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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138117
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
A63F7/02 316A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024121942
(22)【出願日】2024-07-29
(62)【分割の表示】P 2020051953の分割
【原出願日】2020-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000144522
【氏名又は名称】株式会社三洋物産
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 成弘
(72)【発明者】
【氏名】北野 達也
(57)【要約】
【課題】スペースの有効活用を図ることにより、遊技者にとっての興趣の向上等を図ることのできる遊技機を提供する。
【解決手段】パチンコ機は、遊技盤30と、これを支持する内枠12と、その前面側に設けられた前面枠セットと、遊技球を発射する発射装置60とを備えている。遊技盤30の前面側には、発射装置60により発射された遊技球が案内される遊技領域が設けられている。そして、遊技領域内に設けられた始動入賞口33A,33Bへ遊技球が入球した場合には当たり抽選を行い、所定の抽選結果が得られた場合には、遊技者に有利な当たり状態を発生させる。当たり状態が発生すると、可変入賞装置32の開閉シャッタが開閉し、大入賞口が開放される。大入賞口へ遊技球を入賞させることにより、遊技者は所定数の賞球を獲得することができる。可変入賞装置32(大入賞口)は、内枠12のうち遊技盤30よりも下方に位置する部位に設けられている。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の遊技盤と、
前記遊技盤を支持する支持部材と、
遊技球を発射可能な発射手段と、
前記発射手段によって発射された遊技球を案内可能なレール部材と
前記レール部材により案内される遊技球が流下可能となるよう前記遊技盤の前面部に設けられ、少なくとも一部が前記レール部材により画定された遊技領域と、
正面視で所定の表示装置の所定表示領域を囲むように前記遊技盤に設けられた枠状部材と、
前記遊技領域のうち、少なくとも前記枠状部材の左側方領域を通過するように前記発射手段によって発射された遊技球が到達可能な位置において、該遊技球が入球可能に設けられた第1始動入球手段と、
前記遊技領域のうち、少なくとも前記枠状部材の右側方領域を通過するように前記発射手段によって発射された遊技球が到達可能な位置において、該遊技球が入球可能に設けられた契機入球手段と、
前記遊技領域のうち、少なくとも前記枠状部材の右側方領域を通過するように前記発射手段によって発射された遊技球が到達可能な位置において設けられ、少なくとも前記契機入球手段への入球に基づき所定開放条件が成立している場合に、遊技球が入球不能な第1状態と、遊技球が入球可能な第2状態との間で状態変化可能な第2始動入球手段と、
前記第1始動入球手段又は前記第2始動入球手段への遊技球の入球に起因して所定の当否抽選を行う抽選手段と、
変化表示を行った後、前記当否抽選の抽選結果に基づく所定態様で停止表示を行う表示手段と、
前記当否抽選により所定の当選結果が得られた場合に、遊技者に有利な所定の遊技状態を発生させ得る遊技状態発生手段とを備えた遊技機であって、
前記遊技領域を流下する遊技球が所定の開口部を介して流入可能な特定流入領域と、
前記所定の遊技状態が発生した場合において、前記特定流入領域を、少なくとも遊技者に有利となる特定状態と、該特定状態よりも遊技者に有利とならない所定状態とに状態を変化させ得る切替手段とを備え、
前記特定状態においては、前記特定流入領域へ流入した遊技球を、遊技者に対し所定の遊技価値を付与し得る遊技球として検知可能、かつ、前記所定の遊技価値を付与しない遊技球としては検知不能な状態となるよう構成され、
前記所定状態においては、前記特定流入領域へ流入した遊技球を、遊技者に対し前記所定の遊技価値を付与しない遊技球として検知可能、かつ、前記所定の遊技価値を付与し得る遊技球としては検知不能な状態となるよう構成されていることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機等の遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技機の一種として、遊技球を発射して遊技を行うパチンコ機が知られている。パチンコ機には、発射された遊技球が案内される遊技領域を前面側に有した遊技盤が設けられている。遊技盤には、遊技領域に案内された遊技球が入賞可能な各種入賞手段や、いずれの入賞手段にも入賞しなかった遊技球を遊技領域外へ排出するためのアウト口などが設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなパチンコ機においては、例えば始動入賞手段に遊技球が入賞することに基づき所定の抽選処理を行い、所定の抽選結果が得られた場合に、遊技者に有利な当たり状態を発生させる。当たり状態が発生すると、特別入賞手段が開放され、ここへ遊技球を入賞させることにより、遊技者は所定数の遊技価値を獲得することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-86946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の遊技機においては、さらなる興趣の向上が望まれていた。
【0006】
本発明は、上記例示した事情等に鑑みてなされたものであり、その目的は、遊技者にとっての興趣の向上等を図ることのできる遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明に係る遊技機は、
所定の遊技盤と、
前記遊技盤を支持する支持部材と、
遊技球を発射可能な発射手段と、
前記発射手段によって発射された遊技球を案内可能なレール部材と
前記レール部材により案内される遊技球が流下可能となるよう前記遊技盤の前面部に設けられ、少なくとも一部が前記レール部材により画定された遊技領域と、
正面視で所定の表示装置の所定表示領域を囲むように前記遊技盤に設けられた枠状部材と、
前記遊技領域のうち、少なくとも前記枠状部材の左側方領域を通過するように前記発射手段によって発射された遊技球が到達可能な位置において、該遊技球が入球可能に設けられた第1始動入球手段と、
前記遊技領域のうち、少なくとも前記枠状部材の右側方領域を通過するように前記発射手段によって発射された遊技球が到達可能な位置において、該遊技球が入球可能に設けられた契機入球手段と、
前記遊技領域のうち、少なくとも前記枠状部材の右側方領域を通過するように前記発射手段によって発射された遊技球が到達可能な位置において設けられ、少なくとも前記契機入球手段への入球に基づき所定開放条件が成立している場合に、遊技球が入球不能な第1状態と、遊技球が入球可能な第2状態との間で状態変化可能な第2始動入球手段と、
前記第1始動入球手段又は前記第2始動入球手段への遊技球の入球に起因して所定の当否抽選を行う抽選手段と、
変化表示を行った後、前記当否抽選の抽選結果に基づく所定態様で停止表示を行う表示手段と、
前記当否抽選により所定の当選結果が得られた場合に、遊技者に有利な所定の遊技状態を発生させ得る遊技状態発生手段とを備えた遊技機であって、
前記遊技領域を流下する遊技球が所定の開口部を介して流入可能な特定流入領域と、
前記所定の遊技状態が発生した場合において、前記特定流入領域を、少なくとも遊技者に有利となる特定状態と、該特定状態よりも遊技者に有利とならない所定状態とに状態を変化させ得る切替手段とを備え、
前記特定状態においては、前記特定流入領域へ流入した遊技球を、遊技者に対し所定の遊技価値を付与し得る遊技球として検知可能、かつ、前記所定の遊技価値を付与しない遊技球としては検知不能な状態となるよう構成され、
前記所定状態においては、前記特定流入領域へ流入した遊技球を、遊技者に対し前記所定の遊技価値を付与しない遊技球として検知可能、かつ、前記所定の遊技価値を付与し得る遊技球としては検知不能な状態となるよう構成されていることをその要旨としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の遊技機によれば、遊技者にとっての興趣の向上等を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態におけるパチンコ機を示す正面図である。
図2】パチンコ機を示す斜視図である。
図3】内枠及び前面枠セットを開放した状態を示す斜視図である。
図4】内枠及び遊技盤等の構成を示す正面図である。
図5】パチンコ機の構成を示す背面図である。
図6】内枠及び裏パックユニット等を開放した状態を示す斜視図である。
図7】内枠及び遊技盤等の構成を示す部分拡大正面図である。
図8】内枠及び遊技盤等の構成を示す部分拡大背面図である。
図9】閉状態にある可変入賞装置等を示す図7におけるA-A線部分断面図である。
図10】開状態にある可変入賞装置等を示す図7におけるA-A線部分断面図である。
図11】閉状態にある可変入賞装置等を示す図7におけるB-B線部分断面図である。
図12】開状態にある可変入賞装置等を示す図7におけるB-B線部分断面図である。
図13】パチンコ機の主な電気的構成を示すブロック図である。
図14】遊技制御に用いる各種カウンタの概要を示す説明図である。
図15】主制御装置によるメイン処理を示すフローチャートである。
図16】主制御装置による通常処理を示すフローチャートである。
図17】タイマ割込み処理を示すフローチャートである。
図18】始動入賞処理を示すフローチャートである。
図19】大当たり判定処理を示すフローチャートである。
図20】リーチ判定処理を示すフローチャートである。
図21】スルーゲート通過処理を示すフローチャートである。
図22】遊技状態チェック処理を示すフローチャートである。
図23】抽選モードフラグ、サポートモードフラグ、遊技状態特定カウンタ及び遊技状態判定値の対応関係を示す説明図である。
図24】第1表示制御処理を示すフローチャートである。
図25】変動終了時設定処理を示すフローチャートである。
図26】変動表示設定処理を示すフローチャートである。
図27】可変入賞装置制御処理を示すフローチャートである。
図28】第2表示制御処理を示すフローチャートである。
図29】開閉役物制御処理を示すフローチャートである。
図30】受信割込み処理を示すフローチャートである。
図31】払出制御装置のメイン処理を示すフローチャートである。
図32】タイマ割込み処理を示すフローチャートである。
図33】コマンド判定処理を示すフローチャートである。
図34】サブ制御装置の通常処理を示すフローチャートである。
図35】装飾図柄の決定に用いる各種カウンタの概要を示す説明図である。
図36】カウンタの更新処理を示すフローチャートである。
図37】サブ制御装置のコマンド判定処理を示すフローチャートである。
図38】変動表示設定処理を示すフローチャートである。
図39】保留表示設定処理を示すフローチャートである。
図40】大当たり種別を説明するための図である。
図41】第1大当たり種別判定テーブルの構成を示す図である。
図42】第2大当たり種別判定テーブルの構成を示す図である。
図43】(a)は、確変大当たり時・変動パターンテーブルの格納構成を示す図であり、(b)は、完全外れ時・変動パターンテーブルの格納構成を示す図である。
図44】通常状態の確変大当たり時・変動パターンテーブルの構成を示す図である。
図45】開閉パターン制御テーブルの構成を示す図である。
図46】通常状態における装飾図柄表示装置の表示態様の一例を示す模式図である。
図47】大当たり発生時における装飾図柄表示装置の表示態様の一例を示す模式図である。
図48】チャンスモード中における装飾図柄表示装置の表示態様の一例を示す模式図である。
図49】ゴールドモード中における装飾図柄表示装置の表示態様の一例を示す模式図である。
図50】ルーレット演出中における装飾図柄表示装置の表示態様の一例を示す模式図である。
図51】保留表示変更処理が行われた場合における装飾図柄表示装置の表示態様の一例を示す模式図である。
図52】別の実施形態に係る閉状態の可変入賞装置等を示す正面模式図である。
図53】別の実施形態に係る開状態の可変入賞装置等を示す正面模式図である。
図54】別の実施形態に係る内枠及び遊技盤等の構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、パチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)の一実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。ここで、図1はパチンコ機10の正面図であり、図2は斜視図であり、図3は内枠12及び前面枠セット14を開放した状態を示す斜視図である。図4は内枠12及び遊技盤30等の構成を示す正面図である。図5はパチンコ機10の背面図であり、図6は内枠12及び裏パックユニット203等を開放した状態を示す斜視図である。但し、図3では便宜上、遊技盤30面上に配設される釘や役物、前面枠セット14に取付けられるガラスユニット137等を省略して示している。
【0011】
図3等に示すように、パチンコ機10は、該パチンコ機10の外郭を構成する外枠11を備えており、この外枠11の一側部に内枠12が開閉可能に支持されている。内枠12が本実施形態における支持枠を構成する。
【0012】
外枠11は、図6等に示すように、上辺枠構成部11a及び下辺枠構成部11bが木製の板材により構成され、左辺枠構成部11c及び右辺枠構成部11dがアルミニウム合金製の押出成形材により構成され、これら各枠構成部11a~11dがネジ等の離脱可能な締結具により全体として矩形枠状に組み付けられている。
【0013】
左辺枠構成部11cの上下端部には、それぞれ上ヒンジ81及び下ヒンジ82が取着されている(図1参照)。当該上ヒンジ81及び下ヒンジ82にて、内枠12の上下部が回動可能に支持されており、これにより内枠12が開閉可能となる。そして、外枠11の内側に形成される空間部に内枠12等が収容される。
【0014】
また、右辺枠構成部11dには、その幅方向後端部近傍から外枠11内側へ向け突出した延出壁部83が形成されている。延出壁部83は、内枠12の右側部背面側に設けられる施錠装置600(図6参照)に対応する上下区間全域を内枠12の背面側から覆っている(図5参照)。加えて、図3に示すように、延出壁部83の前面側には、施錠装置600の係止部材が係止される上下一対の受部84,85が設けられている。また、下側の受部85には、後述する内枠開放検知スイッチ92に当接する押圧部86が、外枠11内側に向けて突設されている。
【0015】
さらに、下辺枠構成部11bには樹脂製の幕板飾り87が取着されている。幕板飾り87の上面奥部には、上方に突出するリブ88が一体形成されている。これにより内枠12との間に隙間が形成されにくくなっている。
【0016】
図3に示すように、内枠12の開閉軸線は、パチンコ機10の正面からみて左側において上下に沿って設定されており、この開閉軸線を軸心として内枠12が前方側に開放できるようになっている。内枠12は、外形が矩形状をなす樹脂製のベース枠38を主体に構成されており、当該ベース枠38の中央部には略楕円形状の窓孔39が形成されている。
【0017】
また、内枠12の前面側には前面枠セット14が開閉可能に取付けられている。前面枠セット14は、内枠12と同様に、パチンコ機10の正面から見て左側において上下に沿って設定された開閉軸線を軸心として前方側に開放できるようになっている。
【0018】
前面枠セット14は、内枠12と同様に外形が矩形状をなし、閉鎖状態においては内枠12の前面側ほぼ全域を覆う。前面枠セット14の中央部には略楕円形状の窓部101が形成されている。これにより、前面枠セット14の窓部101及び内枠12の窓孔39を介して、内枠12の後面に装着される遊技盤30(遊技領域30a)を外部から視認可能となる。遊技盤30の詳細な構成については後述する。前面枠セット14が本実施形態における前面枠を構成し、窓部101が視認窓を構成する。
【0019】
図1に示すように、前面枠セット14の前面側には、その下部中央において球受皿としての下皿15が設けられており、排出口16より排出された遊技球が下皿15内に貯留可能になっている。また、下皿15の手前側には、下皿15内から遊技球を排出するための球抜きレバー25が設けられている。
【0020】
加えて、下皿15の左部には、遊技者が操作可能な操作手段としての演出ボタン125が設けられている。演出ボタン125は、遊技者が押圧操作(下方に向かって押す操作)可能に構成されている。また、下皿15の内部には、演出ボタン125の押圧操作を検出するための操作検出スイッチ(図示略)が設けられている。そして、演出ボタン125が押圧操作された場合には、前記操作検出スイッチから後述するサブ制御装置262へ操作検出信号が出力される。これにより、遊技者が演出ボタン125を押圧操作することで、後述する装飾図柄表示装置42等において対応する演出が行われたり、演出内容が変更されたりする。
【0021】
下皿15の右方には、手前側に突出した遊技球発射ハンドル(以下、単にハンドルという)18が設けられている。尚、ハンドル18には、図示しないタッチセンサや、ハンドル18の操作部の操作量を検出するための図示しない操作量検出手段が設けられている。
【0022】
下皿15の上方には上皿19が設けられている。上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する発射手段としての遊技球発射装置(以下、単に発射装置という)60の方へ案内する球受皿である。尚、上皿19が遊技球で満杯になった状態では、払出される遊技球は、後述する下皿連通路71及び排出口16を介して、下皿15へと案内される。
【0023】
上皿19には球貸しボタン121と返却ボタン122とが設けられている。これにより、遊技ホール等において、パチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で球貸しボタン121が操作されると、その操作に応じて貸出球が上皿19に供給される。一方、返却ボタン122は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。但し、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿19に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では球貸しボタン121及び返却ボタン122は不要である。
【0024】
さらに、上皿19には、球抜きボタン123が設けられている。球抜きボタン123が押圧操作されることで、上皿19の球案内路の下流側に設けられ、下皿15に連通する連通孔(図示略)が開口し、上皿19に貯留されていた遊技球が下皿15へと案内される(落下する)。つまり、遊技者は、球抜きボタン123を操作することで、上皿19にある遊技球をいつでも下皿15に移すことができる。
【0025】
また、前面枠セット14の前面にはその周囲に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅といった発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすものである。例えば、窓部101の周縁には、LED等の発光手段を内蔵した枠ランプ102が設けられている。また、該枠ランプ102の両側部には、所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ104が設けられている。尚、枠ランプ102のうち各エラー表示ランプ104の上方部位には、前面枠セット14の背面に設けられるスピーカSP(図3参照)に対応して細かな透孔が多数形成されている。
【0026】
前面枠セット14の背面側にはガラス枠部14aが設けられ(図3参照)、ガラス枠部14aにガラスユニット137が取付けられている。ガラスユニット137は、所定間隔をあけて配設された前後一対の透明板としてのガラス板137a,137bを備えている(図9等参照)。
【0027】
次に、内枠12について図4を参照して説明する。上述した通り、内枠12のベース枠38には、窓孔39の後側において遊技盤30が装着されている。遊技盤30は、その周縁部(下縁部30bの左右方向中央部分を除く)がベース枠38の裏側に当接した状態で取着されている。従って、遊技盤30の前面部の略中央部分から下縁部30bの左右方向中央部までの範囲がベース枠38の窓孔39を通じて内枠12の前面側に露出した状態となっている。
【0028】
また、ベース枠38のうち、窓孔39(遊技盤30)よりも下方に位置する部位(以下、「ベース枠下部38A」という。)には、その前面側において、遊技球を発射する発射装置60が配設されている。本実施形態では、発射装置60としてソレノイド式発射装置を採用している。
【0029】
また、ベース枠下部38Aにおける発射装置60の上方位置には、上皿19から案内される遊技球を、内蔵された駆動手段(例えばソレノイド)の駆動により、1球ずつ発射装置60の発射位置(後述する発射レール61)へと案内する球送り装置63が設けられている。
【0030】
さらに、ベース枠下部38Aには、球送り装置63によって案内された遊技球が載置されると共に、発射装置60により打ち出された直後の遊技球を案内する発射レール61、並びに、発射レール61の延長線上に配設され、発射レール61から飛び出した遊技球を遊技盤30(後述する誘導レール54)まで案内する中継レール62が配設されている。発射レール61及び中継レール62により本実施形態における支持枠側レール部が構成される。
【0031】
尚、発射レール61及び中継レール62は、所定間隔をあけて配設されており、両者間には、遊技球が落下可能な落下孔部としてのファール球落下部65が形成されている。これにより、仮に発射装置60から発射された遊技球が遊技領域30aまで至らずファール球として誘導レール54を逆戻りする場合には、そのファール球が後述する前面側誘導部169の一方(誘導レール54側)の側壁部169bによってファール球落下部65へ案内され、ファール球落下部65を介して下方へ落下することとなる。従って、前記一方(誘導レール54側)の側壁部169bによって本実施形態におけるファール球案内部が構成されることとなる。
【0032】
また、図3に示すように、前面枠セット14の背面側には、窓部101の下方位置において、樹脂製のレール側壁部材(レール側壁部)69が設けられている。レール側壁部材69は、内枠12に対し前面枠セット14を閉じた際に、発射レール61及び中継レール62に沿って配置され、これらレール61,62の側壁部となる部位である。これにより、発射レール61及び中継レール62からの発射球のこぼれ落ちを防止している。
【0033】
次に、遊技盤30の構成について図4等を参照して説明する。遊技盤30の前面側には、金属製の薄肉鋼板により帯状に形成された外レール部材51、内レール部材52及び右レール部材53が円弧状に湾曲した状態で取付けられている。
【0034】
そして、遊技盤30の前面と、ガラスユニット137(ガラス板137b)の後面とによって前後が区画される遊技領域30aの外周縁が、主に、これらレール部材51~53によって略円形に画定されている。
【0035】
より具体的に、遊技盤30の正面視において、外レール部材51は、上記中継レール62と連なるように、遊技盤30の下縁部30bから、遊技盤30の左側縁部の上下方向略中央部付近にかけて左斜め上方へ向けて湾曲して延び、続いて遊技盤30の左側縁部の上下方向略中央部付近から、遊技盤30の上端縁の左右方向略中央部近傍にかけて右斜め上方へ向けて湾曲して延び、さらに遊技盤30の上端縁の左右方向略中央部近傍から遊技盤30の右斜め上部エリアにかけて右斜め下方へ向けて湾曲して延びるように、全体として略円弧状に配設されている。
【0036】
内レール部材52は、遊技盤30の下縁部30bの左右方向略中央部近傍(後述するアウト口36の左端部近傍)から遊技盤30の左斜め上部エリアにかけて、外レール部材51と並行するように湾曲して延び、全体として略円弧状に配設されている。
【0037】
右レール部材53は、遊技盤30の下縁部30bにおける左右方向略中央部近傍(後述するアウト口36の右端部近傍)から、遊技盤30の右斜め下部エリアにかけて右斜め上方へ向けて湾曲して延びるように、全体として略円弧状に配設されている。
【0038】
そして、遊技領域30aの外周縁は、外レール部材51のみが延在する部位においては、該外レール部材51によって画定され、内レール部材52のみが延在する部位においては、該内レール部材52によって画定され、右レール部材53のみが延在する部位においては、該右レール部材53によって画定されている。
【0039】
一方、外レール部材51及び内レール部材52が並行して配設されている区間においては、内レール部材52によって遊技領域30aの外周縁が画定され、レール部材51~53がいずれも存在していない区間(後述するアウト口36の形成区間を除く)においては、ベース枠38の窓孔39の内周面によって遊技領域30aの外周縁が画定されている。
【0040】
また、外レール部材51及び内レール部材52が並行して配設されている区間により、発射装置60から発射された遊技球を案内する誘導レール54が構成されている。これにより、ハンドル18の回動操作に伴い発射装置60から発射された遊技球は、発射レール61、中継レール62及び誘導レール54を通って、遊技領域30aの上部へ案内される。
【0041】
内レール部材52の上端部近傍には、戻り球防止部材56が設けられている(図4参照)。これにより、一旦、誘導レール54から遊技領域30aへと案内された遊技球が再度誘導レール54内に戻ってしまうといった事態が防止される。
【0042】
また、遊技盤30の下縁部30bにおいて、内レール部材52の下端部(右端部)と、右レール部材53の下端部(左端部)との間には、遊技球が通過可能な開口部55が形成されている。
【0043】
開口部55に対応して、遊技盤30の下縁部30bの左右方向略中央部には、下縁部30bを切欠くようにしてアウト口36が形成されている。そして、遊技領域30aへと案内された遊技球のうち、後述する各種入賞口に入賞しなかった遊技球は、このアウト口36を通って遊技領域30a外へと排出される。従って、アウト口36によって本実施形態におけるアウト球排出領域(アウト球排出部)が構成される。
【0044】
また、アウト口36の下方位置にあたる、ベース枠下部38Aの上縁部145の左右方向略中央部には、可変入球手段としての可変入賞装置32が設けられている。尚、本実施形態に係る可変入賞装置32は、遊技盤30ではなく、ベース枠下部38Aに設けられている。従って、本実施形態において、遊技盤30の前面側に形成される遊技領域30aを主遊技領域(第1遊技領域)としてとらえた場合には、ベース枠下部38Aの前面側において、可変入賞装置32が配設された領域又は可変入賞装置32の内部領域を副遊技領域(第2遊技領域)ととらえることもできる。
【0045】
ここで、可変入賞装置32及びこれに関連する構成について図7乃至図12等を参照して詳しく説明する。
【0046】
ベース枠下部38Aの上縁部145の左右方向略中央部には取付凹部146が形成されており、ここに可変入賞装置32が取付固定されている。これにより、可変入賞装置32は、そのほぼ全体が遊技盤30の下縁部30bよりも下方に位置した状態となっている。
【0047】
可変入賞装置32は、ベース枠下部38Aの前面部(本実施形態では遊技盤30の前面部と前後方向略同一位置)と略面一となるように配設される前壁部149と、該前壁部149に開口形成された大入賞口151と、前壁部149の背面側において、大入賞口151の下辺部から後方へ延出形成された底壁部152と、大入賞口151の両側辺部から後方へ延出し底壁部152の側縁部に沿って形成された一対の側壁部153とを備えている。大入賞口151は、遊技球が前後方向へ通過可能に構成されている。尚、図8図12においては、遊技球を二点鎖線により「遊技球B」として図示している。
【0048】
本実施形態において、大入賞口151の左右幅は、遊技盤30の下縁部30bに形成されたアウト口36の左右幅と略同一幅に設定されている。大入賞口151により本実施形態における特別入球領域(特別入球部)が構成される。
【0049】
底壁部152の後部は球回収部材216にまで達し、その後端部は球回収部材216に形成された入賞球排出通路232に連接されている。従って、可変入賞装置32によって本実施形態における球通路構成体が構成される。
【0050】
入賞球排出通路232(底壁部152の下側)には、カウントスイッチ223が取着されている。カウントスイッチ223は本実施形態における入賞球検出手段(球検知手段)を構成する。
【0051】
尚、大入賞口151に連なる底壁部152、一対の側壁部153及び入賞球排出通路232等により、本実施形態における球通路(入賞球通路)や支持枠側通路構成部が構成される。ここで、カウントスイッチ223の取着位置は上記位置に限らず、前記球通路(入賞球通路)を構成する部分であればどこでもよい。
【0052】
可変入賞装置32の後部にはソレノイド154が取着されている。ソレノイド154は、その前面側において、前後方向へスライド変位可能なプランジャ155を備えている。プランジャ155は、その軸部より径の大きな円盤状の先端部を有する(符号略)。また、前記軸部の周囲には、図示しないコイルばねが圧縮された状態で取着されている。
【0053】
これにより、ソレノイド154が非励磁状態にある場合には、コイルばねの付勢力によりプランジャ155が突出位置に維持される。また、ソレノイド154が励磁されると、プランジャ155がソレノイド154内に没入し、励磁状態ではプランジャ155がその没入位置で維持される。
【0054】
可変入賞装置32には、底壁部152の上方位置かつソレノイド154の前方位置において、開閉部材としての開閉シャッタ160が設けられている。開閉シャッタ160は、プランジャ155の先端部に固定されており、該プランジャ155の駆動に伴い、前後方向へスライド変位可能に設けられている。
【0055】
開閉シャッタ160は、その本体部が平面視略矩形状に形成されており、その左右幅が、遊技盤30の下縁部30bに形成されたアウト口36の左右幅と略同一幅に設定されている。また、開閉シャッタ160の本体部下面には、プランジャ155と接続固定される接続部161が設けられている。
【0056】
本実施形態における開閉シャッタ160は、アウト口36の底部を構成するものであり、アウト口36を前後に貫通するようにアウト口36内下方位置に配設されている。また、開閉シャッタ160の上面は、遊技球(アウト球)を後方へ円滑に誘導できるよう、全体として前側から後側へ向け緩やかに下方傾斜している。
【0057】
これに対応するように、球回収部材216には、アウト口36と連通する左右一対のアウト球排出通路241A,241Bが形成されている。そして、開閉シャッタ160の後部とアウト球排出通路241A,241Bとが連続するように、球回収部材216と可変入賞装置32とが組付けられている。
【0058】
アウト球排出通路241A,241Bには、それぞれアウト球検出スイッチ226A,226Bが取着されている。アウト球検出スイッチ226A,226Bは本実施形態におけるアウト球検出手段(球検知手段)を構成する。
【0059】
尚、アウト口36、開閉シャッタ160(後述するシャッタ部160a及び誘導部160b)、及び、アウト球排出通路241A,241B等により、本実施形態における球通路(アウト球通路)が構成される。ここで、アウト球検出スイッチ226A,226Bの取着位置は上記位置に限らず、前記球通路(アウト球通路)を構成する部分であればどこでもよい。
【0060】
上記構成の下、開閉シャッタ160は、通常時、すなわちソレノイド154が非励磁状態にありプランジャ155が突出位置にある場合、ガラスユニット137(ガラス板137b)近傍まで前方へ突出した突出状態となる。一方、ソレノイド154が励磁状態となりプランジャ155が没入位置にある場合、開閉シャッタ160は、前壁部149の近傍位置まで退避した退避状態となる。
【0061】
以下、開閉シャッタ160が突出状態にある場合において、前壁部149よりも前方へ突出した部位をシャッタ部160aといい、アウト口36内に位置する部位を誘導部160bという。
【0062】
シャッタ部160aは、正面視で上方へ向け凹となるように左右方向に沿って湾曲形成されている。そして、開閉シャッタ160が前方へ突出した突出状態においては、シャッタ部160aの左端部が内レール部材52の右端部(下端部)に近接配置されると共に、シャッタ部160aの右端部が右レール部材53の左端部(下端部)に近接配置された状態となる。
【0063】
一方、誘導部160bは、左右のアウト球排出通路241A,241Bへ遊技球を円滑に振分けられるように、その左右方向中央部から左半分の上面が左後方へ向け緩やかに下方傾斜し、かつ、右半分の上面が右後方へ向け緩やかに下方傾斜した構成となっている。
【0064】
また、球回収部材216の後壁部216aの前面側(通路側)には、アウト球排出通路241A,241Bを分岐させる分岐部216bが突出形成されている。これに対応して、開閉シャッタ160の誘導部160bの後端部には、V字状切欠き部160cが形成されている。そして、開閉シャッタ160が退避状態となった場合には、誘導部160bのV字状切欠き部160cに対し分岐部216bが挿し込まれた状態となる(図12参照)。
【0065】
さて、上記開口部55や大入賞口151に対応して、前面枠セット14には、前面側誘導部169が設けられている。前面側誘導部169が本実施形態における誘導手段及び前面枠側通路構成部を構成する。
【0066】
前面側誘導部169は、前面枠セット14の背面側に設けられた上記レール側壁部材69の上部位置から後方へ突出するように形成されている。前面側誘導部169は、合成樹脂等によりレール側壁部材69と一体に形成されている。
【0067】
前面側誘導部169は、背面視凹状に形成されており、後方へ向け下方傾斜した底壁部169aと、その左右両側部に形成された左右一対の側壁部169bとを有し、上方及び後方に開口している。
【0068】
前面側誘導部169における底壁部169aの左右幅(両側壁部169b間の左右幅)は、大入賞口151の左右幅と略同一幅に設定されている。そして、前面枠セット14が内枠12に対し閉じられた状態においては、前面側誘導部169が大入賞口151の前方に相対向して配置された状態となる(図9等参照)。
【0069】
これにより、前面側誘導部169の底壁部169aと、可変入賞装置32の底壁部152とが連なった状態となると共に、前面側誘導部169の両側壁部169bと、可変入賞装置32の両側壁部153とが連なった状態となる。
【0070】
かかる構成の下、ソレノイド154が非励磁状態にありプランジャ155が突出位置にある通常時において、開閉シャッタ160は、ガラスユニット137近傍まで前方へ突出した突出状態となって、内レール部材52の右端部と、右レール部材53の左端部との間の開口部55を閉鎖した状態となる。
【0071】
同時に、開閉シャッタ160(シャッタ部160a)が前面枠セット14の前面側誘導部169(底壁部169a)の上方を塞いだ状態となる。
【0072】
従って、かかる状態においては、開閉シャッタ160、並びに、上記レール部材51~53及び窓孔39などによって、遊技領域30aを区画する仕切部が構成されることとなる。
【0073】
また、かかる状態では、開閉シャッタ160の前端部が、内レール部材52及び右レール部材53の前端部と前後方向略同一位置に位置した状態となり、ガラスユニット137との間を遊技球が通過不能な状態となっている。従って、通常時は、遊技領域30aに対し大入賞口151が閉鎖された状態となり、大入賞口151に対し遊技球が入球不能となる。
【0074】
そして、かかる状態において、遊技球が遊技領域30aの最下部まで流下してきた場合、該遊技球は、内レール部材52と右レール部材53との間の開口部55を介して、開閉シャッタ160(シャッタ部160a)上に落下し、該開閉シャッタ160の上面部に沿って転動してアウト口36内へ流入する。
【0075】
続いて、開閉シャッタ160(誘導部160b)上を後方に向けて転動した遊技球は、アウト口36を通過し、球回収部材216の分岐部216bによって、左右いずれかのアウト球排出通路241A,241Bへ振分けられる。
【0076】
その後、該遊技球は、アウト球排出通路241A,241Bを介して後述する排出球受部217へと排出される。また、該遊技球は、アウト球排出通路241A,241Bを通過する際、アウト球検出スイッチ226A,226Bによって検出される。
【0077】
一方、当たり状態が発生し、ソレノイド154が励磁状態となると、プランジャ155が後方向へスライド変位し、開閉シャッタ160が退避状態となる。開閉シャッタ160が退避状態となると、該開閉シャッタ160がアウト口36内に収容された状態となり、内レール部材52と右レール部材53との間の開口部55が開放された状態となる。つまり、大入賞口151が遊技領域30aに対し開放された状態となる。
【0078】
かかる状態において、遊技球が遊技領域30aの最下部まで流下してきた場合、該遊技球は、内レール部材52と右レール部材53との間の開口部55を通って下方へ落下し、前面枠セット14に設けられた上記前面側誘導部169へと案内される。
【0079】
前面側誘導部169へ案内された遊技球は、底壁部169aの傾斜に沿って後方へ転動し、大入賞口151へ入球する。
【0080】
大入賞口151へ入球した遊技球は、可変入賞装置32の底壁部152に沿って後方に向けて転動し、入賞球排出通路232へと導かれる。その後、該遊技球は、入賞球排出通路232を介して後述する排出球受部217へと排出される。また、該遊技球は、入賞球排出通路232を通過する際、カウントスイッチ223によって検出される。
【0081】
尚、本実施形態では、大入賞口151の開放中においても、アウト口36は、閉鎖されることなく、常時開放されている。また、本実施形態では、開閉シャッタ160が退避状態となった場合でも、該開閉シャッタ160が完全にアウト口36内に収容されることなく、遊技球が通過可能なスペースを残しつつも、前壁部149の前面よりも若干突出した状態となっているため、大入賞口151の開放中においても、遊技球の挙動によっては、遊技球がアウト口36に流入する可能性があるように構成されている。
【0082】
また、遊技盤30の遊技領域30aには、一般入賞口31、上始動入賞口33A、下始動入賞口33B、スルーゲート34、可変表示装置ユニット35、第1特別表示装置43L及び第2特別表示装置43R等がルータ加工によって形成された貫通孔に配設され、遊技盤30前面側から木ネジ等により取付けられている。ここで、上始動入賞口33Aが第1の始動入球手段を構成し、下始動入賞口33Bが第2の始動入球手段を構成する。
【0083】
従来と同様に、一般入賞口31、可変入賞装置32、上始動入賞口33A、下始動入賞口33Bなどの各種入賞口に遊技球が入賞(入球)すると、各種検出スイッチにより検出され、上皿19(又は下皿15)へ所定数の賞球が払い出される。例えば、上始動入賞口33Aへの入賞があった場合には3個、下始動入賞口33Bへの入賞があった場合には1個、一般入賞口31への入賞があった場合には10個、可変入賞装置32への入賞があった場合には15個の遊技球が上皿19(下皿15)に払出される。賞球が本実施形態における遊技価値に相当し、賞球の払出しを実行する各種機能により本実施形態における遊技価値付与手段が構成される。
【0084】
また、遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。これにより、上述した始動入賞口33A,33B等への入賞が適度な確率で発生するように調整されている。尚、本実施形態では、一般入賞口31、上始動入賞口33A、及び、下始動入賞口33Bにより、「遊技領域内に設けられた入球手段」が構成される。
【0085】
上始動入賞口33Aは、遊技球が常時入賞可能となっている。これに対し、下始動入賞口33Bには、開閉式の入賞補助装置として開閉役物37が設けられている。
【0086】
開閉役物37は、下端側を軸として左右方向に回動変位する左右一対の可動羽根37aと、可動羽根37aを開閉駆動する始動入賞口用ソレノイド(図示略)とを備え、当該可動羽根37aが所定条件の成立に応じて開閉動作することにより、遊技領域30aを流下する遊技球が下始動入賞口33Bへ入賞可能な開状態と、遊技球が下始動入賞口33Bへ入賞不能な閉状態との間で状態変化可能に構成されている。
【0087】
尚、詳しくは後述するが、上始動入賞口33A,下始動入賞口33Bには、それぞれ入賞した遊技球を検知する第1始動入賞スイッチ224A,第2始動入賞スイッチ224Bが設けられている。当該始動入賞スイッチ224A,224Bにて遊技球が検知された場合に、大当たり状態等を発生させるか否かの当否抽選が行われるとともに、特別表示装置43L、43R(及び後述する装飾図柄表示装置42)にて変動表示が行われる構成となっている。そして、当否抽選にて当選した場合には、大当たり状態等が付与される。
【0088】
ここで、本実施形態における大当たり種別について詳しく説明する。図40に示すように、本実施形態では、大当たり種別として、「16R確変大当たりA」、「16R確変大当たりB」、「4R確変大当たりA」、「4R確変大当たりB」、「16R通常大当たりA」、「16R通常大当たりB」、「4R通常大当たりA」、「4R通常大当たりB」及び「JUB(Jump Up Bonus)大当たり」がある。
【0089】
「16R確変大当たりA」の大当たり状態においては、「長開放」を1回の特賞状態として、これが16回(16ラウンド)繰り返し行われる。
【0090】
本実施形態において、「長開放」とは、可変入賞装置32の開閉シャッタ160が閉状態から開状態へ切換えられた後、規定時間の30秒が経過すること又は可変入賞装置32(大入賞口151)に規定個数の10個の遊技球が入賞することを条件に閉状態となるまでの一開閉動作をいう。
【0091】
「16R確変大当たりB」の大当たり状態においては、「長開放」を1回の特賞状態として、これが4回(4ラウンド)繰り返し行われた後、さらに「短開放」を1回の特賞状態として、これが12回(12ラウンド)繰り返し行われる。
【0092】
本実施形態において、「短開放」とは、可変入賞装置32の開閉シャッタ160が閉状態から開状態へ切換えられた後、規定時間の0.4秒が経過すること又は可変入賞装置32(大入賞口151)に規定個数の3個の遊技球が入賞することを条件に閉状態となるまでの一開閉動作をいう。
【0093】
尚、本実施形態では、遊技者のハンドル18の操作に基づき、発射装置60から「0.6秒」に1個の割合で遊技球が遊技領域30aに向けて発射される構成となっている。これに対して、上記「短開放」では、開閉シャッタ160の開放規定時間が0.4秒となっている。つまり、「短開放」の場合には、遊技球の発射周期よりも1回の開閉シャッタ160の開放時間が短くなっている。従って、1回の「短開放」だけでは、1個の遊技球すら入賞しない場合もある。このため、「短開放」に対応した上記2つの閉鎖条件のうち入賞個数に係る条件(入賞個数3個)に基づいて開閉シャッタ160が閉鎖されることはほとんどなく、一旦開放された開閉シャッタ160は、通常、規定時間(0.4秒)の経過に基づいて閉鎖されることとなる。これにより、「短開放」の実行期間においては、その都度、実行期間が変化することが回避されている。
【0094】
「4R確変大当たりA」及び「4R確変大当たりB」の大当たり状態においては、「長開放」を1回の特賞状態として、これが4回(4ラウンド)繰り返し行われる。
