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  • 特開-仕切り装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138135
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】仕切り装置
(51)【国際特許分類】
   E01F 13/04 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
E01F13/04 A
E01F13/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2024122237
(22)【出願日】2024-07-29
【基礎とした実用新案登録】
【原出願日】2023-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】394012245
【氏名又は名称】株式会社カーボーイ
(74)【代理人】
【識別番号】100166132
【弁理士】
【氏名又は名称】木船 英雄
(72)【発明者】
【氏名】廻本 一夫
(57)【要約】
【課題】軽量でかつ製造コストも安価な新規な仕切り装置の提供。
【解決手段】仕切り装置100は、中空ポール10と、中空ポール内に収容されるチェーン20と、ポールスタンド30とから主に構成されている。中空ポールの上端付近に、チェーンが通過する開口部14と、チェーンの端部を引っ掛けるフック13を形成すると共に、チェーンの両端に開口部の最大口径よりも大きい径の端部リング21Aをそれぞれ備える。これにより、構造が簡単となるため、製造コストも安価で故障なども起き難い。また、チェーンの繰り出しや収納作業なども簡単かつ確実に行うことができる。さらに、樹脂で製造することにより、軽量化やコストの削減が可能となり、また、視認性を大幅に向上することができる、などといった優れた効果を発揮する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空ポールとその中空ポール内に収容されるチェーンとからなる仕切り装置であって、
前記中空ポールの上端付近に、前記チェーンが通過する開口部と、前記チェーンの端部を引っ掛けるフックを形成すると共に、前記チェーンの端に前記開口部の最大口径よりも大きい径の端部リングを備えたことを特徴とする仕切り装置。
【請求項2】
請求項1に記載の仕切り装置において、
前記チェーンが樹脂からなることを特徴とする仕切り装置。
【請求項3】
請求項1に記載の仕切り装置において、
前記端部リングのうち、少なくとも前記中空ポール内に位置する端部リングに切れ目を有することを特徴とする仕切り装置。
【請求項4】
請求項1に記載の仕切り装置において、
前記中空ポールを立設するポールスタンドをさらに備えたことを特徴とする仕切り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、敷地内への人や車両の進入を阻止したり、誘導路などを区画形成する際などに用いられる仕切り装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から敷地内への人や車両の進入を阻止したり、誘導路などを区画形成する方法としては、例えば複数のポールを立て、その間をチェーン(鎖)で連結して仕切る方法が多用されている。このような用途に用いられるポールとしては、金属製の埋め込み式の本格的なものからプラスチック製の簡易的な移動式のものまで多く提案されているが、いずれもポール間を連結するチェーンは、ポールとは別体であるため、組み立て作業や使用していないときのチェーンの収納などが面倒であった。
【0003】
そのため、以下の特許文献のようにポールとチェーンを一体化して不使用時にはチェーンをポール内に収容し、使用時にはそのチェーンをポール内から引っ張り出して他のポールに引っ掛けることで使い勝手を向上させた構造のものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭58-195610号公報
【特許文献2】実開平6-34020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記特許文献に示すようなものは金属製のポールと金属製のチェーンとからなるため、重量が嵩み、運搬や収納が容易でない。また、そのポールの内部に機械式のチェーンの繰出機構が内蔵されていることから構造が複雑となり、製造コストや販売価格が高価になる。さらに構造が複雑になることにより故障などの不具合が起きやすい。
【0006】
そこで、本発明の目的は、これらの課題を解決するために案出されたものであり、その目的は、軽量でかつ製造コストも安価な新規な仕切り装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために第1の発明は、中空ポールとその中空ポール内に収容されるチェーンとからなる仕切り装置であって、前記中空ポールの上端付近に、前記チェーンが通過する開口部と、前記チェーンの端部を引っ掛けるフックを形成すると共に、前記チェーンの両端に前記開口部の最大口径よりも大きい径の端部リングをそれぞれ備えたことを特徴とする仕切り装置である。
