、ツノ112の位置が固定されるため、ユーザはツノ112にある各種の操作用デバイスを容易に操作できる。なお、腕106の動きはツノ112の動きとは無関係なので停止させる必要はない。腕106を動かすことによって、ツノ112へのタッチに
対するロボット100の反応を表現してもよい。たとえば両方の腕106を上げれば、ロボット100がツノ112に触られたことに驚く様子を表現できる。
【0069】
ツノ112から手が離れたあとも、ロボット100は静止し続ける。手を離したあともしばらくツノ112を動かさないようにすれば、ユーザは操作用デバイスをいっそう扱いやすくなる(図6C)。
【0070】
ツノ112から手を離してから一定時間(以下、「第1基準時間」とよぶ。)が経過すると、ロボット100は中断していた自律行動(移動や頭部の動作)を自動的に再開する(図6D)。
以下、ツノへのタッチを契機とするロボットの停止を「一時停止」とよぶ。上述したように、ロボットの一時停止状態は、ツノから手を離してしばらくすれば自動的に解除される。ツノを触り続けている限り、ロボットが動き出すことはない。「一時停止」とは、移動機構によるロボット100の移動を停止させることである。さらに、「一時停止」において、操作用デバイスが設けられている部位を可動させる姿勢調整機構の駆動を停止してもよい。本実施形態では、ロボット100本体の移動を停止するとともに、ロボット100の頭部の動作を停止する。具体的には、本体の移動と頭部の動きに関わるアクチュエータのみが停止され、他のアクチュエータは動作可能であるものとする。
【0071】
続いて、ツノの内部構成について説明する。図7は、ツノ112の分解斜視図である。
ツノ112は、各種センサおよび操作用デバイスを内蔵する内部ユニット195をケース194が覆う構成になっている。ケース194を内部ユニット195の上方から被せると、内部ユニット195の下部に設けられたツメ(図示せず)が、ケース194内側の下部に設けられた切欠き(図示せず)に嵌り、ケース194が内部ユニット195に固定される。
【0072】
内部ユニット195には、図1に示した環状スイッチ190と、ボリュームボタン196a,196bと、全天周カメラ113と、タッチセンサ192とが設置されている。本実施形態においては、ロボット100のボディへのタッチを検出するタッチセンサとは別に、ツノ112へのタッチを検出するタッチセンサ192が別途設けられる。
【0073】
環状スイッチ190は、通常モード、撮影禁止モード、着替えモードおよび移動抑止モードの4種類のモードの切り替えに用いられる。通常モードは、ロボットの基本機能がすべて有効となるモードである。撮影禁止モードでは、全天周カメラ113による撮影が無効化される。あるいは、撮影禁止モードでは、撮影画像の不揮発性メモリへの記録が禁止されてもよいし、撮影画像の外部装置への送信が禁止されるとしてもよい。撮影禁止モードは、ユーザがプライバシーを特に守りたいときに設定するモードである。ユーザは、ロボット100に服を着せることができる。着替えモードは、ロボット100の着せ替えを容易にするためのモードである。移動抑止モードは、ロボット100の移動を抑止するモードである。なお、内部ユニット195には、操作用デバイスおよびタッチセンサのほか、集音のためのマイクロフォンアレイ、温度分布を映像化するためのサーモセンサ115、超音波センサなど各種の内部センサも搭載される。内部ユニット195は、通信機126(図4)やバッテリーなどの他の電子機器を搭載してもよい。
【0074】
図8は、本実施形態におけるロボットシステム300の機能ブロック図である。
データ処理部136は、図5に示した機能ブロックに加えて、抑制部164、注意喚起部166、緊急停止部168、ステータス管理部170、モード管理部172および記録処理部174を有する。
【0075】
抑制部164は、ツノ112へのタッチが検出されたとき、ロボット100における可
動箇所の動作を一時停止させる。ユーザは、この間に、ツノ112に設けられた操作用デバイスを操作する。また、ツノ112は着脱可能に設けられており、引き抜かれることでロボット100の動作を緊急停止させるデバイスとしても機能する。緊急停止部168は、ツノ112が引き抜かれたときに、ロボット100の動作を停止させる。以下、ツノ112の引き抜きによるロボット100の停止を「緊急停止」とよぶ。ユーザは緊急停止の操作をするときであっても、ツノ112に触れることでロボット100の動作が停止するのでツノ112を引き抜きやすい。別の形態では、ボリュームボタン196や環状スイッチ190などの操作用デバイスと、緊急停止用のデバイスは異なる位置に設けられてもよい。
【0076】
注意喚起部166は、ツノへのタッチが検出されたことを契機として、ユーザの注意を喚起するための所定のモーション(以下、「注意喚起動作」とよぶ。)の実行を指示する。注意喚起動作は、たとえば、ツノ112を握っているユーザの手で、小刻みに震えるロボット100を感じるようなモーションである。このような注意喚起動作をすることで、ユーザが誤って、ツノ112を引き抜くことを防止できる。ステータス管理部170は、抑制部164、注意喚起部166および緊急停止部168の処理に伴う状態遷移を管理する。状態遷移の詳細は、図11に関連して後述する。モード管理部172は、環状スイッチ190へのユーザ操作によって切り替えられたモードを記憶する。各機能ブロックは、モード管理部172で記憶しているモードを参照して、機能を制限することがある。たとえば、撮影禁止モードのときは、撮影機能が無効化される。
