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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138199
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】基板処理方法、及び基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
H01L21/304 651J
H01L21/304 651H
H01L21/304 651G
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024124881
(22)【出願日】2024-07-31
(62)【分割の表示】P 2020130882の分割
【原出願日】2020-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 滋
(72)【発明者】
【氏名】藤井 大樹
(72)【発明者】
【氏名】枝光 建治
(72)【発明者】
【氏名】岩田 敬次
(72)【発明者】
【氏名】川井 侑哉
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 健一
(57)【要約】
【課題】基板の清浄度を向上させることができる基板処理方法、及び基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板処理方法は、希釈化されたイソプロピルアルコールである希釈イソプロピルアルコール(dIPA)を処理槽(3)に貯める工程(S14)と、処理槽(3)内の希釈イソプロピルアルコール(dIPA)に、撥水化処理された基板(W)を浸漬する浸漬工程(S15)とを包含する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する基板処理方法であって、
希釈化されたイソプロピルアルコールである液状の希釈イソプロピルアルコールを処理槽に貯める工程と、
撥水化処理された前記基板に、蒸気化された有機溶媒を供給する工程と、
前記有機溶媒を供給する工程の後、表面に撥水化剤が残留している前記基板を前記処理槽の上方の位置から下降させて前記処理槽内の液状の前記希釈イソプロピルアルコールに浸漬する浸漬工程と
を包含する、基板処理方法。
【請求項2】
前記処理槽内の前記希釈イソプロピルアルコールに、撥水化処理された前記基板を浸漬する前に、前記基板を乾燥させる工程を更に包含する、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記有機溶媒を供給する工程において、前記処理槽を収容する密閉空間内に、蒸気化された撥水化剤を供給して、前記基板を撥水化処理する、請求項1又は請求項2に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記処理槽内に貯められたリンス液に前記基板を浸漬する工程と、
前記リンス液から前記基板を引き上げる工程と、
前記処理槽から前記リンス液を排液する工程と
を更に包含し、
前記リンス液の排液後に前記撥水化処理を行う、請求項3に記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記有機溶媒を供給する工程において、前記密閉空間内に蒸気化された有機溶媒を供給する請求項3又は請求項4に記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記密閉空間内を減圧して、前記撥水化処理を行う、請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項7】
前記希釈イソプロピルアルコールを前記処理槽に貯める前に、前記密閉空間内の圧力を大気圧に戻す工程を更に包含する、請求項6に記載の基板処理方法。
【請求項8】
前記希釈イソプロピルアルコールから前記基板を引き上げる引き上げ工程と、
前記希釈イソプロピルアルコールから引き上げられた前記基板を乾燥させる乾燥工程と
を更に包含する、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項9】
前記有機溶媒を供給する工程は、前記引き上げ工程の前に行われ、
前記乾燥工程は、前記処理槽を収容する密閉空間内に不活性ガスを供給する工程を含む、請求項8に記載の基板処理方法。
【請求項10】
前記処理槽を収容する密閉空間内を減圧して、前記乾燥工程を行う、請求項8又は請求項9に記載の基板処理方法。
【請求項11】
前記浸漬工程において、前記処理槽に前記希釈イソプロピルアルコールを供給する、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項12】
前記浸漬工程において、前記基板を振動させる、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項13】
前記希釈イソプロピルアルコールにおいて、イソプロピルアルコールの濃度は0.3%以上5%未満である、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項14】
基板を処理する基板処理装置であって、
希釈化されたイソプロピルアルコールである液状の希釈イソプロピルアルコールを貯留する処理槽と、
前記処理槽を収容するチャンバーと、
前記チャンバー内において、前記処理槽内の第1処理位置と、前記処理槽外の第2処理位置との間で前記基板を移動させる移動部と、
撥水化処理された前記基板に、蒸気化された有機溶媒を供給するノズルと、
前記移動部を制御して、表面に撥水化剤が残留している前記基板を前記処理槽の上方の位置から下降させて前記処理槽内の液状の前記希釈イソプロピルアルコールに浸漬させる制御部と
を備える、基板処理装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理方法、及び基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハのような基板を処理して、半導体装置のような製品を製造する工程には、薬液によって基板を処理する薬液処理工程と、リンス液によって基板の表面から薬液を除去するリンス工程と、基板を乾燥させる乾燥工程とが含まれる。
【0003】
しかし、乾燥工程において、基板の表面に形成されているパターンが倒壊することがある。パターンの倒壊は、パターン内に侵入したリンス液の表面張力に起因する。
【0004】
そこで、パターンの倒壊を回避するために、基板に撥水化剤を供給してパターンを撥水性保護膜で覆うことがある。例えば、特許文献1には、薬液処理、純水リンス処理、アルコールリンス処理、撥水性処理、アルコールリンス処理、純水リンス処理、及び乾燥処理を基板に対して順次実行する基板処理方法が開示されている。撥水性処理後のアルコールリンス処理は、基板の表面に残留している撥水化剤をIPA(イソプロピルアルコール)に置換して除去する処理である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-114414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、撥水性処理後にアルコールリンス処理を行うと、基板の表面に残留している撥水化剤がIPAと反応してパーティクルが発生することがある。この結果、基板の清浄度が低下する可能性がある。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、基板の清浄度を向上させることができる基板処理方法、及び基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面によれば、基板処理方法は、基板を処理する方法である。当該基板処理方法は、希釈化されたイソプロピルアルコールである希釈イソプロピルアルコール(液状の希釈イソプロピルアルコール)を処理槽に貯める工程と、前記処理槽内の前記希釈イソプロピルアルコールに、撥水化処理された前記基板を浸漬する浸漬工程とを包含する。
