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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138119
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】電界効果トランジスタ
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20240927BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240927BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H01L29/78 652D
H01L29/78 653A
H01L29/78 652E
H01L29/78 652F
H01L29/78 658A
H01L29/06 301V
H01L29/06 301D
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024121992
(22)【出願日】2024-07-29
(62)【分割の表示】P 2021103917の分割
【原出願日】2021-06-23
(31)【優先権主張番号】P 2021039221
(32)【優先日】2021-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021069123
(32)【優先日】2021-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高谷 秀史
(57)【要約】
【課題】 複数のp型ディープ層を有する電界効果トランジスタにおいて、高耐圧化を実現する技術を提案する。
【解決手段】 電界効果トランジスタ10は、トレンチ14の下側に配置されており、上側から半導体基板12を見たときにトレンチの長手方向に沿って伸びているp型トレンチ下層35と、複数のp型ディープ層36と、複数のn型ディープ層37と、を有する。各p型ディープ層が、ボディ層34から下側に突出しており、上側から半導体基板を見たときにトレンチに対して交差する第1方向に沿って伸びており、第1方向に対して直交する第2方向に間隔部を開けて配置されており、トレンチの下側に配置されているp型トレンチ下層に接している。各n型ディープ層が、対応する間隔部内に配置されており、ボディ層の下側に位置するトレンチの側面でゲート絶縁膜に接している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電界効果トランジスタ(10)であって、
上面にトレンチ(14)が設けられた半導体基板(12)と、
前記トレンチの内面を覆うゲート絶縁膜(16)と、
前記トレンチ内に配置されており、前記ゲート絶縁膜によって前記半導体基板から絶縁されているゲート電極(18)、
を有し、
前記半導体基板が、
前記トレンチの側面で前記ゲート絶縁膜に接するn型のソース層(30)と、
前記ソース層の下側に位置する前記トレンチの前記側面で前記ゲート絶縁膜に接するp型のボディ層(34)と、
前記トレンチの下側に配置されており、上側から前記半導体基板を見たときに前記トレンチの長手方向に沿って伸びているp型トレンチ下層(35)と、
複数のp型ディープ層(36)と、
複数のn型ディープ層(37)、
を有し、
前記各p型ディープ層が、前記ボディ層から下側に突出しており、前記ボディ層から前記トレンチの底面よりも下側まで伸びており、上側から前記半導体基板を見たときに前記トレンチに対して交差する第1方向に沿って伸びており、上側から前記半導体基板を見たときに前記第1方向に対して直交する第2方向に間隔部を開けて配置されており、前記トレンチの下側に配置されている前記p型トレンチ下層に接しており、
前記各n型ディープ層が、対応する前記間隔部内に配置されており、前記ボディ層の下側に位置する前記トレンチの前記側面で前記ゲート絶縁膜に接している、
電界効果トランジスタ。
【請求項2】
前記ソース層は、上側から前記半導体基板を見たときに前記トレンチの長手方向に対して平行に伸びている、請求項1に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項3】
前記半導体基板が、
前記ボディ層上に設けられており、前記ボディ層よりも高いp型不純物濃度を有するコンタクト層(32)、を有しており、
前記コンタクト層は、上側から前記半導体基板を見たときに前記トレンチの長手方向に対して平行に伸びている、請求項1又は2に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項4】
前記各n型ディープ層は、
n型ディープ下層(137A)と、
前記n型ディープ下層の上側に配置されており、前記n型ディープ下層よりも高いn型不純物濃度を有するn型ディープ上層(137B)、
を有し、
前記n型ディープ上層は、前記トレンチの底面よりも上側に配置されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項5】
前記各p型ディープ層は、
p型ディープ下層(136A)と、
前記p型ディープ下層の上側に配置されており、前記p型ディープ下層よりも高いp型不純物濃度を有するp型ディープ上層(136B)、
を有し、
前記p型ディープ上層は、前記トレンチの底面よりも上側に配置されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項6】
対応する前記トレンチの底面から前記各p型トレンチ下層の下面までの深さは、前記半導体基板の上面から前記ボディ層の下面までの深さと一致する、請求項1~5のいずれか一項に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項7】
前記p型トレンチ下層は、前記トレンチの底面から離れている、請求項6に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項8】
前記p型トレンチ下層は、深さ方向に濃度が異なる複数の部分を有している、請求項6に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項9】
前記p型トレンチ下層は、
第1p型トレンチ下層(135A)と、
前記第1p型トレンチ下層の上側に配置されている第2p型トレンチ下層(135B)、
を有し、
前記第2p型トレンチ下層は、前記第1p型トレンチ下層よりも濃度が濃い、請求項8に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項10】
前記p型トレンチ下層は、
第1p型トレンチ下層(135A)と、
前記第1p型トレンチ下層の上側に配置されている第2p型トレンチ下層(135B)、
を有し、
前記第2p型トレンチ下層は、前記第1p型トレンチ下層よりも濃度が薄い、請求項8に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項11】
前記第2p型トレンチ下層の深さ方向の厚みは、前記ソース層の深さ方向の厚みよりも小さい、請求項9又は10に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項12】
前記p型トレンチ下層は、前記トレンチの長手方向に沿って分断されており、
前記各p型ディープ層は、前記p型トレンチ下層の分断された部分を通過する、請求項1~11のいずれか一項に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項13】
電界効果トランジスタ(10)の製造方法であって、
n型のエピタキシャル層(50)に複数のp型ディープ層(36)と複数のn型ディープ層(37,137)を形成するディープ層形成工程であって、前記各p型ディープ層が、上側から前記エピタキシャル層を見たときに第1方向に沿って伸びており、上側から前記エピタキシャル層を見たときに前記第1方向に対して直交する第2方向に間隔部を開けて配置されており、前記各n型ディープ層が、対応する前記間隔部内に配置されている、ディープ層形成工程と、
