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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138305
(43)【公開日】2024-10-08
(54)【発明の名称】化粧料容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/04 20060101AFI20241001BHJP
   A45D 34/02 20060101ALI20241001BHJP
   B65D 25/54 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
A45D34/04 550
A45D34/02 510C
B65D25/54
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024102798
(22)【出願日】2024-06-26
(62)【分割の表示】P 2020043196の分割
【原出願日】2020-03-12
(71)【出願人】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】中平 悠
(72)【発明者】
【氏名】袴田 征一
(57)【要約】
【課題】貯えている化粧料が紫外線を受けて劣化することを防止可能で、しかも化粧料の残量を簡単に確認できる化粧料容器を得る。
【解決手段】化粧料Cを貯える容器本体10と、この容器本体10を側外方から取り囲む無底の筒状部材である外筒11およびこの外筒11の一端側の開口を閉じる蓋体12とから遮光カバーを構成する。また、外筒11の他端側の開口を閉じ、この開口を閉じた状態において容器本体10の外筒11から飛び出ている部分を内部に収める有底の筒状部材からなる袴パーツ20を設ける。そして、外筒11の内周面に形成されたねじ溝11aにねじパーツ22のねじ突条22aを係合させて、ねじ突条22aの螺進退により袴パーツ20を、外筒11と組み合ったまま外筒11に接する閉位置と、外筒11との間に間隙を形成する開位置との間で移動可能とし、上記間隙から容器本体10を視認可能とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料を貯える有底の容器であって、少なくとも底から該底よりも上の位置までの所定の範囲に透明部を有する容器本体と、
遮光性材料からなり、前記容器本体の少なくとも前記透明部を外部から視認可能にする側部開口が形成されて前記容器本体を側外方から取り囲む無底の筒状部材と、
遮光性材料からなり、前記容器本体及び前記筒状部材を保持する蓋体と、
遮光性材料からなり、前記筒状部材に組み付けられ、前記容器本体とは非接触の回転シャッタと、を備え、
前記回転シャッタは、前記筒状部材の周方向に相対回転可能であることで、前記容器本体、前記筒状部材及び前記蓋体に対して、回転可能であり、
前記回転シャッタが、前記筒状部材に対して相対回転することで
前記回転シャッタが前記側部開口の端縁と接触して前記側部開口を閉じる閉位置と、
前記回転シャッタの一部が前記筒状部材の内径側に入り込んで前記回転シャッタが前記端縁から離れて前記側部開口を開く開位置と、を選択的に取りえる、
化粧料容器。
【請求項2】
前記筒状部材に形成された前記側部開口が、該筒状部材の全長に近い長さに亘って該筒状部材の筒軸方向に延びるスリット状開口である、
請求項1に記載の化粧料容器。
【請求項3】
前記スリット状開口が、前記筒状部材の周方向に互いに離して複数設けられている、
請求項2に記載の化粧料容器。
【請求項4】
遮光性材料からなり、前記無底の筒状部材の下端側の開口を閉じる底板をさらに備え、
前記底板が、前記無底の筒状部材に対して該筒状部材の周方向に相対回転可能とされ、
前記回転シャッタが前記底板の上に固定されて該底板と共に回転する、
請求項1から3いずれか1項に記載の化粧料容器。
【請求項5】
前記容器本体内に貯えられた液体状の化粧料に浸漬されるディップチューブと、
前記ディップチューブを通して吸い上げた液体状の化粧料をスプレー状に噴射させる噴霧装置とをさらに備える、
請求項1から4のいずれか1項に記載の化粧料容器。
【請求項6】