【0009】
ある実施形態において、前記基板処理方法は、前記処理槽内の前記希釈イソプロピルアルコールに、撥水化処理された前記基板を浸漬する前に、前記基板を乾燥させる工程を更に包含する。
【0010】
ある実施形態において、前記浸漬工程は、前記有機溶媒を供給する工程の後、表面に撥水化剤が残留している前記基板を前記処理槽の上方の位置から下降させて前記処理槽内の液状の前記希釈イソプロピルアルコールに浸漬する。
【0011】
ある実施形態において、前記基板処理方法は、前記処理槽を収容する密閉空間内に、蒸気化された撥水化剤を供給して、前記基板を撥水化処理する工程をさらに包含する。
【0012】
ある実施形態において、前記基板処理方法は、前記有機溶媒を供給する工程において、前記処理槽を収容する密閉空間内に、蒸気化された撥水化剤を供給して、前記基板を撥水化処理する。
【0013】
ある実施形態において、上記基板処理方法は、前記処理槽内に貯められたリンス液に前記基板を浸漬する工程と、前記リンス液から前記基板を引き上げる工程と、前記処理槽から前記リンス液を排液する工程とを更に包含する。前記リンス液の排液後に前記撥水化処理を行う。
【0014】
ある実施形態では、前記有機溶媒を供給する工程において、前記密閉空間内に蒸気化された有機溶媒を供給する。
【0015】
ある実施形態では、前記密閉空間内を減圧して、前記撥水化処理を行う。
【0016】
ある実施形態において、上記基板処理方法は、前記希釈イソプロピルアルコールを前記処理槽に貯める前に、前記密閉空間内の圧力を大気圧に戻す工程を更に包含する。
【0017】
ある実施形態において、上記基板処理方法は、前記希釈イソプロピルアルコールから前記基板を引き上げる引き上げ工程と、前記希釈イソプロピルアルコールから引き上げられた前記基板を乾燥させる乾燥工程とを更に包含する。
【0018】
ある実施形態において、上記基板処理方法は、前記引き上げ工程の前に、前記処理槽を収容する密閉空間内に、蒸気化された有機溶媒を供給する工程を更に包含する。前記乾燥工程は、前記密閉空間内に不活性ガスを供給する工程を含む。
【0019】
ある実施形態では、前記処理槽を収容する密閉空間内を減圧して、前記乾燥工程を行う。
【0020】
ある実施形態では、前記浸漬工程において、前記処理槽に前記希釈イソプロピルアルコールを供給する。
【0021】
ある実施形態では、前記浸漬工程において、前記基板を振動させる。
【0022】
ある実施形態では、前記希釈イソプロピルアルコールにおいて、イソプロピルアルコールの濃度は0.3%以上5%未満である。
【0023】
本発明の他の局面によれば、基板処理装置は、基板を処理する。当該基板処理装置は、処理槽と、チャンバーと、移動部と、制御部とを備える。前記処理槽は、希釈化されたイソプロピルアルコールである希釈イソプロピルアルコール(液状の希釈イソプロピルアルコール)を貯留する。前記チャンバーは、前記処理槽を収容する。前記移動部は、前記チャンバー内において、前記処理槽内の第1処理位置と、前記処理槽外の第2処理位置との間で前記基板を移動させる。前記制御部は、前記移動部を制御して、前記処理槽内の前記希釈イソプロピルアルコールに、撥水化処理された前記基板を浸漬させる。
【0024】
ある実施形態では、前記基板処理装置は、撥水化処理された前記基板に、蒸気化された有機溶媒を供給するノズルを備える。
【0025】
ある実施形態では、前記制御部は、前記移動部を制御して、表面に撥水化剤が残留している前記基板を前記処理槽の上方の位置から下降させて前記処理槽内の液状の前記希釈イソプロピルアルコールに浸漬させる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る基板処理方法、及び基板処理装置によれば、基板の清浄度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施形態1に係る基板処理装置の内部の構成を示す模式図である。
図2】本発明の実施形態1に係る基板処理装置の内部の構成を示す他の模式図である。
図3】本発明の実施形態1に係る基板処理方法を示すフロー図である。
図4】本発明の実施形態1に係る基板処理方法を示すフロー図である。
図5】本発明の実施形態1に係る基板処理方法を示すフロー図である。
図6】本発明の実施形態1に係る基板処理方法を示すフロー図である。
図7】本発明の実施形態1に係る基板処理方法を示すフロー図である。
図8】本発明の実施形態1に係る基板処理方法を示すフロー図である。
図9】本発明の実施形態1に係る基板処理方法を示すフロー図である。
図10】本発明の実施形態2に係る基板処理方法を示すフロー図である。
図11】本発明の実施形態2に係る基板処理方法を示すフロー図である。
図12】本発明の実施形態3に係る基板処理方法を示すフロー図である。
図13】本発明の実施形態3に係る基板処理方法を示すフロー図である。
図14】本発明の実施形態3に係る基板処理方法を示すフロー図である。
図15】本発明の実施形態3に係る基板処理方法を示すフロー図である。
図16】本発明の他の実施形態に係る基板処理方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面(図1図16)を参照して本発明の基板処理方法、及び基板処理装置に係る実施形態を説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されない。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合がある。また、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0029】
本明細書では、理解を容易にするため、互いに直交するX方向、Y方向及びZ方向を記載することがある。典型的には、X方向及びY方向は水平方向に平行であり、Z方向は鉛直方向に平行である。但し、これらの方向の定義により、本発明に係る基板処理方法の実行時の向き、及び本発明に係る基板処理装置の使用時の向きを限定する意図はない。
【0030】
本実施形態における「基板」には、半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、及び光磁気ディスク用基板などの各種基板を適用可能である。以下では主として、円盤状の半導体ウエハの処理に用いられる基板処理方法及び基板処理装置を例に採って本実施形態を説明するが、上に例示した各種の基板の処理にも同様に適用可能である。また、基板の形状についても各種のものを適用可能である。
【0031】
[実施形態1]
以下、図1図9を参照して本発明の実施形態1を説明する。まず、図1及び図2を参照して本実施形態の基板処理装置100を説明する。図1は、本実施形態の基板処理装置100の内部の構成を示す模式図である。図2は、本実施形態の基板処理装置100の内部の構成を示す他の模式図である。本実施形態の基板処理装置100はバッチ式である。したがって、基板処理装置100は、複数の基板Wを一括して処理する。具体的には、基板処理装置100は、ロット単位で複数の基板Wを処理する。1ロットは、例えば25枚の基板Wからなる。
【0032】
