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特開2024-138242皮膚脳相関を利用する神経変性疾患療法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138242
(43)【公開日】2024-10-08
(54)【発明の名称】皮膚脳相関を利用する神経変性疾患療法
(51)【国際特許分類】
   A61K 48/00 20060101AFI20241001BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20241001BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241001BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20241001BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20241001BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20241001BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20241001BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20241001BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20241001BHJP
   A61K 31/713 20060101ALI20241001BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20241001BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
A61K48/00
A61P25/00
A61P35/00
A61P9/10
A61P25/28
A61P25/16
A61P25/14
A61K31/7088
A61K31/7105
A61K31/713
A61K45/00
A61P43/00 111
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024091385
(22)【出願日】2024-06-05
(62)【分割の表示】P 2021576648の分割
【原出願日】2020-07-02
(31)【優先権主張番号】62/869,788
(32)【優先日】2019-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514137997
【氏名又は名称】オハイオ・ステイト・イノベーション・ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ギャレゴ-ペレス,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】イギータ-カストロ,ナタリア
(72)【発明者】
【氏名】ローレンス,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】コレア,ディエゴ アルザテ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】脳疾患、障害または損傷を有する対象を治療するための医薬を提供する。
【解決手段】医薬であって、治療用遺伝子をコードする核酸配列を含むポリヌクレオチドを含み、前記医薬は対象の皮膚細胞内に送達され、前記治療用遺伝子またはその遺伝子発現産物を含む皮膚由来エクソソームを産生することを含む、医薬が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における神経変性疾患を診断するための方法であって、前記対象からエクソソーム
を単離することと、前記エクソソームを、神経変性疾患の1つ以上のバイオマーカーの存
在、または脳障害、疾患、もしくは損傷に関連する1つ以上の経路の調節異常についてア
ッセイすることと、を含む、方法。
【請求項2】
前記バイオマーカーが、S100A8、S100A9、MAPK13、またはこれらの
組み合わせである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記バイオマーカーが、APP、Aβ、もしくはTau、またはこれらの組み合わせで
ある、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記バイオマーカーが、MAPT、ADAMTS9、AKAP5、AQP1、ARC、
CAMK2A、CASP4、CLEC3B、FAAH、GRIN1、HDAC9、MAP
2K3、S100A8、S100A9、S100B、SLC16A6、SLC1A3、S
LC25A4、SLC30A3、SLC38A2、SLC39A3、またはこれらの任意
の組み合わせである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記バイオマーカーが、Abat、Adamts9、Adss、Akap5、Alox
12b、Ankrd55、Aqp1、Arc、Asb2、Atp6v1b2、Batf、
Cadps2、Camk2a、Casp4、Ccl3、Ccl4、Cd14、Cd93、
Ces1d、Cfi、Chst3、Clec3b、Cpne7、Cpt1b、Crtc2
、Cxcl14、Dhcr24、Dsc2、Dtna、Dusp1、Eef2k、Elo
vl6、Epha2、Epha4、F3、Faah、Fbxo27、Fbxw9、Fkb
p5、Fndc5、Fndc9、Gabra3、Gba、Gcnt2、Ggct、Ggp
s1、Grin1、Gsto1、Hdac9、Hmox1、Icam1、Igfbp2、
Igfbp6、Il1b、Il31ra、Irf1、Itsn2、Kif9、Lama5
、Ldb3、Lep、Lor、Lrrc39、Malat1、Map2k3、Mfap4
、Mfng、Mybpc2、Myo5b、Myot、Nalcn、Nap1l5、Nfk
b1、Nfkbiz、Nhlrc1、Nos2、Ogn、Pclo、Pcyox1l、P
ecam1、Per2、Pfkm、Pgr、Piezo1、Pik3cg、Pim1、P
laur、Pld3、Plk2、Pmm1、Ptgs2、Rab3c、Rbfox1、R
hebl1、Rnase2b、S100a8、S100a9、S100b、Selp、S
lc16a6、Slc1a3、Slc25a4、Slc30a3、Slc38a2、Sl
c39a3、Smtn、Sowahc、Spon2、Spp1、St3gal3、Stk
36、Stoml1、Stx11、Tacstd2、Tbl1x、Tcf7l1、Tep
1、Tgfb2、Tgfbr1、Tmem198、Tnfaip3、Tob2、Trim
45、Trim54、Unc5d、Vipr1、Zbtb16、およびZc3h12c、
またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるアルツハイマー病のバイオマ
ーカーである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記脳疾患が、神経変性疾患である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記神経変性疾患が、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、筋萎縮性
側索硬化症(ALS)、およびハンチントン病(HD)を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記脳疾患が、脳がんである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記脳疾患が、脳卒中または虚血である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記脳損傷が、外傷性脳損傷である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
脳疾患、障害または損傷を有する対象を治療するための方法であって、前記対象の皮膚
細胞に治療用遺伝子をコードする核酸配列を含むポリヌクレオチドを細胞内送達して、前
記治療用遺伝子またはその遺伝子発現産物を含む皮膚由来エクソソームを産生することを
含む、方法。
【請求項12】
前記脳疾患が、神経変性疾患である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記神経変性疾患が、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、筋萎縮性
側索硬化症(ALS)、およびハンチントン病(HD)を含む、請求項12に記載の方法
【請求項14】
前記脳疾患が、脳腫瘍である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記脳疾患が、脳卒中または虚血である、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記脳損傷が、外傷性脳損傷である、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記治療用遺伝子が、血管新生因子である、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記血管新生因子が、Etv2、Fli1、VEGFA、VEGFB、VEGFC、V
EGFD、bFGF、Sox17、Oct4、Klf4、またはこれらの任意の組み合わ
せを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記治療用遺伝子が、神経原性因子である、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記神経原性因子が、Ascl1、Ascl2、Ascl3、Ascl5、Neuro
g1、Neurog2、Neurog3、Neurod1、Neurod2、Neuro
d4、Neurod6、Atoh1、Atoh7、Atoh8、Myf5、Ptf1a、
Brn3c、Brn3a、Brn3b、Brn1、Brn2、Brn4、Oct4、Oc
t6、Pit1、Brn5、Myt1l、およびNurr1、またはこれらの任意の組み
合わせからなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記治療用遺伝子が、APPを阻害するsiRNAまたはmiRNAである、請求項1
1に記載の方法。
【請求項22】
前記miRNAが、hsa-miR-106b-5p、hsa-miR-101-3p
、hsa-miR-520c-3p、hsa-miR-106a-5p、hsa-miR
-20a-5p、hsa-miR-17-5p、hsa-miR-15a-5p、hsa
-miR-130a-3p、hsa-let-7d-5p、hsa-let-7a-5p
、hsa-miR-16-5p、hsa-miR-144-3p、hsa-miR-44
22、hsa-let-7f-1-3p、hsa-let-7a-3p、hsa-let
-7b-3p、hsa-miR-98-3p、hsa-miR-380-3p、hsa-
miR-6835-3p、hsa-miR-4772-5p、hsa-miR-101-
3p、hsa-miR-4719、hsa-miR-520f-3p、hsa-miR-
3908、hsa-miR-4269、hsa-miR-323a-3p、hsa-mi
R-6715b-5p、hsa-miR-153-3p、hsa-miR-4495、h
sa-miR-4786-5p、hsa-miR-3911、hsa-miR-6085
、およびhsa-miR-6813-5p、またはこれらの任意の組み合わせからなる群
から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記治療用遺伝子が、MAPTを阻害するsiRNAまたはmiRNAである、請求項
11に記載の方法。
【請求項24】
前記miRNAが、hsa-miR-34c-5p、hsa-miR-657、hsa
-miR-4728-5p、およびhsa-miR-3978、またはこれらの任意の組
み合わせからなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記治療用遺伝子が、抗炎症性遺伝子である、請求項11に記載の方法。
【請求項26】
前記抗炎症性遺伝子が、PPARγ、Il-10、Il-27、Trem2、およびI
kBα、およびSirt1、またはこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される
、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記治療用遺伝子が、炎症促進性遺伝子を標的とするsiRNAまたはmiRNAであ
る、請求項11に記載の方法。
【請求項28】
前記炎症促進性遺伝子が、P2X4R、TLR4、CX3CR1、またはIL-1βで
ある、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
対象の神経疾患を治療するための方法であって、前記対象の皮膚に、前記皮膚からのエ
クソソーム放出を阻害して、脳への輸送を減少させる薬剤を投与することを含む、方法。
【請求項30】
前記薬剤が、中性スフィンゴミエリナーゼ阻害剤である、請求項29に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2019年7月2日に出願
された米国仮出願第62/869,788号の権益を主張する。
【背景技術】
【0002】
アミロイド症は、特定の臓器または組織における全身的または局所的な凝集および沈着
のいずれかをもたらす、タンパク質のβ形成シート原線維への毒性のミスフォールディン
グによって特徴付けられる一群の病態を指す(Merlini,G.&Bellotti
,V.N.Engl.J.Med.2003 349:583-596)。アミロイド沈
着物を形成する多数のタンパク質およびペプチドは、いくつかの臓器を標的とする複数の
ヒト疾患と関連している(Chiti,F.&Dobson,CM.Annu.Rev.
Biochem.2017 86:27-68)。例えば、アルツハイマー病(AD)、
パーキンソン病(PD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、およびハンチントン病(HD
)などの神経変性疾患は、いずれも、特徴的な病原性アミロイドタンパク質が脳内に凝集
する局所アミロイド症とみなされる(Tillement,J.-P.,et al.P
harmacology 2010 85:1-17)。
【0003】
アルツハイマー病(AD)は、記憶喪失ならびに認知機能および実行機能の進行性の障
害を特徴とする神経変性疾患であり、認知症の最も一般的な形態を構成し、現在世界中の
5000万人以上に影響を及ぼしている(Alzheimers.Dement.202
0 doi:10.1002/alz.12068)。証拠の蓄積は、神経細胞の損失と
、ADの影響を受けた脳内のアミロイドβ(Aβ)プラークおよびリン酸化Tauタング
ルによって形成される神経病理学的病変の蓄積との間の因果関係を確立する(Small
,SA.&Duff,K.Neuron 2008 60:534-542)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書に開示されるように、皮膚は、エクソソームの形態でシグナルを脳に送ること
ができ、アルツハイマー病(AD)の対象の皮膚に由来するエクソソームは、この疾患の
進行に影響を及ぼす可能性がある神経毒性カーゴを含む。これは、ADにおけるパラダイ
ムをシフトさせる概念であり、本明細書において「皮膚脳相関」(SKIN-BRAIN
AXIS)と称される。
【0005】
いくつかの実施形態では、皮膚に由来するエクソソームは、神経毒性カーゴを脳に累積
的に運び、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、筋萎縮性側索硬化症(
ALS)、およびハンチントン病(HD)などの神経変性疾患の発症および/または進行
に寄与し得る(すなわち、皮膚脳相関)。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、対象における神経変性疾患を診断するための方法であって、対象からエク
ソソームを単離することと、1つ以上のバイオマーカーの存在についてエクソソームをア
ッセイすることとを含む方法が、本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、この
方法は、神経変性疾患に関連する1つ以上の経路の調節のためにエクソソームをアッセイ
することを含む。例えば、本方法は、脳障害、疾患、または損傷に関連する任意の経路の
調節異常についてアッセイすることを含み得る。
【0007】
さらに、本明細書に開示されるように、エクソソーム操作アプローチは、皮膚を脳への
「窓」として使用して、脳のための治療戦略として使用することができる。いくつかの実
施形態では、開示される組成物および方法は、治療用遺伝子またはカーゴを送達すること
によって、脳の任意の損傷、疾患、または障害を治療するために使用することができる。
いくつかの実施形態では、脳疾患は、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD
)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、およびハンチントン病(HD)などの神経変性疾患
である。いくつかの実施形態では、脳疾患は、原発性および続発性の脳がんを含む脳がん
である。いくつかの実施形態では、脳の疾患または損傷は、脳卒中または虚血を含む。い
くつかの実施形態では、脳損傷は外傷性脳損傷である。
【0008】
したがって、対象の皮膚を操作して治療用エクソソームを産生することを含む対象を治
療する方法が本明細書に開示される。
【0009】
皮膚で産生されたエクソソームを収集し、脳の1つ以上の疾患、障害、または損傷を治
療することができる、本明細書に記載されるもののような治療用カーゴをそれらに充填す
る方法もまた開示される。
【0010】
本明細書ではまた、皮膚からのエクソソーム放出を減少させて、脳への輸送を減少させ
る方法も開示される。例えば、いくつかの実施形態では、中性スフィンゴミエリナーゼ阻
害剤GW4869を局所的におよび/または皮内注射を介して適用して、皮膚エクソソー
ム放出を低減することができる。
【0011】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載される。本
発明の他の特徴、目的、および利点は、説明、および図面から、ならびに特許請求の範囲
から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】提案されている皮膚脳相関、ならびにエクソソームを介して神経毒性カーゴを脳に送達し、ADの発達および/または進行に寄与するその役割を示す。
図2A】エクソソームを標識するために、CD63-GFPプラスミドを健康なマウスの皮膚に送達するために使用されるTNTを示す。対照皮膚を、模擬/空のプラスミドでTNT処理した。
図2B】皮膚ヘのTNTの24時間後に脳で検出されたGFPシグナルを示しており(対照では非存在)、皮膚由来のエクソソームが循環に入り、脳に留まることができるらしいことを示唆する。
図3A】ADマウス対健康なマウスでのみ見られる、変異したヒト型のアミロイド前駆体タンパク質(hAPP)mRNAの相対的発現のqRT-PCRデータを示す。
