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特開2024-138410生成が改良されたウイルス及び非ウイルスのナノプラスミドベクター
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138410
(43)【公開日】2024-10-08
(54)【発明の名称】生成が改良されたウイルス及び非ウイルスのナノプラスミドベクター
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/85 20060101AFI20241001BHJP
   C12N 15/86 20060101ALI20241001BHJP
   C12N 15/864 20060101ALI20241001BHJP
   C12N 15/867 20060101ALI20241001BHJP
   C12N 15/866 20060101ALI20241001BHJP
   C12N 15/861 20060101ALI20241001BHJP
   C12N 15/65 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
C12N15/85 Z
C12N15/86 Z ZNA
C12N15/864 100Z
C12N15/867 Z
C12N15/866 Z
C12N15/861 Z
C12N15/65 Z
C12N15/86 Z
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024110895
(22)【出願日】2024-07-10
(62)【分割の表示】P 2020551263の分割
【原出願日】2019-03-20
(31)【優先権主張番号】62/645,892
(32)【優先日】2018-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】523089036
【氏名又は名称】アルデブロン,エル.エル.シー.
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ,ジェームズ エー.
(57)【要約】      (修正有)
【課題】共有結合閉環状プラスミドの複製を改善するための方法を提供する。
【解決手段】本方法は、Pol I依存性複製起点と、逆方向反復配列、定方向反復配列、ホモポリマー反復配列、真核生物複製起点又は真核生物プロモーターエンハンサー配列からなる群から選択される構造化DNA配列を含む挿入物とを有する共有結合閉環状プラスミドを準備するステップを含み、ここで上記構造化DNA配列は複製の方向におけるPol I依存性複製起点から1000bp未満の距離に位置する。本方法はまた、上記共有結合閉環状組換え分子を修飾して上記Pol I依存性複製起点がPol III依存性複製起点に置換するステップを含み、それにより、得られたPol III依存性複製起点により共有結合閉環状プラスミドは複製が改良される。抗生物質マーカー不含の共有結合閉環状組換えDNA分子もまた提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
共有結合閉環状プラスミドの複製を改善する方法であって、
a.以下:
i.Pol I依存性複製起点、及び
ii.逆方向反復配列、定方向反復配列、ホモポリマー反復配列、真核生物複製起点又は真核生物プロモーターエンハンサー配列からなる群から選択される構造化DNA配列を含む挿入物であって、構造化DNA配列が複製の方向におけるPol I依存性複製起点から1000bp未満の距離に位置する、上記挿入物
を含む共有結合閉環状プラスミドを提供するステップ、並びに
b.a.の共有結合閉環状組換え分子を修飾して、Pol I依存性複製起点をPol III依存性複製起点に置換するステップを含み、それにより、得られたPol III依存性複製起点により共有結合閉環状プラスミドは複製が改良される、上記方法。
【請求項2】
前記Pol I依存性複製起点が、pUC起点、pMB1起点、及びColE1起点からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記Pol III依存性複製起点がR6Kガンマ複製起点である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記Pol III依存性複製起点が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4及び配列番号18からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有するR6Kガンマ複製起点である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記構造化DNA配列が、ポリA反復、SV40複製起点、ウイルスLTR、レンチウイルスLTR、レトロウイルスLTR、トランスポゾンIR/DR反復、スリーピング・ビューティトランスポゾンIR/DR反復、AAV ITR、トランスポゾンITR、PiggyBacトランスポゾンITR、CMVエンハンサー、及びSV40エンハンサーからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記改良された複製が、複製中間体の生成の減少及びプラスミドコピー数の増加からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
共有結合閉環状プラスミドの複製を改良する方法であって、
a.以下:
i.Pol I依存性複製起点及び抗生物質選択マーカーを含む細菌複製-選択領域、及び
ii.逆方向反復配列、定方向反復配列、ホモポリマー反復配列、真核生物複製起点、及び真核生物プロモーターエンハンサー配列からなる群から選択される構造化DNA配列を含む挿入物であって、構造化DNA配列が複製の方向におけるPol I依存性複製起点から1000bp未満の距離に位置する、上記挿入物
を含む共有結合閉環状プラスミドを提供するステップ、並びに
b.a.の共有結合閉環状組換え分子を修飾して、抗生物質選択マーカーをRNA選択マーカーに置換し、Pol I依存性複製起点をPol III依存性複製起点に置換するステップを含み、それにより、得られたPol III依存性複製起点により共有結合閉環状プラスミドは複製が改良される、上記方法。
【請求項8】
前記Pol I依存性複製起点が、pUC起点、pMB1起点、及びColE1起点からなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記Pol III依存性複製起点がR6Kガンマ複製起点である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記Pol III依存性複製起点が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4及び配列番号18からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有するR6Kガンマ複製起点である、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記RNA選択マーカーが、配列番号5及び配列番号7からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有するRNA-IN調節RNA-OUT機能性変異体である、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記RNA選択マーカーが、配列番号6と少なくとも95%の配列同一性を有するRNA-IN調節RNA-OUT RNAをコードするRNA-OUT RNA選択マーカーである、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
Pol I依存性複製起点及び抗生物質選択マーカーを含む前記細菌複製-選択領域が、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、及び配列番号17からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有するPol III依存性R6K起点-RNA-OUT RNA選択マーカー細菌複製-選択領域で置換される、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
前記構造化DNA配列が、ポリA反復、SV40複製起点、ウイルスLTR、レンチウイルスLTR、レトロウイルスLTR、トランスポゾンIR/DR反復、スリーピング・ビューティトランスポゾンIR/DR反復、AAV ITR、トランスポゾンITR、PiggyBacトランスポゾンITR、CMVエンハンサー、及びSV40エンハンサーからなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項15】
前記改良された複製が、複製中間体の生成の減少及びプラスミドコピー数の増加からなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項16】
抗生物質マーカー不含の共有結合閉環状組換えDNA分子であって、
a.逆方向反復配列、定方向反復配列、ホモポリマー反復配列、真核生物複製起点、及び真核生物プロモーターエンハンサー配列からなる群から選択される構造化DNA配列を含む抗生物質マーカー不含挿入物、
b.配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4及び配列番号18からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有するR6Kガンマ複製起点を含む、Pol III依存性複製起点、並びに
c.配列番号6と少なくとも95%の配列同一性を有するRNA-IN調節RNA-OUT RNAを含むRNA-OUT RNA選択マーカー
を含む組換えDNA分子。
【請求項17】
前記RNA-OUT RNA選択マーカーが、配列番号5及び配列番号7からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有するRNA-IN調節RNA-OUT機能性変異体である、請求項16に記載の組換えDNA分子。
【請求項18】
前記R6Kガンマ複製起点及び前記RNA-OUT RNA選択マーカーが、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、及び配列番号17からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有するR6K起点-RNA-OUT RNA選択マーカー細菌複製-選択領域を含む、請求項16に記載の組換えDNA分子。
【請求項19】
前記構造化DNA配列が、ポリA反復、SV40複製起点、ウイルスLTR、レンチウイルスLTR、レトロウイルスLTR、トランスポゾンIR/DR反復、スリーピング・ビューティトランスポゾンIR/DR反復、AAV ITR、トランスポゾンITR、PiggyBacトランスポゾンITR、CMVエンハンサー、及びSV40エンハンサーからなる群から選択される、請求項16に記載の組換えDNA分子。
【請求項20】
前記組換えDNA分子が、ウイルスベクター、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、AAVベクター、Adベクター、非ウイルス性トランスポゾンベクター、スリーピング・ビューティトランスポゾンベクター、PiggyBacトランスポゾンベクター、Tol2トランスポゾンベクター、及びポリA含有mRNAベクターからなる群から選択される、請求項16に記載の組換えDNA分子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦支援研究開発に関する陳述
該当せず。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年3月21日に出願された「生成が改良されたウイルス及び非ウイルスナノプラスミドベクター」と題する米国仮特許出願第62/645,892号に対する優先権を主張し、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
発明の分野
本発明は、組換えDNA分子、即ち、ウイルス及び非ウイルス遺伝子治療、ウイルス及び非ウイルス細胞治療に有用なベクター、より具体的には、ウイルス及び非ウイルスベクターの製造収量及び品質を改良し、トランスフェクション関連毒性を低減し、非ウイルス性トランスポゾンベクターからの転移(transposition)を改良し、ウイルスベクターからのパッケージング力価を改良し、ウイルス及び非ウイルスベクターにコードされた遺伝子の発現を改良し、並びにウイルスベクター及び非ウイルスベクターが媒介する抗生物質選択マーカー遺伝子移入を排除するためのものである。
【0004】
このような組換えDNA分子は、バイオテクノロジー、エクスビボ遺伝子治療、トランスジェニック生物、遺伝子治療、治療的ワクチン接種、農業及びDNAワクチンにおいて有用である。
【背景技術】
【0005】
大腸菌(E. coli)プラスミドは、長い間、研究者及び産業界が使用する組換えDNA分子の重要な供給源であった。今日、プラスミドDNAは、次世代のバイオテクノロジー製品(例えば、遺伝子医薬品及びDNAワクチン)が臨床試験に入り、最終的に医薬品市場に投入されるにつれ、ますます重要になってきている。プラスミドDNAワクチンは、ウイルス性、細菌性、又は寄生虫性疾患用の予防ワクチン、高免疫グロブリン製品の調製のための免疫化剤、感染症のための治療ワクチン、又は癌ワクチンとしての適用を見出すことができる。プラスミドはまた、遺伝子治療又は遺伝子置換適用においても利用され、所望の遺伝子産物は、患者への投与後にプラスミドから発現される。プラスミドはまた、遺伝子治療又は遺伝子置換適用のための非ウイルス性トランスポゾンベクターに利用され、所望の遺伝子産物は、プラスミドからの転移及びゲノム組込み後にゲノムから発現される。プラスミドはまた、遺伝子治療又は遺伝子置換適用のためのウイルスベクターにおいて利用され、所望の遺伝子産物は、生成細胞株のトランスフェクション後に形質導入ウイルス粒子中にパッケージングされ、次に、ウイルス形質導入後に標的細胞中でウイルスから発現される。
【0006】
非ウイルス及びウイルスベクタープラスミドは、典型的には、pMB1、ColE1又はpBR322由来複製起点を含む。一般的な高コピー数誘導体は、ROP(プライマー遺伝子のリプレッサー)欠失などのコピー数調節に影響を及ぼす突然変異を有し、コピー数を増加させる第2の部位突然変異(例えば、pMB1 pUC GからA点突然変異、又はColE1 pMM1)を有する。より高い温度(42℃)を採用して、pUC及びpMM1複製起点を有する選択的プラスミド増幅を誘導することができる。
【0007】
Carnes, AE及びWilliams, JA, 2011年 米国特許第7,943,377号は、プラスミド含有大腸菌細胞を、増殖速度が制限された供給バッチ相の一部の間、低温で増殖させ、次に、プラスミドを蓄積するために、温度上昇シフト及び高温での継続的増殖を行う、供給バッチ発酵のための方法を記載している。制限された増殖速度での温度シフトは、プラスミド収量及び純度を改良した。プラスミド生成のための他の発酵プロセスは、Carnes A.E. 2005年 BioProcess Intl 3巻:36~44頁に記載されており、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0008】
当該技術分野では、プラスミド治療及びプラスミドワクチンの適用の限界の1つが、1)内因性細菌叢におけるプラスミド移入(transfer)及び複製、又は2)ヒト細胞、若しくは内因性細菌叢におけるプラスミドコード化選択マーカー発現、に関する規制当局(例えば、Food and Drug Administration、European Medicines Agency)の安全性の懸念であることが教示されている。さらに、規制当局のガイダンスでは、ベクター中のすべての非必須配列の除去を推奨している。pMB1、ColE1又はpBR322由来複製起点を含有するプラスミドは、大腸菌宿主において無差別に複製することができる。これは、プラスミド治療用遺伝子又は抗原が、患者の内因性細菌叢に移入され、その内部で複製されるという安全上の懸念を提示する。理想的には、治療プラスミド又はワクチンプラスミドは、内因性大腸菌株において複製不能である。これには、pMB1、ColE1又はpBR322由来複製起点を、増殖のために特殊化された細胞株を必要とする条件付き複製起点に置き換える必要がある。同様に、規制当局、例えば、EMEA及びFDAは、遺伝子(抗生物質耐性マーカー又はタンパク質マーカー)が患者の細胞中で発現され得るという懸念から、遺伝子治療及び遺伝子ワクチンベクターにおける抗生物質耐性又は代替タンパク質マーカーの利用に関心を持っている。理想的には、プラスミド治療及びプラスミドワクチンは、1)内因性大腸菌株において複製不能であること、2)タンパク質ベースの選択マーカーをコードしていないこと、及び3)すべての非必須配列を排除するために最小化されることである。
【0009】
当該技術分野ではさらに、プラスミドベクターの適用の限界の1つは、ベクター(Chen ZY, He CY, Meuse L, Kay MA. 2004年. Gene Ther 11巻:856~864頁、Suzuki M, Kasai K, Saeki Y. 2006年. J Virol 80巻:3293~3300頁)の細菌領域(すなわち、細菌複製起点及び選択マーカーをコードする領域)によって媒介されるプロモーター不活性化により、プラスミドベクターからの導入遺伝子発現期間が短縮されることを教示する。これは、導入遺伝子の発現期間の短縮をもたらす。導入遺伝子の発現期間を改良する戦略は、プラスミドの細菌領域を除去することである。例えば、細菌領域を含有しないミニサークルベクターが開発されている。ミニサークルベクター中の細菌領域の除去は、導入遺伝子発現期間を改良した(Chenら, 前掲, 2004年)。ミニサークルベクターでは、真核生物領域のポリアデニル化シグナルは、組換え結合部位で構成される、典型的には200bp未満の短いスペーサーを介して真核生物領域のプロモーターに共有結合で連結される。この連結(スペーサー領域)は、長さが1kb以上の長いスペーサーがインビボで導入遺伝子発現サイレンシングをもたらしたが、500bp以下の短いスペーサーは、従来のミニサークルDNAベクター(Lu J, Zhang F, Xu S, Fire AZ, Kay MA. 2012年. Mol Ther. 20巻:2111~9頁)と同様の導入遺伝子発現パターンを示したため、非常に長いスペーサー配列に耐えることができる。
【0010】
Williams、2014年。発現が改良されたDNAプラスミド。世界特許出願第WO2014/035457号は、最小化されたNanoplasmid(商標)ベクターがRNA-OUT抗生物質を含まない選択を利用し、大きな1000bpのpUC複製起点を新規な300bpのR6K起点に置換することを開示している。導入遺伝子発現カセットの5'末端及び3'末端をR6K起点-RNA-OUT骨格で500bp未満に連結するスペーサー領域の減少は、Luら, 前掲, 2012年の教示から予想されるように、従来のミニサークルDNAベクターの発現持続時間を改良した。
【0011】
1.1kbのpFAR4ベクターpUC起点tRNA抗生物質不含の選択スペーサーは、2.2kbのpUC起点-kanR抗生物質選択マーカースペーサー領域(Quiviger, M, Arfi A, Mansard D, Delacotte L, Pastor M, Scherman D, Marie C. 2014年. Gene Therapy 21巻:1001~1007頁)と比較して発現持続時間を改良した。これは、最大1.1kbの一部の細菌領域で、改良された発現持続時間が得られることを教示している。
【0012】
プラスミドベクターと比較した発現レベルの改良はまた、一部のスペーサー領域が1.1kb以下であることで観察された。例えば、2kbの細菌骨格を1.2、1.1又は0.7kbに減少させたpVAX1誘導体は、親pVAX1ベクターと比較して2倍以上の発現改良を示す(表1)。1.5kbの細菌骨格を有するNTC8685誘導体(Nanoplasmid(商標)ベクター)は、0.9kb、466bp又は281bpに減少し、親のNTC8685ベクター(表2)と比較して2倍以上の発現改良を示した。これは、最大1.2kbの短い細菌領域で、改良された発現レベルが得られることを教示している。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】
ミニサークルベクターは、プラスミドベクターよりもAAVベクター(形質導入ユニット力価の改良-表3)及びトランスポゾンベクター(転移の増加-表3)の生成に優れていることが、様々な研究者により確認されている。また、短い骨格ミニサークルベクターを用いた発現持続時間の改良による性能の改良は、最大1.1kbの短い細菌骨格プラスミドベクターで観察される必要がある。
【0016】
【表3】
【0017】
実際、1.1kbの細菌骨格pFAR4 SBトランスポゾンベクター/SB100xトランスポザーゼベクターの組み合わせでは、2.8kbの細菌骨格pT2プラスミドSBトランスポゾンベクター/SB100xトランスポザーゼベクターの組み合わせ(Pastor, M, Johnen S, Harmening N, Quiviger M, Pailloux J, Kropp, M, Walter P, Ivics Z, Izsvak Z, Thumann G, Scherman D. 2018年 Molecular Therapy 11: 57~67頁)と比較して、ヒト細胞へのスリーピング・ビューティ転移(transposition)は2倍に改良されたことが報告された。
【0018】
しかしながら、ウイルスベクター、例えば、AAV、レンチウイルスベクター及びレトロウイルスベクター、及びトランスポゾンベクターは、それらの末端に構造化DNA配列を含有した。例えば、スリーピング・ビューティトランスポゾンベクターは、隣接するIR/DR配列を含有し、AAVベクターは隣接するITRを含有し、レンチウイルス及びレトロウイルスベクターは隣接するLTRを含有する。
【0019】
pUC起点が構造化DNA配列に近接していると、複製終結が異常になり、その結果、プラスミドの質を許容できないほど低下させる複製中間体が生じる(Levy J. 2004年. 米国特許第6,709,844号)。Levyは、複製中間体が、高コピー複製起点が構造化DNA配列、例えば、エンハンサー、LTR又はIRESから1kb未満である場合に形成されるが、高コピー複製起点が1.5kbを超えて離れている場合には形成されないことを教示する。pUC起点自体は1kbであるため、複製中間体を生成するとは予測されないpUC起点を含有する1.1kb未満の細菌領域AAV、レンチウイルス、レトロウイルス又はトランスポゾンベクターを作製する立体配置は存在しない。
【0020】
Lu J, Williams JA, Luke J, Zhang F, Chu K, 及びKay MA. 2017年. Human Gene Therapy 28巻:125~34頁は、抗生物質を含まないミニイントロンプラスミド(MIP)AAVベクターを開示し、MIPイントロンAAVベクターは、短い骨格AAVベクターを作製するためにベクター骨格を除去することができることを示唆する。ミニイントロンプラスミドAAVベクター内に6又は10bpスペーサー領域のようなミニサークルを作製する試みにより、おそらくAAV ITRのこのような近接した並置により長いパリンドロームが作製されたために毒性が認められた(表7、脚注eを参照されたい)。1kb未満のより長いスペーサー領域のMIPベクターを作製することはできるが、MIPイントロン戦略の欠点は、イントロンをコードする複製及び選択の、真核生物領域へのクローニングを必要とすることであり、これは多くのベクターでは不可能であるか又は望ましくない。
【0021】
短い細菌領域AAVベクター、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター又はトランスポゾンベクターを作製するミニサークル戦略の欠点は、ミニサークルベクターを製造する方法が高価であり、拡張性が容易ではないことである。ミニサークルベクターについては、大腸菌ベースの製造システムが開発され、プラスミド生成後、細菌領域及び真核生物領域が分離され、プラスミド中の認識配列上のファージリコンビナーゼの作用を介して、ミニサークル(真核生物領域)及び細菌領域サークルに環状化される。一部の方法では、次に、制限酵素を利用して、汚染物質を除去するのが困難なこのようなことを排除するために、細菌領域サークルを独特の部位で消化する。これらの製造手順は非常に非効率的である。例えば、ミニサークルベクターの最適な製造では、培養液1リットルあたりわずか5mgのミニサークルしか得られない(Kay MA, He CY, Chen ZY. 2010年. Nat Biotechnol 28巻:1287~1289頁)。
【0022】