【0008】
このような構成によれば、使用時には一対の中空ポールを所定の間隔を隔てて立設してから一方の中空ポールの開口部にあるチェーンの端部を引っ張り出して他方の中空ポール上端付近にあるフックに引っ掛けることによってその中空ポール間をチェーンによって仕切ることができる。このときチェーンの一端部に設けられた端部リングが中空ポールの開口部と干渉するため、最大に引っ張り出してもチェーンがその開口部から抜け落ちたりすることはない。
【0009】
また、不使用時には他方の中空ポールのフックからチェーンを外し、そのまま一方の中空ポールの中へその開口部から流し込むように送ることで簡単に中空ポール内に収納できる。このとき同じくチェーンの他端部に設けられた端部リングが中空ポールの開口部と干渉するため、勢いよく中空ポール内にチェーンを送り込んでもチェーン全体がその開口部から中空ポール内に落ち込むようなこともなく、次回の使用時には簡単に引っ張り出すことができる。
【0010】
第2の発明は第1の発明において、前記中空ポールとチェーンが樹脂からなることを特徴とする仕切り装置である。このような構成によれば、全体の軽量化がなされるため、搬送や設置が容易になると共に金属などに比べて製造コストを安価にすることができる。また、様々な色に着色できるため、視認性を大幅に向上することができる。
【0011】
第3の発明は第1の発明において、前記端部リングのうち、少なくとも前記中空ポール内に位置する端部リングに切れ目を有することを特徴とする仕切り装置である。このような構成によれば、中空ポール内に位置する端部リングを開口部の最大口径よりも小さく縮径できるため、その端部リングを開口部から中空ポール内に入れることができる。
【0012】
第4の発明は第1の発明において、前記中空ポールを立設するポールスタンドをさらに備えたことを特徴とする仕切り装置である。このような構成によれば、任意の場所に中空ポールを立設することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の仕切り装置は、中空ポールとその中空ポール内に収容されるチェーンといった簡単な構造であるため、製造コストも安価で故障なども起き難い。また、チェーンも繰り出しや収納作業なども簡単かつ確実に行うことができる。さらに、樹脂で製造することにより、軽量化やコストの削減が可能となり、また、視認性を大幅に向上することができる、などといった優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る仕切り装置100の実施の一形態を示す側面図である。
図2】本発明に係る仕切り装置100を2台以上所定の距離を隔てて配置した側面図である。
図3図2中S部を示す部分拡大図である。
図4】(A)は中空ポール10からチェーン20全体を引き出した状態、(B)は、チェーン20全体を中空ポール10内に収容した状態を示す側面図である。
図5】端部リング21A、21Bを示す斜視図である。
図6】(A)は端部リング21A、21Bの通常の状態を示す平面図、(B)は端部リング21A、21Bを押しつぶして縮径した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照しながら説明する。図1乃至図3は本発明に係る仕切り装置100の実施の一形態を示したものであり、図1はその全体斜視図、図2はこの仕切り装置100を2台以上所定の距離を隔てて配置した側面図、図3図2中S部を示す部分拡大図である。
【0016】
図示するようにこの仕切り装置100は、中空ポール10と、この中空ポール10内に収容されるチェーン20と、ポールスタンド30とから主に構成されている。中空ポール10は、例えば高さ800~900mm、直径φ60~65mmの大きさとなっており、ポリエチレンなどの軽量で強度の高いプラスチック製のパイプで構成されている。
【0017】
この中空ポール10の上下端部はそれぞれ蓋部11によって閉じられていると共に、図3に示すようにその上端部側面には対向するように一対の凹み12,12が形成されている。そして、この凹み12,12のほぼ中央部には上方に延びたフック13,13がそれぞれ設けられている。また、図1および図3に示すようにこの凹み12,12の下部には、一対の開口部14、14が対向するように形成されており、それぞれチェーン20が通過自在となっている。
【0018】
チェーン20は、中空ポール10と同じくポリエチレンなどの軽量で強度の高いプラスチックなどで構成されており、図4に示すようにその両端には端部リング21A,21Bがそれぞれ連結されている。そして、図示するようにこの端部リング21A,21Bの最小外径は、いずれも少なくとも中空ポール10の開口部14、14の最大口径よりも大きくなっている。具体的には、開口部14、14の最大口径が約35mmであるのに対し、端部リング21A,21Bの最小外径は、約40mmとこれより大きくなっている。従って、この端部リング21A,21Bはそれぞれ通常の状態では、開口部14、14を通過できないようになっている。
【0019】
