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特開2024-138320移動制御システム、無人移動機、移動制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138320
(43)【公開日】2024-10-08
(54)【発明の名称】移動制御システム、無人移動機、移動制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/221 20240101AFI20241001BHJP
   G05D 1/46 20240101ALI20241001BHJP
   G05D 1/695 20240101ALI20241001BHJP
   G05D 1/692 20240101ALI20241001BHJP
   G05D 1/24 20240101ALI20241001BHJP
   B63C 11/00 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
G05D1/221
G05D1/46
G05D1/695
G05D1/692
G05D1/24
B63C11/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024105555
(22)【出願日】2024-06-28
(62)【分割の表示】P 2023196406の分割
【原出願日】2020-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】南 雄也
(57)【要約】
【課題】水中ロボットを遠隔から制御できる移動制御システム、無人移動機、移動制御方法及びプログラムを提供すること。
【解決手段】移動制御システムは、通信端末によって水中ロボットと無人移動機とを移動制御する移動制御システムであって、前記無人移動機は、前記通信端末から前記無人移動機または前記水中ロボットを移動させるための制御情報を受信する通信部と、前記制御情報に基づき前記水中ロボットを移動させるための制御情報を出力する制御部とを備え、前記通信部は、前記制御部から出力された前記制御情報を前記水中ロボットへ送信する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信端末によって水中ロボットと無人移動機とを移動制御する移動制御システムであって、
前記無人移動機は、
前記通信端末から前記無人移動機または前記水中ロボットを移動させるための制御情報を受信する通信部と、
前記制御情報に基づき前記水中ロボットを移動させるための制御情報を出力する制御部と、
を備え、
前記通信部は、前記制御部から出力された前記制御情報を前記水中ロボットへ送信する、
移動制御システム。
【請求項2】
前記無人移動機は、
前記水中ロボットを結合した状態で自律的に飛行移動する移動経路を示す経路情報を記憶する記憶部、
を備え、
前記制御部は、前記経路情報に基づき移動経路を移動させる、
請求項1に記載の移動制御システム。
【請求項3】
前記通信部は、
前記水中ロボットが送信した移動方向を示す情報と速度を示す情報とを受信し、
前記無人移動機は、
前記無人移動機と前記水中ロボットとの相対位置を推定する位置推定部と、
前記通信部が受信した移動方向を示す前記情報と速度を示す前記情報と前記位置推定部による相対位置の推定結果とに基づいて、前記無人移動機の移動方向を決定し、決定した前記無人移動機の前記移動方向に基づいて、前記無人移動機を駆動する無人移動機駆動部を制御する無人移動機制御部と、
を備える、
請求項1に記載の移動制御システム。
【請求項4】
前記無人移動機は、
前記水中ロボットが送信する音波を受信する受信部、
を備え、
前記位置推定部は、前記受信部が受信した音波に基づいて前記水中ロボットとの相対位置を推定する、
請求項3に記載の移動制御システム。
【請求項5】
前記無人移動機は、
前記水中ロボットを結合又は分離する結合分離機構、
を備え、
前記無人移動機制御部は、前記無人移動機の位置に基づいて、前記結合分離機構に前記水中ロボットを結合又は分離させる、
請求項3又は請求項4に記載の移動制御システム。
【請求項6】
通信端末によって水中ロボットと無人移動機とを移動制御する移動制御システムにおける無人移動機であって、
前記通信端末が送信した前記水中ロボットまたは前記無人移動機を移動させるための制御情報を受信する通信部と、
前記無人移動機を移動させるための制御情報に基づき前記無人移動機を移動させる制御部と、
前記通信部は、受信した前記水中ロボットを移動させるための前記制御情報を前記水中ロボットへ送信する、
無人移動機。
【請求項7】
通信端末によって水中ロボットと無人移動機とを移動制御する移動制御システムが実行する移動制御方法であって、
前記通信端末から前記無人移動機または前記水中ロボットを移動させるための制御情報を受信する受信ステップと、
前記制御情報に基づき前記水中ロボットを移動させるための制御情報を出力する制御ステップと、
前記制御ステップにおいて出力された前記制御情報を前記水中ロボットへ送信する送信ステップと、
を有する、移動制御方法。
【請求項8】
コンピュータに、水中ロボットと無人移動機とを移動制御する移動制御システムを実行させるプログラムであって、
前記無人移動機または前記水中ロボットを移動させるための制御情報を受信する受信ステップと、
前記制御情報に基づき前記水中ロボットを移動させるための制御情報を出力する制御ステップと、
前記制御ステップにおいて出力された前記制御情報を前記水中ロボットへ送信する送信ステップと、
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動制御システム、無人移動機、移動制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
遠隔操縦が可能な水中ドローンなどの水中ロボットが知られている。水中ドローンに関して、水中ドローンの目視外制御方法に関する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術は、遠隔操縦式の水中ロボット制御システムであり、音波を発信可能であり且つ推進機構を有する水中ロボットと、水中ロボットが発信した音波を受信可能であり、音波を受信した受信時刻を送信可能であり且つ水面に浮かぶ三つ以上の通信ブイと、通信ブイそれぞれの位置を検出する位置検出手段と、通信ブイが送信した受信時刻を受信する通信部と、音波の発信時刻と各通信ブイが音波を受信した受信時刻との差、及び通信ブイそれぞれの位置を用いて、水中ロボットの位置を決定する位置決定部とを有する。
【0003】
また、水中ドローンに関して、水中ドローンの海底探査システムに関する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。この技術は、海底探査情報を基地局へ送信するシステムであり、垂直プロペラと水平プロペラとが装着される本体部と、本体部の前端に装着される水中カメラとを備える水中ドローンと、水上に浮遊され、水中ドローンと基地局との無線通信を可能にする浮標部とを備える。浮標部は、架橋性ポリエチレンで設けられ、水上に浮遊される浮遊体と、浮遊体の上面に接着される太陽光パネルと、太陽光パネルの上面に設けられ、水中ドローンと基地局との無線通信を可能にするアンテナと、水中ドローンが連結され、水中ドローンを選択的に引き揚げる引き揚げ部と、浮遊体の外周面に装着される保護部とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-203192号公報
【特許文献2】特開2019-89422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した特許文献1に記載の技術ではコントローラと水中ドローンとがケーブルで接続されているため、水中ドローンの操縦者は、ケーブル長の範囲内から水中ドローンの制御を行う必要がある。前述した特許文献1に記載の技術では水中ドローンの位置推定には通信ブイを3台以上設置する必要がある。そのため水中ドローンの目視外制御を行う場合には、通信ブイの設置などの事前準備が必要である。水中ドローンの目視外制御を行う場合には、水中ドローンの制御者がケーブル長以内の陸上や船舶上から制御する必要がある。