pFARベクターの高収量製造方法は報告されていない。このシステムは、チミジン要求性を補完し、最小培地上で細胞増殖を可能にするために、thyA遺伝子のTAGアンバーナンセンス突然変異を補完するためにプラスミド媒介サプレッサーtRNA遺伝子を利用する(Marieら, 前掲, 2010年)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
複製中間体又は乏しい生成なしに効率的に製造することができる、好ましくは1000bp未満の短いスペーサー領域を含有する、AAV、レンチウイルス、レトロウイルス又はトランスポゾンベクターを開発するための解決策が必要である。これらのベクターは、タンパク質ベースの選択マーカーをコードする必要はなく、すべての非必須配列を排除するために最小限にする必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は、ウイルス及び非ウイルス遺伝子治療、ウイルス及び非ウイルス細胞治療に有用なベクターに関し、より具体的には、ウイルス及び非ウイルスベクターの製造収量及び品質を改良し、トランスフェクション関連毒性を低減し、非ウイルス性トランスポゾンベクターからの転移を改良し、ウイルスベクターからのパッケージング力価を改良し、ウイルス及び非ウイルスベクターにコードされた導入遺伝子の発現を改良し、並びにウイルス及び非ウイルスベクターによる抗生物質耐性マーカー遺伝子移入を排除するためのベクターに関する。
【0025】
構造化DNA配列を複製するためにPol III依存性複製起点を利用する改良されたベクター法及び組成物が開示される。
【0026】
逆方向反復DNA配列を複製するためにPol III依存性複製起点を利用する改良されたベクター法及び組成物が開示される。
【0027】
定方向反復DNA配列(direct repeat DNA sequence)を複製するためにPol III依存性複製起点を利用する改良されたベクター法及び組成物が開示される。
【0028】
ホモポリマー反復DNA配列を複製するためにPol III依存性複製起点を利用する改良されたベクター法及び組成物が開示される。
【0029】
エンハンサー構造化DNA配列を複製するためにPol III依存性複製起点を利用する改良されたベクター法及び組成物が開示される。
【0030】
ポリA反復DNA配列を複製するためにPol III依存性複製起点を利用する改良されたベクター法及び組成物が開示される。
【0031】
複製DNA配列のSV40起点を複製するためにPol III依存性複製起点を利用する改良されたベクター法及び組成物が開示される。
【0032】
レンチウイルスLTR DNA配列を複製するためにPol III依存性複製起点を利用する改良されたベクター法及び組成物が開示される。
【0033】
レトロウイルスLTR DNA配列を複製するためにPol III依存性複製起点を利用する改良されたベクター法及び組成物が開示される。
【0034】
ウイルスLTR DNA配列を複製するためにPol III依存性複製起点を利用する改良されたベクター法及び組成物が開示される。
【0035】
AAV ITR DNA配列を複製するためにPol III依存性複製起点を利用する改良されたベクター法及び組成物が開示される。
【0036】
トランスポゾンIR/DR DNA配列を複製するためにPol III依存性複製起点を利用する改良されたベクター法及び組成物が開示される。
【0037】
スリーピング・ビューティIR/DR DNA配列を複製するためにPol III依存性複製起点を利用する改良されたベクター法及び組成物が開示される。
【0038】
PiggyBac ITR DNA配列を複製するためにPol III依存性複製起点を利用する改良されたベクター法及び組成物が開示される。
【0039】
CMVエンハンサーDNA配列を複製するためにPol III依存性複製起点を利用する改良されたベクター法及び組成物が開示される。
【0040】
直接SV40エンハンサーDNA配列を複製するためにPol III依存性複製起点を利用する改良されたベクター法及び組成物が開示される。
【0041】
Pol III依存性複製起点を利用する改良されたウイルスベクター法及び組成物が開示される。
【0042】
Pol III依存性複製起点を利用する改良されたレンチウイルスベクター、レンチウイルスエンベロープベクター、並びにレンチウイルスパッケージングベクター法及び組成物が開示される。
【0043】
Pol III依存性複製起点を利用する改良されたレトロウイルスベクター、レトロウイルスエンベロープベクター、並びにレトロウイルスパッケージングベクター法及び組成物が開示される。
【0044】
Pol III依存性複製起点を利用する改良されたAAVベクター及びAAVヘルパーベクター法、並びに組成物が開示される。
【0045】
Pol III依存性複製起点を利用する改良されたアデノウイルスベクター法及び組成物が開示される。
【0046】
Pol III依存性複製起点を利用する改良された非ウイルス性トランスポゾン及びトランスポザーゼベクターの方法及び組成物が開示される。
【0047】
Pol III依存性複製起点を利用する改良された非ウイルススリーピング・ビューティトランスポゾン及びトランスポザーゼベクター法及び組成物が開示される。
【0048】
Pol III依存性複製起点を利用する改良された非ウイルス性PiggyBacトランスポゾン及びトランスポザーゼベクター法及び組成物が開示される。
【0049】
Pol III依存性複製起点を利用する改良された非ウイルス性Tol2トランスポゾン及びトランスポザーゼベクターの方法及び組成物が開示される。
【0050】
Pol III依存性複製起点を利用する改良された非ウイルスポリA含有mRNAベクター法及び組成物が開示される。
【0051】
Pol III依存性複製起点を利用する改良されたウイルスベクター法及び改良されたウイルス形質導入ユニット生成を伴う組成物が開示される。
【0052】
Pol III依存性複製起点を利用する改良されたレンチウイルスベクター法及び改良されたウイルス形質導入ユニット生成を伴う組成物が開示される。
【0053】
Pol III依存性複製起点を利用する改良されたレトロウイルスベクター法及び改良されたウイルス形質導入ユニット生成を伴う組成物が開示される。
【0054】
Pol III依存性複製起点を利用する改良されたAAVベクター及びAAVヘルパーベクター法、並びに改良されたウイルス形質導入ユニット生成を伴う組成物が開示される。
【0055】
Pol III依存性複製起点を利用する改良された非ウイルス性トランスポゾン及びトランスポザーゼベクター法、並びに改良された転移を有する組成物が開示される。
【0056】
Pol III依存性複製起点を利用する改良された非ウイルススリーピング・ビューティトランスポゾン及びトランスポザーゼベクター法、並びに改良された転移を有する組成物が開示される。
【0057】
Pol III依存性複製起点を利用する改良された非ウイルス性PiggyBacトランスポゾン及びトランスポザーゼベクター法、並びに改良された転移を有する組成物が開示される。
【0058】
Pol III依存性複製起点を利用する改良された非ウイルス性Tol2トランスポゾン及びトランスポザーゼベクター法、並びに改良された転移を有する組成物が開示される。
【0059】
Pol III依存性複製起点を利用する改良されたウイルスベクター法、及び改良された発現を有する組成物が開示される。
【0060】
Pol III依存性複製起点を利用する改良されたレンチウイルスベクター法、及び改良された発現を有する組成物が開示される。
【0061】
Pol III依存性複製起点を利用する改良されたレトロウイルスベクター法、及び改良された発現を有する組成物が開示される。
【0062】
Pol III依存性複製起点を利用する改良されたAAVベクター及びAAVヘルパーベクター法、並びに改良された発現を有する組成物が開示される。
【0063】
Pol III依存性複製起点を利用する改良された非ウイルス性トランスポゾン及びトランスポザーゼベクター法、並びに改良された発現を有する組成物が開示される。
【0064】
Pol III依存性複製起点を利用する改良された非ウイルススリーピング・ビューティトランスポゾン及びトランスポザーゼベクター法、並びに改良された発現を有する組成物が開示される。
【0065】
Pol III依存性複製起点を利用する改良された非ウイルス性PiggyBacトランスポゾン及びトランスポザーゼベクター法、並びに改良された発現を有する組成物が開示される。
【0066】
Pol III依存性複製起点を利用する改良された非ウイルス性Tol2トランスポゾン及びトランスポザーゼベクター法、並びに改良された発現を有する組成物が開示されている。
【0067】
Pol III依存性複製起点を利用する抗生物質耐性マーカー遺伝子移入(tansfer)リスクのない改良されたウイルスベクター法、及び組成物が開示される。
【0068】
Pol III依存性複製起点を利用する抗生物質耐性マーカー遺伝子移入リスクのない改良されたレンチウイルスベクター、レンチウイルスエンベロープベクター及びレンチウイルスパッケージングベクター法、並びに組成物が開示される。
【0069】
Pol III依存性複製起点を利用する抗生物質耐性マーカー遺伝子移入リスクのない改良されたレトロウイルスベクター、レトロウイルスエンベロープベクター及びレトロウイルスパッケージングベクター法、並びに組成物が開示される。
【0070】
Pol III依存性複製起点を利用する抗生物質耐性マーカー遺伝子移入リスクのない改良されたAAVベクター及びAAVヘルパーベクター法、並びに組成物が開示される。
【0071】
Pol III依存性複製起点を利用する抗生物質耐性マーカー遺伝子移入リスクのない改良された非ウイルス性トランスポゾン及びトランスポザーゼベクターの方法、並びに組成物が開示される。
【0072】
Pol III依存性複製起点を利用する抗生物質耐性マーカー遺伝子移入リスクのない改良された非ウイルススリーピング・ビューティトランスポゾン及びトランスポザーゼベクター法、並びに組成物が開示される。
【0073】
Pol III依存性複製起点を利用する抗生物質耐性マーカー遺伝子移入リスクのない改良された非ウイルス性PiggyBacトランスポゾン及びトランスポザーゼベクター法、並びに組成物が開示される。
【0074】
Pol III依存性複製起点を利用する抗生物質耐性マーカー遺伝子移入リスクのない改良された非ウイルス性Tol2トランスポゾン及びトランスポザーゼベクター法、並びに組成物が開示される。
【0075】
Pol III依存性複製起点を利用するトランスフェクション関連毒性が低減された改良されたウイルスベクター法、及び組成物が開示される。
【0076】
Pol III依存性複製起点を利用するトランスフェクション関連毒性が低減された改良されたレンチウイルスベクター法、及び組成物が開示される。
【0077】
Pol III依存性複製起点を利用するトランスフェクション関連毒性が低減された改良されたレトロウイルスベクター法、及び組成物が開示される。
【0078】
Pol III依存性複製起点を利用するトランスフェクション関連毒性が減少された改良されたAAVベクター及びAAVヘルパーベクター法、並びに組成物が開示される。
【0079】
Pol III依存性複製起点を利用するトランスフェクション関連毒性が低減された改良された非ウイルス性トランスポゾン及びトランスポザーゼベクター法、並びに組成物が開示される。
【0080】
Pol III依存性複製起点を利用するトランスフェクション関連毒性が低減された改良された非ウイルススリーピング・ビューティトランスポゾン及びトランスポザーゼベクター法、並びに組成物が開示される。
【0081】
Pol III依存性複製起点を利用するトランスフェクション関連毒性が低減された改良された非ウイルス性PiggyBacトランスポゾン及びトランスポザーゼベクター法、並びに組成物が開示される。
【0082】
Pol III依存性複製起点を利用するトランスフェクション関連毒性が低減された改良された非ウイルス性Tol2トランスポゾン及びトランスポザーゼベクター法、並びに組成物が開示される。
【0083】
上記の改良及び以下に記載する改良の各々は、例えば、類似又は同一の状況下であるが、Pol III依存性複製起点を含まない異なるプラスミドで達成されるものと相対的である。
【0084】
本発明の1つの目的は、改良されたウイルスベクター及び非ウイルスベクターの製造収量を提供することである。
【0085】
本発明の別の目的は、改良されたウイルスベクター及び非ウイルスベクターの製造品質を提供することである。
【0086】
本発明の別の目的は、改良されたパッケージング力価を有するウイルスベクターを提供することである。
【0087】
本発明の別の目的は、改良された転移(transposition)を有する非ウイルス性トランスポゾンベクターを提供することである。
【0088】
本発明の別の目的は、コードされた導入遺伝子の発現が改良されたウイルスベクター及び非ウイルスベクターを提供することである。
【0089】
本発明の別の目的は、抗生物質耐性マーカー遺伝子移入を排除するウイルスベクター及び非ウイルスベクターを提供することである。
【0090】
本発明の別の目的は、トランスフェクション関連毒性が低減されたウイルスベクター及び非ウイルスベクターを提供することである。
【0091】
一実施形態では、本技術は、共有結合閉環状プラスミドの複製を改良する方法を提供し、以下:a)i)Pol I依存性複製起点、及びii)逆方向反復配列、定方向反復配列、ホモポリマー反復配列、真核生物複製起点及び真核生物プロモーターエンハンサー配列からなる群から選択される構造化DNA配列を含む挿入物であって、構造化DNA配列が複製の方向におけるPol I依存性複製起点から1000bp未満の距離に位置する挿入物を含む共有結合閉環状プラスミドを提供するステップ、b)a)の共有結合閉環状組換え分子を修飾して、Pol I依存性複製起点をPol III依存性複製起点で置換するステップを含み、それにより、得られたPol III依存性複製起点により共有結合閉環状プラスミドは複製が改良される。さらなる実施形態では、上記Pol I依存性複製起点は、pUC起点、pMB1起点、及びColE1起点からなる群から選択される。さらなる実施形態では、上記Pol III依存性複製起点は、R6Kガンマ複製起点である。さらなる実施形態では、上記Pol III依存性複製起点は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4及び配列番号18からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有するR6Kガンマ複製起点である。さらなる実施形態では、上記構造化DNA配列は、ポリA反復、SV40複製起点、ウイルスLTR、レンチウイルスLTR、レトロウイルスLTR、トランスポゾンIR/DR反復、スリーピング・ビューティトランスポゾンIR/DR反復、AAV ITR、CMVエンハンサー、及びSV40エンハンサーからなる群から選択される。さらなる実施形態では、上記改良された複製は、複製中間体の生成の減少及びプラスミドコピー数の増加からなる群から選択される。
【0092】
別の実施形態では、本技術は、共有結合閉環状プラスミドの複製を改良する方法を提供し、以下:a)i)Pol I依存性複製起点及び抗生物質選択マーカーを含む細菌複製-選択領域、及びii)逆方向反復配列、定方向反復配列、ホモポリマー反復配列、真核生物複製起点及び真核生物プロモーターエンハンサー配列からなる群から選択される構造化DNA配列を含む挿入物であって、構造化DNA配列は、複製の方向におけるPol I依存性複製起点から1000bp未満の距離に位置する挿入物を含む共有結合閉環状プラスミドを提供するステップ、b)a)の共有結合閉環状組換え分子を修飾して、抗生物質選択マーカーをRNA選択マーカーで置換し、Pol I依存性複製起点をPol III依存性複製起点で置換するステップを含み、それにより、得られたPol III依存性複製起点により共有結合閉環状プラスミドは複製が改良される。さらなる実施形態では、上記Pol I依存性複製起点は、pUC起点、pMB1起点、及びColE1起点からなる群から選択される。さらなる実施形態では、上記Pol III依存性複製起点は、R6Kガンマ複製起点である。さらなる実施形態では、上記Pol III依存性複製起点は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4及び配列番号18からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有するR6Kガンマ複製起点である。さらなる実施形態では、上記RNA選択マーカーは、配列番号5及び配列番号7からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有するRNA-IN調節RNA-OUT機能性変異体である。さらなる実施形態では、上記RNA選択マーカーは、配列番号6と少なくとも95%の配列同一性を有するRNA-IN調節RNA-OUT RNAをコードするRNA-OUT RNA選択マーカーである。さらなる実施形態では、Pol I依存性複製起点及び抗生物質選択マーカーを含む上記細菌複製-選択領域は、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、及び配列番号17からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有するPol III依存性R6K起点-RNA-OUT RNA選択マーカー細菌複製-選択領域で置換される。さらなる実施形態では、上記構造化DNA配列は、ポリA反復、SV40複製起点、ウイルスLTR、レンチウイルスLTR、レトロウイルスLTR、トランスポゾンIR/DR反復、スリーピング・ビューティトランスポゾンIR/DR反復、AAV ITR、CMVエンハンサー、及びSV40エンハンサーからなる群から選択される。さらなる実施形態では、上記改良された複製は、複製中間体の生成の減少、及びプラスミドコピー数の増加からなる群から選択される。
【0093】
一実施形態では、本技術は、抗生物質マーカー不含の共有結合閉環状組換えDNA分子を提供し、a)逆方向反復配列、定方向反復配列、ホモポリマー反復配列、真核生物複製起点、及び真核生物プロモーターエンハンサー配列からなる群から選択される構造化DNA配列を含む抗生物質マーカー不含挿入物、b)配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4及び配列番号18からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有するR6Kガンマ複製起点を含むPol III依存性複製起点、並びにc)配列番号5及び配列番号7からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有するRNA-IN調節RNA-OUT機能性変異体を含むRNA-OUT RNA選択マーカーを含む。さらなる実施形態では、上記R6Kガンマ複製起点及び上記RNA-OUT RNA選択マーカーは、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、及び配列番号17からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有するR6K起点-RNA-OUT RNA選択マーカー細菌複製-選択領域を含む。さらなる実施形態では、上記構造化DNA配列は、ポリA反復、SV40複製起点、ウイルスLTR、レンチウイルスLTR、レトロウイルスLTR、トランスポゾンIR/DR反復、スリーピング・ビューティトランスポゾンIR/DR反復、AAV ITR、CMVエンハンサー、及びSV40エンハンサーからなる群から選択される。さらなる実施形態では、上記組換えDNA分子は、ウイルスベクター、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、AAVベクター、Adベクター、非ウイルス性トランスポゾンベクター、スリーピング・ビューティトランスポゾンベクター、PiggyBacトランスポゾンベクター、Tol2トランスポゾンベクター、及びポリA含有mRNAベクターからなる群から選択される。
【0094】
一実施形態では、本技術は、共有結合閉環状プラスミドからのAAVベクターウイルス形質導入ユニット生成を改良する方法を提供し、以下:a)i)Pol I依存性複製起点及び抗生物質選択マーカーを含む1kb以上の細菌複製-選択領域、及びii)AAVベクター、AAV rep capベクター、Adヘルパーベクター、及びAdヘルパーrep capベクターからなる群から選択される真核生物領域を含む挿入物を含む共有結合閉環状プラスミドを提供するステップ、b)a)の共有結合閉環状組換え分子を修飾して、Pol I依存性複製起点及び抗生物質選択マーカーを含む1kb以上の細菌複製-選択領域を1kb未満のPol III依存性R6K起点-RNA-OUT RNA選択マーカー細菌複製-選択領域で置換するステップを含み、それにより、得られたPol III依存性複製起点により共有結合閉環状プラスミドは、哺乳動物細胞にトランスフェクトされた場合にAAVウイルス形質導入ユニット生成が改良される。さらなる実施形態では、上記Pol I依存性複製起点は、pUC起点、pMB1起点、及びColE1起点からなる群から選択される。さらなる実施形態では、上記Pol III依存性R6K複製起点は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、及び配列番号18からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有するR6Kガンマ複製起点である。さらなる実施形態では、上記RNA-OUT RNA選択マーカーは、配列番号5及び配列番号7からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有するRNA-IN調節RNA-OUT機能性変異体である。さらなる実施形態では、上記RNA-OUT RNA選択マーカーは、配列番号6と少なくとも95%の配列同一性を有するRNA-IN調節RNA-OUT RNAをコードするRNA-OUT RNA選択マーカーである。さらなる実施形態では、上記1kb未満のPol III依存性R6K起点-RNA-OUT RNA選択マーカー細菌複製-選択領域は、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、及び配列番号17からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有する。
【0095】
一実施形態では、本技術は、共有結合閉環状プラスミドからのレトロウイルス又はレンチウイルスベクターウイルス形質導入ユニット生成を改良する方法を提供し、以下:a)i)Pol I依存性複製起点及び抗生物質選択マーカーを含む1kb以上の細菌複製-選択領域、及びii)レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、レトロウイルスエンベロープベクター、レンチウイルスエンベロープベクター、レトロウイルスパッケージングベクター及びレンチウイルスパッケージングベクターからなる群から選択される真核生物領域を含む挿入物を含む共有結合閉環状プラスミドを提供するステップ、並びにb)a)の共有結合閉環状組換え分子を修飾して、Pol I依存性複製起点及び抗生物質選択マーカーを含む1kb以上の細菌複製-選択領域を1kb未満のPol III依存性R6K起点-RNA-OUT RNA選択マーカー細菌複製-選択領域で置換するステップを含み、それにより、得られたPol III依存性複製起点により共有結合閉環状プラスミドは、哺乳動物細胞にトランスフェクトされた場合にウイルス形質導入ユニット生成が改良される。さらなる実施形態では、上記Pol I依存性複製起点は、pUC起点、pMB1起点、及びColE1起点からなる群から選択される。さらなる実施形態では、上記Pol III依存性R6K複製起点は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、及び配列番号18からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有するR6Kガンマ複製起点である。さらなる実施形態では、上記RNA-OUT RNA選択マーカーは、配列番号5及び配列番号7からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有するRNA-IN調節RNA-OUT機能性変異体である。さらなる実施形態では、上記RNA-OUT RNA選択マーカーは、配列番号6と少なくとも95%の配列同一性を有するRNA-IN調節RNA-OUT RNAをコードするRNA-OUT RNA選択マーカーである。さらなる実施形態では、上記1kb未満のPol III依存性R6K起点-RNA-OUT RNA選択マーカー細菌複製-選択領域は、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、及び配列番号17からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有する。
