(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138351
(43)【公開日】2024-10-08
(54)【発明の名称】癌の処置のためのLAG-3併用療法
(51)【国際特許分類】
A61K 45/06 20060101AFI20241001BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20241001BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241001BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241001BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20241001BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20241001BHJP
A61K 31/282 20060101ALI20241001BHJP
A61K 33/243 20190101ALI20241001BHJP
A61K 31/505 20060101ALI20241001BHJP
A61K 31/7068 20060101ALI20241001BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20241001BHJP
A61K 31/44 20060101ALI20241001BHJP
A61K 31/53 20060101ALI20241001BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20241001BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20241001BHJP
A61K 31/337 20060101ALI20241001BHJP
A61K 31/704 20060101ALI20241001BHJP
A61K 31/407 20060101ALI20241001BHJP
A61K 31/4745 20060101ALI20241001BHJP
C07K 16/28 20060101ALN20241001BHJP
C07K 16/46 20060101ALN20241001BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20241001BHJP
【FI】
A61K45/06 ZNA
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61P35/00
A61P43/00 111
A61P43/00 121
A61P37/04
A61P35/02
A61P43/00 105
A61K31/282
A61K33/243
A61K31/505
A61K31/7068
A61K31/506
A61K31/44
A61K31/53
A61K31/519
A61P35/04
A61K31/337
A61K31/704
A61K31/407
A61K31/4745
A61K45/06
C07K16/28
C07K16/46
C12N15/13
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024107930
(22)【出願日】2024-07-04
(62)【分割の表示】P 2021504287の分割
【原出願日】2019-07-25
(31)【優先権主張番号】62/703,690
(32)【優先日】2018-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/725,336
(32)【優先日】2018-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】391015708
【氏名又は名称】ブリストル-マイヤーズ スクイブ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL-MYERS SQUIBB COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 憲史
(74)【代理人】
【識別番号】100170520
【弁理士】
【氏名又は名称】笹倉 真奈美
(74)【代理人】
【識別番号】100221545
【弁理士】
【氏名又は名称】白江 雄介
(72)【発明者】
【氏名】シバニ・スリバスタバ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】LAG-3陽性腫瘍を処置するための改善された方法を提供する。
【解決手段】ヒト患者において悪性腫瘍の増殖を阻害する方法であって、(a)LAG-3アンタゴニスト;(b)PD-1経路阻害剤;および(c)1以上の化学療法剤のそれぞれの有効量を該患者に投与することを含み、ここで、該患者の腫瘍関連免疫細胞がLAG-3を発現している、方法とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト患者において悪性腫瘍の増殖を阻害する方法であって、
(a)LAG-3アンタゴニスト;
(b)PD-1経路阻害剤;および
(c)1以上の化学療法剤
のそれぞれの有効量を該患者に投与することを含み、
ここで、該患者の腫瘍関連免疫細胞がLAG-3を発現している、方法。
【請求項2】
ヒト患者において癌を処置する方法であって、
(a)LAG-3アンタゴニスト;
(b)PD-1経路阻害剤;および
(c)1以上の化学療法剤
のそれぞれの有効量を該患者に投与することを含み、
ここで、該患者の腫瘍関連免疫細胞がLAG-3を発現している、方法。
【請求項3】
ヒト患者において悪性腫瘍の増殖を阻害する方法であって、
(a)LAG-3アンタゴニスト;
(b)PD-1経路阻害剤;および
(c)1以上の化学療法剤
のそれぞれの有効量を該患者に投与することを含む、方法。
【請求項4】
ヒト患者において癌を処置する方法であって、
(a)LAG-3アンタゴニスト;
(b)PD-1経路阻害剤;および
(c)1以上の化学療法剤
のそれぞれの有効量を該患者に投与することを含む、方法。
【請求項5】
悪性腫瘍が、肝臓癌、骨の癌、膵臓癌、皮膚癌、口腔癌、頭頸部癌、乳癌、小細胞および非小細胞肺癌を含む肺癌、皮膚または眼内悪性黒色腫、腎癌、子宮癌、卵巣癌、結腸直腸癌、結腸癌、直腸癌、肛門領域の癌、胃癌、精巣癌、ファロピウス管癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、非ホジキンリンパ腫、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎腺癌、軟組織肉腫、尿道癌、陰茎癌、小児癌、リンパ球性リンパ腫、膀胱癌、腎臓または輸尿管の癌、腎盂癌、中枢神経系の新生物(CNS)、原発性CNSリンパ腫、腫瘍血管形成、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、カポジ肉腫、類表皮癌、扁平上皮細胞癌、アスベストにより誘発されるものを含む環境誘発癌、以下を含む血液系腫瘍、例えば、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫/原発性縦隔B細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、急性骨髄性リンパ腫、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、免疫芽球性大細胞型、前駆体Bリンパ芽球性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、急性リンパ芽球性白血病、菌状息肉症、未分化大細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫および前駆体Tリンパ芽球性リンパ腫、ならびにそれらの何れかの組み合わせ
からなる群より選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
悪性腫瘍が、胃癌または食道胃接合部癌である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
胃癌が、腺癌、リンパ腫、消化管間質腫瘍またはカルチノイド腫瘍である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
悪性腫瘍が、黒色腫、非小細胞肺癌(NSCLC)、ヒトパピローマウイルス(HPV)関連腫瘍、膀胱癌、頭頸部扁平上皮癌、腎細胞癌および胃腺癌から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
LAG-3アンタゴニストが抗LAG-3抗体である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
抗LAG-3抗体が完全長抗体である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
抗体が、モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体または多重特異性抗体である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
多重特異性抗体が、二重親和性再標的化抗体(DART)、DVD-Igまたは二重特異性抗体である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
抗体が、F(ab’)2フラグメント、Fab’フラグメント、Fabフラグメント、Fvフラグメント、scFvフラグメント、dsFvフラグメント、dAbフラグメントまたは一本鎖結合ポリペプチドペプチドである、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
抗LAG-3抗体が、BMS-986016、IMP731(H5L7BW)、MK-4280(28G-10)、REGN3767、GSK2831781、ヒト化BAP050、IMP-701(LAG-5250)、aLAG3(0414)、aLAG3(0416)、Sym022、TSR-033、TSR-075、XmAb22841、BI754111、MGD013、AVA-017、P13B02-30またはFS-118である、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
LAG-3アンタゴニストがIMP321である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
抗LAG-3抗体が、配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む、請求項9から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
抗LAG-3抗体が、
(a) 配列番号7に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR1;
(b) 配列番号8に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR2;
(c) 配列番号9に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR3;
(d) 配列番号10に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR1;
(e) 配列番号11に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR2;および
(f) 配列番号12に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR3
を含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
抗LAG-3抗体が、配列番号3および5にそれぞれ記載の配列を含む重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
抗LAG-3抗体が、配列番号1および2にそれぞれ記載の配列を含む重鎖および軽鎖を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
PD-1経路阻害剤が、抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体である、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
抗PD-1抗体が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピジリズマブ、PDR001、MEDI0680、TSR-042、REGN2810、JS001、PF-06801591、BGB-A317、BI754091およびSHR-1210からなる群より選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
抗PD-1抗体が、配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
抗PD-1抗体が、
(a) 配列番号19に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR1;
(b) 配列番号20に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR2;
(c) 配列番号21に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR3;
(d) 配列番号22に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR1;
(e) 配列番号23に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR2;および
(f) 配列番号24に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR3
を含む、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
抗PD-1抗体が、配列番号15および17にそれぞれ記載の配列を含む重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
抗PD-1抗体が、配列番号13および14にそれぞれ記載の配列を含む重鎖および軽鎖を含む、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
1以上の化学療法剤が、白金化合物またはフルオロピリミジンである、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
1以上の化学療法剤が、オキサリプラチン、シスプラチン、フルオロウラシル、カペシタビン、テガフール、ギメラシルまたはオテラシルである、請求項1から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
1以上の化学療法剤が、オキサリプラチンおよびカペシタビン(XELOX)である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
1以上の化学療法剤が、オキサリプラチンおよびフルオロウラシルである、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
化学療法剤が化学保護剤をさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
化学保護剤がロイコボリンである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
1以上の化学療法剤が、オキサリプラチン、ロイコボリンおよびフルオロウラシル(FOLFOX)を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
1以上の化学療法剤が、オキサリプラチンおよびテガフール/ギメラシル/オテラシルカリウム(SOX)である、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
抗LAG-3抗体および抗PD-1抗体の固定用量の組合せ剤が投与される、請求項1から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
固定用量が、対象に投与される化学療法剤に基づいて決定されている、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
方法が少なくとも1つの投与サイクルを含み、ここで、該サイクルが6週間を1期間とし、少なくとも1サイクルのそれぞれについて、抗LAG-3抗体の2用量が120または160mgの用量で投与され、かつ抗PD-1抗体の2用量が360または480mgの用量で投与される、請求項1から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
120mgの抗LAG-3抗体、360mgの抗PD-1抗体およびXELOXが投与される、請求項1から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
160mgの抗LAG-3抗体、480mgの抗PD-1抗体およびFOLFOXが投与される、請求項1から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
120mgの抗LAG-3抗体、360mgの抗PD-1抗体およびSOXが投与される、請求項1から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
抗LAG-3抗体および抗PD-1抗体が、静脈内投与用に製剤される、請求項1から39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
抗LAG-3抗体および抗PD-1抗体が共製剤される、請求項1から40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
抗LAG-3抗体および抗PD-1抗体が別個に製剤される、請求項1から40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
ヒト患者において胃腺癌または胃食道接合部腺癌の増殖を阻害する方法であって、該患者に、
(a) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、
(b) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、ならびに
(c) オキサリプラチン/カペシタビン(XELOX)、オキサリプラチン/ロイコボリン/フルオロウラシル(FOLFOX)およびオキサリプラチン/テガフール/ギメラシル/オテラシル(SOX)からなる群より選択される1以上の化学療法剤
のそれぞれの有効量を投与することを含み、ここで、該患者の腫瘍関連免疫細胞がLAG-3を発現している、方法。
【請求項44】
ヒト患者における胃癌または食道胃接合部癌の処置方法であって、該患者に、
(a) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、
(b) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、ならびに
(c) XELOX、FOLFOXおよびSOXからなる群より選択される1以上の化学療法剤
の有効量を投与することを含む、方法。
【請求項45】
患者の腫瘍関連免疫細胞がLAG-3を発現している、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前治療を受けていない患者に投与される(例えば、第一選択療法として)、請求項44または45に記載の方法。
【請求項47】
前治療がHER2阻害剤の投与である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
HER2陰性である患者に投与される、請求項44から47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
患者が以前の全身療法を受けていない、請求項44から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
抗LAG-3抗体および抗PD-1抗体が固定用量の組合せとして投与される、請求項44から49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
胃癌または食道胃接合部癌が、再発性、局所進行性または転移性胃癌または胃食道腺癌である、請求項44から50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
LAG-3の発現が、RT-PCR、インサイチュハイブリダイゼーション、RNase保護、RT-PCRベースのアッセイ、免疫組織化学、酵素結合免疫吸着アッセイ、インビボ画像法またはフローサイトメトリーによりアッセイされる、請求項1から51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
LAG-3発現が、免疫組織化学によりアッセイされる、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
ヒト患者において胃癌または胃食道接合部腺癌を処置する方法であって、該患者に、
(a) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、
(b) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、ならびに
(c) 1以上の化学療法剤
の有効量を投与することを含む、方法。
【請求項55】
前治療を受けていない患者に投与される(例えば、第一選択療法として)、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
ヒト患者において再発性、局所進行性または転移性胃癌または胃食道接合部腺癌を処置する方法であって、該患者に、
(a) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、ならびに
(b) 1以上の標準療法の治療レジメン、
の有効量を投与することを含み、ここで、患者の腫瘍関連免疫細胞がLAG-3を発現している、方法。
【請求項57】
ヒト患者において再発性、局所進行性または転移性胃癌または胃食道接合部腺癌を処置する方法であって、該患者に、
(a) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、
(b) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、ならびに
(c) 1以上の標準療法の治療レジメン、
の有効量を投与することを含み、ここで、患者の腫瘍関連免疫細胞がLAG-3を発現している、方法。
【請求項58】
ヒト患者において再発性、局所進行性または転移性胃癌または胃食道接合部腺癌を処置する方法であって、該患者に、
(a) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、
(b) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、ならびに
(c) 1以上の標準療法の治療レジメン
の有効量を投与することを含む、方法。
【請求項59】
抗LAG-3抗体および 抗PD-1抗体が固定用量の組合せとして投与される、請求項57または58に記載の方法。
【請求項60】
1以上の標準療法の治療レジメンは、ドセタキセル、ドキソルビシン塩酸塩、5-フルオロウラシル、マイトマイシンC、フルオロウラシル/ロイコボリン カルシウム(FU-LV)、ドセタキセル/シスプラチン/フルオロウラシル(TPF)またはカペシタビン/イリノテカン塩酸塩(XELIRI)の投与を含む、請求項57から59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前治療を受けた患者に投与される、(例えば、第二選択療法としての)請求項57から60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
抗LAG-3抗体がリラトリマブである、請求項1から61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
抗LAG-3抗体が、アミノ酸残基228のセリンからプロリンへの変異を含む、請求項1から62のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年7月26日出願の米国仮特許出願第62/703,690号および2018年8月31日出願の同第62/725,336号に基づく優先権の利益を主張し、それらの内容全体を引用により本明細書中に包含させる。
【0002】
発明の分野
本明細書に記載の本発明は、LAG-3阻害剤、PD-1経路阻害剤および化学療法剤の併用により、ヒト患者における悪性腫瘍を処置する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
リンパ球活性化遺伝子-3(LAG-3;CD223)は、活性化されたCD4+およびCD8+T細胞、ならびにNK細胞および樹状細胞のサブセットの細胞表面上に発現するI型膜貫通タンパク質である(Triebel F, et al., J. Exp. Med. 1990; 171:1393-1405; Workman C J, et al., J. Immunol. 2009; 182(4):1885-91)。LAG-3は、Tヘルパー細胞活性化のための共受容体であるCD4と密接に関連している。両分子は、4つの細胞外Ig様ドメインを有し、それらの機能的活性のために、それらのリガンドである主要組織適合複合体(MHC)クラスIIへの結合を必要とする。CD4とは対照的に、LAG-3は活性化T細胞の細胞表面にのみ発現し、その細胞表面からの切断によりLAG-3シグナル伝達を停止させる。LAG-3は可溶性タンパク質としても見出されるが、MHCクラスIIには結合せず、可溶性LAG-3の機能は不明である。
【0004】
PD-1は、T細胞の活性化および耐性の調節において重要な役割を果たす細胞表面シグナル伝達受容体である(Keir M E, et al., Annu Rev Immunol 2008; 26:677-704)。これはI型膜貫通型タンパク質であり、BTLA、CTLA-4、ICOSおよびCD28とともに、T細胞共刺激受容体のCD28ファミリーを含む。PD-1は、主に活性化T細胞、B細胞および骨髄系細胞上で発現する(Dong H, et al., Nat Med. 1999; 5:1365-1369)。また、ナチュラルキラー(NK)細胞上でも発現している(Terme M, et al., Cancer Res 2011; 71:5393-5399)。そのリガンドであるPD-L1およびPD-L2によるPD-1の結合は、近位細胞内免疫受容体チロシン阻害ドメインのチロシン残基のリン酸化をもたらし、次いでリン酸化酵素SHP-2が動員され、最終的にはT細胞活性化の下方制御がもたらされる。PD-1の重要な役割の1つは、感染に対する炎症反応時に末梢組織のT細胞の活性を抑制し、自己免疫の発生を抑制することである(Pardoll D M., Nat Rev Cancer 2012; 12:252-264)。この負の調節的役割の証拠は、PD-1欠損マウスが心筋症とともに関節炎および腎炎を含むループス様自己免疫疾患を発症するという知見に由来する(Nishimura H, et al., Immunity、1999; 11:141-151; および、Nishimura H, et al., Science, 2001; 291:319-322)。腫瘍環境では、その結果として、腫瘍微小環境内での免疫抵抗性の発現が起こる。PD-1は、腫瘍浸潤リンパ球上で高度に発現され、そのリガンドは、多くの異なる腫瘍の細胞表面で上方制御されている(Dong H, et al., Nat Med 2002; 8:793-800)。複数のマウス癌モデルは、PD-1へのリガンドの結合が免疫回避をもたらすことを実証している。加えて、この相互作用の遮断は、抗腫瘍活性をもたらす(Topalian S L, et al. NEJM 2012; 366(26):2443-2454; Hamid O, et al. NEJM 2013; 369:134-144)。さらに、PD-1/PD-L1相互作用の阻害は、前臨床モデルにおいて強力な抗腫瘍活性を媒介することが示されている(米国特許第8,008,449号および同第7,943,743号)。
【0005】
本発明の目的は、LAG-3陽性腫瘍を処置するための改善された方法を提供することである。
