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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138232
(43)【公開日】2024-10-08
(54)【発明の名称】加速器、減速器、核変換システム
(51)【国際特許分類】
   G21G 1/10 20060101AFI20241001BHJP
   G21B 3/00 20060101ALI20241001BHJP
   B63G 8/08 20060101ALN20241001BHJP
【FI】
G21G1/10
G21B3/00 A
B63G8/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2024065053
(22)【出願日】2024-04-14
(31)【優先権主張番号】P 2023150635
(32)【優先日】2023-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023174791
(32)【優先日】2023-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023196029
(32)【優先日】2023-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023196327
(32)【優先日】2023-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2024058388
(32)【優先日】2024-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】714009083
【氏名又は名称】西沢 克弥
(72)【発明者】
【氏名】西沢 克弥
(57)【要約】
【課題】ミュオンを用いてホウ素や炭素などの原子核を核変換するシステムを検討する。ミュオン標的に炭素原子を用いた標的を用いると炭素原子が高エネルギーの陽子照射を経て高度に放射化される問題があり、ミュオン標的が放射化しにくくなる系を考案したい。標的の交換の負担を減らすシステムを考案したい。またミュオンは高速のため標的の原料原子と反応しにくい可能性もあった。
【解決手段】宇宙線により生成された宇宙ミュオンや原子衝突により生成した中間子由来の高速なミュオンを電場・減速手段を用いて減速させ核変換に用いる系を考案する。レーザー航跡場を用いた減速器と電場を形成する素子を用いた減速器を提案する。ミュオンは例えば炭素12や窒素・ホウ素等と水素を結合させ核変換に用いる。宇宙線を用いてミュオンを生成する宇宙線・宇宙構造物・宇宙探査ロボットを提案する。
【選択図】図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミュオンを原料原子と結合させ、励起した原子核を得て、前記原料原子よりも有効核電荷又は原子番号の小さい原子に核変換する工程を有するミュオンを用いた核変換システム。
【請求項2】
励起した炭素12原子核をヘリウムに変換する工程を有する請求項1に記載のミュオンを用いた核変換システム。
【請求項3】
原料原子に炭素12を用いる核変換システムであって、炭素12を含む炭素材料の炭素12原子核とミュオンを結合させ、励起した炭素12原子核を生成する特徴を有する請求項2に記載のミュオンを用いた核変換システム。
【請求項4】
ホウ素・ホウ素11と水素をミュオン核融合させたのちに、励起した炭素12原子核を生成する特徴を有する請求項2に記載のミュオンを用いた核変換システム。
【請求項5】
請求項4に記載のミュオンを用いた核変換システムを用いるミュオン核融合システムであって、
核融合反応によって生成した原子・粒子の原子核の電荷が核融合燃料物質の原子・粒子の原子核の電荷より小さい特徴を持つ核融合反応系を用いる、ミュオン触媒核融合システムであって、
前記核融合燃料物質は固体ではない水素化ホウ素若しくは気体の水素化ホウ素を用いるミュオン触媒核融合システムであって、前記水素化ホウ素にミュオンを照射・投入する工程を有する、ミュオン触媒核融合システム。
【請求項6】
前記ミュオンを照射・投入された前記水素化ホウ素を圧縮する工程を有する 請求項5に記載のミュオン触媒核融合システム。
【請求項7】
窒素・窒素15と水素をミュオン核融合させたのちに、励起した原子核を生成しその後ヘリウムを生成させる特徴を有する請求項1に記載のミュオンを用いた核変換システム。
【請求項8】
窒素・窒素15と水素を結合させたアザンにミュオンを照射・投入する工程を有する請求項7に記載のミュオンを用いた核変換システム。
【請求項9】
ミュオンを減速可能な加速器又はミュオン減速器を用いてミュオンを減速させたのち、前記ミュオンを、核変換を行う原料物質の原子に投入・結合させる工程を有するミュオンを用いた請求項1に記載の核変換システム。
【請求項10】
請求項9に記載の核変換システムを有する輸送機器。
【請求項11】
請求項10に記載の核変換システムを有する発電装置。
【請求項12】
ミュオンを減速する減速手段として電場又はレーザー航跡場を生成可能な特徴を有する核変換システムであって、ターゲット原子・原料原子にパルスレーザーを照射し電場又はレーザー航跡場を生成可能な特徴を有する請求項9に記載の核変換システム。
【請求項13】
ミュオンを減速する減速手段として焦電体をミュオン減速のための手段に用いる請求項9に記載の核変換システム。
【請求項14】
ミュオンを減速する減速手段としてキャパシタ又はキャパシタ内の電場をミュオン減速のための手段に用いる請求項9に記載の核変換システム。
【請求項15】
電気二重層部・電気二重層キャパシタ・電気二重層内部の電場をミュオン減速のための手段に用いる請求項15に記載の核変換システム。
【請求項16】
請求項9に記載の核変換システムを備えた宇宙構造物であって、
宇宙線を受けて宇宙線由来のミュオンを生成する宇宙ミュオン生成部を備え、
前記宇宙ミュオン生成部より得たミュオンを減速し、原料原子に照射投入し、原料原子と結合させる手段を備えた宇宙構造物。
【請求項17】
炭素12からなる炭素材料にミュオンを結合させることでミュオンが触媒となって核変換反応を連鎖的に発生可能である際に、
ミュオンを用いた核変換反応が炭素12よりは起きにくい原子、又は炭素13原子、又は炭素よりも有効核電荷・原子番号Zが高くミュオンをトラップ可能な原子を前記炭素材料にドープしている特徴を有する請求項3に記載の核変換システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力に関連する考案・発明である。本発明はミューオン触媒核融合システムに関するものである。(アイデアによる出願であって、実証が必要である)
【背景技術】
【0002】
非特許文献1のようにミューオン触媒核融合方式(ミュオン触媒核融合)が公知である。
【0003】
重水素Dや三重水素Tを含む水素分子を液体とし、そこへミューオン(ミュオン)を投入しミュオンが核融合の触媒のようにふるまい核融合反応をさせる。しかし水素分子では核融合後の原子核の電荷が水素原子の+1からヘリウム原子の+2に増え、+2の電荷をもつ核・へリウム核・アルファ粒子核によりミューオンがクーロン力的に捕捉・トラップされて前記ミュオン触媒核融合が停止する(反応しにくくさせる)課題があった。
【0004】
非特許文献2によれば、陽子とホウ素を用いる熱核融合方式が公知である。熱核融合炉ではD-T、D-D反応で核融合炉を放射化させうる高エネルギーの中性子線が問題になっており、その解決の例として中性子を放出しない、しにくい、陽子とホウ素を用いる系(P-11B系、陽子ホウ素系)が検討されている。前記P-11B系を熱核融合炉で行う場合、熱核融合を起こさせる温度がD-T系より10倍高温にする必要がある課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献1】高エネルギー加速器研究機構KEK、ミュオン触媒核融合[インターネット、WEBページ、URL:https://www2.kek.jp/imss/msl/muon-tour/fusion.htmll、令和5年9月18日閲覧]
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献2】核融合科学研究所NIFS、先進的核融合燃料を使った核融合反応の実証- 中性子を生成しない軽水素ホウ素反応を利用したクリーンな核融合炉への第一歩 -[インターネットWEBページ、URL:https://www.nifs.ac.jp/news/researches/230309-01.html、令和5年9月18日閲覧]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、水素原子・水素分子を用いるミューオン触媒核融合の系において、ミューオンがクーロン力的に捕捉・トラップされて前記ミューオン触媒核融合が停止する(反応しにくくさせる)問題である。また、ミューオン核融合において重水素Dや三重水素T等を用いる系では核融合炉や核融合システムの部材を放射化する虞のある中性子が発生するが、中性子の発生しない系があってもよいかもしれない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ミューオン触媒核融合において核融合前の燃料物質である水素原子にミューオンを近づけて核融合させたいが、核融合後の原子核のヘリウム原子核は核融合前の水素原子核よりも電荷が増えてミューオンを捕捉しやすくなる。そこで本発明ではその電荷の変化を逆にする系として、陽子とホウ素を用いる系を実施例1として図1に開示する。またそれを搭載した宇宙船3・輸送機器3の想定例を図5に記載する。
【0009】
図5の意図として恒星間惑星間を航行する宇宙船や宇宙探査ロボット3は太陽光・恒星の光の届かない、惑星間・恒星間においても宇宙船に搭載された燃料を用いて発電や推進する事が求められうる。その動力源として、宇宙の真空環境を用い、粒子加速器を稼働させミューオンや陽子を生成させ核融合炉・核融合推進器を構成出来ればと考えた背景がある。
【0010】
また中性子が出る可能性はあるものの、本発明の別の視点での実施例(実施例2)として、陽子ホウ素を用いる系に限定しない例として、陽子とリチウムを用いる系等も開示する。リチウムの系を開示する意図としては、リチウムは融点がホウ素より低く、加熱して液体リチウムにしやすい。他方ホウ素を用いる系はホウ素の融点として摂氏2000度超える高温に加熱する必要がある。
【0011】
本発明は、陽子ホウ素による核融合反応系(P-11B系)において、核融合燃料となるホウ素の原子核の電荷が+5であり、核融合後に生じるヘリウムの電荷が+3であることに着目する。P-11B系はホウ素からヘリウムへと核融合反応する時に原子核の電荷が減少する系である。(*他方、D-T系は先述のように核融合後に電荷が増加する系でありトラップが起きる。)
【0012】
本願の図1では次の反応を想定している。(実証されていない)
1.+1の電荷をもつ陽子がー1の電荷をもつミューオンを補足した+5の電荷をもつホウ素原子核(ホウ素を含むミュオン分子)に入射し核融合反応する・反応を促す。
2.核融合により、1個の陽子と1個ホウ素から+3の電荷をもつ3個のヘリウム・アルファ線とエネルギーが生成される。
3.ミューオンは生成後の+3のヘリウムにトラップされるよりは、ミューオンの周囲に多量にバルクに存在する+5の電荷をもつホウ素にトラップされることを好む(電気的に引き寄せられる)と考える。
4.ミューオンはヘリウムよりはホウ素近傍に留まるようになり、ミュ‐オンをトラップしホウ素は(ミュオン分子化し陽子が電気的に接近しやすく核融合しやすくなり)入射した陽子により核融合してを繰り返し、陽子とホウ素による核融合反応をミューオンが触媒する。
【0013】
本発明又は考案では、陽子ホウ素による核融合反応系(P-11B系)において、核融合燃料となるホウ素が電荷が5(+5)であり、核融合後に生じるヘリウムの電荷が3(+3)であるから、ミューオンと陽子をホウ素のターゲットに照射しミューオン触媒核融合を起させようとする系(図1)を提案する。
*本願はアイデアの段階であり実証はされていないが、P-11B系では燃料はホウ素の+5の電荷をもっており生成後のヘリウムの+2の電荷よりは負電荷のミューオンを強く補足・トラップしやすい系であると仮定して出願を行う。*この逆の系、公知の水素・D-T系ミューオン触媒核融合システムでは負電荷のミューオンはヘリウムに補足されやすい。
【0014】
*本願考案・発明は陽子ホウ素の核融合の系を例として示したが、発明の範囲を限定しないように、より一般的に本発明の条件を開示すると、原子核が融合する際に生成した物質の電荷が核融合燃料となる原子の電荷より小さい系であれば良いかもしれない。*例えば図2に記載のような反応式の系が考えられる。図2の例のようにホウ素BやリチウムLiを用いる系であってもよい。
【0015】
●本願のホウ素やリチウムは常温より加熱し液体として用いてよい。例えば液体リチウムを用いてよい。
既存のミューオン触媒核融合系では冷却された液体水素(融点は摂氏マイナス250度)を用いるが、それに対し液体リチウムは融点が摂氏180度程度であるので、液体水素に比べ液体リチウムのほうが液体化してミューオンのターゲット部に用いたいときに液体化しやすい利点があるかもしれない。
●ホウ素についても融点は摂氏2070度であり、沸点は4000度でリチウムと比べ温度は高いものの液体ホウ素としてミューオンと陽子が照射されるターゲット部に用いることができる。ターゲット部ではミューオン触媒核融合が原子核の電荷が+5のホウ素や+3のリチウムを核融合燃料として用い起きることを期待している。前記ミューオン触媒核融合後に原子核の電荷が+2であるヘリウム・アルファ線が生成され系より放出される。(ホウ素と陽子を用いる系は図1、陽子・中性子とリチウムを用いる系は図3に開示する。)
【0016】
本発明は原子核が前記核融合する際に生成した物質(図1のHe、アルファ線)の電荷が核融合燃料となる原子(図1のB)の電荷より小さい系をミューオン触媒核融合システムに用いることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、P-11B系の持つ中性子を放出しない核融合システムであって、核融合時に放射化された物質が出にくい可能性があるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1はホウ素と陽子を用いたミューオン触媒核融合システム1F-SYSの説明図である。
図2図2は原子核が核融合する際に、核融合により生成した物質の原子核の電荷が、核融合燃料となる原子の原子核の電荷より小さい特徴を持つ、核融合反応系の例である。(図2は説明の資料であって、図2に記載のすべての例が本願発明に用いられるわけではないが、該特徴を持つ反応系の例として記載する。例えば図2のグループAにおいて陽子とリチウム、陽子とホウ素11、陽子と窒素15、陽子と窒素15、陽子と酸素17・酸素18等を用いる系の反応式を記載する。グループBにはリチウム6・リチウム7と陽子・D・中性子・ヘリウム3の反応式を記載する。グループCには炭素に関連する反応式を記載する。炭素については炭素同士が核融合反応する例も記載する。)
図3図3はリチウムと陽子を用いたミューオン触媒核融合システム1F-SYSの説明図である。リチウムに対し陽子・中性子・重水素を照射投入する例を(A)に、リチウム6と重水素を化学的に結合させた(イオン結合させた)重水素化リチウム6を用いた例を(B)に記載する。
図4図4は既存のDやTを持ちいたミューオン触媒核融合方式と本願陽子とBやLiを用いたミューオン触媒核融合方式の比較説明図である。(図4上段D、Tによる方式、図4下段は本願の陽子とB、Liによる方式)
図5図5は本願1F-SYSを含む核融合反応炉1Rや核融合応用推進器1THとその応用例。*例えば、空中・宇宙空間・惑星間・恒星間を推進・移動する宇宙船3・探査ロボット3に1F-SYSが搭載されていてよい。宇宙船3は加速器によりミューオン・陽子・中性子を生成し核燃料のBやLiを採取保管し前記核融合反応させHeアルファ線等を3の後方に放出した反作用により推進させる宇宙船があってもよい。*3は宇宙船に限らず各種輸送機器、航空機・宇宙機、船舶・潜水艦、車両・自動車、ロボット、各種産業機械、宇宙探査ロボットでもよい。
図6図6はジボラン・水素化ホウ素・アルカン・アザンを用いるミューオン触媒核融合システム1F-SYS/1EXP-SYSの説明図・想定図である。(図1における陽子を照射する部分を除き、ターゲットT1をジボラン・アルカン・アザンにしたシステムの説明図である)
図7図7はラムジェット方式で加圧されるジボラン・水素化ホウ素部分を用いるミューオン触媒核融合システム1F-SYSの説明図である。
図8図8は圧縮部でジボラン等水素化ホウ素とミュオニック水素原子を混合し圧縮する系1F-SYS-MP1の説明図である。
図9図9は圧縮部・加熱部を有する系1F-SYSの1つの例である。(レーザー照射系を備えてもよい)
図10】MERIT式加速器・MERITリングに、ミュオン発生用可動ミュオン標的・回転型ミュオン標的を挿入し標的を回転させ可動とし標的に粒子ビームを受けさせてパイオンミュオンを生成させようとする場合の説明図。(回転する円板の断面は薄い、楔形のように外周部が薄くなるものでもよい)
図11】円板型の可動なミュオン標的を機械により交換する際の説明図。
図12】片方取り出し口を休止し可動なミュオン標的部を加速器から抜去・移動させミュオン標的部を別のミュオン標的に取り換える場合の説明図。
図13】可動なミュオン標的を用い、ミュオン標的の交換とミュオン標的への粒子衝突・パイオンミュオン生成を並行して行う装置と、ミュオン核融合・ミュオン核変換システムの説明図。(ミュオンの減速部を含む)
図14】可動なミュオン標的は水素原子・陽子又はヘリウム原子を含む中間子・ミュオンの生成システムの説明図。
図15】円形加速器を移動するヘリウム原子(又は水素原子)をミュオン標的として用いる中間子・ミュオンの生成システムの説明図。
図16】中間子生成システムを用いた核融合システム・核変換システム・原子製造システムの説明図。
図17】本願実施形態の一つとして、宇宙ミュオンや高速ミュオンを減速しターゲット部T1原子へ照射・投入・結合し核変換・核融合を試みる説明図。(A)地上側のターゲットT1について、天球側・宇宙側・上空側をカバーするドーム状の減速器アレイで高速宇宙ミュオンを減速しT1へ照射し核変換を試みる例。(B)直接原料原子・分子の標的T1にレーザーを照射しミュオンを減速可能な電場を形成しミュオンを減速させT1のミュオン核融合・ミュオン核変換を試みる例。
図18】直接原料原子・分子の標的T1にパルスレーザーを照射しミュオンを減速可能な電場を形成しミュオンを減速させT1の原子にミュオンを結合させミュオン核融合・ミュオン核変換を試みる例の説明図。
図19】電場形成した素子をミュオンの減速器に用いる構成の説明図。(A)電場形成した素子を用いミュオンを減速する際の説明図。(A)はターゲット部T1に入射したミュオンが磁場Bにより回転しターゲット部の原子内を移動できてもよい構成。(B)焦電体・焦電体のアレイを用い減速用の電場を形成し電場によりミュオンを減速する際の説明図。(B)は焦電体の端を温度変化させ焦電体に電場を生じさせ当該電場をミュオン減速を行う手段として用いる構成。
図20】電場形成を行う素子の説明図。(A)電極と絶縁体・誘電体を用いたキャパシタ素子を用いる場合。(B1)電気二重層キャパシタ型の素子を用いる場合。(B2)電気二重層部分を含む素子の説明図。
図21】宇宙線から中間子・ミュオンを生成する部分を備えた輸送機器・構造物3の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は実施例1である。ミューオン触媒核融合の前記トラップ問題に着目し、図1のM1やT1、B1に記載のように、ホウ素を用いるミューオン触媒核融合システムを考案した。図1の実際に利用する形態として太陽光の届かない惑星間・恒星間を移動する宇宙船や探査ロボット3の形態を図5に記載する。
【実施例0020】
図1は、燃料F1やターゲット部T1にホウ素を用いる本発明装置・システムの実施例の説明図である。*本系はミューオンや陽子を用いるため、加速器等設備が必要になる点もある。加速器の駆動には真空を要する。宇宙空間に加速器を配置する場合は宇宙空間の真空を用いてよい。
【実施例0021】
図2は、燃料F1やターゲット部T1にリチウムを用いる本発明装置・システムの実施例の説明図である。リチウムはホウ素より融点が低い。
【産業上の利用可能性】
【0022】
ホウ素やリチウム等の資源を確保する必要はあるものの、核融合による電源を作る事ができるかもしれない。本願発明は真空の必要な加速器などを用い、噴射速度が高くなると想定されるアルファ線を生じるので、図5のように真空である宇宙空間を航行する宇宙船の推進装置に用いてもよいかもしれない。
【符号の説明】
【0023】
図1図3
1F-SYS:ホウ素と陽子を用いる核融合反応を利用したミューオン触媒核融合システムの説明図。
M1:ミューオン生成手段、ミューオンを核融合燃料ターゲットT1に投入照射する手段。例:ミューオン生成可能な粒子加速器を用いた系
P1:陽子生成手段、陽子を核融合燃料ターゲットT1に投入照射する手段。例:陽子を加速しターゲットに打ち込み・照射可能な粒子加速器。ホウ素陽子核融合反応系における核融合燃料の要素。N1:中性子生成手段、中性子を核融合燃料ターゲットT1に投入照射する手段。例:中性子を加速しターゲットに打ち込み・照射可能な粒子加速器。A1:粒子加速器A1。
T1:核融合燃料を含むターゲット部。核融合燃料T1、F1。
B1:T1のうちホウ素を用いる部分。ホウ素ターゲット。ホウ素は溶融していてもよい。
L1:T1のうちリチウムを用いる部分。リチウムターゲット。リチウムは溶融した液体リチウムでもよい。
EX1:核融合後の生成物EX1。図1図3等においては核融合後に生成するヘリウムHe・アルファ線。
図5
3:輸送機器
1R:核融合炉である1F-SYS。1F-SYSを含む核融合炉。アルファ線のエネルギーを電力エネルギーに変換する発電部が備えられていてもよい。
1GENR:発電部(核融合システム1F-SYSや核変換システム1EXP-SYSにより得たエネルギーを電力に変換する部分)
図5には明記されていないが、1EXP-SYS、1F-SYS、1Rにより生じた核融合由来の電力を、ミューオン発生部M1や陽子発生部P1に供給し、ミューオンや陽子を発生させることに用いてよい。該電力を本発明のシステムやシステム各部の駆動に用いてよい。
1TH:1F-SYSを含む核融合応用推進装置、推力発生装置。推進手段。移動手段。(1THは、3が宇宙船の場合アルファ線・ガンマ線・光子・粒子などの粒子ビーム放出部でもよい。3が航空機の場合1GENRで得た電力を用いて推進剤や空気取り込みし加熱・圧縮・3の後方へ噴出を行う推進剤噴出部でもよいし電力駆動のプロペラ部でもよい。3が船舶の場合1GENRで得た電力を用いてプロペラの回転や水流の生成をできる部分。3がアームを持つロボットないしは陸上を移動する車両の場合は1GENRで得た電力で駆動できてもよい車輪・タイヤ・モータ若しくはロボットのモータ・アーム部でよい。)
1TH-NZ:1THのノズル部。核融合後の生成物EX1がエネルギー持つヘリウム、アルファ線であるときに前記アルファ線を放出するノズル部。推力偏向装置・ノズルでもよい。該アルファ線を推進剤に照射し、推進剤を加熱させ噴射してもよい。*1TH-NZとは別に、1Rで生じた電力を用いてイオン推進器や光子レーザーを放出した反動で推進する推進装置を稼働してもよい。
図6>ジボランB2H6を用いた系
BH1:ホウ素を含む物質であって、水素化ホウ素・ジボラン・ボランであるB1。ジボランであるT1、F1。ジボランのターゲット。ジボラン、BH1は気体、液体、流体、(固体)でもよい。(流体を用いた図7の構成も可能である)図6の系では水素・陽子を含むジボランを用いるので図1等に記載の陽子導入部P1が不要になる。
図7
1F-SYS-RAM:核融合システム。(公知のラムジェット部を持つ核融合燃料流体がクローズドループ系にて循環する系に、本願ジボランを用いる系を適用した場合の想定図)
RAM:ラムジェット式で圧縮する際のラム圧発生装置部。
PBH1:圧縮されたBH1部。圧縮されたジボラン流体部を持つミューオンのターゲット部。
FP:核融合反応部、ミューオン照射部。
FEEDC:システム内を循環するジボラン流体内のヘリウムを除去したり、余剰な物質を除去し、必要な物質、燃料となるジボランを追加する部分。フィードのコントロール部。燃料供給系、燃料制御系。ヘリウムHe除去部、ジボラン燃料供給部等
HX:熱交換器
ENEX:図中にはないが、アルファ線・核融合エネルギーを基に発電する装置部、発電部。システム内に含まれていてよい。
PUMP:圧縮機、ポンプ。システム内の流体を加圧し、圧縮し、循環させる。モーターなどで駆動される。(発電部より電力を得て駆動される)
M1:ミュオン発生部、ミュオン照射部。(発電部より電力を得て駆動される)
EX1:核融合後に生成した(除去必要な)ヘリウム。
【0024】
<その他>本願では核燃料物質(例:B、Li)の原子核の正電荷が核融合後生成物(例:He)よりも大きくなっている系を用いることで、負電荷をもつミューオンを核燃料物質の原子の原子核にとどめるようとしている。核融合生成物より核融合燃料にミューオンが位置するほうがクーロン力・電荷・電場・電気的に安定となる意図を持っている。
*例えばホウ素の系に、ホウ素よりも原子番号Zが大きい不純物がある場合、本願の考えに従うならば、ホウ素よりZの大きい不純物はミュオンをトラップし反応を停止させるかもしれない。(例えばジボランの原料にされる水素化ホウ素ナトリウムNaBH4を考えると、ナトリウムはZがホウ素より大きく、本願の考えによればミュオンはNaBH4中のNaにトラップされるはずである。)
【0025】
本願の考案、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。
【0026】
<<優先権を主張した出願による追記部分>>先の出願、特願2023-150635に対し次の項目を追加した。
【0027】
図1において陽子をホウ素に照射しているが、図6に示すように、予めホウ素と陽子・水素原子が結合したボラン、ジボランB2H6、水素化ホウ素をターゲット部T1に利用してよい。例えば液化した、液体のジボランを核融合燃料F1またはターゲットT1部に用いてよい。図6の系では水素・陽子を含むジボランを用いるので図1等に記載の陽子導入部P1が不要になる利点があるかもしれない。
【0028】
図7に、ジボランを加圧・圧縮・循環させミューオンを照射し核融合させようとする系1F-SYS-RAMを記載する。(図7図6の実施例・実施形態の1つである。)図7は公知のラムジェット部を持つ核融合燃料流体がクローズドループ系にて循環する系に、本願ジボランを用いる系を適用した場合の想定図である。
【0029】
図7の1F-SYS-RAM系内にあるジボランは圧縮機PUMPにより加圧、圧縮され循環している。加圧された流体のジボランは圧縮装置部RAMによりさらに圧縮され、圧縮されたBH1部(PBH1部)を形成する。
ミューオン照射部M1よりPBH1にミューオンが照射され、核融合を促す。(ジボランは圧縮されているため密度が高くなり、ミューオンと接触・近接・触れ合いやすくなり、前記触媒核融合反応が起きやすいことを期待している。)
【0030】
図7の系1F-SYS-RAMでは陽子とホウ素を水素とホウ素の結合したジボランとして共にシステムに供給できる利点がある。
陽子導入部P1が不要である上に、系への燃料の追加や系からのHeの除去(デガス)も可能である。(ヘリウムHe除去部、ジボラン燃料供給部等、フィードコントロール部FEEDCを利用)
【0031】
またホウ素より原子番号が大きい不純物の混入しやすさを考慮すると、固体ホウ素よりも、精製可能な気体のジボランのほうがよいかもしれない。(固体ホウ素は固体結晶として生成・精製・精錬が必要。)
本願段落0024で水素化ホウ素ナトリウムNaBH4を例として述べたように、本願は核融合燃料の原子番号より大きな原子番号の原子・核融合後生成物EX1あるいは燃料中不純物の存在を存在を好まないと考えられる。
【0032】
また本願の図1図3図6図7等の系ではミュ‐オンの進む先には核融合燃料の原子番号より大きな原子番号の原子・核融合後生成物EX1・不純物の存在を想定していない。例えばホウ素Bより原子番号の大きな大気分子原子(例えば窒素Nや酸素O)が存在しない前提である。仮に窒素Nが存在する場合、トラップされるかもしれない。本願構成は燃料とするホウ素(あるいはリチウムなどの他の候補元素・原子)よりも大きな原子番号の原子を避けるように配慮する必要があるかもしれない。
【0033】
<書類名>特許請求の範囲
<請求項1>核融合反応によって生成した原子・粒子の原子核の電荷が、核燃料物質の原子の原子核の電荷より小さい特徴を持つ、核融合反応系を用いる、ミューオン触媒核融合システム。
<請求項2>前記核融合燃料はホウ素又はリチウムを含み、前記核融合反応によって生成した原子・粒子はヘリウム・アルファ線である、請求項1に記載のミューオン触媒核融合システム。
<請求項3>前記燃料は液体又は流体の状態である請求項2に記載のミューオン触媒核融合システム。
<請求項4>核融合反応によって中性子を生じにくい特徴を持つ系であって、前記核融合燃料はホウ素・水素化ホウ素を用い、前記核融合反応によって生成した原子・粒子はヘリウム・アルファ線である、請求項1に記載のミュオン触媒核融合システム。
<書類名>要約書
<要約><課題>公知のミューオン触媒核融合において、水素・重水素D・三重水素T等の核融合燃料物質でなく核融合後の生成物質であるヘリウムにミューオンが付着・捕捉・トラップされ触媒核融合が停止する課題があった。ミューオンが核融合燃料物質でなく核融合後の生成物質に補足されミューオン触媒核融合反応が進みにくい問題を解決したいと考えた。また中性子を発生しにくい系も考案したい。