【0006】
また、前述した特許文献2に記載の技術では浮標部はアンカーなどで一定の場所に係留設置されるため、水中ドローンでモニタリングできる場所は浮標部と水中ドローン間のケーブル長以内に限定される。水中ドローンを用いた広域な動画撮影や水中構造物などのモニタリングは困難である。前述した特許文献2に記載の技術では水中ドローンの遠隔制御には浮標部の設置などの事前準備が必要であり、水中ドローンを潜航させたい範囲が広域になるに従って、設置する浮標部の数が増加する。前述した技術を海で運用する場合、水中ドローンが常に海水中に存在するため、海藻や貝類、泥などの付着物の影響が懸念される。特に、水中ドローンに搭載されるカメラなどを用いて遠隔動画転送や遠隔制御を行う場合、付着物の影響は大きく、付着物を防ぐための定期的な清掃作業が発生する。
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、水中ロボットを遠隔から制御できる移動制御システム、無人移動機、移動制御方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の一態様は、通信端末によって水中ロボットと無人移動機とを移動制御する移動制御システムであって、前記無人移動機は、前記通信端末から前記無人移動機または前記水中ロボットを移動させるための制御情報を受信する通信部と、前記制御情報に基づき前記水中ロボットを移動させるための制御情報を出力する制御部とを備え、前記通信部は、前記制御部から出力された前記制御情報を前記水中ロボットへ送信する、移動制御システムである。
(2)本発明の一態様は、上記(1)に記載の移動制御システムにおいて、前記無人移動機は、前記水中ロボットを結合した状態で自律的に飛行移動する移動経路を示す経路情報を記憶する記憶部、を備え、前記制御部は、前記経路情報に基づき移動経路を移動させるものである。
(3)本発明の一態様は、上記(1)に記載の移動制御システムにおいて、前記通信部は、前記水中ロボットが送信した移動方向を示す情報と速度を示す情報とを受信し、前記無人移動機は、前記無人移動機と前記水中ロボットとの相対位置を推定する位置推定部と、前記通信部が受信した移動方向を示す前記情報と速度を示す前記情報と前記位置推定部による相対位置の推定結果とに基づいて、前記無人移動機の移動方向を決定し、決定した前記無人移動機の前記移動方向に基づいて、前記無人移動機を駆動する無人移動機駆動部を制御する無人移動機制御部と、を備えるものである。
(4)本発明の一態様は、上記(3)に記載の移動制御システムにおいて、前記無人移動機は、前記水中ロボットが送信する音波を受信する受信部、を備え、前記位置推定部は、前記受信部が受信した音波に基づいて前記水中ロボットとの相対位置を推定するものである。
(5)本発明の一態様は、上記(3)又は(4)に記載の移動制御システムにおいて、前記無人移動機は、前記水中ロボットを結合又は分離する結合分離機構を備え、前記無人移動機制御部は、前記無人移動機の位置に基づいて、前記結合分離機構に前記水中ロボットを結合又は分離させるものである。
(6)本発明の一態様は、通信端末によって水中ロボットと無人移動機とを移動制御する移動制御システムにおける無人移動機であって、前記通信端末が送信した前記水中ロボットまたは前記無人移動機を移動させるための制御情報を受信する通信部と、前記無人移動機を移動させるための制御情報に基づき前記無人移動機を移動させる制御部と、前記通信部は、受信した前記水中ロボットを移動させるための前記制御情報を前記水中ロボットへ送信する、無人移動機である。
(7)本発明の一態様は、通信端末によって水中ロボットと無人移動機とを移動制御する移動制御システムが実行する移動制御方法であって、前記通信端末から前記無人移動機または前記水中ロボットを移動させるための制御情報を受信する受信ステップと、前記制御情報に基づき前記水中ロボットを移動させるための制御情報を出力する制御ステップと、前記制御ステップにおいて出力された前記制御情報を前記水中ロボットへ送信する送信ステップと、を有する、移動制御方法である。
(8)本発明の一態様は、コンピュータに、水中ロボットと無人移動機とを移動制御する移動制御システムを実行させるプログラムであって、前記無人移動機または前記水中ロボットを移動させるための制御情報を受信する受信ステップと、前記制御情報に基づき前記水中ロボットを移動させるための制御情報を出力する制御ステップと、前記制御ステップにおいて出力された前記制御情報を前記水中ロボットへ送信する送信ステップと、を実行させる、プログラムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、水中ロボットを遠隔から制御できる移動制御システム、無人移動機、移動制御方法及びプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る遠隔制御システムの構成例を示す図である。
図2】本実施形態に係る遠隔制御システムに含まれる無人移動機と水中ドローンと無線通信端末との詳細を示す図である。
図3】本実施形態に係る遠隔制御システムの動作の例1を示すシーケンスチャートである。
図4】本実施形態に係る遠隔制御システムの動作の例2を示すシーケンスチャートである。
図5】本実施形態に係る遠隔制御システムの適用例1を示す図である。
図6】本実施形態に係る遠隔制御システムの適用例1を示す図である。
図7】本実施形態に係る遠隔制御システムの適用例2を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本実施形態の遠隔制御システム、無人移動機、遠隔制御方法及びプログラムを、図面を参照しつつ説明する。以下で説明する実施形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施形態は、以下の実施形態に限られない。
なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有するものは同一符号を用い、繰り返しの説明は省略する。
また、本願でいう「XXに基づいて」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含む。また、「XXに基づいて」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含む。「XX」は、任意の要素(例えば、任意の情報)である。
【0011】
(第1の実施形態)
(遠隔制御システム)
図1は本発明の実施形態に係る遠隔制御システムの構成例を示す図である。本実施形態に係る遠隔制御システム100では水中ロボットが遠隔から制御される。水中ロボットの一例は水中ドローンである。遠隔制御システム100は無人移動機1と水中ドローン2と無線通信端末4とを備える。無人移動機1と無線通信端末4とはネットワークNWを介して通信する。ネットワークNWは例えばインターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、モバイルネットワーク、プロバイダ装置、無線基地局などを含む。無人移動機1と水中ドローン2とはケーブル3などの有線を介して通信する。 無線通信端末4はユーザーUによって操作される。ユーザーUは無線通信端末4に対して無人移動機1と水中ドローン2とを駆動させるための操作を行う。無線通信端末4はユーザーUの操作に基づいて無人移動機1を自律的に移動させるための経路情報(以下「自律移動経路情報」という)を含み無人移動機1を宛先とする制御情報を作成する。自律移動経路情報には無人移動機1の移動経路を示す情報と無人移動機1に結合している水中ドローン2を分離する位置を示す情報(以下「分離位置情報」という)とが含まれる。分離位置情報は例えば緯度と経度とによって表される。無線通信端末4は作成した制御情報を無人移動機1へ送信する。
また無線通信端末4はユーザーUの操作に基づいて操作情報を取得し、取得した操作情報を含み無人移動機1を宛先とする制御情報を作成する。無線通信端末4は作成した制御情報を無人移動機1へ送信する。