前記容器本体が筒状部材からなる請求項1から5のいずれか1項に記載の化粧料容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧料を貯える化粧料容器、特に詳細には、貯えている化粧料が紫外線によって劣化することを防止可能で、またその残量を確認可能とした化粧料容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば液体状やクリーム状等の化粧料が種々知られているが、そのような化粧料には、紫外線が照射されると劣化するものが多い。そこで従来、化粧料を貯える容器を紫外線遮蔽効果がある材料から形成することが提案されている。しかし、化粧料容器を紫外線遮蔽効果がある材料から形成すると、容器内部の化粧料の残量を確かめることが不可能あるいは困難になる。そこで、紫外線遮蔽効果がある材料から形成する一方、容器内部の化粧料の残量を視認可能とした化粧料容器が種々提案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、一方が他方との対向面に再帰性反射構造を有し、対向して配置される1組の透明板と、上記再帰性反射構造に液体を供給および排出する機構とを有する構造体を装着してなる容器が示されている。この容器によれば、通常は再帰性反射構造を光反射状態にしておいて容器内部への紫外線入射を遮断し、容器の内容物の残量を確認したいときだけ再帰性反射構造に液体を供給して光透過状態にし、残量確認が終了したならば再帰性反射構造を光反射状態に戻すことができる。
【0004】
また特許文献2には、内容物を排出するエアレス排出ポンプが結合された不透明内部容器に、透明外部容器を結合して二重容器を構成し、内部容器の内側にディスクを配置する一方、外部容器の内面には挿入溝を形成し、ディスクに連結された残量表示帯を上記挿入溝に挿入させてなる化粧品容器が示されている。この容器によれば、内部容器に貯えられている内容物の残量を、残量表示帯の高さによって確認することができる。
【0005】
また特許文献3には、液状の内容物を収容する容器本体内に、液状内容物が流通可能な流通機構を有して上昇可能な中仕切り壁部を内嵌する一方、この容器本体に覗き窓を設け、この覗き窓から中仕切り壁部が見えるようにしたディスペンサー容器が示されている。このディスペンサー容器によれば、覗き窓から中仕切り壁部の高さ位置を見ることによって液状内容物の残量を確認することができる。
【0006】
また特許文献4には、不透明容器の側壁に中味残量を判断するための透明体からなる残量視認窓を形成し、この残量視認窓を遮光性部材で被覆するようにした容器が示されている。上記遮光性部材はより詳細には、裏面に備えた粘着剤によって残量視認窓の外側に剥離自在に取り付けられるレーベル片とされたり、あるいは不透明容器の側壁外周に回転自在に配設されたフィルム状の巻き体に形成された印刷部とされる。この容器によれば、上記レーベル片を残量視認窓から剥離させたり、あるいは上記巻き体を回転させて印刷部を残量視認窓の位置からずらすことにより、残量視認窓を通して中味残量を確認することができる。
【0007】
また特許文献5には、外容器と、内容物を収納する内容器とが廻動可能に組み付けられた二重容器からなり、外容器の外周面には透明の窓部が設けられ、内容器の外面には、外容器との回転角度によって位置が切り替わる透明部と表示部とを設け、外容器の窓部に対応する部分に、窓部を覆う不透明の貼着シートを接着部を介して着脱自在に貼着した容器が示されている。この容器によれば、外容器の透明の窓部と内容器の透明部とが整合するように両容器の廻動位置を設定することにより、内容物の残量や状態を確認することができる。
【0008】
また特許文献6には、内容物を収容する内容器と、内容器に対して相対的に廻動可能とした外容器とから構成され、内容器および外容器の外周壁に内部を視認できる窓部が設けられてなる窓付き容器が示されている。この容器によれば、内容器および外容器の各窓部が整合するように両容器の廻動位置を設定することにより、内容物の残量や状態を確認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2017-58605号公報
【特許文献2】特許第5806777号公報
【特許文献3】特許第5088944号公報
【特許文献4】特開2005-119691号公報
【特許文献5】特許第4744906号公報
【特許文献6】特許第4468220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1および2に示された容器は、構造が複雑であってコストが高くなるという問題が認められる。特許文献3~6に示された容器は、構造が比較的簡単であるものの、容器に透明な窓部を設けていることから以下の問題が認められる。すなわち、そのような窓部は容器の使用を重ねるうちに汚れたり擦れたりすることが多く、特にこの窓部に貼着シートを接着させる場合は接着層によって窓部が汚れることも多く、そのような状態になると、貯えている内容物の残量を正確に確認し難くなる。
