IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社カワタの特許一覧

特開2024-138326粉体のコーティング装置および粉体分散装置
<>
  • 特開-粉体のコーティング装置および粉体分散装置 図1
  • 特開-粉体のコーティング装置および粉体分散装置 図2
  • 特開-粉体のコーティング装置および粉体分散装置 図3
  • 特開-粉体のコーティング装置および粉体分散装置 図4
  • 特開-粉体のコーティング装置および粉体分散装置 図5
  • 特開-粉体のコーティング装置および粉体分散装置 図6
  • 特開-粉体のコーティング装置および粉体分散装置 図7
  • 特開-粉体のコーティング装置および粉体分散装置 図8
  • 特開-粉体のコーティング装置および粉体分散装置 図9
  • 特開-粉体のコーティング装置および粉体分散装置 図10
  • 特開-粉体のコーティング装置および粉体分散装置 図11
  • 特開-粉体のコーティング装置および粉体分散装置 図12
  • 特開-粉体のコーティング装置および粉体分散装置 図13
  • 特開-粉体のコーティング装置および粉体分散装置 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138326
(43)【公開日】2024-10-08
(54)【発明の名称】粉体のコーティング装置および粉体分散装置
(51)【国際特許分類】
   B01J 2/00 20060101AFI20241001BHJP
   B01J 2/16 20060101ALI20241001BHJP
   B01F 23/50 20220101ALI20241001BHJP
   B01F 25/23 20220101ALI20241001BHJP
   B01F 23/80 20220101ALI20241001BHJP
   B01F 23/23 20220101ALI20241001BHJP
   B01F 23/30 20220101ALI20241001BHJP
   B01F 35/71 20220101ALI20241001BHJP
   B01F 35/91 20220101ALI20241001BHJP
   B01F 35/221 20220101ALI20241001BHJP
   C01G 33/00 20060101ALI20241001BHJP
   H01M 4/04 20060101ALI20241001BHJP
   H01M 4/139 20100101ALI20241001BHJP
【FI】
B01J2/00 B
B01J2/16
B01F23/50
B01F25/23
B01F23/80
B01F23/23
B01F23/30
B01F35/71
B01F35/91
B01F35/221
C01G33/00 A
H01M4/04 Z
H01M4/139
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024106546
(22)【出願日】2024-07-02
(62)【分割の表示】P 2021503388の分割
【原出願日】2019-08-01
(31)【優先権主張番号】P 2019038048
(32)【優先日】2019-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000129183
【氏名又は名称】株式会社カワタ
(74)【代理人】
【識別番号】100129643
【弁理士】
【氏名又は名称】皆川 祐一
(72)【発明者】
【氏名】張 春暁
(72)【発明者】
【氏名】富永 圭介
(72)【発明者】
【氏名】廣川 治永
(57)【要約】
【課題】粉体の分散性およびコーティング処理の効率を向上させることができる、粉体のコーティング装置およびコーティング方法、粉体分散装置ならびに粉体分散方法を提供する。
【解決手段】コーティング装置1は、分散混合部2、搬送部3および捕集部4を備えている。分散混合部4には、原料粉体とコーティング液とがスラリーの状態で供給される。分散混合部2では、高圧流体の気流により、原料粉体とコーティング液とを混合したスラリー(混合材)がコーティング液の膜が表面に付着した粉体に分散される。粉体は、分散混合部2から搬送部3に導入され、搬送部3を捕集部4に向けて搬送される。この搬送中に、粒子の表面に付着したコーティング液が乾燥することにより、粒子の表面が前駆体で被覆された粉体が生成される。捕集部4に導入される粉体流は、バグフィルタ54を通過する。これにより、粉体がバグフィルタ54に捕獲される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧流体の気流により、原料粉体とコーティング材を含むコーティング液との混合材を、前記原料粉体の表面に前記コーティング液の膜を付着させながら分散させる分散部と、
前記分散部から流入する前記コーティング液の膜が付着した前記原料粉体を気流に乗せて搬送し、その搬送中に前記コーティング液を乾燥させる搬送部と、
前記搬送部での前記コーティング液の乾燥により生成される複合化粉体を捕集する捕集部とを含む、粉体のコーティング装置。
【請求項2】
前記混合材は、スラリーの状態で前記分散部に供給される、請求項1に記載の粉体のコーティング装置。
【請求項3】
前記高圧流体が予め所定の温度まで加温されている、請求項1または2に記載の粉体のコーティング装置。
【請求項4】
前記分散部は、前記混合材が流通する流路と、衝突位置に向けて高圧流体の気流をそれぞれ吹き出す第1噴射口および第2噴射口とを備え、前記流路を流通する前記混合材が前記衝突位置を通過する際に、前記衝突位置で衝突する気流から剪断力を受けることにより、前記混合材が分散される、請求項1~3のいずれか一項に記載の粉体のコーティング装置。
【請求項5】
前記第1噴射口および前記第2噴射口からの前記気流は、最大のマッハ数が1以上である、請求項4に記載の粉体のコーティング装置。
【請求項6】
前記流路、前記第1噴射口および前記第2噴射口は、前記衝突位置に向かう前記混合材の流れならびに前記第1噴射口および前記第2噴射口からの前記気流の各中心線が同一の平面内に位置するように形成されており、
前記流路は、各中心線と直交する方向に複数並べて設けられている、請求項4または5に記載の粉体のコーティング装置。
【請求項7】
前記分散部は、流路と、前記流路内に高圧流体の気流を導入する気流導入口と、前記気流導入口よりも前記気流の流通方向の下流側に設けられ、前記流路内に前記混合材を導入する混合材導入口とを備え、前記流路内で前記混合材が気流から剪断力を受けることにより、前記混合材が分散される、請求項1~3のいずれか一項に記載の粉体のコーティング装置。
【請求項8】
前記流路は、前記気流導入口から前記流通方向の下流側に延びる途中部が狭まるラバルノズルの形態をなしている、請求項7に記載の粉体のコーティング装置。
【請求項9】
前記混合材導入口は、前記流路における狭まった前記途中部よりも前記流通方向の下流側の位置に設けられている、請求項8に記載の粉体のコーティング装置。
【請求項10】
前記気流は、前記混合材導入口を通過する際の最大のマッハ数が1以上である、請求項9に記載の粉体のコーティング装置。
【請求項11】
前記搬送部に加温乾燥ガスを導入するガス導入部をさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の粉体のコーティング装置。
【請求項12】
前記搬送部は、円筒状の内周面を有し、
前記ガス導入部は、前記加温乾燥ガスが前記内周面に沿って流れるように、前記搬送部に前記加温乾燥ガスを導入する、請求項11に記載の粉体のコーティング装置。
【請求項13】
前記搬送部は、前記分散部から前記粉体を導入する導入路を備えており、
前記ガス導入部は、前記導入路を形成する管壁に対向する位置から前記搬送部に前記加温乾燥ガスを導入する、請求項11に記載の粉体のコーティング装置。
【請求項14】
前記分散部、前記搬送部および前記捕集部が直線状に並べて配置されている、請求項1~13のいずれか一項に記載の粉体のコーティング装置。
【請求項15】
前記原料粉体は、電池の電極活物質である、請求項1~14のいずれか一項に記載の粉体のコーティング装置。
【請求項16】
前記分散部は、前記混合材が前記搬送部に向けて上下方向に流通するように構成されている、請求項1~15のいずれか一項に記載の粉体のコーティング装置。
