(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138180
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】集束回転噴射紡績デバイスおよびそれらの使用の方法
(51)【国際特許分類】
D01D 5/18 20060101AFI20240927BHJP
D01D 5/04 20060101ALI20240927BHJP
D01D 5/08 20060101ALI20240927BHJP
D04H 1/4382 20120101ALI20240927BHJP
D04H 1/736 20120101ALI20240927BHJP
D04H 1/732 20120101ALI20240927BHJP
【FI】
D01D5/18
D01D5/04
D01D5/08 C
D01D5/08 E
D04H1/4382
D04H1/736
D04H1/732
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024123651
(22)【出願日】2024-07-30
(62)【分割の表示】P 2021540413の分割
【原出願日】2020-01-14
(31)【優先権主張番号】62/792,036
(32)【優先日】2019-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】507044516
【氏名又は名称】プレジデント アンド フェローズ オブ ハーバード カレッジ
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】チーハン リウ
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン キット パーカー
(72)【発明者】
【氏名】フイビン チャン
(57)【要約】
【課題】集束回転噴射紡績デバイスおよびそれらの使用の方法の提供。
【解決手段】ミクロンまたはナノメートル寸法の高分子繊維の集束方向堆積のためのシステムおよび方法、およびそのような繊維の材料が、本明細書に説明される。システムおよび方法は、1つ以上のガス流を採用し、回転噴射紡績システムによって生成された繊維を取り込み、偏向させ、集束繊維流れを形成する。いくつかの実施形態は、比較的に高い繊維処理能力を用いて繊維の整列および分布の制御を可能にする。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、その全内容が参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる2019年1月14日に出願された米国仮出願第62/792,036号の利益および優先権を主張する。
【0002】
(政府の支援)
本発明は、米国科学財団によって与えられた認可番号DMR-1420570に基づいて政府の支援を受けて作製された。政府は、本発明においてある権利を有する。
【0003】
(技術分野)
本開示の実施形態は、空気流収束を使用して繊維の運動を操作するための方向性回転噴射紡績システムに関する。
【背景技術】
【0004】
繊維状構造は、以下の多くの機能のために自然および技師によって使用されている:繊維補強、濾過、熱絶縁、作動制御等。これらの機能の実現は、繊維の直径および3D編成の両方に大いに依拠する。多くの生物学的組織は、複雑な3次元整列において配置された小さい直径の繊維(例えば、ミクロンスケールまたはナノスケール直径の繊維)から成る。例えば、人体の運動を制御する筋線維は、直径が約10μm~約100μmであり、作動の方向に沿って線維束に束ねられている。別の例として、細胞外マトリクスの主要な成分であるコラーゲン細線維は、直径が約10nm~約100nmであり、異なる組織の異なる機械的特性のための多種多様な構造に編成されている。人間は、約100μm以上の直径を伴う厚い繊維状構造を工学設計することに成功した歴史を有しているが、従来の技術を用いて繊維整列および編成を制御して約10μm以下の直径を伴う微細な繊維状構造を工学設計することは、課題のままである。課題のうちの1つは、
図1A-1Cに示されるように、2つの主要な繊維製造技法であるランダム繊維堆積(ランダムFD)および押し出し3D印刷(押し出し3DP)の比較によって図示されるように、微細な繊維直径、複雑な3次元(3D)構造、および高処理能力の同時実現にある。例えば、メルトブローおよびエレクトロスピニング等のランダムFD技法では、繊維は、ランダムに配置された群において標的に接近し、繊維整列および3D幾何学形状に対する不良な制御を示し得る。群の内側の空間分布も、繊維の向きも、調整されていない。繊維群に対する不良な制御は、堆積に対する不良な制御につながる。対照的に、押し出し3DPは、繊維の各部分の堆積の場所および整列を精密に制御する可動ノズルを通して繊維を押し出す。しかしながら、押し出し3DPは、低い処理能力を有する。両方の技法は、広い範囲の直径にわたる繊維を生成することが可能であるが、押し出し3DPのみが、複雑な3D構造を生成することができる一方、ランダムFDは、微細な繊維に関する処理能力において桁違いに有利である。処理能力の限界は、固有であり、同じ体積を満たすために、要求される繊維の長さは、繊維直径が減少するにつれて急速に増加する。押し出し3DPは、繊維の長さ(例えば、いくつかの用途に関して長さが>100km)を辿る必要性がある一方、繊維堆積は、そうではない。
【0005】
故に、高処理能力を伴う小さい直径の繊維(例えば、10ミクロン未満の直径を有する繊維)の複雑な3D構造の生成を可能にする改良されたシステムの必要性が、当技術分野に存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のいくつかの実施形態は、外部から与えられたガス(例えば、空気流)を通して繊維運動を操作し、繊維の方向性流れを形成するように構成された回転噴射紡績システムを含む。いくつかの実施形態は、繊維整列の制御を可能にし、比較的に高い処理能力を有する。
【0007】
いくつかの実施形態は、1本以上のミクロンまたはナノメートル寸法の高分子繊維の集束方向性堆積のためのシステムを提供する。システムは、ポリマーを含む材料を保持するように構成され、回転軸まわりに回転可能であるリザーバを含む。リザーバは、第1の端部と、第1の端部と反対側の第2の端部と、第1の端部から第2の端部まで延びている外側側壁であって、リザーバの形状は、ガスが、リザーバを通して第1の端部から第2の端部に移動することを可能にするように構成されたリザーバの外側側壁から半径方向に内側に配置された1つ以上の開口を含む外側側壁と、外側側壁内に形成された1つ以上のオリフィスであって、1つ以上のオリフィスの各々は、リザーバの回転中の射出された噴射としてのオリフィスを通した半径方向に外向きの材料の射出のために構成された1つ以上のオリフィスとを含む。システムは、各々が、リザーバの回転中、リザーバの第1の端部の上流からリザーバの1つ以上の開口を通して、リザーバの第1の端部から第2の端部に、リザーバの第2の端部の下流にガスの流動を方向付けるように構成された1つ以上のガス流源であって、1つ以上のガス流源は、1つ以上の射出された噴射を取り込み、偏向させる、リザーバの第2の端部の下流の第1の方向における組み合わせられたガス流を集合的に形成し、第1の方向における1本以上のミクロンまたはナノメートル寸法の高分子繊維の集束流れを形成し、第1の方向は、リザーバの回転軸の5度以内である向きを有する、1つ以上のガス流源を含む。
【0008】
いくつかの実施形態において、1つ以上のガス流源は、第1の方向における組み合わせられたガス流を形成するための収束している向きを有する複数のガス流源を備えている。いくつかの実施形態において、ガス流源のうちの他のものに対する複数のガス流源のうちの少なくとも一部のガス流量は、平衡した組み合わせられたガス流を達成するために制御可能である。いくつかの実施形態において、複数のガス流源の数および複数のガス流源の配置は、リザーバの回転中の任意の単一の時点において、複数のガス流源の全てからのガス流がリザーバの1つ以上の開口のうちのある開口を通して流動するか、または、複数のガス流源の全てからのガス流がリザーバによって遮断されるように構成される。いくつかの実施形態において、複数のガス流源は、3つのガス流源を備えている。
【0009】
いくつかの実施形態において、1つ以上のガス流源からの合計ガス流量は、ミクロンまたはナノメートル寸法の高分子繊維の流れが最もきつい焦点を有するリザーバからの距離を変化させるために制御可能である。
【0010】
いくつかの実施形態において、第1の方向は、回転の軸の2度以内である。いくつかの実施形態において、第1の方向は、回転の軸に実質的に平行である。
【0011】
いくつかの実施形態において、1本以上のミクロンまたはナノメートル寸法の高分子繊維の集束流れは、リザーバの外側側壁の直径より小さい流れ幅を有する。
【0012】
いくつかの実施形態において、システムは、複数のガス流源の上流に配置され、ミクロンまたはナノメートル寸法の高分子繊維の流れの集束に対する複数のガス流源の上流の空気流の影響を低減させるように構成された流動遮断構造をさらに備えている。いくつかの実施形態において、流動遮断構造は、回転リザーバの上流に配置され、少なくとも部分的に回転リザーバの上流からの空気流を遮断するように構成され、リザーバの回転に起因する空気流と1つ以上の開口を通したガスの流動との間の相互作用に対する回転リザーバの上流からの空気流の影響を低減させる。いくつかの実施形態において、流動遮断構造は、静止しており、リザーバとともに回転しない。いくつかの実施形態において、流動遮断構造は、ガスの流動およびリザーバの回転によって発生させられる渦の構造の強化された制御を可能にし、それによって、繊維が標的に向かって進行するとき、ミクロンまたはナノメートル寸法の高分子繊維の堆積の側面積の制御を改良する。
【0013】
