(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013845
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】媒体処理装置
(51)【国際特許分類】
B65H 29/50 20060101AFI20240125BHJP
G07D 11/26 20190101ALI20240125BHJP
G07D 11/175 20190101ALI20240125BHJP
B65H 18/10 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
B65H29/50
G07D11/26
G07D11/175
B65H18/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116235
(22)【出願日】2022-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100190942
【弁理士】
【氏名又は名称】風間 竜司
(72)【発明者】
【氏名】小路 伸行
【テーマコード(参考)】
3E141
3F055
3F106
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141AA05
3E141BA07
3E141DA08
3E141FE02
3E141FE05
3E141FG03
3E141FG11
3E141FG12
3F055AA01
3F055BA20
3F106LA08
3F106LB04
(57)【要約】
【課題】取り込んだ媒体の変形を防止することが可能な媒体処理装置を提供する。
【解決手段】ベルトが架け渡され、回転可能に設けられた複数のドラムと、一端が前記ベルトに固定されると共に、前記複数のドラムの回転に伴って、媒体を取り込みながら前記ベルトの外周に巻き付けられるテープと、前記テープの他端が固定されると共に、前記ベルトに巻き付けられた前記テープを巻き取り可能に設けられたリールと、を備え、前記複数のドラムの間の前記ベルトの直線部の長さは、前記媒体の前記ベルトの外周への取り込まれ方向の長さ以上である、媒体処理装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトが架け渡され、回転可能に設けられた複数のドラムと、
一端が前記ベルトに固定されると共に、前記複数のドラムの回転に伴って、媒体を取り込みながら前記ベルトの外周に巻き付けられるテープと、
前記テープの他端が固定されると共に、前記ベルトに巻き付けられた前記テープを巻き取り可能に設けられたリールと、
を備え、
前記複数のドラムの間の前記ベルトの直線部の長さは、前記媒体の前記ベルトの外周への取り込まれ方向の長さ以上である、媒体処理装置。
【請求項2】
前記媒体は、前記ベルトの外周に幾重にも巻き回された前記テープ同士の間に挟み込まれることで、前記ベルトの外周に取り込まれる、請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項3】
前記テープは、前記ベルトの外周を一周した後、前記一端を前記ベルトに固定される、請求項2に記載の媒体処理装置。
【請求項4】
前記ベルトは、一対の前記ドラムに架け渡され、
前記ベルトの前記直線部は、前記一対のドラムを挟んで2カ所設けられる、請求項3に記載の媒体処理装置。
【請求項5】
前記媒体は、前記リールから引き出された前記テープを前記一対のドラムの一方までガイドする第1のローラと、前記一対のドラムの他方から離れた前記テープを再度前記一対のドラムの他方にガイドする第2のローラとに挟み込まれることで前記テープ同士の間に挟み込まれる、請求項4に記載の媒体処理装置。
【請求項6】
前記一対のドラムの間に設けられ、前記ベルトを支持する少なくとも1つ以上の回転体をさらに備える、請求項4に記載の媒体処理装置。
【請求項7】
前記リールは、リールベルトが架け渡され、回転可能に設けられた第1リール及び第2リールで構成され、
前記リールは、前記テープの前記他端を前記リールベルトに固定すると共に、前記テープを前記リールベルトの外周に巻き回すことで、前記テープを巻き取り可能に設けられる、請求項4に記載の媒体処理装置。
【請求項8】
前記一対のドラムと、前記第1リール及び前記第2リールで構成された前記リールとは、互いに平行に配置される、請求項7に記載の媒体処理装置。