<解決手段>ミューオン触媒核融合において原子核が核融合する際に、核融合により生成した物質の原子核の電荷が、核融合燃料となる原子の原子核の電荷より小さい特徴を持つ、核融合反応系を用いる。具体的には核融合燃料に陽子とホウ素、若しくは陽子を水素分子としてホウ素とともに含むジボランを用いるミューオン触媒核融合系を提案する。
【0034】
<<優先権を主張した出願による追記部分>>先の出願、特願2023-150635及び特願2023-151787に対し次の項目を追加した。
【0035】
図8図5のP1とM1をミュオニック水素として同一の射線・ライン上で併せて・混ぜてターゲット部に導入する場合>
本願では図5のように、陽子P1とミューオンM1を同一の射線・ライン上で併せて・混ぜてターゲット部T1に照射することができる。図5のように粒子加速器A1を用いて、燃料の陽子P1と触媒となるミューオンM1を同一の射線・ライン上で併せて・混ぜてホウ素を含むターゲット部T1に照射することができる。
【0036】
また、本願では図5のように粒子加速器A1若しくは中性ビーム入射装置NBIを用いて、燃料の陽子P1と触媒となるミューオンM1(ミュオンM1)が結合して形成された電気的に中性であるミュオニック水素原子MP1(場合によりミュオニック水素原子2つからなる電気的に中性なミュオニック水素分子MP12も)をターゲット部T1の水素化ホウ素に照射・投入することができる。(又はMP1やMP12を水素化ホウ素と混ぜ込んでターゲット部に吹き込み圧縮することができる。)
そしてミュオニック水素原子MP1をターゲット部T1の加圧された水素化ホウ素に照射・投入している際に、投入中の経路又はターゲット部T1近傍にて、ミュオニック水素原子MP1と水素化ホウ素が加圧され、(さらにガス流体の内部でMP1と水素化ホウ素、MP12と水素化ホウ素は加圧により混ぜられることもでき、)ミュオニック水素原子と水素化ホウ素の混合体MP1-XBHが形成される。
ミュオニック水素原子と水素化ホウ素の混合体MP1-XBHはラム部(RAM)に加圧輸送され、ラム部にてさらに加圧・圧縮され圧縮された混合物PMP1-XMBとなる。ラム部で圧縮されたミュオニック水素原子MP1・MP12と水素化ホウ素の混合体MP1-XBH(圧縮された混合物PMP1-XMB)はミュオン触媒反応時の温度やミュオンと陽子・ホウ素の体積当たりの密度を増加され、ミュオン触媒核融合反応を促す事につながる。
またラムジェット方式でラム部を用いて前記混合体MP1-XMBを加圧・圧縮し高温にすることもできて、ミュオニック水素原子MP1・MP12と水素化ホウ素の混合体MP1-XBHはミュオン触媒反応時の温度やミュオンと陽子・ホウ素の体積当たりの密度を増加する事に加えて、温度の高い、分子や粒子の運動の盛んな条件でミュオン触媒反応を行わせることができる。本願ではミュオニック水素原子を用いミュオン触媒反応時の温度やミュオンと陽子・ホウ素の体積当たりの密度やミュオンと陽子やホウ素の熱運動を増加させ、ミュオン触媒核融合反応を促す。
【0037】
ミューオン単体(ミューオンビーム線)をホウ素の表面やリチウムの表面、あるいは水素化ホウ素のガス・流体の表面に照射した場合、負に帯電し、ミュオン同士で反発してしまい、ミュオンを一点に集めたり圧縮出来なくなる恐れがあるので、本願図8のようにミュオンを陽子ホウ素燃料の陽子と組みわせ電荷を中性子にして、前記圧縮しミュオンと陽子ホウ素燃料を一か所に高密度に集め、より多くのミュオンと燃料を近接させミュオン触媒核融合を促す。
*ミューオンの持つ負電荷の問題でミューオン同士では電気的に反発して一か所に圧縮しにくい虞があるが、ミューオンを(ホウ素陽子核融合にて燃料でもある)陽子・水素原子核と結合させミュオニック水素原子MP1(又はMP12)として電気的に中和することで、前記電気的に反発することなく、圧縮することができるようになる。
【0038】
水素化リチウムは融点が高く、通常は固体または液体で存在する。水素化ホウ素よりは水素化リチウムは気体にしにくい点がある。水素化リチウムや固体のホウ素では前記のように常温常圧では固体の為、常温常圧でガスである水素化ホウ素と比較して混ぜ合わせにくく、ラム部に圧送して圧縮することも難しいかもしれない。他方MP1やガスであるとみられるMP12とガスである水素化ホウ素は加圧等の手段、混合手段を用い、混ぜ合わせ、その後ラム部に向け加圧・圧送しさらに圧縮・断熱加熱することが可能である。
【0039】
公知のD-T反応ではミュオンが最大2個必要であるのに対し、リチウムと陽子では4つ、ホウ素では6つミュオンが必要になり、限られた空間内にミュオンと陽子・ホウ素を圧縮して閉じ込めることが必要かもしれない。公知のD-T反応系より、本願で検討するp-11B反応系のほうがミュオンと核融合燃料を混ぜて一か所に閉じ込めて高密度にして核融合燃料と反応させる必要があるかもしれない。
そこで、本願では電気的に中性な前記ミュオニック水素原子MP1と水素化ホウ素を用い、それらを混合し、圧縮し、一か所に閉じ込めて高密度にしてミュオン触媒核融合(若しくはミュオンによりアシストされた核融合)を起させることを試みる。
【0040】
<飛翔中ミュオン触媒核融合>
ミュオニック水素原子MP1は通常の陽子電子からなる水素原子よりもボーア半径が小さく・クーロン障壁が低く(又は量子力学的にトンネリングしやすく)他の原子に向けて飛翔し、他の原子と衝突・近接した際に核融合(飛翔中ミュオン触媒核融合)反応しやすい事が期待される。速度を持ちホウ素と衝突したミュオニック水素原子はその後エネルギーをもつアルファ線を生成するがそのアルファ線のエネルギーを用いて水素化ホウ素を加熱し、その水素化ホウ素が熱交換器HXを通るときに外部の蒸気発生器等に熱エネルギーを伝えて、該熱エネルギー・運動エネルギーは水を供給した蒸気発生器からタービン発電機1PPに伝達され蒸気タービン発電機1PPを回転・稼働させ電力を生じさせて良い。
【0041】
図8において、ミュオニック水素原子MP1の源になる部分MP1若しくは中性粒子ビーム入射装置NBI・粒子加速器A1から水素化ホウ素(B2H6等)にて満たされた進路又は経路S1を通りノズル部NZを通り、ターゲット部T1・ラム部RAMに向かってMP1やMP1とホウ素の混合物MP1-XMBは進んでいく。その際に、ミュオニック水素原子MP1は進路S1上にある水素化ホウ素と反応してもよい。*固体のホウ素、溶融したホウ素や固体液体の水素化リチウムの表面にMP1を入射した場合、その表面で核融合反応が起きエネルギーが生じることが期待でき本願の一つの例として固体や液体のホウ素や水素化リチウム・リチウムをターゲットT1とした際にミュオン触媒核融合を促進させることができてもよい。(但し図8や上記のようなMP1・MP12と水素化ホウ素の混合体・混合流体・混合気体MP1-XMBを圧縮し高密度・高温にして核融合を促す事はできないかもしれない。)
【0042】
記号等<図8
1F-SYS-MP1、1F-SYS-MP1-RAM:ミュオニック水素原子と燃料の混合物を用いる核融合システム
ミュオニック水素原子MP1:
AMP1:ミュオニック水素原子生成照射部(粒子加速器A1、中性粒子ビーム照射装置NBI等、MP1やMP12を生じ、入射・投入できるもの。)
S1:経路S1 (MP1と水素化ホウ素の混合有)
MP1-XMB:MP1と水素化ホウ素・ジボランの混合物。若しくは水素とホウ素・(炭素・)窒素・酸素・フッ素等の混合物。若しくは核融合に必要な第1の原子番号ZAの原料原子核と第2の原子番号ZAAの原料原子核が化学結合された化合物を含む部分・混合物部分。
PMP1-XMB:RAM等の圧縮手段により圧縮(及び又は加熱)された混合物MP1-XMB 、若しくはRAM等の圧縮手段により圧縮(及び・又は加熱)された混合物MP1-XMB。
RAM:ラム部などの圧縮手段。レーザー照射により(RAM部がレーザー閉じ込め・慣性閉じ込め式の場合、前記レーザーの光の波長は光子の運動量がより大きく取れるように青色・紫外線・X線・ガンマ線側の短波長を用いてよく)核融合位燃料ペレットを照射し閉じ込めを行う慣性閉じ込め型核融合が公知であるが、本願においても圧縮部RAM部にてレーザーでターゲット部・混合物を圧縮してもよい。(レーザー閉じ込め式の慣性閉じ込め核融合にミュオン投入プロセスを加えてもよい。)
ラム部はレーザー、イオンビーム、原料原子を含むイオンビームを複数の発射部から原料原子を含む部分に収束させるよう照射してもよい(図9)。(Zピンチや磁化標的型など慣性型で原料原子を圧縮可能、慣性によりとじ込み可能なものでもよい。)
RAM部にてレーザーないしはラムジェットの機構などを用いて核融合に必要な燃料となる原料原子、原料原子同士を化学結合させた化合物・混合物の部分をレーザー等により圧縮・加熱しつつミューオンを照射することで、化合物分子内若しくは化合物・混合物の分子運動・原子運動は圧縮加熱により大きくでき、その結果、ミュオンと結合した粒子・粒子同士がより熱運動により接近しやすくなり、接近による核融合・ミュオン核融合・ミュオン触媒核融合を起しやすくする意図があるほか、核融合後に触媒となるミュオンが、(リリースされ次の原料原子に近接・捕捉されを繰り返す、)次の触媒反応を起しやすくする狙いもある。
(極低温に冷却された液体の水素・DT・DD・TTにミュオンを照射しても温度が低く熱運動による原料原子の接近効果は低い虞があるが、レーザーやラムジェット部等で圧縮・加熱された部分にミュオン・ミュオニック原子・ミュオニック水素を投入する場合は圧縮や熱運動による近接効果が期待できる。)
NZ:ノズル部
1PP:蒸気タービン発電機
HX:熱交換器、蒸気発生部、蒸気パイプ・冷却パイプ
1BKT:中性子やガンマ線等核融合反応によりエネルギーを持ちつつ飛翔する粒子を受取り熱エネルギー等に変換しエネルギー利用できる部分・ブランケットがあってもよい。核反応を怒る部分の近くにRAM或いは反応容器部、FEEDを詰め込み・ラムする容器部分RAM、反応容器の壁面があるとき、RAM部や容器壁面内にブランケット1BKTが配置されていてもよい。
AEC:アルファ線エネルギー変換装置(アルファ線を受け取って電力に変換する装置。AECには酸化チタンなどのアルファ線を用いてラジカルを生成し水を(光触媒反応のように)分解し水素と酸素を得て水素・化学エネルギーの形で系の外にエネルギーを提供・出力してもよい。*AECはalpha-voltaic-cellでもよい。*AEC部分はアルファ線のエネルギーを受け止め(制動放射の、)シンクトロン放射光の光子を生じさせてもよい。当該放射光の光子のエネルギーを用いて化学物質を化学反応・光化学反応させてもよい。当該光子を加熱したい部分に照射して物質の製造や推進剤・蒸気の加熱・噴射をしてもよい。当該放射光の光子の波長を長波長側に波長変換する手段を用い長波長側の光子に変換し、前記長波長側の光子を光電変換素子にて受光させ光電変換して電力を得て系の外に出力してもよいし、前記長波長側の光子が光触媒にて光触媒反応可能なエネルギーを持つ光子ならば水から水素と酸素を生成させる光触媒反応を起こさせて水素エネルギーに変換してもよい。前記長波長側の光子を二酸化炭素・窒素の分子内の結合を解離可能・光化学反応な光子の波長とすれば二酸化炭素を解離させ炭素・炭素化合物・窒素化合物等の化学物質のエネルギーとして変換し系の外に出力してもよい。
【0043】
<請求項1>核融合燃料は陽子(P1)とホウ素(B1)を含み、前記核融合燃料がミューオンを用いてミューオン触媒核融合反応又はミューオンを用いた核融合反応により核融合したのちに生成した原子・粒子はヘリウム・アルファ線である、ミューオン触媒核融合システムであって、前記核融合燃料は水素化ホウ素を用いる、ミューオン触媒核融合システムであって、ミューオン(M1)と陽子(P1)が結合し電気的に中和されたミュオニック水素原子を前記水素化ホウ素に投入・入射させ、ミュオニック水素原子と水素化ホウ素の混合物(MP1-XMB)を形成する特徴を持つ、ミューオン触媒核融合システムであって、ミュオニック水素原子の照射手段(NBI)を用いて、ミュオニック水素原子を前記水素化ホウ素に投入・入射する特徴を持つ、ミューオン触媒核融合システムであって、前記混合物(MP1-XMB)は第1の加圧手段(PUMP)により加圧される特徴を持つミューオン触媒核融合システムであって、前記混合物(MP1-XMB)は第1の加圧手段(PUMP)により混合される特徴を持つミューオン触媒核融合システムであって、前記混合物(MP1-XMB)は第2の加圧手段(PUMP)により第1の加圧手段による圧力よりも高い圧力になるように圧縮され(圧縮された混合物PMP1-XMBとなって)加熱される特徴を持つミューオン触媒核融合システム(図8、1SYS-MP1)。
<請求項2>第2の加圧手段はラムジェットのラム部(RAM)を用いた圧縮部にて行われる特徴を有する、請求項1に記載のミューオン触媒核融合システム(図8、1SYS-MP1-RAM)。
【0044】
<<優先権を主張した出願による追記部分>>先の出願、特願2023-150635及び特願2023-151787及び特願2023-174791に対し次の項目を追加した。
<<<原子番号Zの減少する系の例>>>
本願ではホウ素11を用いる系の他に、窒素15を用いる系も開示する。(出願時点ではミュオンを用いてホウ素11や窒素15を用いた核融合が起きるかは確認が必要である。前記系は核融合システムの系でもよいし、物理学の原子核に関する実験系・実験システムでもよい。)
以下ホウ素11や窒素15の例は本発明の表現しようとする考案の1つの例である。
本願図2のグループAのように原子番号Zが3(リチウム)から9(フッ素)までの元素について検討している。
<<ホウ素11を用いる系>>
陽子とホウ素11を核融合させ3つのヘリウム4(アルファ線)とエネルギーを生じる核融合反応が公知である。
(p+11B‐>3×4He+8.7MeV)
ホウ素原子と水素原子が化学的に結合している分子を核融合反応をさせる前の原料物質・核融合燃料に用いてよい。例えば水素化ホウ素、ボラン、ジボランを用いてよい。水素とホウ素11の化合した水素化ホウ素を用いた場合、分子内で結合しているため、予め前記原子同士を接近させることができる。
ホウ素と陽子を近接させミュオンを照射する時にホウ素は単体では固体(高温に加熱しても液体)であり、ホウ素に水素原料を吹き込んでもホウ素の固体表面に水素が触れ合うことになりミュオン触媒核融合も固体ホウ素の表面で起こる可能性があった。そこで本願では予め核融合反応の原料となる陽子とホウ素15を化学結合・共有結合により近接させた水素化ホウ素のバルクな流体・気体・液体を原料物質に用いることで、核融合反応に関わる第一の原料原子(陽子)と第二の原料分子(ホウ素11、後述の窒素15のケースも同様)を近接しやすい配置に、若しくは予め2つの原料原子を混合した状態かつ近接した状態で配置できるため好ましくは水素化ホウ素B2H6等・水素化窒素NH3等を用いる。ミューオン又はミュオニック水素を照射投入してもよい。
【0045】
<<窒素15を用いる系>>
陽子と窒素15を核融合させ炭素12とヘリウム4(アルファ線)とエネルギーを生じる核融合反応が公知である(自然界では恒星においてCNOサイクル反応において窒素15と陽子から炭素12とヘリウム4を生じる反応が公知である。)
(p+15N‐>12C+4He+5.0MeV)
本願では水素分子と窒素15のみからなる窒素15分子とを混合させ液状の混合物又は気体状の混合物又は流体の混合物とし、その混合物に前記ミューオンを用いた前記核融合を起そうとしてよく、核融合システムに用いてよい。
また前記水素化ホウ素の例と同じように、アンモニアNH3のような窒素原子と水素原子が化学的に結合している分子を核融合反応をさせる前の原料物質・核融合燃料に用いてよい。例えば窒素化水素、アザン、アンモニアNH3を用いてよい。(アザン、ジアザンを用いてよい。)ミューオン又はミュオニック水素を照射投入してもよい。
<アザン、アンモニア分子の利用、流体・気体のアンモニアの利用>
例えば窒素15と水素から成るアンモニア15NH3にミューオンを照射して、アンモニア15NH3分子内の窒素15原子と水素原子に対し(それら原子の電子に対し)ミュオンが結合置換し、前記原子の半径を短くして・短縮して、窒素15原子と水素原子の原子核を近接させ両原子核を核融合させるよう促して核融合反応を起させようとしてよい。(15NとPを含む気体・液体・流体のアンモニア分子内で、ミュオンを用い、p+15Nから12Cと4Heを生成する核融合反応を起させてよい)
【0046】
<窒素15を含む有機化合物・有機分子の利用>
例えば、炭素と窒素15と水素からなる有機化合物CHN15があり、その化合物は窒素15と水素間での結合している化合物CHN15であってよい。もしくは化合物CHN15分子内で核融合燃料・原料原子の窒素15と水素が近接する特徴を持つ分子構造を有する化合物CHN15であってよい。前記有機化合物CHN15にミュオンを照射し、ミュオンがCHN15内の窒素15と水素を前記近接させた核融合した場合、化合物内で炭素12が生じるが、炭素12より化合物のバルク内で周囲に存在する別の窒素15にミュオンが結合することでミュオンによる触媒反応が継続する事を意図する。(例えば簡単な化合物の例として、窒素15(15N)を含む液体・気体・流体になるメチルアミンCH3-15NH3がある。)
ボラン類やアンモニアはガスであるが毒性や腐食作用があり、ガスをタンクに圧縮する必要もあって、取り扱いに注意する必要があるが、有機化合物であって窒素15に水素を近接して配置可能な化合物・有機化合物、炭素-窒素15-水素化合物CHN15ならば、ボラン・アンモニアよりは腐食性・毒性低く、(ボンベに圧縮・液化して封入せずに)かつ気体・液体状の物質CHN15として、(例えるなら揮発性のオイル、炭化水素燃料のような、液体の原料物質CHN15を)タンクに格納し需要のある地域・発電システム部に燃料物質CHN15を運搬できる。そして、その後核融合システム・リアクター・反応炉に供給する際に、液体の化合物CHN15を加熱し、加熱されることで粘度等物性の変わった液体若しくは加熱されることでガス・蒸気となった物質CHN15を、圧縮部を持つ反応器内部で循環させたり圧縮させることが可能になる。核融合燃料の液体でもよい前記化合物CHN15用いることで毒性や腐食性をボラン・アンモニアより抑えながら揮発油・オイルのように市中運搬できれば発電システム部に輸送しやすいかもしれない。
なお、化合物CHN15は、化合物内の原子について、核融合反応する最も原子番号の大きい原料原子の原子番号ZAと、核融合反応によって生成した原子・粒子のうち最も原子番号の大きい前記生成した原子の原子番号ZBについて、原子番号ZBは原子番号ZA以下の番号の大きさである特徴を有してよく、窒素15を用いるケースでは、原料原子である窒素15は原子番号7(前記原子番号ZAは7)であり、窒素15と陽子が反応し生じる炭素12は原子番号6(前記原子番号ZBは6)であって前記原子番号ZBは原子番号ZA以下の番号の大きさである特徴を有している。
窒素15を用いるケースでは、炭素12が核融合反応により生成しても元の化合物CHN15内に(有機化合物の、例えば炭素骨格部として)含まれる炭素12と原子核の正電荷は同じであり、生成後の炭素12よりは原子核の正電荷がより正である別の窒素15に向けてミュオンが動き回り窒素15に捕捉されて炭素12とヘリウムを生じて窒素15に再捕捉されを繰り返し、ミューオンによる触媒された核融合反応が持続して起きる想定をしている。
【0047】
<断面積>
原子核の反応の断面積の観点(*参考文献B)では、*水素1-H-1:33.22バーンであり、*1-H-2:4.70*リチウム6:942.1*リチウム7:1.22*ベリリウム9:7.33*ホウ素11:5.96*窒素15:5.35バーンである。他にフッ素9:4.23 、炭素12:5.57である。窒素15とホウ素11の断面積は5から6バーンの間である。他方リチウム7の断面積は1程度で前記窒素・ホウ素のケースより断面積が小さいので、断面積の観点ではホウ素11や窒素15を用いることが好ましいかもしれない。
[*参考文献B:日本原子力開発機構WEBページhttps://wwwndc.jaea.go.jp/jendl/j33/J33_J.html、インターネット、閲覧日令和5年11月17日。各表の中性子についてMT1のMaxwellian Averageより引用。実際のミュオンと原子を用いた系では断面積は違う虞はあるものの、同位体間での同一条件でのバーン値の比較よりミュオン核融合時の断面積について考察するために記載する。
〇参考文献B:JENDL-3.3 - JAEA Nuclear Data Center
K. Shibata, T. Kawano, T. Nakagawa, O. Iwamoto, J. Katakura, T. Fukahori, S. Chiba, A. Hasegawa, T. Murata,H. Matsunobu, T. Ohsawa, Y. Nakajima, T. Yoshida, A. Zukeran, M. Kawai, M. Baba, M. Ishikawa, T. Asami, T. Watanabe, Y. Watanabe, M. Igashira, N. Yamamuro, H. Kitazawa, N. Yamano and H. Takano: "Japanese Evaluated Nuclear Data Library Version 3 Revision-3: JENDL-3.3," J. Nucl. Sci. Technol. 39, 1125 (2002).
(Eds.) T. Nakagawa, H. Kawasaki and K. Shibata: "Curves and Tables of Neutron Cross Sections in JENDL-3.3 (Part I and II)," JAERI-Data/Code 2002-020, Part I, Part II (2002).(Ed.) K. Shibata: "Descriptive Data of JENDL-3.3 (Part I and II)," JAERI-Data/Code 2002-026, Part I, Part II (2003).]
【0048】
<リチウムを用いる系>
<リチウム7>
リチウム7と陽子を用いる系は断面積が低い特徴があり、気体分子にしにくい・固体液体で存在する特徴があり、リチウムイオン電池等の材料に用いられ資源量が限られているものの、本願の1つの例として開示する。リチウムを用いる場合、リチウム7と水素から成る水素化リチウムが利用されうる。液体の水素化リチウム表面にミューオンを照射する。
p+7Li‐>2×4He+17.2MeV
<リチウム6>
リチウム6(6Liと本願では表記)と重水素Dを用いる場合(重水素化リチウム6、6LiDを用いる場合)は、リチウム6の核融合反応の断面積がリチウム7よりも大きく核融合反応に有利であると推測する。この場合、原料物質FEEDであるリチウム6と重水素Dの化合物は加熱手段RAMHにより加熱されてよく、例えばレーザー・電波・電磁波により加熱されていてもよい。もしくは混合物・FEED及び・又はその格納容器(反応システム内でFEEDを保持する容器・部分)は電気抵抗式ヒータ・電気による加熱手段等の加熱手段により加熱されて、混合物FEEDはバルクの液体の状態になっていてもよい。*ミューオン照射可能なバルクの液体である重水素化リチウム6(6LiD)でもよい。なお下記のように重水素Dとリチウム6を用いる場合はアルファ線・ヘリウム4や陽子・中性子などを生じる反応が起きうる。(図2のグループBにリチウムに関連する反応式を記載する。)
D+6Li‐>2×4He(アルファ線)+22.4MeV
D+6Li‐>7Li+p+5.0MeV
D+6Li‐>4He(アルファ線)+p+2.6MeV
D+6Li‐>3He(ヘリウム3)+4He+n+1.8MeV
*リチウム7よりも断面積の大きいリチウム6と重水素を化学結合(イオン結合)させ原料物質FEEDとし、前記原料物質FEEDを加熱手段RAMHにより加熱されてもよい、ターゲット部 T1、FP、PBH1、PMP1-XMBに配置し、ミューオン(・ミュオニック原子)を前記配置された前記FEEDに照射・投入することにより、ミューオンを用いた核融合を促すこと(そして核融合システム・核融合炉・核融合反応器につなげる事)はできうるかもしれない。前記のように、断面積の大きいリチウム6と重水素を化学結合させ原料物質FEEDとした発明・考案の場合、断面積はリチウム7やホウ素11、窒素15、酸素18と水素・重水素を核融合・ミュオン核融合に用いる場合よりも大きくでき、より核融合しやすくできる利点がある。
【0049】
<ベリリウムを用いる系>
本願の1つの例として開示する。ベリリウム9と陽子を核融合反応させる系を用いてよい。ミューオンを照射するときに照射される原料物質として水素化ベリリウムBeH2を用いてよい。水素化ベリリウムは固体であり融点近くで分離するため核融合システムにて流体として用いにくい、用いることのできない点がある。
p+9Be‐>4He+6Li+2.1MeV
p+9Be‐>d+2×4He+0.6MeV
ベリリウム9は天然のベリリウムの安定な同位体でありベリリウムの100パーセントを占めているので同位体の分離工程は不要にできうる。ベリリウム9は(天然に多くの比率で存在するリチウム同位体の)リチウム7に比べ(他にホウ素11、窒素15に比べ)断面積が大きい特徴を持ち、断面積の観点では本願システム利用時に優位であるかもしれない。
ベリリウムボロンハイドライドBe(BH4)2はホウ素とベリリウムと水素・陽子からなる化合物であり、ホウ素11やベリリウム9と水素原子とを化学結合させ近接させた状態で配置可能な化合物・無機化合物・無機ポリマー化合物であり、本願の一つの形態として用いることもできる。該物質は液体固体などで利用されうる。
ホウ素11(Z=5)の反応ではヘリウム(Z=2)、ベリリウム9(Z=4)の反応ではリチウム(Z=3)とヘリウム・重水素が生じるが、その二つの反応で生じた最終生成物ZB群(ヘリウム、リチウム、重水素、ZBは3)は核融合原料原子ZA群(ホウ素11、ベリリウム9、水素、ZAは11や9)であるので、最終生成物の正電荷3のリチウム6よりは核融合原料原子ZA群の原子により正電荷の大きい原子核があるので負ミュオンは核融合原料原子に捕捉されやすくなると推測でき、利用されうる。
【0050】
<資源量など>
宇宙や地球圏の資源量の観点では魔法数8の酸素の酸素18・酸素17が優位かもしれない。他に窒素15やホウ素11が優位である。酸素18・窒素15は大気中窒素に含まれ、酸素や窒素蒸留プロセスにより大気中の酸素・窒素より他の同位体と分離できる。炭素も資源量は多い。
原子番号が大きくなるほどミューオンが弱い相互作用により電子とニュートリノに崩壊する(負ミュオンの寿命が減少する)などの作用もあり、リチウム(Z=3)よりもZの大きくなる窒素15(Z=7)ではその影響を考慮したいため、本願ではリチウムを用いない事に制限しない。
(Z=1からZ=10程度であれば負ミュオンの寿命はマイクロ秒近くで済むため、前記核融合反応で触媒として働く時間もマイクロ秒程度を保持できるならば、Z=10までの原子を本願システムの原料原子の候補に用いられうる。あるいはZ=20まで等。負ミュオンの寿命が考慮されうる。)
本願で好ましくはZ=9から3までの元素を検討し、リチウム6、酸素18、窒素15やホウ素11を例として開示し、それらと第2の原料となる陽子・重水素を化学結合させた化合物を用いた例を開示した。
【0051】
<フッ素を用いる系>
実験系において、フッ素19(Z=9)と陽子から酸素16(Z=8)とヘリウムを生成する核融合系を用いてよい。フッ素19と陽子の結合したフッ化水素にミュオンを照射する事もできる。(フッ化水素は毒性が高い点がある。)
【0052】
<酸素を用いる系>
酸素18と陽子から窒素15とヘリウムを生成する核融合系を用いてよい。酸素18と陽子の結合した酸化水素、水H2O(液体、気体、蒸気、流体の水H2O)にミュオンを照射する事もできる。該ケースでは窒素15が得られるが(反応式は本願図2のグループA)、この後に窒素15と陽子を前記のように反応させ炭素12とヘリウムを生じる核融合反応に用いてもよい。
酸素18は0.2パーセント存在する。例えば金星においては二酸化炭素の大気として存在し、月や火星金星小惑星の岩石(酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化鉄等を含みうる)には金属元素(珪素、アルミニウム、鉄等)と化合した酸素原子が含まれており、資源として得やすい可能性があり、宇宙空間を航行する際に採取できるかもしれない。酸素の同位体についても公知の分離プロセスにより望みの酸素同位体を大気中酸素や天体の酸素と化合した物質(酸化珪素等を含む岩石等を還元し得られた酸素)から分離してよい。酸素17と陽子を用いてもよい。
【0053】
<<原子番号Zは減少しないが原料原子が他の原料原子と化学結合している例>>
本願の一つの例として、核融合反応する前記原子番号ZBは原子番号ZA以上の場合・大きい場合であって、原料となる第一の原料原子ZAと第二の原料原子ZBを同一の化合物分子に備えさせた例を開示する。
<炭素を用いる系>
実験系において、陽子と炭素を含む炭化水素にミュオンを照射してもよい。炭素原子と水素原子が化学的に結合している分子を核融合反応をさせる前の原料物質・核融合燃料に用いてよい。例えば炭化水素、メタン等炭素と水素を含む有機化合物を用いてよい。ミューオン又はミュオニック水素をメタン等炭素と水素を含む有機化合物にミューオンを照射・投入してもよい。
前記炭素を用いる系、前記メタン等炭化水素・有機物を用いる系は図7図8のような圧縮部PUMP・RAMにて(気体・流体の)前記メタン等炭化水素・有機物を圧縮してよく、前記圧縮された箇所(ターゲット部 T1、FP、PBH1、PMP1-XMB)にミューオン又はミュオニック水素原子等のミューオンを投入し前記箇所にてミューオン核融合を促すようにしてよい。
