(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138315
(43)【公開日】2024-10-08
(54)【発明の名称】電解質材料及び形成する方法
(51)【国際特許分類】
H01B 1/06 20060101AFI20241001BHJP
H01M 10/0562 20100101ALI20241001BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20241001BHJP
【FI】
H01B1/06 A
H01M10/0562
H01M10/052
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024104311
(22)【出願日】2024-06-27
(62)【分割の表示】P 2023508592の分割
【原出願日】2022-05-17
(31)【優先権主張番号】63/189,597
(32)【優先日】2021-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/261,894
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】593150863
【氏名又は名称】サン-ゴバン セラミックス アンド プラスティクス,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】SAINT-GOBAIN CERAMICS AND PLASTICS, INC.
【住所又は居所原語表記】One New Bond Street, Worcester, MA 01615, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アサット、ガウラフ
(72)【発明者】
【氏名】ウスペンスキ、ウラジーミル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】少なくとも2つのハロゲン化物アニオンを含むハロゲン化物材料を含む固体電解質材料及びそれを形成する方法を提供する。
【解決手段】固体電解質材料は、Li
3-x-fM
fRE
1-yMe
k
y(Cl
1-
u-p-qBr
uF
pI
q)
6-x+y*(k-3)によって表されるハロゲン化物材料を含み、ハロゲン化物材料が、少なくとも2つのハロゲン化物アニオンを含み、かつ、二元ハロゲン化物相、オキシハロゲン化物相又は三元ハロゲン化物相を含む低減された含有量の1つ以上の不純物相を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
F、Cl、Br及びIからなる群から選択される少なくとも2つのハロゲン化物アニ
オンを含み、Li3-x-fMfRE1-yMek
y(Cl1-u-p-qBruFpI
q)6-x+y*(k-3)によって表されるハロゲン化物材料を含む、固体電解質材料
であって、
式中、
-1<=x<=1であり、
0<=y<=1であり、
0<=u<1であり、
0<=p<=1/3であり、
0<=q<=1/6であり、
0<(u+p+q)<1であり、
0<=f<=0.3であり、
Mが、Li以外の少なくとも1つのアルカリ金属元素であり、
REが、希土類元素であり、
kが、Meの価数であり、
Meが、IIIB族元素、IVB族元素、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、C
u、Zn、Zr、Al、Sn、Pb、Bi、Sb、Mg、Ca、Ga、及びGeからなる
群からの少なくとも1つの元素であり、Meが、REとは異なり、
前記ハロゲン化物材料が、前記ハロゲン化物材料の総重量に対して、
0.10重量%以下の総含有量の1つ以上の水不溶性不純物相を含む、固体電解質
材料。
【請求項2】
単相内にF、Cl、Br、及びIからなる群から選択される少なくとも2つのハロゲ
ン化物アニオンを含むハロゲン化物材料を含む、電解質材料であって、前記ハロゲン化物
材料が、Li3-x-fMfRE1-yMek
y(Cl1-u-p-qBruFpIq)
6-x+y*(k-3)によって表され、式中、
-1<=x<=1であり、
0<=y<=1であり、
0<=u<1であり、
0<=p<=1/3であり、
0<=q<=1/6であり、
0<(u+p+q)<1であり、
0<=f<=0.3であり、
Mが、Li以外の少なくとも1つのアルカリ金属元素であり、
REが、希土類元素であり、
kが、Meの価数であり、
Meが、IIIB族元素、IVB族元素、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu
、Zn、Zr、Al、Sn、Pb、Bi、Sb、Mg、Ca、Ga、及びGeからなる群
から選択される少なくとも1つの元素であり、Meが、REとは異なる、電解質材料。
【請求項3】
前記ハロゲン化物材料が、前記ハロゲン化物材料の総重量に対して、9重量%以下の
二元ハロゲン化物相、6重量%以下の三元ハロゲン化物相、0.10重量%以下の総含有
量の1つ以上の水不溶性不純物相、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1又は
2に記載の固体電解質材料。
【請求項4】
前記ハロゲン化物材料が、菱面体空間群によって表される結晶構造を含む、請求項1
又は2に記載の固体電解質材料。
【請求項5】
前記結晶構造が、Li3YBr6の単位胞よりも小さい単位胞を含む、請求項1又は
2に記載の固体電解質材料。
【請求項6】
前記ハロゲン化物材料の粉末回折パターンのピークが、Li3YBr6の粉末回折パ
ターンの対応するピークと比較して、高い角度にシフトしている、請求項1又は2に記載
の固体電解質材料。
【請求項7】
前記ハロゲン化物材料が、Li3-x-fMfRE1-yMek
y(Cl1-uBr
u)6-x+y*(k-3)によって表される、請求項1又は2に記載の固体電解質材料
。
【請求項8】
前記ハロゲン化物材料が、Li3-x-fMfRE1-yMek
y(Cl1-pFp
)6-x+y*(k-3)によって表され、式中、0<=p<2である、請求項1又は2
に記載の固体電解質材料。
【請求項9】
REが、Y、Ce、Gd、Er、La、又はYbを含み、Meが、Y、Ce、Gd、
Er、Sm、Eu、Pr、Tb、Al、Zr、La、Yb、Mg、Zn、Sn、Mg、C
a、又はそれらの任意の組み合わせを含み、REが、Meとは異なる、請求項1又は2に
記載の固体電解質材料。
【請求項10】
前記ハロゲン化物材料が、少なくとも25nmの平均回折結晶子サイズを含む、請求
項1又は2に記載の固体電解質材料。
【請求項11】
前記ハロゲン化物材料が、Li3-xRE1-yMek
y(Cl1-uBru)6-
x+y*(k-3)によって表され、式中、0.08<=u<=0.67である、請求項
3に記載の固体電解質材料。
【請求項12】
電気化学デバイスであって、
請求項1又は2に記載の固体電解質材料を含む固体電解質層であって、前記ハロゲン
化物材料が、Cl及びFのうちの少なくとも1つを含む、固体電解質層と
前記固体電解質材料と接触している、カソード活性材料を含む電極層と、を備え、
前記固体電解質層が、酸化条件下で、電極層の近位に塩素欠乏領域又はフッ素欠乏領
域を形成することが可能であり、前記塩素欠乏領域又はフッ素欠乏領域が、前記電極層の
遠位にある前記固体電解質層の領域と比較して、より低い濃度の塩素又はフッ素をそれぞ
れ含む、電気化学デバイス。
【請求項13】
LiaMaMebMe’b’XcX’c’によって表されるハロゲン化物材料を含む
、固体電解質材料であって、
前記ハロゲン化物材料が、
(b/(b+b’))t
*0.84<b/(b+b’)<(b/(b+b’))t
*1.16(式中、(b/(b+b’))tが、20℃~25℃の温度での結晶学的相図
上の結晶学的相転移に対応する)、
(c/(c+c’))t
*0.84<c/(c+c’)<(c/(c+c’))t
*1.16(式中、(c/(c+c’))tが、20℃~25℃の温度での結晶学的相図
上の結晶学的相転移に対応する)、又は
(a/(a+a’))t
*0.84<a/(a+a’)<(a/(a+a’))t
*1.16(式中、(a/(a+a’))tが、20℃~25℃の温度での結晶学的相図
上の結晶学的相転移に対応する)、の化学量論範囲内の結晶学的相転移を有し、
式中、
Meが、IIIB族元素、IVB族元素、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、C
u、Zn、Zr、Al、In、Sn、Pb、Bi、Sb、Mg、Ca、Ga、及びGeか
らなる群からの最小1つの元素であり、
Me’が、Me以外の、IIIB族元素、IVB族元素、V、Cr、Mn、Fe、
Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Al、In、Sn、Pb、Bi、Sb、Mg、Ca、G
a、及びGeからなる群からの少なくとも1つの元素であり、
b>=b’であり、c>=c’であり、a>=a’であり、Xが、X’以外の少な
くとも1つのハロゲンであり、
X’が、ハロゲンであり、
Mが、Li以外の少なくとも1つのアルカリ金属元素であり、
前記ハロゲン化物材料のアニオンが、単相内にある、固体電解質材料。
【請求項14】
前記結晶学的相転移が、
層状結晶構造から非層状結晶構造への転移、
立方最密充填構造から六方最密充填構造への転移、
C2/m空間群若しくはR-3m空間群からP-3m1若しくはPnma空間群への
転移、非層状結晶構造から別の非層状結晶構造若しくは層状結晶構造への転移、
R3cからR3mへの転移、又は
P-3m1若しくはPnma空間群からC2/m空間群若しくはR-3m空間群への
転移を含む、請求項13に記載の固体電解質材料。
【請求項15】
前記ハロゲン化物材料が、Lia-fMa’REbMe’k
b’(ClcBrC’)
6-f+(k-3)*b’によって表され、式中、
a+a’=3であり、
-1≦f≦1であり、
c+c’=1であり、
b+b’=1である、請求項13又は14に記載の固体電解質材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下は、固体電解質材料及びそれを形成する方法、具体的には、少なくとも2つのハ
ロゲン化物アニオンを含むハロゲン化物材料を含む固体電解質材料及びそれを形成する方
法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
固体状態のリチウム電池は、リチウム金属アノードを可能にすることによって、従来
のリチウムイオン電池と比較して、より高いエネルギー密度及びより速い再充電時間を提
供し、安全性の懸念をより少なくすることが期待される。現在の固体電解質材料としては
、酸化物、ハロゲン化物、硫化物、フッ化物、及び固体ポリマー電解質が挙げられる。
【0003】
酸化物系材料は、安全であり、良好な化学的及び電気化学的安定性を有するとみなさ
れてきた。これらの化合物の合成は、一般に、1000~1200℃超の高温を使用する
。酸化物系材料は、典型的には、高密度、剛性、かつ脆性であり、最大1.0mS/cm
の室温でのイオン伝導率(ICRT)を有する。
【0004】
塩化物及び臭化物などのハロゲン化物化合物は、一般に、安全であり、良好な化学的
及び電気化学的安定性、室温での変形性、並びに可塑性を有し、活性電極材料との比較的
高い適合性を可能にする。ハロゲン化物は、一般に、吸湿性であり、水和物を形成するか
、又は水分に曝露されると加水分解を受ける。Li3YCl6(LYC)及びLi3YB
r6(LYB)などのハロゲン化物固体電解質は、高エネルギーボールミル粉砕に基づく
固相合成方法を使用して合成される。更に、高価な二元ハロゲン化物反応物及び/又は高
温アニーリングが使用されるので、合成は、大量生産用途に対する課題を有する。
【0005】
フッ化物は、物理的、化学的、及び電気化学的特性において酸化物と非常に類似して
いるが、一般に、1mS/cm未満のICRT値を有する。
【0006】
硫化物は、比較的高いイオン伝導率を有する。例えば、ICRTは、25mS/cm
もの高さであり得るが、商業的に関連する硫化物又はチオリン酸塩固体電解質は、2~1
0mS/cmを達成し得る。硫化物材料は、機械的により柔らかく変形可能である。しか
しながら、硫化物材料は、低い電気化学的安定性を有する傾向があり、偶発的に水及び熱
と一緒に反応すると有毒なH2Sガスを放出する危険性に起因して、安全性の懸念を引き
起こす。更に、高い表面積の硫化物固体電解質粉末は、周囲湿度でさえもそれらの反応性
が増加することに起因して、特に高いH2Sの危険性を生じる。
【0007】
リチウム塩を含有する固体ポリマー電解質は、一般に、比較的低いICRT値及び電
気化学的安定性を有する。
【0008】
業界では、改善された固体電解質材料が継続的に必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示は、添付の図面を参照することによって、より良く理解され、その多数の特徴
及び利点が当業者に明らかにされ得る。
【
図1A】
図1Aは、ハロゲン化物材料のXRDパターンの読み取り値を含む図を含む。
【
図1B】
図1Bは、ハロゲン化物材料のXRDパターンの読み取り値を含む図を含む。
【
図2】
図2は、追加のハロゲン化物材料のXRDパターンの読み取り値を含む図を含む。
【
図3】
図3は、一実施形態よる、固体電解質材料を形成するプロセスを示すフローチャートを含む。
【
図4】
図4は、例示的な電気化学デバイスの断面の一部分の図を含む。
【
図5】
図5は、電池試料のサイクリックボルタンメトリーV-A図を含む。
【
図6】
図6は、電池試料のサイクリックボルタンメトリーV-A図を含む。
【
図7A】
図7Aは、本明細書の実施形態による例示的な電気化学デバイスの図を含む。
【
図7B】
図7Bは、本明細書の実施形態による例示的な電気化学デバイスの図を含む。
【
図8】
図8は、一実施形態によるハロゲン化物材料のCl濃度対イオン伝導率のプロットを含む。
【
図9A】
図9Aは、追加のハロゲン化物材料のXRDパターンの読み取り値を含む図を含む。
【
図9B】
図9Bは、追加のハロゲン化物材料のXRDパターンの読み取り値を含む図を含む。
【
図10】
図10は、一実施形態による形成プロセスの図を含む。
【0010】
当業者は、図中の要素が簡略化及び明瞭化を目的として示されており、必ずしも縮尺
どおりに描かれていないことを理解されたい。例えば、図中の一部の要素の寸法は、本発
明の実施形態の理解を改善するのに役立つように、他の要素と比較して誇張されている場
合がある。異なる図面における同じ参照符号の使用は、同様の又は同一の項目を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図と組み合わせた以下の記載は、本明細書に開示の教示の理解を補助するために提供
される。以下の考察は、教示の特定の実施態様及び実施形態に焦点を当てている。この焦
点は、教示を説明するのを助けるために提供されており、教示の範囲又は適用性に関する
限定として解釈されるべきではない。
【0012】
本明細書で使用される場合、「備える(comprises)」、「備えること(comprising
)」、「含む(includes)」、「含むこと(including)」、「有する(has)」、「有す
ること(having)」という用語、又はそれらの任意の他の変形は、非排他的な包含を網羅
することが意図される。例えば、特徴の列挙を含むプロセス、方法、物品、又は装置は、
必ずしもそれらの特徴のみに限定されず、明示的に列挙されていないか、又はそのような
プロセス、方法、物品、若しくは装置に固有の他の特徴を含み得る。更に、矛盾する記載
がない限り、「又は(or)」は、包含的なorを指し、排他的なorを指すものではない
。例えば、条件A又はBは、以下のいずれか1つによって満たされる:Aが真であり(又
は存在し)、Bが偽である(又は存在しない)、Aが偽であり(又は存在せず)、Bが真
である(又は存在する)、及び、AとBとの両方が真である(又は存在する)。
【0013】
「1つの(a)」又は「1つの(an)」の使用は、本明細書に記載の要素及び構成要
素について記載するために用いられる。これは、単に便宜上、及び本発明の範囲の一般的
な意味を与えるために行われる。この記載は、1つ又は少なくとも1つを含み、そうでな
いことを意味することが明らかではない限り、単数形が、複数形も含むものとして、又は
その逆として閲読されるべきである。
【0014】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発
明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。材料
、方法、及び実施例は、例示に過ぎず、限定することを意図しない。
【0015】
本明細書の実施形態は、ハロゲン化物材料を含む固体電解質材料に関する。一実施形
態では、ハロゲン化物材料は、少なくとも2つのハロゲン化物アニオン、少なくとも1つ
のアルカリ金属元素、及び少なくとも1つの他の金属元素を含み得る。一実施形態では、
固体電解質材料は、四級ハロゲン化物材料を含み得る。別の実施形態では、固体電解質材
料は、従来の金属ハロゲン化物材料と比較して、1つ以上の改善された特性を有するハロ
ゲン化物材料を含み得る。例えば、ハロゲン化物材料は、改善された純度、結晶構造特徴
、又は両方を有し得る。別の例では、ハロゲン化物材料は、改善されたイオン伝導率、電
子伝導率、機械的特性、電気化学的熱力学的安定性、又はそれらの任意の組み合わせを有
し得る。実施形態では、固体電解質材料は、電解質、コーティング、陰極液及び/若しく
は陽極液、又は電気化学デバイスの別の構成要素を形成するために使用され得る。例示的
な用途において、固体電解質材料は、改善された界面接触及び湿潤性などのその改善され
た特性に起因して、陰極液又は陽極液を形成するのに特に好適であり得る。特定の実施形
態では、固体電解質材料は、固体状態のリチウム電池の好適な構成成分であり得る。
【0016】
更なる実施形態は、ハロゲン化物材料を含む固体電解質材料を形成する方法に関する
。本方法は、固体電解質材料の改善された形成を可能にし、改善された特性を有する固体
電解質材料の形成を促進することができる。本方法は、イオン伝導性材料をコスト効率の
良い様式で大量生産するのに好適であり得る。
【0017】
一実施形態では、固体電解質材料は、Li3-x-fMfRE1-yMek
y(Cl
1-u-p-qBruFpIq)6-x+y*(k-3)によって表されるハロゲン化物
材料を含み得、ハロゲン化物材料が、少なくとも2つのハロゲン化物アニオンを含み、-
1<=x<=1、0<=y<=1、0<=u<1、0<=p<=1/3、0<=q<=1
/6、0<(u+p+q)<1、及び0<=f<=0.3である。
【0018】
ハロゲン化物アニオンは、F、Cl、Br、及びIからなる群から選択される元素で
あり得る。Mとしては、Li以外の少なくとも1つのアルカリ金属を挙げることができる
。特定の例では、Mは、Na、K、Cs、Rb、及びFrからなる群から選択される1つ
以上のアルカリ金属元素であり得る。別の例では、Mとしては、Na、K、Cs、又はそ
れらの組み合わせを挙げることができる。より具体的な例では、Mとしては、Na及びK
のうちの少なくとも1つを挙げることができる。更により具体的な例では、Mは、Na若
しくはK、又はそれらの組み合わせからなり得る。
【0019】
REとしては、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb
、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLuを含む群から選択される少なくとも1つの希
土類元素を挙げることができる。例えば、REとしては、Sc、Y、La、Gd、又はそ
れらの任意の組み合わせを挙げることができる。別の例では、REとしては、Y、Ce、
Gd、Er、La、Yb、又はそれらの組み合わせを挙げることができる。特定の例では
、REは、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、
Ho、Er、Tm、Yb、及びLuからなる群から選択される1つ以上の元素からなり得
る。より具体的な例では、REは、Ce、Gd、Er、La、Yb、又はそれらの組み合
わせからなり得る。別のより具体的な例では、REは、Y、Gd、又はそれらの組み合わ
せからなり得る。更により具体的な例では、REは、Y又はGdからなり得る。
【0020】
Meとしては、REとは異なる少なくとも1つの金属元素を挙げることができる。例
えば、Meは、IIIB族元素、IVB族元素、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、C
u、Zn、Zr、Al、Sn、Pb、Bi、Sb、Mg、Ca、Ga、又はGeからなる
群から選択される1つ以上の元素であり得る。別の例では、Meとしては、Y、Ce、G
d、Er、Sm、Eu、Pr、Tb、Al、Zr、La、Yb、Mg、Zn、Sn、Mg
、及びCa、又はそれらの任意の組み合わせを挙げることができる。特定の例では、Me
は、Gd、Yb、Zr、Zn、Mg、Al、及びCaからなる群から選択される少なくと
も1つの元素であり得る。より具体的な例では、Meは、Gd、Zr、Hf、Zn、又は
それらの任意の組み合わせであり得る。本明細書で使用される場合、元素の族は、Han
dbook of the Elements、第8版、1998年に従う。
【0021】
Meは、原子価kを有し得る。Meが2つ以上の金属元素を含む場合、kは、各Me
金属元素の原子価の合計の平均であり得る。例えば、Meが三価元素及び四価元素を等モ
ル量で含む場合、k=(3+4)/2=3.5である。別の例では、Meが二価元素及び
四価元素を等モル量で含む場合、k=(2+4)/2=3である。特定の態様では、kは
、2又は3又は4又は5であり得る。
【0022】
一実施形態では、ハロゲン化物材料は、改善された純度を有し得る。例えば、ハロゲ
ン化物材料は、対応する従来のハロゲン化物材料と比較して、減少した含有量の1つ以上
の不純物相を有し得る。本明細書で使用される場合、従来の対応するハロゲン化物材料は
、本明細書の実施形態のハロゲン化物材料と同じ式を有するが、本明細書の実施形態に記
載のプロセスとは異なるプロセスによって形成されるハロゲン化物材料を指すことが意図
される。一態様では、不純物相は、未反応の出発材料、副生成物、ハロゲン化物材料若し
くは中間体生成物の分解から生じる生成物など、又はそれらの任意の組み合わせの1つ以
上の相を含み得る。更なる態様では、不純物相は、二元ハロゲン化物、三元ハロゲン化物
、オキシハロゲン化物、酸窒化物、又はそれらの任意の組み合わせの1つ以上の相を含み
得る。
【0023】
一実施形態では、ハロゲン化物材料は、従来の対応するハロゲン化物材料と比較して
、低減した総含有量の二元ハロゲン化物相を含み得る。二元ハロゲン化物は、Li、M、
Me及びREからなる群から選択される金属元素のカチオンを含み得る。一態様では、ハ
ロゲン化物材料は、ハロゲン化物材料の総重量に対して9重量%以下の総含有量の二元ハ
ロゲン化物相、8重量%以下、7重量%以下、6重量%以下、5重量%以下、4重量%以
下、3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下、又は0.5重量%以下の総含有量の二
元ハロゲン化物相などの、ハロゲン化物材料の総重量に対して10重量%以下の総含有量
の二元ハロゲン化物相を含み得る。別の態様では、ハロゲン化物材料は、ハロゲン化物材
料の総重量に対して少なくとも0.0005重量%、少なくとも0.001重量%、少な
くとも0.005重量%、少なくとも0.01重量%、又は少なくとも0.05重量%の
総含有量の二元ハロゲン化物相などの、ハロゲン化物材料の総重量に対して少なくとも0
.0001重量%の総含有量の二元ハロゲン化物相を含み得る。更なる態様では、ハロゲ
ン化物材料は、本明細書に示される最小及び最大パーセンテージのうちのいずれかを含む
範囲の総含有量の二元ハロゲン化物相を含み得る。特定の態様では、ハロゲン化物材料は
、二元ハロゲン化物相を本質的に含まなくてもよい。
【0024】
ハロゲン化物材料中に存在し得る1つ以上の不純物相の含有量は、ハロゲン化物材料
の粉末X線回折分析又は革新的なレーザーラマンマッピングなどの周知の技術を使用する
ことによって決定され得る。X線回折分析は、不純物相の含有量がハロゲン化物材料の総
重量に対して少なくとも1重量%である場合に特に適し得る。
【0025】
一実施形態では、二元相は、1つ以上のアルカリ金属ハロゲン化物相を含み得る。一
態様では、ハロゲン化物材料は、ハロゲン化物材料の総重量に対して7重量%以下の総含
有量のアルカリ金属ハロゲン相、ハロゲン化物材料の総重量に対して6重量%以下、5重
量%以下、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下、又は0.5重量
%以下の総含有量のアルカリ金属ハロゲン化物相を含み得る。場合によっては、ハロゲン
化物材料は、ハロゲン化物材料の総重量に対して少なくとも0.0005重量%、少なく
とも0.001重量%、少なくとも0.005重量%、少なくとも0.01重量%、又は
少なくとも0.05重量%の総含有量のアルカリ金属ハロゲン化物相などの、ハロゲン化
物材料の総重量に対して少なくとも0.0001重量%の総含有量のアルカリ金属ハロゲ
ン化物相を含み得る。更なる例では、ハロゲン化物材料は、本明細書に示される最小及び
最大パーセンテージのうちのいずれかを含む範囲の総含有量のアルカリ金属ハロゲン化物
相を含み得る。特定の例では、ハロゲン化物材料は、アルカリ金属ハロゲン化物相を本質
的に含まなくてもよい。
【0026】
特定の実施形態では、ハロゲン化物材料は、ハロゲン化物材料の総重量に対して7重
量%以下の総含有量のハロゲン化リチウム相を含み得る。ハロゲン化リチウム相は、Li
Cl相、LiBr相、LiI相、及びLiF相のうちの1つ以上の相を含み得る。一態様
では、ハロゲン化物材料は、ハロゲン化物材料の総重量に対して6重量%以下の総含有量
のハロゲン化リチウム相、ハロゲン化物材料の総重量に対して5重量%以下、4重量%以
下、3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下、又は0.5重量%以下の総含有量のハ
ロゲン化リチウム相を含み得る。場合によっては、ハロゲン化物材料は、ハロゲン化物材
料の総重量に対して少なくとも0.0005重量%、少なくとも0.001重量%、少な
くとも0.005重量%、少なくとも0.01重量%、又は少なくとも0.05重量%の
総含有量のハロゲン化リチウム相などの、ハロゲン化物材料の総重量に対して少なくとも
0.0001重量%の総含有量のハロゲン化リチウム相を含み得る。更なる態様では、ハ
ロゲン化物材料は、本明細書に示される最小及び最大パーセンテージのうちのいずれかを
含む範囲の総含有量のハロゲン化リチウム相を含み得る。特定の態様では、ハロゲン化物
材料は、ハロゲン化リチウム相を本質的に含まなくてもよい。
【0027】
一実施形態では、二元相は、Xが、ハロゲン化物アニオンを表す、YX3相などの1
つ以上の希土類ハロゲン化物相を含み得る。一態様では、ハロゲン化物材料は、ハロゲン
化物材料の総重量に対して9重量%以下、8重量%以下、7重量%以下、6重量%以下、
5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下、又は0.5
重量%以下の総含有量の希土類ハロゲン化物相などの、10重量%以下の総含有量の希土
類ハロゲン化物相を含み得る。別の態様では、ハロゲン化物材料は、ハロゲン化物材料の
総重量に対して少なくとも0.0005重量%、少なくとも0.001重量%、少なくと
も0.005重量%、少なくとも0.01重量%、又は少なくとも0.05重量%の総含
有量の希土類ハロゲン化物相などの、ハロゲン化物材料の総重量に対して少なくとも0.
