(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138101
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 29/78 20060101AFI20240927BHJP
H01L 29/41 20060101ALI20240927BHJP
H01L 29/417 20060101ALI20240927BHJP
H01L 21/28 20060101ALI20240927BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20240927BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240927BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H01L29/78 652M
H01L29/78 652Q
H01L29/78 652F
H01L29/78 652S
H01L29/44 S
H01L29/50 M
H01L21/28 301R
H01L29/78 652T
H01L29/78 658F
H01L21/90 D
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024120391
(22)【出願日】2024-07-25
(62)【分割の表示】P 2020072389の分割
【原出願日】2020-04-14
(31)【優先権主張番号】P 2019101621
(32)【優先日】2019-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永倉 壮
(72)【発明者】
【氏名】岩橋 智
(57)【要約】
【課題】電極の接続が良好で、かつデバイス特性も良好な半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置1は、一方側の第1主面2aおよび他方側の第2主面2bを有する半導体層2と、半導体層2の第1主面2a上に間隔を空けて配置された複数のゲート電極11と、ゲート電極11を覆うように半導体層2の第1主面2a上に形成された層間絶縁膜30と、層間絶縁膜30上に形成された電極膜50と、隣り合う一対のゲート電極11の間に配置されたタングステンプラグ20と、を含む。タングステンプラグ20は、隣り合う一対のゲート電極11が対向する方向に間隔を空けて層間絶縁膜30に形成されたコンタクト開口40埋め込まれている。タングステンプラグ20は、半導体層2のコンタクト領域16に接触する底部、および電極膜50に接触する頂部を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方側の第1主面および他方側の第2主面を有する半導体層であってSiC単結晶からなる半導体層と、
前記半導体層の前記第1主面上に間隔を空けて配置された複数のゲート電極と、前記第1主面の表層部に形成された第1導電型のドリフト領域と、前記ドリフト領域の表層部において、隣り合う一対の前記ゲート電極に跨がる範囲に形成された第2導電型のボディ領域と、前記ボディ領域内に形成され、前記ボディ領域よりも不純物濃度の高い第2導電型のコンタクト領域と、を含むプレーナゲート構造と、
前記ゲート電極を覆うように前記半導体層の前記第1主面上に形成された層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜上に形成された電極膜と、
隣り合う一対の前記ゲート電極の間において、前記層間絶縁膜に形成されたコンタクト開口に埋め込まれ、前記半導体層に接触する底部、および前記電極膜に接触する頂部を有する、タングステンプラグと、を含み、
前記タングステンプラグの底部が、前記コンタクト領域に接している、半導体装置。
【請求項2】
複数の前記ゲート電極が、前記半導体層の前記第1主面に沿う第1方向に間隔を空けて配置されており、各前記ゲート電極が、前記第1方向に交差する第2方向に延びており、
前記コンタクト開口が前記第1方向に間隔を空けて配置され、前記コンタクト開口が前記第2方向に延びており、
前記タングステンプラグが、前記コンタクト開口と整合するように、前記第1方向に間隔を空けて配置され、前記タングステンプラグが前記第2方向に延びている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記タングステンプラグの前記第2方向の長さが、前記ゲート電極の前記第2方向の長さよりも小さい、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記タングステンプラグが、前記第1方向に間隔を空けて複数個形成されており、
前記複数のタングステンプラグが、前記第1方向および前記第2方向に沿って、前記隣り合う一対の前記ゲート電極の間に、アレイ状に配列されている、請求項2または3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記タングステンプラグが、前記第1方向に間隔を空けて複数個形成されており、
前記複数のタングステンプラグが、前記第1方向および前記第2方向の両方に間隔を空けて配列されている、請求項2または3に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記タングステンプラグが、前記第2方向に関して、複数のプラグセグメントに分断されている、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記コンタクト開口に連なる凹部が前記半導体層の前記第1主面に形成されており、
前記タングステンプラグの底部が前記凹部内において前記半導体層に接触している、請求項1~6のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記層間絶縁膜は、前記ゲート電極に接する第1絶縁材料の第1層間絶縁膜と、前記第1絶縁材料とは異なる第2絶縁材料からなり、前記第1層間絶縁膜を覆う第2層間絶縁膜とを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1絶縁材料がリンおよびボロンをいずれも含まない酸化シリコンであり、前記第2絶縁材料がリンおよびボロンを含む酸化シリコンである、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記コンタクト開口が、前記第1層間絶縁膜を貫通する第1開口と、前記第2層間絶縁膜を貫通する第2開口とを有し、前記第2開口の開口幅が前記第1開口の開口幅よりも大きい、請求項8または9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記コンタクト開口が、前記層間絶縁膜のうち前記第1主面側の領域に形成された第1開口と、前記層間絶縁膜のうち前記第1開口よりも前記電極膜側の領域に形成された第2開口とを有し、
前記第2開口の側壁の前記第1主面の法線方向に対する傾斜角は、前記第1開口の側壁の前記第1主面の法線方向に対する傾斜角よりも大きい、請求項1~9のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記コンタクト開口が、前記半導体層の前記第1主面に向かって狭まるテーパー状断面を有している、請求項1~11のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記タングステンプラグの頂面が、前記ゲート電極の上面よりも断面視で上側に位置しており、
前記タングステンプラグの底面が、前記ゲート電極の下面よりも断面視で下側に位置している、請求項1~12のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記タングステンプラグが、前記一対のゲート電極が対向する方向に間隔を空けて複数個形成されており、