図3B】健康なマウスおよびADマウス由来の皮膚由来エクソソームにおけるアミロイドβタンパク質の免疫ブロット分析を示し、AD下のみの存在を確認する。
図4A-4C】皮膚EVのRNA含有量に対する差次的発現およびIPAオントロジー分析を示す。23週目のB6129SF2/Jと比較した3×Tg-ADのEVにおける差次的遺伝子含有量を提示するボルケーノプロット(上)および差次的遺伝子含有量によって濃縮された正準経路(下)(図4A)、10週目と比較した23週目におけるB6129SF2/Jおよび3×Tg-AD(図4B)、10週目のB6129SF2/Jと比較した23週目の3×Tg-AD、ならびに23週目のB6129SF2/Jと比較した10週目の3×Tg-AD(図4C)。正準経路分析の場合、青色のバーは経路下方調節を表し(zスコア<0)、白色のバーは(zスコア=0)を表し、灰色のバーは制御のパターンがないことを表す。
図5A-5B】ヒトAPPおよびMAPTのためのトランスジェニック遺伝子のmRNAを含む、3×Tg-ADマウス由来の皮膚由来EVを示す。B6129SF2/Jおよび3×Tg-ADマウス由来の皮膚由来エクソソームの絶対qPCRデータは、3×Tg-ADのEVにおけるトランスジェニックヒトAPP(図5A)およびヒトMAPT(図5B)の存在を示す。
図6A-6B】トランスジェニックhAPP(図6A)およびhMAPT(図6B)の発現を24時間測定するために、3×Tg-ADおよびB6129SF2/J皮膚由来EVに曝露された初代ニューロン培養物のqPCRデータを示す。トランスジェニックhAPPおよびhMAPTのmRNAは、3×Tg-ADマウスおよび非存在および対照由来の皮膚由来EVに曝露されたマウス初代胚性ニューロンに見出された。
図7A-7C】PKH26 Red Fluorescent Cell Linkerキット(Sigma)を使用して蛍光標識した3×Tg-ADマウス由来の皮膚由来EVの60倍のデコンボリューション(図7A)および共焦点画像(図7B)を示す。蛍光標識したEVを、マウスの初代ニューロン培養物、続いてニューロン特異的TUJ1を有するICCに曝露し、DAPIで染色した。図7Cは得られた免疫蛍光データの定量化を示す図であり、TUJ1+細胞の中およびその周辺で、TUJ1-よりも有意に高いレベルで標識されたEVを示す。
図8A-8B】3×Tg-AD/B6129SF2/J皮膚由来EVに曝露したマウス初代胚性ニューロン培養物の生細胞/死細胞生存率アッセイを示す。図8Aは、ニューロンにおける生細胞/死細胞生存率アッセイの20倍蛍光画像を示す。図8Bは、1平方ミリメートル当たりの死細胞の定量データを示す。
図9A-9B】皮膚EVのRNA含有量に対する差次的発現分析を示す。23週目でB6129SF2/Jと比較した3×Tg-ADのEVにおける差異的遺伝子含有量を提示するボルケーノプロットおよびヒートマッププロット(A)23週目のB6129SF2/Jと比較した23週目の3×Tg-ADおよび10週目のB6129SF2/Jと比較した10週目の3×Tg-AD(B)10週目のB6129SF2/Jと比較した23週目のB6129SF2/Jおよび10週目の3×Tg-ADと比較した23週目の3×Tg-AD。
図10A-10B】すべての差次的発現比較群の中の上位正準経路(図10A)および疾患/機能経路(図10B)を示し、対照と比較して、3×Tg-ADマウスにおける複数の調節不全経路を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示がより詳細に記載される前に、本開示が記載される特定の実施形態に限定されず
、そのため、当然ながら変化し得ることが理解されるべきである。本開示の範囲が添付の
特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書で使用する用語は、特定の実施形
態のみを説明するためのものであり、限定することを目的とするものではないことも理解
されるべきである。
【0014】
一定の範囲の値が提供されるとき、文脈が他を明確に指示しない限り、その範囲の上限
と下限との間、および、その述べられた範囲内の他の述べられた値または中間の値におけ
る、それぞれの中間の値は、その下限の単位の10分の1まで本開示に包含される。これ
らのより小さい範囲の上限および下限は、述べられた範囲内の任意の具体的に除外された
限定を有することを条件として、より小さな範囲に含まれ得、独立して本開示に包含され
る。述べられた範囲が限界の一方または両方を含む場合、それらの含まれた限界の両方の
いずれかを除外する範囲は、本開示に含まれる。
【0015】
別途定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語
は、本開示の所属する技術分野における当業者によって一般に理解されるものと同一の意
味を有する。本明細書において記載されているものと類似または同等の任意の方法および
物質はまた、本開示の実施または試験において使用することができるが、好ましい方法お
よび材料はここに記載される。
【0016】
本明細書で引用されたすべての刊行物および特許は、それぞれの個々の刊行物または特
許が、引用された刊行物に関連して方法および/または材料を開示し、説明するために、
引用されて組み込まれることを具体的におよび個別に示されたかのように、参照により本
明細書に組み込まれる。任意の刊行物の引用は、出願日以前のその開示のためのものであ
り、本開示が、先行開示のためにそのような刊行物に先行する権利がないことを認めるも
のとして解釈されるべきではない。さらに、提供される公開日は実際の公開日とは異なる
可能性があり、これらは独立して確認する必要があり得る。
【0017】
本開示を読む当業者には明らかなように、本明細書に記載され図示された個別の実施形
態のそれぞれは、本開示の範囲または趣旨から逸脱することなく他のいくつかの実施形態
のうちのいくつかの特徴から容易に分離または組み合わされ得る個別の構成要素および特
徴を有する。任意の列挙された方法は、列挙された事象の順序で、または論理的に可能で
ある任意の他の順序で実行され得る。
【0018】
本開示の実施形態は、別段の指示がない限り、当該技術分野の範囲内である、化学、生
物学などの技法を用いる。
【0019】
以下の実施例は、当業者に、本明細書中開示および特許請求される方法およびプローブ
の使用をいかに実施するかの完全な開示および説明を提供するために示される。数値(例
えば、量、温度など)に関して精度を保証するように努力がなされてはいるが、いくらか
の誤差および偏差が考慮されるべきである。別段の指定がない限り、部は重量部であり、
温度は℃であり、圧力は大気圧またはその付近である。標準温度および圧力は、20℃お
よび1気圧と定義されている。
【0020】
本開示の実施形態が詳細に説明される前に、本開示は、別段の指示がない限り、特定の
材料、試薬、反応物質、製造プロセスなどに限定されないため、変化し得ることを理解さ
れたい。また、本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明することのみを
目的とし、限定することを意図するものではないことを理解されたい。また、本開示にお
いて、ステップが論理的に可能である場合、異なる順序で実行され得ることも可能である
【0021】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「a」、「an」お
よび「the」は、文脈により明らかにそうではないと指示されない限り、複数の指示物
を含むことに留意されなければならない。
【0022】
定義
「対象」という用語は、投与または治療の標的である任意の個体を指す。対象は、脊椎
動物、例えば、哺乳動物であり得る。したがって、対象は、ヒトまたは獣医の患者であり
得る。「患者」という用語は、臨床医、例えば、医師の治療下にある対象を指す。
【0023】
「治療有効」という用語は、疾患または障害の1つ以上の原因または症状を改善するの
に十分な量の組成物の使用量を指す。このような改善は、必ずしも除去ではなく、減少ま
たは変化を必要とするだけである。
【0024】
「薬学的に許容される」という用語は、妥当な医学的判断の範囲内で、妥当な利益/リ
スク比に見合って、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、またはその他の問題もしくは合
併症もなくヒトおよび動物の組織と接触させて使用するのに適した化合物、材料、組成物
、および/または剤形を指す。
【0025】
「担体」という用語は、化合物または組成物と組み合わせた場合に、その意図される使
用または目的のために、化合物または組成物の調製、貯蔵、投与、送達、有効性、選択性
、または任意の他の特徴を補助または促進する化合物、組成物、物質、または構造を意味
する。例えば、担体は、活性成分の任意の分解を最小限に抑え、対象における任意の有害
な副作用を最小限に抑えるように選択することができる。
【0026】
「治療」という用語は、疾患、病態、または障害を治癒、改善、安定化、または予防す
ることを意図する患者の医学的管理を指す。この用語は、能動的治療、すなわち、疾患、
病態、または障害の改善に特異的に向けられた治療を含み、因果的治療、すなわち、関連
する疾患、病態、または障害の原因の除去に向けられた治療も含む。加えて、この用語に
は、緩和的治療、すなわち、疾患、病態、または障害の治癒ではなく、症状の緩和のため
に設計された治療、予防的治療、すなわち、関連する疾患、病態、または障害の発症を最
小限に抑えるか、または部分的にもしくは完全に阻害することを目的とした治療、ならび
に支持的治療、すなわち、関連する疾患、病態、または障害の改善を目的とした別の特定
の療法を補完するために使用される治療が含まれる。
【0027】
「阻害する」という用語は、活性、応答、状態、疾患、または他の生物学的パラメータ
の減少を指す。これには、活性、応答、状態、または疾患の完全な除去が含まれ得るが、
これらに限定されない。これはまた、例えば、天然または対照のレベルと比較して、活性
、応答、状態、または疾患の10%の低減を含み得る。したがって、低減は、天然または
対照のレベルと比較して、10、20、30、40、50、60、70、80、90、1
00%、またはその間の任意の量の低減であり得る。
【0028】
「ポリペプチド」という用語は、ペプチド結合または修飾ペプチド結合、例えば、ペプ
チアイソスターなどによって互いに連結されたアミノ酸を指し、20個の遺伝子コードさ
れたアミノ酸以外の修飾アミノ酸を含んでもよい。ポリペプチドは、翻訳後プロセシング
などの天然プロセス、または当該技術分野で周知の化学修飾技法のいずれかによって修飾
することができる。修飾は、ペプチド骨格、アミノ酸側鎖、およびアミノまたはカルボキ
シル末端を含む、ポリペプチド内の任意の場所で生じ得る。同じ種類の修飾は、所与のポ
リペプチド内のいくつかの部位において同じ程度に、または異なる程度に存在し得る。ま
た、所与のポリペプチドは、多くの種類の修飾を有することができる。修飾としては、ア
セチル化、アシル化、ADP-リボシル化、アミド化、共有結合または環化、フラビンの
共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂
質または脂質誘導体の共有結合、ホスフィチジルイノシトールの共有結合、ジスルフィド
結合の形成、脱メチル化、システインまたはピログルタミン酸の形成、ホルミル化、γ-
カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカーの形成、ヒドロキシル化、ヨード化、メ
チル化、ミリストリル化、酸化、過酸化、タンパク質分解プロセシング、リン酸化、プレ
ニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、およびアルギニル化などのタンパク質へのア
ミノ酸のトランスファーRNA媒介付加が挙げられるが、これらに限定されない。(Pr
oteins-Structure and Molecular Propertie
s 2nd Ed.,T.E.Creighton,W.H.Freeman and
Company,New York(1993)、Posttranslational
Covalent Modification of Proteins,B.C.J
ohnson,Ed.,Academic Press,New York,pp.1-
12(1983)を参照されたい)。
【0029】
本明細書で使用される場合、「アミノ酸配列」という用語は、アミノ酸残基を表す略語
、文字(letters)、文字(characters)、または単語のリストを指す
。本明細書で使用されるアミノ酸略号は、アミノ酸のための従来の1文字コードであり、
以下のように表される:A、アラニン;B、アスパラギンまたはアスパラギン酸;C、シ
ステイン;Dアスパラギン酸;E、グルタミン酸、グルタミン酸;F、フェニルアラニン
;G、グリシン;Hヒスチジン;Iイソロイシン;K、リジン;L、ロイシン;M、メチ
オニン;N、アスパラギン;P、プロリン;Q、グルタミン;R、アルギニン;S、セリ
ン;T、トレオニン;V、バリン;W、トリプトファン;Y、チロシン;Z、グルタミン
またはグルタミン酸。
【0030】
本明細書で使用される「核酸」という語句は、DNAまたはRNA、またはDNA-R
NAハイブリッド、一本鎖または二本鎖、センスまたはアンチセンスのいずれであっても
、ワトソン-クリック塩基対形成による相補的核酸へのハイブリダイゼーションが可能で
ある、天然に存在するかまたは合成のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドを指す
。核酸はまた、ヌクレオチド類似体(例えば、BrdU)、および非ホスホジエステルヌ
クレオシド間結合(例えば、ペプチド核酸(PNA)またはチオジエステル結合)を含む
ことができる。特に、核酸は、非限定的に、DNA、RNA、cDNA、gDNA、ss
DNA、dsDNA、またはこれらの任意の組み合わせを含むことができる。
【0031】
本明細書で使用される場合、「ヌクレオチド」は塩基部分、糖部分、およびリン酸部分
を含む分子である。ヌクレオチドは、ヌクレオシド間結合を生成するそれらのリン酸部分
および糖部分を通じて結合され得る。「オリゴヌクレオチド」という用語はしばしば、一
緒に連結された2つ以上のヌクレオチドを含む分子を指すために使用される。ヌクレオチ
ドの塩基部分は、アデニン-9-イル(A)、シトシン-1-イル(C)、グアニン-9
-イル(G)、ウラシル-1-イル(U)、およびチミン-1-イル(T)であり得る。
ヌクレオチドの糖部分は、リボースまたはデオキシリボースである。ヌクレオチドのリン
酸部分は、五価リン酸である。ヌクレオチドの非限定的な例は、3’-AMP(3’-ア
デノシン一リン酸)または5’-GMP(5’-グアノシン一リン酸)であろう。
【0032】
ヌクレオチド類似体は、塩基、糖、および/またはリン酸部分に対する何らかの種類の
修飾を含むヌクレオチドである。ヌクレオチドへの修飾は当該技術分野で周知であり、例
えば、5-メチルシトシン(5-me-C)、5ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン
、ヒポキサンチン、および2-アミノアデニン、ならびに糖またはリン酸部分での修飾を
含む。
【0033】
ヌクレオチド置換基は、ヌクレオチドと同様の機能性を有するが、ペプチド核酸(PN
A)などのリン酸部分を含まない分子である。ヌクレオチド置換基はワトソン-クリック
またはフーグスティーンの様式で核酸を認識するが、リン酸部分以外の部分を介して一緒
に連結される分子である。ヌクレオチド置換基は、適切な標的核酸と相互作用するときに
、二重らせん型構造に適合することができる。
【0034】
「ベクター」または「構築物」という用語は、ベクター配列が連結された別の核酸を細
胞に輸送することができる核酸配列を指す。「発現ベクター」という用語は、細胞による
発現に好適な形態で(例えば、転写制御エレメントに連結された)遺伝子構築物を含む任
意のベクター(例えば、プラスミド、コスミドまたはファージ染色体)を含む。プラスミ
ドはベクターの一般的に使用される形態であるため、「プラスミド」および「ベクター」
は互換的に使用される。さらに、本発明は、同等の機能を果たす他のベクターを含むこと
が意図されている。
【0035】
「作動可能に連結された」という用語は、核酸と別の核酸配列との機能関係を指す。プ
ロモーター、エンハンサー、転写および翻訳停止部位、ならびに他のシグナル配列は、他
の配列に作動可能に連結された核酸配列の例である。例えば、DNAの転写制御エレメン
トへの作動可能な結合は、DNAとプロモーターとの間の物理的および機能的関係を指し
、そのようなDNAの転写が、DNAを特異的に認識し、結合し、転写するRNAポリメ
ラーゼによってプロモーターから開始されるようにする。
【0036】
本明細書の目的のために、所与の核酸配列Dに対する、所与のヌクレオチドまたはアミ
ノ酸配列Cの配列同一性%(代替的に、所与の配列Dに対する(to)、所与の配列Dに
対する(with)、または所与の配列Dに対する(against)、特定の配列同一
性%を有するか、または含む所与の配列Cと表現することができる)は、以下のように計
算される:
分数W/Zの100倍、
式中、Wは、そのプログラムのCおよびDのアラインメントにおける配列アラインメン
トプログラムによって同一のマッチとしてスコア付けされたヌクレオチドまたはアミノ酸
の数であり、Zは、Dにおけるヌクレオチドまたはアミノ酸の総数である。配列Cの長さ
が配列Dの長さに等しくない場合、CからDの配列同一性%は、DからCの配列同一性%
に等しくはならないことを理解されたい。配列同一性パーセントを決定する目的でのアラ
インメントは、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、ALIGN-2、ま
たはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなどの公的に入手可能なコンピュ
ータソフトウェアを使用して、当該技術分野内の様々な方法で達成することができる。
【0037】
「特異的にハイブリダイゼーションする」とは、プローブ、プライマー、またはオリゴ
ヌクレオチドが、高いストリンジェンシー条件下で、実質的に相補的な核酸(例えば、c
-met核酸)を認識し、物理的に相互作用(つまり、塩基対)し、他の核酸と実質的に
塩基対を認識しないことを意味する。
【0038】
本明細書で使用される場合、「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」とい
う用語は、概して、プローブと標的配列との間に少なくとも95%、好ましくは少なくと
も97%の配列同一性がある場合にハイブリダイゼーションが生じることを意味する。ス
トリンジェントなハイブリダイゼーション条件の例は、50%のホルムアミド、5XSS
C(150mMのNaCl、15mMのクエン酸三ナトリウム)、50mMのリン酸ナト
リウム(pH7.6)、5Xデンハルト溶液、10%のデキストラン硫酸、および20μ
g/mlの変性、剪断した担体DNA(サーモン精子DNAなど)を含む溶液中で一晩イ
ンキュベーションし、続いて、ハイブリダイゼーション支持体を0.1XSSC中で約6
5℃で洗浄することである。他のハイブリダイゼーションおよび洗浄条件は周知であり、
Sambrook et al,Molecular Cloning:A Labor
atory Manual,Second Edition,Cold Spring
Harbor,N.Y.(1989)、特に第11章に例示される。
【0039】
「制御エレメント」または「調節配列」は、宿主細胞タンパク質と相互作用して転写お
よび翻訳を実行する、ベクターの非翻訳領域、すなわちエンハンサー、プロモーター、5