前記エピタキシャル層の表面から前記複数のp型ディープ層と前記複数のn型ディープ層を超えない深さのトレンチ(14)を形成するトレンチ形成工程であって、前記トレンチは、上側から前記エピタキシャル層を見たときに前記複数のp型ディープ層と前記複数のn型ディープ層に交差している、トレンチ形成工程と、
イオン注入技術を利用して、前記エピタキシャル層の表面に向けてp型不純物を導入し、前記複数のp型ディープ層と前記複数のn型ディープ層の上側にボディ層(34)を形成する、ボディ層形成工程と、
イオン注入技術を利用して、前記トレンチの底面の下側にp型トレンチ下層(35)を形成する、p型トレンチ下層形成工程、
を有する、電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項14】
前記ディープ層形成工程では、イオン注入技術を利用して、前記複数のp型ディープ層と前記複数のn型ディープ層が、前記エピタキシャル層の表面から離れた所定深さ範囲にn型不純物とp型不純物を導入することによって形成される、請求項13に記載の電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項15】
前記ボディ層形成工程と前記p型トレンチ下層形成工程は、前記トレンチ形成工程の後に同時に実施される、請求項13又は14に記載の電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項16】
イオン注入技術を利用して、前記エピタキシャル層の上層部にn型不純物を導入し、ソース層(30)を形成する、ソース層形成工程、をさらに有し、
前記p型トレンチ下層は、
第1p型トレンチ下層(135A)と、
前記第1p型トレンチ下層の上側に配置されている第2p型トレンチ下層(135B)、
を有し、
前記第2p型トレンチ下層は、前記第1p型トレンチ下層よりも濃度が濃く、
前記第2p型トレンチ下層の深さ方向の厚みは、前記ソース層の深さ方向の厚みよりも小さい、請求項15に記載の電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項17】
イオン注入技術を利用して、前記エピタキシャル層の上層部にn型不純物を導入し、ソース層を形成する、ソース層形成工程、をさらに有し、
前記p型トレンチ下層は、
第1p型トレンチ下層(135A)と、
前記第1p型トレンチ下層の上側に配置されている第2p型トレンチ下層(135B)、
を有し、
前記第2p型トレンチ下層は、前記第1p型トレンチ下層よりも濃度が薄く、
前記第2p型トレンチ下層の深さ方向の厚みは、前記ソース層の深さ方向の厚みよりも小さい、請求項15に記載の電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項18】
前記p型トレンチ下層形成工程は、前記トレンチ形成工程の前に実施され、
前記p型トレンチ下層の幅は、前記トレンチの幅よりも狭い、請求項13又は14に記載の電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項19】
前記p型トレンチ下層形成工程は、前記ディープ層形成工程のうちの前記複数のp型ディープ層を形成する工程と同時に実施される、請求項18に記載の電界効果トランジスタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の技術は、電界効果トランジスタとその製造方法に関する。
【0002】
特許文献1には、トレンチゲート型の電界効果トランジスタが開示されている。この電界効果トランジスタは、ボディ層から下側に突出する複数のp型ディープ層を有している。各p型ディープ層は、上側から半導体基板を見たときにトレンチに対して交差するように伸びている。複数のp型ディープ層は、その幅方向に間隔部を開けて配置されている。各p型ディープ層は、ボディ層からトレンチの底面よりも下側まで伸びている。特許文献1に開示の電界効果トランジスタの一例では、各p型ディープ層は、ボディ層の下側に位置するトレンチの側面及びトレンチの底面でゲート絶縁膜に接している。また、電界効果トランジスタは、ボディ層及び各p型ディープ層に接するn型のドリフト層を有している。この電界効果トランジスタがオフすると、ボディ層からドリフト層内に空乏層が広がる。ドリフト層内に広がる空乏層によって、ソース-ドレイン間の電圧が保持される。また、この電界効果トランジスタがオフすると、各ディープp層からもドリフト層内に空乏層が広がる。各ディープp層がトレンチの底面でゲート絶縁膜に接しているので、各ディープp層から広がる空乏層によってトレンチの底面の周辺のドリフト層が空乏化される。このように、各ディープp層からトレンチの底面の周辺に広がる空乏層によって、トレンチの底面の周辺のゲート絶縁膜及びドリフト層で電界集中が生じることが抑制される。したがって、この電界効果トランジスタは、高い耐圧を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-194065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような複数のp型ディープ層を有する電界効果トランジスタでは、トレンチの底面の周辺のゲート絶縁膜における電界集中をさらに緩和し、高耐圧化するための技術が必要である。本明細書では、複数のp型ディープ層を有する電界効果トランジスタにおいて、高耐圧化を実現する技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する電界効果トランジスタ(10)は、上面にトレンチ(14)が設けられた半導体基板(12)と、前記トレンチの内面を覆うゲート絶縁膜(16)と、前記トレンチ内に配置されており、前記ゲート絶縁膜によって前記半導体基板から絶縁されているゲート電極(18)、を有することができる。前記半導体基板が、前記トレンチの側面で前記ゲート絶縁膜に接するn型のソース層(30)と、前記ソース層の下側に位置する前記トレンチの前記側面で前記ゲート絶縁膜に接するp型のボディ層(34)と、前記トレンチの下側に配置されており、上側から前記半導体基板を見たときに前記トレンチの長手方向に沿って伸びているp型トレンチ下層(35)と、複数のp型ディープ層(36)と、複数のn型ディープ層(37)を有することができる。前記各p型ディープ層が、前記ボディ層から下側に突出しており、前記ボディ層から前記トレンチの底面よりも下側まで伸びており、上側から前記半導体基板を見たときに前記トレンチに対して交差する第1方向に沿って伸びており、上側から前記半導体基板を見たときに前記第1方向に対して直交する第2方向に間隔部を開けて配置されており、前記トレンチの下側に配置されている前記p型トレンチ下層に接している。前記各n型ディープ層が、対応する前記間隔部内に配置されており、前記ボディ層の下側に位置する前記トレンチの前記側面で前記ゲート絶縁膜に接している。
【0006】
この電界効果トランジスタは、トレンチの下側に配置されているp型トレンチ下層を有している。このため、電界効果トランジスタがオフするときにトレンチの底面の周辺の電界集中が緩和される。この結果、この電界効果トランジスタは、高い耐圧を有することができる。さらに、この電界効果トランジスタでは、p型トレンチ下層が複数のp型ディープ層を介してボディ層に電気的に接続されている。このため、p型トレンチ下層の電位が安定し、この電界効果トランジスタのスイッチング特性が悪化することが抑えられている。このように、この電界効果トランジスタでは、p型トレンチ下層と複数のp型ディープ層を組合せたことにより、スイッチング特性の悪化を抑えながら、耐圧を改善することができる。
【0007】