【0011】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、貯えている化粧料が紫外線によって劣化することを防止可能で、また化粧料の残量を簡単かつ正確に確認することができる化粧料容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による化粧料容器は、1つの実施形態として、
化粧料を貯える有底の容器であって、少なくとも底から該底よりも上の位置までの所定の範囲に透明部を有する容器本体と、
遮光性材料からなり、前記容器本体の少なくとも前記透明部を外部から視認可能にする側部開口が形成されて前記容器本体を側外方から取り囲む無底の筒状部材と、
遮光性材料からなり、前記容器本体及び前記筒状部材を保持する蓋体と、
遮光性材料からなり、前記筒状部材に組み付けられ、前記容器本体とは非接触の回転シャッタと、を備え、
前記回転シャッタは、前記筒状部材の周方向に相対回転可能であることで、前記容器本体、前記筒状部材及び前記蓋体に対して、回転可能であり、
前記回転シャッタが、前記筒状部材に対して相対回転することで
前記回転シャッタが前記側部開口の端縁と接触して前記側部開口を閉じる閉位置と、
前記回転シャッタの一部が前記筒状部材の内径側に入り込んで前記回転シャッタが前記端縁から離れて前記側部開口を開く開位置と、を選択的に取りえる、ことを特徴とするものである。
【0013】
上記無底の筒状部材に形成された開口は、該筒状部材の全長に近い長さに亘って該筒状部材の筒軸方向に延びるスリット状開口であることが望ましい。また上記化粧料容器は、遮光性材料からなり、前記無底の筒状部材の下端側の開口を閉じる底板をさらに備えており、上記底板は、無底の筒状部材に対して該筒状部材の周方向に相対回転可能とされ、そして回転シャッタは上記底板の上に固定されて該底板と共に回転することが望ましい。
【0014】
また本発明による化粧料容器は、容器本体内に貯えられた液体状の化粧料に浸漬されるディップチューブと、このディップチューブを通して吸い上げた液体状の化粧料をスプレー状に噴射させる噴霧装置とをさらに備えることが望ましい。また本発明による化粧料容器においては、容器本体の全体が透明であること、そして容器本体が筒状部材からなることが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の化粧料容器は、少なくとも底から該底よりも上の位置までの所定範囲に透明部を有する容器本体と、容器本体を取り囲む状態にして該容器本体と一体化された遮光カバーと、遮光カバーに組み付けられたまま該遮光カバーに対して相対移動することにより、該遮光カバーとの間に間隙を形成する開位置と、間隙を形成しない閉位置とを選択的に取り得る移動遮光部材とから構成されているので、移動遮光部材を適宜上記開位置に動くように操作するだけで、容器本体内の化粧料の残量を簡単に確認可能となる。つまり本発明の化粧料容器によれば、化粧料の残量確認のために逐一容器蓋を開けるような場合と比べて、より簡単に化粧料の残量を確認することができる。一方、遮光部材を上記閉位置に設定すれば、容器本体内の化粧料が紫外線によって劣化することを確実に防止可能となる。
【0016】
また本発明の化粧料容器は、移動遮光部材と遮光カバーとの間に形成された間隙を通して、それらの内部にある容器本体を見るようにしているので、従来装置に認められる問題、つまり化粧料の残量確認のための透明窓部が汚れたり擦れたりするという問題を招くことなく、容器本体に貯えられている化粧料の残量を正確に確認可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態による化粧料容器の全体形状を示す斜視図
図2図1の化粧料容器を一部透過状態にして示す分解斜視図
図3図1とは別の状態にある上記化粧料容器の全体形状を示す斜視図
図4図3の状態にある化粧料容器を、一部透過状態にして示す斜視図
図5】本発明の第2実施形態による化粧料容器の全体形状を示す斜視図
図6図5の化粧料容器を一部透過状態にして示す斜視図
図7図5の化粧料容器の一部を示す平断面図
図8図5の化粧料容器の一部を示す側断面図