メタン・プロパン等の炭化水素ガスを用いる場合、既存のガスの運搬・輸送・貯蔵インフラを用いることができる。ガスの配管・パイプライン・バルブ・ポンプなどを流用できる。(他方、アンモニア、水素化ホウ素等ガスは専用のインフラ・配管・ポンプが必要にある恐れがある。)
(負ミュオンが原子核に接近すると負ミュオンは原子核中の陽子と弱い相互作用を起こし、原子核中の陽子が中性子に変わり、原子番号が一つ小さい原子核へと変換される。炭素12にミュオンを照射するとホウ素11となり、その後再度到達したミュオンによりホウ素11と水素原子・陽子との反応も期待できる。)
<炭素炭素同士の核融合、炭素燃焼、Zが炭素以上の原子との核融合反応>
図9等のように炭素原子同士が結合した有機化合物の原料物質FEEDについて、RAMやRAMH等の加熱・圧縮手段を用いてFEEDを加熱(・圧縮)しつつ、FEEDにミュオン・ミュオニック原子を照射投入し、炭素原子同士をミュオンを用いて前記核融合反応させるように促してもよい。また実験の目的で、若しくは核変換・より原子番号Zの大きい元素を人工的に合成する目的で、ミュオニック原子の内炭素原子をもちいたミュオニック炭素原子を別の原子に衝突させて核融合を促してもよい。
炭素同士の核融合の他に、酸素燃焼過程の酸素同士の核融合、ケイ素燃焼過程、より原子番号Zが大きい元素同士の核融合反応を本願の系で試みてもよい。
【0054】
<原料物質FEEDを加熱若しくは圧縮可能な系>
図8の構成よりもさらにRAM部(RAMH部)で圧縮・加熱可能な構成として図9に(複数の)レーザー・イオンビーム・マイクロ波等の発射元より、ターゲット部に照射を行いターゲット部にあるFEEDを加熱可能な系を開示する。(レーザーやイオンビームにより圧縮出来てもよい。)
図9は原料物質FEEDの圧縮部・加熱部を有する系1F-SYSの例である。(図は例であって図に記載された実験系・反応系・装置・構造・配置に限定されない。例えば図8図9ではクローズドサイクル内をFEEDが循環する構成であるが、閉じた容器・バッチ式の容器にFEEDを格納してよく、加熱部RAMHをFEEDを格納した容器・反応部に備えており、FEEDを加熱部RAMHにて加熱しながらFEEDに対しミュオン・ミュオニック原子を照射投入してよい。レーザー閉じ込め慣性型核融合のようにFEEDを格納した容器に(複数光源部でもよい光源部から)レーザーを照射し、レーザーにて閉じ込め・レーザーにより加熱してよい。電磁波であるレーザー・ミリ波・マイクロ波、電磁誘導、粒子ベースのイオンビーム、粒子ビームをFEEDが格納された容器に照射しFEEDを加熱してよい。)
例えば図9の圧縮部RAMはレーザ照射・イオンビーム照射できてよい。レーザー圧縮できてもよい。またレーザー・光子・電磁波・電場磁場・電波・ビームによる加熱ができてもよい。
【実施例0055】
本願の1つの形態として、図7図8図9は分子内に原料原子を含む原料物質FEEDを用いた核融合システムであって、前記原料物質にミューオンを照射・投入する工程を有する核融合システムであって、原料原子は第1の原子番号ZAの原料原子を2つ以上含む、または、第1の原子番号ZAの原子と第2の原子番号ZAAの原料原子をそれぞれ1つ以上含む原料原子であって、核融合する第1の原子番号ZAの原料原子と第2の原子番号ZAAの原料原子は化学結合・共有結合・イオン結合して前記原料物質に含まれている特徴を持つ核融合システムの説明図である。
【実施例0056】
本願の1つの形態として、図9は原料物質FEEDの加熱手段RAMHや圧縮手段RAMを備えた、ミューオン・ミュオニック原子をFEEDに照射投入する工程を含む核融合システムの説明図である。前記加熱手段RAMHは例えばレーザ加熱やイオンビーム加熱やマイクロ波・ミリ波、電場磁場、電磁誘導による加熱手段を用いてよい。
図9は例えば(複数光源部でもよい光源部から)レーザーを照射し、レーザーにて閉じ込めする慣性核融合システム、或いはレーザーにより加熱してよい核融合システムであって、ミューオン・ミュオニック原子をFEEDに照射投入する工程を含む核融合システムの説明図である。
もしくは、図9は、電磁波であるレーザー・ミリ波・マイクロ波、電磁誘導、粒子ベースのイオンビーム、粒子ビーム、ミリ波をFEEDが格納された容器に照射しFEEDを加熱する(場合により、例えばイオンビームを一点に向け放つことでイオンビームがFEEDのある一点FP、T1、に向けて複数照射されており、一点に向けて進むイオンビームがFEEDを圧縮する・詰め込む・ラムする形になることで圧縮する、圧縮と加熱を行う)核融合システムであって、ミューオン・ミュオニック原子をFEEDに照射投入する工程を含む核融合システムの説明図である。
【実施例0057】
本願の1つの形態として、本願図3の下部分の(B)は原料物質FEEDに重水素化リチウム6を固体又は液体・溶融した状態で(原料原子が熱により運動でき原料原子同士が接近しやすくなると考える場合、好ましくは液体・溶融状態とし、)ターゲット部T1に配置し、前記重水素化リチウム6にミューオン(・ミュオニック原子)を照射・投入する系の説明図である。図3の(B)において重水素化リチウム6はT1・FEED部は加熱手段RAMHを用いて加熱されていてもよい。(加熱手段RAMHを用いてFEEDを溶融させ、液体にするよう加温されていてもよい。)
*リチウム7よりも断面積の大きいリチウム6と重水素を化学結合させ原料物質FEEDとし、前記原料物質FEEDを加熱手段RAMHにより加熱されてもよい、ターゲット部 T1、FP、PBH1、PMP1-XMBに配置し、ミューオン(・ミュオニック原子)を前記配置された前記FEEDに照射・投入することにより、ミューオンを用いた核融合を促し、核融合システム・核融合炉・核融合反応器につなげる意図がある。
断面積の大きいリチウム6と重水素を化学結合させ原料物質FEEDとした場合、断面積はリチウム7やホウ素11、窒素15、酸素18と水素・重水素を核融合・ミュオン核融合に用いる場合よりも大きくでき、より核融合しやすくできる利点がある。
リチウム7とリチウム6では断面積の観点でリチウム6のほうが好ましく、リチウム6と重水素を用いる事が好ましい。リチウム7を用いる場合断面積が小さい課題があるので、本願の一つの例ではリチウム6と重水素に利用を限定して断面積を大きくし、断面積が小さい課題を解決するように試みてもよい。
【0058】
記号等
図9
PMP1-XMB:RAM等の圧縮手段により圧縮(及び又は加熱)された混合物MP1-XMB、若しくはRAM等の圧縮手段により圧縮(及び・又は加熱)された混合物MP1-XMB。
RAM:ラム部などの圧縮手段。レーザー照射により(RAM部がレーザー閉じ込め・慣性閉じ込め式の場合、前記レーザーの光の波長は光子の運動量がより大きく取れるように青色・紫外線・X線・ガンマ線側の短波長を用いてよく)核融合位燃料ペレットを照射し閉じ込めを行う慣性閉じ込め型核融合が公知であるが、本願においても圧縮部RAM部にてレーザーでターゲット部・混合物を圧縮してもよい。(レーザー閉じ込め式の慣性閉じ込め核融合にミュオン投入プロセスを加えてもよい。)
ラム部はレーザー、イオンビーム、原料原子を含むイオンビームを複数の発射部から原料原子を含む部分に収束させるよう照射してもよい(図9)。(Zピンチや磁化標的型など慣性型で原料原子を圧縮可能、慣性によりとじ込め可能なものでもよい。)
RAM部にてレーザーないしはラムジェットの機構などを用いて核融合に必要な燃料となる原料原子、原料原子同士を化学結合させた化合物・混合物の部分をレーザー等により圧縮・加熱しつつミューオンを照射することで、化合物分子内若しくは化合物・混合物の分子運動・原子運動は圧縮加熱により大きくでき、その結果、ミュオンと結合した粒子・粒子同士がより熱運動により接近しやすくなり、接近による核融合・ミュオン核融合・ミュオン触媒核融合を起しやすくする意図があるほか、核融合後に触媒となるミュオンが、(リリースされ次の原料原子に近接・捕捉されを繰り返す、)次の触媒反応を起しやすくする狙いもある。
(数ケルビンの極低温に冷却された液体の水素・DT・DD・TTにミュオンを照射しても温度が低く熱運動による原料原子の接近効果は低い虞があるが、レーザーやラムジェット部等で圧縮・加熱された部分にミュオン・ミュオニック原子・ミュオニック水素を投入する場合は圧縮や熱運動による近接効果が期待できる。)
RAMH:加熱手段。(ラム部に含まれてもよい。例えばレーザーやマイクロ波などの、遠隔で電磁波・光子により物質に照射可能であり物質を加熱可能な手段。例えば水・酸化水素とミュオンを用いる系では水はマイクロ波加熱可能である。他に物質は電磁気的に誘導加熱されてもよい。)
例えば炭化水素を原料物質に用いて図8図9の構成でミュオンを用いて炭化水素内の化学結合して近接している炭素原子と水素原子に核融合を促す場合、図8より図9のほうが、レーザー等による原料加熱が可能なので原料物質中の原子・粒子の運動がレーザー等加熱手段により高温になるにつれ盛んになりミュオン触媒核融合を促進する効果があるかもしれない。(レーザー加熱、もしくはイオンビームもしくは中性粒子ビーム・NBI、原料原子を含むイオンビームもしくは中性粒子ビーム・NBI、ミュオンとイオン・原料原子を結合した粒子ビーム、ミリ波、マイクロ波等の加熱手段でもよい。)
RAM、RAMHはレーザ照射・イオンビーム照射できてよい。レーザー圧縮できてもよい。またレーザー加熱できてもよい。
PUMP:圧縮機、ポンプ、モーター
FEED:原料物質(例:水素化ホウ素、(炭化水素)、窒素化水素、酸化水素等。)(重水素化リチウムなど液体・固体のターゲットでもよい。核融合反応させる原料となる物質。)
FEEDC:フィードのコントロール部。フィード・原料物質供給部、燃料供給部等、ヘリウム等核融合後の生成物の除去部も含んでよい。
FP:核融合(促進)部
【0059】
<請求の範囲>
<請求項NB1>
原料原子を含む原料物質を用いた核融合システムであって、
前記原料物質は流体・気体・液体の原料物質を用いる核融合システムであって、
前記原料物質にミューオンを照射・投入する工程を有する核融合システムであって、
原料原子は第1の原子番号ZAの原料原子を2つ以上含む、または、第1の原子番号ZAの原子と第2の原子番号ZAAの原料原子をそれぞれ1つ以上含む原料原子であって、
核融合反応する最も原子番号の大きい原料原子の原子番号ZAと、核融合反応によって生成した原子・粒子のうち最も原子番号の大きい前記生成した原子の原子番号ZBについて、原子番号ZBは原子番号ZA以下の番号の大きさである特徴を持つ核融合システム。
<請求項NB2>核融合する第1の原子番号ZAの原子と第2の原子番号ZAAの原料原子は化学結合・共有結合・イオン結合して前記原料物質に含まれている特徴を持つ請求項NB1に記載の核融合システム。
<請求項NB3>第1の原子番号ZAの原子はホウ素11・窒素15であって、第2の原子番号ZAAの原料原子は水素・陽子である請求項NB1に記載の核融合システム。
<請求項NB4>原子核にミュオンが結合・付加した原子・粒子若しくはミュオニック原子を前記核融合燃料物質に投入・入射させる特徴を持つ、ミューオン触媒核融合システム。
<請求項NB5>ミューオンまたはミュオニック原子を前記核融合燃料物質に投入・入射させた後、前記核融合燃料物質は加圧手段により加圧される特徴を持つミューオン触媒核融合システム。
<請求項NB6>
ミューオンまたはミュオニック原子を前記核融合燃料物質に投入・入射させた後、前記核融合燃料物質は加圧手段により混合される特徴を持つ請求項NB1に記載のミューオン触媒核融合システム。
<請求項MMF1>
原料原子を含む原料物質を用いた核融合システムであって、
前記原料物質にミューオンを照射・投入する工程を有する核融合システムであって、
(原料原子は第1の原子番号ZAの原料原子を2つ以上含む、または、第1の原子番号ZAの原子と第2の原子番号ZAAの原料原子をそれぞれ1つ以上含む原料原子であって、)
核融合する原料原子は(又は第1の原子番号ZAの原料原子と第2の原子番号ZAAの原料原子は)化学結合・共有結合・イオン結合して前記原料物質に含まれている特徴を持つ核融合システム。
<請求項MMF2>
前記第1の原子番号ZAの原子はホウ素11・窒素15であって、第2の原子番号ZAAの原料原子は水素・陽子である、若しくは、前記第1の原子番号ZAの原子はリチウム6であって、第2の原子番号ZAAの原料原子は重水素である、請求項MMF1に記載の記載の核融合システム。
<請求項MMF3>
前記第1の原子番号ZAの原子は炭素であって、第2の原子番号ZAAの原料原子は水素・陽子である、(前記原料物質はメタン・炭化水素・炭素と水素の結合を含む有機化合物である、)請求項MMF1に記載の記載の核融合システム。
<請求項MMF4>
原料原子を含む原料物質を用いた核融合システムであって、
前記原料物質にミューオンを照射・投入する工程を有する核融合システムであって、原料物質はリチウム6と重水素の化学結合した(液体の)重水素化リチウムを用いる核融合システム。
<請求項MHF1>
原料物質FEEDの加熱手段RAMHを備えた核融合システムであって、ミューオン・ミュオニック原子を原料物質FEEDに照射・投入する工程を含む核融合システム。
<請求項MHF2>
加熱手段RAMHはレーザー・イオンビーム・粒子ビーム・中性粒子ビーム・原料原子を含むイオンビームもしくは中性粒子ビーム・ミュオンとイオン・原料原子を結合した粒子ビームを原料物質FEEDに照射する事で行う加熱を用いる、
若しくは、電波・ミリ波・マイクロ波・電場地場による加熱・電磁誘導による加熱を原料物質FEEDに用いる、特徴を有する請求項MHF1に記載の核融合システム。
<書類名>要約書
<要約><課題>公知のミューオン触媒核融合において、水素・重水素D・三重水素T等の核融合燃料物質では核融合後の生成物質であるヘリウムにミューオン(ミュオン)が付着・捕捉・トラップされ触媒核融合が停止する課題があった。ミューオンが核融合燃料物質でなく核融合後の生成物質に補足されミューオン触媒核融合反応が進みにくい問題を解決したいと考えた。
<解決手段>ミューオンを用いた核融合において核融合燃料物質・原料物質に第1の原子番号ZAの原料原子と第2の原子番号ZAAの原料原子を化学結合させて含む系を開示する。リチウム6と重水素を含む水素化リチウム、若しくは陽子とホウ素11を含むジボラン、陽子と窒素15を含むアンモニアを用いるミューオン触媒核融合系を提案する。また加熱手段・圧縮手段を備えたミューオンを用いる核融合系を提案する。
【0060】
<<優先権を主張した出願による追記部分>>先の出願、特願2023-150635及び特願2023-151787及び特願2023-174791及び特願2023-196029に対し次の項目を追加した。
<書類名>要約書
<要約><課題>ミューオン核融合炉を停止せずにミュオン標的を取り換えやすくしたい。(標的交換時のダウンタイムを減らしたい。標的寿命を増やしたい。)またミュオン生成部・加速器を小型化したい。
<解決手段>円形加速器(固定磁場強収束加速器FFAG加速器、MERITリング・MERIT加速器*MERIT:多重エネルギー回復内部標的法、Multiplex Energy Recovery Internal Target)において楔形又は薄い円板・板の(挿入可能な)可動な標的を用いる。
可動な標的は取り換え装置により交換可能でもよいし、可動な標的部とミュオン捕獲用ソレノイド・ミュオン取り出し部を2つ以上備えさせ可動な標的部を加速器の外周から内周側に向けて出し入れ・前後移動(図12のMOVEの箇所)できてよい。可動標的に陽子粒子ビームを照射させパイオンミュオンを生成させてよい。
<発明を実施するための形態>
【0061】
<課題>発明が解決しようとする課題
<ミュオン標的の放射化と取り換え保守やミュオン生成できないダウンタイム低減の課題>
ミュオンを発生させる際に加速された高エネルギー陽子ビームを炭素やリチウムのミュオン発生用ターゲット部に照射し、パイオン・パイ中間子、ミュオンを生成させる。この際に陽子ビーム照射を受けるパイオン・ミュオン発生用ターゲット部・ミュオン標的は使用するにつれ劣化・放射化し交換が必要である。標的はヒトの接近しにくいレベルに高度に放射化する。
ミュオン標的の交換はミュオン発生装置やミューオン核融合システムを停止させる課題があった。そこで標的部が回転することで照射された時間を回転可能なディスクの他の部分に分散・平均化させる回転型ミュオン標的が開発されている。
ミューオン核融合システムにおいてもミュオン標的の取り換えや保守をミューオン核融合システム駆動時にミュオン生成部を停止しないで行えると(・ミュオン生成できないダウンタイム低減できると)商業的に(ミューオン核融合発電所が例えばミュオン標的交換の為、半年に一回、三週間等スパンで発電停止せずに済み)好ましいかもしれない。
【0062】
<解決手段> 課題を解決するための手段、発明を実施するための形態
<回転ミュオン標的MU-DISK-TGTによるミュオン標的長寿命化、ダウンタイム低減>
円形加速器2MU-ACC-RING(FFAG加速器2MU-FFAG、MERITリング・MERIT加速器2MU-MERIT-RING)において、(特にMERIT型リングにおいて、)楔型に飛び出るよう配置されたミュオン標的部であって、外周の細い・鋭利な(鋭利な形で・楔形に飛び出た)薬研車型の回転標的部、若しくは外周部が細く・薄く・鋭い回転鋸のようになったレコード盤・ディスク形状の回転標的部MU-DISK-TGT(図10図11図12の、外周の先端が鋭利になった細く薄い円板、或いは、楔形になった楔形回転ミュオン標的MU-WEDGE-DISK-TGT)とすることでMERIT式の楔形ミュオン標的(固定式のミュオン標的)の放射化を抑える・平均化させミュオン標的の寿命を延ばし、放射化を遅らせ、ミュオン標的を利用可能な時間を増加させる事を試みる。
※例えば、図10図11図12の、円板の片側の断面が外周方向に向けて薄くなる楔形・三角形でもよい(薄い円板でもよい)回転ミュオン標的MU-WEDGE-DISK-TGT・MU-DISK-TGTと、回転ミュオン標的を回転させるモータなど回転手段・ベアリングなど回転支持手段を備えた可動ミュオン標的ユニット(2MU-GEN-ROT-TGT)を構成してよく、加速器の外周部の粒子の軌道に向けて前記ミュオン標的部MU-MOVABLE-TGT・MU-DISK-TGTを加速器(2MU-FFAG、2MU-ACC-RING、2MU-MERIT-RING)の粒子ビームの軌道部に挿入(・引き抜き)できてもよい回転ミュオン標的部2MU-GEN-ROT-TGTをミュオン生成装置2MUの標的部・パイオンミュオン生成部に備えさせて良い。
(※円状加速器をドーナツ形状に見立てて、ドーナツの外周側の粒子の循環する部分・MERITリングの楔の飛び出し部にポロイダル方向に回転鋸のような回転ミュオン標的を挿入・引き抜き・MOVE可能な、リングに回転鋸にて切れ込みをいれ、若しくは引き抜きするような動作を行える回転標的が図10図12の2MU-MERIT-RINGに挿入・抜き差しできてよい。)
図10のように、楔形回転ミュオン標的MU-WEDGE-DISK-TGT、若しくは薄型の板状の可動部を持つ回転ミュオン標的MU-WEDGE-DISK-TGT(標的MU-WEDGE-DISK-TGTは回転可能でよく、標的の形状はMERIT方式の粒子ビームが標的に命中したのちに粒子がMERITリング・円形加速器内部で再度エネルギー回復できる形状・楔形・リング部に飛び出た部分が薄い形状・薄板形状でもよい。
図10では真空にした粒子加速器・円状加速器・FFAG・MERITリングの円状・ドーナツ状のトロイダル方向に垂直になるように粒子の通過する外周側を切断する回転鋸のように前記(楔形形状・薄くなる部分を持つ形状の)回転ミュオン標的MU-WEDGE-DISK-TGTが加速器断面の外周側一部に(加速され外周部を周回する粒子ビームの軌道に衝突するように)挿入され回転可能になっている。図10図11図12図13において真空を維持しながら粒子加速器の動作と回転または可動なミュオン標的の挿入・移動(MOVE)ができてよく、可動なミュオン標的の取り換え(EXCHANGE・SET)ができてよい。
回転にはモータ(MU-TGT-MOT)やベアリング(MU-TGT-BRG)を用いる。軸(AXIS-TGT-BRG)に取り付けられた楔形回転ミュオン標的MU-WEDGE-DISK-TGTは円状加速器・FFAG・MERITリングの外周部(リングドーナッツの外周側の一部を横切るように回転している。*図10の断面図CS部、点CSP1からCSP2までの断面部CS。)
<ミュオン標的の放射化時の取り換え・放射化部の除去>
また、楔形回転ミュオン標的図11の右図のように放射化した際にその放射化された先端を切除・切削・切断して放射化された部分を取り除き、放射化の弱い部分を再度リサイクルして利用してよい。また無人化の為機械・ロボットを用いてよい。
回転ミュオン標的の場合、固定標的・厚さのある回転標的よりも、楔形・薄くなった部分近くを放射化することになり、陽子イオンビームが照射される箇所の厚さ・ボリュームを小さくでき、放射化された放射性廃棄物の低減につながることを期待する。
<ミュオン生成動作時・加速器動作中に、ミュオン標的放射化の進もうとする回転ミュオン標的のビーム照射される部分の切削・メンテナンス、放射化される部分を砥石研磨除去するシステム。高度に標的が放射化する前にミュオン生成動作時・加速器動作中・装置稼働中に切削・研磨・除去するシステム。>楔形回転ミュオン標的図11の右図のように回転標的部はミュオン生成部・加速器・MERITリングの動作中に回転中に砥石・又は標的の一部を研磨・切除可能な装置を円板の照射部に近づけて照射部を研磨・切除してよい。また切削除去装置により放射化した部分を研磨・切除・除去されてもよい。(研磨をし尽くして削れない場合、ディスクの面が稼働中に研磨して形成できない場合、ディスク交換機械・ロボットアームにて新品のディスクに交換してよい。)
<宇宙下での利用>
本願では宇宙船の動力部として用いることも想定している。加速器システムについて、真空が必要な部分は宇宙の真空環境を用いてよい。
【0063】
<可動なミュオン標的の取り換えの自動化>
ミュオン発生用楔形回転ミュオン標的の陽子照射放射化後の取り換え、交替システム、ミュオンターゲット取り出し口1か所固定時にターゲットを取り換える場合の例として、図10にミュオン標的を取り換え可能な系を開示する。
【0064】
例えばジュークボックスのようにレコード盤・ディスク(楔形回転ミュオン標的MU-WEDGE-DISK-TGT)をロボットアーム等により取り換え可能な装置・ロボット部(TGT EXCANGE ROBOT/ARM (JUKE BOX MACHINE LIKE))と、楔形回転ミュオン標的MU-WEDGE-DISK-TGTを複数(回転式拳銃・リボルバーの回転式弾倉のように)モータ等(2TGT-EXCHANGE-MOT)で回転可能な軸(2TGT-EXCHANGE-AXIS)と回転手段2TGT-EXCHANGE-MOTにて回転できる弾倉部・ディスクホルダー・アーム(2TGT-EXCHANGE-ARM)に搭載し、アームを回転させ楔形回転ミュオン標的の取り換えをしてよい。取り換えの自動化をしてよい。
【0065】
図12に、ミュオン発生用楔形回転ターゲットの陽子照射放射化後の取り換え、交替システム、(2か所ミュオン取り出し口とソレノイド配置し、片方取り出し口休止しそのターゲットを取り換える場合)を記載する。ミュオン取り出し口とソレノイド・核融合燃料へのミューオン照射系が2系統必要になるが、前記交換用回転機構なく、また照射系や核融合反応部のターゲットT1も2系統にでき、発電できないダウンタイムを減らそうとする意図がある。(図12では2系統あるが、複数系統でもよい)
図12では楔形回転標的部とミュオン捕獲用ソレノイド・ミュオン取り出し部を2つ以上備えさせ可動なミュオン標的部・楔形回転標的部MU-WEDGE-DISK-TGTを加速器の外周から内周側に向けて出し入れ・前後移動・挿入(図12のMOVEの箇所)可能である。MERITリング内に可動標的部を移動(MOVE)・押出・挿入・引出・引き戻して、楔形回転標的部に陽子ビームが衝突する・しないを前記MOVEステップ・挿入抜去ステップにより制御し、片方の取り出し口のパイオンミュオン生成をオンオフ制御可能である。図12の標的部の交換時はMERITリングより完全に引出・引き戻して保守取り換えをする。取り換え等は機械・ロボット(TGT EXCANGE ROBOT/ARM)を用いて自動化してもよい。
【0066】
<課題>
<ミュオンを生じる装置の小型化、小型加速器・小型ミュオン発生器の必要性>
ミュオンを発生させるシステム(加速器・加速空洞・偏向磁石)を小型化する事が好ましい。輸送機器・宇宙機・宇宙船・航空機・車両・船舶・潜水艦や各種設備・ロボット類に前記核融合システムを搭載したい場合、加速器・ミュオン生成装置を含むシステムの大きさを小さくできると好ましい。
【0067】
<解決手段>課題を解決するための手段、発明を実施するための形態
〇ミュオン生成部について、大強度ミュオン源として、円形加速器である固定磁場強収束加速器(FFAG加速器、FFAG:Fixed Field Alternating Gradient。一定磁場(静磁場)で勾配磁場形状をもち,その勾配方向を交互に変える磁場形状を有した加速器)を用いた多重エネルギー回復内部標的法:Multiplex Energy Recovery Internal Target方式(MERIT方式)が公知である。リング内部で陽子などビーム軌道上に楔型の標的を設置し、ビームを周回・貯蔵・蓄積させ、加速させるのと同時に、ビームを標的に照射することで二次粒子を生成する。そして一度標的に照射したビームのうち、標的と反応を起こさなかったものに対しても、(再度加速し、)エネルギーを回復させ、何度も標的に当て続ける事で、高効率で二次粒子を生成することが可能とされるが、その方式を本願のミュオン生成部M1・粒子加速器に用いてよい。
【0068】
MERIT方式ではMERITのリングのリング中心に入射された陽子が内部を加速回転するうちに外側の軌道に遷移し、外側に楔上・薄い板状に飛び出たミュオン標的部に入射しパイオン・ミュオンを生成しつつ、再度加速・エネルギー回復し再度標的衝突、パイオン・ミュオン生成を行う。
生成したパイオン・ミュオンはミュオン捕獲・輸送用のソレノイド(図10図11図12図13のMUON CAPTURE TRANSPORT SOLENOID)に導入・投入しその後前記部分から(必要に応じて加速部・偏向部、或いは各種機器等経てもよく、ミュオンのままでもよく、中性粒子ビームになってもよく、ミュオニック原子にされてもよく)ミュオンを含むものは、ミュオン核融合システム1F-SYSのターゲット部T1(同位体の選択された、水素化リチウム(重水素化リチウム6)、水素化ホウ素、窒素化水素、酸化水素、フッ化水素等、炭化水素等、原料物質)・核融合反応部FPに照射投入する。なお上記のように本願ではミュオン標的に可動なミュオン標的部MU-MOVABLE-TGT、楔形回転標的部MU-WEDGE-DISK-TGTを用いてよい。楔形回転標的部とすることで固定型の楔形標的よりも標的が長寿命化できうる。図10図11図12図13のような構成にすることでミュオン生成装置の小型化と標的・装置の(放射化する時間を伸ばし、)長寿命化を行う意図がある。
【0069】
<加速空洞>
ミュオンを生じるシンクロトロン・円形加速器について、加速を行う加速空洞と、加速された粒子・陽子の軌道を制御する・収束する・曲げる偏向磁石(四重極磁石等)が含まれうる。
加速空洞に関しては銅の空洞にニオブをめっき・コートさせ超伝導体とし、超伝導加速空洞を用いることが公知であり、消費電力低減できるので用いてよい。
また高強度レーザーによるプラズマ利用の陽子・イオン・粒子加速方法(レーザープラズマ駆動によるイオン・電子加速、レーザー航跡場加速(Laser Wake Field Acceleration、LWFA)、レーザーの持つポンデロモーティブ力を用いるもの)は公知であってレーザー粒子加速可能な空洞を用いることで加速空洞部分を小型にでき、(輸送機器・宇宙機・航空機・車両・船舶・潜水艦・探査ロボット等移動する機器であって小型できると好ましいものに搭載するミュオン核融合炉のミュオン生成部の加速空洞部に用いるときに好ましいと考えられるので、)前記レーザーによるプラズマ利用の陽子加速方法・LWFA等を用い、レーザー利用型の加速器やミュオン発生部を構成してよい。
【0070】
<偏向磁石>
<ミュオン捕獲輸送ソレノイド・本願システム内の導体・電線>
〇偏向磁石・四重極電磁石・ミュオン捕獲ソレノイド部に、超伝導体を用いてもよい。偏向磁石・四重極電磁石・ミュオン捕獲ソレノイド部に、超伝導体を用いてもよい。
●本願システムの導線部・偏向磁石・四重極電磁石・ミュオン捕獲ソレノイド部に、(炭素材料等に導電性を高めて、もしくは導線を銅から炭素系材料にして軽量にしたり、銅の使用量を減らしたり、超伝導の冷却手順・冷却機器を無くしたり、超伝導体のニオブ等の放射化すると半減期の長い物質の使用を控えつつ導電性のある電線を用いたいの問題を回避する目的で、)特願2022-123161に開示のゲート電極に印加される電圧によりトランジスタの絶縁体と材料部分とゲート電極より構成されるキャパシタ部分が充電可能な導線1WIREであって、第1電極(106)と第2電極(102)の間に電圧(VGS)を印加する事によりキャリア導入部(104)を材料部分(101)に形成させ、前記キャリア導入部(104)を含む前記材料部分(101)の導電性を変化可能な素子であって、前記素子の前記材料部分(101)はトランジスタのチャネル部分を含み前記キャリア導入部(104)は前記チャネル部分を含んでおり前記素子の前記第1電極(106)はトランジスタのゲート電極(106)であって、前記素子の前記第2電極(102)はトランジスタのソース電極(102)であって、前記素子は前記ゲート電極(106)に印加される前記電圧(VGS)により前記トランジスタの絶縁体(105)と前記材料部分(101)と前記ゲート電極(106)より構成されるキャパシタ部分が充電可能な特徴を持つ、前記素子を用いた導線1WIRE、若しくは、ゲート電極に印加される電圧によりトランジスタの絶縁体と材料部分とゲート電極より構成されるキャパシタ部分が充電可能な導線であって、前記材料部分は、多孔質膜又は前記材料部分の全体積に対して隙間となる空間を持つ又は前記材料部分と前記絶縁体の接触する界面の表面積が前記材料部分の全面積よりも大きい導線1WIREからなる、導線を含む偏向電磁石を本願のミュオン生成部・粒子加速器に用いてもよい。前記1WIREを含む電気回路を本願の粒子加速器・ミュオン生成部・核融合システムは備えてよい。