【0077】
ツノ112に搭載される各種の内部センサの計測品質は、ユーザがツノ112に触っているときには低下すると考えられる。たとえば、ユーザがツノ112に触っているときには、マイクロフォンアレイによる集音が阻害される可能性がある。本実施形態においては、記録処理部174は、内部センサによる各種計測データだけでなく、ユーザがツノ112に触っている期間(以下、「タッチ継続期間」とよぶ。)も記録する。
【0078】
図9は、マイクロフォンアレイを用いて計測された音量データのデータ構造図である。
記録処理部174は、マイクロフォンアレイから取得した音声データに基づいて定期的に音量を計測する。記録処理部174は、計測した日時、音量のデータおよびツノ112へのタッチの有無を記録する。「タッチなし」から「タッチあり」へ切り替わるタイミングを「タッチ開始」と示す。「タッチあり」から「タッチなし」へ切り替わるタイミングを「タッチ終了」と示す。図9においては、時刻T101からT201までが「タッチ継続時間」に対応する。
【0079】
マイクロフォンアレイは、円周上に等間隔で配置された複数のマイクロフォンを含む。認識部156は、各マイクロフォンから取得した音声の音量に基づいて音源の方向を分析する。認識部156は、マイクロフォンアレイにおける音声の入力性能が低下すると思われるタッチ継続時間(時刻T101からT201)の音量データを分析対象から除外する。
【0080】
ここまで述べたように、ロボット100は、ユーザがツノ112に触るとすぐに一時停止する。ユーザがツノ112から手を離して第1基準時間、たとえば、3秒程度が経過すると、ロボット100は中断していた自律行動を再開させる。一時停止は、操作用デバイスを静止させる制御であればよい。
【0081】
一方、緊急停止は、強制的且つ確実にロボット100を止めるための制御である。緊急停止は、緊急事態が発生したときだけでなく、メンテナンスやクリーニングに際してロボット100全体を止めるための停止である。一時停止の対象とならない各種アクチュエータ、全天周カメラ113やマイクロフォンアレイのような内部センサ128、更に表示器
やスピーカーのような出力デバイスなども、緊急停止時には電力供給を停止される。緊急停止に際しては、各アクチュエータへの電力供給が停止されるが、プロセッサは停止しない。
【0082】
ここで、ツノ112の連結機構について説明しておく。ロボット100の頭部には、ツノ112を装着するための開口部400がある。そして、ツノ112の根元部分を、この開口部400に嵌めることによって、ツノ112を固定させる構造になっている。ツノ112を引き抜けば、ツノ112の根元部分が頭部の開口部400から外れるが、分離はしない。ツノ112の連結機構は、頭部からのツノ112の引き抜きおよび頭部へのツノ112の差し込みを検出するためのセンサ(「引き抜きセンサ」とよぶ。)を備える。ツノ112の引き抜きおよび差し込みはユーザ操作の一種であり、その意味でツノ112は操作用デバイスに該当する。具体的には、ツノ112は、ロボット100を緊急停止させる指示を受け付ける緊急停止装置として機能する。そのため、緊急停止部168は、引き抜きセンサからツノ112の引き抜きおよび差し込みのタイミングを取得する。
【0083】
図10Aから図10Cは、ツノ112の引き抜きによってロボット100を緊急停止させる方法を説明するための模式図である。
注意喚起部166は、ユーザがツノ112にタッチしたまま一定時間(以下、「第2基準時間」とよぶ。)が経過したとき、注意喚起動作を実行する。ツノ112の複数の領域にタッチセンサ192を設けることで、単にタッチを検出するだけでなく、ツノ112を握っているか否かも判断できる。たとえば、2以上のタッチセンサ192が同時にタッチを検出したとき、注意喚起部166はツノ112をユーザに握られている、と判定してもよい。注意喚起部166は、ユーザがツノ112を握ったまま第2基準時間が経過したときに注意喚起動作を実行してもよい。本実施形態においては、注意喚起動作として、ロボット100をバイブレータにより振動させる(図10A)。バイブレータを使わず、各種のアクチュエータを小刻みに振動させてもよい。ユーザは、ロボット100の振動をロボット100の「怯え」と解釈し、ツノ112の引き抜きを躊躇すると考えられる。第2基準時間が経過すれば、注意喚起部166はツノ112が引き抜かれる可能性が高まったものとみなして注意喚起動作を行なう。このようにすれば、ユーザがツノ112に触れる都度振動することがなく、ユーザに煩わしいと感じさせずに済む。
【0084】
ユーザがツノ112から手を放すと、注意喚起部166は注意喚起動作を停止させる。手を離してから第1基準時間が経過したとき、ロボット100は再び動作し始める。緊急停止は、ロボット100の機能を全体的に停止させるため、不要不急のときに実行されることは好ましくない。注意喚起動作を実行することにより、ユーザがツノ112を必要以上に触り続けることを防止し、ツノ112が偶発的に抜かれてしまうのを防ぎやすくなる。特に、注意喚起動作は、子どもが誤ってツノ112を引き抜いてしまうのを防止する上で有効である。注意喚起動作は、ユーザがツノ112から思わず手を離してしまうような意外性のあるモーションであることが望ましい。