【請求項17】
高圧流体の気流により、原料粉体とコーティング材を含むコーティング液との混合材を、前記原料粉体の表面に前記コーティング液の膜を付着させながら分散させ、
前記コーティング液の膜が付着した前記原料粉体を気流に乗せて搬送し、その搬送中に前記コーティング液を乾燥させ、
前記コーティング液の乾燥により生成される複合化粉体を捕集する、粉体のコーティング方法。
【請求項18】
原料粉体とコーティング材を含むコーティング液とを予め混合して作製されたスラリーが流通する流路と、
衝突位置に向けて高圧流体の気流を吹き出す噴射口とを備え、
前記流路を流通する前記スラリーが前記衝突位置を通過する際に、前記スラリーに前記気流による剪断力を与えることにより、前記スラリーを前記コーティング液の膜が表面に付着した原料粉体に分散させる、粉体分散装置。
【請求項19】
原料粉体とコーティング材を含むコーティング液とを予め混合して作製されたスラリーを流路に流通させ、
噴射口から衝突位置に向けて高圧流体の気流を吹き出させて、
前記流路を流通する前記スラリーが前記衝突位置を通過する際に、前記スラリーに前記気流による剪断力を与えることにより、前記スラリーを前記コーティング液の膜が表面に付着した前記原料粉体に分散させる、粉体分散方法。
【請求項20】
前記噴射口からの前記気流は、最大のマッハ数が1以上である、請求項19に記載の粉体分散方法。
【請求項21】
流路と、
前記流路内に高圧流体の気流を導入する気流導入口と、
前記気流導入口よりも前記気流の流通方向の下流側に設けられ、原料粉体とコーティング材を含むコーティング液とを予め混合して作製されたスラリーを前記流路内に導入するスラリー導入口とを備え、
前記流路内で前記スラリーに前記気流による剪断力を与えることにより、前記スラリーを前記コーティング液の膜が表面に付着した前記原料粉体に分散させる、粉体分散装置。
【請求項22】
流路内に気流導入口から高圧流体の気流を導入し、
前記気流導入口よりも前記気流の流通方向の下流側に設けられたスラリー導入口から、原料粉体とコーティング材を含むコーティング液とを予め混合して作製されたスラリーを前記流路内に導入し、
前記流路内で前記スラリーに前記気流による剪断力を与えることにより、前記スラリーを前記コーティング液の膜が表面に付着した前記原料粉体に分散させる、粉体分散方法。
【請求項23】
前記気流は、前記スラリー導入口を通過する際の最大のマッハ数が1以上である、請求項22に記載の粉体分散方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体のコーティング装置およびコーティング方法、粉体分散装置ならびに粉体分散方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表面改質・複合化の技術では、粒子に異なる微粒子を結合させて、粒子の表面を微粒子でコーティングすることにより、粉体に種々の機能性を付与することができる。この表面改質・複合化の技術は、食品、医薬品、化粧品などの分野で盛んに利用されており、それ以外に電子部品や電池に用いられる材料にも電気特性の向上のために利用されている。
【0003】
粉体コーティングの方法として、コーティング材である微粉体を溶媒中に分散させたコーティング液を主原料となる原料粉体に付着させて、そのコーティング液を乾燥させることにより、原料粉体(粒子)の表面に微粉体のコーティング層を形成する方法がある。
【0004】
たとえば、特許文献1には、原料粉体が収容された容器内に流動化気体を導入し、その流動化気体により流動化された原料粉体にコーティング液を噴射して、原料粉体にコーティング層を形成するコーティング処理を行う装置が開示されている。かかる装置では、コーティングプロセスにおいて、コーティング液をミスト化して付着させる際に、噴霧速度が速くなると液架橋力によって凝集してしまうため、コーティングに時間を要することがあり、また、コーティング処理がバッチ処理となるため、全体の工程も長時間を要する。
【0005】
一方、特許文献2には、サイクロン状の容器内で空気を旋回させつつ、その旋回する空気流に粉体とコーティング液の噴霧とを混入させて、その容器に続く搬送経路上で粉体にコーティング層を形成し、コーティング処理後の粉体を捕集する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011-56348号公報
【特許文献2】特開平2-107366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
原料粉体は、現在も微粒化の傾向にあり、微粒化に伴って、原料粉体の凝集性が高くなる。そのため、コーティング処理を行う装置には、より高い分散性が望まれている。また、いずれの先行技術に係る装置においても、原料粉体が凝集しない状態を維持しながら原料粉体の表面に均一なコーティング層を形成するためには、相当な時間を要するという問題がある。さらに、コーティング液を噴射するスプレーノズルの周辺に粉体が付着することによる回収ロスが発生することも生産における課題である。
【0008】
本発明の目的は、粉体の分散性およびコーティング処理の効率を向上させることができる、粉体のコーティング装置およびコーティング方法、粉体分散装置ならびに粉体分散方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するため、本発明の一の局面に係る粉体のコーティング装置は、高圧流体の気流により、原料粉体とコーティング材を含むコーティング液との混合材を、原料粉体の表面にコーティング液の膜を付着させながら分散させる分散部と、分散部から流入するコーティング液の膜が付着した原料粉体を気流に乗せて搬送し、その搬送中にコーティング液を乾燥させる搬送部と、搬送部でのコーティング液の乾燥により生成される複合化粉体を捕集する捕集部とを含む。
【0010】
この構成によれば、分散部では、たとえば超音速のエアなどの高圧流体の気流により、原料粉体とコーティング液との混合材が原料粉体の表面にコーティング液の膜が付着してなる粉体に分散される。そのため、粉体の凝集を抑制でき、分散性を向上させることができる。これにより、粉体へのコーティング処理を連続工程にて行うことができる。また、分散部にコーティング液を噴射するスプレーノズルを備えてないので、スプレーノズルの周辺に粉体が付着することによる回収ロスがなく、コーティング処理の効率(粉体の回収効率)を向上させることができる。
【0011】
また、混合材がスラリーの状態で分散部に導入されることにより、主原料となる粒子へのコーティング材の付着率を高めることができる。
【0012】
高圧流体は、予め所定の温度まで加温されていることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、高圧流体が噴射される際の断熱膨張による温度低下を抑制し、乾燥速度を落とすこと無く効率的に乾燥することができる。
【0014】
分散部は、混合材が流通する流路と、衝突位置に向けて高圧流体の気流をそれぞれ吹き出す第1噴射口および第2噴射口とを備える構成であってもよい。
【0015】
この構成によれば、流路を流通する混合材が衝突位置を通過する際に、衝突位置で衝突する気流から剪断力を受けることにより、混合材を粉体に良好に分散させることができる。
【0016】
第1噴射口および第2噴射口からの気流は、最大のマッハ数が1以上であることが好ましい。言い換えれば、第1噴射口および第2噴射口からの気流の流速は、音速以上であることが好ましい。
【0017】
これにより、混合材に超音速の気流による大きな剪断力を与えることができ、粉体の凝集を良好に抑制して分散性をさらに向上させることができる。
【0018】
流路、第1噴射口および第2噴射口は、衝突位置に向かう混合材の流れならびに第1噴射口および第2噴射口からの気流の各中心線が同一の平面内に位置するように形成されており、流路は、各中心線と直交する方向に複数並べて設けられていてもよい。
【0019】
これにより、コーティング装置における単位時間あたりの処理量を増大させることができる。
【0020】
また、分散部は、流路と、流路内に高圧流体の気流を導入する気流導入口と、気流導入口よりも気流の流通方向の下流側に設けられ、流路内に混合材を導入する混合材導入口とを備える構成であってもよい。