いくつかの実施形態において、1つ以上のガス流源は、ガスの流量の制御を可能にし、繊維が標的に向かって進行するとき、ミクロンまたはナノメートル寸法の高分子繊維の堆積の側面積を集束させるように構成される。
【0014】
いくつかの実施形態において、システムは、堆積中に3次元標的を回転させ、標的の2つ以上の側面上に繊維を堆積させるように構成された標的回転システムをさらに備えている。
【0015】
いくつかの実施形態において、システムは、ハンドヘルドであるように構成される。
【0016】
いくつかの実施形態において、システムは、射出されたポリマー材料の凝固、沈殿、または架橋のための槽を保持するように構成された凝固、沈殿、または架橋リザーバをさらに備えている。
【0017】
いくつかの実施形態において、システムは、リザーバへの送達に先立って、またはリザーバ内にある間にポリマー材料を加熱するための熱源をさらに備えている。
【0018】
いくつかの実施形態において、システムは、繊維の共堆積のために構成され、第2のポリマーを含む第2の材料を保持するように構成され、第2の回転軸まわりに回転可能である第2のリザーバをさらに含む。第2のリザーバは、第1の端部と、第1の端部と反対側の第2の端部と、第1の端部から第2の端部まで延びている外側側壁であって、第2のリザーバの形状は、ガスが、リザーバを通して第1の端部から第2の端部に移動することを可能にするように構成されたリザーバの外側側壁から半径方向に内側に配置された1つ以上の開口を含む外側側壁と、外側側壁内に形成された1つ以上のオリフィスであって、1つ以上のオリフィスの各々は、第2のリザーバの回転中の第2の射出された噴射としてのオリフィスを通した半径方向に外向きの第2のポリマー材料の射出のために構成された1つ以上のオリフィスとを含む。システムは、各々が、第2のリザーバの回転中、第2のリザーバの第1の端部の上流から第2のリザーバの1つ以上の開口を通して、第2のリザーバの第1の端部から第2の端部に、第2のリザーバの第2の端部の下流にガスの流動を方向付けるように構成された第2の複数のガス流源であって、複数のガス流源は、複数のガス流源からの流動が、第2の射出された噴射を取り込み、偏向させる第2のリザーバの第2の端部の下流の第2の方向における第2の組み合わせられたガス流を集合的に形成し、第2の方向における1つ以上の第2のミクロンまたはナノメートル寸法の高分子繊維の第2の集束流れを形成するように、収束している向きを有し、第2の方向は、第2の回転軸の回転軸の5度以内である向きを有する、第2の複数のガス流源をさらに含む。第1の方向および第2の方向は、同じ収集表面上での堆積のために向けられている。いくつかの実施形態において、システムは、同じ収集表面上での第1のポリマーの1つ以上の繊維および第2のポリマーの1つ以上の繊維の同時堆積のために構成される。
【0019】
いくつかの実施形態は、少なくとも1本のミクロンまたはナノメートル寸法の高分子繊維の形成および堆積のための方法を提供する。方法は、回転軸まわりにポリマーを備えている材料を保持するリザーバを回転させ、材料の少なくとも1回の噴射をリザーバの外側側壁によって画定される少なくとも1つのオリフィスから射出することと、外側側壁の半径方向に内側のリザーバの一部を通してガスの少なくとも1つの流動を方向付けるであって、ガスの少なくとも1つの流動は、リザーバの回転および材料の少なくとも1回の噴射の射出中、リザーバの上流の第1の端部からリザーバの下流の第2の端部に方向付けられ、少なくとも1本のミクロンまたはナノメートル寸法の高分子繊維を形成し、ガスの少なくとも1つの流動は、1つのミクロンまたはナノメートル寸法の高分子繊維を取り込み、第1の方向における少なくとも1本のミクロンまたはナノメートル寸法の高分子繊維の集束繊維堆積流れを形成し、第1の方向は、リザーバの回転軸の5度以内の向きを有する、ことと、標的表面上で集束繊維堆積流れを収集することとを含む。
【0020】
いくつかの実施形態において、第1の方向は、リザーバの回転軸に実質的に平行である。
【0021】
いくつかの実施形態において、ガスの少なくとも1つの流動は、収束し、第1の方向における組み合わせられたガス流を形成するガスの複数の流動を備えている。いくつかの実施形態において、ガスの複数の収束流のうちの他のものに対するガスの複数の収束流のうちの少なくとも一部の流量は、平衡した組み合わせられたガス流を達成するために制御可能である。いくつかの実施形態において、ガスの複数の収束流の合計ガス流量は、少なくとも1本のミクロンまたはナノメートル寸法の高分子繊維の集束繊維堆積流れが最もきつい焦点を有するリザーバからの距離を変化させるために制御可能である。いくつかの実施形態において、複数のガス流は、3つのガス流を備えている。
【0022】
いくつかの実施形態において、集束繊維堆積流れは、繊維収集中、標的表面に対して実質的に接線の向きを有する。
【0023】
いくつかの実施形態において、方法は、繊維収集中、標的表面を回転させることをさらに含む。
【0024】
いくつかの実施形態において、方法は、少なくとも部分的にリザーバの上流からのガスの流動を遮断し、少なくとも1本のミクロンまたはナノメートル寸法の高分子繊維の繊維堆積流れの集束に対する複数のガス流源の上流の空気流の影響を低減させることをさらに含む。
【0025】
いくつかの実施形態において、標的表面は、繊維流れの堆積中に線形に移動させられる。
【0026】
いくつかの実施形態において、リザーバ内の材料は、溶媒を備えている。
【0027】
いくつかの実施形態において、リザーバ内の材料は、ポリマー溶融物備えている。いくつかの実施形態において、方法は、リザーバを加熱することをさらに含む。
【0028】
いくつかの実施形態において、少なくとも1回の射出された噴射は、標的上に収集されることに先立って、槽に接触する。いくつかの実施形態において、槽は、架橋剤備えている。いくつかの実施形態において、少なくとも1回の射出された噴射は、槽内で沈殿し、少なくとも1本のミクロンまたはナノメートル寸法の高分子繊維を形成する。いくつかの実施形態において、少なくとも1回の射出された流れは、槽内で凝固し、少なくとも1本のミクロンまたはナノメートル寸法の高分子繊維を形成する。
【0029】
いくつかの実施形態において、少なくとも1本のミクロンまたはナノメートル寸法の高分子繊維は、複合材料の補強のために堆積させられる。
【0030】
いくつかの実施形態において、少なくとも1本のミクロンまたはナノメートル寸法の高分子繊維は、食品の1つ以上のアイテム上に堆積させられる。
【0031】
いくつかの実施形態において、方法は、第2の回転軸まわりに第2のポリマーを備えている第2の材料を保持している第2のリザーバを回転させ、第2の材料の少なくとも1回の噴射を第2のリザーバの外側側壁によって画定される少なくとも1つのオリフィスから射出することをさらに含む。方法は、外側側壁の半径方向に内側の第2のリザーバの一部を通してガスの少なくとも1つの第2の流動を方向付けることであって、ガスの少なくとも1つの第2の流動は、第2のリザーバの回転および第2の材料の少なくとも1回の噴射の射出中、第2のリザーバの上流の第1の端部から第2のリザーバの下流の第2の端部に方向付けられ、第2のポリマーの少なくとも1本のミクロンまたはナノメートル寸法の高分子繊維を形成し、ガスの少なくとも1つの第2の流動は、第2のポリマーの少なくとも1本のミクロンまたはナノメートル寸法の高分子繊維を取り込み、第2の集束繊維堆積流れを形成する、ことも含む。方法は、標的表面上で第2の集束繊維堆積流れを収集することも含む。いくつかの実施形態において、第1の集束繊維堆積流れの収集は、第2の集束繊維堆積流れの収集と時間において重複する。
【0032】
いくつかの実施形態は、標的表面が、組織足場のための3次元形状である本明細書に説明される方法のいずれかを実施することを含む3次元組織足場を形成する方法を提供する。いくつかの実施形態において、方法は、3次元形状の2つ以上の側面上での堆積のために標的を回転させることも含む。
【0033】
本明細書に開示される実施形態は、流れ繊維堆積のためのシステムおよび方法を提供することによって、これらおよび他の必要性を満たす。
【0034】
本発明の他の特徴および利点が、以下の詳細な説明および請求項から明白となるであろう。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
1本以上のミクロンまたはナノメートル寸法の高分子繊維の集束方向性堆積のためのシステムであって、前記システムは、
ポリマーを含む材料を保持するように構成され、回転軸まわりに回転可能であるリザーバであって、前記リザーバは、
第1の端部と、
前記第1の端部と反対側の第2の端部と、
前記第1の端部から前記第2の端部まで延びている外側側壁であって、前記リザーバの形状は、前記リザーバの前記外側側壁から半径方向に内側に配置された1つ以上の開口を含み、前記1つ以上の開口は、ガスが前記リザーバを通して前記第1の端部から前記第2の端部に移動することを可能にするように構成されている、外側側壁と、
前記外側側壁内に形成された1つ以上のオリフィスと
を含み、
前記1つ以上のオリフィスの各々は、前記リザーバの回転中の射出された噴射としての前記オリフィスを通した半径方向に外向きの前記材料の射出のために構成されている、リザーバと、
1つ以上のガス流源と
を備え、
前記1つ以上のガス流源の各々は、前記リザーバの回転中、前記リザーバの前記第1の端部の上流からのガスの流動を前記リザーバの前記第1の端部から前記第2の端部に前記リザーバの前記1つ以上の開口を通して、前記リザーバの前記第2の端部の下流に方向付けるように構成され、前記1つ以上のガス流源は、前記リザーバの前記第2の端部の下流において第1の方向における組み合わせられたガス流を集合的に形成し、前記組み合わせられたガス流は、前記1つ以上の射出された噴射を取り込み、偏向させることによって、第1の方向における前記1本以上のミクロンまたはナノメートル寸法の高分子繊維の集束流れを形成し、前記第1の方向は、前記リザーバの前記回転軸の5度以内である向きを有する、システム。