【0085】
ユーザが実際にツノ112を引き抜くと、ロボット100はすぐに緊急停止する(図10B)。
【0086】
ツノ112が引き抜かれてから一定時間(以下、「第3基準時間」とよぶ。)が経つと、ロボット100のプロセッサ122はシャットダウン処理を実行する(図10C)。シャットダウンするとOS(オペレーティングシステム)が動作するプロセッサも停止する。第3基準時間は、たとえば3分程度である。第3基準時間の経過を待つ理由は、緊急停止を解除する機会を設けるためである。ユーザは、誤ってツノ112を引き抜いてしまっても、第3基準時間が経過する前にツノ112を差し込めば、ロボット100はシャットダウンされることなく動作を再開できる。第3基準期間は、シャットダウンまでの猶予期
間として設定される。
【0087】
ユーザが緊急停止を解除したい、いいかえれば、シャットダウンさせたくないと思った場合には、一旦引き抜いたツノ112を再び差し込めばよい。ツノ112が差し込まれると、ロボット100の緊急停止は解除される。そして、ユーザの手がツノ112から離れると、第1基準時間の経過後にロボット100は中断していた自律行動を再開する。
【0088】
このように、ツノ112を引き抜くことにより、ロボット100を緊急停止させることができる。ツノ112を引き抜いたままにすると、ロボット100はシャットダウンする。ツノ112を差し込めば、ロボット100の緊急停止を解除できる。まとめると、ユーザがツノ112を触ると、ロボット100は一時停止する。ユーザがツノ112から手を離すと、第1基準時間の経過後にロボットの一時停止は自動的に解除される。また、ユーザがツノ112に第2基準時間以上触れ続けると、いいかえれば、タッチ継続時間が第2基準時間以上になったとき、ロボット100は、ユーザがツノ112を引き抜くのをためらわせることを目的として注意喚起動作を実行する。ユーザがツノ112を引き抜くと、ロボット100は緊急停止する。ツノ112を引き抜いてから第3基準時間が経過すると、ロボット100はシャットダウンする。ユーザが、シャットダウンしているロボット100のツノ112を本体に差し込めば、ロボット100は起動する。
【0089】
以下、ロボットシステム300の状態遷移と処理の詳細を説明する。図11は、本実施形態におけるロボットシステム300の状態遷移図である。
ロボット100の状態は、通常状態、操作用デバイスからの入力待ちの状態(以下、「待機状態」とよぶ。)、緊急停止状態およびシャットダウン状態の4種類の状態を遷移する。通常状態においては、ロボット100は自律的に行動し、操作用デバイスへの入力は無効化される。これにより自律行動中において、移動時の振動などにより操作用デバイスが誤動作することを防ぐことができる。
【0090】
通常状態でツノ112へのタッチが検出されると、抑制部164はタッチフラグをONにする。タッチフラグは、タッチ継続期間中であることを示す。抑制部164は、ツノ112のタッチを検出したとき、ロボット100を一時停止させ、ステータス管理部170は通常状態から待機状態へ移す(S10)。待機状態になると、ロボット100は一時停止するとともに、モード管理部172は、操作用デバイスへの入力を有効化する。
【0091】
タッチ継続時間が第2基準時間を超過すると、注意喚起部166は注意喚起動作を開始させる。
【0092】
ツノ112へのタッチが検出されなくなると、抑制部164は、タッチフラグをOFFにする。注意喚起部166は、ユーザがツノ112から手を離したときには注意喚起動作を終了させる。そして、タッチフラグがOFFになってから第1基準時間が経過すると、抑制部164は一時停止を解除し、ステータス管理部170は待機状態から通常状態へ移す(S12)。
【0093】
待機状態から通常状態に遷移するとき、抑制部164は、通信部142を介してタッチ継続期間の長さをサーバ200へ送る。サーバ200の状態管理部244は、タッチ継続期間の長さに応じて感情パラメータを更新する。
【0094】
基本構成において説明したとおり、ロボット100は複数のモーションを有する。イベントが発生すると、ロボット100の動作制御部150は、サーバ200の動作制御部222と協働してロボット100のモーションを決める。具体的には、発生したイベントに対応付けられている複数のモーションの中から、各モーションの選択確率にしたがって1
つのモーションが選択される。興奮度を示す感情パラメータが所定の第1閾値以上のときには、激しいモーションM1の選択確率が穏やかなモーションM2の選択確率よりも大きく設定されたモーション選択テーブルに基づいてモーションが選択される。興奮度を示す感情パラメータが第1閾値未満のときには、穏やかなモーションM2の選択確率が激しいモーションM1の選択確率よりも大きく設定されたモーション選択テーブルに基づいてモーションが選択される。したがって、興奮しているロボット100は活発に動きやすく、落ち着いているときのロボット100は穏やかに動く。モーションの「激しさ」は、モーションを実行するときに駆動対象となるアクチュエータの多さ、アクチュエータの駆動速度、駆動範囲の大きさ、単位モーションの多さ、モーションの実行時間の長さに基づいて定められてもよい。
