(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138212
(43)【公開日】2024-10-08
(54)【発明の名称】車両情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20241001BHJP
G07C 5/00 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
G08G1/16 C
G07C5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049120
(22)【出願日】2023-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】594058665
【氏名又は名称】株式会社ブリッツ
(74)【代理人】
【識別番号】100180976
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 一郎
(72)【発明者】
【氏名】富田 祐史
【テーマコード(参考)】
3E138
5H181
【Fターム(参考)】
3E138AA07
3E138MA02
3E138MB08
3E138MB09
3E138MC02
3E138MC03
3E138ME04
5H181AA01
5H181BB04
5H181FF05
5H181FF32
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
5H181MB02
(57)【要約】
【課題】車両の動作状況に応じて情報処理の判定条件を自動的に切り替えることができる車両情報処理装置を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様は、車両に関する情報を取得して処理し、処理結果に基づく出力を行う車両情報処理装置であって、走行中の動作情報を取得する取得部と、情報を出力する出力部と、動作情報と、情報処理の複数の項目のそれぞれについて判定条件のセットを示す複数のモードとの対応付けを設定した条件設定情報を記憶する記憶部と、取得部で取得した動作情報に対応付けされるモードを条件設定情報から取得し、取得したモードで示される判定条件を用いて情報処理を行い、処理結果を出力部に出力させる制御を行う制御部と、を備えた車両情報処理装置である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に関する情報を取得して処理し、処理結果に基づく出力を行う車両情報処理装置であって、
走行中の前記車両の動作情報を取得する取得部と、
情報を出力する出力部と、
前記車両の動作情報と、情報処理の複数の項目のそれぞれについて判定条件のセットを示す複数のモードとの対応付けを設定した条件設定情報を記憶する記憶部と、
前記取得部で取得した前記動作情報に対応付けされる前記モードを前記条件設定情報から取得し、取得した前記モードで示される前記判定条件を用いて前記情報処理を行い、処理結果を前記出力部に出力させる制御を行う制御部と、
を備えた車両情報処理装置。
【請求項2】
前記取得部で取得する前記動作情報が前記車両の速度の場合、
前記条件設定情報として、前記複数のモードが変更となる前記車両の速度は、前記車両の速度が高くなる場合と低くなる場合とで相違する、請求項1記載の車両情報処理装置。
【請求項3】
前記取得部で取得する前記動作情報が前記車両の加速度の場合、
前記記憶部に記憶される前記条件設定情報は、予め設定された期間の前記加速度の平均値と、前記モードとの対応付けである、請求項1記載の車両情報処理装置。
【請求項4】
車両速度測定装置から走行中の前記車両に向けて送られる信号を受信する受信部をさらに備え、
前記記憶部に記憶される前記条件設定情報として、前記判定条件は、前記受信部で受信した信号に基づく警報の設定である、請求項1または請求項2に記載の車両情報処理装置。
【請求項5】
前記車両の位置情報を取得するGPS受信部をさらに備え、
前記記憶部に記憶される前記条件設定情報として、前記判定条件は、前記GPS受信部で受信して得た前記車両の位置が、道路の警戒ポイントの位置情報から得た警戒位置から所定の範囲内にある場合の警報の設定である、請求項1または請求項2に記載の車両情報処理装置。
【請求項6】
前記車両における走行中の映像を撮影する映像取得部をさらに備え、
前記記憶部に記憶される前記条件設定情報として、前記判定条件は、前記映像取得部で撮影した映像を保存するか否かの設定である、請求項1または請求項2に記載の車両情報処理装置。
【請求項7】