隣接する前記ゲート電極の間隔が1μm以上3μm以下である、請求項1~13のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記層間絶縁膜の表面における前記コンタクト開口の開口幅と、前記コンタクト開口の前記層間絶縁膜の表面から前記第1主面までの深さとの比が、1以上5以下である、請求項1~14のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記電極膜が、タングステンよりも応力の低い金属材料からなる、請求項1~15のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記電極膜が、アルミニウムを主成分とする金属層を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記プレーナゲート構造が、前記ボディ領域内に形成された第1導電型のソース領域をさらに含み、
前記タングステンプラグが、前記ソース領域と、前記コンタクト領域とに接触している、請求項1~17のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項19】
前記プレーナゲート構造が、前記ボディ領域内に形成された第1導電型のソース領域をさらに含み、
前記第1主面には、前記コンタクト開口と連通し、前記ソース領域を貫通して前記コンタクト領域に達するトレンチが形成されており、
前記タングステンプラグは、前記トレンチに埋め込まれて、前記トレンチの側壁において前記ソース領域に接している、請求項1~18のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項20】
前記第1主面は、10°以下のオフ角を有している、請求項1~19のいずれか一項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、n-型半導体基板の主面にプレーナゲート型のMOSゲート構造を設けた半導体装置を開示している。半導体基板の主面の表面層に、p型ベース領域が設けられている。p型ベース領域の内部に、一対のn+型ソース領域およびp+型コンタクト領域が設けられている。一対のn+型ソース領域は、p+型コンタクト領域を挟むように設けられている。半導体基板の主面には、ゲート絶縁膜が設けられており、その表面にゲート電極が設けられている。ゲート電極を覆うように層間絶縁膜が設けられている。層間絶縁膜を覆うようにバリアメタル膜が設けられている。層間絶縁膜およびゲート絶縁膜には、一対のn+型ソース領域およびp+型コンタクト領域を露出するコンタクト開口が形成されている。コンタクト開口は、一対のn+型ソース領域にそれぞれ対応して設けられた一対のゲート電極の間に配置されている。バリアメタル膜は、コンタクト開口を介して、一対のn+型ソース領域およびp+型コンタクト領域に接している。バリアメタル膜を覆うように、アルミニウムを主材料とするソース電極が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ゲート電極を含む単位セルを半導体基板上に高密度で配置することにより、チャネル幅を拡大でき、オン抵抗を低減できる。この目的のために、ゲート電極の間隔が狭められる。それに応じて、コンタクト開口の幅が狭くなるから、層間絶縁膜に形成されるコンタクト開口のアスペクト比が大きくなる。アスペクト比は、たとえば、コンタクト開口の幅に対する深さの比によって定義される。
【0005】
典型的な電極材料であるアルミニウムは、開口への埋込性が必ずしも良好ではない。そのため、アスペクト比の高いコンタクト開口にアルミニウム電極膜を埋め込もうとすると、ボイドが生じるおそれがあり、バリアメタルと電極膜との接触抵抗が高くなったり、接触不良を生じたりするおそれがある。
そこで、この発明の一実施形態は、電極の接続が良好で、かつデバイス特性も良好な半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の一実施形態は、一方側の第1主面および他方側の第2主面を有する半導体層であってSiC単結晶からなる半導体層と、前記半導体層の第1主面上に間隔を空けて配置された複数のゲート電極と、前記第1主面の表層部に形成された第1導電型のドリフト領域と、前記ドリフト領域の表層部において、隣り合う一対の前記ゲート電極に跨がる範囲に形成された第2導電型のボディ領域と、前記ボディ領域内に形成され、前記ボディ領域よりも不純物濃度の高い第2導電型のコンタクト領域と、を含むプレーナゲート構造と、前記ゲート電極を覆うように前記半導体層の第1主面上に形成された層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜上に形成された電極膜と、隣り合う一対のゲート電極の間に配置されたタングステンプラグと、を含む、半導体装置を提供する。タングステンプラグは、隣り合う一対のゲート電極が対向する方向に間隔を空けて前記層間絶縁膜に形成されたコンタクト開口に埋め込まれている。前記タングステンプラグは、前記半導体層に接触する底部、および前記電極膜に接触する頂部を有する。前記タングステンプラグの底部が、前記コンタクト領域に接している。
【0007】
この構成により、電極の接続が良好で、かつデバイス特性も良好な半導体装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、この発明の一実施形態に係る半導体装置の平面図である。
【
図2】
図2は、ゲート配線に接続される内部配線構造を説明するための図解的な平面図である。
【
図3】
図3は、
図2の領域IIIを拡大して示す平面図である。
【
図4】
図4は、単位セル領域の具体的な構成例を示す断面図であり、
図3のIV-IV線における断面構造を示す。
【
図5A】
図5Aは、前記半導体装置の製造工程を説明するための断面図である。
【
図5B】
図5Bは、前記半導体装置の製造工程を説明するための断面図である。
【
図5C】
図5Cは、前記半導体装置の製造工程を説明するための断面図である。
【
図5D】
図5Dは、前記半導体装置の製造工程を説明するための断面図である。
【
図6】
図6は、
図4に対応し、前記半導体装置においてSiC単結晶からなる半導体層が適用された場合の構造を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
前述のとおり、典型的な電極材料であるアルミニウムは、開口への埋込性が必ずしも良好ではない。そのため、アスペクト比の高いコンタクト開口にアルミニウム電極膜を埋め込もうとすると、ボイドが生じるおそれがあり、バリアメタルと電極膜との接触抵抗が高くなったり、接触不良を生じたりするおそれがある。
そこで、本件発明者は、開口への埋込性が良好な金属材料であるタングステンを用いることを考えた。具体的には、コンタクト開口にタングステンプラグを埋め込み、そのタングステンプラグに接触するようにアルミニウム膜を層間絶縁膜上に形成する。これにより、上記の問題を解消できる。
【0010】
ところが、コンタクト開口に埋め込まれたタングステンプラグの応力により、デバイスへの悪影響が生じることが分かった。具体的には、タングステンプラグの応力のために、半導体基板に反りが生じたり、膜が剥離したり、デバイス特性が変化したりするおそれがある。
この問題は、コンタクト開口を小さくし、コンタクト開口に埋め込まれるタングステンプラグの面積を小さくすることによって解決できると考えられる。しかし、このような解決策は、ゲート電極間の間隔の変更を伴い、それに応じて、ボディ領域、ソース領域、コンタクト領域のレイアウトを変更しなければならない。すなわち、既存のデバイス設計を全く利用することができず、かつパターン形成のためのマスクも全て新規に開発する必要がある。
【0011】
そこで、この発明の一実施形態は、基本的なレイアウトを変更することなく、電極の接続が良好で、かつデバイス特性も良好な半導体装置を提供する。
この発明の一実施形態は、一方側の第1主面および他方側の第2主面を有する半導体層と、前記半導体層の第1主面上に間隔を空けて配置された複数のゲート電極と、前記ゲート電極を覆うように前記半導体層の第1主面上に形成された層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜上に形成された電極膜と、隣り合う一対のゲート電極の間に配置された複数のタングステンプラグと、を含む、半導体装置を提供する。複数のタングステンプラグは、隣り合う一対のゲート電極が対向する方向に間隔を空けて前記層間絶縁膜に形成された複数のコンタクト開口にそれぞれ埋め込まれている。各タングステンプラグは、前記半導体層に接触する底部、および前記電極膜に接触する頂部を有する。