【請求項9】
前記複数のドラムの回転を制御する制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記媒体が前記ベルトの前記直線部に配置されるように、前記複数のドラムの回転を制御する、請求項1~8のいずれか一項に記載の媒体処理装置。
【請求項10】
前記媒体の取り込みを検出するトリガセンサをさらに備え、
前記制御部は、前記トリガセンサの検出タイミングに基づいて、前記複数のドラムの回転を制御する、請求項9に記載の媒体処理装置。
【請求項11】
前記媒体は、長手形状の紙葉であり、
前記媒体の前記ベルトの外周への取り込まれ方向は、前記媒体の長手方向又は短手方向である、請求項1~8のいずれか一項に記載の媒体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
顧客との取引内容に応じて、紙幣などの媒体を収納すると共に、収納された媒体を排出する媒体処理装置が広く普及している。このような媒体処理装置としては、金融機関などで使用される現金自動預払機が例示される。
【0003】
例えば、下記の特許文献1には、回転する円柱形状のドラムの周側面に媒体を挟み込みながらテープを巻き付けることで、取り込んだ媒体をドラムの周側面に保持する媒体処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の特許文献1に開示された媒体処理装置では、媒体がドラムの周側面に長時間に亘って巻き付けられた場合、ドラムの周側面の形状に沿って媒体が変形してしまうことがあった。変形した媒体は、排出の際に搬送エラーの原因となったり、ユーザからのクレームの対象となったりするため、取り込んだ媒体の変形を防止することが可能な媒体処理装置が求められていた。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、取り込んだ媒体の変形を防止することが可能な、新規かつ改良された媒体処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、ベルトが架け渡され、回転可能に設けられた複数のドラムと、一端が前記ベルトに固定されると共に、前記複数のドラムの回転に伴って、媒体を取り込みながら前記ベルトの外周に巻き付けられるテープと、前記テープの他端が固定されると共に、前記ベルトに巻き付けられた前記テープを巻き取り可能に設けられたリールと、を備え、前記複数のドラムの間の前記ベルトの直線部の長さは、前記媒体の前記ベルトの外周への取り込まれ方向の長さ以上である、媒体処理装置が提供される。
【0008】
前記媒体は、前記ベルトの外周に幾重にも巻き回された前記テープ同士の間に挟み込まれることで、前記ベルトの外周に取り込まれてもよい。
【0009】
前記テープは、前記ベルトの外周を一周した後、前記一端を前記ベルトに固定されてもよい。
【0010】
前記ベルトは、一対の前記ドラムに架け渡され、前記ベルトの前記直線部は、前記一対のドラムを挟んで2カ所設けられてもよい。
【0011】
前記媒体は、前記リールから引き出された前記テープを前記一対のドラムの一方までガイドする第1のローラと、前記一対のドラムの他方から離れた前記テープを再度前記一対のドラムの他方にガイドする第2のローラとに挟み込まれることで前記テープ同士の間に挟み込まれてもよい。
【0012】
前記一対のドラムの間に設けられ、前記ベルトを支持する少なくとも1つ以上の回転体をさらに備えてもよい。
【0013】
前記リールは、リールベルトが架け渡され、回転可能に設けられた第1リール及び第2リールで構成され、前記リールは、前記テープの前記他端を前記リールベルトに固定すると共に、前記テープを前記リールベルトの外周に巻き回すことで、前記テープを巻き取り可能に設けられてもよい。
【0014】
前記一対のドラムと、前記第1リール及び前記第2リールで構成された前記リールとは、互いに平行に配置されてもよい。
【0015】
前記複数のドラムの回転を制御する制御部をさらに備え、前記制御部は、前記媒体が前記ベルトの前記直線部に配置されるように、前記複数のドラムの回転を制御してもよい。
【0016】
前記媒体の取り込みを検出するトリガセンサをさらに備え、前記制御部は、前記トリガセンサの検出タイミングに基づいて、前記複数のドラムの回転を制御してもよい。