前記車両における走行中の音声を取得する音声取得部をさらに備え、
前記記憶部に記憶される前記条件設定情報として、前記判定条件は、前記音声取得部で取得した音声を保存するか否かの設定である、請求項1または請求項2に記載の車両情報処理装置。
【請求項8】
前記車両の位置情報を取得するGPS受信部と、
前記車両における走行中の映像を撮影する映像取得部と、
前記車両における走行中の音声を取得する音声取得部と、をさらに備え、
前記記憶部に記憶される前記条件設定情報として、前記判定条件は、前記GPS受信部で受信して得た前記車両の位置が、予め設定された領域内にある場合に前記映像取得部で取得して映像および前記音声取得部で取得した音声の少なくともいずれかを保存するか否かの設定である、請求項1または請求項2に記載の車両情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に関する情報の取得、処理および表示を行う車両情報処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両のダッシュボード等に取り付けて各種の車両情報を取得し、情報処理してディスプレイに表示する機器として、レーダ探知機、ドライブレコーダ、車両情報モニタ、ナビゲーション装置などが挙げられる。
【0003】
特許文献1には、車両が移動式の取締装置に接近した場合についても正確に警報することができる取締装置の探知システムが開示される。この探知システムは、取締装置から発せられる速度探知波を検出する検出手段と、検出手段が速度探知波を受信すると警報を発する第1警報手段と、現在位置を認識する現在位置認識手段と、検出手段で速度探知波を検出したら、この検出がなされたときに現在位置認識手段で認識されている現在位置の位置情報を公衆通信回線を介して送信する送信手段と、複数の送信手段から受信した位置情報を取締情報として蓄積する取締情報蓄積手段と、取締情報蓄積手段に蓄積された取締情報を公衆通信回線を介して受信する受信手段と、受信手段で受信した取締情報が示す位置と現在位置認識手段で認識された現在位置とを比較して、現在位置が、取締情報が示す位置から予め定められた第1範囲内である場合、警報を発する第2警報手段とを備える。
【0004】
特許文献2には、カメラからの映像をリムーバブルメディアに記録する機能を備えたドライブレコーダであって、リムーバブルメディアを初期化する機能と、リムーバブルメディアの劣化度を報知する機能とを備えるドライブレコーダが開示される。
【0005】
特許文献3には、充分な視認性を確保して瞬時に計測値を視認することができ、必要に応じて詳細な計測値を提供することができる装置として、車両情報の計測値を取得する車両情報取得部と、車両情報取得部で取得した車両情報の計測値を表示する表示部と、表示部の表示を制御する制御部とを備えた車両情報表示装置が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013-181897号公報
【特許文献2】特開2022-137079号公報
【特許文献3】特開2020-118578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
車両に取り付けて車両に関する情報を取得し、情報処理の結果を表示する車両情報処理装置においては、各種の情報処理や情報表示の項目において予め詳細な設定が行われており、この設定に合わせて情報処理を行い、その結果を表示するようにしている。このような車両情報処理装置では、車両の動作状況に応じて最適な条件で情報を処理できるようにすることが望まれる。
【0008】
本発明は、車両の動作状況に応じて情報処理の判定条件を自動的に切り替えることができる車両情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、車両に関する情報を取得して処理し、処理結果に基づく出力を行う車両情報処理装置であって、走行中の車両の動作情報を取得する取得部と、情報を出力する出力部と、動作情報と、情報処理の複数の項目のそれぞれについて判定条件のセットを示す複数のモードとの対応付けを設定した条件設定情報を記憶する記憶部と、取得部で取得した動作情報に対応付けされるモードを条件設定情報から取得し、取得したモードで示される判定条件を用いて情報処理を行い、処理結果を出力部に出力させる制御を行う制御部と、を備えた車両情報処理装置である。
【0010】
このような構成によれば、車両の動作に対応した複数のモードに基づき情報処理の複数の項目のそれぞれについての判定条件が設定されることから、多岐にわたる情報処理の条件設定を車両の動作に適した設定に自動的に適合させることができる。