図9図5とは別の状態にある上記化粧料容器の全体形状を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図1図4を参照して詳細に説明する。図1は本発明の第1実施形態による化粧料容器1の全体形状を示すものであり、また図2は、この化粧料容器1を一部分解すると共に一部を透過状態にして示している。これらの図に示される通り化粧料容器1は、例えば有底円筒状に形成された容器本体10と、この容器本体10の大部分を側外方から覆うようにして、該容器本体10と概略同軸状に配置された無底の円筒状の外筒11と、この外筒11の上に配置された蓋部12と、この蓋部12の上端に形成された、該蓋部12よりも小径の円筒状の凸部13とを有している。
【0019】
図2においては、外筒11を透過状態にして示している。この外筒11および容器本体10は上部において蓋部12と一体化されて、蓋部12に保持されている。なお図2では、容器本体10の底を10aとして示している。容器本体10は、後述するようにして外部から化粧料Cの残量が視認できるように、全長に亘って例えば透明樹脂や透明ガラス等から形成されている。それに対して外筒11は、透明な容器本体10越しに紫外線が照射されて化粧料Cが劣化することを防止するために、不透明な遮光性材料、より詳しくは、外観も考慮して好ましい色に適宜着色された部材を用いて形成されている。蓋部12も同様に遮光性材料を用いて形成されており、外筒11と共に本発明における遮光カバーを構成している。
【0020】
上記円筒状の凸部13の中には、横方向を向いたスプレー口14を備えたスプレーボタン15が配されている。スプレー口14は、スプレーボタン15内の通路および図示外のスプレーユニットを介して、容器本体10内に配された吸い上げ用ディップチューブ16に連通されている。上記スプレーユニットは、噴霧装置あるいはエアゾール装置等とも称されるスプレー装置に適用されている公知のユニットであって、定量室およびバルブ機構等を備えたものである。
【0021】
このスプレーユニットの作用により、まずスプレーボタン15がある程度押下されると定量室とディップチューブ16との間が遮断され、さらにスプレーボタン15が押下されると定量室に貯えられていた化粧料Cがスプレー口14からスプレー(噴霧)状に噴射される。その後スプレーボタン15が解放されると該スプレーボタン15は、図示外の付勢手段によって高位置である原位置に復帰する。このとき、定量室とディップチューブ16との間が開かれ、容器本体10内の化粧料Cがディップチューブ16を通して吸い上げられ、上記定量室に一定量貯えられる。
【0022】
外筒11の下方には、概略有底円筒状の袴パーツ20が配置されるようになっている。この袴パーツ20は、後述のようにして外筒11に上端(底と反対側の端)が接する状態で該外筒11の下方に配置されると、外筒11よりも下方に飛び出している容器本体10の部分を内部に収める。袴パーツ20は本発明における移動遮光部材を構成するものであり、外筒11と同様に不透明な遮光性材料から形成されている。つまり袴パーツ20は、容器本体10越しに紫外線が照射されて化粧料Cが劣化することを防止するために、また外観も考慮して、好ましくは濃い色で適宜着色されている。袴パーツ20の上端には一例として2本の連結部材21が接続され、これらの連結部材21には概略円筒状のねじパーツ22が連結されている。このねじパーツ22は、外周面の上にねじ突条22aが形成されたものである。
【0023】
一方、前述した円筒状の外筒11は、その内周面に刻設された螺旋状係合部としてのねじ溝11aを有している。ねじパーツ22のねじ突条22aは、この外筒11のねじ溝11aと螺合する被係合部として形成されたものである。そこで、図2に示すように外筒11の下方に袴パーツ20を配し、ねじパーツ22のねじ突条22aを外筒11のねじ溝11aと係合させた後に袴パーツ20を回転させれば、ねじパーツ22を外筒11内で筒軸方向に螺進退させることができる。こうしてねじパーツ22を螺進退させれば、袴パーツ20もねじパーツ22と共に、外筒11の筒軸方向に移動する。なお本実施形態におけるねじ溝11aおよびねじ突条22aは、リードがピッチの2倍である2条ねじとされている。そこで、ねじ溝11aおよびねじ突条22aが通常の1条ねじである場合と比べると、袴パーツ20を比較的少さい角度回転させるだけで比較的長い距離上記筒軸方向に移動させることができる。
【0024】