図1に示すように、基板処理装置100は、処理ユニット101を備える。処理ユニット101は、基板Wを乾燥させる。具体的には、処理ユニット101は、チャンバー2と、処理槽3と、気体供給部4と、液供給部5と、保持部50と、開閉部102と、昇降部103とを備える。以下、処理ユニット101を、「乾燥処理ユニット101」と記載する。
【0033】
基板Wは、パターンが形成されたパターン形成面を有する。パターンは、ウェットエッチング処理よって基板Wの表面に形成される。具体的には、基板処理装置100は、乾燥処理ユニット101以外に、基板Wをエッチングする処理ユニットを備える。この処理ユニットによってエッチングされた基板Wが、乾燥処理ユニット101に搬送(搬入)される。
【0034】
チャンバー2には、処理槽3と、気体供給部4と、液供給部5とが収容される。また、チャンバー2には、基板Wの処理時に保持部50が収容される。チャンバー2は、カバー2aを有する。カバー2aは、チャンバー2の上部の開口に装着されている。カバー2aは開閉可能である。
【0035】
処理槽3は、処理液を貯留する。処理液は、リンス液と、希釈IPA(イソプロピルアルコール)とを含む。したがって、処理槽3は、リンス液と、希釈IPAとを貯留する。希釈IPAは、希釈化されたIPAを示す。本実施形態において、リンス液は、DIW(Deionized Water:脱イオン水)である。また、希釈IPAは、DIWによって希釈化されたIPAである。換言すると、希釈IPAは、IPAとDIWとの混合液である。以下、希釈IPAを「dIPA」と記載する場合がある。
【0036】
気体供給部4は、チャンバー2内に気体を供給する。具体的には、気体供給部4は、チャンバー2内に、不活性ガスと、有機溶剤の蒸気と、撥水化剤SMTの蒸気とを供給する。本実施形態において、有機溶剤の蒸気は、IPAの蒸気である。
【0037】
詳しくは、気体供給部4は、第1ノズル11~第8ノズル18を有する。第1ノズル11~第8ノズル18は、チャンバー2の内部であって、処理槽3の外部に配置される。具体的には、第1ノズル11~第8ノズル18は、処理槽3の上方に配置される。図2を参照して説明するように、第1ノズル11~第6ノズル16は、不活性ガスを吐出する。また、第3ノズル13及び第4ノズル14は、IPAの蒸気を吐出する。第7ノズル17及び第8ノズル18は、撥水化剤SMTの蒸気を吐出する。
【0038】
撥水化剤SMTは、例えば、シリコン系撥水化剤、又はメタル系撥水化剤である。シリコン系撥水化剤は、シリコン又はシリコンを含む化合物を撥水化(疎水化)させる。メタル系撥水化剤は、金属又は金属を含む化合物を撥水化(疎水化)させる。
【0039】
シリコン系撥水化剤は、例えば、シランカップリング剤である。シランカップリング剤は、例えば、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)、TMS(テトラメチルシラン)、フッ素化アルキルクロロシラン、アルキルジシラザン、及び非クロロ系疎水化剤の少なくとも一つを含む。非クロロ系疎水化剤は、例えば、ジメチルシリルジメチルアミン、ジメチルシリルジエチルアミン、ヘキサメチルジシラザン、テトラメチルジシラザン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、N,N-ジメチルアミノトリメチルシラン、N-(トリメチルシリル)ジメチルアミン、及びオルガノシラン化合物の少なくとも一つを含む。
【0040】
メタル系撥水化剤は、例えば、疎水基を有するアミン、及び有機シリコン化合物のうちの少なくとも一方を含む。
【0041】
撥水化剤SMTは、親水性有機溶媒に対して相溶解性がある溶媒で希釈されていてもよい。溶媒は、例えば、IPA、又はPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)である。
【0042】
液供給部5は、処理槽3に処理液を供給する。具体的には、液供給部5は、リンス液(DIW)と、dIPAとを処理槽3に供給する。詳しくは、液供給部5は、第9ノズル19と、第10ノズル20とを有する。第9ノズル19及び第10ノズル20は、処理槽3内に配置される。図2を参照して説明するように、第9ノズル19及び第10ノズル20は、リンス液(DIW)と、dIPAとを吐出する。
【0043】
保持部50は、複数の基板Wを保持する。具体的には、保持部50は、複数の保持棒51と、本体板52とを有する。本実施形態では、保持部50は、3つの保持棒51を有する。本体板52は、鉛直方向(Z方向)に延びる板状の部材である。保持棒51はそれぞれ、本体板52の一方の主面から水平方向(X方向)に延びる。複数の基板Wのそれぞれの下縁は、複数(ここでは、3つ)の保持棒51に当接する。複数の基板Wは、X方向に間隔をあけて整列した状態で、起立姿勢(鉛直姿勢)で保持される。
【0044】
開閉部102は、カバー2aを開閉させる。すなわち、開閉部102は、カバー2aを開状態と閉状態との間で遷移させる。カバー2aが開閉することにより、チャンバー2の上部の開口が閉塞状態と開放状態との間で遷移する。開閉部102は、駆動源と、開閉機構とを有しており、駆動源によって開閉機構を駆動して、カバー2aを開閉させる。駆動源は、例えば、モータを含む。開閉機構は、例えば、ラック・ピニオン機構を含む。
【0045】
昇降部103は、保持部50を昇降させる。昇降部103が保持部50を昇降させることにより、保持部50に保持されている基板Wが昇降する。昇降部103は、駆動源及び昇降機構を有しており、駆動源によって昇降機構を駆動して、保持部50を上昇及び下降させる。駆動源は、例えば、モータを含む。昇降機構は、例えば、ラック・ピニオン機構又はボールねじを含む。
【0046】
詳しくは、昇降部103は、チャンバー2の上部の開口を介して、チャンバー2の外部と内部との間で保持部50(基板W)を移動(昇降)させる。すなわち、昇降部103は、チャンバー2内への基板Wの搬入と、チャンバー2外への基板Wの搬出とを行う。
【0047】
また、昇降部103は、チャンバー2内において、処理槽3内の第1処理位置と処理槽3外の第2処理位置との間で保持部50(基板W)を移動(昇降)させる。保持部50が第1処理位置へ移動することにより、基板Wが処理槽3内に移動する。保持部50が第2処理位置へ移動することにより、基板Wが処理槽3外へ移動する。具体的には、第2処理位置は、第1処理位置の上方の位置である。保持部50が第2処理位置へ移動することにより、基板Wが処理槽3の上方の空間へ移動する。昇降部103は、移動部の一例である。なお、図1は、第1処理位置へ移動した保持部50及び基板Wを実線で示し、第2処理位置へ移動した保持部50及び基板Wを破線で示している。
【0048】
続いて、図1を参照して基板処理装置100を更に説明する。図1に示すように、基板処理装置100は、制御装置110を更に備える。制御装置110は、基板処理装置100の各部の動作を制御する。具体的には、制御装置110は、制御部111と、記憶部112とを含む。
【0049】
制御部111は、プロセッサーを有する。制御部111は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、又は、MPU(Micro Processing Unit)を有する。あるいは、制御部111は、汎用演算機を有してもよい。
【0050】
記憶部112は、データ及びコンピュータプログラムを記憶する。データは、レシピデータを含む。レシピデータは、複数のレシピを示す情報を含む。複数のレシピの各々は、基板Wの処理内容及び処理手順を規定する。
【0051】
記憶部112は、主記憶装置を有する。主記憶装置は、例えば、半導体メモリである。記憶部112は、補助記憶装置を更に有してもよい。補助記憶装置は、例えば、半導体メモリ及びハードディスクドライブの少なくも一方を含む。記憶部112はリムーバブルメディアを含んでいてもよい。制御部111は、記憶部112に記憶されているコンピュータプログラム及びデータに基づいて、基板処理装置100の各部の動作を制御する。
