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特開2024-138155粘着シート付き配線回路基板およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138155
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】粘着シート付き配線回路基板およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
H05K1/02 D
H05K1/02 E
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024123040
(22)【出願日】2024-07-30
(62)【分割の表示】P 2019193054の分割
【原出願日】2019-10-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003812
【氏名又は名称】弁理士法人いくみ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 誉大
(72)【発明者】
【氏名】湊屋 貴浩
(57)【要約】
【課題】配線回路基板を粘着シートから分離して、かかる配線回路基板を狭小な領域に円滑に実装できる粘着シート付き配線回路基板およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】粘着シート付き配線回路基板1は、ベース絶縁層8と、ベース絶縁層8の厚み方向一方面に配置される導体層9と、導体層9を被覆するように、ベース絶縁層8の厚み方向一方面に配置されるカバー絶縁層10とを備える配線回路基板2と、配線回路基板2の厚み方向一方側および他方側のいずれかの面に配置される粘着シート2とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース絶縁層と、前記ベース絶縁層の厚み方向一方面に配置される導体層と、前記導体層を被覆するように、前記ベース絶縁層の前記厚み方向一方面に配置されるカバー絶縁層とを備える配線回路基板と、
前記配線回路基板の厚み方向一方側および他方側のいずれかの面に配置される粘着シートと
を備えることを特徴とする、粘着シート付き配線回路基板。
【請求項2】
前記配線回路基板は、300mm以上の長さを有することを特徴とする、請求項1に記載の粘着シート付き配線回路基板。
【請求項3】
前記配線回路基板の前記厚み方向に直交する面方向において、前記配線回路基板を間隔を隔てて囲む補強基板をさらに備え、
前記粘着シートは、前記厚み方向に投影したときに、前記配線回路基板および前記補強基板を含み、前記面方向に連続しており、前記配線回路基板の前記面と同じ側の前記補強基板の面に配置されることを特徴とする、請求項1または2に記載の粘着シート付き配線回路基板。
【請求項4】
前記補強基板は、補強導体層を含むことを特徴とする、請求項3に記載の粘着シート付き配線回路基板。
【請求項5】
前記補強導体層は、平面視略格子形状を有することを特徴とする、請求項4に記載の粘着シート付き配線回路基板。
【請求項6】
前記配線回路基板が、前記ベース絶縁層の厚み方向他方面に配置される金属支持層をさらに備えることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の粘着シート付き配線回路基板。
【請求項7】
支持シートの厚み方向一方面に、ベース絶縁層と、導体層と、カバー絶縁層とを厚み方向一方側に向かって順に形成して、前記支持シートの前記厚み方向一方面に配線回路基板を形成する第1工程と、
第2支持シートを、前記配線回路基板の前記厚み方向一方面に接触させる第2工程と、
前記支持シートにおいて前記配線回路基板に対応する部分を除去する第3工程と
を備えることを特徴とする、粘着シート付き配線回路基板の製造方法。
【請求項8】
前記第3工程では、前記支持シートを除去し、
前記第3工程の後に、粘着シートを、前記配線回路基板の前記厚み方向他方面に粘着させる第4工程と、
前記第4工程の後に、前記第2支持シートを除去する第5工程と
をさらに備えることを特徴とする、請求項7に記載の粘着シート付き配線回路基板の製造方法。
【請求項9】
前記第2支持シートが、粘着シートであることを特徴とする、請求項7に記載の粘着シート付き配線回路基板の製造方法。
【請求項10】
前記第3工程では、前記支持シートにおいて前記配線回路基板の周囲の部分を除去することを特徴とする、請求項7~9のいずれか一項に記載の粘着シート付き配線回路基板の製造方法。
【請求項11】
前記支持シートが、金属シートであり、
前記第3工程では、前記金属シートから、前記ベース絶縁層の厚み方向他方面に配置される金属支持層を形成することを特徴とする、請求項10に記載の粘着シート付き配線回路基板の製造方法。
【請求項12】
前記配線回路基板を、前記粘着シートから第2粘着シートに転写する第6工程をさらに備えることを特徴とする、請求項10または11に記載の粘着シート付き配線回路基板の製造方法。
【請求項13】
前記配線回路基板は、300mm以上の長さを有することを特徴とする、請求項7~12のいずれか一項に記載の粘着シート付き配線回路基板の製造方法。
【請求項14】
前記第1工程では、前記支持シートの厚み方向一方面に、前記配線回路基板を間隔を隔てて囲む補強基板を形成し、
前記第2工程では、前記第2支持シートを、前記補強基板の一方面に接触させることを特徴とする、請求項7~13のいずれか一項に記載の粘着シート付き配線回路基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着シート付き配線回路基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、配線回路基板をシートに保持した配線回路基板保持シートが知られている。
【0003】
例えば、配線回路基板と、ジョイント部と、ジョイント部を介して配線回路基板を保持するシートとを備える配線回路基板保持シートが提案されている(例えば、下記特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-012713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかるに、特許文献1の記載の配線回路基板保持シートでは、ジョイント部を切断して、配線回路基板をシートから分離している。シートから分離された配線回路基板は、ジョイント部の切片(切れ端)を有する。そのため、配線回路基板が狭小な領域に実装される場合には、上記したジョイント部の切片が妨げになるという不具合がある。