【0096】
一実施形態では、本発明は、共有結合閉環状非ウイルス性トランスポゾンプラスミドからの転移(transposition)を改良する方法を意図し、以下:a)i)Pol I依存性複製起点及び抗生物質選択マーカーを含む1kb以上の細菌複製-選択領域、及びii)トランスポゾンベクター、スリーピング・ビューティトランスポゾンベクター、スリーピング・ビューティトランスポザーゼベクター、PiggyBacトランスポゾンベクター、PiggyBacトランスポザーゼベクター、Tol2トランスポゾンベクター、Tol2トランスポザーゼベクターからなる群から選択される非ウイルス性真核生物領域を含む挿入物を含む共有結合閉環状プラスミドを提供するステップ、b)a)の共有結合閉環状組換え分子を修飾して、Pol I依存性複製起点及び抗生物質選択マーカーを含む1kb以上の細菌複製-選択領域を1kb未満のPol III依存性R6K起点-RNA-OUT RNA選択マーカー細菌複製-選択領域で置換するステップを含み、それにより、得られたPol III依存性複製起点により共有結合閉環状プラスミドは、哺乳動物細胞にトランスフェクトされた場合に転移が改良される。さらなる実施形態では、上記Pol I依存性複製起点は、pUC起点、pMB1起点、又はColE1起点からなる群から選択される。さらなる実施形態では、上記Pol III依存性R6K複製起点は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、及び配列番号18からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有するR6Kガンマ複製起点である。さらなる実施形態では、上記RNA-OUT RNA選択マーカーは、配列番号5、配列番号7からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有するRNA-IN調節RNA-OUT機能性変異体である。さらなる実施形態では、上記RNA-OUT RNA選択マーカーは、配列番号6と少なくとも95%の配列同一性を有するRNA-IN調節RNA-OUT RNAをコードするRNA-OUT RNA選択マーカーである。さらなる実施形態では、上記1kb未満のPol III依存性R6K起点-RNA-OUT RNA選択マーカー細菌複製-選択領域は、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有する。
【0097】
一実施形態では、本技術は、共有結合閉環状ウイルスベクター又は非ウイルス性トランスポゾンプラスミドからの発現を改良する方法を提供し、a)i)Pol I依存性複製起点及び抗生物質選択マーカーを含む1kb以上の細菌複製-選択領域、及びii)レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、及びAAVベクター又は非ウイルス性トランスポゾンベクターからなる群から選択される真核生物領域を含む挿入物を含む共有結合閉環状プラスミドを提供するステップ、並びにb)a)の共有結合閉環状組換え分子を修飾して、Pol I依存性複製起点及び抗生物質選択マーカーを含む1kb以上の細菌複製-選択領域を1kb未満のPol III依存性R6K起点-RNA-OUT RNA選択マーカー細菌複製-選択領域で置換するステップを含み、それにより、得られたPol III依存性複製起点により共有結合閉環状プラスミドは、哺乳動物細胞にトランスフェクトされた場合に発現が改良される。さらなる実施形態では、上記Pol I依存性複製起点は、pUC起点、pMB1起点、及びColE1起点からなる群から選択される。さらなる実施形態では、上記Pol III依存性R6K複製起点は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4及び配列番号18からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有するR6Kガンマ複製起点である。さらなる実施形態では、上記RNA-OUT RNA選択マーカーは、配列番号5及び配列番号7からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有するRNA-IN調節RNA-OUT機能性変異体である。さらなる実施形態では、上記RNA-OUT RNA選択マーカーは、配列番号6と少なくとも95%の配列同一性を有するRNA-IN調節RNA-OUT RNAをコードするRNA-OUT RNA選択マーカーである。さらなる実施形態では、上記1kb未満のPol III依存性R6K起点-RNA-OUT RNA選択マーカー細菌複製-選択領域は、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、及び配列番号17からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有する。
【0098】
一実施形態では、本技術は、共有結合閉環状ウイルスベクタープラスミドから抗生物質耐性マーカー遺伝子移入を排除する方法を提供し、以下:a)i)Pol I依存性複製起点及び抗生物質耐性マーカーを含む1kb以上の細菌複製-選択領域、及びii)ウイルスベクター、レンチウイルスベクター、レンチウイルスパッケージングベクター、レンチウイルスエンベロープベクター、レトロウイルスベクター、レトロウイルスエンベロープベクター、レトロウイルスパッケージングベクター、AAVベクター、AAV rep capベクター、Adヘルパーベクター、及びAdヘルパーrep capベクターからなる群から選択される、抗生物質耐性マーカー不含真核生物領域を含む挿入物を含む共有結合閉環状プラスミドを提供するステップ、並びにb)a)の共有結合閉環状組換え分子を修飾して、pol I依存性複製起点及び抗生物質選択マーカーを含む1kb以上の細菌複製-選択領域を1kb未満のPol III依存性R6K起点-RNA-OUT RNA選択マーカー細菌複製-選択領域で置換するステップを含み、それにより、得られたPol III依存性複製起点により共有結合閉環状プラスミドは、哺乳動物細胞にトランスフェクトされた場合にレンチウイルス、レトロウイルス又はAAV形質導入ウイルス粒子中にパッケージングされ得る抗生物質耐性マーカーを有しない。さらなる実施形態では、上記Pol I依存性複製起点は、pUC起点、pMB1起点、及びColE1起点からなる群から選択される。さらなる実施形態では、上記Pol III依存性R6K複製起点は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4及び配列番号18からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有するR6Kガンマ複製起点である。さらなる実施形態では、上記RNA-OUT RNA選択マーカーは、配列番号5及び配列番号7からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有するRNA-IN調節RNA-OUT機能性変異体である。さらなる実施形態では、上記RNA-OUT RNA選択マーカーは、配列番号6と少なくとも95%の配列同一性を有するRNA-IN調節RNA-OUT RNAをコードするRNA-OUT RNA選択マーカーである。さらなる実施形態では、上記1kb未満のPol III依存性R6K起点-RNA-OUT RNA選択マーカー細菌複製-選択領域は、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、及び配列番号17からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有する。
【0099】
一実施形態において、本技術は、共有結合閉環状非ウイルス性トランスポゾンプラスミドから抗生物質耐性マーカー遺伝子移入を排除する方法を提供し、以下a)i)Pol I依存性複製起点及び抗生物質耐性マーカーを含む1kb以上の細菌複製-選択領域、及びii)非ウイルス性トランスポゾンベクター、非ウイルス性トランスポザーゼベクター、スリーピング・ビューティトランスポゾンベクター、スリーピング・ビューティトランスポザーゼベクター、PiggyBacトランスポゾンベクター、PiggyBacトランスポザーゼベクター、Tol2トランスポゾンベクター、Tol2トランスポザーゼベクターからなる群から選択される抗生物質耐性マーカー不含真核生物領域を含む挿入物を含む共有結合閉環状プラスミドを提供するステップ、並びにb)a)の共有結合閉環状組換え分子を修飾して、Pol I依存性複製起点及び抗生物質選択マーカーを含む1kb以上の細菌複製-選択領域を1kb未満のPol III依存性R6K起点-RNA-OUT RNA選択マーカー細菌複製-選択領域で置換するステップを含み、それにより、得られたPol III依存性複製起点により共有結合閉環状プラスミドは、哺乳動物細胞にトランスフェクトされた場合にゲノムに転移され得る抗生物質耐性マーカーを有しない。さらなる実施形態では、上記Pol I依存性複製起点は、pUC起点、pMB1起点、及びColE1起点からなる群から選択される。さらなる実施形態では、上記Pol III依存性R6K複製起点は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4及び配列番号18からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有するR6Kガンマ複製起点である。さらなる実施形態では、上記RNA-OUT RNA選択マーカーは、配列番号5及び配列番号7からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有するRNA-IN調節RNA-OUT機能性変異体である。さらなる実施形態では、上記RNA-OUT RNA選択マーカーは、配列番号6と少なくとも95%の配列同一性を有するRNA-IN調節RNA-OUT RNAをコードするRNA-OUT RNA選択マーカーである。さらなる実施形態では、上記1kb未満のPol III依存性R6K起点-RNA-OUT RNA選択マーカー細菌複製-選択領域は、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、及び配列番号17からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有する。
【0100】
一実施形態では、本技術は、抗生物質マーカー不含の共有結合閉環状組換えDNA分子を提供し、a)レンチウイルスベクター、レンチウイルスエンベロープベクター、レンチウイルスパッケージングベクター、レトロウイルスベクター、レトロウイルスエンベロープベクター、レトロウイルスパッケージングベクター、AAVベクター、AAV rep capベクター、Adヘルパーベクター、Adヘルパーrep capベクター、非ウイルス性トランスポゾンベクター、及び非ウイルス性トランスポザーゼベクターからなる群から選択される真核生物領域を含む抗生物質マーカー不含挿入物、b)配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4及び配列番号18からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有するR6Kガンマ複製起点を含むPol III依存性複製起点、並びにc)配列番号5及び配列番号7からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有するRNA-IN調節RNA-OUT機能性変異体を含むRNA-OUT RNA選択マーカーを含む。さらなる実施形態では、上記R6Kガンマ複製起点及び上記RNA-OUT RNA選択マーカーは、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、及び配列番号17からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有するR6K起点-RNA-OUT RNA選択マーカー細菌複製-選択領域を含む。
【0101】
一実施形態では、本技術は、共有結合閉環状ウイルスベクター又は非ウイルス性トランスポゾンプラスミドからのトランスフェクション関連毒性を低減する方法を提供し、a)i)Pol I依存性複製起点及び抗生物質選択マーカーを含む1kb以上の細菌複製-選択領域、及びii)レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、AAVベクター及び非ウイルス性トランスポゾンベクターからなる群から選択される真核生物領域を含む挿入物を含む共有結合閉環状プラスミドを提供するステップ、a)の共有結合閉環状組換え分子を修飾して、Pol I依存性複製起点及び抗生物質選択マーカーを含む1kb以上の細菌複製-選択領域を1kb未満のPol III依存性R6K起点-RNA-OUT RNA選択マーカー細菌複製-選択領域で置換するステップを含み、それにより、得られたPol III依存性複製起点により共有結合閉環状プラスミドは、哺乳動物細胞に関連するトランスフェクションによってトランスフェクトされた場合に毒性が低減される。さらなる実施形態では、上記Pol I依存性複製起点は、pUC起点、pMB1起点、及びColE1起点からなる群から選択される。さらなる実施形態では、上記Pol III依存性R6K複製起点は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4及び配列番号18からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有するR6Kガンマ複製起点である。さらなる実施形態では、上記RNA-OUT RNA選択マーカーは、配列番号5及び配列番号7からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有するRNA-IN調節RNA-OUT機能性変異体である。さらなる実施形態では、上記RNA-OUT RNA選択マーカーは、配列番号6と少なくとも95%の配列同一性を有するRNA-IN調節RNA-OUT RNAをコードするRNA-OUT RNA選択マーカーである。さらなる実施形態では、上記1kb未満のPol III依存性R6K起点-RNA-OUT RNA選択マーカー細菌複製-選択領域は、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、及び配列番号17からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有する。
【0102】
得られたPol III依存性複製起点プラスミドは、親pMB1、ColE1又はpBR322由来の複製起点発現プラスミドベクターよりも驚くほどに製造品質及び収量が改良されている。
【0103】
本発明のさらなる目的及び利点は、図面及びこの後の説明の考察から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
図1A-D】図1A~1Fは、R6K起点(図1A、1E、及び1F)、RNA-OUT選択マーカー(図1B)、並びに14及び3 CpG R6K-RNA-OUT細菌骨格(図1C及び1D)を示す。
図1E-F】図1A~1Fは、R6K起点(図1A、1E、及び1F)、RNA-OUT選択マーカー(図1B)、並びに14及び3 CpG R6K-RNA-OUT細菌骨格(図1C及び1D)を示す。
図2図2A~2Bは、Pol I依存性pUC起点スリーピング・ビューティ(Sleeping Beauty)トランスポゾンベクター(図2A)及びPol III依存性R6K起点スリーピング・ビューティトランスポゾンベクター(図2B)を示す。
図3図3A~3Cは、Pol I依存性pUC起点AAVベクター(図3A及び3B)、並びにPol III依存性R6K起点AAVベクター(図3C)を示す。
図4図4A~4Fは、Pol I依存性pUC起点A60ポリA反復をコードするmRNAベクター(図4A~4B)、Pol III依存性R6K起点A60ポリA反復をコードするmRNAベクター(図4C)、Pol I依存性pUC起点A99ポリA反復をコードするmRNAベクター(図4D~4E)、及びPol III依存性R6K起点A99ポリA反復をコードするmRNAベクター(図4F)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0105】
表1:pVAX1哺乳動物発現ベクタースペーサー領域(SR)誘導体の発現レベル。
表2:NTC8685哺乳動物発現ベクタースペーサー領域(SR)誘導体の発現レベル。
表3:様々なウイルスベクター及び非ウイルスベクタープラットフォームを用いたミニサークル適用。
表4:pNTCマルチクローニングサイトが隣接するR6K起点-RNA-OUT選択マーカーベクター。
表5:SV40起点レンチウイルスベクター:pUC 対 R6K 起点振とうフラスコ生成収量/品質。
表6:スリーピング・ビューティトランスポゾンベクター:pUC 対 R6K起点振とうフラスコ生成収量/品質。
表7:AAVベクター:pUC 対 R6K起点振とうフラスコ生成収量/品質。
表8:mRNAベクター:pUC 対 R6K起点DH5α HyperGRO発酵収量/品質。
表9:AAVヘルパーベクター:pUC 対 R6K起点プラスミド生成収量/品質。
【0106】
配列番号1:R6Kガンマ起点
配列番号2:1 CpG R6Kガンマ起点
配列番号3:CpG不含R6Kガンマ起点
配列番号4:拡張R6Kガンマ起点
配列番号5:RNA-OUT選択マーカー
配列番号6:RNA-OUTアンチセンスリプレッサーRNA
配列番号7:2CpG RNA-OUT選択マーカー
配列番号8:NheIとKpnI制限部位が隣接するR6Kガンマ起点-RNA-OUT細菌領域
配列番号9:NpeIとKpnI制限部位が隣接する1CpG R6Kガンマ起点-2 CpG RNA-OUT細菌領域
配列番号10:pNTC-NP1ポリリンカーtrpA R6K-RNA-OUTポリリンカークローニングカセット:EcoRI/HindIII
配列番号11:pNTC-NP2ポリリンカーtrpA R6K-RNA-OUTポリリンカークローニングカセット:EcoRI/HindIII
配列番号12:pNTC-NP3ポリリンカーtrpA R6K-RNA-OUTポリリンカークローニングカセット:EcoRI/HindIII
配列番号13:pNTC-NP4ポリリンカーtrpA R6K-RNA-OUTポリリンカークローニングカセット:EcoRI/HinndIII
配列番号14:pNTC-NP5ポリリンカーtrpA R6K-RNA-OUTポリリンカークローニングカセット:KasI/HinndIII
配列番号15:pNTC-NP6ポリリンカーtrpA R6K-RNA-OUTポリリンカークローニングカセット:EcoRI/SacI
配列番号16:pNTC-NP7ポリリンカーtrpA R6K-RNA-OUTポリリンカークローニングカセット:BssHII/BssHII
配列番号17:pNTC-3xCpG NP1ポリリンカーR6K-RNA-OUTポリリンカークローニングカセット:HindIII/EcoRI
配列番号18:R6Kガンマ起点(7イテロン)
配列番号19:R6Kガンマ起点 22bpのイテロン反復
配列番号20:R6Kガンマ起点 22bpのイテロン反復
配列番号21:R6Kガンマ起点 22bpのイテロン反復
配列番号22:R6Kガンマ起点 22bpのイテロン反復
配列番号23:R6Kガンマ起点 22bpのイテロン反復
【0107】
用語の定義
AAVベクター:アデノ随伴ウイルスベクター、エピソームウイルスベクター。自己相補的(sc)アデノ随伴ウイルスベクター(scAAV)及び一本鎖(ss)アデノ随伴ウイルスベクター(ssAAV)を含む。
AF:抗生物質不含。
amp:アンピシリン。
ampR:アンピシリン耐性遺伝子。
抗生物質選択マーカー:抗生物質に対する耐性を付与する遺伝子、例えば、アンピシリン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、クロラムフェニコール耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子。
およそ:本明細書で使用するとき、「およそ」又は「約」という用語は、1つ以上の関心のある値に適用される場合、記述された参照値と同じあるかまた類似している値を指す。
細菌領域:細菌宿主における増幅及び選択に必要とされるプラスミドベクターの領域。
bp:塩基対
【0108】
ccc:共有結合閉環状(共有結合で閉じた環状)。
cI:ラムダリプレッサー。
cITs857:温度感受性を付与するCからTへの(AlaからThrへの)突然変異をさらに組み込んだラムダリプレッサー。cITs857は、28~30℃で機能的なリプレッサーであるが、37~42℃ではほとんど不活性である。cI857とも呼ばれる。
CatR:クロラムフェニコール耐性遺伝子。
cmv:サイトメガロウイルス。
dcmメチル化:2番目のシトシンのC5位にある配列CC(A/T)GGをメチル化した大腸菌(E. coli)メチルトランスフェラーゼ。
DNAレプリコン:それ自体の制御下で複製できる遺伝的エレメント。例としては、プラスミド、コスミド、細菌人工染色体(BAC)、バクテリオファージ、ウイルスベクター、及びそれらのハイブリッドなどが挙げられる。
【0109】
E.coli:大腸菌、グラム陰性菌。
EGFP:増強された緑色蛍光タンパク質。
EP:エレクトロポレーション。
真核生物発現ベクター:RNAポリメラーゼI、II又はIIIプロモーターを用いて、標的真核生物においてmRNA、タンパク質抗原、タンパク質治療薬、shRNA、RNA又はマイクロRNA遺伝子を発現させるためのベクター。
真核生物領域:真核生物配列及び/又は標的生物におけるプラスミド機能に必要とされる配列をコードするプラスミドの領域。これは、RNA Pol IIエンハンサー、プロモーター、導入遺伝子及びポリA配列を含む標的生物における1つ以上の導入遺伝子の発現に必要とされるプラスミドベクターの領域を含む。これはまた、RNA Pol I若しくはRNA Pol IIIプロモーター、RNA Pol I若しくはRNA Pol III発現導入遺伝子又はRNAを用いた標的生物における1つ以上の導入遺伝子の発現に必要とされるプラスミドベクターの領域も含む。真核生物領域は、他の機能的配列、例えば、真核生物転写ターミネーター、スーパーコイル誘導DNA二本鎖不安定化(SIDD)構造、S/MAR、境界エレメント等を任意に含み得る。レンチウイルス又はレトロウイルスベクターにおいて、真核生物領域は、隣接する定方向反復LTRを含み、AAVベクターにおいて、真核生物領域は、隣接する逆方向(inverted)末端反復を含み、一方、トランスポゾンベクターにおいて、真核生物領域は、隣接するトランスポゾン逆方向(inverted)末端反復又はIR/DR末端(例えば、スリーピング・ビューティ)を含む。ゲノム組み込み型ベクターでは、真核生物領域は、標的化組み込みを指示するための相同性アームをコードしてもよい。
エクソン:転写され、イントロンを除去するためのRNAスプライシングが完了した後に成熟mRNA産物内に存在する遺伝子によってコードされるヌクレオチド配列。
発現ベクター:標的生物におけるmRNA、タンパク質抗原、タンパク質治療薬、shRNA、RNA又はマイクロRNA遺伝子を発現させるためのベクター。
【0110】
g:グラム、キログラムについてはkg
目的の遺伝子:標的生物において発現される遺伝子。タンパク質又はペプチド抗原をコードするmRNA遺伝子、タンパク質治療薬又はペプチド治療薬、及びRNA治療薬をコードするmRNA、shRNA、RNA又はマイクロRNA、並びにRNAワクチンをコードするmRNA、shRNA、RNA又はマイクロRNAなどが含まれる。
Hr:時間(複数可)。
ID:皮内。
IM:筋肉内。
免疫反応:抗原反応性細胞(例えば、抗原反応性T細胞)又は抗体(例えば、抗原反応性IgG)反応。
イントロン:遺伝子によってコードされる、転写され、続いてRNAスプライシングによって成熟mRNA産物から除去されるヌクレオチド配列。
IR/DR:それぞれが定方向反復(Directly Repeated)を2回繰り返す逆方向反復(Inverted Repeat)。例えば、スリーピング・ビューティトランスポゾンIR/DR反復。
イテロン(Iteron):複製開始に必要な複製起点における定方向反復DNA配列。R6K起点のイテロン反復は22bp。
ITR:逆方向末端反復。
【0111】
kan:カナマイシン。
kanR:カナマイシン耐性遺伝子。
Kd:キロダルトン。
コザック配列:効率的な翻訳開始を確実にするATG開始コドンのすぐ上流の最適化コンセンサスDNA配列gccRccATG(R=G又はA)。ATG開始コドン(GTCGACATG)のすぐ上流にあるSalI部位(GTCGAC)は、有効コザック配列である。
【0112】
レンチウイルスベクター:分裂している細胞と分裂していない細胞に感染することができる組み込み型ウイルスベクター。レンチウイルストランスファープラスミドとも呼ばれる。プラスミドはレンチウイルスLTR隣接発現ユニットをコードしている。トランスファープラスミドは、ウイルス粒子を作るのに必要なレンチウイルスエンベロープ及びパッケージングプラスミドとともに生産細胞にトランスフェクションされる。