【0052】
制御装置110(制御部111)は、開閉部102を制御して、カバー2aを開状態と閉状態との間で遷移させる。詳しくは、制御装置110(制御部111)は、チャンバー2内への基板Wの搬入時、及びチャンバー2外への基板Wの搬出時に、カバー2aを開状態にする。カバー2aが開状態となることにより、チャンバー2の上部の開口が開放状態となり、チャンバー2内への基板Wの搬入、及びチャンバー2外への基板Wの搬出が可能となる。制御装置110(制御部111)は、基板Wの処理時に、カバー2aを閉状態にする。カバー2aが閉状態となることにより、チャンバー2の上部の開口が閉塞状態となる。この結果、チャンバー2の内部が密閉空間となる。基板Wは、密閉空間内で処理される。
【0053】
制御装置110(制御部111)は、昇降部103を制御して、保持部50(基板W)を昇降させる。詳しくは、制御装置110(制御部111)は、チャンバー2内への基板Wの搬入時に、チャンバー2の上部の開口を介して、チャンバー2の外部から内部へ保持部50を移動させて、基板Wをチャンバー2内に搬入する。制御装置110(制御部111)は、チャンバー2外への基板Wの搬出時に、チャンバー2の上部の開口を介して、チャンバー2の内部から外部へ保持部50を移動させて、基板Wをチャンバー2から搬出する。制御装置110(制御部111)は、基板Wの処理時に、チャンバー2内で、保持部50を第1処理位置と第2処理位置との間で移動(昇降)させる。
【0054】
続いて、図2を参照して基板処理装置100を更に説明する。図2に示すように、基板処理装置100は、不活性ガス供給源21と、IPA供給源22と、撥水化剤供給源23と、DIW供給源24と、減圧部25と、第1配管31~第7配管37と、排液ライン41と、排気ライン42と、第1バルブV1~第8バルブV8と、第1ヒータH1と、第2ヒータH2とを更に備える。
【0055】
不活性ガス供給源21は、不活性ガスを供給する。不活性ガスは、例えば、窒素ガスである。IPA供給源22は、IPAを供給する。撥水化剤供給源23は、撥水化剤SMTを供給する。DIW供給源24は、DIWを供給する。
【0056】
第1配管31には、不活性ガス供給源21から不活性ガスが供給される。第1配管31は、不活性ガス供給源21から供給される不活性ガスを、第1ノズル11及び第2ノズル12まで流通させる。
【0057】
第1ノズル11及び第2ノズル12は、中空の管状部材である。第1ノズル11及び第2ノズル12にはそれぞれ、複数の吐出孔が形成されている。本実施形態において、第1ノズル11及び第2ノズル12はX方向に延びる。第1ノズル11の複数の吐出孔は、X方向に等間隔に形成されている。同様に、第2ノズル12の複数の吐出孔は、X方向に等間隔に形成されている。
【0058】
第1配管31を介して第1ノズル11に不活性ガスが供給されると、第1ノズル11の複数の吐出孔からチャンバー2の内部へ不活性ガスが吐出される。同様に、第1配管31を介して第2ノズル12に不活性ガスが供給されると、第2ノズル12の複数の吐出孔からチャンバー2の内部へ不活性ガスが吐出される。
【0059】
第1配管31には、第1バルブV1が介装されている。第1バルブV1は、第1配管31の流路を開閉する開閉弁である。第1バルブV1は、第1配管31を流れる不活性ガスの流通を制御する。詳しくは、第1バルブV1が開くと、不活性ガスが第1配管31を介して第1ノズル11及び第2ノズル12まで流れる。この結果、第1ノズル11及び第2ノズル12から不活性ガスが吐出される。第1バルブV1が閉じると、不活性ガスの流通が遮断されて、第1ノズル11及び第2ノズル12による不活性ガスの吐出が停止する。
【0060】
第1バルブV1は、第1配管31を流れる不活性ガスの流量を調整する調整弁としても機能する。第1バルブV1は、例えば電磁弁である。第1バルブV1は、制御装置110(制御部111)によって制御される。
【0061】
第2配管32には、IPA供給源22からIPAが供給される。第2配管32には、第1ヒータH1が介装されている。第1ヒータH1は、IPAを加熱して、IPAを気化させる。つまり、第1ヒータH1は、IPAの蒸気を生成する。第2配管32は、IPAの蒸気を第3ノズル13及び第4ノズル14まで流通させる。
【0062】
第3ノズル13及び第4ノズル14は、第1ノズル11及び第2ノズル12の下方に配置される。第3ノズル13及び第4ノズル14の構成は、第1ノズル11及び第2ノズル12と同様である。第3ノズル13及び第4ノズル14は、第1ノズル11及び第2ノズル12と同様に、チャンバー2の内部へIPAの蒸気を吐出する。
【0063】
第2配管32には、第2バルブV2が介装されている。第2バルブV2は、第2配管32の流路を開閉する開閉弁である。第2バルブV2は、第2配管32に対して、第1ヒータH1よりも下流に設けられている。第2バルブV2は、第1バルブV1と同様に、第2配管32を流れるIPAの蒸気の流通を制御する。第2バルブV2は、第2配管32を流れるIPAの蒸気の流量を調整する調整弁としても機能する。第2バルブV2は、例えば電磁弁である。第2バルブV2は、制御装置110(制御部111)によって制御される。
【0064】
第3配管33には、不活性ガス供給源21から不活性ガスが供給される。第3配管33は、第2配管32に接続している。つまり、第3配管33は、不活性ガスを第2配管32まで流通させる。
【0065】
第3配管33には、第3バルブV3が介装されている。第3バルブV3は、第3配管33の流路を開閉する開閉弁である。第3バルブV3は、第1バルブV1と同様に、第3配管33を流れる不活性ガスの流通を制御する。第3バルブV3は、第3配管33を流れる不活性ガスの流量を調整する調整弁としても機能する。第3バルブV3は、例えば電磁弁である。第3バルブV3は、制御装置110(制御部111)によって制御される。
【0066】
制御装置110(制御部111)は、第3ノズル13及び第4ノズル14からIPAの蒸気を吐出させる際に、第2バルブV2を開き、第3バルブV3を閉じる。一方、制御装置110(制御部111)は、第3ノズル13及び第4ノズル14から不活性ガスを吐出させる際に、第2バルブV2を閉じ、第3バルブV3を開く。第3バルブV3が開くことにより、不活性ガスが第3配管33から第2配管32に流入し、第2配管32を介して第3ノズル13及び第4ノズル14に不活性ガスが供給される。その結果、第3ノズル13及び第4ノズル14からチャンバー2の内部へ不活性ガスが吐出される。
【0067】
第4配管34には、不活性ガス供給源21から不活性ガスが供給される。第4配管34は、不活性ガス供給源21から供給される不活性ガスを、第5ノズル15及び第6ノズル16まで流通させる。
【0068】
第5ノズル15及び第6ノズル16は、第3ノズル13及び第4ノズル14の下方に配置される。第5ノズル15及び第6ノズル16の構成は、第1ノズル11及び第2ノズル12と同様である。第5ノズル15及び第6ノズル16は、第1ノズル11及び第2ノズル12と同様に、チャンバー2の内部へ不活性ガスを吐出する。
【0069】
第4配管34には、第4バルブV4が介装されている。第4バルブV4は、第4配管34の流路を開閉する開閉弁である。第4バルブV4は、第1バルブV1と同様に、第4配管34を流れる不活性ガスの流通を制御する。第4バルブV4は、第4配管34を流れる不活性ガスの流量を調整する調整弁としても機能する。第4バルブV4は、例えば電磁弁である。第4バルブV4は、制御装置110(制御部111)によって制御される。
【0070】