【0012】
無人移動機1の一例は無人航空機である。無人移動機1は無線通信端末4が送信した制御情報を受信する。無人移動機1は受信した制御情報に含まれる自律移動経路情報を取得する。無人移動機1は水中ドローン2を結合又は分離する機構を備えている。無人移動機1は取得した自律移動経路情報に含まれる移動経路を示す情報に基づいて水中ドローン2を結合した状態で自律的に移動する。無人移動機1は自律移動経路情報に含まれる分離位置情報に基づいて分離位置で水中ドローン2を分離する。
無人移動機1は受信した制御情報に操作情報が含まれる場合に制御情報のあて先を無人移動機1から水中ドローン2へ変更する。無人移動機1はあて先を水中ドローン2へ変更した制御情報を水中ドローン2へ送信する。
水中ドローン2は無人移動機1が送信した制御情報を受信する。水中ドローン2は受信した制御情報に含まれる操作情報を取得する。水中ドローン2は取得した操作情報に基づいて駆動する。
【0013】
無人移動機1から分離した水中ドローン2は水中を移動する。無人移動機1は水中ドローン2との間のケーブルの長さを調整する。水中ドローン2は無人移動機1からケーブル長の範囲で移動可能である。水中ドローン2がある時点において無人移動機1からケーブル長の範囲より外へ移動する場合には、無線通信端末4は無人移動機1へ移動要求を送信する。無人移動機1は無線通信端末4が送信した移動要求を受信し、受信した移動要求に基づいて水中ドローン2へ状況要求を送信する。水中ドローン2は無人移動機1が送信した状況要求を受信し、受信した状況要求に基づいて移動方向と移動速度とを検出し、検出した移動方向を示す情報と移動速度を示す情報とを取得する。水中ドローン2は取得した移動方向を示す情報と移動速度を示す情報とを含む、無人移動機1を宛先とする状況応答を作成する。水中ドローン2は作成した状況応答を無人移動機1へ送信する。
無人移動機1は水中ドローン2が送信した状況応答を取得する。無人移動機1は取得した状況応答に含まれる水中ドローン2の移動方向を示す情報と移動速度を示す情報とを取得する。無人移動機1は無人移動機1の位置情報を取得する。無人移動機1は水中ドローン2が送信する音波に基づいて水中ドローン2との相対位置を推定する。無人移動機1は水中ドローン2との相対位置の推定結果と取得した移動方向を示す情報と移動速度を示す情報と無人移動機1の位置情報とに基づいて無人移動機1の移動方向を決定する。無人移動機1は決定した移動方向に基づいて駆動する。
【0014】
以下遠隔制御システム100に含まれる無人移動機1と水中ドローン2と無線通信端末4との各々について、順次説明する。
図2は本実施形態に係る遠隔制御システムに含まれる無人移動機と水中ドローンと無線通信端末との詳細を示す図である。
(無人移動機1)
無人移動機1はコンピュータ等の装置を含む無人航空機、無人水上艦によって実現される。無人移動機1は例えば、制御部11と駆動部12と測位部13と通信部14と通信部15と記憶部16と受信部17と位置推定部18と調整部19とを備える。さらに無人移動機1は水中ドローン2と物理的に結合又は分離することが可能な結合分離機構(図示なし)を備える。結合分離機構は無人移動機1と物理的に結合している水中ドローン2を任意の地点で分離する。任意の地点の一例は海上である。結合分離機構は無人移動機1と分離している水中ドローン2を任意の地点で結合する。無人移動機1は水中ドローン2を結合して移動できる大きさと出力とを有する。
【0015】
制御部11は無人移動機1の移動、通信、位置測位などの無人移動機1の動作全般の制御、管理を行う。無人移動機1は無線通信端末4がネットワークNWを介して送信する制御情報に基づいて駆動部12を制御することによって自律的に移動する。つまり無人移動機1は無線通信端末4による遠隔制御に対応している。制御部11は制御情報に含まれる自律移動経路情報と自律移動経路情報に含まれる分離位置情報とに基づいて駆動部12を制御することによって水中ドローン2を結合している無人移動機1を分離位置まで移動させる。制御部11は水中ドローン2を結合している無人移動機1が分離位置へ到着した場合に結合分離機構に水中ドローン2を分離させる。無人移動機1から分離した水中ドローン2は制御情報に含まれる操作情報に基づいて移動する。
制御部11は無人移動機1が水中ドローン2を追従するように駆動部12を制御する。具体的には調整部19はケーブル3の長さを調節した結果に基づいて残ケーブル長を示す情報を制御部11へ出力する。制御部11は調整部19が出力した残ケーブル長を示す情報を取得する。制御部11は後述する位置推定部18が推定した水中ドローン2までの距離を示す情報を取得する。制御部11は取得した残ケーブル長を示す情報と水中ドローン2までの距離を示す情報とに基づいて水中ドローン2が無人移動機1から一定以上離れたか否かを判定する。例えば制御部11はケーブル3の残ケーブル長が閾値以下であり且つ水中ドローン2までの距離が距離閾値以下である場合に水中ドローン2が無人移動機1から一定以上離れたと判定する。
【0016】
制御部11は水中ドローン2が無人移動機1から一定以上離れたと判定した場合に水中ドローン2に状況を要求するための状況要求を作成し、作成した状況要求を通信部14へ出力する。通信部14は制御部11が出力した状況要求を取得し、取得した状況要求を水中ドローン2へ送信する。通信部14は送信した状況要求に対して水中ドローン2が送信した状況応答を受信する。制御部11は通信部14が受信した状況応答を取得する。
制御部11は水中ドローン2が無人移動機1から一定以上離れたと判定した場合に位置推定部18に水中ドローン2の位置を推定させるための命令である位置推定命令を出力する。位置推定命令には状況応答が含まれる。位置推定部18は制御部11が出力した位置推定命令を取得する。位置推定部18は制御部11が出力した位置推定命令を取得し、取得した位置推定命令に含まれる状況応答に基づいて水中ドローン2の位置を推定する。制御部11は位置推定部18が推定した水中ドローン2の位置情報を取得する。制御部11は測位部13から無人移動機1の位置情報を取得する。制御部11は取得した水中ドローン2の位置情報と無人移動機1の位置情報とに基づいて無人移動機1が水中ドローン2に追従するように駆動部12を制御する。このように構成することによって無人移動機1と水中ドローン2との間の距離を閾値以内に保つことができる。
【0017】
駆動部12は制御部11と接続される。駆動部12は無人移動機1の推進装置である。駆動部12は無人移動機1の種類によってさまざまな形態を適用できる。例えば無人移動機1が無人航空機である場合には駆動部12はプロペラであり、無人水上艦である場合には駆動部12はスクリューである。駆動部12は制御部11による制御によって、プロペラ、スクリューを回転させる。また無人移動機1の種類や大きさに応じて駆動部12を複数備えてもよい。
測位部13は制御部11と接続される。測位部13はGPS(Global Positioning System)などの全地球型測位システム(Global Navigation Satellite System, GNSS)によって構成され、無人移動機1の位置を計測する。無人移動機1の位置の一例は緯度と経度とによって表される。測位部13は制御部11が出力した測位要求を取得し、取得した測位要求に基づいて無人移動機1の位置を計測する。測位部13は測位することによって取得した位置情報を制御部11へ出力する。測位部13は予め指定された測位時刻に基づいて定期的に無人移動機1の位置を計測してもよい。測位部13は測位することによって取得した位置情報を、制御部11へ出力する。
【0018】
通信部14は通信モジュールによって実現される。通信部14はケーブル3を介して外部の通信装置と通信する。通信部14は水中ドローン2との間で双方向の通信を行う。通信部14は調整部19を通して水中ドローン2とケーブル3で接続されている。無人移動機1と水中ドローン2との間をケーブル3で接続することで海流の影響を受けた水中ドローン2が流失することを防ぐことができる。通信部14は制御部11が出力した制御情報を水中ドローン2へ送信する。通信部14は水中ドローン2が送信した通知情報を受信する。通知情報には映像データが含まれる。通信部14は制御部11が出力した状況要求を水中ドローン2へ送信する。通信部14は送信した状況要求に対して水中ドローン2が送信した状況応答を受信する。