0001重量%の総含有量の希土類ハロゲン化物相を含み得る。更なる態様では、ハロゲ
ン化物材料は、本明細書に示される最小及び最大パーセンテージのうちのいずれかを含む
範囲の総含有量の希土類ハロゲン化物相を含み得る。特定の態様では、ハロゲン化物材料
は、希土類ハロゲン化物相を本質的に含まなくてもよい。
【0028】
特定の実施形態では、二元ハロゲン化物相は、YCl3、YBr3、YI3、又はY
F3のうちの1つ以上の相などの、1つ以上のYX3相を含み得る。一態様では、ハロゲ
ン化物材料は、ハロゲン化物材料の総重量に対して9重量%以下、8重量%以下、7重量
%以下、6重量%以下、5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1
重量%以下、又は0.5重量%以下の総含有量のYX3相などの、10重量%以下の総含
有量のYX3相を含み得る。別の態様では、ハロゲン化物材料は、ハロゲン化物材料の総
重量に対して少なくとも0.0005重量%、少なくとも0.001重量%、少なくとも
0.005重量%、少なくとも0.01重量%、又は少なくとも0.05重量%の総含有
量のYX3相などの、ハロゲン化物材料の総重量に対して少なくとも0.0001重量%
の総含有量のYX3相を含み得る。更なる態様では、ハロゲン化物材料は、本明細書に示
される最小及び最大パーセンテージのうちのいずれかを含む範囲の総含有量のYX3相を
含み得る。特定の態様では、ハロゲン化物材料は、YX3相を本質的に含まなくてもよい
。
【0029】
一実施形態では、ハロゲン化物材料は、従来の対応するハロゲン化物材料と比較して
、低減された含有量の1つ以上のオキシハロゲン化物相を含み得る。オキシハロゲン化物
は、M、Me、及びREからなる群から選択される金属元素のカチオンを含み得る。一態
様では、ハロゲン化物材料は、ハロゲン化物材料の総重量の6重量%以下のオキシハロゲ
ン化物相、ハロゲン化物材料の総重量に対して5重量%以下、4重量%以下、3重量%以
下、2重量%以下、1重量%以下、又は0.5重量%以下の総含有量のオキシハロゲン化
物相などの、ハロゲン化物材料の総重量に対して7重量%以下の総含有量のオキシハロゲ
ン化物相を含み得る。別の態様では、ハロゲン化物材料は、ハロゲン化物材料の総重量に
対して少なくとも0.0005重量%、少なくとも0.001重量%、少なくとも0.0
05重量%、少なくとも0.01重量%、又は少なくとも0.05重量%の総含有量のオ
キシハロゲン化物相などの、ハロゲン化物材料の総重量に対して少なくとも0.0001
重量%の総含有量のオキシハロゲン化物相を含み得る。更なる態様では、ハロゲン化物材
料は、本明細書に示される最小及び最大パーセンテージのうちのいずれかを含む範囲の総
含有量のオキシハロゲン化物相を含み得る。特定の態様では、ハロゲン化物材料は、オキ
シハロゲン化物相を本質的に含まなくてもよい。
【0030】
水に可溶性ではない場合がある不純物相の総含有量は、以下に記載の水中方法を使用
することによって決定され得る。50gのハロゲン化物材料が、蒸留H2O中に溶解され
得る。溶液は、0.2ミクロンMilliporeフィルタに通して濾過され得る。不溶
性物質が収集され、秤量され得る。収集された不溶性物質は、ハロゲン化物材料中に存在
する水不溶性不純物の水和形態を含み得る。例えば、ハロゲン化物材料中に存在する水不
溶性不純物の少なくとも大部分は、希土類元素のオキシハロゲン化物、希土類酸化物、M
e、MeOのオキシハロゲン化物、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。収集され
た不溶性物質の重量を使用して、ハロゲン化物材料中の水不溶性不純物の総含有量が決定
され得る。一例として金属オキシハロゲン化物であるMeOXの不溶性不純物相を使用す
ると、沈殿した水和不純物形態は、MeX(OH)2によって表すことができ、MeOX
の含有量は、式CMeOX=CMeOHX×(MWMeOX/MWMeOHX)を使用し
て決定され得、式中、CMeOXが、ハロゲン化物材料の重量に対するMeOXの重量含
有量を表し、CMOHXが、ハロゲン化物材料の重量に対する沈殿したMeX(OH)2
の重量含有量を表し、MWMeOXが、MeOXのモル質量を表し、MWMeOHXが、
MeX(OH)2のモル質量を表す。ハロゲン化物材料の合成が、溶融及び固化を含み得
る場合、微量の有機残留物が、ハロゲン化物材料の合成ブロックの表面上に存在し得る。
有機残留物は、ブロックの表面に濃縮された炭素であり、外科用メスによって除去するこ
とができる。微量の炭素は、ハロゲン化物材料を合成するために使用される1つ以上の原
料中に存在し得、有機不純物の熱分解に由来し得る。
【0031】
一実施形態では、ハロゲン化物材料は、低減された含有量の水不溶性不純物相を含み
得る。一態様では、ハロゲン化物材料は、ハロゲン化物材料の総重量に対して0.1重量
%以下、0.09重量%以下、0.08重量%以下、0.07重量%以下、0.05重量
%以下、0.04重量%以下、0.03重量%以下、0.01重量%以下、0.008重
量%以下、0.006重量%以下、0.004重量%以下、又は0.003重量%以下な
どの、ハロゲン化物材料の総重量に対して0.11重量%未満の総含有量の水不溶性不純
物相を含み得る。別の態様では、ハロゲン化物材料は、ハロゲン化物材料の総重量に対し
て少なくとも0.0003重量%、少なくとも0.0005重量%、少なくとも0.00
1重量%、少なくとも0.005重量%、少なくとも0.01重量%、少なくとも0.0
13重量%、少なくとも0.015重量%、少なくとも0.02重量%、少なくとも0.
03重量%、又は少なくとも0.05重量%水の総含有量の不溶性不純物相などの、ハロ
ゲン化物材料の総重量に対して少なくとも0.0001重量%の総含有量の水不溶性不純
物相を含み得る。更なる態様では、ハロゲン化物材料は、本明細書に示される最小及び最
大パーセンテージのうちのいずれかを含む範囲の総含有量の水不溶性不純物相を含み得る
。特定の態様では、ハロゲン化物材料は、水不溶性不純物相を本質的に含まなくてもよい
。場合によっては、水不溶性不純物相の大部分は、希土類オキシハロゲン化物、Meのオ
キシハロゲン化物、希土類酸化物、Meの酸化物、又はそれらの任意の組み合わせのうち
の1つ以上の相を含み得る。別の例では、水不溶性不純物相は、希土類オキシハロゲン化
物、Meのオキシハロゲン化物、希土類酸化物、Meの酸化物、又はそれらの任意の組み
合わせのうちの1つ以上の相から本質的になり得る。
【0032】
一実施形態では、オキシハロゲン化物相としては、1つ以上の希土類オキシハロゲン
化物相を挙げることができる。一態様では、ハロゲン化物材料は、7重量%以下、6重量
%以下、5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下、又
は0.5重量%以下の総含有量の希土類オキシハロゲン化物相を含み得る。特定の態様で
は、希土類オキシハロゲン化物相の総含有量は、ハロゲン化物材料の総重量に対して0.
2重量%低い、0.12重量%未満、0.11重量%未満、0.10重量%未満、0.0
9重量%以下、0.07重量%以下、0.05重量%以下、又は0.03重量%以下など
の、又は0.3重量%以下の希土類オキシハロゲン化物相であり得る。別の態様では、ハ
ロゲン化物材料は、ハロゲン化物材料の総重量に対して少なくとも0.0005重量%、
少なくとも0.001重量%、少なくとも0.005重量%、少なくとも0.01重量%
、少なくとも0.02重量%、又は少なくとも0.05重量%の総含有量の希土類オキシ
ハロゲン化物相などの、ハロゲン化物材料の総重量に対して少なくとも0.0001重量
%の総含有量の希土類オキシハロゲン化物相を含み得る。更なる態様では、ハロゲン化物
材料は、本明細書に示される最小及び最大パーセンテージのうちのいずれかを含む範囲の
総含有量の希土類オキシハロゲン化物相を含み得る。特定の態様では、ハロゲン化物材料
は、Xが、ハロゲンであり、REが、希土類元素である、REOXによって表すことがで
きる希土類オキシハロゲン化物相を本質的に含まなくてもよい。
【0033】
一実施形態では、ハロゲン化物材料は、従来の対応するハロゲン化物材料と比較して
、低減された総含有量の1つ以上の三元ハロゲン化物相を含み得る。例示的な三元ハロゲ
ン化物は、アルカリ金属-希土類金属ハロゲン化物などの2つの金属カチオンと1つのハ
ロゲン化物アニオン、又は1つの金属元素と2つのハロゲン化物アニオン、又は両方を含
み得る。例示的な金属カチオンとしては、Li、M、RE、及び/又はMe金属元素のカ
チオンを挙げることができる。一態様では、ハロゲン化物材料は、ハロゲン化物材料の総
重量に対して6重量%以下、5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下
、1重量%以下、又は0.5重量%以下の総含有量の三元ハロゲン化物相などの、ハロゲ
ン化物材料の総重量に対して7重量%以下の総含有量の三元ハロゲン化物相を含み得る。
別の態様では、ハロゲン化物材料は、ハロゲン化物材料の総重量に対して少なくとも0.
0005重量%、少なくとも0.001重量%、少なくとも0.005重量%、少なくと
も0.01重量%、又は少なくとも0.05重量%の総含有量の三元ハロゲン化物相など
の、ハロゲン化物材料の総重量に対して少なくとも0.0001重量%の総含有量の三元
ハロゲン化物相を含み得る。更なる態様では、ハロゲン化物材料は、本明細書に示される
最小及び最大パーセンテージのうちのいずれかを含む範囲の総含有量の三元ハロゲン化物
相を含み得る。特定の態様では、ハロゲン化物材料は、三元ハロゲン化物相を本質的に含
まなくてもよい。
【0034】
一実施形態では、三元相は、リチウムイットリウムハロゲン化物相などの1つ以上の
リチウム-希土類ハロゲン化物相を含み得る。一態様では、ハロゲン化物材料は、ハロゲ
ン化物材料の総重量に対して7重量%以下の総含有量のリチウム-希土類ハロゲン化物相
、5重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下、又は0.5重量%以下の
総含有量のリチウム-希土類ハロゲン化物相を含み得る。別の態様では、ハロゲン化物材
料は、ハロゲン化物材料の総重量に対して少なくとも0.0005重量%、少なくとも0
.001重量%、少なくとも0.005重量%、少なくとも0.01重量%、又は少なく
とも0.05重量%の総含有量のリチウム-希土類ハロゲン化物相などの、ハロゲン化物
材料の総重量に対して少なくとも0.0001重量%の総含有量のリチウム-希土類ハロ
ゲン化物相を含み得る。更なる態様では、ハロゲン化物材料は、本明細書に示される最小
及び最大パーセンテージのうちのいずれかを含む範囲の総含有量のリチウム-希土類ハロ
ゲン化物相を含み得る。特定の態様では、ハロゲン化物材料は、リチウム-希土類ハロゲ
ン化物相を本質的に含まなくてもよい。
【0035】
特定の実施形態では、三元ハロゲン化物相は、ハロゲン化物材料の総重量に対して6
重量%以下、5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下
、又は0.5重量%以下の総含有量の2つのアニオンを含む三元ハロゲン化物相などの、
7重量%以下の総含有量の2つのアニオンを含む三元相である、YBrxCly又はLi
BrxClyなどの2つのハロゲン化物アニオンを含む1つ以上の三元ハロゲン化物相を
含み得る。場合によっては、ハロゲン化物材料は、ハロゲン化物材料の総重量に対して少
なくとも0.0005重量%、少なくとも0.001重量%、少なくとも0.005重量
%、少なくとも0.01重量%、又は少なくとも0.05重量%の総含有量の2つのアニ
オンを含む三元ハロゲン化物相などの、ハロゲン化物材料の総重量に対して少なくとも0
.0001重量%の総含有量の2つのアニオンを含む三元ハロゲン化物相を含み得る。更
なる態様では、ハロゲン化物材料は、本明細書に示される最小及び最大パーセンテージの
うちのいずれかを含む範囲の総含有量の2つのアニオンを含む三元ハロゲン化物相を含み
得る。特定の態様では、ハロゲン化物材料は、2つのアニオンを含む三元ハロゲン化物相
を本質的に含まなくてもよい。
【0036】
一実施形態では、ハロゲン化物材料は、従来の対応するハロゲン化物材料と比較して
、低減された含有量の1つ以上の窒化物系相を含み得る。窒化物系相は、酸窒化物相、窒
化炭素相、又は窒化物相のうちの1つ以上の相を含み得る。窒化物相は、Li、M、RE
、及びMeからなる群から選択される金属元素のカチオンを含み得る。一態様では、ハロ
ゲン化物材料は、ハロゲン化物材料の総重量に対して6重量%以下、5重量%以下、4重
量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下、又は0.5重量%以下の総含有
量の窒化物系相などの、ハロゲン化物材料の総重量に対して7重量%以下の総含有量の窒
化物系相を含み得る。別の態様では、ハロゲン化物材料は、ハロゲン化物材料の総重量に
対して少なくとも0.0005重量%、少なくとも0.001重量%、少なくとも0.0
05重量%、少なくとも0.01重量%、又は少なくとも0.05重量%の総含有量の窒
化物系相などの、ハロゲン化物材料の総重量に対して少なくとも0.0001重量%の総
含有量の窒化物系相を含み得る。更なる態様では、ハロゲン化物材料は、本明細書に示さ
れる最小及び最大パーセンテージのうちのいずれかを含む範囲の総含有量の窒化物系相を
含み得る。特定の態様では、ハロゲン化物材料は、窒化物系相を本質的に含まなくてもよ
い。
【0037】
一実施形態では、ハロゲン化物材料は、従来の対応するハロゲン化物材料と比較して
、低減された含有量のREOxNy相などの1つ以上の酸窒化物相を含み得る。酸窒化物
は、Me及びREからなる群から選択される金属元素のカチオンを含み得る。一態様では
、ハロゲン化物材料は、ハロゲン化物材料の総重量に対して6重量%以下、5重量%以下
、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下、又は0.5重量%以下の
総含有量の酸窒化物相などの、ハロゲン化物材料の総重量に対して7重量%以下の総含有
量の酸窒化物相を含み得る。別の態様では、ハロゲン化物材料は、ハロゲン化物材料の総
重量に対して少なくとも0.0005重量%、少なくとも0.001重量%、少なくとも
0.005重量%、少なくとも0.01重量%、又は少なくとも0.05重量%の総含有
量の酸窒化物相などの、ハロゲン化物材料の総重量に対して少なくとも0.0001重量
%の総含有量の酸窒化物相を含み得る。更なる態様では、ハロゲン化物材料は、本明細書
に示される最小及び最大パーセンテージのうちのいずれかを含む範囲の総含有量の酸窒化
物相を含み得る。特定の態様では、ハロゲン化物材料は、酸窒化物相を本質的に含まなく
てもよい。
【0038】
一実施形態では、ハロゲン化物材料は、従来の対応するハロゲン化物材料と比較して
、低減された含有量のRECxNy相などの1つ以上の窒化炭素相を含み得る。窒化炭素
は、Me及びREからなる群から選択される金属元素のカチオンを含み得る。一態様では
、ハロゲン化物材料は、ハロゲン化物材料の総重量に対して6重量%以下、5重量%以下
、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下、又は0.5重量%以下の
総含有量の窒化炭素相などの、ハロゲン化物材料の総重量に対して7重量%以下の総含有
量の窒化炭素相を含み得る。別の態様では、ハロゲン化物材料は、ハロゲン化物材料の総
重量に対して少なくとも0.0005重量%、少なくとも0.001重量%、少なくとも
0.005重量%、少なくとも0.01重量%、又は少なくとも0.05重量%の総含有
量の窒化炭素相などの、ハロゲン化物材料の総重量に対して少なくとも0.0001重量
%の総含有量の窒化炭素相を含み得る。更なる態様では、ハロゲン化物材料は、本明細書
に示される最小及び最大パーセンテージのうちのいずれかを含む範囲の総含有量の窒化炭
素相を含み得る。特定の態様では、ハロゲン化物材料は、窒化炭素相を本質的に含まなく
てもよい。
【0039】
一実施形態では、ハロゲン化物材料は、従来の対応するハロゲン化物材料と比較して
、低減された含有量の希土類窒化物(例えば、REN(rare-earth nitride))相などの
1つ以上の窒化物相を含み得る。窒化物相は、Li、M、Me、及びREからなる群から
選択される金属元素のカチオンを含み得る。一態様では、ハロゲン化物材料は、ハロゲン
化物材料の総重量に対して6重量%以下、5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下、
2重量%以下、1重量%以下、又は0.5重量%以下の総含有量の窒化物相などの、ハロ
ゲン化物材料の総重量に対して7重量%以下の総含有量の窒化物相を含み得る。別の態様
では、ハロゲン化物材料は、ハロゲン化物材料の総重量に対して少なくとも0.0005
重量%、少なくとも0.001重量%、少なくとも0.005重量%、少なくとも0.0
1重量%、又は少なくとも0.05重量%の総含有量の窒化物相などの、ハロゲン化物材
料の総重量に対して少なくとも0.0001重量%の総含有量の窒化物相を含み得る。更
なる態様では、ハロゲン化物材料は、本明細書に示される最小及び最大パーセンテージの
うちのいずれかを含む範囲の総含有量の窒化物相を含み得る。特定の態様では、ハロゲン
化物材料は、少なくとも1つの希土類窒化物相及びMe金属窒化物相を本質的に含まなく
てもよい。別の特定の態様では、窒化物相は、ハロゲン化物材料中に存在する場合、RE
又はMeの金属元素のカチオンを含む相を本質的に含まなくてもよい。より具体的な態様
では、ハロゲン化物材料は、希土類窒化物相及びMe金属窒化物相を本質的に含まなくて
もよい。
【0040】
一実施形態では、ハロゲン化物材料は、ハロゲン化物材料の総重量に対して6重量%
以下、5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下、0.
5重量%以下、0.3重量%以下、又は0.1重量%以下の総含有量の不純物相などの、
ハロゲン化物材料の総重量に対して15重量%以下、14重量%以下、13重量%以下、
12重量%以下、10重量%以下、9重量%以下、8重量%以下、7重量%以下などの1
6重量%以下の総含有量の不純物相を含み得る。別の態様では、ハロゲン化物材料は、ハ
ロゲン化物材料の総重量に対して少なくとも0.0005重量%、少なくとも0.001
重量%、少なくとも0.005重量%、少なくとも0.01重量%、又は少なくとも0.