第5配管35には、撥水化剤供給源23から撥水化剤SMTが供給される。第5配管35には、第2ヒータH2が介装されている。第2ヒータH2は、撥水化剤SMTを加熱して、撥水化剤SMTを気化させる。つまり、第2ヒータH2は、撥水化剤SMTの蒸気を生成する。第5配管35は、撥水化剤SMTの蒸気を第7ノズル17及び第8ノズル18まで流通させる。
【0071】
第7ノズル17及び第8ノズル18は、第5ノズル15及び第6ノズル16の下方に配置される。第7ノズル17及び第8ノズル18の構成は、第1ノズル11及び第2ノズル12と同様である。第7ノズル17及び第8ノズル18は、第1ノズル11及び第2ノズル12と同様に、チャンバー2の内部へ撥水化剤SMTの蒸気を吐出する。
【0072】
第5配管35には、第5バルブV5が介装されている。第5バルブV5は、第5配管35の流路を開閉する開閉弁である。第5バルブV5は、第5配管35に対して、第2ヒータH2よりも下流に設けられている。第5バルブV5は、第1バルブV1と同様に、第5配管35を流れる撥水化剤SMTの蒸気の流通を制御する。第5バルブV5は、第5配管35を流れる撥水化剤SMTの蒸気の流量を調整する調整弁としても機能する。第5バルブV5は、例えば電磁弁である。第5バルブV5は、制御装置110(制御部111)によって制御される。
【0073】
第6配管36には、DIW供給源24からDIWが供給される。第6配管36は、DIW供給源24から供給されるDIWを第9ノズル19及び第10ノズル20まで流通させる。
【0074】
第9ノズル19及び第10ノズル20の構成は、第1ノズル11及び第2ノズル12と同様である。第6配管36を介して第9ノズル19及び第10ノズル20にDIWが供給されることにより、第9ノズル19及び第10ノズル20から処理槽3内へDIWが吐出される。
【0075】
第6配管36には、第6バルブV6が介装されている。第6バルブV6は、第6配管36の流路を開閉する開閉弁である。第6バルブV6は、第1バルブV1と同様に、第6配管36を流れるDIWの流通を制御する。第6バルブV6は、第6配管36を流れるDIWの流量を調整する調整弁としても機能する。第6バルブV6は、例えば電磁弁である。第6バルブV6は、制御装置110(制御部111)によって制御される。
【0076】
第7配管37には、IPA供給源22からIPAが供給される。第7配管37は、第6配管36に接続している。つまり、第7配管37は、IPAを第6配管36まで流通させる。
【0077】
第7配管37には、第7バルブV7が介装されている。第7バルブV7は、第7配管37の流路を開閉する開閉弁である。第7バルブV7は、第1バルブV1と同様に、第7配管37を流れるIPAの流通を制御する。第7バルブV7は、第7配管37を流れるIPAの流量を調整する調整弁としても機能する。第7バルブV7は、例えば電磁弁である。第7バルブV7は、制御装置110(制御部111)によって制御される。
【0078】
制御装置110(制御部111)は、処理槽3にDIWを貯める際に、第6バルブV6を開き、第7バルブV7を閉じる。これにより、第9ノズル19及び第10ノズル20から処理槽3内へDIWが吐出される。
【0079】
一方、制御装置110(制御部111)は、処理槽3にdIPAを貯める際に、第6バルブV6及び第7バルブV7を開く。第6バルブV6及び第7バルブV7が開くことにより、IPAが第7配管37から第6配管36に流入し、第6配管36を流通しているDIWにIPAが合流して、第6配管36内でdIPAが生成される。dIPAは、第6配管36を介して第9ノズル19及び第10ノズル20に供給される。その結果、第9ノズル19及び第10ノズル20から処理槽3内へdIPAが吐出される。
【0080】
また、制御装置110(制御部111)は、dIPAにおいて、IPAの濃度が所定の濃度となるように、第6バルブV6及び第7バルブV7の開度を調整する。所定の濃度は、0.3%以上5%未満である。
【0081】
排液ライン41は、処理槽3の底部に接続している。排液ライン41には、第8バルブV8が介装されている。第8バルブV8は、排液ライン41の流路を開閉する開閉弁である。第8バルブV8は、例えば電磁弁である。第8バルブV8は、制御装置110(制御部111)によって制御される。制御装置110(制御部111)は、処理槽3内に処理液を貯める際に、第8バルブV8を閉じる。一方、制御装置110(制御部111)は、処理槽3から処理液を排出させる際に、第8バルブV8を開く。第8バルブV8が開くと、処理槽3に貯められていた処理液が、排液ライン41を介して、処理槽3からチャンバー2の外部へ排出される。
【0082】
減圧部25は、チャンバー2内の圧力を減少させる。つまり、減圧部25は、チャンバー2内を減圧する。減圧部25は、例えば、排気ポンプを含む。排気ポンプは、例えば、真空ポンプである。減圧部25は、制御装置110(制御部111)によって制御される。詳しくは、減圧部25は、排気ライン42を介してチャンバー2に接続している。減圧部25は、カバー2aが閉状態の際にチャンバー2内の気体を排気して、チャンバー2内を大気圧未満に減圧する。
【0083】
続いて、図1図9を参照して本実施形態の基板処理装置100及び基板処理方法を説明する。本実施形態の基板処理方法は、図1及び図2を参照して説明した基板処理装置100により実行される。図3図9は、本実施形態の基板処理方法を示すフロー図である。詳しくは、図3図9は、基板処理装置100が実行する処理シーケンスを示す。図3図9に示すように、本実施形態の基板処理方法(処理シーケンス)は、ステップS1~ステップS21を含む。
【0084】
まず、図3に示すように、ステップS1において、制御装置110(制御部111)は、保持部50を第1処理位置へ移動させて、チャンバー2内に搬入された基板Wを、処理槽3に貯留されているDIWに浸漬させる。
【0085】
チャンバー2内には、エッチング処理後(ウェットエッチング処理後)の基板Wが搬入される。エッチング処理後の基板WをDIWに浸漬させることにより、基板Wの表面に付着しているエッチング液が、DIWによって水洗される。
【0086】
本実施形態では、ステップS1において、制御装置110(制御部111)は、第9ノズル19及び第10ノズル20(液供給部5)からDIWを吐出させる。これにより、エッチング液が、より水洗される。
【0087】
また、ステップS1において、制御装置110(制御部111)は、第3ノズル13及び第4ノズル14から不活性ガスを吐出させる。例えば、制御装置110(制御部111)は、基板WをDIWに浸漬させた後に不活性ガスの吐出を開始する。なお、このとき、減圧部25は駆動していない。したがって、チャンバー2の内圧は大気圧となっている。
【0088】
次に、ステップS2において、制御装置110(制御部111)は、不活性ガスの吐出を継続させる。また、ステップS2において、制御装置110(制御部111)は、第9ノズル19及び第10ノズル20(液供給部5)からのDIWの吐出を停止させる。なお、このとき、減圧部25は駆動していない。したがって、チャンバー2の内圧は大気圧となっている。
【0089】
次に、ステップS3において、制御装置110(制御部111)は、不活性ガスの吐出を継続させる。また、ステップS3において、制御装置110(制御部111)は、減圧部25を駆動させることにより、排気ライン42を介してチャンバー2内の気体を排気させる。この結果、チャンバー2内が大気圧未満に減圧される。なお、このとき、基板WはDIWに浸漬されている。したがって、基板Wが乾燥してパターンが倒壊することを回避できる。
【0090】