チェーン20の長さは、特に限定するものではないが、例えば2.5m程度となっており、その全部が開口部14から中空ポール10内に収納可能となっている。図4(A)は、このチェーン20の全部を中空ポール10内に収納した状態を示したものであり、この状態ではチェーン20の一端に連結された一方の端部リング21Aのみが開口部14に引っかかって外部に露出する構造となっている。これに対し、同図(B)は、このチェーン20の全部を中空ポール10から引き出した状態を示したものであり、この状態ではチェーン20の他端に連結された他方の端部リング21Bのみが開口部14の内側に引っかかるため、チェーン20が外部に脱落しない構造となっている。
【0020】
一方、図5に示すようにこの端部リング21A,21Bの一部には周方向斜めに延びる切れ目22が形成されており、この切れ目22部分から左右または上下に分離可能となっている。従って、図6(A)に示すような通常の状態から同図(B)に示すように指先などで両側から挟むように押すと、輪の一部がこの切れ目22部分から分離してその径全体を強制的に小さく(縮径)できるようになっている。また、この切れ目22部分から分離することでチェーン20との連結・分離が容易に行えるようになっている。
【0021】
ポールスタンド30は、図1および図2に示すように中心部が山形に盛り上がった略三角錐状になっており、耐衝撃性や適度な重量を有する合成ゴムなどから構成されている。そして、その三角錐の頂点には円形の嵌合溝31が形成されており、この嵌合溝31に中空ポール10の下端を嵌め込んでこれを略垂直に立てることで横転しないように支持するようになっている。
【0022】
このような構成をした本発明に係る仕切り装置100を使用するには、まず、図2に示すように複数のポールスタンド30を任意の場所に所定の間隔を隔てて配置し、各々のポールスタンド30に中空ポール10を嵌め込んで据え付ける。なお、この予めこのポールスタンド30に中空ポール10を嵌め込んで一体化してから纏めて配置してもよい。そして、図4(A)に示すように中空ポール10の開口部14に位置する一方の端部リング20Aを持って中空ポール10内のチェーン20を必要なだけ引き出してから、図3に示すようにその端部リング20Aを隣接する仕切り装置100の中空ポール10のフック13に引っ掛ける。
【0023】
これによって、図2に示すようにその仕切り装置100、100間にチェーン20が架け渡された状態となり、その間隔をチェーン20で仕切ることができる。そして、次の仕切り装置100に対しても同様な操作を繰り返すことで配置した数だけ任意の距離で所定の空間をチェーン20で連続して仕切ることができる。このとき、各仕切り装置100、100間の距離、すなわち各中空ポール10、10間の最大間隔は、チェーン20の長さ(例えば2.5m)で決まることになるが、その距離がそれより短い場合であって問題ない。
【0024】
例えば、各中空ポール10間の距離が1.5mである場合は、チェーン20の引き出し長さを1.5mよりも若干長くすれば、それ以上引き出されることがないため、チェーン20が大きく垂れ下がったり地面に着いてしまうような事態を回避することができる。すなわち、所定長さだけ引き出されたチェーン20は、図3に示すように開口部14の縁に引っかかった状態となるため、それ以上に出てきてしまうようなことはない。
【0025】
そして、その使用が終わって撤収する際は、これとは逆の操作、すなわち端部リング20Aをフック13から外してそのままチェーン20をその開口部14から中空ポール10内へ流し込むように送る動作を行うとチェーン20の自重によって滑り込むようにスムーズに中空ポール10内に流れて収容することができる。また、前述したようにチェーン20全体を中空ポール10内に収容しても、その一端に連結された端部リング20Aが開口部14に引っかかった状態となっているため、次回使用時には簡単に中空ポール10内からチェーン20を引き出すことができる。
【0026】
また、図6に示したようにこの端部リング21A,21Bは、その一部に形成した切れ目22によってその径全体を強制的に小さく(縮径)できるため、端部リング21B側からチェーン20全体を中空ポール10内に収容する際は、その端部リング21Bを指などで潰した状態で開口部14から押し込めば簡単に中空ポール10内に入れることができる。反対にこの状態からチェーン20を強く引っ張ると、この端部リング21Bが開口部14で潰れるように変形して縮径してこれを通過するため、破壊することなく中空ポール10内から取り出すこともできる。
【0027】
このように本発明に係る仕切り装置100は、中空ポール10とその中空ポール10内に収容されるチェーン20およびポールスタンド30といった簡単な構造であるため、製造コストも安価で故障なども起きにくい。また、チェーン20も繰り出しや収納作業なども簡単かつ確実に行うことができる。さらに、中空ポール10とチェーン20を樹脂で製造することにより、軽量化やコストの削減が可能となる。また、様々な色に着色したり模様シールを貼り付けることも容易にできるため、視認性を大幅に向上することができる。
【符号の説明】
【0028】
100…仕切り装置
10…中空ポール
11…蓋部
12…凹み
13…フック
14…開口部
20…チェーン
20A、21B…端部リング
22…切れ目
30…ポールスタンド
31…嵌合溝



図1
図2
図3
図4
図5
図6