05重量%の総含有量の不純物相などの、ハロゲン化物材料の総重量に対して少なくとも
0.0001重量%の総含有量の不純物相を含み得る。更なる態様では、ハロゲン化物材
料は、本明細書に示される最小及び最大パーセンテージのうちのいずれかを含む範囲の総
含有量の不純物相を含み得る。
【0041】
特定の実施形態では、ハロゲン化物材料は、二元ハロゲン化物相、三元ハロゲン化物
相、酸窒化物相、及びオキシハロゲン化物相を本質的に含まなくてもよい。より具体的な
実施形態では、ハロゲン化物材料は、単相から本質的になり得る。例えば、ハロゲン化物
材料は、式Li3-x-fMfRE1-yMek
y(Cl1-u-p-qBruFpIq
)6-x+y*(k-3)によって表される相と、不純物相と、からなり得、不純物相の
総含有量が、多くとも0.5mol%又は多くとも0.3mol%であり得る。
【0042】
一実施形態では、ハロゲン化物材料は、ハロゲン化物材料の改善された特性を促進す
ることができる特定の結晶構造特徴を含み得る。結晶構造特徴としては、結晶系、格子系
、空間群、単位胞体積を含む1つ以上の単位胞パラメータ、a、b、cの値、又はそれら
の任意の組み合わせ、単位胞内の原子数、積層順、原子空孔、空孔の占有率、又はそれら
の任意の組み合わせを挙げることができる。
【0043】
一実施形態では、ハロゲン化物材料は、単斜晶系、三方晶系、六方晶系、又は斜方晶
系の結晶構造を含み得る。特定の実施形態では、ハロゲン化物材料は、単斜晶系の空間群
によって表される結晶構造を含み得る。特定の例では、ハロゲン化物材料は、C2/m空
間群によって表される結晶構造を含み得る。
【0044】
別の特定の実施形態では、ハロゲン化物材料は、R3、
【0045】
【0046】
【数2】
空間群を含む菱面体格子系の空間群によって表される結晶構造を含み得る。特定の例
では、ハロゲン化物材料は、
【0047】
【数3】
空間群によって表される結晶構造を有し得る。
【0048】
別の特定の実施形態では、ハロゲン化物材料は、六方晶系の空間群によって表される
結晶構造を含み得る。六方晶系としては、P6、P61、P65、P62、P64、P6
3、
【0049】
【数4】
P6/m、P6
3/m、P622、P6
122、P6
522、P6
222、P6
42
2、P6
322、P6mm、P6cc、P6
3cm、P6
3mc、
【0050】
【数5】
P6/mmm、P6/mcc、P6
3/mcm、及びP6
3/mmcを含む27の空
間群を挙げることができる。例えば、ハロゲン化物材料は、六方晶系の空間群のうちのい
ずれか1つによって表される結晶構造を含み得る。特定の例では、ハロゲン化物材料は、
P6
3/mcmによって表される結晶構造を含み得る。別の特定の例では、ハロゲン化物
材料は、P6
3/mmc空間群によって表される結晶構造を含み得る。
【0051】
特定の実施形態では、ハロゲン化物材料は、原子レベル、ナノメートル領域レベル、
又は両方で一体化された複数の結晶中間相(interphase)を含む、混合結晶中間相を含み
得る。最も近い原子間距離は、通常0.5nm未満であり、ナノメートル領域は、1nm
超などの、最も近い原子間距離よりも大きいサイズを有し得る。一態様では、ハロゲン化
物材料は、第1の空間群によって表される第1の結晶構造を有する第1の結晶相と、第2
の空間群によって表される異なる第2の結晶構造を有する第2の結晶相と、を含み得る。
【0052】
特定の実施形態では、ハロゲン化物材料は、菱面体格子系の空間群によって表される
第1の結晶構造を有する第1の結晶中間相、及びC2/mなどの単斜晶系の空間群によっ
て表される第2の結晶中間相を含み得る。特定の例では、ハロゲン化物材料は、
【0053】
【数6】
によって表される結晶構造を有する第1の結晶中間相、及びC2/mによって表され
る結晶構造を有する第2の結晶中間相を含み得る。別の特定の例では、ハロゲン化物材料
は、異なる結晶構造を有する第3の結晶中間相を含み得る。より具体的な例では、第3の
結晶中間相は、
【0054】
【0055】
例えば、第1の結晶中間相は、六方晶系の空間群によって表される第1の結晶構造を
有し得、第2の結晶中間相は、三方晶系又は斜方晶構造の空間群によって表される第2の
結晶構造を有し得る。特定の例では、第2の結晶中間相は、
【0056】
【数8】
によって表される第2の結晶構造を有し得る。別の特定の例では、第2の相は、Pn
ma空間群によって表される第2の結晶構造を有し得る。より具体的な例では、ハロゲン
化物材料は、P6
3/mcm又はP6
3/mmcによって表される第1の結晶構造を有す
る第1の結晶中間相、及び
【0057】
【数9】
又はPnmaによって表される第2の結晶構造を有する第2の結晶中間相を含み得る
。
【0058】
一実施形態では、ハロゲン化物材料は、Li
3YBr
6の単位胞よりも小さい単位胞
を含む結晶構造を含み得る。特定の態様では、ハロゲン化物材料は、Li
3YBr
6と同
様であるが、より小さい単位胞体積を有する結晶構造を含み得る。別の特定の態様では、
ハロゲン化物材料は、ハロゲン化物材料のピークが、Li
3YBr
6の粉末回折パターン
の対応するピークと比較して、高角度にシフトしている粉末X線回折(powder X-ray dif
fraction、XRD)パターンを含み得る。
図1Aを参照すると、Cu K-アルファ放射
線で測定した、代表的なハロゲン化物材料である、Li
3YBr
3Cl
3、及びLi
3Y
Br
4Cl
2、及びLi
3YBr
6の粉末XRDパターンが示されている。Li
3YBr
3Cl
3及びLi
3YBr
4Cl
2の対応するピークは、Li
3YBr
6と比較して、よ
り高い値の2シータにシフトしている。
【0059】
別の実施形態では、ハロゲン化物材料は、Li
3YCl
6と同様であるが、より大き
い単位胞体積を有する結晶構造を含み得る。特定の例では、ハロゲン化物材料は、ハロゲ
ン化物材料のピークが、Li
3YCl
6の粉末回折パターンの対応するピークと比較して
、より小さい角度にシフトしている粉末X線回折(XRD)パターンを含み得る。
図1B
を参照すると、Cu K-アルファ放射線で測定した、代表的なハロゲン化物材料である
、Li
3YBr
2Cl
4、及びLi
3YBr
1Cl
5、及びLi
3YCl
6の粉末XRD
パターンが示されている。Li
3YBr
1Cl
5の対応するピークは、Li
3YCl
6と
比較して、より小さい値の2シータにシフトしている。Li
3YBr
4Cl
2のXRDパ
ターンは、ハロゲン化物が混合中間相を含むことを示唆し得る。
【0060】
特定の例では、ハロゲン化物材料は、Cu K-アルファ放射線で測定した、13°
~15°の範囲の2シータに少なくとも2つのピークを含むXRDパターンを含み得る。
図2を参照すると、Li
3-xY(Cl
1-uBr
u)
6-xの3つの試料のCu K-
アルファXRDパターンが示されている。uが0.59±0.03である試料202は、
13°~15°の範囲の2シータに1つのピークを示す。uがそれぞれ0.38±0.0
3及び0.31±0.03である試料204及び206は、13°~15°の範囲の2シ
ータに2つのピークを示す。
【0061】
別の実施形態では、ハロゲン化物材料は、ハロゲン化物材料の改善された特性を促進
することができる特定の平均回折結晶子サイズを含み得る。平均回折結晶子サイズは、凝
集X線散乱(cohere X-ray scattering)領域サイズとも称され得、ハロゲン化物系材料
のX線回折分析及びシェラーの式L=(Kλ)/(βcosθ)(式中、Lが、平均回折
結晶子サイズを表し、Kが、1に近い値を有し、0.9~1の典型的な値を有する無次元
形状係数(dimensionless shape factor)であり、λが、X線波長であり、βが、機器に
よる線の拡がり(instrumental line broadening)を差し引いた後のラジアン単位での半
価幅(FWHM)での線の拡がりであり、θが、ブラッグ角である)を使用して決定され
得る。
【0062】
一態様では、ハロゲン化物材料は、少なくとも20nm、少なくとも25nm、少な
くとも30nm、少なくとも35nm、又は少なくとも40nmの平均回折結晶子サイズ
を含み得る。別の態様では、ハロゲン化物材料は、多くとも500nm、多くとも400
nm、多くとも300nm、多くとも200nm、又は多くとも100nmの平均回折結
晶子サイズを含み得る。更なる態様では、ハロゲン化物材料は、本明細書に示される最小
値及び最大値のうちのいずれかを含む範囲の平均回折結晶子サイズを含み得る。
【0063】
一実施形態では、固体電解質材料は、ハロゲン化物材料及び固体電解質材料の改善さ
れた特性を促進することができる特定の量のClを含むハロゲン化物材料を含み得る。一
態様では、(1-u-p-q)は、少なくとも0.12、少なくとも0.15、少なくと
も0.17、少なくとも0.20、少なくとも0.23、少なくとも0.25、少なくと
も0.27、少なくとも0.29、少なくとも0.33、少なくとも0.36、少なくと
も0.43、少なくとも0.48、少なくとも0.50、少なくとも0.54、又は少な
くとも0.58であり得る。別の態様では、(1-u-p-q)は、多くとも0.92、
多くとも0.87、多くとも0.83、多くとも0.80、多くとも0.77、多くとも
0.75、多くとも0.70、又は多くとも0.66などの、多くとも0.99、多くと
も0.97であり得る。更なる態様では、(1-u-p-q)は、本明細書に示される最
小値及び最大値のうちのいずれかを含む範囲にあり得る。
【0064】
特定の実施形態では、固体電解質材料は、Li3-x-fMfRE1-yMek
y(
Cl1-u-p-qBruFpIq)6-x+y*(k-3)によって表されるハロゲン
化物材料を含み得、式中、uが、0超であり得る。より具体的には、ハロゲン化物材料は
、ハロゲン化物材料の改善された特性を促進することができる特定の量でBrを含み得る
。一態様では、uは、少なくとも0.12、少なくとも0.15、少なくとも0.17、
少なくとも0.2、少なくとも0.23、少なくとも0.25、少なくとも0.27、少
なくとも0.29、少なくとも0.32、又は少なくとも0.34などの、少なくとも0
.1であり得る。別の態様では、uは、多くとも0.85、多くとも0.83、多くとも
0.8、多くとも0.77、多くとも0.75、多くとも0.7、多くとも0.67、多
くとも0.65、多くとも0.62、多くとも0.6、多くとも0.57、多くとも0.
54、多くとも0.52、多くとも0.49、多くとも0.45、又は多くとも0.42
であり得る。別の態様では、uは、本明細書に示される最小値及び最大値のうちのいずれ
かを含む範囲にあり得る。
【0065】
別の実施形態では、ハロゲン化物材料は、ハロゲン化物材料の改善された特性を促進
することができる、Clの量対Brの量の特定の比(1-u-p-q)/uを含み得る。
一態様では、(1-u-p-q)/uの比は、少なくとも0.06、少なくとも0.1、
少なくとも0.2、少なくとも0.3、少なくとも0.4、少なくとも0.5、少なくと
も0.6、少なくとも0.7、少なくとも0.8、少なくとも0.9、少なくとも1.0
、少なくとも1.2、少なくとも1.3、少なくとも1.4、少なくとも1.5、少なく
とも1.6、少なくとも1.7、少なくとも1.8、少なくとも1.9、又は少なくとも
2.0などの、少なくとも0.03であり得る。別の態様では、(1-u-p-q)/u
の比は、9以下、8.6以下、8.3以下、8以下、7.7以下、7.4以下、7以下、
6.5以下、6.2以下、6以下、5.5以下、5以下、4以下、3以下、2以下、又は
1.4以下であり得る。更なる態様では、(1-u-p-q)/uの比は、本明細書に示
される最小値及び最大値のうちのいずれかを含む範囲にあり得る。
【0066】
更なる実施形態では、ハロゲン化物材料は、Cl及びBrからなるハロゲン化物アニ
オンを含み得る。特定の例では、ハロゲン化物材料は、Li3-xRE1-yMek
y(
Cl1-uBru)6-x+y*(k-3)によって表すことができ、式中、u>0であ
り、特定の用途では、0.08<=u<=0.67である。別の例では、ハロゲン化物材
料は、Li3-xY(Cl1-uBru)6-xによって表すことができ、特定の用途で
は、uは、少なくとも0.55又は多くとも0.45であり得る。特定の実施形態では、
0.2<=u<=0.45である。
【0067】
本開示の閲読後、当業者は、本明細書の実施形態のハロゲン化物材料の特性が、ハロ
ゲン化物アニオンのうちの1つ以上の量、それらの比、ハロゲン化物材料の結晶構造、又
はそれらの任意の組み合わせを注意深く制御することによって調整又は調節することがで
きることを理解するであろう。一実施形態では、Br及びClの両方が存在する場合、B
r及び/若しくはClの量並びに/又は(1-u-p-q)/uの比を注意深く制御する
ことによって、ハロゲン化物材料は、Li3YBr6と同様の層状結晶構造、Li3YC
l6と比較して改善されたイオン伝導率、並びにLi3YBr6と比較して改善された電
気化学的熱力学的安定性及び同様の機械的変形性を含み得る。別の実施形態では、ハロゲ
ン化物材料は、Br及びClを含み得、本明細書の実施形態に記載の混合結晶中間相を含
む結晶構造を有し得る。ハロゲン化物材料は、Li3YCl6と比較して改善されたイオ
ン伝導率、及びLi3YBr6と比較して改善された電気化学的熱力学的安定性を有し得
る。
【0068】
別の実施形態では、0<u<0.33である場合、ハロゲン化物材料は、Li3YC
l6と同様の六方晶/三方晶結晶構造を含む結晶構造、特にLi3YCl6と比較して低
温(すなわち、200℃未満)での改善されたイオン伝導率及び機械的変形性、並びにL
i3YBr6と比較して改善された電気化学的熱力学的安定性を含み得る。そのようなハ
ロゲン化物材料は、Li3YBr6と比較して低減された密度に起因して、軽量電池の製
造などのある特定の用途に特に好適であり得る。
【0069】
特定の実施形態では、式中、pが、0超であり得る、Li3-x-fMfRE1-y
Mek
y(Cl1-u-p-qBruFpIq)6-x+y*(k-3)によって表され
るハロゲン化物材料。より具体的には、ハロゲン化物材料は、ハロゲン化物材料の改善さ
れた特性を促進することができる特定の量でFを含み得る。一態様では、pは、少なくと
も0.06、少なくとも0.08、少なくとも0.09、少なくとも0.10、少なくと
も0.12、少なくとも0.14、少なくとも0.15、少なくとも0.17、少なくと
も0.2、又は少なくとも0.22などの、少なくとも0.04であり得る。別の態様で
は、pは、多くとも0.31、多くとも0.29、多くとも0.27、多くとも0.25
、多くとも0.22、多くとも0.20、多くとも0.18、多くとも0.16、多くと
も0.14、多くとも0.12、又は多くとも0.10などの、多くとも0.33であり
得る。別の態様では、pは、本明細書に示される最小値及び最大値のうちのいずれかを含
む範囲にあり得る。
【0070】
ハロゲン化物材料の一例としては、Li3Me3+Cl6(1-p)F6pを挙げる
ことができ、式中、0<p<0.58である。特定の例では、Meとしては、Inを挙げ
ることができ、より具体的には、Inからなり得る。塩化物-フッ化物ハロゲン化物相の
固溶体は、空間群C2/mによって表される結晶構造、並びにLi3InF6及びLi3
InCl6と比較して改善されたイオン伝導率を有し得る。
【0071】
別の実施形態では、ハロゲン化物材料は、ハロゲン化物材料の改善された特性を促進
することができる、Clの量対Brの量の特定の比(1-u-p-q)/pを含み得る。
一態様では、(1-u-p-q)/pの比は、少なくとも0.7、少なくとも0.9、少
なくとも1.0、少なくとも1.2、少なくとも1.4、少なくとも1.5、少なくとも
1.6、少なくとも1.7、少なくとも1.8、少なくとも1.9、少なくとも2.0、
少なくとも2.2、少なくとも2.4、少なくとも2.6、少なくとも2.8、少なくと
も3.0、少なくとも3.2、少なくとも3.4、又は少なくとも3.6などの、少なく
とも0.5であり得る。別の態様では、(1-u-p-q)/pの比は、21以下、19
以下、17以下、15以下、13以下、12以下、11以下、9以下、8以下、6以下、
又は5以下などの、24以下であり得る。更なる態様では、(1-u-p-q)/pの比
は、本明細書に示される最小値及び最大値のうちのいずれかを含む範囲にあり得る。
【0072】
一実施形態では、ハロゲン化物材料は、式LiaMa’MebMe’b’XcX’c
’によって表すことができる。Mは、上の実施形態に記載のように、Li以外の少なくと
も1つのアルカリ金属元素であり得る。特定の例では、Mは、Na、K、及びCsのうち
の少なくとも1つの元素であり得る。
【0073】
Meは、本明細書の実施形態に記載のように、IIIB族元素、IVB族元素、V、
Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Al、In、Sn、Pb、Bi、S
b、Mg、Ca、Ga、及びGeからなる群からの少なくとも1つの元素であり得る。特
定の例では、Meは、本明細書の実施形態で考察されるREであり得る。
【0074】
Me’は、Meとは異なり、IIIB族元素、IVB族元素、V、Cr、Mn、Fe
、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Al、In、Sn、Pb、Bi、Sb、Mg、Ca、
Ga、及びGeからなる群からの少なくとも1つの元素であり得る。特定の例では、Me
’は、希土類元素、Zr、及びFeからの少なくとも1つの元素であり得る。
【0075】
Xは、少なくとも1つのハロゲンであり得、X’は、X以外の少なくとも1つのハロ
ゲンであり得る。特定の例では、Xは、Cl、Br、及びFのうちの少なくとも1つの元
素であり得る。別の特定の例では、X’は、Br及びFのうちの少なくとも1つの元素で
あり得る。
【0076】
別の実施形態では、固体電解質材料は、LiaMa’MebMe’b’XcX’c’
によって表されるハロゲン化物材料を含み得、式中、a≧a’、b≧b’、及びc≧c’
である。特に、ハロゲン化物材料は、本明細書の実施形態に記載のように、低レベルの1
つ以上の不純物を含み得る。更に別の実施形態では、固体電解質材料は、LiaMa’M
ebMe’b’XcX’c’によって表されるハロゲン化物材料を含み得、ハロゲン化物
材料のアニオンが、単相内にあり得る。
【0077】
一実施形態では、ハロゲン化物材料は、少なくとも4つの元素を含み得る。更なる実
施形態では、ハロゲン化物材料は、2つ以上の元素の化学量論的割合を調整することによ
って誘導され得る結晶学的相転移を有し得る。特定の実施形態では、結晶構造の同じ部位
における元素の化学量論的割合は、ハロゲン化物材料が、例えば、イオン伝導率、電気化
学的安定性、適合性など、又はそれらの任意の組み合わせを含む改善された特性を有し得
るように調整され得る。本開示の閲読後、当業者は、Li及びMが、同じ結晶学的部位に
存在し得ることを理解するであろう。MeとMe’とは、同じ結晶学的部位に存在し得、
XとX’とは、同じ結晶学的部位に存在し得る。一例では、MeとMe’との化学量論的
割合、又はLiとMとの化学量論的割合、若しくはXとX’との化学量論的割合、又はそ
れらの任意の組み合わせは、ハロゲン化物材料の1つ以上の特性を改善するように調整さ
れ得る。特定の例では、Xは、Clであり得、X’は、Brであり得、XとX’との化学
量論的割合は、ハロゲン化物材料のLi+イオン伝導率などのイオン伝導率、電気化学的
安定性、又は両方を改善するように調整され得る。別の特定の例では、Mは、Naであり
得、LiとMとの化学量論的割合は、イオン伝導率を改善するように調整され得る。更に
別の例では、Meは、Yであり得、Me’は、Inであり得、MeとMe’との化学量論
的割合は、ハロゲン化物材料のイオン伝導率を改善するように調整され得る。
【0078】
ハロゲン化物材料は、組成相図上に結晶学的相転移境界を有し得る。本開示において
、結晶学的相転移境界は、モルフォトロピック相境界(morphotropic phase boundary、
MPB)とも称され得る。一実施形態では、結晶学的相転移は、MeとMe’との化学量
論的割合の変化によって誘導され得る。特に、ハロゲン化物材料は、b/(b+b’)が
、(b/(b+b’))t
*0.84~(b/(b+b’))t
*1.16の化学量論範
囲にある場合に相転移を有し得、式中、(b/(b+b’))tが、室温(すなわち、2
2℃)での組成相図上の結晶学的相転移境界に対応する。特定の態様では、b>b’>0
、c≧0、c’≧0、及び(c+c’)>0である。別の態様では、Me及びMe’のう
ちの少なくとも1つとしては、本開示の実施形態で考察されるREを挙げることができる
。特定の態様では、Meとしては、REを挙げることができ、Me’としては、別の四価
又は三価元素を挙げることができる。より具体的な態様では、Meとしては、Yを挙げる
ことができ、Me’としては、Zrを挙げることができる。更により具体的には、Meは
、Yであり得、Me’は、Zrであり得る。
【0079】
一実施形態では、ハロゲン化物材料は、XとX’との化学量論的割合の変化によって
誘導され得る結晶学的相転移を有し得る。特に、ハロゲン化物材料は、c/(c+c’)
が、(c/(c+c’))t
*0.84~(c/(c+c’))t
*1.16の組成相図
上の化学量論範囲にある場合に相転移を有し得、式中、(c/(c+c’))tが、室温
(すなわち、22℃)での組成相図上の結晶学的相転移境界に対応する。特定の態様では
、c≧c’>0、b≧0、b’≧0、及び(b+b’)>0である。別の特定の態様では
、Xとしては、Clを挙げることができ、X’は、Brを挙げることができる。より具体
的な態様では、Xは、Clであり得、X’は、Brであり得る。別の特定の態様では、M
及びM’のうちの少なくとも1つは、本開示の実施形態で考察されるREであり得る。更
により具体的な態様では、M及びM’のうちの1つは、Yであり得る。
【0080】
別の実施形態では、ハロゲン化物材料は、LiとMとの化学量論的割合の変化によっ
て誘導され得る結晶学的相転移を有し得る。特に、ハロゲン化物材料は、a/(a+a’
)が、(a/(a+a’))t
*0.84~(a/(a+a’))t
*1.16の化学量
論範囲にある場合に相転移を有し得、式中、(a/(a+a’))tが、室温(すなわち
、22℃)での結晶学的相図上の結晶学的相転移境界に対応する。更なる実施形態では、
a>0及びa’>0である。特定の実施形態では、a>a’である。別の特定の実施形態
では、Mとしては、Naを挙げることができる。より具体的な実施形態では、Mは、Na
であり得る。
【0081】
一実施形態では、ハロゲン化物材料は、結晶学的相転移境界を横切る転移を含む結晶
学的相転移を有し得る。別の実施形態では、結晶学的相転移は、結晶構造の1つ以上の特
徴に対する変化を含み得る。結晶構造の特徴の一例としては、単位胞の体積、空間群、結
晶系、XRDパターンの1つ以上の特徴、又はそれらの任意の組み合わせを挙げることが
できる。
【0082】
一実施形態では、ハロゲン化物材料は、単斜晶系、三方晶系、六方晶系、又は斜方晶
系を含み得、結晶学的相転移は、結晶系のうちの1つから別のものへの転移を含み得る。
更なる実施形態では、ハロゲン化物材料は、層状構造から非層状構造への転移を含む結晶
学的相転移を含み得る。例えば、結晶学的相転移としては、単斜晶から三方晶への結晶系
の転移を挙げることができる。更なる実施形態では、結晶学的相転移としては、C2/m
空間群又はR-3m空間群からP-3m1又はPnma空間群への転移を挙げることがで
きる。更に別の実施形態では、結晶学的相転移としては、立方最密充填構造から六方最密
充填構造への転移を挙げることができる。
【0083】
更なる実施形態では、結晶学的相転移としては、非層状構造から別の非層状構造への
転移を挙げることができる。更に別の実施形態では、結晶学的相転移としては、非層状構
造から層状構造への転移を挙げることができる。特定の例では、結晶学的相転移としては
、R3cからR3mへの転移を挙げることができる。別の特定の例では、結晶学的相転移
としては、P-3m1又はPnma空間群からC2/m空間群又はR-3m空間群への転
移を挙げることができる。
【0084】
更なる実施形態では、ハロゲン化物材料が、結晶学的相転移を有する場合、ある特定
の結晶構造特徴は、変化しない場合がある。例えば、ハロゲン化物材料のXRDパターン
としては、単位胞体積の増加又は減少を表す相転移特徴を挙げることができるが、ある特
定の他のXRD特徴は変化しない場合がある。特定の例では、ハロゲン化物材料は、5°
~13°の2シータの間にピークが存在しないことを含む、結晶学的相転移及びXRDパ
ターンを含み得る。
【0085】
一実施形態では、ハロゲン化物材料は、ハロゲン化物材料の元素を変化させることな
く相転移を有し得る。上に考察されるように、元素の化学量論的割合は調整され得る。元
素の割合は、mol%又はat%によって表すことができる。
【0086】
一実施形態では、ハロゲン化物材料は、化学量論的であり得る。別の実施形態では、
ハロゲン化物材料は、非化学量論的であり得る。例えば、ハロゲン化物材料は、組成にお
ける元素の一部を置き換え、範囲内で相の電気的中性を維持する空孔を含み得る。
【0087】
一実施形態では、ハロゲン化物材料は、Lia-fMa’REbMe’k
b’(Cl
cBrc’)6-f+(k-3)*b’によって表すことができ、式中、(a+a’)=
3、-1≦f≦1、(c+c’)=1、及び(b+b’)=1である。特定の実施形態で
は、ハロゲン化物材料は、X及びX’を含み得、式中、c>c’、及び0.63≦c/(
c+c’)≦0.98である。
【0088】
別の実施形態では、ハロゲン化物材料は、Li3-fREbMe’k
b’(ClcB
rc’)6-f+(k-3)*b’によって表すことができ、式中、0≦f≦0.3、(
c+c’)=1、(b+b’)=1、b>0、及びb’≧0である。特定の態様では、b
’は、0であり得る。ハロゲン化物材料の特定の例としては、Li3Y1(ClcBrc
’)6を挙げることができ、式中、0.63≦c/(c+c’)≦0.87である。別の
態様では、b>b’>0である。ハロゲン化物材料の特定の例としては、Li3-fYb
Me’k
b’(ClcBrc’)6-f+(k-3)*b’を挙げることができ、式中、
k=3又は4、及び0.65≦c/(c+c’)≦0.98である。ハロゲン化物材料の
より具体的な例としては、Li3-b’YbZrb’(ClcBrc’)6を挙げること
ができ、式中、0.72≦c/(c+c’)≦0.98である。ハロゲン化物材料の別の
より具体的な例としては、Li3-fYbYbb’(ClcBrc’)6-fを挙げるこ
とができ、式中、0.65≦c/(c+c’)≦0.89である。ハロゲン化物材料の別
のより具体的な例としては、Li3-fYbInb’(ClcBrc’)6-fを挙げる
ことができ、式中、0.69≦c/(c+c’)≦0.95である。
【0089】
ハロゲン化物材料のより具体的な例としては、Li3Y1(Cl0.8Br0.2)
6、Li3Y1(Cl0.67Br0.33)6、Li3Y1(Cl0.79Br0.2
1)6、Li3Y1(Cl0.62Br0.38)6、Li2.95(Y0.95Zr0
.05)(Cl0.9Br0.1)6、Li3(Y0.95Yb0.05)1(Cl0.