(項目2)
前記1つ以上のガス流源は、前記第1の方向における組み合わせられたガス流を形成するための収束している向きを有する複数のガス流源を備えている、項目1に記載のシステム。
(項目3)
前記ガス流源のうちの他のものに対する前記複数のガス流源のうちの少なくとも一部のガス流量は、平衡した組み合わせられたガス流を達成するために制御可能である、項目2に記載のシステム。
(項目4)
前記1つ以上のガス流源からの合計ガス流量は、前記ミクロンまたはナノメートル寸法の高分子繊維の前記流れが最もきつい焦点を有する前記リザーバからの距離を変化させるために制御可能である、項目1に記載のシステム。
(項目5)
前記複数のガス流源の数および前記複数のガス流源の配置は、前記リザーバの回転中の任意の単一の時点において、前記複数のガス流源の全てからのガス流が前記リザーバの前記1つ以上の開口のうちのある開口を通して流動するように、または、前記複数のガス流源の全てからの前記ガス流が前記リザーバによって遮断されるように構成されている、項目2に記載のシステム。
(項目6)
前記複数のガス流源は、3つのガス流源を備えている、項目2-5のいずれか1項に記載のシステム。
(項目7)
前記第1の方向は、前記回転の軸の2度以内である、項目1-6のいずれか1項に記載のシステム。
(項目8)
前記第1の方向は、前記回転の軸に実質的に平行である、項目1-6のいずれか1項に記載のシステム。
(項目9)
前記1本以上のミクロンまたはナノメートル寸法の高分子繊維の前記集束流れは、前記リザーバの前記外側側壁の直径より小さい流れ幅を有する、項目1-8のいずれか1項に記載のシステム。
(項目10)
前記複数のガス流源の上流に配置された流動遮断構造をさらに備え、前記流動遮断構造は、前記ミクロンまたはナノメートル寸法の高分子繊維の流れの集束に対する前記複数のガス流源の上流の空気流の影響を低減させるように構成されている、項目1-10のいずれか1項に記載のシステム。
(項目11)
前記流動遮断構造は、前記回転リザーバの上流に配置され、少なくとも部分的に前記回転リザーバの上流からの空気流を遮断し、前記リザーバの回転に起因する空気流と前記1つ以上の開口を通した前記ガスの流動との間の相互作用に対する前記回転リザーバの上流からの空気流の影響を低減させるように構成されている、項目10に記載のシステム。
(項目12)
前記流動遮断構造は、静止しており、前記リザーバとともに回転しない、項目10または項目11に記載のシステム。
(項目13)
前記流動遮断構造は、前記ガスの流動および前記リザーバの回転によって発生させられる渦の構造の強化された制御を可能にし、それによって、前記繊維が標的に向かって進行するとき、前記ミクロンまたはナノメートル寸法の高分子繊維の堆積の側面積の制御を改良する、項目10-12のいずれか1項に記載のシステム。
(項目14)
前記1つ以上のガス流源は、前記繊維が標的に向かって進行するとき、前記ミクロンまたはナノメートル寸法の高分子繊維の堆積の側面積を集束させるように前記ガスの流量の制御を可能するように構成されている、項目1-13のいずれか1項に記載のシステム。
(項目15)
標的回転システムをさらに備え、前記標的回転システムは、堆積中に3次元標的を回転させ、前記標的の2つ以上の側面上に前記繊維を堆積させるように構成されている、項目1-14のいずれか1項に記載のシステム。
(項目16)
前記システムは、ハンドヘルドであるように構成されている、項目1-15のいずれか1項に記載のシステム。
(項目17)
前記射出されたポリマー材料の凝固、沈殿、または架橋のための槽を保持するように構成された凝固、沈殿、または架橋リザーバをさらに備えている、項目1-15のいずれか1項に記載のシステム。
(項目18)
前記リザーバへの送達に先立って、または前記リザーバ内にある間に前記ポリマー材料を加熱するための熱源をさらに備えている、項目1-15のいずれか1項に記載のシステム。
(項目19)
前記システムは、繊維の共堆積のために構成され、前記システムは、
第2のポリマーを含む第2の材料を保持するように構成された第2のリザーバであって、前記第2のリザーバは、第2の回転軸まわりに回転可能であり、第2のリザーバは、
第1の端部と、
前記第1の端部と反対側の第2の端部と、
前記第1の端部から前記第2の端部まで延びている外側側壁であって、前記第2のリザーバの形状は、前記リザーバの前記外側側壁から半径方向に内側に配置された1つ以上の開口を含み、前記1つ以上の開口は、ガスが前記リザーバを通して前記第1の端部から前記第2の端部に移動することを可能にするように構成されている、外側側壁と、
前記外側側壁内に形成された1つ以上のオリフィスと
を含み、
前記1つ以上のオリフィスの各々は、前記第2のリザーバの回転中の第2の射出された噴射としての前記オリフィスを通した半径方向に外向きの前記第2のポリマー材料の射出のために構成されている、第2のリザーバと
第2の複数のガス流源と、
をさらに備え、
前記第2の複数のガス流源の各々は、前記第2のリザーバの回転中、前記第2のリザーバの第1の端部の上流からのガスの流動を前記第2のリザーバの第1の端部から第2の端部に前記第2のリザーバの1つ以上の開口を通して、前記第2のリザーバの第2の端部の下流に方向付けるように構成され、前記複数のガス流源は、収束している向きを有し、それによって、前記複数のガス流源からの流動が、前記第2のリザーバの前記第2の端部の下流において第2の方向における第2の組み合わせられたガス流を集合的に形成し、前記第2の組み合わせられたガス流は、前記第2の射出された噴射を取り込み、偏向させることによって、第2の方向における1つ以上の第2のミクロンまたはナノメートル寸法の高分子繊維の第2の集束流れを形成し、前記第2の方向は、前記第2の回転軸の回転軸の5度以内である向きを有し、
前記第1の方向および前記第2の方向は、同じ収集表面上での堆積のために向けられている、項目1-18のいずれか1項に記載のシステム。
(項目20)
前記システムは、前記同じ収集表面上での前記第1のポリマーの1つ以上の繊維および前記第2のポリマーの1つ以上の繊維の同時堆積のために構成されている、項目19に記載のシステム。
(項目21)
少なくとも1本のミクロンまたはナノメートル寸法の高分子繊維の形成および堆積のための方法であって、前記方法は、
ポリマーを備えている材料を保持しているリザーバを回転軸まわりに回転させ、前記リザーバの外側側壁によって画定される少なくとも1つのオリフィスから材料の少なくとも1回の噴射を射出することと、
前記外側側壁の半径方向に内側の前記リザーバの一部を通してガスの少なくとも1つの流動を方向付けることであって、前記ガスの少なくとも1つの流動は、前記リザーバの回転および前記材料の前記少なくとも1回の噴射の射出中、前記リザーバの上流の第1の端部から前記リザーバの下流の第2の端部に方向付けられ、少なくとも1本のミクロンまたはナノメートル寸法の高分子繊維を形成し、前記ガスの少なくとも1つの流動は、前記少なくとも1本のミクロンまたはナノメートル寸法の高分子繊維を取り込み、第1の方向における前記少なくとも1本のミクロンまたはナノメートル寸法の高分子繊維の集束繊維堆積流れを形成し、前記第1の方向は、前記リザーバの前記回転軸の5度以内の向きを有する、ことと、
標的表面上で前記集束繊維堆積流れを収集することと
を含む、方法。
(項目22)
前記第1の方向は、前記リザーバの回転軸に実質的に平行である、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記ガスの少なくとも1つの流動は、収束し、前記第1の方向における組み合わせられたガス流を形成するガスの複数の流動を備えている、項目21または項目22に記載の方法。
(項目24)
前記ガスの複数の収束流のうちの他のものに対する前記ガスの複数の収束流のうちの少なくとも一部の流量は、平衡した組み合わせられたガス流を達成するために制御可能である、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記ガスの複数の収束流の合計ガス流量は、前記少なくとも1本のミクロンまたはナノメートル寸法の高分子繊維の集束繊維堆積流れが最もきつい焦点を有する前記リザーバからの距離を変化させるために制御可能である、項目23または項目24に記載の方法。
(項目26)
前記複数のガス流は、3つのガス流を備えている、項目23-25のいずれか1項に記載の方法。
(項目27)
前記集束繊維堆積流れは、繊維収集中、前記標的表面に対して実質的に接線の向きを有する、項目21-26のいずれか1項に記載の方法。
(項目28)
繊維収集中、前記標的表面を回転させることをさらに含む、項目21-26のいずれか1項に記載の方法。
(項目29)
項目21-28のいずれか1項に記載の方法を実施することを含む3次元組織足場を形成する方法であって、前記標的表面は、組織足場のための3次元形状である、方法。
(項目30)
前記3次元形状の2つ以上の側面上での堆積のために前記標的を回転させることをさらに含む、項目29に記載の3次元組織足場を形成するための方法。
(項目31)
少なくとも部分的に前記リザーバの上流からのガスの流動を遮断し、前記少なくとも1本のミクロンまたはナノメートル寸法の高分子繊維の前記繊維堆積流れの集束に対する前記複数のガス流源の上流の空気流の影響を低減させることをさらに含む、項目21-30のいずれか1項に記載の方法。
(項目32)
前記標的表面は、前記繊維の堆積中に線形に移動させられる、項目21-31のいずれか1項に記載の方法。
(項目33)
前記リザーバ内の材料は、溶媒を備えている、項目21-32のいずれか1項に記載の方法。
(項目34)
前記リザーバ内の前記材料は、ポリマー溶融物を備えている、項目21-32のいずれか1項に記載の方法。
(項目35)
前記リザーバを加熱することをさらに含む、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記少なくとも1回の射出された噴射は、前記標的表面上に収集されることに先立って、槽に接触する、項目21-32のいずれか1項に記載の方法。