【0012】
この構成によれば、一対のゲート電極の間に、それらの対向方向に間隔を空けて、複数のコンタクト開口が層間絶縁膜に形成されている。その複数のコンタクト開口に複数のタングステンプラグがそれぞれ埋め込まれる。タングステンプラグは、コンタクト開口に対する良好な埋め込み性を有する。したがって、ゲート電極間の間隔が狭く、それに応じてコンタクト開口が小さくても、タングステンプラグの底部は半導体層に良好に接触するので、それらの間の接触不良を抑制または防止できる。
【0013】
一方、複数のタングステンプラグが一対のゲート電極の間に分散配置された複数のコンタクト開口にそれぞれ埋め込まれているので、タングステンプラグの応力は小さい。したがって、タングステンプラグの応力に起因するプロセス上の問題を回避でき、かつデバイス特性の不良を抑制または防止できる。また、複数のタングステンプラグをゲート電極の間に分散配置する構成であるので、ゲート電極の間隔を狭める必要がない。したがって、基本レイトアウトの変更を要しない。
【0014】
タングステンプラグの頂部は、層間絶縁膜上に形成された電極膜に接触する。したがって、電極膜は、タングステンプラグを介して半導体層に電気的に接続される。
電極膜は、コンタクト開口に対する埋め込み性がタングステンよりも低い金属材料(たとえば、アルミニウムを主成分とする金属材料)を用いて構成してもよい。電極膜は、タングステンよりも応力の小さい金属材料からなることが好ましい。それにより、電極膜の応力に起因するデバイス特性の低下を抑制または防止できる。
【0015】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る半導体装置1の平面図である。半導体装置1は、この実施形態では、MISFET(Metal-Insulator-Semiconductor Field Effect Transistor)を有する電子部品である。
半導体装置1は、チップ状の半導体層2を含む。半導体層2は、具体的には、一方側の第1主面2aおよび他方側の第2主面2b(
図4参照)を有している。第1主面2aおよび第2主面2bは、いずれも平坦面である。
図1には、第1主面2aに垂直な方向から見
た平面視における半導体装置1の構成が示されている。第1主面2aおよび第2主面2bは、この実施形態では、四角形状、より具体的には矩形状である。半導体層2は、第1主面2aおよび第2主面2bを接続する側面2c,2d,2e,2f(この実施形態では4つの平坦な側面)を有している。
【0016】
以下の説明において、便宜的に、第1主面2aおよび第2主面2bに垂直な方向、すなわち、第1主面2aおよび第2主面2bの法線に平行な方向を半導体層2の「法線方向Z」という。また、法線方向Zから見ることを「平面視」という。さらに、便宜的に、法線方向Zに垂直であって一つの側面2cに平行な方向を「第1方向X」といい、法線方向Zおよび第1方向Xのいずれにも垂直な方向(側面2cの隣の他の側面2dに平行な方向)を「第2方向Y」という。
【0017】
半導体層2は、アクティブ領域3および外側領域4(周辺領域)を含む。アクティブ領域3および外側領域4は、半導体層2の第1主面2aに設定されている。
アクティブ領域3は、平面視において、半導体層2の側面2c~2fから内方に間隔を空けて半導体層2の中央部に設定されている。アクティブ領域3は、平面視において半導体層2の4つの側面2c~2fにそれぞれ平行な4辺を有する四角形状(より具体的には矩形状)に設定されていてもよい。この実施形態では、アクティブ領域3は、矩形の一つの辺の中央部付近から内方に窪んだ凹部3aを有している。
【0018】
外側領域4は、アクティブ領域3の外側の領域である。外側領域4は、平面視においてアクティブ領域3の周縁に沿って帯状に延びている。外側領域4は、平面視において、アクティブ領域3を取り囲んでいる。外側領域4は、より具体的には、平面視においてアクティブ領域3を取り囲む無端状(四角環状)に設定されている。この実施形態では、外側領域4は、アクティブ領域3の凹部3aに整合するように、アクティブ領域3に向かって内方に突出した凸部4aを有している。
【0019】
アクティブ領域3のほぼ全域を覆うように、膜状のソース端子電極5が配置されている。ソース端子電極5の中央部には、ソースパッド領域5aが設定されている。ソースパッド領域5aは、ボンディングワイヤが接合されるボンディングパッドを提供する。
外側領域4には、膜状のゲート端子電極6が配置されている。ゲート端子電極6とソース端子電極5とは、間隔7(この実施形態ではスリット状の間隔)によって、互いに離隔されており、それによって電気的に絶縁されている。ゲート端子電極6は、外側領域4の凸部4aと整合するように配置されたゲートパッド部6Aと、ゲートパッド部6Aから延びたゲート配線6Bとを含む。ゲート配線6Bは、ゲートフィンガとも呼ばれる。
【0020】
ゲートパッド部6Aは、この実施形態では、平面視において矩形状に形成されている。ゲートパッド部6Aの中央部にはゲートパッド領域6aが設定されている。ゲートパッド領域6aは、ボンディングワイヤが接合されるボンディングパッドを提供する。
ゲート配線6Bは、外側領域4に沿って帯状に延びている。この実施形態では、2つのゲート配線6Bがゲートパッド部6Aに結合されている。各ゲート配線6Bは、半導体層2の一側面2dに沿って延び、さらにその側面2dに隣接する別の側面2c,2eに沿うように折れ曲がって平面視L字形に形成されている。2つのゲート配線6Bの先端部は、連結ゲート配線6Cによって互いに接続されている。連結ゲート配線6Cは、側面2fに沿って延びている。したがって、ゲート配線6B,6Cは、アクティブ領域3を環状に取り囲む形態の1本のゲート配線を成していると言うこともできる。
【0021】
図2は、ゲート配線6B,6Cに接続される内部配線構造を説明するための図解的な平面図である。この実施形態では、半導体層2の第1主面2aに、プレーナゲート構造が形成されている。
図2には、プレーナゲート構造の複数のゲート電極11と、複数のゲート電極11を互いに結合する外側ゲート電極12とを示す。
複数のゲート電極11は、第1主面2aに形成されている。各ゲート電極11は、たとえば、第2方向Yに沿って線状に延びている。複数のゲート電極11は、第1方向Xに間隔を空けて平行に配列されている。各ゲート電極11の両端部は、外側ゲート電極12に結合されて接続されている。外側ゲート電極12は、アクティブ領域3の外周に沿って、外側領域4に配置されている。この実施形態では、ゲート配線6B,6Cの形状に整合する環状のパターンに形成されている。ゲート電極11および外側ゲート電極12は、たとえば、第1主面2aに形成されたポリシリコン膜によって一体的に形成されていてもよい。
【0022】
図3は、
図2の領域IIIを拡大して示す平面図である。半導体層2の第1主面2aには、アクティブ領域3内に複数の単位セル領域Cが設定されている。複数の単位セル領域Cは、アレイ状に配列されている。すなわち、複数の単位セル領域Cは、この実施形態では、第1方向Xおよび第2方向Yに行列配列されている。すなわち、第1方向Xに複数の単位セル領域Cが配列されている。また、第2方向Yに複数の単位セル領域Cが配列されている。各単位セル領域Cには、ゲート電極11が第2方向Yに通っている。第2方向Yに沿って配列された複数の単位セル領域Cは、同じゲート電極11を共有している。
【0023】
この明細書では、便宜的に、ゲート電極11の第1方向Xに関する中間位置に単位セル領域Cの境界を設定し、第2方向Y方向に関する複数の位置に単位セル領域Cの境界を設定して、ほぼ正方形の単位セル領域Cを定義してある。しかし、単位セル領域Cの定義はこれに限られない。たとえば、上記の定義に従って第2方向Yに整列する複数の単位セル領域Cをひとまとめにして一つの単位セル領域と定義してもよい。
【0024】
第1方向Xに隣り合う一対のゲート電極11の間には、ソースコンタクト20が設けられている。詳細は後述するが、この実施形態では、ソースコンタクト20はタングステンプラグで構成されている。したがって、以下では、ソースコンタクト20を「タングステンプラグ20」という場合がある。
ソースコンタクト20は、ソース端子電極5(