【0095】
状態管理部244は、タッチ継続期間が長いほど、興奮度を示す感情パラメータを低下させる。したがって、ロボット100のツノ112を触り続けることにより、ロボット100を徐々に落ち着かせることができる。ユーザはこのような作用を体感することによって、ロボット100の激昂、不安や心配などの負の心理作用を和らげるために、人とロボット100との触れ合いによるコミュニケーションが大切であることを認識する。また、ロボット100に対する親近感も高まる。
【0096】
待機状態でツノ112が引き抜かれると、ステータス管理部170は待機状態から緊急停止状態へ移す(S14)。また、通常状態においてツノ112が抜けたときにも、ステータス管理部170は通常状態から待機状態に移行させる(S15)。たとえば、ロボット100が走行中に転倒した場合、その衝撃でツノ112が抜けることも想定される。その場合、通常状態から緊急停止状態へ移行する。このとき、動作制御部150は、ツノ112が抜けてしまったことをユーザに伝えるための報知をおこない、ツノ112が抜けていることをユーザにアピールしてもよい。
【0097】
緊急停止状態でツノ112の差し込みを検出すると、緊急停止部168は緊急停止を解除し、ステータス管理部170は緊急停止状態から待機状態へ戻す(S16)。一方、緊急停止状態になってからツノ112の差し込みを検出しないまま第3基準時間が経過すると、緊急停止部168は、ロボット100をシャットダウンさせる(S18)。
【0098】
[応用例]
人工知能によって自ら行動を判断するロボットだけではなく、プログラムにしたがって定形行動を実行するロボット、たとえば、工場で単純作業を繰り返すロボットであっても、一時停止のためのタッチ領域を設定してもよい。定形作業をするロボットであっても、タッチによって一時停止させることは、より細かな操作のために設けられる操作用デバイスを扱いやすくする上で有用であると考えられる。
【0099】
図1に関連して、タッチセンサ192やロボット100のボディへのタッチを検出するタッチセンサとは別に、本体におけるツノ112の連結箇所の付近に、タッチセンサ192と同じ用途のタッチセンサを設けてもよい。つまり、ツノ112が嵌っている開口部400の周囲にタッチセンサを設けてもよい。開口部400から5cm程度の範囲をタッチセンサでカバーすれば、ロボット100が移動していても比較的容易にタッチしやすい。
【0100】
タッチセンサ192は、マトリクス・スイッチ、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式および静電容量方式のうちいずれであってもよい。タッチセンサ192は、ユーザによる接触を検出するための接触検出部の例である。たとえば、静電容量方式であれば、タッチとして検出するための閾値を調整することにより、物理的に接触していなくても、十分近づいた時点でタッチとして検出することもできる。ユーザによる接触を検出するための接触検出部としてタッチセンサ以外のデバイスを用いてもよい。接触検
出部は、押下を検出するタッチスイッチのような機械式デバイスでもよい。
【0101】
図6Bに関連して、一時停止において、ダイレクトドライブモータの回転速度を徐々に落してもよい。このようにすれば、より自然な動きになる。また、完全に停止させずに、速度を落とすだけでもよい。
【0102】
図6Bに関連して、一時停止において、ロボット100の腕106の動きも止めてもよい。このようにすれば、ロボット100が緊張で腕106を硬直させたように見えるので、怯えを表現することになる。それまでの手振りを止めることによって、通常状態から待機状態に移ったことをユーザに悟らせやすいという面もある。
【0103】
図6Dに関連して、本実施形態では、タッチ終了から一定時間(第1基準時間)が経過した時点で、待機状態から通常状態へ戻る。ただし、タッチ開始から一定時間が経過した時点で、待機状態から通常状態へ戻ってもよい。操作用デバイスを扱う時間が長くなることはないと想定すれば、タッチ開始から一定時間だけ操作しやすくすれば足りる。また、最後に操作デバイスが操作された時点から一定時間が経過したときに、待機状態から通常状態へ戻ってもよい。このようにすれば、操作用デバイスへの操作を繰り返している間は待機状態が続くようになるので、操作用デバイスを扱う時間が長くなっても最後まで落ち着いて操作できる。
【0104】
図7に関連して、ツノ112を覆う保護カバーを装着してもよい。保護カバーの内側に設けられたツメをケース194の切り欠けに嵌め込めるようにすれば、保護カバーが外れにくくなる。いろいろなデザインの保護カバーを取り揃え、ユーザが好みに応じて保護カバーを選べるようにすれば、装飾的な機能によって個性を持たせ、他のロボット100との違いを楽しめる。保護カバーは、ツノ112に設けられている内部センサ128や操作用デバイスの邪魔にならないようなデザインであることが望ましい。保護カバーは、布製でもいい。ツノ112は精密機器の集合体なので、保護カバーでそれらを衝撃から守ると故障を防げる。保護カバーに防水機能を持たせれば、精密機器への浸水を防げる。また、保護カバーには、タッチセンサ192によるタッチ検出を阻害しない素材が用いられる。たとえば、保護カバーを導電性素材により形成してもよい。