83Br0.17)6、Li3(Y0.95In0.05)1(Cl0.9Br0.1)
6を挙げることができる。
【0090】
図8は、室温でのLi
3YCl
cBr
cのイオン伝導率に対するmol%単位でのC
lの濃度のプロットを含む。示されるように、Clは、結晶学的相転移境界(
図8におい
て垂直の点線によって示され、MPBと称される)において75mol%である。ハロゲ
ン化物材料は、Clのmol%が、75mol%まで増加する前まで、LYBの層状結晶
構造と同様の結晶構造を有し得る。ハロゲン化物材料は、Clのmol%が、少なくとも
75mol%である場合、LYCの非層状結晶構造と同様の結晶構造を有し得る。
【0091】
図8に示されるように、Clの濃度が、およそ63mol%まで増加すると、ハロゲ
ン化物材料のイオン伝導率は、およそ2ms/cmまで増加し得る。更に示されるように
、Clの濃度が、およそ65mol%(
図8において「LYBC-65」と称される)及
び80mol%(
図8において「LYBC-80」と称される)に調整されると、ハロゲ
ン化物材料のイオン伝導率は、2ms/cm超であり得る。特に、Clの濃度が、63m
ol%~87mol%の範囲に調整されると、ハロゲン化物材料のイオン伝導率は、少な
くとも2.08mS/cm又は少なくとも2.20mS/cmであり得、これは、LYB
のイオン伝導率よりも予想外に高い。
【0092】
LYBは、非層状結晶構造を有するLYCよりも高いLYBのイオン伝導率を促進す
る層状結晶構造を有する。Clの濃度が、63mol%~75mol%未満の範囲にある
場合、LYBの層状構造と比較して、ハロゲン化物材料の結晶構造は歪んでおり、典型的
な層状構造ではない可能性が高い。Clの濃度が、75mol%~87mol%である場
合、ハロゲン化物材料は、非層状結晶構造を有する。したがって、ハロゲン化物材料が、
より高いイオン伝導率を有するためにLYBの層状構造よりも好ましくない場合がある結
晶構造を有する場合、ハロゲン化物材料が、LYBのイオン伝導率よりも顕著に高いイオ
ン伝導率を有し得ることは予想外である。
【0093】
図9Aは、Li
3YCl
6のXRDパターンと重ね合わせた、Cu K-アルファ放
射線で測定した、代表的なハロゲン化物材料である、Li
3Y(Cl
0.79Br
0.2
1)
6の粉末XRDパターンの図を含む。代表的なハロゲン化物材料のXRDピークは、
Li
3YCl
6の粉末XRDパターンの対応するピークと比較して、より小さい角度にシ
フトしている。
図9Bを参照すると、Cu K-アルファ放射線で測定した、代表的なハ
ロゲン化物材料であるLi
3Y(Cl
0.67Br
0.33)
6の粉末XRDパターンが
、Li
3YBr
6のXRDパターンと組み合わされている。代表的なハロゲン化物材料の
対応するピークは、Li
3YBr
6と比較して、より大きい値の2θにシフトしている。
Li
3Y(Cl
0.67Br
0.33)
6は、単相ハロゲン化物材料であることを観察す
ることができる。
【0094】
一実施形態では、ハロゲン化物材料は、Li3-fREbMe’k
b’X6-f+(
k-3)*b’によって表すことができ、式中、-1≦f≦1、及び(b+b’)=1で
ある。特定の態様では、k=3である。例えば、Meとしては、Inを挙げることができ
る。別の特定の態様では、REとしては、Yを挙げることができる。更に別の特定の態様
では、0.67≦b/(b+b’)≦0.93である。ハロゲン化物材料の特定の例とし
ては、Li3-fYbInbX6-fを挙げることができる。
【0095】
別の実施形態では、ハロゲン化物材料は、LiaMaREX6によって表すことがで
き、式中、a>a’>0、(a+a’)=3、及び0.942≦a/(a+a’)≦0.
958である。一態様では、Mとしては、Naを挙げることができる。別の態様では、R
Eとしては、Yを挙げることができる。別の態様では、Xとしては、Clを挙げることが
できる。特定の態様では、ハロゲン化物材料は、LiaNaa’YCl6によって表すこ
とができ、0.942≦a/(a+a’)≦0.958である。
【0096】
ハロゲン化物材料のより具体的な例としては、Li3(Y0.85In0.15)C
l6及び(Li0.955Na0.045)3YCl6を挙げることができる。
【0097】
一実施形態では、ハロゲン化物材料は、式LiaMa’REbMe’b’ClcX’
c’によって表すことができ、Meが、REよりも小さいイオン半径を有し得る。特定の
態様では、REは、Yであり得る。一態様では、より小さいイオン半径を有するMeは、
b’=0である場合、非層状構造から層状結晶構造へのハロゲン化物材料の結晶学的相転
移を促進し得る。例えば、結晶学的相転移としては、Pnma又はP-3m1からC2/
m又はC2/cへの転移を挙げることができる。別の例では、結晶学的相転移としては、
斜方晶から単斜晶結晶学への転移を挙げることができる。更なる態様では、結晶学的相転
移は、REとMeとの化学量論的割合を調整することによって制御され得る。特に、(b
/(b+b’))t
*0.84<b/(b+b’)<(b/(b+b’))t
*1.16
である場合、ハロゲン化物材料は、b/(b+b’)>(b/(b+b’))t
*1.1
6及びb/(b+b’)<(b/(b+b’))t
*0.84である場合に比べて、顕著
に改善された、イオン伝導率を含む特性を有し得る。Meの一例としては、二価元素、三
価元素、四価元素、又はそれらの任意の組み合わせを挙げることができる。Meの特定の
例としては、Yb、SC、In、Zr、Ga、又はそれらの任意の組み合わせを挙げるこ
とができる。
【0098】
一実施形態では、ハロゲン化物材料は、式LiaMa’REbMe’b’ClcX’
c’によって表すことができ、X’が、Clよりも大きいイオン半径を有し得る。一態様
では、X’としては、Br、I、又はそれらの組み合わせを挙げることができる。特定の
態様では、REは、Yであり得る。更なる態様では、より大きいイオン半径を有するX’
は、ClとX’との化学量論的割合を調整することによって、c’=0である場合、ハロ
ゲン化物材料の非層状構造から層状結晶構造への結晶学的相転移を促進し得る。特に、ハ
ロゲン化物材料は、(c/(c+c’))t
*0.84<c/(c+c’)<(b/(b
+b’))t
*1.16である場合、(c/(c+c’))t
*0.84>c/(c+c
’)及びc/(c+c’)>(b/(b+b’))t
*1.16である場合と比較して、
顕著に改善されたイオン伝導率などの特性を有し得る。
【0099】
別の実施形態では、ハロゲン化物材料は、式LiaMa’REbMe’b’ClcX
’c’によって表すことができ、Mが、Liよりも大きいイオン半径を有し得る。一態様
では、Mとしては、Na、K、Cs、Cu、又はそれらの組み合わせを挙げることができ
る。特定の態様では、REは、Yであり得る。更なる態様では、より大きいイオン半径を
有するMは、a’=0である場合、ハロゲン化物材料の非層状構造から層状結晶構造又は
別の非層状構造への結晶学的相転移を促進し得る。例えば、結晶学的相転移としては、P
nma又はP-3m1からC2/m又はC2/cへの転移を挙げることができる。別の例
では、転移としては、斜方晶から立方晶エルパソライト又は単斜晶結晶構造への転移を挙
げることができる。特定の態様では、転移は、LiとMとの化学量論的割合を調整するこ
とによって制御され得る。特に、ハロゲン化物材料は、(a/(a+a’))t
*0.8
4<a/(a+a’)<(a/(a+a’))t
*1.16である場合、(a/(a+a
’))t
*0.84>a/(a+a’)及びa/(a+a’)>(a/(a+a’))t
*1.16である場合と比較して、顕著に改善された、イオン伝導率、電気化学的安定性
、適合性、又はそれらの任意の組み合わせなどの特性を有し得る。
【0100】
一実施形態では、ハロゲン化物材料は、式LiaMa’REbMe’b’ClcX’
c’によって表すことができ、Meが、REよりも大きいイオン半径を有し得る。特定の
態様では、REは、Yであり得る。一態様では、より大きいイオン半径を有するMeは、
b’=0である場合、非層状構造から層状又は別の非層状結晶構造へのハロゲン化物材料
の結晶学的相転移を促進し得る。例えば、結晶学的相転移としては、Pnma又はP-3
m1からC2/m又はC2/cへの転移を挙げることができる。別の例では、結晶学的相
転移としては、斜方晶から単斜晶結晶学への転移を挙げることができる。更なる態様では
、結晶学的相転移は、REとMeとの化学量論的割合を調整することによって制御され得
る。特に、(b/(b+b’))t
*0.84<b/(b+b’)<(b/(b+b’)
)t
*1.16である場合、ハロゲン化物材料は、b/(b+b’)>(b/(b+b’
))t
*1.16及びb/(b+b’)<(b/(b+b’))t
*0.84である場合
に比べて、顕著に改善された、イオン伝導率を含む特性を有し得る。Meの一例としては
、二価元素、三価元素、四価元素、又はそれらの任意の組み合わせを挙げることができる
。Meの特定の例としては、Bi、La、Ce、Gd、又はそれらの任意の組み合わせを
挙げることができる。
【0101】
一実施形態では、ハロゲン化物材料は、式LiaMa’REbMe’b’ClcX’
c’によって表すことができ、X’が、Clよりも小さいイオン半径を有し得る。一態様
では、X’としては、Fを挙げることができる。特定の態様では、REは、Yであり得る
。更なる態様では、より小さいイオン半径を有するX’は、ClとX’との化学量論的割
合を調整することによって、c’=0である場合、ハロゲン化物材料の非層状構造から層
状又は別の非層状結晶構造への結晶学的相転移を促進し得る。特に、ハロゲン化物材料は
、(c/(c+c’))t
*0.84<c/(c+c’)<(b/(b+b’))t
*1
.16である場合、(c/(c+c’))t
*0.84>c/(c+c’)及びc/(c
+c’)>(b/(b+b’))t
*1.16である場合と比較して、顕著に改善された
、イオン伝導率、電気化学的安定性、適合性、又はそれらの任意の組み合わせなどの特性
を有し得る。
【0102】
一実施形態では、結晶学的相転移境界は、一例として、Li3-x*k(Y1-xM
ek+
x)(ClcBrc’)6によって表されるハロゲン化物材料を使用して、以下の
ように決定され得る。ハロゲン化物材料のMBPは、式[c/(c+c’)]t=0.7
5+12*(δ*x)に従って決定され得、式中、Mek+のイオン半径が、rであり、
r=r_Y3+*(1-δ)であり、r_Y3+が、Y3+のイオン半径である。Mによ
るLi置換を調整することによって誘導されるか、又はMe’によるMe置換を調整する
ことによって誘導される結晶学的相転移を有するハロゲン化物材料のMPBは、同様に決
定され得る。
【0103】
一実施形態では、ハロゲン化物材料は、組成相図上の結晶学的相転移境界を含む特定
のバンド範囲内にある結晶相を含み得る。一態様では、バンド範囲は、Li及びMのうち
の1つ、Me及びMe’のうちの1つ、又はX及びX’のうちの1つなどの、ハロゲン化
物材料の元素の濃度の範囲によって表すことができる。例えば、ハロゲン化物材料は、結
晶学的相転移境界における元素の濃度の0.84~1.16倍の元素の濃度範囲内の結晶
学的相を有し得る。特に、元素の化学量論的割合は、ハロゲン化物材料の結晶学的相転移
及び特性の改善を促進するように調整され得る。特定の態様では、ハロゲン化物材料は、
特定のバンド範囲内にある結晶相から本質的になり得る。例えば、ハロゲン化物材料のア
ニオンは、同じ相に存在し得る。本明細書の実施形態で考察されるように、ハロゲン化物
材料は、低含有量の不純物を有し得るか、又は不純物を本質的に含まない場合がある。例
えば、不純物のレベルは、従来の検出方法を使用して検出可能なレベル未満であり得る。
したがって、「単相から本質的になる」は、ハロゲン化物材料が、ハロゲン化物材料の錯
体化合物の主相に加えて、低レベルの不純物相を含み得るか、又は、ハロゲン化物材料が
、不純物相を含まない場合があることを意味することを意図する。不純物相は、本開示に
おいて寄生不純物相とも称され得る。
【0104】
一実施形態では、ハロゲン化物材料は、固体電解質材料の改善された特性及び/又は
性能を促進し得る特定の密度を含み得る。一態様では、密度は、少なくとも2.5g/c
m3、少なくとも2.7g/cm3、少なくとも2.9g/cm3、少なくとも3.1g
/cm3、少なくとも3.3g/cm3、又は少なくとも3.5g/cm3などの、2.
3g/cm3超であり得る。別の態様では、ハロゲン化物材料は、3.5g/cm3以下
、3.4g/cm3以下、3.3g/cm3以下、又は3.1g/cm3以下などの、3
.8g/cm3未満の密度を有し得る。別の態様では、ハロゲン化物材料は、本明細書に
示される最小値及び最大値のうちのいずれかを含む範囲の密度を有し得る。特定の実施形
態では、ハロゲン化物材料は、Li3YBr6の密度よりも小さく、Li3YCl6の密
度よりも高い密度を有し得る。
【0105】
一実施形態では、ハロゲン化物材料は、Li3YBr6と比較して、著しく改善され
た熱力学的電気化学的安定性を有し得る。別の実施形態では、ハロゲン化物材料は、固体
電解質材料の改善された特性を促進することができる熱力学的電気化学的安定性値を含み
得る。熱力学的電気化学的安定性値は、以下のようなサイクリックボルタンメトリー方法
又はリニアスイープボルタンメトリー方法に基づいて決定され得る。電気化学セルは、3
つの層で作製され得る。活性層(すなわち、作用電極)は、炭素とハロゲン化物材料との
混合物を含み得る。セパレータ層は、ハロゲン化物材料で作製され得る。対電極層は、イ
ンジウム金属又はリチウム-インジウム合金で作製され得る。電気化学セルの対電極に対
する作用電極の電圧は、徐々に増加し得、同時に、酸化電流は、電解質の酸化を示すピー
ク又はプラトーを生じ得、これが測定され得る。ピークの開始値は、x軸に対するピーク
上昇の線形外挿によって得ることができ、ボルト単位である。0.62Vのオフセットを
ピークの開始値に加えて、熱力学的電気化学的安定性値を得、インジウム対電極電位を標
準Li/Li+電位に変換することができる。
【0106】
一態様では、熱力学的電気化学的安定性値は、少なくとも3.60V、少なくとも3
.62V、3.65V、又は少なくとも3.71Vなどの、3.57V超であり得る。別
の態様では、ハロゲン化物材料は、4.50V以下、4.30V以下、4.19V以下、
4.15V以下、4.10V以下、3.85V以下、3.80V以下、3.75V以下、
又は3.71V以下の熱力学的電気化学的安定性値を含み得る。別の態様では、ハロゲン
化物材料は、本明細書に示される最小値及び最大値のうちのいずれかを含む範囲の熱力学
的電気化学的安定性値を含み得る。
【0107】
別の実施形態では、ハロゲン化物材料は、従来の対応するハロゲン化物材料と比較し
て、例えば、リチウムイオン伝導率を含む、バルクでの改善されたイオン伝導率を含み得
る。バルクでのイオン伝導率は、室温(すなわち、22℃)で測定され得る。一態様では
、イオン伝導率は、0.05mS/cm超、0.15mS/cm超、少なくとも0.3m
S/cm、少なくとも0.5mS/cm、少なくとも0.8mS/cm、少なくとも0.
9mS/cm、少なくとも1.1mS/cm、少なくとも1.5mS/cm、又は少なく
とも1.7mS/cmであり得る。別の態様では、ハロゲン化物材料は、多くとも1.9
mS/cm、多くとも1.8mS/cm、又は多くとも1.7mS/cmなどの、4.5
mS/cm未満、3.4mS/cm未満、2.8mS/cm未満、2.0mS/cm未満
の22℃で測定したバルクでのイオン伝導率を含み得る。別の態様では、ハロゲン化物材
料は、本明細書に示される最小値及び最大値のうちのいずれかを含む範囲のバルクでのイ
オン伝導率を有し得る。
【0108】
更なる実施形態では、本明細書の実施形態の電解質材料は、特に、ハロゲン化物材料
が、結晶学的相転移図におけるモルフォトロピック相転移境界(MPB)を含む特定のバ
ンド範囲内の結晶相を有する場合、更に改善されたイオン伝導率を有し得る。一態様では
、ハロゲン化物材料は、22℃で測定して、少なくとも1.8mS/cm、少なくとも1
.85mS/cm、少なくとも1.87mS/cm、少なくとも2.0mS/cm、少な
くとも2.08mS/cm、又は少なくとも2.45mS/cmのバルクでのイオン伝導
率を有し得る。別の態様では、ハロゲン化物材料は、多くとも6.5mS/cm、多くと
も6.1mS/cm、多くとも5.8mS/cm、多くとも5.3mS/cm、多くとも
5.1mS/cm、多くとも4.7mS/cm、多くとも4.4mS/cm、多くとも4
.1mS/cm、多くとも3.9mS/cm、多くとも3.6mS/cm、多くとも3.