本明細書が開示する電界効果トランジスタ(10)の製造方法は、n型のエピタキシャル層(50)に複数のp型ディープ層(36)と複数のn型ディープ層(37)を形成するディープ層形成工程であって、前記各p型ディープ層が、上側から前記エピタキシャル層を見たときに第1方向に沿って伸びており、上側から前記エピタキシャル層を見たときに前記第1方向に対して直交する第2方向に間隔部を開けて配置されており、前記各n型ディープ層が、対応する前記間隔部内に配置されている、ディープ層形成工程と、前記エピタキシャル層の表面から前記複数のp型ディープ層と前記複数のn型ディープ層を超えない深さのトレンチ(14)を形成するトレンチ形成工程であって、前記トレンチは、上側から前記エピタキシャル層を見たときに前記複数のp型ディープ層と前記複数のn型ディープ層に交差している、トレンチ形成工程と、イオン注入技術を利用して、前記エピタキシャル層の表面に向けてp型不純物を導入し、前記複数のp型ディープ層と前記複数のn型ディープ層の上側にボディ層(34)を形成するボディ層形成工程と、イオン注入技術を利用して、前記トレンチの底面の下側にp型トレンチ下層(35)を形成する、p型トレンチ下層形成工程、を有することができる。
【0008】
この電界効果トランジスタの製造方法によると、p型トレンチ下層と複数のp型ディープ層を有する電界効果トランジスタを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】MOSFET10の断面斜視図(p型ディープ層36を含まないxz断面を示す図)。
図2】ソース電極22と層間絶縁膜20を省略したMOSFET10の断面斜視図(p型ディープ層36を含まないxz断面を示す図)。
図3】p型トレンチ下層35、p型ディープ層36及びn型ディープ層37を含む拡大xy断面であって、半導体基板12を上から見たときのp型トレンチ下層35、p型ディープ層36及びn型ディープ層37の配置を示すMOSFET10の拡大断面図。
図4】トレンチ14、p型ディープ層36及びn型ディープ層37を含む拡大xy断面であって、半導体基板12を上から見たときのトレンチ14、p型ディープ層36及びn型ディープ層37の配置を示すMOSFET10の拡大断面図。
図5】p型ディープ層36及びn型ディープ層37を含むMOSFET10の拡大yz断面図。
図6】MOSFET10の断面斜視図(p型ディープ層36を含むxz断面を示す図)。
図7】トレンチ14、p型ディープ層36及びn型ディープ層37を含む拡大xy断面であって、半導体基板12を上から見たときのトレンチ14とp型ディープ層36及びn型ディープ層37の配置を示すMOSFET10の変形例の拡大断面図。
図8】トレンチ14、p型ディープ層36及びn型ディープ層37を含む拡大xy断面であって、半導体基板12を上から見たときのトレンチ14とp型ディープ層36及びn型ディープ層37の配置を示すMOSFET10の変形例の拡大断面図。
図9】p型トレンチ下層35、p型ディープ層36及びn型ディープ層37を含む拡大xy断面であって、半導体基板12を上から見たときのp型トレンチ下層35、p型ディープ層36及びn型ディープ層37の配置を示すMOSFET10の変形例の拡大断面図。
図10】ソース電極22と層間絶縁膜20を省略したMOSFET10の変形例の断面斜視図(p型ディープ層36を含まないxz断面を示す図)。
図11】MOSFET10の変形例の断面斜視図(p型ディープ層36を含まないxz断面を示す図)。
図12】MOSFET10の変形例の断面斜視図(p型ディープ層36を含むxz断面を示す図)。
図13】MOSFET10の変形例の断面斜視図(p型ディープ層36を含まないxz断面を示す図)。
図14】MOSFET10の変形例の断面斜視図(p型ディープ層36を含むxz断面を示す図)。
図15】MOSFET10の製造方法の説明図。
図16】MOSFET10の製造方法の説明図。
図17】MOSFET10の製造方法の説明図。
図18】MOSFET10の製造方法の説明図。
図19】MOSFET10の製造方法の説明図。
図20】MOSFET10の変形例の断面斜視図(p型ディープ層36を含まないxz断面を示す図)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1、2に示す実施形態のMOSFET10(metal-oxide-semiconductor field effect transistor)は、半導体基板12を有している。以下では、半導体基板12の厚み方向をz方向といい、半導体基板12の上面12aに平行な一方向(z方向に直交する一方向)をx方向といい、x方向及びz方向に直交する方向をy方向という。半導体基板12は、炭化シリコン(すなわち、SiC)により構成されている。なお、半導体基板12がシリコン、窒化ガリウム等の他の半導体材料により構成されていてもよい。半導体基板12の上面12aには、複数のトレンチ14が設けられている。図2に示すように、複数のトレンチ14は、上面12aにおいて、y方向に沿って長く伸びている。複数のトレンチ14は、x方向に間隔を開けて配置されている。
【0011】
図1、2に示すように、各トレンチ14の内面(すなわち、側面と底面)は、ゲート絶縁膜16によって覆われている。各トレンチ14内に、ゲート電極18が配置されている。各ゲート電極18は、ゲート絶縁膜16によって半導体基板12から絶縁されている。図1に示すように、各ゲート電極18の上面は、層間絶縁膜20によって覆われている。半導体基板12の上部に、ソース電極22が設けられている。ソース電極22は、各層間絶縁膜20を覆っている。ソース電極22は、層間絶縁膜20によってゲート電極18から絶縁されている。ソース電極22は、層間絶縁膜20が存在しない位置で、半導体基板12の上面12aに接している。半導体基板12の下部には、ドレイン電極24が配置されている。ドレイン電極24は、半導体基板12の下面12bの全域に接している。
【0012】
図1、2に示すように、半導体基板12は、複数のソース層30、複数のコンタクト層32、ボディ層34、複数のp型トレンチ下層35、複数のp型ディープ層36、複数のn型ディープ層37、ドリフト層38、及び、ドレイン層40を有している。
【0013】
各ソース層30は、高いn型不純物濃度を有するn型層である。各ソース層30は、半導体基板12の上面12aを部分的に含む範囲に配置されている。各ソース層30は、ソース電極22にオーミック接触している。各ソース層30は、トレンチ14の側面の最上部において、ゲート絶縁膜16に接している。各ソース層30は、ゲート絶縁膜16を介してゲート電極18に対向している。各ソース層30はトレンチ14の側面に沿ってy方向に長く伸びている。即ち、各ソース層30は、上側から半導体基板12を見たときに、トレンチ14の長手方向に対して平行に伸びており、トレンチ14の長手方向の一方の端部から他方の端部まで伸びている。
【0014】
各コンタクト層32は、高いp型不純物濃度を有するp型層である。各コンタクト層32は、半導体基板12の上面12aを部分的に含む範囲に配置されている。各コンタクト層32は、対応する2つのソース層30の間に配置されている。各コンタクト層32は、ソース電極22にオーミック接触している。各コンタクト層32は、y方向に長く伸びている。即ち、各コンタクト層32は、上側から半導体基板12を見たときに、トレンチ14の長手方向に対して平行に伸びており、トレンチ14の長手方向の一方の端部から他方の端部まで伸びている。
【0015】
ボディ層34は、コンタクト層32よりも低いp型不純物濃度を有するp型層である。ボディ層34は、複数のソース層30及び複数のコンタクト層32の下側に配置されている。ボディ層34は、複数のソース層30及び複数のコンタクト層32に対して下側から接している。ボディ層34は、ソース層30の下側に位置するトレンチ14の側面で、ゲート絶縁膜16に接している。ボディ層34は、ゲート絶縁膜16を介してゲート電極18に対向している。
【0016】