【発明の概要】
【0006】
発明の概要
本明細書に記載の本発明の一面は、ヒト患者において悪性腫瘍の増殖を阻害する方法に関し、この方法は、該患者に以下の各々の有効量を投与することを含む:(a) LAG-3アンタゴニスト;(b) PD-1経路阻害剤;および、(c) 1以上の化学療法剤;ここで、患者の腫瘍関連免疫細胞はLAG-3を発現する。本発明の別の面は、ヒト患者において癌を処置する方法に関し、この方法は、該患者に以下の各々の有効量を投与することを含む:(a) LAG-3アンタゴニスト;(b) PD-1経路阻害剤;および、(c) 1以上の化学療法剤;ここで、患者の腫瘍関連免疫細胞はLAG-3を発現する。本発明の一面は、ヒト患者において悪性腫瘍の増殖を阻害する方法に関し、この方法は、該患者に以下の各々の有効量を投与することを含む:(a) LAG-3アンタゴニスト;(b) PD-1経路阻害剤;および、(c) 1以上の化学療法剤。本発明の別の面は、ヒト患者において癌を処置する方法に関し、この方法は、該患者に以下の各々の有効量を投与することを含む:(a) LAG-3アンタゴニスト;(b) PD-1経路阻害剤;および、(c) 1以上の化学療法剤。
【0007】
一態様において、悪性腫瘍は、肝臓癌、骨の癌、膵臓癌、皮膚癌、口腔癌、頭頸部癌、乳癌、小細胞肺癌および非小細胞肺癌を含む肺癌、皮膚または眼内悪性黒色腫、腎癌、子宮癌、卵巣癌、結腸直腸 癌、結腸癌、直腸癌、肛門領域の癌、胃癌、精巣癌、ファロピウス管癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、非ホジキンリンパ腫、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎腺癌、軟組織肉腫、尿道癌、陰茎癌、小児癌、リンパ球性リンパ腫、膀胱癌、腎臓または輸尿管の癌、腎盂癌、中枢神経系の新生物(CNS)、原発性CNSリンパ腫、腫瘍血管形成、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、カポジ肉腫、類表皮癌、扁平上皮細胞癌、アスベストにより誘発されるものを含む環境誘発癌、以下を含む血液系腫瘍、例えば、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫/原発性縦隔B細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、急性骨髄性リンパ腫、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、免疫芽球性大細胞型、前駆体Bリンパ芽球性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、急性リンパ芽球性白血病、菌状息肉症、未分化大細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫および前駆体Tリンパ芽球性リンパ腫、ならびにそれらの何れかの組み合わせからなる群より選択される。別の態様において、悪性腫瘍は、胃癌または食道胃接合部癌である。別の態様において、胃癌は、腺癌、リンパ腫、消化器間質腫瘍またはカルチノイド腫瘍である。別の態様において、悪性腫瘍は、黒色腫、非小細胞肺癌(NSCLC)、ヒトパピローマウイルス(HPV)関連腫瘍、膀胱癌、頭頸部扁平細胞癌腫、腎細胞癌および胃腺癌から選択される。
【0008】
本発明の一態様において、LAG-3アンタゴニストは抗LAG-3抗体である。別の態様において、抗LAG-3抗体は、完全長抗体である。別の態様において、抗体は、モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体または多重特異性抗体である。別の態様において、多重特異性抗体は、二重親和性再標的化抗体(DART)、DVD-Igまたは二重特異性抗体である。別の態様において、抗体は、F(ab’)2フラグメント、Fab’フラグメント、Fabフラグメント、Fvフラグメント、scFvフラグメント、dsFvフラグメント、dAbフラグメントまたは一本鎖結合ポリペプチドペプチドである。別の態様において、抗LAG-3抗体は、BMS-986016、IMP731(H5L7BW)、MK-4280(28G-10)、REGN3767、GSK2831781、ヒト化BAP050、IMP-701(LAG-525)、aLAG3(0414)、aLAG3(0416)、Sym022、TSR-033、TSR-075、XmAb22841、BI754111、MGD013、AVA-017、P13B02-30またはFS-118である。別の態様において、LAG-3アンタゴニストは、IMP321である。別の態様において、抗LAG-3抗体は、配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む。別の態様において、抗LAG-3抗体は、(a) 配列番号7に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR1;(b) 配列番号8に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR2;(c) 配列番号9に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR3;(d) 配列番号10に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR1;(e) 配列番号11に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR2;および、(f) 配列番号12に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR3、を含む。別の態様において、抗LAG-3抗体は、配列番号3および5にそれぞれ記載の配列を含む重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。別の態様において、抗LAG-3抗体は、配列番号1および2にそれぞれ記載の配列を含む重鎖および軽鎖を含む。
【0009】
一態様において、PD-1経路阻害剤は、抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体である。別の態様において、抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピジリズマブ、PDR001、MEDI0680、TSR-042、REGN2810、JS001、PF-06801591、BGB-A317、BI754091およびSHR-1210からなる群より選択される。別の態様において、抗PD-1抗体は、配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む。別の態様において、抗PD-1抗体は、(a) 配列番号19に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR1;(b) 配列番号20に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR2;(c) 配列番号21に記載の配列を含む重鎖可変領域CDR3;(d) 配列番号22に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR1;(e) 配列番号23に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR2;および、(f) 配列番号24に記載の配列を含む軽鎖可変領域CDR3、を含む。別の態様において、抗PD-1抗体は、配列番号15および17にそれぞれ記載の配列を含む重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。別の態様において、抗PD-1抗体は、配列番号13および14にそれぞれ記載の配列を含む重鎖および軽鎖を含む。
【0010】
一態様において、1以上の化学療法剤は、白金化合物またはフルオロピリミジンである。別の態様において、1以上の化学療法剤は、オキサリプラチン、シスプラチン、フルオロウラシル、カペシタビン、テガフール、ギメラシルまたはオテラシルである。別の態様において、1以上の化学療法剤は、オキサリプラチンおよびカペシタビン(XELOX)である。別の態様において、1以上の化学療法剤は、オキサリプラチンおよびフルオロウラシルである。別の態様において、化学療法剤は、化学保護剤をさらに含む。別の態様において、化学保護剤はロイコボリンである。別の態様において、1以上の化学療法剤は、オキサリプラチン、ロイコボリンおよびフルオロウラシル(FOLFOX)を含む。別の態様において、1以上の化学療法剤は、オキサリプラチンおよびテガフール/ギメラシル/オテラシルカリウム(SOX)である。
【0011】
一態様において、抗LAG-3抗体および抗PD-1抗体の固定用量の組合せが投与される。別の態様において、固定用量は、対象に投与される化学療法剤に基づいて決定されている。
【0012】
一態様において、本方法は、少なくとも1つの投与サイクルを含み、ここで、このサイクルは、6週間の期間であり、少なくとも1サイクルのそれぞれについて、抗LAG-3抗体の2用量が120または160mgの用量で投与され、かつ抗PD-1抗体の2用量が360または480mgの用量で投与される。別の態様において、120mgの抗LAG-3抗体、360mgの抗PD-1抗体およびXELOXが投与される。別の態様において、160mgの抗LAG-3抗体、480mgの抗PD-1抗体およびFOLFOXが投与される。別の態様において、120mgの抗LAG-3抗体、360mgの抗PD-1抗体およびSOXが投与される。
【0013】
一態様において、抗LAG-3抗体および抗PD-1抗体は、静脈内投与用に製剤される。別の態様において、抗LAG-3抗体および 抗PD-1抗体は、共製剤される。別の態様において、抗LAG-3抗体および抗PD-1抗体は、別個に製剤される。
【0014】
本発明はまた、ヒト患者における胃腺癌または胃食道接合部腺癌の増殖を阻害する方法にも関連しており、この方法は、該患者に、(a) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、(b) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、および(c) オキサリプラチン/カペシタビン(XELOX)、オキサリプラチン/ロイコボリン/フルオロウラシル(FOLFOX)およびオキサリプラチン/テガフール/ギメラシル/オテラシル(SOX)からなる群より選択される1以上の化学療法剤、のそれぞれの有効量を投与することを含み、ここで、該患者の腫瘍関連免疫細胞がLAG-3を発現している。
【0015】
本発明はまた、ヒト患者における胃癌または食道胃接合部癌を処置する方法にも関連しており、この方法は、該患者に、(a) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、(b) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、および(c) XELOX、FOLFOXおよびSOXからなる群より選択される1以上の化学療法剤、の有効量を投与することを含み、ここで、該患者の腫瘍関連免疫細胞がLAG-3を発現している。
【0016】
一態様において、LAG-3の発現は、RT-PCR、インサイチュウハイブリダイゼーション、RNase保護、RT-PCRベースのアッセイ、免疫組織化学、酵素結合免疫吸着アッセイ、インビボ画像法またはフローサイトメトリーによってアッセイされる。別の態様において、LAG-3発現は、免疫組織化学によってアッセイされる。
【0017】
本発明はまた、ヒト患者における胃癌または胃食道接合部腺癌を処置する方法にも関連し、この方法は、該患者に、(a) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、(b) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、および(c) 1以上の化学療法剤、の有効量を投与することを含む。一態様において、この方法は、(例えば、第一選択療法として)前治療(prior therapy)を受けていない患者に投与される。
【0018】
本発明はまた、ヒト患者における再発性、局所進行性または転移性胃癌または胃食道接合部腺癌を処置する方法に関し、この方法は、該患者に、(a) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、および(b) 1以上の標準療法の治療レジメン、の有効量を投与することを含み、ここで、該患者の腫瘍関連免疫細胞がLAG-3を発現する。
【0019】
本発明はまた、ヒト患者において再発性、局所進行性または転移性胃癌または胃食道接合部腺癌を処置する方法に関し、この方法は、該患者に有効量の:(a) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、(b) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、および(c) 1以上の標準療法の治療レジメン、を投与することを含み、ここで、該患者の腫瘍関連免疫細胞はLAG-3を発現している。本発明の一面は、ヒト患者において再発性、局所進行性または転移性胃癌または胃食道接合部腺癌を処置する方法に関し、この方法は、該患者に有効量の:(a) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、(b) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、および(c) 1以上の標準療法の治療レジメン、を投与することを含む。一態様において、抗LAG-3抗体および抗PD-1抗体は、固定用量の組合せ剤として投与される。別の態様において、1以上の標準療法の治療レジメンは、ドセタキセル、ドキソルビシン塩酸塩、5-フルオロウラシル、マイトマイシンC、フルオロウラシル/ロイコボリンカルシウム(FU-LV)、ドセタキセル/シスプラチン/フルオロウラシル(TPF)またはカペシタビン/イリノテカン塩酸塩(XELIRI)の投与を含む。別の態様において、この方法は、(例えば、第二選択療法として)前治療を受けた患者に投与される。一態様において、1以上の標準療法の治療レジメンは、ドセタキセル、ドキソルビシン塩酸塩、5-フルオロウラシル、マイトマイシンC、フルオロウラシル/ロイコボリンカルシウム(FU-LV)、ドセタキセル/シスプラチン/フルオロウラシル(TPF)またはカペシタビン/イリノテカン塩酸塩(XELIRI)の投与を含む。
【0020】
本発明はまた、ヒト患者において胃癌または食道胃接合部癌を処置する方法に関し、個の方法は、該患者に有効量の:(a) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、(b) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、ならびに(c) XELOX、FOLFOXおよびSOXからなる群より選択される1以上の化学療法剤、を投与することを含む。ある態様において、本方法は、(例えば、第一選択療法として)前治療を受けていない患者に投与される。ある態様において、患者は、HER2阻害剤療法を受けていない。ある態様において、本発明は、HER2陰性である患者に投与される。特定の態様において、患者は、以前の全身療法を受けていない。特定の態様において、抗LAG-3抗体および抗PD-1抗体は、固定用量の組合せ剤として投与される。ある態様において、胃癌または食道胃接合部癌は、再発性、局所進行性または転移性胃癌または胃食道腺癌である。
【0021】
本発明のある態様において、抗LAG-3抗体はリラトリマブである。本発明のある態様において、抗LAG-3抗体は、アミノ酸残基228のセリンからプロリンへの変異を含む。
【発明を実施するための形態】
【0022】
発明の詳細な説明
一面において、本発明は、ヒト患者における悪性腫瘍の処置の改善された方法に関する。特に、本発明は、抗PD-1抗体と組み合わせた抗LAG-3抗体、および1以上の化学療法剤の投与により、LAG-3陽性腫瘍およびLAG-3陰性腫瘍の両方を有する患者を含む集団よりも、LAG-3陽性悪性腫瘍を有する患者集団において、驚くほど改善された処置結果を達成することを示す。従って、一面において、本明細書に記載の本発明は、LAG-3阻害剤(例えば、抗LAG-3抗体)およびPD-1経路阻害剤(例えば、抗PD-1抗体)と、1以上の化学療法剤との組合せを投与することにより、LAG-3陽性悪性腫瘍(例えば、胃腺癌または胃食道接合部腺癌)を処置する方法に関する。
【0023】
1.定義
本明細書の記載をより容易に理解できるように、いくつかの用語を先ず定義する。本明細書で用いる場合、本明細書に明示的に異なる定義をされている場合を除き、以下の各用語は、以下に記載される意味を有し得る。さらなる定義は、本明細書全体にわたって記載されている。
【0024】
“抗体”(Ab)には、抗原に特異的に結合し、ジスルフィド結合によって相互結合された少なくとも2本の重鎖(H)および2本の軽鎖(L)を含む糖タンパク質免疫グロブリンが含まれるが、これに限定されない。各H鎖は、重鎖可変領域(本明細書中、VHと略する)および重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、CH1、CH2およびCH3の3つの定常領域を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書中、VLと略する)および軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は、1つの定常ドメインCLを含む。VHおよびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる、より保存された領域が散在している、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性領域にさらに細分化できる。各VHとVLは、3つのCDRおよび4つのFRを含み、以下の順でアミノ末端からカルボキシ末端へ配置されている:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、免疫系の種々の細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的補体系の第1成分(C1q)を含む宿主組織もしくは因子への免疫グロブリンの結合に介在し得る。重鎖は、C末端リシンを有していても、有していなくてもよい。本明細書で特に明記しない限り、可変領域のアミノ酸はKabat番号付けシステムを用いて番号付けされ、定常領域のアミノ酸はEUシステムを用いて番号付けされる。一態様において、抗体は、無傷の抗体である。
【0025】
免疫グロブリンは、IgA、分泌型IgA、IgGおよびIgMを含むが、これらに限定されない、一般的に公知のアイソタイプのいずれか由来であり得る。IgGサブクラスも当業者によく知られており、ヒトIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4が含まれるが、これらに限定されない。“アイソタイプ”とは、重鎖定常領域遺伝子によってコードされる抗体クラスまたはサブクラス(例えば、IgMまたはIgG1)を意味する。用語“抗体”は、例として、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体;キメラ抗体およびヒト化抗体;ヒト抗体または非ヒト抗体;全合成抗体;ならびに、一本鎖抗体を含む。非ヒト抗体は、ヒトにおいてその免疫原性を低減させるための組換え法によってヒト化され得る。明示的に記載されていない限り、および文脈上他の意味が記載されない限り、用語“抗体”には、単一特異性抗体、二重特異性抗体または多重特異性抗体、ならびに一本鎖抗体を含む。ある態様において、抗体は二重特異性抗体である。他の態様において、抗体は単一特異性抗体である。一面において、定常領域アイソタイプは、アミノ酸残基228における変異、例えばS228Pを有するIgG4である。
【0026】
本明細書で用いる“IgG抗体”は、天然IgG抗体の構造を有し、すなわち、同じサブクラスの天然IgG抗体と同数の重鎖および軽鎖およびジスルフィド結合を有する。例えば、抗LAG-3 IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4抗体は、2つの重鎖(HC)および2つの軽鎖(LC)からなり、ここで、該2つの重鎖および軽鎖は、それぞれ天然IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4抗体に生じるジスルフィド結合の数および位置が同じである(抗体がジスルフィド結合を修飾するように変異している場合を除く)。
【0027】
“単離抗体”とは、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を意味する(例えば、LAG-3に特異的に結合する単離抗体は、LAG-3以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。しかしながら、LAG-3に特異的に結合する単離抗体は、異なる種由来のLAG-3分子などの他の抗原に対する交差反応性を有していてもよい。さらに、単離抗体は、他の細胞材料および/または化学物質を実質的に含まなくてもよい。
【0028】
抗体は、(例えば、突然変異、欠失、置換、非抗体部分への結合によって)改変された抗体であってもよい。例えば、抗体は、抗体の特性(例えば、機能的特性)を変化させる1以上の変異アミノ酸(天然抗体と比較して)を含んでいてもよい。例えば、患者における抗体に対する半減期、エフェクター機能、および/または免疫応答などに影響を与える、多数のそのような変異が当技術分野で知られている。抗体という用語はまた、少なくとも1つの抗体由来の抗原結合部位を含む人工ポリペプチド構築物を含む。
【0029】
用語“モノクローナル抗体”(“mAb”)は、単一分子組成物の抗体分子、すなわち、一次配列が本質的に同一であり、特定のエピトープに対して単一の結合特異性および親和性を示す抗体分子の天然に存在しない調製物を意味する。mAbは、単離抗体の一例である。MAbは、ハイブリドーマ、組換え、トランスジェニックまたは当業者に知られている他の技術によって産生され得る。
【0030】
“ヒト”抗体(HuMAb)とは、フレームワークおよびCDR領域の両方がヒト生殖細胞免疫グロブリン配列由来である可変領域を有する抗体を意味する。さらに、抗体が定常領域を含む場合、定常領域もヒト生殖細胞免疫グロブリン配列に由来する。本発明のヒト抗体は、ヒト生殖細胞免疫グロブリン配列によりコードされていないアミノ酸残基を含んでいてよい(例えば、インビトロで無作為もしくは部位特異的変異誘発により、またはインビボで体細胞変異により導入した変異)。しかしながら、本明細書で用いる用語“ヒト抗体”は、マウスのような他の哺乳動物種の生殖細胞由来のCDR配列が、ヒトフレームワーク配列に移植されている抗体を含むことを意図しない。用語“ヒト”抗体および“完全ヒト”抗体は、同義的に用いられる。
【0031】
“ヒト化抗体”とは、非ヒト抗体のCDRドメイン外のアミノ酸の一部、大部分または全部が、ヒト免疫グロブリン由来の対応するアミノ酸で置換されている抗体を意味する。抗体のヒト化形態の一態様において、CDRドメイン外のアミノ酸の一部、大部分または全部は、ヒト免疫グロブリン由来のアミノ酸で置換されており、一方、1以上のCDR領域内の一部、大部分または全部のアミノ酸は変化していない。アミノ酸の小さな付加、欠失、挿入、置換または修飾は、それらが抗体の特定の抗原に結合する能力を損なわない限り、許容される。“ヒト化”抗体は、元の抗体と同様の抗原特異性を保持している。
【0032】
“キメラ抗体”とは、可変領域がマウス抗体由来であり、定常領域がヒト抗体由来である抗体のような、可変領域がある種由来であり、定常領域が別の種由来である抗体を意味する。
【0033】
“抗抗原”抗体とは、抗原に特異的に結合する抗体を意味する。例えば、抗LAG-3抗体は、LAG-3に特異的に結合する。
【0034】
抗体の“抗原結合部分”(“抗原結合フラグメント”とも称される)とは、抗体全体が結合した抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体の1以上のフラグメントを意味する。抗体の抗原結合機能は、完全長抗体のフラグメントまたは部分によって実行できることが示されている。抗体、例えば、本明細書に記載されている抗LAG-3抗体の“抗原結合部分”または“抗原結合フラグメント”という用語に包含される結合フラグメントの例としては、以下が挙げられる:
(1) VL、VH、LCおよびCH1ドメインからなる、Fabフラグメント(パパイン切断によるフラグメント)または同様の一価フラグメント;
(2) ヒンジ領域のジスルフィド架橋で連結された2つのFabフラグメントを含む、F(ab’)2フラグメント(ペプシン切断からのフラグメント)または類似の二価のフラグメント;
(3) VHドメインおよびCH1ドメインからなるFdフラグメント;
(4) 抗体の単一アームのVLおよびVHドメインからなるFvフラグメント;
(5) VHドメインからなる、単一ドメイン抗体(dAb)フラグメント(Ward et al., (1989) Nature 341:544-46);
(6) ヒンジによって連結された2つのVHドメインからなるバイ・シングルドメイン抗体(二重親和性再標的化抗体(DART:dual-affinity re-targeting antibody));
(7) 二重可変ドメイン免疫グロブリン;
(8) 単離された相補性決定領域(CDR);および
(9) 要すれば合成リンカーによって結合させることができる、2以上の単離CDRの組み合わせ。さらに、Fvフラグメントの2つのドメイン、VLおよびVHは、別個の遺伝子によってコードされているが、それらは、組換え法を用いて、合成リンカーによって結合させることができ、VL領域およびVH領域が対となって一価の分子を形成する単一のタンパク質鎖として作製され得る(単鎖Fv(scFv)として知られている;例えば、Bird et al. (1988) Science 242:423-426;および、Huston et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883を参照のこと)。このような一本鎖抗体は、抗体の“抗原結合部分”または“抗原結合フラグメント”という用語に包含されることも意図される。これらの抗体フラグメントは、当業者に知られている従来技術を用いて得られ、そのフラグメントは、無傷の抗体と同様の方法で有用性についてスクリーニングされる。抗原結合部分は、組換えDNA技術によって、または無傷の免疫グロブリンの酵素的切断もしくは化学的切断によって製造することができる。いくつかの態様において、抗体は抗原結合フラグメントである。
【0035】
用語“LAG-3”は、リンパ球活性化遺伝子-3を意味する。用語“LAG-3”は、変異体、アイソフォーム、ホモログ、オルソログおよびパラログを含む。例えば、ヒトLAG-3タンパク質に特異的な抗体は、特定の場合において、ヒト以外の種由来のLAG-3タンパク質と交差反応し得る。他の態様において、ヒトLAG-3タンパク質に特異的な抗体は、ヒトLAG-3タンパク質に完全に特異的であり、種または他のタイプの交差反応性を示さないか、または、特定の他の種由来のLAG-3と交差反応してもよいが、全ての他の種とは交差反応しない(例えば、サルLAG-3と交差反応するが、マウスLAG-3とは交差反応しない)。用語“ヒトLAG-3”は、ヒト配列LAG-3、例えば、GenBank受託番号NP_002277を有するヒトLAG-3の完全なアミノ酸配列を意味する。用語“マウスLAG-3”は、マウス配列LAG-3、例えば、GenBank受託番号NP_032505を有するマウスLAG-3の完全なアミノ酸配列を意味する。LAG-3はまた、例えばCD223として当技術分野で知られている。ヒトLAG-3配列は、例えば、保存されている変異または非保存領域における変異を有することにより、GenBank受託番号NP_002277のヒトLAG-3と異なっていてもよく、LAG-3はGenBank受託番号NP_002277のヒトLAG-3と実質的に同じ生物学的機能を有する。例えば、ヒトLAG-3の生物学的機能は、本明細書の抗体によって特異的に結合されるLAG-3の細胞外ドメイン内にエピトープを有することか、またはMHCクラスII分子へ結合することである。
【0036】
特定のヒトLAG-3配列は、一般に、GenBank受託番号NP_002277のヒトLAG-3とアミノ酸配列において少なくとも90%同一であり、他の種(例えば、マウス)のLAG-3アミノ酸配列と比較したとき、そのアミノ酸配列がヒトであると同定されるアミノ酸残基を含む。ある場合において、ヒトLAG-3は、GenBank受託番号NP_002277のLAG-3とアミノ酸配列において少なくとも95%、またはさらには少なくとも96%、97%、98%もしくは99%同一であり得る。特定の態様において、ヒトLAG-3配列は、GenBank受託番号NP_002277のLAG-3配列と10個を超えるアミノ酸配列の相違を示さない。特定の態様において、ヒトLAG-3は、GenBank受託番号NP_002277のLAG-3配列から、5個を超えるアミノ酸相違、または4個、3個、2個もしくは1個を超えるアミノ酸相違を示さない。同一性パーセントは、本明細書に記載のように決定され得る。