【0071】
<ベアリングの磁気浮上方式>
可動ミュオン標的部を動かすときに支持する部分として公知のベアリング・支持手段を用いてよい。もしくはベアリングは寿命を増加させるために磁気浮上式のものを用いてもよい。
本願システムは宇宙空間・宇宙機・宇宙船への利用も検討しているが、宇宙空間では真空・無重力とできる場合があり、前記無重力で(若しくは宇宙空間の無重力を利用しつつも磁気浮上・磁気による搬送・移動・浮上制御・浮上機構を備え、)真空中を回転させる回転ミュオン標的部分を宇宙空間の宇宙機に構成し、図10のようにMERITリングの外周部をポロイダル方向にカットした断面の一部を通過するように挿入され前記回転ミュオン標的部分は回転してよい。
<宇宙空間の真空・無重力の利用>
本願システム、本願ミュオン生成部、図10から図13のMERITリング型粒子加速器及び可動なミュオン標的とミュオン捕獲ソレノイド、核融合システム部1F-SYSは宇宙空間の真空・無重力の環境を動作に利用してよく、例えば加速器の加速管・空洞内部は真空引きされ大気圧により押される力に耐えるよう強度を持たせて構築されうるが、その結果鋼材等強度確保の為に用いる重量のある加速器になるかもしれない。
他方宇宙空間では予め高真空であり、大気・大気圧がないので加速器を真空に保つ為の強度確保部や真空ポンプが少ない・部品数強度少なく軽量ですみ、宇宙空間に地球から部材を持ち上げる際の部品点数・打上重量を減らしコストダウンできうる。
その為、本願核融合システム・粒子加速器・パイオンミュオン生成システム等装置・システムは宇宙空間にて利用されてもよい。また宇宙空間の輸送機器・宇宙機・宇宙基地・宇宙船・探査ロボットの移動・動作の為の電力源・動力源や粒子実験用粒子利用等の為に本願システムが搭載されていてもよい。
【0072】
<回転可能・可動なミュオン標的部分の別の形態>
図10ー12では回転ミュオン標的は円板状としたが、形状はそれに制限されず、図13のように、例えばチェーンソーの回転するチップ部分・ソーチェーン部に標的部をつけて可動なミュオン標的部とし、図10のようにMERITリングの外周部をポロイダル方向にカットした断面の一部を通過するようにソーチェーン部が加速器に挿入・循環しチェーンキャッチャー部に戻るようにして、前記ミュオン標的部分は回転してよく、チップ上の前記ミュオン標的部はエネルギーを有するイオン・陽子・粒子の衝突によりパイオン・ミュオンを生じてもよい。
放射化の観点で標的部は軽い元素であると好ましくリチウムや炭素などZの低い元素を用いる。(大きいZの元素であると放射化した際に半減期が長い等で管理コストが懸念される)チップ部は放射化したとき・放射化の度合いが強くなる前に取り外して、新しい楔形又は薄いチップ状ミュオン標的に取り換えてよい。ミュオン標的は本願粒子加速器・FFAG・MERITリング中の粒子の照射部を通過可能・可動であってよい。
【実施例0073】
<実施例MT1>図10図11図12図13は、パイオンミュオンを生成し捕獲しミュオン利用システム・ミュオン核融合システムに対しミュオンを照射投入する粒子加速器・MERITリングと、可動な飛び出た・挿入された楔形・薄型の可動ミュオン標的・回転ミュオン標的と、標的にエネルギーを有する粒子・粒子ビームが衝突することで生じるパイオンミュオンの発生部、パイオンミュオン生成部、パイオンミュオンを捕獲して目的部に向け輸送するミュオン捕捉ソレノイドの説明図。
●本願ではミュオンを用いた核融合システムの大きさを前記輸送機器に搭載できるよう小型化したいと考えており、円形加速器の加速空洞は超伝導体やレーザー航跡場加速式の加速空洞・レーザーを用いた加速空洞をもちいてよい。
●また可動ミュオン標的・回転ミュオン標的は機械・ロボットアームにより高度に放射化された標的や部材にヒトが接近しないように無人・機械にて交換できてよい。
●標的の放射化・劣化によるミュオン標的取り換えにより粒子加速器や核融合システム・発電システムを止めないよう(前記のダウンタイムを減らすように)ミュオン標的は可動であり一点に長期にわたり粒子ビームが照射され続けるのを避け、標的の他の面に粒子ビーム照射が行われ照射部が分散し長く標的が利用可能にする。
<実施例MT2>
図12は2つの可動標的とミュオン捕獲ソレノイド・ミュオン取り出し口を2つ備えさせ、その後2つ・2基の核融合システム・核融合反応炉に向けミュオンをを投入し、前記核融合システム内のターゲットT1・核融合反応点FPに照射投入しミュオン核融合を促す(あるいは各種のミュオン関連実験やとミュオンを物質に照射し放射性廃棄物などの核変換や核融合、ミュオン応用実験可能な)システムの例が記載されている。前記2つの内1つの取り出し口を休止させその箇所の可動標的を交換・メンテナンスする。図13では可動標的をキャッチする部分にて可動標的を交換・メンテナンス可能にする。
【0074】
記号など
図10
MU-MOVABLE-TGT:粒子ビームを受ける部分が可動である(ミュオン)標的部
MU-DISK-TGT:粒子ビームを受ける部分が回転可能・可動である円板型でもよい標的部ミュオン標的部
MU-WEDGE-DISK-TGT:・可動で前記円板型でもよい標的部ミュオン標的部であって、ビーム照射を受ける部の厚さは薄い・断面形状は円板の外周に向かうほど薄くなる・楔形であるミュオン標的部。
MU-TGT-BRG:可動時・回転時に可動する部分を支持するためのベアリング等支持手段、AXIS-TGT-BRG:可動するとき、回転運動する場合はその回転軸
2MU-GEN-ROT-TGT:ミュオン標的部とミュオン標的を可動にする手段・モーターとベアリングを備えた標的ユニット部。
2MU:ミュオン生成部M1の例。(標的・加速器・荷電変換ビーム入射部・電荷を調整する部分・陽子粒子ビーム入射部・陽子粒子ビーム加速器部分・ミュオン捕獲ソレノイドなど含んでよい)M1でのミュオンを陽子・原子核に結合させ(中性粒子ビーム・)ミュオニック原子MP1を生成できてもよい。
2MU-ACC-RING:円状加速器、粒子加速器
2MU-FFAG:FFAG加速器
2MU-MERIT-RING:MERITリング型加速器(楔形部分の標的が可動で挿入されてよい。挿入された先端部になるにつれて薄くなる可動なミュオン標的が挿入されてよい。回転可能なディスクの外周部やチェーンソーのチップにミュオン標的部が形成され可動になっていてもよい。円の円周の内周側に陽子粒子ビームを照射しその後該加速器・該リングにより円形加速・螺旋形加速し、外周側に高エネルギー・高速になり遷移し、その後前記可動でもよいミュオン標的に衝突しつつ減速してもエネルギー回復して再度標的に衝突可能でもよい。(粒子は標的衝突により減速して内周方向に移動しても再度加速して外周に遷移し再衝突してよい加速器、粒子がリング内に貯蔵・蓄積・再加速される加速器。)
2MU-FFAG-CS・2MU-ACC-RING-CS・2MU-MERIT-RING-CS:前記加速器をドーナツに見立てた時トロイダル方向に垂直な断面、ポロイダル方向切断した断面であって、点CSP1と点CSP2間で切断したときの加速器の断面。
円形加速器・MERITリングの外周側の高エネルギーに加速された粒子ビームが断面CSに挿入された可動な標的(例えば薄い円板状のミュオン標的)が加速器断面の円の外周方向に挿入され可動できる。
CS:点CSP1と点CSP2間の断面部CS
図12
・ミュオン発生用回転ターゲットの陽子照射放射化後の取り換え、交替システム
2か所の、加速器内部に挿入・抜去・移動可能な可動ミュオン標的部とミュオン取り出し口とミュオン捕獲ソレノイドを配置し、片方取り出し口を休止しミュオン標的部を加速器から抜去・交替させミュオン標的部を取り換える場合の説明図。
2MU-GEN-ROT-TGT:加速器内にMOVE、INSERT、EJECT可能な可動ミュオン標的部ユニット・システム。
MUON CAPTURE TRANSPORT SOLENOID:ミュオン捕獲運搬ソレノイド
図11
2TGT-EXCHANGE:を備えた可動なミュオン標的を機械ロボットにより取り換える装置、ターゲット交換部
2TGT-EXCHANGE-ARM:交換部のアーム部・ロボットアーム
2TGT-EXCHANGE-AXIS:交換部の回転軸
2TGT-EXCHANGE-MOT:交換部のモータ
*ジュークボックスのレコード取り換え部のような装置でもよい。TGT EXCANGE ROBOT/ARM:(JUKE BOX MACHINE LIKE)
図13
可動なミュオン標的の例、チェーンソーライクな(又は索道風・ロープウェーとリフト風の)標的を可動にする部分を持つ例。
CHAIN-CATCHER:チェーンソーのチェーンキャッチャー部でもありソーチェーン上のミュオン標的部MU-MOVABLE-TGTをロボットアームなど機械により取り換え可能な部分。
Chain-Sow-and-TGT:チェーンソーのミュオン標的TGTの取り付けられたソーチェイン部をガイドするガイドバー部分。(図13において、ミュオンの減速器MUDECEでミュオンを減速できてもよい。)
【0075】
<請求の範囲>
<請求項MT1>
回転可能な円板型のミュオン標的、若しくは、回転可能な・可動可能な標的部MU-MOVABLE-TGT ・MU-WEDGE-DISK-TGTを備えたミュオン生成部・ミュオン標的部・ミュオン標的・標的であって、
(例えば前記円板の内周部から外周部までの断面部は外周部が厚く・太く、外周部が薄く・細い・鋭利である、もしくは円板の厚さについて円板の中央部は厚く、円板の外周部は薄い特徴を持つ、円板型のミュオン標的を備えたミュオン生成部であって、(円板・車輪の外周部は薄く・尖っている・楔形様に尖っている円板又は薬研車又は回転鋸形状であって)
前記円板状のミュオン標的は円状加速器の円の外周部の一点又はその周辺部に陽子ビーム・粒子ビームが照射され、パイオン・パイ中間子やミュオンを生じる事が可能であるミュオン生成部。
<請求項MT2>
パイオンミュオンを生成可能な、リチウム・炭素(原子番号Zの低い材質)を用いた標的部を有する、請求項MT1に記載のミュオン生成部。
<請求項MT3>
ミュオン標的部が動的・可動であるミュオン生成部、もしくはミュオン標的部となり放射化する箇所を前記可動させ、放射化する部分を円板・板上で分散可能なミュオン生成部(・ミュオン標的)。
<請求項MTEX1>
ミュオン標的を機械器具により交換可能なミュオン生成部であって、回転可能な円板型のミュオン標的、若しくは、回転可能な・可動可能な標的部(MU-MOVABLE-TGT・MU-WEDGE-DISK-TGT)を前記交換可能な加速器(・ミュオン生成部・ミューオン核融合システム)。
<請求項MERMT1>
請求項MT1に記載の回転可能な・可動可能な標的部MU-MOVABLE-TGTの標的部を、MERITリング・FFAGリング・円状加速器・ドーナツ状加速器の円周方向・トロイダル方向に対し、円の外周に対し垂直になるよう外周部を一部切断する断面(・ポロイダル方向に切断した断面・ポロイダル断面)であって、陽子ビーム・粒子ビームの通過する軌道の通過する部分に、前記ミュオン標的を挿入・抜去・配置可能な、加速器(・標的・ミュオン生成部・ミューオン核融合システム・ミューオン核融合システムを搭載した輸送機器)。
<請求項MERLSR1>
(加速器の加速空洞の小型化の目的で、)レーザーによるプラズマ利用の陽子加速方法・レーザープラズマ駆動によるイオン・電子加速・レーザー航跡場加速(LWFA)・レーザーの持つポンデロモーティブ力を用いた加速器(・ミュオン生成部・ミューオン核融合システム・ミューオン核融合システムを搭載した輸送機器)。
【0076】
<<優先権を主張した出願による追記部分>>先の出願、特願2023-150635、特願2023-151787、特願2023-174791、特願2023-196029、特願2023-196327に対し次の項目を追加した。(本願は考案であって実証が必要である)
<<<ミュオン核融合システム・ミュオン核変換システムの原料・燃料物質に関する記載>>>
<発明を実施するための形態>
<電気陰性度:原子が電子を引き寄せる強さの相対的な尺度の視点>
原子核が電子・負電荷をひきつける尺度に電気陰性度がある。アレンの電気陰性度によれば、ヘリウム原子と比較してフッ素電子のほうが電気陰性度が高く、より電子やミュオンをひきつけやすい事が期待できる。そのため、アレンの電気陰性度によればフッ化水素にミュオンを照射し核融合してヘリウムが生成される場合は電気陰性度の面からミュオンは核融合後に生成されたヘリウムよりはフッ化水素のフッ素に引き寄せられやすい可能性があり、その観点でフッ化水素(液体・気体の流体のフッ化水素でももよい)にミュオンを投入し核融合を促すことも本願発明では実施できる。
<有効核電荷の視点>
有効核電荷について、1S軌道の感じる有効核電荷・電荷は、[ヘリウムHe:1.688 、水素H:1.000 、リチウムLi:2.691、ベリリウムBe:3.685、ホウ素B:4.680、炭素C:5.673、窒素N:6.665、酸素:7.658、フッ素F:8.650、ネオンNe:9.642、ナトリウムNa:10.626、カリウムK:18.490、ルビジウムRb:36.208、セシウムCs:Rb以上の大きさ]である。
有効核電荷の点ではホウ素や窒素(と水素)を含む系にミュオンを投じてヘリウムを生成する核融合反応が起きる場合は、核融合燃料のホウ素や窒素の有効核電荷が核融合生成物のヘリウムの有効核電荷よりも大きい特徴を持ち、ミュオンはヘリウムよりは有効核電荷の大きいホウ素や窒素に引き寄せられると期待できるので、本願核融合システムで用いてよい。
核融合反応系について、本願発明では核融合燃料の原子核の有効核電荷が核融合後生成物の原子核の有効核電荷より大きい核融合反応系を用いてよい。(核融合により生成する原子核の有効核電荷よりも大きい有効核電荷を持つ核融合に用いる原料原子を有する核融合反応系を用いてよい。)
<鎖状や高分子構造をもつ分子でのミュオン核融合の視点>
<鎖状や高分子の水素化ホウ素>
ホウ素原子は水素化物として鎖状・高分子の構造をとるかもしれない。また水素とベリリウムとホウ素の化合物があることは上記で述べており用いてよい。ボラン・水素化ホウ素は本願発明においてミュオン核融合燃料に用いてよい。(ボラン・水素化ホウ素の例:BH3、B2H6、B2H2、B2H4、B4H10、B5H9、B5H11、B6H10、B6H12、B10H14、B18H22)
ミュオン触媒核融合において、触媒反応を持続させ、一つあたりのミュオンに対してのホウ素と水素のミュオン触媒核融合回数を大きくする必要があると考えられ、一つの分子内で多くの核融合回数を稼げたほうが有利と考えるので、本願発明では好ましくはホウ素の連結数の長い鎖状・高分子の水素化ホウ素をミュオン触媒核融合に用いることができる。
*ホウ素には水素化ホウ素のアニオン(例:ドデカボーレートdodecaborate、化学式[B12H12]2‐)が存在する。他方当該ドデカボーレートのアニオンの対になるカチオンはリチウムやナトリウムやセシウムなどであろうが、有効核電荷の観点では、ホウ素の有効核電荷より大きなセシウムやナトリウムカチオンを用いてしまうとホウ素ではなくナトリウムにトラップされてミュオン核融合が停止してしまう恐れがあるので、水素化ホウ素アニオンに例えばリチウムカチオンを結合させて良い。
当該物質の製造について、以下の2LiB3H8やLi2[B12H12]の反応式を想定する。
5NaBH4+BF3->2NaB3H8+3NaF+2H2、2NaB3H8->NA2[B12H12](Naを用いた既存の製造例)
5LiBH4+BF3->2LiB3H8+3LiF+2H2、2LiB3H8->Li2[B12H12](Liを用いる例。実証・検討が必要)
また水素化ホウ素リチウムLiBH4を本願発明のミュオン核融合燃料に用いてよい。
<鎖状や高分子の水素化窒素・アザン>
窒素原子は水素化物として鎖状・高分子の構造をとるかもしれない。本願発明ではアザンをミュオン核融合の燃料物質に用いてよい。(アザンの例:NH3、N2H4、N3H5、N4H6、N5H7、N6H8、N7H9、N8H10、N9H11、N10H12、及びそれ以上の窒素数のアザン)
*水素分子H2(H2の融点は摂氏マイナス259度、沸点は摂氏マイナス252.7度)と窒素分子N2(N2の融点は摂氏マイナス209度、沸点は摂氏マイナス195度)では摂氏209以下では窒素分子は固体であって水素分子は気体となりN2とH2が混合しにくい恐れがある。(窒素分子と水素分子を共に液体の状態で互いを近接させて核融合促す構成をとりにくいかもしれない。)他方本願では水素と窒素の化合物を用いることができ、化合物分子内で窒素原子と水素原子が結合・混合されているので、窒素原子と水素原子とミュオンを用いた核融合反応を化合物・アザン分子内で起こすことが可能になる利点がある。
ホウ素の場合もホウ素単体の融点は摂氏2076度であるため、摂氏2076度では気体である水素分子とは混合させて共存させられない。そこで本願では水素とホウ素が化学結合した水素化ホウ素としてそこへミュオンを投入することで水素とホウ素を分子内で近接させ核融合反応を起こさせる意図がある。
<炭化水素のミュオン核融合の視点>
12Cと1HからなるメタンCH4にミュオンを照射すると炭素12に結合している水素が核融合して窒素13となり、次いで水素が融合して酸素14となり次いで水素が核融合してフッ素15となりフッ素15は短い寿命(1.1zsec、10の‐21乗秒、ゼプト秒)の後に陽子を一つ放出(陽子放出)して酸素14へ崩壊しうる。*酸素14は再度水素と核融合可能であれば、酸素14とフッ素15まで前記のように核融合し、フッ素15は前記のように陽子を放出しての酸素14に戻るサイクル反応を起こせる可能性があるので、炭素12と水素を用いる核融合燃料を本願ミュオン核融合システムに用いてもよい。
13Cと1Hからなるメタンにミュオンを照射すると炭素13に水素が核融合して窒素14となり、次いで水素が融合して酸素15となり次いで水素が核融合してフッ素16となる。フッ素16は短い寿命(21 zsec、10の‐21乗秒)にて陽子を放出して酸素15となるので再度水素原子と核融合して陽子放出・崩壊してを繰り返させることができる。
メタンは液化する事も可能であり、液化することでメタン分子が気体の場合よりは近接できるのでミュオン触媒反応をより起こしやすくする事が期待できる。例えば12Cと1Hからなる液化したメタンCH4にミュオンを照射する核融合システムを検討してもよい。(同位体の核種の表において、炭素12に水素を結合させて横方向・Zが1増える方向に元素の種類を変えていくと不安定な核種であるフッ素15に到達し、フッ素15から酸素14へ崩壊しては水素と核融合してを繰り返す系になると想定し、その系をミュオン核融合に用いてよい。)
*水素分子にミュオンを照射すると安定で寿命の長く有効核電荷が燃料の水素よりも大きなヘリウム・アルファ線が生成し、ヘリウムにミュオンがトラップされることによりミュオン触媒核融合反応が停止する。
他方、本願では例えば水素とホウ素や窒素の燃料からヘリウムを核融合にて生成させるときに、有効核電荷はホウ素や窒素の燃料のほうがヘリウムよりも大きくミュオンを燃料であるホウ素や窒素にトラップさせ触媒反応を持続させようとする意図がある。
そして水素と炭素12を燃料にミュオン核融合させる場合も炭素12に水素原子を2回核融合させ酸素14とし、酸素14と水素をミュオン核融合させてフッ素15を生成させ、フッ素15は崩壊して酸素14よりも有効核電荷が小さい水素を陽子として放出させることで、酸素14と水素原子とのミュオン触媒核融合反応を持続させようとする意図がある。
<炭素の利用>
炭素12にミュオンを照射して核融合反応・核破砕反応・核変換を促してもよい。
炭素12は3つのアルファ線・ヘリウム原子核(ベリリウム8とヘリウム)から生成されるが、ミュオン・素粒子を照射することでその逆である炭素12から3つのアルファ線への分解反応を起こさせることができうるなら前記反応を用いてよい。本願において炭素とミュオンを用いた核融合反応を用いて核融合システムもしくは原子炉システムを構成してよい。本願において鎖状や高分子の炭素化合物をミュオン核融合燃料に含んでいてもよい。炭素12からなるグラファイトなどである。
<ミュオンを炭素12に照射した際の視点>
〇炭素12にミュオンを照射するとミュオンと炭素12中の陽子が弱い相互作用により中性子に代わり原子番号Zが一つ減ってホウ素12になりうる。
ホウ素12は2つの崩壊モードがあり主流(99.4%)の負のベータ崩壊では炭素12を生じて、(0.6%)の負のベータ崩壊でアルファ線1つとベリリウム8を生じ、ベリリウム8は短い半減期で2つのアルファ線を生じる。そのため炭素12にミュオンを照射すると正のベータ崩壊によりベリリウム8を経由して2つのアルファ線を生成しつつエネルギーを放出しうるので、本願では炭素12にミュオンを投入する核融合システム又は核変換システム・実験システムを実施・構成してよい。
〇ベリリウム8はその原子核に2つのヘリウム粒子の構造があるかもしれず、(崩壊して)ヘリウム粒子になることで安定化する。炭素12はその原子核に3つのヘリウム粒子の構造があるかもしれず、何らかのエネルギー・手段を加えて3つのヘリウム粒子とエネルギーを放出させることで安定化するために崩壊するかもしれない。(陽子とホウ素の核融合後にヘリウムを放出してヘリウムに崩壊しつつエネルギーを放出するのと同様に炭素が崩壊して結合エネルギーを出す)というイメージである。
*ヘリウム3から(ベリリウム8を経由し)炭素12を生成するにはホイル状態となる必要がある。ホイル状態とは炭素12原子核の励起エネルギー7.65MeVに存在する状態である。
*負ミュオンは原子核のクーロン場に捕捉されミュオニック原子を形成する。原子番号Z、質量数Aをもつ原子核N(Z、A)において負ミュオンが原子核に捕獲されると、原子核内の素過程としてミュオンが陽子と結びつき中性子と電子ニュートリノが形成される。
*ミュオンの静止質量エネルギー106MeVの殆どはニュートリノが運動エネルギーとして持ち去って、原子核励起エネルギーとして10-20MeV程度が残されると考えられている。
*原子番号Zの原子核のミュオニック原子核の捕獲反応では、Z-1の原子核の複合核励起状態(20から10MeV)から複数個の中性子放出が起こり,Z-1原子核の同位体が生成する。
炭素12原子にミュオンが捕捉・捕獲された場合、ホウ素12となり、ホウ素12の原子核を20から10MeV励起しうる。もしくは炭素原子を20から10MeV励起しうる。
(ホウ素12は20ミリ秒で炭素12になるかベリリウム8を経て2つのアルファ線に崩壊する。)
ここでミュオンが炭素12に捕捉され炭素12がミュオンの静止質量エネルギーをもとに10MeV以上励起された場合、炭素12のホイル状態への励起エネルギー7.65MeVを超えるエネルギーが炭素原子核に与えられる。そして励起した炭素12は、(その後3つのヘリウムに分解する方向に進むならば、)炭素原子核は結合していた時のエネルギーとガンマ線、そして3つのアルファ線・ヘリウム原子核を生成し出力するかもしれない。*ホウ素11と陽子を核融合させた場合、高エネルギー化した・励起した炭素12を経て3つのヘリウム4と8.7MeVのエネルギーを生じうる。本願において炭素12にミュオンを照射し炭素12をホイル状態へと励起したのち励起した炭素は3つのヘリウム4と8.7MeV(3.76+2*2.26[MeV])のエネルギーを生じうる。
上記の想定から、本発明では、ミュオンを核融合燃料・核変換燃料である炭素原子核(炭素12)に照射すると3つのアルファ線とエネルギー(ガンマ線)が生じうるミュオン核融合システム・ミュオン核変換システムを構成・実施してよい。
<炭素13の視点>
自然界の炭素には炭素12と炭素13・炭素14が含まれる。炭素13にミュオンを照射するとミュオンと炭素13中の陽子が弱い相互作用により中性子に代わり原子番号Zが一つ減ってホウ素13になりうる。ホウ素13は2つの崩壊モードがあり主流(99.7%)の負のベータ崩壊では炭素13を生じて、(0.2%)の正のベータ崩壊で炭素12を生じる。炭素12については前述の通り。
〇炭素13に陽子を結合した炭化水素化合物にミュオンを照射し炭素13に陽子を核融合させ窒素14と ガンマ線と7.54 MeVのエネルギーを生じうるので本願核融合システム・核変換システムに用いてよい。*炭素同士の核融合工程において、起きにくいかもしれないが、2個の炭素12をミュオン核融合させ マグネシウム24とガンマ線とエネルギー13.3MeVを生じうる。そして13.3 MeVは炭素12のホイル状態への励起エネルギー7.65MeVを超えるので、そのエネルギーを励起に用いられるなら、炭素12をホイル状態としミュオンが存在する状態とでき、そして励起した炭素12は、(その後3つのヘリウムに分解する方向に進むならば、)炭素原子核は結合していた時のエネルギーとガンマ線、そして3つのアルファ線・ヘリウム原子核を生成し出力するかもしれない。
(しかし、この炭素同士の反応ではマグネシウム等の炭素よりZの大きい原子が生じてミュオンをトラップしそうに感じられる。ここでマグネシウム等の炭素よりもZの大きい原子が生じにくければ、ミュオン照射されてミュオニック炭素原子になり励起した炭素12は、(その後3つのヘリウムに分解する方向に進むならば、)炭素原子核は結合していた時のエネルギーとガンマ線、そして3つのアルファ線・ヘリウム原子核を生成し出力するかもしれない。炭素12からなる炭素同素体・黒鉛・グラフェン・ダイヤモンドと炭素12を窒素14に置換された六方晶窒化炭素と炭素を含まない窒化ホウ素BNそれぞれにミュオンを照射した場合、炭素12の有無や炭素12の近接有無に由来するに違いが起きるかもしれない。)
<近接した炭素原子と励起した炭素原子との視点>
ミュオンを照射された炭素12は励起した炭素原子12C*となり3つのアルファ線に崩壊した場合には、その励起エネルギー(又はミュオンと励起エネルギー)を次の・隣り合う炭素12原子に移していくことで励起した炭素12原子(12C*)を次々・連続して励起・生成しては12C*をヘリウム4へ崩壊させてを繰り返すことで、炭素12のヘリウムへの核変換によるエネルギーを取り出し続けられるかもしれない。
例えば、炭素12の炭素鎖を含み水素を含む炭化水素分子(アルカン・パラフィン、アルケン・オレフィン、ポリアセチレン)の高分子があって、その高分子にミュオンを照射した場合、炭素12とミュオンが結合し基底状態より励起したミュオニック炭素12原子が生じてその後、ホイル状態以上のエネルギーを持つことで3つのヘリウム4を生成することで核変換しエネルギーを生じうるので本願の核変換システム及びそれを応用したエネルギー生成システム・発電システムに用いてよい。
炭素12の炭素鎖を含む炭化水素分子高分子はミュオン照射を受け分子内の炭素12はミュオンと結合し励起された炭素12*を生成しヘリウムに崩壊した時、当該高分子内の隣り合う炭素12原子にミュオンや炭素原子励起のためのエネルギーを移せるならば、(ミュオンを核変換のための触媒のように用いて)当該高分子内の隣り合う炭素12を次々とヘリウムに核変換する反応(分子内でのミュオン触媒核変換反応)を行わせることができうる。〇例えばボラン・メタン等気体分子の代わりに当該高分子を用いたとき、物理的距離の離れた他の(メタン等)気体分子・液体分子間でミュオンを移動させるよりも、当該高分子内で炭素原子が結合して近接しているためミュオン(又はミュオンと炭素原子の励起エネルギー)を次の原子に移動させる距離を減らせる構成となるメリットがあり、本願発明では一つの分子内で多くの核変換回数を稼げたほうが有利と考えるので、炭素12を含む、炭素鎖・水素を含む炭化水素分子の高分子にミュオンを照射して核変換を促してもよい。
仮に励起した炭素12(12C*)が励起子のようなものであるとすれば、(光合成での励起子の分子間・分子内のエネルギー移動のように、共鳴エネルギー移動(フェルスター機構)又は電荷移動(デクスター機構)における励起子の励起エネルギー移動のように)近接した励起原子と基底原子間で共鳴・エネルギー交換により励起した状態を伝え移動(・量子力学的にトンネル)させるように、隣り合う炭素原子へ励起エネルギーと励起した炭素12の状態を伝えていき、炭素12をヘリウム4に核変換していくかもしれない。(例えばフェルスター機構ではドナーとアクセプターの原子間・分子間の距離6乗に反比例してフェルスター共鳴エネルギー移動効率・FRET効率が変わり、距離が小さいほどFRET効率は増加する。本願のミュオンを受けて励起したドナーの炭素12(の12C*)が他のアクセプターの炭素12に励起エネルギーを移動させるとすれば、その距離は小さいほど効率が良くなる期待がある。)本願の一つの実施形態として、前記距離を短くするため、炭素12同士を結合させ分子として炭素12間の距離を短くし、前記分子にミュオンを照射してもよい。
<炭素と水素を用いる構成>
例えば、(以下反応ができるかどうか不明であり、単純に核融合して原子核内の中性子と陽子の数が増えるという仮定であるが、)炭素13(13C6)に重水素D(2H1)を結合させ、ミュオン核融合できた場合、窒素15(15N7)を生じうる。窒素15もまた水素と反応し核融合させることが期待でき、本願発明の核融合システムに利用してよい。
炭素12(12C6)に三重水素T(3H1)を結合させ、ミュオン核融合できた場合、窒素15(15N7)を生じるので用いられてもよい。例えば化合物としてメタン・脂肪族飽和炭化水素 (CnH2n+2,nは炭素数)の炭素原子に炭素13を用いており、水素原子に重水素を用いているミュオン核融合燃料(炭素13と重水素からなる脂肪族飽和炭化水素)[(13C6)n(2H1)2n+2]、[(13C6)n(2H1+1H1)2n+2]を本願ミュオン核融合システムに用いてよい。