【0011】
上記車両情報処理装置において、取得部で取得する動作情報が車両の速度の場合、条件設定情報として、複数のモードが変更となる車両の速度は、車両の速度が高くなる場合と低くなる場合とで相違する構成でもよい。これにより、車両の速度に応じたモードの変更の境界付近の速度において、頻繁にモードが変更してしまうことを抑制することができる。
【0012】
上記車両情報処理装置において、取得部で取得する動作情報が車両の加速度の場合、記憶部に記憶される条件設定情報は、予め設定された期間の加速度の平均値と、モードとの対応付けであってもよい。予め設定あれた期間における車両の加速度の平均値は、車両の動作の安定度を示す一つの指標となることから、この加速度の平均値に対応付けされたモードの選択によって車両の動作の安定度に応じた情報処理の判定条件の設定を自動的に切り替えることができる。
【0013】
上記車両情報処理装置において、車両速度測定装置から走行中の車両に向けて送られる信号を受信する受信部をさらに備え、記憶部に記憶される条件設定情報として、判定条件は、受信部で受信した信号に基づく警報の設定であってもよい。これにより、車両速度測定装置から送られる信号を受信した際の警報に関する情報処理の判定条件をモードによって自動的に切り替えることができる。
【0014】
上記車両情報処理装置において、車両の位置情報を取得するGPS受信部をさらに備え、記憶部に記憶される条件設定情報として、判定条件は、GPS受信部で受信して得た車両の位置が、道路の警戒ポイントの位置情報から得た警戒位置から所定の範囲内にある場合の警報の設定であってもよい。これにより、車両が道路の警戒ポイントから所定の範囲内に位置する場合の警報に関する情報処理の判定条件をモードによって自動的に切り替えることができる。
【0015】
上記車両情報処理装置において、車両における走行中の映像を撮影する映像取得部をさらに備え、記憶部に記憶される条件設定情報として、判定条件は、映像取得部で撮影した映像を保存するか否かの設定であってもよい。これにより、映像取得部で取得した映像を保存するか否かの判定条件をモードによって自動的に切り替えることができる。
【0016】
上記車両情報処理装置において、車両における走行中の音声を取得する音声取得部をさらに備え、記憶部に記憶される条件設定情報として、判定条件は、音声取得部で取得した音声を保存するか否かの設定であってもよい。これにより、音声取得部で取得した音声を保存するか否かの判定条件をモードによって自動的に切り替えることができる。
【0017】
上記車両情報処理装置において、車両の位置情報を取得するGPS受信部と、車両における走行中の映像を撮影する映像取得部と、車両における走行中の音声を取得する音声取得部と、をさらに備え、記憶部に記憶される条件設定情報として、判定条件は、GPS受信部で受信して得た車両の位置が、予め設定された領域内にある場合に映像取得部で取得して映像および音声取得部で取得した音声の少なくともいずれかを保存するか否かの設定であってもよい。これにより、車両が予め設定された領域内にある場合の映像および音声の保存についての判定条件をモードによって自動的に切り替えることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、車両の動作状況に応じて情報処理の判定条件を自動的に切り替えることができる車両情報処理装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本実施形態に係る車両情報処理装置の構成を例示するブロック図である。
【
図2】本実施形態に係る車両情報処理装置の外観例を示す斜視図である。
【
図4】(a)および(b)は、車両の動作情報(車速)とモードとの対応を示す図である。
【
図5】(a)および(b)は、車両の加速度を用いたモードとの対応を示す図である。
【
図6】車両情報処理方法の流れを例示するフローチャートである。
【
図7】本実施形態に係る車両情報処理装置をドライブレコーダへ適用した場合の構成を例示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、同一の部材には同一の符号を付し、一度説明した部材については適宜その説明を省略する。
【0021】
(車両情報処理装置の構成)
図1は、本実施形態に係る車両情報処理装置の構成を例示するブロック図である。
図2は、本実施形態に係る車両情報処理装置の外観例を示す斜視図である。