2mS/cm、多くとも3.0mS/cm、多くとも2.8mS/cm、又は多くとも2
.5mS/cmの22℃で測定したバルクでのイオン伝導率を含み得る。別の態様では、
ハロゲン化物材料は、本明細書に示される最小値及び最大値のうちのいずれかを含む範囲
のバルクでのイオン伝導率を有し得る。
【0109】
本明細書で使用される場合、バルクでのイオン伝導率は、電解質材料の粉末をプレス
することによって形成される高密度ペレットに適用される電気化学インピーダンス分光法
を使用することによって測定することができる。高密度ペレットは、ステンレス鋼電極間
に挟まれ得、測定は、およそ300MPaの静水圧下で実施され得る。正弦波電圧信号が
、50mVの振幅で7MHzから1Hzまでの周波数で高密度ペレットに印加され得る。
バルクでのイオン伝導率は、22℃で測定され得る。実施形態では、温度に対するバルク
でのイオン伝導率などの、電解質材料のある特定の特徴の理解を補助するために、活性化
エネルギーを得る場合がある。例えば、より低い活性化エネルギーは、温度変化に伴うバ
ルクでのイオン伝導率の変動がより少ないことを示唆し得る。活性化エネルギーを決定す
るために、バルクでのイオン伝導率を22℃~150℃の温度で測定して、式IC(T)
=A×exp(-Ea/RT)に基づいてアレニウスプロットを作成することができ、式
中、Aが、前指数定数であり、Eaが、eV単位での活性化エネルギーであり、Rが、e
V単位でのケルビン度を変換する普遍定数であり、Tが、ケルビン度での温度である。プ
ロットの線の傾きを使用して、活性化エネルギーが決定され得る。特定の実施形態では、
活性化エネルギーは、0.2eV~0.5eVの範囲にあり得る。
【0110】
図3を参照すると、ハロゲン化物材料を含む固体電解質材料を形成するためのプロセ
ス300が示されている。
【0111】
プロセス300は、錯体ハロゲン化物材料を形成するための従来の固相合成とは異な
る。従来のプロセスは、高エネルギーボールミル粉砕を利用するか、又は金属ハロゲン化
物の融点付近若しくは融点未満の温度で固体反応物混合物(例えば、単純な金属ハロゲン
化物)を直接加熱して、固相反応を実施する。混合物中の個々に分離された粒子が反応す
る確率は、反応が進行するにつれて減少するので、反応の100.00%完了を達成する
ことは、理論的には無限量の時間を要するであろう。したがって、単純な金属ハロゲン化
物の不完全な反応に起因して、高エネルギーボールミル粉砕に基づく従来の固相合成から
生じる反応生成物は、より高い濃度の、単純な金属ハロゲン化物(例えば、ハロゲン化リ
チウム及び/又はハロゲン化イットリウム)などの不純物を有することが理解される。
【0112】
更に、アンモニウム-ハロゲン化物経路に基づく錯体ハロゲン化物の従来の合成は、
錯体金属ハロゲン化物を形成するために適用可能ではない場合があることが注目に値する
。従来、金属ハロゲン化物が出発材料として使用されている。一部の三価金属ハロゲン化
物及び四価金属ハロゲン化物、特に希土類ハロゲン化物は、安定な金属ハロゲン化物水和
物を形成する傾向があることによって、これらの水和物から水分子を完全に除去すること
は困難である。温度を上昇させることによって、より高い濃度での、望ましくない金属オ
キシハロゲン化物又は金属オキシ水和ハロゲン化物化合物の形成を生じ得る。更に、金属
ハロゲン化物水和物及び金属オキシハロゲン化物、特に希土類金属を含むものは、かなり
安定な化合物であり、Xが、Cl以外のハロゲンである、Li3RE(OX)Cl3など
の高濃度のLiを含有する錯体化合物相を形成する可能性が低い。更に、これらの錯体化
合物は、安定ではなく、より単純な化合物に分解する可能性が高いであろう。
【0113】
本開示の実施形態に記載のプロセスは、上に示された問題を克服する。
【0114】
プロセス300は、Li、M、RE、Me、又はそれらの任意の組み合わせの1つ以
上の金属化合物を含む出発材料の混合物を化学量論的比又は非化学量論的比で形成するこ
とから開始することができる。金属化合物は、非吸湿性であり得る。特に、出発材料は、
ハロゲン化アンモニウム、NH4Xを含み得、Xが、Cl、Br、I、F、又はそれらの
任意の組み合わせを含む。出発材料は、水溶液、アルコール溶液、又は他の極性分子溶液
中での酸性合成を促進するために、塩酸又は臭化水素酸などの酸を更に含み得る。
【0115】
例示的な実施態様では、金属化合物は、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、水和物、水酸化物
、シュウ酸塩、酢酸塩、硝酸塩、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。例えば、出
発材料は、例えば、希土類酸化物のうちの1つ以上を含むMe2Okを含む酸化物を含み
得る。別の例では、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、Fe(OH)2、若
しくはFe(CO3)、又はそれらの任意の組み合わせなどの水酸化物又は炭酸塩が使用
され得る。
【0116】
図3を参照すると、プロセス300は、ブロック302に示されるように、出発材料
からアンモニウム含有ハロゲン化物を形成することを含み得る。例示的なアンモニウム含
有ハロゲン化物としては、(NH
4)
zRE
1-yMe
k
y(Cl
1-u-p-qBr
u
F
pI
q)
3+z+y*(k-3)、(NH
4)
zRE
1-yMe
k
y(Cl
1-uBr
u)
3+z+y*(k-3)、(NH
4)
zRE
1-yMe
k
y(Cl
1-pF
p)
3+
z+y*(k-3)、(NH
4)
zRE
1-yMe
k
y(Cl)
3+z+y*(k-3)
、(NH
4)
zRE
1-yMe
k
y(Br)
3+z+y*(k-3)、(NH
4)
zRE
1-yMe
k
y(I)
3+z+y*(k-3)、又はそれらの組み合わせを挙げることが
できる。特定の実施態様では、0.33<=z<=5である。場合によっては、アンモニ
ウム含有金属ハロゲン化物材料を形成することは、酸性溶液などの液体媒体中で行われ得
る。例示的な酸としては、塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、ヨウ化水素酸、又はそれら
の任意の組み合わせを挙げることができる。更なる例では、アンモニウム含有金属ハロゲ
ン化物材料を形成することは、特定の乾燥条件で行われ得る。
【0117】
一実施形態では、アンモニウム含有金属ハロゲン化物材料を形成することは、最大2
50℃の温度で行われ得る。例えば、温度は、少なくとも20℃、少なくとも40℃、少
なくとも50℃、少なくとも70℃、少なくとも90℃、少なくとも110℃、又は少な
くとも140℃であり得る。別の例では、温度は、200℃以下、180℃以下、160
℃以下、又は140℃以下であり得る。更なる例では、アンモニウム含有金属ハロゲン化
物は、本明細書に示される最小値及び最大値のうちのいずれかを含む範囲の温度で形成さ
れ得る。
【0118】
ハロゲン化物材料の例示的な合成では、アンモニウム含有金属ハロゲン化物は、2つ
の金属カチオンと、1つのハロゲン化物アニオンと、を含み得、本明細書の実施形態のハ
ロゲン化物材料を形成するために使用することができる。少なくとも1つの例示的な合成
プロセスでは、アンモニウム含有金属ハロゲン化物を処理して金属ハロゲン化物を形成す
ることができ、異なるハロゲン化物アニオンを有する金属ハロゲン化物間の反応を実施し
て、本明細書の実施形態のハロゲン化物材料を形成することができる。例えば、Li3Y
Br6及びLi3YCl6を別々に形成し、次いで混合して、以下に詳述するLi3YC
l6(1-u)Br6uを形成することができる。以下の反応を、Li2CO3、Y2O
3、HBr、NH4Br、及びH2Oを含む出発材料の混合物中で行って、Li3YBr
6を形成することができる。
3*Li2CO3+Y2O3+12*HBr+10*H2O→2*YBr3(H2O
)8+6*LiBr+3*CO2
6*NH4Br+2*YBr3(H2O)8+6*LiBr→2*(NH4)3YB
r6+6*LiBr+16*H2O
【0119】
上の反応混合物を140℃の減圧下で加熱して水分を除去し、固体状態での以下の反
応を促進することができる。
2*(NH4)3YBr6+6*LiBr→2*Li3YBr6+6*NH4Br
【0120】
反応混合物を更に550℃で加熱して、臭化アンモニウムを昇華させてもよい。
【0121】
Li3YCl6は、Y2O3、Li2CO3、H2O、NH4Cl、及びHClを含
む出発材料の混合物から以下のように形成することができる。
Y2O3+3*Li2CO3+10*H2O+12*HCl→2*YCl3(H2O
)8+6*LiCl+3*CO2
2*YCl3(H2O)8+6*LiCl+6*NH4Cl→2*(NH4)3YC
l6+6*LiCl+16*H2O
【0122】
反応混合物を140℃の減圧下で加熱して水分を除去し、固体状態での以下の反応を
促進することができる。
2*(NH4)3YC16+6*LiCl→2*Li3YCl6+6*NH4C1
【0123】
反応混合物を更に550℃で加熱して、塩化アンモニウムを昇華させてもよい。
【0124】
形成後、Li3YCl6相をLi3YBr6相と化学量論的比で混合してもよく、窒
素などの不活性雰囲気中の乾燥条件で固相反応を実施して、Li3YCl(1-u)*6
Br6*uを形成することができる。
【0125】
ある特定の例では、Li3Y(Cl1-uBru)6材料の塊を固相反応から形成し
てもよく、ミル粉砕をN2又はArの中性雰囲気中で実施して粉末を形成してもよい。
【0126】
更なる実施形態では、アンモニウム含有金属ハロゲン化物を形成して、本明細書の実
施形態のハロゲン化物材料の形成を促進することができる。一例としてLi3YClcX
’c’によって表されるハロゲン化物材料を使用すると、水溶液中の(NH33Li3Y
Br9及び(NH3)3Li3YCl9は、本明細書の実施形態に記載の原料を使用して
別個に形成することができる。一態様では、溶液を混合し、100~170℃で乾燥させ
て、水分及び酸を蒸発させることが可能であり得る。特定の態様では、ハロゲン化物化合
物の固相反応、及び電荷からのNH3Cl及びNH3Brの昇華は、比較的低温で並行し
て実施され得る。例えば、LiCl及びNH4Clを含むフラックスは、NH4Clの昇
華点未満の温度で形成され得る。NH4Brは、350℃よりも高い温度で昇華し得る。
いかなる理論にも束縛されることを望まないが、ハロゲン化アンモニウムの存在は、比較
的低い温度でLi3YClcXcの最終相の形成を可能にし得、最終相全体にわたって均
一なc/c’比を形成するのに役立ち、従来の固相合成は、最終生成物におけるc/c’
比の比較的高い分散を生じ、それによって、通常、最終生成物が異なるc/c’比を含む
複数の相を有し得るので、これは、LYC及びLYB粉末の従来の固相反応を使用するハ
ロゲン化物粉末の合成を上回って有利であり得ることに留意されたい。
【0127】
別の態様では、アンモニウムの昇華に続いて、冷却が実施され得る。特に、冷却は、
ハロゲン化物材料の結晶相の偏析を回避するように注意深く制御される必要がある。特定
の実施態様では、冷却速度は、40℃/時間超、少なくとも60℃/時間、少なくとも7
0℃/時間、少なくとも90℃/時間、又は少なくとも100℃/時間、少なくとも15
0℃/時間、又は少なくとも180℃/時間などの、最大200℃/時間であり得る。図
10は、特定の加速冷却ステップを含む、ハロゲン化物材料である、Li3Y(C0.6
5Br0.35)6,を形成する例示的なプロセスの図を含む。示されたプロセスでは、
アンモニウム含有LYB溶液及びアンモニウム含有LYC溶液を形成し、合わせた後、反
応混合物の乾燥が、およそ120℃で実施される。反応混合物をおよそ550℃まで加熱
して、固相反応を実施し、並行してアンモニウムを昇華させる。昇華後に加速冷却が実施
される。ハロゲン化物材料である、Li3YC4.5Br1.5は、単相を有する。
【0128】
当業者は、Na2CO3又はNaClなどの追加のアルカリ金属化合物を出発材料の
混合物に添加して、ハロゲン化物材料中のLiを部分的に置換することができることを理
解する。同様に、Fe2O3などの別のRE又はMe金属の化合物を混合物に添加して、
ハロゲン化物材料中のYを置換することもできる。
【0129】
適用において、反応混合物は、固体状態の反応物からより大きい粒子を除去するため
に濾過され得る。より大きい粒子は、出発材料、出発材料の残りの粒子、炭素、又はそれ
らの任意の組み合わせのうちのいずれかに付随する不純物を含み得る。
【0130】
別の例示的な合成では、アンモニウム含有三元ハロゲン化物を直接使用して、ハロゲ
ン化物材料を形成することができる。上の例示的な合成反応を参照すると、(NH4)3
YCl6及び(NH4)3YBr6を別個に形成した後、(NH4)3YCl6及びLi
Clの反応混合物を、水溶液中の(NH4)3YBr6及びLiBrの反応混合物と合わ
せてもよく、4つの反応物を含む混合物を一緒に乾燥させて、固相反応においてLi3Y
(Cl1-uBru)6を形成することができる。ハロゲン化アンモニウムの昇華は、5
50℃で実施され得る。
【0131】
ハロゲン化アンモニウムの昇華後、ハロゲン化物材料を形成するために冷却が実施さ
れ得る。例えば、冷却は、空気中、乾燥空気中、又は窒素雰囲気中で実施され得る。別の
例では、高くとも100℃、高くとも70℃、高くとも50℃、又は高くとも30℃など
の、200℃未満の冷却温度が適用され得る。特定の実施態様では、冷却は、室温の乾燥
雰囲気中で実施され得る。任意選択的に、Ar又はN2を使用して冷却を促進してもよい
。
【0132】
別の実施形態では、少なくとも2つのハロゲン化物アニオンを任意の所定の比で含む
アンモニウム含有金属ハロゲン化物が、単一ステップで形成され得る。特定の実施態様で
は、三元ハロゲン化物を化学量論的比又は非化学量論的比で混合し、ハロゲン化アンモニ
ウム塩の存在下で溶融することができる。ハロゲン化アンモニウムは、水分からの反応を
保護するのに役立ち得る。一例では、各三元ハロゲン化物は、2つの金属カチオン及び1
つのハロゲン化物アニオンを含み得、ハロゲン化物アニオンが、三元ハロゲン化物間で異
なり得る。ある特定の例では、三元ハロゲン化物は、2つのハロゲン化物アニオンを含み
得る。金属カチオンは、三元ハロゲン化物間で同じであっても異なっていてもよい。例示
的な加熱温度は、材料の溶融に役立ち、固体状態での反応を促進するために、最大600
℃であり得る。加熱温度は、ハロゲン化物材料からのアンモニウムの流出に更に役立ちう
る。加熱は、窒素又はアルゴンの中性雰囲気中で実施され得る。冷却を実施して、ハロゲ
ン化物材料を固化させてもよい。
【0133】
例示的な合成プロセスを、以下に示す。示された反応は、Li3YCl6、Li3Y
Br6、及びNH4Brを含む出発材料からの1ステップでのアンモニウム含有金属ハロ
ゲン化物の形成を可能にし得る。当業者は、様々な比の出発材料を使用して、ハロゲン化
物アニオン間で所定の比を有するハロゲン化物材料を形成することができることを理解す
るであろう。
Li3YCl6+Li3YBr6+6*NH4Br→2*(NH4)3Li3YCl
3Br6
【0134】
250℃~650℃の加熱温度でハロゲン化アンモニウムが昇華され得る。場合によ
っては、Me化合物などのドーパント材料を溶融物に添加して、ハロゲン化物材料の1つ
以上の金属元素の置換が促進され得る。反応は、石英、アルミナ、シリカ-アルミナ、B
N、ガラス状炭素、又はグラファイトで作製されたるつぼ内で実施され得る。制御された
冷却を溶融物に適用して、ハロゲン化物材料を固化させてもよい。
【0135】
特定の実施態様では、特定の結晶成長速度を促進するように冷却速度を制御して、最
大10センチメートルの単結晶ブロックなどの肉眼サイズを有する単結晶の成長を可能に
することができる。例えば、冷却は、10℃/時間~50℃/時間の冷却速度で外部熱場
によって促進され得る。結晶成長速度は、少なくとも0.2mm/時間、少なくとも0.
3mm/時間、又は少なくとも0.5mm/時間であり得る。追加的、又は代替的に、成
長速度は、速くとも8mm/時間、速くとも6mm/時間、速くとも5mm/時間、速く
とも3mm/時間、又は速くとも1mm/時間などの、速くとも10mm/時間であり得
る。
【0136】
別の特定の実施態様では、結晶成長速度は、多結晶性結晶の成長を促進するために、
少なくとも8mm/時間、少なくとも10mm/時間、少なくとも15mm/時間、又は
少なくとも20mm/時間など、比較的速くてもよい。追加的、又は代替的に、成長速度
は、速くとも80mm/時間、速くとも70mm/時間、速くとも60mm/時間、速く
とも50mm/時間、又は速くとも40mm/時間であり得る。
【0137】
特定の実施態様では、固化は、特定の結晶配向を有する結晶の成長を促進するために
、溶融ゾーンに熱勾配を適用することによって実施され得る。例えば、長さ対直径のアス
ペクト比が5超のるつぼを使用して、熱勾配下でのブロックの固化を促進することができ
る。このプロセスは、異方性である結晶に特に適し得る。特定の例では、10℃/cm以
上などの強い熱勾配が適用され得る。
【0138】
別の実施態様では、透磁率又は誘電率、配向結晶成長について異方性である結晶は、
強い永久磁場、強い電場下での固化、又はそれらの任意の組み合わせを使用して行われ得
る。
【0139】
別の特定の実施態様では、より高いイオン伝導率を有する結晶方向に細長いペレット
又は粒子の結晶化が行われ得る。例えば、単結晶ペレットは、特定の結晶学的配向を有す
るセラミックハロゲン化物材料を形成するように調整され得る。更なる例では、キャステ
ィング、圧縮、プレス、加熱、成形、又はそれらの任意の組み合わせを使用して、配向多
結晶ハロゲン化物材料の形成が促進され得る。特定の例では、好ましい結晶学的配向を有
する単結晶ペレットを使用して、配向セラミックハロゲン化物材料が形成され得る。任意
選択的に、X線ゴニオメータを使用して、結晶の配向を同定してもよい。更なる例では、
配向セラミックス材料に近い格子パラメータを有する支持シード層を利用し、フラックス
媒体中で固化させることは、配向多結晶構造を維持するのに役立ち得る。
【0140】
単結晶ハロゲン化物材料は、形成される際に、数ミリメートル単位のより小さい塊で
あり得るか、又は最大数十センチメートルのサイズの高密度ブロック若しくは大きいイン
ゴットであり得る。例示的な用途では、単結晶を粉砕して単結晶粒子の微粉末が形成され
得る。更なる例では、単結晶インゴット又はブロックは、薄いシートへとスライスされ得
る。例えば、薄いシートは、5ミクロン~500ミクロンの厚さを有し得る。特に、より
高い伝導率を有する結晶学的方向が薄いシートの厚さ方向であることができるように、単
結晶はスライスされ得る。例えば、ハロゲン化物材料は、ハロゲン化物材料が配向され得
る異なる結晶学的配向よりも高いイオン伝導率を有する<HKL>(又は<HKLM>)
によって表される結晶学的配向を有するように形成することができ、スライスの厚さが<
HKL>(又は<HKLM>)の結晶学的配向に延在するようにスライスされ得る。
【0141】
適合しない溶融が生じるある特定の例では、生じる寄生相は、寄生相を含有する上部
を研削することなどによって、固化したインゴットから除去され得る。寄生相は、存在す
る場合、結晶の多くとも10vol%であり得る。過剰量のドーパント材料を溶融物に添
加することは、寄生相の形成の低減に役立ち、例えば、過剰のLiX又はNaXを含む自
己フラックス条件での化学量論的単相結晶の形成を促進するのに役立ち得る。
【0142】
結晶成長を利用してハロゲン化物材料を形成することは、Li、RE、Me、又はM
eの金属元素を含む1つ以上の未反応の単純なハロゲン化物相を更に低減するのに役立ち
得る。本プロセスは、単に金属ハロゲン化物相を本質的に含まないハロゲン化物材料の形
成を促進することができる。
【0143】
別の実施形態では、アンモニウム含有ハロゲン化物を混合し、共溶融して、結晶性ハ
ロゲン化物材料が形成され得る。例えば、アンモニウム含有ハロゲン化物は、本明細書の
実施形態に記載のように別個に形成され得、アンモニウム含有ハロゲン化物を含む反応混
合物を、合わせ、乾燥させ、共溶融してもよい。特定の例では、上の例示的な合成反応を
参照すると、(NH4)3YCl6及び(NH4)3YBr6を別個に形成した後、(N
H4)3YCl6及びLiClの反応混合物を、水溶液中の(NH4)3YBr6及びL
iBrの反応混合物と合わせてもよく、4つの反応物を含む混合物を一緒に加熱して乾燥
させ、溶融させて、最大600℃の加熱温度での固相反応においてハロゲン化物材料であ
るLi3Y(Cl1-uBru)6を形成することができる。ハロゲン化アンモニウムの
昇華は、加熱温度で生じ得る。場合によっては、ハロゲン化アンモニウム相は、最大80
0℃などのより高い温度での分解によって除去され得る。固化は、本明細書の実施形態に
記載のように実施され得る。
【0144】
ハロゲン化アンモニウムの除去は、ハロゲン化物材料から流出したハロゲン化アンモ
ニウムを収集し秤量することによって監視することができる。ハロゲン化アンモニウムは
、完全に除去されてもよく、ある特定の例では、特定量のハロゲン化アンモニウム相がハ
ロゲン化物材料中に残っていてもよい。例えば、加熱は、ハロゲン化アンモニウムの部分
的な又は完全な昇華及び/又は分解を可能にするために、350℃~800℃の範囲の温
度で少なくとも15分~多くとも24時間行われ得る。ハロゲン化アンモニウムの昇華又
は分解は、蒸発などによって、水、CO2、アンモニア、及びハロゲンなどの望ましくな
い反応生成物を除去するのに役立ち得る。
【0145】
一実施形態では、ハロゲン化物材料は、ハロゲン化アンモニウム相を本質的に含まず
に形成され得る。少なくとも1つの実施形態では、ハロゲン化物材料は、ハロゲン化物材
料の総重量に対して少なくとも10ppm、少なくとも100ppm、少なくとも300
ppm、少なくとも500ppmなどの少なくとも2ppm、少なくとも0.5重量%、
又は少なくとも1重量%などの、ハロゲン化物材料の総重量に対して少なくとも0.2重
量%の特定の含有量の残留ハロゲン化アンモニウムを含み得る。代替的、又は追加的に、
ハロゲン化物材料は、ハロゲン化物材料の重量に対して多くとも3重量%などの、多くと
も5重量%のハロゲン化アンモニウムを含む。ハロゲン化物材料中に最大5重量%のハロ
ゲン化アンモニウム相を含むことは、ハロゲン化物材料のイオン伝導率を改善するのに役
立ち得ることに留意されたい。
【0146】
冷却及び/又は固化の後、ブロック304に示されるように、ハロゲン化物材料が形
成され得る。
【0147】
ボールミル粉砕に基づく固相反応などの従来の合成方法によって形成される対応する
ハロゲン化物材料は、典型的には、より高い含有量の不純物を含み、Bridgman-
Stockbarger、勾配凍結、チョクラルスキー、又はBagdasarov(水
平ブリッジマン)のプロセスに従って結晶を成長させるために使用される場合、不適合に
融解する可能性が高く、形成される結晶は、より高い含有量の不純物及び寄生相を有する
可能性が高い。結晶を直接成長させるために溶融物の出発材料として単純な化合物を利用
することはまた、より高い含有量の不純物及び寄生相を生じ得る。典型的な不純物相及び
寄生相は、LiX及びMek+Xkなどの1つ以上の単純な金属ハロゲン化物を含み得、
式中、Xがハロゲンである。本明細書の実施形態に記載のプロセスが、対応する従来のハ
ロゲン化物材料と比較して、改善された純度を有するハロゲン化物材料の形成を促進する
ことができることは注目に値する。更に注目に値することに、より高い純度は、ハロゲン
化物材料のイオン伝導率の改善を促進することができる。特定の実施形態では、ハロゲン
化物材料は、単相からなる。
【0148】
更なる態様では、ハロゲン化物材料は、YNなどのMexNk、LiN3などのMx
N、又はそれらの任意の組み合わせを含む金属窒化物を含む不純物を含み得る。一例では
、金属窒化物MexNkの含有量は、ハロゲン化物材料の重量に対して多くとも0.1重
量%、多くとも500ppm、多くとも300ppm、多くとも100ppm、多くとも
50ppm、多くとも40ppm、多くとも30ppm、多くとも20ppm、又は多く
とも10ppmなどの、ハロゲン化物材料の重量に対して多くとも0.3重量%であり得
る。別の例では、金属窒化物MexNkの含有量は、ハロゲン化物材料の重量に対して少
なくとも0.5ppm、少なくとも1ppm、又は少なくとも2ppmなどの、ハロゲン
化物材料の重量に対して少なくとも0.2ppmであり得る。別の態様では、金属窒化物
MexNkの含有量は、本明細書に示される最小値又は最大値のうちのいずれかを含む範
囲にあり得る。
【0149】
一例では、金属窒化物MxNの含有量は、ハロゲン化物材料の重量に対して多くとも
0.1重量%、多くとも500ppm、多くとも300ppm、多くとも100ppm、
多くとも50ppm、多くとも40ppm、多くとも30ppm、多くとも20ppm、
又は多くとも10ppmなどの、ハロゲン化物材料の重量に対して多くとも0.3重量%
であり得る。別の例では、金属窒化物MxNの含有量は、ハロゲン化物材料の重量に対し
て少なくとも0.5ppm、少なくとも1ppm、又は少なくとも2ppmなどの、ハロ
ゲン化物材料の重量に対して少なくとも0.2ppmであり得る。別の態様では、金属窒
化物MxNの含有量は、本明細書に示される最小値又は最大値のうちのいずれかを含む範
囲にあり得る。
【0150】
一例では、金属窒化物の総含有量は、ハロゲン化物材料の重量に対して多くとも0.
1重量%、多くとも500ppm、多くとも300ppm、多くとも100ppm、多く
とも50ppm、多くとも40ppm、多くとも30ppm、多くとも20ppm、又は
多くとも10ppmなどの、ハロゲン化物材料の重量に対して多くとも0.3重量%であ
り得る。別の例では、金属窒化物の総含有量は、ハロゲン化物材料の重量に対して少なく
とも0.5ppm、少なくとも1ppm、又は少なくとも2ppmなどの、ハロゲン化物
材料の重量に対して少なくとも0.2ppmであり得る。別の態様では、金属窒化物の総
含有量は、本明細書に示される最小値又は最大値のうちのいずれかを含む範囲にあり得る
。
【0151】
本開示では、アルカリ窒化物及びMexNkなどの金属窒化物の含有量は、以下の方
法を使用して検出することができる。錯体金属ハロゲン化物は吸湿性であり得るので、イ
オン伝導性材料は水に溶解させることができる。金属窒化物は吸湿性ではなく、水溶液を
濾過した後に収集及び分析することができる。0.2重量%超の含有量の金属窒化物は、
X線回折分析を使用して検出され得る。0.2重量%未満の含有量では、LECOが使用
され得る。
【0152】
一実施形態では、ハロゲン化物材料は、積層欠陥を含む結晶構造を含み得る。積層欠
陥は、占有原子の位置又は空孔原子の位置のシフトによって引き起こされる結晶構造にお
ける欠陥を表し、結晶構造における結晶学的面の無秩序化を生じる。
【0153】
特定の実施形態では、ハロゲン化物材料は、ハロゲン化物材料の改善された特性を促
進することができる特定の量の積層欠陥を含む結晶構造を含み得る。積層欠陥は、X線粉
末回折パターンに変化をもたらし得、特に、ある特定のX線回折ピークのみの不均一な拡
がりをもたらし得る。本開示では、積層欠陥は、ハロゲン化物系材料のX線粉末回折分析
、並びに、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Boulineau et
al.,Solid State Ionics 180(2010)1652-165
9によって記載の積層欠陥定量化方法に従って、Bruker GermanyによるT
OPAS4.2若しくはFullProf(バージョン7.30、2020年3月公開)
などのソフトウェア、又はTOPAS4.2若しくはFullProfバージョン7.3
0と同等の別のバージョン若しくはソフトウェアを使用することによるDIFFaXシミ
ュレーション及びリートベルト精密化を使用することによって、決定され得る。簡単に述
べると、定量化方法は、シミュレーションをハロゲン化物系材料の粉末のX線回折パター
ンに適合させることを含み得る。シミュレーションは、結晶構造の一次ブロックを定義す
ることができる。これらの一次ブロックは、スラブ及びスラブ間空間によって構成され得
る。次いで、一次ブロックは、2つ以上の可能な積層ベクトルのうちの1つに従って積層
され得る。積層ベクトルのうちの1つのみの排他的な発生は、完全な積層、すなわち0%
の積層欠陥をもたらす。結晶構造の積層方向における積層ベクトルの変化は、積層欠陥を
生成する。シミュレーションをハロゲン化物系材料のX線回折パターンに適合させること
は、結晶構造の1つ以上のパラメータを変動させること(「パラメータ精密化」としても
知られる)と、最小二乗差最小化アルゴリズムを実施することと、積層欠陥を同定及び定
量化することと、を含み得る。
【0154】
更なる実施形態では、ハロゲン化物材料は、少なくとも25%、少なくとも30%、
少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくと
も80%、又は少なくとも90%の積層欠陥などの、少なくとも20%の積層欠陥を有す
る結晶構造を含み得る。特定の実施形態では、原子層の積層は、完全に無秩序であり得る
。例えば、結晶構造は、100%の積層欠陥を含み得る。別の実施形態では、積層欠陥は
、多くとも95%、多くとも92%、多くとも90%、多くとも85%、多くとも80%
、多くとも75%、又は多くとも70%などの、多くとも99%であり得る。更に、結晶
構造は、本明細書に示される最小パーセンテージ及び最大パーセンテージのうちのいずれ
かを含む範囲の積層欠陥を含み得る。特定の例では、固体電解質材料は、少なくとも50
%の積層欠陥を含む結晶構造を有するハロゲン化物材料を含み得る。別の特定の例では、
固体電解質材料は、50%超かつ多くとも100%の積層欠陥を有するハロゲン化物材料
を含み得る。
【0155】
一実施形態では、ハロゲン化物材料は、錯体金属ハロゲン化物の粒子などを含む、粉
末の形態であり得る。一態様では、粉末は、少なくとも0.3ミクロン、少なくとも0.