【0105】
図9に関連して、記録処理部174は、音量データに代えて、サーモセンサ115で計測される温度データのような他の内部センサ128による計測値を記録してもよい。
【0106】
図9に関連して、タッチ継続期間中に内部センサ128の感度を切り替えるセンサ制御部をデータ処理部136の機能ブロックとして設けるようにしてもよい。たとえば、センサ制御部は、タッチ継続期間におけるマイクロフォンアレイの感度を高めてもよい。このようにすれば、マイクロフォンアレイが手で遮られているときでも、音声検出能力を高めることでタッチされていないときと同程度の検出能力を維持できる。あるいは、タッチ継続期間におけるマイクロフォンアレイの感度を下げてもよい。マイクロフォンアレイが手で遮られているときには、正常に音声認識しづらくなる可能性がある。このため、低音量のユーザ発話を検出してしまうと、ロボット100が適切な反応をしづらくなるかもしれない。タッチ継続期間においてマイクロフォンアレイの音声検出能力を下げることにより、音声認識しづらい音声を拾わなくなり、結果的に誤認識を抑制できる。
【0107】
タッチ継続期間中に、マイクロフォンアレイや他の内部センサ128の計測を停止してもよい。そうすれば、不確かな計測結果を残さないようになり、その間の消費電力を減らせる。
【0108】
図10Aに関連して、注意喚起部166は、注意喚起動作において、目110のモニタ
に怯える様子を表現する眼画像を表示してもよい。たとえば、強くまぶたを閉じた状態を表す眼画像、薄目の眼画像、白目だけの眼画像、涙を浮かべた目の眼画像あるいは瞬きを繰り返す眼画像を表示してもよい。あるいは、エクスクラメーションマークのような所定図形を目110に表示してもよい。
【0109】
また、ロボット100は、音声で怯える様子を表現してもよい。注意喚起部166は、たとえば悲鳴、うなり声や泣き声を出力してもよい。さらに、ロボット100は、振る舞いで怯える様子を表現してもよい。たとえばロボット100の腕106を激しく上下させるモーションを行なってもよい。
【0110】
注意喚起動作として、いずれも不快でない程度の触覚的刺激、電気的刺激、聴覚的刺激あるいは視覚的刺激を用いてもよい。注意喚起動作は、怯えのような感情を想起させない動作、たとえば単なる警告音の出力やランプの点滅であってもよい。
【0111】
第2基準時間は、固定値である必要はなく、可変値であってもよい。第2基準時間をゼロとし、ツノ112へのタッチを検出するとすぐに注意喚起動作を行なってもよい。
【0112】
図10Aに関連して、ツノ112へのタッチを検出したときに、ロボット100は注意喚起動作を行なうだけでなく、周囲を撮影した映像を記録してもよいし、周囲の音声を録音してもよい。このようにすれば、どのような状況で誰がロボット100をシャットダウンさせたか(させようとしたか)を知る手掛かりを残せる。
【0113】
図10Aに関連して、注意喚起動作を一定時間行なった時点で、注意喚起動作を終えてもよい。一定時間だけでも注意喚起動作を行なえば、ユーザを躊躇させる効果が期待できるからである。注意喚起動作が長く続いて煩わしいと思うことも無い。また、注意喚起動作を行なわなくてもよい。
【0114】
図10Bに関連して、ツノ112が引き抜かれたまま第3基準時間が経過しても、自動的にシャットダウンしなくてもよい。このようにすれば、ユーザの意思に従って、緊急停止を長く続けられる。
【0115】
図10Cに関連して、ロボット100がシャットダウンした後に、通常の起動指示(たとえば、メインスイッチの投入)を契機としてロボット100を再起動してもよい。ツノ112が引き抜かれた状態で起動指示を受け付けた場合に、ツノ112を差し込むように警告を発してもよい。このようにすれば、ツノ112が差し込まれた正常な姿で再起動されるようになる。
【0116】
図11に関連して、ロボット100は、待機状態だけでなく通常状態においても操作用デバイスへの入力を受け付けてもよい。
【0117】
図11に関連して、タッチ開始(S10)によって動作を止められたダイレクトドライブモータは、停止した状態を維持する。つまり、ダイレクトドライブモータの回転方向への外力が生じても、ダイレクトドライブモータはその外力に抵抗する力を有し、回転しない。つまり、ダイレクトドライブモータは、内部の機構が固定された状態(以下、「ロック状態」とよぶ。)になる。したがって、ロボット100が慣性によって移動することはない。
【0118】
一時停止中において、各関節のアクチュエータも、ダイレクトドライブモータと同様に外力に抵抗する力を有する。つまり、各関節のアクチュエータも、ロック状態になる。したがって、待機状態でユーザがロボット100の腕106を持って動かそうとしても、動
かない。ただし、環状スイッチ190を回して着替えモードに設定すれば、ロボット100の腕106を自由に動かせるようになる。
【0119】
着替えモードでは、各アクチュエータの動作が停止し、アクチュエータ内部の機構が自由に動く状態(以下、「フリー状態」とよぶ。)になる。フリー状態のアクチュエータは、停止した状態を維持しない。アクチュエータの回転方向への外力が生じれば、アクチュエータはその外力に抵抗せず、回転する。つまり、ロボット100は、脱力したような状態になる。