(項目37)
前記槽は、架橋剤を備えている、項目36に記載の方法。
(項目38)
前記少なくとも1回の射出された噴射は、前記槽内で沈殿し、前記少なくとも1本のミクロンまたはナノメートル寸法の高分子繊維を形成する、項目36に記載の方法。
(項目39)
前記少なくとも1回の射出された噴射は、前記槽内で凝固し、前記少なくとも1本のミクロンまたはナノメートル寸法の高分子繊維を形成する、項目36に記載の方法。
(項目40)
前記少なくとも1本のミクロンまたはナノメートル寸法の高分子繊維は、複合材料の補強のために堆積させられる、項目21-31のいずれか1項に記載の方法。
(項目41)
前記少なくとも1本のミクロンまたはナノメートル寸法の高分子繊維は、食品の1つ以上のアイテム上に堆積させられる、項目21-31のいずれか1項に記載の方法。
(項目42)
第2のポリマーを備えている第2の材料を保持している第2のリザーバを第2の回転軸まわりに回転させ、第2の材料の少なくとも1回の噴射を前記第2のリザーバの外側側壁によって画定される少なくとも1つのオリフィスから射出することと、
前記外側側壁の半径方向に内側の前記第2のリザーバの一部を通してガスの少なくとも1つの第2の流動を方向付けることであって、前記ガスの少なくとも1つの第2の流動は、前記第2のリザーバの回転および前記第2の材料の少なくとも1回の噴射の射出中、前記第2のリザーバの上流の第1の端部から前記第2のリザーバの下流の第2の端部に方向付けられ、前記第2のポリマーの少なくとも1本のミクロンまたはナノメートル寸法の高分子繊維を形成し、前記ガスの少なくとも1つの第2の流動は、前記第2のポリマーの少なくとも1本のミクロンまたはナノメートル寸法の高分子繊維を取り込み、第2の集束繊維堆積流れを形成する、ことと、
標的表面上で前記第2の集束繊維堆積流れを収集することと
をさらに含む、項目21に記載の方法。
(項目43)
前記第1の集束繊維堆積流れの前記収集は、前記第2の集束繊維堆積流れの前記収集と時間において重複する、項目42に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1A】
図1Aは、いくつかの従来のランダム繊維堆積技法(円)およびいくつかの従来の押し出し3D印刷技法(菱形)に関する繊維処理能力対直径のグラフである。
【
図1B】
図1Bは、従来のランダム繊維堆積を図式的に描写する。
【
図2A】
図2Aは、いくつかの実施形態による、流れ繊維堆積に関する空気流を用いて修正された回転噴射紡績システムを図式的に描写する。
【
図2B】
図2Bは、いくつかの実施形態による、堆積中の繊維の流れの画像であり、繊維堆積のビデオのフレームを重ねることによって発生させられ、流れの狭幅部を示している。
【
図3A】
図3Aは、いくつかの実施形態による、リザーバの開口を通してガスを吹き付け、組み合わせられたガス流を形成する複数のガス流源を含む流れ繊維堆積に関する回転噴射紡績システムの斜視画像である。
【
図3C】
図3Cは、いくつかの実施形態による、
図3Aの回転噴射紡績システムのリザーバの斜視画像である。
【
図3D】
図3Dは、いくつかの実施形態による、
図3Aの回転噴射紡績システムにおける複数のガス流源に関する固定具の斜視画像である。
【
図3E】
図3Eは、いくつかの実施形態による、
図3Aの回転噴射紡績システムにおける複数のガス流源に関する固定具に結合される流動遮断装置の斜視図である。
【
図3F】
図3Fは、いくつかの実施形態による、リザーバ、リザーバに送達されるべきポリマー材料に関する供給ライン、複数のガス流源に関する固定具、および複数のガス流源に関する供給ラインの正面斜視図である。
【
図3G】
図3Gは、いくつかの実施形態による、リザーバ、固定具、および供給ラインの後面斜視図である。
【
図4A】
図4Aは、いくつかの実施形態による、流れ繊維堆積に関する回転噴射紡績システムのシミュレーションからの軸方向空気流速さのプロットである。
【
図4B】
図4Bは、いくつかの実施形態による、流れ繊維堆積に関する回転噴射紡績システムのシミュレーションからの半径方向空気流速さのプロットである。
【
図5A】
図5Aは、いくつかの実施形態による、リザーバの上流の流動遮断装置を含む流れ繊維堆積に関する回転噴射紡績システムの周囲の空気流を図式的に描写する。
【
図5B】
図5Bは、いくつかの実施形態による、繊維に固化するポリマー材料の噴射および形成された繊維を引っ張る空気流を図式的に描写する。
【
図5C】
図5Cは、いくつかの実施形態による、リザーバおよびリザーバからの射出後のポリマー材料の噴射に作用する力の軸方向図を図式的に描写する。
【
図6A】
図6Aは、いくつかの実施形態による、集束繊維流れを生成する流動遮断装置を伴わない流れ繊維堆積に関する回転噴射紡績システムの背景減算画像である。
【
図6B】
図6Bは、平均繊維流れ分布を図示する集束繊維流れの生成中の流動遮断装置を伴わない
図6Aの回転噴射紡績システムの背景減算画像の平均である。
【
図6C】
図6Cは、流動遮断装置を伴わない
図6Aのシステムによって生成された繊維の走査電子顕微鏡画像である。
【
図7A】
図7Aは、いくつかの実施形態による、集束繊維流れを生成する流動遮断装置を含む流れ繊維堆積に関する回転噴射紡績システムの背景減算画像である。
【
図7B】
図7Bは、平均繊維流れ分布を図示する、集束繊維流れの生成中の流動遮断装置を伴う
図7Aの回転噴射紡績システムの背景減算画像の平均である。
【
図7C】
図7Cは、流動遮断装置を伴う
図7Aのシステムによって生成された繊維の走査電子顕微鏡画像である。
【
図8A】
図8Aは、いくつかの実施形態による、流れの狭幅部の下流に広がる繊維流れを示すために繊維作成および堆積中に1/800秒露光、1/60秒差において撮影されたより大きい視野にわたる3,600フレームの最大強度オーバーレイである。
【
図8B】
図8Bは、いくつかの実施形態による、繊維流れの広がりを定量化するためのリザーバからの異なる距離における回転標的ロッド上の繊維収集に関する厚さプロファイルのプロットである。
【
図9A】
図9Aは流れ幅wおよび標的表面の曲率半径ρの長さスケールを図式的に図示する。
【
図9B】
図9Bは、いくつかの実施形態による、標的表面が繊維流れに関して事実上平坦であり、堆積が標的の形状に形状適合することを意味するw<<ρであるときを図式的に図示する。
【
図9C】
図9Cは、いくつかの実施形態による、w~ρまたは>>ρであり、オーバーハングする繊維が標的特徴に関する形状適合堆積を妨げるときを図式的に図示する。
【
図9D】
図9Dは、標的表面の曲率半径が流れ幅を上回るときの女性マネキン上の形状適合堆積の画像である。
【
図9E】
図9Eは、標的表面の曲率半径が流れ幅より小さい、より微細な特徴を有する、仏面レプリカ上の形状適合堆積の画像である。
【
図9F】
図9Fは、微細な特徴を含むように堆積させられた材料を成形するためにエンボス加工した後の
図9Eの形状適合堆積の画像である。
【
図10A】
図10Aは、いくつかの実施形態による、接線方向に向けられた標的表面上への繊維流れの堆積の概略図(上側)と、整列させられた繊維を示す接線堆積の向きを用いて堆積させられた繊維のSEM画像(下側左)と、繊維の向きの対応するフーリエ画像(下側右)とを含む。
【
図10B】
図10Bは、いくつかの実施形態による、流れに対して60°角度に向けられた標的表面上への繊維流れの堆積の概略図(上側)と、部分的に整列させられた繊維を示す60°堆積の向きを用いて堆積させられた繊維のSEM画像(下側左)と、繊維の向きの対応するフーリエ画像(下側右)とを含む。
【
図10C】
図10Cは、いくつかの実施形態による、流れに対して垂直に向けられた標的表面上への繊維流れの堆積の概略図(上側)と、繊維の優先的な整列を殆どまたは全く示さない垂直向きを用いて堆積させられた繊維のSEM画像(下側左)と、繊維の向きの対応するフーリエ画像(下側右)とを含む。
【
図10D】
図10Dは、いくつかの実施形態による、深度とともに繊維の整列の回転を示す回転する接線方向に向けられた表面上への堆積の概略図(左)と、第1の深度(上側右)における、および360ミクロンより深い第2の深度(下側右)における結果として生じる繊維構造のCT画像とを含む。
【
図10E】
図10Eは、いくつかの実施形態による、繊維の螺旋整列を示す比較的に低速の回転速度における繊維流れに対する鋭角に向けられた回転シリンダの表面上への堆積の概略図(上側)と、繊維の向きの光学プロフィロメトリ画像(下側左)と、フーリエ変換画像(下側右)とを含む。
【
図10F】
図10Fは、いくつかの実施形態による、繊維の螺旋整列を示す比較的に高速の回転速度における繊維流れに対する鋭角に向けられた回転シリンダの表面上への堆積の概略図(上側)と、繊維の向きの光学プロフィロメトリ画像(下側左)と、フーリエ変換画像(下側右)とを含む。
【
図11A】
図11Aは、いくつかの実施形態による、ポリマー材料の沈殿、凝固、または架橋のための槽を含む湿式紡績用途のための回転噴射紡績システムを図式的に描写する。
【
図11B】
図11Bは、いくつかの実施形態による、ポリマー材料を加熱するための1つ以上の加熱器を含む溶融紡績のための回転噴射紡績システムを図式的に描写する。
【
図11C】
図11Cは、いくつかの実施形態による、ハンドヘルド回転噴射紡績システムを図式的に描写する。
【
図11D】
図11Dは、いくつかの実施形態による、流れ堆積生成プロセスのために使用される複数の回転噴射紡績システムを含むシステムを図式的に描写する。
【
図12A】
図12Aは、ある例による、心室足場繊維構造を形成する方法を図式的に描写する。
【
図12B】
図12Bは、ある例による、組み合わせられたマンドレル上での堆積の前の組み合わせられたマンドレルの画像である。
【
図12C】
図12Cは、結果として生じる心室繊維足場構造を形成するための組み合わせられたマンドレル上での堆積の後の組み合わせられたマンドレルの画像である。
【
図12D】