’および3’非翻訳領域である。そのようなエレメントは、その強度および特異性におい
て変化し得る。
【0040】
「プロモーター」は、一般に、転写開始部位に関して相対的に固定された位置にあると
きに機能するDNAの配列(複数可)である。「プロモーター」は、RNAポリメラーゼ
および転写因子の基本的相互作用に必要なコアエレメントを含み、上流エレメントおよび
応答エレメントを含み得る。
【0041】
「エンハンサー」は、一般に、転写開始部位から不定の距離で機能し、転写単位に対し
て5’または3’のいずれかであり得るDNA配列を指す。さらに、エンハンサーは、イ
ントロン内およびコード配列自体内にあり得る。それらは通常、10~300bpの長さ
であり、シスで機能する。エンハンサーは、近傍のプロモーターからの転写を増大させる
ように機能する。また、エンハンサーは、プロモーターと同様に、転写の調節を媒介する
応答エレメントをしばしば含む。エンハンサーは、発現の調節をしばしば決定する。
【0042】
「内因性」エンハンサー/プロモーターは、ゲノム内の所与の遺伝子と天然で連結され
たものである。「外因性」または「異種」エンハンサー/プロモーターは、遺伝子の転写
が連結されたエンハンサー/プロモーターによって誘導されるように、遺伝子操作(すな
わち、分子生物学的技法)によって遺伝子の近傍に配置されるものである。
【0043】
皮膚脳相関
アルツハイマー病(AD)特徴タンパク質、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、
Aβペプチド、およびTauは、神経系外の複数の組織で産生され、ADが複数の臓器を
含む全身疾患であり得ることを示唆する。神経系外では、アミロイド症は、身体の最大の
器官である皮膚においても観察されており(Feito-Rodriguez,M.et
al.Actas Dermo-Sifiliograficas(English
Edition)2008 99:648-652)、ここでは、AβペプチドおよびT
auタンパク質の両方が産生され、アミロイド凝集体が形成される(Akerman,S
C.et al.J.Alzheimers.Dis.2019 69:463-478
、Dugger,B.N.et al.J.Alzheimers.Dis.2016
51:345-356)。さらに、Aβペプチドおよびそのオリゴマーは、AD患者およ
び健康な対象の脳および皮膚の血管の内皮に見出され(Kucheryavykh,LY
.,et al.Int.J.Mol.Sci.2018 19)、皮膚生理学における
変化は、一般に、AD患者において観察される(Schreml,S.,et al E
xp.Dermatol.2010 19:953-957)。これらの変化は、代謝変
化(Jong,YJI.,et al.FASEB J.2003 17:2319-2
321、Pani,A.et al.J.Alzheimers.Dis.2009 1
8:829-841、Pitto,M.et al.Neurobiol.Aging
2005 26:833-838)、カルシウム代謝および増殖の変化(Peterso
n,C.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.1986 83:79
99-8001)、および血管機能の低下(Kalman,J.et al.Int.J
.Geriatr.Psychiatry 2002 17:371-374)を含み、
生理学的および病理学的機序を通じて接続された皮膚脳相関の存在を示す(Clos,A
L.,et al.Front.Neurol.2012 3:5)。
【0044】
以前の所見は、末梢細胞で合成された循環Aβペプチドが血液脳関門を通過し(Zlo
kovic,BV.et al.Biophys.Res.Commun.1994 2
05:1431-1437)、Aβ依存性神経病理を開始し、プリオン様機構を通じてニ
ューロン障害を誘発する(Bu,X.-L.et al.Mol.Psychiatry
2018 23:1948-1956)ことを示す(Jucker,M.&Walke
r,LC.Nature 2013 501:45-51)。さらに、別の一連の研究は
、APPプロセシングがエンドサイトーシス経路を介して細胞内で行われ(Rajend
ran,L.et al.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.200
6 103:11172-11177)、Aβペプチドが、毒性のあるAβペプチドのニ
ューロンからニューロンへの伝達の可能な細胞外小胞内のカーゴとして放出されることを
示す(Sardar Sinha,M.et al.Acta Neuropathol
.2018 136:41-56)。細胞外小胞(EV)は、最近、DNA、RNA、お
よびタンパク質などの機能的カーゴの輸送による細胞間通信の主要な実行者として現れた
(Iraci,N.,et al.Int.J.Mol.Sci.2016 17:17
1)。ほとんどの細胞型は、EVを放出し、皮膚においてEVを放出することは、細胞間
のコミュニケーション、創傷治癒、および皮膚障害との関連で特徴付けられている(Te
rlecki-Zaniewicz,L.et al.J.Invest.Dermat
ol.2019 139:2425-2436.e5)。ADの3×Tg-ADトリプル
トランスジェニックマウスモデルからの皮膚由来EVのトランスクリプトームの特徴付け
が本明細書に開示され、APPおよびTauのmRNAの存在、ならびにこれらの分子が
細胞取り込みを介してニューロンにいかに移行することができるかを確認する。
【0045】
したがって、本明細書に開示されるように、皮膚は、エクソソームの形態でシグナルを
脳に送ることができ、アルツハイマー病(AD)の対象の皮膚に由来するエクソソームは
、この疾患の進行に影響を及ぼす可能性がある神経毒性カーゴを含む。これは、ADにお
けるパラダイムをシフトさせる概念であり、本明細書において「皮膚脳相関」と称される
。この現象を使用して、対象からの皮膚由来エクソソームをアッセイすることによって神
経疾患を診断する方法、ならびに対象の脳に送達される治療用カーゴで皮膚由来エクソソ
ームを改変することによって、神経疾患を有する対象を治療する方法が本明細書に開示さ
れる。
【0046】
診断
したがって、対象における神経変性疾患を診断するための方法であって、対象から皮膚
由来のエクソソームを単離することと、1つ以上のバイオマーカーの存在についてエクソ
ソームをアッセイすることとを含む方法が、本明細書に開示される。I
【0047】
したがって、対象における神経変性疾患を診断するための方法であって、対象から単離
されたエクソソームを含み、1つ以上のバイオマーカーの存在についてエクソソームをア
ッセイすることを含む方法が、本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、バイオ
マーカーは、S100A8、S100A9、MAPK13、またはそれらの組み合わせで
ある。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、APP(NC_000021.9)
、Aβ、もしくはTau、またはそれらの組み合わせである。
【0048】
いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、MAPT(NC_000017.11)
、ADAMTS9(NC_000003.12)、AKAP5(NC_000014.9
)、AQP1(NC_000007.14)、ARC(NC_000008.11)、C
AMK2A(NC_000005.10)、CASP4(NC_000011.10)、
CLEC3B(NC_000003.12)、FAAH(NC_000001.11)、
GRIN1(NC_000009.12)、HDAC9(NC_000007.14)、
MAP2K3(NC_000017.11)、S100A8(NC_000001.11
)、S100A9(NC_000001.11)、S100B(NC_000021.9
)、SLC16A6(NC_000017.11)、SLC1A3(NC_000005
.10)、SLC25A4(NC_000004.12)、SLC30A3(NC_00
0002.12)、SLC38A2(NC_000012.12)、SLC39A3(N
C_000019.10)、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0049】
いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、Rn45s、Mylpf、Neb、Rp
s3a1、Acta1、Atp2a1、Ckm、Ttn、Rnu11、Myh2、Xir
p2、Lars2、Tnnc2、Dpt、Eno3、Elovl4、Des、Nr1d1
、Tpm2、Tnnt3、Jph2、Smtnl1、Fbn1、Fmod、Serpin
a3j、Tnni2、Cmya5、Hspb6、Malat1、S100a9、Slc2
5a4、Trdn、Hfe2、Mybpc1、Casq1、Ryr1、Car3、Cle
c3b、Gas6、Fbxo40、Slc38a2、Myo18b、BC100530、
Lor、Kdm6b、Myh6、Akr1e1、Cacna1s、Ogn、Spon2、
Fhl1、Icam1、Myoc、Rnase2b、Mb、Mxd1、Gbp2b、Dh
cr24、Mybph、Igfbp6、Alpk3、Gltp、Paqr7、Krt6b
、Nr1d2、Dkk2、Igfn1、Hydin、Gm13177、Mypn、Cds
n、Myl1、Casc1、Dbp、Clca2、Tcea3、Anxa3、Hrc、L
2hgdh、Spp1、Arid5b、Tpm1、Pcf11、Scarna2、Col
3a1、Pttg1、Asb2、Krt6a、Dsc3、Trim54、Baiap3、
2310002L09Rik、Tgfb2、Il1b、Cilp、Pfkm、Cdr1、
Gm13483、Scn10a、Slc17a7、Myh4、Camk2a、Cxcl2
、Pclo、Mt1、Tnfaip3、Cntn2、Klhl31、Mstn、Dsp、
Pcolce2、Fam207a、Tnnt1、Asic1、Tagap、Asb5、F
xyd2、Srl、Ldb3、Ryr3、Nrap、Mybpc2、Gse1、Abra
、Ildr1、Smyd1、Hmox1、Obscn、Grin1、Stk36、S10
0a8、Zfp560、Fsd2、Polq、Thbs4、Gsdma、Krt80、1
-Mar、Fibin、Krt7、Pik3cg、Bcan、Flnc、Ndufv2、
Tacstd2、Myoz1、Zxdb、Il11ra1、Neurl1a、Rbfox
1、Cdh1、Fam83g、Snora23、Plet1、Zfp799、Taf15
、Cstf1、3425401B19Rik、Larp7、Slfn4、Gm13375
、Ppp1r3a、Mmp15、A1cf、Chst3、F630111L10Rik、
Gbp11、Gm6583、Lrguk、Mcidas、Rnf182、Syt2、Ts
ks、Ugt1a1、Mgme1、Dnah8、Dock10、Lama2、Arntl
、Mitf、Fuca2、Kif9、Myl2、Adamts9、Jak2、Fndc5
、S100b、Ces1d、Pygm、Dnah5、Ncan、Ppp1r3f、Hca
r2、Nov、Ugcg、Arc、Tcf7l1、Tmem182、Ddhd1、A13
0010J15Rik、Hps3、Rlim、Hdac9、Nalcn、Fbxo17、
Helb、Cd93、Cyp2b23、Gdpd3、Slfn10-ps、Trim72
、Abat、Nup37、Zc3h12c、Kat2b、Agpat6、Vma21、S
yn1、Pitrm1、Igfbp2、Pvalb、Nfkbiz、Hist1h2ab
、Actn3、Myo5b、Dsc1、Sowahc、Sptbn2、Dna2、Eom
es、Otog、Sike1、Ush1g、Muc19、Mroh4、Rbm46、Ri
mbp3、Gcnt2、Myh7、Cxcl14、Tep1、Myom2、Stfa3、
Chil3、Sema7a、Vsx2、Nfkb1、Ovol1、Acss1、Zfp7
19、Prr12、Myom3、Arrdc4、H19、Dmpk、Sik1、Elov
l6、Gspt2、Radil、Mfng、Atp6v1b2、Etv3、Rnasek
、Schip1、Epha2、2310003H01Rik、Saa3、Mfap4、S
lc38a3、Stfa1、Mmp25、Zgrf1、Epha4、Mdm2、Lphn
3、Arid2、Map2k3、Tgfbr1、Ckap2、Rilpl1、Srgn、
Duox1、Cadps2、Wdr8、Vav2、Gna15、Tef、Ifit3、L
imch1、Mmp17、Rasgrp3、B3glct、Pnpla1、Sfi1、M
gl2、Rad9a、Rap1gap、Utp23、Tbl1x、Wdr60、Casp
4、Rab11fip1、Rbm20、Ptpn9、Snora64、Nrip1、Gl
p1r、9530051G07Rik、Neurod1、Sh3gl3、Tex16、B
C068157、Dennd6b、Setmar、Gtf2ird2、Shank3、G
m7120、Atp8b3、Shisa4、Sqle、Klhl41、Tmem198、
1810013L24Rik、Slc1a3、Tsc22d2、Emp2、F3、Hmg
a2-ps1、Xirp1、Rabl2、Speg、Mon1a、Dtna、Agap3
、Phactr4、Piezo1、Spta1、Foxp2、Atp2b4、Crtc2
、Gpr34、Lama5、Cdh5、Hrnr、Islr2、Plk2、Celsr1
、Snord15a、Nhlrc1、St3gal3、Mapk13、Scarna13
、Ccl4、Spint2、Jpx、Ankrd26、Efna1、Ggct、H2-T
23、Myot、Pcca、Cacna2d2、Kpna7、Msh5、Batf、Lg
als4、Fbxo30、Synpo2、4930563E22Rik、C730027
H18Rik、Fbxo27、Foxa2、Lrriq1、Npy6r、Pld5、Pt
h2r、Rab3c、Scgb3a2、Slc17a3、Slc6a7、Spata31
d1d、Srrm4os、Tigd4、Tmco5、Vwa7、Gpr56、Adssl
1、Pard6b、Usp53、Itch、Col24a1、Vipr1、Gm1317
8、Lrrc39、Cntnap1、Myh3、Slfn9、Slc16a6、4930
431P03Rik、9130204L05Rik、Ghsr、Icos、Slc26a
3、Trappc3l、Unc5d、Pim1、Agtr1a、Tie1、Dancr、
Phkb、Ubl3、Irf1、Smtn、Plk3、Efnb2、Abca8b、Lg
als6、Tmppe、Pde4d、Clec2i、Gba、Brwd1、Smpx、S
prr2h、Fermt1、Chd3os、5-Mar、Pkia、Spock2、Rh
ebl1、Col22a1、Amot、Pde4b、9030624J02Rik、Pe
cam1、Gsto1、Gadl1、Lep、Gabra3、Kdm2b、Fndc9、
Alpk2、Ptgs2、Tob2、Ccdc61、Fgf10、Scn4a、AU01
8091、Sumf1、Mir6516、Abca12、Sdr16c5、Txlnb、
Snord22、Palm3、Itsn2、Pmm1、Coq10b、Aga、Selp
、Mfap5、Slc16a13、Gtf2h3、Zswim4、Greb1、Gna1
2、Ddit4l、Cuedc2、Mrpl44、Gm15800、Ldlrad1、M
isp、Nphp4、Cd14、Pfkfb1、Slc41a3、Herc4、Cadm
4、Scarf2、Ckmt2、C030039L03Rik、Fkbp5、Wnk2、
Hmces、Zbtb9、Hoxc10、Ccnl1、Cldn4、Ccl3、Eef2
k、Irg1、Cpne7、Aqp1、A930013F10Rik、Exo1、Csf
3、Dsc2、Trpm5、Fbxw17、Tmem150b、Ggps1、Bhlhb
9、Hs1bp3、Fam102a、Pcyox1l、Fnip2、Zfp637、Cp
t1b、Il31ra、C920009B18Rik、Klk7、Sp140、Rnf1
22、Adamts17、Irf6、Podxl、Klb、Dusp1、Dus1l、S
lc2a4、Pgr、Snora26、D430019H16Rik、Fbxl15、A
damtsl4、Sbf1、Ccdc71l、Slc39a3、Col4a4、Rasl
10b、Sspo、Tmf1、C030006K11Rik、Fundc2、Hccs、
Olfml2a、Nppb、Plaur、Pld3、Hhipl1、Dusp13、Gp
r171、Igf2bp3、Sfxn4、Adss、Tollip、Lmtk2、Sel
e、Nup62、Dusp5、Csrp3、Akap5、Myo1a、Onecut2、
Clec11a、Ssc5d、Faah、Per2、Rfxap、Zfp131、Ipp
k、Endov、Top3b、Szt2、Zbtb16、Aacs、BC024139、
Stx11、Stambpl1、Pcdh1、Trim45、Ttll8、Il2rg、
Serpina3h、Sptbn4、Alox8、Lmod3、Arf2、Fosl1、
Yae1d1、H2-Q4、Slc16a12、Stoml1、Epdr1、Bcl9l
、Bpifc、Nuak1、Primpol、Abcb1b、Abca17、Abcc6
、Cfi、Slc30a3、Tmem151b、Mylk2、Pde12、Lsr、C5
30008M17Rik、Nap1l5、Nos2、P4ha3、E330033B04
Rik、Myo5c、4931406P16Rik、Ugt1a7c、Dedd2、Ca
cna1b、2810417H13Rik、Acvr2b、Hbegf、Fbxw9、M
fap3、AI661453、Fdx1、Ankrd55、Imp3、Grhl3、Ma
p3k11、Hdc、Dennd3、Gpd1l、Akap1、R3hcc1、Proc
r、Adhfe1、3-Sep、AY512915、Catsperg2、Cngb3、
Dnaaf1、Fam132b、Fbxw18、Fuom、Gm5878、Oprl1、
Slc6a13、Eef1a2、Alkbh1、Ccdc175、Clec4g、Kaz
ald1、Ttbk1、Snora44、Acot6、Ralgds、Naa35、Gi
pc1、Ugt1a2、Ugt1a5、Ugt1a9、Fcer2a、Gp49a、Fi
z1、Angptl7、Anks1b、Edn2、Fank1、Fgf6、Gm1303
2、Kbtbd8、Kcnq2、Mrgprx2、Fv1、Rab1b、Rasip1、
Alox12b、またはこれらの任意の組み合わせであり、これらのバイオマーカーのう
ちのいずれかの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、
15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、2
8、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41
、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、
55、56、57、58、59、60、61、61、62、64、65、66、67、6
8、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81
、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、
95、96、97、98、99、154、155、156、157、158、159、1
60、161、162、163、164、165、166、167、168、169、1
70、171、172、173、174、175、176、177、178、179、1