【0017】
前記媒体は、長手形状の紙葉であり、前記媒体の前記ベルトの外周への取り込まれ方向は、前記媒体の長手方向又は短手方向であってもよい。
【0018】
上記構成により、媒体処理装置に取り込まれた媒体は、複数のドラムの間のベルトの直線部に配置されるため、変形が生じない平坦な場所にて保管されることが可能である。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明によれば、取り込んだ媒体の変形を防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】媒体処理装置が備える媒体保持部の構成を模式的に示す説明図である。
【
図2A】媒体保持部が媒体を取り込む際の動作の流れを説明する説明図である。
【
図2B】媒体保持部が媒体を取り込む際の動作の流れを説明する説明図である。
【
図2C】媒体保持部が媒体を取り込む際の動作の流れを説明する説明図である。
【
図2D】媒体保持部が媒体を取り込む際の動作の流れを説明する説明図である。
【
図3A】媒体保持部が取り込んだ媒体を繰り出す際の動作の流れを説明する説明図である。
【
図3B】媒体保持部が取り込んだ媒体を繰り出す際の動作の流れを説明する説明図である。
【
図3C】媒体保持部が取り込んだ媒体を繰り出す際の動作の流れを説明する説明図である。
【
図4A】媒体保持部の変形例の構成及び動作を示す説明図である。
【
図4B】媒体保持部の変形例の構成及び動作を示す説明図である。
【
図4C】媒体保持部の変形例の構成及び動作を示す説明図である。
【
図4D】媒体保持部の変形例の構成及び動作を示す説明図である。
【
図4E】媒体保持部の変形例の構成及び動作を示す説明図である。
【
図5A】第1の実施形態に係る媒体保持部を筐体に収納した状態を示す説明図である。
【
図5B】第2の実施形態に係る媒体保持部を筐体に収納した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0022】
<1.第1の実施形態>
(媒体処理装置の構成)
まず、
図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係る媒体処理装置の構成について説明する。本実施形態に係る媒体処理装置は、例えば、箱型の筐体にて金融機関などに設置される現金自動預払機などである。媒体処理装置は、顧客との取引に応じて、紙幣などの媒体を収納したり、収納された媒体を排出したりすることができる。このような場合、媒体処理装置には、取り込んだ媒体を収納するための媒体保持部が設けられる。
【0023】
図1は、媒体処理装置が備える媒体保持部10の構成を模式的に示す説明図である。
図1に示すように、媒体保持部10は、テープ110と、リール120と、第1ローラ130と、一対のドラム140,150と、ベルト160と、固定部170と、第2ローラ180と、可動案内ガイド400とを備える。
【0024】
一対のドラム140,150は、
図1の紙面に垂直な回転軸を有する円柱形状にて設けられる。一対のドラム140,150は、周側面にベルト160を架け渡されることで互いに同期して回転することができる。例えば、一対のドラム140,150は、図示しないモータから駆動力を伝達されることで、テープ110の巻き取り方向(
図1では時計回り方向)、又はテープ110の引き出し方向(
図1では反時計回り方向)に回転することができる。なお、図示しないモータは、一対のドラム140,150の両方に駆動力を伝達してもよく、一対のドラム140,150の片方のみに駆動力を伝達してもよい。
【0025】
ベルト160は、柔軟性を有する材料で構成され、一対のドラム140,150の間に架け渡されることで、一対のドラム140,150の間で駆動力を伝達する。具体的には、ベルト160は、テンションが掛かった状態で一対のドラム140,150の周側面に架け渡されることで、一対のドラム140,150の間で駆動力を伝達する。これにより、一対のドラム140,150は、同期して回転することができる。
【0026】
テープ110は、細長く薄いフィルム形状を有し、可撓性を有する樹脂材料で構成される。テープ110は、例えば、リール120の周側面にロール状に巻き付けられてもよい。テープ110の一端は、固定部170によってベルト160に固定されており、テープ110の他端は、リール120に固定される。これにより、テープ110は、一対のドラム140,150の時計回り方向の回転に伴ってベルト160の外周に巻き付けられると共に、図示しない駆動伝達部を介したリール120の時計回り方向の回転に伴ってベルト160から巻き取られる。