炭素13と重水素からなるメタン・脂肪族飽和炭化水素は分子内のn個の炭素13とミュオン核融合して窒素15を生じえて、その後窒素15が分子内に残る水素原子と核融合しうるから、本願ミュオン核融合システムに用いてよい。窒素15と陽子は核融合して炭素12とヘリウム4とエネルギーを生じうる。
炭素14と水素・陽子からなるメタン・脂肪族飽和炭化水素[(14C6)n(1H1)2n+2]は分子内のn個の炭素14と水素がミュオン核融合して窒素15を生じえて、その後窒素15が分子内に残る水素原子と核融合しうるから、本願ミュオン核融合システムに用いてよい。
<請求の範囲の例>
<請求項NCT1>
炭素12にミュオンを投入・照射しヘリウム4に変換する特徴を有する核変換システム。
<請求項NCT2>
請求項NCT1に記載の核変換システムにて生じるエネルギーを用いた発電システム。
<請求項NCT3>
炭素原子にミュオンを投入する特徴を有する核変換システム。
<請求項NCT4>
ミュオンを用いた核変換システムであって、核変換するときに核変換の原料となる原子Aの原子番号Zまたは(1S軌道の)有効核電荷は、前記原子の核変換後に生成される原子Xの原子番号Zまたは(1S軌道の)有効核電荷よりも大きい特徴を有する核変換システム。
<請求項CMF1>
炭素原子にミュオンを投入する特徴を有する核融合システム。
<請求項CMF2>
炭素と水素の化合物または分子にミュオンを投入する特徴を有するミュオン核融合システム。
<請求項CMF3>
炭素と水素の化合物または分子にミュオンを投入し炭素原子核を他の原子核に変換する特徴を有するミュオン核変換システム。
<請求項ACM1>ミュオンを用いて原子Aと原子Bを核融合させ、原子Xを生じるミュオン核変換システム。<請求項ACM2>ガリウム68、銅63、銀107、金197、白金195(など)を前記原子Aと原子Bとミュオンを用いて原子Xを生成したのちに原子Xから得る、または原子Xを崩壊させて得られた原子Yから得る、特徴を有する請求項ACM1に記載の核変換システム。<請求項ACM3>請求項ACM2に記載の核変換システムを用いて製造された原子。
【0077】
<<<ミュオン標的、中間子生成装置に関する記載>>>
<課題>ミュオン標的に炭素原子を用いた炭素素材・バルクの炭素からなる標的を用いると炭素原子が高エネルギーの陽子照射を経て高度に放射化される問題がある。またベリリウムやリチウムを前記標的に用いた場合も同様に問題があるかもしれない。ミュオン標的が放射化しにくくなる系を考案したい。またミュオン標的がノックアウト反応し標的内の原子核が変換されアルファ線等になって抜けていき空隙が増えてもろくなり利用できなくなり標的の交換が必要であるが、標的の交換の負荷・工数を減らすシステムを考案したい。
<解決手段1><発明を実施するための形態><実施例>
<ミュオン標的を構成する同位体の選別>
ミュオンを生成するために標的となる原子番号Zの原子核に陽子(又はアルファ線やヘリウム等の原子核・粒子)を入射・衝突させる。この際に、原子核は衝撃を与えられて原子核から構成要素である陽子や中性子が飛び出してくるはずである。その後は何らかの放射性のある同位体になることで標的もしくは標的となる原子核を含む部分は(高度に)放射化されうる。(ミュオン生成時のミュオン標的の放射化、ノックアウト反応)
例えばミュオン標的に炭素を用いた場合、単一の同位体を選別するプロセスを経ていない場合は、標的は炭素12と炭素13と炭素14を含みうる。炭素12(自然界存在比およそ98.9%)に加速された陽子を打ち込むことでノックアウトされ、(原子核のノックアウト反応によりアルファ粒子が叩き出されて、)ベリリウム8とアルファ線が生じうる。ベリリウム8は8.19×10のマイナス17乗秒の半減期で2つのアルファ線に崩壊しうる。また炭素13(自然価存在比1.1%)は同様に陽子を打ち込むことで核が破砕され、ベリリウム9とアルファ線が生じうる。ベリリウム9はミュオン標的上に生成された場合、引き続き標的に照射された陽子と衝突しノックアウト反応がおきうる。さらに炭素14が含まれている場合、陽子を打ち込むことで核が破砕され、ベリリウム10とアルファ線が生じうる。ベリリウム10は半減期100万年以上の同位体である。
炭素14を含むミュオン標的に陽子を衝突させ、ミュオンを生成させつつ、炭素14原子核が陽子によりノックアウトされ1つのヘリウム原子核・アルファ線とベリリウム10が生成するとした場合、ミュオン標的は長期にわたり放射化されうると想定される。もし前記想定が実際にミュオン標的にて起きるのならば、炭素を用いるミュオン標的において、ベリリウム10のような放射性の同位体が生じないように、ミュオン標的を構成する同位体の比率や原子核の種類を人工的に制御する必要がある。例えば前記想定が実際に起きるならば炭素を用いたミュオン標的について、炭素12のみ(あるいはノックアウト後に放射性同位体の生じない炭素同位体のみ)とすることで、炭素を用いたミュオン標的の放射化の度合いを低減できるかもしれない。
炭素12のみからなるミュオン標的は炭素12と炭素13と炭素14を含むミュオン標的と比べ放射化される度合いに違いが出るかもしれないので、ミュオン標的の同位体を単一の種類になるよう同位体を選別する事が必要かもしれない。*例えば炭素を用いたミュオン標的は炭素12のみから構成されるグラファイトや炭素同素体による標的でもよい。炭素を用いたミュオン標的は炭素14を含まないミュオン標的であってもよい。*また標的は陽子が照射される部分が可動であってもよく、陽子線が照射される部分が図10の円軌道に沿って回転可能な薄い円板の標的部のように、可動な標的であってもよい。(本願の上記考案によれば、炭素を用いたミュオン標的について、半減期が100万年を超えるベリリウム10を陽子衝突による核破砕反応により生じさせないようにするためには、炭素14を分離し炭素12のみからなるミュオン標的を用いる事が有用であると推測され、本発明では炭素12のみを用いるミュオン標的を用いることができる。)
<ミュオン標的上での核変換>
ノックアウト反応の他に、核融合を起こしうる高エネルギーの陽子(或いはアルファ線、その他原子核のビームライン)を標的部の原子核と衝突させた時に衝突による核融合反応が起きた場合、核融合により新たな核種・同位体がミュオン標的部に生成されうる。
例えば炭素13よりノックアウト反応によりベリリウム9が生じて、その後ベリリウム9(断面積大きい)が照射された陽子と衝突し核融合しアルファ線とリチウム6を生じたり重水素とアルファ線を生じえる。リチウム6はさらに次に到達する陽子により同核融合しうる。
例えば炭素12が照射された陽子と衝突し核融合し、窒素13生じたり重水素とアルファ線を生じえる。リチウム6はさらに次に到達する陽子により同核融合しうる。
炭素やベリリウム・ホウ素・リチウム等を含むバルクな塊上の固体の標的を用いるとノックアウト反応により核破砕が起きアルファ線を放出しながら固体部分が抜け落ちてもろくなる虞がある。
<解決手段2><発明を実施するための形態><実施例>
炭素標的などの場合、その固体部分が陽子の衝突により叩き出されて抜け落ちうる。そこで炭素ではなく、より原子番号Zが小さい原子(本願の一つの形態では水素原子・陽子。他の形態ではヘリウム原子・アルファ線)をミュオン標的に用いる系を考案する。
<陽子・陽子ビーム・水素原子やヘリウム原子をミュオン標的の原子核に用いる系>
上記固体標的の有するノックアウト反応により固体部分が抜け落ちる(そしてもろくなり・機械強度が下がり、標的の交換が必要である)課題を解決することと、標的が放射化する問題を解決するため、陽子と炭素原子ではなく陽子と水素原子(陽子)若しくはヘリウム原子を衝突点2CLPにて衝突させる系を図14等に記載する。
陽子・ヘリウムのような原子番号Zが小さく軽い原子同士の為、核破砕反応しない期待を持つ粒子の衝突系であって、衝突による核融合をしても陽子同士がヘリウム原子核になる系で(ヘリウム同士の場合はベリリウム8に核融合して短い半減期で崩壊しヘリウムに戻る系で、)炭素を用いたミュオン標的のように標的上でノックアウト反応や衝突による核融合を経て元の原子核(炭素12)から別の原子核を生じない系であって、なおかつターゲット部がノックアウト反応により叩き出されて空隙を生じて機械的・物理的にもろくなって壊れる事のない期待をする標的MU-P-HE-ORBIT-TGTを図14に記載する。ヘリウム標的・陽子標的へ、加速されたヘリウム・陽子が衝突した後に生成した・残っているヘリウム原子核は加速器を通じて再利用・回収可能(固定磁場強集束FFAG方式・MERITリング方式の場合、エネルギーを回復・再加速可能)である標的MU-P-HE-ORBIT-TGTを有するミュオン生成システム2MUを図14に記載する。)
図14では第1の加速器2MU-ACC-RINGにて陽子線を加速・循環させており、第2の加速器2HE-ACC-RINGにて(イオン化された)水素又はヘリウムを粒子加速器でもよい部分内で加速・循環・ループさせ、2MU-ACC-RINGと2HE-ACC-RINGの粒子軌道の交差点2CLPにて交差させ衝突させ、ミュオンを生成させようとしている。
図14では第1の加速器(2MU-FFAG、2MU-ACC-RING、2MU-MERIT-RING、図15の2HE-FFAG-1ST)に陽子(・ヘリウム・粒子)を投入し円軌道・螺旋軌道を描かせながら外周側に陽子(・ヘリウム・粒子)が加速されながら循環しており、第2の加速器(2HE-ACC-RING、2HE-FFAG、図15の2HE-FFAG-2ND)には標的部MU-P-HE-ORBIT-TGTとして陽子又はヘリウムイオンを投入し加速循環させており、円軌道・ループした軌道を描きながら 第2の加速器内を循環している。そして第1の加速器と第2の加速器の軌道が交差させる部分2CLPにて2MU-ACC-RINGの陽子と2HE-ACC-RINGの陽子・ヘリウムとを衝突させ中間子(パイオン、K中間子)を生成させ、その後パイオンからミュオンを生成させようとしている。)
図14の系では水素原子又はヘリウム原子にミュオンを生成可能なレベルに加速された陽子線(orヘリウム・粒子)を衝突させる。図14では陽子と陽子の衝突により核融合が起きるか、若しくは水素とヘリウム原子核の衝突による核融合が起きて、水素同士では核破砕反応による新たな核破砕由来原子核が生成しなくても済み、また水素とヘリウムではヘリウム原子核は魔法数2の安定な原子核であり核破砕されにくい期待があり、新たな核破砕由来原子核生成しなくても済むかもしれない。
(水素やヘリウムをミュオン標的に用いる場合、炭素をミュオン標的に用いる場合のように核破砕反応後・陽子による核融合後に生成したベリリウム10のような半減期の長い放射性同位体が生じにくくなり、その結果放射化しにくくなることを水素やヘリウムをミュオン標的に対して期待している。また固体の標的ではなく加速器で加速された陽子・ヘリウムのビームであるためノックアウト反応により叩き出された標的がもろくなる事が起きない可能性がある。)
図15ではターゲットになるリング2HE-FFAG-2NDにイオン除去部(イオン取り出し部。イオン取入れ部兼ねてもよい)2EXTEJを備えさせている。イオン除去部2EXTEJは加速器内で意図しない重元素のイオンが生じている場合に除去する部分である。例えば水素とヘリウムが存在するべき加速器の軌道に炭素等の原子番号Zの大きな原子が生成された場合にそれを原子番号Z・電荷ZCや質量の大きさMSにより分離可能・除去可能な装置2EXTEJを備えさせて良い。例えば2HE-FFAG-2NDの軌道に沿って移動するイオンに電場や磁場をかけて質量や正電荷Zの大きさによってイオンを分離してよい。(2EXTEJはイオン化して電場磁場により質量を分離・分析する質量分析装置の質量分離機能部を持っていてよい。)装置2EXTEJにより加速器内の粒子の交換や不純物管理を行い、固体ディスクミュオン標的で必要な交換工程を減らしたい意図があり、本願の中間子生成装置を連続稼働させたい意図がある)
<ヘリウム・ヘリウムビーム・ヘリウム4をミュオン標的の原子核に用いる系(核破砕反応しにくいと期待する安定なへリウム原子核をターゲットに用いる例)>
ヘリウム4(アルファ線粒子)は魔法数2の安定同位体である。図14図15では第1の加速器2MU-ACC-RING・2HE-FFAG-1STにて陽子線・粒子線を加速循環させており、第2の加速器2HE-ACC-RING・2HE-FFAG-2NDにて水素又はヘリウム・粒子線を粒子加速器でもよい部分内で加速させ、2MU-ACC-RINGと2HE-ACC-RING(2HE-FFAG-1STと2HE-FFAG-2ND)の粒子軌道の交差点2CLPにて衝突させ、中間子・ミュオン(・素粒子・粒子)を生成させようとしているが、この際に2MU-ACC-RINGは陽子の他にヘリウムを用いてもよく、ヘリウム4を2MU-ACC-RINGと2HE-ACC-RING内で循環させ交差点部2CLPにて交差・衝突させミュオンを生成させることを試みてもよい。(前記交差する際の角度は本願では指定しないが、例えば直角・直交して衝突させる事も想定される)
ヘリウム4を2つ衝突させると不安定なベリリウム8が生成されうるが、その後、短い半減期(10のマイナス17乗秒)を経過したのち、2つのヘリウム4(アルファ線)となりえて、2つのヘリウム4が衝突による核融合を起こしたとしても(ベリリウム8は)短い時間(10のマイナス17乗秒)で再度アルファ線に戻ろうとするため新たな核種が生じにくい期待がある。
ヘリウム4そのものが安定な粒子であり、それら同士を1対1で衝突させても核破砕破砕や核融合により新たな核種が生じにくいのではないかという視点から、本願の1つの形態ではヘリウム原子核、ヘリウム4同士を(粒子加速器をもちいて)加速させ衝突させメソン・中間子・パイ中間子・K中間子を生成しその後ミュオン等の粒子を生成させてよく、そのミュオンをミュオン核融合や放射性核種の核変換(長寿命の放射性同位体の核変換)に用いてよい。
〇本願の一つの実施形態によれば第1のMERIT方式でもよい加速器2MU-ACC-RINGにヘリウム4を加速・循環させており、第2のMERIT方式でもよい加速器2HE-ACC-RINGにヘリウム4を加速・循環させており、2MU-ACC-RINGと2HE-ACC-RINGの粒子軌道の交差点2CLPにて衝突させ、中間子・ミュオンを生成させてもよい。(2つの粒子の軌道は交差してもよい。一つの実施形態では2つの粒子軌道は直交してもよい。)この場合ヘリウム4とヘリウム4が衝突型の核融合を起こす場合であっても生成する原子は半減期・寿命の短いベリリウム8であり、ベリリウム8は崩壊して再度2つのヘリウム4となると考えると、新たな元素(放射性を持つ元素)が生じにくい可能性があり、本願ではヘリウム4を用い、ヘリウム4同士を衝突させベリリウム8となるような粒子衝突系を用いる中間子・素粒子の生成装置を提案する。*中間子を含む素粒子の生成に本願の2CLPと2HE-FFAG-1STと2HE-FFAG-2NDと陽子・ヘリウムを含む粒子衝突型の装置を用いてよい。(中間子のほか、ターゲットに粒子を衝突させ何らかの素粒子を生成する実験系に本願衝突系を含む装置を用いてよい。)
図14図15の構成ではヘリウム同士を加速器内でイオン化させて衝突させる構成のため固体物質のターゲットの場合でみられるターゲットの機械的高度の低下・寸法変化などの問題(固体ディスク標的の場合に見られた標的の交換問題)は生じにくい効果も期待する。*ミュオン核融合において核融合後にヘリウムを生成する場合は当該ヘリウムをミュオン標的原子に用いてよい。
<<リチウムの同位体を制御したターゲット部>>
リチウム7と陽子の核融合により生成するベリリウム8の半減期寿命の短さに着目した場合、リチウム7と陽子を衝突させる系も候補となりうるかもしれない。例えばリチウム7と陽子を衝突させベリリウム8を衝突型の核融合により生成したとき、ベリリウム8は半減期が短く(10のマイナス17乗秒)、2つのアルファ線・ヘリウム4を生成することはコッククロフト-ウォルトンらによって行われており公知である。この反応に注目し、天然のリチウム(リチウム7を92.5%、リチウム6は7.5%である)のうちリチウム7の存在比を増したターゲット部、(もしくはリチウム6を取り除いて/リチウム7を取り出して)リチウム7のみからなるターゲット部をミュオン・中間子生成装置に用いてもよい。(例えば図10のように可動可能なディスク型MU-DISK-TGTでもよいリチウム7のみからなるミュオン標的を用いてもよい。図14図15の加速器2HE-FFAG-1STと2HE-FFAG-2NDのイオンを陽子とリチウム7イオンとし両者を2CLPにて衝突させてもよい)
*リチウム6のみをミュオン標的に用いリチウム6に陽子を照射し衝突により核融合した場合、半減期が53日と長いベリリウム7が生じうる。ベリリウム7は次の陽子の衝突が可能な時間内に標的部に残るため、陽子とベリリウム7は衝突しうる。ベリリウム7を含む標的部が再度陽子の照射を受けた場合、ホウ素8が生じたり、炭素9等へ(寿命の長い生成物が徐々に陽子と核融合を進めて)重元素側の放射性の生成物を生成し標的に蓄積しうるかもしれない。他方リチウム7のみを含む標的の場合は陽子と核融合しベリリウム8を生じてその後短時間(10のマイナス17乗秒)でアルファ線になることで、(リチウム7ミュオン標的からヘリウムの形で揮発・離脱して除去されて残らなければ)上記の寿命の長いベリリウム7等の生成物が生じにくいかもしれない。
<<衝突による核融合で生成した原子核の寿命が短い(例:10のマイナス17乗秒)ミュオン標的原子の利用>>
〇本願の一つの実施形態では、原子番号Zが4のベリリウム8(8Be4)を生み出すパターンとしてヘリウム4を2つ衝突させる場合(4He2+4He2->8Be4)とリチウム7(7Li3)に陽子(1H1)を衝突させる場合(7Li3+1H1->8Be4)が考えられ、本願ではベリリウム8の寿命に着目した場合その2つのパターンを用いて2つの粒子同士を衝突させ、ミュオン生成や核融合に用いてよい。
〇本願の一つの実施形態では、陽子とヘリウムを衝突させる系を用いてもよい。陽子とヘリウム4を衝突し仮に単純に核融合したとするとリチウム5が生成するがその半減期は短く、崩壊後はヘリウム4と陽子を生成するので再度それをリサイクルして中間子・ミュオン生成装置の衝突に用いることができる。
陽子とヘリウム3を用いた場合もリチウム4が生じるがその半減期は短く、崩壊後はヘリウム3と陽子を生成するので再度それをリサイクルして中間子・ミュオン生成装置の衝突に用いることができる。
<請求の範囲の例><請求項PHE1>
第1の加速器2MU-ACC-RINGにて陽子線を加速循環させており、第2の加速器2HE-ACC-RINGにて水素又はヘリウムを粒子加速器でもよい部分内で加速させ、2MU-ACC-RINGと2HE-ACC-RINGの粒子軌道の交差点2CLPにて衝突させ、中間子・ミュオンを生成させる特徴を有する粒子生成システム。
<請求項PHE2>
陽子と陽子又は陽子とヘリウム又はへリウムとヘリウムを衝突させてミュオンを生成し、前記ミュオンを用いてミュオン核融合させる特徴を有する、請求項PHE1 に記載の中間子の粒子生成システムを用いたミュオン核融合システム。
<請求項PHE3>
リチウム7からなるミュオン標的若しくは粒子の衝突標的を用いた、中間子・ミュオンを生成させる特徴を有する粒子生成システム。
【実施例0078】
本願の実施例・実施形態の想定図として図14から図17に説明図を記載する。
<図の説明>
図14
第1の加速器2MU-ACC-RINGにて陽子線・ヘリウムを加速循環させており、第2の加速器2HE-ACC-RINGにて水素又はヘリウムを粒子加速器でもよい部分内で加速させ、2MU-ACC-RINGと2HE-ACC-RINGの粒子軌道の交差点2CLPにて衝突させ、中間子・ミュオンを生成させる特徴を有する粒子生成システムの説明図。陽子と陽子又は陽子とヘリウム又はへリウムとヘリウムを衝突させてもよい。(第1の加速器2MU-ACC-RINGにて陽子線を加速循環させており、第2の加速器2HE-ACC-RINGにて水素又はヘリウムを粒子加速器でもよい部分内で加速させ、2MU-ACC-RINGと2HE-ACC-RINGの粒子軌道の交差点2CLPにて衝突させ、中間子・ミュオンを生成させる特徴を有する粒子生成システムの説明図。陽子と陽子又は陽子とヘリウム又はへリウムとヘリウムを衝突させてもよい。)
図15
本願実施形態の一つとして、ヘリウム・陽子をターゲット部とする中間子生成のための衝突実験系の説明図。(B)にループした2つの経路2HE-FFAG-1STと2HE-FFAG-2NDを備えた中間子生成のための衝突実験系。
*2つの経路2HE-FFAG-1STと2HE-FFAG-2NDはFFAG若しくはMERIT方式の加速器や加速器内の粒子の軌道でもよい。MERIT方式の場合、2つの加速器の経路内をヘリウム・水素の原子が衝突したのちエネルギー低下した場合であっても再度加速器内でエネルギー再生し・再加速し、再度の中間子生成(若しくは何らかの粒子、素粒子、原子核)の生成を行わせたい意図がある。
図16
本願実施形態の一つとして、ミュオン核融合や核種の変換に用いる例(A)と、元素の変換・核変換後の製品原子核製造に用いる例(B)の説明図。
図17
本願実施形態の一つとして、宇宙ミュオンSM1や高速ミュオンを減速しターゲット部原子に照射投入結合する工程を含む例。
(A)天球・上空をカバーするドーム状の減速器アレイ・減速器2MUDECEで高速宇宙ミュオンを減速し、捕獲部2CAPにて捕獲し、減速したミュオンをT1へ照射し核変換を試みる例。(B)直接原料原子・分子の標的T1にレーザーを照射し宇宙ミュオンの減速用の強度を持つ電場2LASER-EF・レーザー航跡場を形成し、前記電場を用いて宇宙ミュオンを減速させ、減速したミュオンを原料原子と結合させミュオン核融合・ミュオン核変換を試みる例。
【0079】
<符号の説明>
図13
(A)可動なミュオン標的の例(負ミュオン減速部含む)
MU-MOVABLE-TGT:可動なミュオン標的
2MUCAP:ミュオンを捕獲し移動させるデバイス。ミュオンの加速部、ソレノイドなど。
MUDECE-ELEMENT:速度を持つ負ミュオンを減速する向きに配置した減速部・減速素子(レーザー航跡場応用加速器を用いた減速部でもよい。)
MUDECE(MDC): MUDECE-ELEMENTを含む減速器。ミュオンの減速器(レーザー航跡場を用いる加速器でもよい加速器2ACや加速器A1を減速用に用いてもよい)
図14
2MU:ミュオン生成装置
2MESON:中間子生成装置
2PARTICLE-COLLIDER:粒子衝突装置、粒子衝突による中間子・素粒子生成装置
2MU-ACC-RING:陽子・水素(又はヘリウム)をイオン・ビームとして加速・循環・移動する加速器。第1の加速器。
2MU-FFAG:FFAG式の2MU-ACC-RING。
2MU-MERIT-RING:MERITリング式の2MU-ACC-RING。
2HE-ACC-RING:ヘリウム(又は陽子・水素)をイオン・ビームとして加速・循環・移動する加速器。及び加速器の軌道。第2の加速器。
2HE-FFAG:FFAG式の2HE-ACC-RING。
2MU-FFAG-CS、2MU-ACC-RING-CS、2MU-MERIT-RING-CS:第1の加速器の断面部
MU-MOVABLE-TGT:可動標的。ミュオン標的の原子は可動。
MU-P-HE-ORBIT-TGT:可動である、水素やヘリウム(のイオン・ビーム・加速器中の軌道)からなるミュオン標的。加速器を加速・循環・移動するヘリウムや水素である中間子や素粒子ミュオンを生成させるための標的。
2CLP:加速された粒子イオン・ビームの軌道の交差点・衝突点、又は交差部分・衝突部分。
ヘリウムと水素、ヘリウムとヘリウム、水素と水素の衝突する部分(2CCP)。衝突により中間子・素粒子が生成されうる箇所。*第1の加速器2MU-ACC-RING・2HE-FFAG-1STにて陽子線・粒子線(ヘリウム)を加速循環させており、第2の加速器2HE-ACC-RING・2HE-FFAG-2NDにて水素又はヘリウム・粒子線を粒子加速器でもよい部分内で加速させ、2MU-ACC-RINGと2HE-ACC-RING(2HE-FFAG-1STと2HE-FFAG-2ND)の粒子軌道の交差点2CLPにて衝突させ、中間子・ミュオン(・素粒子・粒子)を生成させようとする時の前記交差・衝突させる部分。
図15
2AC:加速空洞、加速手段。
*レーザー航跡場の加速空洞を用いてもよく、レーザーはレーザーデバイスや粒子加速器・アルファ線を用いたシンクロトロン放射光(放射光)の光子・レーザーを用いてもよい。
2MGF:磁石、イオン・ビーム・荷電粒子の偏向手段・収束手段。偏向電磁石等の偏向磁石、ビームを飛び散らぬよう絞り収束する四重極電磁石などの収束磁石。
2ISRC:イオン源He(or、H/p)。イオン入射部。イオン化する装置やイオンを加速して入射する装置を含んでよい。
2EXTEJ:イオン除去部。イオン取入れ部、イオン取り出し部であってもよい。
EX-ION:2HE-FFAG-2ND(加速器の軌道)を移動・循環するイオンのうち、2EXTEJで取り除くイオン。質量分析で用いるイオンの質量の違いによる分離方法を用いてよい。イオンを電荷・磁場によりイオンの電荷に対して質量の違いがあることを利用して異なる質量のイオンを分離してよい。
2HE-FFAG-1ST:第1の加速器。FFAG型のヘリウムを加速循環する円形加速器等。
2HE-FFAG-2ND:第2の加速器。FFAG型のヘリウムを加速循環する円形加速器等。
2CLP:2つのHe・粒子・ビームが衝突する部分
図16
2MU、2MESON-GENERATOR、2PARTICLE-COLLIDER:ミュオン生成手段、中間子生成手段、粒子衝突手段。
MUON-CAPTURE-TRANSPORT-SOLENOID:パイオンやK中間子等の中間子よりミュオンを捕捉し輸送する手段。パイオンを磁場により捕捉し、パイオンを移動させ、パイオンがミュオンに変化しつつミュオンを輸送するソレノイド。
MUDECE:ミュオンを減速する手段。負ミュオン減速器。低速ミュオン生成部。MUDECEをMUON-CAPTURE-TRANSPORT-SOLENOID部分に備えさせてもよい。パルス電源と減速セルを組み合わせた負ミュオンの減速器は検討されており公知でありそれを用いてもよい。より低速に減速できる負ミュオン減速器を用いると好ましい。加速器・中間子生成部を用いて生成した負ミュオンのエネルギーは約300keV(=8MeV/c)以上で例えばそれを30keV以下に減速できると好ましい。レーザー航跡場とそれを用いた加速空洞・加速部を逆向き・減速する向きに配置可能ならば配置して負ミュオンの減速に用いてもよい。
1F-SYS:ミュオンを用いた核融合システム
1EXP-SYS:ミュオンを用いた実験システム、核変換システム(LLFP・MAの核変換システム)
FP:核融合部、ミュオン核融合部、核融合部炉心の一部。
NCTP:核変換部、ミュオン核変換部、核変換炉心の一部。
Muonic-Atom-Generator:原子核A(or、B)に負ミュオンを結合させミュオニック原子A(or、B)を生成する部分。
MA1:ミュオニック原子A(or、B)。(ターゲットに照射される原子A/B)
FUSIONED-T1-AB-X:原子X。原子核AとBがミュオンによる核融合・核変換して生成された原子X。
T1-AB :原子核AとBの結合した化合物・混合物からなるミュオンのターゲットT1部。
原子Aと原子BはZの異なるものでもいい。Zの同じものでもいい。例えば原子Aと原子Bが同一の炭素12であってもよい。T1-ABは原子核AとBの結合した化合物・混合物。T1-ABは原子Bに原子Aを衝突させ原子Aと原子Bの混合物・もしくはAとBを近傍に配置したものでもよい。
FUSIONED-T1-MA1B-X:原子X。ミュオニック原子Aと原子Bをミュオンによる核融合・核変換させて生じた原子X。原子Xから原子Yを放射性崩壊工程を経て生じさせても良い。
T1-B:原子核B(orA)のターゲット。T1-Bはミュオン・ミュオニック原子照射部は移動可能なT1・T1-B。(T1-Bは移動可能なT1のフィルム面や固体液体面でもよい。元素によっては気体やプラズマ・ビームでもよい)T1-Bは原子X除去工程で表面を除去可能でもよい。
図11の固体の可動なディスク型でもよいミュオン標的MU-DISK-TGTを砥石MU-DISK-GRINDING-DEVICEで研磨するように、ミュオン核変換で標的T1上で原子Aと原子Bから原子Xを製造したのちに原子Xを砥石や研磨・切削手段により除去・回収できてよい。)
T1-IN:原子供給工程・手段。原子AとBの供給部。
T1-OUT:原子除去工程・手段。原子Xの除去部。
図17
(A)地上側に配置されたT1から見て、天球・上空側をカバーするドーム状の減速器アレイで高速宇宙ミュオンを減速しT1へ照射し核変換試みる例。
SM1:上空から飛来する宇宙ミュオン(宇宙線ミュオン、宇宙線ミュオン粒子)。高速宇宙ミュオンSM1。地球大気(大気圏)に宇宙線が衝突し大気分子と宇宙船粒子の衝突により宇宙線パイオン・中間子が発生し、その中間子から宇宙線ミュオンが生じる。宇宙線パイオンは高度20km程度で生じえて、高度5km以下ではミュオンが降り注ぐ。(図17(A)のシステムを有する航空機の輸送機器3は宇宙ミュオンを受け取る高度にある。宇宙ミュオンを航空機3は核変換に利用できる。他に地上付近・海上の輸送機器3も宇宙ミュオンを受け取る事はできる。)
宇宙線:宇宙空間を高エネルギーで飛び交っている粒子。
MDC-LASER:ミュオン減速器がレーザー航跡場を用いる加速器を減速器に用いる場合に前記加速器のレーザー光源・レーザー生成部。光源は既存のレーザーデバイスを用いてよい。光源は放射光を用いてもよい。
MDC:減速器。
2MUDECE:減速器。ミュオンの減速器(加速器を減速用に用いてもよい)(レーザー航跡場を用いる加速器でもよい加速器2ACやA1を減速用に用いてもよい)