【0006】
本発明は、配線回路基板を粘着シートから分離して、かかる配線回路基板を狭小な領域に円滑に実装できる粘着シート付き配線回路基板およびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明(1)は、ベース絶縁層と、前記ベース絶縁層の厚み方向一方面に配置される導体層と、前記導体層を被覆するように、前記ベース絶縁層の前記厚み方向一方面に配置されるカバー絶縁層とを備える配線回路基板と、前記配線回路基板の厚み方向一方側および他方側のいずれかの面に配置される粘着シートとを備える、粘着シート付き配線回路基板を含む。
【0008】
この粘着シート付き配線回路基板では、配線回路基板を粘着シートから剥離するだけで、上記した切片(切れ端)を有さない配線回路基板を得ることができる。そのため、かかる配線回路基板を狭小な領域に円滑に実装できる。
【0009】
本発明(2)は、前記配線回路基板は、300mm以上の長さを有する、(1)に記載の粘着シート付き配線回路基板を含む。
【0010】
しかるに、配線回路基板が300mm以上の長さを有する場合、ジョイント部を介してシートで保持するときには、多くのジョイント部を設けることが不可避となるため、上記した切片の数が増大し、そのため、上記した不具合が顕在する。
【0011】
しかし、この粘着シート付き配線回路基板からは、上記した切片(切れ端)を有さない配線回路基板を得ることができる。そのため、たとえ、長い配線回路基板であっても、これを狭小な領域に円滑に実装できる。
【0012】
本発明(3)は、前記配線回路基板の前記厚み方向に直交する面方向において、前記配線回路基板を間隔を隔てて囲む補強基板をさらに備え、前記粘着シートは、前記厚み方向に投影したときに、前記配線回路基板および前記補強基板を含み、前記面方向に連続しており、前記補強基板において前記配線回路基板の前記面と同じ側の面に配置される、(1)または(2)に記載の粘着シート付き配線回路基板を含む。
【0013】
この粘着シート付き配線回路基板は、厚み方向に投影したときに、粘着シートに含まれ、面方向に連続する補強基板をさらに備えるので、補強基板に対応する粘着シートを補強できる。そのため、配線回路基板を粘着シートから円滑かつ確実に剥離できる。
【0014】
本発明(4)は、前記補強基板は、補強導体層を含む、(3)に記載の粘着シート付き配線回路基板を含む。
【0015】
この粘着シート付き配線回路基板では、補強基板が補強導体層を含むので、補強基板に対応する粘着シートをより一層補強でき、配線回路基板を粘着シートからより一層円滑かつ確実に剥離できる。
【0016】
本発明(5)は、前記補強導体層は、平面視略格子形状を有する、(4)に記載の粘着シート付き配線回路基板を含む。
【0017】
この粘着シート付き配線回路基板では、補強導体層が平面視略格子形状を有するので、材料コストを低減できながら、補強基板に対応する粘着シートを均一に補強できる。
【0018】
本発明(6)は、前記配線回路基板が、前記ベース絶縁層の厚み方向他方面に配置される金属支持層をさらに備える、(1)~(5)のいずれか一項に記載の粘着シート付き配線回路基板を含む。
【0019】
この粘着シート付き配線回路基板では、配線回路基板が金属支持層をさらに備えるので、靱性に優れる配線回路基板を得ることができる。
【0020】
本発明(7)は、支持シートの厚み方向一方面に、ベース絶縁層と、導体層と、カバー絶縁層とを厚み方向一方側に向かって順に形成して、前記支持シートの前記厚み方向一方面に配線回路基板を形成する第1工程と、第2支持シートを、前記配線回路基板の前記厚み方向一方面に接触させる第2工程と、前記支持シートにおいて前記配線回路基板に対応する部分を除去する第3工程とを備える、粘着シート付き配線回路基板の製造方法を含む。
【0021】
この粘着シート付き配線回路基板の製造方法では、支持シートの厚み方向一方面に配線回路基板を形成し、第2支持シートを、配線回路基板の厚み方向一方面に接触させ、支持シートにおいて配線回路基板に対応する部分を除去するという簡便な方法で、上記した切片(切れ端)を有さない配線回路基板を得ることができる。
【0022】
本発明(8)は、前記第3工程では、前記支持シートを除去し、前記第3工程の後に、粘着シートを、前記配線回路基板の前記厚み方向他方面に粘着させる第4工程と、前記第4工程の後に、前記第2支持シートを除去する第5工程とをさらに備える、(7)に記載の粘着シート付き配線回路基板の製造方法を含む。
【0023】
この粘着シート付き配線回路基板の製造方法では、粘着シートを、配線回路基板の厚み方向他方面に粘着させ、その後、支持シートを除去する。そのため、配線回路基板を粘着シートから離間させれば、上記した切片(切れ端)を有さない配線回路基板を簡便に得ることができる。
【0024】
本発明(9)は、前記第2支持シートが、粘着シートである、(7)に記載の粘着シート付き配線回路基板の製造方法を含む。
【0025】
この粘着シート付き配線回路基板の製造方法では、配線回路基板の厚み方向一方面を粘着シートである第2支持シートによって確実に補強でき、その後の第3工程では、支持シートを除去するので、配線回路基板を簡便かつ確実に得ることができる。
【0026】
本発明(10)は、前記第3工程では、前記支持シートにおいて前記配線回路基板の周囲の部分を除去する、(7)~(9)のいずれか一項に記載の粘着シート付き配線回路基板の製造方法を含む。
【0027】
この粘着シート付き配線回路基板の製造方法では、配線回路基板を、支持シートにおいてその部分の外側部分から確実に分離できる。
【0028】
本発明(11)は、前記第3工程では、前記金属シートから、前記ベース絶縁層の厚み方向他方面に配置される金属支持層を形成する、(10)に記載の粘着シート付き配線回路基板の製造方法を含む。
【0029】
この粘着シート付き配線回路基板の製造方法では、ベース絶縁層の厚み方向他方面に配置される金属支持層を形成するので、靱性に優れる配線回路基板を得ることができる。
【0030】
本発明(12)は、前記配線回路基板を、前記粘着シートから第2粘着シートに転写する第6工程をさらに備える、(10)または(11)に記載の粘着シート付き配線回路基板の製造方法を含む。
【0031】