5ミクロン、又は少なくとも1ミクロンなどの、少なくとも0.1ミクロンの平均粒径(
D50)を有し得る。別の態様では、平均粒径は、多くとも1mm、多くとも800ミク
ロン、多くとも500ミクロン、多くとも200ミクロン、多くとも100ミクロン、多
くとも50ミクロン、多くとも10ミクロン、多くとも5ミクロン、又は多くとも1ミク
ロンであり得る。特定の例では、粉末は、本明細書に示される最小値又は最大値のうちの
いずれかを含む範囲の平均粒径を有する粒子を含み得る。別の態様では、粉末は、強凝集
粒子又は弱凝集粒子を含み得る。
【0156】
更なる態様では、粒子は、電解質及び/又は電極の改善された形成及び性能を促進す
ることができる特定の形状を有し得る。例えば、粒子は、球状又は細長いものであり得る
。別の例では、粒子は、ロッド、フレーク、又は針の形状を有し得る。粒子の形状は、ハ
ロゲン化物材料のイオン伝導率における2D又は1D異方性に応じて選択することができ
る。
【0157】
別の態様では、粉末は、改善されたイオン伝導率を有する電解質及び/又は電極の形
成を促進する、長さ:幅の特定の平均アスペクト比を有する粒子を含み得る。一例では、
平均アスペクト比は、少なくとも1.2、少なくとも1.5、少なくとも2、少なくとも
2.3、少なくとも2.5、少なくとも2.8、又は少なくとも3などの、少なくとも1
であり得る。別の例では、平均アスペクト比は、多くとも30、多くとも25、多くとも
22、多くとも20、多くとも15、多くとも12、多くとも10、多くとも8、多くと
も5、又は多くとも4であり得る。更に、粒子は、本明細書に示される最小値及び最大値
のうちのいずれかを含む範囲の平均アスペクト比を有し得る。
【0158】
別の実施形態では、ハロゲン化物材料は、単結晶であり得る。ハロゲン化物材料は、
単結晶シート、単結晶フィルム、単結晶ブロック、単結晶インゴットの形態、若しくは別
の形態の単結晶、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。更なる実施形態では、ハロ
ゲン化物材料は、セラミック材料であり得る。セラミック材料は、セラミック粒子、単結
晶粒子、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0159】
別の実施形態では、ハロゲン化物材料は、より高いイオン伝導率を有する結晶学的配
向を有するように配向され得る。例えば、ハロゲン化物材料は、配向単結晶又は配向セラ
ミックであり得る。
【0160】
一実施形態では、固体電解質は、本明細書の実施形態に記載の任意の形態のハロゲン
化物材料を含み得る。特定の用途では、固体電解質材料は、ハロゲン化物材料からなり得
る。少なくとも1つの用途では、固体電解質材料は、ハロゲン化物材料に加えて別の材料
を含み得る。例えば、別の材料としては、ハロゲン化物材料とは異なる固体状態電解質材
料、電子伝導性材料、添加剤、活性電極材料、又はそれらの組み合わせを挙げることがで
きる。
【0161】
一実施形態では、複合イオン伝導性層は、固体電解質材料及び有機材料を含み得る。
有機材料としては、結合剤材料として、ポリマー電解質材料、又はそれらの組み合わせを
挙げることができる。別の例では、複合イオン伝導性層は、可塑剤、溶媒、又はそれらの
組み合わせを含み得る。例示的な有機材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(poly
tetrafluoroethylene、PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride、
PVdF)、フッ化ゴム、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンモノマー(et
hylene-propylene-diene monomer、EPDM)、スルホン化EPDM、天然ブチルゴム(
natural butyl rubber、NBR)、パラフィンワックス、ポリプロピレンカーボネート、
ポリイソブチレン、ポリビニルピロリドン、ポリメチルメタクリレート、ポリ(プロピレ
ンオキシド)、ポリ塩化ビニル、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(アクリロニトリル)
、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリ[ビス(メトキシエトキシエトキシド)-ホスファ
ゼン]、ポリエチレンカーボネート、ポリプロピレングリコール、ポリカプロラクトン、
ポリ(トリメチレンカーボネート)、水素化ニトリルブタジエンゴム、ポリ(エチレン酢
酸ビニル)、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリウレタン、又はそれらの任
意の組み合わせを挙げることができる。別の例では、複合イオン伝導性層は、リチウム塩
を含み得る。例示的なリチウム塩としては、LiSbF6、LiN(SO2CF3)2、
LiN(SO2C2F5)2、LiN(SO2CF3)(SO2C4F9)、LiC(S
O2CF3)3、LiAsF6、LiClO4、LiPF6、LiBF4、LiCF3S
O3、又はそれらの任意の組み合わせを挙げることができる。
【0162】
一実施形態では、陰極液材料は、ハロゲン化物材料を含む固体電解質材料を含み得る
。陰極液材料はまた、カソード活性材料を含み得る。カソード活性材料の一例としては、
限定されないが、Li(NiCoAl)O2及びLiCoO2などのリチウム含有遷移金
属酸化物、遷移金属フッ化物、ポリアニオン、及びフッ化ポリアニオン材料、並びに遷移
金属硫化物、遷移金属オキシフッ化物、遷移金属オキシ硫化物、遷移金属酸窒化物など、
又はそれらの任意の組み合わせを挙げることができる。特定の例では、陰極液材料は、カ
ソード活性材料の粒子を含み得、少なくとも一部の粒子が、固体電解質材料でコーティン
グされ得る。より具体的な例では、カソード活性材料の各粒子の表面の少なくとも一部分
は、固体電解質材料でコーティングされ得る。別のより具体的な例では、カソード活性材
料の粒子の大部分又は全ての表面は、固体電解質材料でコーティングされ得る。
【0163】
別の実施形態では、陽極液材料は、ハロゲン化物材料を含む固体電解質材料を含み得
る。陽極液はまた、活性材料を含み得る。例示的なアノード活性材料としては、人工グラ
ファイト、グラファイト炭素繊維、樹脂焼成炭素、熱分解気相成長炭素、コークス、メソ
カーボンマイクロビーズ(mesocarbon microbead、MCMB)、フルフリルアルコール樹
脂焼成炭素、ポリアセン、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、天然グラファイト、難
グラファイト化性炭素などの炭素材料、リチウム金属、リチウム合金などを含む金属材料
、酸化物、窒化物、スズ化合物、ケイ素化合物、又はそれらの組み合わせを挙げることが
できる。場合によっては、陽極液材料は、電子伝導性添加剤を含み得る。電子伝導性添加
剤の一例としては、炭素繊維、炭素粉末、ステンレス鋼繊維、ニッケルコーティンググラ
ファイトなど、又はそれらの任意の組み合わせを挙げることができる。特定の例では、陽
極液材料は、活性材料の粒子を含み得、少なくとも一部の粒子が、固体電解質材料でコー
ティングされ得る。より具体的な例では、活性材料の各粒子の表面の少なくとも一部分は
、固体電解質材料でコーティングされ得る。別のより具体的な例では、活性材料の粒子の
大部分又は全ての表面は、固体電解質材料でコーティングされ得る。
【0164】
更なる実施形態では、固体電解質材料は、陰極液層、陽極液層、若しくは電解質層、
又はそれらの組み合わせなどの層へと形成され得る。更なる実施形態では、層は、電気化
学デバイスの構成要素であり得る。
【0165】
別の実施形態では、電気化学デバイスの一部分などの構造は、固体電解質層、電極層
、及び固体電解質層と電極層との間に配置された中間層を含み得、中間層、電解質層、及
び電極層のうちの少なくとも1つが、固体電解質材料を含み得る。一実施形態では、電気
化学デバイスとしては、固体状態リチウム電池を挙げることができる。
図4を参照すると
、電解質層402、電極層404と電解質層402との間に配置された中間層406を含
む、例示的な固体状態電池400の断面の一部分が示されている。一例では、中間層40
6は、固体電解質材料を含み得る。特定の例では、電極層404としては、アノード層を
挙げることができ、中間層406としては、アノード層に隣接する陽極液層を挙げること
ができる。別の特定の例では、電極層404としては、カソード層を挙げることができ、
中間層406としては、カソード層に隣接する陰極液層を挙げることができる。
【0166】
中間層406は、多くとも400ミクロン、多くとも300ミクロン、多くとも20
0ミクロン、多くとも100ミクロン、又は多くとも50ミクロンなどの、多くとも50
0ミクロンの厚さを含み得る。追加的、又は代替的に、中間層は、少なくとも5ミクロン
、少なくとも8ミクロン、少なくとも10ミクロン、少なくとも12ミクロン、又は少な
くとも20ミクロンの厚さを有し得る。更に、特定の例では、中間層の厚さは、本明細書
に示される最小値及び最大値のうちのいずれかを含む範囲にあり得る。
【0167】
図7Aは、電極層を覆う、本明細書の実施形態の固体電解質材料を含む固体電解質層
704を含む、実施形態による電気化学デバイス700の一部分を含む図を含む。特に、
固体電解質材料は、Cl及びFのうちの少なくとも1つ、並びに任意選択的にBr、I、
又は両方などの別のハロゲン元素を含む、ハロゲン化物材料を含み得る。電極層としては
、カソード活性材料を含むカソード層を挙げることができ、カソード活性材料の少なくと
も一部分が、固体電解質材料と接触し得る。示されるように、電極層702と電解質層7
04とは、互いに接触している。特定の実施形態では、電圧が電気化学デバイス700に
印加されると、固体電解質層704は、1つ以上のハロゲンアニオンの濃度勾配を形成す
ることが可能であり得る。例えば、固体電解質層704は、Li
3Y(Br
uCl
1-u
)
6を含み得、式中、0<u<1であり、電圧が印加されると、Br-の濃度勾配、Cl
-の濃度勾配、又は両方を形成することができる。より具体的には、電圧下で、固体電解
質層704は、電極層702の近位に塩素欠乏領域を含み得、塩素欠乏領域が、電極層7
02から離れた固体電解質層704の領域と比較して、より低い濃度の塩素を含み得る。
ハロゲンアニオンの濃度は、アニオンの合計に対するat%又はmol%での濃度であり
得る。
【0168】
図7Bを参照すると、電気化学デバイス750は、固体電解質層704及び電極層7
02を含み得る。特定の例では、電極層702は、カソード層であり得る。示されるよう
に、電気化学デバイス750は、固体電解質層704と電極層702との間に中間層70
3を含み得、中間層703の少なくとも一部分が、カソード活性材料の少なくとも一部分
と接触し得る。示されるように、中間層703は、固体電解質層704及び電極層702
と接触し得る。特定の例では、中間層703は、固体電解質材料とは異なるリチウム-金
属ハロゲン化物材料を含み得、リチウム-金属ハロゲン化物材料が、固体電解質材料のハ
ロゲンアニオンと同じである少なくとも1つのハロゲンアニオンを含み得る。例えば、中
間層は、Li
3-x-fM
fRE
1-yMe
k
y(Cl
1-pF
p)
6-x+y*(k-
3)によって表されるリチウム-金属ハロゲン化物を含み得、式中、-1<=x<=1、
0<=y<=1、0<=p<=1/3、及び0<=f<=0.3である。特定の実施形態
では、固体電解質層は、Li
3-x-fM
fRE
1-yMe
k
y(Cl
1-pF
p)
6-
x+y*(k-3)によって表されるハロゲン化物材料を含む電解質材料を含み得、式中
、0<p<=1/3であり、中間層が、Li
1-x-fM
fRE
1-yMe
k
yF
4-x
+y*(k-3)によって表されるリチウム-金属ハロゲン化物を含み得、式中、-0.
3<=x<=0.3、0<=y<=1、0<=f<=0.3である。より具体的な例では
、固体電解質材料は、Li
3Y(Br
uCl
1-u)
6を含み得、式中、0<u<1であ
り、中間層は、Li
3(1-z)Y
(1+z)Cl
6によって表されるリチウム-金属ハ
ロゲン化物を含み得、式中、0<=z<0.3である。固体電解質材料は、酸化条件下で
経時的に中間層を安定化させるのに役立ち得る。例えば、固体電解質材料は、酸化条件下
でのハロゲンアニオンの枯渇に起因し得る、中間層の分解を低減するために、中間層の1
つ以上のハロゲンアニオンを経時的に持続させるのに役立ち得る。固体電解質層704は
、電気化学デバイスのLi
+イオン電流、カチオン電流、又は両方を維持するのに更に役
立ち得る。Li
+イオンは、固体状態電池の充電状態などの電圧下で、
図7Bに示される
ように、方向751に流れ得る。
【0169】
更なる実施形態では、中間層703は、カソード層と接触して配置される場合、改善
された酸化安定性を有し得る。特に、中間層は、Li3YBr6を含む中間層と比較して
、低減された分解を示し得る。特定の実施形態では、中間層は、酸化条件下でCl-の濃
度勾配を形成することが可能であり得、これは、中間層が電池動作下で自己パッシベーシ
ョン層として機能することを可能にし得る。より具体的には、酸化条件下では、離れた位
置でのCl-の濃度と比較してより高い濃度のCl-が、カソード層の近傍に形成され得
る。更により具体的には、Cl-の濃度は、カソード層と接触している表面から中間層の
反対側の表面への方向に低減し得る。
【0170】
特定の実施形態では、中間層703は、電気化学デバイスの改善された性能又は形成
を促進することができる特定の厚さを有するパッシベーション層であり得る。例えば、中
間層は、多くとも1ミクロン、多くとも800nm、多くとも600nm、多くとも40
0nm、多くとも300nm、多くとも200nm、多くとも100nm、多くとも80
nm、多くとも60nm、多くとも50nm、多くとも40nm、多くとも20nm、多
くとも10nm、又は多くとも8nmの厚さを含み得る。別の例では、中間層は、少なく
とも1nm、少なくとも2nm、少なくとも3nm、少なくとも4nm、少なくとも5n
m、少なくとも10nm、少なくとも20nm、又は少なくとも50nmの厚さを含み得
る。更に、中間層は、本明細書に示される最小値及び最大値のうちのいずれかを含む範囲
の厚さを含み得る。特定の例では、中間層は、少なくとも2nmかつ多くとも5nmを含
む範囲の厚さを有し得る。
【0171】
一実施形態では、中間層は、固体電解質材料からその場で形成され得る。一実施形態
では、中間層は、固体電解質材料とカソード活性材料との間の界面に形成され得る。例え
ば、中間層は、カソード活性材料の粒子と固体電解質材料の粒子との界面に形成され得、
カソード活性材料の粒子が、固体電解質材料の粒子のうちの1つ以上でコーティングされ
得る。別の例では、
図7Aを参照すると、固体電解質層704と電極層702との界面に
、固体電解質材料から中間層が形成され得る。
【0172】
更なる実施形態では、中間層を形成することは、固体電解質材料とカソード活性材料
との間の界面を含む、700などの電気化学デバイスに電圧を印加することを含み得る。
一例では、電圧としては、少なくとも3.0V、少なくとも3.6V、少なくとも4.0
V、少なくとも4.5V、又は少なくとも5.0Vの電圧を挙げることができる。別の例
では、電圧は、多くとも5.1Vであり得る。
【0173】
一実施形態では、中間層を形成することは、Cl及びFのうちの少なくとも1つを含
む固体電解質材料を部分的に分解することを含み得る。例示的な一実施態様では、固体電
解質材料は、Li3Y(BruCl1-u)6によって表されるハロゲン化物材料を含み
得る。電圧下で、カソード活性材料と接触しているLi3Y(BruCl1-u)6は、
Li3Y(BruCl1-u)6の部分的な分解を引き起こし得る電気化学反応を受け、
界面でLi3YBr6u及びLi3YCl(1-u)6の形成を生じ得る。Li3YCl
(1-u)6は、カソード活性材料と接触している薄い中間層へと形成され得る。Li3
YBr6uは、固体電解質材料Li3Y(BruCl1-u)6によって再編成され、吸
収され得る。
【0174】
図7A及び
図7Bを参照すると、電圧下での固体電解質層704の部分的分解は、中
間層703の形成を生じ得る。更に、固体電解質層704内には、Cl-及び/又はF-
欠乏領域が形成され得る。示されるように、電極層702に含まれるカソード活性材料の
近位の領域756は、カソード活性材料から離れた領域758と比較して、低い濃度のC
l-及び/又はF-を含み得る。
【0175】
本明細書の実施形態の固体電解質材料を用いる電気化学デバイスの電解質、複合イオ
ン伝導性層、アノード、カソード、陽極液、陰極液、中間層、又は別の構成要素を形成す
るために、既知の技術が使用され得る。そのような技術としては、限定されないが、キャ
スティング、成形、堆積、プリント、プレス、加熱など、又はそれらの任意の組み合わせ
が挙げられる。多層構造を形成するために、電解質、電極、陽極液、及び陰極液などの層
を別個に形成し、次いで積層して多層構造を形成することができる。代替的に、未処理の
層の積層を形成し、続いて、プレス、加熱、乾燥、又はそれらの任意の組み合わせなどの
更なる処理を行って、最終的に形成された多層構造を形成してもよい。
【0176】
特定の実施形態では、単結晶ブロック又はインゴットは、電極と電解質との密接な接
触を確実にするために、例えば、機械的プレス又は熱活性化共押出によって、カソード又
はアノード活性材料と一緒に加工され得る。
【0177】
別の特定の実施形態では、ハロゲン化物材料の単結晶ブロック及びインゴットを、ア
ノード及び/又はカソード活性材料の粒子の周りに直接成長させて、陽極液層又は陰極液
層が形成され得る。一態様では、陽極液層又は陰極液層は、アノード又はカソード活性材
料を含む含有物を含む単結晶ハロゲン化物材料を含み得る。別の態様では、陰極液層又は
陽極液層は、単結晶インゴット又はブロック内に高密度で充填されたアノード又はカソー
ド活性材料を含み得る。
【0178】
多くの異なる態様及び実施形態が可能である。これらの態様及び実施形態のいくつか
を本明細書に記載する。本明細書を読んだ後、当業者は、それらの態様及び実施形態が単
なる例示であり、本発明の範囲を限定するものではないことを理解するであろう。実施形
態は、以下に列挙される実施形態のうちのいずれか1つ以上に従うことができる。
【0179】
実施形態
実施形態1.F、Cl、Br及びIからなる群から選択される少なくとも2つのハロ
ゲン化物アニオンを含み、Li3-x-fMfRE1-yMek
y(Cl1-u-p-q
BruFpIq)6-x+y*(k-3)によって表されるハロゲン化物材料を含む、固
体電解質材料であって、式中、-1<=x<=1であり、0<=y<=1であり、0<=
u<1であり、0<=p<=1/3であり、0<=q<=1/6であり、0<(u+p+
q)<1であり、0<=f<=0.3であり、Mが、Li以外の少なくとも1つのアルカ
リ金属元素であり、REが、希土類元素であり、kが、Meの原子価であり、Meが、I
IIB族元素、IVB族元素、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、
Al、Sn、Pb、Bi、Sb、Mg、Ca、Ga、及びGeからなる群からの少なくと
も1つの元素であり、Meが、REとは異なり、ハロゲン化物材料が、ハロゲン化物材料
の総重量に対して、10重量%以下の総含有量の1つ以上の二元ハロゲン化物相と、7重
量%以下の総含有量の1つ以上のオキシハロゲン化物相と、7重量%以下の総含有量の1
つ以上の三元ハロゲン化物相と、を含む、固体電解質材料。
実施形態2.ハロゲン化物材料が、5°~13°の2シータにピークが存在しないこ
とを含む、Cu K-アルファ照射線を用いて測定したX線回折パターンを含む、実施形
態1に記載の固体電解質材料。
実施形態3.ハロゲン化物材料が、ハロゲン化物材料の総重量に対して9重量%以下
の二元ハロゲン化物相、8重量%以下、7重量%以下、6重量%以下、5重量%以下、4
重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下、又は0.5重量%以下の二元
ハロゲン化物相を含む、実施形態1又は2に記載の固体電解質材料。
実施形態4.二元相が、ハロゲン化リチウム相を含み、ハロゲン化物材料が、ハロゲ
ン化物材料の総重量に対して7重量%以下のハロゲン化リチウム相、6重量%以下、5重
量%以下、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下、又は0.5重量
%以下のハロゲン化リチウム相を含む、実施形態1~3のいずれか1つに記載の固体電解
質材料。
実施形態5.二元相が、希土類ハロゲン化物相を含み、ハロゲン化物材料が、ハロゲ
ン化物材料の総重量に対して10重量%以下の希土類ハロゲン化物相、7重量%以下、5
重量%以下、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下、又は0.5重
量%以下の希土類ハロゲン化物相を含む、実施形態1~4のいずれか1つに記載の固体電
解質材料。
実施形態6.ハロゲン化物材料が、ハロゲン化物材料の総重量に対して6重量%以下
の三元ハロゲン化物相、5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1
重量%以下、又は0.5重量%以下の三元ハロゲン化物相を含む、実施形態1~5のいず
れか1つに記載の固体電解質材料。
実施形態7.三元ハロゲン化物相が、2つのアニオンを含む三元相を含み、ハロゲン
化物材料が、ハロゲン化物材料の総重量に対して7重量%以下の2つのアニオンを含む三
元ハロゲン化物相、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下、又は0
.5重量%以下の2つのアニオンを含む三元ハロゲン化物相を含む、実施形態1~6のい
ずれか1つに記載の固体電解質材料。
実施形態8.三元相が、リチウム-希土類ハロゲン化物相を含み、ハロゲン化物材料
が、ハロゲン化物材料の総重量に対して、7重量%以下のリチウム-希土類ハロゲン化物
相、5重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下、又は0.5重量%以下
のリチウム-希土類ハロゲン化物相を含む、実施形態1~6のいずれか1つに記載の固体
電解質材料。
実施形態9.ハロゲン化物材料が、ハロゲン化物材料の総重量に対して6重量%以下
のオキシハロゲン化物相、5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、
1重量%以下、又は0.5重量%以下のオキシハロゲン化物相を含む、実施形態1~8の
いずれか1つに記載の固体電解質材料。
実施形態10.オキシハロゲン化物相が、希土類オキシハロゲン化物相を含み、ハロ
ゲン化物材料が、ハロゲン化物材料の総重量に対して7重量%以下の希土類オキシハロゲ
ン化物相、5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下、
又は0.5重量%以下の希土類オキシハロゲン化物相を含む、実施形態1~9のいずれか
1つに記載の固体電解質材料。
実施形態11.ハロゲン化物材料が、二元ハロゲン化物相、三元ハロゲン化物相、及
びオキシハロゲン化物相からなる群から選択される相のうちの少なくとも1つを含まない
、実施形態1~10のいずれか1つに記載の固体電解質材料。
実施形態12.ハロゲン化物材料が、二元ハロゲン化物相、三元ハロゲン化物相、及
びオキシハロゲン化物相を含まない、実施形態1~11のいずれか1つに記載の固体電解
質材料。
実施形態13.単相内にF、Cl、Br、及びIからなる群から選択される少なくと
も2つのハロゲン化物アニオンを含むハロゲン化物材料を含む、電解質材料であって、ハ
ロゲン化物材料が、Li3-x-fMfRE1-yMek
y(Cl1-u-p-qBru
FpIq)6-x+y*(k-3)によって表され、式中、-1<=x<=1であり、0
<=y<=1であり、0<=u<1であり、0<=p<=1/3であり、0<=q<=1
/6であり、0<(u+p+q)<1であり、0<=f<=0.3であり、Mが、Li以
外の少なくとも1つのアルカリ金属元素であり、REが、希土類元素であり、kが、Me
の価数であり、Meが、IIIB族元素、IVB族元素、V、Cr、Mn、Fe、Co、
Ni、Cu、Zn、Zr、Al、Sn、Pb、Bi、Sb、Mg、Ca、Ga、及びGe
からなる群から選択される少なくとも1つの元素であり、Meが、REとは異なる、電解
質材料。
実施形態14.ハロゲン化物材料が、単斜晶系、三方晶系、六方晶系、又は斜方晶系
の結晶構造を含む、実施形態1~13のいずれか1つに記載の固体電解質材料。
実施形態15.ハロゲン化物材料が、菱面体空間群によって表される結晶構造を含む
、実施形態14に記載の固体電解質材料。
実施形態16.結晶構造が、Li3YBr6の単位胞よりも小さい単位胞を含む、実
施形態14又は15に記載の固体電解質材料。
実施形態17.ハロゲン化物材料の粉末回折パターンのピークが、Li3YBr6の
粉末回折パターンの対応するピークと比較して、高い角度にシフトしている、実施形態1
~16のいずれか1つに記載の固体電解質材料。
実施形態18.ハロゲン化物材料が、Li3-x-fMfRE1-yMek
y(Cl
1-u-pBruFp)6-x+y*(k-3)によって表される、実施形態1~17の
いずれか1つに記載の固体電解質材料。
実施形態19.ハロゲン化物材料が、Li3-x-fMfRE1-yMek
y(Cl
1-uBru)6-x+y*(k-3)によって表される、実施形態1~18のいずれか
1つに記載の固体電解質材料。
実施形態20.ハロゲン化物材料が、Li3-x-fMfRE1-yMek
y(Cl
1-pFp)6-x+y*(k-3)によって表され、式中、0<=p<2である、実施
形態1~18のいずれか1つに記載の固体電解質材料。
実施形態21.REが、Y、Ce、Gd、Er、La、又はYbを含む、実施形態1
~20のいずれか1つに記載の固体電解質材料。
実施形態22.Meが、Y、Ce、Gd、Er、Sm、Eu、Pr、Tb、Al、Z
r、La、Yb、Mg、Zn、Sn、Mg、Ca、又はそれらの任意の組み合わせを含む
、実施形態1~21のいずれか1つに記載の固体電解質材料。
実施形態23.REが、Yからなる、実施形態1~22のいずれか1つに記載の固体
電解質材料。
実施形態24.Meが、Gd、Yb、Zr、Zn、Mg、Al、及びCaからなる群
から選択される少なくとも1つの元素である、実施形態1~23のいずれか1つに記載の
固体電解質材料。
実施形態25.Mが、Na又はKを含み、Mが、Na又はKからなる、実施形態1~
24のいずれか1つに記載の固体電解質材料。
実施形態26.式中、u>=0.1、u>=0.12、u>=0.15、u>=0.