通信部15は通信モジュールによって実現される。通信部15はネットワークNWを介して外部の通信装置と通信する。通信部15は例えば、無線LAN、ブルートゥース(登録商標)又はLTE(登録商標)などの無線通信方式で通信してもよい。通信部15はネットワークNWを介して無線通信端末4に接続する際に必要なIPアドレスなどの情報を管理する。通信部15はネットワークNWを介して無線通信端末4と接続する。通信部15は無線通信端末4が送信した制御情報を受信する。制御情報には自立移動経路情報と操作情報とのいずれかが含まれる。
【0019】
制御部11は通信部15が受信した制御情報を取得し、取得した制御情報に自律移動経路情報が含まれる場合にはその自律移動経路情報を取得する。制御部11は取得した自律移動経路情報を記憶部16に記憶させる。通信部15は取得した自律移動経路情報に基づいて駆動部12を制御することによって、無人移動機1を自律的に移動させる。制御部11は通信部15が受信した制御情報を取得し、取得した制御情報に操作情報が含まれる場合には制御情報のあて先を水中ドローン2へ変更し、あて先を水中ドローン2へ変更した制御情報を通信部14へ出力する。通信部14は制御部11が出力した制御情報を取得し、取得した制御情報を水中ドローン2へ送信する。このように構成することによって無人移動機1を自律的に移動させ、水中ドローン2を遠隔から制御することができる。
通信部14は水中ドローン2が送信した通知情報を受信する。制御部11は通信部14が受信した通知情報を取得し、取得した通知情報を通信部15へ出力する。通信部15は制御部11が出力した通知情報を取得し、取得した通知情報を無線通信端末4へ送信する。
【0020】
記憶部16はHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などにより実現される。記憶部16は無線通信端末4より受信した無人移動機1の自律移動経路情報を記憶する。
制御部11は記憶部16で保持している自律移動経路情報と測位部13から取得した位置情報とに基づいて駆動部12を制御する。具体的には制御部11は、自律移動経路情報に含まれる分離位置情報に基づいて指定された場所へ移動し、任意の地点で水中ドローン2を分離する制御を行う。このように構成することによって無線通信端末4から水中ドローン2を遠隔操作することができる。
受信部17は水中ドローン2から発信された音波を受信する。受信部17は例えば水中音響測位方式であるSSBL(Super Short Base Line System)方式の受信器アレイとアンプ、ADコンバータなどの信号処理装置で構成される。受信部17は音波のアナログ信号を受信し、受信した音波のアナログ信号をデジタル信号化する。受信部17はデジタル信号化した音波を制御部11へ出力する。受信部17は受信器の各アレイで反応した順番から音波信号の到達方向を検出する。受信部17は音波信号の到達方向の検出結果を制御部11へ出力する。
【0021】
制御部11は受信部17が出力したデジタル信号化した音波と到達方向の検出結果とを取得する。制御部11は測位部13から位置情報を取得する。制御部11は取得したデジタル信号化した音波と到達方向の検出結果と位置情報とを位置推定部18へ出力する。位置推定部18は制御部11が出力したデジタル信号化した音波と到達方向の検出結果と位置情報とを取得する。位置推定部18はデジタル信号化した音波に基づいてデジタル信号の到達時間を導出する。位置推定部18は到達時間の導出結果と到達方向と位置情報とに基づいて無人移動機1から水中ドローン2までの距離と方向とを無人移動機1の位置から相対的に推定する。位置推定部18は制御部11へ水中ドローン2の相対的な位置情報を出力する。制御部11は位置推定部18が出力した相対的な位置情報を取得する。
通信部14は水中ドローン2が送信した通知情報を受信する。制御部11は通信部14が受信した通知情報を取得する。通知情報には水中ドローン2が検出した深度、水温、加速度、角速度などの各種情報が含まれる。制御部11は取得した通知情報に無人移動機1の位置情報と水中ドローン2の相対位置情報と水中ドローン2が撮影した動画データとを含めて通信部15へ出力する。通信部15は制御部11が出力した通知情報を無線通信端末4へ送信する。
【0022】
調整部19は無人移動機1と水中ドローン2との間を接続しているケーブル3の長さを調整する。調整部19は水中ドローン2の潜航速度に併せてケーブル長を調整する。無人移動機1が水中ドローン2を回収する場合には、調整部19はケーブル3を巻き取る。このように構成することで無人移動機1は自動的に水中ドローン2を回収できる。
制御部11は位置推定部18が推定した水中ドローン2までの距離と調整部19が管理している残ケーブル長情報とに基づいて水中ドローン2が無人移動機1から一定以上離れたか否かを判定する。水中ドローン2が無人移動機1から一定以上離れたと判定した場合に制御部11は、位置推定部18が水中ドローン2で測定した各種センサ情報に基づいて推定した水中ドローン2の位置情報と無人移動機1の位置情報とに基づいて無人移動機1が水中ドローン2を追従するように制御する。
前述した制御部11、駆動部12、位置推定部18、及び調整部19は例えばCPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサが記憶部16に格納されたコンピュータプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。またこれらの機能部のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。コンピュータプログラムは予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0023】
(水中ドローン2)
水中ドローン2はコンピュータ等の装置を含む潜水用のドローンによって実現される。水中ドローン2は例えば、制御部21とセンサ部22とカメラ部23と通信部24と駆動部25と送信部26とから構成される。さらに水中ドローン2は、無人移動機1と物理的に結合又は分離することが可能な結合分離機構(図示なし)を備える。結合分離機構は無人移動機1と物理的に結合している水中ドローン2を任意の地点で分離できる。無人移動機1から分離した水中ドローン2はケーブル3の有効長の範囲内で自由に潜航できる。結合分離機構は無人移動機1と分離している水中ドローン2を任意の地点で結合できる。 制御部21は水中ドローン2の潜航、各構成部の制御などの水中ドローン2の動作全般を制御し、管理する。無線通信端末4が送信した制御信号はネットワークNWと無人移動機1とを経由して通信部24によって受信される。制御部21は通信部24が受信した制御情報を取得し、取得した制御情報に含まれる操作情報に基づいて制御信号を作成する。制御部21は作成した制御信号によって各部を制御する。
【0024】
無人移動機1が送信した状況要求は通信部24によって受信される。制御部21は通信部24が受信した状況要求を取得し、取得した状況要求に基づいて水中ドローン2の移動方向と移動速度とをセンサ部22に検出させる。制御部21はセンサ部22から移動方向を示す情報と移動速度を示す情報とを取得する。制御部21は取得した移動方向を示す情報と移動速度を示す情報とを含む、無人移動機1を宛先とする状況応答を作成する。制御部21は作成した状況応答を通信部24へ出力する。
センサ部22は各種センサを搭載する。例えばセンサ部22は深度センサ、水温センサ、加速度センサ、角速度センサなどを搭載する。制御部21はセンサ部22へセンサの測定値を要求する情報を出力する。センサ部22は制御部21が出力したセンサの測定値を要求する情報を取得し、取得したセンサの測定値を要求する情報に基づいてセンサの測定値を取得する。センサ部22は取得した測定値を制御部21へ出力する。制御部21はセンサ部22が出力したセンサの測定値を取得し、取得したセンサの測定値を含む、無線通信端末4を宛先とする通知情報を作成する。制御部21は作成した通知情報を通信部24へ出力する。