この粘着シート付き配線回路基板の製造方法では、第6工程で、配線回路基板を、粘着シートから第2粘着シートに転写するので、配線回路基板を第2粘着シートから離間させれば、上記した切片(切れ端)を有さない配線回路基板を簡便に得ることができる。
【0032】
本発明(13)は、前記配線回路基板は、300mm以上の長さを有する、(7)~(12)のいずれか一項に記載の粘着シート付き配線回路基板の製造方法を含む。
【0033】
しかるに、配線回路基板が300mm以上の長さを有する場合、ジョイント部を介してシートで保持するときには、多くのジョイント部を設けることが不可避となるため、上記した切片の数が増大し、そのため、切片を切断する手間が顕著に増大する。
【0034】
しかし、この粘着シート付き配線回路基板の製造方法では、上記した切片(切れ端)を有さない配線回路基板を得るため、たとえ、配線回路基板が300mm以上の長さを有する場合であっても、これを粘着シートから剥離するという簡便な方法で、粘着シートから配線回路基板を分離して製造できる。
【0035】
本発明(14)は、前記第1工程では、前記支持シートの厚み方向一方面に、前記配線回路基板を間隔を隔てて囲む補強基板を形成し、前記第2工程では、前記第2支持シートを、前記補強基板の一方面に接触させる、(7)~(13)のいずれか一項に記載の粘着シート付き配線回路基板の製造方法を含む。
【0036】
この粘着シート付き配線回路基板の製造方法では、第2工程では、第2支持シートを、補強基板の一方面に接触させるので、補強基板に対応する第2支持シートを補強できる。
【発明の効果】
【0037】
本発明の粘着シート付き配線回路基板によれば、配線回路基板を狭小な領域に円滑に実装できる。
【0038】
本発明の粘着シート付き配線回路基板の製造方法によれば、簡便な方法で、切片を有さない配線回路基板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1図1は、本発明の粘着シート付き配線回路基板の第1実施形態の平面図を示す。
図2図2A図2Fは、図1に示す粘着シート付き配線回路基板の製造工程断面図であり、図2Aが、支持シートの厚み方向一方面に配線回路基板を形成する第1工程、図2Bが、第2支持シートを配線回路基板の厚み方向一方面に接触させる第2工程、図2Cが、支持シートを除去する第3工程図2Dが、粘着シートを配線回路基板の厚み方向一方面に粘着させる第4工程、図2Eが、第2支持シートを除去する第5工程、図2Fが、配線回路基板を粘着シートから剥離する工程を示す。
図3図3A図3Cは、図2Aに示す配線回路基板を形成する工程をさらに説明する製造工程図であり、図3Aが、支持シートを準備する工程、図3Bが、ベース絶縁層を形成する工程、図3Cが、導体層を形成する工程を示す。
図4図4A図4Bは、図1および図2Fに示す配線回路基板を備えるカテーテルを示し、図4Aが、長尺方向に沿う断面図、図4Bが、図4AのX-X線に沿う断面図を示す。
図5図5A図5Bは、図1に示す粘着シート付き配線回路基板の変形例(補強導体層が平面視略格子形状である態様)であり、図5Aが、平面図、図5Bが、断面図を示す。
図6図6は、図1に示す粘着シート付き配線回路基板の変形例(粘着シート付き配線回路基板が複数の配線回路基板を備える態様)であり、図6Aが、平面図、図6Bが、断面図を示す。
図7図7A図7Cは、本発明の第2実施形態の製造工程断面図であり、図7Aが、粘着シートを配線回路基板の厚み方向一方面に粘着させる第2工程、図7Bが、支持シートを除去する第3工程、図7Cが、配線回路基板を粘着シートから剥離する工程を示す。
図8図8A図8Dは、本発明の第3実施形態の製造工程断面図であり、図8Aが、2つのフォトレジストのそれぞれを、支持シートと配線回路基板とのそれぞれに対して配置する工程、図8Bが、第1フォトレジストを露光して、潜像を形成する工程、図8Cが、第2フォトレジストを除去する工程、図8Dが、粘着シートを配線回路基板の厚み方向一方面に粘着する第2工程を示す。
図9図9E図9Hは、図8Dに引き続き、本発明の第3実施形態の製造工程断面図であり、図9Eが、第1フォトレジストを現像して、エッチングレジストを形成する工程、図9Fが、支持シートにおいて配線回路基板の周囲の部分をエッチングにより除去する工程、図9Gが、エッチングレジストを除去する工程図9Hが、配線回路基板を粘着シートから剥離する工程を示す。
図10図10は、本発明の第4実施形態の第6工程を説明する製造工程断面図であり、図10Aが、第2粘着シートを、配線回路基板の厚み方向他方面に粘着させる工程、図10Bが、配線回路基板を粘着シートから剥離する工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明の粘着シート付き配線回路基板の第1実施形態を図1図4Bを参照して順に説明する。なお、図1において、導体層9(後述)の形状を明瞭に示すために、カバー絶縁層10(後述)を省略している。また、配線回路基板3(後述)および補強基板4(後述)の相対配置を明確に示すために、補強導体層14(後述)は、省略している。
【0041】
図1および図2Eに示すように、この粘着シート付き配線回路基板1は、所定厚みを有し、厚み方向に直交する面方向に延びる略シート形状(板形状を含む)を有する。具体的には、粘着シート付き配線回路基板1は、面方向に含まれる第1方向の長さが長く、面方向に含まれ、第1方向に直交する第2方向の長さが短い平面視略矩形状を有する。
【0042】
粘着シート付き配線回路基板1は、粘着シート2と、配線回路基板3と、補強基板4とを備える。
【0043】
粘着シート2は、所定厚みを有し、粘着シート付き配線回路基板1と同一の平面視形状を有する。また、粘着シート2は、可撓性を有しており、これにより、配線回路基板3および補強基板4とともに巻回されていてもよい。粘着シート2は、平面視において、配線回路基板3および補強基板4を含む。粘着シート2は、面方向に連続する。粘着シート2は、例えば、支持基材(図示せず)とその厚み方向一方面に配置される粘着剤層(図示せず)とを有する。支持基材としては、例えば、金属、樹脂などが挙げられる。粘着剤層としては、公知の粘着剤(感圧接着剤)から薄層に形成されている。これにより、粘着シート2の少なくとも厚み方向一方面は、粘着性(微タック)を有する。粘着シート2の厚みは、特に限定されず、例えば、10μm以上、好ましくは、20μm以上であり、また、例えば、200μm以下、好ましくは、150μm以下である。
【0044】