各p型トレンチ下層35は、対応するトレンチ14の下側に配置されているp型層である。後述するように、各p型トレンチ下層35は、ボディ層34と共通のイオン注入工程で形成されてもよい。この場合、各p型トレンチ下層35とボディ層34のp型不純物の深さ方向の濃度プロファイルは一致しており、対応するトレンチ14の底面から各p型トレンチ下層35の下面までの深さは、半導体基板12の上面12aからボディ層34の下面までの深さと一致する。この例では、各p型トレンチ下層35は、対応するトレンチ14の底面を被覆するゲート絶縁膜16に接している。図3に示すように、半導体基板12を上側から見たときに、各p型トレンチ下層35は、対応するトレンチ14の長手方向(この例ではy方向)に沿って長く伸びており、トレンチ14の長手方向の一方端から他方端まで連続して伸びていてもよい。後述するように、各p型トレンチ下層35は、対応するトレンチ14の長手方向(この例ではy方向)に沿って長く伸びており、トレンチ14の長手方向の一方端から他方端の間で分断していてもよい。
【0017】
各p型ディープ層36は、ボディ層34の下面から下側に突出しているp型層である。各p型ディープ層36のp型不純物濃度は、ボディ層34のp型不純物濃度よりも高く、コンタクト層32のp型不純物濃度よりも低い。図4に示すように半導体基板12を上側から見たときに、各p型ディープ層36は、x方向に長く伸びており、トレンチ14の長手方向(この例では、y方向)に対して直交している。複数のp型ディープ層36は、y方向に間隔を開けて配置されている。以下では、複数のp型ディープ層36の間の部分を、間隔部39(図1及び図2参照)という。図5に示すように、p型ディープ層36は、yz断面において、z方向に長い形状を有している。すなわち、p型ディープ層36のz方向における寸法(以下、深さDpという)は、p型ディープ層36のy方向における寸法(以下、幅Wpという)よりも大きい。例えば、深さDpを、幅Wpの1~4倍とすることができる。図6に示すように、各p型ディープ層36は、ボディ層34の下面から各トレンチ14の底面よりも下側の深さまで伸びている。各p型ディープ層36は、ボディ層34の下側に位置するトレンチ14の側面でゲート絶縁膜16に接している。また、図3に示すように、各p型ディープ層36は、トレンチ14の下側に配置されているp型トレンチ下層35に交差するように接している。
【0018】
各n型ディープ層37は、ドリフト層38よりもn型不純物濃度が高いn型層である。各n型ディープ層37のn型不純物濃度は、各p型ディープ層36のp型不純物濃度よりも低い。なお、この例に代えて、各n型ディープ層37は、ドリフト層38のn型不純物濃度と同一濃度であってもよい。図1、2に示すように、各n型ディープ層37は、対応する間隔部39内に配置されている。各n型ディープ層37は、ボディ層34の下面に接している。各n型ディープ層37は、その両側のp型ディープ層36の側面に接している。各n型ディープ層37は、ボディ層34の下面から各トレンチ14の底面及び各p型ディープ層36の下面よりも下側まで伸びている。図5に示すように、間隔部39内のn型ディープ層37は、yz断面において、z方向に長い形状を有している。すなわち、n型ディープ層37のz方向における寸法(以下、深さDnという)は、間隔部39内のn型ディープ層37のy方向における寸法(以下、幅Wnという)よりも大きい。例えば、深さDnを、幅Wnの1~4倍とすることができる。本実施形態では、n型ディープ層37の幅Wnは、p型ディープ層36の幅Wpと略等しい。各n型ディープ層37は、隣接するp型ディープ層36の下面の直下まで伸びる接続領域37aを有している。各接続領域37aは、対応するp型ディープ層36の下面に接している。各n型ディープ層37は、各接続領域37aを介して互いに繋がっている。n型ディープ層37がp型ディープ層36の下面よりも下側に突出する部分の厚みT1(すなわち、p型ディープ層36の下面からn型ディープ層37下面までのz方向における距離)は、約0.1μmであり、極めて薄い。図1、2に示すように、各n型ディープ層37は、各間隔部39内において、ボディ層34の下側に位置するトレンチ14の側面でゲート絶縁膜16に接している。また、図3に示すように、各n型ディープ層37は、トレンチ14の下側に配置されているp型トレンチ下層35に交差するように接している。
【0019】
ドリフト層38は、各n型ディープ層37よりも低いn型不純物濃度を有するn型層である。ドリフト層38は、n型ディープ層37の下側に配置されている。ドリフト層38は、n型ディープ層37に対して下側から接している。
【0020】
ドレイン層40は、ドリフト層38及びn型ディープ層37よりも高いn型不純物濃度を有するn型層である。ドレイン層40は、ドリフト層38に対して下側から接している。ドレイン層40は、半導体基板12の下面12bを含む範囲に配置されている。ドレイン層40は、ドレイン電極24にオーミック接触している。
【0021】
次に、MOSFET10の動作について説明する。MOSFET10は、ドレイン電極24にソース電極22よりも高い電位が印加された状態で使用される。各ゲート電極18にゲート閾値以上の電位が印加されると、ゲート絶縁膜16の近傍のボディ層34にチャネルが形成される。チャネルによって、ソース層30とn型ディープ層37が接続される。このため、ソース層30からチャネル、n型ディープ層37、及び、ドリフト層38を経由してドレイン層40へ電子が流れる。すなわち、MOSFET10がオンする。各ゲート電極18の電位をゲート閾値以上の値からゲート閾値未満の値へ引き下げると、チャネルが消失し、電子の流れが停止する。すなわち、MOSFET10がオフする。
【0022】
次に、MOSFET10をオフするときの動作について、より詳細に説明する。チャネルが消失すると、ボディ層34と各n型ディープ層37の界面のpn接合に逆電圧が印加される。したがって、ボディ層34から各n型ディープ層37へ空乏層が広がる。また、各p型ディープ層36は、ボディ層34と電気的に接続されており、ボディ層34と略同じ電位を有する。したがって、チャネルが消失すると、各p型ディープ層36と各n型ディープ層37の界面のpn接合にも逆電圧が印加される。したがって、各p型ディープ層36から各n型ディープ層37へも空乏層が広がる。さらに、各p型トレンチ下層35は、各p型ディープ層36を介してボディ層34と電気的に接続されており、ボディ層34と略同じ電位を有する。したがって、チャネルが消失すると、各p型トレンチ下層35と各n型ディープ層37の界面のpn接合にも逆電圧が印加される。このように、各n型ディープ層37は、ボディ層34と各p型トレンチ下層35と各p型ディープ層36から広がる空乏層によって素早く空乏化される。特に、各p型トレンチ下層35が対応するトレンチ14の下側に設けられているので、トレンチ14の底面の周辺が良好に空乏化される。これによって、トレンチ14の底面近傍における電界集中が大幅に緩和される。また、ボディ層34と各p型トレンチ下層35と各p型ディープ層36から広がる空乏層によって、各n型ディープ層37の全体が空乏化される。なお、各n型ディープ層37はドリフト層38よりもn型不純物濃度が高いため、各n型ディープ層37内にはドリフト層38内よりも空乏層が広がり難い。しかしながら、各n型ディープ層37はp型ディープ層36によって挟まれており、かつ、各n型ディープ層37の幅Wnが狭いので、各n型ディープ層37の全体が空乏化する。また、空乏層は、各n型ディープ層37を介してドリフト層38へ広がる。ドリフト層38のn型不純物濃度が低いので、ドリフト層38のほぼ全体が空乏化される。空乏化されたドリフト層38及び各n型ディープ層37によって、ドレイン電極24とソース電極22の間に印加される高電圧が保持される。したがって、MOSFET10は高い耐圧を有する。
【0023】
また、MOSFET10では、p型トレンチ下層35がp型ディープ層36を介してボディ層34に電気的に接続されている。このため、p型トレンチ下層35の電位が安定し、このMOSFET10のスイッチング特性が悪化することが抑えられる。このように、このMOSFET10では、p型トレンチ下層35とp型ディープ層の組合せによりスイッチング特性の悪化を抑えながら、耐圧を改善することができる。