通信部24は制御部21が出力した通知情報を取得し、取得した通知情報を無線通信端末4へ送信する。通信部24が送信した通知情報はケーブル3、無人移動機1、ネットワークNWを経由して無線通信端末4へ送信される。無線通信端末4は通知情報を受信し、受信した通知情報に含まれる情報を表示する。このように構成することによってユーザーUは水中ドローン2の遠隔制御を実行する際に、各種センサの測定値を活用できる。
【0025】
カメラ部23は、水中ドローン2の進行方向の映像など、海中の映像を撮像する。カメラ部23は、撮像した映像を含む映像データを、制御部21へ出力する。制御部21は、カメラ部23が出力した映像データを取得し、取得した映像データを含む、通知情報を作成する。制御部21は、作成した通知情報を通信部24へ出力する。通信部24は、制御部21が出力した通知情報を取得し、取得した通知情報を無線通信端末4へ送信する。通信部24が送信した通知情報は、ケーブル3、ネットワークNWを経由して無線通信端末4へ送信される。無線通信端末4は、通知情報を受信し、受信した通知情報に含まれる情報を表示する。このように構成することによって、ユーザーUは、水中ドローン2の遠隔制御を実行する際に、映像データを活用できる。
通信部24はケーブル3を介して無人移動機1の通信部14と接続される。通信部24は通信部14との間で双方向通信を行う。駆動部25は水中ドローン2の推進、浮上又は潜水のための装置である。水中ドローン2の種類や大きさに応じて水中ドローン2は複数の駆動部25を備えてもよい。駆動部25は制御部21が出力した制御信号を取得し、取得した制御信号に基づいて出力を調整する。送信部26は音波を送信する装置である。送信部26は制御部21と連携して動作してもよいし、送信部26が独立で動作してもよい。送信部26が制御部21と連携して動作する場合について説明を続ける。
無人移動機1において制御部11は音波の発信要求を作成し、作成した音波の発信要求を通信部14へ出力する。通信部14は制御部11が出力した音波の発信要求を取得し、取得した音波の発信要求を水中ドローン2へ送信する。無人移動機1が送信した音波の発信要求はケーブル3を経由して水中ドローン2へ送信される。
【0026】
水中ドローン2において通信部24は、無人移動機1が送信した音波の発信要求を受信する。制御部21は通信部24が受信した音波の発信要求を取得し、取得した音波の発信要求に基づいて送信部26へ発信要求を出力する。送信部26は制御部21が出力した発信要求を取得し、取得した発信要求に基づいて音波を発信する。
無人移動機1において制御部11は、音波の発信要求を作成したタイミングを示す情報を位置推定部18へ出力する。位置推定部18は制御部11が出力した音波の発信要求を作成したタイミングを示す情報を取得し、取得した音波の発信要求を作成したタイミングを示す情報に基づいて水中ドローン2が音波を発信するタイミングを把握する。位置推定部18は音波を発信するタイミングに基づいて音波の発信から受信部17へ到達するまでの時間を測定する。位置推定部18は音波の発信から受信部17へ到達するまでの時間の測定結果に基づいて無人移動機1と水中ドローン2との間の距離を推定する。
【0027】
送信部26が制御部21から独立して動作する場合について説明する。送信部26は一定間隔で音波を送信する。無人移動機1において受信部17は水中ドローン2が送信する音波のアナログ信号を受信し、受信した音波のアナログ信号をデジタル信号化する。受信部17はデジタル信号化した音波を制御部11へ出力する。制御部11は受信部17が出力したデジタル信号化した音波を取得し、取得したデジタル信号化した音波に基づいて水中ドローン2が存在する方向を推定する。送信部26が正確な時刻情報を有している場合には送信部26は時刻情報に基づいて音波を送信する。受信部17は送信部26が時刻情報に基づいて送信した音波を受信し、受信した音波をデジタル信号化する。受信部17はデジタル信号化した音波を制御部11へ出力する。制御部11は水中ドローン2が音波を送信した時刻情報と受信部17が出力したデジタル信号化した音波を取得した時刻とを比較することで、水中ドローン2までの距離を推定する。
ケーブル3は、無人移動機1の通信部14と水中ドローン2の通信部24とを接続する。通信部14と通信部24とはケーブル3を介して双方向通信を実現する。ケーブル3が無人移動機1と水中ドローン2との間を物理的に接続することで、海流の影響を受けた水中ドローン2が流失することを防ぐことができる。
前述した制御部21、及び駆動部25は例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサが記憶部(図示なし)に格納されたコンピュータプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。またこれらの機能部のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPUなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。コンピュータプログラムは予めHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0028】
(無線通信端末4)
無線通信端末4はパーソナルコンピュータ、サーバ、スマートフォン、又はタブレットコンピュータ等の装置によって実現される。無線通信端末4は制御部41と通信部42と記憶部43と画面入出力部44とを備える。無線通信端末4はネットワークNWを経由して無人移動機1と接続される。無線通信端末4は無人移動機1へ制御情報を送信することによって無人移動機1を介して水中ドローン2の遠隔制御が可能である。無線通信端末4は水中ドローン2が送信した通知情報を受信する。無線通信端末4は受信した通知情報に含まれる映像データ、各種センサの測定値を示す情報を取得する。無線通信端末4は取得した映像データ、各種センサの測定を示す情報に基づいて映像の表示、測定値の表示を行う。このように構成することによって無線通信端末4は水中ドローン2の遠隔操作用コントローラとして利用することができる。
制御部41は無線通信端末4の動作全般を制御し、管理する。制御部41はユーザーUが画面入出力部44へ入力した無人移動機1と水中ドローン2とのいずれか一方又は両方への制御指示をデジタル信号化する。制御部41は無人移動機1が送信した通知情報を受信し、受信した通知情報を記憶部43に記憶する。通信部42はネットワークNWを介して無人移動機1の通信部15との間で通信を行う。通信部42はネットワークNWを介して無人移動機1との間で双方向通信を行う。通信部42は任意の無人移動機1に接続する際に必要なIPアドレスなどの接続先情報を管理する。
【0029】
記憶部43はフラッシュメモリ、RAM、ROMなどにより実現される。記憶部43は無人移動機1が移動する経路を指定する際に利用される地図情報と無人移動機1の位置情報と水中ドローン2の相対位置情報を表示する際に利用される地図情報と水中ドローン2のセンサ部22とカメラ部23とが取得した各種情報を保存する。制御部11は記憶部43に記憶されている情報を取得し、取得した情報を画面入出力部44に表示する。画面入出力部44は制御入力部441と画面表示部442とを備える。画面入出力部44はタッチパネルの形態であってもよいし、画面装置(表示装置)と物理的な入力装置とを組み合わせた形態であってもよい。
ユーザーUは制御入力部441に無人移動機1が移動する経路を指定する操作を行う。ユーザーUは制御入力部441に無人移動機1から水中ドローン2を分離する位置を指定する操作を行う。制御入力部441はユーザーUが操作することによって自律移動経路情報を作成し、作成した自律移動経路情報を制御部41へ出力する。制御部41は制御入力部441が出力した自律移動経路情報を取得し、取得した自律移動経路情報を含む、無人移動機1を宛先とする制御情報を作成する。制御部41は作成した制御情報を通信部42へ出力する。通信部42は制御部41が出力した制御情報を取得し、取得した制御情報を無人移動機1へ送信する。
【0030】