粘着シート2の25℃におけるポリイミド板に対する粘着力(90度剥離接着力)は、例えば、0.05(N/20mm)以上、好ましくは、0.1(N/20mm)以上であり、また、例えば、1(N/20mm)以下、好ましくは、0.5(N/20mm)以下である。粘着シート2の粘着力が上記した下限以上であれば、粘着シート2が配線回路基板3および補強基板4を確実に粘着できる。粘着シート2の粘着力が上記した上限以下であれば、配線回路基板3を粘着シート2から容易に剥離できる。
【0045】
配線回路基板3は、可撓性を有する。配線回路基板3は、平面視において、粘着シート2に包含される。具体的には、配線回路基板3は、平面視において、粘着シート2の第1方向中間部および第2方向中間部に配置されている。配線回路基板3は、所定厚みを有し、第1方向の長さが長く、第2方向の長さが短い平面視略矩形状を有する。配線回路基板3は、第1方向両端面、および第2方向両端面を有しており、これら端面は、具体的には、上記した切片(切れ端)を含まず、平坦である。
【0046】
配線回路基板3の厚み方向他方面は、粘着シート2の厚み方向一方面に接触する。具体的には、配線回路基板3の厚み方向他方面は、粘着シート2の厚み方向一方面に粘着(接触)する。換言すれば、粘着シート2は、配線回路基板3の厚み方向他方面(他方側の面)に配置される。
【0047】
配線回路基板3の寸法は、特に限定されず、配線回路基板3の長さ(第1方向の長さ)Lが、例えば、30mm以上、好ましくは、300mm以上、より好ましくは、600mm以上、さらに好ましくは、800mm以上、とりわけ好ましくは、1,000mm以上であり、また、例えば、6,000mm以下、好ましくは、4,000mm以下である。
配線回路基板3の長さLが上記した下限以上であれば、長尺の電子機器に実装できる。
【0048】
配線回路基板3の幅(第2方向の長さ)Wは、例えば、50mm以下、好ましくは、25mm以下、より好ましくは、15mm以下であり、また、例えば、0.01mm以上である。配線回路基板3における長さ(第1方向の長さ)Lに対する幅(第2方向の長さ)Wの比(W/L)は、例えば、0.03以下、好ましくは、0.01以下、より好ましくは、0.005以下であり、また、例えば、0.00002以上である。幅Wが上記した上限以下であれば、狭小な領域に配線回路基板3を配置できる。幅の比(W/L)が上記した上限以下であれば、長尺な電子機器であり、かつ、狭小な内部に配線回路基板3を実装できる。
【0049】
配線回路基板3は、ベース絶縁層8と、導体層9と、カバー絶縁層10とを備える。配線回路基板3は、好ましくは、光導波路を備えず、ベース絶縁層8と、導体層9と、カバー絶縁層10とのみを備える。
【0050】
ベース絶縁層8は、配線回路基板3と同一の平面視形状を有する。ベース絶縁層8は、配線回路基板3の厚み方向他方面を形成する。ベース絶縁層8の材料としては、例えば、ポリイミドなどの、絶縁性を有する樹脂が挙げられる。ベース絶縁層8の厚みは、例えば、3μm以上、50μm以下である。
【0051】
導体層9は、ベース絶縁層8の厚み方向一方面に配置されている。導体層9は、第1方向に延びる複数の配線11と、複数の配線11の第1方向両端部に連続する複数の端子12とを一体的に備える。導体層9の材料としては、例えば、銅などの導体が挙げられる。
導体層9の厚みは、例えば、5μm以上、100μm以下である。
【0052】
カバー絶縁層10は、ベース絶縁層8の厚み方向一方面に、配線11を被覆し、端子12を露出するように、配置されている。なお、カバー絶縁層10において、配線11を被覆する部分は、配線回路基板3の厚み方向一方面を形成する。カバー絶縁層10の材料としては、例えば、ポリイミドなどの、絶縁性を有する樹脂が挙げられる。カバー絶縁層10の厚みは、例えば、1μm以上、30μm以下である。
【0053】
補強基板4は、平面視において、粘着シート2に包含されており、配線回路基板3の周囲に、配線回路基板3と間隔を隔てて配置されている。また、補強基板4は、配線回路基板3の周方向に沿って連続しており、具体的には、平面視略矩形枠形状を有する。粘着シート2は、配線回路基板3の厚み方向他方面と同じ側である補強基板4の厚み方向他方面に配置されている。要するに、補強基板4の厚み方向他方面は、粘着シート2の厚み方向一方面に粘着(接触)する。
【0054】
補強基板4は、補強ベース層13と、補強導体層14と、補強カバー層15とを備える。補強ベース層13と補強導体層14と補強カバー層15とのそれぞれは、配線回路基板3の上記したベース絶縁層8と導体層9とカバー絶縁層10とのそれぞれと同一層として形成されている。
【0055】
具体的には、補強ベース層13は、補強基板4の厚み方向他方面を形成する。補強ベース層13は、補強基板4と同一の平面視形状を有する。補強ベース層13の材料および厚みは、ベース絶縁層8のそれらと同一である。
【0056】
補強導体層14は、平面視において補強ベース層13に含まれる。具体的には、補強導体層14は、平面視において、補強ベース層13より幅狭の帯形状を有する。補強導体層14は、補強ベース層13の厚み方向一方面に配置されている。補強導体層14の材料および厚みは、導体層9のそれらと同一である。
【0057】
補強カバー層15は、補強導体層14の厚み方向一方面および側面と、補強ベース層13の厚み方向一方面において補強導体層14と重ならない部分とに配置されている。補強カバー層15は、補強基板4の厚み方向一方面を形成する。補強カバー層15の材料および厚みは、カバー絶縁層10のそれらと同一である。
【0058】
補強基板4の幅W1は、補強基板4の内周面と外周面との距離であって、具体的には、例えば、0.1mm以上、好ましくは、0.5mm以上であり、また、例えば、50mm以下、好ましくは、30mm以下である。
【0059】
粘着シート2において、平面視において、配線回路基板3および補強基板4の間の領域は、隔離領域5として区画される。隔離領域5は、配線回路基板3と補強基板4とを隔てる。隔離領域5には、配線回路基板3および補強基板4が配置されていない。この隔離領域5には、配線回路基板3の外周面と、補強基板4の内周面とが臨む。また、隔離領域5からは、これに対応する粘着シート2の厚み方向一方面が厚み方向一方側に露出する。
【0060】
隔離領域5の幅W2は、配線回路基板3の外周面と、補強基板4の内周面との距離であって、具体的には、例えば、10μm以上、好ましくは、20μm以上であり、また、例えば、2000μm以下、好ましくは、1000μm以下である。隔離領域5の幅W2が上記した下限以上であれば、配線回路基板3を粘着シート2から円滑に剥離できる。隔離領域5の幅W2が上記した上限以下であれば、配線回路基板3を粘着シート2から剥離するときに、粘着シート2を確実に補強できる。