【0024】
また、MOSFET10では、p型トレンチ下層35がトレンチ14の底面を被覆するゲート絶縁膜16に接している。このため、ゲート電極18とドレイン電極24の間の静電容量(すなわち、帰還容量)が小さくなる。さらに、MOSFET10では、各n型ディープ層37と各p型ディープ層36が縦に長い形状を有している。このように各n型ディープ層37と各p型ディープ層36が構成されていると、帰還容量が小さくなる。これらによって、MOSFET10のスイッチング速度を向上させることができる。
【0025】
また、MOSFET10では、p型トレンチ下層35の深さがp型ディープ層36及びn型ディープ層37の深さよりも深い。このような深いp型トレンチ下層35が設けられていると、n型ディープ層37及びドリフト層38の空乏化を促進することができるので、MOSFET10の耐圧が改善される。また、このような深いp型トレンチ下層35が設けられていると、過電圧が印加されたときに下方に突出するp型トレンチ下層35でブレークダウンが生じるので、セル領域で確実にブレークダウンを生じさせることができる。この結果、MOSFET10もアバランシェ耐量が安定することができる。なお、p型トレンチ下層35の深さがp型ディープ層36及びn型ディープ層37の深さよりも浅くてもよい。この場合、p型トレンチ下層35から伸びる空乏層が抑えられるので、MOSFET10のオン抵抗が改善される。
【0026】
なお、MOSFET10では、図4に示されるように、上側から半導体基板12を見たときに、各p型ディープ層36及び各n型ディープ層37がx方向に連続して長く伸びていた。この例に代えて、図7に示すように、各p型ディープ層36及び各n型ディープ層37がx方向に分断していてもよい。この例では、各p型ディープ層36が分断されているので、電流経路が広く確保され、オン抵抗が低下する。ただし、この例であっても、各p型ディープ層36及び各n型ディープ層37は、トレンチ14を跨ぐように配置されている。これにより、上記した作用効果を発揮することができる。なお、各p型ディープ層36及び各n型ディープ層37のいずれか一方のみがx方向に分断していてもよい。また、図8に示すように、隣り合うp型ディープ層36を接続する接続p層36aが設けられていてもよい。このような接続p層36aは、ゲート絶縁膜16に加わる電界の緩和及び耐圧向上に有効である。
【0027】
なお、MOSFET10では、図3に示されるように、上側から半導体基板12を見たときに、各p型トレンチ下層35がトレンチ14の長手方向の一方端から他方端まで連続して伸びていた。この例に代えて、図9に示すように、半導体基板12を上側から見たときに、各p型トレンチ下層35は、対応するトレンチ14の長手方向(この例ではy方向)に沿って長く伸びており、トレンチ14の長手方向の一方端から他方端の間で分断していてもよい。この場合、各p型ディープ層36は、p型トレンチ下層35の分断された部分を通過する。例えば、図3に示す例では、p型トレンチ下層35とp型ディープ層36が重複する部分でイオン注入時のダメージが大きくなり、リーク電流の増加が懸念される。一方、図9に示す例では、p型トレンチ下層35とp型ディープ層36の重複部分が少ないので、リーク電流の増加が抑えられる。
【0028】
なお、MOSFET10では、図2に示されるように、上側から半導体基板12を見たときに、各ソース層30及び各コンタクト層32がトレンチ14の長手方向に対して平行に伸びている。特に、各ソース層30がトレンチ14の長手方向に対して平行に伸びるとともにトレンチ14の側面に接していることにより、トレンチ14の側面全体を高濃度なチャネルとして利用することができるので、MOSFET10のオン抵抗は低い。さらに、トレンチ14の側面全体をチャネルとして利用することができるので、チャネルと各n型ディープ層37が良好に接続される。例えば、各ソース層30がトレンチ14の長手方向に対して交差するように、特に、トレンチ14の長手方向に対して直交するように伸びていると、トレンチ14の側面に接するソース層30の位置が限定されるので、トレンチ14の側面に形成される高濃度なチャネルの位置も限定される。このため、このような例では、製造時のソース層30とn型ディープ層37の相対的な位置関係のズレによって、トレンチ14の側面に形成される高濃度なチャネルとn型ディープ層37の相対的な位置関係にもズレが生じるので、オン抵抗が大きく変動し易いという問題がある。一方、MOSFET10では、トレンチ14の側面全体を高濃度なチャネルとして利用することができるので、このようなオン抵抗の変動が生じない。なお、図2の例に代えて、図10に示されるように、各コンタクト層32がトレンチ14の長手方向に沿って分散して配置されていてもよい。なお、この例でも、各コンタクト層32は、上側から半導体基板12を見たときにトレンチ14の長手方向に対して平行に伸びている、ということができる。また、この例では、コンタクト層32間にソース層30が設けられていてもよい。
【0029】
また、MOSFET10では、図11に示すように、n型ディープ層37が、n型ディープ下層137Aとn型ディープ上層137Bを有していてもよい。n型ディープ下層137Aは、n型ディープ上層137Bの下側に設けられており、ドリフト層38よりもn型不純物濃度が高く、n型ディープ上層137Bよりもn型不純物濃度が低いn型層である。n型ディープ下層137Aのn型不純物濃度は、上記したような実質的に単一濃度で構成されるときと同一の濃度であってもよい。n型ディープ上層137Bは、n型ディープ下層137Aとボディ層34の間に設けられており、トレンチ14の底面よりも上側に配置されており、ボディ層34の下側に位置するトレンチ14の側面でゲート絶縁膜16に接している。このようなn型ディープ上層137Bが設けられていると、p型トレンチ下層35とボディ層34の双方から伸びる空乏層によってp型トレンチ下層35とボディ層34の間の領域の電流経路が狭くなる現象(JFET効果)を抑え、オン抵抗の増大を抑えることができる。なお、n型ディープ層37の全体がn型ディープ上層137Bと同等の高濃度に構成されていると、上述した耐圧の改善効果が低下する。n型ディープ層37がn型ディープ下層137Aとn型ディープ上層137Bを有し、さらに、n型ディープ上層137Bがトレンチ14の底面よりも上側に配置されていることにより、オン抵抗の増大抑制と高耐圧化を良好に両立させることができる。
【0030】
また、MOSFET10では、図12に示すように、p型ディープ層36が、p型ディープ下層136Aとp型ディープ上層136Bを有していてもよい。p型ディープ下層136Aは、p型ディープ上層136Bの下側に設けられており、ボディ層34のp型不純物濃度よりも高く、p型ディープ上層136Bのp型不純物濃度よりも低いp型層である。p型ディープ上層136Bは、p型ディープ下層136Aとボディ層34の間に設けられており、トレンチ14の底面よりも上側に配置されており、ボディ層34の下側に位置するトレンチ14の側面でゲート絶縁膜16に接している。MOSFET10の耐圧を向上させるためには、p型ディープ層36の全体の濃度が高いのが望ましいが、その場合、p型ディープ層36とp型トレンチ下層35が重複する部分でイオン注入時のダメージが大きくなり、リーク電流の増加が懸念される。図12に示すMOSFET10では、p型トレンチ下層35と重複しない部分のp型ディープ上層136Bの濃度を高くすることで、リーク電流の増加を抑えながら、耐圧を向上させることができる。
【0031】