【0095】
「16R通常大当たりA」の大当たり状態においては、「長開放」を1回の特賞状態として、これが8回(8ラウンド)繰り返し行われた後、さらに「短開放」を1回の特賞状態として、これが8回(8ラウンド)繰り返し行われる。
【0096】
「16R通常大当たりB」の大当たり状態においては、「長開放」を1回の特賞状態として、これが4回(4ラウンド)繰り返し行われた後、さらに「短開放」を1回の特賞状態として、これが12回(12ラウンド)繰り返し行われる。
【0097】
「4R通常大当たりA」及び「4R通常大当たりB」の大当たり状態においては、「長開放」を1回の特賞状態として、これが4回(4ラウンド)繰り返し行われる。
【0098】
「JUB大当たり」の大当たり状態においては、「短開放」を1回の特賞状態として、これが5回繰り返し行われた後、さらに「長開放」を1回の特賞状態として、これが15回繰り返し行われる。換言すれば、1ラウンド目に5回の「短開放」が行われ、2ラウンド目~16ラウンド目にそれぞれ「長開放」が行われることとなる。
【0099】
また、上記各種「確変大当たり」及び「JUB大当たり」が発生した場合には、その大当たり状態の終了後の抽選モードとして「高確率モード(高確率状態)」が付与される。一方、各種「通常大当たり」が発生した場合には、その大当たり状態の終了後に「低確率モード(低確率状態)」が付与される。
【0100】
「高確率モード」とは、通常時に設定される「低確率モード」に比べ、大当たり確率がアップした状態をいう。大当たり終了後に設定された「高確率モード」は、次回の大当たり状態が発生するまで継続する。
【0101】
また、上記各種大当たりの終了後には、特別表示装置43L、43Rにて所定回数の変動表示が行なわれる間、又は、次回の大当たり状態が発生するまでの間、開閉役物37に係る入賞サポートモードとして「高サポートモード(高入球状態)」が付与される。
【0102】
「高サポートモード」とは、通常時に設定される「低サポートモード(低入球状態)」に比べ、下始動入賞口33Bの開閉役物37における単位時間あたりの閉状態に対する開状態の割合が多くなった状態をいう。
【0103】
例えば「高サポートモード」としては、(1)後述の普通図柄表示装置41における変動表示時間が「低サポートモード」時よりも短い状態、(2)開閉役物37の可動羽根37aの一回の開放時間(規定時間)が「低サポートモード」時に比べて長い状態、(3)可動羽根37aの一回の開放につき入賞可能となる遊技球の規定個数が「低サポートモード」時に比べて多い状態、(4)スルーゲート34を遊技球が通過することに起因した開閉役物37の開放抽選により当選結果が得られた場合一回につき行う可動羽根37aの開閉処理の実行回数が「低サポートモード」時に比べて多い状態、(5)開閉役物37の開放抽選における当選確率が「低サポートモード」時の当選確率よりも高い状態とすることなどが挙げられる。本実施形態における高サポートモードでは、上記(1)、(2)、(5)の構成を採用している。勿論、これに限らず、「高サポートモード」として、構成(1)~(5)のいずれか1つ、又は、これら構成(1)~(5)の任意の組合せを採用してもよい。これにより、下始動入賞口33Bに対し遊技球が頻繁に入賞しやすくなり、大当たり抽選の実行される回数が増えると共に、球持ちのよい状態となる。
【0104】
また、本実施形態では、「高サポートモード」が付与された状態では、後述するように変動パターンテーブルを「高サポートモード」用のテーブルに変更することで、第1及び第2特別表示装置43L、43R(装飾図柄表示装置42)における変動表示時間が「低サポートモード」時よりも短い状態となるように構成されている。
【0105】
本実施形態では、「16R確変大当たりA」及び「4R確変大当たりA」の終了後には、次回の大当たり状態が発生するまでの間、「高サポートモード」が付与される。当該「高サポートモード」を以下、「次回まで・高サポートモード」という。
【0106】
「16R確変大当たりB」及び「4R確変大当たりB」の終了後には、特別表示装置43L、43Rにて「20回」、「30回」、「40回」又は「50回」の変動表示が行なわれる間、「高サポートモード」が付与される。当該「高サポートモード」を以下、それぞれ「20回・高サポートモード」、「30回・高サポートモード」、「40回・高サポートモード」又は「50回・高サポートモード」という。
【0107】
「16R通常大当たりA」及び「4R通常大当たりA」の終了後には、特別表示装置43L、43Rにて「30回」の変動表示が行なわれる間、「高サポートモード」が付与される。当該「高サポートモード」を以下、「30回・高サポートモードS」という。
【0108】
「16R通常大当たりB」及び「4R通常大当たりB」の終了後には、「20回・高サポートモード」、「30回・高サポートモード」、「40回・高サポートモード」又は「50回・高サポートモード」が付与される。
【0109】
「JUB大当たり」の終了後には、「次回まで・高サポートモード」が付与される。
【0110】
本実施形態では、上記各種モードが組み合わさることで、様々な遊技状態が発生することとなる。
【0111】
例えば「高確率モード」と「高サポートモード」が付与された状態となれば、いわゆる「確変状態(確率変動状態)」となる。
【0112】
「低確率モード」と「低サポートモード」とが付与された状態となれば、いわゆる「通常状態」となる。
【0113】
「低確率モード」と「高サポートモード」が付与された状態となれば、いわゆる「時短状態(時間短縮状態)」となる。
【0114】
「高確率モード」と「低サポートモード」とが付与された状態となれば、いわゆる「潜確状態(潜伏確変状態)」となる。つまり、「潜確状態」となると、単に大当たり確率が高められるだけで、表面上は「通常状態」の場合と何ら変わりのない状態となるため、「高確率モード」が付与されている状態を遊技者が認識しにくい状態となる。
【0115】
また、本実施形態では、上記各種「大当たり」とは別に、上記当否抽選にて所定の結果が得られた場合に「小当たり」が発生する構成となっている。小当たり状態においては、「短開放」を1回の特賞状態として、これが5回(5ラウンド)繰り返し行われる。但し、小当たり状態終了後に付与される抽選モード及び入賞サポートモードは、小当たり状態発生前の元のモードである。例えば、小当たり状態発生前の抽選モードが「高確率モード」であれば、小当たり状態終了後にも「高確率モード」が維持される。
【0116】
尚、詳しくは後述するが、本実施形態では、遊技球が上始動入賞口33Aに入賞した場合と、下始動入賞口33Bに入賞した場合とで、当否抽選にて当選した場合に付与される大当たり種別の振分けが異なるようになっている。上始動入賞口33Aへの遊技球の入賞を契機とする当否抽選に当選した場合には、「16R確変大当たりA」、「16R確変大当たりB」、「4R確変大当たりA」、「4R確変大当たりB」、「16R通常大当たりA」、「16R通常大当たりB」及び「4R通常大当たりB」のいずれかに振分けられ、下始動入賞口33Bへの遊技球の入賞を契機とする当否抽選に当選した場合には、「16R確変大当たりA」、「4R確変大当たりA」、「4R通常大当たりA」及び「JUB大当たり」のいずれかに振分けられることとなる。また、「小当たり」に関しても、下始動入賞口33Bへの遊技球の入賞を契機とする当否抽選に当選した場合のみ発生する構成となっている。
【0117】
第1及び第2特別表示装置43L、43Rは、それぞれ2つのセグメント表示装置により構成され、遊技盤30の下部に設置されている。各セグメント表示装置には、それぞれ8個の表示用セグメントが設けられている。各表示用セグメントは、LEDからなる個別の光源を有しており、それら個別の光源がオンオフ制御されることで、任意の1個の表示用セグメントのみを点灯させることができるとともに、任意の組み合わせの表示用セグメントを点灯させることができる。これにより、各セグメント表示装置には、それぞれ個別に所定の記号(アルファベットや数字を含む)が表示されることとなる。
【0118】
そして、上始動入賞口33Aへの遊技球の入賞を契機として第1特別表示装置43Lにて変動表示が行われ、下始動入賞口33Bへの遊技球の入賞を契機として第2特別表示装置43Rにて変動表示が行われる構成となっている。尚、特別表示装置43L、43Rは、後述する主制御装置261によって表示内容が直接的に制御される。第1特別表示装置43Lが第1表示手段を構成し、第2特別表示装置43Rが第2表示手段を構成する。
【0119】
また、第1及び第2特別表示装置43L、43Rにて変動表示が行われた後、当該変動表示が停止したときの表示態様により、大当たり抽選に当選したか否か等が確定的に表示される。例えば、上始動入賞口33Aに遊技球が入賞すると、対応する第1特別表示装置43Lにて高速で変動表示がなされ、所定時間が経過すると、いずれかの表示態様を停止表示(例えば数秒間停止)する。そして、大当たり抽選に当選した場合には、各種大当たりに対応する数値等(図40参照)が変動停止時に表示され、大当たり状態が発生する。
【0120】
図40に示すように、例えば「16R確変大当たりA」に当選した場合には、第1又は第2特別表示装置43L、43Rにおいて「9-」が停止表示され、「50回・高サポートモード」付きの「16R確変大当たりB」に当選した場合には、第1又は第2特別表示装置43L、43Rにおいて「84」が停止表示される。また、「JUB大当たり」に当選した場合には、第1又は第2特別表示装置43L、43Rにおいて「1.-」が停止表示され、「小当たり」に当選した場合には、第1又は第2特別表示装置43L、43Rにおいて「1-」が停止表示される。ここで、「JUB大当たり」に係る停止態様「1.-」と、「小当たり」に係る停止態様「1-」のように、「JUB大当たり」の演出効果を高める上では、両者の停止態様が紛らわしい構成となっていることが好ましい。
【0121】
勿論、各種当たりに対応する特別表示装置43L、43Rの停止態様は、上記態様に限定されるものではない。例えば、1つの当たり種別を示す第1又は第2特別表示装置43L、43Rの停止態様が1つではなく複数存在してもよい。例えば「16R確変大当たりA」に当選した場合には、第1又は第2特別表示装置43L、43Rにおいて「91」,「92」,「93」,・・・のいずれかが選択されて停止表示される構成としてもよい。
【0122】
尚、1つの当たり種別を示す第1又は第2特別表示装置43L、43Rの停止態様が複数存在している場合においても、「JUB大当たり」に係る複数の停止態様と、「小当たり」に係る複数の停止態様とが紛らわしい構成となっていることが好ましい。例えば、「JUB大当たり」に係る複数の停止態様として「-1.」,「-2」,「-3.」,「-4」,・・・のいずれかが停止表示され、「小当たり」に係る複数の停止態様として「-1」,「-2.」,「-3」,「-4.」,・・・のいずれかが停止表示される構成してもよい。かかる構成では、所定の表示用セグメント(ここでは「.」)が点灯した特定記号(ここでは「1」,「2」,「3」,・・・)と、点灯していない特定記号のペアのうちの一方が「JUB大当たり」に係る複数の停止態様に含まれ、他方が「小当たり」に係る複数の停止態様に含まれると共に、それらが交互に入れ違いになった構成となっている。
【0123】
また、任意又は全ての表示用セグメントにおいて表示される色を適宜変更可能な構成としてもよい。
【0124】
また、第1又は第2特別表示装置43L、43Rの変動表示中に新たに遊技球が始動入賞口33A,33Bに入賞した場合には、その分の変動表示は、その時点で行われている変動表示の終了後に行われる構成となっている。つまり、変動表示が待機(保留)されることとなる。この保留される変動表示の最大回数は、パチンコ機の機種毎に決められているが、本実施形態では、上始動入賞口33Aに入賞した遊技球、及び下始動入賞口33Bに入賞した遊技球に対応して、それぞれ4回までの変動表示(合計8回の変動表示)が保留される。また、その保留回数が第1保留ランプ46a、第2保留ランプ46bにて点灯表示されるようになっている。尚、大当たり状態中に新たに遊技球が始動入賞口33A,33Bに入賞した場合、その分の変動表示についても保留される。
【0125】
尚、基本的に、上始動入賞口33Aへの入賞を契機とする変動表示は、対応する遊技球が上始動入賞口33Aへ入賞した順に記憶されるとともに入賞した順に消化され、下始動入賞口33Bへの入賞を契機とする変動表示は、対応する遊技球が下始動入賞口33Bへ入賞した順に記憶されるとともに入賞した順に消化される。但し、上始動入賞口33Aへの入賞を契機とする変動表示、及び、下始動入賞口33Bへの入賞を契機とする変動表示の両方が保留されている場合(第1保留ランプ46a及び第2保留ランプ46bがそれぞれ1つ以上点灯している場合)には、下始動入賞口33Bへの入賞を契機とする変動表示が優先的に消化される。すなわち、下始動入賞口33Bへの入賞を契機とする変動表示が全て消化された状態でなければ、上始動入賞口33Aへの入賞を契機とする変動表示が行われない構成となっている。例えば、第1保留ランプ46aが1つ点灯している状態において、下始動入賞口33Bに遊技球が入賞し、第2保留ランプ46bが1つ点灯した場合、上始動入賞口33Aへの入賞を契機とする変動表示が後回しにされ、先に下始動入賞口33Bへの入賞を契機とする変動表示が行われることとなる。以下、説明の便宜上、上始動入賞口33Aへの入賞を契機とする変動表示を「第1変動表示」とも称し、下始動入賞口33Bへの入賞を契機とする変動表示を「第2変動表示」とも称する。
【0126】
また、スルーゲート34は、遊技領域30aを流下する遊技球が1球ずつ通過可能に構成されている。詳しくは後述するが、スルーゲート34は、当該スルーゲート34を通過する遊技球を検知可能なスルーゲートスイッチ225を備えており、当該スルーゲートスイッチ225にて遊技球が検知された場合に、開閉役物37(下始動入賞口33B)を開状態とするか否かの開放抽選が行われるとともに、普通図柄表示装置41にて変動表示が行われる構成となっている。そして、開放抽選にて当選した場合には、開閉役物37が規定時間だけ開状態とされる。
【0127】
可変表示装置ユニット35には、スルーゲート34の通過を契機として変動表示する普通図柄表示装置41と、第1及び第2特別表示装置43L、43Rによる変動表示に合わせて変動表示する装飾図柄表示装置42とが設けられている。
【0128】
さらに、可変表示装置ユニット35には、装飾図柄表示装置42にて行われている変動表示が上始動入賞口33A及び下始動入賞口33Bのうちどちらの入賞に対応するものであるかを示す変動特定ランプ40が設けられている。
【0129】
普通図柄表示装置41は、普通図柄として「○」又は「×」を点灯表示可能に構成されており、遊技球がスルーゲート34を通過する毎に例えば普通図柄を「○」→「×」→「○」→・・・という具合に高速で変動表示する。そして、その変動表示が「○」図柄(当選図柄)で数秒間停止した場合には、下始動入賞口33Bの開閉役物37が所定時間だけ開状態となる。この普通図柄表示装置41は、後述する主制御装置261によって直接的に表示内容が制御される。
【0130】
また、普通図柄表示装置41の変動表示中に、新たに遊技球がスルーゲート34を通過した場合には、その分の変動表示は、その時点で行われている変動表示の終了後に行われる構成となっている。つまり、変動表示が待機(保留)されることとなる。この保留される変動表示の最大回数は、パチンコ機の機種毎に決められているが、本実施形態では4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ44にて点灯表示されるようになっている。
【0131】
装飾図柄表示装置42は液晶表示装置により構成されており、後述するサブ制御装置262及び表示制御装置45によって表示内容が制御される。すなわち、装飾図柄表示装置42においては、第1及び第2特別表示装置43L、43Rにて表示される結果に対応させるように、主制御装置261からのコマンドに基づき、サブ制御装置262によって補助的な表示内容が決定され、後述する表示制御装置45によって表示が行われる。
【0132】
装飾図柄表示装置42には、図46に示すように、例えば上、中及び下の3つの図柄表示領域が設けられ、各図柄表示領域において複数種類の図柄(数字)が順次表示され(変動表示され)、その後、図柄表示領域毎に順番に(例えば、上図柄表示領域→下図柄表示領域→中図柄表示領域の順に)図柄が停止表示されるようになっている。例えば、主制御装置261にて上記各種「確変大当たり」又は各種「通常大当たり」が確定すると、第1又は第2特別表示装置43L、43Rにて大当たりに対応する表示がなされるとともに、装飾図柄表示装置42にて図柄が大当たりに対応する組合わせで停止表示され(例えば、上図柄表示領域、中図柄表示領域、及び下図柄表示領域にて停止表示される図柄が同一となり)、大当たり状態が開始される。なお、「JUB大当たり」又は「小当たり」の場合、後述するように装飾図柄表示装置42にて停止表示される図柄の組合わせは、大当たりに対応するものではない。
【0133】
また、図柄が大当たりに対応する組合わせで停止表示される場合には、その前段階として、例えば、上図柄表示領域及び下図柄表示領域において同一の図柄が停止表示されることとなる。このように上図柄表示領域及び下図柄表示領域にて同一図柄が停止表示されるとともに、中図柄表示領域において未だ変動表示が行われている状態がリーチ状態である。
【0134】
尚、リーチ状態が発生しても、大当たり状態が発生しない場合には、上図柄表示領域及び下図柄表示領域において停止表示された図柄とは異なる図柄が中図柄表示領域において停止表示される。また、各種「確変大当たり」又は各種「通常大当たり」となる場合には、上記のように装飾図柄表示装置42においてゾロ目の数字が停止表示されるのではあるが、本実施形態では 停止表示された図柄の種類によっては、大当たり終了後に付与される遊技状態(「高確率モード」か否か等)が判別不能となっている。
【0135】
また、「JUB大当たり」又は「小当たり」となる場合には、ゾロ目ではなく、予め定められた特定の数字の組合わせ(以下、チャンス図柄と称する)が停止表示される。例えば、本実施形態では、上・中・下図柄表示領域において、「3」・「4」・「1」が停止表示される。これにより、遊技者は、チャンス図柄が停止表示された場合に、より遊技者に有利な「JUB大当たり」と、それほど有利ではない「小当たり」との区別をつけることができず、「JUB大当たり」が発生することの期待を抱くことができるので、遊技者の趣向低下を抑制することができる。
【0136】
勿論、「JUB大当たり」となる場合と、「小当たり」となる場合とで、上・中・下図柄表示領域に停止表示される特定の数字の組合わせが異なる構成としてもよい。また、「JUB大当たり」又は「小当たり」となる場合に、予め定められた特定の数字の組合わせではなく、表面上、外れ時と同様に、ランダムな外れの組合わせで停止表示されるようにしてもよい。
【0137】
また、装飾図柄表示装置42では、上記保留ランプ46a,46bに対応して、特別表示装置43L,43Rにおける変動表示の保留数が表示される構成となっている(図46等参照)。
【0138】
尚、本実施形態では、前面枠セット14を閉鎖した際、当該前面枠セット14によって特別表示装置43L,43R及び保留ランプ46a,46bが覆われた状態となり、遊技者によって視認不能な状態となる。従って、遊技者は、専ら装飾図柄表示装置42の表示内容(図柄表示や保留表示等)によって遊技状態や抽選結果等を把握することとなる。
【0139】
勿論、特別表示装置43L,43R及び保留ランプ46L,46Rの構成は、このような構成に限定されるものではなく、他の構成を採用してもよい。例えば、特別表示装置43L,43R等が視認可能な構成となっていてもよい。但し、特別表示装置43L、43Rは、上記のように遊技領域30aの下隅といった遊技者の目につきにくい目立たない場所に設けられるとともに、その表示部の大きさも小さく、判別用の文字が停止表示される時間も比較的短い。従って、特別表示装置43L、43Rから目を離さず、注意深く観察していなければ、付与さえる遊技状態を把握することは実質的に不可能である。
【0140】
変動特定ランプ40は、発光色が青色のLED及び発光色が赤色のLEDを備えており、装飾図柄表示装置42において、上始動入賞口33Aへの入賞を契機とする変動表示が行われている場合には青色に発光し、下始動入賞口33Bへの入賞を契機とする変動表示が行われている場合には赤色に発光する。
【0141】
次に可変表示装置ユニット35の構成について詳しく説明する。本実施形態では、センターフレーム47が遊技盤30の前面側に固定され(図4参照)、フレームカバー213が遊技盤30の裏面に固定される(図6参照)ことによって、可変表示装置ユニット35として一体化される構成となっている。
【0142】
フレームカバー213には、その中央部に矩形状の開口部が形成されており、その背面側に液晶表示装置たる装飾図柄表示装置42が着脱自在に取付けられている。
【0143】
センターフレーム47は、その中央に略円形状の開口部751が形成された枠体形状をなし、当該開口部751を介して装飾図柄表示装置42の液晶表示部42aが視認可能となる。
【0144】
尚、センターフレーム47は、単一部材から構成されているわけではなく、例えばベース部材に対し、メッキ等の施された各種装飾部材や、LED等の光を透過する透明樹脂製のレンズ部材などが組付けられてなる。
【0145】
センターフレーム47の下辺部47bの上面には、左右方向に沿ってステージ部770が設けられている。ステージ部770には、左右方向に沿って緩やかな起伏が形成されている。
【0146】
ステージ部770の後壁部772の中央部には、前方に向け開口し、遊技球が落下可能な落下孔774が形成されている。また、ステージ部770の中央部の下方(内部)には、前記落下孔774に通じる連通路776が設けられている。連通路776の他方側は、センターフレーム47の下辺部47bの前側に開口し、落下孔774へ落下した遊技球を遊技盤30面上へ排出可能に構成されている。なお、センターフレーム47が遊技盤30に配設された状態では、図4に示すように、連通路776の開口部は上始動入賞口33Aの上方に位置する。
【0147】
ステージ部770の中央部には、落下孔774の前方位置において、奥側へ緩やかに下り傾斜となった誘導溝(図示略)が形成されている。これにより、ステージ部770から落下孔774へ遊技球が落下可能な構成となっている。
【0148】
センターフレーム47の左辺部47cには、その内部に、遊技球を通過させる球通路(ワープ流路)764が形成されている。球通路764の入口部764aは、センターフレーム47の左辺部47cの上下方向略中央部に開口している一方、出口部764bは、センターフレーム47の下辺部47bの上面(ステージ部770)に向け開口している。この球通路764により、遊技盤30面上を流下する遊技球をセンターフレーム47内のステージ部770上へ案内することができる。
【0149】
ステージ部770上に案内された遊技球は、ステージ部770上を転動した後、前方から遊技盤30面上に転落したり、上述した落下孔774へ落下したりする。このうち、落下孔774へ落下した遊技球は、連通路776を介して遊技盤30面上へ案内される。連通路776から排出された遊技球は比較的高い確率で上始動入賞口33Aに入球する。
【0150】
尚、図3及び図4中の符号67は後述する払出機構部352により払出された遊技球を内枠12の前方に案内するための払出通路であり、上皿連通路73(上皿19)に通じる通路と、下皿連通路71(下皿15)に通じる通路とに分かれている。払出通路67の下方にはシャッタ68が設けられており、前面枠セット14を開放した状態では、バネ等の付勢力によりシャッタ68が前方に突出して払出通路67の出口をほぼ閉鎖するようになっている。また、前面枠セット14を閉じた状態では、下皿連通路71の入口側後端部によってシャッタ68が押し開けられるようになっている。尚、下皿連通路71及び上皿連通路73の入口(球流入部)が隣接するとともに、前面枠セット14の閉状態において当該各入口と払出通路67とが所定距離だけ離間しており、両者間の隙間を遊技球が通過可能となっている。このため、上皿19及び上皿連通路73が遊技球で満杯となると、払出される遊技球が下皿連通路71側に流れ(下皿連通路71の入口側に溢れ)、下皿連通路71を通って下皿15に払出されることとなる。
【0151】
また、図3に示すように、前面枠セット14の背面側には、上記レール側壁部材69の下方において球通路ユニット70が設けられている。球通路ユニット70は、後述する払出機構部352から下皿15の排出口16へ繋がる下皿連通路71と、払出機構部352から上皿19へ繋がる上皿連通路73と備えている。
【0152】
さらに、球通路ユニット70には、上記ファール球落下部65より落下した遊技球を下皿15へと案内するファール球通路72が形成されている。これにより、ファール球がファール球通路72を介して下皿15に排出される。
【0153】
加えて、球通路ユニット70には、下皿連通路71内に位置する遊技球を検知する満杯検知スイッチ(図示略)が設けられている。当該満杯検知スイッチの存在により、下皿15が遊技球で満杯になっていること(下皿15が遊技球で満杯となり、下皿連通路71において遊技球が滞留していること)を把握することができる。本実施形態では、満杯検知スイッチによって所定時間継続して遊技球が検知されることに基づき、発射装置60の打出しを禁止するといった制御が行われる。尚、下皿連通路71における遊技球の滞留が解消され、満杯検知スイッチにより遊技球が検知されなくなると(所定時間継続して検知されなくなると)発射装置60の打出しが許容される。
【0154】
次に、パチンコ機10の背面構成について図5図6等を参照して説明する。パチンコ機10の背面には、各種制御基板が上下左右に並べられるようにして、一部前後に重ねられるようにして配置されており、さらに、遊技球を供給する遊技球供給装置(払出機構)や樹脂製の保護カバー等が取り付けられている。払出機構及び保護カバーは1ユニットとして一体化されており、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここではそのユニットを「裏パックユニット203」と称する。
【0155】
まず、遊技盤30の背面構成について図6等を参照して説明する。上述したように、遊技盤30中央の貫通孔に対応して配設された可変表示装置ユニット35(図4参照)の背面側には、センターフレーム47を背後から覆う樹脂製のフレームカバー213が後方に突出して設けられている。また、フレームカバー213の背面側には、フレームカバー213の開口部から前方に臨む液晶表示装置たる装飾図柄表示装置42、表示制御装置45及びサブ制御装置262が前後に重ねられた状態で着脱可能に取り付けられている。
【0156】
装飾図柄表示装置42は、当該装飾図柄表示装置42の表示部(液晶画面)をパチンコ機10の前面側に露出させるための開口部が形成された収容ボックス(符号略)に収容されてフレームカバー213の背面側に固定されている。表示制御装置45は基板ボックス45aに収容されて装飾図柄表示装置42(収容ボックス)の背面側に固定されている。サブ制御装置262は基板ボックス262aに収容されて表示制御装置45(基板ボックス45a)の背面側に固定されている。基板ボックス45a,262aは透明樹脂材料等により構成され、内部が視認可能となっている。尚、フレームカバー213内には、センターフレーム47に内蔵されたLED等を駆動するLED制御基板等が配設されている。
【0157】
また、遊技盤30の裏面には、フレームカバー213の下方位置において裏枠セット215が取付けられている。この裏枠セット215は、遊技盤30の裏面に張り付くようにして設けられる薄型の樹脂成形品である。
【0158】
また、裏枠セット215の裏面には球回収部材216が取付けられている。球回収部材216は、一般入賞口31や始動入賞口33A,33B等の各種入賞口を背後から覆い、これら各種入賞口に入賞した遊技球を回収するための球通路を有している。
【0159】
但し、本実施形態における球回収部材216は、遊技盤30の下縁部30b、及び、ベース枠下部38Aの上縁部145を超えて、ベース枠下部38Aの裏面上部を覆う位置まで延出形成されており、可変入賞装置32の背後をも覆い、可変入賞装置32(大入賞口151)に入賞した遊技球を回収するための球通路をも有している。
【0160】
より詳しくは、球回収部材216は、樹脂材料により一体形成された部材であって、図8に示すように、一般入賞口31、可変入賞装置32、始動入賞口33A,33Bへ入賞した遊技球を下流側へ案内する入賞球排出通路231,232,233を備えている。
【0161】
加えて、球回収部材216は、アウト口36から排出された遊技球を下流側へ案内するアウト球排出通路241A,241Bを備えている。
【0162】
そして、球回収部材216により回収された遊技球は、後述する排出球受部217に案内され、排出球受部217の排出シュート218(図5等参照)からパチンコ機10外部に排出される。
【0163】
また、本実施形態では、裏枠セット215が主制御装置261の取付台として機能する。より詳しくは、主制御装置261を搭載した基板ボックス263が、裏枠セット215に対し回動可能に軸支され、後方に開放可能となっている。
【0164】
主制御装置261は透明樹脂材料等よりなる基板ボックス263に収容されている。基板ボックス263は、ボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備え、これらボックスベースとボックスカバーとが封印部材によって連結されている。封印部材によって連結された基板ボックス263は、所定の痕跡を残さなければ開封できない構成となっている。これにより、基板ボックス263が不正に開封された旨を容易に発見することができる。
【0165】
また、遊技盤30及びその裏側の球回収部材216には、一般入賞口31等の各種入賞口に対応して、当該各種入賞口へ入賞した遊技球を検出する入賞検出スイッチ(入球検出手段)が設けられている。
【0166】
具体的には、図4,8に示すように、一般入賞口31に対応して球回収部材216の球通路231には入賞口スイッチ221が設けられ、可変入賞装置32(大入賞口151)に対応して球回収部材216の球通路232にはカウントスイッチ223が設けられている。また、始動入賞口33A,33Bに対応して球回収部材216の球通路233には、それぞれ始動入賞スイッチ224A,224Bが設けられている。
【0167】
但し、本実施形態において、カウントスイッチ223は、可変入賞装置32の下側に固定された構成となっており、球回収部材216と可変入賞装置32の組付け時において、その一部が球通路232内に挿し込まれるように構成されている。勿論、これに代えて、カウントスイッチ223が球回収部材216(球通路232)側に取付けられる構成としてもよい。
【0168】
さらに、スルーゲート34に対応して遊技盤30にはスルーゲートスイッチ225が設けられている。加えて、アウト口36に対応して球回収部材216の球通路241A,241Bには、それぞれアウト球検出スイッチ226A,226Bが設けられている。
【0169】
また、図示は省略するが、裏枠セット215には、入賞口スイッチ221、カウントスイッチ223及びスルーゲートスイッチ225、並びにとケーブルコネクタを介して電気的に接続される第1盤面中継基板が設けられている。この第1盤面中継基板は、入賞口スイッチ221等と、主制御装置261とを中継するものであり、ケーブルコネクタを介して主制御装置261と電気的に接続されている。
【0170】
これに対し、始動入賞口33A,33Bへの入賞を検出する始動入賞スイッチ224A,224Bは中継基板を経ることなくコネクタケーブルを介して直接主制御装置261に接続されている。
【0171】
各種入賞検出スイッチにて各々検出された検出結果は、主制御装置261に取り込まれる。そして、該主制御装置261よりその都度の入賞状況に応じた払出指令(遊技球の払出個数)が払出制御装置311に送信され、該払出制御装置311からの出力信号に基づき所定数の遊技球の払出しが実施される(スルーゲートスイッチ225により検出された場合を除く。)
次に、裏パックユニット203の構成を説明する。図5に示すように、裏パックユニット203は、樹脂成形された裏パック351と、遊技球の払出機構部352とを一体化したものである。また、裏パックユニット203は、内枠12の左側部(図5では右側)に対して開閉可能に支持されており、上下方向に沿って延びる開閉軸線を軸心として後方に開放できるようになっている。加えて、裏パックユニット203の左上部(図5では右上部)には外部中継端子板240が設けられている。
【0172】
外部中継端子板240は、遊技ホールのホールコンピュータなどへの各種情報送信を中継するためのものであり、複数の外部接続端子が設けられている。便宜上、符号は付さないが、例えば現在の遊技状態(大当たり状態や高確率モード等)に関する情報を出力するための端子、後述する開放検知スイッチ91,92によって検出される前面枠セット14や内枠12の開放に関する情報を出力するための端子、入賞エラー、下皿満タンエラー、タンク球無しエラー、払出しエラーなど各種エラー状態に関する情報を出力するための端子、払出制御装置311から払出される賞球数に関する情報を出力するための端子などが設けられている。
【0173】
但し、本実施形態においては、「小当たり」に関する情報を出力するための端子は設けられておらず、「小当たり」の発生情報が出力されない構成となっている。本実施形態では、「高サポートモード」中は、「小当たり」が比較的頻繁に発生しやすくなっているため、「小当たり」が発生する度に、常に、発生情報を出力していては、出力信号の著しい増加を招くおそれがある。従って、例えば「低サポートモード」中など、このような不具合が比較的起きにくい場合には、「小当たり」の発生情報を出力するような構成としてもよい。
【0174】
また、「JUB大当たり」の発生情報の出力は、例えば「JUB大当たり」に係る5回の「短開放」の終了後、すなわち「小当たり」の場合と区別ができない状況を脱した後に、例えば後述するオープニングコマンドの出力(大当たり報知演出)等を行うタイミングにおいて、「JUB大当たり」の発生が確定した状態で行うことが好ましい。未だ「小当たり」の場合と区別ができない状況において、「JUB大当たり」の発生情報だけが先に出力されてしまうと、パチンコ機10に対応してホールの島設備に設置された情報表示機器等を見て、遊技者が事前に「JUB大当たり」の発生を把握してしまい、「JUB大当たり」の演出効果が薄れるおそれがある。
【0175】
裏パック351は例えばABS樹脂により一体成形されており、パチンコ機10の後方に突出して略直方体形状をなす保護カバー部354を備えている。保護カバー部354は左右側面及び上面が閉塞され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくともフレームカバー213を覆うのに十分な大きさを有する。但し、本実施形態では、保護カバー部354が基板ボックス263の上部及び右部(図5では左側の部位)も合わせて覆う構成となっている。これにより、裏パックユニット203の閉鎖状態において、基板ボックス263の右部に設けられた封印部材、及び主制御装置261の上縁部に沿って設けられた端子部(基板側コネクタ)が覆われることとなる。
【0176】
払出機構部352は、保護カバー部354を迂回するようにして配設されている。すなわち、保護カバー部354の上方には、上側に開口したタンク355が設けられており、このタンク355には遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク355の下方には、例えば横方向2列の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール356が連結され、さらにタンクレール356の下流側には縦向きにケースレール357が連結されている。払出装置358はケースレール357の最下流部に設けられ、払出モータ等の所定の電気的構成により必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。そして、払出装置358より払出された遊技球は上皿19等に供給される。
【0177】
また、払出機構部352には、払出制御装置311から払出装置358への払出指令の信号を中継する払出中継基板381が設置されると共に、外部より主電源を取り込む電源スイッチ基板382が設置されている。電源スイッチ基板382には、電圧変換器を介して例えば交流24Vの主電源が供給され、電源スイッチ382aの切替操作により電源ON又は電源OFFされる。
【0178】
裏パックユニット203(基板ボックス263)の下方には、内枠12の左側部(図5では右側)にて軸支され、後方に開放可能な下枠セット251が設けられている。図6に示すように、下枠セット251には、上述した球回収部材216により回収された遊技球が流入する排出球受部217が形成されている。また、排出球受部217の最下流部には、遊技球をパチンコ機10外部へ排出する排出シュート218が形成されている(図5等参照)。
【0179】
従って、一般入賞口31等の各種入賞口に入賞した遊技球、並びに、いずれの入賞口にも入賞せずアウト口36を介して排出された遊技球は、いずれも球回収部材216を介して排出球受部217へと案内され、さらに排出球受部217の排出シュート218を介してパチンコ機10外部(遊技ホールの島設備)に排出される。排出シュート218には、遊技領域30bへ発射されたすべての遊技球を検出するための全球検出スイッチ227が設けられている。
【0180】
尚、本実施形態では、裏パックユニット203と下枠セット251とが別体として構成され、それぞれ独立して開閉可能であるが、裏パックユニット203と下枠セット251とが一体的に形成されることとしてもよい。
【0181】
また、図5に示すように、下枠セット251の背面側には、払出制御手段としての払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314が前後に重ねられた状態で着脱可能に取り付けられている。
【0182】
発射制御装置312及び電源装置313は基板ボックス313aに収容されて下枠セット251の背面側に固定されている。尚、発射制御装置312及び電源装置313は、便宜上それぞれ独立した制御装置として説明するが、実際には1つの基板(プリント基板)により構成される。
【0183】
また、払出制御装置311は、基板ボックス311aに収容されて、基板ボックス313a(発射制御装置312及び電源装置313)の背面側に固定されている。尚、払出制御装置311が収容される基板ボックス311aには、上述した主制御装置261が収容される基板ボックス263と同様に封印部材が設けられ、基板ボックス311aの開封された痕跡が残るようになっている。
【0184】
加えて、カードユニット接続基板314は、基板ボックス314aに収容されて、基板ボックス313a(発射制御装置312及び電源装置313)の背面側に固定されている。
【0185】
なお、上記各基板ボックス311a,313a,314aは透明樹脂材料等により構成されており、内部が視認可能となっている。
【0186】
また、払出制御装置311には基板ボックス311aから外方に突出する状態復帰スイッチ321が設けられている。例えば、払出モータ部の球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ321が押下されると、払出モータが正逆回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られる。
【0187】
さらに、電源装置313には基板ボックス313aから外方に突出するRAM消去スイッチ323が設けられている。本パチンコ機10はバックアップ機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰させることができる。従って、通常手順で(例えば遊技ホールの営業終了時に)電源遮断すると電源遮断前の状態が記憶保持されることから、電源投入時に初期状態に戻したい場合には、RAM消去スイッチ323を押しながら電源を投入する。
【0188】
また、図6に示すように、内枠12の右側部背面側には施錠装置600が設けられている。施錠装置600は、前面枠セット14の前面側に露出するシリンダ錠700(図1等参照)を備えており、該シリンダ錠700の鍵穴に鍵を挿入し、一方に回動操作することで内枠12を解錠でき、他方に回動操作することで前面枠セット14を解錠できるようになっている。本実施形態では、内枠12は外枠11に対し施錠され、前面枠セット14は内枠12に対し施錠される。
【0189】
尚、上記のように、外枠11の右辺枠構成部11dには、施錠装置600に対応する上下区間全域を内枠12の背面側から覆う延出壁部83が形成されている(図5参照)。これにより、外枠11の背面側から線材等を進入させ、当該線材等により施錠装置600を操作することが困難となる。結果として、防御性能の向上を図ることができる。さらに、延出壁部83は、裏パックユニット203及び下枠セット251の右端部(図5では左側の端部)を背面側から覆う構成となっており、内枠12の閉状態においては、裏パックユニット203及び下枠セット251を開放できない構成となっている。
【0190】
また、図4に示すように、内枠12の前面側右下部(発射装置60の右側)には、前面枠セット14の開放を検知するための前面枠開放検知スイッチ91が設けられ、図5に示すように、内枠12の背面側右下部(図5では左下)には、内枠12の開放を検知するための内枠開放検知スイッチ92が設けられている。前面枠開放検知スイッチ91及び内枠開放検知スイッチ92は、それぞれスイッチ本体部に対して出没可能な検知部を備えており、前面枠開放検知スイッチ91は検知部が前方に向くように設けられ、内枠開放検知スイッチ92は検知部が後方へ向くように設けられる。そして、検知部がスイッチ本体部から突出した状態にある場合にはオン信号を主制御装置261に出力し、検知部がスイッチ本体部側に押圧され、スイッチ本体部に没入した状態ではオフ信号を主制御装置261に出力する構成となっている。つまり、前面枠開放検知スイッチ91は前面枠セット14の閉鎖時において検知部が前面枠セット14の背面で押圧されてオフ状態となり、前面枠セット14の開放時には、検知部が突出状態に戻ってオン状態となる。同様に、内枠開放検知スイッチ92は内枠12の閉鎖時において検知部が外枠11の受部85に一体形成された押圧部86によって押圧されてオフ状態となり、内枠12の開放時には検知部が突出状態に戻ってオン状態となる。
【0191】
次に、パチンコ機10の電気的構成について説明する。図13は、本パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。主制御装置261(主基板)には、演算装置である1チップマイコンとしてのCPU501が搭載されている。CPU501には、該CPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するメモリであるRAM503と、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路等が内蔵されている。但し、CPU、ROM及びRAMが1チップ化されておらず、それぞれの機能毎にチップ化されている構成であってもよい。
【0192】
RAM503は、CPU501の内部レジスタの内容やCPU501により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種フラグ及びカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)と、バックアップエリア503aとを備えている。
【0193】