【0061】
次に、第1実施形態の粘着シート付き配線回路基板1の製造方法を説明する。この方法は、第1工程~第5工程(図2A図2E参照)を備える。この方法では、第1工程~第5工程が順に実施される。
[第1工程]
第1工程では、図2Aに示すように、支持シート17の厚み方向一方面に、ベース絶縁層8と、導体層9と、カバー絶縁層10とを厚み方向一方側に向かって順に形成する。併せて、補強ベース層13と、補強導体層14と、補強カバー層15とを厚み方向一方側に向かって順に形成する。これによって、配線回路基板3と、補強基板4とを、支持シート17の厚み方向一方面に同時に製造する。
【0062】
まず、図3Aに示すように、支持シート17を準備する。支持シート17は、粘着シート2および配線回路基板3を厚み方向他方側から支持(確保)できるシートであれば、特に限定されず、例えば、靱性、可撓性、剛性などの有するシートが挙げられる。支持シート17としては、例えば、ステンレス板などの金属板、例えば、ポリイミドシートなどの樹脂シート(感光性樹脂シートを含む)(非粘着性シート)、例えば、紙などが挙げられる。支持シート17として、優れた靱性および優れた剛性を確保する観点から、好ましくは、金属シート、より好ましくは、ステンレスシートが挙げられる。また、支持シート17は、単層または複層(積層体)である。支持シート17の厚みは、特に限定されず、例えば、5μm以上、好ましくは、15μm以上であり、また、例えば、5,000μm以下、好ましくは、500μm以下である。
【0063】
続いて、図3Bに示すように、感光性の樹脂のワニスを、支持シート17の厚み方向一方面に塗布し、フォトリソグラフィにより、ベース絶縁層8および補強ベース層13を同時に形成する。次いで、図3Cに示すように、導体層9および補強導体層14のそれぞれを、ベース絶縁層8および補強ベース層13のそれぞれの厚み方向一方面に、アディティブ法、サブトラクティブ法などにより、形成する。その後、感光性の樹脂のワニスを、導体層9および補強ベース層13の厚み方向一方面と、ベース絶縁層8において導体層9から露出する厚み方向一方面と、補強ベース層13において補強導体層14から露出する厚み方向一方面と、支持シート17においてベース絶縁層8および補強ベース層13から露出する厚み方向一方面とに塗布し、フォトリソグラフィにより、図2Aに示すように、カバー絶縁層10および補強カバー層15を同時に形成する。
【0064】
これにより、第1工程では、支持シート17の厚み方向一方面に、配線回路基板3および補強基板4を同時に形成する。
[第2工程]
第2工程では、図2Bに示すように、第2支持シート18を、配線回路基板3および補強基板4の厚み方向一方面に接触させる。
【0065】
図2Aに示すように、第2支持シート18は、配線回路基板3および補強基板4を厚み方向一方側から支持(確保)できるシートであれば、特に限定されず、例えば、支持シート17と同様のシート(板)が挙げられる。第2支持シート18としては、好ましくは、樹脂シートが挙げられ、より好ましくは、レジスト用の樹脂シート、さらに好ましくは、第5工程において第2支持シート18を簡単に除去する(図2F参照)観点から、感光性樹脂シート、とりわけ好ましくは、感光性ドライフィルムレジスト(具体的には、感光前の感光性ドライフィルムレジスト)が挙げられる。
【0066】
図2Bに示すように、第2支持シート18が柔軟で追従性を有する樹脂シートであれば、第2工程では、第2支持シート18が、配線回路基板3および補強基板4の周側面と、粘着シート2において配線回路基板3および補強基板4の周囲の厚み方向一方面とに接触する。
[第3工程]
第3工程では、図2Cに示すように、支持シート17を除去する。支持シート17を除去する方法としては、特に限定されず、例えば、剥離、エッチングなどが挙げられる。支持シート17を除去することにより、配線回路基板3の厚み方向他方面と、補強基板4の厚み方向他方面と、粘着シート2において配線回路基板3および配線回路基板3の周囲の厚み方向他方面とが、厚み方向他方側に露出する。配線回路基板3および補強基板4の厚み方向他方面と、粘着シート2の厚み方向他方面とは、例えば、面一である。
【0067】
底面視で、配線回路基板3と、補強基板4とは、間隔が隔てられている。しかし、第2支持シート18がそれらを少なくとも厚み方向一方側から支持する。好ましくは、第2支持シート18は、配線回路基板3と補強基板4とを、面方向両側からも支持する。そのため、配線回路基板3と補強基板4とは、第2支持シート18から脱離しない。つまり、配線回路基板3と補強基板4とは、第2支持シート18によって保持される。
[第4工程]
第4工程では、図2Dに示すように、粘着シート2を、配線回路基板3、補強基板4および第2支持シート18の厚み方向他方面に粘着させる。粘着シート2の厚み方向一方面と、配線回路基板3、補強基板4および第2支持シート18の厚み方向他方面とを接触させる。
[第5工程]
第5工程では、図2Eに示すように、第2支持シート18を除去する。第2支持シート18を除去する方法として、剥離、エッチング(ウエットエッチングなど)などが挙げられる。
【0068】
これにより、配線回路基板3と、補強基板4とを、粘着シート2の厚み方向一方面に支持された状態で得る。つまり、配線回路基板3と、補強基板4と、配線回路基板3および補強基板4の厚み方向他方面に配置される粘着シート2とを備える粘着シート付き配線回路基板1を製造する。
【0069】
なお、平面視において、配線回路基板3と、補強基板4とは、間隔が隔てられているが、粘着シート2が配線回路基板3および補強基板4を厚み方向他方側からまとめて支持するので、配線回路基板3と補強基板4とが、粘着シート2から脱離しない。
【0070】
その後、図2Fに示すように、配線回路基板3を、粘着シート2から剥離する。剥離され具体的には、図2Fの矢印で示すように、配線回路基板3が粘着シート2に対して厚み方向一方側に移動する。
【0071】
配線回路基板3は、別の電子機器に実装される。電子機器としては、特に限定されず、好ましくは、カテーテルが挙げられる。
【0072】