80、181、182、183、184、185、186、187、188、189、1
90、191、192、193、194、195、196、197、198、199、2
00、201、202、203、204、205、206、207、208、209、2
10、211、212、213、214、215、216、217、218、219、2
20、221、222、223、224、225、226、227、228、229、2
30、231、232、233、234、235、236、237、238、239、2
40、241、242、243、244、245、246、247、248、249、2
50、251、252、253、254、255、256、257、258、259、2


0、261、262、263、264、265、266、267、268、269、27
0、271、272、273、274、275、276、277、278、279、28
0、281、282、283、284、285、286、287、288、289、29
0、300、301、302、303、304、305、306、307、308、30
9、310、311、312、313、314、315、316、317、318、31
9、320、321、322、323、324、325、326、327、328、32
9、330、331、332、333、334、335、336、337、338、33
9、340、341、342、343、344、345、346、347、348、34
9、350、351、352、353、354、355、356、357、358、35
9、360、361、362、363、364、365、366、367、368、36
9、370、371、372、373、374、375、376、377、378、37
9、380、381、382、383、384、385、386、387、388、38
9、390、391、392、393、394、395、396、397、398、39
9、400、401、402、403、404、405、406、407、408、40
9、410、420、430、440、441、442、443、444、445、45
6、447、448、449、450、451、452、453、454、455、45
6、457、458、459、460、461、462、463、464、465、46
6、467、468、469、470、471、472、473、474、475、47
6、477、478、479、480、481、482、483、484、485、48
6、487、488、489、490、491、492、493、494、495、49
6、497、498、499、500、501、502、503、504、505、50
6、507、508、509、510、511、512、513、514、515、51
6、517、518、519、520、521、522、523、524、525、52
6、527、528、529、530、531、532、533、534、535、53
6、537、538、539、540、541、542、543、544、545、54
6、547、548、549、550、551、552、553、554、555、55
6、557、558、559、560、561、562、563、564、565、56
6、567、568、569、570、571、572、573、574、575、57
6、577、578、579、580、581、582、583、584、585、58
6、587、588、589、590、600、601、602、603、604、60
5、606、607、608、609、610、611、612、613、614、61
5、616、617、618、619、620、621、622、623、624、62
5、626、627、628、629、630、631、632、633、634、63
5、636、637、638、639、640、641、642、643、644、64
5、646、647、648、649、650、651、652、653、654、65
5、656、657、658、659、660、661、661、662、664、66
5、または666個を含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、アルツハイマー病に関与する遺伝子であ
り、例えば、Abat、Adamts9、Adss、Akap5、Alox12b、An
krd55、Aqp1、Arc、Asb2、Atp6v1b2、Batf、Cadps2
、Camk2a、Casp4、Ccl3、Ccl4、Cd14、Cd93、Ces1d、
Cfi、Chst3、Clec3b、Cpne7、Cpt1b、Crtc2、Cxcl1
4、Dhcr24、Dsc2、Dtna、Dusp1、Eef2k、Elovl6、Ep
ha2、Epha4、F3、Faah、Fbxo27、Fbxw9、Fkbp5、Fnd
c5、Fndc9、Gabra3、Gba、Gcnt2、Ggct、Ggps1、Gri
n1、Gsto1、Hdac9、Hmox1、Icam1、Igfbp2、Igfbp6
、Il1b、Il31ra、Irf1、Itsn2、Kif9、Lama5、Ldb3、
Lep、Lor、Lrrc39、Malat1、Map2k3、Mfap4、Mfng、
Mybpc2、Myo5b、Myot、Nalcn、Nap1l5、Nfkb1、Nfk
biz、Nhlrc1、Nos2、Ogn、Pclo、Pcyox1l、Pecam1、
Per2、Pfkm、Pgr、Piezo1、Pik3cg、Pim1、Plaur、P
ld3、Plk2、Pmm1、Ptgs2、Rab3c、Rbfox1、Rhebl1、
Rnase2b、S100a8、S100a9、S100b、Selp、Slc16a6
、Slc1a3、Slc25a4、Slc30a3、Slc38a2、Slc39a3、
Smtn、Sowahc、Spon2、Spp1、St3gal3、Stk36、Sto
ml1、Stx11、Tacstd2、Tbl1x、Tcf7l1、Tep1、Tgfb
2、Tgfbr1、Tmem198、Tnfaip3、Tob2、Trim45、Tri
m54、Unc5d、Vipr1、Zbtb16、Zc3h12c、またはこれらの任意
の組み合わせである。
【0051】
いくつかの実施形態では、この方法は、神経変性疾患に関連する1つ以上の経路の調節
のためにエクソソームをアッセイすることを含む。例えば、本方法は、カルシウムシグナ
ル伝達、HMGB1シグナル伝達、IL-6シグナル伝達、およびIL-8シグナル伝達
についてのアッセイを含むことができる。いくつかの実施形態では、本方法は、免疫応答
および炎症応答に関連する1つ以上の経路の調節のためにエクソソームをアッセイするこ
とを含む。例えば、本方法は、好中球の蓄積、骨髄系細胞の移動、IL-6およびIL-
8の活性、またはこれらの任意の組み合わせをアッセイすることを含み得る。
【0052】
例えば、本方法は、脳障害、疾患、または損傷に関連する任意の経路の調節異常につい
てアッセイすることを含み得る。例えば、経路は神経炎症シグナル伝達経路、GP6シグ
ナル伝達経路、ナチュラルキラー細胞シグナル伝達、HMGB1シグナル伝達、IL-6
シグナル伝達、アクチン細胞骨格シグナル伝達、ILKシグナル伝達、脊椎動物の心臓形
成を促進する因子、IL-8シグナル伝達、異物代謝AHRシグナル伝達経路、IL-1
5産生、肝線維症シグナル伝達経路、異物代謝一般シグナル伝達経路、骨関節炎経路、L
XR/RXR活性化、I型糖尿病シグナル伝達、ネトリンシグナル伝達、樹状細胞成熟、
甲状腺ホルモン代謝II(抱合および/または分解を介する)、メラトニン分解I、ニコ
チン分解II、メラトニン分解のスーパーパスウェイ、ビタミンCの抗酸化作用、TRE
M1シグナル伝達、ニコチン分解III、心臓肥大シグナル伝達(増強)、プロテインキ
ナーゼAシグナル伝達、HIF1αシグナル伝達、マウス胚性幹細胞多能性、Gαiシグ
ナル伝達、レチノール生合成、インスリン分泌シグナル伝達経路、カルシウムシグナル伝
達、HOTAIR調節経路、エンドセリン-1シグナル伝達、異物代謝PXRシグナル伝
達経路、セマホリンニューロン反発シグナル伝達経路、膵臓腺がんシグナル伝達、セロト
ニン分解、急性期応答シグナル伝達、トール様受容体シグナル伝達、iNOSシグナル伝
達、シナプス形成シグナル伝達経路、気道細胞におけるIL-17Aシグナル伝達、p3
8MAPKシグナル伝達、心臓肥大シグナル伝達、STAT3経路、Th2経路、エンド
カンナビノイド神経シナプス経路、白血球血管外遊出シグナル伝達、内因性プロトロンビ
ン活性化経路、Gα12/13シグナル伝達、PEDFシグナル伝達、先天性免疫のMI
F調節、IL-23シグナル伝達経路、パキシリンシグナル伝達、ErbBシグナル伝達
、樹状細胞と天然キラー細胞との間のクロストーク、異物代謝CARシグナル伝達経路、
ホスホリパーゼCシグナル伝達、CD40シグナル伝達、Tリンパ球におけるPKCθシ
グナル伝達、AMPKシグナル伝達、増殖因子経路による上皮間葉転換の調節、RhoA
シグナル伝達、GNRHシグナル伝達、結腸直腸がん転移シグナル伝達、アセトン分解I
(メチルグリオキサールへの)、キサンチンおよびキサントシンサルベージ、グルタチオ
ン媒介解毒、グアニンおよびグアノシンサルベージI、ドコサヘキサエン酸(DHA)シ
グナル伝達、アデニンおよびアデノシンサルベージI、ヒスタミン生合成、酢酸塩のアセ
チルCoAへの変換、関節炎におけるIL-17Aの役割、VDR/RXR活性化、タイ
トジャンクションシグナル伝達、グルココルチコイド受容体シグナル伝達、甲状腺ホルモ
ン生合成、上皮細胞におけるアルドステロンシグナル伝達、コレステロール生合成のスー
パーパスウェイ、MSP-RONシグナル伝達経路、アデニンおよびアデノシンサルベー
ジIII、プリンヌクレオチドデノボ生合成II、膀胱がんシグナル伝達、抗原提示経路
、ホスホリパーゼ、ヒ酸解毒I(グルタレドキシン)、クレアチンリン酸生合成、コレス
テロール生合成I、メチルグリオキサール分解III、全身性紅斑性ループスシグナル伝
達、IL-10シグナル伝達、Th1およびTh2活性化経路、エフリンAシグナル伝達
、プロスタノイド生合成、インフルエンザの病因における高サイトカイン血症/高ケモカ
イン血症の役割、カルシウム輸送I、IL-17シグナル伝達、異物代謝シグナル伝達、
エイコサノイドシグナル伝達、鉄ホメオスタシスシグナル伝達経路、アテローム性動脈硬
化症シグナル伝達、トリアシルグリセロール分解、オンコスタチンMシグナル伝達、IL
-17AおよびIL-17FによるマクロファージおよびTヘルパー細胞におけるサイト
カイン産生の差次的調節、ゲラニルゲラニル二リン酸生合成、サーカディアンリズムシグ
ナル伝達、アデノシンヌクレオチド分解II、エストロゲン媒介S相エントリー、視覚サ
イクル、アペリン心臓線維芽細胞シグナル伝達経路、cAMP媒介シグナル伝達、先天性
免疫細胞と適応性免疫細胞との間のコミュニケーション、プリンリボヌクレオシドのリボ
ース-1-リン酸への分解、GABA受容体シグナル伝達、コレステロール生合成III
(デスモステロールを介する)、ヒスチジン分解VI、上皮接着結合シグナル伝達、顆粒
球接着および透析、乾癬におけるIL-17Aの役割、ジモステロール生合成、コリン生
合成III、ヘム分解、ブプロピオン分解、プリンヌクレオチド分解II(好気性)、顆
粒球接着および透析、エポキシスクアレン生合成、ファゴソーム成熟、IL-17Aおよ
びIL-17Fによる腸上皮細胞におけるサイトカイン産生の差次的調節、トランス,ト
ランスファルネシル二リン酸生合成、がんにおける組織因子の役割、MIFを介したグル
ココルチコイド調節、アペリン脂肪細胞シグナル伝達経路、BAG2シグナル伝達経路、
DNA障害誘発性14-3-3σシグナル伝達、上皮間葉転換経路の調節、L-カルニチ
ン生合成、エストロゲン生合成、RAR活性化、コレステロール生合成II(24,25
-ジヒドロラノステロールを介する)、生殖細胞-セルトリ細胞接合部シグナル伝達、肝
線維症/肝星状細胞活性化、4-アミノ酪酸分解I、eNOSシグナル伝達、レチノエー
ト生合成I、IL-7シグナル伝達経路、脂肪酸α-酸化、アレルギー性炎症性気道疾患
におけるIL-17Fの役割、シルデナフィル(Viagra)の細胞効果、移植片対宿
主疾患のシグナル伝達、骨格筋細胞におけるnNOSシグナル伝達、アナンダミド分解、
アペリン肝シグナル伝達経路、ビタミンC輸送、またはこれらの任意の組み合わせであり
得る。
【0053】
いくつかの態様では、方法は、イムノアッセイである。最も単純かつ直接的な意味での
イムノアッセイは、抗体と抗原との間の結合を含む結合アッセイである。多くの種類およ
び形式のイムノアッセイが知られており、すべて、開示されるバイオマーカーを検出する
のに好適である。イムノアッセイの例として、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)
、ラジオイムノアッセイ(RIA)、ラジオイムノ沈殿アッセイ(RIPA)、イムノビ
ーズ捕捉アッセイ、ウェスタンブロッティング、ドットブロッティング、ゲルシフトアッ
セイ、フローサイトメトリー、タンパク質アレイ、多重ビーズアレイ、磁気捕捉、インビ
ボイメージング、蛍光共鳴エネルギー伝達(FRET)、および光退色後の蛍光回復/局
在化(FRAP/FLAP)が挙げられる。
【0054】
一般に、イムノアッセイは、目的の分子(開示されたバイオマーカーなど)を含むと疑
われるサンプルを目的の分子に対する抗体と接触させること、または、場合によっては、
免疫複合体の形成を可能にするのに有効な条件下で、目的の分子に対する抗体(開示され
たバイオマーカーへの抗体など)を抗体によって結合され得る分子と接触させることを含
む。サンプルを目的の分子に対する抗体に接触させること、または免疫複合体(一次免疫
複合体)の形成を可能にするのに有効な条件下で十分な期間、目的の分子に対する抗体に
よって結合され得る分子と接触させることは、概して、単に分子または抗体とサンプルと
を接触させ、抗体が、抗体が結合することができる任意の分子(例えば、抗原)と免疫複
合体を形成する、すなわちと結合するのに十分な期間、混合物をインキュベートすること
である。多くの形態のイムノアッセイにおいて、組織切片、ELISAプレート、ドット
ブロット、またはウエスタンブロットなどのサンプル-抗体組成物を洗浄して、任意の非
特異的に結合した抗体種を除去し、一次免疫複合体内に特異的に結合した抗体のみを検出
することを可能にすることができる。
【0055】
イムノアッセイは、サンプル中の目的の分子(開示されたバイオマーカーまたはそれら
の抗体など)の量を検出または定量化するための方法を含むことができ、これらの方法は
、一般に、結合プロセス中に形成される任意の免疫複合体の検出または定量化を含む。一
般に、免疫複合体形成の検出は当該技術分野で周知であり、多数のアプローチを適用する
ことによって達成することができる。これらの方法は、概して、任意の放射性、蛍光、生
物学的もしくは酵素的タグ、または任意の他の既知の標識などの標識またはマーカーの検
出に基づく。
【0056】
いくつかの態様では、本方法は、mRNAバイオマーカーを検出することを含む。全R
NAまたはポリ(A)RNAサンプル中の特定のmRNAの存在量を検出および決定する
ための、広く使用されているいくつかの手順が存在する。例えば、特異的mRNAは、ノ
ーザンブロット分析、ヌクレアーゼ保護アッセイ(NPA)、インサイチュハイブリダイ
ゼーション、または逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)を使用して検出するこ
とができる。いくつかの実施形態では、方法は、qRT-PCR、デジタルPCR、また
は分子ビーコンもしくは分子フレア/プローブとのインサイチュハイブリダイゼーション
を含む。
【0057】
改変皮膚由来細胞外ビヒクル(EV)
皮膚由来エクソソームを、対象の脳に送達される治療用カーゴで改変することによって
、神経学的疾患を有する対象を治療する方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形
態では、この方法は、対象の皮膚を操作して、治療用エクソソームを産生することを含む
。いくつかの実施形態では、この方法は、皮膚で産生されたエクソソームを収集すること
と、それらに治療用カーゴを充填することと、を含む。
【0058】
治療用EVを生産するための皮膚細胞の操作
皮膚細胞に治療用遺伝子をコードする核酸配列を含むポリヌクレオチドを細胞内送達す
ることを含む、皮膚細胞をEV産生細胞にリプログラミングする方法もまた開示される。
【0059】
いくつかの実施形態では、この方法は、対象の皮膚を、抗Tau siRNA、miR
NA、またはこれらの任意の組み合わせをコードする発現ベクターでトランスフェクトす
ることを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、対象の皮膚を、siRNA、また
はグリア細胞活性を低下させるmRNAなどの1つ以上の抗炎症性遺伝子をコードする発
現ベクターでトランスフェクトすることを含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、この方法は、Etv2(NM_001300974.2、N
M_001304549.2、NM_014209.4)、Foxc2(NM_0052
51.3)、Fli1(NM_001167681.2、NM_001271010.1
、NM_001271012.1、NM_002017.5)、VEGFA(NM_00
1025366.3、NM_001025367.3、NM_001025368.3、
NM_001025369.3、NM_001025370.3 NM_0010337
56.3、NM_001171622.2、NM_001171623.1、NM_00
1171624.1、NM_001171625.1、NM_001171626.1、
NM_001171627.1、NM_001171628.1、NM_0011716
29.1、NM_001171630.1、NM_001204384.1、NM_00
1204385.2、NM_001287044.2、NM_001317010.1、
NM_003376.6)、VEGFB(NM_003377.5、NM_001243
733.2)、VEGFC(NM_005429.5)、VEGFD(NM_00446
9.5)、bFGF(NM_001361665.2、NM_002006.5)、So
x17(NM_022454.4)、Oct4、Klf4(NM_001314052.
2、NM_004235.6)、またはこれらの任意の組み合わせなどの1つ以上の血管
新生因子をコードする発現ベクターで対象の皮膚をトランスフェクトすることを含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、この方法は、Ascl1(NM_004316.4)、As
cl2(NM_005170.3)、Ascl3(NM_020646.2)、Ascl
5(NM_001270601.1)、Neurog1(NM_006161.3)、N
eurog2(NM_024019.4)、Neurog3(NM_020999.4)
、Neurod1(NM_002500.5)、Neurod2(NM_006160.
4)、Neurod4(NM_021191.3)、Neurod6(NM_02272
8.4)、Atoh1(NM_005172.2)、Atoh7(NM_145178.
4)、Atoh8(NM_032827.7)、Myf5(NM_005593.3)、
Ptf1a(NM_178161.3)、Brn3c(NM_002700.3)、Br
n3a(NM_006237.4)、Brn3b(NM_004575.3)、Brn1
(NM_006236.3)、Brn2(NM_005604.4)、Brn4(NM_
000307.5)、Oct4(NM_001173531.2)、Oct6(NM_0