また、RAM503は、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、スタックエリア、作業エリア及びバックアップエリア503aに記憶されるすべてのデータがバックアップされるようになっている。
【0194】
バックアップエリア503aは、停電などの発生により電源が切断された場合において、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくエリアである。バックアップエリア503aへの書き込みは、メイン処理によって電源切断時に実行され、逆にバックアップエリア503aに書き込まれた各値の復帰は、電源入時(停電解消による電源入を含む。以下同様)のメイン処理において実行される。なお、CPU501のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源断時に、後述する停電監視回路542から出力される停電信号SK1が入力されるように構成されており、停電の発生により、停電処理(NMI割込み処理)が即座に実行される。
【0195】
なお、少なくともスタックエリアとバックアップエリア503aとに記憶されるデータをバックアップすれば、必ずしもすべてのエリアに記憶されるデータをバックアップする必要はない。例えば、スタックエリアとバックアップエリア503aとに記憶されるデータをバックアップし、作業エリアに記憶されるデータをバックアップしない構成としてもよい。
【0196】
かかるROM502及びRAM503を内蔵したCPU501には、アドレスバス及びデータバス等で構成されるバスライン504を介して入出力ポート505が接続されている。入出力ポート505には、後述するRAM消去スイッチ回路543、払出制御装置311、サブ制御装置262、第1及び第2特別表示装置43L、43R、普通図柄表示装置41等が接続されている。この構成により、上述した特別表示装置43L、43R及び普通図柄表示装置41は、主制御装置261により直接的に制御される。一方、装飾図柄表示装置42は、サブ制御装置262を介して制御される。
【0197】
その他、便宜上、各種中継基板等の図示は省略するが、入出力ポート505には、入賞口スイッチ221、カウントスイッチ223、始動入賞ユニットスイッチ224A,224B、スルーゲートスイッチ225などの各種検出スイッチや、各種基板などの各種電気部品が接続されている。つまり、主制御装置261には、各種ケーブルコネクタのコネクタを接続するための複数の端子部(基板側コネクタ)が設けられているが、これら端子部等により、入出力ポート505が構成される。
【0198】
サブ制御装置262(サブ制御基板)は、演算装置であるCPU551、該CPU551により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM552、該ROM552内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するメモリであるRAM553、入出力ポート554、バスライン555を備えるとともに、その他にも図示しない割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路等を備えている。RAM553は、CPU551による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するメモリである。
【0199】
入出力ポート554には、バスライン555を介してCPU551、ROM552、RAM553が接続されるとともに、表示制御装置45が接続されている。さらに、入出力ポート554には、スピーカSP、演出ボタン125、各種電飾部及びランプ102~104が接続されている。
【0200】
サブ制御装置262のCPU551は、例えば主制御装置261から送信されるコマンド(例えば変動パターンコマンド)に基づいて表示制御装置45に表示制御を実行させ、装飾図柄表示装置42に表示させる。なお、上記のように、本実施形態では、主制御装置261が制御する第1及び第2特別表示装置43L、43Rにて大当たりか否か等を表示するようになっており、サブ制御装置262が制御する装飾図柄表示装置42では、前記特別表示装置43L、43Rの表示に合わせた表示が行われる。
【0201】
また、払出制御装置311は、払出装置358により賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるCPU511は、そのCPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRAM513とを備えている。
【0202】
払出制御装置311のRAM513は、主制御装置261のRAM503と同様に、CPU511の内部レジスタの内容やCPU511により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種フラグ及びカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)と、バックアップエリア513aとを備えている。
【0203】
RAM513は、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、スタックエリア、作業エリア及びバックアップエリア513aに記憶されるすべてのデータがバックアップされるようになっている。なお、少なくともスタックエリアとバックアップエリア513aとに記憶されるデータをバックアップすれば、必ずしもすべてのエリアに記憶されるデータをバックアップする必要はない。例えば、スタックエリアとバックアップエリア513aとに記憶されるデータをバックアップし、作業エリアに記憶されるデータをバックアップしない構成としてもよい。
【0204】
バックアップエリア513aは、停電などの発生により電源が切断された場合において、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくエリアである。このバックアップエリア513aへの書き込みは、メイン処理によって電源切断時に実行され、バックアップエリア513aに書き込まれた各値の復帰は電源入時のメイン処理において実行される。なお、主制御装置261のCPU501と同様、CPU511のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路542から停電信号SK1が入力されるように構成されており、その停電信号SK1がCPU511へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込み処理が即座に実行される。
【0205】
作業エリアには、払出制御装置311による賞球の払出許可が設定される払出許可フラグと、主制御装置261から送信されたコマンドを受信した場合に設定されるコマンド受信フラグと、主制御装置261から送信されたコマンドが記憶されるコマンドバッファとが設けられている。
【0206】
払出許可フラグは、賞球の払出許可を設定するフラグであり、主制御装置261から賞球の払出を許可する特定のコマンドが送信され、その特定のコマンドを受信した場合にオンされ、初期設定の処理又は電源遮断前へ復帰された場合にオフされる。本実施形態では、特定のコマンドは、払出制御装置311のRAM513の初期処理の指示をする払出初期化コマンドと、賞球の払出を指示する賞球コマンドと、主制御装置261が復電された場合に送信される払出復帰コマンドの3つである。
【0207】
コマンド受信フラグは、払出制御装置311がコマンドを受信したか否かを確認するフラグであり、いずれかのコマンドを受信した場合にオンされ、払出許可フラグと同様に、初期設定の処理又は電源遮断前へ復帰された場合にオフされるとともに、コマンド判定処理により受信されたコマンドの判定が行われた場合にオフされる。
【0208】
コマンドバッファは、主制御装置261から送信されるコマンドを一時的に記憶するリングバッファで構成されている。
【0209】
かかるROM512及びRAM513を内蔵したCPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン514を介して入出力ポート515が接続されている。入出力ポート515には、RAM消去スイッチ回路543、主制御装置261、発射制御装置312、払出装置358等がそれぞれ接続されている。
【0210】
カードユニット接続基板314は、パチンコ機10前面の貸球操作部(球貸しボタン121及び返却ボタン122)と、遊技ホール等にてパチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)とにそれぞれ電気的に接続され、遊技者による球貸し操作の指令を取り込んでそれをカードユニットに出力するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿19に遊技球が直接貸し出される現金機では、カードユニット接続基板314を省略することも可能である。
【0211】
発射制御装置312は、発射装置60による遊技球の発射を許可又は禁止するものであり、発射装置60は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、払出制御装置311から発射許可信号が出力されていること、遊技者がハンドル18をタッチしていることをセンサ信号により検出していること、発射を停止させる発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、発射装置60が駆動され、ハンドル18の操作量に応じた強度で遊技球が発射される。
【0212】
表示制御装置45は、サブ制御装置262からの指示に従い、装飾図柄表示装置42における装飾図柄の変動表示を実行するものである。この表示制御装置45は、CPU521と、プログラムROM522と、ワークRAM523と、ビデオRAM524と、キャラクタROM525と、ビデオディスプレイプロセッサ(VDP)526と、入力ポート527と、出力ポート529と、バスライン530,531とを備えている。入力ポート527にはサブ制御装置262の入出力ポート554が接続されている。また、入力ポート527には、バスライン530を介して、CPU521、プログラムROM522、ワークRAM523、VDP526が接続されている。また、VDP526にはバスライン531を介して出力ポート529が接続されており、その出力ポート529には液晶表示装置たる装飾図柄表示装置42が接続されている。
【0213】
表示制御装置45のCPU521は、サブ制御装置262から送信される表示コマンドを、入力ポート527を介して受信するとともに、受信コマンドを解析し又は受信コマンドに基づき所定の演算処理を行ってVDP526の制御(具体的にはVDP526に対する内部コマンドの生成)を実施する。これにより、装飾図柄表示装置42における表示制御を行う。
【0214】
プログラムROM522は、そのCPU521により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するメモリであり、ワークRAM523は、CPU521による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するメモリである。
【0215】
ビデオRAM524は、装飾図柄表示装置42に表示される表示データを記憶するメモリであり、このビデオRAM524の内容を書き替えることにより、装飾図柄表示装置42の表示内容が変更される。キャラクタROM525は、装飾図柄表示装置42に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するメモリである。
【0216】
VDP526は、装飾図柄表示装置42に組み込まれたLCDドライバ(液晶駆動回路)を直接操作する一種の描画回路である。VDP526はICチップ化されているため「描画チップ」とも呼ばれ、その実体は、描画処理専用のファームウェアを内蔵したマイコンチップとでも言うべきものである。VDP526は、CPU521、ビデオRAM524等のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在するとともに、ビデオRAM524に記憶される表示データを所定のタイミングで読み出して装飾図柄表示装置42に表示させる。
【0217】
また、電源装置313は、パチンコ機10の各部に電力を供給する電源部541と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路542と、RAM消去スイッチ323に接続されてなるRAM消去スイッチ回路543とを備えている。
【0218】
電源部541は、図示しない電源経路を通じて、主制御装置261や払出制御装置311等に対して各々に必要な動作電源を供給する。その概要としては、電源部541は、外部より供給される交流24ボルト電源を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動する+12V電源、ロジック用の+5V電源、RAMバックアップ用のバックアップ電源などを生成し、これら+12V電源、+5V電源及びバックアップ電源を主制御装置261や払出制御装置311等に対して供給する。なお、発射制御装置312に対しては払出制御装置311を介して動作電源(+12V電源、+5V電源等)が供給される。同様に、各種スイッチやモータ等には、これらが接続される制御装置を介して動作電源が供給されることとなる。
【0219】
停電監視回路542は、停電等の発生による電源断時に、主制御装置261のCPU501及び払出制御装置311のCPU511の各NMI端子へ停電信号SK1を出力する回路である。停電監視回路542は、電源部541から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断)の発生と判断して、停電信号SK1を主制御装置261及び払出制御装置311へ出力する。この停電信号SK1の出力によって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電の発生を認識し、停電時処理(NMI割込み処理)を実行する。
【0220】
なお、電源部541は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、かかる停電時処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電時処理を正常に実行し完了することができる。
【0221】
RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去スイッチ323のスイッチ信号を取り込み、そのスイッチ323の状態に応じて主制御装置261のRAM503及び払出制御装置311のRAM513のバックアップデータをクリアする回路である。RAM消去スイッチ323が押下された際、RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去信号SK2を主制御装置261及び払出制御装置311に出力する。RAM消去スイッチ323が押下された状態でパチンコ機10の電源が投入されると(停電解消による電源入を含む)、主制御装置261及び払出制御装置311においてそれぞれのRAM503,513のデータがクリアされる。
【0222】
次に、上記の如く構成されたパチンコ機10の動作について説明する。
【0223】
本実施形態では、主制御装置261に設けられたCPU501は、遊技に際し各種カウンタ情報を用いて抽選を行うこととしている。具体的には、図14に示すように、大当たり状態を発生させるか否かの大当たり抽選(当否抽選)に使用する大当たり乱数カウンタC1と、大当たり種別の決定に使用する大当たり種別決定カウンタC2と、装飾図柄表示装置42を外れ変動させる際にリーチ状態を発生させるか否かの決定や、発生させるリーチの種別の決定等に使用するリーチ選択カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する初期値乱数カウンタCINIと、第1及び第2特別表示装置43L、43R(装飾図柄表示装置42)の変動表示時間の決定や、装飾図柄表示装置42における変動パターン(演出パターン)の決定等に使用する変動種別カウンタCS1,CS2と、普通図柄表示装置41の抽選(下始動入賞口33Bの開閉役物37を開状態とするか否かの開放抽選)に使用する普通図柄乱数カウンタC4とを用いることとしている。
【0224】
カウンタC1,C2,C3,CINI,CS1,CS2,C4は、その更新の都度前回値に1が加算され、上限値に達した後、下限値である0に戻るループカウンタとなっている。各カウンタは定期的に更新され、その更新値がRAM503の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される(乱数初期値カウンタCINIを除く)。
【0225】
RAM503には、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別決定カウンタC2、及びリーチ選択カウンタC3の各値が記憶される特別変動保留エリアと、普通図柄乱数カウンタC4の値が記憶される普通変動保留エリアとが設けられている。普通変動保留エリアは、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1~保留第4エリア)とを備えている。
【0226】
また、特別変動保留エリアは、それぞれ4つの保留エリア(保留第1~保留第4エリア)を備える第1特別変動保留エリア及び第2特別変動保留エリアと、1つの実行エリアとを備えている。
【0227】
第1特別変動保留エリアの各保留エリアには、上始動入賞口33Aへの遊技球の入賞履歴に合わせて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別決定カウンタC2、及びリーチ選択カウンタC3の各値が時系列的に格納される。第1特別変動保留エリアが第1保留手段を構成する。
【0228】
第2特別変動保留エリアの各保留エリアには、下始動入賞口33Bへの遊技球の入賞履歴に合わせて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別決定カウンタC2、及びリーチ選択カウンタC3の各値が時系列的に格納される。第2特別変動保留エリアが第2保留手段を構成する。
【0229】
普通変動保留エリアの各保留エリアには、スルーゲート34への遊技球の通過履歴に合わせて、普通図柄乱数カウンタC4の値が時系列的に格納される。
【0230】
かかる構成を採用することで、上記のように特別表示装置43L、43R及び普通図柄表示装置41における変動表示をそれぞれ4回まで保留可能としている。
【0231】
各カウンタについて詳しく説明すると、大当たり乱数カウンタC1は、例えば0~599の範囲内で順に1ずつ加算され、終値としての上限値(つまり599)に達した後、始値としての下限値である0に戻る構成となっている。通常、大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の初期値乱数カウンタCINIの値が当該大当たり乱数カウンタC1の次の初期値として読み込まれる。なお、初期値乱数カウンタCINIは、大当たり乱数カウンタC1と同様のループカウンタであり(値=0~599)、タイマ割込み毎に1回更新されると共に通常処理の残余時間内で繰り返し更新される。一方、大当たり乱数カウンタC1は定期的に(本実施形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、大当たり乱数カウンタC1の値が大当たり乱数カウンタバッファに格納される。そして、遊技球が上始動入賞口33A又は下始動入賞口33Bに入賞したタイミングで、大当たり乱数カウンタバッファに格納されている大当たり乱数カウンタC1の値が、第1特別変動保留エリア又は第2特別変動保留エリアに格納される。従って、かかる処理が第1当否抽選及び第2当否抽選の一部を構成することとなる。
【0232】
大当たりとなる乱数の値は、「低確率モード」と「高確率モード」とで2種類設定されており、本実施形態では、「低確率モード」であれば大当たりとなる乱数の値の数は2つで、その値は「7、307」であり、「高確率モード」であれば大当たりとなる乱数の値の数は20で、その値は「7~16、307~316」である。すなわち、「低確率モード」においては1/300の確率で当否抽選に当選し(大当たり状態が発生し)、「高確率モード」においては1/30の確率で当否抽選に当選することとなる。これら当選確率が本実施形態における第1の当選確率に相当する。
【0233】
本実施形態では、ROM502に対し、大当たり乱数カウンタC1の値が大当たりに対応するか否かの判定を行う際に参照される当否判定テーブルが設けられている。尚、本実施形態では、当否判定テーブルが2つ存在し、「7、307」を記憶した第1当否判定テーブルと、「7~16、307~316」を記憶した第2当否判定テーブルとがある。
【0234】
また、本実施形態では、大当たり乱数カウンタC1の値は、「小当たり」を判定する場合にも使用される。「小当たり」となる乱数の値の数は50で、その値は「101~125、401~425」である。すなわち、1/12の確率で当否抽選に当選(小当たり状態が発生)することとなる。かかる当選確率が本実施形態における第2の当選確率に相当する。
【0235】
大当たり種別決定カウンタC2は、例えば0~19の範囲内で順に1ずつ加算され、上限値(つまり19)に達した後、下限値である0に戻る構成となっている。本実施形態では、大当たり種別決定カウンタC2によって、大当たり種別、すなわち「16R確変大当たりA」、「16R確変大当たりB」、「4R確変大当たりA」、「4R確変大当たりB」、「16R通常大当たりA」、「16R通常大当たりB」、「4R通常大当たりA」、「4R通常大当たりB」又は「JUB大当たり」のいずれを付与するかが決定されるようになっている。
【0236】
尚、ROM502には、大当たり種別決定カウンタC2の値がいずれの大当たりに対応するかの判定を行う際に参照される大当たり種別判定テーブルが設けられている。また、上記のように、本実施形態では、遊技球が上始動入賞口33Aへ入賞した場合と、下始動入賞口33Bへ入賞した場合とで、大当たり種別の振り分けが異なっている。すなわち、本実施形態では、大当たり種別判定テーブルが2つ存在し、遊技球が上始動入賞口33Aへ入賞した場合に参酌される第1大当たり種別判定テーブルと、遊技球が下始動入賞口33Bへ入賞した場合に参酌される第2大当たり種別判定テーブルとがある。
【0237】
具体的には、遊技球が上始動入賞口33Aへ入賞した場合、第1大当たり種別判定テーブル(図41参照)を参酌して、大当たり種別決定カウンタC2の値が「0,1」であれば「16R確変大当たりA」の付与が決定される。
【0238】
また、大当たり種別決定カウンタC2の値が「2」であれば、「20回・高サポートモード」付き「16R確変大当たりB」の付与が決定され、「3」であれば「30回・高サポートモード」付き「16R確変大当たりB」の付与が決定され、「4」であれば「40回・高サポートモード」付き「16R確変大当たりB」の付与が決定され、「5」であれば「50回・高サポートモード」付き「16R確変大当たりB」の付与が決定される。
【0239】
大当たり種別決定カウンタC2の値が「6」であれば「4R確変大当たりA」の付与が決定される。
【0240】
大当たり種別決定カウンタC2の値が「7」であれば、「20回・高サポートモード」付き「4R確変大当たりB」の付与が決定され、「8」であれば「30回・高サポートモード」付き「4R確変大当たりB」の付与が決定され、「9」であれば「40回・高サポートモード」付き「4R確変大当たりB」の付与が決定され、「10」であれば「50回・高サポートモード」付き「4R確変大当たりB」の付与が決定される。
【0241】
大当たり種別決定カウンタC2の値が「11」であれば「16R通常大当たりA」の付与が決定される。
【0242】
大当たり種別決定カウンタC2の値が「12」であれば、「20回・高サポートモード」付き「16R通常大当たりB」の付与が決定され、「13」であれば「30回・高サポートモード」付き「16R通常大当たりB」の付与が決定され、「14」であれば「40回・高サポートモード」付き「16R通常大当たりB」の付与が決定され、「15」であれば「50回・高サポートモード」付き「16R通常大当たりB」の付与が決定される。
【0243】
大当たり種別決定カウンタC2の値が「16」であれば、「20回・高サポートモード」付き「4R通常大当たりB」の付与が決定され、「17」であれば「30回・高サポートモード」付き「4R通常大当たりB」の付与が決定され、「18」であれば「40回・高サポートモード」付き「4R通常大当たりB」の付与が決定され、「19」であれば「50回・高サポートモード」付き「4R通常大当たりB」の付与が決定される。
【0244】
すなわち、上始動入賞口33Aへの入賞を契機とする当否抽選に当選した場合には、10%の確率で「16R確変大当たりA」となり、20%の確率で「16R確変大当たりB」となり、5%の確率で「4R確変大当たりA」となり、20%の確率で「4R確変大当たりB」となり、5%の確率で「16R通常大当たりA」となり、20%の確率で「16R通常大当たりB」となり、20%の確率で「4R通常大当たりB」となる。
【0245】
一方、遊技球が下始動入賞口33Bへ入賞した場合には、第2大当たり種別判定テーブル(図42参照)を参酌して、大当たり種別決定カウンタC2の値が「0~9」であれば「16R確変大当たりA」の付与が決定され、「10,11」であれば「4R確変大当たりA」の付与が決定され、「12,13」であれば「4R通常大当たりA」の付与が決定され、「14」であれば、「20回・高サポートモード」付き「4R通常大当たりB」の付与が決定され、「15」であれば「30回・高サポートモード」付き「4R通常大当たりB」の付与が決定され、「16」であれば「40回・高サポートモード」付き「4R通常大当たりB」の付与が決定され、「17」であれば「50回・高サポートモード」付き「4R通常大当たりB」の付与が決定され、「18,19」であれば「JUB大当たり」の付与が決定される。
【0246】
すなわち、下始動入賞口33Bへの入賞を契機とする当否抽選に当選した場合には、50%の確率で「16R確変大当たりA」となり、10%の確率で「4R確変大当たりA」となり、10%の確率で「4R通常大当たりA」となり、20%の確率で「4R通常大当たりB」となり、10%の確率で「JUB大当たり」となる。
【0247】
尚、大当たり種別決定カウンタC2は定期的に(本実施形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、大当たり種別決定カウンタC2の値が大当たり種別決定カウンタバッファに格納される。そして、遊技球が上始動入賞口33A又は下始動入賞口33Bに入賞したタイミングで、大当たり種別決定カウンタバッファに格納されている大当たり種別決定カウンタC2の値がRAM503の特別変動保留エリア(第1特別変動保留エリア又は第2特別変動保留エリア)に格納される。
【0248】
また、リーチ選択カウンタC3は、例えば0~238の範囲内で順に1ずつ加算され、上限値(つまり238)に達した後、下限値である0に戻る構成となっている。本実施形態では、リーチ選択カウンタC3によって、装飾図柄に関してリーチが発生した後、最終停止図柄がリーチ図柄の前後に1つだけずれて停止する「前後外れリーチ」と、同じくリーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後以外で停止する「前後外れ以外リーチ」と、リーチが発生しない「完全外れ」とを抽選することとしている。本実施形態では、ROM502に対し、リーチ選択カウンタC3の値がリーチ状態の発生に対応する値であるか否か及びいずれのリーチに対応するかの判定を行う際に参照されるリーチ判定テーブルが設けられている。リーチ判定テーブルには「0~238」の値が記憶され、C3=0,1が前後外れリーチに該当し、C3=2~21が前後外れ以外リーチに該当し、C3=22~238が完全外れに該当する構成となっている。
【0249】
リーチ選択カウンタC3は定期的に(本実施形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、リーチ選択カウンタバッファにリーチ選択カウンタC3の値が格納される。そして、遊技球が上始動入賞口33A又は下始動入賞口33Bに入賞したタイミングで、リーチ選択カウンタバッファに格納されているリーチ選択カウンタC3の値がRAM503の特別変動保留エリア(第1特別変動保留エリア又は第2特別変動保留エリア)に格納される。
【0250】
また、2つの変動種別カウンタCS1,CS2のうち、一方の変動種別カウンタCS1は、例えば0~198の範囲内で順に1ずつ加算され、上限値(つまり198)に達した後、下限値である0に戻る構成となっており、他方の変動種別カウンタCS2は、例えば0~240の範囲内で順に1ずつ加算され、上限値(つまり240)に達した後、下限値である0に戻る構成となっている。以下の説明では、CS1を「第1変動種別カウンタ」、CS2を「第2変動種別カウンタ」ともいう。図14中でもこのように表記した。
【0251】
例えば通常状態に係る確変大当たり時・変動パターンテーブル(図44参照)においては、第1変動種別カウンタCS1によって、いわゆるノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等、装飾図柄のリーチ種別やその他大まかな変動態様が決定され、第2変動種別カウンタCS2によって、変動時間など、より細かな変動態様が決定される。従って、これらの変動種別カウンタCS1,CS2を組合わせることで、変動パターンの多様化を容易に実現することができる。勿論、第1変動種別カウンタCS1だけで変動態様を決定したり等することも可能である。
【0252】
尚、ノーマルリーチは、装飾図柄の変動以外には特段の演出表示がなされないリーチパターンである。スーパーリーチは、装飾図柄の変動表示中(リーチ状態成立後)において、装飾図柄以外にも、装飾図柄表示装置42にキャラクタ等が表示され、これにより遊技者に対し期待感を抱かせるリーチパターンである。プレミアムリーチは、大当たり状態が発生する際にのみ導出され得る演出態様であり、装飾図柄の変動表示中(リーチ状態成立後)において、装飾図柄以外に、スーパーリーチとは異なるパターンのキャラクタ等が表示される態様で行われ、これにより遊技者に対し期待感を抱かせるリーチパターンである。
【0253】
また、変動種別カウンタCS1,CS2は、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、装飾図柄表示装置42による装飾図柄の変動開始時における変動パターン決定に際してCS1,CS2のバッファ値が取得される。
【0254】
なお、各カウンタの大きさや範囲は一例にすぎず任意に変更できる。但し、大当たり乱数カウンタC1、リーチ選択カウンタC3、変動種別カウンタCS1,CS2の大きさは何れも異なる素数とし、いかなる場合にも同期しない数値としておくのが望ましい。
【0255】
また、普通図柄乱数カウンタC4は、例えば0~9の範囲内で順に1ずつ加算され、上限値(つまり9に達した後、下限値である0に戻るループカウンタとして構成されている。普通図柄乱数カウンタC4は定期的に(本実施形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球がスルーゲート34を通過した時に普通図柄乱数カウンタC4の値が取得される。
【0256】
そして、当選となる普通図柄乱数カウンタC4の値が取得された場合、普通図柄表示装置41において変動表示が所定時間行われた後、当選に対応する図柄(本例では「○」)が停止表示され、下始動入賞口33Bの開閉役物37が所定時間の間、開状態となる。
【0257】
本実施形態では、「低サポートモード」において、当選となる乱数の値は「0,1」の2個である。一方、「高サポートモード」において、当選となる乱数の値は、「0~7」の8個である。つまり、「低サポートモード」時には1/5の確率で開閉役物37が開状態となり、「高サポートモード」時には4/5の確率で開閉役物37が開状態となる。これら当選確率が本実施形態における第3の当選確率に相当する。
【0258】
次いで、主制御装置261内のCPU501により実行される各制御処理を、フローチャートを参照しながら説明する。かかるCPU501の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施形態では2msec周期で)起動されるタイマ割込み処理と、NMI端子(ノンマスカブル端子)への停止信号の入力により起動されるNMI割込み処理とがあり、説明の便宜上ここでは、先ずタイマ割込み処理とNMI割込み処理とを説明し、その後でメイン処理を説明する。
【0259】
NMI割込み処理は、主制御装置261のCPU501により停電の発生等によるパチンコ機10の電源断時に実行される。このNMI割込みにより、電源断時の主制御装置261の状態がRAM503のバックアップエリア503aに記憶される。
【0260】
すなわち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SK1が停電監視回路542から主制御装置261内のCPU501のNMI端子に出力される。すると、CPU501は実行中の制御を中断してNMI割込み処理を開始し、電源断の発生情報の設定として電源断の発生情報をRAM503のバックアップエリア503aに記憶してNMI割込み処理を終了する。
【0261】
尚、上記のNMI割込み処理は払出制御装置311でも同様に実行され、かかるNMI割込みにより、電源断の発生情報がRAM513のバックアップエリア513aに記憶される。すなわち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SK1が停電監視回路542から払出制御装置311内のCPU511のNMI端子に出力され、CPU511は実行中の制御を中断してNMI割込み処理を開始する。その内容は上記説明の通りである。
【0262】
図17は、タイマ割込み処理を示すフローチャートであり、本処理は主制御装置261のCPU501により例えば2msec毎に実行される。
【0263】
図17において、先ずステップS301では、各種入賞検出スイッチの読み込み処理を実行する。ここでは主制御装置261に接続されている各種入賞検出スイッチ(入賞口スイッチ221、カウントスイッチ223、始動入賞スイッチ224A,224B、スルーゲートスイッチ225)の状態を読み込むと共に、当該スイッチの状態を判定して検知情報を保存する。
【0264】
ステップS302では乱数初期値更新処理を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1インクリメントすると共に、そのカウンタ値が上限値(本例では599)に達した際0にクリアする。
【0265】
また、ステップS303では乱数更新処理を実行する。具体的には、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別決定カウンタC2、リーチ選択カウンタC3及び普通図柄乱数カウンタC4をそれぞれ1インクリメントすると共に、それらのカウンタ値が上限値に達した際それぞれ0にクリアする。そして、各カウンタC1,C2,C3,C4の更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。
【0266】
その後、ステップS304では、始動入賞口33A,33Bへの入賞に伴う始動入賞処理を実行し、ステップS305では、スルーゲート34への遊技球の通過に伴うスルーゲート通過処理を実行する。その後、タイマ割込み処理を一旦終了する。
【0267】
ここで、ステップS304の始動入賞処理について図18のフローチャートを参照して説明する。尚、特別変動保留エリアの実行エリア及び各保留エリアには、大当たり乱数カウンタC1の値を記憶する大当たり乱数記憶エリア、大当たり種別決定カウンタC2の値を記憶する大当たり種別乱数記憶エリア、リーチ選択カウンタC3の値を記憶するリーチ乱数記憶エリアが設けられている。
【0268】
先ず、ステップS501では、遊技球が下始動入賞口33Bに入賞したか否かを第2始動入賞スイッチ224Bの検知情報に基づき判定する。当該ステップS501で肯定判定された場合、ステップS502において、下始動入賞口33Bへの入賞を契機とする変動表示の保留数をカウントする下保留カウンタNbの値が上限値(本実施形態では「4」)未満であるか否かを判定する。当該ステップS502で否定判定された場合には、ステップS509へ移行する。一方、ステップS502で肯定判定された場合には、ステップS503に進み、下保留カウンタNbを1インクメントする。
【0269】
続くステップS504では、上記ステップS303の乱数更新処理で更新した大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別決定カウンタC2、及びリーチ選択カウンタC3の各値を、第2特別変動保留エリアの空いている保留エリアのうち最初のエリアに格納する。ステップS504の後、ステップS505に移行する。
【0270】
ステップS505では、新たに第2特別変動保留エリアに記憶された大当たり乱数カウンタC1の値が大当たりに対応する値であるか否かを判定する大当たり判定処理を行う。尚、大当たり判定処理の詳細については後述する。
【0271】
続くステップS506では、ステップS505で大当たり乱数カウンタC1の値が大当たりに対応する値であると判定された場合に、新たに第2特別変動保留エリアに記憶された大当たり種別決定カウンタC2の値に基づいて、大当たりの種別を判定する第2大当たり種別判定処理を行う。
【0272】
ここでは、先ず直前に行われた大当たり判定処理にて、大当たり当選フラグが設定されたか否かを判定し、否定判定された場合には、そのまま本処理を終了する。一方、肯定判定された場合には、上記第2大当たり種別判定テーブルを参酌し、新たに第2特別変動保留エリアに記憶された大当たり種別決定カウンタC2の値が、「16R確変大当たりA」に対応する値「0~9」のいずれかであった場合には、「16R確変大当たりAフラグ」をオンにし、「4R確変大当たりA」に対応する値「10,11」のいずれかであった場合には、「4R確変大当たりAフラグ」をオンにし、「4R通常大当たりA」に対応する値「12,13」のいずれかであった場合には、「4R通常大当たりAフラグ」をオンにし、「4R通常大当たりB」に対応する値「14~17」のいずれかであった場合には「4R通常大当たりBフラグ」をオンにし、「JUB大当たり」に対応する値「18,19」のいずれかであった場合には、「JUB大当たりフラグ」をオンにする。
【0273】
尚、ここで「16R確変大当たりA」、「4R確変大当たりA」又は「JUB大当たり」に当選した場合、すなわち大当たり終了後に「次回まで・高サポートモード」が付与される場合には、大当たり終了後の所定期間(本実施形態では変動表示20回分)、付与された「高サポートモード」が「次回まで・高サポートモード」であることを報知しない非報知演出を行なうか否かの演出抽選が例えば1/100程度の抽選確率で行なわれる。そして、抽選結果として、非報知演出が行なわれることが決定された場合には、非報知演出実行フラグがオンにされる。
【0274】
続くステップS507では、ステップS505で大当たり乱数カウンタC1の値が大当たりに対応する値ではないと判定された場合に、新たに第2特別変動保留エリアに記憶されたリーチ選択カウンタC3の値に基づいて、リーチの種別を判定するリーチ判定処理を行う。尚、リーチ判定処理の詳細については後述する。
【0275】
さらに続くステップS508では、保留制御コマンドの設定処理を行う。保留制御コマンドとは、第2特別変動保留エリアに保留記憶された各種保留情報(変動表示の内容を決定するために使用される情報)を事前にサブ制御装置262に対して知らせるためのコマンドである。本処理にて設定された保留制御コマンドは、次回の外部出力処理(ステップS201参照)にてサブ制御装置262に出力される。保留制御コマンドには、例えば保留情報として、上記大当たり判定処理や大当たり種別判定処理の結果を示す情報、始動入賞口33A,33Bどちらの入賞を契機とする変動表示であるかを示す情報などが含まれる。
【0276】
ここで、ステップS505の大当たり判定処理の詳細について、図19を参照して説明する。
【0277】
先ず、ステップS5101では、新たに第2特別変動保留エリアに記憶された大当たり乱数カウンタC1の値が、第1当否判定テーブルに記憶された大当たりに対応する値「7」、「307」のどちらかと一致するか否かを判定する。尚、図19では便宜上、当該ステップS5101の処理を簡略化して記載しているが、実際には、大当たり乱数カウンタC1の値が「7」であるか否かを判定するとともに、当該判定で否定判定された場合には、大当たり乱数カウンタC1の値が「307」であるか否かを判定し、これらどちらかの判定で肯定判定された場合に、当該ステップS5101で肯定判定され、どちらの判定においても否定判定された場合に、当該ステップS5101で否定判定されることとなる。
【0278】
ステップS5101で肯定判定された場合、すなわち大当たり状態が発生すると判定された場合には、ステップS5102において大当たり当選フラグをオンにした後、ステップS5105へ移行する。ステップS5102において第1の特別遊技状態に相当する大当たり状態を発生させる主制御装置261の機能により本実施形態における第1の特別遊技状態発生手段が構成される。
【0279】
一方、ステップS5101で否定判定された場合には、ステップS5103において、後述する抽選モードフラグの値を基に、「高確率モード」中であるか否かを判定する。
【0280】
ステップS5103で肯定判定された場合、すなわち「高確率モード」中である場合には、ステップS5104において、新たに第2特別変動保留エリアに記憶された大当たり乱数カウンタC1の値が、第2当否判定テーブルに記憶された大当たりに対応する値のうち、上記「7」、「307」を除く、「8~16、308~316」のいずれかであるか否かを判定する。尚、当該判定処理に際しても、実際には、上記のように大当たり乱数カウンタC1の値と大当たりに対応する各値とが一致するか否かを1つずつ判定する。
【0281】
当該ステップS5104で肯定判定された場合、すなわち「高確率モード」中においては大当たり状態が発生すると判定された場合には、ステップS5102において大当たり当選フラグをオンにした後、そのまま本処理を終了する。
【0282】
ステップS5101やステップS5104の判定処理が本実施形態における第1の当否抽選を構成し、これを実行する主制御装置261の機能により第1の抽選手段が構成される。
【0283】
ステップS5103又はステップS5104で否定判定された場合、すなわち「大当たり」でない場合には、ステップS5105へ移行する。
【0284】
また、ステップS5105では、新たに第2特別変動保留エリアに記憶された大当たり乱数カウンタC1の値が、小当たりに対応する値「101~125、401~425」と一致するか否かを判定する。
【0285】
ステップS5105で肯定判定された場合、すなわち小当たり状態が発生すると判定された場合には、ステップS5106において小当たり当選フラグをオンにした後、本処理を終了する。一方、ステップS5105で否定判定された場合には、そのまま本処理を終了する。
【0286】
ステップS5105の判定処理が本実施形態における第2の当否抽選を構成し、これを実行する主制御装置261の機能により第2の抽選手段が構成される。また、ステップS5106において第2の特別遊技状態に相当する小当たり状態を発生させる主制御装置261の機能により本実施形態における第2の特別遊技状態発生手段が構成される。
【0287】
次に、ステップS507のリーチ判定処理について図20を参照して説明する。