【0021】
この構成によれば、流路内で混合材が気流から剪断力を受けることにより、混合材を粉体に良好に分散させることができる。
【0022】
また、その構成において、流路は、気流導入口から流通方向の下流側に延びる途中部が狭まるラバルノズルの形態をなしていてもよい。
【0023】
この構成では、気流導入口から流路に導入される気流が狭まった途中部を通過することにより、気流を加速させることができる。
【0024】
混合材導入口は、流路における狭まった途中部よりも流通方向の下流側の位置に設けられていることが好ましい。
【0025】
これにより、気流から混合材に大きな剪断力を与えることができる。
【0026】
気流は、混合材導入口を通過する際の最大のマッハ数が1以上であることが好ましい。言い換えれば、混合材導入口を通過するときの気流の流速は、音速以上であることが好ましい。
【0027】
これにより、混合材に超音速の気流による大きな剪断力を与えることができ、粉体の凝集を良好に抑制して分散性をさらに向上させることができる。
【0028】
コーティング装置は、搬送部に加温乾燥ガスを導入するガス導入部をさらに含む構成であってもよい。加温乾燥ガスの温度は、常温~300℃の範囲内であり、40℃~300℃の範囲内であってもよく、コーティング材の溶媒の温度特性に応じて、60℃~200℃の範囲内であることが好ましい。
【0029】
これにより、搬送部でのコーティング液の乾燥を促進することができる。
【0030】
搬送部は、円筒状の内周面を有し、ガス導入部は、加温乾燥ガスが内周面に沿って流れるように、搬送部に加温乾燥ガスを導入する構成であってもよい。
【0031】
この構成によれば、搬送部の内周面に粉体が付着することを抑制でき、粉体の回収効率をさらに高めることができる。
【0032】
搬送部は、分散部から粉体を導入する導入路を備え、ガス導入部は、導入路を形成する管壁に対向する位置から搬送部に加温乾燥ガスを導入する構成であってもよい。
【0033】
この構成によれば、分散部から搬送部に導入される粉体の流れとガス導入部から搬送部に導入される加温乾燥ガスとが互いに直交する方向から衝突することを抑制でき、搬送部内に乱流が発生することを抑制できる。その結果、搬送部の内面におけるガス導入部の周辺に粉体が付着することを抑制でき、粉体の回収効率をさらに高めることができる。
【0034】
分散部、搬送部および捕集部は、直線状に並べて配置されていることが好ましい。
【0035】
これにより、粉体を速やかに搬送することができ、コーティング処理の速度を上げることができる。
【0036】
分散部は、混合材が搬送部に向けて上下方向に流通するように構成されていてもよい。
【0037】
この構成により、混合材に作用する重力を混合材の流通に利用することができ、混合材を圧送するエネルギーの低減を図ることができる。また、混合材を重力方向に偏らせることを防ぎ、均等に分散することができる。
【0038】
本発明の他の局面に係る粉体のコーティング方法は、高圧流体の気流により、原料粉体とコーティング材を含むコーティング液との混合材を、原料粉体の表面にコーティング液の膜を付着させながら分散させ、コーティング液の膜が付着した原料粉体を気流に乗せて搬送し、その搬送中にコーティング液を乾燥させ、コーティング液の乾燥により生成される複合化粉体を捕集する方法である。
【0039】
この方法によれば、前述したコーティング装置による作用効果と同様の作用効果を奏することができる。
【0040】
本発明のさらに他の局面に係る粉体分散装置は、原料粉体とコーティング材を含むコーティング液とを予め混合して作製されたスラリーが流通する流路と、衝突位置に向けて高圧流体の気流を吹き出す噴射口とを備え、流路を流通するスラリーが衝突位置を通過する際に、スラリーに気流による剪断力を与えることにより、スラリーをコーティング液の膜が表面に付着した原料粉体に分散させる。
【0041】
この構成によれば、原料粉体とコーティング液とを含むスラリーを、たとえば超音速のエアなどの気流から受ける剪断力によりコーティング液の膜が表面に付着した原料粉体に良好に分散させることができる。そのため、粉体の凝集を抑制でき、分散性を向上させることができる。また、分散部にコーティング液を噴射するスプレーノズルを備えてないので、スプレーノズルの周辺に粉体が付着することによる回収ロスがなく、コーティング処理の効率(粉体の回収効率)を向上させることができる。さらに、混合材がスラリーの状態で導入されることにより、主原料となる粒子へのコーティング材の付着率を高めることができる。
【0042】
この粉体分散装置に対応する粉体分散方法は、原料粉体とコーティング材を含むコーティング液とを予め混合して作製されたスラリーを流路に流通させ、噴射口から衝突位置に向けて高圧流体の気流を吹き出させて、流路を流通するスラリーが衝突位置を通過する際に、スラリーに気流による剪断力を与えることにより、スラリーをコーティング液の膜が表面に付着した原料粉体に分散させる方法である。
【0043】
この方法によれば、対応する粉体分散装置による作用効果と同様の作用効果を奏することができる。
【0044】
本発明のさらに他の局面に係る粉体分散装置は、流路と、流路内に高圧流体の気流を導入する気流導入口と、気流導入口よりも気流の流通方向の下流側に設けられ、原料粉体とコーティング材を含むコーティング液とを予め混合して作製されたスラリーを前記流路内に導入するスラリー導入口とを備え、流路内でスラリーに気流による剪断力を与えることにより、スラリーをコーティング液の膜が表面に付着した原料粉体に分散させる。
【0045】
この構成によれば、原料粉体とコーティング液とを含むスラリーを、たとえば超音速のエアなどの気流から受ける剪断力によりコーティング液の膜が表面に付着した原料粉体に良好に分散させることができる。そのため、粉体の凝集を抑制でき、分散性を向上させることができる。また、分散部にコーティング液を噴射するスプレーノズルを備えてないので、スプレーノズルの周辺に粉体が付着することによる回収ロスがなく、コーティング処理の効率(粉体の回収効率)を向上させることができる。さらに、混合材がスラリーの状態で導入されることにより、主原料となる粒子へのコーティング材の付着率を高めることができる。
【0046】
この粉体分散装置に対応する粉体分散方法は、流路内に気流導入口から高圧流体の気流を導入し、気流導入口よりも気流の流通方向の下流側に設けられたスラリー導入口から、原料粉体とコーティング材を含むコーティング液とを予め混合して作製されたスラリーを流路内に導入し、流路内でスラリーに気流による剪断力を与えることにより、スラリーをコーティング液の膜が表面に付着した原料粉体に分散させる方法である。
【0047】
この方法によれば、対応する粉体分散装置による作用効果と同様の作用効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0048】
本発明によれば、粉体の分散性およびコーティング処理の効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】本発明の第1実施形態に係るコーティング装置の構成を図解的に示す断面図である。
図2】分散混合部の上面図である。
図3】分散混合部の側面図である。
図4】本発明の第2実施形態に係るコーティング装置の構成を図解的に示す断面図である。
図5】本発明の第3実施形態に係るコーティング装置の構成を図解的に示す断面図である。
図6図5に示される分散混合部を下側から見た図である。
図7】分級部が採用されたコーティング装置の構成を図解的に示す断面図である。
図8】本発明の第4実施形態に係るコーティング装置の構成を図解的に示す断面図である。
図9図8に示される分散混合部の分解斜視図である。
図10】分散混合部の変形例を示す斜視図である。
図11】分散混合部に備えられるユニット数と総噴射量、アシストエア量および円筒部内でのエア量との関係を示す表である。
図12】分散混合部の他の変形例を示す斜視図である。
図13図12に示される分散混合部のスラリー流通管の断面形状の一例を示す図である。
図14図12に示される分散混合部のスラリー流通管の断面形状の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0051】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係るコーティング装置1の構成を図解的に示す断面図である。