配線回路基板が実装されたカテーテルを図4A図4Bを参照して説明する。カテーテル51は、配線回路基板3と、配線回路基板3の端子12と電気的に接続される電子部品52と、それらを収容するカテーテルチューブ53とを備える。カテーテルチューブ53は、長尺の筒形状を有する。好ましくは、カテーテルチューブ53は、円筒形状を有する。長尺方向に直交する方向に沿う断面視で、カテーテルチューブ53の重心を通過する線上にある2つの内面間の最大距離(好ましくは、内径)Dが、例えば、50mm以下、好ましくは、30mm以下、より好ましくは、20mm以下であり、また、例えば、1mm以上である。最大距離Dが上記した上限以下であれば、カテーテル51は、人体への負荷を低減できる。
【0073】
(第1実施形態の作用効果)
そして、この粘着シート付き配線回路基板1では、図2Fに示すように、配線回路基板3を粘着シート2から剥離するだけで、切片(切れ端)を有さない配線回路基板3を得ることができる。そのため、かかる配線回路基板3を狭小な領域に円滑に実装できる。
【0074】
しかるに、配線回路基板3が300mm以上の長さLを有し、かつ、上記した切片(切れ端)を有する場合、ジョイント部を介してシートで保持するときには、多くのジョイント部を設けることが不可避となるため上記した切片の数が増大し、そのため、上記した不具合が顕在する。
【0075】
しかし、この粘着シート付き配線回路基板1からは、上記した切片(切れ端)を有さない配線回路基板3を得ることができる。そのため、長い配線回路基板3であっても、これを狭小な領域に円滑に実装できる。
【0076】
また、この粘着シート付き配線回路基板1は、厚み方向に投影したときに、粘着シート2に含まれ、面方向に連続する補強基板4をさらに備える。そのため、補強基板4に対応する粘着シート2を補強できる。そのため、配線回路基板3を粘着シート2から円滑かつ確実に剥離できる。
【0077】
この粘着シート付き配線回路基板1では、補強基板4が補強導体層14を含むので、補強基板4に対応する粘着シート2をより一層補強でき、配線回路基板3を粘着シート2からより一層円滑かつ確実に剥離できる。
【0078】
粘着シート付き配線回路基板1の製造方法では、図2Aに示すように、支持シート17の厚み方向一方面に配線回路基板3を形成し、次いで、図2Bに示すように、第2支持シート18を、配線回路基板3の厚み方向一方面に接触させ、その後、図2Cに示すように、支持シート17を除去するという簡便な方法で、上記した切片(切れ端)を有さない配線回路基板3を得ることができる。
【0079】
さらに、図2Dに示すように、粘着シート2を、配線回路基板3の厚み方向他方面に粘着させ、その後、図2Eに示すように、第2支持シート18を除去する。そのため、配線回路基板3を粘着シート2から剥離すれば、上記した切片(切れ端)を有さない配線回路基板3を簡便に得ることができる。
【0080】
しかるに、配線回路基板3が300mm以上の長さLを有する場合には、上記した切片の数が増大し、そのため、切片を切断する手間が顕著に増大する。
【0081】
しかし、この粘着シート付き配線回路基板1の製造方法では、上記した切片(切れ端)を有さない配線回路基板3を得るため、たとえ、配線回路基板3が300mm以上の長さLを有する場合であっても、これを粘着シート2から剥離するという簡便な方法で、配線回路基板3を粘着シート2から分離して製造できる。
【0082】
この方法の第2工程では、図2Bに示すように、第2支持シート18を、補強基板4の一方面に接触させるので、その後、図2Cに示すように、図3工程において、支持シート17を除去しても、補強基板4によって配線回路基板3の周囲が補強された第2支持シート18が、配線回路基板3を確実に支持できる。
【0083】
この方法では、図2Bに示す第2工程において、第2支持シート18は、柔軟で追従性を有すれば、配線回路基板3の両側面を被覆するので、カバー絶縁層10から露出する端子12(図2Bにおいて図示せず)の周側面も被覆できる。そのため、図2Cに示す第3工程で、剥離液やエッチング液を用いるときでも、端子12の周側面を剥離液やエッチング液から保護できる。そのため、この配線回路基板3は、信頼性に優れる。
【0084】
<変形例>
以下の各変形例において、上記した第1実施形態と同様の部材および工程については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、各変形例は、特記する以外、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。さらに、第1実施形態およびその変形例を適宜組み合わせることができる。
【0085】
図5A図5Bに示すように、補強導体層14が、平面視略格子形状を有する。そのため、材料コストを低減できながら、この補強基板4に対応する粘着シート2を均一に補強できる。
【0086】
なお、補強導体層14の平面視形状は、上記に限定されず、例えば、図示しないが、ハニカム形状、三角形状、ドット形状などが挙げられる。
【0087】
粘着シート付き配線回路基板1は、1つの配線回路基板3を備えるが、例えば、図6に示すように、複数の配線回路基板3を備えることができる。
【0088】
図6に示すように、複数の配線回路基板3は、第1方向および第2方向に間隔が隔てられる。補強基板4は、複数の配線回路基板3のそれぞれの周囲に連続して配置される。補強基板4は、具体的には、平面視略格子形状を有する。
【0089】
第1実施形態の第3工程では、図2Cに示すように、支持シート17の全部を除去する。変形例では、図示しないが、支持シート17において配線回路基板3に対応する部分のみを除去する。詳しくは、この変形例では、支持シート17において、補強基板4および隔離領域5に対応する部分を残し、配線回路基板3に対応する部分を除去する。つまり、本発明では、第3工程において、支持シート17において少なくとも配線回路基板3に対応する部分を除去すればよい。
【0090】
補強基板4は、補強ベース層13、補強導体層14および補強カバー層15を備えるが、3層のうちいずれか1層のみでもよく、また、いずれか2層であってもよい。好ましくは、少なくとも補強導体層14を含む1層~3層である。具体的には、補強基板4として、補強導体層14のみである1層、補強導体層14および補強ベース層13の2層、補強導体層14および補強カバー層15の2層、補強ベース層13、補強導体層14および補強カバー層15の3層が挙げられる。補強基板4が少なくとも補強導体層14を備えれば、補強基板4に対応する粘着シート2をより一層補強でき、配線回路基板3を粘着シート2からより一層円滑かつ確実に剥離できる。
【0091】