ユーザーUは制御入力部441に無人移動機1から水中ドローン2を分離した後に水中ドローン2を遠隔操作する際の制御コマンドを入力する。制御入力部441はユーザーUが操作することによって操作情報を作成し、作成した操作情報を制御部41へ出力する。制御部41は制御入力部441が出力した操作情報を取得し、取得した操作情報を含む、無人移動機1を宛先とする制御情報を作成する。制御部41は作成した制御情報を通信部42へ出力する。通信部42は制御部41が出力した制御情報を取得し、取得した制御情報を無人移動機1へ送信する。制御入力部441はタッチパネルで構成されてもよいし、物理的なコントローラであってもよい。
通信部42は無人移動機1が送信した通知情報を受信する。制御部41は通信部42が受信した通知情報を取得する。制御部41は取得した通知情報に含まれる映像データ、各種センサ情報を取得する。制御部41は取得した映像データ、各種センサ情報に基づいて、画面表示部442に映像、測定値を表示させる。画面表示部442に映像、測定値を表示させることによって、ユーザーUは表示されている映像、測定値を活用して、無人移動機1、水中ドローン2を遠隔制御できる。
【0031】
(遠隔制御システムの動作)
図3は、本実施形態に係る遠隔制御システムの動作の例1を示すシーケンスチャートである。図3に示される例では水中ドローン2を結合している無人移動機1が移動し、分離位置で水中ドローン2を分離する。分離した水中ドローン2は水中を移動し、通知情報を作成し、作成した通知情報を無線通信端末4へ送信する。無線通信端末4は水中ドローン2が送信した通知情報を受信し、受信した通知情報に含まれる映像データ、各種測定値情報に基づいて映像、各種測定値を表示する。
(ステップS1-1)
無線通信端末4において、ユーザーUは制御入力部441に無人移動機1が移動する経路を指定する操作を行う。ユーザーUは制御入力部441に無人移動機1から水中ドローン2を分離する位置を指定する操作を行う。制御入力部441はユーザーUの操作に基づいて分離位置情報を含む自律移動経路情報を作成し、作成した自律移動経路情報を制御部41へ出力する。制御部41は制御入力部441が出力した自律移動経路情報を取得し、取得した自律移動経路情報を含む、無人移動機1を宛先とする制御情報を作成する。
(ステップS2-1)
無線通信端末4において、制御部41は作成した制御情報を通信部42へ出力する。通信部42は制御部41が出力した制御情報を取得し、取得した制御情報を無人移動機1へ送信する。
(ステップS3-1)
無人移動機1において、通信部15は無線通信端末4が送信した制御情報を受信する。制御部11は通信部15が受信した制御情報に自律移動経路情報が含まれる場合にはその自律移動経路情報を取得する。制御部11は取得した自律移動経路情報を記憶部16に記憶する。制御部11は取得した自律移動経路情報と自律移動経路情報に含まれる分離位置情報とに基づいて駆動部12を制御することで水中ドローン2を結合している無人移動機1の移動を開始する。
【0032】
(ステップS4-1)
無人移動機1において、制御部11は水中ドローン2を結合している無人移動機1を分離位置まで移動させる。
(ステップS5-1)
無人移動機1において、制御部11は水中ドローン2を結合している無人移動機1が分離位置へ到着した場合に結合分離機構に水中ドローン2を分離させる。
(ステップS6-1)
無線通信端末4において、ユーザーUは制御入力部441に無人移動機1から水中ドローン2を分離した後に水中ドローン2を遠隔操作する際の制御コマンドを入力する。制御入力部441はユーザーUが操作することによって操作情報を作成し、作成した操作情報を制御部41へ出力する。制御部41は制御入力部441が出力した操作情報を取得し、取得した操作情報を含む、無人移動機1を宛先とする制御情報を作成する。
(ステップS7-1)
無線通信端末4において、制御部41は作成した制御情報を通信部42へ出力する。通信部42は制御部41が出力した制御情報を取得し、取得した制御情報を無人移動機1へ送信する。
(ステップS8-1)
無人移動機1において、通信部15は無線通信端末4が送信した制御情報を受信する。制御部11は通信部15が受信した制御情報を取得し、取得した制御情報に操作情報が含まれる場合には制御情報のあて先を水中ドローン2へ変更し、あて先を水中ドローン2へ変更した制御情報を通信部14へ出力する。通信部14は制御部11が出力した制御情報を取得し、取得した制御情報を水中ドローン2へ送信する。
【0033】
(ステップS9-1)
水中ドローン2において、通信部24は無人移動機1が送信した制御情報を受信する。制御部21は、通信部24が受信した制御情報を取得し、取得した制御情報に含まれる操作情報に基づいて制御信号を作成する。制御部21は作成した制御信号によって各部を制御する。駆動部25は、制御部21が出力した制御信号を取得し、取得した制御信号に基づいて出力を調整することによって水中ドローン2を移動させる。
(ステップS10-1)
水中ドローン2において、制御部21はセンサ部22へセンサの測定値を要求する情報を出力する。センサ部22は制御部21が出力したセンサの測定値を要求する情報を取得し、取得したセンサの測定値を要求する情報に基づいてセンサの測定値を取得する。センサ部22は取得した測定値を制御部21へ出力する。制御部21はセンサ部22が出力したセンサの測定値を取得し、取得したセンサの測定値を含む、無線通信端末4を宛先とする通知情報を作成する。
カメラ部23は水中ドローン2の進行方向などの海中を撮像する。カメラ部23は撮像した映像を含む映像データを制御部21へ出力する。制御部21はカメラ部23が出力した映像データを取得し、取得した映像データを含む、通知情報を作成する。
(ステップS11-1)
水中ドローン2において、制御部21は作成した通知情報を通信部24へ出力する。通信部24は制御部21が出力した通知情報を取得し、取得した通知情報を無線通信端末4へ送信する。
(ステップS12-1)
無人移動機1において、通信部14は水中ドローン2が送信した通知情報を受信する。制御部11は通信部14が受信した通知情報を取得し、取得した通知情報を通信部15へ出力する。通信部15は制御部11が出力した通知情報を取得し、取得した通知情報を、無線通信端末4へ送信する。
(ステップS13-1)
無線通信端末4において、通信部42は無人移動機1が送信した通知情報を受信する。制御部41は通信部42が受信した通知情報を取得する。制御部41は取得した通知情報に含まれる映像データ、各種センサ情報を取得する。制御部41は取得した映像データ、各種センサ情報に基づいて画面表示部442に映像、測定値を表示させる。
【0034】
図4は、本実施形態に係る遠隔制御システムの動作の例2を示すシーケンスチャートである。図4は水中ドローン2が無人移動機1から一定以上離れた場合の処理を示す。
(ステップS1-2)
無線通信端末4において、ユーザーUは制御入力部441に水中ドローン2を遠隔操作する際の制御コマンドを入力する。制御入力部441はユーザーUが操作することによって操作情報を作成し、作成した操作情報を制御部41へ出力する。制御部41は制御入力部441が出力した操作情報を取得し、取得した操作情報を含む、無人移動機1を宛先とする制御情報を作成する。
(ステップS2-2)
無線通信端末4において、制御部41は作成した制御情報を通信部42へ出力する。通信部42は制御部41が出力した制御情報を取得し、取得した制御情報を無人移動機1へ送信する。
(ステップS3-2)
無人移動機1において、通信部15は無線通信端末4が送信した制御情報を受信する。調整部19はケーブル3の長さを調節した結果に基づいて残ケーブル長を示す情報を制御部11へ出力する。制御部11は調整部19が出力した残ケーブル長を示す情報を取得する。制御部11は位置推定部18が推定した水中ドローン2までの距離を示す情報を取得する。制御部11は取得した残ケーブル長を示す情報と水中ドローン2までの距離を示す情報とに基づいて水中ドローン2が無人移動機1から一定以上離れたか否かを判定する。ここでは制御部11は水中ドローン2が無人移動機1から一定以上離れたと判定する場合について説明を続ける。
(ステップS4-2)