【0052】
コーティング装置1は、原料粉体の粒子にコーティング材である微粒子を結合させて、コーティング層が表面に形成された複合化粉体(粒子)を生成するコーティング処理を実施する装置である。コーティング装置1は、分散混合部2、搬送部3および捕集部4を備えている。分散混合部2、搬送部3および捕集部4は、直線状に並べて配置されている。
【0053】
図2は、分散混合部2の上面図である。図3は、分散混合部2の側面図である。以下では、分散混合部2が水平面に設置された状態を基準に、分散混合部2の構成について説明する。
【0054】
分散混合部2は、直方体形状の外形を有している。分散混合部2の上面には、スラリー導入口11、第1気流導入口12および第2気流導入口13が形成されている。スラリー導入口11、第1気流導入口12および第2気流導入口13は、一直線上に並び(以下、スラリー導入口11、第1気流導入口12および第2気流導入口13が並ぶ方向を「第1水平方向」という。)、第1気流導入口12および第2気流導入口13は、スラリー導入口11を挟んだ第1水平方向の両側に位置している。分散混合部2の第1水平方向に延びる一側面には、粉体流排出口14が形成されている。
【0055】
分散混合部2の内部には、スラリー導入口11と粉体流排出口14とを連通するスラリー流路15が形成されている。スラリー流路15は、スラリー導入口11から下方に延び、第1水平方向と直交する水平方向(以下、この方向を「第2水平方向」という。)に屈曲して粉体流排出口14に向けて直線状に延びている。スラリー流路15の第2水平方向に延びる部分は、上下方向の寸法が相対的に小さい狭路部16と、狭路部16に連続し、粉体流排出口14に向かうにつれて上下方向の寸法が大きくなる拡路部17と、拡路部17に連続し、上下方向の寸法が相対的に大きい広路部18とを有している。広路部18は、分散混合部2の側面で開口しており、その開口が粉体流排出口14として形成されている。
【0056】
また、分散混合部2の内部には、第1気流導入口12と連通する第1流路21と、第2気流導入口13と連通する第2流路22とが形成されている。
【0057】
第1流路21は、第1気流導入口12から下方に延び、水平方向に屈曲し、スラリー流路15の狭路部16に向けて延びている。狭路部16の側面には、第1気流噴射口23が形成されており、第1流路21は、第1気流噴射口23と連通している。第1気流噴射口23は、水平方向の開口幅よりも上下方向の開口長さが長いスリット状の開口として形成されており、第1流路21は、第1気流噴射口23に近づくにつれて流路断面が縮小されている。
【0058】
第2流路22は、スラリー導入口11の中心を通り第2水平方向に延びる直線に関して第1流路21と対称に形成されている。具体的には、第2流路22は、第2気流導入口13から下方に延び、水平方向に屈曲し、スラリー流路15の狭路部16に向けて延びている。狭路部16の側面には、第2気流噴射口24が形成されており、第2流路22は、第2気流噴射口24と連通している。第2気流噴射口24は、水平方向の開口幅よりも上下方向の開口長さが長いスリット状の開口として形成されており、第2流路22は、第2気流噴射口24に近づくにつれて流路断面が縮小されている。
【0059】
スラリー導入口11には、スラリー供給管31の一端が接続されている。スラリー供給管31の他端は、スラリータンク32に接続されている。スラリータンク32には、原料粉体とコーティング材を含むコーティング液との混合材がスラリーの状態で貯留されている。
【0060】
以下では、コーティング装置1が全固体電池用の正極活物質粉体の生成に用いられる場合を例にとる。
【0061】
原料粉体は、リチウム金属複合酸化物であり、平均粒径が2~30μm程度の粒子である。原料粉体を構成する金属元素としては、Co、Ni、Mn、Ti、Fe、Alなどであるが、電気化学的特性改善のため、これ以外の元素を含むこともある。具体的には、原料粉体として、LiCoO、LiNiO、LiMn、LiNi1/3Mn1/3Co1/3、LiTi12、LiFePO、LiNi0.8Co0.15Al0.05などの粒子を挙げることができる。
【0062】
コーティング材は、ニオブ酸リチウム(LiNbO)であり、コーティング液は、ニオブ酸リチウムの前駆体となるアルコキシド溶液である。コーティング装置1では、原料粉体の粒子の表面にアルコキシド溶液を付着させ、そのアルコキシド溶液を乾燥させることにより、粒子の表面が前駆体で被覆された粉体が生成される。そして、前駆体を250℃以上500℃未満で焼成することで、ニオブ酸リチウム薄膜で被覆された正極活物質粉体である複合化粉体を得ることができる。
【0063】
コーティング材は、ニオブ酸リチウムに限らず、同様の効果を持つ絶縁性のリチウム複合酸化物、たとえば、ケイ酸リチウム、ホウ酸リチウム、チタン酸リチウム、アルミン酸リチウム、リン酸リチウム、あるいはこれらの複合化合物など、リチウムイオン伝導性の高い材料であればよい。
【0064】
アルコキシドとしては、エトキシリチウムなどのエトキシドの他に、メトキシリチウム等のメトキシド、各種のプロポキシリチウムやブトキシリチウム等のプロポキシドおよびブトキシド等を使用することができ、また、溶媒は、エタノール、メタノール、各種のプロパノール、ブタノールなどのアルコールの他に、目的に応じて有機溶媒を使用することができる。
【0065】
コーティング溶液は、有機溶媒を使用することが望ましいが、水に対して安定性の高い前駆体を用いることにより、水溶液あるいは水溶液と有機溶媒との混合溶媒を使うこともできる。前駆体合成法もゾル-ゲル法のほか、たとえば、ペルオキシニオブ酸錯体などの水溶性金属錯体を利用する方法やグリコール修飾法などのポリオール合成、有機酸を用いたMOD(Metal Organic Decomposition)法、多糖類を用いたゲル化法、LPD(Liquid Phase Deposition法)、CSD(Chemical Solution Deposition)法など、リチウムを含む酸化物薄膜を形成可能な様々な方法が利用できる。
【0066】
図1を再び参照して、たとえば、図示省略のポンプまたはイジェクタの作用により、スラリータンク32からスラリー供給管31を通してスラリー導入口11にスラリーが供給される。スラリー導入口11からスラリー流路15に導入されるスラリーは、スラリー流路15を粉体流排出口14に向かって流通する。
【0067】
一方、第1気流導入口12および第2気流導入口13には、それぞれ第1供給管33および第2供給管34を通して高圧流体が供給される。高圧流体の気流は、第1流路21および第2流路22を流通し、第1気流噴射口23および第2気流噴射口24からスラリー流路15の狭路部16内に噴射される。第1気流噴射口23および第2気流噴射口24から噴射する気流は、最高速度が音速以上、すなわち最大のマッハ数が1以上に加速されており、狭路部16内に設定された衝突位置Pで衝突する。その衝突位置Pをスラリーが通過する際に、衝突位置Pで衝突する音速を超える流速の気流から剪断力を受け、これにより、スラリーは、粒子の表面にコーティング液が付着した粉体に分散される。なお、高圧流体としては、窒素、二酸化炭素、アルゴン等の不活性ガスや大気を高圧ガス状態としたものが用いられる。また、高圧流体は、超臨界状態で供給されるものであってもよい。噴射する気流の最大速度はマッハ数が1~4が好ましいが、音速以下であってもよく、マッハ数4より大きくてもよい。
【0068】
搬送部3は、円筒状の周面を有する円筒部41と、円筒部41に連続し、円筒部41から離れるにつれて窄まる円錐台状の円錐台部42と、円錐台部42から延びる管部43とを有している。管部43は、直管であってもよいし、渦巻き状の管であってもよいし、サイクロン管またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0069】