図1参照)を半導体層2に接続する。この実施形態では、複数(より具体的には2つ)のソースコンタクト20が、第1方向Xに隣り合う一対のゲート電極11の間に、第1方向Xに間隔を空けて配置されている。換言すれば、第1方向Xに関して単位セル領域Cの中間部に2つのソースコンタクト20が第1方向Xに間隔を空けて配置されている。各ソースコンタクト20は、ゲート電極11に沿って、すなわち、第2方向Yに沿って延びている。この実施形態では、ソースコンタクト20は、帯状に形成されている。さらに具体的には、ソースコンタクト20は、ゲート電極11に沿って、直線状に延びる矩形状に形成されている。複数(この実施形態では2つ)のソースコンタクト20は、互いに平行である。
【0025】
各ソースコンタクト20の両端は、単位セル領域C内において、第2方向Yに関する境界付近に位置している。したがって、ソースコンタクト20の第2方向Yの長さは、ゲート電極11の長さよりも短い。
単位セル領域Cが第2方向Yに沿って配列されているので、それに応じて、複数のソースコンタクト20が、第2方向Yに沿って配列されている。すなわち、隣り合う一対のゲート電極11の間の領域において、複数のソースコンタクト20は、第1方向Xに間隔を開けて、かつ第2方向Yに間隔を開けて配列されている。換言すれば、隣り合う一対のゲート電極11の間において、複数のソースコンタクト20が、アレイ状(この実施形態では第1方向Xおよび第2方向Yに沿う行列状)に配列されている。
【0026】
ゲート電極11の長手方向、すなわち第2方向Yに沿って整合する複数のソースコンタクト20を一纏めにしてソースコンタクトと言うとすれば、ソースコンタクトは、第2方向Yに関して、複数のソースコンタクトセグメントに分断されているということもできる。また、ゲート電極11に交差し第1主面2aに沿う方向、すなわち第1方向Xに沿って整合する複数のソースコンタクトを一纏めにしてソースコンタクトと言うとすれば、ソースコンタクトは、第1方向Xに関して複数のソースコンタクトセグメントに分割されているということもできる。したがって、この実施形態では、一対のゲート電極11の間に配置されるソースコンタクトが、第1方向Xおよび第2方向Yにそれぞれ間隔を開けて配列された複数のソースコンタクトセグメントを有していると言える。さらに、換言すれば、一対のゲート電極11の間に配置されるソースコンタクトは、アレイ状(この実施形態では第1方向Xおよび第2方向Yに沿う行列状)に配列された複数のソースコンタクトセグメントを有している。
【0027】
外側ゲート電極12上には、ゲートコンタクト10が配置されている。この実施形態では、複数個のゲートコンタクト10が設けられている。複数のゲートコンタクト10は、外側ゲート電極12の長手方向に間隔を開けて配置されている。各ゲートコンタクト10は、外側ゲート電極12の長手方向に延びる帯状に形成されている。この実施形態では、各ゲートコンタクト10は、外側ゲート電極12の長手方向に平行な長辺を有する矩形状である。ゲートコンタクト10は、この実施形態では、ソースコンタクト20と同じく、タングステンプラグで構成されている。
【0028】
ゲートコンタクト10の幅は、ソースコンタクト20の幅と実質的に等しい。ゲートコンタクト10の幅とは、ゲートコンタクト10の長手方向に直交する長さをいう。ソースコンタクト20の幅とは、ソースコンタクト20(ソースコンタクトセグメント)の長手方向に直交する長さをいう。
図4は、単位セル領域の具体的な構成例を示す断面図であり、
図3のIV-IV線における断面構造を示す。半導体層2の主要部は、n-型のドリフト領域13を提供する。半導体層2の第1主面2aの表層部に、p型のボディ領域14が形成されている。ボディ領域14は、第2方向Yに沿って帯状に延びている。ボディ領域14の表面にn
+型のソース領域15が形成されている。ソース領域15は、第2方向Yに沿って帯状に延びている。ソース領域15は、第1主面2aに露出している。第1主面2aにおいて、ソース領域15の周縁はボディ領域14の周縁から間隔を空けて内方に位置しており、それらの間でボディ領域14が第1主面2aに露出している。ソース領域15の直下にp
+型のコンタクト領域16が設けられている。コンタクト領域16は、第2方向Yに沿って帯状に延びている。平面視において、コンタクト領域16はソース領域15の内方に位置している。
【0029】
第1主面2aにはゲート絶縁膜17が形成されている。ゲート絶縁膜17は、この実施形態では、酸化シリコン膜を含む。ゲート絶縁膜17は、酸化シリコン膜に代えてまたはこれに加えて、窒化シリコン膜を含んでいてもよい。
ゲート絶縁膜17上にゲート電極11が形成されている。ゲート電極11は、ゲート絶縁膜17を介して第1主面2aに対向する。より具体的には、ゲート電極11は、第1主面2aにおいてソース領域15およびボディ領域14およびドリフト領域13に跨がる領域に対向するように配置されている。一つのゲート電極11は、ボディ領域14の第1方向Xに関する一方側縁部付近で第1主面2aに対向している。他のゲート電極11は、ボディ領域14の第1方向Xに関する他方縁部付近で第1主面2aに対向している。このようにして、第1方向Xに隣り合う一対のゲート電極11が、一つのボディ領域14を共有している。また、第1方向Xに隣り合う一対のボディ領域14が一つのゲート電極11を共有していると言うこともできる。
【0030】
ゲート電極11は、層間絶縁膜30によって覆われている。層間絶縁膜30は、ゲート電極11を覆い、かつゲート電極11間の領域ではゲート絶縁膜17を覆っている。層間絶縁膜30は、この実施形態では、第1層間絶縁膜31と、第1層間絶縁膜31に積層された第2層間絶縁膜32とを含む。第1層間絶縁膜31は、たとえば、USG(Undoped Silicate Glass)、すなわち、リンおよびボロンをいずれも含まない酸化シリコン(第1絶縁材料の一例)で構成された膜であってもよい。第2層間絶縁膜32は、BPSG(Boro-Phospho Silicate glass)、すなわち、リンおよびボロンを含む酸化シリコン(第2絶縁材料の一例)で構成された膜であってもよい。
【0031】
層間絶縁膜30には、一対のゲート電極11の間の領域、すなわち、ボディ領域14の直上に複数のコンタクト開口40が形成されている。複数のコンタクト開口40は、層間絶縁膜30およびゲート絶縁膜17を貫通している。複数のコンタクト開口40は、一対のゲート電極11が対向する方向、すなわち、第1方向Xに間隔を空けて配置されている。平面視におけるコンタクト開口40の配置および形状は、前述のソースコンタクト20の配置および形状に従う。すなわち、コンタクト開口40は、第2方向Yに沿って帯状に延びている。
【0032】
各コンタクト開口40は、第1層間絶縁膜31に形成された第1開口41と、第2層間絶縁膜32に形成された第2開口42とを含む。第1開口41と第2開口42とは互いに連通している。第2開口42の開口幅は、第1開口41の開口幅よりも大きい。開口幅とは、各層間絶縁膜31,32の上面(第1主面2aから遠い側の表面)における開口の幅をいい、ここでは第1方向Xに沿う幅をいう。
【0033】
コンタクト開口40は、第1主面2aに向かうに従って狭まるテーパー状断面を有していてもよい。より具体的には、第1開口41は、第1主面2aに向かうに従って狭まるテーパー状断面を有していてもよい。第2開口42は、第1主面2aに向かうに従って狭まるテーパー状断面を有していてもよい。第2開口42の側壁の第1主面2aの法線方向Zに対する傾斜角は、第1開口41の側壁の第1主面2aの法線方向Zに対する傾斜角よりも大きくてもよい。
【0034】
第1主面2aには、コンタクト開口40に整合し、かつコンタクト開口40と連通するトレンチ45が形成されている。トレンチ45は、半導体層2の第1主面2aに形成された凹部の一例である。トレンチ45は、ソース領域15を貫通してコンタクト領域16に達している。すなわち、トレンチ45の側壁にソース領域15が露出し、トレンチ45の底部にコンタクト領域16が露出している。この実施形態では、トレンチ45の底部に近い側壁においてもコンタクト領域16が露出している。
【0035】