2MUDECE-ARRAY:2MUDECEのアレイ。2MUDECEに光子・レーザーを分配していてもよい。また2MUDECE駆動のための電気・電力・信号やレーザー等の回路を含んでもよい。
2MUCAP:MUON CAPTURE TRANSPORT Device、ミュオンを捕獲し移動させるデバイス。ソレノイドなど。
T1:ターゲット、FEED。一つの実施形態によれば、システム1F-SYS/1EXP-SYSは、既存公知の水素H・重水素D・三重水素Tやリチウム6等のミュオン触媒核融合用の核燃料原子・原料原子を(又は原料原子同士を)減速器2MUDECEにて減速したミュオンを結合させて用いる構成においてミュオン触媒核融合・核変換させようとしてもよい。また本願記載の水素・ホウ素・炭素・窒素等の核融合・核変換の原料原子・燃料原子を図13(B)や(A)等のシステム1F-SYS/1EXP-SYSで用いてもよい。
図17の宇宙ミュオンを減速する構成・システム・装置は輸送機器3に搭載されていてもよい。宇宙ミュオンを用いてミュオン核変換できる場合、大型の加速器を不要にできるので、輸送機器3に搭載する際も輸送機器3の大きさをミュオン生成用の大型加速器をなくすことができればコンパクトにできる利点がある。なお宇宙ミュオンのミュオン減速器をコンパクトにするためレーザー航跡場を用いる加速器でもよい加速器2ACやA1を減速用に用いてもよい。(電子・負電荷の粒子をレーザー航跡場でGeV級に加速する構成が公知であり、その応用として同負電荷の粒子である負ミュオンの減速用途を本願は想定する。)
また、輸送機器3にコンパクトにミュオン・中間子の生成部や高速なミュオンの減速部を搭載する目的で レーザー航跡場を用いる加速器でもよい加速器2ACやA1にて中間子生成用の装置2MUや2MESON-GENERATOR、2PARTICLE-COLLIDERを構成してもよい。
(B)直接原料原子・分子の標的T1にレーザーを照射しミュオンを減速させT1のミュオン核融合・ミュオン核変換を試みる例
2LASER-PLASMA:T1をプラズマ化させレーザー航跡場を形成する際のレーザーとT1により生成されたプラズマ部。
2LASER-EF:レーザーとT1による電場、T1内に形成したレーザー航跡場。
T1,FEED:核変換・核融合させたいターゲット原子、原料原子・燃料原子。
2LASER:レーザー源。
MDC-LASER:レーザー利用型の減速器に用いるレーザ(当該図ではレーザーは外部からのエネルギーによりレーザーを生成してもよいし、核融合・核変換によるアルファ線やガンマ線などのもつエネルギーを用いて光子・ガンマ線を生成しそれをレーザー生成に用いてよい。AECはアルファ線エネルギーの変換部で、当該図では電力ではなくアルファ線の制動放射による光子のエネルギーとして取り出す事可能)
【0080】
<ミュオンの速度>
宇宙線にミュオンが含まれており、そのエネルギーはGeV領域で宇宙ミュオンの速度は高速である。(光速度に近い)(地上・公知の加速器・ミュオン生成部にて生成するミュオンより宇宙ミュオンは高速であると思われる。ミュオン粒子が光速度cで運動するとして単純に計算すると、2.2マイクロ秒の時間におよそ660m進むとされる。宇宙ミュオンはエネルギーが高すぎて物質を通り抜けてしまう。)
本願で用いるミュオンは原料原子と結合させたいため、原料原子を高速で素通りさせてしまう構成よりは低速で結合させる構成とすることが好ましい。例えば本願で用いるミュオンは宇宙ミュオンよりは低速である必要があるかもしれない。ミュオンは炭素12等のミュオンを照射し結合させ核変換させたい原子に低速で・結合できる速度で照射・投入してよい。
地表では、1秒間に1m2の面積をおよそ170個程度の宇宙由来の高速なミュオン粒子が通過している。高速なミュオンは(想定であるが、)ミュオン触媒核融合でミュオンが触媒となってホウ素や炭素や窒素等の本願の核変換対象の原子核を核変換・核融合させたくとも宇宙ミュオンは高速で通り抜けてしまうので、自然な・高速な宇宙ミュオンでは本願にて意図するミュオン触媒核融合・ミュオン触媒核変換が起きにくいかもしれない。そこで本願ではミュオン触媒核変換・ミュオン触媒核融合を起こせるほどに低速な(公知の中間子生成可能な地上の装置で生成可能な中間子・パイオン等から得た)減速されてもよいミュオンを用いてよい。
<宇宙ミュオン減速器によるミュオン核変換システム>本願ではミュオンを中間子生成装置から得るが、その後ミュオンを減速する装置部MUDECE(2MUDECE、2MUDECE-ARRAY)を用いて減速してミュオン触媒核変換・核融合を行わせたい原子に投入してよい。)そして宇宙ミュオンをもし減速可能であれば、本願発明のミュオン触媒核変換・核融合システムに用いてもよい。
〇負ミュオンをパルス電源と減速セルを組み合わせたミュオン減速器は検討されており公知である。飛行船のような巨大な(ミュオン減速のための物理的な距離の取りやすい)航空機・飛行船を空中に浮かべて、その航空機内に規模の大きなミュオン減速機を構成・搭載してミュオンを減速させ、ミュオンをソレノイドなどで捕獲・輸送してミュオン触媒核変換のターゲット部に照射し、前記核変換を促してもよく、その核変換により生じたエネルギーで航空機を推進させ、航空機のエネルギー・電力を発電部(アルファ線のエネルギーを熱に変換し水を沸かして蒸気タービンを動かす形式の発電部1PPやアルファ線のエネルギーを電力・エネルギーに変換する部分AEC)を用いて生成供給してもよい。
<ミュオン減速用のレーザー航跡場とそれを用いた加速空洞・加速部の要件>
〇レーザー航跡場とそれを用いた加速空洞・加速部により電子(負ミュオン)を加速可能だが、その加速部を(可能ならば進行する負ミュオンを減速する向きに配置し)負ミュオンの減速部(MUDECE(2MUDECE、2MUDECE-ARRAY)に用いてもよい。レーザー航跡場を用いた加速器はヘリウムのレーザー標的等をプラズマ化しレーザー照射による電場を生成するプラズマデバイス部を有する。当該レーザー航跡場加速器の電場強度は既存の磁石や高周波による電場・磁場を生成する加速器よりも高くなり、既存の高周波や電磁石を粒子加速に用いた加速器よりも加速器を小型にできうると期待されている。
図17の(A)のように、2MUDECEを小型化にすることで地上から見て空中の全方向・天球をカバーする宇宙ミュオン減速器アレイ2MUDECE-ARRAYを構成できるかもしれない。そして2MUDECE-ARRAYを含む核変換システム1EXP-SYSやそれを含む発電部1GENRを含む輸送機器3を構成してもよい。ターゲット部T1をドーム状に覆うようなミュオン減速器アレイを構成することでランダムに空中から地上側に向けて様々な角度で2MUDECE-ARRAYやT1に向かって飛翔・飛来(例:図17の(A)の2つの宇宙ミュオン)する宇宙ミュオンを予め設置された前記減速器アレイにより減速し、減速したミュオンを回収しターゲット部T1に投入・照射することが本願発明では可能になりうる。)
〇ミュオンは重元素・Zの大きい原子に弱い相互作用でトラップされ核と反応・崩壊しうるので、レーザー航跡場とそれを用いた加速空洞・加速器部のプラズマの原子元素はZが低いものが好ましく考えられ、例えばヘリウムを用いてもよい。(レーザー航跡場を用いた加速器のプラズマに鉄等の重元素を用いると鉄はZが大きくミュオンがトラップされる弱い相互作用で鉄などの重元素のZを減らす反応に負ミュオンが消費されて減速できない・目的とする核変換の用途に使えない恐れがあるかもしれない。そのため本願の一つの形態ではヘリウムなどのミュオンと弱い相互作用しにくい原子のプラズマを用いるレーザー航跡場とそれを用いた加速空洞・加速部、あるいはミュオン減速部2MUDECE-を用いてよい。)
<Zの低い原料原子(例:Z=B,C,N,O,F,Ne...)へのレーザー照射によるレーザー航跡場の生成と、レーザー航跡場を生成したその場での高速宇宙ミュオン又は加速器原子衝突由来の高速ミュオンの低速化と、当該低速化されたミュオンを用いたミュオン核変換反応の促進の視点>レーザー航跡場のレーザーデバイスに用いるレーザーを照射するレーザー標的の気体のリソース(プラズマのリソース、プラズマの原子)に前記ヘリウムのレーザー標的の代わりに、本願で主張するホウ素や炭素や窒素等のミュオン核変換を起こす原子であってZが小さい・弱い相互作用を起こしにくいと期待されるZの原子を含む物質(例:Z=B,C,N,O,F,Ne...さらにはH,He,Li,Be。例えばボラン、アザン、メタン、炭素12)を用いてよい。さらにレーザーデバイス内で原子(例:Z=B,C,N,O,F,Ne...)のプラズマを生んでプラズマ波そして高強度電場のレーザー航跡場が生まれ、当該レーザー航跡場が宇宙から大気・地上側へと飛来する高速の宇宙ミュオンを減速できれば、前記レーザー航跡場を生じるプラズマの原子(例:Z=B,C,N,O,F,Ne...)に減速されたミュオンを結合させミュオン核融合・ミュオン核変換を起こせるかもしれないので当該の特徴を有する構成を本願のミュオン核変換システムに用いてよい。
図9ではレーザーをレーザー標的及び核融合・核変換の原料原子を含むターゲットT1(T1は本願で主張するホウ素や炭素や窒素等のミュオン核変換を起こす原子であってZが小さい・弱い相互作用を起こしにくいと期待されるZの原子を含む物質、例えばZ=B,C,N,O,F,Ne...さらにはH,He,Li,Be。例えばボラン・ジボラン、アザン、メタン、炭素12)に照射してよい構成であり、図9のように、T1にレーザー航跡場を起こせるレーザーをレーザー源・レーザー生成装置(2LASER)から照射してT1にてT1に飛来する宇宙ミュオンを(レーザーと原子・プラズマによる電場で)減速して低速ミュオンとして、当該低速ミュオンを当該T1部の原料原子に結合させT1の原料原子を核融合・核変換するように促してもよい。
図17の(B)のように、ターゲットT1にレーザー源2LASER・MDC-LASERからレーザーを照射して、T1にプラズマ(2LASER-PLASMA)を生成し、高強度の電場2LASER-EF、レーザー航跡場2LASER-EFを生成・形成し、前記電場2LASER-EFにより、T1に入射し2LASER-EFに入射した高速ミュオン又は高速宇宙ミュオンSM1を減速し、(T1の2LASER-EF内部又は近傍にて)低速ミュオン・減速ミュオンとし、前記減速ミュオンをT1に含まれるミュオンを結合させたい原料原子に結合させ、ミュオンが結合したことによりT1の原料原子はミュオン核変換反応やミュオン核融合を引き起こしうるので、本願発明では当該の構成を用いてよい。
ターゲット原子T1にレーザーを照射し高速ミュオン・高速宇宙ミュオンSM1やミュオンM1を減速させる電場を形成し、高速ミュオンを減速させ低速ミュオンに変えて、低速ミュオンをターゲット原子T1の核変換・核融合に用いてよい。
<請求の範囲の例>
<請求項MUDEC1>
ミュオンを減速する工程を備え、ミュオンを核変換させるターゲット原子・原料原子に結合可能とする特徴を有する、ターゲット原子・原料原子の核変換システム。
<請求項MUDEC2>
ターゲット原子・原料原子にレーザーを照射し電場又はレーザー航跡場を生成する特徴を有するターゲット原子・原料原子の核融合又は核変換を行う請求項MUDEC1に記載の核変換システム。
<請求項MUDEC3>
ミュオンを前記電場又はレーザー航跡場にて減速可能な請求項MUDEC2に記載の核変換システム。
<請求項MUDEC4>
核変換させたいターゲット原子・原料原子にレーザーを照射し電場又はレーザー航跡場を生成し、宇宙ミュオン・宇宙線ミュオン若しくは宇宙側から地上側に飛来する宇宙線により生じたミュオンを減速させ、前記減速されたミュオンを核変換させたいターゲット原子・原料原子に結合可能な特徴を有する、請求項MUDEC2に記載の核変換システム。
<請求項DLAL1>
ミュオンを減速する工程又は減速手段を備え、ミュオンを核変換させるターゲット原子・原料原子に結合可能とする特徴を有する、ターゲット原子・原料原子の核変換システム。
<請求項DLAL2>
ミュオンを電場又はレーザー航跡場又は加速器にて減速可能な請求項DLAL1に記載の核変換システム。
<請求項DLAL3>
ターゲット原子・原料原子にレーザーを照射し電場又はレーザー航跡場を生成する特徴を有するターゲット原子・原料原子の核融合又は核変換を行う請求項DLAL1に記載の核変換システム。
<請求項DLAL4>
核変換させたいターゲット原子・原料原子にレーザーを照射し電場又はレーザー航跡場を生成し、宇宙ミュオン若しくは宇宙側から地上側に飛来する宇宙線に由来するミュオンを減速させ、前記減速されたミュオンを核変換させたいターゲット原子・原料原子に結合可能な特徴を有する、請求項DLAL1 に記載の核変換システム。
<請求項DLAL5>
ミュオンを用いた核変換システムであって、核変換するときに核変換の原料となる原子Aの原子番号Zまたは(1S軌道の)有効核電荷は、前記原子の核変換後に生成される原子Xの原子番号Zまたは(1S軌道の)有効核電荷よりも大きい特徴を有する請求項DLAL1(又は請求項DLAL2)に記載の核変換システム。
<請求項DLAL6>
炭素・炭素12を含むターゲット原子にミュオンを投入・照射する特徴を有する請求項DLAL2に記載の核変換システム。
<請求項DLAL7>
窒素・窒素15を含むターゲット原子にミュオンを投入・照射する特徴を有する請求項DLAL2に記載の核変換システム。
<請求項DLAL8>ホウ素を含むターゲット原子にミュオンを投入・照射する特徴を有する請求項DLAL2に記載の核変換システム。
<請求項DLAL9>請求項DLAL5に記載の核変換システムにて生じるエネルギーを用いた発電システム。
<請求項DLAL10>第1の加速器(2MU-ACC-RING)にて水素又はヘリウムを加速循環させており、第2の加速器(2HE-ACC-RING)にて水素又はヘリウムを加速循環させており、第1の加速器と第2の加速器の粒子軌道の交差点2CLPにて水素又はヘリウムを衝突させ中間子生成させる特徴を有する粒子生成システムを用いミュオンを生成し前記核変換に用いる請求項DLAL1に記載の核変換システム。
<請求項DLAL11>核分裂生成物を核変換する特徴を有する請求項請求項DLAL1(又は請求項DLAL2)に記載の核変換システム。
<請求項DLAL12>核分裂生成物を核変換する請求項1・請求項DLAL10に記載の核変換システムであって、核分裂生成物を有する建物の区画に向けてミュオンのビームを照射する特徴を有する核変換システム。
【0081】
<<ミュオンを用いた核種・原子核の変換装置>>
<課題>
或る原子Xの資源量が限られている場合に人工的に原子X(例えばガリウム等の産業で用いる原子や11族原子)を製造したいかもしれない。原子Xの製造には核融合が用いられうるが核融合のうち磁気閉じ込め式などでは高温のプラズマに原子を閉じ込めて熱により核融合させる必要があり、よりZが大きく重い原子核同士を核融合するにはより過酷な高温にする事が必要かもしれない。
<解決手段>
他方、ミュオン核融合ではZの大きな原子核であってもミュオンが原子核に結合し衝突や近接する事による核融合を起こしやすくなる可能性がある。そこで本願ではミュオン生成装置やミュオンの減速手段や原子A・Bや原子Aと原子Bが結合した化合物とミュオンを結合させてミュオン核融合させ原子Xを製造することを考案する。
<発明を実施するための形態><実施例>
<望みの原子核を作る例として周期表の11族原子やガリウム原子核を生成しようとする例>実証はされていないが、例えば、図16の(B)のように、原子Aと原子Bを核融合反応させ別の原子核Xを生成させることや、原子核Xが変化・崩壊することで別の原子核Yを生成することが可能かもしれない。
(前記のように陽子やヘリウムを中間子生成のターゲットに用いるなどして、ミュオンの生成時にターゲットが放射化されにくい等が可能になると、ミュオン標的のターゲットが核の廃棄物になりづらくなり、ミュオン生成を行う環境負荷・コストを低減でき、その結果ミュオン核融合のほかに、放射性廃棄物へミュオン照射を行い放射性でない原子への変換を行う実験や、既存の元素同士とミュオンを組み合わせての核融合・核分裂・核破砕等を行わせて原子核の変換も可能になるかもしれない。
*、ミュオン生成装置・加速器の駆動には電力エネルギーが必要であり、例えばその電力は宇宙太陽光発電所や核融合発電所の電力を用いる想定である。以下の例はアイデアであって、実証はされていない。
<金Au>●例えば、炭素12や炭素13にタングステン184を結合させた炭化タングステン(具体的にはフィルム状の、ミュオン照射される部分がフィルム・シートを送り出すように移動できて可動である炭化タングステンターゲット)にミュオンを照射し、タングステンと炭素のミュオン核融合・核変換が起きるかどうか実験し、その後、核融合・核変換で生じうる水銀(水銀196・水銀197)原子や金原子を生成することを試みてよい。*なお炭化タングステンのほかに窒素15とタンタル181を用いた窒化タンタルを用いてもよい。
*その後水銀196に中性子を照射させ水銀197としたのち、水銀197の電子捕獲のステップを経て金197を合成することを試みてもよい。*もしくはタングステン184と炭素13からなる炭化タングステン(他に窒素15とタンタル181からなる窒化タンタル等)をターゲット部T1-AB とし、そこへミュオンを照射し水銀197の生成を試みてその後水銀197が電子捕獲ECにより金197に変化するかを試す系(実験系)を実施してもよい。
(以下の式の反応。12C6:炭素12、13C6:炭素13、196Hg80:水銀196、197Hg80:水銀197、184W74:タングステン184、15N7:窒素15、181Ta73:タンタル181、n:中性子、197Au79:金197、EC:電子捕獲反応の工程。ECは原子核内の陽子が軌道電子を吸収して中性子となり、同時に電子ニュートリノを放出する反応・現象)
12C6+184W74->196Hg80
13C6+184W74->197Hg80
15N7+181Ta73->196Hg80
196Hg80+n->197Hg80
197Hg80->EC->197Au79+電子ニュートリノ
●また炭素原子や窒素原子(原子A)にミュオンを結合させミュオニック炭素原子として当該原子Aを加速させタングステン原子に衝突させ核融合を促してもよい。(もしくはタングステンにミュオンを照射してミュオニックタングステン原子とし、そこに炭素原子を加速衝突させてもいい。ミュオンに炭素12に照射して炭素が崩壊する場合は、タングステン側に照射してよい。炭素とタングステンの代わりに窒素とタンタルを用いてもよい。)
(12C6+負ミュオン)+184W74->196Hg80
12C6+(184W74+負ミュオン)->196Hg80
13C6+(184W74+負ミュオン)->197Hg80
196Hg80+n->197Hg80
197Hg80->EC->197Au+電子ニュートリノ
●粒子衝突後に原子核Xを生じ、その後原子BやAが原子核Xに衝突して望みではない原子Dを生じないようにするために、衝突部は可動式・フロー式の原材料供給部・製品原子の回収部となるよう、ターゲット原子のフィルム材・液体などにミュオンを含む粒子を衝突させる図16の(B)のような構成でもよい。ターゲット表面に生成された原子Xを除去する(砥石・レーザー照射による表面の加熱・弾き飛ばし・除去工程等)工程を用いて原子Xを回収できてもよい。
<銀Agの生成>Auの場合と同様に、原子AとBに、炭素12(12C6)とモリブデン95(95Mo42)をミュオンを用いて核融合させカドミウム107を生成し、その後カドミウム107を半減期6.5時間を目安に保持して電子捕捉させるか、又はミュオンと陽子の反応によりZを1つ減らしてカドミウムから銀107(107Ag47)にする事が考えられる。
同様に銀109を炭素12とモリブデン97をミュオンを用いて核融合させカドミウム109を生成し、その後カドミウム109を半減期を目安に保持して電子捕捉させるか、又はミュオンと陽子の反応によりZを1つ減らしてカドミウムから銀109にする事が考えられる。(炭素12を用いる時、金の場合タングステンと水銀であったが銀の場合元素周期表の周期・族が一つ下のモリブデンとカドミウムを用いる。ニオブ93(93Nb41)と窒素14(14N7)を用いてカドミウム107(107Cd48)生成を試みてもよい。)
<銅Cuの生成>Auの場合と同様に、原子AとBに、炭素12とクロム53をミュオンを用いて核融合させ亜鉛65を生成し、その後亜鉛65を半減期243日を目安に保持して陽電子を放出する正のベータ崩壊をさせるか、又はミュオンと陽子の反応によりZを1つ減らして亜鉛から銅63にする事が考えられる。*他の例としてホウ素10とマンガン55をミュオンを用いて核融合させ亜鉛65を生成し、その後亜鉛65を半減期を目安に保持して正のベータ崩壊させるか、又はミュオンと陽子の反応によりZを1つ減らして亜鉛から銅にする事が考えられる。
<ガリウムGa>原子AとBに、炭素12と鉄56を用いてミュオン核融合させゲルマニウム68を生成させ、その後ゲルマニウム68を(半減期270.8日の)電子捕獲ECプロセスによりガリウム68に変換することを試みてよい。
<白金Ptの生成>原子AとBに、ホウ素11とタングステン184を用いてミュオン核融合させ金195を生成し、その後金195を半減期186.01日を目安に保持して電子捕捉させるか、又はミュオンと陽子の反応によりZを1つ減らして金195を白金195(195Pt78)にする事が考えられる。(なお白金195(195Pt78)に水素2・重水素(2H1)をミュオン核融合させ金197(197Au79)となるかもしれない)
<放射性元素の変換例>
本願システムの一つの実施形態では、核分裂型原子炉等の駆動により生じた高レベルの廃棄物廃棄物・原子をより低レベルの放射性原子に変換する用途に利用してもよい。本願システムを用いて、79Se、93Zrなど、数千年以上の長寿命を持つ核分裂生成物(Long-Lived-Fission-Product:LLFP)、Am、Cm、Npというマイナーアクチノイド(Minor-Actinide:MA)にミュオンを照射してよい。
〇高エネルギー廃棄物による立ち入り困難区画・廃炉処理中の原子炉内・原子炉・核燃料デブリを含む原子炉へミュオン照射を行い廃棄物内の原子核を核変換してよい。本願・本考案はアイデアであり実際に実施できるか否かは不明であるが、ミュオン生成部を用いてミュオンを生じさせ、前記ミュオンを事故などで放射性廃棄物が堆積し立ち入りのできない原子炉や燃料デブリを含む建物区画(・原子炉内の核燃料デブリ部・建屋)に向けて(前記区画より遠隔地でもよい中間子生成発射場より)照射して、燃料デブリのLLFP等を核変換することを試みてもよい。*廃炉・LLFP類の放射性レベルを核の変換により下げたいときにミュオンを用いたいが、ミュオン生成によりミュオン標的部が放射化される問題があるかもしれない。そこでヘリウム(ほかに水素、リチウム7)を標的とすることで本願装置のミュオン標的部は放射化されずらくなり、ミュオンを用いたLLFP・MA等の変換やミュオン核融合を行う際のミュオン標的の放射化問題を解決できるかもしれない。本願はミュオン標的の放射化問題解決のために、粒子の衝突時に水素・ヘリウムを標的にする方式を提案する。またリチウム7を標的にする方式を提案する。
【0082】
<<優先権を主張した出願による追記部分>>先の出願、特願2023-150635、特願2023-151787、特願2023-174791、特願2023-196029、特願2023-196327、特願2024-058388に対し次の項目を追加した。(本願は考案であって実証が必要である)
<課題><発明が解決しようとする課題>
ミュオンを減速する装置を検討する。天然の宇宙線由来の宇宙ミュオンを減速する構成を大面積に減速したい。加速器により加速された粒子を衝突させる等の人工的な装置手段で得た中間子から得たミュオンを減速したい。
<解決手段><課題を解決するための手段>
本願明細書及び及び図18から図20に解決手段に関する考案を記載する。また宇宙線や宇宙ミュオンを減速して核変換に用い、前記核変換によるエネルギーを推進や発電のエネルギー源に用いる輸送機器3・構造物3を図21記載する。
【0083】
<発明を実施するための形態、図面の説明>
<実施の想定例1>
<イオン化冷却>イオン化冷却を用いて負ミュオンを減速してよい。イオン化冷却は、適切に準備されたミュオンビームが適切な材料(吸収体)を通過し、イオン化によって運動量を失う・減速することに基づく。原子番号Zが低い原子である水素やリチウムを用いた吸収体の利用が好ましい。液体水素と水素化リチウムの両方の吸収体による冷却が次の文献1によれば公知である。(文献1:国際ミュオンイオン化冷却実験MICE collaboration、Nature volume 578, pages53-59 (2020))
ソレノイド冷却・減速チャネルの一部を構築して運用し、液体水素と水素化リチウム吸収体の両方を使用したミューオンのイオン化冷却・減速を行う。
*吸収体に原子番号Zが低い原子であって本願でミュオンを結合させて核変換を促す窒素15と水素を含むアザンやホウ素と水素を含むボラン等(炭素12等)のミュオン核融合・核変換させたいターゲット部T1を用いてもよいかもしれない。
*ミュオンを水素イオンと結合させミュオニック原子にして減速させて良い。ミュオンを水素よりも重いホウ素や窒素等の原子に結合させてミュオニックホウ素原子・ミュオニック窒素原子MP1・MA1等とし(MP1・MA1を減速させ)、その後水素を含む燃料物質ターゲット部T1に投入してもよい。(図16のBの構成で原子Aのミュオニック原子MA1を形成し・何らかの電場(磁場)による手段によりMA1を減速してよく、その後MA1を核融合・核変換用の原子Bを含んでもよいターゲット部T1-Bに照射・投入・衝突させミュオン核融合・核変換させてよい。
<摩擦冷却>*負のミュオンの照射を受けるターゲット部T1にカーボン膜を配置し、そのカーボン膜をミュオンが速度を持って通り抜ける際に摩擦により減速(摩擦減速・摩擦冷却)されてもよい。摩擦冷却用(摩擦減速用)の、炭素12を含むカーボン膜(又は、炭素12からなる摩擦冷却用のカーボン膜)で減衰させて良いし、そのカーボン膜内で減速されたミュオンが炭素12と結合してよく、その後炭素12がミュオン核変換されてもよい。
*カーボン膜のほかに水素化ホウ素等の低ZでT1・FEEDとなりうる固体・液体部も検討されうる。Zの低い水素等元素を含み イオン化冷却効果も併用されうる。
<減速空洞を用いた減速器>
粒子加速器・線形加速器をミュオン減速に用いてよい。次の参考文献に記載のパルス電源と減速セルを用いる構成は公知であり本願でミュオン減速部に利用してもよい。(参考文献:物性研究のための負ミュオン減速器、大森千広、下村浩一郎,大谷将司,河村成肇,高柳智弘Proceedings of the 16th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan July 31 - August 3,2019, Kyoto,Japan、PASJ2019 FRPI008)
<パルスレーザーを用いるミュオン減速器>
パルスレーザーを用いたレーザー航跡場を用いるミュオン減速器2MUDECEと核変換システム1EXP-SYSを図18に示す。
図18は慣性閉じ込め方式のレーザー照射による慣性とじ込め式核融合炉の構成と類似している。
ただし、図18では宇宙から降り注ぐミュオンや加速器・パイオン生成部由来のミュオンを受け減速させるために、慣性閉じ込め方式の全方位(対照的な方位)からのレーザー照射ではなく、高速なミュオンを受け止める方向となるようターゲット部にレーザー照射する構成でもよい。
例えば図18(A)は宇宙・空中・上空から地上側へ高速宇宙ミュオンが入射する際に、レーザー航跡場で負ミュオン減速するために、地上部に配置した半球ドーム型のレーザー照射部よりパルスレーザーを中央ターゲット部T1に照射しミュオンを減速するように、((B)の飛来するミュオンと向かい合うように)レーザー照射し・レーザー航跡場形成・ミュオン減速を試みる構成である。
また図18の例は宇宙ミュオンの使用に限定しているわけではない。図18では加速器・加速粒子衝突の工程を用いて生成された人工的なミュオンM1を減速してターゲットT1に投入してもよい。人工的なミュオンをターゲット部に照射できるようにしつつ、前記ミュオンが減速できるようにターゲット部にレーザーを照射してよい。)
*本願の一つの形態ではレーザー航跡場若しくは電場を形成可能なパルスレーザーをターゲット部T1に照射可能な構成を実施できれば良い。前記T1は核融合・核変換可能なターゲットでもよい。一つの形態によれば原子番号Zの小さい原子、例えば炭素・窒素・ホウ素・水素をT1に用いた核融合・核変換システムでもよい。
*例えば水素原子(H、D、T)同士のミュオン触媒核融合反応では、ヘリウムが生じてミュオンがヘリウムにトラップされ触媒核融合反応が停止するものの、自然界の宇宙線・宇宙ミュオンを手に入れて利用するエネルギーに対して水素同士の核融合にて生じるエネルギーが上回る・収支がペイする場合にはエネルギー源としての利用ができうるかもしれないので、図18等の宇宙ミュオンを減速する部分を有するシステム1EXP-SYSやそれを含む構造物3・輸送機器3において水素原子同士の核融合を試みる事も本願では実施してもよい。
(*電場にて減速する構成を述べているが、磁場により高速ミュオンの軌道を変えることができるならば変えてもいい。減速用の電場と減速・軌道変更用の磁場を組み合わせてターゲット部T1にミュオンを投入してよい。)
図18(A):宇宙・空中・上空側から地上側へ高速宇宙ミュオンが入射する際に、地上部に配置した半球ドーム型のレーザー照射部よりパルスレーザーを宇宙・空中・上空側の中央ターゲット部T1に照射し、ターゲット部をプラズマ化させ、宇宙・空中・上空側に向いているレーザー航跡場・電場を生成しミュオンの減速に用いる減速器2MUDECEの説明図。またミュオン生成装置M1にて生成された高速なミュオンM1FがT1に入射しT1にてレーザー航跡場・電場を形成しM1Fを減速しM1LとしたのちT1の原子と結合させてもよい。