円筒部41の周面には、アシストエア導入口44が形成されている。アシストエア導入口44には、エア供給源45からアシストエア供給管46を通してアシストエアが供給される。エア供給源45としては、たとえば、ブロワ、ポンプ、エアコンプレッサ、圧縮ガスボンベなどを挙げることができる。アシストエア供給管46の途中部には、エア供給源45からのエアから水分を除去するミストセパレータ(ドライヤ)47と、ミストセパレータ47で水分が除去されたエアを加温するヒータ48とが介在されている。これにより、円筒部41内には、アシストエア導入口44から加温乾燥エアがアシストエアとして導入される。加温乾燥エアの温度は、たとえば、コーティング液の溶媒がエタノールである場合、60℃~120℃の温度範囲内に設定される。さらに溶媒の沸点より高くすることで乾燥を促進できるため、エタノールの沸点78℃以上が好ましい。なお、アシストエアとしては大気の他に窒素や二酸化炭素、アルゴン等の不活性ガス等種々の気体を用いることができる。加熱エアの温度も溶媒に応じて変更可能であり、沸点以上であることが好ましい。ただし上記の範囲には限定されず、乾燥に必要な熱量を供給可能な範囲であれば何度でもよい。
【0070】
円筒部41の内面には、アシストエア導入口44と対向して、気流制御部材51が設けられている。アシストエア導入口44から円筒部41内に導入されるアシストエアは、気流制御部材51の働きにより、円筒部41の内周面に沿って流れる渦状の気流となって、円筒部41から円錐台部42および管部43をこの順に通過する。
【0071】
円筒部41の端面には、粉体導入口52が形成されている。粉体導入口52には、粉体導入路53の一端が接続されている。粉体導入路53の他端は、分散混合部2の粉体流排出口14に接続されており、粉体流排出口14と粉体導入口52とは、粉体導入路53を介して連通している。
【0072】
分散混合部2で生成される粉体は、粉体流排出口14から排出され、粉体導入路53を流通して、粉体導入口52から搬送部3の円筒部41内に導入される。そして、円筒部41内に導入される粉体は、円筒部41内に形成されているアシストエアの気流に乗って、搬送部3を管部43に向けて搬送される。この搬送中に、粒子の表面に付着したコーティング液が乾燥することにより、粒子の表面がコーティング材の前駆体で被覆された粉体が生成される。乾燥を促進するため、搬送部3がヒータなどで加温されてもよい。
【0073】
搬送部3の管部43は、捕集部4に接続されており、搬送部3内と捕集部4内とは、互いに連通している。搬送部3を流れる粉体を乗せた気流(粉体流)は、捕集部4内に導入される。捕集部4内には、バグフィルタ54が設けられている。捕集部4に導入される粉体流は、バグフィルタ54を通過する。これにより、粉体がバグフィルタ54に捕獲され、粉体が除去された気流のみがバグフィルタ54を通過する。
【0074】
なお、捕集部4による粉体の捕集方法は、バグフィルタ54を用いる方法に限らず、サイクロンによる方法であってもよいし、それらが併用されてもよい。また、捕集部4には、ブロワ55が接続されて、ブロワ55の機能により、捕集部4からの気流の排出が補助されてもよい。
【0075】
<作用効果>
以上のように、分散混合部2では、高圧流体の気流により、原料粉体とコーティング液とを混合したスラリー(混合材)がコーティング液の膜が表面に付着した粉体に分散される。そのため、原料粉体の凝集を抑制でき、分散性を向上させることができる。これにより、粉体へのコーティング処理を連続工程にて行うことができる。また、分散混合部2にコーティング液を噴射するスプレーノズルを備えてないので、スプレーノズルの周辺に粉体が付着することによる回収ロスがなく、コーティング処理の効率(粉体の回収効率)を向上させることができる。
【0076】
また、原料粉体とコーティング液とがスラリーの状態で分散混合部2に供給されることにより、主原料となる粒子へのコーティング材の付着率を高めることができる。
【0077】
分散混合部2は、スラリーが流通するスラリー流路15と、スラリー流路15内に設定される衝突位置Pに向けて高圧流体の気流をそれぞれ吹き出す第1気流噴射口23および第2気流噴射口24とを備えている。スラリー流路15を流通するスラリーが衝突位置Pを通過する際に、衝突位置Pで衝突する気流から剪断力を受けることにより、スラリーを粉体に良好に分散させることができる。
【0078】
搬送部3には、加温乾燥ガスであるアシストガスを導入するアシストエア導入口44が形成されている。搬送部3にアシストガスが供給されることにより、粉体を捕集部4に向けて良好に搬送することができながら、搬送部3でのコーティング液の乾燥を促進することができる。
【0079】
アシストエア導入口44から搬送部3に導入されるアシストガスは、搬送部3の内周面に沿って流れるように導入される。これにより、搬送部3の内周面に粉体が付着することを抑制でき、粉体の回収効率をさらに高めることができる。
【0080】
また、分散混合部2、搬送部3および捕集部4は、直線状に並べて配置されている。そのため、粉体を速やかに搬送することができ、コーティング処理の速度を上げることができる。
【0081】
<第2実施形態>
図4は、本発明の第2実施形態に係るコーティング装置101の構成を図解的に示す断面図である。図4において、図1に示される各部に相当する部分には、それらの各部と同一の参照符号が付されている。また、以下では、その同一の参照符号が付された部分の説明を省略する。
【0082】
コーティング装置101は、搬送部102の構成がコーティング装置1の搬送部3の構成と異なる。搬送部102は、円筒状の本体103と、本体103の一端部に挿通された円管状の粉体導入路104とを備えている。粉体導入路104の一端は、本体103内において、粉体導入口105として開放されている。粉体導入路104の他端は、分散混合部2の粉体流排出口14に接続されており、粉体流排出口14と粉体導入口105とは、粉体導入路104を介して連通している。
【0083】
また、搬送部102では、アシストエア導入口44が粉体導入路104の管壁と本体103の径方向(中心線方向と直交する方向)から対向している。
【0084】
この構成により、分散混合部2から粉体導入路104を通して搬送部102(本体103)内に導入される粉体の流れとアシストエア導入口44から搬送部102内に導入されるアシストエアとが互いに直交する方向から衝突することを抑制でき、搬送部102内に乱流が発生することを抑制できる。その結果、搬送部102の内面におけるアシストエア導入口44の周辺に粉体が付着することを抑制でき、粉体の回収効率をさらに高めることができる。
【0085】
その他、コーティング装置101の構成によっても、図1に示されるコーティング装置1の構成と同様の作用効果を奏することができる。
【0086】
<第3実施形態>
図5は、本発明の第3実施形態に係るコーティング装置201の構成を図解的に示す断面図である。図5において、図1に示される各部に相当する部分には、それらの各部と同一の参照符号が付されている。また、以下では、その同一の参照符号が付された部分の説明を省略する。
【0087】
コーティング装置201では、分散混合部2に代えて、分散混合部202が採用されている。
【0088】
図6は、分散混合部202を下側から見た図である。
【0089】
分散混合部202は、第1水平方向に短く、第2水平方向に長く形成されている。分散混合部202内には、第2水平方向に延びる流路203が形成されている。流路203の一端は、分散混合部202の第1水平方向に延びる側面において、粉体流排出口204として開放されている。また、分散混合部202の上面には、流路203内に高圧流体の気流を供給する気流導入口205と、気流導入口205よりも気流の流通方向の下流側に設けられ、流路203内にスラリーを導入するスラリー導入口206とが形成されている。そして、流路203には、気流導入口205とスラリー導入口206との間の途中部において、その流路断面が収縮-拡大することによりラバルノズル207が形成されている。
【0090】
スラリー導入口206には、図5に示されるように、スラリータンク32から延びるスラリー供給管31が接続される。スラリータンク32からスラリー供給管31を通してスラリー導入口206に供給されるスラリーは、スラリー導入口206から流路203に導入されて、流路203を粉体流排出口204に向かって流通する。一方、気流導入口205には、供給管208が接続されており、その供給管208を通して、高圧流体の一例である圧縮ガス(窒素、二酸化炭素、アルゴン等の不活性ガスや大気を高圧ガス状態としたもの)が供給される。圧縮ガスは、ラバルノズル207を通過することにより、その流速が大きく上昇し、たとえば音速の3倍まで達する。この音速を超える流速の気流が流路203に導入されるスラリーを追い越して流れることにより、スラリーは、気流から剪断力を受け、粒子の表面にコーティング液が付着した粉体に分散される。