図12Dは、ある例による、結果として生じる心室構造のマイクロCT画像の区分である。
【
図12E】
図12Eは、ある例による、結果として生じる心室構造の中隔のマイクロCT画像である。
【
図12F】
図12Fは、ある実施形態による、結果として生じる心室構造の中隔の詳細なマイクロCT画像である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下の説明では、「上部」、「底部」、「中間」、「外向き」、「内向き」等の用語が便宜的な単語であり、限定用語として解釈されるものではないことを理解されたい。ここで、付随の図および例に図示される本開示の実施形態が、詳細に参照されるであろう。一般に、図面を参照することは、図示が本開示の特定の実施形態を説明する目的のためのものであり、それを限定することを意図していないことを理解されたい。
【0037】
本開示の特定の実施形態が、ある群の少なくとも1つの要素およびそれらの組み合わせを備えているか、またはそれらから成ると記載されるときは、実施形態が、個々に、またはその群の他の要素のうちのいずれかと組み合わせで、群の要素のうちのいずれかを備えているか、またはそれらから成り得ることを理解されたい。
【0038】
本明細書に使用されるように、用語「ポリマー繊維」および「高分子繊維」は、ポリマーを備えている繊維を指す。繊維は、いくつかの非ポリマー成分も含み得る。
【0039】
本明細書に使用されるように、ミクロンまたはナノメートル寸法の繊維は、約10μm未満の直径を有する繊維を指す。
【0040】
本発明のこれらおよび他の側面は、以下の説明および付随の図面と併せて考慮されると、より深く認識および理解されるであろう。以下の説明は、本発明の種々の実施形態およびその多数の具体的詳細を示すが、限定ではなく、例証として与えられる。多くの置き換え、修正、追加、または再配置が、本発明の範囲内で行われ得、本発明は、全てのそのような置き換え、修正、追加、または再配置を含む。
【0041】
本明細書に説明されるいくつかの実施形態は、紡績リザーバからの繊維形成液体の射出によってミクロンスケール直径からナノメートルスケール直径のポリマー繊維を形成するための方法およびシステムを含み、それらは、制御された堆積のために、繊維流れにおいて生成された繊維を集束および整列させるためにガス(例えば、空気)流を採用する。いくつかの実施形態において、時間あたりの繊維の長さにおけるミクロ繊維生成の処理能力は、少なくとも80km/分である。いくつかの実施形態において、ミクロ繊維生成の処理能力は、1m/分~150km/分の範囲内である。いくつかの実施形態において、ミクロ繊維生成の処理能力は、100m/分~150km/分の範囲内である。いくつかの実施形態において、ミクロ繊維生成の処理能力は、1km/分~150km/分の範囲内である。いくつかの実施形態において、ミクロ繊維生成の処理能力は、80km/分~150km/分の範囲内である。いくつかの実施形態において、ミクロ繊維生成の処理能力は、80km/分~100km/分の範囲内である。いくつかの実施形態において、堆積させられる繊維は、繊維の整列の制御を用いて、種々の3D幾何学形状に形状適合する。
【0042】
いくつかの従来の高処理能力アプローチは、3D繊維状構造を達成するために3D形標的上に堆積しようとしたが、しかしながら、繊維は、多くの場合、標的形状に形状適合せず、多くの場合、オーバーハングした繊維を示す。いくつかの従来のアプローチは、円周方向繊維整列を達成するために標的の回転を採用したが、しかしながら、この方法は、実際の組織において観察されるより複雑な整列(心室における螺旋整列、または、異なる層上の円周方向および長手方向整列を伴う心臓弁における3層構造等)を扱うことができない。
【0043】
いくつかの実施形態において、システムおよび方法は、ミクロンからナノメートルスケール直径における繊維に関して、従来の高処理能力繊維堆積技法と比較して、改良された構造制御性を有する。本明細書に説明されるシステムおよび方法のいくつかの実施形態は、流れ繊維堆積(流れFD)を採用し、繊維は、標的上に堆積させられる前、空間的に閉じ込められ、整列させられた繊維流れに構造化される。良好に構造化された繊維流れは、良好に構造化された堆積を可能にする。流れFDは、処理能力を犠牲にすることなく、適合性および堆積整列の両方に対する正確な制御を可能にする。
【0044】
繊維は、回転噴射紡績プロセスを通して、遠心力下の回転リザーバの1つ以上のオリフィスからの繊維形成液体(例えば、ポリマーを備え、本明細書では、ポリマー材料と称される材料)の1回以上の噴射の射出と、その後の固化によって形成される。1つ以上のオリフィスを含むリザーバは、本明細書では、スピナレットと称され得る。本明細書に説明される実施形態において、ガス流(例えば、空気流)の特定の空気力学が、生成された繊維分布を閉じ込め、繊維流れにおいてそれを整列させるために採用される。繊維分布を閉じ込めることは、繊維がリザーバから離れるように流動するとき、それらを一緒にする収束空気流を要求する。繊維を整列させることは、繊維を一直線に引っ張る加速空気流を要求する。加えて、リザーバ(例えば、スピナレット)の近くでの流動への摂動は、繊維形成に干渉することを回避するために、最小化されるべきである。いくつかの実施形態において、これらの要件は、リザーバの回転軸またはその近くからガス(例えば、空気)を吹き付けることによって実現され得る。
【0045】
図2Aは、いくつかの実施形態による、オリフィスを含むリザーバ12(本明細書ではスピナレットと称される)を回転させる回転運動発生器(例えば、モータ)11を含む例示的回転噴射紡績システム10を図式的に描写する。システムは、繊維が、標的19上に堆積させられる前、スピナレット12からポリマー溶液17を射出することによって生成された繊維15の流れを収束および整列させるために、ガス流(例えば、空気流)30を採用する。いくつかの実施形態において、ガス流は、スピナレット/リザーバ12の回転の軸21またはその近くに位置するガス噴射または空気噴射であり得、回転の軸21に平行または略平行に向けられた流動を方向付け得る。ガス流は、ロータのエリアにわたって均一な流動ではない。いくつかの実施形態において、流動は、ロータの側壁から半径方向に内向きに間隔を置かれたロータの1つ以上の中心部分において集中する。いくつかの実施形態において、ロータの下流で、空気流は、ロータの回転軸またはその近くにおいてより高い速さを有し、それは、回転軸から側方に変位される場所において低下する。
【0046】
回転噴射紡績は、遠心力によって繊維または複数の繊維を生成し、したがって、スピナレット12を包囲する繊維群を発生させ、繊維群は、方位角に、かつ半径方向外向きに移動する。ガス流(例えば、空気噴射)30が、スピナレットの1つ以上の中心部分から押し出されるにつれて、ガス流30は、エントレインメントとして公知の現象において周辺空気を噴射の中に引き込む。エントレインメント流は、噴射の内側の流動より桁違いに低速であり、それは、繊維形成に対する摂動を殆ど有していない。エントレインメントは、噴射に向かって収束および加速し、それは、繊維堆積のビデオからの異なるフレームを重ねることによって生成された
図2Bの繊維流れの可視化において示されるように、繊維を流れの中に閉じ込め、整列させる。
【0047】
回転噴射紡績システムおよび方法のいくつかの実施形態の追加の詳細が、
図3A-Gに関して下で説明される。
図3A-Gの実施形態において、システムは、繊維流れを収束および整列させるための組み合わせられたガス流を形成するために組み合わせられる、複数のガス流を採用する。さらに、複数のガス流は、いくつかの実施形態に従って、組み合わせられた流動を形成する前、1つ以上のオリフィスの半径方向に内側のリザーバ内の開口を通して流動する。
【0048】
図3A-Gを参照すると、回転噴射紡績システム10の実施形態は、回転軸21まわりに回転するように構成された少なくとも1つのリザーバ12を含む。いくつかのシステムは、リザーバを回転させる回転運動発生器(例えば、モータ)11も含み得る。
【0049】
いくつかの実施形態において、リザーバ12は、第1の端部14と、第1の端部14と反対側の第2の端部16と、第1の端部14から第2の端部16まで延びている外側側壁18とを有する。リザーバ12は、ポリマー繊維を形成するための材料(例えば、ポリマー材料)を保持するように構成および適合される。リザーバ12は、外側側壁18内の1つ以上のオリフィス22を画定する。リザーバ12は、リザーバ12の回転によって引き起こされる圧力下で、外側側壁18内に形成される1つ以上のオリフィス22を通して半径方向に外向きにポリマー材料を射出するように構成および適合される。1つ以上のオリフィス22の各々は、リザーバ12の回転中の射出された噴射24としてのオリフィス22を通した半径方向外向きのポリマー材料の射出のために構成され得る。
【0050】
いくつかの実施形態において、リザーバは、ガスが、リザーバ12を過ぎて、またはそれを通して第1の端部14から第2の端部16に移動することを可能にするように構成された外側側壁18から半径方向に内向きに配置された1つ以上の開口20a、20b、20cを画定する。いくつかの実施形態において、リザーバ12は、外側側壁18から半径方向に内向きに配置された3つの開口20a、20b、20cを画定し得る。他の実施形態において、リザーバ12は、外側側壁18から半径方向に内向きに配置された3つを上回る開口を画定し得る。いくつかの実施形態において、リザーバは、外側側壁18から半径方向に内向きに配置された2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、または19個の開口を画定し得る。当業者は、本開示の観点から、異なる幾何学形状の開口および異なる数の開口が、本発明の範囲内に該当することを認識するであろう。
【0051】