次に、図4に示すように、ステップS4において、制御装置110(制御部111)は、チャンバー2内の減圧を継続させる。チャンバー2内の減圧は、ステップS12(図6)まで継続される。また、ステップS4において、制御装置110(制御部111)は、第3ノズル13及び第4ノズル14からIPAの蒸気を吐出させる。この結果、チャンバー2内にIPAの蒸気を含む雰囲気が形成される。なお、IPAの蒸気の吐出は、ステップS7(図7)まで継続される。
【0091】
次に、ステップS5において、制御装置110(制御部111)は、保持部50を第2処理位置へ移動させて、基板WをDIWから引き上げる。この結果、基板Wに付着している水滴(DIWの液滴)がIPAの蒸気によって除去される。より詳しくは、基板Wに付着している水滴がIPAの液滴に置換される。
【0092】
また、ステップS5において、制御装置110(制御部111)は、第8バルブV8を開いて、排液ライン41を介して処理槽3からDIWを排出させる。なお、第8バルブV8の開状態は、ステップS13(図7)まで維持される。
【0093】
本実施形態によれば、ステップS5において、減圧下で、水滴からIPAの液滴への置換を行うことができる。したがって、大気圧下で行う場合と比べて、水滴からIPAの液滴への置換を短時間で行うことができる。
【0094】
次に、ステップS6において、制御装置110(制御部111)は、保持部50を第1処理位置へ移動させて、基板Wを処理槽3内へ移動させる。このとき、処理槽3内にDIWは残っていない。
【0095】
次に、図5に示すように、ステップS7において、制御装置110(制御部111)は、保持部50を第2処理位置へ移動させて、処理槽3から基板Wを引き上げる。また、ステップS7において、制御装置110(制御部111)は、第7ノズル17及び第8ノズル18から撥水化剤SMTの蒸気を吐出させる。なお、ステップS7においてIPAの蒸気及び撥水化剤SMTの蒸気を吐出させているのは、チャンバー2内の圧力の変動を抑制するためである。
【0096】
次に、ステップS8において、制御装置110(制御部111)は、撥水化剤SMTの蒸気の吐出を継続させる。また、ステップS8において、制御装置110(制御部111)は、IPAの蒸気の吐出を停止させる。この結果、基板Wに付着しているIPAの液滴が撥水化剤SMTの液滴に置換されて、撥水性保護膜が基板Wの表面に形成される。したがって、基板Wに形成されているパターンが撥水性保護膜によって覆われる(撥水化処理)。パターンを撥水性保護膜で覆うことにより、パターンの倒壊を回避することができる。
【0097】
次に、ステップS9において、制御装置110(制御部111)は、第3ノズル13及び第4ノズル14からIPAの蒸気を吐出させる。また、ステップS9において、制御装置110(制御部111)は、撥水化剤SMTの蒸気の吐出を継続させる。ステップS9においてIPAの蒸気及び撥水化剤SMTの蒸気を吐出させているのは、チャンバー2内の圧力の変動を抑制するためである。
【0098】
次に、図6に示すように、ステップS10において、制御装置110(制御部111)は、撥水化剤SMTの蒸気の吐出を停止させる。また、ステップS10において、制御装置110(制御部111)は、IPAの蒸気の吐出を継続させる。この結果、基板Wに付着している撥水化剤SMTの残渣物がIPAの蒸気によって除去される。より詳しくは、基板Wに付着している撥水化剤SMTの残渣物がIPAの液滴に置換される。
【0099】
次に、ステップS11において、制御装置110(制御部111)は、第3ノズル13及び第4ノズル14から不活性ガスを吐出させる。
【0100】
次に、ステップS12において、制御装置110(制御部111)は、第3ノズル13及び第4ノズル14からの不活性ガスの吐出を継続させるとともに、第1ノズル11、第2ノズル12、第5ノズル15、及び第6ノズル16からも不活性ガスを吐出させる。この結果、基板Wが乾燥する。本実施形態では、減圧下で基板Wを乾燥させる。減圧下で基板Wを乾燥させることにより、大気圧下で基板Wを乾燥させる場合と比べて、乾燥効率を高めることができる。すなわち、基板Wの乾燥に要する時間を短縮させることができる。
【0101】
次に、図7に示すように、ステップS13において、制御装置110(制御部111)は、第1ノズル11~第6ノズル16からの不活性ガスの吐出を継続させるとともに、減圧部25の駆動を停止させる。この結果、チャンバー2の内圧が大気圧に戻る。
【0102】
次に、ステップS14において、制御装置110(制御部111)は、第1ノズル11、第2ノズル12、第5ノズル15、及び第6ノズル16からの不活性ガスの吐出を停止させる一方で、第3ノズル13及び第4ノズル14からの不活性ガスの吐出を継続させる。
【0103】
また、ステップS14において、制御装置110(制御部111)は、第8バルブV8を閉じた後、第9ノズル19及び第10ノズル20からdIPAを吐出させて、処理槽3内にdIPAを貯留させる。このとき、チャンバー2の内圧は大気圧となっている。したがって、処理槽3内にdIPAを容易に貯留させることができる。
【0104】
次に、ステップS15において、制御装置110(制御部111)は、dIPAの吐出を停止させる。また、ステップS15において、制御装置110(制御部111)は、保持部50を第1処理位置へ移動させて、処理槽3に貯留されているdIPAに基板Wを浸漬させる(浸漬工程)。この結果、基板Wに付着している撥水化剤SMTの残渣物とIPAとの反応に起因して発生したパーティクルが、dIPAによって除去される。具体的には、撥水化剤SMTとIPAとの反応に起因して発生するパーティクルは、dIPAに含まれる水に溶解する。
【0105】
また、ステップS15において、制御装置110(制御部111)は、不活性ガスの吐出を継続させる一方で、減圧部25を駆動することにより、排気ライン42を介してチャンバー2内の気体を排気させる。この結果、チャンバー2内が大気圧未満に減圧される。チャンバー2内の減圧は、ステップS19(図9)まで継続される。
【0106】
なお、ステップS15において、制御装置110(制御部111)は、dIPAの吐出を継続させてもよい。dIPAの吐出を継続させることにより、撥水化剤SMTとIPAとの反応に起因して発生したパーティクルを、より除去することができる。
【0107】
また、ステップS15において、制御装置110(制御部111)は、基板WがdIPAに浸漬している状態を保ちつつ、保持部50を上下方向に揺動させてもよい。これにより、撥水化剤SMTとIPAとの反応に起因して発生したパーティクルを、より除去することができる。
【0108】
次に、図8に示すように、ステップS16において、制御装置110(制御部111)は、第3ノズル13及び第4ノズル14からIPAの蒸気を吐出させる。この結果、チャンバー2内にIPAの蒸気を含む雰囲気が形成される。
【0109】
次に、ステップS17において、制御装置110(制御部111)は、保持部50を第2処理位置へ移動させて、dIPAから基板Wを引き上げる(引き上げ工程)。この結果、基板Wに付着しているdIPAの液滴がIPAの蒸気によって除去される。より詳しくは、基板Wに付着しているdIPAの液滴がIPAの液滴に置換される。
【0110】
また、ステップS17において、制御装置110(制御部111)は、第8バルブV8を開いて、処理槽3から排液ライン41を介してdIPAを排出させる。なお、第8バルブV8の開状態は、ステップS21(図9)まで維持される。
【0111】
本実施形態によれば、ステップS17において、減圧下で、dIPAの液滴からIPAの液滴への置換を行うことができる。したがって、大気圧下で行う場合と比べて、dIPAの液滴からIPAの液滴への置換を短時間で行うことができる。
【0112】
次に、ステップS18において、制御装置110(制御部111)は、第3ノズル13及び第4ノズル14から不活性ガスを吐出させる。
【0113】