コンタクト開口40およびトレンチ45によって区画された空間に、タングステンプラグ20が埋め込まれている。タングステンプラグ20は、バリアメタル層24およびタングステン層25を含む。バリアメタル層24は、コンタクト開口40およびトレンチ45の内表面を覆うように形成された薄い金属層である。バリアメタル層24は、コンタクト開口40およびトレンチ45の形状に対応した溝状の空間を内方に区画する。この空間に、タングステン層25が埋め込まれている。バリアメタル層24は、主として、タングステン層25の構成材料、すなわち、タングステンが層間絶縁膜30に拡散することを抑制または防止する。バリアメタル層24は、たとえば、TiおよびTiNの一方または両方を含む。バリアメタル層24は、Ti膜およびTiN膜を積層した積層膜であってもよい。
【0036】
タングステンプラグ20は、コンタクト開口40に埋め込まれるので、コンタクト開口40と同様の配置で設けられることになる。すなわち、一対のゲート電極11の間の領域、すなわち、ボディ領域14の直上に複数のタングステンプラグ20が配置されている。複数のタングステンプラグ20は、層間絶縁膜30を貫通している。複数のタングステンプラグ20は、一対のゲート電極11が対向する方向、すなわち、第1方向Xに間隔を空
けて配置されている。
【0037】
平面視におけるタングステンプラグ20の配置および形状は、前述のソースコンタクト20の配置および形状に従う。換言すれば、タングステンプラグ20がソースコンタクト20を構成している。すなわち、ソースコンタクト20の配置に関する前述の説明において、「ソースコンタクト」を「タングステンプラグ」と置き換えることができる。
各タングステンプラグ20は、第1層間絶縁膜31の第1開口41に配置された第1部分21と、第2層間絶縁膜32の第2開口42(およびゲート絶縁膜17の対応する開口)に配置された第2部分22と、トレンチ45内に配置された第3部分23とを含む。第1、第2および第3部分21,22,23は互いに連続している。第2部分22の幅は第1部分21の幅よりも大きい。幅とは、各部分の上端(第1主面2aから遠い側の端)における幅をいい、ここでは第1方向Xに沿う幅をいい、コンタクト開口40の開口幅と実質的に同じである。タングステンプラグ20は、第1主面2aに向かうに従って狭まるテーパー状断面を有していてもよい。より具体的には、第1部分21は、第1主面2aに向かうに従って狭まるテーパー状断面を有していてもよい。第2部分22は、第1主面2aに向かうに従って狭まるテーパー状断面を有していてもよい。第2部分22の側面の第1主面2aの法線方向Zに対する傾斜角は、第1部分21の側面の第1部分21の法線方向Zに対する傾斜角よりも大きくてもよい。傾斜角とは、法線方向Zに対してなす角をいう。
【0038】
タングステンプラグ20の第3部分23、すなわち底部は、トレンチ45内に埋め込まれており、半導体層2に接している。具体的には、第3部分23(底部)は、ソース領域15およびコンタクト領域16に接している。これにより、タングステンプラグ20は、ソース領域15に電気的に接続され、かつコンタクト領域16を介してボディ領域14に電気的に接続されている。
【0039】
層間絶縁膜30を覆うように、ソース端子電極5を構成する電極膜50が形成されている。電極膜50は、バリアメタル層51と、バリアメタル層51に積層された主電極層52とを含む。
主電極層52は、アルミニウムを主成分とする金属層である。具体的には、主電極層52は、アルミニウム、銅、Al-Si-Cu(アルミニウム-シリコン-銅)合金、Al-Si(アルミニウム-シリコン)合金、または、Al-Cu(アルミニウム-銅)合金のうちの少なくとも一種を含んでいてもよい。主電極層52は、これらの導電材料のうちのいずれか一種を含む単層構造を有していてもよい。主電極層52は、これらの導電材料のうちの少なくとも2種が任意の順序で積層された積層構造を有していてもよい。
【0040】
バリアメタル層51は、主として、主電極層52の構成材料、主としてアルミニウムが層間絶縁膜30に拡散することを抑制または防止する。バリアメタル層51は、たとえば、TiおよびTiNの一方または両方を含む。バリアメタル層51は、Ti膜およびTiN膜を積層した積層膜であってもよい。
電極膜50はコンタクト開口40において露出するタングステンプラグ20の頂面に接している。それにより、電極膜50は、タングステンプラグ20を介してソース領域15に電気的に接続されている。また、電極膜50は、タングステンプラグ20およびコンタクト領域16を介してボディ領域14に電気的に接続されている。
【0041】
半導体層2は、第2主面2b側にn+型のドレイン領域18を有している。ドレイン領域18の露出面が第2主面2bを形成している。第2主面2bにはドレイン端子電極8が形成されている。
ソース端子電極5およびドレイン端子電極8の間に適切な電圧が印加されている状態で、ゲート電極11に閾値電圧以上の制御電圧が印加されると、ゲート電極11の直下のボディ領域14の表面(チャネル領域)に反転層が現れる。反転層は、ソース領域15とドリフト領域13とを接続するチャネルを提供し、それにより、ソース端子電極5とドレイン端子電極8との間が導通する。制御電圧を取り除くとチャネルが消失して、ソース/ドレイン間が遮断される。
【0042】
図5A~
図5Dは、半導体装置1の製造工程を説明するための断面図である。半導体基板に対する不純物の拡散等の既知の工程によって、ボディ領域14、ソース領域15、コンタクト領域16およびドレイン領域18が形成され、さらに半導体層2の表面にゲート絶縁膜17が形成される。さらに、不純物(燐等)を添加した導電性ポリシリコン膜の形成およびそのパターニングによって、ゲート電極11および外側ゲート電極12が半導体層2の第1主面2aに形成される。そして、第1層間絶縁膜31および第2層間絶縁膜32が、たとえばプラズマCVD法(化学的気相成長法)によって形成される。その後、熱処理(アニール)が行われて、層間絶縁膜30の平坦化が図られる。この状態を
図5Aに示す。
【0043】
次に、レジストマスク(図示せず)を介するドライエッチング(たとえばRIE:Reactive Ion Etching)によって、層間絶縁膜30およびゲート絶縁膜17を貫通する開口60が形成される。その後、レジストマスクが取り除かれる。この状態を
図5Bに示す。ドライエッチングは、たとえば、層間絶縁膜30およびゲート絶縁膜17の材料(たとえば酸化シリコン)を異方性エッチングする条件で行われる。したがって、開口は、第1主面2aにほぼ垂直な内側面61を有する。
【0044】
次に、層間絶縁膜30をマスクとして利用するドライエッチング(たとえばRIE)によって、半導体層2の第1主面2aにトレンチ45が形成される。この状態を
図5Cに示す。ドライエッチングは、半導体層2の材料(たとえばシリコン)を異方性エッチングする条件で行われる。したがって、トレンチ45は、第1主面2aにほぼ垂直な内側面46を有する。その一方で、層間絶縁膜30では横方向(第1主面2aに平行な方向)のエッチングが進むので、開口60が拡げられる。
【0045】
第1層間絶縁膜31および第2層間絶縁膜32は材料が異なるので、横方向のエッチングのレートが異なる。それに応じて、第1層間絶縁膜31および第2層間絶縁膜32の開口幅が異なり、それらの内側面の傾斜角が異なる。具体的には、第2層間絶縁膜32に形成される第2開口42の開口幅が第1層間絶縁膜31に形成される第1開口41の開口幅よりも大きくなる。また、第2開口42の内側面の傾斜角が、第1開口41の内側面の傾斜角よりも大きくなる。ここでの「傾斜角」は、第1主面2aの法線方向Zに対して内側面がなす角をいう。
【0046】
次に、たとえばCVD法によってバリアメタル層24が形成される。さらに、たとえばCVD法によってタングステン膜65が形成される。タングステン膜65は、バリアメタル層24を介してコンタクト開口40内に入り込み、半導体層2に形成されたトレンチ45に埋め込まれる。この状態を
図5Dに示す。
次いで、タングステン膜65がエッチバックされ、コンタクト開口40外の層間絶縁膜30上のタングステン膜65が除去される。これにより、コンタクト開口40内に埋め込まれたタングステンプラグ20が得られる。
【0047】
その後、層間絶縁膜30およびタングステンプラグ20の表面を覆うバリアメタル層51が、たとえばスパッタリングによって形成される。さらに、バリアメタル層51上に、たとえばスパッタリングによって主電極層52が形成されることにより、電極膜50が形成される。この電極膜50は、ゲート端子電極6とソース端子電極5とに分離される。
また、半導体層2の第2主面2bにも電極膜50が形成されてドレイン端子電極8とされる。こうして、