【0027】
固定部170は、テープ110の一端をベルト160に固定する。固定部170は、例えば、クリップなどであってもよい。固定部170は、テープ110の一端をベルト160に固定することで、一対のドラム140,150の回転に伴ってベルト160の外周にテープ110を巻き付けることができる。
【0028】
リール120は、
図1の紙面に垂直な回転軸を有する円柱形状にて設けられ、図示しないモータから駆動力を伝達されることで回転する。リール120には、テープ110の他端が固定されると共に、テープ110がロール状に巻き付けられる。例えば、リール120は、図示しないモータから駆動伝達部を介して駆動力を伝達されることで、テープ110の巻き取り方向(
図1では時計回り方向)、又はテープ110の引き出し方向(
図1では反時計回り方向)に回転することができる。
【0029】
第1ローラ130は、
図1の紙面に垂直な回転軸を有する円柱形状にてリール120の下方に設けられる。第1ローラ130は、リール120から引き出されたテープ110を一対のドラム140,150の周側面に架け渡されたベルト160にガイドする。
【0030】
第2ローラ180は、
図1の紙面に垂直な回転軸を有する円柱形状にて第1ローラ130と対向する位置に設けられる。第2ローラ180は、ドラム140側に延在するテープ110をドラム140から離れた位置まで引き出した後、ドラム140側に戻すようにガイドする。
【0031】
なお、第1ローラ130及び第2ローラ180は、媒体保持部10が媒体を取り込む際に、媒体を挟み込むように互いに接近する。これにより、媒体保持部10は、第1ローラ130及び第2ローラ180の回転によって、媒体をテープ110で挟み込みながら円滑に取り込むことができる。
【0032】
可動案内ガイド400は、ドラム140の周側面に沿うように湾曲した湾曲面を有し、該湾曲面をドラム140の周側面のベルト160に当接させる。可動案内ガイド400は、弾性体によって湾曲面をドラム140の周側面に押し付けるように付勢されることで、巻き付けられたテープ110の径の変化に追従するように可動しつつ、該湾曲面をドラム140の周側面のベルト160に当接させることができる。
【0033】
媒体保持部10では、リール120から引き出されたテープ110は、第1ローラ130を介してドラム150の周側面に引き回された後、ベルト160と共にドラム140まで引き回される。さらに、テープ110は、ベルト160から一旦離れた後、第2ローラ180を経由してベルト160に戻り、固定部170にてベルト160に固定される。
【0034】
本実施形態に係る媒体保持部10では、テープ110は、ベルト160を架け渡された一対のドラム140,150に巻き付けられ、一対のドラム140,150の間には、ベルト160が直線となる第1の直線部SP1、及び第2の直線部SP2が形成される。具体的には、第1の直線部SP1、及び第2の直線部SP2は、一対のドラム140,150を挟んで対向するようにそれぞれ設けられる。
【0035】
媒体保持部10は、媒体の長さと同じ、又は媒体の長さよりも長い第1の直線部SP1、及び第2の直線部SP2を備えることで、媒体を折ったり曲げたりせずにベルト160上に保持することが可能となる。これによれば、媒体保持部10は、取り込んだ媒体が変形してしまうことを防止することができる。なお、上記の媒体の長さとは、ベルト160の外周への巻き付け方向における媒体の長さである。
【0036】
なお、一対のドラム140,150の間には、少なくとも1以上の回転体(例えば、ローラー又はプーリー等)が設けられてもよい。回転体は、一対のドラム140,150の間でベルト160を支持することで、ベルト160の第1の直線部SP1、及び第2の直線部SP2が撓むことを防止することができる。
【0037】