【0120】
着替えモードで、ユーザはロボット100の頭部や腕106を操って、自由な姿勢をとらせることができる。したがって、服を着脱させやすいように、頭部の向きや傾きを変えたり、腕106の角度を変えたりできるので、作業がしやすい。
【0121】
さらに、上述した移動抑止モードについて説明する。環状スイッチ190が移動抑止モードに設定されると、車輪が格納されて移動できない状態になる。ロボット100は移動できないが、腕106や頭部など姿勢調整用の駆動機構を使ってモーションを実行できる。たとえば棚やテーブルにロボット100を置く場合に、移動抑止モードが使用される。また、別の態様として、車輪を格納せずに、ロック状態にしてもよい。ロック状態において車輪は回転しないので、ロボット100が外力を受けても、車輪の摩擦力によってその場に留まろうとする作用が生じる。したがって、移動抑止モードに切り替えられたロボット100は、傾斜面に設置されても自重で動き出すことはない。また、押されて移動することもない。
【0122】
また、上述した4種類のモード(通常モード、撮影禁止モード、着替えモードおよび移動抑止モード)以外に、持ち運びモードを設けてもよい。持ち運びモードは、ユーザがロボット100を持ち運ぶときに用いられるモードである。ロボット100の運搬において、収納のためにリュックサックやトートバックなどのバッグを使用してもよい。ただし、収納されたロボット100には、バッグの内側から圧力が加わる。持ち運びモードでは、各アクチュエータをフリー状態にする。このようにすれば、ロボット100の姿勢をバッグの形状に合わせやすいので、ロボット100のボディに対する局所的な高圧力を避けられる。また、可動部位を無理やり動かすことが無いので、アクチュエータに対する過負荷も避けられる。
【0123】
各アクチュエータをフリー状態にする点で、着替えモードと持ち運びモードは同じである。したがって、1つのモードで、着替えモードと持ち運びモードを兼ねても良い。あるいは、着替えモードでフリー状態にするアクチュエータの種類と、持ち運びモードでフリー状態にするアクチュエータの種類とが異なるようにしてもよい。たとえば、各関節のアクチュエータに関して、着替えモードではフリー状態にし、持ち運びモードでは腕106を胴体に付けてロック状態にしてもよい。このようにすれば、ロボット100の腕106がバックの内側に引っ掛かりづらくなる。
【0124】
また、ユーザがロボット100をバッグに入れようとするとき、移動抑止モードから持ち運びモードへ自動的に切り替わってもよい。そのために、収納用バッグに予めIC(Integrated Circuit)タグを装着してもよい。一方ロボット100は、ICタグが発信するID信号を受信するタグ読取装置を備えてもよい。この前提で、ユーザがロボット100に収納用バッグを近づけて、収納用バッグを覚えさせる指示をする(たとえば、環状スイッチ190を持ち運びモードに設定する。)と、このとき受信したID信号を記憶する。このように一旦収納用バッグを覚えさせてしまえば、移動抑止モードのロボット100が収納用バッグに入れられるとき、自動的に持ち運びモードへ切り替わる。具体的には、記憶しているID信号と同じ信号をタグ読取装置が受信した場合に、モ
ード管理部172は移動抑止モードから持ち運びモードへ切り替える。このようにすれば、移動抑止モードから持ち運びモードへの切り替えを指示する環状スイッチ190の操作が不要になる。
【0125】
さらに、持ち運びモードのロボット100が収納用バッグから出されたときに、自動的に持ち運びモードから移動抑止モードへ切り替わってもよい。具体的には、記憶しているID信号と同じ信号をタグ読取装置が受信しなくなった場合に、モード管理部172は持ち運びモードから移動抑止モードへ切り替える。このようにすれば、持ち運びモードから移動抑止モードへの切り替えを指示する環状スイッチ190の操作が不要になる。以上のようにモード切り替えを自動化すると、ロボット100を持ち運ぶときの扱いが簡単になる。
【0126】
図11に関連して、待機状態において、操作用デバイス以外の内部センサ128の計測値に基づくイベントが発生しないようにしてもよい。たとえばロボット100が周囲の音に反応して動き出すような自律行動を起こすことがないので、ユーザは操作用デバイスの扱いに集中できる。
【0127】
図11に関連して、待機状態で操作用デバイスが操作されなかった場合に、抑制部164は、顔認識や音声認識でユーザを特定し、ユーザの名前および操作用デバイスが操作されなかった日時を記録してもよい。顔認識は、例えば、全天周カメラ501113で撮影した画像に基づいて行われうる。音声認識は、例えば、マイクロフォンアレイで入力した音声に基づいて行われうる。また、ツノ112のタッチが検出され、操作用デバイスへの操作が検出された場合に、同様にユーザを特定して、操作内容、ユーザの名前、操作された場所および操作された日時を記録してもよい。ロボットシステム300は、これらの記録に基づいてユーザに対する親密度を調整してもよい。たとえば待機状態で操作用デバイスを操作しない傾向が強いユーザについては、いたずらで一時停止させているとみなして、親密度を低めてもよい。あるいは、ロボットシステム300は、これらの記録に基づいてユーザ操作に関する学習を行なってもよい。たとえば特定のユーザが特定の場所で音量を下げるためのボリュームボタン196bを操作することが多いと学習すれば、その場所でそのユーザを認識したタイミングで自動的に音量を下げるような独自の制御ルールを生成できる。