【0288】
先ず、ステップS5301では、直前に行われた大当たり判定処理にて、当選フラグ(大当たり当選フラグ又は小当たり当選フラグ)が設定されたか否かを判定する。ステップS5301で肯定判定された場合、すなわち大当たり状態又は小当たり状態が発生する場合には、そのまま本処理を終了する。
【0289】
一方、ステップS5301で肯定判定された場合、すなわち当たり状態が発生しない場合には、ステップS5302において、リーチ判定テーブルを参酌し、新たに第2特別変動保留エリアに記憶されたリーチ選択カウンタC3の値が、「前後外れリーチ」に対応する値「0、1」のどちらかと一致するか否かを判定する。ステップS5302で肯定判定された場合には、ステップS5303において、前後外れリーチの発生を示す前後外れフラグをオンにした後、本処理を終了する。
【0290】
一方、ステップS5302で否定判定された場合には、ステップS5304において、リーチ判定テーブルを参酌し、新たに第2特別変動保留エリアに記憶されたリーチ選択カウンタC3の値が、「前後外れ以外リーチ」に対応する値「2~21」のいずれかと一致するか否かを判定する。当該ステップS5304で肯定判定された場合には、ステップS5305において前後外れ以外フラグをオンにした後、本処理を終了する。
【0291】
また、ステップS5304で否定判定された場合、すなわち「完全外れ」となる場合には、そのまま本処理を終了する。
【0292】
図18の説明に戻り、ステップS508の処理の後、又は、ステップS501で否定判定された場合には、ステップS509において、遊技球が上始動入賞口33Aに入賞したか否かを第1始動入賞スイッチ224Aの検知情報に基づき判定する。当該ステップS509で否定判定された場合には、そのまま本処理を終了する。一方、肯定判定された場合には、ステップS510において、上始動入賞口33Aへの入賞を契機とする変動表示の保留数をカウントする上保留カウンタNaの値が上限値(本実施形態では「4」)未満であるか否かを判定する。当該ステップS510で否定判定された場合には、そのまま本処理を終了する。一方、ステップS510で肯定判定された場合には、ステップS511に進み、上保留カウンタNaを1インクメントする。
【0293】
続くステップS512では、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別決定カウンタC2、及びリーチ選択カウンタC3の各値を、第1特別変動保留エリアの空いている保留エリアのうち最初のエリアに格納する。ステップS512の後、ステップS513に移行する。
【0294】
ステップS513では、新たに第1特別変動保留エリアに記憶された大当たり乱数カウンタC1の値が大当たりに対応する値であるか否かを判定する大当たり判定処理を行う。尚、ステップS513の大当たり判定処理は、小当たり判定を除き、上記ステップS505の大当たり判定処理と同様であり、処理の対象となる変動表示に関する情報が、上始動入賞口33Aへの入賞に基づくものであるといった点が異なるだけであるため、便宜上、詳細な説明は省略する。
【0295】
続くステップS514では、ステップS513で大当たり乱数カウンタC1の値が大当たりに対応する値であると判定された場合に、新たに第1特別変動保留エリアに記憶された大当たり種別決定カウンタC2の値に基づいて、大当たりの種別を判定する第1大当たり種別判定処理を行う。
【0296】
ここでは、先ず直前に行われた大当たり判定処理にて、大当たり当選フラグが設定されたか否かを判定し、否定判定された場合には、そのまま本処理を終了する。一方、肯定判定された場合には、上記第1大当たり種別判定テーブルを参酌し、新たに第1特別変動保留エリアに記憶された大当たり種別決定カウンタC2の値が、「16R確変大当たりA」に対応する値「0,1」のいずれかであった場合には「16R確変大当たりAフラグ」をオンにし、「16R確変大当たりB」に対応する値「2~5」のいずれかであった場合には「16R確変大当たりBフラグ」をオンにし、「4R確変大当たりA」に対応する値「6」であった場合には「4R確変大当たりAフラグ」をオンにし、「4R確変大当たりB」に対応する値「7~10」のいずれかであった場合には「4R確変大当たりBフラグ」をオンにし、「16R通常大当たりA」に対応する値「11」であった場合には「16R通常大当たりAフラグ」をオンにし、「16R通常大当たりB」に対応する値「12~15」のいずれかであった場合には「16R通常大当たりBフラグ」をオンにし、「4R通常大当たりB」に対応する値「16~19」のいずれかであった場合には「4R通常大当たりBフラグ」をオンにする。
【0297】
尚、ここで「16R確変大当たりA」又は「4R確変大当たりA」に当選した場合、すなわち大当たり終了後に「次回まで・高サポートモード」が付与される場合には、ステップS506と同様、上記非報知演出を行なうか否かの演出抽選が行なわれる。そして、抽選結果として、非報知演出が行なわれることが決定された場合には、非報知演出実行フラグがオンにされる。
【0298】
続くステップS515では、ステップS513で大当たり乱数カウンタC1の値が大当たりに対応する値ではないと判定された場合に、新たに第1特別変動保留エリアに記憶されたリーチ選択カウンタC3の値に基づいて、リーチの種別を判定するリーチ判定処理を行う。尚、ステップS515のリーチ判定処理は、上記ステップS507のリーチ判定処理と同様であり、処理の対象となる変動表示に関する情報が、上始動入賞口33Aへの球に基づくものであるといった点が異なるだけであるため、便宜上、詳細な説明は省略する。
【0299】
さらに続くステップS516では、保留制御コマンドの設定処理を行う。その後、本処理を終了する。尚、ステップS516の保留制御コマンドの設定処理は、上記ステップS508の保留制御コマンドの設定処理と同様であり、処理の対象となる変動表示に関する情報が、上始動入賞口33Aへの球に基づくものであるといった点が異なるだけであるため、便宜上、詳細な説明は省略する。
【0300】
次に、ステップS305のスルーゲート通過処理について図21のフローチャートを参照して説明する。
【0301】
ステップS601では、遊技球がスルーゲート34を通過したか否かをスルーゲートスイッチ225の検出情報により判定する。
【0302】
ステップS601で否定判定された場合、そのまま本処理を終了する。一方、ステップS601にて肯定判定された場合、すなわち、遊技球がスルーゲート34を通過したと判定されると、ステップS602において、普通図柄表示装置41にて行われる変動表示の保留数をカウントする普通保留カウンタNcの値が上限値(本実施形態では4)未満であるか否かを判定する。ここで否定判定された場合には、そのまま本処理を終了する。一方、ステップS602で肯定判定された場合、すなわち、スルーゲート34への遊技球の通過が確認され、且つ、普通保留カウンタNcの値<4であることを条件にステップS603に進み、普通保留カウンタNcを1インクリメントする。
【0303】
また、続くステップS604では、当否に関わる乱数を取得する。具体的には、上記ステップS303の乱数更新処理で更新した普通図柄乱数カウンタC4の値を、RAM503の普通変動保留エリアの空き記憶エリアのうち最初のエリアに格納する。その後、スルーゲート通過処理を終了する。
【0304】
次に、主制御装置261内のCPU501により実行されるメイン処理の流れを図15のフローチャートを参照しながら説明する。このメイン処理は電源投入時のリセットに伴い起動される。
【0305】
先ず、ステップS101では、電源投入に伴う初期設定処理を実行する。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、サブ側の制御装置(サブ制御装置262,払出制御装置311等)が動作可能な状態になるのを待つために例えば1秒程度、ウエイト処理を実行する。続くステップS102では、RAMアクセスを許可する。
【0306】
その後、CPU501内のRAM503に関してデータバックアップの処理を実行する。つまり、ステップS103では、電源装置313に設けたRAM消去スイッチ323が押下(ON)されているか否かを判定し、押下されていれば、バックアップデータをクリア(消去)するべく、ステップS112へ移行する。一方、RAM消去スイッチ323が押下されていなければ、続くステップS104で、RAM503のバックアップエリア503aに電源断の発生情報が設定されているか否かを判定する。ここで、設定されていなければ、バックアップデータは記憶されていないので、この場合もステップS112へ移行する。バックアップエリア503aに電源断の発生情報が設定されていれば、ステップS105でRAM判定値を算出し、続くステップS106では、そのRAM判定値が電源断時に保存したRAM判定値と一致するか否か、すなわちバックアップの有効性を判定する。ここで算出したRAM判定値が電源断時に保存したRAM判定値と一致しなければ、バックアップされたデータは破壊されているので、この場合もステップS112へ移行する。
【0307】
ステップS112の処理では、サブ側の制御装置となるサブ制御装置262及び払出制御装置311等を初期化するために、初期化コマンドを送信する。なお、初期化コマンドを受信したサブ制御装置262は、後述するように自身の初期化処理を実行し、初期設定である「通常状態」に対応する遊技状態判定値Xjの値「0」を遊技状態格納エリアに記憶する。
【0308】
その後、RAMの初期化処理(ステップS113等)に移行する。なお、RAM判定値は、例えばRAM503の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。このRAM判定値に代えて、RAM503の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断することも可能である。
【0309】
上述したように、本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、電源投入時に初期状態に戻したい場合にはRAM消去スイッチ323を押しながら電源が投入される。従って、RAM消去スイッチ323がONされていれば、RAMの初期化処理(ステップS113等)に移行する。また、電源断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)によりバックアップの異常が確認された場合も同様にRAM503の初期化処理(ステップS113等)に移行する。つまり、ステップS113ではRAM503の使用領域を0にクリアし、続くステップS114ではRAM503の初期値を設定する。その後、ステップS115で割込み許可を設定し、後述する通常処理に移行する。
【0310】
一方、RAM消去スイッチ323が押されていない場合(ステップS103:NO)には、電源断の発生情報が設定されていること、及びRAM判定値(チェックサム値等)が正常であることを条件に、復電時の処理(電源断復旧時の処理)を実行する。つまり、ステップS107では、電源断前のスタックポインタを復帰させ、ステップS108では、電源断の発生情報をクリアする。
【0311】
ステップS109では、RAM503に記憶された電源断時の遊技状態を把握するための遊技状態チェック処理を実行する。
【0312】
続くステップS110では、サブ側の制御装置となるサブ制御装置262及び払出制御装置311等を電源断時の遊技状態に復帰させる復帰コマンドを送信する。尚、サブ制御装置262に送信する復帰コマンドには、上記遊技状態チェック処理にて特定した電源断時の遊技状態に係る情報(後述する遊技状態判定値Xj)が含まれる。
【0313】
ステップS111では、使用レジスタをRAM503のバックアップエリア503aから復帰させる。その後、ステップS115で割込み許可を設定し、後述する通常処理に移行する。
【0314】
ここで、ステップS109の遊技状態チェック処理について図22,23を参照して説明する。図22は、遊技状態チェック処理を示すフローチャートであり、図23は、後述する抽選モードフラグ、サポートモードフラグ、遊技状態特定カウンタKj及び遊技状態判定値Xjの対応関係を示す説明図である。尚、遊技状態チェック処理は、後述する変動表示設定処理(ステップS807)や、当たり終了設定処理(ステップS1216)においても実行される。
【0315】
図22に示すように、ステップS1901では、RAM503にバックアップ記憶された電源断時の遊技状態に係る各種情報の読込み処理を実行する。具体的には、抽選モードフラグの値、サポートモードフラグの値、及び、遊技状態特定カウンタKjの値をそれぞれRAM503から読み込む。
【0316】
抽選モードフラグとは、抽選モードが「低確率モード」又は「高確率モード」のどちらであるかを判定するための状態判定情報であり、そのフラグ値として、抽選モードが「低確率モード」の場合には「50(H)」が設定され、「高確率モード」の場合には「53(H)」が設定される。尚、抽選モードフラグにおける上位4ビットの値「5」は、ノイズ対策用に一律に付加されたものあって、特に遊技状態を判別するためのものではない。
【0317】
サポートモードフラグとは、入賞サポートモードがどのような状態にあるかを判定するための状態判定情報であり、そのフラグ値として、入賞サポートモードが「低サポートモード」である場合には「A0(H)」が設定される。尚、サポートモードフラグにおける上位4ビットの値「A」は、ノイズ対策用に一律に付加されたものあって、特に遊技状態を判別するためのものではない。
【0318】
また、入賞サポートモードが「20回・高サポートモード」、「30回・高サポートモード」、「40回・高サポートモード」又は「50回・高サポートモード」である場合には、フラグ値として「A1(H)」が設定される。
【0319】
また、入賞サポートモードが「30回・高サポートモードS」の場合には、フラグ値として「A2(H)」が設定され、「次回まで・高サポートモード」である場合には、フラグ値として「A3(H)」が設定される。
【0320】
遊技状態特定カウンタKjとは、大当たり終了後の変動表示の実行回数を計数し、遊技状態の切替えタイミングを特定するための状態判定情報であり、大当たり終了時に所定の初期値が設定され、変動表示が1回行われる毎に1ずつ減算される。例えば、後述するように遊技状態特定カウンタKjの初期値として「50」が設定され、その後、当該カウンタKjの値が「31」となっていれば、その時点の変動表示は、大当たり終了後、20回目の変動表示であると特定することができる。
【0321】
本実施形態では、「16R確変大当たりB」、「4R確変大当たりB」、「16R通常大当たりB」又は「4R通常大当たりB」に当選した場合、すなわち大当たり終了後に「20回・高サポートモード」、「30回・高サポートモード」、「40回・高サポートモード」又は「50回・高サポートモード」が付与される場合には、初期値として「50」が設定される。
【0322】
また、「16R通常大当たりA」又は「4R通常大当たりA」に当選した場合、すなわち大当たり終了後に「30回・高サポートモードS」が付与される場合には、初期値として「30」が設定される。
【0323】
また、「16R確変大当たりA」、「4R確変大当たりA」又は「JUB大当たり」に当選した場合、すなわち大当たり終了後に「次回まで・高サポートモード」が付与される場合には、初期値として「0」が設定される。但し、上記非報知演出実行フラグがオンとされ、非報知演出が実行される場合には、初期値として「30」が設定される。非報知演出実行フラグは、初期値設定後、オフとされる。
【0324】
図22の説明に戻り、ステップS1902では、ステップS1901にて読み込んだ抽選モードフラグの値と、サポートモードフラグの値とを加算する。
【0325】
続くステップS1903では、ステップS1902にて算出した加算値と、所定のマスク値(本実施形態では「07(H)」)との論理積をとって、下位3ビットのデータを取出し、所定の作業エリアに遊技状態判定値Xjとしてセットする。
【0326】
ステップS1904では、遊技状態判定値Xjの値が「1」か否かを判定する。すなわち抽選モードが「低確率モード」で、かつ、入賞サポートモードが「20回・高サポートモード」、「30回・高サポートモード」、「40回・高サポートモード」又は「50回・高サポートモード」の状態であるか否かを判定する。
【0327】
ここで否定判定された場合には、ステップS1905へ移行し、遊技状態判定値Xjの値が「4」か否かを判定する。すなわち抽選モードが「高確率モード」で、かつ、入賞サポートモードが「20回・高サポートモード」、「30回・高サポートモード」、「40回・高サポートモード」又は「50回・高サポートモード」の状態であるか否かを判定する。
【0328】
ステップS1904、又は、ステップS1905で肯定判定された場合には、ステップS1909へ移行する。一方、ステップS1905で否定判定された場合には、ステップS1906へ移行する。
【0329】
ステップS1906では、遊技状態判定値Xjの値が「2」か否かを判定する。すなわち抽選モードが「低確率モード」で、かつ、入賞サポートモードが「30回・高サポートモードS」の状態であるか否かを判定する。
【0330】
ここで否定判定された場合には、ステップS1907へ移行し、遊技状態判定値Xjの値が「5」か否かを判定する。すなわち抽選モードが「高確率モード」で、かつ、入賞サポートモードが「30回・高サポートモードS」の状態であるか否かを判定する。
【0331】
ステップS1906、又は、ステップS1907で肯定判定された場合には、ステップS1912へ移行する。一方、ステップS1907で否定判定された場合には、ステップS1908へ移行する。
【0332】
ステップS1908では、遊技状態判定値Xjの値が「6」か否かを判定する。すなわち抽選モードが「高確率モード」で、かつ、入賞サポートモードが「次回まで・高サポートモード」の状態であるか否かを判定する。
【0333】
ここで肯定判定された場合には、ステップS1914へ移行する。一方、否定判定された場合には、ステップS1916へ移行し、この遊技状態判定値Xjの値「6」をRAM503の所定エリアに記憶して、本処理を終了する。
【0334】
さて上記ステップS1904、又は、ステップS1905で肯定判定され、移行したステップS1909では、遊技状態特定カウンタKjの値が「31」であるか否かを判定する。すなわち大当たり終了後の変動表示が20回目であるか否かを判定する。ここで肯定判定された場合にはステップS1913へ移行し、否定判定された場合にはステップS1910へ移行する。
【0335】
ステップS1910では、遊技状態特定カウンタKjの値が「21」であるか否かを判定する。すなわち大当たり終了後の変動表示が30回目であるか否かを判定する。ここで肯定判定された場合にはステップS1913へ移行し、否定判定された場合には、ステップS1911へ移行する。
【0336】
ステップS1911では、遊技状態特定カウンタKjの値が「11」であるか否かを判定する。すなわち大当たり終了後の変動表示が40回目であるか否かを判定する。ここで肯定判定された場合にはステップS1913へ移行し、否定判定された場合にはステップS1912へ移行する。
【0337】
ステップS1912では、遊技状態特定カウンタKjの値が「1」であるか否かを判定する。すなわち「50回目(初期値「50」の場合)」又は「30回目(初期値「30」の場合)」であるか否かを判定する。
【0338】
ここで否定判定された場合にはステップS1916へ移行し、遊技状態判定値Xjの値(「1」、「4」、「2」又は「5」)をRAM503の所定エリアに記憶して、本処理を終了する。
【0339】
一方、ステップS1912にて肯定判定された場合、すなわち遊技状態特定カウンタKjの値が「1」である場合には、ステップS1913へ移行し、遊技状態判定値Xjの値を「7」に変更する。その後、ステップS1916へ移行し、この遊技状態判定値Xjの値「7」をRAM503の所定エリアに記憶して、本処理を終了する。
【0340】
さて上記ステップS1908で肯定判定され、移行したステップS1914では、遊技状態特定カウンタKjの値が「0」であるか否かを判定する。すなわち入賞サポートモードが、上記非報知演出の行われない「次回まで・高サポートモード」であるか否かを判定する。ここで肯定判定された場合には、遊技状態判定値Xjの値「6」をRAM503の所定エリアに記憶して、本処理を終了する。
【0341】
一方、ステップS1914にて否定判定された場合、すなわち非報知演出が行われる「次回まで・高サポートモード」である場合には、ステップS1915へ移行し、遊技状態判定値Xjの値を「5」に変更する。その後、ステップS1916へ移行し、この遊技状態判定値Xjの値「5」をRAM503の所定エリアに記憶して、本処理を終了する。これにより、「次回まで・高サポートモード」の状態であっても所定回数(本実施形態では20回)の間は、抽選モードが「高確率モード」で、かつ、入賞サポートモードが「30回・高サポートモードS」の状態と同様の演出が行われることとなる。
【0342】
次に、通常処理の流れを図16のフローチャートを参照しながら説明する。この通常処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、ステップS201~S210の処理が4msec周期の定期処理として実行され、その残余時間でステップS211,ステップS212のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
【0343】
先ずステップS201では、前回の処理で更新された特別表示装置43L、43Rや開閉役物37等の制御内容に基づいた制御信号を各装置に送信したり、コマンド等の出力データをサブ側の各制御装置に送信したりする外部出力処理を実行する。以下により詳しい具体例をいくつか挙げる。
【0344】
例えば、上記各種検出スイッチの検知情報を基に、一般入賞口31など各種入賞口への遊技球の入賞の有無を判定し、入賞有りの場合には当該入賞に対応した個数に対応する賞球払出コマンドを払出制御装置311に対して送信する。
【0345】
また、エラー表示ランプ104を点滅させるためのコマンドなどが設定されている場合には、サブ制御装置262に対し当該コマンドを出力する。
【0346】
また、外部出力処理では、上記抽選モードフラグや後述する大当たり中フラグなど各種情報を参酌して、遊技状態を把握させるための情報が遊技ホールのホールコンピュータへ外部出力される。さらには、ホールコンピュータへのエラー情報などの出力もこの出力処理において実行される。
【0347】
例えば、入賞エラーが検出された場合には、外部中継端子板240の所定の端子を介して、遊技ホールのホールコンピュータへオン信号(パルス信号)が出力され、入賞エラーがない場合には、オフ信号が出力される。
【0348】
また、装飾図柄表示装置42による装飾図柄の変動表示に際して、変動パターンコマンド、図柄コマンド等をサブ制御装置262に送信する。これに対し、変動パターンコマンド、図柄コマンド等を入力したサブ制御装置262は、かかる各種コマンドに基づいて、装飾図柄表示装置42の変動態様を決定し、該変動態様を装飾図柄表示装置42において表示(変動表示)するように表示制御装置45に対し指示を出す。
【0349】
ステップS202では、変動種別カウンタCS1,CS2の更新を実行する。より具体的には、他のカウンタと同様に、変動種別カウンタCS1,CS2を1インクリメントすると共に、それらのカウンタ値が上限値(本実施形態では198,240)に達した際、それぞれ0にクリアする。そして、変動種別カウンタCS1,CS2の更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。
【0350】
続くステップS203では、払出制御装置311より受信した賞球計数信号を読み込む。次に、ステップS204では、払出制御装置311より受信した払出異常信号を読み込む。
【0351】
その後、ステップS205では、第1表示制御処理を実行する。この処理では、第1及び第2特別表示装置43L、43Rにおいてどのような制御を行うか当該特別表示装置43L、43Rの制御内容の設定が行われると共に、大当たり判定や装飾図柄表示装置42における装飾図柄の変動パターンの設定などが行われる。この第1表示制御処理の詳細は後述する。
【0352】
ステップS206では、可変入賞装置制御処理を実行する。この処理では、可変入賞装置32においてどのような制御を行うか当該可変入賞装置32の制御内容の設定が行われる。これにより、大当たり状態や小当たり状態となった場合には、可変入賞装置32の開閉シャッタ160の開閉処理が所定回数繰り返し実行される。可変入賞装置制御処理の詳細は後述する。
【0353】
ステップS207では、第2表示制御処理を実行する。この処理では、普通図柄表示装置41おいてどのような制御を行うか当該普通図柄表示装置41の制御内容の設定などが行われる。この第2表示制御処理の詳細は後述する。
【0354】
ステップS208では、開閉役物制御処理を実行する。この処理では、開閉役物37においてどのような制御を行うか当該開閉役物37の制御内容の設定が行われる。この開閉役物制御処理の詳細は後述する。
【0355】
その後は、ステップS209において、RAM503のバックアップエリア503aに電源断の発生情報が設定されているか否かを判定する。ここでバックアップエリア503aに電源断の発生情報が設定されていなければ、ステップS210で、次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、すなわち前回の通常処理の開始から所定時間(本実施の形態では4msec)が経過したか否かを判定する。そして、既に所定時間が経過していれば、ステップS201へ移行し、上記ステップS201以降の処理を繰り返し実行する。
【0356】
一方、前回の通常処理の開始から未だに所定時間が経過していなければ、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、乱数初期値カウンタCINI及び変動種別カウンタCS1,CS2の更新を繰り返し実行する(ステップS211,ステップS212)。
【0357】
つまり、ステップS211では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1インクリメントすると共に、そのカウンタ値が上限値(本例では599)に達した際0にクリアする。
【0358】
また、ステップS212では、変動種別カウンタCS1,CS2の更新を実行する(前記ステップS202と同様)。具体的には、変動種別カウンタCS1,CS2を1インクリメントすると共に、それらのカウンタ値が上限値(本例では198,240)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、変動種別カウンタCS1,CS2の変更値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。
【0359】
ここで、ステップS201~S209の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するため、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定ではなく変動する。故に、かかる残余時間を使用して乱数初期値カウンタCINIの更新を繰り返し実行することにより、乱数初期値カウンタCINI(すなわち大当たり乱数カウンタC1の初期値)をランダムに更新することができ、同様に変動種別カウンタCS1,CS2についてもランダムに更新することができる。
【0360】
さて、RAM503のバックアップエリア503aに電源断の発生情報が設定されていれば(ステップS209:YES)、電源が遮断されたことになるので、電源断時の停電処理としてステップS213以降の処理が行われる。停電処理は、まずステップS213において各割込み処理の発生を禁止し、ステップS214において、CPU501が使用している各レジスタの内容をスタックエリアに退避し、ステップS215において、スタックポインタの値をバックアップエリア503aに記憶する。その後、ステップS216において、電源が遮断されたことを示す電源断通知コマンドを他の制御装置(払出制御装置311等)に対して送信する。そして、ステップS217でRAM判定値を算出し、バックアップエリア503aに保存する。RAM判定値は、例えば、RAM503の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。その後、ステップS218でRAMアクセスを禁止して、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。
【0361】
なお、ステップS209の処理は、ステップS201~S208で行われる遊技の状態変化に対応した一連の処理の終了時、又は、残余時間内に行われるステップS211,S212の処理の1サイクルの終了時となるタイミングで実行されている。よって、主制御装置261の通常処理において、各処理の終了時に電源断の発生情報を確認しているので、各処理が途中の場合と比較してRAM503のバックアップエリア503aに記憶するデータ量が少なくなり、容易に記憶することができる。また、電源遮断前の状態に復帰する場合には、バックアップエリア503aに記憶されているデータ量が少ないので、容易に復帰させることができ、主制御装置261の処理の負担を軽減することができる。さらに、データの記憶前に割込み処理の発生を禁止(ステップS213)するので、電源が遮断されたときのデータが変更されることを防止でき、電源遮断前の状態を確実に記憶することができる。
【0362】
次に、前記ステップS205の第1表示制御処理について図24のフローチャートを参照して説明する。
【0363】
図24において、ステップS801では、詳しくは後述する各種当たり中フラグ(大当たり中フラグ及び小当たり中フラグ)を参照し、今現在、当たり中(大当たり状態中又は小当たり状態中)であるか否かを判定する。尚、当たり状態(大当たり状態及び小当たり状態)中には、当たり状態の最中と当たり状態終了後の所定時間とが含まれる。ここで言う当たり状態終了後の所定時間とは、当たり状態終了後、通常遊技(特別表示装置43L、43Rにおける変動表示)が開始されるまでの時間であり、一般にこの時間帯は、装飾図柄表示装置42にて当たり状態の終了や当たり後に付与される各種遊技状態や各種モードを示す表示などが行われる。また、特別表示装置43L、43R、及び装飾図柄表示装置42にて変動表示が当たりに対応する態様にて停止表示されてから可変入賞装置32が開放されるまでの間の期間(一般にこの時間帯は装飾図柄表示装置42にて当たり状態の開始を示す表示が行われる)についても当たり中に含まれる。
【0364】
ステップS801で肯定判定された場合、すなわち当たり状態中である場合には、そのまま本処理を終了する、一方、ステップS801で否定判定された場合には、ステップS802において、詳しくは後述する第1表示中フラグの設定状況を見て、第1又は第2特別表示装置43L、43R(装飾図柄表示装置42)にて変動表示中であるか否かを判定する。詳しくは、第1表示中フラグが設定されている場合(オン状態の場合)には変動表示中とみなされ、第1表示中フラグが解除されている場合(オフ状態の場合)には、変動表示が停止した状態にあたる停止表示中であるとみなされる。尚、詳しくは後述するが、第1表示中フラグは、第1及び第2特別表示装置43L、43Rの変動表示を開始する際(ステップS920参照、ステップS807参照)にオンにされ、第1及び第2特別表示装置43L、43Rの変動表示が停止表示される際(ステップS814参照)にオフにされる。
【0365】
そして、ステップS802で否定判定された場合、すなわち、当たり状態中でなくさらに変動表示中でもない場合には、ステップS803に進み、下始動入賞口33Bへの入賞を契機とする変動表示(第2変動表示)の保留数をカウントする下保留カウンタNbの値が0よりも大きいか否かを判定する。
【0366】
ステップS803で肯定判定された場合、すなわち、第2変動表示が1つでも保留記憶されている場合には、ステップS804において、下保留カウンタNbから1を減算する。尚、本実施形態では、ステップS803の判定処理により、第2変動表示が保留記憶されている場合には、第1変動表示を実行することなく第2変動表示を実行することとなる。つまり、第2変動表示よりも第1変動表示の方が早くに保留記憶された場合であっても、第2変動表示を優先して消化する(第1変動表示を後回しにする)構成となっている。
【0367】
続くステップS805では、第2特別変動保留エリアに格納されたデータをシフトさせる処理を実行する。このデータシフト処理は、第2特別変動保留エリアの保留第1~第4エリアに格納されているデータを実行エリア側に順にシフトさせる処理であって、保留第1エリア→実行エリア、保留第2エリア→保留第1エリア、保留第3エリア→保留第2エリア、保留第4エリア→保留第3エリアといった具合に各エリア内のデータがシフトされる。ステップS805の後、ステップS806において、第2保留ランプ46bを点灯・消灯させる処理や、変動特定ランプ40を赤色に発光させる処理を行ってから、ステップS807に移行する。
【0368】
また、ステップS803で否定判定された場合、すなわち、第2変動表示が1つも保留記憶されていない場合には、ステップS808において、上始動入賞口33Aへの入賞を契機とする変動表示(第1変動表示)の保留数をカウントする上保留カウンタNaが0よりも大きいか否かを判定する。当該ステップS808で否定判定された場合には、そのまま本処理を終了する。
【0369】
一方、ステップS808で肯定判定された場合には、ステップS809において、上保留カウンタNaから1を減算する。続くステップS810では、第1特別変動保留エリアに格納されたデータをシフトさせる処理を実行する。このデータシフト処理は、第1特別変動保留エリアの保留第1~第4エリアに格納されているデータを実行エリア側に順にシフトさせる処理であって、保留第1エリア→実行エリア、保留第2エリア→保留第1エリア、保留第3エリア→保留第2エリア、保留第4エリア→保留第3エリアといった具合に各エリア内のデータがシフトされる。ステップS810の後、ステップS811において、第1保留ランプ46aを点灯・消灯させる処理や、変動特定ランプ40を青色に発光させる処理を行ってから、ステップS807に移行する。尚、本実施形態では、特別変動保留エリアの実行エリアは1つであり、第1特別変動保留エリア及び第2特別変動保留エリアに格納されているデータは、当該データに基づく変動表示を行う際に、共通の実行エリアにシフトされることとなる。
【0370】
ステップS807では変動表示設定処理が行われる。ここで、変動表示設定処理の詳細について、図26を参照して説明する。
【0371】
先ずステップS900において遊技状態チェック処理を実行する。尚、当該遊技状態チェック処理は、上記ステップS109の遊技状態チェック処理(図22参照)と同様の処理であるため、詳細な説明は省略する。
【0372】
続いて、ステップS901では、上記小当たり当選フラグがオンであるか否かを判定することで、変動表示が小当たりに対応するものであるか否かを判定する。
【0373】
ここで小当たりに対応するものであると判断された場合にはステップS910へ移行する。一方、小当たりでないと判断された場合には、ステップS902へ移行する。
【0374】
ステップS902では、上記大当たり当選フラグがオンであるか否かを判定することで、変動表示が大当たりに対応するものであるか否かを判定する。
【0375】
ここで大当たりに対応するものであると判断された場合にはステップS903へ移行する。一方、大当たりでも小当たりでもないと判断された場合、すなわち外れである場合には、ステップS912へ移行する。
【0376】
ステップS903では、上記各種確変大当たりフラグ(「16R確変大当たりAフラグ」、「16R確変大当たりBフラグ」、「4R確変大当たりAフラグ」、「4R確変大当たりBフラグ」)のいずれかがオンであるか否かを判定することで、変動表示が「確変大当たり」に対応したものであるか否かを判定する。
【0377】
ステップS903で肯定判定された場合、すなわち「確変大当たり」である場合には、ステップS904にて「確変大当たり」に対応する変動パターンテーブルを参酌して変動パターンを決定し、変動パターンコマンドに設定する。続けて、ステップS905にて「確変大当たり」に対応する図柄テーブルを参酌して大当たり図柄(本実施形態では奇数図柄か偶数図柄であるか)を決定し、これに対応する図柄コマンド(本実施形態では、後述する「B1」又は「B2」)を設定する。その後、ステップS920へ移行する。
【0378】
ステップS903で否定判定された場合には、ステップS906に移行し、上記各種通常大当たりフラグ(「16R通常大当たりAフラグ」、「16R通常大当たりBフラグ」、「4R通常大当たりAフラグ」、「4R通常大当たりBフラグ」)のいずれかがオンであるか否かを判定することで、変動表示が「通常大当たり」に対応したものであるか否かを判定する。当該ステップS906で肯定判定された場合、すなわち「通常大当たり」である場合には、ステップS907にて「通常大当たり」に対応する変動パターンテーブルを参酌して変動パターンを決定し、変動パターンコマンドに設定する。続けて、ステップS908にて「通常大当たり」に対応する図柄テーブルを参酌して大当たり図柄(本実施形態では奇数図柄か偶数図柄であるか)を決定し、これに対応する図柄コマンド(本実施形態では、後述する「B1」又は「B2」)を設定する。その後、ステップS920へ移行する。
【0379】
但し、本実施形態では、上述したように装飾図柄表示装置42において停止表示された図柄の種類によっては、大当たり終了後に付与される抽選モード等の遊技状態が判別不能となっている。つまり、「確変大当たり」であれば「奇数図柄」が停止表示され、「通常大当たり」であれば「偶数図柄」が停止表示されるといったように、変動パターンや停止図柄と、大当たり種別との関係が明確に対応付けられているわけではなく、本実施形態では、あくまでも上記各種テーブルにより、例えば「確変大当たり」であれば「奇数図柄」で停止表示されやすいなど、各種大当たりの種別によって所定の変動パターンや図柄の出現率が異なるようにテーブル分けされているだけである。従って、例えば大当たり時には「確変大当たり」や「通常大当たり」などの大当たり種別に関係なく、1つの大当たりテーブルを基に変動パターンや停止図柄を選出する構成としてもよい。
【0380】
また、ステップS906で否定判定された場合には、ステップS909に移行し、JUB大当たりフラグがオンであるか否かを判定することで、変動表示が「JUB大当たり」に対応したものであるか否かを判定する。当該ステップS909で肯定判定された場合、すなわち「JUB大当たり」である場合には、ステップS910へ移行する。
【0381】
ステップS910においては、「JUB大当たり」及び「小当たり」に対応する変動パターンテーブルを参酌して変動パターンを決定し、変動パターンコマンドに設定する。その後、ステップS911にてチャンス図柄に対応する図柄コマンド(本実施形態では、後述する「B6」)を設定して、ステップS920へ移行する。
【0382】
また、ステップS902で否定判定された場合、すなわち「外れ」である場合には、ステップS912において、前後外れフラグがオンであるか否かを判定する。
【0383】
ステップS912で肯定判定された場合、すなわち、「前後外れリーチ」である場合には、ステップS913にて「前後外れリーチ」に対応する変動パターンテーブルを参酌して変動パターンを決定し、変動パターンコマンドに設定するとともに前後外れフラグをオフする。続けてステップS914にて前後外れ図柄に対応する図柄コマンド(本実施形態では、後述する「B3」)に設定する。その後、ステップS920へ移行する。
【0384】
一方、ステップ912で否定判定された場合、ステップS915において、前後外れ以外フラグがオンであるか否かを判定する。当該ステップS915で肯定判定された場合、すなわち、「前後外れ以外リーチ」である場合には、ステップS916にて「前後外れ以外リーチ」に対応する変動パターンテーブルを参酌して変動パターンを決定し、変動パターンコマンドに設定するとともに前後外れ以外フラグをオフする。続けて、ステップS917にて前後外れ以外図柄に対応する図柄コマンド(本実施形態では、後述する「B4」)に設定する。その後、ステップS920へ移行する。
【0385】
また、ステップS915で否定判定された場合、すなわち「完全外れ」である場合には、ステップS918にて「完全外れ」に対応する変動パターンテーブルを参酌して外れ変動パターンを決定し、変動パターンコマンドに設定する。続けて、ステップS919にて完全外れ図柄に対応する図柄コマンド(本実施形態では、後述する「B5」)に設定する。その後、ステップS920へ移行する。
【0386】
ここで、便宜上、変動パターンテーブル及び変動パターンコマンドについて説明する。本実施形態では、上述した「確変大当たり」に対応する変動パターンテーブル(以下、確変大当たり時・変動パターンテーブルという)、「通常大当たり」に対応する変動パターンテーブル、「JUB大当たり」及び「小当たり」に対応する変動パターンテーブル、「前後外れリーチ」に対応する変動パターンテーブル、「前後外れ以外リーチ」に対応する変動パターンテーブル、並びに、「完全外れ」に対応する変動パターンテーブル(以下、完全外れ時・変動パターンテーブルという)がそれぞれ遊技状態(遊技状態判定値Xjの値「0」~「7」)に応じて複数設けられている。
【0387】
例えば、確変大当たり時・変動パターンテーブルに関しては、図43(a)に示すように、基準アドレスとなる「100番地」において、遊技状態判定値Xjの値が「0」の「通常状態」に対応する確変大当たり時・変動パターンテーブルが記憶されている。
【0388】
同様に「101番地」において、遊技状態判定値Xjの値が「1」に対応する確変大当たり時・変動パターンテーブルが記憶され、「102番地」において、遊技状態判定値Xjの値が「2」に対応する確変大当たり時・変動パターンテーブルが記憶され、「103番地」において、遊技状態判定値Xjの値が「3」に対応する確変大当たり時・変動パターンテーブルが記憶され、「104番地」において、遊技状態判定値Xjの値が「4」に対応する確変大当たり時・変動パターンテーブルが記憶され、「105番地」において、遊技状態判定値Xjの値が「5」に対応する確変大当たり時・変動パターンテーブルが記憶され、「106番地」において、遊技状態判定値Xjの値が「6」に対応する確変大当たり時・変動パターンテーブルが記憶され、「107番地」において、遊技状態判定値Xjの値が「7」に対応する確変大当たり時・変動パターンテーブルが記憶されている。
【0389】
また、完全外れ時・変動パターンテーブルに関しては、図43(b)に示すように、基準アドレスとなる「700番地」において、遊技状態判定値Xjの値が「0」の「通常状態」に対応する完全外れ時・変動パターンテーブルが記憶されている。
【0390】
同様に「701番地」において、遊技状態判定値Xjの値が「1」に対応する完全外れ時・変動パターンテーブルが記憶され、「702番地」において、遊技状態判定値Xjの値が「2」に対応する完全外れ時・変動パターンテーブルが記憶され、「703番地」において、遊技状態判定値Xjの値が「3」に対応する完全外れ時・変動パターンテーブルが記憶され、「704番地」において、遊技状態判定値Xjの値が「4」に対応する完全外れ時・変動パターンテーブルが記憶され、「705番地」において、遊技状態判定値Xjの値が「5」に対応する完全外れ時・変動パターンテーブルが記憶され、「706番地」において、遊技状態判定値Xjの値が「6」に対応する完全外れ時・変動パターンテーブルが記憶され、「707番地」において、遊技状態判定値Xjの値が「7」に対応する完全外れ時・変動パターンテーブルが記憶されている。
【0391】