また、図示しないが、粘着シート付き配線回路基板1は、補強基板4を備えなくてもよい。好ましくは、第1実施形態のように、粘着シート付き配線回路基板1が補強基板4を備える。第1実施形態であれば、補強基板4に対応する粘着シート2を補強できる。そのため、配線回路基板3を粘着シート2から円滑かつ確実に剥離できる。
[第2実施形態]
第2実施形態において、上記した第1実施形態およびその変形例と同様の部材および工程については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、第2実施形態は、特記する以外、第1実施形態およびその変形例と同様の作用効果を奏することができる。さらに、第1実施形態、その変形例および第2実施形態を適宜組み合わせることができる。
【0092】
第2実施形態では、図7A図7Bに示すように、第2支持シート18として粘着シート2を用い、第1工程~第3工程を順に実施する一方、第1実施形態の第4工程~第5工程を実施しない。
[第1工程]
第1工程では、図2Aに示すように、第2実施形態でも、第1実施形態と同様に、第1工程では、支持シート17の厚み方向一方面に、ベース絶縁層8と、導体層9と、カバー絶縁層10とを厚み方向一方側に向かって順に形成する。併せて、支持シート17の厚み方向一方面に、補強ベース層13と、補強導体層14と、補強カバー層15とを厚み方向一方側に向かって順に形成する。これによって、配線回路基板3および補強基板4を同時に、支持シート17の厚み方向一方面に製作する。
[第2工程]
第2工程では、図7Aの矢印で示すように、粘着シート2を、配線回路基板3および補強基板4の厚み方向一方面に接触させる。具体的には、粘着シート2の厚み方向他方面を、配線回路基板3および補強基板4の厚み方向一方面に粘着させる。
[第3工程]
第3工程では、図7Bに示すように、支持シート17を除去する。
【0093】
これにより、配線回路基板3と、補強基板4と、配線回路基板3および補強基板4の厚み方向一方面が配置される粘着シート2とを備える。
【0094】
その後、図7Cに示すように、配線回路基板3を、粘着シート2から剥離する。具体的には、図7Cの矢印で示すように、配線回路基板3が粘着シート2に対して厚み方向他方側に移動する。
【0095】
(第2実施形態の作用効果)
第2実施形態は、図7Aに示すように、粘着シート2を、配線回路基板3の厚み方向他方面に粘着させ、その後、図7Bに示すように、支持シート17を除去する。そのため、配線回路基板3を粘着シート2から離間させれば、上記した切片(切れ端)を有さない配線回路基板3を簡便に得ることができる。また、第4工程および第5工程を実施しないため、工数を低減できる。さらに、第2支持シート18を用いないため、製造コストを低減できる。
【0096】
一方、第2実施形態は、図7Bに示すように、粘着シート2が配線回路基板3の厚み方向一方面に粘着している。そのため、配線回路基板3を粘着シート2から剥離する際、端子12(図7Bにおいて図示せず)の厚み方向一方面に糊残りし、そのため、端子12における電気的な接続信頼性が低下する場合がある。他方、第1実施形態では、図2Eに示すように、粘着シート2が配線回路基板3の厚み方向他方面に粘着している。そのため、配線回路基板3を粘着シート2から剥離する際、ベース絶縁層8の厚み方向他方面に糊残りしても、端子12(図2Eにおいて図示せず)における上記した接続信頼性の低下を抑制できる。
[第3実施形態]
第3実施形態において、上記した第1実施形態、その変形例および第2実施形態と同様の部材および工程については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、第3実施形態は、特記する以外、第1実施形態、その変形例および第2実施形態と同様の作用効果を奏することができる。さらに、第1実施形態、その変形例、第2実施形態および第3実施形態を適宜組み合わせることができる。
【0097】
図9Hに示すように、配線回路基板3は、金属支持層20をさらに備える金属支持層付き配線回路基板である。この配線回路基板3は、金属支持層20と、ベース絶縁層8と、導体層9と、カバー絶縁層10とを備える。配線回路基板3は、好ましくは、光導波路を備えず、金属支持層20と、ベース絶縁層8と、導体層9と、カバー絶縁層10とのみを備える。
【0098】
金属支持層20は、ベース絶縁層8の厚み方向他方面に配置されている。金属支持層20は、底面視において、ベース絶縁層8に含まれており、ベース絶縁層8より小さい。そのため、金属支持層20は、ベース絶縁層8の厚み方向他方面の周端部を露出する。金属支持層20は、配線回路基板3の厚み方向他方面を形成する。金属支持層20の材料としては、例えば、金属が挙げられ、好ましくは、優れた靱性を確保する観点から、ステンレスが挙げられる。金属支持層20の厚みは、例えば、5μm以上、100μm以下である。
【0099】
補強基板4は、補強金属支持層26をさらに備える。補強基板4は、補強金属支持層26と、補強ベース層13と、補強導体層14と、補強カバー層15とを備える。
【0100】
補強金属支持層26は、平面視において、補強ベース層13に含まれる。補強金属支持層26は、補強基板4の厚み方向他方面を形成する。補強金属支持層26において金属支持層20に面する内端面は、厚み方向に投影したときに、補強ベース層13においてベース絶縁層8に面する内端面より、外側に配置される。補強金属支持層26は、金属支持層20と同一層として形成されている。
【0101】
金属支持層20および補強金属支持層26を備える粘着シート付き配線回路基板1の製造方法を図2Aおよび図8A図9Hを参照して説明する。
【0102】
この方法では、第1工程~第3工程を順に実施する。
[第1工程]
第1工程では、図2Aに示すように、第1実施形態の第1工程と同様に、支持シート17の厚み方向一方面に、ベース絶縁層8と、導体層9と、カバー絶縁層10とを厚み方向一方側に向かって順に形成する。同時に、支持シート17の厚み方向一方面に、補強ベース層13と、補強導体層14と、補強カバー層15とを厚み方向一方側に向かって順に形成する。これによって、配線回路基板3と、補強基板4とを、支持シート17の厚み方向一方面に製造する。
【0103】
第1工程では、支持シート17は、好ましくは、金属板であり、より好ましくは、ステンレス板である。支持シート17は、金属支持層20および補強金属支持層26を形成するための金属シートである。
[第2工程]
第2工程では、図8Dに示すように、第2実施形態の第2工程と同様に、粘着シート2を、配線回路基板3および補強基板4の厚み方向一方面に接触させる。