【0037】
本明細書で用いる用語“プログラムされた死1(Programmed Death 1)”、“プログラムされた細胞死1(Programmed Cell Death 1)”、“タンパク質PD-1”、“PD-1”、“PD1”、“PDCD1”、“hPD-1”および“hPD-I”は、互換的に用いられ、ヒトPD-1の変異体、アイソフォームおよび種ホモログ、ならびにPD-1と少なくとも1つの共通エピトープを有する類縁体を含む。完全なPD-1配列はGenBank受託番号U64863に見出され得る。
【0038】
タンパク質“プログラムされた死1(PD-1)”は、CD28、CTLA-4、ICOSおよびBTLAも含むCD28受容体ファミリーの阻害メンバーである。PD-1は、活性化B細胞、T細胞および骨髄細胞上で発現されている(Agata et al., supra; Okazaki et al. (2002) Curr. Opin. Immunol. 14: 391779-82; Bennett et al. (2003) J Immunol 170:711-8)。ファミリーの初期メンバーであるCD28およびICOSは、モノクローナル抗体の添加後にT細胞増殖を増強する機能的効果によって発見された(Hutloff et al. Nature (1999); 397:263-266; Hansen et al. Immunogenics (1980); 10:247-260)。PD-1は、アポトーシス細胞における差次的発現のためにスクリーニングによって発見された(Ishida et al. EMBO J (1992); 11:3887-95)。ファミリーの他のメンバーであるCTLA-4およびBTLAは、それぞれ細胞傷害性Tリンパ球およびTH1細胞における差次的発現のためにスクリーニングによって発見された。CD28、ICOSおよびCTLA-4は全て、ホモ二量体化を可能にする対になっていないシステイン残基を有している。対照的に、PD-1はモノマーとして存在することが示唆されており、他のCD28ファミリーメンバーに特徴的な対になっていないシステイン残基を欠く。
【0039】
PD-1遺伝子は、Ig遺伝子スーパーファミリーの一部である55kDaのI型膜貫通タンパク質である(Agata et al. (1996) Int Immunol 8:765-72)。PD-1は、膜近位免疫受容体チロシン阻害モチーフ(ITIM)および膜遠位チロシンベーススイッチモチーフ(ITSM)を含む(Thomas, M. L. (1995) J Exp Med 181:1953-6; Vivier, E and Daeron, M (1997) Immunol Today 18:286-91)。CTLA-4と構造的に類似しているが、PD-1は、B7-1結合およびB7-2結合に重要なMYPPPYモチーフ(配列番号32)を欠く。PD-1の2つのリガンドとしてPD-L1およびPD-L2が同定されており、それらはPD-1に結合するとT細胞活性化を下方制御することが示されている(Freeman et al. (2000) J Exp Med 192:1027-34; Latchman et al. (2001) Nat Immunol 2:261-8; Carter et al. (2002) Eur J Immunol 32:634-43)。PD-L1およびPD-L2は両方とも、PD-1に結合するが、他のCD28ファミリーメンバーには結合しない、B7ホモログである。PD-L1は、ヒトの種々の癌に豊富である(Dong et al. (2002) Nat. Med. 8:787-9)。PD-1とPD-L1の相互作用により、腫瘍浸潤リンパ球が減少し、T細胞受容体介在増殖が減少し、癌細胞による免疫回避が起こる(Dong et al. (2003) J. Mol. Med. 81:281-7; Blank et al. (2005) Cancer Immunol. Immunother. 54:307-314; Konishi et al. (2004) Clin. Cancer Res. 10:5094-100)。PD-1とPD-L1の局所的な相互作用を阻害することにより免疫抑制を逆転させることができ、PD-1とPD-L2の相互作用も阻害されると、その効果は相加的である(Iwai et al. (2002) Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 99:12293-7; Brown et al. (2003) J. Immunol. 170:1257-66)。
【0040】
PD-1がCD28ファミリーの阻害メンバーであることと一致して、PD-1欠損動物は、自己免疫性心筋症ならびに関節炎および腎炎を伴うループス様症候群を含む種々の自己免疫表現型を発現する(Nishimura et al. (1999) Immunity 11:141-51; Nishimura et al. (2001) Science 291:319-22)。さらに、PD-1は、自己免疫性脳脊髄炎、全身性エリテマトーデス、移植片対宿主疾患(GVHD)、I型糖尿病およびリウマチ性関節炎に関与することが見いだされている(Salama et al. (2003) J Exp Med 198:71-78; Prokunina and Alarcon-Riquelme (2004) Hum Mol Genet 13:R143; Nielsen et al. (2004) Lupus 13:510)。マウスB細胞腫瘍系統において、PD-1のITSMは、BCRを介したCa2+-fluxおよび下流エフェクター分子のチロシンリン酸化を阻害するために必須であることが示された(Okazaki et al. (2001) PNAS 98:13866-71)。
【0041】
“プログラムされた死リガンド-1(PD-L1)”は、PD-1に結合するとT細胞活性化およびサイトカイン分泌を下方制御するPD-1の2つの細胞表面糖タンパク質リガンドの1つである(もう1つはPD-L2である)。本明細書で用いる用語“PD-L1”は、ヒトPD-L1(hPD-L1)、hPD-L1の変異体、アイソフォームおよび種ホモログ、ならびにhPD-L1と少なくとも1つの共通エピトープを有する類縁体を含む。完全なhPD-L1配列はGenBank受託番号Q9NZQ7に見いだされ得る。
【0042】
本明細書で用いる用語“プログラムされた死リガンド-2”および“PD-L2”は、ヒトPD-L2(hPD-L2)、hPD-L2の変異体、アイソフォームおよび種ホモログ、ならびにhPD-L2と少なくとも1つの共通エピトープを有する類縁体を含む。完全なhPD-L2配列は、GenBank受託番号Q9BQ51に見いだされ得る。
【0043】
本明細書で用いる“患者”には、癌(例えば、胃癌または胃食道癌)に罹患している患者が含まれる。用語“対象”および“患者”は互換的に用いられる。
【0044】
“投与する”とは、当業者に知られている種々の方法および送達システムの何れかを用いて対象へ治療剤を含む組成物を物理的に導入することを意味する。本明細書に記載の製剤の投与経路には、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、腹腔内投与、脊髄投与または例えば注射もしくは点滴による他の非経腸投与経路が含まれる。本明細書で用いる用語“非経腸投与”とは、経腸投与および局所投与以外の投与方法を意味し、通常、注射による投与であり、静脈内投与、筋肉内投与、動脈内投与、髄腔内投与、胸腔内投与、病巣内投与、嚢内投与、眼窩内投与、心臓内投与、皮内投与、腹腔内投与、経気管投与、皮下投与、表皮下(subcuticular)投与、関節内投与、被膜下投与、くも膜下腔内投与、脊髄内投与、硬膜外投与および胸骨内注射および点滴、ならびにインビボエレクトロポレーションが含まれるが、これらに限定されない。ある態様において、製剤は非経腸投与ではない経路で投与され、ある態様において、経口投与される。他の非経腸投与ではない経路には、局所、上皮または粘膜投与経路、例えば、鼻腔内、膣内、直腸内、舌下または局所的投与が含まれる。投与はまた、例えば1回、複数回および/または長期間にわたって1以上の回数行われ得る。
【0045】
対象の“処置”または“治療”とは、症状、合併症または病状、あるいは疾患と関連する生化学的徴候の進行、発症、重篤化または再発を、回復、緩和、改善、阻害もしくは遅延する目的で、対象に対して行われる何らかの治療介入(intervention)または方法、あるいは対象への有効成分の投与を意味する。固形腫瘍における効果判定基準(RECIST)は、処置効果の尺度であり、処置中、腫瘍がいつ応答し、安定し、または進行するかを定義する確立された基準である。RECIST 1.1は、成人および小児癌の臨床治験で用いるための腫瘍サイズの変化を客観的に評価するための固形腫瘍測定および定義の現在のガイドラインである。
【0046】
本明細書で用いる“有効な処置”とは、有益な効果、例えば、疾患または障害の少なくとも1つの症状の改善、を生じる処置を意味する。有益な効果は、ベースラインに対する改善、すなわち、方法に従って治療を開始する前に行われた測定または観察に対する改善の形態をとり得る。有益な効果はまた、固形腫瘍のマーカーの有害な進行の停止、減速、遅延または安定化の形態をとり得る。有効な処置とは、固形腫瘍の少なくとも1つの症状の緩和を意味し得る。そのような有効な処置は、例えば、患者の痛みを軽減し、病変のサイズおよび/もしくは数を減少させ、腫瘍の転移を軽減もしくは予防し、ならびに/または腫瘍増殖を遅延させ得る。
【0047】
用語“有効量”は、所望の生物学的結果、治療結果および/または予防結果を与える薬剤の量を意味する。その結果は、1以上の兆候、症状または疾患の原因、あるいは生物学的システムの何らかの他の所望の変化の、減少、改善、緩和、消退、遅延および/または緩解であり得る。固形腫瘍に関して、有効量は、腫瘍を収縮させるおよび/または腫瘍の増殖速度を低下させる(例えば、腫瘍増殖を抑制する)か、または他の望ましくない細胞増殖を予防もしくは遅延させるのに十分な量を含む。ある態様において、有効量は、腫瘍発生を予防または遅延させるのに十分な量である。有効量は、1回以上の投与で投与することができる。薬物または組成物の有効量は、(i)癌細胞数を減少させる;(ii)腫瘍サイズを縮小する;(iii)癌細胞の末梢臓器への浸潤を阻害、遅延、ある程度減速し、停止させる;(iv)腫瘍転移を阻害する、すなわちある程度遅らせ、停止させることができる;(v)腫瘍増殖を阻害する;(vi)腫瘍の発生および/または再発を予防または遅延させる;ならびに/または、(vii)癌に関連する1以上の症状をある程度緩和する、ことができる量である。一例において、“有効量”は、癌の有意な減少または固形腫瘍などの癌の進行の遅延に影響を与えることが臨床的に証明されている、抗LAG-3抗体の量、抗PD-1抗体の量および化学療法剤の量、またはそれらの組み合わせである。本明細書で用いる用語“固定用量”、“一定用量”および“一定の固定用量”は、互換的に用いられ、患者の体重または体表面積(BSA)に関係なく患者に投与される用量を意味する。従って、固定用量または一定用量は、mg/kg用量としてではなく、薬剤(例えば、抗LAG-3抗体および/または抗PD-1抗体)の絶対量として提供される。例えば、60kgのヒトおよび100kgのヒトは、同じ用量の組成物を受容し得る(例えば、360mgの抗PD-1抗体および120mgの抗LAG-3抗体の両方を含む単一の固定投与用製剤バイアル中の360mgの抗PD-1抗体および120mgの抗LAG-3抗体(または、180mgの抗PD-1抗体および60mgの抗LAG-3抗体を含む2つの固定投与用製剤バイアルなど))。
【0048】
本発明の組成物に関して、用語“固定用量の組合せ”の使用は、単一の組成物中の2以上の異なる抗体が、互いに特定の(固定)比で組成物中に存在することを意味する。いくつかの態様において、固定用量は、抗体の重量(例えば、mg)に基づく。特定の態様において、固定用量は、抗体の濃度(例えば、mg/ml)に基づく。ある態様において、比率は、第1の抗体:第2の抗体(mg)が、少なくとも約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:6、約1:7、約1:8、約1:9、約1:10、約1:15、約1:20、約1:30、約1:40、約1:50、約1:60、約1:70、約1:80、約1:90、約1:100、約1:120、約1:140、約1:160、約1:180、約1:200、約200:1、約180:1、約160:1、約140:1、約120:1、約100:1、約90:1、約80:1、約70:1、約60:1、約50:1、約40:1、約30:1、約20:1、約15:1、約10:1、約9:1、約8:1、約7:1、約6:1、約5:1、約4:1、約3:1または約2:1である。例えば、第1の抗体と第2の抗体の3:1の比は、バイアルが約240mgの第1の抗体および80mgの第2の抗体、または約3mg/mlの第1の抗体および1mg/mlの第2の抗体を含み得ることを意味し得る。
【0049】
本明細書で用いる用語“体重ベースの用量”は、患者に投与される用量が、該患者の体重に基づいて計算されることを意味する。例えば、体重60kgの患者が、3mg/kgの抗LAG-3抗体と3mg/kgの抗PD-1抗体の併用を必要とするとき、抗LAG-3抗体および抗PD-1抗体の1:1比の固定用量の組合せ溶液から、一度に、適切な量の抗LAG-3抗体(すなわち、180mg)および抗PD-1抗体(すなわち、180mg)を吸引して取り出すことができる。
【0050】
本明細書で用いる用語“無増悪生存期間”は、PFSと略することができ、患者が疾患と共に生きるが、それが悪化することはない、固形腫瘍(すなわち、黒色腫)の処置中および処置後の期間の長さを意味する。
【0051】
本明細書で用いる“投与間隔”とは、対象に投与される本明細書に記載の製剤の複数投与間の時間の経過を意味する。従って、投与間隔は時間範囲として示すことができる。
【0052】
本明細書で用いる用語”投与頻度”とは、所定の時間に本明細書に記載の製剤の複数用量を投与する頻度を意味する。投与頻度は、所定の時間あたりの投与回数として示すことができ、例えば、週に1回または2週間に1回である。
【0053】
本明細書で用いる用語“1週間に約1回”、“約1週間に1回”、“約2週間に1回”または他の同様の投与間隔用語は、おおよその回数を意味し、“1週間に約1回”または“約1週間に1回”は、7日±2日毎、すなわち、5日から9日毎を包含し得る。従って、“1週間に1回”の投与頻度は、5日毎、6日毎、7日毎、8日毎または9日毎であり得る。“約2週間に1回”は、約14日±3日毎に1回、すなわち、約11日から約17日毎に1回を含み得る。同様の近似値は、例えば、約3週間毎に1回、約4週間毎に1回、約5週間毎に1回、約6週間毎に1回、および約12週間毎に1回に適用される。いくつかの態様において、約6週間毎に1回または約12週間毎に1回の投与間隔は、最初の投与が、第1週目の任意の日に投与され、その後、次の投与が、第6週目または第12週目の任意の日にそれぞれ投与され得ることを意味する。他の態様において、約6週間に1回または約12週間に1回の投与間隔は、最初の投与が第1週の特定の日(例えば、月曜日)に投与され、その後、次の投与が第6週または第12週の同じ日(例えば、月曜日)にそれぞれ投与されることを意味する。
【0054】
“癌”とは、体内の異常細胞の無制御の増殖によって特徴づけられる種々の疾患の幅広い群を意味する。無制御の細胞分裂および増殖は、悪性腫瘍の形成をもたらし、隣接する組織に侵入し、リンパ系または血流を介して体の遠くの部分に転移することもある。“癌”または“癌組織”には、腫瘍が含まれる。“消化器癌(gastric cancer)”および“胃癌”は、本明細書において互換的に用いられる。本明細書で用いる“胃癌”は、胃の何れかの部分で発生する可能性があり、胃全体および他の臓器に拡がっているものを含む。胃壁に沿って食道または小腸に向かって増殖し得る。また、胃壁を通って拡がり、近くのリンパ節ならびに肝臓、膵臓および大腸などの臓器に拡がることもある。肺、鎖骨上のリンパ節および卵巣などの離れた臓器に転移することもある。胃癌の種々のタイプには、腺癌、リンパ腫、消化器間質腫瘍(GIST)およびカルチノイド腫瘍が含まれる。
【0055】
本明細書で用いる用語“腫瘍”は、前癌性病変を含む、良性(非癌性)または悪性(癌性)のいずれかの過剰な細胞増殖または増殖に起因する組織の何らかの腫瘤を意味する。
【0056】
LAG-3発現に関連する用語“LAG-3陽性”または“LAG-3発現陽性”は、腫瘍細胞および腫瘍浸潤性炎症細胞を含む生検組織サンプル中の細胞の割合を意味し、その組織サンプルはLAG-3を発現していると記録される。いくつかの態様において、免疫組織化学(IHC)によってアッセイされたLAG-3発現について、LAG-3陽性腫瘍またはLAG-3発現陽性腫瘍とは、全細胞数の少なくとも約0.01%、少なくとも約0.5%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%または100%がLAG-3を発現していることを意味する。他の態様において、免疫組織化学(IHC)またはフローサイトメトリーによってアッセイされたLAG-3発現について、LAG-3陽性腫瘍またはLAG-3発現陽性腫瘍とは、腫瘍関連炎症性細胞(例えば、T細胞、CD8+T細胞、CD4+T細胞、FOXP3+細胞)の全細胞数の少なくとも約0.01%、少なくとも約0.01%、少なくとも約0.5%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%または100%がLAG-3を発現する。LAG-3陽性腫瘍またはLAG-3発現陽性腫瘍はまた、本明細書において、LAG-3を発現する腫瘍として現わされ得る。いくつかの態様において、LAG-3陽性腫瘍またはLAG-3発現陽性腫瘍は、全細胞数の少なくとも約0.1%~少なくとも約20%の細胞がLAG-3を発現することを意味する。いくつかの態様において、LAG-3陽性腫瘍またはLAG-3発現陽性腫瘍は、腫瘍関連炎症性細胞(例えば、T細胞、CD8+ T細胞、CD4+ T細胞、FOXP3+細胞)の総数の少なくとも約0.1%~少なくとも約20%がLAG-3を発現することを意味する。特定の態様において、LAG-3陽性腫瘍またはLAG-3発現陽性腫瘍とは、全細胞数の少なくとも約0.1%~少なくとも約10%がLAG-3を発現することを意味する。特定の態様において、LAG-3陽性腫瘍またはLAG-3発現陽性腫瘍は、腫瘍浸潤性炎症性細胞(例えば、T細胞、CD8+ T細胞、CD4+ T細胞、FOXP3+細胞)の総数の少なくとも約0.1%~少なくとも約10%がLAG-3を発現することを意味する。いくつかの態様において、LAG-3陽性腫瘍またはLAG-3発現陽性腫瘍とは、全細胞数の少なくとも約1%の細胞が細胞表面上でLAG-3を発現していることを意味する。いくつかの態様において、LAG-3陽性腫瘍またはLAG-3発現陽性腫瘍とは、腫瘍浸潤性炎症性細胞(例えば、T細胞、CD8+ T細胞、CD4+ T細胞、FOXP3+細胞)の総数の少なくとも約1%が細胞表面上でLAG-3を発現していることを意味する。他の態様において、LAG-3陽性腫瘍またはLAG-3発現陽性腫瘍とは、全細胞の少なくとも約5%の細胞が細胞表面上でLAG-3を発現していることを意味する。他の態様において、LAG-3陽性腫瘍またはLAG-3発現陽性腫瘍は、腫瘍浸潤性炎症性細胞(例えば、T細胞、CD8+ T細胞、CD4+ T細胞、FOXP3+細胞)の総数の少なくとも約5%が細胞表面上でLAG-3を発現していることを意味する。ある特定の態様において、LAG-3陽性腫瘍またはLAG-3発現陽性腫瘍とは、全細胞数の少なくとも約1%、または1~5%の範囲で細胞表面上にLAG-3を発現していることを意味する。ある特定の態様において、LAG-3陽性腫瘍またはLAG-3発現陽性腫瘍は、腫瘍浸潤性炎症性細胞(例えば、T細胞、CD8+T細胞、CD4+T細胞、FOXP3+細胞)の総数の少なくとも約1%、または1~5%の範囲内で、細胞表面上でLAG-3を発現することを意味する。
【0057】
“LAG-3陰性”または“LAG-3発現陰性”は、LAG-3陽性またはLAG-3発現陽性ではない腫瘍細胞および腫瘍浸潤炎症性細胞を含む生検組織サンプル中の細胞の割合を意味する。
【0058】
細胞表面PD-L1発現に関連する用語“PD-L1陽性”または“PD-L1発現陽性”は、腫瘍細胞および腫瘍浸潤性炎症細胞を含む生検組織サンプル中の細胞の割合を意味し、そのサンプルは細胞表面PD-L1を発現していると記録される。免疫組織化学(IHC)によってアッセイされた細胞表面発現については、例えば、mAb28-8を用いて、PD-L1陽性腫瘍またはPD-L1発現陽性腫瘍は、全細胞数の少なくとも約0.01%、少なくとも約0.5%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、または少なくとも約30%がPD-L1を発現していることを意味する。PD-L1陽性腫瘍またはPD-L1発現陽性腫瘍は、本明細書において、PD-L1を発現する腫瘍として現わされ得る。他の態様において、PD-L1陽性腫瘍またはPD-L1発現陽性腫瘍とは、全細胞数の少なくとも約0.1%~少なくとも約20%がPD-L1を発現することを意味する。特定の態様において、PD-L1陽性腫瘍またはPD-L1発現陽性腫瘍は、全細胞数の少なくとも約0.1%~少なくとも約10%の細胞がPD-L1を発現することを意味する。いくつかの態様において、PD-L1陽性腫瘍またはPD-L1発現陽性腫瘍は、全細胞数の少なくとも約1%が細胞表面上でPD-L1を発現していることを意味する。他の態様において、PD-L1陽性腫瘍またはPD-L1発現陽性腫瘍は、全細胞数の少なくとも約5%が細胞表面上でPD-L1を発現することを意味する。ある特定の態様において、PD-L1陽性腫瘍またはPD-L1発現陽性腫瘍は、全細胞数の少なくとも約1%、または約1~5%の範囲で細胞表面上にPD-L1を発現することを意味する。
【0059】
細胞表面のPD-L1発現に関連する用語“PD-L1陰性”または“PD-L1発現陰性”とは、腫瘍細胞および腫瘍浸潤性炎症細胞を含む生検組織サンプル中の細胞のうち、PD-L1陽性またはPD-L1発現陽性ではない細胞の割合を意味する。
【0060】
用語“評価可能なPD-L1発現状態”は、PD-L1の測定可能な発現レベルに関連し、一般的には5%以上または5%未満である。
【0061】
本明細書で用いる用語“腫瘍遺伝子変異量”(TMB:tumor mutation burden)は、腫瘍のゲノムにおける体細胞突然変異の数、および/または腫瘍ゲノムの領域あたりの体細胞突然変異の数を意味する。生殖細胞系列(遺伝)変異体は、免疫系がこれらを自己として認識する可能性が高いため、TMBを決定するときに除外される。腫瘍遺伝子変異量(TMB)はまた、“腫瘍変異負荷(tumor mutation load, tumor mutational burden, tumor mutational load)と互換的に用いることもできる。
【0062】
TMBは、腫瘍ゲノムの遺伝子分析であり、従って、当業者にはよく知られている配列決定法を用いて決定することができる。腫瘍DNAは、患者に適合した正常組織からのDNAと比較して、生殖細胞変異または多型を排除することができる。
【0063】
ある態様において、TMBは、ハイスループット配列決定技術、例えば、次世代配列決定(NGS)またはNGSベースの方法を用いて腫瘍DNAを配列決定することによって決定される。ある態様において、NGSベースの方法は、全ゲノム配列決定(WGS)、全エクソーム配列決定(WES)またはFOUNDATIONONE(登録商標) CDX(商標)およびMSK-IMPACT臨床治験などのがん遺伝子パネルの包括的ゲノムプロファイリング(CGP)から選択される。ある態様において、本明細書で用いるTMBは、配列決定されたDNAのメガベース(Mb)当たりの体細胞変異の数を意味する。一態様において、TMBは、例えば、ミスセンス変異(すなわち、タンパク質中の特定のアミノ酸を変化させる)および/またはナンセンス(タンパク質配列の未成熟終結およびその結果、タンパク質配列の切断を引き起こす)などの非同義突然変異の総数を用いて決定され、一致した腫瘍を生殖細胞系列サンプルと正規化して、遺伝性生殖細胞遺伝的変化を除外することにより決定される。別の態様において、TMBは、腫瘍におけるミスセンス突然変異の総数を用いて決定される。TMBを決定するためには、十分量のサンプルが必要である。一態様において、組織サンプル(例えば、少なくとも10枚のスライド)が評価のために用いられる。ある態様において、TMBは、メガベースあたりのNsMs(NsM/Mb)として表される。1メガベースは100万塩基を表す。
【0064】
TMBの状態は、対照セットの最も高い分位値内、または三分位値内の数値または相対値、例えば、高値、中値または低値であり得る。
【0065】
本明細書で用いる用語“高TMB”は、正常または平均である多くの体細胞変異を超える腫瘍ゲノムにおける体細胞変異数を意味する。ある態様において、TMBは、少なくとも210、少なくとも215、少なくとも220、少なくとも225、少なくとも230、少なくとも235、少なくとも240、少なくとも245、少なくとも250、少なくとも255、少なくとも255、少なくとも260、少なくとも265のスコアを有する。少なくとも270、少なくとも275、少なくとも280、少なくとも285、少なくとも290、少なくとも295、少なくとも300、少なくとも305、少なくとも310、少なくとも315、少なくとも320、少なくとも325、少なくとも330、少なくとも335、少なくとも340、少なくとも345、少なくとも350、少なくとも355、少なくとも360、少なくとも365、少なくとも370、少なくとも375、少なくとも380、少なくとも385、少なくとも390、少なくとも395、少なくとも400、少なくとも405、少なくとも410、少なくとも415、少なくとも420、少なくとも425、少なくとも430、少なくとも435、少なくとも440、少なくとも445、少なくとも450、少なくとも455、少なくとも460、少なくとも465、少なくとも470、少なくとも475、少なくとも480、少なくとも485、少なくとも490、少なくとも495または少なくとも500のスコアを有する。他の態様において、高TMBは、少なくとも少なくとも221、少なくとも222、少なくとも223、少なくとも224、少なくとも225、少なくとも226、少なくとも227、少なくとも228、少なくとも229、少なくとも230、少なくとも231、少なくとも232、少なくとも233、少なくとも234、少なくとも235、少なくとも236、少なくとも237、少なくとも238、少なくとも239、少なくとも240、少なくとも241、少なくとも242、少なくとも243、少なくとも244、少なくとも245、少なくとも246、少なくとも247、少なくとも248、少なくとも249または少なくとも250のスコアを有し;そして、特定の態様において、高TMBは、少なくとも243のスコアを有する。他の態様において、“高TMB”とは、対照TMB値の最も高い分位値内のTMBを意味する。例えば、評価可能なTMBデータを有する全ての対象は、TMBのフラクタル(fractile)分布に従ってグループ化され、すなわち、対象は遺伝子変化の最も高い数から最も低い数まで順位付けされ、定義された数の群に分類される。一態様において、評価可能なTMBデータを有する全ての対象は、ランク順に並べられ、3つの群に分割され、“高TMB”は、対照TMB値の最も高い三分位値である。特定の態様において、三分位値の境界は、0<100個の遺伝子変異;100~243個の遺伝子変異;および、>243個の遺伝子変異である。一旦ランク付けされると、評価可能なTMBデータを有する対象は、いずれかの群数(例えば、四分位、五分位など)に分類することができるものと理解されるべきである。ある態様において、“高TMB”は、少なくとも約20変異/腫瘍、少なくとも約25変異/腫瘍、少なくとも約30変異/腫瘍、少なくとも約35変異/腫瘍、少なくとも約40変異/腫瘍、少なくとも約45変異/腫瘍、少なくとも約50変異/腫瘍、少なくとも約55変異/腫瘍、少なくとも約60変異/腫瘍、少なくとも約65変異/腫瘍、少なくとも約70変異/腫瘍、少なくとも約75変異/腫瘍、少なくとも約80変異/腫瘍、少なくとも約85変異/腫瘍、少なくとも約90変異/腫瘍、少なくとも約95変異/腫瘍または少なくとも約100変異/腫瘍のTMBを意味する。ある態様において、“高TMB”は、少なくとも約105変異/腫瘍、少なくとも約110変異/腫瘍、少なくとも約115変異/腫瘍、少なくとも約120変異/腫瘍、少なくとも約125変異/腫瘍、少なくとも約130変異/腫瘍、少なくとも約135変異/腫瘍、少なくとも約140変異/腫瘍、少なくとも約145変異/腫瘍、少なくとも約150変異/腫瘍、少なくとも約175変異/腫瘍または少なくとも約200変異/腫瘍のTMBを意味する。特定の態様において、高TMBを有する腫瘍は、少なくとも約100変異/腫瘍を有する。