本実施形態に係る媒体保持部10では、固定部170にてテープ110の一端をベルト160に固定しているため、テープ110にはベルト160への巻き付け方向に引っ張り張力が働く。したがって、媒体保持部10は、一対のドラム140,150の間で、テープ110及びベルト160が弛んだり、重力によって撓んだりすることを抑制することができる。また、媒体保持部10は、媒体を挟み込んだテープ110をベルト160の外周上に幾重にも巻き付けるため、一対のドラム140,150とテープ110との間で巻き取り皺が発生することを防止することができる。さらに、媒体保持部10は、媒体の保持のために、1本のテープ110のみを用いているため、複数のテープ110を用いる場合と比較して、媒体処理装置の筐体の大きさを低減することができる。
【0038】
(媒体の取り込み動作)
次に、
図2A~
図2Dを参照して、媒体保持部10による媒体200の取り込み動作について説明する。
図2A~
図2Dは、媒体保持部10が媒体200を取り込む際の動作の流れを説明する説明図である。
【0039】
媒体200は、長手形状の紙葉である。例えば、媒体200は、紙幣であってもよく、商品券などの金券であってもよい。媒体200は、長手方向又は短手方向に媒体処理装置に取り込まれる。
【0040】
媒体処理装置に取り込まれた媒体200は、図示しない搬送路によって搬送され、第1ローラ130及び第2ローラ180の間から媒体保持部10に取り込まれる。このとき、
図2Aに示すように、リール120が反時計回りに回転し、一対のドラム140,150が時計回りに回転することで矢印方向にテープ110が移動する。これにより、媒体200は、テープ110同士の間に挟み込まれた状態となって第1ローラ130及び第2ローラ180の間を通過し、ベルト160の外周に引き込まれる。
【0041】
媒体処理装置に2枚目の媒体200が取り込まれない場合、
図2Bに示すように、取り込まれた媒体200は、一対のドラム140,150の間の第1の直線部SP1に配置されることで、媒体保持部10にて保持される。
【0042】
媒体処理装置に2枚目の媒体200が取り込まれる場合、
図2Cに示すように、1枚目の媒体200の時と同様に、リール120が反時計回りに回転し、一対のドラム140,150が時計回りに回転することで矢印方向にテープ110が移動する。これにより、1枚目に取り込まれた媒体200Aは、一対のドラム140,150を挟んで第1の直線部SP1と対向する第2の直線部SP2に配置され、2枚目に取り込まれた媒体200Bは、第1の直線部SP1に配置される。
【0043】
媒体処理装置に3枚目以降の媒体200が取り込まれない場合、媒体保持部10は、一対のドラム140,150の回転を停止することで、媒体200の取り込み動作を終了する。一方、3枚目以降の媒体200が取り込まれる場合、上述した動作が繰り返されることで、
図2Dに示すように、一対のドラム140,150の周側面には、テープ110が幾重にも巻き回される。これにより、取り込まれた媒体200は、一対のドラム140,150の間のベルト160の第1の直線部SP1、及び第2の直線部SP2の各々にテープ110同士の間に挟み込まれた状態で幾重にも重なって保持される。
【0044】
本実施形態に係る媒体保持部10は、一対のドラム140,150の間のベルト160の第1の直線部SP1、及び第2の直線部SP2の上に媒体200を保持するため、媒体200に折れ又は湾曲が生じることを防止することが可能である。また、本実施形態に係る媒体保持部10は、ベルト160の第1の直線部SP1、及び第2の直線部SP2の上に媒体200を積層することで、取り込んだ媒体200の折れ又は湾曲を矯正することも可能である。
【0045】
なお、上記では、一対のドラム140,150の間のベルト160の第1の直線部SP1、及び第2の直線部SP2に媒体200が1枚のみ配置される例を示したが、本実施形態はかかる例示に限定されない。ベルト160の第1の直線部SP1、及び第2の直線部SP2の各々には、複数の媒体200が配置されてもよい。このような場合、複数の媒体200が配置される位置は、該位置同士の間に存在するベルト160の長さが均一となるように設定されることが望ましい。これによれば、媒体保持部10は、ベルト160の外周に媒体200を点対称に配置することができるため、媒体200の一部がベルト160の曲面部に配置される可能性を低減することが可能である。
【0046】
(媒体の繰り出し動作)
続いて、
図3A~
図3Cを参照して、媒体保持部10による媒体の繰り出し動作について説明する。
図3A~
図3Cは、媒体保持部10が取り込んだ媒体200を繰り出す際の動作の流れを説明する説明図である。
【0047】