図4の構成が得られる。
【0048】
電極膜50の表面には、必要に応じて、パッシベーション膜(図示せず)が形成される。パッシベーション膜には、ゲート端子電極6およびソース端子電極5のパッド領域を露出させる開口が形成される。
図3を参照して説明したとおり、ゲートコンタクト10は、ソースコンタクト20と実質的に等しい幅を有している。ゲートコンタクト10の構成は、ソースコンタクト20の構成と実質的に同じである。すなわち、ゲートコンタクト10は層間絶縁膜30に埋め込まれたタングステンプラグで構成されている。より具体的には、外側ゲート電極12の直上において層間絶縁膜30にコンタクト開口が形成される。このコンタクト開口は、ソースコンタクト20のためのコンタクト開口40と同じ工程で形成され、層間絶縁膜30を貫通して外側ゲート電極12に達する。ソースコンタクト20のためのタングステンプラグ20が形成されるのと同じ工程において、ゲートコンタクト10のためのタングステンプラグが外側ゲート電極12の直上において層間絶縁膜30に埋め込まれる。このタングステンプラグは、電極膜50においてゲート端子電極6の領域に接する頂部と、外側ゲート電極12に接する底部とを有する。
【0049】
以上のように、この実施形態の半導体装置1は、一方側の第1主面2aおよび他方側の第2主面2bを有する半導体層2と、半導体層2の第1主面2a上に間隔を空けて配置された複数のゲート電極11と、ゲート電極11を覆うように半導体層2の第1主面2a上に形成された層間絶縁膜30と、層間絶縁膜30上に形成された電極膜50と、隣り合う一対のゲート電極11の間に配置された複数のタングステンプラグ20と、を含む。複数のタングステンプラグ20は、隣り合う一対のゲート電極11が対向する方向に間隔を空けて層間絶縁膜30に形成された複数のコンタクト開口40にそれぞれ埋め込まれている。各タングステンプラグ20は、半導体層2に接触する底部、および電極膜50に接触する頂部を有する。
【0050】
この構成によれば、一対のゲート電極11の間に、それらの対向方向に間隔を空けて、複数のコンタクト開口40が層間絶縁膜30に形成されている。その複数のコンタクト開口40に複数のタングステンプラグ20がそれぞれ埋め込まれる。タングステンプラグ20は、コンタクト開口40に対する良好な埋め込み性を有する。したがって、ゲート電極11間の間隔が狭く、それに応じてコンタクト開口40が小さくても、タングステンプラグ20の底部は半導体層2に良好に接触するので、それらの間の接触不良を抑制または防止できる。
【0051】
一方、複数のタングステンプラグ20が一対のゲート電極11の間に分散配置された複数のコンタクト開口40にそれぞれ埋め込まれているので、タングステンプラグ20の応力は小さい。したがって、タングステンプラグ20の応力に起因するプロセス上の問題を回避でき、かつデバイス特性の不良を抑制または防止できる。また、複数のタングステンプラグ20をゲート電極11の間に分散配置する構成であるので、ゲート電極11の間隔を狭める必要がない。したがって、基本レイトアウトの変更を要しない。また、タングステンプラグ20の応力に起因する基板の反り等の問題を回避できるので、薄いウエハプロセスへの適用も可能である。
【0052】
タングステンプラグ20の頂部は、層間絶縁膜30上に形成された電極膜50に接触する。したがって、電極膜50は、タングステンプラグ20を介して半導体層2に電気的に接続される。
こうして、基本的なレイアウトを変更することなく、電極の接続が良好で、かつデバイス特性も良好な半導体装置1を提供できる。
【0053】
この実施形態では、複数のゲート電極11が、半導体層2の第1主面2aに沿う第1方向Xに間隔を空けて配置されている。各ゲート電極11は、第1方向Xに交差(直交)する第2方向Yに延びている。複数のコンタクト開口40は、第1方向Xに間隔を空けて配置されている。各コンタクト開口40は、第2方向Yに延びている。複数のタングステンプラグ20は、コンタクト開口40と整合するように、第1方向Xに間隔を空けて配置されている。各タングステンプラグ20は、第2方向Yに延びている。
【0054】
この構成により、第2方向Yに延びるゲート電極11に沿ってコンタクト開口40が延びており、それに応じて、タングステンプラグ20がゲート電極11に沿って延びている。その一方で、コンタクト開口40が第1方向Xに間隔を空けて配置されており、それに応じて、タングステンプラグ20が第1方向Xに間隔を空けて配置されている。こうして、タングステンプラグ20の応力を低減しながら、基本的なレイアウトを変更することなく、電極の接続が良好な半導体装置1を提供できる。
【0055】
また、この実施形態では、タングステンプラグ20の第2方向Yの長さが、ゲート電極11の第2方向Yの長さよりも小さい。これにより、タングステンプラグ20の応力を一層低減できるので、デバイス特性の良好な半導体装置1を提供できる。
この実施形態では、複数のタングステンプラグ20は、第1方向Xおよび第2方向Yに沿って、隣り合う一対のゲート電極11の間に、アレイ状に配列されている。これにより、複数のタングステンプラグ20を一対のゲート電極11の間に均等に分散配置できるので、タングステンプラグ20の応力を一層低減して、デバイス特性の向上に寄与できる。
【0056】
ゲート電極11に沿って第2方向Yに整列した複数のタングステンプラグ20を一纏めにして一つのタングステンプラグ20と考えるとすると、この実施形態では、各タングステンプラグ20は、第2方向Yに関して、複数のプラグセグメントに分断されていると言える。これにより、タングステンプラグ20の第2方向Yの応力を低減できるので、デバイス特性を向上できる。
【0057】
この実施形態では、コンタクト開口40に連なる凹部(この実施形態ではトレンチ45)が半導体層2の第1主面2aに形成されている。タングステンプラグ20の底部は、凹部(この実施形態ではトレンチ45)内において半導体層2に接触している。この構成により、タングステンプラグ20と半導体層2との間に充分な接触面積を確保できるので、それらの間の電気的接続を確実にすることができる。それにより、電極接続の良好な半導体装置1を提供できる。
【0058】
この実施形態では、層間絶縁膜30は、ゲート電極11に接する第1絶縁材料の第1層間絶縁膜31と、第1絶縁材料とは異なる第2絶縁材料からなり、第1層間絶縁膜31を覆う第2層間絶縁膜32とを含む。より詳細には、この実施形態では、第1絶縁材料がリンおよびボロンをいずれも含まない酸化シリコン(たとえばUSG)であり、第2絶縁材料がリンおよびボロンを含む酸化シリコン(たとえばBPSG)である。それに応じて、この実施形態では、コンタクト開口40が、第1層間絶縁膜31を貫通する第1開口41と、第2層間絶縁膜32を貫通する第2開口42とを有する。
【0059】
そして、この実施形態では、第2開口42の開口幅は、第1開口41の開口幅よりも大きい。それに応じて、タングステンプラグ20は、第1層間絶縁膜31の第1開口41に埋め込まれた第1部分21は幅狭であり、第2層間絶縁膜32の第2開口42に埋め込まれた第2部分22は幅広である。したがって、これにより、タングステンプラグ20のコンタクト開口40への埋込性が良くなる。また、タングステンプラグ20は、電極膜50と接触する頂部が大きな面積を有するのでそれらの間の電気的接続が確実になる。その一方で、半導体層2の第1主面2aの近傍ではタングステンプラグ20は幅狭であるので、
ゲート間の狭い領域で半導体層2と接続することができる。
【0060】
第1開口41の開口幅とは、第1層間絶縁膜31の表面(半導体層2から遠い側の表面)での第1開口41の幅をいう。同様に、第2開口42の開口幅とは、第2層間絶縁膜32の表面(半導体層2から遠い側の表面)での第2開口42の幅をいう。この場合、幅とは、主として第1方向Xの幅をいう。ただし、第2方向Yに関しても、第2開口42の幅が第1開口41の幅よりも広くてもよい。
【0061】
また、この実施形態では、コンタクト開口40が、半導体層2の第1主面2aに向かって狭まるテーパー状断面を有している。これにより、タングステンプラグ20の埋込性が一層良いので、電極接続を確実にすることができる。