【0066】
“高TMB”はまた、例えば、変異アッセイ、例えば、FOUNDATIONONE(登録商標) CDX(商標)アッセイにより測定される、配列決定された腫瘍ゲノムの1メガベースあたりの変異数を意味し得る。一態様において、高TMBは、FOUNDATIONONE(登録商標) CDX(商標)アッセイにより測定される、ゲノムの1メガベースあたり、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約11個、少なくとも12個、少なくとも約13個、少なくとも約14個、少なくとも約15個、少なくとも約16個、少なくとも約17個、少なくとも約18個、少なくとも約19個、または少なくとも約20個の変異を意味する。特定の態様において、“高TMB”は、FOUNDATIONONE(登録商標) CDX(商標)アッセイにより、配列決定されたゲノムの1メガベースあたり少なくとも10個の変異を意味する。
【0067】
本明細書で用いる用語“中間TMB”は、正常または平均である多くの体細胞変異またはその位の腫瘍ゲノムにおける体細胞変異数を意味し、用語“低TMB”は、正常または平均である体細胞変異より少ない腫瘍ゲノムにおける体細胞変異数を意味する。特定の態様において、“高TMB”は、少なくとも243のスコアを有し、“中間TMB”は、100~242のスコアを有し、そして“低TMB”は、100以下(または0~100)のスコアを有する。“中間または低TMB”は、例えば、FOUNDATIONONE(登録商標) CDX(商標)アッセイにより測定されるように、配列決定されたゲノムの1メガベースあたり9個未満の変異を意味する。
【0068】
マイクロサテライト不安定性(microsatellite instability, MSI)は、DNAミスマッチ修復(MMR)の障害に起因する遺伝的高変異性(genetic hypermutability)の状態である。MSIの存在は、MMRが正常に機能していない表現型の証拠である。ほとんどの場合、MSI腫瘍の不安定性の遺伝的根拠は、5つのヒトMMR遺伝子:MSH2、MLH1、MSH6、PMS2およびPMS1のいずれかにおける遺伝性の生殖細胞系列の変化である。特定の態様において、腫瘍処置を受けている対象は、高度のマイクロサテライト不安定性(MSI-H)を有し、遺伝子MSH2、MLH1、MSH6、PMS2またはPMS1に少なくとも1つの変異を有する。他の態様において、対照群内で腫瘍処置を受けている対象は、マイクロサテライト不安定性(MSSまたはMSI安定性)を有さず、遺伝子MSH2、MLH1、MSH6、PMS2およびPMS1に変異を有さない。
【0069】
“免疫応答”とは、免疫系の細胞(例えば、Tリンパ球、Bリンパ球、ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージ、好酸球、マスト細胞、樹状細胞または好中球)およびこれらの細胞のいずれかまたは肝臓により産生される可溶性巨大分子(抗体、サイトカインおよび補体を含む)の作用を意味し、結果として、侵入病原体、病原体に感染した細胞または組織、癌性のまたは他の異常細胞、あるいは、自己免疫性または病理学的炎症の場合、正常ヒト細胞または組織を選択的に標的化し、結合し、損傷し、破壊しおよび/または脊椎動物体内から排除する。
【0070】
“腫瘍浸潤性炎症性細胞”または“腫瘍関連炎症性細胞”は、対象の炎症反応に一般的に関与し、腫瘍組織に浸潤する何らかのタイプの細胞である。このような細胞には、腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)、マクロファージ、単球、好酸球、組織球および樹状細胞が含まれる。
【0071】
代替語(例えば、“または”)の使用は、代替語の一方、両方、またはそれらの組合せの何れかを意味すると理解されるべきである。本明細書で用いる、不定冠詞“a”または“an”は、記載されたまたは列挙された構成要素の“1以上”を意味することが理解されるべきである。
【0072】
本明細書で用いる用語“および/または”は、2つの特定された特徴または構成要素のそれぞれが、他のものの有無にかかわらず、具体的に開示されていると解釈されるべきである。従って、本明細書中、“Aおよび/またはB”などの語句で用いられる用語“および/または”は、“AおよびB”、“AまたはB”、“A”(単独)、ならびに“B”(単独)を含むことを意図する。同様に、“A、Bおよび/またはC”などの語句で用いられる用語“および/または”は、以下の各面を包含することを意図する:A、BおよびC;A、BまたはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);および、C(単独)。
【0073】
ある面が用語“~を含む”と共に記載されている場合、“~からなる”および/または“~から本質的に構成される”という用語で記載されている類似の面も提供されることが理解される。
【0074】
用語“約”または“~を本質的に含む”は、当業者によって決定される特定の値または組成物の許容誤差範囲内にある値または組成物を意味し、これは、この値または組成物がどのように測定または決定されるか、すなわち測定システムの限界に部分的に依存し得る。例えば、“約”または“~を本質的に含む”は、当技術分野における実施(practice)につき、1または2以上の標準偏差内であることを意味し得る。あるいは、“約”または“~を本質的に含む”は、10%または20%(すなわち、±10%または±20%)までの範囲を意味し得る。例えば、約3mgは、2.7mgから3.3mg(10%の場合)または2.4mgから3.6mg(20%の場合)の間の任意の数を含み得る。さらに、特に生物学的システムまたはプロセスに関して、これらの用語は、最大1桁上または最大5倍の値までを意味し得る。本明細書および特許請求の範囲で特定の値または組成物が提供されるとき、特に明記しない限り、“約”または“~を本質的に含む”の意味は、その特定の値または組成物の許容誤差範囲内にあると仮定されるべきである。
【0075】
本明細書に記載のように、任意の濃度範囲、パーセンテージ範囲、比率範囲または整数範囲は、特に明記しない限り、記載される範囲内の任意の整数値、および適当なとき、その端数(例えば、整数の10分の1および100分の1など)を含むと理解されるべきである。
【0076】
特に他に定義がない限り、本明細書で用いるすべての技術用語および科学用語は、本開示が関連する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。例えば、the Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology, Juo, Pei-Show, 2nd ed., 2002、CRC Press; The Dictionary of Cell and Molecular Biology, 5th ed., 2013, Academic Press;および、the Oxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology, 2006, Oxford University Pressは、本開示で用いられる多くの用語の一般的な辞書を当業者に提供する。
【0077】
単位、接頭辞および記号は、それらの基本単位国際単位系(SI)に承認された形式で表される。数値範囲は、範囲を定義する数字を含む。本明細書で提供される見出しは、本本明細書の開示の様々な態様を限定するものではなく、明細書全体の参照用に記載されているとすることができる。従って、すぐ下に定義される用語は、本明細書全体を参照することによってより詳細に定義される。
【0078】
本発明の種々の面は、以下のサブセクションでさらに詳細に記載される。
【0079】
2.本発明の方法
一面において、本発明は、それを必要とする対象におけるLAG-3陽性悪性腫瘍(例えば、胃癌または食道胃接合部癌)を処置するための方法に関する。LAG-3阻害剤(例えば、抗LAG-3抗体)、PD-1経路阻害剤(例えば、抗PD-1抗体)および1以上の化学療法剤の併用療法は、LAG-3陽性悪性腫瘍(例えば、胃腫瘍または食道胃接合部癌)を有する患者集団において、LAG-3陰性悪性腫瘍およびLAG-3-陽性悪性腫瘍が混在する一般的な患者集団よりも良好な治療結果(例えば、客観的奏効率および疾患制御率)をもたらす。ある面において、悪性腫瘍の処置を改善するために、本発明は、LAG-3陽性腫瘍を有する患者を同定し、LAG-3阻害剤(例えば、抗LAG-3抗体)、PD-1経路阻害剤(例えば、抗PD-1抗体)および1以上の化学療法剤の免疫療法を提供する。
【0080】
本発明の一面は、ヒト患者において悪性腫瘍の増殖を阻害する方法であって、該患者に、(a) LAG-3アンタゴニスト;(b) PD-1経路阻害剤;および、(c) 1以上の化学療法剤、の各々の有効量を投与することを含む方法に関する。本発明の別の面は、ヒト患者における癌の処置法であって、該患者に、(a) LAG-3アンタゴニスト;(b) PD-1経路阻害剤;および、(c) 1以上の化学療法剤、の各々の有効量を投与することを含む方法に関する。本発明の一面は、ヒト患者における再発性、局所進行性または転移性胃癌または胃食道接合部腺癌を処置する方法であって、該患者に、(a) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、(b) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、および(c) 1以上の標準療法の治療レジメン、の有効量を投与することを含む方法に関する。一態様において、本発明は、ヒト患者において胃癌または食道胃接合部癌を処置する方法であって、該患者に、(a) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、(b) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、および(c) XELOX、FOLFOXおよびSOXからなる群より選択される1以上の化学療法剤、の有効量を投与することを含む方法に関する。一態様において、本発明は、(a)腫瘍サンプル中のLAG-3発現のレベルを決定すること;および、(b)腫瘍がLAG-3陽性腫瘍である場合、免疫療法のために腫瘍を選択することを含む、免疫療法のためにヒト患者の悪性腫瘍を選択する方法を含む。一態様において、本発明は、(a)腫瘍サンプル中のLAG-3発現のレベルを決定すること;および、(b) 腫瘍がLAG-3陽性腫瘍である場合、免疫療法に適格であるとして腫瘍を同定することを含む、免疫療法に適格であるとしてヒト患者の悪性腫瘍を同定する方法を含む。一態様において、本発明は、免疫療法に応答する可能性が高いヒト患者の悪性腫瘍を同定する方法を含み、この方法は、(a) 腫瘍サンプル中のLAG-3発現のレベルを決定すること;および、(b)腫瘍がLAG-3陽性腫瘍である場合、処置に応答する可能性があるとして腫瘍を同定することを含む。一態様において、本発明は、免疫療法に応答する可能性が高いヒト患者の悪性腫瘍を同定する方法を含み、この方法は、(a) 腫瘍サンプル中のLAG-3発現のレベルを決定すること;および、(b)腫瘍がLAG-3陽性腫瘍である場合、処置に応答する可能性があるとして腫瘍を同定することを含む。一態様において、本発明は、免疫療法に応答する可能性が高いヒト患者の悪性腫瘍を分類する方法を含み、この方法は、(a) 腫瘍サンプル中のLAG-3発現のレベルを決定すること;および、(b)腫瘍がLAG-3陽性腫瘍である場合、免疫療法に応答する可能性があるとして腫瘍を分類することを含む。ある態様において、免疫療法は、治療的有効量のLAG-3阻害剤、PD-1経路阻害剤および1以上の化学療法剤を腫瘍に接触させることを含む。ある態様において、LAG-3阻害剤は抗LAG-3抗体であり、PD-1経路阻害剤は抗PD-1抗体である。特定の態様において、本発明の方法の何れかは、腫瘍サンプル中のPD-L1発現を決定することをさらに含む。
【0081】
一態様において、本発明は、免疫療法に応答する可能性が高い悪性腫瘍の患者を同定する方法を含み、この方法は、(a)腫瘍サンプル中のLAG-3発現のレベルを決定すること;および、(b)腫瘍がLAG-3陽性腫瘍である場合、処置に応答する可能性が高い患者を同定することを含む。一態様において、本発明は、免疫療法のために悪性腫瘍を有する患者を選択する方法を含み、この方法は、(a)腫瘍サンプル中のLAG-3発現のレベルを決定すること;および、(b)腫瘍がLAG-3陽性腫瘍である場合、免疫療法のために患者を選択することを含む。ある態様において、免疫療法は、治療的有効量のLAG-3阻害剤、PD-1経路阻害剤および1以上の化学療法剤を腫瘍に接触させることを含む。ある態様において、LAG-3阻害剤は抗LAG-3抗体であり、PD-1経路阻害剤は抗PD-1抗体である。特定の態様において、本発明の方法のいずれかは、腫瘍サンプルにおいてPD-L1発現を決定することを含む。
【0082】
一態様において、本発明は、ヒト患者において悪性腫瘍を処置する方法であって、該患者に本明細書に記載の免疫療法を投与すること;ここで、患者は、LAG-3発現に基づいて、または患者の腫瘍サンプル中のLAG-3およびPD-L1発現に基づいて、LAG-3阻害剤、PD-1経路阻害剤および化学療法剤による処置に応答することが予測される、を含む方法を含む。ある態様において、LAG-3阻害剤は抗LAG-3抗体であり、PD-1経路阻害剤は抗PD-1抗体である。
【0083】
一態様において、本発明は、ヒト患者の腫瘍を処置する方法を含み、以下:患者に本明細書に記載の免疫療法を投与すること;ここで、患者は、高い腫瘍遺伝子変異量(TMB)状態を有することに基づいて、LAG-3阻害剤、PD-1経路阻害剤および化学療法剤による処置に応答することが予測される、を含む。一態様において、本発明は、ヒト患者において癌を処置する方法を含み、以下:患者に本明細書に記載の免疫療法を投与すること;ここで、患者が、高い腫瘍遺伝子変異量(TMB)状態を有することに基づいて、LAG-3阻害剤、PD-1経路阻害剤および化学療法剤による処置に応答することが予測されること、を含む。ある態様において、癌は胃癌または食道胃接合部癌である。
【0084】
一態様において、本発明は、ヒト患者における腫瘍を処置する方法を含み、以下:患者に本明細書に記載の免疫療法を投与すること;ここで、患者が、高度のマイクロサテライト不安定性(MSI-H)を有することに基づいて、LAG-3阻害剤、PD-1経路阻害剤および化学療法剤による処置に応答することが予測される、を含む。一態様において、本発明は、ヒト患者において癌を処置する方法を含み、以下:患者に本明細書に記載の免疫療法を投与すること;ここで、患者が、高度のマイクロサテライト不安定性(MSI-H)を有することに基づいて、LAG-3阻害剤、PD-1経路阻害剤および化学療法剤による処置に応答することが予測される、を含む。ある態様において、癌は胃癌または食道胃接合部癌である。
【0085】
一態様において、本発明は、それを必要とするヒト患者において悪性腫瘍を処置する方法を含み、(a)腫瘍サンプル中のLAG-3発現レベルまたはLAG-3およびPD-L1の発現レベルを決定すること;ならびに、(b)腫瘍がLAG-3陽性腫瘍またはLAG-3陽性PD-L1陽性腫瘍である場合に、治療的有効量のLAG-3阻害剤を患者に投与すること、を含む。一態様において、本発明は、それを必要とするヒト患者における悪性腫瘍を処置するための方法を含み、以下:(a)LAG-3陽性悪性腫瘍またはLAG-3陽性PD-L1陽性悪性腫瘍を有するとして該患者を同定すること;ならびに、(b)患者に、治療的有効量のLAG-3阻害剤、PD-1経路阻害剤および1以上の化学療法剤を投与することを含む。一態様において、本発明は、それを必要とするヒト患者における悪性腫瘍を処置するための方法であって、LAG-3阻害剤の治療的有効量を該患者に投与することを含み、ここで、患者は、投与に先立って、LAG-3陽性悪性腫瘍またはLAG-3陽性PD-L1陽性悪性腫瘍を有すると同定される、方法を含む。ある態様において、LAG-3阻害剤は、抗LAG-3抗体であり、PD-1経路阻害剤は抗PD-1抗体である。
【0086】
一態様において、本発明は、それを必要とするヒト患者において悪性腫瘍を処置する方法であって、以下:(a)腫瘍サンプル中のLAG-3発現レベルまたはLAG-3およびPD-L1の発現レベルを決定すること;ならびに、(b)腫瘍がLAG-3陽性腫瘍またはLAG-3陽性/PD-L1陽性腫瘍である場合に、該患者に治療的有効量のLAG-3阻害剤、PD-1経路阻害剤および1以上の化学療法剤を投与すること、を含む方法を含む。一態様において、本発明は、それを必要とするヒト患者において悪性腫瘍を処置するための方法であって、(a)LAG-3陽性悪性腫瘍またはLAG-3陽性/PD-L1陽性悪性腫瘍を有する患者を同定すること;ならびに、(b)該患者に治療的有効量のLAG-3阻害剤、PD-1経路阻害剤および1以上の化学療法剤を投与すること、を含む方法を含む。ある態様において、LAG-3阻害剤は抗LAG-3抗体であり、PD-1経路阻害剤は抗PD-1抗体である。
【0087】
一態様において、本発明は、それを必要とするヒト患者において悪性腫瘍を処置する方法であって、(a)腫瘍サンプル中のLAG-3発現レベルまたはLAG-3およびPD-L1の発現レベルを決定すること;ならびに、(b)腫瘍がLAG-3陽性腫瘍またはLAG-3陽性PD-L1陽性腫瘍である場合に、該患者に治療的有効量のLAG-3阻害剤、PD-1経路阻害剤および1以上の化学療法剤を投与すること、を含む方法を含む。一態様において、本発明は、それを必要とするヒト患者において悪性腫瘍を処置する方法であって、(a)LAG-3陽性悪性腫瘍またはLAG-3陽性PD-L1陽性悪性腫瘍を有する患者を同定すること;ならびに、(b)該患者に治療的有効量のLAG-3阻害剤、PD-1経路阻害剤および1以上の化学療法剤を投与すること、を含む方法を含む。一態様において、本発明は、それを必要とするヒト患者において悪性腫瘍を処置する方法であって、該患者に治療的有効量のLAG-3阻害剤、PD-1経路阻害剤および1以上の化学療法剤を投与することを含み、ここで、患者は、投与前にLAG-3陽性悪性腫瘍またはLAG-3陽性PD-L1陽性悪性腫瘍を有すると同定されている、方法を含む。ある態様において、LAG-3阻害剤は抗LAG-3抗体であり、PD-1経路阻害剤は抗PD-1抗体である。
【0088】
別の態様において、本発明は、それを必要とするヒト患者において悪性腫瘍を処置する方法であって、該患者に本明細書に記載の免疫療法を投与することを含み、ここで、患者は、投与前に、LAG-3陽性悪性腫瘍またはLAG-3陽性PD-L1陽性悪性腫瘍を有すると同定されている、方法を含む。ある態様において、免疫療法は、治療的有効量のLAG-3阻害剤、PD-1経路阻害剤および1以上の化学療法剤を投与することを含む。ある態様において、LAG-3阻害剤は抗LAG-3抗体であり、PD-1経路阻害剤は抗PD-1抗体である。
【0089】
特定の態様において、本発明は、悪性腫瘍に罹患しているヒト患者において、無増悪生存期間を12ヶ月以上延長する方法であって、本明細書に記載の免疫療法を患者に投与することを含み、ここで、患者は、投与前に、LAG-3陽性悪性腫瘍またはLAG-3陽性PD-L1陽性悪性腫瘍を有すると同定されており、かつ12ヶ月以上の無増悪生存期間を示す、方法を含む。ある態様において、患者の無増悪生存期間は、投与後、約13ヶ月、約14ヶ月、約15ヶ月、約16ヶ月、約17ヶ月、約18ヶ月、約2年、約3年、約4年、約5年、約6年、約7年、約8年、約9年または約10年を超えて延長され得る。ある態様において、免疫療法は、LAG-3阻害剤、PD-1経路阻害剤および1以上の化学療法剤の治療的有効量を投与することを含む。ある態様において、LAG-3阻害剤は抗LAG-3抗体であり、PD-1経路阻害剤は抗PD-1抗体である。
【0090】
さらに他の態様において、本発明は、悪性腫瘍に罹患しているヒト患者において腫瘍サイズを少なくとも10%減少させる方法であって、該患者に本明細書に記載の免疫療法を投与することを含み、ここで、患者は、投与前に、LAG-3陽性悪性腫瘍(例えば、胃癌または食道胃接合部癌)またはLAG-3陽性PD-L1陽性悪性腫瘍を有すると同定されており、該投与は、投与前の腫瘍サイズと比較して、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%または100%減少させる、方法を含む。ある態様において、この方法は、投与前に、患者を、LAG-3陽性悪性腫瘍またはLAG-3陽性PD-L1陽性悪性腫瘍を有するものとして同定することを含む。ある態様において、LAG-3阻害剤は抗LAG-3抗体であり、PD-1経路阻害剤は抗PD-1抗体である。
【0091】
本発明はまた、本明細書に記載の免疫療法を患者に投与することを含む、該患者における再発の予防方法および/または寛解の誘導方法を含んでいてもよく、ここで、患者は、投与に先立って、LAG-3陽性悪性腫瘍(例えば、胃癌または胃食道接合部癌)またはLAG-3陽性PD-L1陽性悪性腫瘍を有すると同定されている。ある態様において、本発明の方法は、(i)患者を、LAG-3陽性悪性腫瘍またはLAG-3陽性PD-L1陽性悪性腫瘍を有すると同定すること;(ii)患者に、本明細書に記載の免疫療法を投与することを含む。ある態様において、免疫療法は、治療的有効量のLAG-3阻害剤、PD-1経路阻害剤および1以上の化学療法剤を患者に投与することを含む。ある態様において、LAG-3阻害剤は抗LAG-3抗体であり、PD-1経路阻害剤は抗PD-1抗体である。
【0092】
特定の態様において、本発明は、本明細書に記載の免疫療法を患者に投与することを含む癌処置において、各患者が悪性腫瘍に罹患している患者集団において客観的奏効率を55%よりも高くするための方法であって、ここで、各患者は、投与前に、LAG-3陽性悪性腫瘍(例えば、胃癌または食道胃接合部癌)またはLAG-3陽性PD-L1陽性悪性腫瘍を有すると同定されており、かつ客観的奏効率は、約55%、約60%、約65%、約70%または約75%よりも高い、方法を含む。ある態様において、本方法は、投与に先立って、患者をLAG-3陽性悪性腫瘍またはLAG-3陽性PD-L1陽性悪性腫瘍を有すると同定することを含む。ある態様において、免疫療法は、LAG-3阻害剤、PD-1経路阻害剤および1以上の化学療法剤の治療的有効量を投与することを含む。ある態様において、LAG-3阻害剤は抗LAG-3抗体であり、PD-1経路阻害剤は抗PD-1抗体である。
【0093】
特定の態様において、本発明は、本明細書に記載の免疫療法を患者に投与することを含む癌処置において、各患者が悪性腫瘍に罹患している患者集団において疾患制御率を55%よりも高くするための方法であって、ここで、各患者は、投与前に、LAG-3陽性悪性腫瘍(例えば、胃癌または食道胃接合部癌)またはLAG-3陽性PD-L1陽性悪性腫瘍を有すると同定されており、疾患制御率は、約55%、約60%、約65%、約70%または約75%よりも高い、方法を含む。ある態様において、本方法は、投与に先立って、患者をLAG-3陽性悪性腫瘍またはLAG-3陽性PD-L1陽性悪性腫瘍を有すると同定することを含む。ある態様において、免疫療法は、治療的有効量のLAG-3阻害剤、PD-1経路阻害剤および1以上の化学療法剤を投与することを含む。ある態様において、LAG-3阻害剤は抗LAG-3抗体であり、PD-1経路阻害剤は抗PD-1抗体である。
【0094】
他の態様において、本方法の各患者は、(i)12ヶ月以上の無増悪生存期間の延長、(ii)投与前の腫瘍サイズと比較して、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%または約50%の腫瘍サイズの減少、または(iii)その両方を経験する。ある態様において、患者集団は、LAG-3陽性悪性腫瘍(例えば、胃癌または食道胃接合部癌)またはLAG-3陽性PD-L1陽性悪性腫瘍を有する少なくとも100名の患者であってもよい。ある態様において、患者集団は、LAG-3陽性悪性腫瘍またはLAG-3陽性PD-L1陽性悪性腫瘍を有する少なくとも約200、300、400、500、600、700、800、900または1000名の患者であり得る。
【0095】
さらなる態様において、本発明は、組合せ療法に適するヒト患者を選択するための方法であって、(a)患者を、LAG-3陽性悪性腫瘍またはLAG-3陽性PD-L1陽性悪性腫瘍を有すると同定すること;および(b)本明細書に記載の免疫療法を患者に投与するように医療提供者に指示すること、を含む方法を提供する。本方法は、本明細書に記載の免疫療法を投与することをさらに含み得る。ある態様において、免疫療法は、LAG-3阻害剤、PD-1経路阻害剤および1以上の化学療法剤の治療的有効量を投与することを含む。ある態様において、LAG-3阻害剤は抗LAG-3抗体であり、PD-1経路阻害剤は抗PD-1抗体である。ある態様において、投与は悪性腫瘍を処置する。
【0096】
本明細書に記載の免疫療法の投与の結果として、本発明の方法は、悪性腫瘍を処置し、腫瘍サイズを減少させ、腫瘍増殖を抑制し、患者から腫瘍を除去し、腫瘍の再発を防止し、患者に寛解を誘導し、またはそれらの何れかの組み合わせをもたらし得る。特定の態様において、本明細書に記載の免疫療法の投与は、完全奏効を誘導する。他の態様において、本明細書に記載の免疫療法の投与は、部分奏効を誘導する。ある態様において、免疫療法は、LAG-3阻害剤、PD-1経路阻害剤および1以上の化学療法剤の治療的有効量を投与することを含む。ある態様において、LAG-3阻害剤は抗LAG-3抗体であり、PD-1経路阻剤は抗PD-1抗体である。
【0097】
ある態様において、LAG-3陽性腫瘍は、LAG-3発現細胞を少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約7%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%または100%含む。ある態様において、LAG-3発現細胞は、腫瘍浸潤リンパ球を含む。
【0098】
ある態様において、同定とは、悪性腫瘍においてLAG-3発現を決定することを含む。
【0099】
ある態様において、LAG-3発現は、LAG-3発現を決定することができるアッセイの結果を受け取ることにより決定される。
【0100】
特定の態様において、本発明の方法のいずれかは、腫瘍サンプルにおけるPD-L1発現を決定することをさらに含む。
【0101】
特定の態様において、本発明の方法のいずれかは、投与前に、PD-L1陽性悪性腫瘍を有すると同定することをさらに含む。特定の態様において、本発明の方法のいずれかは、悪性腫瘍におけるPD-L1発現を決定することをさらに含む。
【0102】
本発明の方法のいずれかの特定の態様において、患者は、投与前に、PD-L1陽性悪性腫瘍を有すると同定される。本発明の方法のいずれかの特定の態様において、患者は、投与前に、PD-L1陰性悪性腫瘍を有すると同定される。
【0103】
腫瘍サンプルにおいてPD-L1発現を決定する方法、患者をPD-L1陽性悪性腫瘍を有すると同定する方法および悪性腫瘍においてPD-L1発現を決定する方法は、その内容全体を引用により本明細書中に包含させるPCT/US2016/029878に記載されている。
【0104】
LAG-3発現の測定
特定の態様において、本発明のためのLAG-3阻害剤/PD-1経路阻害剤/化学療法併用療法に適する患者を同定することは、腫瘍細胞および腫瘍浸潤炎症性細胞を含む悪性腫瘍生検組織サンプル中のLAG-3発現を測定または評価することを含む。語句“LAG-3を発現する腫瘍”、“LAG-3発現腫瘍”、“LAG-3陽性腫瘍”および“LAG-3発現陽性腫瘍”は、本明細書中、互換的に用いられ、LAG-3発現腫瘍浸潤リンパ球を含む腫瘍を包含する。LAG-3発現を測定または評価する方法は、適用可能な何らかの方法で達成できる。
【0105】
LAG-3発現を評価するために、一態様において、生検組織サンプルは、治療を必要としている患者から得られる。ある態様において、生検組織サンプルには、腫瘍生検、コア生検組織サンプル、細針吸引生検(fine needle aspirate)または血液、血漿、血清、リンパ液、腹水、嚢胞液もしくは尿などの体液のサンプルなどの臨床的に関連する組織サンプルが含まれるが、これらに限定されない。ある態様において、生検組織サンプルは、原発腫瘍からのものである。ある態様において、生検組織サンプルは、転移からのものである。ある態様において、生検組織サンプルは、複数の時点で、例えば、処置前、処置中および/または処置後に対象から採取される。ある態様において、生検組織サンプルは、対象の異なる部位から採取され、例えば、原発腫瘍からのサンプルおよび離れた部位の転移からのサンプルである。
【0106】