【0128】
図11に関連して説明したとおり、本実施形態では、ツノ112へのタッチが長く続くほど、興奮度を示す感情パラメータが低下する。ただし、タッチ継続期間に応じて調整される感情パラメータは、興奮度を示すものとは限らない。基本構成において説明したとおり、感情パラメータは、寂しさ、好奇心や承認欲求を示すこともある。状態管理部244は、タッチ継続期間が長いほど、寂しさを示す感情パラメータを低下させてもよい。このようにすれば、寂しくて元気を失ったロボット100が、ツノ112へタッチしてもらうことによって元気を取り戻すという演出ができる。状態管理部244は、タッチ継続期間が長いほど、好奇心を示す感情パラメータを低下させてもよい。このようにすれば、好奇心によって動き回るロボット100が、ツノ112へタッチされることによって落ち着くという演出ができる。また、状態管理部244は、タッチ継続期間が長いほど、承認欲求を示す感情パラメータを高めてもよい。このようにすれば、ツノ112へタッチされることによってロボット100がユーザに懐くという演出ができる。
【0129】
ロボット100における自律行動は、主としてプロセッサ122で実行される認識部156および動作制御部150の処理によって制御される。本実施形態をより安定的に実現させる意味で、プロセッサ122を含むメイン回路とは別にサブ回路を設けて、サブ回路に抑制部164、注意喚起部166および緊急停止部168の処理を実行させてもよい。そのようにすれば、メイン回路における処理負荷が高まっても、その影響を受けずに本実
施形態に示した注意喚起動作などの処理を行なえる。
【0130】
図12は、サブ回路404を有するロボット100のハードウェア構成を示す図である。メイン回路400は、プロセッサ122と記憶装置124を含み、認識部156および動作制御部150を実現する。
【0131】
サブ回路404は、ファームウエアを実行するマイクロコンピュータでもよい。サブ回路404は、タッチセンサ192の検出結果を得て、抑制部164および注意喚起部166の処理を行なう。さらに、サブ回路404は、引き抜きセンサ193の検出結果を得て、緊急停止部168の処理を行なう。
【0132】
サブ回路404は、バイブレータ385、ダイレクトドライブモータ380、各関節のアクチュエータ381、および接続機構330のアクチュエータ326の制御を行なう。サブ回路404は、たとえば切替回路406aを制御することによって、ダイレクトドライブモータ380を停止させ、さらに再動作させることができる。切替回路406aは、通常、メイン回路400とダイレクトドライブモータ380を接続する。サブ回路404が、サブ回路404との接続への切替信号を切替回路406aに送信すると、切替回路406aはサブ回路404とダイレクトドライブモータ380を接続する。すなわち、切替回路406aは、ダイレクトドライブモータ380の制御主体を切り替えるための回路である。ダイレクトドライブモータ380の制御主体となったサブ回路404が、ダイレクトドライブモータ380へ停止信号を送信することによって、ダイレクトドライブモータ380は停止する。ダイレクトドライブモータ380の動作を再開させる場合には、サブ回路404が、メイン回路400との接続への切替信号を切替回路406aに送信する。その結果、メイン回路400が再びダイレクトドライブモータ380を制御するようになる。切替回路406bとアクチュエータ381の関係、および切替回路406cとアクチュエータ326の関係についても同様である。また、サブ回路404が、電源回路402を制御すれば、ダイレクトドライブモータ380、アクチュエータ381およびアクチュエータ326を個別に停止させ、さらに再動作させることができる。
【0133】
以上、実施形態に基づいてロボット100およびロボットシステム300を説明した。
本実施形態におけるロボット100は、ユーザ操作を受け付けるための操作用デバイスと、操作用デバイスの表面及び/又は近傍に設けられたタッチセンサと、タッチセンサによってタッチが検出されたときに、駆動機構120の動作量を減ずる抑制部164と、を備えるので、操作用デバイスの位置を安定させ、ユーザが操作用デバイスを扱いやすくできる。
【0134】
また、抑制部164は、ロボット100の移動を停止させるので、操作用デバイスの位置が安定する。なお、ロボット100が完全に静止していなくても、完全に静止したときのように操作用デバイスを扱いやすくなるのであれば、実質的にロボット100の移動を停止させることを意味し、権利解釈として移動の停止に該当する。
【0135】
また、接続機構330のアクチュエータ326の動作量を減らすので、頭部の動きに伴う操作用デバイスの変位を抑えられる。
【0136】
また、ロボットシステム300は、タッチが検出されている期間の長さに応じて、ロボット100の感情状態を更新する状態管理部244、を更に備えるので、ユーザはロボット100の感情状態をコントロールしやすい。
【0137】