図示は省略するが、その他の上記「通常大当たり」に対応する変動パターンテーブル、「JUB大当たり」及び「小当たり」に対応する変動パターンテーブル、「前後外れリーチ」に対応する変動パターンテーブル、並びに、「前後外れ以外リーチ」に対応する変動パターンテーブルに関しても、上記確変大当たり時・変動パターンテーブル、及び、完全外れ時・変動パターンテーブルの場合と同様に、遊技状態判定値Xjの値「0」~「7」対応する複数のテーブル群が所定の基準アドレスから連番で格納されている。
【0392】
従って、上記ステップS904、ステップS907、ステップS910、ステップS913、ステップS916、ステップS918において変動パターンを決定する際には、まず上記遊技状態チェック処理(ステップS900)において特定した遊技状態判定値Xjを基に、複数のテーブル群の中から所定の遊技状態(遊技状態判定値Xjの値「0」~「7」)に対応するテーブルを選出する処理を行う。この際、基準アドレス(例えば確変大当たり時・変動パターンテーブルの場合には「100番地」)に対し、遊技状態判定値Xjの値を加算することで、選出すべきテーブルの格納されたアドレスを特定することができる。つまり、遊技状態判定値Xjの値がそのままオフセット値の役割を果たす。
【0393】
そして、選択された変動パターンテーブル(例えば、「100番地」に格納された「通常状態(Xj=0)」に対応する確変大当たり時・変動パターンテーブル:図44参照)を基に変動パターンを決定し、これに対応する変動パターンコマンドを設定する。
【0394】
本実施形態における変動パターンコマンドは、2バイト構成からなり、上位バイトにおける上位4ビットが、遊技状態を特定する情報によって構成されている。本実施形態では、上記遊技状態判定値Xjの値がそのまま設定される。また、上位バイトの下位4ビットが、大当たり種別などを特定する情報によって構成されて、下位バイトの8ビットが、変動パターン(変動時間やリーチ種別等)を特定する情報によって構成されている。
【0395】
例えば、通常状態(Xj=0)に係る確変大当たり時・変動パターンテーブル〔図43(a)参照〕を参照して判るとおり、通常状態に係る確変大当たり時・変動パターンコマンドでは、上位バイトにおける上位4ビットに遊技状態判定値Xjの値である「0」が設定され、続く下位4ビットに「確変大当たり」を示す「F」が設定されている。そして、残りの下位バイトの8ビットに対し、RAM503のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1,CS2の値に対応した変動パターンを特定する値が設定される。尚、サブ制御装置262には、これらの変動パターンコマンドと装飾図柄の変動態様(演出パターン)との関係がテーブルで記憶されており、変動パターンコマンドを受信すると、当該変動パターンコマンドに対応する変動パターン(演出パターン)が実行可能となる。
【0396】
次に、図柄コマンドについて詳しく説明する。図柄コマンドは、サブ制御装置262に停止図柄を決定させるためのコマンドである。本実施形態では、奇数大当たり図柄の組合わせ、偶数大当たり図柄の組合わせ、前後外れ図柄の組合わせ、前後外れ以外図柄の組合わせ、完全外れ図柄の組合わせ、チャンス図柄の組合わせという6つの区分を指定するものである。これらの区分は、例えば、「B1」,「B2」,「B3」,「B4」,「B5」,「B6」で示され、この内のいずれかが図柄コマンドとして設定される。一方、サブ制御装置262には、これらのコマンドと停止図柄との関係がテーブルで記憶されている。そして、サブ制御装置262は、図柄コマンドに対応する停止図柄を表示する。
【0397】
奇数大当たり図柄の組合わせは、1,3,5,7,9の数字のゾロ目からなる図柄の組合わせであり、奇数大当たり図柄の組合わせに対応する図柄コマンドには「B1」が設定される。そして、サブ制御装置262は、図柄コマンドに奇数大当たり図柄を示す「B1」が設定されている場合、1,3,5,7,9の数字のゾロ目からなる図柄の組合わせのうちの一つを停止図柄として決定する。
【0398】
偶数大当たり図柄の組合わせは、0,2,4,6,8の数字のゾロ目からなる図柄の組合わせであり、偶数大当たり図柄の組合わせに対応する図柄コマンドには「B2」が設定される。そして、サブ制御装置262は、図柄コマンドに偶数大当たり図柄を示す「B2」が設定されている場合、0,2,4,6,8の数字のゾロ目からなる図柄の組合わせのうちの一つを停止図柄として決定する。
【0399】
前後外れ図柄の組合わせは、リーチ発生した後、最終停止図柄がリーチ図柄の前後に1つだけずれて停止する「前後外れリーチ」に対応するものであり、前後外れ図柄の組合わせに対応する図柄コマンドには「B3」が設定される。
【0400】
前後外れ以外図柄の組合わせは、リーチ発生した後、最終停止図柄がリーチ図柄の前後以外で停止する「前後外れ以外リーチ」に対応するものであり、前後外れ以外図柄の組合わせに対応する図柄コマンドには「B4」が設定される。
【0401】
完全外れ図柄の組合わせは、リーチ発生しない「完全外れ」に対応するものであり、完全外れ図柄の組合わせに対応する図柄コマンドには「B5」が設定される。
【0402】
また、チャンス図柄の組合わせに対応する図柄コマンドには「B6」が設定される。ちなみに、チャンス図柄は1種類であり、本例では、上述したように各図柄表示領域にて停止表示される装飾図柄が上から「3」・「4」・「1」となっている。
【0403】
なお、詳しくは後述するが、図柄コマンドに「B3」~「B5」が設定されている場合、サブ制御装置262は、対応するRAM553のカウンタ用バッファに格納されている図柄の組合わせを停止図柄として決定する。具体的には、前後外れ図柄の組合わせを示す「B3」が図柄コマンドに設定されると、当該図柄コマンドを受信したサブ制御装置262は、RAM553の前後外れリーチ図柄バッファに格納されている前後外れリーチに対応する図柄の組合わせを停止図柄として決定する。前後外れ以外図柄の組合わせを示す「B4」が図柄コマンドに設定されると、RAM553の前後外れ以外リーチ図柄バッファに格納されている前後外れ以外リーチに対応する図柄の組合わせを、サブ制御装置262が停止図柄として決定する。完全外れ図柄の組合わせを示す「B5」が図柄コマンドに設定されると、RAM553の完全外れ図柄バッファに格納されている完全外れに対応する図柄の組合わせを、サブ制御装置262が停止図柄として決定する。
【0404】
また、図柄コマンドに「A6」が設定されている場合、サブ制御装置262は、装飾図柄の組合わせとしてチャンス図柄を選択する。
【0405】
尚、上述したように設定された変動パターンコマンド及び図柄コマンドは、後述する外部出力処理(ステップS201)において出力される。そして、これらのコマンドを入力したサブ制御装置262は、かかるコマンドに基づいて、装飾図柄表示装置42の変動態様を決定し、該変動態様を装飾図柄表示装置42において表示(変動表示)するように表示制御装置45に対し指示を出す。
【0406】
さて、ステップS920では、特別表示装置43L、43Rにおいて変動表示を行う条件が成立したことを示す開始設定処理を行う。この開始設定処理では、特別表示装置43L、43Rにて変動表示中であるか否かを示す第1表示中フラグがオンにされるとともに、第1表示タイマの設定処理が行われる。
【0407】
第1表示タイマとは、特別表示装置43L、43Rにおける変動時間(変動表示の残余時間)を計測する手段であり、変動表示開始から所定時間が経過したか否かを判定する際に参酌される。
【0408】
本実施形態における特別表示装置43L、43Rの変動表示時間は、上記変動種別カウンタCS1,CS2により選出される装飾図柄の変動パターンに対応した値が設定される。このような第1表示タイマの設定に基づき、次回の通常処理の外部出力処理において、特別表示装置43L、43Rに対し変動表示を開始する旨の制御信号が出力された場合には、特別表示装置43L、43Rにおいて変動表示が開始される。そして、ステップS920の終了後、変動表示設定処理を終了する。
【0409】
図24の説明に戻り、ステップS802で肯定判定された場合、すなわち変動表示中である場合には、ステップS812に進み、第1表示タイマ減算処理を行う。この処理が1回行われる毎に第1表示タイマの値が4msecずつ減算されていく。例えば変動時間が10秒(10000msec)の場合には、第1表示タイマに対して「2500」が設定され、4msec毎に1減算される。
【0410】
続いてステップS813に進み、上記減算後の第1表示タイマの値を参酌して所定の変動時間が経過したか否かを判定する。このとき、所定の変動時間が経過した時すなわち第1表示タイマの値が「0」となった時にステップS813が肯定判定される。
【0411】
ステップS813で否定判定された場合には、ステップS817において、特別表示装置43L、43Rの変動表示を継続して行うための切替表示設定を行い、本処理を終了する。尚、切替表示設定の設定内容に基づき、次回の通常処理における外部出力処理において、特別表示装置43L、43Rに対し切替表示を行う旨の制御信号が出力される。これによって、第1表示制御処理のタイミング、すなわち4ms毎に特別表示装置43L、43Rの切替表示(変動表示)が実現される。
【0412】
一方、ステップS813で肯定判定された場合には、ステップS814において第1表示中フラグを解除(オフ)し、ステップS815において特別表示装置43L、43Rにて停止表示を行うための停止表示設定を行う。
【0413】
尚、上記停止表示設定の設定内容に基づき、次回の通常処理における外部出力処理において、特別表示装置43L、42Rに対し停止表示を行う旨の制御信号が出力される。例えば、「16R確変大当たりA」である場合には「9-」を停止表示(例えば数秒間だけ点灯)させる。
【0414】
続いて、ステップS816において変動終了時設定処理を行った後、本処理を終了する。ここで、変動終了時設定処理について、図25を参照して説明する。
【0415】
先ず、ステップS1001において、上記大当たり当選フラグ及び小当たり当選フラグを参酌し、停止表示が大当たり又は小当たりに対応するか否かを判定する。ここで、大当たり又は小当たりに対応する場合には、ステップS1002へ移行し、当たり設定を行う。具体的には、大当たり中フラグ、小当たり中フラグ、第1可変フラグ、第1可変タイマ、開放数カウンタ及び入賞カウンタVx等の設定処理を行う。そして、ステップS1002の終了後、変動終了時設定処理を終了する。
【0416】
大当たり中フラグとは、大当たり状態中か否かを判定するための状態判定情報であり、ここでは大当たり状態の発生を示す「1」がフラグ値として設定される(オンされる)。
【0417】
小当たり中フラグとは、小当たり状態中か否かを判定するための状態判定情報であり、ここでは大当たり中フラグと同様、小当たり状態の発生を示す「1」がフラグ値として設定される(オンされる)。
【0418】
第1可変フラグとは、可変入賞装置32が開状態中であるか否かを判定するための状態判定情報である。
【0419】
第1可変タイマとは、可変入賞装置32の開放時間(特賞状態の発生時間)や各特賞状態間のインターバル等を計測するための計測手段であり、開閉シャッタ160の開放開始又は開放終了から規定時間が経過したか否かを判定する際等に参酌される。ステップS1002の当たり設定処理では、開閉パターン制御テーブル(図45参照)を参酌して、各種当たりに対応した所定値が設定される。例えば、「16R確変大当たりA」のように初回が上記「長開放」の場合には、第1可変タイマに「7500」が設定され、「JUB大当たり」のように初回が上記「短開放」の場合には、第1可変タイマに「100」が設定される。これにより、開閉シャッタ160の1開閉動作あたりの最大開放時間(規定時間)が「30秒」又は「0.4秒」に設定されることとなる。
【0420】
尚、開閉パターン制御テーブルには、図45に示すように、各種当たり状態における特賞状態の発生回数(ラウンド数)、各特賞状態(各ラウンド)における開閉シャッタ160の開放時間、各特賞状態間のインターバル時間などが予め設定されている。
【0421】
開放数カウンタとは、大当たり状態中又は小当たり状態中に実行される特賞状態の発生回数、つまり可変入賞装置32の開閉処理(「長開放」又は「短開放」)の実行回数を判定するための状態判定情報である。ステップS1002の当たり設定処理では、開閉パターン制御テーブルを参酌して、各種当たりに対応した初期値が設定される。例えば、「16R確変大当たりA」の場合には、16回を示す「16」が設定され、「JUB大当たり」の場合には、5回の「短開放」と15回の「長開放」の合計である20回を示す「20」が初期値として設定される。
【0422】
入賞カウンタVxとは、可変入賞装置32(大入賞口151)へ入賞した遊技球の数を計数する入賞計数手段である。本実施形態では、タイマ割込み処理のスイッチ読み込み処理(図17参照)に際して、可変入賞装置32(大入賞口151)への入賞があったか否かをカウントスイッチ223の検知情報に基づき判定し、可変入賞装置32への入賞があったと判定されると、入賞カウンタVxの値が1加算される。
【0423】
また、ステップS1002の当たり設定処理では、開閉パターン制御テーブルを参酌して、開閉シャッタ160の1開閉動作(一回の特賞状態)あたりの可変入賞装置32への最大入賞予定数である規定個数K1の設定を行う。規定個数K1は、上述したとおり、「長開放」又は「短開放」といった開放種別(一回の開閉動作に係る開閉シャッタ160の動作態様)ごとに予め定められている。例えば「長開放」であれば規定個数K1として「10」、「短開放」であれば規定個数K1として「3」が設定される。
【0424】
ステップS1002の当たり設定処理では、大当たり又は小当たりの開始を告げるオープニングコマンドの設定なども行われる。但し、「JUB大当たり」の場合には、5回の「短開放」の終了後(後述するステップS1217の特賞状態開始処理等)にオープニングコマンドの設定が行われる。これにより、「JUB大当たり」の場合には、5回の「短開放」の終了後に大当たり報知演出等が行われることとなり、ここまでは、小当たりの場合と区別ができないようになっている。
【0425】
さて、ステップS1001において、大当たり又は小当たりに対応しない、すなわち上記大当たり当選フラグ及び小当たり当選フラグがオフであると判定された場合には、ステップS1003へ移行する。
【0426】
ステップS1003では、サポート回数カウンタのカウンタ値が「0」か否かを判定する。サポート回数カウンタとは、「高サポートモード」の継続期間(変動表示何回分か)を計測するための手段であり、後述するように大当たり終了後に、各種大当たりに対応する値がカウンタ値として設定される。
【0427】
ここで、サポート回数カウンタのカウンタ値が「0」の場合には、そのまま本処理を終了する。一方、サポート回数カウンタが設定されている場合(カウンタ値が「0」以外の場合)には、高サポートモードの設定中とみなし、ステップS1004において、サポート回数カウンタの値を1減算する処理を行う。ステップS1004では、上記遊技状態特定カウンタKjの値を1減算する処理も併せて行う。その後、ステップS1005へ移行する。
【0428】
ステップS1005では、サポート回数カウンタのカウンタ値が「0」か否かを判定する。つまり、今回の変動表示が、大当たり終了後(高サポートモードの付与後)、所定回数目の変動表示であったか否かを判定する。ここで、サポート回数カウンタの値が「0」であれば、ステップS1006においてサポートモードフラグの値を「低サポートモード」を示す「A0(H)」に切替える処理を行い、本処理を終了する。
【0429】
一方、ステップS1005で、サポート回数カウンタのカウンタ値が「0」でないと判定された場合には、そのまま本処理を終了する。
【0430】
次に、上記ステップS206の可変入賞装置制御処理について図27のフローチャートを参照して説明する。ステップS206の可変入賞装置制御処理を実行する主制御装置261の機能により本実施形態における開閉制御手段が構成される。
【0431】
まずステップS1201において大当たり中フラグ又は小当たり中フラグがオンであるか否かを判定する。ここで否定判定された場合には、本処理をそのまま終了する。
【0432】
ステップS1202で肯定判定された場合には、続くステップS1202において、上記第1可変タイマのカウント値を1減算する。
【0433】
続くステップS1203では、第1可変フラグがオンであるか否かを判定する。ここで肯定判定された場合、すなわち可変入賞装置32(大入賞口151)が開状態(入球可能状態)である場合には、ステップS1204に進み、第1可変タイマのカウント値が「0」であるか否か、すなわち開閉シャッタ160の1開閉動作(「長開放」又は「短開放」)あたりの開放時間(規定時間「30秒」又は「0.4秒」)が残されているか否かを判定する。
【0434】
ステップS1204にて否定判定された場合には、ステップS1205に進み、入賞カウンタVxの値が規定個数K1以上であるか否か、すなわち1回の特賞状態で可変入賞装置32(大入賞口151)へ入賞した遊技球の球数が最大入賞予定数(規定個数「10個」又は「3個」)に達したか否かを判定する。ステップS1205にて否定判定された場合、すなわち可変入賞装置32(大入賞口151)を閉状態(入球不能状態)とするタイミング(特賞状態終了のタイミング)が未だ到来していない場合には、そのまま本処理を終了する。
【0435】
一方、ステップS1204又はステップS1205にて肯定判定された場合には、ステップS1206に進み、第1可変タイマの設定処理を行う。
【0436】
ここで、第1可変タイマには、特賞状態の終了から所定時間が経過したか否か(例えば大当たりや小当たりの終了から所定時間が経過したか否か、所定の特賞状態の終了から次の特賞状態が開始されるまでのインターバルが経過したか否か等)を判定するため、上記開閉パターン制御テーブルを参酌して、所定値(例えば「3秒」に相当する値「750」、又は、「1秒」に相当する「250」)がセットされる。
【0437】
その後、ステップS1207に進み、開放数カウンタのカウンタ値が「0」であるか否か、すなわち特賞状態(「長開放」や「短開放」)の実行回数が規定回数に達したか否かを判定する。
【0438】
ステップS1207で肯定判定された場合には、ステップS1210において開放終了設定処理を行い、本処理を終了する。ステップS1210の終了設定処理では、第1可変フラグをオフするとともに、当たり終了フラグをオンする。
【0439】
ステップS1207で否定判定された場合、すなわち特賞状態(「長開放」や「短開放」)の実行回数が規定回数に達していない場合には、ステップS1211において、特賞送り処理を行い、本処理を終了する。
【0440】
ステップS1211の特賞送り処理では、開放数カウンタの値を1減算すると共に、第1可変フラグをオフにする。これにより、特賞状態の実行回数が上記規定回数に達するまで上記開閉処理が繰り返し行われることとなる。
【0441】
さて、上記ステップS1203にて否定判定された場合、すなわち特賞状態終了後の所定時間内(当たり終了後の所定時間内、又は、特賞状態間のインターバル中)である場合には、ステップS1212に進み、第1可変タイマの値が「0」であるか否かを判定する。
【0442】
ステップS1212にて肯定判定された場合、すなわち特賞状態の終了から所定時間が経過し、次の過程(次の特賞状態の開始、又は、通常遊技の開始)へ移行するタイミングに至った場合には、ステップS1215へ移行する。一方、ステップS1212にて否定判定された場合には、そのまま本処理を終了する。
【0443】
ステップS1215では、上記当たり終了フラグを参酌して、大当たり状態又は小当たり状態を終了するか否かを判定する。
【0444】
ステップS1215で肯定判定された場合には、ステップS1216において当たり終了設定処理を行った後、本処理を終了する。
【0445】
一方、ステップS1215で否定判定された場合には、ステップS1217において特賞状態開始処理を行った後、本処理を終了する。
【0446】
ステップS1216の当たり終了設定処理では、大当たり中フラグ又は小当たり中フラグをオフするとともに、抽選モードフラグの切替処理、サポートモードフラグの切替処理、サポート回数カウンタの設定処理、遊技状態通知コマンドの設定処理、大当たり又は小当たりの終了を告げるエンディングコマンドの設定処理などが行われる。
【0447】
抽選モードフラグの切替処理では、上述した各種大当たりフラグに基づいて、抽選モードフラグの切替設定が行われる。これにより、大当たり終了後に「高確率モード」が設定される場合(各種「確変大当たりフラグ」又は「JUB大当たりフラグ」がオン)には、「高確率モード」の発生を示す「53(H)」がフラグ値として設定される。一方、「低確率モード」が設定される場合(各種「通常大当たりフラグ」がオン)には、「低確率モード」の発生を示す「50(H)」がフラグ値として設定される。抽選モードフラグの切替処理を行う機能により本実施形態における確率状態切換手段が構成される。
【0448】
但し、小当たり当選フラグがオンの場合には、抽選モードフラグの切替処理は行われず、元のモードに係るフラグ値がそのまま設定される。例えば小当たり状態の発生前に「高確率モード」が設定されている場合(抽選モードフラグのフラグ値「53(H)」)には、小当たり終了後も、そのまま「高確率モード(抽選モードフラグのフラグ値「53(H)」)が設定される。
【0449】
サポートモードフラグの切替処理では、上述した各種大当たりフラグに基づいて、サポートモードフラグの切替設定が行なわれる。これにより、大当たり終了後に「20回・高サポートモード」、「30回・高サポートモード」、「40回・高サポートモード」又は「50回・高サポートモード」が付与される場合にはフラグ値として「A1(H)」が設定され、「30回・高サポートモードS」の場合にはフラグ値として「A2(H)」が設定され、「次回まで・高サポートモード」である場合にはフラグ値として「A3(H)」が設定される。
【0450】
サポート回数カウンタの設定処理では、上述した各種大当たりフラグに基づいて、サポート回数カウンタの切換設定が行われる。これにより、大当たり終了後に「20回・高サポートモード」、「30回・高サポートモード」、「40回・高サポートモード」又は「50回・高サポートモード」が付与される場合には、サポート回数カウンタの値としてそれぞれ変動表示20回分に相当する「20」、変動表示30回分に相当する「30」、変動表示40回分に相当する「40」又は変動表示50回分に相当する「50」が設定される。また、「30回・高サポートモードS」が付与される場合には、サポート回数カウンタの値として変動表示30回分に相当する「30」が設定される。「次回まで・高サポートモード」が付与される場合には、サポート回数カウンタの値に、事実上到達し得ない値(例えば、変動表示99999回分に相当する「99999」)が設定される。
【0451】
遊技状態通知コマンドとは、サブ制御装置262に対し、大当たり終了後に設定される遊技状態を通知するためのコマンドである。当該コマンドを設定するにあたり、まず遊技状態チェック処理を行う。当該遊技状態チェック処理は上記ステップS109の遊技状態チェック処理(図22参照)と同様であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0452】
そして、遊技状態通知コマンドには、上記遊技状態チェック処理により把握された新たな遊技状態に係る遊技状態判定値Xjが含まれる。後述するように、これを受信したサブ制御装置262は、自身の把握している遊技状態(遊技状態判定値Xj)を新たな遊技状態(遊技状態判定値Xj)に切換える。尚、遊技状態通知コマンドを省略し、これに代えて、例えば大当たり状態の終了を告げるエンディングコマンド等に遊技状態判定値Xjが含まれる構成としてもよい。
【0453】
尚、大当たり当選フラグ、小当たり当選フラグ、各種「大当たりフラグ」に関しては、上記抽選モードフラグの切替処理など各種処理の終了後、オフされる。また、図25の変動終了時設定処理において当たり設定(ステップS1002)が行われた場合に、抽選モードフラグを一度リセットし(「50(H)」を設定する)、大当たり中又は小当たり中は「高確率モード」が中断する構成としてもよい。
【0454】
ステップS1217の特賞状態開始処理では、第1可変フラグをオンにするとともに、上記開閉パターン制御テーブルを参酌して、次の特賞状態に係る開放時間(「7500」又は「100」)を第1可変タイマに設定すると共に、次の特賞状態に係る規定個数K1の設定を行なう。さらに入賞カウンタVxの値を「0」にリセットする。
【0455】
尚、第1可変フラグのオンオフ状況に基づき、次回の通常処理の外部出力処理において、可変入賞装置32に対し各種制御信号が出力される。第1可変フラグがオンの場合には可変入賞装置32に対し開閉シャッタ160(大入賞口151)を開放する旨の制御信号が出力され、開閉シャッタ160(大入賞口151)が開状態となる。一方、第1可変フラグがオフの場合には可変入賞装置32に対し開閉シャッタ160(大入賞口151)を閉鎖する旨の制御信号が出力され、開閉シャッタ160(大入賞口151)が閉状態となる。
【0456】
次に、前記ステップS207の第2表示制御処理について図28のフローチャートを参照して説明する。
【0457】
図28において、ステップS2101では、普通図柄表示装置41にて変動表示中であるか否かを示す第2表示中フラグの設定状況を見て普通図柄表示装置41による変動表示中であるか否かを判定する。詳しくは、第2表示中フラグがオンである場合には普通図柄表示装置41において変動表示中であるとみなされ、第2表示中フラグがオフである場合には、普通図柄表示装置41において変動表示が停止した状態にあたる停止表示中であるとみなされる。
【0458】
ステップS2101で否定判定された場合には、ステップS2102に進み、普通保留カウンタNcの値が0よりも大きいか否かを判定する。このとき、普通保留カウンタNcの値が0である場合には、そのまま本処理を終了する。
【0459】
また、変動表示中でなく且つ普通保留カウンタNcの値>0であれば、ステップS2103に進む。ステップS2103では、普通保留カウンタNcから1を減算する。ステップS2104では、普通変動保留エリアに格納されたデータをシフトさせる処理を実行する。このデータシフト処理は、普通変動保留エリアの保留第1~第4エリアに格納されているデータを実行エリア側に順にシフトさせる処理であって、保留第1エリア→実行エリア、保留第2エリア→保留第1エリア、保留第3エリア→保留第2エリア、保留第4エリア→保留第3エリアといった具合に各エリア内のデータがシフトされる。
【0460】
その後、ステップS2105では、開始設定処理を実行する。この処理では、普通図柄表示装置41において変動表示を行う条件が成立したことを示す処理を行う。詳しくは、第2表示中フラグをオンにするとともに、第2表示タイマの設定処理が行われる。第2表示タイマとは、普通図柄表示装置41にて行われる変動表示の変動時間(残余時間)を計測する手段であり、変動表示開始から所定時間が経過したか否かを判定する際に参酌される。
【0461】
本実施形態では、「低サポートモード」中において、普通図柄表示装置41にて行われる変動表示の変動時間が2秒と設定されているため、第2表示タイマには「500」が設定される。また、「高サポートモード」中においては、普通図柄表示装置41にて行われる変動表示の変動時間が0.4秒と設定されているため、第2表示タイマに「100」が設定される。
【0462】
当該開始設定処理における設定に基づき、次回の通常処理の外部出力処理において、普通図柄表示装置41に対し変動表示を開始する旨の制御信号が出力された場合には、普通図柄表示装置41において変動表示が開始される。上述したように普通図柄表示装置41は、普通図柄として「○」又は「×」を点灯表示するように構成されており、表示されているのが「○」であれば「×」、「×」であれば「○」へ切換え表示する。そして、ステップS2105の終了後、第2表示制御処理を終了する。
【0463】
さて、ステップS2101で肯定判定された場合、すなわち普通図柄表示装置41にて変動表示中である場合には、ステップS2106に進み、第2表示タイマ減算処理を行う。この処理が1回行われる毎に第2表示タイマのカウント値が1減算される。
【0464】
続いてステップS2107に進み、第2表示タイマのカウント値が「0」であるか否か、すなわち、変動時間が経過したか否かを判定する。ステップS2107で肯定判定された場合には、ステップS2108において第2表示中フラグをオフし、ステップS2109において普通図柄表示装置41にて停止表示を行うための普通図柄停止表示設定を行う。そして、この普通図柄停止表示設定の設定内容に基づき、次回の通常処理における外部出力処理において、普通図柄表示装置41に対し停止表示を行う旨の制御信号が出力される。すなわち、当選である場合には「○」図柄(当選図柄)を停止表示(例えば数秒間だけ点灯)させ、外れである場合には「×」図柄を停止表示させる。
【0465】
なお、上述したように、普通変動保留エリアの実行エリアに格納されている普通図柄乱数カウンタC4の値に基づいて当選か否かが判定される。
【0466】
具体的には、普通図柄乱数カウンタC4の数値0~9のうち、当選値は「低サポートモード」において「0,1」の2個であり、「高サポートモード」において「0~7」の8個である。
【0467】
続いてステップS2110に進み、変動終了時設定処理を行い、本処理を終了する。この処理において、停止表示が当選に対応する場合には、開閉役物37の開閉処理を行うための設定処理を行う。具体的には、第2可変フラグをオンにして、第2可変タイマに開放時間を設定する。
【0468】
第2可変フラグとは、開閉役物37が開状態中であるか否かを判定するための状態判定情報である。
【0469】
第2可変タイマとは、開閉役物37の開放時間(残余時間)を計測する手段であり、開放開始から規定時間が経過したか否かを判定する際に参酌される。尚、本実施形態では、「高サポートモード」と「低サポートモード」とで開閉役物37の開放時間が異なり、「高サポートモード」においては、第2可変タイマに対して「1000」が設定され、「低サポートモード」においては、第2可変タイマに対して「100」が設定される。
【0470】
一方、ステップS2107で否定判定された場合には、ステップS2111において、普通図柄表示装置41の変動表示を継続して行うための切替表示設定を行い、本処理を終了する。そして、この切替表示設定の設定内容に基づき、次回の通常処理における外部出力処理において、普通図柄表示装置41に対し切替表示を行う旨の制御信号が出力される。具体的には、現在の点灯が「○」であれば「×」、「×」であれば「○」へ切換え表示する。これによって、第2表示制御処理のタイミング、すなわち4ms毎に普通図柄表示装置41の変動表示が実現される。
【0471】
次に上記ステップS208の開閉役物制御処理について図29のフローチャートを参照して説明する。
【0472】
まず、ステップS2201において開閉役物37が開状態であるか否かを示す第2可変フラグがオンであるか否かを判定する。ここで、第2可変フラグがオンではない(開閉役物37が閉状態である)と判定された場合、そのまま本処理を終了する。
【0473】
一方、上記ステップS2201において肯定判定された場合、すなわち第2可変フラグがオンである場合は開閉役物37が開状態であるとみなし、ステップS2202において第2可変タイマ減算処理を行う。この処理が1回行われる毎に第2可変タイマの値が1ずつ減算されていく。
【0474】
続いてステップS2203に進み、上記減算後の第2可変タイマの値を参酌して、規定された開放時間が経過したか否かを判定する。ここでは、規定された開放時間を経過した時、すなわち第2可変タイマの値が「0」となった時にステップS2203が肯定判定される。ここで否定判定された場合には、そのまま本処理を終了する。
【0475】
一方、ステップS2203で肯定判定された場合にはステップS2204へ移行し、ステップS2204にて終了設定処理を行ってから、本処理を終了する。ステップS2204の終了設定処理では、第2可変フラグをオフする処理が行われる。
【0476】
尚、第2可変フラグのオンオフ状況に基づき、次回の通常処理の外部出力処理において、開閉役物37に対し各種制御信号が出力される。第2可変フラグがオンの場合には開閉役物37に対し可動羽根37aを開放する旨の制御信号が出力され、開閉役物37が開状態となる。一方、第2可変フラグがオフの場合には開閉役物37に対し可動羽根37aを閉鎖する旨の制御信号が出力され、開閉役物37が閉状態となる。これにより、下始動入賞口33Bへの遊技球の入賞が不可能となる。
【0477】
次に、払出制御装置311内のCPU511により実行される払出制御について説明する。説明の便宜上、まず図30を参照して受信割込み処理を説明し、その後、図31を参照してメイン処理を説明する。
【0478】
図30は、払出制御装置311により実行される受信割込み処理を示すフローチャートである。受信割込み処理は、主制御装置261から送信されるコマンドを払出制御装置311が受信した場合に割り込んで実行される処理である。主制御装置261から送信されたコマンドが受信されたことを払出制御装置311が確認すると、払出制御装置311内のCPU511により実行される他の処理を一端待機させ、受信割込み処理が実行される。受信割込み処理が実行されると、まずステップS3001において主制御装置261から送信されたコマンドをRAM513のコマンドバッファに記憶し、ステップS3002において主制御装置261からコマンドが送信されたことを記憶するためにコマンド受信フラグをオンして、本受信割込み処理を終了する。上述したように、コマンドがコマンドバッファに記憶される場合には、記憶ポインタが参照されて所定の記憶領域に記憶されると共に、次に受信したコマンドを次の記憶領域に記憶させるために記憶ポインタが更新される。
【0479】
なお、本実施形態では、主制御装置261から送信されるコマンドの受信処理は、そのコマンドが受信されたときに実行される割込処理で行われるものとしたが、例えば、図32に示したタイマ割込処理において、コマンド判定処理(ステップS3201)が行われる前に、コマンドが受信されたか否かを確認し、コマンドが受信されている場合にはそのコマンドをRAM513のコマンドバッファへ記憶してコマンド受信フラグをオンするとともに、コマンドが受信されていない場合にはコマンド判定処理へ移行するものとしてもよい。かかる場合には、所定間隔毎に入出力ポートのコマンド入力に対応するポートを確認することで、コマンドが受信されたか否かを確認する。
【0480】
次に、払出制御装置311のメイン処理について図31を参照して説明する。図31は、払出制御装置311のメイン処理を示すフローチャートであり、このメイン処理は電源投入時のリセットに伴い起動される。
【0481】
先ず始めに、ステップS3101では、電源投入に伴う初期設定処理を実行する。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、割込みモードを設定する。そして、ステップS3103でRAMアクセスを許可すると共に、ステップS3104で外部割込みベクタの設定を行う。
【0482】
その後、ステップS3106では、RAM513のバックアップエリア513aに電源断の発生情報が設定されているか否かを判定する。そして、バックアップエリア513aに電源断の発生情報が設定されていれば、ステップS3107でRAM判定値を算出し、続くステップS3108で、そのRAM判定値が電源断時に保存したRAM判定値と一致するか否か、すなわちバックアップの有効性を判定する。RAM判定値は、例えばRAM513の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。なお、RAM513の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断することも可能である。
【0483】
ステップS3106で電源断の発生情報が設定されていない場合や、ステップS3108でRAM判定値(チェックサム値等)によりバックアップの異常が確認された場合には、ステップS3115以降のRAM513の初期化処理へ移行する。
【0484】
ステップS3115ではRAM513の全領域を0にクリアし、ステップS3116ではRAM513の初期値を設定する。その後、ステップS3117ではCPU周辺デバイスの初期設定を行い、ステップS3114へ移行して割込みを許可する。
【0485】
一方、ステップS3106で電源断の発生情報が設定されていること、及びステップS3108でRAM判定値(チェックサム値等)が正常であることを条件に、復電時の処理(電源断復旧時の処理)を実行する。つまり、ステップS3109で電源断前のスタックポインタを復帰させ、ステップS3110で電源断の発生情報をクリアし、ステップS3111で賞球の払出を許可する払出許可フラグをクリアする。また、ステップS3112では、CPU周辺デバイスの初期設定を行い、ステップS3113では、使用レジスタをRAM513のバックアップエリア513aから復帰させる。さらに、ステップS3114では、割込みを許可する。
【0486】
ステップS3114で割込みが許可された後は、ステップS3122の処理において、バックアップエリア513aに電源断の発生情報が設定されているか否かを判定する。ここで、電源断の発生情報が設定されていれば、電源が遮断されたことになるので、電源断時の停電処理としてステップS3123以降の処理が行われる。停電処理は、まずステップS3123において各割込み処理の発生を禁止し、次のステップS3124において後述するコマンド判定処理を実行する。その後、ステップS3125でCPU511が使用している各レジスタの内容をスタックエリアに退避し、ステップS3126でスタックポインタの値をバックアップエリア513aに記憶し、ステップS3127でRAM判定値を算出してバックアップエリア513aに保存し、ステップS3128でRAMアクセスを禁止して、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。ここで、RAM判定値は、例えば、RAM513のバックアップされるスタックエリア及び作業エリアにおけるチェックサム値である。
【0487】
なお、ステップS3122の処理は、電源投入時に行われる処理の終了後に電源断の発生情報を確認しているので、各処理が途中の場合と比較してRAM513のバックアップエリア513aに記憶するデータ量が少なくなり、容易に記憶することができる。また、電源遮断前の状態に復帰する場合には、バックアップエリア513aに記憶されているデータ量が少ないので、容易に復帰させることができ、払出制御装置311の処理の負担を軽減することができる。
【0488】
次に、図32のフローチャートを参照して、払出制御装置311のタイマ割込み処理を説明する。このタイマ割込み処理は、定期的に(本実施形態では2msec周期で)起動される。
【0489】
タイマ割込み処理では、まず、主制御装置261からのコマンドを取得し、そのコマンドの判定処理を行う(ステップS3201)。このコマンド判定処理について図33を参照して以下に説明する。
【0490】
図33は、払出制御装置311により行われるコマンド判定処理を示すフローチャートである。コマンド判定処理(ステップS3124,S3201)では、まず、ステップS3301においてコマンド受信フラグがオンされているか否かを判定する。コマンド受信フラグは、上述した受信割込み処理(図30参照)において主制御装置261から送信されたコマンドを受信したときにオンされる。
【0491】
ステップS3301においてコマンド受信フラグがオフと判定されれば、新たなコマンドを主制御装置261から受信していないので、そのまま本処理を終了する。一方、ステップS3301でコマンド受信フラグがオンと判定されれば、ステップS3302において、その受信したコマンドをRAM513から読み出し、ステップS3303においてコマンド受信フラグをオフする。ステップS3303においてコマンド受信フラグをオフすることにより、新たにコマンドが受信されるまで、ステップS3302~ステップS3311の処理をスキップできるので、払出制御装置311の制御を軽減することもできる。
【0492】
ステップS3304~ステップS3306の処理でRAM513から読み出されたコマンドの種類が判定される。ステップS3304では主制御装置261から送信されたコマンドが払出初期化コマンドであるか否かが判定され、ステップS3305では払出復帰コマンドであるか否かが判定され、ステップS3306では賞球コマンドであるか否かが判定される。
【0493】
主制御装置261から送信されたコマンドが払出初期化コマンドであれば、ステップS3307で既に払出許可フラグがオンされているか否かが判定され、払出許可フラグがオフされていれば、電源投入時に主制御装置261からRAM513の初期化が指示されていることになるので、ステップS3308でRAM513のスタックエリア以外となる作業領域(エリア)を0にクリアし、ステップS3309でRAM513の初期値を設定する。その後、ステップS3311で払出許可フラグをオンして、賞球の払出許可が設定される。
【0494】
上述したように、主制御装置261は、払出初期化コマンドを送信した後に、RAM503の初期化処理を行っており、払出制御装置311は、払出初期化コマンドを受信した後に、RAM513の初期化処理を行っているので、RAM503が初期化されるタイミングと、RAM513が初期化されるタイミングとが略同時期となる。よって、初期化のタイミングがずれることにより、主制御装置261から送信されるコマンドを払出制御装置311が受信したとしても、RAM513が初期化されてしまい、受信したコマンドに対応する制御が行えない等の弊害の発生を防止することができる。また、RAM513が初期化された後に、払出許可フラグをオンするので、賞球の払出許可を確実に設定することができる。
【0495】
一方、ステップS3307で既に払出許可フラグがオンされていれば、RAM513の作業領域のクリアと、RAM513の初期化処理とを行わずに、本コマンド判定処理を終了する。すなわちステップS3307の処理は、払出許可フラグが設定された状態でRAM513が初期化されることを禁止している。なお、払出初期化コマンドは、電源投入時にRAM消去スイッチ323がオンされている場合のみ送信されるコマンドであるので、払出許可フラグがオンされた状態で受信することはなく、かかる場合には、ノイズなどの影響によって払出制御装置311が払出初期化コマンドとして認識してしまったことが考えられる。よって、払出許可フラグがオンされている状態で、RAM513の作業領域のクリア(ステップS3308)と、RAM513の初期値設定(ステップS3309)を実行すると、賞球が残っている場合に払出されないなどの弊害が生じて遊技者に損失を与えてしまうが、払出許可フラグがオンされている状態で、RAM513が初期化されることを防止しているので、遊技者に損失を与えることを防止できる。
【0496】
また、主制御装置261から送信されたコマンドが払出復帰コマンドであれば(ステップS3304:NO、ステップS3305:YES)、主制御装置261及び払出制御装置311が電源遮断前の状態に復帰するので、賞球の払出を許可するためにステップS3311で払出許可フラグをオンする。すなわち、電源断の発生情報があり、主制御装置261と払出制御装置311が電源遮断前の状態に復帰した場合には、賞球の払出が許可される。ステップS3311の処理において払出許可フラグがオンされると、コマンドバッファの所定の記憶領域に記憶されたコマンドに基づく処理が終わったことになるので、読出ポインタが次の記憶領域に対応した読出ポインタに更新される。
【0497】