本実施形態に係る車両情報処理装置1は、車両の例えばダッシュボードやフロントウィンドウなどに取り付けられ、車両に関する各種の情報を処理して出力する車載機器である。本実施形態では、車両情報処理装置1としてレーダ探知機(レーザ探知機を含む。)を例として説明する。
【0022】
車両情報処理装置1は、車両の動作情報を取得する取得部11と、情報を出力する出力部12と、記憶部13と、制御部14と、を備える。取得部11は、走行中の車両の速度および加速度の少なくともいずれかの動作情報を取得する。本実施形態では、車両の速度情報を取得する速度取得部111と、車両の加速度情報を取得する加速度取得部112とを備える。速度取得部111は、後述するGPSセンサ17によって取得した車両の位置情報から速度を算出してもよいし、OBD(On Board Diagnostics)18などの車両側から出力される情報によって速度情報を得てもよい。また、加速度取得部112は、内蔵の加速度センサ(図示せず)によって加速度を得てもよいし、GPSセンサ17によって取得した車両の位置情報から加速度を算出してもよいし、OBD18などの車両側から出力される情報によって加速度情報を得てもよい。
【0023】
出力部12は、情報を表示するディスプレイ121と、情報を音として出力するスピーカ122とを有する。
図2の外観例に示すように、ディスプレイ121は車両情報処理装置1の筐体10の前面に設けられる。スピーカ122は、筐体10の例えば背面に設けられる。出力部12は、情報を外部の機器(例えば、携帯端末やネットワーク)に出力する機能を有していてもよい。
【0024】
記憶部13は、例えば不揮発性メモリである。記憶部13は、後述する条件設定情報を記憶する。記憶部13は、車両情報処理装置1の筐体10に内蔵されていてもよいし、筐体10の外部やネットワークを介して接続されたものであってもよい。
【0025】
また、車両情報処理装置1は、入力部15を備える。入力部15はディスプレイ121に設けられたタッチパネルや、筐体10に設けられたボタンである。入力部15は、車両情報処理装置1の起動や各種の設定、ユーザによる選択を行う場合に使用される。
【0026】
車両情報処理装置1がレーダ探知機の場合、車両速度測定装置から走行中の車両に向けて送られる信号を受信する受信部16をさらに備える。また、車両情報処理装置1は、GPS受信部であるGPSセンサ17を備えていてもよい。GPSセンサ17は筐体10に内蔵されていてもよいし、筐体10の外部に設けられ、ケーブルによって筐体10に接続される構成でもよい。GPSセンサ17によって車両の位置情報を得ることができる。また、車両の位置情報の変化によって、車両の速度情報や加速度情報を算出することができる。
【0027】
また、車両情報処理装置1は、OBD18と接続可能になっていることが好ましい。OBD18と接続することで、車両側から送られる各種の情報を得ることができる。OBD18と接続されている場合、車両の速度情報や加速度情報を得ることができる。なお、車両からの情報を得る手段としては、OBD18に限定されない。
【0028】
制御部14は、車両に関する情報処理の複数の項目について、それぞれの項目に設定された判定条件に基づき情報を処理(判断)し、処理結果を出力部12から出力させる制御を行う。制御部14は、判定条件取得部141と、演算部142とを有する。判定条件取得部141は、記憶部13に記憶された条件設定情報から判定条件を取得する処理を行う。演算部142は、判定条件取得部141で取得した判定条件に基づき情報を処理する。
【0029】
(条件設定情報)
ここで、条件設定情報について説明する。記憶部13は、予め条件設定情報を記憶している。条件設定情報は、車両の動作情報と、情報処理の複数の項目のそれぞれについて判定条件のセットを示す複数のモードとの対応付けを設定した情報である。
【0030】
図3は、条件設定情報を例示する図である。
図3には、車両情報処理装置1がレーダ探知機の場合の各種設定項目に対応した判定条件の設定例が示される。レーダ探知機においては、多数の設定項目が設けられる。これらの設定項目について、それぞれ設定可能な判定条件が決められている。判定条件としては、例えば、オービス警報設定の項目については、警報を行う(ON)/行わない(OFF)の選択が可能であり、取締ポイント設定の項目については、警報を行う(ON)/行わない(OFF)/警報表示のみで警報音は出さない(サイレント)の選択が可能である。このように、設定項目は多岐にわたることから、製品出荷時には初期設定がされている。また、Wオービス設定や速度監視路線設定においては、警報を行わない(OFF)/警報を行う場合の範囲(距離)の選択が可能である。例えば、道路の警戒ポイントの位置情報から得た警戒位置から所定の範囲内に自車位置(例えば、GPSセンサ17で得た位置情報)がある場合の警報の設定(警報有無、所定の範囲の設定など)が可能である。一方、細かく設定したいユーザのために、各設定項目についてユーザの個別設定も記憶可能である。