ある態様において、生検組織サンプルは、パラフィン包埋固定組織サンプルである。ある態様において、生検組織サンプルは、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織サンプルである。ある態様において、生検組織サンプルは、新鮮な組織(例えば、腫瘍)サンプルでる。ある態様において、生検組織サンプルは、凍結組織サンプルである。ある態様において、生検組織サンプルは、新鮮な凍結(FF)組織(例えば、腫瘍)サンプルである。ある態様において、生検組織サンプルは、体液(fluid)から単離された細胞である。ある態様において、生検組織サンプルは、循環腫瘍細胞(CTC)を含む。ある態様において、生検組織サンプルは、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む。ある態様において、生検組織サンプルは、腫瘍細胞および腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む。ある態様において、生検組織サンプルは、循環リンパ球を含む。ある態様において、生検組織サンプルは、保存された(archival)組織サンプルであり。ある態様において、生検組織サンプルは、既知の診断、処置および/または結果の履歴を有する保存された組織サンプルである。ある態様において、サンプルは組織塊である。ある態様において、生検組織サンプルは分散した細胞である。ある態様において、サンプルサイズは、約1個の細胞から約1 x 106 個以上の細胞である。ある態様において、サンプルサイズは、約1個の細胞から約1 x 105 個の細胞である。ある態様において、サンプルサイズは、約1個の細胞から約10,000個の細胞である。ある態様において、サンプルサイズは、約1個の細胞から約1,000個の細胞である。ある態様において、サンプルサイズは、約1個の細胞から約100個の細胞である。ある態様において、サンプルサイズは、約1個の細胞から約10個の細胞である。ある態様において、サンプルサイズは単一の細胞である。
【0107】
別の態様において、LAG-3発現の評価は、生検組織サンプルを得ることなく達成することができる。ある態様において、好適な患者を選択することは、(i)所望により、組織の癌を有する患者から取得される生検組織サンプルを供することであって、該生検組織サンプルには、腫瘍細胞および/または腫瘍浸潤性炎症細胞が含まれ;そして、(ii)細胞表面上でLAG-3を発現する生検組織サンプルにおける細胞の割合が所定の閾値レベルより高いとの評価に基づいて、細胞表面上でLAG-3を発現する生検組織サンプルにおける細胞の割合を評価することが含まれる。
【0108】
しかしながら、生検組織サンプルにおけるLAG-3発現の測定を含む方法において、患者から取得される生検組織サンプルの提供を含む工程は、任意の工程であることが理解されるべきである。すなわち、特定の態様において、本方法はこの工程を含む、他の態様において、この工程は方法に含まれない。また、特定の態様において、LAG-3を発現する生検組織サンプルにおける細胞の数または割合を同定し、または決定するための“測定”または“評価”工程は、LAG-3発現をアッセイする形質転換方法によって、例えば、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)アッセイまたはIHCアッセイを実施することによって行われることが理解されるべきである。ある他の態様において、形質転換工程を含まず、LAG-3発現は、例えば、試験室からの試験結果の報告を検討することによって評価される。ある態様において、LAG-3発現は、試験室からの免疫組織化学アッセイの結果を検討することによって評価される。特定の態様において、LAG-3発現を評価するまで、およびこれらを含む該方法の工程は、LAG-3阻害剤、PD-1経路阻害剤および1以上の化学療法剤の併用療法の適当な候補の選択において用いるために医師または医療提供者に提供され得る中間結果を提供する。特定の態様において、中間結果を提供する工程は、医師または医師の指導の下で実施する他の者によって行われる。他の態様において、これらの工程は、独立した試験室または独立した人、例えば、試験室の技術者によって行われる。
【0109】
本発明の方法の特定の態様において、LAG-3を発現する細胞の割合は、LAG-3のRNAの存在を検出するためのアッセイを行うことによって評価される。さらなる態様において、LAG-3のRNAの存在は、RT-PCR、インサイチュハイブリダイゼーションまたはRNaseプロテクションによって決定される。ある態様において、LAG-3のRNAの存在は、RT-PCRベースのアッセイにより検出される。ある態様において、RT-PCRベースのアッセイをスコア付けすることは、生検組織サンプルにおけるLAG-3のRNA発現レベルを所定のレベルと比較して評価することを含む。
【0110】
他の態様において、LAG-3を発現する細胞の割合は、LAG-3ポリペプチドの存在を検出するためのアッセイを実施することにより評価される。さらなる態様において、LAG-3ポリペプチドの存在は、免疫組織化学(IHC)、酵素免疫吸着法アッセイ(ELISA)、インビボ画像法またはフローサイトメトリーによって決定される。ある態様において、LAG-3発現は、IHCによってアッセイされる。これらの方法の全ての他の態様において、LAG-3の細胞表面発現は、例えば、IHCまたはインビボ画像法を用いてアッセイされる。
【0111】
他の態様において、生検組織サンプルにおけるLAG-3を発現する細胞の割合は、フローサイトメトリーにより評価される。ある態様において、フローサイトメトリーによりアッセイされる生検組織サンプルは、腫瘍浸潤免疫細胞を含む。ある態様において、悪性腫瘍は、血液の悪性腫瘍であり、フローサイトメトリーによりアッセイされる該組織サンプルは、末梢血細胞を含む。ある態様において、フローサイトメトリーは、マルチプレックスアッセイである。ある態様において、フローサイトメトリーのスコア付けは、LAG-3、CD4、CD8、FOXP3およびそれらの何れかの組合せを含むマーカーの発現を検出することを含む。ある態様において、フローサイトメトリーのスコア付けは、LAG-3を発現する生検組織サンプル中のT細胞の割合を評価することを含む。ある態様において、フローサイトメトリーのスコア付けは、LAG-3を発現する生検組織サンプル中のCD8+ T細胞の割合を評価することを含む。ある態様において、フローサイトメトリーのスコア付けは、LAG-3を発現する生検組織サンプル中のCD4+ T細胞の割合を評価することを含む。ある態様において、フローサイトメトリーのスコア付けは、LAG-3を発現する生検組織サンプル中のFOXP3+ T細胞の割合を評価することを含む。
【0112】
本発明の何れかの特定の態様において、生検組織サンプルにおけるLAG-3を発現する細胞の割合は、LAG-3ポリペプチドの存在を検出するためのアッセイを実施することにより評価される。ある態様において、LAG-3ポリペプチドの存在は、免疫組織化学アッセイにより検出される。ある態様において、生検組織サンプルは、腫瘍生検である。ある態様において、生検組織サンプルは、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)サンプルである。
【0113】
ある態様において、免疫組織化学アッセイは、モノプレックスアッセイである。ある態様において、免疫組織化学アッセイは、マルチプレックスアッセイである。ある態様において、マルチプレックス免疫組織化学アッセイは、CD4、CD8、FOXP3またはそれらのいずれかの組合せの存在を検出することができる。
【0114】
ある態様において、免疫組織化学アッセイは、腫瘍サンプルを17B4マウス抗ヒトLAG-3IgG1モノクローナル抗体と接触させることを含む。ある態様において、免疫組織化学アッセイは、腫瘍サンプルを配列番号3および5にそれぞれ記載される配列を含む重鎖および軽鎖可変領域を含む抗LAG-3抗体と接触させることを含む。ある態様において、免疫組織化学アッセイは、腫瘍サンプルをSP346ウサギ抗ヒトLAG-3IgGモノクローナル抗体と接触させることを含む。ある態様において、免疫組織化学アッセイは、腫瘍サンプルを11E3(Novusbio)、874501(Novusbio)またはEPR4392(2)(Abcam)抗ヒトLAG-3モノクローナル抗体と接触させることを含む。
【0115】
ある態様において、免疫組織化学アッセイは、低倍率でスコア付けされる。ある態様において、低倍率は約20倍である。ある態様において、免疫組織化学アッセイは、高倍率でスコア付けされる。ある態様において、高倍率は約40倍である。
【0116】
ある態様において、免疫組織化学アッセイは、画像分析ソフトウェアによってスコア付けされる。ある態様において、免疫組織化学アッセイは、病理担当者の視覚的免疫スコアによってスコア付けされる。ある態様において、免疫組織化学アッセイは、手動でスコア付けされる。
【0117】
ある態様において、免疫組織化学アッセイのスコア付けは、LAG-3を発現する生検組織サンプル中の細胞の割合を評価することを含む。ある態様において、免疫組織化学アッセイのスコア付けは、LAG-3を発現する生検組織サンプル中の免疫細胞の割合を評価することを含む。ある態様において、免疫組織化学アッセイのスコア付けは、LAG-3を発現する生検組織サンプル中のT細胞の割合を評価することを含む。ある態様において、免疫組織化学アッセイのスコア付けは、LAG-3を発現する生検組織サンプル中のCD8+ T細胞の割合を評価することを含む。ある態様において、免疫組織化学アッセイのスコア付けは、LAG-3を発現する生検組織サンプル中のCD4+ T細胞の割合を評価することを含む。ある態様において、免疫組織化学アッセイのスコア付けは、LAG-3を発現する生検組織サンプル中のFOXP3+ T細胞の割合を評価することを含む。
【0118】
LAG-3ポリペプチドの局在化には、部分的な膜/細胞質局在化、ドット様局在化および完全膜/細胞質局在化が含まれる。ある態様において、部分的膜/細胞質LAG-3局在化を有する細胞をスコア付けする。ある態様において、ドット様LAG-3局在化を有する細胞をスコア付けする。ある態様において、完全膜/細胞質LAG-3局在化を有する細胞をスコア付けする。ある態様において、何れかのLAG-3局在化パターンを有する細胞をスコア付けする。
【0119】
ある態様において、免疫組織化学アッセイは、腫瘍細胞によるMHCクラスIIの発現を検出することをさらに含む、マルチプレックスアッセイである。ある態様において、免疫組織化学アッセイのスコア付けは、MHCクラスIIを発現する生検組織サンプル中の細胞の割合を評価することを含む。ある態様において、免疫組織化学アッセイのスコア付けは、MHCクラスIIを発現する生検組織サンプル中の非免疫細胞の割合を評価することを含む。
【0120】
画像化技術は、癌研究および癌処置における重要なツールを提供する。陽電子放出断層撮影(PET)、単光子放射コンピュータートモグラフィー(SPECT)、蛍光リフレクタンスイメージング(FRI)、蛍光媒介トモグラフィー(FMT)、生物発光イメージング(BLI)、レーザー走査共焦点顕微鏡(LSCM)および多光子顕微鏡(MPM)を含む分子画像化システムの最近の開発は、癌研究におけるこれらの技術のさらなる用途を予見させ得るものである。これらの分子画像化システムのいくつかは、臨床医が、腫瘍が体内に局在する位置を見ることだけではなく、腫瘍の挙動および/または治療薬に対する応答性に影響を及ぼす特定の分子の発現および活性、細胞ならびに生物学的プロセスを視覚化することも可能にする(Condeelis and Weissleder, Cold Spring Harb. Perspect. Biol. 2(12):a003848 (2010))。抗体特異性について、PETの感度および解像度を組み合わせて、免疫PET画像法が、特に組織サンプルにおける抗原の発現をモニターし、アッセイすることを可能にする(McCabe and Wu, Cancer Biother. Radiopharm. 25(3):253-61 (2010); Olafsen et al., Protein Eng. Des. Sel. 23(4):243-9 (2010))。本発明の方法のいずれか特定の態様において、LAG-3発現は、免疫PET画像法によってアッセイされる。本発明の方法のいずれか特定の態様において、LAG-3を発現する生検組織サンプルにおける細胞の割合は、生検組織サンプルにおける細胞表面上のLAG-3ポリペプチドの存在を決定するためのアッセイを行うことによって評価される。特定の態様において、生検組織サンプルは、FFPE組織サンプルである。他の態様において、LAG-3ポリペプチドの存在は、IHCアッセイによって決定される。さらなる態様において、IHCアッセイは、自動化された方法を用いて行われる。ある態様において、IHCアッセイは、LAG-3ポリペプチドに結合する抗LAG-3 mAbを用いて行われる。
【0121】
自動化されたIHCによるLAG-3発現のアッセイ
本方法の一態様において、自動化されたIHC法は、FFPE組織試料におけるLAG-3の発現をアッセイするために用いられる。本発明は、生検組織サンプル中のヒトLAG-3抗原の存在を検出するか、またはヒトLAG-3抗原を発現するサンプル中のヒトLAG-3抗原のレベルもしくは細胞の割合を定量するための方法であって、試験サンプルおよび陰性対照サンプルを、ヒトLAG-3に特異的に結合するmAb抗体またはその一部とヒトLAG-3との間で複合体の形成を可能とする条件下で、該抗体と接触させることを含む、方法を提供する。特定の態様において、試験および対照組織サンプルはFFPEサンプルである。次に、複合体の形成が検出され、ここで、試験サンプルと陰性対照サンプルとの間の複合体の形成における相違は、サンプル中にヒトLAG-3抗原の存在を示すことである。種々の方法がLAG-3発現を定量するために用いられる。
【0122】
特定の態様において、自動化されたIHC法には、(a)包埋された組織切片を自動染色装置において脱パラフィンおよび再水和し;(b)自動染色装置にて抗原を回収し;(c)自動染色装置に試薬をセットし;(d)組織試料における内因性ペルオキシダーゼを中和し;スライド上の非特異的タンパク質結合部位をブロッキングし;スライドを一次抗体と共にインキュベートし;一次抗体後の(post primary)ブロッキング剤と共にインキュベートし;検出酵素に結合している場合も結合していない場合もある別の抗体などの一次抗体後の抗体検出試薬と共にインキュベートし;クロモゲン基質を加え、発色させ;次いで、ヘマトキシリンで対比染色する工程を含む、自動染色装置を作動させること、が含まれる。ある態様において、抗原回収は、何れかの熱利用抗原回収装置の使用を含む。
【0123】
ある態様において、腫瘍組織サンプルにおけるLAG-3発現を評価するために、病理担当者は、顕微鏡で各視野におけるLAG-3+腫瘍細胞の数を調べ、陽性である細胞の割合を暗算で概算し、その後、各視野の概算値を平均して最終割合値を得る。異なる染色強度は、0/陰性、l+/弱、2+/中間、および3+/強として定義される。一般的に、パーセント値は、最初に0および3+バケットに割り当て、次いで中間の1+および2+強度を検討する。極めて不均一な組織については、試料を区域に分類し、各区域を別個にスコア化し、次いで単一セットのパーセント値に合わせる。異なる染色強度についての陰性および陽性細胞の割合を各領域から決定し、中央値を各区域に付与する。最終的なパーセンテージ値を各染色強度カテゴリー:陰性、1+、2+および3+、について組織に付与する。全ての染色強度の合計は、100%であることが必要となる。
【0124】
ある態様において、染色はまた、マクロファージおよびリンパ球などの腫瘍浸潤性炎症細胞において評価される。マクロファージおよびリンパ球は、LAG-3染色について評価され、全てのサンプルについて各細胞カテゴリーの陽性または陰性としてのみ記録される。染色はまた、腫瘍内側/外側の免疫細胞の名称に従って特徴付けられる。“内側”は、免疫細胞が、腫瘍組織内および/または腫瘍細胞間に物理的に挿入されることなく腫瘍領域の境界上に存在することを意味する。“外側”は、腫瘍との物理的な関連が存在しないことを意味し、免疫細胞が結合組織と関連する末梢またはこれに関連する隣接組織で見出される。
【0125】
これらのスコア付け法の特定の態様において、サンプルは、独立して実施する2名以上の病理担当者によってスコア付けされ、これらのスコアは後に統合される。ある他の態様において、陽性および陰性細胞の同定は、適当なソフトウェアを用いてスコア付けされる。
【0126】
組織スコア(H-score)は、IHCデータのより定量的な尺度として用いられる。組織スコアは、以下のように算出される:
組織スコア=[(%腫瘍x1(低強度))+(%腫瘍x2(中間強度))+(%腫瘍x3(高強度)]。
【0127】
組織スコアを決定するために、病理担当者は、試料内の各強度カテゴリーで染色細胞の割合を推定する。多くのバイオマーカーの発現が不均一であるため、組織スコアは、全体の発現のより正確な表示である。最終的な組織スコアの範囲は、0(最少スコア、発現なし)~300(最大スコア、最大発現およびこれを含む)である。
【0128】
3.LAG-3阻害剤
一面において、本発明は、悪性腫瘍の処置においてLAG-3阻害剤を使用する方法を特徴とする。本明細書で用いる、LAG-3阻害剤としては、LAG-3結合剤および可溶性LAG-3ポリペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。LAG-3結合剤には、LAG-3に特異的に結合する抗体が含まれる。
【0129】
ある態様において、LAG-3阻害剤は、LAG-3結合剤、例えば抗LAG-3抗体である。ある態様において、LAG-3阻害剤は、可溶性LAG-3ポリペプチド、例えばMHCクラスIIに結合することができるLAG-3-Fc融合ポリペプチドである。
【0130】
抗ヒト-LAG-3抗体(または、それに由来するVH/VLドメイン)は、当技術分野で周知の方法を用いて作製することができる。あるいは、当技術分野で認められている抗LAG-3抗体を用いることができる。
【0131】
ある態様において、抗LAG-3抗体は、PCT/US13/48999(その内容は引用により本明細書中に包含される)に記載のように、配列番号1および2にそれぞれ示される配列を含む重鎖および軽鎖、またはそれらの抗原結合フラグメントおよび変異体を含む、BMS-986016である。ある態様において、BMS-986016抗体は、配列番号1の重鎖末端リシンアミノ酸を含まない。
【0132】
他の態様において、抗体は、BMS-986016の重鎖および軽鎖CDRまたは可変領域を有する。従って、一態様において、抗体は、配列番号3に記載の配列を有するBMS-986016のVH領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメイン、ならびに配列番号5に記載の配列を有するBMS-986016のVL領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む。別の態様において、抗体は、配列番号7、8および9にそれぞれ記載の配列を含むCDR1、CDR2およびCDR3ドメイン、ならびに配列番号10、11および12にそれぞれ記載の配列を含むCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む。別の態様において、抗体は、配列番号3および/または配列番号5のそれぞれに記載のアミノ酸配列を含むVH領域および/またはVL領域を含む。別の態様において、抗体は、配列番号4および/または配列番号6のそれぞれに記載の核酸配列によりコードされる重鎖可変(VH)領域および/または軽鎖可変(VL)領域を含む。別の態様において、抗体は、上記の抗体と同じLAG-3上のエピトープと結合について競合する、および/または上記の抗体と同じLAG-3上のエピトープに結合する。別の態様において、抗体は、アミノ酸配列PGHPLAPG(配列番号14)を含むヒトLAG-3のエピトープに結合する。別の態様において、抗体は、アミノ酸配列HPAAPSSW(配列番号15)またはPAAPSSWG(配列番号16)を含むヒトLAG-3のエピトープに結合する。
【0133】
別の態様において、抗体は、上記の抗体と少なくとも約90%の可変領域アミノ酸配列同一性(例えば、配列番号3または配列番号5と少なくとも約90%、95%または99%の可変領域同一性)を有する。
【0134】
ある態様において、抗LAG-3抗体またはその抗原結合部分は、ヒトLAG-3への結合についてBMS-986016(リラトリマブ)と交差競合する。他の態様において、抗LAG-3抗体またはその抗原結合部分は、BMS-986016(リラトリマブ)と同じエピトープに結合する。ある態様において、抗LAG-3抗体またはその抗原結合部分は、ヒトLAG-3への結合について、TSR-033と交差競合する。他の態様において、抗LAG-3抗体またはその抗原結合部分は、TSR-033と同じエピトープに結合する。ある態様において、抗LAG-3抗体またはその抗原結合部分は、ヒトLAG-3への結合について、TSR-075と交差競合する。他の態様において、抗LAG-3抗体またはその抗原結合部分は、TSR-075と同じエピトープに結合する。ある態様において、抗LAG-3抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒトモノクローナル抗体またはそれらの抗原結合部分である。他の態様において、抗LAG-3抗体またはその抗原結合部分は、ヒトIgG1アイソタイプまたはヒトIgG4アイソタイプの重鎖定常領域を含む。特定の態様において、抗PD-1抗体またはその抗原結合部分はBMS-986016(リラトリマブ)である。ある態様において、抗LAG-3抗体またはその抗原結合部分は、BMS-986016(リラトリマブ)のバイオシミラーである。特定の態様において、抗PD-1抗体またはその抗原結合部分はTSR-033である。ある態様において、抗LAG-3抗体またはその抗原結合部分は、TSR-033のバイオシミラーである。特定の態様において、抗PD-1抗体またはその抗原結合部分はTSR-075である。ある態様において、抗LAG-3抗体またはその抗原結合部分はTSR-075のバイオシミラーである。
【0135】
ある態様において、当技術分野で認められる抗LAG-3抗体を、本発明の治療法に用いることができる。例えば、US2011/0150892 A1(引用により本明細書中に包含させる)に記載され、モノクローナル抗体25F7と称される(“25F7”および“LAG-3.1”としても公知)、抗ヒトLAG-3抗体を使用できる。使用できる他の当技術分野で認められる抗LAG-3抗体としては、US2011/007023に記載のIMP731(H5L7BW)、WO2016028672に記載のMK-4280(28G-10)、Journal for ImmunoTherapy of Cancer, (2016) Vol. 4, Supp. Supplement 1 Abstract Number: P195に記載のREGN3767、WO2017/019894に記載のBAP050、IMP-701(LAG-525)、aLAG3(0414)、aLAG3(0416)、Sym022、TSR-033、TSR-075、XmAb22841、MGD013、BI754111、FS118、P13B02-30、AVA-017およびGSK2831781が挙げられる。本発明で有用なこれらおよび他の抗LAG-3抗体は、例えば、US10,188,730、WO2016/028672、WO2017/106129、WO2017/062888、WO2009/044273、WO2018/069500、WO2016/126858、WO2014/179664、WO2016/200782、WO2015/200119、WO2017/019846、WO2017/198741、WO2017/220555、WO2017/220569、WO2018/071500、WO2017/015560、WO2017/025498、WO2017/087589、WO2017/087901、WO2018/083087、WO2017/149143、WO2017/219995、US2017/0260271、WO2017/086367、WO2017/086419、WO2018/034227、WO18/185046、WO18/185043、WO2018/217940、WO19/011306、WO2018/208868およびWO2014/140180に見出され得る。一態様において、LAG-3阻害剤はIMP321(エフチラギモドアルファ)である。これらの文献のそれぞれの内容全体は、引用により本明細書中に包含される。
【0136】
LAG-3への結合について、上記の当技術分野で認められている抗体の何れかと競合する抗体もまた、使用することができる。
【0137】
特定の態様において、抗LAG-3抗体は、LAG-3発現を決定するために用いられる。 ある態様において、抗LAG-3抗体は、ホルマリン固定されたパラフィン包埋(FFPE)組織試料においてLAG-3に結合する能力について選択される。他の態様において、抗LAG-3抗体は、凍結組織においてLAG-3に結合することができる。さらなる態様において、抗LAG-3抗体は、LAG-3の膜結合型、細胞質型および/または可溶性形態を区別することができる。
【0138】
ある態様において、本明細書に記載の方法に従い、LAG-3発現をアッセイ、検出および/または定量するのに有用な抗LAG-3抗体は、17B4マウスIgG1抗ヒトLAG-3モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントである。例えば、J. Matsuzaki, et al.; PNAS 107, 7875 (2010)を参照のこと。
【0139】
4.PD-1経路阻害剤
一面において、本発明は、悪性腫瘍の処置におけるPD-1阻害剤の使用方法を特徴とする。本明細書で用いる“PD-1経路阻害剤”としては、PD-1結合剤、PD-L1結合剤およびPD-L2結合剤が挙げられるが、これらに限定されない。PD-1結合剤には、PD-1に特異的に結合する抗体が含まれる。PD-L1結合剤およびPD-L2結合剤には、PD-L1および/またはPD-L2に特異的に結合する抗体、ならびにPD-L1および/またはPD-L2に結合する可溶性PD-1ポリペプチドが含まれる。
【0140】
ある態様において、PD-1経路阻害剤は、PD-1結合剤、例えば抗PD-1抗体である。ある態様において、PD-1経路阻害剤は、PD-L1結合剤、例えば抗PD-L1抗体である。ある態様において、PD-1経路阻害剤は、PD-L2結合剤、例えば抗PD-L2抗体である。さらなる態様において、PD-L1結合剤は、可溶性PD-1ポリペプチド、例えばPD-L1に結合できるPD-1-Fc融合ポリペプチドである。さらなる態様において、PD-L2結合剤は、可溶性PD-1ポリペプチド、例えばPD-L2に結合できるPD-1-Fc融合ポリペプチドである。
【0141】
本発明で用いるのに適する抗ヒトPD-1抗体(またはそれに由来するVHドメインおよび/もしくはVLドメイン)は、当技術分野において周知の方法を用いて作製することができる。あるいは、当技術分野で認めされている抗PD-1抗体を用いることができる。例えば、WO2006/121168(その内容全体を引用により本明細書に包含させる)に記載のモノクローナル抗体5C4(本明細書中、ニボルマブまたはBMS-936558と称される)、17D8、2D3、4H1、4A11、7D3および5F4を用いることができる。他の既知のPD-1抗体としては、WO2008/156712に記載のランブロリズマブ(MK-3475)およびWO2012/145493に記載のAMP-514が挙げられ、それらは引用により本明細書中に包含される。さらに既知のPD-1抗体および他のPD-1阻害剤としては、例えば、WO2009/014708、WO03/099196、WO2009/114335およびWO2011/161699(それらは引用により本明細書中に包含される)に記載の物が挙げられる。一態様において、抗PD-1抗体はREGN2810である。一態様において、抗PD-1抗体はPDR001である。別の既知の抗PD-1抗体はピジリズマブ(CT-011)である。
【0142】
一態様において、抗PD-1抗体はニボルマブである。ニボルマブ(“OPDIVO(登録商標)”としても公知;以前は、5C4、BMS-936558、MDX-1106またはONO-4538と称された)は、PD-1リガンド(PD-L1およびPD-L2)との相互作用を選択的に阻止し、それにより抗腫瘍T細胞機能の下方制御を阻止する、完全ヒトIgG4(S228P)PD-1免疫チェックポイント阻害抗体である(米国特許第8,008,449号;Wang et al., Cancer Immunol Res. 2(9):846-56 (2014))。別の態様において、抗PD-1抗体またはそのフラグメントは、ニボルマブと交差競合する。他の態様において、抗PD-1抗体またはそのフラグメントは、ニボルマブと同じエピトープに結合する。特定の態様において、抗PD-1抗体は、ニボルマブと同じCDRを有する。
【0143】