さらに、主制御装置261から送信されたコマンドが賞球コマンドであれば(ステップS3305:NO、ステップS3306:YES)、ステップS3310において、受信した賞球個数を総賞球個数に加算して記憶し、賞球の払出を許可するためにステップS3311で払出許可フラグをオンする。この際、払出制御装置311は、コマンドバッファ(リングバッファ)に記憶された賞球コマンドを順次読み出し、当該コマンドに対応する賞球個数を、所定のバッファ領域に記憶される総賞球個数に加算して記憶する。主制御装置261から送信される賞球コマンドに基づいて賞球個数に対応した賞球の払出しが行われるので、賞球コマンドは、賞球コマンドは賞球の払出しを指示する払出指示コマンドである。また、賞球コマンドが受信された場合には、即座に払出許可が設定されるので、入賞に対して早期に賞球の払出しを行うことができる。ステップS3311の処理において払出許可フラグがオンされると、コマンドバッファの所定の記憶領域に記憶されたコマンドに基づく処理が終わったことになるので、読出ポインタが次の記憶領域に対応した読出ポインタに更新される。
【0498】
なお、主制御装置261から送信されたコマンドが払出初期化コマンドでもなく(ステップS3304:NO)、払出復帰コマンドでもなく(ステップS3305:NO)、賞球コマンドでもなければ(ステップS3306:NO)、払出許可フラグをオンすることなく、コマンド判定処理を終了する。
【0499】
ここで、図32のフローチャートに戻って説明する。コマンド判定処理が終わると、ステップS3202において、コマンド判定処理で払出許可フラグがオンされたか否かが判定される。ここで、払出許可フラグがオンされていなければ、そのまま本処理を終了する。つまり、主制御装置261からコマンドが送信される前に賞球の払出しが行われることを防止することができる。
【0500】
一方、ステップS3202で肯定判定されれば、ステップS3203で発射制御装置312に対して発射許可の設定を行い、ステップS3204で状態復帰スイッチ321をチェックして、状態復帰動作開始と判定した場合に状態復帰動作を実行する。この処理により、例えば払出モータの球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ321が押下されると、払出モータが正逆回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られる。
【0501】
その後、ステップS3205では、下皿15の状態の変化に応じて下皿満タン状態又は下皿満タン解除状態の設定を実行する。すなわち、下皿満タンスイッチの検出信号により下皿15の満タン状態を判定し、下皿満タンになった時、下皿満タン状態の設定を実行し、下皿満タンでなくなった時、下皿満タン解除状態の設定を実行する。また、ステップS3206では、タンク球の状態の変化に応じてタンク球無し状態(球切れ状態)又はタンク球無し解除状態(球有り状態)の設定を実行する。すなわち、タンク球無しスイッチの検出信号によりタンク球無し状態を判定し、タンク球無しになった特、タンク球無し状態の設定を実行し、タンク球無しでなくなった特、タンク球無し解除状態の設定を実行する。
【0502】
その後、ステップS3207では、例えばエラー状態のように報知すべき状態の有無を判定し、報知すべき状態が有る場合には報知する。
【0503】
続いて賞球及び貸球の払出制御処理を実行する。詳しくは、ステップS3208で払出個数設定処理を行い、ステップS3209においてモータ制御状態取得処理を行い、ステップS3210においてモータ駆動処理を行う。
【0504】
ステップS3211では、状態復帰スイッチ321をチェックして球抜き不可状態でないこと、及び球抜き動作開始でないことを条件に、払出モータ358a(図5参照)を駆動させ球抜き処理を実行する。続くステップS3212では、球詰まり状態であることを条件に図示しないバイブレータの制御(バイブモータ制御)を実行する。その後、本タイマ割込み処理の先頭に戻る。
【0505】
次に、サブ制御装置262の通常処理について図34を参照しつつ説明する。尚、この通常処理は、定期的に(本実施形態では2msec周期で)起動されるタイマ割込み処理である。
【0506】
この通常処理では、先ずステップS3901において、入出力ポート554のコマンド入力に対応するポートを確認し、主制御装置261から送信されたコマンドが受信されているか否かを判定する。
【0507】
コマンドが受信されている場合には、ステップS3902においてそのコマンドをRAM553のコマンドバッファへ記憶する。RAM553のコマンドバッファは、主制御装置261から送信されるコマンドを一時的に記憶するリングバッファで構成されている。
【0508】
尚、リングバッファは所定の記憶領域を有しており、その記憶領域の始端から終端に至るまで規則性をもってコマンドが記憶され、全ての記憶領域にコマンドが記憶された場合には、記憶領域の始端に戻りコマンドが更新されるよう構成されている。よって、コマンドが記憶された場合及びコマンドが読み出された場合に、コマンドバッファにおける記憶ポインタ及び読出ポインタが更新され、その各ポインタに基づきコマンドの記憶と読み出しとが行われる。
【0509】
続くステップS3903では、コマンド判定処理を行う。ここで、コマンド判定処理について図37を参照して説明する。
【0510】
まずステップS4101において、その受信したコマンドをRAM553のコマンドバッファから読み出す。続くステップS4102では当該コマンドが初期化コマンドであるか否かが判定され、ステップS4103では復帰コマンドであるか否かが判定され、ステップS4104では保留制御コマンドであるか否かが判定され、ステップS4110では遊技状態通知コマンドであるか否かが判定され、ステップS4111では変動パターンコマンドであるか否かが判定され、ステップS4112では図柄コマンドであるか否かが判定される。
【0511】
主制御装置261から送信されたコマンドが初期化コマンドであれば、電源投入時に主制御装置261からRAM553の初期化が指示されていることになるので、ステップS4105でRAM553をクリアし、ステップS4106でRAM553の初期値を設定する。これにより、RAM553の遊技状態情報格納エリアには、初期設定である「通常状態」に対応する遊技状態判定値Xjの値「0」が記憶される。その後、本処理を終了する。
【0512】
また、主制御装置261から送信されたコマンドが復帰コマンドであれば(ステップS4102:NO、ステップS4103:YES)、主制御装置261が電源遮断前の状態に復帰するので、バックアップ機能を持たないサブ制御装置262は、ステップS4107にて、当該復帰コマンドに含まれる遊技状態判定値Xjの値(「0」~「7」のいずれか)を読み出し、RAM553の遊技状態情報格納エリアに記憶する。その後、本処理を終了する。
【0513】
さらに、主制御装置261から送信されたコマンドが保留制御コマンドであれば(ステップS4103:NO、ステップS4104:YES)、ステップS4108において、当該保留制御コマンドに含まれる各種情報(大当たり判定情報や大当たり種別情報、始動入賞口33A,33Bどちらの入賞を契機とする変動表示であるかを示す情報など)をサブ変動保留エリアに格納する格納処理を行い、本処理を終了する。
【0514】
サブ変動保留エリアは、主制御装置261の特別変動保留エリアに対応して設けられている。つまり、サブ変動保留エリアは、上始動入賞口33Aに対応する第1サブ変動保留エリア及び下始動入賞口33Bに対応する第2サブ変動保留エリアと、1つのサブ実行エリアとを備え、当該2つのサブ変動保留エリアは、それぞれ4つの保留エリア(保留第1~保留第4エリア)を備えている。
【0515】
各保留エリアには、保留制御コマンドの受信履歴(受信順序)や、当該保留制御コマンドに含まれる遊技球の入賞履歴(始動入賞口33A,33Bどちらへの入賞に基づくものなのか等)に従って、装飾図柄表示装置42にて実行される変動表示に関連する情報(大当たり判定情報や大当たり種別情報など)が時系列的に格納される。これにより、サブ制御装置262は、変動表示の保留数やその内容を把握することができる。
【0516】
主制御装置261から送信されたコマンドが遊技状態通知コマンドであれば(ステップS4104:NO、ステップS4110:YES)、ステップS4107にて、当該遊技状態通知コマンドに含まれる遊技状態判定値Xjの値(「0」~「7」のいずれか)を読み出し、RAM553の遊技状態情報格納エリアに記憶する。その後、本処理を終了する。
【0517】
主制御装置261から送信されたコマンドが変動パターンコマンドであれば(ステップS4110:NO、ステップS4111:YES)、装飾図柄表示装置42にて変動表示を開始するタイミングであるので、ステップS4113にて開始設定処理を行い、ステップS4114へ移行する。
【0518】
ステップS4113の開始設定処理では、装飾図柄表示装置42にて行う変動表示に係る各種設定を行う。
【0519】
この開始設定処理では、まず主制御装置261の特別変動保留エリアの場合と同様、サブ変動保留エリアに格納されたデータをサブ実行エリア側へ順にシフトさせる処理を実行する。続いて、上記受信した変動パターンコマンドに対応する変動時間を変動表示タイマに設定する。変動表示タイマは、装飾図柄表示装置42における変動時間(変動表示の残余時間)を計測する手段であり、変動表示開始から所定時間が経過したか否かを判定する際に参酌される。
【0520】
また、開始設定処理では、装飾図柄表示装置42にて変動表示中であるか否かを判定する際に参酌される変動表示中フラグがオンされる。
【0521】
本実施形態では、変動パターンコマンドに記憶された変動パターン情報に基づき、装飾図柄の変動表示に係る演出パターンを選出し、当たり種別情報(「外れ」を含む)に基づき、変動時間経過後に停止表示する停止図柄(停止図柄の組合わせ)を決定する。ここで決定された演出パターンや停止図柄に関する情報は、サブ変動保留エリアのサブ実行エリアに追記される。尚、変動時間情報と演出パターンとの対応関係や、大当たり種別情報と停止図柄との対応関係は、サブ制御装置262のROM552にテーブルで記憶されている。
【0522】
尚、サブ制御装置262においても、主制御装置261と同様、「確変大当たり」に対応する変動パターン、「通常大当たり」に対応する変動パターン、「JUB大当たり」及び「小当たり」に対応する変動パターン、「前後外れリーチ」に対応する変動パターン、「前後外れ以外リーチ」に対応する変動パターン、並びに、「完全外れ」に対応する変動パターンに関して、それぞれ遊技状態判定値Xjの値「0」~「7」対応する複数のテーブル群が所定の基準アドレスから連番で格納されている。
【0523】
つまり、サブ制御装置262は、装飾図柄表示装置42における表示態様の決定に際し、変動パターンコマンドに含まれる遊技状態判定値Xjを基に、複数のテーブル群の中から所定の遊技状態(遊技状態判定値Xjの値「0」~「7」)に対応するテーブルを選出することとなる。この際、基準アドレスに対し、遊技状態判定値Xjの値を加算することで、選出すべきテーブルの格納されたアドレスを特定することに関しては、上記変動パターンテーブルを選出する際と同様である。
【0524】
主制御装置261から送信されたコマンドが図柄コマンドであれば(ステップS4111:NO、ステップS4112:YES)、ステップS4116において図柄設定処理を行い、本処理を終了する。
【0525】
ステップS4116の図柄設定処理では、サブ変動保留エリアの保留エリアに記憶された当たり種別情報に基づいて、後述するRAM553のカウンタ用バッファ(図35参照)に格納された図柄を、装飾図柄表示装置42に停止表示させる停止図柄として、上記サブ実行エリアに設定する。
【0526】
より詳しくは、図柄コマンドに「B1」が設定されている場合、1,3,5,7,9のゾロ目のいずれかの図柄の組合わせを停止図柄として決定する。一方、図柄コマンドに「B2」が設定されている場合、0,2,4,6,8のゾロ目のいずれかの図柄の組合わせを停止図柄として決定する。また、図柄コマンドに「B3」が設定されている場合、前後外れリーチ図柄バッファに格納されている図柄の組合わせを停止図柄として決定する。図柄コマンドに「B4」が設定されている場合、前後外れ以外リーチ図柄バッファに格納されている図柄の組合わせを停止図柄として決定する。図柄コマンドに「B5」が設定されている場合、完全外れ図柄バッファに格納されている図柄の組合わせを停止図柄として決定する。図柄コマンドに「B6」が設定されている場合、装飾図柄表示装置42の上・中・下図柄表示領域に対応して「3」・「4」・「1」の図柄の組合わせを停止図柄として決定する。
【0527】
さて、ステップS4114では、変動パターンコマンドに含まれる遊技状態判定値Xjの値と、RAM553の遊技状態情報格納エリアに格納された遊技状態判定値Xjの値とが一致するか否かを判定する。ここで、両者の値が一致していれば、そのまま処理を終了する。
【0528】
一方、両者の値が異なっていれば、ステップS4115にて状態エラーフラグをオンすると共に、ステップS4117にて、新たに受信した変動パターンコマンドに含まれる遊技状態判定値Xjの値を適正値とみなし、当該遊技状態判定値Xjの値を遊技状態情報格納エリアに記憶する。その後、本処理を終了する。状態エラーフラグがオンされることにより、両者の値が異なっている場合には、その旨がエラー表示ランプ104などにより報知されることとなる。勿論、エラー報知手段は、エラー表示ランプ104に限られるものではなく、装飾図柄表示装置42やスピーカSP等によりエラー報知を行う構成としてもよい。
【0529】
尚、近年の遊技機は主制御装置等がバックアップ機能を備えていることから、停電等により電源が遮断された場合においても、その時の遊技モード(遊技状態)等をはじめとする各種データが記憶保持できるため、仮に高確率モード中に電源が遮断されてしまったとしても、電源復旧時には、遊技者は高確率モードのまま遊技を再開することができる。
【0530】
しかしながら、上記バックアップ機能を利用すると、遊技ホールにおいて、営業開始時から遊技機を高確率モードに設定しておく行為、俗に言う「モーニング」が可能となる。このような行為は、遊技ホールとって営業開始時の集客力を高めるために行われるのであるが、遊技者の射幸心を悪戯に仰ぐおそれがある。上記行為の設定方法としては種々の方法が考えられるが、一例としては、前日の営業終了時点で遊技モードが高確率モードであった遊技機を初期化リセットしない方法が挙げられる。また、本実施形態のように、パチンコ機の電源投入時等において、サブ制御装置に対し主制御装置から遊技モードに関する情報(遊技状態判定値Xj)が復帰コマンド等により送信される構成においては、電源投入時等において、主制御装置とサブ制御装置とを繋ぐケーブルコネクタを取外しておけば、サブ制御装置は、主制御装置により設定される実際の遊技モードを把握できず、初期設定の遊技モードすなわち「通常モード」に係る制御を行うこととなる。
【0531】
一般的な遊技機では、液晶表示装置等の表示演出手段において演出を行うにあたり、その表示態様(例えば背景色など)を通常モード中と高確率モード中とで異ならせることにより、遊技者等が現状の遊技モードを把握することを容易にしている。
【0532】
また、一般的に、液晶表示装置等を制御するサブ制御装置はバックアップ機能を備えていないため、電源が切れると、初期設定の遊技モード(「通常モード」)に係る制御を行うこととなる。
【0533】
従って、これを利用すれば、主制御装置により設定される実際の遊技モードが高確率モードにも拘らず、液晶表示装置の表示態様等を通常モード中のものとすることが可能となる。そうなると、現在の遊技モードを、液晶表示装置等を一目見ただけでは容易に判断できなくなるため、所定の調査等による本行為の確認も実質的に困難となる。
【0534】
特に、本実施形態の「潜伏確変状態」のように、「通常モード」と表面上、区別し難い高確率モードが設定される遊技機では、当該高確率モードが上記行為により遊技ホールの営業開始時から設定されてしまうと、液晶表示装置の表示態様等からは実際の遊技モードが判別不能となってしまう。
【0535】
これに対し、本実施形態では、上述したように、変動パターンコマンドに含まれる遊技状態判定値Xjの値と、RAM553の遊技状態情報格納エリアに格納された遊技状態判定値Xjの値とが異なっていれば、その旨をエラー報知すると共に、新たに受信した変動パターンコマンドに含まれる遊技状態判定値Xjの値を遊技状態情報格納エリアに記憶する。つまり、サブ制御装置262は、その時点の適切な遊技モードを把握することができることができる。これにより、仮に上記「モーニング」等の行為が行われ、主制御装置261により設定される実際の遊技モードが高確率モードにも拘らず、サブ制御装置262における演出態様が通常モード中の態様となっていたとしても、変動パターンコマンドを受信した場合には、遊技モードが違っていることが報知され、当該変動パターンコマンドに含まれる遊技状態判定値Xjに対応する演出態様となる。結果として、遊技ホールによる上記「モーニング」等の行為を抑制することができる。
【0536】
図34の説明に戻り、ステップS3903の後又はステップS3901で否定判定された場合には、ステップS3904へと移行し、次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、すなわち前回の通常処理の開始から所定時間(本例では1msec)が経過したか否かを判定する。そして、既に所定時間が経過していればステップS3905へ移行し、一方、前回の通常処理の開始から未だに所定時間が経過していなければ、ステップS3912へと移行する。
【0537】
ステップS3905では、各種カウンタの更新処理を実行する。サブ制御装置262のCPU551は、装飾図柄の表示に際し各種カウンタ情報を用いる。具体的には、図35に示すように、大当たり時装飾図柄カウンタC5と、上図柄表示領域、中図柄表示領域、及び下図柄表示領域の各外れ図柄の設定に使用する上・中・下の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRとを用いることとしている。
【0538】
外れ図柄カウンタCL,CM,CRは、CPU551内のRレジスタ(リフレッシュレジスタ)を用いてレジスタ値が加算され、結果的に数値がランダムに変化する構成となっている。これらカウンタの値は適宜、RAM553のカウンタ用バッファに格納される。
【0539】
大当たり時装飾図柄カウンタC5は、大当たり(「確変大当たり」又は「通常大当たり」)の際、装飾図柄表示装置42に停止表示される図柄(大当たり図柄)を決定するためのものである。本実施形態では、大当たり図柄として、5通りの奇数図柄と、5通りの偶数図柄が設定されている。従って、大当たり時装飾図柄カウンタC5としては、5個(0~4)のカウンタ値が用意されている。すなわち、大当たり時装飾図柄カウンタC5は、0~4の範囲内で順に1ずつ加算され、上限値(つまり4)に達した後0に戻る構成となっている。そして、主制御装置261から送信された図柄コマンドが奇数大当たり図柄の組合わせを示す「B1」である場合、図示しないテーブル(カウンタ値と装飾図柄とを対応付けるテーブル)に基づいて、例えば、カウンタ値が0であれば「1」(のゾロ目)、1であれば「3」(のゾロ目)、2であれば「5」(のゾロ目)、3であれば「7」(のゾロ目)、4であれば「9」(のゾロ目)という具合に、奇数大当たり図柄の組合わせを決定する。
【0540】
また、図柄コマンドが偶数大当たり図柄の組合わせを示す「B2」である場合、図示しないテーブル(カウンタ値と装飾図柄とを対応付けるテーブル)に基づいて、例えば、カウンタ値が0であれば「0」(のゾロ目)、1であれば「2」(のゾロ目)、2であれば「4」(のゾロ目)、3であれば「6」(のゾロ目)、4であれば「8」(のゾロ目)という具合に偶数大当たり図柄の組合わせを決定する。
【0541】
大当たり時装飾図柄カウンタC5は、ステップS3905のカウンタ更新処理にて定期的に更新され、上述したようにサブ制御装置262が図柄コマンドを受信するタイミングでRAM553のカウンタ用バッファから読み出す。なお、本実施形態では大当たり時装飾図柄カウンタC5はRAM553の大当たり時装飾図柄カウンタバッファに格納されるものとしたが、バッファに格納せず、図柄コマンドを受信したタイミングなどでカウンタ値を参照するようにしてもよい。
【0542】
上・中・下の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRは、大当たり抽選が「外れ」となった場合に上・中・下の図柄表示領域の各停止図柄(外れ図柄の組合わせ)を決定するものであり、各列では10個の装飾図柄の何れかが表示されることから、各々に10個(0~9)のカウンタ値が用意されている。上・外れ図柄カウンタCLにより上図柄表示領域の停止図柄が決定され、中・外れ図柄カウンタCMにより中図柄表示領域の停止図柄が決定され、下・外れ図柄カウンタCRにより下図柄表示領域の停止図柄が決定される。
【0543】
本実施形態では、CPU551に内蔵のRレジスタの数値を用いることにより各カウンタCL,CM,CRの値をランダムに更新する構成としている。すなわち、各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新時には、前回値にRレジスタの下位3ビットの値が加算され、その加算結果が上限値を超えた場合に10減算されて今回値が決定される。各外れ図柄カウンタCL,CM,CRは更新時期が重ならないようにして更新され、それら外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組合わせが、RAM553の前後外れリーチ図柄バッファ、前後外れ以外リーチ図柄バッファ及び完全外れ図柄バッファの何れかに格納される。
【0544】
ここで、各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新処理を詳しく説明する。図36に示すように、ステップS4001では、上・外れ図柄カウンタCLの更新時期か否かを判定し、ステップS4002では、中・外れ図柄カウンタCMの更新時期か否かを判定する。なお、上・中・下の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRが1回の更新処理で1つずつ順に更新されるように構成する。したがって、前回の更新処理において下・外れ図柄カウンタCRが更新されている場合、ステップS4001で肯定判断されることになる。また、前回の更新処理において上・外れ図柄カウンタCLが更新されている場合、ステップS4002で肯定判断されることになる。そして、上・外れ図柄カウンタCLの更新時期(ステップS4001がYES)であればステップS4003に進み、上・外れ図柄カウンタCLを更新する。また、中・外れ図柄カウンタCMの更新時期(ステップS4002がYES)であればステップS4004に進み、中・外れ図柄カウンタCMを更新する。さらに、下・外れ図柄カウンタCRの更新時期(ステップS4001、S4002が共にNO)であればステップS4005に進み、下・外れ図柄カウンタCRを更新する。ステップS4003~S4005の外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新では、前回のカウンタ値にRレジスタの下位3ビットの値を加算すると共にその加算結果が上限値を超えた場合に10を減算して、その演算結果を、外れ図柄カウンタCL,CM,CRの今回値とする。
【0545】
上記CL,CM,CRの更新処理によれば、上・中・下の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRが1回の更新処理で1つずつ順に更新され、各カウンタ値の更新時期が重なることはない。これにより、更新処理を3回実行する毎に外れ図柄カウンタCL,CM,CRの1セット分が更新されるようになっている。
【0546】
その後、ステップS4006では、上記更新した外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組合わせがリーチ図柄の組合わせ(上図柄表示領域の図柄と下図柄表示領域の図柄とが同じで、上下の図柄表示領域の図柄と中図柄表示領域の図柄とが異なっている)になっているか否かを判定し、リーチ図柄の組合わせである場合(S4006がYES)、さらにステップS4007では、それが前後外れリーチであるか否かを判定する。外れ図柄カウンタCL,CM,CRが前後外れリーチ(前後外れ図柄)の組合わせである場合(S4007がYES)、ステップS4008に進み、そのときの外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組合わせをRAM553の前後外れリーチ図柄バッファに格納する。外れ図柄カウンタCL,CM,CRが前後外れ以外リーチ(前後外れ以外図柄)の組合わせである場合(S4007がNO)には、ステップS4009に進み、そのときの外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組合わせをRAM553の前後外れ以外リーチ図柄バッファに格納する。
【0547】
また、リーチ図柄以外の組合わせである場合(S4006がNO)、ステップS4010に進み、外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組合わせが外れ図柄の組合わせになっているか否かを判定し、外れ図柄(完全外れ図柄)の組合わせになっていれば(S4010がYES)、ステップS4011に進み、そのときの外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組合わせをRAM553の完全外れ図柄バッファに格納する。なお、ステップS4006、S4010が共にNOの場合は、上・中・下で図柄が揃っている、すなわち大当たり図柄の組合わせに相当するが、かかる場合、外れ図柄カウンタCL,CM,CRをバッファに格納することなくそのまま本処理を終了する。
【0548】
尚、本実施形態において、「JUB大当たり」の場合に停止表示されるチャンス図柄は、装飾図柄の組合わせが1パターン(「3」・「4」・「1」)であるため、装飾図柄の表示に際しカウンタ情報を用いる必要はない。
【0549】
図34の説明に戻り、ステップS3907では装飾図柄表示装置42にて各種表示を行うための表示設定処理を行う。当該表示設定処理では、主として装飾図柄表示装置42にて装飾図柄の変動表示等を行うための変動表示設定処理や、保留表示を行うための保留表示設定処理などが行われる。
【0550】
まず変動表示設定処理について図38を参照して説明する。図38に示すように、ステップS4301では、上記変動表示中フラグの設定状況を見て、装飾図柄表示装置42にて変動表示中であるか否かを判定する。詳しくは、変動表示中フラグが設定されている場合(オン状態の場合)には変動表示中とみなされ、変動表示中フラグが解除されている場合(オフ状態の場合)には、変動表示が停止した状態にあたる停止表示中であるとみなされる。尚、変動表示中フラグは、上述したとおり装飾図柄表示装置42の変動表示を開始する際(ステップS4113の開始設定処理)にオンにされ、装飾図柄表示装置42の変動表示が停止表示される際(ステップS4305参照)にオフにされる。
【0551】
ここで肯定判定された場合、すなわち変動開始時又は変動中である場合には、ステップS4302に進み、否定判定された場合には、そのまま本処理を終了する。
【0552】
ステップS4302では、変動表示タイマ減算処理を行う。この処理が1回行われる毎に表示タイマの値が4msecずつ減算されていく。例えば変動時間が10秒(10000msec)の場合には、変動表示タイマに対して「2500」が設定され、4msec毎に1減算される。
【0553】
続いてステップS4303に進み、上記減算後の変動表示タイマの値を参酌して所定の変動時間が経過したか否かを判定する。このとき、所定の変動時間が経過した時すなわち変動表示タイマの値が「0」となった時にステップS4303が肯定判定される。
【0554】
ステップS4303で否定判定された場合には、ステップS4304において、装飾図柄表示装置42の変動表示を実行するための変動実行処理を行い、本処理を終了する。
【0555】
この変動実行処理では、例えばRAM553のサブ変動保留エリアの実行エリアに格納された各種情報に基づき、表示制御装置45へ出力する表示コマンドを生成する等の各種の演算処理及びコマンドの出力設定を行う。
【0556】
これによって、表示制御装置45は、サブ制御装置262からの指令に応じて描画処理を行い、装飾図柄表示装置42での図柄の変動表示を開始する。そして、主制御装置261から変動パターンコマンドが一旦受信されると、当該変動パターンコマンドに対応する変動表示の変動時間が経過するまで(ステップS4113の開始設定処理で設定された変動表示タイマの値が「0」になるまで)の間、サブ制御装置262と表示制御装置45との協働のもとに図柄の変動表示が継続される。
【0557】
一方、ステップS4303で肯定判定された場合、すなわち変動表示タイマの値が「0」であると判定された場合には、ステップS4305において装飾図柄表示装置42にて停止表示を行うための停止表示設定を行い、本処理を終了する。当該停止表示設定では、変動表示中フラグを解除(オフ)すると共に、表示制御装置45に対し装飾図柄表示装置42における変動表示の停止を指示する停止コマンドの設定等が行われる。
【0558】
尚、ステップS4304の変動実行処理では、装飾図柄表示装置42における表示態様を遊技状態の種別に応じた態様(演出モード)で行うための演出モード切換設定処理も合わせて行なわれる。
【0559】
本実施形態における演出モードは、遊技状態(遊技状態判定値Xjの値)に応じて、「高サポートモード」が付与されていない「通常モード」、「高サポートモード」が付与された状態であって、かつ、その継続期間が不明な「チャンスモード」、「次回まで・高サポートモード」が付与された状態であって、かつ、それを遊技者に対し明示的に報知する「ゴールドモード」の間で切替設定される。
【0560】
より詳しくは、RAM553の遊技状態情報格納エリアに格納された遊技状態判定値Xjの値が「0」の場合、すなわち「低確率モード」と「低サポートモード」とが付与されている状態では、装飾図柄表示装置42における演出モードが「通常モード」に設定される(図46参照)。
【0561】
また、遊技状態判定値Xjの値が「3」の場合、すなわち所定期間の「高サポートモード」の終了後、「高確率モード」と「低サポートモード」とが付与された状態には、いわゆる「潜確状態」となるため、かかる場合にも、表面上は「通常状態」の場合と何ら変わりのない状態とするため、装飾図柄表示装置42における演出モードが「通常モード」に設定される。
【0562】
RAM553の遊技状態情報格納エリアに格納された遊技状態判定値Xjの値が「1」、「2」、「4」、「5」又は「7」の場合、すなわち「20回・高サポートモード」、「30回・高サポートモード」、「40回・高サポートモード」、「50回・高サポートモード」、「30回・高サポートモードS」、「次回まで・高サポートモード」の非報知演出、又は、後述する「サポート継続演出」の期間中には、装飾図柄表示装置42における演出モードが「チャンスモード」に設定される(図48参照)。
【0563】
RAM553の遊技状態情報格納エリアに格納された遊技状態判定値Xjの値が「6」の場合、すなわち「次回まで・高サポートモード」が付与されている状態(非報知演出期間を除く)には、装飾図柄表示装置42における演出モードが「ゴールドモード」に設定される(図49参照)。
【0564】
次に、保留表示設定処理について図39を参照して詳しく説明する。まずステップS4501において、サブ変動保留エリアのうち、下始動入賞口33Bに対応する第2サブ変動保留エリアの保留第1~第4エリアに格納された当たり種別情報が小当たりに対応する情報(小当たり情報)であるか否かを判定する。
【0565】
ここで否定判別された場合、すなわち小当たり情報が含まれていない場合には、ステップS4502において、通常保留表示更新処理を行う。図46に示すように、通常の保留表示では、第1保留表示領域W3a及び第2保留表示領域W3bにおいて、それぞれ4つの保留エリア(保留第1~保留第4エリア)に対応する保留画像TA1~TA4,TB1~TB4が表示される。通常は、各保留画像TA1~TA4,TB1~TB4として、円形状の保留ランプを模した「保留ランプ画像」が表示される構成となっている。
【0566】
そして、ステップS4502の通常保留表示更新処理では、サブ変動保留エリアにおける保留数の増減に応じて、点灯態様又は消灯態様で表示される保留画像TA1~TA4,TB1~TB4の数を増減させる表示更新処理を行うこととなる。
【0567】
一方、ステップS4501において肯定判別された場合、すなわち第2サブ変動保留エリアの保留第1~第4エリアのいずれかに小当たり情報が含まれている場合には、ステップS4503において、保留表示変更処理を行い、その後、本処理を終了する。
【0568】
ステップS4503の保留表示変更処理が行われることにより、第2保留表示領域W3bに表示される4つの保留画像TB1~TB4のうち、上記小当たり情報を含む保留エリアに対応する保留画像TB1~TB4のいずれかが、通常保留表示時の「保留ランプ画像」から「星型画像」に差し替えられる。例えば図51に示した例では、第3保留画像TB3が「星型画像」に変更されている。
【0569】
図34の説明に戻り、ステップS3908のランプ設定処理では、装飾図柄表示装置42で行われる表示演出に同期させるべく、ランプ・電飾類の点灯パターンを設定する。
【0570】
ステップS3909の音声設定処理では、装飾図柄表示装置42で行われる表示演出に同期させるべく、スピーカSPの出力パターンを設定する。また、エラー発生の報知等、音声に関するコマンドが主制御装置261から送信されてきた場合には、これらの制御を行うための設定もステップS3909で行われる。
【0571】
ステップS3910では、客待ち演出(例えば装飾図柄表示装置42の変動表示が行われていない状態で所定時間が経過すると表示されるように設定されているデモ画面表示)の制御設定等その他の処理を行う。
【0572】
ステップ3912では、上記ステップS3905~3911の設定内容に基づいた制御信号を各装置に送信する外部出力処理を実行する。例えば、装飾図柄表示装置42による装飾図柄の変動表示に際して表示コマンドを表示制御装置45に送信する。
【0573】
1msec毎に行われるステップS3905~S3911の処理が実行された後、又は、上記ステップS3904で否定判定された場合には、ステップS3912に移行し、RAM553に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判定する。尚、電源断の発生情報は、主制御装置261から電源断コマンドを受信した場合に記憶される。
【0574】
電源断の発生情報が記憶されていない場合には、ステップS3913に進み、RAM553が破壊されているか否かが判定される。ここでRAM553が破壊されていなければ、ステップS3901の処理へ戻り、繰り返し通常処理が実行される。一方、RAM553が破壊されていれば、以降の処理の実行を停止させるために、処理を無限ループする。
【0575】
一方、ステップS3912で電源断の発生情報が記憶されると判定された場合、ステップS3914において電源断処理を実行する。電源断処理では、割り込み処理の発生を禁止すると共に、各出力ポートをオフする。また、電源断の発生情報の記憶も消去する。電源断処理の実行後は、処理を無限ループする。
【0576】
次に装飾図柄表示装置42の表示部42aにおける表示態様等について、遊技者による遊技の流れと共に説明する。
【0577】
装飾図柄表示装置42の表示部42aには、通常状態(遊技状態判定値Xjの値が「0」の場合)において、上、中及び下の3つの図柄表示領域からなる変動表示領域W1が設定されている(図46参照)。また、変動表示領域W1の下側には、遊技者に対し遊技球の発射態様を指示(推奨)する指示表示領域W2が設定されると共に、さらにその下側には変動表示の保留数を示す保留表示領域W3が設定されている。
【0578】
保留表示領域W3は、サブ変動保留エリアに対応して設定されている。つまり、保留表示領域W3は、第1サブ変動保留エリア及び第2サブ変動保留エリアに対応して、第1保留表示領域W3a及び第2保留表示領域W3bとに区分けされている。そして、各保留表示領域W3a,W3bには、それぞれ4つの保留エリア(保留第1~保留第4エリア)に対応する保留画像TA1~TA4,TB1~TB4が表示される(図46参照)。
【0579】
保留画像TA1~TA4,TB1~TB4は、通常時(非保留時)には、消灯態様で表示されており(網掛け部分参照)、所定の保留エリアに変動表示が保留された場合に、当該保留エリアに対応する保留画像TA1~TA4,TB1~TB4が点灯態様に切替表示される構成となっている(白抜き部分参照)。
【0580】
図46に示す例では、第1保留表示領域W3aの第1保留画像TA1及び第2保留画像TA2が点灯態様で表示され、残りの保留画像TA3,TA4,TB1~TB4が消灯態様で表示された状態が示されている。すなわち、第1サブ変動保留エリアの保留第1エリアと保留第2エリアに変動表示が保留され、現在の変動表示の保留数が上始動入賞口33Aに係る「2」個の状態であることが示されている。
【0581】
通常状態においては、遊技者が可変表示装置ユニット35の左側方領域に向けて遊技球を発射する行為(かかる行為を以下、「左打ち」という)を推奨するように指示表示領域W2に「←左打ち」と表示される。これに従い、遊技者は「左打ち」して遊技を行う。
【0582】
「左打ち」した場合、遊技球の多くは、上記釘等によって、可変表示装置ユニット35の下側に位置する上始動入賞口33Aの方へと誘導される。そのうち、いくつの遊技球が上始動入賞口33Aへ入賞することとなる。
【0583】
尚、本実施形態では、下始動入賞口33B(開閉役物37)の開放契機となるスルーゲート34が、可変表示装置ユニット35の右側方領域、すなわち可変表示装置ユニット35の左側方領域を流下した遊技球が到達不能な位置に配置されているため、遊技者が「左打ち」を続けた場合、開閉役物37が開放されることはなく、遊技球が下始動入賞口33Bへ入賞することはない。
【0584】
但し、本実施形態では、遊技球をステージ部770上へ案内することのできるワープ流路764の入口部764aがセンターフレーム47の左辺部47cにのみ形成されているため、通常状態においては、「左打ち」して遊技を行った方が、遊技をより有利に進めることができるよう構成されている。
【0585】
遊技球が上始動入賞口33Aへ入賞すると、装飾図柄表示装置42の変動表示領域W1においては、上記各図柄表示領域毎に複数種類の装飾図柄が変動表示される。本実施形態では、「1」~「9」の数字の付された装飾図柄Zが表示される。各種装飾図柄Zは、数字の昇順又は降順に周期性をもって右から左へとスクロール変動表示される、これにより一連の図柄列が構成されている。
【0586】
かかる場合、上図柄表示領域においては、各種装飾図柄Zが降順(付された数字が減る順)に表示され、中図柄表示領域及び下図柄表示領域においては、同じく各種装飾図柄Zが昇順(付された数字が増える順)に表示される。そして、所定時間が経過すると、上図柄表示領域→下図柄表示領域→中図柄表示領域の順に変動表示が停止し、各図柄表示領域に装飾図柄Zが停止表示される。
【0587】
上始動入賞口33Aへの遊技球の入賞に基づき、大当たり抽選に当選した場合には、リーチ状態を経て、所定の大当たりライン上に、大当たりの組合わせの装飾図柄Zが停止表示される。尚、本実施形態の通常状態では、上記大当たりラインは、左・中・右の縦ライン及び斜めの2本のラインによって構成されている(5ラインと称される)。従って、上・中・下図柄表示領域において、大当たりの組合わせの装飾図柄Zが前記5つのラインのいずれかのライン上に3つ並んで停止表示されると、大当たり状態の発生が確定する。
【0588】
大当たり状態が発生した場合には、遊技領域30aの最下部(可変入賞装置32の開閉シャッタ160)が開放し、大入賞口151へ遊技球が入賞可能な状態となると共に、装飾図柄表示装置42の表示部42aにおいて所定の大当たり演出が開始される。ここで、大当たりラウンド数が表示されるようにしてもよい。
【0589】
但し、本実施形態では、下始動入賞口33B(開閉役物37)の開放契機となるスルーゲート34が、可変表示装置ユニット35の右側方領域、すなわち可変表示装置ユニット35の左側方領域を流下した遊技球が到達不能な位置に配置されているため、遊技者が「左打ち」を続けた場合、開閉役物37が開放されることはなく、遊技球が下始動入賞口33Bへ入賞することはない。そのため、図47に示すように、大当たり演出が開始されると、指示表示領域W2には、遊技者が可変表示装置ユニット35の右側方領域に向けて遊技球を発射する行為(かかる行為を以下、「右打ち」という)を推奨するように、「右打ち→」と表示される。これに従い、遊技者は、遊技球が可変表示装置ユニット35の上方を通過し、可変表示装置ユニット35の右側方領域へ向かうよう、「左打ち」から「右打ち」に切替えて大当たり遊技を行う。
【0590】
ここで「右打ち」した場合、遊技球の多くは、上記釘等によって、スルーゲート34へと誘導され、スルーゲート34を通過した後、上始動入賞口33Aや下始動入賞口33Bの方へと流下していくこととなる。そして、一部の遊技球は上始動入賞口33Aや下始動入賞口33Bへ入球する。
【0591】
一方、始動入賞口33A,33Bへ入賞せず、該始動入賞口33A,33Bを素通りした、その他の多くの遊技球は、上記釘等によって、遊技領域30aの最下部(可変入賞装置32の開閉シャッタ160)の方へと誘導され、可変入賞装置32(大入賞口151)へ入賞することとなる。これにより、遊技者はより多くの遊技球を獲得することができる。
【0592】
尚、上記のとおり、可変表示装置ユニット35の右側方領域には、始動入賞口33A,33Bまでの流下途中において、下始動入賞口33B(開閉役物37)の開放契機となるスルーゲート34が設けられており、いくつの遊技球がスルーゲート34を通過することとなる。
【0593】
ここで、遊技球がスルーゲート34を通過することに起因して行われる開放抽選に当選した場合には、開閉役物37が開状態となり、下始動入賞口33Bへ遊技球が入賞することが可能となる。
【0594】
大当たり終了後は、特別表示装置43L、43R(装飾図柄表示装置42)にて所定回数の変動表示が行なわれる間、又は、次回の大当たり状態が発生するまでの間、開閉役物37に係る入賞サポートモードとして「高サポートモード」が付与される。
【0595】
これに伴い、装飾図柄表示装置42の表示部42aでは、「高サポートモード」に係る所定のサポート演出(「チャンスモード」演出、又は「ゴールドモード」演出)が行われると共に、変動表示領域W1が縮小表示される。なお、縮小された変動表示領域W1では、上記上・中・下の図柄表示領域が、左・中・右の図柄表示領域に切替り、大当たりラインが1ラインとなる。
【0596】
また、かかるサポート演出中、装飾図柄表示装置42の表示部42aにおいては、サポート回数表示領域W4が設定される(図48,49参照)。サポート回数表示領域W4には、見かけ上、付与することが確定しているサポート回数が表示される。従って、例えば内部抽選では「50回」のサポート回数の付与が確定している場合であっても、演出上、当初は「20回」と表示される。
【0597】
より具体的には、「16R通常大当たりB」又は「4R通常大当たりB」に当選し、「20回・高サポートモード」、「30回・高サポートモード」、「40回・高サポートモード」又は「50回・高サポートモード」が付与される場合、すなわち遊技状態判定値Xjの値が「1」の場合には、サポート回数表示領域W4には当初、「20回」と表示される。そして、変動表示が1回行われる毎に、その値が1ずつ減算表示されていく。
【0598】