【0031】
また、本実施形態において、条件設定情報には、情報処理の複数の設定項目のそれぞれについて判定条件のセットを示す複数のモードが記憶される。本実施形態では、一例として、モードM1、M2およびM3の3つのセットが用意されている。各モードM1、M2およびM3は、複数の設定項目のそれぞれについての判定条件の組み合わせ(セット)と対応付けされる。
【0032】
各モードM1、M2およびM3における複数の設定項目の判定条件の組み合わせは、製品出荷時に予め設定されていてもよいし、各モードM1、M2およびM3における設定項目の判定条件をユーザによって変更(プリセット)できるようにしてもよい。各モードM1、M2およびM3は、車両の動作情報と対応付けされる。各モードM1、M2およびM3における設定項目の判定条件は自由に設定可能であるが、例えばモードM1からM3にかけて判定条件の感度が高まるようになっているとよい。レーダ探知機の場合、モードM1からM3にかけて警報の度合いが高まるように設定されているとよい。
【0033】
(モード取得情報)
次に、車両の動作情報とモードとの関係を示すモード取得情報について説明する。
モード取得情報は、例えば記憶部13に予め記憶される。
図4は、車両の動作情報(車速)とモードとの対応を示す図である。
図4(a)には車速が高まる場合の対応が示され、
図4(b)には車速が低くなる場合の対応が示される。
取得部11の速度取得部111で車両の速度(車速)を取得した場合、制御部14の判定条件取得部141は、
図4に示すモード取得情報から車速に対応したモードを取得する。そして、演算部142は判定条件取得部141で取得したモードにおいて各設定項目について設定された判定条件によって情報処理を実行する。
【0034】
車速が高まる方向に変化する場合、
図4(a)に示す車速とモードとの対応関係が適用される。一例として、
図4(a)に示す対応関係では、車速が0km/h以上29km/h以下(29km/h台以下)の場合はモードM1、車速が30km/h以上59km/h以下(59km/h台以下)の場合はモードM2、車速が60km/h以上の場合はモードM3となる。
【0035】
一方、車速が低くなる方向に変化する場合、
図4(b)に示す車速とモードとの対応関係が適用される。一例として、
図4(b)に示す対応関係では、車速が50km/h以上の場合はモードM3、車速が49km/h以下(49km/h台以下)20km/h以上の場合はモードM2、車速が19km/h以下(19km/h台以下)0km/h以上の場合はモードM1となる。
【0036】
例えば、速度取得部111で取得した車速が高まる方向に変化しており、その車速が0km/hから29km/hの間であった場合、判定条件取得部141は
図4(a)に示す対応からモードM1を取得する。演算部142は、判定条件取得部141で取得したモードM1を受けて、
図3に示す条件設定情報からモードM1として設定された各設定項目の判定条件を適用して情報処理を実行する。
【0037】
また、車速が高まり、30km/h以上59km/h以下になった場合、判定条件取得部141は
図4(a)に示す対応からモードM2を取得する。演算部142は、判定条件取得部141で取得したモードM2を受けて、
図3に示す条件設定情報からモードM2として設定された各設定項目の判定条件を適用して情報処理を実行する。
【0038】
また、車速がさらに高まり、60km/h以上になった場合、判定条件取得部141は
図4(a)に示す対応からモードM3を取得する。演算部142は、判定条件取得部141で取得したモードM3を受けて、
図3に示す条件設定情報からモードM3として設定された各設定項目の判定条件を適用して情報処理を実行する。
【0039】
車速が60km/hでモードM3になっている状態で速度が低くなる方向に変化した場合は、判定条件取得部141は
図4(b)に示す対応に基づきモードを取得する。例えば、車速が低くなり、49km/h以下になった場合、判定条件取得部141は
図4(b)に示す対応からモードM2を取得する。演算部142は、判定条件取得部141で取得したモードM2を受けて、
図3に示す条件設定情報からモードM2として設定された各設定項目の判定条件を適用して情報処理を実行する。
【0040】
また、車速がさらに低くなり、19km/h以下になった場合、判定条件取得部141は
図4(b)に示す対応からモードM1を取得する。演算部142は、判定条件取得部141で取得したモードM1を受けて、