【0091】
粉体流排出口204には、粉体導入路209の一端が接続されている。粉体導入路209は、搬送部3の円筒部41の端面を貫通して、その他端部は、円筒部41内に配置されている。粉体導入路209は、一端側から他端側(搬送部3側)に向かうにつれて流路断面が漸増するように形成されている。粉体導入路209は、粉体の乾燥を促進するため、ヒータにより加温されてもよい。同様の理由で、分散混合部202に供給される圧縮ガスは、ヒータ211により加温されてもよい。この場合、圧縮ガスの温度は、加温乾燥エアの温度と同じに設定されるとよい。また、圧縮ガスの温度はコーティング液の溶媒の沸点よりも高く設定することが好ましい。分散混合部202で生成される粉体は、粉体流排出口204から排出され、粉体導入路209を流通して、搬送部3の円筒部41内に導入される。そして、円筒部41内に導入される粉体は、円筒部41内に形成されているアシストエアの気流に乗って、搬送部3を管部43に向けて搬送される。この搬送中に、粒子の表面に付着したコーティング液が乾燥することにより、粒子の表面が前駆体で被覆された粉体が生成される。粉体の乾燥を促進するため、搬送部3の管部43がヒータ212により加温されてもよい。
【0092】
図5に示されるコーティング装置201の構成によっても、図1に示されるコーティング装置1の構成と同様の作用効果を奏することができる。
【0093】
また、圧縮ガスがヒータ211により加温されることにより、圧縮ガスが噴射される際の断熱膨張による温度低下を抑制し、乾燥速度を落とすこと無く効率的に乾燥することができる。
【0094】
<分級機>
図7は、分級部301が採用されたコーティング装置1の構成を図解的に示す断面図である。図7において、図1に示される各部に相当する部分には、それらの各部と同一の参照符号が付されている。また、以下では、その同一の参照符号が付された部分の説明を省略する。
【0095】
前述のコーティング装置1には、コーティング層が表面に形成された複合化粉体を選択的に捕集するため、分級部301が採用されてもよい。分級部301は、分級機からなり、搬送部3と捕集部4との間に設けられる。搬送部3を流れる粉体を乗せた気流(粉体流)は、分級部301内に導入される。そして、分級部301により、相対的に粒径が大きい複合化粉体が捕集され、たとえば、複合化しなかったコーティング材の前駆体など、相対的に粒径が小さい粉体は、分級部301を通過して捕集部4に流入し、捕集部4にて捕集される。
【0096】
なお、図7では、分級部301として、サイクロンが示されているが、分級部301にいかなる種類の分級機を採用するかは、分級部301で捕集する粉体の比重や粒径に応じて適宜に決定されるとよい。さらに、分級部は複数設けられて多段に分離を行ってもよく、粒径のレベルに応じて複数に分離できる。例えば、凝集してしまった粉体などの不要な粗大粒子を予備的に分離することもできる。また、コーティング装置1に限らず、前述のコーティング装置101,201にも分級機が採用されてもよいのは勿論である。
【0097】
<第4実施形態>
図8は、本発明の第4実施形態に係るコーティング装置401の構成を図解的に示す断面図である。
【0098】
コーティング装置401は、分散混合部402、搬送部403、分級部404および捕集部405を備えている。
【0099】
図9は、分散混合部402の分解斜視図である。
分散混合部402は、スラリー流通管411、第1気流噴射体412および第2気流噴射体413を2枚の矩形平板状の挟持板414で挟持した構成を有している。
【0100】
スラリー流通管411は、ストレートに延びる円管からなり、スラリー流通管411の先端開口からスラリー状のコーティング液が吐出される。スラリー流通管411は第1気流噴射体412および第2気流噴射体413に対し、長手方向に相対的に移動可能となっている。なお、スラリー流通管の先端開口は直管状でなくともよく、例えば、先端開口に向けて縮径する略円錐状に形成されていてもよい。開口部に適宜面取りや曲面またはエッジが形成されていてもよい。
【0101】
第1気流噴射体412および第2気流噴射体413は、スラリー流通管411の中心線に関して180°対称をなす位置に配置されている。
【0102】
第1気流噴射体412は、矩形板状からスラリー流通管411側の2個の角部が三角形状に切り落とされた形状に形成され、スラリー流通管411側の端面の下部に、下側ほどスラリー流通管411から離れるように傾斜する傾斜面421を有している。また、第1気流噴射体412には、昇圧室422が厚さ方向に貫通して形成されている。昇圧室422は、第1気流噴射体412におけるスラリー流通管411との対向方向の途中部からスラリー流通管411側に延び、斜め下側に屈曲し、スラリー流通管411に近づくにつれて下方に位置するように傾斜して、傾斜面421に向けて延びている。傾斜面421には、厚さ方向に延びるスリット状の第1気流噴射口423が形成されており、昇圧室422は、傾斜面421に近づくほど断面積が縮小して、第1気流噴射口423に接続されている。また、第1気流噴射体412には、第1気流導入路424が形成されている。第1気流導入路424の一端は、昇圧室422に接続され、その他端は、第1気流噴射体412のスラリー流通管411側と反対側の端面で開放されている。
【0103】
第2気流噴射体413は、スラリー流通管411の中心線に関して第1気流噴射体412と対称に形成されている。すなわち、第2気流噴射体413は、矩形板状からスラリー流通管411側の2個の角部が三角形状に切り落とされた形状に形成され、スラリー流通管411側の端面の下部に、下側ほどスラリー流通管411から離れるように傾斜する傾斜面431を有している。また、第2気流噴射体413には、昇圧室432が厚さ方向に貫通して形成されている。昇圧室432は、第2気流噴射体413におけるスラリー流通管411との対向方向の途中部からスラリー流通管411側に延び、斜め下側に屈曲し、スラリー流通管411に近づくにつれて下方に位置するように傾斜して、傾斜面431に向けて延びている。傾斜面431には、厚さ方向に延びるスリット状の第2気流噴射口433が形成されており、昇圧室432は、傾斜面431に近づくほど断面積が縮小して、第2気流噴射口433に接続されている。また、第2気流噴射体413には、第2気流導入路434が形成されている。第2気流導入路434の一端は、昇圧室432に接続され、その他端は、第2気流噴射体413のスラリー流通管411側と反対側の端面で開放されている。
【0104】
2枚の挟持板414は、それらの間に、スラリー流通管411、第1気流噴射体412および第2気流噴射体413を一括して挟み込んでいる。第1気流噴射体412の昇圧室422の厚さ方向の両端は、それぞれ挟持板414により閉鎖されている。同様に、第2気流噴射体413の昇圧室432の厚さ方向の両端は、挟持板414により閉鎖されている。
【0105】
スラリー流通管411の上端には、図8に示されるように、スラリー供給管441の一端が接続されている。スラリー供給管441の他端は、スラリータンク442に接続されている。スラリータンク442には、原料粉体とコーティング材を含むコーティング液との混合材がスラリーの状態で貯留されている。
【0106】
たとえば、ポンプまたはイジェクタの作用により、スラリータンク442からスラリー供給管441を通してスラリー流通管411にスラリーが供給される。スラリー流通管411に供給されるスラリーは、スラリー流通管411を流通し、スラリー流通管411の下端から下方に向けて吐出される。
【0107】
一方、第1気流導入路424および第2気流導入路434には、それぞれ第1供給管443および第2供給管444を通して高圧流体の一例である圧縮ガス(窒素、二酸化炭素、アルゴン等の不活性ガスや大気を高圧ガス状態としたもの)が供給される。圧縮ガスは、第1気流導入路424および第2気流導入路434を流通し、第1気流導入路424および第2気流導入路434からそれぞれ昇圧室422,432に流入する。これにより、昇圧室422,432内の気圧が上昇し、第1気流噴射口423および第2気流噴射口433から気流が勢いよく噴射される。第1気流噴射口423および第2気流噴射口433から噴射される気流は、スラリー流通管411の下方の衝突位置Pで衝突する。スラリー流通管411の下端から吐出されるスラリーは、衝突位置Pを通過する際に、衝突位置Pで衝突する気流から剪断力を受け、粒子の表面にコーティング液が付着した粉体に分散される。なお、このときスラリー供給管411の吐出位置は上下方向に調整可能であり、衝突位置Pに対し分散に最も適した位置に微調整することができる。