図3Aに示すように、上記にて説明した取り込み動作によって、媒体保持部10では、複数の媒体200がベルト160の外周に巻き付けられて保持される。具体的には、一対のドラム140,150の間のベルト160の第1の直線部SP1、及び第2の直線部SP2には、複数の媒体200がテープ110に挟み込まれた状態で保持される。
【0048】
このとき、
図3Bに示すように、リール120が時計回りに回転し、一対のドラム140,150が反時計回りに回転することで矢印方向にテープ110が移動する。これにより、
図3Cに示すように、テープ110同士の間に挟み込まれた媒体200は、テープ110と共に巻き解かれて第1ローラ130及び第2ローラ180の間から、図示しない搬送路に1枚ずつ送り出される。媒体保持部10は、必要枚数の媒体200を搬送路に送り出した後、一対のドラム140,150の回転を停止することで、媒体200の繰り出し動作を終了する。
【0049】
(変形例)
次に、
図4A~
図4Eを参照して、媒体保持部10の変形例について説明する。
図4A~
図4Eは、媒体保持部10の変形例の構成及び動作を示す説明図である。
【0050】
図4A~
図4Eに示すように、媒体保持部10の変形例では、媒体保持部10の前段の搬送路に媒体200の通過を検出するトリガセンサ190がさらに設けられる。また、媒体保持部10の変形例では、媒体200を第1の直線部SP1、及び第2の直線部SP2により高精度で配置するために、第1券端検知センサ410及び第2件端検知センサ420がさらに設けられてもよい。
【0051】
トリガセンサ190は、例えば、発光部と、発光部からの光を受光する受光部とを備え、発光部からの光を受光したか否かによって媒体200の通過を検出するセンサである。すなわち、トリガセンサ190は、トリガセンサ190が設置された位置を媒体200が通過した際にオン状態となる光学式通過センサである。
【0052】
トリガセンサ190が設けられることにより、媒体保持部10は、トリガセンサ190がオン状態となったタイミングに基づいて、一対のドラム140,150の回転を制御することが可能となる。これによれば、媒体保持部10は、媒体200が搬送されるタイミングと、一対のドラム140,150の回転を制御するタイミングとをより高い精度で合わせることができる。したがって、媒体保持部10は、媒体200をベルト160の第1の直線部SP1、及び第2の直線部SP2により高い精度で配置することが可能である。
【0053】
具体的には、
図4Aに示すように、図示しない搬送路を媒体200が走行しているとする。ここで、
図4Bに示すように、媒体200がトリガセンサ190に到達することで、トリガセンサ190がオン状態となる。その後、
図4Cに示すように、トリガセンサ190がオン状態となってから所定の時間が経過した、又は媒体200が所定の距離だけ移動したタイミング(例えば、媒体200が媒体保持部10に取り込まれるタイミング)で、媒体保持部10は、一対のドラム140,150を回転させることで媒体200を取り込む。続いて、
図4Dに示すように、媒体保持部10は、トリガセンサ190がオン状態となったタイミングに基づいて媒体200が第1の直線部SP1に到達したと予測されるタイミングで、一対のドラム140,150の回転を停止する。これにより、
図4Eに示すように、媒体保持部10は、媒体200をベルト160の第1の直線部SP1により高精度で配置することが可能である。
【0054】
第1券端検知センサ410、及び第2件端検知センサ420は、それぞれ第1の直線部SP1、及び第2の直線部SP2のドラム140側に設けられる。第1券端検知センサ410、及び第2件端検知センサ420は、テープ110に挟み込まれてベルト160の周側面を搬送される媒体200の端部を光学的に検出することができる。これによれば、媒体保持部10は、媒体200の現在位置をより高精度で検出することができるため、媒体200をより高精度で第1の直線部SP1、及び第2の直線部SP2に配置することができる。
【0055】
複数の媒体200を媒体保持部10に連続して取り込む場合には、媒体保持部10は、上記の動作を繰り返すことにより、媒体200をより高精度で第1の直線部SP1、及び第2の直線部SP2にそれぞれ配置することが可能である。
【0056】