また、MOSFET10では、図13に示すように、p型トレンチ下層35が、第1p型トレンチ下層135Aと第2p型トレンチ下層135Bを有していてもよい。第1p型トレンチ下層135Aは、第2p型トレンチ下層135Bの下側に設けられており、第2p型トレンチ下層135Bのp型不純物濃度よりも低いp型層である。第2p型トレンチ下層135Bは、第1p型トレンチ下層135Aとトレンチ14の間に設けられており、トレンチ14の底面でゲート絶縁膜16に接している。第2p型トレンチ下層135Bの深さ方向(z方向)の厚みは、ソース層30の厚み方向の厚みよりも小さくてもよい。特に限定されるものではないが、第2p型トレンチ下層135Bのp型不純物濃度と厚みの積は、n型ディープ層37のn型不純物濃度と厚みの積よりも大きくてもよい。p型不純物濃度の高い第2p型トレンチ下層135Bが設けられていると、MOSFET10がオフしたときに第2p型トレンチ下層135Bが空乏化しない。このため、ゲート電極18とドレイン電極24の間の静電容量(すなわち、帰還容量)が小さくなり、MOSFET10のスイッチング速度を向上させることができる。
【0032】
なお、帰還容量が大きいデバイスが必要とされる場合がある。このような場合、図13の第1p型トレンチ下層135Aと第2p型トレンチ下層135Bのp型不純物濃度の関係を逆にしてもよい。すなわち、第2p型トレンチ下層135Bのp型不純物濃度が、第1p型トレンチ下層135Aのp型不純物濃度よりも低くてもよい。この場合も、第2p型トレンチ下層135Bの深さ方向(z方向)の厚みは、ソース層30の厚み方向の厚みよりも小さくてもよい。
【0033】
また、MOSFET10では、図14に示すように、p型トレンチ下層35がトレンチ14の底面から離れていてもよい。なお、p型トレンチ下層35とトレンチ14の底面の間の距離は、ソース層30の厚み方向の厚みよりも小さくてもよい。このような位置関係にp型トレンチ下層35が設けられていても、上述した耐圧の改善効果が得られる。一方、後述の製造方法で説明するように、このようなp型トレンチ下層35は、同時形成されるボディ層34のイオン注入回数を減らした結果が反映された形態である。即ち、図14に示すMOSFET10は、低コストで製造可能な構造を有している。
【0034】
また、上記で説明したMOSFET10はいずれも、n型ディープ層37の深さがp型ディープ層36の深さよりも深かった。この例に代えて、n型ディープ層37の深さがp型ディープ層36の深さと等しくてもよい。また、n型ディープ層37の深さがp型ディープ層36の深さより浅くてもよい。
【0035】
また、上記で説明したMOSFET10はいずれも、各n型ディープ層37がp型ディープ層36の直下まで伸びる接続領域37aを有していた。この例に代えて、n型ディープ層37が接続領域37aを有していなくてもよい。
【0036】
また、上記で説明したMOSFET10はいずれも、上側から半導体基板12を見たときに、各p型ディープ層36及び各n型ディープ層37が各トレンチ14に対して直交していた。この例に代えて、各p型ディープ層36及び各n型ディープ層37が各トレンチ14に対して斜めに交差していてもよい。
【0037】
次に、MOSFET10の製造方法について説明する。MOSFET10は、全体がドレイン層40によって構成された半導体基板から製造される。まず、図15に示すように、エピタキシャル成長技術を利用して、ドレイン層40上にn型のエピタキシャル層50を形成する。
【0038】
次に、図16に示すように、イオン注入技術を利用して、エピタキシャル層50の表面から離れた所定深さ範囲にn型不純物とp型不純物を導入することによってn型ディープ層37とp型ディープ層36を形成する(ディープ層形成工程の一例)。具体的には、エピタキシャル層50の所定深さに向けて面的にn型不純物導入した後に、n型不純物が導入された範囲の一部に向けてp型不純物をマスク越しにカウンタードーピングすることにより、n型ディープ層37とp型ディープ層36を形成することができる。なお、この例に代えて、n型ディープ層37とp型ディープ層36のそれぞれに対応したマスクを越しにn型不純物とp型不純物を順に導入することによってn型ディープ層37とp型ディープ層36を形成してもよい。また、エピタキシャル層50をエピタキシャル成長するときにn型ディープ層37の形成範囲に対応した深さのn型不純物を予め濃く調整することで、n型ディープ層37を形成するためのイオン注入を省略することができる。なお、イオン注入技術又はエピタキシャル成長技術を利用してn型ディープ層37又はp型ディープ層36を形成するときに、深さ方向の濃度を変更することで、図11に示すようなn型ディープ下層137Aとn型ディープ上層137B又は図12に示すようなp型ディープ下層136Aとp型ディープ上層136Bを形成することができる。
【0039】
次に、図17に示すように、イオン注入技術を利用して、エピタキシャル層50の表層部にn型不純物及びp型不純物を導入することによってソース層30とコンタクト層32を形成する。
【0040】
次に、図18に示すように、エッチング技術を利用して、エピタキシャル層50の表面からn型ディープ層37及びp型ディープ層36に達するトレンチ14を形成する(トレンチ形成工程の一例)。トレンチ14の深さは、n型ディープ層37及びp型ディープ層36を超えないように調整される。トレンチ14は、上側からエピタキシャル層50を見たときに、複数のp型ディープ層36と複数のn型ディープ層37に交差している。
【0041】
次に、図19に示すように、イオン注入技術を利用して、エピタキシャル層50の表面に向けてp型不純物を多段で導入することによってボディ層34とp型トレンチ下層35を形成する(ボディ層形成工程とp型トレンチ下層形成工程の一例)。ボディ層34は、n型ディープ層37及びp型ディープ層36よりも上側であって、ソース層30とコンタクト層32よりも下側に形成される。p型トレンチ下層35は、トレンチ14の底面の下側に形成される。ここで、イオン注入技術を利用してボディ層34とp型トレンチ下層35を形成するときに、深さ方向の濃度を変更することで、図13に示すような第1p型トレンチ下層135Aと第2p型トレンチ下層135Bを形成することができる。さらに、第2p型トレンチ下層135Bを形成するためにp型不純物を導入する深さは、ソース層30よりも浅い範囲に限定する。これにより、ボディ層34のp型不純物の濃度を所望の値としながら、第2p型トレンチ下層135Bのp型不純物の濃度を自由に設定することができる。なお、第2p型トレンチ下層135Bを形成するためのp型不純物はソース層30にも導入されるが、ソース層30に含まれるn型不純物の濃度は導入されるp型不純物の濃度よりも高いので、MOSFET10の電気的特性を大きく変動させることがない。また、n型ディープ層37及びp型ディープ層36よりも上側であって、ソース層30とコンタクト層32よりも下側の範囲にp型不純物が選択的に導入されるように、イオン注入の段数を調整すると、p型トレンチ下層35は、トレンチ14の底面から離れた位置に形成される。図14に示されるMOSFET10は、このような方法で製造された例である。なお、p型不純物をイオン注入する前に、トレンチ14の側面にソーク防止遮蔽膜を成膜してもよい。
【0042】
その後、トレンチ14、ゲート絶縁膜16、ゲート電極18、層間絶縁膜20、ソース電極22、及び、ドレイン電極24を形成することで、MOSFET10が完成する。
【0043】
上記製造方法では、エピタキシャル層50を形成した後は、再エピ工程を実施することなく、イオン注入技術を利用して各種半導体領域を形成することができる。帰還容量を低くするためには、n型ディープ層37及びp型ディープ層36を深く形成するのが望ましい。しかしながら、このような深いn型ディープ層37及びp型ディープ層36を、上記製造方法のように、エピタキシャル層50の所定深さにイオン注入技術で形成するのは難しい。このため、背景技術で説明した従来例では、エピタキシャル層の表面に深いn型ディープ層及びp型ディープ層をイオン注入で形成した後に、再エピ工程を実施してボディ層を形成する。しかしながら、再エピ工程を含む製造方法は、コストが増加するという問題がある。一方、本実施形態のMOSFET10は、p型トレンチ下層35を有しているので、帰還容量が低い。このため、本実施形態のMOSFET10では、n型ディープ層37及びp型ディープ層36を深く形成しなくても、低い帰還容量が得られる。このため、上記製造方法のように、再エピ工程を実施しなくても、帰還容量の低いMOSFET10を製造することができる。なお、必要に応じて、再エピ工程を実施して本実施形態のMOSFET10を製造してもよいことは言うまでもない。