ある態様において、抗PD-1抗体またはその抗原結合部分は、ヒトPD-1への結合について、ニボルマブと交差競合する。他の態様において、抗PD-1抗体またはその抗原結合部分は、ニボルマブと同じエピトープに結合する。ある態様において、抗PD-1抗体はキメラ抗体、ヒト化抗体、ヒトモノクローナル抗体またはそれらの抗原結合部分である。他の態様において、抗PD-1抗体またはその抗原結合部分は、ヒトIgG1アイソタイプまたはヒトIgG4アイソタイプの重鎖定常領域を含む。特定の態様において、抗PD-1抗体またはその抗原結合部分は、ニボルマブまたはペムブロリズマブである。ある態様において、抗PD-1抗体またはその抗原結合部分は、ニボルマブのバイオシミラーである。ある態様において、抗PD-1抗体またはその抗原結合部分は、ペムブロリズマブのバイオシミラーである。
【0144】
ある態様において、抗PD-1抗体は、それぞれ配列番号17および18に示される配列を含む重鎖および軽鎖、またはそれらの抗原結合フラグメントおよび変異体を含む。
【0145】
他の態様において、抗体は、ニボルマブの重鎖および軽鎖CDRまたは可変領域を含む。従って、一態様において、抗体は、配列番号19に記載の配列を有するニボルマブのVHのCDR1、CDR2およびCDR3ドメイン、ならびに配列番号21に記載の配列を有するニボルマブのVLのCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む。別の態様において、抗体は、配列番号23、24および25にそれぞれ記載の配列を含むCDR1、CDR2およびCDR3ドメイン、ならびに配列番号26、27および28にそれぞれ記載の配列を含むCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む。別の態様において、抗体は、配列番号19および/または配列番号21のそれぞれに記載のアミノ酸配列を含むVH領域および/またはVL領域を含む。別の態様において、抗体は、配列番号20および/または配列番号22のそれぞれに記載の核酸配列によりコードされる重鎖可変(VH)領域および/または軽鎖可変(VL)領域を含む。別の態様において、抗体は、上記の抗体と同じPD-1上のエピトープと結合について競合する、および/または上記の抗体と同じPD-1上のエピトープに結合する。別の態様において、抗体は、上記の抗体と少なくとも約90%の可変領域アミノ酸配列同一性(例えば、配列番号19または配列番号21と少なくとも約90%、95%または99%の可変領域同一性)を有する。
【0146】
高い親和性でPD-1に特異的に結合するヒトモノクローナル抗体が、米国特許第8,008,449号および同第8,779,105号(それらは引用により本明細書中に包含される)に記載されている。他の抗PD-1mAbは、例えば、米国特許第6,808,710号、同第7,488,802号、同第8,168,757号および同第8,354,509号ならびにPCT公開公報WO2012/145493(それらは引用により本明細書中に包含される)に記載されている。ある態様において、抗PD-1抗体は、以下の特徴の1以上を示すことが実証されている:(a)Biacoreバイオセンサーシステムを用いる表面プラズモン共鳴によって決定される、1×10-7Mまたはそれ以下のKDでヒトPD-1に結合する;(b)ヒトCD28、CTLA-4またはICOSに実質的に結合しない;(c)混合リンパ球反応(MLR)アッセイにおいてT細胞増殖を増加させる;(d)MLRアッセイにおいてインターフェロン-γの産生を増加させる;(e)MLRアッセイにおいてIL-2分泌を増加させる;(f)ヒトPD-1およびカニクイザルPD-1に結合する;(g)PD-1に対するPD-L1および/またはPD-L2の結合を阻害する;(h)抗原特異的記憶応答を刺激する;(i)抗体応答を刺激する;および、(j)インビボでの腫瘍細胞の増殖を阻害する。本発明に有用な抗PD-1抗体には、ヒトPD-1に特異的に結合し、前記特徴のうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、または少なくとも5つを示すmAbが含まれる。1以上のこれらの特徴を示す抗PD-1抗体は、米国特許第8,008,449号、同第8,779,105号、同第6,808,710号、同第7,488,802号、同第8,168,757号および同第8,354,509号、ならびにPCT公開公報WO2012/145493(それらは引用により本明細書中に包含される)に記載されている。別の態様において、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブである。ペムブロリズマブは、ヒト細胞表面受容体PD-1(プログラム死-1またはプログラム細胞死-1)に対するヒト化モノクローナルIgG4(S228P)抗体である。ペムブロリズマブは、例えば、米国特許第8,354,509号および同第8,900,587号(それらは引用により本明細書中に包含される)に記載されている。
【0147】
ある態様において、抗PD-1抗体またはそのフラグメントは、ペムブロリズマブと交差競合する。ある態様において、抗PD-1抗体またはそのフラグメントは、ペムブロリズマブと同じエピトープに結合する。特定の態様において、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブと同じCDRを有する。別の態様において、抗PD-1抗体はペムブロリズマブである。ペムブロリズマブ(“KEYTRUDA(登録商標)”、ランブロリズマブおよびMK-3475としても公知)は、ヒト細胞表面受容体PD-1(プログラム死-1またはプログラム細胞死-1)に対するヒト化モノクローナルIgG4抗体である。ペムブロリズマブは、例えば、米国特許第8,354,509号および同第8,900,587号(引用により本明細書中に包含される;また、http://www.cancer.gov/drugdictionary-cdrid=695789 (最終アクセス日:2014年12月14日)も参照)に記載されている。
【0148】
他の態様において、抗PD-1抗体またはそのフラグメントはMEDI0608と交差競合する。さらに他の態様において、抗PD-1抗体またはそのフラグメントは、MEDI0608と同じエピトープに結合する。特定の態様において、抗PD-1抗体は、MEDI0608と同じCDRを有する。他の態様において、抗PD-1抗体は、モノクローナル抗体であるMEDI0608(以前は、AMP-514)である。MEDI0608は、例えば米国特許第8,609,089B2号(引用により本明細書中に包含される、またはhttp://www.cancer.gov/drugdictionary-cdrid=756047 (最終アクセス日:2014年12月14日))に記載されている。
【0149】
特定の態様において、第一の抗体は抗PD-1アンタゴニストである。抗PD-1アンタゴニストの一例は、B7-DC Fc融合タンパク質であるAMP-224である。AMP-224は、米国特許公報2013/0017199(引用により本明細書中に包含される、またはhttp://www.cancer.gov/publications/dictionaries/cancer-drug-cdrid=700595 (最終アクセス日:2015年7月8日)に記載されている。
【0150】
他の態様において、抗PD-1抗体またはそのフラグメントは、BGB-A317と交差競合する。ある態様において、抗PD-1抗体またはそのフラグメントは、BGB-A317と同じエピトープに結合する。特定の態様において、抗PD-1抗体は、BGB-A317と同じCDRを有する。特定の態様において、抗PD-1抗体は、ヒト化モノクローナル抗体であるBGB-A317である。BGB-A317は、米国特許公報2015/0079109(引用により本明細書中に包含される)に記載されている。
【0151】
ある態様において、抗体は、ピジリズマブ(CT-011)であり、これはPD-1に結合することが以前に報告された抗体であり、異なる標的に結合すると考えられている。ピジリズマブは、米国特許第8,686,119 B2号またはWO 2013/014668 A1(引用により本明細書中に包含される)に記載されている。
【0152】
特定の態様において、ヒトPD-1への結合についてニボルマブと競合するか、またはヒト PD-1と同じエピトープ領域に結合する抗体は、mAbである。ヒト対象への投与について、これらの交差競合抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体またはヒト抗体であり得る。かかるキメラ抗体、ヒト化抗体またはヒトmAbは、当技術分野で周知の方法によって作製および単離され得る。
【0153】
他の抗PD-1モノクローナル抗体は、例えば米国特許第6,808,710号、同第7,488,802号、同第8,168,757号および同第8,354,509号、米国特許公報2016/0272708、ならびにPCT公開公報WO2012/145493、WO2008/156712、WO2015/112900、WO2012/145493、WO2015/112800、WO2014/206107、WO2015/35606、WO2015/085847、WO2014/179664、WO2017/020291、WO2017/020858、WO2016/197367、WO2017/024515、WO2017/025051、WO2017/123557、WO2016/106159、WO2014/194302、WO2017/040790、WO2017/133540、WO2017/132827、WO2017/024465、WO2017/025016、WO2017/106061、WO2017/19846、WO2017/024465、WO2017/025016、WO2017/132825およびWO2017/133540(それぞれその内容全体を引用により本明細書中に包含させる)に記載されている。
【0154】
ある態様において、抗PD-1抗体は、ニボルマブ(OPDIVO(登録商標)、5C4、BMS-936558、MDX-1106およびONO-4538としても公知)、ペムブロリズマブ(Merck;KEYTRUDA(登録商標)、ランブロリズマブおよびMK-3475としても公知;WO2008/156712を参照)、PDR001(Novartis;WO2015/112900を参照)、MEDI-0680(AstraZeneca;AMP-514としても公知;WO2012/145493を参照)、セミプリマブ(Regeneron;REGN-2810としても公知;WO2015/112800を参照)、JS001(TAIZHOU JUNSHI PHARMA;トリパリマブ(toripalimab)としても公知;Si-Yang Liu et al., J. Hematol. Oncol. 10:136 (2017)を参照)、BGB-A317(Beigene;WO2015/35606およびUS2015/0079109参照)、INCSHR1210(Jiangsu Hengrui Medicine;SHR-1210としても公知;WO2015/085847;Si-Yang Liu et al., J. Hematol. Oncol. 10:136 (2017)を参照)、TSR-042(Tesaro Biopharmaceutical;ANB011としても公知;WO2014/179664を参照)、GLS-010(Wuxi/Harbin Gloria Pharmaceuticals;WBP3055としても公知;Si-Yang Liu et al., J. Hematol. Oncol. 10:136 (2017)を参照)、AM-0001(Armo)、STI-1110(Sorrento Therapeutics;WO2014/194302を参照)、AGEN2034(Agenus;WO2017/040790を参照)、MGA012(Macrogenics,WO2017/19846を参照)、およびIBI308(Innovent;WO2017/024465、WO2017/025016、WO2017/132825およびWO2017/133540を参照)からなる群より選択される。これらの文献のそれぞれの内容は、その全体を引用により本明細書中に包含させる。
【0155】
本明細書に記載の組成物に有用な抗PD-1抗体としてはまた、上記の抗体の抗原結合部位が挙げられる。抗体の抗原結合機能が完全長抗体のフラグメントによって行われ得ることは実証されている。抗体の“抗原結合部分”という用語に包含される結合フラグメントの例としては、(i)VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる一価フラグメントであるFabフラグメント;(ii)ヒンジ領域でジスルフィド架橋により連結された2個のFabフラグメントを含む二価フラグメントであるF(ab’)2フラグメント;(iii)VHおよびCH1ドメインからなるFdフラグメント;(iv)抗体の単アームのVLおよびVHドメインからなるFvフラグメントが挙げられる。
【0156】
本発明の方法に用いられ得る抗PD-1抗体としてはまた、ヒトPD-1に特異的に結合し、本明細書に記載の何れかの抗PD-1抗体、例えばニボルマブ(例えば、米国特許第8,008,449号および同第8,779,105号;WO2013/173223参照、それらは引用により本明細書中に包含される)とヒトPD-1への結合について交差競合する、単離抗体も挙げられる。ある態様において、抗PD-1抗体は、本明細書に記載の抗PD-1抗体(例えば、ニボルマブ)のいずれかと同じエピトープに結合する。抗原への結合について交差競合する抗体の能力は、これらのモノクローナル抗体が抗原の同じエピトープ領域に結合し、特定のエピトープ領域に対する他の交差競合する抗体の結合を立体的に妨害することを示す。これらの交差競合抗体は、PD-1の同じエピトープ領域へのそれらの結合のため、対照抗体(例えば、ニボルマブ)と顕著に類似する機能特性を有することが予期される。交差競合抗体は、例えば、Biacore分析、ELISAアッセイまたはフローサイトメトリーなどの標準的なPD-1結合アッセイにおいてニボルマブと交差競合する能力に基づいて容易に同定され得る(例えば、WO2013/173223を参照、それらは引用により本明細書中に包含される)。
【0157】
本発明の方法における使用に適する抗PD-1抗体は、高い特異性および親和性でPD-1に結合し、PD-L1および/またはPD-L2の結合を阻害し、ならびにPD-1シグナル伝達経路の免疫抑制効果を阻害する抗体である。本明細書に記載の組成物または方法のいずれかにおいて、抗PD-1“抗体”には、PD-1受容体に結合し、リガンド結合を阻害し、免疫系を上方制御する際に完全抗体と類似する機能特性を示す抗原結合部分またはフラグメントが含まれる。特定の態様において、抗PD-1抗体またはその抗原結合部分は、ヒトPD-1への結合についてニボルマブと交差競合する。他の態様において、抗PD-1抗体またはその抗原結合部分は、キメラ抗体、ヒト化抗体もしくはヒトモノクローナル抗体またはそれらの部分である。特定の態様において、抗体はヒト化抗体である。他の態様において、抗体はヒト抗体である。IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4アイソタイプの抗体を用いることができる。
【0158】
特定の態様において、抗PD-1抗体またはその抗原結合部分は、ヒトIgG1またはIgG4アイソタイプの重鎖定常領域を含む。特定の他の態様において、抗PD-1抗体のIgG4重鎖定常領域またはその抗原結合部分の配列は、ヒンジ領域のセリン残基を、IgG1アイソタイプ抗体の対応する位置に通常みられるプロリン残基で置換するS228P変異を含む。ニボルマブに存在するこの変異は、野生型IgG4抗体に関連するFc受容体を活性化するための低親和性を維持しながら、内因性IgG4抗体とのFabアーム交換を阻止する(Wang et al., 2014 Cancer Immunol Res. 2(9):846-56)。さらに他の態様において、抗体は、ヒトκまたはλ定常領域である軽鎖定常領域を含む。他の態様において、抗PD-1抗体またはその抗原結合部分は、mAbまたはその抗原結合部分である。抗PD-1抗体の投与を含む本明細書に記載の治療方法のいずれかの特定の好ましい態様において、抗PD-1抗体はニボルマブである。他の好ましい態様において、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブである。他の態様において、抗PD-1抗体は、米国特許第8,008,449号に記載のヒト抗体17D8、2D3、4H1、4A11、7D3および5F4から選択される。さらに他の態様において、抗PD-1抗体はMEDI0608(以前は、AMP-514)、AMP-224またはBGB-A317である。
【0159】
ある態様において、抗PD-1抗体は二重特異性抗体である。ある態様において、抗PD-1抗体は、PD-1およびLAG-3の両方に結合する二重特異性抗体である。
【0160】
5.抗PD-L1抗体
特定の態様において、本発明は、PD-1経路阻害剤としての抗PD-L1抗体の使用を包含する。一態様において、抗PD-L1抗体は、PD-L1受容体の結合を阻害し、すなわち、PD-1のそのリガンドPD-L1への結合を阻害する。
【0161】
本発明における使用に適する抗ヒトPD-L1抗体(またはそれ由来のVHドメインおよび/もしくはVLドメイン)は、当業者によく知られている方法を用いて作製され得る。あるいは、当技術分野で認められている抗PD-L1抗体を用いることができる。例えば、米国特許第7,943,743号に記載のヒト抗PD-L1抗体を用いることができる。かかる抗PD-L1抗体としては、3G10、12A4(BMS-936559としても称される)、10A5、5F8、10H10、1B12、7H1、11E6、12B7および13G4が挙げられる。ある態様において、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ(Tecentriq またはRG7446)(例えば、Herbst et al. (2013) J Clin Oncol 31(suppl):3000. Abstract;米国特許第8,217,149号参照)、デュルバルマブ(ImfinziまたはMEDI4736)(Khleif (2013) In: Proceedings from the European Cancer Congress 2013; September 27-October 1、2013; Amsterdam, The Netherlands. Abstract 802)、アベルマブ(Bavencio)である。他の当技術分野で認められている、使用可能な抗PD-L1抗体としては、例えば、米国特許第7,635,757号および同第8,217,149号、米国特許出願公開第2009/0317368、ならびにPCT公開公報WO2011/066389およびWO2012/145493(それらは引用により本明細書中に包含される)に記載のものが挙げられる。PD-L1への結合について、これらの当技術分野で認められている抗体または阻害剤と競合する抗体もまた、使用できる。本発明の方法に有用な抗PD-L1抗体の例としては、米国特許第9,580,507号(引用により本明細書中に包含される)に記載の抗体が挙げられる。米国特許第9,580,507号に記載の抗PD-L1ヒトモノクローナル抗体は、以下の特徴の1以上を示すことが示されている:(a)Biacoreバイオセンサーシステムを用いて表面プラズモン共鳴によって測定される、1x10-7Mまたはそれ以下のKDでヒトPD-L1に結合する;(b)混合リンパ球反応(MLR)アッセイにおいてT細胞増殖を増加させる;(c)MLRアッセイにおいてインターフェロン-γ産生を増加させる;(d)MLRアッセイにおいてIL-2分泌を増加させる;(e)抗体応答を刺激する;および(f)T細胞エフェクター細胞および/または樹状細胞におけるT調節性細胞の効果を逆転させる。本発明に用いられ得る抗PD-L1抗体には、ヒトPD-L1に特異的に結合し、前記特徴のうちの少なくとも1つ、ある態様において、少なくとも5つを示す、モノクローナル抗体が含まれる。
【0162】
特定の態様において、抗PD-L1抗体はBMS-936559(以前は、12A4またはMDX-1105)である(例えば、米国特許第7,943,743号;WO2013/173223参照)(引用により本明細書中に包含される)。他の態様において、抗PD-L1抗体はMPDL3280A(RG7446およびアテゾリズマブとしても公知)(例えば、Herbst et al. 2013 J Clin Oncol 31(suppl):3000;米国特許第8,217,149号参照)、MEDI4736(Khleif、2013、In: Proceedings from the European Cancer Congress 2013; September 27-October 1、2013; Amsterdam、The Netherlands. Abstract 802)、またはMSB0010718C(Avelumabとも称される;US2014/0341917参照)(引用により本明細書中に包含される)である。特定の態様において、ヒトPD-1への結合について交差競合するか、上記の参照PD-L1抗体と同じヒトPD-L1のエピトープ領域に結合する抗体は、mAbである。ヒト対象への投与について、これらの交差競合抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体またはヒト抗体であり得る。かかるキメラmAb、ヒト化mAbまたはヒトmAbは、当技術分野で周知の方法で調製および単離できる。特定の態様において、抗PD-L1抗体は、BMS-936559(12A4、MDX-1105としても公知;例えば、米国特許第7,943,743号およびWO2013/173223を参照)、アテゾリズマブ(Roche;TECENTRIQ(登録商標);MPDL3280A、RG7446としても公知;US8,217,149を参照;Herbst et al. (2013) J Clin Oncol 31(suppl):3000もまた参照)、デュルバルマブ(AstraZeneca;IMFINZI(商標)、MEDI-4736としても公知;WO2011/066389を参照)、アベルマブ(Pfizer;BAVENCIO(登録商標)、MSB-0010718Cとしても公知;WO2013/079174を参照)、STI-1014(Sorrento;WO2013/181634を参照)、CX-072(Cytomx;WO2016/149201を参照)、KN035(3D Med/Alphamab;Zhang et al., Cell Discov. 7:3 (March 2017)を参照)、LY3300054(Eli Lilly Co.;例えば、WO2017/034916を参照)、およびCK-301(Checkpoint Therapeutics;Gorelik et al., AACR:Abstract 4606 (Apr 2016)を参照)からなる群より選択される。
【0163】
特定の態様において、PD-L1抗体はアテゾリズマブ(TECENTRIQ(登録商標))である。アテゾリズマブは、完全ヒト化IgG1モノクローナル抗PD-L1抗体である。
【0164】
特定の態様において、PD-L1抗体は、デュルバルマブ(IMFINZI(商標))である。デュルバルマブは、ヒトIgG1カッパモノクローナル抗PD-L1抗体である。
【0165】
特定の態様において、PD-L1抗体は、アベルマブ(BAVENCIO(登録商標))である。アベルマブは、ヒトIgG1ラムダモノクローナル抗PD-L1抗体である。
【0166】
他の態様において、抗PD-L1モノクローナル抗体は、28-8、28-1、28-12、29-8、5H1およびそれらの何れかの組合せからなる群より選択される。
【0167】
本発明の方法で用い得る抗PD-L1抗体としてはまた、ヒトPD-L1に特異的に結合し、本明細書に記載の抗PD-L1抗体、例えば、アテゾリズマブ、デュルバルマブおよび/またはアベルマブとヒトPD-L1との結合について交差競合する単離抗体が挙げられる。ある態様において、抗PD-L1抗体は、本明細書に記載の抗PD-L1抗体(例えば、アテゾリズマブ、デュルバルマブおよび/またはアベルマブ)のいずれかと同じエピトープに結合する。抗原への結合について交差競合する抗体の能力は、これらの抗体が抗原の同じエピトープ領域に結合し、特定のエピトープ領域に対する他の交差競合する抗体の結合を立体的に妨害することを示す。これらの交差競合する抗体は、それらのPD-L1の同じエピトープ領域への結合のため、対照抗体、例えばアテゾリズマブおよび/またはアベルマブと顕著に類似する機能特性を有することが予期される。交差競合する抗体は、Biacore解析、ELISAアッセイまたはフローサイトメトリーのような標準的なPD-L1結合アッセイにおいてアテゾリズマブおよび/またはアベルマブと交差競合する能力に基づいて容易に同定することができる(例えば、WO2013/173223を参照のこと、これは引用により本明細書中に包含される)。
【0168】
特定の態様において、ヒトPD-L1への結合について交差競合するか、またはアテゾリズマブ、デュルバルマブおよび/またはアベルマブと同じヒトPD-L1抗体のエピトープ領域に結合する抗体は、モノクローナル抗体である。ヒト対象への投与のために、これらの交差競合する抗体は、キメラ抗体、改変された抗体、またはヒト化もしくはヒト抗体である。このようなキメラ抗体、改変されたヒト化抗体またはヒトモノクローナル抗体は、当該技術分野で周知の方法によって調製され、単離され得る。
【0169】
本発明の方法に使用できる抗PD-L1抗体としてはまた、上記の抗体の抗原結合部分が挙げられる。抗体の抗原結合機能が完全長抗体のフラグメントによって行われうることは実証されている。
【0170】
本発明の方法または組成物で用いるのに適する抗PD-L1抗体は、高い特異性および親和性でPD-L1に結合し、PD-1の結合を阻害し、およびPD-1シグナル伝達経路の免疫抑制効果を阻害する抗体である。本明細書に記載の組成物または方法のいずれかにおいて、抗PD-L1“抗体”としては、PD-L1に結合し、かつ受容体結合を阻害して免疫系を上方制御する際に完全長抗体と類似する機能特性を示す、抗原結合部分またはフラグメントが挙げられる。特定の態様において、抗PD-L1抗体またはその抗原結合部分は、ヒトPD-L1への結合についてアテゾリズマブ、デュルバルマブおよび/またはアベルマブと交差競合する。
【0171】
本発明に有用な抗PD-L1抗体としては、本明細書に記載のVHおよび/またはVL配列の1以上を有する抗体から出発して作製された抗体であって、出発抗体から改変された特徴を有し得る抗体が挙げられる。抗PD-L1抗体は、本発明の改変された抗PD-1抗体の作製のために上記のような種々の修飾により操作されていてよい。
【0172】
6.化学療法剤