02699.4)、Pit1(NM_000306.4)、Brn5(NM_00133
0422.2)、Myt1l(NM_001303052.2)、Nurr1(NM_0
06186.4)、またはこれらの組み合わせなどの1つ以上の神経原性因子をコードす
る発現ベクターで対象の皮膚をトランスフェクトすることを含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、この方法は、hsa-miR-106b-5p、hsa-m
iR-101-3p、hsa-miR-520c-3p、hsa-miR-106a-5
p、hsa-miR-20a-5p、hsa-miR-17-5p、hsa-miR-1
5a-5p、hsa-miR-130a-3p、hsa-let-7d-5p、hsa-
let-7a-5p、hsa-miR-16-5p、hsa-miR-144-3p、h
sa-miR-4422、hsa-let-7f-1-3p、hsa-let-7a-3
p、hsa-let-7b-3p、hsa-miR-98-3p、hsa-miR-38
0-3p、hsa-miR-6835-3p、hsa-miR-4772-5p、hsa
-miR-101-3p、hsa-miR-4719、hsa-miR-520f-3p
、hsa-miR-3908、hsa-miR-4269、hsa-miR-323a-
3p、hsa-miR-6715b-5p、hsa-miR-153-3p、hsa-m
iR-4495、hsa-miR-4786-5p、hsa-miR-3911、hsa
-miR-6085、hsa-miR-6813-5p、またはこれらの任意の組み合わ
せなどの、抗APPのsiRNA、miRNAをコードする発現ベクターで対象の皮膚を
トランスフェクトすることを含む。
【0063】
いくつかの実施形態では、この方法は、hsa-miR-34c-5p、hsa-mi
R-657、hsa-miR-4728-5p、hsa-miR-3978、またはこれ
らの任意の組み合わせなどの抗MAPTのsiRNA、miRNAをコードする発現ベク
ターで対象の皮膚をトランスフェクトすることを含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、この方法は、PPARγ(NM_001330615.4、
NM_001354666.3、NM_001354667.3、NM_0013546
68.2、NM_001354669.2、NM_001354670.2、NM_00
1374261.3、NM_001374262.3、NM_001374263.2、
NM_001374264.2、NM_001374265.1、NM_0013742
66.1、NM_005037.7、NM_015869.5、NM_138711.6
、NM_138712.5)、Il-10(NM_000572.3、NM_00138
2624.1)、Il-27(NM_145659.3)、Trem2(NM_0012
71821.2、NM_018965.4)、IkBα(NM_020529.3)、S
irt1(NM_001142498.1、NM_001314049.1、NM_01
2238.5)、またはそれらの任意の組み合わせなどの抗炎症性遺伝子をコードする発
現ベクターで対象の皮膚をトランスフェクションすることを含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、この方法は、炎症促進性遺伝子を標的とするsiRNAまた
はmiRNAをコードする発現ベクターで対象の皮膚をトランスフェクトすることを含む
。いくつかの実施形態では、miRNAは、hsa-miR-335-5p、hsa-m
iR-106b-5p、またはhsa-miR-20a-5pなどの抗P2X4Rのmi
RNAであり得る。いくつかの実施形態では、miRNAは、hsa-let-7i-5
p、hsa-miR-146a-5p、hsa-miR-335-5p、hsa-miR
-146b-5p、hsa-let-7b-5p、hsa-miR-448、またはhs
a-miR-3924などの抗TLR4のmiRNAであり得る。いくつかの実施形態で
は、miRNAは、hsa-miR-296-3p、hsa-miR-1227-3p、
hsa-miR-4261、またはhsa-miR-147b-5pなどの抗CX3CR
1のmiRNAであり得る。いくつかの実施形態では、miRNAは、hsa-miR-
204-5p、hsa-miR-21-5p、hsa-miR-887-3p、hsa-
miR-24-3p、hsa-miR-106a-5p、hsa-miR-877-3p
、hsa-miR-5692a、hsa-miR-5688、またはhsa-miR-4
95-3pなどの抗IL-1βのmiRNAであり得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、核酸配列は、非ウイルスベクターに存在する。いくつかの実
施形態では、核酸配列は、発現制御配列に作動可能に連結されている。他の実施形態では
、核酸は、2つ以上の発現制御配列に作動可能に連結されている。
【0067】
ウイルスおよび非ウイルス媒介技法を含む、様々な方法が当該技術分野で既知であり、
細胞への核酸の導入に好適である。典型的な非ウイルス媒介性技法の例としては、エレク
トロポレーション、リン酸カルシウム媒介性導入、ヌクレオフェクション、ソノポレーシ
ョン、熱ショック、マグネトフェクション、リポソーム媒介性導入、マイクロインジェク
ション、マイクロプロジェクタ媒介性導入(ナノ粒子)、カチオン性ポリマー媒介性導入
(DEAE-デキストラン、ポリエチレンイミン、ポリエチレングリコール(PEG)な
ど)または細胞融合が挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
いくつかの実施形態では、標的細胞をトランスフェクションした後、細胞は次いで、ト
ランスフェクトされた遺伝子(例えば、cDNA、miRNAなど)をEVにパックする
ことができ、これは次いで、他の皮膚細胞を誘導してEV産生細胞を形成することができ
る。したがって、開示された治療用遺伝子を含むかまたは発現する細胞から産生された細
胞外小胞で体細胞を曝露することを含む、皮膚細胞をEV産生細胞にリプログラミングす
る方法も開示される。
【0069】
したがって、開示された治療用遺伝子をコードする1つ以上の核酸配列を含む外因性ポ
リヌクレオチドを発現するかまたは含む細胞から単離された細胞外小胞(EV)に皮膚細
胞を曝露することを含む、皮膚細胞をEV産生細胞にリプログラミングする方法が開示さ
れる。次いで、ドナー細胞によって分泌されたEVを培養培地から収集することができる
。次いで、これらのEVを皮膚細胞に投与して、それらをインスリン産生細胞にリプログ
ラミングすることができる。いくつかの実施形態では、ドナー細胞は、皮膚細胞(例えば
、線維芽細胞、ケラチノサイト、皮膚幹細胞)、脂肪細胞、樹状細胞、末梢血単核細胞(
PBMC)、膵臓細胞(例えば、管状上皮細胞)、肝臓細胞(例えば、肝細胞)、免疫細
胞(例えば、T細胞、マクロファージ、骨髄由来サプレッサー細胞)を含むが、これらに
限定されない、EVを産生することができる対象からの任意の細胞であり得る。
【0070】
神経学的疾患を治療するために使用することができる、インビトロおよびインビボの両
方で皮膚細胞をEV産生細胞にリプログラミングするための組成物および方法が本明細書
に開示される。
【0071】
エクソソームおよび微小小胞体は、サイズおよび表面タンパク質マーカーを含む、それ
らの生物発生のプロセスおよび生物物理学的特性に基づいて異なるEVである。エクソソ
ームは、40~150nmのサイズの均質な小さな粒子であり、それらは通常、エンドサ
イトーシスリサイクル経路に由来する。エンドサイトーシスでは、形質膜でエンドサイト
ーシス小胞が形成され、融合して初期のエンドソームを形成する。これらは成熟して後期
エンドソームとなり、ここで管腔内小胞が出芽して小胞内腔となる。これらの多胞体は、
リソソームと融合する代わりに、形質膜と直接融合し、エクソソームを細胞外空間に放出
する。エクソソーム生体発生、タンパク質カーゴ選別、および放出は、輸送に必要なエン
ドソーム選別複合体(ESCRT複合体)、ならびにAlixおよびTsg101などの
他の関連タンパク質を含む。対照的に、微小小胞体は、形質膜からの膜小胞の外向きの出
芽および分裂を通じて直接産生され、したがって、それらの表面マーカーは、起源の膜の
組成に大きく依存する。さらに、それらは、直径150~1000nmの範囲の、細胞外
小胞のより大きく、より多様な集団を構成する傾向がある。しかしながら、両方のタイプ
の小胞は、機能的mRNA、miRNA、およびタンパク質をレシピエント細胞に送達す
ることが示されている。
【0072】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、遺伝子ガン、そのような送達に好適な
微小粒子またはナノ粒子、エレクトロポレーションによるトランスフェクション、三次元
ナノチャネルエレクトロポレーション、組織ナノトランスフェクションデバイス、そのよ
うな送達に好適なリポソーム、または深層腫瘍組織ナノエレクトロインジェクションデバ
イスを介して、体細胞またはEVのためのドナー細胞に細胞内送達される。いくつかの実
施形態では、ウイルスベクターを使用することができる。しかしながら、他の実施形態で
は、ポリヌクレオチドは、ウイルス送達されない。
【0073】
エレクトロポレーションは、細胞膜の透過性を増加させるために電場を細胞に印加し、
カーゴ(例えば、リプログラミング因子)を細胞に導入することを可能にする技法である
。エレクトロポレーションは、細胞に外来DNAを導入するための一般的な技法である。
【0074】
組織ナノトランスフェクションは、配列されたナノチャネルを介して非常に強度の高い
集束電場を印加することによって、細胞内へのカーゴ(例えば、リプログラミング因子)
の直接細胞質送達を可能にし、これは、並列する組織細胞メンバーを良性的にナノポアリ
ングし、カーゴを細胞内に電気泳動的に誘導する。
【0075】
ポリペプチドまたは機能的核酸を発現するために、ヌクレオチドコード配列を適切な発
現ベクターに挿入し得る。したがって、本明細書に開示される核酸配列を含むポリヌクレ
オチドを含む非ウイルスベクターも開示され、核酸配列は発現制御配列に作動可能に連結
されている。いくつかの実施形態では、核酸配列は、単一の発現制御配列に作動可能に連
結されている。他の実施形態では、核酸配列は、2つ以上の別個の発現制御配列に作動可
能に連結されている。
【0076】
遺伝子配列ならびに適切な転写および翻訳制御エレメントを含む発現ベクターを構築す
る方法は、当該技術分野において周知である。これらの方法には、インビトロの組換えD
NA技法、合成技法、およびインビボの遺伝子組換えが含まれる。そのような技法は、S
ambrook et al.,Molecular Cloning,A Labor
atory Manual(Cold Spring Harbor Press,Pl
ainview,N.Y.,1989)、およびAusubel et al.,Cur
rent Protocols in Molecular Biology(John
Wiley&Sons,New York,N.Y.,1989)に記載されている。
【0077】
発現ベクターは、概して、挿入されたコード配列の翻訳および/または転写に必要な調
節配列エレメントを含む。例えば、コード配列は好ましくはプロモーターおよび/または
エンハンサーに作動可能に連結され、所望の遺伝子産物の発現の制御を補助する。
【0078】
バイオテクノロジーで使用されるプロモーターは、遺伝子発現の意図される制御のタイ
プに応じて異なるタイプである。これらは、一般に、構成的プロモーター、組織特異的ま
たは発生段階特異的プロモーター、誘導性プロモーター、および合成プロモーターに分け
ることができる。
【0079】
構成的プロモーターは、ほとんどすべての組織における発現を誘導し、環境因子および
発生因子とは完全ではないにせよほとんど無関係である。それらの発現は通常、内因性因
子によって条件付けられるものではないため、構成的プロモーターは通常、種全体、さら
には界全体で活性である。構成的プロモーターの例として、CMV、EF1a、SV40
、PGK1、Ubc、ヒトβアクチン、およびCAGが挙げられる。
【0080】
組織特異的または発生段階特異的プロモーターは、特定の組織または特定の発生段階に
おける遺伝子の発現を誘導する。植物の場合、脈管系、光合成組織、塊茎、根、および他
の植物性器官、または種子および他の生殖器官における遺伝子を発現するかまたは発現に
影響を及ぼすプロモーターエレメントは、異種系(例えば、遠く関連する種、または他の
界でさえも)に見出すことができるが、最大の特異性は、一般に、相同プロモーター(す
なわち、同じ種、属、または科に由来する)で達成される。これはおそらく、転写因子の
協調発現がプロモーターの活性の調節に必要であるためである。
【0081】
誘導性プロモーターの性能は、内因性因子ではなく、人為的に制御することができる環
境条件および外部刺激によって条件付けられる。このグループ内には、光、酸素レベル、
熱、寒さ、および傷害などの非生物学的因子によって調節されるプロモーターが存在する
。これらの因子のいくつかは、実験環境の外で制御することが困難であるため、目的の生
物に天然には見られない化合物に応答するプロモーターが特に興味深い。これらに沿って
、抗生物質、銅、アルコール、ステロイド、および除草剤、とりわけ他の化合物に応答す
るプロモーターは、任意に、かつ他の生物学的または非生物学的因子とは無関係に、遺伝
子活性の誘導を可能にするように適合および精密化されている。
【0082】
真核生物細胞生物学の研究のために最も一般的に使用される2つの誘導性発現系は、T
et-OffおよびTet-Onと名付けられる。Tet-Off系は、Escheri
chia coli細菌に見られる1つのタンパク質TetR(テトラサイクリンリプレ
ッサー)と、ヘルペス単純ウイルスに見られる別のタンパク質VP16の活性化ドメイン
とを融合させることによって作製されるテトラサイクリントランスアクチベーター(tT
A)タンパク質を利用する。得られたtTAタンパク質は、特定のTetOオペレーター
配列でDNAに結合することができる。ほとんどのTet-Off系において、そのよう
なTetO配列のいくつかの反復は、CMVプロモーターなどの最小限のプロモーターの
上流に配置される。最小限のプロモーターを有するいくつかのTetO配列の全体は、テ
トラサイクリン応答エレメント(TRE)と呼ばれる。なぜなら、それは、そのプロモー
ターの下流の遺伝子(複数可)の発現の増加によってテトラサイクリントランスアクチベ
ータータンパク質tTAの結合に応答するからである。Tet-Offシステムでは、T
RE制御遺伝子の発現は、テトラサイクリンおよびその誘導体によって抑制され得る。そ
れらはtTAに結合し、TRE配列に結合することができなくなり、それによってTRE
制御遺伝子のトランス活性化を防止する。Tet-On系は、同様に機能するが、逆の方
法で作動する。Tet-Off系においては、tTAは、Tet-On系においてテトラ
サイクリンまたはドキシサイクリンなどのその誘導体の1つに結合していない場合にのみ
オペレーターに結合することができ、rtTAタンパク質は、テトラサイクリンに結合し
ている場合にのみオペレーターに結合することができる。したがって、ドキシサイクリン
の系への導入は、遺伝子産物の転写を開始する。Tet-On系は、その応答性が速いた
め、Tet-Offよりも好ましいことがある。
【0083】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される核酸配列は、同じ発現制御配列に作動
可能に連結されている。代替的に、配列内リボソーム進入部位(IRES)エレメントを
使用して、マルチ遺伝子またはポリシストロニックのメッセージを作成することができる
。IRESエレメントは、5’メチル化Cap依存性翻訳のリボソーム走査モデルをバイ
パスし、内部部位で翻訳を開始することができる。IRESエレメントは、異種オープン
リーディングフレームに結合させることができる。複数のオープンリーディングフレーム
を一緒に転写することができ、それぞれがIRESによって分離され、ポリシストロニッ
クメッセージを作成する。IRESエレメントにより、各オープンリーディングフレーム
は、効率的な翻訳のためにリボソームにアクセス可能である。複数の遺伝子を、単一のプ
ロモーター/エンハンサーを使用して効率的に発現させ、単一のメッセージを転写するこ
とができる。
【0084】
発現制御配列に作動可能に連結された本明細書に開示される1つ以上のポリヌクレオチ
ドを含む非ウイルスベクターが開示される。そのような非ウイルスベクターの例としては
、オリゴヌクレオチド単独、または好適なタンパク質、多糖類、もしくは脂質製剤と組み
合わせたものが挙げられる。非ウイルス法は、ウイルス法よりも特定の利点を提示し、単
純な大規模生産および低い宿主免疫原性は、まさに2つである。以前は、低レベルのトラ
ンスフェクションおよび遺伝子の発現は、非ウイルス法を不利であるようにしてきたが、
最近のベクター技術の進歩により、ウイルスと同様のトランスフェクション効率を有する
分子および技法が得られた。
【0085】
好適な非ウイルスベクターの例としては、pIRES-hrGFP-2a、pCMV6
、pMAX、pCAG、pAd-IRES-GFP、およびpCDNA3.0が挙げられ
るが、これらに限定されない。
【0086】
開示される組成物は、治療する上で、薬学的に許容される担体と組み合わせて使用する
ことができる。「薬学的に許容される」とは、生物学的にまたは他の方法で望ましくない
材料を意味し、すなわち、材料は、任意の望ましくない生物学的作用を引き起こすことな
く、または材料が含まれる医薬組成物の他の成分のいずれかと有害な様式で相互作用する
ことなく、核酸またはベクターとともに対象に投与することができる。担体は、当業者に
周知であるように、活性成分の任意の分解を最小限に抑え、対象における任意の有害な副
作用を最小限に抑えるように当然に選択されるであろう。
【0087】
改変皮膚由来EV
皮膚で産生されたエクソソームを収集し、治療用カーゴを充填する方法もまた開示され
る。いくつかの実施形態では、開示されるEVは、細胞によってセレートされ得る任意の
小胞であり得る。細胞は、アポトーシス体(1~5μm)、微小小胞体(サイズ100~
1000nm)、およびエクソソーム(50~150nm)として知られるエンドソーム
起源の小胞を含む、幅広い直径および機能を有する細胞外小胞(EV)を分泌する。
【0088】
開示される細胞外小胞は、当該技術分野で既知の方法によって調製され得る。例えば、
開示される細胞外小胞は、細胞標的化リガンドをコードするmRNAを真核細胞内で発現
することによって調製され得る。いくつかの実施形態では、細胞はまた、治療用カーゴを
コードするmRNAを発現する。細胞標的化リガンドおよび治療用カーゴのためのmRN
Aは、開示されるEVを産生するのに好適な産生細胞にトランスフェクトされるベクター
から発現され得る。細胞標的化リガンドおよび治療用カーゴのためのmRNAは、同じベ
クターから発現されてもよく(例えば、ベクターが細胞標的化リガンドのためのmRNA
および別個のプロモーターからの治療用カーゴを発現する場合)、または細胞標的化リガ
ンドおよび治療用カーゴのためのmRNAは、別個のベクターから発現されてもよい。細
胞標的化リガンドおよび治療用カーゴのためのmRNAを発現させるためのベクター(複
数可)は、開示される細胞外小胞を調製するために設計されたキットにパッケージングさ
れ得る。
【0089】
好適な担体およびそれらの製剤は、Remington:The Science a
nd Practice of Pharmacy(19th ed.)ed.A.R.