【0044】
上記で説明したMOSFET10は、トレンチ14を形成した後に、イオン注入技術を利用してボディ層34とp型トレンチ下層35を同時形成する例であった。この例に代えて、トレンチ14を形成する前に、p型トレンチ下層35とp型ディープ層36を同時形成してもよい。この場合、ボディ層34は、別のイオン注入工程によって形成される。図20に、p型トレンチ下層35とp型ディープ層36を同時形成したMOSFET10を示す。
【0045】
このMOSFET10では、トレンチ14の短手方向(x方向)に沿って測定したときに、p型トレンチ下層35の幅がトレンチ14の幅よりも狭い。これにより、p型トレンチ下層35とトレンチ14の若干の位置合わせのズレを許容することができるので、トレンチ14を形成したときに、p型トレンチ下層35をトレンチ14の底面のみに接するように配置することができる。
【0046】
以下、本明細書で開示される技術の特徴を整理する。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
【0047】
本明細書が開示する電界効果トランジスタは上面にトレンチが設けられた半導体基板と、前記トレンチの内面を覆うゲート絶縁膜と、前記トレンチ内に配置されており、前記ゲート絶縁膜によって前記半導体基板から絶縁されているゲート電極、を有することができる。前記半導体基板の材料は、特に限定されるものではないが、例えば炭化珪素であってもよい。前記半導体基板が、前記トレンチの側面で前記ゲート絶縁膜に接するn型のソース層と、前記ソース層の下側に位置する前記トレンチの前記側面で前記ゲート絶縁膜に接するp型のボディ層と、前記トレンチの下側に配置されており、上側から前記半導体基板を見たときに前記トレンチの長手方向に沿って伸びているp型トレンチ下層と、複数のp型ディープ層と、複数のn型ディープ層を有することができる。前記各p型ディープ層が、前記ボディ層から下側に突出しており、前記ボディ層から前記トレンチの底面よりも下側まで伸びており、上側から前記半導体基板を見たときに前記トレンチに対して交差する第1方向に沿って伸びており、上側から前記半導体基板を見たときに前記第1方向に対して直交する第2方向に間隔部を開けて配置されており、前記トレンチの下側に配置されている前記p型トレンチ下層に接している。前記各n型ディープ層が、対応する前記間隔部内に配置されており、前記ボディ層の下側に位置する前記トレンチの前記側面で前記ゲート絶縁膜に接している。
【0048】
上記電界効果トランジスタでは、前記ソース層が、上側から前記半導体基板を見たときに前記トレンチの長手方向に対して平行に伸びていてもよい。この電界効果トランジスタでは、オン抵抗の変動が抑えられる。
【0049】
上記電界効果トランジスタでは、前記半導体基板が、前記ボディ層上に設けられており、前記ボディ層よりも高いp型不純物濃度を有するコンタクト層、を有していてもよい。この場合、前記コンタクト層は、上側から前記半導体基板を見たときに前記トレンチの長手方向に対して平行に伸びていてもよい。
【0050】
上記電界効果トランジスタでは、前記p型トレンチ下層は、前記各p型ディープ層よりも下側に突出していてもよい。この電界効果トランジスタは、高い耐圧を有することができる。
【0051】
上記電界効果トランジスタでは、前記p型トレンチ下層は、前記各p型ディープ層よりも浅くてもよい。この電界効果トランジスタは、低いオン抵抗を有することができる。
【0052】
上記電界効果トランジスタでは、前記半導体基板が、前記各n型ディープ層の下側に配置されており、各n型ディープ層よりも低いn型不純物濃度を有するドリフト層、をさらに有していてもよい。換言すると、前記各n型ディープ層は、前記ドリフト層よりも高いn型不純物濃度を有してもよい。この電界効果トランジスタは、低いオン抵抗を有することができる。
【0053】
上記電界効果トランジスタでは、前記各n型ディープ層が、n型ディープ下層と、前記n型ディープ下層の上側に配置されており、前記n型ディープ下層よりも高いn型不純物濃度を有するn型ディープ上層、を有していてもよい。この場合、前記n型ディープ上層は、前記トレンチの底面よりも上側に配置されている。この電界効果トランジスタは、高い耐圧と低いオン抵抗を両立することができる。
【0054】
上記電界効果トランジスタでは、前記各p型ディープ層が、p型ディープ下層と、前記p型ディープ下層の上側に配置されており、前記p型ディープ下層よりも高いp型不純物濃度を有するp型ディープ上層、を有していてもよい。この場合、前記p型ディープ上層は、前記トレンチの底面よりも上側に配置されている。この電界効果トランジスタは、リーク電流の増加を抑えながら、高い耐圧を有することができる。
【0055】
上記電界効果トランジスタでは、対応するトレンチの底面から前記各p型トレンチ下層の下面までの深さは、前記半導体基板の上面から前記ボディ層の下面までの深さと一致してもよい。この電界効果トランジスタは、前記p型トレンチ下層と前記ボディ層が同時形成された結果が反映された形態である。この電界効果トランジスタは、低コストで製造可能な構造を有している。
【0056】
上記電界効果トランジスタでは、前記p型トレンチ下層が、前記トレンチの底面から離れていてもよい。この電界効果トランジスタは、同時形成されるボディ層のイオン注入回数を減らした結果が反映された形態である。この電界効果トランジスタは、低コストで製造可能な構造を有している。
【0057】
上記電界効果トランジスタでは、前記p型トレンチ下層が、深さ方向に濃度が異なる複数の部分を有していてもよい。前記p型トレンチ下層は、第1p型トレンチ下層と、前記第1p型トレンチ下層の上側に配置されている第2p型トレンチ下層、を有していてもよい。前記第2p型トレンチ下層は、前記第1p型トレンチ下層よりも濃度が濃くてもよく、前記第1p型トレンチ下層よりも濃度が薄くてもよい。また、前記第2p型トレンチ下層の深さ方向の厚みは、前記ソース層の深さ方向の厚みよりも小さくてもよい。前記p型トレンチ下層の不純物濃度を調整することにより、帰還容量を調整することができる。
【0058】
上記電界効果トランジスタでは、前記p型トレンチ下層が、前記トレンチの長手方向に沿って分断されていてもよい。前記各p型ディープ層は、前記p型トレンチ下層の分断された部分を通過してもよい。この電界効果トランジスタでは、リーク電流の増加が抑えられる。
【0059】
上記電界効果トランジスタでは、前記複数のn型ディープ層が、前記ボディ層の下面から前記複数のp型ディープ層の下面よりも下側まで伸びていてもよい。
【0060】
上記電界効果トランジスタでは、前記第1方向が、上側から前記半導体基板を見たときに、前記トレンチに対して直交していてもよい。
【0061】
本明細書が開示する電界効果トランジスタの製造方法は、n型のエピタキシャル層に複数のp型ディープ層と複数のn型ディープ層を形成するディープ層形成工程であって、前記各p型ディープ層が、上側から前記エピタキシャル層を見たときに第1方向に沿って伸びており、上側から前記エピタキシャル層を見たときに前記第1方向に対して直交する第2方向に間隔部を開けて配置されており、前記各n型ディープ層が、対応する前記間隔部内に配置されている、ディープ層形成工程と、前記エピタキシャル層の表面から前記複数のp型ディープ層と前記複数のn型ディープ層を超えない深さのトレンチを形成するトレンチ形成工程であって、前記トレンチは、上側から前記エピタキシャル層を見たときに前記複数のp型ディープ層と前記複数のn型ディープ層に交差している、トレンチ形成工程と、イオン注入技術を利用して、前記エピタキシャル層の表面に向けてp型不純物を導入し、前記複数のp型ディープ層と前記複数のn型ディープ層の上側にボディ層を形成する、ボディ層形成工程と、イオン注入技術を利用して、前記トレンチの底面の下側にp型トレンチ下層を形成する、p型トレンチ下層形成工程、を有することができる。
【0062】