【0108】
搬送部403は、円筒状の周面を有する円筒部451と、円筒部451に連続し、円筒部451から離れるにつれて窄まる円錐台状の円錐台部452と、円錐台部452から延びる管部453とを一体に有している。管部453は、直管であってもよいし、渦巻き状の管であってもよいし、サイクロン管であってもよい。搬送部403は、分散混合部402の直下において、円筒部451の中心線が上下方向に延びるように配置されている。
【0109】
円筒部451の周面には、アシストエア導入口454が形成されている。アシストエア導入口454には、エア供給源455からアシストエア供給管456を通してアシストエアが供給される。エア供給源455としては、たとえば、ブロワ、ポンプ、エアコンプレッサ、圧縮ガスボンベなどを挙げることができる。アシストエア供給管456の途中部には、エア供給源455からのエアから水分を除去するミストセパレータ(ドライヤ)457と、ミストセパレータ457で水分が除去されたエアを加温するヒータ458とが介在されている。これにより、円筒部451内には、アシストエア導入口454から加温乾燥エアがアシストエアとして導入される。なお、アシストエアとしては大気の他に窒素や二酸化炭素、アルゴン等の不活性ガス等種々の気体を用いることができる。
【0110】
アシストエア導入口454およびアシストエア供給管456は、アシストエアがアシストエア導入口454から円筒部451の内周面の接線方向に吹き出すように形成されている。そのため、アシストエア導入口454から円筒部451内に導入されるアシストエアは、円筒部451の内周面に沿って流れる渦状の気流となって、円筒部451から円錐台部452および管部453をこの順に通過する。
【0111】
円筒部451の上面には、粉体導入口459が形成されている。分散混合部402で生成される粉体は、粉体導入口459を通して、搬送部403の円筒部451内に導入される。そして、円筒部451内に導入される粉体は、円筒部451内に形成されているアシストエアの気流に乗って、搬送部403を管部453に向けて搬送される。この搬送中に、粒子の表面に付着したコーティング液が乾燥することにより、粒子の表面がコート材の前駆体で被覆された粉体が生成される。粉体の乾燥を促進するため、搬送部403がヒータ461により加温されてもよい。同様の理由で、分散混合部402の第1気流導入路424および第2気流導入路434に供給される圧縮ガスがヒータ462により加温されてもよい。
【0112】
分級部404は、分級機からなり、搬送部403と捕集部405との間に設けられる。搬送部403を流れる粉体を乗せた気流(粉体流)は、分級部404内に導入される。そして、分級部404により、相対的に粒径が大きい複合化粉体が捕集され、たとえば、原料粉体を含まないコーティング材の前駆体など、相対的に粒径が小さい粉体は、分級部404を通過して捕集部405に流入する。
【0113】
捕集部405内には、バグフィルタ463が設けられている。捕集部405に流入する粉体は、バグフィルタ463に捕獲され、バグフィルタ463は、粉体が除去された気流のみが通過する。
【0114】
図8に示されるコーティング装置401の構成によっても、図1に示されるコーティング装置1の構成と同様の作用効果を奏することができる。
【0115】
また、コーティング装置401の構成では、分散混合部402から搬送部403に供給される粉体流の流量を容易に増減させることができる。すなわち、図10に示されるように、スラリー流通管411、第1気流噴射体412および第2気流噴射体413を含むユニットU(モジュール)と挟持板414とを交互に積層することができる。この積層数を増減させることにより、分散混合部402に備えられるユニットUの個数であるユニット数を増減させることができ、ユニット数に応じて、分散混合部402から搬送部403に供給される粉体流の流量を増減させることができる。ユニットUと挟持板414との積層体において、その両端には、挟持板414が設けられる。
【0116】
なお、図11に示されるように、第1気流噴射口423および第2気流噴射口433から噴射される気流の流量の合計(総噴射量)は、ユニット数に比例して増減されることが好ましい。また、アシストエアの流量(アシストエア量)についても、ユニット数に比例して増減されることが好ましい。そうした場合、搬送部403の円筒部451内でのエアの流量(エア量)は、ユニット数に比例して増減する。
【0117】
また、図12に示されるように、分散混合部402に備えられるユニットUが1個であっても、そのユニットU(スラリー流通管411、第1気流噴射体412および第2気流噴射体413)の厚みを増すことにより、分散混合部402から搬送部403に供給される粉体流の流量を増大させることもできる。この場合、粉体の分散性の均一化を図るべく、スラリー流通管411は、図13に示されるように、その管路の断面形状が楕円形状に形成されてもよいし、図14に示されるように、断面円形の管路が複数形成されてもよい。
【0118】
<変形例>
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、本発明は、さらに他の形態で実施することもできる。
【0119】
たとえば、分散混合部2において、スラリー導入口11が側面に形成されて、スラリー導入口11と粉体流排出口14とを連通するスラリー流路15が直線状に延びていてもよい。スラリー流通管411は管状でなくともよく、分散混合部2の他の部材と一体に流路が形成されてもよい。
【0120】
また、本発明は、全固体電池用の正極活物質粉体の生成における適用に限らず、食品、医薬品、化粧品、電子部品などの製造工程に適用されてもよい。同様に対象となる粒子は電池材料に用いるものに限らず、平均粒径は2~30μm以外であってもよい。
【0121】
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0122】
1,101,201,401:コーティング装置
2,202,402:分散混合部(分散部、粉体分散装置)
3,102:搬送部
4,404:捕集部
11,206:スラリー導入口
12:第1気流導入口
13:第2気流導入口
14:粉体流排出口
15:スラリー流路(流路)
23,423:第1気流噴射口(第1噴射口)
24,433:第2気流噴射口(第2噴射口)
44,454:アシストエア導入口(ガス導入部)
104:粉体導入路
111:流路
113:気流導入口
114:スラリー導入口(混合材導入口)
411:スラリー流通管(流路)
P:衝突位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2024-07-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路を備え、前記流路に原料粉体とコーティング材を含むコーティング液とを混合したスラリーおよび高圧流体が供給され、前記流路内で前記スラリーに前記高圧流体の気流による剪断力を与えることにより、前記スラリーを前記コーティング液の膜が表面に付着した前記原料粉体に分散させる分散部と、
外部からアシストエアが供給され、前記分散部から前記コーティング液の膜が付着した前記原料粉体が導入され、前記コーティング液の膜が付着した前記原料粉体前記アシストエアの気流に乗せて搬送し、その搬送中に前記原料粉体の表面に付着している前記コーティング液を乾燥させる搬送部とを含む、粉体のコーティング装置。
【請求項2】
前記流路に供給される前記高圧流体を加温するヒータをさらに含む、請求項1に記載の粉体のコーティング装置。
【請求項3】
前記分散部は、前記流路内に設定される衝突位置に向けて前記高圧流体の気流をそれぞれ吹き出す第1噴射口および第2噴射口を備え、前記流路を流通する前記スラリーが前記衝突位置を通過する際に、前記衝突位置で衝突する前記高圧流体の気流から前記スラリーに剪断力を与えることにより、前記スラリーを前記コーティング液の膜が表面に付着した前記原料粉体に分散さる、請求項1または2に記載の粉体のコーティング装置。
【請求項4】
前記分散部は、前記第1噴射口および前記第2噴射口とそれぞれ連通する第1流路および第2流路をさらに備え、