17、u>=0.2、u>=0.23、u>=0.25、u>=0.27、u>=0.2
9、u>=0.32、又はu>=0.34である、実施形態1~19及び21~25のい
ずれか1つに記載の固体電解質材料。
実施形態27.式中、u<=0.85、u<=0.83、u<=0.8、u<=0.
77)、u<=0.75、u<=0.7、u<=0.67、u<=0.65、u<=0.
62、u<=0.6、u<=0.57、u<=0.54、u<=0.52、u<=0.4
9)、u<=0.45、u<=0.42である、実施形態1~19及び21~25のいず
れか1つに記載の固体電解質材料。
実施形態28.式中、p>=0.04、p>=0.06、p>=0.08、p>=0
.09、p>=0.10、p>=0.12、p>=0.14、p>=0.15、p>=0
.17、p>=0.2、又はp>=0.22である、実施形態1~20及び22~25の
いずれか1つに記載の固体電解質材料。
実施形態29.式中、p<=0.33、p<=0.31、p<=0.29、p<=0
.27、p<=0.25、p<=0.22、p<=0.20、p<=0.18、p<=0
.16、p<=0.14、又はp<=0.10である、実施形態1~20、22~25、
及び28のいずれか1つに記載の固体電解質材料。
実施形態30.式中、(1-u-p-q)>=0.12、(1-u-p-q)>=0
.15、(1-u-p-q)>=0.17、(1-u-p-q)>=0.20、(1-u
-p-q)>=0.23、(1-u-p-q)>=0.25、(1-u-p-q)>=0
.27、(1-u-p-q)>=0.29、(1-u-p-q)>=0.33、(1-u
-p-q)>=0.36、(1-u-p-q)>=0.43、(1-u-p-q)>=0
.48、(1-u-p-q)>=0.50、(1-u-p-q)>=0.54、又は(1
-u-p-q)>=0.58である、実施形態1~29のいずれか1つに記載の固体電解
質材料。
実施形態31.式中、(1-u-p-q)<=0.97、(1-u-p-q)<=0
.92、(1-u-p-q)<=0.87、(1-u-p-q)<=0.83、(1-u
-p-q)<=0.80、(1-u-p-q)<=0.77、(1-u-p-q)<=0
.75、(1-u-p-q)<=0.70、又は(1-u-p-q)<=0.66である
、実施形態1~30のいずれか1つに記載の固体電解質材料。
実施形態32.(1-u-p-q)/uの比が、少なくとも0.03、少なくとも0
.06、少なくとも0.1、少なくとも0.2、少なくとも0.3、少なくとも0.4、
少なくとも0.5、少なくとも0.6、少なくとも0.7、少なくとも0.8、少なくと
も0.9、少なくとも1.0、少なくとも1.2、少なくとも1.3、少なくとも1.4
、少なくとも1.5、少なくとも1.6、少なくとも1.7、少なくとも1.8、少なく
とも1.9、又は少なくとも2.0である、実施形態1~19及び21~31のいずれか
1つに記載の固体電解質材料。
実施形態33.(1-u-p-q)/uの比が、15以下、11以下、10以下、9
以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下、又は1.4以下であ
る、実施形態1~19及び21~32のいずれか1つに記載の固体電解質材料。
実施形態34.ハロゲン化物材料が、Li3-xRE1-yMek
y(Cl1-uB
ru)6-x+y*(k-3)によって表され、式中、0.08<=u<=0.67であ
る、実施形態1~19及び21~33のいずれか1つに記載の固体電解質材料。
実施形態35.ハロゲン化物材料が、Li3-xY(Cl1-uBru)6によって
表される、実施形態34に記載の固体電解質材料。
実施形態36.式中、u>=0.55又はu<=0.45である、実施形態34又は
35に記載の固体電解質材料。
実施形態37.式中、0.2<=u<=0.45である、実施形態34~36のいず
れか1つに記載の固体電解質材料。
実施形態38.式中、u<0.33である、実施形態34~37のいずれか1つに記
載の固体電解質材料。
実施形態39.ハロゲン化物材料が、13°~15°の範囲の2シータに少なくとも
2つのピークを含む、Cu K-アルファ放射線で測定したX線回折パターンを含む、実
施形態1~38のいずれか1つに記載の固体電解質材料。
実施形態40.ハロゲン化物材料が、少なくとも20nm、少なくとも25nm、少
なくとも30nm、少なくとも35nm、又は少なくとも40nmの平均回折結晶子サイ
ズを含む、実施形態1~39のいずれか1つに記載の固体電解質材料。
実施形態41.ハロゲン化物材料が、多くとも500nm、多くとも400nm、多
くとも300nm、多くとも200nm、又は多くとも100nmの平均回折結晶子サイ
ズを含む、実施形態1~40のいずれか1つに記載の固体電解質材料。
実施形態42.ハロゲン化物材料が、少なくとも2.3g/cm3、少なくとも2.
5g/cm3、少なくとも2.7g/cm3、少なくとも2.9g/cm3、少なくとも
3.1g/cm3、少なくとも3.3g/cm3、又は少なくとも3.5g/cm3の密
度を含む、実施形態1~41のいずれか1つに記載の固体電解質材料。
実施形態43.ハロゲン化物材料が、3.8g/cm3以下、3.5g/cm3以下
、3.4g/cm3以下、3.3g/cm3以下、又は3.1g/cm3以下の密度を含
む、実施形態1~42のいずれか1つに記載の固体電解質材料。
実施形態44.ハロゲン化物材料が、3.57V超、少なくとも3.60V、少なく
とも3.62V、3.65V、又は少なくとも3.71Vの熱力学的電気化学的安定性値
を含む、実施形態1~43のいずれか1つに記載の固体電解質材料。
実施形態45.ハロゲン化物材料が、4.30V以下、4.19V以下、4.15V
以下、4.10V以下、3.85V以下、3.80V以下、3.75V以下、又は3.7
1V以下の熱力学的電気化学的安定性値を含む、実施形態1~44のいずれか1つに記載
の固体電解質材料。
実施形態46.ハロゲン化物材料が、Li3YBr6と比較して、改善された電気化
学的安定性を含む、実施形態1~45のいずれか1つに記載の固体電解質材料。
実施形態47.ハロゲン化物材料が、0.15mS/cm超、少なくとも0.3mS
/cm、少なくとも0.5mS/cm、少なくとも0.8mS/cm、少なくとも0.9
mS/cm、少なくとも1.1mS/cm、少なくとも1.5mS/cm、又は少なくと
も1.7mS/cmの22℃で測定したイオン伝導率を含む、実施形態1~45のいずれ
か1つに記載の固体電解質材料。
実施形態48.ハロゲン化物材料が、2.0mS/cm未満、多くとも1.9mS/
cm、多くとも1.8mS/cm、又は多くとも1.7mS/cmの22℃で測定したイ
オン伝導率を含む、実施形態1~45のいずれか1つに記載の固体電解質材料。
実施形態49.実施形態1~48のいずれか1つに記載の固体電解質材料を含む、陰
極液材料。
実施形態50.カソード活性材料の粒子を含み、粒子の少なくとも一部が、固体電解
質材料でコーティングされている、実施形態49に記載の陰極液材料。
実施形態51.実施形態1~48のいずれか1つに記載の固体電解質材料を含む、陽
極液材料。
実施形態52.アノード活性材料の粒子を含み、粒子の少なくとも一部が、固体電解
質材料でコーティングされている、実施形態51に記載の陽極液材料。
実施形態53.実施形態1~48のいずれか1つに記載の固体電解質材料を含む層で
あって、層が、陰極液層、陽極液層、電解質層、又はそれらの組み合わせを含む、層。
実施形態54.実施形態49又は50に記載の陰極液材料を含む、陰極液層。
実施形態55.実施形態51又は52に記載の陽極液材料を含む、陽極液層。
実施形態56.実施形態1~48のいずれか1つに記載の固体電解材料を含む固体電
解質層であって、ハロゲン化物材料が、Cl及びFのうちの少なくとも1つを含む、固体
電解質層と、固体電解質材料と接触しているカソード活性材料を含む電極層と、を備え、
固体電解質層が、酸化条件下で、電極層の近位に塩素欠乏領域又はフッ素欠乏領域を形成
することが可能であり、塩素欠乏領域又はフッ素欠乏領域が、電極層の遠位にある固体電
解質層の領域と比較して、より低い濃度の塩素又はフッ素をそれぞれ含む、電気化学デバ
イス。
実施形態57.実施形態1~48のいずれか1つに記載の固体電解質材料を含む固体
電解質層と、カソード活性材料を含む電極層と、固体電極層とカソード活性材料との間の
中間層と、を備える、電気化学デバイス。
実施形態58.中間層が、電極層に隣接する陰極液層を含む、実施形態57に記載の
電気化学デバイス。
実施形態59.中間層が、Li3-x-fMfRE1-yMek y(Cl1-pF
p)6-x+y*(k-3)によって表されるリチウム-金属ハロゲン化物を含み、式中
、-1<=x<=1、0<=y<=1、0<=p<=1/3、及び0<=f<=0.3で
ある、実施形態57に記載の電気化学デバイス。
実施形態60.固体電解質層が、Li3-x-fMfRE1-yMek
y(Cl1-
pFp)6-x+y*(k-3)によって表されるハロゲン化物材料を含む電解質材料を
含み、式中、0<p<=1/3であり、中間層が、Li1-x-fMfRE1-yMek
yF4-x+y*(k-3)によって表されるリチウム-金属ハロゲン化物を含み、式中
、-0.3<=x<=0.3、0<=y<=1、0<=f<=0.3である、実施形態5
7に記載の電気化学デバイス。
実施形態61.固体電解質層が、Li3Y(BruCl1-u)6によって表される
ハロゲン化物材料を含む電解質材料を含み、式中、0<u<1であり、中間層が、Li3
(1-z)Y(1+z)Cl6によって表されるリチウム-金属ハロゲン化物を含み、式
中、0<=z<0.3である、実施形態57に記載の電気化学デバイス。
実施形態62.中間層が、多くとも1ミクロン、多くとも800nm、多くとも60
0nm、多くとも400nm、多くとも300nm、多くとも200nm、多くとも10
0nm、多くとも80nm、多くとも60nm、多くとも50nm、多くとも40nm、
多くとも20nm、多くとも10nm、又は多くとも8nmの厚さを含む、実施形態57
及び59~61のいずれか1つに記載の電気化学デバイス。
実施形態63.中間層が、少なくとも1nm、少なくとも2nm、少なくとも3nm
、少なくとも4nm、少なくとも5nm、少なくとも10nm、少なくとも20nm、又
は少なくとも50nmの厚さを含む、実施形態57及び59~62のいずれか1つに記載
の電気化学デバイス。
実施形態64.中間層が、パッシベーション層である、実施形態57及び59~63
のいずれか1つに記載の電気化学デバイス。
実施形態65.電気化学デバイスのための中間層を形成する方法であって、電気化学
デバイスに電圧を印加することであって、電気化学デバイスが、実施形態1~48のいず
れか1つに記載の固体電解質材料とカソード活性材料との間に界面を含む、印加すること
と、カソード活性材料と接触している中間層を形成することであって、中間層が、固体電
解質材料とは異なるリチウム-金属ハロゲン化物材料を含み、中間層が、その場で形成さ
れる、形成することと、を含む、方法。
実施形態66.リチウム-金属ハロゲン化物材料が、固体電解質材料の部分的分解に
よって形成され、固体電解質材料が、Cl及びFのうちの少なくとも1つを含むハロゲン
化物材料を含む、実施形態65に記載の方法。
実施形態67.電気化学デバイスが、固体電解質材料を含む固体電解質層を備え、方
法が、固体電解質層内にCl-又はF-欠乏領域を形成することを更に含み、Cl-又は
F-欠乏領域が、中間層の近位にあり、中間層から離れた固体電解質層内の領域と比較し
て、より低い濃度のCl-又はF-をそれぞれ含む、実施形態65又は66に記載の方法
。
実施形態68.電圧が、少なくとも3.0V、少なくとも3.6V、少なくとも4.
0V、少なくとも4.5V、少なくとも5.0Vの電圧を含む、実施形態65~67のい
ずれか1つに記載の方法。
実施形態69.中間層が、Li3-x-fMfRE1-yMek
y(Cl1-pFp
)6-x+y*(k-3)によって表されるリチウム-金属ハロゲン化物を含み、式中、
-1<=x<=1、0<=y<=1、0<=p<=1/3、及び0<=f<=0.3であ
る、実施形態65~68のいずれか1つに記載の方法。
実施形態70.電解質材料が、Li3-x-fMfRE1-yMek
y(Cl1-p
Fp)6-x+y*(k-3)によって表されるハロゲン化物材料を含み、式中、0<p
<=1/3であり、中間層が、Li1-x-fMfRE1-yMek
yF4-x+y*(
k-3)によって表されるリチウム-金属ハロゲン化物を含み、式中、-0.3<=x<
=0.3、0<=y<=1、0<=f<=0.3である、実施形態65~69のいずれか
1つに記載の方法。
実施形態71.電解質材料が、Li3Y(BruCl1-u)6によって表されるハ
ロゲン化物材料を含み、式中、0<u<1であり、中間層が、Li3(1-z)Y(1+
z)Cl6によって表されるリチウム-金属ハロゲン化物を含み、式中、0<=z<0.
3である、実施形態65~70のいずれか1つに記載の方法。
実施形態72.中間層が、多くとも1ミクロン、多くとも800nm、多くとも60
0nm、多くとも400nm、多くとも300nm、多くとも200nm、多くとも10
0nm、多くとも80nm、多くとも60nm、多くとも50nm、多くとも40nm、
多くとも20nm、多くとも10nm、又は多くとも8nmの厚さを含む、実施形態65
~71のいずれか1つに記載の方法。
実施形態73.中間層が、少なくとも1nm、少なくとも2nm、少なくとも3nm
、少なくとも4nm、少なくとも5nm、少なくとも10nm、少なくとも20nm、又
は少なくとも50nmの厚さを含む、実施形態65~72のいずれか1つに記載の方法。
実施形態74.固体電解質材料を形成する方法であって、F、Cl、Br、及びIか
らなる群から選択される少なくとも2つのハロゲン化物アニオンを含むハロゲン化物材料
の固溶体を形成することを含み、ハロゲン化物材料が、Li3-x-fMfRE1-yM
ek
y(Cl1-u-p-qBruFpIq)6-x+y*(k-3)によって表され、
式中、-1<=x<=1であり、0<=y<=1であり、0<=u<1であり、0<=p
<=1/3であり、0<=q<=1/6であり、0<=(u+p+q)<1であり、0<
=f<=0.3であり、Mが、Li以外の少なくとも1つのアルカリ金属元素であり、R
Eが、希土類元素であり、kが、Meの価数であり、Meが、IIIB族元素、IVB族
元素、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Al、Sn、Pb、Bi
、Sb、Mg、Ca、Ga、及びGeからなる群からの少なくとも1つの元素であり、M
eが、REとは異なる、方法。
実施形態75.アンモニウム含有金属ハロゲン化物材料を形成することを更に含む、
実施形態74に記載の方法。
実施形態76.(NH4)zRE1-yMek
y(Cl1-u-p-qBruFpI
q)3+z+y*(k-3)、(NH4)zRE1-yMek
y(Cl1-uBru)3
+z+y*(k-3)、(NH4)zRE1-yMek
y(Cl1-pFp)3+z+y
*(k-3)、(NH4)zRE1-yMek
y(Cl)3+z+y*(k-3)、(N
H4)zRE1-yMek
y(Br)3+z+y*(k-3)、(NH4)zRE1-y
Mek
y(I)3+z+y*(k-3)、又はそれらの組み合わせを形成することを更に
含み、式中、0.33<=z<=5である、実施形態74又は75に記載の方法。
実施形態77.アンモニウム含有金属ハロゲン化物を形成することが、F、Cl、B
r、及びIからなる群から選択される少なくとも2つのハロゲン元素間の所定の比を用い
て、単一ステップで実施される、実施形態75又は76に記載の方法。
実施形態78.アンモニウム含有金属ハロゲン化物材料を形成することが、液体媒体
中で行われる、実施形態75~77のいずれか1つに記載の方法。
実施形態79.アンモニウム含有金属ハロゲン化物材料を形成することが、最大25
0℃の温度で行われる、実施形態75~78のいずれか1つに記載の方法。
実施形態80.温度が、少なくとも20℃、少なくとも40℃、少なくとも50℃、
少なくとも70℃、少なくとも90℃、少なくとも110℃、又は少なくとも140℃で
ある、実施形態79に記載の方法。
実施形態81.温度が、200℃以下、180℃以下、160℃以下、又は140℃
以下である、実施形態79又は80に記載の方法。
実施形態82.液体媒体が、酸性溶液を含む、実施形態78~81のいずれか1つに
記載の方法。
実施形態83.液体媒体が、塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、ヨウ化水素酸、又は
それらの任意の組み合わせを含む酸を含む、実施形態78~82のいずれか1つに記載の
方法。
実施形態84.アンモニウム含有金属ハロゲン化物材料のハロゲン化アンモニウム及
びリチウム含有金属ハロゲン化物への部分的な又は完全な熱分解を更に含む、実施形態7
5~83のいずれか1つに記載の方法。
実施形態85.ハロゲン化アンモニウム及びリチウム含有金属ハロゲン化物の完全な
又は部分的な分離を更に含む、実施形態84に記載の方法。
実施形態86.ハロゲン化物材料が、少なくとも20%の積層欠陥、少なくとも30
%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少な
くとも80%、又は少なくとも90%の積層欠陥を含む結晶構造を含む、実施形態1~4
8のいずれか1つに記載の固体電解質材料。
実施形態87.ハロゲン化物材料が、MexNk、MxN、又はそれらの組み合わせ
を含む電荷中性金属窒化物を含み、式中、xが、Nの原子価であり、kが、Meの原子価
であり、電荷中性金属窒化物の総含有量が、ハロゲン化物材料の重量に対して多くとも0
.3重量%である、実施形態1~48及び86のいずれか1つに記載の固体電解質材料。
実施形態88.LiaMa’MebMe’b’XcX’c’によって表されるハロゲ
ン化物材料を含む、固体電解質材料であって、
ハロゲン化物材料が、
(b/(b+b’))t
*0.84<b/(b+b’)<(b/(b+b’))t
*1.16(式中、(b/(b+b’))tが、22℃の温度での結晶学的相図上の結晶
学的相転移境界に対応する)、
(c/(c+c’))t
*0.84<c/(c+c’)<(c/(c+c’))t
*1.16(式中、(c/(c+c’))tが、22℃の温度での結晶学的相図上の結晶
学的相転移に対応する)、又は
(a/(a+a’))t
*0.84<a/(a+a’)<(a/(a+a’))t
*1.16(式中、(a/(a+a’))tが、22℃の温度での結晶学的相図上の結晶
学的相転移に対応する)、の化学量論範囲内の結晶学的相転移を有し、
式中、
Meが、IIIB族元素、IVB族元素、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、C
u、Zn、Zr、Al、In、Sn、Pb、Bi、Sb、Mg、Ca、Ga、及びGeか
らなる群からの少なくとも1つの元素であり、
Me’が、Me以外の、IIIB族元素、IVB族元素、V、Cr、Mn、Fe、
Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Al、In、Sn、Pb、Bi、Sb、Mg、Ca、G
a、及びGeからなる群からの少なくとも1つの元素であり、
b>=b’であり、c>=c’であり、a>=a’であり、
Xが、X’以外の少なくとも1つのハロゲンであり、
X’が、少なくとも1つのハロゲンであり、
Mが、Li以外の少なくとも1つのアルカリ金属元素であり、
ハロゲン化物材料が、ハロゲン化物材料の総重量に対して、
10重量%以下の総含有量の1つ以上の二元ハロゲン化物相と、
7重量%以下の総含有量の1つ以上のオキシハロゲン化物相と、
7重量%以下の総含有量の1つ以上の三元ハロゲン化物相と、を含む、固体電解質
材料。
実施形態89.LiaMaMebMe’b’XcX’c’によって表されるハロゲン
化物材料を含む、固体電解質材料であって、
ハロゲン化物材料が、
(b/(b+b’))t
*0.84<b/(b+b’)<(b/(b+b’))t
*1.16(式中、(b/(b+b’))tが、20℃~25℃の温度での結晶学的相図
上の結晶学的相転移に対応する)、
(c/(c+c’))t
*0.84<c/(c+c’)<(c/(c+c’))t
*1.16(式中、(c/(c+c’))tが、20℃~25℃の温度での結晶学的相図
上の結晶学的相転移に対応する)、又は
(a/(a+a’))t
*0.84<a/(a+a’)<(a/(a+a’))t
*1.16(式中、(a/(a+a’))tが、20℃~25℃の温度での結晶学的相図
上の結晶学的相転移に対応する)、の化学量論範囲内の結晶学的相転移を有し、
式中、
Meが、IIIB族元素、IVB族元素、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、C
u、Zn、Zr、Al、In、Sn、Pb、Bi、Sb、Mg、Ca、Ga、及びGeか
らなる群からの最小1つの元素であり、
Me’が、Me以外の、IIIB族元素、IVB族元素、V、Cr、Mn、Fe、
Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Al、In、Sn、Pb、Bi、Sb、Mg、Ca、G
a、及びGeからなる群からの少なくとも1つの元素であり、
b>=b’であり、c>=c’であり、a>=a’であり、Xが、X’以外の少な
くとも1つのハロゲンであり、
X’が、ハロゲンであり、
Mが、Li以外の少なくとも1つのアルカリ金属元素であり、
ハロゲン化物材料のアニオンが、単相内にある、固体電解質材料。
実施形態90.ハロゲン化物材料が、5°~13°の2シータにピークが存在しない
ことを含む、Cu K-アルファ照射線を用いて測定したX線回折パターンを含む、実施
形態88又は89に記載の固体電解質材料。
実施形態91.ハロゲン化物材料が、単斜晶系、三方晶系、六方晶系、又は斜方晶系
の結晶構造を含む、実施形態88~90のいずれか1つに記載の固体電解質材料。
実施形態92.結晶学的相転移が、層状結晶構造から非層状結晶構造への転移を含む
、実施形態88~91のいずれか1つに記載の固体電解質材料。
実施形態93.結晶学的相転移が、立方最密充填構造から六方最密充填構造への転移
を含む、実施形態88~92のいずれか1つに記載の固体電解質材料。
実施形態94.結晶学的相転移が、C2/m空間群又はR-3m空間群からP-3m
1又はPnma空間群への転移を含む、実施形態88~93のいずれか1つに記載の固体
電解質材料。
実施形態95.結晶学的相転移が、非層状結晶構造から別の非層状結晶構造又は層状
結晶構造への転移を含む、実施形態88~93のいずれか1つに記載の固体電解質材料。
実施形態96.結晶学的相転移が、R3cからR3mへの転移を含む、実施形態88
~91及び95のいずれか1つに記載の固体電解質材料。
実施形態97.結晶学的相転移が、P-3m1又はPnma空間群からC2/m空間
群又はR-3m空間群への転移を含む、実施形態88~91及び95~96のいずれか1
つに記載の固体電解質材料。
実施形態98.Meが、少なくとも1つの希土類元素である、実施形態88~97の
いずれか1つに記載の固体電解質材料。
実施形態99.Me’が、希土類元素、In、Zr、及びFeのうちの少なくとも1
つの元素である、実施形態88~98のいずれか1つに記載の固体電解質材料。
実施形態100.Mが、Na、K、及びCsのうちの少なくとも1つの元素である、
実施形態88~99のいずれか1つに記載の固体電解質材料。
実施形態101.Xが、Cl及びBrのうちの少なくとも1つの元素である、実施形
態88~100のいずれか1つに記載の固体電解質材料。
実施形態102.X’が、Br及びFのうちの少なくとも1つの元素である、実施形
態88~101のいずれか1つに記載の固体電解質材料。
実施形態103.ハロゲン化物材料が、Lia-fMa’REbMe’k
b’(Cl
cBrc’)6-f+(k-3)*b’によって表され、式中、
a+a’=3であり、
-1≦f≦1であり、
c+c’=1であり、
b+b’=1である、実施形態88~102のいずれか1つに記載の固体電解質材料
。
実施形態104.ハロゲン化物材料が、Li3-fREbMe’k
b’(ClcBr
c’)6-f+(k-3)*b’によって表され、式中、
-1≦f≦1であり、
c+c’=1であり、
b+b’=1である、実施形態88~102のいずれか1つに記載の固体電解質材料
。
実施形態105.式中、b>0、b’>0、及び0.65≦c/(c+c’)≦0.