本発明の方法は、悪性腫瘍の処置のために、LAG-3阻害剤およびPD-1経路阻害剤と組合せて1以上の化学療法剤を用いることを特徴とする。一態様において、化学療法剤は、悪性腫瘍の処置のための標準療法とみなされる。“化学療法剤”は、癌の処置に有用な化合物である。化学療法剤の例としては、チオテパおよびシクロホスファミド(CYTOXAN(登録商標))などのアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファンなどのアルキル硫酸塩;ベンゾドーパ(benzodopa)、、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)およびウレドーパ(uredopa)などのアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミドおよびトリメチロールメラミンを含むエチレンイミンおよびメチルメラミン(methylamelamine);アセトゲニン(とりわけ、ブラタシンおよびブラタシノン);デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール(ドロナビノール、MARINOL(登録商標));ベータ-ラパコン;ラパコール;コルヒチン;ベツリン酸;カンプトテシン(合成類縁体トポテカン(HYCAMTIN(登録商標))、CPT-11(イリノテカン、CAMPTOSAR(登録商標))、アセチルカンプトテシン、スコポレチンおよび9-アミノカンプトテシンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシンおよびビゼレシン合成類縁体を含む);ポドフィロトキシン;ポドフィリン酸;テニポシド;クリプトフィシン(特に、クリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類縁体KW-2189およびCB1-TM1を含む);エロイテロビン;パンクラチスタチン;サルコディクチン(sarcodictyin);スポンジスタチン(spongistatin);クロラムブシル、クロルナファジン(chlornaphazine)、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノボエンビキン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードなどの窒素マスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチンおよびラニムスチンなどのニトロソウレア;エンジイン抗生物質などの抗生物質(例えば、カリケアマイシン、とりわけカリケアマイシンγ1IおよびカリケアマイシンωI1 (例えば、Nicolaou et al., Angew. Chem Intl. Ed. Engl., 33: 183-186 (1994)参照);CDP323、経口アルファ-4インテグリン阻害剤;ダイネミシンAを含むダイネミシン;エスペラミシン;ならびに、ネオカルジノスタチンクロモフォアおよび関連するクロモタンパク質エンジイン抗生物質クロモフォア)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アントラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシニス、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン(detorubicin)、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン(登録商標)、モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン、ドキソルビシンHClリポゾーム注射(DOXIL(登録商標))、ドキソルビシンリポソーム TLC D-99(MYOCET(登録商標))、ペグ化リポソームドキソルビシン(CAELYX(登録商標))、and deオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン(esorubicin)、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンCなどのマイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリゴマイシン、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;メトトレキサート、ゲムシタビン (GEMZAR(登録商標))、テガフール (UFTORAL(登録商標))、カペシタビン (XELODA(登録商標))、エポチロンおよび5-フルオロウラシル(5-FU)などの抗代謝剤;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサートなどの葉酸類縁体;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなどのプリン類縁体;アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン(Doxifl uridine)、エノシタビン、フロキシウリジンなどのピリミジン類縁体;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなどのアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなどの抗副腎剤;フロリン酸などの葉酸リプレニッシャー(replenisher);アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル(bestrabucil);ビサントレン;エダトラキサート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルチン;ジアジクオン;エフロルニチン;酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダイニン;マイタンシンおよびアンサマイトシンなどのメイタンシノイド(maytansinoid);ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール(mopidanmol);ニトラエリン(nitraerine);ペントスタチン;フェナメト(phenamet);ピラルビシン;ロソキサントロン;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)複合多糖類(JHS Natural Products, Eugene, Oreg.);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン(sizofiran);スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2’-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(とりわけ、T-2トキシン、ベラクリンA(verracurin A)、ロリジンA(roridin A)およびアングイジン);ウレタン;ビンデシン(ELDISINE(登録商標)、FILDESIN(登録商標));ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(“Ara-C”);チオテパ;タキソイド、例えば、パクリタキセル(タキソール(登録商標))、パクリタキセルのアルブミン操作されたナノ粒子製剤(ABRAXANE(商標))およびドセタキセル(タキソテール(登録商標));クロラムブシル;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチン、オキサリプラチン(例えば、ELOXATIN(登録商標))およびカルボプラチンなどの白金剤;ビンブラスチン(VELBAN(登録商標))、ビンクリスチン (ONCOVIN(登録商標))、ビンデシン(ELDISINE(登録商標)、FILDESIN(登録商標))およびビノレルビン(NAVELBINE(登録商標))を含む、微小管を形成することからチューブリン重合を防ぐ、ビンカ(vinca);エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ロイコボリン;ノバントロン;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;イバンドロネート;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);ベキサロテン(TARGRETIN(登録商標))を含む、レチノイン酸などのレチノイド類;クロドロン酸などのビスホスホネート(例えば、BONEFOS(登録商標)またはOSTAC(登録商標))、エチドロネート(DIDROCAL(登録商標))、NE-58095、ゾレドロン酸/ゾレドロネート(ZOMETA(登録商標))、アレンドロネート(FOSAMAX(登録商標))、パミドロン酸(AREDIA(登録商標))、チルドロン酸(SKELID(登録商標))またはリセドロン酸(ACTONEL(登録商標));トロキサシタビン(1,3-ジオキソランヌクレオシドシトシン類縁体);アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に、例えば、PKCα、Raf、H-Rasおよび上皮細胞増殖因子受容体(EGF-R)などの異常な細胞増殖と関係するシグナル伝達経路において遺伝子の発現を阻害するもの;THERATOP(登録商標)ワクチンおよび遺伝子療法ワクチン、例えば、ALLOVECTIN(登録商標)ワクチン、LEUVECTIN(登録商標)ワクチンおよびVAXID(登録商標)ワクチンなどのワクチン類;トポイソメラーゼ1阻害剤(例えば、ルルトテカン(LURTOTECAN)(登録商標));rmRH (例えば、アバレリクス(登録商標));BAY439006 (ソラフェニブ;Bayer);SU-11248(スニチニブ、SUTENT(登録商標)、Pfizer);ペリホシン、COX-2阻害剤(例えば、セレコキシブまたはエトリコキシブ)、プロテオソーム阻害剤(例えば、PS341);ボルテゾミブ(ベルケイド(登録商標));CCI-779;ティピファルニブ(R11577);オラフェニブ、ABT510;オブリメルセンナトリウム(GENASENSE(登録商標))などのBcl-2阻害剤;ピキサントロン;EGFR阻害剤(以下の定義を参照);チロシンキナーゼ阻害剤(以下の定義を参照);ラパマイシン(シロリムス、RAPAMUNE(登録商標))などのセリン-スレオニンキナーゼ阻害剤;ロナファルニブ(SCH 6636、SARASAR(商標))などのファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤;ならびに、上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体;ならびに、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾロンの併用療法の略語であるCHOPなどの上記の2以上の組合せ;5-フルオロウラシルおよびロイコボリンと組み合わせたイリノテカンによる処置レジメンの略語であるIFL;カペシタビンと組み合わせたオキサリプラチン(ELOXATIN(商標))による処置レジメンの略語であるXELOX;テガフール/ギメラシット/オテラシルカリウムと組み合わせたオキサリプラチン(ELOXATIN(商標))による処置レジメンの略語であるSOX;ならびに、5-FUおよびロイコボリンと組み合わせたオキサリプラチン (ELOXATIN(商標))による処置レジメンの略語であるFOLFOXが挙げられる。ある態様において、本発明の方法の1以上の化学療法剤は、XELOX、FOLFOXまたはSOXである。
【0173】
本明細書で定義される化学療法剤としては、癌の増殖を促進できるホルモンの作用を調節、低減、阻止または阻害するように作用する“抗ホルモン剤”または“内分泌療法剤”が挙げられる。それらは、ホルモン自体であってもよく、以下を含むが、これらに限定されない:タモキシフェン (NOLVADEX(登録商標))、4-ヒドロキシタモキシフェン、トレミフェン (FARESTON(登録商標))、イドキシフェン、ドロキシフェン、ラロキシフェン (EVISTA(登録商標))、トリオキシフェン、ケオキシフェンおよびSERM3などの選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)を含む混合アゴニスト/アンタゴニストプロファイルを有する抗エストロゲン;フルベストラント (FASLODEX(登録商標))およびEM800(かかる薬剤は、エストロゲン受容体(ER)二量体化を阻止し、DNA結合を阻害し、ERターンオーバーを増加させ、および/またはERレベルを抑制し得る)などの、アゴニスト特性のない純粋な抗エストロゲン;アロマターゼ阻害剤、including フォルメスタンおよびエキセメスタン (AROMASIN(登録商標))などのステロイド性アロマターゼ阻害剤、アナストロゾール(anastrazole) (ARIMIDEX(登録商標))、レトロゾール(フェマーラ(登録商標))およびアミノグルテチミドなどの非ステロイド性アロマターゼ阻害剤、ならびにボロゾール (RIVISOR(登録商標))、酢酸メグストロール (MEGASE(登録商標))、ファドロゾールおよび4(5)-イミダゾールを含む他のアロマターゼ阻害剤;リュープロリド(LUPRON(登録商標)およびELIGARD(登録商標))、ゴセレリン、ブセレリンおよびトリプテレリンを含むルテン化ホルモン放出ホルモンアゴニスト;酢酸メゲストロールおよび酢酸メドロキシプロゲステロンなどのプロゲスチン、ジエチルスチルベストロールおよびプレマリンなどのエストロゲン、ならびにフルオキシメステロン、全トランスレチオン酸およびフェンレチニドなどのアンドロゲン/レチノイドを含む、性ステロイド;オナプリストン;抗プロゲステロン;エストロゲン受容体下方制御(ERD);フルタミド、ニルタミドおよびビカルタミドなどの抗アンドロゲン;および、上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体;ならびに、上記の2以上の組合せ。
【0174】
7.医薬組成物
ヒト患者への投与に適した医薬組成物は、典型的には、非経腸投与用に、例えば液体担体中に、または静脈内投与用の溶液または懸濁液への再構成に適しているように製剤される。
【0175】
一般に、そのような組成物は、一般的には、薬学的に許容される担体を含む。本明細書で用いる用語“薬学的に許容される”とは、動物、特にヒトにおける使用のために、規制当局によって承認されているか、または米国薬局方もしくは他の一般に局方同等と認められているものに記載されていることを意味する。用語“担体”とは、化合物が投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤またはビークルを意味する。このような医薬用担体は、水および油などの滅菌液、例えばピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油、ポリエチレングリコールリシノレイン酸グリセロールなどの石油由来のもの、動物由来のもの、植物由来のもの、または合成由来のものを含み得る。水または生理食塩水、デキストロース水溶液およびグリセロール水溶液を、特に注射用溶液(例えば、抗LAG-3抗体および/または抗PD-1抗体を含む)のために担体として用いることができる。非経腸投与用の液体組成物は、注射による投与または持続点滴による投与のために製剤することができる。注射または点滴による投与経路には、静脈内、腹腔内、筋肉内、髄腔内および皮下が含まれる。一態様において、抗LAG-3抗体および/または抗PD-1抗体は、静脈内投与される(例えば、別個の製剤で、または共製剤で(同一製剤または別個の製剤で))。
【0176】
8.患者集団
本発明は、本明細書に記載の免疫療法、例えば、LAG-3阻害剤(例えば、抗LAG-3抗体)、PD-1経路阻害剤(例えば、抗PD-1抗体)および1以上の化学療法剤の組み合わせを用いて、ヒト患者における悪性腫瘍(例えば、進行性難治性固形腫瘍および血液学的悪性腫瘍)を処置するための臨床的方法を提供する。
【0177】
本発明の方法を用いて処置され得る悪性腫瘍の例としては、肝臓癌、肝細胞癌(HCC)、骨の癌、膵臓癌、皮膚癌、口腔癌、頭頸部癌、乳癌、肺癌、小細胞肺癌、NSCLC、皮膚または眼内悪性黒色腫、腎癌、卵巣癌、結腸直腸癌、結腸癌、直腸癌、肛門領域の癌、胃癌、食道胃接合部癌、精巣癌、子宮癌、ファロピウス管癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、頭頸部(SCCHN)の扁平細胞癌腫、非ホジキンリンパ腫、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎腺癌、軟組織肉腫、尿道癌、陰茎癌、小児固形腫瘍、リンパ球性リンパ腫、膀胱癌、腎臓癌、輸尿管癌、腎盂癌、中枢神経系の新生物(CNS)、原発性CNSリンパ腫、腫瘍血管形成、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、カポジ肉腫、類表皮癌、扁平上皮細胞癌、アスベストにより誘発されるものを含む環境誘発癌、血液系腫瘍、例えば多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫/原発性縦隔B細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、急性骨髄性リンパ腫、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、免疫芽球性大細胞型、前駆体Bリンパ芽球性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、急性リンパ芽球性白血病、菌状息肉症、未分化大細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫および前駆体Tリンパ芽球性リンパ腫を含む、ならびにこれらの癌のあらゆる組み合わせが挙げられる。本発明はまた、転移性癌の処置にも用いられ得る。
【0178】
一態様において、ヒト患者は、免疫チェックポイント阻害剤による処置に抵抗性である悪性腫瘍に罹患している。別の態様において、患者は、PD-1阻害剤による処置に抵抗性である悪性腫瘍に罹患している。別の態様において、患者は、抗PD-1抗体による処置に抵抗性である悪性腫瘍に罹患している。。別の態様において、患者は、抗PD-L1抗体による処置に抵抗性である悪性腫瘍に罹患している。ある態様において、悪性腫瘍は胃癌または食道胃接合部癌である。
【0179】
一態様において、ヒト患者は、胃癌または食道胃接合部癌に罹患している。別の態様において、患者は、癌治療による処置に抵抗性である胃癌または食道胃接合部癌に罹患している。ある態様において、癌治療は、放射線療法、外科手術、化学療法、遺伝子療法、DNA療法、ウイルス療法、RNA療法、免疫療法、骨髄移植、ナノ療法、モノクローナル抗体療法または上記の組合せであり得る。治療は、アジュバント療法またはネオアジュバント療法の形態であってもよい。本明細書で用いる“アジュバント療法”とは、癌が再発するリスクを低下させるために、一次療法の後に行われる癌治療を意味する。アジュバント療法には、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、標的療法または生物学的療法が含まれ得る。アジュバント療法は、手術や放射線などの一次療法後に行われることが多い。主な処置の前に行われるアジュバント療法は、ネオアジュバント療法と呼ばれる。この種のアジュバント療法はまた、がんが再発する可能性を減少させることができ、一次療法、例えば、手術または放射線治療を腫瘍負担(burden)の軽減においてより効果的なものにするために用いられることが多い。別の態様において、患者は、化学療法による処置に難治性の胃癌または食道胃接合部癌に罹患している。別の態様において、患者は、免疫チェックポイント阻害剤による処置に抵抗性の胃癌または食道胃接合部癌に罹患している。別の態様において、患者は、PD-1阻害剤による処置に抵抗性の胃癌または食道胃接合部癌に罹患している。別の態様において、患者は、抗PD-1抗体による処置に抵抗性の胃癌または食道胃接合部癌に罹患している。別の態様において、患者は、抗PD-L1抗体による処置に抵抗性の胃癌または食道胃接合部癌に罹患している。
【0180】
患者は、処置前、処置中または処置後に、上記の臨床上の特性のうちの1以上について試験されるか、または選択され得る。
【0181】
本明細書に記載の方法に従って、悪性腫瘍は、LAG-3発現を決定するために試験され得る。ある態様において、本明細書に記載の方法に従って処置された悪性腫瘍は、LAG-3陽性腫瘍である。ある態様において、悪性腫瘍は、LAG-3陽性胃腺癌または胃食道接合部腺癌である。
【0182】
ある態様において、悪性腫瘍の細胞総数の少なくとも約0.5%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、または少なくとも約30%がLAG-3を発現している。ある態様において、LAG-3を発現する細胞の割合は、LAG-3 RNAの存在を検出するためのアッセイを行うことによって評価される。さらなる態様において、LAG-3 RNAの存在は、RT-PCR、インサイチュウハイブリダイゼーションまたはRNase保護によって検出される。ある態様において、LAG-3 RNAの存在は、RT-PCRに基づくアッセイによって検出される。他の態様において、LAG-3を発現する細胞の割合を、LAG-3ポリペプチドの存在を検出するためのアッセイを行うことにより評価する。ある態様において、LAG-3ポリペプチドの存在は、IHC、ELISA、インビボ画像法またはフローサイトメトリーによって検出される。ある態様において、LAG-3発現は、IHCによってアッセイされる。
【0183】
本明細書に記載の方法に従って、悪性腫瘍を試験して、LAG-3およびPD-L1発現を決定することができる。ある態様において、本明細書に記載の方法に従って試験される悪性腫瘍は、LAG-3陽性、PD-L1陽性腫瘍である。ある態様において、悪性腫瘍は、LAG-3陽性、PD-L1陽性胃腺癌または胃食道接合部腺癌である。
【0184】
ある態様にいて、患者はHER2陰性である。ある態様において、患者は、切除不能、局所進行または転移性胃癌もしくは胃食道接合部腺癌の組織学的または細胞学的に確認された診断を有する。特定の態様において、患者は、以前に全身療法を受けていない。ある態様において、患者は、HER2阻害剤を投与されていない。特定の態様において、患者は、既知の未処置の中枢神経系転移を有していない。ある態様において、患者は、未制御の、または重篤な心血管疾患を有していない。ある態様において、患者は、0または1のECOGパフォーマンスステータススコアを有している。
【0185】
9.免疫療法
一面において、本明細書に記載の免疫療法は、悪性腫瘍(例えば、進行性難治性固形腫瘍または血液悪性腫瘍)を有する対象を処置するために、LAG-3阻害剤(例えば、抗LAG-3抗体)、PD-1経路阻害剤(例えば、抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体)および1以上の化学療法剤の投与を伴う。
【0186】
一態様において、本発明は、悪性腫瘍(例えば、進行性難治性固形腫瘍)を有する対象を処置するために、定義された臨床的投与レジメンに従って化学療法剤と組み合わせて抗LAG-3抗体および抗PD-1抗体を提供する。特定の態様において、抗LAG-3抗体はBMS-986016である。別の態様において、抗PD-1抗体はBMS-936558である。別の態様において、投与レジメンは固定されている。別の態様において、投与レジメンは、最適な所望の応答(例えば、効果的な応答)を提供するように調整される。
【0187】
本明細書に記載の、補助的または組合せ投与(同時投与)には、同じかまたは異なる投与形態で化合物の同時投与、または化合物の別個投与(例えば、逐次投与)が含まれる。従って、例えば、抗LAG-3抗体および抗PD-1抗体は、単一の製剤で同時に投与され得る。あるいは、抗LAG-3抗体および抗PD-1抗体は、別個の投与のために製剤され得て、かつ同時投与または連続投与される(例えば、第一の抗体は、第二の抗体の投与前の約30分以内に投与される)。
【0188】
例えば、抗PD-1抗体を最初に投与することができ、(例えば、直後に)抗LAG-3抗体を投与することができ、またはその逆も可能である。一態様において、抗PD-1抗体は、抗LAG-3抗体の投与の前に投与される。別の態様において、抗PD-1抗体は、抗LAG-3抗体の投与の後に投与される。別の態様において、抗LAG-3抗体および抗PD-1抗体は、同時に投与される。かかる同時投与または連続投与は、好ましくは、両抗体が処置された患者に同時に存在することをもたらす。
【0189】
10.処置プロトコール
一面において、ヒト患者の悪性腫瘍を処置するための適切な処置プロトコールには、有効量のLAG3阻害剤(例えば、抗LAG-3抗体)、PD-1経路阻害剤(例えば、抗PD-1抗体)および1以上の化学療法剤を投与することが含まれる。
【0190】
ある態様において、ヒト患者において悪性腫瘍を処置するための適切な処置プロトコールは、例えば、患者へ以下の各々の有効量を投与することを含む:
(a) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメイン、ならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含むものなどの、抗LAG-3抗体、
(b)配列番号19に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメイン、ならびに配列番号21に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含むものなどの、抗PD-1抗体、ならびに
(c) 1以上の化学療法剤、
ここで、該方法は、少なくとも1つの投与サイクルを含み、該サイクルは、6週間の期間であり、少なくとも1サイクルの各々について、抗LAG-3抗体の少なくとも2つの用量が、約1mg、3mg、10mg、20mg、50mg、80mg、100mg、120mg、130mg、150mg、160mg、180mg、200mg、240mgまたは280mgの用量で投与され、かつ抗PD-1抗体の少なくとも2つの用量が、約50mg、80mg、100mg、130mg、150mg、180mg、200mg、240mg、280mg、320mg、360mg、400mg、440mgまたは480mgの用量で投与される。特定の態様において、抗LAG-3抗体は、約320mg、360mg、400mg、440mg、480mg、520mg、560mg、600mg、640mg、680mg、720mg、760mg、800mg、840mg、880mg、920mg、960mgまたは1000mgの用量で投与される。特定の態様において、抗LAG-3抗体は、約1040mg、1080mg、1120mg、1160mg、1200mg、1240mg、1280mg、1320mg、1360mg、1400mg、1440mg、1480mg、1520mg、1560mg、1600mg、1640mg、1680mg、1720mg、1760mg、1800mg、1840mg、1880mg、1920mg、1960mgまたは2000mgの用量で投与される。特定の態様において、抗LAG-3抗体は、約480mgの用量で投与される。別の態様において、抗LAG-3抗体の4用量は、体重1kgあたり、0.01mg、0.03mg、0.25mg、0.1mg、0.3mg、1mg、3mg、5mg、8mgまたは10mgの用量で投与され、抗PD-1抗体の4用量は、体重1kgあたり、0.1mg、0.3mg、1mg、3mg、5mg、8mgまたは10mgの用量で投与される。
【0191】
特定の態様において、抗LAG-3抗体は、3週間毎に1回、約300mgから約500mgの用量で投与される。ある態様において、抗LAG-3抗体は、3週間毎に1回、約400mgの用量で投与される。ある態様において、抗LAG-3抗体は、4週間毎に1回、約700mgから約900mgの用量で投与される。
【0192】
さらなる態様において、1以上の化学療法剤が投与される。一態様において、少なくとも1つの化学療法剤は、静脈内投与される。一態様において、少なくとも1つの化学療法剤は、経口投与される。
【0193】
一態様において、1以上の化学療法剤は、体表面ベースの投与を用いて投与される。
【0194】
一態様において、抗LAG-3抗体および抗PD-1抗体は、以下の用量で投与される:
(a) 120mgの抗LAG-3抗体および360mgの抗PD-1抗体;または
(b) 160mgの抗LAG-3抗体および480mgの抗PD-1抗体。
【0195】
一態様において、腫瘍は胃癌または食道胃接合部癌である。
【0196】
別の態様において、投与される抗LAG-3および/または抗PD-1抗体の量は、各用量について一定である。別の態様において、投与される抗体の量は、各用量によって変化する。例えば、抗体の維持(または後続)用量は、最初に投与される負荷用量よりも高用量でも同じ用量でもよい。別の態様において、抗体の維持用量は、負荷用量よりも低用量でも同じ用量でもよい。
【0197】
別の態様において、抗LAG-3抗体および抗PD-1抗体は、静脈内投与用に製剤される。一態様において、抗LAG-3抗体および抗PD-1抗体は、各サイクルの1日目および22日目に投与される。一態様において、1以上の化学療法剤は、各サイクルの1日目および22日目に投与される。一態様において、1以上の化学療法剤は、少なくとも1日1回投与される。
【0198】
別の態様において、投与のサイクルは6週間であり、必要に応じて繰り返すことができる。別の態様において、処置は最大12サイクルまでからなる。
【0199】
一態様において、抗LAG-3抗体および抗PD-1抗体は、以下の用量で投与される:(a) 6週間毎の各処置サイクルの1日目および22日目に、120mgの抗LAG-3抗体および360mgの抗PD-1抗体;ならびに、オキサリプラチンおよびカペシタビン(XELOX)が投与される。さらなる態様において、オキサリプラチン 130mg/m2 は、6週間毎に各処置サイクルの1日目および22日目に投与され、カペシタビン1000mg/m2は、6週間毎に各処置サイクルの1日目から14日目および22日目から35日目に1日2回投与される。
【0200】
一態様において、抗LAG-3抗体および抗PD-1抗体は、以下の用量で投与される: (a) 奇数のサイクル毎(サイクル1、3、5など)の1日目および29日目ならびに偶数のサイクル毎(サイクル2、4、6など)の15日目に、160mgの抗LAG-3抗体および480mgの抗PD-1抗体、ならびにオキサリプラチン、ロイコボリン、フルオロウラシル(FOLFOX)が投与される。さらなる態様において、オキサリプラチン 85mg/m2、ロイコボリン 400mg/m2、およびフルオロウラシル400mg/m2 は、6週間毎に各処置サイクルの1日目、15日目および29日目に投与され、フルオロウラシル 1200mg/m2 は、6週間毎に各処置サイクルの1日目および2日目、15日目および16日目、29日目および30日目に投与される。
【0201】