図3に示す条件設定情報からモードM1として設定された各設定項目の判定条件を適用して情報処理を実行する。
【0041】
つまり、車両の速度が高くなる場合と低くなる場合とで、モードが変更となる車速が異なるように設定される。これにより、車速に応じたモードの変更の境界付近の車速において、頻繁にモードが変更してしまうことを抑制することができる。もし、車速に対するモードの対応が1つの場合、モードが変更となる車速付近ではモードの切り替わりが頻繁に発生してしまう。そこで、モードが変更となる車速を、車速が高まる場合と低くなる場合とで異なるようにする。
【0042】
例えば、車速が高まる場合の隣接するモードの変更の車速(閾値となる車速)に対して、車速が低くなる場合の同じ隣接するモードの変更の車速(閾値となる車速)を10km/h程度低くしておく。これにより、例えば、車速が高まり30km/hに達した際、モードM1からモードM2に切り替わるが、その車速から30km/hを下回ってもすぐにモードM1への切り替わりは行われず、19km/h以下になった段階でモードM1へ切り替わる。また、そこから車速が高まり、19km/hを越えた場合でもすぐにモードM2への切り替わりは行われず、30km/h以上になった段階でモードM2へ切り替わる。このように、車速が高まる場合のモードの切り替わりの車速と、車速が低くなる場合のモードの切り替わりの車速との関係にヒステリシスを持たせることで、頻繁なモード変更が抑制される。
【0043】
上記のように、本実施形態では、判定条件取得部141は車速に対応したモードを取得し、演算部142は判定条件取得部141で取得したモードにおいて設定された判定条件によって情報処理を実行する。これにより、車両の動作情報である車速に対応して複数のモードに基づき情報処理の複数の項目のそれぞれについての判定条件が設定されることから、多岐にわたる情報処理の条件設定を車速に適した設定に自動的に適合させることができる。
【0044】
図5は、車両の加速度を用いたモードとの対応を示す図である。
図5(a)には、モード取得情報のうち、車両の加速度の平均値とモードとの対応が示され、
図5(b)には、モード取得情報のうち、車両の加速度および車速とモードとの対応が示される。
モードは、車両の加速度に応じて取得するようにしてもよい。取得部11の加速度取得部112で車両の加速度を取得した場合、制御部14の判定条件取得部141は、
図5(a)に示すモード取得情報から加速度に対応したモードを取得する。ここで、加速度には、予め設定された期間の加速度の平均値が用いられる。期間は、例えば120秒から240秒程度、好ましくは180秒程度である。平均は、算術平均であってもよいし、移動平均であってもよい。そして、演算部142は判定条件取得部141で取得したモードにおいて各設定項目について設定された判定条件によって情報処理を実行する。
【0045】
図5(a)に示す例では、加速度の平均値が0G以上0.15G未満の場合にはモードM1、0.15G以上0.3G未満の場合にはモードM2、0.3G以上の場合にはモードM3となる。加速度の平均値が高いほど車両の動作が粗いと考えられる。そこで、モードM1からM3にかけて警報の度合いが高まるように設定しておくことで、車両の動作が粗いほど警報の度合いが高まるような判定条件に自動的に切り替えることができる。
【0046】
また、モードは、車速および加速度の両方に応じて取得するようにしてもよい。
図5(b)に示す例では、モード取得情報のうち、車速および加速度に応じたモードの対応(マップデータ)が示される。取得部11の速度取得部111で車速を取得し、加速度取得部112で車両の加速度を取得した場合、制御部14の判定条件取得部141は、
図5(b)に示すマップデータを参照して速度および加速度の両方に対応したモードを取得する。そして、演算部142は判定条件取得部141で取得したモードにおいて各設定項目について設定された判定条件によって情報処理を実行する。
【0047】
図4および
図5に示すモード取得情報の車両の動作情報とモードとの対応関係は、製品出荷時に初期設定されていてもよいし、ユーザによって自由に変更できるようになっていてもよい。また、判定条件取得部141は、車速に基づくモードの判定や、加速度に基づくモードの判定について、AI(人工知能)を用いて判定するようにしてもよい。例えば、運転者の運転スタイルをAIによって判断し、その運転スタイルに応じてモードの判定の基準を自動的に設定するようにしてもよい。
【0048】