無人移動機1において、制御部11は無人移動機1が水中ドローン2から一定以上離れたと判定した場合に水中ドローン2に状況を要求するための状況要求を作成する。
(ステップS5-2)
無人移動機1において、制御部11は作成した状況要求を通信部14へ出力する。通信部14は制御部11が出力した状況要求を取得し、取得した状況要求を、ケーブル3を介して水中ドローン2へ送信する。
【0035】
(ステップS6-2)
水中ドローン2において、通信部24は無人移動機1が送信した状況要求を受信する。制御部21は通信部24が受信した状況要求を取得し、取得した状況要求に基づいて水中ドローン2の移動方向と移動速度とをセンサ部22に検出させる。制御部21はセンサ部22から移動方向を示す情報と移動速度を示す情報とを取得する。制御部21は取得した移動方向を示す情報と移動速度を示す情報とを含む、無人移動機1を宛先とする状況応答を作成する。制御部21は作成した状況応答を通信部24へ出力する。
(ステップS7-2)
水中ドローン2において、通信部24は制御部21が出力した状況応答を取得し、取得した状況応答を無人移動機1へ送信する。
(ステップS8-2)
無人移動機1において、通信部14は水中ドローン2が送信した状況応答を受信する。制御部11は通信部14が受信した状況応答を取得する。制御部11は位置推定部18に位置推定命令を出力する。位置推定部18は制御部11が出力した位置推定命令を取得する。位置推定部18は制御部11が出力した位置推定命令を取得し、取得した位置推定命令に含まれる状況応答に基づいて水中ドローン2の位置を推定する。制御部11は位置推定部18が推定した水中ドローン2の位置情報を取得する。制御部11は測位部13から無人移動機1の位置情報を取得する。制御部11は取得した水中ドローン2の位置情報と無人移動機1の位置情報とに基づいて無人移動機1の移動方向を決定する。
【0036】
(ステップS9-2)
無人移動機1において、制御部11は決定した移動方向に基づいて無人移動機1が水中ドローン2に追従するように駆動部12を制御する。
(ステップS10-2)
無線通信端末4において、ユーザーUは制御入力部441に水中ドローン2を遠隔操作する際の制御コマンドを入力する。制御入力部441はユーザーUが操作することによって操作情報を作成し、作成した操作情報を制御部41へ出力する。制御部41は制御入力部441が出力した操作情報を取得し、取得した操作情報を含む、無人移動機1を宛先とする制御情報を作成する。
(ステップS11-2)
無線通信端末4において、制御部41は作成した制御情報を通信部42へ出力する。通信部42は制御部41が出力した制御情報を取得し、取得した制御情報を無人移動機1へ送信する。
(ステップS12-2)
無人移動機1において、通信部15は無線通信端末4が送信した制御情報を受信する。制御部11は通信部15が受信した制御情報を取得し、取得した制御情報に操作情報が含まれる場合には制御情報のあて先を水中ドローン2へ変更し、あて先を水中ドローン2へ変更した制御情報を通信部14へ出力する。通信部14は制御部11が出力した制御情報を取得し、取得した制御情報を水中ドローン2へ送信する。
(ステップS13-2)
水中ドローン2において、通信部24は、無人移動機1が送信した制御情報を受信する。制御部21は通信部24が受信した制御情報を取得し、取得した制御情報に含まれる操作情報に基づいて制御信号を作成する。制御部21は作成した制御信号によって各部を制御する。駆動部25は制御部21が出力した制御信号を取得し、取得した制御信号に基づいて出力を調整することによって水中ドローン2を移動させる。
【0037】
次に、前述した遠隔制御システム100の適用例について説明する。
(適用例1)
図5図6とは、本実施形態に係る遠隔制御システムの適用例1を示す図である。遠隔制御システム100の適用例1では船を出すことや固定設置式の水中モニタリングを設置することなく、定置網や養殖いけす内の魚を遠隔から確認する。従来の定置網漁や養殖業では定置網内の魚量や養殖いけす内の魚の様子を確認するためには現地へ船を出す必要があった。養殖いけすの場合には固定設置式水中モニタリング用システムとして水中カメラを設置している場合もあった。水中カメラは海藻や貝類の付着により定期的に清掃が必要であった。図5は、無人移動機1が水中ドローン2を結合し、陸上のネットワークNWを構成するインフラストラクチャの一部である基地局51から送信される制御情報を用いて自律飛行している様子を示す。海中には定置網6が設置されており陸上から定置網6内の遠隔モニタリングを行うことを目的に無人移動機1が飛行している。なお、適用例1の無人移動機1は離着水可能であることを想定する。
無人移動機1において、通信部15は基地局51を経由して無線通信端末4が送信した制御情報を受信する。測位部13は測位することによって絶対位置情報を取得する。制御部11は通信部15が受信した制御情報を取得し、測位部13が取得した絶対位置情報を取得する。制御部11は取得した制御情報に含まれる自律移動経路情報と自律移動経路情報に含まれる分離位置情報とに基づいて駆動部12を制御することによって分離位置へ無人移動機1を自律的に飛行させる。
【0038】
図6は、分離位置などの目的地へ到達した無人移動機1が海面上に着水し水中ドローン2を分離した後の様子を示す。海面上に着水した無人移動機1は基地局51から送信される制御情報を受信し、受信した制御情報を水中ドローン2へ送信する。無人移動機1は無線通信端末4と水中ドローン2との間の中継機として機能する。無人移動機1はケーブル3を介して水中ドローン2の遠隔制御に必要な制御情報を水中ドローン2へ送信する。水中ドローン2は撮影した水中の映像や各種センサ情報を含む通知情報を無人移動機1へ送信する。無人移動機1は水中ドローン2が送信した通知情報を基地局51へ無線送信する。基地局51はネットワークNWを介して通知情報を無線通信端末4へ転送する。
遠隔制御を終了する場合にはユーザーUは無線通信端末4の制御入力部441に回収地点を示す座標を指定して遠隔制御を終了する操作を行う。制御入力部441はユーザーUの操作に基づいて回収地点の座標情報を含む遠隔制御を終了するための遠隔制御終了情報を作成し、作成した遠隔制御終了情報を制御部41へ出力する。制御部41は制御入力部441が出力した遠隔制御終了情報を取得し、取得した遠隔制御終了情報を含む、無人移動機1を宛先とする制御情報を作成する。制御部41は作成した制御情報を通信部42へ出力する。通信部42は制御部41が出力した制御情報を取得し、取得した制御情報を無人移動機1へ送信する。
無人移動機1において、通信部15は無線通信端末4が送信した制御情報を受信する。制御部11は通信部15が受信した制御情報を取得する。制御部11は取得した制御情報に含まれる遠隔制御終了情報に基づいてケーブル3を巻き上げることを指示する制御信号を作成し、作成した制御信号を調整部19へ出力する。調整部19は制御部11が出力したケーブル3を巻き上げることを指示する制御信号を取得し、取得した制御信号に基づいてケーブル3を巻き上げる。ケーブル3が巻き上げられることによって水中ドローン2が水中から引き上げられる。制御部11は結合分離機構に水中ドローン2を結合させる。制御部11は回収地点を示す座標に基づいて駆動部12を制御することで離水して、回収地点へ自律的に移動する。
【0039】
(適用例2)
遠隔制御システム100の適用例2では潜航する水中ドローン2に追従するように無人移動機1が自律移動する。従来は陸上/船舶、ブイなどの浮体と水中ドローンとの間はケーブルで接続されており水中ドローンの移動範囲はケーブル長以内に制限されていた。ケーブル長の範囲外に水中ドローンを移動させる場合にはユーザーUの乗る船舶を移動させることやアンカーで固定している浮体を移動させる必要がありコストや手間が必要であった。適用例2では無人移動機1において、位置推定部18は受信部17が受信したデジタル信号化した音波と到達方向の検出結果とを取得する。位置推定部18はデジタル信号化した音波に基づいてデジタル信号の到達時間を導出する。位置推定部18は到達時間の導出結果と到達方向とに基づいて、無人移動機1と水中ドローン2との相対位置を推定する。通信部14は水中ドローン2が送信した移動方向を示す情報と速度を示す情報とを受信する。制御部11は位置推定部18から相対位置の推定結果を取得し、取得した相対位置の推定結果に基づいて無人移動機1と水中ドローン2との間の距離を算出する。制御部11は通信部14が受信した移動方向を示す情報と速度を示す情報とを取得する。制御部11は無人移動機1と水中ドローン2との間の距離の算出結果と取得した移動方向を示す情報と速度を示す情報とに基づいて無人移動機1の移動方向を決定する。制御部11は決定した移動方向に基づいて駆動部12を制御する。このように構成することによって水中ドローン2を追従するように無人移動機1を移動させる。