次に、図9に示すように、ステップS19において、制御装置110(制御部111)は、第3ノズル13及び第4ノズル14からの不活性ガスの吐出を継続させるとともに、第1ノズル11、第2ノズル12、第5ノズル15、及び第6ノズル16からも不活性ガスを吐出させる(乾燥工程)。この結果、基板Wが乾燥する。
【0114】
本実施形態では、減圧下で基板Wを乾燥させる。減圧下で基板Wを乾燥させることにより、大気圧下で基板Wを乾燥させる場合と比べて、乾燥効率を高めることができる。
【0115】
次に、ステップS20において、制御装置110(制御部111)は、第1ノズル11~第6ノズル16からの不活性ガスの吐出を継続させるとともに、減圧部25の駆動を停止させる。この結果、チャンバー2の内圧が大気圧に戻る。
【0116】
次に、ステップS21において、制御装置110(制御部111)は、第1ノズル11、第2ノズル12、第5ノズル15、及び第6ノズル16からの不活性ガスの吐出を停止させる一方で、第3ノズル13及び第4ノズル14からの不活性ガスの吐出を継続させる。このとき、チャンバー2の内圧は大気圧となっている。
【0117】
以上、図1図9を参照して本発明の実施形態1を説明した。本実施形態によれば、基板Wに付着している撥水化剤SMTの残渣物とIPAとの反応に起因して発生したパーティクルを、dIPAによって除去することができる。したがって、基板Wの清浄度を向上させることができる。
【0118】
また、本実施形態によれば、撥水化剤SMTの蒸気を吐出する前に、基板Wの表面に付着している水滴をIPAの液滴に置換することができる。したがって、基板Wの表面に水滴が付着している場合に比べて、基板Wの表面に撥水化剤SMTの液滴を容易に付着させることができる。
【0119】
また、本実施形態によれば、乾燥処理(ステップS19)の前に、基板Wの表面に付着しているdIPAの液滴をIPAの液滴に置換することができる。IPAは、dIPAと比べて表面張力が小さいため、乾燥処理時にパターンに作用する液体の表面張力がより小さくなり、パターンの倒壊をより回避することができる。
【0120】
また、本実施形態によれば、減圧下で撥水化剤SMTの蒸気を吐出して基板Wの表面に撥水化膜を形成することができる。したがって、大気圧下で撥水化剤SMTの蒸気を吐出して基板Wの表面に撥水化膜を形成する場合と比べて、撥水化膜をより容易に形成することができる。
【0121】
[実施形態2]
続いて図1図2図10及び図11を参照して本発明の実施形態2について説明する。但し、実施形態1と異なる事項を説明し、実施形態1と同じ事項についての説明は割愛する。実施形態2は、実施形態1と異なり、dIPAによるリンス処理以降の処理を大気圧下で行う。
【0122】
図10及び図11は、本実施形態の基板処理方法を示すフロー図である。詳しくは、図10及び図11は、基板処理装置100が実行する処理シーケンスを示す。図10及び図11に示すように、本実施形態の基板処理方法(処理シーケンス)は、ステップS31~ステップS36を含む。
【0123】
本実施形態において、制御装置110(制御部111)は、まず、実施形態1で説明したステップS1~ステップS14の処理を実行する。その後、制御装置110(制御部111)は、図10に示すように、ステップS31において、dIPAの吐出を停止させる。また、ステップS31において、制御装置110(制御部111)は、保持部50を第1処理位置へ移動させて、処理槽3に貯留されているdIPAに基板Wを浸漬させる(浸漬工程)。この結果、基板Wに付着している撥水化剤SMTの残渣物とIPAとの反応に起因して発生したパーティクルが、dIPAによって除去される。
【0124】
また、ステップS31において、制御装置110(制御部111)は、ステップS15と同様に、不活性ガスの吐出を継続させる。その一方で、制御装置110(制御部111)は、ステップS15と異なり、減圧部25を駆動させない。したがって、チャンバー2の内圧は大気圧で維持される。チャンバー2の内圧は、ステップS34(図11)まで大気圧で維持される。
【0125】
なお、ステップS31において、制御装置110(制御部111)は、ステップS15と同様に、dIPAの吐出を継続させてもよい。また、ステップS31において、制御装置110(制御部111)は、ステップS15と同様に、基板WがdIPAに浸漬している状態を保ちつつ、保持部50を上下方向に揺動させてもよい。
【0126】
次に、ステップS32において、制御装置110(制御部111)は、第3ノズル13及び第4ノズル14からIPAの蒸気を吐出させる。この結果、チャンバー2内にIPAの蒸気を含む雰囲気が形成される。
【0127】
次に、ステップS33において、制御装置110(制御部111)は、保持部50を第2処理位置へ移動させて、dIPAから基板Wを引き上げる(引き上げ工程)。また、ステップS33において、制御装置110(制御部111)は、第8バルブV8を開いて、処理槽3から排液ライン41を介してdIPAを排出させる。なお、第8バルブV8の開状態は、ステップS36(図11)まで維持される。
【0128】
次に、図11に示すように、ステップS34において、制御装置110(制御部111)は、IPAの蒸気の吐出を継続させる。この結果、基板Wに付着しているdIPAの液滴がIPAの蒸気によって除去される。
【0129】
次に、ステップS35において、制御装置110(制御部111)は、減圧部25を駆動させることにより、排気ライン42を介してチャンバー2内の気体を排気させる。この結果、チャンバー2内が大気圧未満に減圧される。また、ステップS35において、制御装置110(制御部111)は、第3ノズル13及び第4ノズル14から不活性ガスを吐出させることにより、基板Wを乾燥させる(乾燥工程)。
【0130】
本実施形態では、減圧下で基板Wを乾燥させる。減圧下で基板Wを乾燥させることにより、大気圧下で基板Wを乾燥させる場合と比べて、乾燥効率を高めることができる。
【0131】
次に、ステップS36において、制御装置110(制御部111)は、第3ノズル13及び第4ノズル14からの不活性ガスの吐出を継続させるとともに、第1ノズル11、第2ノズル12、第5ノズル15、及び第6ノズル16からも不活性ガスを吐出させる。また、ステップS36において、制御装置110(制御部111)は、減圧部25の駆動を停止させる。この結果、チャンバー2の内圧が大気圧に戻る。
【0132】
本実施形態によれば、第1ノズル11~第6ノズル16から不活性ガスを吐出させることにより、チャンバー2の内圧を大気圧に効率よく戻すことができる。
【0133】
以上、図1図2図10及び図11を参照して本発明の実施形態2について説明した。本実施形態によれば、基板Wに付着している撥水化剤SMTの残渣物とIPAとの反応に起因して発生したパーティクルを、dIPAによって除去することができる。したがって、基板Wの清浄度を向上させることができる。
【0134】
[実施形態3]
続いて図1図2、及び図12図15を参照して本発明の実施形態3について説明する。但し、実施形態1、2と異なる事項を説明し、実施形態1、2と同じ事項についての説明は割愛する。実施形態3は、実施形態1、2と異なり、大気圧化で処理を行う。
【0135】
図12図15は、本実施形態の基板処理方法を示すフロー図である。詳しくは、図12図15は、基板処理装置100が実行する処理シーケンスを示す。図12図15に示すように、本実施形態の基板処理方法(処理シーケンス)は、ステップS41~ステップS52を含む。
【0136】
まず、図12に示すように、ステップS41及びステップS42において、制御装置110(制御部111)は、実施形態1で説明したステップS1及びステップS2と同様の処理を行う。ステップS41及びステップS42の処理は、実施形態1で説明したステップS1及びステップS2と同様であるため、その説明は割愛する。