そこで、袴パーツ20を外筒11の方に最大限移動させることにより、図1に示すように、袴パーツ20の上端面が外筒11の下端面に接して両者が隙間無く連なった状態にすることができる。また、その状態から袴パーツ20を外筒11から離れる方向に移動させることにより、図3に示すように、袴パーツ20の上端面が外筒11の下端面から離れて両者の間に間隔が生じる状態にすることができる。なお、この状態にある化粧料容器1を、外筒11を透過状態として図4に示す。ここで、ねじ溝11aおよびねじ突条22aは通常右ねじとされる。その場合は、袴パーツ20を右回りに回転させれば袴パーツ20は外筒11に近付く方向に移動し、袴パーツ20を左回りに回転させれば袴パーツ20は外筒11から離れる方向に移動する。
【0025】
化粧料Cの使用が重ねられると、その残量が次第に少なくなり、化粧料Cの液面Lは容器本体10の底10aに近い位置まで低下する。図3および図4には、そのような位置に液面Lが有る状態を示している。一方、前述したように容器本体10は、底10aを含む一部が外筒11よりも下方に飛び出すように形成されている。つまり容器本体10の全長は、外筒11の全長よりも大とされている。そこで、図3および図4に示すように袴パーツ20を、外筒11との間に間隙が生じる位置(開位置)まで下降させれば、容器本体10の底10aに近い部分を見ることができる。それにより使用者は、化粧料Cの液面Lが容器本体10の底10aに近い位置まで低下していて、化粧料Cの残量が僅かとなっているか否かを確認することができる。そして本実施形態の化粧料容器1では、上記の間隙を通して容器本体10を見るようにしているので、化粧料の残量確認のために設けた透明窓部が汚れたり擦れたりするという問題を招くことなく、化粧料Cの残量を正確に確認可能となる。この点は、以下に説明する第2の実施形態による化粧料容器2においても同様である。
【0026】
以上の通りになされる化粧料Cの残量確認は、使用者が自身の化粧料使用に関する記憶等に基づいて適宜行えばよい。この残量確認をする場合以外の通常時、つまり化粧料容器1を使用したり携行したりする際、袴パーツ20は外筒11との間に間隙を生じさせない図1の位置(閉位置)に設定される。化粧料容器1がこの状態になっていれば、化粧料Cを貯えている透明な容器本体10は、周外方は不透明な外筒11および袴パーツ20によって覆われ、また底10aの外側も袴パーツ20によって覆われる。また容器本体10の上方は元より蓋部12によって覆われている。そこで、容器本体10内の化粧料Cが外部からの紫外線を受けて劣化することが防止される。なお、ねじ溝11aおよびねじ突条22aは前述した通り2条ねじとされているので、袴パーツ20を上記閉位置と開位置との間で移動させる操作は、迅速になされ得る。
【0027】
なお容器本体10は全体を透明に形成する他、袴パーツ20が前述の開位置に設定されたとき視認され得る所定範囲(つまり底10aから上の所定範囲)だけを透明材料から形成し、残りの部分は、貯えている化粧料Cへの紫外線入射をより確実に防止するために遮光性材料から形成してもよい。
【0028】
また袴パーツ20は、上述の閉位置から不用意に開位置側に移動しないようにしておくことが望ましい。そのためには、例えばねじ突条22aおよびねじ溝11aを、袴パーツ20の回転時に両者間に適度の摩擦抵抗が生じるように構成して、ねじ突条22aが小さな力で容易に螺進退してしまうことを防止すればよい。また、ねじ溝11aおよびねじ突条22aは2条ねじとする他、さらに多条の3条ねじや4条ねじ等とされてもよい。外筒11と袴パーツ20との間で特に高度の気密性を保つ必要はないので、操作の迅速性を重視して、そのような多条ねじを適用することが望ましい。ただし、そのような多条ねじは適用しないで、ねじ溝11aおよびねじ突条22aは通常の1条ねじとされても構わない。
【0029】
また、ねじ溝11aが刻設される外筒11の内周面は円筒の内周面であることが必要であるが、外筒11の外周面は円筒の外周面でなくてもよい。例えばこの外周面は、角筒、例えば四角筒等の多角筒の外周面であってもよい。他方、袴パーツ20の周壁部は、内周面および/または外周面が円筒面以外の面からなるものであってもよい。ただしこの周壁部の外周面は、化粧料容器1の美観を考慮して、袴パーツ20が前述の閉位置に設定されたときに外筒11の外周面と整合する形状であることが望ましい。
【0030】
また本実施形態では、袴パーツ20を閉位置と開位置との間で移動させるために、ねじ溝11aにねじ突条22aを螺合させた構造が適用されているが、その他の構造によって袴パーツ20を移動可能にしてもよい。そのような構造としては例えば、概略円筒状のねじパーツ22の代わりに、ねじ突条22aを持たない通常の円筒状部材を適用し、この円筒状部材が操作力を受けたとき、適度の摩擦抵抗を生じながら、外筒11の内周面に沿って筒軸方向に移動可能とした構成が挙げられる。そのような構成を適用する場合、ねじパーツ22に代わる円筒状部材が外筒11から下方に抜け落ちることを防止するためには、例えばそれら両者を磁力によって吸着させる手段を用いることができる。