Gennaro,Mack Publishing Company,Easton,P
A 1995に記載されている。典型的には、適切な量の薬学的に許容される塩を製剤に
使用して、製剤を等張性にする。薬学的に許容される担体の例としては、生理食塩水、リ
ンゲル液、およびデキストロース溶液が挙げられるが、これらに限定されない。溶液のp
Hは、好ましくは約5~約8、より好ましくは約7~約7.5である。さらなる担体とし
ては、マトリックスが成形品の形態、例えば、フィルム、リポソームまたは微粒子である
、抗体を含む固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスなどの持続放出製剤が挙げられ
る。当業者には、例えば、投与される組成物の投与経路および濃度に応じて、ある特定の
担体がより好ましい場合があることが明白であろう。
【0090】
医薬担体は、当業者に既知である。これらは、最も典型的に、滅菌水、生理食塩水、お
よび生理学的pHでの緩衝溶液などの溶液を含む、ヒトへの薬物の投与のための標準的な
担体である。組成物は、筋肉内または皮下投与することができる。他の化合物は、当業者
によって使用される標準的な手順に従って投与される。
【0091】
医薬組成物は、選択される分子に加えて、担体、増粘剤、希釈剤、緩衝液、防腐剤、表
面活性剤などを含み得る。医薬組成物はまた、抗菌剤、抗炎症剤、麻酔薬などの、1種以
上の活性成分を含んでもよい。
【0092】
非経口的投与の製剤としては、滅菌した水溶液または非水溶液、懸濁液およびエマルジ
ョンが挙げられる。非水溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、
オリーブ油などの植物油、およびオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルである
。水性担体としては、生理食塩水および緩衝媒体を含む、水、アルコール/水溶液、エマ
ルジョンまたは懸濁液が挙げられる。非経口ビヒクルとして、塩化ナトリウム溶液、リン
ゲルデキストロース、デキストロースおよび塩化ナトリウム、乳酸リンゲル、または不揮
発性油が挙げられる。静脈内ビヒクルとしては、流体および栄養補充剤、電解質補充剤(
例えば、リンゲルデキストロースに基づくもの)などが挙げられる。防腐剤および他の添
加剤、例えば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤、および不活性ガスなどもまた存在し得る
【0093】
局所投与のための製剤は、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、ドロップ、座薬、スプ
レー、液体、および粉末を含み得る。従来の医薬担体、水性基剤、粉末基剤または油性基
剤、増粘剤などが、必要となるかまたは望ましい場合がある。
【0094】
経口投与のための組成物としては、粉末もしくは顆粒、水もしくは非水媒体中の懸濁液
もしくは溶液、カプセル、小袋、または錠剤が挙げられる。増粘剤、香料、希釈剤、乳化
剤、分散助剤、または結合剤が望ましい場合がある。
【0095】
組成物のうちのいくつかは、塩酸、臭化水素酸、過塩素酸、硝酸、チオシアン酸、硫酸
およびリン酸などの無機酸、ならびにギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、
ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸およびフマル酸などの有機酸と
の反応によって、または、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウムなど
の無機塩基、ならびにモノ、ジ、トリアルキルアミンおよびアリールアミンおよび置換エ
タノールアミンなどの有機塩基類との反応によって形成される、薬学的に許容される酸付
加塩または塩基付加塩として、投与される可能性があり得る。
【0096】
医薬組成物を含む、本明細書に開示される組成物は、局所治療または全身治療が所望さ
れるかどうか、および治療される領域に応じて、多くの様式で投与され得る。例えば、開
示される組成物は、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、腔内、または経皮的に投与すること
ができる。組成物は、局所鼻腔内投与または吸入剤による投与を含む、経口、非経口(例
えば、静脈内)、筋肉内注射、腹腔内注射、経皮、体外、眼科的、膣内、直腸、鼻腔内、
局所などに投与することができる。
【0097】
治療用カーゴ
開示される細胞外小胞には、治療剤が充填されてよく、ここで、細胞外小胞は、薬剤を
標的細胞に送達する。好適な治療薬としては、治療剤(例えば、低分子薬)、治療用タン
パク質、および治療用核酸(例えば、治療用RNA)が挙げられるが、これらに限定され
ない。いくつかの実施形態では、開示される細胞外小胞は、治療用RNA(本明細書にお
いて「カーゴRNA」とも称される)を含む。
【0098】
例えば、いくつかの実施形態では、細胞標的化モチーフを含む融合タンパク質はまた、
細胞外小胞が細胞から分泌される前に、カーゴRNAを細胞外小胞にパッケージングする
ためにカーゴRNAに存在する1つ以上のRNAモチーフに結合するRNAドメイン(例
えば、融合タンパク質の細胞質C末端)を含む。したがって、融合タンパク質は、「細胞
標的化タンパク質」と「パッケージングタンパク質」の両方として機能し得る。いくつか
の実施形態では、パッケージングタンパク質は、細胞外小胞充填タンパク質または「EV
充填タンパク質」と称され得る。
【0099】
いくつかの実施形態では、カーゴRNAは、miRNA、shRNA、mRNA、nc
RNA、sgRNA、またはこれらの任意の組み合わせである。例えば、いくつかの実施
形態では、抗炎症剤はマイクロRNA146aである。他のmiRNAは、M1選好解糖
代謝(例えば、mRr9、miR127、およびmiR155)を担う主要分子の発現を
調節することが報告されている。
【0100】
開示される細胞外小胞のカーゴRNAは、任意の好適な長さであり得る。例えば、いく
つかの実施形態では、カーゴRNAは、少なくとも約10nt、20nt、30nt、4
0nt、50nt、100nt、200nt、500nt、1000nt、2000nt
、5000nt、またはそれ以上のヌクレオチド長を有し得る。他の実施形態では、カー
ゴRNAは、約5000nt、2000nt、1000nt、500nt、200nt、
100nt、50nt、40nt、30nt、20nt、または10nt以下のヌクレオ
チド長を有し得る。さらにさらなる実施形態では、カーゴRNAは、これらの想定される
ヌクレオチド長の範囲内のヌクレオチド長、例えば、約10nt~5000ntの範囲内
のヌクレオチド長、または他の範囲内のヌクレオチド長を有し得る。開示される細胞外小
胞のカーゴRNAは、例えば、カーゴRNAがmRNAまたは別の比較的長いRNAを含
む場合、比較的長くてもよい。
【0101】
いくつかの実施形態では、治療用カーゴは、EVが細胞によって分泌された後にEVに
充填される膜透過性の薬理学的化合物である。いくつかの実施形態では、カーゴは、標的
腫瘍細胞のアポトーシスまたはピロプトーシスを引き起こし得る抗がん剤である。いくつ
かの実施形態では、抗がん剤は低分子薬物である。例えば、いくつかの実施形態では、カ
ーゴはイブルチニブである。本明細書に記載される腫瘍標的ペプチドに結合させる抗がん
剤または抗腫瘍剤のさらなる例としては、非限定的に、アクラルビシン、アルトレタミン
、アミノプテリン、アムルビシン、アザシチジン、アザチオプリン、ベロテカン、ブスル
ファン、カンプトテシン、カペシタビン、カルボプラチン、カルモフール、カルムスチン
、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロファラビン、シクロホスファミド
、シタラビン、ダウノルビシン、デシタビン、ドキソルビシン、エピルビシン、エトポシ
ド、フロクスウリジン、フルダラビン、5-フルオロウラシル、フルオロウラシル、ゲム
シタビン、イダルビシン、イホスファミド、イリノテカン、メクロレタミン、メルファン
、メカプトプリン、メトトレキサート、ミトキサントロン、ネダプラチン、オキサリプラ
チン、パクリタキセル、ペメトレキセド、ペントスタチン、ピラルビシン、ピキサントロ
ン、プロカルバジン、ピリメタミンラルチトレキセド、ルビテカン、サトラプラチン、ス
トレプトゾシン、チオグアニン、テトラニトレートトリプラチン、テニポシド、トポテカ
ン、テガフール、トリメトプリム、ウラムスチン、バルルビシン、ビンブラスチン、ビン
クリスチン、ビンデシン、ビンフルニン、ビノレルビン、およびゾルビシンが挙げられる
【0102】
EVへの小型RNAの充填を達成するために、トランスフェクションに基づくアプロー
チが提案されている。他の報告は、細胞内の小型RNAのベクター誘導発現を使用して、
EVへの小型RNA充填を達成することができることを示している。代替的に、EVドナ
ー細胞を小型RNAで直接トランスフェクトしてもよい。腫瘍細胞を化学療法薬とともに
インキュベーションすることは、薬物をEVにパッケージングする別の方法でもある。薬
物充填EVの形成を刺激するために、細胞に紫外線を照射してアポトーシスを誘導する。
膜融合性リポソームなどの代替的アプローチはまた、薬物をEVに充填することをもたら
す。
【0103】
いくつかの実施形態では、治療用カーゴは、濃度勾配を介して拡散することによってE
Vに充填される。
【0104】
方法
また、本明細書では、神経学的疾患を治療するために開示されるEVを使用するための
方法も企図される。例えば、開示される細胞外小胞は、治療用遺伝子またはカーゴを送達
することによって、脳の任意の損傷、疾患、または障害のために使用され得る。いくつか
の実施形態では、開示される細胞外小胞は、脊髄損傷、アルツハイマー病、筋萎縮性側索
硬化症、運動失調症、小脳または脊髄小脳変性症、脳および脊髄腫瘍、脳動脈瘤、てんか
ん、外傷性脳損傷、多発性硬化症、パーキンソン病、脳卒中、ハンチントン病、自閉症ス
ペクトラム障害、脳性麻痺、慢性疼痛、レビー小体型認知症、偏頭痛、ニーマン・ピック
病、前頭側頭型認知症、CADASIL、脊髄小脳変性および萎縮、またはそれらの任意
の組み合わせを治療するために使用され得る。
【0105】
開示されるEVは、任意の好適な手段によって対象に投与することができる。ヒトまた
は動物対象への投与は、非経口投与、筋肉内投与、脳内投与、血管内投与、皮下投与、ま
たは経皮投与から選択され得る。典型的には、送達方法は注射によるものである。好まし
くは、注射は筋肉内または血管内(例えば、静脈内)である。医師は、特定の患者ごとに
必要な投与経路を決定することができるであろう。
【0106】
EVは、好ましくは、組成物として送達される。組成物は、非経口、筋肉内、脳内、血
管内(静脈内を含む)、皮下、または経皮投与のために製剤化され得る。非経口投与用の
組成物は、緩衝液、希釈剤、および他の好適な添加剤も含み得る滅菌水溶液を含み得る。
EVは、EVに加えて、薬学的に許容される担体、増粘剤、希釈剤、緩衝液、防腐剤、お
よび他の薬学的に許容される担体または賦形剤などを含み得る医薬組成物中で製剤化され
得る。
【0107】
非経口投与は、一般に、皮下、筋肉内、または静脈内などの注射によって特徴付けられ
る。非経口投与の調製物としては、注射の準備ができている滅菌溶液、皮下錠剤を含む使
用直前に溶媒と組み合わせる準備ができている凍結乾燥粉末などの滅菌乾燥可溶性製品、
注射の準備ができている滅菌懸濁液、使用直前にビヒクルと組み合わせる準備ができてい
る滅菌乾燥不溶性製品、滅菌エマルジョンが挙げられる。溶液は、水性または非水性のい
ずれであってもよい。
【0108】
静脈内投与する場合、好適な担体としては、生理食塩水またはリン酸緩衝生理食塩水(
PBS)、ならびに増粘剤および可溶化剤、例えばグルコース、ポリエチレングリコール
、ポリプロピレングリコール、およびそれらの混合物が挙げられる。非経口調製物で使用
される薬学的に許容される担体としては、水性ビヒクル、非水性ビヒクル、抗菌剤、等張
剤、緩衝液、抗酸化剤、局所麻酔薬、懸濁剤および分散剤、乳化剤、封鎖剤またはキレー
ト剤、および他の薬学的に許容される物質が挙げられる。水性ビヒクルの例としては、塩
化ナトリウム注射、リンゲル注射、等張デキストロース注射、滅菌水注射、デキストロー
スおよび乳酸化リンゲル注射が挙げられる。非水非経口ビヒクルとしては、植物由来の不
揮発性油、綿実油、トウモロコシ油、ゴマ油、およびピーナッツ油が挙げられる。静菌濃
度または静真菌濃度での抗菌剤は、フェノールまたはクレゾール、水銀、ベンジルアルコ
ール、クロロブタノール、メチルおよびプロピルp-ヒドロキシ安息香酸エステル、チメ
ロサール、塩化ベンザルコニウム、および塩化ベンゼトニウムを含む複数用量の容器にパ
ッケージングされた非経口調製物に添加しなければならない。等張剤としては、塩化ナト
リウムおよびデキストロースが挙げられる。緩衝液としては、リン酸塩およびクエン酸塩
が挙げられる。抗酸化剤としては、硫酸水素ナトリウムが挙げられる。局所麻酔薬として
は、塩酸プロカインが挙げられる。懸濁剤および分散剤としては、カルボキシメチルセル
オースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびポリビニルピロリドン
が挙げられる。
【0109】
乳化剤としては、ポリソルベート80(TWEEN(登録商標)80)が挙げられる。
金属イオンの封鎖剤またはキレート剤としては、EDTAが挙げられる。医薬担体として
は、水混和性ビヒクルのためのエチルアルコール、ポリエチレングリコール、およびプロ
ピレングリコール、ならびにpH調整のための水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸、また
は乳酸も挙げられる。薬学的に活性な化合物の濃度は、注射が所望の薬理学的効果をもた
らす有効量をもたらすように調整される。正確な用量は、当該技術分野で既知の患者また
は動物の年齢、体重、および状態に依存する。
【0110】
単位用量の非経口調製物は、アンプル、バイアル、または針を備えたシリンジにパッケ
ージングすることができる。非経口投与のためのすべての調製物は、当該技術分野で既知
であり、かつ実施されるように、滅菌であるべきである。
【0111】
治療有効量の組成物を投与する。用量は、様々なパラメータ、特に、治療される患者の
状態の重症度、年齢、および体重、投与経路、および必要なレジメンに従って決定され得
る。医師は、任意の特定の患者に対して必要な投与経路および投与量を決定することがで
きるであろう。最適な投与量は、個々の構築物の相対的効力に応じて変動し得、一般に、
インビトロおよびインビボの動物モデルで有効であることが見出されるEC50に基づい
て推定することができる。一般に、投与量は体重1kg当たり0.01mg~100mg
である。典型的な1日用量は、特定の構築物の効力、治療される対象の年齢、体重および
状態、疾患の重症度、ならびに投与頻度および投与経路に応じて、体重1kg当たり約0
.1~50mg、好ましくは約0.1mg/kg~10mg/kgである。投与が筋肉内
注射または全身(静脈内または皮下)注射によるものであるかどうかに応じて、異なる用
量の構築物が投与され得る。
【0112】
好ましくは、単回筋肉内注射の用量は、約5~20μgの範囲である。好ましくは、単
回または複数回の全身注射の用量は、10~100mg/kg体重の範囲である。
【0113】
構築物のクリアランス(および任意の標的分子の分解)により、患者は、例えば1日に
1回以上、週に1回、月に1回、または年に1回の繰り返し治療を受けなければならない
場合がある。当業者は、測定された滞留時間および体液または組織中の構築物の濃度に基
づいて、投与の繰り返し頻度を容易に推定することができる。治療成功後、患者に維持療
法を受けさせることが望ましい場合があり、この場合、構築物は、体重1kg当たり0.
01mg~100mgの範囲の維持用量で、1日1回以上から20年に1回までで投与さ
れる。
【0114】
本明細書ではまた、皮膚からのエクソソーム放出を減少させて、脳への輸送を減少させ
る方法も開示される。例えば、いくつかの実施形態では、中性スフィンゴミエリナーゼ阻
害剤GW4869を局所的におよび/または皮内注射を介して適用して、皮膚エクソソー
ム放出を低減することができる。
【0115】
本発明のいくつかの実施形態が記載されている。それにもかかわらず、本発明の趣旨お
よび範囲から逸脱することなく、種々の変更が行われ得ることを理解されたい。したがっ
て、他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内である。
【実施例0116】
実施例1:アルツハイマー病における皮膚脳相関。
本実施例は、皮膚細胞によって排出されるエクソソームがADの発症および/または進
行を遠隔的に調節することができる程度、ならびにエクソソーム操作アプローチがこの疾
患に対する新規の治療戦略をもたらすことができるかどうかを評価することによって、ア
ルツハイマー病(AD)におけるパラダイムをシフトさせる可能性のある概念である、皮
膚脳相関の役割を明らかにしようとする(図1)。したがって、提案される研究は、神経
変性に対する非神経組織の貢献を定義すること、および介入のための新たな手段を指し得
る疾患メカニズムを明らかにすることを含む、AD研究およびケアに高い関心を有するい
くつかの重点分野を対象とする。ADの生化学、遺伝学、および病理学を理解するために
有意な進歩を遂げたが、発症または進行の基礎となる細胞および分子の事象の時間的配列
には依然として大きな知識ギャップがある(Selkoe D.Ann Intern
Med,140(8):627-638)。この実施例は、皮膚から発する遠隔的な合図
を介して、ADが引き起こされるか、悪化するか、または治療されるかどうかを初めて研
究する。したがって、ここで提案されている作業は根本的に革新的であり、潜在的に変革
的である。
【0117】
ADは現在580万人以上のアメリカ人に影響を及ぼしている最も一般的な認知症の形
態であり、2050年までに約1380万人に影響を及ぼすと予想されている(Gaug
ler J,et al.ALZHEIMERS&DEMENTIA 2019,15(
3):321-387))。ADは、炎症反応によって部分的に媒介される、シナプスお
よびニューロンの多大な損失に寄与し、最終的に精神能力の低下をもたらす、脳内のプラ
ーク(すなわち、アミロイドβタンパク質またはAβの凝集体)およびタングル(すなわ
ち、tauタンパク質の凝集体)の蓄積によって駆動される(Small SA,et
al.Neuron 2008,60(4):534-542)(Navarro Ga
rrido V,et al.Frontiers in aging neurosc
ience 2018,10:140、Mukhin V,et al.Neurosc
ience and Behavioral Physiology 2017,47(
5):508-516))。興味深いことに、AD患者の皮膚は、tauおよびアミロイ
ドの「堆積物」を抱えているとも報告されている(Bloom GS.JAMA neu
rology 2014,71(4):505-508、Rodriguez-Leyv
a I,et al.J Mol Biomark Diagn S 2015,6:0
05-010.4172、Jong Y-JI,et al.The FASEB jo
urnal 2003,17(15):2319-2321、Okada A,et a
l.Dementia and Geriatric Cognitive Disor
ders 1994,5(1):55-56)。しかしながら、ADの発達または進行に
おけるそのような堆積物について明確な機能的役割は確立されていない。皮膚がエクソソ
ームの形態で脳にシグナルを送ることができることが健常マウスで発見され(図2)、A
Dのマウスモデルの皮膚に由来するエクソソームは、この疾患の進行に影響を及ぼす可能
性がある神経毒性のカーゴを含むことが分かった(図3)。エクソソームは、健常および
病理学的条件の両方の下で細胞間のコミュニケーションを媒介するために重要な役割を果
たす細胞由来の小胞である(S ELA,et al.Nat Rev Drug Di
scov 2013,12(5):347-357、Ricklefs F,et al
.Cancer Res 2016,76(10):2876-2881、Hall J
,et al.Cell Mol Neurobiol 2016,36(3):417
-427)。以下のように仮定された:(1)皮膚に由来するエクソソームは、累積的に
神経毒性のカーゴを脳に運び、ADの発症および/または進行に寄与することができ(す
なわち、皮膚脳相関)、かつ(2)エクソソーム操作アプローチは、皮膚を脳への「窓」
として使用して、ADに対する新規の治療戦略として潜在的に使用することができる。
【0118】
実施例2:アルツハイマー病の進行における皮膚からの細胞外小胞の特性評価。
結果
カルシウムシグナル伝達に関連するmRNA発現および経路における3×Tg-AD皮
膚由来EVの同定された変化の差次的発現および経路分析
ADの文脈内で皮膚由来EVの神経変性ポテンシャルを特徴付けるために、3×Tg-
ADおよびB6129SF2/J皮膚由来EVにおけるmRNA発現の差異の広範な特性
評価を、10および23週齢(n=3)で行った。これは、RNA-seqおよびその後
の差次的発現分析の使用によって達成された。次いで、各比較からの差次的に発現された
遺伝子を、対数変化倍率±1.5についてフィルタリングし、≦0.05の調整されたp
値を得た(図4)。特定の疾患および/または機能に関連する正準経路および遺伝子の変
化を同定するために、得られた差次的に発現された遺伝子のリスト上で、Ingenui
tyパスウェイ分析(IPA)を行った(図4)。
【0119】
疾患遺伝子型の関数としての細胞外小胞RNA含有量の差異
AD遺伝子型が皮膚由来EV内で生じるmRNA発現の変化に与える影響を決定するた
めに、10週目の3×Tg-AD対10週目のB6129SF2/Jおよび23週目の3
×Tg-AD対23週目のB6129SF2/Jの両方からの差次的発現結果を考慮した
。23週目と比較して、疾患進行の比較的早い時点での3×Tg-ADと対照皮膚由来の
EVとの間の差異を評価するために、この症例において10週目の比較を検討した。これ
は、23週目の3×Tg-AD対23週目のB6129SF2/Jの比較において見出さ
れる疾患進行とともに生じる変化と比較するための「ベースライン」を確立するために行
われた。10週目のB6129SF2/Jと比較した3×Tg-ADについては、91個
の遺伝子が上方調節され、79個が下方調節された。疾患進行の後期段階でmRNA発現
の変化がどのように生じるかを評価するために、23週目の3×Tg-AD対23週目の
B6129SF2/Jの比較もここで考慮した。差次的発現結果は、この比較内で、24
0遺伝子の上方調節および426遺伝子の下方調節を明らかにした(表1)。経路に関し
て、カルシウムシグナル伝達は、この比較内で最大量の調節不全を示した(-logp値
=11.261)(図10A、10B)。さらに、23週目の3×Tg-AD対23週目
のB6129SF2/J群内のカルシウムシグナル伝達経路の調節不全は、この研究にお
けるすべての比較群において見出される他の調節不全経路と比較して、最大の調節不全の
大きさを表した。カルシウムシグナル伝達に関与する合計10個の遺伝子が、23週目の
3×Tg-ADマウスにおいて下方調節されることが見出された。このデータセット内で
差次的に発現されることが見出されるすべての遺伝子のうち、S100カルシウム結合タ
ンパク質A9(S100A9)(Log2変化倍率=6.155)の上方調節は、最大の
大きさであることが見出された。この遺伝子の発現の変化は、特に、この上方調節がAD
脳内のアミロイドプラーク蓄積に関連するという事実を考慮すると、興味深い(Wang
,C.et al.Acta Neuropathol.2014 127:507-5
22)。この比較における他の調節不全経路には、アクチン細胞骨格シグナル伝達、プロ
テインキナーゼAシグナル伝達、およびRhoAシグナル伝達が含まれた。
【表1】

【0120】
年齢の関数としての細胞外小胞RNA含有量の差異
23週目の3×Tg-AD対10週目の3×Tg-AD、および23週目のB6129
SF2/J対10週目のB6129SF2/Jにおいて、差次的発現およびIPA分析を
行い、ADマウスおよび対照マウスの両方において年齢が有する影響を決定した。合計1
50個の上方調節遺伝子および143個の下方調節遺伝子が、23週目の3×Tg-AD
対10週目の3×Tg-ADの比較において見出された(図9B)。これらの遺伝子の経
路分析は、肝線維症、GP6シグナル伝達、およびアペリン肝シグナル伝達を含むいくつ
かの経路の調節不全を明らかにした。23週目のB6129SF2/J対10週目のB6
129SF2/Jの比較を行い、加齢のみによる発現の変化を評価した。その結果、98
個の遺伝子の上方調節、および98個の他の遺伝子の下方調節が明らかになった(表2)
。同定された上位の関連経路としては、非折り畳みタンパク質応答、RhoAシグナル伝
達、および副腎髄質シグナル伝達が挙げられる(図10A、10B)。
【表2】

【0121】
年齢と遺伝子型との間の相互作用としての細胞外小胞RNA含有量の差異:
2つの最終セットの差次的発現分析を行った。10週目の3×Tg-AD対23週目の
B6129SF2/J、および23週目の3×Tg-AD対10週目のB6129SF2
/J。皮膚由来EVにおけるmRNA発現プロファイルに対する年齢および遺伝子型の両
方の効果を評価するために、これらの比較を行った。10週目の3×Tg-AD対23週
目のB6129SF2/Jの分析は、67遺伝子の有意な上方調節および89遺伝子の下
方調節を示し、遺伝子は上方調節されなかった。これらの遺伝子に関与したいくつかの上
位の経路としては、カルシウムシグナル伝達、アクチン細胞骨格シグナル伝達、およびカ
ルシウム輸送Iが挙げられる。23週目の3×Tg-AD対10週目のB6129SF2
/Jの比較の分析は、122遺伝子の上方調節および134遺伝子の下方調節を明らかに
した。その後の経路分析では、GP6シグナル伝達、コルチコトロピン放出ホルモン、お
よび肝線維症経路が、これらの差次的に発現された遺伝子に関連していることが示唆され
た。
【0122】
マウスモデル3×tgAD皮膚由来細胞外小胞は、トランスジェニックhAPP/hM
APTのmRNAを含む
APPに関連する遺伝子の変異および異常発現は、ADなどのアミロイド症を含む神経
変性障害の伝播に関与する十分に記録された因子である(Shin,J.,et al.