前記ディープ層形成工程では、イオン注入技術を利用して、前記複数のp型ディープ層と前記複数のn型ディープ層が、前記エピタキシャル層の表面から離れた所定深さ範囲にn型不純物とp型不純物を導入することによって形成されてもよい。この製造方法によると、再エピ工程を実施することなく、電界効果トランジスタを製造することができる。
【0063】
前記ボディ層形成工程と前記p型トレンチ下層形成工程は、前記トレンチ形成工程の後に同時に実施されてもよい。この製造方法によると、低コストで電界効果トランジスタを製造することができる。
【0064】
上記製造方法は、イオン注入技術を利用して、前記エピタキシャル層の上層部にn型不純物を導入し、ソース層を形成する、ソース層形成工程、をさらに有していてもよい。この場合、前記p型トレンチ下層は、第1p型トレンチ下層と、前記第1p型トレンチ下層の上側に配置されている第2p型トレンチ下層、を有していてもよい。前記第2p型トレンチ下層は、前記第1p型トレンチ下層よりも濃度が濃くてもよい、前記第1p型トレンチ下層よりも濃度が薄くてもよい。前記第2p型トレンチ下層の深さ方向の厚みは、前記ソース層の深さ方向の厚みよりも小さくてもよい。この製造方法によると、前記p型トレンチ下層の不純物濃度を調整することにより、帰還容量が調整された電界効果トランジスタを製造することができる。
【0065】
前記p型トレンチ下層形成工程は、前記トレンチ形成工程の前に実施されてもよい。この場合、前記p型トレンチ下層の幅は、前記トレンチの幅よりも狭くてもよい。この製造方法によると、前記p型トレンチ下層と前記トレンチの若干の位置合わせのズレを許容することができる。
【0066】
前記p型トレンチ下層形成工程は、前記ディープ層形成工程のうちの前記複数のp型ディープ層を形成する工程と同時に実施されてもよい。この製造方法によると、低コストで電界効果トランジスタを製造することができる。
【0067】
以上、実施形態について詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独あるいは各種の組み合わせによって技術有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの1つの目的を達成すること自体で技術有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0068】
10:MOSFET、12:半導体基板、14:トレンチ、16:ゲート絶縁膜、18:ゲート電極、20:層間絶縁膜、22:ソース電極、24:ドレイン電極、30:ソース層、32:コンタクト層、34:ボディ層、35:p型トレンチ下層、36:p型ディープ層、37:n型ディープ層、38:ドリフト層、40:ドレイン層
図1
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【手続補正書】
【提出日】2024-07-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電界効果トランジスタ(10)であって、
上面にトレンチ(14)が設けられた半導体基板(12)と、
前記トレンチの内面を覆うゲート絶縁膜(16)と、
前記トレンチ内に配置されており、前記ゲート絶縁膜によって前記半導体基板から絶縁されているゲート電極(18)、
を有し、
前記半導体基板が、
前記トレンチの側面で前記ゲート絶縁膜に接するn型のソース層(30)と、
前記ソース層の下側に位置する前記トレンチの前記側面で前記ゲート絶縁膜に接するp型のボディ層(34)と、
前記トレンチの下側に配置されており、上側から前記半導体基板を見たときに前記トレンチの長手方向に沿って伸びているp型トレンチ下層(35)と、
複数のp型ディープ層(36)と、
複数のn型ディープ層(37)、
を有し、
前記各p型ディープ層が、前記ボディ層から下側に突出しており、前記ボディ層から前記トレンチの底面よりも下側まで伸びており、上側から前記半導体基板を見たときに前記トレンチに対して交差する第1方向に沿って伸びており、上側から前記半導体基板を見たときに前記第1方向に対して直交する第2方向に間隔部を開けて配置されており、前記トレンチの下側に配置されている前記p型トレンチ下層に接しており、
前記各n型ディープ層が、対応する前記間隔部内に配置されており、前記ボディ層の下側に位置する前記トレンチの前記側面で前記ゲート絶縁膜に接しており、
前記p型トレンチ下層の深さは、前記複数のn型ディープ層の深さよりも浅い、
電界効果トランジスタ。
【請求項2】
前記ソース層は、上側から前記半導体基板を見たときに前記トレンチの長手方向に対して平行に伸びている、請求項1に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項3】
前記半導体基板が、
前記ボディ層上に設けられており、前記ボディ層よりも高いp型不純物濃度を有するコンタクト層(32)、を有しており、
前記コンタクト層は、上側から前記半導体基板を見たときに前記トレンチの長手方向に対して平行に伸びている、請求項1又は2に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項4】
前記各n型ディープ層は、
n型ディープ下層(137A)と、
前記n型ディープ下層の上側に配置されており、前記n型ディープ下層よりも高いn型不純物濃度を有するn型ディープ上層(137B)、
を有し、
前記n型ディープ上層は、前記トレンチの底面よりも上側に配置されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項5】
前記各p型ディープ層は、
p型ディープ下層(136A)と、
前記p型ディープ下層の上側に配置されており、前記p型ディープ下層よりも高いp型不純物濃度を有するp型ディープ上層(136B)、
を有し、
前記p型ディープ上層は、前記トレンチの底面よりも上側に配置されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項6】
対応する前記トレンチの底面から前記各p型トレンチ下層の下面までの深さは、前記半導体基板の上面から前記ボディ層の下面までの深さと一致する、請求項1~5のいずれか一項に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項7】
前記p型トレンチ下層は、前記トレンチの底面から離れている、請求項6に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項8】
前記p型トレンチ下層は、深さ方向に濃度が異なる複数の部分を有している、請求項6に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項9】
前記p型トレンチ下層は、
第1p型トレンチ下層(135A)と、
前記第1p型トレンチ下層の上側に配置されている第2p型トレンチ下層(135B)、
を有し、
前記第2p型トレンチ下層は、前記第1p型トレンチ下層よりも濃度が濃い、請求項8に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項10】
前記p型トレンチ下層は、
第1p型トレンチ下層(135A)と、
前記第1p型トレンチ下層の上側に配置されている第2p型トレンチ下層(135B)、
を有し、
前記第2p型トレンチ下層は、前記第1p型トレンチ下層よりも濃度が薄い、請求項8に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項11】
前記第2p型トレンチ下層の深さ方向の厚みは、前記ソース層の深さ方向の厚みよりも小さい、請求項9又は10に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項12】
前記p型トレンチ下層は、前記トレンチの長手方向に沿って分断されており、
前記各p型ディープ層は、前記p型トレンチ下層の分断された部分を通過する、請求項1~11のいずれか一項に記載の電界効果トランジスタ。