【0031】
なお本発明の化粧料容器は、前述したディップチューブ16および、このディップチューブ16を通して吸い上げた液体状の化粧料をスプレー状に噴射させる噴霧装置は備えずに、例えば蓋部12に部分的に設けた小キャップを開けて、容器本体10の上部開口から化粧料を取り出して使用するものとして形成されてもよい。しかし、そのように構成された化粧料容器は一般に、化粧料を取り出す度に傾けることが多く、その際の必要な傾きの程度から使用者が化粧料残量を認識し易くなっている。それに対して、上記のディップチューブ16および噴霧装置を備えた化粧料容器は、化粧料がスプレー状に噴射しなくなったり、噴射量が少なくなったりするまで化粧料の残量を認識し難いものである。したがって、その種の化粧料容器に対して本発明を適用することは、化粧料が足りなくて使用できないという事態に突然陥ることを防止する効果が高いので、特に好ましいと言える。
【0032】
次に図5図9を参照して、本発明の別の実施形態による化粧料容器2について説明する。なお図5図9において、先に説明した図1図4中のものと同等の要素には同番号を付してあり、それらについての説明は特に必要の無い限り省略する。図5および図6は本発明の第2実施形態による化粧料容器2の全体形状を示すものである。なお、特に図6は、この化粧料容器2を構成する外筒30を透過状態にして示している。外筒30は前述した外筒11と同様に、遮光性材料を用いて概略無底の円筒状に形成されている。しかし、この外筒30は外筒11と異なって、上端よりもやや下の位置から下端まで筒軸方向に延びるスリット状の開口(側部開口)30aを有している。外筒30および容器本体10は上部において、遮光性材料からなる蓋部12と一体化されて、そこに保持されている。外筒30の一端側(図中の上端側)の端部開口は、この蓋部12によって閉じられている。
【0033】
外筒30の他端側(図中の下端側)には、遮光性材料からなる円板状の底板40が、後述のようにして配されている。容器本体10はこの底板40、蓋部12、および外筒30の開口30a以外の部分によって取り囲まれている。すなわち底板40、蓋部12、および外筒30の開口30a以外の部分は、容器本体10への外光の入射を遮断する、本発明における遮光カバーを構成している。
【0034】
上記底板40の上には、共に外筒30の長さ方向に延びる厚手部分41および薄手部分42からなる回転シャッタ43が立設されている。この回転シャッタ43も遮光性材料から形成されたものであって、外筒30と組み合わされている。ここで図7および図8に、外筒30および回転シャッタ43の周辺部分を拡大して示す。図7は外筒30の全長内の中間位置付近を、該外筒30の筒軸方向に垂直な面内で切断して示す平断面図である。一方図8は、図7に示すY線に沿った部分を、外筒30の全幅に亘って図7中の矢印方向から見て示す側断面図である。なお図8において、円板状をなす上記底板40、および同様に円板状をなす保持部材44、45、46は断面表示としないで、側方から見た状態として示している。
【0035】
図8に示される通り、円板状の保持部材44および45の間には、それらよりも外径が小さい保持部材46が配され、これらの保持部材44、45、46は底板40の上に固定されている。なお図7および図8では、底板40の上に立設された回転シャッタ43を(図8では断面が通る厚手部分41を)、分かり易く、保持部材44および45から離れた状態に示している。しかし実際には、回転シャッタ43はその内面が保持部材44および45の外周面に沿った曲面とされ、該内面が保持部材44および45と摺動可能にして、これらの保持部材44および45の外周面に接する状態に配置されている。
【0036】
また底板40は、外筒30の下端面から若干離れて位置するように配置されて、外筒30に対して相対回転可能とされている。そのために、外筒30の内周面には、後述するように回転する回転シャッタ43の回転範囲は除いた部分において、概略環状をなして筒内方側に突出した環状凸部31が形成されている。この環状凸部31は、保持部材44および45の間に遊嵌されて、外筒30に対する底板40の上下位置を上述のように規定すると共に、外筒30に対して底板40が相対回転することを可能にしている。このように底板40が回転すれば、該底板40と一体化している保持部材44、45、46および回転シャッタ43も底板40と共に回転する。