隣接するゲート電極11の間隔は、たとえば、1μm以上3μm以下である。より具体的には、隣接するゲート電極11の間隔は、1μm以上1.5μm以下、1.5μm以上2.0μm以下、2.0μm以上2.5μm以下、および2.5μm以上3.0μm以下のうちの一つ以上の範囲を含む。このような場合に、とくにタングステンプラグ20の使用により、電極接続を確実にすることができる。
【0062】
層間絶縁膜30の表面におけるコンタクト開口40の開口幅(たとえば、第1方向Xの幅)と、コンタクト開口40の層間絶縁膜30の表面から第1主面2aまでの深さとの比(アスペクト比)は、たとえば、1以上5以下である。より具体的には、前記の比(アスペクト比)は、1以上1.5以下、1.5以上2以下、2以上2.5以下、2.5以上3以下、3以上3.5以下、3.5以上4以下、4以上4.5以下、および4.5以上5以下のうちの一つ以上の範囲を含む。このような場合に、とくにタングステンプラグ20の使用により、電極接続を確実にすることができる。
【0063】
この実施形態では、電極膜50は、タングステンよりも応力の低い金属材料からなる。たとえば、電極膜50は、アルミニウムを主成分とする金属層を含む。このような金属層は、コンタクト開口40に対する埋め込み性がタングステンよりも低い一方で、タングステンよりも応力が小さい。それにより、それにより、電極膜50の応力に起因するデバイス特性の低下を抑制または防止でき、かつ確実な電極接続を図ることができる。
【0064】
この実施形態では、半導体層2が、第1導電型(この実施形態ではn型)のドリフト領域13と、半導体層2の第1主面2aの表層部に形成され、隣り合う一対のゲート電極11に跨がる範囲に形成された第2導電型(この実施形態ではp型)のボディ領域14と、ボディ領域14内に形成された第1導電型領域(ソース領域15)と、ボディ領域14内に形成され、ボディ領域14よりも不純物濃度の高い第2導電型領域(コンタクト領域16)と、を含む。各タングステンプラグ20は、第1導電型領域(ソース領域15)と、第2導電型領域(コンタクト領域16)とに接触している。これにより、タングステンプラグ20によって、電極膜50を、ソース領域15およびボディ領域14に共通に接続することができる。
【0065】
以上、この発明の一実施形態について説明してきたが、この発明は、さらに他の形態で実施することもできる。たとえば、前述の実施形態では、第1導電型がn型、第2導電型がp型の例について説明したが、第1導電型がp型、第2導電型がn型であってもよい。この場合の具体的な構成は、前述の説明および添付図面において、n型領域をp型領域に置き換え、p型領域をn型領域に置き換えることによって得られる。
【0066】
また、前述の実施形態では、第1方向Xに整合する複数のソースコンタクト20(タングステンプラグ20)の第2方向Yの位置が等しいが、必ずしもこの配置である必要はない。すなわち、第1方向Xの位置が異なる複数のソースコンタクト20(タングステンプラグ20)の第2方向Yの位置が異なっていてもよい。
また、前述の実施形態では、隣接する一対のゲート電極11の間に、複数のソースコンタクト20(タングステンプラグ20)が2列に配列されているが、3列以上に配列されてもよい。
【0067】
また、前述の実施形態では、各ソースコンタクト20(タングステンプラグ20)は、第2方向Yに延びた帯状(矩形状)に形成されているが、たとえば、各ソースコンタクト20(タングステンプラグ20)は、平面視において、第1方向Xおよび第2方向Yの長さがほぼ等しいドット状に形成されてもよい。このようなドット状のソースコンタクト20(タングステンプラグ20)が隣接する一対のゲート電極11の間に分散して配列されていてもよい。
【0068】
前述の実施形態では、半導体層2の材料としてシリコンが例示されたが、たとえば、
図6に示されるように、炭化シリコン(具体的にはSiC単結晶)からなる半導体層2(つまりSiC半導体層)を有する半導体装置1(SiC半導体装置)が採用されてもよい。
図6は、
図4に対応し、半導体装置1においてSiC単結晶からなる半導体層2が適用された場合の構造を説明するための断面図である。以下では、既出の構造については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0069】
半導体層2は、六方晶のSiC単結晶からなることが好ましい。六方晶のSiC単結晶は、原子配列の周期に応じて、2H(Hexagonal)-SiC単結晶、4H-SiC単結晶および6H-SiC単結晶を含む複数種のポリタイプを有している。半導体層2は、複数種のポリタイプのうち、4H-SiC単結晶からなることが好ましい。むろん、半導体層2のSiC単結晶は、4H-SiC単結晶以外のポリタイプからなっていてもよい。
【0070】
半導体層2の第1主面2aおよび第2主面2bは、SiC単結晶のc面によって形成されていることが好ましい。c面は、SiC単結晶の(0001)面(シリコン面)および(000-1)面(カーボン面)である。この場合、第1主面2aが(0001)面によって形成され、第2主面2bが(000-1)面によって形成されていることが特に好ましい。むろん、第1主面2aが(000-1)面によって形成され、第2主面2bが(0001)面によって形成されていてもよい。
【0071】
第1方向XがSiC単結晶のm軸方向に設定され、第2方向YがSiC単結晶のa軸方向に設定されてもよい。この場合、前述の説明において、「第1方向X」を「m軸方向」に読み替え、「第2方向Y」を「a軸方向」に読み替えればよい。これとは反対に、第1方向Xがa軸方向に設定され、第2方向Yがm軸方向に設定されてもよい。この場合、前述の説明において、「第1方向X」を「a軸方向」に読み替え、「第2方向Y」を「m軸方向」に読み替えればよい。
【0072】
図6では、第1方向Xがm軸方向に設定され、第2方向Yがa軸方向に設定された例が示されている。a軸方向は、SiC単結晶の[11-20]方向および[-1-120]方向である。m軸方向は、SiC単結晶の[1-100]方向および[-1100]方向である。
第1主面2aおよび第2主面2bは、SiC単結晶のc面に対してオフ方向に10°以下の角度で傾斜したオフ角θを有していてもよい。オフ方向は、a軸方向であることが好ましい。この場合、SiC単結晶のc軸は、半導体層2の法線方向Zに対してオフ角θ分だけ傾斜する。SiC単結晶のc軸は、c面の法線方向である。
【0073】
オフ角θは、0°を超えて2°以下、2°以上4°以下、4°以上6°以下、6°以上8°以下、および、8°以上10°以下の範囲に設定されてもよい。オフ角θは、0°を超えて5°以下に設定されていることが好ましい。オフ角θは、たとえば、3.0°以上4.5°以下の角度の範囲に設定されていてもよい。この場合、オフ角θは、3.0°以上3.5°以下、または、3.5°以上4.0°以下であることが好ましい。オフ角θは、たとえば、1.5°以上3.0°以下の角度の範囲に設定されていてもよい。この場合、オフ角θは、1.5°以上2.0°以下、または、2.0°以上2.5°以下であることが好ましい。むろん、オフ角θを有さない半導体層2が採用されてもよい。
【0074】
半導体層2がa軸方向に傾斜したオフ角θを有する場合、
図6に示される通り、第1方向Xがm軸方向に設定され、第2方向Yがa軸方向に設定されることが好ましい。この場合、トレンチ45は、複数のソースコンタクト20(タングステンプラグ20)のパターンに対応して、a軸方向にそれぞれ延び、m軸方向に間隔を空けて形成される。
つまり、トレンチ45の壁面は、SiC単結晶のm面、a面およびc面によって区画される。m面は、SiC単結晶においてm軸方向に直交する面(つまりa軸方向に沿って延びる面)である。a面は、SiC単結晶においてa軸方向に直交する面(つまりm軸方向に沿って延びる面)である。c面は、具体的にはシリコン面である。トレンチ45のうちa軸方向に延びる長手側壁は、m面によって形成される。また、トレンチ45のうちm軸方向に延びる短手側壁は、a面によって形成される。また、トレンチ45の底壁は、オフ角θが導入されたc面によって形成される。
【0075】
この構造において、トレンチ45の長手側壁はオフ角θの傾斜方向に一致したa軸方向(つまりオフ方向)に延びているので、オフ角θに起因する傾斜は抑制される。一方、トレンチ45の短手側壁はオフ角θの傾斜方向に直交するm軸方向に延びているので、オフ角θに起因してc軸方向に沿って延びる傾斜面が形成される。しかし、トレンチ45の短手側壁の幅はトレンチ45の長手側壁の幅と比較して極めて小さいため、トレンチ45の短手側壁に導入される傾斜面は限定的である。