一態様において、抗LAG-3抗体および抗PD-1抗体は、以下の用量で投与される: (a) 6週間毎の各処置サイクルの1日目および22日目に、120mgの抗LAG-3抗体および360mgの抗PD-1抗体;ならびに、オキサリプラチンおよびテガフール/ギメラシル/オテラシル(Oral S-1) (SOX)を投与する。さらなる態様において、オキサリプラチン 130mg/m2 を、6週間毎に各処置サイクルの1日目および22日目に投与し、Oral S-1を、6週間毎に各処置サイクルの1日目から14日目および22日目から35日目に1日2回投与する。さらなる態様において、S-1用量は、体表面積によって計算される(BSA、mg/m2/用量):BSA<1.25m2、40mg/用量;≧1.25および<1.5m2、50mg/用量;≧1.5m2、60mg/用量。
【0202】
別の態様において、抗LAG-3抗体、抗PD-1抗体および化学療法剤は、第一選択療法(例えば、開始処置または最初の処置)として投与される。別の態様において、抗LAG-3抗体、抗PD-1抗体および化学療法剤は、第二選択療法として(例えば、再発後および/または第1選択薬処置が失敗した場合を含む、開始処置もしくは最初の処置後に)投与される。
【0203】
一態様において、抗LAG-3抗体はBMS-986016であり、抗PD-1抗体はニボルマブである。一態様において、抗LAG-3抗体はMK-4280であり、抗PD-1抗体はペンブロリズマブである。一態様において、抗LAG-3抗体はREGN3767であり、抗PD-1抗体はREGN2810である。一態様において、抗LAG-3抗体はLAG525であり、抗PD-1抗体はPDR001である。
【0204】
一態様において、患者は、(a) 配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメイン、ならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗LAG-3抗体、(b) 配列番号15に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインならびに配列番号17に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗PD-1抗体、ならびに(c) XELOX、FOLFOXおよびSOXからなる群より選択される1以上の化学療法剤、の有効量を投与される。ある態様において、該方法は、(例えば、第一選択療法として)前治療を受けていない患者に投与される。ある態様において、前治療は、HER2阻害剤である。特定の態様において、抗LAG-3抗体および抗PD-1抗体は、固定用量の組合せとして投与される。ある態様において、患者は、再発性、局所進行性または転移性胃癌もしくは胃食道腺癌を有する。
【0205】
別の面において、本発明は、抗PD-1抗体が、抗PD-L1抗体または抗PD-L2抗体によって置換されるか、または抗PD-L1抗体と組み合わせられる、上記の態様のいずれかを特徴とする。
【0206】
11.結果
本明細書に記載の方法に従って処置される患者は、好ましくは、癌の少なくとも1つの兆候の改善を経験する。一態様において、改善は、測定可能な腫瘍病変の量および/またはサイズの減少によって測定される。別の態様において、病変は、胸部X線またはCTもしくはMRIフィルムで測定することができる。別の態様において、細胞学または組織学を用いて、治療に対する応答性を評価することができる。
【0207】
一態様において、処置された患者は、完全奏効(CR)、部分奏効(PR)、疾患安定(SD)、免疫関連で完全奏効(irCR)、免疫関連で部分奏効(irPR)または免疫関連で疾患安定(irSD)を示す。別の態様において、処置される患者は、腫瘍の縮小および/または増殖率の低減、すなわち、腫瘍増殖の抑制を経験する。別の態様において、望ましくない細胞増殖は、軽減または阻害される。さらに別の態様において、以下の1以上が起こり得る:がん細胞の数を減らすことができる;腫瘍サイズを小さくすることができる;癌細胞の末梢臓器への浸潤を、阻害、遅延、遅滞または停止することができる;腫瘍転移を、遅延させるかまたは阻害することができる;腫瘍増殖を、抑制することができる;腫瘍の再発を予防または遅延させることができる;癌に関連する1以上の症状を、ある程度緩和することができる。
【0208】
他の態様において、本発明の方法の何れかに従う抗LAG-3抗体、抗PD-1抗体および1以上の化学療法剤の有効量の投与は、腫瘍サイズの減少、経時的に現れる転移性病変の数の減少、完全寛解、部分寛解または疾患の安定化からなる群より選択される少なくとも1つの治療効果をもたらす。
【0209】
さらに別の態様において、処置方法は、(i) 処置前に腫瘍サンプル中のLAG-3発現レベルを決定する工程、(ii) 処置のためにLAG-3陽性腫瘍を選択する工程、(iii) 処置前にLAG-3陽性と同定された腫瘍を処置する工程、または(iv) それらの任意の組み合わせを含まない処置方法によって達成されるよりも優れた臨床的有用率(CBR=CR+PR+SD≧6ヶ月)をもたらす。他の態様において、臨床的有用率の改善は、(i) 処置前に腫瘍サンプル中のLAG-3発現レベルを決定する工程、(ii) 処置のためにLAG-3陽性腫瘍を選択する工程、(iii) 処置前にLAG-3陽性と同定された腫瘍を処置する工程、または(iv) それらの任意の組み合わせを含まない処置方法と比較して、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%またはそれ以上である。
【0210】
さらに他の態様において、処置方法は、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%または約100%の客観的奏効率(ORR=CR+PR)をもたらす。一態様において、処置方法は、少なくとも約15%の客観的奏効率をもたらし、ここで、悪性腫瘍は、抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体による処置に抵抗性のLAG-3陽性黒色腫である。ある態様において、奏効期間の中央値は、≧3ヶ月、≧6ヶ月、≧12ヶ月、または≧18ヶ月である。一態様において、奏効期間の中央値は6ヶ月以上である。ある態様において、奏効期間6ヶ月以上の患者の割合は、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%または100%である。
【0211】
さらに他の態様において、処置方法は、(i) 処置前に腫瘍サンプル中のLAG-3発現レベルを決定する工程、(ii) 処置のためにLAG-3陽性腫瘍を選択する工程、(iii) 処置前にLAG-3陽性と同定された腫瘍を処置する工程、または(iv) それらの任意の組み合わせ、を含まない処置方法によって達成されるものよりも優れた客観的奏効率(ORR=CR+PR)をもたらす。他の態様において、客観的奏効率の改善は、(i) 処置前に腫瘍サンプル中のLAG-3発現レベルを決定する工程、(ii) 処置のためにLAG-3陽性腫瘍を選択する工程、(iii) 処置前にLAG-3陽性と同定された腫瘍を処置する工程、または(iv) それらの任意の組み合わせを含まない処置方法と比較して、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%またはそれ以上である。ある態様において、奏効期間の中央値は、≧3ヶ月、≧6ヶ月、≧12ヶ月、または≧18ヶ月である。一態様において、奏効期間の中央値は6ヶ月以上である。
【0212】
さらに他の態様において、処置方法は、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%または約100%の病勢制御率(disease control rate:DCR=CR+PR+SD)をもたらす。一態様において、本処置方法は、少なくとも約70%の病勢制御率をもたらし、ここで、悪性腫瘍は、抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体による処置に抵抗性のLAG-3陽性黒色腫である。ある態様において、奏効期間の中央値は、≧3ヶ月、≧6ヶ月、≧12ヶ月、または≧18ヶ月である。一態様において、奏効期間の中央値は6ヶ月以上である。ある態様において、奏効期間6ヶ月以上の患者の割合は、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%または100%である。
【0213】
さらに他の態様において、処置方法は、(i) 処置前に腫瘍サンプル中のLAG-3発現レベルを決定する工程、(ii) 処置のためにLAG-3陽性腫瘍を選択する工程、(iii) 処置前にLAG-3陽性と同定された腫瘍を処置する工程、または(iv) それらの任意の組み合わせ、を含まない処置方法によって達成されるものよりも優れた病勢制御率(DCR=CR+PR+SD)をもたらす。他の態様において、病勢制御率の改善は、(i) 処置前に腫瘍サンプル中のLAG-3発現レベルを決定する工程、(ii) 処置のためにLAG-3陽性腫瘍を選択する工程、(iii) 処置前にLAG-3陽性と同定された腫瘍を処置する工程、または(iv) それらの任意の組み合わせを含まない処置方法と比較して、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%またはそれ以上である。ある態様において、奏効期間の中央値は、≧3ヶ月、≧6ヶ月、≧12ヶ月、または≧18ヶ月である。一態様において、奏効期間の中央値は6ヶ月以上である。
【0214】
12.キットおよび単位投与量形態
免疫療法のための患者をスクリーニングするため、または免疫療法の有効性を予測するためのバイオマーカーとして、LAG-3発現をアッセイするための抗LAG-3抗体を含む診断キットもまた、本発明の範囲内である。キットは、一般的に、キットの内容物の使用目的を示すラベルおよび使用説明書を含む。用語“ラベル”には、キットに添付されているまたは含まれる、あるいはそれ以外の方法でキットに包含される、文書または記録された資料が含まれる。診断キットの特定の態様において、LAG-3発現をアッセイ、検出および/または定量するための第1の抗LAG-3抗体は、LAG-3陽性腫瘍の処置のための少なくとも1つの治療用抗体(例えば、第2の抗LAG-3抗体および抗PD-1抗体)と共に包装されている。ある態様において、キットは、免疫療法の有効性を予測するためのバイオマーカーとしてPD-L1発現をアッセイ、検出および/または定量するための抗PD-L1抗体をさらに含む。一態様において、免疫療法は、LAG-3阻害剤(例えば、抗LAG-3抗体)、PD-1経路阻害剤(例えば、抗PD1抗体)および1以上の化学療法剤の治療的有効量を患者に投与することを含む。
【0215】
特定の態様において、診断キットは、LAG-3発現をアッセイ、検出および/または定量するための抗ヒトLAG-3モノクローナル抗体を含む。例えば、J. Matsuzaki, et al.; PNAS 107, 7875 (2010)を参照のこと。
【0216】
本発明はまた、抗LAG-3抗体、例えばBMS-986016、抗PD-1抗体、例えばニボルマブ、および1以上の化学療法剤を含む医薬組成物を、前記方法での使用に適した治療的有効量で含む、治療用キットも提供する。治療用キットの特定の態様において、抗LAG-3抗体は、単位投与量形態で抗PD-1抗体と共に包装される。該キットはまた、要すれば、施術者(例えば、医師、看護師または患者)がそこに含まれる組成物を癌(例えば、固形腫瘍)を有する患者に投与することを可能にするために、例えば、投与スケジュールを含む指示を含んでいてもよい。キットはまた、注射器を含み得る。
【0217】
要すれば、診断および/または治療用キットは、上記の方法に従って単回投与するための有効量の抗LAG-3抗体または抗PD-1抗体をそれぞれ含む単回用量の医薬組成物の複数のパッケージを含む。医薬組成物(複数可)を投与するために必要な装置または機器もまたキットに含まれ得る。例えば、キットは、ある量の抗LAG-3抗体または抗PD-1抗体を含む1以上の充填済シリンジを提供することができる。
【0218】
一態様において、本発明は、悪性腫瘍に罹患している患者を処置するためのキットを提供し、該キットは、
(a) 抗LAG-3抗体、例えば、配列番号3に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメイン、ならびに配列番号5に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗体、の用量;
(b) 抗PD-1抗体、例えば、配列番号19に記載の配列を有する重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメイン、ならびに配列番号21に記載の配列を有する軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む抗体、の用量;
(c) 1以上の化学療法剤;ならびに、
(d) 本明細書に記載の方法において、抗LAG-3抗体、抗PD-1抗体および1以上の化学療法剤を使用するための指示書
を含む。
【0219】
ある態様において、悪性腫瘍は胃癌または食道胃接合部癌である。
【0220】
本発明は、以下の実施例によってさらに例示され、それらはさらに限定するものと解されるべきではない。本明細書中に引用されたすべての文献の内容は、引用により本明細書に明示的に包含される。
【実施例0221】
実施例
実施例1
進行性または転移性の胃癌または食道胃接合部癌を有する患者におけるニボルマブおよび化学療法剤と併用する抗リンパ球活性化遺伝子-3抗体(抗LAG-3;BMS-986016)の有効性
本治験の目的は、胃癌または食道胃接合部癌の処置における、BMS-986016(リラトリマブ)、ニボルマブおよび化学療法剤の併用療法を評価することである。
【0222】
患者は、以下の適格基準に基づいて選択される:(1)進行性または転移性の胃癌または食道胃接合部癌を有する;(2)全身治療歴なし;(3)米国東部腫瘍学共同研究グループ(Eastern Cooperative Oncology Group)のPS 0-1;(4)HER2陰性;および、(5)IHCにより決定されたLAG-3陽性腫瘍。処置期間中、患者は、BMS-986016およびニボルマブを、選択した化学療法剤(XELOX、FOLFOXまたはSOX)と併用して投与される。
【0223】
XELOXに割り当てられた患者は、以下を投与される:
・リラトリマブ 120mg/ニボルマブ 360mgを、6週間毎の各処置サイクルの1日目および22日目に60分かけて静脈内投与(IV)する、
・オキサリプラチン 130mg/m2を、6週間毎の各処置サイクルの1日目および22日目に静脈内投与(IV)する、および
・カペシタビン 1000mg/m2を、6週間毎の各処置サイクルの1日目から14日目および22日目から35日目に1日2回経口投与する。
【0224】
FOLFOXに割り当てられた患者は、以下を投与される:
・リラトリマブ 160mg/ニボルマブ 480mgを、奇数のサイクル毎(サイクル1、3、5など)の1日目および29日目ならびに偶数のサイクル毎(サイクル2、4、6など)の15日目に60分かけて静脈内投与(IV)する、
・オキサリプラチン 85mg/m2、ロイコボリン 400mg/m2、およびフルオロウラシル400mg/m2を、6週間毎に各処置サイクルの1日目、15日目および29日目にIV投与し、フルオロウラシル 1200mg/m2を、6週間毎に各処置サイクルの1日目および2日目、15日目および16日目、ならびに29日目および30日目に24時間かけて(または局所基準に従い)IV持続投与する。
【0225】
SOXに割り当てられた患者は、以下を投与される:
・リラトリマブ 120mg/ニボルマブ 360mgを、6週間毎の各処置サイクルの1日目および22日目に60分かけてIV投与する、
・オキサリプラチン 130mg/m2を、6週間毎の各処置サイクルの1日目および22日目にIV投与する、および
・Oral S-1(テガフール/ギメラシル/オテラシル)を、6週間毎に各処置サイクルの1日目から14日目、22日目から35日目に1日2回IV投与する。S-1用量は、体表面積に応じて計算される(BSA、mg/m2/用量):BSA<1.25m2、40mg/用量;≧1.25および<1.5m2、50mg/用量;≧1.5m2、60mg/用量。
【0226】
配列
配列番号1 重鎖アミノ酸配列;抗LAG-3mAb (BMS-986016)
QVQLQQWGAGLLKPSETLSLTCAVYGGSFSDYYWNWIRQPPGKGLEWIGEINHRGSTNSNPSLKSRVTLSLDTSKNQFSLKLRSVTAADTAVYYCAFGYSDYEYNWFDPWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK
配列番号2 軽鎖アミノ酸配列;抗LAG-3mAb (BMS-986016)
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSISSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQRSNWPLTFGQGTNLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号3 重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列;抗LAG-3mAb (BMS-986016)
QVQLQQWGAGLLKPSETLSLTCAVYGGSFSDYYWNWIRQPPGKGLEWIGEINHRGSTNSNPSLKSRVTLSLDTSKNQFSLKLRSVTAADTAVYYCAFGYSDYEYNWFDPWGQGTLVTVSS
配列番号4 重鎖可変領域(VH)ヌクレオチド配列;抗LAG-3mAb (BMS-986016)
caggtgcagctacagcagtggggcgcaggactgttgaagccttcggagaccctgtccctcacctgcgctgtctatggtgggtccttcagtgattactactggaactggatccgccagcccccagggaaggggctggagtggattggggaaatcaatcatcgtggaagcaccaactccaacccgtccctcaagagtcgagtcaccctatcactagacacgtccaagaaccagttctccctgaagctgaggtctgtgaccgccgcggacacggctgtgtattactgtgcgtttggatatagtgactacgagtacaactggttcgacccctggggccagggaaccctggtcaccgtctcctca
配列番号5 軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列;抗LAG-3mAb (BMS-986016)
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSISSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQRSNWPLTFGQGTNLEIK
配列番号6 軽鎖可変領域(VL)ヌクレオチド配列;抗LAG-3mAb (BMS-986016)
gaaattgtgttgacacagtctccagccaccctgtctttgtctccaggggaaagagccaccctctcctgcagggccagtcagagtattagcagctacttagcctggtaccaacagaaacctggccaggctcccaggctcctcatctatgatgcatccaacagggccactggcatcccagccaggttcagtggcagtgggtctgggacagacttcactctcaccatcagcagcctagagcctgaagattttgcagtttattactgtcagcagcgtagcaactggcctctcacttttggccaggggaccaacctggagatcaaa
配列番号7 重鎖CDR1アミノ酸配列;抗LAG-3mAb (BMS-986016)
DYYWN
配列番号8 重鎖CDR2アミノ酸配列;抗LAG-3mAb (BMS-986016)
EINHRGSTNSNPSLKS
配列番号9 重鎖CDR3アミノ酸配列;抗LAG-3mAb (BMS-986016)
GYSDYEYNWFDP
配列番号10 軽鎖CDR1アミノ酸配列;抗LAG-3mAb (BMS-986016)
RASQSISSYLA
配列番号11 軽鎖CDR2アミノ酸配列;抗LAG-3mAb (BMS-986016)
DASNRAT
配列番号12 軽鎖CDR3アミノ酸配列;抗LAG-3mAb (BMS-986016)
QQRSNWPLT
配列番号13 重鎖アミノ酸配列;抗PD-1mAb (BMS936558)
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLDCKASGITFSNSGMHWVRQAPGKGLEWVAVIWYDGSKRYYADSVKGRFTISRDNSKNTLFLQMNSLRAEDTAVYYCATNDDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK
配列番号14 軽鎖アミノ酸配列;抗PD-1mAb (BMS936558)
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQSSNWPRTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号15 重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列;抗PD-1mAb (BMS936558)
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLDCKASGITFSNSGMHWVRQAPGKGLEWVAVIWYDGSKRYYADSVKGRFTISRDNSKNTLFLQMNSLRAEDTAVYYCATNDDYWGQGTLVTVSS
【0227】
配列番号16 重鎖可変領域(VH)ヌクレオチド配列;抗PD-1mAb (BMS936558)
caggtgcagctggtggagtctgggggaggcgtggtccagcctgggaggtccctgagactcgactgtaaagcgtctggaatcaccttcagtaactctggcatgcactgggtccgccaggctccaggcaaggggctggagtgggtggcagttatttggtatgatggaagtaaaagatactatgcagactccgtgaagggccgattcaccatctccagagacaattccaagaacacgctgtttctgcaaatgaacagcctgagagccgaggacacggctgtgtattactgtgcgacaaacgacgactactggggccagggaaccctggtcaccgtctcctca
配列番号17 軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列;抗PD-1mAb (BMS936558)
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQSSNWPRTFGQGTKVEIK
配列番号18 軽鎖可変領域(VL)ヌクレオチド配列;抗PD-1mAb (BMS936558)
gaaattgtgttgacacagtctccagccaccctgtctttgtctccaggggaaagagccaccctctcctgcagggccagtcagagtgttagtagttacttagcctggtaccaacagaaacctggccaggctcccaggctcctcatctatgatgcatccaacagggccactggcatcccagccaggttcagtggcagtgggtctgggacagacttcactctcaccatcagcagcctagagcctgaagattttgcagtttattactgtcagcagagtagcaactggcctcggacgttcggccaagggaccaaggtggaaatcaaa
配列番号19 重鎖CDR1アミノ酸配列;抗PD-1mAb (BMS936558)
NSGMH
配列番号20 重鎖CDR2アミノ酸配列;抗PD-1mAb (BMS936558)
VIWYDGSKRYYADSVKG
配列番号21 重鎖CDR3アミノ酸配列;抗PD-1mAb (BMS936558)
NDDY
配列番号22 軽鎖CDR1アミノ酸配列;抗PD-1mAb (BMS936558)
RASQSVSSYLA
配列番号23 軽鎖CDR2アミノ酸配列;抗PD-1mAb (BMS936558)
DASNRAT
配列番号24 軽鎖CDR3アミノ酸配列;抗PD-1mAb (BMS936558)
QQSSNWPRT
配列番号25 重鎖ヌクレオチド配列;抗LAG-3mAb (BMS-986016)
caggtgcagctacagcagtggggcgcaggactgttgaagccttcggagaccctgtccctcacctgcgctgtctatggtgggtccttcagtgattactactggaactggatccgccagcccccagggaaggggctggagtggattggggaaatcaatcatcgtggaagcaccaactccaacccgtccctcaagagtcgagtcaccctatcactagacacgtccaagaaccagttctccctgaagctgaggtctgtgaccgccgcggacacggctgtgtattactgtgcgtttggatatagtgactacgagtacaactggttcgacccctggggccagggaaccctggtcaccgtctcctcagctagcaccaagggcccatccgtcttccccctggcgccctgctccaggagcacctccgagagcacagccgccctgggctgcctggtcaaggactacttccccgaaccggtgacggtgtcgtggaactcaggcgccctgaccagcggcgtgcacaccttcccggctgtcctacagtcctcaggactctactccctcagcagcgtggtgaccgtgccctccagcagcttgggcacgaagacctacacctgcaacgtagatcacaagcccagcaacaccaaggtggacaagagagttgagtccaaatatggtcccccatgcccaccatgcccagcacctgagttcctggggggaccatcagtcttcctgttccccccaaaacccaaggacactctcatgatctcccggacccctgaggtcacgtgcgtggtggtggacgtgagccaggaagaccccgaggtccagttcaactggtacgtggatggcgtggaggtgcataatgccaagacaaagccgcgggaggagcagttcaacagcacgtaccgtgtggtcagcgtcctcaccgtcctgcaccaggactggctgaacggcaaggagtacaagtgcaaggtctccaacaaaggcctcccgtcctccatcgagaaaaccatctccaaagccaaagggcagccccgagagccacaggtgtacaccctgcccccatcccaggaggagatgaccaagaaccaggtcagcctgacctgcctggtcaaaggcttctaccccagcgacatcgccgtggagtgggagagcaatgggcagccggagaacaactacaagaccacgcctcccgtgctggactccgacggctccttcttcctctacagcaggctaaccgtggacaagagcaggtggcaggaggggaatgtcttctcatgctccgtgatgcatgaggctctgcacaaccactacacacagaagagcctctccctgtctctgggtaaatga
配列番号26 軽鎖ヌクレオチド配列;抗LAG-3mAb (BMS-986016)
gaaattgtgttgacacagtctccagccaccctgtctttgtctccaggggaaagagccaccctctcctgcagggccagtcagagtattagcagctacttagcctggtaccaacagaaacctggccaggctcccaggctcctcatctatgatgcatccaacagggccactggcatcccagccaggttcagtggcagtgggtctgggacagacttcactctcaccatcagcagcctagagcctgaagattttgcagtttattactgtcagcagcgtagcaactggcctctcacttttggccaggggaccaacctggagatcaaacgtacggtggctgcaccatctgtcttcatcttcccgccatctgatgagcagttgaaatctggaactgcctctgttgtgtgcctgctgaataacttctatcccagagaggccaaagtacagtggaaggtggataacgccctccaatcgggtaactcccaggagagtgtcacagagcaggacagcaaggacagcacctacagcctcagcagcaccctgacgctgagcaaagcagactacgagaaacacaaagtctacgcctgcgaagtcacccatcagggcctgagctcgcccgtcacaaagagcttcaacaggggagagtgttag