同様に、「16R確変大当たりB」又は「4R確変大当たりB」に当選し、「20回・高サポートモード」、「30回・高サポートモード」、「40回・高サポートモード」又は「50回・高サポートモード」が付与される場合、すなわち遊技状態判定値Xjの値が「4」の場合にも、サポート回数表示領域W4には当初、「20回」と表示される。そして、変動表示が1回行われる毎に、その値が1ずつ減算表示されていく。
【0599】
一方、「16R通常大当たりA」又は「4R通常大当たりA」に当選し、「30回・高サポートモードS」が付与される場合、すなわち遊技状態判定値Xjの値が「2」又は「5」の場合(非報知演出の場合のXj=「5」を除く)には、サポート回数表示領域W4には当初、「30回」と表示される。そして、変動表示が1回行われる毎に、その値が1ずつ減算表示されていく。
【0600】
また、「16R確変大当たりA」、「4R確変大当たりA」又は「JUB大当たり」に当選し、「次回まで・高サポートモード」が付与される場合には、すなわち遊技状態判定値Xjの値が「6」の場合には、サポート回数表示領域W4には当初から「次回まで」と表示される。但し、上記非報知演出が行われる場合には、サポート回数表示領域W4には当初、「30回」と表示される。そして、変動表示が1回行われる毎に、その値が1ずつ減算表示されていく。
【0601】
上述したとおり、「高サポートモード」が付与されている間は、遊技球が下始動入賞口33Bへ入賞しやすい状態となるため、大当たり遊技が終了した場合であっても、遊技者は開閉役物37の開放契機を得るべく、「右打ち」を継続して行うことが好ましい。つまり、「高サポートモード」中は、「右打ち」して遊技を行った方が、遊技をより有利に進めることができるよう設定されている。従って、「高サポートモード」中の装飾図柄表示装置42の指示表示領域W2には、遊技者に対し「右打ち」を推奨すべく、「右打ち→」と表示される。
【0602】
尚、本実施形態では、「高サポートモード」の一般回変動時(サポート回数表示領域W4における回数表示が終了値の「1回」となっていない変動時)、すなわち遊技状態判定値Xjの値が「1」、「2」、「4」、「5」の場合における変動時間が、各遊技状態判定値Xjに基づき選択される変動パターンテーブルによって「1秒」と設定されている(大当たり時を除く)。そして、サポート演出中の装飾図柄表示装置42の表示部42aでは、これに合せた表示演出がサブ制御装置262により決定され、実行される。
【0603】
また、「高サポートモード」の特定回変動時(サポート回数表示領域W4における回数表示が終了値の「1回」となっている変動時、つまり大当たり終了後から「20回目」、「30回目」、「40回目」又は「50回目」にあたる変動時)、すなわち遊技状態判定値Xjの値が「7」の場合における変動時間が、当該遊技状態判定値Xjの値「7」に基づき選択される変動パターンテーブルによって「25秒」と設定されている(大当たり時を除く)。そして、サポート演出中の装飾図柄表示装置42の表示部42aでは、これに合せた表示演出がサブ制御装置262により決定され、実行される。
【0604】
上記特定回変動時(25秒変動)の装飾図柄表示装置42の表示部42aでは、「高サポートモード」が継続するか否かを抽選で決定するような、遊技者の興趣を盛り上げるサポート継続演出が行なわれる。
【0605】
例えば本実施形態では、上記特定回変動時の表示演出(サポート継続演出)として、ルーレット演出が行われる。当該ルーレット演出では、図50に示すように、ルーレット図柄TRが表示される。ルーレット図柄TRには、サポート回数がここで終了することを示す「終了」、サポート回数がさらに10回が加算されることを示す「+10回」、サポート回数が次回大当たりまで続くことを示す「次回まで」といった項目が記載されている。
【0606】
ルーレット演出では、ルーレット図柄TRが回転し、矢印TYの示す位置に停止した項目により、その後の遊技状態が決定されるといった演出がなされる。
【0607】
ここで、いずれの項目に停止するかは、大当たり抽選時に決定された「高サポートモード」の付与数(「20回」、「30回」、「40回」、「50回」又は「次回まで」)と、その時点のサポート付与回数(サポート回数カウンタの値)によって決定される。そして、決定された項目がサポート回数表示領域W4に表示される。
【0608】
例えば、「50回・高サポートモード」付きの「16R通常大当たりB」に当選し、サポート回数表示領域W4に当初「20回」と表示された後、当該ルーレット演出に至った場合には、上限が「次回まで」ではなく、サポート付与回数は残り「30回」あるので、「+10回」の項目が選択される。
【0609】
また、例えば「30回・高サポートモード」付きの「4R通常大当たりA」に当選し、サポート回数表示領域W4に当初「30回」と表示された後、当該ルーレット演出に至った場合には、上限が「次回まで」ではなく、サポート付与回数の残りがないため、「終了」の項目が選択される。
【0610】
また、例えば「次回まで・高サポートモード」付きの「16R確変大当たりA」に当選し、非報知演出が行われ(遊技状態判定値Xjの値が「5」となり)、サポート回数表示領域W4に当初「30回」と表示された後、当該ルーレット演出に至った場合には、上限が「次回まで」であるので、「次回まで」の項目が選択される。
【0611】
さて「高サポートモード」が終了し、「低サポートモード」に戻ると、装飾図柄表示装置42の表示部42aにおける表示態様は、通常状態と同様の状態に戻る(図46参照)。従って、表示部42aの指示表示領域W2には「←左打ち」と表示される。
【0612】
但し、本実施形態では、「高サポートモード」中に小当たり当選し、下始動入賞口33Bに係る第2サブ変動保留エリアのいずれかの保留エリアに小当たり情報が格納されている場合には、第2保留表示領域W3bに表示されている保留画像TB1~TB4のうち、小当たり情報を格納した保留エリアに対応する保留画像TB1~TB4の表示態様が、通常態様とは異なる態様の画像に変更される(図51参照)。図51に示した例では、第3保留画像TB3が「星型画像」に変更されている。本実施形態では、これと共に、指示表示領域W2において「右打ち→」と表示される。
【0613】
このため、「高サポートモード」が終了し、「低サポートモード」に戻った場合でも、保留エリアに小当たり情報が格納されていれば、上記表示が行われ、遊技者に対して小当たりが発生することが示唆されることとなる。
【0614】
以上詳述したように、本実施形態によれば、可変入賞装置32(大入賞口151)を内枠12(ベース枠下部38A)側に設けることにより、その分、遊技領域(副遊技領域)が拡張され、遊技領域の総面積を拡大することができる。
【0615】
ひいては、遊技盤30の前面側に形成される遊技領域(主遊技領域)30aにおいて、入球手段や案内釘、演出機器などの各種部材を配設するスペースや、遊技球の流下経路として利用可能な領域が増え、遊技領域30aの設計自由度を高めることができる。結果として、遊技者にとってのさらなる興趣の向上を図ることができる。
【0616】
加えて、大入賞口151を開閉する開閉シャッタ160を、遊技領域30aを区画する仕切部の一部として兼用しているため、部品点数の削減を図ると共に、構成のコンパクト化を図ることができる。
【0617】
なお、上述した実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。ここで、以下の各構成を個別に上記実施形態に対して適用してもよく、一部又は全部を任意に組み合わせて上記実施形態に対して適用してもよい。また、上記実施形態に示した各種構成の全て又は一部を任意に組み合わせることも可能である。
【0618】
(a)上記実施形態では、始動入賞口33A,33Bへの遊技球の入球に基づく当否抽選にて大当たり当選した場合に、可変入賞装置32が開閉する大当たり状態が発生するタイプの遊技機(いわゆる旧第1種パチンコ機)が例示されている。
【0619】
これに限らず、他のタイプのパチンコ機として実施してもよい。また、パチンコ機以外にも、アレンジボール機、雀球等の各種遊技機として実施することも可能である。
【0620】
(a-1)例えば上記実施形態に係るタイプの遊技機(いわゆる旧第1種パチンコ機)の機能と、始動入賞口33A,33Bへの入球に基づく当否抽選にて小当たり当選した場合に開閉動作を行う可変役物装置を備え、該可変役物装置内に入球した遊技球が所定の入球手段(例えばV入賞口)に入球して大当たり状態(V入賞大当たり)が発生するタイプの遊技機(いわゆる旧第2種パチンコ機)の機能とを兼ね備えた、いわゆる1種2種混合機として実施してもよい。
【0621】
(a-2)また、始動入賞口33A,33Bへ遊技球が入球した場合に所定の抽選処理を行うことなく(又は当選確率100%の抽選処理を行ってもよい)、始動入賞口33A,33Bへの入球に基づき、可変役物装置が開状態となり、該可変役物装置内に入球した遊技球が所定の入球手段(例えばV入賞口)に入球して大当たり状態が発生するタイプの遊技機(いわゆる旧第2種パチンコ機)として実施してもよい。
【0622】
(a-3)上記実施形態では、遊技価値の付与として、現実の遊技価値としての賞球(遊技球)の払出しが行われる構成となっている。これに代えて又は加えて、仮想的な遊技価値として、遊技者が獲得した賞球(遊技球)に相当するポイント(得点)を遊技者に付与する、例えば磁気カード等の記憶媒体に付与する構成のパチンコ機として実施してもよい。
【0623】
また、遊技価値には、例えば大当たり状態や小当たり状態などの各種特別遊技状態又はその抽選契機、大当たり中などに付与される各種特賞状態(ラウンド)又はその抽選契機、大当たり終了後に付与される高確率モード等の各種遊技モード又はその抽選契機なども含まれることとしてもよい。
【0624】
(a-4)また、遊技球を遊技機内で循環させる等して遊技者に対し直接的に払い出さないタイプの遊技機、いわゆる封入式のパチンコ機として実施してもよい。尚、遊技領域30aを主遊技領域(第1遊技領域)としてとらえた場合には、上記可変役物装置が配設された領域又は上記可変役物装置の内部領域を副遊技領域(第2遊技領域)ととらえることもできる。
【0625】
(b)当たりの種別(ラウンド数や構成内容など)、並びに、大当たり状態の終了後に付与される遊技モードの構成(付与期間や構成内容など)は、上記実施形態に限定されるものではなく、異なる構成を採用してもよい。
【0626】
(b-1)例えば上記実施形態では、大当たり種別に関係なく、大当たり終了後に「高サポートモード」が必ず付与される構成となっているが、これに限らず、大当たり種別によって「高サポートモード」が付与されない構成としてもよい。
【0627】
(b-2)例えば抽選モード(「高確率モード」又は「低確率モード」)の切替えが行われず、入賞サポートモード(「高サポートモード」又は「低サポートモード」)の切替えのみが行われるパチンコ機として実施してもよい。勿論、大当たり状態の終了後に時間短縮モードや高確率モード等が付与されない構成の遊技機として実施してもよい。
【0628】
(c)上記実施形態では、アウト球排出領域としてのアウト口36が遊技盤30側に設けられ、特別入球領域としての大入賞口151(可変入賞装置32)がベース枠下部38Aに設けられた構成となっている。
【0629】
アウト球排出領域及び特別入球領域に係る構成は、上記実施形態に限定されるものではなく、他の構成を採用してもよい。
【0630】
(c-1)例えば図52、53に示すように、大入賞口901及びアウト口902の両者がベース枠下部38Aに設けられた構成としてもよい。
【0631】
より具体的に、図52、53に示す例では、ベース枠下部38Aにおいて可変入賞装置900を備え、その上部に大入賞口901を備え、その下部にアウト口902を備えた構成となっている。従って、可変入賞装置900のうち、大入賞口901を有する上側構成部が本実施形態における第1構成部に相当し、アウト口902を有する下側構成部が本実施形態における第2構成部に相当する。
【0632】
また、大入賞口901の前面側には、略板状の開閉部材903が左右方向を軸線方向として回動可能に設けられている。
【0633】
そして、通常時には、開閉部材903が略垂直方向に沿って配置されることにより大入賞口901を閉鎖する閉状態となると共に、アウト口902が開放された状態となる。
【0634】
一方、大当たり状態が発生した場合には、開閉部材903が前方に傾倒することにより大入賞口901を開放する開状態となると共に、アウト口902が閉鎖された状態となる。
【0635】
加えて、開閉部材903の前面側には、閉状態にある場合において、遊技球Bをアウト口902へ誘導可能な一対の誘導部904が形成されている。さらに、可変入賞装置900の前面側には、開閉部材903が開状態にある場合において、開閉部材903の側方から遊技球Bがこぼれ落ちるのを防止するための左右一対の仕切部905が形成されている。
【0636】
(c-2)図52、53に示す可変入賞装置900において、符号901で示した開口部をアウト口とすると共に、符号902で示した開口部を大入賞口とした構成としてもよい。
【0637】
かかる場合、通常時には、開閉部材903が前方に傾倒することにより大入賞口902を閉鎖する閉状態となると共に、アウト口901が開放された状態となる。一方、大当たり状態が発生した場合には、開閉部材903が略垂直方向に沿って配置されることにより大入賞口902を開放する開状態となると共に、アウト口901が閉鎖された状態となる。
【0638】
(c-3)アウト球排出領域としてのアウト口、及び、特別入球領域としての大入賞口(可変入賞手段)の両者が遊技盤30側に設けられた構成としてもよい。かかる構成においては、アウト口の下流側に大入賞口が設けられた構成とすることが好ましい。さらには、アウト口と大入賞口とが上下に並設(近接配置又は隣接配置)され、アウト口の直下方位置に大入賞口が設けられることがより好ましい。
【0639】
(c-4)特別入球領域としての大入賞口(可変入賞装置)が遊技盤30側に設けられ、アウト球排出領域としてのアウト口が内枠12(ベース枠下部38A)に設けられた構成としてもよい。
【0640】
かかる構成の下、前面枠セット14に設けられた前面側誘導部169(誘導手段)をアウト球の排出用に用いてもよい。つまり、遊技領域30aに案内された遊技球のうち、各種入賞口へ入賞しなかったアウト球が、上記開口部55を介して落下し、前面側誘導部169(誘導手段)を介して、内枠12側のアウト口へ案内される構成としてもよい。
【0641】
(c-4)アウト口の数は、1つに限定されるものではなく、アウト口を複数備えた構成としてもよい。例えば遊技盤30側にアウト口を設けると共に、ベース枠下部38A側にアウト口を設けた構成としてもよい。
【0642】
(d)可変入賞装置の構成は、上記実施形態に係る可変入賞装置32に限定されるものではなく、他の構成を採用してもよい。
【0643】
(d-1)例えば上記実施形態では、ベース枠下部38Aの上縁部145の取付凹部146に可変入賞装置32が取付固定されている。上記実施形態では、特に言及していないが、ここで可変入賞装置32が取外し可能に設けられている構成としてもよい。
【0644】
例えば可変入賞装置32及び内枠12のうちの一方に係止手段(係止爪)を備え、他方にこれが係止される被係止手段(係止受部)を備え、これらが係止状態となることで可変入賞装置32が内枠12に取付け固定され、これらの係止状態を解除することで内枠12から可変入賞装置32を取外すことができる構成としてもよい。
【0645】
また、ネジ等の締結手段により可変入賞装置32が内枠12に取付け固定され、ネジ等による締結を解除することにより、内枠12から可変入賞装置32を取外すことができる構成としてもよい。
【0646】
(d-2)可変入賞装置32のハウジング部分となる前壁部149や底壁部152、側壁部153などを省略し、大入賞口151や球通路がベース枠下部38Aに直接設けられた構成としてもよい。
【0647】
(d-3)上記実施形態では、可変入賞装置32のほぼ全体が遊技盤30の下縁部30bよりも下方に位置した状態となっている。
【0648】
これに限らず、ベース枠下部38Aと遊技盤30との間に跨るように可変入賞装置32が取付けられる構成としてもよい。これにより、開閉シャッタ160が遊技盤30の下縁部30bよりも上方位置で遊技領域30aを区画する仕切部の一部として機能する構成としてもよい。尚、大入賞口151が遊技盤30の下縁部30bよりも下方に位置した状態となることが好ましい。
【0649】
(d-4)可変入賞装置32の機能の一部を前面枠セット14側に設けた構成としてもよい。
【0650】
例えば開口部55を開閉する開閉部材及びその駆動機構を前面枠セット14側に設けた構成としてもよい。但し、この場合、開閉シャッタ160及びソレノイド154等は省略され、アウト口36の底壁部は、開閉シャッタ160とは異なる他の部材により構成されることとなり、可変入賞装置32は単にアウト球通路及び入賞球通路の一部を構成する球通路構成体となる。
【0651】
(e)遊技盤の構成は、上記実施形態に係る遊技盤30に限定されるものではなく、他の構成を採用してもよい。
【0652】
(e-1)例えば釘配列や各種部材の配置構成などは、上記実施形態に限定されるものではなく、他の構成を採用してもよい。
【0653】
(e-2)上記実施形態では、特に言及していないが、遊技盤30は従来同様、木製のものであってもよいし、例えば透明樹脂材料等によって形成された、背面側を透視可能なものであってもよい。
【0654】
(f)前面枠の構成は、上記実施形態に係る前面枠セット14に限定されるものではなく、他の構成を採用してもよい。
【0655】
例えば上記実施形態では、前面枠セット14の窓部101を介して、遊技者が大入賞口151を視認できないように構成されている。これに限らず、例えば遊技領域30aを視認可能に設けられた前面枠セット14の窓部101の範囲を、大入賞口151が設けられている範囲まで拡張した構成としてもよいし、前面枠セット14において、遊技領域30aを視認可能な第1の窓部101に加え、大入賞口151を視認可能な第2の窓部(視認窓)を備えた構成としてもよい。
【0656】
(g)遊技領域の構成は、上記実施形態に限られるものではなく、他の構成を採用してもよい。
【0657】
例えば上記実施形態では、遊技盤30の前面側に形成された第1遊技領域(主遊技領域)を構成する遊技領域30aに加え、遊技盤30よりも下方位置のベース枠下部38Aにおいて、第2遊技領域(副遊技領域)を構成する可変入賞装置32を備えた構成となっている。
【0658】
(g-1)第2遊技領域を遊技盤30の前面側に形成した構成としてもよい。例えば図54に示すように、遊技盤30の前面側において、外レール部材51、内レール部材52及び窓孔39によって区画された第1遊技領域30aに加え、遊技盤30の右斜め下コーナー部近傍のエリアを第2遊技領域として活用してもよい。
【0659】
より具体的に、図54に示す例では、遊技盤30の右斜め下コーナー部近傍に第2遊技領域30dが形成され、ベース枠38の窓孔39の右側部に開口部39aが形成され、該開口部39aにおいて該開口部39aを開閉可能な舌片状の開閉部材950が設けられ、ベース枠38の右側部において、前記開口部39aと第2遊技領域30dと連通させる球通路構成部38cが形成されている。
【0660】
尚、図示は省略するが、断面コ字状(半割れ)の支持枠側通路構成部としての球通路構成部38cに対応して、前面枠セット14側には、断面コ字状(半割れ)の前面枠側通路構成部が設けられ、内枠12に対し前面枠セット14を閉鎖した際に、これらが組付けられることにより、遊技球を脱落させることなく開口部39aから第2遊技領域30dへ案内可能な筒状の球通路が形成される構成となっている。
【0661】
かかる構成の下、通常時は、開閉部材950が閉状態となっており、第1遊技領域30aから第2遊技領域30dへ遊技球が流入不能な状態となっている。一方、当たり状態が発生した場合には、開閉部材950が開状態となり、遊技者が右打ちすることにより、開口部39aを介して第1遊技領域30aから第2遊技領域30dへ遊技球が流入可能な状態となる。そして、第2遊技領域30dに設けられた大入賞口30eに遊技球が入賞することにより、遊技者は所定数の賞球を獲得することができる。
【0662】
尚、図54に示す内レール部材52は、上記実施形態における内レール部材52を右レール部材53の範囲にまで連続して配設されたレール部材である。また、図54に示す例では、内レール部材52の最下部に対応する位置にアウト口36が形成されている。
【0663】
また、図54に示す構成とした場合には、上記(f)に係る構成と同様に、例えば遊技領域30aを視認可能に設けられた前面枠セット14の窓部101の範囲を、第2遊技領域30dが設けられている範囲まで拡張した構成としてもよいし、前面枠セット14において、遊技領域30aを視認可能な第1の窓部101に加え、第2遊技領域30dを視認可能な第2の窓部(視認窓)を備えた構成としてもよい。
【0664】
(g-2)上記実施形態に係る構成に加えて、図54に示す第2遊技領域30dや開口部39a、開閉部材950などを備えた構成としてもよい。
【0665】
かかる構成の下、第2遊技領域30dにおいて、開口部39aから流入した遊技球を振り分ける振分手段(例えば回転体やクルーンなどの機械的抽選機構)を備え、遊技球の挙動に基づいて抽選を行い、該抽選に当選した場合に大当たり状態が付与される構成としてもよい。尚、かかる構成においては、第2遊技領域30dへ流入した遊技球のうち、所定の入球手段へ入球しなかった遊技球を排出するためのアウト口も第2遊技領域30d内に設けられることとなる。また、第2遊技領域30d内において、釘等の案内部材を配設した構成としてもよい。
【0666】
(h)支持枠の構成は、上記実施形態に係る内枠12に限定されるものではなく、他の構成を採用してもよい。
【0667】
例えば上記実施形態では、遊技盤30の裏側に設けられた球回収部材216が、遊技盤30の下縁部30b、及び、ベース枠下部38Aの上縁部145を超えて、ベース枠下部38Aの裏面上部を覆う位置まで延出形成されており、可変入賞装置32の背後をも覆い、可変入賞装置32(大入賞口151)に入賞した遊技球を回収するための球通路をも有している。
【0668】
これに限らず、ベース枠下部38Aの背面側に係る球通路に関しては、球回収部材216を省略し、該ベース枠下部38Aと一体に形成された構成としてもよい。つまり、ベース枠下部38Aにおいて、入賞球通路の一部(入賞球排出通路232等)及びここを通過する遊技球を検知可能な球検知手段(カウントスイッチ223)、並びに、アウト球通路の一部(アウト球排出通路241A,241B等)及びここを通過する遊技球を検知可能な球検知手段(アウト球検出スイッチ226A,226B)を備えた構成としてもよい。
【0669】
(i)各種球通路の構成は、上記実施形態に限定されるものではなく、他の構成を採用してもよい。
【0670】
(i-1)例えば上記実施形態では、入賞球通路の一部及びアウト球通路の一部を構成する球通路構成体の一例として可変入賞装置32を挙げているが、これに代えて又は加えて、内枠12に対し取外し可能な他の球通路構成体を備えた構成としてもよい。
【0671】
(i-2)例えば図54に示す構成では、内枠12側において、断面コ字状(半割れ)の支持枠側通路構成部としての球通路構成部38cを備え、前面枠セット14側において、断面コ字状(半割れ)の前面枠側通路構成部を備え、これらが組付けられることにより、筒状の球通路が形成される構成となっている。
【0672】
これに代えて、開口部39aと第2遊技領域30dと連通させる筒状の球通路を、内枠12又は前面枠セット14の一方に設けた構成としてもよい。
【0673】
また、開口部39aと第2遊技領域30dと連通させる筒状の球通路の上流側部分を内枠12又は前面枠セット14の一方に設けると共に、前記筒状の球通路の下流側部分を内枠12又は前面枠セット14の他方に設け、内枠12に対し前面枠セット14を閉鎖することにより、前記上流側部分(例えば前面枠側通路構成部)と前記下流側部分(例えば支持枠側通路構成部)とが繋ぎ合われることで、筒状の球通路の全区間が形成される構成としてもよい。
【0674】
(i-3)前面枠セット14側の前面側誘導部169において、ここを通過する遊技球を検知可能な球検知手段(例えばカウントスイッチ223等)を備えた構成としてもよい。これにより、遊技球を早期に検出可能となる。
【0675】
(i-4)上記実施形態では、1つの入賞球排出通路232(カウントスイッチ223)と、2つのアウト球排出通路241A,241B(アウト球検出スイッチ226A,226B)を備えた構成となっている。
【0676】
これに限らず、例えばベース枠下部38Aにおいて、1以上の入賞球通路の所定区間(一部又は全部)が形成されると共に、1以上のアウト球通路の所定区間(一部又は全部)が形成された構成としてもよい。
【0677】
また、ベース枠下部38Aにおいて、2以上の入賞球通路の所定区間(一部又は全部)が形成されると共に、アウト球通路が1つも形成されない構成(アウト口が遊技盤30に形成される)としてもよい。
【0678】
また、ベース枠下部38Aにおいて、入賞球通路が1つも形成されない(入賞球通路が遊技盤30に形成される)と共に、2以上のアウト球通路の所定区間(一部又は全部)が形成された構成としてもよい。
【0679】
勿論、ベース枠下部38Aにおいて、入賞球通路又はアウト球通路のいずれか1つのみの所定区間(一部又は全部)が形成される構成としてもよい。但し、遊技球の排出効率が低下するおそれがあるため、ベース枠下部38Aにおいて、少なくとも2以上の球通路が形成されることが好ましい。
【0680】
(j)誘導手段(前面枠側通路構成部)の構成は、上記実施形態に係る前面側誘導部169に限定されるものではなく、他の構成を採用してもよい。
【0681】
(j-1)上記実施形態では、前面側誘導部169がレール側壁部材69と一体に形成されているが、これに限らず、別体としてもよい。
【0682】
(j-2)上記実施形態では、前面側誘導部169の一方(誘導レール54側)の側壁部169bがファール球案内部として機能するように構成されているが、これに限らず、前面側誘導部169とは別に、ファール球案内部を備えた構成としてもよい。
【0683】
(j-3)上記実施形態では、前面側誘導部169が上方及び後方に開放された構成となっているが、これに限らず、筒状の球通路構成部として形成した構成としてもよい。
【0684】
(j-4)ベース枠下部38Aにおいて、2以上の球通路を合流させた合流球通路を備えると共に、該合流球通路に対し、該合流球通路を通過する遊技球を検知可能な球検知手段を(例えば着脱自在に)取付可能とする構成としてもよい。
【0685】
これにより、球検知手段を合流球通路に対し適宜、着脱交換可能なように構成することで、機種変更等する場合における利便性の向上を図ることができる。
【0686】
例えばベース枠下部38Aにおいて、第1球通路(例えば入賞球通路)と、第2球通路(例えばアウト球通路)と、これらを合流させた合流球通路とを備えると共に、第1球通路と合流球通路の2箇所に球検知手段を取り付けることにより、第2球通路を通過する遊技球についても、その個数を把握することができる。例えばアウト口へ流入した遊技球は、早期かつ個別に検知する必要がないため、他の球通路へ流入した遊技球ともども、まとめて検知すればよい。
【0687】
一方、機種変更(遊技盤変更)等が行われ、上記第1球通路が使用されない場合には、第2球通路又は合流球通路のいずれか一方に球検知手段を取り付ければよい。同様に、上記第2球通路が使用されない場合には、第1球通路又は合流球通路のいずれか一方に球検知手段を取り付ければよい。
【0688】
結果として、機種変更(遊技盤変更)等が行われた場合に、各球通路の機能を切換えることが可能となる。例えば先の機種ではアウト球通路として利用されていた球通路を、後の機種では入賞球通路として利用するようにしてもよい。
【0689】
以下、上記実施形態から把握できる技術的思想について、その効果とともに記載する。
【0690】
<構成A>従来、遊技機の一種として、遊技球を発射して遊技を行うパチンコ機が知られている。パチンコ機には、発射された遊技球が案内される遊技領域を前面側に有した遊技盤が設けられている。遊技盤には、遊技領域に案内された遊技球が入賞可能な各種入賞手段や、いずれの入賞手段にも入賞しなかった遊技球を遊技領域外へ排出するためのアウト口などが設けられている(例えば、特開2016-86946号公報参照)。
【0691】
このようなパチンコ機においては、例えば始動入賞手段に遊技球が入賞することに基づき所定の抽選処理を行い、所定の抽選結果が得られた場合に、遊技者に有利な当たり状態を発生させる。当たり状態が発生すると、特別入賞手段が開放され、ここへ遊技球を入賞させることにより、遊技者は所定数の遊技価値を獲得することができる。
【0692】
しかしながら、パチンコ機の遊技領域には、各種入賞手段の他に、表示装置や装飾機器など各種演出機器が設置される。特に近年では、装飾性の向上や演出の多様化に伴い、これらが大型化する傾向にある。
【0693】
そのため、近年では、遊技盤自体を大型化する等して遊技領域の拡大が図られてはいるものの、遊技ホールにおいてパチンコ機を設置する島設備等との関係により、パチンコ機における遊技盤の設置スペースには限界がある。
【0694】
その結果、入賞手段や案内釘、演出機器などの各種部材を設置するスペースや、遊技球の流下経路などを確保することが非常に困難となってきており、さらなる遊技領域の拡大が求められている。
【0695】
また、遊技球の流下経路が狭くなってしまうと、遊技球の挙動に躍動感が失われたり、ゲージ(釘配列)の設計自由度などが低下してしまうため、遊技者にとっての興趣が低下するおそれがある。
【0696】
一方で、パチンコ機における遊技盤下方スペース(遊技盤を支持する支持枠と、その前面側に配設される前面枠との間の遊技盤下方内部スペース)には、従来、活用されていない無駄なスペースが存在し、該スペースを埋めるスペーサー部材等が配設されているパチンコ機なども見受けられる。
【0697】
本発明は、上記例示した事情等に鑑みてなされたものであり、その目的は、スペースの有効活用を図ることにより、遊技者にとっての興趣の向上等を図ることのできる遊技機を提供することにある。
【0698】
手段A1.所定の遊技盤と、
前記遊技盤を支持する支持枠と、
前記支持枠に設けられ、遊技球を発射する発射手段と、
前記遊技盤の前面側に形成され、前記発射手段により発射された遊技球が案内される遊技領域と、
前記遊技領域内に設けられた所定の入球手段(例えば始動入球手段)への遊技球の入球に基づき、所定条件が成立した場合に、遊技者に有利な特別遊技状態を発生可能な特別遊技状態発生手段とを備えると共に、
前記特別遊技状態が発生した場合に遊技球が入球可能となる特別入球領域(例えば大入賞口)を、前記支持枠のうち前記遊技盤よりも下方に位置する部位に設けたことを特徴とする遊技機。
【0699】
上記手段A1によれば、特別入球領域を支持枠側に設けることにより、その分、遊技領域(サブ遊技領域)が拡張され、遊技領域の総面積を拡大することができる。
【0700】
ひいては、遊技盤の前面側に形成される遊技領域(メイン遊技領域)において、入球手段や案内釘、演出機器などの各種部材を配設するスペースや、遊技球の流下経路として利用可能な領域が増え、遊技領域の設計自由度を高めることができる。
【0701】
結果として、遊技者にとってのさらなる興趣の向上を図ることができる。例えば遊技盤前面側の遊技領域において、遊技球の流下経路の面積を従来と同様に維持しつつ、従来よりも大型の表示装置を設置することも可能となる。
【0702】
加えて、特別入球領域を支持枠側に設けることにより、従来、あまり活用されていなかった支持枠の遊技盤下方スペース(特に遊技盤下縁部と発射レールとの間のスペース)の有効活用を図ることができる。
【0703】
尚、「前記遊技領域内に設けられた所定の入球手段(例えば始動入球手段)への遊技球の入球に基づき、所定条件が成立した場合」には、例えば「前記所定の入球手段に入球した遊技球を検知可能な入球検知手段」を備えた構成の下、「前記入球検知手段により遊技球が検知された場合」や、「前記入球検知手段の入球検知に基づいて所定の抽選を行い、該抽選により所定の抽選結果(当選結果)が得られた場合」などが含まれる。
【0704】
また、「少なくとも前記特別入球領域へ遊技球が入球した場合に、所定の遊技価値を付与可能な遊技価値付与手段を備えた」構成としてもよい。尚、前記遊技価値の付与には、例えば現実の遊技価値としての賞球(遊技球)の払出しが含まれる。この場合、賞球(遊技球)が前記遊技価値に相当する。また、前記遊技価値の付与には、例えば仮想的な遊技価値として、貯留記憶された賞球(遊技球)の数を所定の表示手段(又は記憶媒体)に表示(又は記憶)させることなどが含まれる。この場合、貯留記憶されたものが前記遊技価値に相当する。
【0705】
手段A2.前記支持枠の前面側に配設され、前記遊技領域を視認可能な視認窓を有した前面枠を備え、
前記前面枠の背面側において、前記遊技領域を流下する遊技球を前記特別入球領域へ案内可能な誘導手段を備えたことを特徴とする手段A1に記載の遊技機。
【0706】
尚、特別入球領域を支持枠側に設ける場合、すなわち遊技盤の下縁部を超えて下方へ遊技領域を拡張する場合には、遊技盤の前面側に形成される遊技領域を画定する仕切部(内レール及び外レール等)の一部を遊技盤の下縁部から下方へはみ出すように設ける方法なども考えられる。
【0707】
しかしながら、通常、パチンコ機等の遊技機の分野において、遊技盤は、支持枠の背面側から取付けられるよう構成されているため、仕切部の一部が遊技盤の下縁部からはみ出すように設けられている場合には、遊技盤の取付構造や取付作業が複雑化すると共に、遊技盤が取付不能となるおそれもある。
【0708】
これに対し、上記手段A2によれば、遊技領域(メイン遊技領域)を流下する遊技球を特別入球領域(サブ遊技領域)へ案内可能な誘導手段を前面枠側に備えることにより、遊技盤や支持枠側に誘導手段を設けなくともよいため、遊技盤や支持枠の構成の簡素化を図ると共に、遊技盤の取付構造や取付作業の簡素化を図ることができる。
【0709】
加えて、従来、あまり活用されていなかった前面枠背面側の視認窓下方スペースの有効活用を図ることができる。
【0710】
手段A3.前記支持枠に設けられ、前記発射手段によって発射された遊技球を案内するための支持枠側レール部と、
前記前面枠の背面側に設けられ、前記支持枠側レール部の少なくとも一区間の側方に配置されるレール側壁部とを備え、
前記レール側壁部と前記誘導手段とを一体に形成したことを特徴とする手段A2に記載の遊技機。
【0711】
上記手段A3によれば、部材点数の削減を図ると共に、前面枠背面側の視認窓下方スペースにおける構造のコンパクト化を図ることができる。加えて、支持枠と前面枠の間における遊技盤下方スペースの有効活用を図ることができる。
【0712】
手段A4.前記発射手段によって発射された遊技球を案内するための支持枠側レール部の所定区間に形成され、遊技球が落下可能に設けられた落下孔部と、
前記発射手段から発射された遊技球のうち、前記遊技領域に至ることなく戻ってくるファール球を前記落下孔部へ案内可能なファール球案内部とを備え、
前記ファール球案内部と前記誘導手段とを一体に形成したことを特徴とする手段A2又はA3に記載の遊技機。
【0713】
発射手段から発射された遊技球が、遊技盤の前面側に設けられた誘導レールを介して遊技領域に至る過程で、誘導レールから遊技領域に至ることなく逆戻りする場合がある。かかる場合、発射された遊技球はファール球となり、これが発射手段に戻ってくると円滑かつ連続的な球発射動作が阻害されるおそれがある。そこで、誘導レールから逆流してくるファール球を回収することが必要となる。
【0714】
上記手段A4によれば、上記落下孔部と上記ファール球案内部とを備えることにより、ファール球を円滑に回収することができる。
【0715】
さらに、本手段によれば、ファール球案内部と、上記誘導手段とが一体に形成されているため、部材点数の削減を図ると共に、支持枠前面部の遊技盤下方スペースにおける構造のコンパクト化を図ることができる。加えて、支持枠の遊技盤下方スペースの有効活用を図ることができる。
【0716】
尚、「支持枠側レール部の所定区間」には、「支持枠側レール部の先端部を含む所定区間」が含まれる。つまり、遊技盤の前面側に設けられる誘導レールと、支持枠側レール部との間に落下孔部が形成される構成としてもよい。
【0717】
手段A5.前記遊技領域を区画する仕切部の一部に、遊技球が通過可能な開口部を形成すると共に、
前記開口部を開閉可能に設けられた開閉部材と、
前記特別遊技状態が発生した場合に、前記開閉部材を駆動制御可能な開閉制御手段とを備え、
前記開閉部材が開状態となった場合に、前記遊技領域を流下する遊技球が前記開口部を介して前記特別入球領域へ入球可能となり、
前記開閉部材が閉状態となった場合に、前記遊技領域を流下する遊技球が前記特別入球領域へ入球不能となることを特徴とする手段A1乃至A4のいずれかに記載の遊技機。
【0718】
上記手段A5によれば、特別入球領域を開閉する開閉部材を、遊技領域を区画する仕切部の一部として兼用しているため、部品点数の削減を図ると共に、構成のコンパクト化を図ることができる。
【0719】
手段A6.前記前面枠は、遊技者が前記特別入球領域を視認可能に構成されていることを特徴とする手段A1乃至A5のいずれかに記載の遊技機。
【0720】
尚、「前記前面枠は、遊技者が前記特別入球領域を視認可能に構成されていること」には、例えば遊技領域を視認可能に設けられた前面枠の視認窓の範囲を、特別入球領域が設けられている範囲まで拡張した構成や、前面枠において、遊技領域を視認可能な第1の視認窓に加え、特別入球領域を視認可能な第2の視認窓を備える構成などが含まれる。
【0721】
遊技球が特別入球領域へ入球しているか否か、遊技球の行き先が視認できない場合、遊技者は不安感を抱き得る。これに対し、上記手段A6によれば、遊技者は特別入球領域を視認可能となるため、上記不具合の発生を抑制することができる。結果として、遊技者にとっての興趣の低下抑制を図ることができる。
【0722】
手段A7.前記遊技領域内に設けられた入球手段へ入球しなかった遊技球を前記遊技領域外へ排出可能なアウト球排出領域(例えばアウト口)の下流側(例えば直下方位置)に、前記特別入球領域を設けたことを特徴とする手段A1乃至A6のいずれかに記載の遊技機。
【0723】
通常、アウト球排出領域は、遊技領域の最下部など、遊技領域へ案内された遊技球が最終的に流下していく最下流部に設けられる。また、遊技領域は、釘配列等によりアウト球排出領域へ遊技球が集まりやすいように構成されている。
【0724】
従って、上記手段A7によれば、そのようなアウト球排出領域の下流側に特別入球領域を配置することにより、特別入球領域への集球性を高めることができる。
【0725】
<構成B>従来、遊技機の一種として、遊技球を発射して遊技を行うパチンコ機が知られている。パチンコ機には、発射された遊技球が案内される遊技領域を前面側に有した遊技盤が設けられている。遊技盤には、遊技領域に案内された遊技球が入賞可能な各種入賞手段や、いずれの入賞手段にも入賞しなかった遊技球を遊技領域外へ排出するためのアウト口などが設けられている(例えば、特開2016-86946号公報参照)。
【0726】
このようなパチンコ機においては、例えば始動入賞手段に遊技球が入賞することに基づき所定の抽選処理を行い、所定の抽選結果が得られた場合に、遊技者に有利な当たり状態を発生させる。当たり状態が発生すると、特別入賞手段が開放され、ここへ遊技球を入賞させることにより、遊技者は所定数の遊技価値を獲得することができる。
【0727】
しかしながら、パチンコ機の遊技領域には、各種入賞手段の他に、表示装置や装飾機器など各種演出機器が設置される。特に近年では、装飾性の向上や演出の多様化に伴い、これらが大型化する傾向にある。
【0728】
そのため、近年では、遊技盤自体を大型化する等して遊技領域の拡大が図られてはいるものの、遊技ホールにおいてパチンコ機を設置する島設備等との関係により、パチンコ機における遊技盤の設置スペースには限界がある。
【0729】
その結果、入賞手段や案内釘、演出機器などの各種部材を設置するスペースや、遊技球の流下経路などを確保することが非常に困難となってきており、さらなる遊技領域の拡大が求められている。
【0730】
また、遊技球の流下経路が狭くなってしまうと、遊技球の挙動に躍動感が失われたり、ゲージ(釘配列)の設計自由度などが低下してしまうため、遊技者にとっての興趣が低下するおそれがある。
【0731】
さらに、パチンコ機には、遊技盤の前面側において略円形状に形成された遊技領域の外側のスペースや、遊技盤を支持する支持枠のうち遊技盤よりも下方に位置するスペースなど、遊技に利用されていないスペースが存在しており、かかるスペースの有効活用が求められている。
【0732】
これに対し、従来の遊技領域の面積を可能な限り拡大したところで、遊技者は、従来との差異を認識することができず、興趣の向上につながらないおそれがある。かかる点において、新たな遊技領域の創設や、新たな遊技性などが望まれていた。
【0733】
本発明は、上記例示した事情等に鑑みてなされたものであり、その目的は、スペースの有効活用を図ることにより、遊技者にとっての興趣の向上等を図ることのできる遊技機を提供することにある。
【0734】
手段B1.所定の遊技盤と、
前記遊技盤を支持する支持枠と、
前記支持枠に設けられ、遊技球を発射する発射手段と、
前記遊技盤の前面側に形成され、前記発射手段により発射された遊技球が案内される第1遊技領域(主遊技領域)と、
前記第1遊技領域を区画する仕切部の一部に形成され、遊技球が通過可能な開口部と、
前記第1遊技領域を流下する遊技球が前記開口部を介して流入可能な第2遊技領域(副遊技領域)と、
前記開口部を開閉可能に設けられた開閉部材と、
前記第1遊技領域内に設けられた所定の入球手段(例えば始動入球手段)への遊技球の入球に基づき、所定条件が成立した場合に、前記開閉部材を駆動制御可能な開閉制御手段とを備えたことを特徴とする遊技機。
【0735】
上記手段B1によれば、従来の第1遊技領域に加え、ここから流入可能な第2遊技領域を備えることにより、その分、遊技領域を広げることができる。
【0736】
ひいては、第1遊技領域において、入球手段や案内釘、演出機器などの各種部材を配設するスペースや、遊技球の流下経路として利用可能な領域が増え、第1遊技領域の設計自由度の向上を図ることができる。
【0737】
結果として、遊技者にとってのさらなる興趣の向上を図ることができる。例えば第1遊技領域において、遊技球の流下経路の面積を従来と同様に維持しつつ、従来よりも大型の表示装置を設置することも可能となる。
【0738】
加えて、所定条件が成立した場合に、第2遊技領域へ遊技球を流入させることができるといった新たな遊技性が生まれ、さらなる興趣の向上を図ることができる。
【0739】
さて、一般にパチンコ機の遊技領域は、遊技盤の前面側を内レール及び外レールによって略円形に区画することにより形成されている。この内レール及び外レールは、帯状の金属板により形成されており、それぞれ円弧状に湾曲させた状態で遊技盤に配設されている。より具体的には、内レール及び外レールには、固定用の突起が多数形成されており、遊技盤の製造過程において、この突起をプレス装置等により遊技盤に打ち込むようにして配設される。
【0740】
そのため、内レールや外レールを比較的長い区間連続して配設する場合には、反りや歪み等が生じないように、遊技盤(レール設置部位)の強度をある程度確保する必要がある。結果として、遊技盤の重量や部材コストなどが増加するおそれがある。尚、内レールや外レールに反りや歪み等が発生した場合には、遊技球の誘導性等に影響を与えるおそれがある。
【0741】
これに対し、本手段によれば、第1遊技領域を区画する仕切部の一部に上記開口部が形成されることにより、仕切部の長さを短くし、上記不具合の発生を低減することができる。
【0742】
尚、「前記第1遊技領域内に設けられた所定の入球手段(例えば始動入球手段)への遊技球の入球に基づき、所定条件が成立した場合」には、例えば「前記所定の入球手段に入球した遊技球を検知可能な入球検知手段」を備えた構成の下、「前記入球検知手段により遊技球が検知された場合」や、「前記入球検知手段の入球検知に基づいて所定の抽選を行い、該抽選により所定の抽選結果(当選結果)が得られた場合」などが含まれる。