レンチウイルスエンベロープベクター:エンベロープ糖タンパク質をコードするプラスミド。
レンチウイルスパッケージングベクター:レンチウイルストランスファーベクターをパッケージングするのに必要なgag、pol及びRev機能を発現する1つ又は2つのプラスミド。
ミニサークル:細菌領域がインビボ若しくはインビトロの部位特異的組換え又はインビトロ制限消化/ライゲーションによって親プラスミドから除去されている共有結合閉環状プラスミド誘導体。ミニサークルベクターは、細菌細胞では複製不能である。
mRNA:メッセンジャーRNA。
mSEAP:マウス分泌アルカリホスファターゼ。
【0113】
NA:該当なし。
ナノプラスミド(商標)ベクター:RNA選択マーカーとR6K、ColE2又はColE2関連複製起点を組み合わせたベクター。例えば、NTC9385C、NTC9685C、NTC9385R、NTC9685Rベクター、及びWilliams、前掲2014年(これは参照により本明細書に含まれる)に記載されている修飾。
NTC8385:NTC8385、NTC8485及びNTC8685プラスミドは、抗生物質耐性マーカー、例えば、kanRの代わりに短いRNA(RNA-OUT)選択マーカーを含む抗生物質不含pUC起点ベクターである。これらのRNA-OUTに基づく抗生物質不含ベクターの作製及び適用は、参照により本明細書に含まれるWilliams, JA 2008年、国際特許出願第WO2008/153733号に記載されている。
NTC8485:NTC8485は、抗生物質耐性マーカー、例えば、kanRの代わりに短いRNA(RNA-OUT)選択マーカーを含む、抗生物質不含pUC起点ベクターである。NTC8485の作製及び適用は、参照により本明細書に含まれるWilliams, JA 2010年、米国特許出願第2010/0184158号に記載されている。
NTC8685:NTC8685は、抗生物質耐性マーカー、例えば、kanRの代わりに短いRNA(RNA-OUT)選択マーカーを含む、抗生物質不含pUC由来のベクターである。NTC8685の作製及び適用は、参照により本明細書に含まれるWilliams、前掲、2010年に記載されている。
NTC9385R:参照により本明細書に含まれるWilliams、前掲、2014年に記載されたNTC9385Rナノプラスミド(商標)ベクターは、隣接するNheI及びKpNI部位を介して真核生物領域に連結されたスペーサー領域をコードしたNheItrpAターミネーターR6K起点RNA-OUT-KpNI細菌領域(配列番号8)を有する。
【0114】
OD600:600nmにおける光学密度。
PAS:プリモソーム集合部位(Primosomal assembly site)。一本鎖DNA ssi部位でのDNA合成のプライミング。φX174型PAS:priAと結合するDNAヘアピン配列であり、それにより残りのタンパク質をリクルートしてプレプリモソームを形成し[priB、dnaTはdnaB(dnaCによって送達される)をリクルートする]、それによりプライマーゼ(dnaG)もリクルートし、最終的にはDNAポリメラーゼIの短いRNA基質を生成する。ABC型PAS:DNAヘアピンがdnaAと結合し、dnaB(dnaCによって送達される)をリクルートし、次いでプライマーゼ(dnaG)もリクルートし、次いで、最終的にDNAポリメラーゼIのための短いRNA基質を作る。例えば、R6KプラスミドCpG遊離ssiAプリモソーム集合部位、又は代替的なφX174型又はABC型プリモソーム集合部位。
PAS-BH:重(リーディング)鎖におけるプリモソーム集合部位。
PAS-BH領域:ROPとPAS-BLの間のpBR322起点領域(およそpBR322 2067~2351)。
PAS-BL:軽(ラギング)鎖におけるプリモソーム集合部位。
PBS:リン酸緩衝生理食塩水。
PCR:ポリメラーゼ連鎖反応。
pDNA:プラスミドDNA。
PiggyBacトランスポゾン:PB トランスポゾン:PBトランスポザーゼにより媒介される単純なカット及びペーストメカニズムによりITRが隣接するPBトランスポゾンをゲノムに組み込むトランスポゾンシステム。トランスポゾンベクターは典型的に、切除されてゲノムに組み込まれる、PB ITR間にプロモーター-導入遺伝子-polyA発現カセットを含む。
pINT pR pLベクター:pINT pR pL attHK022組込み発現ベクターは、参照により本明細書に含まれるLukeら、2011年 Mol Biotechnol 47巻:43頁に記載されている。発現させる標的遺伝子は、pLプロモーターの下流にクローン化される。ベクターは温度誘導性cI857リプレッサーをコードし、熱誘導性標的遺伝子の発現を可能にする。
PLプロモーター:ラムダプロモーター左(left)。PLは、cIリプレッサーがOL1、OL2及びOL3リプレッサー結合部位に結合することによって抑制される強力なプロモーターである。温度感受性cI857リプレッサーは、熱誘導による遺伝子発現の制御を可能にし、これは30℃でcI857リプレッサーが機能的であり、遺伝子発現を抑制するが、37~42℃でリプレッサーは不活性化され、そのため遺伝子発現が起こるためである。
PL(OL1 G→T)プロモーター:ラムダプロモーター左。PLは、cIリプレッサーがOL1、OL2及びOL3リプレッサー結合部位に結合することによって抑制される強力なプロモーターである。温度感受性cI857リプレッサーは、熱誘導による遺伝子発現の制御を可能にし、これは30℃でcI857リプレッサーが機能的であり、遺伝子発現を抑制するが、37~42℃でリプレッサーは不活性化され、そのため遺伝子の発現が起こるためである。OL1へのcIリプレッサーの結合は、Williams、前掲、2014年に記載されるように、30℃及び37~42℃でプロモーター活性の増加をもたらすOL1 GからTへの突然変異により減少する。
プラスミド:染色体DNAとは独立して複製することができる、染色体DNAと区別される余分な染色体DNA分子。
プラスミドコピー数:細胞あたりのプラスミドのコピー数。プラスミドコピー数の増加はプラスミド生成収率を増加させる。
Pol:ポリメラーゼ。
Pol I:大腸菌(Escherichia coli)DNAポリメラーゼI
Pol I依存性複製起点:Pol I、例えばpMB1、ColE1若しくはpBR322又は誘導体を必要とする複製起点(例えば高コピーpUC起点など)。これらの起点では、RNAIIプライマーがRNA:DNA Rループを形成し、それはRNase Hによって切断されて、DNA pol I指向性DNA合成のためのプライマーを形成する。その後、DNA合成はDNA pol IIIに変換される。数多くの追加のPol I依存性複製起点が当技術分野で知られており、その多くはdel Solar et al., 1998 Microbiol. Mol. Biol. Rev 62:434-464に要約されており、これは参照により本明細書に含まれる。
Pol III:大腸菌(Escherichia coli)DNAポリメラーゼIII。
Pol III依存性複製起点:Pol Iを必要としない複製起点、例えば、repタンパク質依存性R6Kガンマ複製起点。多数の追加のPol III依存性の複製起点が当技術分野で知られており、その多くは、del Solar et al., 1998(前掲)(参照により本明細書に含まれる)に要約されている。
ポリA(polyA):ポリアデニル化シグナル又は部位。ポリアデニル化は、RNA分子へのポリ(A)テールの付加である。ポリアデニル化シグナルは、RNA切断複合体によって認識される配列モチーフを含む。ほとんどのヒトポリアデニル化シグナルは、AAUAAAモチーフとそれに対する5'及び3'の保存配列を含む。一般的に利用されるポリAシグナルは、ウサギβグロビン、ウシ成長ホルモン、SV40初期、又はSV40後期ポリAシグナルに由来する。
pUC起点:高温でコピー数を増加させるGからAへの転移、及びROP陰性調節因子の欠失を伴うpBR322由来の複製起点。
pUC不含:pUC起点を含有しないプラスミド。pUC起点の非複製フラグメント、例えば、RNAI選択マーカーが含まれ得る。
pUCプラスミド:pUC起点を含むプラスミド。
【0115】
R6Kプラスミド:NTC9385R、NTC9685R、NTC9385R2-O1、NTC9385R2-O2、NTC9385R2a-O1、NTC9385R2a-O2、NTC9385R2b-O1、NTC9385R2b-O2、NTC9385Ra-O1、NTC9385Ra-O2、NTC9385RaF、及びNTC9385RbFベクター、並びに参照により本明細書に含まれるWilliams、前掲、2014年に記載されているR6K複製起点を含む修飾及び代替のベクター。当技術分野において公知である代替のR6Kベクターには、限定されないが、pCORベクター(Gencell)、pCpGfreeベクター(Invivogen)、及びpGM169を含むCpG不含オックスフォード大学ベクターを含む。
R6K複製起点:DNA複製を開始するためにR6K Repタンパク質によって特異的に認識される領域。限定されないが、配列番号1、配列番号2、配列番号4及び配列番号18として開示されているR6Kガンマ複製起点配列を含む。また、Drocourtら、米国特許第7,244,609号に記載され、参照により本明細書に組み込まれるCpG不含バージョン(例えば、配列番号3)が含まれる。
R6K複製起点-RNA-OUT細菌領域:増幅のためのR6K複製起点及びRNA-OUT選択マーカーを含む(例えば、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17)。
Rep:複製。
複製中間体:プラスミド複製の早発終結から生じる線状DNAフラグメント。
Repタンパク質依存性プラスミド:複製がTransに提供される複製(Rep)タンパク質に依存するプラスミド。例えば、Repタンパク質が宿主株ゲノムから発現されるR6K複製起点、ColE2-P9複製起点及びColE2関連複製起点プラスミド。多数のさらなるRepタンパク質依存性プラスミドは当技術分野において公知であり、それらの多くは、参照により本明細書に含まれるdel Solarら、前掲、1998年に要約されている。
レトロウイルスベクター:分裂細胞に感染することができる組込みウイルスベクター。トランスファープラスミドとも呼ばれる。プラスミドは、レトロウイルスLTRが隣接する発現単位をコードする。トランスファープラスミドは、ウイルス粒子を作製するのに必要なエンベロープ及びパッケージングプラスミドとともに産生細胞にトランスフェクトされる。
レトロウイルスエンベロープベクター:エンベロープ糖タンパク質をコードするプラスミド。
レトロウイルスパッケージングベクター:レトロウイルストランスファー(transfer)ベクターに必要なレトロウイルスgag、pol遺伝子をコードするプラスミド。
RNA-IN:挿入配列10(IS10)をコードするRNA-IN、RNA-OUTの一部に対して相補的であり、アンチセンスであるRNA。RNA-INがmRNAの非翻訳リーダーにクローニングされている場合、RNA-OUTへのRNA-INのアニーリングは、RNA-INの下流にコードされる遺伝子の翻訳を減少させる。
RNA-IN調節選択マーカー:遺伝的に発現されるRNA-IN調節選択マーカー。プラスミド保有のRNA-OUTアンチセンスリプレッサーRNA(配列番号6)の存在下で、RNA-INの下流にコードされるタンパク質の発現が抑制される。RNA-IN調節選択マーカーは、RNA-INが、1)上記細胞それ自体に対して又は毒性物質(例えば、SacB)を生じさせることによって、致死的若しくは毒性であるタンパク質、或いは2)上記細胞の増殖に必須である遺伝子(例えば、RNA-IN tetRリプレッサー遺伝子によって調節されるmurA必須遺伝子)の転写を抑制することによって、上記細菌細胞に対して致死的又は毒性であるリプレッサータンパク質、のいずれかを調節するように構成される。例えば、RNA-OUTプラスミド選択/増幅のための遺伝的に発現されたRNA-IN-SacB細胞株は、参照により本明細書に含まれるWilliams、前掲、2008年に記載されている。当技術分野において記載されている代替の選択マーカーは、SacBの代わりに使用され得る。
RNA-OUT:挿入配列10(IS10)をコードするRNA-OUT、RNA-INの下流に発現されるトランスポゾン遺伝子にハイブリダイズし、その翻訳を減少させるアンチセンスRNA。RNA-OUT RNAの配列(配列番号6)及び相補的RNA-IN SacBを遺伝的に発現するRNA-IN-SacB細胞株は修飾されて、代替の機能的RNA-IN/RNA-OUT結合対、例えば、Mutalikら、2012年 Nat Chem Biol 8巻:447頁に記載されている対を組み込むことができ、これには、限定されないが、RNA-OUT A08/RNA-IN S49対、RNA-OUT A08/RNA-IN S08対、及びRNA-OUT 5'TTCGC配列中のCGを非CpG配列に修飾するRNA-OUT A08のCpG不含修飾が含まれる。RNA-OUT RNA中の2つのCpGモチーフ(そのうちの1つはRNA-IN相補的領域中に存在する)が除去されているCpG不含RNA-OUT選択マーカーの例は、Williams 2015に記載されていた。発現が改善された複製ミニサークルベクター。米国特許出願第2015/0275221号は、参照により本明細書に含まれる。2つのCpGモチーフを除去するための多数の代替置換(各CpGをCpA、CpC、CpT、ApG、GpG、又はTpGのいずれかに突然変異させる)を利用して、CpG不含RNA-OUTを作製し得る。
RNA-OUT選択マーカー: RNA-OUT RNAに隣接する大腸菌転写プロモーター及びターミネーター配列を含むRNA-OUT選択マーカーDNAフラグメント。DraIIIとKpnI制限酵素部位が隣接する、RNA-OUTプロモーター及びターミネーター配列を利用するRNA-OUT選択マーカー、並びにRNA-OUTプラスミド増幅のためのデザイナー遺伝的に発現するRNA-IN-SacB細胞株は、参照により本明細書に含まれるWilliams、前掲、2008年に記載されている。RNA-OUT RNA(配列番号6、図1B)に隣接する配列番号5中のRNA-OUTプロモーター及びターミネーター配列は、異種プロモーター及びターミネーター配列で置換され得る。例えば、RNA-OUTプロモーターは、当技術分野において公知であるCpG不含プロモーター、例えば、I-EC2Kプロモーター、又は参照により本明細書に含まれるWilliams、前掲、2008年に記載されているP5/6 5/6若しくはP5/6 6/6プロモーターに置換され得る。RNA-OUTプロモーター中の2つのCpGモチーフが除去されている2CpG RNA-OUT選択マーカーは、配列番号7として示される。RNA-OUT RNA中の2つのCpGモチーフ(そのうちの1つはRNA-IN相補的領域に存在する)及びRNA-OUTプロモーター中の2つのCpGモチーフが除去されているCpG不含RNA-OUT転写単位の例は、参照により本明細書に含まれるWilliams、前掲、2015年に記載されている。CpG不含RNA-OUT選択マーカーを組み込んだベクターは、Williams、前掲、2008年に記載されているRNA-OUTプラスミド増幅のためのRNA-IN-SacB細胞株を用いて、スクロース耐性について選択され得る。或いは、これらの細胞株中のRNA-IN配列は、RNA-INに相補的なCpG不含RNA-OUT領域と完全に一致するのに必要な1bpの変化を組み込むように修飾することができる。
RNAポリメラーゼIIプロモーター:RNAポリメラーゼIIを動員してmRNA、ほとんどの小核RNA及びマイクロRNAを合成するプロモーター。例として、構成的プロモーター、例えば、ヒト又はマウスのCMVプロモーター、伸長因子1(EF1)プロモーター、ニワトリβ-アクチンプロモーター、他の種由来のβ-アクチンプロモーター、伸長因子-1α(EF1α)プロモーター、ホスホグリセロキナーゼ(PGK)プロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター、ヒト血清アルブミン(SA)プロモーター、脾臓フォーカス形成ウイルス(SFFV)プロモーター、α-1アンチトリプシン(AAT)プロモーター、チロキシン結合グロブリン(TBG)プロモーター、チトクロームP450 2E1(CYP2E1)プロモーターなど。ベクターはまた、組み合わせプロモーター、例えば、ニワトリβ-アクチン/CMVエンハンサー(CAG)プロモーター、伸長因子1α(EF1α)プロモーターと組み合わせたヒト若しくはマウスCMV由来エンハンサーエレメント、伸長因子1α(EF1α)プロモーターと組み合わせたヒト若しくはマウスCMV由来のエンハンサーエレメントのCpG不含バージョン、α-フェトプロテインMERIIエンハンサーと組み合わせたアルブミンプロモーター等、又は当技術分野において公知である多様な組織特異的若しくは誘導性プロモーター、例えば、筋肉特異的プロモーター筋肉クレアチンキナーゼ(MCK)、及びC5-12又は肝臓特異的プロモーターアポリポタンパク質A-1(ApoAI)などを利用し得る。
RNAポリメラーゼIIIプロモーター:RNAポリメラーゼIIIを動員して、tRNA、5SリボソームRNA、及び他の低分子RNAを合成するプロモーター。例として、クラスIプロモーター、例えば5s rRNAプロモーター、クラスIIプロモーター、例えばtRNAプロモーター、クラスIIIプロモーター、例えばU6小核RNAプロモーター又はH1核RNase Pプロモーターなど。
RNA選択マーカー:RNA選択マーカーは、染色体上に発現される標的遺伝子を調節して選択を可能にするプラスミド保有の発現非翻訳RNAである。これは、参照により本明細書に含まれるCrouzet J及びSoubrier F 2005年、米国特許第6,977,174号に記載されるナンセンス抑制性選択可能染色体標的を調節するプラスミド保有のナンセンス抑制tRNAであり得る。これはまた、プラスミド保有のアンチセンスリプレッサーRNAであり得、参照により本明細書に含まれる非限定的なリストには、RNA-IN調節標的を抑制するRNA-OUT(Williams、前掲、2008年)、RNAII調節標的を抑制するRNAIをコードするpMB1プラスミド起点(Grabherr R、PfaffeNzeller I. 2006年、米国特許出願公開第2006/0063232号;CraNeNburgh RM. 2009年;米国特許第7,611,883号)、RNAII調節標的を抑制するRNAIをコードするIncBプラスミドpMU720起点(Wilson IW、Siemering KR、Praszkier J、Pittard AJ. 1997年. J Bacteriol 179巻:742-53頁)、Hok調節標的を抑制するプラスミドR1のParB遺伝子座Sok、flmA調節標的を抑制するFプラスミドのFlm遺伝子座FlmB(Morsey MA、1999年、米国特許第5,922,583号)を含む。RNA選択マーカーは、当技術分野において公知である別の天然アンチセンスリプレッサーRNA、例えば、Wagner EGH、Altuvia S、Romby P. 2002年. Adv Genet 46巻:361-98頁、Franch T及びGerdes K. 2000年. Current Opin Microbiol 3巻:159-64頁に記載されているものであり得る。RNA選択マーカーはまた、操作されたリプレッサーRNA、例えば、Na D、Yoo SM、Chung H、Park H、Park JH、Lee SY. 2013年. Nat Biotechnol 31巻:170-4頁に記載されるSgrS、MicC又はMicF足場を発現する合成低分子RNAであり得る。RNA選択マーカーはまた、調節される標的遺伝子に融合した標的RNAを抑制する選択マーカーの一部としての操作されたリプレッサーRNA、例えば、Williams、前掲、2015年に記載されるSacBであり得る。
ROP:プライマーのリプレッサー。
RSM:RNA選択マーカー。
【0116】
SacB:枯草菌レバンスクラーゼをコードする構造遺伝子。グラム陰性菌におけるSacBの発現はスクロースの存在下では毒性である。
SD:標準偏差。
SEAP:分泌型アルカリホスファターゼ。
選択(selectable)マーカー:選択マーカー、例えば、カナマイシン耐性遺伝子又はRNA選択マーカー。
選択(selection)マーカー:選択マーカー、例えば、カナマイシン耐性遺伝子又はRNA選択マーカー。
SIDD:スーパーコイル誘導DNA二本鎖不安定化(SIDD)構造。これらの部位は、ベクターに組み込まれた場合、不安定化されるようにベクター内の他の配列の感受性を変更し得る。これは機能を変更することができる。例えば、発現ベクターへのSIDD部位の付加は、プロモーターのらせん不安定化を減少させ得る。これは、一部のプロモーターがプロモーターのらせん状不安定化により発現が増加し、一方、他のものはプロモーターのらせん状不安定化により発現が減少したため、プロモーターに応じてプロモーター活性を増加又は減少させ得る。
shRNA:短鎖ヘアピンRNA。
S/MAR:足場/マトリックス付着領域。核マトリックスへのDNAの付着を媒介する真核生物の配列。
スリーピング・ビューティ(Sleeping Beauty)トランスポゾン:SBトランスポゾン。SBトランスポザーゼによって媒介される単純なカット及びペーストメカニズムによりIR/DRが隣接するSBトランスポゾンをゲノムに組み込むトランスポゾンシステム。トランスポゾンベクターは典型的に、切除されてゲノムに組み込まれる、IR/DR間にプロモーター-導入遺伝子-polyA発現カセットを含む。
スペーサー領域:本明細書で使用するとき、スペーサー領域は、真核生物領域配列の5'及び3'末端を連結する領域である。真核生物領域の5'及び3'末端は、典型的には、プラスミドベクター(細菌領域)中の細菌複製起点及び細菌選択マーカーによって分離され、多くのスペーサー領域が細菌領域からなる。本発明の複製ベクターのPol III依存性起点において、このスペーサー領域は好ましくは1000bp未満である。
SR:スペーサー領域。
ssi一本鎖開始配列。
構造化DNA配列:本明細書で使用されるように、複製阻害二次構造を形成することが可能なDNA配列(Mirkin and Mirkin, 2007. Microbiology and Molecular Biology Reviews 71:13-35)。これには、逆方向反復、パリンドローム、定方向反復、IR/DR、ホモポリマー反復、又は真核生物プロモーターエンハンサーを含む反復、又は真核生物複製起点を含む反復が含まれるが、これらに限定されない。
SV40起点:複製起点を含むシミアンウイルス40ゲノムDNA。
SV40エンハンサー:72bp及び場合により21bpのエンハンサー反復を含むシミアンウイルス40ゲノムDNA。
【0117】
標的抗原:これに対して免疫反応を起こすことができる免疫原性タンパク質若しくはペプチドエピトープ、又はタンパク質とエピトープの組み合わせ。標的抗原は、感染症又はアレルギー適用のための病原体に由来し得、又は適用、例えば、癌、アレルギー、若しくは自己免疫疾患のために宿主生物に由来し得る。標的抗原は、当技術分野において十分に定義されている。いくつかの例は、参照により本明細書に含まれるWilliams、前掲、2008年に記載されている。
TEバッファー:約10mMのTris(pH8)及び1mMのEDTAを含む溶液。
TetR:テトラサイクリン耐性遺伝子。
Tol2トランスポゾン:Tol2トランスポザーゼによって媒介される単純なカット及びペーストメカニズムによりITRが隣接するTol2トランスポゾンをゲノムに組み込むトランスポゾンシステム。トランスポゾンベクターは典型的に、切除されてゲノムに組み込まれる、Tol2 ITR間にプロモーター-導入遺伝子-polyA発現カセットを含む。
転写ターミネーター:細菌: 転写のために遺伝子又はオペロンの末端をマークするDNA配列。これは、内在性転写ターミネーター又はRho依存性転写ターミネーターであり得る。内在性ターミネーター、例えば、trpAターミネーターの場合、mRNA-DNA-RNAポリメラーゼ三元複合体を破壊するヘアピン構造が転写物内に形成される。或いは、Rho依存性転写ターミネーターは、新生mRNA-DNA-RNAポリメラーゼ三元複合体を破壊するためにRho因子、RNAヘリカーゼタンパク質複合体を必要とする。真核生物:PolyAシグナルは「ターミネーター」ではなく、代わりにPolyA部位での内部切断はヌクレアーゼ消化のために3'UTR RNAに、キャップされていない5'末端を残す。ヌクレアーゼは、RNA Pol IIに追いつき、終結を引き起こす。RNA Pol II休止部位(真核生物転写ターミネーター)の導入により、終結はポリA部位の短い領域内で促進することができる。RNA Pol IIの休止は、PolyA切断後に3'UTR mRNAに導入されたヌクレアーゼが休止部位でRNA Pol IIに追いつくことを可能にする。当技術分野において公知である真核生物転写ターミネーターの非限定的なリストには、C2×4及びガストリンターミネーターが含まれる。真核生物転写ターミネーターは、mRNAの適切な3'末端プロセシングを増強することによって、mRNAレベルを上昇させ得る。