回転噴射紡績システム10は、いくつかの実施形態に従って、繊維流れを収束および整列させるために、ガス流(本明細書では、ガス噴射(例えば、空気噴射)とも称される)を形成するために使用される1つ以上のガス流源28a、28b、28cをさらに含む。いくつかの実施形態において、回転噴射紡績システム10は、各々がリザーバ12の第1の端部14の上流から、第1の端部14から第2の端部16に開口20a、20b、20cを通して、リザーバ12の第2の端部16の下流にガスの流動を方向付けるように構成された複数のガス流源28a、28b、28cを含む。いくつかの実施形態において、複数のガス流源28a、28b、28cは、複数のガス流源からの流動が、リザーバ12の第2の端部16の下流の第1の方向における組み合わせられたガス流またはガス噴射30を集合的に形成するように、収束している向きを有する。いくつかの実施形態において、第1の方法は、回転軸21に対して実質的に平行である。
図3Fは、複数のガス流源28a、28b、28cからのガス流30a、30b、30cおよび回転軸21と整列させられた組み合わせられたガス流30を示す矢印を含む。
図3Fに図示されるように、ガス流源28a、28b、28cから方向付けられたガス流30a、30b、30cは、リザーバ12の第2の端部16の下流の位置において収束し、組み合わせられたガス流30を形成し得る。いくつかの実施形態において、ガス流源28a、28b、28cは、リザーバ12の第2の端部16の下流の2センチメートル~10cmの範囲内で組み合わせられたガス流を形成するように収束し得る。いくつかの実施形態において、ガス流源からの流動は、リザーバの第2の端部16から10cmより遠くで収束し得る。組み合わせられたガス流30は、射出された噴射24を取り込み、第1の方向におけるミクロンまたはナノメートル寸法の高分子繊維32の集束流れを形成し得る。非限定的例では、複数のガス流源は、リザーバ12の第2の端部16の下流の約3センチメートルの距離において収束および均質化し得る。そのような距離において、空気流量は、いくつかの実施形態において、約10m/秒~約30m/秒であり得る。
【0052】
いくつかの実施形態において、第1の方向は、回転軸21に対してある角度にあり得る。いくつかの実施形態において、第1の方向は、長手方向軸A1の5度以内であり得る。いくつかの実施形態において、第1の方向は、長手方向軸A1の3度以内であり得る。いくつかの実施形態において、第1の方向は、回転軸21に対してゼロ~5の範囲内の角度を有する。
【0053】
上記のように、いくつかの実施形態において、回転噴射紡績システム10は、1つ以上のガス流源(例えば、ノズル)28a、28b、28cを含むガス流システムを含み得る。1つ以上のガス流源28a、28b、28cは、ガス流を独立して供給され得るか、または、それらの全ては、それが1つ以上のガス流源28、28b、28cに分割される前、共通の供給源からガス流を受け取り得る。いくつかの実施形態において、1つ以上のガス流源は、
図3A、3D、および3Gに図示されるように、単一のガス流ユニットまたは固定具26の一部であり得る。
【0054】
動作時、組み合わせられたガス流であり得るガス流またはガス噴射30は、射出された流れを取り込み、偏向させ、第1の方向におけるミクロンまたはナノメートル寸法の高分子繊維の集束流れを形成する。回転軸またはその近くのリザーバを通したガス流は、繊維形成に干渉しない。
図4Aおよび4Bは、スピナレットまたはリザーバの中心部分からの印加された中心空気噴射30を伴うスピナレット12の周囲の流動場の乱流モデルシミュレーションを示す。実質的な空気噴射であっても、中心空気噴射の存在は、軸方向(
図4A)または半径方向(
図4B)のいずれかにおいて、繊維形成領域41における流動場内の摂動を殆ど引き起こさず、したがって、繊維形成に干渉しない。対照的に、リザーバが、リザーバの中心部分を通した外部からの空気流の代わりに、回転軸に平行な均一な外部からの空気流にさらされた場合、均一な外部からの空気流は、繊維形成領域41における繊維形成に干渉し、繊維エンタングルメントを引き起こし得る。
【0055】
いくつかの実施形態において、リザーバ12は、ガス流(例えば、空気流)が印加されることなく回転し始め得る。ガス流(例えば、空気流)は、ミクロンまたはナノメートル寸法の高分子繊維の流れの焦点が達成されるまで、徐々に増加させられ得る。
図2Bは、繊維の集束流れを図示し、流れが最も狭い流れの狭幅部W
最小を示す。いくつかの実施形態において、繊維流れの狭幅部は、回転軸に沿って測定されるようなリザーバのオリフィスから3cm~7cmの距離に位置し得る。流量が、低すぎる場合、繊維は、整列することができないか、または、適切に整列することができないであろう。より高い流量は、リザーバ12からさらに離れる距離における繊維の整列および収集を可能にするであろう。リザーバ12からさらに離れる距離における繊維の収集は、繊維の乾燥を確実にするために、および/または繊維がより大きいエリアにわたって分布する/より大きい標的にわたって堆積することを可能にするために有益であり得るが、しかしながら、リザーバからの距離が大きくなると、繊維流れは、広がり、繊維は、減速し、ゆがみ得る。いくつかの実施形態において、繊維は、回転軸に沿って測定されるようなオリフィスから2cm~20cmの距離において、収集器または標的の表面上に堆積させられる。いくつかの実施形態において、繊維は、回転軸に沿って測定されるようなオリフィスから3cm~20cmの距離において、収集器または標的の表面上に堆積させられる。いくつかの実施形態において、繊維は、回転軸に沿って測定されるようなオリフィスから4cm~20cmの距離において、収集器または標的の表面上に堆積させられる。いくつかの実施形態において、繊維は、回転軸に沿って測定されるようなオリフィスから3cm~50cmの範囲において、収集器の表面上に堆積させられる。
【0056】
いくつかの実施形態において、複数のガス流源の配置は、リザーバの回転中の任意の単一の時点において、ガス流源の全てからのガス流がリザーバの開口を通して流動するように、または、全てのガス流源からのガス流がリザーバによって遮断されるように構成され得る。この態様において、組み合わせられたガス流は、ある時点においてガス流の一部のみが遮断され、不平衡した組み合わせられたガス流をもたらすことによって意図される方向から偏向させられないであろう。例えば、
図3A-Fのシステムにおけるガス流源配置およびリザーバは、任意の時点において、全ての3つのガス流源28a、28b、28cからのガス流が、リザーバ12の開口20a、20b、20cを通して流動するか、または、全ての3つのガス流源28a、28b、28cからのガス流が、開口20a、20b、20cの間のリザーバ12の部分によって実質的に遮断されるように構成される。他の実施形態において、ガス流の一部が遮断されているときであっても、組み合わせられた流動が平衡であり得るように、十分な数のガス流が、存在し得る。例えば、回転軸の周囲に対称的に配置された6つのガス流と回転軸まわりに対称的に配置されたリザーバ内の3つの開口とを伴う実施形態に関して、リザーバの回転のある時点において、全ての他のガス流は、遮断されるであろうが、組み合わせられたガス流は、依然として、平衡であり得る。
【0057】
いくつかの実施形態において、ガス流源28a、28b、28cは、平衡した組み合わせられたガス流を達成するために制御可能であり得る。例えば、ガス流源を通した流量が、調節可能であり得るか、またはガス流源からの流動の方向または向きが、調節可能であり得る。いくつかの実施形態において、ガス流源28a、28b、28cは、ミクロンまたはナノメートル寸法の高分子繊維32の流れが最もきつい焦点(本明細書では、流れの狭幅部とも称される)を有するリザーバ12からの距離、またはオリフィスからの距離を変化させるために制御可能であり得る(
図2B参照)。いくつかの実施形態において、オリフィスと流れの狭幅部との間の第1の方向に沿った距離は、約3cm~約7cmの範囲であり得る。他の実施形態において、距離は、この範囲より短いことも、この範囲より長いこともある。いくつかの実施形態において、ガス流量は、調節可能であり得る。いくつかの実施形態において、繊維形成および堆積中、ガス圧力は、約0.1MPa~約0.5MPa.の範囲内であり得る。
【0058】
いくつかの実施形態において、回転噴射紡績システム10は、リザーバ12の第1の端部12の上流に位置付けられた流動遮断装置34を含み得る(
図3A、3B、および3E参照)。流動遮断装置34は、ガスの流動およびリザーバ12の回転によって発生させられる渦の追加の制御を提供し、それによって、繊維が標的に向かって進行するとき、ミクロンまたはナノメートル寸法の高分子繊維の堆積の側面積の制御を改良し得る。
【0059】
いくつかの実施形態において、本明細書では流動調整器とも称され得る流動遮断装置34は、より強い空気流がリザーバ12の近くの繊維形成を過度に摂動させることを防止することによって、より長い収集距離を達成するために使用され得る。上記のように、流動遮断装置34は、リザーバ12の第1の端部14の上流に位置付けられ得る。いくつかの実施形態において、流動遮断装置34は、リザーバ12の第1の端部14の約2cm~約10cm上流の距離に位置付けられ得る。いくつかの実施形態において、流動遮断装置は、リザーバの第1の端部14の約5cm上流に位置付けられる。いくつかの実施形態において、流動遮断装置34は、静止しており、回転しない。他の実施形態において、流動遮断装置34は、リザーバとともに回転するか、または、それから分離するように構成され得る。流動遮断装置34は、いくつかの実施形態に従って、リザーバ12に等しい、またはそれを上回る直径を有する。例えば、いくつかの実施形態において、流動遮断装置34は、リザーバ12の直径の約1~約5倍の範囲内である直径を有する。他の実施形態において、流動遮断装置は、より大きい直径を有し得る。流動遮断装置34の直径は、部分的にリザーバ12に対する流動遮断装置34の場所に基づいて選択され得る。例えば、リザーバ12からより遠くに設置されるより大きい流動遮断装置34は、リザーバ12により近く設置されるより小さい流動遮断装置34と同様の効果を有し得る。いくつかの実施形態において、流動遮断装置は、リザーバに比較的に近い収集器上への堆積のために要求されない場合があるが、流動遮断装置は、リザーバからより遠い距離における(例えば、リザーバから20cmを上回る距離における、リザーバから30cmを上回る距離における、またはリザーバから50cmを上回る距離における)収集のために必要とされ得る。