【0743】
また、「前記所定条件が成立した場合に、遊技者に有利な特別遊技状態を発生可能な特別遊技状態発生手段」を備えた構成としてもよい。つまり、「所定条件が成立した場合」が「遊技者に有利な特別遊技状態が発生した場合」としてもよい。
【0744】
手段B2.前記第2遊技領域は、
前記遊技盤の前面側のうち、前記第1遊技領域の外側に形成されていることを特徴とする手段B1に記載の遊技機。
【0745】
上記手段B2によれば、遊技盤の前面側のうち、従来、遊技領域として利用されていなかったエリアの有効活用を図ることができる。
【0746】
手段B3.前記第2遊技領域は、
前記支持枠のうち、前記遊技盤よりも下方に位置する部位に形成されていることを特徴とする手段B1又はB2に記載の遊技機。
【0747】
上記手段B3によれば、支持枠のうち、従来、あまり活用されていなかった遊技盤下方スペースの有効活用を図ることができる。
【0748】
手段B4.遊技者に有利な特別遊技状態を発生可能な特別遊技状態発生手段を備え、
前記開閉制御手段は、
前記特別遊技状態が発生した場合に、前記開閉部材の開閉動作を所定回数実行可能に構成されていることを特徴とする手段B1乃至B3のいずれかに記載の遊技機。
【0749】
上記手段B4によれば、遊技者に有利な特別遊技状態が発生した場合に、第2遊技領域へ遊技球を流入させることができるといった新たな遊技性が生まれ、さらなる興趣の向上を図ることができる。
【0750】
尚、上記「開閉部材の開閉動作」としては、例えば「前記開閉部材を閉状態から開状態へ切換えた後、規定時間が経過した場合に閉状態とするまでを一回とする開閉動作」や、「前記開閉部材を閉状態から開状態へ切換えた後、規定時間が経過した場合又は規定個数の遊技球が特別入球領域へ入球した場合に閉状態とするまでを一回とする開閉動作」などが挙げられる。
【0751】
手段B5.前記第2遊技領域において、遊技球が入球可能な特別入球領域を備え、
前記特別入球領域へ遊技球が入球した場合に、所定の遊技価値を付与可能な遊技価値付与手段を備えたことを特徴とする手段B1乃至B4のいずれかに記載の遊技機。
【0752】
上記手段B5によれば、第2遊技領域へ遊技球を流入させることにより、所定の遊技価値を獲得可能となるといった新たな遊技性が生まれ、さらなる興趣の向上を図ることができる。
【0753】
特に特別遊技状態が発生した場合に入球可能となる特別入球領域は、通常時、第1遊技領域内に不要な存在であるため、特別入球領域を第1遊技領域外(第2遊技領域)に設けることにより、遊技領域を拡大できるなど、上記各手段の作用効果がより奏功することとなる。
【0754】
尚、前記遊技価値の付与には、現実の遊技価値としての賞球(遊技球)の払出しが含まれる。この場合、賞球(遊技球)が前記遊技価値に相当する。また、前記遊技価値の付与には、例えば仮想的な遊技価値として、貯留記憶された賞球(遊技球)の数を所定の表示手段(又は記憶媒体)に表示(又は記憶)させることなどが含まれる。この場合、貯留記憶されたものが前記遊技価値に相当する。
【0755】
手段B6.前記開閉部材が開状態となった場合に、前記遊技領域を流下する遊技球が前記開口部を介して前記特別入球領域へ入球可能な入球可能状態となり、
前記開閉部材が閉状態となった場合に、前記遊技領域を流下する遊技球が前記開口部を介して前記特別入球領域へ入球不能な入球不能状態となるよう構成されていることを特徴とする手段B5に記載の遊技機。
【0756】
上記手段B6によれば、開口部を開閉する開閉部材を、特別入球領域を開閉する開閉部材として兼用しているため、部品点数の削減を図ると共に、構成のコンパクト化を図ることができる。
【0757】
手段B7.前記開口部は、前記第1遊技領域の最下部(最下流部)に設けられていることを特徴とする手段B1乃至B6のいずれかに記載の遊技機。
【0758】
上記手段B7によれば、第1遊技領域の最下部は、遊技球が最終的に流れ落ちる場所であり、ここに、開口部及び開閉部材を設けることにより、第2遊技領域への集球性を向上させることができる。
【0759】
仮に第1遊技領域の側方位置などに開口部を設けた構成では、遊技店において、その周辺の釘調整が行われてしまった場合に、第1遊技領域から第2遊技領域へ遊技球がほとんど流入しなくなり、上記各手段の作用効果が奏功しないおそれがある。この点、本手段によれば、このような不具合の発生を低減することができる。
【0760】
手段B8.前記前面枠は、遊技者が前記第2遊技領域を視認可能に構成されていることを特徴とする手段B1乃至B7のいずれかに記載の遊技機。
【0761】
尚、「前記前面枠は、遊技者が前記第2遊技領域を視認可能に構成されていること」には、例えば第1遊技領域を視認可能に設けられた前面枠の視認窓の範囲を、第2遊技領域が設けられている範囲まで拡張した構成や、前面枠において、第1遊技領域を視認可能な第1の視認窓に加え、第2遊技領域を視認可能な第2の視認窓を備える構成などが含まれる。
【0762】
遊技球が第2遊技領域へ入球しているか否か、遊技球の行き先が視認できない場合、遊技者は不安感を抱き得る。これに対し、上記手段B8によれば、遊技球が第2遊技領域を視認可能となるため、上記不具合の発生を抑制することができる。結果として、遊技者にとっての興趣の向上を図ることができる。
【0763】
手段B9.前記第1遊技領域内に設けられた入球手段へ入球しなかった遊技球を排出可能なアウト球排出領域(例えばアウト口)の下流側(例えば直下方位置)に、前記第2遊技領域を設けたことを特徴とする手段B1乃至B8のいずれかに記載の遊技機。
【0764】
通常、アウト球排出領域は、遊技領域の最下部など、遊技領域へ案内された遊技球が最終的に流下していく最下流部に設けられる。また、遊技領域は、釘配列等によりアウト球排出領域へ遊技球が集まりやすいように構成されている。
【0765】
従って、上記手段B9によれば、そのようなアウト球排出領域の下流側に第2遊技領域を配置することにより、第2遊技領域への集球性を高めることができる。
【0766】
<構成C>従来、遊技機の一種として、遊技球を発射して遊技を行うパチンコ機が知られている。パチンコ機には、発射された遊技球が案内される遊技領域を前面側に有した遊技盤が設けられている。遊技盤には、遊技領域に案内された遊技球が入賞可能な各種入賞手段や、いずれの入賞手段にも入賞しなかった遊技球を遊技領域外へ排出するためのアウト口などが設けられている(例えば、特開2016-86946号公報参照)。
【0767】
このようなパチンコ機においては、例えば始動入賞手段に遊技球が入賞することに基づき所定の抽選処理を行い、所定の抽選結果が得られた場合に、遊技者に有利な当たり状態を発生させる。当たり状態が発生すると、特別入賞手段が開放され、ここへ遊技球を入賞させることにより、遊技者は所定数の遊技価値を獲得することができる。
【0768】
しかしながら、パチンコ機の遊技領域には、各種入賞手段の他に、表示装置や装飾機器など各種演出機器が設置される。特に近年では、装飾性の向上や演出の多様化に伴い、これらが大型化する傾向にある。
【0769】
そのため、近年では、遊技盤自体を大型化する等して遊技領域の拡大が図られてはいるものの、遊技ホールにおいてパチンコ機を設置する島設備等との関係により、パチンコ機における遊技盤の設置スペースには限界がある。
【0770】
その結果、入賞手段や案内釘、演出機器などの各種部材を設置するスペースや、遊技球の流下経路などを確保することが非常に困難となってきており、さらなる遊技領域の拡大が求められている。
【0771】
また、遊技球の流下経路が狭くなってしまうと、遊技球の挙動に躍動感が失われたり、ゲージ(釘配列)の設計自由度などが低下してしまうため、遊技者にとっての興趣が低下するおそれがある。
【0772】
さらに、通常、パチンコ機の遊技領域には、入賞手段などの所定部位へ遊技球を案内するために釘などが植設されている。これら釘などの配置は、所定部位へ遊技球が案内される割合等を考慮して遊技機メーカーにより予め設定されている。
【0773】
従来、遊技店においては、遊技盤に対する釘の角度(釘の向き)を調整し、所定部位へ遊技球が案内される割合等を変更するといった、いわゆる釘調整が行われることがある。
【0774】
しかしながら、遊技店側に極端に有利な釘調整が行われた場合には、遊技者側に極端に不利益な状況となり、遊技者にとっての興趣が著しく低下するおそれがある。
【0775】
例えば、特別入賞手段へ入球する遊技球の割合を極端に少なくするような釘調整が行われた場合には、当たり状態が発生した場合において遊技者が獲得できる遊技価値が極端に少なくなる(遊技者が多くの遊技価値を獲得することができなくなる)おそれがある。
【0776】
特に近年では、特別入賞手段の開放時間が短い当たり状態が発生するパチンコ機も多く、その影響が大きくなるおそれがある。
【0777】
本発明は、上記例示した事情等に鑑みてなされたものであり、その目的は、スペースの有効活用を図ることにより、遊技者にとっての興趣の向上等を図ることのできる遊技機を提供することにある。
【0778】
手段C1.所定の遊技盤と、
前記遊技盤を支持する支持枠と、
前記支持枠に設けられ、遊技球を発射する発射手段と、
前記遊技盤の前面側に形成され、前記発射手段により発射された遊技球が案内される遊技領域と、
前記遊技領域内に設けられた所定の入球手段(例えば始動入球手段)への遊技球の入球に基づき、所定条件が成立した場合に、遊技者に有利な特別遊技状態を発生可能な特別遊技状態発生手段と、
前記特別遊技状態が発生した場合に遊技球が入球可能となる特別入球領域(大入賞口)と、
前記遊技領域内に設けられた入球手段へ入球しなかった遊技球を前記遊技領域外へ排出可能なアウト球排出領域(例えばアウト口)とを備え、
遊技球の流下方向(例えば上下方向)に対し、前記アウト球排出領域の下流側(例えば直下方位置)に前記特別入球領域を配置したことを特徴とする遊技機。
【0779】
通常、アウト球排出領域は、遊技領域の最下部など、遊技領域へ案内された遊技球が最終的に流下していく最下流部に設けられる。また、遊技領域は、釘配列等によりアウト球排出領域へ遊技球が集まりやすいように構成されている。
【0780】
従って、上記手段C1によれば、そのようなアウト球排出領域の下流側に特別入球領域を配置することにより、特別入球領域への集球性を高めることができる。これにより、遊技者は、遊技球を無駄に消費することなく、特別入球領域へ効率よく遊技球を入球させることが可能となる。
【0781】
さらに、アウト球排出領域の下流側に特別入球領域を配置することにより、その分、アウト球排出領域よりも上流側の遊技領域内において遊技に活用できる領域を増やすことができる。
【0782】
ひいては、入球手段や案内釘、演出機器などの各種部材を配設するスペースや、遊技球の流下経路として利用可能な領域が増え、遊技領域の設計自由度を高めることができる。
【0783】
結果として、遊技者にとってのさらなる興趣の向上を図ることができる。例えば遊技領域において、遊技球の流下経路の面積を従来と同様に維持しつつ、従来よりも大型の表示装置を設置することも可能となる。
【0784】
尚、「前記遊技領域内に設けられた所定の入球手段(例えば始動入球手段)への遊技球の入球に基づき、所定条件が成立した場合」には、例えば「前記所定の入球手段に入球した遊技球を検知可能な入球検知手段」を備えた構成の下、「前記入球検知手段により遊技球が検知された場合」や、「前記入球検知手段の入球検知に基づいて所定の抽選を行い、該抽選により所定の抽選結果(当選結果)が得られた場合」などが含まれる。
【0785】
また、「少なくとも前記特別入球領域へ遊技球が入球した場合に、所定の遊技価値を付与可能な遊技価値付与手段を備えた」構成としてもよい。尚、前記遊技価値の付与には、例えば現実の遊技価値としての賞球(遊技球)の払出しが含まれる。この場合、賞球(遊技球)が前記遊技価値に相当する。また、前記遊技価値の付与には、例えば仮想的な遊技価値として、貯留記憶された賞球(遊技球)の数を所定の表示手段(又は記憶媒体)に表示(又は記憶)させることなどが含まれる。この場合、貯留記憶されたものが前記遊技価値に相当する。
【0786】
手段C2.前記アウト球排出領域と前記特別入球領域とを上下に並設(近接配置又は隣接配置)したことを特徴とする手段C1に記載の遊技機。
【0787】
近年では、遊技領域の拡大を図るべく、特別入球領域(大入賞口)を遊技盤の最下部に設けると共に、その左右側方にアウト球排出領域(アウト口)を設け、特別入球領域を開閉する開閉部材が閉状態にある場合においては、該開閉部材によって遊技球を左右のアウト球排出領域に振り分ける構成のパチンコ機なども見受けられる。
【0788】
ところが、このようなパチンコ機においても、仮に特別入球領域の上方位置に釘が配設されているような場合には、特別入球領域が開状態にある場合であっても、遊技球が左右のアウト球排出領域へ振り分けられる割合を極端に多くするような釘調整が行われるおそれがある。結果として、特別遊技状態が発生した場合であっても、遊技球がなかなか特別入球領域に入球せず、遊技者にとっての興趣が著しく低下するおそれがある。
【0789】
これに対し、上記手段C2によれば、アウト球排出領域と特別入球領域との間に、釘等が配設されるスペースをなくすことで、釘調整等の影響を受けることもなくなるため、上記不具合の発生を抑制し、特別入球領域への集球性を高めることができる。結果として、上記手段C1の作用効果をより高めることができる。
【0790】
さらに、アウト球排出領域と特別入球領域とを上下に並設することにより、上下方向にも左右方向にも、これらに係る構造のコンパクト化を図ることができる。ひいては、上記手段C1の作用効果をより高めることができ、遊技領域内における遊技活用可能スペースのさらなる拡大を図ることができる。
【0791】
手段C3.前記アウト球排出領域と前記特別入球領域との間において、前記特別遊技状態が発生した場合に開閉動作可能な開閉部材を備え、
前記開閉部材が開状態にある場合には、遊技球が前記特別入球領域へ入球可能となり、
前記開閉部材が閉状態にある場合には、遊技球が前記特別入球領域へ入球不能となると共に、該開閉部材によって遊技球が前記アウト球排出領域へ案内されるよう構成されていることを特徴とする手段C1又はC2に記載の遊技機。
【0792】
上記手段C3によれば、特別入球領域を開閉する開閉部材を、アウト球排出領域へ遊技球を案内する案内手段として兼用することができる。結果として、部品点数の削減を図ると共に、アウト球排出領域及び特別入球領域に係る構造のコンパクト化を図ることができる。
【0793】
手段C4.前記開閉部材が開状態にある場合には、前記アウト球排出領域へ遊技球が入球不能となることを特徴とする手段C3に記載の遊技機。
【0794】
上記手段C4によれば、アウト球排出領域へ遊技球が入球不能となることで、遊技者は、遊技球を無駄に消費することなく、より効率よく特別入球領域へ遊技球を入球させることができる。ここで、例えば左右方向を軸線方向として回動変位可能に設けられた開閉部材等を用いるようにしてもよい。
【0795】
手段C5.前記アウト球排出領域へ流入する遊技球を所定部位(例えば遊技機背面側)まで案内するアウト球通路を備え、
前記開閉部材が前記アウト球通路の一部を構成していることを特徴する手段C3又はC4に記載の遊技機。
【0796】
上記手段C5によれば、部品点数の削減を図ると共に、アウト球排出領域及び特別入球領域に係る構造のさらなるコンパクト化を図ることができる。ここで、例えば前後方向にスライド変位可能な開閉部材等を用いると共に、該開閉部材の上面がアウト球通路の底面を構成し、該開閉部材上を遊技球が転動可能な構成としてもよい。
【0797】
手段C6.前記アウト球排出領域及び前記特別入球領域のうち、少なくともと前記特別入球領域が、前記支持枠のうち前記遊技盤よりも下方に位置する部位に設けられていることを特徴とする手段C1乃至C5のいずれかに記載の遊技機。
【0798】
上記手段C6によれば、特別入球領域を支持枠側に設けることにより、その分、遊技領域が下方へ拡張され、遊技領域の総面積を拡大することができる。結果として、上記手段C1等の作用効果をさらに高めることができる。
【0799】
尚、従来のパチンコ機における遊技盤下方スペース(遊技盤を支持する支持枠と、その前面側に配設される前面枠との間の遊技盤下方内部スペース)には、従来、活用されていない無駄なスペースが存在し、該スペースを埋めるスペーサー部材等が配設されているパチンコ機なども見受けられる。
【0800】
これに対し、本手段によれば、少なくとも特別入球領域を支持枠側に設けることにより、従来、あまり活用されていなかった支持枠の遊技盤下方スペース(特に遊技盤下縁部と発射レールとの間のスペース)の有効活用を図ることができる。
【0801】
手段C7.前記アウト球排出領域が、前記支持枠のうち前記遊技盤よりも下方に位置する部位に設けられていることを特徴とする手段C6に記載の遊技機。
【0802】
上記手段C7によれば、上記手段C6の作用効果をより高めることができる。
【0803】
手段C8.前記特別入球領域(大入賞口)を有する第1構成部と、
前記アウト球排出領域(例えばアウト口)を有する第2構成部とを一体に設けたことを特徴とする手段C1乃至C7のいずれかに記載の遊技機。
【0804】
上記手段C8によれば、アウト球排出領域及び特別入球領域に係る構造のコンパクト化を図ると共に、取付作業性の向上を図ることができる。
【0805】
<構成D>従来、遊技機の一種として、遊技球を発射して遊技を行うパチンコ機が知られている。パチンコ機には、発射された遊技球が案内される遊技領域を前面側に有した遊技盤が設けられている。遊技盤には、遊技領域に案内された遊技球が入賞可能な各種入賞手段や、いずれの入賞手段にも入賞しなかった遊技球を遊技領域外へ排出するためのアウト口などが設けられている(例えば、特開2016-86946号公報参照)。
【0806】
このようなパチンコ機においては、例えば始動入賞手段に遊技球が入賞することに基づき所定の抽選処理を行い、所定の抽選結果が得られた場合に、遊技者に有利な当たり状態を発生させる。当たり状態が発生すると、特別入賞手段が開放され、ここへ遊技球を入賞させることにより、遊技者は所定数の遊技価値を獲得することができる。
【0807】
しかしながら、パチンコ機の遊技領域には、各種入賞手段の他に、表示装置や装飾機器など各種演出機器が設置される。特に近年では、装飾性の向上や演出の多様化に伴い、これらが大型化する傾向にある。
【0808】
そのため、近年では、遊技盤自体を大型化する等して遊技領域の拡大が図られてはいるものの、遊技ホールにおいてパチンコ機を設置する島設備等との関係により、パチンコ機における遊技盤の設置スペースには限界がある。
【0809】
その結果、入賞手段や案内釘、演出機器などの各種部材を設置するスペースや、遊技球の流下経路などを確保することが非常に困難となってきており、さらなる遊技領域の拡大が求められている。
【0810】
また、遊技球の流下経路が狭くなってしまうと、遊技球の挙動に躍動感が失われたり、ゲージ(釘配列)の設計自由度などが低下してしまうため、遊技者にとっての興趣が低下するおそれがある。
【0811】
これに対し、少しでも遊技領域を拡大するため、例えばアウト口などを遊技盤の下端部に形成すると共に、該アウト口に流入した遊技球を遊技機背面側へ排出するためのアウト球通路の一部を、遊技盤を支持する支持枠側に形成することも考えられる。
【0812】
ここで、遊技領域のさらなる拡大を図るため、例えばアウト球通路の一部のみならず、アウト口の開口部を含むアウト球通路全体を支持枠側に設けようとした場合には、遊技盤の下縁部を超えて下方へ遊技領域を拡張する必要があり、遊技盤の前面側に形成される遊技領域を画定する仕切部(内レール及び外レール等)の一部を遊技盤の下縁部から下方へはみ出すように設けなければならない。
【0813】
ところが、通常、パチンコ機等の遊技機の分野において、遊技盤は、支持枠の背面側から取付けられるよう構成されているため、仕切部の一部が遊技盤の下縁部からはみ出すように設けられている場合には、遊技盤の取付構造や取付作業が複雑化すると共に、遊技盤が取付不能となるおそれもある。
【0814】
また、通常、パチンコ機の遊技領域は、支持枠側に取付けられた遊技盤の前面と、支持枠の前面側に配設される前面枠に設けられた視認窓(ガラス板)の後面とによって前後が区画されており、視認窓の範囲との関係で、単に遊技盤の前面側に配設される仕切部(内レール及び外レール等)の一部を遊技盤の下縁部から下方へはみ出すように形成しただけでは、遊技球をアウト球通路へ案内することができないおそれがある。
【0815】
勿論、かかる不具合は、アウト球を排出するアウト球通路に限定されるものではなく、遊技球を遊技領域から排出する他の球通路に関しても生じ得るものである。
【0816】
本発明は、上記例示した事情等に鑑みてなされたものであり、その目的は、スペースの有効活用を図ることにより、遊技者にとっての興趣の向上等を図ることのできる遊技機を提供することにある。
【0817】
手段D1.所定の遊技盤と、
前記遊技盤を支持する支持枠と、
前記支持枠に設けられ、遊技球を発射する発射手段と、
前記遊技盤の前面側に形成され、前記発射手段により発射された遊技球が案内される遊技領域と、
前記支持枠の前面側に配設され、前記遊技領域を視認可能な視認窓を有した前面枠と、
前記遊技領域内に設けられた所定の入球手段(例えば始動入球手段)への遊技球の入球に基づき、所定条件が成立した場合に、遊技者に有利な特別遊技状態を発生可能な特別遊技状態発生手段とを備えると共に、
前記遊技領域内に案内された遊技球を前記遊技領域外の所定部位(例えば遊技機背面側)へ案内するための球通路の少なくとも一部が前記前面枠に設けられていることを特徴とする遊技機。
【0818】
上記手段D1によれば、遊技領域内に案内された遊技球を遊技領域外の所定部位(例えば遊技機背面側)へ案内する球通路の少なくとも一部を前面枠側に設けることにより、その分、遊技盤に貫通孔等を穿設する必要もなくなるため、遊技領域内において遊技に活用できる領域を増やすことができる。
【0819】
ひいては、遊技領域において、入球手段や案内釘、演出機器などの各種部材を配設するスペースや、遊技球の流下経路として利用可能な領域が増え、遊技領域の設計自由度を高めることができる。
【0820】
結果として、遊技者にとってのさらなる興趣の向上を図ることができる。例えば遊技領域において、遊技球の流下経路の面積を従来と同様に維持しつつ、従来よりも大型の表示装置を設置することも可能となる。
【0821】
尚、以下の手段においても同様であるが、「前記遊技領域内に設けられた所定の入球手段(例えば始動入球手段)への遊技球の入球に基づき、所定条件が成立した場合」には、例えば「前記所定の入球手段に入球した遊技球を検知可能な入球検知手段」を備えた構成の下、「前記入球検知手段により遊技球が検知された場合」や、「前記入球検知手段の入球検知に基づいて所定の抽選を行い、該抽選により所定の抽選結果(当選結果)が得られた場合」などが含まれる。
【0822】
手段D2.所定の遊技盤と、
前記遊技盤を支持する支持枠と、
前記支持枠に設けられ、遊技球を発射する発射手段と、
前記遊技盤の前面側に形成され、前記発射手段により発射された遊技球が案内される遊技領域と、
前記支持枠の前面側に配設され、前記遊技領域を視認可能な視認窓を有した前面枠と、
前記遊技領域内に設けられた所定の入球手段(例えば始動入球手段)への遊技球の入球に基づき、所定条件が成立した場合に、遊技者に有利な特別遊技状態を発生可能な特別遊技状態発生手段と、
前記遊技領域を区画する仕切部と、
前記仕切部の一部に形成され、遊技球が通過可能な開口部と、
前記遊技領域外(例えば支持枠)に設けられ、遊技球を所定部位(例えば遊技機背面側)へ案内可能な球通路と、
前記前面枠の背面側に設けられ、前記遊技領域内から前記開口部を介して前記遊技領域外へ流出する遊技球を前記球通路へ案内可能な誘導手段を備えたことを特徴とする遊技機。
【0823】
上記手段D2によれば、遊技領域内に案内された遊技球を所定部位(例えば遊技機背面側)へ排出するための球通路を、支持枠など遊技領域外に設けることにより、遊技領域内において貫通孔等を穿設する必要もなくなるため、その分、遊技領域内において遊技に活用できる領域を増やすことができる。
【0824】
さらに、本手段によれば、開口部を介して遊技領域外へ流出する遊技球を、球通路へ案内可能な誘導手段を備えることにより、遊技盤や支持枠側に誘導手段を設けなくともよいため、遊技盤や支持枠の構成の簡素化を図ると共に、遊技盤の取付構造や取付作業の簡素化を図ることができる。
【0825】
結果として、上記手段D1と同様の作用効果が奏される。
【0826】
手段D3.前記開口部は、前記遊技領域の最下部(最下流部)に設けられていることを特徴とする手段D2に記載の遊技機。
【0827】
上記手段D3によれば、遊技領域の最下部は、遊技球が最終的に流れ落ちる場所であり、ここに、開口部を設けることにより、球通路への集球性を向上させることができる。
【0828】
手段D4.前記球通路は、前記遊技盤よりも下方に位置する部位に設けられていることを特徴とする手段D1乃至D3のいずれかに記載の遊技機。
【0829】
上記手段D4によれば、上記手段D1等の作用効果がより奏功することとなる。加えて、従来、あまり活用されていなかった遊技機における遊技盤下方スペースの有効活用を図ることができる。
【0830】
手段D5.前記前面枠は、前記支持枠に対し開閉可能に設けられ、
前記球通路は、前記支持枠に対し前記前面枠が閉鎖された状態において、前記支持枠側に形成された支持枠側通路構成部と、前記前面枠側に形成された前面枠側通路構成部とが組付けられることにより、前記遊技領域内に案内された遊技球を前記遊技領域外の所定部位へ案内可能となるよう構成されていることを特徴とする手段D1乃至D4のいずれかに記載の遊技機。
【0831】
尚、上記手段D5に係る構成には、例えば断面半円弧状(半割れ)の支持枠側通路構成部と、断面半円弧状(半割れ)の前面枠側通路構成部が組付けられることにより、筒状の球通路が形成される構成や、上流側の筒状の前面枠側通路構成部と、下流側の筒状の支持枠側通路構成部とが繋ぎ合われることで、筒状の球通路の全区間が形成される構成なども含まれる。
【0832】
上記手段D5によれば、前面枠を開放することにより、球通路が分断されるため、球詰まりの解消作業などを行いやすくなる。結果として、球通路のメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0833】
手段D6.前記特別遊技状態が発生した場合に遊技球が入球可能となる特別入球領域(例えば大入賞口)を備え、
前記球通路として、前記特別入球領域から流入する遊技球を所定部位まで案内する球通路を備えていることを特徴とする手段D1乃至D5のいずれかに記載の遊技機。
【0834】
特別入球領域(大入賞口)には、短期間に多数の遊技球が流入するため、球詰まりを頻繁に発生させないようにするためには、複数の球通路を設ける必要がある。
【0835】
これに対し、上記手段D6によれば、遊技領域の縮小等を考慮することなく、より多くの球通路を設けることが可能となる。
【0836】
また、「少なくとも前記特別入球領域へ遊技球が入球した場合に、所定の遊技価値を付与可能な遊技価値付与手段を備えた」構成としてもよい。尚、前記遊技価値の付与には、例えば現実の遊技価値としての賞球(遊技球)の払出しが含まれる。この場合、賞球(遊技球)が前記遊技価値に相当する。また、前記遊技価値の付与には、例えば仮想的な遊技価値として、貯留記憶された賞球(遊技球)の数を所定の表示手段(又は記憶媒体)に表示(又は記憶)させることなどが含まれる。この場合、貯留記憶されたものが前記遊技価値に相当する。
【0837】
手段D7.前記遊技領域内に設けられた入球手段へ入球しなかった遊技球を前記遊技領域外へ排出可能なアウト球排出領域(例えばアウト口)を備え、
前記球通路として、前記アウト球排出領域から流入する遊技球を所定部位まで案内する球通路を備えていることを特徴とする手段D1乃至D6のいずれかに記載の遊技機。
【0838】
アウト球排出領域(アウト口)には、常時、遊技球が流入するため、球詰まりを頻繁に発生させないようにするためには、比較的大きな通路を設ける必要がある。
【0839】
これに対し、上記手段D7によれば、遊技領域の縮小等を考慮することなく、比較的大きな通路を設けることができる。
【0840】
手段D8.前記球通路を通過する遊技球を検知可能な球検知手段を前記支持枠又は前記前面枠に備えたことを特徴とする手段D1乃至D7のいずれかに記載の遊技機。
【0841】
従来、遊技領域内の大入賞口やアウト口へ流入した遊技球を検知する球検知手段は、これらを構成する部材と共に、遊技盤に取付けられている。そのため、大入賞口やアウト口を構成する部材は、球検知手段を支持するための強度を十分に確保する必要があり、小型化することが難しく、遊技領域を圧迫する原因となっていた。
【0842】
さらに、上述したように、大入賞口やアウト口へは多数の遊技球が流入するため、これらを早期に検知するためには、複数の球通路及び球検知手段を備えることが好ましいが、そのためには、遊技領域内において、さらに大きな範囲を占有するおそれが生じ得る。
【0843】
これに対し、上記手段D8によれば、遊技領域の縮小等を考慮することなく、より多くの球通路や球検知手段を設けることができ、上記不具合の発生を抑制することができる。
【0844】
<構成E>従来、遊技機の一種として、遊技球を発射して遊技を行うパチンコ機が知られている。パチンコ機には、発射された遊技球が案内される遊技領域を前面側に有した遊技盤が設けられている。遊技盤には、遊技領域に案内された遊技球が入賞可能な各種入賞手段や、いずれの入賞手段にも入賞しなかった遊技球を遊技領域外へ排出するためのアウト口などが設けられている(例えば、特開2016-86946号公報参照)。
【0845】
このようなパチンコ機においては、例えば始動入賞手段に遊技球が入賞することに基づき所定の抽選処理を行い、所定の抽選結果が得られた場合に、遊技者に有利な当たり状態を発生させる。当たり状態が発生すると、特別入賞手段(大入賞口)が開放され、ここへ遊技球を入賞させることにより、遊技者は所定数の遊技価値を獲得することができる。
【0846】
しかしながら、パチンコ機の遊技領域には、各種入賞手段の他に、表示装置や装飾機器など各種演出機器が設置される。特に近年では、装飾性の向上や演出の多様化に伴い、これらが大型化する傾向にある。
【0847】
そのため、近年では、遊技盤自体を大型化する等して遊技領域の拡大が図られてはいるものの、遊技ホールにおいてパチンコ機を設置する島設備等との関係により、パチンコ機における遊技盤の設置スペースには限界がある。
【0848】
その結果、入賞手段や案内釘、演出機器などの各種部材を設置するスペースや、遊技球の流下経路などを確保することが非常に困難となってきており、さらなる遊技領域の拡大が求められている。
【0849】
また、遊技球の流下経路が狭くなってしまうと、遊技球の挙動に躍動感が失われたり、ゲージ(釘配列)の設計自由度などが低下してしまうため、遊技者にとっての興趣が低下するおそれがある。
【0850】
さらに、従来では、大入賞口へ流入した遊技球を遊技機背面側へ排出するための球通路、及び、ここを通過する遊技球を検知する球検知手段が遊技盤に設けられている。
【0851】
一方、大入賞口へは同時期に多数の遊技球が流入するため、遊技盤に複数の球通路及び球検知手段を設け、多数の遊技球を早期に検知したいところであるが、遊技領域において遊技に活用される領域を減少させることなく、これらを設けることは困難であった。
【0852】
本発明は、上記例示した事情等に鑑みてなされたものであり、その目的は、スペースの有効活用を図ることにより、利便性の向上等を図ると共に、遊技者にとっての興趣の向上等を図ることのできる遊技機を提供することにある。
【0853】
手段E1.所定の遊技盤と、
前記遊技盤を支持する支持枠と、
前記支持枠に設けられ、遊技球を発射する発射手段と、
前記遊技盤の前面側に形成され、前記発射手段により発射された遊技球が案内される遊技領域と、
前記遊技領域内に設けられた所定の入球手段(例えば始動入球手段)への遊技球の入球に基づき、所定条件が成立した場合に、遊技者に有利な特別遊技状態を発生可能な特別遊技状態発生手段と、
前記遊技領域内に案内された遊技球を前記遊技領域外の所定部位へ案内するための複数の球通路とを備えると共に、
前記複数の球通路の少なくとも一部(一区間)が前記支持枠に設けられると共に、該支持枠に設けられた前記複数の球通路それぞれに対し、該球通路を通過する遊技球を検知可能な球検知手段を(例えば着脱自在に)取付可能としたことを特徴とする遊技機。
【0854】
上記手段E1によれば、遊技領域内に案内された遊技球を遊技領域外の所定部位(例えば遊技機背面側)へ案内する複数の球通路の少なくとも一部を支持枠側に設けることにより、その分、遊技盤に貫通孔等を穿設する必要もなくなるため、遊技領域内において遊技に活用できる領域を増やすことができる。
【0855】
特に前記球通路が複数設けられているため、同時期に多数の遊技球が流入した場合においても、これらを早期に検知することが可能となる。
【0856】
ひいては、遊技領域において、入球手段や案内釘、演出機器などの各種部材を配設するスペースや、遊技球の流下経路として利用可能な領域が増え、遊技領域の設計自由度を高めることができる。
【0857】
結果として、遊技者にとってのさらなる興趣の向上を図ることができる。例えば遊技領域において、遊技球の流下経路の面積を従来と同様に維持しつつ、従来よりも大型の表示装置を設置することも可能となる。
【0858】
また、球検知手段を各球通路に対し適宜、着脱交換可能なように構成することで、機種変更等する場合における利便性の向上を図ることができる。
【0859】
手段E2.前記特別遊技状態が発生した場合に遊技球が入球可能となる特別入球領域(例えば大入賞口)を備え、
前記複数の球通路の少なくとも1つとして、前記特別入球領域から流入する遊技球を所定部位まで案内する球通路を備えていることを特徴とする手段E1に記載の遊技機。
【0860】
特別入球領域(大入賞口)には、短期間に多数の遊技球が流入するため、これらを早期に検知すると共に、球詰まりを頻繁に発生させないようにするためには、複数の球通路を設ける必要がある。
【0861】
これに対し、上記手段E2によれば、遊技領域の縮小等を考慮することなく、より多くの球通路を設けることが可能となる。
【0862】
また、「少なくとも前記特別入球領域へ遊技球が入球した場合に、所定の遊技価値を付与可能な遊技価値付与手段を備えた」構成としてもよい。尚、前記遊技価値の付与には、例えば現実の遊技価値としての賞球(遊技球)の払出しが含まれる。この場合、賞球(遊技球)が前記遊技価値に相当する。また、前記遊技価値の付与には、例えば仮想的な遊技価値として、貯留記憶された賞球(遊技球)の数を所定の表示手段(又は記憶媒体)に表示(又は記憶)させることなどが含まれる。この場合、貯留記憶されたものが前記遊技価値に相当する。
【0863】
手段E3.前記遊技領域内に設けられた入球手段へ入球しなかった遊技球を前記遊技領域外へ排出可能なアウト球排出領域(例えばアウト口)を備え、
前記複数の球通路の少なくとも1つとして、前記アウト球排出領域から流入する遊技球を所定部位まで案内するアウト球通路を備えていることを特徴とする手段E1又はE2に記載の遊技機。
【0864】
アウト球排出領域(アウト口)には、常時、遊技球が流入するため、球詰まりを頻繁に発生させないようにするためには、複数の球通路を設ける必要がある。
【0865】
これに対し、上記手段E3によれば、遊技領域の縮小等を考慮することなく、より多くの球通路を設けることが可能となる。
【0866】
手段E4.前記複数の球通路の少なくとも一部が形成された球通路構成体を、前記支持枠に対し取外し可能に設けたことを特徴とする手段E1乃至E3のいずれかに記載の遊技機。
【0867】
少しでも遊技領域を拡大するため、例えばアウト口などを遊技盤の下端部に形成すると共に、該アウト口に流入した遊技球を遊技機背面側へ排出するためのアウト球通路の一部を、遊技盤を支持する支持枠側に形成することも考えられる。
【0868】
しかしながら、通常、遊技盤は、支持枠とは別工程で製造され、最後に組付けられる。また、パチンコ機の機種を変更する際に、支持枠はそのままで、遊技盤だけを異なる種類のものに交換する場合もある。
【0869】
そのため、遊技盤と支持枠との組み合わせによっては、遊技球の排出に活用されない無駄な球通路が支持枠に存在してしまう場合もある。
【0870】
このような無駄な通路は、針金等の線材をパチンコ機内に進入させる不正行為に利用される経路となり得る。
【0871】
これに対し、上記手段E4によれば、球通路構成体を支持枠に対し取外し可能に設けることで、球通路構成体を遊技機の機種毎(遊技盤毎)に選択的に交換可能な構成とすることができる。
【0872】
つまり、遊技機の機種(遊技盤)を変更する際には、支持枠全体を取り換えることなく、球通路構成体だけを遊技機の機種(遊技盤)に対応したものに取り換えればよい。これにより、不正行為に利用され得る無駄な球通路が支持枠に形成されにくくなる。結果として、支持枠の汎用性を高め、製造コストの削減を図ることができる。
【0873】
尚、「球通路構成体を支持枠に対し取外し可能に設けたこと」には、例えば球通路構成体及び支持枠のうちの一方に係止手段(係止爪)を備え、他方にこれが係止される被係止手段(係止受部)を備え、これらが係止状態となることで球通路構成体が支持枠に取付け固定され、これらの係止状態を解除することで支持枠から球通路構成体を取外すことができる構成や、ネジ等の締結手段により球通路構成体が支持枠に取付け固定され、ネジ等による締結を解除することにより、支持枠から球通路構成体を取外すことができる構成などが含まれる。
【0874】
また、「前記遊技領域内に設けられた所定の入球手段(例えば始動入球手段)への遊技球の入球に基づき、所定条件が成立した場合」には、例えば「前記所定の入球手段に入球した遊技球を検知可能な入球検知手段」を備えた構成の下、「前記入球検知手段により遊技球が検知された場合」や、「前記入球検知手段の入球検知に基づいて所定の抽選を行い、該抽選により所定の抽選結果(当選結果)が得られた場合」などが含まれる。
【0875】
手段E5.前記球通路は、前記遊技盤よりも下方に位置する部位に設けられていることを特徴とする手段E1乃至E4のいずれかに記載の遊技機。
【0876】
上記手段E5によれば、上記手段E1等の作用効果がより奏功することとなる。加えて、従来、あまり活用されていなかった遊技機における遊技盤下方スペースの有効活用を図ることができる。
【0877】
手段E6.前記支持枠において、前記複数の球通路のうち2以上の球通路を合流させた合流球通路を備えると共に、
前記合流球通路に対し、該合流球通路を通過する遊技球を検知可能な球検知手段を(例えば着脱自在に)取付可能としたことを特徴とする手段E1乃至E5のいずれかに記載の遊技機。
【0878】
上記手段E6によれば、球検知手段を合流球通路に対し適宜、着脱交換可能なように構成することで、機種変更等する場合における利便性の向上を図ることができる。
【0879】
例えば支持枠において、第1球通路(例えば特別入球領域から流入する遊技球を所定部位まで案内する球通路)と、第2球通路(例えばアウト球排出領域から流入する遊技球を所定部位まで案内するアウト球通路)と、これらを合流させた合流球通路とを備えると共に、第1球通路と合流球通路の2箇所に球検知手段を取り付けることにより、第2球通路を通過する遊技球についても、その個数を把握することができる。アウト口へ流入した遊技球は、早期かつ個別に検知する必要がないため、他の球通路へ流入した遊技球ともども、まとめて検知すればよい。
【0880】
一方、機種変更(遊技盤変更)等が行われ、上記第1球通路が使用されない場合には、第2球通路又は合流球通路のいずれか一方に球検知手段を取り付ければよい。同様に、上記第2球通路が使用されない場合には、第1球通路又は合流球通路のいずれか一方に球検知手段を取り付ければよい。
【0881】
尚、上記手段A1~手段A7のいずれかの一部又は全部の構成を有した遊技機に対し、上記手段A1~手段A7のいずれかの一部又は全部の構成、上記手段B1~手段B9のいずれかの一部又は全部の構成、上記手段C1~手段C8のいずれかの一部又は全部の構成、上記手段D1~手段D8のいずれかの一部又は全部の構成、及び、上記手段E1~手段E6のいずれかの一部又は全部の構成のうちのいずれか少なくとも1つの構成を任意に組み合わせて実施してもよい。
【0882】
同様に、上記手段B1~手段B9のいずれかの一部又は全部の構成を有した遊技機に対し、上記手段A1~手段A7のいずれかの一部又は全部の構成、上記手段B1~手段B9のいずれかの一部又は全部の構成、上記手段C1~手段C8のいずれかの一部又は全部の構成、上記手段D1~手段D8のいずれかの一部又は全部の構成、及び、上記手段E1~手段E6のいずれかの一部又は全部の構成のうちのいずれか少なくとも1つの構成を任意に組み合わせて実施してもよい。
【0883】
同様に、上記手段C1~手段C8のいずれかの一部又は全部の構成を有した遊技機に対し、上記手段A1~手段A7のいずれかの一部又は全部の構成、上記手段B1~手段B9のいずれかの一部又は全部の構成、上記手段C1~手段C8のいずれかの一部又は全部の構成、上記手段D1~手段D8のいずれかの一部又は全部の構成、及び、上記手段E1~手段E6のいずれかの一部又は全部の構成のうちのいずれか少なくとも1つの構成を任意に組み合わせて実施してもよい。
【0884】
同様に、上記手段D1~手段D8のいずれかの一部又は全部の構成を有した遊技機に対し、上記手段A1~手段A7のいずれかの一部又は全部の構成、上記手段B1~手段B9のいずれかの一部又は全部の構成、上記手段C1~手段C8のいずれかの一部又は全部の構成、上記手段D1~手段D8のいずれかの一部又は全部の構成、及び、上記手段E1~手段E6のいずれかの一部又は全部の構成のうちのいずれか少なくとも1つの構成を任意に組み合わせて実施してもよい。
【0885】
同様に、上記手段E1~手段E6のいずれかの一部又は全部の構成を有した遊技機に対し、上記手段A1~手段A7のいずれかの一部又は全部の構成、上記手段B1~手段B9のいずれかの一部又は全部の構成、上記手段C1~手段C8のいずれかの一部又は全部の構成、上記手段D1~手段D8のいずれかの一部又は全部の構成、及び、上記手段E1~手段E6のいずれかの一部又は全部の構成のうちのいずれか少なくとも1つの構成を任意に組み合わせて実施してもよい。
【0886】
以下に、上記各手段が適用される各種遊技機の基本構成を示す。
【0887】
上記各手段における前記遊技機は弾球遊技機であること。より詳しい態様例としては、「遊技者が操作する発射操作手段(遊技球発射ハンドル)と、当該発射操作手段の操作に基づいて遊技球を弾いて発射する発射手段(発射ソレノイド等)と、当該発射された遊技球が案内される遊技領域と、前記遊技領域内に配置された入球手段(一般入賞口や始動口等)とを備えた弾球遊技機」が挙げられる。
【符号の説明】
【0888】
10…パチンコ機、12…内枠、14…前面枠セット、30…遊技盤、30a…遊技領域、30b…下縁部、32…可変入賞装置、36…アウト口、38…ベース枠、38A…ベース枠下部、39…窓孔、51…外レール部材、52…内レール部材、53…右レール部材、54…誘導レール、55…開口部、60…発射装置、61…発射レール、62…中継レール、65…ファール球落下部、69…レール側壁部材、137…ガラスユニット、137a,137b…ガラス板、145…上縁部、146…取付凹部、151…大入賞口、160…開閉シャッタ、169…前面側誘導部、169a…底壁部、169b…側壁部、216…球回収部材、223…カウントスイッチ、226A,226B…アウト球検出スイッチ、232…入賞球排出通路、241A,241B…アウト球排出通路、B…遊技球。
図1
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