95である、実施形態104に記載の固体電解質材料。
実施形態106.REが、Yを含み、Me’が、In、Yb、又はZrを含む、実施
形態104又は105に記載の固体電解質材料。
実施形態107.Me’が、Ybであり、0.65≦c/(c+c’)≦0.89で
ある、実施形態104~106のいずれか1つに記載の固体電解質材料。
実施形態108.Me’が、Inであり、0.69≦c/(c+c’)≦0.95で
ある、実施形態104~106のいずれか1つに記載の固体電解質材料。
実施形態109.ハロゲン化物材料が、Li3YbYbb’(ClcBrc’)6に
よって表され、式中、0.65≦c/(c+c’)≦0.89である、実施形態104~
106のいずれか1つに記載の固体電解質材料。
実施形態110.ハロゲン化物材料が、Li3YbInb’(ClcBrc’)6に
よって表され、式中、0.69≦c/(c+c’)≦0.95である、実施形態104~
106及び108のいずれか1つに記載の固体電解質材料。
実施形態111.Me’が、Zrであり、0.72≦c/(c+c’)≦0.98で
ある、実施形態104~106のいずれか1つに記載の固体電解質材料。
実施形態112.ハロゲン化物材料が、Li3-b’YbZrb’(ClcBrc’
)6によって表され、式中、0.72≦c/(c+c’)≦0.98である、実施形態1
04~106のいずれか1つに記載の固体電解質材料。
実施形態113.ハロゲン化物材料が、Li3-fRE(ClcBrc’)6-fに
よって表され、式中、
0<=f<=0.3であり、
c+c’=1であり、
0.63≦c/(c+c’)≦0.87である、実施形態88~104のいずれか1
つに記載の固体電解質材料。
実施形態114.REとしては、Yが挙げられる、実施形態113に記載の固体電解
質材料。
実施形態115.REが、Yからなり、0.65≦c/(c+c’)≦0.87、又
は0.66≦c/(c+c’)≦0.85、又は0.67≦c/(c+c’)≦0.83
である、実施形態113又は114に記載の固体電解質材料。
実施形態116.ハロゲン化物材料が、Li3-fREbMe’k
b’X6-f+(
k-3)*b’によって表され、式中、
0<=f<=0.3であり、
b+b’=1である、実施形態88~104のいずれか1つに記載の固体電解質材料
。
実施形態117.式中、0.67≦b/(b+b’)≦0.93である、実施形態1
16に記載の固体電解質材料。
実施形態118.REが、Yを含み、Me’が、Inを含み、Xが、Clを含む、実
施形態116又は117に記載の固体電解質材料。
実施形態119.ハロゲン化物材料が、Li3-fREbInb’X6-fによって
表され、式中、0.67≦b/(b+b’)≦0.93である、実施形態116~118
のいずれか1つに記載の固体電解質材料。
実施形態120.ハロゲン化物材料が、Li3YbInb’X6によって表される、
実施形態118に記載の固体電解質材料、
実施形態121.ハロゲン化物材料が、Li3-fREbInb’X6-fによって
表される、実施形態116~117のいずれか1つに記載の固体電解質材料。
実施形態122.ハロゲン化物材料が、LiaMa’REX6によって表され、式中
、
a>a’>0であり、
a+a’=3であり、
0.942≦a/(a+a’)≦0.958である、実施形態88~103のいずれ
か1つに記載の固体電解質材料。
実施形態123.Mが、Naを含む、実施形態122に記載の固体電解質材料。
実施形態124.REが、Yを含む、実施形態122又は123に記載の固体電解質
材料。
実施形態125.Xが、Clを含む、実施形態122~124のいずれか1つに記載
の固体電解質材料。
実施形態126.ハロゲン化物材料が、LiaNaa’YCl6によって表される、
実施形態122~124のいずれか1つに記載の固体電解質材料。
実施形態127.ハロゲン化物材料が、13°~15°の範囲の2シータに少なくと
も2つのピークを含む、Cu K-アルファ放射線で測定したX線回折パターンを含み、
ハロゲン化物材料が、(c/(c+c’))t*0.84<c/(c+c’)<(c/(
c+c’))t*1.16の化学量論範囲内の結晶学的相転移を有する場合、c/(c+
c’)<0.75である場合、(c/(c+c’))tが、20℃~25℃の温度での結
晶学的相図上の結晶学的相転移に対応する、実施形態88~126のいずれか1つに記載
の固体電解質材料。
【実施例0180】
実施例1
本明細書の実施形態に従って、(NH4)3Li3YBr6及び(NH4)3Li3
YCl6から固溶体を形成することによって、試料1~8を合成した。試料の組成及び特
性を表1に示す。
【0181】
室温(およそ22℃)で、3MHz~10HzのAC周波数及び10~50mVのピ
ークツーピーク正弦波AC電圧信号の条件下で、金ブロッキング電極を用いる電気化学イ
ンピーダンス分光方法を使用して、試料のイオン伝導率を決定した。
【0182】
バルク結晶粒のイオン伝導率が表1に含まれる。バルク結晶粒の伝導率特徴は、最も
高い周波数で現れ、二重層キャパシタンスの最も低い値に関連するので、バルク結晶粒か
らの伝導率の寄与を、結晶粒界及び電極接触から分離することができた。
【0183】
【0184】
実施例2
以下の試料を形成した。試料9は、In/Li箔の対電極、実施例1に記載のものと
同様の様式で形成したLi
3YBr
2Cl
4の固溶体で作製したセパレータ、並びにLi
3YBr
2Cl
4及び炭素粉末の混合物で作製した作用電極を含む。試料10は、試料9
と同様であるが、セパレータをLi
3YBr
6で作製したことのみが異なる。第1の充電
/酸化サイクルでの試料9及び10のサイクリックボルタンメトリーV-A図が
図5に含
まれ、第2の充電/酸化サイクルでのサイクリックボルタンメトリーV-A図が
図6に含
まれる。走査速度は、0.5mV/sであり、セル面積は、0.5cm
2であった。
【0185】
試料9は、試料10と比較して、1回目及び2回目のバッテリ充電のプロセス中にバ
イアスが電気化学的安定性臨界値を超えたときに、顕著に遅い酸化分解を示した。特に、
第1の充電サイクルにおいて、試料10で観察された酸化ピークが280μAを超える電
流を有したときに、試料9は、40μA未満の酸化電流を示した。更に、
図6に示される
第2の充電サイクル/酸化において、試料9は、中程度のバイアスで分解がないことを示
したが、試料10は、依然として分解を示した。
【0186】
実施例3
代表的なハロゲン化物材料試料は、本明細書の実施形態に記載の加速冷却を伴うプロ
セスを使用して形成した。簡単に述べると、アンモニウム含有LYB及びアンモニウム含
有LYCを別個の溶液中で形成し、その後、それらを合わせ、120℃で乾燥させた。反
応混合物を550℃まで加熱することによって、固相反応及びアンモニウムの昇華を並行
して実施した。冷却速度は、およそ100℃であった。単相LYBC試料、LYBC-1
9、LYBC-41、LYBC-62、LYBC-67、LYBC-79、及びLYBC
-91を形成した。単相LYB及びLYCを、アンモニウムの存在下で形成した。本明細
書の実施形態に記載されるように、試料のイオン伝導率を測定した。表2に示されるよう
に、試料LYBC-62、LYBC-67、及びLYBC-79は、LYBと比較して予
想外に高いイオン伝導率を示した。
【0187】
【0188】
図9Aは、試料LYBC-79の粉末XRDパターン及びLYCの参照XRDパター
ンを含む。2つの材料は、LYBC-79と同型構造であり、LYCと比較して、ピーク
が左にシフトすることによって示唆される格子パラメータの拡がりを示した。
【0189】
図9Bは、粉末XRDパターン試料LYBC-67及びLYBの参照XRDパターン
を含む。2つの材料は、LYBC-67と同型構造であり、LYBと比較して、ピークが
右にシフトすることによって示唆される格子パラメータ収縮を示した。
【0190】
実施例4
代表的なハロゲン化物材料を、実施例10に記載したものと同じ様式で形成した。結
晶学的相転移境界(MPB)におけるバンド、及びハロゲン化物材料試料が改善されたイ
オン伝導率を有することを可能にし得る相転移範囲が、表3~5に含まれる。
【0191】
【0192】
【0193】
【0194】
実施例12
以下の試料を形成し、試料の電解質の電気化学的安定性について試験した。セル60
は、In/Li箔のアノード、実施例10に記載のものと同様の様式で形成したLi3Y
(Cl0.8Br0.2)6の単相固溶体で作製した電解質、並びにLi3Y(Cl0.
8Br0.2)6及び炭素粉末の混合物で作製したカソードを含む。セル74は、Li3
Y(Cl0.8Br0.2)6を、実施例10に記載のものと同様の様式で形成した単相
のLi3Y(Cl0.65Br0.35)6で置き換えたことを除いて、セル60と同様
である。セル69は、試料セル69を形成するために、Li3Y(Cl0.8Br0.2
)6をLi3YBr6で置き換えたことを除いて、セル60と同様である。
【0195】
図11A及び
図11Bは、サイクリックボルタンメトリー(Cyclic Voltammetry、C
V)方法による電解質の電気化学的安定性の試験結果の図を含む。
図11Aは、セル試料
の最初の充電及び放電サイクルの走査を含む。電圧は、試験した試料のLi-Inアノー
ドに対して参照する。示されるように、電圧が2.9Vを超えると、セル69の電解質(
Li
3YBr
6)が分解し始め、これは、測定における比較的高い電流を特徴とし、これ
は、Li
3YBr
6電解質が試験電圧で限定的な電気化学的安定性を有することを示唆し
ている。セル60のLi
3Y(Cl
0.8Br
0.2)
6及びセル74のLi
3Y(Cl
0.65Br
0.35)
6は、同じ電圧でのセル69と比較して、有意に低い電流を示し
、Li
3YBr
6を上回る、Li
3Y(Cl
0.8Br
0.2)
6及びLi
3Y(Cl
0
.65Br
0.35)
6の顕著に改善された電気化学的安定性を示唆している。Li
3Y
(Cl
0.65Br
0.35)
6の分解は、Li
3YBr
6と比較して同様の電圧で開始
するように思われるが、電流によって特徴付けられるように、Li
3Y(Cl
0.65B
r
0.35)
6の分解の動態は、Li
3YBr
6よりも顕著に低い。Li
3Y(Cl
0.
8Br
0.2)
6の分解は、Li
3Y(Cl
0.65Br
0.35)
6及びLi
3YBr
6と比較して、高い電圧で開始し、分解の動態はまた、Li
3Y(Cl
0.65Br
0.
35)
6及びLi
3YBr
6よりも顕著に低い。いかなる理論にも束縛されることを望ま
ないが、Li
3Y(Cl
0.8Br
0.2)
6及びLi
3Y(Cl
0.65Br
0.35
)
6の改善された安定性は、カソード上の薄いパッシベーションCl-リッチ層の形成の
効果に起因し得る。
【0196】
図11Bに示されるように、Li
3Y(Cl
0.8Br
0.2)
6は、電圧が3.2
Vを超えると分解し始め、Li
3Y(Cl
0.65Br
0.35)
6よりも良好な電気化
学的安定性を示す。Li
3Y(Cl
0.8Br
0.2)
6の改善された電気化学的安定性
は、特に、層状結晶構造を有するLi
3Y(Cl
0.65Br
0.35)
6,と比較して
、Li
3Y(Cl
0.8Br
0.2)
6のより高いCl/Br比及び非層状結晶構造を考
慮すると、予想外である。
【0197】
Li-Inアノードに対する最先端のカソードである、NMCカソードの3.7Vの
動作電圧が
図11Bに示されており、これは、Li/Li+アノードに対する4.3Vに
対応する。Li
3Y(Cl
0.8Br
0.2)
6は、NMCカソードの動作電圧でのより
低い電流を特徴とする、改善された分解動態によって示唆されるように、優れた電気化学
的安定性を有することが観察され得る。
【0198】
実施例13
以下のように、試料CS13を合成した。目標とする式は、Li3YCl3Br3で
あった。28.23gのY2O3、176.52gのNH4Cl、及び65.13gのL
iBrを、Y2O3、NH4Cl、及びLiBr間のモル比が、Y2O3:NH4Cl:
LiBr=1:13.2:6であるように秤量した(すなわち、化学量論比に基づく所定
量よりも10mol%多くなるように、Y2O3の量に対してNH4Clの量が過剰に多
くなるように秤量した)。原料を秤量し、粉砕し、-80℃以下の露点を有する窒素雰囲
気中で、石英るつぼ内で微粉末を混合した。24時間前にN2によって換気した炉内で合
成を行った。時間当たり50℃のランプ速度で200℃までるつぼを加熱し、15時間保
持し、次いで窒素雰囲気中で時間当たり50℃で496℃まで昇温し、1時間保持した。
るつぼを室温、およそ25℃まで冷却し、その後、およそ時間当たりおよそ100℃のラ
ンプ速度で冷却した。るつぼの内側に配置した熱電対を使用することによって、温度を監
視した。合成した材料を含むるつぼを保護し、水分を含まない条件(露点-80℃)のグ
ローブボックス内に配置して、合成されたブロックをるつぼから取り出した。合成された
ブロックの上部表面上の有機残留物を除去した。得られたブロックを、N2雰囲気下のグ
ローブボックス内で粉末へと粉砕した。
【0199】
乾燥条件下で、試料CS13のミル粉砕した粉末のXRD分析を実施した。粉末は、
従来どおりに作製したLi3YCl6と同様の六方晶結晶構造を示した。XRDスペクト
ルを使用してLebail精密化を実施して、格子パラメータの拡がりを通じて材料中の
Br/Cl比を決定した。Cl又はBr対アニオンの合計(すなわち、Cl及びBrの合
計)の比を計算し、Br対Cl及びBrの合計の比は、28%±2%であり、Cl対Cl
及びBrの合計の比は、72%±2%であった。
【0200】
FullProfソフトウェアパッケージを用いてXRD図を処理することによって
、Lebail精密化を実施した。まず、winPLOTRソフトウェアの自動ルーチン
を介してディフラクトグラムのバックグラウンドを抽出する。次いで、P-3m1空間群
を使用し、格子パラメータ(すなわち、a、b、及びc)、試料高さ補正パラメータ(「
0ポイント」)、並びに試料中の粒子のサイズ及び歪みに関連するローレンツ構成要素を
精密化することによって、FullProfソフトウェアで実施されるLebail方法
を用いて、XRD図を精密化する。精密化は、カイ二乗パラメータの実測値が6未満であ
る場合、完全に変換されたとみなす。
【0201】
試料CS13の水不溶性不純物相の総含有量を、本明細書の実施形態に記載のように
決定した。簡単に述べると、50gのミル粉砕した試料CS13を蒸留水に溶解させた。
溶液は、視覚的に純粋であるように思われたが、60mgの水和不溶性不純物(例えば、
YCl(OH)2)が、フィルタから収集された。試料CS13は、水不溶性不純物の総
重量に対して、YOClからなる53.2mgの総含有量の水不溶性不純物を有していた
。試料CS13は、0.11重量%の総含有量の水不溶性不純物相を含んでいた。
【0202】
以下のように、代表的な試料S14を形成した。目標とする式は、Li3YCl3B
r3であった。
【0203】
27.71gのLi2CO3、28.23gのY2O3、192mlの47%濃縮H
Br、160gのNH4Br、及び50gの蒸留H2Oを測定し、95℃で混合して、L
i2YBr6前駆体材料の溶液を形成した。次いで、溶液を0.2ミクロンのMilli
poreフィルタに通して濾過した。
【0204】
別個に、138.5gのLi2CO3、141.1gのY2O3、687mlの37
%HCl、435gのNH4Cl、及び150gの蒸留H2Oを測定し、95℃で混合し
て、Li3YCl6前駆体材料の溶液を形成した。次いで、溶液を0.2ミクロンのMi
lliporeフィルタに通して濾過した。
【0205】
両方の前駆体材料をロータリーエバポレータで乾燥させて、固体形態の材料を得た。
材料を粉砕して微粉末を形成し、秤量し、-80℃以下の露点を有する窒素雰囲気中で、
石英るつぼ内で混合した。24時間前にN2によって換気した炉内で合成を行った。るつ
ぼを時間当たり100℃の連続ランプ速度で540℃まで加熱し、540℃で1時間保持
した。るつぼを室温、およそ25℃まで冷却し、その後、時間当たり最大100℃のラン
プ速度で冷却した。るつぼの内側に配置した熱電対を使用することによって、温度を監視
した。合成した材料を含むるつぼを保護し、水分を含まない条件(露点-80℃)のグロ
ーブボックス内に配置して、合成されたブロックをるつぼから取り出した。合成されたブ
ロックの上部表面上の有機残留物を除去した。得られたブロックを、N2雰囲気下のグロ
ーブボックス内で粉末へと粉砕した。
【0206】
乾燥条件下で、試料S14のミル粉砕した粉末のXRD分析を実施した。粉末は、従
来どおりに作製したLi3YCl6と同様の六方晶結晶構造を示した。XRDスペクトル
を使用してLebail精密化を実施して、格子パラメータの拡がりを通じて材料中のB
r/Cl比を決定した。Cl又はBr対アニオンの合計(Cl及びBrの合計)の比を計
算し、Br対Cl及びBrの合計の比は、20%±2%であり、Cl対Cl及びBrの合
計の比は、80%±2%であった。
【0207】
試料S14の水不溶性不純物相の総含有量を、本明細書の実施形態に記載のように決
定した。簡単に述べると、50gのミル粉砕した試料S14を蒸留水に溶解させた。8.
1gの非水和水不溶性不純物に対応する9mgの水和不溶性不純物が、フィルタから収集
された。試料S14は、ハロゲン化物材料の総重量に対して0.016重量%の総含有量
の水不溶性不純物を有していた。
【0208】
ステンレス鋼電極、及び試料CS13の粉末で作製した圧縮電解質を含む、2つの対
称電池セルを形成した。電解質のイオン伝導率及び厚さ、並びにセルのオーム抵抗及び質
量を測定し、表6に含めた。
【0209】
【0210】
ステンレス鋼電極、及び試料S14の粉末で作製した圧縮電解質(0.98mm厚さ
)を含む、追加の対称電池セルを形成した。電解質のイオン伝導率を測定し、表7に含め
た。
【0211】
【0212】
利点、他の利点、及び問題の解決策は、特定の実施形態に関して上述されている。し
かしながら、利益、利点、問題の解決策、及び任意の利益、利点、又は解決策をもたらす
かより顕著にする可能性がある任意の特徴は、請求項のいずれか又は全ての重要な、必要
な、又は本質的な特徴として解釈されるべきではない。1つ以上の構成成分を含む材料へ
の本明細書での言及は、材料が、特定された1つ以上の構成成分から本質的になる、少な
くとも1つの実施形態を含むと解釈され得る。「本質的になる」という用語は、特定され
た材料を含み、かつ少量の含有量(例えば、不純物含有量)を除く他の全ての材料を除外
する(材料の特性を著しく変化させない)、組成物を含むと解釈されることになる。追加
的に、又は代わりに、ある特定の非限定的な実施形態では、本明細書で特定される組成物
のうちのいずれも、明示的に開示されていない材料を本質的に含まなくてもよい。本明細
書の実施形態は、材料内のある特定の構成成分の含有量の範囲を含み、所与の材料内の構
成成分の含有量が、合計100%であることが理解されるであろう。
【0213】
本明細書に記載の実施形態の明細書及び図面は、様々な実施形態の構造の一般的な理
解を提供することを意図している。明細書及び図面は、本明細書に記載の構造又は方法を
使用する装置及びシステムの全ての要素及び特徴の網羅的かつ包括的な説明として役立つ
ことを意図するものではない。別個の実施形態が単一の実施形態中に組み合わせて提供さ
れてもよく、逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈において説明されている様々
な特徴が、別々に又は任意の部分的組み合わせで提供されてもよい。更に、範囲に記載さ
れた値への言及は、その範囲内の各々の値全てを含む。多くの他の実施形態が、本明細書
を読んだ後にのみ当業者に明らかとなってもよい。本開示の範囲から逸脱することなく、
構造的置換、論理的置換、又は別の変更を行うことができるように、他の実施形態を使用
し、本開示から導出することができる。したがって、本開示は、限定的ではなく例示的な
ものとみなされるべきである。