また、上記では、判定条件取得部141で取得する対象となる複数のモードによる組(モードセット)として、例えば、モードM1、M2およびM3の1つモードセットの例を示したが、複数のモードセットを用意しておき、判定条件取得部141でモードを取得する対象のモードセットをユーザによって選択できるようにしてもよい。例えば、モードM1、M2およびM3による第1モードセットと、第1モードセットとは判定条件の異なるモードM1、M2およびM3による第2モードセットを用意しておき、モードセット単位でユーザが選択、切り替えできるようになっていてもよい。
【0049】
また、複数のモードセットの選択、切り替えを、AIを用いて判断するようにしてもよい。例えば、運転者の運転スタイルをAIによって判断し、その運転スタイルに応じてモードセットを自動的に選択、切り替えるようにしてもよい。
【0050】
(車両情報処理方法)
図6は、車両情報処理方法の流れを例示するフローチャートである。
車両情報処理方法は、本実施形態に係る車両情報処理装置1で実行される。車両情報処理方法は、例えば各ステップをコンピュータに実行させるプログラム処理(車両情報処理プログラム)として実現してもよい。
車両情報処理方法は、車両のエンジンまたはモータの始動準備ができた段階(例えば、イグニッションON、電源ON)によって開始される。先ず、ステップS101に示すように、GPSセンサ17によってGPS情報の受信を行う。なお、GPSセンサ17を備えていない機器の場合にはステップS101はスキップされる。次に、ステップS102に示すように、車両の走行が開始されたか否かを判断する。
【0051】
車両の走行が開始された段階で、ステップS103に示すように車両動作の情報を取得する。車両動作は、例えば速度取得部111による車速の取得や加速度取得部112による車両の加速度の取得である。車両動作の情報を取得した後は、ステップS104に示すようにモード判定を行う。先に説明したモード取得情報を用いて、制御部14の判定条件取得部141によって車両動作に応じたモードを取得する。
【0052】
次に、ステップS105に示すように、モードを変更するか否かを判断する。制御部14の演算部142は、先のステップS104で判定条件取得部141により取得したモードが現在設定されているモードと異なる場合、ステップS106に示すモードの変更を行う。モードの変更が必要ない場合にはそのまま設定されているモードを維持する。ステップS103からステップS105の処理は数分程度(例えば、3分)の間隔で繰り返される。演算部142は、変更されたモードまたは維持されたモードに応じた判定条件を適用して情報処理を行う。
【0053】
次に、ステップS107に示すように、制御部14の演算部142は情報処理を継続するか否かを判断し、継続する場合にはステップS101へ戻って以降の処理を繰り返し、継続しない場合(例えば、エンジン停止やモータのOFF)、処理を終了する。
【0054】
(ドライブレコーダの例)
図7は、本実施形態に係る車両情報処理装置をドライブレコーダへ適用した場合の構成を例示するブロック図である。
車両情報処理装置2がドライブレコーダの場合、取得部11(速度取得部111、加速度取得部112)、出力部12(ディスプレイ121、スピーカ122)、記憶部13、制御部14(判定条件取得部141、演算部142)、入力部15、映像取得部21、音声取得部22を備える。車両情報処理装置2は、GPSセンサ17を備えていたり、OBD18と接続可能となっていたりしてもよい。
【0055】
車両情報処理装置2では、記憶部13に記憶される条件設定情報として、判定条件は、映像取得部21で撮影した映像を記憶部13に保存するか否かの設定となっている。すなわち、制御部14の判定条件取得部141は、車両の動作情報として車速および加速度の少なくともいずれかに基づき、車両の動作情報に応じて取得されるモードを取得する。そして、演算部142は判定条件取得部141で取得したモードにおいて各設定項目について設定された判定条件によって情報処理を実行する。
【0056】
ドライブレコーダにおいては、強い衝撃を受けた場合など、そのときを基準として前後数十秒の映像を保存しておく機能が設けられる。この映像を保存するか否かの判断を行うための加速度の設定が行われる。判定条件(保存するか否かの閾値)となる加速度の値が低すぎると頻繁に映像の保存処理が行われ、記憶容量を消費しやすくなる。一方、判定条件となる加速度の値が高すぎると、事故など重要な場合に映像の保存が行われない可能性が生じる。本実施形態では、モードによって異なる判定条件が設定される。
【0057】