【0137】
次に、ステップS43において、制御装置110(制御部111)は、実施形態1で説明したステップS3と同様に、第3ノズル13及び第4ノズル14からの不活性ガスの吐出を継続させる。一方、ステップS43において、制御装置110(制御部111)は、実施形態1で説明したステップS3と異なり、減圧部25を駆動させない。したがって、チャンバー2の内圧は大気圧で維持される。チャンバー2の内圧は、ステップS52(図15)まで大気圧で維持される。
【0138】
次に、図13に示すように、ステップS44及びステップS45において、制御装置110(制御部111)は、実施形態1で説明したステップS4及びステップS5と同様の処理を行う。ステップS44及びステップS45の処理は、大気圧化で行われることを除いて、実施形態1で説明したステップS4及びステップS5と同様であるため、その説明は割愛する。なお、制御装置110(制御部111)は、ステップS45において、第8バルブV8を開いて、排液ライン41を介して処理槽3からDIWを排出させる。第8バルブV8の開状態は、ステップS50(図15)まで維持される。
【0139】
次に、ステップS46において、制御装置110(制御部111)は、IPAの蒸気の吐出を継続させるとともに、保持部50の位置を第2処理位置で維持する。この結果、基板Wに付着している水滴(DIWの液滴)がIPAの蒸気によって除去される。より詳しくは、基板Wに付着している水滴がIPAの液滴に置換される。
【0140】
次に、図14に示すように、ステップS47~ステップS49において、制御装置110(制御部111)は、実施形態1で説明したステップS7~ステップS9と同様の処理を行う。ステップS47~ステップS49の処理は、大気圧化で行われることを除いて、実施形態1で説明したステップS7~ステップS9と同様であるため、その説明は割愛する。
【0141】
次に、図15に示すように、ステップS50において、制御装置110(制御部111)は、実施形態1で説明したステップS10と同様の処理を行う。ステップS50の処理は、大気圧化で行われることを除いて、実施形態1で説明したステップS10と同様であるため、その説明は割愛する。
【0142】
次に、ステップS51において、制御装置110(制御部111)は、IPAの蒸気の吐出を継続させる。また、ステップS51において、制御装置110(制御部111)は、第8バルブV8を閉じた後、第9ノズル19及び第10ノズル20からdIPAを吐出させて、処理槽3内にdIPAを貯留させる。このとき、チャンバー2の内圧は大気圧となっている。したがって、処理槽3内にdIPAを容易に貯留させることができる。
【0143】
次に、ステップS52において、制御装置110(制御部111)は、dIPAの吐出を停止させる。また、ステップS52において、制御装置110(制御部111)は、保持部50を第1処理位置へ移動させて、処理槽3に貯留されているdIPAに基板Wを浸漬させる(浸漬工程)。この結果、基板Wに付着している撥水化剤SMTの残渣物とIPAとの反応に起因して発生したパーティクルが、dIPAによって除去される。また、ステップS52において、制御装置110(制御部111)は、IPAの蒸気の吐出を継続させる。
【0144】
その後、制御装置110(制御部111)は、実施形態2で説明したステップS33~ステップS36の処理を実行する。
【0145】
なお、ステップS52において、制御装置110(制御部111)は、ステップS15と同様に、dIPAの吐出を継続させてもよい。また、ステップS52において、制御装置110(制御部111)は、ステップS15と同様に、基板WがdIPAに浸漬している状態を保ちつつ、保持部50を上下方向に揺動させてもよい。
【0146】
以上、図1図2、及び図12図15を参照して本発明の実施形態3について説明した。本実施形態によれば、実施形態1、2と同様に、基板Wの清浄度を向上させることができる。また、本実施形態によれば、チャンバー2の内圧を大気圧で維持するため、基板Wに付着している撥水化剤SMTの残渣物をIPAの蒸気によって除去した後(ステップS50の後)、乾燥処理(実施形態1で説明したステップS11~S13)を行うことなく、処理槽3内にdIPAを供給することができる。
【0147】
以上、図面(図1図15)を参照して本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、又は、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0148】
図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0149】
例えば、図1図15を参照して説明した実施形態では、DIWによるエッチング液のリンス処理が乾燥処理ユニット101の処理槽3内で行われたが、DIWによるエッチング液のリンス処理は、乾燥処理ユニット101とは異なる処理ユニットの処理槽内で行われてもよい。例えば、DIWによるエッチング液のリンス処理は、基板Wをエッチングする処理ユニットの処理槽内で行われてもよい。
【0150】
また、図1図15を参照して説明した実施形態では、撥水化処理が乾燥処理ユニット101のチャンバー2内で行われたが、撥水化処理は、乾燥処理ユニット101とは異なる処理ユニットのチャンバー内で行われてもよい。
【0151】
また、図1図15を参照して説明した実施形態では、基板WをdIPAに浸漬させている際に、基板Wを上下方向に揺動させたが、基板Wを揺動させる方向は上下方向に限定されない。いずれの方向に基板Wを揺動させても、パーティクルの除去を促進させることができる。例えば、基板WをdIPAに浸漬させている際に、基板Wを横方向に揺動させてもよい。
【0152】
また、図1図15を参照して説明した実施形態では、蒸気化された撥水化剤SMTを用いて基板Wを撥水化させたが、液状の撥水化剤SMTを処理槽3に貯留させて、処理槽3内の撥水化剤SMTに基板Wを浸漬させてもよい。
【0153】
また、図1図2、及び図12図15を参照して説明した実施形態(実施形態3)では、ステップS52の後、実施形態2で説明したステップS33~ステップS36の処理が実行されたが、図16に示すように、ステップS52の後の処理を減圧下で行ってもよい。以下、図16を参照して、本発明の他の実施形態を説明する。
【0154】
図16は、本発明の他の実施形態に係る基板処理方法を示すフロー図である。図16に示すように、本実施形態の基板処理方法(処理シーケンス)は、ステップS52及びステップS61を含む。
【0155】
図16に示すように、制御装置110(制御部111)は、実施形態3で説明したステップS41~ステップS52の処理の実行後、ステップS61において、IPAの蒸気の吐出を継続させる一方で、減圧部25を駆動することにより、排気ライン42を介してチャンバー2内の気体を排気させてもよい。この結果、チャンバー2内が大気圧未満に減圧される。他の実施形態では、ステップS61の後、実施形態1で説明したステップS17~ステップS21の処理が実行される。
【産業上の利用可能性】
【0156】
本発明は、基板を処理する方法及び装置に有用である。
【符号の説明】
【0157】
2 :チャンバー
3 :処理槽
4 :気体供給部
5 :液供給部
21 :不活性ガス供給源
22 :IPA供給源
23 :撥水化剤供給源
24 :DIW供給源
25 :減圧部
100 :基板処理装置
101 :処理ユニット(乾燥処理ユニット)
103 :昇降部
110 :制御装置
111 :制御部
112 :記憶部
W :基板
図1
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