【0037】
図7には、回転シャッタ43と外筒30との組み合わせ状態が示されている。ここに示される通り外筒30の平断面形状は、厚手部分41および薄手部分42からなる回転シャッタ43の平断面形状に対応した形状とされて、底板40と共に回転シャッタ43が回転することを許容している。回転シャッタ43は本発明における移動遮光部材を構成するものであって、回転することにより、外筒30の開口30aを閉じる閉位置と、開口30aの一部を開く開位置とを選択的に取り得る。すなわち、図7に示されるように、開口30aの上下方向(図7の紙面と垂直な方向)に延びる端縁のうち、薄手部分42側の端縁に隣接した外筒30の部分は、薄手部分42の外周面を摺動可能とする内周面30bを有する薄手部分とされている。また開口30aの上下方向に延びる端縁のうち、厚手部分41側の端縁に隣接した外筒30の部分も、厚手部分41から図中左方に突出した短い凸部を受け止める形状とされている。
【0038】
図7は、回転シャッタ43が上記閉位置に有る状態を示しているが、開口30aの端縁に隣接した外筒30の部分が上述のような形状とされていることにより、この閉位置に回転シャッタ43が設定された場合、外光が開口30aを通って外筒30の内側に進入することが防止される。図7の状態から回転シャッタ43が図中で反時計方向に回転されると、回転シャッタ43はその薄手部分42が外筒30の薄手部分の内周面を摺動するように回転し、厚手部分41が開口30aの端縁から離れる。こうして厚手部分41が開口30aの端縁から離れて、開口30aを一部でも開いているときの回転シャッタ43の位置が開位置である。
【0039】
開口30aを最大限開く位置まで回転シャッタ43が回転移動すると、回転シャッタ43の厚手部分41の側端部が、開口30aの端縁をなしている外筒30の側端部に当接して、それ以上の回転シャッタ43の回転が阻止される(図9の状態)。なお回転シャッタ43の回転操作は、この回転シャッタ43の例えば厚手部分41を直接動かすことにより、あるいは底板40を回転させることによって行うことができる。回転シャッタ43は、基本的に外筒30と同芯状に形成されて同芯状に回転するが、この同芯状の回転は、回転シャッタ43と一体化した保持部材44、45、46に、環状凸部31および外筒30を組み合わせた機構によって果たされる。
【0040】
図5および図6は、回転シャッタ43が上記閉位置にあるときの化粧料容器2を示している。回転シャッタ43が上記閉位置にあって外光を遮断していれば、容器本体10内の化粧料Cが外部からの紫外線を受けて劣化することが防止される。一方図9は、回転シャッタ43が上記開位置にあるときの化粧料容器2を示している。この場合使用者は、一部が開かれた開口30aを通して、外筒30内にある容器本体10のほぼ全長を見ることができる。それにより使用者は、化粧料Cの残量が僅かとなっているか否かを適宜確認することができる。
【0041】
なお容器本体10は全体を透明に形成する他、回転シャッタ43が前述の開位置に設定されたとき視認され得る所定範囲だけを透明材料から形成し、残りの部分は、貯えている化粧料Cへの紫外線入射をより確実に防止するために遮光性材料から形成してもよい。上述の「所定範囲」は、例えば、外筒30の開口30a側を向いて容器本体10の全長に亘って延びている所定幅のスリット状部分としてもよいし、さらには、そのようなスリット状部分のうち特に化粧料Cの残量確認のために必要な、底10aから上の所定長さ部分だけとしてもよい。
【0042】
また回転シャッタ43は、上述の閉位置から不用意に開位置側に移動しないようにしておくことが望ましい。そのためには、回転シャッタ43の回転時、例えば図8に示した保持部材44および45の各保持部材46側の面と環状凸部31との間、あるいは保持部材44および45の各外周面と外筒30との間に適度の摩擦抵抗が作用して、回転シャッタ43が小さな力で容易に回転しないようにすればよい。また、外筒30における側部開口としてのスリット状開口30aは、外筒30の周方向に互いに離して複数設けられてもよい。それにより、開口30aが開かれた際に外筒30内がより明るくなるので、化粧料Cの残量をより確実かつ容易に確認可能となる。その場合、複数の開口30aは、1つの回転シャッタの互いに異なる部分で連動して開閉されるようにしてもよいし、あるいは、個別の回転シャッタで独自に開閉されるようにしてもよい。
【0043】