トランスフェクション:当技術分野において公知であり、参照により本明細書に含まれる、核酸を細胞内に送達させるための方法[例えば、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)、ISCOM、リポソーム、ニオソーム、ビロソーム、ブロックコポリマー、プルロニック(登録商標)ブロックコポリマー、キトサン、及び他の生分解性ポリマー、ミクロ粒子、ミクロスフェア、リン酸カルシウムナノ粒子、ナノ粒子、ナノカプセル、ナノスフェア、ポロキサミンナノスフェア、エレクトロポレーション、ヌクレオフェクション、圧電透過処理、ソノポレーション、イオントフォレシス、超音波、SQZ高速細胞変形媒介膜破壊、コロナプラズマ、プラズマ促進送達、組織耐性プラズマ、レーザーマイクロポレーション、衝撃波エネルギー、磁場、非接触透磁性、遺伝子銃、マイクロニードル、マイクロダーマブレーション(microdermabrasion)、流体力学的送達、高圧尾静脈注射など]。
導入遺伝子:標的生物における発現のためにベクターにクローニングされた目的の遺伝子。
トランスポザーゼベクター:トランスポザーゼをコードするベクター。
トランスポゾンベクター:トランスポザーゼが媒介する遺伝子組み込みの基質であるトランスポゾンをコードするベクター。
ts:温度感受性。
【0118】
μg:マイクログラム。
μl:マイクロリットル。
UTR:mRNAの非翻訳領域(5'又は3'からコード領域まで)。
ベクター:ウイルス(例えば、アルファウイルス、ポックスウイルス、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノウイルス関連ウイルスなど)及び非ウイルス(例えば、プラスミド、MIDGE、転写活性PCRフラグメント、ミニサークル、バクテリオファージなど)ベクターを含む遺伝子送達ビヒクル。これらは、当技術分野において周知であり、参照により本明細書に含まれる。
ベクター骨格:導入遺伝子又は標的抗原コード領域を含まない、ベクターの真核生物領域及び細菌領域。
【0119】
[好ましい実施形態の詳細な説明]
本技術は、一般的に、短い1kb未満の細菌領域プラスミドDNAベクターの方法及び組成物に関し、これはプラスミドの製造収量及び品質を改善し、トランスフェクションに関連する毒性を低減し、導入遺伝子発現を増大する。本技術は、ベクター、例えば、非ウイルスベクター(トランスポゾンベクター、トランスポザーゼベクター、スリーピング・ビューティトランスポゾンベクター、スリーピング・ビューティトランスポザーゼベクター、PiggyBacトランスポゾンベクター、PiggyBacトランスポザーゼベクター、発現ベクターなど)、及びウイルスベクター(例えば、AAVベクター、AAV rep capベクター、AAVヘルパーベクター、Adヘルパーベクター、レンチウイルスベクター、レンチウイルスエンベロープベクター、レンチウイルスパッケージングベクター、レトロウイルスベクター、レトロウイルスエンベロープベクター、レトロウイルスパッケージングベクターなど)の発現及び製造を改善するために実施することができる。
【0120】
改善されたプラスミド発現は、pUC複製起点をコードする細菌領域を含む、導入遺伝子をコードするプラスミドと比較して、改善された導入遺伝子発現レベル及び/又はインビトロ若しくはインビボでの発現期間として本明細書において定義される。本明細書において引用された全ての参考文献は、それらの全体が参照として援用されることを理解されたい。
【0121】
本技術のプラスミド修飾の方法は、驚くべきことに、効率的な高収量製造を有する、構造化DNA配列を含む短いスペーサー領域のベクターを提供するための解決手段を提供することが見出された。
【0122】
本明細書で使用するとき、用語「配列同一性」とは、任意の所与のクエリー配列間、例えば、配列番号2と対象配列間の同一性の程度を指す。対象配列は、例えば、所与のクエリー配列と、少なくとも90パーセント、少なくとも95パーセント、又は少なくとも99パーセントの配列同一性を有し得る。配列同一性パーセントを決定するために、当技術分野において周知である任意の適切な配列アラインメントプログラム、例えばコンピュータプログラムClustalW(バージョン1.83、デフォルトパラメーター)を使用して、クエリー配列(例えば、核酸配列)を1つ以上の対象配列にアライメントさせる。これは、核酸配列のアラインメントをそれらの全長にわたって実行することを可能にする(グローバルアラインメント)。Chemaら、2003年 Nucleic Acids Res.、31巻:3497-500頁。好ましい方法では、配列アラインメントプログラム(例えば、ClustalW)は、クエリーと1つ以上の対象配列との間の最良の一致を計算し、同一性、類似性、及び差異が決定され得るようにそれらをアライメントさせる。1つ以上のヌクレオチドのギャップは、配列アラインメントを最大にするために、クエリー配列、対象配列、又はそれらの両方に挿入することができる。核酸配列の高速ペアワイズアラインメントについて、特定のアラインメントプログラムに適した適切なデフォルトパラメーターを選択することができる。出力は、配列間の関係を反映する配列アラインメントである。クエリー配列に対する対象核酸配列の同一性パーセントをさらに決定するために、配列はアライメントプログラムを用いてアライメントされ、アライメントにおける同一の一致数をクエリー配列の長さで割り、結果を100倍する。パーセント同一性の値は、最も近い10分の1に四捨五入することができることに留意されたい。例えば、78.11、78.12、78.13、及び78.14は78.1に切り捨てられ、78.15、78.16、78.17、78.18、及び78.19は78.2に切り上げられる。
【0123】
ここで図面を参照する。図1A~1Fは、以下の注釈付きマップを示す。図1A)R6K起点を、22bpイテロン反復、DnaAボックス1及び2、並びに配列番号1、2、3及び4のR6K起点に含まれる領域の位置とともに示す;図1B)配列番号5 RNA-OUT選択マーカーをRNA-OUTプロモーター-35及び-10エレメント、RNA-IN相補的相同性領域及びRNA-OUTターミネーター3'ヘアピンを含む配列番号6 RNA-OUTアンチセンスRNAの位置とともに示す。図1C) 配列番号1 R6K複製起点及び配列番号5 RNA-OUT選択マーカーから構成される14 CpG R6K-RNA-OUT細菌骨格であって、R6K起点の上流のtrpA細菌ターミネーターを含み、NheI及びKpnIクローニング部位が隣接するものを示す;図1D)配列番号2 1x CpG R6K複製起点及び配列番号7 2x CpG RNA-OUT選択マーカーから構成される3 CpG R6K-RNA-OUT細菌骨格であって、NheI及びKpnIクローニング部位が隣接するものを示す;図1E)配列番号1からのR6K起点であり、6つのイテロンの位置が強調されている。個々の22bpのイテロン反復配列は、起点マップの下に示されている;図1F)配列番号18からのR6K起点で、7つのイテロンの位置が強調されている。個々の22bpイテロン反復配列は、起点マップの下に示されている。この例では、7イテロンベクターイテロン5がタンデム重複しているが、本発明の7イテロンベクターは、イテロン1、2、3、4、5又は6のいずれかのタンデム重複によって得ることができる。
【0124】
図2A~2Bは、以下の注釈付きマップを示す。図2A)Pol I依存性pUC起点-カナマイシン選択スリーピング・ビューティトランスポゾンベクターpUC57-Kan SB1(表6を参照);図2B)PolIII依存性R6K起点-RNA-OUT抗生物質不含選択スリーピング・ビューティトランスポゾンベクターNTC9 SB1(表6を参照)。細菌骨格複製起点及び選択マーカーに対する左右のスリーピング・ビューティIR/DRの位置が示されている。
【0125】
図3A~3Cは、以下の注釈付きマップを示す。図3A)Pol I依存性pUC起点-アンピシリン選択AAVベクターpAAV(表7参照);図3B)Pol I依存性pUC起点-RNA-OUT抗生物質不含選択AAVベクターNTC8-AAV(表7参照);図3C)Pol III依存性R6K起点-RNA-OUT抗生物質不含選択AAVベクターNTC9-AAV(表7参照)。細菌骨格複製起点及び選択マーカーに対する左右のAAV ITRの位置が示されている。
【0126】
図4A~4Fは、以下の注釈付きマップを示す。図4A)Pol I依存性pUC起点-アンピシリン選択A60 polyA反復をコードするmRNAベクターpGEM4Z T7 A60 pA(表8参照);図4B)Pol I依存性pUC起点-RNA-OUT抗生物質不含選択A60 polyA反復をコードするmRNAベクターNTC8-T7 A60 pA(表8参照);図4C)Pol III依存性R6K起点-RNA-OUT抗生物質不含選択A60 polyA反復をコードするmRNAベクターNTC8-T7 A60 pA(表8参照);図4D)Pol I依存性pUC起点-アンピシリン選択A99 polyA反復をコードするmRNAベクターpT3/T7 A99 pA(表8を参照);図4E)Pol I依存性pUC起点-kanR選択A99 polyA反復をコードするmRNAベクターNTC7-T7 A99 pA(表8を参照);図4F)Pol III依存性R6K起点-RNA-OUT抗生物質不含選択A99 polyA反復をコードするmRNAベクターNTC9-T7 A99 pA(表8を参照)。細菌骨格複製起点及び選択マーカーに対するA60又はA99 polyA反復の位置が示されている。
本発明は、例えば以下の実施形態を包含する:
[実施形態1]共有結合閉環状プラスミドの複製を改善する方法であって、
a.以下:
i.Pol I依存性複製起点、及び
ii.逆方向反復配列、定方向反復配列、ホモポリマー反復配列、真核生物複製起点又は真核生物プロモーターエンハンサー配列からなる群から選択される構造化DNA配列を含む挿入物であって、構造化DNA配列が複製の方向におけるPol I依存性複製起点から1000bp未満の距離に位置する、上記挿入物
を含む共有結合閉環状プラスミドを提供するステップ、並びに
b.a.の共有結合閉環状組換え分子を修飾して、Pol I依存性複製起点をPol III依存性複製起点に置換するステップを含み、それにより、得られたPol III依存性複製起点により共有結合閉環状プラスミドは複製が改良される、上記方法。
[実施形態2]前記Pol I依存性複製起点が、pUC起点、pMB1起点、及びColE1起点からなる群から選択される、実施形態1に記載の方法。
[実施形態3]前記Pol III依存性複製起点がR6Kガンマ複製起点である、実施形態1に記載の方法。
[実施形態4]前記Pol III依存性複製起点が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4及び配列番号18からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有するR6Kガンマ複製起点である、実施形態1に記載の方法。
[実施形態5]前記構造化DNA配列が、ポリA反復、SV40複製起点、ウイルスLTR、レンチウイルスLTR、レトロウイルスLTR、トランスポゾンIR/DR反復、スリーピング・ビューティトランスポゾンIR/DR反復、AAV ITR、トランスポゾンITR、PiggyBacトランスポゾンITR、CMVエンハンサー、及びSV40エンハンサーからなる群から選択される、実施形態1に記載の方法。
[実施形態6]前記改良された複製が、複製中間体の生成の減少及びプラスミドコピー数の増加からなる群から選択される、実施形態1に記載の方法。
[実施形態7]共有結合閉環状プラスミドの複製を改良する方法であって、
a.以下:
i.Pol I依存性複製起点及び抗生物質選択マーカーを含む細菌複製-選択領域、及び
ii.逆方向反復配列、定方向反復配列、ホモポリマー反復配列、真核生物複製起点、及び真核生物プロモーターエンハンサー配列からなる群から選択される構造化DNA配列を含む挿入物であって、構造化DNA配列が複製の方向におけるPol I依存性複製起点から1000bp未満の距離に位置する、上記挿入物
を含む共有結合閉環状プラスミドを提供するステップ、並びに
b.a.の共有結合閉環状組換え分子を修飾して、抗生物質選択マーカーをRNA選択マーカーに置換し、Pol I依存性複製起点をPol III依存性複製起点に置換するステップを含み、それにより、得られたPol III依存性複製起点により共有結合閉環状プラスミドは複製が改良される、上記方法。
[実施形態8]前記Pol I依存性複製起点が、pUC起点、pMB1起点、及びColE1起点からなる群から選択される、実施形態7に記載の方法。
[実施形態9]前記Pol III依存性複製起点がR6Kガンマ複製起点である、実施形態7に記載の方法。
[実施形態10]前記Pol III依存性複製起点が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4及び配列番号18からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有するR6Kガンマ複製起点である、実施形態7に記載の方法。
[実施形態11]前記RNA選択マーカーが、配列番号5及び配列番号7からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有するRNA-IN調節RNA-OUT機能性変異体である、実施形態7に記載の方法。
[実施形態12]前記RNA選択マーカーが、配列番号6と少なくとも95%の配列同一性を有するRNA-IN調節RNA-OUT RNAをコードするRNA-OUT RNA選択マーカーである、実施形態7に記載の方法。
[実施形態13]Pol I依存性複製起点及び抗生物質選択マーカーを含む前記細菌複製-選択領域が、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、及び配列番号17からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有するPol III依存性R6K起点-RNA-OUT RNA選択マーカー細菌複製-選択領域で置換される、実施形態7に記載の方法。
[実施形態14]前記構造化DNA配列が、ポリA反復、SV40複製起点、ウイルスLTR、レンチウイルスLTR、レトロウイルスLTR、トランスポゾンIR/DR反復、スリーピング・ビューティトランスポゾンIR/DR反復、AAV ITR、トランスポゾンITR、PiggyBacトランスポゾンITR、CMVエンハンサー、及びSV40エンハンサーからなる群から選択される、実施形態7に記載の方法。
[実施形態15]前記改良された複製が、複製中間体の生成の減少及びプラスミドコピー数の増加からなる群から選択される、実施形態7に記載の方法。
[実施形態16]抗生物質マーカー不含の共有結合閉環状組換えDNA分子であって、
a.逆方向反復配列、定方向反復配列、ホモポリマー反復配列、真核生物複製起点、及び真核生物プロモーターエンハンサー配列からなる群から選択される構造化DNA配列を含む抗生物質マーカー不含挿入物、
b.配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4及び配列番号18からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有するR6Kガンマ複製起点を含む、Pol III依存性複製起点、並びに
c.配列番号6と少なくとも95%の配列同一性を有するRNA-IN調節RNA-OUT RNAを含むRNA-OUT RNA選択マーカー
を含む組換えDNA分子。
[実施形態17]前記RNA-OUT RNA選択マーカーが、配列番号5及び配列番号7からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有するRNA-IN調節RNA-OUT機能性変異体である、実施形態16に記載の組換えDNA分子。
[実施形態18]前記R6Kガンマ複製起点及び前記RNA-OUT RNA選択マーカーが、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、及び配列番号17からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有するR6K起点-RNA-OUT RNA選択マーカー細菌複製-選択領域を含む、実施形態16に記載の組換えDNA分子。
[実施形態19]前記構造化DNA配列が、ポリA反復、SV40複製起点、ウイルスLTR、レンチウイルスLTR、レトロウイルスLTR、トランスポゾンIR/DR反復、スリーピング・ビューティトランスポゾンIR/DR反復、AAV ITR、トランスポゾンITR、PiggyBacトランスポゾンITR、CMVエンハンサー、及びSV40エンハンサーからなる群から選択される、実施形態16に記載の組換えDNA分子。
[実施形態20]前記組換えDNA分子が、ウイルスベクター、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、AAVベクター、Adベクター、非ウイルス性トランスポゾンベクター、スリーピング・ビューティトランスポゾンベクター、PiggyBacトランスポゾンベクター、Tol2トランスポゾンベクター、及びポリA含有mRNAベクターからなる群から選択される、実施形態16に記載の組換えDNA分子。
【実施例0127】
本技術の方法は、以下の実施例によってさらに説明される。これらは例示として提供され、何ら本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【0128】
実施例1:pUC、及びR6K複製起点プラスミドの複製及び生成
pUC起点ベクターの複製及び生成の背景:治療用プラスミドの大部分は、pMB1起点(ColE1起点と密接に関連している)の高コピー誘導体であるpUC起点を使用している。pMB1複製では、プラスミドDNA合成は一方向性であり、プラスミドが有する開始因子タンパク質を必要としない。pUC起点は、アクセサリROP(rom)タンパク質を欠失し、RNAI/RNAII相互作用を不安定化させる温度感受性の変異を付加したpMB1起点のコピーアップ(copy up)誘導体である。これらの起点を含む培養物を30℃から42℃に変化させると、プラスミドのコピー数が増加する。pUCプラスミドは多数の大腸菌細胞株において生成することができる。
【0129】
RNA-OUT抗生物質不含選択マーカーの背景:抗生物質不含選択は、Williams、前掲、2008年に記載されているように、ファージラムダ付着部位を染色体に組み込んだpCAH63-CAT RNA-IN-SacB(P5/6 6/6)を含む大腸菌(E.coli)株において行われる。SacB(枯草菌レバンスクラーゼ)は、スクロースの存在下で大腸菌細胞に対して致死的である対抗選択マーカーである。RNA-IN-SacB転写物からのSacBの翻訳は、プラスミドにコードされたRNA-OUTによって阻害される(図1B)。これは、SacB媒介致死性の阻害により、スクロースの存在下でのプラスミド選択を促進する。
【0130】
R6K起点ベクター複製及び生成の背景:R6Kガンマプラスミド複製起点は、複製開始モノマーとして複数の反復「イテロン」部位(TGAGNGコンセンサスを含む7つのコア反復)に、そして複製阻害ダイマーとして抑制部位(TGAGNG)及びアフィニティが低減したイテロンに結合する単一のプラスミド複製タンパク質πを必要とする。複製は、IHF、DnaA、及びプリモソーム集合タンパク質DnaB、DnaC、DnaGを含む複数の宿主因子を必要とする(Abhyankar et al., 2003 J Biol Chem 278:45476-45484)。R6Kコア起点は、π、IHF及びDnaAが相互作用して複製を開始するので、プラスミド複製に影響を与えるDnaA及びIHFの結合部位を含む。
【0131】
R6Kガンマ複製起点の異なるバージョンが、様々な真核生物発現ベクター、例えばpCORベクター(Soubrier et al., 1999, Gene Therapy 6:1482-88)及びpGM169(University of Oxford)及びpCpGfreeベクター(Invivogen, San Diego CA)におけるCpG不含バージョンに利用されてきた。R6K複製起点自体の組み込みは、最適化されたpUC起点ベクターと比較して、導入遺伝子の発現レベルを改善しない(Soubrier et al., 前掲, 1999)。しかしながら、増幅に特殊な細胞株を必要とする条件付き複製起点、例えば、R6Kガンマの使用は、ベクターが患者の内因性フローラに移された場合には複製されないため、安全マージンを向上させる。
【0132】
複製に必要とされるコア配列を含む(DnaAボックス及びstb 1~3部位を含む; Wu et al., 1995. J Bacteriol. 177: 6338-6345)が、欠失される上流πダイマーリプレッサー結合部位及び下流πプロモーターを有する(1コピーのイテロンの除去による)高度に最小化された6イテロンR6Kガンマ由来の複製起点(配列番号1、図1E)は、参照により本明細書に含まれるWilliams、前掲、2014年に記載されている。このR6K起点は6のタンデム定方向性反復イテロンを含む(図1E)。この最小化されたR6K起点及びRNA-OUT AF選択マーカーをスペーサー領域中に含むNTC9385R ナノプラスミド(商標)ベクターは、参照により本明細書に含まれるWilliams、前掲、2014年に記載されている。
【0133】
典型的なR6K産生株は、コピー数を増加させるP106L置換を含むπタンパク質誘導体PIR1 16をゲノムから発現する(πの二量体化を減少させることにより、πのモノマーは活性化するが、πのダイマーは抑制される)。pCOR(Soubrier et al., 前掲, 1999)及びpCpGプラスミド(Hebel HL, Cai Y, Davies LA, Hyde SC, Pringle IA, Gill DR. 2008. Mol Ther 16: S110)を用いた発酵の結果は、PIR1 16細胞株において、約100mg/Lと低かった。
【0134】
pir-116複製タンパク質の突然変異誘発及びコピー数増加のための選択は、新しい生産株を作るために使用されてきた。例えば、TEX2pir42株は、P106LとP42Lの組み合わせを含んでいる。P42L変異は、DNAルーピング複製抑制を妨害する。TEX2pir42細胞株は、205mg/Lの報告された収量を有するpCORプラスミドを用いて、コピー数及び発酵収量を改善した(Soubrier F、2004、国際特許出願WO2004033664)。
【0135】
コピー数を改善するπコピー数変異体の他の組み合わせには、「P42L及びP113S」と「P42L、P106L及びF107S」が含まれる(Abhyankar et al., 2004. J Biol Chem 279:6711-6719)。
【0136】
Williams、前掲、2014年は、R6K起点ナノプラスミド(商標)ベクターの選択及び増幅のためのファージHK022付着部位組み込みpLプロモーター熱誘導性πP42L、P106L及びF107S高コピー突然変異複製(Rep)タンパク質を発現する宿主株を記載している。これは、R6K起点ベクターが遺伝子操作されたRepタンパク質を発現する大腸菌宿主株内でのみ複製することができるため、さらなるナノプラスミド(商標)安全因子である。
【0137】
Williams, 前掲, 2014に記載のRNA-OUT選択マーカー-R6Kプラスミドの増幅及び発酵は、DH5α宿主株NTC711772 = DH5α dcm- attλ::P5/6 6/6-RNA-IN- SacB, catR; attHK022::pL (OL1-G→T) P42L-P106L-F107S (P3-), SpecR StrepRのような熱誘導性「P42L、P106L及びF107S」πコピー数変異細胞株を用いて実施した。最大695mg/Lの生成収量が報告された。
【0138】
以下のようなさらなる細胞株が作製され、本明細書に開示される:
NTC821601 DH5α attλ::P5/6 6/6-RNA-IN- SacB, catR; attHK022::pL (OL1-G→T) P42L-P106L-F107S (P3-), SpecR StrepR = NTC711772のdcm+バージョン。
NTC940211 DH5α attλ::P5/6 6/6-RNA-IN- SacB, catR; attHK022::pL (OL1-G→T) P42L-P106I-F107S
P113S (P3-), SpecR StrepR = P106IのP106Lへの高コピー置換をP113Sと組み合わせて、NTC821601の四重コピー数増加変異repタンパク質誘導体を作出した。
NTC1050811 DH5α attλ::P5/6 6/6-RNA-IN- SacB, catR; attHK022::pL (OL1-G→T) P42L-P106I-F107S