【0040】
図7は、本実施形態に係る遠隔制御システムの適用例2を示す図である。水中ドローン2は無人移動機1から一定の範囲の内側を移動できる。図7上段は、水中ドローン2が被対象物である魚を撮影するために潜航している様子を示す。水中ドローン2は無人移動機1から一定の範囲31までしか近づくことができない。被対象物である魚は無人移動機1から一定の範囲31よりも外に存在するがこれ以上近づくことができない。無人移動機1において、制御部11は水中ドローン2が無人移動機1から一定以上離れたと判定した場合に水中ドローン2に状況を要求するための状況要求を作成し、作成した状況要求を通信部14へ出力する。通信部14は制御部11が出力した状況要求を取得し、取得した状況要求を水中ドローン2へ送信する。通信部14は送信した状況要求に対して水中ドローン2が送信した状況応答を受信する。制御部11は通信部14が受信した状況応答を取得する。
制御部11は水中ドローン2が無人移動機1から一定以上離れたと判定した場合に位置推定部18に位置推定命令を出力する。位置推定部18は制御部11が出力した位置推定命令を取得する。位置推定部18は制御部11が出力した位置推定命令を取得し、取得した位置推定命令に含まれる状況応答に基づいて水中ドローン2の位置を推定する。制御部11は位置推定部18が推定した水中ドローン2の位置情報を取得する。制御部11は測位部13から無人移動機1の位置情報を取得する。制御部11は取得した水中ドローン2の位置情報と無人移動機1の位置情報とに基づいて無人移動機1が水中ドローン2に追従するように駆動部12を制御する。制御部11が駆動部12を制御することによって、図7下段に示されるように無人移動機1が自律的に移動する。被対象物である魚が無人移動機1から一定の範囲31の内側になる。このように水中ドローン2の移動に合わせて無人移動機1を自律的に移動させることで、従来技術では困難であったケーブル長の範囲外の海域においても水中ドローン2が自由に潜航できる。
【0041】
前述した実施形態では無人移動機1が全地球型測位システムなどの専用機器によって構成される測位部13を備える場合について説明したがこの例に限られない。例えば無人移動機1は絶対位置を測位可能なモバイル通信モジュールなどに組み込まれた機能を利用して、測位してもよい。前述した実施形態では水中ドローン2を結合した無人移動機1を制御情報に含まれる自律移動経路情報と自律移動経路情報に含まれる分離位置情報とに基づいて自律的に飛行させる場合について説明したがこの例に限られない。例えば水中ドローン2を結合した無人移動機1を制御情報に含まれる操作情報に基づいて分離位置まで飛行させてもよい。つまり水中ドローン2を結合した無人移動機1を遠隔制御で分離位置まで飛行させてもよい。
【0042】
本実施形態に係る遠隔制御システムによれば、遠隔制御システム100は水中ドローン2などの水中ロボットを遠隔制御し、水中ドローン2の制御情報を送信する無線通信端末4と無線通信端末4が送信した制御情報を水中ドローン2へ送信する無人移動機1とを備える。無人移動機1は制御情報を受信する通信部15とケーブル3を経由して通信部15が受信した制御情報を水中ドローン2へ送信する通信部14とを備える。水中ドローン2は通信部14が送信した制御情報を受信する通信部24と通信部24が受信した制御情報に基づいて水中ドローン2を駆動する駆動部25を制御する制御部21とを備える。このように飛行ドローン、自律航行船などの無人移動機1に分離可能な水中ドローン2を有線接続し、ネットワークNWを介して遠隔制御することで定置網や養殖いけすなどの沿岸部に設置されている網内を遠隔地から確認できる。このため従来技術では事前にブイなどの浮体を海面へ設置する作業が必要であったが、本実施形態に係る遠隔制御システムでは不要である。ネットワークNWを介して水中ロボットを遠隔制御できるため水中ドローン2を制御するために船を出す手間も省略できる。水中ドローン2は利用毎に陸まで自律的に戻るため利用後は流水で洗い流すなどのメンテナンス作業が容易でありかつ、海藻や貝類などの付着物を防止できる。従来技術のように水中ドローンを海中に設置する手法と比較して本実施形態に係る遠隔制御システム100は長期的に運用可能である。
また通信部14は水中ドローン2が送信した移動方向を示す情報と速度を示す情報とを受信し、無人移動機1は無人移動機1と水中ドローン2との相対位置を推定する位置推定部18と通信部14が受信した移動方向を示す情報と速度を示す情報と位置推定部18による相対位置の推定結果とに基づいて無人移動機1の移動方向を決定し、決定した無人移動機1の移動方向に基づいて無人移動機1を駆動する駆動部12を制御する制御部11とを備える。従来では水中ドローンは海面の浮体と有線接続されているため浮体からケーブル長までの範囲でしか潜航できなかった。本実施形態では無人移動機1は水中ドローン2までの距離や深さ、進行方向、潜航速度などの情報を取得可能でありこれらの情報を併せることで無人移動機1が水中ドローン2を追従するように移動できる。本実施形態では水中ドローン2が潜航可能な範囲を従来技術と比較して広範にできる。
【0043】
また、無人移動機1は水中ドローン2が送信する音波を受信する受信部17を備え、位置推定部18は受信部17が受信した音波に基づいて水中ドローン2との相対位置を推定する。このように構成することによって無人移動機1は水中ドローン2に追従する場合に水中ドローン2との間の相対位置を推定できる。
また、無人移動機1と水中ドローン2との間のケーブルの長さを調整する調整部19を備え、制御部11は調整部19が調整するケーブルの長さに基づいて駆動部12を制御する。このように構成することによって無人移動機1は水中ドローン2が一定以上離れたか否かを判定できる。
また、無人移動機1は水中ドローン2を結合又は分離する結合分離機構を備え、制御部11は無人移動機1の位置に基づいて結合分離機構に水中ロボットを結合又は分離させる。このように構成することによって海面に位置する無人移動機1を陸上と水中との間の通信ハブとして機能させることができる。無人移動機1を水中ドローン2と結合させて移動させることによって広域な範囲を水中ドローン2に移動させることができる。
【0044】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組合わせを行うことができる。これら実施形態及びその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
例えば、上述した各装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたコンピュータプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してコンピュータプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0045】
1…無人移動機、2…水中ドローン、3…ケーブル、4…無線通信端末、6…定置網、11…制御部、12…駆動部、13…測位部、14…通信部、15…通信部、16…記憶部、17…受信部、18…位置推定部、19…調整部、21…制御部、22…センサ部、23…カメラ部、24…通信部、25…駆動部、26…送信部、41…制御部、42…通信部、43…記憶部、44…画面入出力部、441…制御入力部、442…画面表示部、51…基地局
図1
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図3
図4
図5
図6
図7