また、前述したようにスプレー状にして使用される液体状の化粧料Cとしては、例えば香水、化粧水、制汗剤等が挙げられるが、それらに限られるものではない。また、本発明の化粧料容器は、上述のような化粧料Cに限らず、スプレー状にされることはない液体状の化粧料や、クリーム状の化粧料、固体状の化粧料等あらゆる化粧料を貯えるために、さらには紫外線によって劣化することがある薬品類を貯えるためにも適用可能である。
【0044】
本発明の態様は、例えば、以下のものを含んでもよい。
【0045】
[項目1]
化粧料を貯える有底の容器であって、少なくとも底から該底よりも上の位置までの所定範囲に透明部を有する容器本体と、
遮光性材料からなり、上記容器本体を取り囲む状態にして該容器本体と一体化された遮光カバーと、
遮光性材料からなり、上記遮光カバーに組み付けられたまま該遮光カバーに対して相対移動することにより、該遮光カバーとの間に間隙を形成する開位置と、上記間隙を形成しない閉位置とを選択的に取り得る移動遮光部材と
を有してなる化粧料容器。
【0046】
[項目2]
上記遮光カバーが、少なくとも上記所定範囲の一部は除いてそれ以外の容器本体部分を側外方から取り囲む無底の筒状部材と、該筒状部材の一端側の開口を閉じる蓋体とから構成され、
上記移動遮光部材が、上記筒状部材の他端側の開口を閉じ、この開口を閉じた状態において上記容器本体の上記無底の筒状部材から飛び出ている部分を内部に収める有底の筒状部材から構成され、
上記相対移動を果たす手段が、上記無底の筒状部材の内周面に形成されて該無底の筒状部材の筒軸方向に繰り返す螺旋状係合部と、この螺旋状係合部と係合した被係合部と、この被係合部と上記有底の筒状部材とを連結する連結部分とから構成され、
上記相対移動によって上記移動遮光部材が、上記無底の筒状部材から該筒状部材の筒軸方向に離れた上記開位置と、上記無底の筒状部材に接した上記閉位置とを取る、
項目1に記載の化粧料容器。
【0047】
[項目3]
上記螺旋状係合部が、上記無底の筒状部材の内周面に刻設されたねじ溝であり、
上記被係合部が、上記ねじ溝の中に収められたねじ突条である、
項目2に記載の化粧料容器。
【0048】
[項目4]
上記螺旋状係合部および上記被係合部の一方がねじ溝で、他方が上記ねじ溝と螺合するねじ突条であり、
上記ねじ溝およびねじ突条が多条ねじを構成している、
項目2または3に記載の化粧料容器。
【0049】
[項目5]
上記遮光カバーが、少なくとも上記所定範囲の部分を外部から視認可能にする側部開口が形成されて上記容器本体を側外方から取り囲む無底の筒状部材と、この無底の筒状部材の一端側の端部開口を閉じる蓋体と、
上記移動遮光部材が、上記筒状部材の周方向に相対回転可能にして該筒状部材に組み合わされた回転シャッタから構成され、
上記相対回転によって上記回転シャッタが、上記側部開口を開く開位置と、上記側部開口を閉じる閉位置とを取る、
項目1に記載の化粧料容器。
【0050】
[項目6]
上記無底の筒状部材に形成された上記側部開口が、該筒状部材の全長に近い長さに亘って該筒状部材の筒軸方向に延びるスリット状開口である、項目5に記載の化粧料容器。
【0051】
[項目7]
上記スリット状開口が、上記無底の筒状部材の周方向に互いに離して複数設けられている項目6に記載の化粧料容器。
【0052】
[項目8]
上記底板が、上記無底の筒状部材に対して該筒状部材の周方向に相対回転可能とされ、 上記回転シャッタが上記底板の上に固定されて該底板と共に回転する、
項目5から7いずれか1項に記載の化粧料容器。
【0053】
[項目9]
上記容器本体内に貯えられた液体状の化粧料に浸漬されるディップチューブと、
このディップチューブを通して吸い上げた液体状の化粧料をスプレー状に噴射させる噴霧装置とをさらに備える、
項目1から8のいずれか1項に記載の化粧料容器。
【0054】
[項目10]
上記容器本体の全体が透明である項目1から9のいずれか1項に記載の化粧料容器。
【0055】
[項目11]
上記容器本体が筒状部材からなる項目1から10のいずれか1項に記載の化粧料容器。
【符号の説明】
【0056】
1、2 化粧料容器
10 容器本体
10a 容器本体の底
11 外筒
11a ねじ溝
12 蓋部
13 凸部
14 スプレー口
15 スプレーボタン
16 ディップチューブ
20 袴パーツ
21 連結部材
22 ねじパーツ
22a ねじ突条
30 外筒
30a 外筒の開口
30b 外筒の内周面
31 環状凸部
40 底板
41 回転シャッタの厚手部分
42 回転シャッタの薄手部分
43 回転シャッタ
44、45、45 保持部材
C 化粧料
L 化粧料の液面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9