前記第1流路および前記第2流路には、それぞれ前記第1噴射口および前記第2噴射口に向けて前記高圧流体の気流が流通し、
前記第1流路および前記第2流路は、それぞれ前記第1噴射口および前記第2噴射口に近づくにつれて流路断面が縮小されている、請求項3に記載の粉体のコーティング装置。
【請求項5】
前記第1噴射口および前記第2噴射口は、それぞれ互いに平行をなして延びるスリット状の開口として形成されている、請求項3または4に記載の粉体のコーティング装置。
【請求項6】
前記流路、前記第1噴射口および前記第2噴射口は、前記衝突位置に向かう前記スラリーの流れ前記第1噴射口からの前記高圧流体の気流および前記第2噴射口からの前記高圧流体の気流の各中心線が同一の平面内に位置するように形成されている請求項3~5のいずれか一項に記載の粉体のコーティング装置。
【請求項7】
前記流路は、各中心線と直交する方向に複数並べて設けられている、請求項6に記載の粉体のコーティング装置。
【請求項8】
前記分散部は、前記流路内に前記高圧流体の気流を導入する気流導入口と、前記気流導入口よりも前記高圧流体の気流の流通方向の下流側に設けられ、前記流路内に前記スラリーを導入するスラリー導入口とを備え、前記流路内で前記スラリーに前記高圧流体の気流から剪断力を与えることにより、前記スラリーを前記コーティング液の膜が表面に付着した前記原料粉体に分散させる、請求項1または2に記載の粉体のコーティング装置。
【請求項9】
前記流路は、前記気流導入口から前記流通方向の下流側に延びる途中部が狭まるラバルノズルの形態をなしている、請求項に記載の粉体のコーティング装置。
【請求項10】
前記スラリー導入口は、前記流路における狭まった前記途中部よりも前記流通方向の下流側の位置に設けられている、請求項に記載の粉体のコーティング装置。
【請求項11】
前記搬送部に加温乾燥ガスを導入するガス導入部をさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の粉体のコーティング装置。
【請求項12】
前記搬送部は、円筒状の内周面を有し、
前記ガス導入部は、前記加温乾燥ガスが前記内周面に沿って流れるように、前記搬送部に前記加温乾燥ガスを導入する、請求項11に記載の粉体のコーティング装置。
【請求項13】
前記搬送部は、前記分散部から前記粉体を導入する導入路を備えており、
前記ガス導入部は、前記導入路を形成する管壁に対向する位置から前記搬送部に前記加温乾燥ガスを導入する、請求項11に記載の粉体のコーティング装置。
【請求項14】
前記原料粉体は、電池の電極活物質である、請求項1~1のいずれか一項に記載の粉体のコーティング装置。
【請求項15】
前記分散部は、前記混合材が前記搬送部に向けて上下方向に流通するように構成されている、請求項1~1のいずれか一項に記載の粉体のコーティング装置。
【請求項16】
原料粉体とコーティング材を含むコーティング液とを予め混合して作製されたスラリーが供給される流路と、
前記流路内に設定される衝突位置に向けて高圧流体の気流を吹き出す第1噴射口および第2噴射口
前記第1噴射口および前記第2噴射口とそれぞれ連通する第1流路および第2流路とを備え、
前記第1流路および前記第2流路には、それぞれ前記第1噴射口および前記第2噴射口に向けて前記高圧流体の気流が流通し、
前記第1流路および前記第2流路は、それぞれ前記第1噴射口および前記第2噴射口に近づくにつれて流路断面が縮小されており、
前記衝突位置において、前記第1噴射口から噴射される前記高圧流体の気流と前記第2噴射口から噴射される前記高圧流体の気流とが衝突し、
前記流路を流通する前記スラリーが前記衝突位置を通過する際に、前記衝突位置で衝突する前記高圧流体の気流から前記スラリーに剪断力を与えることにより、前記スラリーを前記コーティング液の膜が表面に付着した前記原料粉体に分散させる、粉体分散装置。
【請求項17】
原料粉体とコーティング材を含むコーティング液とを予め混合して作製されたスラリーが供給される流路と、
前記流路内に設定される衝突位置に向けて高圧流体の気流を吹き出す第1噴射口および第2噴射口とを備え、
前記第1噴射口および前記第2噴射口は、それぞれ互いに平行をなして延びるスリット状の開口として形成されており、
前記衝突位置において、前記第1噴射口から噴射される前記高圧流体の気流と前記第2噴射口から噴射される前記高圧流体の気流とが衝突し、
前記流路を流通する前記スラリーが前記衝突位置を通過する際に、前記衝突位置で衝突する前記高圧流体の気流から前記スラリーに剪断力を与えることにより、前記スラリーを前記コーティング液の膜が表面に付着した前記原料粉体に分散させる、粉体分散装置。
【請求項18】
原料粉体とコーティング材を含むコーティング液とを予め混合して作製されたスラリーが供給される流路と、
前記流路内に設定される衝突位置に向けて高圧流体の気流を吹き出す第1噴射口および第2噴射口とを備え、
前記流路、前記第1噴射口および前記第2噴射口は、前記衝突位置に向かう前記スラリーの流れ、前記第1噴射口からの前記高圧流体の気流および前記第2噴射口からの前記高圧流体の気流の各中心線が同一の平面内に位置するように形成されている、粉体分散装置。
【請求項19】
流路と、
前記流路内に高圧流体の気流を導入する気流導入口と、
前記気流導入口よりも前記高圧流体の気流の流通方向の下流側に設けられ、前記流路内に原料粉体とコーティング材を含むコーティング液とを予め混合して作製されたスラリーを導入するスラリー導入口とを備え、
前記流路は、前記気流導入口から前記流通方向の下流側に延びる途中部が狭まるラバルノズルの形態をなし、
前記スラリー導入口は、前記流路における狭まった前記途中部よりも前記流通方向の下流側の位置に設けられている、粉体分散装置。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、粉体のコーティング装置および粉体分散装置に関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明の目的は、粉体の分散性およびコーティング処理の効率を向上させることができる、粉体のコーティング装置および粉体分散装置を提供することである。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
発明を実施するための形態に記載される粉体のコーティング装置は、高圧流体の気流により、原料粉体とコーティング材を含むコーティング液との混合材を、原料粉体の表面にコーティング液の膜を付着させながら分散させる分散部と、分散部から流入するコーティング液の膜が付着した原料粉体を気流に乗せて搬送し、その搬送中にコーティング液を乾燥させる搬送部と、搬送部でのコーティング液の乾燥により生成される複合化粉体を捕集する捕集部とを含む。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0038】
発明を実施するための形態に記載される粉体のコーティング方法は、高圧流体の気流により、原料粉体とコーティング材を含むコーティング液との混合材を、原料粉体の表面にコーティング液の膜を付着させながら分散させ、コーティング液の膜が付着した原料粉体を気流に乗せて搬送し、その搬送中にコーティング液を乾燥させ、コーティング液の乾燥により生成される複合化粉体を捕集する方法である。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
発明を実施するための形態に記載される粉体分散装置は、原料粉体とコーティング材を含むコーティング液とを予め混合して作製されたスラリーが流通する流路と、衝突位置に向けて高圧流体の気流を吹き出す噴射口とを備え、流路を流通するスラリーが衝突位置を通過する際に、スラリーに気流による剪断力を与えることにより、スラリーをコーティング液の膜が表面に付着した原料粉体に分散させる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
発明を実施するための形態に記載される粉体分散装置は、流路と、流路内に高圧流体の気流を導入する気流導入口と、気流導入口よりも気流の流通方向の下流側に設けられ、原料粉体とコーティング材を含むコーティング液とを予め混合して作製されたスラリーを前記流路内に導入するスラリー導入口とを備え、流路内でスラリーに気流による剪断力を与えることにより、スラリーをコーティング液の膜が表面に付着した原料粉体に分散させる。