【0076】
これにより、トレンチ45の壁面にオフ角θに起因する傾斜が形成されることを抑制できるので、コンタクト開口40を適切にトレンチ45に連通させることができる。その結果、コンタクト開口40(トレンチ45)へのタングステンプラグ20の埋込性が良くなる。
以下、この明細書および図面から抽出される特徴の例を示す。
【0077】
ゲート電極を含む単位セルを半導体基板上に高密度で配置することにより、チャネル幅を拡大でき、オン抵抗を低減できる。この目的のために、ゲート電極の間隔が狭められる。それに応じて、コンタクト開口の幅が狭くなるから、層間絶縁膜に形成されるコンタクト開口のアスペクト比が大きくなる。アスペクト比は、たとえば、コンタクト開口の幅に対する深さの比によって定義される。
【0078】
典型的な電極材料であるアルミニウムは、開口への埋込性が必ずしも良好ではない。そのため、アスペクト比の高いコンタクト開口にアルミニウム電極膜を埋め込もうとすると、ボイドが生じるおそれがあり、バリアメタルと電極膜との接触抵抗が高くなったり、接触不良を生じたりするおそれがある。そこで、以下では、電極の接続が良好で、かつデバイス特性も良好な半導体装置を提供する。
【0079】
[A1]一方側の第1主面(2a)および他方側の第2主面(2b)を有するSiC半導体層(2)と、前記SiC半導体層(2)の前記第1主面(2a)上に間隔を空けて配置された複数のゲート電極(11)と、前記ゲート電極(11)を覆うように前記SiC半導体層(2)の前記第1主面(2a)上に形成された層間絶縁膜(30)と、前記層間絶縁膜(30)上に形成された電極膜(50)と、隣り合う一対の前記ゲート電極(11)の間において、当該一対のゲート電極(11)が対向する方向に間隔を空けて前記層間
絶縁膜(30)に形成された複数のコンタクト開口(40)にそれぞれ埋め込まれ、前記SiC半導体層(2)に接触する底部、および前記電極膜(50)に接触する頂部を有する、複数のタングステンプラグ(20)と、を含むSiC半導体装置(1)。この構成により、電極の接続が良好で、かつデバイス特性も良好なSiC半導体装置を提供できる。
【0080】
[A2]前記複数のゲート電極(11)が、SiC単結晶のm軸方向に間隔を空けて配置されており、各ゲート電極(11)が、SiC単結晶のa軸方向に延びており、前記複数のコンタクト開口(40)が前記m軸方向に間隔を空けて配置され、各コンタクト開口(40)が前記a軸方向に延びており、前記複数のタングステンプラグ(20)が、前記コンタクト開口(40)と整合するように、前記m軸方向に間隔を空けて配置され、各タングステンプラグ(20)が前記a軸方向に延びている、A1に記載のSiC半導体装置(1)。
【0081】
[A3]前記タングステンプラグ(20)の前記a軸方向の長さが、前記ゲート電極(11)の前記a軸方向の長さよりも小さい、A2に記載のSiC半導体装置(1)。
[A4]前記複数のタングステンプラグ(20)が、前記m軸方向および前記a軸方向に沿って、前記隣り合う一対のゲート電極(11)の間に、アレイ状に配列されている、A2またはA3に記載のSiC半導体装置(1)。
【0082】
[A5]各タングステンプラグ(20)が、前記a軸方向に関して、複数のプラグセグメントに分断されている、A2に記載のSiC半導体装置(1)。
[A6]前記複数のゲート電極(11)が、SiC単結晶のa軸方向に間隔を空けて配置されており、各ゲート電極(11)が、SiC単結晶のm軸方向に延びており、前記複数のコンタクト開口(40)が前記a軸方向に間隔を空けて配置され、各コンタクト開口(40)が前記m軸方向に延びており、前記複数のタングステンプラグ(20)が、前記コンタクト開口(40)と整合するように、前記a軸方向に間隔を空けて配置され、各タングステンプラグ(20)が前記m軸方向に延びている、A1に記載のSiC半導体装置(1)。
【0083】
[A7]前記タングステンプラグ(20)の前記m軸方向の長さが、前記ゲート電極(11)の前記m軸方向の長さよりも小さい、A6に記載のSiC半導体装置(1)。
[A8]前記複数のタングステンプラグ(20)が、前記a軸方向および前記m軸方向に沿って、前記隣り合う一対のゲート電極(11)の間に、アレイ状に配列されている、A6またはA7に記載のSiC半導体装置(1)。
【0084】
[A9]各タングステンプラグ(20)が、前記m軸方向に関して、複数のプラグセグメントに分断されている、A6に記載のSiC半導体装置(1)。
[A10]前記コンタクト開口(40)に連なる凹部(45)が前記SiC半導体層(2)の前記第1主面(2a)に形成されており、前記タングステンプラグ(20)の底部が前記凹部(45)内において前記SiC半導体層(2)に接触している、A1~A9のいずれか一つに記載のSiC半導体装置(1)。
【0085】
[A11]前記層間絶縁膜(30)は、前記ゲート電極(11)に接する第1絶縁材料の第1層間絶縁膜(31)と、前記第1絶縁材料とは異なる第2絶縁材料からなり、前記第1層間絶縁膜(31)を覆う第2層間絶縁膜(32)とを含む、A1~A10のいずれか一つに記載のSiC半導体装置(1)。
[A12]前記第1絶縁材料がリンおよびボロンをいずれも含まない酸化シリコンであり、前記第2絶縁材料がリンおよびボロンを含む酸化シリコンである、A11に記載のSiC半導体装置(1)。
【0086】
[A13]前記コンタクト開口(40)が、前記第1層間絶縁膜(31)を貫通する第1開口(41)と、前記第2層間絶縁膜(32)を貫通する第2開口(42)とを有し、前記第2開口(42)の開口幅が前記第1開口(41)の開口幅よりも大きい、A11またはA12に記載のSiC半導体装置(1)。
[A14]前記コンタクト開口(40)が、前記SiC半導体層(2)の前記第1主面(2a)に向かって狭まるテーパー状断面を有している、A1~A13のいずれか一つに記載のSiC半導体装置(1)。
【0087】
[A15]隣接する前記ゲート電極(11)の間隔が1μm以上3μm以下である、A1~A13のいずれか一つに記載のSiC半導体装置(1)。
[A16]前記層間絶縁膜(30)の表面における前記コンタクト開口(40)の開口幅と、前記コンタクト開口(40)の前記層間絶縁膜(30)の表面から前記第1主面(2a)までの深さとの比が、1以上5以下である、A1~A15のいずれか一項に記載のSiC半導体装置(1)。
【0088】
[A17]前記電極膜(50)が、タングステンよりも応力の低い金属材料からなる、A1~A16のいずれか一つに記載のSiC半導体装置(1)。
[A18]前記電極膜(50)が、アルミニウムを主成分とする金属層を含む、A1~A17のいずれか一つに記載のSiC半導体装置(1)。
[A19]前記SiC半導体層(2)が、第1導電型のドリフト領域(13)と、前記SiC半導体層(2)の前記第1主面(2a)の表層部に形成され、前記隣り合う一対のゲート電極(11)に跨がる範囲に形成された第2導電型のボディ領域(14)と、前記ボディ領域(14)内に形成された第1導電型領域(15)と、前記ボディ領域(14)内に形成され、前記ボディ領域(14)よりも不純物濃度の高い第2導電型領域(16)と、を含み、各タングステンプラグ(20)が、前記第1導電型領域(15)と、前記第2導電型領域(16)とに接触している、A1~A18のいずれか一つに記載のSiC半導体装置(1)。
【0089】
[A20]前記第1主面(2a)は、10°以下のオフ角を有している、A1~A19のいずれか一つに記載のSiC半導体装置(1)。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0090】
1 半導体装置
2 半導体層
5 ソース端子電極
6 ゲート端子電極
8 ドレイン端子電極
10 ゲートコンタクト
11 ゲート電極
12 外側ゲート電極
13 ドリフト領域
14 ボディ領域
15 ソース領域
16 コンタクト領域
17 ゲート絶縁膜
18 ドレイン領域
20 ソースコンタクト(タングステンプラグ)
21 第1部分
22 第2部分
23 第3部分
24 バリアメタル層
25 タングステン層
30 層間絶縁膜
31 第1層間絶縁膜
32 第2層間絶縁膜
40 コンタクト開口
41 第1開口
42 第2開口
45 トレンチ
50 電極膜(ソース端子電極)
65 タングステン膜