【0060】
図5Aは、システムの周囲のガス流の流線およびガス流に対する流動遮断装置34の影響を図式的に描写する。ガス流は、リザーバの回転およびリザーバの中心部分を通した外部から印加されるガスによって引き起こされる半径方向および方位角のガス流によって支配される。循環領域内で、急速回転するリザーバからの求心性流とリザーバの中心から吹き付けられる空気噴射のエントレインメント流との間の競合に起因して、渦が、生じる。駆動領域における外部からの流動は、循環領域を越えた、リザーバおよび流動遮断装置の上流からのガスの流動も取り込み、それは、追従領域内で流動する。流動遮断装置34は、リザーバの上流からの少なくとも一部の空気流を改変(例えば、遮断)し、循環領域内の渦のサイズおよび形状に影響を及ぼし得る。
【0061】
図5Bは、遠心領域内の流動の影響下のポリマー噴射24(ポリマー噴射24は、外部からの空気流の不在下でリザーバからの射出に起因する遠心力を受けている)と、張力領域内の結果として生じる繊維15(繊維15は、外部からの空気流30によって取り込まれ、張力を受けている)とを図式的に描写する。この概略図では、外部からの空気流30を発生させるために使用される1つ以上のガス流源は、簡易化のために示されていない。
【0062】
図5Cは、リザーバの軸方向図を図式的に描写し、種々の力が、繊維形成プロセスの間にリザーバからのポリマー材料の射出された噴射に作用することを図示する。
【0063】
図6A-6Cおよび7A-7Cは、いくつかの実施形態による、流動遮断装置の効果を図示する。非限定的例では、
図6A-6Cは、流動遮断装置34を含まない流れ繊維堆積のための回転噴射紡績システム10による繊維の生成に対応する。対照的に、
図7A-7Cは、ここでは流動遮断装置34を含む流れ繊維堆積のための回転噴射紡績システム10による繊維の生成に対応する。
図7Aの繊維堆積中の背景減算画像は、流動遮断装置が採用されなかった
図6Aの背景減算画像と比較して、流動遮断装置34の使用によるリザーバ12の下流のより少ない乱流を示す。いくつかの実施形態において、流動遮断装置34は、ガスの流動およびリザーバ12の回転によって発生させられる渦の追加の制御を提供し、それによって、繊維が標的に向かって進行するとき、ポリマー繊維の堆積の側面積の制御を改良する。繊維は、
図7Bに示される流動遮断装置を用いて、流れの中に集束させられる前、より遠くに延びる。流動遮断装置34は、抗力領域を抑制し、より良好な繊維形態につながる。
図6Cおよび7CのSEM画像は、結果として生じる繊維の形態を比較する。画像は、流動遮断装置を用いて生成された繊維に関するより均一な繊維直径および繊維の低減された丸まりを図示する。サンプルは、リザーバから20cm下流で収集された。
【0064】
システムのいくつかの実施形態は、流動遮断装置を含むものとして本明細書に描写されるが、本明細書に説明されるシステムおよび方法は、リザーバの上流に流動遮断装置または流動調整器を含む必要、それを組み込む必要、またはそれを採用する必要はない。いくつかの実施形態において、堆積における繊維形態、分布、および繊維整列は、流動遮断装置の使用を伴わなくとも許容可能であり得る。上記のように、いくつかの実施形態において、流動遮断装置が必要とされるかどうか、または採用されるかどうかは、少なくとも部分的にリザーバと繊維が収集される表面との間の距離に応じて決定され得る。
【0065】
いくつかの実施形態は、繊維を取り込み、ガス流れを収束および集束させる、単一のガス流に収束させる複数のガス流を有するものとして本明細書に説明されるが、他の実施形態において、リザーバの回転の軸に沿って方向付けられる単一のガス流が、採用され得る。
【0066】
本明細書に説明されるいくつかのシステムおよび方法に関して、中心ガス流が、狭幅部に至るまで繊維流れを集束させた後、繊維流れは、乱流噴射広がりに関して予測されるであろうように、リザーバからの距離に比例して広がる。
図8Aは、繊維流れの複数のオーバーレイされた画像から形成された広視野画像であり、リザーバからの距離xに伴う繊維流れのこの広がりr
streamを図示する。
図8Bは、リザーバからの異なる距離における収集に関する厚さプロファイルのプロットである。厚さプロファイルは、r
stream~0.1xでの自己相似スケーリングを示し、それは、噴射流の乱流広がりに関する速さプロファイルの自己相似スケーリングに類似する。したがって、流れの狭幅部の下流で、流れ幅は、リザーバからの収集標的表面の距離に比例して増加する。
【0067】
いくつかの実施形態において、流れ繊維堆積を用いた回転噴射紡績のためのシステムは、3D特徴上への形状適合堆積のために構成される。繊維流れの閉じ込めは、3D特徴上への形状適合堆積のために重要である。長さスケールの観点から、
図9Aに図式的に図示されるように、閉じ込めは、繊維流れ幅wによって特徴付けられ、堆積のための標的の3D特徴は、局所曲率半径ρによって特徴付けられる。繊維流れが、ランダムな繊維群から発生させられ、乱流変動によって常に摂動させられるので、繊維軌道は、流れの内側でうねる。
図9Bに図式的に描写されるように、繊維流れ幅が標的表面の曲率をはるかに下回り、w<<ρである場合、標的表面は、繊維流れに関して事実上平坦であり、堆積は、標的表面に形状適合する。繊維流れ幅が標的表面の曲率に匹敵するか、またはそれを下回り、w~ρまたはw>>ρである場合、曲率は、堆積に対して重要な効果を及ぼす。標的表面が、凸状である場合、繊維は、標的を包み込み、依然として、形状適合堆積をもたらす。しかしながら、
図9Cに図示されるように、表面が、凹状である場合、繊維は、凹状部分を横断して掛かり、非形状適合堆積をもたらす。実践では、繊維流れの幅は、中心ガス流の幅によって決定され、中心ガス流の幅は、スピナレットの直径に対応し得、収集距離に伴って線形に増加する。標的の特徴サイズと比較した流れ幅の効果が、約6cmの固定流れ幅を使用して、2つの標的、すなわち、50cm高さの女性マネキンおよびQingzhou, Chinaからの5世紀の彫像から複製された15cm高さの仏面上への堆積によって例証された。流れ幅が、標的上の特徴サイズとほぼ同じサイズであったより大きい特徴サイズでは、堆積は、女性マネキンの身体特徴に良好に形状適合した(
図9D参照)。流れ幅が、標的上の特徴サイズより大きかった比較的により小さい特徴サイズでは、堆積は、仏面上のいずれの顔面特徴も殆ど分解しなかった(
図9E参照)。エンボス加工後、仏面上の顔面特徴の詳細が、明らかにされている(
図9F参照)。
図9D-9F上のスケールバーは、約6cmである。
【0068】
理論的には、より微細な特徴分解能のためのより小さい流れ幅を達成するために、紡績設定をスケールダウンし得る。実践では、より小さい流れ幅は、通常、処理能力と繊維品質との間のトレードオフを要求する。乱流変動が、繊維流れにおける繊維を常に摂動させるので、繊維が衝突し、束になる機会は、流れの内側の繊維密度が増加するにつれて増加する。その結果、流れ幅を減少させながら同じ処理能力を保持することは、これが、より大きい繊維密度を要求するため、より不良な繊維品質につながる。代替として、より小さい流れのために繊維密度を同じに保つことは、より低い処理能力につながる。微細な特徴が、粗い特徴上の浅い起伏としてのみ現れる仏面のような標的に関して、大きいスケールの特徴を捕捉し、エンボス加工が続く、高処理能力堆積が、採用され得る(
図9F参照)。
【0069】
いくつかの実施形態において、繊維流れにおける繊維の整列は、システムおよび方法が、堆積角度を変動させることによって堆積の整列を制御することを可能にする。繊維流れが、
図10Aの上側画像に図式的に描写されるように、接線向きで標的の表面に衝打する場合、空気噴射の流動野は、標的によって殆ど摂動させられず、繊維は、それらが流れにおいて変動するにつれて標的表面上に落ち、流れにおけるそれらの整列を保全する。この堆積角度を用いて堆積させられた繊維の
図10Aの走査電子顕微鏡写真(下側左)および対応するフーリエ変換(下側右)画像が、流れにおける繊維整列を確認する。流れが、
図10Cの上側画像に描写されるように、垂直向きで標的の表面に衝打する場合、空気噴射は、標的に当たり、流れを形成するために使用される収束加速場とは反対に、発散減速流動場を形成する。その結果、繊維は、ゆがみ、ランダムな群に拡散し、この堆積角度を用いて堆積させられた繊維の
図910の走査電子顕微鏡写真(下側左)および対応するフーリエ変換(下側右)画像によって示されるように、整列を殆どまたは全く伴わないランダムな堆積をもたらす。中間入射角を使用することは、
図10Bに示されるような部分的に整列させられた堆積につながる。SEM画像では、スケールバーは、20μmである。種々の整列パターンが、いくつかの実施形態に従って、流れに対して標的を移動させることによって可能である。例えば、回転するディスク上での収集は、
図9Dによって図示されるような厚さを通した回転整列を伴う繊維シートを生成する。回転するシリンダ上での収集は、
図10Eおよび10Fによって図示されるような螺旋整列を生成する。いくつかの実施形態において、堆積角度の制御と標的回転の制御との組み合わせが、より複雑な繊維整列パターンを作成するために採用され得る。
【0070】