BMB Rep.2010 43:704-709、Strang,KH.,et al
.Lab.Invest.2019 99:912-928)。微小管関連タンパク質T
au(MAPT)の変異は、ADと直接的には関連しないが(Guo,Q.et al.
PLoS One 2013 8:e80706)、それらは、前頭側頭型認知症に関与
している(Strang,KH.,et al.Lab.Invest.2019 99
:912-928、Guo,Q.et al.PLoS One 2013 8:e80
706)。しかしながら、より重要なことに、これらの変異は、ADに見られるものと同
様のタウオパチーの発生に関与し、ADのトランスジェニックモデルに見出すことができ
る(Guo,Q.et al.PLoS One 2013 8:e80706)。ここ
で、収集された皮膚由来EVの可能性は、3×Tg-ADおよびB6129SF2/J対
照マウスの両方から、アルツハイマー病の3×Tg-ADマウスモデルにおいて発現され
たヒトAPP Swedish Mutation(APPswe)およびヒトTau
P301L MAPT導入遺伝子を含むことを評価した(Oddo,S.et al.N
euron 2003 39:409-421)。これらの導入遺伝子の存在を、様々な
時点で収集された皮膚由来EVにおけるhAPPおよびhMAPTのmRNAの発現を測
定するための絶対qPCR(n=3)の使用によって特徴付けた(図5)。得られた遺伝
子発現データは、hAPP(図5A)およびhMAPT(図5B)の両方が、年齢マッチ
ング対照と比較して、3×Tg-AD皮膚由来EVで有意に発現することを示し、このモ
デル内でのADの進行と関連して、潜在的に神経毒性の遺伝的手がかりを保持することが
できることをさらに示す。
【0123】
3×Tg-AD皮膚由来細胞外小胞は、マウス初代胚性ニューロン培養物中のニューロ
ンに神経毒性hAPPおよびhMAPTのmRNAを移行させることができる
3×Tg-AD皮膚由来EVが潜在的に神経毒性のある分子含有物を保有することが可
能であることを示す結果に基づいて、これらのEVの神経毒性能力を直接進めて評価する
ことにした。中枢神経系に由来するEVは、アルツハイマー病などの神経変性障害におい
て役割を果たすこと(Sardar Sinha,M.et al.Acta Neur
opathol.2018 136:41-56)、およびエクソソームタンパク質がア
ミロイドプラーク内に見出されること(Rajendran,L.et al.Proc
.Natl.Acad.Sci.U.S.A.2006 103:11172-1117
7)が以前に示されており、皮膚などの末梢組織に由来するEVに関して、この病理学的
可能性はまだ探求されていない。したがって、3×Tg-ADおよびB6129SF2/
J皮膚由来EVの神経毒性能力を、4つの異なるマウス初代ニューロン培養物の培養物を
、1~3×109EV/μL粒子の濃度のEVに24時間曝露した後、qPCR分析のた
めのRNA単離によって調べた。その後のqPCR結果(n=4)は、トランスジェニッ
クhAPPおよびhMAPTのmRNAが、対照と比較して、3×Tg-ADのEVに曝
露されたニューロンにおいて有意に発現されることを示す(図6A、6B)。これらの所
見は、3×Tg-AD皮膚由来EVが、トランスジェニックmRNAの送達を通じてニュ
ーロン標的の遺伝子発現プロファイルに影響を及ぼす可能性を有することを示す。この観
察された活性は、APPsweおよびP301L Tau変異型導入遺伝子の発現に起因
する神経毒性効果をもたらす可能性があり、これは次いでADの発症および/または進行
を前進させる可能性がある。
【0124】
次に、初代神経細胞培養物に対する皮膚由来EVの効果を評価した。10週齢でB61
2SF2/Jおよび3×Tg-ADから単離された皮膚由来の等量のEV。まず、各実験
群からのEVをPKH26(Sigma)赤色蛍光標識で標識し、次いで24時間にわた
って8日間の初代ニューロン培養物に適用した(図7)。共焦点顕微鏡法による定性分析
は、Tuj1免疫染色によって同定された核周辺領域およびニューロン突起の両方を含む
、ニューロンの細胞質中の蛍光粒子の存在を示す(図7A、7B)。さらに、細胞取り込
みの定量化は、蛍光標識EVを取り込むニューロンのより高いパーセンテージを示す(図
7C)。最後に、ADマウスモデルに由来するEVの神経毒性効果を研究した(図8)。
初代ニューロン培養物を3×Tg-ADまたはB6129SF2/J皮膚由来EV細胞に
曝露した24時間後、Live/Deadキットを用いた蛍光顕微鏡法により生存率を評
価した(図8A)。神経細胞生存率の定量化は、概して、非曝露対照培養物と比較した場
合のEVの細胞毒性効果を示すが、24時間後、B6129SF2/Jまたは3×Tg-
ADマウスに由来するEV間に細胞毒性の差はない(図8B)。
【0125】
考察
皮膚および腸などの末梢器官および組織が、ADおよびPDなどの神経変性障害の発症
および進行において果たす役割は、最近になって理解され始めたばかりである。皮膚は、
具体的にADにおいて役割を果たすことが疑われており、診断および薬物送達の可能性の
ある手段としてさえ探求されているが、そのような関連性がどのように促進され得るかを
詳細に説明する特定のメカニズムは同定されていない。ADが進行するにつれて、皮膚由
来EVの遺伝子含有量を特徴付けることを目的とした実験の結果を通じて、S100A9
図4A)などのAD関連遺伝子の発現、ならびにADの3×Tg-ADモデルにおける
病理を駆動する原因であるAPPsweおよびMAPT P301L変異遺伝子の発現(
図5)における変化が同定された。
【0126】
カルシウムシグナル伝達は、すべての比較群の中で、IPAによって同定された上位の
調節不全の正準経路のうちの1つであった。この観察は、23週目の3×Tg-ADと2
3週目のB6129SF2/Jの間で差次的に発現した遺伝子の比較において見出された
が、10週目の3×Tg-ADおよび10週目のB6129SF2/J群の比較において
は見出されなかった。この観察は、カルシウムシグナル伝達に関与するmRNA発現の変
化が、3×Tg-ADマウスで年齢とともに生じ、B6129SF2/J対照では見られ
ないことを示唆する。カルシウムシグナル伝達の調節不全は、10年以上にわたってAD
などの神経変性疾患において記録され、ADの「カルシウム仮説」の発展をもたらした(
Tong,BCK.,et al.Biochim.Biophys.Acta Mol
.Cell Res.2018 1865:1745-1760;Popugaeva,
E.,et al.Antioxid.Redox Signal.2018 29:1
176-1188)。ニューロンにおけるカルシウム恒常性の調節不全がシナプス欠損を
引き起こし、最終的にアミロイドベータおよびリン酸化tau29の蓄積をもたらすとい
う証拠が増加している(Popugaeva,E.,et al.Antioxid.R
edox Signal.2018 29:1176-1188)。カルシウムシグナル
伝達の中断に加えて、ミトコンドリア関連ER膜(MAM)に特異的に関連するミトコン
ドリア機能不全は、ADにおいても報告されている(Chakravorty,A.,e
t al.Front.Aging Neurosci.2019 11:311)。I
PAを通じて正準経路として同定されていないが、23週目の3×Tg-AD対23週目
のB6129SF2/J群内のカルシウムシグナル伝達に関与する2つの遺伝子、ATP
2A1およびRYR1もまた、MAM機能と関連付けられる(Schon,EA.&Ar
ea-Gomez,E.et al.Mol.Cell.Neurosci.2013
55:26-36)。MAM関連遺伝子は概してADにおいて上方調節されるが、MAM
機能の撹乱は全体的に、AD病理の疑わしい構成要素であり、疾患がどのように引き起こ
されるかについての独自の仮説を表す(Area-Gomez,E.&Schon,EA
.et al.Curr.Opin.Genet.Dev.2016 38:90-96
)。
【0127】
23週目の3×Tg-ADおよびB6129SF2/J群比較における別の興味深い発
見は、S100A9の堅牢な上方調節であった(Log2変化倍率=6.155)。S1
00A9は、カルシウム恒常性を含む多数の細胞内プロセスに関与することが知られてい
るS100タンパク質ファミリーのメンバーである(Cristovao,JS.&Go
mes,CM.SNeurosci.2019 13:463)。前述のように、この比
較における群間の観察された差異は、AD進行が生じるにつれて皮膚EVに生じる遺伝子
発現の変化についての洞察を提供する。したがって、S100A9が高度に上方調節され
ているという所見は、ADの進行に伴う皮膚EVの遺伝子プロファイルの重要な変化であ
る可能性を示唆する。興味深いことに、この発現パターンは、関連するTg2576 A
Dマウスモデルの脳で見られる変化と一致する(Cristovao,JS.&Gome
s,CM.SNeurosci.2019 13:463)。このモデルは、この研究に
おいて使用される3×Tg-ADにおいて見出されるのと同じAPPswe変異を有する
ため、Tg2576マウスにおけるこの発見は特に関連する。さらに、TG2576マウ
スと交雑させたS100A9 KOの使用を伴う研究は、記憶障害の改善と神経病理の減
少を示した(Kim,H.J.et al.PLoS One 2014 9:e889
24)。マウスモデルに加えて、S100A9発現の上方調節がAD患者の脳で観察され
、AD経路に関与している(Cristovao,JS.&Gomes,CM.SNeu
rosci.2019 13:463)。これらの理由により、S100A9は、ADの
潜在的なバイオマーカーとして多くの注目を集めている(Horvath,I.et a
l.ACS Chem.Neurosci.2016 7:34-39)。AD条件下で
の、皮膚由来EV内のS100A9 mRNAとタンパク質の両方の変化および効果のさ
らなる探索は、そのような目的について洞察力に富むことが証明され得る。ナトリウム結
合中性アミノ酸輸送体2(SLC38A2)の上方調節も、この比較群内で観察された。
23週目の3×Tg-AD皮膚由来EVにおけるSLC38A2の上方調節は、AD進行
を伴うSLC38A2の上方調節の観察と一致する(Patel,H.et al.Br
ain Behav.Immun.2019 80:644-656)。Serpina
3b/Serpina3jの遺伝子は、同様に、23週目の3×Tg-ADおよびB61
29SF2/J群比較内で上方調節されることを見出した。23週目のB6129SF2
/J対10週目のB6129SF2/J群においてはSerpina3b/Serpin
a3jが下方調節されていることを見出され、完全に反対の結果を見た。この遺伝子が、
対照において年齢とともに減少しながら、老化したADマウスにおいて重度に発現してい
るという事実は、その発現がAD状態に起因していることを示唆している。皮膚由来EV
3×Tg-ADマウスにおけるSerpina3b/Serpina3jの上方調節のこ
の観察は、ADを含む複数のプリオン病におけるserpina3上方調節の以前の観察
と一致している(Vanni,S.et al.Sci.Rep.2017 7:156
37)。
【0128】
皮膚由来EVにおけるADに関連するトランスジェニックmRNAの発現を測定するこ
とを目的とした絶対qPCR実験は、それらがADにおいて役割を果たすことができると
いう概念をさらに支持する。ヒトAPPsweおよびヒトMAPT P301LのmRN
AがAD皮膚由来EVに存在するという知見は、それらがADの発症および進行を誘導す
ることが可能であるという仮説を支持する。これは、最終的に、これらのEVが、そのト
ランスジェニックmRNA内容物を標的組織に送達することが可能であり、これが、上記
組織内の変異MAPTおよびAPPの局所タンパク質発現に影響を及ぼす可能性を示唆す
る。これは特に、3×Tg-ADモデルの文脈内でのADに関連しており、CNS内での
APPsweおよびMAPT P301Lの発現は、病理学の主要な構成要素である。
【0129】
加えて、AD皮膚由来EVにおけるmRNAの効果を特徴付けるために、それらの神経
毒性ポテンシャルを、初代ニューロンEV曝露実験において直接評価した。AD皮膚EV
からhAPPおよびhMAPTのmRNAを取り込むニューロンの能力が実証され、変異
したAPPおよびMAPTタンパク質の異常発現が起こり得る可能性が示唆され、これら
はCNS内のβ-アミロイドおよびリン酸化Tauタンパク質のその後の蓄積を通じて疾
患進行を誘導尾する可能性があった。初代ニューロンにおける標識EV取り込み実験の結
果は、皮膚由来EV自体が実際にTuj1細胞によって取り込まれることが可能であり
図7A、7B)、インビトロでTuj1細胞よりも優先的に取り込まれることを示す
証拠を提供することによって、この考えをさらに支持する(図7C)。総合すると、これ
らの観察は、皮膚由来のEVがニューロンと相互作用し、CNS内のAD関連遺伝子の発
現に影響を及ぼし、最終的に疾患の発症および進行に寄与する可能性を強調する。最後に
、qRT-PCRおよび細胞取り込み実験によってここで観察された3×Tg-ADマウ
スの皮膚EVからの潜在的な神経毒性カーゴの導入にもかかわらず、3×Tg-AD皮膚
EVへの曝露後にニューロン毒性の増加は観察されず、これは短期間の曝露(24時間)
を行ったことに起因し得る(図8)。APPおよびTauの細胞毒性効果は、代謝処理、
オリゴマー形成、およびタンパク質蓄積を可能にするためにさらなるインキュベーション
時間を必要とする可能性がある。
【0130】
方法
動物研究
アルツハイマー病のトリプルトランスジェニックマウスモデル(3×Tg-AD)B6
;129-Tg(APPSwe,TauP301L)1Lfa Psen1tm1Mpm
/Mmjax(変異マウス資源&研究センター在庫番号:34830-JAX)(Odd
o,S.et al.Neuron 2003 39:409-421)および対照系統
B6129SF2/J(在庫番号:101045)の交雑トリオをThe Jackso
n Laboratoryから購入した。寄付した治験責任医師の勧告に基づき、分析に
は雌の動物のみを使用した。マウスを、一定の温度および湿度条件下で、12/12時間
の明暗サイクル(午前6時に点灯)で、水および食物への自由なアクセスを有する群に収
容した。動物を含むすべての実験は、オハイオ州立大学施設内動物飼育および使用委員会
のガイドライン(プロトコール番号:2016A00000074-R1)に従って実施
した。
【0131】
皮膚細胞外小胞単離
マウス皮膚由来のEVは、背側および腹側の直径12mmの皮膚生検から直接単離した
。収集した組織を、外科用メスで約1mmに粉砕し、マルチ組織解離キット1(Milt
enyi Biotec番号130-110-201)と組み合わせて、「gentle
MACS Octo Dissociator」(Miltenyi Biotecカタ
ログ番号130-096-427)の「37_Multi H」プロトコールを使用して
解離させた。次いで、得られた上清を除去し、2000g、4℃で30分間遠心分離した
。次いで、上清を除去し、均質なEV濃度を確保するためにプールし、次いで、1/2体
積の「細胞からの全エクソソーム単離キット」(Thermo Fisher Scie
ntific番号4478359)を、4℃での12時間のインキュベーションの前に添
加した。EVサンプルを4度で10,000gの遠心分離で沈殿させ、その後、将来の使
用まで-80℃で保存した。EV濃度は、NanoSight Ns3000(Malv
ern Pananlytical)を使用して測定した。
【0132】
皮膚細胞外小胞の絶対リアルタイムPCR
TRIzol試薬(Thermo Fisher Scientific番号1559
6026)を製造者の使用説明書に従って皮膚EVペレットから全RNAを抽出した後、
NanoDrop2000分光光度計(Thermo Fisher番号ND-2000
)を用いて得られた濃度を測定した。VILO cDNA合成キット(Thermo F
isher Scientific番号11756500)を使用して、20uLの逆転
写反応を行った。得られたcDNAを使用して、10^6コピー~10^2コピーの最終
コピー数範囲で生成されたAPP695(Addgene Plasmid番号1141
93)およびTauP301L(Addgene Plasmid番号87633)のプ
ラスミドの標準曲線を用いた絶対定量法を使用して、hAPPおよびhMAPTの発現を
測定した。前述のプラスミドを、ZymoPURE IIプラスミドMidi調製キット
(Zymo Research番号DG4200)を使用して単離した。単離されたプラ
スミド濃度の測定は、NanoDrop2000分光光度計(Thermo Fishe
r番号ND-2000)を使用して実施し、その後、プラスミドコピー数および標準曲線
の希釈の計算を行った。ThermoFisherからのTaqmanプライマーを使用
して、以下を含む目的の遺伝子を増幅した:hAPP(Thermo Fisher S
cientific番号Hs00169098_m1)、mAPP(Thermo Fi
sher Scientific番号Hs00169098_m1)、hMAPT(Th
ermo Fisher Scientific番号Hs00902194_m1)、お
よびmMAPT(Thermo Fisher Scientific番号Mm0052
1988_m1)。すべてのリアルタイムPCR反応は、TaqMan高速アドバンスド
マスターミックス(Thermo Fisher Scientific番号44-44
5-57)およびQuantStudio3リアルタイムPCRシステム(Thermo
Fisher Scientific番号A28567)を使用して、以下のサイクル
設定で実行した:95℃で10分間、続いて95℃で1分間、60℃で1分間、72℃で
1分間の40サイクル。
【0133】
初代ニューロンの相対リアルタイムPCR
RNA単離およびcDNA生成は、前述の技法および試薬を使用して行った。続いて、
前述の試薬、プライマー、サーモサイクラー、およびサイクル設定を使用して、初代ニュ
ーロンに対してリアルタイムPCRを行った。マウス18sリボソームRNA(Ther
mo Fisher Scientific番号4331182)をハウスキーピング遺
伝子として使用した。
【0134】
RNA-seq
TRIzol(商標)試薬(ThermoFisher Scientific番号1
5596026)を使用して、B6129SF2/Jまたは3×Tg-ADマウスの皮膚
に由来する細胞外小胞(EV)から全RNAを、前述の製造者の使用説明書に従って抽出
した。Qubit Fluorometer(ThermoFisher Scient
ific番号15596026)を用いて、RNA定量化、完全性、および品質評価を得
た。IlluminaのためのNEBNext(登録商標)Ultra(商標)II指向
性RNAライブラリー調製キット(New England Biolabs番号E77
60L)およびNEBNext Poly(A)mRNA磁気単離モジュール(New
England Biolabs番号E7490)を製造者の使用説明書に従って使用し
て、サンプル当たり200ngの入力でライブラリーを生成した。Illumina N
ovaseq SP Paired-End150bpフォーマットで配列決定を行った
【0135】
RNA-Seqデータ分析
RNA-Seqデータを、Basepairソフトウェア(https://www.