P113S (P3-), SpecR StrepR; attφ80::pARA-CI857ts, tetR = NTC940211のpARA-CI857ts誘導体。この株は、アラビノース誘導性CI857ts遺伝子のファージφ80付着部位染色体組み込みコピーを含む。アラビノースをプレート又は培地に添加すると(例えば、最終濃度0.2~0.4%)、pARAを介したCI857tsリプレッサーの発現が誘導され、Repタンパク質を発現するpLプロモーターのCI857ts媒介ダウンレギュレーションによって30℃でのコピー数が減少する[すなわち、追加のCI857tsは30℃でのpL(OL1-G→T)プロモーターのより効果的なダウンレギュレーションを媒介している]。37~42℃への温度シフト後のコピー数誘導は、これらの高温ではCI857tsリプレッサーが不活性化されているため、損なわれていない。dcmのメチル化が望ましくない場合には、dcm-誘導体(NTC1050811 dcm-)が使用される。
NTC1011641;Stbl4 attλ::P5/6 6/6-RNA-IN- SacB, catR; attHK022::pL P42L-P106L-F107S (P3-) SpecR StrepR = NTC661135のStbl4バージョン(XL1Blue- dcm- attλ::P5/6 6/6-RNA-IN- SacB, catR; attHK022::pR pL P42L-P106L-F107S (P3-) SpecR StrepR、Williams, 前掲, 2014に記載)。
【0139】
ナノプラスミド(商標)生成収量は、三重変異体熱誘導性pL (OL1-G→T) P42L-P106L-F107S (P3-)(Williams, 前掲, 2014に記載)と比べて四重変異体熱誘導性pL (OL1-G→T) P42L-P106I-F107S P113S (P3-)によって改善される。過剰な2 g/Lナノプラスミド(商標)の収量は、四重変異体NTC1050811細胞株を用いて得られた(例えば、NTC9 T7 A99 pAを用いて2240 mg/L、表8)。
【0140】
これらのR6K起点のような、増幅のために特殊な細胞株を必要とする条件付き複製起点の使用は、ベクターが患者の内因性フローラに移入された場合に複製しないので、安全性のマージンを追加する。
【0141】
実施例2:pUC及びR6K起点ベクターの生成
振とうフラスコ生成:振とうフラスコの生成は、所有のPlasmid+振とう培養培地を用いて行われた。シード培養をグリセロールストック又はコロニーから開始し、50μg/mL抗生物質(ampR若しくはkanR選択プラスミド用)又は6%スクロース(RNA-OUT選択プラスミド用)を含むLB培地寒天プレート上に画線した。プレートを30~32℃で増殖させた。細胞を培地に再懸濁し、使用して、amp-R又はkanR選択プラスミド用の50μg/mL抗生物質又はRNA-OUTプラスミド選択用の0.5%スクロースを含む500mLプラスミド+振とうフラスコに対して約2.5のOD600接種材料を提供した。表5、6、7及び9に示した増殖温度でフラスコを飽和するまで振とうしながら増殖させた。
【0142】
発酵生成:発酵は、記載(Carnes and Williams, 前掲, 2011)されているように、New Brunswick BioFlo 110バイオリアクター内の独自のフェドバッチ培地(NTC3019、HyperGRO培地)を用いて行った。シード培養は、グリセロールストック又はコロニーから開始し、50μg/mLの抗生物質(ampR若しくはkanR選択プラスミドの場合)又は6%スクロース(RNA-OUT選択プラスミドの場合)を含むLB培地寒天プレート上に画線した。プレートを30~32℃で増殖させた;細胞を培地に再懸濁し、ampR若しくはkanR選択プラスミドのための50μg/mL抗生物質又はRNA-OUTプラスミドのための0.5%スクロースを含む発酵のための約0.1%接種物を提供するために使用した。HyperGROの温度シフトは、表8及び9に示された通りであった。
【0143】
生成宿主:pUC起点AmpR又はKanRプラスミドの発酵は、大腸菌DH5α株[F- Φ80lacZΔM15 Δ(lacZYA-argF) U169 recA1 endA1 hsdR17 (rK-, mK+) phoA supE44 λ- thi-1 gyrA96 relA1](Invitrogen, Carlsbad CA)又はStbl4株において行った。
【0144】
抗生物質不含pUC起点RNA-OUTプラスミドの発酵は、Williams, 前掲, 2008に記載されているようにファージλ付着部位が染色体に組み込まれたpCAH63-CAT RNA-IN-SacB (P5/6 6/6)を含む大腸菌DH5α株において行った。生成株は、NTC4862 = DH5α attλ::P5/6 6/6-RNA-IN- SacB, catRである。
【0145】
抗生物質不含R6Kガンマ起点RNA-OUTプラスミドの増幅及び発酵は、ファージHK022付着部位組み込みpLプロモーター熱誘導性πコピー数変異細胞株(この作成方法はWilliams, 前掲, 2014に記載され、参照により本明細書に含まれる)をさらにコードする大腸菌RNA-OUT選択宿主を用いて行った。
【0146】
生成株:
pUC起点-AmpR又はKanR抗生物質選択宿主
DH5α
Stbl4
【0147】
pUC起点-RNA-OUTスクロース選択宿主
NTC4862 DH5α attλ::P5/6 6/6-RNA-IN- SacB, catR
NTC1011592 Stbl4 attλ::P5/6 6/6-RNA-IN- SacB, catR
【0148】
R6K起点-RNA-OUTスクロース選択ナノプラスミド(商標)宿主
NTC1050811 DH5α attλ::P5/6 6/6-RNA-IN- SacB, catR; attHK022::pL (OL1-G→T) P42L-P106I-F107S P113S (P3-), SpecR StrepR; attφ80::pARA-CI857ts, tetR
NTC1011641 Stbl4 attλ::P5/6 6/6-RNA-IN- SacB, catR; attHK022::pL P42L-P106L-F107S (P3-) SpecR StrepR
【0149】
分析方法:培養サンプルは、すべての発酵の間、重要なポイントと一定の間隔で採取した。サンプルは直ちにバイオマス(OD600)とプラスミド収量を分析した。プラスミド収量は、Qiagen Spin Miniprep Kitの調製物から得られたプラスミドの定量により決定した(Carnes and Williams, 前掲, 2011)。簡単に説明すると、細胞をアルカリ溶解し、清澄化し、プラスミドをカラム精製し、定量する前に溶出した。プラスミドの品質は、アガロースゲル電気泳動分析(AGE)によって決定し、Carnes and Williams, 前掲, 2011に記載されているように0.8~1% Tris/酢酸/EDTA(TAE)ゲル上で実施した。
【0150】
実施例3:pUC及びR6K起点構造化ベクターの構築及び製造
R6Kガンマ起点(配列番号1;図1E)-RNA-OUT(配列番号5;図1B)細菌複製-選択領域(配列番号8;図1C)を、様々なpUC57ベースのベクターのポリリンカー領域にクローニングし、pNTC-NP1、pNTC-NP2、pNTC-NP3、pNTC-NP4、pNTC-NP5、pNTC-NP6、pNTC-NP7ベクターを作製した。各ベクターは、R6K複製-RNA-OUT選択に対して標的ベクターをレトロフィットするために使用することができる様々な隣接制限部位を有する。pNTC-NP1~7ベクター中のR6K-RNA-OUTインサートに隣接する5'及び3'ポリリンカー配列を表4に示す。1 CpG R6Kガンマ起点- 2 CpG RNA-OUT細菌複製-選択領域(配列番号9;図1D)のpUC57ベースのバージョンも作製し(pNTC-3xCpG NP1)、表4に示す。
【0151】
R6Kガンマ起点(配列番号1)は、操作された6イテロンR6K起点(図1E)を示す。7イテロンR6Kガンマ起点(配列番号18;図1F)-RNA-OUT(配列番号5;図1B)細菌複製-選択領域のpUC57ベースのバージョンもまた作製し、製造に対する追加のイテロンの有用性を構築し評価するために使用した。同様に、高品質、高収量の製造は、配列番号18の7イテロンR6Kガンマ起点又は6イテロンR6Kガンマ起点(配列番号1)を含むことのみ相違するベクターを用いて得られた。例えば、以下の採取生成収量が30~42℃の10時間の傾斜温度シフトHyperGRO発酵で得られた。
【0152】
配列番号1:6イテロン3203 bp R6K起点ベクター:バイオマス120 OD600;プラスミド力価1363 mg/L;プラスミド比収量11.3 mgプラスミド/L/OD600
【0153】
配列番号18:7イテロン3225 bp R6K起点ベクター:バイオマス137 OD600;プラスミド力価1503 mg/L;プラスミド比収量11.0 mgプラスミド/L/OD600
【0154】
配列番号18における7イテロンR6Kガンマ起点はイテロン5のタンデム重複であるが(図1F;配列番号18)、本発明の7イテロンR6Kガンマ起点ベクターは、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23として示されるイテロンのいずれかのタンデム重複であってもよいし(図1E)、又は配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23の7イテロンR6K起点組成へのランダム組み合わせ、又はTGAGNGコンセンサスを保持するイテロン反復変異体であってもよい。さらなるイテロン誘導体(例えば、8、9又は10イテロンベクター)もまた本発明の実施に想定される。
【0155】
【表4】
R6K-RNA-OUTに対するウイルス及び非ウイルスベクターpUC起点-抗生物質選択細菌骨格レトロフィットは、以下により行った:
1)標的ウイルス及び非ウイルスベクター中のpUC起点及び抗生物質選択マーカー領域に隣接する制限部位を選択し、
2)pNTC-NP適合性ポリリンカー-R6K-RNA-OUTポリリンカーカセット(pNTC-NP1、2、3、4、5、6、又は7のいずれか、表4)を同定し、
3)選択された制限消化アプローチ及び標準的なリガーゼ媒介クローニングを使用して、pUC起点抗生物質選択マーカー領域を切り出し、選択されたR6K起点RNA-OUT領域と置換する。
【0156】
いくつかの場合には、R6K起点及びRNA-OUTユニットは、非パリンドロームDraIIIリンカー部位を用いて、別々の制限断片からの多断片連結で集合させた(表4を参照されたい)。fd6 Adヘルパーレトロフィット(表9)の場合には、12kbのAvrII-SalI制限断片のfd6 Adヘルパー真核生物領域中の固有なAvrII部位に、及びpNTC-NP4由来のSalI-R6K起点-DraIII断片にRNA-OUTを連結するために、短い500bpの合成遺伝子DraIII RNA-OUT-Adヘルパー-AvrIIを用いて3断片連結を行った。
【0157】
元々のpUC起点-抗生物質選択マーカーベクター及びレトロフィットされたR6K起点-RNA-OUT抗生物質不含の選択マーカーベクターの例示的なベクターマップ及びベクター特性をスリーピング・ビューティ(図2、表6)、AAV(図3、表7)及びmRNA(図4、表8)ベクターについて示した。元々のpUC起点-抗生物質選択マーカーベクター及びレトロフィットされたR6K起点-RNA-OUT抗生物質不含の選択マーカーベクターのベクター特性をAAVヘルパーベクターについて示した(表8)。pUC起点-RNA-OUT抗生物質不含の選択マーカーベクター及びレトロフィットされたR6K起点-RNA-OUT抗生物質不含の選択マーカーベクターのベクター特性をレンチウイルスベクター(表5)及びAAVベクター(表7)について示す。
【0158】
すべての場合において、細菌骨格サイズは、R6K起点-RNA-OUT抗生物質不含の選択マーカーレトロフィットされたベクター(460~610bp)において1kb未満であった。これは、ベクター発現レベル(表1~2)及び持続時間(Quivigerら, 前掲, 2014年)を改良するために必要な1.1kbの細菌骨格サイズ制限をはるかに下回っている。すべての場合において、レトロフィット前の元々のpUC起点-抗生物質選択細菌骨格は、pUC起点-RNA-OUTレトロフィット(1210~1500bp)と同様に、1.2kb超(2340~2750bp)であった。したがって、これらのAAV、AAVヘルパー、スリーピング・ビューティ、及びレンチウイルスR6K起点-RNA-OUT抗生物質不含の選択マーカーレトロフィットベクターは、元々のpUC起点-抗生物質選択マーカーベクターと比較して、発現レベル及び持続時間を改良するための短いスペーサー領域要件を満たす。さらに、これらのAAV、AAVヘルパー、スリーピング・ビューティ、及びレンチウイルスR6K起点-RNA-OUT抗生物質不含の選択マーカーレトロフィットベクターは、親ベクター中のKanR又はampR抗生物質耐性選択マーカーの除去による形質導入(AAV、レンチウイルスベクター)又は転移(スリーピング・ビューティベクター)による抗生物質マーカー遺伝子移入の機会を有しない。さらに、本技術のベクターは、ミニサークルベクターを有する真核生物ポリAとプロモーターとの間の大きな細菌領域を除去するのに必要とされる高価な追加の製造ステップを増やすという複雑な困難性を必要としない(Kayら, 前掲, 2010年)。
【0159】
しかしながら、レンチウイルスベクターでは、真核生物領域は隣接する定方向反復LTRを含有し、AAVベクターでは、真核生物領域は隣接する逆方向末端反復を含有し、一方、スリーピング・ビューティトランスポゾンベクターでは、真核生物領域は隣接するトランスポゾンIR/DR末端を含有する。これらの隣接配列は、すべて構造化DNA配列である。
【0160】
Levy, 前掲, 2004年は、任意の高コピー数の原核生物の複製起点が、構造化DNA配列、例えば、エンハンサー、LTR又はIRESから1kb未満である場合に、複製中間体が形成されるが、高コピー複製起点が1.5kbを超える場合は複製中間体は形成されないことを教示している。これと一致して、複製中間体は、pUC起点がレンチウイルスベクターLTRから1kb未満であるすべてのpUC起点-RNA-OUTマーカーベクター(表5:400bp)、又はpUC起点がスリーピング・ビューティIR/DRから1kb未満であるpUC起点-抗生物質耐性マーカーベクター(表6:280bp)において形成された。AAV及びmRNAベクターについて、元々のpUC起点-抗生物質選択マーカーベクターは、アガロースゲル上で検出するには小さすぎる複製中間体を作製し得る、ITR(AAVベクター、表7)から0bpに、又はA99反復(mRNAベクター、表8)から170bpにpUC起点を有する。しかしながら、これらの場合において、生成収量は非常に低く、複製遮断によりプラスミドコピー数が低いことを示している。対照的に、予想されるように、元々のpUC起点-抗生物質選択マーカーベクターpUC起点が、構造化DNA配列(A60反復)から1.5kbを超えた場合、高いプラスミド生成収量が得られた(表8:mRNAベクターpGEM4Z T7 A60)。
【0161】
Williams, 前掲, 2017年は、pUC起点がホモポリマーA64C31反復から1.5kbを超える場合、PAS-BH伸長pUC起点によりpUC起点ベクター生成収量が改良されることを報告した。しかしながら、PAS-BH伸長pUC起点がA64C31反復から400bp未満に配向している場合、生成収量は低かった(表8、脚注d及びeを参照されたい)。このことは、PAS-BHプリモソーム集合部位の付加が、密接に配置された構造化DNA配列の乏しいpUC起点指向性複製を克服しないことを教示する。
【0162】
pUC起点自体は1kbであるため、上記で示されるように、及びLevy, 前掲, 2004年により予測されるように、複製中間体を生成するとは予測されないpUC起点を含有する1.1kb未満の細菌領域AAV、レンチウイルス、レトロウイルス又はトランスポゾンベクターを作製する立体配置は存在せず、本明細書中で報告されるようにプラスミド収量は乏しい。
【0163】
驚くべきことに、複製中間体は、レンチウイルスベクターLTR(表5:400bp)又はスリーピング・ビューティIR/DR(表6、40bp未満)からR6K起点が1kb未満であったベクターを含む、いずれのR6K起点-RNA-OUT抗生物質不含の選択マーカーレトロフィットされたベクターにおいても観察されなかった。さらに、AAVベクターについて、ITRから0bpのpUC起点を有する元々のpUC起点-抗生物質選択マーカーベクターは、非常に乏しい生成収量を示したが、ITRから40bpのR6K起点を有する2つのR6K起点-RNA-OUT抗生物質不含の選択マーカーレトロフィットされたベクターは、はるかに高い生成収量を示した(表7)。この改良された生成はR6Kに特異的であり、RNA-OUTには特異的ではない。これは、ITRから50bpのpUC起点を有する2つのAAV pUC-RNA-OUTレトロフィットは、元々のpUC抗生物質マーカーベクターと同等にプラスミド生成収量が乏しかったためである(表7)また、pUC-RNA-OUTレトロフィットと、レンチウイルス骨格のLTR反復から400bpに位置するR6K-RNA-OUTレトロフィットとの直接比較は、3つすべてのpUC-RNA-OUT骨格を有する複製中間体を示したが、3つのR6K-RNA-OUT骨格のいずれも示さなかった(表5)。
【0164】
R6K起点ベクターを用いたプラスミドコピー数(プラスミド生成収量)及び品質(複製中間体の排除)のこの驚くべき改良は、R6K起点がpUC起点よりも構造化DNA配列を通じてより効果的に複製し得ることを意味する。Levy, 前掲, 2004年は、任意の高コピー数の原核生物の複製起点が、構造化DNA配列、例えば、エンハンサー、LTR又はIRESから1kb未満である場合に複製中間体が形成されるが、高コピー複製起点が1.5kbを超えて離れている場合には複製中間体は形成されないことを教示しているが、Levy, 前掲, 2004年によって提供された例はすべてpUC起点プラスミドであった。
【0165】
これらの複製起点の基本的な違いは、pUC起点がPol I依存性複製起点であり、一方、R6K起点はPol III依存性複製起点であることである。pUC起点では、RNAIIプライマーはRNA:DNA Rループを形成し、これはRNアーゼHによって切断され、最初のリーディング鎖合成の間にDNA Pol I指向性DNA合成用のプライマーを作製する。次に、DNA合成は、遅いDNA Pol Iから、起点の下流400bpから最大1.3kbまでの高度にプロセッシブなDNA Pol IIIへと変換される(Allenら, 2011年. Nucleic Acids Research 39巻:7020~33頁)。R6Kガンマ複製起点repタンパク質は、DNA Pol Iを必要とせずにDNA Pol III複製のための短いRNAプライマーを作製するdnaBヘリカーゼ及びdnaGプライマーゼと相互作用する(Abhyankarら, 前掲, 2003年)。起点から最大1.3kbまでのpUC起点DNA Pol I複製ゾーンは、Levy, 前掲, 2004年が定義した複製中間体形成の上限(起点から1~1.5kb)と密接に対応する。本発明者らは、pUC起点ではなくR6Kに近接した場合に、観察された構造化DNAの驚くほど改良された複製が、DNA Pol Iと比較してDNA Pol IIIによる構造化DNA配列の複製の予期せぬ改良によるものであることを提唱する。
【0166】
本明細書に開示されるベクター法及び組成物は、Pol III依存性複製起点、例えば、R6K起点を用いて、Pol I依存性複製起点、例えば、pUC起点によってあまり複製されない構造化DNA配列を複製することができることを実証する。
【0167】
これらの結果は、本発明のベクターが、ウイルス及び非ウイルスベクターの製造収量及び品質を改良するのに有用であることを実証する。
【0168】
実施例4:R6K起点構造化ベクターの改良された性能
本発明のベクターは、ウイルスベクター及び非ウイルスベクターによる抗生物質耐性マーカー遺伝子移入の排除、トランスフェクション関連毒性の低減、非ウイルス性トランスポゾンベクターからの転移の改良、ウイルスベクターからのパッケージング力価の改良、ウイルス及び非ウイルスベクターにコードされた導入遺伝子の発現の改良などにさらに有用である。
【0169】
一例として、本発明のR6K起点の第3世代レンチウイルスベクター[4つのベクター:表5、R6K起点及び1kb未満の細菌骨格を有するトランスファープラスミド、gag polパッケージングプラスミド、envプラスミド、REVプラスミド(図示せず)]は、1.5kbを超える細菌骨格を有するpUC起点ベクター比較物と比較して、毒性の減少及びウイルスパッケージング力価の改良を示した。製造業者が推奨するようにLipofectamine 3000(Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA)を用いた24ウェルプレートにおける表5 R6K起点の1kb未満の細菌骨格を有する第3世代レンチウイルスベクター、又は1.5kbを超える細菌骨格対照を有する元々のpUC起点-抗生物質選択マーカーベクターによるLenti-X293 T細胞株(Takara Bio Mountain View、CA)のトランスフェクションは、Lenti-X p24 Rapid Titer Kit(Takara Bio Mountain View、CA)を用いて測定した場合、より高い力価のレンチウイルス生成(1.5kbを超える細菌骨格pUC起点対照ベクター:1.00×±0.32、1kb未満の細菌骨格R6K起点ベクター 1.45×±0.42)をもたらした。記載されるようにリン酸カルシウムトランスフェクション(Marino MP, Luce MJ, Reiser J. 2003年, Methods Mol Biol 229巻:43~55頁)を用いた表5 第3世代レンチウイルスベクター(1.5kbを超える細菌骨格pUC起点対照又は1kb未満の細菌骨格R6K起点)を用いた24ウェルプレートにおけるLenti-X293 T細胞株のトランスフェクションは、Lenti-X p24 Rapid Titer Kit(Takara Bio Mountain View、CA)を用いて測定した場合、より高い力価のレンチウイルス生成(1.5kbを超える細菌骨格pUC起点対照:1.00×±0.30、1kb未満の細菌骨格R6K起点ベクター:1.32×±0.19)をもたらした。重要なことに、1.5kbを超える細菌骨格pUC起点の第3世代レンチウイルスベクターのリン酸カルシウムトランスフェクションは、この24ウェルプレートトランスフェクションにおいて、R6K起点の1kb未満の細菌骨格R6K起点の第3世代レンチウイルスベクターによる低毒性と比較して、広範なトランスフェクション関連毒性(80%を超える細胞死)をもたらした。このように減少したトランスフェクション関連毒性は、製造スケールの大きなトランスフェクションにおいて、ウイルス力価の劇的な改良をもたらすはずである。これらの結果は、本発明の1kb未満の細菌骨格R6K起点ナノプラスミドベクターが、1.5kbを超える細菌骨格ベクターと比較して、トランスフェクション関連毒性を減少させ、ウイルスベクターからのパッケージング力価を改良することを実証する。
【0170】
概要
上述の説明は多数の例を含むが、これらは、開示の範囲の限定として解釈されるべきではなく、むしろ、それらの好ましい実施形態の例示として見なされるべきである。他にも多数のバリエーションが可能である。
【0171】
例えば、本技術のベクターでは、Pol III依存性複製起点、及びRNA選択マーカーの種々の配向を利用することができる。例えば、Pol III依存性複製起点の8つの配向のいずれか、及び本技術のベクター中のRNA選択マーカーを使用することができる(すなわち、←Pol III複製起点 RSM→; ← Pol III複製起点 ← RSM; Pol III複製起点 → RSM →; Pol III複製起点 → ← RSM; ← RSM Pol III複製起点 → ; ← RSM ← Pol III複製起点 ; RSM → Pol III複製起点 → ; RSM → ← Pol III 複製起点)。
【0172】
さらに、当該技術分野において公知である種々のRNA選択マーカーをRNA-OUTの代わりにし得る。
【0173】
さらに、例えば、R6K起点へのpUC起点の単純なレトロフィットがプラスミド生成収量及び/又は品質を改良するために望まれる場合には、抗生物質耐性マーカーをRNA-OUTの代わりにし得る。
【0174】
したがって、読者は、本技術の改良されたPol III依存性複製起点ベクターは、トランスフェクション関連毒性を減少させ、非ウイルス性トランスポゾンベクターからの転移を改良し、ウイルスベクターからのパッケージング力価を改良し、ウイルスベクター及び非ウイルスベクターコード化遺伝子の発現を改良し、並びにウイルスベクター及び非ウイルスベクター媒介性抗生物質選択マーカー遺伝子移入(すなわち、好ましくは1000bp未満の細菌領域の取り込みを介する)を排除し、一方で、改変ベクター(alterative vector)、例えば、pUCプラスミド及びミニサークルと比較して製造を劇的に改良するアプローチを提供することを理解する。
【0175】
したがって、開示の範囲は、示された実施形態によってではなく、添付の特許請求の範囲によって決定されるべきである。
【0176】
【表5】
【0177】
【表6】
【0178】
【表7】
【0179】
【表8】
【0180】
【表9】
【0181】
[配列表]
SEQUENCE LISTING