いくつかの実施形態において、回転噴射紡績システムは、第1のポリマー材料と異なり得る第2のポリマー材料を保持するように構成された第2のリザーバも含み得る。いくつかの実施形態において、回転噴射紡績システムは、第2の1つ以上のガス流源も含み得、第2のリザーバおよび第2の1つ以上のガス流源は、リザーバを通したガス流が、第2のリザーバの回転軸に実質的に平行であり得るか、または第2のリザーバの回転軸に対してある角度にあり得る第2の方向に沿ったリザーバの下流のガス流を形成するために構成され得る。ガス流は、繊維を取り込み、偏向させ、第2の方向における第2の繊維流れを形成し得る。いくつかの実施形態において、第1のリザーバおよび第2のリザーバは、それらの両方が同時に同じ標的表面上に繊維を堆積させ得るように向けられる。リザーバ12に関して本明細書に説明される特徴および側面の全ては、第2のリザーバにも適用され、1つ以上のガス流源に関して本明細書に説明される特徴および側面の全ては、第2の1つ以上のガス流源にも適用されるであろう。
【0071】
いくつかの実施形態において、ポリマー材料は、ポリマー溶液であり、ポリマー繊維は、ポリマー溶液からの溶媒の蒸発によって形成される。いくつかの実施形態において、ポリマー材料は、ポリマー溶融物であり、ポリマー繊維は、少なくとも部分的に冷却に起因する固化によって形成される。リザーバ、紡績速度、オリフィス直径、ポリマー、ポリマー溶液、およびポリマー溶融物等の他のポリマー材料等の回転紡績システムに関する追加の詳細が、米国特許第2013/0312638号(参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に見出され得る。
【0072】
いくつかの実施形態において、流れ堆積のための回転噴射紡績システム10bは、繊維形成のために架橋、沈殿、または凝固を要求するポリマー材料を採用し得る。いくつかのそのような実施形態において、少なくとも部分的に沈殿、凝固、または架橋槽104内に浸漬される回転標的102が、ポリマー材料の流れにさらされ得る(
図11A参照)。沈殿、凝固、または架橋槽、および湿式回転噴射紡績システムおよび方法に関する追加の詳細が、米国特許公開第2015/0354094号(その全内容は、参照することによって本明細書に組み込まれる)に見出され得る。
【0073】
いくつかの実施形態において、ポリマー材料は、ポリマー溶融物を含み得、システム10bは、リザーバへの送達に先立って、ポリマー材料を加熱するための加熱器204(例えば、シリンジ加熱器)を含み得る(
図11B参照)。システム10bは、加えて、または代替として、ポリマー材料がリザーバ内にある間にポリマー材料を加熱するためのリザーバ加熱器204を含み得る。
図11Bに描写されるように、リザーバ加熱器は、いくつかの実施形態において、赤外線スポット加熱器であり得る。
【0074】
いくつかの実施形態において、流れ繊維堆積のための回転噴射紡績システム10cは、
図11Cに描写されるように、ハンドヘルドデバイスとして構成され得る。
【0075】
いくつかの実施形態において、システム10dは、
図11Dに示されるように、コンベヤベルト302上等、線形に輸送されている標的上に繊維を堆積させ得る繊維堆積のための複数の回転噴射紡績システムを含み得る。いくつかの実施形態において、システムまたは複数の回転噴射紡績システムは、生産ラインにおける使用のために適合され得る。
【0076】
いくつかの実施形態において、システムは、10μm未満の平均直径を有する繊維の堆積のために構成される。いくつかの実施形態において、システムは、5μm未満の平均直径を有する繊維の堆積のために構成される。いくつかの実施形態において、システムは、3μm未満の平均直径を有する繊維の堆積のために構成される。いくつかの実施形態において、システムは、2μm未満の平均直径を有する繊維の堆積のために構成される。
【0077】
実施形態は、標的の表面上にミクロンまたはナノメートル寸法の繊維を堆積させる方法を含む。方法のいくつかの実施形態は、例証目的のためだけに、
図3A-3Gに描写されるシステム10に関して本明細書に説明されるが、しかしながら、当業者は、本開示の観点から、他のシステムも、本明細書に説明される方法とともに採用され得ることを認識するであろう。いくつかの実施形態において、方法は、回転軸21まわりに、外側側壁18と少なくとも1つのオリフィス22とを有するリザーバ12を回転させ、少なくとも1つのオリフィス22からポリマー材料の噴射24を射出することを含み、それは、固化し、ポリマー繊維15を形成する。リザーバ12の回転およびポリマー繊維を形成するためのポリマー材料噴射24の射出中、ガスの少なくとも1つの流動、例えば、流動30a、流動30b、流動30c、または流動30が、リザーバ12の外側側壁18から半径方向に内側のリザーバの一部を通して、リザーバの上流端14からリザーバの下流端16に方向付けられ、ガスの少なくとも1つの流動30を用いてポリマー繊維24を取り込み、集束繊維堆積流れを形成する。集束繊維堆積流れは、標的表面上に収集され、高分子繊維材料を形成する。いくつかの実施形態において、集束繊維堆積流れは、リザーバの回転軸にほぼ平行である第1の方向において流動する。いくつかの実施形態において、第1の方向の向きは、リザーバの回転軸の20度以内、リザーバの回転軸の10度以内、またはその5度以内である。いくつかの実施形態において、ガスの少なくとも1つの流動は、収束し、組み合わせられ、第1の方向における組み合わせられたガス流30を形成する、ガスの複数の流動30a、30b、30cである(
図3F参照)。いくつかの実施形態において、リザーバは、ガスの少なくとも1つの流動がリザーバを通して流動することを可能にする、側壁の半径方向に内側の少なくとも1つの開口20a、20b、20cを含む。
【0078】
いくつかの実施形態において、堆積させられた繊維は、10μm未満の平均直径を有する。いくつかの実施形態において、堆積させられた繊維は、5μm未満の平均直径を有する。いくつかの実施形態において、堆積させられた繊維は、3μm未満の平均直径を有する。いくつかの実施形態において、堆積させられた繊維は、2μm未満の平均直径を有する。
【0079】
本明細書に説明されるシステムおよび方法は、多くの異なる使用および目的のために採用され得る。例えば、非限定的リストとして、システムおよび方法は、複合材料の生成のために、組織工学設計のために(例えば、細胞または組織足場のために)、または衣類設計のために採用され得る。いくつかの実施形態は、複雑な3次元形状および/または複雑な繊維整列を有する構造の形成のために特に適している。繊維堆積の3D形状および整列の両方を制御する能力は、ファッション設計、複合材料、および組織工学設計等の構造化された繊維状材料が関与する種々の分野に影響を及ぼすことができる。
【0080】
(実施例-工学設計された心室)
工学設計された心室のための組織足場が、本明細書に説明されるいくつかの実施形態の能力を実証するために生成された。心室は、血液圧送に関与する2つの心腔である。心室は、螺旋方式で巻く高度に整列させられた心筋細胞の層から作製される。螺旋角は、心室壁の厚さを通して45°から-45°に回転する。心筋細胞の複雑な螺旋配置は、線維状細胞外マトリクス(ECM)によって支持され、それは、主として、その直径が数十ナノメートルから数ミクロンに及ぶ階層的コラーゲン線維から成る。この線維状ECMを再構築することは、心臓組織工学設計における重要な課題と見なされる。心室の線維状ECMを再構築するための従来の努力は、組織脱細胞、ランダム繊維堆積、および3D印刷を含む、多数の努力を含んでいた。しかし、これらの努力は、依然として、微細な繊維と、複雑な構造と、高処理能力との間のトレードオフによって限定される。
【0081】
4ステップ紡績手順が、
図12Aに図式的に描写されるような簡略化された3層螺旋両心室モデルを複製するために採用された。繊維直径は、心臓ECMにおける筋上膜線維の直径と同様に、数ミクロンであるように選択された。ステップ1において、繊維の流れが、左心室のように成形された回転するマンドレル上に堆積させられ、マンドレルは、堆積流れに対して45度の角度にあった。ステップ2において、繊維の流れが、回転する左心室マンドレル上に堆積させられ、左心室マンドレルは、繊維流れに垂直であった。ステップ3において、繊維が、右心室のように成形された回転するマンドレル上に堆積させられ、右心室マンドレルは、堆積流れに対して45度の角度にあった。ステップ4において、左心室マンドレルおよび右心室マンドレルは、組み合わせられたマンドレルを形成するようにともに位置付けられ、繊維が、回転する組み合わせられたマンドレルにわたって、かつ繊維の以前に堆積させられた層にわたって、繊維流れに対して-45度の角度において堆積させられた。
【0082】
これらの設計特徴の実現は、直接測定によって、またはマイクロCT撮像によって検証された。
図12Bは、以前に堆積させられた繊維層を伴う組み合わせられたマンドレルの画像であり、
図12Cは、繊維流れに対して-45度の角度における繊維の層の堆積後の組み合わせられたマンドレルの画像である。
【0083】
図12Cは、結果として生じる堆積させられた繊維構造の区分のマイクロCT画像である。
図12Dは、様々な螺旋角を示す2つの心室の間の中隔領域のマイクロCT画像である。
図12Eは、様々な螺旋角を同様に示す、中隔領域の画像の詳細である。
【0084】
本明細書および請求項全体を通して本明細書に使用されるような近似言語は、これが関連する基本機能の変化をもたらすことなく許容範囲内で変動し得る任意の量的または質的表現を修飾するために適用され得る。故に、「約」等の用語または数値範囲によって修飾される値は、規定される精密な値に限定されるものではなく、規定される値と異なる値を含み得る。少なくともいくつかの事例では、近似言語は、値を測定するための器具の精度に対応し得る。
【0085】
本開示は、限定された数の側面および実施形態のみに関連して詳細に説明されたが、本開示が、そのような側面に限定されないことを理解されたい。むしろ、本開示は、本明細書の前述に説明されないが、請求項の範囲と一致する、任意の数の変形例、改変、置き換え、または同等の配置を組み込むように修正されることができる。加えて、本開示の種々の実施形態が、説明されたが、本開示の側面が、説明される実施形態のうちのいくつかのみを含み得ることを理解されたい。故に、本開示は、前述の説明によって限定されるように見なされるものではなく、添付される請求項の範囲によってのみ限定される。
【外国語明細書】