[第3工程]
第3工程では、図9Eに示すように、支持シート17において配線回路基板3の周囲の部分を除去する。これにより、支持シート17の隔離領域5が厚み方向他方側に向かって露出する。例えば、エッチングレジスト24(図8A参照)を用いて、支持シート17をエッチングする。エッチングレジスト24は、金属支持層20および補強金属支持層26と同一パターンを有する。エッチングレジスト24は、フォトレジスト21をフォトリソグラフィすることによって形成される。
【0104】
エッチングレジスト24を形成するには、例えば、まず、図8Aに示すように、第1工程の後であって、第2工程の前に、2つのフォトレジスト21のそれぞれを、支持シート17と、配線回路基板3および補強基板4とのそれぞれに配置する。具体的には、第1フォトレジスト21Aを、支持シート17の厚み方向他方面に配置する。第2フォトレジスト21Bを、配線回路基板3および補強基板4の厚み方向一方面に配置する。
【0105】
その後、図8Bに示すように、フォトリソグラフィによって、第1フォトレジスト21Aを図示しないフォトマスクを介して露光して、残存予定部分22および除去予定部分23からなる潜像を形成する。一方、第2フォトレジスト21Bは、露光しない。そのため、第2フォトレジスト21Bは、除去予定部分23となる。なお、フォトレジスト21がネガ型であれば、残存予定部分22が露光部分であり、除去予定部分23が未露光部分である。
【0106】
続いて、図8Cに示すように、第2フォトレジスト21Bのみを現像により除去する。具体的には、第1フォトレジスト21Aを現像せずに残し、第2フォトレジスト21Bを現像により除去する。その後、第3工程において、図8Dに示すように、第2フォトレジスト21Bが配置されていた、配線回路基板3および補強基板4の厚み方向一方面に、粘着シート2を配置する。
【0107】
第3工程の後、図9Eに示すように、第1フォトレジスト21Aを現像して、エッチングレジスト24を形成する。第1フォトレジスト21Aの現像では、除去予定部分23が除去され、残存予定部分22が残存してエッチングレジスト24となる。
【0108】
その後、図9Fに示すように、エッチングレジスト24から露出する支持シート17をエッチングして、金属支持層20および補強金属支持層26を形成する。
【0109】
これにより、配線回路基板3と、補強基板4とを、粘着シート2の厚み方向他方面に支持された状態で得る。つまり、配線回路基板3および補強基板4と、それらの厚み方向一方面に配置される粘着シート2とを備える粘着シート付き配線回路基板1を製造する。
【0110】
その後、図9Hの矢印で示すように、配線回路基板3を粘着シート2に対して厚み方向他方側に移動させることにより、配線回路基板3を粘着シート2から剥離する。
【0111】
(第3実施形態の作用効果)
この粘着シート付き配線回路基板1およびその製造方法では、配線回路基板3が金属支持層20をさらに備えるので、靱性に優れる配線回路基板3を得ることができる。
【0112】
また、この方法では、図9Fに示すように、支持シート17において配線回路基板3の周囲の部分を除去するので、配線回路基板3を、支持シート17においてその部分の外側部分から確実に分離できる。
[第4実施形態]
第4実施形態において、上記した第1実施形態、その変形例、第2実施形態および第3実施形態と同様の部材および工程については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、第1実施形態、その変形例、第2実施形態および第3実施形態は、特記する以外、第1実施形態、その変形例、第2実施形態および第3実施形態と同様の作用効果を奏することができる。さらに、第1実施形態、その変形例、第2実施形態~第4実施形態を適宜組み合わせることができる。
【0113】
第4実施形態では、第3実施形態で製造し、図9Gに示す配線回路基板3を、補強基板4とともに、図10A図10Bに示すように、第2粘着シート25に転写する(第6工程)。
【0114】
具体的には、図10Aに示すように、第2粘着シート25を、配線回路基板3および補強基板4の厚み方向他方面に接触(粘着)させる。第2粘着シート25は、粘着シート2と同様の構成を有する。但し、第2粘着シート25の粘着力は、粘着シート2の粘着力より大きい。
【0115】
その後、図10Bに示すように、粘着シート2を、配線回路基板3および補強基板4の厚み方向一方面から剥離する。
【0116】
これにより、配線回路基板3と、補強基板4とを、第2粘着シート25の厚み方向一方面に支持された状態で得る。つまり、配線回路基板3および補強基板4と、それらの厚み方向他方面に配置される第2粘着シート25とを備える粘着シート付き配線回路基板1を製造する。
【0117】
図10Bの仮想線および矢印で示すように、配線回路基板3を第2粘着シート25に対して厚み方向一方側に移動させることにより、配線回路基板3を第2粘着シート25から剥離する。
【0118】
(第4実施形態の作用効果)
そして、この方法では、第6工程で、配線回路基板3を、粘着シート2から第2粘着シート25に転写するので、図10Bの仮想線および矢印で示すように、配線回路基板3を第2粘着シート25から離間させれば、上記した切片(切れ端)を有さない配線回路基板3を簡便に得ることができる。
【0119】
第3実施形態では、図9Gに示すように、配線回路基板3(カバー絶縁層10)粘着シート2の厚み方向他方面に粘着させ、その後、配線回路基板3を厚み方向他方側に移動させて、配線回路基板3を得る。対して、第4実施形態では、配線回路基板3(金属支持層20)を粘着シート2の厚み方向一方面に粘着させ、その後、配線回路基板3を厚み方向一方側に移動させて、配線回路基板3を得る。従って、配線回路基板3を粘着シート2の厚み方向一方面および他方面のいずれの面に粘着させるか、または、配線回路基板3を厚み方向一方側および他方側のいずれの方向に移動させるかを、配線回路基板3の使用状況に応じて、第3また第4実施形態を適宜選択する。
【符号の説明】
【0120】
1 粘着シート付き配線回路基板
2 粘着シート
3 配線回路基板
4 補強基板
7 補強基板
8 ベース絶縁層
9 導体層
10 カバー絶縁層
14 補強導体層
17 支持シート
18 第2支持シート
20 金属支持層
25 第2粘着シート
L 長さ(配線回路基板)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10