basepairtech.com/)を使用して、以下のステップを含むパイプライン
を使用して分析した。デフォルトのパラメータを用いてSTAR(Dobin,A.et
al.Bioinformatics 2013 29:5-21)を使用して、UC
SCゲノムアセンブリhg19に由来するトランスクリプトームに読み取り物を整列させ
た。各転写物の読み取り数を、featureCounts(Liao,Y.,et a
l.Bioinformatics 2014 30:923-930)を使用して測定
した。DESeq2(Love,MI.,et al.Genome Biol.201
4 15,550)を使用して差次的に発現した遺伝子を決定し、別段の記載がない限り
、調整されたp値(複数仮説試験のために補正された)に対する0.05のカットオフを
使用して、リストおよびヒートマップを作成した。p値を計算するために遺伝子置換を使
用して、正規化された遺伝子発現数に対してGSEAを行った。
【0136】
Ingenuityパスウェイ分析(IPA)
差次的に発現した遺伝子の経路分析を、Ingenuityパスウェイ分析ソフトウエ
ア(Qiagen)を使用して行った。コア分析は、フィルタリングされた差次的発現デ
ータ(±0.58log2変化倍率および調整されたp値≦0.05)を使用して行った
【0137】
初代神経細胞培養
18.5日胚のC57BL/6Jマウス由来の皮質ニューロンを、いくつかの改変を含
む、以前に報告されたプロトコール(Alzate-Correa,D.,et al.
Methods Mol.Biol.2020 2050:145-152)に従って調
製した。解剖した皮質を、ニューロン組織解離キット-産後ニューロン(Milteny
i Biotec番号130-094-802)を用いて解離し、ヒーターを備えた37
gentleMACS Octo Dissociator(Miltenyi Bio
tec番号130-096-427)で20分間インキュベートした。解離した細胞をP
BSで調製した5%のBSAに再懸濁し、ニューロンをニューロン単離キット(Milt
enyi Biotec番号130-115-389)を使用して細胞懸濁液から単離し
た。単離されたニューロンを、2mMのGlutaMAX(商標)(Thermo Fi
sher Scientific番号35050061)および2%のNeuroCul
t(商標)SM1ニューロンサプリメント(Stemcell Technologie
s番号05711)を補充したNeurobasal(商標)(Thermo Fish
er Scientific番号21103049)で構成されるニューロン培養培地に
再懸濁した。ニューロンを、130×10細胞/cmの密度でポリD-リジン(Th
ermo Fisher Scientific番号A3890401)コーティングし
たガラスカバースリップ(Fisher Scientific番号1254580)上
に播種した。初代ニューロン培養物を、指定された時間皮膚由来のEVに曝露し、次いで
、細胞生存率分析のために処理し、免疫細胞化学のために固定し、またはqPCRのため
に全RNA抽出した。
【0138】
細胞生存率
B6129SF2/Jまたは3×Tg-ADマウスの皮膚に由来するEVの細胞毒性を
、哺乳動物細胞のLIVE/DEAD生存率/細胞毒性キット(Thermo Fish
er Scientific番号L3224)を製造者の使用説明書に従って評価した。
簡潔に述べると、インビトロ日数(DIV)7の初代ニューロン培養物を、10週齢のB
6129SF2/Jまたは3×Tg-ADマウスからのEVに24時間曝露した後、各ウ
ェルを1~3×10EV/μL粒子に曝露した。曝露後24時間、ニューロン培養物を
滅菌PBSで1回洗浄した後、カルセインAM(1uM)およびエチジウムホモダイマー
-1(1um)を含むPBS溶液で37℃で25分間インキュベートした。最後に、PB
Sを使用してガラスカバースリップを新たに取り付け、Nikon Eclipse 2
000顕微鏡を使用してマイクロフォトを撮影した。細胞生存率は、FIJI Imag
eJソフトウェアを使用して、生細胞(カルセインAM陽性)および死細胞(エチジウム
ホモダイマー-1陽性)のパーセンテージを定量化することによって決定した(Schi
ndelin,J.et al.Nat.Methods 2012 9:676-68
2)。
【0139】
標識細胞外小胞取り込み
提供されたプロトコールに従って、「PKH26赤色蛍光細胞リンカーキット」(Si
gma)を使用して、ペレット化EVを蛍光標識した。カバースリップに播種した8日後
、初代ニューロン培養物を、10%ホルマリン中で24時間後に固定する前に、1/3の
培地を、3×Tg-AD皮膚由来EVを1~3×109EV/μLの濃度で含む培地と交
換することによって、標識EVに曝露した。PBS-T中の5%正常ヤギ血清を90分間
使用して、免疫細胞化学前のブロッキングを行った。免疫細胞化学を、4℃で一晩インキ
ュベートした1:250のPBS-T中のTuj1抗体(Abcam 107216)を
使用して行った。その後、サンプルをPBS-Tで洗浄した後、PBS-T中に1:20
0の濃度の二次抗体(Abcam 150173、λ=488)を添加し、最後にPBS
中の1:10,000DAPIを1分間添加した。次いで、Vectashield(V
ector Labs番号H-1700)を使用して、カバースリップをスライド上に取
り付けた。続いて、スライドを、Nikon Eclipse 200顕微鏡を使用して
、免疫蛍光および共焦点顕微鏡で撮像した。
【0140】
統計分析
統計分析は、SigmaPlot(バージョン14)およびGraphpad(バージ
ョン8.4)を使用して実施した。3×Tg-AD(3~40週間)および3×Tg-A
D/B6129SF2/J(21日~23週間)の皮膚由来EVのqPCRデータを、そ
れぞれ一元配置および二元配置の分散分析を使用して分析した。0.05未満のp値を調
整したデータは統計的に有意とみなされた。
【0141】
実施例3:アルツハイマー病の遺伝的バイオマーカーについて、皮膚由来の細胞外小胞の
mRNA含有量を評価する。
この実施例の目的は、10週齢および23週齢(n=3)のADの3×Tg-ADトリ
プルトランスジェニックマウスモデルおよびB6129SF2/J対照から収集した皮膚
由来EVにおけるmRNA発現の差異を特徴付けるために、RNA Seqの使用を通じ
て、アルツハイマー病(AD)の潜在的なバイオマーカーを同定することであった。デフ
ォルトのパラメータを用いてSTAR(Dobin,A.et al.Bioinfor
matics 2013 29:15-21)を使用して、UCSCゲノムアセンブリm
m10に由来するトランスクリプトームに読み取り物を整列させた。続いて、以下を含む
疾患および年齢の両方のいくつかの異なる比較群の差次的発現DeSeq2(Love,
M.I.,et al.Genome Biol.2014 15:550)分析を行っ
た:
23週目の3×Tg-AD対23週目のB6129SF2/J(高齢マウスにおけるA
Dの影響)、
23週目の3×Tg-AD対10週目の3×Tg-AD(ADマウスにおける年齢の影
響)、
10週目の3×Tg-AD対10週目のB6129SF2/J(若いマウスにおけるA
Dの影響)、および
23週目のB6129SF2/J対10週目のB6129SF2/J(対照マウスにお
ける年齢の影響)。
【0142】
その後、差次的発現結果をフィルタリングした(p値≦0.05、log2変化倍率±
1)。Ingenuityパスウェイ分析(IPA、Qiagen)を使用して、群間の
重複、ならびにすべての群間の関連経路および機能を同定した。潜在的なバイオマーカー
を同定するために、まず、群1(高齢マウスにおけるADの影響)における差次的発現遺
伝子のリストを調べ、3×Tg-ADモデルにおいてこの時点で任意の差次的発現遺伝子
バイオマーカーが検出可能である可能性が高いことを示し、その場合、認知障害およびA
Dの最初の症状は、早ければ5月齢(約22週齢)で観察されている(Oddo S.,
et al.Neuron.2003 39(3):409-21)。このリスト内の遺
伝子だけで潜在的なバイオマーカーを含むことができるが、このリストを、群2との重複
について(ADマウスにおける年齢の影響)さらに比較して、AD進行の10週目と23
週目の時点との間に、これらの遺伝子の発現の変化が検出され得るかどうかを確認した。
これらの2つの群の間の共通遺伝子のリストを作成し、これは、対照と比較して23週目
で依然として検出可能なAD進行の10週目と23週目との間の発現の変化を表す。これ
らの遺伝子がADにおいて早期において、および正常な健康な老化において、いかに差次
的に発現されたかを決定するために、この共通遺伝子のリストを、群1(若いマウスにお
けるADの影響)および群4(対照マウスにおける年齢の影響)の両方とそれぞれ比較し
た。
【0143】
結果
各群の差異発現分析により、各群間の遺伝子発現の以下の差異が明らかとなった。群1
(240上方/426下方)、群2(150上方/143下方)、群3(91上方/79
下方)、および群4(98上方/98下方)(図9)。各条件間の差次的に発現される遺
伝子の完全なリストについては、補足文書3を参照されたい。全4つの群の経路分析は、
インターロイキン-6(IL6)シグナル伝達、高移動度群ボックスタンパク質1(HM
GB1)シグナル伝達、およびインターロイキン-8(IL8)シグナル伝達を含む、A
D状態の結果として生じたいくつかの経路の調節不全を明らかにした(図10A)。AD
サンプル中に見られる上位の調節不全疾患および機能経路のいくつかの例としては、骨髄
細胞の移動および好中球の蓄積が挙げられる(図10B)。
【0144】
3×Tg-ADにおける皮膚由来EVは、疾患の進行に伴って変化するADに関与する
ことが知られている遺伝子および経路の差次的発現を示す。このうちの一つの顕著な例は
S100A8であり、これは以前にAD脳で上方調節されることが観察されている(Cr
istovao,J.S.&Gomes,C.M.2019 Front.Neuros
ci.13:463)。さらに、脳におけるS100A8発現の上方調節は、3×Tg-
ADモデルと同じアミロイド前駆体タンパク質変異を発現するTG2576マウス(Lo
deiro M,et al.Gerontol A Biol Sci Med Sc
i.2017 72(3):319-328)におけるアミロイドプラーク形成に先行す
る。S100A8は、年齢/疾患進行の関数として3×Tg-AD皮膚由来EVにおいて
上方調節されることが見出されたが、対照マウスでは、それらの年齢が高くなるにつれて
逆となることが観察された。これは、S100A8がADの皮膚エクソソーム内で見出さ
れる潜在的なバイオマーカーである可能性があることを示し、その上方調節はADに固有
であり、老化に関連しない。しかしながら、興味深いことに、S100A8は、群4比較
(若年マウスにおけるADの効果)において下方調節されていることを見出し、これは、
疾患進行の早い段階において、この遺伝子が皮膚EVにおいて下方調節されている可能性
を示唆している。さらに、ADにも関与する関連遺伝子であるS100A9(Crist
ovao,J.S.&Gomes,C.M.2019 Front.Neurosci.
13:463)が、群1において上方調節されていることが見出されたが、群2において
は見出されなかった。群1において上方調節されることが見出された別の興味深い遺伝子
は、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ13(MAPK13)であった。MAPK1
3は、AD神経原線維タングルに関連するtauエピトープをリン酸化する主要なキナー
ゼとして同定されている(Cavallini A.,et al.J Biol Ch
em.2013 288(32):23331-23347)。加齢対照対若年対照の群
4比較では、MAPK13発現は逆の傾向を示し、下方調節された。群1および2の比較
で見出されるいくつかの他の差次的に発現された遺伝子もまた、脂肪酸アミドヒドロラー
ゼ(D’Addario C.,et al.PLoS One.2012 7(6):
e39186)および活性調節細胞骨格関連タンパク質(Perez-Cruz.,20
11 31(10):3926-34)などのADに関連することが見出された。
【0145】
すべての群に対する経路分析は、カルシウムシグナル伝達(Tong BC,et a
l.Biochim Biophys Acta Mol Cell Res.2018
1865(11 Pt B):1745-1760)、HMGB1シグナル伝達(Pa
udel,Y.N.,et al.Frontiers in Neuroscienc
e,2018 12)、IL-6(Cojocaru IM,et al.Rom J
Intern Med.2011 49(1):55-58)シグナル伝達、ならびにI
L-8シグナル伝達(Ryu,J.K.,et al.J Neuroinflamma
tion 2015 12:144)など、群1のADの既知の成分に関連する経路の調
節不全を関係があるとした(図10A)。IPAデータはまた、ADに関連する好中球の
蓄積、ならびにIL-6およびIL-8の活性を含む、免疫および炎症反応に関連する経
路の増加を示唆した(Park J,et 2019 10:2231)(図10B)。
【0146】
別途定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語
は、開示された発明の所属する技術分野における当業者によって一般に理解されるものと
同一の意味を有する。本明細書に引用される刊行物およびそれらが引用される資料は、参
照により具体的に本明細書に組み込まれる。
【0147】
当業者は、本明細書に記載の本発明の特定の実施形態に対する多くの均等物を認識し、
または日常的な実験のみを使用して確認することができるであろう。そのような均等物は
、以下の特許請求の範囲によって包含されることが意図されている。
図1
図2A-B】
図3A-B】
図4A
図4B
図4C
図5A-B】
図6A-B】
図7A
図7B-C】
図8A-B】
図9A
図9B
図10A-B】
【手続補正書】
【提出日】2024-07-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脳疾患、障害または損傷を有する対象を治療するための医薬であって治療用遺伝子をコードする核酸配列を含むポリヌクレオチドを含み前記医薬は前記対象の皮膚細胞内に送達され、前記治療用遺伝子またはその遺伝子発現産物を含む皮膚由来エクソソームを産生することを含む、医薬
【請求項2】
前記脳疾患が、神経変性疾患、脳腫瘍、脳卒中または虚血である、請求項に記載の医薬
【請求項3】
前記神経変性疾患が、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、およびハンチントン病(HD)を含む、請求項に記載の医薬
【請求項4】
前記治療用遺伝子が、血管新生因子、神経原性因子、または抗炎症性遺伝子である、請求項に記載の医薬
【請求項5】
前記血管新生因子が、Etv2、Fli1、VEGFA、VEGFB、VEGFC、VEGFD、bFGF、Sox17、Oct4、Klf4、またはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項に記載の医薬
【請求項6】
前記神経原性因子が、Ascl1、Ascl2、Ascl3、Ascl5、Neurog1、Neurog2、Neurog3、Neurod1、Neurod2、Neurod4、Neurod6、Atoh1、Atoh7、Atoh8、Myf5、Ptf1a、Brn3c、Brn3a、Brn3b、Brn1、Brn2、Brn4、Oct4、Oct6、Pit1、Brn5、Myt1l、およびNurr1、またはこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項に記載の医薬
【請求項7】
前記治療用遺伝子が、APP若しくはMAPTを阻害するsiRNA若しくはmiRNAまたは炎症促進性遺伝子を標的とするsiRNA若しくはmiRNAである、請求項に記載の医薬
【請求項8】
前記抗炎症性遺伝子が、PPARγ、Il-10、Il-27、Trem2、およびIkBα、およびSirt1、またはこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項に記載の医薬
【請求項9】
前記炎症促進性遺伝子が、P2X4R、TLR4、CX3CR1、またはIL-1βである、請求項に記載の医薬
【請求項10】
対象の神経疾患を治療するための医薬であって、前記対象の皮膚に投与され、前記皮膚からのエクソソーム放出を阻害して、脳への輸送を減少させる薬剤を含み、前記薬剤が、中性スフィンゴミエリナーゼ阻害剤である医薬
【外国語明細書】