図18(B):当該図18(A)のターゲット部T1へのレーザー照射部MDCLからのパルスレーザー入射の説明図と、ミュオンの入射・減速の図及びプラズマ2LASER-PLASMA及びレーザー航跡場LWF・電場2LASER-EF形成の説明図。
図18(C):当該図18(A)の減速器2MUDECEを連続して横方向に配置し減速器のアレイとして構成した場合の説明図。*宇宙ミュオンは60cm2あたり1秒に1個空中・地上に到達し、例えば1km×1kmの面積には毎秒1.6×10の8乗個のミュオンが到達しうる。そこで当該面積をカバーするように減速器2MUDECEを配置した構成を想定した。*当該アレイは地上・海上や空中・宇宙の輸送機器3に備えさせてもよい。水深の浅い箇所ではミュオンが到達しうるから潜水艦や水中の3に搭載できてもよい。
*本願の一つの実施形態では、システムはパルスレーザーを照射可能なシステムであって宇宙ミュオン・高速なミュオンが照射されるシステムであればよい。
<電場を生成する素子を用いたミュオン減速器>
電場を用いる例としてZの小さい原子から構成された電場生成可能な素子(電気二重層生成部を含んでよい)を図20に示す。図20のデバイスは、電場をパルス的に生成できるよう電源部にて電極2ER間にパルス電圧・電位差を印加できてもよい。本願の1つの実施形態として図19(A)の構成は図20のデバイスを用いて行ってもよい。
図20に電場形成した素子の例を示す。図20に記載のシステムにおいて、電極や絶縁体層等にミュオンが入射する場合、入射する箇所にはミュオンをトラップしにくい・弱い相互作用しにくい、原子番号Zの小さい原子からなる減速器・減速用の素子を用いてよい。
A:一つの形態として、絶縁性の高いダイヤモンド等絶縁体2LZIとカーボン電極2ER(又は金属リチウム、又は金属リチウムの網目状・グリッド状の電極・金属リチウム集電体と炭素電極を組み合わせたもの)を交互に積層し電圧を印加して構成された減速素子2FDELE。又はパルス電源とシート型の減速セル素子を用いた構成。(例1:電極に炭素電極やリチウム金属電極を用い、絶縁体部に絶縁体圧の高いダイヤモンドを(数百ナノメートル、数マイクロメートルの厚みで堆積し)用いてよい。そして前記の絶縁体をはさんだ前記電極からなるキャパシタ部を直列に接続した素子2FDELE-LAM(直列接続したキャパシタ部、直列接続の積層キャパシタ)を構成してもよい。前記素子2FDELE-LAMの上下電極にパルス電圧を印加してもよい。又は素子2FDELE-LAMの各素子2FDELEの電極に個別に電圧を印加してもよい。例2:絶縁体2LZIはガスないしは液体であって、前記Zの低い炭素・水素等の原子からなる絶縁性のある溶媒・流体(当該液体の例として、例えば炭素と水素から成る絶縁耐圧がヘリウムや空気より高いベンゼンが例として挙げられる)。例3:絶縁体はポリエチレン等の前記Zの低い原子からなる高分子。)(例:絶縁体は真空。*ダイヤモンドより絶縁体圧が低く、素子が大きくなる虞有)
前記2FDELE、前記素子2FDELE-LAMは減速部でもよいし、ミュオン減速部であって減速したミュオンM1・M1Lを結合させるターゲット部を兼ねてもよい。ミュオンを減速させつつミュオンが結合しうるために核変換させたいターゲットT1・FEEDとなる原子やその化合物分子を前記2FDELE、前記素子2FDELE-LAMに含ませて良く、例えば絶縁体の層は炭素12や水素や窒素15等の本願主張の核融合・核変換を起こしうる原子を含んでいてよい。
(また以下Bではアザン等の溶媒、アザンなどの溶媒に電解質を含ませた溶媒を絶縁部兼減速器兼ターゲットT1・FEEDとするために、電気二重層と電気二重層電場を用いるキャパシタ素子を用い前記素子の電気二重層部や電解液・電極を構成する原子分子はT1・FEEDとなってもよい構成である)
B:一つの形態として、図18の(B1)に記載の電気二重層キャパシタのような電気二重層を用いるキャパシタ素子2FDELE-EDLを用いてよい。(イオン化冷却の箇所では吸収体にミュオンを吸収通過させているが、該項目Bでは電気二重層を形成するイオン部・電場部にミュオンを吸収又は通過させミュオンを減速させようとしている。該項目Bでは吸収体を電気二重層を形成するデバイスまたは電気二重層まわりのイオンや原子分子としている。)
例えば活性炭等の多孔質な炭素微粒子を分散させたペーストを塗布し製膜して得た多孔質膜2ER-MPIを電極2ER上に形成し、当該多孔質膜2ER-MPIに電解液2ELYTを含ませて図18の(B2)のような電気二重層キャパシタ型の素子2FDELE-EDLを構成してよい。当該素子2FDELE-EDLの2つの電極2ER間に電位差をかけて多孔質膜2ER-MPIに電気二重層2EDLを形成される。電気二重層の部分は絶縁体でありキャパシタの誘電体層に相当する。電気二重層2EDLの部分は電場が形成されうるためミュオン減速の電場に用いることを試みてよい。
<電解質>2EDLには電解液2ELYTに含まれる電解質のイオンが配列しており、(2EDLの該電場にてミュオンが減速できると仮定した場合には、)前記イオンの原子と該電場で減速されたミュオンが結合し前記イオンの原子が核変換・核融合しうるので、電解質のイオンは本願記載のミュオン核融合・ミュオン核変換を行うと想定する原子分子から構成されていてよい。例えば電解質に窒素15と水素を含むイオンを用いてよいし、ホウ素と水素を含むイオンを用いてよい。
窒素15と水素を含むアンモニアや窒素15と水素と炭素12を含むアンモニウムカチオンとフッ素アニオンを含む塩を電解質にも用いてもよい。
(フッ素とホウ素からなるテトラフルオロボーレートBF4アニオンを用いた場合に、前記アニオンのホウ素とフッ素を核融合させフッ素よりZの大きい原子ができた場合には当該Zの大きい原子によりミュオンがトラップされかねないので、アニオンについてZの大きくならない原料原子・分子を用いてよい。またカチオンについてもZの大きくならない原料原子・分子を用いてよい。他方、BF4アニオンを用いてもミュオンが負イオンのBF4アニオンにトラップされにくい場合も想定され、その場合はBF4アニオンはZの小さいBとFからなるアニオンでありミュオンをトラップしにくい可能性もあり、電解質のアニオンに利用できるかもしれないので本願では利用できてもよい。電解質にZの低いアニオンとカチオンからなる塩、例:テトラエチルアンモニウムとテトラフルオロボーレートBF4等を用いてよい。)*電解液2ELYTはイオン液体に用いられるカチオン・イオンを含んでもよい。
*2ELYTの電解質に単純な塩としてフッ化リチウムLiFを用いてもよい。水素化リチウムLiHを溶かせる溶媒には水素化リチウムを溶かして電解質に用いてよい。
*核融合・核変換前後で原料原子よりも生成する原子の原子番号Zが低下する系(水素同士の核融合によりヘリウムが生じるZが増加する系の逆、窒素15と水素やホウ素と水素が核融合してヘリウムを生成する系、炭素12がヘリウムへ核変換する系)について考慮すると、素子2FDELE-EDLは多孔質電極2ER-MPIに炭素12を用い、電解液2ELYT側に水素と窒素15を含むアザンの溶媒にLiFを溶解させた系が想定される。(リチウムとフッ素はイオンの形でアザン溶媒中を分散しており、フッ素はアザン中の水素と核融合してアルファ線となりうる。)電解液に水素化リチウムを溶かせるジエチルエーテル等の場合、リチウムカチオンとヒドリドアニオンの状態で溶媒内にイオンとして存在できうる。水素化リチウムをアンモニアに反応させるとリチウムアミドを生成する。
*リチウムアミドLiNH2は液体アンモニアに可溶であり、LiNH2はリチウムカチオンLi+とアミノアニオンNH2-からなる。液体のアンモニア(・液体のアザン)にリチウムアミドLiNH2を溶解させたものを絶縁体・電解液2ELYTに用いてもよい。
炭素電極とアザン溶媒を用いる素子系(2FDELE-EDL)について、アザン溶媒の電解質にLiFを用いるとき、(金属リチウムや炭素の集電体を用いる場合であって)炭素電極の炭素やアザン溶媒側の水素と窒素の原子よりも電解質LiFのフッ素原子はZや有効核電荷が大きいのでミュオンがトラップされる虞がある(素子系の最も大きいZの原子はフッ素となり、フッ素が水素と核融合しヘリウムに変換されない場合にはミュオンがフッ素にとどまり核変換反応が停止する虞がある)。他方、本願の一つの形態として、電解質にLiFの代わりにLiNH2を用いた場合、素子系内には窒素よりもZの大きい原子を用いないのでミュオンがトラップされにくい・核変換が継続して起きることを期待する。(当該LiNH2のアニオン部NH2のNにミュオンが結合してもNとHの間で核融合させることを期待できる。)
<電極>2EDLは多孔質膜2ER-MPIと電解液2ELYTに接しており、2EDLにてミュオンを減速したのち炭素12で構成された多孔質膜2ER-MPIにミュオンが到達すれば炭素12をミュオン核変換できるかもしれないので本願で多孔質膜2ER-MPIは炭素12からなる炭素電極を用いてよい。
電極2ERは集電体として作動させる目的で金属リチウムのグリッド電極や導電性の高い炭素材料(例:カーボンナノチューブ)を含んでよい。(2ERには弱い相互作用によりミュオンをトラップしやすいZの大きい鉄・銅・銀・金などは利用しにくい虞がある。本願の実施形態の一つではZの低い集電体として金属リチウム・炭素材料を用いている。ただし、電極を細線かつグリッド状に備えさせ素子に飛来・入射する宇宙ミュオンSM1・高速でもよいミュオンM1・M1Fと確率的に接触・トラップしにくい構造であれば2ERの集電体に銅・銀等を用いることも可能かもしれないので本願の別の実施形態では集電体・グリッド電極部は金属リチウム・炭素材料に限定しているわけではない。)
<電解液>2EDLは電解液2ELYTに接しており、2EDLにてミュオンを減速したのち電解液や2EDL近傍の分子原子の原子に減速したミュオンM1Lが到達し結合できれば、当該原子や原子同士をミュオン核変換・核融合できるかもしれない。そこで例えば電解液2ELYTは窒素15や水素を含むアザン・ヒドラジンを含んでいてもよい。また電解液2ELYTは窒素15と水素や炭素12からなる有機溶媒を用いてもよい。
*水素原子と酸素原子のミュオン核融合が起きうる場合には2ELYTは水を用いてよいし、2ELYTは酸素を含む溶媒を用いてよい。(2ELYTはアザンなどの核融合反応を起こしやすい期待のある溶媒を用いてよい)
(他の例としてZの小さい原子からなる有機分子を用いた有機電解液・有機溶媒)
2ER-MPIの機能部として、前記多孔質膜の上下に電極を配置し前記電極間に電圧を印加して構成された減速素子。
核変換後の生成物が核変換前の生成物よりも小さいZを持つ材料で素子を構成。(例:(B)のデバイスにおいて、H、Li、B、C、N、O、F、Ne。炭素電極、アザン溶媒、LiF電解質を溶かした溶媒、電解質溶かした溶媒に浸した多孔質膜電極に電圧印加して電気二重層を生成。前記電気二重層生成した多孔質膜をさらにレイヤー上に重ねてミュオン減速部とする)
(絶縁体2FDELE-EDL-MPI。多孔質炭素電極2ER・2ER-MPIに電解液電解質添加したもの。2FDELE-EDL-MPIの例として窒素・窒素15や水素等の前記ミュオン核融合・核変換の原料原子となる原子を含む電解液2ELYTを含んでよい。)
例:LiF・LiNH2等の電解質を溶解させた水・アザン等のZの小さい原子分子からなる電解液2ELYTを2つの炭素12多孔質電極部2ER-MPIではさみ、多孔質電極内に電解液を浸し、キャパシタ素子2FDELE-EDLを構成し、当該素子2FDELE-EDLの2つの多孔質電極間に電源部を用い電圧を印加し、該多孔質電極膜と電解液の界面に電気二重層を形成し、該電気二重層部に生じる電場をミュオン減速用の電場に用いることを試みてよい。
前記素子2FDELE-EDLを直列に層状・多段式に積層・接続し素子積層体2FDELE-EDL-LAMを構成してよい。
素子積層体2FDELE-EDL-LAMの前記積層方向に横断・横切る・入射する高速なミュオンM1を素子積層体2FDELE-EDL-LAMを横切るときに減速させるように構成してよい・試みてよい。*電気二重層型の素子2FDELE-EDL-LAMは一つの例であり、単純に減速用の電場が減速セル・素子により形成できるならばそれを用いてよい。
図20は電場形成した素子の例(太陽電池風な面型素子の例)(図20の多孔質電極2ER-MPIは炭素粒子を固めた電極でもよい。2ER-MPIは活性炭のような多孔質・表面積の大きい電極。2ER-MPIは電気二重層キャパシタの電極のようなもの)
●C:そのほかに、焦電体を温度変化させ電場を生じさせ核融合用の燃料原子・イオンをターゲットに加速させ衝突核融合させる焦電核融合に関連して、(若しくはX線を得るために焦電体で電子(負ミュオン)を加速させX線発生用のターゲット部に衝突させ制動放射によりX線や粒子線を生じさせうるX線源のデバイスに関連して)焦電体を加熱・冷却することで高温側と低温側に電圧差・分極(・電場)を生じるがその分極P・電場2PYR-EFをミュオンの減速電場として用いて減速器2MUDECEを得ることを試みることもできる。(図19の(B)の焦電体デバイス2FDELE-PYR箇所。)
(公知例ではポリフッ化ビニリデンPVDF等がZの小さい炭素・水素・フッ素から構成できる焦電体である。)
図19(B):冷却時-Z面は負に帯電し電子・ミュオンをT1部に加速。*焦電体2PYR内部で+Zと-Zの間で温度変化による電場を形成し、2PYR内部の前記電場を用いて2PYRに入射するミュオンを減速することを試みてもよく、その際に2PYRは減速したミュオンと結合するT1、FEEDとなりえる。
*2PYRはZの低い物質でできた焦電体でもよい。(例:ポリフッ化ビニリデン)
図19(A):電場形成した素子を用いる構成。パルスレーザーとプラズマ・レーザー航跡場を用いた減速器をアレイ・面型に配列してよい。または加速器をミュオンの減速させる方向にアレイ・面型に配列して減速器アレイとしてよい。
電場形成した素子は、電場を生じる減速セル、絶縁体・誘電体・焦電体(・強誘電体・圧電体)と電場を生じる手段(絶縁体・誘電体のキャパシタ素子の場合の絶縁体・誘電体と電極・電位の変化制御手段、焦電体デバイスの場合の温度変化制御手段、電極・電位の変化制御手段)を有していてよい。
T1-2BMU:磁場Bに巻きつくような回転運動(サイクロトロン運動)するミュオンとそれの触れ合うT1の箇所(ミュオンとT1の反応面積を増やすためミュオンを磁場Bを印加して回転させT1内でミュオンをかき混ぜる)
例えばミュオンが一定の箇所に入射・静止し(その後電子が熱運動で動くように熱運動などで)ミュオンが拡散して周囲の核変換材料を核変換させる場合、周囲の原料と反応しつくしてしまうとミュオンは反応可能な原子と接触できなくなり核変換が停止・減速する虞がある。そこで磁場Bを2COILにてターゲットT1やT1に照射中のミュオンに印加してミュオンをサイクロトロン運動(回転運動)をさせ、(T1に照射する前から回転させてもよく)T1内でミュオンを磁場により回転させることで、ミュオンはT1-2BMU部のようにT1内を回転・移動しながら核変換の原料となる原子と結合し核変換反応を持続してさせる。
【0084】
<宇宙線からミュオンを得ることの可能な輸送機器3・宇宙船3・宇宙構造物・居住区3>
図21に宇宙線を受けて中間子・ミュオンを生成し利用可能な輸送機器3・宇宙船3・宇宙構造物3の説明図を記載する。前記機器3・構造物3は図18から図20に記載のミュオンの減速器アレイを備えていてよい。
*輸送機器3に加速器を搭載し、当該加速器を用いて粒子を加速・衝突させ中間子・パイオン・ミュオンを生成してミュオンを用いた核変換システムに用いてもよい。
*他方、当該加速器は宇宙空間で建造する際に精密な加速器の部品を部材打ち上げする際に精密な構造を守りつつ(地上から宇宙へ)輸送するためコストがかかるかもしれない。
そこで本願の一つの実施形態では宇宙線を用いて宇宙船内にてミュオンを生成させミュオンを減速回収しターゲットT1に投入する核変換システム1EXP-SYSを構成することを試みてよい。
この時1EXP-SYSは(例えば月面の太陽光の届かない箇所でも駆動する動力源であって、)宇宙線を用いた原子力電池・ミュオン核融合電池・ミュオン核変換電池の動作を想定する。
当該宇宙線(COSRAY1)を輸送機器又は構造物3において宇宙線受部にて受けて宇宙線ミュオン変換部2MU-COSRAYにて中間子・パイオン・ミュオンを生成させ、前記ミュオンを(減速器2MUDECEにて減速して)回収し、前記ミュオンをターゲットT1に輸送・照射してよい。
*イメージとしては、(太陽光発電で用いる自然の日光を大面積の太陽電池・光電変換素子で受け止めて電気回路で集めて電力として用いるように、)例えば大型の宇宙居住区に、大面積でもよい天然の宇宙線を受け止める宇宙線ミュオン変換部2MU-COSRAYと、当該変換部より生じたミュオンを減速する減速器アレイ部を備えさせて、(大面積の宇宙線・ミュオンを捕まえる網のようなものと、ミュオンを減速して回収する回路のようなものを用いて、)宇宙線より低速なミュオンをハーベストしてターゲットT1に照射し核変換や発電に用い、構造物3の電力供給・推進に用いる。
*公知の加速器を用いたミュオン生成装置については数センチメートルのビームあたりに毎秒1千から1億個のミュオンを生成しうる。他方地上・上空では宇宙線由来のミュオンは掌に毎秒1つ降り注いでおり、手のひら1千個分の面積・ゾーンにわたりミュオンの減速部アレイとミュオンの捕獲部・捕獲回路とターゲットへのミュオン投入部を構成できれば毎秒1千個のミュオンを加速器を用いずに核変換に利用できるかもしれないので、本願では宇宙線や宇宙ミュオンを大面積に利用・減速・捕獲する系を提案する。当該ミュオンを本願の核変換システム(核融合・核変換による発電用途、LLFPの核変換用途)に利用してよい。
*宇宙線と衝突する標的部・ミュオン標的部(SMR1、2MU-COSRAY)を宇宙線・人工衛星・宇宙探査機・宇宙構造物等の輸送機器3に備えさせて良く、当該標的部は気体(ヘリウム・水素原子、大気の酸素・窒素原子を含む)を含んでもよい。当該標的部は水等の液体を含んでよい。
<宇宙線源>宇宙線(加速された陽子・ヘリウムイオン等)の源として太陽系外・太陽系内から飛来する宇宙線を用いてよい。(現在高エネルギー・高速の宇宙線の一部の起源については超新星衝撃波又は超新星爆発、超新星残骸等に起因すると考えられている。太陽系外の超新星などの天体の活動により生成し飛来する宇宙線を用いてよい。)
太陽系の外であってもミュオン・中間子を生成できうる高エネルギーな天然の宇宙線が得られるならば、太陽系外を航行可能な探査ロボット・探査船3に図21に記載の宇宙線COSRAY1を宇宙線中間子パイオンミュオン生成部SMR1にて受けて粒子衝突させ中間子ミュオンを生成し、高速でもよい前記ミュオンM1・M1Fを減速器2MUDECEにて減速し、減速されてもよいミュオンM1・M1L得て、前記ミュオンM1・M1Lをミュオン核融合・ミュオン核変換用のターゲット部T1に照射・投入しターゲット部原子・分子をミュオン核融合・ミュオン核変換させる核変換システム1EXP-SYS・核融合システム1F-SYSを構成・実施してよい。
この時、太陽や恒星の日光の届かない太陽系外宇宙空間であっても、当該核変換システム1EXP-SYS・核融合システム1F-SYSは宇宙線を用いた原子力電池・ミュオン核融合電池・ミュオン核変換電池として動作することを想定する。
前記システム1EXP-SYSを搭載した太陽系外をゆく探査ロボット3の動作時間を延長できるようにする。探査ロボット3は図21図5のように例えば炭素や窒素等を有する地球型惑星・天王星型惑星・氷型惑星・ガス型惑星等天然天体や小惑星より燃料となる窒素や水素・炭素・ホウ素などの核融合・核変換に必要な原子・T1・FEEDを採取してもよい。
(MERITリングを用いて負ミュオン1個を生成にするに必要なエネルギーは5GeV/1負ミュオン以上とされる。*バンアレン帯内に5GeV以上の加速された陽子・宇宙線が存在する場合には、宇宙ミュオン生成に用いることができる。バンアレン帯(ヴァン・アレン帯)の内側の陽子の多い帯に何らかの陽子衝突ミュオン標的を備えた電子計算機・制御部などは放射線に対し遮蔽された人工衛星的なものを配置して、ヴァン・アレン帯の内側の陽子を宇宙線として衝突させ得た宇宙ミュオンSM1を当該人工衛星でのミュオン核変換・核融合に用いてよいし、当該宇宙船から他の宇宙空間や地上側に向けて当該宇宙ミュオンをビームなどの形態で照射・利活用できてもよい。)
*バンアレン帯の内側・内帯に陽子が多いとすれば、バンアレン帯の陽子をミュオン標的とし、バンアレン帯の陽子に人工的に加速された陽子やヘリウムを加速衝突可能な加速器部分を搭載した人工衛星・宇宙構造物をバンアレン帯の宇宙空間に配置し、バンアレン帯の陽子をミュオン標的として用い粒子衝突により中間子・ミュオンを生成してもよい。
【0085】
<ミュオン・宇宙線の取り除かれた容器の利用>
宇宙線・ミュオンを取り除いた・減衰させた箇所で計算機や処理装置・記憶装置を動作させて良い。減速器2MUDECEを用いて宇宙線・ミュオンを減速させ減少させた箇所・取り除いた箇所(LM1Z:ミュオン減衰・除去区画)で計算機や処理装置・記憶装置を動作させて良い。
(*宇宙ミュオンの到達を防ぐよう地中の原子によりミュオンをトラップさせうる、地中に、若しくは地下660m以下の地中に計算機を配置することで計算機の素子へのミュオンの影響を低減できるかもしれない。地中を取り囲む地球の地面は高Zな原子(ケイ素や鉄など)を含んでおりミュオンを減衰させうるので高Zな物質・地面でできた地下の区画に計算機・電子計算機・量子計算機を設置して動作させて良い。)
トランジスタ等半導体素子で構成された処理部と記憶部、電子計算機はミュオンの影響を受けうるのでミュオンを減少させてよい。(量子状態にある素子・量子ゲートを含む計算回路を用い演算する量子計算機もミュオンの影響を受けうるのでミュオンを減少させてよい。)ミュオン・宇宙線の取り除かれた箇所LM1Zに計算機計算・処理部・記憶部を配置することによりミュオンが計算機素子や計算機計算・処理部や記憶部に干渉・破壊することを防ぐ)
<3次元若しくは大型化した処理部・計算部へのLM1Zの利用>
半導体素子や量子ゲート素子を3次元に積層した場合、半導体・量子ゲートデバイスがミュオンの衝突ターゲットになる領域が高さ方向に増大することで、当該3次元積層素子を含むコンピュータシステム(サーバー)は、ミュオン等の宇宙線によるエラーを受けやすくなる虞がある。そこで、ミュオンを遮蔽・減少させるために、ミュオンを減少させたLM1Zに素子を3次元に積層した処理部や記憶部を含むコンピュータシステムを配置して動作させて良い。
<ミュオンを用いない実験環境>
(*宇宙ミュオンの到達を防ぐようカミオカンデのように大深度、地下660m以下の地中に配置されたレーザーによる慣性核融合発電部は宇宙ミュオンが到達しにくく用いにくい事が予想できる。他方地上・空中に配置したレーザーによる慣性核融合発電部は宇宙ミュオンが到達できミュオンを核融合に用いることが可能かもしれない。ミュオンを減速・減衰させミュオンの到達を防ぐように、地球や月等天体の地中・Zの大きな原子から構成された地面の地中660mないし当該地殻の地中にて計算機・電子計算機・量子計算機を設置し稼働させて良い。)
【0086】
<炭素12の核変換の補足事項、炭素13等の炭素12の核変換を阻害しうる原子核による反応減速>
*地球上の天然の炭素は約98.9%の炭素12と1.07%の炭素13と微量の炭素14を含む。本願の一つの形態では天然の炭素に含まれる同位体存在比と比べて炭素12の存在比が高く炭素14・炭素13の存在比が低いターゲットT1を用いてよい。
<ミュオンと弱い相互作用して炭素原子核内の陽子が中性子に代わる場合>
炭素12・炭素13・炭素14は弱い相互作用で核内の陽子がミュオンと結びつき中性子に変わり、ミュオンの寿命よりも長い同位体の半減期・寿命を有するホウ素12原子核(12B、半減期20.20ミリ秒)、ホウ素13(13B、半減期17.16ミリ秒)やホウ素14(14B、半減期12.36ミリ秒)を生成する可能性がある。
ホウ素13は17.16ミリ秒で約99.74%の確率で炭素13に崩壊し、約0.26%の確率で炭素12に崩壊する。ホウ素14は12.36ミリ秒で約99.74%の確率で炭素13に崩壊し、約0.26%の確率で炭素12に崩壊する。
炭素12についてもミュオンと炭素12原子核の相互作用によりミュオンが炭素12原子核内の陽子と結びつき中性子とニュートリノが形成され、炭素12原子核はホウ素12原子核になりうる。ホウ素12は20.20ミリ秒の半減期で約99.4%の確率で炭素12となり、約0.60%の確率でベリリウム8(その後2つのヘリウム4)となり崩壊・変換される。
<ミュオンと結合し励起した炭素原子核が崩壊するとき>
ミュオンが炭素12原子核と結合し励起した炭素12C*になりその後3つのヘリウムに核変換されうる。
炭素12と炭素13は基底状態では安定な原子核である。炭素14は半減期約5700年でベータ崩壊して窒素14原子に崩壊する。
ミュオンが炭素12と結合したとき、炭素12は励起され3つのヘリウム原子核に核変換される事を本願では想定している。
*炭素12原子核は3つのボーズ粒子であるアルファ粒子からなるスピン整数倍のボーズ粒子であり、炭素12原子核は基底状態から7.5MeV付近にホイル状態を持つとされる。ホイル状態は3つのアルファ粒子がボーズ・アインシュタイン凝縮した状態であると考えられている。*本願ではミュオンと結合した励起された炭素12原子核(12C*)はホイル状態かそれよりもエネルギーの高い励起状態に励起されており、前記励起後に3つのヘリウム原子に核変換される想定である。
*炭素13原子核はスピン0の3つのアルファ粒子にスピン1/2のフェルミ粒子の中性子が一つ不純物として含まれており、炭素13原子核をホイル状態かそれよりもエネルギーの高い励起状態に励起するために必要な励起エネルギーは炭素12の場合と比べ大きくなる可能性がある。そこで炭素12のほうが炭素13よりも励起エネルギーが少ない(そして炭素からヘリウムへ核変換させやすい)可能性があるので炭素12を多く含み炭素13を減少または取り除いたターゲットT1を構成してよい。
炭素13原子核は3つのアルファ粒子とスピン1/2の中性子1つを含む粒子(フェルミ粒子)である。炭素13はおそらく励起エネルギーは炭素12より炭素13のほうが高いと考えられる。
炭素原子をヘリウム原子に変換しえる励起エネルギーは炭素13より炭素12のほう小さく済み炭素13より炭素12のほうが励起エネルギー小さく核変換されやすく、炭素13は核変換されにくい・触媒毒的になると本願では想定するので、炭素12と炭素13を含みえる炭素ターゲットにおいて炭素13の存在比を減らしたほうがミュオンを触媒のように用いた核変換反応は進みやすいと考える。
炭素ターゲットについて炭素12に対し炭素13のようなヘリウム原子核へ変換するのに必要な励起エネルギーが高い原子を含んでいるとミュオンによる核変換反応が阻害される可能性があるので、前記阻害される原因になりうる炭素13等の原子核を減少させるか取り除いたターゲット部T1を構成してよい。
*炭素14原子核は3つのアルファ粒子とスピン1/2の中性子2つを含むボーズ粒子である。(炭素14はアルファ線を単位として分割しようとすると3つのアルファ線と2つの中性子に分割されそうだが、3Heに加えて2つだけ中性子が生じるのは起きやすい工程か不明であり、また核変換反応により中性子が2つでてくるとすればその中性子はT1やその炉心周りに放射されT1や炉心の材質を中性子で放射化しそうなので好ましくない恐れもある。炭素13もアルファ線を単位として分割しようとすると3つのアルファ線と1つの中性子になりそうだが、1つだけ中性子が生じるのは起きやすい工程か不明であり、また中性子が1つでてくるとすればその中性子はT1やその炉心周りに放射されT1や炉心の材質を中性子で放射化しそうなので好ましくない恐れもある。中性子が生じうることは好ましくないと考える場合、炭素12のみからなるT1を用いるほうが良い場合がある。そこで本願の一つの実施形態では炭素を用いたターゲット部T1について炭素12のみからなるターゲットT1を構成してもよい。他方、本願の別の実施形態では炭素12のみからなるターゲットT1ではミュオンが触媒となって次々と炭素12を核変換し止まることなく爆発的に反応が起き発電の用途に利用しずらいかもしれないので、炭素12に意図的に炭素13を触媒毒的な原子としてブレンドし炭素13を触媒反応の停止原子として用いる形態も考えられる。)
(*炭素12のみからなるターゲットにごく微量のミュオン触媒核融合・ミュオン触媒核変換の反応の触媒毒となる原子をドープしてもよいかもしれない。例えば炭素12からなるターゲット(炭素12からなる炭素材料のターゲットT1に)にZの大きいトラップポイントとして有効核電荷の大きい鉄FeやタングステンWや鉛Pb、ビスマスBiのようなZの大きい原子核を意図的に・ごくごく微量ドープする等も想定される)
**炭素12のみではミュオンが炭素12に結合しヘリウムに変換される反応が連鎖されうるが、炭素13をそこにブレンドすることにより反応が減速・停止されるかもしれない。
炭素13とミュオンの結合しても励起エネルギーが高いなどの観点で炭素からヘリウムへの変換が起きにくいかもしれない。
例えば炭素12が99%で炭素13が1%の炭素ターゲットT1にミュオンを照射投入した場合に炭素12が99個に対し炭素13が1個の割合でT1にはあって、(炭素12が99個と炭素13が1個の計100個の集団について、)ミュオン触媒核変換反応は運よく炭素13に最後に到達するとき炭素12を99個だけヘリウムに崩壊させうる。
同様に炭素12が99.9%で炭素13が0.1%の場合、ミュオン触媒核変換反応は運よくミュオンが炭素13に最後に到達するとき炭素12を999個だけヘリウムに崩壊させうる。(同様に炭素12が99.99%で炭素13が0.01%の場合、炭素12を9999個だけヘリウムに崩壊させうる。)
炭素ターゲットT1に含まれるミュオン核変換(ミュオン触媒核変換)の原料原子・核変換燃料原子である炭素12と、ミュオン核変換(ミュオン触媒核変換)の触媒毒原子の炭素13の割合を制御することで炭素T1内でのミュオン核変換(ミュオン触媒核変換)の触媒反応数・反応のサイクル数を変えることができるかもしれないので、本願では炭素ターゲットに含まれる炭素12の割合と炭素13の割合を制御できてよい。