以上によれば、媒体保持部10は、媒体200の搬送路にトリガセンサ190を設けることで、トリガセンサ190からドラム140までの距離、及び搬送速度に基づいて、媒体200が第1の直線部SP1に到達するタイミングを予測することができる。したがって、媒体保持部10は、予測されたタイミングで一対のドラム140,150の回転を停止させることで、媒体200を第1の直線部SP1に確実に配置することが可能である。また、媒体保持部10は、第1券端検知センサ410、及び第2件端検知センサ420を設け、媒体200の端部を検出することで、媒体200をより高精度で第1の直線部SP1、及び第2の直線部SP2に配置することが可能である。
【0057】
<2.第2の実施形態>
続いて、
図5A及び
図5Bを参照して、本発明の第2の実施形態に係る媒体処理装置について説明する。
図5Aは、第1の実施形態に係る媒体保持部10を筐体300に収納した状態を示す説明図である。
図5Bは、第2の実施形態に係る媒体保持部20を筐体300に収納した状態を示す説明図である。
【0058】
例えば、上述した特開2016-216183号公報(特許文献1)に開示された媒体処理装置では、ドラム、リール、及びローラの大きさ及び配置について十分な検討がされておらず、筐体内の空間が十分に活用されていなかった。同様に、第1の実施形態に係る媒体処理装置が備える媒体保持部10では、
図5Aに示すように、ベルト160が架け渡された一対のドラム140,150の長手形状と、リール120の等方形状との違いにより、筐体300内に収納した際に、大きなデッドスペース310が生じることがあった。
【0059】
第2の実施形態に係る媒体処理装置が備える媒体保持部20は、一対のドラム140,150の長手形状と、リール120の長手形状とを整合させることで、筐体300内の空間をより有効に活用することが可能である。
【0060】
具体的には、
図5Bに示すように、媒体保持部20では、リール120は、リールベルト123が架け渡されることで同期して回転可能に設けられた一対のリール121,122にて構成される。テープ110は、他端をリールベルト123に固定部124にて固定されて、一対のリール121,122の回転に伴ってリールベルト123の外周に巻き取られる。例えば、一対のリール121,122は、図示しないモータから駆動伝達部を介して駆動力を伝達されることで、テープ110の巻き取り方向(
図5Bでは時計回り方向)、又はテープ110の引き出し方向(
図5Bでは反時計回り方向)に回転することができる。
【0061】
これによれば、媒体保持部20は、媒体を挟み込んだテープ110が巻き付けられる一対のドラム140,150と、テープ110を巻き取る一対のリール121,122とを同様の長手形状に構成することができる。したがって、媒体保持部20は、一対のドラム140,150と、一対のリール121,122とを互いに略平行となるように配置することで、筐体300内にデッドスペース310が生じないようにすることができる。
【0062】
よって、第2の実施形態に係る媒体処理装置によれば、筐体300内でリール120側の構成に占有される空間をより拡大することができるため、テープ110の巻き取り量をより増大させることが可能である。また、第2の実施形態に係る媒体処理装置は、筐体300内の空間を媒体保持部20にて有効に活用することで、筐体300の大きさをより低減することが可能である。
【0063】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0064】
例えば、上記実施形態では、ベルト160が架け渡されたドラムは一対(2個)としたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、ベルト160が架け渡されたドラムは3個以上であってもよい。このような場合、媒体処理装置は、多角形の頂点にドラムを配置し、ドラムの周側面にベルト160を架け渡すことで、ドラムの各々の間にベルト160の直線部を形成することができる。したがって、媒体処理装置は、同様に、ベルト160の直線部に媒体200を配置することで、保持された媒体200が変形することを防止することができる。
【符号の説明】
【0065】
10,20 媒体保持部
110 テープ
120 リール
130 第1ローラ
140,150 ドラム
160 ベルト
170 固定部
180 第2ローラ
190 トリガセンサ
200 媒体
400 可動案内ガイド
410 第1券端検知センサ
420 第2券端検知センサ
SP1 第1の直線部
SP2 第2の直線部