また、ロボット100は、操作用デバイスと異なる部位に設けられた別のタッチセンサと、別のタッチセンサによる検出結果に基づいて、ロボット動作を実現させるために駆動
機構120を制御するメイン回路400と、タッチセンサ192による検出結果に基づいて、ロボット動作を抑制させるために駆動機構120を制御するサブ回路404と、を更に備えるので、メイン回路400の状況に関わらず、より確実にロボット動作を抑制できる。
【0138】
また、操作用デバイスは、ロボット100を緊急停止させる指示を受け付ける緊急停止装置であってもよい。そして、ロボット100は、タッチが検出されたときに、ユーザの注意を喚起する注意喚起部166、を更に備えるので、ユーザが不用意に緊急停止させることを防ぎやすい。
【0139】
また、注意喚起部166は、ロボット100の怯えを示す挙動及び/又は出力によってユーザの注意を喚起するので、ユーザはロボット100に強制的な指示をしようとしていることを感覚的に理解できる。
【0140】
また、ロボット100は、緊急停止の指示を受け付けてから基準時間が経過しても、その指示を取り消す操作が行われない場合に、ロボット100をシャットダウンさせる緊急停止部168、を更に備えるので、緊急停止だけでは対処しきれない事態に限って、シャットダウンすることになる。このようにすれば、緊急停止のあとにユーザにシャットダウンの要否を考える猶予時間を与えることができる。ユーザは、一時停止(すこしだけじっとしてほしいとき)、緊急停止(再指示(ツノ112の差し込み)するまで停止しつづけてほしいとき)およびシャットダウン(完全にオフにしたいとき)の3段階の停止方法を使い分けることができる。
【0141】
また、抑制部164は、タッチセンサ192によってタッチが検出されたときに、ユーザ操作を待ち受ける状態に移行し、そのユーザ操作以外の所定イベントに応じた処理を抑止するので、ユーザはデバイス操作に集中しやすくなる。所定イベントに応じた処理は、たとえば、別のユーザの帰宅を認識したときのお出迎え行動などである。
【0142】
本実施形態におけるロボット100は、緊急停止の指示を受け付けるツノ112と、ツノ112の表面及び/又は近傍に設けられたタッチセンサと、を備えるので、緊急停止が指示される前段階を捉えられる。緊急停止が指示される前段階を捉えれば、実際に緊急停止が指示される前に注意喚起、撮影や録音などのような事前動作を行なえる。
【0143】
なお、本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。上記実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成してもよい。また、上記実施形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。
【0144】
1つのロボット100と1つのサーバ200、複数の外部センサ114によりロボットシステム300が構成されるとして説明したが、ロボット100の機能の一部はサーバ200により実現されてもよいし、サーバ200の機能の一部または全部がロボット100に割り当てられてもよい。1つのサーバ200が複数のロボット100をコントロールしてもよいし、複数のサーバ200が協働して1以上のロボット100をコントロールしてもよい。
【0145】
ロボット100やサーバ200以外の第3の装置が、機能の一部を担ってもよい。図5において説明したロボット100の各機能とサーバ200の各機能の集合体は大局的には1つの「ロボット」として把握することも可能である。1つまたは複数のハードウェアに対して、本発明を実現するために必要な複数の機能をどのように配分するかは、各ハードウェアの処理能力やロボットシステム300に求められる仕様等に鑑みて決定されればよ
い。
【0146】
上述したように、「狭義におけるロボット」とはサーバ200を含まないロボット100のことであるが、「広義におけるロボット」はロボットシステム300のことである。サーバ200の機能の多くは、将来的にはロボット100に統合されていく可能性も考えられる。
【0147】
ロボット100の行動制御プログラムは、所定のサーバからインターネットを介して提供されてもよいし、CD-ROMなどの固定の記録媒体により提供されてもよい。いずれにしてもロボット100の行動制御プログラムは、ロボット100とは異なる記録媒体(サーバ、CD-ROMなど)から提供されることにより、ロボット100にインストールされてもよい。

図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2024-08-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ操作又はロボットを緊急停止させる指示を受け付ける装置と、
前記装置に対するユーザによる近接を検出する検出部と、
前記検出部によって前記近接が検出されたときに、所定の処理を実行する処理実行部と
を備えるロボット。
【請求項2】
前記検出部は、静電容量方式により前記ユーザによる近接を検出するように構成されている請求項1記載のロボット。
【請求項3】
前記検出部は、前記装置の近傍及び/又は表面に設けられている請求項1記載のロボット。
【請求項4】
前記所定の処理は、前記装置に対する操作又は指示される前の事前処理である請求項1記載のロボット。