天然の炭素12と炭素13の存在比に対し炭素12の存在比を増加させたものをターゲット部T1に用いてもよい。例えば炭素12が98.9%以上含まれる(例:炭素12が99.9%以上、99.99%以上含まれる)ターゲットT1を用いてよい。
**炭素14は崩壊してZの大きい窒素14に変化し、窒素14はミュオンをトラップしうるので、炭素を用いるターゲット部T1において、含まれていない又は含まれる量が少ないことが好ましい。
地球上での自然界に存在する炭素14は超微量で、その存在比率は炭素12のわずか10億分の1程度である。 しかし炭素14はミュオントラップ後に何らかの形でベータ崩壊する方向に向かうと安定同位体の窒素14となり、窒素14は有効核電荷が炭素より大きいのでミュオンをトラップしミュオン触媒核変換・核融合反応を停止させうるので、好ましくは炭素14を取り除いた炭素12を含むターゲット部T1を用いることが好ましい。
*他方、炭素から炭素13や炭素14を完全に取り除いてしまうと炭素12のミュオンを用いた核変換反応(ミュオン核変換反応)が起こりすぎてしまう場合も考えられる。そこで炭素12に意図的に炭素13や炭素14をごく微量(・自然界に存在比率よりは少ない量を)含ませてターゲットT1部を構成してよい。炭素12を含むT1部に炭素13や炭素14をごく微量含ませて、炭素13や炭素14を核変換反応をしすぎないように途中で止めるような触媒反応の連鎖反応停止用原子(・触媒毒的な原子)として用いてもよい。
仮にターゲットT1は炭素12のみからなる場合は(炭素12がミュオンと結合しヘリウムに変換されるならば、)T1のすべての炭素12が核変換反応しエネルギーを放出しうるかもしれない。他方、T1の炭素12に炭素13・炭素14を所定の割合ブレンドすることで核変換反応のサイクル数を大きくなりすぎないように制御できるのかもしれない。
【0087】
<他の核融合方式との組み合わせ>
*レーザーによる慣性閉じ込め核融合炉や磁気閉じ込め式の核融合炉等他の核融合の方式に、本願記載の電場(・レーザー航跡場・レーザー)を用いミュオンを減速させ核融合燃料原子部に投入可能とした構成を組み合わせて核融合・核変換を行えるようにしてもよい。
<LLFP等の物質の核変換に用いる場合>
核変換によりエネルギーを生じさせる場合、前述のように手のひらに1秒1つミュオンは到達しておりそれを利用して核変換を試みる。他方、核分裂路の廃棄物LLFPの核変換やミュオンを用い何らかの原子核同士を核融合して別の原子核に変換する場合、必要となるミュオン数が増大する。宇宙空間や地上において宇宙線や宇宙ミュオンを用いて広大な土地・面積にかけて核変換のプラントを備え核変換してもよい。
他方、地上・宇宙において天然の宇宙線・宇宙ミュオンを得るだけでは原子核変換する量が少なすぎる懸念もある。例えば地上において1km四方の宇宙ミュオン捕獲装置を用いて毎秒10の8乗個のミュオンを得てもそれを1年(365*24*3600秒)かけても1モル(6.02*10の23乗個)の原子を核変換する個数には届かない。そのため地上ないし宇宙空間で宇宙ミュオンに頼らず宇宙ミュオンよりも多いミュオンを単位時間・面積当たりに生成できるミュオン生成装置があると好ましい。例えば図15の構成で2HE-FFAG-1STと2HE-FFAG-2NDの粒子加速部について、円形加速器の他にレーザー航跡場を用いる粒子加速器・加速空洞部を用いてプロトン・ヘリウムを加速してミュオン標的に衝突させ中間子・ミュオンを生成してもよい。
【0088】
<発明の効果>上記で述べた事に加え次のように記載する。
*炭素12にミュオンが結合し核変換反応が起きうる場合に、炭素12のみであれば効率的(爆発的・連鎖反応的)に炭素12の核変換反応が起きうるが、本願の考案によれば爆発的に核変換することを防ぎ発電用に制御して反応をさせたいときに、反応の制御停止点となる原子の導入・ドープを行うことができるようになる。
仮に炭素12や窒素15と水素原子にミュオンを投入した場合に核変換反応が起きてその反応が置きすぎてしまう場合に備えて、その反応を制御する手段として反応を停止させる原子(核変換しにくい又は高Zでミュオンをトラップできる原子)を導入できるようになり、安全に核変換システムを運用できるようになる。(原子核分裂炉における核燃料と制御棒の関係のように、核変換原料原子の核変換を核変換を阻害する原子のドープにより制御できうる)
*レーザー航跡場・レーザー又はレーザーとプラズマを用いたミュオン減速器とそれを用いた核変換システムを提案する。
*宇宙ミュオンを用いてミュオン核変換システムを駆動させたいときに宇宙ミュオンを大面積にわたり減速して捕獲しターゲット部に照射する減速素子として、日光を大面積に受け電力を得る太陽電池のような2次元の面上にわたり電子部品に注目し、宇宙ミュオンを大面積に減速し得る面型デバイスを生産する意図で絶縁体キャパシタ素子や電気二重層部を持つキャパシタ素子、焦電体・誘電体によりミュオン減速電場を形成する素子を提案する。
*宇宙線や宇宙ミュオンを用いる宇宙船・航空機や輸送機器は加速器を搭載しなくとミュオンを用いることが可能かもしれない。加速器と人工的にミュオンを生成するエネルギーを消費せずとも宇宙ミュオンを減速して利用できるならミュオン核融合・核変換のエネルギー収支を大幅に改善できるかもしれない。
*他方、LLFP等の放射性廃棄物の核変換の用途では人工的なミュオン生成装置は必要であり、例えば10の16乗個のミュオンを毎秒生成しうるMERITリング方式が開発されている。
本願は宇宙ミュオンのみを利用する発明ではない。本願は人工的に生じさせたミュオンを用いてもよい。宇宙ミュオンが自然現象で増減し利用できない場合や宇宙ミュオンの到達しない場所でも核変換システムを稼働させるためにミュオン生成装置を用いることも重要である。
そして宇宙ミュオン及びミュオン生成装置のミュオンはどちらも高速なミュオンであり、ミュオンを減速し薄い領域・限られたターゲットT1の領域にてターゲット原子とミュオンを結合させるために、本願の考案する減速器を用いミュオンを減速しミュオン核変換に用いる事を試みてもよいかもしれない。
<産業上の利用可能性>上記で述べた事に加え次のように記載する。
本願の考案を用いた炭素12を用いたミュオン核変換システムや、窒素15等と水素を用いたミュオン核融合・核変換システムは、太陽や恒星のような星の日光の届かない恒星間の暗闇の中でも、宇宙空間の宇宙船からミュオンを得てミュオン核変換に用いたり宇宙船内部に搭載されたミュオン生成部とミュオン減速器を用いてミュオン核変換によりエネルギーを得ることができ、恒星間を航行する宇宙船や探査ロボットの動力源にすることができるかもしれない。(宇宙太陽光発電ではエネルギーを得難い日光の届かない箇所でのエネルギー源になりうるかもしれない。)
また宇宙空間の天体に比較的多く存在してもよい炭素や窒素等の低Z原子の資源を探し出し、該原子を採取・回収し、該原子の核変換を行い、宇宙船・構造物の動力源・電力や推進装置の動力源にできるかもしれない。
アルファ線を推進剤に用いて宇宙船3は推進してよい。またアルファ線をAEC部(図21のアルファ線のエネルギーを光子ガンマ線エネルギーに変換する部分AEC)を用いガンマ線・光子を生成し、当該光子を宇宙船3の後方に放出しその反作用・反動により宇宙船3を推進させることで宇宙船3を光子を推進剤とする場合の速度・高い速度まで加速推進できる可能性もあり、宇宙船の動力源及び推進の動力として用いられるかもしれない。
恒星間を宇宙船3が移動すると仮定したとき、アルファ線や光子を推進剤に用いて目的の宇宙空間に推進・移動し到着する。目的の宇宙空間に近づき宇宙船3は減速する必要が生じたときにも宇宙船3のアルファ線や光子を放出する推進装置部を宇宙船3の前方に放出しその反作用・反動により宇宙船3を減速させるよう推進させることで宇宙船3を減速させブレーキングする際の動力や推進減として本願のシステムは用いられうるかもしれない。
目的地までの宇宙船3の加速と減速に必要な核変換原料・燃料を計算し、目的地の中継点近傍で一度減速し核変換用の原料原子を現地の天体から採取し、再度加速しを繰り返して、目的の宇宙空間へ推進する宇宙船や探査ロボットの形態も想定されうる。
【0089】
<図面の簡単な説明><符号の説明>
図18>*レーザーによる慣性閉じ込め型核融合炉について、ミュオン減速をレーザーパルスを用いたレーザー航跡場によるミュオン減速とかけ合わせる構成(パルス式レーザー慣性閉じ込め核融合炉のターゲット部をBやCやN等のZの小さい原子核として用いる系)*MDC-LASER(MDCL)レーザー源、パルスレーザー源*公知のレーザー航跡場加速器用レーザー源
(A)1F-SYS:核融合システム。1EXP-SYS:核変換システム。
MDCL:ターゲット部T1へのレーザー照射部
T1・FEED:ターゲット部T1、原料原子。(図18の場合、レーザー航跡場を形成するためのプラズマのもとになるガス・分子・原子を兼ねてよい)
2MUDECE:ミュオン減速器、粒子の減速器
(B)2LASER-EF:レーザーにより形成されたレーザー航跡場LWF・電場2LASER-EF形成。ミュオンを減速する電場。
2LASER-PLASMA:レーザをT1に照射することにより生じたプラズマ。T1を含んでよく、プラズマでもあるT1にミュオンが減速後に結合してもよい。
SM1:宇宙ミュオン、宇宙ミュオン源
M1:ミュオン、ミュオン源
M1F:高速なミュオン
M1L:減速されたミュオン
(C)広い面積にわたりレーザー航跡場を用いた減速器のアレイによりミュオンを減速し(捕獲し)T1に照射結合させる説明図。
M1、SM1、M1F:高速ミュオン源 (SM1を用いる場合、手のひら1千個分面積などにわたる)
2MUDECE-ARRAY:減速器のアレイ。M1L:減速されたミュオン。T1:ターゲット
(パルス式レーザー慣性閉じ込め核融合炉のターゲットT1部がミュオンが到達可能なT1部であるとき、パルス式レーザによりミュオン減速を行う電場形成されミュオンが電場により減速された場合には、ミュオンとT1部原子が結合することによりT1部原子間のミュオン核融合も併せて行われる可能性がある)
図19
(A)2MDCE-2DFD:2MUDECEの一つの形態として電場形成した面型素子(大面積アレイも可)。当該部分は電場や磁場を形成できてもよい。
2MUDECE:減速器。ミュオン減速器
PWSP:電源部。2MDCE-2DFDへ電圧・電位差を印加する。又は電場をかける手段。(電場や磁場を形成させるときの電源)(焦電体の場合のように温度変化で電場を形成させる場合も温度を起こさせるための電源。温度変化源)
2MUCAP:ミュオンの捕獲部。
LM1Z:ミュオン減衰・除去された区画。2MUDECEにてミュオン減衰させ2MUCAPでミュオンを捕獲除去回収され、宇宙線・ミュオンが到達しない・しにくい箇所。(LM1Zはミュオン減速器と捕獲部から形成してもよいし、天然には高Zの原子を含む地面内部の地中深くの区画でもよい)
T1:ターゲット
T1-2COILB:T1にコイルで磁場を印加する場合の箇所。
2COIL:ターゲット部T1やミュオンに磁場Bを印加させる手段。コイル。
T1-2BMU:T1-2BMU:磁場Bに巻きつくような回転運動(サイクロトロン運動)するミュオンとそれの触れ合うT1の箇所(ミュオンとT1の反応面積を増やすためミュオンを磁場Bを印加して回転させT1ないでミュオンをかき混ぜる)
(B)2FDELE-PYR:焦電体デバイス(焦電体を温度変化させて焦電体に電場を生じさせ、電場をミュオン減速に用いる時の素子。1つの実施形態では、電極にて焦電体・誘電体ではさんだキャパシタ素子の一つの形態ともいえるかもしれない。該2FDELE-PYRは面型・大面積に配置可能な素子でもよい。)
VOLT-C:GND/電圧制御部
T1:ターゲット。FEED。(VOLT-Cで制御されたターゲットT1の電極部2ERでもよい。)
2PYR-EF:焦電体による電場。当該部でミュオン減速されてもよい。
2PYR:焦電体。*2PYRはミュオンのターゲットT1になる場合もある。P:分極。
2PYR-PEF:焦電体内部電場。当該部でミュオン減速されてもよい。
2ER:電極部
TEMP-C:温度変化手段、ヒーター・クーラー部
-Z面:焦電体の厚み・高さz方向について、ターゲット方向、図面上方向。+Z面:ヒーター側方向・図面下方向のZ。
図20
2MUDECE:当該図でキャパシタ素子を用いて構成したミュオン減速器
(A)絶縁体キャパシタに電圧印加し絶縁体に電場形成(ミュオンをトラップしにくい低Z原子で構成された)
2ER:電極(例)低Z原子からなる電極。炭素電極、リチウム金属電極
2LZI:絶縁体(例)低Z原子からなる絶縁体。炭素絶縁体、ダイヤモンド、炭化水素溶媒等
2ERや2LZIはミュオンをトラップしにくい低Z原子でできていてよい。また2ERや2LZIはキャパシタ素子となり電場を形成してミュオンを減速させたときに減速したミュオンと結合するターゲットT1部にもなりうるので、例えば炭素12や窒素15と水素などのミュオン核変換・ミュオン核融合を起こしうる原料原子を2ERや2LZIに含ませていてよい。(例えば2LZIは炭素12を含む絶縁体、2ERは金属リチウムを集電体やメッシュ電極・ブスバー・母線として含む炭素12よりなる炭素系電極)
*2ERは他の回路に接続できてよい。例えば2ERはミュオン減速や利用の支障とならないよう減速部から引き出されて(減速器機能部より離れた)銅やアルミニウムの電線・回路・ブスバーと接続されていてもよい。
2FDELE:電場形成した素子、2LZIを2ERではさんで形成されるキャパシタ素子。*当該キャパシタ素子を複数用いる場合は該素子を電気回路的に直列に接続してよい。
*キャパシタ素子を大面積に配置し宇宙ミュオンを減速する説明図。素子がキャパシタ型シート状デバイスであり、太陽電池風な面型素子となることを期待する構成。
2FDELE-LAM:素子2FDELEの積層体。(2FDELEを電気的に直列に高さ方向・積層方向に接続)
PWSP:電源部。キャパシタ素子2FDELEや2FDELE-LAMに電位差・電圧をかけてキャパシタ素子内に電場を形成する電源部。
(B1)電気二重層キャパシタEDLCに電圧印加し電場形成(ミュオンをトラップしにくい低Z原子で構成された)
2ER:電極
2FDELE-EDL-MPI:電気二重層部を含む部分。多孔質な膜の界面に電気二重層を形成し該電気二重層部を絶縁体・誘電体(に相当する部分)とする部分。多孔質電極。
PWSP:電源部。パルス電源部。
2ERや2FDELE-EDL-MPはミュオンをトラップしにくい低Z原子でできていてよい。また2ERや2FDELE-EDL-MPはキャパシタ素子となり電場を形成してミュオンを減速させたときに減速したミュオンと結合するターゲットT1部にもなりうるので、例えば炭素12や窒素15と水素などのミュオン核変換・ミュオン核融合を起こしうる原料原子を2ERや2FDELE-EDL-MPに含ませていてよい。
2FDELE-EDL:電場形成した素子、2FDELE-EDL-MPIを2ERではさんで形成されるキャパシタ素子・電気二重層キャパシタ素子。
2FDELE-EDL-LAM:素子2FDELE-EDLの積層体(2FDELE-EDLを電気的に直列に高さ方向・積層方向に接続)。
(B2)EDLC部の拡大図
2ER-MPI:多孔質膜、多孔質電極(EG:多孔質炭素電極)、電気二重層キャパシタの多孔質電極。
2EDL:電極部に形成された電気二重層
2ER-MPI-MICRO;2ER-MPIの拡大部、多孔質電極部。
2ELYT:電解液(電解質含)
図21>宇宙線からミュオンを生成しミュオンを減速して核変換及び輸送機器駆動エネルギーに用いる宇宙船・宇宙構造物の説明図。
3:輸送機器3、エネルギー供給対象3(航空機、宇宙船、宇宙構造物、人工衛星、宇宙基地、宇宙居住区、月面基地・月面裏側基地、日光到達しない箇所の構造物を含む)
COSRAY1:宇宙線
2MU-COSRAY:宇宙線を受けて中間子・パイオン・ミュオン生成する部分。ミュオン生成源。SMR1。アレイ状の2MU-COSRAYでもよく、2MUDECEにミュオンが投入できる構成でもよい。
SM1:宇宙ミュオン。宇宙線により生成されたミュオン。
A1:粒子加速器。粒子生成器・照射器M1:ミューオン系、P1:陽子系。
MA1:ミュオニック原子生成部。人工的なミュオン(ミュオニック原子)をミュオニック原子にして減速してもよい。
M1F:高速なミュオン(SM1や高速なM1)
2MUDECE:*MUDECEミュオン減速器、減速器アレイ2MUDECE-ARRAYでもよい。
(2MUDECEはミュオンを捕獲して移動させる部分2MUCAPを含んでもよい。)
M1L:減速されたミュオン
T1-HARVESTER:T1を他の惑星・衛星・天体から収穫する手段、T1の入手先。外部からの燃料採取手段(小惑星、天然天体)
FEEDC1:燃料F1(FEED)、ターゲットT1の供給部。*T1・F1の格納容器・燃料貯蔵部、ターゲット自動取り換え装置、T1・核融合/核変換燃料の供給系。
1R:核変換・核融合の反応炉。1F-SYS:核融合システム。1EXP-SYS:核変換システム。
T1、F1:核変換させたい原子のターゲット部。フィード部。核変換燃料部。核変換の反応部・炉心部。
T1部ではミュオンとT1を結合させミュオン核変換を促す。
HE1:T1にて核変換が起き生成された生成物。例として高エネルギーのヘリウム・アルファ線。
AEC:アルファ線エネルギー変換部。アルファ線のエネルギーを他のエネルギーに変換する部分。例:高エネルギー(高い運動エネルギー)を持つアルファ線の進行方向を(曲げる手段、コイル2COILの磁場などで)曲げてシンクロトロン放射光・制動放射を起こさせ、放射光・ガンマ線・光子(光エネルギー)に変換する部分。(*アルファ線は薄い紙でもその進行を止められる。そこで紙・シートのようなアルファ線を止める部分で止めて制動放射を起こさせてもよい。低Zの原子からなるシート部分でアルファ線を止めて光子を生成させてもよい。アルファ線を停止させたときにガンマ線を生成しそれが炉を放射化させることを防ぎたいので放射化しにくい原子(低Z原子)を用いてアルファ線を止めてもよい。)
*アルファ線と物質原子の相互採用により、原子をアルファ線衝突の励起作用により励起してよいし電離作用(イオン化作用) により原子の電子をはじき出して原子をイオン化させて良い。アルファ線が原子によって散乱される現象を起こしてもよい。
*ガンマ線と物質の相互作用にて光子エネルギーが1.022MeV以上の時電子対生成が起きうる(陽電子と電子の対を生成しうる)ので電子対生成・陽電子生成をAEC部でできてもよい。
AEC部で光電効果を用いてエネルギー変換させてもよい・高速電子(光電子)を生成してもよい。
コンプトン効果を起こして、物質内電子にガンマ線がぶつかって電子が散乱される結果コンプトン電子を生成してもよい。
*光核反応によりAEC部や反応路1R構成する材料の核種が放射性元素に変換されることは避けたいが、高Zの原子核は光核反応で中性子を出して放射性原子核になるパスが多くできうるので使用を控えて低Zの原子核を用いてもよいかもしれない。(ただし、高Z原子のほうがガンマ線の吸収・遮蔽能力は高くできるので高Zの原子を利用しないことに限定するわけではない。)
*T1で核変換が起きアルファ線が生成するときにコイル2COIL磁場にてアルファ線の進行方向をまげて放射光・ガンマ線・光子の生成を促してもよい。
1PRPLT:推進剤。加速推進時に3の後方に噴射放出される推進剤。光子やアルファ線等。また電気推進時やロケット推進を行う場合はその推進剤。(大気中を推進する場合は1THがジェット推進器やプロペラモータが噴出する大気・空気)
1TH:推進手段。(アルファ線を放出する推進機、光子を噴出する推進機、電気推進器等。プロペラモータ、ジェットエンジン等)1TH-NZ:ノズル(1THや1TH-ZLは推進剤を噴出するときの噴出方向をかえることができてもよい。例えば3の加速時は3の後方に推進剤を噴出させ、3の減速時は3の前方に噴射させる)
1GENR:発電部。HE1のヘリウムのエネルギーを用いて発電する部分。
3SYS:3のシステム(電力電気系統、制御系統、3の制御部含んでよい)。1GENRから電力供給を受けてよい。3SYSから3に属する装置・箇所に電力を供給してよい。
図6図6にはジボランを(B)用いた核融合反応系(A)と炭素(C)や窒素(D)を用いたを用いた核変換系の想定図を記載している。
M1:ミュオン生成投入・導入手段(適切な速度の負ミュオン)
(A)において水素とホウ素11からなるジボランに負ミュオンを照射しジボラン中のホウ素11と水素をミュオン核融合させ励起した炭素12原子核(12C*)に核変換したのち、炭素12が3つのヘリウムに変換される。
(C)の(C1)において、炭素12からなるグラファイト・黒鉛やダイヤモンドなどの炭素材料について、ミュオンが炭素材料中の炭素12と結合し励起した炭素12原子核(12C*)を生じた後3つのヘリウムに変換される工程を示している。
(D)においては、窒素15と水素を含むアザン・ヒドラジンに負ミュオンを照射しアザン中の窒素15と水素をミュオン核融合させ炭素原子核(12C*)と1つのアルファ線に核変換する。(その後残された炭素12C*は炭素とミュオンの核変換で3つのヘリウムに変換される。)
(C2)と(C3)はアルカン分子内でミュオンを照射した際の想定図であり、実際にどのように反応が起きるかは確認できていないが、アルカン内の炭素12と水素がミュオン核融合しうる。炭素12原子にミュオンが結合した場合3つのヘリウム原子に核変換されうる。水素原子と炭素原子では有効核電荷・Zは炭素原子のほうが大きい。
*メタンでの炭素-水素の核融合反応例ではガンマ線と窒素13や窒素14を生じえて、窒素13・窒素14は炭素より有効核電荷・Zが大きく、ミュオンを炭素より窒素13・窒素14のほうがトラップしやすく、炭素-水素の核融合反応例ではミュオン核融合反応を阻害しうる虞がある。*他方、ホウ素11と水素や窒素15と水素をミュオン核融合させる場合や、炭素12原子核を励起した3つのヘリウムにミュオン核変換する場合は反応式ではガンマ線の放出はなく、(窒素15の場合に炭素12を生成するが炭素12が励起して3つのヘリウムに変換されるならば)ヘリウムを生成し放出する特徴があり、ミュオン核融合・核変換反応が持続して起きる可能性があり、本願で用いてよい。
【0090】
<<請求の範囲の例>>
<請求項12C1>
励起した炭素12原子核をヘリウムに変換する工程を有するミュオンを用いた核変換システム。
<請求項12C2>
炭素12原子核とミュオンを結合させ、励起した炭素12原子核を生成する特徴を有する請求項12C1に記載のミュオンを用いた核変換システム。
<請求項12C3>
ホウ素と水素をミュオン核融合させたのちに、励起した炭素12原子核を生成する特徴を有する請求項12C1に記載のミュオンを用いた核変換システム。
<請求項12C4>
請求項12C3に記載のミュオンを用いた核変換システムを用いるミュオン核融合システムであって、
核融合反応によって生成した原子・粒子の原子核の電荷が核融合燃料物質の原子・粒子の原子核の電荷より小さい特徴を持つ核融合反応系を用いる、ミュオン触媒核融合システムであって、
前記核融合燃料物質は固体ではない水素化ホウ素若しくは気体の水素化ホウ素を用いるミュオン触媒核融合システムであって、前記水素化ホウ素にミュオンを照射・投入する工程を有する、ミュオン触媒核融合システム。
<請求項12C5>前記ミューオンを照射・投入された前記水素化ホウ素を圧縮する工程を有する 請求項12C4に記載のミュオン触媒核融合システム。
<請求項DECE1>
ミュオンを減速する工程又は減速手段を備え、ミュオンを核変換させるターゲット原子・原料原子に結合可能とする特徴を有する、ターゲット原子・原料原子の核変換システム。
<請求項DECE2>ミュオンを電場・磁場又は電磁場・光子・レーザー航跡場又は加速器にて減速可能な請求項DECE1に記載の核変換システム。<請求項DECE3>ターゲット原子・原料原子にパルスレーザーを照射し電場又はレーザー航跡場を生成可能な特徴を有するターゲット原子・原料原子の核融合又は核変換を行う請求項DECE1に記載の核変換システム。
<請求項DECE4>焦電体をミュオン減速のための手段に用いる請求項DECE1に記載の核変換システム。<請求項DECE5>キャパシタ・キャパシタ内の電場をミュオン減速のための手段に用いる請求項DECE1に記載の核変換システム。<請求項DECE6>電気二重層部・電気二重層キャパシタ・電気二重層内部の電場をミュオン減速のための手段に用いる請求項DECE1に記載の核変換システム。
<請求項DECE7>宇宙ミュオン若しくは宇宙側から地上側に飛来する宇宙線に由来するミュオンを減速させ、前記減速されたミュオンを核変換させたいターゲット原子・原料原子に結合可能な特徴を有する、請求項1に記載の核変換システム。
<請求項MUCYCB1>
減速したミュオンをターゲット部T1にて磁場で回転運動・サイクロトロン運動させT1部でミュオンとT1部の原子を移動・混合する特徴を有する核変換システム。
<請求項MULCP1>ミュオンを減速・減衰させた箇所で電子計算機及び量子計算機・処理装置・記憶装置を稼働させる特徴を持つコンピュータシステム。<請求項MULCP2>ミュオン減速器・ミュオン減速器のアレイを用いてミュオンを減速し除去・減衰させた箇所で電子計算機及び量子計算機・処理装置・記憶装置を稼働させる特徴を持つコンピュータシステム。<請求項MULCP3>鉄やケイ素を含む高Z・高い有効核電荷を有する原子を含む地面を用いてミュオンを遮蔽した地下空間において電子計算機・量子計算機・処理装置・記憶装置を稼働させる特徴を持つコンピュータシステム。
<請求項CSMUSP1>
宇宙線よりミュオンを生成し、前記ミュオンを減速させてターゲット部T1に投入する特徴を持つ核変換システムを搭載した輸送機器であって、宇宙線を輸送機器にて受けることで宇宙線よりミュオンを生成する特徴を有する輸送機器。
<請求項MTPSP1>
ミュオンを用いた核融合又は核変換により生じたアルファ線から光子を得て、前記光子を推進剤として、宇宙輸送機器の加速、減速を行う輸送機器。
<請求項1>
ミュオンを原料原子と結合させ、励起した原子核を得て、前記原料原子よりも有効核電荷又は原子番号の小さい原子に核変換する工程を有するミュオンを用いた核変換システム。
<請求項2>励起した炭素12原子核をヘリウムに変換する工程を有する請求項1に記載のミュオンを用いた核変換システム。
<請求項3>原料原子に炭素12を用いる核変換システムであって、炭素12を含む炭素材料の炭素12原子核とミュオンを結合させ、励起した炭素12原子核を生成する特徴を有する請求項2に記載のミュオンを用いた核変換システム。
<請求項4>ホウ素・ホウ素11と水素をミュオン核融合させたのちに、励起した炭素12原子核を生成する特徴を有する請求項2に記載のミュオンを用いた核変換システム。
<請求項5>請求項4に記載のミュオンを用いた核変換システムを用いるミュオン核融合システムであって、核融合反応によって生成した原子・粒子の原子核の電荷が核融合燃料物質の原子・粒子の原子核の電荷より小さい特徴を持つ核融合反応系を用いる、ミュオン触媒核融合システムであって、前記核融合燃料物質は固体ではない水素化ホウ素若しくは気体の水素化ホウ素を用いるミュオン触媒核融合システムであって、前記水素化ホウ素にミュオンを照射・投入する工程を有する、ミュオン触媒核融合システム。
<請求項6>前記ミュオンを照射・投入された前記水素化ホウ素を圧縮する工程を有する 請求項5に記載のミュオン触媒核融合システム。
<請求項7>窒素・窒素15と水素をミュオン核融合させたのちに、励起した原子核を生成しその後ヘリウムを生成させる特徴を有する請求項1に記載のミュオンを用いた核変換システム。
<請求項8>窒素・窒素15と水素を結合させたアザンにミュオンを照射・投入する工程を有する請求項7に記載のミュオンを用いた核変換システム。
<請求項9>ミュオンを減速可能な加速器又はミュオン減速器を用いてミュオンを減速させたのち、前記ミュオンを、核変換を行う原料物質の原子に投入・結合させる工程を有するミュオンを用いた請求項1に記載の核変換システム。
<請求項10>請求項9に記載の核変換システムを有する輸送機器。
<請求項11>請求項10に記載の核変換システムを有する発電装置。
<請求項12>ミュオンを減速する減速手段として電場又はレーザー航跡場を生成可能な特徴を有する核変換システムであって、ターゲット原子・原料原子にパルスレーザーを照射し電場又はレーザー航跡場を生成可能な特徴を有する請求項9に記載の核変換システム。
<請求項13>ミュオンを減速する減速手段として焦電体をミュオン減速のための手段に用いる請求項9に記載の核変換システム。
<請求項14>ミュオンを減速する減速手段としてキャパシタ又はキャパシタ内の電場をミュオン減速のための手段に用いる請求項9に記載の核変換システム。
<請求項15>電気二重層部・電気二重層キャパシタ・電気二重層内部の電場をミュオン減速のための手段に用いる請求項15に記載の核変換システム。
<請求項16>請求項9に記載の核変換システムを備えた宇宙構造物であって、宇宙線を受けて宇宙線由来のミュオンを生成する宇宙ミュオン生成部を備え、前記宇宙ミュオン生成部より得たミュオンを減速し、原料原子に照射投入し、原料原子と結合させる手段を備えた宇宙構造物。
<請求項17>炭素12からなる炭素材料にミュオンを結合させることでミュオンが触媒となって核変換反応を連鎖的に発生可能である際に、ミュオンを用いた核変換反応が炭素12よりは起きにくい原子、又は炭素13原子、又は炭素よりも有効核電荷・原子番号Zが高くミュオンをトラップ可能な原子を前記炭素材料にドープしている特徴を有する請求項3に記載の核変換システム。
【0091】
本願の考案、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。
図1
図2
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