<110> Aldevron, L.L.C.

<120> VIRAL AND NON-VIRAL NANOPLASMID VECTORS WITH IMPROVED PRODUCTION

<130> PA24-388

<150> US62/645892
<151> 2018-03-21

<160> 23

<170> PatentIn version 3.5

<210> 1
<211> 281
<212> DNA
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> R6K gamma origin

<400> 1
ggcttgttgt ccacaaccgt taaaccttaa aagctttaaa agccttatat attctttttt 60

ttcttataaa acttaaaacc ttagaggcta tttaagttgc tgatttatat taattttatt 120

gttcaaacat gagagcttag tacgtgaaac atgagagctt agtacgttag ccatgagagc 180

ttagtacgtt agccatgagg gtttagttcg ttaaacatga gagcttagta cgttaaacat 240

gagagcttag tacgtactat caacaggttg aactgctgat c 281


<210> 2
<211> 281
<212> DNA
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> 1 CpG R6K gamma origin

<400> 2
ggcttgttgt ccacaaccat taaaccttaa aagctttaaa agccttatat attctttttt 60

ttcttataaa acttaaaacc ttagaggcta tttaagttgc tgatttatat taattttatt 120

gttcaaacat gagagcttag tacgtgaaac atgagagctt agtacattag ccatgagagc 180

ttagtacatt agccatgagg gtttagttca ttaaacatga gagcttagta cattaaacat 240

gagagcttag tacatactat caacaggttg aactgctgat c 281


<210> 3
<211> 260
<212> DNA
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> CpG free R6K gamma origin

<400> 3
aaaccttaaa acctttaaaa gccttatata ttcttttttt tcttataaaa cttaaaacct 60

tagaggctat ttaagttgct gatttatatt aattttattg ttcaaacatg agagcttagt 120

acatgaaaca tgagagctta gtacattagc catgagagct tagtacatta gccatgaggg 180

tttagttcat taaacatgag agcttagtac attaaacatg agagcttagt acatactatc 240

aacaggttga actgctgatc 260


<210> 4
<211> 389
<212> DNA
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Extended R6K gamma origin