例えば、モードM1(低)からM3(高)にかけて、映像を保存すると判定される加速度の値が低くなるように設定されている場合、車速や加速度が高いほど、取得されるモードが高くなるようにモード取得情報を設定しておく。これにより、車両の動きにおいて危険性が高いと思われる状態になっているほど、積極的に映像を保存できるようになる。一方、車両の動きとして危険性がそれほど高くないと思われる状態では、頻繁に映像を保存せず、記憶容量の消費を抑制することができる。
【0058】
また、ドライブレコーダにおいては、音声を保存しておく機能も設けられる。映像と同様に、音声を保存するか否かの判断を行うための加速度の設定が行われる。なお、音声を保存するか否かの判断を行うための加速度の設定は、映像を保存するか否かの判断を行うための加速度の設定と共通(共有)であってもよいし、独立していてもよい。これにより、音声取得部22で取得した音声を保存するか否かの判定条件をモードによって自動的に切り替えることができる。
【0059】
映像や音声の保存処理に関する判定条件としては、映像や音声を保存する時間(何らかの衝撃があった場合の前後を含めた保存期間)の長短であってもよい。例えば、車速が高いほど映像や音声の保存期間を短くする判定条件となるモードを設定しておく。これにより、高速道路のように車速が高く、同じ時間でも一般道に比べて長い距離を走行する状況では、映像や音声の保存期間を短くすることで、記憶容量の消費を抑制しつつ、十分な走行距離での映像や音声を保存しておくことが可能となる。
【0060】
また、車両情報処理装置2をドライブレコーダに適用した場合における条件設定情報の項目としては、GPSセンサ17で受信して得た車両の位置が、予め設定された領域内にある場合に映像取得部21で取得して映像および音声取得部22で取得した音声の少なくともいずれかを保存するか否かの設定であってもよい。
【0061】
例えば、車両の位置が高速道路上であった場合、一定速度以上では映像や音声を保存するか否かの加速度の値を高くするモードになっており、一定速度より低い速度の場合には、何らかのトラブルが発生している可能性があることから、映像や音声を保存するか否かの加速度の値を低く(または全て保存する)モードに自動的に切り替わるようにする。
【0062】
また、車両がサービスエリアや商業施設の駐車場など、ゆっくり走行すべき領域に位置する場合、一定速度以上や一定加速度以上では映像や音声を保存するか否かの加速度の値を低くするようなモードの設定を行ってもよい。また、車両がサーキットのようなクローズされたコース内に位置する場合、車速や加速度にかかわらず映像および音声を保存しないモードの設定にしてもよい。
【0063】
このように、本実施形態では、車両が予め設定された領域内にある場合の映像および音声の保存についての判定条件をモードによって自動的に切り替えることができる。
【0064】
以上説明したように、本実施形態によれば、車両の動作状況に応じて情報処理の判定条件を自動的に切り替えることができる車両情報処理装置1、2を提供することが可能になる。
【0065】
なお、上記に本実施形態およびその適用例を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。例えば、車両情報処理装置1としてレーダ探知機、車両情報処理装置2としてドライブレコーダへの適用について説明したが、レーダ探知機やドライブレコーダ以外の車両の情報を表示する装置(例えば、OBD18によって車両側から送られる情報や各種センサから送られる情報を処理してディスプレイ121に表示する装置)やナビゲーション装置、HUD(Head Up Display)、ADAS(Advanced Driver Assistance Systems)を備えた他の機器または車載機器への適用も可能である。また、車両の動作情報は、車両の速度や加速度に限定されず、エンジンの回転数、水温、油圧、スロットル開度、ギアポジション、モータの出力などの他の動作情報や、運転者の運転スタイルを表す他の動作情報を用いてもよい。また、各モードに対応付けされる設定項目は1つであってもよい。また、前述の各実施形態またはその適用例に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、各実施形態の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0066】
1,2…車両情報処理装置
10…筐体
11…取得部
12…出力部
13…記憶部
14…制御部
15…入力部
16…受信部
17…GPSセンサ
18…OBD
21…映像取得部
22…音声取得部
111…速度取得部
112…加速度取得部
121…ディスプレイ
122…スピーカ
141…判定条件取得部
142…演算部
M1,M2,M3…モード