<400> 4
tgtcagccgt taagtgttcc tgtgtcactg aaaattgctt tgagaggctc taagggcttc 60

tcagtgcgtt acatccctgg cttgttgtcc acaaccgtta aaccttaaaa gctttaaaag 120

ccttatatat tctttttttt cttataaaac ttaaaacctt agaggctatt taagttgctg 180

atttatatta attttattgt tcaaacatga gagcttagta cgtgaaacat gagagcttag 240

tacgttagcc atgagagctt agtacgttag ccatgagggt ttagttcgtt aaacatgaga 300

gcttagtacg ttaaacatga gagcttagta cgtgaaacat gagagcttag tacgtactat 360

caacaggttg aactgctgat cttcagatc 389


<210> 5
<211> 139
<212> DNA
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> RNA-OUT selectable marker

<400> 5
gtagaattgg taaagagagt cgtgtaaaat atcgagttcg cacatcttgt tgtctgatta 60

ttgatttttg gcgaaaccat ttgatcatat gacaagatgt gtatctacct taacttaatg 120

attttgataa aaatcatta 139


<210> 6
<211> 69
<212> DNA
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> RNA-OUT antisense repressor RNA

<400> 6
tcgcacatct tgttgtctga ttattgattt ttggcgaaac catttgatca tatgacaaga 60

tgtgtatct 69


<210> 7
<211> 139
<212> DNA
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> 2 CpG RNA-OUT selectable marker

<400> 7
gtagaattgg taaagagagt tgtgtaaaat attgagttcg cacatcttgt tgtctgatta 60

ttgatttttg gcgaaaccat ttgatcatat gacaagatgt gtatctacct taacttaatg 120

attttgataa aaatcatta 139


<210> 8
<211> 466
<212> DNA
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> R6K gamma origin -RNA-OUT bacterial replication-selection region
flanked by NheI and KpnI restriction sites

<400> 8
gctagcccgc ctaatgagcg ggcttttttt tggcttgttg tccacaaccg ttaaacctta 60

aaagctttaa aagccttata tattcttttt tttcttataa aacttaaaac cttagaggct 120

atttaagttg ctgatttata ttaattttat tgttcaaaca tgagagctta gtacgtgaaa 180

catgagagct tagtacgtta gccatgagag cttagtacgt tagccatgag ggtttagttc 240

gttaaacatg agagcttagt acgttaaaca tgagagctta gtacgtacta tcaacaggtt 300

gaactgctga tccacgttgt ggtagaattg gtaaagagag tcgtgtaaaa tatcgagttc 360

gcacatcttg ttgtctgatt attgattttt ggcgaaacca tttgatcata tgacaagatg 420

tgtatctacc ttaacttaat gattttgata aaaatcatta ggtacc 466


<210> 9
<211> 439
<212> DNA
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> 1 CpG R6K gamma origin - 2 CpG RNA-OUT bacterial
replication-selection region flanked by NheI and KpnI restriction
sites

<400> 9
gctagctggc ttgttgtcca caaccattaa accttaaaag ctttaaaagc cttatatatt 60

cttttttttc ttataaaact taaaacctta gaggctattt aagttgctga tttatattaa 120

ttttattgtt caaacatgag agcttagtac gtgaaacatg agagcttagt acattagcca 180

tgagagctta gtacattagc catgagggtt tagttcatta aacatgagag cttagtacat 240

taaacatgag agcttagtac atactatcaa caggttgaac tgctgatctg tacagtagaa 300

ttggtaaaga gagttgtgta aaatattgag ttcgcacatc ttgttgtctg attattgatt 360

tttggcgaaa ccatttgatc atatgacaag atgtgtatct accttaactt aatgattttg 420

ataaaaatca ttaggtacc 439


<210> 10
<211> 565
<212> DNA
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> pNTC-NP1 polylinker trpA R6K-RNA-OUT polylinker cloning cassette:
EcoRI-HindIII

<400> 10
gaattcgagc tcggtacctc gcgaatgcat ctaggggacg gccgctagcc cgcctaatga 60

gcgggctttt ttttggcttg ttgtccacaa ccgttaaacc ttaaaagctt taaaagcctt 120

atatattctt ttttttctta taaaacttaa aaccttagag gctatttaag ttgctgattt 180

atattaattt tattgttcaa acatgagagc ttagtacgtg aaacatgaga gcttagtacg 240

ttagccatga gagcttagta cgttagccat gagggtttag ttcgttaaac atgagagctt 300

agtacgttaa acatgagagc ttagtacgta ctatcaacag gttgaactgc tgatccacgt 360

tgtggtagaa ttggtaaaga gagtcgtgta aaatatcgag ttcgcacatc ttgttgtctg 420

attattgatt tttggcgaaa ccatttgatc atatgacaag atgtgtatct accttaactt 480

aatgattttg ataaaaatca ttaggagcta gcattgggtc atcggatccc gggcccgtcg 540

actgcagagg cctgcatgca agctt 565


<210> 11
<211> 584
<212> DNA
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> pNTC-NP2 polylinker trpA R6K-RNA-OUT polylinker cloning
cassette: EcoRI-HindIII

<400> 11
gaattcgagc tcggtacctc gcgaatgcat ctaggggacg gccgctagcc cgcctaatga 60

gcgggctttt ttttggcttg ttgtccacaa ccgttaaacc ttaaaagctt taaaagcctt 120

atatattctt ttttttctta taaaacttaa aaccttagag gctatttaag ttgctgattt 180

atattaattt tattgttcaa acatgagagc ttagtacgtg aaacatgaga gcttagtacg 240

ttagccatga gagcttagta cgttagccat gagggtttag ttcgttaaac atgagagctt 300

agtacgttaa acatgagagc ttagtacgta ctatcaacag gttgaactgc tgatccacgt 360

tgtggtagaa ttggtaaaga gagtcgtgta aaatatcgag ttcgcacatc ttgttgtctg 420

attattgatt tttggcgaaa ccatttgatc atatgacaag atgtgtatct accttaactt 480

aatgattttg ataaaaatca ttaggactag tcccgggcgc tagttattaa tattgggtca 540

tcggatcccg ggcccgtcga ctgcagaggc ctgcatgcaa gctt 584


<210> 12
<211> 557
<212> DNA
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> pNTC-NP3 polylinker trpA R6K-RNA-OUT polylinker cloning
cassette: EcoRI-HindIII

<400> 12
gaattcgagc tcggtacctc gcgaatgcat ctaggggacg gccgctagcc cgcctaatga 60

gcgggctttt ttttggcttg ttgtccacaa ccgttaaacc ttaaaagctt taaaagcctt 120

atatattctt ttttttctta taaaacttaa aaccttagag gctatttaag ttgctgattt 180

atattaattt tattgttcaa acatgagagc ttagtacgtg aaacatgaga gcttagtacg 240

ttagccatga gagcttagta cgttagccat gagggtttag ttcgttaaac atgagagctt 300

agtacgttaa acatgagagc ttagtacgta ctatcaacag gttgaactgc tgatccacgt 360

tgtggtagaa ttggtaaaga gagtcgtgta aaatatcgag ttcgcacatc ttgttgtctg 420

attattgatt tttggcgaaa ccatttgatc atatgacaag atgtgtatct accttaactt 480

aatgattttg ataaaaatca ttaggtaccg agctcggatc ccgggcccgt cgactgcaga 540

ggcctgcatg caagctt 557


<210> 13
<211> 557
<212> DNA
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> pNTC-NP4 polylinker trpA R6K-RNA-OUT polylinker cloning
cassette: HindIII-EcoRI

<400> 13
aagcttgcat gcaggcctct gcagtcgacg ggcccgggat ccgagctcgg tacctcgcga 60

atgcatctag gggacggccg ctagcccgcc taatgagcgg gctttttttt ggcttgttgt 120

ccacaaccgt taaaccttaa aagctttaaa agccttatat attctttttt ttcttataaa 180

acttaaaacc ttagaggcta tttaagttgc tgatttatat taattttatt gttcaaacat 240

gagagcttag tacgtgaaac atgagagctt agtacgttag ccatgagagc ttagtacgtt 300

agccatgagg gtttagttcg ttaaacatga gagcttagta cgttaaacat gagagcttag 360

tacgtactat caacaggttg aactgctgat ccacgttgtg gtagaattgg taaagagagt 420

cgtgtaaaat atcgagttcg cacatcttgt tgtctgatta ttgatttttg gcgaaaccat 480

ttgatcatat gacaagatgt gtatctacct taacttaatg attttgataa aaatcattag 540

gtaccgagct cgaattc 557


<210> 14
<211> 503
<212> DNA
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> pNTC-NP5 polylinker trpA R6K-RNA-OUT polylinker cloning
cassette: KasI-HindIII

<400> 14
ggcgccgcta gcccgcctaa tgagcgggct tttttttggc ttgttgtcca caaccgttaa 60

accttaaaag ctttaaaagc cttatatatt cttttttttc ttataaaact taaaacctta 120

gaggctattt aagttgctga tttatattaa ttttattgtt caaacatgag agcttagtac 180

gtgaaacatg agagcttagt acgttagcca tgagagctta gtacgttagc catgagggtt 240

tagttcgtta aacatgagag cttagtacgt taaacatgag agcttagtac gtactatcaa 300

caggttgaac tgctgatcca cgttgtggta gaattggtaa agagagtcgt gtaaaatatc 360

gagttcgcac atcttgttgt ctgattattg atttttggcg aaaccatttg atcatatgac 420

aagatgtgta tctaccttaa cttaatgatt ttgataaaaa tcattaggta ccacatgtcc 480

tgcagaggcc tgcatgcaag ctt 503


<210> 15
<211> 539
<212> DNA
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> pNTC-NP6 polylinker trpA R6K-RNA-OUT polylinker cloning
cassette: EcoRI-SacI

<400> 15
gaattctgca gatatccatc acactggcgg ccgctagccc gcctaatgag cgggcttttt 60

tttggcttgt tgtccacaac cgttaaacct taaaagcttt aaaagcctta tatattcttt 120

tttttcttat aaaacttaaa accttagagg ctatttaagt tgctgattta tattaatttt 180

attgttcaaa catgagagct tagtacgtga aacatgagag cttagtacgt tagccatgag 240

agcttagtac gttagccatg agggtttagt tcgttaaaca tgagagctta gtacgttaaa 300

catgagagct tagtacgtac tatcaacagg ttgaactgct gatccacgtt gtggtagaat 360

tggtaaagag agtcgtgtaa aatatcgagt tcgcacatct tgttgtctga ttattgattt 420

ttggcgaaac catttgatca tatgacaaga tgtgtatcta ccttaactta atgattttga 480

taaaaatcat taggtaccgg gccccccctc gatcgaggtc gacggtatcg ggggagctc 539


<210> 16
<211> 500
<212> DNA
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> pNTC-NP7 polylinker trpA R6K-RNA-OUT polylinker cloning
cassette: BssHII-BssHII

<400> 16
gcgcgcagcc ttaattaagc tagcccgcct aatgagcggg cttttttttg gcttgttgtc 60

cacaaccgtt aaaccttaaa agctttaaaa gccttatata ttcttttttt tcttataaaa 120

cttaaaacct tagaggctat ttaagttgct gatttatatt aattttattg ttcaaacatg 180

agagcttagt acgtgaaaca tgagagctta gtacgttagc catgagagct tagtacgtta 240

gccatgaggg tttagttcgt taaacatgag agcttagtac gttaaacatg agagcttagt 300

acgtactatc aacaggttga actgctgatc cacgttgtgg tagaattggt aaagagagtc 360

gtgtaaaata tcgagttcgc acatcttgtt gtctgattat tgatttttgg cgaaaccatt 420

tgatcatatg acaagatgtg tatctacctt aacttaatga ttttgataaa aatcattagg 480

taccttaatt aactgcgcgc 500


<210> 17
<211> 530
<212> DNA
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> pNTC-3xCpG NP1 polylinker R6K-RNA-OUT polylinker cloning
cassette: HindIII-EcoRI

<400> 17
aagcttgcat gcaggcctct gcagtcgacg ggccctctag actcgagctg gcttgttgtc 60

cacaaccatt aaaccttaaa agctttaaaa gccttatata ttcttttttt tcttataaaa 120

cttaaaacct tagaggctat ttaagttgct gatttatatt aattttattg ttcaaacatg 180

agagcttagt acgtgaaaca tgagagctta gtacattagc catgagagct tagtacatta 240

gccatgaggg tttagttcat taaacatgag agcttagtac attaaacatg agagcttagt 300

acatactatc aacaggttga actgctgatc tgtacagtag aattggtaaa gagagttgtg 360

taaaatattg agttcgcaca tcttgttgtc tgattattga tttttggcga aaccatttga 420

tcatatgaca agatgtgtat ctaccttaac ttaatgattt tgataaaaat cattaggtac 480

cgctagcggc cgtcccctag atgcattcgc gaggtaccga gctcgaattc 530


<210> 18
<211> 303
<212> DNA
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> R6K gamma origin -7 iteron

<400> 18
ggcttgttgt ccacaaccgt taaaccttaa aagctttaaa agccttatat attctttttt 60

ttcttataaa acttaaaacc ttagaggcta tttaagttgc tgatttatat taattttatt 120

gttcaaacat gagagcttag tacgtgaaac atgagagctt agtacgttag ccatgagagc 180

ttagtacgtt agccatgagg gtttagttcg ttaaacatga gagcttagta cgttaaacat 240

gagagcttag tacgttaaac atgagagctt agtacgtact atcaacaggt tgaactgctg 300

atc 303


<210> 19
<211> 22
<212> DNA
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> R6K gamma origin iteron

<400> 19
aaacatgaga gcttagtacg tg 22


<210> 20
<211> 22
<212> DNA
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> R6K gamma origin iteron

<400> 20
aaacatgaga gcttagtacg tt 22


<210> 21
<211> 22
<212> DNA
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> R6K gamma origin iteron

<400> 21
agccatgaga gcttagtacg tt 22


<210> 22
<211> 22
<212> DNA
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> R6K gamma origin iteron

<400> 22
agccatgagg gtttagttcg tt 22


<210> 23
<211> 22
<212> DNA
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> R6K gamma origin iteron

<400> 23
aaacatgaga gcttagtacg ta 22
図1A-D】
図1E-F】
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-08-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
共有結合閉環状プラスミドを含む遺伝子操作されたエッシェリヒア・コリ(大腸菌)細胞であって、前記共有結合閉環状プラスミドが骨格及び挿入物を含み、前記骨格が、Pol III依存性R6K複製起点、及びRNA-OUT RNA選択マーカーを含み、前記挿入物が、逆方向反復配列、定方向反復配列、真核生物複製起点、又は真核生物プロモーターエンハンサー配列の1つ以上を含み、前記挿入物が、複製の方向における前記Pol III依存性R6K複製起点から1000bp未満の距離に位置する、遺伝子操作された大腸菌細胞
【請求項2】
前記遺伝子操作された大腸菌細胞が、遺伝子操作された、Repタンパク質を発現する大腸菌細胞である、請求項1に記載の遺伝子操作された大腸菌細胞。
【請求項3】
前記遺伝子操作された、Repタンパク質を発現する大腸菌細胞が、染色体に組み込まれたアラビノース誘導性CI857ts遺伝子を含む、請求項2に記載された遺伝子操作された大腸菌細胞。
【請求項4】
Repタンパク質がpLプロモーターの制御下にある、請求項2に記載された遺伝子操作された大腸菌細胞。
【請求項5】
Repタンパク質が、以下の変異:P42L;P106I;F107S;及びP113Sを含む、請求項2に記載された遺伝子操作された大腸菌細胞。
【請求項6】
前記Pol III依存性R6K複製起点が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4及び配列番号18からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有す、請求項1に記載の遺伝子操作された大腸菌細胞
【請求項7】
前記RNA-OUT RNA選択マーカーが、配列番号5及び配列番号7からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有するRNA-IN調節RNA-OUT機能性変異体である、請求項1に記載の遺伝子操作された大腸菌細胞
【請求項8】
前記Pol III依存性R6K複製起点が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4及び配列番号18からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有し、前記RNA-OUT RNA選択マーカーが、配列番号5及び配列番号7からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有するRNA-IN調節RNA-OUT機能性変異体である、請求項1に記載の遺伝子操作された大腸菌細胞
【請求項9】
前記挿入物が、逆方向反復配列を含むトランスポゾンベクターである、請求項1に記載の遺伝子操作された大腸菌細胞。
【請求項10】
前記挿入物がトランスポザーゼベクターである、請求項1に記載の遺伝子操作された大腸菌細胞。
【請求項11】
前記挿入物がウイルスベクターであり、ウイルスベクターがAAVベクターである、請求項1に記載の遺伝子操作された大腸菌細胞。
【請求項12】
前記AAVベクターが、前記逆方向反復配列を含む、請求項11に記載の遺伝子操作された大腸菌細胞。
【請求項13】
前記挿入物がウイルスベクターであり、ウイルスベクターがレンチウイルスベクターである、請求項1に記載の遺伝子操作された大腸菌細胞。
【請求項14】
前記レンチウイルスベクターが、前記定方向反復配列又は前記真核生物複製起点を含む、請求項13に記載の遺伝子操作された大腸菌細胞。
【請求項15】
骨格及び挿入物を含む共有結合閉環状プラスミドであって、前記骨格が、Pol III依存性R6K複製起点、及びRNA-OUT RNA選択マーカーを含み、前記骨格が1000bp未満であり、前記挿入物が、逆方向反復配列、定方向反復配列、真核生物複製起点、又は真核生物プロモーターエンハンサー配列の1つ以上を含み、前記挿入物が、複製の方向における前記Pol III依存性R6K複製起点から1000bp未満の距離に位置する、共有結合閉環状プラスミド。
【請求項16】
前記Pol III依存性R6K複製起点が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4及び配列番号18からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項15に記載の共有結合閉環状プラスミド。
【請求項17】
前記RNA-OUT RNA選択マーカーが、配列番号5及び配列番号7からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有するRNA-IN調節RNA-OUT機能性変異体である、請求項15に記載の共有結合閉環状プラスミド。
【請求項18】
前記Pol III依存性R6K複製起点が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4及び配列番号18からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有し、前記RNA-OUT RNA選択マーカーが、配列番号5及び配列番号7からなる群から選択される配列と少なくとも95%の配列同一性を有するRNA-IN調節RNA-OUT機能性変異体である、請求項15に記載の共有結合閉環状プラスミド。
【請求項19】
前記挿入物が、逆方向反復配列を含むトランスポゾンベクターである、請求項15に記載の共有結合閉環状プラスミド。
【請求項20】
前記挿入物がトランスポザーゼベクターである、請求項15に記載の共有結合閉環状プラスミド。
【請求項21】
前記挿入物がウイルスベクターであり、ウイルスベクターがAAVベクターである、請求項15に記載の共有結合閉環状プラスミド。
【請求項22】
前記AAVベクターが、前記逆方向反復配列を含む、請求項21に記載の共有結合閉環状プラスミド。
【請求項23】
前記挿入物がウイルスベクターであり、ウイルスベクターがレンチウイルスベクターである、請求項15に記載の共有結合閉環状プラスミド。
【請求項24】
前記レンチウイルスベクターが、前記定方向反復配列又は前記真核生物複製起点を含む、請求項23に記載の共有結合閉環状プラスミド。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
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